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「貴様も魔術師か。見たところ、サーヴァントを連れていないようだが?」 「ああそうだ。あいにくと僕は一人でね」 「私はこの先に用がある。素直に通して欲しいのだが?」 「悪いが、彼女を傷つけるというのなら、この先に行かせるわけにはいかない」 「ならば、サーヴァントである私とたった一人で戦う気か。 それがどれだけ愚かな行為か理解しているか?」 「馬鹿にされようが愚かと嘲られようが、ここは通さない。 たとえ何があろうと、彼女を守り続けると己に誓ったのだから」 「そうか…、ならば仕方が無い。力尽くで通させてもらう」 「 F o r t i s 9 3 1 『我が名が最強である理由をここに証明する』。 昔の英雄である君は知らないと思うが、現代の魔術師同士が名乗り合う、殺し名のようなものだ 」 「ならば私も答えよう。 我が名はセイバー。聖杯戦争に召喚されし英霊。 行くぞ!ハァァァァッ!!」 「来い!灰は灰に、塵は塵に、吸血殺しの紅十字!!」 「ルーン魔術の二刀流か。面白い!だが、その程度の技量では私を止める事は出来んぞ!」 「 M T W O T F F T O I I G O I I O F 世界を構築する五大元素の一つ、偉大なる始まりの炎よ I I B O L A I I A O E それは生命を育む恵みの光にして、邪悪を罰する裁きの光なり I I M H A I I B O D それは穏やかな幸福を満たすと同時、冷たき闇を滅する凍える不幸なり」 「魔術詠唱!?」 「I I N F I I M S その名は炎、その役は剣」 「詠唱の暇など与えん!」 「I C R 顕現せよ」 「これで終わりだ。喰らえぇぇぇっ!!」 「 M M B G P イノケンテイウス 我が身を喰らいて力と為せ―――『魔女狩りの王』!!」 「くっ、距離を取らねば!」 「紹介が遅れたね。炎の巨神『魔女狩りの王』だ」 「貴様が使うのはルーン魔術だったな。ルーンを消せば…」 「・・・ 6万枚。魔女狩りの王に使ったカードの枚数だ。 君はアーサー王だろう。この辺一帯に撒いたカードを一瞬で消す方法は持ってないんじゃないか?」 「何!?…ならば術者を倒すまで!」 「できるかな? こちらには魔女狩りの王がいることを忘れないで欲しいな!!」 爆炎と共に、最強を目指す者の戦争が始まる。
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Date 2006/06/19(Mon) Author SS1-359 「貴様も魔術師か。見たところ、サーヴァントを連れていないようだが?」 「ああそうだ。あいにくと僕は一人でね」 「私はこの先に用がある。素直に通して欲しいのだが?」 「悪いが、彼女を傷つけるというのなら、この先に行かせるわけにはいかない」 「ならば、サーヴァントである私とたった一人で戦う気か。 それがどれだけ愚かな行為か理解しているか?」 「馬鹿にされようが愚かと嘲られようが、ここは通さない。 たとえ何があろうと、彼女を守り続けると己に誓ったのだから」 「そうか…、ならば仕方が無い。力尽くで通させてもらう」 「 F o r t i s 9 3 1 『我が名が最強である理由をここに証明する』。 昔の英雄である君は知らないと思うが、現代の魔術師同士が名乗り合う、殺し名のようなものだ 」 「ならば私も答えよう。 我が名はセイバー。聖杯戦争に召喚されし英霊。 行くぞ!ハァァァァッ!!」 「来い!灰は灰に、塵は塵に、吸血殺しの紅十字!!」 「ルーン魔術の二刀流か。面白い!だが、その程度の技量では私を止める事は出来んぞ!」 「 M T W O T F F T O I I G O I I O F 世界を構築する五大元素の一つ、偉大なる始まりの炎よ I I B O L A I I A O E それは生命を育む恵みの光にして、邪悪を罰する裁きの光なり I I M H A I I B O D それは穏やかな幸福を満たすと同時、冷たき闇を滅する凍える不幸なり」 「魔術詠唱!?」 「I I N F I I M S その名は炎、その役は剣」 「詠唱の暇など与えん!」 「I C R 顕現せよ」 「これで終わりだ。喰らえぇぇぇっ!!」 「 M M B G P イノケンテイウス 我が身を喰らいて力と為せ———『魔女狩りの王』!!」 「くっ、距離を取らねば!」 「紹介が遅れたね。炎の巨神『魔女狩りの王』だ」 「貴様が使うのはルーン魔術だったな。ルーンを消せば…」 「・・・ 6万枚。魔女狩りの王に使ったカードの枚数だ。 君はアーサー王だろう。この辺一帯に撒いたカードを一瞬で消す方法は持ってないんじゃないか?」 「何!?…ならば術者を倒すまで!」 「できるかな? こちらには魔女狩りの王がいることを忘れないで欲しいな!!」 爆炎と共に、最強を目指す者の戦争が始まる。 ステイルはイノケンティウス使えば、サーヴァントと互角に戦えると思うんだ(´・ω・`)
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名前なし名前空間 namespace { 宣言や定義の並び } namespace { double a _= 0.0; } int main() { return a; } ※名前なし名前空間で宣言・定義された識別子は、 この名前なし空間定義の翻訳単位内から参照できる。 ※名前なし名前空間は翻訳単位ごとに別のものが存在し、 翻訳単位の外部からこの名前なし名前空間内の識別子を参照することはできない。
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火消し名人【ひけしめいじん】 「悪い噂が広がった時に、他の女の子の評価が下がることを抑えます。しかし傷ついた本人のあなたへの想いは……」 『4』で主人公が習得出来るコミュニケーション特技で爆弾が爆発した女性キャラ以外のときめき度・友好度下降率を抑えるが、その代わり爆弾が爆発した本人のときめき度・友好度下降率が上昇してしまう。 概要 必要経験値は40。 この特技を習得するためには、会話ソムリエと八方美人の習得が前提となり、 会話ソムリエは語彙センス(10)→盛り上げ巧者(20)→会話ソムリエ(30)と、八方美人は協調性(10)→八方美人(30)と習得する事で、この特技を習得出来る。 よって必要総経験値は140となる(括弧内は必要経験値)。 この特技を実践していると、爆弾が爆発したキャラ以外のときめき度・友好度下降率は-50%となるものの、爆発した本人のときめき度・友好度下降率は+50%となってしまう。 明らかに星川真希の爆弾を爆発させる事を想定して作られた特技である。 (他に好感度が上がりやすい柳冨美子やエリサ・D・鳴瀬らはクリアするために一定回数以上のデートが必要なので、そこまでする必要はない) 特に生徒会に所属した状態で皐月優を攻略しようとすると、星川の好感度が凄まじい勢いで上がり続けてしまうため、卒業式の日に伝説の樹の下にいるのは皐月ではなく星川という事もあり得る。 よって、この特技で皐月の好感度低下を最小限に抑えつつ、星川の好感度をより多く下げるという行為が必要になる訳である。 爆発させた後は、必ずデートなどで皐月のフォローを怠らないように。 他にキャラが登場している場合、『4』の爆弾爆発は好感度は下がるものの傷心度は上がらないので、用が無いのなら基本的に放置しておいて構わない。 