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サムライ男に見る、最近の犯罪事情 2007年初旬、英国の地で押し込み強盗を働いた5人組がいたらしい。 彼らは駆けつけた警官2人をナイフで刺そうと襲いかかる。その時! 突如何処からか現れた侍が一人を斬り伏せ、逃げるもう一人も斬る! 結果警官は助かったが、“サムライ男”は既に姿を消していた……。 「……だそうだ、なんか何処ぞのVシネマ時代劇でありそうな展開だな」 「マイスター、マイスターっ。わたしも、ばば~んと活躍したいですの」 「うむ、最近はハイテク犯罪も多いし、その中でこそローテクは光るな」 「特に神姫犯罪は最近多いですの、わたし達の姉妹が悪い事してますの」 深夜のティーブレイク。暇な時は旧時代のニュースアーカイブを見る。 そして最近と比較していろいろ沈思黙考。これぞ私・槇野晶の休息だ。 昨今は……恐らく私が生まれ出る前から……この国は荒れ放題であり、 尚克アレ放題であるが、こういう“正義”にはやはり心動くな。有無。 「神姫犯罪か……奴ならどう思うのであろうな、割と普通の男だが」 「奴?えっと、ホビーショップ・エルゴさんちのお兄さんですの?」 「そう。奴めは典型的なヲタだが、知識も腕もあり、魂も暑苦しい」 「あう。マイスター、それを言うなら熱い魂だと思いますの~……」 「構わぬ!で、そんな奴なら“正義”について何か一家言あろう?」 成人男性としての評価はさておき、その心意気は私も買っているのだ。 OK、「幼女の癖に」とか言った奴は今すぐに根性焼きしてやろうか? ……まあ、表面上のみとか絵空事ならそこまでなのだが、万一もある。 技術的な相談事もあるし、今度行った時にでも軽く鎌を掛けてみるか。 奴が本物なら、さぞ有意義な議論ができるだろう。その折は……有無。 「……あの、マイスターっ。それよりも、それよりもっ!!」 「ん?ああ、すまない。危うく己の思考に溺死する所だった」 「新作のお洋服の仕上げ、もうすぐ終わりそうなんですの?」 そうだった。MMSショップ“ALChemist”のショップブランドである、 神姫用服飾“Electro Lolita”の新作を今は作っていたのであった。 先日渋谷でスキャンした最新モードの女性服。ああ言った物を参考に 私なりのアレンジを混ぜ込み、神姫のボディサイズに合わせていく。 この小さなキャンパスに感性を詰め込むのも職人(マイスター)の技。 「今回のお洋服もステキみたいですから、早く着てみたいですの♪」 「ああ、今回はクロスタイプだからもう少しで出来る。焦るなよ?」 「はーい。そして早くマイスターとおそろいで歩きたいですのっ!」 「う゛、どうしても着ろと言うのか……仕方ない“妹”だ、全くッ」 今回の“モデル料”で選ばれた洋服は、あろう事かスキャン元の服。 私のコンパクトボディに合わせた同じブランドの別物ではあるが…… これも“妹”を華やかにしてやりたい姉の心情なのかも知れないな。 「マイスターとおそろい、おそろいっ。おそろいの服~♪」 「出かけるのは明日だぞ?今晩はもう遅いから試着だけだ」 「はい。それだけでも、わたしはとても嬉しいですの~♪」 「ふふ……しょうがない“妹”だ。すぐに着せてやるッ!」 ──────今日も月が昇り、星に楽しい夜が訪れる様だ……。 次に進む/メインメニューへ戻る
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その御名は、誇りと想いと麗しの 今日は良い日だった。アルマは自らの忌まわしい過去をほぼ清算して、 クララは己の武器を見つけ、良い師にも出会った。本当に素晴らしい。 というわけで今日の祝勝会は、少し奮発して“エルゴ”近所の喫茶店を 訪ねる事とした。日暮にクララの戦闘ログを見せるのも目的だが……。 「いらっしゃい……あらあら貴女、エルゴさんに通ってる女の子ね?」 「有無。私の“妹”が此処の評判を聞きつけたのでな、来てみたのだ」 「初めましてですの。人間一人と神姫三人ですけど、大丈夫ですの?」 「ああ。神姫の為のコーヒーなら任せろ、大火力で相手してやるぞッ」 喫茶店“LEN”と言ったか?なんでも看板娘の神姫・レンが淹れる コーヒーは店主の物に負けず、食事が出来る一部神姫に好評らしい。 ……些か“大火力”の意味を測りかねるが、信頼は出来そうだった。 というわけで、コーヒーを四人分と人間用のパフェを一つ。それから 各々が好きな軽食を一品ずつ注文した。心地よいアロマが広がるな。 「はい、お待たせしました。そっちの娘、こんなに食べられるかしら」 「ああ、少々大食いでな……この程度ならどうにかなるか、アルマ?」 「大食いなんてひどいですマイスター!……でも、おいしそうかもッ」 「……アルマお姉ちゃん、行儀良くしようって話じゃなかったかな?」 その言葉で、ハッと息を呑むアルマ。そう言えば、無邪気に食べ出す 以前までとは違い、なんだか三人の行儀は……妙に良くなっている。 “いただきます”の挨拶も普段からするとは言え、今日はより丁寧。 「はむ……はむ……このチキンサンド、とってもジューシーですの♪」 「あむ……こっちのコブサラダ、スパイシーで凄く美味しいんだよ?」 「はむはむ……カツサンドが、とっても柔らかくて……大好きですッ」 流石に各々の好物を食べる時は、堅苦しさを微塵も感じさせないが。 何というか、そうだな……“雰囲気”に気を配っている様子だった。 一体何があったのか、私は聞いてみる事にした。答えは意外な物だ。 「ん。だって今日から、わたし達は正真正銘“戦乙女”ですの」 「ヴィネットさんの妹が“舞姫”である様に、責任は重いもん」 「うんと……なら、せめて立ち居振る舞いからしっかり、って」 “ヴィネット”。ここから割と遠くにある硝子工房、“Moon”の 看板神姫の名だな。確か私・槇野晶が、常連のオーダーで非戦闘用の ドレスを作る際、そこの硝子工芸品を利用したくて訪ねた事がある。 流石に上質な硝子細工を、あの地下室だけで作り上げるのは無理だ。 というわけで、その時はロッテを伴い直接交渉に赴いたのだが……。 『……貴女ね、名前には相応しい振る舞いって物があるのよ?!』 『きゃっ!?な、名前……ですの?えっと、“戦乙女”……って』 『そう名乗りたいなら、それらしいスタイルを心がけなさいッ!』 工房主・リカルドとの会話に割って入ったのが、ヴィネット嬢だった。 ロッテは当初から、外見よりも多少幼い印象を周囲に与えがちな娘だ。 自由奔放が過ぎる彼女の生活態度を、ガツンと一発叱ったのだったな。 そして叱責を受け止め反省したロッテを、ヴィネット嬢は撫でていた。 『フェスタの事もあり、つい言わずに居られませんでした』 『……ううん、気付かせてくれるのは有り難い事ですの♪』 『よろしい。じゃ、マスターの作品を少し見ていきなさい』 フェスタとは、ヴィネット嬢の“妹”である“舞踏の天使”たる神姫。 ヴィネット嬢がその霊妙なる歌声をもって“歌姫”と呼べるのならば、 フェスタ嬢のダンス映像を見た感想は、クララの言葉通り“舞姫”だ。 呼ぶ名・呼ばれる名に相応しい姿を、力を持つ言霊に負けぬ生き様を。 それは“神姫”という単語の段階で始まっている、彼女の信念なのだ。 「そうか。既にあの一件、アルマとクララに話したのだな?ロッテや」 「はいですの。今日からは二人も“戦乙女”……そう名乗りましたし」 「……あれだけの大見得を切ったのだから、ボクらも自覚しないとね」 「はいっ。今すぐ、あのお二人みたいになれなく……ならなくてもッ」 その出会い以来神姫同士投合したのか、メールでの交流が続いている。 優しくも厳しいヴィネット嬢の言葉は、ロッテ達三姉妹にもいい刺激。 そして今日は三人がその真名……二つ名を、堂々と名乗り上げた日だ。 再び逢えた時、誇らしくその名を口に出来る様に……堅い決意だった。 「それなら応援するが、焦らずともいいぞ?お前達はお前達だからな」 「はいですのッ!マイスターの“妹”として……“戦乙女”として!」 「大仰な二つ名に恥じないだけの、“神姫としての魂”を会得するよ」 「HVIFを使っていても……その志、大事に生きていこうかなって」 彼女らの想いが単なる憧れだけでない事は、私がよく実感していた。 ある時は私が見繕ってきたMMS用の楽器を鳴らし、またある時には 三人で机に向かい何かを特訓した……思えば、全部“コレ”の為だ。 疑念が解けた瞬間、私は皆の頭を撫でてやらずにいられなかったッ! 「……よく言った。成長を期待しているぞ、お前達ッ!」 名乗る権利を謳うからには、相応の義務と生き方を……という信念。 それは私自身の二つ名……“マイスター(職人)”にしても同じ事だ。 故に自らを奮い立たせる意味も込めて、私は某巨大掲示板を覗いた。 ウェアラブルPCを起動させPHSを接続、眼鏡に情報を映し出す。 「ふむ。お前達の事が、“三色の戦乙女”と話題になっているな」 「え、えっと……うん、もう引き返せない。引き返さないですよ」 「……アルマお姉ちゃん、真っ赤。大丈夫、この調子で行こう?」 「今日は二人ともとっても格好良かったですの。大丈夫ですの!」 ──────貴女達ならきっと、間違いない“戦乙女”になれるから。 次に進む/メインメニューへ戻る
