約 263,352 件
https://w.atwiki.jp/zensensyu/pages/2856.html
大神 179 名前:大神 :2008/02/18(月) 16 47 40 ID qBUzIYJk0 「大神」キャラ入場!! イザナギ神話は生きていた!! 百年の封印を恨み八首妖怪が甦った!!! アル中!! ヤマタノオロチだァ――――!!! 筆しらべの業はすでに我々が完成している!! 蘇神・絶神・花三神・爆神・弓神・風神・濡神・燃神・幽神・壁神・撃神・凍神だァ――――!!! 花咲きしだい脱ぎまくってやる!! 桃胸桃尻代表 木精サクヤだァッ!!! 旅の水先案内ならオイラの名筆がものを言う!! 豆粒サイズの大和男子 性格エロガキ 旅絵師イッスン!!! 真の神楽を知らしめたい!! 神木村長老 ミカン爺だァ!!! 洗濯は家事一般だが桜餅作りなら全工程私のものだ!! 深夜の瞬獄殺 ミカン婆だ!!! 酒造りは完璧だ!! イザナミ子孫 酒職人クシナダ!!!! 剣士のベスト・コンディションは瞑想という名の睡眠にある!! イザナギの末孫が来たッ 大剣士スサノオ!!! 脚力なら絶対に敗けん!! 飛脚の俊足見せたる 特急野郎 イダテンだ!!! 神出鬼没(どこでもあり)ならこいつが怖い!! 小柄流道場のスパルタン・頭首 小柄鬼斬斎だ!!! ナカツクニ中から炎の商売人が集結だ!! 仕入先不明 行商人多数!!! 先祖の植えた木が見たいからトラベラー(旅人)になったのだ!! 一族の故郷を探してやる!!サザンカ&ツバキ!!! 祭の夜空に花火とはよく言ったもの!! 奇人の研究が今 夜空でバクハツする!! 炎の花火師 タマヤ先生だ―――!!! 大自然の厳しさと釣りこそが立派な男の代名詞だ!! まさか愛犬まできてくれるとはッッ 森の子コカリ&梅太郎!!! 挑発したいから何度もきたッ 正体一切不明!!!! 西安京の変態(ストーカー)陰陽師 ウシワカ イズ ヒア!!! 私が高宮平最強ではない仕えているクサナギ伍が最強なのだ!! 御存知里見家 神主フセ姫!!! 雀の宿は今や赤字経営にある!! 親分の気持ちの汲める奴はいないのか!! スズメ組 ジャンバ太夫だ!!! ボイィィィィィンッ説明不要!! 妖艶!!! 摂政!!! 尼僧ツヅラオだ!!! 獅子脅しはダウジングで使えてナンボのモン!!! 超実戦竹細工!! クサナギ村から竹取爺の登場だ!!! オロチ様のハートはワタシのもの 最高の前菜は思いきりこだわり思いきり料理するだけ!! 十六夜の祠料理長 味美 記憶を探しにあそこへ行くッ!! 悩める絶世の美女 月光美人カグヤ!!! 弓術に更なる磨きをかけ ”リンゴ兄さん”当たり屋ヨイチが帰ってきたァ!!! 今の自分に仮面はないッッ!! 陰陽師特捜隊アベノ隊員!!! 龍神族族長の秘術が今ベールを脱ぐ!! 竜宮から オトヒメだ!!! 水龍の前でならオレはいつでも全速力だ!! 竜宮の使者 シャチ丸 安直な名前で登場だ!!! 女王の仕事はどーしたッ 頭上の炎 未だ消えずッ!! 智謀も未来も覚悟の上!! 西安京女王ヒミコだ!!! 特に理由はないッ 宝剣クトネシリカが強いのは当たりまえ!! 村の皆にはないしょだ!!! 日の下開山! オイナ族戦士オキクルミがきてくれた―――!!! あやかしの森で磨いた実戦走法!! ヨシペタイのブラウン・デビル カイポクだ!!! 戦士だったらこの人を外せない!! 超A級苦労人 村長サマイクルだ!!! 超一流大神様の超一流の相棒絵師だ!! 絵巻で拝んでオドロキやがれッ 六代目の天道太子!! イッシャク!!! ヤマタノオロチ伝説はこの男が完成させた!! 神木村の切り札!! 大剣士イザナギだ!!! 天照る神が帰ってきたッ いつまで待たせるンだッ 白わんこッッ ナカツクニは君を待っていたッッッ 慈母アマテラスの登場だ――――――――ッ 加えて負傷者発生に備え超優秀な里見の戦士を8名御用意致しました! 仁狗 豆柴!! 忠狗 甲斐犬!! 義狗 シベリアンハスキー! ……ッッ どーやらもう五名は道草をしている様ですが、腹一杯になり次第ッ到着の予定ですッッ 関連レス コメント 名前
https://w.atwiki.jp/indexorichara/pages/1960.html
【名前】アニル=カルティケヤ 【性別】男 【所属】魔術/『七曜の星』 【能力】アグニの杖 【能力説明】 インド神話の神アグニをモチーフとした杖状の霊装。 基本的にアグニは火の神であるが、火に関する様々な特性を持ち、火のあらゆる属性の神格化であるが、特に儀式に於ける祭火として重視される。 エーテル(第五物質)の象徴武器たる『蓮の杖』と酷似しているが、魔力を通すと花弁が開き、そこから赤い炎の飾りに包まれた金で出来た球体が現れる。 伝承通り炎を操るが杖の振り方によって炎の効果が変化するという特性を持つ。 『天上にあっては太陽』という伝承から杖を天に掲げる事で爆炎を全方位に放つ。 『中空にあっては稲妻』という伝承から杖を前方に向ける事でその方向に雷撃を矢の如く発射する。 『地にあっては祭火』という伝承から杖を地に着ける事で、その箇所に炎を灯す。この炎は祭火として様々な効果を持つはずなのだが、今のアニルの技量ではこれが限界。 しかし、アニルが一番最重要視しているのは上の三つの機能ではなく、『人間や動物の体内にあっては食物の消化作用として存在し、栄養を全身に行き渡らせて健康をもたらす』との伝承を利用した炎による調理。 この炎で焼かれた食材は美味であり、また傷や疲労もある程度回復する。 つまり戦術的に使える霊装を料理の際に一番使用しているという事である。 【概要】 10代後半のインド人の青年。性格は穏やか、温厚な草食系。 『七曜の星』の『アリオト』の名を持つ幹部であり、同時に料理長でもある。非常の際は戦闘員として動くことも。 海底鉱脈探索事業や、魔術結社の仕事で疲れた人員に料理をふるまう事が彼の仕事。 料理に拘りがあるのか、お残し等の料理を侮辱する行為に厳しく、その時だけは普段の彼からは考えられないような物騒な発言と行動が出る。 よくて包丁飛ばし、マジ切れすると『アグニの杖』を容赦なく使う。 昔はカレーばかり出したり、家電に頼らず『アグニの杖』による炎を使った丸焼き一択の頃もあった。 しかしボスによる抗議(物理)でカレー以外の料理も出すようなったり、学園都市製の家電も手足の様に扱っている。ちなみに金曜日だけは必ずカレーである。 最近では北極で採れる魚や動物をどう調理するかなど、魔術からどんどん道に外れているような気がしている。 アウトドア料理の際は鬱憤を晴らすかのようにアグニの杖を使う。 故郷では貧しい身分と家で、一家で成りあがる為に密かに魔術を学んでおり、『アグニの杖』は家族の忘れ形見。 しかしそれを周囲は許さず、襲撃にあい自分以外は殺される。 命からがら逃げていたところをドロミーティに助けられ、『七曜の星』に入団した。 その胸に秘めているのは『身分のない平等な世界』、引いては『それにつながるであろう文明や技術と言ったオーバーテクノロジー』。 その為にもし必要であるならばこの世界を滅亡や、その一歩手前にしても構わないと考えているが、そう考えるたびに自分を救ってくれたボスの恩とで板挟みになる。 【特徴】 黒髪褐色肌で、老け顔と顎に生やしたちょび髭のおかげで10代ではありえないであろう父性を放っている。 服装は深紅色のコック服に、黄色の布を巻いている。 【台詞】 「北極海周遊ツアーの料理に、今日のメンバーの晩御飯。さぁ僕たちにサボりは許されないよ。一同馬車馬のように働こうじゃないか。」 「ディアンドル。今日の夕飯は北極で取れたカニを使ったトマトソーススパゲティです。あと、明日は金曜なのでカレーです。」 「お残しは許さないよ?もし食べ物を粗末に扱ったら…………ショ・ク・ザ・イ・カ・ク・テ・イ・ネ。」 「さて、余りガラじゃないけど、たまには慣れないこともイイかな?焼き尽くせ、『アグニの杖』!!」 「だれもが当たり前に笑える世界を夢見て、北極まで『手段』を求めた。でも、もしそれを成す為に人類の繁栄に一度終止符を打たねばならないのなら……ああ、ダメだ。こういう考えをすると、覚悟が鈍る。 だって、ディアンドル。貴方はあの地獄から僕を救ってくれたんですから。」 【SS使用条件】 ご自由にどうぞ
https://w.atwiki.jp/enalsace/pages/16.html
40年に渡って三ツ星を守り続ける老舗レストランAuberge de l ill~Illhausen マニアック度★☆☆☆☆ 行きにくさ★★★☆☆ Colmarからバス有 南部Haut-Rhin県の県都Colmarからほど近いところに、イルハウゼンIllhausenという小さな村があります。 さしたる観光ポイントもないこの村ですが、ここにはアルザスで唯一ミシュランの三ツ星を獲得しているレストランAuberge de l illが店を構えています。 1952年に初めて一つ星を獲得して以降、星を落とすことなく順調に星を獲得していったオーベルジュドリル。三ツ星を獲得したのは1967年のことですが、それ以来料理長の代替わりを経験しながらもなお星を守り続けているという、フランスの代表的な名店の一つです。 ここは、「ご成婚前の皇太子浩宮様と雅子様がお忍びでアルザスにいらした際、とあるホテルは二人の滞在を宣伝材料に使って顰蹙を買い、とあるレストランは公式発表になるまで一切口を閉ざして株を上げた」というエピソードでも知られています。当時の写真は店内に飾られていますが、ご成婚前とあってか写っているのは残念ながら(?)浩宮様お一人です。 このレストラン、まがりなりにも三ツ星ですから、味とサービスについて特に説明することもないでしょう。それ以外に特筆すべき点があるとすれば、それは中庭とワインリストです。 Auberge de l illには、アルザスの美しい景色を紹介する日本の冊子で取り上げられたこともあるほどの緑豊かで美しい中庭があります。暖かい季節はその中庭で食前酒をいただき、その後室内に移動して食事という形になります。 この、食前酒を片手に川や庭を眺めながらゆったりと過ごす時間は、「贅沢」の一言に尽きます。もしここに興味があるのなら、春~秋を強く勧めたいですね。 ワインリストは、ワイン好きの方にとってはとても面白いものであるようです。私は詳しくない人間ですのでうまく解説出来ませんが、1930年代のワインもあり、赤ワイン好きの連れが興奮していました。 ここを訪れる機会があれば、以上2点に注目してみてください。 おまけの二言○日本支店 Auberge de l illは名古屋に支店を出しているので、その名に聞き覚えがある方も少なくないでしょう(何故東京ではなく名古屋かというと、おそらくアルザス日本代表部が名古屋にあるという縁からだと思われます)。 名古屋支店はご予算5万/人と小耳に挟みましたが、本店はそれほどではないように思います(飽くまで個人的主観)。 ○中庭での過ごし方 中庭では、「食前酒を飲みながらのんびりメニューを選ぶ」ものだと思っていましたが、早々に注文を取りに来られてビビりました。どうやら、「メニューはとっとと決めて、食前酒片手にくっちゃべる」のが普通だったようです。 Auberge de L Ill 2 r Collonges au Mont d Or 68970 ILLHAEUSERN tel 03 89 71 89 00 fax 03 89 71 82 83 Auberge de L Ill HP (7月に訪れた方がネットで酷評していましたので、それが今も真実であるならば7,8月は避けたほうが無難なのかもしれません。理由は長くなるのでこちらにて)。 なお、2007年に三ツ星を獲得した女性シェフのレストランがあるのは、アルザスではありません。アルザス北部Bas-Rhin県との県境に近い、moselle県のUntermuhlthalという小さな村にあります。
https://w.atwiki.jp/tsvip/pages/202.html
細い裏路地をひた走る俺と少女。 俺と少女の距離は徐々に縮まり、ついに俺はその手を掴んだ。 「さぁ、もう逃げられないぞ。なんでこんなことしたんだ?」 「そ、そんなの僕の勝手でしょ! それより腕放してよ……いたいよ……」 「納得出来る説明と代金を支払ってくれたらな」 俺はとあるファミリーレストランの店長を勤めている。 休憩室の監視モニターに映っていた不穏な動きの女の子は、案の定、会計を済ませずに店を出た。 俺はすぐに裏口から店を飛び出、そして、今に至る訳だ。 目の前の少女は判りやすく焦り始めた。 常習犯みたいな奴らではなくて、おおかた家出の果ての行動といった感じなのだろう。 事情を話して家族の方にでも迎えに――― 「ぼ、僕はお金ないけどあの人が払ってくれるもん! だから放して!」 少女は通りかかった人を指差した。 嘘だというのが見え見えな上、まるっきり無関係な警察官……警察官!? 「ん? 何かありましたか?」 「―――っ!?」 振り向いたその姿を見て、少女は硬直した。 彼らに家出中だなんて事がばれたら強制送還決定だろう。 少女は固まったまま動かない。 小さな頭でこの状態を脱却する術でも考えているのだろうか? ……ったく、俺も甘いもんだ。 「……おい、お前いいのか?このまま連れていかれても」 少女は涙目になりながらこちらを振り向いた。 年端も行かない女の子の腕を掴む姿は危ないかもしれないが、話せばこちらに分があるのは彼女もわかっているだろう。 「な、なんでも、なんでもないです! ね? なんでもないよね? パパ!」 なんとか口裏を合わせて欲しいと目で訴えかけてくる少女。 しかし警察官の方を見てみると、存外怪しがられているのが見て取れる。 それはそうだろう。 俺がこのくらいの娘を持つにはまだまだ早すぎるのだ。 「……娘さん……ですか?」 明らかに疑いの目でこちらを見ながら、警官は尋ねて来た。 横目で少女を見ると、涙目で何かを訴えるようにこちらを見ている。 ……とりあえず話を合わせてやるか。 「えぇ、買い物に付き合ってたんですが、ウロチョロされて見失ってしまいまして…」 「………」 俺は悪いことはしていないのに、責めるような目で見られている。 なんて損な役回りなんだろうか。 「…それで、やっと見つけたところなんです」 もう少しだ…後はこの格好を上手く説明できれば…… そう、思った時だった。 やはり何かを焦っている様子の少女は、俺の腕を引いて来た道を戻ろうとし始めた。 「あ、あはは、捕まっちゃったー♪ お巡りさん、用事も無いのに声掛けちゃってゴメンナサイ。 さ、パパ行こう?」 ……こいつはいつも、こんな風に親と接しているのだろうか? いや、そうだとしたらこんなにぎこちない装いはしないだろう。 むしろ、その逆―――? 「ねー、パパぁ、抱っこしてー♪」 あぁもうこの野郎……! 捕まりたいのか捕まりたくないのか…… 「あ、ちょっと! お二人は親子なんですよね? でしたら何か、身分を証明できるものを」 案の定呼び止められた俺は困り果てていた。 身分証明も何も、食い逃げ犯と店主という関係なのだからそんなものある訳は無いのだ。 振り向かないように横目で少女を見ると、顔が真っ青だ。 俺は警官に気付かれないように小声で少女に話し掛けた。 「おい、俺と一緒に捕まってもいいのか?」 少女は小さく首を振って、俺の袖をキュッと握った。 今にも泣きそうな表情だ。 こんな顔されたら、助けない訳にも行かないだろう。 「……助けて……」 少女は力無くそう呟き、俺の後ろに隠れた。 やれやれ…… 俺は一つ息を吐き捨てて、勢い良く振り返った。 「お巡りさん、すみませんでした!」 呆気に取られる彼を見ながら、俺は続けた。 「実を言うとこの子と昨日喧嘩をして家を飛び出してしまいまして…先程家内から連絡を受けて連れ戻しにきたんですがゴネられて…」 「……それで今、身分証明はもってきていないんです」 よくもこれだけ嘘を並べられるものだ。 自分でも驚きだが、それでも疑り深い人ならばまだ疑って掛かるはず…… 「あの…お父さん、顔を上げてください、もういいですよ。こちらこそ、しつこくしてしまってすみません」 「じゃあ、私はこれで……」 今までこれほどに安堵したことはあっただろうか? 何と言うか、切り抜けられた事で緩みそうな顔を隠しながら、警官の背中を見ていた。 自転車を漕ぎながら小さくなっていく背中は、何故か淋しげだったのを覚えている。 「ふぅ……助かった」 「あの…ありがとう」 立つのも精一杯という感じで少女が服の裾を掴んでいる。 「……まぁ…とりあえずはよかったな」 俺は少女の腕を離し、店への道を歩いた。 何故かはわからない。ただ彼女は逃げないような気がして。 案の定少女は逃げようともせずに後をついて来た。根はいい子なんだろう。 -------------------------------------------------------------------------------- 「ちょっと、店ほったらかして何処行ってきたのよ!? その娘、誰!?」 「ご、ごめんなさいっ! ごめんなさいっ!」 厨房まで入ると、フライパンを持った料理長に詰め寄られた。 独特の強気かつ早口で叩きつけるようにそう怒鳴りつけると、何故か少女が頭を下げた。 その謝り方に引っ掛かるものを感じつつも、俺は場を制した。 「あー、スマン、何でもないんだ!みんな仕事に戻ってくれ」 そう言って俺は少女を連れて事務所へと入った。 少女は申し訳なさそうにソファに腰掛ける。 「……さて、じゃ、聞かせてもらおうかな?」 俺は少女に尋ねた。……扉の外に、料理長がいることにも気付かないまま。 「その……僕、家出中なんです。 それでお小遣いも無くなっちゃったしお腹もすいたし どうしようって思ってたら、美味しそうな匂いが……」 「それで、その……ごめんなさい! お金は、いつか返しますから……」 納得が、いかなかった。 確かに金がなくなったのも、弾みでこんな事をしたのも確かにそうなんだろう。 嘘はついてはいない、とは思える。 ……けど、何かが引っかかる。 まるで何よりも、家に帰らない事を優先しているかのような話し方。 それに、金が無いまま解放したとしても、同じようなことを繰り返すか、あるいは――― -------------------------------------------------------------------------------- 「……君……此処で住み込みで働いてみるか? 幸い生活するには事欠かない部屋がある。 ……どうする?」 俺は彼女に一つ取引を持ち掛けた。 キョトンとした顔で首を傾げる姿が愛らしい。 しかし、答えを聞く前に、大きな音を立てて入口の扉が開かれた。 「……だから、なんであんたはあたしに黙ってなんでもかんでも決めるのよ!!!」 「そういう大切なことはあたしに相談してから決めろって言ったでしょ!? ―――黙ってないで何とか言え!!」 「ご、ごめ……なさ……」 料理長が割り込んで来た刹那、怯えるように謝り出した少女。 先程まで良かった血色も見る間に青ざめ、その蒼白の頬を涙が伝う。 「……ごめんなさい…ごめ…なさい……」 困惑する料理長を横目に俺はふと思う。 ……この娘は何を背負ってきたんだろう。 誰に赦しを請うのか、何に対して謝罪を繰り返すのか。 幾度目かの「ごめんなさい」を終えた後、少女はそのまま倒れた。 多分貧血だろう。俺は休憩室の押し入れから毛布を出して掛けてやった。 「さて……何処から聞いていた?」 俺は呆然と立ち尽くす料理長に声を掛けた。 ……オイオイ、指をつつきながら目を泳がせるって……お前仮にも元男だろうが。 -------------------------------------------------------------------------------- 「そりゃあ・・・その子が家出してきたってところから・・・ってちょっと、なんであたしが責められてんのよ」 「逆にこっちが聞かせてもらうけどさ……その子、住み込みで働かせるって話、本気?」 「……あぁ、本気だ。 ただ―――」 俺の言葉は、ヤツによって遮られた。 「本気で?どこの誰かもわからない子を?」 「あたしは絶対反対よ。 今日会ったばかりの子をどうして店に、しかも住み込みで置けると? 納得できる説明が欲しいものね!」 降りしきる言葉の雨は、止まることを知らないのだろうか。 話を最後まで聞いてもらえない理不尽さに苛立ち、少し口調を強めて言い返す。 「……話は最後まで聞けよ!」 先程まで強張っていたヤツの肩が竦んだ。 こういう所は昔から変わっていない。 「この子だって何か理由があって家を出たんだろう? 働かせるにしても、追い帰すにしてもそれを聞いてからだって遅くはないだろ? それに、お前だって―――」 脳裏に過ぎる高校時代。 こいつが女体化してしまった時の記憶。 「家に帰りたくない」と家に泊まりに来たことがあった。 -------------------------------------------------------------------------------- 典型的な母子家庭だった我が家。 俺は物心付く前から母の実家に住んでいた。 俺が中学の頃亡くなった爺さん。 そして爺さんを亡くした婆さんも間も無く他界していた。 母は高校へ進学した俺を養うために、寝る間も惜しんで働いた。 家に居ないことが殆どで、俺は自然と独りになる事が多かった。 ……雨の強く降る晩の事だ。夕食を済ませた俺が、洗いものを終えて居間にいる時…… ――カタン!…カタンカタン!――と、玄関の古い引き戸が三度音を立てた。 普通なら風の仕業だと気にしないところを、虫の知らせというヤツだろうか? 俺は静かに戸を開いた。 降りしきる雨の中、傘もささずに佇む一人の少女――幼い日の料理長――がいた。 「おい!こんな雨の中何をやってんだ!」 そう、叫ぶ間もなく、彼女は崩れ落ちた。 俺はずぶ濡れの彼女を抱えて家に入り、服を剥ぎ取って冷え切った体を拭った。 ―――なぜここに…? そんな考えが浮かぶが、今はそれ所では無い。 布団を引っ張り出し、彼女を寝かせた。 俺がびしょ濡れの服を洗濯し、戻ってくるとヤツは虚ろな目でこちらを見た。 「いよっ……何かあったか?」 いくら声を掛けても、反応は返ってくる事はなかった。 何が…あったのだろう。 寝返りを打って背を向けた彼女の背中に、男だった頃の面影は微塵もない。 俺は黙って立ち去った。 放って置く訳ではなく、温めていた飲み物を取りに。 -------------------------------------------------------------------------------- 飲み物を取って戻ると、少し開いた襖から中を見る。 轟々と降り続ける雨の勢いは止まる事を知らず、聞こえるのは窓を打つ雨音だけ。 目を懲らすと、覗いた襖の奥の布団が、微かに揺れている。 ―――泣いてんのか? 俺が勢い良く襖を開けると、布団が少し跳ね上がった。 「―――ホレ、飲め」 目を合わせようとしない彼女の頭を押さえ、俺はカップを差し出した。 カップを受け取ると、ヤツは温かいミルクをゆっくりと飲み始めた。 多分、泣いているのだろう。 小刻みに揺れる肩がなんとも小さく、か弱く感じる。 「―――風呂、入るか?」 何気ない一言に、ヤツはミルクを飲むのを止めた。 間を置いてその発言の意味に気付いた俺は、うろたえながら弁解を試みる。 「あ、いや!…そういう意味じゃなくてだな?…その…温まれって意味であって疚しいことは何も…」 「………もうコレいらない」 俺はカップを突き返されてしまった。 失敗した―――そう思っても時が戻る訳も無く、少し冷めたカップをお盆の上に戻す。 再びそっぽを向いてしまったヤツに掛ける言葉を探して、俺は布団の傍に座る。 しかし掛ける言葉が一向に見当たらず、ヤツも動かない。 ―――時間のせいもあるだろう。 俺は気付かぬ内に柱にもたれ掛かりながら、眠ってしまっていた。 -------------------------------------------------------------------------------- ふと温かい感触で目が覚めた。 俺を包み込むこの温かさは―――? 身じろぎをすると、座って寝ていた為、体中がポキポキ鳴る。 そして温かさはズルリと落ちた毛布だった。 コレは昨日彼女に掛けたもの。 目を横にやると、四つん這いで逃げようとする彼女がいた。 「―――ありがとな?」 その言葉に彼女は振り返ろうとしたのだろうか。 無理な体制が祟って倒れ込んでしまった。 俺は手を差し延べ、彼女を引っ張り起こした。 その手が柔らかくて、その腕が細くて、その体が軽くて―――俺は目を逸らす。 どうしてだろう、今までヤツに対して感じたことの無い感情を持ってしまっている。 途端に顔が熱くなる。俺はそれを隠すように立ち上がり、台所へ向かった。 襖を閉めた瞬間、大きな物音と共に外れる襖。そしてその上で鼻を押さえる彼女。 俺はティッシュを持って駆け寄った。 「おいおい、何してんだよ――アハハッ…」 鼻血さえ出ていないものの、鼻の頭が擦りむけて真っ赤になっている。 俺は思わず笑ってしまった。 俺の腹に乗ったまま拳を振り上げ、赤面し、硬直する彼女。 据え膳―――そんな言葉が脳裏を過ぎるが、煩悩を振り払った。 「お前…軽くなっちまったなぁ…」 「何があったかは聞かないぞ。 ここにも好きなだけ泊まってけば良い」 「―――ただ、避けるのは勘弁な」 俺に言える精一杯を伝えたつもりだった。 雨音は、まだ止みそうにも無かった。 -------------------------------------------------------------------------------- そのまま黙って横になっていると、彼女は立ち上がって出て行くようだった。 「ねえ……」 小さな声で呼び掛けられる。 彼女は俺に背を向けたまま、残った襖に手を掛けた。 「やっぱり…風呂、貸して……」 そう言った彼女は、はにかむ様に笑った。 タオルを渡し、何だか手持ち無沙汰になった俺は、洗い物を済ませてテレビをつけた。 結局その時は何事も無く、月日は流れ現在に至る。 しかしあの日を境にヤツが少しずつ周りに心を開き始めたのもまた事実だ。 俺はただ、安らかに眠るまだ幼いあの娘が未来を諦めてしまわないように祈るだけだった。 何も言わず行ってしまったアイツを追うことはしなかった。 長い付き合いだ。俺が変に頑固な所も知っているだろう。 胸に残る痛みは、消えない痛みなのだから。 俺はあの娘を寝かせた部屋のドアを開けた。 中では、呆けた顔をしたあの娘がいる。 「…起きたか?具合はどうだ?」 「あ……えと、大丈夫、です。 迷惑を掛けてしまって、ごめんなさい」 「……今更?」 俺の言葉に、少女は顔を赤くした。 俯くその顔が何だか可愛らしくて、少し笑える。 「クックックッ…冗談だ。 真に受けるな」 からかわれたのを怒っているのか、今度はほっぺを膨らませている。 「まぁ冗談はさておき…どうだ?俺に家出の理由を話してみないか?」 彼女ははっと目を見開いた後、言葉を紡いだ。 「……ただの、家出です。母さんがお小遣いくれないから家出しました」 「ほぅ、成る程な。 で、本当は?」 俺にだって店主として、大人として、人間としての人を見る目というものがあるわけで。 甘えたいだけの、そんな理由でこんな家出をする訳は無いとわかっている。 「―――っ! 嘘なんかじゃ……」 真っ赤な顔をした少女は、そう文句を言いたげに立ち上がった。 こちらへ歩み寄ろうとして、懐から零れるように落ちた、竹の筒のようなもの。 「あ…!」 余程大事な物なのか、それとも人に見られてはマズいものなのか… 少女は、困惑しながら俺に視線を投げ掛けた。 「それは……」 それはいつかテレビで観た、和楽器に似ていた。 「……そうです。 僕、普通の女の子じゃなくて……女体化者なんです」 少女の突然の告白は、大体予想のつくというか… 「何と無くだけど判ってた。…で?」 鳩が豆鉄砲を喰らったような顔ってこういう顔なんだろうか。 目をパチクリさせながら、口が半開きである。 「だから、俺が聞いてるのは家出の理由なんだが…」 「ふぇ?」 少女の顔に著れた驚嘆、そして―――憤怒。 怒りの理由がさっぱり解らない俺は、沈黙で返す。 「理由は……直接の原因は、僕の女体化です。 僕の家は、宮内庁に楽師を何人か輩出してる楽家なんです」 「雅楽の世界では女性は望まれない。そんな事は店長さんだって知っているでしょう?」 いや、初耳もいいところなんだが。 常識みたいに扱う話題でもないだろうに… 心の中でそうツッコミながら、俺は一つ息を付いた。 つまり女体化して、親に見捨てられた、と。 「そこまでは知らんよ。 ……ま、問題ないな。 バイトの経験は?」 「そこまでは知らんって、何を……」 「バイトの経験は?」 首を横に振る少女は、物言いたげに俺を見る。 厳しい家だったんだろう。 それではバイト経験が無くとも不思議ではない。 俺は電話を取ると、厨房にかけた。 「もしもし? あぁ、俺だが……そうだ。 メジャーは? ……あぁ……了解」 「よし、ちょっと移動だ。歩けるか?」 「何をするんですか?」 「……すぐ解る。 ホラこっちだ」 俺は少女を引き連れて階段を降りた。 着いたのはロッカールーム。