約 19,731 件
https://w.atwiki.jp/scsjfrfbgps/pages/12.html
提督(組合長 うp主)のご紹介 天邪鬼と書いて・・・ry(りとらい1にて本人談) 潜水艦フェチ(りとらい1・2・3・4・5・6・7・8タグより) 必勝体制で勝利するのが大好き(りとらい2にて本人談) 絶望先生好き(りとらい2タグより) ツンデレ現る(りとらい5タグより⇒りとらい6にて本人"今は猛烈に後悔している") 寝ている間も呼吸のやめられない呼吸中毒(りとらい6にて本人談) メイド服はスカートの長い野暮ったいものがお好み(りとらい7にて本人談) 布団の中での後五分は三時間が常識(りとらい8にて本人談) きのこオタクで信者(りとらい9にて本人談) 編集者様の降臨をお待ちしています。
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/24334.html
火砕提督パンプ・アッパー R 火文明 (6) クリーチャー:フレイムロード 5000+ ■W・ブレイカー ■パワーアタッカー+2000 ■相手のターン中にこのクリーチャーが自分の手札から捨てられる時、墓地に置くかわりにバトルゾーンに出してもよい。 ■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分の山札の上から3枚を見る。その中からパワーに+と書かれているクリーチャーを好きな数選び、相手に見せてから自分の手札に加えてもよい。その後、残りを好きな順序で山札の一番下に置く。 ■自分のパワーに+と書かれているクリーチャーの「パワーアタッカー」能力を使った時、カードを1枚引いてもよい。 作者:切札初那 フレーバーテキスト 収録 NDMX-04 「冒険編外伝 ステージ4 時空の神殿」 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/90.html
「・・・」スピー 「提督、起きてください、朝ですよ?」軽くゆさゆさ 「んん・・・」むにゃむにゃ 「ど、どうしましょう、起きて頂けません・・・榛名はどうすれば・・・」 「・・・」すやぁ・・・! 「そういえばお姉様が、眠った人を起こすにはと・・・周りに誰も居ませんよね・・・?」キョロキョロ ちゅっ 「───し、ししし、して、しまいました!は、榛名は、て、てーとくにき、き、キス・・・!」 「んぅ・・・榛名?」 「───!ひゃい!」 「お早う・・・なんか顔赤いけど大丈夫か?」 「お、お早うございます!はい!榛名は大丈夫です!失礼します!」バタバタ 「・・・?」
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/1281.html
230 :4:2012/08/03(金) 02 59 38 提督たちの憂鬱 第9話登場兵器一覧 1/9 ルーズベルト大統領倒れる この情報は夢幻会に衝撃を与えた。 『何しろ、あの辻でさえ、飲んでいたお茶を吹き出したほどだ。 ちなみに、そのお茶は彼の正面に座っていた東条にかかり、 彼を再び悶絶させることになる。』本編9話より抜粋 夢幻会会合 嶋田繁太郎:会合出席。 青島の中国海軍、 比島の米海軍の監視を強化。ハワイの諜報員を増員。 東条英機:会合出席。 またもやお茶がかかり再び悶絶させる。 大陸のコネクションを通じて探りを入れる。 辻正信:会合出席。 余りの衝撃にえ、飲んでいたお茶を吹き出した。 土肥原に米国のマスコミや株価関連の情報収集を指示。 国内の政治家と世論の操作に力を入れる。 『「と、いうわけで、土肥原局長、米国のマスコミ、 これまでノーマークだったゴシップ誌も色々と注意を払ってください。 地方のものもです。あと株価、特に軍需関連については注意をお願いします。 何らかの前兆はつかめるはずです」』本編9話より抜粋 土肥原賢二:JCIA局長。会合出席。 民主党:一概に反日というわけではない。 共和党:国益のためなら何だってする。 反共ということで組みやすいが、楽観は危険。 日ソを戦わせて共倒れさせる可能性もある。 米国:『日本をユーラシアのランドパワーに対する盾、 それも使い捨てができる盾として使うことができる。 そのことを理解している人間たちは不快そうな顔をすると同時に、 米国がそのような選択肢を選択しかねないことを納得した。 ましてこの世界ではナイロンなどを先に開発して、 米国企業の利益を著しく損ねていたのだ。 日本を潰す理由は幾らでもあった。』本編9話より抜粋 231 :4:2012/08/03(金) 03 00 55 201差し替え 2/9 TV放送を前倒しして実施。 『アメリカの変化に対応するためには、 国内の世論操作を迅速にする必要がある…… そう結論づけた辻は、TV放送を前倒しして実施した。』本編9話より抜粋 日本軍:子供達への宣伝工作と称して特撮番組を制作し放送。 記念すべき一作目は『愛国戦隊・大日本』であった。 ちなみにこれを見た嶋田は思わず頭を抱えた。 『軍の全面的な協力と未来の特撮技術を使い込んだこの作品はあっという間に この時代の少年達の心を掴むことになる。』 青島海軍基地:多数の輸送船が入港。 ネバダ級戦艦:「ネバタ」「オクラホマ」訓練の名目でフィリピンに進出。 ペンシルベニア級戦艦:「アリゾナ」同上 。 レキシントン級航空母艦:「サラトガ」 同上 。 米国義勇軍:米国陸軍航空隊が義勇軍として 中国大陸に派遣が検討されている。 210 :4:2012/08/01(水) 06 29 15 2/6 TV放送を前倒しして実施。 『アメリカの変化に対応するためには、 国内の世論操作を迅速にする必要がある…… そう結論づけた辻は、TV放送を前倒しして実施した。』本編9話より抜粋 日本軍:子供達への宣伝工作と称して特撮番組を制作し放送。 記念すべき一作目は『愛国戦隊・大日本』であった。 ちなみにこれを見た嶋田は思わず頭を抱えた。 『軍の全面的な協力と未来の特撮技術を使い込んだこの作品はあっという間に この時代の少年達の心を掴むことになる。』 夢幻会会合 嶋田繁太郎:会合出席。これを見た嶋田は思わず頭を抱えた。 収集した情報を報告。 『「………軍人たちが番組のシナリオを書いたってことが判ったら、 俺のせいになるんだろうか?」』 『「海軍の情報収集の結果ですが、青島の中国海軍基地に 多数の輸送船が入港したことが確認されました。 米海軍も戦艦3隻、空母1隻が 訓練の名目でフィリピンに赴いています」』本編9話より抜粋 東条英機:会合出席。収集した情報を報告。 『「陸軍の情報収集では、米国陸軍航空隊が義勇軍として中国大陸に派遣が 検討されているとの情報を掴みました」』本編9話より抜粋 土肥原賢二:JCIA局長。会合出席。収集した情報を報告。 『「軍需関連が上がってきています。様々な分析を通じても、 何らかのアクションがあると思われます」』本編9話より抜粋 辻正信:会合出席。 近衛文麿:会合出席。特撮推進派閥筆頭。 幾つかの映画のシナリオと特撮シーンで辣腕を振るった。 上海で必ず大きな動きがあると示唆。 『同時期にはTV以外でも多くの特撮映画が、未来の特撮技術を使って作られた。 劇中のあまりの迫力ぶりに、本場ハリウッドからさえ、 日本の特撮技術は注目されていくことになる。』 『「ハリウッド映画関係者、テラ涙目!!悔しかろう、悔しかろう……くっくっく」 夢幻会の席上で露にされた、近衛のあまりのハイテンション振りに 他の人間が思わず引いた。』 『「彼らは来るぞ。早急な成果が欲しい人間は遠慮や配慮というものがない。 まして力が全ての新興国だ。何もないほうが可笑しい」 「近衛公はどこで事が起こるとお思いですか?」 「辻さん、君もある程度はわかっているだろう? 米国がすぐに手を出せて、かつ大陸市場進出の要となる拠点といえば数は多くない」 「そしていざとなれば日本を封じ込められる場所……上海ですか」』本編9話より抜粋 土肥原の部下:上海で大規模なテロが発生と報告。 『その言葉が辻の口から放たれた瞬間、 土肥原の部下がやや青い顔をして部屋に入ってきた。 そして土肥原が何事かを聞く前に緊急報告を全員に告げた。 「上海で大規模なテロが発生しました。これによって米国人多数が死傷。 米国政府は直ちに報復を行うとのことです」』本編9話より抜粋 216 :4:2012/08/01(水) 07 00 13 3/6 上海で大規模なテロが発生 『上海で米国人12名がテロによって残虐な方法で殺傷された、 このニュースはアメリカ人を激怒させた。 一発殴られたら、十発どころか、相手が足腰立たなくなるまで 殴り返すのが、彼らアメリカ人の流儀であった。 故に正面から売られた喧嘩を前に 逃げ腰になるという選択肢はなかった。』本編9話より抜粋 ホワイトハウス ヒューイ・ロング:大統領に昇格。軍高官たちと協議中。 ウィリアム・リーヒ:海軍作戦部長。大統領と協議中。 海軍はアジア艦隊に加え、 第1任務部隊から第4戦隊、第9巡洋艦戦隊を上海攻略に参加。 コーデル・ハル:国務長官。大統領と協議中。 懸念を表明。ロングの考えを察し絶句。 『「ハル君、中国では匪賊が多いらしいな」 「……はい。かの国で経済活動をする際には、 注意を払う必要がある存在です……っまさか!!」 「白人層は犠牲にはしないよ、ハル君。幸い、 国内では困窮する有色人種が少なくない。金になると判れば動くだろう。 それに共産主義の思想に共鳴しかねない危険分子を 一掃するチャンスじゃないか。財界も賛成する。何も問題はない」』本編9話より抜粋 他の出席者たち:ロングの考えを理解し顔をしかめた。 張作霖:名前だけ登場。上海攻略に参加。 奉天軍:海兵隊と共にいつでも上陸できる。 米国海兵隊:奉天軍と共にいつでも上陸できる。 212 :4:2012/08/01(水) 06 30 37 4/6 アメリカ合衆国は中国でのテロに断固たる措置を取ると発表。 米国:リメンバー・シャンハイと叫び、上海攻略を開始。 日本に対して領海の通過を認めるように申し入れた。 蒋介石:米国でロビー運動を繰り広げる一方で、諸外国に助けを求めた。 日英独仏:米国の過剰反応を諌め様としたが リメンバー・シャンハイと叫びたて無視。 夢幻会会合 米国は日本に対して領海の通過を認めるように申し入れた。 嶋田繁太郎:会合出席。 『「海軍は、艦船の改装スケジュールの関係で まともに戦うのは難しい状態です」』本編9話より抜粋 伏見宮博恭王:名前だけ登場。 強硬派の一部の軍人と財閥を伏見宮たち、 ヲの字の同志達の手によって封殺。 辻正信:会合出席。珍しくため息をついた。 米国を大陸に引きずり込み富を毟り取ることに。 『「認めなければ日本はテロリストと同列扱い。 認めれば大陸に米国が独力で橋頭堡確保。 どっちに転んでも面倒ですね」』 『「この際、軍事でも完全に米国を大陸に引きずり込みましょう。 やるのなら徹底的にしなければ」』 『「米軍が内陸奥深くに進出するのは、時間が掛かります。 それまでに国民党からできるだけ富を搾り取ります。元は取れますよ」 「国家の維持と発展にはお金が必要なんです。まぁ拝金主義は良くないですが、 それでも原資は必要ですよ」』本編9話より抜粋 阿部信行:会合出席。中国の共産化を提案。 『「ええ。共産党があの国を統一すれば、 昔からの倫理観や宗教観は破壊されます。 それは国を弱体化させてくれるでしょう。 ついでに日本国内で赤化への警戒心も増すでしょう。 そうなれば色々な社会制度の充実も可能になります」 内務省で共産主義対策に関する権限を掌握している阿部は、 大陸の赤化勢力を口実にして共産主義対策を推進する気であった。 それは単に武力で共産主義を封殺することではなく、 社会保障制度そのものを構築していくことで、 より住みやすい日本の実現を目指すものでもあった。』本編9話より抜粋 近衛文麿:会合出席。 『「夢幻会の決定に強硬派の一部の軍人と財閥が激怒して叛旗を翻そうとした。 だが辻が培ったMMJの人脈、伏見宮たちのヲの字の同志達の手によって そういった動きはあっさり葬りさられることになる。』本編9話より抜粋 213 :4:2012/08/01(水) 06 31 21 5/6 日本によって領海通過が認められ、米軍は上海に侵攻を開始。 国民党軍:華北、そして上海から挟撃されるという事態に蒋介石は陥った。 『第一次上海事変での戦訓、そして奉天軍の海軍力増強に刺激されて、 空海軍力増強を図っていた国民党軍であったが 米艦隊の前には成す術もなかった。』本編9話より抜粋 ソ連:最後の頼みとしていたソ連の仲介も失敗。 夢幻会:現地の状況報告を受けた夢幻会は改めて自分達と相対している国家の強大さを知った。 この時日本が自制していたことのほうが、米国政府を驚かした。 