約 644,490 件
https://w.atwiki.jp/asterisk99/pages/465.html
武者金吉『地震なまず』図版 底本 底本:『地震なまず』明石書店 1995(平成7)年12月20日 第1刷発行 親本:『地震なまず』東洋図書 1957(昭和32)年発行 [#図版(fig_01.png)] [#ここからキャプション] 昭和五年(1930年) 伊豆地震調査当時の著者。後ろの倒潰した建物は箱根塔ヶ島離宮、屋根を貫いて柱が突き出している。 [#キャプション終わり] [#図版(fig_02-04.png)] [#ここからキャプション] 大正十二年(一九二三年) 関東大震災 横浜花園橋附近の亀裂 [#キャプション終わり] [#ここからキャプション] 大正十二年(一九二三年) 関東大震災 浅草十二階 [#キャプション終わり] [#ここからキャプション] 大正十二年(一九二三年) 関東大震災 被服廠の惨状 [#キャプション終わり] [#図版(fig_05.png)] [#ここからキャプション] 明治二十七年六月二十日東京地震の状況 東京大地震湯屋破損の図 [#キャプション終わり] [#図版(fig_06.png)] [#ここからキャプション] 安政二年(一八五五年) 江戸地震 吉原堤から飛び出した火の玉 [#キャプション終わり] [#図版(fig_07.png)] [#ここからキャプション] 一九一一年十一月十六日 中欧の地震 ドイツのエビンゲンで 観察された火の王 [#キャプション終わり] [#図版(fig_08.png)] [#ここからキャプション] 昭和五年(一九三〇年) 伊豆地震 静岡県賀茂郡稲生沢村から見た地震の発光 [#キャプション終わり] [#図版(fig_09.png)] [#ここからキャプション]鹿島の要石[#キャプション終わり] [#図版(fig_10.png)] [#ここからキャプション]鎌倉時代の暦にある地震虫[#キャプション終わり] [#図版(fig_11.png)] [#ここからキャプション]鯰の実験装置(畑井博士原図)[#キャプション終わり] fig_12.png (青空文庫版、未収録) [#図版、津田青楓は一九七八年没。著作権保護期間内のため図版収録せず] [#ここからキャプション]理学博士 寺田寅彦(津田青楓写生)[#キャプション終わり] [#図版(fig_13.png)] [#ここからキャプション] 神奈川県吉浜村から見た地震の発光 (昭和5年伊豆地震) [#キャプション終わり] [#図版(fig_14.png)] [#ここからキャプション] 箱根町から西方に見えた地震の発光 (昭和5年伊豆地震) [#キャプション終わり] [#図版(fig_15.png)] [#ここからキャプション] 神山駒ケ岳中腹に見えた地震の発光 (昭和5年伊豆地震)(石内農学士写生) [#キャプション終わり] [#図版(fig_16.png)] [#ここからキャプション] 箱根姥子から見た地震の発光 (昭和5年伊豆地震) [#キャプション終わり] [#図版(fig_17.png)] [#ここからキャプション] 箱根町で観察された地震の発光 (昭和5年伊豆地震) [#キャプション終わり] [#図版(fig_18.png)] [#ここからキャプション] 別府湾に現れた地震の発光 (昭和6年日向灘地震) [#キャプション終わり] [#図版(fig_19.png)] [#ここからキャプション]メトリヂア・ロンガ[#キャプション終わり] [#図版(fig_20.png)] [#ここからキャプション]東京東部を通る地震帯[#キャプション終わり] [#図版(fig_21.png)] [#ここからキャプション]理学博士 今村明恒(1870~1948)[#キャプション終わり] 以上、21件。うち、著作権保護期間内が1件。 2014.10.24:公開 しだひろし/PoorBook G3'99 翻訳・朗読・転載は自由です。 カウンタ: - 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/girlwithlolipop/pages/224.html
コール・マイ・ネーム.コール・ユア・ネーム -なまえをよんで- ◆EAUCq9p8Q. ☆??? 投げられた祝砲は二度目よりも更に多い。 とはいえ心を持たぬ者の投げたもの。しかも考えなしな号令でほとんど隊列を整えることもなく投げられたものだ。 いくつかは祝砲同士でぶつかり、いくつかは見当違いの方向に飛んでいき。 だが、そのうちのいくつかは確かに白坂小梅ぶつかる軌道で飛んでいった。 そしてそんな『白坂小梅にぶつかるもの』を叩き落とした者が居た。 「……アナタ、なんのつもり?」 女王の口元が歪む。狂った笑いの中で命のやり取りをくりかえし、ここにきてようやく笑顔が崩れる。 アリスと、彼女のオトモダチに真っ向から立ち向かう影が一つ。 それは紛れもなく、アリスが死霊術によって作り出したゾンビ……ゾンビーケンペイの一体であった。 「もう、勝手なことしないで!」 勝利の愉悦の中に居たはずのアリスの胸にあったのは、意外にも苛立ちだった。 思い通りにならないゾンビ相手に苛立ち、ほんの少しだけ小梅とジェノサイドから注意をそらす。 命令してもゾンビーケンペイは動かない。ただ、抜き払った軍刀を引きずるように構え、アリスに睨みを利かせるように立ったままだ。 アリスの頭ではそのイレギュラーを処理できない。アリスにとってオトモダチとは、呼び方はどうあれただの手駒だからだ。 その内側に何が詰まっているかなんて、まったく興味がない。 だからアリスは気づかない。 そのゾンビが、しきりに白坂小梅の閉じ込められた水槽に体当たりをしていた―――否、白坂小梅を救うために水槽を壊そうとしていた個体であるとは。 ジェノサイドへの祝砲の際に他のゾンビたちが『死なばもろとも』を繰り出す瞬間に命令に反するように踏みとどまっていたとは。 アリスが手を上げれば、その他大勢のオトモダチがゾンビーケンペイに向けて距離を詰め始める。 しかしゾンビーケンペイは一歩も引かない。ただ、小梅とジェノサイドを守るように、立ちはだかり続けた。 アリスが大きく手を振る。それを合図に、ゾンビーケンペイめがけてオトモダチが殺到した。 何本もの槍と、斧と、剣をその身に突き立てられ、それでもゾンビーケンペイは踏みとどまっていた。 女王様の愉快なパレードがまた止まり、空白の時間が数秒生まれる。 