約 19,731 件
https://w.atwiki.jp/ln_alter2/pages/293.html
提督の決断 ◆MjBTB/MO3I スクーター(注・二輪車。モトラドではないものを指す)が、ある程度開かれた山中の道をマイペースに走っていた。 運転手の名前はキノ。独自のルールに基づいた旅をする人間である。 彼女はがむしゃらというには程遠く、どこか余裕も見えるようないつも通りの姿で、山を登っていく。 理由は、結局火の鳥の事も気になりつつも"やはり人数が揃っているはずの神社が気になる"からだった。 特に気になっているのは人員の"質"。正直なところ先程の"火の鳥"がいるという話は零崎人識からは聞いていなかった。 彼が言うには"出来る"人間と"出来ない"人間が集まっていたようだが、こうなると正直当てになるとは思えない。 あの飄々とした性格の少年のこと。こちらは正直に事を話したというのに、あちらは嘘をついているのかもしれない。 もしくは、"実は神社はやり手だらけ。キノを陥れる策だった"という可能性まで出てくる。 キノは事実を述べたというのに、もしもこの仮説が当たっていた場合はアンフェアとしか言いようがないだろう。 一応彼はきちんと殺害しているので、その情報が漏れることはないのだが。 だからこそ、自分の目で見極めておきたい。 神社にいるらしい人間を殺すべきか、交渉するべきか、利用するべきか。 人伝で得た情報ではなく、自身が得た情報を参考にする。その為に今は素直に神社を目指す。 それに、ついでに殺害できる様なら幸運でもあるわけで、今回の遠征は自分にとって損になる事はほぼ無いだろう。 零崎が神社から姿を消した後に団体様が解散していたら少し困る話ではあるのだけれど。 とまあ、そんな具合の事を考えながら走っていたキノ……なのだが、ここで彼女は突如停止を強いられる事になった。 "思考を"ではない。他ならぬ"走行の停止"。 その理由は、進行方向上に白いエプロンを纏った女性が立っていたが故である。 ◇ ◇ ◇ 山道の中、一人で二人のフレイムヘイズが侵入者の前に立ちはだかった。 彼女の名前はヴィルヘルミナ。相棒の王はティアマトー。 彼女らがこんな場所に立っている理由は、話せばそう複雑なものではない。 理由。それは逢坂大河の手術の開始前に、ヴィルヘルミナが彼女から了承を得て単独行動に出たからである。 別に約束を反故にしたわけではないし、予定通りに術式を開始するつもりであることには変わりはない。 彼女は成すべき事を成す為に、一時的に場を離れたに過ぎない。 そこまでした理由を説明するのは簡単だ。 彼女はただ、先の手術を滞りなく完了させる為にまず懸念を潰そうとしているだけだ。 今や、現在神社でまともに戦えるのはヴィルヘルミナただ一人。残りはテレサ・テスタロッサを除き皆身体能力は並の者達だ。 自分と同じフレイムヘイズであるシャナは人探しに出発し、零崎人識も今やここにはいない。 そんな状態で自分が手術へと意識を集中してしまえば、どうしても隙が生じてしまうのは明白だ。 そしてもしも隙が生まれている状態で、例えば"敵"が現れた場合はどうなるか。 間違いなく、対処に遅れが発生する。そうなれば流石に目も当てられまい。 最低、新たな怪我人発生。最悪、全滅。 避ける為の対策は、先んじて不安を取り除いておくことのみ。 先に見回りをしておき、現状侵入者がいない事を確認して出来うる限り懸念を潰しておくという作戦だ。 単純でしかも穴のあるものではあるが、現状方法はこれしかないので仕方が無いだろう。 フレイムヘイズが常人には有り得ぬ運動神経を持ち合わせているのが、唯一の救いではあるのだが。 そして、その救いは幸運を与えてくれた。 神経を集中して周りに不振な者はいないかと気配を探り、俊敏に探索。 見落としが無いようにとティアマトーの力も借り、二人がかりで作戦を開始し少々時が流れた辺りである。 スクーターに乗って神社へと走っている人間の存在に気付いたのは。 そしてその人間の下へとすぐさま出陣し、目の前を遮るような直立不動の仁王立ち体勢に以降。今に至るというわけだ。 (随分と堂々とした振る舞いをする少年でありますな……) (要対応) 目の前の"少年"――少なくともヴィルヘルミナにはそう見えた――は、無言でこちらを見ている。 ヴィルヘルミナも無言で"彼"へと視線を向けたまま無言を貫き、ティアマトーも倣う。 バッタリと正面から出会ったのである。相手は何を言うべきかと言葉を捜しているのだろう。 それはこちらも変わらない。まずアプローチを仕掛けるに際し、慎重さは大事であると考えるからだ。 しかし互いのこの無言、実はそれ以上に重大なもう一つの理由が表面化しているといっても良い。 牽制、である。 ヴィルヘルミナはこのスクーターに乗った少年を、ただの大人しそうな侵入者だと思っているわけでは決して無い。 彼女は少年の立ち振る舞い、というよりも大地に立っている姿から既に"彼は只者ではない"と感じ、今も警戒しているのだ。 根拠はいくつもある。 マイペースに見えて、というよりも究極のマイペースによって構築される隙の無い立ち振る舞い。 今ここで第三の人物か、もしくは自分が奇襲を仕掛けたとしても見切りそうな目。 安易には見透かせぬ心。考えを読むには厳しい表情。しっかりと大地に立つ堂々さ。 いつでも武器を取り出す事が出来る様にと考え、編み出されたであろうデイパックの位置取り。 このヴィルヘルミナ・カルメルが無言でプレッシャーを与えようと敢えて立っているというのに、一切退かぬ体。そして最後に、勘。 常に戦いに身を投じているヴィルヘルミナだからこそ解る。彼は人間という種の中では間違いなく"出来る"側だ。 そして因果な事に、おそらく彼も自分達と同じく"いつどこで敵襲われるかわからない"という日々を過ごしている! そうでなくてはこの彼から感じられる重圧は、どう説明をしろというのか。 「……」 通常、フレイムヘイズは人間よりも遥かに強い。それは今も昔も変わらぬ常識である。 しかしそれでも、発見したばかりの時から今に至るまで、彼を見ていると体が警告をする。 "もしも彼が"敵"であるならばまずい展開になるぞ"、と。 (それでいて、一見しただけでは心が読めそうに無いのが困りものでありますな……元々不得意でありますが) (警戒必須) (我々の"味方"であるならば頼もしいのでありますが、楽観的な考えは危険であります。さて、どうするべきか……) 「あの……」 「何でありましょうか」 と、ここで少年はこちらに向かって言葉を放ってきた。 対話の始まりを予感させる種の単語であった為、ヴィルヘルミナは瞬時に頭を切り替える。 まずは軽く返事をし、相手の出方を待つことにした。 (相手の言葉の内容はもとより、その挙動や表情……全てから、彼が何を思いここに現れたかを掴むしかないであります) 今も隙を決して見せようとしない立ち振る舞いを続けているこの謎の少年は、深読みさせてもらうに相応しい相手だ。 ◇ ◇ ◇ この女性は敵に回すと危険だ。 キノは目の前に突如現れた女性の立ち姿を見て、そう判断した。 理由はその女性がキノに抱いた感想と同じ部分から――キノ本人には知る由も無いが――来ている。 動き辛そうな服装であるにもかかわらず、いつでも戦闘状態に移行できそうな立ち振る舞い。 悪意からではなく、純粋に実力から現れるのであろう重圧。 そして何より、ここは今は相手の陣地である。 自分が下手に先制攻撃を仕掛けようとした瞬間、どんなしっぺ返しを喰らうか判断をし難過ぎる。 開けているとはいっても山道である。この女ならば用心に用心を重ねてオーバーキルな罠をしかけていてもおかしくは無さそうである。 というか、自分ならそうしている。今回はバッタリと出会った形になってはいるが、相手も流石に無策で目の前に現れるわけは無いだろう。 神社の人間を総動員して、という意地の悪い作戦を展開している可能性も決してゼロではない。 二回目の放送も終えて、現在の残り人数は四十人程度。 ここから「神社にいるらしい大量の人間を殺害出来れば大躍進と考えてはいたが、現実は厳しい。 もうこの女性一人がいるだけで場の空気が違う。