約 245,183 件
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2592.html
後に『血のアフター5』と呼ばれる事になるテロ事件があった。 廃棄都市に在住していたと思われる人種、年齢、性別が異なった四人によるテロ。 夕方の買い物客でにぎわうショッピングモールの制御室を爆発物で破壊。 その後、ご禁制の質量弾丸装填銃器を一般人に乱射。偶然居合わせた管理局魔道師と交戦。 同魔道師を無力化するもの、地上本部特殊対応部隊の突入を察知して自殺……だがこれは事実ではない。 真実は先に示したとおりであり、管理局地上本部の公式の見解。しかし事実は異なる。 それを知る数少ない人間として、偶然事件に居合わせテロリストに無効化されるという失態を演じた管理局魔道師。 だが一般人の少女を守り抜いたとして有名になった ギンガ・ナカジマ。 「はぁ……」 他人よりも頑丈であり、完全に修理し終えたはずの体のダルさが抜けない。 書類をデスクに投げ出して大きく伸びをしながら、私 ギンガ・ナカジマは息を吐いた。 現場に復帰して一週間ほど経つが、最初の数日は実に酷い日々だったと思う。 別に過酷な任務がいきなり待っているわけではない。敗北した叱責を直接受けたわけでもない。 だからこそ辛かった……数日にわたる事件の状況説明という名の取調べを。 管理局魔道師が質量弾丸装填銃器を相手にした大規模な戦闘であることから、お相手は陸のエライ人だけではない。 もしそれだけならば、お父さん 現在地上本部のトップについているゲンヤ・ナカジマの力でどうにでも出来ただろう。 しかしお相手の大部分は海の人間。そして彼らはどうしても信じたくないらしいのだ。 『一線級の管理局魔道師が質量兵器を持っただけの人間に敗北した事実』が…… 「君に油断は無かったのかね?」 「判断は正しかったのか」 「バリアジャケットや障壁の構築に問題は?」 「現場での対応に対するマニュアルに齟齬があるようだが……」などなどなど よく我慢したよ、私。全ての日程が終了した時、私は本当に自分を褒めてあげたくなった。 とりあえず大好きなお菓子を買って帰り……飲めないお酒なんかも飲んでみて……不貞寝したものだ。 「私はベストの動きをした……少なくとも魔道師が相手ならば」 だが『魔力を持たない脅威』の対処法は訓練学校でも学ばなければ、現場でも遭遇する事が無かったのだ。 誰でも殺意と簡単な動作で行える、魔力反応無しで与える致命傷たる威力。 対魔法鉱石を含みバリアジャケットや簡易障壁を無効化するAMB アンチ・マギリング・バレットの存在。 それらを容易く扱い、連射できた上で弾さえ無くならなければ、消耗も殆ど無い。 魔道師の利点が通じない存在として、誰もが扱える質量兵器。 更にその兵器を製造・密売が容易に行われているという実態。それこそが陸・海を問わない新たな脅威。 なのだが……チラッとオフィスの一角のテレビに目をやれば……陸と海の討論は合いも変わらずケンカ腰だから困ってしまう。 「今回の事件の背景には魔道災害で放置された廃棄都市区画があることは明白だ」 「それが解っているのならば、取り締りもしやすいのでは?」 「ほう? 一体どれだけの広さの廃棄都市がクラナガンに広がっているかご存知か!? ソコに住む不法遊民の数も正確に把握できては居ない……何故こんな状況になったか解っているのだろう!」 「怠慢を取り繕うのは止して頂きたい。間違いなく地上本部に責があるではないか! 何度も言うが組まれる予算はお互いの真実を鑑みたもので……」 「ふざけるな! 海は更に広い次元世界を管理するから多くの予算が必要で、クラナガンの廃棄都市は放置して然るべきだと言うのか!?」 「それこそ勝手な解釈だという……」 「……では報告を続けよう。 こちらの捜査可能な限りで把握した所によると、AMBの重要な成分である対魔法鉱石はクラナガンを始めてとするこの次元世界では採掘されない。 つまり他の次元世界で掘られた物から加工されて持ち込まれるか、原料を持ち込んで生産しているわけだが……」 「何が言いたいのかな?」 「他の次元世界を管理するのは海の仕事ではなかったかね?」 「っ! それは……」 「正規の次元航行艦での密輸は不可能だと考えれば、非合法な船が往来している可能性が高い。 やはりこれらを管理するのも海の……」 「こちらとて人材や予算が完璧と言うわけではないのだ! 取締りは強化しているがソレでも限界がある!」 「だからこそ! 一旦未干渉世界へのアプローチを凍結させて取り締まりの強化をするべきだと提案しているのだ! その意見に賛同する者が海の内部にも居る事は解っている。早い答えを頂きたい!!」 「そんな事をすれば余計な危険を増やす事に成る! その未干渉世界が密造・密輸の大本だとしたらどうするのだ!?」 「それは陸が充分な体制を整え、廃棄都市の整備事業と平行しておこうなうだろう捜査で答えが出てから動けば……」 そんな感じである。毎日あんな場所で戦っている人たちには尊敬の念を感じてしまう。 ……考えを戻そう。テロリストは自殺などしたわけではない。 『殺された』 たった一人の、魔道師としては三流もいいところな……あの人に。 「ピーノ……いえ、ピノッキオ」 お父さんの紹介で出会った廃棄都市出身、フリーの諜報屋。何時も気だるげで、時々浮かべる憂いに似た表情を浮かべる青年ピーノ。 だけど違ったんだ。彼の名前はピノッキオ、殺し屋。つまり人を殺すのが仕事で本当ならば管理局が捕らえるべき犯罪者。 たしかに助けてもらった。鮮やかな手際で四人のテロリストの命を奪い、私と迷子の女の子を助けてくれた。 『人殺し』管理局魔道師ならば遵守して然るべき非殺傷の原則を堂々無視。 「でもお父さんの紹介ってことは……」 苦悩は続く。そんな人を雇っている。つまり……お父さんは人殺しを依頼していたという事になる。 自ら手を汚す事無く、他者に依頼して邪魔な者を消す。それは正しく『悪』だ。下手をすれば直接人を殺すよりも悪辣な行い。 そんな事をあのお父さんが行っている……信じられないし、信じたくない。でもきっとソレは事実。 だって幾ら忙しいといっても、入院している時に顔も見せに来てくれないなんて、余りにもらしくない。 「どうして、そんな事を……」 『どうして?』 理由なんて考えたところで正解は得られない。問いただすのが一番良いのは解っているけど……怖いのだ。 もし私が予想したとおりの答えが帰ってきたら……自分がどうしようもなく憎いと思ってしまうだろう。 父が目指しているのは地上の権利拡大、対等な海との付き合い。そして……戦闘機人の単独運用。 海の下にある戦闘機人の整備データや管理権限を手に入れることにより可能になる陸が全権を有する運用。 その恩恵を受けるのは更正施設にいるナンバーズたちと……私とスバルの姉妹。 実際、私がテロリストによって受けた傷も一部譲渡された整備技術により、本局に行く事も無く修復できたのだから。 