中でヤツが待っているはずだ。 「さ、後は中にいる怖いお姉さんと仲良くやってくれ。 俺は上で待ってる」 少女を問答無用で部屋へ押し込み、俺は元の部屋に戻った。 -------------------------------------------------------------------------------- 少女を料理長に預けた俺は、部屋に戻り、机の奥からあの部屋の鍵を取り出していた。 小さな緑色のリボンがついたままの鍵。 くたびれたリボンは、昔からのままだ。 この店を建てたばかりの頃の事が浮かんでくる。 社会人になって、必死になって働いて、母さんの残してくれたお金でこの店を建てた。 実家を捨て、町を捨てた俺の唯一の止まり木だったんだ。 母は、俺が就職して三年目に息を引き取った。 肺炎だった。 俺を大学にまで通わせ、体に鞭を打ちながら働き続けた母との、悲しい別れ。 最後の瞬間、『ありがとう』と言い残して逝った母に、本当に俺は何かをしてあげられたのだろうか。 俺は、がむしゃらになって働いた。 休みなんて取ろうともせず、延々と仕事に打ち込んだ。 金持ちになって、裕福になって、幸せに暮らそうと思った。 ありがちかも知れないが、金があれば母さんは死ななかった。 そう思っていた。 ―――母さんと同じように俺が倒れたのは、それから一年が経った頃だった。 風邪を引いても気にせず仕事に打ち込んだ結果の事だ。 「ばーか。 自分の健康管理も出来ないで何が社会人様よ?」 「うるさいな。 ほっとけ」 あの時、家で高熱を出して朦朧としている俺を病院に運んでくれたのは料理長だった。 そのせいで、憎まれ口ばかりの賑やかな入院生活となってしまったのだが。 そしてその入院を境に、俺は会社を辞めた。 それは、今のレストランを開業するため。 マザコンという訳ではないつもりだが、自分が母親の死に縛られている事に気付けたのだ。 ……いや、正確には気付かされた、だろうか。 「あんた結局おばさんに何も教わってないじゃない! そんなんじゃ幸せになんかなれっこない!」 あいつはそう俺に言ったのだ。 俺のしていることは間違いだ、と。 何かを一から始めてみたくなった。 かっこ悪くても、多少貧しくても、充実した日々を過ごせるような事がしたかった。 このレストランは、そんな苦労の末、出来た場所なのだ。 「~~~~~けてんじゃないよ!!!!!」 階下から聞こえてくる声で、俺は我に返った。 どうやら長く感傷に耽り過ぎたらしい。 そろそろあいつがあの娘を叱咤している頃だろう。 俺は鍵をポケットに突っ込むと、部屋を出、階段をゆっくりと下りた。 廊下からは二人の声が聞こえてくる。 「居させてください。 僕がこれからどうすればいいのか、見つけさせてください」 「……上出来。 でも、甘やかして教えるつもりは無いよ。 チャーハンの道は険しいんだからね」 ……やはり、あいつに任せて正解だったらしい。 俺ではこう上手くはいかなかっただろう。 かわらないあいつに満足し、俺は厨房へと向かった。 -------------------------------------------------------------------------------- お玉と鍋のぶつかり合う音。 個々の食材が油に踊る音。 俺は厨房の中を見回しながら、満足していた。 ―――と、不意に後から肩をつかまれた。 「あんたやってくれるじゃない。 まんまと一杯食わされたわ」 「ははは。 まぁそう怒るなよ、お前なら信じられるから頼んだんだ。 じゃ、俺は戻る―――」 ここで捕まってしまったら長いお説教が待っているのだ。 そう心得ていた俺は、その場から逃げ出そうと踵を返した。 そこには、うちの制服を着た少女がいた。 手には間に合わせの三角巾が握られている。 「……よ。 似合うじゃないか」 「えっと、僕……どうすればいいですか?」 「今日はまだ挨拶だけだからそのままでいいぞ。 果物とか簡単なものを切る時だけ、三角巾を付けるんだ」 少女は困ったような、少し不器用な笑顔を返してくれた。 ほんのりと染まる頬。 少女は間違いなく人気のウェイトレスになるだろう。 「―――じゃあ、挨拶をして店の裏口に来てくれるか? 先に行ってるから」 俺は少女の頭に手を置いて、擦れ違った。 裏口から外に出、タバコに火を着けた。 もう薄暗い中、街の明かりがキラキラと流れている。 煙草を吸い終わる頃、少女は現れた。少し、浮かない顔をして。 「お、挨拶は終わったか?」 言葉を投げかけてみても、ますます困った顔をするばかりだ。 ちょうど今は夕飯時。 おそらく厨房は戦場になっているのだろう。 ありがたい事だけれど、スタッフとしては多忙極まるのだ。 「……ま、多分忙しかっただろうし気にすんな。ホレ、鍵。ここがお前の部屋だ」 今はたまに俺が使ってる程度の四畳半。 小さなテレビがおいてある休憩室だ。 元々は住み込み用の為、簡単な一人暮しは可能な造りになっている。 「荷物、あるか?」 「えっと……ロッカーの部屋にお財布と制服だけです」 「……それより、こんな立派なお部屋見ず知らずの僕に預けちゃって良いんですか? 悪いことして逃げてしまうかも知れないのに」 「俺が信じられると判断したんだ。 人を見る目が無いと店長は務められない。 ―――それに、悪いヤツはそんな事、聞かんよ」 俺の手の下で面白くない顔をした少女。 何かを閃いたかのように突然口を開いた。 「店長さんってコックさんと夫婦なんですか?」 この時の俺はさぞかしマヌケな面をしていただろう。 情けのないことに、驚きを通り越して放心してしまった。 今まで一度も、そんな事を聞かれた事もないのに。 質問をようやく頭が理解した頃、俺はゆっくり口を開いた。 「―――ふぅ……んな訳無いだろ? 二人とも独身だ。ま、俺達の腐れ縁は伊達じゃないな」 「そうなんですか?ふーん……」 つまらなそうに何かを考える少女。 このくらいの年代の子は恋愛沙汰に興味津々ってトコか。 -------------------------------------------------------------------------------- 自分の時はどうだっただろう――そう考えて途中で止めた。 出てくるのは、余裕の無い自分ばかりだったから。 「……あー……なんだ……」 少女は振り返って顔を覗き込む。 「……その……アイツにそんな事聞くなよ?……少しだけ、気持ちが向いてた事がある……」 大の男が、少女相手に恋の話をするのは物凄い恥ずかしいものがある。 でも、口が滑らされたかのようにでてきてしまった言葉。 多分、今俺は情けない顔をしているんだろう。 「わかりました、二人のヒミツにしておきますね」 少女は俺の告白を笑顔で受け止めた。 そしてそのまま踵を返してロッカールームへと戻る。 取り残された俺は、とうの昔に忘れたむず痒いような感覚に纏わり付かれた。 「……ったく変なモン思い出させやがって……」 そう悪態を付きつつも、自分の顔はニヤけているのがわかって、複雑な気分になった。 俺の気持ちといっても、俺にも解らない事だらけなのだ。 素直に人と接せ無くて、自分が何をしたいかもわからなかった。 俺が物思いに耽っていると、いつの間にやら少女は戻って来ていたらしい。 裏口の段差に腰掛けて、不思議そうに俺を見ている。 俺は一つ咳ばらいをして話を始めた。 -------------------------------------------------------------------------------- 「んん!……さて、先ずは買い物だな」 少女は何の事か解らないといった感じで首を傾げている。 「オイオイ、お前の着替え、その他。オーケイ?」 流石に下着やらはアイツに頼むしかないだろうが、取り敢えず生活に必要な物。 成る程、といった感じで少女は手を打った。 「あ、でも僕あんまりお金に余裕がなくって……着替えだったら今日着ているのと制服がありますし、大丈夫です」 そんな事だろうと思った。 俺は一つ息をついて、少し強めに言い放つ。 「いいから、行くぞ」 少女は少し怯んだ様子で一歩下がった。 怖がらせる訳ではないんだが… 俺は踵を返すと、そのまま振り返らずに言った。 「まぁ、もう少しで閉めるから見学でもしていてくれ。仕事はアイツに詳しく、な」 -------------------------------------------------------------------------------- 「……何してんの?」 「……バレたか」 「アンタ馬鹿にしてんの?」 買い物へ行く準備を済ませた俺は、店内へと戻って来ていた。 客の立場で接客を学ぼうとしていたらしい少女と合流し、注文を済ませた処、コイツは出て来てしまった。 いや、チャーハン5人前頼むのが異常なんだが。 「まぁ冗談だ。 もうラストオーダーだし、お前もさっさと作って出掛ける準備をしてくれ」 「……ま、さっさと終わらせてくるわ。 終わったらすぐ店閉めちゃう?」 「あぁ、今日はそうする」 顔が少し熱いのは、先程の少女との会話のせいだろうか。 隣で黙る少女は、そんな俺を見て少し笑っている。 少し腹が立った俺は、テーブルの下で少女の腕を抓りながら、会話を続けた。 「何か、手伝える事はあるか?」 少女は苦痛に堪えながら、俺の太腿を叩いた。 いい気味だ。 「うーん、じゃあ、そっちのお客さんに。閉店の言い訳頼むわ」 ヤツはそう言うと、さっさと厨房へ戻ってしまった。 何だか睨まれたような気もしないでもないが、気にしないことにした。 -------------------------------------------------------------------------------- 客は注文したものを食べ終わると、都合良く退店してくれた。 俺は少女を連れて裏口へ向かうと、少女は何やらニヤニヤしている。 「ねね、まだ好きなんでしょ?」 ――そんなこったろーと思った。 俺は少女に軽く拳固を見舞って、料理長を待った。 ヤツは意外にも早く現れた。 「よし、それじゃ、行こうか」 俺は裏口の鍵を閉め、店へと向かった。 やけに気まずい車の中、俺は携帯を取り出した。 時間は……よし、まだ開いてる。 後部座席の少女は外の景色を見ながら静かになってしまっていた。 俺達は駅前のビルに着いた。 様々な服・雑貨・日用品が売っているそこは、結構遅くまで開いている。 「先ず何が必要だ?」 「そんなに時間があるわけでもないし、パジャマと服と、あと替えの下着かな」 「よし、とりあえず近い所から行くか。 ん? どうした? さっさと来なさい」 「そうそう、お楽しみはこれからなんだからさ」 同時に振り返って手招きする俺たち。 おずおずとついてくる少女。 別に獲って喰おうなんて思っちゃいないのになぁ。 「えーっと……それじゃ、健闘を祈る」 二人と共に下着売場へ進むのは正直辛いものがある。 そこで俺は二人に断って少し逃げる事にした。 ヤツは面白い顔こそしなかったものの、後で何かオゴる、という約束でその場を脱する事が出来た。 しかしそれでも売場の周りをうろつく中年という構図。 いかにも怪しい自分に正直泣きそうになりながら、俺は近くの食堂への暖簾を潜った。 「いらっしゃいませ!お一人様ですか?」 安っぽいチャイナ服を身に纏う店員とのやり取りを経て、俺は席へと着いた。 メニューを見て、迷う事なく注文を済ませる。 「すみません、チャーハン一つ」 もう閉店まであまり時間も残っていない中、チャーハンを喰らう俺。 多分今俺はしかめっ面をしているのだろう。 何処か物足りないチャーハンを食いながら悩む中年はある事を心に秘め、蓮華を動かし続けた。 「ふぅ、やっぱりチャーハンはヤツが作るのが一番好きだな……」 -------------------------------------------------------------------------------- ∧,,∧ (;`・ω・) 。・゚・⌒) / o━ヽニニフ)) しー-J -------------------------------------------------------------------------------- 「いらっしゃいませぇ~♪ こちらにいらしてくださいね」 少し気の強そうな女性に連れられて来たこの少女。 女体化してしまった子なのか、少女は顔を真っ赤にしながら採寸を拒否し続ける。 「……しかたないですねぇ」 私は大胆かつ強引に少女の後ろに回り込んだ。 羽交い締めにし、手は胸へ。 勿論先端を優しく摘むように。 そんなに大きくはないけど、ハリがある。 若いって素晴らしい。 「ふぇっ!?ちょっ!?」 「はぁい、大人しく脱ぎ脱ぎしましょうねぇ♪」 そう言いながら、耳に息を吹き掛ける。 「ふゃぁあぁ?」 うん、見事なまでの脱力。 私は連れて来た女性に一礼すると、少女を採寸室へと連れ込んだ。 立っているのもやっと、といった感じの少女を脱がせるのに時間はかからなかった。 慣れた手つきで上着を脱がせ終わり、Tシャツ姿にしてピンと立たせる。 正直、このまま採寸することは出来た。 しかしそこは私。ロリっ娘好きとしては味気ないものだった。 「あらら?ちっちゃな頭が飛び出してるわぁ♪」 Tシャツにうっすらと浮き上がる二つの突起を軽く摘む。 ほんのり温かいソレらを軽く指先で転がした。 「ひゃっ!?ぇぅっ!?」 ピクッと体を震わせる少女は、顔が赤くなっている。 ……なんて可愛い反応なのかしら。 私はニヤけそうになる顔を必死で抑えて、平然とした顔で尋ねた。 「あら?痛かったかしら?」 抗う少女は、力無く私の腕の中を暴れる。 やがて体を反転させたと思いきや、突き飛ばそうとしたのか私を押す。 しかし既にそこに力は無く、自ら尻餅をついてしまう事になった。 私が差し出した手を、身体を強張らせることで拒む。 「……さ、採寸済ませちゃいましょ?」 出来る限りの笑顔で、少女を怖がらせないように。 「……ふぇ?」 なにがなんだか解らないといった少女も、顔を赤くしながら言い放った。 けれどそれは弱々しく、拙く。 「からかうの……やめてください」 私の手を取らずに立ち上がる少女。 別にからかうつもりでは無いというか、むしろ本気である。 「あら、貴方が魅力的だったからつい……からかったんじゃないのよ?」 女性しか愛せない私の、唯一の逃げ方。 冗談として切り捨てて、心の奥へしまい込まなければならないのだ。 誰かの悲しい顔は、もう見たくないから。 「もう良いです。 採寸、お願いします」 『もういいよ! アンタとはもう、会いたくない!!』 既視感は突然に、私の心を揺さぶった。 しまい込んだ記憶は消える事なく私の奥深くにこびりついている。 