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. 新緑の息吹が一面を鮮やかに染め上げ、目の前に広がる景色に新しき季節の到来を告げている。 ふらりと、その中に唐突に現れた一人の男が、周りの景色には微塵の興味もないのか、噴水の設けられた中庭にぽつんと置かれた椅子に腰掛けると、徐に手にしていた本を開きその内容に没頭しはじめた。男の無造作に伸ばされた髪が頭を垂れた額へとまとわりつくのもお構いなしに、ただひたすらに本を読み進める事に意識を捉われた格好は、陰湿であり陰険であり、見る者に不快感を与えるような、実に不気味な様であった。男のくたびれた外套に纏われた服も皺がより、いつ換えたのかも判らないといった風体も拍車をかけている。 男は、やや痩せこけた頬をしきりに動かしながら、何かを呟く様にページを捲っていたが、開いていたページに突然影が差したのに気付くと、ゆっくりと顔を上げた。見上げた視界に、一人の少年の姿が映る。 「ここに居たのですか」 「王子……私に近づくのはおよしなさいと、あれ程に云いましたが」 「僕は周りに何を言われようと、そんな事は気にしません。 ムクガイヤさんにとって僕は迷惑な存在ですか」 私の傍に居れば、よくない噂が立ちます……陛下もお喜びはしますまい」 また父の話ですか。僕は僕だ」 貴方は王子なのです……一人の人である前に」 その話でいつも逃げるのですね、ムクガイヤさん」 ムクガイヤはそれまで開いていた本を閉じると静かに立ち上がり、目の前で不満を述べる王子の顔へと目をやった。 少年といっても過言ではない、未だ年若いレオーム王朝の嫡子ゴート三世は、毅然とした表情でムクガイヤをしかと見返してきている。意志の強そうな瞳が中庭に射し込む陽に照らされ揺れていた。大陸の将来がいずれは少年の柔軟な肩の上へと重く圧し掛かかる事は、本人の意志とは関係なく必ず訪れる事柄であり、少年はその運命に抗うかのように周りから反発をしている。ムクガイヤの目に映る少年の姿は、少なくともそうであった。 何故、私に付き纏うのです」 以前に問うた事がある。 貴方と初めて逢ったとき、僕を特別扱いしなかった」 少年はそう答えた。 ムクガイヤにとっては、王族であろうと臣であろうと、両者に大した差はなかった。正確にいえば、その様な区別に興味がなかったというべきだろうか。魔道の研究こそが彼の全てであり、魔道の世界こそが彼の生きる世界であった。魔道を基準にした価値観から見れば、王朝などはただの形骸そのもの。ただ、そこに自身の宮廷魔術師という立場から家臣としての節義を払っていたにすぎない。その彼の姿勢を毛嫌いする者は宮廷内に実に多かった。排除しようとする動きもある。それでも彼が未だに宮廷魔術師の立場にいられたのは、彼の類稀な魔力の賜物であるといえるだろう。 少年が彼に付き纏うようになり、色々と魔道についての質問を投げかけきては、それに丁寧に答える日々が幾日か過ぎたある日、周囲の囁きがムクガイヤの耳にも届くようになった。王子にあの男が取り入っている……魔術でたぶらかしたのだ……陛下も嘆いておられる……と。 その日以来、彼は少年との距離を取ることに努めた。噂などどうという事ではないのだが、少年に対して少なからず好意を抱いていた自分に気付き、屈託のない姿勢に心を僅かにでも許していた自分自身を不思議に思いながらも、少年の事を考えては突き放した。それでも、諦めようとはしない。 「フィーザレスに見咎められますぞ……彼はお目付けですからな」 「あの男は父の言いなりです。彼にしてみれば、僕はただの出世の道具です」 「人をそう悪くいうものではない」 「ごめんなさい……でも、僕は道具じゃない」 「そして飾りでもない……と」 少年は頷きで返した。 生まれながらに自分の運命を決め付けられた少年の純粋な心は、多感な時期の成長過程で強くそれに反発をし、哀しき歪みの音を奏でている。 孤独感。 慣れてしまってはいるが、ムクガイヤ自身も過去に感じたどうしようもない、哀しさ、虚しさ。幼い頃、人付き合いが苦手な彼が魔法研究にのめり込む様になった原因のひとつ。まるで腫れ物を触るかのように接してくる人の表情や所作が、深く心に爪痕を残し血を流す。この少年の心もそれを感じているのだろうか。 「何れにしても、私は王子のお力にはなれない」 「どういう事ですか……」 少年が哀しそうな表情を滲ませた時、中庭に一人の鎧を身に纏った男がやってきた。 「若、探しましたぞ」 ムクガイヤを一瞥し、あからさまに嫌そうな顔を隠そうともしない。 「そろそろ学問のお時間です。ドルス殿がお待ちですので、さあ、参りましょう」 有無を言わさない強い口調で少年を促がし、その背を強く押した。渋々といった感じにゴート三世は宮殿内へと歩き出す。 後に続いたフィーザレスが、耳元でムクガイヤにだけ聞こえる声で囁く。 「あまり若に近寄らないで頂きたい。 ドルス殿は貴殿の力を認めてはいるが、それはあくまで貴殿の魔力に対しての事。勘違いをされては困る」 「……申し訳ありません」 フィーザレスはその言葉に満足したのか、口の端を吊り上げると足早に中庭を後にし宮殿へと消えていった。 くだらぬ男だ、と思う。他者より優位に立つ事がそれ程に嬉しいのか。ムクガイヤにとって理解に苦しむ相手であった。 彼一人となった中庭に風が吹き荒ぶ。葉が舞った。宙を揺れる葉は、まるで少年の心のように見えた。 To be continued 誰かを立てるために特定のキャラを過度に低印象に描くのはファンフィクションとしては下の下であるな。 -- 名無しさん (2011-03-05 22 14 39) 仰られる通りでお恥ずかしい次第です。お目汚し申し訳ありません。 -- 名無しさん (2011-03-06 05 07 39) どうしてもゴート側の視点の話が多い事と、その時の敵役がやはりムクガイアになってしまうことを思えば、ムクガイア視点のお話はVTの世界観を広げてくれますね・・・読ませていただきありがとうございます。 -- 名無しさん (2011-03-06 17 35 16) まあお話作るのに悪役は欲しいですもんね。そこはIFってことで。 役目を果たす悪役も魅力的ですしね。 -- 名無しさん (2011-03-06 22 45 26) フィーザレスが小物なの珍しいね -- 名無しさん (2022-02-12 22 02 40) 「2011-03-05 22 14 39にコメントをした人」は下の下だな したり顔で「下の下であるな。」とか言っちゃってさ -- 名無しさん (2023-04-30 11 26 00) 名前 コメント
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【日時】 5月12日(土) 10時11時頃 【待ち合わせ場所・開催場所】 大阪城公園 【持ち物】 野球道具 【参加者(敬称略)】 伊良部、リグス、丼川、お塩、吉見、ツネゴン、彡(゚)(゚)、リック、大沼 、下記、ガニキ、ガリー、けんしん、片栗、武田、しゅう、たまご、ヤナギ ○練習メニュー アップ キャッチボール 一箇所ノック シートノック 打撃練習 紅白戦 自主トレ ○練習レポ 涼しい気候に恵まれ絶好の野球日和での開催となった本日の練習。なんJ関西一同はウキウキで大阪城公園への侵攻を開始したのだが、思わぬアクシデントナが待っていた。 なんと老害たちが広場ほぼ全面を占拠しゲートボール大会を開催していたのである。 この事態に憤慨する一同であったが圧倒的な数の暴力の前に抵抗を断念し渋々と隅っこへ移動することとなった。 こうして広場の隅っこへ移動したもののここでも少年野球さんサイド2チームに板挟みにされるという苦境に立たされる一同であったが、「(んなもん)知らんがな」と言い放ち各々強引にアップやキャッチボールを開始するという愚行に及んだ。 「(強奪は)いかんでしょ」「おう早く(撤退)しろよ」といった少年野球さんサイドからの無言の圧力を受け続けたものの、一同も邪魔にならないところで雑談やマクナル大食いに励むなどして徹底抗戦。すると昼頃に少年野球さんサイドが折れ怒りの撤退を開始。無事なんJ関西の334日連続9800回目の勝利が確定した。 念願の広々とした練習スペースを獲得した一同はシートノックや打撃練習に取り組んだ後、ニートと社畜に分かれて紅白戦を行った。 ○紅白戦レポ ◆試合結果(7回裏からはエクストラマッチ) チーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 H ニート 1 1 0 0 2 2 0 3 3 12 16 社畜 1 0 3 0 1 4 0 0 0 9 6 ◆打撃成績 ~ニート~ 打順 名前 守備 1 2 3 4 5 6 7 打数 安打 打点 1 丼川 5 遊飛 左ニ ニゴ 三飛 三ゴ 5 1 0 2 片栗 3 三振(打順飛ばし) 遊安① 三ゴ 左ニ 左安 5 3 1 3 ソルト 6 中二 三ゴ 左ニ 三安 投ゴ 5 3 0 4 リグス 7 三ゴ 三振 捕飛 捕邪飛 4 0 0 5 たまご 2 遊失① 遊ゴ 遊安 四球 3 1 0 6 ヤナギ 8 左安(この後片栗の打席) 捕ゴ 中安① 左安① 4 3 2 7 ガリー 4 三振 中二 三振 三安① 4 2 1 8 伊良部 1 三ゴ 遊飛 ニ失① 三ゴ 4 0 0 9 けんしん 9 四球 一失 遊飛 遊ゴ 3 0 0 ~シャチックス~ 打順 名前 守備 1 2 3 4 5 6 打数 安打 打点 1 吉見 2 死球 四球 三振 解雇処分 1 0 0 2 ツネゴン 4 四球 三振 三振 左安 3 1 0 3 しゅう 9 三振 四球 四球 ニゴ 2 0 0 4 ガニキ 3 左ニ① 四球 三振 一野選 3 1 1 5 武田 7 三振 三野選① 三振 三失 4 0 0 6 大沼 6 ニゴ 投ゴ 左ニ 左本③ 4 2 3 7 リック 5 三振 中安② 四球 三飛 3 1 2 8 多村 8 三ゴ 三ゴ 四球① 投飛 3 0 1 9 下記 1 投ゴ 三振 遊飛 3 0 0 ◆投手成績 ~ニート~ 名前 投球回 打者 被安打 奪三振 四死球 失点 自責点 防御率 勝敗 伊良部 3回 17人 2 4 5 4 4 ヤナギ 2回 10人 1 5 3 1 1 ガリー 1回 7人 2 0 0 4 3 敗 ~シャチックス~ 名前 投球回 打者 被安打 奪三振 四死球 失点 自責点 防御率 勝敗 下記 6回 35人 12 3 2 6 4 勝 大沼 1回 4人 1 0 0 0 0 S ○戦評 ニートVS社畜という永遠に和解することなどありえない両者による因縁の対決となった。 