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蒼天にて、星を描きし者(前編) そしてその日はやってきましたの。わたし達三姉妹がセカンドに向けて、 ついに扉を通る日がッ!……あ、申し遅れましたの~♪わたしはロッテ。 “マイスター(職人)”槇野晶お姉ちゃんと共にある、神姫が一人ですの♪ 今は皆、準備でてんてこ舞いですの。武装は用意出来たんですけど……。 「クララや、躯の洗浄が終わったなら服を選んでおくれ!時間がない!」 「分かってるんだよマイスター、ボクのは決まってるけど……大丈夫?」 「あうぅ……これも可愛くていいんですけど、こっちも棄てがたいです」 「わたしの予定時刻まで、もう一時間弱ですのアルマお姉ちゃん~!?」 わたし達は“服を着る神姫”、素体のまま外に出る習慣はないですの。 だから今日は下着と戦闘用補助アーマードレスに、お気に入りの一着を 着込んで、近所の秋葉原神姫センターに赴く事になったんですけど…… わたし達はマイスターのブランド“Electro Lolita”を背負う看板娘、 生半可なファッションセンスではいられませんの!だから、つい……♪ 「そういうロッテちゃんだって、決まってないじゃないですか~!?」 「こっちの水色のワンピースもいいんですけど、白のドレスも……♪」 「……こっちは大忙しだもん……マイスターの服選びも、大丈夫かな」 「む?う、有無……ストラップレスと長袖のどちらにしようかとな?」 「今日も四十度近くになるらしいし、日焼け対策次第だと思うんだよ」 どうしても皆、服選びや躯の洗浄には拘ってしまいますの。わたし達の オーナーであるマイスターは女の子ですし、わたし達もその辺の影響を いっぱい受けていますから、しょうがない所ですの。そんなこんなで、 準備が出来て皆で住居代わりのビルを出たのは、四十五分前でしたの。 「ふぅ……今日も街が灼けるな、水分補給しないと死んでしまうぞ」 「……ボクらも、熱暴走しない様こまめに冷却水を補給するんだよ」 「そうですね~……大事な日ですし、コンディションは大切ですッ」 「バッテリー充電率98.16%……他の機能も全部問題ないですの~♪」 そうですの、今日は高みに昇る日……昇進を賭けた試合の予定日ですの! この日の為に用意した“アルファル”他の装備も、バッチリカートの中。 ここ数ヶ月は、全て今日この時の為に使ってきたとさえ言えますの~っ♪ その割に、神姫センターで受け付け出来たのは刻限五分前ですけど……。 「サードの槇野晶様……神姫はロッテ、アルマにクララの三機ですね?」 「有無。事前に昇進試合への予約を通してあるはずだ、マッチメイクを」 「畏まりました……三機が応募してます。ランダムでよろしいですか?」 「構わぬ。どんな相手でもこの娘らならば、打ち倒してくれるだろう!」 「はいっ……では皆さんの試合をこれから準備します、お待ちください」 どうやら今日セカンドを目指しているのは、わたし達を含め六人ですの。 誰と戦う事かはわかりませんけど、マイスターの為に勝ってみせますの! ……と一人で集中していた時、マイスターの呼び出しが掛かりましたの。 『槇野晶さん、ご希望のバトルが開始出来ます。オーナー席にどうぞ』 「よし……さ、まずはロッテだ。姉妹達に、しっかり見せるのだぞ?」 「ロッテちゃん!……頑張ってくださいね、勝てると信じてますっ!」 「……大丈夫。これまでの積み重ねを大事にすれば、必ず行けるもん」 「はいですのっ!!皆、見ていて下さいですの……わたしの、戦い!」 マイスターに促されるまま、エントリーゲートを降下していきますの。 サイドボードへの武装装填完了を示すシグナルを確認して、準備OK! 選んで身につけた水色のワンピースを翻して、発進位置へと付きます。 ここで“意識”がヴァーチャルフィールドに投影される仕組みですの。 降下を完了したわたしの意識は、ゲートの閉鎖と同時に揺らいで……。 『ロッテvs狛恵、本日のサードリーグ第7戦闘、開始します!』 「ヴァーチャル化完了……では、行きますの~っ!!」 次の瞬間には、水平なレールを電磁加速する様に打ち出されていました。 そうして駆け出していったのは、最初の戦いでも使った古戦場でしたの。 ただ今度は、バトルのダメージを反映してか剣が突き立っていますけど。 でもじっと見ている暇はないですの!空を切る様な砲弾の音が、すぐ側を 切り裂いて……直後にわたしの躯は軽く吹き飛ばされましたの……痛ッ。 「きゃっ!?遠距離からの砲撃、でもフォートブラッグ程じゃ……!?」 『これは……ロッテ、相手は砲撃特化のハウリン系列だ!!』 「“砲狗の”狛恵、行きますッ!ドラドラドラドラドラァッ!!」 「く、確かに……大きな姿が見えていますの!」 「むむ、見つかりましたか!でもアタシは、破壊するのみですッ!」 「きゃあああっ!?く、このままじゃ……!」 カメラアイで見たのは、四肢……自分の脚とパックパックの補助脚……を 地に降ろし、両手・両肩・胸・背中の火器でわたしを撃つ神姫でしたの! 短くカットされた榴弾砲やミサイル、ガトリング……実弾ばかりのそれは 質より量という勢いで、わたしの服を灼き焦がしていきますの……でも! 「……でも数撃てば当たる、という悠長な結果は待てませんのッ!」 「そんな丸腰の姿で何が出来ますかっ!一気に殲滅してあげますッ!」 「黙ってやられはしませんの……“フィオナ”ッ!」 『Yes,sir(強襲します)』 わたしがその名を呼んだ時、夜闇の空に逆三角形状のラインが生まれ、 それに沿って“妖精の騎士”が、UFOの姿で飛び出してきましたの。 下部に据え付けられたのは、二挺のビームガトリング“セイバー”…… 青き流星は、そのまま戦場へ降下して狛恵さんに威嚇射撃をしますの! 「うあぁぁっ!?あれはぷち、いや……レインディア・バスター!?」 「そっちがオリジナルの砲撃支援システムなら、こっちは……!」 『“W.I.N.G.S.”……Execution!』 「変身、した!?聞いてた姿と違います、その服と剣は一体……!」 「蒼天の旋姫(セレスタイン・ヴァルキュリア)の、真の姿ですのッ!」 フィオナが作り出した一瞬の隙を使って、わたしは戦闘の為にある姿を 呼び出しましたの。それは即ち、アーマードレス“レーラズ”と魔剣! 煤けたワンピースは消えて、手先や足首まで覆う青のドレスがわたしを 包んで、両の腰にライナストとフェンリルが光の中で装着されますの。 シンプルな“変身”で驚かせましたが、ここから“本番”ですの~っ♪ 「虚仮威しでしょう、春の大会でのマグレには騙されませんッ!」 「マグレかどうかは……これから貴女に確かめてもらいますのッ!!」 ──────さぁ、ここからが天国への階段ですの! 次に進む/メインメニューへ戻る
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草薙蓮とおちゃらけ神姫たちの修業日誌 あらすじ 神姫初心者の女子高生とけして従順とはいえない神姫たちの奮闘日誌 蓮「こ、これを見られちゃうんですか…?」 著 神姫の父 めにゅう 設定資料 (日誌その 現在) 〔登場人物紹介〕 〔登場神姫紹介〕 世界観設定、登場キャラクターは「橘明人とかしまし神姫たちの日常日記」から多数登場します。 「橘明人とかしまし神姫たちの日常日記」の設定等 《登場人物紹介》 《登場神姫紹介》 《特別設定》 《特殊武装》 《人型神姫インターフェイス》 《八相》 本編 日誌その1 ? リンク大歓迎です。「使ってやろうじゃないの」というお方は是非とも使ってやって下さい。 なお、リンク時には上記の設定資料を参考にしていただけると幸いです。 作品中『ホビーショップエルゴ』、『MMSショップ“ALChemist”』、『喫茶店<日々平穏>』 には「かしまし日記」同様の世界観として大変お世話になっております。 『ホビーショップエルゴ』 HOBBY LIFE,HOBBY SHOP:Gの人氏 『MMSショップ“ALChemist”』 妄想神姫 妄想の人氏 『喫茶店<日々平穏>』 春夏秋冬 永眠者氏 ご意見やご感想、リンクの申請、ご要望等ありましたらこちらへ書き込みよろしくお願いします。 今日 - 昨日 - 総計 -
