約 483,548 件
https://w.atwiki.jp/nothing/pages/232.html
Level 33 議会塔が傾いて王都をゆすり、埃と煙と炎が王都を覆う。 いつのまにかドラゴンはゴールドドラゴン1体きりになっていた。王宮の塔の天辺に留まっていて、まるで針の上にいるように、塔が小さく見えた。 お、落ちるっ! 飛んでいる感覚はすぐに落ちる感覚に変わって、シンは地上までの距離を測ろうとしてあまりの高さに諦めた。それでも、万が一を探して、必死で身体を動かす。 あれは・・・。 見覚えのある色を認めた瞬間、ふいに身体が軽くなって落下が止まった。 そろそろと炎と瓦礫の間に足を下ろす。 「シンっ、無事?」 「ルナマリアっ?!」 駆け寄るルナマリア。メイリンとレイもいて、すぐに3人に囲まれてしまった。 「どうして、ここに・・・お前ら」 丘の迷宮から王都までは馬車で丸3日はかかるだろう。 「それが、驚きなのよっ!! 私達をここまで運んでくれたっ・・・てのが・・・」 両手を握ってルナマリアが身を乗り出したが、視線がシンから下のほうへと移る。右手に持っているものに気が付いて目を丸くした。 「ちょっと、それ! あんたっ!?」 そう。シンはジュールの杖の宝珠を叩き割ってしまったのだ。 もはやレッドドラゴンを操ることなどできそうもないそれに目を落とす。 「あっ、これ・・・」 シンが事情を説明しようとした時、再び、ドオォォンと轟音が響いた。それとともに突風が鼓膜を打ち、空から瓦礫が降ってきた。頭上を覆う金色の翼はゴールドドラゴンのもの。 竜が飛び立ったのだ。一直線に向かう先にいるのは―――。 4人が目を向けた先に、四肢をついて起き上がろうとしている人物がいた。 服は破れ全身から血を流すその人を4人の誰もが知っていた。 「アスランっ!?」 彼が顔を上げる。けれど、目前にゴールドドラゴンが迫っていて。 ぐわっと牙を剥き出しにした口蓋の奥に炎の揺らぎが起こる。 「やめろ―――っ!!」 シンは手を精一杯伸ばして叫ぶ。 シン達の視界の中に落ちてくる塔の残骸が掻き消える。 ゴールドドラゴンが見事な静止を見せて、アスランの前に降り立つ。巨体を納めるのに邪魔になる地上の建物が崩れて埃と煙が舞い上がり、薄れて引いたそこに、佇む姿があった。まるで静かに立ちはだかるように。 「運んでくれたの、彼よ」 イザーク・ジュール。 ルナマリアが先ほどの会話を続ける中で、銀の髪が白いローブと共に揺れている。 どこかでその名前を聞いた。 ああ、そうだ。確か、この杖の作者だ。迷宮の書斎にいた・・・骸骨・・・。 「えええぇぇぇ!?」 だって、骸骨で、アイツ死んでだじゃん・・・。ナニ、あれ。 シンは目を瞠り、切りそろえられた銀髪のオカッパ男を見る。 ゴールドドラゴンを前に全く動じず、ドラゴンが光り輝いて人の大きさに収束する。今度はシンの変わりに、ルナ達3人が驚く番だった。 「うそっ。あの人、ゴールドドラゴンなの?!」 最も驚いたのは王宮勤めのメイリン。 4人がそれぞれに驚きを隠せない中、玲瓏な声が降ってきた。もはやシンにとっては耳障りこの上ない女の声に反射的に顔を顰める。 「エターナルの危機にイザーク様まで御出でくださったのですか?」 瞬時に返される答え。 「そんな分けないだろう」 骸骨だった時と寸分違わない声。 「そこのバカを連れ戻しに来ただけだ」 「それは困りますわ。エターナルの為に、キラの為に、アスランが必要なのですから」 「ラクス・・・」 キラに寄り添い、イザークと対峙する建国の女王は勝ち誇ったようにイザークを見る。しかし、全幅の信頼を寄せていた相手が、両肩に手を置いて、距離を取る。安心して背中を任せていたはずのキラの態度に、ピンクの髪の女が振り返った。 「もう、いいだろ・・・僕達は間違ったんだ」 Level 34 「ローフルもカオティックもどっちも必要なんだ。・・・だから・・・」 一万年前に、僕らはローフルだけを正しいものとして彼らを駆逐してしまった。 光溢れるこの地。悪や闇のない世界。邪悪なものに脅かされない世界。 「この世界は、不自然なんだ」 「何を今更言っている。失った時間、散った命が戻ってくる事はない」 本当に今更だ。 シンは静かに言葉を紡ぐ3人を遠巻きにして、アスランに近づくチャンスを狙う。ルナマリアとメイリンに小突かれて、再びイザークの後のアスランを見る。あちこち切り裂かれた血塗れの姿。 「それとも、そこまで考えてなかったか? カオティックが滅びれば世界は安定すると思っていたのだろうが。いざ、うまく行かなくなれば今度はアスラン頼みか?」 抽象的な話はシンにはよく分からない。 シンの生まれた時代にはもう、カオティックなど伝説と成り果ててローフルが当り前のものとしてあった。両者の争いなどどこにもない。 ただ在るのは、自分の中で常に葛藤する心。 善い事と悪い事の線引きと、今日を生き抜くことを天秤にかける毎日。 善い事がローフルで、悪いことがカオティック。 世の中はそんな単純じゃない。 それなのに、世界の安定を単純な二元論で語るキラとそれを糾弾するイザーク。 いつまでも下らない話なんてしてないで、アスランを助けろよ! 拳を強く握りこんで、レイに目配せを送った。 「地上に降りて、彼らと戦っているうちに分かったんだ。どっちも必要なんだって、なんとなくだけど」 「当たりまえだっ! 違う考えを悪だと決め付けて、自分達は善だと気取って、あんな山の頂に引き篭っているからだ。見るものも見えん」 黙って聞いている建国の女王。 イザークの指摘に一々反応して、苦い顔をするエターナルの金の竜。 「そんなつもりじゃなかったんだ・・・僕達は・・・ただ・・・」 ただ、何だ。 今更、大昔のことを世界に対して責任を取れとは言わない。 シンが言っても仕方がないことだし、例え、裏がどうなっていようとも、エターナルが大陸で一番大きな、一万年も続く比類なき大国であることには変わりない。だけど。 そんなつもりじゃなかった。 