下手に事を起こせば穏やかな結果では済まされないだろう。 七人の英雄を相手にしたことはあれど、それはまた勝手が違いすぎるので参考には出来まい。 それに繰り返すがやはり状況も悪い。零崎人識の時と全く違う事がやはり不安を抱かせる。 堂々と目の前に立っている事も解せないし、というよりも"解せさせない"為に立っているのか。 とにかく、全ての行動に理由があるのではないかと錯覚させるようなオーラを放っているのだ。 それに今、自分は少し眠い。体調が万全では無い今の状態でここまでの相手と闘うとなると厳しいものがある。 面倒事は、正直起こしたくは無い。 キノはここで、一旦殺害を考える事をやめた。 次に思考したのは、長居すべきか火の鳥を追うべきかである。 さて。 相手への無言の牽制、そして慎重さを大事にしたその結果、互いに一言も喋っていない。 このまま退散するのが良策であるとは"もう"言えない。もはや関わり過ぎている。 "長居すべきか火の鳥を追うべきか"のどちらかを選ぶ前に、一言挨拶だけでもしておくべきだろう。 おそらく自分が殺人に手を染めている事はまだ気付かれていないはずなのだから、それくらいは問題はないはずだ。 それにもしかしたら交渉に発展し、その末に何か得るものもあるかもしれない。そもそも寝床も欲しいわけで。 とりあえず、会話を試みるしかなさそうではある。 「あの……」 「何でありましょうか」 相手は話を聞く姿勢ではあるようだが、どうも顔が鉄面皮というかそういった具合なので、キノはどうすべきかと一寸迷った。 こちらをすぐに殺しにかかる気ならばいつでも迎撃の準備はあるのだが、如何せん彼女からは感情を捉え難い。 だがそれでも会話をしてみるかととりあえずトライしてみる事にした。何か取っ掛かりがあれば御の字、である。 「キノ、と言います」 「貴方の名前が、でありますか?」 「ええ」 「なるほど。記憶している名簿には確かに記載されているであります」 変わった言葉遣いだった。まるで軍人だ。 「では、あなたは?」 「『万条の仕手』」 "ああ、警戒されているな"と一発で解る回答であった。 「随分と警戒しているようですね……」 「状況が状況であります……こちらにもやるべき事が残っているが故、納得をして頂きたく思う次第であります」 「そうですか、正直残念です。ところで、寝床を探しているんですけど……神社をお借りすることは、やはり無理ですか?」 「少々厳しいでありますな。こちらにもそれなりに都合というものが存在しているものでありますから」 そして、歓迎されていない。 理由としてはこの闖入者たる自分を御する余裕が無いか、何か疚しい事を隠しているか、といった辺りだろうか。 仮に理由が前者ならば、一旦破棄した"『万条の仕手』を含む人間の殺害"も出来るかもしれない。 だが彼女の言葉から連想されるその理由が、隙が生まれていると見せかけている所謂"ポーズ"という可能性も決して否めない。 旅の中では"相手を油断させる"事で敵対者を撃退するのは常套手段だ。 「厳しいですか」 「厳しいであります」 もしもそうであってもそうでなくとも、なんともいやらしい。せいぜい深読みしろということか、さては。 「何かお手伝いできることは?」 「特にないでありますな」 「何かやるべき事があるのでしたら、その間に見張りくらいなら出来ますが」 「"見張りを誰が見張るのか"、が問題であります」 誰が見張る、と来たか。初対面の人間に放つには厳しすぎる発言であった。 単に人付き合いに関して不器用なだけだろうか。いや、まさか。 敢えてこちらを刺激することで反応を見ようとしている可能性もある。 明らかに思考が泥沼に入りかけていると思わざるを得ないが、どうしたものか。 ……ああ、じゃあもう"あれ"を訊いてしまえば良いか。 キノは、口を開く。 「その拒絶の理由……さては"あの火の鳥の様なもの"と、関係がありますか?」 「……」 相変わらずの無言。だが無言は無言でも"一寸考えていた"ような無言。 「…………"火の鳥"、でありますか?」 その後に『万条の仕手』は同じ言葉を復唱してきた。とぼけているのだろうか。 「ご存知、ないのですか? あなた程の方があれに気付かないとはどうにも思えませんけど」 「いえ、そういう事ではないのであります」 「そうでしょうね。今思えば神社から飛んでいったようですし」 「……よく観察していたであります」 知っていたようだ。では果たしてあの火の鳥の様なものの正体は何であるのか。 それはこの目の前の『万条の仕手』がどういった状況に置かれているかを推理する鍵であると、キノはそう見ていた。 もしも鳥もどきが彼女の味方であったならば、貴重な戦力を分散させてしまった為にこうして警戒を強めているという可能性が出てくる。 逆にあれが彼女の敵だったとしたら、あれを追い出した後であるが故に警戒態勢に入っているのかもしれない。 何かから逃げているようにも見えたあの火の鳥もどき。その正体を尋ねる事は、目の前の彼女の現状を把握するための一手となり得るはずだ。 「更に思い返せば派手な戦闘音なども見受けられませんでしたね……あなたの仲間、と考えるのが妥当ですよね?」 「そう……あれは我々の仲間であります。この"生き残りをかけた物語"で意を同じとする同胞、でありますな。 しかしながら意は同じであれど過程までもが全く同じである必要は皆無。故に今は別行動を取ったのであります」 「なるほど……"それで、人手が足りないと"」 「それに関してはご心配ないであります」 そしてその予測は、実際に当たった。おそらくこれに関しては真実なのだろう。 あの火の鳥が敵である場合、あれが味方だったと嘘をつくメリットは決して見当たらない。 逆にあの火の鳥が味方である場合、敵だと嘘をついた所で「ではあの敵を倒してきます」と言われたらそこまでだ。 故にこの『万条の仕手』の発言は真実であると考えるのが妥当。深読みする必要は無いだろう。 しかしながらそうなると、駄目押しで放ったもう一つの質問には否定されたことが解せない。 仲間がいなくなったものの人手には問題ない。強がりか、事実か、どちらだろうか。 都合があるので歓迎出来ない。 仲間が別行動を取った。 やるべき事が残っている。 この三つの情報から、人手に関しての供述は黒であると考えられるものの、未だ推測の域を出ないことは事実。 実際にどれくらいの人数が残っているのかがわからない以上、敵の陣地への単独潜入は非常に厳しい。 "人数を減らして最後に残る"という目的を抱いていることも知られたくはないし、やはり改めて考えれば下手な動きは出来そうに無い。 よし、もうここまでだ。これ以上食い下がっても得るものは無いであろう。 "厳しい言葉を浴びせられても話しかけてくる物好き"だとか、そんなポジティブな印象を持ってくれる相手でもなさそうである。 目の前の『万条の仕手』の性格が完全に掴めたわけではないが、そうする他はないと思う。ここいらでちょっと読むべきだ、空気を。 そう考え、ハンドルに手をかけた。 ◇ ◇ ◇ 「では、歓迎されてはいないようですし……帰ります」 ため息混じりに、キノと名乗った少年はあっさりと引き下がった。 もう少し食い下がってくると思っていたヴィルヘルミナにとっては意外といえば意外であった。 「そうでありますか。今回は、申し訳ないであります」 結局ヴィルヘルミナはキノを信頼する事は出来なかった。 彼がただの強い人間で、本当にこちらの助けになってくれるというならばありがたかった。 だがしかし今は睡眠中の人間を二人収容中かつ、更に手術も開始しなければならない状況。 "一般人"に分類される人間ならばともかく、強い人間というものはこの状況ではいかんしがたい。 御し難い、とでも言うべきか。今は"万一"が起きないように、こうするしかなかったのが現状だった。 悟られぬようにしたが、巧くいっただろうか。不安を覚えないわけではない。 だがまあいい。今回は仕方の無かったことである。180度ターンして去ろうとしている彼の背中を、今は見送るだけだ。 「いえ、気にしなくても結構ですよ」という返答を放つと同時に乗り物を起動させるキノ。 