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4th RONDO 『そうだ、神姫を買いに行こう ~3/4』 「こいつらが飛んできたせいで彼女が転んだんです」 警備員にそう言って、動かなくなった武士と騎士 (眠っていてもその顔はやはり濃かった……) を渡した後、こっそりと連れてきたレミリアと白黒神姫二体を人気のない玩具コーナーの箱の影に立たせた。 片腕が破損したアームパーツを外し、レッグパーツだけを装備しているため不自然に足が長くなり見た目のバランスが悪くなったレミリアは、色褪せた “リボルテックせんとくん” の箱に寄り掛かり、クールに腕を組んでいる。 「第三のヂェリーって知ってる?」 見た目はニーキと変わらないはずなのに、甲高い声もフレンドリーな性格もあの偏屈悪魔と大違いだ。 姫乃はどのようにあのストラーフを育てて、あんなへそ曲がりにしてしまったのだろうか。 レミリアの右側では、黒い神姫がいつの間にか武士と騎士から拝借した剣二本を両手に持って、振ったり眺めたりしている。 レミリアを挟んで左側の白い神姫は、さっきからずっとモジモジクネクネと落ち着きがなく、時折俺と目が合ったかと思うとものすごい勢いで顔を背け、またチラリチラリとこちらを向いている。 蒼く丸い瞳を上目に何かを言いたげだが、口を開きかけてもすぐに 「あ……」 と目を逸らしてしまう。 これでは話しかけようにもまともに会話なんてできないだろうと思い、とりあえず白い神姫は放っておいてレミリアの話に乗っかった。 「ヂェリー? なんだそれあぁっつあたた痛い!」 「神姫用の添加剤みたいなものよ。 口から飲むんだけど、神姫にとってのビールみたいなものなんですって」 姫乃は平然と解説してくれるが、血が止まりかけていた切創から再び血がにじみ出るくらい俺の手を握り締めてくれた。 「なにすんだよ! 俺の痛がる姿をそんなに見たいか!」 「ん? あ、うわ!? ごめん弧域くん! なんで私こんなこと――」 パッと手を話した姫乃には本当に悪気は無さそうなのだが、 「んー、でもなんでだろ。 なんとなく弧域くんに裏切られたような気がするのよねぇ」 と首を傾げてワケノワカラナイコトを言う。 「勘弁してくれよ……それで? その第三のヂェリー? がどうしたよ」 「第三のヂェリーって最近になって発売されたものでね、普通のヂェリーに似せてつくられた安物なのさ。 不味くはないし値段も半分くらいで悪いこと無しみたいだけど、ヂェリー好きの神姫にとっちゃあ飲めたものじゃないよ」 「ふうん。 神姫の世界も世知辛いもんなんだな」 「一日中お客さんの相手をしてさ、神姫にイタズラしようとする悪ガキだとか、万引きの見張りだとか、ある意味バトルより大変なんだよ、私達の仕事。 まぁ、だからこそ仕事上がりのヂェリーは格別なんだけどね」 「……まさか、あそこで労働条件がどうとかって叫んでる神姫達の要求って」 「今拡声器で叫んでるアーンヴァルはフランドールって名前で、私と同期でこの仕事も随分長いんだけどさ」 《繰り返す! 店側は第三のヂェリー支給を即刻撤回し、今までどおり普通のヂェリーを支給せよ!》 「新人の時からヂェリーのために生きてるような神姫でね。 いつものヂェリーが第三のヂェリーに変わった途端、他の神姫をまとめ上げてこの騒動、ってわけ」 「す、すごい行動力ね」 「あん? そのヂェリーが変わったのっていつの話なんだ?」 「昨日だけど」 「見切り発車すぎるだろ! もうちょっと作戦とか練れよ!」 「私に言われてもなぁ」 「お兄さんの言うとおりだよまったく。 おかげでボクと、」 黒い神姫は白い神姫を親指でクイッと指差して、面を膨らませている。 「エル姉がとばっちりを受けてるんだから」 見た目だけでなくその仕草もどこか背伸びした子供っぽい。 「どういうこと?」 「私達アルトレーネ型とアルトアイネス型は第三のヂェリーと同時期に発売されて、イメージキャラをやってるんです。 テレビのCMを見たことありませんか? 二人一緒にヂェリーを一気飲みするんですけど」 あ、もちろん私とメルが出てるわけじゃないんですけどね、と白い神姫エルは付け加えた。 「ボクとエル姉は起動されてから、ヂェリー売り場でずっと売り子をやってるんだ」 大学生になってからは部屋にテレビなんてないし (パソコンで十分だ) 、CMも久しく見ていないからそもそもヂェリーの存在すら知らなかったわけだが、それが神姫にとってのアルコールならば、アーンヴァル型のフランドールだったか? あいつが店に反旗を翻したくなるのも分からないでもない。 神姫達の雇用者が安上がりなものを選んだところで、そんな事情を神姫達に理解しろと言っても 「はいそうですか」 とはならないだろう。 ヂェリーの味は神姫にしか分からない。 普通のヂェリーと第三のヂェリーの違いなんて、人間からすれば広告通り 「昨日までのヂェリーと変わらぬ美味しさ」 なのだ。 仮にあのフランドールが立ち上がらなくても、いずれ他の神姫が彼女の代わりとなる運命なのだろう。 「だからボクとエル姉にお客さんの前で第三のヂェリーを飲ませた後、 《なにさこれ不っ味ぅぅうううい!》 って言わせるつもりらしいんだ」 「第三のヂェリーは売れなくなる。 市場から第三のヂェリーが消える。 自分達のヂェリーが元に戻る。 やったあ! ――って寸法なんだってさ。 いくら日本が狭いといっても、どれだけの数のヂェリーが出まわっていると思ってるんだろうね」 やれやれ、と首を振るレミリアの釣り上がった口からは、この状況を呆れているのか楽しんでいるのか区別がつかなかった。 「あなたたち三人だけがこの作戦に反対したの?」 「レミリア姉さんの他にも私とメルを庇ってくれた神姫はいるんですけど……」 「今はあそこでまとめて縛り上げられてるよ。 みんな腕はあるんだけど、いかんせん多勢に無勢ってとこだね」 フランドールを頂点とした玩具箱のピラミッドの最下層に、四体の神姫がガムテープでぐるぐる巻きにされてうな垂れている。 その隣に乱雑に放置されたパーツの山は、剥ぎ取られた武装なのだろう。 「こっちの半過激派は残り三体であっちの過激派は多数か。 俺が行ったとしても警備員に止められるだけだろうし、これは警備員が強攻策に出るのを待つしかないか」 「……そうだねぇ。 それしかない、か」 レミリアの甲高い声にわずかに影が落ちた。 神姫にもこんな表情ができるんだなと思わせるような、ふっ、と遠い目がフランドールへ向けられる。 「なにか、それじゃ駄目な理由があるの?」 「できれば私の手で、そうじゃなくてもせめて神姫達だけで解決したかったんだけどね。 仕方ないか」 「そうだよな。 やっぱ古くからの友人が突っ走ったら自分の手で止めたいもんな」 「……うん。 まあ、それもあるんだけどさ……」 「考えてもみてよ。 もし神姫が暴走したとして、捕まえられた後は何をされると思う?」 レミリアの言葉をメルが引き継ぐ。 それは神姫に限らない話だ。 どんなロボットだろうと、暴走を始めたならばまず緊急停止。 そして安全を確保した上で原因究明。 もし暴走の原因が突き止められなかったとしたら―― 「……リセットされるか、メーカーに送られる?」 「お姉さんは優しいね。 お姉さんみたいな人に買ってもらったストラーフ――私の妹はきっと幸せ者だよ。 リセットされるだけなら、まだいい。 メーカーに送られて身体も心も新品同様になって帰ってきたとしても、まだいい。 お客さんに危害を加える可能性があったり営業に使えない神姫は破棄されるんだ。 ……店のデータが漏れないようにコアとCSCをハンマーで粉々に砕いた後でね。 ま、結局残った素体に新しいコアとCSCを組み込むだけだから、普通にリセットされるのと変わらないんだけどね」 気丈にそう言うが、レミリアが過去に神姫のコア――頭部を破壊されるところを間近で何度も見てきたことが痛いほど伝わってくる。 本人は堪えたつもりだろうが、震えた声でそんなことを言われて、こっちまで……泣きたくなる。 「せめて神姫達だけで解決できたら、店も少しは考えてくれるかなって思ってるんだけどね。 ……甘い考え、かな」 姫乃が俺のシャツの裾を今にも泣き出しそうな、縋るような顔で掴んだ。 「弧域くん……」 俺だってなんとかしたい。 なんとかしたいが。 「もうアイツらは事を起こした後だ。 今からレミリア達だけで解決しても正直、フランドールが無事でいられる可能性は……」 「それでもアイツは私の、たった一人の同期なんでね。 少しでも可能性があるならそれに賭けてみるよ。 