「……あ…はい、解りました……」 どこか反応が鈍りつつも、手早く採寸を始める。 もう、終わったことなのだ。 「あの……さっきみたいな事、採寸してもらいに来たお客さん全員にやってるんですか?」 少女の発する言葉に、言葉を紡げなくなる。 「いいえ……はい、終わりました。 この紙に書いておきますので、私はこれで」 私は丁寧に冷静に、でも冷たく突き放す。 いや、本当は私は逃げたかったのだ。 少女に話してしまいそうになる事から。 -------------------------------------------------------------------------------- 「ん? よう、アイツはどうした?」 食事を終えた俺は下着売場へ戻る途中、ヤツと鉢合わせた。 少女といるはずのアイツが電気製品のコーナーから出てくる意味が解らないが、それはおいておく。 「アレだな。 やっぱりチャーハンはお前の作るのが一番好きだ!」 ヤツは呆けたまま、突然顔を赤くした。 ……風邪でもひいたか?いや、何か違うような気もする。 「……おーい? どうした? 大丈夫か?」 虚ろな瞳を覗き込んで手をヒラヒラさせると、ヤツの焦点が合った。 見つめ合うようにピタリと止まる時間。 脳裏に浮かぶ少女の余計な一言。 今度は自分の顔が熱くなる。 これだけ近づいたのはいつぶりの事だろうか。 下着売り場の前で見詰め合って硬直する年増が二人。 周りから見るとどんなに滑稽な画なのだろうか。 しかしそんなことは関係なく、俺はコイツの目から視線を逸らすことが出来なくなっていた。 「おわりましたー」 タイミングよく、そして最悪のタイミングで帰ってきた少女は、無邪気に話しかけてきた。 -------------------------------------------------------------------------------- 足が重い、肺が痛い…… 目を潤ませながら突然逃走してしまったアイツを追って、俺は階段を駆け昇る。 普段のだらけた生活のせいか、昼間の少女を追った疲れか、足が上手く動かない。 「……ったく…なんでアイツは平気なんだよ!?」 震える腿に鞭を打ち、ひた走る。 階段を昇ると、そこは屋上広場へと通じていた。 幸いな事にここにはもう、逃げ場は無い。 俺はフェンスにもたれ掛かるヤツの横に座り込み、手首を掴んだ。 「……はは…やっ…と…捕まえた…何で…逃げたりした…?」 荒ぶる呼吸が言葉を細切れにするのも厭わず、ヤツに問い掛けた。 「う…そ…それは……いや……そっちこそ……なんで…追っかけて……来たのよ?」 ……なんで?そういえばそうかもしれない。 ヤツが逃げたって俺が追う必要が何処にある? いつもの俺なら『変なヤツだな』で済ませてしまうはずなのに。 ……いや、わかって、いるんだ。 一度考えてしまったあの時から、そしてヤツが押しかけて来たあの頃から。 「……お前が…いなくならないようにだ!」 俺は一番最初に浮かんだ言葉を、そのまま吐き出した。 滑稽以外の何物でもないだろう。 でも、ヤツは笑わなかった。目を、逸らさなかった。 『好き』 『愛してる』 今、そんな定番の言葉さえ出てこなかった、情けない俺の腕の中に、ヤツがいる。 夜。 ビルの屋上で。 汗だくの大人二人が身を寄せ合う。 格好悪くて、情けなくて、何のムードもありゃしない。 でも、それでも今を逃したら機会は遠退くような気がした。 だから。 ……俺は、俺らしく――― 「これからも……一緒に居てくれるか…?」 ―――飾らない言葉を、紡ぐんだ。 「……よろしくお願いします……」 そう言ったアイツの顔はグシャグシャで、子供のような泣き顔で…でも、とても輝いて見えた。 -------------------------------------------------------------------------------- 俺達は、下着売場へと戻って来ていた。 随分と時間を食ってしまったが、少女は大丈夫だろうか? 少女は、売り場の前のベンチに腰掛けていた。 少々浮かない表情の少女にアイツが駆け寄り、売場へと戻っていく。 俺は近くの喫煙所で煙草をふかし始めた。 待っている間の暇潰しへと、俺はメイド服売り場へと足を運んだ。 ここの店は規模の割に品揃えが豊富で、うちの店でも取り入れようかと真剣に考えていた。 ……と、そこに試着室から倒れてきたヤツを見て、俺は愕然とした。 アイツにダメ出しを喰らって保留となった処分。 ……しかし、目の前にはそのメイド服を纏ったアイツの姿。 床で、仰向けのままの少し情けない格好で。 「……何してるんだ?」 真っ赤な顔で金魚のように口を動かすヤツ。 俺はヤツを抱き上げると、そのままレジへ向かった。 「あ、すみません。 コレ下さい。 着て帰りますんで」 目を丸くする店員。 幸いにも客が少ないのが助けだろうか。 会計を済ませた俺は、足早に店を去った。 俺の両腕の中には、真っ赤な顔のメイド服姿のヤツ。 正直、性欲をもてあます。 -------------------------------------------------------------------------------- 既に頭の中がピンク色に変わっているが、それを押さえ付けて尋ねた。 「おい、あの娘は何処だ?」 「え? あ……」 ヤツの指差した方向には、地味目のシャツやトレーナーを持った少女がいる。 俺はヤツをベンチに座らせ、少女の所へ歩み寄った。 「すまない、ちょっと用事が出来たので俺達は先に戻る。 コレで会計と帰りのタクシーは頼む」 少女の掌には数人の諭吉。 呆ける少女の視線を背中に受けながら、俺はヤツを連れて車へと戻った。 「……鍵は?」 「……………」 車の前まで来て気がつく失敗。 ヤツのバッグと服が無い。 強引に引っ張って来たのが俺だから、どうしようもない訳だが。 「……此処で座ってろ。 ホラ、寒いだろ? コレ羽織っとけ」 俺はヤツに上着を渡すと、店に戻った。 どこから出て来たのか解らないような速さで荷物を取り、戻る。 何やら少し回復したらしいヤツは、戻った俺を見て問い掛けた。 「ちょっと! こんな格好で何処行くのよ!?」 「俺の部屋」 俺はヤツを助手席に座らせ、キーを回した。 -------------------------------------------------------------------------------- 無言の空間が、俺の心臓を締め上げる。 無理に連れて帰っているのはいい。 けど、アイツの眼には今何が映っているのだろうか? 国道のオレンジ色の街灯が一瞬、また一瞬と俺達を照らしては過ぎる。 オーディオのディスプレイは、ヤツの膝の上に置かれた手を青白く映し出す。 不安と興奮が入り交じる中、車はとうとう俺のマンションの駐車場へとたどり着いた。 キーをOFFに入れ、抜き取る。 鼓動がそのまま相手に届いてしまいそうな程の静寂の中、俺は口を開いた。 「……俺は…焦りすぎか?」 「……バッカじゃない? 何よ今更」 返って来た言葉はいつものヤツのもので、それだけに唖然とした。 「……ここまで連れて来た責任ぐらい取ってよね」 ヤツの一言は、俺の理性を剥いでゆく。 車の中で、月明かりの下で、潤んだ瞳のヤツは頬を染めてそっぽを向いた。 ――あぁ、なんて綺麗な横顔なんだろう… 俺は車を降り、助手席のドアを開けた。 呆気にとられるヤツの肩を抱き寄せると、ゆっくりと顔を近づける。 間近に迫るヤツは目を閉じ、俺はその柔らかな唇にそっと唇を重ねた。 永遠のような一瞬。そっと開かれる目と目は惹かれ合う。 俺はヤツを連れ出した。 向かうのはヤツも見慣れたはずの自分の部屋。 いつもと違うのは、二人の関係性。 -------------------------------------------------------------------------------- バタバタと埃の舞う部屋で目が覚めた。 間違いなく昨夜、俺達は結ばれた。 しかし、元親友の姿は隣にはなかった。 「おい……何してんだ?」 枕元にあったはずの目覚まし時計を握り締めながら、テーブルでうなだれるヤツ。 「『何してんだ』じゃないわよ! アンタ店はどうすんのよぉ!?」 キンキンと頭に響く怒鳴り声は、間違いなくいつものアイツのもので―― 「今日は『定休日』だろう?」 ――俺は安心しながら、呆けた半裸のヤツを後ろから抱き寄せた。 サラサラとした髪が俺の鼻を擽る。 何ていい匂い…… 「今日はゆっくり休もう」 「ほぁ!?」 そう言って、俺は肩に口付けた。 -------------------------------------------------------------------------------- ピーンポーン・・・ 突然玄関のチャイムの音が響く。 嫌な予感がした・・・ 「ん?誰だろう……ちょっと待ってろ」 こんな昼間から訪ねてくるのは誰だ? 休みの日ぐらいゆっくり――― そう思いながらドアノブに手を掛ける。 ゆっくりとドアを開けると、そこには少女がいた。 「ひどいじゃないですかーーー!!!」 「ん?……昨日…何かあったのか?」 俺は頬を膨らませる少女に、眠たげに問い掛けた。 「何かあった? じゃないですっ!! 二人とも帰ってこないし店はお休みだし連絡もくれないし寒いしお腹減るし――!! はぁ、はぁ、はぁ……」 勢いに任せて発せられる文句を受け流す。 涙目の少女は、内に秘めたモノをあらかた吐き出すと、俺にもたれ掛かって来た。 ……どうやら限界がきたようだ。 規則正しい寝息を立てる少女を抱えて、部屋に戻る。 「……スゥ…スゥ……」 「……ご覧の通りだ」 毛布に包まったヤツは、複雑そうな顔をして一つ息を付いた。 ……こんなに寂しがりやだというのに家出なんかして、どれだけそんな思いをしたのだろう。 俺は少女をソファに寝かせると、そっと涙を拭った。 「大人が無責任なんじゃ話にならないわね……あはは」 少女に毛布を掛けながら、ヤツは苦笑いを浮かべた。 昨日何かあったのだろうか。 俺はコーヒーを煎れながら、相槌を打つ。 「……私達でこの子の親代わりに…なれるかな?」 ヤツは日だまりのような穏やかな笑みを浮かべながら、独り言のように呟く。 いつか見た、聖母のような微笑み。 もう、お前はそこらの母親より母親らしいよ―― 「……ハハ、どうだろうな」 ――お前が気付いてないだけなんだ。 「ホレ、熱い内に」 「……ありがと」 麗らかな午後の日差しは祝福するように俺達を包む。 明日になればまた忙しい日々を過ごし始める俺達の、止まり木のように。 比翼の鳥達に舞い降りた小悪魔な天使は、番と共に歩き出す―― 「――ま、明日からもよろしくな」 「――こっちこそ…ね」 ~終~
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1444.html
前のページへ / 一覧へ戻る / 次のページへ アルヴィーズ食堂の厨房にて。料理長のマルトーは、一仕事終えて小休止していた。 そこへメイドが戻ってくる。 「おう、シエスタか。どうやら配膳は済んだかな? いつも悪いな。 って…お前の後ろにいる坊主はどうした? 知り合いか?」 「ええと、そのことでお願いしたいことがありまして…」 シエスタが簡潔に事情を説明してくれる。人脈は便利だ。 「…がはははは、坊主も災難だな! 貴族ってやつはやっぱり性根が腐ってるぜ! 俺がせっかく作ってやっている料理を、いつも『まずい』だの『味付けが下品』だの 『量が多すぎる』だのと抜かしては残しやがって! しかもたまにその分の材料費を少ねえ給料からさっぴきやがって! 厨房の奴らに伝染病が流行ったときも、治療費補助の申請がちょびっとしか通らねえし!」 かなりストレスが溜まっているようだ。勝手に激昂してきた。 「お互いに劣悪な労働環境ですね。労災認定が出そうなくらい」 「んん? ムツカシイ言葉を知ってんな坊主。なんだローサイってのは? まあ、今は昼飯時で忙しいし、大したモンは作れねえが我慢してくれ。 すぐできるからちょっと待ってな」 「朝のサンドウィッチは簡単だが美味かった。あなたの腕は相当なものだと思うよ」 「がははっははは、有難いねえお褒めの言葉。客はボンクラ貴族ばかりでも、 この料理長マルトーは料理の腕は抜かないぜ。それが『平民』の誇りだからな」 『平民の誇り』か。労働者の鑑だ。ぼくが政権をとったあかつきには、是非表彰してあげよう。 その前に選挙対策委員に任命してみようか。王国に政権選挙はないだろうが。 「ほおれ、パンとシチューだ。余ってた食材も入れたからな、具もたっぷりだぞ」 「いただきます」 素朴な賄い飯だが、あの粗末な囚人以下食と比べれば雲泥の差だ。 「ああ、実に美味い」 「ははは、満足してもらえたみたいだな。 また食いっぱぐれたらここにきな。適当に何か作ってやるからよ!」 「有難う。まあきっと毎日お世話になるよ」 中年親父と8歳児に、奇妙な友情が生まれた。 場面変わって、悪しき労働環境の根本的原因の部屋。 今日もお盛んなトリステイン魔法学院の長、オールド・オスマンであった。 「オールド・オスマン! いい加減にセクハラを止めて下さい。労働管理局に訴えますよ」 「ふぉふぉふぉふぉ、よいではないかミス・ロングビル。 なんじゃそのナントカ管理局というのは。白い悪魔でもおるんかい」 そこへ冥王様、もといコルベールが息を切らせて飛び込んでくる。 「た、大変ですぞ!オールド・オスマン!」 「おお、ミスタ・コナキジジイ。いいところを邪魔して何用だね」 「私の名前はコルベールです! いかにこんな頭でも……。 ええい、それよりこれを見てください」 「む?」 「ミス・ヴァリエールの呼び出した使い魔の『右手』にあらわれたルーンの写しです。 気になっていたので調べてみたのですが…」 持ち出したのは『始祖ブリミルの使い魔たち』という古書。 ちなみに著者は「アリャマタ・ド・コリャマタ」である。 「なるほど…席を外してくれるかな? ミス・ロングビル」 「はい、よろこんで!」 「ふーーーっ…では、詳しく話したまえ。ミスタ・スネコスリ」 「コルベールです! コしかあってません! …端的に申し上げますとですね、彼は『ヴィンダールヴ』です」 「…あの伝説の? 何かの間違いではないのかね?」 「私も最初そう思ったのですが、他のどのルーンにも該当しませんでした。ほぼ間違いないと思われます」 「では、それを召喚したミス・ヴァリエールは…『虚無』の担い手だというのかね?」 確かにルイズは、四系統のどの魔法も、簡単なコモンマジックさえもまともに使えない。 『サモン&コントラクト・サーヴァント』が成功したのが、学院七不思議の一つになったぐらいだ。 