空白の中で、ゾンビーケンペイはゆっくりと、小梅たちの方に振り返った。 「■■■■」 識別不明の声。 腐った脳みそにちぎれかけの喉、崩れた顔ではうまく発音出来るわけがない。 それでも、その死体は、ねじ切れそうなほどに頭をまわして、遠くでサーヴァントの元で横たわる白坂小梅を見つめたまま、呻くように言葉を綴った。 死者にも分け隔てなく接してくれる優しい子。自分を傍においてくれていた優しい子。自分を友達と呼んでくれた唯一の子。 できれば、ずっとそばにいて、その幸せな姿をいつまでも見ていたかった。 それが叶わないことを理解し、最期にその姿を目に焼き付けておく。 「■りが■う」 初めて声に出して告げることの出来た言葉。聞こえてなくても、それでいい。 群がる兵たちを巻き込んで、肉体を爆薬代わりに大爆発を起こす。 『死なばもろとも』。ダメージが許容量を超えた瞬間に発動する、ゾンビーケンペイの持つ唯一のスキル。アリスも利用したスキルだ。 爆発が爆発を誘い、群がっていたゾンビたちが誘爆しつづけ、爆発に巻き込まれたオトモダチたちが消滅していく。 立ち上がった土煙が、アリスの視界を遮り、再びオトモダチの指揮を止めた。 ――― NPCに魂はあるのか。 そんなことは分からない。 だが、魂あるものがマスターたちの記憶や情報を元にNPCとして再構築され、配置されるというのはもはや説明するまでもないだろう。 そこに肉体は必要か。 答えは否である。でなければ、マスターの一人・玲がこの世界に存在することを許されるはずがない。 ならば、例えば。 肉体を持たない魂のみの存在―――俗に言う『幽霊』がNPCとして再現されていたとして。 白坂小梅の傍で、アイドルになる前から彼女を見つめてきた、彼女の親友とも呼ぶべき存在がNPCとして再現されていたとして。 それが魂の抜け落ちたNPC―――アリスの死霊術で魂を失ったゾンビと出会ったとするならば。 ここは天国に一番近い地獄。誰かの目指した楽園の欠片。 そんな世界は、ささやかな奇跡を肯定する。 世界は、無力だった小梅の友達に、小梅を守る力を与えた。 ――― これもまた、ありふれた奇跡の物語。 ジェノサイドにつきっきりの白坂小梅はその名も無きゾンビの奮闘など、気づきもしないだろう。 魂を失ったNPCの体に乗り移った魂だけのNPC。本当の姿も、本当の名も、誰も知らない。 ただ、そのNPCは、ようやく白坂小梅の友人として、少しの間だけ彼女を守ることが出来た。 そして、白坂小梅の友情は、巡り巡って『何か』をなし得る因果を得た。 生まれた時間はごくわずか。 だがその時間で確かに、白坂小梅の『声』は届いた。 一画、二画、三画、ゾンビたちの爆発音を背に、三つ分の願いが小梅とジェノサイドの間で交わされる。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 六枚の■■■■を■■ニンジャ。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 雨の■。 見慣れぬ■■。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ■■■コギ■■■■。 オ■■ン。 スモウ■■。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 謎の■■■。 見上げる■■の■。 引きつるような笑い声。 ■■■■■で書かれた文字。 その文字は…… その文字は…… その、文字、は――― ―――思い出せない。 大切だったのだろうか。 重要だったのだろうか。 今となっては詮無きことだ。 すべてが、抜け落ちてしまった。 焼け落ちたアルバム。 朽ち果てたフィルム。 そんな切れっ端の何もない世界に、その死体は横たわっていた。 「アバー」 ため息のように呻く。呻くようにため息をこぼす。 すっからかんの心の中に、乾いた風が吹き抜ける。 もう、何も残っていなかった。 「……なあ」 それでも、何故か、言葉にできない乾きが、心に去来した。 潤いのない体が、腐臭に塗れた肉が、満たされることを望んでいた。 その渇望は、冷え切った体の芯で、ぢりぢりと燻るように横たわり続けていた。 「アンタ……サケを、持っちゃいねえか」 ただ、乾きを満たしたくて、目の前の少女に尋ねる。 随分近い位置に居る少女は、やや驚いたような顔で死体を見つめ返している。 「何でも良いんだ。アルコールなら」 少女はあわてて前ポケットを探り、小さな酒を取り出した。 ずぶ濡れのワンカップ瓶が二つ。微々たる量だ。渇きを満たすには到底足りない。 少女を抱きかかえたまま体を起こし、ワンカップをひとつ開け、飲み干す。 何故目覚めたのか、その理由を探りながら。 確か……声だ。そうだ、声が聞こえた。 声が、千切れ飛んだはずの耳朶を打った。破れ放題のはずの鼓膜を震わせた。 二つ、三つと消えていった魔力。ちっぽけな命の力。それに合わせてかけられた願い。 「おもいだして」 「わすれないで」 「そして、いつかまた、なまえをよんで」と。 そしてその願いは、たしかに、死体の奥底の何かに触れた。そのはずだ。 その声の主は、きっとこの少女。 不思議と、自分のことすら分からないのに、彼女の願いの意味が理解できる。 名前。 知っている。 こいつの名は。 俺の名は。 思い出せない。 知っていたはず。 名前。 名前は。 彼女の望む答えらしきものが、遺伝子の内側から雄叫びを上げるように、崩れたはずの脳に信号を送る。 だが、その咆哮もまだ殻を突き破るには至らない。 もう一つのサケの蓋を開ける。涙ほどの量のアルコールを飲み下し、あばらの下から垂れ流す。 少女は再び死体の身体を抱きしめた。 腐った体液が少女の服を汚していくのが、死んでいるはずの触覚でもしっかり理解できた。 「……離れろ。臭えだろ」 死体にはもう臭いを嗅げる鼻がない。それでも、腐り落ちた肉とガスが放つ腐臭は容易に想像ができた。 少女は首を振り、呟いた。 「臭くないよ」 そんなはずがないのに、嘘の下手な奴だ。 「汚れる」 「気にしない、から……」 喉をすり抜けた酒があばらを伝って体の外にこぼれ、地面にヘドロめいた水たまりを作り、太陽に照らされて小さな鏡を生み出した。 映っていたのは、世にも恐ろしい化物の姿だ。変色した骨にまばらに腐肉が照らされた、墓場の地下で寝かせすぎた死体そっくりの醜悪な姿。陳腐なゾンビ、その成れの果て。 包帯でも、カソックコートでも、帽子でも、もう隠せない。目をそらせない現実。 