約 1,954,217 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2241.html
第十五話:生贄姫 俺と蒼貴、そして日暮に注目される彼女が近づいてくる。胸ポケットには大した傷もないヒルダが入っており、この様子だと あの後のバーグラーを彼女は難なく倒したくれたらしい。 「緑か。すまん。さっきは助かった」 「気にするな。私達の仲だろう?」 「か、勘違いされそうな事を言うんじゃねぇよ!」 「おや、真那の方がいいのか? 根暗は明るい子の方が好みという事か……」 「あのなぁ……」 再会して早々の問題発言に俺は頭を抱えた。真那といい、縁といいどうしてこうも女というのはからかうのが好きなのだろうか。付き合わされるこちらの身にもなっていただきたい。 「ふふふ……。まぁ、お前をからかうのは後で楽しむとして本題だ。あのバーグラー共から情報を吐かせたぞ」 「マジか?」 「ああ。それも面倒くさそうなのをな」 笑った後の本題に俺はすぐに先ほどの悩みを隅に追いやって、尋ねる。 「端的に言えば小遣い稼ぎさ。資金に困った研究者によるものだ」 「研究者って義肢のだな?」 「そうだ。お前も情報を集めていたという事か。となれば情報交換といかないか?」 「ああ。それが一番早い」 「その話、僕にも聞かせてくれないかい?」 「尊、彼は?」 「正義の味方らしい」 「は?」 話に割り込んでくる日暮を端的に紹介すると、あまりにも直球過ぎたのか冷静沈着な縁も唖然とした。『正義の味方』という言葉は彼女の中では化石並みに古い言葉の様だ。 その反応を見た日暮は俺と変わらぬ反応でやはり笑う。そういった反応にはなれているのだろうか。 「言葉の通りさ。力になれると思うんだけどいいかい?」 「僕は構いませんよ。個人ではきつい話ですしね」 「尊がいいなら、信用しましょう」 「OK。じゃ、ちょっと店裏まで付いてきてくれ。僕も同時進行で調査するからさ」 日暮に促された俺と縁は互いの情報を交換し、その情報から情報収集をしてくれた彼と共に話を整理を始めた。 事の起こりは義肢研究の行き詰まりと国からの資金援助の期限が迫り、ついには切れてしまった事にあった。 義肢研究に関しては何もそこだけが行っているわけではない。その研究には多くの研究者達が参加しており、こぞって成果を出し、援助を求めようとしている。 あの義肢研究者もまた、その一人だ。成果を上げて資金援助を得ていたのだという。しかし、俺の聞いた話の通り、研究は行き詰まってしまい、資金援助が打ち切られてしまったのだ。 当然、障害者施設の収入程度では義肢という規模の大きい分野の研究費など賄えるはずがない。 このままでは義肢研究者は資金不足によって、研究を進められなくなってしまう。 そこで彼が思いついたのはその研究の課程で得られたリミッター解放技術であった。 神姫の出力で人間の四肢という大きなものを動かす事は出来ないため、必然的により大きな出力を引き出さなくてはならない。故に初めは違法パーツ……神姫の規格から外れているパーツで組んでいたらしい。出力の方も神姫に直接操作する関係上、リミッターの外し方などを独自に研究、使用していた。 その研究を応用し、俺達が遭遇した神姫達が付けていたイリーガルマインドに似せたリミッター解放装置を開発して、さらに障害者用の盲導神姫もイリーガルとして改造し、裏でバーグラー達にそれらを横流ししていたらしい。 紅麗というリミッター解除装置を付けた神姫の所属しているバーグラー達から聞いた情報では裏サイトで仲介者から買い取ったと言っており、その裏サイトのアドレスを日暮が普通はしてはいけない様な方法で調べるとそこにはかなりの高額で取引されている事を証明するページがあった。 イリーガルマインドに似せたあの違法パーツが様々なバリエーションで用意されており、強力であればあるほど高額になっているラインナップだった。 そのレートは数千円である場合もあれば、数万円の場合もある。強弱や能力のばらつきがあれど、その力は使った神姫を死に至らしめる程強力なのは共通している。 さらにあろう事かバトルロンドのシステムに引っかからない様に調整された違法改造用のキットやイリーガル神姫までもを直接斡旋していた。 「己のために神姫を喰い潰すか……」 「人の性ってやつかもしれんな……」 緑の言う通り、人を助けるはずの義肢研究も少し道を外すだけで力に溺れさせる死の商人と成り果てるとは皮肉である。 自分の研究を続けるためというシンプルな考えであるはずなのに課程を間違えるだけでこれだけ堕ちてしまうとは人とは恐ろしいものである。 「何にしてもこいつはまずいな。このままだと、ここ周辺でイリーガルが大量発生しかねない」 日暮も危険を唱える。 イリーガルに成りきるだけではなく、それを作り出せるとあってはそれを知った人間はこぞってそれを買っていくだろう。密売を始めてまだ間もない感があるが、このままではバトルロンドがそうした違法神姫達が横行する事に成りかねない。 「自分らで何とかできる話ですかね?」 「その辺は心配ない。情報収集や操作でどうにでもなるからね。ただ……」 「ただ?」 「証拠がない。君たちの言う研究者に突きつけるための動かぬ証拠がね」 「このページやバーグラーの発言では足りないって事ですか」 「ああ。ページは誰か別の奴が作っているだろうし、バーグラー達は直接あの研究者から買い取ったってわけでもないだろうからね。せめてそれを見ている施設内部の神姫がいればいいんだけど……」 「でもそれは巻き添えでその施設が閉鎖される可能性があるのでは? そのために黙るとかあり得ると思うのですが……」 「確かにそう考えられるかもね。まぁ、その辺は可能な限り頑張ってみるよ。それより証拠のアテは何か知らないかな?」 それを聞いて俺は考える。あの施設の中で最も都合のいい立場にいる人間を頭の中から取捨選択して、残るのは……。 「輝と石火だな。だが……」 彼らならば顔が通っており、なおかつ石火の索敵によるカメラ映像情報を持っている可能性がある。 彼女の目はどんな些細なものも見逃さない千里眼にも等しき目だ。何かしらの情報を掴んでいるかもしれない。 とはいえ、そうであるかどうかには不安が残る。そもそも石火がそれを見ていないというのもあるが、彼らがグルである、或いは見てしまって口止めされているなど、障害になりえるシチュエーションはかなりある。 「それでもそいつに聞くしか手段は思いつかないのだろう?」 「……まぁな」 緑の言う通り、現状で有効な手はそれぐらいしかない。 石火が見ていた場合の情報の信頼性としては、石火の整備は施設では全く行われてはおらず、専属技師である親友がやっている可能性が非常に高いという事だ。これは施設による石火のデータ改竄されている可能性が極めて低い事を意味している。仮に不都合な情報があったとしてもそれが消えることはない。 また、施設の研究者も輝という名前が全国に知れ渡っている故に石火に、そのマスターの輝にも迂闊な事はできない。仮にそんな事をした場合、真っ先に疑われるのは彼らなのだから。 「なら、決まりのようだね。輝の事なら僕も耳にしているよ。彼は全国大会の最初のチャンピオンでその専属技師の友人も技術面では結構、有名だ。交渉は慎重にやった方がいい」 「わかってますよ。必要なら僕が憎まれ役を買いますし」 「随分と大胆な事を考えるね。だからこそやれるとも思えるけど」 「それが彼なんですよ」 「なんだそりゃ?」 「それは自分で考えろ。その方が面白い」 緑の突然の言葉に頭の中に疑問符が浮かんでくる。彼女に聞いてもあしらわれ、その謎を自分で考えてもあまりピンとはこない。 「考えてもわからん……」 そういう事に行き着いてしまう。 「まぁ、気長にな。で、そいつはどこにいるんだ?」 「神姫センターだ。行けばまた会えるだろう」 話題変わって輝の場所だが、俺はただ会っただけだ。輝から携帯電話番号を教えてもらったわけではなく、単に会って話し合っていたに過ぎない。 そこで連絡先でも聞いておけばと後悔もできたが、今更そうしても仕方の無い話だ。 「なら、そこで探すしかないな。とは言っても盲目自体珍しい。難しくはないだろう」 「ああ。後は引き込める上手い言葉を探しておくさ。根性論なんか押し付けたくねぇしな」 「それもそうだな。だが、彼らは正しいと思うから間違うかもしれんぞ?」 その通りだった。いくらそれが正しい事であったとしてもそれが納得できる事と同義であるわけではない。 自分のルールにそぐわないものは自分が変わらない限り、それは障害以外の何者でもないのである。 この事実を輝が受け入れるか、拒否するか、逃げるか、俺達にはわからない。確かなのは…… 「その時は……その時だ」 それだけだ。 「……そうか」 「ワリィ。それほど器用じゃないんでな」 「わかっているさ。その時になっても後悔はするなよ?」 「ああ」 「話は決まったかい?」 「ええ。僕が何とかします」 話が一区切り付いてきた所で声をかけてくる日暮にやる事を伝える。 可能な限り早い日に輝には俺が情報を持ちかけて説得をかけ、彼に協力を取り付け、石火の視覚データから違法神姫に関する証拠映像を手に入れて、それを証拠とするという事だ。 解決策に関してはイリーガルマインドを解析しているであろう杉原に話を聞き、それがわかり次第、その方面の行動も展開していく。 日暮との連携も考えて、杉原には彼の事を伝え、協力して事に当たってもらうものとする。上手くいけばあの義肢研究者を足がかりに彼に連なる違法ブローカーも芋づる式で捕まえられるだろう。 「わかった。僕は君が話をつける前に段取りを整えておくよ」 「それでは僕はこれで。紫貴もそろそろ直っている頃でしょうしね」 「あ。また、パーツに困ったら買い物にでも来てくれ」 「ええ。そうします」 自動ドアを出て、修理が終わったであろう紫貴を迎えに歩きだした後で、俺はため息をつく。 確かに計画としてはいい。だが、輝と石火がこの話をどう思うか、借りに信じたとして自分の世話になった場所を潰す事になるかもしれない事をどう思うか、全く予想が出来ない。 当然、心苦しい事になる。これからどうするかもわからなくなるだろう。だからといって俺が責任をとるために導いてやれるなんて馬鹿げた話は無理だ。そこまで自惚れる脳みそをしちゃいない。相手にこれからを委ねるが精一杯だ。 「カッコつけておいて、やる事は他人任せか……」 自嘲的にそれらをまとめる。交渉事なぞ所詮はそういうもののはずだがやはり煮え切らないものがある。 「オーナー……」 「わかってる。やるだけやってみせるさ。あっちが恨もうがな」 「自分だけで背負わないで下さい……。私や紫貴だって背負います。それに私達が悪い訳ではないはずです。いつまでもあのままならもっと傷つきますから……」 「そのはずだよな……」 引き金を引くのは俺だが、と続けようとしたがこれ以上は泥沼になるため、止めた。 蒼貴が元気付けようとしているのにそれを無碍にするのは悪い。 そんな陰欝な雰囲気で歩いているとコンビニを通り掛かった。そういえばあの戦いの前から何も飲んでいない。色々と起こりすぎて喉がカラカラなのを忘れていた。 そんな訳で俺はコンビニに飲み物を買いに入る。