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つまらない諍いを避けるために。何か問題が起こるたびに随時追加していきます。() 参加者全員 ・イベントはこちらで用意させていただきます。 これは割と緩いです。学生としてだけでなく、普通にストライクウィッチーズの世界線にのっとった過ごし方をしてくださっても大丈夫です。イベントの要望等、いつでも受け付けております。 生徒側 ・飲酒は厳禁です。 カールスラントでは保護者がいれば飲める?ここは扶桑ですのでそんなことはやめてください。飲むならジュース。高校生はマッチですよ(古 ・喧嘩ダメ。ゼッタイ。 例え相手がどうであれ、「来るものは拒まない」というのがこの企画の基本思念の一つです。嫌いなら近寄らない、話しかけない、をあまり表立たせないようにDMか何かであらかじめやっといてください。 教員側 ・あくまで、主役はウィッチたちです。 こうすれば盛り上がるだろう、などと勝手に動かれては困ります。境界線をわきまえ、生徒に愛される先生になってください。 以上のことを守れない場合は、上からで申し訳ありませんが注意に行かせていただきますことをあらかじめご了承ください。
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公式通知038 競技規則の変更 2012.11.07 ニコニコ耐久選手権 LMP1・LMGTE Pro競技規則およびLMP2/LMGTE Pro競技規則を、下記の通り一部変更します。 【変更内容】 LMP1・LMGTE Pro競技規則 第23条「レース設定」 LMP2・LMGTE Am競技規則 第9条「レース設定」 アップデートによる変更に対応し、今までに記載されていなかった事項についても追記しました。 赤字にて表記されている事項が新しく追加・変更された内容です。 レギュレーション設定 クルマの絞り込み 絞り込みなし パフォーマンスポイント 各クラス指定のPP 馬力 制限なし 車重 下限なし 駆動方式 全てチェック タイヤ制限 制限なし 車両のチューニング 制限なし※ スキッドリカバリーフォース 禁止 アクティブステアリング 禁止 ASM 禁止 ドライビングライン 許可 TCS 許可 ABS 許可 ※改造範囲は、車両規則に準じます。 イベント設定 ゲームモード ノーマルレース 周回数 規定の周回数 スタートタイプ グリッドスタート グリッドソート タイムによるグリッド ブースト なし ペナルティー なし 自動レース開始サイクル 無効 勝者決定後のレース継続時間 120秒→60秒 車両の破損表現 ON メカニカルダメージ 強い 衝突判定を無効にする OFF スリップストリームの強さ 弱い タイヤ、燃料の消耗 ふつう 雨・コース外でのグリップ低下 リアル 天候 晴れ固定
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下記は、ラリー振興の目的で公開するものですが、誤字脱字等がある場合もありますので、必ず各自の責任でJAF発行の2010年国内競技規則をご確認ください。 第1章 一般規定 第1条 総則 本規定に定める車両は、道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号)に適合し、公道を走行するにたりる条件を満たしていなければならない。 車両の部品を変更または交換したり新たな部品を装着し使用する場合には、車両の使用者の責任において上記の保安基準に適合させるとともに、常にその適合状態を維持しなければならない。 完全なオープン車体構造の車両は、ハードトップを装着しなければならない。また、コンバーティブル車体構造の車両(開閉または脱着可能な屋根を備えた車両)についても、オープン車体構造の車両に準じた措置をとらなければならない。 なお、本規定は国内規定であり、国際格式ラリーの参加車両についてはFIA規則に従うこと。 第2条 車両の定義 2.1)ラリーRN車両(RN車両) FIAによりグループNとして公認された車両で、道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号)に適合し、本編に従った自動車登録番号標(車両番号標)を有する車両。 2.2)ラリーRJ車両(RJ車両) JAF登録車両で、道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号)に適合し、本編に従った自動車登録番号標(車両番号標)を有する車両。 2.3)ラリーRF車両(RF車両)道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号)に適合し、かつメーカーラインオフ時の諸元が変更されていないもの(当該自動車の自動車検査証の型式指定番号欄に型式指定番号が記載されているもの。ただし、ロールバーの装着やスプリングの変更に伴い改造自動車等の届出を行ったことにより諸元が変更となった車両および乗車定員変更のための構造等変更検査手続きを行った車両は除く。)で本編に従った自動車登録番号標(車両番号標)を有する車両。 2.4)ラリーF車両(F車両) 道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号)に適合し、本章第1条に従った自動車登録番号標(車両番号標)を有し、ラリー競技開催規定付則第1種アベレージラリー開催規定に則った競技およびクローズド競技のみに参加が許される車両。 2.5)RN/RJ車両について、FIAグループN車両とJAF登録車両の両方の資格を有する場合、当該車両はRN車両として取り扱う。ただし、その車両が2002年12月31日以前に運輸支局等に初度登録されている場合は、RN、RJのいずれかを参加者が選択できるものとする。 第3条 車両の公認、登録および型式に関する定義 3.1)公認 グループNの公認とは、あるモデルの生産台数が、2007年FIA国際モータースポーツ競技規則付則J項のグループNに分類される量産条件に達したことをFIAが公式に証明することをいう。公認申請は、JAFによってFIAに提出され、公認はFIAの規則に基づいて行われる。 公認は前年の1月1日時点で生産継続中であるモデル、また前年の1月1日以降に生産を開始したモデルにのみ与えられる。 公認はそのモデルの生産が中止された翌年から7年を以って無効となる。 3.2)公認書 FIAによって公認されたすべての車両の詳細は、公認書とよばれる書類に記載される。公認書には、そのモデルの識別を可能とするための諸元が記入される。公認記載項目、記入要領ならびに公認申請要領は「FIA車両公認規則」に示される。 競技車両の型式は打刻によって証明される。オーガナイザーは車両検査時に公認書の提示を要求することができる。 当該車両を車両公認書と照合した結果、何らかの疑義が生じた場合、車両検査員はそのモデルの整備解説書を参照するか、またはラインオフ状態の同一モデルと比較して検査を行うものとする。 参加者は自分の車両が生産された国のASNから、その車両の公認書、および必要な場合は公認付属書(正常進化・変形公認の認書等を含む)の交付を受け、常に携帯することが義務付けられている。 3.3)登録車両 JAF登録車両規定に基づいて登録された車両。JAF登録車両での参加者は、車両の主要諸元を証明するための当該自動車製造者発行のカタログ、パンフレット等(新型車解説書、整備解説書等を含む)を常に携帯することが義務付けられる。 3.4)同一車両型式 自動車検査証または当該自動車製造者発行のカタログの型式欄に記載されている「記号および数字(ただし、E、GF、GH等の排出ガス規制を表す記号を除いたハイフン以降の記号部分をいう。TA-AE123とあれば、AE123を指す。)」が同一の車両を同一車両型式として取扱う。 第4条 車体の定義 4.1)車体 車体とは以下のことを意味する。 4.1.1)外側 ボンネット、フェンダー、ルーフ等、外気にさらされる車体のすべての主要部分。 4.1.2)内側 車室内に位置する範囲のすべての部分。 第5条 気筒容積(総排気量)別クラス区分 車両はその気筒容積に従い、次の10クラスに分けられる。 1.気筒容積 660ccを含み 660ccまで 2.気筒容積 660ccを超え1,000cc 〃 1,000cc 〃 3.気筒容積 1,000cc 〃 1,150cc 〃 1,150cc 〃 4.気筒容積 1,150cc 〃 1,400cc 〃 1,400cc 〃 5.気筒容積 1,400cc 〃 1,500cc 〃 1,500cc 〃 6.気筒容積 1,500cc 〃 1,600cc 〃 1,600cc 〃7.気筒容積 1,600cc 〃 2,000cc 〃 2,000cc 〃 8.気筒容積 2,000cc 〃 2,500cc 〃 2,500cc 〃 9.気筒容積 2,500cc 〃 3,000cc 〃 3,000cc 〃 10.気筒容積 3,000ccを超える車両 競技会特別規則では、第10クラス(気筒容積3,000ccを超えるクラス)についてさらにクラス分けすることができる。ただし、その他のクラスを細分することはできない。 上記のクラスの分類は、過給されていないエンジンを備えた車両に対するものである。 JAFによって反対措置が課せられない限り、オーガナイザーはすべてのクラスを特別規則書に記載する必要はなく、またさらに、その競技の特殊事情によっては2つ、あるいは幾つかの相次いだクラスを合体させることは自由である。 また、過給装置付エンジンの車両は、その公称気筒容積に、ガソリンエンジンについては係数1.7、ディーゼルエンジンについては係数1.5を乗じ、それによって得られた値に相当するクラスの車両として扱われる。 第6条 燃料 6.1)燃料 燃料は、石油会社で生産され、通常のガソリンスタンドのポンプから販売されている(潤滑油以外のいかなる添加物も含まない)自動車用無鉛燃料でなくてはならない。 6.2)燃料への混入物 一切の燃料への添加剤の使用は認められない。 第7条 最低重量 各車両の最低重量は下記の通りとし、競技中いかなる時でもこの値以上の重量を有していなくてはならない。 7.1)RN車両については公認書に記載された車両重量に安全装備(ロールケージ等)の重量として35kgを加えた値とする。 7.2)RJ車両についてはカタログに記載された車両重量から当該車両の燃料タンク容量に比重0.74を乗じた値(小数点以下切り捨て)を減じ、これに安全装備(ロールケージ等)の重量として35kgを加えた値とする。 同一車両型式に複数の車両重量が設定されている場合は、その最小値を当該車両の車両重量として適用する。 7.3)RF車両についてはカタログに記載された車両重量から当該車両の燃料タンク容量に比重0.74を乗じた値(小数点以下切り捨て)を減じ、これに安全装備(ロールケージ等)の重量として35㎏を加えた値とする。ただし、本章第 5 条に従い換算した後の気筒容積が2,000㏄以下の車両については、上記35㎏を加えない値とする。 同一車両型式に複数の車両重量が設定されている場合は、その最小値を当該車両の車両重量として適用する。また、同一車両型式に過給器付と過給器なしの両仕様が存在する場合は、各々に設定されている車両重量の最小値を適用する。 7.4)重量計測の条件は下記の通りである。 ①搭乗者、搭載物、エ具およびジャッキの重量は含まない。 ②潤滑油、冷却水、ブレーキ油等の液体は標準容量を満たす。 ③燃料タンク、ウインドスクリーンウォシャータンク、ヘッドライトウォッシャータンク、水噴射タンクは空にする。 ④スペアホイール: ・RN車両については、最大1本までのスペアホイールを搭載する(スペアホイールを2本搭載している場合は、計測前に1本を取り外す)。 ・RJ車両およびRF車両については、スペアホイールの重量は含まない。 7.5)バラストの搭載は安全上の理由から原則として認められない。 ただし、やむを得ずバラストを積む場合は、第1編レース車両規定第3章3.3)に従うとともに、競技会技術委員長の確認を受けなければならない。 第2章 安全規定 第1条 配管類 1.1)配管類の保護 燃料およびオイルとブレーキ配管は、外部から損傷を受けぬよう(飛石、腐触、機械的損傷等)、すべてを考慮して保護策をとらねばならない。また、室内には絶対に火災および償夢を発生および損傷を発生させない配慮を必要とする。 当初の保護物をそのまま維持するのであれは追加の防護は不要であるが、防音材および防振材等を取り除くことにより配管や配線類が露出する場合には適切なる防護策を講じなければならない。 1.2)配管類の取付け 1.2.1)冷却水または潤滑油を収容する配管:車室外部になくてはならない。 1.2.2)燃料または油圧液を収容する配管:車室を通過して良いが、第1図および第2図に従った前後の隔壁部分とブレーキ回路およびクラッチ液回路を除き、車室内部にいかなるコネクターも有さないこと。 1.3)配管および取付け具の仕様 1.3.1)燃料、潤滑油または油圧液を収容する配管が柔なものである場台、これらの配管はネジ山のついたコネクター、はめ込み式のコネク夕ー、または自動的に密閉されるコネクターと、摩擦と炎に耐え得る(燃焼しないもの)外部保護鋼材を有していることを推奨する。 1.3.2)燃料を収容する配管は、135℃(250°F)の最低作動温度で計測した場合に、70bar(1000psi)の最低破裂圧力を有していることを推奨する。 1.3.3)潤滑油を収容する配管は、232℃(450°F)の最低作動温度で計測した場合に、70bar(1000psi)の最低破裂圧力を有していることを推奨する。 1.3.4)油圧液を収容する配管は、232℃(450°F)の最低作動温度で計測した場合に、280bar(400psi)の最低破裂圧力を有していることを推奨する。 油圧システムの作動圧カが140bar(2000psi)を超える場合は、作動圧力の少なくとも2倍の破裂圧力がなければならない。 第2条 安全ベルト メーカーラインオフ時に装備されている安全ベルト(3点式等)に加え、4点式以上の安全ベルト(FIA公認安全ベルトの使用を強く推奨する。)を装備すること。この場合、下記条件に従わなければならない。 ①追加装備する安全ベルトはワンタッチ式フルハーネスタイプとし、第4編付則「ラリー競技およびスピード行事競技における安全ベルトに関する指導要綱」または第4編付則「レース競技における安全ベルトに関付則」または国際モータースポーツ競技規則J項第253条安全装置第6項「安全ベルト」のいずれかに従うこと。FIA国際モータースポーツ競技規則付則J項第253条に定められた取り付け方法も可(第3図~第5図参照)。 ②追加装備する安全ベルトは、既設の安全ベルト(3点式等)の取り付け装置にフック等を用いて用意に着脱できる構造でなければならない。 ③追加装備する安全ベルトは競技走行中のみ装着することが許される。 したがって、それ以外の通常走行時は既設の安全ベルト(3点式等)を装着すること。 ④競技中に4点式以上の安全ベルトを装着する場合には、乗車定員は2名とすること。 ⑤4点式以上の安全ベルトを追加装備することにより後部乗員の乗降性が確保できなくなる場台には、各運輸支局等において乗車定員変更のための構造等変更検査の手続きを行うこと。 第3条 消火器 手動消火装器または自動消火装置を装備することが義務付けられる。 これらの消火装置はFIAの認定を受けたものであることが望ましい。 3.1)手動消火装置 手動消火装置とは消火装置単体をドライバー等が取り外して消火を行うための消火装置をいう。 3.1.1)取り付け 各々の消火容器の取り付けは、クラッシュ時の減速度がいかなる方向に加えられても耐えられるように取り付けなければならず、取り付け方向は車両の前後方向中心線に対し直角に近い状態であること。(リベット止めは禁止される) 金属性ストラップの付いたラビッドリリースメタル(ワンタッチ金具)の装着のみ認められる。 3.1.2)取り付け場所 消火器はドライバー等が容易に取り外せる位置に取り付けなければならない。 3.1.3)検査 下記情報を各消火器に明記しなければならない。 - 容器の容量 - 消火剤の種類 - 消火剤の重量もしくは容量 - 消火器の点検日 3.1.4)消火器の点検日は、消火剤の充填期日もしくは前回点検期日から2年以内とする。(消火剤の充填期日もしくは前回の点検期日から2年を過ぎて使用してはならない。)但し、2年毎の点検を継続したとしても消火器の製造者が定めた有効年数あるいは耐用年数を超えて使用することはできない。 -消火器の製造者が有効年数あるいは耐用年数を定めていない場合、その使用期限は製造期日(または初回充 填期日)から7年間を目処とする。 -消火剤の充填日もしくは前回検査日の表示が年(月)表示である場合、有効期間の起算日は当該年(月)の末日とする。 外部が損傷している容器は交換しなければならない。 3.1.5))仕様 1つあるいは2つの消火剤容器とする。粉末2.0kg以上、または、FIA国際モータースポーツ競技規則付則J項第253条に記された消火剤および内容量を装備すること。 3.2)自動消火装置 自動消火装置とは、車両に固定された消火装置が、車室内とエンジンルームに対し起動装置によって同時に作動するものをいう。 3.2.1)取り付け 各々の消火装置の容器は、いかなる方向にクラッシュ時の減速度が加わってもそれに耐えられるように取り付けられなければならない。 3.2.2)操作・起動 2つの系統は同時に起動しなければならない。いかなる起動装置も認められる。