約 483,754 件
https://w.atwiki.jp/galgerowa/pages/425.html
銀の意志、金の翼 ◆VtbIiCrJOs それは本当に偶然だった。 佐藤良美の最期を看取った後、我輩はひとまずこれまでの情報を持ち帰るべく帰路に着いていた。 その矢先だった。 銃声。 怒号。 悲鳴。 我輩の後方よりその音が聞こえてきた。 「……我輩にどうしろと」 何者かが襲われているのは間違いは無い。 だから我輩はどうしろと――? 「くそ……っ」 これは様子を見に行くだけ、 そこから先は我輩の出る幕では無い…… そう自分に言い聞かせ我輩は音がした方向に飛んで行った。 そしてほどなく我輩の眼下に広がる光景、 槍を振り上げた少女。 大地に蹲る少女。 槍を持った少女はつい先ほど佐藤良美を殺害した者。 襲われている者は灰色がかった茶髪の少女。この島で初めて見る顔。 我輩の役目は槍の少女についての情報を蟹沢達に伝えることだけ。 我輩は鳥、人間のように道具を使う術は持たない。 鳥風情が武器を持った人間に敵うわけが無い。 ――だから見捨てろ。 もう一人の自分がそう語りかける。 鳥であるお前に何ができるのだ。 お前に眼下の少女を救うことができるのか? できないのならお前にできることはただ一つ、その女の情報を持ち帰れ。 他に目をくれるな。ここでお前が死んだら何のための偵察役だ。 偵察役はいかに多くの情報を味方に伝えること、死ぬことは許されない。 「ふざ……けるなぁ……!」 ここであの少女を見捨てる? 我輩は決めたのではないか。 この傷ついた翼を少しでも役立てようと! だから我輩はあの正義バカの朝倉純一と行動を共にしたのではないか! 罪の意識に怯え何もしないままの卑怯者になるぐらいなら我輩は愚直な莫迦を選ぶッ! 莫迦になれ土永! 武器が持てない? 何を言ってるんだお前は。 武器ならあるぞ。我輩に与えられた、人間が持ちえぬこの両の翼をな! 「風を友とし雲を寝床とす大空の眷属を舐めるなぁッ!」 我輩は翼を広げ槍の少女に向かって急降下して行った。 ※ ※ ※ ※ ※ ※ 「瑛理子……あんたバカよ……バカバカバカ!」 私は涙で顔をくしゃくしゃにしながらも走り続ける。 安全な所へ、仲間の下へ。 あの傷で瑛理子が助からないのはわかっていた。 だから彼女は私を送り出し、私に希望を託した。 わかってるよそんなこと……でもね…… 「あんた頭良いのになぜわからないのよ! 残された私達の気持ちを……!」 いつしか私は川の岸辺まで走ってきていた。 島を南北に分ける川、左手遠くに鉄橋が見える。 圭一は死んでしまったが他の仲間が病院に残っているはず。 私はそう思って南の病院に向かおうとしていたが、その実逆方向の南西方向に進んでいたのだった。 「どうする……橋無しで向こう岸には渡れない、でも橋はあんなに遠く……」 今から鉄橋に向かうとかなりの時間を消費してしまう。 もし、あゆと良美が無事で進路を南に取った場合高確率であの近辺で遭遇する可能性がある。 「私は瑛理子を信じるわ」 命を賭して囮となった瑛理子。 彼女がケリを付けてくれていることを祈りながら、私は鉄橋に足を進めた。 幸いにも私は無事に鉄橋から島の南部へと渡ることができた。 森を貫く廃線路の上を私は歩く。 極度の緊張から若干解放されたのか全身の筋肉が弛緩する。 まだ休むには早い、仲間と合流するまでは緊張を保っていないと。 やわらかな日差しが辺りを包む。 こんな状況で無かったら寝転んでしまいたいほど穏やかな午前の光。 私は線路を外れ東に向かって歩みを進める。 そこで私は見てしまった。 木々が多い繁る森の開けた場所、その中央に横たわるもの。 鮮血で真っ赤に染まった巫女服を身に纏い、 大地を紅く染めているそれ―― 「う……そでしょ……?」 信じられない、目の前の光景が信じられなかった。 私達の前に何度も立ちふさがり、その謀略をもって数々の人間を欺いてきた悪魔、 佐藤良美の無残な死体が転がっていた。 「なんで……」 彼女の腕、肩、脚、胴体。 顔以外のありとあらゆる所をメッタ刺しにされて良美は絶命していた。 彼女の真っ赤に染まったお腹からは何本もの細長い物体が飛び出している。 ああ、そういえば魚を捌いた時こんな物が出てくるよね。 濃厚な血の臭い、内臓の臭い。 それらが混じり合った死臭が鼻に突き…… 「う、ぐ……ぉぇ……」 私は胃の内容物を全て吐き出してしまった。 「はぁっ……はぁ……」 胃液ばかりの吐瀉物が地面を汚す。 口の中いっぱいに広がる酸っぱい胃液の味。 情けない……私は双葉探偵事務所の美人助手だというのに…… 私はむかつく胸を押さえ、肉の塊と化した佐藤良美の身体に触れる。 ……まだ温かい、ということはまだ死んでそれほど時間が経っていないということ。 誰が彼女を殺害したか? おそらくここにはいないもう一人の人物。 月宮あゆ。 その名前を呼んで私は気がつく、良美の死体の衝撃に忘れていたもう一つの事実。 『此処であゆを倒す――それが私の役目。手負いの私に出来る、最後の役目』 瑛理子の賭けは実らなかった。 その事実を突き付けられ私の目に涙が溢れる。 「なによ……あんだけ啖呵切っといて……それでこれなら、あんた何のために死んだのよ……だから一緒に逃げようと行ったのに」 違う、瑛理子は勝った。 瑛理子の目的は私を逃がすこと、 私がこうして無事でいることが彼女の勝利の印。 だから泣いては駄目、瑛理子の死を無駄にしないためにも。 私は立ち上がり、死体の側に放置されたデイパックの中身を探る。 相手が相手とはいえ、死人の持ち物を漁るのは気持ちの良いものでは無いがそうも言ってられない。 まずは武器になりそうな物を――彼女の荷物には一振りの刀と二挺の拳銃が収められていた。 「何よ……ほとんど弾入ってないじゃない」 二挺の内、一挺は八発装填式のリボルバー。しかしその弾は弾倉に収められておらず、予備弾は三発しか残っていなかった。 もう一つは五発装填式のリボルバー。弾倉には全て弾が入っていたが予備弾は無かった。 さらにディパックを探ると予備弾が出てきたがどちらの銃にも使えない物だった。 結局私は刀と五発装填のリボルバー銃だけを持っていくことにした。 あとは……熊の着ぐるみのような物があったが特に役に立ちそうも無いので置いておくことにした。 「これでよし……と」 私は良美の方へ身体を向ける。 見下ろした私の視線の先に目を見開いたまま絶命している良美の顔を見る。 数多の人間を欺き利用してきた女。 結局彼女もまた自分を利用する者に殺されその最期を遂げた。 私は彼女の見開かれた目を閉じてやる。 「私は絶対に生き延びてやるわ……あなたとは逆の方法でね」 私は彼女にそう言い残し、その場を立ち去った。 ※ ※ ※ ※ ※ ※ 木漏れ日が差し込む森の中を私は歩いている。 落ち葉と土の匂いがふわりと鼻腔をくすぐる。 ふう、と息を付く。 私の頭から良美のことが放れない。 頑なまでに仲間を信じて協力するという行為を拒否し、憎悪してきた彼女。 結局最後までその理由はわからなかった。 彼女は今際の際に何を想ったのか、ひたすら世界を呪いつつ逝ったのか。 自分がやってきた行いをやり返されたことが世界の摂理だと歓喜に打ち震え逝ったのか。 今の私には知る由も無かった。 ふいに空気が変わったような気がした。 どこが、と尋ねられても答えようがないがとにかく場の空気が一変したように感じられた。 もちろん私に不思議な力が宿っているわけでも無い、私はいたって普通の探偵事務所の美人助手。 そんな一般人である私でも肌で感じる空気。 怖気。 ざあっと静かな森を吹き抜ける凶つ風。 それは幽鬼のように私の眼前にたたずむ赤い影。 その身に返り血を浴びて真っ赤に染まった人間。 幼い少女の姿をした死神が立っていた。 「月宮……あゆ」 やはり彼女は生きていた。 片手に一振りの槍を携え、宙を見つめている少女。 初めて会った時のようなアールグレイの紅茶のように澄んだ紅い瞳はもはやそこに無く、 ドス黒く濁った血のように赤い虚ろな瞳。 