コンビニの中には店員と少数の客しかおらず、並ぶ事なく会計を済ませられそうだ。 詮無い事を考えながら、雑誌の並ぶ雑誌コーナーを進む。そこで週刊バトルロンドの最新刊が目に入った。どうやら丁度今日が発売日だったらしい。 俺は何気なくそれを手に取り、それを開く。 「こいつは……」 バトルロンド・ダイジェスト最新号の表紙には『特集:~ 絆 ~ 武装神姫はなんのために戦うのか?』というあまりにも規模の大きいタイトルと見た事のないタイプの神姫と『アーンヴァル・クイーン』の異名を持つランカー 雪華が写った写真で大きく飾られていた。 自他共に厳しく接し、高尚なる戦いを求める彼女の事は神姫センターで別のランカーを薙払っているのを俺も見て、知っている。そんな雪華が誰かに優しく、ましてや抱くなどという事をさせた泣いている神姫は一体何者なのだろうか。 俺は興味を持ち、雑誌を開く。表紙の内容は巻中のカラーページに特集として大々的に描かれていた。 最初はバトルの詳細な解説が主な内容だ。雪華はいつもの飛行装備、泣いている神姫……ティアというらしい神姫はランドスピナーというモーター駆動のローラーブレードと拳銃やナイフで戦っていたらしい。 ティアといえば元風俗神姫だったらしい事を噂で耳にしたことがあった。しょうもない奴が経歴を言いふらしてけなすだけのどうでもいい話だと思っていたが、まさかこうなるとはこれを見るまでは予想もしていなかった。 さらにそれを読み進めると信じられない事が書かれてあった。なんとティアは雪華最大の必殺技を回避し、その挙げ句彼女の武器を奪って戦ったらしい。 大した度胸と執念だ。ティアのオーナーとは会えればいい話ができそうな気がする。 戦いの末、ティアは倒れ、試合の形式的には敗北したらしいが、雪華は敗北を認めたという。 そんな試合があったとはそれを直に見られなかったのが非常に残念だ。面白い戦いはどうにも俺の外で行われているらしい。いつかセンターを飛んで回ってみたいものだ。 その戦いの記録の後は「武装神姫はなんのために戦うのか」というタイトル通りの問題提起になっていた。 雪華を初めとするランカー神姫が思い思いのコメントをその記事に刻んであり、 「人は武装神姫を戦わせる。それは名声のため、お金のため、バトルの楽しさであるかも知れない。 戦わせる理由はマスターによって様々だ。しかし、神姫にとって、戦う理由は皆同じだ。マスターの望みを叶えるために戦っている。 もう一度振り返ってみて欲しい。神姫は何を思い、なぜ戦うのか。 自分はなぜ、自分のパートナーを戦わせているのか、を」 それらがそう結ばれていた。その主となる言葉は「マスターのために」だ。その言葉を恥ずかしげもなく、彼女たちは言えている。 呆れるほど単純なその言葉には計り知れない想いが詰まっていることだろう。 その後の特集は、絆を思い起こさせる、過去の名勝負のダイジェストが紹介されていたが、必要なことを知った俺は雑誌を閉じ、それを持ってコーラと一緒に会計を済ませて、外を出た。 「人も神姫もそこまで弱くはない、か……」 ティアの話は、絆は自分達が思うよりずっと堅く、支えになる事を教えてくれた。 俺と蒼貴と紫貴だって、そういう絆があってここまで来たのはよくわかっているつもりだ。輝と石火の絆だってそうであるはずだ。……いや、時間が長い分、俺達よりも堅いはずだ。 「こういうのを潰しちまいたかぁねぇな……」 戦いの場をイリーガルから守るというご大層な名目を掲げる気は無い。ただ、こういう絆を感じさせる戦いが無くなるのは気に入らない。 武装神姫が何のために戦うのか。それは言うまでも無く、マスターのためである。これは雑誌の通りだし、大抵のマスターも理解しているだろう。 が、そのマスターが狂えば従っている神姫はどうなる。少なくともそれまでの関係には戻れなくなってしまう。それもまたつまらない話だ。 「あいつらの絆に賭けてみるか……。どんな結果になろうが……な」 別に主役を張る気は無い。が、見て見ぬ振りをするつもりもない。 俺はティアやそのオーナーの様に戦えないかもしれないが、自分の筋は通す。それぐらいはできてもいいはずだ。 「なぁ。蒼貴」 「はい」 「俺、イチオーナーとして頑張ってみるわ。付き合ってくれるか?」 「その言葉は紫貴と一緒にお聞かせください」 「……そうだったな。あいつを迎えに行こう」 「はい」 そう胸に決めると俺は蒼貴と共にカルロスの喫茶店に預けた紫貴を引き取りにコーラを飲みながら歩いていく。 やるだけ、やってみるか…… 戻る -進む
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2153.html
ウサギのナミダ ACT 1-27 □ ゲームセンターは大歓声に包まれた。 東東京地区チャンピオンが繰り広げた死闘に誰もが興奮していた。 純白の女王が、醜聞にまみれた神姫をうち負かした。 ギャラリーの多くは、そんな英雄譚を目の当たりにしたと思っているのだろう。 観客達の興奮をよそに、俺も高村も呆然としていた。 あまりに劇的な結末に、思考がおいつかない。 フィールドの映像が消える。 死闘の舞台となった廃墟は消え去り、無機質な筐体の姿に戻る。 アクセスポッドが軽い音を立てて開いた。 「……ティア」 俺は自らの神姫に声をかける。 ティアは立派に戦った。 全国大会でも優勝候補と名高い、あの『アーンヴァル・クイーン』をあそこまで追いつめたのだ。 せめてねぎらいの言葉をかけようと、アクセスポッドをのぞき込む。 ティアは膝を抱えて、うずくまっていた。小さな肩が震えている。 「ティア……どうした」 うるさいぐらいの歓声がいまだやまない。 ティアは何か言っているようだが、俺の耳には届かない。 「お前はよく戦った。そんなに落ち込むこと……」 「……った」 「え?」 「勝ち……たかった……勝ちたかった、勝ちたかった! 勝たなくちゃダメだったんですっ!!」 「ティア……?」 突然振り向いて叫びだしたティア。 驚いた。 こんなに感情をむき出しにしたティアを見たことがない。 俺は気後れしながら呟くように言った。 「なんでだよ、こんなただの草バトル一つが……」 ティアは大きく頭を振った。 ティアの顔は泣き顔に歪んでいた。大きな涙が瞳から流れては落ちていく。 いつもの可愛らしさは微塵もなかったが、感情を顕わにした表情が生々しくて、かえって美しかったかもしれない。 「だって……あのひとに勝てれば、証明できるから……マスターが正しいって、みんな認めてくれるはずだからっ……!!」 「……っ!」 俺は言葉を失った。 俺のため、だと? 「……マスターが作ったこのレッグパーツも、マスターが考えたこの戦い方も……クイーンに引けを取らないって。 わたしがマスターに教えてもらったものは、なんの罪もなく、正しく、つよいんだって!」 激しい口調で言い募っていたティアは、不意に顔を伏せた。 静かな口調になりながら、なおも言葉を紡ぐ。 俺は驚いた表情のまま、聞いていることしかできないでいる。 「……そうしたら、みんな認めてくれます、マスターのこと……。きっと、マスターのこと悪く言う人はいなくなる……わたしだけが汚いって、そう言われればいい……。 嫌だったんです……マスターはわたしに優しくしてくれて、とっても優しくしてくれて……後ろ暗いことなんて何もしてないのに……だけど、だけど……わたしのせいで、みんながマスターを傷つける……そんなこと、耐えられなかったんです……」 いつしか、歓声はなりを潜めていた。水を打ったように静まり、ゲーム機のデモ音だけが遠くから聞こえてくる。 気がつけば、その場にいる観客達すべてが、ティアの言葉に耳を傾けているようだった。 「だけど、わたしにはできることもなくて……マスターに返せるものも、なにもなくて……。 だから、雪華さんとのバトルは、わたしにとっては最初で最後のチャンスだったんです。 彼女ほどの強くて有名な神姫にわたしが勝てれば、みんながマスターを認めてくれるはず……だから、どうしても、マスターを勝たせてあげたかった……でも!」 透き通った滴は、次から次へと、ティアの瞳から生まれては落ちていく。 ティアの心から溢れ出した、悔しさや悲しみや情けない気持ちが、まるで形になっているかのように。 「負けてしまった……わたし、マスターの言いつけを破ってまで、雪華さんと戦ったけど、負けてしまいました……。 ……ごめんなさい、マスター。ごめんなさい……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさ……」 もう、そこから後は声にならなかった。 ティアは泣きじゃくって、何度も何度も瞳を手でこするが、そのたび涙がこぼれてきて止まらなかった。 ◆ ティアのすすり泣く声だけが、店に響いていた。 誰もが押し黙り、居心地を悪くしながらも、泣きじゃくる神姫から目が離せずにいる。 そんな静寂を甲高く小さな足音が破った。 カツン、カツンと、規則正しく鳴り響く。 雪華だった。 彼女はアクセスポッドから出ると、筐体を横切ってティアに近づいていく。 その顔は平常と変わらず、誇りと決意に満ちていた。 誰もが、マスター達すら身動きが取れずにいる空気の中、彼女だけが決然とした歩みを進めていく。 ティアのアクセスポッドの前にやってくると、歩みを止めた。 ティアもその気配を察し、涙をボロボロとこぼしながら、雪華の方を振り向いた。 雪華と目が合う。 すると、雪華は真剣かつ厳しい表情で、ティアを見つめた。 何をするのか、その場にいる全員が緊張して見つめている中で。 なんと雪華は、その場で膝を地について、右手を胸に当てて、ティアに礼の姿勢を取ったではないか。 『クイーン』の二つ名を持つ誇り高き神姫が、自ら膝を折り、最上級の敬意を払っているのだ。 そしてさらに。 「ティア……わたしの負けです」 その場にいた人々、そして神姫達の間に動揺が走った。 いや、誰よりも驚いていたのは、雪華のマスター・高村かも知れない。 大きく目を見開いて、雪華の背をみつめている。 あの誇り高い神姫が、ジャッジAIの判定を自ら覆し、敗北を認めたのだ。 そんな周りの様子など目にも入らないかのように、真剣な顔つきで、それでいてとても優しい声で、雪華は続けた。 「わたしも、今の戦いの中で疑問に思っていました。たかが草バトル。どうしてあなたはそうまでして戦うのか、と。 でも、そんなことは考えるまでもない、当たり前のことでした。 マスターのために戦う。 それは、わたしたち武装神姫にとって、もっとも根元的で、もっとも尊い思いです。 わたしは、強くなることにこだわるあまり、そんな当たり前のことさえ気がつかなかったのです。 その思いこそが、一番大切な支えであることすら忘れて……」 雪華はティアから視線を逸らし、うつむいた。 美しい顔に苦渋が滲んでいる。 「ティア……わたしは恥ずかしい。 あなたの大切な戦いを、たかが草バトル、とあなどっていました。 ……思い上がっていました。 わたしこそ、武装神姫としてあるまじき存在です。 どうか……お許し下さい」 雪華はさらに頭を深く下げる。 ティアはしゃくりあげながら、あわてた様子で声をかける。 「そんな……ひっく、せつかさ……かお、あげて……ひっく、えぐ」 一拍の間をおいて、雪華がゆっくりと顔を上げた。 