申し訳ないね、お客さんにこんな話を聞かせちゃってさ。 これは私達の問題だから、私達で解決してみせるよ」 片腕になったアームパーツを再び背負ったレミリアは軽く背伸びをして、湿っぽい雰囲気を吹き飛ばすように 「さて!」 精一杯の笑顔を見せてくれた。 「あのアル中のこと、いつか殴ってやらないとって思ってたんだ。 いい機会だし、一発ガツンとやってやるか!」 「ボク達も行くよ、レミ姉」 「一人よりも二人、二人よりも三人ですからね」 武士と騎士が持っていた刀と剣をそれぞれ持ったエルとメルが、レミリアの後に続く。 剣一本とはいえ素手よりはマシでも、相手は完全武装した神姫だ。 戦力としては圧倒的に劣る。 「待て待て。 お前ら玉砕覚悟で正面から行くつもりだろ。 さっきはレミリアのアームが折れるだけで済んだけど、今度はそうはいかないぞ」 「もちろん、そんなこと分かってるさ。 ベテランの悪魔型一体に、剣の扱いに長けた戦乙女型が二体。 それでも数の暴力には敵わないだろうね。 それでも私達は――」 「無駄死は許さん。 もう目の前で神姫が壊されるのはこりごりなんだ」 レミリアの話で思い出したくもないことが頭に浮かんでしまった。 こいつらがあのマオチャオのようになるなんて、そんなことは断じて許さない! 「二十分――いや十分待て。 突撃はそれからだ」 出鼻を挫かれたレミリア達と姫乃を残して、俺はその場を離れた。 《再々度繰り返す! さっさと普通のヂェリーを渡しなさい! いつまで待たせる気だ!》 痺れを切らしたフランドールがもう天使とは程遠い要求をし始めた頃。 依然その周りを囲む店員と警備員、どんどん増えていく野次馬達に紛れて、俺達はできるだけ囚われた神姫達に近い方向へ回りこんだ。 「そろそろだ。 準備はいいか」 足元の神姫達が頭を立てに振ったその時、フランドールを守るように堂々と立っていた神姫達が俺の放った “それ” に気づいた。 「なんだあれ、こっちに来るぞ」 「あれは……ホイホイさん? 売り場から逃げ出したのだろうか?」 背丈は神姫より幾分低く、3.5頭身の体にピンク色の長い髪と大きな丸い目をつけた顔は常に笑ったまま。 頭に兎の耳のようなリボン。 メイド服のようなエプロン姿に――凶悪な機関銃。 「いけ、ホイホイさん(重戦闘Ver.)! 奴らを蹴散らせ!」 警備員の目を盗んで神姫コーナーに放り込んだホイホイさん(重戦闘Ver.)はピラミッドに陣取る神姫達を害虫と認識し、たった一人でもまるで臆することなくフルオート射撃を放った。 機関銃の反動に身体を震わせながらも変わらぬ笑顔が怖い。 「う、うわぁなんだアイツ!?」 「ガッ!? ク、クソッ被弾した! 十二号より本部! 十二号より本部! 未確認の敵が出現! 指示を!」 「本部てっどこ、う、うわぁ!」 殺虫剤すらものともしない “黒い閃光” を殺傷するほどの弾丸の嵐が神姫達に襲いかかる。 さっきまで雛壇のように並んでふんぞり返っていた神姫達はあっという間にその統率を失い散り散りになった。 「あのホイホイさんどうしたの? まさか、お店の?」 「いいや、十分前に俺の物になったホイホイさん(重戦闘Ver.)だ」 姫乃達と一旦別れた後、ホイホイさん(重戦闘Ver.) と電池を買ってトイレで組み立てたのだ。 もしホイホイさん(重戦闘Ver.)の起動にパソコンが必要だったらアウトだったが、さすが老若男女問わず人気があるだけあって、電池を入れるだけで最低限の機能 (目前の害虫を駆除) は働くらしい。 「くそっ、たかがホイホイさん一体如きに怯むな! おい、そこのお前達も後ろに隠れてな……あ、な、何故お前達が!?」 「それはもちろん、あなた方がホイホイさんと遊んでらっしゃる間にですわよ。 先程はよくもやってくれやがりましたわね」 エルとメルが開放した囚われの身だった神姫達は武装を取り戻し、先頭に立つお嬢様言葉の神姫は景気付けと言わんばかりに最初の一体を吹っ飛ばした。 「ぎゃっ!?」 強烈な打撃を放った後も悠然と歩くお嬢様の後に他の神姫も続く。 「もうエルとメルを庇う必要はありませんもの。 今度は全力で相手をして差し上げますから――全力で後悔なさい!」 助け出された四体とエル・メルがホイホイさん(重戦闘Ver.)の弾幕を前に慌てふためく神姫達に果敢に向かっていき、そこからはカンフーアクション映画のような乱戦となった。 当然神姫の事情など知ったことではないホイホイさん(重戦闘Ver.)は誰彼かまわず攻撃するが、新たに戦場に加わった神姫達はその程度の銃弾などものともしない。 エルとメルも流石は戦乙女型というだけあって、剣で弾を上手く捌きつつ戦っている。 この調子だと、雑魚達はすぐに片付くだろう。 残りは―― 「やっぱり私の邪魔をするのか、レミリアァ!」 「私を助けてくれる、と言ってほしいね。 フラン」 頂点から憤怒の形相で見下ろす天使と、麓から陽気に見上げる悪魔。 二人の間を遮る神姫はいない。 「不味いヂェリーなんて何の価値もない! アンタだってそう思うでしょう!」 「にゃはははそのとーり! コクの無さといい喉越しの悪さといい、第三のヂェリーなんてもはやヂェリーとは呼べないね!」 「だったらどうして私の邪魔を!」 「――でもね、フラン」 諭すように、レミリアは友へ話しかける。 ゆっくりと、一本だけとなった腕を後ろに引いた。 その腕の先には、メルが騎士を殴った携帯 「あれ? あの携帯……」 がある。 「どんな理由があっても、神姫は人に害を与えちゃいけないんだよ」 「黙れ! 一人でいい子ぶって、お前はいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつも!!」 フランドールが蹴り飛ばした拡声器が音を立てて落ちた。 閉じていた翼が主の激昂に呼応するように広がる。 戦闘機のような、硬く、冷たい、天使の翼。 柔らかく軽い羽などない。 そこにあるのは、獲物を消し去る鋼鉄の爆薬。 「いつも――――正しいことばかり言う!!」 「悪魔型のくせに、って? そりゃそうだよ。 友が道を踏み外したなら、それを正すのもやっぱり友なんだよ」 フランドールが翼をさらに大きく広げた。 レミリアが身体を大きく捻った。 姫乃がスカートのポケットをまさぐった。 「私を見下すなああああああああああ!!!! 『 禁弾――!』」 「何度でも、何度でも、私が正してやるさ、友よ。 『 神槍――!』」 『 ス タ ー ボ ウ ブ レ イ ク ! ! 』 『 ス ピ ア ・ ザ ・ グ ン グ ニ ル ! ! 』 不規則な軌道を描きながら飛来する幾本ものミサイルを突き破りながら、レミリアの槍(姫乃の携帯電話)はフランドールに直撃し、フランドールは携帯電話と一緒に頂上から落ちていった。 少し遅れて、槍の驚異から逃れた数本のミサイルがレミリアに着弾した。 いくら小型軽量とはいえ神姫にとっては重さがある携帯電話を投げる無茶をしたことで、エネルギーを使い果たしたレミリアはミサイルを防ぐことも躱すこともできず、飛来した全弾を浴びて倒れた。 「わ、私の携帯……」 NEXT RONDO 『そうだ、神姫を買いに行こう ~4/4』 15cm程度の死闘トップへ
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ここは、新たにバトルコンダクターを始めるマスターがスムーズに始める為に必要な情報のみを記すページです。 詳細な攻略情報を集めたい方は、wiki内の他ページもご覧下さい。 ※実際のゲーム画面や操作等の詳細な説明は公式サイト、操作マニュアルに纏められているので、そちらも併せて参照して下さい。 ゲームでの疑問のあれこれは → よくある質問 武装神姫に関して武装神姫って何?知らなくても遊べる? ゲームプレイに関してとりあえず何を準備したらいい? e-Amusement passってどこで手に入る?他のカードじゃダメ? 初回プレイの注意点 大まかな初回プレイの流れ 初回プレイ後の注意点 デジタル神姫って? 神姫をカード化したい! 2回目以降のプレイの流れ 神姫のレアリティは?個体差はある? 高レアリティ/個体値が高いカード以外はゴミだったりする…? もしかしてめちゃくちゃお金かかる? プレイできる店舗はどこ? 武装神姫に関して 武装神姫って何?知らなくても遊べる? 武装神姫は2006年からKONAMIが発売し、現在はコトブキヤにてプラモデル化企画が進行中のオリジナルアクションフィギュアシリーズです。 「2036年に人間の日常生活のサポート用メカ兼バトルホビー玩具として発売された小型ロボット」という基本設定があるだけで、基本的には個別の背景や設定があるわけでもありません。 