その双眸が私の姿を捉える。 「ああ……沙羅さんじゃないか」 まるで久しぶりに出会った友人のように語り掛けるあゆ。 いつでも撃てるように私はデイパックの中の拳銃を握り締める。 「あんた……生きてたの……?」 「うん、ボクはこのとおりピンピンしてるよ。とは言ってもさすがにあの時は危なかったけどね」 「瑛理子は……どうしたのよ」 「決まってるじゃないかそんなこと、ボクが殺した。その胸を貫いて、その喉を貫いて。その時の瑛理子さんの表情知ってるかな?」 「し、知ってるわけないでしょ!」 「絶望」 彼女は心底可笑しそうに、愉悦を交えた口調でその二文字を言った。 「命を賭けた瑛理子さんの策、切り札は見事に失敗しちゃった。瑛理子さんにもう少しだけ運があったら、ボクがもう少しだけ運が無かったら決まっていた切り札 くすくすと唇を歪め哂う死神。 気圧されるな、私。 気をしっかり持て。 「ボクは『力』を手に入れた。『力』が無くて他人を利用することしか出来なかった人の末路を知ってるかな」 「佐藤……良美……」 「見ちゃったんだ。哀れな人だよね良美さんは。いきなり暴れだしたんで殺しちゃったよ。でもね、殺して正解だよ あの人の言葉は人の心を縛る。いくら聞く耳を持たなくても言葉を耳にしたらそれは作用する、まるで魔法使いの言葉だよ。 ありがたくも良美さんは最期にボクに呪いをかけた。さすがだよ良美さんは……死んでもボクを苛立たせる だから証明する。ボクはボクの意志でここにいる! 口先の魔術で人を惑わすしか能の無い良美さんとボクは違う!」 その刹那、あゆの殺気が膨れ上がった。 槍を構え一気に私に距離を詰める。 駄目、この距離では銃よりもあゆの一撃のほうが早い! あゆが跳び大上段から槍を振り下ろす。 私は咄嗟にさっき手に入れた刀を構えて一撃を受け止める。 ガキィンと金属と金属がぶつかり合う音が響き火花を散らす。 「くぅ……!」 「苦しそうだね沙羅さん、じゃあボクが楽にしてあげるよ!」 「バカねあゆ、槍を使ってるくせにここまで距離を詰めてどうするつもりよ!」 私は鍔迫り合いをしているあゆの腹目掛けて渾身の蹴りを放つ。 「ぐぅ……!」 リーチの長い槍を使っているあゆは防御も回避も出来ずまともに私の蹴りを喰らい吹き飛ぶ。 やはりあゆは槍の扱いについては殆ど素人同然。 すぐさま私は武器を銃に持ち替え立ち上がろうとするあゆに狙いを定める。 相手はもはや人間じゃない。此方にいながら彼方へ行ってしまった者。彼岸の住人。 引き金を引こうとした瞬間、あゆの周囲に光の粒子が渦巻くのが見えた。 あれは何? そんなこと気にするな目の前の目標を狙え! この距離で外すものか! 森に一発の銃声が轟いた。 「なんで……?」 探偵事務所の助手をやっている私はそれなりに銃器の扱いを心得ている。 狙うは被弾面積の一番多い胴体。 そこを狙ったはずだった。 「外した……!? 違う、避けられた!?」 銃の射線を見切って避けたとでもいうの!? そんな反射神経人間が持ちえるわけが―― 「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 あゆが跳んだ。 先ほどよりも段違いのスピードで私に向かって突進してくる。 さらに銃弾を放つが超反応で回避される。 今度は横薙ぎの一撃。 初撃とは比べ物にならないほどの速さ。 回避は間に合わない! 私は刀で防御しようとした。 「なっ……きゃあああああああああ!!!」 段違いなのはスピードだけではなかった。そのパワー、重さは桁外れの威力。 素人に毛が生えた程度の私が受け止められるレベルを遥かに超えていた。 刀は弾き飛ばされ私の身体は宙に舞い、そのまま横に吹き飛び大木に叩きつけられる。 口の中一杯に鉄の味が広がる。 私は身を起こそうとするが…… 「くぁ……」 激痛が脇腹を刺す。 まずい……これは肋骨にヒビが入ってる。下手すると折れてるかも。 そんなことはどうでもいい、私は刀を探す。 刀は幸いにも私のすぐそばの地面に突き刺さっていた。 私は地面を這うようにそれを拾い上げようとするが―― 「ひっ……」 喉元に突きつけられる冷たい金属の感触。 見上げたそこには哂う死神の姿。 「見た? 沙羅さん、これがボクの『力』だよ」 「それは……永遠神剣……! でもなんであゆが――」 「コレを扱えるかって? さあねボクも知らないよ。使えるものは使えるんだからしょうがないよ。 ボクはドラマみたいにぐだぐだ喋って殺す相手に隙をあげるつもりは無いよ。だから――」 バイバイ―― あゆが槍を振り上げる。 私にはそれがスローモーションのようにゆっくり見えた。 (ごめん……恋太郎……双樹) 私は目を閉じ、訪れる死を待った。 「ぬぅぅぅぅおぉぉぉるぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」 声がした。 野太い男の声。 小さな緑色の影が高速であゆに迫る。 「―――――!!!」 それはまともにあゆの脇腹に激突し、あゆはもんどりうって吹き飛ぶ。 「こっちだ娘よ!」 私はその声に導かれ刀を拾い駆ける。 今やるべきことは唯一つ、出来るだけ遠くに、あゆの下から逃げ出すこと。 ※ ※ ※ ※ ※ ※ 「よし……この辺でいいだろう、だが追いつかれるのも時間の問題か……」 ある程度あゆから距離を離した私の頭上で声がした。 そしてそれは翼を羽ばたかせ私の前に舞い降りた。 「なっ鳥……? インコ……?」 「インコではないオウムだ」 何がなんだかわからない。 私を助けてくれたのは鳥……人の言葉を理解して……首輪もついている。 これも参加者だというの??? 「娘、名は?」 「え、あ……? 白鐘沙羅」 「祈には敵わんが良い名だ。我輩の名は土永、近しい物からは『土永さん』と呼ばれている」 「は、はあ……」 「詳しい説明をしている暇は無い。沙羅、西へ向かえ」 西へ向かえ。 彼は言った。でも西に何があるというの? 「西には我輩達の仲間、蟹沢きぬと朝倉純一がいるそこへ行け」 初めて聞く名前、それが彼の仲間……? その人達は私と同じ目的を持っているの!? 「決して振り返らずにまっすぐ行け、我輩もすぐに後を追う」 「後を追う……って、あんたどうする気なの」 「少し、あの娘の相手をしてやる。お前が逃げるまでの時間稼ぎをしてやる」 「はあ!? あんた何いってんの! あんた鳥でしょ武器も持てないのにどうするつもりよ!」 いくら空が飛べて人並みの知能があるか知らないけど、所詮は鳥。 武器を持った人間に敵うわけがない。 だが彼は私の心配をよそに自身に満ち溢れた声で言った。 「我輩を舐めて貰っては困るな。我らを何と心得る。我らは鳥類、一億年もの昔大空を舞い、大地を闊歩しこの星を支配した暴君の末裔ぞ。 我らが祖の陰に怯えて生きるしかなかった哺乳類、しかもたかが数万年の歴史しか持たぬヒトに我輩が遅れを取るとでも?」 彼は自身たっぷりに言い切った。 それは翼を持ってこの大空を舞う鳥としての誇り。 人間には図り知ることのできない想い。 「……危なくなったら逃げなさい。わかったわね!」 「言うに及ばず」 私が駆け出そうとした時、ふいに声がした。声の主はもちろん土永さん。 「少し……話を聞いてくれ」 「そんな事してる暇なんてあるの? ……もしかして愛の告白?」 「我輩が人間の雌に欲情するものか。まあ告白であることは変わりはないがな」 土永さんが語った話。それは彼が犯してしまった罪の告白。 彼はこの島で生き延びるために多くの人間を惑わし、間接的に死に至らしめてきたこと。 一人の少女を復讐鬼と変えてしまったこと。 そして彼の罪を受け入れてくれた少年の話。 「何で…そんな事を今更……。あんたがそそのかした坂上智代のせいで……間接的にだけど瑛理子は……私の仲間は死んだ」 「今更赦してもらおうなんて思っていない……だが……」 「ここであんたを責めた所でどうにもならないことぐらいわかってる……だから待ってる。 