そして、再びティアをまっすぐに見つめて言う。 「武装は神姫のアイデンティティ、技はマスターとの絆」 雪華の赤い瞳に、泣きはらしたティアが映っている。 「あなたは武装ではなく、技を持ってわたしと渡り合った。そして、わたしをギリギリまで追いつめた。公式戦でも、あそこまで追いつめられたことはありません。 あなたとマスターの絆こそがあなたの強さ。 ならば、あなたのマスターは、正しくそして強い。少なくとも、このわたしを負かすほどに」 雪華の声は真剣そのものだった。 雪華は心からティアを賞賛し、自らの敗北を当たり前の事実として受け止めているようだった。 「そして、ティア。武装神姫として、誰よりもあなたを尊敬します。 そんなあなたと、わたしはライバルであり、友達でありたいと思っています。 もし、許されるのであれば……わたしなどでよければ……認めてくださいますか?」 ■ 雪華さんの言葉に、わたしは驚いて目を見開いた。 とんでもないことだった。畏れ多いことだった。 泣くことすら忘れて、首を横に振った。 「だ、だめですっ……そんな、わたし、みんなからなんて言われているか……雪華さんに迷惑がかかります……っ」 「いいえ」 彼女はゆっくりと立ち上がると、アクセスポッドに身を乗り出した。 そして、優しく、強く、わたしをを抱きしめてくれた。 「迷惑なんてかかりません。誰がなんと言おうと関係ない。あなたと戦った神姫ならみんな分かっているはずです。あなたは素晴らしい神姫であると」 雪華さんは断言する。 「そんなあなたを育てたマスターは間違ってなどいない。正しく、理想のマスターであると思います」 ……わたしは雪華さんの胸にすがりついた。 もう止まらなかった。 大きな声で、子供のように泣きじゃくった。 伝わった。 わたしの大切な思い、このひとには伝わった。 マスターのこと、わたしのこと、信じてくれた。 ありがとう、と。 口に出そうとしたけれど、うまくいかなかった。 □ バトルロンドのコーナーは喧噪に包まれている。 俺たちがバトルしていた筐体の周りに人が集まり、いまだ誰もバトルを始めようとはしない。 誰もが今のバトルの話に夢中だった。 筐体の上では、ギャラリーしていた神姫たちが集まり、ティアと雪華をもみくちゃにしていた。 そんな中、俺は考え事をしながら、のろのろと片づけを行っていた。 すると、筐体の向こうから、にこやかな笑顔がやってきた。 「ナイスファイトでした」 高村が俺に左手を差し出す。 俺は椅子から立ち上がると、彼の左手を取って握手した。 俺の右手は、いまだ包帯が巻かれている。 「……こちらこそ。……変な幕引きになってしまって、すまない」 俺が頭を下げると、高村はゆるゆると首を振った。 「いいえ……僕たちには実りの多い幕引きでした。価値ある敗北だったと思います」 「敗北? 君たちの勝ちだろう?」 「いえいえ。雪華が負けを認めたのです。彼女の意志は、マスターの僕であっても覆せない」 高村の笑顔からはそれ以外の意志は読みとれなかった。 雪華は自分の意志を曲げないし、頑として譲らないらしい。相手がマスターであっても。 誇り高いというか、融通が利かないというか……。 「でも、雪華も少しは考え方を変えるでしょう。 いままでの雪華は、試合に勝つことを一番に考え、それこそが強くなることだと思ってきました。 でも、今日、それでは計り得ない強さがあることを知った。 あなたたちのおかげです。ありがとう」 高村は素直に頭を下げた。 俺の方こそ恐縮してしまう。 「……試合前は、失礼なことを言って、すまなかった。 俺たちとバトルすれば、君たちが中傷されるかも知れないと思った。 だから、バトルを断るつもりで……あんなことを言ったんだ。 本当にすまない……三枝さんも、すみませんでした」 俺が謝罪して頭を下げると、三枝さんは驚いていた。 まあ、あれだけ嫌味を含めて断っていたのだから、信じられないのも無理はないと思う。 高村は、やはり笑って、 「わかってますよ」 と頷いた。 そんな彼に、俺は思っていたことを口にする。 「高村……今度、もう一度バトルしてもらえないか? それから、もっとゆっくり話がしたい。今日はずっと変な流れで、俺自身、納得がいっていないから……」 「喜んで」 高村はポケットから名刺を取り出すと、俺に差し出した。 「僕の連絡先です。気が向いた時にでも連絡してください」 「ありがとう」 俺は素直にそれを受け取った。 必ず連絡しよう。高村とも雪華とも、話したいことがたくさんある。 そして、今度は何のしがらみもなくバトルがしたい。 その時のティアも雪華も、きっと今とは違っているだろう。同じバトルにはきっとならない。 「……だけど、再戦したら、秒殺されそうだ」 「それはないでしょう。だって、あなたは雪華用の戦略をすでに考えているでしょう?」 「ちがいない」 俺と高村は笑った。彼に笑いかけたのは、これが初めてのような気がする。 俺はつくづく失礼な奴だ。 だが、許して欲しいと思う。俺たちを取り巻く問題が一応の解決を見たのは、今朝の話だったのだから。 そして、気がついていた。 俺にはまだやらなければならないことがあった。 ◆ 虎実は、筐体での喧噪には混じらず、大城の肩の上で一人物思いに耽っていた。 ティアは、一戦交えたときから、虎実の憧れであり、目標だった。 いつもオドオドした態度にいらつくこともあったが、バトルでの彼女を純粋に尊敬していた。 虎実はいつもティアを無視していた。 自分が決めた最大のライバルとなれ合うのはごめんだと思っていた。 だけどそれは、彼女の素直でない性格からくる考えだった。 今日のバトルを見て、虎実は思った。 やはり、自分の目に狂いはない。ティアはすごい神姫だった。 クイーンの最大攻撃をかわせる神姫なんて、他にいるはずがない。 そして、雪華がティアに「友達になってほしい」と言ったとき。 虎実は自分の気持ちに気がついた。 そう、友達になりたかったのだ。 ティアに自分を認めてもらいたかったのだ。 自分がティアにとって、胸を張って友でありライバルであると言える神姫だと、そう思って欲しかったのだ。 だから、納得のいく自分になったときに、バトルしてもらいたいのだ。 自分のすべてを見てもらうために。 虎実は雪華がうらやましかった。妬ましくて仕方がない。 でも、虎実は自覚する。自分はあの二人の足下にも及んでいない、と。 「なあ、アニキ……」 「ん?」 「アタシ……トオノにあんなえらそうなこと言ったけど……ティアと戦う資格、あんのかな……」 ミスティにはその資格があると思う。このゲーセンで実力を示し、三強をもひとにらみで黙らせる。 その実力を持って、今日、遠野とティアをここに招いたのだ。 悔しいが、認めざるを得ない。 それに比べて虎実は、やっとランバトの上位に食い込んだところだ。 だが。 「……ばっかじゃねぇの?」 彼女のマスターである大城は、呆れた声で言った。 虎実は大城に振り向く。 「資格とか、そんなもの、必要なモンかよ。 バトルロンドは、お前が考えてるほど堅苦しくないぜ? バトルやりたきゃ、遠野にそう言えばいい。 そんなこと考えてるのはよ、虎実、お前だけだ。 意地っ張りはやめて、ティアとバトルしたいって、言えばいいんだよ」 虎実は大城の言葉にむっとした。 でも、反論できなかった。アニキの言うことは正しい。 結局、虎実の意地っ張りな性格が、素直な気持ちに邪魔をしているだけなのだ。 それでも、と虎実は思う。 それでも、納得のいく自分になって、ティアに挑みたい。 その気持ちは本当だった。 もしかすると、納得のいく自分になるために、ティアを目標にしているのかも知れない。 「それでも……やっぱり、自分に納得がいってから、ティアと戦いたい。 そうじゃなきゃ、またはじめの時みたいに、悔しい思いをすると思う」 それは約束だ。 あの日、遠野に必死でお願いをした、約束。 遠野は約束を守って、ティアをバトルロンドに連れ戻してくれた。 その約束を守るためにも、半端な自分ではだめだ。 虎実は決意を新たにする。 納得いくまで、自分のスタイルをつきつめよう、と。そして強くなろう、と。 大城はため息をついたようだったが、気にもならなかった。 □ バトルロンドコーナーでの喧噪が、ようやく収まってきた頃。 「ティア、帰るぞ」 頃合いを見計らい、俺はティアに手の甲を差し出す。 ティアはまだしゃくりあげながら泣いていた。 そばにミスティがついていて、まわりを四人のライトアーマーの神姫たちが囲んでいる。 神姫たちはティアに道をあけてくれた。 ティアはまだ震えながら、俺の手に乗る。 ミスティたちは気遣わしげな表情で、俺を見た。 俺の心に、彼女たちの優しさが染みた。 ティアをこんなに思ってくれている仲間がいる。認めてくれている友がいる。 そしてもう、それを捨てようなどと、俺たちは考えなくてもいいのだと。 そんな小さな幸せを噛みしめる。 俺が少しだけ笑顔を見せて頷くと、五人の神姫たちは華やぐように笑ってくれた。 ティアを定位置の胸ポケットに収めて、俺は振り向く。 そこには久住さんと仲間たちがいた。 今回のことでは、久住さんには世話をかけっぱなしだった。 本当に、感謝してもしきれない。 今朝の事件の顛末も、話をしておきたいところだった。 だけどその前に、今すぐに、俺はどうしてもやらなくてはならないことがあった。 「ほんとうは、ゆっくりお礼をしたいんだけど……」 「分かってる。また今度でいいから」 「ありがとう」 「……でも、連絡くれなかったら、承知しないわよ?」 「……肝に銘じておくよ」 いたずらっぽくウィンクなんかした久住さんに、俺はドギマギしてしまった。 同時に、「承知しない」の一言に肝を冷やし、後で絶対に連絡を入れようと固く誓った。 俺はつくづく、久住さんに頭が上がらない。 俺はまだにぎわっているゲームセンターから、みんなに隠れるようにして帰宅の途についた。 高村と雪華との話もそこそこに、久住さんへの報告もそのままに、俺が急いで帰るのには理由がある。 俺がティアのマスターとして、やらねばならないこと。 さっきのティアの言葉で気づかされた。 ティアを本当に俺の神姫にするために、それはきっと必要なことだった。 だから俺は家路を急ぐ。 あたりはもう夕暮れに赤く染まっていた。 次へ> トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2632.html