しかしながら、起動系統が機械式だけでない場合、主要エネルギー源からでないエネルギー源を備えなければならない。 運転席に正常に着座し、安全ベルトを着用したドライバーが起助装置を操作できなければならない。 車両の外部のいかなる者も同時に操作できること。外部からの起動装置はサーキットブレーカーに隣接して、あるいは、それと組み合わせて位置しなければならない。また、赤色で縁取られた直径が最小10cmの白色の円形内に赤色でEの文字を描いたマークによって表示されなければならない。 ヒートセンサーによる自動起動装置が推奨される。 装置はいかなる車両姿勢にあっても、たとえ車両が転倒した場合でも作動しなければならない。 3.2.3)検査 下記情報を各消火器に明記しなければならない。 - 容器の容量 - 消火剤の種類 - 消火剤の重量もしくは容量 - 消火器の点検日 3.2.4)消火装置の点検日は、消火剤の充填期日もしくは前回点検期日から2年以内とする。(消火剤の充填期日もしくは前回の点検期日から2年を過ぎて使用してはならない。)但し、2年毎の点検を継続したとしても消火装置の製造者 が定めた有効年数あるいは耐用年数を超えて使用することはできない。 -消火装置の製造者が有効年数あるいは耐用年数を定めていない場合、その使用期限は製造期日(または初回充填期日)から7年間を目処とする。 -消火剤の充填日もしくは前回検査日の表示が年(月)表示である場合、有効期間の起算日は当該年(月)の末日とする。 外部が損傷している容器は交換しなければならない。(凍傷の危険) 3.2.5)放射時間車室内:最短 30秒/最長 80秒 エンジン:最短 10秒/最長 40秒 両方の消火器が同時に作動しなければならない。 第4条 ロールケージ 4.1)RN車両は、FIA国際モータースポーツ競技規則付則J項第253条第8項に従ったロールケージを装着しなければならない。 RJ車両は、JAF国内競技車両規則第1編レース車両規定第4章公認車両および登録車両に関する安全規定に従ったロールケージを装着し、かつ助手席側のドアバーの装着が義務付けられる。また、同規定におけるルーフの補強に関する第4-17A図および第4-17B図の構成は認められない。 また、RN車両およびRJ車両におけるFIA公認のロールケージパッドの使用は任意とする。 FIA/JAF公認ロールケージの使用は許されるが、アルミニウム製ロールケージの使用は許されない。公認ロールケージに対する改造はいかなるものでも認められない。 ロールケージの材質はスチールとし、下記の規定に従うこと。 ①ロールケージを取り付けた状態における乗車装置は、座席面上で座席前端より200mmの点から背もたれに平行な天井(ロールバーが頭部付近にある場合はロールバー)までの距離が800mm以上であること。 ②乗員の頭部等を保護するため、頭部等に接触する恐れのあるロールゲージの部位は、緩衝材で覆われていること。 ③乗員が接触する恐れのあるロールバーは、半径3.2mm未満の角部を有さないものであること。 ④ロールケージを取り付けることにより、前方視界およびバックミラーによる視界を妨げるものでないこと。 ⑤ロールケージを取り付けることにより乗員の乗降を妨げるものでないこと。なお、ロールゲージ取り付けにより後部乗員のための室内高の確保および乗降口等の確保ができない場合には、各運輸支局等において乗車定員変更のための構造等変更検査の手続を行うこと。 ⑥ロールケージ取り付けのための最小限の改造(ダッシュボードの貫通、内張りの切削等)は許される。 4.2 )すべてのRF車両は、下記のロールケージを装着すること。 4.2.1)6点式+左右のドアバーを基本構造とした(第2-6図~第2-7図参照)ロールケージを装着しなければならない。 なお、第1章一般規定第5条に従い換算した後の気筒容積が2,000㏄を超える車両については、少なくとも1本の斜行ストラットを取り付けなければならない(第2-8図~第2-9図参照)。 4.2.2)ロールケージを構成するパイプの仕様 ①材質は冷間仕上継目無炭素鋼(引抜鋼管)とする。 ②円形の断面を有する継目のない1本のパイプを使用すること。 ③最小寸法は40mm(直径)×2mm(肉厚)とする。 ④最小寸法以下のパイプで構成されるロールケージをすでに装着している車両については、当該ロールケージを継続使用することができる。ただし、メインロールバーとハーフ・サイドロールバーのうち、少なくとも一方が最小寸法未満である場合は、第2-10図に示される通り、それらの連結部を補強しなければならない。上記に関わらず、35mm(直径)×2mm(肉厚)未満のパイプの継続使用は認められない。 4.2.3)遵守事項 ロールケージの装着に関して下記の規定に従うこと。 ①ロールケージを取り付けた状態における乗車装置は、座席面上で座席前端より200mmの点から背もたれに平行な天井(ロールバーが頭部付近にある場合はロールバー)までの距離が800mm以上であること。 ②乗員の頭部等を保護するため、頭部等に接触する恐れのあるロールケージの部位は、緩衝材で覆われていること。 ③乗員が接触する恐れのあるロールバーは、半径3.2mm未満の角部を有さないものであること。 ④ロールケージを取り付けることにより、前方視界およびバックミラーによる視界を妨げるものでないこと。 ⑤ロールケージを取り付けることにより乗員の乗降を妨げるものでないこと。なお、ロールケージの取り付けにより後部乗員のための室内高の確保および乗降口等の確保ができない場合には、各運輸支局等において乗車定員変更のための構造等変更検査の手続を行うこと。 ⑥ロールケージ取り付けのための最小限の改造(ダッシュボードの貫通、内張りの切削等)は許される。 4.2.4 )車体への取り付け ロールケージの最少取り付け点数 ・メインロールバーの支柱1本につき1ヶ所。 ・サイドロールバー(あるいは、フロントロールバー)の支柱1本につき1ヶ所。 ・リアストラットの支柱につき1ヶ所。 ① 支柱側の最少取り付け点における車体への取り付け板は、面積60cm2、板厚2.5mm以上を有すること。この取り付け板は支柱に溶接されていなくてはならない。 ②車体側の補強板は、面積120cm2、厚さ3.0mm以上を有し、第2-11図~第2-25図(全周を溶接すること)に示すように取り付けること。 但し第2-11図については、補強板を必ずしもボディシェルへ溶接しなくともよい。 ③各支柱と車体との結合は、下記のいずれかの方法によること。 i) 直径8mm以上(4T以上)のボルトを3本以上使用し、緩み止め効果のあるナット(ワッシャー/セルフロッキング等)で、支柱の周辺に分散して取り付ける。(第2-11図~第2-25図を参照) ii)溶接により取り付ける場合、車体あるいは骨組み(フレーム)に溶接して取り付ける。ロールバーの脚部取り付け板は、補強板無しで、直接ボディシェルに溶接してはならない。 i)およびii)の取り付け方法は最少限を示すものである。ボルトの数を増加することや取り付け点の数を増やすことは許される。また、ロールケージを取り付けるためにヒューズボックスを移動することは許される。 4.2.5 )取り外し可能な連結金具: ロールケージに取り外し可能な連結金具を使用する場合 JAFが認可した方式、あるいはそれに準拠したものを用いなければならない(2-26図~2-33図参照)。 ボルトの最小直径は十分なもので、材質は4T以上のものでなければならない。 第5条 サーキットブレーカー 下記規定に従ったサーキットプレーカーの装着を強く推奨する。 イグニッションスイッチおよび燃料ポンプスイッチは、その位置が確認できるよう黄色で明示しなければならない。イグニッションスイッチおよび燃料ポンプスイッチを変更する場合、ONの位置が上、OFFの位置が下になければならない。 また、運転席および車外から操作できるすべての回路を遮断する各々今独立した放電防止型のサーキットプレーカー(主電源回路開閉装置)を装備しなければならない。これらはすべての電気回路を遮断できるものであり、エンジンを停止することができるものであること。その場所は外部から容易に確認できる位置とし、赤色のスパークを底辺が最小12cmの青色の三角形で囲んだ記号で表示すること。引くことにより機能する車外操作部を持つサーキットブレー力一を運転席の反対側のフロントウインドシールド支持枠の下方付近に設置すること。ただし、車両の構造上フロントウインドシールド支持枠の下方付近に設置することが不可能な場合、運転席の反対側のセンターピラーあるいはクォーターピラーの外部から操作可能な位置に装着することが許される。 第6条 けん引用穴あきブラケット 車両の前後にけん引用穴あきブラケットを取り付けることを強く推奨する。このけん引用穴あきプラケットは、車両をけん引して移動するのに取り付け部分も含め十分な強度を有していなければならない。 車両が砂地に停車したときでも使用が可能な位置に取り付けられていなければならない。 けん引用穴あきブラケットは下記の要件を満たすこと。 ①材質は、スチール製でなければならない。 ②最小内径: 50mm ③内径の角部はRを付けて滑らかにすること。 ④板製の場合、最小断面積(取り付け部分も含む): 1c㎡ ⑤丸棒の場合、φ10以上。 ⑥黄色、オレンジ色、あるいは赤色に塗装されていること。 第7条 飛散防止フィルム 側面および後部のウィンドウに無色透明の飛散防フィルムを貼付することが強く推奨される。 第3章 RN/RJ車両用改造規定 第1条 許可される変更 本規定で許可されていないすべての改造は、明確に禁止される。 改造の範囲や許可される取り付けは下記に規定され、これを除いては、車両に対して行うことのできる作業は、通常の整備に必要な作業、または使用や事故により摩耗・損傷した部品の交換に必要な作業のみとする。当該部品の交換は、市販されている全く同一の部品(当該自勲車製造者が補修用として設定している部品を含む)とのみ行うことができる。 なお、当該車両について分解整備(原動機、動カ伝達装置、走行装操縦装置、制動装置、緩衝装置または連結装置を取り外して行う車両の整備または改造であって道路運送車両法施行規則(昭和26年運輸省令第74号)第3条で定めるものをいう。)をしたときは、遅滞なく点検整備記録簿に整備の概要等を記載しなければならない。ただし業者が当該分解整備を実施したときは、この限りではない。 第2条 部品等 2.1)RN車両については、道路運送車両の保安基準に適合し、本規定で許可されている改造であれば、FIAグループNに有効なオプション変型(VO)、プロダクション変型(VP)または供給変型(VF)として公認されている部品の使用が認められる。 加えて、下記の項目に限り、FIAグループAのオプション変型(VO)として公認されている部品の使用も認められる。 ①当初のものと同一直径・同一重量のエンジンフライホイール(当初のエンジンフライホイールが2分割構造の場合に限る) ②オートマチックトランスミッションのフライホイール ③オートマチックトランスミッション ④安全ロールケージ ⑤座席取り付け具および支持具 ⑥セーフティハーネス(安全べルト)の取り付け点 ⑦2/4ドア変型 2.2)RJ車両については、JAF登録車両と同一車両型式に設定されている純正部品およびメーカーオプションで、改造および加工の必要なく取り付けられるものであれば使用が認められる。ただし、本改造規定が優先される。 第3条 エンジン 3.1)エンジシルーム内の機械部品を覆うことを目的としたプラスチック製エンジンシールドで、美観を保つこと以外に機能を有さないものであれば、取り外しても良い。また、エンジンルーム内の防音材の取り外しは認められる。 3.2)アクセルケーブルの交換または二重化は認められる。また、フライバイワイヤー方式(電気信号により操作するもの)を機械式に変更することも許される。 3.3)ボルトおよびねじは同じ材質であれば変更することが許される。 3.4)点火装置 スパークプラグ、レブ・リミッター、ハイテンションコードの銘柄および型式はその機能が維持されていれば変更することが許される。 3.5)電子制御装置 変更は許されるが、変更されたユニットは当初のものと完全に互換性がなければならない。すなわち、いかなる場合であっても当該ユニットを量産ユニットと交換してエンジンが正常に稼動しなければならず、入力側のセンサーおよびアクチュエーターはその機能を含みメーカーラインオフ状態の仕様と同一であること。 3.6)データロギング(エンジン制御データおよび実走行データ記録装置) データロギングシステムの使用は認められるが、入力側のせンサーはその機能を含みメーカーラインオフ状態の仕様であること。ただし、水温、油温、油圧、エンジン回転についてはセンサーの追加も認められる。 ケーブルリンクおよびチップカード以外の方法による車両のデータ変更は認められない。 3.7)冷却装置 サーモスタット、および冷却ファンの作動開始時の温度は制御方式(ファンクラッチ)を含み自由。ラジエターキャップおよびホース類の変更は自由。 3.8)キャブレター 当初の装置が保持され、かつ燃焼室への燃料の流入量を調整する構成部分が空気量に影響を一切与えないということを条件に改造することが認められる。 3.9)インジェクション 当初の方式を変更することは許されない。エアフローメーターの下流に取り付けられている燃料を調整するインジェクションの構成部品は、いかなる条件においても吸気量に影響を与えないことを条件に改造することができるが、他のものとの交換は認められない。また、電子制御装置への入力側(センサー、アクチュエーター等)は機能を含み当初のままでなくてはならないが、電子制御装置の内部については自由である。 インジェクターは、作動原理および取り付け方法を保持していれば流量を変更するための変更は認められる。 3.10)エアクリーナーエレメントの変更は、当初の方式を保っていれば自由。 3.11)潤滑油系統 オイルパンへのバッフル(仕切り板)の追加が認められる。当初の方式を維持していればオイルフィルターカートリッジの変更も認められる。 オイルクーラーの変更および取付けも認められる。ただし、新たに取付ける場合は、配管については第2章第1条に従った配管とすること。 ターボチャージャー付きエンジンについては、ターボチャージャーの潤滑配管を、第2章第1条に従った配管に置き換えることができる。これらの配管にはスナップ・コネクターを取り付けることができる。 3.12)エンジンおよびトランスミッションマウントのブッシュは、取り付け点の数を維持し同一材質および形状であれば硬度の変更は認められる。 3.13)排気系(エキゾーストマニホールドは含まれない) 変更は許されるが、下記の規定を満たしていなければならない。 なお、オーガナイザーは当該競技会特別規則に規定することによって、音量を規制することができる(マフラーおよび排気管の変更について制限することも含む)。 ①排気管は左または右向きに開ロしてはならない。 ②触媒コンバーター、排気ガス再循環装置、O2センサー、二次空気導入装置等が当初の通り取り付けられていること。 ③遮熱板等の熱害対策装置は同一の構造を有し、かつ同じ位置に備えられ損傷・脱落がないこと。 ④いかなる場合も当該車両の排気ガス規制値に適合していること。 3.14)シリンダーヘッドガスケット 当初の厚さを維持していれば材質の変更は許される。 3.15)オートクルーズ 装置の接続は外すことが許される。 3.16)総排気量 自動車製造者が当該型式原動機の補修用として設定しているオーバーサィズピストンを含み変更は認められない。 3.17)過給器付きエンジンについては下記の規定が適用される。 ①過給器はメーカーラインオフ状態の仕様と同一でなければならない。 ②すべての過給器のコンプレッサーハウジングの吸気側にいかなる温度条件下においても最大内径32mm(外径:38mm未満)のリストリクターを装着しなければならない。ただし、並列する2基のコンプレッサーを有するエンジンの場合、各コンプレッサーの吸気内径は最大22.6mmに制限される。 ③リストリクターの取り付けは、プレードの最上部から50mm以内とし最低でも下流方向に3mmの幅が維持されていること。 ④リストリクターは単一の素材で作られていなければならず、シリンダーに供給される空気はすべてこのリストリクターを通過しなければならない。 ⑤ディーゼルエンジンのリストリクターは、最大内径35mm、外径41mmとする。 ⑥スーパーチャージャー付き車両についてはりストリクターの装着は不要とする。ただし、リストリクター装着車両との性能の均衡が保たれない場合には、本取り扱いを見直す可能性がある ⑦過給器のコンプレッサーハウジングの内径が市販状態で32mm以下である場合はリストリクターの装着は不要とする。ただし,リストリクター装着車両との性能の均衡が保たれない場合には、本取り扱いを見直す可能性がある。 ⑧リストリクターの取り付けについてはFIA国際モータースポーツ競技規則付則J項第254条第6項に準拠するものとし、その取り付けに必要なコンプレッサーハウジングへの最小限の加工は認められる。 第4条 駆動系統 4.1)駆動方式の変更は認められない。(4WD⇔2WD等) 4.2)フライホイール フライホイールは自由。ただし、数の変更ならびにカーボン製の使用は許されない。 4.3)クラッチクラッチディスクおよびクラッチカバーは重量を含み自由。ただし、数および直径の変更、ならびにカーボン製の使用は許されない。 4.4)ギアボックス ギアボックス内部の改造は自由。 4.5)ディフアレンシャル 量産ハウジングを改造(内部を除く)することなく装着できる機械式リリミッテドスリップディファレンシャル(機械式LSD)の装着は認められる。