朝倉純一と一緒に待ってる。そこで山ほどあんたの謝罪の言葉を聞いてあげるわ。殴って欲しいのならいくらでも引っ叩いてあげる。 だから絶対生きて戻ってくるのよ。約束よ! 破ったら承知しないから!」 「すまない……」 「生きて罪を償うのよ!」 私はそう言って走り出す。 まだこの島で懸命に足掻いている仲間達がいる。 命を呈して私を逃がしてくれた瑛理子に報いるためにも、 複雑な想いはあるけど危険を顧みず殿を引き受けてくれた土永さんのためにも、 私は絶対に生き延びなければならない。 だから――希望に向かって走れ白鐘沙羅! 【E-6/二日目 午前】 【白鐘沙羅@フタコイ オルタナティブ 恋と少女とマシンガン】 【装備: ワルサー P99 (15/16)】 【所持品1:フロッピーディスク二枚(中身は下記) ワルサー P99 の予備マガジン5 カンパン30個入り(10/10) 500mlペットボトル4本】 【所持品2:支給品一式×2、ブロッコリー&カリフラワー@ひぐらしのなく頃に祭、空鍋&おたまセット@SHUFFLE! ON THE STAGE、往人の人形】 【所持品3:『バトル・ロワイアル』という題名の本、エスペリアの首輪、映画館にあったメモ、家庭用工具セット、情報を纏めた紙×12、ロープ】 【所持品4:爆弾作成方法を載せたメモ、肥料、缶(中身はガソリン)、信管】 【所持品5:地獄蝶々@つよきす、S W M36(5/5)】 【状態:疲労大・肋骨にひび・強い決意・若干の血の汚れ・両腕に軽い捻挫】 【思考・行動】 基本行動方針:一人でも多くの人間が助かるように行動する 0:純一達と合流する 1:土永さんに複雑な想い 2:状況が落ち着いたら、爆弾を作成する 3:状況が落ち着いたら、フロッピーディスクをもう一度調べる 4:首輪を解除できそうな人にフロッピーを渡す 5:情報端末を探す。 6:混乱している人やパニックの人を見つけ次第保護。 7:最終的にはタカノを倒し、殺し合いを止める。 タカノ、というかこのFDを作った奴は絶対に泣かす 【備考】 ※国崎最高ボタンについて、何か秘密があるのでは無いかと考えています。 ※FDの中身は様々な情報です。ただし、真偽は定かではありません。 ※紙に書かれた事以外にも情報があるかもしれません。 ※“最後に.txt .exe ”を実行するとその付近のPC全てが爆発します。 ※↑に首輪の技術が使われている可能性があります。ただしこれは沙羅の推測です。 ※図書館のパソコンにある動画ファイルは不定期配信されます。現在、『開催!!.avi』と『第三視点からの報告』が存在します。 ※肥料、ガソリン、信管を組み合わせる事で、爆弾が作れます(威力の程度は、後続の書き手さん任せ)。 ※月宮あゆ、坂上智代が殺し合いに乗っている事を知りました。 ※坂上智代マーダー化の原因が土永さんにあることを知りました。 ※沙羅が持っていった良美の荷物は地獄蝶々とS W M36だけです。他の荷物は良美の死体の側に放置しています。 ※ ※ ※ ※ ※ ※ 「さて、そろそろ来る頃合か……」 我輩は木の枝に止まり、辺りの様子を探る。 凄まじい殺気が森を覆いつくす。 狩りの邪魔をされた獣の怒り。 ただの人間には感じ取ることは出来ないだろうが我輩は鳥、動物として本能がその気配を捉える。 ただの鳥ならばこの殺気を感じただけで逃げ出してしまうだろう。 鳥としての本能が訴える恐怖なんぞ我が理性が消し去ってくれよう。 我輩はただの鳥に非ず。ただのオウムに非ず。 「我は――土永なり」 そして我輩は獣の前に舞い降りた。 「残念だがこの先は通行止めだ。ここから先は貴様のような下郎が進むべき場所じゃない。わかったらさっさと帰れ」 我輩は娘と対峙する。 圧倒的な殺気、翼が震える。 白鐘沙羅はこんなモノと戦っていたのか。 いや鈍感な人間だからこそ戦えるのだろう。 「誰がボクの邪魔をしたと想っていたら……あはははは! こんなモノがボクの邪魔を!」 娘は哂う、けたけたと腹を抱えて哂う。 「そうだこんなモノに貴様は邪魔をされたのだ。ふはははははは」 「あははははは!」 「ふははははは!」 「あっはははははは!」 「ふはははははは!」 「あははははは……この鳥風情がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 娘は槍を我輩に向かって振り下ろす。 なるほど……なかなか良い速さだ。 だがしかし、ヒト以上の反射速度を持つ我輩に避けきれぬ速さではない。 我輩は翼を広げ空を舞う。 その横を槍が通り抜ける。 「たかが鳥、されど鳥……我輩に翼があることを知らないのか?」 我輩は槍の届かない高さまで羽ばたき彼女の上空を旋回する。 仮に銃を持っていたとしても常に移動する目標に正確に当てることは難しい。 こうしていれば沙羅が逃げるまでの時間を稼ぐのは容易だ。 だがそれだけでは駄目だ。 この娘は危険すぎる。少しでも手傷を負わせなければ。 我輩が狙うのは彼女の眼、その一点にこの嘴を突き立て喰らう。 我輩は勢いを付けるためさらに高く上がる。 森の木々よりも高く我輩は昇る。 眼下に広がる深緑の森、青い空、青い海。 その美しい光景を一望した後、我輩は翼を広げ一気に急降下した。 この速さにヒトは反応できまい! 我輩は見た。 右手に槍を持った娘の姿。 娘を包む淡い光。 左手に構えられた銃を―― 「が、ぁぁぁッ……!」 左翼に広がる凄まじい痛み。娘の放った銃弾は片翼を貫いていた。 駄目だ体勢が維持できない……! 我輩はそのまま地面に落下した。 「ぬぐぅ……たかが小娘如きに……」 翼を動かそうとするが激痛に邪魔をされてまともに動かせない。 「まさか鳥相手にこの力を使うことになるなんてね……」 力――? あの娘は何をした…… 「これがボクが手に入れた『力』だよ」 娘は槍を掲げ高らかに声を上げる。 それは勝利の雄叫び。 敗北者には死をもたらす死神の姿。 死が鎌首をもたげ我輩に迫る。 「哀れな姿……飛べない鳥に意味があるのかなあ」 この娘は何を言っている。 我輩は一言も飛べなくなったとは言ってはいないぞ。 たかが片翼に穴が開いただけではないか―― 「ふ、ふははははははッ!!!」 「何が可笑しいのっ」 「これが笑わずにいられるか人間! 片方の翼に穴を開けたぐらいで何をいい気になっている!」 「何……」 「貴様は知らんのか? 片翼を失ってもなお飛び続け、無事に帰還した『鷲』の名を冠した翼をなあ! ヒトの造りし翼に出来て、我輩に出来ぬはずが無い!」 まだ翼は動く。動く限り我輩は空を目指せる。 左の翼がもげそうになる痛みをこらえ必死に翼を羽ばたかせる。 「ぐぉ……」 普段の我輩にとって翼を動かし空を飛ぶことは当たり前の行為。 ヒトが手足を動かすことと同じ。 それが今や耐え難い苦痛となって我が身を襲う。 ふわりと身体が浮いた。 飛べた! 我輩はまだ飛べる! さあもっと高く! 高く飛べ! 高く空へ! そして我輩は一気に降下する。 もっと速く、さらに速く! 風よりも速く! 「馬鹿な鳥……」 「地べたを這いつくばる人間には解るまい……! 空を手にした者の誇りをなぁッ!!!」 娘が銃を構える。 祈――我輩に力を―― ※ ※ ※ ※ ※ ※ 一発の銃声が再び森に木霊した。 銃を構えた少女、その足元に転がる両の翼を撃ち抜かれた一匹のオウム。 あゆは無言で、土の上に倒れ付す土永さんに銃を向ける。 さら乾いた銃声が二つ、土永さんの両の翼に穴が穿たれる。 「くっ、ふふふふふ。怖いか? 我輩が再び空を舞うことがそんなに怖いか」 「うるさい……」 「安心しろ人間、我輩は二度と飛べぬわ」 あゆは不機嫌だった。 オウム如きに神剣の力を使ってしまったこと、そして何よりも。 「どうして見ず知らずの人間を……沙羅さんを助けたの……!」 「仲間だからだ……と言ったらどうする?」 「ふざけるなぁッ!」 あゆはさらに土永さんの翼に銃を撃ち込んだ。 