排気ガスを出しながら振動を始めるそれが静かに離れ始めた。 「ではお互いお気をつけて。縁があればまた……今度はお手伝いが出来ると良いですね」 最後にこんな台詞を残して。 「…………」 「…………」 一寸の間。 「…………会話終了?」 「で、ありますな」 キノの姿が遂に見えなくなり、気配の察知も出来なくなったところでティアマトーがようやく口を開いた。 彼女は結局キノとの会話全てをヴィルヘルミナ・カルメルに委ねていた。 ただでさえピリピリした空気の中、自分が突如発言をしてはその理由の説明も面倒千万であると判断したが故にである。 「少々喋り過ぎたであります……しかしながらあの"火の鳥"に答えぬままでは何を思われるかもわからず……。 "火の鳥"にしてもどこまで把握して尋ねているのかが判らない以上、例えば"たまたま目撃した"などとも偽り難かったであります。 それでも相手が短絡的な性格かつ、我々に敵意を抱く人物ではなかったのが救いでありますな。運が良かったのであります……が」 「油断厳禁」 「そう、まさしくその通りであります。結局のところあの少年の考えを見透かすには至らず、結果としては先延ばしに近きもの。 次に出会うときはこちらにも若干の余裕が生まれた頃であることを全力で祈り、また叶えられる様努力する他はないであります」 「同意」 なかなかに辛い選択であった。 もしもあの少年が本当に"神社で手伝いをしてくれる"と確信できる人間だったなら、と考えるとあまりにも惜しい。 仮に神社の人員を自分一人か、または複数のフレイムヘイズで構成していれば、多少のリスクを背負ってでも受け入れただろう。 相手が自分に害為す存在であろうともフレイムヘイズの力を以って全力で迎え撃つだけであるし、そもそも無害ならば万々歳だ。 どちらに転ぼうとも、慢心さえしなければ悪い方向にはいかないしいかせない。そう考えられる。 しかし今回は別だ。自分以外に存在しているのは一般人がほとんどである。しかも手術までも敢行しなければならない。 睡眠中の二名の事も護らねばならない状況で、もしも黒か白かわからない者が現れたら、対処しきる自信はさすがにない。 『常のフレイムヘイズならば、死を呼ぶには足りない武器だ。しかし、この場ではどうだろうか?』 フリアグネのこの言葉も気になる。実際確かめていない以上、懸念すべき情報であり続けているのが現状だ。 今のヴィルヘルミナを見て考え過ぎではないかと考える者もいるだろう。 が、重要な戦力である仲間を見送った身である。こうしてでも、残った仲間を護るのは当然の勤めだ。 「とりあえず……神社に戻るのはもう一度一回りしてからでありますな」 「妥当」 「それから、手術の開始であります……出鼻を挫いたようで、決心を鈍らせてしまっていなければいいのでありますが……」 「少々心配」 仁王立ちの体勢であったヴィルヘルミナ・カルメル。 堂々とした出で立ちはそのままに、彼女は久しく再び動く。 ◇ ◇ ◇ 下山中、キノは考える。 今回はあまりにもアウェー過ぎた所為で、些か不自由であったと。 今は別に旅をしているわけではない。下準備というか、きちんと斥候活動もしておくべきだったのだ。 いや、むしろそれを考えてはいたが運悪く相手に先手を取られてしまっていたというのが正しいか。 焦らずに対処が出来て良かったと思う。 さて。では対処ついでにどうするかというと、とりあえずそのまま火の鳥もどきを追う事にした。 何せそちらの方がやりやすい。相手の力量がどの程度なのかがわからないと言っても、先程の『万条の仕手』よりは遥かにマシだ。 何故なら神社という拠点から出て行ったという事は、わざわざ混沌とした場に飛び込んでいったということである。 つまり条件は同じ。火の鳥もどきが第二の拠点を作ったりしない限り、お互いにアウェーでの戦闘になるという事だ。 拠点を作られていた場合はまた再び困る事になるが……あんなに目立つ姿なのだ、こちらも準備や対策もしやすいというもの。 ああ、もしくは今度こそ何かしらの交渉を試みてもいいかもしれない。どちらにしろ、次は火の鳥狙いか。 「昔の師匠も、あんな感じだったのかな……」 と、そんなことを呟いたとき。キノの現在位置の遥か遠くで黒い煙が上がっているのが確認出来た。 既に随分と山も下っていたからだろう、樹木も随分と少なくなってきたのでどうにか視界に捉えられたのである。 目算では零崎人識と共に食事をした場所に近い。スクーターを停止させると、急いで地図などをデイパックから取り出し確認作業に入る。 建物の規模から見て、ホテルだと考えるのが妥当か。現在から東に戻ればすぐに辿り付けるだろう。 丁度火の鳥もどきが飛んでいったのも東。そして燃え盛る炎。何か怪しい臭いを感じる出来事だ。 とは言え飛んでいる姿を目撃してからそう時間は経ってないので、もしかすると無関係であるのかもしれない。 しかしそれでも構わない。間違っていようとも、どうせ火の鳥もどきの進路を考えれば東に行くしかないのだから。 「ひとまずは現地に到着するまでに色々と対策を練らないとね……それじゃあ行こうか」 キノは、再び街の真ん中へと向かい始める。 ついでに今度こそ寝床も確保しておかないと、と考えながら。 【C-2/神社/一日目・日中】 【ヴィルヘルミナ・カルメル@灼眼のシャナ】 [状態]:疲労(小) [装備]:なし [道具]:デイパック、支給品一式、カップラーメン一箱(7/20)、缶切り@現地調達、調達物資@現地調達 [思考・状況] 基本:この事態を解決する。しばらくは神社を拠点として活動。 1:今一度手早く付近に侵入者の有無を確認。安全確保が出来次第神社に戻り、大河に義手を取り付ける手術を行う。 2:神社を防衛しつつ、警察署に向かった御坂美琴とキョンの帰りを待つ。人員が揃うようなら、上条当麻の捜索も検討。 3:六時を目処に、仮眠中のインデックスとテッサを起こす。問題ないようなら、天体観測に同行。 4:シャナ、島田美波の帰還を待つ。 【C-2/山中(もうすぐ平地付近)/一日目・日中】 【キノ@キノの旅 -the Beautiful World-】 [状態]:健康 [装備]:トルベロ ネオステッド2000x(12/12)@現実、九字兼定@空の境界、スクーター@現実 [道具]:デイパックx1、支給品一式x6人分(食料だけ5人分)、空のデイパックx4 エンフィールドNo2x(0/6)@現実、12ゲージ弾×70、暗殺用グッズ一式@キノの旅 礼園のナイフ8本@空の境界、非常手段(ゴルディアン・ノット)@灼眼のシャナ、少女趣味@戯言シリーズ 【思考・状況】 基本:生き残る為に最後の一人になる。 1:火の鳥を追跡する為、まずは煙が上がっている方角へ。 2:夜に備えて寝床を探しておく。 3:エルメスの奴、一応探してあげようかな? [備考] ※参戦時期は不詳ですが、少なくとも五巻以降です。 8巻の『悪いことができない国』の充電器のことは、知っていたのを忘れたのか、気のせいだったのかは不明です。 ※「師匠」を赤の他人と勘違いしている他、シズの事を覚えていません。 ※零崎人識から遭遇した人間についてある程度話を聞きました。程度は後続の書き手におまかせです。 投下順に読む 前:硫黄の炎に焼かれても 次:彼女の想いで――(MAGNETIC ROSE) 時系列順に読む 前:硫黄の炎に焼かれても 次:死線の寝室――(Access point) 前:ペルソナヘイズ 少女には向かない職業 ヴィルヘルミナ・カルメル 次:CROSS†POINT――(交信点) 前編 前:ペルソナヘイズ 少女には向かない職業 キノ 次:キノとトレイズ〈そして二人は探しに行った〉
https://w.atwiki.jp/new2souennokanntai/pages/107.html