同様に、量産ハウジングを改造することなく装着できるものであれば、ビスカスクラッチ式LSDを機械式LSDに変更することも許される。また、油圧または電気式制御でなければ機械式LSDの方式を変更することも許される。オリジナル車両が油圧または電気式制御を装備している場合はそのまま使用してよい。この場合、電子制御装置の変更は許されるが、変更されたユニットは当初のものと完全に互換性がなければならない。すなわち、いかなる場合であっても当該ユニットを量産ユニットと交換したときにデフが正常に稼動しなければならず、入カ側の七ンサーおよびアクチュエーターはその機能および電気配線の数を含みメーカーラインオフ時の仕様と同一であること。また、LSDの装着に伴うファイナルギアの変更およびアウトプットシャフトの最小限の変更(スプライン数の変更等)は認められる。 第5条 サスペンション プラケットを含むサスペンション部品の補強は同一材質で且つ当初形状に沿っていることを条件に許される。 5.1)コイルスプリング 長さ、コイルの巻き数、線径、外径を含み自由。スプリングの数は、同一軸上に直列に取り付けることを条件として、自由である。また、車高調整式への変更も許される。ただし、当該自動車製造者発行のカタログ等の主要諸元の高さから±4cmの範囲を超えないこと。またその範囲内であっても最低地上高がアンダーガードを含み9cm以下とならないこと。(RN車両については公認書に記載されたホイールハブの中心とホイールアーチ開口部間の最小高さ寸法を遵守し、かつ最低地上高がアンダーガードを含み9cm以下とならないこと)。 5.2)リーフスプリング 長さ、幅、厚さ、キャンバーは自由。 5.3)ショックアブソーバー 数、形式、作動原理、取り付け位置を保持していれば変更は自由。サスペンションに組み合わされるショックアブソーバーのアッパーマウントをピロボール式に変更することは、取り付け部を含む車体側に一切の変更を施さないことを条件に認められる(キャンバー角度等の調整機能を有していても良い)。またりザーバータンクは独立式でもよい。車室内からショックアブソーバーの減衰力を調整する装置を取り付けることは認められない。 5.4)スプリングシート 形状および材質は自由。 5.5)サスペンションブッシュ 当初の方式および材質を維持していれば、その剛性の変更をすることができる。 5.6)スタビライザー ブッシュを含み変更することはできるが、取り外すことは出来ない。また、車室内からの調整式は認められない。 第6条 ホイールおよびタイヤ 6.1)ホイール 下記条件を満たしたホイールの使用が許される。 ①RN車両に装着するホイールは、公認書に記載された最大直径および最大幅を超えていないこと。 ②RJ車両に装着するホイールは、車両の総排気量に従って定められる下記の最大直径および最大幅を超えていないこと。ただし、同一車両型式のカタログに記載されているホイールの直径および幅が下記の数値を超えている場合は、カタログに記載されている数値を最大値とすることができる。 -総排気量が1400cc以下の車両: 最大直径 14インチ、最大幅 6インチ -総排気量が1400ccを超え2000cc以下の車両: 最大直径 16インチ、最大幅 7インチ -総排気量が2000ccを超える車両: 最大直径 17インチ、最大幅 7.5インチ ③部分的であっても複合素材から成るホイールの使用は禁止する。 ④ホイールの材質はスチール製またはJWLマークのある軽合金製(アルミ合金製、マグネシウム合金製など)とする。 ⑤ホイールナットの材質および形状の変更は許されるが、ホイールスペーサーの使用は認められない。 ホイールに間隔保持のための部材を溶接することはホイールスペーサーの使用とみなされる。 ⑥ホイールの寸法を小さくすることは許される。 ⑦いかなる場合にも、車両のトレッドを拡大することは認められない。ただし、ホイールの変更に伴う最小限のトレッドの変化は許される。 ⑧ホイールに追加される排風装置の装着は認められない。 6.2)タイヤ 前項規定に合致したホイールを適用リムとし、これに装着できるタイヤとして JATMA YEAR B00K に記載されているもの、またはこれと同等なものであり、かつ下記の条件をみたしていなければならない。 ①公道走行が認められている一般市販タイヤに限られ、競技専用タイヤの使用はいかなる場合でも認められない。 ②タイヤおよびホイールは、いかなる場合も他の部分と接触しないこと(ステアリングを左右に最大に操作した場合等に、タイヤおよびホイールが他の部分と接触しないこと)。 ③タイヤおよびホイールは、フェンダーからはみ出さないこと。 ④タイヤの溝は常に1.6mm以上あること。 ⑤いかなる場合であっても、タイヤに対する加工は許されない。 ⑥タイヤのウォームアップ、溶剤塗布などは認められない。 ⑦スパイクタイヤの使用は認められない。 ⑧タイヤ内部に空気以外のものを充填することは禁止される。 6.3)スペアホイール 車両には1本または複数のスペアホイールを搭載しなければならない(ただし、当初の車両に搭載されていない場合はこの限りではない)。スペアホイールは必ずしっかりと固定されていなければならない。 第7条 制動装置 7.1)主プレーキ 7.1.1)プレーキライニング(パッド)については、パッドとべースプレートの接触面積が増加していないことを条件に変更することが許される。またその取り付け方式(リべット・接着等)を変更することも許される。 7.1.2)プレーキホースの変更は自由。 7.1.3)バックプレート(保護用プレート)の取り外しまたは改造は自由。 7.1.4)リアブレーキへのプロポーショ二ングバルブの装着は、車両公認書のオプション変型(VO)として公認されたもの、および同一車両型式に設定されたものに限り認められる。 7.1.5)ブレーキキャリバー内のピストンの背後にノックバック防止を目的としたスプリングを追加することは許される。 7.1.6)ホイール内に付着した泥を排除することを目的としたスクレッパーの取り付けは許される。 7.1.7)ブレーキキャリパー、ブレーキディスクの変更は自由、サイズの変更も認められる。ただし、カーボン型ブレーキディスクの使用は禁止される。 7.2)ハンドブレーキレバーの改造は許されるが、当初の取り付け位置および機能を維持していなければならない。 第8条 操舵装置 8.1)パワーステアリングとラックを繋いでいる配管を、第2章第1条に従った配管に変更することができる。 8.2)ステアリングホイールは、外径350mm以上のもので、舵取装置の衝撃吸収装置に影響を与えないものであれば、ステアリングホイールハブを含み変更することができる。 第9条 車体 9.1)外観 9.1.1)ホイールキャップは取り外さなければならない。 9.1.2)ヘッドライト保護用のカバーの取り付けは許されるが、いかなる場合でも空力特性並びに冷却特性に影響を及ぼすものであってはならない。 9.1.3)車体下部を保護することを目的とした空力効果を生じない保護体アンダーガード等)の装着は認められる。 9.1.4)前後ワイパーブレードの変更は許される。 9.1.5)空カ装置については純正装着のものを取り外すことは許される。また交換、追加することも許されるが、その場合は公認書およびカタログに記載されているものを強く推奨される。また、第4編付則「アクセサリー等の自動車部品」の1に該当する部品については、取り付けが堅牢であることを含み、同付則「エア・スポイラの構造基準」に合致しているものであれば装着が認められる。 9.1.6)マッドフラップは、以下の条件で装着することができる。 ①柔軟な材質でかつ排気管等と干渉してはならず、車体外側表面部位は外側に向けて尖っていたり、鋭い部分がないこと。 ②それらは少なくともホイールの全幅を覆い、かつマッドフラップに覆われていない部分が車両の幅の1/3以上であること。 ③リアホイールより前方に装着されるマッドフラップ(センターフラップ)の左右の間には、少なくとも20cmの間隔がなくてはならない。 ④これらのマッドフラップの底部は、車両停止時に乗員なしで地表から10cm以上に位置してはならない。 ⑤垂直投影面にあって、これらのマッドフラップは車体から突出していてはならない。 9.2)内装 9.2.1)前座席は後方に移動してもよいが、当初の後部座席の前縁を通る垂直面を超えてはならない。 9.2.2)後部座席および後部 9.2.2)後部座席および後部座席安全ベルトは取り外しても良い。 9.2.3)ダッシュボードとコンソールは当初のものを保持していなければならない(ロールケージ取り付けのための最小限の切除は除く)。メーカーラインオフ時から構成品が分割されていて、切り離しなとの改造が不要でかつ小物入れやオーディオなどのアクセサリー品を保持するためのものは取り外してもよい。 9.2.4)ドア内張りはドアの形状に変化が生じないことを条件としてドアから防音材を取り外すことが認められる。 内張りパネルは最低0.5mm厚の金属が、あるいは最低1mm厚のカーボンファイバー、もしくは最低2mm厚のその砂の堅固な不燃性の素材で製作することができる。 サイドプロテクションバーの取り外しは許されない。 2ドア車の場合、後部側面ウィンドウより下に位置する内張りについても上記規則を適用する。 電動ウィンドウを手動ウィンドウに交換することが認められる。 手動ウィンドウを電動ウィンドウに交換することが認められる。 9.2.5)ルーフ、荷物室および乗員が着座しない空間の内張りとフロアーカーペットの取り外しは自由。 9.2.6)暖房装置は当初のものを保持していなければならない。ただし、エアコンの取り外しは配管およびコンプレッサー等を含み許される。 9.2.7)2ボックス車の着脱式リアシェルフの取り外しは許される。 9.3)追加アクセサリー 9.3.1)車両の美観または居住性向上などを目的としたアクセサリーは、車両の性能および特性に影響を与えない場合に限り取り付け、取り外しおよび変更が認められる。 9.3.2)操作性向上を目的としたペダルおよびシフトレバーの変更は、当初の原理および機構が保持されていれば認められる。フットレスト等の追加、変更は認められる。 9.3.3)各種メーター(モニター機能のみを目的とするものに限る)の追加、変更は認められる。 9.3.4)障害者用操作装置の装着は認められる。ただし、健常者は使用しないこと。 9.4)座席 変更する場合は下記の規定を満たすこと。 変更の有無に拘らず乗車定員分の座席を有すること。 ①座席の幅×奥行は400mm×400mm以上確保すること。 ②座席面上で座席前端より200mmの点から背もたれに平行な天井までの距離は800mm 以上確保すること。 ③座席および当該座席の取り付け装置は衝突時等に乗員から受ける衝撃力、慣性力等の荷重に耐えるものでなければならない。 ④座席の後面部分(へッドレストを含む)は、衝突等で当該座席の後席乗員の頭部等が当たった場合に衝撃を吸収することができる構造でなければならない。 ⑤追突等の衝撃を受けた場合に乗員の頭部が過度に後傾するのを抑止することができる装置(へッドレスト)を備えるかまたは座席自体が同等の効果を有する構造でなければならない。 ⑥2名乗車車両のシートの車体フレームへの直付け(スライド機構無)は許される。 なお、変更する座席および座席取り付け装置は、上記のほかにFIA国際モータースポーツ競技規則付則J項第253条第16項を満たしたものであることが強く推奨される。 9.5)補強 9.5.1)車体のサスペンション取り付け部を繋ぐ取り外し可能な(ボルトによる取り付け)補強バーの取り付けは許される。ただし、その取り付け点はサスペンションの取り付け点から100mm以内であること。また、メーカーラインオフ時に標準装着されているタワーバーについては、取り付け点を変更しなければ他のものに変更できる。 9.5.2)サブフレーム等の補強は、当初の形状に沿っていることを条件に許される。 9.5.3)スペアタイヤのサイズを変更したことによって、当初の格納カバーが装着できない場合はそれを取り除くことができる。 9.5.4)マフラーの補強は脱落防止を目的としたものであれば許される。 第10条 電気系統 10.1)電装 10.1.1)バッテリーは当初の搭載位置並びに電圧を保持していれば形状、容量、バッテリーケーブルは自由。バッテリーケーブルを室内配線に変更することは許される。 10.1.2)ダイナモをオルタネーターに変更すること(またその逆)は許されないが、発電容量の大きいものへの変更は認められる。 10.1.3)電気系統のヒューズの追加は認められる。 10.2)灯火 10.2.1)前照灯走行用前照灯(ハイビーム)は公道走行要件を満たすことを条件に追加、変更が認められる。 10.2.2)前部霧灯(フオグランプ) 追加、変更は認められるが、取り付けのためやむを得ずバンパー等を切除する場合は、必要最小限の範囲にとどめること。また前部霧灯の取り付け、取り外しに伴う全長の変化は、自動車検査証の長さ欄に記載されている数値から±3cm の範囲でなければならない。また、いかなる場台も下記の基準を満たしていなければならない。 ①同時に3個以上点灯する構造のものでないこと。 ②照射光線は他の交通を妨げないものであること。 ③照明部の上縁の高さが地上0.8m以下であって、すれ違い用前照灯の照明部の上縁を含む水平面以下、下縁の高さが地上0.25m以上となるように取り付けられていること。 ④照明部の最外縁は、自動車の最外側から400mm以内となるように取り付けられていること。 ⑤灯火の色は白色または淡黄色であり、そのすべてが同一であること。 ⑥前部霧灯は左右同数であり(前部霧灯を1個備える場合を除く)かつ前面が左右対称である自動車に備えるものにあっては、車両中心面に対して対称の位置に取り付けられたものであること ⑦取り付け部は、照射光線の方向が振動、衝撃等により容易にくるわない構造であること。 10.2.3)後退灯 後退灯は、ギアレバーの後退と必ず連動していること。 第11条 燃料回路 燃料タンクは燃料ポンプ、燃料配管を含みメーカーラインオフ状態を維持すること。 第12条 ジャッキ ジャッキアップポイントの補強、移動、追加は認められるがあくまでもその改造はジャッキアップを目的としたものに限定される。 第4章 RF車両用改造規定 第1条 改造の制限 本規定で制限されていない改造は許され、車両の部品を変更または交換したり、いかなる部品を装着し使用する場合にも、車両の使用者の責任において運輸省令 道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号)に適合させた状態とし、常に適合するよう維持しなければならない。 なお、当該車両について 分解整備(原動機、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、制動装置、緩衝装置または連結装置を取り外して行う車両の整備または改造であって道路運送車両法施 行規則(昭和26年運輸省令第74号)第3条で定めるものをいう。)をしたときは、遅滞なく点検整備記録簿に整備の概要等を記載しなければならない。ただ し、分解整備事業者が当該分解整備を実施したときは、この限りではない。 1.1)総排気量に関し、自動車製造者が当該型式原動機の補修用として設定しているオーバーサイズピストンを含み変更は認められない。 1.2)ドアの材質変更は認められない。 1.3)ドアの内張りについては、ドアの形状に変化が生じないことを条件としてドアから防音材を取り外すことが認められる。 内張りパネルは最低0.5mm厚の金属板、あるいは最低1mm厚のカーボンファイバー、もしくは最低2mm厚のその他の堅固な不燃性の素材で製作することができる。 サイドプロテクションバーの取り外しは許されない。 2ドア車の場合、後部側面ウィンドウより下に位置する内張りについても上記規則を適用する。 電動ウィンドウを手動ウィンドウに交換することが認められる。 手動ウィンドウを電動ウィンドウに交換することが認められる。 1.4)窓ガラスの変更は認められない。 第2条 競技会における制限 音量規制等で特に必要がある場合には、当該競技会特別規則に規定することによって、当該競技会参加車両の改造を制限することができる。
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スライムに金棒クラン規則の動画の説明 説明なので動画を視聴した方が早いと思いますが、なんらかの事情によって動画が視聴できない方はこちらをご覧ください。 挨拶は必須!! クランに入る時、または援軍をもらう時は必ず挨拶、お礼を言うこと。 攻撃は理由がない限りする!! 攻撃に参加できない場合は事前にリーダーなどに伝えること。 もし事前にわからなかった、もしくは言い忘れた等ありましたら事後報告でもいいので必ず報告してください! クラン対戦時、攻撃番号の宣言は忘れずにする! 攻撃するときには、クランメンバーがわかりやすいように、また攻撃の応援をしやすいように必ず相手の攻撃する番号を宣言してから攻めてください。また、攻撃する相手のタウンホールをタップして、その上にある一言メモ欄などを活用してもいいです。 援軍申請後、すぐに落ちるのは禁止!! 援軍申請をしたあと、3分程度は待ってから落ちるようにしましょう。援軍をくれた方へのお礼は必須ですのでもらった直後にすぐ言うようにしてください。もし何らかの用事ですぐに落ちなければならない時はできる限り援軍申請はせずに時間のあるときに申請してください。 編集中なのでまだこれから追加されます!!