それでも心配ならヒロインポイントで皐月が確実に星川を上回るようにしておこう。 そうすれば割り込み告白される事態は100%防げる。 爆弾が爆発してこその特技なので、カウンセラー・清廉潔白などの傷心度抑制系の特技とは全く噛み合わない。 どの特技にも言える事だが、皐月が登場している時は彼女のマイナス特技で主人公の特技を外されかねないので、心の開錠術も実践しておこう。 生徒会所属時にはこの特技を実践したうえで星川の爆弾を爆発させても、3~4発くらいまでなら友好状態をキープされてしまう。 すでに生徒会関連の皐月のイベントを回収しているなら、その後の周回プレイでは生徒会に入らない方が良いだろう。 生徒会に所属していない状態でも、2発程度の爆発では友好状態のまま(例えばハートマークがピンク→青に変わるだけ)という事もある。 一度上がった好感度が下がりにくい(下げにくい)のが星川なので、この特技を使う・使わないにしても、普段から無用に好感度(特に友好度)を上げないように心掛けたいところである。 関連項目 特技 主人公
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「かはは」 そんな、笑い声がした。 男性の、心底おかしそうな―――だが失笑のようでもある笑い声。 そこには殺し合いへの危機感など欠片も感じられない。 ――――いや、『彼』にとっては普段とあまり変わらないからか。 殺し名序列第三位。 かの《赤き征裁》《死色の真紅》哀川潤さえ関わりたくないと言わしめた悪名高き殺人鬼の一賊。或いはこの世で最も敵に回すのを忌避される醜悪な軍隊にして、この世で最も味方に回すのを忌避される最悪な群体。邪悪と冒涜の宝庫。 彼らは理由なく殺す殺人鬼だ。 家賊の繋がりは血ではなく流血。家賊に仇なす者は皆殺し。 彼らの名を、《零崎一賊》と云う。 話は変わって。D-7エリアのアミューズメントに、奇抜な少年が居た。 身長は男性にしては低く、顔面半分にはこれまた奇抜な刺墨。 無理をすれば能瀬慶子に見えなくもない。 道で見かけたなら10人中9人が目を逸らすだろう。 絡まれると面倒だ、くらいの気持ちで。 しかし実際にはもっと最悪だ。彼は先の《零崎一賊》の一人である。 殺人鬼揃いの一賊でも禁忌と称される零崎の間に生まれた鬼子。 零崎人識。 《人間失格》の殺人鬼。戯言遣いの鏡写し。 人識は結論から言って、殺し合いに乗る気はなかった。 かと言って、正義のヒーローを気取りたいなんて気もない。 要するに、中立。 襲われれば戦うし、弱者が殺されかけていたなら気分次第では助けてやるかもしれない。だが《ついうっかり》が無いとも限らない。彼は《零崎》なのだから。 しかし、人識が何故殺しを躊躇うか。それはひとえに恐怖だ。 彼はとある最強と約束をしている。 命と引き替えに、殺すことを封じられた。 だから零崎人識は殺さない。 バレないだろ、なんて考えはあの最強には通じないのだ。 「………かはは。こいつぁ上等な代物だ」 人識の手には一本の刃物が握られている。 その名を『ダーク』。人類最古の翁にしてアサシンのサーヴァント、ハサン・サッバーハの用いる武器。宝具でこそないが、刃物には詳しい人識を唸らせるだけの物。 「こいつがあれば何とかなるだろ」 曲絃糸なんかも欲しいけどな、と彼は付け足し、また笑った。 銃器よりも彼には合っている、そんな気がした。 参加者名簿に視線を落とす。 何の因果か、彼の知り合いも数人呼ばれているようだった。 《いーちゃん》―――《欠陥製品》に、恐怖の対象・哀川潤。 《人喰い》の匂宮出夢に、西条玉藻。 取り立てて挙げるならこのくらいか。 何と言っても哀川潤が怖かったが、出夢と玉藻にも注意することにする。 《欠陥製品》。 彼は殺し合いになど乗らないし、出来ないだろうと人識は断じる。 玖渚友が、あの青い少女がいる限りは。 「………さて、と」 突然だが、零崎人識はこれから戦うつもりだった。 少女を追い、手にナイフを持った《殺人鬼》と。 なのにここまで暢気にしていたのは―――零崎人識だから、としか。 少女を助ける?そんなことはどうでもいい。 ただ、《同類》と語り合いたいだけ。 「さぁて、それじゃあ一丁」 「殺して解して並べて揃えて晒してやんよ」 【深夜/D-7】 【零崎人識@戯言シリーズ】 [状態]健康 [所持品]ダーク@Fate/stay night [思考・行動] 0 別段どうする気もない。 1 《同類》と語り合いを―――もしくは殺し合いをする。 2 人は極力殺さない。 3 哀川潤には会わないようにする。見かけたら逃げる。 4 《欠陥製品》を探してみるか? ※『ネコソギラジカル』、いーちゃんと再会した直後からの参加です
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転がし名人(ころがしめいじん) 概要 エターニアに登場した称号。 登場作品 +目次 エターニア 関連リンク関連称号 エターニア その作品中での説明 リッドの称号。 霊峰ファロースクリア前にクレーメルボールで勝利すると取得できる。 それ以降だとプロボウラーになってしまうので期間限定である。 取得者 リッド 取得条件 霊峰ファロースクリア前にクレーメルボールで勝利する ▲ 関連リンク 関連称号 プロボウラー
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第1話:「聞こえし名の真偽」 セッション日:2009.06.12 ジャンル:シティアド…?ロールなのか?導入?(まてwww BOSS:絶滅種ファイアドラゴン 天空キャンペ第1話。 予告文 天空に遺跡有り、古代技術・魔法力の結集なり。 其の中核を手に入れし者、世界を手中に納める事、能うなり。 此を狙う者有りき。彼の者遺跡をめぐり ついには天空遺跡の中核に辿り着かん…。 世界を火の海へとかえしこの暴君は、 神の怒りに触れ、遺跡ごと海中深く沈みけり。 ~天空遺跡伝承より~ ======== 「アっちゃんが、衛兵に捕まったわ…」 けだるい午後に飛び込んできた凶報…。 外に飛び出せば、街に落ちる不自然な影 見上げた空には巨大な島が一つ浮かんでいた―――。 「遺跡の中核に今一番近いのは…」 耳に届いたのは女神の非道―――。 「生きているなら、それでもいい…」 【天空-そら-の願い】キャンペーン第1話:「聞こえし名の真偽」