それで済むなら、誰だって悩まないさ。 後悔するんじゃないか、間違っているんじゃないか、もしそうなった時、何が自分に降りかかってくるのか。現実に直面した時、言い訳をして許してもらえるなら誰だってそうしたいさ。 だけど、そんなことは有り得ないのだ。 盗賊には盗賊なりのルール、王なら王の逃れられない責任がある。 贖える枠を越えて、決して自由にはなれない。 「お前の言い訳なんてどーでもいいんだよっ!」 シンは叫び、ルナとメイリンを庇いながら走る。背負い袋をルナマリアになげ、手にした剣を構える。相手は、杖を作った奴と、ゴールドドラゴン。 「その剣を使いこなすか。皮肉なものだ」 イザークがキラを見据えたまま、シンに話し掛ける。背中越しに聞こえる声は明らかにシンの手にある透明な刃の剣を指していて。 「これでもまだ、戦いますか? ラクス・クライン」 イザークの後には剣を構えたシンと、ルナマリアとメイリン。弓を結わえたレイに囲まれるようにして顔を上げるアスランがいた。 対する古の女王には、キラ。 「竜殺しの剣と、銀の竜であるあなたを前にしてできるわけありません」 「ふん。賢明なことだ」 あたかも竜が相手では部が悪いと言わんばかりだが、建国の女王が穏やかな顔をしてシンを見る。ルナマリアやメイリン、レイへと視線を移していく。時は流れ、今、世界を形作っている、この時代に生きているもの達。 「かつて同じ陣営で戦ったあの頃から、随分と時間が経ってしまったのですね」 「死へのいざないは誰にでも平等だ。例えそれが、王国の為に無理をした結果だとしてもな」 それが、因果応報というものだ。 小さく零す。 イザークが振り向いて、シンの肩に手を置く。ひんやりとして冷たい手は、かつてのアスランと同じ感触だった。 シルバードラゴン。 蒼い瞳はドラゴンのもの。 「お前の選択は間違ってない」 「俺・・・杖を」 「世界はもう、伝説からは解放されるべきなのさ」 明聖と言う絶対の価値基準から。 ゴールドドラゴンと言う、絶対の護り手から。 続く、か? 前へ「終焉」 次へ「出発」 あああ・・・やっぱりこんなありがちな展開に。寝る前はあんなに口からポンポン出てきていたイザークのセリフも、二晩寝たらさっぱり覚えていません。そして、シン、なんか背景だよ。
https://w.atwiki.jp/gamemania0302/pages/124.html
命中率30%ダウン、2ターン継続
https://w.atwiki.jp/prostraw/pages/20.html
1,プロローグ
https://w.atwiki.jp/atlantica/pages/150.html
アイテム箱 NPCゴンクールに持って行くと他の書物と交換できます。 アイテム箱 初級アイテム箱 ○○アイテム箱 初級アイテム箱 [部分編集] 炎の剣[初級]/電撃の槍[初級]/沈黙の呪い[初級]/洞察の視野[初級]/生命の祝福[初級] 凶暴な意志[初級]/暗闇の気[初級]/成長の妙薬[初級] 上へ ○○アイテム箱 [部分編集] ○○[中級] 上へ コメント欄 お名前
https://w.atwiki.jp/shinsen/pages/1105.html
便箋 信書 闇の梅 ( )【便箋】 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (闇の梅.jpg) 分類 価値 重量 特殊効果 便箋 信書 取引価格 買値 売値 --文 6000文 生産 職業 技能名 陰陽師 裁縫之れ 材料 生産数2 金箔 1 和紙 5 青染料 2 漆 5 銀箔 1 備考 情報募集中 経験値857 基本・生産熟練度120 -- 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/magamorg/pages/11000.html
大いなる意志の集いし者ヴァリュアブル・イグジステンス 光/水/闇/火/自然 コモン/アンコモン/レア/スーパーレア コスト1000 500000000 アブソリュート・イグジステンス ■アブソリュート・イグジステンス-このクリーチャーは山札に入れることが出来ず、〈団結者ジュウオウ・ガイアアース〉の能力によって、名前に〈団結者〉とある12体でリンクしているクリーチャーの中央に4枚揃えて、デュエルフィールドの外からバトルゾーンに出す。アブソリュート・イグジステンスはバトルゾーンに1体しか存在出来ず、アブソリュート・イグジステンスがバトルゾーンを離れた時、自分はゲームに負ける。 ■バトルゾーンにあるこのクリーチャーを進化させることは出来ない。 ■ワールド・ブレイカー ■ブロッカー ■スレイヤー ■相手はクリーチャーの能力を使用することが出来ない。 ■相手クリーチャーが攻撃する時、可能であればこのクリーチャーを攻撃する。 ■このクリーチャーがバトルゾーンを離れる場合、代わりにバトルゾーンの自分の、名前に〈団結者〉とあるクリーチャーを1体墓地に置いても良い。 (F)意志とは目映く、誇らしく、惨く、儚く、そして美しい。時として交えこそせど、その意義は常に限りなく大きい。 作者:炭塵 大英編を締め括るクリーチャー。キーワードであった「意志」が具現化された存在です。因みに4枚で構成される巨大なカード。(収録弾カードリスト参照) 補足。6番目の効果「相手はクリーチャーの能力を使用することが出来ない。」は、任意効果のみの封印。つまり、能動的に効果を発動することを出来なくする効果です。レクター等の強制効果は止めることが出来ません。 「大英編 第四弾 世界の意志(プロジェクト・ハウリング)」収録 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/eldersign/pages/271.html
