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ラノで読む 完全版をラノで読む 「ほう?」 零次は声を上げる。 全員が、形をまだ保っていた。 「些か驚いたな。あのタイミングで相殺したか――」 無傷である皆槻直が、攻撃に使うはずだった全力の空気噴射を迎撃・防御に転化。 孝和が、敬が、練り上げた気を盾に。 そして皆、全ての力を回避と防御に費やし――何とか、耐えることが出来た。 だが、耐えられただけだ。否、死ななかっただけだ。 全員が全員、倒れている。息はあるものの、動けない。 だが―― 「……まだ立つか」 立ち上がる。 時坂祥吾は、立ち上がる。 「ずっと……時がとまればいいと思っていた」 熱に浮されたに、祥吾は言う。 泣き言ではない。それは泣き言でも、現実逃避の言葉でもない。 ボロボロの身体で、それでも前を見て。 「時間は戻らない。失ったものも、亡くした人も、出来なかった事も……覆すことなんて出来ないんだ。 でも、だったらせめて。 二度と取りこぼすことの無いように、時が止まればいいと思っていた――」 「だが今のお前に、メフィストフェレスは存在しない。 ただの贋作に頼るしかないお前には――何も出来ぬよ」 「ああ、そうかもしれないな。永劫機は無く、ここにあるのは人の造った悪魔の更なる模造品……だけど! それでもここにある……そうだ、あいつが本当に死んでしまったのなら……俺は、そもそも生きていない」 それは矛盾。 そう、かつて時坂祥吾は自身の時間を、「時間が尽き果てる運命」にあった妹に譲り渡した。 本来はその時点で死んでいるはずだったが――メフィストフェレスにより、死の一歩手前、死に至る直前でその生命の時間は停止させられている。 そう、無限の永劫回帰の中で、時間と魂源力を喰らい続けた零次と違い――祥吾には時間はないはずなのだ。 メフィストフェレスが本当に滅び去ってしまったならば――祥吾はあの時に、メフィストフェレスが倒れたときに死んでいる。 なのに生きている、この矛盾。 それが指し示す答えは――簡単な、そう、とても簡単なたったひとつだ。 「体を失っても、あいつの心は、存在は俺とともに在る。 それは本当に当たり前のことだ。今まで、共に生きてきた。 それに……本当に単純な事を、俺もお前も、みんなも忘れてる。 人造とはいえ……あいつは、悪魔だ。 悪魔が、ただ肉体を失っただけで……死ぬと思うか?」 その程度で。 一度死んだ、たったその程度で――あの悪魔が。 いなくなるはずが、ないんだ。 悪魔とは、地獄にいる怪物だ。人の悪性だ。欲望の具現だ。 人間が死に絶えでもしない限り、滅びることがあるはずがない。 祥吾が死んでしまわない限り――あのメフィストフェレスが滅びることがあるはずがない! 彼女はかつて言った。 “貴方が望むなら、伴侶のように、召使のように、奴隷のように仕えましょう――” ならば望もう。再び此処に。 死んだ程度でそれを反故にされてたまるか。 一度約束したのなら、最後まで一緒にいろってんだ! 死が二人を別とうとも――そんなこと、知ったことじゃない! 「だから今こそ呼び戻す。この誓約の言葉と共に」 ――我が地上の日々の痕跡は―― 最初の出会いは偶然だった。 拒絶し、理不尽に怒りもした。 ――永遠に滅びはしない―― 彼女の孤独を知った。 磨耗したその人ならぬ心を知った。 ――その幸せの予感のうちに―― その笑顔を見た。 この世界で生きて欲しいと、いつしか願うようになった。 ただの従順な自動人形のはずが、気づけば煩わしいほどに人間臭くなっていた。 ――今味わおうぞ、この至高の瞬間を―― 口うるさく自分達の生活に口を出し、財布の紐まで握り、世話女房気取り。 勝手に昔のノートを発掘し、指差して大爆笑するほどまでになっていた。 ものすごく腹立たしく、恨めしい。 そしてそんな日々が、とても輝かしく思う。 だから。 だから今こそ――この言葉を言おう。 ――時よ止まれ――お前は――かくも美しい! 力ある言葉が此処に紡がれる。 絶対時間の矛盾すら押し通して。 顕現する。 流れるような、夜闇を思わせる漆黒の髪。 透き通るような白い肌。 ウロボロスファントムを喰らい、自らの存在へと変換し、その少女は此処に再び現れる。 愛すべからざる光の君。ファウストの悪魔。 ――メフィストフェレス。 「祥吾さん」 「メフィ」 交わす言葉は少ない。 互いの名前だけ。 今はそれで充分だ。充分すぎる。 やるべき事など理解している。 だから。 「顕現せよ――!」 黄金懐中時計は手の中に。 輝きを再び取り戻し、否――永劫に輝き続け、もはやその光を失うことはないと確信できる。 それを、力強く握り締める。 解れ、崩れ、砕け――幾つもの弾機、発条、歯車、螺子へと変わっていく。 それらは渦を巻き、螺旋を描きて輪と重なる。 それはまるで、二重螺旋の魔法陣。 そこに集まる大質量の魂源力は、やがて織り上げられ―― その輝きを、眼に、魂に焼き付ける。 「永劫機……」 力が、爆現する。 全長3メートルの巨体。 チクタクチクタクと刻まれる黒きクロームの巨躯。 黒く染まる闇色の中、黄金のラインが赤く脈打つ。 各部から露出した銀色のフレームが規則正しく鼓動を刻む。 背中からは巨大な尻尾。 頭部にせり出す二本の角、全体の鋭角的なシルエットからはまさしく竜を連想させる。 それはモデルとなった悪魔――地獄の大公の姿ゆえか。 強く、烈しく、美しい。 心からそう思える。確信する。我が相棒、我が伴侶、我が力の形。 これこそが、永劫を求めて創り出された、叡知の結晶。 時計仕掛かけの悪魔―― 「――メフィストフェレス! 」 「馬鹿、な――」 その光景を、零次はただ見ていた。 見ていることしかできなかった。 ありえない。ありえない! 死んだはずだ。彼女は確かに散って逝った! あの時と同じように! 私を守って逝った、あの時と同じく――なのに何故このような奇跡が起きる! 「時逆零次」 祥吾は、いつかの自分の姿を呼ぶ。 「時坂祥吾……!」 零次は、かつての自分の姿を見据える。 「確かにお前は強い。最強だよ、永劫とも言える回帰を繰り返し、魂源力を高めてきた。 俺では絶対に、お前に勝てないだろうな」 「その通りだ、認めたな、勝てないと!」 「ああ、俺じゃ勝てない。だけど――だからと言って、それが! 勝てない程度の、たったそれっぽっちが! それがどうした!! 不思議と負ける気がまったくしねえよ。なぜなら、お前はどうしょうもなく独りだ!」 どれだけ力を得たって。 どれだけ玩具の兵隊を指揮したって。 どうしょうもなく孤独な……ただそれだけだ。 ただ一人我を張って戦う、ああそりゃ確かにものすごいさ。そう言ってしまえば成る程ものすごくかっこよくて、まるで英雄だ。 だけどそれは――拒絶して強がってるだけだ。 誰かと触れ合う事を怖れ。 触れ合った誰かを失うことを怖れて。 よく判る。すごくわかる。だって、確かにかつての自分もそうだったから。 独りは楽だよな。失うものがなにもない。 独りは楽だよな。自分の時間が好きなように使える。 独りは楽だよな。何も考えずに生きていられる。 それは――ある意味確かに、本当に強い。孤高の強さ、何も失うものが無い強さだ。 だけど、もう……それには、戻れない。 祥吾にはもう、そのような一本の通った強さは得られない。 知ってしまったから。 他人のぬくもりを。触れ合う事の、手を取り合うことの意味を。あたたかさを。 そして、弱くなってしまった。 だが――それを後悔などしない。できない。するつもりもない。 誇っているから。その脆弱さを。 「お前が忘れた力がある。お前が捨てた力がある!」 「何処にある!」 「此処だ……!」 零次の問いに、祥吾は自らの胸を指差す。 「此処にある。 俺は、俺達は、決して独りじゃない! ひとたび結んだ絆は、捨ててしまわない限り、永遠だ!」 仲間達が立ち上がる。 そうだ、誰一人――諦めてなんか、いない。 心が折れたら、互いに繋げばいい。 身体が折れたら、支えあえばいい。 そうやって――戦って来たんだ。 今までも、そしてこれからも。 戦いの中で知り合った仲間。手を取り合った友。 そして、まだ見ぬ見知らぬ誰かとも。 全ては繋がっている。 それが答えだ。 辿り着いた真実だ! 「そうだ……」 「お前のやってることはただの現実逃避だ……!」 「ゲームで負けたからって電源引っこ抜いてリセットするのと、変わらない」 「何その……子供の駄々は」 「負けるかよ」 「俺達が……!」 「私達が……!」 「みんなが……!」 「お前みたいな奴に……! 負けて、たまるか!」 「俺たちは、独りじゃない――! 俺たちは、ひとつなんだ!」 響きあう。 反響する。 心が。意思が。想いが。意志が。魂が! 高めあう。力を、魂源力を高めあう。 共振し共感し共鳴し、巨大な力を紡ぎ出していく。 『祥吾さん。力が……!』 永劫機メフィストフェレスから、弾き出されるようにメフィストが実体化する。 「……!?」 強制的に戻された? いや、違う。 この現象は、そうではない。そんなものではない。 もっと違うものだ。 その先にあるものは―― その奇跡は―― 「くだらぬ! 何をしようとしているかは知らぬが――死ね!」 放たれる攻撃。魂源力の光弾が唸りをあげて放出される。 「――!?」 だが、それは祥吾たちに直撃する前に消失する。 虚空に喰われ、消滅したかのように。 「神……無……!?」 そこには、神無の姿があった。 肉体は無い。既に零時に喰われ取り込まれ、クロノスギアの一部と化している。 だが――その心は、魂は、此処にあった。 祥吾たちの所に。仲間の場所に。 『私だけでは――ありません』 神無が振り向いて微笑む。 『ごめんなさい、遅くなりまして……』 いつものように、コーラルが謝罪の言葉を口にする。 『間に合いましたね、ご主人様』 アールマティが、鶴祁に微笑む。 『あの子達の為に……戦います』 葬式に参列するかのようなブラックフォーマルの洋装の少女が立つ。 『よくわからないけど義によって助太刀いたす! って奴です!』 右腕が機械の、眼帯の少女が勢いよく叫ぶ。 集う、幻想的な少女達の姿。 それらは全て――永劫機の意思だ。そこに宿る魂だ。 人に造られし、美しき天使/悪魔たち。 永劫機ツァラトゥストラ。 永劫機メタトロン。 永劫機コーラルアーク。 永劫機アールマティ。 永劫機ロスヴァイセ。 永劫機ウォフ・マナフ。 永劫機アルヴィース。 永劫機エセルドレーダ。 永劫機ベルフェゴール。 永劫機アバドンロード。 永劫機プロセルピナ。 永劫機メフィストフェレス。 十二体の永劫機の力が――否、その意志が、魂が終結する。 力はない。体もない。 だが、その魂は確かに此処にある。 この世界で、主たちと紡いできた想いがある。 この世界で、たったおよそ十年足らず。それでも生きてきた軌跡がる。 それだけは――どんな矛盾と断罪されようとも、消すことなど出来ない。 