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「なぁ兄貴、俺のPCに何か変なソフトがインストールされてるんだが、こりゃなんだ?」 椅子に座ったまま、自殺志願─零崎双識の方へと振り返ると彼は楽しそうにパソコンを弄っていた。 「それはね人識くん、United Devices Cancer Research Project、ユナイテッド・デバイシス社のがん研究計画に参加するためのソフトだよ」 当たり前のように、サラッと答えた。 「あぁ?何でそんなのを入れてるんだよ。悪いが消すぞ、タダでさえCドライブが危ないんだから」 「それなら問題はない、人識君のPCに有ったゲームは殆んどアンインストールしたから20G空いているはずだ」 「うわ、マジだ。フリーセルしかねぇ。なんだこりゃ、何で勝手なてことするんだこの野郎!」 「そもそもゲームなんてのはね、トランプやサイコロさえあればそれで10年は遊べるんだよ」 「んなこと言って、兄貴のデスクトップに並ぶそのアイコンの量は何だ!殆んどエロゲーじゃねぇか」 「エロゲーとは心外な、そんな風に一括りにしちゃ失礼というものだよ。つるぺたコスプレADVも有れば麻雀+ハチャメチャドタバタAVGだってある。 それこそ零崎と時宮を一括りにするようなものだよ」 「黙りやがれ、ころころと理屈を弄びやがって、何が『ADV』だ、気取ってんじゃねえぞこのやろう」 「うふふ、ちゃんとシューティングだって格闘だってタイピングソフトだって有るよ」 「うっせえ!そもそもひとのデータ消していいと思ってんのか、消すにしても一つや二つ消せばいいだけだろうが!」 「うん、それはおかしなことを言うね。人識くんのデータ?P2Pで持ってきているのにかい? アレは悪いことだ。だからやめた方がいい、わざわざ死に急ぐ必要は何処にもない」 「殺人鬼が何を言ってやがる。存在自体がこの上なく悪じゃねえかって、そうじゃなくてこのソフトを何で入れてんだ。みてみりゃ100MBも要らねぇじゃねえかよ」 「人識くんが将来ガンに侵されたときの予防だよ、これで抗ガン薬ができてたら安心じゃないか」 「……それ、マジでいってんのか、クソ兄貴」 「あぁ、決して殺し名と呪い名同士の対立からではない。純粋に人識くんを思ってだね、」 「──アンインストールしちゃる」 「おっと、それは出来ないよ。出来ないようにトラップを仕掛けておいたからね、うふふ、いくら人識くんでも今はむりだよ。 それと、他にも色々とセキュリティー機能を強化しておいたから安心して楽しいネット生活をおくりたまえ」 「うお、刃物関連のサイトにも行けねえなんて、ありえねぇだろ」 この次の日から、半年間に及ぶ鬼ごっこが始まったとか始まらないとか── ……打ってて途中で飽きてきたのが本音 興味が有る方は参加してみてください Team2ch@eroparo ■UD-Team2chWiki(UDの概念から補助ツールまで情報満載) http //ud-team2ch.net/ ■UDがん研究プロジェクトについて@2ch -PCでできるボランティア- http //www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/3969/index2.html 定期検診用メタボ対策! ★年末の航空券はサーチャージ無しも有り[冬休み]★ ニコ動のお気に入りを1クリック保存!・エコカー抽選で100万円サポート・テイルズ オブ バーサス(DVD付き) ワーキングホリーデーに出かけよう 出張 無料クレジットカード 戻る
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人殺しの話――(ひとごろし野放し) ◆EchanS1zhg 【0】 人が死ぬ時にはね―― そこには何らかの『悪』が必然であると、『悪』に類する存在が必然であると、この私はそんなことを思うのだよ。 【1】 朝という時間も過ぎ、街も暖め始められた午前の頃合。 本来ならば人通りも少なくないだろうに、しかしそんな気配を僅かにも感じさせない通りをひとりの少年が歩いていました。 深夜の散歩のような人気のなさと、活気を想像させる午前の風景。 その矛盾を楽しんでいるのか、足取りも軽くブロックの敷き詰められた歩道をとんとんと歩いています。 少年はかなり背が低くそして愛らしい顔をしており、それだけならば場合によっては少女と言っても通じるかも知れませんでしたが、 しかしその他の全てがそれを否定していました。 裸の上半身にそのままタクティカルベストを纏い、下はタイガーストライプのハーフパンツを穿いており、足元は物騒な安全靴。 手にはオープンフィンガーグローブと、これだけでも相当なものですが、 頭に注目してみれば、斑に染めた髪の毛。右耳には3連ピアス。左耳にはピアス代わりに携帯のストラップが吊られています。 そして、なにより少年の印象を強く変えているのが顔面の右半分に彫り込まれた凶悪なデザインの刺青でした。 顔面刺青――そんな代名詞を入れられちゃう少年の名前は零崎人識。 零崎の中の零崎。零崎と零崎の零崎。零崎の申し子。少年は――殺人鬼でした。 そんな顔面刺青であり殺人鬼でもある少年は、午後に入る前のまだ軽やかな空気を吸いながら道を行きます。 取り立てて行き先があるわけでもなく、そぞろと、なんとなしの感覚で太陽を右側に北へと向かっていました。 そして河に架かる橋に到達したというところで少年は橋の真ん中あたりに誰かがいるのに気づきました。 「何してるんだ、ありゃあ……?」 年季の入った茶色のコートと目深に被った飛行帽。 背丈はやや小柄で少年とも少女とも判別のつかないその人物は、どうやら大きな箱を橋の上から押し出そうとしているようです。 近づきながら見れば、どうやらそれはぐるぐると縄を巻かれた中ぐらいの冷蔵庫でした。 「不法投棄じゃねぇか……! おい、ちょっとそこのお前っ!」 当たり前かつ場違いなことを言いながら少年は、どちらともつかない人物へと駆け寄ってゆきます。 しかし、冷蔵庫を投棄しようとしていた人物は少年を一瞥すると、躊躇うことなくそのまま押し切り、それを落としてしまいました。 ふわりと冷蔵庫が宙に飛び出し、すぐに水面にぶつかって大きな音を立て、そして泡だけを残して沈んでゆきます。 少し濁った水面からはすぐに冷蔵庫の姿は見えなくなり、引き上げようにもできないだろうとそんな感じです。 「なにやってんだそこおおぉぉおおおっ!!」 顔面刺青であり殺人鬼でもある少年からの厳しいツッコミが何者かへとぶつけられます。 それは、こんな殺し合いの場面でという意味なのか、ただその行為に対してなのか、色々と意味を取ることはできますが、 少年にとっては後者でした。 不思議な話ではありますが、殺人鬼であっても少年はそれなり以上の常識も持ち合わせているのです。 「そういうのはリサイクル業者に頼むもんだろうがよぉ……あーあ、もうこれどうするんだ……?」 少年は冷蔵庫を落とした人物の隣まで来ると橋の欄干から河を見下ろして深い溜息をつきました。 そして、あらためてその犯人(しかも現行犯)をまじまじと観察します。 年齢は少年よりも低そうに見えました。もっとも少年自体が相当に低く見られるので傍から見れば同じくらいです。 格好は黒のジャケットに黒のズボン。その上に茶色のコートを羽織って、頭にはゴーグル付きの飛行帽。 短めの黒髪に、精悍な顔つき。ここまでだと一見すれば男性だと思ってしまいそうですが、しかしよく見れば少女でした。 そして、少女は少年よりも少しだけ背が高いようでした。 そんな少年のような少女の名前はキノ。 旅人であり、パースエイダー(注・パースエイダーは銃器)の名手。少女は――人殺しでした。 殺人鬼は人殺しに対して、いかに君が行ったこと――不法投棄は悪辣非道なことかを説きます。 どれだけ反社会的な行動で、どれくらい非エコロジーで地球環境を省みない行為なのか、滔々と語ってみせます。 そんな彼に対して人殺しの少女は、「はぁ、そうなんですか」などと曖昧な返事を繰り返すばかりでした。 じゃあ、もういっそこんな不届き者は殺して解して並べて揃えて晒してしまおうかと少年が思った時、 少年のおなかがぐぅと鳴りました。 【2】 「”死なない”人間の首ねぇ……」 場面は変わって先ほどの橋より程近い場所にある庶民的なラーメン屋さんの中。 少年と少女は向かい合って同じテーブルにつき、朝食と昼食を兼ねた食事――お洒落に言えばブランチをいただいてました。 「変な話だな」 「ええ、ボクもそう思います。