「ごめんね。同じような人がいて、つい嬉しくなっちゃって」 「……はぁ、そうなんですか」 やっちゃったなー、これは。絶対変な人だと思われてるよ。僕も逆の立場だったらそう思うし、なんでこんな暴走したのかな、僕は。 「あはは、面白いマスターさんだね」 少女の肩の神姫がシオンに話しかけてくれている。あれは火器型の神姫だったかな。 「でも、お優しいです。とり乱したのも、お友達が来なくて寂しかったんでしょう」 シオンは本心でそう言ってくれてると思うけど、それがかえって痛かったりして。 「それじゃあ、改めて。僕は長倉 螢斗。この子はアーティル型のシオンです」 「よろしくお願いします」 「私は、その……」 「リミちん、ちゃんと自己紹介しなくちゃー。ほらほら」 「あ、うん。私は霧静 璃美香です。この子はゼルノグラード型のアリエ……です」 霧静さんは言い終わったら、顔を俯かせてしまった。 「アリエでーす、どうもー。すまんねぇー、この子ちょっと人見知りなもんで」 「いえいえ大丈夫ですよ。僕も少しそういうのありますし」 「本当かなー? がっついて、リミちんに話しかけてきた時はそうは見えなかったけどなー」 「あれはっ!……ただ、お友達になれそうだなーって思ったから勢いで」 「いや、あれは一歩間違えば、ナンパの部類だね。うん」 「ナンパって。それはないよ……」 なぜかこのアリエって神姫ものすごく馴れ馴れしい。オーナーの霧静さんもオロオロとことの成り行きを見守ってるだけだし。 「とりあえず!……ここにいるという事は神姫バトルが目的なんですし、バトルやってみませんか?」 「そう――」 「そだねー。ケートん、シーちゃんとも仲良くなれそうだし。交流を深めようではないか」 霧静さんが言う前に勝手に決めている。口は開いた状態で止まった。 そしてなぜか、あだ名みたいのも了承も取らず決められている。 シオンもなにも言わないし、僕も、それはいいのだけど。 ゼルノグラード型はみんなこうなのか? それともこのアリエだけがこういう性格なだけなのか。 「ハァ……すいません。この子、誰でもこんな感じで。すいません……」 霧静さんはものすごく申し訳なさそうに頭を下げている。見た感じ、いつもこうやって苦労させられているのだろう。 「霧静さん、ちょっといいかな?」 話を聞けば僕と同じ高校一年らしいので、敬語はいらないと言っていた(主にアリエが) 霧静さんにも一応は了承もとったし、これで少しは仲良くはなれただろう。 それにまず僕はシオンのことを話しておこうと思った。 「シオンはちょっとバトルがしにくいというか……えっと、なんて言えばいいのか」 「螢斗さん、私は大丈夫ですよ」 そう言うが、実際に僕はシオンのバトルを見てはいないけど……心配なのだ。 「シオンちゃんがどうしたんですか?」 「なになに、私と同じになんか訳有りかい」 私? アリエもなにかあるのだろうか。霧静さんを伺うと、 「アリエ。それは……」 霧静さんは何か言いづらそうに口をつぐんでいる。 「まあまあ、全てはバトルをしてみればわかることさね。はーい、それじゃあみんな、台について」 アリエはそう言うと霧静さんの肩から降り立って、一人で向こう側のブースに行ってしまった。 「まったく、アリエは。とりあえず、長倉……くん」 「……なにかな」 「まずはお互い、バトルさせてみて……その後色々話してみないかな?」 頭のリボンを指で触りながら、目線は横を向いている。話すのは得意そうに見えないけど、霧静さんはそう言ってくれる。 勇気を出して言ってくれてるようにも見える。 霧静さんもなにか抱えているようなそんな感じ。 なんて、さっき知り合えた人にこんなこと思っちゃいけないよね。 「そうだね。シオン、僕たちもバトルの準備しようか」 「はい! 頑張ります!」 ―――― バトルのステージは廃墟街になっている。 さびれた廃屋やビル。むき出しのコンクリート。ボコボコ穴の空いた道路にへし折れた信号機などなど。 リアルであったなら、不気味としか言えないな。 いまそこでシオンが廃ビル群の一角に潜んでいるのが画面からは見える。 僕はオーナーブースから、シオンに語りかける。 「怖くない?」 「……大丈夫です」 大丈夫と言うが、本当だろうか。 フェリス・ファングを両手で構え、その場には緊張感が漂っているように思える。 「火器型はその名の通り、銃器を使う戦闘が得意だと思う」 僕がいままで見てきた情報では、ゼルノグラードは火力のある武装を念頭に置いている武装神姫だというのは知っている。 だけど、 “訳有り”とはどういうことだろうか。 それがさっきから引っかかる。 ――いや、でも、そんなことは後回しにしよう。 まずはシオンのバトルを見ておかなくちゃ。 僕が冷静に指示できて、シオンもバトル恐怖症が起きなかったら、初バトルで勝利できるんだ。 よし、そうと決まれば。 「シオン、敵の気配は?」 「まだ確認は出来てません。まだ近くにいないのかと」 「それじゃ、危ないけど周りを索敵してみよう」 はい、とシオンは答えると、銃を構えたまま細い通路といえる路を進んでいく。 障害物が多いバトルなら、身を隠して攻撃する戦法が有利だろう。派手さはないけど、真っ向からやりあって勝ち目はあまりないと思う。 僕の経験も少ないし、シオンはちゃんと戦えるのか心配でもある。 でも、バトルに勝てれば自分の自信にも繋がるだろうし、バトルの拒否感も和らぐかもと思った。 「螢斗さん、あの、奥にいました」 「え、気付かれた?」 「いえ、その、なんと言いますか。アリエさん……くつろいでます」 「……なんで」 見ると、開けた道路にアリエが座っていた。崩れた、腰掛けるのにちょうどいい大きさのコンクリートに座り、のんびりとしている。 軍隊の兵士みたいにペイントされているアーマー。それに身を包んでいるアリエの姿があった。戦闘状態の筈なのだけど、暇そうである。 ……そんなに時間をかけたわけではないのに。 傍らには腹にパイプみたいな筋の入った奇妙な大剣がある。武器はそれだけしかない。銃みたいな武装は見当たらない。 「どうしますか?」 シオンが訪ねてくる。どうしようかな。あんな油断している姿をみせられるなんて、よほど余裕があるのか。 弱いと思われているのか。……実際そうなのかもしれないけど。 こっちが考えていると、アリエが動きをみせた。 立ちあがり、あくびをしてから背筋を伸ばしている。リラックスしているな、と思うけど、あれは相手の罠なんだろうか。 「バレバレだよー。出てきても、いいんじゃないー!?」 片手に大剣を持ち、声を張り上げている。 いる方向に声は向けてないけど、――なんて言った? アリエはシオンが近くにいるのがわかっている。 そんなミスはしていないと思ったけど。 「しょうがない。不意をつくのは止めて出よう。真っ向から挑むけど、いける?」 「いけ……ます」 その震えは恐怖なのか、武者ぶるいなのかはまだ僕にはわからないけど、 「いくよ」 戦いを楽しめるようになればわかるのかな。 シオンが路地に飛び出す。 スラスターを作動させて駆けながら、アリエに狙いを定めてフェリス・ファングを構える。 その後の動作は引き金を引くだけなのだけど。 ――引かない。 いや、シオンは引けないのか。 やっぱり、うまく戦えないのか。あっちはもうすでに臨戦態勢に入っている。 「シオン! 接近戦に変更して!」 なにもしないのなら、ただの動く的だ。 ここは相手の武装も考えて、接近戦に持ち込んだ方がマシだ。 武器で打撃を与えるなら誰だってできる。 フェリス・ファングをしまわせ、腰からナイフを取りださせる。 宮本さんから預かった武装には、近接用の武器がなかったから、淳平から神姫用のを譲ってもらった物だ。 シオンはそれを振りかぶって、勢いのままアリエに攻撃を加える。 「おりょ。なんか、勢いのわりに軽いね。銃でなんでか何もしなかったし」 ガンッ! と場に大きな音を響かせた。 大剣で攻撃を防ぎ、少し後ずさったアリエが疑問に思っているみたいに言う。 「そっちも、なんで、その大剣しか使わないんですか? チャンスだったと思いますけど」 「うーん、私も使いたいんだけどねー。使えない理由があるん……っだ!」 言葉を途中で切らし、腕に力を込めて、気合いの声を発する。アリエは詰め寄り大剣を振るう。 シオンはそれを危なげに避けていってるが。 「なんか焦ってるねー。それじゃあ戦えないよー……」 「くっ! わかってます!」 僕から見ても、確かに顔は焦っていて辛そうに見える。 「ほらほらー」 避けきれなくなってきたシオンは、アリエが振るった大剣にナイフの刃が当たった。 ナイフは明後日の方に飛んでいく。 「バトルが楽しくなさそうだねー。それがシーちゃんの悩みなんだねー。うんうん」 「……アリエさん、わかるんですか」 「私もさー。昔に色々あってさー火器型のクセに重・軽火器類が一切使えないんだ。笑えるけどホント。だから、私の武器はこれ一本!」 どうやらそれがアリエの“訳”らしい。 自慢げに大剣を掲げて見せる。――見るとやっぱり奇妙だ。 剣の腹に細いパイプの入ったような筋、根元部分には片刃の方にだけ同じ材質みたいので覆われている。 そして、握りの鍔の方にトリガーが付いてある。 「あれって、もしかしてガンブレード?」 今も続いているテレビゲームの超大作にアレに似た武器を使う主人公がいたはずだけど。今はもう18作目に突入しているらしいゲームだ。 僕はやったことはないが、学校の友達はよくゲームの話題をする人がいるので知っている。 「オリジナルの武装なんだけどねー。公式の場でもレギュレーション以内の優れ物。それじゃあ、これの仕掛けも見せとくかー。リミちん!」 『……うん』 筐体の向こうからは霧静さんの声が聞こえる。何かを送ったんだ。 アリエの手元には、手の平サイズ、厚さのあるカード状のような物がある。 それは、赤。イスカの大剣と同じような赤色だ。 「『エレメンティア・ヒート・カートリッジ』セット完了! いくよーん!」 そう高らかに楽しそうに声をあげる。 片刃の覆われた部分を下にスライドさせて、そこに持っていたカートリッジなるものを差し込んだ。 スライド部分を引き戻すと、その瞬間パイプに赤色が現れ始めた。 「よーっし。来たー!」 パイプに溶岩のようなのが先端まで行き渡ると、鋼鉄の大剣の刃も真っ赤になり始めた。 高熱を発しているみたいだが、実際に燃え盛っているような錯覚がする。刃の周りの空気がゆらゆらと揺れてきている気が。 「覚悟してね。いっくよー」 「シオン、何か危ない、後退して! ……シオン!?」 「……あ、あ……あ」 シオンの様子がおかしい。腰を抜かしている。 どうやらシオンの焦点が集まっているのは大剣みたいだけど。 ――もしかして、イスカの、お姉さんの大剣を思い出しているのか!? でも、反応が異常すぎる。 「あ~、えーと……そっちのマスター。ケートん、見えてる、聞こえてるー! サレンダーできるー!?」 大剣を、八双の構えに留まったままのアリエが、僕に叫ぶ。このまま、やっても無駄だと思ったのだろうか。 「……わかったよ」 あっちには聞こえていないだろうけど、受け応えはしておく。 アリエの優しさに感謝しつつ、僕はサレンダーのボタンを押した。 ―――― 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」 「……シオン」 私は謝り続ける。全ては虚勢だったんだ。 戦う前は確かに自信はあった。螢斗さんの為に戦えると思った。 でも、やっぱりダメだった。アリエさんの武器がお姉ちゃんの大剣に見えてしまった。その後はもう無理だった。 こんな私なんて、武装神姫じゃない。 こんな私なんて、ただの人形だ。 そして、螢斗さんの手が私の頭に移動してきて、 「大丈夫だよ。大丈夫」 「……あ、」 優しく指で頭を撫でられる。 不思議だ。 この人に撫でられると安心する。凛奈さんとお姉ちゃんの所で、まだ仲が良かった、時にも感じたことのない安心感。 なんで私は螢斗さんの為に戦えないのだろうか。 