「俺は……俺は、酷い姿だな」 「……そんなことないよ」 それでも、少女は否定する。 いや、否定せずに受け入れてくれる。 こんな化物を。世にも醜い化け物であるはずの死体を。まるで友人のように抱きとめてくれる。 「バーサーカーさんは……ううん、ジェノサイドさんは、ジェノサイドさんだから。 だから、大丈夫……わ、私、ジェノサイドさんのこと、ちゃんと知ってるから……」 波紋が広がるように、少女の言葉が全身に渡った。 波紋が漣に変わり、漣は勢いをつけ津波に変わり、男の中で渦巻いて、感情に波乱を巻き起こす。 「……俺は」 「うん」 「そうか、俺は」 思い出した。いや、取り戻した。 どうして忘れていた。どうして手放して横たわっていた。 ここにいる意味を、やるべきことを。その名を。自身の名を。 その魂に刻まれたその衝動を。ミンチョ体の掛け軸に書かれたその四文字を。 『ゼツメツ』 一瞬にしてすべてを取り戻す。 なくしたはずの何かが満ちていき、体に歓喜にも似た感覚が迸った。 ニューロンが火花を散らす程のパルスを伝達し、体の中心に存在している『魂』を五臓六腑の奥底まで、まばらに残った髪の先から割れっぱなしの爪の先まで浸透させた。 その魂の名は、『ゼツメツ・ニンジャ』。 「俺は……そうだ、俺は!!」 乾ききったニューロンに落とされた一滴の雫は、どんなサケよりも、彼の乾きを潤した。 戻る。戻る。いや、戻れ。戻ってこい。俺のもとへ。この俺の、ゼツメツの名を持つ者のもとへ! 渇望が胸の内で吠え、失ったピースを無理矢理に手繰り寄せる。 たった三画の魔力が、ちっぽけな少女の願いが、ニューロンとともに腐り落ちていくはずの何かをもう一度震わせる。 そしてたどり着いた。 彼の名は。 いや。 俺の名は―――! ◆◆◆◆◆◆◆ 「……なあ、おい。サケはまだあるか」 「……あの、ごめんね。もう……ないの」 「そうか。ああ、そうだったな……まあ、いい」 切れたはずの糸は繋がった。男はゆっくりと、比較的損傷の少ない右腕で少女を抱きとめたまま立ち上がった。 「帰りに買いに行けばいいだけだ。あの餓鬼を蹴り飛ばして、この世界をぶち壊したその後で……そうだろ、コウメ」 死体が……否、『ジェノサイド』が呼ぶ。 まるで何事もなかったかのように、当然のように、その名を口にする。 腐り落ち、飛び散った脳からは、きっとその記憶は零れ落ちていた。 傷つき、ぼろぼろになった霊格からも、きっとその情報は抹消されていた。 だが再びその名は呼ばれた。いや、その名は取り戻された。 それは本来ならばありえるはずのない反射的反応。 ならば令呪の見せた呪いめいた強制力のせいであろうか。ジェノサイドに対し、「名前を呼べ」という命令が無理矢理に名前を口にさせたのか。 否、そんなわけがない。彼の執念と彼女の願いが、そんな陳腐な結末にたどり着く訳がない。 ニンジャのニューロンは時折、不可思議な反応を示す。 遺伝子レベルで刻まれた『自我』や『存在』すら超越する何かが、時折、条件反射めいて飛び出させるのだ。 六枚の羽を持つニンジャ。名も知らぬはずの神父の姿。トビッコ・ギムレットの香り。 忘れても、忘れても、忘れても。忘れられぬもの。脳が散り散りになったとしても、他ならぬ魂が忘れることを拒むもの。 人はそれを、きっと『絆』と呼んだのだろう。 令呪の魔力はジェノサイドの肉体をほんの少しだけ修復し、魔力の海に消えていくはずの『絆』にそっと語りかけた。ただそれだけにすぎない。 忘れていくことしか出来ない男が居た。 忘れられていくことしか出来ない者たちを覚えていられる少女が居た。 男はずっと、自分の生きている意味を探し。 少女はずっと、彼らの生きていた証を残す。 男は名を名乗り、少女はその名を呼んだ。 少女は男に願い、男はその名を呼んだ。 これは、そこから再び始まる物語。 ◆コール・マイ・ネーム.コール・ユア・ネーム◆ ◆◆◆◆◆◆◆ 小梅とジェノサイド、二人の時間に乱入者が現れる。 それは足並みをそろえて壁のようにそびえ立つ人垣。この遊園地の主の意思に従うものたち。 その壁の向こうに、少女がいる。血煙に燻されてなお真昼のような輝きを放っていたはずの笑顔は影が差している。 ここまで散々に弄ばれ、ようやく『思い通りにならない事が起こった』らしい。 少女は不機嫌そうに手を振るい、ガチャガチャと歯を鳴らすトラバサミをジェノサイドと小梅めがけていくつも走らせた。 だが、ジェノサイドも小梅もそのトラバサミを避けることはなかった。ジェノサイドが真正面から拳ですべて掴み、そのまま握りつぶしたからだ。 「散々騒いでおいて、まだ黙って聞いてられねえか」 「つまんなーい! せっかく、オトモダチになれたと思ったのに! ズルはなしでしょ!」 「……つまらなくなんてねえさ」 帽子の鍔が目元を隠す。包帯もほとんど吹き飛んだ顔に影を落とす。 腐肉がはじけ飛び骨がまろびだし、肉の残る場所も大部分がこけおちた、世にも醜い死者の顔。 それでも、足りない肉を補うように、異界の太陽に照らされた半円のつばの影が笑みを作っていた。 「てめェのごっこ遊びのほうが、俺には、退屈すぎて反吐が出る。つくづくムカつくぜ、てめェは」 破れ放題の帽子の奥で人ならざる緑色の瞳が輝く。 生きる意味を、生きてきた理由を取り戻し、死体に再びソウルが篭る。小さいながら強い火が。 それは、ゼツメツ・ニンジャだけではない。ゼツメツ・ニンジャと、ゼツメツ・ニンジャに宿られた◆◆◆と、その混合物であるジェノサイドの魂。その輝き。 三者がそれぞれ掴み取った、白坂小梅との『絆』の輝き。 「湿っぽいのは似合わねェ。結局俺にはこれしかない」 人垣がざっと音を立てて一歩進み出る。 手に取ったバズソーの鎖は、まるで体の一部のように馴染んでいた。 「よくも好き勝手やりやがったな。死にたい奴から前に出ろ」 今のジェノサイドは傍から見てもわかるほどに活力に溢れている。この遊園地に踏み込む前よりも強く、輝くほどに力強く。 それになにを感じたのか、なにも感じていないのか、アリスは動き出す。やや不機嫌そうな顔のままそのジェノサイドを睨めつけていた。 「仕切り直しだ、死に損ない――いや、死神にまで嫌われたバケモノめ。ドーモ、アリス=サン」 アイサツを聞き届けることなくアリスが飛び上がり、トランプを空中に放つ。 その一枚一枚が魔力のこもったアリスの分身となるはずの種。 しかし、分身が生まれるよりも早く動くものがあった。 「俺は―――」 構え。 「ゾンビーで」 担ぎ。 「ニンジャで」 振り。 「そして、サーヴァントの」 放つ。 「ジェノサイドだ!!!」 