とても驚きましたし」 ラーメンをすすりながら少年は言い、少女は餃子をパクパクと平らげながら答えました。 かくかくしかじかと略さずに説明すると、先ほど少女が投棄した冷蔵庫の中には死なない人間の首が入っていたそうです。 正確に言えば、殺しても生き返る人間。なので、少女は首だけを持ち去りどこかに捨てればいいと考えたのです。 「まぁ、魔法がありならなんでもありか」 「そうなのかもしれませんね」 少年は先の放送で聞かされたことを反芻し、そして自身が出会ってきた人物達のことを思い出しました。 虎の様な少女。卑怯な軍人。超電磁砲。戦うメイド。真白なシスター。男と女と、燃えカスと魔法使い――無茶苦茶でした。 生き返る。つまりは死んだふりかもしれないし、特殊な蘇生技術かもしれないそれ。 殺し名と呪い名の名前と例をあげればある程度は理屈が考察できそうでしたが、以下省略。考えても無駄だと割り切りました。 「しかし、お前も人の情ってのがないのかよ。割り切り……いや、この場合は切り捨てのプロだな」 「うーん……」 かははと笑い少年は分厚く切った焼豚を口に放り込みました。少女は無愛想な表情でまだまだと餃子を平らげてゆきます。 ふたりは橋の上で出会った後、少年が食事をとろうといったのでここまで移動してきました。少女に断る理由はなかったからです。 そして、当たり前ですが店内は無人でしたので少年がそれなりの腕を振るって食事を並べ、 今は無言で食事を進めるのも寂しいという少年の言により、それぞれの経緯を話し合っているという訳です。 その中で少年は自身が出会ってきた変テコな人々の話を、少女は自分が切り捨てた4人の話をしました。 「なんであんたはそいつらを殺したんだ?」 全くもって誰に対しても愚問でしたが、殺人鬼は人殺しに対してそんなことを聞いてみました。 「自分が生き残るため、ですね」 少女はその理由を、そもそも理由なんか持たずに人を殺してしまう少年に答えました。少年はかははと笑います。 「最後の一人になっても生きて帰れる保障なんかないぜ? 嘘かもしれないし、その時はどうするんだ?」 「その時は、その時になってから考えます」 「気のきかない回答だな」 「ええ、そう思います」 少年は息をひとつついてまたラーメンをすすりました。少女は大量にあった餃子の最後を名残惜しそうに飲み込みます。 殺すことに関しては真逆の殺人鬼と人殺しでしたが、先の展望のなさに関しては似たもの同士でした。 そしてなにより、 「ごちそうさま」 「ごちそうさま」 ふたりはハラペコキャラでした。 【3】 ところで、と殺人鬼は話を切り出しました。 「俺も殺すのか?」 人殺しは何も答えません。しかし場面を取り巻く空気の色が変わりました。緊張の糸がピンと張り詰めます。 「俺は別にどっちでもいいんだが……」 少年は少女を観察していました。おそらくは相手も同じです。なんてことのない食事の風景でしたが、両者ともプロのプレイヤーでした。 生粋の殺人鬼は目の前の人殺しを分析します。 4人殺したというのは本当でしょう。むしろ、ここに来る前はもっと殺していたに違いありません。それが”匂い”でわかりました。 性質としては『薄野』か、それとも『天吹』が近いのか、『零崎』と同じ殺し名を浮かべて少年は考えます。 「まぁ、俺はちょっとした契約があって自分から手は出せないんで、そっちが決めてくれ」 切欠を与えれば目の前の少女は確実に自身を殺しにかかってくる。その確信がありながら少年は緊張の糸を引きます。 はたして殺し合いが始まったとして勝てるのか? それは少年にとって問題ではありません。問題となるのはそこではなく、やはり死色の真紅との取り決め。不殺の誓いでした。 「あぁ、別に食事を奢ったことに関しては気にしなくていーぜ。どうせ無銭飲食だしな」 だけど、あの真っ赤な鬼殺しはこの場所にはいません。未だ不明の登場人物の中にいるとも思えません。 たったこれっぽちの世界の端。開始より半日足らずも経過した今。行き遭ってないという事実が彼女の不在を証明していました。 零崎人識の物語が零時から開始したとして、未だ欠陥製品とも遭遇を果たしていない。これは零崎人識だけの番外編と断言できます。 「………………」 だったらいいんじゃないか? そんな気持ちが殺人鬼の中でむくむくと起き上がってきます。 緊急事態。殺し合いを強要され一人しか生き残れないという状況。殺害の匂いを濃く漂わす者が目の前にいるという場面。 つい先ほどもそんな存在と遭遇し、そんな現場を目の当たりにしたばかりで、みんながそうしているのを見せられて、 勿論、他人は他人、自分は自分、人の殺しは人の殺し、自身の殺しは自身の殺しと言えるのだけど、どうして我慢するのかとも思えます。 零崎にとって殺人とは生き様――ですらありません。 必要だからというわけでもなく、息をするように以下の心臓を動かすように程度の生態であり性質であり、生の有様。 生き焼かれた獣の咆哮か、魔術師の含む冷たい笑いか、旅人の見つめる無感情な目にか、 少年の中の『零崎』が僅かに”洩れ”ました。 たったそれだけで、始まりました。 殺人鬼である少年にも、人殺しである少女にも、それだけで十分だったのです。 【4】 ――さぁ、零崎を《再開》しよう。 【5】 瞬間。少女によってテーブルが蹴り上げられ、その上に乗っていた食器ごと少年へと降りかかってきました。 瞬間。ひうんと音がして、テーブルが乗っていた食器ごとバラバラに寸断され床に派手な音を立ててばら撒かれました。 ここまでおよそ1秒。 少年はポケットになにかを仕舞うと、ゆっくりと椅子から立ち上がりながら店の奥にまで移動していた少女を見ます。 そこにはこちらへと向けられた無骨なリボルバーの銃口があり、そうだと認識する前にそれが火を噴きました。 がぃうん――と、今度はそんな奇妙な音が響きました。 見れば、何時の間にちょろまかしていたのか少年が心臓を庇うかのように分厚い中華包丁を構えています。 そしてその刃の真ん中に小さな、まるで銃弾を受け止めたかのような痕ができており、それはそのままその通りでした。 少年は発射された弾丸を見切り中華包丁でガードした――ということでした。 再び銃声。今度は奇妙な音は響かず、ただ少年の座っていた椅子の背に穴が開く音だけが小さくしました。 回避を成功させ椅子から通路へと出ていた少年の手には新しい刃物が握られており、中華包丁はもう床の上です。 3発目の銃声。これも少年には当たりません。ただ、その後ろにあった入り口のガラスを砕いただけでした。 決して少女の射撃技術が低いというわけではありません。 少女は正しく心臓や当たれば致命傷となる場所を撃ちました。避けなければ少年が死んでいたのは間違いありません。 けれども、『零崎』の少年はそれを容易く避けてみせるのです。 普通は避けれません。発射された銃弾が人間の運動能力以上の速度を持っているという現実は決して覆りません。 しかし、銃には狙いをつけて――つまりは”殺気”を発してから発射されるまでのどうしようもないタイムラグが存在します。 コンマ数秒。熟練していればそれ以下。少女は熟練者ではありましたが、しかしどうやってもそれを零にすることはできません。 そして、そのタイムラグが零でないとするならば、殺気を感じることのできる『零崎』にとっては無限にも等しい時間なのです。 故に、『零崎』に銃は通用しません。ですが、 「かはは」 少年はカウンターの上に”飛び移されて”いました。 3発目の銃撃を避けカウンターの上に飛び移ったのは紛れもなく少年の意志です。しかしそこに少女の誘導がありました。 