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環境保護法案と自然環境、生活環境と科学技術の共存政策施行のお知らせ 藩国内の科学技術の発展による近代化に伴い 藩国内の森林を初めとした自然環境と、廃棄物問題等から生活環境を守るために 環境保護法案並びに自然環境、生活環境と科学技術の共存政策を制定させていただきました。 この施政によって科学技術の発展に遅れが出る等の問題が発生する事と思われます 常に政府を支えてくださる国民の方々に負担を強いる事となり真に申し訳ございませんが 自然環境と生活環境を守るための物ですのでご理解していただけるようにお願いいたします。 藩国政府一同より 親愛なる藩国民の皆様へ 環境保護法案 科学技術の発展の副作用で危機的状況にある自然環境と生活環境を保護するため 過度の森林伐採や廃棄物の不法投棄等を抑止するための法案です。 自然環境、生活環境と科学技術の共存政策 科学技術の発展と自然環境と生活環境の維持の両立を目指す政策です。 藩国の様子 提出責任者 ゴロネコ藩国摂政(法官3級) YOT
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毛糸を規則的に縫ってみた クリスマスが目前に迫ったこの12月。近いように聞こえるが、俺が経験している現実はまだクリスマスまではほど遠い。あと3週間ほどであろうか。まあそんな事はどうでもいいだろう。俺にはイブや聖夜を共に過ごすような甘い関係にある間柄の奴はいない。音咲は誘えば好色を示してくれるだろうが、俺にそういう趣味の類はない。俺はノーマルだ。俺は一生涯をノーマルで過ごす。これは既定事項なのだ。どうせイブはいつものやつらでパーティーでもやるんだろうがな。音咲主催で。まあ俺はそのパーティーが来るまでこの平和的な日々を楽しむとするさ。不思議な力を持っていてそれを使って怪物退治をする連中のどこが平和かは俺も異論が夥しいが、とりあえずその当事者の俺が言ってるんだから間違いではない。これを平穏とは言わないって言うやつは、多分シルバニアの世界を極めてきた奴以外にはいないだろう。が、平穏というものは壊される為にあるようで、俺はそれを骨身に染み込ませているにもかかわらずそれを忘れていた。まったく、平穏ほど恐ろしい麻酔はないだろう。 朝、いつものように6時00分に起きる。理由は簡単、弁当を作るからだ。親からの仕送りがないわけではない。だがな?俺の家は中の中くらいの中流家庭だ。仕送るにも限度ってもんがある。だから毎日弁当を買っているとすぐに経済難となって我が家の大蔵省に借りこむか、バイトへ一直線となるのだ。俺もバイトくらいはしてもいいのだが、無論行けないのだ。働き口で困ってるわけではない。それなら音咲に頼めば一発でOKだ。ちゃんと働きたいといっているわけだから異論はないだろう。それよりも、それよりも大事なのは― って時間の無駄だな。決して逃げてるわけじゃないからな?ニート予備軍じゃないからな? 不毛極まりないことを考えつつも、俺の手は律儀に動き続けていたようで弁当箱が二つとも盛り付けられていた。うむ、完璧…っておい!盛り付けたらダメだろうが!理由は母親にでも聞いてくれ。 盛り付けた具材をすべて違うよう気に移し変え、ムラを取る。こうしないと…母親に聞いてくれ。 俺が弁当を作ったのにかかった時間はいつもどおりで30分。このまま七恵を寝かしていると遅刻するだろう。現時刻は6時40分だが、登校時間を考えると7時30分には家を出なければいけないだろう。 「おい起きろ七恵。朝だぞ」 ありきたりなセリフを言う俺。これくらいなら変革があってもいいと思うが浮かばないのだからしょうがない。 もちろん七恵は無反応。俺もこれで起きたら毎朝苦労しないだろう。確か七恵は10月頃からこうなったと思う。普通人の見解では…多分寒いだけだろう。 だが俺もアホではない。こんな状態の七恵がどれだけ手強いか知っている。恐らく、音咲ホモ疑惑が確信に変わっても起きないだろう。じゃあどうする?必殺技を使うしかあるまい。楓さん直伝の。 「1月の空―」 がばっ 「…おはよ…う睦…月」 言い切る前に起きやがった。なんであの言葉を耳元で言うだけで起きるかは知らないが、便利なことだ。 俺は思い出したように時計を見る。もう7時か。時間が経つのは早い…のか? とりあえず俺は七恵を正気に戻し、朝飯の準備に取り掛かる。もちろん、キッチンなるところからは七恵は見えない。というより俺が見えないようにした。そんな俺の配慮をあまり感謝することなく七恵は着替えている…と思う。なにかと理不尽だなこの世界は。 今日の俺が作った朝飯はフレンチトースト。賞味期限がそろそろやばそうな卵をふんだんに使った環境的配慮が著しい一品だ。食べ物を粗末にしちゃいけないぞ?食べ物から物体Xにするのもな? 賞味期限ギリギリといっても、一応は俺が作ってるわけだから食べれるものになっているはずだろう。というより俺はそこらの主婦よりかは料理が上手いつもりだ。自惚れじゃないことは音咲が証明してくれるだろう。 そんな家での事を済ませて学校に向かう。七恵が俺の家に無断で泊まることにはもう慣れた。鍵閉めて寝たにもかかわらずあいつは家の中に入ってきてたりするからな。いや、慣れたんじゃなくて諦めたのか。 不毛な考え事をしているとホームに電車が来る。学校に行くのに電車を使う必要はあまりないが、親からの数少ない支給品の中に定期が入ってるからな。親父のおかげだ。もっと言うと、学校は1駅行ったところにあるため歩いてもいける。自転車通学も許可されている。定期を崩して家系の足しにするのもいいんだが、それだと親父が哀れだ。まあ、楽できるからいいんだがな。 「今日の授業なんだっけ?」 既に電車内に入ったせいだろう。七恵が小声で聞く。 「数学、世界史、現国、古文、選択実習だな」 俺がうろ覚えの時間割を言う。合っているはずだが…如何せん俺は寝ているからな。需要がないのさ。 「数学の宿題…あったよね?」 もちろん。数学の…今は葛西は毎日宿題を出すからな。強面の黒スーツで園崎組幹部…って噂があるが、嘘だろう。 「睦月はやった?」 もちろんだ。見せてはやらんが、教えてやるならいいぞ? 「それでもいいから助けてね」 授業過程はこの際だから省略する。もし知りたいんなら、雑談の所にでも希望の意を示してくれ。書くから。 そんな色々な過程を経て今日の放課後の部室。今日は珍しくも5限だった為、既に部室は4人の定員を抱えている。俺はいつものように音咲と将棋。楓さんは…何をやっているのだろうか?七恵は…数学の葛西の宿題を攻略しようと頑張っている。…あ、諦めた。 今日もこんな感じで終わると思っていた俺達に、変革を齎すものがやってきた。 コンコンコン 「は?誰だ?」 俺は部室を見回す。誰も心当たりはないようだ。仕方ないので俺がドアを開けようと近づく。 バンッ ガンッ グシャァアッ …物凄い音と共に睦月君が倒れました。倒れた頭のところに椅子が直撃してかなり痛そうです。…落ちてますね。私はとりあえずドアを見る。一応血糊はついてないようです。とりあえずは死ぬような事はないでしょう。次に睦月君を落とした張本人を見ます。…濃緑のショートヘアーに黄色味がかかった綺麗な目。他の誰にも真似できないような、それでいて美人な顔。躍動的なそのボディライン。出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいるモデル体型。外見だけなら誰もが交際を申し込みたいであろう人。 「ようやくこの時が来たわ!」 その人は困惑している私達に目もくれず言い放ちます。 「編み物部部長園絵彩!今このときより部活を始めます!」 ○塾塾長みたいな言い方ですね。それはいいでしょう。私も編み物部員なので異論はありません。部活動説明会の時に12月から部活を開始するとは言ってましたし。12月に入っても始まらないようなのでないのかと思っていたのですけど…一応あったみたいです。言っておきますが、七恵も部員ですからね? 「あれ?楓と七恵は二人も捕まえたの?この二人もやってもらおう!うんそれでいこう!」 困惑している秀に目配せをする。 『無駄です。諦めましょう』 『それがよさそうですね』 「いつまで寝てるの?さっさとおきなさい!」 部長が睦月君に喝を入れている。多分起きるだろう…起きた。 …どうやら俺は生死を彷徨っていたようだ。まさかドアを開けようとしただけでそんな事になるとはな。日常には危険がいっぱいのようだ。気をつけよう。音咲から聞いた話だと、ここにいた奴ら全員で何かを作る事になったらしい。先ほど俺を生死の境で彷徨わせた人は… と色々な説明を音咲から聞き終えた時には外は暗くなっていた。もう本格的に冬だからだろうな。俺は適当に話を切り上げて家路に着いた。二人…いや、三人は既に帰っており、俺と音咲は二人で下校する事になった。因みに、6時40分頃である。ああ、これで雪でも降って楓さんと二人だったら…。 音咲と他愛のない話をして家につく。音咲の家は俺の家の先だからな。 「ではまた明日」 「おう、また明日会えたらいいな」 「敬礼でもしてあげましょうか?」 「いや、明日ちゃんと生きていたいから死亡フラグは上げたくない」 本当に他愛の無い会話を終えて家のドアのノブに手をかける。ほのかに香ばしい香りが漂ってきた…。鍵を渡していないが、多分家の中には七恵がいて夕飯を作っているに違いない。ああ、久しぶりだな。色々と。 俺はノブを引く。案の定ドアは開いた。やはりいるな? 「ただいま」 形式上言わなければいけない言葉を口にする。別に言わなくても誰が怒るというわけでもないんだが、気分だ。 家の中に入ると香ばしい匂いは強まった。ますます楽しみだ。 「七恵?なに作ってるんだ?」 キッチンを覗き込みながら聞く。俺もまだまだ甘かった。 「七恵じゃないけど…、誰?」 …濃緑の髪と黄色味がかった目の結構な美人が俺の家のキッチンで…炒飯を作っている。どういうことだ。いったい誰だ!? 「お前こそ誰だ?ここは俺の家だぞ?」 至極もっともな事を言う。見たところ泥棒ではなさそうだが…なんなんだ? 「ここは七恵の家でしょ?あんたこそ誰?」 それは勘違いだ。ここは紛れもなく俺の家だ。断じて言うが、七恵の家ではない。住所録を見せてやろうか? 今にも争いが始まりそうな雰囲気の中、俺の後ろでドアが開いた。 「あ、お帰り睦月。遅かったね」 …七恵。今すぐこいつの事を説明しろ。そして俺に素直に怒られろ。 「…で、この人は俺達の高校の先輩で編み物部部長なんだな?」 「そうだよ?」 「で、その編み物部部長がなんで俺の家で料理をしてるんだ?」 「彩ちゃん今日は親がいないから可哀相だから泊めてあげよ?」 …よし。お前の頭には重度の障害が認められた。今から病院に連れて行く。これは要望じゃない。命令だ。絶対だ。 「なんでダメなの?睦月がなんかするわけじゃないでしょ?」 確かに俺には甲斐性がないけどな!普通に考えてみろ!どこに寝るつもりだ! 「普通にベッドでだよ?二人くらいなら入れるよ?」 ふざけるな。そんなことしたらどっちかが絶対に風邪引くに決まってんだろ。 「じゃあ睦月の布団を借りていい?」 お前は俺を殺す気か?このクソ寒いのに布団無しで寝ろと?そろそろ怒るぜ? 「じゃあ三人で寝る?」 マジで怒るぞ? 「嫌なの?」 「全然嫌じゃない!むしろ夢のようだ!だがな、お前には『彩ちゃんの家で二人でいる』って選択肢はないのかよ!?」 本当にもっともな事を言う。一応公的には二人は美少女の部類に区別されるだろう。もちろんそう感じるのは俺も同じだ。その二人と一緒に寝る事が嫌か?全然OKさ。だがな?どう考えてもそれは俺の中の理性がダメだって言うに決まってる! 「あ、そうだね。じゃあ行ってくるね」 そう言って七恵は編み物部部長を連れて外に出る。一応8時なので俺もついて行く。SNNが使える俺達にもしもは有り得ないが、もしもというのは可能性論だ。俺も可能性つぶしには付き合ってやるさ。 そう言ってついていくこと2分。園絵さん宅に到着。アレ?近すぎないか? 因みに、園絵さんが連れて行ったんだ。七恵とは初対面とあまり変わらないそうだ。 園絵さん宅は、どこからどう見ても普通の一軒家。変な属性とかそういう類のものは何も感じられない。 が、なんだろう。違和感を感じた。普通の家にはなきゃいけないもの…それが欠けているような感じだ。 結局違和感の正体が不明のまま、二人を無事に送った俺は家に帰る。 ドアノブに手をかけたときに、香ばしすぎる匂いが鼻につく。…焦げ臭い。 俺は中に入ってキッチンを見る。ああ、やっぱりか。 園絵さんは炒飯を作る途中のままここを離れたのか。物凄く弱火だったから俺が送るまでは気づかなかったんだな…。脳内園絵さん評価を改正。『傍迷惑な部長』…はあ……。 「で、俺と音咲にも編み物をしろと?」 昨日という日が過ぎ去った今日の放課後の部室。それまでにも色々あったが全て省略する。 「そうよ!あんた達二人はうちんとこのヒモでしょ?」 ヒモって…。わからないやつはわからないままがいい。それだけはいえる。 「ヒモですか。一応否定しておきますが…無駄ですね?」 諦めモードの音咲。昨日という経験が役に立ったのだろう。俺にもその経験を分けてもらいたいものだ。レベルアップできるかもしれないしな。 「ヒモじゃなくてもやってもらうよ?今回編んでもらうのはマフラー!文句とか異議は作り終わった後気が向いたら聞いてあげる!」 …こうして俺達はマフラーを作る事になった。どうせ暇だから別によかったんだが…ああ、敗北感。 色はくじ引きで決める事になり、俺は黄色を引いた。七恵は濃い青、楓さんは紺、音咲は赤、園絵さんは白だった。 早速マフラーを編もう…なんてことは俺と音咲には不可能だ。俺に料理が出来るという意外な特技があり、音咲に無限の後付設定ができるとしてもそれは無理だ。少年『K』は言った。『マフラーなどの編み物はクリスマスの日に顔を赤らめながら渡されるのが最高に萌えるんだ』とな。野郎が顔を赤らめながらマフラーを渡すシーンを見て誰が萌える?断じて正常な男は萌えないだろう。 そういう理由で俺達にはマフラーを編む練習すらできないのさ。 「じゃあ教えてあげよっか?」 …七恵?俺が教えて欲しいのは毛玉の作り方じゃないぞ? 「私だって裁縫とか編み物くらいできるんだよ?今言った事ってすごく失礼だね?」 あー…すまん。悪かった。教えてください七恵様。 「七恵姫じゃないの?」 こいつは自分のことを姫なんていって恥ずかしくないのか?男が王子様とか言ってるのと変わらないぞ? 「教えてください七恵姫」 まあ、素直な俺は言ってしまうんだ。ああ、素直なやつは損をするんだな。 「おっけぇ!手取り足…足はいいや、教えてあげるねっ!」 なるべく怪我のない指導にしてくれよ?教育と偽ってのチョークはごめんだからな? 「じゃあ私怨としてのチョークにするねっ!」 …言い過ぎた。もうダメかもな…。 「まるで鴛鴦みたいですね」 楓さんの微笑んでる顔が霞んで見える。…トミー?そこにいるのはトミーかい?首は大丈夫か? とりあえず、そんな事があって俺は今人生初の編み物をしている。処女だな。…が、俺の処女は恐ろしく普通じゃないと思う。 どこの世界で美少女二人に囲まれて編み物をする奴がいる?どこの世界でこんな事になる奴がいる? 俺だけだろう。平行世界やループ論、世界に関する論は四十万だが、恐らくどの世界でもこんな経験をしているのは今この世界の俺だけだろう。ああ、幸せだ。などといえるのかは各自で考えて欲しい。先ほどの論を覆すようで悪いが、俺は幸福さと…言い表せない不幸さを感じている。因みに言うと、俺の指導には七恵と園絵さん。音咲には楓さんがいつの間にか指導者となっていた。できれば俺にしてほしかったんだが…ああ、不条理なり。 まあ充分過ぎるほどいい身分だと思うけどな。いや、そう思わないとやってられない。そうだ。俺は幸福なんだ。美少女二人に編み物の指導をされていて時々チョークとかヘッドロックとかかけられるけど幸せなんだ………! そんな茶番を少しだけ書いてみる。 放課後― 俺はいつものように部室に行く。習性といっても差し支えないレベルになっただろう。…帰巣本能というか、その類のエネルギーが働いているのは確かだ。 俺の脚は自然に動く。これだけなら病院送り確実なのだが、俺の中ではこれが日常これが平穏なのだ。今更治そうとは思わない。だが、少し気味が悪いのは、7月の偽者事件(俺命名)の後からこうなった事だ。こじ付けかもしれないが、注意を払っておいて損は…神経をすり減らす事になるが…楓さんに癒してもらおう。それがいい。それと、偽者事件の後から俺の目が時々赤くなるといわれた。…偽者の野郎は俺に結膜炎の持病を残して逝ったらしい。 ああ、傍迷惑なやつだった。 とかこんなことを時折考えつつも俺は手を休めない。休めないだけで止まっている。まあ、編み物を始めて1日目だ。一度も止まらずに完成を見るなんて夢どころか妄想の世界でしか見れないだろう。そして手の止まった俺にここぞとばかりに詰め寄る七恵…園絵さんまで?傍目から見れば非常に羨ましいであろうこの状態。後ろから七恵が俺の手首を血を止めんとばかりに握っており、園絵さんは俺の手を前から掴んで動かそうとしている。えー…っと、七恵。もう手の感覚がないんだが。園絵さん?そのままだと指折れますよね? 「うぎゃああぁあぁあああぁ!!!!!」 情けない悲鳴が部室に響く。 指が折れたとかそういうものではない。俺は二人に先ほどの事をパイプ椅子の上でやられていたのだ。もちろん座っていたが、それでも不安定すぎたのだろう。見事にぶっ倒れた。前か後ろか?残念横だ。悲鳴の意味?俺が倒れる時に嫌なものが見えたからな。恐らく頭に直撃するだろう。 なにかって?それを言うには勇気がいるぜ? ―スーパー分厚いハードカバーの本Ver.長門は戦艦でも強かった版― なあ、なんでこんな本が部室にあるんだ―? 言い切る前に直撃したわけだ。残念ながら二人は上手く体制を保って俺だけ地面と抱擁中だ。ああ、不条理なり。 「大丈夫?思いっきり頭に直撃してたけど」 これが大丈夫そうに見えるならお前の目はバルスにでもやられているだろう。 「大丈夫でしょ!男なんだからさっさと立ち上がる!」 男だからという理由にはなりえないと思いますよ? 「あっ。また敬語使ってる!私と話すときは敬語はやめなさいッ!!」 使いたくて使ってたわけじゃないし敬語でもなく丁寧語がいいとこだ。 「いいからさっさとやるッ!!」 …まったく。