闇の楔を打ち込み、敵の虚軸耐性を低下させる技法 ステータス 効果 付与 属性 虚軸 タイプ アクティブ ターゲット 遠単敵 ソース 固定値 対象 虚耐性 起動条件 - レベル 係数 反復 命中 クリティカル ディレイ 隙 リキャスト Lv1 -20 1 0 0 0 20 99 Lv10 -100 属性強化 状態変化 ファミリー 所持モンスター フライングポリープ(潜在) コメント 闇の楔はフライングポリープの潜在スキル。敵1体の虚耐性を減少させる。 -- 名無しさん (2015-01-24 12 36 36) 虚耐性が減少すると、耐性が減少したそのモンスターに対する虚軸のスキルの効果が増加する。悪魔のトリルやローズミストなどの虚軸攻撃スキルはダメージが増加し、闇の楔や光の楔などの虚軸付与スキルは効果が増加する。ただし相手の使う虚軸スキル(ヒーリング、ダークムーンなど)の効果もまた増加するので、相手が虚軸サポートを使う場合は注意が必要だろう。 -- 名無しさん (2015-01-24 12 37 24) 係数については、例えば虚耐性-20なら通常時の20%増の効果になる(つまり1.2倍)。スキルレベル10なら虚耐性-100で、通常時の100%増の効果になる(つまり2倍)。虚耐性ゼロのモンスターにスキルレベル10の闇の楔を2回打ち込むことができれば、最終的に虚耐性を-300にまで引き下げることができる。 -- 名無しさん (2015-01-24 12 38 05) 限られたターン数で、単体の敵に対し、多くのダメージを与える必要があるような状況(シナリオボスや、ショゴス再び、イベントクエストなど)で、真価を発揮するだろう。 -- 名無しさん (2015-01-24 12 39 00) なお、楔系の中では唯一属性と対象が一致しており、連打した時の効果は大きくなる。が、耐性は一定数値を超えると大きく影響が減衰するので同一ターンでは2発くらいで十分だろう -- 名無しさん (2015-01-24 13 28 53) 名前 コメント 固定値 虚軸
https://w.atwiki.jp/freegamemusic/pages/224.html
概要 曲一覧 概要 作者:Bay Game Creation サイト:http //www.b-g-creation.com/ ジャンル:RPG 動作機種:Windows 2001年にリリースされたRPGツクール95製のオリジナル中編ファンタジーRPG。 2012年2月より、制作時音源によるオリジナルサウンドトラックが公開されている。 曲一覧 曲名 ファイル名 備考 作曲者 配布元 アネットのテーマ sera2_anet.mid GOICHI 断罪ディストーション sera2_battle_a.mid 通常戦 殺戮オーバードライヴ sera2_battle_c.mid KAZ GOICHI 黙示録の末裔魔獣が咆える sera2_boss1.mid コルブラント戦 GOICHI 人造天使 sera2_boss2.mid ステンノー戦 Chaotic sera2_boss3.mid メドーサ戦 Entrance Of The Faithful忠実なるものたちの入場 sera2_castle1.mid 偶像の神殿 sera2_castle2.mid 敵襲来 sera2_cris1.mid 不死身の戦士 sera2_cris3.mid 朱鷺色のラビリンス sera2_dungeon.mid 反旗の回廊 sera2_dungeon2.mid 樹海を渡る風 sera2_dwind.mid 樹海を渡る風 sera2_dwind2.mid SEなし版(サントラ未収録) 光と闇の時代の終わりに sera2_ending.mid エンディング エウリュアレーのテーマ SERA2_EU.MID フェイがエウリュアレーに会うシーン フェイのテーマ(2) sera2_fey.mid (サントラ未収録) フェイのテーマ sera2_fey2.mid 闇の深淵 sera2_fey3.mid 悲劇が終わるのなら sera2_fey4.MID (サントラ未収録) きざしの風 sera2_field.MID 世界の意思 sera2_field2.mid 彷徨の荒野夜明け前 sera2_field3.mid はじまりの森 sera2_forest.mid グライドのテーマ sera2_grid.mid 場末のジャズメン sera2_jazz.mid (サントラ未収録) 光ある世界へ導くもの最後の戦い sera2_lstbtl.mid ザウバー戦 Break into the flying fortress sera2_lstdgn.mid 空中要塞内 Theme Of SERAPH"愛の羽に抱かれて"SERAPH -Eau Rouge sera2_main.mid ふたりの決意悲劇が終わるなら sera2_main2.mid 空白のミッション sera2_mission.mid グライド戦 ミュラーのテーマ sera2_muller.mid 葬送行進曲レクイエム sera2_muller2.mid 魔剣の誘惑昏い瞳が見ていた sera2_nightmare.mid 残ス sera2_op1.mid (サントラ未収録) オープニング進軍 sera2_op2.mid 神の器に浮かぶ世界 sera2_open_data.mid eau rouge sera2_save load.mid ゲームオーバー 目覚める天使 sera2_semifinal.mid ガルド&エウリュアレー戦 告白の夜 sera2_snow.mid 戦乱の及ばぬ場所平和な街 sera2_town1.mid 戸を打つ風日陰の街 sera2_town2.mid ヴァイスのテーマ sera2_vice.mid ??? sera2_vice2.mid (サントラ未収録) ??? 闇の意志ザウバー sera2_zauber2.mid GOICHI ??? sera2_zauber3.MID ザウバー口上ラスト(サントラ未収録) ???