まるで”銃弾を避ける者との戦闘の経験がある”かのように、彼女はそれを前提とした牽制射撃を行ってみせたのです。 たった2発で少年に銃撃が通用しないと知ると、 少女は3発目にお腹より少し下――大きく動かないと次の回避に支障が出るような場所を狙ったのです。 これには少年も舌を巻きました。 『零崎』の前で拳銃を構える者はことごとく屠られるだけの雑魚キャラくんでしかなかったはずなのです。 しかし、別世界からやってきたのかもしれない少女――キノは違いました。少年――人識はとても傑作なことだと思いました。 4発目の銃声が鳴り響きます。 カウンターの上を突進していた人識はそれを軽く跳躍することで回避”させられ”ます。 着地の際に発生するこれもコンマ以下のタイムラグ。 無限とは言わないまでも、キノが扉を潜って店の奥へと退くには十分な時間でした。 零崎を再開してより5秒ほど。状況は再びニュートラルなものへと戻りました。 キノは決してひとつの殺しに執着するタイプではないだろうと人識は理解しています。 ”必要”の為に殺す者は不必要や無駄、それにリスクを忌諱します。ここで無理や無茶をするとは思えません。 つまり追わなければ再開した零崎は終了です。誰も殺していませんので死色の真紅の約束を破ったことにはならないでしょう。 それに、溜まっていた鬱屈も多少は晴れました。食後の運動としても今のでちょうどいい具合です。 「また、放浪するかな……?」 戦場のど真ん中で人識は余裕たっぷりに5秒ほど思考して、 その次の瞬間――爆炎に吹き飛ばされました。 再開より合わせて10秒。それで人識の零崎は完全に停止してしまいました。 【6】 粉塵やら瓦礫やらが積もり積もった”廊下”の上に血塗れとなって横たわる人識の姿がありました。 その傍らには油断なくショットガンを構えるキノが立っています。 どうやら、致命傷を負った人識に介錯の一撃を放つか、それをキノが逡巡しているという場面のようです。 口からごぼごぼと血を吹く人識は目線だけでキノの申し出を断りました。 キノも弾丸が勿体無いからでしょうか、それを承諾して――そして抜け目なく彼のデイパックを回収してその場を去ります。 去り際にただ一言、 「あなたは今まで出会った中で最悪の敵でしたよ」 そう言い残して行ってしまいました。 これが殺人鬼と人殺しの邂逅の始まりから終わりまでの全てでした。 【7】 ずたぼろとなった人識ですが、全身の傷は爆炎――いきなり撃ちこまれたロケット弾によるものではありません。 さすがにそれが店内に飛び込んで来た時には人識もひどく驚きましたが、そんなもので殺される彼ではありませんでした。 ロケット弾の軌道は見れば察することは容易でしたし、 そうだと解れば避けながらすれ違い、背後からくる爆風で”自身を加速させる”なんて芸当も難しくもありません。 ですが、故に人識は次のショットガンの一撃を避けることができませんでした。 なにせそこには全く”殺気”がなかったのです。 自分がどのようにして人殺し――キノにしてやられたのか、気づいた時には無数の散弾が身体にめり込んでいました。 ロケット弾は人識を仕留める為の攻撃ではありませんでした。 キノが人識と自分との間に煙幕という”目隠し”をする為の手段でしかなかったのです。 そして、ロケット弾を撃ち放ったキノはすぐさまに”煙”を撃ちました。 もし人識が突進してくるとしたならば通らざるを得ないルート。人識ではなく、あくまでルートをキノはただ無意で撃ったのです。 そこに人識がいてもいなくても関係なく、仮に人識が店から出て逃亡していたとしても関係なくキノは撃ちました。 人識がいると確信があれは殺気が生じてしまう。目で確認できてしまっても殺気が生じてしまう。 故に、キノはあえて不確定な状況をつくることで、そこにただの撃つだけ状況を作り、無意の一撃を放ったのです。 こんなものが避けられるはずがありません。意図のない弾丸。殺気のない弾丸。 ましてや人識は爆風により加速中。煙幕を抜けた時にはそれを避け得る猶予は全くの零でした。 傑作だと、人識は顔を笑いの形に歪めます。 ”撃ち殺された”零崎など前代未聞もいいところでしょう。おそらく、この先にも出てくることはないと思われます。 もしも死んだ兄がこれを聞いたらどんな表情をするのか。もし大将に聞かれでもしたら殺されてしまうだろう。 そしてあの生まれたての妹がこれを知ったらあいつはどうするのか。人識は想像して、笑う代わりに血を吐きました。 自分を狙っていない弾丸――殺意ゼロの弾丸に撃ち殺される。 乗することも除することもできない零を撃ち抜くのはゼロの弾丸。まさにこれが零崎殺し。 両手が動くならば拍手喝采ものだとそう思い、そしてそれができないことが少し残念なことだと人識は思いました。 あいつは、あの欠陥製品はこないのだろうかと死に瀕した人識は思います。 もう死ぬということは避けられません。どうしようもない致命傷です。いくつかの弾丸が内臓を食い破っていました。 このまま退場して零崎人識の物語は幕を閉じる。それは避け得ないことです。 だったら、ここにあいつがこないと場がしまらないんじゃないか――なんて期待。 しかし、せっかく介錯を断ってまで苦痛に耐えているというのに、待てども待てどもその気配はありません。 まったくこちらが何度あの欠陥製品の危機に駆けつけたことか。人識は心の中で毒づきます。 もっとも約束があるわけでもなく、またこちらが駆けつけてない危機がある以上、それはお門違いもいいところなのですが。 そろそろ人識の意識も遠くなってきました。 死色の真紅と遭遇したあの時に零崎が終わっていたのだとしたら、こんなところで死ぬのがむしろ相応しいのかもしれない。 「それも悪くない」――ある零崎の言葉が人識の中に浮かんできます。 そして、最後に……自分のことを最悪だと言い残して去っていったあのキノという少女のことを思い、 「知ってるよ」 と呟いて息を引き取りました。 【零崎人識@戯言シリーズ 死亡】 【8】 「ただいま……と言っても君は返事してくれないんだよね」 最初に人識と出会った橋のたもと。 スクーター(注・モトラドではない)を停めていた所まで戻ってくるとキノはようやくふぅと一息つきました。 「まったく、恐ろしい相手だった……」 来た道を振り返りキノは誰となしに――スクーターは返事をしてくれないので本当に誰となしに呟きました。 零崎人識――あの奇抜な格好の少年はキノが今まで出会った敵の中でも最悪のものでした。 どんな殺人者にも殺す理由というものがあります。殺すという意志がいつもこちらを向いていました。 復讐の為に刃を向ける男。 国と家族を守る為に銃を掲げる兵士。 僅かな金品の為に襲い掛かってくる野党。 感情の発露のままに酒瓶を振り上げる酔っ払い。 己のテリトリーを守る為に唸り声をあげる森の中の獣。 どれもこれもが同じようにそれを持っていましたが、しかしあの少年の殺意に指向性は零(ありません)でした。 存在そのものが殺人という現象。まるで人を怖がらせるための物語の中に登場する殺人鬼。 まだ背中に残っていた僅かな怖気にキノは身体を震わせます。 「餃子おいしかったですよ」 そういえばご馳走の礼をしていなかったことを思い出し、一応はと声にするとキノはスクータに跨りました。 「神社か……なにか手ごろな武器を調達できるといいんだけどな」 言うと、少年から人が集まっていると話を聞いていた神社へと向かいスクーターを発進させます。 そしてエルメスのものとは比べくもない軽い音をたて、太陽を背に河を右手に西へとそのまま走り去って行きました。 