今はそれが悲しくて仕方なかった。 ―――― 謝るのは止まった。 でも、慰め続けているけど、なかなか泣き止んでくれない。 僕も多少はショックだったけど、バトルがうまくできないのはわかってはいたし。 過剰反応したのは、驚いたけど、しょうがないのかもしれない。 バトル恐怖症に加えて、凛奈さんとイスカの頃の記憶がトラウマにもなっているのかな。 なんとかこれを乗り越えさせないといけないのか。 僕にできるのか。 だけど、しなきゃシオンが幸せになれないんだ。 しないといけないんだ。 「ハロー、ケートん、シーちゃん」 アリエと霧静さんが近くに来てくれていた。 あんなシオンを見たらそれは心配になるだろうな。 「シオンちゃんは……大丈夫?」 「うん、まあ、大丈夫だよ」 多分と付け加える。 「バトルして、こっちのことも、わかってくれただろうけどさー……なんかそっちの方が深刻そうだねー」 「……確かに、そうみたい」 シオンとアリエを交互に見て、考え込む様子の霧静さん。 火器類の武装を使えないらしいアリエと戦うことができないシオンはどっちが辛いのだろうか。 このままバトルはしない方がいいのだろうか。 でも、それは――。 だめだ。やっぱり、うまくいかない。 「長倉くん。ともかく、私たちに話してみないかな。ほら、アリエもこんな神姫だけどなにかアドバイスできる……かも」 「こんなのとは酷くないですかい」 そう言われても、アリエは別段気にしてないように見える。 あんな風に気楽なのはもう割り切っているからなのかも。 「シオン、いいのかな。話しても」 「……はい……大丈夫……です」 なんとか涙を止めたシオンが頷いてくれた。 ――シオンのことをちゃんと話しておこう。 前へ 次へ
https://w.atwiki.jp/2chbattlerondo/pages/190.html
CSC交換 CSC交換は神姫ショップで行える。神姫ポイントは不要。 神姫に組み込んでいない未使用のCSCをGEMに交換し、GEMをCSCやアイテムに交換する事が出来る。 GEMの最大所持数は65535個、CSCは255個。 画面の見方や手順、注意事項などはマニュアルを参照。 ※「神姫に組み込んでいるCSCの入れ替え」ではないので注意。 交換レートCSC→GEM/GEM→CSC GEM→アイテム CSCの入手概要 CSC稼ぎ コメント 交換レート CSC→GEM/GEM→CSC レアリティ CSC CSC CSC CSC CSC→GEM GEM→CSC ★ CSC/ルビー エメラルド サファイア トパーズ 1 2 ★★ CSC/ガーネット ブラッドストーン アクアマリン ラピスラズリ 1 2 ★★★ CSC/ペリドット マラカイト アメジスト オニキス 5 10 ★★★★ CSC/ジルコン オパール ジェード アンバー 10 20 ★★★★★ CSC/ムーンストーン ダイヤモンド ブラックオパール キャッツアイ 30 50 数字はGEM数。 基本的に左から右、上から下の順に並んでいるが、 ジェードとアンバー、ムーンストーンとダイヤモンドの順番は逆である。 これは、ジェードとアンバー(それとブラックオパールとキャッツアイ)が後から追加されたCSCだからである。 GEM→アイテム アイテム GEM 備考 スクウェアイヤリング(緑)L/R 10 WF景品 パールイヤリング(白)L/R 10 WF景品 サンタ帽 30 WF景品 ツリーランス 30 WF景品 大筆 50 WF景品 ダーツ 50 WF景品 コンみみ(白)(黄) 80 白 WF景品 ナインテイル(白)(黄) 100 白 WF景品 スクールバッグ(紺)(緑) 25 紺 WF景品 スポーツバッグ(赤)(緑) 25 赤 WF景品 ピコピコハンマー(緑) 30 WF景品 ターバン(ピンク)(青) 10 ピンク WF景品 ローズブーケ(黄) 25 1st Anniversaryで全配布 忍刃鎌“散梅” 25 初期配布・WF景品 教鞭 25 WF景品 黒板消し 25 出席簿シールド 25 湯呑み 10 アチーブメント 土鍋 20 WF景品 竹槍 20 WF景品 ボールボム 25 WF景品 ウイングブレード 50 WF景品 “スティンガー”レーザーライフル 100 WF景品 ジェムバレット 100 WF景品 レインボーアーチ 100 WF景品 ウインビームガン 100 WF景品(未配布) クリスタルソード 150 雪ダルマ 20 WFで全配布 ダブルコットン 100 たんぽぽの髪飾り 20 たんぽぽのイヤリング L/R 20 つくしスピア 25 桜スピア 40 ゴム長ぐつ(黒)(水色)(ピンク)L/R 60 ディアホーン 80 鯉のぼり 30 ロングボウ 75 つりざお 10 アスパラスピア(グリーン)(ホワイト) 25 正しくは○○アスパラスピア 鼻メガネ 20 1周年感謝祭の罰ゲームで使用当然、任意で着脱可能 ジャージトップス 100 トンファー 100 ホットパンツ 25 腕時計(白)(ピンク)(水色) 20 白 バトルロンド1周年感謝祭で全配布 しましまテイル(白) 80 バトルロンド一周年感謝祭で配布 まるみみ(白) 60 バトルロンド一周年感謝祭で配布 バレーボール 50 バトルロンド一周年感謝祭で配布 天女の羽衣 100 バトルロンド一周年感謝祭で配布 愛のムチ 150 バトルロンド一周年感謝祭で配布 ススキセイバー 50 パンプキンヘッド 50 イヤリング(キャンディー)L/R 25 キャンディー髪どめ 25 ローズブーケ(青) 25 イヤリング(もみじ)L/R 25 ジュラルミンシールド 80 スノーゴーグル 30 パピヨンパンツ 50 ネックファー 25 薔薇の髪飾り 20 もみじの髪飾り 20 ヌンチャク 100 ポケットティッシュ 30 消費アイテム ポケットティッシュ×5 120 消費アイテム 牡丹(ピンク) 30 イヤリング(イースターエッグ/シアン) 25 イヤリング(イースターエッグ/カーキ) 25 イヤリング(イースターエッグ/レッド) 25 怒りのブドウ 100 ジャージボトム 100 コンしっぽ(白)(黄) 80 木刀 200 香水 50 消費アイテム 香水(青薔薇) 100 消費アイテム CSCの入手 概要 CSCの入手方法は2つ。 素体の追加素体1つにつき自動的にルビー・サファイア・エメラルド・トパーズを1個づつを入手。 神姫ショップのフルセットまたは素体、フィギュア付属のアクセスコードが該当する。 アチーブメントCSCパックを入手できる繰り返し達成可能なアチーブメントがあるので、これを狙う。 該当するアチーブメント アチーブメント 報酬 神姫を成長限界まで育成 CSCパック/スタンダード1 ダメージを一度も受けずに勝利する CSCパック/スタンダード2 LP差3倍以上の状況から逆転勝利する CSCパック/アッパークラス1 スキルを5回以上使用して勝利する CSCパック/アッパークラス1 残りSPが1桁で勝利する CSCパック/アッパークラス2 ※詳細はアチーブメントのページを参照 ミッションバトル 相手が固定なので、パターンができれば確実にアチを取れる。成長限界に達していない神姫をオフィシャルバトルに出すと、ステータスの成長によってパターンが崩れる場合があるので注意。 バトルシミュレーター バッテリーを消費しないので、時間のある限りチャレンジできる。暇な時に。ついでにシミュ累計300戦のアチを狙うのもよい。 CSC稼ぎ ノアくじ 比較的簡単に倒せる上に、調整がしやすい。 ASを習得している神姫で、スキル5回アチを狙う。 SPを毎ターン回復させる・SP切れを避けるために、AS以外のスキルは出来る限り控えた方がいい。 スキルを調整して、SP1桁アチを狙う。 SPが50の倍数ずつ回復するのでスキルの調整がしやすい「SPのMAX値が250の倍数+端数1桁」 またはチアリーダーコーディネイトを使用した時限定になるが「SPのMAX値が200の倍数+端数1桁」(同上)になった時点で 成長限界までトレーニングでレベルを上げきってミッション専用に育てる方法がある。 1ターン目にSP50があるので、最初に使うスキルと2回目以降で使うスキルの調整は必要。 また、上記の通りのSPにならなかったとしても、序盤で「スキルを使うな」と指示を出しておき、中盤で一気に叩き込むという方法で調整する事も可能。 消費SPが30の倍数になるピアスドナイトメアや120の倍数になるシュプリーム・ヴェイングローリー、出すタイミングは非常に難しいものの、消費SP230の反撃スキル桃源の舞などでも調整可能なので、遠距離(200~300)での戦闘の可能性を模索してみるのも一考の余地あり。 パシュミナ相手にSP性能△の素体でサンドスプラッシュフィーバーによる勝利、もしくは次のターンでの勝利を狙う方法もある。 ■武装神姫_BATTLE_RONDO>>PART_107 722 名前:名も無き冒険者[sage] 投稿日:2008/01/30(水) 19 47 27 ID MhnKuFq7 いよいよCSC交換を明日に控えたわけだが 先日発見したノア、パシュミナ以外のアチ稼ぎミッションを紹介しよう LP2300前後の娘にハリセン二刀持たせてコーディネートプラン2 コルク銃か箒を出してもらえたら最速1ターンでLP3倍アチが取れるよ ※ハリセンこと「センス・オブ・ユーモア」の二刀流には、アチーブメント(侍型Sクラス)、ウィンターフェスタの報酬(終了済み)、イベントミッションの報酬(シークレットアチーブメント)のうち、いずれか2つ以上の達成が必要。 ■武装神姫_BATTLE_RONDO>>PART_109 200 名前:名も無き冒険者[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 14 14 38 ID IkCJZF2X とりあえず、簡単スキル5回使用 なるべく中距離で戦うように教育する ボールと雪だるまで、あとは回避でも防御でもいい(防御の場合ダウン値調整要) あとは威力と相談しながら、命中装備にするなり、チア装備にして少しでも多くSP稼ぐようにするなり。 SPが余程低くない限りは、これが一番手っ取り早いと思われます。 どうしようもないと思った150子もこれでなんとか再生できるのでお試しあれ。 コメント 神姫技能試験/CクラスⅡのバラライカ 相手の機動が低いので、こちらにある程度機動があれば、 回避指示を出して遠距離武器のみ持たせると LV0でも「ダメージを一度も受けずに勝利する」が狙えます。 シュラム・RvGNDランチャーを撃ってくることもありますが、 それが回避できれば。 -- (名無しさん) 2010-11-25 12 51 13 個人的に成功したCSC大量入手方法紹介です 用意するもの「悪魔型Mk2装備」「アーク型装備」「SP:900~909の神姫」 使用スキル「ダスビダーニャ(以後DD)」「ファントムアクセル(以後FA)」 この2種を使えるように育成し、それ以外のスキルはなるべく装備しないようにする 9ターンまで敵の攻撃に耐えられる十分な守備力とLPを持っていること。 