ニート軍は初回、シャチックス先発下記の立ち上がりを攻め幸先良く1点を先制。 しかしその裏シャチックスは先頭打者吉見がささやき戦術ならぬ暴言戦術でデットボールを誘い出して出塁に成功、さらに出塁後も続く暴言戦術によってニート軍の先発伊良部のメンタルをボロボロにしてすぐさま同点とする。 2回表、同点に追いつかれたニート軍は2アウトから下記を攻め立て2死三塁一塁のチャンスを作ると2番片栗が三遊間へ痛烈な当たりを放つが、これをショート・大沼が横っ飛びで外野へ抜けるのを阻止。しかし惜しくも内野安打となり1点を勝ち越す。 対するシャチックスも3回裏に先頭吉見の四球から再び伊良部を攻め立て1死満塁の大チャンス、ここで5番の武田がサードへのゴロを打ってしまい本塁へ送球されるが捕手・たまごがベースを踏み忘れる痛恨のミスを犯し再び同点となる。さらに2死からリックがセンターへのタイムリーを放ち逆転に成功した。 逆転を許したニート軍は5回表にヤナギのタイムリーヒットで1点を返すと、二死満塁の場面で伊良部の打球がセカンド・ツネゴンのミスを誘いタイムリーエラー。再び試合を振り出しに戻す。 直後の5回裏、シャチックスは2死満塁のチャンスで多村が押し出しの四球を選び再び勝ち越しに成功するも後続が倒れこの回は1点どまりとなった。 勝ち越しを許したニート軍であったが直後の6回表、疲れが見え始めた下記を攻め立て二死満塁のチャンスを作るとヤナギ、ガリーが連続タイムリーを放ち再び逆転に成功。試合は白熱したシーソーゲームとなる。 まさかの逆転を許し意気消沈するシャチックスに6回裏、更なる訃報がもたらされる。なんと正捕手吉見が彼女の吉子さん(仮名)と共にデートに向かうと言い残し出奔してしまったのだ。 正捕手の離脱というアクシデントナに見舞われたシャチックス一同であったが、逆にこの事態に奮起。1死一二塁で主砲大沼が放った豪快な打球は「リア充爆発しろ」というナイン(-1)の怒りを乗せ特大のアーチを描く逆転の3ラン。これが決勝点となった・・・はずだった。 その後シャチックスは守護神大沼を投入し無事勝利。しかしここでニート軍はまだ日没まで時間があるとして9回までの泣きの延長を申し込み、シャチックスサイドがこれを了承。 すると8回に武田が同点に追いつかれると9回には多村が逆転を許すという結末に。会社に飼い慣らされ心身共に老いた社畜どもの体力がとっくに尽きていたことが敗因と見られている。 なお、7回裏からの攻防は特別延長エクストラマッチということで全ての記録が闇に葬られることとなった模様 加筆&スコア修正熱烈歓迎 執筆:延長で同点に追いつかれた社畜
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前 南は走るのをやめない。俺ん家への道はとうに遥か後方で、このままだと南ん家ましっぐらだ。 そして、実際南ん家のマンションまで来てしまった。そこで漸く南は止まった。 「はぁ、はぁ。」 俺も南も息が荒い。当然だ。 「す、すまない。むしゃくしゃしてやった。」 「はぁ、はぁっ。良い、よ。…それに、彼氏、なんだから、家まで送る、なんて当然だろ?」 「そ、そうか?…せう、だな。」 お互い大分息が整う。 「それじゃ、ありがとな。藤岡。」 「あ、上まで一緒に…」 「いいって。悪いよ。」 「かまわない。」 ここで帰ってしまっては中途半端な気がする。ちゃんと門前まで送るべきだ。 「そっか。じゃあ好きにしろ。」 口ではそう言うが、速やかに腕を組んできた。そんな南に思わずにやけてしまう。 「遅いわねぇ、カナ。」 姉様が呟く。時計は七時半を示していた。 「遅くなるってメールは着たけど、それでも心配…」 「あいつに限って、心配するようなことは起こらないと思います。」 「そうかしら。」 「そうです。」 断言できる。 「でも、やっぱり心配…。誘拐されてたりなんかしたら…」 「はぁ。」 「チアキ、ちょっと外見てきてくれる?心配だから。」 「…」 姉様はテレビに釘付けだ。 「わかりました。」渋々炬燵から抜け出して、蜜柑を一切れだけ頬張り。玄関へ向かう。 確かに、帰ってくるのが遅い。部活をしているわけでもないのに、おかしい。 嫌な予感がする。気のせいだろうか。 私は玄関のドアを開けた。 玄関前。 「それじゃあ、俺帰るよ。」 「あ、ああ。」 南は不満がる。俺、好かれてるなぁ。 「明日だって会えるんだからさ。」 「そうだけどさぁ…」 うーむ。このままだと暫く帰してもらえなさそうだ。 「キスだ。」 「へ?」 「バイバイのキス、して欲しい。」 なんて提案なんだ。というかキスなんて散々してるじゃないか? そう思ったのを悟ったのか、反論してきた。 「だーめっ!キスしてくれなきゃ帰さないぞー!」 「わ、わかったよ。」 なんか今日は振り回されまくりだなあ。 「そ、それじゃあ。」 「あ、ああ。」 目一杯の愛を込めてキスをした。 ガチャ 玄関から出た私はただただ困惑する。そして、怒りと妬みの情が沸き上がる。 なんで、なんで藤岡とカナが……!? 私に気づいて二人はしていたことを中断したが、私はみた。二人が熱烈にキスをしていたのを。 「おお、ち、チアキ。ただいま。」 負の感情が更に沸き上がるが、無理やり押さえ込んだ。 「おかえり。」 「あ、あの、チアキちゃん。」 「ん。なんだー?」 あくまでも平静を装うが、心臓は今にも爆発しそうな程高鳴っている。 「その、遅くなってごめんね。」 「いや、気にするな。それより、うちのバカ姉につき合わせてすまなかったな。」 「バカってなんだー!」 無視。 「寒かったろう?上がるか?」 ていうか上がれ!上がってくれ! 「いや、夜も遅いし今日はもう。」 「…そっか。」 私はしょんぼりする。少しでも藤岡と一緒に居たかったのに。日課となっていたので寂しいし悲しい。 藤岡は、気を使ってくれたのか、私の頭を撫でてくれた。温かい。 「ごめんね。明日はちゃんとお邪魔するからさ。」 「当然だバカやろう。」 藤岡は優しく微笑んだ。その様子を訝しげに愚姉は見つめる。 「そうだ!」 「ど、どうした?」 いきなりの大声に驚く。 「チアキちゃんに、元気になる呪文を教えてあげるよ。」 呪文…? 「ふぅん、この少々ご機嫌斜めな妹を元気にさせるとな?」 カナが茶化す。だが、確かに、今の私はかなり元気じゃない。励ましなんかされたら逆に辛いんだがな。 「特別だから、チアキちゃんだけに、ね。」 「あー!ずるいぞ藤岡ぁ!私にもぉ」 「はいはい、またいつかね。」 藤岡は私の肩に手をおいて、正面から見つめてきた。そう、まるでキスをする時のような………って、なに考えてるんだ! 「一度しか、一度しか言わないからね。」 「あ、ああ。」 落ち着けチアキ!落ち着くんだ。 藤岡は口を耳元まで近づけてそっと呟いた。 「…………!」 「どう?」 「……うん。」 「その、元気に、なって……欲しい。」 「…うん!」 「そう、良かった。」 「ちょ!藤岡!一体どうしたんだよ!チアキが気持ち悪いほど上機嫌だぞ!?」 言うとおりだ。元気かどうかは兎も角、今の私は気持ち悪いほどテンションが しかし、良いのだろうかそんなこと。もし藤岡とカナの仲が予想通り進展したなら、『そんなこと』はまずい。 藤岡は分かっているのだろうか? 「それじゃあ、俺はこれで。」 「ああ、気をつけて帰れよ。」 「風邪ひくなよ。」 南姉妹は内心帰ってほしくなかったが、カナはチアキがいたので、チアキはカナがいたので、言えなかった。 そして藤岡は去った。 「はふはふ。うっめー!」 今晩はおでんだ。骨の髄まで温まる。 「それで、なんで遅かったの?心配したのよ?」 ハルカの問いに箸が止まる。 「いや、…別に」 「…藤岡と、何かあったんだろ?」 うっ、やっぱりチアキには分かったか。 「うん。その、付き合うことになった。」 「え……」 「……」 ハルカの時間が止まる。チアキは特に反応しない。 「い、いやさぁ!藤岡が熱烈に告白してきてさぁ!断る由がないというかさ。」 「そ、そうなんだぁ。」 あれ?なんかハルカが気まずいオーラ出してるぞ?どういうこと? 「おめでとう。」 そう言ったのはチアキだった。ただそれだけ言うと、自室に向かっていった。 なんかよくわからんが、隠し事は良くないしな。なにも悪いことはない。 私はおでんに再び手をつける。 やっぱりか。 私は自室に閉じこもり、ベッドに横になる。 「藤岡、うまくいったんだなあ。」 私はふじおかを抱きしめる。 「ふじおかぁ…」 切ない。切ないよ。 だが、まだ終わってはいない。まだ機はある。私はさっちの藤岡の『呪文』思い出す。 『九時に公園で待ってる。話がしたい。』 所謂、密会だ。もしカナにバレたらカナは怒るだろうか。 いや、カナは関係ない。藤岡と二人きりになれると思うと、それだけで嬉しい。 まあ冷静に考えると、「機がある」は過言かもしれない。だが、私の高ぶる感情に変わりはない。 時計を見る。 「八時半…」 あと三十分か。そろそろ準備でもするかな。 私は制服の上にコートを着、手袋をした。マフラーも忘れない。 「よし!」 防寒は完璧だ。私は気合いを入れる。 ガラッ 「あら?チアキ、でかけるの」 「はい。…ちょっとコンビニに。」 「誘拐されるんじゃないぞー。」 「ふっ。」 私は鼻で笑う。 「お前は幸せ者だな。」 「へ?」 「それでは、行ってきます。」 「早く帰ってきなさいね。」 「はい。」 いざ、公園へ! 次