吠えた名が遊園地に轟く。ニンジャ・ジェノサイドここにありと遊園地内のすべてに告げる。 一対のバズソーが鈍色の閃光となって空を駆け、そのけたたましい羽音がセンチメントなアトモスフィアを切り裂く。 そして、絶滅へと誘うニンジャの鬨の声は、トランプを全て切り払い、決死の中に活路を生み出す。 不死者たちの殺し合いの、最期の幕が切って落とされた。 ◇◇◇ アリスの群れへと変貌するはずのトランプは全て空中で真っ二つに切り裂かれた。 ついでとばかりに切り裂かれたアリスの体が爆発し、体の内側に入っていたたくさんのトランプを空中にばらまいた。 トランプのうちのいくつかがアリスに変わり、空から降りそそぐアリスがオトモダチの軍隊と合流し、取り囲む人垣を更に強固にする。 「さあ、皆! 最期のゲームをしましょう!」 「最期のゲームは、早い者勝ちよ!」 「シラサカコウメちゃんとお兄ちゃんを殺した人の勝ち! よーいドン!」 女王の大合唱に、一斉に兵隊たちが動き出す。 小梅たちを殺そうと距離を詰めるもの。迎え撃とうと陣形を組むもの。錯乱を狙いてんでばらばらに動くもの。 その中の一団は先程の焼き直しのようにゾンビーを切り捨て、次々『死なばもろとも』爆弾として放り投げていた。 「先に断っとくが」 つい先程は死亡寸前まで追い詰められたゾンビ爆弾戦法だが、ジェノサイドは既にその戦法に対応していた。 アリスの種を切り裂くために放たれたバズソーの波打つ鎖が、ゾンビ爆弾の山を見事にかき分け跳ね飛ばす。 見当違いの方向に軌道を変えたゾンビ爆弾は、明後日の方向に飛んでいき、そのうちいくつかはあろうことかオトモダチのど真ん中に落ちて周囲を巻き込んで大爆発した。 何人ものアリスの悲鳴を聞きながら、ジェノサイドは続ける。 「俺は念仏も唱えられねェし、あいつらの目を覚ます方法なんて知りもしねェ。 俺に出来るのは、せいぜいぶったぎって、さっさとあのクソッタレから解放してやることくらいだ」 「……うん。お願い」 短い間を置いて、小梅が答える。 周りにはもう、小梅が可哀想だと思い救いたいと願った『あの』ゾンビは居なかった。きっと、アリスの指示で『あの』ゾンビも自爆をしてしまったのだろう。 その事実が、小梅の中での分岐点となった。 小梅も、覚悟を決めた。ようやくながら、アリスと友達になれるという淡い期待を捨て、アリスという怪物と戦う覚悟を決めた。 アリスは絶対に自身の『オトモダチ』を手放すことはない。彼らは望む望まないにかかわらず、『怪物』として生き、『怪物』として死んでいくしかない運命だと理解した。 遅すぎる決断に、遅すぎる理解だ。だが、きっとまだ手遅れではない。 目の前に広がる壁と見まごうほどの大きな背中。数分前とは打って変わって、活力に満ちた頼もしい背中。 その背中が小梅を導いてくれる限り、手遅れなんてないのだと思えた。 「……ごめんね」 小さな謝罪があてもなく飛んでいく。それはきっと、この場にいる全員に向けた言葉。 助けたいものを助けられない悲痛、無念、少女が背負うにはあまりにも重い思いの込められた謝罪だった。 聞き届けるものはジェノサイド以外にもう誰もいない。当然だ。初めからずっと、ここに居たのは、ほぼ全員が『怪物』だったのだから。 白坂小梅は、ジェノサイドとともに『怪物』に立ち向かう。 ◆◆◆◆◆◆◆ 掻き分けたゾンビ爆弾が散り散りばらばらの位置で爆発し、オトモダチたちが少し減る。 それでも人の波は絶えない。足音を合わせながら漣めいて押し寄せてくる。 ならばどうするか。 知れたことだ。 敵の生み出せる許容量、その限界まで殺し尽くす。 ジェノサイドの前に立ち塞がる物の未来はゼツメツ以外にありはしない。 「コウメ、しっかり掴まってろよ」 「う、うん……!」 小梅がジェノサイドのズタボロのカソックに抱きつく。それが、大虐殺開始の合図だ。 「イヤ―――――――ッ!」 ぐるんと巨体が一回転した。合わせて回るバズソーで、数十体の『オトモダチ』がその身を斬られ倒れ伏す。 敵もさるもの、反応の追いついたものは跳び、しゃがみ、それぞれ避けるがそれでも遅い。 まるで紫電か、竜巻か、縦横無尽駆け回るバズソーが回避に先回りしてすべてのオトモダチを切り刻んでいく。 バズソーと鎖をかいくぐり、踏み込んで来たものが居た。トランプ兵の槍を持ったアリスだった。 ジェノサイドと小梅をあわせて貫こうとする槍を、ニンジャの超反応で察し、拳で弾き、ついでにアリスの頭を握りつぶす。 ぽふんと音を立てて消えたアリスの槍を手に、次々殺到してくるオトモダチをひとまとめに首を刎ね、様々なパーツごとに分割する。 「やっちゃえ!」「そこだー!」「いけいけー!」 「イヤ―――――――ッ!!」 「アバーッ!」「アバーッ!」「オボーッ!」 遠くで声援を送っているアリスたちめがけて持っていた槍と、先程殺した何者かの武器たちをいくつもぶん投げる。 武器がオトモダチとアリスを複数体貫き、まるで串焼きのようなオブジェとして並ぶ。その間近づく相手もネクロカラテで叩き潰す。 飛んでくる武器、拷問器具、遊具、その他すべてを叩き伏せ。群がるオトモダチどもを鎖で体を引きちぎり、バズソーで細切れにし、敵の武器を奪っては殺し、ネクロカラテで殴り殺し蹴り殺す。 有言実行だ。再起不能になったオトモダチの山が積み上がり、ばらまかれたトランプは濁った赤い池に沈んでいく。 強大で膨大なオトモダチの軍勢は、見る間に数を減らしていっていた。 途中アリスたちが放り込んでくる茶々のような拷問器具も腕で、足で、頭で叩き壊し、振り回されて吹き飛ばされそうになる小梅を抱きかかえてはまた迎え撃つ。 この凄惨なる光景なんと形容するべきか。スプラッターか、ハードゴアか、それともやはりジェノサイドか。 邪神の手足めいた動きで鎖付きバズソーが振り抜かれるたびに、次々と物言わぬ屍が積み上がり、あちらこちらで爆発が巻き起こる。 反撃に出ようと武器を手に手に偽アリスとオトモダチが攻めようと、ほとんど触れることすら叶わずにさらなる暴力でねじ伏せられる。 堅牢かと思われた人垣は、守ればその分切り崩され、攻めればその分打ち砕かれ、徐々に、徐々に、ほころびを見せ始めた。 無限と思われた軍勢は、その絶滅の権化の前に、ついに目算でも数えられるほどに数を減らした。 そんな大虐殺の坩堝の中心のニンジャ・ジェノサイドは、小梅を守り、オトモダチをぶちのめしながらも、常にある一点に注意を払っていた。 『本物はどこだ』。 今まで数々のアリスを殺したがどれも偽物。それに、今生き残っているわずかばかりのアリスもきっと偽物であるとジェノサイドの直感が語っていた。 