さらに、DD使用により900前後のダメージを与えられる攻撃力を持っていること。 攻撃力は高すぎてもいけないのでDDでダメージ1000行かないようにする。 この条件を満たし、「ミッションバトル・エキストラⅥ:マッシブに」に通常の武器を装備せず挑む。 すると、FA1回・DD4回使用し、最終SP一桁で終了することができる。 結果アッパークラス1、2のCSCが同時に入手できる。 以上、なかなか難しい条件ですが、これらがそろえば揃えば安定してCSCを入手できます ただし、敵がごく稀に予想外の動きをするため2、30回に1回くらいは失敗します 長々とすいませんでした -- (名無しさん) 2011-04-13 01 50 20 上にある「ハリセン二刀でコーディネートプラン2」の方法は、スクールバッグ二刀 で代用可能。2~3ターンでLP3倍差逆転アチが取れる。 敵が最初の攻撃でホウキかコルク銃を使用するのが条件で、スプーンとグローブだと 失敗に終わる。ホウキも2ヒットしないとダメ、長期戦になってコルク銃を連射され ると負ける可能性もあるため、運要素がかなり絡む。 スクールバッグそのものがGEM交換かアチなので、いきなり二刀揃えるのが難しい のも難点。自身があるなら似たようなミッションのリンゴを殴る方がいいかも -- (名無しさん) 2011-04-14 13 51 33 自身→自信。リンゴ→りんご。失礼 -- (名無しさん) 2011-04-14 13 55 16 べっ、べつにアンタのためじゃないんだからね!d(´∀`*)グッ★ http //m-s.e29.mobi/ -- (俺だ) 2011-12-29 11 32 52 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/960.html
八幕。再度上幕。 新しくなった琥珀色に染まるコーヒーから立ち上る薄く白い湯気。そのカップに視線を向けることも無く、未だ信じられぬといった感じでアキは相槌を打った。 「そっか。だから『姉妹』て事・・・」 よもや・・・それこそ在り得ない確立と言えるかもしれない。 あの『ゼリスさん』のボディを受け継いだ他の神姫に会えるとは思っていなかった。 会う可能性さえ想定していなかったアキは、高校一年生であるという・・・彼女にしてみれば4つほど年下になるのか。その年齢不相応に落ち着いた感のある先の少年、マコトの説明を受けてようやく理解した。 当のルクスと、先ほどまで見事な舞を見せていたアーンヴァル「フェスタ」は何やら親しげに話している。 (あ、いいなぁ) 姉妹かぁ。と、心中続けて、アキは正に運命的に巡り合った自身のパートナーの『姉』にもう一度目を向けた。 いわゆるアーンヴァルタイプのノーマルスーツカラーであるが、確かに腿のスペーサージョイントから先の色が違う。鮮やかな翠色のリングラインが一本だけ入り、その先・・・爪先までのパール部分にはうっすらと草色が混ざっている。 「あ。そういやぁ。ルクスは、いつ気付いたん?」 ふと疑問に思い訊ねた声にルクスは顔を上げる。 「初見で、違和感のような物がありました。どこかで聞いた事がある『音』だと」 「音? で気付いたの?」 「はい、足音です」 フェスタの問いに小さく頷きながら。 「私は、母様は勿論。姉様の足音も、今まで一度も聞いた事がありませんが。しかし」 目を閉じ、思い出すように続ける。 「確かに解りました。この足音を知っている。いえ、正確には音ではなく、何と言えばいいのか解りませんが」 困ったようなルクスの声を聞き、今まで話を聞いていたマコトがカップティーを下ろしながら小さく言った。 「きっと、オレ達には解らなくても。解るものなんだと思います」 確信を持った、しっかりとした言葉。 「・・・。うん? そうやね」 その一言に納得したらしいアキをルクスは嬉しげに見上げていた。 「ルクスが、お母さんから貰ったのは。『瞳』なんだよね」 「はい?」 声に振り返れば、フェスタがぐっと身を乗り出して来ていた。 驚いたルクスが身を引く暇も無く、すっと両の頬に手、そして細い指を回されて。そのままフェスタは顔を寄せてくる。 じっと真正面から眼を覗き込まれ、目が近いことにはっと気付けば鼻が触れ合う程の距離にある・・・端整な姉の顔と瞳。 「あ・・・」 抵抗する事も出来ず、そのまま美しい姉と見詰め合う。 ・・・しばらくの沈黙の後。フェスタが口を開いた。 「綺麗な銀色」 「あ、はい。ありがとうございます」 「うん。お母さんの色・・・」 心なしか、どことなく。うっとりと言うフェスタ。アーンヴァルタイプ特有の、深みのある青い・・・僅かに潤んだ瞳。山吹色の美麗な髪が揺れ、神姫用のコンディショナーの淡い香りが鼻をつく。 屈託無い柔らかな笑みを口元に浮かべてはいるが、そこには天使というモチーフがそうさせるのか、不思議と艶やかな印象さえ見え隠れしていた。 「あ・・・のっ、姉様」 困ったようにそう言って顔を逸らそうとする。が、その瞳はそれを許してくれない。 「うん? 解ってるよ。今は・・・『ルクスの眼』、だよね?」 体躯は同じであり、既に半分押し倒される形になりながら。しかし、そう言って相も変わらず嬉しげに微笑む姉。 (いえ。それは解ってないのです。ですから。そうではなくて) そう言えば良いのだろうか。他の神姫との関わりが少ないルクスはどうすれば良いのか迷っていた。 もっと良く見たいのか、更に近づけられる顔。 整った目鼻が、ルクスの視界を覆う。 「・・・ぁっ」 思わず声が漏れてしまった。普通のアーンヴァルよりも僅かに血色が良い肌、仄かに薄桃色が差した唇は、今や触れるか否かの所にある。そのまま届くほどの吐息。 「・・・っ」 流石に息が詰まる。無論、ここまで他の神姫と近く接した事は無い。 フェスタ自身は恐らく無意識なのだろうか? 恐らくは他の神姫ともスキンシップ的にこういう行為は取っているのかもしれないが、しかし・・・。 何かを言いたげに、しかし下手に口を開く事も出来ない距離の顔と唇。 それでも視線だけでも何とか逸らしつつ、顔を赤くしているルクスを見かねたのか。マコトが頭を抱えてフェスタを指で引き離した。 「そこまで」 「・・・あれ? なんで?」 少し離された場所に置かれて、今尚解っていない様子のまま。きょとんとしてフェスタはマコトを見上げる。 長く。失礼かもしれないが安堵に近い息を吐くと。ルクスはゆっくりと体勢を直した。 「抵抗しても良いからね? 困っているようだったし」 苦笑して言うマコトに、力なく笑い返す。 「いえ・・・」 そういう行為、こういう関係は。彼女は知らない世界なのだ。仕方ない。 ・・・。 『知らない』。 その単語が胸に突き刺さった。 「ん、そのままにしといても面白いのに」 笑っている主に思わず非難の目を向けながら。 マスター二人が飲み物と、軽食を取りに行くのを見送ると、フェスタはくるっとルクスに向き直った。先のこともあって、思わず身を引く妹に、彼女は気にせず問いかける。 「ねぇねぇ。ルクスは、バトルが好きなの?」 「・・・え」 突如として、意を介せぬ質問をぶつけられ。 姿勢を直しながら、しかし彼女は、ふっと宙に視線を漂わせた。 「あの」 心が、きゅっと締め付けられるような。感覚。 「うん?」 「・・・そう、です」 「?」 その。多少煮えきらぬ声調と、どちらとも取れぬ回答に首を傾げるフェスタ。 「いえ。あの、姉様のように。そのような・・・その」 神姫バトル。それは、確かに・・・嫌いではない。だが。 ルクスは自分の膝を抱き寄せた。そこに顔を埋めるようにして、姉から顔を背けた。 「・・・すいません」 いきなり身の置き場所が無いような想いに捉われ、小さく呟く。 「え、どうして?」 ルクス以上に、困ったような顔でフェスタはルクスを覗き込んだ。 「・・・」 姉は。周囲に笑顔を咲かせていた。 神姫バトル。 自分を磨き、アキの愛に答える為に戦う・・・手段ではない。戦う事が、不器用な自分が出来る・・・たった一つの行為。 自分が自分である事の確かな表現の場。アキのへの愛を形にする行為のステージ。 ・・・それに、迷いは無い・・・はずだった。 黙りこんだ妹に、フェスタもまた少しの間、口を噤んでいたが。その沈黙に耐えかねたのか。 「えっと、確か・・・強いんだよね? ルクスって。以前神姫ジャーナルで見たよ?」 「はい・・・あの。一応は」 高みに行きたい。しかし、その名誉を欲してはいない。 「・・・ルクス? どうしたの? さっきから変だよ」 はっと気付けば。四つん這いの形を取るようにして、姉が身体を近づけて来ていた。髪が柔らかく孕んだ山吹色の光が目の中に舞う。 「あ・・・いえ。バトルが強くても・・・余り自慢にはなりませんし」 しどろもどろに言うルクスに。フェスタは首を傾げた。 「そんな事、ないよ?」 そう言ってくれる姉の声が辛い。 彼女は思わず姉の姿を見ないように目を閉じた。 「ですが・・・私の瞳は、母様の瞳は。ターゲットスコープを覗く為に使われています」 姉は母より受け継いだ脚で、笑顔の花を満開に咲かせているのに。 自分は。 「姉様と違って、私は『母様の瞳』で・・・何をしているのでしょう」 自分は、そんな事しか出来ない。それしか出来ないんだ。 それしか知らない・・・何て不器用なんだろう。 膝に顔を埋めて下を向くルクスを、しばし疑問符を浮かべながら見つめていたフェスタは。 やがて妹の思う所を介したのか。はっとした表情を浮かべて。そして、思わず吹き出した。 「っ・・・あははっ」 きょとんとして、顔を上げる妹に。肩を竦めて笑いかける。 「ねぇ、ルクス?」 ぴっ、と。人差し指でおでこを押さえられ、くっと下を向いていた顔を僅かに上げられた。そのままフェスタは先と同じく、瞳の奥を覗くように顔を近づけてくる。今度もまた、逃げる事もかなわないまま、しかしフェスタも少し先よりは離れた場所で止まった。 「『ルクスの瞳』・・・でしょ?」 「?」 指を外し、そのまま彼女はルクスの真前に身体を起こすようにして、座り直した。 「バトルだからいけないの? ダンスだったらいいの?」 「え、いえ。しかし」 「何でダメなの? バトルの一番を目指す事。それの何が悪いのか、私は解らないよ」 自分が行っている行為は。他の誰の為にもならない。 自分の為だけ。自分とマスターの勝利以外、何も、誰の為にも・・・紡がないじゃないか。 そんな事を考えていると。フェスタは小さく笑った。 「ルクスは強くて。そんなルクスにようになりたい、って思う『武装神姫』が、きっといると思う。それは、決して嫌な事じゃないよ」 「・・・?」 思わぬ言葉に、ふっと。顔を上げる。フェスタは妹の、その美しい銀色の瞳を真っ直ぐに見つめてきた。 「前ね、『武装神姫である前に。神姫である事を自覚しなさい』って私、言われた事があるの」 「・・・神姫である事、ですか」 そうだ。 私達は神姫。武装をまとう以前にヒトのパートナーであるべき存在。 「だけどね? ルクス」 黙りこんだままの彼女に対し、姉は首を左右に振る。 「神姫であると同時に。武装神姫である事を忘れちゃ駄目だよ?」 目を見開いて、ルクスは姉を見つめた。 「私もバトルが好きだよ? それは嘘じゃない。強くないけど、きっとマコトのお陰で勝ててる」 「・・・」 バトルが好き。 