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103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/21(月) 21 31 54 ID ??? 初の規制。そんなときに限って・・・投下したくなった。 本スレ420の 188から沸いた。 夏休みに入り、存分に怠惰で遊びに溢れた生活を満喫。けれど、何か満たされない。 うぅん、本当は解ってるのに考えないようにしてただけ。そう・・・大好きなアイツに逢えない事が こんなにも苦痛だったなんて。 友達がこっそり撮って無理やり渡してきた写真を眺めてため息を一つ。 『はぁ・・・顔見たいなぁ・・・声聞きたいなぁ・・・』 ぼやいた所で叶うはずもない願い。いっそ、当てもなく外をウロウロすれば、万が一にも出会えるかも 知れないとも考えた。でも、そんな宝くじにでも当たるような確立に賭けて、外をうろつくのもバカらしい。 それに・・・出くわしたところで、いつものように憎まれ口を叩いて終わってしまいそう。 もっと計画的に・・・そう、アイツも私も嫌でも一緒に居ないといけないような状況を作らないと。 ふと机の上を見ると、先延ばしにしたままの宿題が目に入る。 『そうだ・・・これよ!これこれ』 アイツの事だ、どうせ宿題は忘れて遊び呆けてるに違いない。・・・まぁ、私もだけど。 だから、宿題を口実に会いに行って・・・あわよくばで、デートの約束なんか・・・い、いいかも。 前に読んだ本でも、夏休みの宿題をきっかけに恋人になるってのがあったし、今の私にピッタリじゃない。 ベットから跳ね起きて、電話を手に取る。電話帳からアイツの電話番号を探して、コールボタンに 指が触れたとき、ふと考えた。 電話かけてらて・・・アイツはどう思うのかな?出かける約束とかは、大抵は夏休みの前に取り付けておく もの。夏休みも始まって1週間、こんな時期に電話をかけてきたら・・・やっぱり変に思うかな? 私から電話するなんて滅多にしないし、いっそアイツから「宿題教えてくれ~」とか来てくれれば どんなに楽だろう。そして、嬉しい気持ちとは裏腹に渋々という感じで承諾する私。 それからのめくるめく宿題生活に想いを馳せて、気がつけば電話を手に取ってから2時間も経っていた。 『うぅ・・・えぇい!どうにでもなっちゃえ!』 妄想を現実にするため、私は勢いに任せ、震える指でコールボタンを押す。 呼び出し音が1回・・・2回・・・3回・・・胸のドキドキがその音ごとに高鳴っていく。 宿題教えてあげるって・・・だから、一緒にやろうって・・・ちゃんと言えるかな? 4回・・・5回・・・6回・・・高鳴る鼓動が小さくなっていく。その代り、せっかく私が電話かけて あげたんだから早くでなさいよ!という気持ちがふつふつと沸いてきた。 104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/21(月) 21 32 38 ID ??? けれど、出てくれなかった事に何故か安堵感も感じた。 7回・・・8回・・・9回・・・やっぱり出ない。きっとお風呂に入ってるとか、トイレに行ってるの かもしれない。ここは一度電話を切って、気持ちを落ち着けてからかけなおそう。 そう思った瞬間、電話が繋がる音がした。 『はい、どなた?』 予想外の事態。出たのは女の人の声・・・しかも、若い感じ。慌てて電話を切ってしまった。 間違いなくアイツの携帯にかけたはず・・・よね?なのに、なんで女性が・・・? もしかして、実は私の知らない間に彼女ができて・・・それでそれ・・・!? 嫌な考えが瞬時に頭の中を支配していく。嘘・・・そんなの嫌・・・。 『誰?誰!!?誰!!!!?』 ベットに倒れこむように寝転がり、嫌な考えを吹き飛ばすためにジタバタしてみても消えそうに無い。 しばらくして、電話が掛かってきた。この着信音は・・・アイツだ。 電話を手にとって、ため息をつく。電話に出て、アイツに何て言えばいいんだろう? さっきの女性の事が気になって、もう予定通り宿題やろうなんて言う気持ちになんてなれない。 でも今の私とアイツは単なる幼馴染。アイツが誰と付き合おうとアイツの勝手。 そんな事をイチイチ私に言う必要もない。でも・・・でも・・・そんなの酷いよ。 『も、もしもし・・・』 電話に向かう私の声は、自分でもわかる涙声。 「あ、俺だけど・・・どうした?」 『うるさい・・・うるさい・・・ばかぁ!』 「お前、泣いてるのか?」 『ぐすっ・・・だ、誰なのよ・・・さっきの・・・電話・・・ぐすっ・・・出たの』 もう気持ちが抑えきれず、恥も外聞もなく問いただす。ダメならダメで・・・せめてアイツの口から 言って欲しかった。そうすれば、スッパリと諦められるかもしれない。 しばらくの沈黙。そして、小さなため息が聞こえた。 「誰って・・・姉ちゃんだけど?お前だって合った事何度もあるだろ?」 105 :3/3:2008/07/21(月) 21 33 03 ID ??? 姉ちゃん?って・・・貴子さん?小さい頃、アイツと貴子さんと何度も遊んだっけ? 確か、今は大学に通うため、家を出てたはず・・・だったはず。 『た、貴子さんは今居ないはずじゃ・・・』 「夏休みでこっちに帰ってきたんだよ。電話がうるさいから勝手に出ちゃったみたいなんだけど」 ほっと一安心。そっか・・・彼女じゃなかったのか。 そう思った瞬間、体の奥が恥ずかしさでじわっと熱くなってくる。勝手に勘違いして泣いてバカみたい。 「それで・・・何かあったのか?珍しく電話してきてさ、泣いたりして・・・」 『え?な、泣いてなんかいないわよ!』 「そうか?何か涙声だった気がしたけど」 『き、気のせいよ!』 さとられないように、声を荒げてしまった。これじゃ、肯定してるようなものよね。 でも、今はどうだって良い。アイツに恋人がいないってわかったんだもの。 『そ、それよりアンタさ。宿題やってるの?』 「え?いや、終わり方にまとめてやろうと思ってるんだけど」 『そんな事言って、どうせ私に泣きついてくるんでしょ?見せてくれって』 「いや・・・あはは、まぁ、そう・・・かな?」 アイツの笑い声でようやくいつもの私に戻れた気がした。やっぱり・・・私はアイツが大好きなんだなって 改めて思う。 『しょうがないわね。特別に私が教えに行ってあげるわよ』 「え?いや・・・」 『何よ、文句あるの?断るって言うなら、学校始まっても何も教えてあげないわよ?』 「ま、待った!分かったよ・・・その・・・お、お願いします。これでいいか?」 『ふふん、まぁいいわ。それじゃ、明日から終わるまで続けるから覚悟しなさい?』 「はーい、分かりました。かなみ先生」 電話を切り、思わずガッツポーズ。夏休みの宿題はたっぷりある。終わるまでって言ったから・・・ 1週間以上は続けられる・・・ずっとずっと会いにいける。 もう妄想だけじゃ我慢できないもん。絶対に絶対に・・・恋人になってやるんだから! 明日どの服を着ようかと開けたクローゼットについている鏡には、緩みきった私の顔が映っていた。
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登録日:2023/08/29 Tue 17 53 53 更新日:2024/05/16 Thu 22 53 01NEW! 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 2.5次元 Machico アイドル プログラマー マックスソフト モンスター・エルドラド モンラド 仮面ライダー 仮面ライダーW 平成ライダー 森口もな子 漫画オリジナルキャラクター 漫画版仮面ライダーリンク 社畜 風祭メグ 風都探偵 馬車馬 あたいがやんないと、来週のモバイル版のアップデートが間に合わなくなりますよ。いーんスか? 森口もな子は風都探偵のエピソード『最悪のm』の登場キャラクター。 風都の大手ゲーム会社、マックスソフトで同社の看板タイトル「モンラド」こと「モンスターエルドラド」シリーズのメインプログラマーであり、プロデューサーの真島伸太郎と共に同作の企画立ち上げから携わっている主要スタッフ。 アニメ版でのCVはMachico。 シリーズの開始から三周年を迎えるというモンラドはアーケード、家庭用、モバイル(アニメではPCソフトのパッケージ版も確認できる)でリリースされているが、それら全ての開発リーダーも任されており、登場時にはノートPCでのアップデート作業に追われていた。 その多忙さもあってか、普段はぼさぼさ頭に瓶底メガネ、「馬車馬」の文字が大きくプリントされたTシャツという色気のかけらもない姿。 性格も少々ささくれ立っており、直属の上司である真島に冒頭の生意気ともとれる言い方をしたり、翔太郎をその振る舞いから「キザ探偵」と渾名をつけている。 魔術開放!魔界旋光斬!! 風祭メグは「モンラド」に登場するヒロイン。詳細な設定は不明だが、「魔界のお姫様」らしい。 「風祭」だけどシンさんは関係ないはず。 大きな星型の髪飾りで二つにまとめた髪形と、胸の谷間部分が空いたかなり際どいハイレグのレオタードのような、 風都探偵の原作である仮面ライダーW等が放送されたニチアサどころか、映画でもR-15くらいに指定されそうな衣装が特徴。 元々は単なるゲームキャラクターだったが、彼女のコスプレイヤーをキャンペーンガールとして起用したところ、ゲームそのもののビジュアルなどから一気に人気に火が付き、今ではイベントの司会進行を行ったり、イメージソングをリリースするなど大人気アイドルとなっている。 そして一切素性の公表されていないメグの『中の人』こそが、もな子であった。 普段の地味な装いから、チーム・メグたんと呼ばれる5人のメークアップ&スタイリスト集団の手で「風祭メグ」へと『変身』するのだが、 なんでも試しに一度やらせてみたら驚くほどにイメージ通りだったようで、もな子も最初は自分のゲームを広めるため渋々という気持ちだったのが、 すぐに大人気になってしまったことで引くに引けなくなってしまったという。 変身後は平常時のもな子とのギャップに、翔太郎は亜樹子と共に仰天し、「メグの正体を公表したくないために警察に通報しない」というマックスソフト社の判断に納得してしまった。 