特にアニメが元ネタとか、ゲームやってないと~ってこともないので気になったら即100円投入ですよ!ますたー! ゲームプレイに関して とりあえず何を準備したらいい? 初プレイに必要なものはe-Amusment Passと呼ばれるICカードとチュートリアル用の100円玉1枚のみでOK ICカードを介して初めてプレイする時のみチュートリアルモードがプレイ可能なので、まずはそちらで操作を学ぼう! かなり複雑な部分もある上にチュートリアルはかなりの速度で進むので公式サイト、操作マニュアルである程度の予習をしておくことを推奨します。 e-Amusement passってどこで手に入る?他のカードじゃダメ? e-Amusement Pass対応ゲームを設置しているアミューズメント施設に設置されているカード販売機にて購入することが可能。武装神姫の筐体そのものからは購入できないので注意! 武装神姫設置店舗には絶対どっかにはあるはず…。 値段は300円。余談ながらAmusement ICマークがついてるものであればネシカだろうがバナパスポートだろうがなんでもいいです。 詳しくはコチラ 初回プレイの注意点 初回プレイでは ICカードに登録する4桁のパスワード(新品のICカードを使用する場合のみ) 自身のマスター名 自身の誕生日 自身の性別(武装紳士or武装淑女) 自身の職業(学生or社会人or武装貴族) の登録を行います。マスター名等は事前に考えておきましょう。 またICカードに紐付けられるパスワードは今後プレイの度に要求されます。覚えやすいものにしましょう。 大まかな初回プレイの流れ 基本はゲーム画面に沿いますが… 初回プレイでは最初に神姫カードを読み込ませますが、その際チュートリアル用の神姫を借り受けて使用します。 その後、神姫ハウスへ移動。各神姫にタッチしてコミュニケーションを取ったり、キャッキャウフフ ↓ カスタマイズ画面で武装選択 ↓ チュートリアルバトルへ ↓ 最後にランダムでデジタル神姫を無料で一体プレゼント という流れになっています。デジタル神姫に関しては後述。 初回プレイ後の注意点 初回プレイを終えたら、必ずe-amusementサイトにてICカードデータを登録しましょう。 カードを紛失・破損した場合でもデータを新しいカードへ移すことが可能になります。 仮にあなたの使用しているICカードがバナパスポートカードやネシカだったとしても、KONAMIのゲームデータはe-Amusementサイトに登録しなければ復旧できません。 例えばバナパスを使用した場合、バナパスポートカードサイトにのみ登録してもバンダイナムコ関連のゲーム以外はデータ移行が行えないので注意してください。 デジタル神姫って? デジタル神姫は1枚のICカードに最大30体まで保存しておけるデータ上の神姫です。 デジタル神姫はそのままではチュートリアル用の貸し出し神姫よりも弱い上に親密度や経験値も獲得できないので、実用のためにはカード化が必要です。 「カードコネクト」筐体にてカード化することができ、その際に神姫のレアリティやステータス、個体値、胸の大きさが決定します。 神姫をカード化したい! カードコネクト筐体にICカードをかざすことでデジタル神姫をカードとして発行が可能です。 ICカードを読み込み後、メニューを下方にスクロールして「武装神姫」を選びましょう。 その中からカード化する神姫を最大5枚まで選択し、カード化する枚数×100円を投入することでカード化可能です。 余談ですが、このカードコネクトの印刷にはめっっっっちゃくちゃ時間がかかります。 目当ての神姫がある程度揃ってしまえば、カード化に並ぶ必要もなくなるのでデッキが完成するまでの試練だと思って耐えましょう…。 カードコネクト上ではデジタル神姫を20体しか読み込めないため、20体以上のデジタル神姫がいる場合は神姫ハウス→神姫カード整理からカードコネクトに送信する神姫を予め選択しておく必要があります。 この時、溜め込んだデジタル神姫を消去しておくことも可能です。30体以上のデジタル神姫は持てないので枠が上限いっぱいになりそうな時に活用しましょう。 2回目以降のプレイの流れ 2回目以降も基本はチュートリアルと変わりませんが、神姫ハウスで神姫と触れ合うことでバトル前に親密度とステータスを若干上げることが可能になり、バトルでは全国対戦もしくはオフラインバトルのいずれかが選択可能になります。 また、全てのゲーム終了時に神姫ショップが開放され、ランダムでデジタル神姫を獲得することが可能になります。(いわゆるガチャ) その際、「1体獲得or5体獲得or獲得しない」が選択可能で、獲得数に応じたクレジットを追加投入する必要があります。 神姫のレアリティは?個体差はある? 神姫のレアリティはUR、SR、R、Nの4種類。 神姫カードの右下にはそれぞれ1~5個のステータスアイコンが記載されており、その数が多いほど若干ステータスが高いです。 ついでにカード裏に胸のサイズボディサイズの記載があります。こっちのが重要だよなぁ? 高レアリティ/個体値が高いカード以外はゴミだったりする…? 本ゲームには編成コストシステムがあり、最大7。URは4、SRは3、Rは2、Nは1がコストとして割り振られています。 その関係上、URを使用する場合は必ずNと組まねばならず、URやSRとは組むことはできません。 SRを使用する場合でもSR、SR、NもしくはSR、R、Rが最大の編成になります。 高レアリティの神姫は確かに強力ですが、被撃破時のジェム喪失量が異様に多く、決して「URが入っている編成が至高」といえるようなバランスではありません。 おまけにこのゲームはNがかなり出にくいため、様々なレアリティの神姫を確保しておくことを推奨します。(特に推しはURとSRどっちも欲しいよね…。) また、個体値は確かに若干の差はあるものの個体値アイコン5つのものと個体値アイコン1つのものでは5~10と基礎ステータスに誤差程度の差しかなく、加えて個体値アイコン1つのものの方が伸び率はいいようになっています。 あったらラッキー程度のものなので、それほど気にする必要もないでしょう。 もしかしてめちゃくちゃお金かかる? いわゆるガチャゲーなのでゲームを始めたての頃はすごい勢いで金が吹っ飛びます。 100円で遊んで、500円でガチャ引いて、500円でカード発行して…のループになること必至です。 しかしながら、ある程度カードが揃ってしまえば基本料金の100円だけで遊べるゲームになります。 加えて、全ての神姫のフルコンプを目指すわけでもないなら、基本はデジタル神姫として所持するだけで目当ての神姫のみカード化する方向で資金を貯めておくことも可能です。 また、カードとICは紐付いていないので、ガチャがイヤすぎる!という場合は「だからまおが言ってやったのにゃ~」などを用いて予め望みのカードを入手してからスタートしてもいいでしょう。 胸のサイズにこだわると死ぬぞ プレイできる店舗はどこ? 公式サイトの神姫センター一覧を見よう。
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戻る TOPへ 次へ 一回戦目はシルヴィアの粘り勝ちだった。 一撃離脱を繰り返すシルヴィアと、数少ない反撃のチャンスを物にする敵マオチャオ。時間経過と共に両者に蓄積されるダメージ。三度目の格闘戦にもつれ込んだ際に功を焦った猫型が迂闊なステップを踏み、そこをマグネティックランチャーで迎撃。接近の間合いで放たれた高速貫通弾は猫型の装甲を貫いた。 敵は一回戦目から持久戦に陥った事により焦れていたのだろう。だがおれ達のテンションは最高にクールだった。御影キョウジと《ミラー・オブ・オーデアル》マスターミラーを倒す。この目標を掲げるシルヴィアは焦りが生じやすい持久戦の中でも勝利を見逃す事は無かった。 二回戦目までまだ間がある。控え室に戻り、備え付けの自販機でホットココアを購入。シルヴィアには神姫サイズのアップルティーを買ってやる。コーヒーブレイク。二人とも珈琲飲んでないけど。 神姫サイズの紙コップにアップルティーが注がれていく様を見て、おれはまた昨日の出来事を思い返していた。 ツガル戦術論 鏡の試練 後編5 エルゴのバトルフロア。バトル観戦の途中でブレイクタイム。休憩スペースに備え付けられた自販機を認める。マスターミラーに飲食出来るのか確認し、ミラーの好みに合わせてドリンクを選ぶつもりだったが、その必要は無いと彼女に言われた。 飲食が出来る神姫と一緒に食事する際は、マスターの分量を神姫に分けてあげるのが普通だ。武装神姫と言うバトルサービスが市民権を得ているとは言え、神姫と食事をするユーザーが一般的に多いわけではない。