出来はしないのだ。たとえ神といえども。 故に、再生する。 故に、蘇生する。 故に、復元する。 故に――此処に集結する。 螺旋を描く。 それはまるで遺伝子配列のように。生命の力の象徴であるかのように。 渦を描く。 それはまるで銀河の流れのように。宇宙の力の具現であるかのように。 そしてそれは――今此処に、その形を成す。 カイロスという神がある。 時間の神。時を告げる神。 それを模した、機械仕掛けの神が、ここに今、生誕の刻を迎える。 十二体の永劫機の意思を持つ無敵の神。時刻神カイロス。 それはカイロス時間の具現。速度が変わり繰り返し逆流し止まるを繰り返す、人間の内的な時間。 ギリシア語で「機会(チャンス)」を意味する言葉だ。それの意味する事は一つ。 人の心を反映し、未来を切り開くための、運命を覆す可能性を持つ、無限時刻。 運命に抗い、切り開くための、時を刻む神なる剣。 永劫神剣――カイロスソード。 荘厳にして華麗。豪華にして絢爛。 天衣にして無縫。不朽にして不滅。 一振りの剣が、そこには在った。 その剣を、祥吾は執る。 瞬間、その背後に――巨大な剣が組みあがる。 幾つもの弾機、発条、歯車、螺子が渦を巻き、組みあがっていく。 永劫機の顕現の瞬間と同じように。 いや、それよりも遙かに力強く。 巨大な神剣が顕現する。 祥吾が、手にした剣を振る。 それに合わせて、その動きを模倣し、巨剣もまた唸る。 「だありゃあああっ!」 クロノスギアから放たれた幾つもの腕、鎖、それらを一撃で砕き斬る。 「な――」 一撃、そう一撃だ。 ただ一振りで、クロノスギアの攻撃が弾かれ、腕が吹き飛ばされた。 「馬鹿な、知らぬ……こんな展開など、こんな未来は、私は知らぬ」 呆然とする零次。 こんなことなど、今まで一度たりとも無かった。 そして、予定にも無い。ありはしないのだ、クロノスギア以外の――それを越える永劫機神など! 「お前に……お前などに! そんな力が! あるべくもない!」 「当たり前だ。俺にそんな力はない――だけど!」 そうだ、時坂祥吾は無力。何も出来ない。出来はしない。 今までがそうだったように。 だが――それでも、何かをしようと、死に物狂いで足掻く事は出来る。 今までがそうだったように。 だからこそ、ここにこの結果がある。 この力が、ある。 ……今までが、そうだったように! 「俺の力じゃない。俺たちの力だ、明日を望む生命の力だ!」 祥吾の力ではない。 皆の力だ。 とても重くて、一人では持つことすら出来ぬ剣。だが、ここにいる全ての者の力があるから――操れる。 理不尽で残酷な世界に生きながら、それでも決して絶望に染まらず、歩いてきた人々の力。 つらい過去があった。 苦しい現在がある。 だが――いや、だからこそ、未来に希望を託す。 明日を、望むのだ。 「決着をつけるぞ、みんな! 俺たちの力で!」 「おう!」 そして――蛇蝎たちの精神が崩壊する。 その、一歩手前。 刹那の極みにて―― 根が、デミウルゴスを貫く。 『な、に――?』 木々が茂る。魂源力を喰らう森が床を踏み砕いて現れる。 木々は、生い茂る葉は、音を吸収すると言われている。 故に、防ぐ。故に、留める。 そして、それは確かに一瞬の薄い壁にすぎぬけれど、確かにそれは効果はあった。 少なくとも、白銀の煌きが、その“声”を殺すための時間を稼ぐ程度には。 飛来するナイフが、クロックワークデミウルゴスの喉を貫く。 偽神は未練の人類総体だ。故に、一撃で確実にその力を殺すことは出来ない。 だが、その力のひとつの局面を一時的にでも押し殺す事ならば、可能。 そして、空間の断裂が、デミウルゴスの機腕を寸断し、次元の彼方へと吹き飛ばす。 『な――』 すぐに再生するだろう。すぐに復元するだろう。 だが、それでも。 その一瞬の時間があれば―― そして、蛇蝎兇次郎は知っていた。予測していた。 耐え切れば、必ず逆転の機が来ることを! 「機は此処だ! 全力全開、一斉攻撃をブチ込めぇええっ!!」 『な――!!』 慌てて迎撃の態勢をとるが、遅い。 化学変化が。モルフォ蝶の燐粉が。腐食性ウィルスが。陰陽術が。 そして、荷電粒子砲が。 一斉に、クロックワーク・デミウルゴスを貫く。 砕く。侵す。破壊する。 その巨体に、今度こそ――絶対の破壊をもたらす。 『莫迦な――コの私ga――神でアRUこノ私が――ありEなゐ……』 ノイズの混ざった声で驚愕と絶望を叫ぶ、クロックワーク・デミウルゴス。 願いは折れ、その機械の体は崩壊へと向かう。 『人の……望みを奪UのKa……! 歴史ヲ靴が絵死体Toいう……弱きふmiに自らレた人々の重いヲO……!』 「やかましいわ、たわけが」 蛇蝎は傲慢に、不遜に。神に向かって言い放つ。 前髪をかきあげ、冷徹に冷酷に、哀れみさえ浮かべて見下ろしながら。 「そんな事は誰も頼んでおらぬ。貴様の惰弱さを、勝手に他人に押し付けるな」 『Aaa――――GA……』 「貴様は神ですらない。ただの這い擦り回る混沌にすぎんわ。 それだから貴様は、負け犬なのだ」 「希望を捨てぬか、勇敢なことよ――! だが!」 クロノスギアが巨大な時計の針を、剣を振るう。 それをカイロスソードは受け止める。 鶴祁の持つ、剣術の技巧で。 直の持つ、豪胆さで。 誠司の持つ、勘と経験則で。 孝和の持つ、気の力で。 その永劫神の圧倒的な剣撃を、受け止め、いなし、払い続ける。 「知らぬのだ!その希望とやらがどれだけ絶望を呼ぶか!」 零次は叫ぶ。 強圧無比な神力の波動で押し潰そうと、その怒りを放つ。 だが。 「んなの知ったこっちゃねぇっすよ!」 敬のサポートのもと、二礼の神殿が完成する。 神を卸すその力。幾多の仲間に守られている今、戦いの只中であろうとも、その儀を完遂するのは容易い。 その力で――神威で、神力の波動を押し返す。 クロノスギアごと弾き飛ばされ、壁へと叩きつけられる。 だがそれでも零次は怯まない。立ち上がる。 「言うつもりか!? どんなにつらく長い夜だろうと、必ず朝が来ると――陳腐な見せ掛けの希望で惑わすか!? ああ、確かに夜はあけるであろう、朝は来る!」 無数の時計の針が出現する。 その全てが、祥吾たち全員を狙っている。剣山のように串刺しにしようと飛来する。 「だがそうして昇った太陽は再び沈み、そして再び夜の闇が世界を閉ざす! 希望とは! 絶望をより色濃く浮かび上がらせるためのスパイスでしかないと、貴様らはまだ知らぬのだ!」 迫り来る針たち。この数を剣で全て打ち落とすことなど不可能。そして神域の防御も、再び発動するには時間が足りない。 だが。 「っぜぇ……っ! 知るかよンなこたぁっ!!」 真琴が叫ぶ。 その針の全てが――かき消え、そして反転して出現する。 瞬間移動能力。カイロスソードの力で増加されたその力で撃ち帰す。 「うぉ、ここにきて姉さんモードだ」 孝和が喜んだ。 「ぐ……っ!」 針が叩きつけられ、次々と爆発していく。クロノスギアの全身を震わせ、後ろに退かせる。 その機を、祥吾は前進し、カイロスソードを叩きつける。 「ていうか、理屈がちがうだろ。覚えてないのか? もっと昔、俺はいじめられていたよな! ずっと思ってた。朝なんてこなくていい、ずっと夜の闇に隠れていたい―― それでも、朝は来る、きてしまう! たとえ望まなくても、朝は来てしまうんだ!」 「それがどうした!」 「どうもしねえ、ただそれだけの――どこにでもあることだ! そんなくだんねぇことに、いちいち希望だの絶望だの言い訳つけて浸ってんじゃねぇ!」 「くだらぬだと――?」 「ああ、くだんねぇよ! 理屈をつけて、言い訳して、理由を探して、誤魔化して! そうやって自分を正当化して正義ヅラしてぇだけだろうが!」 目の前の男は言った。 正義の行いだと。世界を滅びから救うと。 ああ、確かに立派だよ。英雄の所業だ。 だけど、だからといってそれが――今を踏み躙っていいのか! 今を生きるみんなを、踏み躙ってそれで英雄気取りか、ふざけるな! 「俺に判るぐらいだ、お前だって判ってんだろうが! それをぐだぐだと――」 「黙れ!」 「何度だろうと言ってやるわよ、こんの分からず屋!」 綾乃の発する炎がカイロスソードに纏われる。 直の放つ風が、その炎を激しく燃やす。 まるで、火炎の竜巻。天上を焦がす劫火だ。 「えらそうにほざいてんじゃねぇ、英雄気取りのクソ野郎! 俺はそういうガラじゃねぇだろうが!! そんなだからお前は――」 上段からの唐竹割り。鶴祁の持つ剣速が上乗せされ、アールマティの時間加速がそれをさらに激しく躍らせる。 「てめぇの世界ひとつ、救えねえんだ!!」 振り下ろされる炎がクロノスギアを袈裟懸けに切り裂き、そして焼く。 莫大な炎の奔流。魂を焼き尽くす煉獄の炎のように、それは零次の心身を苛む。 「黙れぇえええええええええええええっ!!」 認めぬ。 認められぬ。 認めてしまえば――今までの時間全てが無為に帰してしまうのだ。 世界を救うために。 世界を守るために。 その私が道化だと――英雄狂だと! 消えろ。 消えてしまえ、今度こそ! 我が前から消えるがよい、過去の幻影よ! 我が忌むべき黒歴史!! 「時空爆縮回帰呪法・終焉世界!!」 クロノスギアが奥義を放つ。 絶対の時間を統べるクロノスギアにとって、時空爆縮回帰呪法をこの短期間で再び放つことなど、造作も無いことだ。 それほどまでの、絶対的な力。 炎をかき消し、その破壊の光はカイロスソードへと迸る。 それを、祥吾たちは、 「んなろぉぉぉあああああああああああああああああっ!!」 剣を振りかぶり、正面から受け止める。 「――――――――――――ッ、ガァァァァァ……っ!!」 激しい。烈しい。 崩壊と破壊が皆を襲う。先ほどとは比べ物にならぬほどの圧倒的暴力。 市原の再生力を持ってしても、この破壊の力を正面から受け続けるのは無謀である。 宮子の治癒力を持ってしても、この破壊の力を正面から受け続けるのは無謀である。 ならばどうする。 こちらもまたクロノスレグレシオンを放ち、相殺し打ち勝つしかない。 だが、このエンブリオの時間を支配しているのは、時逆零次。 メフィストフェレスの時間堰止能力は機能しない。 故に撃てない。 故に勝てない。 ――本当に、そうだろうか? 思い出せ、時坂祥吾。クロノスレグレシオンの真実を。 あの日。 祥吾の時間を、命の時間を死の直前で止めた日から――どれだけたっている? そうだ。 クロノスレグレシオンは――時を止めたその反動をぶつける技だ。 ならば。 止まっている時間は――――ここにあるではないか! 「な……に!?」 零次が瞠目する。 何をしようとしているのか、それを理解して。 「貴様……真逆! 自らを時間爆弾として、クロノスレグレシオンを放つ心算か!」 是である。 刹那の綱渡り。 死の直前で時間が止まっている、その時間を動かす。そして再び止める。直前のさらなる寸前。一歩手前から半歩手前へ。刹と那の間を見極める。 そのほんの僅かな極小の時間を開放し――クロノスレグレシオンの起爆剤とする。 