いつまでも俺が素直に言う事を聞くと思ってたら大間違いだという事を思い知らせてやるか。 「園絵部長。俺と勝負しませんか?」 我ながら唐突だと思う。だが園絵さんなら引っかかってくれるだろう。 「なんで私が勝負なんかしなきゃいけないのよ!!?」 もっともな事だ。だが、我に秘策あり! 「負けるのが怖いんですか?確かに敗者には×ゲームをさせるつもりでしたがね」 園絵さんの負けず嫌いに油を注ぐ。負けず嫌いかは確信はないが、外見的にはそう見えるだろう。 「クッ…種目は何!?」 種目なんて決まってるだろう。 「園絵部長。昨日炒飯作ってましたよね?それで思いついたんですが、料理対決をしませんか?」 俺が昨日の焦げ炒飯を処理する時に判明したのだが、園絵さんは炒飯を作るのが非常に上手い。恐らく他の料理も同じくらいのレベルだろう。人は自分に自信のあることを断る事は少ないからな。 「料理対決ね!?ふっふ~ん。これは私の勝ちになるみたいね!」 ほら。引っかかった。 「では今週の土曜日。音咲の家でいいな?」 音咲は軽く微笑む。頼むから頷くで勘弁してくれ。そんな毎回毎回微笑まれたら俺の背筋は氷河期を迎えてしまう。 「園絵さんは…七恵か楓さんに案内してもらってください。お題は何がいいですか?」 俺ならどんな料理でもできる。いや、できなくとも3日でマスターしてやる! 「あの、時期が時期なので、シチューなどはどうでしょうか?」 楓さんが言う。この瞬間園絵さんは勝ち誇ったような笑みになった。後で吠え面をかく姿を想像すると…ダメだ!笑っちゃダメだ! 「それで決まりね!」 これで俺への待遇も改善されるかな。 「でもマフラーはちゃんと編んでもらうからね?」 きちんと覚えてたよこの部長は。流石は部長なのか? …今の今まで気づかなかったが、メイド服を着た…誰だ? 俺が不審に思っていると音咲がそれを察したようで、俺に顔を近づけて、 「僕の家のメイドさんです。名前は麻灘さんという人で、優しい人ですよ」 ……戦闘歴は? 「…年齢-7でしょうか」 メイドだって? 「冥奴ですよ」 …とまあこんな事だったんだ。その後の料理対決はもちろん俺が勝ったし(園絵さんのシチューはビーフシチューで俺はホワイトシチューだったのだが、判定である麻灘さんの「この季節にホワイトシチューがあっているのと、旬の食材が味を活かしたまま料理されている堀崎君の勝です」とのことだ)編み物をしている時の指導の方法も少しやんわりとしたものに昇華した。普通に編み物をする分には構わないんだぜ?それに付きまとう副産物である痛みが嫌いなだけだ。そういえば、負けた時の園絵さんは面白かったな…。いや、これはまた今度だ。これ以上書くと際限がなくなること火の如しだ。 そんな過程があって、クリスマスイブイブイブ。つまり22日だ。 「よしっ。終わり!」 俺の作っていたマフラーがやっと完成を見る。二人の熱心な教師に指導と称する肉体的苦痛を味わったが、その分できはいい。俺としても作るときのモットーは『作るときは時間がかかってもいいものを』だからな。誰かの飯を作るときはあまりこだわらないが、時間や相手が許すときはこだわるからな。まあ、七恵は空腹に耐えられず俺を捕食しようとしてくるからさっさと作るのだが。そのほとんど無意味なモットーのおかげか、一番遅く出来上がった俺のマフラー。だが、そのマフラーは上出来だと思う。 「じゃあ今日の部活は解散!明日は休みだけど、とりあえず朝10時にはここにきてね!」 …そう言って園絵さんは部室を飛び出していった。今は雪が降っていて、走っていてはとても危ないのだが…あの人は大丈夫そうだ。七恵なら%で表すでもなくこけるけどな。 「睦月!?私ドジじゃないよ?」 この前―お前、布団干そうとしたら落ちそうになったよな?それから飯運ぼうとしたらぶち撒けたし。 「もういいって!わかったから!」 難なく七恵の撃退に成功した俺。次なるターゲットは…いいか。 「まるで台風のような人でしたね」 音咲が言う。まったくそのとおりだと思う。いきなり来て部外者である俺と音咲まで巻き込んで編み物をさせるとは。 「いいじゃないですか。こんな事がなければ、お二人とも編み物なんて一生しなかったと思いますよ?」 多分そうだろうな。楓さんと七恵は…七恵は微妙な所だが、この二人なら編み物をしててもおかしくはないな。だが…俺達の方は…ないだろう。ほぼ確実にないだろう。そもそも俺が料理ができる事も珍しい特技であるというのに。この世界がループしているのなら2%以下の可能性だろうな。 「ですが、いい先輩でしょう?あの先輩が来るだけで明るくなるんですからね」 別に今までが暗かったわけじゃない。でも、確実にいえるのは前より上の段階になったという事だ。別に計画とかそういうものはないんだが、そういう表現が一番あっている気がするだけだ。気にしないでくれ。 ふと、園絵さんの家族のことを考えてみる。 ……あれ?もしかして園絵さんは両親がいないんじゃないのか? 「あれ?どうしてわかったの?」 やっぱり当たってたか。あの時感じてた違和感はこれだったか。園絵さんの家には、明るさが足りなかったんだな。 「すごいね。そんなすごい観察眼があれば、きっと探偵になれるよ?」 すごくどうでもいいな。名探偵コナソに触発された精神的に可愛い幼子だったら喜ぶのかもしれないが、俺は探偵業には憧れない。理由は簡単。不安定だからな。 「でも、今は彩ちゃんがいないから言うけどね?両親がいなくて本当は寂しいんだよ?」 わかったから。みだりに話すなってことだろ? 「わかったならよし!さ、帰ろ?」 ああ。鍵は俺が持って―いやいやいや!うろたえない!ドイツ軍人はうろたえない! まあ、その日も七恵は俺の家に泊まったわけだが。 釈然としない気持が心の中で渦を巻いたが無視だ。そんなものにいちいち構ってたら心労で廃人になっちまう。 翌日 「睦月!?早く行こう!!?」 「わかったから!手を引っ張るな手を!まだ靴が―!」 あー…話せば長く…ならないな。かなり短い。漢字二字で表せる。 『寝坊』 だ。どうだ?完璧だろ? 「睦月も走ってよ!」 ああ…俺、厄年なのかな。高校生の三年間。ああ、まだ未来なのにその先もこんな日常が続いてる気がしてならない…。ああ、杞憂であれ…。 言われるがままに俺も走り出す。 …全力疾走を続けること2分。そりゃもう国営の展示場に飾れそうなほど見事に俺はへたばっていた。いや、誰だって全力疾走なんか2分も続けたら一歩も歩けなくなるだろ?いや、2分続けられただけすごいと思う。七恵の本気は俺の最速を軽く越えてたからな。それに合わせることを全力疾走って言ったんだ。ああ、俺すごい。 「頼む。休ませろ。死ねる」 現残存体力を生かさず殺さずの勢いで振り絞って出した声。受理されなかったら俺は七恵をどうにかしてしまうかもしれない。例えば―…ごめん。無理。返り討ちに遭う。 「もう…5分だけだからね?」 それで頬を膨らませていってくれたらかなり萌…ゲフンゲフン!いや、なんでもない! 俺は考える事をやめ、自身を休める事にした。 「とってね~!」 七恵の声がする。言葉どおりなら、俺に何かが飛んでくる事だろう。だが、今のところ視界にはなんの異物もない。じゃあ俺の死角から飛んでくるのだろう。さあ、どうする?どうやって避ける? そうだ!伏せよ― グシャッ あ…俺…死ねる。今多分死ねる…。 「だから取ってっていったのに~」 ほう。投げて2秒も経たないうちに直撃する速度で物を投げて取れなかったほうが悪いと? 俺は七恵のいるであろう方角を見る。そこには100mほど離れた自動販売機の前にいる七恵がいた。よし、 秒速は…100mでいいか。 100二乗×…いや、不毛だ。 それにしても…なんでホットの炭酸飲料があるのかな?絶対不味いよな?しかも投げたから振ったと同じじゃねえか。ああ、飲む気失せた。 「あれ?飲まないの?『泡泡珈琲エスプレッソスペシャル』。これおいしいかもよ?」 おい。疑問系なのはなぜだ?飲んだことないな?俺を玩具にしたいんだな? 「絶対飲まない。いや、絶対あけない」 俺がそういうと七恵はそれを取って、 「じゃあ私が開けたら飲む?」 いや、それでも飲まない。絶対不味いだろ。 「じゃあ…私も飲むから睦月も飲んで!」 そこまでそんなものを飲ませたいか?いいだろう。乗ってやる。お前の飲んだときの勇姿は携帯フォルダにしまってやる。 「じゃ、開けるね?」 七恵がそれを開ける。…幸いにもそれは暴発する事はなく、無事に七恵の口へと運ばれた。 七恵がそれを幾らか飲んだ後すぐに、 「睦月。これ逝けるよ」 …いけるんだな? 「すごく逝けるよ?」 OK。飲んでやろうじゃないか。 俺はそれを七恵から受け取り、口に運ぶ。珈琲の匂いと炭酸の風味が合わさって、…なんともいえない気持ち悪さとなっている。やっぱ飲むのやめるか?いや、それはできないようだ。七恵が俺を輝かんばかりの目で見てきてる。ここで飲まなきゃ後々色々されるだろう。 覚悟を少しして一気にそれを口に含む。 ぬぐぅっ!!!!? なんだこの最悪なコラボネーションは!!!!!? ヤバイ! これで人を殺せる! 珈琲以外にも何か入ってやがる! 俺は口に含んだそれを飲み込んでから製品表示を見る。 …コーラに麦茶か。まさか珈琲以外のものが入っていようとは。…なんで七恵は平気なんだ? 「これ、わかる?」 わかるわけがない。確かにコーラっぽい色ではあるが、コーラは固形物じゃない。 「さっきそこで、『夏季限定コーラグミビッグ版』っていうのが売ってたから買ってきたの」 …今冬だぞ? 「おいしいよ?」 そうかい。 「安かったんだよ?」 そうかい。 「あっちで売ってるよ?」 そうかい。 「間接キッスだよ?」 そうか…い? 「私が飲んだ後に睦月が飲んだでしょ?睦月、別に何も意識しないで飲んでたよね?」 ……OK。どこか高いところはないか?どっかのビルの屋上、アパートの屋上でもいいから案内してくれ。 「とりあえず、行かないと怒られちゃうよ?」 俺はなされるがままにしか行動できなくなっていた。なぜかって?味覚と心のショックで脳が少しスリープを要しているからさ。ああ、情けない…のか? 七恵に効果音がついてもよさそうなほど気持ちよく引きずられながら学校に向かう俺達に電話がかかる。もちろん携帯で、音咲から俺へとだ。 「どうした音咲?」 「…それはこちらのセリフですよ?」 「それは失敬。で、なんだ?」 「約束時間の事を忘れていますか?」 いや、予想できてた内容だが、やっぱりこれを言われると反論できないな。 「いや、覚えてはいたんだがな?体がそれを忘れてて、二人揃って寝坊したわけだ」 携帯越しにため息が聞こえてきそうな間を挟んで音咲が、 「『あと5分以内に来なきゃ死刑だからね!』と園絵さんが言っていますので、頑張って下さい」 音咲。伝言を伝える時は普通に伝えろ。園絵さんの声色を真似るな気色悪い。 …切れてるし。 「誰だったの?」 言わずもがないつものやつらだ。 「急いだ方がいいの?」 時計を見ろ。ほら、公園の時計は長い針が真下を指しているぞ? 「歯食いしばってね!」 不吉な事を言うn― 考える暇もなく俺は陸上ジェットスキーを味わう事になった。死ねる。これ死ねる。 俺が死ぬような思いをしたおかげか、はたまた人が死ぬほどの強さで俺を学校まで引っ張った七恵のおかげか俺達は門限である5分以内に部室に入る事に成功した。ミッションコンプリート。報酬はない。 「さーって! どこかの誰かさんが遅れたから遅れちゃったけど」 園絵さんは俺を見ながら言う。俺だけなのか?そして同じ言葉を二回使うとアホっぽいと思われますよ? 「アホって言うな!このアホ!」 「グヒュウッ!」 鳩尾が…! 園絵さんは俺の鳩尾をありえないほど正確に蹴ってきた。しかもありえないというのは、その爪先が筋肉のないところにクリーンヒット。文字通り会心の一撃だったわけだ。 …今気づいたが、麻灘さんもいるようだ。 「あ♪ いいこと思いついた♪」 絶対確実に2那由多%いい事じゃない。断言してやる。 「私に対して睦月はタメ口で話す事!」 「「「「…………」」」」 静まり返った。園絵さんがこの一言を言う前には俺と園絵さん以外でなにかをやっていたようだったんだが、それが中断された。心なしか、音咲と楓さんの視線が俺に『いい反応をしてくださいね?』と語りかけてきているような感じさえする。いい反応ってどんな反応だよ!? 俺は吉本の人間じゃない。じゃあなんだ? 「それでいいのか園絵?」 タメで言う。違和感甚だしいが、そう言わなきゃまた鳩尾に蹴りが来るかもしれないからな。 「彩って読んでね?」 音咲!?楓さん!?なにその『ああ、フラグ立てちゃいましたね』みたいな視線は!?死亡フラグなのか!? 「彩さn…彩。今日はいったい何のために集まったんだ?」 途中で言い直したのは彩の足が動きかけたからだ。ああ、トラウマになるかもしれん。 …ところで、なんで七恵はそっぽ向いていじけてるんだ? 「今日集まってもらったのはね、籤を引いてもらうためなの!」 …正月まだ先だったぞ?曜日感覚でもおかしくなったか彩? 「みんなマフラー作ったでしょ?で、それを籤でみんなに分けようってことなの」 …要はプレゼント交換ってことだな? 「そうよ!さ、籤は作ってあるから引いてね!」 …いや、待て。考えろ俺!KOOLになるんだ堀崎睦月!ここで彩が交換だけで終わらせると思うか?いいや終わらないな。じゃあ他に何がある? …なにもないだろ。 「俺からでいいか?」 俺が引こうと手を前に出す。先陣を切れば、跡に感じる感動が幾らか和らぐだろう。 俺は『くじBOKS SUPER』と書かれた箱に手を入れる。スペルが違う事は指摘しない。鳩尾が疼く。 …俺が引いた籤は………楔文字? 楔文字っぽいそれは、日本語に直そうと努力すると2に見えてきた。2…でいいのか? 俺に続いて全員が『くじBOKS SUPER』に手を入れる。もちろん指摘はしない。俺の二の舞がいやなんだろう。 「みんな引き終わったみたいだから、説明するわ!」 …麻灘さんが籤を引いたことには驚いた。てっきり傍観しているだけかと思ったんだが…。 「今引いた籤に番号が書いてあったでしょ?その番号と同じ人と一緒に24、25日を過ごすの!」 ……俺に野郎と一緒に聖夜を過ごせと? 「まだ決まってないでしょ?もしかしたら私とかもよ?」 …そんな事勘弁してくれ。まあ、この人数でハズレを引くほうが…40%の確立で当たるな。もちろん楓さんと麻灘さんだ。残った七恵と音咲、彩は…来ない事を祈ろう。特に音咲。これだけの美女…がいるのにお前と聖夜を過ごすなんて『ビッグバンが再度起こってそれを撮影しようとしたんだけどシャッター押し忘れて失敗した』とかなるぐらいに惜しい。 「2番引いた人って誰?」 …楓さん?七恵の声色をまねしなくてもいいですよ?あ!麻灘さんですか? 「僕は3番ですね」 「私もですよ」 おい七恵。わざわざ楓さんの真似しなくてもいいだろ? 「私は1番ね!」 「不束ながら、よろしくお願いします」 …疑う余地もないだろう。 「ってことは睦月?紙見せてよ」 俺は無言で紙を出す。 「やっぱ同じだね。じゃあ二日間よろしくねっ」 二日だけなら大歓迎なんだがな。いや、普通の対応でもいいか。 「言い忘れてたけど、何をするかは各自の自由だからね!」 …彩は麻灘さんとだよな?二人がしゃべってる様子が想像できないのは俺だけか? 「心配無用ですよ。麻灘さんは僕もいい人だと思ってますので」 それでも会話が弾むとはとても思えないぞ? 「それは言ってはいけません。これ以上言うと聞こえてしまいますよ?」 俺は音咲の言うとおりに会話を切り上げて抗議に移る。決して組み合わせが悪かったわけじゃ…ないかもな。 「みんなで過ごすって選択肢はないのか?」 一番ベターな案を出す。あ、一番ってベストじゃん。 「それじゃ面白味に欠けるから今みたいにしたの!」 少し怒った様な声で彩が言う。何を怒るんだ?そんなに俺と一緒に居たかったか? 「え!?…あ、え、そんなわけないでしょ!」 なんだ違うのか……って気づかないわけがないだろ!いくら俺が普段『これで気づかないならあなたの五感は機能してないと思いますよ?』といわれるほどに鈍感だとしてもだ!まあ、今の彩の言い方は演技だろうな。リアルワールドにツンデレなんていないはずだ。 「じゃあ音咲か?」 俺じゃなかったら音咲だろう。 「なんで男限定なの!?」 あ、そっか。別に同姓と過ごしても問題はないんだったな。異性の方が問題ありか。 「とりあえずそれは別にいいでしょ!?」 彩が必死になにかを否定する。誰も何を否定しているかわからないために、その姿は酷く滑稽である。まるでピエロだ。解雇が決定されて必死に頑張ってるピエロだ。 「さ、マフラーの交換式を始めるわよ!」 …相手は? 「籤のペアに決まってるでしょ!もうちょっと頭使いなさいこのサナダムシ!」 酷い言われようだな。寄生虫レベルかよ。 しかもそのスペクタクルを音咲、楓さんたちは微笑みながら見ている。ああ、音咲よ。羨ましいぞ。いろんな意味で。 「言い忘れたけど、マフラーは相手の首にちゃんとかけてあげるのよ!?」 それを言った後、音咲は楓さんに何らかの情報伝達を行い、すぐにマフラーを交換し始めた。一瞬、音咲が楓さんの指輪を左薬指につけるビジョンが見えたがそれは俺の妄想だろう。いや、妄想であってくれ。 と俺が見とれている間に俺と七恵以外はすぐに終わってしまったようで、4人が俺をじっと見てくる。 このまま視線を合わせていても不毛なので俺が切り出す。 「七恵、かけるぞ?」 親しき中にも礼儀あり。俺はそれに乗っ取ってマフラーをかけ始める。 …マフラーを一つかけるのがここまで羞恥を孕むものだとは朝露ほども思っていなかった。マフラーをかけるとき、どうしても首の後ろに手を回さなきゃいけないので手を回す。そうするとどうなる?もちろんここにいる奴らは正しく状況を認識できる。だがな。傍目から見ると俺が抱き着いてるようにしか見えない。ああ、羞恥でどうにかなりそうだ。 俺が七恵にマフラーをかけると、音咲、楓さんは二人で並んで俺を温かい目で見てくるし。麻灘さんは『あの人は私を覚えているでしょうか…』みたいなことを考えてるし。彩はジト目で俺を見てくるし。七恵にいたっては全身茹蛸状態だ。その気持ちは俺もわかるが、そんな気持ちだからこそ早く俺にマフラーをかけて終わらせてくれ。 「七恵?」 七恵は我に帰る。今までどこに行ってたかは…決してわからなくていいだろう。 「じ、じじゃあかけるね?」 若干しどろもどろになりながらアポを取る七恵。いつもこんな感じだったら大抵の男なる生物は落とせるであろう。そんな恥ずかしい事をいとも簡単にモノローグに出現させるほどにまあ、その、なんだ。可愛いんだ。 「これで…いいかな?」 不安そうな上目遣いで俺を見上げる七恵。この攻撃の威力は体感しなくてもわかるだろう。いったいどこの誰が不安そうに上目遣いをしてくるやつにダメだしをする?上目遣いのレベル向上ならわからないでもないが、それは『K』に任せておこう。 「大丈夫だ。かけてくれてありがとな」 自分では至極自然に振舞って言ったつもりなんだが…なんだ?なぜみんなの視線がいろんなベクトルで強まる? 「では、僕から皆さんにクリスマスプレゼントを差し上げたいと思います」 音咲がどこかのテレビの司会アナウンサーのように言う。いや、お前は何をやっても似合いやがるな。 「前と同じで籤を引いてください」 俺は言われたとおりに籤を引こうとする。それを止めるように 「もちろんペアで一つずつですよ?」 聞こえた時にはもう遅く、既に七恵は籤を引いてはしゃいでいる。流石は光の能力者。使いどころが三角ねじに+ドライバーで挑むほどずれているが早いな。 はしゃいでいる七恵の隙を見て内容を見る。 ……『USJ』 「音咲。これはどこだ?」 「ユニバーサルスタジオジャパン、関西ですよ」 ほう。で、お前はチケットだけ渡してどうしろと?俺の懐事情を知らないとは言わせないぞ? 「おかしいですね。あなたは一人暮らしで無駄遣いをしないと思っていたのですが」 それに追い討ちをかけるように 「もしかして、誰かと同棲してますか?」 ………一回死ぬか?別に旅行費を出せといってるわけじゃない。とりあえずその態度を改めようか?その白々しい態度だ。さ、矯正しようか? 「遠慮しておきますよ」 俺はSNNで音咲を凍らせる。とりあえず少し頭を冷やせ。20分くらいで溶けるだろ。 「久しぶりに睦月のSNN見たね。そういえば…指令全然来なくなったね」 指令が来ない?おいおい何言ってるんだ。絶賛命令中だぜ?一ヶ月に4回は来てるな。 20分後、解凍された音咲から旅費を恵んでもらった俺と七恵は家に帰って早速旅行の準備をする事になった。なぜ拒否しなかったかって?It`s so easy. 音咲が俺の実家に電話であることないことを告げたためだ。お袋は『お土産はちゃんとお願いね! あと、年頃の女の子と一緒の部屋に寝るんだから気をつけなさいよ?』とか言われた。音咲が何を吹き込んだかは見当もつかないが、とりあえず言えるのは、『あの時凍らせた上で2、3回ぶん殴ってればよかった』本気で思ったね。 ………今気づいたけど、毛糸って縫うじゃなくて編むだったな。 タイトル変更 『毛糸を規則的に編んでみた』