ホワイトハウス ヒューイ・ロング:日本への挑発が失敗し思わず舌打ちした。 総研についてのさらなる調査を指示。 日本が動かないのでメキシコを狙う。 『「あの国が自重するとは驚きだな」』 『「正統な口実があれば、文句は言いはしない。 メキシコへの工作を急げ。他国に隙を与えるな」』本編9話より抜粋 コーデル・ハル:国務長官。大統領と協議中。 強引な動きに懸念を示す。 英国:米国の中国や南米での暗躍を察知。米国を警戒し始める。 ネヴィル・チェンバレン:宰相。穏健派。 『この米国の暴走を憂慮して、 1938年に解消することになっていた 日英同盟を何らかの形で存続させたほうが 良いのではないかと考え始めていた。』本編9話より抜粋 日本:そこに付け込むべく、様々なアプローチを開始。 吉田茂:英国に外交官として派遣。 日英同盟の延長、または同盟に準じる条約の締結を模索。 日英安全保障条約:準軍事同盟。参戦義務が無い。 戦時では相手国に対して友好と中立を維持すると明記。 物資も融通する。ただし支払いは金。 214 :4:2012/08/01(水) 06 32 05 6/6 夢幻会会合 日英安全保障条約:締結。 嶋田繁太郎:会合出席。苦虫を噛み潰したような顔で呻いた。 『「……つまり東アジアで日本が英国相手に大暴れしないように首輪を掛けて、 かつ日米が衝突しても戦火が飛び火しないというわけか」』本編9話より抜粋 辻正信:会合出席。まぁ当然でしょうね、と肩をすくめる。 少数の重爆撃機開発生産を承認。同人誌はニーソ物が好み。 『「多少、こちらの目論みとは離れていますが、 この程度の繋がりがあれば米国も迂闊には手を出せないでしょう。 この条約と連合側への参戦で時間を稼ぎつつ、 核兵器とその投射手段の開発を行えば、 米国も我が国と正面から戦うことはできないはずです」』 『「ふむ。なら、重爆撃機を作ったほうがいいかもしれませんね。 原爆専用機のテストにもなります」 「………数が揃えられませんよ。海軍の予算はもう一杯一杯なんですよ。 さらに予算が増額されれば話は別ですが」 「ははは、別に数がなくても良いですよ。 そういった部隊や兵器があるだけで米軍は、 後方の護衛を強化せざるを得なくなります。 そうすれば、米軍が日本へ侵攻する際に、 より高いコストを払わせることができます。 こちらが支払ったコストより、向こう側が より多くのコストを払う破目になれば成功と言えます」 予算について煩い辻は、どこまでも費用対効果を追求していた。』本編9話より抜粋 伏見宮博恭王:会合出席。 東条英機:会合出席。 土肥原賢二:会合出席。 世論操作及び各国要人を21世紀の日本のAVの技を駆使して篭絡。 倉崎関係者:会合出席。 三菱関係者:会合出席。 白洲次郎:会合出席。夢幻会協力者。 山本五十六:名前だけ登場。陸上攻撃機派閥 滑空爆弾を複数搭載できる大型爆撃機の開発を主張。 会合では冬戦争に向けてフィンランド支援を決定。 最近の同人誌:スカートの中が絶対領域化。コノミンやフシミンの影響。 夢幻会は第二次世界大戦勃発に向けて真面目に準備を加速させていった。 『しかし彼らは第二次世界大戦の フラグイベントたるミュンヘン会談の前になって、 さらなる史実との乖離を目の当たりにすることになる。』本編9話より抜粋
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/43.html
瑞鶴ちゃんインカミング! 第0話 左の山から書類を取ってページをめくる。大事なところはメモを取り、確認のサインをしてから右の山に乗せる。 左の山から書類を取って、以下同文。 それが済んだら左の山から書類を取って、以下同文。 見てるぶんには単調なことの繰り返しでも、提督である俺のデスクに届く書類に、おろそかにしていいものは一つもない。 この鎮守府にある参謀、軍医、主計、造船、兵器、建築の主な6つの部署からの情報はそのまま、いま行われている海の覇権を賭けた戦争のゆくえだけじゃなく、 深海軍と呼ばれる謎の生命体と戦う主戦力である、艦娘たちの命も左右する。 俺がいま読んでいる造船部と兵器部からの技術報告書は、きょう読んだ中ではとくにいい情報だった。 内容は、二人の艦娘に試験的に『改良型本式タービン』と『強化型缶本式缶』を併設する改装は、艦娘それぞれに搭載できる兵器の数が許すかぎり積極的に勧めるとよい、とのことだった。 試験に参加した島風と金剛の2人は弾幕回避訓練で驚くような機動性を見せ、とくに島風は敵役の重巡艦娘6人が本気で速射する模擬弾を髪をなびかせてスピードスケートのようにかわし、 金剛も高速戦艦と言うだけのことはあって、かなり熟練した駆逐艦娘なみの動きを見せたらしい。 (よし、これは覚えとこう。タービンと釜か。待てよ、装備数を制限するなら載せる兵器は火力と質を向上させる方向で・・・・・・) そんなことを手帳にすばやく書き込んでいる俺の真正面から、わたしは不満ですよというトゲだらけの声がした。 「ねーえー、提督さんってばー」 書く手を止めてその方向を見れば、机のへりに組んだ両腕とあごを乗せ、なんだか怒ったような目つきをした女の子がいた。 淡い鉄灰色の髪を白いリボンでまとめ、薄茶色の大きめな瞳がいかにも不満ですよ、という風情を見せるその子に向かって、俺は答える。 「なんだ、瑞鶴」 「もう、やっと気づいた。なんか瑞鶴、ちょっと退屈なんだけど」 「茶なら、もういいぞ。お前がヤカンでたくさん淹れてくれたしな」 俺の足もとには、麦茶入りのヤカンが置いてある。仕事始めに瑞鶴が「こんだけあれば、午後までもつでしょ?」と言ってこしらえたものだ。 この娘は要領がいい。ふだん茶のうまいまずいを問題にしない俺にとっては、結局ヤカンに水でも茶でも、何かノドを潤すものが入っていれば十分なのだ。 「お茶の話じゃないよ。あ、ねえ提督さん。お茶菓子でひと休みする? 間宮さんのおいしいヨウカンが」 「まだ9時過ぎだ。こんな朝から甘いものは食えん」 「じゃあ、朝ご飯は? お茶漬けとかなら秘書艦室のキッチンで作るよ? 今日はお米がじょうずに炊けたし」 「昼飯までいらん。自宅を出るとき食ってきた」 こう答えながら書き込みを終えた俺が手帳をぱたりと閉じるタイミングで、最高潮のふくれっ面になっていた瑞鶴が小爆発を起こした。 「んっっっも――――ッ! あたし秘書艦なのにぜんぜんお仕事ないじゃない!! ふてくされちゃうぞ!!!」 「退屈のなにが悪い。比叡を見習え。あいつはたいがいそこのソファで寝ているぞ」 「比叡さんはそうでも、あたしは何かしたいの。何か言いつけてよ」 (要するに元気いっぱいという事か。なるほど) こういう艦娘はとにかくいろいろこなして俺の負担を省こうとしてくれるが、一週間でローテーションする秘書艦の仕事に休養の側面があるのに気づけない娘が多い。 「わかった。それならこの書類を、それぞれの部署へ返しに行ってくれ。この3つは造船、この2つは主計、この4つは兵器。これは軍医と建築だ」 「それだけだとすぐ終わっちゃうよ」 「俺がゆうべ家で目を通した分がある。いまから分けるから、間違えずに持って行け」 と言って、俺が机に置いた風呂敷包みのどっさりした重みを見た瑞鶴が(うっ)という顔をした。 「この5つは参謀部。表紙に赤字でトクヒと書いてある分は参謀長か、いなければ次官に渡す。赤字がない2冊は参謀部出向の大淀に渡せ。この2つは主計局長だ。 さっきの2つといっしょに『裁可済み』のザルに放り込んどけばいい。それから、各部署にある『執務室行き』のザルに入ってる書類を忘れずに持ってこい」 書類と俺の注文の多さに最初はたじろいだ風でも、持ち前の要領の良さと負けん気が顔を出すのか、さっきより生き生きと書類を分けていく瑞鶴。 (これは確かに、ヒマそうにしているよりも動いていたほうがいいタイプらしいな) そう思う俺に向かってカバンと風呂敷包みを下げた瑞鶴が言った。 「用意できたよ、提督さん。まだ何かある?」 「んー。あると言えばあるな。正午までには戻ってこい。飯を食ったら、俺と造船部に同行だ」 「造船部? あ、そういえばドックで新しい船、作ってたよね。その子のこと?」 「造船妖精の使いが今朝、俺の家に来てな。建造時間が予定を大幅に超えてる。最初は長門級かと思ったらしいが、50時間を超えてもまだ仕上がらないそうだ」 「えっ。それって・・・・・・」 「ああ。お前の姉妹艦かもしれん。だから見せてやろうと思ってな」 最短18時間から最長60時間。艦娘の竣工にはこれだけの時間がかかる。今までこの鎮守府で60時間の建造のすえに完成したのはここにいる瑞鶴しかおらず、 かと言って赤城や加賀、蒼龍や飛龍と同じ時間をかけても造れない空母と言えば、もはや一隻しかない。 「ほんとに・・・・・・翔鶴ねえが来てくれるのかな、ねえ。来てくれるよね提督さん?」 「可能性は高いそうだ。俺にはよくわからんが、姉妹艦ってのは呼び合うらしいからな」 「わかった。うー、すっごい楽しみ! ほんとは今すぐ見に行きたいけど、提督さんの言いつけはちゃんと守るね。瑞鶴、行ってきます!」 それだけ言って元気よく執務室を飛び出してゆく瑞鶴。 窓を開けて、ちょっと短すぎる気がしないでもないスカートのすそとツインテールを揺らしながら鎮守府の建物から走り出していく後ろ姿を見送った俺。 「さて、昼までもうひとがんばり、するかな」 また書類をめくり始める前にひとつ思いついた俺は、電話を取って烹炊部門に回線をつなぐよう頼んだ。今夜はたぶん翔鶴型空母の加入祝いになる。鳳翔さんに頼んで、ちょっとは豪勢な食事を出そう。 新しい艦娘がやってくると、なんだかんだ理由を付けて食事会を企む俺みたいな提督がいるおかげで主計部から文句も言われるが、艦娘たちの福利厚生と思えば安いもんだ。 それが終わったら、昼飯のために腹を減らしておこう。瑞鶴のやつ、米がじょうずに炊けたと言ってたしな。 終
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4985.html
前ページ次ページゼロな提督 銀色の機体上部にあるハッチがバシュッと音を立てて開く。 そして降下艇から男性が顔を出した。 「じょ、ジョゼフ様ぁーっ!」 突然、男のひっくり返った裏声が飛んできた。それは神聖アルビオン共和国初代皇帝オ リヴァー・クロムウェルの声だ。 「い、いやはや!驚きました!全く、あなた様の言うとおりでした!最初から最後まで! 教皇聖下がマリアンヌ陛下やアルブレヒト閣下だけでなく、私の命も狙っているという、 あなた様の警告にも一片の偽りは御座いませんでした! 信じられません、本当に信じられません!私はかつて聖職者にあった身として、聖地奪 還を夢見たのは事実なのです!なのに、なのに…まさか、教皇聖下が私も火刑に処すだな んて! しかも、既に聖地が消えていただなんて!残っていたのは召喚の門一つだけだったなん てっ!」 クロムウェルは興奮して早口をまくし立てながら、ハシゴを登ってくる。 彼は銀色に輝く機体上部で、ツルツルの表面に足を取られそうになりながら、何とか立 ち上がった。そしてハッチをのぞき込み、奥に何か声をかける。 「大丈夫ですよ、皆さん出てきても」 「ふむ。では、行くとしよう」 「いやはや緊張しますね」 そんなヒソヒソ話が聞こえてくると同時に、軽やかに数人の男女がハッチから飛び出し て機体上にフワリと降り立った。 全員、長い耳を持つ老エルフだ。 一人の老エルフが前に進み出た。 「我等はサハラのエルフ。各部族の評議会を代表し、大使としてこの地に派遣された。 我等エルフの総意として伝える。ゲルマニア=トリステイン連邦設立を承認し、汝等蛮 人…と、失礼した、もはや蛮人とはいえんな。ハルケギニア人達からの和平申し入れを受 け入れる、と」 元司教であるクロムウェルも、隣に立つエルフ達の言葉に何度も何度も頷いた。 「よ、余も宣言する!聖地奪還というレコン・キスタの大義は誤りであった、と!エルフ 達への偏見と誤解を捨て、手を取り合うと! 余は、そこにいる秘書のシェフィールドから、そして、ジョゼフ様から全ての真実を伝 えられた。加えて、この目で見てきたのだ!聖地が今や草一本生えぬ死の荒野だというこ とを!」 クロムウェルは宣言した。レコン・キスタの大義を捨てる、と。 これでハルケギニアの全世俗支配者が聖地回復運動を否定した事になる。なおかつエル フとの和解を宣言。即ち、教会と教皇に叛旗を翻すに等しい。世俗の権威と始祖の権威、 真っ向から対立しているのだ。 再びバシュッという音が響く。もう一機の降下艇のハッチも開けられた。 中から『フライ』で飛び出してきたのはマリアンヌやヴァリエール公爵、アルブレヒト 三世とハルデンベルグ侯爵、そして最後にマザリーニが上がってきた。 マリアンヌが前に進み出て、教皇へ向けて頭を下げた。 