https://w.atwiki.jp/harukaze_lab/pages/246.html
暗闇堂の魔神 山本周五郎 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)信吉《しんきち》 |:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)十|哩《マイル》 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定] (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数) (例)※[#「けものへん+非」、U+7305、468-5] [#3字下げ]不思議な村[#「不思議な村」は中見出し] 「おい君、これゃ少し変だぞ。道を間違えたらしいぜ」 信吉《しんきち》は四辺を見廻しながら、「さっきから様子がおかしいと思っていたんだが、すっかり迷い込んじまった。まるで見当がつかない」 「驚いたなあどうも、本当ですか」 書生の宮川太一《みやがわたいち》は心細そうに見返った。日没の早い渓谷は、すでに黄昏《たそが》れそめて、杉林や深い竹藪《たけやぶ》の根方《ねかた》には、暗い夕闇《ゆうやみ》が流れ始めている。信吉はリュックサックから地図を取出して、暫《しばら》くみつめていたが、 「駄目だ、まるで方角も分らない、ともかくこの渓流について下ってみよう」 「大丈夫ですか、坊ちゃん」 宮川は肩にかけた採集用の胴乱を揺りあげながら、信吉について歩きだした。 松室《まつむろ》信吉は東京府立一中の三年生で博物にすぐれた才能をもち、殊《こと》に蘚苔類《こけるい》植物の研究では天才と云《い》われていた。今度も、学校の休暇を利用して書生と二人、鉄道から三十|哩《マイル》も入った人跡未踏の山峡へ、蘚苔類の採集に出掛けて来たのである。ところが今日この渓谷で、珍奇無類の蘚苔を発見した、それは『ゼニゴケ』の一変種で、蛭《ひる》を捕えて喰べるという獰猛《どうもう》な性質をもっているやつ[#「やつ」に傍点]なのだ。蠅《はえ》を捕る蘚苔類は既に古くから知られているが、蛭を捕食する蘚苔というのは驚くべき発見である。信吉は狂喜して採集に熱中したが、そのため遂《つい》に道を踏誤《ふみあやま》ってしまったのであった。 「おや、彼処《あすこ》に灯火《あかり》が見えますぜ」 宮川が不意に立止まって叫んだ。なるほど、木間越《このまご》しにちらちらと人家の灯《あかり》らしいものが見える。 「ありがたい、彼処《あすこ》で今夜ひと晩泊めて貰《もら》うとしよう」 二人は勇躍して進んで行くと、渓流に架けた丸木橋のところで、突然一人の男が行手へ立塞《たちふさ》がった。 「何処《どこ》へ行くんだね、お前さん達は」 熊《くま》の毛皮の胴着を着て、腰に手斧《ておの》をさした髭面《ひげづら》の恐ろしい男である。信吉は叮嚀《ていねい》に帽子を脱いで、 「実は道に迷って困っているんですが、ひと晩御厄介にならせて頂けませんか」 「駄目だ、帰らっしゃれ」 男はひどく不愛相だ。「いまこの部落は三七日の物忌《ものいみ》で、他処者《よそもの》を入れることはできない、さっさと行ってくれ」 「ほう、おかしな村だな」 男の様子が余り厳《きびし》いので、信吉は押して頼んでも無駄だと分ったから、会釈《えしゃく》もそこそこに今来た道を引返した。 [#3字下げ]暗闇堂[#「暗闇堂」は中見出し] 「不親切な奴等《やつら》だな、こんな山の中で道に迷っているのに、人情を知らねえ山男だ――ねえ坊ちゃん」 書生の宮川は、ぷんぷん怒っていた。 「怒ったって仕方がないよ、それより早く野宿の出来そうな場所を捜すとしよう」 信吉はそう云って元気に歩きだした。 日はもうすっかり暮れている。峡谷《たにあい》の、狭い空に星がまたたき始め、空気は刻々に冷たく肌にせまる。雑木林をぬけたり、丘を登ったりして一時間ばかり行くと渓谷にのぞんだ小高い台地へ出た。見るとそこには欝蒼《うっそう》と茂った杉の森を背にして、一|宇《う》の古びた神社があった。 「やあ丁度いい、今夜はこの社《やしろ》を借りるとしよう」 二人は社の中へ入った。勿論《もちろん》そこには人影はなかったが、社殿の内部は綺麗《きれい》に片付いて、拝壇もあるし、内殿の帷《とばり》もある。二人は先《ま》ず隅の方へ荷物を下してゆっくりと手足を伸ばした。 ひと休みしてから食事をした。終ると直《す》ぐ宮川は横になる、信吉はアルコール|燈《ランプ》を引寄せて今日採集した『蛭喰い蘚苔』の分類を始めたが、やがて彼もまたひどく疲れを覚えて、燈《ランプ》を消して横になった。 それからどのくらい経《た》ったであろう、ふと信吉は人声を耳にして眼覚めた。社殿の中はさっきと同じ闇である、……起上って耳をすますと、社の前のところで二三人で話しているのが聞える。 「それじゃあお由美、これで帰るだぞ」 「――はい」 「また明日迎えに来るだでな、気を丈夫に持っとれよ」 そう云うと、お由美と呼ばれた一人は残り、あとの二人は悲しげに去って行った様子である。信吉は不審に思った。この夜更《よふけ》にこんな人もいぬ古い社へ、娘一人を何のために残して行くのであろう。然《しか》も今の様子で聞くと、三人ともひどく悲しそうであった。 (なにか訳があるらしいぞ) 信吉は立上って静かに櫺子格子《れんじごうし》を開けた。――すると、楷《きざはし》に座っていた十三四になる少女が、恟《ぎょっ》として危《あやう》くとび上りそうになりながら、 「だ、誰です、――」 「いや驚かないで下さい、僕は東京から旅行に来た者です、道に迷ってこのお社に泊っていると、いま貴女方《あなたがた》の声がしたので起きたところなんです」 「旅のお方……?」 娘はやっと安心したらしく、美しい眼で信吉の姿をみつめていたが、やがて声を顫《ふる》わせながら、「それなら、どうか早く他処《よそ》へおいでなさいませ、ここは恐ろしい処《ところ》です」 「えッ、恐ろしいところって?」 