見回す中には居ない。どこに姿を隠したのか。それを見つけてぶん殴るまではこの戦いは終わらない。 ジェノサイドの虐殺の刃を切り抜けたアリスたちがギロチンの刃を放つ。その刃の上に切り刻まれたゾンビたちを乗せて。 ギロチンを止めればゾンビ爆弾を喰らい、ゾンビ爆弾を止めればギロチンを喰らうという寸法か。 「芸がねえことを、何度も、何度も!!! ナメてんじゃねえぞ!!!」 だが、それがどうした。両手に構えたバズソーを放り投げ、射線上のオトモダチを切り捨てながら進んできた二枚のギロチンの刃を掴む。 当然、手の平はただではすまないが、それを力でねじ伏せる。傷を恐れないゾンビーの体とネクロカラテの握力が可能にする武器強奪だった。 勢いに任せてギロチンをぶん回し、爆発しようとするゾンビを吹っ飛ばす。ゾンビは空中で爆発して消えた。 更に迫ってくるギロチンをギロチンで迎撃し、上のゾンビごと弾き飛ばす。 「イヤ―――――ッ!!!」 叫びとともにギロチンがぶん投げる。またオトモダチが物言わぬ体に変わった。 随分数を減らしたオトモダチは、さすがに数で押せなくなって攻めあぐねているのか、格段に動きが鈍っている。 それこそ狙い目とばかりにバズソーを投げ、アリスやオトモダチどもを切り裂き、ゾンビどもは念入りに微塵切りにする。 ニンジャ的シックスセンスが攻撃の予兆を察知し、抱きかかえていた小梅の身体を突き放した瞬間、地面から生えてきた拷問器具がジェノサイドを拘束した。 棘だらけの人形の檻、アイアン・メイデンだ。だがそんなもの、今のジェノサイドの敵ではない。 閉じようとする拷問器具の蓋を無理やりこじ開け、蝶番ごと蓋をもぎ取る。小梅に迫る幾つかの影に向けて蓋を投げ飛ばせば、血しぶきを残してまたオトモダチが減った。 少しばかり生き残っていたオトモダチめがけてバズソーを放れば、ついにすべてのオトモダチが倒れ伏した。もう二度と動くことはない。 放ったバズソーの鎖が伸び切り、今から巻き戻ろうという瞬間。 一陣の風が吹き、ジェノサイドの目の前をいくつかのトランプが通り過ぎていった。 小梅がはっと顔を上げ、体をこわばらせる。 彼女の視線の先には、トランプから今まさに飛び出そうとしている最後のアリスの姿があった。 振り上げた拳は少女のそれだが、サーヴァントの膂力ならば小梅の頭を潰すくらいはわけないだろう。 ジェノサイドが今から走り出したのでも間に合わない。恐怖からか、小梅は崩れるようにその場にしゃがみこんだ。 「はい、私の勝―――」 しかし、勝利宣言に待ったがかかる。 しゃがんだ小梅の向こう側から飛んできた鎖が、現れたばかりのアリスの体を縛り上げたのだ。 「ようやく首を出しやがったな、アリス=サン」 小梅の令呪で取り戻した破片のような記憶の中に、散りばめられた記憶の中。 ジェノサイドの人生の大部分を占めていた知識として『ニンジャ』の知識があった。 ニンジャとは、卑劣で、傲慢で、残忍。そして時折、幼稚なほどに欲求に素直。 ジツに頼って他人を嬲ることに快楽を覚え、命を命とも思わぬクソッタレの集まり。 そんなニンジャたちの戦闘の波長と、アリスの戦闘の波長が、ジェノサイドの中で合致した。 もし、ジェノサイドと小梅が二人で居るところにニンジャが現れたなら、ニンジャはどう動く。 ニンジャならばどうするか。ジェノサイドを足止めしながらジツを使って小梅を狙い、そして小梅を殺したあとで魔力の尽きたジェノサイドを殺す。 アリスの使えるジツを考えたならば、不意打ちが最も効果的。そしてアリスの性格を考えるならば、奴は最後の最後、ジェノサイドたちが勝利を確信した瞬間にサディスティックな笑みを浮かべながら小梅に手をかけることだろう。 そう、つまり、アリスはニンジャだったのだ。ジェノサイドの『偽物のアリス』を見抜いた直感は、ニンジャとの戦闘で培われた経験則にほかならない。 このタイミングで空を舞うトランプを見て、ジェノサイドは直感的にそれこそが相手の本命だと理解した。だからこそ、先手を打つことが出来た。 『アリスが出て来る』ものとして小梅と念話で息を合わせ、小梅の体でバズソーの鎖を隠し、ぎりぎりまでひきつけて縛り上げた。 小梅は恐怖から崩れ落ちたのではなく、アリスという『怪物』と向かい合い、ジェノサイドを信頼し、『怪物』を倒すために勇気を振り絞り立ち向かい、そしてようやくアリスに打ち勝ったのだ。 「きゃあ、捕まっちゃった!」 巻きつけた鎖ごとアリスを一気に引き寄せる。命のやり取りの最中だと言うのに、脳天気な声を上げている。 その脳天気な声は、ジェノサイドの剥き出しの神経を逆なでするようだった。 オトモダチのやつらをゼツメツに追い込んだこの期に及んで、この少女は、まだ遊んでいるつもりなのだ。 「ナメやがって! ブッダのケツで念仏唱えてろ!」 怒りが、まばらにしか残っていない髪の先まで浸透する。 だが、足りない。この程度の怒りでは、アリスはゼツメツさせられない。 力が必要だ。この狂おしいほどの怒りをぶつけるための力が。 考えるよりも速く体が動いた。 アリスの体をがんじがらめにしていた鎖が解ける。逃がすためではない、鎖が巻き付いたままだと邪魔だからだ。 代わりに、ジェノサイド自身の手でアリスの体を地面に押さえ込む。がっちりと組み伏せたまま、噛みつきやすそうな左肩に照準をあわせる。 仮にもズンビー。爆発の余波で荒れ放題の口でも、少女の柔肌を食いちぎる牙は失っていない。 ◇◇◇ 「ヤメテー! ヤメテー! ……アバッ!?」 肩に食いつかれ、アリスの楽しげな悲鳴が止まり、驚愕の声が上がる。 緑色の蛍めいた命の輝きが噛まれた場所から漏れ出し、アリスの余裕の表情が一気に崩れる。 その緑色の光の正体は、アリスにも感覚で理解できた。それは間違いなく、アリスの身体を構成するMAGだ。 単なる打撃ならば問題ない、噛みつかれた程度で既に死者である『アリス』は傷つかない。そう過信していたのだろう。 だが、アリスの想像を遥かに超えて、アリスに食らいついたジェノサイドという災厄は貪欲であった。 ジェノサイドはニンジャを喰らうニンジャであり、この聖杯戦争ではサーヴァントを喰らうサーヴァントであった。 相手が不死の令嬢アリスだったとしても例外ではない。ジェノサイドはアリスの彼女の身体を構成する物質――MAGを喰らい、自身の血肉に変えることが出来るのだ。 ぶちぶちと音を立ててアリスの左肩が無残に食いちぎられ、ジェノサイドとおそろいの骨がまろび出した格好になる。吹き出す血は、意外にも赤かった。アリスの瞳の色にそっくりだった。 