衝撃で土永さんの小さな身体がビクンと跳ねる。 「鳥ごときにまでが仲間仲間仲間仲間!!! 下らないよッそんな言葉!」 「ぐふっ……じゃあ言い方を変えてやろう……あの娘が貴様に襲われていた。それだけだ」 「それだけのために……そんなちっぽけな正義のために……ッ。どうしてこの島のルールを理解しない理解しようともしない! どうしてどうしてッ! 奪う側か奪われる側、それがこの世界の現実、だからボクは奪う側に回った! なぜみんなその現実から目を背けるの!」 あゆは感情を爆発させ一方的にまくしたてる。 土永さんはあゆを冷ややかな目線で見上げていた。 「哀れだな……人間。万物の霊長と自負する者が出した結論がそれか、変わらんなこれでは」 「何が変わらない……!」 「世界の定めた摂理に従い自らが生き残るために他者を喰らう……まるで獣と変わらんな」 「黙れ……」 「何より滑稽なのが仲間を守るという鳥風情でも理解できる感情が人間の貴様に解らんとはな……これを滑稽と言わず何と言う? ふ、ふはは、ふははは――」 ごりっと、肉と骨が砕かれる嫌な音がした。 あゆの手にした槍の穂先が土永さんの胴体に深く食い込む。 血塗られた魔槍を何度も何度も何度もその身に突き刺す。 虹色の羽根が辺りに舞い散った。 「黙っててと言ってるでしょ……次喋ったら焼き鳥に――ああ、もう死んじゃったか」 あゆは穂先に突き刺さってる土永さんだった物を引き抜き、無造作に放り投げた。 「なに鳥ごときにムキになってるんだろボク……バカバカしい……」 気にすることはない、所詮は畜生の戯言。 ボクはボクの信じた道を進めばいいだけ。 「はあ……沙羅さんに逃げられたのは痛かったなあ……ボクのことを他の人に喋られちゃうよ」 まあいいや、とあゆは大きく深呼吸をした。 良美さんとは違って誰かを利用して姑息に生き延びる弱い人間じゃない。 皆殺し。 それが力を得たボクの簡単な生き残るための方法。 【土永さん@つよきす-Mighty Heart- 死亡】 【E-6/二日目 午前】 【月宮あゆ@Kanon】 【装備:永遠神剣第七位"献身"、背中と腕がボロボロで血まみれの服】 【所持品:支給品一式x3、コルトM1917の予備弾25、コルトM1917(残り2/6発)、情報を纏めた紙×2、トカレフTT33 0/8+1、ライター】 【状態:服と槍に返り血、魔力消費中程度、肉体的疲労中程度、ディーと契約、満腹、首に痣、背中に浅い切り傷、明確な殺意、生への異常な渇望、眠気は皆無】 【思考・行動】 行動方針:全ての参加者を皆殺しにして生き残る 0:死にたくない 1:生き残るため皆殺し 2:可能ならば工場に行く(北上) 【備考】 ※契約によって傷は完治。 契約内容はディーの下にたどり着くこと。 ※悲劇のきっかけが佐藤良美だと思い込んでいます ※契約によって、あゆが工場にたどり着いた場合、何らかの力が手に入る。 (アブ・カムゥと考えていますが、変えていただいてかまいません) ※ディーとの契約について 契約した人間は、内容を話す、内容に背くことは出来ない、またディーについて話すことも禁止されている。(破ると死) ※あゆの付けていた時計(自動巻き、十時を刻んだまま停止中)はトロッコの側に落ちています。 ※次の目的地は他の書き手さんに任せます。 193 贖罪/罪人たちと絶対の意志(後編) 投下順に読む 195 覚醒、決意、そして……アサクラジュンイチ(前編) 191 世界で一番長く短い3分間 時系列順に読む 193 贖罪/罪人たちと絶対の意志(前編) 183 ファイナル・ミッション/奪う者、奪われる者(後編) 白鐘沙羅 198 小さなてのひら/第2ボタンの誓い(前編) 192 終着点~侵されざるもの~ 月宮あゆ 196 彼女の見解 192 終着点~侵されざるもの~ 土永さん
https://w.atwiki.jp/aion20memo/pages/1527.html
[PT]要塞奪還の意志(反復200回) 遂行地域 エレシュランタ - 流刑の島 適正レベル 取得 38 / 遂行 40 報酬 経験値 1,484,200アビスポイント 100ランダム報酬アイテム 関連クエスト --- 進行順序 1.NPCロデメンテスと会ってクエスト獲得2.東シエル要塞 駐屯軍を倒して証拠をNPCロデメンテスに届けよ-要塞守護者の証(5)3.NPCダークティルと会ってクエスト完了 備考 ・このクエストは、要塞が魔族または龍族で占領不可状態の時のみ遂行可能なクエストである。
https://w.atwiki.jp/c-atelier/pages/3350.html
実際に読む(リンク) シリーズ:モナモナ団編 次話生首と鉄の意志(後編) 概要 ニダール、無我の境地 レシピ追加 無 登場キャラ 登場 モラーレン ニダール モララナル チビもも 元ネタ解説: 18 ニダール「こんなので反応してたらこの先生きこるのは難しいぞ」 『アーマードコア ラストレイヴン』体験版にてグリーンホーンが「お前じゃこの先生きのこれないぜ」と発言したのが有名だが 実はもっと前、2002年にに同様のネタがあったらしい。 ちなみに製品版ではちゃんと漢字で「この先生き残れない」になっている。
https://w.atwiki.jp/henroy/pages/61.html
銀の意志・金の仇 ◆F3/75Tw8mw 「参ったな……これは」 かつて古代に栄えた戦闘民族グロンギが眠っていたとされる、古めかしい遺跡にて。 古代よりホラーを狩り続けてきた魔戒騎士、その現代における一人―――凉邑零は、現状に小さくため息をついた。 悩みの種は、無論加頭という男のことだ。 つい先程まで自分は、愛する者と師の仇である黄金色の魔戒騎士を追跡していたのだが、気がつけばあの広場に拉致されていた。 そして宣告されたのは、殺し合いへの強要だ。 (変わり種のホラーの仕業……ってところか?) これを零は、ホラーの仕業であると考えていた。 ホラーは皆例外なく人を食らう化け物だが、中にはわざと人の恐怖心を煽ってから食らおうとする変わり種もいる。 恐らくあの加頭も、そんなホラーの一体ではないだろうか。 (それにしては少々、不自然な点が多いのは気になるけどな……) しかし、ここまでの考えはすべて、あくまで憶測にすぎない。 もしかしたら、仇敵同様に凶行に走った魔戒騎士の仕業かもしれないし、案外、ホラーや魔戒騎士とは関係無いテロリストの仕業かもしれない。 事実、広場にいたのは魔戒騎士や魔戒法師とは何ら関係性のない者達が殆どだった。 それに加え、ガイアメモリという未知の魔道具―――かどうかは流石に分からないが―――の存在などもある。 兎に角、単にホラーの仕業と考えるには、不自然すぎる点が多すぎるのだ。 (だけど……シルヴァを奪われてしまった以上、可能性はあるな) しかし、それでも零はこの一件に、ホラーが噛んでいると考えていた。 根拠はただ一つ……相棒の魔導輪シルヴァが、ここにいない事。 加頭に没収されている可能性が極めて高い事にある。 シルヴァは戦場を共に駆ける相棒として、自分を鼓舞し、時には勝利へと導く策を授けてくれる存在だった。 そして何よりありがたい点は、彼女にはホラーの気配を察知でき、それを知らせてくれる事にある。 そんな彼女を、加頭は奪った……自分と切り離したのだ。 こんな事をするメリットなど、どう考えても一つしかない……ホラーの気配を悟られないためだ。 ならば恐らくだが、この会場には何かがある。 ホラーに関係している、魔戒騎士に悟られてはまずい何かが。 だったら、今後の行動方針は決まりだ。 (まずは、そいつを確かめないとな…… こんな悪趣味に付き合うつもりなんかこれっぽっちもない。 シルヴァは必ず取り戻す、このゲームも潰させてもらうよ) 魔導輪を奪ってまで隠したい『何か』を見つけ出し、この殺し合いを止めるまでだ。 (俺も、魔戒騎士だからね) 零は端から、こんな殺し合いに参加するつもりなどなかった。 