「今日、我等が集った理由について教皇聖下を謀っていたことを、ここに告白し懺悔致し ます」 アルブレヒト三世も前へ歩み出る。 「すまぬ、聖下。実は我々は、とうの昔に聖地へ案内され、サハラのエルフ達と和解して いたのだよ。 我等は知ってしまったのだ。始祖の力が暴走した事により聖地が消失した事を、世界が 滅びの危機にあったことを。そして、エルフ達こそが世界を守っていたと」 後ろのマザリーニが空を指さした。 「全ては、あの者達のおかげだ。彼等が我々を聖地に直接連れて行ってくれたのだ」 空にはいつのまにやら、白銀に輝く細長い船が二機。『ドラート』だ。 パシュンッと弾ける音と共に操縦席のキャノピーが開いた。 前席のヤンが操縦する『ドラート』の後席には、風にピンクの髪をなびかせるルイズが いた。フレデリカが操縦する『ドラート』の後席には、やたら胸が大きくて、長い耳を持 つ少女が金髪を風になびかせていた。 遙か地上を見て、あまりの高さに怯えているのはティファニアだった。 ティファニアはシートベルトで体を支えつつ、地上へ向けておずおずと手を振った。 「あ、あの…」 勇気を振り絞って、何かを言おうとしたらしい。だが、すぐに俯いてしまう。前席のフ レデリカが振り向き、微笑みと共に「大丈夫、みんなついてるから」と励ますと、エルフ の少女は再び口を開いた。 「あ、あの!皆さん、初めまして!私、ティファニアと言います!」 彼女は勇気を振り絞って力の限りに声を張り上げた。なので、スピーカー近くにいた人 はいきなりの大音量に仰天し、耳鳴りをする耳を押さえてしまった。 フレデリカが苦笑いで、もう少し声を小さくと伝える。ティファニアは顔を赤らめて、 改めて語り出した。 「ご、ごめんなさい。私はティファニアと言います。アルビオンのサウスゴータ地方、ウ エストウッド村から来ました。 母がエルフで、父はプリンス・オブ・モード(モード大公)です。 それと、その、私の系統なんですけど、『虚無』らしいです」 モード大公。即ち前トリステイン国王ヘンリーの弟君であり、前アルビオン王の弟君。 モード大公投獄事件の真相は公には秘匿されているので、多くの外国人には何の事か分か らない。だが、アルビオンから来た貴族達は流れてくる噂を耳にしている。そして噂を知 らない他の貴族達でも、モード大公がエルフと契りを結び、娘を得たという事実は理解出 来る。 王族がエルフを妾にし、二人の間に生まれたハーフエルフは『虚無』の系統だった。ハ ルケギニアの常識を覆すには十分な発言だ。事実、既にボロボロだった会場の人々の常識 は、トドメをくらった。 高度を下げつつある『ドラート』の後席で、ルイズはすっくと立ち上がる。 そして胸を張って声を張り上げた。 「教皇聖下!ほんっっと、申し訳ありませんでしたわー!実はこの式典、最初からエルフ を含めた全ての人達との、和解と講和宣言が目的だッたんですのー! 連邦成立式典は、ハルケギニアの貴族を一人でも多く証人として呼び寄せるための大義 名分だったんでぇーっすっ!」 ルイズは、謝罪の言葉を口にしてはいるのだが、全然謝っている様子はない。むしろふ んぞり返っている。そして、見下ろしている。 もはや、目を見開いたまま動けないヴィットーリオを。 言葉を無くした会場の人々を。 町中のスピーカーから流れる音声に耳を澄ますトリスタニアの人々を。 そんな中、一人ジュリオだけが気を吐いた。 「あ、ななたは、あなた達は、何を言っているのか分かってるのか!?そんな世迷い言を 信じろと言うのか!? まさか、あなた達全員が、ヤンという異国の軍人が騙る作り話に踊らされて、ハルケギ ニアそのものをエルフに、いや、『フリー・プラネッツ』とか言う異国に売るつもりだとい うのか! 分からないのか!?その男の故国がハルケギニアへの侵攻を企てていると!あなた達を 懐柔して、都合良く植民地支配に利用するつもりだと!」 彼は涼やかだったはずの顔を怒りに歪ませ、剣を振り上げて訴える。 ヤンが侵略者の先兵であり、超技術を用いてハルケギニアを一気に侵略すると。マリア ンヌもアルブレヒト三世もクロムウェルも、侵略後の植民地統治に利用するために騙され ているのだと。 ガリア王は、下らぬものを見るかのようにジュリオを見下ろした。 「ほほう、ヤンの故郷『フリー・プラネッツ』がハルケギニアを狙っている…というのだ な?」 「そうだ!あなたがその点に気付いていないはずがない!」 「お前は一つ間違えている。ヤンの故郷は『フリー・プラネッツ』ではない。その国は既 に亡び、今は『銀河帝国』の属領となっている」 『ドラート』に乗るヤンは、ちょっと複雑な表情を浮かべつつ頷いた。 だがジュリオには、とても頷けなかった。 「彼の故国の名前なんかどうでもいい! まさか、最初からそれが目的だったのか!?お前は、お前達はハルケギニアを『銀河帝 国』とやらに売り渡し、その走狗と成り果て、己の私腹を肥やすのが目的だったと…そう 言うのか!?」 彼は兜を脱ぎ捨てた。これまでの怒りを叩き付けるかのように、地面に投げつけた。 そして右手に握る剣を、力の限りにジョゼフへと突きつける。 ジョゼフは引き締まった腕を胸の前に組む。 青い髪が風に揺れる。 そして、落ち着いた口調で答える。 「それは、無い」 その回答に、ジュリオは落ち着いてはいられない。 「無い?無いだと!?何故そう言える、そんな事を信じられると思うのか!?」 「信じるも何もない。ハルケギニアは銀河帝国の侵攻を受けていない。それが全てだ」 「何を、何をバカな事を…今侵攻を受けていなくても、これから受けるかも知れないじゃ ないか!?」 「それは無いのだ、ヴィンダールヴよ」 ジョゼフは、自信を持って言い放つ。銀河帝国はハルケギニアを侵攻しない、と。 だが、ジュリオにもヴィットーリオにも、この地に住まう全ての者にとっても、それを 信じる根拠は無い。 ふふん…と軽く笑い、ジョゼフは左手を地面へ向けた。 「ま、その辺の話は本人から語ってもらおう」 全ての視線がガリア王の指し示す先へと降りる。二機の降下艇、うち一機の下へ。 そこには、一人の若い男が立っていた。 いつからそこにいたのか誰にも分からない。だが、その金髪の人物は立っていた。黒を 基調として各所に銀色を配した服、その上に黒のマントを羽織っている。素晴らしい美貌 と王冠のように輝く金髪が眩しい、そして王者の威厳を漂わす青年だ。 《ハルケギニアの貴族諸君、お初にお目にかかる。予は、銀河帝国ローエングラム王 朝初代皇帝ラインハルト1世。 今日、この場に立ち会えた事を光栄に思う》 青年は名乗った。銀河帝国ローエングラム王朝初代皇帝と。 この数ヶ月、『ドラート』をはじめとした数々の超技術に基づく品々をトリステインへ送 り続けている、噂の超大国。その皇帝が、一人で会場に来て立っているという。見た目は 確かに美しいが、それだけだ。普通の若い人間の男が一人で立っているだけの様にしか見 えない。 いや、僅かにおかしな所はある。発言と口の動きがずれている。最前列の人々が目をこ らしてジッと見てみると、足下も地面から離れ、僅かに宙に浮いている。 《ああ、立ち会えたと言っても、予は会場にはいない。これは立体映像、ただの幻影 に過ぎない。詳しい話は置いておくが、我々はそちらの世界に軽々しく行く事が出来 ないのだ》 ジョゼフのガーゴイルが長い尾を振り、ラインハルトの体をなぎ払う。だが、その姿は 一瞬ぶれただけだ。すぐに何事もなく同じ姿が投影された。降下艇の立体映像投影装置の 真下に。 ラインハルトのハルケギニア語は、銀河帝国公用語を自動翻訳させてラインハルトの声 質と口調を可能な限り忠実に再現したものだ。そのため口の動きと発言に僅かなズレが生 じている。 ラインハルトは、両手を広げて落ち着いた声を響かせた。 《予はここに宣言する。 銀河帝国はハルケギニアに対し、一切の領土的野心を持たない。また、相互不理解 や疑念、何より迷信に基づく無秩序な争乱も望まない。予の望みは、二つの世界が手 を取り合い、秩序ある交流の下、力を合わせて新たなる世界を築き、共に発展する事 である。 このため、銀河帝国ローエングラム王朝初代皇帝ラインハルト1世の名においてゲ ルマニア=トリステイン連邦設立を承認することを宣言する。のみならず、アルビオ ン、ガリア、そしてロマリアも含めたハルケギニア全ての国家に対し、平和的交流を 求めるものである》 ラインハルトは一呼吸を置き、そして大きな声を響かせた。この地に住まう全ての人へ 伝えるかのように。 《地に平和を! 銀河帝国、サハラのエルフ、ハルケギニアも、この地に生きとし生けるもの全てを 含めた平和を築く事を、予は心より求める!》 静寂が広がる。 ただし、それは感動とか畏怖とかいう類の静寂ではない。 理解出来ないものを前に、どう反応をすればいいのか分からないという類のものだ。 「・・・いきなり、何を言うのですか?」 ここにきて、とうとう教皇が口を開いた。 その麗しい尊顔には、信者達に常々向けている暖かな微笑みはない。ジョゼフに向けて いた鋭い眼光もない。理解出来ない者を目の前にして対応に苦慮するかのうような、苦々 しげな歪みが浮かんでいる。 ジョゼフへ向けていた聖杖も、ラインハルトへ向けられた。 「一体あなたは、どういうつもりですか? 突然現れて、銀河帝国とかいう聞いた事もない国の皇帝だと名乗り、侵略する意思はな いから安心せよと言い放つ。 しかも、こともあろうにブリミル教の中心地たるロマリアに対して、教皇である私に対 して、異教徒であり聖地を奪還すべき相手であるエルフと仲良くせよというのですか?」 《その通りだ。 教皇よ、ロマリアが始祖ブリミルの没した地であり、祖王、聖フォルサテ以来、墓 守として王国を築いている事は知っている。確か、今は皇国であり、代々の王は教皇 と呼ばれているのだったな》 「その通りです。ロマリア大聖堂に宗教庁を置き、私は教皇という全聖職者と信者を庇護 し導くべき地位にあります。 それで、あなたは何なのですか?あなた達が言う銀河帝国、その皇帝があなただという 証明が出来ますか?この地に侵攻する意思がないなどと、どうやって信じろと言うのです か?」 教皇の問はもっともなものだ。ハルケギニアに住む誰も銀河帝国なんて目にした事がな いのだから、まずその存在自体が疑念の対象となる。確かに『ドラート』や降下艇は飛来 してきているが、国家自体を見た者はいない。正式な交流は全く無いので、その統治者が 誰なのか証明出来ない。 ましてや、どう見ても普通の人間の若者でしかないラインハルトを見て、彼が皇帝だと 思う者もいないだろう。どういう人物かも分からないのに、「侵略する気は無い」と言われ て素直に信じる方がおかしい。ハルケギニアの各支配者達が騙されている可能性も十分に ある。 当然その点はラインハルトも理解していた。 《その疑問は当然の事だろう。いきなり予のような若者に「予は皇帝である。その方 等との戦争は望まない。和平を築きたい」と言われて、信じるはずがない。信じるよ うなら人の上に立つ力は無い》 その答えに、教皇も一応の納得を示した。 「よく理解しているようで幸いです。では、早速その点を証明して頂けますか」 僅かに口の端を釣り上げて、教皇は証明を要求した。 《よかろう、それは簡単だ。今すぐに出来る》 今すぐに出来る、と答えられた教皇は少し面食らった。微かに首を傾げてしまう。 銀河帝国については、各種小型艇を送り込んでいるので存在するのは事実と言えるだろ う。だが、ラインハルトが皇帝だという証明を、この場ですぐに、どうやってするのだろ うか。第一、侵攻する気が無いなど、人の心を読む力でもない限り確認する方法なんかあ るはずがない。 無論教皇もそう知っていて、あえて問いただしたのだ。 《要は予の言葉が全て偽りであればどうなるか。予が皇帝ではなく、銀河帝国がハル ケギニアへの領土的野心を持っているとすればどうか、という事だ》 ラインハルトの立体映像は、右腕を差し上げた。 真っ直ぐに空を指さす。未だに多くの火竜が旋回を続けている頭上を。白い雲が漂う青 空を。 会場内の、会場外の、全ての人々が空を見上げる。 空は、相変わらず青く澄み渡っている。 ぽっかりと浮かぶ雲が緩やかに流れていく。 だが目の良い者達は、澄み渡っていた青の中に小さなシミがある事に気付いた。 会場から微かな呟きが、そこかしこに生まれる。 「なんだ・・・?」 「何か、空にある…」 何人かが空を見上げて小さなシミを指さす。 やがて、視力が特別良いわけではない人々にもにも、そのシミは見えた。 何か白い点が青空の中にある。じわじわと大きくなっていく点が。 しかも点は一つではない。白点を中心にどんどん増えていく。 会場全体にどよめきが広がる。 「何なんだ?何か、上空にいるみたいだぞ」 「鳥かしら…でも、何か、変よね…妙に高度が高すぎ…数も…」 貴族達は増加する点を、首を回して把握しようとする。