元がゲーム開発に集中したいというワーカーホリック気味な一介のプログラマーに過ぎず、ステージ前にはぐずるやら泣きだすやらで大騒ぎだが、 ひとたびステージに立つとスイッチが入ったように堂々と「風祭メグ」を完璧に演じてみせ、その様子に翔太郎も舌を巻いていた。 しかし、メグとしての活動の合間にも、本業のゲーム開発作業に追われている様子から、亜樹子は彼女の所属する「マックスソフト」はブラック企業なのではと疑惑を持った。 (*1) メインプログラマーというだけあってゲーマーとしての腕前も非常に高く、公式イベントでのファン参加型対戦コーナーでは普段は勝ったり負けたりの接待プレイをしているが、「マーダー」をプレイヤーネームにするダーティープレイヤーとして知られる美原睦夫が参加した際には、そのチートも使用する汚いプレイスタイルに内心激怒し、完膚なきまでに叩きのめすほど。 だが、そのことで「大勢の前で悪者扱いされ恥をかかされた」と美原に逆恨みされ、命を狙うといった旨の脅迫状を送られてしまう。 脅迫状にてガイアメモリの所持を仄めかす文があったことで、真島が護衛を鳴海探偵事務所に依頼。 ステージ上で美原が変身したメガネウラ・ドーパントの襲撃を受け、さらに全幅の信頼を寄せていたマジPこと真島に裏切られたことで一時はひどく塞ぎ込んでしまうが、翔太郎の言葉に背中を押され、メグを演じることに初めて前向きになった矢先、マックスソフト内の内通者から密告を受けた美原に連れ攫われる。 だが駆け付けたときめと、フィリップが変身したWファングジョーカーの活躍によりメガネウラ・ドーパントは撃破された。 エピローグでは上層部とぶつかったことでマックスソフトをやめることになった真島と共に、新たなゲーム会社を設立する予定だという。 アニメ版では短いマントのような装飾が追加されている他、ただのサーベルのようだった武器にもデザインが施され、仮面ライダー要素バックルに揃いのアクセサリーが付けられたり、 衣装にカラーリングが追加されたりと細部が結構変化されている。 原作以上に胸元の穴が大きかったり、片足のタイツからはみ出したむっちり部分などにアニメスタッフのこだわりが感じられる。 また、メグへの変身時にはニチアサの美少女戦士モノのような変身シーンが追加された。 追記修正はメインプログラマーと大人気アイドルの二足のわらじを履きながらお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] ライブでは「ヘイローを模した飾りを背負って、ヒールの高い靴を履いた明らかに運動に向いてなさそうな装いで『現れた敵を前に、剣を構え睨み合う』戦いをイメージした演出」をやってたけどもう殺陣の域に片足突っ込んでない?つくづくどれだけ多才で有能なんだ……。 -- 名無しさん (2023-08-29 19 38 26) 独立した後はさすがに普段の身なりも整えてると思う。いままではやらなくてよかった仕事もやる事になるだろうし、その時に彼女がモサいままだと彼女自身だけじゃなく真島さんや作ったゲームまでバカにされるから。 -- 名無しさん (2023-08-29 20 19 20) こういうキャラはさすがに実写だと違和感あるから漫画でよかったな… -- 名無しさん (2023-08-29 20 54 33) エピソード項目として立てられないのはわかるけど、これわざわざ2人分に分ける必要ある?というか、キャラクター自体の解説がほぼエピソードの解説になってしまっているし、禁止事項の「どう見てもエピソードの話しかしていない」項目に引っかるような… -- 名無しさん (2023-08-29 21 01 03) ↑2 プログラマーとゲームアイドルの二足の草鞋は、確かに無理があるかもしれないけど、ゲームのキャラがナースをやっていた仮面ライダーがありましてねぇ・・・思えばポッピーは実在の人物がゲームのキャラをやっていたもな子とは真逆の存在なんだよね。 -- 名無しさん (2023-08-29 22 21 05) 殺害予告の共犯者の所業は「機密漏洩による殺人への協力」と裏切りであり殺人に繋がりかねなかった許されない悪行だが、殺害予告の共犯者の動機が「ついぞ自分には叶えることができなかった夢、よりによって勤務部署に応え叶えてみせられる天賦の才を持ちながらも本人は嫌がっていた」なんて動機がなあ……。嫉妬も逆恨みも自覚があっても消えてはくれない……。 -- 名無しさん (2024-05-16 20 48 35) ↑自分的にチームメグたん自体がそういう裏方で燻ってた人達の集まりっぽいし、2人の独立後は自動解散からの全員マックスソフト退社してそう。 -- 名無しさん (2024-05-16 22 53 01) 名前 コメント
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198 名前:1/?[] 投稿日:2011/07/18(月) 20 55 23.64 ID Rsnh7tCEP [3/8] ツンデレと遊園地に行ったら 「あいつ遅いなぁ・・・」 今、遊園地に来ている。この遊園地のシンボルともいえる大きな時計の前で待ち合わせをしていた。 「ここであってるよな・・・?」 ペアチケットを片手にうろうろしてみる。このまま相手が来なかったらかなり来る物があるよな。 きょろきょろとあたりを見渡すと、見覚えのある顔があった。 その人物はこちらに気づいて近づいてきた。 『なんでお前がいるんだ』 「・・・それはこっちの台詞だ」 『チッ・・・お前の顔をみたせいでせっかくの休日が台無しだ』 「ふん言ってろ、んでなんでいるんだよ」 『私は友子と遊びに来たんだ。お前は?』 「えっ・・・友子と?俺も誘われたんだけど」 『どういうことだ・・・?』 二人で疑問に思っていると俺の携帯が鳴った。友子からだ。タイミング良すぎだ 「おい、友子いまどこにいるんだよ」 『んー?今家だけど』 「なんでだよ!」 『いやー急用ができちゃってね。ほら、隣にいるむすっとしてる友達と遊んでなさい』 「はぁ?なんで知ってる・・・お前まさか」 『なんのことかにゃー?いい?ちゃんと仲直りしなさいよ。隣の人にもよろしくー』 「あっおい!・・・切れた」 199 名前:2/?[] 投稿日:2011/07/18(月) 20 56 23.87 ID Rsnh7tCEP [4/8] 『で?友子はなんと言ってた』 「今日は来れないから、あとよろしくって」 『そうか。じゃあ私は帰る』 そういってあいつは帰ろうとする。このまま帰していいんだろうか。友子がわざわざ用意してくれたんだ。 この手を逃したらいつ次の機会がくるか分からない。あれこれ考えていると俺は無意識に尊の肩を掴んでいた。 『・・・なんだ?』 「ちょっと待ってくれ、ほらチケットあるから一緒に遊ばないか?」 『私は友子と遊びに来たのであって、お前と遊びに来たのではない』 手を振り払い帰ろうとする。待ってくれ、俺は、俺は・・・ 「頼むこの通りだ!」 俺は、思い切りお辞儀をしてあいつを踏みとどませる。周りから奇妙な目で見られてるが気にしない。 『な、なにやってるんだ。恥ずかしいからやめろ』 「お前が、一緒に遊んでくれるまでやめない」 『・・・わかった。わかったから顔上げろ』 「ホントか?」 『はぁ・・・仕方ないな。』 渋々という顔の尊をつれて遊園地のエントランスをくぐる。さてこれからどうするか・・・ 200 名前:3/?[] 投稿日:2011/07/18(月) 20 57 16.08 ID Rsnh7tCEP [5/8] 「ここに来るの久々だなー、尊は?」 『言う必要はない』 「そうか、初めてか」 『初めてじゃないっ!2回目だ!』 「素直に言えよ・・・」 俺たちはとりあえずどのアトラクションに行くかパンフレットを見て歩き回っているところである。 『ふむ、あれがいいんじゃないか?』 そういって指さしたのは・・・ジェットコースターだった。 「あれか。いや、やめとこうぜ」 『なんだ、恐いのか?』 「こ、恐くありませんよ?そこまで言うなら行ってやろうじゃないか」 正直恐いです。高いところが苦手なんだ。ちらっとあいつの方を見るとにやにやしていた。 まさかっ!こいつっ!知っているのか!まぁおおかた山田か友子に吹き込まれたんだろうけど 覚悟を決めて乗り場へと行く。相変わらずあいつはにやにやしてる。くそー・・・ ・・・ ・・ ・ し、死ぬかと思った・・・、心なしか、いや心なしじゃない足が震えている 『どうした、顔色悪いぞ』 にやにやしながら聞いてくる、分かってて聞いてくるからタチが悪い 「うるさい・・・次行くぞ次」 次に行くところは決めている。さっきにやにやしてた時に決めた。うん、あそこにしよう 201 名前:4/?[] 投稿日:2011/07/18(月) 20 57 55.66 ID Rsnh7tCEP [6/8] 「えーっとここだな・・・」 着いた場所はお化け屋敷だ。ここは日本有数のお化け屋敷だ、そして尊は致命的な弱点を持っている それは軽度の暗所・閉所恐怖症に加え、おばけが恐いという何ともお化け屋敷にうってつけな体質と友子から聞いた。 『ほ、ホントにここに入るのか?』 「もちろん」 にやにやしながら答える。さっきと逆だ。あいつはかなりの仏頂面だ。 『・・・覚悟完了。よし!入るぞ』 尊は勇ましく入っていく。でも足は震えてた。 ・・・ ・・ ・ 「なんかごめん」 『・・・ふふふ、謝る必要はないぞ。あとで後悔させてやるからな・・・』 少し壊れた口調で話す。ちょっとやりすぎたかな。 それから俺たちはお互いを攻撃するようなアトラクションへ行った。 そして気がつけば、空は暗くなっていた。 「ハァハァ・・・もう最後にするか・・・」 『ハァハァ・・・そうだな、じゃあ最後はどこにする?』 「じゃあ最後は二人で決めるか・・・」 そういって俺たちが指を指したのは・・・観覧車だった。死なば諸共、俺もこいつも自爆覚悟で観覧車を選んだ。 「おい、大丈夫なのかそんなの選んで」 『そっちこそ、後悔しないだろうな』 お互いを牽制しながらゴンドラに乗り込む、向かい合うように座った。 