では、残る系統…『虚無』こそが彼女の系統なのでは? そして『虚無』魔法の担い手は、始祖ブリミルと同じく四人の『使い手』の一人を得るのだというが…。 「…そこまでは。ですが」 「…今はまあ、保留じゃな。おぬしはこのまま、引き続き調査にあたってくれ。 当然ながら、このことは一切他言無用じゃ。 わかったの、ミスタ・テナガアシナガ」 「もうどこもあってねえYO!」 コルベールのつっこみが、悪の元凶を打ち倒した。 松下はマルトーに気に入られ、以後いつでも食事や食材をおごってもらえる事になった。 人脈はとても便利だ。 (腹もくちくなった事だし、図書館でも行ってみるか…) と、食堂の方から何か言い争う声がする。 「違う、誤解だ、誤解なんだモンモランシぃいいイイイイーーー!!」 (メメタアァ ドグチァッ) 「ごばっ!!」 三行で色男がどてっ腹をぶち抜かれて死んだ。…あ、生きている。 一瞬あのオンモラキとかいう女の拳から、火花が散ったように見えたが…あれも魔法なのか? 女はそのまま「ギーシュの馬鹿! 男なんてーーーーー!!」と叫びながら走り去った。 「ラ…ララララ…」 歌? きでもくるったか? 「く…くそう! そこのメイド! 君が気をきかせて 香水壜のことをスルーしてくれなかったせいで、 二人のレディの心が傷ついたんだぞ! どうしてくれるんだ!!」 よくわからないが、ぼくの恩人のシエスタが、あのギーシュとかいう、 馬鹿貴族のボンボンの色男の甲斐性なしの二股膏薬の隠れゲイの八つ当たりで責められているらしい。 これは助けなくてはなるまい。 「おお、なんという悲劇なの」 「ど、どうしてくれるんだ!? どないしてくれるんだ!?」 シエスタはうつむき、ふてくされたように話し始める。 「……あなた方のような、幸運にめぐまれた、 鼻の下の長いお方には分からないかも知れませんが… 不幸な人はより不幸になり…貧しい人はより貧しくなる…というのが現実なんです」 「僕はきみの人生観をきこうとしてるんじゃない! 膝をついて謝るんだ!」 そこへ松下が割り込む。 「まあまあ、世の中を理解してないなあ。この貴族はなってない」 「なってないのは君たちの方だ!!! なんだこの子供は!!」 「たかが女の子二人に振られたからって、そんなに金切り声をあげることはないでしょう」 「言うなあこの餓鬼! 振られたとか言うなあああ!!」 ギーシュは、仲裁しようとした松下の頬をつねり上げた。 「あ、いちち…痛ぇ……この野郎!!」 びりっ 「ぎゃーーーーーーーーーーっっ!!」 松下は、お返しとばかりにギーシュの左側頭部から『何か』をむしり取った。 「お、おい、ギーシュに何をした!? 何だそれは!」 「これだよ!」 ぽい、と投げて寄こされたのは、ギーシュの『左耳』であった。 「ひーーーーーーっ、みみみみみみ」 「ひいひい、痛い痛い」 うずくまり、涙目で耳のあったところを押さえるギーシュ。血が指の間から流れ出る。 水の治癒魔法ですぐ治せばくっつくだろうが、これでは面子は丸潰れのままだ。 もう腐ったトマトを20メイル上空から落としたぐらいに。 「おい、確かこの餓鬼は『ゼロ』のルイズの使い魔だぜ」 「マジか? さすが躾がなってないな、貴族に手を上げるなんてさ」 周りのギャラリーがさらに騒然とする。 ギーシュは脂汗を拭い、耳を押さえて松下に向き直る。顔が真赤だ。 「はあはあはああああああ、けっ、決闘だ! 使い魔君! 今すぐ僕と決闘したまえ!!」 「よかろう。どこでやるのだ?」 「あっさり受けてくれるとは嬉しいね! ヴェストリの広場ならちょうどいいだろう。正々堂々このギーシュ・ド・グラモンと戦え!」 「ああ、わかった」 「よーし! ならば僕は先に行って待っている。絶対逃げるなよ!?」 すごい勢いで決闘が決まった。食べ終わったギャラリーがギーシュの後をついて行く。 「ま、待ってください! 貴族と決闘なんて…危険です! やめてください! いくらマツシタさんが子供でも、ひょっとしたら、こ・殺されてしまいます!」 正気を取り戻したシエスタが震えだした。そこへルイズも駆けつける。 「あんた! 人の護衛もせずに勝手になにやってんのよ!!」 「きみに昼飯抜きにされたので、厨房でご馳走になってきた」 「ああ、そう… で、あんたが多少強くても、相手はドットだけどメイジよ? 勝算はあるの?」 「何を繰り出してくるかにもよるが、実戦経験はある」 敵戦力の把握は必須だ。同級生のルイズに聞くとしよう。 「あいつは『青銅』のギーシュ。『土』のドットメイジで、等身大の青銅の人形を操って戦うそうよ」 「初戦の相手としてはまずまずだな」 「危なくなったら逃げるのよ? あいつ名うての馬鹿だから」 「まさか。まあ、少しいろいろと準備をしておこうか」 鴨がネギを背負ってやってきたな。さくっと降伏させて下僕にしてやるか。 (つづく) 前のページへ / 一覧へ戻る / 次のページへ
https://w.atwiki.jp/zektwiki/pages/198.html
冒険者諸君、御機嫌麗しゅう。灰執事のニョアである。 現在、私が諸君らにいつでも会えるようなものを開発中である。 なんでも、君達の世界には『ぶろぐぱーつ』という便利な物があるらしいではないか。 私もその魔法の方舟に乗っかって諸君らが書いている日記にも御邪魔できるようにしようと思っているのだ。 近いうちに届けることができるように鋭意制作中であるので楽しみにしていてくれたまえ。 さてさて、今回も沢山の便りをありがとう。 最近中々凝った文章を書く詩人も多く、ニョアはいつも楽しんでいる。 世界紀行文をいつも送ってくれる海賊よ、エジーク大陸は非常に危険が多いので気をつけたまえ。 ヤムヤムという猫の話を送ってきた踊り子よ、私もヤムヤムが成長して帰ってきたことに胸を撫で下ろした。 皆、なかなか達筆でニョアも負けてられんと思うにゃ。 私は記録猫であるが故、叙事詩の物語の質問も答えて行こうと思うので 気になる事があれば、伝書鳩を何なりと飛ばしてくれたまえ。 出来る限り答えようと思うにゃ。 さて、手記恒例のコーナーをはじめるにゃ! 我はとある王国の教皇をしている者ぞ。豊富な知識を持つといわれるZekt殿、そしてその使い猫であるニョア殿の知恵を少しばかり借りたいのだ。今我の国ではある伝染病が流行っているのだ。我はそれを「ニャンニャン症候群」と呼んでいる。この病は発症した人間の心に猫の心が侵食していくと言うものだ。我が国民はこの病に犯され、先日は我が城の料理長にまで発症してしまった。おかげで出てくる料理は魚料理ばかりだ。我に発症する前に、この病を治す手立てを教えてほしいのだニャ!!(デルタ教皇より) ニャ!!って…教皇よ、残念ながら貴殿も既に発症してるにゃ。 ニャンニャン症候群。それは、多分ニャットシーの術であろう。 その昔、私とニャットシーは美肉球コンテストで争った。 私は色点・艶点・ぷに点・匂い点、全てで満点を頂きそこで優勝したのだが 自分の肉球の美しさに自惚れていたニャットシーは大層悔しがって、散々暴れた挙句に 皆が自分の虜になるような秘術をひたすら研究して、遂に編み出した。 しかし邪念が多く術師として未熟であった奴は、完全に虜にするまでには至らなく 術にかかったものは単にニャットシーと同じ行動をするだけであった。 この術は夢の世界で人間にも広がり、人間でもニャットシーの術の夢を見たものはそれにかかってしまうのだ。 貴殿の王国も恐らく、それに感染しているのだろう。 『私のこの美しくぷにぷにとした肉球は…どうだ! あまねく全ての生きとし生けるものが私に嫉妬せざるを得ないだろう…星や月でさえもにゃ!』 術にかかった者がこう言ったらもう手遅れなので、その前に術にかかった者の手を握りこう言えば治す事ができる。 『肉球よさらば!お前は人間だ!』 私のお願いなんですが、島の名前が読めないので、ふりがなを言ってくれませんか?(精霊アクストラル・シークより) 島というと『Fallarien』の事であるかな? これはファラリエンと読むのだ。言葉の意味は楽園である。 他にも、地名の読み方を一部書いておこう。 HOLY KINGDOM OF NOIGLLADDO……ノイグラード王国 Novarista……ノヴァリスタ Ridenburg……リーデンブルグ Rosenheim……ローゼンハイム Totoppo……トトッポ Roro……ロロ Sonne Citadel……ゾンネ城塞 AZUELGATT……アゼルガット王国 Isfaphan……イスファハン Amuss……アムス Pananora……パナノーラ Madura……マドゥーラ ではこの辺で、私、ドロンさせて頂くにゃ。 なんせ、今日はリーデンブルグで年に1度のカルカン特売市なのだ。 新製品のオクラ納豆ゆず胡椒風味も出品するらしいから、ヨダレがでるにゃ!!じゅるりにゃ!! では、失礼。さらばにゃ! ――――――――――――ニョアの手記 15 ―――――――――――― (2008.10.15)
https://w.atwiki.jp/toriko-database/pages/218.html
名前 スタージュン 性別 男性 所属 美食會 初出 31話 声優 三木眞一郎 年齢 不明 血液型 不明 誕生日 5月25日 身長 232cm 体重 307kg 視力 7.5 足のサイズ 48cm 概要 正体 戦闘力 来歴(第1章) 来歴(第2章) アニメでの相違点 ゲームでの活躍 技 関連項目 概要 美食會副料理長。シャボンフルーツ編以降は美食屋を兼任し、大竹とコンビを組む。 パートナーアニマルはブラガドラゴンとビッグバンシャーク。 肩まで届く長髪が特徴。上部に五本の棘のついた「シバの兜」と呼ばれる黒面で顔全体を隠しており、隙間からは赤く鋭い眼光が覗く。 仮面の下の顔はかなりの美男子で、額には小さな痣が、顔の左側には生まれついて大きな火傷らしき傷跡がある。 トリコのポテンシャル、小松の料理人としての才能に高い関心を持っている。 他の美食會メンバーに比べると比較的温情のある性格で、無意味に人や猛獣の命を奪うことはないものの、邪魔者は容赦なく惨殺する。 また、他の副料理長と違って会議にも毎回遅れず出席し、任務失敗時は自ら責任を取ろうとするなど生真面目な性格。 美食會きっての武人でもあり、GTロボを介してトリコと対峙した時は圧覚超過を解除しろというトリコの要求に応じて互角の条件で戦った。 第1回人気投票では435票で7位。美食會の中では最上位であった。 アニメのキャラクター総選挙では729票で8位。こちらも美食會の中では1位。 正体 過去の記憶を一部、もしくは全部失っており、美食會の任務とは別にとある食材を探している。 その食材が何かは不明で、本人の記憶かグルメ細胞の記憶かすら定かではなかったが、後にアナザを食べて全てを思い出した。 戦闘力 副料理長でありながら美食會では三虎に次ぐNo.2の実力者。トリコはその実力を「世界に何人もいないレベル」と評している。 地面を一瞬で溶かすほどの青色の炎を自在に操ることができる。 また、それに加えて「切る」と「焼く」を同時に行える、特殊調理食材用の包丁「バーナーナイフ」を武器とする。 肉体的強度も高く、山一つを破壊するネイルガンをはじめとするトリコの技のフルコースを真正面から受けても、軽く吐血する程度だった。 また、トリコが戦闘の中で編み出したフォーク釘パンチ、ナイフネイルガン、ツインネイルガンなどの強力な技を幾度と無く受けてもまるで致命傷にはならなかった。 動きの誤差が1/1000のGTロボでも反応が鈍く感じるほどのスピードを誇り、 臨戦態勢に入るまで0.5秒かかったトリコに対し、その間に10回は殺せると語ったこともある。 生まれついてのグルメ細胞保持者であり、一つ目の鬼のようなグルメ細胞の悪魔を体に宿している。 クッキングフェスのトリコとの死闘を経て資質が開花し、グルメ界編ではグルメ細胞の悪魔の炎や第三の目を使うようになった。 また、ニュースを食べたあとはいち早く裏の世界を使いこなしており、グルメ千里眼と併用することで超常的なスピードを発揮している。 狩猟や料理のスキルもかなり高く、フグ鯨編ではGTロボを用いて大量のフグ鯨を毒化させずに捕獲している。 またシャボンフルーツ編では、シャボンフルーツを大量に捕獲し、調理にも成功している。 しかし元来生まれ持った素質である「食運」だけは不足しており、食運を持つ料理人を求めている。 来歴(第1章) フグ鯨編では、捕らえた大量のフグ鯨を片手に洞窟の砂浜の深海1000メートル側からGTロボで現れ、トリコとココを畏怖させた。 洞窟の砂浜入り口でフグ鯨を奪い取ろうとした野党たちを惨殺し、自分を捕まえにきた機動隊のトール隊長も殺害している。 宝石の肉編では、美食會第6支部に姿を現し、野人ドーサと操縦を交替する形で宝石の肉争奪戦に参加する。 リーガルマンモスの体内でトリコたちに遭遇し、一撃でトリコを瀕死に追い込むも、宝石の肉を食べてグルメ細胞を進化させたトリコにロボを破壊された。 BBコーン編では、悲哀の森ソーンウッドで行われた会合に参加する。 メロウコーラ編の後、Bar「メリア」に食事に来ていたところを、トリコと偶然再会。 一触即発で戦闘にはならなかったが、そう遠くない未来に起こるグルメ戦争の際にはアカシアのフルコースを賭けて勝負することを誓い合った。 シャボンフルーツ編では新型GTロボで千代と大竹を迎えに来る。 クッキングフェス編では、クッキングフェスに出場する料理人をさらおうと会場に現れ、トリコと戦う。 激しい死闘の末にトリコを完全に戦闘不能に追いやるも、無意識にトリコの体から飛び出したグルメ細胞の一撃を受けて致命傷を負ってしまう。 しかしこの死闘がきっかけとなり、体の中に眠っていたグルメ細胞の悪魔が開花。 小松を連れてスタジアムに現れたジョアの下に向かうも、三虎のメテオスパイスが放たれたことで部下に撤退命令を出し、本部に退却した。 来歴(第2章) ペア編では、三虎直々の命令で、アカシアのフルコース入手のサポートに赴く。 アナザ編で、トリコたちと合流。 GODの捕獲メンバーに選出され、トリコとチームを組んでエリア2に向かう。 GOD編では、トリコとともに狼王ギネスと交戦する。 その後、アカシアのフルコースを持ってきた小松たちと合流し、アナザを食べたことで忘れていた記憶を思い出した。 GOD出現後はドレス、ナイスニィ、クロマドを撃破し、ジョアと戦闘。 一度は彼の食運の前に敗れるも、食運を適合食材にしてパワーアップして立ち上がり、トリコ、三虎とともにアカシアとの最終決戦に挑む。 その際トリコを庇ってアカシアに体を食いちぎられたが、寸前に三虎にノッキングされたことで一命を取り留め、その後センターを浴びて回復した。 