そして、食いちぎられた瞬間に、アリスの中から大きく『何か』が持って行かれた。MAGか、それとも別の何かか。 アリスとてサーヴァントである以上魔力が消滅すれば存在を保てず消え去るのみ。 遊びと思って侮った。このウカツは何を意味するか。 不快な脱力と、焦燥と、六腑の底から喉元までせり上がるような怖気が、アリスの体を駆け巡った。 分からない。今までに感じたことのない感触だ。だけどそれは、いつでも身近にあったもののはずだ。 遠巻きにおろおろと困惑していたアリスの分身のうちの一人が消滅する。世界から消えてなくなる。 一人が消えれば次の一人。それが終わればまた一人。また次、次、次と立て続けにアリスたちが消えていく。 居なくなる。世界から。 そこでようやく分かった。アリスに襲いかかっているこの感触が、死だということが。 『死』。 脳を埋め尽くしたのは、アリス自身には絶対に関係がないと思っていたその一文字。 アリスが今まで弄び、そしてゼツメツ・ニンジャに相対したものが等しく抱く、逃れられぬ破綻と破滅のシンボル。 むき出しの左肩から首よりに、更に歯が突き立てられ噛みちぎられる。またも大きな『何か』が持って行かれる。 声にならない悲鳴が遊園地内にこだまし、悲鳴で揺さぶられた傷口が突き刺すように痛んだ。血が地面を汚していく。 そしてまた、ありえるはずのない恐怖がアリスの心を支配した。 『死』だ。 死ぬ。 死ぬのだ。 これが、死。死なのだ。 アリスは殺される。このサーヴァントに。 全てを喰らいつくされ、一片の欠片も世界に残すことなく、消滅するのだ。 このサーヴァントは、アリスの全てを吸収し、世界にアリスであったものは無くなる。 無数に存在し、消えることのないはずの『アリス』が、この地で一つ完全に絶滅する。 認識した瞬間、アリスはおそらく生まれて初めて本気で『死』を恐れ、本気で逃れる術を探った。 だが、どれだけ考えても答えが出ない。それもそのはず相手が悪い。 精神汚染を持つバーサーカー相手に魅了(マリンカリン)は通用しない。 既に死んでいるズンビー相手に即死魔法(マハムドオン)は通用しない。 石化魔法(ペトラ)も組み伏せられたまま使えば一緒に石化してしまう。 分身アリス、トランプ兵、屍鬼、洗脳人間、あたりを見回せど影もない。 痛みで頭が冷めようやく気づいた。全てゼツメツしていた、いや、ゼツメツさせられていたのだ、このズンビーただ一人に。 バズソー、鎖、ネクロカラテ、彼の持ちうるすべてが『絶対にぶち殺してやる』という執念に従いこの場に居たアリスの軍勢をねじ伏せた。 魔力を吸い上げられた状況、しかもこの距離では再生産も不可能、既に進退は極まった。 蓋を開けてみれば、なんたることか、詰将棋のように盤面は硬直している。 「いや……」 ならば、ならば、ならば何がある! 必死に頭を働かせても、思考は分かりきった結論に向けてから回るばかりで何も妙案は浮かばない。 ジェノサイドが再び口を開く。涙目になりながらまだ動かせる右腕でジェノサイドの頭を押しのけようとしたが、抵抗むなしくまた歯が突き立てられた。 左肩を骨まで噛み砕かれる。『死』の一文字が身体の中で大きく膨らんでいく。 ゼツメツはアリスのすぐ背後まで来ていた。 「いや、いや!! 放して!! やだぁ!!!」 蹄の音が聞こえる。蒼ざめた馬の蹄の幻聴だ。 首元にヒヤリとした感覚。死神の鎌の幻覚だ。 もがいても、暴れても、狂戦士の万力めいた腕力に枝のような少女の肢体では叶わない。 締め付ける力は、吸われていくアリスの魔力に比例してどんどん強くなっていく。 まるで細胞同士が引き合うようにジェノサイドの傷ついた腐肉が逆再生めいて修復を始め、吹き飛んだ髪、砕けた歯、穴ぼこの目、ぼろぼろだった悪魔めいた男の顔貌を復元する。 髪を振り乱し抜けようともがくうちに、押さえつけている男の顔が目に入った。 完璧に蘇ったその顔貌。それは、世にも恐ろしい――― ◆◆◆◆◆◆◆ 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 余裕を失い初めてさらけ出された命懸けの絶叫。 アリスが最後に取ったのは、彼女の大好きな遊びとは程遠い、単なる物量攻撃だった。 構築した陣地を、読みかけの絵本を閉じるように無理やり『閉じ』たのだ。詰んでいた将棋の盤面をひっくり返し、無理やり勝負をなかったことにするために。 原理的には遊具操作と変わりない、ただ、遊園地全体を操作し、一気にアリスめがけて圧縮を行った。 空間が一気に収縮し、それに合わせて遊園地のすべてのアトラクションが一気にアリスとジェノサイド目掛けて飛んでくる。 そして当然、ジェノサイドによって守られていた小梅にも迫る。 「死ぬのが怖ェか、アリス=サン」 突如、さらなる痛みを伴い拘束が解けた。 アリスが見たものは、無残にも食いちぎられたか細い左腕と、それをまるでフライドチキンでも食うように頬張った世にも恐ろしい死者(オトモダチ)の顔。 煌々光る緑色の瞳が湛えるは、魂の滾りか、約束の強い意志か。それともアリスから奪い取ったMAGの血涙か。 「そのクソの詰まった脳味噌に叩き込め。 てめェが調子に乗れば、ニンジャが出て殺す! 叫ぼうが、喚こうが、泣いて許しを請おうが、必ずお前を殺す!!! 俺はジェノサイド!! ニンジャで、サーヴァントの、ジェノサイドだ!!」 言い切ったジェノサイドは、もう用はないとばかりに、食い残したアリスの土手っ腹を蹴り飛ばす。 アリスももう、冗談めかして言い返すようなことは出来ない。命からがら霊体化して逃げ出すのが精一杯だった。 碧緑の双眸はその行方を追わない。既に自身の守るべきものの方を向いている。 「コウメ!」 「ジェノサイドさん……!」 ジェノサイドの声に、小梅は駆け出し手を伸ばす。その手の甲には既に令呪は存在しない。 それでも。 いや、令呪なんてないからこそ。繋いだ手と手には一片の疑念もない。 見よ。少女を懐に抱き寄せたゾンビの立ち姿の、なんと美しいことか。 少女も、ゾンビも、確信していた。今更この陣地圧縮程度の障害で、自身達が死ぬことなどないと。 「ゼツ!!」 じゃらりと波打つ一対の鎖。火花をちらして回り出すバズソー。 命を燃やして、速く、速く。少女を取り囲む万難を切り裂くために回転する。 「メツ!!!!」 走る銀色の閃光は、遊具を、橋を、岩を、山を、雲を、大地を、太陽を、襲い来る全てを切り刻み。 そして最後に、緞帳めいた作り物の青い地平を切り裂く。 ここに、ひとつの遊園地が……女王の作り出した不思議の国が絶滅した。 そして、世界に夜が帰ってくる。 ネクロマンティック・フィードバックへ