自らを、武器へと変えて。 否である。 そのような事は不可能だと理性は訴える。 だが、今――祥吾が手にしている剣は何だ? 重ねて言おう。 カイロス時間とは、速度が変わり繰り返し逆流し止まるを繰り返す、人間の内的な時間である。 その力の具現化たる剣。内的時間、心が全てを決める。 そう、それは例えるなら――死する直前に人が見るという走馬燈(ファンタズマゴリア)。 外的にはほんの一瞬のその瞬間に、今までの人生を振り返る時間の矛盾。 それを引き起こす。意志の力で。 時間を引き延ばす。刹那を無限に。 心の時間。魂の時間。今まで生きてきたその全て。これから起こる未来の全て。 祥吾だけではなく。 祥吾と共に生きてきた者達。これから共に生きるべき人達。 今――此処にいる仲間達の、全ての心の時間を。 思いを。 想いを。 力に変える。 死ぬつもりなど毛頭無い。刹那を見極めるその極限の綱渡りも、失敗する恐怖など無い。 確信する。確信している。 何故なら――時坂祥吾は、独りではないから。 そっと、祥吾の手に触れてくるものがある。 剣を執る手に重なる、白く細い指。 美しい悪魔の指だ。 目と目が合う。頷きあう。それだけで充分。言葉は要らない。 わかる。彼女だけではない。多くの想いが此処にある。傍らに、背中に、まだ見ぬ何処かに、それは確かに在る。 だから、力に変える。全てを。 「うおおおおお――――――!!」 咆哮する。 力がぶつかり合う。 「何故、だ――」 拮抗する。 否。 ゆっくりと、絶対時間が圧されていく。 零次は叫ぶ。声なき声で叫ぶ。 何が足りぬ。 何が足りぬのだ! あれにあって我にないものとは何だ! ありえない。 手に入れたのだ、力を。 世界を救うために、無限とも思える永劫回帰を繰り返し。 世界を救うために、あの世界を見捨ててまで! 「――」 見捨てた。 そう、見捨ててしまった。 いや、違う――そうではない! 仕方が無かったのだ! そうでもしなければ、世界を救えはしない! 矛盾だと、そうだ。それを見過ごさなければどうしようもないのだ。 何かを犠牲にしなければ何も救えはしない。 何かを救うための力を得るには、犠牲が、代償が必要なのだ! そう、言っていたではないか―――― 誰が? “時計仕掛けの天使をもて、私は更なる力を得る。 その為に、彼女らには尊き犠牲になってもらった……ただそれだけ” ……ああ、それは。 “最初のクソ甘い理想だとか、そんなもんはドブに捨ててきた!! 捨てなきゃ生きることも出来なかった!! 理由? 目的? そんなものはもうない! あるのはただひとつ、世界を守る――ただそれだけだ!!” ……自分がかつて、命を奪ったひとの言葉だった。 彼は正しかった。正しかったのだ。 だから、自分もその道を選んだ。正しい道なのだ、選ばざるをえない。 だが―― あの時、自分は、その教師の言葉に対し、何を言ったのだろうか? あの人は――何を思ったのだろうか? 本当に今のこの道が正しいと言うのなら、何故――ここまで邪魔が入る。 何故、ここで躓くのだ。 本当に自分は正しかったのか。 わからない。 わかりようがない。 遠すぎて、もはやわからない。 追憶の彼方の幻は、ただ遠く、ただ眩しすぎて―― 時逆零次は、今はもう思い出せない。 時坂祥吾は、今でも覚えている。 初めて時計を手にしたあの日。 無我夢中で、ただ許せなくて。 叫んだあの言葉だけは、忘れない。 「どれだけ現実が重くても。 時の流れに擦り切れて、かつての理想を忘れる日が来たとしても……」 今なら理解できる。 吾妻先生の苦悩、苦痛が。 何度も戦い、辛くも勝利してきたが、けっして楽な道ではなかった。 肉体的にも、精神的にも、つらいことがたくさんあり、きっとあの人は、その何倍も、何十倍も――そんな思いを懐いてきたのだろう。 思えば、なんという子供の夢想をさも偉そうに吐いた事か。 それが難しいことなど、眼前の自分を見れば……笑えるほどに明白だ。 思いは忘れられる。 心は擦り切れ、魂は磨耗し、願いは朽ち果て、祈りは消え去る。 だが。 だけど。 「それが……!」 それでも。 この言葉だけは忘れない。 この言葉だけは曲げない。 今の自分は――まだそれを忘れても、擦り切れてもいないのだ。 だから、屈しない。貫き通す。 たとえ、自分がいつしか擦り切れ朽ち果てる日が来るとしても――その瞬間まで足掻き続ける。 それが、責任だ。それが、義務だ。 あの日あの時、自分で選んだ道だ。 自分がどれほど未熟であろうとも。 だからこそ、貫き通す……! 「何かを諦める理由には、ならない……っ!!」 だから叫ぶ。 裂帛の気合と共に。 そしてそれを、力に換える。 「諦めちゃ、いけないんだぁぁああああああっっっっ!!」 過去から現在までの軌跡を、紡いできた時を力に換え―― 未来を望む――――全ての人の想いを、此処に。 クロノスレグレシオン・ファンタズマゴリア 「――時空爆縮回帰呪法・幻燈昇華」 閃光が、エンブリオをゆっくりと砕いていく。 想いは無限。 それが生み出す時間もまた無限。 その刹那にして無限の時が力となり、緩慢にエンブリオを砕き、消滅させていく。 再生はしない。復元もしない。増殖もしない。極限まで引き伸ばされた時間は、それを許さない。 ただゆっくりと、崩壊に向かう。 光の粒となり消えていくその光景はとても幻想的であった。 その中で――零次が笑う。 砕け、消えていく己の身体を自嘲しながら。 「私が――負けるか」 不思議と。 後悔は無かった。絶望も無かった。 何故だろうか? ああ――それは、きっと。 「また、繰り返すのか」 時坂祥吾は問う。 時逆零次は答える。 「否。それは有り得んよ。我がクロノスギアが敗れた――それは即ち、我が永劫機ツァラトゥストラが破壊されたということだ。 永劫回帰の呪いはツァラトゥストラのシステム。 故に――私はもはや、過去に戻る事など無い。永劫回帰は破却された。 これで、終焉という訳だ」 「……」 「そんな顔をするな。お前は人を殺した訳ではない。 ただ、私という亡霊を還しただけと知るが良い。そう、所詮私は未来の亡霊よ。 幾千幾億と繰り返した、ただの妄執に過ぎぬ――」 零次は目を閉じ、考える。 「嗚呼。世界を救いたかった。この運命を覆したかった。 それこそが、過ちか――長い、長い遠回りだった」 世界を滅ぼしてしまったから、世界を救おうと思った。 それが――過ちだったのか。 世界を滅ぼしたのが過ちではなくて、ただ、救おうと大それたことを考えてしまった、その事が。 自らの罪を消そうとしたことが、過ちだったのか。 起きてしまった事は、覆せない。 無かったことになど、出来ない。 ならば。 ただ、償おうと。背負おうとすればよかっただけだと、気づくのに。 どれだけの遠回りをしてきたのか。 どれだけの時を費やしてしまったのか。 「考えすぎなんだよ。俺たちは、そんなガラじゃねぇだろ」 「確かにそうだ。永らく独りでいるとな、ついつい余計な知恵をつけてしまうものだ。 そして思考の迷宮に惑い――賢しいが故に、最も愚かな道を選び取る。まさに滑稽な英雄狂よ」 「だけど俺には――皆がいる。だから――」 そうはならない、と。 祥吾は静かな確信のもとに、言う。 その迷いの無い顔に、零次はただ苦笑する。 なんとも愚かで、そして眩しいことか。 「なら戦えばよかろう、お前の望むままにな。 しかし、たとえ……この滅びを回避したとしても、世界には嘆きと絶望しか無いぞ?」 エンブリオと永劫機(メフィストフェレス)による時間崩壊。 それは、幾つも存在する滅びの可能性の、たった一局面に過ぎない。 世界崩壊の可能性は無限にあり、今この瞬間にも――何処かの誰かの悪意か、あるいはただの偶然かによって生まれているかもしれない。 「それは、お前がそれしか見なかっただけだ」 「ほう?」 「嘆きと絶望に溢れていても――それで、それ以外の全てが無くなる事なんて無い。俺は知ってる」 自分が絶望した時。 全てを諦めようとした時―― それでも世界はそこにあって、自分を抱きとめてくれた。 みんな、そこにいてくれたんだ。 「世界は――それでも、やさしくて、美しいんだ」 だから。 この幸せを、感じよう。 みんなと過ごしてきたこの時間を。 よきことだけではなかった。 つらいことも苦しいこともあり、寂しくもあれば悲しくもあった。 だがそれとて、思い返せば、笑い飛ばせるものになる。 なぜか? 決まっている。 ひとりじゃない。 祥吾は見回す。 敷神楽鶴祁がいる。米良綾乃がいる。 菅誠司がいる。市原和美がいる。星崎真琴がいる。三浦孝和がいる。 拍手敬がいる。神楽二礼がいる。皆槻直がいる。結城宮子がいる。 このエンブリオの何処かで、他にも戦っている人たちがいる。 蛇蝎兇次郎達や、ヘンシェル達。 地上にも、醒徒会のメンバー、風紀委員達、そして多くの仲間がいる。 友達がいる。家族がいる。 そして――メフィストフェレスがいる。 ひとりじゃないからだ。すくなくとも今は。そしてこれからも。 そう、だから。 愛するものと紡いできた、その瞬間を。 その一瞬を、永遠へと語り継ぐために。 「成る程。つまりそういう事か」 零次は笑う。 「時よ、止まれ――」 お前(せかい)は。 かくも、美しい―――― そして。 全ては、光に包まれた。 トップに戻る 作品投稿場所に戻る
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ジャンバティスト(ジャン・バティスト) ヨハネの別名。