「・・・」 『・・・』 言葉数が少なくなる。俺は高いところを我慢しているわけだし、こいつも閉所、暗所を我慢してるんだろ ゴンドラは空へと向かう。ここの観覧車から見る夜景は絶景だと友子が言っていたが外を見る余裕がない。 天辺にさしかかるところでゴンドラがぐらりと揺れ止まった。 202 名前:5/?[] 投稿日:2011/07/18(月) 20 58 53.57 ID Rsnh7tCEP [7/8] 『な、なんだ。どうした』 「タイミング悪いな・・・」 『おい、なんで止まってるんだ』 尊が慌てて周りをきょろきょろしている。なんかその様子を見ると・・・ 「ふふ」 『な、なに笑ってるんだ。止まってるんだぞ』 「ま、落ち着けって」 『これが落ち着いてられるか』 「この観覧車は、30分に一回止まるんだよ。そう友子が言ってたし、下の看板に書いてあった」 『そ、そうなのか・・・ふぅ』 「ははは・・・・・・あの、えーっとなんだその・・・この前はごめんな」 今まで言えなかった言葉を吐き出した。吐き出すと心の重しみたいななにかが消えていく。 『・・・・・・こ、こっちも大人気なかったな』 「悪かったな。ほら」 俺は立ち上がり手を差し出す、仲直りの握手だ。 『こっちこそ』 尊は差し出した手に握手しようとする。とそのとき不意にゴンドラが揺れ、動き出した。 203 名前:6/6[] 投稿日:2011/07/18(月) 20 59 44.68 ID Rsnh7tCEP [8/8] 『きゃっ』 「おっと」 俺の方へ尊が崩れてきて慌てて受け止める。思わず抱きしめる形になった。 「大丈夫か」 『ああ、なんとか・・・、っ!?』 「どうした?」 『ど、どこ触ってる!』 「えっ、あ、ごめん」 二人同時に離れる。その様子がおかしくて笑ってしまった。 「ははは・・・」 『・・・ふふ』 「なんか喧嘩してたのが馬鹿みたいだな」 『だな、・・・見ろ夜景が綺麗だ』 窓の外を見る。そこには光の絨毯が敷かれていた。確かに絶景だ、今まで見なかったのが後悔するぐらい。 また俺は手を差し出す。 「あのなんだ、これからもよろしくな」 『あぁこちらこそ』 そして俺たちは今度こそしっかりと握手をした。
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不断の騎士の遺体をその場に放置して、Prince of Killerは一人森を進んでいた。 早く次の参加者を殺したくてしかたがないのか、楠沙枝の小柄な体を、フルフルと震わせている。 ついさっき不断の騎士を殺したばかりだけれど、ほとんど不意打ちみたいな感じで殺したから、少々欲求不満気味なのだ。 「殺すだけでもそれなりに愉しいけれど、やっぱりちゃんと戦いたいってのもあるんですよねえ……」 そんな物騒なことを呟きながら歩き続けると、やがて小さな灯りが殺人王子の視界に入る。 目を凝らしてよく見れば、腋を露出した奇妙な形態の巫女服を着用した少女が、こちらに背を向けて歩いていた。 (散りゆく者への鎮魂果は――まだ、使えそうにないなあ) 彼女の能力『散りゆく者への鎮魂果』は、うまくいけば一瞬で相手を殺せるだけの力があるが、 反面、一度使用するとしばらく使用できないという、自分ではどうしようもない欠点も同時に存在していた。 それは、一時間二時間といった長時間に及ぶものではないけれど、先程の使用から十分と経っていない現在は、確実に使用できない。 溜め息を吐いて、Prince of Killerはパニッシャーを構える。 狙いはもちろん、目の前の腋巫女(仮)だ。 (まあ、マーダーなら殺さないとは言ったけれど、こいつに反応できない程度のマーダーなら、どうせたいして殺せずに終わるからいりませんよってことで♪) 最後にそんな計算を脳内でし終え、いよいよパニッシャーが火を吹こうとした瞬間。 Prince of Killerは、何かが自分に迫ってきているのを知覚した。 (――――ッ!?) 数は十個二十個ではきかず、速さもそれなり。 パニッシャーを持ったままでは避けきれないと判断したPrince of Killerは、やむなくパニッシャーを近くの茂みに投げ捨て、自身も横に飛び退く。 (これは――?) 飛んできた物体の正体は掴めなかったものの、自身のすぐ脇を通り過ぎたそれらが背後の木々を薙ぎ倒すのを見て、直感で回避を選択したことに安堵する。 しかし、どうしたものだろうか。とっさに投げ捨てたおかげでパニッシャーが破壊されることはなかったものの、再び拾うには結構な距離が空いてしまった。 なんとか隙を見つけて拾えれば、と思考するPrince of Killerに、いつの間にやらこちらに体を向けていた腋巫女(仮)が口を開く。 「殺気がだだ漏れよ。どう?私の弾幕は」 「弾……幕……?」 聞き慣れない単語に戸惑うPrince of Killerに、「そう、弾幕」と腋巫女(仮)は繰り返す。 腋巫女(仮)、いや彼女の名前は――◆MajJuRU0CM、争符・生命遊戯。 最近開始した、東方ロワの筆頭書き手の一人であり、 東方projectの主人公・博麗霊夢を冷徹なマーダーとして登場させた作品『生命遊戯 Easy』の作者でもある。 そして自身が書いた博麗霊夢と同様、生命遊戯もまた、参加者の殲滅を目的としていた。 一見して無防備な少女を装いつつも、その反面周囲の警戒は怠らず、 襲いかかろうとするマーダーを書き手ロワで彼女が得た能力『弾幕』をもって返り討ちにしようとしていたのだ。 つまり、Prince of Killerは今回、まんまと生命遊戯の策にかかってしまったことになる。 「……ふふっ」 しかし、その事実を認識してもなお、Prince of Killerは不適な笑みを崩さない。 相手はこちらを一方的に攻撃できる能力を所持し、対して自分は頼みの綱のパニッシャーを手放してしまっている。 そんな状況だと言うのに、平然としているPrince of Killerを見て、生命遊戯は訝げに少女を見る。 「ちょっとアンタ、気でも触れたの? アンタに対抗手段が無いことくらい、理解できるでしょ?」 「いやいや、あなたみたいな強力そうなマーダーを発見できて、安心しているんですよ。やっぱりマーダーがいなければロワは回りませんからね」 その答えにますます怪訝そうにする生命遊戯に微笑みながら、Prince of Killerは言葉を発する。 ようやく再び使用できるようになった、彼女の能力のキーワードを。 「『散りゆく者への鎮魂果』!」 いつの間にやら、生命遊戯の足下に転がっていた、一個のオレンジ。 キーワードと呼応してそのオレンジが割れ、中から黒光りする銃口が顔を覗かせた。 「な――――」 一瞬遅れて生命遊戯はそれを視認し、戦慄するも、一度作動した『散りゆく者への鎮魂果』が停止することは無く。 オレンジの中の拳銃より放たれた弾丸は、生命遊戯を貫いた――が、しかし。 「……やってくれるじゃない」 博麗霊夢のウリは、当たり判定の小ささにあり。 その体を得た生命遊戯もまた、当たり判定は小さい。 つまりどういうことかと言えば――弾丸が貫いたのは、生命遊戯の巫女服のみであり、生命遊戯にダメージを与える結果にはならなかった。 自らの姿が霊夢であったことにこの上なく感謝し、生命遊戯はPrince of Killerに向き直る。 今度はこちらの番、弾幕ゲーの本気を見せてあげる。そう言おうとして――再び、生命遊戯の表情は凍りついた。 「残念、『散りゆく者への鎮魂果』での銃撃はあくまでフェイク。本命であるパニッシャーを取る隙を作るための、囮だったんです」 パニッシャーの銃口が、生命遊戯に向けられていた。 Prince of Killerの言葉は続く。 「先程は威力がわからなかったので念のため回避しましたけど……あなたの弾幕は、このパニッシャーで対抗できないほどじゃない。 むしろ、十分に勝ちを狙える。そう判断しました。どうします?私のパニッシャーとあなたの弾幕、 どちらが勝つか勝負といきますか?その場合、二人とも無事では済まないでしょうけど」 そう生命遊戯に告げて、にこやかに笑うPrince of Killer。 生命遊戯は少しの間思考し、やがて、いかにも渋々といった感じに頷いた。 「……わかったわ。この場はこれでお開きといきましょう。私は東方ロワの生命遊戯。アンタは?」 「賢明な判断、ありがとうございます生命遊戯さん。私の名前はPrince of Killer。オールロワの殺人王子です。」 「そう……Prince of Killer、ここで殺されなかったからには、精々一人でも多く殺して、私に楽をさせてよね」 「もとよりそのつもりです。生命遊戯さんこそ、たくさん殺してくださいよ?ロワを盛り上げるためにも」 それだけ言って、生命遊戯に背を向けてPrince of Killerは去っていく。 どうせ撃ったところで回避されるだけだろうと、生命遊戯も弾幕を撃ったりはしない。 「はあ……星蓮船の発売日までには帰りたい」 そんな生命遊戯の切実な呟きは、誰の耳にも届かず、ただ消えるのだった。 【一日目 深夜/山梨】 【Prince of Killer@オールロワ】 【服装】魔法少女沙枝の格好(ピンクのフリフリの魔法衣装) 【状態】健康 【装備】パニッシャー@なのはロワ 【持ち物】デイパック×2、支給品一式×2、オレンジ49個@コードギアス、不明支給品1~3 【思考】 基本:殺し合いを加速させる 1:第一放送までは出会った相手を殺す(ただしマーダーなら放置、迷っていればマーダー化するよう扇動、自分より強ければ撤退) 【争符・生命遊戯@東方ロワ】 【格好】博麗霊夢 【状態】健康 【装備】なし 【持ち物】支給品一式、不明支給品1~3 【思考】 基本:必ず生きて帰り、東方の新作をプレイする 1:出会った参加者を殺していく 時系列順で読む Back 正義が正義である世界 Next ゆーきゃんふらい・あいきゃんとふらい 投下順で読む Back 正義が正義である世界 Next ゆーきゃんふらい・あいきゃんとふらい むくわれぬもの Prince of Killer そして教会はなくなった 争符・生命遊戯 長野県がこげちゃう!