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判示事項の要旨: 国立大学法人が,国立大学のときから期間の定めのある雇用契約を締結してその更新を継続してきた外国人教師の更新を拒絶したことについて,更新を拒絶するには合理的理由が必要であるが,合理的理由が肯定されるとして,契約の終了が認められた事例 平成17年10月28日判決言渡 平成16年(行ウ)第32号 地位確認請求事件 主 文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 原告が,被告に対し,平成17年4月1日以降も労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 第2 事案の概要 本件は,主位的には,旧国立学校設置法による大学である国立A大学(以下「A大学」という。)の外国人教員として国に任用されたとし,予備的には,第1に,A大学との間で期間の定めのある雇用契約を締結したが,更新によって期間の定めのない契約となったとし,第2に,その雇用契約が期間の定めのあるものであっても,更新に対する期待権が生じていたとする原告が,その地位が労働契約上の地位として,被告に対する関係で承継されたから,被告が原告を解雇し又は雇い止めをするには合理的理由が必要であるが,かかる理由を欠くとし,第3に,仮に,原告と被告との間で期間の定めのある雇用契約が新たに締結されたとしても,原告には更新に対する期待権が生じていたから,被告が原告を雇い止めをするには合理的理由が必要であるがかかる理由を欠くとして,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるものである。 なお,本件訴訟は,当初,行政事件訴訟法の実質的当事者訴訟として立件されたが,民事訴訟である。 1 争いのない事実等 (1) 原告は,平成6年4月1日から,A大学の教員として勤務していた(その教員としての身分については争いがある。)。 (2) A大学は,平成15年12月24日付け文書(甲2)をもって,原告の代理人弁護士に対し,平成16年度(平成17年3月31日)をもって原告との間の雇用契約を終了させる旨回答した(以下「本件回答」という。)。 (3) A大学B研究科長C(以下「C教授」という。)から,原告に対し,平成15年12月4日付け書面(甲19の1)が送付され,同書面に添付の同年11月12日開催のC研究科教授会での説明メモ(甲19の2)によると,原告の雇用を平成17年3月31日までとする理由は,次のとおりとされていた。 ア 平成8年に,英文学と英語学とで構成されていた英文学研究室が,英米文学と英語学とに分離独立したが,その際に英米文学の外国人教師枠をしかるべき時期に英語学に譲るとの方針が立てられた。 イ 平成8年の英米文学と英語学との分離独立後も外国人教師枠を英米文学にて使用してきたが,平成16年4月の独立行政法人化に際して,任期付き外国人教授ポストを最初に英語学が使用することに双方で同意した。 (4) 原告は,前記(3)の説明メモに対し,次のとおり反論した(甲4)。 ア 原告がA大学との雇用契約を締結したのは,平成6年4月1日であるが,前記(3)アにある「平成8年に,英文学と英語学とで構成されていた英文学研究室が,英米文学と英語学とに分離独立したが,その際に英米文学の外国人教師枠をしかるべき時期に英語学に譲るとの方針」は,雇用契約後にA大学が一方的に決めたことであり,しかも,原告には平成8年の時点でこのことを知らされていない。 イ 前記(3)イについては,原告は任期付き教授ではなく,期限の定めのない雇用契約となっており,「任期付き外国人教授ポストを最初に英語学が使用することに双方で同意した」ことと,原告の雇用契約を打ち切ることは全く次元の異なった事柄である。 ウ 前記(3)アに関連して,仮に平成8年の時点で原告(現在51歳)が「英米文学の外国人教師枠をしかるべき時期に英語学に譲るとの方針」を知らされておれば,原告は当時は45歳であり,他の大学へ定年まで勤務でき,年金が受け取れる条件での転職が可能であった。 現在の51歳という年齢では,そのような条件の職場を見つけることはほとんど不可能である。 エ 前記(3)イについては,英米文学科の教授はC教授を含む日本人教員2名と原告であるが,博士号を保有しているのは原告のみである。 前記の説明メモでは,「外国人教師枠が定員化される機会に,それを任期付きの教授として,日本人スタッフと対等にプロジェクトを組めるDistinguished Scholarを招聘し教育研究を活性化させる」とあるが,原告こそがDistinguished Scholarである。 オ C教授は博士号を持っておらず,しかもこの10年以上にわたって同教授の研究科からは一人も博士号を取得した者がいないという実情にあり,C教授こそがDistinguished Scholarを招へいする資格のないものであり,学科生に対する指導にも多くの問題がある。 (5) A大学は,平成16年4月1日,国立大学法人法に基づき,被告となった。 国立大学法人法附則4条では,国立大学の職員(これがいかなる範囲の者を指すかについては争いがある。)の身分はそのまま国立大学法人に引き継がれると規定されており,職員については,原則として別に辞令を発せられない限り身分の承継がされている。 したがって,A大学の職員であった者は,平成16年4月1日の被告の成立により,別に辞令を発せられない限り,被告の職員となった。 (6) 被告は,平成16年12月17日,原告の代理人弁護士に対し,平成17年3月31日をもって原告と被告の間の雇用契約は終了する旨通知した(乙27)。 2 争点 本件の主たる争点は,(1)原告は外国人教員として国に任用されたか,(2)原告がA大学と締結した雇用契約は,期間の定めのないものとなったか,(3)原告がA大学との間で締結した期間の定めのある雇用契約上の関係が被告に承継されたか,(4)原告が被告との間で締結した期間の定めのある雇用契約を被告が打ち切ることは許されないかという点にある。 (1) 争点(1)(原告は外国人教員として国に任用されたか)について ア 原告の主張 (ア) 原告は,平成6年4月1日,国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関する特別措置法に基づいて,A大学の外国人教員として国に任用された。 原告は,平成6年4月1日の採用以来,毎年契約書を締結してきたが,これは「日本国政府の会計行政によるもので」(甲1のC教授の原告あての手紙の記載)あり,その契約書は形式的なものにすぎない。この毎年の契約書に原告の署名を求める際に,A大学から原告に対して,1年間の雇用継続であることの説明は一切なく,会計処理のために原告の署名を求めたにすぎない。毎年の契約書の署名の際に,原告はA大学から「次の契約期限の後は働く意思があるか。」と質問されたことは一切なく,契約書に原告が署名することは当然のこととして契約書が作成されていた。そのことが10回も繰り返されてきたものであり,この実態は契約書が会計行政のための形式的なものにすぎないことを示している。 (イ) A大学の外国人教員として任用された原告の上記身分は,平成16年4月1日に被告との間の労働契約上の地位として承継された。 (ウ) 被告は,A大学の地位を承継したものであるので,被告が原告を解雇するためには合理的な理由が必要であるが,かかる合理的理由はない。 イ 被告の主張 (ア) 原告が国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関する特別措置法に基づいて任用された外国人教員であるとの主張は否認する。 原告の採用は,国家公務員法2条7項に基づく契約によるものである。すなわち,国家公務員法2条6項は,「政府は,一般職又は特別職以外の勤務者を置いてその勤務に対し俸給,給料その他の給与を支払ってはならない。」と原則的な規定をしているところ,同条7項は,「前項の規定は,政府又はその機関と外国人との間に,個人的な基礎においてなされる勤務の契約には適用されない。」として,この原則に対する唯一の例外として,外国人の雇用を定めている。 この例外的規定に基づく契約により雇用される外国人の身分は,一般職,特別職のいずれにも属さない国家公務員であって,給与,勤務条件等についても,国家公務員法,一般職の職員の給与に関する法律等の適用はなく,政府又はその機関との契約により決定される。 旧国立学校設置法施行規則30条の3第1項では,「国立大学又は国立短期大学の学長は,国家公務員法第2条第7項に規定する勤務の契約により,外国人を教授又は研究に従事させることができる。」と定めている。これが「外国人教師」の制度であり,原告はこの外国人教師として雇用されたものである。 これを受けて,その取扱いについては,昭和44年4月16日文大庶第251号各国立大学長あて文部事務次官通知「外国人教師の取り扱いについて」等の通知が出されており,これらにより取扱いは詳細に定められている。 すなわち,国立大学及び国立高等専門学校において外国語科目又は専門教育科目を担当させるにたる高等の専門的学識又は技能を有する外国人で,国立大学等が常勤の教師として雇用する者を外国人教師とし(通知第1項),外国人教師には俸給,調整手当,期末手当及び勤勉手当,通勤手当並びに寒冷地手当を支給し(通知第2項),外国人教師との雇用契約の期間は1年を超えないものとし,会計年度の中途で契約する場合はその終期を当該年度の末日とし,この雇用契約は必要に応じて更新することができるが,国外から招へいする場合の招へい期間は,帰国旅費の支給の関係から原則として2年とし(通知第3項)等と定められ,これらの定めの中で外国人教師との契約が締結されるものであり,原告との契約もこれらの定めに基づいてなされた。 このように原告との雇用契約の締結は,前記「外国人教師の取り扱いについて」の通知に従い,当初は国外からの招へいとして平成6年4月1日から2年(最初の1年の契約の後,その後の1年について更新を保証したもの)の契約とされた。 その後は毎年4月1日から1年間ずつの契約が更新されてきたものであり,毎年契約書を作成して,期間1年と明示し,その契約に当たっては,毎年A大学内部の手続である文学研究科教授会の決議を経て,総長の名で締結されてきた。 (イ) 原告は,毎年の契約書の締結の事実を認めた上で,「これは日本国政府の会計行政によるもの」との甲1の表現を引用して,形式的なものにすぎないと主張する。 しかし,甲1の記載では,最初の招へい期間は2年であること,しかし,最初の契約は到着から会計年度の期間で締結し,その次の会計年度の1年を更新して,招へいの2年間の期間とすること,その後は「相互の合意により1年ごとに契約更新することが可能であること」を正確に明示し,前記「外国人教師の取り扱いについて」の通知を遵守している。 (ウ) 国立大学法人法附則4条では,国立大学の職員の身分はそのまま国立大学法人に引き継がれると規定されており,国家公務員法2条6項に定められた一般職の国家公務員については,原則として別に辞令を発せられない限り身分の承継がされている。 したがって,国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関する特別措置法に基づき採用された外国人教員は,一般職の国家公務員であり,身分の承継がされる。 しかし,前記のとおり,原告は,国家公務員法2条6項に定める一般職の国家公務員ではなく,同条7項により,特別に例外として雇用された外国人教師であり,国立大学法人法附則4条の適用はなく,身分の承継はない。 (2) 争点(2)(原告がA大学と締結した雇用契約は,期間の定めのないものとなったか)について ア 原告の主張 (ア) 仮に原告の地位が外国人教員として任用されたものでないとしても,原告とA大学とは,平成6年4月1日,原告がA大学のB部客員教授として平成8年3月31日まで働く旨の雇用契約を締結し,その期間を更新したことによって,原告とA大学との雇用契約は期間の定めのない契約となった。 (イ) 被告は,A大学の地位を承継したものであるので,被告が原告を解雇するためには合理的な理由が必要であるが,かかる合理的理由はない。 イ 被告の主張 (ア) 前記のとおり,A大学は,国家公務員法2条7項に基づいて,旧国立学校設置法施行規則30条の3第1項による外国人教師として原告を雇用したものであり,前記「外国人教師の取り扱いについて」の通知に従い,毎年契約書を作成して,期間1年と明示して雇用してきたものであるから,この雇用契約が継続して繰り返されても,性質が変更となるものではない。 外国人教師の雇用においてはもともと法律の定めにより1年の契約しかできないのであり(ただし,招へいの当初を除く。),A大学は,法律に従い原告との間で1年の契約をしてきたものであって,更新時においても,明確に1年の有期契約であることを明示し,また,原告の契約書への署名についてはその場で求めるのではなく,時間を与えて,原告自身で契約書を確認の上署名している。 (イ) したがって,更新によって原告とA大学との雇用契約が期間の定めのない契約となったとの事実はない。 なお,原告との契約は,B部客員教授としての雇用契約ではなく,外国人教師としての雇用契約である。 (ウ) 前記のとおり,国家公務員法2条7項によ外国人教師としての雇用契約である以上,国立大学法人法附則4条の適用はなく,身分の承継もない。 (3) 争点(3)(原告がA大学との間で締結した期間の定めのある雇用契約上の関係が被告に承継されたか)について ア 原告の主張 (ア) 原告とA大学との間の有期雇用契約は,平成16年3月31日まで更新が繰り返されてきたのであるから,その更新は形式的で,平成16年3月31日の時点では実質的には期間の定めのない労働契約と同じような状態で存続しており,原告には契約更新に対する期待権が生じていた。 (イ) A大学と原告とのこの雇用契約上の関係は,被告の成立後も被告が原告との有期雇用契約を実質的に更新したことによって被告がこれを承継したものである。 (ウ) よって,被告は,平成17年3月31日をもって有期雇用契約を打ち止めとするためには合理的な理由が必要である。 (エ) しかし,以下に述べるとおり,かかる合理的理由はない。 a 被告は,原告と間の雇用契約の打ち止めの理由として,原告との契約を終了させて,その外国人教師枠を「21世紀Center Of Excellenceプログラム」(以下「21世紀COEプログラム」という。)の中で任期付き教官定員として利用する方針を決定したものであり,原告の外国人教師枠を利用することにしたのは,英米文学研究室の外国人教師は所期の目的を達成したと判断されたからであると主張する。 しかし,C教授が原告に告知した内容は「平成8年の大講座化したことに伴って英米文学と英語学が独立し,その際に英米文学の外国人教師枠をしかるべきときに英語学に譲ることが方針として決められ今般の独立法人化による外国人教師枠の定員化を機に,原告の役目も所期の目的を達しているので,原告の雇用契約を打ち止めとして,英語学が任期付き教授ポストを使用することを合意した」というものであり,被告が主張するような説明はなされておらず,21世紀COEプログラムのことは何も触れられていない。したがって,被告の上記主張は,紛争になってから考えられた架空のものであり,雇用契約を打ち止めとする正当な理由とはなり得ない。 また,原告の役目も所期の目的を達しているとの点は,明らかに事実に反している。A大学大学院B研究科案内において,原告の講義中の写真が掲載されており,英米文学にとって原告が枢要な存在であることが裏付けられている。