殺人鬼と人殺しが殺しあったなどとは想像もできない青い空がその上に広がっており、吹く風はとても爽やかなものでした。 【C-4/路上(南側)/1日目・昼】 【キノ@キノの旅 -the Beautiful World-】 【状態】:健康 【装備】:トルベロ ネオステッド2000x(12/12)@現実、九字兼定@空の境界、スクーター@現実 【道具】:デイパックx1、支給品一式x6人分(食料だけ5人分)、空のデイパックx4 エンフィールドNo2x(0/6)@現実、12ゲージ弾×70、暗殺用グッズ一式@キノの旅 礼園のナイフ8本@空の境界、非常手段(ゴルディアン・ノット)@灼眼のシャナ、少女趣味@戯言シリーズ 【思考・状況】 基本:生き残る為に最後の一人になる。 1:神社に向かう。交渉か襲撃かは状況しだい。 2:エルメスの奴、一応探してあげようかな? [備考] ※参戦時期は不詳ですが、少なくとも五巻以降です。 8巻の『悪いことができない国』の充電器のことは、知っていたのを忘れたのか、気のせいだったのかは不明です。 ※「師匠」を赤の他人と勘違いしている他、シズの事を覚えていません。 ※零崎人識から遭遇した人間についてある程度話を聞きました。程度は後続の書き手におまかせです。 ※ C-4北部にあるラーメン屋さんでロケット弾が炸裂し、周囲にその音が響き、家屋の一部が倒壊しました。 その中に零崎人識の死体が残っており、ポケットの中に「七閃用鋼糸x6/7@とある魔術の禁書目録」が入っています。 ※ 「薬師寺天膳の生首」は冷蔵庫に入れて縄でぐるぐる巻きにした状態で河に捨てられました。 投下順に読む 前:死者・蘇生(使者・粗製) 次:CROSS†CHANNEL 時系列順に読む 前:何処へ行くの、あの日 次:「謀反が起きた国」― BATTLE ROYAL IXA ― 前:「契約の話」 ― I m NO Liar ― キノ 次:ペルソナヘイズ 少女には向かない職業 前:愛憎起源 Certain Desire. 零崎人識 死亡
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「はーあ。ったく世界ってのは不思議なもんだよな」 溜め息混じりの気だるそうな声が、鬱蒼と茂る名も知らぬ木にかき消されて消える。 独り言が誰の耳にも届かなかったというのは実に好都合だが、彼にはそんなこと些事でしかなかった。いや、生物学上は『彼女』が正しいのだが、『人格』は確かに『彼』で正しい。 見た目小柄な少女――尤も、その体を拘束する拘束衣のせいで奇抜極まりない風貌になってしまっていたのだが――にとっては、殺し合いなどもはやどうでもいいことだった。 「人識の奴にあのおにーさんも呼ばれてやがるみたいだけどよ……こいつは僕が殺した筈なんだけどな」 訝しげに見つめるは『紫木一姫』の顔写真。 『曲絃糸』使いの化け物じみた戦闘能力を持つ少女――そして、彼が確かに殺した少女。 戦いに勝ちはしたが妹を失ったあの戦いのことを彼はしっかりと記憶していた。 だが、彼はそこでもう一度溜め息を一つ吐いた。 ―――まあ、僕が言えたことじゃねえんだけどな。 殺し名序列第一位《匂宮雑技団》の《人喰い(マンイーター)》匂宮出夢。彼は確かに、澄百合学園の体育館で――――橙色の最終に、殺された。 自らの十八番である一撃必殺の平手打ち《一喰い(イーティングワン)》を以ても勝利できずに、拳一つで腹を根こそぎにされて、確かに死んだ筈だった。 完膚なきまでの敗北で、匂宮出夢の人生は終わった筈なのに、出夢は今ここにいる。 脳内でこの有り得ない状況の解を模索してみても、どうにもしっくりくるものがない。 呪い名の連中の仕業か。 若しくはあの時死んだこと自体が夢だったのか。 どちらも有り得ない。 幾ら呪い名連中といえど、死人を生き返すなんて魔法みたいな芸当は出来ないだろう。 「………まあ、またどうせあんたが一枚噛んでんだろ、狐さんよ」 《人類最悪の遊び人》――――西東天。かつて自分の加入していたとある集団の大元。 他の誰に不可能だとしても、あの男ならば何かしらの手段で魔法的な展開を実現させてしまいかねない。むしろこんな悪趣味なゲームにあの男が絡んでいないはずがない。 そう考えると何だか無性にどうでもよくなってくるが――すぐに。 「考えても仕方ねえよな。ま、精々適当にぶらつくとするよ、ぎゃははは」 殺し合い。 死者の復活。 結局それは、匂宮出夢を根本から揺るがすには至らない。 積極的な殺し合いをする気もないが、別に正義のヒーローになりたいとも思わない。 ただあてもなくふらついて、流れに身を任せてやるとしよう。 その思考回路には一抹の不安もなく、ましてや自分の命の心配などまるでしていない。 ある意味では当然の話、まず匂宮出夢に打ち勝てる人間がこの会場に何人居るかも分からない。 ただ一度敗北したからといって、殺し名序列第一位の実力には何も影響しては来ない。 もし殺されそうになろうが、その時は改めて叩き潰せばいい。 出夢の思考回路はそこに完結する。 ドガァァン。 深夜の森を支配する木々のざわめきを切り裂いて、エリア一帯に響き渡る爆音。 煙が立ち上り、焦げ臭い臭いが薫り出す。 出夢の居た場所はモロに爆発を受けており、まず即死は免れないだろう。断末魔の一つもなく、森の中に再び沈黙が戻り始める。 「………まずは一人、ってところね」 左目に眼帯。どこかでミリタリーな雰囲気の女性がゆっくりと木陰から姿を現す。 雨流みねね―――未来を予知する日記を持つ国際手配中のテロリストである。 みねねが投擲したのは簡単に対人手榴弾。テロリストである彼女にとっては馴染み深い武器であったし、勿論殺傷能力だって十二分の威力を秘めた代物だ。 響き渡った爆音の反響が夜の闇に吸い込まれた時。 みねねの前方、爆発地点に一人の少女が立っている。 それは確かに手榴弾を喰らった筈の少女であった。が、どういう訳か煤を被っている以外に外傷はない。 "少女"はその可愛らしい口元を真横に引き裂いた笑顔を作る。 「こりゃあ随分なご挨拶じゃねーかおねーさん。いきなりこんないたいけな子供に爆弾投げつけるなんざ殺されたって文句は言えないぜ、ぎゃはははは」 みねねの顔が僅かに引きつる。目の前に居る存在の厄介さをやっと理解したようだ。 「………不意打ちで投げられた手榴弾の爆発をそうも完璧に避ける奴のどこがいたいけだ、クソガキ」 服のポケットからおもむろに携帯電話を取り出して軽く眺めて、みねねは出夢を見据える。 その瞳に乗せられている感情は明確に敵意。 匂宮出夢はここで改めて、目の前の女が《乗っている》と認識した。 どうも攻撃してくる様子がないところを見るに、出夢と殺し合う気はないらしい。 実の所種を明かせば、出夢は最初から何者かからの殺気を感じていた。 明確な殺気を感じていながら逃げ惑うことがないのは、さすが《殺し名》と言うべきか。 後は単純に―――とはいえ常人に真似出来る芸当ではなかったが―――、投げられた手榴弾の音に合わせて距離を取り、爆破してから爆破地点に戻ってあたかも爆死したかのように見せただけ。 言葉にすれば簡単なものではあるが、並の殺し屋なら失敗して敢えなく肉片だろう。 だがみねねに勝機がないとも限らない。 雨流みねねの持つとある《日記》があれば、如何に出夢が怪物じみていたとしてもかなり絶大なアドバンテージを得ることが出来る。こと《逃亡》においては右に出る者は居ない。 《人喰い》はその場から一歩も動きこそしないが、そこに隙は一切なく。 