神姫用フードサービスなどは見たことは無いし、もし現実的な状況になったとしてもコスト的な観点から普及はまだまだ難しいだろう。かと言ってマスターが神姫のために人間一人前を注文しては無駄な出費が多い。そんな重箱の隅に転がる要望にいち早く応えたのが通称「ちっちゃい物研」。彼らは神姫サイズまで小型化された自動販売機の製作に着手したのだ。自動販売機の概念発祥は紀元前の古代エジプトまでさかのぼり、国内に於けるメカトロニクスの元祖は二十世紀初頭に完成されていたが、新世紀から四半世紀を余裕で過ぎた今日のテクノロジーを以ってしても紙コップ自販機の、あの『飲み物が流れた後に紙コップが降ってくる』悲劇は健在だった。 神姫のドリンクを缶で提供するにはあまりに大掛かりな投資になる。紙コップ式の選択は必然と言えた。だが前述にある悲劇の存在が技術者達の行く手を阻む。神姫達にあの悲劇を味あわせてなるものか! かくして男達は立ち上がる。だが製作は難航した。突貫作業でこさえた試作一号はとても満足の行く精度は出なかった。そして失敗の連続。いたずらに過ぎて行く時間。無力感と絶望感が男達に圧し掛かる。 男達の神姫は彼らを思いやった。 「マスター、もういいんです。私はマスターの好きな飲み物は全部、大好きですよ」 「砂糖やミルクが入ってないコーヒーでも、私、飲めますから!」 「頼れる神姫にはブラックが似合うんです! …あれ? おかしい… な」 「やっぱり… まだ… 飲めませんでした。私、まだまだ、頼れる神姫じゃないみたい… です」 男達は再び立ち上がった。何度も試行錯誤を繰り返し幾度も挫折を味わい数々の困難と逆境が彼らを襲う。つらく苦しい長期戦となった。だが男達は一人として諦めたりはしなかった。何故なら男達の目は常に未来を見据えていたからだ! そしてついに神姫サイズの紙コップ自動販売機の先行量産型が完成した。 数少ない先行量産型は大規模神姫センターに先行モニターとして設置され、そのうちの一台は製作スタッフの熱意あるプッシュにより『ホビーショップエルゴ』に設置される事と相成った。 かくして、エルゴのバトルフロアには神姫サイズの自動販売機が設置され、休憩スペースにおいてマスターと神姫が個々の好みのドリンクを片手に、今まで以上に賑わう事となったのである。 だがこのマシン設置の裏側に上記の壮絶なドラマが存在する事を、多くの人は知らない。 「私にはグレープジュースを頼む」 氷は抜きで。 神姫サイズの紙コップに黄金色のドリンクが注がれてゆく。途方も無い技術の塊とは思えないほどの手軽さで神姫サイズのグレープフルーツジュースは完成した。こんな極小サイズで精巧に動くこの筐体を初めて目の当たりにし、製作秘話を知らないおれでも製作者に最大限の敬意を持った。 大会の二回戦目は大いにてこずった。 敵の武装構成は大幅に手を加えられており、コンセプトを一言で表せば突撃兎型。武装はバズーカ、フックショット、マイクロミサイルランチャーをひとまとめにした統合武装火器を一丁装備。全身を覆う重装甲に背面高機動ユニットを装着した出で立ちのバッフェバニーによる執拗な攻撃がシルヴィアを襲った。 一個の兵器を評価する際、一般的に重視される能力は『攻撃力・防御力・機動力』の三点である。この評価はバトルステージに立つ神姫にも当てはまる。これらの要素はお互いにバランスを取り合うように存在しているのだ。『攻撃力』と『防御力』を上げれば重量がかさみ『機動力』が落ちる。『機動力』を上げるためには『攻撃力』と『防御力』を削る必要がある。『機動力』をそのままに『攻撃力』を上げるためには『防御力』を削ぎ落とさなくてはならない。云々。あっちを立てればこっちが立たずのジレンマの連鎖、トリレンマが延々と付き纏うのだ。明確なコンセプトが見えるマスターは、この限られたリソースを神姫の戦術に合わせ、三点に的確に配分しているのである。 外部電源装置、パワーユニット装着などの手段を講じればリソースの底上げが可能である。だが、攻撃力の増強はある上限を超えれば過度の武装装着と言う手法を取らざるを得なく、複数火器扱いの煩雑さが足枷となり得る。防御力の増強は装甲過剰装備による可動クリアランスの低下、及び運動性の低下を招き、結果的に攻撃力と防御力の低下につながる。機動力の増強は、パワフルな機動ユニットの制御技術と高度な射撃及び格闘能力が無ければかなわない。 明確なコンセプトを打ち立て、余りあるリソースを適切に配分しなくては強化足りえないのだ。もちろん創意工夫と取捨選択により上記の欠点を抑えつつ強化する事は可能であるが、即ちマスターの武装選択センスと神姫の高い能力無しには無し得ないパワーアップなのである。手軽に取れる手段では無い。 だが今回の相手、敵兎型の装備する武装センスと、それらを操る神姫の手腕は洗練され尽くしている。重装甲により高い防御力を実現。パワーユニット兼機動ユニットを背負う事で機動力を確保、さらに複数火器を一つにまとめる事で総重量を抑え機動力低下の懸念を解決している。総合攻撃力こそ控えめなものの、右腕に装備された統合武装バズーカ『カリーナ=アン』のコンセプトは明確である。即ち、「マイクロミサイルで撹乱しフックショットで押さえつけバズーカで粉砕する」。脅威の度合いは、限りなく高い。 こんな敵に小細工は通用しない。真っ向勝負だ。 シルヴィア、飛翔。敵の唯一の弱点である低い運動性に付け入るために、近距離射撃戦を敢行する。 ホットココアを片手に、スクリーン上で繰り広げられるバトルの戦術分析を続行していると、こちらの度肝を抜く神姫が出現した。コートを羽織った犬型。カバンやコートの中に武装を仕込む暗器使いとして分析を続けていたのだが。彼女が劣勢に追い詰められると何と発光、そしていかにも戦闘には不向きな、こう、「ヒラヒラでフリフリ」とした衣装へと変身を遂げたのだ。いや落ち着け、あれは武装換装の一形態だ、と分析を続行したが、珍妙な名乗りを可愛らしい声で述べられると、おれは口に含んだホットココアを吹き出すしか無かった。なんだあれは。理解不能。だが顔を真っ赤に染めながら変身後の前口上を述べるハウリンタイプを見れば、マスターの明確な意図が心に響く。 おれは心の中で静かに親指を立てた。 グッジョブ。 心の栄養を補給し、引き続き戦術分析を続ける。 続く 戻る TOPへ 次へ
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あなたのSaxに関する知識をみんなと共有しませんか? Sax Wikiは、誰でも自由にページの追加・編集ができます。(未作成ページ一覧) ※一緒にページを編集してくれる方募集中!(新規ページは「@ウィキモード」を選択してください) 編集方法、注意事項などはこちらをご覧ください。⇒Sax Wikiをご利用される方へ Sax Wikiはまだまだ内容が薄いです。ぜひあなたの知識を分けてください! Sax Wikiへのコメントをお待ちしております。(ご意見・ご要望等は管理人Twitter又はメールフォームへお願いします) ※実はアカウントが謎の凍結をしてしまって、しばらくお休みしていました…(苦笑 現在再始動に向けて調整中です。参加者募集中!(2016/7/25) 最新の10件を表示しています 名前 コメント すべてのコメントを見る しょうたさん コメントありがとうございます! 音大ですか!いいですね~♪ まだまだ褒めていただけるような代物ではないですが、 よかったら楽しんで行って下さいね(^_^) -- (柳さん@管理人) 2015-03-24 20 03 03 Twitterでフォローされてきてみました。 私は音楽大学でsaxを勉強しています、 このようなsaxのサイトはとても素晴らしいです。 -- (しょうた) 2015-03-24 11 54 21 ありがとうございます! じゃあとりあえずその説明が書いてあるページを読んでみますね。 休みの日にちょっと挑戦してみますww -- (taka) 2015-01-16 21 20 41 takaさん おぉ!初コメント!ありがとうございます! 返信遅れちゃってごめんなさい! もちろん好きなだけ編集してもらって大丈夫ですよ!多少変でもWikiなんでなんとかなります!(笑) トップページから「Sax Wikiをご利用される方へ」というページに飛べるので、 ぜひご覧になってください。編集方法や注意事項が書いてありますので。 少し長いですが(^^; 練習用のテストページもありますし、すでにあるページの編集画面とか見れば参考になると思いますよ。 形そのままで文章だけ変えてもいいですしね。 何か分からないことがあれば言ってください。 Twitterが反応早いと思います。リプでもDMでもOKです。 ま、気楽に書いちゃってくださーい( ̄▽ ̄) -- (柳さん@管理人) 2015-01-16 18 28 59 初めまして、ツイッターから来ました。 いつもツイートを参考にさせてもらっています。 高校でサックスをやってるんですけど、僕も編集してみてもいいですか? まともな文章が書けるかわかりませんが…ww -- (taka) 2015-01-16 12 19 45 皆様のコメントをお待ちしております。 -- (Sax Wiki管理人) 2013-11-15 23 25 00 @saxwiki からのツイート バグ・不具合を見つけたら? @wikiへの要望がある場合は? お手数ですが、 @wikiお問合せフォーム からご連絡ください。