最終決戦後はトリコと鈴の結婚式に出席する。 アニメでの相違点 アニメではフグ鯨編以前から少しだけ登場しており、トリコの動向を気にかけていた。 クッキングフェス編では、トリコとの戦いの結末が変更。 トリコの脚を切断することなくバーナーナイフを一方的に折られ、ジョアの放つ異様な気配を察知すると一時休戦し、スタジアムに向かう。 トリコと共闘してジョアと戦うが、圧倒的な力を持つジョアの前にても足も出ずに敗れる。 その後グルメ細胞を覚醒させて再び立ち上がるも、ジョアにあっさり技をかき消されてそのまま吹き飛ばされるなど、原作とは逆にまるでいいとこ無しであった。 劇場版トリコ 美食神の超食宝ではグリンパーチ、トミーロッドとともに裏切り者のギリムと戦うが、逃げられてしまう。 その後、アルファロたちと旧第1ビオトープに向かう。 ゲームでの活躍 トリコ イタダキマスターでは、「GTロボ(スタージュン)」、仮面をつけた「スタージュン」、仮面を外した「スタージュン(素顔)」の3バージョンが存在する。 GTロボ(スタージュン)は1弾から参戦。技は「ミキサーパンチ」、「ミートハンマー」。 スタージュンは3弾から参戦。技は「千斬り」、「火炙り」。 スタージュン(素顔)は7弾から参戦。技は仮面バージョンと同じ。 トリコ グルメサバイバル!ではラスボスとして登場し、新型のGTロボに乗り込んで、メガモリ島の最深部でトリコたちと戦う。 トリコ グルメサバイバル!2でも再びラスボスとして登場する。 キッチンホール大渓谷の美食會幹部との三戦目に、リョウテイと組んでトリコ、ゼブラの前に立ちはだかる。 前作とは違って生身で挑んできたかのように思えたが、実は擬態機能を備えたGTロボを操縦しており、勝負が終わるとどこかに去っていく。 その後、エンディング後のシナリオでニトロを引き連れて再度トリコたちと戦うことになる。 トリコ グルメモンスターズ!ではビッグバンキノコ入手のためにトリコたちと敵対。ストーリー中では三度にわたって戦うことになる。 しかし、共通の敵ミスターキメラが現れたことで共闘。一時的にトリコたちの仲間になる。 その後すぐに仲間から外れるが、エンディング後は何の説明もなく、本当に唐突に仲間に加わり、プレイヤーキャラとして使用できるようになる。 ほとんどのステータスが高く、隙のない強さを持つ。 トリコ グルメガバトル!ではプレイヤーキャラとして参戦。ストーリーではアルティメットミート入手のために暗躍する。 バランスのよいステータスを持ち、敵や状況に応じて戦い分けることができる。 トリコ アルティメットサバイバルではプレイヤーキャラとして参戦する。 ストーリー中は特定のメインオーダーでしか使用できないが、エンディング後はフリーサバイバルで自由に使えるようになる。 技 第1章から登場した技 ミキサーパンチGTロボの腕をミキサーのように回転させ、相手の肉を抉り取る。 熱消毒熱で自らの体を焼くことにより、毒を消し去る。 キャンプファイアー自らの体を中心に、周囲を炎上させる。 キャンプファイアー "中火"キャンプファイアーの強化版。闇料理の会場を一瞬で消し飛ばすほどの火力を持つ。 火盾手を炎で包んで攻撃をガードする。その火力はトリコのフォーク釘パンチを全て燃やし尽くすほど。 炎の竜巻 "火炎旋風"バーナーナイフを振りかざして、炎の竜巻を起こす。 キャンプファイアー "強火"キャンプファイアーの強化版。トリコのフォークアーマーを完全に溶かし尽くすほどの火力を持つ。 バーナー炙り刺しバーナーナイフで相手を突き刺し、炙る。 一刀焼き切りバーナーナイフによる強力な斬撃。 バーナーパンチ炎を纏った強力なパンチ。 ファイアースピア炎で作り出した槍で、相手を貫く。 火盾 "ボーンフライ"火盾をかざし、襲いかかってきた相手の体を骨まで炙る。 バーナーショットバーナーのように長く伸びた炎の弾丸を無数に撃ちこむ。 激熱 火炎放射アニメオリジナルの技。相手に向かって勢い良く火炎を放つ。 火炎烈風アニメオリジナルの技。蹴りとともに足から炎を放つ。 アルティメットルーティーン詳しくはアルティメットルーティーンを参照。アニメではトリコのアルティメットルーティーンを見様見真似で習得したという設定に。 暗技"蘇生包丁"詳しくは蘇生包丁を参照。 第2章から登場した技 ボルケーノグルメ細胞の悪魔が放つ灼熱の炎。 サタンバーナー 星斬り灼熱の炎で相手を切り裂く。トリコの技と合わさると、大陸を一刀両断するほどの威力を誇る。 火炎ドーム炎のドームで周囲を包む。 バーナースコール灼熱の豪雨を降らせる。 グルメ千里眼一度ロックオンしたものを捉える、グルメ細胞の悪魔の第三の目。例え獲物が数億光年彼方に移動したとしても、常に今の獲物を捉え続ける。 ワープキッチン詳細は裏の世界を参照。 ゲームオリジナルの技 ミートハンマートリコ イタダキマスターのオリジナル技。GTロボの両腕で相手を思いっきり叩きつける。 炎炙りトリコ イタダキマスターのオリジナル技。炎を宿した両腕を前方につきだして、火炎放射攻撃を行う。 千斬りトリコ イタダキマスターのオリジナル技。包丁に見立てた手を高速で動かして敵をみじん切りにする。 隠し包丁トリコ グルメモンスターズ!のオリジナル技。目にも止まらぬ早業で、手を包丁に見立てて突進して斬りつける。 鬼おろしトリコ グルメモンスターズ!のオリジナル技。鋼のように硬くした指で敵を削るようにひっかく。 火炙りトリコ グルメモンスターズ!のオリジナル技。手に炎を宿し、前方に向かって放つ。 灼熱炙りトリコ グルメモンスターズ!のオリジナル技。マグマのように熱せられた両拳を振り、巻き上がる灼熱の炎で敵を焼きつくす。 那由多切りトリコ グルメモンスターズ!のオリジナル技。剣のような包丁を手に取り、ものすごいスピードで敵を切り刻む。 手刀トリコ グルメガバトル!のオリジナル技。基本技の一つ。高熱の炎を纏わせた手刀を袈裟斬りに振り下ろす。 手刀連撃トリコ グルメガバトル!のオリジナル技。基本技の一つ。居合のように手刀を横薙ぎに切り払い、更に半歩踏み込んで鋭い突きを放つ。 手刀両断トリコ グルメガバトル!のオリジナル技。基本技の一つ。一回転して下から踏み込みつつ手刀で斬り上げる。 灼熱タックルトリコ グルメガバトル!のオリジナル技。基本技の一つ。鋭いダッシュから全身を炎に纏って、クロスチョップを繰り出す。 灼熱アッパートリコ グルメガバトル!のオリジナル技。基本技の一つ。全身を炎に纏って、回転しながらアッパーを放つ。 マグマ花火トリコ グルメガバトル!のオリジナル技。基本技の一つ。手に宿した炎を斜め上に向かって射出する。 ダブルキックトリコ グルメガバトル!のオリジナル技。基本技の一つ。空中で回し蹴りを放つ。 灼熱フィンガートリコ グルメガバトル!のオリジナル技。基本技の一つ。空中を水平に突き進みながら、炎を纏った手で突きを放つ。 砕氷ドリル蹴りトリコ グルメガバトル!のオリジナル技。基本技の一つ。全身を炎に纏って、ドリルのように回転しながら真下にキック攻撃を行う。 空中マグマ花火トリコ グルメガバトル!のオリジナル技。基本技の一つ。斜め下に向かって火炎を放射する。 灼熱地獄 マグマボイルトリコ グルメガバトル!のオリジナル技。必殺技の一つ。周囲の地面から灼熱のマグマを噴き出させる。 右熱手刀トリコ アルティメットサバイバルのオリジナル技。最初に繰り出される基本技の一つ。 左熱手刀トリコ アルティメットサバイバルのオリジナル技。最初に繰り出される基本技の一つ。 右バーナートリコ アルティメットサバイバルのオリジナル技。空中で最初に繰り出される基本技の一つ。 左バーナートリコ アルティメットサバイバルのオリジナル技。空中で最初に繰り出される基本技の一つ。 ターンライタートリコ アルティメットサバイバルのオリジナル技。腕に炎を宿し、回転して敵を巻き上げながら上空に飛び上がる。 セクターファイアートリコ アルティメットサバイバルのオリジナル技。手のひらから炎を発し、敵を横一文字に焼き払う。 バーストコンロトリコ アルティメットサバイバルのオリジナル技。自分を中心に、周囲全方向に炎を噴出させる。 フランベトリコ アルティメットサバイバルのオリジナル技。手にした炎の塊を投げつける。 ヒューズトリコ アルティメットサバイバルのオリジナル技。全身に炎を纏って前方に突進する。 火の玉トリコ アルティメットサバイバルのオリジナル技。空中から炎を纏ったままナナメ下方向へと急降下攻撃を行う。 炎波トリコ アルティメットサバイバルのオリジナル技。横一文字に伸びた炎を水平方向に発射する。 火軸トリコ アルティメットサバイバルのオリジナル技。両手から発した炎を合わせ、巨大な火の輪を生み出して前方に放つ。 踏み込みトリコ アルティメットサバイバルのオリジナル技。前方に向かって瞬間高速移動をする。 火力調節トリコ アルティメットサバイバルのオリジナル技。炎を掲げて精神を研ぎ澄ませることで、攻撃力と熟成能力を高める。 残り火トリコ アルティメットサバイバルのオリジナル技。精神を集中し、自身の攻撃による炎上効果の発生率を高める。 ドラゴンブレストリコ アルティメットサバイバルのオリジナル技。ブラガドラゴンを召喚し、青色の火球で敵を焼きつくす。 関連項目 キャラクター一覧 美食會三虎 クロマド グリンパーチ トミーロッド 大竹 IGOトリコ 小松 NEOジョア ギド ブラガドラゴン ビッグバンシャーク バーナーナイフ
https://w.atwiki.jp/nikuq-niuniu/pages/813.html
ギルドリーヴ:園芸師 アドネール占星台確認採集:防空施設用の薬草(アインハルト家の騎兵:ブレリオー) Lv35 指定採集:竜防柵の建材(フォルタン家の騎兵:コランティオ) Lv35 大量採集:ギサール畑の天敵(デュランデル家の使用人:牧童アンリオー) Lv35 調査採集:薪に用いる流木(アドネール占星台:占星術士エドメル) Lv35 ホワイトブリム前哨地確認採集:森林資源を蝕む者(デュランデル家の騎兵:ブルナディエ) Lv40 指定採集:竜を射落とす矢(デュランデル家の騎兵:ブルナディエ) Lv40 大量採集:前哨地防壁の建材(デュランデル家の騎兵:ブルナディエ) Lv40 調査採集:異端の痕跡の排除(イシュガルド教皇庁:神殿騎士マルスラン) Lv40 聖コイナク財団の調査地確認採集:草地の下に眠る物(聖コイナク財団:サイエル) Lv45 指定採集:調査地の足場用建材(聖コイナク財団:サイエル) Lv45 大量採集:結晶化した下草(東アルデナード商会:シュシュネン) Lv45 調査採集:結晶化現象の研究(博物学者イスーダ) Lv45 コスタ・デル・ソル確認採集:サゴパームのデンプン採集(レストラン「ビスマルク」:総料理長リングサス) Lv30 指定採集:コスタ・デル・ソルの景観維持(ゲゲルジュ氏の家令:ググディ) Lv30 大量採集:オシュオンローゼルのガク(フライングシャーク:店主ディルストヴェイツ) Lv30 大量採集:ココナッツジュースの材料集め(フライングシャーク:店主ディルストヴェイツ) Lv30 バノック練兵所確認採集:トレント生息域の植物調査(園芸師ギルド:レオンソ) Lv1 確認採集:「西の葉脈」東岸の植生調査(園芸師ギルド:レオンソ) Lv1 指定採集:野営訓練用の薪収集(神勇隊人馬師団:ガルフリッド教官) Lv1 指定採集:試供用のラテックス(園芸師ギルド:レオンソ) Lv1 確認採集:グリーンティア択伐地の間伐(園芸師ギルド:ガビノー親方) Lv5 確認採集:天柱樹の状態調査(園芸師ギルド:レオンソ) Lv5 指定採集:オチューの種子(園芸師ギルド:ガビノー親方) Lv5 大量採集:ファンガーの苗床除去(園芸師ギルド:ガビノー親方) Lv5 ベントブランチ牧場確認採集:チェスナットの収穫予測(園芸師ギルド:レオンソ) Lv10 確認採集:「西の葉脈」西岸の植生調査(園芸師ギルド:レオンソ) Lv10 指定採集:柵の建材の伐採(モーグリギフトマウンツ:牧童グスタバン) Lv10 調査採集:ローズレット繁殖状況の調査(碩老樹瞑想窟:道士ウォルデュー) Lv10 クォーリーミル確認採集:街道の安全確認(酒房「バスカロンドラザーズ」:店主バスカロン) Lv20 指定採集:ガラゴミントの調達(酒房「バスカロンドラザーズ」:店主バスカロン) Lv20 指定採集:ゲルモラ古銭の収集(ゲルモラの探求者:ロランデ) Lv20 大量採集:薪切りレース「バスカロン杯」(酒房「バスカロンドラザーズ」:店主バスカロン) Lv20 確認採集:クォーリーミルの造園作業(クォーリーミルの住人:エドック) Lv25 指定採集:戦化粧の材料採集(鬼哭隊弐番槍:ピモ・ネルハー) Lv25 大量採集:果樹園の収穫手伝い(園芸師ギルド:レオンソ) Lv25 大量採集:ゴブリン族のキノコ調査(鬼哭隊伍番槍:カステラン) Lv25 ホウソーン家の山塞確認採集:境樹周辺の雑草刈り(碩老樹瞑想窟:道士ウォルデュー) Lv15 指定採集:蜂蜜酒用のメープル樹液(フルフラワー養蜂所:ロサ・ホウソーン) Lv15 指定採集:雷神ラムウの印の除去(鬼哭隊四番槍:フロリモン) Lv15 調査採集:ホウソーン家の山塞植生調査(森の住人:ロルフ・ホウソーン) Lv15
https://w.atwiki.jp/goldenlowe/pages/71.html