原告は,英米文学のスタッフ3名のうちの1名として,大学院レベルの研究指導に携わっており,着任以来,大学院の講義を担当して教授しているほか,卒業論文・修士論文の口述試験にも審査教官としてかかわっている。 b 被告は,21世紀COEプログラム予算が十分でないことを理由として,原告の雇用を打ち切ってその空いた外国人教師の枠を21世紀COEプログラムのために利用すると主張するが,この主張は虚偽である。 すなわち,被告のB研究科は,21世紀COEプログラムのためにDビルの15階オフィスフロアに部屋を2つ借りているが,その部屋はほとんど利用されておらず,国から得た21世紀COEプログラム推進経費を不要な支出に用い乱費している。 E教授(以下「E教授」という。)は,原告に対して,21世紀COEプログラム推進経費を消化するために頻繁に海外に出掛けなければならないと愚痴をこぼしており,ここでも不要な支出がなされている。 被告は,21世紀COEプログラム研究支援者には高給の外国人研究者を雇用することができないかの如くに主張するが,要綱や要領には21世紀COEプログラム研究支援者の給与に関しては何の制限もない。たまたま被告のB研究科が雇用した21世紀COEプログラム研究支援者の給与が低額であったにすぎない。 c 被告は,原告を「英語を母国語とする外国人教師」であり,英語教職科目担当と考えられたと主張するが,採用条件では,35歳以上の英文学の修士号あるいは博士号を保有するものであればよく,F人でもG人でも英語で授業ができればよいのである。採用の目的は,英文学の教師であり,英語を母国語とすることは条件でなかったのであり,この点でも被告の主張は事実をわい曲している。 イ 被告の主張 (ア) 原告とA大学との間のこれまでの雇用契約は,年度(4月1日を始まりとし,翌年3月31日をもって終了する。)ごとに1年の期間を区切っての雇用契約であり,平成15年度の雇用契約は平成16年3月31日をもって終了した。 平成16年4月1日からは,国立大学法人法の下において,被告と原告との間で,新たに1年限りの雇用契約を開始したものである。 (イ) 平成6年4月1日の契約の当初に,原告に対し,「定年まで勤務できる。」と確約した事実もないし,その後においても「定年まで勤務できる。」と保証した事実もない。逆に,C教授が最初に送付した文書(甲1)の2枚目第4項には,就業期間は有期であることが明らかに記載されている。 一般の教員と異なり,法の定め,国の制度に従って1年という有期契約をしている外国人教師に対して,そのような約束はできるはずもないし,そもそも教員個人にそのような権限もない。 原告との契約が有期契約であるがゆえに,原告自身,次の契約更新がされるかどうか不安に思い,E教授に対し,「来年の契約はどうなるだろう。」と不安な心情を訴え,機会あるごとに相談をなした事実が存在する。 (ウ) 以上のとおり,被告成立前の原告とA大学との間の1年ごとの雇用契約は,法令に基づき明確に期間を区切って契約されてきたものであり,全くの1年ごとの契約の併存であって,形式的に更新されたものではなく,期間の定めのない労働契約と同じような状態になったものでも,原告に契約更新の期待権が発生したものでもなく,雇い止め法理等の適用はない。 (エ) したがって,期間の満了する平成17年3月31日をもって契約を更新しないとの本件回答に問題はなく,特別の理由が必要とは解せられない。 (オ) また,本件では更新しないことに合理的な理由も実際に存在するのであり,仮に原告の主張を前提としても何ら問題はなく,解雇権濫用法理の類推適用の余地はない。 (カ) 本件回答をした経緯,理由は,以下のとおりである。 a 平成8年に英文学研究室が英米文学研究室と英語学研究室に分割された際に,それまで英文学研究室で保有してきた外国人教師ポストについては,英米文学研究室が使用し,もともと英語学研究室にも利用の権利はあったので,しかるべき時期に英語学研究室へと移行するとの約束・了解がなされた。 しかし,英語学研究室として,現実に移行を求めれば,いかに了解事項であるとしても英米文学研究室として困るのは目に見えている。そのため,教授会の了解の下に,独立した研究室になり,学問的にも確立し,学生数においても増加してきた英語学研究室に新たに外国人教師ポストを求めて概算要求するという方策で外国人教師を得ようと努力してきた。しかし,この概算要求が取り上げられることはなく,結局,大学法人化構想が進み,平成14年度半ばころには,法人化後は概算要求自体も不可能となる事実が明らかになり,概算要求による枠の増加の方法はあきらめざるを得なくなり,当初の約束に従ってポスト移行を要求せざるを得ない事態となってきた。 これが,平成15年7月に,原告に対し,平成17年3月をもって契約を打ち切ることを通告した基本的な理由である。 英語学研究室は,概算要求という形で外国人教師を確保したいと努力はしてきたが,それが通らないことになれば,英米文学研究室の外国人教師枠を移行することは了解事項として存在したのである。 b 大学の構造改革として,大講座化,大学院重点化,研究の先端化が挙げられるところ,大学院重点化とは,従来の学部教育研究を主体とした講座組織を,大学院教育研究を主体とする講座組織にシフトすることによって,最先端教育研究組織を構築し,高度専門職業人の育成や研究者養成を行うなど,変革する社会情勢に積極的に応えたものである。 A大学B部でも,平成12年に大学院重点化したことによって,教員組織も大学院での教育研究を専任することとなり,それとともに学部教育研究も兼担することとなった。このため,B研究科所属の教員は,高度化した大学院教育研究の指導責任を果たすために一層業務負担が加重してきた。しかし,原告は,飽くまで「学部教育・研究を主体とした外国人教師」であって,この構造改革の外に位置するままであった。 上記のように,大学は大きく変わることを求められ,その流れの上に21世紀COEプログラムが存在した。 21世紀COEプログラムとは,世界最高水準の研究教育拠点作りを目指し,資金の重点配分をなすもので,平成14年度に始まった国家的プロジェクトである。 この資金の重点配分は,世界的に見て創造的,画期的な観点での一定の研究テーマを探求する研究グループに与えられるものではあるが,その研究が人材育成機能を有し,事業終了後も継続的な研究教育活動が期待できることを要件としており,研究拠点であると同時に教育拠点(人材育成拠点)であることが求められている。 平成14年度において採択された21世紀COEプログラムにA大学B研究科の「H」が入った。これは,大きな名誉であるが,同時に,今後の成功(成果)への責任を負うことになったものであり,その責任は,資金が重点配分される5年間だけの責任ではなく,プログラム終了後も,引き続き研究拠点として継続的に研究活動を続けていかねばならないのであり,そのために次代を担う若い人材を育てておかねばならない。 この21世紀COEプログラムで成果を挙げ,正に文字通り「卓越した研究拠点」,「優れた研究拠点」として評価を得ることが,A大学B研究科の今後の生き残り策である。それゆえに,研究科全体として,このプログラムに取り組み,推進する体制がとられることになった。 前記「H」プログラムとは,意思伝達行為の所産をすべて「テクスト」としてとらえることに特徴があり,一定の情報内容を,効果的に他に伝え,他者を動かし,社会を形成し,揺り動かし,世界を構築していくプロセスの中で,言語,図像,文学,身振りというコミュニケーションの手段はすべて「テクスト」としてとらえられ,これがなぜ選択され,どう機能するか,その一般原理を解明しようとするものである。その一般原理の中では,言語テクストのみならず,非言語テクストが重要なものと認識され,それらを統合した体系網,機能文法へと広がり,方向付けられる。 上記のような体系網・機能文法を非言語テクストに応用する分野は,社会記号論とも呼ばれるものであり,平成14年度に21世紀COEプログラムに採択されると同時に,B研究科として,社会記号論の支援体制を早急に整える必要性に迫られることとなり,記号論と密接な関係にある表象認識学講座を設置すること,社会記号論を専門分野とする外国人の人文学専攻教員1名を採用することという支援策が決定された。 その支援策の決定の道程の中で,外国人教師ポストに関して,21世紀COEプログラムの推進という側面からの要請が一気に高まってきた。これは,単に英米文学研究室の外国人教師ポストを英語学研究室へ移行するということにとどまらず,「H」プログラムをB研究科の下で推進していくことにおいて,このポストに重要な意味付けがされるということであった。 すなわち,当初,B研究科は,21世紀COEプログラム推進経費の中から外国人の人材を確保することを希望していたところ,限られた推進経費(研究拠点形成費補助金)の中から多数の,しかも若手の人材育成を主眼とした雇用をするとなると,1人当たりの給与を低額にせざるを得ないのであり,高度な研究能力を有する外国人研究者の雇用には高い手当を要することから,実現しなかった。 この21世紀COEプログラム推進経費の使途に関して,原告は,21世紀COEプログラムのために借りているDビルの2つの部屋がほとんど利用されていないとか,E教授が21世紀COEプログラム推進経費を消化するために頻繁に海外へ出掛けたなどと主張するが,そのような事実はない。 21世紀COEプログラム推進経費の中から外国人の人材を確保することは実現しなかったが,21世紀COEプログラム採択直後から,平成15年6月に実行することが予定されていたシンポジウムを準備する中で,日本人の研究者と共に協力し,共同して研究ができる外国人の必要性が,より強く認識されてきた。 また,21世紀COEプログラムの予算は5年間と限られているが,B研究科としては,プログラム終了後も引き続き研究拠点として継続的に研究し,成果を挙げる責任があり,そのためには,B研究科の中で引き続き支援し,当該研究を遂行する高度な研究能力を有する外国人研究者を確保していくべきとの要請も厳然として存在した。 しかし,行政機関の職員の定員に関する法律(いわゆる総定員法)の根底にある考え方からすれば,非言語テクストを含めた統合テクスト科学を日本人研究者と同じ目線で共同研究し,その成果を伝える外国人の研究者の採用についての純増は認められないということであり,そのような外国人研究者の確保は,現行の外国人教師のポストを定員枠に振り替え,その定員枠のポストで採用することしか方策はないとの結論に至った。 この外国人研究者の受け入れをなす研究室は,B研究科の中では言語学的手法をとっている英語学研究室が,適任であり,また任務を負うことになる。 一方,原告の専門は英米文学であり,21世紀COEプログラムがとっている言語学的手法とは直接的な関連がなく,21世紀COEプログラム中の共同研究には不適であった。また,外国人教師ポストを廃止し,研究者としての採用(定員化)とする動きの中では,原告では,日本語が理解できず,教授会メンバーとして発言できることや,マネジメント業務をこなすことは期待できなかった。 c 外国人教師ポストを英語学研究室へ移行するとともに,原告との契約を打ち切りとせざるを得なかったことは,以上のことからも明らかであり,B研究科の21世紀COEプログラム「H」は言語学の手法をとり,その一翼を英語学が担っていること,また,英米文学研究室の外国人教師は初期の目的を達成したと判断されたことから,今回の契約更新をしないことになったのである。 原告との間の契約打ち切りは,単にポストの移行を理由とするのみならず,学部教育等を中心に担当している原告に対し,大学院レベルの研究・指導を期待するものでなく,他の教員をもって代替も可能であること,そして,B研究科として,21世紀COEプログラムの成果を挙げて社会的責任を果たし,将来へと進むべき途,また,将来へ生き残る途として,やむを得ざる選択であった。 これに対し,原告は,英米文学研究室にとって原告が枢要な存在であり,大学院レベルの研究指導に携わっており,着任以来,大学院の講義を担当して教授しているほか,卒業論文・修士論文の口述試験にも審査教官としてかかわっていると主張する。しかし,卒業論文と修士論文の作成過程における助言を与える者とは別に,卒業論文・修士論文の審査員は教授会で別途決定される。そして,当該研究室の卒業論文は,研究室所属教員のみで審査し,修士論文は,当該研究室所属教員と他研究室の教員1名で審査される。したがって,原告も審査員ではある。しかし,卒業論文・修士論文の審査は,作成過程の最後に位置するものであり,通常,指導教員は,論文作成過程において指導・助言に当たった上で審査員となるが,平成8年以降は原告には助言の依頼をせず,現実には助言はしないまま審査に当たっており,他の教員とは同列ではない。 被告としては,原告の立場も考慮し,契約打ち切りを平成16年度の1年間は猶予したものの,これ以上の譲歩をすることはできなかったものである。 d 原告は,原告の雇用契約の打ち切りが,あたかも研究科長であるC教授の気持ち一つで決定されたかのような誤解をしているが,そのような事実は全くない。 従前からの英語学研究室への移行の約束と,B研究科全体の将来を見据えた上で,21世紀COEプログラムの推進と支援をいかになすべきかとの模索の中で,現状としては文学研究科の中の英米文学研究室にある原告のポストを打ち切らざるを得ないとの考え方で,B研究科教授会で決定されたものであり,B研究科教授会としては,原告との契約を終了させ,その外国人教師枠を21世紀COEプログラムの中で,任期付き教官定員として利用する方針を最終的に決定したが,そのために原告が他の仕事・就職先を探す便宜を考え,1年だけは更新して,猶予期間を与えて,雇用期間を平成17年3月末日までとし,それ以降は更新しない方針を決定したものである。 契約更新をしないこととした背景は,21世紀COEプログラムとの関係を抜きにしては理解できないことはもちろんである。しかし,それだけではなく,このプログラムの背景にある大学に対して求められてきた大きな流れ(大講座化,大学院重点化による教育研究の高度化,研究の先端化等)が理解されなければならない。この大きな流れの中,国の予算を億単位で獲得し,5年間という長期にわたって遂行されるのが21世紀COEプログラムであり,それだけに,この投資に見合っただけの成果を出すことが期待されており,その期待に応えられ,このプログラム遂行の補完ができる任期付き外国人教授の採用が目指されたのである。しかし,原告は,この流れ,背景等を全く理解しておらず,それは原告が他の教員のように大学運営のスタッフとは位置づけられておらず,1年単位での有期雇用契約者にすぎないことによるものである。 e 前記教授会の決定を受け,C教授は,原告に対し,契約の終了について,最初平成15年7月11日に口頭告知し,その後数回やり取りした。そして,平成15年9月19日,原告は,C教授に対し,契約が平成17年3月末日で終了することを了解し,次の仕事探しのため,契約終了の理由と原告の授業は良かったことを書いてほしいと依頼した。 C教授が原告に通知したのは,本来は平成16年3月末日に終了させたいところであるが,1年猶予し,平成17年3月末日に契約を更新せず終了させるとの点であり,雇用終了と21世紀COEプログラムとの関係等についての詳細な説明はしていない。 もともと,私法上の雇用契約においても契約を更新しないとの意思表示の際に事細かに理由の説明をする必要はない。まして,国家公務員法に基づき,1年ごとに契約を更新するものとして雇用された原告に対し,理由を説明する必要はない。その上,原告は,その職責上大学の運営・マネジメントに携わることがないので,大学組織の変更等と複合している21世紀COEプログラムについて詳細に説明したり話したりしなかったものである。 被告は,これまでの説明の中で,更新しない理由を明らかにしてきたのであるし,21世紀COEプログラムがA大学にとって重要な位置づけを持つプロジェクトであることは原告といえども理解しているはずである。 その後も,21世紀COEプログラムの位置付けの重要性から,原告のポストを定員枠に振り替えて21世紀COEプログラムで共同研究を行う外国人研究者の確保の要請は,強まりはせよ,弱まることはない状況である。 (4) 争点(4)(原告が被告との間で締結した期間の定めのある雇用契約を被告が打ち切ることは許されないか)について ア 原告の主張 (ア) 仮に,原告と被告との有期雇用契約が平成16年4月1日に新たに締結されたものであるとしても,平成16年4月1日からの有期雇用契約の開始時には,平成16年3月31日までA大学と原告との有期雇用契約が長年更新されて原告には有期雇用契約が更新されて定年まで勤務できるとの期待権が生じていた。 (イ) このような事情の下に,被告が原告と実質的に従前と同じ有期雇用契約を締結したのであるから,被告が平成17年3月31日をもって有期雇用契約を打ち止めとするためには合理的な理由が必要であると信義誠実の原則から解釈されるべきである。 (ウ) しかし,前記(3)ア(エ)のとおり,合理的理由はない。 イ 被告の主張 (ア) 平成16年4月1日に始まる被告と原告との雇用契約は,期間1年の契約とする旨を原告に告げ,また,その旨の文書も発送しており,契約更新の期待権が生じる余地はない。 (イ) 被告は,原告に対し,平成17年3月31日をもって被告との雇用契約は終了することを,念のため,改めて通知している。 (ウ) したがって,原告と被告との間の雇用契約は,平成17年3月31日をもって終了した。 (エ) ちなみに,被告が原告と新たな契約を結ばない理由は,前記(3)イ(カ)の理由と同様の理由である。