正式な称号こそ授けられていないとはいえ、仮にも魔戒騎士を名乗る身である以上、当然だ。 相手がホラーであるにせよないにせよ、悪党を見逃すつもりなど毛頭ない。 殺し合いに乗るものは倒し、それ以外の者達は極力保護するつもりである。 ただし……一人の例外を除いて。 (それでも、牙狼……お前だけは殺させてもらう。 必ず……この手で……!) この状況下においても、零の中にある復讐心は微塵も揺らいではいなかった。 誰よりも尊敬していた、父親同然の師―――道寺。 誰よりも愛していた、かけがえなき婚約者―――静香。 大切な二人の命を、黄金色の魔戒騎士はその刃で奪いさったのだ。 奴だけは……牙狼だけは、絶対に許せない。 この手で必ず仇を討つ。 そうしなければ……この憎悪は決して晴れない。 何より、二人の無念を晴らせないのだから。 (加頭、お前のやった事は絶対に許せない。 だけど……あいつを、俺と一緒に呼んでくれた事。 それだけは、素直に感謝するよ) ―――この時、零は知る由も無かっただろう。 ―――己が仇と呼ぶ鋼牙は仇ではなく、後に唯一無二の友になれようとは。 ―――この会場にいる鋼牙が、零を信頼できる仲間だと思っていようとは。 ―――そして本当の仇敵である黒騎士が、この殺し合いの場に呼ばれているとは。 ―――僅かな時のすれ違いが……金と銀の魔戒騎士に、大きな思惑の違いを起こしていたなどとは。 【1日目/未明 D-6 グロンギ遺跡】 【涼邑零@牙狼─GARO─】 [状態]:健康 [装備]:魔戒剣、魔導火のライター [道具]:支給品一式、ランダム支給品1~3 [思考] 基本:加頭を倒して殺し合いを止める。 1:牙狼を見つけ出し、この手で仇をとる。 2:殺し合いに乗っている者は倒し、そうじゃない者は保護する。 3:会場内にあるだろう、ホラーに関係する何かを見つけ出す。 [備考] ※参戦時期は一期十八話、三神官より鋼牙が仇であると教えられた直後になります。 その為、鋼牙が恋人と師の仇であると誤認しています。 ※魔導輪シルヴァは没収されています。 他の参加者の支給品になっているか、加頭が所持していると思われます。 ※シルヴァが没収されたことから、ホラーに関係する何かが会場内にはあり、加頭はそれを隠したいのではないかと推察しています。 実際にそうなのかどうかは、現時点では不明です。 時系列順で読む Back 外道─ビースト─Next 人類は救済されました 投下順で読む Back 外道─ビースト─Next 人類は救済されました 涼邑零 Next 復讐の戦鬼
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/24674.html
金剛の意志 ディアムド P 光文明 (3) GRクリーチャー:メタリカ/ワンダフォース 2000+ ■ガチャリンク(このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のGRクリーチャーではないクリーチャーの上側にこのクリーチャーをリンクしてもよい。リンクしたクリーチャーは、各クリーチャーの特性(パワーや能力)を持つ1体のクリーチャーとなる。バトルゾーンを離れる時はどちらか1枚を選ぶ) ■パワード・ブレイカー(このクリーチャーは、そのパワー6000ごとにシールドをさらに1つブレイクする) ■このクリーチャーがリンクしている時、このクリーチャーの攻撃することができない効果はすべて無効になる。(召喚酔いや、「このクリーチャーは攻撃することができない」または「このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない」などの効果が無効になる) (ゲーム開始時、GRクリーチャーは山札に含めず、自分の超GRに置き、バトルゾーン以外のゾーンに行った場合、超GRの一番下に戻す) 作者:wha + 関連カード カードリスト:wha 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/mugenog/pages/60.html
導入 モーゼスが入手していた情報から、「ワールド・ゲート」と思われる遺跡が眠るヨーロッパの洞窟にやってきた主人公たち。散乱する人骨、そして砕かれた石像群を踏み越えて洞窟の奥へと歩を進める一行。人の存在を拒むような闇の中、彼らの元へ「飢えし者」の刃が迫る。 勝利条件 1.ロードレイブナスの撃破 敗北条件 1.リュウザの撃破 2.ミストの撃破 マップデータ 初期配置 味方:リュウザ・ラングラン、霧崎ミスト、出撃選択×18 敵:ロードレイブナス、シャーマカイ×8、シャーマカイ幼体×15 モーゼス、ぬぬ子、シルヴィのいずれかが宝物庫に侵入 敵増援:リリベル 2ターン目以降、玉座の間に自軍ユニットが到達していない状態で自軍フェイズを迎える イベント:ロードレイブナスが自軍周辺のランダムな地点に出現し、周囲4マスのユニットに10%の固定ダメージ 攻略のポイント 今までの洞窟、地下施設マップと同様、幾つかの通路と部屋で構成されたマップだ。ところどころにある「赤い泉」地形の上に待機してしまうと、待機したユニットの防御力と回避率にマイナス補正がついてしまうので気をつけよう。なお、敵ユニットをこの上に待機させても効果は発揮されないぞ。 このマップの最大の難関は味方フェイズ開始時にランダムな地点に登場し、周辺の自軍ユニットにダメージを与えてくるレイブナスの存在だ。マップ最北部の玉座の間に誰か一人でも自軍ユニットが到達するとこのイベントは発生しなくなるので、HPに余裕がなくなる前に到達できるようにしておこう。一度、運動性が高く「加速」が使えるユニットを急行させてイベントを停止させ、それからゆっくり雑魚を倒して資金を稼ぐのも手だ。ただし、火力が低いユニットの場合敵に囲まれて動けなくなる可能性があるので注意すること。 一度玉座の間に到達すれば、レイブナスは玉座から動かなくなる。自軍ユニットを集結させて居間までのお返しをしてやろう。 なお、このマップにも隠しキャラが存在するぞ。仲間にする方法はマップ右下の小部屋にモーゼス、ぬぬ子、シルヴィ以外のユニットで侵入することだ。すると、部屋の中にリリベルが登場。部屋に侵入したキャラで「会話」することにより、彼女を自軍にくわえることが出来るのだ。なお、上記したユニットで侵入した場合は敵ユニットとして出現し、仲間にすることが出来ないので気をつけよう。 インターミッション レイブナスの玉座の先に鎮座するもの、それは果たして「ワールド・ゲート」に酷似する遺跡であった。リュウザとミストの協力により開かれるゲート。時空の揺らぎは一行を魔界へといざなう。
https://w.atwiki.jp/magamorg/pages/10277.html
暗闇の極致アンフィスバエナ 闇文明 R コスト 7 4000 パーフェクト・ハート ■バトルゾーンの他のクリーチャーは、可能ならば毎ターン攻撃する。 ■バトルゾーンの他のクリーチャーがプレイヤーを攻撃するとき、各プレイヤーは自身の山札の一番上をすべてのプレイヤーに見せる。見せたカードのコストを合計する。合計した数が奇数ならば、そのクリーチャーは持ち主を攻撃する。また、合計した数が1から9の間ならば、そのクリーチャーは攻撃を中止する。15以上ならば、そのクリーチャーをアンタップする。その後、各プレイヤーは見せたカードを裏向きにして山札の一番下に置く。 (F)「どこを狙っている?そこには虫一匹いないぞ?」----暗闇の極致アンフィスバエナ 作者:セレナーデ 半分の確率で持ち主に攻撃させる凶悪なクリーチャー。 自分も被害を受けますがこのクリーチャーだけは対象外です。 また合計した数字によって攻撃中止、続行、アンタップのいずれかになります。 連続攻撃できるチャンスがありますが同時に自分を何回も攻撃してしまう可能性もあるのです。 総じてギャンブル性の高いクリーチャーになっています。 収録 星戦編 第一弾(プラネット・コマンド) 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/galgerowa/pages/472.html