ただ今情報収集中…データお待ちしてます 提督レベルは「実績」での任務の達成によって得られる経験値で上昇します。 その経験値取得条件と、上昇による効果をまとめました。 [部分編集] 提督レベルによる効果 重油上限の決定 コスト上限の決定 重油上限の初期値は30、コストの初期値は100です。 レベル 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ■ 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 重油上限 30 33 35 38 41 44 46 49 52 55 ■ 57 60 63 65 68 71 74 76 79 82 コスト 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 ■ 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 必要経験値 100 125 190 250 310 370 430 480 530 580 ■ 620 660 700 720 740 760 780 800 820 840 階級 少尉 中尉 大尉 ■ 上級大尉 少佐 = レベル 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 ■ 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 重油上限 85 87 90 93 95 98 101 104 106 109 ■ 112 115 117 120 123 125 128 131 134 136 コスト 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 ■ 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 必要経験値 860 880 900 910 920 930 940 950 1000 1010 ■ 1020 1030 1040 1050 1060 1070 1080 1090 1100 1110 階級 上級少佐 中佐 ■ 上級中佐 大佐 = レベル 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 ■ 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 重油上限 139 142 145 147 150 153 155 158 161 164 ■ 166 169 172 175 177 180 183 185 188 191 コスト 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 ■ 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 必要経験値 1120 1130 1140 1150 1160 1170 1180 1190 1200 1220 ■ 1240 1260 1280 1300 1320 1340 1360 1380 1400 1420 階級 上級大佐 准将 ■ 少将 上級少将 = レベル 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 ■ 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 重油上限 194 196 199 202 205 207 210 213 215 218 ■ 221 224 226 229 232 235 237 238 239 240 コスト 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 ■ 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 必要経験値 1440 1460 1480 1500 1530 1560 1590 1620 1650 1680 ■ 1710 1740 1770 1800 1850 1900 1950 2000 2100 2200 階級 中将 上級中将 ■ = レベル 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 ■ 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 重油上限 248 251 254 256 259 262 265 267 270 273 ■ 275 278 281 284 286 289 292 295 297 300 コスト 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 ■ 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 必要経験値 2300 2400 2500 2600 2700 2800 2900 3000 3100 3200 ■ 3300 3400 3500 3600 3700 3700 3900 4000 4100 4250 階級 大将 上級大将 ■ 元帥 大元帥 = レベル 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 ■ 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 重油上限 300 ■ コスト 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 ■ 必要経験値 4400 4550 4700 4850 5000 5150 5300 5450 5600 5750 ■ 階級 ■ ■ ■ = レベル ■ 重油上限 ■ コスト ■ 必要経験値 ■ 階級 ■ ■ ■ [部分編集] 経験値取得 戦闘クリア任務達成による経験値 エリア シナリオ NOMAL HARD VERYHARD 第一部 北海・ノルウェー ナルヴィク海戦 20 50 90 ノルウェー沖海戦 25 60 110 北大西洋 イギリス海峡掃討作戦 30 70 130 北大西洋掃討作戦 35 80 150 地中海 ジブラルタル突破作戦 40 90 170 地中海奪回作戦 45 100 190 大西洋 大西洋の安全確保 50 120 210 潜水艦隊出撃せよ 60 140 240 アゾレス諸島の解放 70 160 270 インド洋 モーリシャスの奪回 90 180 300 セイロン島沖海戦 100 200 330 スエズ運河奪回作戦 110 220 360 ジャワ海 マレー沖海戦 120 240 390 バリ島沖海戦 130 260 420 バタビア沖海戦 140 280 450 マリアナ タウィタウィ攻防戦 150 300 500 ビアク島沖海戦 160 320 550 マリアナ沖海戦1 170 340 600 マリアナ沖海戦2 180 360 650 日本近海 帝都空襲 190 380 700 新造艦救出作戦 200 400 750 坊ノ岬沖海戦 210 420 800 呉軍港大空襲 220 440 860 ベーリング海 キスカ島沖哨戒作戦 230 460 920 キスカ島守備戦 245 490 980 アッツ島沖海戦 260 520 1050 キスカ撤退援護 280 560 1120 フィリピン海 シブヤン海海戦 295 590 1150 エンガノ岬沖海戦 310 610 1200 サマール沖海戦 325 630 1250 スリガオ海峡海戦 340 650 1300 ソロモン 第1次ソロモン海戦 355 670 1350 第2次ソロモン海戦 370 690 1400 第3次ソロモン海戦 385 710 1450 南太平洋海戦 400 730 1500 珊瑚海 珊瑚海海戦 830 1500 3100 クラ湾海戦 860 1540 3200 ベラ海海戦 890 1580 3300 ビスマルク海戦 920 1620 3400 ミッドウェー ミッドウェー海戦1 760 1430 3030 ミッドウェー海戦2 790 1470 3130 ミッドウェー海戦3 820 1510 3230 ミッドウェー海戦4 850 1550 3330 ハワイ ハワイ最終決戦1 760 1430 3040 ハワイ最終決戦2 790 1470 3140 ハワイ最終決戦3 820 1510 3240 ハワイ最終決戦4 850 1560 3340 第二部 ハワイ ハワイ海域1 1230 1840 ハワイ海域2 1230 ハワイ海域3 対決!