https://w.atwiki.jp/kenakena/pages/105.html
たこさんの第一子の名前を考えましょう! よみがな こどものなまえ TK てかこれリアルですか?(´・▽・`) -- てけ 多娘 -- たこ WWW -- わーるどすりー 望無 -- のぞむ 休眠 -- しえすた ろけっとだいぶ -- 股間暴走 幻影 -- げねい 浮気 -- ばれた 衛生兵 -- スパイ 下衆 -- げす 楓 -- めいぷる 大窓 -- たいそう 孝治郎 -- こうじろう 九兵衛 -- きゅうべえ 闇緋異 -- あんぴー まどか -- 魔怒火 小太郎(こたろう) (2011-06-22 21 39 26) 乳首(ぴんく) (2011-06-22 21 38 34) 我理論(がりろん) (2011-06-22 21 38 28) 健太(ゆうた) (2011-06-22 21 38 21) test (2011-06-22 21 37 36)
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/44658.html
【登録タグ CD CD他 ジェバンニPCD】 前作 本作 次作 She looks prettier without makeup 15km to the sea - ジェバンニP 発売:20XX年4月28日 価格:¥1000(税込) 流通:即売or同人or全国or配信 サークル:サークル名を記入 CD紹介 曲目 恋ノート//// -VM20 Mix- パズルゲーム オブ ラブ 眠らない姫 戦いの果てに至る前に 病原菌 ぼくのなまえはいずみんみん ラジオりん Longver だんごむしのいちにち ハサミサンド Ring-a-ding -VM20 Mix- 15km to the sea JMT in VM20 リンク とらのあな コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kokekokko990/pages/36.html
まずは看板1つとチェストをつくります。 チェストをおき近くに看板をおきます。 看板にかきこむ内容は 1行目 自分のなまえ 2行目 1回のクリックでうごくアイテム量 3行目 B 数字←(Bの場合はアイテムをうる。数字はアイテムをうる値段。S 数字←(Sの場合はアイテムをかいとる。数字はアイテムを買い取る値段。 4行目 売ったりかいとるアイテムの英名(IDでもOKです。) メインワールドには自宅以外絶対に造らないでください 自宅には最大で2つまでです 建てるときはShopワールドでお願いします。
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/21561.html
【検索用 あのひみたもうひとつのはなのなまえ 登録タグ CD CDあ はりーCD よぴーCD】 + 目次 目次 CD紹介 曲目 リンク コメント 前作 本作 次作 ココロノート#2 あの日見たもう一つの花の名前 ぼくらのレットイットビー はりー よぴー 流通 即売 同人 発売 2011年12月31日 2012年4月28日 価格 ¥1,000(税込) ¥1,500(税込) サークル HARINOYAMA-SOUNDS CD紹介 -あの花という素晴らしい作品に最大のリスペクトを- CD名:『あの日見たもう一つの花の名前』(あのひみたもうひとつのはなのなまえ) はりー氏 の 3rd album 。アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」をモチーフにした全9曲を収録。 イラストを るみな氏 と まゆまゆ氏 が、ボカロ調声を よぴー氏 が、MIX・マスタリングを 快晴P が手掛ける。 C81(コミックマーケット81)にてリリース。 曲目 夏のけもの おはなし の はじまり リバーサイド に わすれもの ぼくら の レットイットビー なつやすみ ひみつきち この手 を 伸ばせなかった ひかり と かげ 空と 花言葉と 涙のわけ さいご の かくれんぼ リンク Twitter コメント ナニコレ凄い欲しいんだけど!! -- 名無しさん (2012-06-18 21 18 09) え、こんな素敵なCDあったんですかいいな、欲しい… -- 名無しさん (2012-09-16 01 17 24) あの花の名前を僕達はまだ知らないっておかしくない?あの日見た花の名前を僕達はまだ知らないとかじゃなかったっけ -- 名無しさん (2012-10-10 18 43 06) ↑そんなのもあったねぇ・・・。俺よくわかんね!まぁ・・・上の人たち指摘してないし、あってんじゃね? -- 名無しさん (2012-10-10 19 50 46) ↑いや、間違ってる。↑×2たしかそんなタイトルだった。 -- 名無しさん (2012-10-10 20 55 39) 直されたんだ・・・コメントの雰囲気からして -- よーぐると (2012-10-10 20 58 46) やばっ‼ めっちゃ欲しいwww 通販ないの? -- 名無しさん (2012-12-04 19 58 36) こんなのあったんだ!!すごい欲しい!! -- 名無しさん (2013-05-17 21 11 09) 再版希望(´;ω;`) -- 名無しさん (2013-09-17 17 07 59) あのはなモチーフ!?神じゃないですか!! -- 名無しさん (2013-12-01 20 11 17) あの花モチーフ⁉すごく気になる! -- 名無し (2013-12-01 20 16 10) あの花って・・・マジか・・・ -- ANA (2014-09-25 23 10 04) あの花自体は知らなかったが、僕らのレットイットビー聞いて興味持った!このCD欲しい!!! -- おひるねプリン (2015-12-14 22 42 40) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ranamoneud/pages/125.html