その意志、刃に変えて ◆0Ni2nXIjdw 「鈴凛、発見。これより襲撃する」 「くっ……このおっ!!」 銃声がレムリア遺跡に木霊する。 一発、二発ではない。それこそ敵味方入り乱れて十発以上の弾丸が擦れ違う。 鳳8は若干、興奮した様子で進軍する。 それは中々捉えきれない敵に対しての憤りではなく、逃げる獲物を追う狩人のような高揚感だ。 「鳳8、まだ突撃はしないのか?」 「慌てるな、鳳5……敵はあの小娘だけじゃない。倉成武も一緒にいる可能性があるんだぞ?」 数字は残りの二人、鳳5と鳳6のほうが高い。 だが、鷹野直々に命令されている鳳8のほうが指揮権があった。何せ、鳳部隊での実質の第二席だ。 その彼が『じわじわと攻めろ』という命令を下している。 「多くの仲間がやられている以上、迂闊には手を出せんよ」 普段の慇懃無礼な態度とは打って変わった、冷酷そうな笑み。 確かに武がいれば自分たちなど、すぐに敗れてしまうことは明確だ。 だから、彼らは待機する。向こう側からは何度か銃撃戦を仕掛け、こちらも応戦はするが前には進まない。 何しろ、武さえいないと確信できれば……小娘一人、簡単に制圧できるのだから。 そして、その合図は明確に響いた。 入り口で激突を知らせる銃撃、これこそ……鳳8が待っていた開戦の合図だ。 「今だ、鈴凛を確保するぞ」 命令は始末、だが大した問題ではない。 銃の腕は大したことないし、腕力などの身体能力の差も歴然だ。 油断ではない。 これはただの余裕に過ぎない。捕らえた後、どうするか……くつくつ、と笑いがこみ上げてきた。 「……このぉおおおっ!!」 鈴凛が直線通路に飛び出し、発砲を開始した。 レムリア遺跡は迷宮アトラクション。奇襲も強襲も思いのままの、ゲリラ戦法が有利に思える。 だが、山狗は自衛隊崩れながらプロの存在だ。 人殺しは厭わないし、上官の命令なら大量虐殺だって肯定する。それが軍隊というものだから。 「はっ、自棄か、小娘がっ!」 こちらの大の男三人。 鈴凛の銃撃を壁際に避難することで避け、三倍の銃撃で逆襲する。 多勢に無勢と判断したのか、鈴凛はまた一歩後退する。 これで三度目か。袋小路に追い詰められていく姿を見て、鳳8は下卑た笑いを抑えきれなくなってきた。 「……この先は、そろそろ行き止まりだ」 「よーし……一度挑発して、向こうの弾切れを待つ。その後、間髪いれずに突撃だ」 指示に、鳳6が頷いた。 挑発として、行き止まりまで誘導しつつ……銃で牽制する。 銃声が鳴り響く中、鈴凛も応戦はしているのだが……苦し紛れなのが、明らかにわかる。 鳳5が銃声を数える。 一回目に撤退したときは五発、二回目と三回目に撤退したさっきは六発。 鈴凛の使用する銃の最大装填数の見極め。 冷静な序盤ならともかく……相手が焦り始めたそのとき、必ず全弾を撃ち尽くす。その習性を彼らは知っていた。 「……四、五……六発!」 「今だ、突撃しろ!」 その予想は限りなく正確だ。 鈴凛が武から預かったコルトM1917の最大装填数は六発。 弾丸はあっても、予備マガジンがないために……すぐにリロードはできない。 (取った……!) 確信していた。 袋小路に誘い込まれ、敵は逃げ出すことができない。 完全に王手だ、と。 「は……?」 そう、信じて慢心していた。 「おい……なんだ、そりゃあ……?」 一人が、呆然と呟いた。 歯がガチガチと音を鳴らす。瞳には絶望を宿したまま、一歩下がった。 確かに鈴凛の持っている銃、コルトM1917は弾切れだった。そういう意味では、彼らの戦法は正しかった。 だが、目の前に展開されているのは違う。 九十七式自動砲、対戦車ライフル。 袋小路の一番奥、まるで最初からその場に設置してあるかのように鎮座していた。 凶器ではなく、兵器。 鈴凛はその後ろにいる。誘き寄せられた哀れな男たちに対して、笑いかけることすらしない。 「待――――」 待て、と言いたかったのだろうか。 鈴凛は目を瞑り、そして引き金にかけた指に力を入れた。 轟音と、そして叫び声。 兵器の破壊を目的とした銃器を、鈴凛は人間に対して使用した。 ドォン!! ドォンッ!! ドォォンッ!! 男たちの悲鳴が木霊した。 鈴凛は歯を食いしばって、引き金を何度も引く。何度も……命を奪う行為を続ける。 この苦しみだ。この悲しみだ。 鈴凛たち主催者側が、参加者63名に強制させたことだ。 「うっ……ぐっ……」 涙が出た。カラカラに乾いた舌が痛い。 噛み締めた唇から血が滲む。 胃の中のものを全部吐き出しかねないほどの嘔吐感を、強引にねじ伏せていった。 「あっ……」 気づいたら、そこには何もなかった。 自分を襲おうとしていた男たちの姿だけじゃない。そこには本当に何も残っていなかった。 レムリア遺跡は迷宮を作り出していた壁が破壊され、コンクリートの破片から粉まで吹き荒れる。 これほどの純然なまでの破壊活動。 鈴凛はようやく、自分の唇から血が流れていることに気づいた。 「っ……痛っ……」 人を殺した。 無我夢中ではなく、計算して。 心に重く圧し掛かる事実は、かつて倉成武が手にかけた少女の姉妹に背負わせた罪だ。 惨劇を作り出した九十七式自動砲を、デイパックの中にしまいこむ。 まだ、終わったわけではない。武はまだ、桑古木と戦っているはずなのだから。 急がなければ、と思うところで……その影に気づいた。 「やって……くれやがったなぁ……!」 がらがら、と瓦礫の中から……鳳8が顔を出した。 その姿を見て呼吸が止まるかと思った。まさか、あれだけの惨劇を以ってしても倒れなかったのか。 そうして、鈴凛はじっと見ていて気づいた。 彼の仲間が転がっていた。生きるために必要なパーツが千切れていて……満足げに、男は死体を蹴り飛ばした。 「殺す、殺すっ……ああ、くそ。なんでクソガキにここまでっ……!」 「まさか……盾にしたの!? 仲間を!」 人殺しを肯定してしまった自分もだが、この男も外道だ。 そいつは銃をこっちに向けて、嫌らしく哂った。 (……視界が悪いから、一発で決められることはない、と思いたいなぁ……) 煙が舞っている。 鈴凛と男の距離は十メートルといったところか。 「……あれ……? 視界が、悪い……?」 ふと、その予感に鈴凛の顔色が青くなった。 破壊されたコンクリートが粉になって空中を舞う。風通しがよくなった分、視界が狭まってしまっている。 重要なのはそこじゃない。 この『粉がたくさん舞っている状況』こそが、異常の塊のようなものだった。 「っ……やばっ!?」 鉱山が爆発する話がある。あれは別に爆発物の取り扱いを間違えたわけではない。 削った岩の微細な粉末が空気中に充満しているからだ。 空気中の粉末に火が灯ると、酸素の燃焼速度が異常に上がり……その結果、空間そのものが巨大な爆弾になるのだ、と。 鈴凛は逃げた、それはもう脇目も振らずに。 男は今更逃げられると思ってるのか、と哂う。まったく……自分がこれからしようとする自殺行為に気づいていない。 引き金が引かれ、それが逃げ回る鈴凛から外れて壁に当たる。 男は二発目を撃とうとした。だが、それはできなかった。何故なら……壁に弾丸が激突したとき、火花が生まれたから。 瞬間、対戦車ライフルを越える轟音が響いた。 少女の悲鳴は、掻き消されていった。 ◇ ◇ ◇ ◇ 「っ……ちいっ!!」 「ふっ……っ……!」 両者は人間としての性能を超えて、激しく戦っていた。 武がデザートイーグルを発射しながら牽制し、桑古木もベレッタを使って応戦する。 弾丸は当たらない。 既に何度も死線を潜り抜けてきた彼らにとって、弾丸を避けることも不可能じゃない。 「くそっ……速ぇえなあ、少年っ……!」 「武こそ。……まさか、ここまで動けるとは思わなかったっ……これは認識を改める必要があるなっ!」 