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ラノで読む この物語はフィクションであり、 実在の人物・団体・事件、および 双葉学園とは一切関係ありません。 【双葉学園映画倫理委員会】 一九九九の年、七の月 空から恐怖の大王が降ってくるだろう アンゴルモアの大王を蘇らせる為 マルスはその前後を幸せによって統治するだろう ――諸世紀より抜粋 A.D.1999.7.11 23 52 東京湾埠頭 夜の闇を、稲光が引き裂いた。 打ち付ける雨の中に佇む少年の姿を、その光が照らす。髪も服も、雨に濡れて肌にべっとりと張り付いている。 青ざめた肌、紫に変色した唇。震える手足、そして……老人のように白くなった髪の毛。その姿から、彼が今にも倒れそうなほどに疲弊しているのが容易に見て取れる。 だが、少年は倒れない。 死者もかくやというその体で唯一、生命力を感じさせる、鬼気迫る瞳で一点を見る。 執念、怨念、執着、切望、渇望、憎悪、憤怒……あらゆる感情がその瞳の中で渦を巻く。 雷光が夜を引き裂く。 アスファルトを叩く雨の音の中、唇が小さく、喘鳴と共に言葉を吐き出す。 「……る……」 その眼光が見据えるのは、東京湾の彼方。 建設中の人口島。建設重機の照明にライトアップされたそれは、嵐の中で不気味にその姿を浮かび上がらせている。 それはまるで、骸の都市。 少年は歩く。震える足を一歩、また一歩と前に投げ出して。 「始まる……」 手を伸ばす。 だがそれは、決して縋るように手を伸ばすのではなく、掴むように。握り潰し否定するかのように、手を伸ばす。 雨に打たれて冷え切った手には、もはや指先の感覚は無い。 だがそれでも、手を伸ばす。憎悪と共に。絶望を掻き毟るかのように。 「狂った時代が……闇の世紀が、始まる……!」 夜の闇を、稲光が引き裂いた。 「世界の崩壊が……だけど……」 少年は血を吐くように叫ぶ。 「止めてやる……」 ありったけの決意と、憎悪をこめて。 「必ず……もう二度と、繰り返させてなるものか……!!」 A.D.2019.7.9 13 15 岩手県山中 森の中を、必死に巫女服の少女が走る。 少女にとってこの森は庭も同然である。だがそれでも、追っ手が自動車で、それも山道を楽々に走破出来る特殊使用のジープでなら話は別だ。 ましてや、相手は普通の人間ではない。 探査能力に特化した、特殊能力を保持する人間……異能者と呼ばれる、超常の人類である。 どれだけ、この森が少女のテリトリーであろうとも……異能の者達を擁する組織、オメガサークルの狩猟者が相手では、まさしく彼女は獲物に過ぎない。 「はっ、は……はっ、あぅっ!」 足を樹の根に取られ、倒れる少女。 「くっ……」 なんとか立ち上がるものの、ジープの音はすぐ後ろに迫っている。 そして……銃声が響く。 「……っ!」 彼女に直撃はしなかったものの、すぐそばの地面を穿つ銃弾。 ブレーキ音が、少女の心を絶望に染める。追いつかれた。 「なんだ、もう終わりか?」 鼻ピアスをしたドレッドヘアの軽薄そうな男が銃を肩に担いで笑う。 「稲倉神無《いなくらかんな》……だな? 人違いだったら謝った後で犯して殺す。合ってるなら犯して拉致だ。OK?」 「いや、ターゲットに手ぇつけんなよ」 「OKだろ。どうせただの実験動物だ」 「違いねぇ。おっぱいでけぇしな」 笑いながら、ジープから降りる狩猟者たち。 「組織の命により君を確保に来た。奴はこう言ってるが、素直に従うならこの場での身の安全は保障する。 少なくとも彼に手は出させないよ」 長髪の青年が笑顔で告げる。だが神無には理解できた。この青年は、一片たりとも目が笑っていない。 そして、それはつまり、素直に従わないのなら――何の保障もしない、と言っているのだ。 「……っ」 足が震える。 三対一では到底勝てない。ましてや彼女の力は戦闘向きではないのだ。 そしてわざわざ名指しで追ってくる以上は、その力も知られていると思って間違いないだろう。 つまりは、対処されていると思ったほうがいい。 現に、この狩猟者達は――彼女を追い詰めているにも関わらず、ある程度の距離を保ったままだ。 三人とも、銃を手にしている。彼らの本来の異能がどのようなものであれ、神無に対しては銃で捕獲するスタンスだろう。 銃口の大きさを見るに、スタン用のゴム弾か、あるいは捕獲用ネット弾。 神無に勝ち目はない。逃げ出そうとしたところで、立ち上がって後ろを向いた直後に撃たれるのが関の山だ。 絶体絶命のまさにその時―― 「待ていっ!!」 森に声が反響する。 「とうっ!」 掛け声と共に、宙返りをしながら人影が飛び出し、神無と男達の間に着地する。 「双葉学園レスキュー部、参上っ!! ……ああ、こんなヒーローっぽい名乗りやってみたかったっス」 びしっ、とポーズを取る少年。そしてその隣に立つ少女。 菅誠司と市原和美。名乗ったとおり、双葉学園のレスキュー部という部活に所属する、双葉学園の生徒だ。 ちなみに、名前だけでよく勘違いされるが、誠司が少女のほうで和美が男性のほうである。 「なら参上、だけで終わらせてなさい、市原。本音漏らしてるとださいよ」 「あ、部長。いや、つい……男の子として当然っス」 「状況わかってんの? しかし……」 誠司は連中を見る。 「ラルヴァが暴れている隙にこんな事してる連中がいるなんてね。 火事場泥棒というか、なんというか……恥ずかしくないの?」 そう、今現在、この山中は閉鎖されている。 山の中で巨大なラルヴァが暴れている、という情報が入り、討伐隊が編成された。 現在、選りすぐりの異能者たちがそのラルヴァ「ダイダラボッチ」と戦っている。 だが巨体のこのラルヴァが暴れれば、ましてや戦いになれば多くの被害が出るだろう事は想像に難くない。 故に、双葉学園レスキュー部はいつものごとく「自己責任」で現場へと赴いた。 そして、その判断は正しかったと言えるだろう。 彼女たちが出張らなければ、この少女は捕らえられていただろうから。 「女の子を追い回して、恥を知りなさい、下衆」 「貴様ら、双葉学園の連中か……」 「そういうお前らは……」 「答える義務は無いッ!!」 言うが早いか、オメガサークルの異能者達三人は地面を蹴って襲い掛かる。 「ああもう、趣を理解できない連中はこれだから嫌いっスよ!」 「ここは私たちが引き受ける。あなたは早く逃げなさい!」 軽合金製の棍を構え、誠司は叫ぶ。 そして、戦いが始まった。 神無は走る。 自分を守ってくれた二人を置いて逃げるのは抵抗があったが、そこに残るほうが彼女達の心遣いを踏み躙る事になるぐらいはわかっている。 だから、今はとにかく逃げて、彼女達も安全になるように―― 「ここを抜けて、橋を――」 つり橋を渡る。そして橋を落とせば、もう敵は追ってこれないだろう。 橋を落とせば後々色々と村の人とかも困るだろうけど、この谷にかかる橋はここだけではないし、命には代えられない。 森を抜ける。 だが―― 「! そん、な――」 谷に出ると、そこにあったはずの吊り橋は見事に落とされていた。 「悪いなぁ、巫女さん。あんまりうろちょろとされるとこっちかて困るんや」 上空から声がかかる。 「……誰ですか!?」 神無は声の方向わ見上げる。木の枝に腰かけ、神無を見下ろす男は、目元が見えないほど目深に被られたニット帽と、ジャラジャラと金属製のディスクがぶら下がったジャケットが特徴的だった。 「俺か? 俺は回転する黄金軸、のスピンドル君や。 安心しぃや。俺は別にあんたを捕まえようとしにきたんやないで。むしろ逆や、助けに来たんや。 まあ、傍から見たら同じかもしれんけど、少なくとも俺らはお嬢ちゃんを実験動物にするつもりはないで?」 そう言いながら、スピンドルは軽い足取りで樹上から降りる。 「同、じ……?」 スピンドルの発言に不穏なものを感じ取り、神無は後ずさる。 「そうやなぁ。稲倉神無ちゃん、君の身柄を確保する、ってぇ点では同じや。 ああでも安心しぃ、俺らはちぃとは紳士的やで? 少なくとも、「死体でもいい」とか、そんな野暮な事は言わん。 まあ……暴れるようなら手足の五本や六本は捻る事になるけどな? まあ、治癒能力者もおるし問題ないやろ。 ちゅーわけでな、大人しゅうついてきてくれんか?」 「……っ」 笑みを浮かべながら、指先でディスクを回すスピンドル。 ああ、この人もそうだ、と神無は思った。 顔だけで笑ってても、その内は笑っていない。 そして、人を傷つけること、人を殺す事に躊躇をしない。 「そないに怖がられるとショックなんやけどなあ。 つーか、助けは来んで? あのねーちゃんたちはオメガサークルとドンパチ中、双葉学園の連中はダイダラさんとガチンコ中や。 そんな中でここに来るのは、よっぽど都合のいい正義の味方か、あるいはどんだけ間の悪いアホか、どっちかやな?」 A.D.2019.7.9 13 25 同山中 巨体が木々を揺らす。 物理法則にまともに当てはめると、まずその自重で潰れてしまう事は確実であろうその巨体で、ラルヴァは暴れていた。 大きさにして、ざっと見て約15メートルほど。 まるでアニメに出てくる巨大ロボットのような巨体。だがそれは紛れも無く生身の肉体である。それも筋骨粒々な。 討伐隊の生徒達が、それと戦っている。だが状況はかんばしくない。 「ふむ」 戦場から離れて陣取った場所で、語来灰児はそれを観察する。 「あの巨体、しかし……映像には映らない。この分だと、ラルヴァに縁無き一般人達がどれだけ認識出来てるかも怪しいな」 「どういうこと? 語来さん」 今回の作戦の指揮者である、春奈・C・クラウディウスが聞く。 確認された巨大ラルヴァ。その為に討伐隊は規模が大きくなり、その指揮官として「金剛の皇女」と呼ばれる彼女が投入される程であった。 そして、一部では「ラルヴァ博士」と名高い語来灰児もまたブレインとして狩り出されている。 それほどに今回の件が危険視される理由は、ひとえに―― 「あれだけ、でかいのに認識されないって」 そう、「でかい」のだ。 こんな巨大なラルヴァが山中をのっそのっそと歩けば、一般人に見つかる可能性が高い。それは何としても防がねばならぬ事態だ。 「たぶん、半実体……いや、どちらでもある? しいて言えば、幻、蜃気楼、霧や雲に写る影……」 灰児は人差し指を空に向けてさす。 「アレは、古くから伝わる山の神――ダイダラボッチ、だ」 「ダイダラボッチ……」 名前だけは聞いたことがある。有名な妖怪だ。確か、山に現れる巨人…… 「ダイダラボッチはいくつもの呼び名や姿がある。あれはまだ小さいほうだな」 「いやあれで?」 「あれでだ。でいだらぼっち、だいらんぼう、だいだらぼう、でいらんぼう、だいらぼう、だだぼう……場所や伝承によって色々な名前がある。 伝承によれば数百メートル級のものもいるらしい」 「すっ……!? さすがにそれは、そんなのがいたら……!」 「ああ、大惨事さ。だが実在は確認されているものの、被害は実はそんなに出ていないし、山に住んでいる信仰深い人の前にしか姿を現さないことも多い。 そんな巨体が歩いているなら、村人以外にも、遠くかに確認されて然るべきなのに、だ。 つまり……ダイダラボッチと呼ばれるラルヴァは、ある種の幻影だと考えられている。山の気候、自然現象の神格《ラルヴァ》化だな。 分類としてはカテゴリーエレメント。ただし時々は確実に実体化する」 「確かに……」 春奈は唇を噛む。 ついさっき、空を飛んでいた一人が盛大にふっ飛んでいったのは記憶に新しい。 衝撃は激しかったが、フィードバックされたダメージは致命的ではなかったので、死んではいないはずだが。 「でも、それならどうすればいい?」 「簡単だ」 灰児は言う。 「幾つかの想定パターンはあるが、基本として……あれが自然現象のラルヴァ化なら、その特性を受け継いでいる、いや引きずっている。 つまり……幻なら、その発生条件をひとつずつ潰していけばいい」 「簡単に言うけど、それは……」 それは例えるなら、雨を止ませるためには雲を吹き飛ばせばいい、と軽く言うようなものだ。 確かに理屈としては簡単だが、それを実行するのは大変だと言うことをこの男はわかっているのだろうか。 「そこを何とかするのが、あなたの役目だろう、『金剛の皇女』。無論私も出来る限りの事はする」 「……わかったよ」 そう答え、春奈は戦場を見る。そして意識を集中し、生徒達に指令を送る。 今は時間を稼ぎ、足止めを最優先、と。 