「この社は暗闇堂と云って、人を生贄《いけにえ》に取る悪神様《あくがみさま》が祠《まつ》ってあるのです……現に、私が今年の生贄にされようとしているところです」 [#3字下げ]人身御供《ひとみごくう》[#「人身御供」は中見出し] 「詳しく話して下さい、生贄って何のことです」 信吉は仰天して訊《たず》ねた。 やがてその娘は奇々怪々な話を始めた。――この部落は人跡未踏の山間《さんかん》に在って、世間との交通もなく、三十戸ばかりの農民が住んでいた。然るに年々田畑の作物が悪くなるばかりで、部落の人達の困窮はつのる一方だった。 ところが、五年ほど前、一人の行者がやって来て、神に伺いをたてると、 「暗闇堂の神明様《しんめいさま》に生贄として、毎年十四歳になる娘を人身御供に捧《ささ》げれば、作物がよく稔《みの》ること疑いなし」 と云う神託《おつげ》があったと云う。――文明から遠ざかっている頑迷な部落民は、その行者の言葉を信じて、毎年一人ずつ、十四になる少女を暗闇堂の悪神へ人身御供に捧げるのであった。 「その人身御供にあがった少女《ひと》はどうなるんですか」 「はい、この社の裏に水の湧《わ》く窪地《くぼち》があるのです、そこに神草《しんそう》と云って水草《みずくさ》のようなものが生えていますが、その神草の中へ入れられるのです、すると、ひと晩のうちに悪神がすっかり生贄を喰べて了《しま》うのです」 「喰べる? 人間を喰べる? そんな馬鹿《ばか》なことがあるものですか」 「それはまだ貴方《あなた》が見ていないからです、人身御供になる者は、七日間このお堂にお籠《こも》りをして、体を潔《きよ》めてから生贄にされるのですが、そのあいだ一日に一回ずつ神草の中へ兎《うさぎ》を投入れるのです」 「兎を――?」 「ええ、すると見ている間に兎が……」 と云いさして少女は恐ろしさに身を慄《ふる》わせながら口をつぐんだ。 「兎がどうするんですか」 「――神草の中から、悪神様の手が出て、兎を巻込んで了います、そして半日もすると骨だけが出て来るんです」 「じゃあ、人間の生贄もそうなるんですか」 少女は微《かす》かに頷《うなず》いた。 ああ! そんな事があって宜《い》いだろうか。昔語《むかしがたり》に、宮本武蔵が武者修業の途中、ある山村に悪い神があり、娘が人身御供にされようとしているのを助ける話がある、しかしそれは何百年も前の伝説だ。如何《いか》に文明から遠い山間|僻地《へきち》とは云え、昭和の御代《みよ》にそんな悪神があり、娘を生贄にするなどと云う迷信が、本当に行われていようとは、考えるだに馬鹿げた事である。しかし……迷信は馬鹿げているが、その生贄を喰べるという事実は嘘《うそ》ではないらしい。 「人間を喰べる、兎を喰べるとすると其処《そこ》には何か怪物が隠れているに違いない、宮本武蔵が退治たという※[#「けものへん+非」、U+7305、468-5]々《ひひ》のような獣《けだもの》かそれとも、また猿か狼《おおかみ》か――」 信吉はその悪神の正体を見届けてやろう、と固く決心した。 「ねえ、君、それで――貴女は何日《いつ》人身御供にされるのですか?」 「明日の晩十二時です」 「じゃ僕たちはその悪神様という奴の正体を突止めて、貴女をお助けしましょう」 「とんでもない、駄目ですわそんな事、神様がどんなにお怒りになるか分りませんわ」 お由美は烈《はげ》しく頭《かぶり》を振った。 [#3字下げ]兎の生贄[#「兎の生贄」は中見出し] 翌《あく》る朝早く、まだ明けきらぬうちに、信吉は宮川を促して暗闇堂を出た。しかし、無論遠くへ行くのではない、心ひそかに悪神退治の秘策を練っていたのである。宮川は心配して、 「坊ちゃん、止《よ》しましょうよ、触らぬ神に祟《たた》り無しって事がありますぜ」 「馬鹿な言《こと》を云うな、下らぬ迷信のために、一人の少女が生命を失おうとしているんだ、これを見捨てて行く奴は人間じゃないぞ」 「だって相手は悪神様なんて云う得体の知れぬ奴じゃありませんか」 「得体が知れなければ知るまでの事さ」 二人は暗闇堂の横手へ迫った。丁度その時、娘を迎えに来たらしい部落の人たちが四五人、裏手の方に立っていた。 「おい宮川、みつけられぬように注意しろ、きっとあの人たちは、悪神へ兎の生贄を上《あげ》るところに違いない、――見届けてやろう」 二人は木蔭《こかげ》を伝いながら前へ進んだ。 社殿の裏に注連縄《しめなわ》を張廻《はりまわ》した五メートル四方ほどの湿地がある。沼というほどでもなく、湧水《わきみず》のする窪地で、燈心草《とうしんぐさ》のような草がみっしり生え、その間に見馴《みな》れぬどす黒い水草のような葉が見えている……ただそれだけだ。 「あんな所に獣《けもの》や人間を喰う怪物が棲《す》んでいるのだろうか――?」 そう呟《つぶや》きながら見ていると、やがて部落の人たちは、口々に何やら祈祷《きとう》を唱えながら窪地の近くへ寄って来た。先頭にいる老人は、恭《うやうや》しく一匹の白兎を捧げている。 「――荒振神《あらぶるかみ》鎮《しずま》りませ、騒蠅《さばえ》生《な》す神鎮りませ、夜刀神《やどのかみ》鎮りませ、悪厄神《あくやくのかみ》鎮りませ……」 人たちが高らかに唱え終ると、やがて、先頭にいた老人が、兎をひらりと窪地の中へ投入れたのである。 「何が起るか――※[#感嘆符疑問符、1-8-78]」 信吉は身を乗出して見まもった。 窪地へ投込まれた兎は、ひらりと身を躍らせて跳上《はねあが》った、と、その時である、燈心草のあいだから灰色の気味悪い紐《ひも》のような物が、まるで蛇のようにぬるりと現われるや、吸いつくように兎の脚へからみついた。キキキキキ※[#感嘆符二つ、1-8-75] 兎は鋭く啼《な》きながら身をもがく[#「もがく」に傍点]、と、見よ、灰色の紐はぞろぞろと幾筋も幾筋も現われ、脈を搏《う》つように探りながら、みるみる兎をがんじ搦《がら》めに巻き緊《し》めて、そのまま湿地の中へ引摺《ひきず》り込んで了った。そして、あとは又ひっそりとして草の葉も揺れぬ静けさにかえった。 何という奇怪な、そして無気味な光景であろう! 