桑古木は正確な射撃で武の命を狙う。そこに容赦は一切ない。 頭を狙い、避ける軌道にさらに一発、誘導から必殺までを完璧にこなして必殺を狙っている。 武はその攻撃をあるときは顔を逸らして回避し、あるときは柱に隠れ、あるときは『時詠』で打ち落とす。 ここに鈴凛や仲間たちがいなくてよかった、と武は思う。 今の二人は暴力の嵐だ。武には回りに気を使う余裕がないし、跳弾や避けた弾丸で周りは蜂の巣になっている。 その大嵐の中心ですら、台風の目ではあり得ない。 「っ……そういや、まだ聴いてなかったな! 優の奴はどうした!? そもそも、なんであいつは鷹野に協力してるんだっ!?」 「……さあね、優は音信不通だっ! 目的は……優本人に逢って聞くべきだろう……『逢えたら』、なあっ!!」 両者が同時に弾切れを起こし、予備マガジンに変える。 そこはやはり場慣れしている桑古木のほうが速く、武は数秒間を無防備で過ごさなければならない。 やっぱりなぁ、と武は確信する。 この遠距離戦に勝ち目はない。銃をほとんど扱わなかった武では、桑古木を倒すことはできない。 (予備マガジンも少ないし……時間も稼げねえかっ……!) レムリア遺跡から聞こえてくる銃声が気になる。 鈴凛が襲われていることは容易に想像がつく。出来ることなら応援に行ってやりたい。 「向こうも派手にやりあってるな。レムリア遺跡の壁は防音仕様だが、中にいる俺たちには堪らない」 「ちっ……」 だが、桑古木はそれを許さない。 むしろここで桑古木を止めなければ、無理に助けにいくよりも遥かに危険だ。 このままではジリ貧なのは間違いない。 それが目に見えているからこそ、武は銃による戦いを諦めることを決断した。 「うぉぉぉおおおおりゃああああっ!!!」 「……っ!?」 突撃、武は十メートルの距離を一秒で縮める。 桑古木は目を見開いて驚いた。まさか、このタイミングで距離を詰めてくるとは。 ベレッタを構えようとして……やめる。武の身体能力なら避けられる可能性が高い。 武の手には永遠神剣『時詠』が握られている。 ならばこちらも、同格で押し返す必要がある。掴んだのは永遠神剣『誓い』……そしてマナ結晶。 ガギィンッ!! 激しい金属音、両手が痺れる感覚が両者にあった。 武は遠距離戦を捨てて、接近戦を挑んだ。 慣れ親しんだ『時詠』ならば、剣を使い慣れていない桑古木と互角以上にやりあえる。 「くっ……」 桑古木は僅かに顔を曇らせる。 確かに接近戦において、桑古木が持っていたアドバンテージはない。 一合、二合、三合と刃を交えるが……決着がつく様子はない。 「……どうした、少年……剣は使い慣れていないのか……?」 「まあ、な……銃のほうが使い慣れているのは否定できないが……だから、どうしたっ!!」 鍔迫り合いのまま、桑古木は吼える。 懐に入れていたマナ結晶が眩く光り、次の瞬間には武は吹き飛ばされていた。 「がっ……!?」 「永遠神剣はマナを補給することによって、絶大な力を生み出す。……武に、勝ち目はない」 「ぐっ……やってみなきゃ、分からねえだろうがぁああああっ!!!」 再度、突撃する。 桑古木は『誓い』を構えて振り下ろし、武は右手に持った『時詠』で受け止める。 そっきと同じ状況で、桑古木は再び言霊を刻む。 「オース!」 もう一陣、繰り出される刃が武の胸を狙った。 受け止められる『時詠』は『誓い』を抑えるので精一杯……終わりだ、と桑古木は呟く。 武は、あろうことか笑う。 犬歯をむき出しにして、獰猛に笑う。 「らあっ!!」 「なにっ……!?」 そして、オースが弾き飛ばされた。 武の左手にはあるものが握られている。それで殴り返したのだ。 永遠神剣『冥加』の鞘……本体が破壊されても、未だ形を留める永遠神剣の一部。 この戦法はかつて、圭一と美凪が自分を破った戦法だった。 今では圭一の形見のようなもの。 驚いた隙を武は見逃さない。思いっきり『誓い』を弾くと、鞘を使って桑古木の顔面を殴りつけた。 「がはあっ!!?」 完璧に決まった。 桑古木は為す術もなく、吹っ飛ばされて柱に激突する。 武は決着の予感に、僅かにため息をついた。 直後、あらゆる音が消失した。 「がぁぁああっ!!?」 衝撃波に身体が吹っ飛んだ。 ごろごろと転がりながら、何が起こったのかと混乱する。 まるで大きな爆弾が爆発したような、それほどまでの衝撃。余波で宙に浮くくらいなのだから洒落にならない。 「な、なんだ……?」 「粉塵爆発」 「っ―――――!?」 武が反応したときには、手遅れだった。 ズゴンッ!! 壮絶な音が響く。後頭部への一撃、武はそのまま倒れ伏した。 「……どうやら、向こうも決着がついたか。あの状況なら……全員、無事とは言いがたいな」 「て、めえ……」 「終わりだ、武……武の負けだよ」 つまるところ、これが決着だった。 桑古木はまだ立っている。武は地に伏せ倒れている。 それが、全てだった。 ◇ ◇ ◇ ◇ 「おい、ふざけるなよ……」 このぐらい、と武が腕に力を入れようとする。……が、入らない。 そんな莫迦な、と愕然とする一方で桑古木は静かに状況を分析する。 かつて、舞にも食らわせた後頭部攻撃。 武に与えたのは、多少不発と言わざるを得ない。自分のダメージも大きい。 それでも、しばらくは立てない。 そういう風に構造上、できているのだから。だからもう、武に勝ち目はない。 「キュレイを殺すには、脳か心臓を完全に破壊するしかない」 ゆっくりと弾き飛ばされた『誓い』を拾いながら、桑古木は解説する。 それは親友との別離の最期の言葉。 彼の命は自分に握られている、という時点で……もう、何もかもが終わりなのだ。 「大脳に一発、痛みは感じない」 「っ……やられるかよ……負けられるかよっ……!」 全力を尽くしても敗れ、無念のまま死んでいく奴を何度も見てきた。 そういう奴らが殺してきたから、今の桑古木涼権がある。 それは親友を目の前にしても変わらない。 大切な者を護るために、鬼にでも悪魔にでもなると誓った。あの時、そう誓ったのだから。 「じゃあな」 簡潔な言葉にも容赦はない。 そうしてベレッタを構え、武の頭を破壊するために引き金を引こうとして。 そのまま、指が停止していた。 「………………」 桑古木の目が細められた。 瞳はあくまで感情をともさず、それでいてじっと目の前を見ていた。 彼の視界に武の姿はない。 武を庇うように、一人の少女が手を広げていた。 「やらせない」 鈴凛だった。 全身を打ち身しているのか、少し動いただけで身体が軋んでいる。 ゴーグルは壊れているが、武のデイパックは持ってきていた。 ただ、その中身を出す余裕はなかった。だから身体ひとつで飛び出してきた。 「どけ、鈴凛。お前はまだ間に合う。レムリア遺跡から出ない以上、まだ言い訳は立つ」 それは桑古木が見せた最後の優しさだ。 無為に死ぬ必要はない。 勝敗は決した、逆転の一手などない。この状況で大人しく牢に戻るなら、何も見なかったことにしてやる、と。 「どかないよ」 だが、それを鈴凛は突っぱねる。 桑古木にはその行動が理解できない。 庇う対象が彼女の姉妹やらなら理解できる。だが、自分の親友はむしろ逆だ。 「……どうしてだ? 言いたくはないが、武はお前の姉妹の仇でもあるんだぞ? どうして庇う?」 姉妹を助けたかった、と鈴凛は言っていたらしい。 それは自分がココを護るのと同じこと。親近感がない、とは言えない。 だが、もしもココを殺した者がいるとして……桑古木はそいつのために、命を投げ出すなど考えられなかった。 鈴凛は答える。 瞳には最期の意志……否、意地を宿して。 「殺してないよ、誰も」 「なに?」 「私の姉妹は……私たちが殺したんだよ。倉成武も、高嶺悠人も、オボロも、水瀬名雪ですら加害者じゃない」 自分にも言い聞かせるように、鈴凛は語る。 身体は震えている。やがて訪れるだろう死に恐怖しながら……その全てを飲み込んで、啖呵を切る。 「こんな殺し合いに巻き込まなければ、誰もが幸せに暮らせた。皆、幸せだった。 