その戦いを見ながらに、しかし少し妙だ、と灰児は熟考する。 山の神、ダイダラボッチ。その習性もまた多様であるために断定はしづらいが、このダイダラボッチが……ここの「山の神」が暴れだす理由が、灰児には見当がつかない。 ダイダラボッチの伝承は多岐にわたり、その多くは山や沼を作る、運ぶなどの国生みの神としての側面が強い。 その大きな足跡などで山の人々に迷惑をかけたりもするが、迷惑なだけで悪意は無い場合が多いのだ。むしろ人助けをする場合もある。 そしてそういった山の神が暴れだし、人に危害を加える理由は……「山の領域を侵す」事があげられる。 森林伐採、ダム開発……そういった自然破壊に対しての山の神性の怒りがラルヴァとなり、人々に鉄槌を与えるのはよくある話だ。 だが、この山にはそう言った過度の自然破壊が、少なくとも灰児たちが知っている限りでは存在しない。 怒る理由が見当たらない……それが灰児の違和感だ。 もしかしたら、そこにこそ答えがあるのかもしれない。 情報がまだ足りない。灰児は、再び戦いの場に視線を移した。 空を飛べる異能者は、案外と希少である。 魔女の名を関する飛翔異能者集団もいるが、今回は別の任務とかち合ってしまい、召集できなかった。 このような巨体を相手に、空を飛べず、遠距離攻撃も不得手な異能者たちはどう戦えばいいか。 近寄れば踏み潰されかねない。そして足にいくら攻撃を与えてもその巨体ゆえに大したダメージにはならないだろう。 ではどうする? 答えは、こうだ。 「いけッ!」 星崎真琴が三浦孝和の背中に触れる。直後、その姿はかき消え、そしてダイダラボッチの眼前に現れる。 「んなろぉおおおおっ!!」 槍を振りかぶり、ダイダラボッチの頭部に叩きつける。 直後、孝和の姿がかき消え、反撃に振るわれたダイダラボッチの拳が宙を切る。 次の瞬間、皆槻直がダイダラボッチの背後に現れる。 「っせぇえええい!」 ブラスナックルを叩き込む。ぐらりと頭部が揺れる。 ダイダラボッチはすぐさま腕を振るうが、直は真琴の異能で転移し、その場から姿を消す。 そう、星崎真琴の持つ異能力は、いわゆる転移能力……テレポーテーションである。 とりわけ他者転移を彼女は得意とする。その転移の異能力を活かしたヒットアンドウェイ。これが春奈の導き出した戦略だ。 そしてそれは今の所功を奏している。 だが、それでも決定打は与えられていない。 このまま膠着状態になれば、こちらの敗北は見えている。 そして、さらに言うならば…… 「時坂はどうしたっ!?」 「ダイダラボッチの直撃を受けてふっ飛ばされたまま行方不明!」 「くっ……!」 現状、一人脱落。 接近しすぎて捕まり、そのまま投げられて飛んでいったのだ。春奈の言では、死んではいないということだが。 「グォオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」 ダイダラボッチが吼える。 それを双葉学園の生徒達は、冷や汗を押し隠して睨み付ける。 負けるわけには行かない。これを放置していると、このまま街に降り、最悪の事態が待っている―― A.D.2019.7.9 同時刻 同山中 スピンドルと神無の間を裂くように、何かが飛来する。 「なんやあっ!?」 予期せぬ飛来物に、あわてて後ろに飛ぶスピンドル。 土煙が晴れると、そこには――少年の姿があった。 「なんやぁっ!?」 その声に、少年は立ち上がり振り向く。 尻餅をつく神無を守るように。 「なんとか無事だと思えば、ラブシーンに遭遇……って訳でもなさそうだな」 神無の姿を見て、少年は状況を察する。 よくわからないが、目の前のニット帽の男に対して怯えの表情を見せる女の子。 こういう場合、十中八九悪いのは男だろう。間違っていてもそれはそれだ。 「間が悪いというかなんというか」 自嘲しながら少年は呟く。さすがにこの状況、放っておくわけにはいかない。 すぐに戦いの場に戻る事は、どうやら出来なさそうだ。後で春奈先生に思いっきり怒られるのは覚悟しておかなければならないだろう。そう考えると気が重い。 その祥吾の内心の絶望を知らずか、スピンドルは肩をすくめる。 「えらい言い草やなあ? 実はそうかもしれんやろ? そーいうプレイっちゅう奴。ヤボなお人は嫌われるで? ……で、何モンや、お前」 へらへらした笑みを浮かべたまま、声のトーンを変えるスピンドル。 それに対し、少年は言った。 「名乗るようなものじゃない。時坂祥吾、ただの悪魔使いだ」 時計仕掛けのメフィストフェレス THE MOVIE LOST TWENTY ――La Divina Commedia―― 第一部【地獄篇(インフェルノ)】 A.D.2019.7.9 13 30 某所 規則正しい時計の音が不自然に反響する薄暗いモニター室には、幾つもの映像が流れている。 それらは、みな戦いの記録であった。 過去に撮られたもの、ライブで流されているもの、そして……未来に撮られたもの。 その中の幾つかを、壮年の男は魅入られたように凝視する。 岩手県山中での戦い。 監視カメラを仕掛けた小型ロボットでも飛ばしているのだろうか。どのような方法によるものか、双葉学園生徒達の戦いを、彼は把握していた。 特に男が興味を引かれているのは、モニターに映る一人の少女。神無の姿。 「見つけたぞ……」 男は笑う。 確信する。時が来たと。手駒は揃ったと。 「世界は、これで……救われる」 そして、男の背後に控えていた少女は、花のように可憐な微笑を浮かべる。 ただし、花は花でも――虫を捕らえ、喰らうような、腐臭に満ちた食虫植物の微笑みではあるが。 「貴方の御意志のままに――時逆様」 A.D.2019.7.9 13 30 岩手県山中 「終わりやっ!」 スピンドルはディスクを投げる。魂源力を込めたディスクは高速回転で空を裂き、スピンドルの意のままに敵を襲う。 「っ!」 それを転がりながら避わす祥吾。だが、スピンドルのディスクは物理法則を無視した軌道を描き、再び祥吾を襲う。 「危ないっ!」 神無が叫ぶ。 その声にはじかれるように、祥吾が手をかざす。だが間に合わない。いや、そもそも間に合うかどうか以前に、それは悪手だ。 手で受け止めてしまえば、そしてそれで傷を負ってしまえば、そこで勝負は決まる。祥吾は知らない。スピンドルの異能は、ただ武器を回転させ操るものではない。 魂源力を込めたものを「回転させる」能力だ。故に、彼の魂源力のこもったディスクによって傷つけられたものは、その傷口から魂源力が浸透する。 そうなってしまえば、異能者が相手だろうと、少なくともその部位は「捻る」ことが出来る。 腕を捻り折ってしまえば、戦力は激減する。そして更なる追撃をかけ続ければ、勝負は決まりだ。 スピンドルは勝利を確信する。 だが―― 掲げられた祥吾の腕。 その手に重なるように―― 「んなっ!?」 巨大な腕が出現する。それはスピンドルの放ったディスクをその鋼の掌で受け止める。 火花を激しく散らし、その腕はディスクを掴み――破壊する。 そして、現れるそれは腕だけではない。 空間から浮かび上がるように、微細な歯車、発条、鋼線――それらが絡み合い、クロームの巨躯を瞬時に構成する。 「……永劫機《アイオーン》……」 神無がその名を呟く。 3メートルの巨大な、黒い姿。 鋼のフレームと歯車で構成されたそれは、ゆっくりとその体を起こす。 巨大な尻尾と翼、そしてせり出した角は、まさに悪魔の如き威容。 時計仕掛かけの悪魔、永劫機メフィストフェレス。 「……それがカラクリかいな。道理であんだけ吹っ飛んできて、そないに怪我してないワケやな」 そう、ダイダラボッチとの戦いで、祥吾はメフィストフェレスの背に乗って接敵し……そして投げ飛ばされた。 これがもし、祥吾だけならば今頃は完璧に墜落死しているだろう。 だが祥吾は死んではいない。永劫機が、メフィストフェレスが護るのだ。伴侶のように、召使のように、奴隷のように。 「言っただろ。悪魔使いだって」 「ああ、とびっきりの悪魔やなあ。時計仕掛けの悪魔……なるほどな、オモロイわ」 そのスピンドルの言葉に、祥吾は不安を覚える。 「……知ってるのか」 「そりゃまあ、俺らを何やと思うてんのや? ラルヴァを崇め信仰する、シンコーシューキョー? ちょっと違うか。まあそんなもんやからな。 人造のラルヴァ、時喰らいの魔物、時計仕掛けの悪魔。聖痕が保護して迎え入れたがっとるラルヴァのリストでも上位やで?」 でも今は後回しやけどな、とスピンドルは言う。 そしてスピンドルは、両手に、いや指にディスクをかけ、高速回転させる。 「ええで、幾らでも時を止めて見ろや。 あんたが時を止めるんなら、俺は……」 ニヤリ、とスピンドルは笑う。 「その時計の針を回してみせる」 A.D.2019.7.9 13 37 同山中 春奈は焦っていた。 異能の力は無限ではない。真琴の精神力もそろそろ限界に近づいてきている。 だが、ダイダラボッチは健在だ。幾度と無くダメージを与えようとも、倒れる気配は無い。 「まだ突破口はつかめないの!?」 春奈が悲鳴に近い声を上げる。 「まだだ、もう少し考えさせてくれ」 灰児は珍しくその表情に焦りを浮かべながら、戦場を凝視する。 だが未だ、突破口はつかめていない。それを告げると、春奈は苛立たしそうに呟く。 「というか、そんな考えがそもそも無理なんじゃないの? ブロッケンの巨人だか蜃気楼だか知らないけど、原因を絶つなんて……」 その言葉に、灰児の脳裏に何かが閃く。 原因。蜃気楼…… そう、蜃気楼とは密度の異なる大気中で光が屈折し起こる現象だ。そういう自然現象に過ぎない。 そしてこのダイダラボッチはその自然現象が神格化した、山の神だと思っていた。 だが、その前提そのものが違っていたとしたら? 蜃気楼によって起きたラルヴァではなく、ラルヴァが蜃気楼なら。 自然現象ではない蜃気楼……つまりは、神話伝承としての蜃気楼。 「そうか。失念していた。蜃気楼……!」 灰児は春奈に声をかける。 「春奈先生、探査能力の適応範囲を広げてほしい」 「どういうこと?」 「周囲に別のラルヴァがいる可能性が高い。それも、川、池、海といった水源だ。地下水脈や井戸は除外していい。 この条件でラルヴァの反応の探索を」 「……わかった」 春奈は頷き、意識を集中して知覚圏を拡大させる。 「……北、無い。東、無い……南……!? 一体、うん……確かにいる」 「巨大な貝のようなラルヴァではないか?」 「そこまではわからない、けど……確かにそうかもしれない。川に……じっとしている。結構大きいけど静かで……」 「ビンゴだ。最低限の人数を足止めに起きつつ、その川にいるラルヴァを叩かせるんだ。それがおそらく本体だ」 「ダイダラボッチに、本体……?」 その春奈の疑問に、灰児は振り向いて答える。 「違うよ。蜃気楼の、『蜃』さ」 A.D.2019.7.9 13 40 同山中 眼前の敵は、取るに足らないゴミのはずだった。 自分達は、選ばれたエリートである。異能力研究組織たるオメガサークルにおいてその能力を強化された戦士。 