「止めて、お父さん……そんなの嬉しくないから」 私やスバルが戦闘機人であると言う事実は、ずっとお父さんが海に縛られる鎖になっていた。 そんな関係も考慮に入れられて、地上本部トップへの大抜擢も実現されたのだから。 だからこそ因果を断ち切られるのならば喜ぶべきだし、ナンバーズたちにしても嬉しい事になる。 もちろん私やスバルもその事実だけならば歓迎する事が出来る。 だけどコレでは駄目だ……最近よく見せていた『疲れた微笑』の意味がようやく解った。 何の罪の意識も無く、人殺しの依頼などしているとはとても考えられない。ならば何時だって……血を吐く想いで歩く修羅の道。 『私達のために?』 あぁ……愛されて居る事がこんなに憎いと思った事は無い。 「出ないか……やっぱり」 ギンガ・ナカジマは勤務時間を終え、夜に沈み始めた地上本部を後にしながら、携帯電話を耳から離す。 呼び出していた先はピーノと登録された携帯電話。持ち主はピノッキオと呼ばれる殺し屋。 「話したいこと、いっぱい有るのに」 殺人を仕事にする職業と公言していたが、自分たちを助けた事もまた事実。 故にギンガはそんな事をしている理由を聴きたかった。聞いて如何なる?と言う疑問が無いわけではない。 それでも彼女がピノッキオを気にするのは「恋」なのだろうか? 面倒見が良くて、ズボラな人が気になる母性? 「夕ご飯……食べていこうかな?」 家に帰って料理をしても食べてくれる相手であるゲンヤが帰ってこないことは、ギンガも重々承知している。 だから行き着く先は外食という安易な答え。ふらりと繁華街の方へと向きかけた彼女の足を止めたのは、携帯電話の着信音。 「っ!?」 慌ててバッグから取り出した携帯電話、そのディスプレイを見てギンガは息を呑んだ。 そこには数秒前にかけた携帯の電話番号、そしてその主を示す名前が映っていたから。 彼女の震える指が通話のボタンを押して、耳へと携帯が移行。聴こえたのは何時に間にか耳に馴染んだ気だるげな声。 「ゴメン、忙しくて出られなかった」 ギンガの気持ちなどまるで解っていない風に軽い声。間違いなくピノッキオのモノ。 僅かに漏れたライターが火をつける音、煙を吐き出した音が何時も通りの彼であると語る。 緊張していた自分が若干バカらしくなって、ギンガは僅かに力を抜いた。 「どうして……出られなかったの? 仕事してたから?」 「さて……どうかな?」 ギンガが出会い頭に投げつけた強烈な嫌味をピノッキオは軽いステップで回避。 これまた予想通りの反応で思わず舌打ちの一つも面倒見の良いお姉さんから出るというもの。 そんな彼女の様子を理解できるはずの無い朴念仁は不意に、やっぱり大して重要じゃないと言いたげな軽い口調で呟いた。 「怪我は大丈夫だった?」 「えっ……あっうん。もう、全然大丈夫よ」 相手の事も自分の事も考えるのが苦手な殺し屋から出るには優しい言葉。 思わずクラリとしかけてギンガは自分を叱咤激励。こんな優しい会話をするために電話をしたわけではない。 「会って話がしたいの」 「……僕がどんな人間か。教えたはずだけど?」 「殺し屋でしょ? お父さんに雇われてる」 一瞬の会話、ぶつかり合う意志。其処には様々な感情が入り乱れていて、文字で表現する事は不可能だった。 恐怖、不安、喜び、安堵。どうしても文字にすればそんなに安っぽいモノになる。 「……わかった。場所は?」 「この前のデートの続き」 そこは管理世界に区分されるが経済の発達が遅く自然が残る場所。木々の間には別荘が点在する保養地だ。 「ですから~ゲンヤ・ナカジマ氏に手を出すのは早すぎたんと思うんです」 点在する別荘の一つ、暗いリビングで豪奢なソファーの上で身を崩しながら、電話をするのは二十歳前後の女性。 優しい茶色の髪をショートカットにし、奇妙なイントネーションで語る。 「そうや、彼を失えば地上本部は文字通り暴走するでしょう。 険悪な関係とは言え、お互いのホットラインが生きている現状態の方がまだ海に有利と思いますぅ~」 女性が不意に立ち上がれば、彼女が腕を通さずに羽織っていた黒いロングコートの裾と袖がフワリと捲れる。 その僅かな風で巻き上がるのは死臭だった。女性以外にリビングに存在する者は全て死に体。 そんな辺りの様子に気を取られることもなく、女性 八神はやては電話での会話を続けた。 「一緒に飲まないかって? またまた~酔わせてナニするつもりですか? 残念やな~いま出張中なんですわ~えぇ、本局暗部のゴミ掃除……激励の言葉よりもお休みか昇給が欲しいな~て」 「はやてさん」 血みどろの場所には似合わない会話をしていた彼女に掛かる声。 はやて以外に生者がいなかったリビングへと入ってきたもう一人の生者。 金色の髪をツインテールにした浅黒い肌の少女。余計にこの場所に似合わぬ存在。 年に合わぬスーツに身を包み、着崩したはやてと対照的にピッシリと締められたネクタイ。 はやての黒とコントラストを成す白のコートを身に着けて、手に持つのは質量弾丸発射銃器に似たデバイス。 「んっ……見つかったんか? トリエラ」 「はい」 「そかそか……ほな、仕事に戻ります。終了し次第連絡を入れますさかい。さいなら~」 通信を終えた携帯電話を閉まって、はやてはトリエラと呼んだ少女に先導されて移動。 カツカツと二対の革靴が地面を叩く音が連続し、闇と血に染められた邸宅内を満たす。 二人が辿り着いたのは隠し部屋と呼ばれるような場所。それなりに広い室内は両脇を本棚が囲む。 それでは収まりきらない書類やダンボールが床で山をなし、乱雑とした印象を受けた。 「はぁ~やっぱり当たり……か」 テキトウな書類を流し読み、ダンボールの山を蹴り倒して中身を検分して、はやては疲れと失望の色濃いため息をつく。 濁った瞳が小さなランタン一つが照らす室内の一角、荒い息が聞こえる場所へと移る。 「こんばんは~」 「きっキサマら!! いったい何者だ!? 私を誰だと思って……」 荒い息の主は壁を背にして身を震わせている初老の男性。両の脚には銃痕が刻まれ、立つ事もできず血を垂れ流している。 そんな状態の人物にも、はやては律儀に語る。 「グリフ・マイヤード少将。第三管理世界出身、魔道師ランクAA」 「何故そんな事を……まさか管理局員か!?」 「そういう事や。私は本局上層部直属、特務監査部主任 八神はやてです。 さて……用件ですけど、解ってらっしゃるでしょ? 少将殿」 立ち上がれないグリフに視線をあわせるようにはやては膝を折り問うた。 その瞳は暗く、同時に冷たい。生物的な恐怖を感じさせる色を宿していて、思わず彼は視線を逸らし、言葉を濁らせ…… 「いったい何のこと…『ボキン』…グワァアア!?」 濁らせられなかった。未だに動く手を懐へと走らせようとした瞬間、トリエラが動いた。 正に電光石火で腕を極め、肘の関節を力任せに粉砕する。その作業にはまるで淀みが無く、リンゴの皮をむくような手軽さ。 のたうつ少将から視線を離して、手近な書籍に目を走らせながら、はやては問う。 「解ってるくせに……カートリッジシステムの密輸事件。