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暗き過去に、深き眠りを(前編) 爽やかに晴れた日曜日。今日は一月に一度の“週末の定休日”である。 普段は毎週水曜日に休みをもらうMMSショップ“ALChemist”なのだが、 私・槇野晶は勿論、“妹達”にも週末をいっぱい満喫してもらいたい。 というわけで、今日は久しぶりに秋葉原神姫センターへ行こうと思う。 その為にはまず、身だしなみからちゃんと整えねばならんな……って。 「ほら、初舞台に出るのだ。今日は入念に躯を磨かねばならんぞ」 「きゃうっ……ま、マイスター!シャンプーが目に沁みますっ!」 「すぐ流してやるから、少しだけ耐えてくれんかアルマや?ほら」 「ロッテお姉ちゃん……そこ、少しかゆいかもしれないんだよ?」 「こうですの?ん、クララの緑色の髪ってやっぱり綺麗ですの♪」 今すぐ後ろを向け。3秒で応じたなら赦してやる……そう、それでいい。 普段から神姫専用の洗浄剤で清潔にしている“妹達”だが、他人様の前に 出るだけでなく、アルマとクララは今日が初陣なのだ。身だしなみには、 尚一層気を遣わねばならん。そうだろう?風呂の後は勿論、衣装選びだ。 「今日はこの青いスーツを着ていきたいですの、マイスター♪」 「有無。派手過ぎず、丁度良いな。観戦もそれなら楽だろうて」 「……ボクは、緑色のコートかな?帽子に似合う気がするもん」 「あたしは紅いこれで、いいですか?ちょっとスリットが……」 「どうせアレだし、自信がなければ大人締めでもいいのだぞ?」 「う、ううん……いえ、これでいきます!今日は冒険ですから」 ロッテはブラウスとロングスカートを用いた、青色のシックなスーツ。 クララは前閉じ式のロングコート。私が誂えたお揃いの帽子も装備だ。 アルマはこれまた私が作った、チャイナドレス風の紅いジャケットを。 ショートヘアのクララ以外は、髪をそれぞれポニーテールとお団子に。 武装も大事だが、戦闘時以外は“神の姫”に相応しい姿も必要だしな? 例えHVIFを使っていようとも、彼女らには優雅さを保ってほしい。 「さ、準備は出来たな。まずはアルマとクララのリーグ登録に往くぞ!」 「はいですの~♪わたしの時みたいに色々言われないといいんですけど」 「……溜息なんか付いてる。何かあったのかな、ロッテお姉ちゃんに?」 「ああ。物分かりの悪い担当者に当たって、登録に少々手間取ったのだ」 「うんと、そういえばマイスター。何かトランクに積んでましたよね?」 目敏いアルマには“アレ”を見られていた様だ。重量級ランクに出す 装備の先行試作品なのだが、その存在故に最初は一悶着あった物だ。 今回も恐らくそうなるだろうが、レギュレーションは何ら問題ない。 案の定見知った八階の担当者は渋い顔で私を出迎え、愚痴ってきた。 「……槇野晶さん、また貴方ですか?しかも二体とも同じ様に」 「勿論だ。今回も重量級・軽量級、どちら共規約範囲内だぞ?」 「相変わらずギリギリですねぇ……いいんですか、って愚問か」 「構わない、と言っただろうが!他に問題があるのか、ん?!」 「……こっちのハウリンタイプ、規約変更に凄く弱いですよ?」 「ならば規約内に収まる様、都度調整すればいいだけだろう!」 という一喝で以前よりもずっと早く参加審査は完了し、晴れて彼女らにも 重量級ランク用と軽量級ランク用、双方のIDが無事に交付された訳だ。 その脚で、私達は三階のサードリーグ用バトルフィールドに向かい……。 「あ、あっ……マイスター……あ、あの人!」 「……猪刈め、よくも図々しくここに居るわ」 「全然反省してなかった、って事なんだよ?」 「みたいですね……あ、神姫を抱えてますの」 一番この界隈で見たくない最悪な卑劣漢、猪刈久夫と再びまみえた。 あの外道めは、新しい神姫……どう見ても改造済みだ……を撫でて、 己の対戦予約を始めようとしていた。私は皆の意思を確認し、接近。 程なく此方に気付いたのか、奴は卑賤な笑いをこちらへ向けてきた。 「ぶ、ぶひゃ!?……あ、あの時のロリッ娘と“あくまたん”?」 「その様な穢らわしい名は棄てた。今、この娘はアルマという!」 「……もう、あたしは貴方の物じゃないんです。見ないで下さい」 「ぶひゃひゃ、すっかりツンツンしちゃって……可愛くなった~」 ……この胆力だけは褒めるべきかもしれんが、自分のやった事すらも 数週間で省みなくなるというのは、頭痛がする程に不愉快な物だな。 しかも彼奴めはすっかり有頂天らしく、馬鹿な事を突然言いだした。 「ぷひひぃ、ボク良い事考えたんだよねぇ~。絶対泣かせるッ」 「……ロクでもない思考に時を費やす位なら、自己改造をしろ」 「あるまたんだっけ、あくまたんだっけ。そいつと試合する!」 「なんだと?……そのフォートブラッグ改造品で来るか、猪刈」 「そうそう、でボクが勝ったらお前を一晩言う事聞かせるの~」 何処から突っ込んでいいのかわからんが、少なくとも“一晩”等と 区切る辺り、猪刈の底の浅さが見て取れるな。乗る気はなかった。 その様な賭けで、“妹達”を無闇に不安にさせるのは愚かしい事。 ……だからこそ彼女が切り出した時、驚きつつも心が躍ったのだ。 「……じゃああたしが勝ったら、二度と神姫に酷い事しないで下さい」 「アルマ!?……お前、本当によいのだな。無理はせずともいいぞ?」 「勝つのは、マイスターの“妹”であるあたしですから……それに!」 その言葉で、私はアルマが己の闇に刃向かう訳を知る──猪刈の神姫。 武装自体はかつての“あくまたん”程でない彼女だが、目に光がない。 カメラ機能は生きているが、確固たる意思という物が失せているのだ。 それは、猪刈めが何も懲りずに非道を繰り返したという……証だった。 「この娘を、どうしても解き放ってあげたいんです……マイスター!」 「ふむ、よかろう。猪刈、貴様が負けたらその神姫を即刻他人に渡せ」 「ぶふふ、どーせ勝つのはボクだもんね。泣かせてやるんだ、ぶふ!」 アルマの志を信じ、私は指名戦を予約。程なく呼び出しが掛かった。 両肩のロッテとクララが案じる中、私は新型の装備をアルマに装着。 それは、メイド服の様であり司祭の様でもある“聖なるドレス”だ。 実戦ではこれが初めて。だが、私には不思議と絶対的な自信がある。 「よし、全ての準備は整った……蹴散らしてこい!」 「は、はい!……決着、つけてきます。マイスター」 「ぶふぅっ、さあボクの“かまきりん”、壊せッ!」 「────────────イエス、マスター……」 そして、戦いを告げる荘厳なサウンドが鳴り響く! 『ロッテvsかまきりん、本日のサードリーグ第24戦闘、開始します!』 ──────忌まわしき過去の為に、素晴らしき明日の為に。 次に進む/メインメニューへ戻る