「これが武装神姫だから、だとか。そうじゃないの。マコトと一緒に戦ってる。それが好きなの、きっと」 「『好き』、ですか」 その言葉に嬉しげに頷く。 「『マスターの気持ちに答えたい』。『マスターと一緒に戦って、勝ちたい』」 両手を広げて、胸の前に静かに重ね、フェスタは自分にも言い聞かすように言った。 「だから、戦う技術を高めたい。強くなりたい・・・あの人の笑顔の為に。『武装神姫』なら、きっと一度は考えると思う」 『武装神姫』。 オーナーの意志に従い。武装し、戦場に赴く神姫達。 主の誇りを背に背負い。自分の想いを旗として掲げ。 負けたくないと思う瞬間。武装神姫が武装神姫である証。 誰もが求める、その先の世界。 「そう考える神姫達が「あんな風になりたいな」って。ふっと想う時・・・」 想いが生まれ出るその時に。ふと、顔を上げる場所。 その上の高み。 「その視線の先にルクスが立っていたら、それはとても『ステキな事』だと思うな」 「・・・」 それは嘘じゃない。 バトルが好きだから。 そこが。ずっと、マスターと駆け抜けてきた場所。どんな時も。あの人の愛が燦々と。降り注いでいた場所。 その場所で。誰かが続く場所で、想いを受け止める。 未来に繋げる、次の誰かの視線の先で。 あの人の愛を。 ・・・笑顔に換える事が出来る場所だから。 「姉様・・・」 ぽつっと呼ぶ。 「うん?」 美しい髪を揺らせて首を傾げる姉の顔を見て、ふと気恥ずかしくなり、ルクスは顔を赤くして下を向いた。 「あ、すいません。その」 「ふふ」 (・・・そうか) そうだ、うん。好きだったんだ。 武装神姫として、マスターと共に戦ってきた。その事が、何よりも好きだった。 だからこそ。誰よりも。高みに行こうとしていた。それしか出来ないのではなく。 それが自分自身を、一番輝かせる場所だった。 フェスタは優しく笑いかけた。 「頑張ろうよ。一緒に」 「・・・姉様と?」 彼女は強い意志を秘めた視線で、強く頷いた。 「私も、好きなダンスで一番を取るつもりだから。・・・好き、誰にも負けたくない。その想いを叶えたい」 きっと姉もまた自分と同じ。 ただ、自分とは歩む道が違うだけで。その、誰もを幸せにする舞踏で。 「きっと、きっとマコト様と、姉様なら。一番になれます」 嬉しくなり、笑顔でそう言うルクス。フェスタも笑い返す。 「ルクスもね」 「姉様・・・」 もう、一度。今度は言えるはずだ。 「うん」 「・・・ありがとうございます」 ・・・。 すっくと立ち上がると、フェスタはマコトが置いて行ったケータイを開けて、何やら操作しはじめた。 そのまま何事かと見ているルクスに背越しに声をかける。 「ねぇねぇ? 踊ろうよ、ルクス」 「は・・・?」 微笑みを浮かべて振り返る姉。手を後に回し、山吹色の髪を整えながら。 「いいよね?」 「いえ、しかし。私は・・・そんな、その。あの」 脈絡も無く言われて、彼女は慌てて手をぱたぱたと振る。 ダンスなど、全くやった事も無く。余り見たことさえ無い。 「大丈夫だって。リードしてあげるからっ」 そんな事を気にする様子も無く、フェスタはとっとっ、と脚で拍子を整えながら真っ直ぐに近づいてくる。 「いえ、ですから・・・」 引き攣った表情を浮かべていると、ケータイのミュージックプレイヤーから伴奏が流れ出した。 あぁっ。あんなに大きな音量で。 「うん? 気にしないで? 次の機会にルクスからバトルを教えてもらうから、それでお相子。遠慮しないで」 そう、こちらの意を全く介さぬ事を言って。フェスタはこちらに手を伸ばす。思わずルクスが手を出してしまうと。 すっと指を絡めて、ほとんど力がこもっていないのに、そのまま指だけで、立ち上げられた。 (!?) 唖然とするヒマさえ与えてくれない。 任せて? と小さく呟きながら。フェスタは妹を軽く引き寄せて、その腕を自分の腰に回させるようにして抱かせた。 已む無く、そのしなやかな胴に手を回し、姉を抱く形になってしまうルクス。普段、銃を持ち慣れている彼女にしていれば、そこは余りにも華奢で、おっかなびっくり触ってしまう。 それがくすぐったかったのか。フェスタは少し身を捩った。 「あの・・・姉様。私はダンスなど、出来は・・・」 一応の姿勢は取らされたが。そのまま困ったような顔を浮かべる彼女に。 姉は妹の腕の中でくすくすと肩で笑い、その臙脂色に近い髪に優しく指を通す。 「大丈夫。きっとルクスなら『見える』はずだよ?」 そう言って一度、眼を瞑り。 こつん、と、おでこ同士を付けて。 「私も。姉さんの『声』を、この『脚』が知っていたから・・・」 何気なく口にしたその言葉に。ルクスは瞳を丸くした。 (・・・え?) 音楽の主旋律が始まった。フェスタがくるっと回りながら腕から抜け出て、そのままルクスの手を取ると。ドレスの裾を持ち上げる仕草をしながら一礼をする。 ことん。 姉が爪先でテーブルを叩く音と共に、視界に音が舞った。 (・・・) 自分は足運びも知らない、手の動作も知らないはずだ。 しかし・・・明確なリズムが体に伝わり。そのまま音が引き込む流麗な流れに身を任せる。自然と、手が姉を導くように、そして脚が姉を追う様に動いていく。 テンポの良い音楽が耳を通り抜け・・・そして、何よりもその『眼』に届く。 身体がフェスタに誘われるように、風の流れるままに運ばれていく。姉は嬉しそうに、ルクスの腕で遊ぶかのように身を舞わせた。 と、たん。た・・・たたん 二人がテーブルというステージの上・・・刻んでいく二つのステップの音。 その水無き水面に描かれた小さな波紋がやがて一つになるように。フェスタが自分の中に重なっていき、意識が広がっていく。 (・・・姉様が刻むリズムが、見える) 銀色の瞳がはっきりと。自分の腕の中で舞うフェスタを捉えている。 妖精か、いや。天使か・・・軽やかに、優雅に反らされた腕、そして『脚』。そう。その脚は、元々はこの眼と同じ持ち主の元で・・・。 (・・・母様・・・) しなやかに、ゆったりとした音の流れに身を抱かれて楽しげに踊るフェスタ。その美麗なる肢体を舞わせる可憐なる姉の脚から・・・溢れるほどのリズムが流れ出し、瞳を通してルクスに届く。 それに従い、身を波にただ託して。 彼女達は、互いに互いが誘われるように舞った。 やがて、音楽が静かにフェードアウトし。妹をリードしながら踊っていたためか、随分と疲れたような・・・だが、優しい表情を浮かべたフェスタは上体を、とさりとルクスの胸に任せた。 「・・・大丈夫ですか? 姉様」 いつしか。肩の力が知らず抜けていた。 「うん・・・」 その、明るい暖かな銀色を湛える、透き通る瞳を下から覗き込むようにしながら、フェスタは嬉しげに微笑む。 ・・・と、何かに気付き。ルクスの背中に回した手の指で、つんつんと叩いた。 「ルクス。笑顔笑顔っ」 「?」 ふっと顔を上げれば、気付かぬうちに出来ていた人だかりから、拍手の雨が彼女達に降り注いだ。フェスタは慣れた様に、妹に抱かれながらにこやかに手を振っているが。 当のルクスはどうして良い物かと困惑するだけであった。 「いやぁ、ビックリした。可愛かったよ?」 「・・・」 無言で、顔を首まで真っ赤にして。 「うん、ダンスの達人ってのは、ダンスの相手も達人にしてまうってのは聞いてたんやけど」 「・・・物の見事に、男性用のダンスじゃないか」 アキの賞賛を受けながら、縮こまるルクスを見ながらも。 苦笑しながらマコトはそう言って、フェスタのおでこを突付く。 「あは、ごめんごめん」 頭を掻きながら、しかし悪びれる様子は無くフェスタは笑った。 「・・・アキさん、今から予定は?」 ふっと、マコトがアキに顔を向けた。 「ん? いや別に。ホテル泊まって、明日アキバ寄って・・・帰るつもり。何? ナンパ?」 「いや。そうじゃなくて」 苦笑を一度浮かべたが、すっと真顔に戻って腕時計に目を落とす。 「今から行けば。閉店までに間に合うかな、って」 「間に合う?」 「あのね・・・」 フェスタが言おうとした言葉を。ルクスが引き継いだ。 「もう一人・・・姉様がいるのですね?」 あれ? 言ったっけ。と言いたげに、不思議そうな顔を向ける姉。 「それって・・・そういうこと?」 「はい。少し遠いのですが。よかったら」 「行きます」 はっきりと。 「・・・会いたいんです。マスター」 アキは常では無い程に。自身の意志を明確にするパートナーに少し驚いたような顔を浮かべていたが。やがて笑って答えた。 「ん、ウチもえぇよ。案内してくれる?」 ・・・。 『神姫』として、そして『武装神姫』として。其処を目指そうとする神姫がいる。 その道を真っ直ぐに、瞳は見つめ、脚で歩き続けて。 ・・・いつしか其処に達しようと迷い無く。 「角子さん? ニックネーム?」 「はい。そう呼ばれてます」 向かい合う座席に座り、マコトとアキが話をしているのを聞きながら。窓の縁に立ち電車の中から後方に飛んでいく風景を見やる。 「その神姫の名前は、何て言うの?」 アキの問いに。マコトはしばらく腕を組んで何かを考えていたが。 「いえ。それは・・・。本人から、本人の声で聞いてください」 「?」 ルクスは冬故に早くも夕暮れ迫る地平を眺め、ふっと気付き目をやると、隣にいつしかフェスタが立っていた。 彼女らが進む道に吹く『風』は。時に厳しく打ちつけようとも、想いを紡ぐ力に変える。 強い意志を持って高みへと。誓いを運び決意と共に。 銀色の瞳に宿る強い意志。彼女はそのまま暮れゆく空を見上げた。 (母様の眼を受け継いだ、私である事) 私自身が『武装神姫』である事を恥じたりはしない。臆したりもしない。 この道を歩み続けて、まだ見ぬ神姫達が上を見上げたとき。そこに自分の姿がある時。それを誰かが追いかけるとき。 そして・・・。誰かの『瞳』に私が映るとき。 それは、きっと。紡がれていく強い想いとなるだろう。 姉が小さく声を上げた。つられて見やれば、鯨を思わせる大型飛空船が遠く・・・雲かかる夕焼け空にその身を煌かせ、のんびりと上天を泳いでいく。 「・・・」 水晶を思わせる銀眼が、金色の光を包み込んだ赤い空を照り返していた。 フェスタが、ふっと思い出したように顔を前にすると、ルクスに近寄り一言だけ『ある言葉』を耳打ちした。 その言葉に驚いたような表情を浮かべ、やがて小さく、しかし強く頷く。それを見て、フェスタも嬉しげに頷いた。 姉妹はまだ見ぬ場所へと、その風に乗せ、己の姿と想いを馳せていく。 確かに背を押す、その小さな胸に抱える風がある。 吹き渡る空の名は未来・・・その風の名は。 夢。 第八幕。下幕。 第八間幕
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1759.html