信吉も宮川もまるで気を失ったように其処へ立竦《たちすく》んでいた。 「――不思議だ、実に気味が悪い」 「何でしょうあれは、あの蛇みたいな、ぬるぬるした長い紐は……」 宮川は慄え声で囁《ささや》いたが、突然―― 「きゃ――ッ※[#感嘆符二つ、1-8-75]」 と喚《わめ》きながら倒れた。 「どうしたんだ?」 驚いて信吉が見るとこは[#「こは」に傍点]如何《いか》に? いつの間にか宮川の脚から胴へ、例の蛇のようなものがぬるぬると巻ついているのだ。 仰天した信吉は、急いで走り寄りざま、それを解放《ときはな》そうとする、といつか横から二本別のが伸びて来て信吉の脚へも絡《から》みついてきた。 「駄目だ、宮川※[#感嘆符二つ、1-8-75] 小刀《ナイフ》で切れッ」 信吉の声に、夢中で宮川は小刀《ナイフ》を取出す、信吉もズボンの|隠し《ポケット》からジャックナイフを取出して、既にぞろぞろと巻きついて来るやつを切放した。 「――坊ちゃ――んッ」 悲鳴に振返ると、宮川は既に両手へも巻付かれて、ずるずると窪地の方へ引摺られて行くではないか――しまった[#「しまった」に傍点]! とばかり信吉、 「木の根を掴《つか》め、早くッ」 と叫びざま、跳びかかって、右手にナイフを振りながら、絡みつこうとする奴を避けながら、必死に宮川の体から怪物を切放す、 「立てッ、早く逃げろ※[#感嘆符二つ、1-8-75]」 喚くと、宮川の手をひっ掴んで、転げるように走りだした。 [#3字下げ]昭和の宮本武蔵[#「昭和の宮本武蔵」は中見出し] 二人は荷物の置いてある丘の上までひと息に走って来ると、そこへぶっ倒れたまま暫くはぜいぜいと喘《あえ》ぐばかりだった。 実に危い一瞬であった。一歩を誤《あやま》れば二人は悪神の手に捉《つか》まって死の泥沼へ引込まれなければならなかったのだ。 宮川は真蒼《まっさお》な顔をして、 「帰りましょう坊ちゃん、あれゃ大変な魔物ですぜ、とても私達の手に負える代物《しろもの》じゃありません」 「僕はやるよ!」 信吉はしかし断呼《だんこ》として叫んだ、「ここ まで見届けて今更逃げられるものか、僕はあの怪物の正体をきっと曝露《ばくろ》してみせるんだ」 「――きゃっ!」 宮川が突然はね上った。またか? と思って信吉が身を起す。 「どうした」 「こ、これ、これを……」 と指さすのを見ると、宮川の足首に、あの怪しい紐の切端が絡みついてまだぬるぬると蠢動《うごめ》きのたうっている。信吉は手早くリュックサックを開けて、実験箱を取出し、ピンセットで叮嚀《ていねい》に摘《つま》み取った。 「しめた、此奴《こいつ》を研究してやろう。済《す》まないがそこへ洗盤《あらいばん》を出してくれ給《たま》え、それから解剖刀《メス》と顕微鏡、硝子板《ガラスばん》も頼む」 信吉は洗盤へその紐みたいなものを置いた。長さは約五十|糎《センチ》、色は蝋灰色《ろうかいしょく》で、表面はぬるぬるした粘膜で包まれている、太さは巻煙草《まきたばこ》くらいで、先へゆくほど細くなり、尖端《せんたん》には吸盤のような球状の固《かたま》りがついている。 「何だろう、動物の触角か――それとも蛇の種類か蚯蚓《みみず》のような物か?」 信吉は先ずメスで縦に裂いた、それから一片を切取って硝子板へ載せ、顕微鏡にかけて見た。 しばらくすると、信吉の顔色が急に活気づいて来た。そしてその唇には微笑が浮んで来た。 「分りましたか、坊ちゃん」 「分ったよ、分ったよ君!」 信吉は叫ぶように云って立上った、「どうして今まで気がつかなかったんだろう、実に簡単な物じゃないか」 「何ですか、何物ですか正体は」 「何物かってまあ待て、それより先に研究しなければならぬ事がある。それさえ発見出来ればあの怪物をやっつけられるんだ、僕は必ず奴を退治てみせるよ」 信吉はにっこり笑うと、再びリュックサックを開き中から五六糎の薬壜《くすりびん》を取出して顕微鏡に向った。 時は容赦なく経って行く。やがて正午も過ぎ、夕方になった、信吉は硝子板の上の細片へ、五六種の薬を次々と振かけながら研究を続けていたが、やがてすっくと立上って「発見したぞ、怪物と闘う武器を発見したぞ。もうこれで大丈夫だ宮川君、今夜は愈々《いよいよ》大決戦をやるぞ!」 「え……? 大決戦ですって?」 「そうさ、昭和の宮本武蔵が美しき少女を救うために、暗闇堂の悪神と一騎討をするんだ、前代|未聞《みもん》の活絵巻《かつえまき》だぜ、さあ――ひとつ美味《おいし》い食事を拵《こしら》えて貰おうか、時間の来るまで僕はぐっすり眠るよ」 信吉の両眼は活々《いきいき》と輝いて来た。――果して怪物の正体は何ぞ……? [#3字下げ]恐怖の活劇[#「恐怖の活劇」は中見出し] その夜中――十二時のことであった。 暗闇堂の裏には篝火《かがりび》が焔々《えんえん》と燃え、三十人あまりの部落民が窪地を取巻いている。中央にはあの少女お由美が、白装束を着て座り、両手を合せ黙然と眼を閉じている。人々の祈祷の声は夜陰の空気を不気味に顫わせながら、啜《すす》り泣くが如《ごと》く杉の森の奥へと消えて行く。 祈祷が終ると、お由美は老父母に援《たす》けられて立上った。 「お由美よ、誰も怨《うら》むでねえぞ」 「みんな神事《かみごと》だでなあ、前世からの約束に違えねえだ、黙って死んでくれよ」 老父母は流れる涙を拭《ぬぐ》うことも忘れ、娘にかき口説きながら注連縄を脱《はず》しにかかった。危機正に髪を容《い》れぬ一瞬。 「待って下さい!」と叫んで現われた者がある、人々は仰天して振返った。現われたのは云うまでもない信吉だ、後に宮川もいる。 「待って下さい、これは恐ろしい迷信です、日本に祠られる程の神が、人間の生贄などを喜ぶ筈《はず》はありません、人身御供を食う怪物は神明様ではないのです、僕がその正体を露《あら》わしておめにかけます」 「あ! これそんな乱暴な――※[#感嘆符二つ、1-8-75]」 と二三人が止めようとして走寄った時、信吉は身を跳《おど》らせて窪地の中へとび込んだ。 「あっ」「あっ! やった※[#感嘆符二つ、1-8-75]」 人々は息が止まったかとばかり身を乗り出す。 