アレの黒幕はアンタや…… 本局や各世界での試作品や余剰在庫を闇ルートに乗せて利益を得ていた」 「……」 「次は左腕…「そうだ! 私がやった」…うんうん、素直が一番やと思います」 先程の痛みが脳内を支配し、前線から離れて久しい老兵は簡単に口を割る。 聞きたかった答えが返ってきて、はやてが浮かべるのは亀裂のような笑み。 「あ~でも、遅かったんと違いますか?」 押さえつけていた腕を離したトリエラがショットガン型のデバイスを構える。 その切っ先に銃剣をつけた銃口は近距離からグリフの頭に狙いを付けていた。 悪いほうから最悪のほうへとシフトした状況についていけず、彼は叫ぶ。 「よせ、八神! 後生だ!!」 「この不安定な時期に本局の人間が、大規模次元間犯罪に手を出していなんて、公表できるわけないやろ」 既にそこにいる存在になど興味も無い。そう言いたげに踵を返していたはやてが背中越しに答えた。 「やっやめろ!!」 「長いお勤めご苦労様、少将殿。あとはゆっくり休暇でも取って下さい」 背中越し、肩の上で「バイバイ」と振られたはやての手を合図にして、トリエラはデバイスの引き金を引く。 反射的にグリフが簡易障壁を展開するが無意味だ。ショットガン型デバイス アウグストゥスは違法な質量兵器との混合式。 カートリッジシステムにより魔力と弾丸を供給する。弾の種類は二つ。純魔力を小さな散弾状にして飛ばす非殺傷型。 もう一つはいま装填されているアンチバリア・バリアブレイク魔法でコーティングされた無数の質量散弾と言う殺傷型。 「っ■■■■……」 悲鳴など上げる暇は無い。一つ一つが充分な殺傷力を保ったままバリアを貫通し、グリフの体を蹂躙しつくす。 数瞬後、ボロボロに引き裂かれた元管理局少将は絶命した。 「ほな帰ろか? トリエラ」 「はい、はやてさん。あの約束の件ですけど……」 無数の死体と銃痕が彩る屋敷から外に出れば、二人の頬を撫でるのは血と硝煙の匂いがしない夜風。 チラリと様子を窺うように、先程の冷徹な機械のような印象を失って、歳相応の少女のような不安を浮かべた顔でトリエラは言う。 「なんや? 信頼されないみたいやな」 「そういう事じゃ……」 「忘れてへんよ、契約の事は。『トリエラが仕事を手伝う代わりに、私は体の整備と行方しれずのお兄さんを探させる』やろ? 残念な事にさっぱり見つからんけどな……」 「そうですか……」 トリエラはこの世界の人間ではない。ましてや唯の人間ではない。義体と呼ばれる後天的な戦闘機人のようなもの。 本来の世界で担当官と一緒に次元震に巻き込まれたトリエラを拾ったのが八神はやて。 汚い仕事をしてくれる腕っ節を探していた所だったはやてが出した条件が上記のモノ。 『何よりも優先せよ』と刷り込まれた担当官の安否確認と、定期的なメンテナンスが必要な体が半ば人質。 「なぁ、トリエラ。私のこと……憎いん?」 「はぁ? 別にそんな事は……」 「無理やり戦わせて、人殺しをさせて、痛い目にも会わせてるんやで?」 不意に悲しそうな目をした契約相手にトリエラは実に彼女らしい自信満々な苦笑で答えた。 なにせ『戦うこと』は何処にいても変わらない自分の運命だから、いちいち気にする必要など無いのに…… 「私が嫌いなのは身勝手な大人全般なのさ♪」 褐色の白雪姫は戦うお姫様。 目次へ
https://w.atwiki.jp/nennouryoku/pages/157.html
投稿日: 02/07/18 20 06 00132 能力名 焦らない殺し屋(キル・バイ・キル) タイプ 未来予知 能力系統 特質系 系統比率 未記載 能力の説明 対象の人間が死ぬ(w それはもう予定された運命の如く死ぬ。 対象は常に一人まで。 制約\誓約 この能力を使う前に人間を一人「生贄」として殺していなければならない。 生贄は、次の対象と親しい関係、あるいは3親等以内の家族でなければならない。 備考 - レスポンス 確実に死ぬのは特質でも無理だろ。 人間の限界を超えてる。 対象が死ぬんじゃねーか?ってくらいの不幸に死ぬまで襲われ続ける(除念可) なら生贄しだいで可能だと思う 類似能力 バショウのグレイとハイカー、ウェルフィンのミサイルマンも相手を殺せる能力だから、この条件くらいでも大丈夫な気はする -- 2013-03-22 12 39 36 コメント すべてのコメントを見る 未来予知 特質系
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3229.html
https://w.atwiki.jp/nothing/pages/1006.html
#blognavi きれーな夜景を見ながら、すいませんこんなこと考えてました。レインボ~な観覧車とか、電飾一杯なジェットコースターやメリーゴーランドなんぞを見ながら、特殊公安と殺し屋キースのチェイスを想像してたりして、エターナルラブクリスマスごめんなさい!って感じです。 殺し屋キースなんて言われてたらバレバレなんで、殺し屋メンバーズとか殺し屋悪魔・・・どれも今一。いっそ、公式の殺人機械ですかね、通称は。それとも殺し屋ジャスティス(笑)これもいいかもな。依頼を受けてもらえるかどうかは天秤次第。善悪に関係なくバランスを保つ為に必要とあればやっちゃいます。 カテゴリ [ネタの種] - trackback- 2007年12月09日 19 21 56 #blognavi
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3104.html
例えば、朝目覚めてまず私室のカーテンを開ける時や、外出中、ふと空を眺めた時など でしょうか。両の目に差し込む陽の光を煩わしく感じるようになったのが一体いつの頃から だったのか、わたくしは覚えておりません。 幼い頃の記憶を手繰り寄せてみますに、他の同年代の方々が所謂遊び盛り、毎日のよう に暗くなるまでお外を走り回っていらっしゃったのに対し、当時のわたくしは物心ついてから というものずっと入院しておりました総合病院の個室の中で、母や同年代の入院患者の方 の訪問や、問診の時間を除けば独りの時を過ごしているのが専らでございました。 また敷地内の軽い散策を含め外出など滅多にないものでしたから、仲良くして頂いた看 護婦――当時はまだこの名称が用いられておりました――の方に「雪みたいに綺麗な肌」 と世辞を賜ったこともあった程、紫外線に触れる機会のないわたくしの肌は、酷く青白い、 不気味な血色をしていたと記憶しております。 ですが、然様な当時のわたくしが陽の光を疎ましく思うようなことはなく、むしろその逆でご ざいました。 当時のわたくしは自らの置かれた境遇から、病室の外の世界に、また何よりも分厚いカー テンの隙間から見える、実に生き生きとした表情で遊びまわるわたくしと同年代くらいの方々 に、憎悪にすら近しい羨望を抱いておりました。 強すぎる陽の光がもたらす影響は当時のわたくしにとってあまり芳しくないもので、故に気 ままに外を歩くこともままならず、また病室のベッドも分厚いカーテンの引かれた窓際から 若干以上離された位置で固定されたまま、と徹底した日除けがなされておりました。 