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天宮_月夜 Lv43(2010/09/04の情報) :特徴: 星鎧がエロい魚座のボケボケなサブキャラソーサラー。「ぼ~……」とした表情している。 生粋のラビ育成キャラで一定期間潜らないと暴れるので注意。欲求不満の溜まり方によって 葉月詩音(Lv47皿)→橘恋(Lv52皿)とレベルが上がったキャラで暴れる。暴走すると↓が出てくる。 メインはLv61パラディン。曰く「わら半紙並の強度」を誇る。スーパーカブに乗ってテミス・デッカーで暴れている……らしい。 2011/04/24更新 Lv56まで成長。やや余裕が出てきたのかそれとも本性が現れたのか“性能より外見重視!”の装備を求めるようになる。Lv55オレンジ装備“ミラクルシリーズ”を入手するが「どうやっても無詠唱サンダーが出来ない!」という理由で渋々仙后・キラ混合装備に戻す。 :性能: バフ後回しでひたすらアテナスピアーとコメットシュートを撃ち込み、地味にタゲ奪ったり防御属性下げていたりする。詠唱はやたら速い。 毎日クエは無詠唱サンダーでひたすらフィールドを駆け抜ける。 :生産: カード。 55装備:パピルサグの杖・キラシールド・見た目色々一式(中身も色々)。上下はミラクルシリーズを外見に使用するというドアホ合成。中身はキラ↑仙后↓ コメント投稿。満月の夜には気をつけろ! 月は出ているか!!by月夜 サブ(既にどれがサブだか分からないけど)で50D逝って来ました。時砂に縁があるらしいです…… -- 月夜 (2010-09-11 00 21 53) さらにその後、デッカー逝って来ましたw -- 月夜 (2010-09-11 01 51 28) デッカーちゃん楽しかったね♪ またみんなで行こうね^^ -- りありす (2010-09-11 10 35 15) 今日(昨日)はウマがログインしてきたので、拉致ってデッカーw40分位で壊してきました。デッカーは15秒と経たず昇天、いやヂゴクに叩き落しましたとさw -- 月夜 (2010-09-15 00 03 36) 45D壊すを日々w早くLv45に上げなければ…… -- 月夜 (2010-09-19 16 20 43) 45に上がったじぇ -- 月夜 (2010-09-25 22 50 08) マルオ前程進めている間に、野良でマルオ殲滅参加。面白かったじぇ -- 月夜 (2010-09-26 01 05 46) バックアップから復元。やっと戻った・・・ -- 月夜 (2010-10-04 18 20 43) パワーアップするためにいったん抜けマッスル!戻ってきたら驚くじぇw -- 月夜 (2010-10-08 21 21 29) ぬぉぉぉぉ!クエ消化ヽ(*´3`)ノチゥチゥ(ぇ -- 月夜 (2010-10-10 21 40 37) 48に上がったじぇ~~~!しかし、何で↓の公告がフィギュアーばかりなんじゃ!!w -- 月夜 (2010-10-24 14 51 22) にょ~Wizが40に上がったじぇ!とりあえずクエくらいは消化してやるか!w -- 月夜 (2010-10-25 18 11 40) 49になったじょ!もう1人の皿追い抜いてしまった(。ノε`。)ンププ -- 月夜 (2010-11-10 11 02 05) もうすぐLv50…(´・ω・`) -- 月夜 (2010-11-22 18 50 04) やっと50になったじぇ。しかし!トール装備が取れんww -- 月夜 (2010-12-03 21 38 37) 土日でスバルさん(のサブ)とギャングしばいて装備(σ´∀`)σゲッツ!! -- 月夜 (2010-12-06 19 18 11) 皿1号が55にあがったじょ!ババーン装備だ(σ≧▽≦)σYO! -- 月夜 (2010-12-23 10 23 41) 今気づいた。タロットペットと同じレベルであるということに!追い抜かれたら(´・ω・`)ショボーン -- 月夜 (2010-12-28 20 11 43) 52に上がったじぇ -- 月夜 (2011-01-04 20 53 19) 7が起動しねぇぇぇぇ。今日はもう無理ぽ……(´・ω・`)ショボーン -- 月夜 (2011-01-11 22 22 12) チャット打つたびにフリーズ・・・orzしかし月夜は53まで@20%切ったのだ。詩音も50に上げるじぇw -- 月夜 (2011-01-23 21 51 01) DNSエラーで2時間半格闘……ようやく繋がる(接続方法変えた -- 月夜 (2011-01-24 18 38 48) めでたく53。しかしここからがキツイじぇ…… -- 月夜 (2011-01-30 10 00 51) ククク…(ΦωΦ)ふふふ…( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \ !!パラが66に上がってマ砲装備でサンダーセット揃ったじぇ!! -- 月夜 (2011-02-03 21 19 11) 詩音が50に上がったじぇ。ギャング装備がまだだけど(´・ω・`) -- 月夜 (2011-02-05 15 42 41) その詩音にはイシリス持たせているんだけど、初の「魔法強化」付けていますw今までは魔術強化だったw -- 月夜 (2011-02-05 23 45 24) ふぉぉぉぉ!54に上がったじょ! -- 月夜 (2011-02-21 10 47 42) go -- 月夜 (2011-02-28 21 04 35) ↑ゴバク……orz 55までが長い…… -- 月夜 (2011-02-28 21 05 17) つきよ は ウマ を てにいれた -- 月夜 (2011-03-03 20 15 13) 遂に55になった!ラスト5%位はメインのクラメンと共に55Dぶん回しw鮮血/尖塔では皿MTやるハメにw -- 月夜 (2011-03-20 22 21 56) 詩音のギャング装備がやっと揃ったー。あー、なんかまた揺れている気ガスる・・・ -- 月夜 (2011-03-23 11 05 34) もうすぐ56に上がるじぇwそして見た目重視のミラクル装備実装! -- 月夜 (2011-04-06 11 43 47) 56になったじょ。詩音も51だ!ミラクル装備は詠唱がネックなので元に戻しましたとさw -- 月夜 (2011-04-12 15 44 22) セクメトシリーズの図を手に入れたぞ! -- 月夜 (2011-04-16 12 43 39) 詩音が52にレベルアップ!スバルさんと55D2周してきたじぇw面白かったよー!ありがとー! -- 月夜 (2011-04-21 22 26 14) 詩音が53に上がったじょ。ついでに月夜も57だw -- 月夜 (2011-05-06 22 38 38) 長い・・・55までのトンネルが長いYO!! -- 月夜 (2011-05-21 15 40 14) 晶(パラ)が69、プロフが68、詩音は54。晶の成長が早い……ほぼ同時行動しているプロフより早いんだがw -- 月夜 (2011-06-12 22 20 00) つきよ は れべる58 に あがった -- 月夜 (2011-06-24 18 14 33) 遂に59だ!60までのカウントダウンスタート -- 月夜 (2011-07-26 20 56 41) 60までが長いよぉ…… -- 月夜 (2011-08-13 00 14 27) つきよ は れべる60 に あがった -- 月夜 (2011-08-18 18 45 20) 晶・亮が73じゃ~。月夜は63w -- 月夜 (2011-12-03 20 02 42) @9%で65になるじぇ。しかし、寂しくなったのぉ -- 月夜 (2012-01-21 19 31 35) 65に上がった(σ≧▽≦)σYO! -- 月夜 (2012-02-02 18 33 34) いつの間にやら69だ -- 月夜 (2012-08-20 20 21 27) 70~~!アイアンフォートの敵はやたら好戦的。弱いくせに~~! -- 月夜 (2012-09-09 16 33 14) 72に上がった -- 月夜 (2012-10-28 00 33 27) 名前 コメント