4話「折れた剣」 夜の暗闇に生い茂る森の中を1人・・・そして数人の足音と怒号が聞こえる。アンレーデはその場の思いつきだけで走る先を右へ左へと変えてゆく。暫くの後、背後からの足音が聞こえなくなった事を確認すると、比較的大きな木の陰に身を隠すように体を預けた。 ぜえぜえと大きく肩で息をしているその様は追手を撒こうと形振り構わずに走った所為で体中は擦り傷に塗れ、さらには左腕には何かで切られたような傷が服を袖口まで真っ赤に染めている。 「もっと真面目に剣術を修めていればよかったわ・・・」 急ぎ左腕の傷を庇うように手持ちのハンカチーフできつく縛りあげる。肩の振れは治まらず、大量の空気を胸へと押し込んでは吐き出す作業を続けている。止め処なく流れる汗は俯いた顔の至る所から滝のように乾いた地面へ向けて流れ落ち、肌着が汗と自らの血に濡れて体に気持ち悪く纏わりついている。 身を隠すその木に寄り掛からなければ体を保てないほどに彼女の体力は著しく磨り減っているようだ、激しく上下する肩は一向に治まる気配を見せない。 「生来、初めて人に切りつけ、そして傷つけてしまった」 細身の柄を握る右手がガクガクと震えだす。 「あの状況では仕方ない・・・」 「鳥類の調査に関する依頼が来てるぜ」 アムステルダムの依頼仲介人は寄せられた依頼のファイルを捲りながらそう言った。 アンレーデは少し考える、鳥類の調査は他の動物と異なって調査が少々厄介なのだ。一番の理由は対象を追跡追尾する事が極めて難しいという事。地を歩行進行する生物はまだ幾分痕跡を残してくれるのだが、鳥類はそうはいかない。それゆえに鳥類の調査は嫌がる者が多いのである。かつて彼女も鳥類の調査で気まぐれな対象の行動に辛い思い出がある、しかし、その日はなんとなく受けてみようかなと大した事を考えずに資料を持ち帰ったのだった。 「これなら思った以上に早くできるわね」 資料に目を通すと鳥類の調査にしては容易そうな内容に残念とも嬉しいともいえる感情を覚えつつ、どっかりと椅子に腰掛けて航路の選定を始めた。と言っても行きなれた北海の航路など特に何を決めるべくもなく、乗組員達も行き先を告げるだけで良かった。 -物資の積み込みは2日後に完了する予定です。 船員からの報告を受けて、ぶらりと街へ足を伸ばしてみる。とりわけ何をする事もなく、何を探すわけでもない時間つぶしの為に街へ向かうのは、彼女にとって出航前の決まった行動である。 あからさまな模造品を本物のように並べ売る貴金属の露天商も居れば、真っ当な露天商も居る。生活雑貨に食料に武器・甲冑に至るまで売っていない者は人の魂だけだろうかと思うほどの賑々しさに市場は支配されている。彼女はそんな露天商の掛け声が飛び交う中をウィンドウショッピング自体を楽しむように広場へと抜けながら、時間を潰していた。 「いよぅ、何してんの?」 声と共に彼女の頭を軽くたたきながら声の主は現れた。 「ちょっと、現れるたびに背後から頭叩くの止めてよね。」 「いやぁ、アンレの頭って丁度叩きやすい位置にあるんよ。」 「何が叩きやすい位置よ、失礼ね」 現れた男の向う脛を軽く蹴りながら、男の逆へと向きを変える。 「痛ぅ!そんなに邪険に扱うなよ。お詫びと言っちゃなんだが、お茶でもどう?」 「お詫びというのなら付き合ってあげるわ。」 「ありがたいね。」 「ただし、ケンケーン・・・全部貴方持ちだからね。」 「うっ、ま・・・まぁお手柔らかにね。」 適当に入った店で紅茶とシフォンケーキ、ワインを口にしながらお詫びの味を確かめていた。 「ところでアンレは男おらんの?」 「レディーに対して随分な質問ね」 「アンレぐらいの人だったら。男の方も大変やろなってね」 「どういう意味かしら?」 「変な意味ちゃうで、美人やって言うてるんよ」 「ふふふ、そんな事言っても何も出ないわよ。」 「んで実際どうなん?」 ケンケーンは食い入るようにして彼女の応えを待っている。 「そうね、貴方はどう思ってるの?」 「アンレほどの人物や、どっかに隠して居るんやろな」 「じゃ、居るって事で」 「それじゃ答えになってないやん。」 「ふふふ」 「もし居らんのやったら勿体無いな、俺だったら放っておけないな」 「あら、私を口説いてるのかしら?」 「そ、そんな事じゃ無い。俺にはれっきとした女が居るからね」 「はいはい、お惚気ごちそうさま。」 ケンケーンは少しつまらないような顔をしながら頬杖を突いた、彼女はいつもこうだ。生物学者として生業を立てている彼女は修学した知識に関しては惜しげも無くに教えてくれるのに対し、いざ身辺の話となると上手くはぐらかされるのだ。好奇心旺盛な彼にとって彼女の押しても引いても話を引き出せない態度を難攻不落の城のようだと常々話していた。 「ほんとに話してくれんなぁ」 「ふふふ、女ってのは謎が多いほど魅力が増すのよ」 「ふぅん。それじゃライラはどうなん?」 「それは貴方自身が彼女から聞きなさい。」 「ちぇっ」 やはり今日も駄目だったかと、僅かに残念そうな顔を覗かせたが、彼にしてみればこの牙城を崩しに掛かる事が毎度の挨拶代わりでもあった。 「なぁ、アンレ。一つだけ教えてくれ」 「ふふふ、何かしら?」 「なんで生物学者という職業を選んだん?」 「それは答えなければ駄目かしら?」 「何か一つぐらい教えてくれてもええやろ。」 「そうね・・・、それはきっと生物学という分野が今の世の中で役に立たないからでしょうね。」 「役に立たない?」 「えぇ、例えば今そこの屋根に止まっている鳥がどんな種類でどんな生態であろうと日常の生活に何の支障もないでしょう?今、私達の仕事はそんな日常で役に立つとも思えない無駄な情報を命を賭けて集めてるだけ。本当に役に立たない学問だと思ってるわ。」 彼女は手元のマフィンを口に運びながら、淡々と語っている。自らの問いかけに何か希望に満ちた解答を期待していたケンケーンは思惑以外の返事にワインを飲む手を止める。 「なぜ、役に立たないと思ってる事を続けてるん?アンレやったら他の分野でも十分やっていけるやろ?」 「ふふふ、私の何を過大評価してるのかしら?」 「他の分野には興味なかったん?」 「そうね、どれも興味深い学問は一杯あったわ。でも気が付けば生物学だったわね。」 彼は「ふうん」と言いながら女性店員が持ってきたリンゴのコンポートを受け取りながら可愛らしい店員に愛想を振り撒く。その影で彼女は低い声でぼそりと呟いた。 「それはきっと、元々私が役に立たない人間だからね・・・。」 左手の銀腕輪の位置をもう片方の手で直しながら一瞬寂しい表情を浮かべる。店員とのやり取りにその表情を見落としていた彼はコンポートをアンレーデの前に並べる。 「ん?なに?」 「そういう事よ。さって、私はもうちょっと街の喧騒を楽しんでくるわ。」 「お、おぃ、ちょっと。」 彼の返事も待たずにテーブルに金貨を置くと呆気にとられている彼をよそに街の雑踏へと足を向けた。つとに明るく寛容に振舞う彼女が、神妙な雰囲気になっている事が彼にとっていやに引っかかった。 「エウリディケのショールに触ってしまったか・・・」 頬杖突いて考える目線の先には手つかずにテーブルリンゴのコンポートが写る。 「まぁ、こいつには罪はないな。」 そう言うと、皿に手を伸ばして味を確かめる。 「甘いな・・・、しかし、美味い。」 彼女が去ったカフェはいつも通り賑わっている、いくつものテーブルが婦人達に占領されている。そんな1つのテーブルでは、おそらく船乗りの妻らしき女性がこんな噂話をしていた「ブリテン島南に山賊が出たんですって・・・」 彼の前から逃げるように席を立った後、自らの船室のベッドへと戻り彼女は左手を飾る腕輪を眺めている。ぼんやりとその腕輪で遊ぶように揺すっては位置を戻す事を繰り返している。時折思いつめたように大きな溜息をついては窓の外に見える海を見て、再び腕輪を眺めていた。 「提督ぅ、さっきカフェの方が見えられまして。お届け物だそうです。」 船員がドアをノックしながら部屋の外で彼女を呼びかける。身に覚えの無い甘い臭いのする紙袋の中身を検めるとリンゴのコンポートと共に1枚のメモが添えられている 『こんなに美味いものを食べずにおくなんて勿体無い。 ケン』 くすりと笑いながらメモとその甘い臭いのする紙袋を手に椅子へと座りなおす。 「なるほど、あの容姿でこういう事をするから惑わされる女性が多いのね。彼の計算だとしたら強かね。もしそうでなかったら、女難に苦しむでしょうね・・・」 「でも、折角だし頂こうかしら・・・うん、少し甘味が足りないかしら?」 出航の予定日は曇天の空模様に緩やかな風が吹いていた。物資の積み込みも予定通りに終わり、各方面への書類も滞りなく終わっている。出航する為の全ての準備が整ったのを見計らって船員達は臨時の会議室になる食堂へと集まっている。アンレーデは出航する際、全ての船員に目的や航路を細かく伝える事を常としている。面倒な事だが、全ての船員に自らの口で伝える事が力なき提督としてできる責務だと言い聞かせていた。 目的や航路を伝えるだけなら彼らの責任者を集めて伝えれば良いのだろうが、それでは彼らが他の船員からの質問や苦情と彼女との板ばさみになってしまう事を少しでも軽減できるのではないかと考えての会議である。 この会議を始めた当初は提督に意見するという事を恐れていた船員達も会議を重ねるごとに次第に発言数も多くなり、提督より良い意見を出す事もあり、そういった発言はすぐに採用されている。 発言の中には目的地の近くに郷があるから帰港できないかという少し我侭な要望も含まれているが、家族の事ならと彼女は積極的にその要望をかなえようと尽力していた。 「今回の目的はブリテン島南部に生息する鳥類の生態を調査する。この港を出て北西へとすすみドーバー海峡を抜け、ブリテン島南部海岸線に沿いながら上陸地点を目指す。上陸地点は以前にも立ち寄った場所だ。行き慣れた海だが十分に留意して欲しい。上陸してからは依頼人より渡された情報を元に調査を行う。これによると、およそ3日ほど行軍した後にポイントに到着し、そこで調査を行う。調査期間は長く見て10日だろう。満足する結果が得られ次第船へともどり再びこの港へ戻ってくる。現在、近海の海賊情報はない。以上だが何か意見は?」 船員が沈黙でそれに答える。彼女は一同を見渡して意見がない事を確認する。 「それでは出航する。」 「おう!」 碇が激しい音と共に海から姿を現す、艀が離される、マストに張られた帆はしっかりと風を掴みフィッシャーマンの大きな紋章がその姿を空に向かって顕にする。ゆっくりと船は桟橋から海原へと進み出しす。彼女は甲板に立ってリズミカルな船員達の仕事を船の進路に見て取りながら、湿気の多い風を肌で感じていた。 「この風は、あまり好きじゃないな…」 彼女のそんな気持ちを他所に船は大きく西へと進路を変え、アムステルダムの街を後にした。 重く湿った風に乱された灰色の髪を手櫛で大雑把に整えながら彼女は船室へと戻る。船はしっかりと風を捕らえ、向かい風ながらも順調に進んでいる。忙しそうに見えた船内は出航時よりはるかに静かさを取り戻し、船員達の足音もどこか緩やかに動いている。 髪の乱れは潮風の湿気を含み思うように纏まらない「そう言えば・・・」と髪を櫛解く手を止めると彼女は食堂へと足を向けた。 食堂には朝食の片づけを終えタバコで一息ついている料理長が座っている。食堂へと入ってくる足音の正体が彼女だと確認すると「また、酒ですかい?」と意地悪そうに問い捨てる。その皮肉った問いにおどけた仕草で否定しながら自らの髪を指差して「これをお願いできるかしら?」逆に彼女が船室に秘蔵していた(買い貯めていた)選りすぐりのワイン1本をテーブルへ仕事料だと言わんばかりに置く。 「そんな物を見せられちゃ、やらずに居れんでしょうな」 小気味良い音と共に彼女の髪が切り揃えられている、彼女は普段から衣服や髪型に特別神経を払う事もなく、いつも無造作に伸ばしては長いと邪魔だからと言いながら市井の理容師へとは向かわず船内の人間(特にこの料理長は部屋が近いだけ犠牲になる事が多い)にお願いするぐらいの無頓着ぶりだった。世間では女性の髪はある種のステータスシンボルであり「髪が美しい女性」と評される事は女性にとって上級な誉め言葉でもある。その髪を一介の船乗りに預けるとは考えがたいことだった。街に住む彼女と同じ年齢層の女性ならいつも着飾って何かの目を引くような仕草を取りたがるのが常だが、同じように彼女が着飾った事など船員は見たことがなく、それは他の女性提督と比べても船員が気を使うぐらいに無頓着だった。化粧も最低限しかせず、最近の流行の化粧法とは程遠い軽いファンデーションと薄い紅程度しかしていない。 決して彼女はその容姿が飛び抜けて美しくもなく、醜くもないが、その素っ気無さがどちらかというと元来の美しさを台無しにしている感は誰の目にも映った。 いつぞやに彼女の船室を掃除した船員はテーブルには十分なほどの化粧品が揃っていたのを見ているが、それらを駆使した格好は見ることなく今日を迎えている。 市井の理容師で十分な化粧を施せばそれなりの評価を受けそうな体躯に容姿だが、彼女自身にその気が全くないのは岩石に埋もれた小さな宝石の原石を見ている気分にさせた。 理髪を頼まれた船員は幾度かそんな事を彼女に伝えている。ただ、彼女からは決まって「私は身の程を十分弁えてるからね」とあっさりと否定されるのだった。 ただ、全てに関して彼女は無頓着でもなく身を飾る小さなアクセサリーに関しては決して高価なものではないにしろ何処から見つけてくるのか趣のある物を購入してはさりげなく彼女の腕や耳を飾っている。まんざら審美眼が皆無というわけでもないようだが、逆にしかし、それはそれで余計に両極端な振る舞いが浮き彫りになってしまい、酒場女などから世間の仕組みを知っている船員達は、彼女が船員に理髪を頼む度に、その報酬の酒をやりながら彼女のくだらない噂話をしているようだった。 「できやした、こんな感じでどうです?」料理長は手鏡を差し出しながら尋ねる。彼女は手渡された手鏡を使うことなくテーブルに置き、その両の手で理髪されたばかりの髪をバサバサと櫛上げて感触を確かめる。 「うん、軽くなったわ。ありがとう」一言だけ礼を言い、料理長と共に床に落ちて居る自らの一部だった銀髪を掃除すると船室へと戻っていった。 目を閉じていても躓くことなく辿り着けるだろう程に体に慣れた船内はドーバー海峡の波と比例するかのように緩やかに揺れている。船室までの通路を計ったように同じ歩調で戻る途中に甲板から船員が走ってきた。 「海賊でも現われたの?」 少し息を切らせている船員は大きく顔を横に振ってそれは違いますと返事する。 「西にライラ殿の船が見えます。」 「それは見に行かなくてわね。」 甲板に出てみると、確かにライラの船が見える。 「信号を送ってみて」 彼女の言葉に船員は鏡を使って信号を送る。 ライラの船の挙動をじっと望遠鏡の視界から確認する。手旗が返ってくる。 「我 ロンドン 帰港、西 全テ 良シ」 望遠鏡の視界には同じく望遠鏡を覗く人物が映る、ライラだ。 こちらの行き先を返すと、望遠鏡を覗くライラは手を振る動作をした後、船が近寄りすぎないように指示を出す為か彼女の丸い視界から消えた。 「彼女は何処へ行ってたのかしらね?何か新発見があったのかしら、上機嫌に見えたわね」 「あっしらも良い発見できると良いですねぇ」 「それは貴方達のがんばり次第よ、頼りにしてるわ。」 「へへへ」 不慣れな鳥類の調査とは言え、依頼内容は極めて簡単そうだ。それなりに日数を掛ければ確実に達成できるだろう。不安材料は今のところ「不慣れ」という事だけ、しかし生物学を修めようとしている彼女自身にとっては鳥類の調査も習熟しなければならない事と自覚していた。丁度良い機会だと依頼を受けた後に無理矢理自分でそういう理由をこじつけていた。 ライラの船と行違えて、船はドーバー海峡からブリテン島南部海岸線沿いに航行を始める。 残りの航路は約1日、行き慣れた航路とライラがもたらした情報により安心して西進する。