だが、すでに視界に収まりきら ないほど点は広がっている。 点は、どんどん大きくなる。どんどん増えていく。 やがて会場上空、いや青空一杯に点が広がる。もはや点とは言えないくらい大きくなっ ていく。 いつしか白い点は、白い船の底である事が分かった。ただ、それが船と言って良いのか どうか、会場の人々には分からなかった。 どよめきは、いつしか驚きと恐怖の叫びに変わっていた。 「・・・あれは、船、なのか?」 「そんな、まさか…まだ雲より遙か上を飛んでいるのよ?あれが船だとしたら…」 「間違いない、船だ…とてつもなく、巨大な、白い船だ!」 「そ、そんな!?あんな、雲より巨大な…まさか、あれが銀河帝国の船だというの!?」 空を見上げる人々は、もともと開いていた口を更に大きく開けてしまった。 スピーカーから流れる音声に耳を澄ませていたトリスタニアの人々は、この時はじめて 視覚をもって会場で起きている事態の一端を認識出来た。 それは、白い船。 ただし、あまりにも大きい。まだ雲の上にあるというのに、地上の全ての人がハッキリ と船を見る事が出来た。船の下を流れる雲より大きいからだ。ガリア両用艦隊旗艦『シャ ルル・オルレアン』号ですら、全長150メイルの木製空中戦艦。だが今、徐々に会場へ向 けて降下してきている船は、明らかにその五倍を超える。そして材質は、どう見ても木で はない。もっと遙かに硬質で滑らかな、金属か陶器の様に見える。なにより、帆の類が全 くない。 ラインハルトは会場の人々の反応に、楽しげに笑みを浮かべつつ告げる。 《あれは予の艦、ブリュンヒルトだ。 銀河帝国艦隊の総旗艦であり、今回の式典にあたり親善艦隊旗艦として相応しいと 思い、派遣した》 銀河帝国皇帝の解説だが、人々の耳に届いたかどうかは疑わしい。ハルケギニアの人々 は、空に目を奪われてしまっていたから。その巨体に、巨艦の表面を走る風が雲を霧散さ せる有様に、信じがたい巨大さだったために有り得ない速度で降下してきている事にも気 づけなかったという事実に。 ブリュンヒルト (Brunhild)。 ラインハルトの乗艦。かつて彼が大将に昇進した際に下賜された。後の帝国軍総旗艦。 流線型で優美かつ繊細なフォルムを持ち、白鳥にも喩えられる。全長1,007m。コスト無視 の装備がなされ、その外観に似合わず強力な火力と装甲を持つ。 そして、地上へ向けて降下してきているのはブリュンヒルトだけではなかった。白い船 の後に続いて、次々と船が降下してきていた。空一杯に広がっていた点、それら全てが大 気圏へ降下する銀河帝国艦隊の艦船だった。 今や、トリスタニアの空は銀河帝国の艦船で埋め尽くされていた。 その中の一つとして、ハルケギニアの戦列艦より小さなものはない。帆を持たず、風を 無視して飛来してくる。その数は数え切れない。彼等の頭上に降りてきたブリュンヒルト だけで視界の大半を遮っているのだ。ブリュンヒルトの巨体の向こうに見える艦は、どう 見ても千隻を上回っている。 未だ会場上空を旋回していた火竜達が怯え、耳障りな叫びを上げてパニックになり、無 秩序に飛び回り出す。会場内の幻獣達も恐怖の呻きを上げている。そしてそれは人間達も 同じだ。いや、人間達こそが最も恐怖と混乱の渦中に叩き込まれている。会場は悲鳴で満 たされていた。 同時刻、聖地。 トリステインは昼だが、時差の関係上、サハラは既に夕方。 クレーター中央には、400メイルまで拡大した門がある。その門の輝きの中から、銀河 帝国の駆逐艦が湧き出しつつあった。門の出口付近にはゲート通過を終えて上昇を開始し つつある駆逐艦の艦列がある。その艦列は遙か空の彼方、大気圏外まで続いていた。 その様子をクレーター周囲に佇むエルフの調査隊員達と人間達が見上げていた。 クレーターの畔に立つ金髪の女性、エレオノールも艦列を眺めていた。 「・・・まったく、これはいつまで続くの!?夜明け前からゲート通過が始まったという のに、未だに終わらないだなんて!」 その隣、地面の上に寝っ転がる緑の髪の女、マチルダが眠たげに答えた。 「えぇ~っと、予定では3600隻って言ってたから…今で、ええ…と、1200隻くら いかい?」 「言われなくても分かってるわよ!ただの愚痴よ!というか、もう1800隻はいってる ハズだわ」 「つまり、やっと半分だねぇ。はぁ、なぁ~んでヤンが故郷に帰るだけで、こんなに艦が いるんだろうねぇ」 そう言うと、マチルダは大あくびをしてゴロリと横を向く。自分の右腕を枕にして寝る 気らしい。 その様子を見て、隣でイライラしながら立っているエレオノールが腹立ち紛れに食って かかった。 「随分と余裕ね!あなたの元恋人が国へ帰るというのに。今からでも会場にいって、別れ の挨拶くらいしてきたら?」 二人の間に、少し沈黙が流れる。 マチルダは寝っ転がったまま、めんどくさそうに答えた。 「辛気くさいのはゴメンだね。それに…」 彼女の左手は、自分の下腹部を愛おしげに撫でている。 「お土産はもらってあるから、寂しくなんかないさ」 そう呟くマチルダの背中は、エレオノールには寂しげに見えていた。だから、それ以上 何も言わず、延々と続く艦列を眺め続ける事にした。 やはり同時刻、イゼルローン回廊。 ヤンを発見した当時より改良と増設を重ね、今や小規模な要塞にも等しい『アインシュ タイン・ローゼンの橋』監視観測司令所の中央司令室。巨大立体ディスプレイと沢山のオ ペレーター達を見下ろす司令席に、体操選手のような無駄の無い体の銀河帝国将官が座っ ていた。 指令席のコンソール上に投影される映像の一つに、シャン・ド・マルス錬兵場へ投影さ れるラインハルトの映像も、現在では既に百を超える第二地球衛星軌道上の観測衛星から 撮影された練兵場周辺の映像もある。もちろんブリュンヒルトから撮影された会場の様子 も。 だが、蜂蜜色で癖のあるおさまりの悪い髪に、あまり長身ではない将官の目は、別の方 を向いていた。背後の扉へ、軍靴の踵を怒りにまかせて床に叩き付ける音の方へと向けら れていた。 「ミッターマイヤー元帥…」 気の毒そうに指令席の人物の名を呼んだのは、彼の隣に立つユリアンだ。 元帥は、同じく気の毒そうな顔で若者へ振り返った。 「ミンツ司令官、貴官が気にする事ではない。これは帝国軍内の、しかも一将官のごく私 的な趣味の問題と言って良い」 そう説明を受けたユリアンも、溜息混じりにコンソール上のモニターを見る。そこには パニックに陥るハルケギニア貴族達の姿が俯瞰図で映っていた。 「でも、メックリンガー上級大将の意見はもっともです。今回の作戦を数時間も遅らせる ほどの激しい抗議は理解出来ますよ。多分、ヤン提督も本心では、メックリンガー上級大 将の意見に同意しているでしょう」 ユリアンの意見に、まだ三十代前半の若い将軍も溜め息混じりに答える。 「とはいえ、次元の壁を破って我等の宇宙へ帰還するには、あれだけの大艦隊が総掛かり でワームホールを作らねばならない。それに今後、万一にもハルケギニア人達にゲートへ 干渉されるわけにはいかないんだ。 彼等に聖地奪還運動を諦めさせるには必要な事だ。ミンツ司令官とて、この作戦には賛 同したはずだろう?」 「ええ…ヤン提督を取り戻すためなら、両宇宙に平和をもたらすためなら、やむを得ない 事です」 同意の言葉を口にするユリアンだが、その顔は不承不承という感情が露わだった。 ウォルフガング・ミッターマイヤー(Wolfgang Mittermeier)。 首席元帥であり、ローエングラム朝銀河帝国宇宙艦隊司令長官。ロイエンタールと共に 「帝国軍の双璧」と呼ばれる。艦隊の高速移動に定評があり、「疾風ウォルフ」の異名を持 つ。 現在ラインハルトは式典会場と通話中であること、及び可能な限り速やかな艦隊のゲー ト通過が必要なため、今回の作戦ではミッターマイヤー元帥が指揮を執る事となった。 今回の合同作戦には、幾つかの目的があった。 単純に、連邦成立を祝う親善艦隊の派遣。 ヤン提督の回収。 出来るなら、ロマリアにいる可能性が高い『虚無』の使い手を誘い出す。 そして何より、ハルケギニア人に聖地奪還運動を放棄させる事。 つい先日、とうとう座標算定に成功したのだ。 銀河帝国と旧同盟が総力を結集し、あらゆる分野の科学者と技術者、そして徴収可能な コンピューター全てをつぎ込んだ結果、召喚ゲートを通過せずにワープすることは可能と なった。 だが無論、通常の艦船に搭載してあるワープ・エンジンでは出力が足りない。だからと 出力を単純に上げると、エネルギー源も何もかも同時に巨大化し、今度は巨大な要塞のよ うな大質量を伴う事になる。そのような巨大なワームホールを両宇宙間に不用意に開く事 はリスクが高い。現在の所、召喚ゲートは未だ謎だらけで、人工的に生み出す事もできな い。 よってヤン達の回収には時空の安定確保が最優先とされた。時空転移は一回のみ。ワー プ・エンジンを改造した艦隊を遠隔操作し、召喚ゲートを通過させる。ヤン達を回収した ら第二地球周辺の重力圏を離れた宙域に移動する。その上で、改造ワープ・エンジン数千 を遠隔操作と自動操縦で完全同期させる。ヤン達の乗った艦が通れるだけの、最小限度の ワームホールを造るのだ。 数ヶ月前、ヤンとラインハルトが水の塔で連絡をとった後、すぐにヤンはエルフ達と連 絡を取った。もちろん、大地と大気の精霊による防壁を軽々と突き破って飛び去る多数の 飛行物体に仰天し慌てふためいたエルフ達も、使者としてビダーシャルを学院へ送ってい た。 ゲートがイゼルローン側から捕獲されている事、宇宙歴時代から千年に渡ってゲート衝 突事故事が生じていた事、捕獲し続ける限り新たなゲート衝突事故も聖地の大爆発も生じ ない事、等が説明された。エルフといえど、本来なら信じがたい話ではあった。が、予め ヤンからエルフ達に聖地の情報が伝えられていた事もあり、時間はかかったが、どうにか 信じてもらえた。 ともかくゲートを捕獲し続ければ、聖地の嵐は起きず土・水・空気への汚染は収まる。 新たな兵器類のゲート衝突事故も起きず、安全を確保出来る。エルフ達も納得し、精霊に よる聖地の封印を解除した。 こうしてエルフと銀河帝国はヤンを仲介役としてテーブルにつき、今後の対応について 協議に入った。ちなみに、この交渉のために多数の通信機器等が聖地近くのエルフの集落 へ設置された。エルフ各部族からも続々と代理人や代表が派遣され、速やかに交渉の席に ついた。 さて、ゲートの件はとりあえず真相が判明した。ヤンとフレデリカの帰還も座標算定を 待つだけの、時間の問題。だが、まだ解決していない問題がある。全てを水泡に帰しかね ない、大問題が。 それは、ゲートが始祖ブリミルの系統『虚無』というハルケギニア人の魔法で生み出さ れていること。もう一つは、ハルケギニア人が無知と誤解に基づいて聖地奪還を望んでい ることだ。 万が一、ルイズやティファニアのような他の『虚無』の使い手が、聖地の門を新たに生 み出したら、元も子もなくなる。また最初からやり直しだ。そして聖地以外の、もしかし たらハルケギニアのど真ん中で聖地のような大爆発が起きるかもしれない。また、戦力差 から可能性は乏しいが、ハルケギニア人がエルフを駆逐して聖地を奪還したりすると都合 が悪い。ブリミル教という宗教支配の下で誤った知識を教え込まれたハルケギニア人は話 し合いが難しい。 最悪、誤解と偏見と迷信を根拠に聖地で新たな魔法を使って、ゲートをさらに暴走させ てしまうかもしれない。 ゲートが暴走した場合に何が起きるか、全く予想は付かない。が、シャフトは考え得る 事態を最悪のケースから順に幾つか列挙した。 宇宙同士の衝突による摩擦でビッグバンが発生し、両宇宙は消滅又は融合。 際限なく広がった時空の裂け目に両宇宙が飲み込まれ、全てが虚数の海に還る。 重力バランスが崩れ、双月が第二地球に衝突。 ゲートが銀河帝国側宇宙と直接連結され、双方向の自由移動が可能となり、第二地球の 大気も何もかも全てが真空の宇宙空間へ吸い出される。 etc... もちろん銀河帝国もイゼルローンも、あまりに途方もない予想に頭を抱えた。科学的な 話は分からないが、エルフ達も事態の深刻さは理解した。 だからといって、ハルケギニアを武力制圧するわけにはいかない。制圧しようにも、現 状では人員を送れないのだから。召喚ゲートの通過は人体への影響がいまだ不明。ワープ はあまりにもコストとリスクが高い。何しろ、ヤン達を回収するだけで3600隻を無人のま まで第二地球側に送らねばならないのだから。しかもゲート拡大に使用している艦船の分 もある。 遠隔操作した艦船でハルケギニアを砲撃、破壊し尽くして『虚無』の血統を根絶やしに する…のは有り得ない。未知の技術である魔法、銀河帝国側の第一地球では遙か昔に絶滅 した多種多様な生物群、伝説の幻獣達、それらはあまりに魅力的だ。