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夜の世界。それは静止と静寂の世界である。 冷えて澄んだ空気に、先の見えぬ闇。 人は世界から姿を消して、残るは僅かな虫や獣のみ。 しかしそんな夜の世界に、染み込むように響く風切り音。 鳥の羽ばたき音であろうか。いや、風が伝える音は鳥ではないと言っている。 闇に紛れて宙を駆ける音の主、それは体長6メイルの風韻竜の幼生であった。 「おねーさま、そろそろ降りますわ。残念です。きゅいきゅいっ」 夜の澄み切った空気の中を飛ぶことが楽しくてしょうがないシルフィードは、あからさまに残念がって着陸の体勢に入る。 そんなシルフィードに乗るタバサは、背中の鱗をすりすりとなだめるように擦ってやった。 「また帰るときに飛べる。それと、ここからは喋っちゃダメ」 しっかりとシルフィードに言い含めておくタバサ。 人語を話す韻竜は滅んだとさえ言われる希少種だ。 それがこのお喋りな使い魔だと知れれば、面倒なことになるのは目に見えている。 「きゅきゅー。(分かってますー)」 タバサの為と納得しているが、それでも何だか渋々感ありありのシルフィード。 それでもタバサはそんなシルフィードが好ましく思う。 いい子いい子、と優しく背をたくさん撫でてあげた。 着陸地点はトリステイン王城の厩舎前。 学院に戻ったタバサは、一日前に城からの手紙を受けた。 正確にはアンリエッタからオスマン老へと送ってから、そのオスマン老経由での手紙。 その手紙にはアンリエッタからシルフィードを連れて、出来るだけ静かに城へ来てもらいたいと記されていた。 後は、来る際の日時と着陸地点の目印。 それと一番重要なこととして、体の大きなシルフィードが見つからないよう細心の注意を払ってほしいとのこと。 これはシルフィードからタバサが調べられ、アンリエッタと繋がりがあるということを悟られないようにする意味を持っているそうだ。 タバサは風を頬で受けながら、サイレントの魔法を唱える。 これでシルフィードの発する風切り音は消える。 さらにサイレントを行使しながら、杖を振り簡単な雲を作り出す魔法を唱えた。 雲はシルフィードの巨体を覆いつくし、その巨体を覆い隠す。 多少切れ切れな雲であっても夜の帳が落ちたなら、地上からその姿を捉えるのは困難だ。 すでに地上では目印の篝火を一つ用意している。 そこにめがけて、ゆっくりとシルフィードは降下。 大体の目標が分かれば、その鋭い目が最適な地点をはじき出す。 微妙に開けた場所。その周りに人影がある。 つまりそこが相手にとっても着陸してほしい場所なのだろう。 ゆっくりと宙をすべるように、降りるシルフィード。 そして音も立てずに着地。 完全な望みどおりの隠密行動をとったシルフィード。 タバサは再び、いい子いい子、と背を撫でてやった。 空からシルフィードが見た人影達がタバサを迎える。 「お呼びたてして申し訳ありません。ミス・タバサ」 「久しぶりです、タバサさん」 アンリエッタと康一、二人の主従。それと言葉は出さないが礼をとるアニエスとマザリーニの姿も見える。 タバサは特に言葉は出さず、僅かに会釈するに留まる。 「きゅいきゅいっ(おひさしぶりねっ)」 シルフィードは自分の言葉が解る康一に会えて、嬉しそうに鳴く。 しかしその声を聞いた瞬間康一の表情が僅かに、困ったような、複雑そうな顔になった。 康一のそんな表情。タバサの鋭い観察眼はそれに違和感を覚えた。 普段の康一なら、そうそうそんな顔にはならないだろう。 それが彼の良さだ。なのに、今の彼は。 「何か、あった?」 タバサは何故かそれが自然であるかのように問いかけていた。 「エッ!?」 康一がその問いに目を丸くして驚く。 他の者も皆、何かしら驚きの表情を見せていた。 「もしかして顔に出てました、僕?」 康一の問いかけに、コクンと頷いたタバサ。 「あー、そうですか。……一応お城の方で準備してるんで、そっち行きましょっか」 シルフィードは着陸地点で隠れて待機して貰うとして、タバサは城のアンリエッタの居室に招かれた。 マザリーニはちょっと取って来る物があるとかで、少し席を外している。 その間にタバサは、今回自分が呼ばれた理由を告げられることとなった。 「動物の声が解らない?」 タバサが少し驚きを目に浮かべ、疑問の声を投げかける。 「ええ。前にシルフィードさんの声が解るって分かったじゃあないですか。 それで他の動物の声が解るだろうと思って、色々と試して見たんですけど全然ダメだったんですよ」 康一の説明では、タバサが帰ってから城でルーンの能力を試していたそうだ。 しかし全く能力は使えなかった。ルーンは何も変わらず発光しない。 それで今回ルーンの調査を頼んでいたタバサを呼んで何か分かったか聞こうと思っていた訳だ。しかし。 「それでタバサさんのに色々聞こうかなと思ってました。でもまさかな、とは思ってたんですけど。 さっきシルフィードさんの声聞いたら、そっちの声まで解らなくなっちゃってて…」 ちょっぴり溜息をついて、康一が頬を掻いた。 「別に康一さんのせいではありませんわ。きっと何か理由があるのでしょう」 アンリエッタが慰めるように康一の肩を叩く。 「そうだといいんですけど、ねぇ」 もう康一はボヤくしかない。 「とりあえず、ミス・タバサ。現在のルーンの調査状況を教えていただけますか?」 アンリエッタが場の空気を換えるため話題を変えた。 タバサは居室の丸テーブルの前に立ち、懐を探る。 そしてその懐から一冊、表紙がボロボロになった書物を取り出しテーブルに置いた。 いつもの小さな声だが、よく場に通る声でタバサが語り始める。 「まず結論から言う。ルーンの紋様を調べたが、それと同じ紋様のルーンの記録は見つからなかった」 康一の右手のルーンを見ながら、結果を言い放った。 その結果にアニエスが疑問を投げかける。 「それは、今はまだ見つかっていない、かも知れないのか。 それとも、おそらく学院では見つかることはない、のか。一体どちらだろう?」 見つかっていないでも、この二つの違いはあまりに大きい。 まだ見つかっていない可能性があるなら、それはまだ問題ない。 しかし学院の資料でも、おそらく見つからないだろう、という話は別だ。 魔法学院はトリステインの国立学院。 魔法に関しては、周辺国のガリア・ゲルマニア・アルビオンに勝ると言われるトリステイン。 そのトリステインの魔法に関する最高学府に、 使い魔のルーンの記録がないとすれば一体何処にそんな記録があるのだろうか。 否、本当にそんな記録があるのかどうかさえも疑わしい その疑問に対するタバサの回答はこうだ。 「学院の記録は殆んど調べた。この分だと見つからないと思う」 冷静で自信を持って答えたタバサの回答。 冷酷とも言えるような答えだが、それはタバサの調査が確実であるという表れでもある。 「そうですかー。まぁ、見つからないんじゃあしょうがないですね」 ちょっと残念そうな、ホッとしたような康一が呟いた。 康一としてはタバサに調べるのを任せていたのが、ちょっぴり具合が悪かったのだ。何だか複雑な気分である。 だがこれで話が終わった訳ではない。 「ただ」 そう前置きして言葉をタバサが紡ぐ。 「あなたのルーンと、よく似た紋様のルーンの記録があった」 タバサはテーブルに置かれた、持ってきた書物に目を落とす。 そしてタバサは書物に手を伸ばし、しおりの挟んであったページを開いた。 開かれた書物。康一が、アンリエッタが、アニエスがそのページを見つめる。 ページに記されたルーンの紋章。それはとても康一のルーンによく似ていた。 いや、これは似ているというレベルではない。 ほぼ完璧に同一の形状。ただし一画ほどルーンが抜けているが、それ以外は完璧に同形のルーンであった。
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毎週の定例行事である遊郭街の動向報告書を射命丸は、稗田邸に持って行った際にいつもの部屋に通されて、この館の主である稗田阿求の事を待っていた。 その時の射命丸は1人っきりでありなおかつ、いい加減稗田邸への訪問にも慣れて来ていたから足を延ばして姿勢を崩した状態で稗田阿求の事を待っていた。 稗田邸の主である稗田阿求がやってきた時はさすがに居を正すが、それだって最初の時と比べれば随分と、楽な姿勢だなとだいたいの者が見ればそう言う印象を抱くだろう。 射命丸としては遊郭街を取り仕切り、また拡大させまいと動いてくれている件の、遊郭宿を経営する忘八たちのそのお頭が遊郭街全体を統制して、また遊郭と言う組織が動き回れないように締め付けている様子を事実だけを淡々と伝えるだけで良い、本当に楽な仕事となりつつあったのが大きい。 稗田阿求としても、あの忘八たちのお頭が遊郭街の拡大を阻止しなければ生き残れないと実感している事、そしてその実感を原動力に拡大阻止に動き、またそれに成功している事は厳然たる事実である。 一線の向こう側となっている存在が、権力を持っている場合が多いとはいえ総数としては少なくいわゆる通常の存在が男女ともに多く、渋々と遊郭と言った存在を認めている事に加えて。 そんな渋々存在を認めている遊郭街が、ギリギリの一線とお目こぼしによって存続を勝ち得続けようと尽力している忘八たちのお頭の事も、やっぱり阿求は渋々に渋々を重ねながらも彼が有能であることを認めなければならなかった。 ここ数か月は、阿求が射命丸からの方向を読みながら渋々と忘八たちのお頭は上手くやっているのだなと、それを確認する作業の場としての機能しか見られなかった。 それが射命丸に対して楽過ぎてこれでまぁまぁな金額のお駄賃をもらっているのが、それに対するいくばくかの恐れ、その程度の悩みしかもっていなかった。 「やぁ、射命丸さん」 だから、稗田○○が部屋のふすまを開けて入ってきた時――当然の事で、妻である稗田阿求もいるとはいえ――には、足を延ばしてそれこそバタバタさせてストレッチのような物をしていた自分の、あまりの間の悪さ運の悪さを呪いたくなった。 更に言えば丈の短いスカートを、どうせ稗田阿求が夫である○○には会わせないだろうと言う、これもまた慣れと言うよりは舐めた考えから、露出の少ない着衣を着替えが面倒なのでいつもどおりのミニスカートを履いて来た自分の考えの甘さを、射命丸は大いに呪うしか無かった。 稗田○○が入ってきた瞬間、射命丸のボケーっとまではいかないが魅力を隠すことを忘れただらっとした姿に、射命丸の目には稗田阿求がはっきりと口角の端をヒクリと動かす姿が見えた。