対異能者用に調整され、多くの在野の異能者を狩り、捕らえてきた実績と実力がある。 双葉学園だか何だか知らぬが、所詮は生ぬるい学園で育っただけの連中だ。 オメガサークルのエージェントに、狩猟者《イェーガー》に勝てるわけが無い。 勝てるわけが無い――はずなのに! すでに、仲間の一人は倒されてしまった。それは在り得ない出来事だ。 絶対必中の呪いの銃弾。 ひとたび引き金を引き銃口から放たれれば百発百中、今まであえて外した場合を除き、一度たりとも外したことの無いその銃撃が……今回に限り、悉く外れた。 否、外されてしまった。 「馬鹿な……」 いくらここが森の中とはいえ、木々程度の障害物は苦にならない。 軌道を計算し、障害物をすり抜け、最短で確実なコースで的を撃ち貫く。それが何故? そう、彼らには理解できない。 敗因は主に二つ。一つは、己の力を過信し、そして誇示したこと。 ほんの二発。 空に向けて撃ち、市原の足元を穿つ。そして、誠司の武器を撃ち落す。 力の誇示のため、余裕を見せ付けたそのニ発が、致命的なミスだった。 そしてもう一つの敗因は……実戦経験の差。無論、彼らとて確かに多くの戦いを繰り広げてきた。 だが彼らは、自分より強いもの達に出会ったことが無い。 対して菅誠司は――双葉学園では無能力者にカテゴライズされる、「異能の力の発言を確認されていない」人間だ。 故に彼女は、異能者やラルヴァとの戦いは、言うなれば常に「強者との戦い」であった。 自らよりも強い異能を持ち、それを操る者との戦い……それを繰り広げ、生き延びてきたその機転と経験。 誠司はたった二発で、その異能の特性を推測し、理解した。 確実に、最短距離で狙ってくる追尾弾。なるほど、必殺必中、これほどに御しやすい能力もなかなか無い。 森に入り木々を盾にする。だがその程度の障害物は確かにいとも簡単に潜り抜けてくるだろう、確実に。 故に、誘導しやすいのだ。 確実に当ててくるならば、それを狙い叩き落すもまた容易である。 そして自らの異能に絶対の自信を持つ者ほど――それが破られたときの揺れ幅は激しい。 そこを、棍で銃を叩き落し、返す一撃で喉を突く。 それで、まず一人だ。 「くそ、こいつ……何、だっ!?」 男は恐慌する。 在り得ない。眼前の女は、異能の力を使わずに仲間を倒した。 そして男はさらなる可能性に恐慌する。 もし、こいつが異能の力を使えばどうなる――? 「さあ」 その内心の焦りを見抜いてか、誠司は余裕の笑みで棍を突きつける。 「まだやる?」 A.D.2019.7.9 13 40 同山中 轟音が森を揺るがす。 「んなぁああっ!?」 次々と倒れてくる巨木を、祥吾と永劫機メフィストフェレスは必死に回避する。 だが木々の茂る森の中ではその巨体ゆえに動きが取りづらく、一方スピンドル軽やかに木々に触れていく。 そう、触れるだけだ。 触れた部分が次々と、捻じ切れて巨木がヘシ折れ、そして倒れてくる。 単純な物量攻撃。それも連続して襲ってくる倒木は、存外に厄介なものだった。 「ほらほらほら、まだまだ行くでぇっ!」 「自然を大切にって習わなかったんかいっ!?」 「ガッコのセンセが死ね言うたら死ぬんかいなっ!?」 「そういう話じゃねぇだろっ!」 「そういう……話やっ!」 一際巨大な樹が、捻じ切れる。そして音を立ててメフィストフェレスを襲う。 だが―― 「へぇ」 スピンドルが愉快そうに声を上げる。 「なるほどなあ。確かに、止まっとるわ」 その巨木は、メフィストフェレスに直撃する寸前で静止していた。 その樹だけでなく、同時に捻じ切られた幾本もの倒木も、そして飛び去っている鳥や虫も、全てが静止していた。 「よし、これで――」 ひとまずは、と祥吾は後ろに跳躍しようとする。 だが―― 「甘いわ。まるでファーストチッスのように甘いで?」 その言葉と共に、戦慄が走る。拙い。 スピンドルは、静止している巨木に、軽く手を置き、そして力を流し込む。 ただ、“回れ”と。 そして―― 「回転はな、ただ綺麗にくるくると回るだけが能やない」 その力を込めた所は、樹の先端部分。 そして、そこを「支点」として――宙に静止した巨木は、一気に縦回転する! それはまさしく、巨大な腕、あるいはハンマーを振り回すかのように。 「んなっ――!?」 回転、という言葉に騙されていた。そう、これも確かに、端を支点とした「回転」である。 その遠心力を乗せた横殴りの一撃は、 「ぐあっ――!」 『くうっ――!』 永劫機メフィストフェレスを直撃し、そのまま殴り飛ばす。 そして、その隙を縫って――回転するディスクが木々をすり抜けて、永劫機メフィストフェレスの右腕に突き刺さる。 「っ! しまっ――」 その傷自体に大したダメージは無い。 だが、傷をつけられてしまった、それが致命的だ。 「回れ――!」 スピンドルの言葉と共に、永劫機メフィストフェレスの右腕が、耳障りな金属音を立てて……捻じ切られた。 「ぐわぁあああああああああっ!!」 絶叫する祥吾。 永劫機の受けたダメージは、そのまま契約者にフィードバックされる。 右腕を捻られたなら、祥吾の腕もまた捻られる。千切れ落ちていないだけ僥倖だろうが――祥吾の右腕は二度と使い物にならないであろうことは、傍から見ても明らかだ。 「ぐ、ぐぅあああっ、が――ッ!! う、あがぅ……!!」 膝を折り、脂汗をかき悶絶する祥吾に、スピンドルは勝利を確信する。 召喚系、操作系の異能者――特に、このような強力なモノを操る者の弱点は、ひとえにその強さだ。強さが裏返り弱点となる。 強い力を持つが故に、その力を破られ、自身にダメージが入ると、その心は容易に折れる。 召喚系能力者は特に、戦いをゲーム感覚で行うものが多い。 ましてや、強力な時計仕掛けの悪魔を操るものならば――ただ一度心が折れてしまえば、あとは赤子の手を捻るより容易いだろう。 「ああらら、痛そうやなあ。痛いやろなあ。だが簡便や、これも仕事やからなあ。さ、次は左手イこか、それとも足? まあ安心しとき、首は最後にとっといてやるさかいに」 やさしく声をかけながら、さらなる処刑宣言を下すスピンドル。 ここで逃げ出すもよし、自棄になって突っ込んでくるもよし。 どちらにせよ、これで詰みだ。勝負はこの瞬間に決着した―― A.D.2019.7.9 13 47 同山 渓谷下流 そこには、霧が立ち込めていた。 深い霧はその中にいるものの姿を隠す。 だがそれはあくまでも視覚的に、だ。 臭いや音などを消す訳ではない。ましてや、広域の探知能力を持ってすれば、それは隠匿にはならない。 そう、そこにある巨大な貝のラルヴァ――『蜃鬼楼』あるいは『蜃』と呼ばれるもの。 蜃気楼を生み出す妖怪として古くから伝わってきたものだ。 それは今、巨大なダイダラボッチを投影している。 そう、これが双葉学園の生徒達と戦っていたダイダラボッチの本体なのだ。 そしてそれさえ判明すれば、 打ち倒すのは――容易い。 「そこぉおおおおっ!!」 蜃の上空より響く、裂帛の気合。 果たして蜃に反撃能力があるかどうかは知らないが、仮にあったとしてもその暇すら与えられなかっただろう。 敷神楽鶴祁の刀の一撃により、蜃はその殻ごと両断され、絶命した。 A.D.2019.7.9 13 47 同山中 「――っ!?」 オメガサークルの男達のポケットに振動が走る。 通信機にセットしていた信号。振動が二回。それは即ち――時間切れ。仕掛けたダイダラボッチの敗北である。 まさか、あの仕組みが見破られるとは思わなかった。 気づかずにむきになって、無為な特攻を繰り返し疲弊するものだとばかり踏んでいたのだが。 まさに番狂わせばかりである。 「……くっ」 ここは退くしかない。本気を出せば、目の前の二人ぐらいなら何とかなるかもしれない。だが、ダイダラボッチに引き付けていた連中がもしも加勢に来たら―― 敗退ではない。あくまでも戦略的撤退である。 二人は倒れた仲間を引きずって、ジープで逃走した。 「……ふう、なんとか追い払ったっスね」 「あんた何もしてないじゃない」 「いや、これからする所だったんスよ?」 「はいはい」 適当にあしらう誠司。だがまあ、それは口だけではないのだろうということぐらいは誠司にも判る。 油断に付け込んで一人潰したものの、それで相手が本気を出して襲ってきたなら、市原の異能に頼りつつの短期決戦に持ち込まねば危なかっただろう。 「さて、あのコ追わなきゃね」 レスキュー部としての責務を続いて果たさなければならない。 あくまでもレスキュー部は、救出を任務とする部活動なのだ。 「地獄の果てまで追って捕まえるわよ」 「……部長、それは正義の味方の台詞じゃねぇっスよ!?」 トップに戻る 作品投稿場所に戻る
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メニュー>サポートクラス>シャーマン>ディストラント [BDR,-,1,20,6,1/AkEf+[HPDm 恐怖](1/Rd)]Sp ☆☆☆☆ 一定の回避力があり、ちゃんと殴られる位置に仲間がいるなら。またその人のメジャーとして攻撃が妥当なら。つまり活用には回避型の白兵攻撃役が必要だ。最適運用できるギルドはやや限られると思う。 まあシーン攻撃から攻撃役が外れるというのも立派な価値なので、高レベル帯なら邪魔にはならないだろう。 -- 灯 (2012-12-05 20 29 23) 名前 コメント
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祝祭の使徒レーフィス UC 光文明 (2) クリーチャー:イニシエート 5000 ■ブロッカー ■自分のシールドが4枚以上の時、このクリーチャーはブロックできない。 ■このクリーチャーは相手プレイヤーを攻撃できない。 作者:テーメノン フレーバーテキスト 光文明には様々な矛盾が交錯した。 評価 名前 コメント
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深都 芸術家 セフィーナ アミィ 深都住民 クトネ サイコアーティスト ゴスロリ兵 キャラセット 顔グラ モングラ ピクチャー コメント欄 名前 コメント