それ故、いつしか外の世界への羨望は次第に手前への劣等意識に摩り替わり、その内 にわたくしは、陽の光を全身に浴びながら表を歩く、という健康的な児童であればごく当たり 前である行為に、恋慕に似た情を抱くようになっていたのでございます。 わたくしにとって陽の光は体に害をなす毒であると同時に、憧憬の対象でございました。 そんなわたくしの病状も同学年の方々が小学校中学年を過ぎられた頃から次第快方に向 かいまして、高学年の仲間入りになろう春にはわたくしの体は彼らとともに学校へ通える程 度に回復しておりました。 物心ついて以来ずっと病院の中で独りの時を過ごしてきたわたくしが、自らの足で初めて 外の世界へと足を踏み出した時の感動を、見上げた空の青々と晴れ渡った美しさを、けし て言葉などでは表すことの出来ないそれらを、わたくしは年月を経た今でも覚えております。 そのあまりの眩しさに、眩暈すら感じたものでした。 それが、一体いつの頃からだったのでしょうか。 わたくしは、覚えておりません。 ◇ その日の『仕事』は、非常に簡潔簡素なものでございました。 とは申しましてもこれはわたくし個人の主観に基づきます故、『機関』の他の方々や一般 の方々におかれましてもそうであると断ずることは難しいかも知れません。 また、『仕事』とわたくしは呼称しておりますが、『機関』の他の方々は別称をお使いになら れるようです。恐らくは一般の方々もまた、わたくしの『仕事』の内容を聞き及びになられま したら、その別称をお使いになることかと思われます。 その別称とは、『任務』。 その内容とは、『殺人』でございます。 みなさまもこれをお読みになられて「ああ、それは『任務』と呼ぶべきものだろう」とお思い になられたことでしょう。それがごく自然な、正常な感想であると、わたくしも思うものでござ います。 ですが、わたくしはわたくしの『仕事』を、どうしても『任務』であると思うことが叶いません。 『機関』の為、ひいては世界の為に動く行為を『任され務める』ものであると認識するなど といったおこがましい真似を、どうしてわたくしのような者にできましょう。 わたくしはただ『仕える事』を想い、その為に動くのみでございます。 その日のわたくしの『仕事』場となったのは、とあるオフィスビルの一室でございました。 事の発端はその日から顧みまして先週に遡ります。『機関』に敵対する勢力――朝比奈 みくるさんを誘拐した組織とは、また別の組織でございます――が涼宮さまを拐かそうとし ている、とそのような情報がさる筋より得られたのでございます。 かの勢力は前々より非常に過激な行動を取っておいてでございました。そこへ来て先の 誘拐事件があり、恐らくはそれを真似てみたくなったのでしょう。かような狼藉を働こうと画 策しだしたのでございます。尤も、先の誘拐事件もそうでありましたが、その計画意図は全 く短絡的で、実に幼稚であると言わざるを得ません。 また、先の誘拐事件においてはその直前まで察知することが叶いませんでしたが、今回 は数日の猶予がございました。これがかの勢力同士の格の違いから来るものか、先の事 件より強化されていた『機関』情報部の活動の賜物かは、わたくしには想像することすら過 ぎた案件にございます。 『機関』上層部にて方針が決定したのは、かの情報を得てから数時間も経たない内であり ました。即ち、『かの計画に於ける実行日の前日に、かの勢力の要人を暗殺する』という方 針でございます。また、これまで要人と一言に申し上げておりましたが、彼はかの組織にお いて指導者的立場を取られている方でございました。従って彼の暗殺は事実上かの組織の 解体に他なりません。 我々『機関』がかような強行手段を用いるのは、久方ぶりのことでございました。発足当時 は様々な思惑が『機関』内外に存在し、能力者、非能力者を問わず多くの血が流れ、また多 くの命が失われたものですが、最近ではそういった血生臭いことはご法度……、とまでは申 し上げませんが、減少していたのは事実でございます。ですから、わたくしがこういった『仕 事』をするのも、久方ぶりのことでございました。 ですが、かの勢力は少々無体が過ぎました。かの勢力の規模の小ささ故に未然に阻止す ることが出来たが為、これまで表に出ることは、少なくとも『彼』が知るようなことはなかった のですが、『彼ら』に直接的な危害を加えようと画策したことも一度や二度ではありません。 ですから、今回の『機関』上層部の判断は当然の沙汰でございました。 ――と、些か蛇足が過ぎたようです。 無礼をどうか、ご容赦いただきますよう。 その日の『仕事』は、非常に簡潔簡素なものでございました。 我々『機関』に敵対する勢力の要人を暗殺すればよい。 ただそれだけの、簡潔簡素なものでございました。 ◇ 『仕事』場へ向かう道行のことです。わたくしは通りを歩く方々の中に、見知った顔がある ことに気がつきました。 『彼』は休日であるその日を街の散策に費やしていたのでしょうか、時折立ち止まり、通り 沿いの店先やウィンドウに並ぶ、主に洋服類といった品物を眺めておりました。 『彼』とはこれまでに三度ほど、顔を合わせたことがございました。一度目は古泉が企画し た推理ショウの舞台である夏の孤島、二度目は同じく推理ショウの舞台である冬の雪山、 三度目は先の誘拐事件のときであったと記憶しております。 ですので、これは四度目の逢瀬ということになるのでしょう。わたくしはそのまま通り過ぎる ことも勿論、可能でございました。けれど、どうしてか、その『彼』の姿に見入ってしまったの でございます。 「あれ、森さん……ですか?」 暫くそうしていますと、『彼』もまたわたくしに気がついたようでした。 「はい。ご無沙汰しております。森園生でございます」 失礼のない角度でお辞儀をしながら、わたくしは言葉を続けました。 「少々、お時間を頂けますでしょうか」 「え? あ、はい」 と、『彼』は突然の申し出に驚かれたようでしたが、すぐに取り直し、わたくしの目を真っ直 ぐに見返してきたのでございます。その切り替えしの速さ一つをとっても、『彼』がこれまでに 経験してきた苦労が分かるというものでしょう。 わたくしと致しましては、些か苦労を背負いすぎのきらいがあるように思うのですが、恐らく わたくしでなくとも『彼』の置かれている状況を知れば、同じ感想を抱くのではないかと思うも のでございます。 「お気に召しましたでしょうか。こちらはわたしのお気に入りのお店なのですけれど」 丁度、わたくしがよく足を運ぶカフェが近くにあったことを思い出し、そちらへと向かうこと に致しました。良質な茶葉を使った紅茶を比較的良心的なお値段で提供してくれるお店で、 装飾や茶器もそれなりのものを用いている為、敷居も高すぎず低すぎず、わたくしの感性 には丁度よいお店なのですけれど、 「はあ、なんというか……、本格的な感じですね」 どうも、『彼』には敷居が高かったように見受けられました。 