深海の巨獣 ミッドウェー ミッドウェー海域1 ミッドウェー海域2 ミッドウェー海域3 対決!海原で彷徨う幽霊 ベーリング海 ベーリング海域1 ベーリング海域2 ベーリング海域3 対決!極寒の悪魔 ソロモン ソロモン海域1 ソロモン海域2 ソロモン海域3 対決!暗夜に舞う影 インド洋 インド洋海域1 インド洋海域2 インド洋海域3 死闘!無敵なる超兵器 マリアナ沖 マリアナ沖海域1 マリアナ沖海域2 マリアナ沖海域3 対決!執念なる双鶴 日本近海 日本近海海域1 日本近海海域2 日本近海海域3 対決!超空の魔物 ジャワ海 ジャワ海海域1 ジャワ海海域2 ジャワ海海域3 対決!血に飢える黒獣 サボ島沖 サボ島沖海域1 サボ島沖海域2 サボ島沖海域3 対決!迸る雷光 フィリピン沖 フィリピン沖海域1 フィリピン沖海域2 フィリピン沖海域3 悲闘!儚げなる魑魅 地中海 地中海海域1 地中海海域2 地中海海域3 対決!龍に囚われし翼獅 大西洋 大西洋海域1 大西洋海域2 大西洋海域3 対決!海原を支配せり狼 ノルウェー海 ノルウェー海1 ノルウェー海2 ノルウェー海3 対決!海に浮かぶ巨影 北海 北海海域1 北海海域2 北海海域3 いざ征く!「ハルマゲドン」へ 拠点解放による経験値 任務名 対応シナリオ 経験値 着任完了 60 イギリス解放戦線 200 日本解放戦線 2000 西アメリカ解放戦線 3000 東アメリカ解放戦線 8000 ドイツ解放戦線 8000 オアフ島前線基地開設 2部ハワイ 8000 呉港 2部日本近海 10000 ソロモン基地 2部サボ島沖 10000 イタリア 2部地中海 10000 [部分編集] 施設レベルアップ任務達成による経験値 施設レベル 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 技研 - 50 150 350 500 800 1000 1300 1600 2000 軍港(英日) - 50 150 - 450 - - 800 - 1000 軍港(米) - 150 - 450 - - 800 - 1000 軍港(独) - 100 300 - 900 - - 1600 - シンボル(英日) - 50 75 175 250 400 500 650 800 1000 フォートポイント - 175 250 400 500 650 1000 自由の女神 - 140 190 390 540 840 1040 1340 1640 2040 大聖堂 - 140 190 390 540 - 艤装研究ドック - 1080 1150 1260 1360 1480 1600 1720 1850 兵棋演習研究所 - 1080 1150 1260 1360 1480 1600 1720 糧食改良研究所 - 1080 1150 1260 1360 1480 1600 鎮守府(オアフ島) - 1080 1150 1260 1360 1480 軍港(呉港) - 1340 - - - - 鎮守府(呉港) - 1340 管制塔 - アラゴン城 - = 施設レベル 1 3 5 15 20 25 30 35 40 50 士官学校 - 50 150 350 500 800 1000 1300 1600 2000 工廠 - 50 150 350 500 800 1000 1300 1600 2000 ドック - 50 150 350 500 800 1000 1300 1600 2000 施設レベル 5 15 25 35 50 鉄工所 50 150 450 800 1000 樹脂生産施設 50 150 450 800 1000 糧食研究所 50 150 450 800 1000 ジョブセンター(英日) 50 150 450 800 1000 ジョブセンター(米) 150 ジョブセンター(独) 100 300 900 1600 志願兵募兵所 1970 = 施設レベル 5 15 25 35 50 スクラップ工場 50 150 450 800 1000 拡張ドック(米) 50 150 拡張ドック(独) 100 拡張ドック(伊) 宿舎(米東海岸) 100 宿舎(オアフ島) 1950 2260 宿舎(イタリア) 物資倉庫(米東海岸) 100 300 物資倉庫(呉港) 1360 物資倉庫(イタリア) 油槽所 100 300 900 1600 2000 標的艦ドック 100 300 900 1600 2000 士官訓練所 100 兵器改装工廠 1370 物資倉庫(呉港) 兵站支援需給所 1970 作戦司令室 1970 [部分編集] 出撃任務達成による経験値 作戦名 任務での必要艦 経験値 水雷戦隊出撃 軽巡 x1、駆逐 x2 100 重巡洋艦隊作戦開始 重巡 x3 125 戦艦進駐 戦艦 x3 150 空母隊出撃せよ 空母 x1、駆逐 x2 175 潜水艦隊抜錨 潜水 x3 200 飛龍出撃 ★5 飛龍、駆逐 x2 225 朝潮作戦開始 ★5 朝潮、駆逐 x2 250 川内抜錨 ★5 川内、軽巡 x2 275 扶桑出撃せよ ★5 扶桑、戦艦 x2 300 ベンソン進駐 ★5 ベンソン、駆逐 x2 325 主力艦隊出撃 戦艦 x2、空母 x1、重巡 x1 350 駆逐隊作戦開始 駆逐 x4 375 巡洋艦体進駐 重巡 x2、軽巡 x2 400 機動艦隊出撃せよ 空母 x1、軽巡 x1、駆逐 x2 425 沈黙の艦隊抜錨 潜水 x4 450 伊9出撃 ★5 伊9、潜水 x3 475 シャルンホルスト作戦開始 ★5 シャルンホルスト、重巡 x3 500 ハーミーズ抜錨 ★5 ハーミーズ、空母 x3 525 ホーキンス出撃せよ ★5 ホーキンス、軽巡 x3 550 陽炎進駐 ★5 陽炎、駆逐 x3 575 対潜水艦隊出撃 軽巡 x2、駆逐 x3 600 大型艦隊出撃作戦開始 戦艦 x3、空母 x2 625 雷撃部隊出撃進駐 軽巡 x1、駆逐 x2、潜水 x2 650 航空機動艦隊出撃せよ 空母 x2、軽巡 x1、駆逐 x2 675 水上艦艇隊出撃抜錨 戦艦 x1、空母 x1、重巡 x1、軽巡 x1、駆逐 x1 700 コロラド出撃 ★5 コロラド、戦艦 x4 725 蒼龍作戦開始 ★5 蒼龍、駆逐 x4 750 陽炎抜錨 ★5 陽炎、軽巡 x4 775 ノーブル出撃せよ ★5 ノーブル、駆逐 x4 800 クリーブランド進駐 ★5 クリーブランド、軽巡 x4 825 大艦巨砲艦隊出撃 戦艦 x6 850 空母艦隊出撃作戦開始 空母 x6 875 支援艦隊進駐 軽巡 x3、駆逐 x3 900 群狼作戦出撃せよ 潜水 x6 925 全艦編成抜錨 全艦種1隻ずつ 950 ニューメキシコ出撃 ★5 ニューメキシコ、戦艦 x5 975 ドイッチュラント作戦開始 ★5 ドイッチュラント、軽巡 x3、駆逐 x2 1000 妙高抜錨 ★5 妙高、戦艦 x2、重巡 x2、駆逐 x1 1050 U-9出撃せよ ★5 U-9、軽巡 x3、潜水 x2 1100 島風進駐 ★6 島風、軽巡 x2、駆逐 x3 1150 ファーゴ出撃 ★6 ファーゴ、重巡 x2、軽巡 x3 1200 U27作戦開始 ★6 U27、戦艦 x1、潜水 x4 1300 赤城進駐 ★6 赤城、空母 x1、重巡 x2、駆逐 x2 1400 高雄出撃せよ ★6 高雄、戦艦 x2、重巡 x1、軽巡 x2 1500 長門抜錨 ★6 長門、戦艦 x5 1600 [部分編集] 局地戦出撃回数による経験値(局地戦の猛者) 任務番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ■ 