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登録日:2011/11/06(日) 18 51 03 更新日:2023/07/04 Tue 18 39 56NEW! 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 ※おっきさせてると追い出されます ヌーディスト ヌーディストビーチ ヌーディズム ビーチ フルチン フル・フロンタル 全裸 性的興奮はNG 欲望 欲望←特にBBSが 海 混浴風呂 裸 裸体主義 裸族の楽園 裸身装甲ダイゼンラー 西洋文化 ヌーディストビーチとは、主に、アメリカ、ヨーロッパなどに設けられた施設であり、 衣服を着用せずに、海水浴や砂浜遊びなどを楽しむ場所である。 日本人など、ヌーディズム文化の無い国の人間は誤解する事もあるが、 あくまで「自分が裸になりに行く場所」であり、「他人の裸を見に行く場所」では無い。 衣服の着用は、個人の自由であったり、全裸で無ければ入場出来なかったりと様々である。 また、近辺の宿泊施設では、剃毛の道具なども揃っているが、体毛の有無は特に規定は無い。 その歴史は、19世紀の産業革命時代にまで遡り、工業化が進められる時代の中、自然への回帰を求める人々により、 人間の最も自然な姿でいようと言う思想から始まったものである。 なのでnaturalistとも言う。 そういう文化がよく分からない人はnaturalistでググることをお薦めする。 話は逸れたが現代に至るまで、 法律の整備とヌーディスト達との間で様々な軋轢と衝突を繰り返しながら、存在し続けている。 椅子などに座る時には、自前のタオルを敷くのがマナー。 また、全裸でいる事以外は、日常生活で求められるマナーや常識は、勿論全てが求められる。 性的な目で他人を見るのもNG。日常生活と同じく、変な目で見られるぞ。 勿論、naturalistでググった先でもだ。 しかし、その長い歴史の中で、悪さを働く不届き者もたくさんいた訳で、 警備員が目を光らせたり、子供には子供用の遊び場などが用意されたりもしている。 ヌーディズムに嫌悪がある人は、近付かない事もマナーである。 また、中国、韓国において、かつてはヌーディストビーチを作ろうと言う動きもあったが、結局は実現しなかった。 今に至るまで、この文化は未だ西洋のものである。 ◆以下余談 遊覧船がヌーディストビーチに近づいた際、 その様子を見ようと男達が甲板の縁に殺到した結果、船の重心が傾き、転覆したと言うマヌケなエピソードがある。 助けてくれたのは、ヌーディストの女性達だったとか。 ヌーディストビーチを性的な目で見たら、やはりバチが当たるのだ。 また、アフリカや南アメリカなどの奥地にはほぼ全裸に等しい格好で生活する裸族がいるが、 裸族であっても異性のおっぱいや股間をガン見することはタブーである。 裸族であっても紳士であるべき、ということだろうか。 ただ、常に裸でいると裸に性的な魅力を感じなくなるとも言われる。 日本人が普通に大浴場に入る感覚だろうか。 人間とは不思議である。 追記、修正は裸でお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] こういったところに行く人間は相手が服を着るほうがかえって興奮するんだろうか? -- 名無しさん (2014-02-07 09 51 30) 美姫も3日で飽きるって諺があるように、同じ刺激しか受けないと順応知っちゃって何にも感じなく成っちゃうのよね -- 名無しさん (2014-06-12 05 39 53) 露出趣味とはちがって、思想的なものなのか -- 名無しさん (2014-06-20 21 40 41) キルラキルの項目じゃないのか -- 名無しさん (2014-06-20 21 46 25) ↑思ったけど、語源がこっちだから、ね。 -- 名無しさん (2014-06-20 22 16 40) マジか。オーストラリアにもあるかなw -- 名無しさん (2014-10-01 23 30 51) 考えようによっては、「安心できる、相手の警戒感を取り除ける」という点ではこれ以上のものはないな。なにしろ自分も相手も素っ裸で、凶器を隠し持てないわけだし。 -- 名無しさん (2015-02-18 19 05 05) ↑アソコがあるじゃ無いか、あそこが…… -- 名無しさん (2015-02-26 20 28 51) 実際裸では興奮しないって人も意外といるみたい -- 名無しさん (2015-04-01 17 54 27) 写真家?の人のサイトで写真見たが伝統的に裸族の人たちの身体は「そういう目」で見るもんじゃなかった。 -- 名無しさん (2017-08-17 16 37 57) だけどさ、近くに異性の裸があったら、目がそっちに向くのは仕方ないじゃないか(すがすがしい顔で -- 名無しさん (2017-08-18 07 34 20) ↑4 「こち亀」の海パン刑事も似たような事を言ってたかな。 ここに派遣するなら、海辺だからドルフィン刑事を派遣すべきなのか、海パン刑事を派遣すべきなのか……? いや、フルチン刑事か? -- 名無しさん (2020-01-21 14 07 48) 名前 コメント
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トップページ ゲーム攻略 ADVモード(期間限定) 紙のアーティスト 最終更新日:2010-10-16 ADVモード(期間限定)紙のアーティスト紙のアーティスト この花をあなたに。 ペーパーマイスターへの第一歩 花の行方は誰のもの? ADVモード(期間限定) 紙のアーティスト 2008年新入生歓迎イベントのADV。プレミアム登録していなくても体験できた。 発生期間:08/04/03-08/04/30 紙のアーティスト 発生場所:自室 選択肢が2回発生し、それによって入手アイテムが変わる。 期間中、何度でもイベントが発生。 イベント履歴には残らないようなので、記録を取る人はご注意のほどを。 1.魔法紙 + 1.自力で折る → 紫のラベンダー 1.魔法紙 + 2.炎魔法 → ガーネット 1.魔法紙 + 3.氷魔法 → ×失敗 2.ヒカリツバメの羽紙 + 1.自力で折る → ×失敗 2.ヒカリツバメの羽紙 + 2.炎魔法 → ピンクの桜の花 2.ヒカリツバメの羽紙 + 3.氷魔法 → 光り輝く巨大なひまわり 3.ウォーターペーパー + 1.自力で折る → 青いバラ 3.ウォーターペーパー + 2.炎魔法 → ×失敗 3.ウォーターペーパー + 3.氷魔法 → ×失敗 この花をあなたに。 発生場所:自室 発生期間:08/04/03-08/04/30 「紙のアーティスト」で作ったアイテムを持っていると発生。 相手に喜ばれると、お返しのアイテムがもらえる。(その後は、渡す相手の選択肢に出なくなる) こちらはイベント履歴に載るが、最後に選んだ選択肢で上書きされる。 報告によると、消費アイテムを使うと、パラメータが+1上昇する。 ただし、パラメータ上限値に達していると、アイテムを使用できない。 ヒカル:光り輝く巨大なひまわり → リストバンド(消費アイテム:体力+1) アレシア:ガーネット → ペンギンバッグ(消費アイテム:魅力+1) セシル:青いバラ → ブルールビーのネックレス(消費アイテム:徳+1) ペーパーマイスターへの第一歩 発生場所:中庭 発生期間:08/04/03-08/04/30 選択肢が2回発生し、それによって入手アイテムが変わる。 期間中、何度でもイベントが発生。 1.シフォンのような紙 + 1.自力で折る → 真っ赤なイチゴ 1.シフォンのような紙 + 2.炎魔法 → 黄色いチューリップ 1.シフォンのような紙 + 3.氷魔法 → ×失敗 2.スノーペーパー + 1.自力で折る → 青紫陽花 2.スノーペーパー + 2.炎魔法 → ×失敗 2.スノーペーパー + 3.氷魔法 → 白のアネモネ 3.メタルペーパー + 1.自力で折る → ×失敗 3.メタルペーパー + 2.炎魔法 → メタル製のボルチーニ 3.メタルペーパー + 3.氷魔法 → ×失敗 花の行方は誰のもの? 発生場所:中庭 発生期間:08/04/03-08/04/30 「ペーパーマイスターへの第一歩」で作ったアイテムを持っていると発生。 相手に喜ばれると、お返しのアイテムがもらえる。(その後は、渡す相手の選択肢に出なくなる) こちらはイベント履歴に載るが、最後に選んだ選択肢で上書きされる。 消費アイテムを使うと、パラメータが+1上昇する。 ただし、パラメータ上限値に達していると、アイテムを使用できない。 キヅク:メタル製のボルチーニ → パッション・マタンゴ(消費アイテム:魔力+1) スタン:真っ赤なイチゴ → 抹茶あんこカスタードパイ(消費アイテム:体力+1) レイ:白のアネモネ → 魔法と花の関係(消費アイテム:知力+1) ↑上へ戻る
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サイエンティスト プライマリスライムブラスター アビリティスティッキー爆発ボール ワープ ゾンビヒールステーション 種類 ウェポンアップグレード 戦術まずは衛生兵 戦闘は奇襲。スプレーの当たる近距離で 関連する実績/トロフィー コメント サイエンティスト 体力:100 回復と撹乱に優れたゾンビ。 他のゾンビより蘇生速度が早い。 移動速度も全ゾンビ中最速。ワープと合わせて相手の死角からの接近が得意。 プライマリ スライムブラスター ショットガン。遠距離まで届く単発射撃と、近距離しか届かないスプレー(ダメージ付きマズルフラッシュ)の組み合わせ攻撃。 近距離だと射撃+スプレーの複合ダメージとなり、かなりの高威力になる。 キャラクターには合計ダメージが表示されるが、サボテンのトールナッツなどに打ち込むと2つのダメージがそれぞれあるのを確認可能。 ※同時表示のシステムの影響か、ラグ時に極稀に別々の攻撃のダメージ表示が合計で表示されることがあります。 アビリティ スティッキー爆発ボール 種類 ダメージ(HS時) ストック CT 効果 スティッキー爆発ボール 50 2 30秒 レベル2で解除。投擲型の地雷。壁や敵、味方キャラクターにくっつけることができる。敵が近づくと爆発する(一定時間経過でも自動的に爆発)。チャンパー対策に棺おけゾンビにくっつけるのも面白い。 メガヒールボム 50回復 1 15秒 ステッカーパックより入手。大き目の球体を投げ爆発時(3.5秒後)に周囲の味方を回復する。プラントに当たってもダメージは無い。回復に特化したい時に。 スティッキーチーターボール 75 2 30秒 専用パック(無料)より入手。デフォルトと比べダメージが高いが設置から起爆までが遅い。相手に直接投げつけてもすぐ爆発せず、ひっついたままになる遅さ。 ワープ 種類 ダメージ(HS時) ストック CT 効果 ワープ なし 2 20秒 初期装備。前方に一定距離ワープ移動する。移動、回避、奇襲にと万能なアビリティ。これを使いこなせるかどうかが上手いサイエンティストの分かれ目だろう。 エナジーワープ なし 1 20秒 ステッカーパックより入手。一定時間自身をエネルギー体に変え移動することができる。効果中は無敵。効果時間は移動し続けていれば約6秒間、動かなければ約12秒間。無敵状態でポテトマインの処理が可能だが、スパイクウィードは素通りし処理はできない。