それも致し方ないかも知れません。わたくしも学生身分の時点で『お茶を飲む』と言えば、 よくある喫茶店が専らでございました。『彼』の緊張も分かるというものです。 ですが、もしかしたら『彼』の緊張は別のところから来ていたのかも知れませんね。やはり、 『彼』は些か苦労を背負いすぎのようで――などと。 注文した茶葉――わたくしにはダージリンを、『彼』には比較的飲み易いレディグレイを注 文致しました――と茶器が届き、わたくしがそれぞれに紅茶を淹れると同時に、 「それで、要件はなんですか?」 と、切り出した『彼』に、わたくしはそのような感想を抱いたのでございます。 「要件、と呼べる程のものはございません。ただ、あなたと個人的なお話をしてみたかった、 というただの気まぐれです」 それはそのまま、言葉通りの事実だったのでございますが、念には念をと、なるべく緊張 を和らげるような言葉を選びながら申し上げますと、『彼』は安堵の溜息をつき、 「そうなんですか。俺はてっきり、また何かあったのかと……」 『何か』、とは先の誘拐事件のようなこと、でしょうか。あれから然程月日も経っていないと いうのに……、と、わたくしや他の『機関』の方ならば思うのですが――実際、かの情報を聞 いた『機関』の皆様の反応は、驚くどころか呆れるといったものでございました――、『彼』の 場合はあれから然程月日が経っていないからこそ、なのでしょう。 無理もありません。『彼』は件の朝比奈みくるさんとは非常に懇意に接しておられますし、 わたくしのように周囲の動きを多少なりと掴んでいるわけでもないのですから。 とは申しましても、考えすぎはよいものではありません。実際のところ『何か』はあったので すが、それは『彼』の与り知らぬところで終わることでございます。 「何か、ですか? 何かあった方がよろしかったのでしょうか」 嗜める意味も込めてそら惚けますと、『彼』は慌てた様子で、 「ああ、いえ。そんなことは」 「お気に触られたのなら謝ります。どうぞ、ご退席頂いても――」 と、わたくしの言葉を遮るように、 「いえ、気に触るだなんてとんでもない。俺としても一度森さんとはそういうの抜きで話してみ たいと思ってましたから」 そう言って、ようやく『彼』は緊張の解けたことを示す苦笑を、わたくしに見せてくれたので ございました。 それから暫く、わたくしたちは他愛のない会話に耽りました。 『彼』の普段の生活のことですとか、これまでに『彼』の身の回りで起きた不可思議な現象 のことですとか、それとはまた毛色の違う、『彼』の幼少時のことなどもほんの僅かばかりで はありますが、お話を聞かせて頂きました。 勿論、わたくしめも色々とお話をさせて頂きました。わたくしの幼少時のことですとか、学 生時代のこと。それから、三年前に古泉と出会ったときのこともほんのさわりの部分だけ、 お話致しました。 取り留めのない思い出話ばかりで要旨をまとめることも叶いませんが、そのどれもが血生 臭い話題とはかけ離れたものであったことだけは、確かでございます。 そんな会話が続き、小一時間は過ぎた頃でしょうか、卓上に置かれていた『彼』の携帯電 話が着信を知らせました。 「すみません」 と断りを入れ中座した『彼』は店外へとお出になられました。丁度、わたくしたちの座ってい た窓際の席からは出入り口付近の様子が見て取れましたので、わたくしは電話応対中の 『彼』のお姿を拝見することが叶いました。 暫くその横顔を眺めていますと、『彼』は何か面倒ごとを抱え込んだような……と申し上げ ますか、それとも厄介な事案に巻き込まれたような……と申し上げましょうか、けれど、何処 か楽しげな……、複雑な表情をなさっておいででした。 ああ、左様でございますね。恐らくは、その表情を一言で表現するならば、『彼』の口癖が 最も適するものであるかも知れません。 即ち、『やれやれ』でございます。 「涼宮さまからですか」 『彼』が席へとお戻りになられたと同時にそう申し上げますと、『彼』は力ない笑いとともに 頷かれました。 「申し訳ないんですが、用事が入ってしまったので、これで」 「いえ、こちらこそ休日の貴重なお時間を拝借してしまい、大変申し訳ありませんでした」 そうして、わたくしたちはお店を出ることに致しました。 会計の際、『彼』は「自分が払う」と仰ったのですが、それは丁重にお断りさせて頂きました。 『彼』に男性の面子があると同様に、わたくしにも年上の面子と言うものがございます。何よ り、誘ったのはわたくしです故、わたくしがお支払いするのが道理というものです。 『彼』は「せめて自分の分だけでも」と食い下がったのですが、然様な理由を申し上げます と、渋々、といった様子ではございましたが、了承して下さいました。 店外に出ますと、そろそろ陽も天頂を過ぎた頃で、もう暫くもすれば夕暮れ時、とは少々 気が早すぎるかも知れませんが、わたくしの本日の『仕事』場を考えますと、急いだ方がよ い頃合になっておりました。 ですが、どうしてそれを躊躇ったのか。 或いはそれは、気の迷いであったのかも知れません。 「あなたは、運命というものを信じますか?」 わたくしは、『彼』にこのような質問をしていました。 「は?」 「どうしようもなく抗いようのない運命というものを、信じますか?」 不思議そうな顔をする『彼』に、少々の補足を加え、わたくしはもう一度質問を致しました。 『彼』は、暫くの間――ほんの数秒程度であったかと思います――お考えになりますと、 「昔は信じてなかったですね。でも、今は信じてもいいかなって思ってます」 わたくしの目を真っ直ぐに見据え、そう仰いました。 続けて、こうも仰いました。 「ただ、それは喜劇的な運命って奴だけです。面白おかしく笑って、ハッピーエンド。それ以 外の運命なんてのは信じません」 それは……、なんと申し上げたものでしょう。 「差し出がましい感想を申し上げますが……、それは、随分、虫のいい話かと」 「俺もそう思います。ただ――」 と、某かの意を決するように言葉を区切り、『彼』は、 「もし、悲劇的な運命しかないんだとしても、そんなのはぶち壊せばいいだけの話です。ぶち 壊した後で面白おかしく笑えりゃ、それはそれでハッピーエンドですよ」 『彼』は、苦々しくも朗らかに、笑ったのでございます。 そのときわたくしがその笑顔にどのような感情を抱いたか、思い出すことが叶いません。 「あなたは、前を向いて生きられる方なのですね」 ただ、ふと口をついて出たこの一言だけは、紛れもなくわたくしの心よりの感想であったと、 思うばかりでございます。 「そんなんじゃありません。ただ考え無しなだけです」 『彼』はそう言って、照れくさそうに目を細められました。 いいえ。左様なことはございません。 ただ前だけを向いて生きることの如何に難しいことか。 僭越ながら、それを理解しているわたくしには、その姿はあまりにも眩しく―― 「羨ましい――」 「え?」 