見よ、信吉が湿地の中へ入るとたん、例の気味悪い触手はぬるりぬるりと魔物の指のように伸びて来て、信吉の体へずるずると絡みかかるではないか。ああ無謀! 見よ信吉の体は瞬《またた》くまにのたうち廻る触手で隙間《すきま》もなく巻緊《まきし》められた。 「ああ可哀《かわい》そうに、もう駄目だ!」 「誰か祈祷をあげろ」 人々は狂気のように叫び合った。宮川も今はすっかり狼狽《ろうばい》して、 「坊ちゃん、確《しっか》りして下さい」 と悲鳴をあげるばかりだ。――怪しい触手は遂《つい》に信吉を緊めあげて、ずるずると泥沼の底へ引込むかに見えた、息詰る一|刹那《せつな》、すると不意に、実に思い掛《が》けない変化が起った。信吉がうん[#「うん」に傍点]とひと息、身をもがきながら片手に持った薬壜の中から、白い粉薬を振かけると見るや、今まで犇々《ひしひし》と絡みついていた怪しい紐が、突然! 狂ったように舞い解《ほど》け、ぬるりぬるりと大きく空《くう》にのたうちながら、泥沼の中へ消えて行くではないか! 「宮川――、早く綱を」 「合点です」宮川は生返ったように、用意して来た綱の端を投げる、と、信吉はそのを持ってぐい[#「ぐい」に傍点]と両手を泥沼の中へ突込み、暫く何かしていたが、やがて立上ると、泥まみれの手を大きく振りながら叫んだ。 「さあみんなで引いて下さい、早くしないと駄目です!」 「よし来た、さあみんな引け」 人々はわっと綱に取りつき、声を合せてえんやえんやと引いた。信吉も窪地からあがって綱頭《つながしら》を取りながら、 「そら、もうひと息、力を緩めずに、そら、もうひと息そらー※[#感嘆符二つ、1-8-75]」 三十余人が力限りに引くこと二十分ばかりやがてめりめりっ[#「めりめりっ」に傍点]! という地鳴りがしたと思うと綱の先に直径二|米《メートル》もあるかと思われる怪しいひと塊りの物が引抜けて来た。 「宜《よう》し、みんな後《うしろ》へ退って下さい」信吉が叫ぶ、見ると例の長い紐のようなものが、断末魔の蛇のように、うじゃうじゃと無数にのたうち廻っている。 「きゃ――っ」と人々は逃げ出した。しかし信吉は怖《おそ》れる様子もなく、大股《おおまた》に傍へ寄ると、例の陰から白い粉薬を、怪物の中央へばらばらと振りかけ、右手のジャック・ナイフを力任せにぐざ! と何度も突刺した、そして怪しい触手が苦しげに縮んで行くのを見澄して、 「もう大丈夫です、皆さん側《そば》へ寄って見て下さい、これが暗闇堂の悪神の正体です」 人々は恐る恐る寄って来た。信吉はにっこり笑いながら云った。「お分りになりませんか、これは鮮苔《こけ》です」 意外な言葉に呆《あき》れる人々へ、信吉は笑いながら説明した。「この谷に蛭を喰う鮮苔のあることを知っているでしょう、これはその蘚苔類の巨《おお》きく変化した奴に過ぎません。これ迄に大きくなるには恐らく何千年と経ったことでしょう、しかし蘚苔は矢張《やは》り鮮苔です、この種類はごく小さなのでも蛭を捕食します。こんな巨物《おおもの》が兎や人間を溶かして了うのに不思議はないでしょう、ごらんなさい、この紐のような物は葉柄《ようへい》から出ている触手で表面には強い酸性の液があります。この触手で巻込み、根窩《ねあな》の液壺《えきつぼ》の中へ入れて溶かすのです」 呆れて口も塞《ふさ》がらぬ人々の中から娘お由美を救われた老父母の、嬉し《うれ》泣きに泣く声が高く聞えて来た。 「これでもう生贄などする必要がなくなりましたよ」 信吉はそう云って愉快そうに笑った。人々もわあっ[#「わあっ」に傍点]と森一ぱいに木魂《こだま》させて悦《よろこ》びの歓声をあげた。 底本:「周五郎少年文庫 少年間諜X13号 冒険小説集」新潮文庫、新潮社 2019(平成31)年1月1日発行 底本の親本:「新少年」 1936(昭和11)年2月号 初出:「新少年」 1936(昭和11)年2月号 ※表題は底本では、「暗闇堂《くらやみどう》の魔神」となっています。 入力:特定非営利活動法人はるかぜ
https://w.atwiki.jp/summonmate/pages/389.html
+闇の鳥 闇の鳥 ※中ボス 特記事項 闇の鳥を吸収するにはネクスト城で「朱雀の系譜」を入手しておく必要があります。 「朱雀の系譜」は持っているだけで効果があります。 情報 属性 闇2 入手方法 モンスター吸収 サイズ 2 成長速度 タイプC 系統 鳥系 覚える魔法 習得Lv 魔法名 消費MP 3 クリマジ 3 5 ダクマム 15 10 ダークネス 11 成長率(Lv1~Lv21小数点第2位まで) MHP MMP ATK DEF AGL MGC SPR 3.15 2.15 2.35 1.55 2.15 2.20 2.00 ステータス (吸収の場合は上昇値。できれば合計で書いてほしいですが、面倒ならとりあえずそのレベルで上がった数値をそのまま記入してください) Lv MHP MMP ATK DEF AGL MGC SPR こいつはレフの塔のボスでライの塔のボスはケンタリーダー 経験値は8000 -- 名無しさん (2011-01-01 13 11 40) 2ターンぐらいでかてましたドレイン2回やってテンバツとかやったら勝てましたドレインやったとき888なって444になった -- 名無しさん (2011-01-01 15 09 15) ボス補正はかかるように修正されました。どちらにしろ天上神には及びませんが… -- 黒仮面 (2011-01-01 19 35 53) 更新でできたらビジュアルの良さから使いたいですね。 -- DIO (2011-01-03 19 07 41) 攻撃やダクマムを連発しているとダークネスを使いませんでした、クリマジとダクマムを使ってきました、闇属性のためダクマムは使わずにソフト、ウィーク、レスピ等を使いましょう初めてでも弱かった -- 黄昏 (2011-01-04 14 56 08) 体力は150以下と書かれていますが、自分は飛竜の150ダメージの4回連続攻撃の5ターンぐらいで倒しました、ダクマムを使ってきたのでクリマジで直したりしてあまり攻撃できませんでした、こいつを倒すにはソフトを使うと楽です強化剤もいりませんでした -- 黄昏 (2011-01-04 15 00 10) そんなに強くない。