船内は上陸の準備をゆっくりと始めている。 「提督ぅ、今回の調査には銃装しますか?」 これから向かう先は何度も上陸経験がある、その度にその近辺を探索するも。山賊の疑いがある物は何一つとして見つかっていない。船員もそれを承知だが勝手に兵装のランクを決められる訳もなく一応儀礼的に尋ねてきたのだ。 「銃装は無くても良いわね、全員普通の兵装で準備させて。でも万が一を考えて非常食の携行だけはさせておいてね。」 予想通りの答えに大きく返事した船員は早速その指示を持って船内へと戻っていく。 「さて、私も準備するかな」 順調な日程に満足しつつ甲板を後にしようとした時、低く吹いていた風が甲板で跳ね返り、まるで床から吹上げるような感覚の湿った風に船内へ戻ろうとしていた彼女の髪が空を向くように舞い上がる。 「全く、嫌な風ね・・・」 吹きぬけた風を睨むように後を振り返る。うす曇の中で太陽が西の海に消える準備をしている。 「今日は妙に朱いわね、気のせいかしら。」 朱色に染まった雲を見ながらそう呟くと彼女は風に止められた足を再び船内へと向けた。 「明日の朝上陸する。船守はいつもの順で担当班が残り、他は全て調査隊とする。上陸開始後は船を少し沖に出して待機して欲しい。調査隊は今回の調査は鳥類であるため望遠鏡は必携、兵装は普通。3日ほど進めば目的地に着くだろう、そこで基本的な調査を行う。ここに今回の対象である鳥類の図がある、これをよく覚えて誤調査のないように。非常事態発生時は人命最優先、各員自らの安全を図りながら西の丘に集まる事。以上」 「提督ぅ、非常食はどれだけ持っていけば?」 「各員、2日か3日分でいいだろう。」 再び食堂が会議室となっている。探索に慣れているとはいうものの一つ間違えるだけで自らの生命に関わる事となるのは重々承知している彼らから慎重な質問と意見が出されている。無論、儀礼的に探索の度に同じ内容の質問も繰り返される部分もあるが、慎重を期する事の大切さを再確認する上で重要でもあった。 「他に何かないか?」 ひとしきり浴びせられた質問と意見の全てに対し答え終わった彼女が一同を見ながら次なる意見を促す。これ以上のものがないと確かめた後、彼女は会議を解散し会議室は本来の食堂へと戻り、そのまま夕食となっては一変して場は騒がしくなる。 牛肉のローストバジリコソース、クラムチャウダー、ほうれん草ソースペンネにワイン。探索前日の夕食はいつもより内容が豪勢で、この船の料理長が粋な計らいを見せている。彼女も船員達もそれが楽しみであった、美味い夕食が消えていくのは速くて料理長もここぞと言わんばかりに普段より多くの量を調理しても、彼らが食堂から出ると綺麗さっぱり皿は空だった。 狂おしいまでに緑に光る木の葉を繁らせた森林の中を何人、何百人と歩いたであろう畦道を進む、かつては彼女自身も何回として歩み進んだ道だ。霧の街から近い上陸箇所として駆け出しの頃にはまともな依頼がなく時間を持て余すぐらいならと足しげく通っては遊び場所にしていた所でもある。森はあの頃と少しも変わらずに未だ発見されていない新種を隠し持っているかのような雰囲気を湛えている。 彼女も数多くの上陸地点へと足を踏み入れたが、どの上陸地点も何かを秘匿し冒険者をあざ笑うような葉擦れの音やざわめきが好きだった。いつ何時命を落とすとも知れぬ未開の辺境地であっても、冒険家にしか分からない隠された臭いというか包み込む雰囲気を彼女はこよなく愛していた。 例えばそれは、人を餌と思う猛獣の居る地であったり、毒をもった昆虫が多く生息する地であったりもするが、彼女にとってはそれこそも含めた全てが何よりも替えがたい時間だった。彼女は常に言う「新種を発見した喜びは、探索のそれに関して一瞬の悦楽でしかないの。その一瞬だけの悦楽の為に冒険家をしていると言う人も世に数多く居るけれど、私はそれとは違う部類になるでしょうね。確かに目標は新種を発見することかもしれない、でも私にとって探索とはその場に居る一瞬一瞬に起こり得る事全てを味わう事、それが私の真の目的なの。船を下りて未踏、既踏の地関係なく足を踏み入れた瞬間から私は学ぶ時間が始まるの、それは一枚の木の葉からも教わることは多いわ。知識は万人のものなの、より多くの情報を得てそれを隠すことなく生活し、そして「なぜ?」と問い続ける人生を歩いていきたいの。」 そう言う彼女の探索は目標だけを追いつづける探索ではない。現に過去において依頼された仕事だけを遂行して戻ったことなどなかった。一度探索へ入るとまずは依頼された仕事をこなす、満足する結果が得られると期日までの空き期間は彼女の研究(?)時間に当てられる。それは植物、生物、昆虫、地上、水中なんの纏まりもなく彼女自身が気になったモノ全てが対象である。そして彼女が納得するまで期日ぎりぎりまでそれは続くのだった。 上陸してから2日が過ぎると予定より早く依頼の鳥類を発見し早速調査が始まった。行動時間、食性、生息数と近辺を望遠鏡で観察する。彼女を含め調査隊をいくつかのグループへ分けて分担作業でそれを追っていく、皆も慣れている手順で彼女の元へ調査レポートを届けてゆく。彼女はそれをもとに報告書を作る。依頼主の求める情報に新たなる情報を付け加えながら書き進んで行く。さすがに手馴れた船員達だ、予定は10日と思っていたが、4日過ぎた今日で顧客を満足させるであろう内容は全て揃っていた。それらを書き留めながら彼女はこの続きでは何を調べようかと嬉しく悩んでいた。 5日目、今までの進捗具合を鑑みると今日で最終だろう。今日は調査漏れがないか最後の確認をする事だけだ。要求されていることがさほど高くない内容である為、漏れる事はないが次いつ会えるかもしれないその鳥類を見納める意味合いを含めての調査である。 「依頼に関する調査は本日で終了する。満足いく調査結果が出たことに感謝する。これより本隊は当基地を撤収し、調査ポイントへ向かう。調査漏れがないかの確認を行った後、東へ移動して少し植物探索を行う。各グループに分かれた後、ポイントで再調査を行い夕刻までに指定した東のポイントへ各集合して欲しい。以上」 撤収の合図が送られた、彼らは一斉に作業へと取り掛かる。と言っても昨夜から伝えていた為その作業はさほど時間を要しなかった。 撤収した隊はここへ到着したときと同じ荷物を抱えて調査ポイントへと向かう。ここ数日で調査隊が歩いた箇所はやんわりと踏み固められ細い獣道が出来上がっている。連日の快晴でまだ地面が乾いているだけ歩きやすいが、やはり急造の道では歩きづらさは街のそれとは全く違っている。繁る木々の葉から毀れる日差しが所々神秘的に照らし出しているものの全体的には薄暗くしんと静まり返っている。一行の進むざくざくという足音が遠くに響いているようだ。草木から出る森林独特の香りは行軍する者たちの疲れを癒すように辺りに充満している。基地から調査ポイントまでは約半時ほどで到着しここで各グループへ別れて確認調査した後東のポイントへ向かう手筈だ、グループ長を集め彼女は最後の確認をする。 「夕刻までに東の・・・・」 その時だった、1発の銃声が響く。 「伏せろ!」 続いて2発目、3発目の銃声と共に辺りの木に弾が命中したような挙動を見せる。 それと同時に汚い怒声を上げながら見知らぬ男達が隊めがけて突っ込んでくる。 「山賊だ!西の丘へ!絶対に命を粗末にするな!私のグループは最後まで残る、他は散れ!」 腰に提げているものを抜刀すると、こちらへ向かってくる山賊の数をざっと数える。 「(むこうは12・3人、こっちが10人。少し分が悪いな)」 向かってくる男たちを睨みつけながら残った船員達に声高く叫ぶ。 「皆、無理はするな!絶対に命は落とすな、どんな形でもいい生き延びろ!家族のことを思いながら生きろ!」 「(・・・家族か・・・我ながら皮肉な言葉だ)」 自らの言葉に自問自答する。 その間に2人の山賊が彼女の前に現われる。 「女だ!これは使えるぜぇ」 下品な口調に吐き気がする。 山賊からしてみれば「男は殺して奪え、女は生かして使え」この簡単なルールを愚直に守るだろう。彼女にはありがたくないルールだ。捕まって嬲られ続けるぐらいならいっそ殺してくれた方がまだ救われるものを・・・。 しかし、むざむざ捕まるのを是とするなど言語道断と彼女は細身の柄を握り締めた。 「アンレ、オマエは本当に弱いなぁ」 膝から崩れるように座り込む彼女の傍らでF・トーレスは少し困ったように笑いながら言う。 声も出ないほどに肩で息をする彼女を見ながら彼は手に持った模擬剣でトントンと肩を叩きながら動けない彼女とその様子を見ていたケンケーンと交互に見た。 「ちょっとケン君、こっちへ来なさい。」 いきなりの指名に「おっ」と声を出しては慌てて駆け寄る。 「ケン君、そこに立ってなさい。」 「トーレスさん、痛い事しないでよ」 「あほ!何を言うとる。そんなこと言いよるから強くなれんのや!オマエもアンレの後で稽古つけたるから安心せい」 「えー。」 「やかましい、じっと立っとれ!」 2人の会話も全く耳に入らない様子でアンレーデは大きな息をしながら空を仰いでいる。全身は汗に塗れ、いたるところから汗が垂れている。 「(おかしい、なぜこういう流れになったのか・・・)」 ぼやける思考の中で今に至る経緯をゆっくりと思い出していく。 彼女は書庫へ連日で泊り込んでいた、何か依頼を受けたわけでもなかったが、不意に気になる事を思い出してからと言うもの篭り続けていたのである。そんな泊まり生活の中で休憩をと立ち寄ったレストランで、偶然にも彼ら2人に会ってしまった。 彼女としては楽しい昼食を取って気分転換した後に書庫へ篭る絶好の機会だと思っていたのだが、F・トーレスの一言でその希望は脆く崩れたのである。 「よし、2人共。飯食ったらアンレの特訓するぞ」 今まさに運ばれてきたチーズケーキを味わおうと口へと持ってきた時の事だった。彼女は開いた口がふさがらない様子で彼の突飛な発言にその瞬間のまま硬直している。 「いつも書庫に篭ってばかりだと不健康や!少しは運動せなならん!決まりやな。」 彼は1人で話を進めて決着させてしまった。 「返事は!?」 全く彼のペースに取り残された2人に返事を促す。 何のことやら分からずに呆気に取られていた2人はその言葉に思わず「はい」と答えてしまった。 「(・・・まんまと乗せられたわね。)」 髪から肩に伝わる汗を感じながら、彼女はまだ空を仰いでいる。いっそこのままこの野原に寝ることが出来るならどれだけ幸せだろう、柔らかに繁るその草いきれと太陽の暖かさを感じながら目を閉じることができたなら今はなんと心地よいだろう。
https://w.atwiki.jp/fland/pages/306.html
[地図] [チェリー村] [レインボー] [微笑みの森] [西の野原] [ゼリー迷宮] [NPC] [生産] [出現幻獣] [クエスト] 北の野原 NPC 場所 名前(日) 名前(英) 座標 備考 1 踊る靴の少女 78 106 2 旅商人スタンレー 88 165 アイテム販売 3 ダナ Roos 88 23 4ヴィンスの家 ヴィンス Vins 55 41 クエスト発生-荒れた村 5土の神殿 リカ・アンジェ 26 115 幻獣スキル「落石」 アンジェリカ 26 115 幻獣スキル「再生」 男牧師キース 26 115 土の魔法習得 土の聖者 26 115 属性上昇クエスト 女牧師ニーキ 30 115 土の神殿下、木の影付近 スチール 26 158 幻獣アクセサリー作成 6 オオカミ男 12 74 クエスト発生-賢いオオカミ男 7 料理長ダニエル 18 18 一定時間に出現(小人山、バラ湖、赤帽村) 生産 技術 Lv 採取物 備考 狩猟 10 羊の肉 10 羊の皮 ハーブ採り 10 ミント 10 オカヒジキ 釣り 20 エビ 30 スズキ 出現幻獣 最大同時出現数:2 Lv 名前(台) 名前(日) 名前(英) 属性 種類 備考 4-5 箭豬 ドノブタ 土 ブタ 東(横座標61〜右)に出現 4-5 金錢鼠 コガネズ 金 鼠 6-7 #40643;褐蝶 クレイバタフライ 土 蝶 中(横座標31〜60)に出現 連盟カード 6-8 金殼蛛 コガネグモ 金 蜘蛛 8-9 褐土獅 穴掘りライオン 土 レオ 西(横座標左〜30)に出現 8-9 狼人 オオカミ男 金 狼 クエスト 任務名(日) 任務名(英) 依頼者 発生条件 内容 報酬 荒れた村 Ghost Town ヴィンスヴィンスの家 内部 55 41 1.ヴィンスに話しかける(選択で報酬の入手法が変化)選択肢1・「you look like you ve seen some actions(お見かけ…)」→話し直し・「is there anything interesting around here?(興味のあるものは?…)」→選択肢2へ・「nothing just saying hi...(いえ、何でも…)」→選択肢3へ選択肢2「do you still have map now?(その地図は?)」(共通)→地図を10000coinで売ると言われる・「that for a map out of your fantasy? keep dreaming(貴方はその地図で夢を見ているのか?)」→1.に戻る・「deal give me the map(私に地図を与えなさい)」→8000coinで購入※・「it s more than i can afford(私にそんな余裕はない)」5000coinで購入※※coin不足だと1.に戻る選択肢3・「sure I ll get your medicine(貴方の薬を買ってくる)」→3.へ・「I d like to but I m too busy(私は忙すぎる)」→1.に戻る3.チェリー村の看護婦ケリーアから薬を受け取る4.薬をヴィンスに届ける→タダで地図を入手 古い地図(眠りの村に入るのに必要) 賢いオオカミ男 Clever Werewolf オオカミ男 12 74 発生LV9(本進行:LV15) 1.オオカミ男と話す選択肢・洞窟に入るのを嫌がる→2へ・素直に洞窟に入る→4へ2.おわびに牛肉10切れをオオカミ男に渡す→4へ3.洞窟に入るかどうか答える・「…やめときます!」→(しばらく再選択不可になる。クエ再開は3から)・「…行けばいいんだろ!」→4へ4.(LV15以上から進行)ゼリー迷宮1Fの年寄りライオン(8:35)と話す5.オオカミ男と話す6.年よりライオン(LV20)と話し戦闘しライオンのひげを受け取る。(年寄りライオンは光属性で回復を頻繁にするため倒しずらいが戦士の場合、闇属性の幻獣を武器化するとよい。攻撃は体当たりのみ)7.オオカミ男にライオンのひげを渡す→報酬 報酬名声30(戦闘なし)報酬名声200、クジャク石