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 戦闘回数 3 8 150 200 250 ■ 300 400 700 800 1000 経験値 100 200 875 1000 1250 ■ 1500 2000 3000 3000 3000 = 任務番号 21 ■ 戦闘回数 ■ 経験値 ■ [部分編集] 連合艦隊戦出撃回数による経験値(連合艦隊戦への挑戦の猛者) 任務番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ■ 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 戦闘回数 1 5 ■ 経験値 1000 1090 ■ = 任務番号 21 ■ 戦闘回数 ■ 経験値 ■ ↓コメント等 名前 出撃任務はこのコメを書いている現在でも★6長門が最後 - 名無しさん (2019-08-07 22 48 25) 第2章サボ島沖4ー2攻略できない - 名無しさん (2019-04-06 07 19 56) 第2章ミッドウェーのBOSSがどうしても突破できない… 何か秘策ありますか? - 名無しさん (2018-12-17 15 38 43) 出撃任務達成による経験値で、★6島風(おそらく★6長門まで)★7にしてしまうと達成出来ない 運営に問合せて確認済み「★6」が必要との事。注意が必要ですね - 名無しさん (2018-09-24 14 10 51) 伊9出撃は、駆逐艦×3ではなく潜水艦× - 紗季提督 (2018-07-04 09 00 03) LV48 コスト147 重油158 - 名無しさん (2018-05-07 07 57 23) 参考 出撃任務達成;「朝潮作戦開始」で経験値が取れずに苦労しましたが、参考までに書き込みます。 - 名無しさん (2018-04-25 18 48 28) ・遠征で連続遠征中に★5にした。⇒後で解かったのですが、簡易出撃は無効とのこと。 - 名無しさん (2018-04-25 18 49 06) ・前の「飛龍出撃」の経験値を「受取り」しなかったため、「朝潮作戦開始」の経験値取得が表示されなかったことが判明。 - 名無しさん (2018-04-25 18 49 50) 上記を経験にし、この後「川内抜錨」で止めて置き、後続の6作戦を実行した後、イベントので「資材ブースト」+「簡易出撃」で、次々「受取り⇒Lvアップ」 - 名無しさん (2018-04-25 18 50 37) <続く>を行い、ドラム缶無しで鋼材の大量取得が出来ました。( ^.^) - 名無しさん (2018-04-25 18 51 46) Lvl.30 Cost.129 重油109 (TNL.1010) - 名無しさん (2018-04-10 17 53 35) Lvl.29 Cost.128 重油106 (TNL.1000?) TNLがLv28と違い過ぎるため、自信が無くなりました。汗 - 名無しさん (2018-04-10 17 52 22) 合っているようです。ところどころリニアではない部分もあるので節目かな。で、1000からはしばらく10きざみと。 - 名無しさん (2018-04-17 10 33 52) Lvl.28 Cost.127 重油104 (TNL.950) - 名無しさん (2018-04-10 17 49 23) 閲覧数 今日: - 昨日: - 合計: -
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/452.html
前回の話 どんよりした水平線から、複数の影がこちらへ向かってくる。 着ている雨具を突き破らんばかりに無数の水の弾丸が灰色の空から降り注ぎ、 しっかりと足を踏ん張らないと倒される程に暴風が吹き荒れる。 この悪天候に見舞われながらも、確かにあの影が四つある事を確認した自分は胸を撫で下ろした。 やがて艦隊が陸へ上がり込んだので、自分は旗艦に手を差し出した。 旗艦は随伴艦に目で合図を送ると皆それぞれが手を結びつけ、 最後に二番艦と手を結んだ旗艦は、こちらの手に自分のそれを捕まえさせた。 水に塗れた手を滑らないよう力を込めて握り合い、艦隊と自分は本棟へ向かって歩き出す。 艦隊は帰投した。 被害はあるが、全艦健在である。 …………………… ………… …… 「なんで外に出てきたんですか。風邪でも引かれて指揮に影響が出られると困るんですよ」 雨に打たれないよう雨具を着たのだから、そう簡単には引かない。 こう反論しつつ、自分は下部装甲の残骸を両手で押さえる旗艦大井の濡れた頭にタオルを乗せる。 他に小破や中破した随伴艦にもそれぞれ回し、自分も雨具を脱ぐ。 大井は下部装甲の残骸をしっかりと押さえているが、 上部装甲の残骸については押さえなくても落ちない事によるのか、意識が向いていないようだ。 だから、濡れた装甲が遮蔽効果を失って透けていたり、 タンクの下部が遮蔽物無しで見え隠れしている事も気づいていないのだろう。 装甲の破れを気にしつつ体を拭く艦を尻目に、実は目を逸らす為に窓一枚挟んで向こうの景色を見やる。 出撃を発令した後に、恨めしげに窓を叩き始めたこれはにわか雨ではないらしく、雨脚が弱まる様子はない。 牢屋の看守の如く巡回する南西諸島海域も、堤防に乗り上げんばかりの荒波では、制圧は難しくなるだろう。 何より航空機がまともに機能しなくなる。 別にこの任務が今日遂行できなくとも、首が職的にも物理的にも飛ぶと言う事は、 大口径主砲と航空機と魚雷と爆雷等全ての装備を搭載する深海棲艦の存在よりもあり得ない筈なので、 今日の任務遂行は中断する事にし、帰投命令を出したと、こういう事情だ。 「おい、提督」 「ん?」 空と睨めっこする自分を、小声ながらも引っ張るように呼び戻したのは、二番艦の雷巡木曾だった。 空を睨む自分と同じように私を睨み、他に聞かれてはいけないのか口の横に手で壁を立てている。 尚、木曾は対空攻撃が秀でているお陰か小破で済んでおり、装甲の破れは気にならない程度に留まっている。 「姉御が両手塞がってるんだから拭いてやれよ」 「……一応聞くが姉御とは」 「大井の姉御だ」 確かに木曾の姉妹艦は、この第一艦隊の中では大井しかいない。 しかし、だ。 木曾の頭上を通って向こうの大井を見やる。 大井は片手で下部装甲が落ちないよう押さえながら、不便そうに片手でタオルを不器用に扱っている。 こちらの視線に気づいた。 すると、目を細めた。 「……なんですか? 撃ちますよ?」 自分の目を不可解な物に変えて木曾に戻す。 どうやら木曾は何の変哲もない眼帯を右目に、 そして馬鹿には目視できない摩訶不思議な眼帯を左目に装備しているらしい。 姉の今の状態と様子が分かっていないようなのだ。 これではどちらが馬鹿か分からんな。 否、あるいは唯一無二の左目に損傷が生じたのかもしれない。 明石か修復ドック、木曾はどちらが好みだ? ちなみに北上の姉ちゃんなら現在進行形で明石から修復を――艦娘ではなく艤装に――施されているぞ。 「両手塞がってるって言ったろう」 分かっているなら、男である自分が半裸の艦娘の体を拭くのがどういう事なのかも分かる筈だ。 お前相手にも偶にする軽いスキンシップからは遠く離れた物になってしまうのは分かるか? そこの戦艦と正規空母から飛ばされる視線は、 非難する物、敵艦を見る物、はたまた汚物を見る物のどれになるのだろうな。 それを好奇心で検証しようとする考え等、対潜艦を含めずにリランカ島へ出撃させる考えより念頭にない。 あるいは視線でなく、弾丸が発射される可能性も考えられる。 何より確実なのは、残存している全ての魚雷を用いて大井に攻撃される事だろう。 ここは水の中ではないから、使うとしたら鈍器として殴打して爆発させるのが正しい使い方か? 「だったら艤装は回収してやるから、執務室にでも連れ込め」 何の心配も要らない、と言う具合にこんなところで不敵な笑みを浮かべられてもな。 一体何故そんな事を自分にさせようとする? 「…………」 すると木曾は、迷うように視線を下に落とした。 