発動後、再度発動ボタンを押せばその場でワープを終了する。効果中は拠点制圧できず、ジャンプもできないが緊急回避としてはより効果的。 チーズワープ 30 1 15秒 専用パック(無料)より入手。ワープ終了時の爆発でダメージを与えられる。 ゾンビヒールステーション 種類 ダメージ(HS時) ストック CT 効果 ゾンビヒールステーション なし 1 30秒 レベル3で解除。味方を回復させるオブジェクトを出現させる。戦線の中継地点での休憩所向き。耐久力?・持続時間20秒間 強化型ヒーリングステーション なし 1 30秒 ステッカーパックより入手。重装甲で壊されにくいが回復力は最も低い。GG拠点など混戦地点のアシスト向き。耐久力?・持続時間20秒間 チーターヒールステーション なし 1 30秒 専用パック(無料)より入手。回復速度が速いが自爆も早い。戦闘直後の回復向き。回復は早いに越したことはない。悩んだらコレ。耐久力?・持続時間15秒間 種類 名称 HP リロード 弾数 ダメージ(HS時) スプレーダメージ 特徴 入手条件 サイエンティスト 100 速 6 22-33(HS無し) 40 スプレーまで当てると73ダメージ。一撃は重いが連射間隔は遅く、近距離でのエイム力が問われる。初期キャラだが中級者~向き。 初期 Dr.ケミスト 100 遅 8 無し 40 スプレーのみなので射程が短い。ただしスプレーは他よりかなり範囲が大きめ。左右の広さでマルチバンキッシュを狙いやすい。 クラス サイエンティストLv10 Dr.ブツリ 100 遅 6 22-30(HS無し) 30 雷属性(周囲に2チェーンまでダメージ)連鎖ダメージは近くから30→5起点となる攻撃が短く狭く遅いため微妙。威力を実感できる機会は少ない。 超豪華パッククレイジーパックスーパープレミアムパック執念のゾンボスパック Dr.トキシック 100 速 6 16-22(HS無し) 25 毒属性(継続ダメージ2×3)毒体質(周囲の敵全てに1~3の継続ダメージ)接近戦が多いので体質効果が生きる。 スペースマン 100 普 18 14-18(17-22) 無し フルオート式。攻撃間隔が速い。弾数が多くスプレーも無いので中~遠距離向き Dr.マリーン 100 速 7 11-22(HS無し) 30 攻撃間隔とリロードが速く瞬間火力が高い。武器のイルカはリロードで餌を食べる アーキオロジスト 100 普 15 13-16(15-19) 15 初期より少し中距離に強く攻撃速度も早め。特化タイプと比べると全て微妙で売りがない。完全な上位互換のペリオントロジストがいる不遇 ゾンボスダウンパック Dr.チェスター 100 普 8 無し 30 フルオート式。スプレーのみなので射程が短い。Dr.ケミストと比べ範囲が狭く攻撃間隔は早い。 専用パック(無料) ペリオントロジスト 100 普 15 16-17(16-22) 25 火属性(継続ダメージ5×4)近距離はもちろん、炎上ダメージを生かした遠距離狙撃も可能。距離を問わず戦える優秀なキャラ。 Legends of the Lawnパック ※ダメージと弾数はアップグレード後です ※HS無しのキャラクターはスプレーとの複合ヒットがクリティカル扱いです ウェポンアップグレード キャラクター名 リロード速度アップ 装填数アップ ダメージアップ 入手条件 サイエンティスト 完璧高速リローダー 大容量スライムタンク ゾンボス特製スライム 超豪華パッククレイジーパックスーパープレミアムパック執念のゾンボスパック Dr.ケミスト 実験的リロードケバブ アンオブタニウム圧縮機 強化アンオブタニウムスプレー Dr.ブツリ 非荷電リローダー 過剰粒子束抑制器 陽電子ダメージ増幅器 Dr.トキシック 毒物リローダー 濃縮アーブレイニウム貯蔵庫 もっと有毒な毒物 スペースマン 機密リロード機構 月の石追加コンテナ それほど脆くない月の石 Dr.マリーン それほどヌルヌルしてない魚 増強版イルカハンガー 遺伝子組み換え魚 アーキオロジスト 連射レリック 拡張トレジャーバケツ 戦利品のかけら ゾンボスダウンパック Dr.チェスター ボリボリコンデンサー よりチーズっぽいチーズ エネルギー充電エナジー キャラクター完成時に自動入手 ペリオントロジスト 恐竜スピード 恐竜の尻尾 恐竜の歯 Legends of the Lawnパック 戦術 まずは衛生兵 まずは仲間の回復と蘇生に徹しよう。 自分が攻撃を受けたからといって自分のためにヒーリングステーションを建てるのはやめよう。 回復だけに徹したい場合は、メガヒールボムを装備もオススメ。 蘇生をする時は、高速で蘇生できるとはいえ基本的に"安全を確保して"から蘇生してあげよう。 蘇生中に倒されてしまったり、蘇生した仲間が直後に倒される様な状況では泥沼になる。 G Gやオーブ戦の様な蘇生の重要度が低い試合もあるので、こちらのルールを参考にしつつ遊んで慣れていこう。 戦闘は奇襲。スプレーの当たる近距離で スペースマンなどの一部を除いて、基本的にはワープによる接近と離脱を活かした接近戦が適正距離。 相手の頭に自分の武器を押し付けるくらいの位置で戦う形になることが多い。 体力自体は少なく、弾数の関係でリロード頻度も多いので、こっそり近づいて一人づつ後ろから倒していくようにしよう。 密着で攻撃した時の攻撃力はゲーム内でも1,2を争うレベル。 関連する実績/トロフィー あなたに釘付けサイエンティストとして、スティッキー爆発ボールで10人のプレイヤーをバンキッシュする コメント スティッキー爆発ボールには設置数上限ってありますか? - 名無しさん 2015-04-17 02 26 21 一定時間で自動的に爆発しちゃうから上限あったとしてもその数まで設置できないのでは? - 名無しさん 2015-04-17 09 23 02 一定時間で爆発でしたか!知りませんでした・・。 - 名無しさん 2015-04-17 10 58 12 「一定時間で爆発」を教えてもらってから実験してみたら、時間的に3個が上限っぽいです。ありがとうございました - 名無しさん 2015-04-19 22 08 42 最近はチェスター良いなと思う今日この頃。ラッシュ力がすごいな~! - 名無しさん 2015-04-21 17 16 47 修正前のケミストは飛び抜けて強いって来た事あるけど、どんな感じだったんだろね? - 名無しさん 2015-06-27 15 13 36 訂正・・・来た事→聞いた事 以上www - 名無しさん 2015-06-27 16 02 24 最近初期サイエンの強さに気づいた こいつは対チャンパー用だ グープかけられてもチャンパーの方さえ向ければ勝機がある - 名無しさん 2015-06-29 16 30 22 最低限スプレー部分だけでも当てるようにしたいっすよね。 - 名無しさん 2015-06-30 12 43 55 イルカさん久々に使ったけどこの性能は酷いなコレw 2対4(フレ(スパコマ)と2人で敵4人)でもあっさり半分以上差 - 名無しさん 2015-07-05 18 18 26 差がついてしまったwww 途中送信失礼w - 名無しさん 2015-07-05 18 41 59 チームバンキッシュで強化型ヒーリング出すやつは嫌われる 最近初心者で遠距離からチーズブラスター撃つ人増えたな。。 - 名無しさん 2015-07-14 11 11 01 まあ、出来ればノーマル・チーターすよね。ああ、結構見かけますね・・早く近距離でしか当たらない事に気づいてほしいっすわw - 名無しさん 2015-07-14 19 34 21 ヒールステーションに乗って回復中にチャンパーに穴掘りチャンプされてしまったwww 今まで穴掘り回避出来てたんだけどなぁ・・・ - 名無しさん 2015-08-01 21 38 57 最近ちょっとずつ使ってるんすけど、チーズワープは使い所が難しいっす(汗) - 名無しさん 2015-08-04 02 56 32 やっぱチーズワープよりワープの方が安定してるなw - 名無しさん 2015-09-09 19 43 54 そもそもチーズワープは特攻用だろう オールスターのタックルみたいなもんだ - 名無しさん 2015-09-12 12 37 46 まあ、そう言う結論になりますわねぇ、味方がいて安定なんでしょう - 名無しさん 2015-09-12 19 07 34 ペリオン使ってて思ったけど射程無限の弾って範囲攻撃ある?エイムずれたなー思ったら3とか4とかのダメージが入ることあるんだが - 名無しさん 2015-09-23 18 35 34 多分、炎の持続ダメージとかじゃないっすかね? 恐らく弾ダメージは表示されずに入って持続ダメージのみ表示って可能性もあると自分は考えております。意外とこの作品ってまだわからない事が多い気がしますね。 - 名無しさん 2015-09-23 19 53 46 追記・・まあ大体はラグの影響もある気がしますね。弾のダメージが入ってるのに表示無し・ダメージが入ってないのに表示ありだったり(汗) - 名無しさん 2015-09-23 19 57 40 ペリオは着弾箇所で範囲攻撃発生した気がする こいつの優遇をアーキに分ければいいのに… - 名無しさん 2015-09-25 23 42 32 久々にノーマルでプレイしたら、ワープの奇襲時の距離感覚を忘れてしまって返り討ちが多かったなぁ・・・www - 名無しさん 2015-10-14 12 03 20 最近ずっとDr.トキシックで奇襲ばかりだなぁ、たまに返り討ちに遭うけどwww - 名無しさん 2016-03-29 16 24 50 TeamVにて、蘇生前にヒールステーション設置してるのに回復してかない味方ってなんなんだろうか? 一応、場所・状況を考えてやってるつもりなんやけどねw - 名無しさん 2016-04-08 11 52 52 最近、アーキオは微妙感強いのは拭えないけど、エイムが悪い自分にとってはあの弾数・連射力はありがたいと思えてきた。逆にDr.トキシックの方が少々キツく感じてきたなw - 名無しさん 2016-05-05 22 17 38 名前
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オフィスビル 基礎データー imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 初期価格 $16,000,000 収入 $150,000 収益率 0.94% 所持数別収益率 所持数 価格 収益率 0 $16,000,000 0.94% 1 $17,600,000 0.85% 2 $19,200,000 0.78% 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20