西暦2039年の13日 間戦争で熱核兵器により破壊し尽くされた文明・史跡旧跡も、多少姿形は違うが、当時の 状態のまま残っている。 例えばヴェネチア(Venezia)。イタリアの北東部にあった水上都市は、干潟の上に建物を 建てていた。干潟に大量の丸太の杭を打ち込み、それを建物の土台とした…ので、最初か ら泥の中に沈む運命。実際、近世には水没しかけていた。そんな水上都市すら、ハルケギ ニアではアクレイアの名で中世そのままに存在している。それも二十世紀後半以降の、土 産物屋とホテルとレストランで埋め尽くされた観光地としてではなく、人が暮らす本物の 都市として。 ちなみにゲート通過による人体への影響だが、既に数ヶ月経った現在でも未知数のまま だ。フレデリカニはハルケギニア語が話せるようになったという以外の変化は見られてい ない。 肝心のヤンなのだが、やはり『契約』の脳への影響が明確ではない。確かにヤンはルイ ズを娘のように可愛がっているが、果たしてそれは魔法による洗脳か否か、誰にも分から ないのだ。 ヤンにとっては命の恩人で雇用主。見た目は愛らしい少女。意地っ張りで素直じゃない けど、根は優しくて努力家で善良。何よりヤンがルイズを娘のように可愛がる以上に、ル イズがヤンを父のように慕っている、としか言いようがない。これでは両者の関係が魔法 による洗脳かどうか分からない。ルイズに笑顔を向けられて悪意や敵意を持てる男がいる とも思えないから。 結局この点は今後の研究を待つしかない…というのも野暮な事。 加えてガンダールヴについては、まさに謎の塊。いくら調べても全く何も分からない、 というより理解出来ない有様。 話は戻るが、ともかくラインハルトは宇宙を奪う事を望んだが、破壊は望んでいない。 まして、1521年にアステカを滅ぼしたスペインのエルナン・コルテス(Hernan Cortes, 1485-1547)、1532年に皇帝アタワルパを殺しインカ帝国を滅ぼした、同じスペイン人のフ ランシスコ・ピサロ(Francisco Pizarro、1471 - 1541)のような「文明の破壊者」と呼ばれ る気はなかった。 偏見と先入観と独善から異種文明を悪と決めつけ破壊するなど愚の骨頂。子供向けTV や芸能情報を垂れ流すワイドショーでしか通用しない、無知で野蛮な凶行。高官達も当然 その程度は理解していた。 また、領土の面から言うなら、第二地球は単なる一惑星。同程度の地下資源を有する未 開の惑星などいくらでもある。その狭い惑星上で、数多の小勢力が狭い国土を奪い合い、 群雄割拠を続けている。これを本当に征服して統治しようと思うと、トリステインやガリ アやアルビオン、エルフ・翼人・オーク鬼に吸血鬼に、はては韻竜まで、全くの異生物を 一つ一つ相手することになる。思考形態から何から根本的に異なる相手に、銀河帝国の法 と正義を一から説明して押しつけてまわる…ナンセンスだ。そんな微細な小部族を、一々 構っていられない。 一部には「ゲート破壊による完全解決」という意見もあったが、安全な破壊方法すら現 状では不明で実行不能だった。 結論として、第二地球はリスクとコストが高すぎて統治出来ない。銀河帝国との接触は 最小限に抑え、文明と生態系をそのままで保存してこそ価値がある。第二地球の住人達と 対立するなどもってのほか。虚無をはじめとする系統魔法やエルフ達亜人が使う先住魔法 は、様々な面で科学を超える。是非とも彼等と交流し、協力体制を築きたい。魔法を手に したい。 事実、既にこれらは垂涎の的だ。観測所の運営拠点となっているイゼルローン要塞は、 はやくも全宇宙から科学者・技術者・文化人・メディア関係者・企業のエージェント・山 師や単なる野次馬まで詰め掛けているのだ。要塞の実務管理者キャゼル中将とイゼルロー ン要塞司令官代行メルカッツ客員提督は、帝国軍のみならず彼らへの対応にも忙殺される 毎日だ。 もちろんハルケギニア人に聖地奪還運動を止めさせて、ゲート衝突爆発事件に終止符も 打ちたい。 更に言うなら、第二地球調査とヤンの身柄回収は銀河帝国の国家的事業となっている。 民主共和制の要たるヤンを捜索・発見・回収することは、銀河帝国に対する共和主義者の 反感を溶かし、帝国への協力を促し、彼等の帝国内への取り込みを促進する。第二地球調 査とパラレル・ワールド進出は国家の枠を超えた人類史に残る大事業であり、帝国支配へ の反感を逸らす。 エルフにしても、元々争いは望んでいない。また、どう考えても抵抗自体が無意味な程 に銀河帝国の技術力軍事力が上なのも理解出来る。召喚ゲート事件を解決に導きたいとい う姿勢も一致。各種魔法や幻獣達への露骨すぎる好奇心と欲望には辟易させられるが、銀 河帝国とイゼルローン勢力は、話し合うに足る知性と理性を持つ相手だとは認める事が出 来た。 こうして立てられた作戦が、今回の連邦とガリアの統治者、エルフ、そして銀河帝国が 共同して実行した「講和宣言」。聖地奪還がもはや無意味であり、実行も不可能だと認識さ せるのだ。なおかつすべての『虚無』の使い手を集め、彼らの理解と協力を得られれば、 もはや言うことはない。 だが、この作戦に最後まで反対の意思を表明し続けた人物が銀河帝国にいた。それがピ アニストにして水彩画家かつ散文詩人、美術骨董品コレクターでもある異色の軍人、「芸術 家提督」の異名を持つ上級大将、エルネスト・メックリンガー。 彼は元々は軍人志望では無かったが、売れない芸術家だった頃に生活の手段として軍人 になった。 その彼は、今は司令室を後にしてラウンジへ向かっていた。 ラウンジの窓からは、400mまで拡大された光り輝くゲートが彼方に見える。その周 囲にはゲートを拡大させている艦隊の輪、千隻以上がぐるりと取り囲んでいる。通過を待 つ艦隊の列も延々と並んでいる。艦列の通過自体は十時間以上も前から始まっているのだ が、何しろゲートは広くないし艦は遠隔操作や自動操縦。聖地側の大気に悪影響を出すわ けにも行かない。なので一分ごとに2隻ほど、ゆっくりと通過している。おかげでまだ半 分も通過できていない。 そしてラウンジにも、多くの見物人の軍人と、窓から見える艦列をレポーターつきで実 況するマスコミ関係者達がいた。 そんな光景を忌々しげに眺めながら、手に持ったワインの瓶をグラスに自分で注いで一 気に飲み干した。 「何が、何が両宇宙の平和だ・・・文明の交流だ! ハルケギニアはブリミル教への信仰を基礎とする貴族社会だぞ!その信仰の元になる聖 地と始祖の真実を伝えれば、彼らの信仰も王政も破壊されるんだ。魔法文明も衰退してし まう。 第一、そのブリミル教自体が素晴らしい文化だと、なぜ分かってくれないのか!彼らの 生み出した教会、彫刻、経典は、既に我々の宇宙では13日間戦争の核爆発で灰燼に帰して しまったんだ!一度失われた文明と生態系を取り戻すチャンスだというのに、それを、ま た破壊する気か!?」 彼はひとしきり悪態をつくと、再びグラスになみなみとワインを注いで一瞬で飲み干し てしまう。 「・・・こちらでしたか。まだ言い足りない事がおありなのですね?」 そういって背後から声をかけてきたのは、ユリアンだった。 「ああ、言うよ・・・何度でも言うとも!皇帝陛下も、お前たちも、みんな野蛮人だ。文 化の意味と価値を理解しない原始人だ、とな!」 メックリンガーは心から軽蔑するようにはき捨てると、今度はワインボトルから直接に ラッパ飲みをした。 その後姿に、ユリアンはそれ以上かける言葉を見つけられない。 ユリアンは、そしてメックリンガーとて、分かっていることだ。 今後出現するすべての『虚無』の使い手に理解と協力を求めないと、第二、第三の『聖 地の門』が出現する可能性がある。可能性は何千年に一度のものかもしれないが、一度現 れれば両世界に無秩序な死と破壊を撒き散らす。これを防ぐためには彼らに真実を教える 必要がある。 精霊魔法や系統魔法による科学を超えた医療技術は、今すぐにでも欲しい。魔法と化学 の融合、そして多種多様な知性と生態系が、両文明の発展にどれ程の寄与をするのか想像 もつかない。 そもそも、既に自分たちはパラレル・ワールドの存在に気づき、移動方法を発見してし まったのだ。もはや両世界の接触は避けられない。ならば、ラインハルトとヤンの力と知 恵を持って、最善とはいえなくても次善の策でもって対応したほうが、お互いのためにな る。 だが、それでもメックリンガーは納得できなかった。 「全く、ただ接触するだけでも取り返しのつかない失敗だということがなぜ分からないん だろうな・・・。 かつて、新天地を発見したと喜んで上陸した船乗りたちが持ち込んだ動植物で、どれほ どの固有の種が滅んだか知らないのか?この六千年の間、召還門を通じて、こちらの宇宙 から各種細菌やウィルスは向こう側に持ち込まれているから、新たな感染症の拡大の危険 は低い、だって!?まだ持ち込まれていなかった病原菌だって、いるかもしれないじゃな いか。 向こうの世界から持ち込まれる未知の病気だってあるんだぞ!?」 芸術家提督は酒をあおりながら、いつまでも文句を呟き続けた。背後のユリアンや、周 囲に他の士官や、取材を続けているマスコミ関係者がいるのも気にせず、酒を胃に流し込 みながら、ブツブツとぼやき続けた。 取材をしていたレポーターの一人が、堂々と皇帝への不平を漏らすメックリンガーに気 付いて取材しようとした。だが、ユリアンがやんわりと断り、彼等を連れてラウンジを後 にした。 そして、そんな提督の警告には耳を貸すことなく、艦列は輝く鏡の中へ整然と吸い込ま れ続けていた。 前ページ次ページゼロな提督
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/285.html
537 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2014/02/13(木) 12 43 37.15 ID 1GYqCe5p 「それでは、珊瑚諸島海域の突破を祝して!乾杯!」 「「「かんぱーーーい!!」」」 鎮守府、フタマルマルマル時。艦娘と提督が一同に会し、祝勝会が開かれていた。 100人に近い艦娘達が大騒ぎしている様は、圧巻というほかない。 戦艦勢が次々と盃を空にしては注文の声を上げ、間宮と鳳翔はてんてこ舞いの様子だ。 向こうの方では那珂が2人の姉を引っ張り出して歌いはじめたのが見える。この時間なら夜戦夜戦と騒がしいはずの川内も、妹の勢いに押されている。 「提督!次はいよいよ最前線ですね!」 「五月雨じゃないか。先の海戦ではよくやってくれた。次もよろしく頼む」 「お任せくださいね!」 「だから・・・私は飢えてなんかないって・・・何度言ったら・・・・」 「駄目だ、もう出来上がってやがる。羽黒、足柄を頼むよ」 「は、はいっ」 俺はといえば、皆の間をまわって、今次作戦で活躍した艦娘の慰労につとめていた。 飲み物を注いでやり、自分も一杯やって、しばし会話を楽しむ。 どっちが慰労されているのか分からなくなりそうだが、これだけの規模の艦隊を運営する日頃の激務を思えば、これぐらいの役得があってもバチは当たるまい。 一回りおえて空母勢のテーブルに来てみると、想像外の光景が展開されていた。 「やはり鳳翔さんの料理は最高ですね・・・潮さん、おかわりをください」 「た、ただ今っ」 「ええ、本当に・・・漣さん、おかわりを」 「はい、どうぞ」 「お前たち、随伴艦を給仕に使うのはやめないか」 そこにあったのは、山盛りの茶碗と、同じく山のように積み重なった皿と、せっせと働かされる哀れな駆逐艦と、食欲なお衰えぬ赤城に加賀の姿であった。 「提督、続けて出撃の予定もないのに高速修復材を使用したのはいかがなものかと思いますが」 「遠征組が頑張ってくれているんだ、当分使い切る心配はないさ。そんなことより、主賓抜きで祝勝会もないだろう」 「それは、そうですが」 「お前たちが疲れを癒してくれなければ、この会を企画した意味もない。存分に楽しんでくれ」 「ありがとうございます」 「適当なところで給仕も解放してやれよ」 そう言って席を立ち、その場を後にする。宴席を回る間にそれなりの量を飲んでおり、少し酔いを覚ましたかった。 執務室に戻ると、秘書艦のいない空間がやけに広く感じた。いくつか残した書類を片付けるべく机にむかうが、酔った頭で作業がはかどるはずもない。 多少なりともなんとかならないかと格闘しているさなか、ふとノックの音が響いた。 「加賀、戻りました。────申し訳ありません、お手伝いもせず」 「ああ、おかえり。構わないよ、今日はもう仕事にならないからやめだ」 立ち上がって加賀を出迎える。彼女も酒が回っているのだろう、かすかに上気した顔に視線が釘付けになる。 「少し、こっちにこないか」 「?