テロリストは静かに二個目の手榴弾を取り出して出夢を睨み付ける、そこには確かな自信があった。 片や余裕、片や――やはりある種の余裕があったといえよう。 「……だー、やめだやめ。初めから危ない橋は渡りたくないものね」 「懸命だと思うぜ、かくいう僕もあんま乗り気じゃなかったしな、ぎゃはは」 みねねは手榴弾をデイバックに戻し、携帯電話に記されている《日記》を確認する。 匂宮出夢からすれば警戒を解いた証だったかもしれないが、その《日記》に記されている事柄こそが雨流みねねの最大の切り札であり、同時に最大の弱点でもあるのだった。 いや……媒体の携帯電話そのものが最大の弱点というべきか。 「まあ少しお喋りとでも洒落混ませてもらいましょうか。丁度互いに《今は》やり合う気はないわけだし、情報交換しておくのも悪くはないだろう?」 「僕は構わねえぜ。ま、有益な情報なんざ一つくらいしか持ってねえけどよ」 「そうかよ。だがまずこちらから質問させて貰う――お前は何だ?」 お前は何だ。 その言葉の意味をすぐに察した出夢は、にやりとその少女の顔面を歪める。 まあそんな質問が出るのも無理はないよな、と心中では思っていた。 「僕は殺し屋だ。匂宮兄妹の兄の方。おねーさんもどうやら只の一般人って訳じゃなさそうだし、《匂宮》って言えば何となく僕が何者かは分かって貰えたろ、ぎゃははは」 全く分からなかったが、これ以上の詰問は無意味と判断する。 みねねとて一つの場所――或いは国――にいつまでも居座っている訳ではない、幾らテロリストとはいえ、裏社会の事柄に関して知らないことがあっても無理はない。 それに殺し屋なんて職業だ、そんなにほいほい身辺のことを話しはしないだろう。 幾ら何でも若すぎるとは思ったが、これ以上は時間の無駄である。 「で、その匂宮が持ってる《情報》ってのは何だ」 「あー……信じられなくても無理はねえと前置きしておく」 一呼吸。 「僕こと匂宮出夢は一度死んでいる。名簿にも僕が確かにこの手で《喰らった》奴の名前が載ってる――――因みに僕は腹を拳で根こそぎにされての失血死だった」 「…………成る程な、どうりでおかしな奴の名前が載ってる訳だ」 「驚かないんだな、《死人が生き返ってる》ってのに、ちょいと冷静すぎだろ、ぎゃははは」 これには流石の出夢も驚きだった。死者蘇生なんて圧倒的な非日常が今まさに目の前にあるというのにみねねは納得したような様子だ。 対する雨流みねねは、自らの中に渦巻いていた疑問が綺麗に解けるのを感じていた。 《サバイバルゲーム》の中で死亡した筈の男、《4th》こと来須圭吾。確かに消滅する瞬間を見届けた―――確かに《死んだ》人間の名が名簿に記載されている理由。 思えば至極当然、主催するのはあの使い魔、ムルムルだ。 時空と空間を統べる神、デウス・エクス・マキナに一番近い位置に居たあいつになら、因果律云々のちょっとした仕掛けで死亡する筈だった《ゲーム参加者候補》に延命処置か回復措置を取ることで今日この時まで保存していたと考えれば不思議はない。 「おいおい一人で納得してんじゃねえよ、僕にも説明してくれ」 話しても何ら問題はない。だがしかし、それをありのまま伝えるのはある種まずい。 《神》の使い魔が云々など伝えたところで引かれるかぶちギレられるかのどちらかだ。 仮に納得されても――《何故そんなことを知っているのか》を聞かれてしまえば最悪、《日記》について話さなければならないかもしれない。 優勝を目指すにあたり、いずれはこの殺し屋とも死合うことになる。 本当のところ、誰か適当な奴にでも殺されてくれれば一番有難い話なのであるが、出夢の実力から推測するにゲーム終盤まで生き残る可能性は十分にあるだろう。 ならば――自らの持つ秘策は、出来るだけ隠し通しておくに越したことはない。 もし情報を拡散されでもしたら目も当てられない、アドバンテージが一気にディス・アドバンテージに早変わりしてしまうことになる。 そして雨流みねねが取った選択は、単純なものだった。 安全性は確認できているからこそ、一切の恐れなく実行できる手段。 「じゃあな、匂宮出夢」 出夢の視界がたったの一瞬で白煙に包まれた。 スモーク弾。みねねも何度か世話になっている主に逃走用の小道具。 勿論普通なら背後の出夢に追い付かれる危険もあったろうし、出夢が本気で殺しにかかってくれば現在の装備で打ち勝つのはかなり無謀な挑戦だ。 では、何故自信を持って背中を向けて逃走なんてことが出来たのか。 それは全て―――雨流みねねの《未来日記》の性質に起因していた。 ■ 【未来日記(みらいにっき)】 一言で説明するならまさに言葉の通り《未来の事柄を表示する日記》。 選ばれし12人の日記所有者たちが《神の座》を巡り殺し合うサバイバルゲームにて用いられたそれは本来の未来とは分岐したこのバトルロワイアルにおいても所有者を助ける。 勿論デメリットも存在し、未来日記の所有者は日記が破壊されれば死ぬ。 自分の心臓が体外にもう一つ露出しているようなものである。 □ 「……ったく、情報だけ得て逃げるなんざ普段の僕なら殺してたぜ」 雨流みねねが逃げ去り、白煙も晴れてきた森の中――匂宮出夢は不満気に呟いた。 もしもいつも通りの《人喰い》だったなら今頃みねねは最悪肉塊になっていてもおかしくはない。 だが、今の出夢がみねねを見逃したのはとある理由からだった。 匂宮出夢にとって、雨流みねねとの情報交換は決して無益なものではなかったのである。決して明確な情報ではなかったが、みねねのあの不可解な態度からでも十分読み取れる。 この世界には、何かがある。 《殺し名》《呪い名》の域ではもはや説明さえできないような何かが。 根拠なんてものは《今ここに匂宮出夢が存在していること》で十分だ。 知る。 死人さえ蘇らせる世界の道理に反する理を知ってみたい。 これはもはや只の好奇心だった。 どうせ一度死んだ身だ、思う存分誰にも左右されずに動くのも悪くないだろう。 「えーと……ちょっといいかしら」 森の中に響くよく透き通った綺麗な声。 それに向かって振り向き、匂宮出夢はバトルロワイアル初の同行者を獲得する。 銀髪の美女。正確には人間ですらない人形が、そこにいた。 ◆ 出夢の追跡がないことと、《日記》にて危険がないことを確認して、ようやく一息吐く。 命辛々、というに相応しい邂逅であったが、得られた情報は決して無益なものではない。 死人が生き返っている―――それがムルムルの力であると仮説を立てられた。 即ちこの《ゲーム》を勝ち抜けば、雨流みねねの目的は達成できる。 「上等だ……サバイバルゲームだろうがルール無用の殺し合いだろうが、みねねの目的は何一つ変わりゃあしない」 自らを鼓舞するかのように敢えて結構な音量で独り言を言う。 テロリスト・雨流みねね。彼女の目的、それは――――《神を殺す》ということ。 自らの全てを奪った《神》を殺すことこそ、みねねの悲願。 「(匂宮出夢ねえ………あんな化物まで居るとなりゃあ結構難儀なことになりそうね、さすがにマシンガンで撃たれでもすれば死ぬだろうが……やっぱ手榴弾(こいつ)じゃ物足りないか)」 仕事の前には必ず成功した自分をイメージする。 参加者名簿を見る限り、雨流みねねの知る人物は四人といったところだ。 《サバイバルゲーム》にて敵対した日記所有者が三名、後は顔見知りの探偵が一人。 内一名はサバイバルゲームにて脱落、死亡した筈の人間である。 だがみねねが"9th"であった頃から危険視していた人物が、今のみねねにとっても最悪クラスの難敵といえた。 "2nd"我妻由乃。 