「いえ、何でもありません。不躾な質問をして申し訳ありませんでした。それでは、わたしは これで失礼致します」 見送りをさせる無礼を働くことに抵抗はございましたが、流石にそろそろ急がなくては『仕 事』に間に合わなくなってしまいます故、せめて失礼のない角度でお辞儀をし、わたくしは踵 を返しました。 ですが、 「――森さん」 呼び止められ、振り返ったわたくしに、『彼』はもう一度あの笑みを浮かべながら、こう仰っ たのでございます。 「今日はありがとうございました。またいつか、こんな風に話せる日を楽しみにしてます」 それは、太陽のような微笑でございました。 ◇ 『仕事』は、簡潔簡素に済みました。 わたくしは用意された経路を使い『仕事』場へ侵入し、事前に得た情報どおりそこにいた 標的に面会し、事を成しました。その間、ビル警備システムは『機関』情報部で掌握、周囲 には作戦部の方々が隠れて待機し、ごく普通のオフィス街の一角にあるそのビルは、ごく 普通のオフィス街の夕暮れに溶け込みながら、けれど直接的にも間接的にも、外界から完 全に断絶されておりました。 それ故、わたくしの『仕事』はわたくしが動く前に九割九部九厘九毛、完遂しているようなも のでございました。言うなればわたくしが成したことなどというのは、画に描いた竜に瞳を描 き足す……と、その程度のことでございます。 事を成した後、その日わたくしの『仕事』場となりましたそのオフィスビルの一室には、わた くし以外に動くものと言えば――標的の方の趣向でしょうか――天井にぶら下がるモビール やぽこぽこと泡を立てる水槽内をゆったりと泳ぐ熱帯魚くらいのもので、その他は昏倒した 私兵の方々や、永遠の眠りについた標的の方が地に伏せているのみでございました。 「もしもし、森でございます。……はい、『調理』は完了いたしました。これより『掃除』を済ま せ次第、『お迎え』に参りますので、その間、『お庭のお手入れ』をお願い致します」 本部への連絡を手短に済ませ、わたくしは一面ガラス張りの壁面から、外の景色を眺め ました。 三十階建てのオフィスビル、その最上階に位置する一室より見える景色は、わたくし以外 の誰が見ても、心を惹かれるものであったかと存じ上げます。しかしながらわたくしは、どう してなのかは分かりませんが、その景色に非常に不愉快な印象を抱いたものでした。 もしかしたら、『彼』とともにこの景色を見ていたら、その印象も違ったかも――などと、そ のような分不相応なことを思ってしまったのは、地平の向こうへと落ちて行く夕陽があまりに も赤々と輝いていたせいでしょうか。 ふと。先ほど、事を成す直前に、標的であるかの要人が仰った言葉が、頭をよぎりました。 確か、『貴様らは神の代行者にでもなったつもりか』といった発言であったように思います。 彼は、もしかしたらそれになりたかったのでしょう。 ですが、わたくしたちは。 「そのようなつもりはございません」 わたくしは、最早物言わぬ死体となった彼に向けて、言葉を紡ぎました。 そう たとえそれが 望まぬものでも どうしようもなく 抗いようのない 運命というものが あるのだとしたら 『彼』と 『彼ら』には どうかせめて 「わたくしどもの願いはただ、幸せな未来を築きたい――それだけなのです」 赤々と燃える陽の光は、わたくしの両の目に痛みを感じるほどの熱を与えます。 痛みに耐えかねた両の目は、次第、潤みを帯び始めました。 だから、わたくしは、 わたくしは、その眩しくも柔らかい陽光を、ほんの少しだけ疎ましく思ったのでございます。 end.
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/24359.html
登録日:2011/07/29(金) 23 02 16 更新日:2020/06/06 Sat 16 51 49 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 おばあちゃんっ子 かませ犬 かませ犬→漢 ばるばるあああいやああっ!! アイカランバ!の方ではない アニメ化したら絶対CV 若本 グリーンベレー シュトロハイム? バート・シンプソン 卑しい項目 巻き舌 怒れる金髪の蜘蛛 日本語でおk 残念なイケメン 漢 職業・殺し屋。 軍曹 髭 「グルルルルイイインベルルルエエエでああああるるるるぃぃっっ!!!」 職業・殺し屋。の登場人物。 アメリカ陸軍特殊作戦群グリーンベレー所属の軍人であり、階級は軍曹。 ゲン担ぎに生やした口ひげとちょっとクセのある日本語が特徴。 某県の在日米軍基地から大量の軍事物資と「ある物」を奪い、富士の樹海に一人だけの王国を造り上げたキング・カーネル(以下K・C)の殺害に向かった蜘蛛と素敵眉毛な武部3佐に遭遇。 登場早々にグリーンベレー式の「挨拶」をかまし、エリートとしての傲りからか蜘蛛達を見下した発言を繰り返し一悶着を起こす。 この時点で大半の読者は「あ、コイツ死ぬな」と思ったのではないだろうか。 ※職業・殺し屋。という漫画に於いて一部の強敵以外は噛ませ犬の殺られ要員でしかなく、特に彼のような思い上がった人物などは非常にアッサリと消えていく。 この漫画では人の命ほど安い物は無いのだ。 案の定、この直後にK・Cの襲撃と樹海に仕掛けられたトラップにより部下は全員死亡。 自身もヒゲを剃り落とされ、あっさり殺されそうになる。 が、 武部3佐と蜘蛛の介入によりなんとか事なきを得る。 まぁ蜘蛛は勝手に戦ってただけだが。 しかしこの戦闘で蜘蛛やK・Cとの実力の差に打ちのめされ、武部3佐もK・Cに囚われてしまう。 蜘蛛には「帰った方がいい」とまで言われるも、グリーンベレーとしての意地とK・Cへの怒りで同行を決意する。 道中ではトラップを解除しつつ、今回の作戦について何も知らない蜘蛛に驚愕。 K・Cが御年84にして戸愚呂ばりの肉体を持つ伝説のグリーンベレーである事。 K・Cが奪った「ある物」とは天然痘の類似ウイルスを復活・改良した、ワクチンの存在しない最凶のBC兵器「HK−13」である事などを説明する。 順調にK・Cのアジトに近づいていくも、一度へし折られた心を建て直すことは容易ではなく、蜘蛛にある頼み事をする。 「もう一度言っておこう」 「私はアメリカ陸軍特殊作戦群」 「グルルイイインベルルエエのバート軍曹であ――るるるい」 「そして」 「またの名を」 「怒れる金髪のおあああ蜘蛛だばらああああ!!!」 蜘蛛が顔にしている刺青を模したペイントを自分の顔に描いてもらったのだ。 恐怖に打ち勝つための戦化粧と、K・C殺害の為に体に爆弾を仕込み、命を賭しても祖国を守り抜こうとする武部3佐の覚悟を目の当たりにしたことで彼は立ち上がる。 あと2時間半でアメリカが樹海に核を落とし全てを消滅させることを告げ、「王国遊び」の終わりを宣言。 彼もまた命を賭けて戦っていたのだ。 しかし、K・CはHK−13をミサイルに載せ全世界に拡散、人類を滅ぼそうとする。 