はい」 電燈のスイッチを切って、俺は加賀を窓際へ誘った。 暗がりのなか、はっとした表情の加賀が月明かりに浮かび上がったが、彼女は何も言わずについてきた。 肩を並べて外を眺めると、がらんとしたドックの上に月が浮かんでいるのが見えた。 「綺麗な月ね──────」 「ああ、戦の真っ最中だというのに、嘘みたいだな」 「そうね」 「改めて、今回はよくやってくれた。礼を言うよ」 「私は務めを果たしたまでです」 「それでもだ。加賀航空隊の奮戦がなければ、今日こうして祝うこともできなかった」 その言葉は嘘ではなかった。攻めあぐねていた敵戦艦を吹き飛ばして突破への道を開いたのは、他でもない加賀航空隊だった。 「みんな優秀な子たちですから」 加賀はそう言って左肩の飛行甲板をゆっくりと撫でる。普段と変わらない沈着な表情、しかしその目にはどこか愛おしさが込められているように感じた。 「大事に思っているんだな」 「ええ、私の誇りです」 「なら、優秀な旗艦である加賀は俺の誇りだな」 「・・・・・提督、夜戦はお断りしたはずですが」 肩に手をやって引き寄せると、加賀は抗議するように腕の中で小さく身じろぎした。 「今次作戦の一番の武勲艦に、なにか褒美を上げたいと思ってな」 「褒美、ですか。それは受けとらなければ失礼にあたるわね」 こうやって加賀からスキンシップを拒否されるのは、初めてではない。 最初は、飛行甲板はデリケートだから触るなと言われた。飛行甲板でなければいいのだろうと頭を撫でたら、怒られた。 次は遠征に出る水雷戦隊の見送りに行った帰り道、そっと手を握ってみた。こっちを睨んできたが、手が冷たいから暖めてくれと言うと、焼き鳥にされたいのかと言いつつもおとなしくなった。赤城に見られそうになると慌てて振りほどいて逃げていった。 大破してボロボロの状態で執務室に帰ってきて、思わず抱きしめたこともあった。さっさと報告を聞いて入渠させろと言いながら、抵抗はしなかった。 そんなこんなで徐々に距離が近づいていったある日、近代化改修を終えた自分を見てほしいと言ってきた加賀を、俺は抱いた。 何か理由でもなければ触れることを許してくれないのは、彼女なりの照れ隠しなのだということに、その時ようやく気づいた。 以来、俺たちは子供じみた言い訳を見つけては体を重ねることを繰り返していた。加賀からねだってくることも、珍しいことではなかった。 腰に手を回して抱き寄せる。もう抵抗するそぶりもない。互いの体が密着する。程よくくびれた腰の感触。こちらを見上げる目つきに背筋がざわつく。 これ以上我慢できなかった。俺は彼女を抱きしめ、そっと唇を重ねた。 539 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2014/02/13(木) 12 48 56.50 ID 1GYqCe5p 短いですが、以上です。やっぱり書くのは難しかった。 何かお気づきの点があったら、ご指摘ください。 546 名前:527 ◆pzvVvkndz. [sage] 投稿日:2014/02/13(木) 17 41 08.81 ID 1GYqCe5p レスありがとうございます 続きは・・・書けるか分からんです 書けるだけ書いてみるつもりでいますが 一応酉つけて消えます
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/63.html
「この様子だと、今日の出撃は無理そうね・・・」 「そうだな、田んぼの様子を見てくるってレベルじゃないな」 提督の言葉からお分かりの方もいらっしゃると思いますが、当鎮守府は現在台風の直撃を受けて機能を停止しています 激しい雨と風に包まれた鎮守府は、まるでここだけが切り離された世界のよう 「よし・・・扶桑、各員に連絡。『今日は休みだ。装備の手入れをするなり羽を伸ばして休みなり好きにしろ。ただし外には出るな』以上」 「かしこまりました」 提督からの指示を受け、各艦娘の寮責任者へ連絡 そこからまた各部屋ごとに指示が行き、それぞれへの任務が受け渡される形となっています 今日はこの天候なので外出は厳禁、日頃の疲れを癒すよう伝え終わると私は提督に振り返り 「提督、連絡完了しました」 「ご苦労・・・うっし今日は仕事休み休みぃー!扶桑も楽にしてていいぞー」 「はい、ではお言葉に甘えて・・・」 提督が大きく伸びをしてお休みを宣言したことを受け、私も背負った装備を外すことにしました 艦娘として補正がかかっているので潰れるようなことはないのだけれどそれでもはやり重いものは重いものです 部屋の隅にずしり、と確かな重みを伝えて着地した装備にほこりが被らないように布をかけ 「ん、ん~~~」 私も伸びをひとつ 「さて、立ったまんまもなんだ。座りなよ、お茶でも飲もう」 「はい、提督」 先にソファに座り、私を促す提督 私はそれに応え、お湯を沸かし、備え付けのティーセットを使って紅茶を淹れる準備を始めた 淹れ方は金剛さんから直々に教えを受けているの 頃合いを見てティーカップに注ぐ。ふわりと紅茶の良い香りが室内に広がる 「提督、どうぞ」 「うん、ありがとう・・・いい匂いだ」 「ありがとうございます」 自分の分もカップに注ぎ、提督の隣に座りながら一口 うん、及第点ね。さすがに本場仕込みの彼女にはかなわないけれど 「たまにはこういうのも悪くない、のかな」 「はい、たまには良いと思います」 言いながら私の肩に腕を回し、そっと引き寄せてくる彼 私はそれに逆らわず傾き、彼の肩に頭を乗せる 「ふふ、こうやって朝からあなたとくっついていられるのですもの」 「いつもは寝る前に少しくらいだからねぇ」 いつもはもっとがっついてくる彼も今日は時間があるからかゆったりと触れてくる 「ん・・・」 やさしく、髪を梳くように撫でられる。指が通り、私の髪にほのかな熱を与えてくれる 彼の手は心地よく、こうして撫でられていると自然と胸の奥があたたかくなる しばらくそのまま時間が流れ、お茶がなくなった頃 「ずりずり~ぽよ~ん」 気の抜けるような声を漏らしながら提督は体を横にずらし、私のももに頭を乗せる。いわゆるひざまくらね 「今日はまた、とても甘えん坊さんですのね・・・」 すりすりとほおずりしてくる彼の頭をやさしく撫でながらつぶやくと 「扶桑がいるなら甘える。それは俺にとってもはや常識(キリッ」 「うふふ、真面目に言っても締まりませんよ・・・♪」 彼は自信満々に返してくる 私に甘えてくれる・・・それが嬉しくて、ついつい甘やかしてしまう 「はぁ、扶桑のふとももはすべすべだなぁ~」 「きゃっ!?もう、提督・・・?触り方がだんだんいやらしく・・・ふぁっ」 私のふとももをすりすりさわさわ それが段々私の感じやすい所を攻めてくる形になっても、窘めることはできなかった 「ん、ん、ぁ・・・ひぅ・・・んん・・・」 今日は仕事もなく二人きりなのだから、そうなることを期待しても悪くはないと思うの だって彼は私のことを好いて秘書に命じ、私もそれを喜んで受け入れたのだから 「あ、ぁん・・・、ん・・・あっあ・・・!」 「扶桑はおっぱいも大きくて、柔らかいなぁ・・・」 身を起こした彼は私の襦袢を開き、胸を露出させるとぱくりと突起を含む部分を口のなかに収めて吸い付いてきた 空いているもう片方の胸には手が回り、ふにふにくにくにと揉みしだき、感触を堪能しているようだった 「はぁ、はぁ、あなたに・・・ん、気に入ってもらえて・・・ぁ、あっ、うれ、しいわ・・・ひゃんっ」 「ん・・・ちゅ、ちゅ・・・」 夢中になって私の胸を吸う提督 残っていたもう一つの手を、私の深い所へと伸ばし 「あ・・・ん、ぁぁ、あ・・・んっ」 下着の隙間から指を沈み込ませていた くちゅくちゅ、ちゅっちゅ 室内には彼の愛撫する音と、私のくぐもった嬌声が静かに響く 彼に触られている、彼に求められている そう思うと見る間に昂ぶってしまい 「んん、ん、ぁ、ぁああ~~~っ!」 小さく身を振るわせ、達してしまう 「はぁ・・・はぁ・・・」 「扶桑、布団へ行こうか」 力の抜けた私を抱きかかえささやく彼にこくりと頷き、敷かれていた布団に寝かされる 「ん、あなたの匂いがします・・・」 「時々昼寝してるからなぁ」 上からも下からも彼の匂いに包まれて、これから沢山愛されるのだと、とくん、とくんと胸が高鳴って、止まらない 「もう十分準備できてるね、挿れるよ」 「はい・・・、ん、あ、あぁあっ!」 我慢できないとばかりにそそり立つ彼自身を秘裂に押し当てられ、そのまま貫かれる 熱くて硬いそれはゆっくりと私のなかをかき分け、その最奥へ 度重なる逢瀬により私のここはすでに彼専用の物となっていて、それの到来を感じるときゅうっと絡みついて行った 「ん・・・相変わらず、すごいね・・・すぐ出ちゃいそうだ・・・」 「ふあっ、あ、んん・・・!奥までごりごりと・・・!あぁ・・・我慢はなさらないで・・・」 「うん、ごめん、一回・・・でるっ」 どくんっ!どぷ、どぷ、びゅるる! とまるで音を立てるように彼の精液が私の一番奥に注がれる 「は・・・くっ・・・」 「ふあ、あ、あつい、のが・・・あ、あぁあ・・・!」 今日初めての熱い迸りが私を満たしていく 身体だけではなく、心も 「こっからが本番だからな・・・」 「はい、いっぱい来てくださいね・・・」 一度出しても萎えることのない彼は再び私を求めて動き出した 「う、はぁ・・・扶桑、扶桑・・・」 「ん、ぁ、はい・・・はい・・・っあ、あ、あああっ!」 腰をがっしりと固定して奥まで激しく突きながら、彼は私を求めささやく それに応えて首に手を回し、すがりつく こうしていないと彼のやさしい声と、中の、激しい動きでどこかへ飛んで行ってしまいそうだから 一人になるのは、怖い 彼から離れていってしまいそうなのが怖い 与えられる快感とともに浮かぶその感情を、回した手から感じてくれた彼は、背中に手を回し抱き寄せてくれた 「あ、あ、あぁ!て、てい、とく・・・あ、あ、あぁぁっ!」 「ふっう、扶桑、扶桑・・・!」 それからはまるで獣のような交わりかたで、お互いに抱き寄せて 彼は一心不乱に突き上げ、私はそれをそのまま受け止めて 「あ、あ、あっ、ふぁ、あ、んああ、ぁ、っああああああっ!」 「う、はぁっあ、あ、ああああっ!」 声を抑えることなく交じり合っていく 「はぁ、あ、んぁ、あ、くふっ、私・・・私・・・もう・・・」 「ぐ、俺も、もう・・・限界・・・!」 「最後は、一緒に・・・いっしょ、あ、あ、あ、ああああああああああっ!」 「くあああああああああっ!」 共に絶頂を迎える どくん!どくん!と先ほど出したにも関わらず大量の精を放つ彼は 一滴も漏らさないというかのように最奥部にぐりぐりと押し付けながら身を震わせていて 私はその彼を力の入らない腕でなんとか引き寄せて、愛しさを込めてゆっくりと抱きしめた 「くふ・・・ぁ・・・はぁぁ・・・」 「うぁ・・・う」 最後まで出し切った彼は私の上に覆いかぶさってきた 肌と肌がふれあい、胸の奥がぽうっと温かくなる そのまましばらく、言葉も変わらずにただ抱き合う それだけでいい、それだけが、いいの 抱き合ったまま、ゆったりとした時間をすごして私は一言 「提督・・・いい天気ですね」 おしまい。
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/570.html