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回の00「不変ではいられない僕ら」 2037年9月。高校二年の夏休みを満喫しきった藤原雪那(ふじわら・せつな)は、その長い休暇のほとんどを自分の武装神姫、マオチャオのティキと共に過ごした。 例えば初めて大きな大会に参加してみたり、ティキをつれた家族旅行に出かけたりなど。 当然、今までに知り合った仲間たちとの交流も大切にし、何かのたびに待ち合わせては地元の神姫センターなどに通ったりもしていた。何も変化が無かった、というわけではないが。 特別な何かがあった訳ではないが、それでも昨年までとは違う夏休みを終え、それでも厳しい残暑に打ちのめされながらも、一年前では予想もしていなかった新たな習慣が繰り返されている。 先週も一人で都内にまで足を伸ばし、ホビーショップ・エルゴでバトルをしたばかりだった。エルゴでの、初めてのシルヴェストルのお披露目をかねたそのバトルは――なんと言うか、散々な目に遭わされたのだが。 そして3連休の真ん中日曜日、シルヴェストルの改良もあったので雪那もティキも空調の利いた自室にこもっていた。 「そう言えば……」 細かいパーツに苦戦しながら、雪那は口を開く。雪那の手伝いをしているティキは、自分のオーナーの言葉に視線を向けて反応した。 「……そろそろこの家に来て一年がたつんじゃないの?」 「えーっと、うーん?」 なにやら考え込み始めるティキ。 神姫のこういった見せ掛けの記憶の揺らぎは、人とのコミュニケートを潤滑にするための、いわば機能の一つだ。 記録を参照するだけなのだから、わざわざ考え込むような、思い出すかのような時間は必要ない。しかし、そうある方が人間はその“個体”と“対話”した気分になるものだ。 「そうですよぉ! 今日でちょうど一年になるのでっすよぉ♪」 思い出し、そしてティキは飛び跳ねて喜ぶ。 「そっかー。じゃあ、今日がティキの誕生日だなあ」 作業を中断し、大きく伸びをしながらティキに微笑む。 「なんかお祝いでもしなきゃね」 「お祝いですかぁ!」 目をきらきらと輝かせるティキ。それに、どうしようかねー、といいながら雪那が頭を傾げていると、呼び鈴の機械音が響く。 この時間雪那の母、藤原舞華(ふじわら・まいか)は自宅に接している店舗の方に居る。その事を知っている人ならば、たとえ郵便公社の配達員でさえ店舗に行くはずなのだが、なぜか自宅の呼び鈴が鳴った。 「僕に、かな?」 ティキに向けてそう言うと、雪那は玄関に向かう。 しかし程なくして自室に帰ってきた雪那は、怪訝な顔で大きな段ボールの箱を抱えていた。 「? 何なのですかぁ?」 なんとも形容しがたい表情の雪那に、ティキが質問する。 「……それが、なんて言うか」 歯切れが悪い。 「?」 「ティキ宛の、宅配物なんだ。……しかも親父から」 ほぼ時を同じくして、ここは結城邸。 「で、あの男の子とはどうなったの?」 その顔には隠そうともしない好奇心でいっぱいになっている。 その朔良=イゴール(さくら・――)に、少し寂しげな顔を見せて結城セツナは答える。 「多分、フラれちゃった。かなあ……」 「多分? かなあ、って?」 「はっきり言われたわけじゃ、ないから」 セツナはそう言うと、自分のカップのふちを指でなでながら話し始めた。 さらに同時刻。 式部敦詞(しきぶ・あつし)は自分の部屋で昨日の事を思い出し、また怒りを顕わにしていた。 「ったく、あのトウヘンボク! あんなんだったらまだ朴念仁の方がましだ!!」 自身の神姫、きらりとTVゲームをしながら昨日から何度目かにもなる言葉を繰り返す。 「そんな事言っても、仕方が無いでしょう? マスターだって雪那さんの言い分、納得してたじゃない」 人が使うものとは大きさも機能もまるで違うコントローラを駆使しながら、きらりは言った。 「そうだけどよー」 「大体マスターは司馬さんを応援してたんじゃない。だったら雪那さんの考えも、歓迎こそすれ責めるのはどうかと思うわ」 ここで言う司馬とは神姫を通して知り合った友人、司馬仙太郎(しば・せんたろう)の事である。 「いや、別にオレは司馬のダンナを応援してるわけじゃネーよ?」 「アレ? 違うの?」 「オレは周りがハッピーになれば良いと思ってるだけだ。だから、誰かを好きな奴がいて、そいつと付き合えるようになるならそれが良い、てだけ。司馬のダンナが結城を好きなら応援するし、だけど結城が雪那を好きなら雪那をたきつけるさ」 それって立派な三角関係の出来上がりだよ? 己のマスターのその言い分を聞き、どこら辺がハッピーなのかきらりにはチョット理解出来なかった。それでもあえて口にはしなかったが。 「つまりさ、雪那が結城の事が好きになるなら、それでそこの二人はハッピーだろ? ま、司馬のダンナは泣く事になるけど。でも万が一、結城が司馬のダンナの事好きになるなら、それでもハッピーじゃん。でさ、結城が司馬のダンナを好きになるよりも、雪那が結城の気持ちに応える方が、確立としては高いと思ったわけ。なのにさ、結城の気持ちに気付いてないならまだしも、只はぐらかしていたって言うアイツは、ヤッパリどうかって思うわけよ」 器用に自分の自機を操作しながら、敦詞は思う所を吐き出す。 敦詞の意見が正しいのかどうかはさておき、それでも敦詞の思いをきらりは理解した。 しかし昨日、雪那の言い分も聞いてしまったわけだから、雪那も考えも一応理解しているわけで。 きらりは途方にくれる。 その途端、きらりが操作していた機体が、敵機に撃ち落されてしまった。 「でもそれって、全部憶測なんでしょ?」 そう言って、朔良はわずかに残ったカップのお茶を飲み干す。 「まあ、ね。あくまでそういう風に感じた、ってだけ。それ以上は別に避けられているわけでもないし」 その会話をそばで聞いていたセツナの神姫、海神ⅡY.E.N.N(わだつみ・せかんど・わい・いー・えぬ・えぬ)こと焔(えん)は、実は気が気じゃなかった。 焔は昨日、雪那と敦詞の会話を偶然にも聞いてしまっていた。しかもその後に敦詞に見つかってしまい、セツナには秘密だと一方的に約束されてしまった。 実際問題、セツナと敦詞では、セツナの方が焔の中では上位に存在している。オーナーの友人でしかない敦詞より、オーナーであるセツナの方が優先されるのは当たり前だ。 しかし、だからと言って、その会話のありのままをセツナに話してしまうのは、あまりにも憚れた。 決して大げさな話ではない。大それた決意でもない。でもだからこそいえない事もある。 「ま、あんまり考えていても、なんともならないわね。この話はこれでおしまい」 セツナのその一言に、焔は安堵の息を吐く。その話題が長引けば、ぼろを出す危険が増すだけだ。 「で、今日は本当は何の用なの?」 まさかその話題だけで家まで訪ねて来たわけじゃないのでしょう? と、セツナは空になったカップにお茶を注ぎながら朔良に促す。 朔良は、ヤッパリ判ってた? と、茶化したように言うと、言葉を続けた。 「実はね、セツナに引き取ってもらいたいものが有ってサ」 そう言うと朔良はかばんの中から小さな箱を取り出す。 「実は、私も武装神姫やってみたいと思ってさ、ちょうど良いからってこれを注文したんだ。……だけど、これが届いた頃には、興味が無くなっちゃったんだよネ。まぁ、色々理由はあるんだけど、それは追求しない方向で。で、何もしないで寝かしちゃうのもこの娘に悪いから、有効に活用できそうな人に、って思って」 「って、それってリペイント版の!」 朔良が取り出したその箱には、MMS TYPE DEVILと印刷されていた。 話は雪那とティキに戻る。 今は亡き父の名で送られてきたその箱を前に、雪那とティキは何も出来ずにいた。 冷静に考えれば父、修芳が生前に日時指定して送った物だろう。だが、判ってはいても一寸した不気味さを醸していた。 ……少々時期がずれたとはいえ、夏場という季節のせいもあるかもしれない。怪談の旬はやはり夏場であろう。 なにより、昨晩見た心霊番組がいけない。その内容をついつい思い出してしまう。 「……よし」 意を決して雪那はその段ボール箱に手をかけ、箱を封じているガムテープをはがし始める。 はたしてその中には、更なる段ボール製の箱が収められてあった。 しかし不気味さはさらに増す。 何が不気味と言えば、その段ボール製の箱は、その見える全てを完膚無く、一部の隙も無く、真っ黒に塗りつぶされているのだ。 ティキは恐怖に震えながら、ぎゅっ、と雪那の腕にしがみつく。 「は……ははは。一体、これは何なんだろうね」 引きつった笑いを浮かべながら、雪那は恐る恐るその箱を取り出す。 案外、軽い。 箱の大きさの割には重くは無い。 持ち上げて裏も見てみるが、案の定裏面も一切の余白も無く真っ黒に塗りつぶされてあった。 雪那はそっ、とその箱を部屋の真ん中に置く。 「……どうしようか?」 ティキに聞いても返事は無いだろうと予測してはいたが、それでも思わず聞いてしまう。そして予測をまったく違えることなく、ティキはただ雪那につかまって震えているだけだった。 埒が明かない。そう思った雪那は、頭を振ると勢いに任せてその箱を開封する。 恐る恐る覗き込む雪那の目に、どこかで見たようなブリスターパックが入る。 「???」 いぶかしみながらパックを引っ張り出す。 雪那によって姿を現したそれをティキは覗き見る。そしてそれを確認した途端―― 「みぎゃぁぁぁぁぁああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 すさまじい悲鳴を上げて、部屋の隅に逃げ出した。 雪那とティキが目にしたそれは 一週間前エルゴに行った際、ティキをデータ上とはいえ破壊ギリギリまで追い込んだ、ネメシスという名の神姫と同型同色の 黒い、アーンヴァル。 トップ / 次回