トラップにより全身を貫かれながらも身を呈してミサイルへの搭載を阻むバート軍曹。 しかし体からは段々と力が抜けていき、諦めが頭を過る。 そして薄れゆく意識の中で最愛の祖母の幻影を見る。 (バート…) 思えば軍に入ったのは自分を強く見せる為だった。 (バート…) 強くなった姿を祖母に見てもらいたかった。 (バート…) 泣いてばかりだった自分を心配していた祖母に強くなった姿を… 「バート軍曹っっっ!!!」 己を支える武部3佐。 拘束を解くために指を引きちぎり、自身もボロボロの体なのにそれでも尚、自分を支えようとしている。 国民の平和を守るために。 それが自分のやるべき事だから。 自分が守りたかったのは誰だ? 世界の脅威から、守り抜きたかったのは… そうだ、自分は… 自分はっっっ 「私はアメリカ陸軍特殊作戦群グリーンベルエエエエのおっっっ!!」 「バート軍曹だふらぶらああああっっっつっっ!!!!」 軍人としての使命、誇り、存在意義を思い出し最後の力を振り絞る。 そしてHK−13を奪取し、蜘蛛との連携攻撃でK・Cを撃破。 見事世界を、そして最愛の人を守り抜いてみせたのだった。 その後、全てが終わってからは武部3佐に今までの非礼を詫び、再会を約束してアメリカに帰還した。 ネタバレ もうお分かりだと思うが、武部3佐は女性。後に無事ゴールインしたことが明かされた。 追記・修正はグリーンベレーに入隊してからお願いします △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 芳忠ボイスも捨てがたい -- 名無しさん (2013-10-19 10 59 53) その後武部3佐と見事ゴールインしたことは良かったが、 -- 名無しさん (2013-10-19 11 54 15) 職殺には珍しい正統派な熱いキャラだな -- 名無しさん (2014-01-05 22 02 35) まさかこれがサルベージされるとは。本当にありがとう。 -- 名無しさん (2014-01-08 10 22 08) 佃煮かなんかが「うちのおばあちゃんの大好物だってばよ!」とか言ってなかったか? -- 名無しさん (2014-03-30 01 20 04) どう見てもしゃべり方が「片栗虎のとっつあん」にしか脳内変換できないよ。 -- 名無しさん (2014-05-10 22 02 51) ↑2沢庵だったような -- 名無しさん (2014-12-19 16 37 28) ↑7 個人的には杉田智和もアリかと、たまに若本さんのマネとかするし -- 名無しさん (2014-12-30 22 14 42) 武部3佐と並んで好きなキャラです -- 名無しさん (2015-03-08 16 35 32) ↑2すごく同意 今声を当てるなら杉田さんの方が年齢も近いだろうし、青臭い感じが合ってると思う -- 名無しさん (2017-02-15 16 41 09) 単行本でK・C編を読んで飛田さん(カミーユとウルベの声優さん)の声で脳内再生された -- 名無しさん (2018-02-23 20 49 11) ・地方の訛がある日本語でしゃべる。・ばあちゃんの好物がたくあん、もしかして彼のばあちゃんは日系出身の方? -- い (2018-04-02 20 37 55) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/crossborder/pages/13.html
『CROSS×BORDER』とは? トップページ>『CROSS×BORDER』とは? 『CROSS×BORDER』とは? 「あなたは、この言葉を聞いたことがあるだろうか?」 そう静かに語りかけてくれた、ラジオ――『12人の優しい殺し屋sideR』。 耳に心地言い低い声――それが“彼”仙道夏騎のボイスである。 演じていたのは、杉田智和さん。 イマドキの声優の中では、珍しいくらいに落ち着いた声音の持ち主。 まぁ、当人は「フリーダム」とか言われ続けているのだけれども。 携帯コンテンツでは、仙道夏騎のことは一切出ていなかった。 無論、待受けもボイスもなく、彼の出るLSやss、オーディオドラマなどもなかったのである。 あくまでも彼は、『CROSS×BORDER』の住人であり、PersonaXIIや真宮とも関わるけれど『12人の優しい殺し屋』ではない。 非常に、微妙な立ち位置の人物なのである。 オーディオドラマに近いことは、ゲストが最初に出たときに冒頭で演じていたオープニングドラマでやっていた。 ただし、ゲストによっては、妙な展開になることもままあったのだが(苦笑) 以上のことを踏まえると、『12人の優しい殺し屋』のPersonaXIIや真宮陽介ともCrossしていきながらも、彼は“彼の世界”を生きていく。 後輩が巻き込まれた事件の真相――それを追っていくうちに、知り合った人々。 その出会いと別れは、少なからずの衝撃を与えていることだろう。 得体の知れない“運命”とも言える、抗えぬ流れに翻弄されつつある彼。 平穏な日々に戻ることは出来るのだろうか? そして、彼が最も知りたいと思っているこの事件の真相に、彼は辿りつけるのだろうか? 上へ トップページ>『CROSS×BORDER』とは?
https://w.atwiki.jp/crossborder/
『12人の優しい殺し屋 CROSS×BORDER』 皆さんは、覚えているだろうか? いや、まだ記憶にも新しいことだろうと思う。 『月刊アニメージュ』と言うアニメ専門誌において、1年間の掲載を成し遂げた『12人の優しい殺し屋 CROSS×BORDER』。 本来であれば、まだまだ続くであろうこの物語は、様々な予想を孕んで12回の連載期間を満了して終了した。 『CROSS×BORDER』の主人公である仙道夏騎が、物語の核心に触れるのか? といったところで終了してしまった連載。 黒幕が誰なのか、何のためにこんなことを引き起こしたのか……。 数々の疑問となぞを解き明かさぬまま、連載小説は幕を閉じた。 謎が謎を呼んだ幕引きの後、あなたは何を思っただろう。 そして、何を感じただろう……。 このWikiは、『12人の優しい殺し屋』の中で、公式キャラでありながら、LSもssもオーディオドラマも待受けもボイスもなしと言う、特別な扱いを受けていた“彼”にスポットを当てているものである。 “彼”仙道夏騎の、『アニメージュ』とは別の、ごく日常を描いたNovel sを中心に、描かれることはないであろう、PersonaXIIの面々との絡みも含めたNovel sなどを掲載。 いわゆる、このWikiは、“彼”の二次創作物である。 よって、当Wikiで描かれている“彼”は、どちらかと言うとAnotherStoryの住人。 本来の“彼”とは違うものになっているかもしれないことは、ご了承いただきたい。 まずは……。 ここで描かれている“彼”とは、どんな人物なのか――周辺の紹介も含め、ご覧頂きたい。 ★キャラクター紹介 ☆『CROSS×BORDER』とは?