前回の話 「今日の戦艦の防御力は凄かったね~……」 北上が納得の行かない演習結果に疲れたようにぼやく。 「完っ全に作戦が悪かったのよ……」 戦術的には勝利判定となったのに大井も不満気だ。 「………」 その二隻の小言に挟まれる指揮官の自分は、少しではあるが肩身狭さを感じ反論は一つもできない。 練度をひたすらに極めた相手艦隊の戦艦はデータ上は低速であるはずだが、 装甲の厚さと侮れない回避力を前に決定的な打撃を与えられなかったのだ。 それに加え、嘗ての海軍に見限られる程に魚雷とは元来命中率の低い艦装であり、 努力で完全に克服できる柔な宿命ではない事も熟知しているつもりだ。 かと言って本当の意味での重雷装艦とさせた魚雷のみの大井と違い、 比較試験のため片腕に主砲を残している北上が大井よりも良好な戦果を挙げたかと言えばそれもまた難しいもので、 果たして此奴らはどのように運用するのが正しいのか、 長い目で見てきても未だに結論付ける事が出来ないでいる。 北上が言うように此奴ら重雷装艦とは甚だ扱いが難しい船で、戦艦のように単純明快とはいかない。 それでも何故此奴らを使い続けているかと言うとそれは自分の趣味でしかなく、 此奴らにその事を尋ねられた時は何時だって重油を濁してきた。 特に練習艦として使われ続けるうちに作戦内容に敏感になっていった経歴を持つ大井の前でそんな本音をほざいてみろ。 冷たい魚雷でぶん殴られ木の床に沈められるのは目に見えている。 「あらやだ。北上さん、碌な作戦も考えられない提督ったら何も言えないみたいね」 「まあそう言わないであげなよ。提督も提督なりに考えてるんだからさ、って……」 「……やっぱり何も考えてないんじゃないんですか? 提督笑ってますし」 しまった、顔に出ていたか。 私の顔なんか見上げていないで二隻だけで和気藹々と駄弁ってくれればよかったものを。 「笑ってない。作戦は真剣に考えているつもりだ」 焼け石にバラスト水であろうと、念のため取り繕っておく。 次に聞かれたら重油をどう濁すのが格好付くか、とか、 これだから重雷装艦は面白いだとか考えていたのがばれるのは此方としては面白くないのだ。 「いや笑ってたよね」 「笑ってましたね誰が見ても」 「笑ってない」 「笑った!」 「笑いました!」 「笑ってない!」 ああもうゲシュタルト崩壊するからやめてくれ。 馬鹿みたいな言い争いを繰り広げながら廊下の右への曲がり角の一つで立ち止まろうとする。 すると。 どんっ! 「うわっ!」 曲がり角の側を歩いていた北上に突然衝突された。 衝突と言っても小突くような程度のもので、自分に被害はない。 北上はその後よろめいて尻餅を付いた。 正確には、北上に衝突されたと言うより……。 「いったー……」 「ううぅ、またやっちゃ……え?」 同じく床に座り込んで頭を押さえ唸っているのは、軽巡阿武隈であった。 どうやら自分らが五月蝿く騒ぎ立てていたせいで、阿武隈が廊下を走っていた事に気付けなかったらしい。 "廊下を走るな"の貼り紙を"廊下は静かに歩け"と書いたものに変えるべきかもしれない。 阿武隈が掟を守る気がないのか、貼り紙に気付かないのかは定かではないが、どちらにせよ効果は薄そうだ。 「き、北上さん、と、大井さん……」 貼り紙だけでなく私も見えないのか。 書いた者の存在感が薄いと貼り紙もそうなるのか。 怒っていいか。大井が。 「阿武隈ちゃん? "廊下は走るな"って、書いてあるわよねぇ?」 突き当たりの壁に貼られたそれを指差してくれる。 ありがとう大井。大好きだ。 「乱暴な字ですけど」 五月蝿い。 時間が推している時に何枚も手書きした物だから諦めろ。 座り込んだまま次第にこの世の終わりを悟ったような顔に変化していく阿武隈と、それを修羅の顔で見下ろす大井。 それは、何処から見ても蛙と蛇の図だった。 「ご、ごっ……、ごめんなさああぁぁい!!」 耳をつんざく大音量で放たれた謝罪の言葉が、ドップラー効果を持ってこの場に残る。 音爆弾の艦装は載せていない筈だが。 つまるところ、阿武隈は北上に当て逃げしていった。 せめてこの場で止まって謝罪していれば擁護する余地もあったのだが。 ところで、来た道を脱兎の如く全速力で戻って行ったが、阿武隈は何の用事があったのだろう。 「よくも北上さんを……、うふ、うふふふふ……」 「こら、美人がしちゃいけない顔になってるぞ」 演習を終えてすぐ艤装を下ろしていなければ阿武隈に攻撃していそうであった大井を窘める。 修羅を思わせる顔の歪め方をしていた大井は私の言葉にきょとんとし、 一呼吸置いて満更でもなさそうに少しだけ顔の歪みを戻した。 「……美人? そうですよねー、堅物気取りでヘタレな提督を骨抜きにしたんですからねー」 「あのな」 合ってるけれども。 「……いちゃついてないで助けてくれないかな」 「いちゃついてませんよ。……北上さん、立てる?」 大井は姉妹艦を心配するのみの顔付きに変化させ、手を差し伸べた。 大井の手を取り起き上がった北上の装甲は少々傷ついている。 「あーもう小破しちゃったよ。せっかく入渠したのに……」 この後すぐには出撃命令は出さないから、もう一度ドックへ行くか明石の世話になってきなさい。 ただ高速修復材の使用は控えてくれ。 あまり時間もかからないだろうし、何よりこんな下らない事故で一々使っていられない。 兎にも角にもあの阿武隈には後で私から言っておくから許してやれ。 「え? あの娘のところに行くんですか? …………」 どうした。自分で手を下さないと不満か。 「あんな娘の元なんかに……、いえ、何でもないの」 大井は取り繕うようにやけににっこりと笑って艦首を振る。 一先ず自分はこのまま執務室に行くから、大井は北上を連れて行ってやりなさい。 「いいよ、小破なんだからあたしだけで」 「駄目よ、また何か起こるかもしれないわ。守ってあげるから一緒にドック入りましょう!」 ドックまで連れて行ったら大井は戻るんだぞ。いいな。 「ッチ」 おい。 あの後阿武隈の部屋を訪ねてみたが、阿武隈は不在だった。 大井に襲撃される事でも恐れて逃げたか。 仕方なく執務室に戻り、演習前から置き去りにしていた書類に手を付けていると、扉が叩かれる音が響く。 「大井、戻りました」 うむ。 では早速で悪いがそこに分けておいた書類を処理してしまってくれ。 自分は此方の束に集中したい。 「分かりました。さっさと終わらせましょう」 そう意気込んで大井は私の隣に座り、筆を握る。 私の任務は小一時間かかりそうだが、大井の方は半時間もかからないだろう。 共に黙り込んで紙の束を消化していく。 自分の見込んだ通り、大井は時間をかけずに素早く消化してしまった。 やる事がない大井は姿勢を崩しながらも健気に私の作業の終焉を待ってくれる。 特に喉が渇いてはおらず、お茶淹れにも断ったので尚更退屈そうだ。 それからまた数分そうしていると、視界の端で大井は突然ぶつぶつと何事か呟き始める。 「北上さん、大丈夫かなぁ……。私がいないと心配だなぁ……。 うん……、心配……きっと、そう、きっと何か起きてる! 私、行かなきゃ! …………」 …………。 何なんだ。 その、ちらっと此方を伺うような横目は。 返事でも求めているのか。 何を返せば満足なのか。 あと少しかかるから、それまでは好きにしろとしか言えない。 集中しているのだから。 すると、まるで代わりに答えるように鳩時計の針やら歯車やらの機械音の後に鳩が鳴く。 「……あらやだ、ヒトナナマルマルです。もうすぐ夕食の時間ですね。私、ちょっと夕食の仕込みしてきますね」 む? 間宮の手伝いでもするのか。 出来ると言うのであれば行ってこい。 しっかり頼むぞ。迷惑はかけるなよ。 「言われるまでもありませんよ」 大井が出て行ってから、暫くして本日付の執務は粗方片付いた。 後は余裕があれば片付けた方がいいものもあるが、集中力を切らした自分は食堂へ足を運んでいた。 騒がしい食堂の厨房には割烹着に身を包んだ間宮と大井の姿が。 大井が持っているその蓋付きの鍋の中身は何だ? 「勿論、愛情たっぷりの、大井特製カレーです!」 ほう、カレーか。 今日は土曜日ではないが、良かろう。 実際土曜日にカレーを作るなんてのは、多くの兵が艦上で何日も過ごす事のある海軍の名残りでしかないから構わない。 ではその愛情を香辛料にしたであろうカレーを貰おうじゃないか。 そういえば北上の姿が見えないが、修復はまだ終わらんのか? 「あ、いえ。それが、北上さんにもあげようとしたら、もう夕食は済ませたって……」 それはそれは、残念だったな。 まあ安心してくれ。 大井の有り余ってしまった愛情は私が全部頂く。 私と北上にしか食べさせる気がなかったのか、そのくらいの鍋ならおかわりすれば完食できるさ。 早速よそってくれ。 「はい。では、そこの席で待っていてください」 そう言って大井の目線の先の席とやらを見る。 そこは二人用の小さな席がぽつぽつある食堂の入り口付近で、 多くの艦娘が陣取る海を一望できる窓際辺りと比べると閑散としている。 あそこじゃないと駄目か? 間宮の作業場が見えるカウンターか海が見える窓際近くがいいんだが……。 「だ、駄目です。あまり騒がしいところは好きませんので」 むう。まあ良かろう。 そこまで執着はしない。 素直にその席につき、大井はテーブルに鍋を置きまた引っ込む。 今度は割烹着を脱ぎ、白飯を盛った皿を持って現れた。 同じように大井も対面した席につき、鍋の蓋を開ける。 すると、厨房で歴戦を繰り広げた証である湯気と香りが立ち込める。 今日もカレーは美味そうだ。 「"は"とはどういう意味ですか。頭にぶちまけますよ」 一々細かいところに突っ込むな。 大井の愛情を頭から被るのは悪くはないが、これは愛が情熱すぎて火傷を負ってしまうからまた別の機会に頼むぞ。 では頂くとしよう。 「はい。召し上がれ」 薔薇を思わせるにっこりとした笑顔で許可を頂いたので、白飯とカレーを掬ったスプーンを口に運ぶ。 米特有の甘みを持つふっくらしつつも立った白飯と、辛過ぎない程度に食欲を促進させてくれる香辛料の入ったカレーは、 自分好みに調理されている味で毎度ながら感服される。 一口目を咀嚼して飲み込んだ後、大井は最早聞き飽きたであろう短い賞賛の科白を今日もつく。 よく出来ている。美味い。 「美味しい? そうでしょう?」 嗚呼、具も柔らかく煮込まれている。 完璧だよ全く、カレーはな。 「一言多いです。文句言わず食べて下さい」 言われなくとも二口目を運び、大井を観察する。 テーブルに両肘をついて頬に手を当てる大井は、 美味しいと言ってやれば嬉しそうに目を細め、今のような戯言を言ってやるとむっとして口角を下げる。 内に秘めるように普段微笑を浮かべていながらも、実際はこうしてころころ表情を変えるから面白いものだ。 二口目も飲み込み、すうっと流れる後味の中、自分の味覚は何時もと違う何かを感じ取った。 大井、隠し味か何か入れたか? 「あ、分かりますか? 隠し味を入れてみたんですよ」 ほう。自分はそういった試みに挑んだ事が無いから分らないんだが、何を使った? チョコレートか? 牛乳か? 「愛情を入れました」 自分は、がくっと少し首を横にずっこけさせた。 それはさっき聞いた。 そうじゃなくて、何か別の食材でも入れたんじゃないのか。 「はい。いつもお疲れの提督の為に、元気になるものを入れました」 「ふうん……」 漢方薬か何かだろうか。 心遣いは身に染みるが、カレーの隠し味には はっきり言ってしまうと合っていない。 しかしカレーの味を壊す程不味くもないので、自分は気にせずまたスプーンを口に運ぶ。 話は変わるが大井よ。 お前は食べないのか。 「え……。私はいいんですよ、提督のために作ったんですから」 なら一口やろう。 ほら、あーんだ。 「い、いやっ、私は……」 どうした。 何故差し出したスプーンから逃げるように身を引くんだ。 料理の基本である味見も毒見も行ったのだろう? 不味くないから大丈夫だ。 大井が食べないで私だけ呑気に食べてはいられない。 ほら、口を開けてくれ。 「で、でも……」 ははあ。 もしや間接キスでも気にしているのか? それ以上の事をやってきてこんなので恥ずかしがるとは、大井は乙女だなあ。 「恥ずかしがってなんかいませんよ!」 だったら一緒に食べような。 ほら。 「……ぁ、あーん……」 大井は自分で作った癖に、 まるで苦手な物でも食べる子供のように目を瞑ってスプーンのカレーを口で受け取り、不安そうに口を動かす。 何を怖がっているんだ。美味しいだろ? 「お、美味しい、です……」 そうだろう。 私の為に愛情込めて頑張って作ってくれたんだから、不味い訳が無いんだ。 この分だと鍋の方も冷めるまでに食べ尽くせるな。 このカレーは二人で食べてしまおうな。 ではもう一度。あーん。 「そんな……」 何か言ったか? 此方から口に入れておいて悪いが、よく聞こえなかった。 「んくっ。い、いえ、何でもないの」 そうか。ならさっさと食べてしまおうな。 遠征部隊もそろそろ帰ってくる頃だ。 そう言って自分は腕時計を気にしながらカレーの咀嚼に勤しんでいた。 その隙に、大井が恨めしげに何事か呟いていたのを自分は全く気付けなかったらしい。 「ううっ、どうなっても知りませんから……!」 さて、それからというもの自分と大井で手分けして時間もかからずに一つの皿を二回空けた。 のだが、自分の身に異変が生じていた。 別段激辛のカレーを食べた訳でもないのに……。 「はぁ、体が熱くなってきた? そうでしょう、ね……。はぁ……、はぁ……」 そうなのだ。 体の中を熱が疼く。 運動していないのに息が荒い。 屋内なのに汗も滲み出ている。 そして何より、同じような症状が出ている大井が、何故かとても扇情的に映える。 一応断っておくが、自分は時と場所を考えずにこんな情を抱く獣のつもりはない。 大井も途中から自棄になってカレーを食べていたが、お前は本当に何を入れたんだ……? 「言ったでしょう……。ん、提督が"元気"になるものって……」 まさかとは思うが、もしかして。 自分がやがてある一つの答えに行き着き、口にする前に大井がゆっくりと立ち上がる。 テーブルに両手を突いてやっと立ち上がった大井はふらふらになりながら私の肩に縋り付き、 私の耳元で妖艶に何事か囁きかける。 「早く、はぁ……、早く、はぁ、行きますよ、執務室……」 大井が食堂の入り口から近い席に座るよう指示したのは、この為だったのだろうか。 自分も、そろそろ我慢が限界を迎える。 …………………… ………… …… 共に危ない足取りで執務室に引き篭もり、施錠した。 カレー鍋も、食器一式も放置してきてしまった。間宮よ許してくれ。文句なら大井に頼む。 残った理性の欠片はそんな事を遺言とし、弾けた。 執務室の扉に大井を押し付け、次々と口付けを落とす。 「っ、はぁ……。好きですね、提督も……」 「"も"ってのはどういう意味なのかな」 「一々拾わないでくれませんか……」 知った事か。 お前にだけは言われたくないね。 同じ物で塞がれれば物言えなくなると思うが。 「黙ってて下さい。ちゅう、ちゅ……」 首を伸ばすようにして私の口に大井は吸い付く。 大井の柔らかい両手が私の顔を包む。 まんまと嵌り、共に戯言をきけなくなり、部屋には夜戦の始まりを告げる音だけが響く。 「っぱ、はぁ、はぁ……」 やがて口を離した頃、大井は体を完全に扉に預けてしまっている事に気付いた。 自分も両手を扉に預けてやっと足を床に支えている状態だ。 「はあ、ほら、向こう行くぞ……」 「……っ」 大井は顎を引いた。 私の肩にしがみ付く手を取り、更に奥の私室へ連れ込む。 寝具に飛び込み、事を再開した。 装甲の乱れた大井の扇情的な姿に堪らず、色んな場所に口付けを落とす。 まず、足。 「はぁっ……。提督、んっ、そんなところにして、楽しいですか……、んっ……」 聞かず唇を押し付け、吸い付く。 十数秒もそうしていると、いい具合に白い足に跡が付いた。 周辺に幾つも付けていく。 気が済んだら、次に、腹。 「ぅ、ん……、んっ、臍に、興味があるんですか……?」 次に、手の甲。 「っ、ふふ……。はぁ、気取らないで下さいよ……」 次に、首筋。 「っあ……、はぅ、うぅ……」 最後に。 「っ、やっとですか、んむ、……ちゅ、ちゅ、ぇる……はぁ、ちゅる」 自然と共に口を開き、小さな舌を絡める。 情はどんどん深まり、口だけでなく互いの首が互いの腕で繋がれ、足も縺れ合う。 身を引き寄せ合い、互いの熱を共有する。 大井のボイラーは自分に負けずひどく熱い。 あのカレーは殆ど半分ずつ食べたようなものだからな。 特に熱暴走がひどいのは下腹部だ。 自分の考えている事を読むように、大井の手が私の局部を布越しで擦る。 「ちゅく、っあ、はぁ、はぁ、提督の魚雷、もう硬くなってるじゃないですか……」 誰の所為だ誰の。 責任取れよ。 「ふぅ……、んん、こんなつもりじゃ、なかったんだけどね……」 「責任取って、処理してあげます……。私だけが、ね……」 …………………… ………… …… 「どうしたの大井っち、前の服なんか着て」 「え、北上さん!? えと、気分よ、気分……」 午前。 やっと昨夜ぶりに邂逅を果たした北上が、大井に話しかける。 臍部分が隠れる以前の装甲に身を包んだ大井は、後ろ指でも指されたように僅かに飛び上がった。 「なんでずっと魚雷つけてるの?」 「え、こ、これは……。そう! 昨日北上さんに衝突した艦に制裁を与える為よ!!」 大井は仇討ちに燃える修羅を演じているつもりか、腕を突き出す。 しかし説得力がない。何故なら。 「じゃあなんで補給してないの?」 「えっと……、暴発したら危ないじゃないですか!!」 魚雷が一門も装填されていない発射管を見せられて、誰もが疑問を持つ筈である。 見事に打ち破られた大井は最早言っている事が支離滅裂であった。 その横で自分は知らぬ顔を貼り付けつつ、自分は北上と同じように大井に疑問を突っ込む事もしなかった。 真実は自分と大井しか知らない。 朝になって我に返った自分らは、体のあちこちにできた夜戦の痕跡である赤い印をどうにかして隠す事に奔走した。 自分は元々袖も丈も長い服装なので今まで通りの格好で良いのだが、 それなりに露出がある大井はそうも行かない。 大井の首筋は長髪に隠れるから良いとして、足、腹、手の甲に私がつけた印をどうするか。 議論の結果、腹まで隠れる装甲に変更し、足と腕に艦装を施していれば隠れる事が分かり、今に至る。 これに阿武隈への仇討ちの意志は全く含まれていなかったが、北上の言葉で大井は思い出してしまっただろう。 本当に仇討ちを遂行しかねない。 阿武隈よ南無三。 これに懲りて金輪際廊下を走らない事だな。 唯、刑執行人が大井の場合だと金輪際走る事が出来ない体にさせられそうである。 そのブレーキ役となるべく、今日は一日一緒にいるとしよう。 「はい、提督にオムライスです。……え? いやだ、愛情以外何も入ってませんよ。うふふ……」 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/5037.html
117: リラックス :2017/12/22(金) 05 57 29 リアルメカウォーズ・ルナティックのネタ とある提督の日誌 ●月▲日 本日より新たに設立された特別艦隊の司令官として就任することになった。 MA派や航空機派、はては大艦巨砲派に主流派の内、他派閥との関係を重視する派まで巻き込んでようやく完成に漕ぎ着けた兵器を試験運用する部隊だという。 艦隊といっても、現状では改装空母1隻のみの寂しいものなのだが。 例の特殊な装置……テスラドライブ搭載機を運用するデータを取るため、大型輸送艦の船体に必要な機材を積み込んだ航空工作艦とでも呼べる代物だそうだが、武装はデブリ対策の一環と最低限の物らしい。 上はMS派が主流となっている現状を打破するために気合が入っているようだが…… ●月@日 予定通り着任し、当面の旗艦となる改装母艦ヨルムンガンドと新型機を受領した。 新型機というのは抵抗計画により開発されたRwfシリーズの機体でXRwf-9レオ、XRwf-10アルバトロス、XRwf-13T エキドナとXナンバーのついた機体の他にRwf-9Aアローヘッドという正式機(正確には先行生産機らしいが)であり、プラズマジェネレーターとテスラドライブの他に波動兵器や次元兵装を搭載している機体だそうだ。 改めて恐ろしい物を押し付けられたものである。 ●月#日 着任後は機体や母艦と一緒について来た科学者から命じられるがままに実施試験を行ったり、訓練を行ったりしていた。 元々そういう目的で設立された部隊なのだから仕方ないが彼らの方が責任者のようだ。いや、いざという時に責任被る奴を責任者と呼ぶというなら間違いなく私が責任者なのだが…… それにしても改装母艦一隻なのに、書類上は「艦隊」という扱いとなっているそうで、事実上、私は提督という扱いらしい。 ポストが増えるから……と言って良いのだろうか? それはそれとして、実際に試験運用してみると色々と問題も生じるようだが研究者たちはむしろ生き生きとしている。 近々改良型の機体案を作成すると聞いた。 ●月 日 今日も訓練だか試験だかの様を見たり書類を作成したりしながら過ごしていると新しく配属されて来た副官が指令文章の入ったデータファイルを送って来た。 内容を確認すると、火星航路で輸送船の護衛任務に参加するようにとのこと。 また、これに合わせてRwf-9Aアローヘッドを二個小隊追加配備するとのこと。 いい加減月周辺の試験だけで取れるデータでは満足出来なくなってきたといったところだろうが、元輸送船が輸送船を護衛するとは。 まあ、歴史を見れば武装商船とか補助巡洋艦とか護衛空母とか例はいくらでもある訳だが。 ●月¥日 他の部隊や肝心の輸送船との打ち合わせで駆けずり回ることになったが、こうして出航してしまえば意外と暇だ。 問題が起きないことには仕事もないという訳なので、それはとても良いことなのだが。 もちろん、周囲の警戒は続けており、追加のアローヘッドと共に配備された早期警戒機R-E1‘ミッドナイトアイ’で周辺を偵察させているが異常は特に無い。 戦闘能力はともかく、索敵能力は折り紙つきということなので信用して良いだろう。 118: リラックス :2017/12/22(金) 05 58 02 ●月☆日 火星周辺で、まるで瞬間移動のように何も無い空間から突然現れるMSと比較するとかなり小型機動兵器群による襲撃を受けた。 書類で見たことのある亜空間潜行を用いた奇襲かと思ったが、ミッドナイトアイなら亜空間潜行していようが索敵可能のはずらしく、考えられるとしたら文字通りワープなのではないかとは研究者たちの話だ。 幸い、規模は大したことがなかったので撃退に成功したが、捕虜の話を聞いた限りたと連中は『火星の後継者』と名乗っているらしい。 テロ組織にしても聞いたことのない名前だが、最近噂になっている次元転移者なのではないかと誰かが言い出した。 私も耳に挟んだことはあるが、だとしたら私どころか火星支部でも手に負えない話に発展する可能性があるので、捕虜は地球へと送られることになったらしい。 私は他の部隊と打ち合わせをしながら事後処理を行っていると(責任者というのは艦隊の出港前と到着後の方が仕事が多いのだ!)本部からの通信で次の指令が来た。 地球に捕虜を送る際、それに護衛として同行するようにとのこと。そして、私の艦隊には補充人員を受け取るようにとのおまけ付きだった。 ●月%日 地球にて、やはり噂が真実であったという話を聞かされた。あのような次元転移者の目撃例や交戦例が各地で確認されているらしい。 私の艦隊には引き続き新型機の運用試験が言い渡されたが、今後は次元転移者の調査や交戦が命令される可能性があるとのことなので、そのつもりでいて欲しいと説明された。 それと、補充人員と共に新しい艦が配属されることになった。これで艦隊が組める。 新しく配属されたのは護衛用の駆逐艦で、駆逐艦であることから想像出来るかもしれないが積載能力は無い。 その代わりミサイルや対空砲火などヨルムンガンドとは比較にならない火力を有しており、更に「亜空間バスター」「亜空間ソナー」と呼ばれる特殊兵装を試験的に導入しているそうだ。 亜空間にいる敵への対策らしい。確か研究者が亜空間機の開発に精を出していたし、類似の技術を敵が使って来ない保証もないか。 ちなみに旗艦についてだが、ヨルムンガンドのままで行くことにした。 R戦闘機の頼もしさは理解出来た所だし、ヨルムンガンドは電子能力が強化されていることもあって指揮能力や情報処理能力がかなり高く、旗艦としては意外に不満がなかったのだ。 まあ、どうせ研究チームの要望を聞かねばならない事情から簡単にはヨルムンガンドから移すことは難しいという事情もあるが。 それから、アローヘッドの改良型であるRwf-9A2 デルタを一個小隊受領した。 ●月#日 晴れて名実共に艦隊となった我々は新たに配備された艦艇や新型機、補充された人員と共に月周辺で再度訓練と実施試験を行う。 初戦闘に勝利したということで酒保でちょっとした宴会を開いて船員を労った。 会計は強敵だったが、偶にはこのようなのも良いだろう。 119: リラックス :2017/12/22(金) 06 00 46 ●月〒日 しばらくは訓練に励んでいた我々だったが、本日命令を受領した。 先の大戦で廃棄されたコロニー近辺に未確認勢力らしきものの目撃情報があり、その調査に当たれというものだ。 実際に接触した場合、交戦は許可するが穏便な接触が可能なら穏便に接触しろ、という意味の注釈が入っていた。 まあ、どんな勢力と接触するかも分からないし、出会う勢力全てを片端から殴りつけるのも良くないということだろう。 多分、この手の目撃情報は大量に中央に届いているのだろう。それを全て対応しなければならないと……我々のような部隊にまで声がかかるのが良い証拠だ。 ●月々日 私達は注意深く目撃情報のあった宙域に足を踏み入れた。 噂だとこの辺りで見たことのない宇宙艦艇が確認されたということだ。 結論から言うと、その艦艇……戦艦コンバイラと名乗る部隊との接触は無事に成功した。 接触した際、謎の……機械とも生物ともつかない兵器を扱う勢力と交戦中だった。 話を聞くと、元々は宇宙生物のような謎の生命体に襲撃されたとのことだったのだが、戦闘を行っている内に艦載機部隊の様子がおかしくなり、機械と生物を混ぜ合わせたような不気味な機体へと変貌、その後こちらに襲いかかって来たらしい。 他にも、彼ら自身のことも聞いた所、次元転移者の可能性が高いことを確認した。 そこからは一悶着あったが、彼らを衛星軌道上に設立された要塞アイギスへと移動してもらうことになった。 ●月○日 敵の残骸などを回収した後、戦艦コンバイラを要塞アイギスへと案内した。 艦長の話だと船員の中に瞳が琥珀色となってしまった者が何名かおり、彼らの検査や治療などについても交渉が行われたようだ。 謎の勢力については本部も気になっているようで、引き続き調査が命じられた。 あれを放置するのは危険なのは明らかなのだが、どうも嫌な予感が消えない。 特に変貌の原因についてが気にかかる。それに関しても最優先で調査するとのことだが…… 120: リラックス :2017/12/22(金) 06 01 22 異常、続くかどうかは不明