何というか理不尽極まりないなと、射命丸はそう思うしか無かったのだけれどもこんな事が言えるはずも無かった。 だけれども○○は……多分これが彼なりの優しさと言うか処世術なのだろう。 「報告書を」 としか言わなかった、あくまでも射命丸が持って来た情報にしか興味を見出していないと言うそう言う態度を貫いており、射命丸の顔すら見なかった。 せいぜいが射命丸の持ち物、特に今回は傍らに書類束を置いていたので、○○の視線はそこのみに集中させていた。 これは○○にとっても幸運であった、体のいい視線の逃げ場が存在させられるのだから。 「ええ、まぁ、はい……」 無論の事で射命丸は報告書を○○に渡す以外の動作を、極端な事を言えば許されてはいなかった。 この状況で稗田○○を見る勇気が、稗田阿求の不興を考えれば出来るはずも無くさりとて稗田阿求もやっぱり怖い。 射命丸は目線の安定させ所を求めているうちに、稗田○○の後ろ側にいる上白沢の旦那と……彼に関しては目線すら会う事が無かった射命丸の方が目線を通らせたのに。 上白沢の旦那は初めから、この場で自分は徹底的に気配を消して置物になろと試みているのが明らかな、どこも見ていない虚空を見つめるような表情で天井ばかりを見ていた。 敵にはならないが同時に味方にも絶対になってくれない性質の存在と化していた。 「ははは」 射命丸が目線の置き場をどこにすればいいか、それが分からずに悩んでいると報告書を読み進めていた○○が、笑ってくれた。 少し射命丸はホッとした、この状況ならこの場にいる者がつまり射命丸も含めて、稗田○○に対して目線をやる事の意味付けとしては十分であるからだ。 「あの男、忘八たちのお頭はそれなり以上に頑張っていると言うか……まぁ必死と言うべきか。こっちに目を付けられるぐらいならば、遊郭内でやや暴君と思われる方がマシと判断しているのか。だとしてもいきなり相手の私室に音も無く乗り込むを通り越して待ち伏せとは……そこから先は質問攻めと言うのは恐ろしいけれども、彼からすればやましい事が無ければ全てに答えられるし、実際に潔白だったら彼の方から頭を下げて謝罪して後々にうまみのある仕事などを割り振っている辺り……支配者としての特性と気配りはあるんだな」 少し上機嫌そうに、実を言うと○○はあの忘八たちのお頭に対して頂点に立てる存在がそんなに生半可なはずは無い、と言う評価のような物は与えていたのだった それと同時に、頂点に立てる存在が全く何も怖い所が無い、なんて事もやっぱりありえないと言うのは重々理解していた。 ただその能力と恐れの混在こそが、○○の忘八たちのお頭に対する評価や注目に値すると言う魅力につながっている部分もあった。 「……そうですね」 稗田阿求はと言うと、今のあの男でなければ遊郭街は統制できないだろうと言う実際上の問題で、渋々に渋々を重ねて今の忘八たちのお頭を評価しているに過ぎなかったので。 あの男でなければ大分話はこじれるだろうと言う部分に置いて、阿求は最愛の夫である○○と同じ意見を持つ事が出来たのは確かに重畳であり、とても多幸感を得る事が出来ているのだけれども。 やはり同じ意見を持つための対象が、渋々存在を認めている遊郭街であるのがたまらなく腑に落ちない微妙な気持ちを抱かせるようで、阿求の言葉は夫である○○がしゃべり倒した後だと言うのに『そうですね』の一言をしぼるだけで、それすらも出てくるまでに微妙な間と言う物が存在していた。 「まぁ……遊郭街に関してはあの男が目端を効かせているのが分かればほとんど十分だろう」 そう言いながら一応、○○は阿求に射命丸からの報告書を渡したけれども、阿求の中にある○○がそう思うなら自分もその意見だと言う――逆でも通用するのだが、○○も阿求の出した意見には逆らわないどころか盲信する――決定事項を覆したくなくて、通りいっぺん程度にぱらぱらとめくるのみであった。 毎週毎週作らせるこの報告書、不釣り合いなほどに実入りの良い仕事とはいえ毎週報告を持ってこさせる射命丸には、○○は少し悪いなと思いつつも、悪いなと思っているのならばこそさっさと○○は思っている事をやりたい事を実行して、この場でかかる時間を短縮するべきなのであった。 ただそのために行う事が、射命丸に対してカマをかける事だと言うのはかなりの問題なのだけれども。 けれども○○の中に罪悪感らしきものは……実は少なかった。 良いだろう別に、射命丸よお前は長生きできるんだからこの場で感じる圧力程度の時間なんてことないはずだ、と言うような吐き捨てるとまでは行かないものの全体から見ればとても少ない割合なのだから付き合えよと言う、割合では測り切れない部分を無視している、間違いなく乱暴な気持ちを○○は抱いていた。 「で、まぁ。射命丸さん」 射命丸からの遊郭街動向報告書は、全くもって通りいっぺん程度の確認だけで――これ作るのに毎週2日とか3日ぐらいかけてるんですよと射命丸は言いたかった――稗田○○だけでなくて稗田阿求ですらもが、報告書への興味を早々と無くしてしまっていた。 (何の為に報告書作ってるんだろ……いや定例報告何て大きな動きが無い方が良いもんだけれども) 射命丸は何も憎まれ口などは絶対に声には出さなかったが、やはり2日以上はかけて作っている報告書への興味が薄い場面を見せられては、感情の動きを穏やかになどは出来るはずは無かった。 だが射命丸にとっての不運はそこにあった、この状態で腹芸がいつも通りに出来るはずが無かった。 「何か面白そうな事、目立った事ってありましたか?」 ○○はやや急き立てるように射命丸に対して質問をしてきた、間と言う物を出来るだけ少なくしたかったと言う○○の意思は明らかであった。 ただそれはまだ、稗田阿求にとっては依頼の閑散期だからちょっと○○が焦れている程度の認識であったし、この場においては誰の敵にも味方にもならないと決めてしまった上白沢の旦那はと言うと○○の急き立てるような様子にはとんと気付かなかった。 そして射命丸がこの日一番の悪運を引いてしまった。 報告書へのぞんざいな扱いからの不満により腹芸が出来なくなってしまった射命丸は、少しばかり次の新聞のネタに使えそうな事柄を思い出してしまった。 そう言えば最近、遊女が変な獣だか妖だかただの集団錯乱なのかよく分からない騒動が、何度かあるなと言う事を思い出した。 何故この時に限って思い出してしまったか、だってそちらの方がずっとすっと楽しいからだ。少なくとも新聞製作を一時中断させてでも用意している報告書へのぞんざいに近いような扱いをされた後では、清涼剤が欲しくなる。 どのように紙面を彩ろうかと言う所まで考えたところで、これは出来るだけ自分の腹の中で隠しておきたいと、遊郭街の動向調査をしている傍らで見つけた役得のような物だからだ。 だけれども、天狗の射命丸がそう簡単に稗田の不興を買うはずが無いし、買わないように全力であると阿求は分かっているとはいえ夫には射命丸とあまり会話をしてほしくないのが、隠しようが無いし我慢できない素の感情であった。 なので阿求はずっと、○○よりも強烈に射命丸の事をつぶさに観察していた。 「何かあるんですか?」 阿求の声は隙間に入り込むように絶妙の間で出された、射命丸が醜聞とはいえ紙面を躍らせれそうな楽しい話題を見つけた瞬間であった。 さすがは稗田家の、阿礼乙女の九代目様と言うべきだろう。 それだけでなく阿求は○○よりも前に出てきた、○○にはこれ以上前に出て来なくて大丈夫だからと片手では○○を優しくなだめるようにしながらも、射命丸を見ている阿求の目は血走っていた。 我慢するつもりだったのかもしれないが、我慢しきれなかったと言う事らしい。あるいは射命丸がすぐに答えを言わなかったことも、まぁ、関係が無いとは言い切れないだろう。 「言え、何か思ったなら言え」 阿求の口調が段々と高圧的になり。 「判断は夫が、○○がします。貴女からのお話が夫のお眼鏡あるいは嗅覚に反応するかどうかは」 ついには、と言うよりはまたしても阿求は夫である稗田○○を持ち上げ始めた。 ただ射命丸にとって悪い運が減少を見せたのはその瞬間であった、阿求の脳裏でまた○○が面(おもて)に立って何かを調査し捜索して、解決する絵が見えたことによる愉悦が阿求の中にやってきたからであった。 「ふふ、ふふふ」 あまつさえ阿求はすべてを置いてけぼりにして愉悦から来る、どう考えても純ではない笑い声まで上げ始めた。 どこも見ていなかった上白沢の旦那も、稗田阿求が愉悦から笑み所か笑い声まで上げだせばさすがにその方向を見る。 だけれどもと言うべきか、上白沢の旦那は淡々としていた。 ○○ですら急に愉悦から笑い出した阿求の背中に手を回して、また温かいお茶も前に出して落ち着くように気を配っていたけれども。 そんな光景を目の前にしても上白沢の旦那は淡々と、無表情を貫き通していた。 嘲笑も恐れも、ありそうな感情が何もなかった、とにかく物の如く感情も気配も停滞させてそれでいて稗田阿求が求める役柄だけはやり通す事でこの場を乗り切ろうと言う算段だったのだ。 そしてこの場を乗り切ると言う部分には、射命丸が稗田阿求をこれ以上刺激しないと言う部分も含まれていた。 「稗田阿求の溜飲がどうやら下がったらしい、今のうちだと思うぞ射命丸文」 上白沢の旦那は射命丸に対してそれだけ言ったら、また彼はどこも誰も何も見なくなった、眼は確かに開いているのに、彼の視力は健康体のはずなのに。 射命丸文は人間と言う物が怖くなりそうであった、これは忘れようがない光景だ。