https://w.atwiki.jp/mtg2384/pages/931.html
autolink 川の殺し屋、シグ/Sygg, River Cutthroat (青/黒)(青/黒) 伝説のクリーチャー ― マーフォーク(Merfolk)・ならず者(Rogue) 各終了ステップの開始時に、このターンにいずれかの対戦相手が3点以上のライフを失っている場合、あなたはカードを1枚引いてもよい。(ダメージによりライフは失われる。) 1/3 《川の殺し屋、シグ/Sygg, River Cutthroat》をGathererで確認 《川の殺し屋、シグ/Sygg, River Cutthroat》をGoogleで検索 《川の殺し屋、シグ/Sygg, River Cutthroat》が使用された大会 取得中です。 カードテキスト転載元: Wisdom Guild 様 2011 / 09 / 20
https://w.atwiki.jp/to-love-ru-eroparo/pages/171.html
夜は若く、彼も若かったが、彼女は若くもないようで、謎めいた女だった。 父親のスタジオからの帰り道、結城リトは、マフラーに顔をうずめながら、 繁華街の交差点を渡ろうとして、向こうから歩いてくる人影に目をとめた。 「あ、御門先生」 短いスカートに長いコートを着こんだ女が、立ち止まって、こっちを見た。 「……結城くん?」 「どうも、こんばんは」 交差点の中央で、向かい合ってみると、御門の顔は蒼ざめているようで、 いつもの柔和な微笑から遠い、突き刺すような視線に、リトはたじろいだ。 「あの…… 先生?」 信号が点滅を始めて、赤に変わると、ふたりの前後を車が走り抜けた。 パ――――ッ パパパ――――――――ッ! 「うわっ、あぶねっ!」 リトは、反射的に御門のほうへ飛び寄って、クラクションをやり過ごし、 ふう、とため息をつくと、肩に手がおかれ、御門がやさしく微笑んでいた。 「……今夜はつきあって」 パ――――ッ パパパ――――――――…… 10分後―――― リトと御門は、小さなバーの止り木に、並んで座った。 教師と来るべき場所ではない、と思われたが、御門は意に介さないようで、 若いバーテンに微笑みかけて、キールを頼むと、リトのほうに向き直った。 「あなた、何にする?」 「えっと…… コーラを」 御門が、キューバ・リバーとかいう銘柄のコーラを選び、注文してくれた。 飲み始めると、リトも、だんだん気持ちが良くなって、コーラは美味いし、 店の中は静かで、無理に連れて来られたことも、どうでもよくなってきた。 それにしても、今夜はつきあって、というのが、どこまでを意味するのか、 はっきりとは分からなくて、考え始めると、どんどん妄想が広がっていく。 赤くなったリトの頬を、御門の指先が、ちょいと突っついて、撫であげた。 1時間後―――― リトと御門は、甘やかな香煙に包まれて、坐っていた。 石造りのサロンの内装は、アラビアだか、ペルシャだかの様式を模して、 火は暗く、客は遠く、刺繍のあるクッションは、寝床のように大きかった。 リトの両脚は絨毯へ投げ出され、そのとなりに、御門の脚が並んでいる。 御門は、物憂げな様子で、ゆっくりと屈みこむと、ブーツのひもを解いた。 「お行儀が悪いかしら」 「あ、いえ、べつに……」 ブーツの革がひらいて、黒いストッキングに包まれた長い脚があらわれ、 すう、と脱ぎ捨てた拍子に、太ももがゆれて、スカートの裾が持ちあがる。 からみつく視線を感じたのか、御門はリトを見て、とがめるように笑った。 あわてて遠くのほうへ目をやると、褐色の給仕人が、注文を訊きにきた。 御門が引き受けて、シャサーニュとか、フュイッセとかいう単語が聞こえ、 ややあって出されたワインは、金色に輝いていて、たしかに美味かった。 「酒は百薬の長、と言うわね」 呑気なことを言いながら、御門は杯を乾し、リトも負けじと杯を重ねた。 広間の中央では、ローマ風の衣裳をまとった童女が、静かに語り出した。 何か、詩の朗誦のようで、そんな趣向なのだろうが、言葉が分からなくて、 リトの身体は、甘い香煙とクッションの中へ、ずぶずぶと沈みこんでいく。 それでも杯をかたむければ、ワインは唇からこぼれて、喉へと流れる。 ふいに、喉もとに熱いぬめりの這うのを感じて、視線を落としてみれば、 御門の唇が、喉もとに吸いつくようにして、こぼれたワインを啜っている。 その状態が、リトに奇妙な安らぎを与えて、朗誦の声が耳に戻ってきた。 「……何て言ってるんだろ」 訊いてみると、御門はリトの胸へ頭を乗せて、小声で詩句をなぞった。 “白骨の腕に、一束の金髪が巻きついている” 「……怪談ですか」 「ロマンスよ、きっと」 御門はモゾモゾと脚を動かし、リトの脚にからめて、クスクスと笑った。 数時間後―――― リトと御門は、ホテルの最上階の部屋にたどりついた。 ドアを開けて、スイッチを押し、装飾灯が輝いて、ドアが閉まるやいなや、 御門はリトの肩に手をおいて、鼻の先に、左右の頬に、濡れた唇をつけた。 「御門先生……」 いつもの呼び方が、リトの口から飛び出して、御門はリトの唇をふさいだ。 入りこんだ熱い舌が、からみつき、また離れて、頬から耳へと舐めていき、 女の髪の匂いがして、リトの視線の先に、するどく尖った耳があらわれた。 その尖端に、ちょっと唇をふれてみると、御門の肩が、ぴくっとふるえた。 そして、しなやかな腕が背中のほうに回されて、ぎゅっと抱きしめられ、 リトは、ふたつの胸の谷間で、肌の香に、あやうく窒息するところだった。 それでも、やわらかな感触からは離れがたく、リトの腕も御門をとらえて、 抱き合い、探り合い、よろめき合っているうちに、ベッドの上へ倒れこむ。 リトの身体に、ぐっと押さえつけられた形で、御門の顔は天井を向いた。 リトの顔がかぶさって、キスが繰り返され、這いまわる手に、汗が流れて、 やがて、その手が腰のほうへ下りていくと、御門は、かすれた声で言った。 「ごめんなさい……」 なぜ謝ったりするのか、何を謝っているのか、リトには分からなかったが、 分からないままに、リトの手は、スカートの中へと誘い寄せられていく。 そして、ゆっくりと太ももを撫でていった指が、冷たく硬いものに触れた。 「もっと楽しみたかったんだけど、ね」 「……?」 御門の目を見ると、うるんだ瞳の中に、装飾灯の火がキラキラと輝いて、 白い腕がリトの身体を抱き寄せて、ベッドの脇に、黒い男が立っていた。 一閃、御門の手が動いて、引き抜かれた拳銃が、リトの肩越しに火を吹き、 装飾灯が揺れて、直下に跳ね返った銃弾が、黒い男を垂直に撃ち抜いた。 前のめりに倒れながら、黒い男はニヤリと笑って、カチッ、と音がした。 (しまった……!) 閃光が走る。 瞬間、御門とリトの身体は、金色の波に包まれて、轟音だけが耳に届いた…… やわらかな金色の波は、御門とリトを、ふわりと路上に下ろしてくれた。 「ありがとう…… 助かったわ、金色の闇」 しゅるしゅると髪が縮み、いつもと同じ冷静な表情の、ヤミが立っていた。 「どういたしまして、ドクター・ミカド」 ヤミは、こともなげに言って、ふたりから目をそらし、ホテルを見上げた。 最上階の部屋から、煙があがっていて、外壁がきれいに吹き飛んでいる。 「奴は、もともと、自爆するつもりでした」 「ええ…… そのようね」 「見誤るとは、あなたらしくありませんね」 御門は、それには答えず、リトのほうを見て、それでリトも我に返った。 「えっと、これは一体……?」 敵が弾薬を巻いていて、不用意に撃てなかったことを、御門が説明する。 遠くの空から、サイレンの音が聞こえてきて、三人は急いで現場を離れ、 御門は、公衆電話から、宇宙人が経営しているというタクシーを呼んだ。 5分もしないうちに車が到着し、御門とリトが、後部座席に乗りこむと、 窓越しに、ヤミは別れを告げて、立ち去り際に、思い出したように言った。 「意外でした、あの撃ち方を知っているとは……」 夜の街を、タクシーは軽快に走り、パトカーや消防車とすれ違っていく。 赤色灯が、美しい横顔を照らして、やがて御門は、ささやくように言った。 (うちへ寄っていらっしゃい) (えっ?) (さっきの…… 続きを……) 言い終わらないうちに、御門はぐったりとして、静かな寝息をたてていた。 おだやかな寝顔には、一片の影も見えず、さっきの活劇が嘘のようだった。 リトは、肩へ寄りかかってくる身体の温かさに、ふしぎな親しみを覚えた。 それで、彼女の過去のことを思ってみても、何のイメージも浮かばなくて、 結局のところ、遠い宇宙の話など、べつに詮索する必要もないことだった。 いつしか、リトも眠りにおちて、タクシーは夜の街を、音もなく走り去った。