それを奪ったのは誰さ? 大切な人のためって言って、その人に言い訳を押し付けたのは誰さっ!? 考えるまでもない、私たちでしょ!? だから、恨むのなんて筋違い。憎むのは間違っている……だから、私は助けなければいけないっ!!」 それが鈴凛の贖罪、戦う理由。 多くを奪ってきたからこそ、こうして両手を広げなければ。 そうしないと、顔向けできない。 地獄で必死に戦ってきた、最愛の姉妹たちに対して顔向けできるはずがない。 「それが、まったくの無駄だとしてもか……?」 迷わず、頷いた。 意志だけは負けないように、強く言い聞かせた。 「殺したければ殺せばいい! こんなことしても犬死だって、助けられないって分かってるけど! でも、絶対にどかない……どいてなんかやらないっ!! もう逃げないんだから! 私の姉妹たちは戦った! だから私も決して逃げない! 屈したりなんかするもんかぁあっ!!!」 鈴凛は瞳から涙がこぼれた。 悔しい、自分に力がないことが悔しい。 命を投げ出しても届かない。どんなに頑張っても結果がついてこないことが悔しい。 「………………っ」 ふと、そんな鈴凛の姿が重なった。 かつて、17年前に殺した少女の姿と。自分が額にベレッタを撃ち込んだ、あの姿と。 気づけばベレッタを降ろしていた。 あの光景がフラッシュバックして、銃を撃つことが出来なくなっていた。 「なら……その意地を抱えたまま、消えろっ!!」 代わりに振り上げたのは『誓い』だ。 当然、今更戻れない。 殺す相手が二人に増えるだけの話。どんなことを言われようとも、もう止まらない。 鈴凛はギュッと目を閉じて痛みを待つ。 桑古木は、その手を振り下ろす。 グチャリ、肉を切る感触と音が生々しかった。ゾクリ、と背筋が凍るほどに。 「………………?」 衝撃は来ない。 鈴凛は恐る恐る目を開ける。 その向こうに、彼はいた。 動けないはずの、庇う対象がそこに立っていた。 「勝手に……話を進めるんじゃあない……」 桑古木は驚き、自分の失策に唇を噛んだ。 そうだ、武への後頭部攻撃は不完全だった。だから、時間がたてば立ち上がれるのだ。 手に持った『誓い』は武の左肩に食い込んでいる。 武の血が桑古木の頬に飛び散る。そんな凄惨な状況下で……武は語る。 「いつも、俺の知らないところで……仲間が犠牲になっていた」 右手には『時詠』……彼の唯一の武装。 一歩、踏み込むと血の噴射が一際激しくなった。 「何度も、護れないことを嘆いてきた」 右手には圭一の形見でもある『冥加』の鞘。 そして懐には智代の形見であるヘアハンド。どちらも、力を与えてくれる大切なもの。 「もう、奪わせない……」 熱に浮かされたように武は語る。 約束があったのだ。 殺した相手への偽善として、確かに彼は誓ったのだ。 『お前の姉妹は俺が護る』 誓いは果たせなかった。それどころか、姉妹に襲い掛かることすらした。 ずっと後悔していた。そして情けなく思っていた。 今度こそ、今度こそだ。 あのときに誓った約束を果たす。それが圭一の意志を受け継いだ、自分の贖罪だと信じて。 「もう、一人だって死なせてたまるかぁああああっ!!!!」 武は『時詠』を振り上げる。 桑古木は身の危険を感じて、咄嗟に『誓い』を武の肩から抜いて下がった。 そんなこと、武には問題にならない。 この振り上げた剣はそのために振り上げたわけではないのだから。 「ようやく……思い出したぜ。こいつの、本来の使い方」 左手で持っていた『それ』を放り投げる。 圭一の形見だけど、ずっと持っておきたかったけど。 こうすることで誰かの代わりに護れるのなら、きっとそれが正しいことだと信じたから。 「圭一……俺に、力を貸せぇえええっ!!!」 ガギィンッ!! 破壊音が響きわたる。 標的は……永遠神剣『冥加』の鞘。 そう、『マナの塊である永遠神剣の一部』を破壊し、そのマナを『時詠』に取り込ませる! 「喰らいやがれッ!!」 クリティカルワン。 一撃必殺。 一瞬で距離を詰めた武が魔力を込めた剣を放つ。 かつて、月宮あゆの乗っていたアヴ・カムゥすら両断した必殺の一撃。 たとえキュレイのキャリアとはいえ、直撃すれば桑古木が無事でいられる道理はない。 桑古木は呆然としながら、ゆっくりとスローモーションで訪れる死をコマ送りで幻視する。 (俺が……負ける……?) 桑古木の中で何かが切れた。 認めない。そんなことは認められない。 一度でも負けられない。負ければ終わりの人生を生き抜いてきた。 (俺は――――) マナ結晶が煌く。 永遠神剣『誓い』が歓喜の声を上げる。 桑古木涼権は吼える。 「負けられるか……負けられるかよおっ!!!」 この声に答えるように。 マナ結晶がビキリ、と音を立てて崩壊した。 それにより、マナ残量の残り全てを吸い尽くした『誓い』が勝利を呼び込むため咆哮する。 オオオオオオォォオオオォオオォッ!!! 取り込まれた桑古木の身体。 誓いと一体化するかのような、そんな姿……武の一撃、クリティカルワンが弾かれた。 武は敵として立ち尽くす親友を見上げる。 どちらも退けない。どちらも逃げられない。どちらも……譲れない。 「鈴凛……下がってろ」 「…………勝てる、よね?」 それは確認というより、願望に近い。 アヴ・カムゥも一撃で葬ったほどの攻撃を弾かれた。 その事実を前にしても、絶対に武は退かない。後ろには……護ると約束した少女がいるのだから。 「…………は……あっ……」 武の身体は震えていた。 桑古木の身体は永遠神剣に取り込まれている。 だが、その意志は些かほどの衰えもない。 必ず勝つ、と……その意志の強さだけで武の身体が震えている。 「当たり前だ」 震えるのも当たり前だ。そうでなければならない。 だって、これは要するに。 眼前に立ち尽くす奴さえどうにかすれば、他の誰でもない……自分の手で約束を果たせるのだから。 だから、武の身体は歓喜で震えていた。 怖いはずなんてない。 ずっと願っていた、誰かが護れるときが来るのを。ずっとそれだけが望みだった。 たとえ相手が親友であろうとも、お互いの意志は此処に示したのだから。 「武」 「少年」 互いに一言、言葉を交わす。 「俺の意志を凌駕する覚悟は決まったか?」 「俺の願望を打ち砕く覚悟は決まったか?」 二人が、そろってニヤリと笑う。 「「戦えば、分かる」」 両者が、同時に地面を蹴った。 これが最後の激突、互いが互いの意志を喰らい尽くす殺し合い。 決着はおそらく、三秒間。 それで、この長かった因縁の対決に終止符を打つ。 211 戦いの鐘は二度鳴った(後編) 投下順に読む 211 誓いはここに残すから―――俺は、ここにいる 211 戦いの鐘は二度鳴った(後編) 時系列順に読む 211 誓いはここに残すから―――俺は、ここにいる 211 戦いの鐘は二度鳴った(後編) 倉成武 211 誓いはここに残すから―――俺は、ここにいる 211 戦いの鐘は二度鳴った(後編) 鈴凛 211 誓いはここに残すから―――俺は、ここにいる 211 戦いの鐘は二度鳴った(後編) 桑古木涼権 211 誓いはここに残すから―――俺は、ここにいる
https://w.atwiki.jp/drapro/pages/1279.html
サポート 対象範囲/効果 属性 [自身][攻撃ダメージ増加] 闇 攻撃によるダメージが一定確率で少し増加する。レベルが上がると効果と発動確率が増加する このスキルを所持しているカード バジリスク ニムロド
https://w.atwiki.jp/semavatarheroes/pages/776.html
黒蝶編第4章・孤独な暗闇の記憶 レア度 4 記憶。暗い闇の洞窟。襲い来る影。連れ去られたレーナ。 欠けたる水晶は始まりの地に新たに現れる。そして導かれるように、輝水晶の谷へと向かう道へ。 入手先 TH 第4章 孤独の洞窟(クリアボーナス) 黒蝶編第4章・孤独な暗闇の記憶を合成する 黒蝶編第4章・孤独な暗闇の記憶から合成する 情報お願いします 名前 コメント すべてのコメントを見る