その沈黙は、私の出した問いの答えが分かっていないのではないように感じる。 そうではなく、その答えの伝え方を選んでいるのではないか。 やがて後ろでは小破した戦艦が、中破した正規空母と大井の水拭いを手伝い始めたところだ。 木曾と再び目が合わせられる。 「それは俺の口からは言えないねえ。お前自身で考えてみな」 それが分かったら苦労はしないのだが。 と言う反論は受ける気無しに、木曾は言いたいだけ言って踵を返してしまう。 「姉御、失礼するよ」 「……何やってるの?」 自分が大井を労るのは確定事項になったらしく、大井の足元に屈んで何やら魚雷発射管を弄っている。 すぐに発射管十門二組が両足から降ろされ、続いて背後に回り背中の艤装本体も取り外された。 これで艦娘の高い攻撃力はなくなり、強度を底上げされた事による高い防御力を秘めた肉体だけが残った。 だが艤装がなければ良いと言う問題ではない。 木曾は勘違い等起こしていないだろうな。 「聞いたか、提督。姉御はお前の下で修理されたいってさ!」 「!?」 突然意味の分からない事を木曾は大きな声で発した。 一番状況を理解していない大井自身が、 渦潮が目の前に瞬間移動して来た位に――そんな経験はないが――驚愕した反応を見せるのも仕方が無い。 木曾は何を言っているんだ。 「……大胆ね」 「なるほど! 大井さんなら、司令に入渠するのも有りでしょう」 加賀と霧島よ止めろ。 変だと思え。 何故当事者の自分らが状況について行けず部外者が引導しているのか。 提督が艦娘を修理するとはどういう事なのか。 ここに懇切丁寧に説明する者はいないようだから、 これらの疑問の答えが分かるなら呉の提督でも佐世保の提督でもいいからここに来て説明してくれ。 交通費なら出してやるから。 「ほら、姉御行けっ」 「あっ!」 背中を突かれて突進してきた大井を体で受け止める。 大井の、冬の暴風雨を浴びた体はかなり冷たい。 「後は任せたぞ。俺らは入渠でいいよな?」 「……もうドックでも明石でも好きにしな」 置いてけぼりにされた結果、自分の態度は投げやりな物になる。 それでも充分に満足したのか、木曾はそれを聞くと頭を拭きながら、 加賀と霧島と共にさっさと工廠へ向かってしまった。 なんて気ままな奴らだ。 「…………」 「……っ!」 取り残された自分らは硬直していたが、突然弾かれたように大井が離れた。 どう接するべきか迷うが、一先ずは聞いてみる。 「……来るか?」 「…………」 聞こえたか聞こえていないか、大井は何の反応も見せない。 やはり駄目か、と思った直後、空気は震わせられる。 「……行きます」 今日は、変な日だ。 …………………… ………… …… 「木曾ちゃんと、何を話していたんですか」 結局、執務室にて畳に正座する大井の体を拭く展開となった。 艤装がない事が良かったのか場所が良かったのか、大井は抵抗する事がない。 始め互いに無言だったが、突然大井はぽつりとこんな事を聞いてくる。 自分はまず髪の水分を吸い取る作業から取り掛かっていた。 不快でないよう慎重に、柔い力で頭頂部にタオルを押し付ける。 「姉御の体を拭いてやれ、だと。押し付けがましかったが、深い意味でもあるのかね」 「……木曾ちゃんは流石ね」 「分かるのか」 妹が優秀なら姉もまた然りと言う訳か。 いや、姉妹にしか分からない何かがあるのか。 雨風に晒されて傷ついたようにぎしぎしする長髪も、折ったタオルで挟み、 水分を吸い取っては下へ、吸い取っては下への移動を繰り返し、確実に水分を抜き取る。 「んっ……」 髪を拭き終え、体の水分もタオルに移していく。 前部を拭く際は、残骸を押さえていた手も退かされた。 拭きやすくしてくれたのはありがたいが、観念でもしたのだろうか。 やがて背中を最後に全身の表面から水分を無くすと、再び大井は口を開く。 「提督、まだ寒いです」 「それなら、自分の部屋から代えの服を持ってこい。ここならストーブも……?」 偶に忘れそうになるが、艦娘の肉体は耐寒仕様だ。 その筈なのに"寒い"とはどういう事だ。 途中でそれを思い出した自分は科白を止める。 大井は私に背を見せたまま科白を続ける。 「誰も"体が"なんて言ってないのに」 なので、大井の前に座り、顔を伺った。 ほんの少し笑いながらこう言うが、この笑い、喜び等によるものでないのは明らかだった。 「体が耐寒仕様でも、心もそうだとは限らないんですよ?」 大井の体を震わせていたものは、どう考えても喜びによる物ではないからだ。 ちっとも楽しげでない不自然なこの笑いは、 恐怖を紛らわせようと、恐怖から逃げようとしてできるものではないか? つられて急激に不安が募る。 「やっぱり運がいいわね、北上さんは。天気が悪くなる前に入渠できたんだから……」 「大井?」 そこにある物は何だろう。 北上への羨望か。嫉妬か。安堵か。 それら全て? 「ねえ、提督……」 「大井……!?」 大井は伏せていた目を、やっと上げてくれた。 そこの水分を拭き取った覚えはないのだが、何故かそこも不自然なまでに水分がなく、 普段の綺麗な茶色がかった瞳が、今はまるで錆びに錆び切った鉄のよう。 その瞳がじろ、と向けられて自分は戦慄した。 「温めて、くれませんか?」 自分はすぐさま大井の肩に飛び込み、震える肩を鎮めるよう抱き締めた。 しかし、この後がどうしたら良いのか分からない。 温めるとは、具体的にどういう事なのだ。 暖房器具を使う? それとも今のように人肌で? あるいはこれよりも……。 「駄目ですよ。ここだと、誰か入ってきた時に見られます」 まるで私の頭でぐるぐる回っていた疑問のうちの一つにタイミング良く答えるように、 私の肩に顔を埋めることになった大井はこんな事を言う。 私の頭の中の声が聞こえていたのか? こちらが迷いに迷っていると、大井は待てないようにまた言葉を繋ぐ。 「これだけじゃありませんよね?」 直後、執務室の扉を施錠し、自分らは裏の寝室へ引き篭もった。 …………………… ………… …… 乱雑に退かした掛け布団が未だに邪魔だった。 蹴り落としてからはそれが汚れる事等考慮せず、この手に抱いた華奢な身体だけを念頭に置く。 装甲の損傷は激しく、背中はどこを擦っても素肌の手触りしかない有様だ。 「……、……っ、……っ、……ぁ」 口を重ねた時は息を止め、口を離した時は息を小さく吐く。 それは一つ一つがとても軽いので、短時間で連続して行える。 唇を重ねると言うよりは口を重ねると言う方が適切な程に、 尖らせずに交わすあっさりしたものだが、不満等なかった。 こいつが修理の名目でここにいるからなのか。 「……、っ……」 違う。 相手が大井だから、軽くても激しくても自分は十二分に満足だ。 「…………、はぁ……」 私の肩にかける大井の両手が、長めの接吻に悶える反応をしてかやや強張った力が入っているのが分かる。 口を離して目を開けた。 干潮だった大井の目には、いつの間にか並に水が戻って来ているようだった。 自分のした事が、功を成したらしい。 その様子に安堵する。 「時間は弁えなくて、大丈夫なのか?」 「……何言ってるんですか、外を見て下さい」 すぐ横に首を回せば、窓から外の空模様が伺える。 激しい雨が窓を叩き、耳を澄ませば風切り音も聞こえる。 「もうこんなに暗いじゃないですか。何の問題もないです」 確かに暗いと言えば暗い。 しかし、それは太陽を分厚い巨大な積乱雲が隠しているからだ。 真っ黒な本当の夜とは違い灰色。 サイドテーブルに置かれた時計の時針はまだ真下を通過していないのだが、大井は見る気は無さそうである。 また、見る気が無さそうなのは時計だけではなかったようで、 ほんの数秒だけ窓の外を見た後、逃避するように下に視線を落とす。 「私が沈んだあの日も、これくらいの台風があったんです」 「……そうなのか」 「はい。敷波ちゃんとはぐれないよう速度を落としていたら、潜水艦に機関部を……」 沈む時の様子はそのようなものだったのか。 生憎と日付や簡単な事柄が記されただけの簡易な経歴しか見ていない。 大井からして見れば、その印象的な光景と似たものがあれば、 非なるものでも重ねてしまう位には思うところがあるのだろう。 