あっけなさ過ぎて意気消沈… -- ツバサ (2011-01-06 15 38 19) 倒したけどコイツダークネスが微妙に強い。 -- 名無しさん (2011-01-07 14 07 19) ステはまあまあ良い方。グラフィックが良いので、スタメン入りも考えられる。 -- やわらか白黒 (2011-02-05 10 34 11) 両刀型アタッカーという所かも。個人的に好きなモンスター。MHP・MMP・ATKが高めなのが嬉しい。 -- DIO (2011-02-05 15 26 01) 防御を犠牲に、その能力をより攻撃に研ぎ澄ませた朱雀、といった所。 -- その他 (2011-02-05 16 02 23) でも攻撃もそんなにたかくわない気がする。 -- 名無しさん (2011-02-05 22 50 40) でも 新しい技があったらな… -- ブロント (2011-02-05 23 01 27) 結局ドラゴンロードに全ステで負けたが、闇属性を持っているのがポイント。DEF以外は全て2.00以上あるのはなかなか。 -- DIO (2011-02-06 12 06 46) 鳥系統の装備の多くはMGCを上昇させる効力が有り、性能も一線級。 石による能力強化を行えば、両刀アタッカーとして十分に戦える、要は愛と使い様。 -- その他 (2011-02-06 22 06 19) 器用貧乏かなぁ。高火力アタッカーのサポートとしてなら優秀かも -- 名無しさん (2011-02-09 21 00 43) 闇の鳥を倒さなくても闇の鳥作れますよ。 -- ww (2011-03-25 09 46 19) ↑残念ですが、闇の鳥を倒して手に入る「闇鳥のクチバシ」がないと作れませんよ -- メガファリ (2011-03-25 12 27 33) メイジミイラを吸収してジゴファイアを覚えれば、なかなかの戦力になる。 -- DIO (2011-03-28 12 12 03) ドラゴンロード70と植物魔王63で2ターンで終わった -- 神獣 (2011-03-28 17 58 16) 同時期に戦えるケンタリーダーと比べれば、あっちの方が断然強い気がします。強化剤を使えば楽勝。 -- ドロップ (2011-03-31 08 35 08) でも、コイツを作るには、吸収が何回も必要で面倒くさいですね、正直・・・ -- ドロップ (2011-03-31 08 41 51) ↑冥界ダンジョンクリアすれば、不思議の洞窟で朱雀とギガデビルが仲間に出来るので楽になりますよ -- メガファリ (2011-03-31 12 38 57) ↑ただし全て一回以上は作成する必要があるので、仲間になるころにはもうコイツがいる可能性も… -- 黒仮面 (2011-03-31 14 27 41) なるほど -- ドロップ (2011-04-01 20 34 23) ↑すいません、間違えた。なるほど・・・しかし、不思議の洞窟で仲間にできるのは、一度作成したことがあるヤツのみらしいので、どっちにしろデビルエレメントは自力で作成する必要があるんですね。 -- ドロップ (2011-04-01 20 38 43) デビルエレメントがいるんですよね。なんかもったいない。 -- シルベスター (2011-04-07 10 16 16) レフの塔・ライの塔に行った事無くても 闇の鳥 は作れましたよ。(ミラー城で朱雀の系譜を取った時点で作れました)次のメガファリンクスを作るときに「闇鳥のクチバシ」が必要ですと言われましたよ。もしかして設定ミスかな 笑 -- 風使い (2011-04-11 21 36 16) こいつって空飛ぶの? -- 銀狼 (2011-05-16 18 39 34) ↑朱雀とは違ってとびませんね。これから闇の鳥に変えられる設定が来るかも。 -- vty (2011-05-17 01 24 43) 今までのボスの中で一番弱かったかも -- 名無しさん (2011-11-24 17 59 32) ↑それは自分のモンスターが強くなったからでは? -- あいうえお (2011-12-15 16 39 25) レフの塔ってどこ -- 名無しさん (2011-12-23 16 18 57) ↑質問h(ry -- 名無しさん (2011-12-25 21 13 02) 自分で探しましょう↑×2 -- キョン (2011-12-26 16 18 49) どこにいるの闇の鳥 -- a (2012-01-18 19 37 48) ドラゴンロードが強化剤使ってダブルクローで2たーんでたおせた -- 名無しさん (2012-07-24 10 31 06) 三回攻撃で撃破 -- kkk (2012-07-25 15 55 07) レフ・ライの塔いかなくてもできましたどこかの更新で必要アイテムが闇鳥のクチバシから朱雀の系譜になったのでは? -- 名無しさん (2014-01-31 12 41 15) 闇の鳥には火の鳥が2つ入っている。1つ目は朱雀に含まれているのと2つ目はデビルエレメントに含まれる火の鳥です。 -- ミスターサモン (2014-03-19 17 02 36) クズwww -- k (2014-08-04 12 37 04) ネメシス -- 水属性 (2015-01-03 19 13 36) ↑ 5極作ったわ -- ブロント (2015-08-26 20 20 16) 朱雀の系譜はネクスト城ではなくミラー城だと思いますよ。 -- WDK (2016-01-25 23 16 41) ↑たぶん古いverの情報かと。以前は今とは手に入る場所が違ったのを覚えてますんで。今は確かにミラー城ですが。 -- 謎の人 (2016-01-27 14 41 42) ドラゴンブレイブではネメシスで水属性だったくせに□ -- 名無しさん (2018-03-04 16 15 07) 名前 コメント