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)(原告は外国人教員として国に任用されたか)について (1) 後掲証拠によれば,C教授は,平成5年10月,外国人教師の選考のための覚書(甲5)を文部省作成のひな形に基づいて作成し,原告あてに送付したが(乙11の1,証人C),それには,地位は外国人教師であり,教授会で認められれば,客員教授としての称号が与えられること,勤務期間は2年(互いの合意で毎年更新できること)とすることなどが記載されていたこと,原告の採用に当たり,原告は,A大学B部の「英文学講座外国人教師詮衡委員会」において,その職歴,業績等に照らし,英文学講座外国人教師として採用するに最もふさわしい者として推薦されたこと(乙12の1,2),このように原告の採用に当たっては,公募ではなく,招へい人事(個別人事)の形式が採られたこと(乙11の1,証人C),平成6年4月7日,A大学総長と原告は,原告をA大学B部英文学及び英語学担当の外国人教師(客員教授)として,同月1日から平成7年3月31日まで雇用するとの契約書を作成したこと(乙1の1の1,2),平成6年11月9日,A大学総長と原告は,給与額を改定する等の内容の更改契約書を作成したこと(乙1の2),平成7年4月3日,A大学総長と原告は,原告をA大学B部英文学及び英語学担当の外国人教師として,同月1日から平成8年3月31日まで雇用するとの契約書を作成したこと(乙1の3の1,2),平成7年10月30日,A大学総長と原告は,給与額を改定する等の内容の更改契約書を作成したこと(乙1の4),平成8年4月3日,A大学総長と原告は,原告をA大学B部英文学及び英語学担当の外国人教師として,同月1日から平成9年3月31日まで雇用するとの契約書を作成したこと(乙1の5の1,2),平成8年12月16日,A大学総長と原告は,給与額を改定する等の内容の更改契約書を作成したこと(乙1の6),平成9年4月1日,A大学総長と原告は,原告をA大学B部英文学及び英語学担当の外国人教師として,同日から平成10年3月31日まで雇用するとの契約書を作成したこと(乙1の7の1,2),平成9年12月12日,A大学総長と原告は,給与額を改定する等の内容の更改契約書を作成したこと(乙1の8),平成10年4月1日,A大学総長と原告は,原告をA大学B部英文学及び英語学担当の外国人教師として,同日から平成11年3月31日まで雇用するとの契約書を作成したこと(乙1の9の1,2),平成10年10月19日,A大学総長と原告は,給与額を改定する等の内容の更改契約書を作成したこと(乙1の10),平成11年4月7日,A大学総長と原告は,原告をA大学B部英文学及び英語学担当の外国人教師として,同月1日から平成12年3月31日まで雇用するとの契約書を作成したこと(乙1の11の1,2),平成11年11月25日,A大学総長と原告は,給与額を改定する等の内容の更改契約書を作成したこと(乙1の12),平成12年4月3日,A大学総長と原告は,原告をA大学B部英文学及び英語学担当の外国人教師として,同月1日から平成13年3月31日まで雇用するとの契約書を作成したこと(乙1の13の1,2),平成13年4月6日,A大学総長と原告は,原告をA大学B部英文学及び英語学担当の外国人教師として,同月1日から平成14年3月31日まで雇用するとの契約書を作成したこと,同契約書において,俸給月額及び調整手当は,従前の額より増額されたこと(乙1の14の1,2),平成14年4月11日,A大学総長と原告は,原告をA大学大学院B研究科及びA大学B部の英文学及び英語学担当の外国人教師として,同月1日から平成15年3月31日まで雇用するとの契約書を作成したこと(乙1の15の1,2),平成15年4月10日,A大学総長と原告は,原告をA大学大学院B研究科及びA大学B部の英文学及び英語学担当の外国人教師として,同月1日から平成16年3月31日まで雇用するとの契約書を作成したこと,同契約書において,俸給月額及び調整手当は,従前の額より減額されたこと(乙1の16の1,2)が認められる。 甲3,乙2,3の1の2,3及び弁論の全趣旨によれば,前記契約書の「雇用」との文言のほか,給与等の勤務条件について,契約によって定められていることに照らせば,A大学総長と原告との間で作成された前記契約書に基づく契約とは,国家公務員法2条7項所定の「政府又はその機関と外国人との間に,個人的な基礎においてなされる勤務の契約」としての外国人教師としての雇用契約(公法上の契約)であると認められる。 (2) これに対し,原告は,平成6年4月1日の採用以来,毎年契約書を締結してきたが,これは「日本国政府の会計行政によるもので」(甲1のC教授の原告あての手紙の記載)あり,その契約書は形式的なものにすぎず,国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関する特別措置法に基づいて,A大学の外国人教員として国に任用されたものであると主張する。 しかし,甲1によれば,C教授は,平成6年1月,原告に対し,招へい期間は1994年(平成6年)4月1日から1996年(平成8年)3月31日までの2年間であること,最初の契約は,A大学に到着の翌日から会計年度の終期までの期間で調印し,次期新会計年度に契約を更新することになること,これは日本国政府の会計行政によるものであること,最初の2か年の任期満了後においては,相互の合意により1年ごとに契約を更新することができることを手紙で伝えていることが認められる。 そして,甲3によれば,昭和44年4月16日文大庶第251号各国立大学長あて文部事務次官通知「外国人教師の取り扱いについて」は,国家公務員法2条7項に基づく外国人教師の雇用契約に関して,雇用期間等について,「外国人教師との雇用契約の期間は1年をこえないものとし,会計年度の中途で契約する場合はその終期を当該年度の末日とする。ただし,この期間は,必要に応じて更新することができる。なお,外国人教師を国外から招へいする場合の招へい期間は,帰国旅費の支給の関係から,原則として2年とする。」と定めていることが認められる。 そうすると,甲1の手紙の内容は,前記「外国人教師の取り扱いについて」に沿うものであると認められる。 したがって,甲1の手紙の「これは日本国政府の会計行政によるもので」との文言から,原告が,国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関する特別措置法に基づいて,A大学の外国人教員として国に任用されたものであると認めることはできない。 また,甲19の2によれば,平成15年11月12日開催のA大学B研究科教授会でのC教授の説明メモには,平成16年度は,平成16年4月にA大学が独立行政法人化することに伴い外国人教師の任用は経過措置となり,平成16年度も継続して雇用することにしたが,原告に関しては雇用を平成17年3月31日までとし,更新は行わない旨の記載があり,外国人教師の「任用」という表現がされていることが認められるが,雇用の更新が予定されているものであって,甲19の2の「任用」という表現から,原告が外国人教員として国に任用されたものと認めるには足りない。 他に原告が外国人教員として国に任用されたものと認めるに足りる証拠はない。 (3) 原告が外国人教員として国に任用されたものではなく,国家公務員法2条7項に基づき外国人教師として雇用されたものであると認められる以上,原告には国立大学法人法附則4条の適用はなく,A大学総長と原告との間の雇用契約を被告が当然に承継することはないと解される。 2 争点(2)(原告がA大学と締結した雇用契約は,期間の定めのないものとなったか)について (1) 前記1(1)で認定した事実によれば,原告がA大学総長と締結した雇用契約書には,雇用期間を1年とすることが明示されていたこと,雇用期間の満了時に契約を更新する際には,その都度新たに雇用期間を1年とする契約書が作成されたこと,平成14年4月11日に作成された契約書において,それまでの職務内容がA大学B部英文学及び英語学担当の外国人教師であったものが,A大学大学院B研究科及びA大学B部の英文学及び英語学担当の外国人教師と改められたこと,平成13年4月6日に作成された契約書において,俸給月額及び調整手当は,従前の額より増額され,平成15年4月10日に作成された契約書において,俸給月額及び調整手当は,従前の額より減額されたことが認められる上,雇用契約の更新においては,毎年10月末か11月ころに次年度のカリキュラムを考える際に,C教授と原告が協議した上,教授会において更新が決定されたものであり(証人C),原告は,契約書にサインをする際,いったん自宅に持ち帰って注意深く読んでからサインをしたことがあったこと(原告本人)が認められる。 (2) 以上の事実によれば,雇用期間の満了による契約更新の都度,具体的勤務条件について協議の上,契約書が作成され,契約更新の際に職務内容,給与額が変更となったことがあるのであるから,原告とA大学総長との間の契約が,更新により平成6年4月から平成16年3月31日まで継続したからといって,期間の定めのない雇用契約に転化したものと認めることはできない。 (3) なお,前記のとおり,原告が外国人教員として国に任用されたものではなく,国家公務員法2条7項に基づき外国人教師として雇用されたものであると認められる以上,原告には国立大学法人法附則4条の適用はなく,A大学総長と原告との間の雇用契約を被告が当然に承継することはないと解されるから,原告とA大学が締結した雇用契約が期間の定めのないものに転化したか否かにかかわらず,その雇用契約を被告が承継したと認めることはできない。 3 争点(3)(原告がA大学との間で締結した期間の定めのある雇用契約上の関係が被告に承継されたか)について (1) 原告は,原告にはA大学との間の有期雇用契約につき契約更新に対する期待権が生じていたところ,A大学と原告とのこの雇用契約上の関係は,被告の成立後も被告が原告との有期雇用契約を実質的に更新したことによって被告がこれを承継した旨主張する。 (2) 確かに,後掲証拠によれば,C教授は,平成15年10月29日,原告との間の外国人教師雇用契約を平成16年度においては更新するが,雇用契約は平成17年3月31日を限りとして,それ以後の雇用契約の更新はない旨を手紙(甲6)で伝えていること,C教授から原告に送付された平成15年12月4日付け書面(甲19の1)に添付された同年11月12日開催のB研究科教授会での説明メモ(甲19の2)には,平成16年度は,平成16年4月にA大学が独立行政法人化することに伴い外国人教師の任用は経過措置となり,平成16年度も継続して雇用することにしたが,原告に関しては雇用を平成17年3月31日までとし,更新は行わない旨の記載があること,平成15年11月12日開催のB研究科教授会の議事概要(乙22の2)に同旨の記載があること,A大学副総長は,平成15年12月24日,原告の代理人弁護士に対し,A大学は,毎年外国人教師と契約更新の手続を行っており,原告に対し,平成16年度については雇用契約を更新し,当該契約期間の満了をもって雇用関係を終了させる旨を知らせている旨の本件回答(甲2)を送付していることに照らせば,C教授,A大学B研究科教授会及びA大学副総長はいずれも,被告が設立される平成16年4月1日以降も,A大学総長と原告との間で締結された雇用契約が被告と原告との間で更新されるものと認識していたと認められる。 (3) しかし,前記のとおり,原告が外国人教員として国に任用されたものではなく,国家公務員法2条7項に基づき外国人教師として雇用されたものであると認められる以上,原告には国立大学法人法附則4条の適用はなく,A大学総長と原告との間の雇用契約を被告が当然に承継することはないと解される。 そうすると,被告と原告との間の平成16年4月1日以降の雇用契約は,A大学総長と原告との間の雇用契約(公法上の契約)が更新されたものということはできず,被告と原告との間で平成17年3月31日までの期間の定めのある雇用契約(私法上の契約)が改めて締結されたものといわざるを得ない。 (4) したがって,被告がA大学と原告との間の雇用契約上の関係を承継したとする原告の主張は,採用することができない。 4 争点(4)(原告が被告との間で締結した期間の定めのある雇用契約を被告が打ち切ることは許されないか)について (1) 乙27によれば,被告は,平成16年12月17日,原告の代理人弁護士に対し,平成17年3月31日をもって原告と被告の間の雇用契約は終了する旨通知しており,雇用契約の更新を拒絶したものと認められる。 (2) 前記のとおり,被告と原告との間の平成16年4月1日以降の雇用契約は,A大学総長と原告との間の雇用契約が更新されたものではなく,被告と原告との間で平成17年3月31日までの期間の定めのある雇用契約が改めて締結されたものというべきであるが,原告とA大学総長との間で締結された雇用契約は,平成6年4月以降,9回の更新により,平成16年3月31日までの10年間継続してきたものであること,その間に原告が従事していた職務は,A大学B部ないしA大学大学院B研究科及びA大学B部の英文学及び英語学担当の外国人教師であり,臨時的な職務ではなく,恒常的に存在する職務であると認められること,外国人教師の中には,雇用契約が5年間を超えて更新されないものと明示されていた者がいたが(甲10の1ないし3),原告の場合には,相互の合意により1年ごとに契約を更新できるとされ,更新継続期間の限定はされていなかったこと,外国人教師の中には,20年以上にわたって雇用契約の更新継続がされた者がいたこと(甲10の4,5,甲35),C教授,A大学B研究科教授会及びA大学副総長のいずれもが,被告が設立される平成16年4月1日以降も,A大学総長と原告との間で締結された雇用契約が被告と原告との間で更新されるものと認識していたこと,原告が被告との間で締結した雇用契約による職務は,それまでのA大学総長との間の雇用契約による職務と同内容のものであると認められること(甲15,36,弁論の全趣旨)に照らせば,平成15年10月29日のC教授の手紙,同年12月4日付けのC教授の作成書面に添付されていた同年11月12日開催のB研究科教授会での説明メモ及び同年12月24日のA大学副総長の本件回答によって,平成16年4月1日以降の原告との間の雇用契約は,平成17年3月31日までであり,それ以後の雇用契約の更新はないことが原告にあらかじめ伝えられていたことを考慮してもなお,原告としては,原告と被告との間で締結される雇用契約についてある程度の継続を期待する合理的理由があったものといわざるを得ない。 したがって,被告が原告との間の雇用契約の更新を拒絶する場合,解雇に関する法理が類推され,その更新拒絶には合理的な理由が必要であると解される。ただし,原告と被告の間の雇用契約が有期契約である以上,その更新拒絶の基準は,期間の定めのない従業員を解雇する基準よりは緩やかなものであると解するのが相当である。 (3) 前記争いのない事実等に,甲33,乙11の1,乙23,証人E,同C,原告本人及び後掲証拠並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。 ア A大学B部では,平成8年に大講座制が導入され,英米文学研究室と英語学研究室が英文学研究室から独立したが,その分離独立の経緯から,原告の外国人教師ポストは英語学研究室にもある程度の利用権があることが両研究室間での合意事項とされていた。 しかし,英語学研究室としては,上記外国人教師ポストを英語学研究室に移行するよう要求しても,英文学研究室が困るだけであるので,平成8年度から平成16年4月まで,別途外国人ポストを概算要求する道を選んでいた。 ところが,総定員法の枠組みの中でこの概算要求が認められることはなく,平成15年7月に国立大学法人化法案が議会で可決され,同年10月1日から施行された後は,かかる概算要求を出すことすらできなくなった。 イ 平成13年6月の「大学の構造改革の方針」に基づき,21世紀COEプログラムとして,平成14年度から文部科学省に新規事業として「研究拠点形成費補助金」が措置された。同プログラムは,我が国の大学に世界最高水準の研究教育拠点を学問分野ごとに形成し,研究水準の向上と世界をリードする創造的な人材育成を図るため,重点的な支援(研究拠点形成費補助金)を行い,もって,国際競争力のある個性輝く大学づくりを推進することを目的とし,①人材育成機能を持ち,②世界的な拠点形成が期待でき,③特色ある学問分野を開拓し,創造的,画期的な成果を出し,④事業終了後も世界的な研究教育拠点であることが求められている国家的事業である(乙28)。 平成14年4月1日の文部科学大臣決定により,「研究拠点形成費補助金交付要綱」(乙24の3)が定められ,「この補助金は,学問分野別に評価を行い,主として研究面においてポテンシャルの高い専攻等が世界的な研究教育拠点を形成するために必要とする経費を専攻等の研究者からなる研究グループに対して補助することを目的とし,もって世界最高水準の大学づくりを推進し,我が国の科学技術の水準の向上及び高度な人材育成に資するものとする。」などとされた。 平成14年9月30日,21世紀COEプログラム委員会において,「平成14年度「21世紀COEプログラム」審査結果について」と題する書面(乙28)が作成され,研究拠点形成費補助金は,当該分野における研究上,優れた成果を挙げ,将来の発展性もあり,高度な研究能力を有する人材育成機能を持つ研究教育拠点の形成が期待できるものなどに対し,重点的支援を行うものであるなどと定められた。 ウ 平成14年10月,A大学が申請していたB研究科の「H」と題する事業が21世紀COEプログラムの補助金の交付対象と決定され(乙8の1),平成15年度においても,同事業は,研究拠点形成費補助金の交付対象と決定された(乙24の2)。 平成14年10月7日,I振興会により,「《21世紀COEプログラム》研究拠点形成費補助金(研究拠点形成費)取扱要領」(乙24の4)が定められ,事業の遂行に必要となる外国人を含む研究員等の雇用等をする場合の方法が示された。 平成15年11月21日に21世紀COEプログラム委員会が作成した「「21世紀COEプログラム」評価要項」(乙29)によれば,評価項目として,「若手研究者が有為な人材として活躍できるような仕組みを措置し,機能しているか」というものがあり,平成16年4月1日,被
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