と言っても本来の我妻由乃かは不明、《偽者》である可能性が非常に高い。 しかしその危険性は超一級、目的の為、愛する者の為なら手段を選ばぬ異常な少女。 匂宮出夢よりも、みねねには我妻由乃こそが最大の警戒に値する人物だった。 「だが…………あいつらも殺すことは変わらない」 "1st"にはある種の好感さえ抱いていたが、それも今は関係ない。 奴は甘い。恐らくこの殺し合いでも甘さを捨てきることができないはず。 そんなことで生き残れるほど甘いゲームではない――――きっと、些細なミスで破滅する。 2ndがなければ奴は無力に等しい。 容赦はしない。 神を殺す為に優勝してやる。 隻眼のテロリストは、闇の中で静かに動き出す――――――――。 【未明/B-1 森】 【雨流みねね@未来日記】 【装備 なし】 【所持品 M26手榴弾(残り二個)@現実、逃亡日記@未来日記】 【状態 健康】 【思考・行動】 基本 神を殺す為に優勝してやる。 1 匂宮出夢、我妻由乃には最大限に警戒。 2 もっと強力な武器を集める ※9巻、11thに手榴弾を投げる前からの参加です。 ◇ ―――聖杯戦争ではない。 アイリスフィール・フォン・アインツベルンは思考の果てにそう結論付けた。 理由は単純に、主催者を名乗る二人の人物は《第四次聖杯戦争》において名前すら挙がっていない人物であったからに尽きる。 彼女の夫、衛宮切嗣は優秀な《魔術使い》だ。 自らの魔術に驕らず、文明の利器を最大限に生かして戦う魔術師殺しの暗殺者。 更に彼の相棒というべき女性の力も相俟って、アイリスフィールたちは聖杯戦争におけるマスター達の素性を何のバックアップにも頼らずにある程度知ることができた。 その調査結果に、《フィアンマとムルムル》なんて人物は確かに居なかった筈だ。 素性の知れぬ輩も居るには居るが、あそこまで強大な魔術師が居たなら切嗣が察知しない筈がない。 「じゃあ……一体何が起きてるっていうの?」 理解不能。そんな四字熟語で、アイリスフィールの心境は説明できてしまう。 聖杯戦争関係者ですらない魔術師が、願望の成就などを語ることも、そして《願望器》を卸す為だけに生み出されたホムンクルスである自分がわざわざ呼ばれた意味も―――だが、何よりも不可解だったのは自らの体を蝕む異変が完全に消え失せていることだ。 《聖杯の器》であるアイリスフィールにとっては、体力の枯渇や体調の不良はまさにあるべくして起きた異変だった筈なのだが、何故かそれが全快している。 かの騎士王の宝具でさえ完全には癒せなかった不調を取り除くなど、有り得ない。 ―――フィアンマとムルムル、彼らは一体何者なのか。 少なくとも封印指定クラスの大魔術師であるのは明白だし、あの右肩に浮いていた歪極まりない腕、三本目の腕とでもいうかのようなモノは只の霊装でもなさそうだった。 宝具の域にさえ達するかもしれない、イレギュラーすぎる物質。 もしあの《第三の腕》が本来の使われ方をしたなら、きっと恐ろしいことになる。 「(切嗣……貴方ならきっと、このゲームに反逆するはず。大丈夫よ、セイバーと切嗣が居れば殺し合いなんて些細な障害に過ぎないわ)」 他には、強いて言えばあの豪放な征服王、イスカンダル。 あの大男も決して殺し合いに乗るような輩ではないだろう――――本来敵である存在だが、味方に付けられたなら相当頼もしい存在に早変わりだ。 決して、絶望的な状況ではない。 「(問題はこの首輪だけれど……こんな物でサーヴァントを殺せるなんてやっぱり信じられないわね……あの二人の言葉が真実なら、これを外せれば爆弾として利用できそう)」 尤も機械にはとことん疎いアイリスフィールに、そんなことは不可能だったが。 思う―――もしも聖杯で《争いの根絶》に成功したなら、こんな悲劇も防げたのか。 だとすれば、余計ここで死ぬわけにはいかない。 無様に逃げ惑ってでも生き続け、切嗣や他の参加者たちと共に帰らねばならない。 《器》である自分が死ぬことになろうとも、聖杯を切嗣の手に収めなければいけない。 幸い、只の無力な存在では終わらない、終わらせないだけの魔術はある。 《生き抜くため》に習得した術を使えば、殺し合いに乗った者を拘束することもできるはずだ。 かつて一度破られてこそいるが、それでも便利なことには変わらない。 その時、アイリスフィールはその可憐な顔面を訝しげに歪めた。 「言峰、綺礼――――――」 宿敵の名前を呟いたまさにその瞬間、彼女のやってきた森に白い煙が吹き荒れた。 思えば迂闊だったのだ、《大きな爆音がしたからとりあえず状況の確認を試みた》なんて、夫の衛宮切嗣が聞いたなら頭を抱えてしまうかもしれない。 煙に咳き込み、そして徐々に晴れていく視界に捉えたのは。 ―――幼い少女の、姿。 ◆◆◇◇ 「僕は匂宮出夢っていうんだ、ぎゃははは」 それが開口一番、アイリスフィールに放たれた言葉だった。 「私はアイリスフィール・フォン・アインツベルンよ、よろしくね、出夢ちゃん」 結論。アイリスフィールは匂宮出夢を信用した。 意外なことに、信用した理由は出夢の奇抜極まりない《服装》にあった。 拘束衣、そんなものを着ていては煙幕弾を撃つなどまさに不可能な芸当だ。 少なくともアイリスフィールの常識ではそうなっている。 それもそうだ、素手で拘束衣を引きちぎるような人間、しかも少女なら尚更そんな人間はいない。 「おいおいおねーさん。ちゃん付けはやめてくれよ、心は男の子だぜ」 「え……そうなの?」 世間知らずな彼女はただただ困惑せざるを得なかったが、とりあえず従うことにする。 「出夢くん……でいいわね、それじゃあ」 ぎゃははは、という出夢の笑い声が未明の森に響いていた。 しかしふと思い立ったようにアイリスフィールの方に向き直ると、笑顔のままで一つ、質問した。 「おねーさん、あんたってさ……死者蘇生のやり方って知ってる?」 【匂宮出夢@戯言シリーズ】 【装備 匂宮兄妹の拘束衣@戯言シリーズ】 【所持品 支給品一式、ランダム支給品×3】 【状態 健康】 【思考・行動】 基本 ぶらぶらする。特に殺し合う気はないが、襲われたら容赦しない 1 おねーさん(アイリスフィール)から《自らの知らない常識》について聞く 2 《自らの知らない常識》を調べてみる 3 おにーさん(戯言遣い)、零崎人識については保留、無理には探さない ※『ネコソギラジカル』、死亡後からの参加です ※服装は『ヒトクイマジカル』、西東診療所での服装です ※主催者が《死者蘇生》の技術を持っていると確信しました 【アイリスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/Zero】 【装備 なし】 【所持品 基本支給品一式、ランダム支給品×3】 【状態 健康】 【思考・行動】 基本 殺し合いには乗らずに、切嗣、セイバーと殺し合いを打倒する 1 出夢くんと行動してみる? 2 切嗣、セイバーを探す。他に信頼できそうな同行者も探しておきたい。 ※キャスター撃破後からの参加です。 ※体の不調は回復しており、少なくともバトルロワイアル中に進行することはありません。 【M26手榴弾@現実】 雨流みねねに支給。三個セットになっている。 マーク2手榴弾の後継として開発された代物で、《レモン》の俗称で呼ばれることがある。 【逃亡日記@未来日記】 雨流みねねに支給。所有者の《逃亡ルート》を予知する未来日記。 見える未来が三時間先までとなっており、破壊されれば当然所有者は死亡する。 【スモーク弾@未来日記】 雨流みねねに支給。逃走用の煙幕を発生させる。 原作では天野雪輝たちからの逃走に利用された。