YouTubeでアカウントをとって過去のなまを閲覧 アップロードしよう! YouTube内で限定公開のアカウントがあります。ニコフ、セギナー、リスナーA等とコンタクトを取ってID等獲得してください http //www.youtube.com/user/ranamoboy 更新情報 ニコニコにてコミュニティ作成! http //com.nicovideo.jp/community/co1614743 申請してじゆにちから許可をもらえ!(癪だけど) 動画アップのプロセス 制限解除が出来た為、長時間アップロードが可能になりました YouTubeになまアーカイブのアカウントでログインし、 動画アップロードページ開いて動画をドラッグするだけの簡単なお仕事になりました [参考情報] リスナーA提供録画 2012年3月16日分 動画サイズ 1.26GB 長さ 5時間12分 アップロードにかかった時間 約1時間 + YouTube側でのエンコードに約3時間 = 計 約4時間 画質音質とも多少劣化か? 時間制限はなさそうです 容量制限も恐らく大丈夫じゃないかと ちなみに、動画説明文に再生時間を載せると自動的にリンクが貼られるようです(ディープリンクと言うらしい) 06 50 - ネットで拾った懐かしい音楽 と書くと 06 50 の箇所がリンクになりクリックすると飛べます 誰でも編集できるので、みんなで細かくディープリンク設定するのもいいと思います 積極的に活用していきましょう! しかし2012年3月20日現在だと、1時間を越える箇所からはディープリンクが反映されない仕様みたいです 将来的に反映されると思いますが 切り分けたり編集する作業がパス出来るようになったので、皆さん手軽にアップできるようになったかと思います なので、上がってない録画を持っている方は積極的に上げていきましょう マジで 「いつのが上がってて、いつのが上がってないの?」ってなりそうなら なまログ で管理するなんてのはどうでしょうか? https //docs.google.com/spreadsheet/ccc?key=0AjS-tjIZm_FidGI5N2dFOEJQcFlMR2hyVTQzRjVqTWc hl=ja#gid=0 分かりづらいですが右はじに "なまライブラリーへのUP" という項目があります これもなまアーカイブのアカウントで編集可能ですね 勿論、各自で編集してからアップするのもいいと思いますし 色々試していきましょう あと、なまアーカイブのアカウント教えてよって方はついったーとかで46252に声かけてください 町田に来てもいいのよ? 多分BGMとかの関係で 申し立てにより音声がミュート状態になっています ってなる場合もあると思うんですが、自分は音声聞けるんですが、みんなはどうでしょう? FireFoxのYouTube Auto Buffer Auto HD Remove Adsってアドオンのおかげかもしれないけど不明です http //www.ideaxidea.com/archives/2009/09/youtube_greasemonkey.html 情報募集中 なまほうそうの録画について なまほうそうの項目を参考にしてみて下さい なまライブラリーの管理について なまほうそうのgoogleアカウントになまほうそうドキュメントを移設しました 旧ラwikiのTOPも差し替えてあります このドキュメントの右端になまライブラリーのチェック項目を作ったので 誰かがあげたらこの項目にチェックをつけ、チェックの付いてない所は持っている人が各自UPしていく という形式でお願いします 個人的にはある程度編集しないで丸上げにして、コメント欄などに何があったら記述、面白い箇所などは有志が編集して別途上げるとかどうでしょう 意見募集中 過去の録画録音を持っている方へ うp!うp! 以前のアッププロセス例 録画したファイル(例えばmp4)をYouTubeの規約(15分以内)に合わせて切り出す 今のところ10分で刻んでUPしています cutmovieというソフトが今のところ一番便利かな?(unitemovieというソフトに同梱されています) まだ試行錯誤中なので便利なソフトやプロセス等あったら共有していきましょう タイトルは以下のように日付にしていますが、わかりやすければ何でもOK。 20110531_partx 放送タイトルや回数、内容等はタイトルにはつけずに説明欄に記載します。 見どころポイントは時間指定コマンドなどを使えるはず。詳細はググる。 http //www.youtube.com/view_all_playlists のように、動画内容毎にリスト化すれば見やすいかと思います。
https://w.atwiki.jp/japan_dorama/pages/2071.html
amazonで探す @楽天で #白旗の少女 を探す! テレ東21 00 2009.09.30 公式HP Hulu NETFLIX dTV PrimeVide U-NEXT TVer Paravi GYAO youtube検索 / Pandora検索 / dailymotion検索 / bilibili検索
https://w.atwiki.jp/haruka1211/pages/18.html
●むすひ 酒屋さんにあった取手のお酒のなまえだよ。 むすひ【産霊】―万物を産む神霊のちから、みたいなかんじ? むす=生す・産す。苔むすの、むす。 丸山正男による創生神話の3つのパターンのなかの ◎植物的生成 っていうのに、むすひが含まれるよ。 (あとの2つ→・動物的生殖 ・人間の制作活動) 古事記にでてきてた。 タカミムスヒノカミ・カミムスヒノカミ(生成力の神格化された形かな。) (あと、イザナミの尿からワクムスビちゃんという人が生まれていた。これはどういう人なのかしら??) ―――― ●ネネコ 利根川に住んでいる女の子の河童です。 つづく(訂正※やっぱりつづかない。また今度ね!10/11)
https://w.atwiki.jp/lufas/pages/728.html
亜美真美メール「マミ→」 取得条件:無し 真美だょ→☆ こんばんWA→兄chan! あのね→トモダチに面白いコトおしえてもらったから、 兄chanにもおしえてあゲル→♪ 真美のなまえって、のばしていうと、マミ→ってなるでショ? マミ→って、「ママ」ってイミだけじゃなくて、 「ミイラ」ってイミもあるんだって! んっとね、トモダチは 「つづりがちょっとチガうんだケド」 って言ってた。 ミイラ!! こわ~っ(|||>o<|||) 真美をいじめると、ミイラがしかえしに行くカモYO→! 気をつけてね兄chan@(○・エ・)@ノ~ 亜美真美メール一覧に戻る トップページに戻る