「では二本目です」 「引っぱる価値は皆無な話題ですけどねワン」 「……まさにスレの無駄遣い」 「暖かい声援を背に、行きます。 ……1人の男が、武装神姫を買おうと思いました。 そこで男は、武装神姫を持つ友人たちに、どんな武装神姫を買えばいいか相談する事にしました。 1人目の友人は、自分の武装神姫を示してこう言いました。 『こいつはね、バトルがすごく強いんだ! 色んな武器を使いこなすし、どんな敵と当たってもすぐに弱点を見破っちゃうんだ! やっぱり武装神姫といえばバトルだからね! こいつは最高の戦友さ!』 2人目の友人は、自分の武装神姫を示してこう言いました。 『こいつはね、生活サポートが優秀なんだ! メールやスケジュールの管理から最新情報のチェックまで、なんでも卒なくこなしてくれるんだ! やっぱり、武装神姫といえばサポート能力だからね! こいつは最高のパートナーさ!』 3人目の友人は、自分の武装神姫を示してこう言いました。 『こいつはね、とにかく一緒にいて楽しんだ! 歌や踊りが得意でよく見せてくれて、着替えも大好きで、話題も豊富で飽きさせないんだ! やっぱり、武装神姫といえば萌えだからね! こいつは最高の親友さ!』 男は、友人たちの言葉をよく吟味し、彼らの勧める武装神姫を慎重に比べて、そして。 一番おっぱいの大きい武装神姫を購入した。 ……おや、どうしました?」 「(胸元を押さえつつ)……いえ、マスターさんが胸の多寡を基準に購入を考えるお方でなかった幸運に感謝いているところですワン」 「……逆に、貧弱さが決め手とか」 「おお、その線もありえますね」 「! ……いえ、そんな、その、まさか……」 「……語尾忘れてる」 「よほどショックなようで」 「男って……男って……!!」 「いや、まぁ、あくまでジョークだし、男のくくりで考えて欲しくないなー、なんて……」 「(にこにこ)」(←何か言うと自分に飛び火がきそうなので、曖昧な笑みで誤魔化している) 「ちなみに元ネタは、結婚の相手を選ぶために、お金を渡してそれぞれの女性の反応を見た男の話だね」 <戻る> <進む> <目次> 犬子さんの土下座ライフ。 クラブハンド・フォートブラッグ 鋼の心 ~Eisen Herz~
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2588.html
フブキ型神姫「与一」 燃えないゴミ捨て場に廃棄されていたところを義弘によって拾われ再起動した神姫。「アテナ」「キュベレー」にとっては姉的存在。 普段は言って聞かせる程度だが本気で怒らせると恐怖の人となる。 アーンヴァルmk2型神姫「アテナ」 「キュベレー」とともに義弘がどこからか手に入れてきた神姫。まじめな性格で表裏のない性格とても恥ずかしがりやで頂点に達すると、 手近なものを投げつける習性がある。 ストラーフmk2型神姫「キュベレー」 「アテナ」とともに義弘がどこからか手に入れてきた神姫。冷静さを常に保とうと表面上そう努めてているが、「アテナ」と違い天邪鬼 なところがあり、本人も気にしている。その点について「アテナ」をうらやましく思っており、その反動からかアテナをよくからかっては 物を投げつけられている。 マオチャオ型神姫「たま子」 天真爛漫でマオチャオ型を絵にかいたような神姫でいつも笑顔を絶やさず楽しそうにしている。が、時にズバリと的を得たことを口にし、 侮れない一面を持つ。甚平とともにいろいろなところにいくのが大好き ストラーフmk型神姫「リリス」 いつも冷静さを崩さないが、マスターである「千歳」のことを第一に強く幸せを思っている。「強くなりたい。」という 「千歳」の願いにこたえ、ともに神姫バトルを戦う。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/436.html
Y.E.N.N 第1幕 「未熟な利己主義者」 第2幕 「はるか遠くの始まり」 第3幕 「同じ錯角が生じる位置」 第4幕 「視線を移した先」 第5幕 「心の指し示す場所」 第6幕 「思惟の共鳴現象」 第7幕 「意思の同調状態」 最終幕 「其の求める名は」 もどる
https://w.atwiki.jp/busou_bm2/pages/42.html
入手条件 性格 声優 デザイナー 機体解説 素体性能プラス補正アビリティ マイナス補正アビリティ ライドレシオMAX時の上昇能力 固有レールアクション入手先 固有武装装備時ステータス イベント EXカラー髪 瞳 入手条件 F3制覇 性格 現代っ子的な性格。バトロンの丁寧口調こそなくなったものの、根本的な「背伸びをする子供」という特徴は残っている。 「~じゃないんだからね!」が口癖だが、その文意や性格から一概にツンデレという訳でもない。 むしろ言動には「背伸びをする子供」という部分が前面に押し出されているため、 あまりツンデレという印象を受けるシーンは少ない。 少々ドジで焼き餅焼きなところはあるが、優しく思いやりがある一面も見る事が出来る。 またサンタ型という設定のためか、年下(?)の子供に対してお姉さんぶることも。 + 戦闘前セリフ一例・ネタバレ要素有り。 「可愛い少年相手でも、お姉さんは手加減なんてしないわよー! 全力でかかってきなさいっ!!」(vs柴田勝) 「ハウリン型もマオチャオ型も、まぁまぁ可愛いけど 一番魅力のある神姫は、アレだよ、そのー、ねぇ ちょっとマスター、最後まで言わせないで!!」(vs犬童太) 声優 釘宮理恵(鋼の錬金術師:アルフォンス・エルリック、ハヤテのごとく!:三千院ナギ、他。「ツンデレの女王」の異名を持つ) デザイナー GOLI(beatmania IIDX) 機体解説 名称:サンタ型MMSツガル(MMS Type Santa Claus TSUGARU) メーカー 素体:Studio Roots 武装:Studio Roots 型番:SRX03 フィギュア発売:2006年12月7日(武装神姫第3弾EXウェポンセット) 主な武装:フォービドブレード("フォービドン"ではないので注意。レインディアバスター時はそりのレール部になる、というよりはレール部分を外して刀代わりに使っているという方が妥当か。バトマスの分類ではダブルブレード) ホーンスナイパーライフル(レインディアバスターでは操縦桿になる。) ハイパーEML(EMLはエレクトロ・マグネティック・ランチャーの意味。ツガル武装形態でのリアユニットの左右に配置されている逆三角形のあれ。なぜかバトマスでは未登場) レインディアバスター(武装を変形合体させたそり。ツガルの武装のほぼすべてを使用した、武装神姫史上初の「変形合体して別形態となる」武装である) サンタクロースをモチーフとし、赤・白・緑のクリスマスカラーを効果的に用いたカラーリングが印象的なStudio Roots社の開発した神姫。 バリエーションとして、青を基調としたクールなカラーリングの「Blue X'masバージョン」も存在する。 2丁のスナイパーライフルを駆使した長距離射撃や、高機動力とロングブレードを組み合わせた一撃離脱戦法を得意とし、 身にまとった武装はトナカイのそりを思わせる高速移動形態「レインディアバスター」へと変形する。 基本的に出自など固有のバックボーン設定を持たないのが神姫だが、例外的に彼女には担当デザイナーの裏設定として「モデルになった人物」が存在している。 + ... その「モデルになった人物」はある理由で仮死状態に陥っており、彼女を愛していた若き科学者「D」が寂しさを紛らわすため彼女の精神構造を元にAIを作成、彼女に似せた神姫のボディに搭載したのが、武装神姫でのツガルである、というもの。 担当デザイナーの出身元である音ゲーをある程度知る人であれば、その姿、名前、そしてデザイナーからモデルとなった人物や若き科学者の正体を推し量ることができるだろう。 ただし、上記はあくまでも「デザイナーによる裏設定」であり、KONAMI側が公式に明言したり設定として取り入れたものではない点には注意。 AIの性格はノリのいい現代っ子気質で、少し子供っぽく扱いづらい一面も。 マスターの年齢によってはジェネレーションギャップに悩まされる可能性も。 時速30㎞で何かと話題になる胸だが、フィギュアでは元々胸どころか素体がなかった(コアユニット+武装のみだった)。ゲーム中の素体は「Blue X'masバージョン」の際に設定されたもので、ロード画面のTIPSでの絵で素体が白一色なのはそのためである。(あの絵が描かれたよりも後に今の素体カラーになった為。PC版とも微妙にデザインが異なる) 素体性能 LP ATK DEF DEX SPD 450 40 40 4 6 プラス補正アビリティ Dブレード+1 ライフル+1 マイナス補正アビリティ 投擲-1 ライドレシオMAX時の上昇能力 防御力 スピード ガードブレイクダメージ 固有レールアクション入手先 固有武装装備時ステータス + プレゼント・フォー・ユー! LP 5982 SPD 65 DEX 63 CHA 308 DEF 621 火器 0% 光学 0% COST 497 アビリティ 防御力+2 溜め時間短縮+1 ジャストガード-1 武器エネルギー回復+1 ブースト性能+3 ジャンプ性能+2 二段ジャンプ+1 急上昇、急降下+1 ロック範囲-1 スピード+1 DEX+1 CHA+1 LP+3 Dブレード+1 投擲-1 ライフル+1 ビット+1 空いている武装:武器2つ、アーム、シューズ、シールド、アクセサリー2つ + プレゼント・フォー・ユー!EX LP 9874 SPD 107 DEX 103 CHA 498 DEF 1028 火器 0% 光学 0% COST 886 アビリティ 防御力+3 ジャストガード-2 武器エネルギー回復+1 ブースト性能+5 ジャンプ性能+2 二段ジャンプ+1 急上昇、急降下+1 ロック範囲-1 スピード+2 空中ターン+1 DEX+1 CHA+2 LP+4 Dブレード+1 投擲-1 ライフル+1 ビット+1 空いている武装:武器2つ、アーム、シューズ、シールド、アクセサリー2つ イベント + ネタバレ 発生条件 イベント名 備考 Love2 自宅 サンタクロース Love5 ゲームセンター バトル後 缶コーヒー Love7 ゲームセンター 二人のマスクマン バトル有り(vsヘルマスク メドゥーサ) Love10 ショップ ガキンチョとお父さん Love12 ゲームセンター Lマスクとのバトル バトル有り(vsライオンマスク ディアナ)/トリアイナ・ハスタ入荷の可能性あり Love15 ゲームセンター 父ちゃんの正体・・・ Love17 マップ もう一つの正義 Love19 自宅 作戦会議 Love20 ゲームセンター 乱入! 専用RA解禁 Love22 マップ 難しい年頃 Love23 ゲームセンター 神姫バトル指南 Love25 自宅 お買い物にお付き合い Love27 ゲームセンター 新人のヒーロー Love29 ゲームセンター 正義の味方! ライオンマスクと組んでのタッグバトル(vsヘルマスク メドゥーサ+啓太 キウイ) Love30 ショップ サンタクロース! 専用RA解禁 EXカラー 色は編集者からみた色で、人によって見え方は異なります。 髪 A ライムグリーン(デフォルト) B 赤紫 C 水色 瞳 A.赤(デフォルト) B.鈍金色 C.水色
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/4056.html
作者は◆PKyKffdMew 2012/10/8 スタート NNWバトルロワイアル・本編目次 NNWバトルロワイアル・参加者名簿