艦娘のように命を落とした記憶等持ち合わせていないので、自分は共感する事は不可能だ。 それでも、その古傷を舐める事なら可能だし、それが悪い事だとは思わない。 大井が修理を委ねるなら、自分は拒まない。 「カーテン、閉めて下さい」 拒まない。 邪魔者を入れないよう、しゃっとすぐに閉める。 日除けによって明るくない光は完全に遮断され、無感情な部屋の明かりだけが自分らを照らす。 外の騒音も聞こえなくなったのは、多分日除けの効果ではなかろう。 あまり放置するのも良くないと思い、大井の首筋に顔を近付けていく。 「んぁ……」 首筋に、くにゅ、と口を押し付ける。 大井は小さく震えた。 次に、露出している左の鎖骨に押し付ける。 その次は、左肩。その次は、左腕。 次々と熱を与えていく。 露出している部分をいやらしく狙って。 そういえば忘れていた所があった。 一旦口を離し、大井を見つめながら顔をそこへ近付ける。 「ぁ、っ……」 耳。 そこへ近付けようとした際、大井は目をぎゅっと瞑る。 しかし構いやせず、温かい息が出るような口を作り、肺から押し出す。 はーっ。 「っ!」 大井の両手が、私の上着の肩に皺を作る。 しかし知った事ではない。 寧ろ元に戻らない皺を作ってしまうような反応をさせてやろうか。 ぱく、と小ぶりな耳たぶに喰らい付く。 「ひっ……」 体温が低いとよく言われるここは、念入りに温めてやるとしよう。 耳たぶを咥え、そのまま離さない。 加虐心は更に猛威を奮う。 「……~~っ!」 挟んだまま唇をもごもご動かすだけで、大井は声にならない嬌声を漏らした。 私の肩に置く大井の手は、布地を掴んだまま握り拳になっているのがよく分かる。 舌を差し出して這いずり回り、中も温められないか試す。 「や、ぁ……、ぅ……」 蚊の鳴くような嬌声が何とか拾える。 満足しているらしい。 これを暫く行い、顔を覗き込んでみる。 目が合った。 それから物欲しげに小さく開ける口。 惜しまずに今一度同じ物を重ねる。 こちらの方にも舌を使う。 「ぅ、ん……、ちゅる、ちゅく、はぁ」 舌を出すよう命令等していないのに出してくるとは、温もりに飢えている証か。 できるだけ伸ばし、自身の所へと互いに引っ張り合い、外れたらまた絡ませ……。 こんな事をしているうち、唾液も分泌されていく。 それだけでなく欲も少しずつ分泌され、肩を抱いていた右手を頬に添える。 「ちゅ、えぅ、……」 それに反応してか、大井が離れていった。 目を開けてみると、同じくうっすらと開かれた目と合う。 名残りか色っぽく少しだけ出された大井の舌とは一瞬遅くまで唾液で繋がっていて、 感触が舌の先端に残っていながらも結局切れてしまったのが惜しい。 "この手は何ですか? 何かの演習ですか?" 目がこのように物を言っている気がした。 自分としては演習等ではなく、実戦のつもりである。 舌を引っ込めて目を瞑り直し、すぐに唇を奪う。 「んむ……!」 向こうが目を閉じていたか等知らん。 今度は舌を使わず、純粋な接吻でそのままにする。 鼻息なんか漏らしたら海に飛び込んで息絶えて溺死する位の気持ちで、息を止める。 加えて頬に当てた手を上下に非常にゆっくりと動かし、撫でる事で温めてやろうと考えたのだが、 大井の顔の熱よりも自分の方が熱いような気がしてきた。 柔らかい唇から熱を移されているのだろうか。 頭の中が曇るように靄がかっていくのは、 自分が息を止めているからか、脳がこの熱で溶かされているからなのか。 「…………っは! はあ……はあ……っ」 一分程の呼吸停止を終え、互いに肩を揺らして空気を取り込みにかかる。 くらくらする意識の中、大井の目を覗き込むと、すっかりそこは満潮になっていて、少し溢れてきていた。 そういえば最中、ほんの少しだけこちらに大井の息が当たっていてこそばゆかったのだが、 それでも大井としては息を止めているつもりだったのだろう。 この呼吸停止がそこそこの負荷になったのかもしれない。 指で涙の粒を拭う。 「提督……、ちょっと、はあ、温めすぎです、はあ……」 「悪かったな……ふう……」 大井は責めてきたが、それは全く棘の感じられない物だった。 形式的に口で謝罪しつつも、それに反した行動に踏み込む。 大井の息が整わない、隙だらけのうちにと、このまま押し倒す。 「あっ……」 大きいとは言い難いシングルベッドでも、大井の身体はその半分程しか占めない。 肉体的には自分よりも強い筈だが、その華奢な身体は、か弱く見える。 いつの間に落ちたか、下部装甲の残骸は無くなっており、無事であったカバーを隠す物はなく、 中心に位置する上に唯ひたすらに真っ白と自己主張するのだから、目が奪われるのは仕方の無い事だ。 なのに、それに気づいた大井は往生際悪く大きくない手でカバーを隠そうとし、 左足で右足を隠すように足を閉じてしまった。 しかしここまで来て羞恥心を発動されても、こちらがやめる道理はない。 目標は、腕。 まず左の方へ顔を近付け、前腕に口を押し付ける。 「ん……」 少しずつ場所を変えたり、右腕にも幾つか降らせる等したが、退かそうとはしてくれない。 次に、くびれた弾薬庫を横から撫で回し口付けを繰り返す。 こうした場で見る臍は普段より可愛らしさが増していて、それに惹かれて臍周りを特に狙う。 「ん、もう……、変態みたいですよ……」 それでも大井はこの邪魔な両腕を退かすどころか、生意気な口を叩く。 それならと、下の方へ移る。 そこを遮る物は靴下のみで、殆どの面積が露わだ。 ベッドのシーツと少しの違いしかない位には色白寄りの綺麗な足を見ていると、 思わず舌を出してしまう自分は確かに変態なのかもしれない。 つー……。 「ひゃ、ぅ、ん、んん……!」 舐められて足を震わす大井も大概だと思うが。 寧ろこのような場になると、意識せずとも顔が一切の真顔になる自分より大井の方が……。 足を舐めたり頬を擦りつけて柔らかさを堪能しているのに、頭の中で妙な御託を並べている場合ではない。 上の方で依然とカバーを隠す大井の両手に同じ物を重ね、 どさくさに紛れてこっそりと両手を退かす作戦を遂行する。 「うぅ……」 明らかにばれていた。 しかし観念したか抵抗はしない。 元はと言えば大井から誘って来たのだから、そもそも抵抗するのが可笑しい。 この流れに乗り足もゆっくりと開かせる。 それでもあまりみっともない姿勢は抵抗があるのか、何とかそこを覗ける程度しか開けてくれない。 しかし気にしない。 大井の両手を掴んで両脇に退かしたまま離さず、大事な部分に顔を近付ける。 視界が白で埋まった時、鼻から空気を吸い込む。 すーっ。 「……っ」 臭いで、そこも雨水に濡れていた事が分かった。 流石にこの場所は拭いていない。当然だ。 そのまま時間が経過して勝手に水分が飛んではいるが、まだ湿っている。 汚い雨水なんぞ口にしたくない。 そう思い一旦離れてから白いカバーのふちに手をかけ、ゆっくりと下ろしていく。 大井は顔を真横に曲げて、抵抗するのを堪えているらしかった。 健気に目も瞑っている。 足首からカバーを完全に抜き取って足を再度やんわりと開かせれば、 これまであまり目にする事のなかった魚雷の装填口が、明かりの下露わになる。 殆ど使い込まれていない、と言うより、使い込んでいないそこは、外から見て綺麗だった。 外でこれなら、ぴったり閉じているこの先は更に綺麗なのだろう。 万一逃げられる事のないよう腰を両手で抱え込み、 生えていると言えば生えてはいるが、成熟しているわけではない少しの茂みに口をつける。 ちゅ。 「えっ!?」 そこは、驚きに身体を強張らせる大井の意思とは逆に、柔らかさを秘めていた。 茂みだけでなく、周囲も含めた装填口全体に舌を這わせる。 ぺろ、ぺろ。 「やっ! だ、提督、そこはっ、温めなくて、っあ!」 何を言っている。 カバーが濡れていたのだから、ここも冷たくなっている……事はなかった。 もうそれなりに熱を持っている。 寧ろ先程までつけていたカバーの水分は、ここの熱に奪われたのではなかろうか。 そういえばここだけ局地的に湿度も高い事が体感だけで分かる。 拘束から解放していた大井の両手が、自分の髪を力のない手で掴むが、装填口に舌を埋める形で続行する。 「ていと、くっ、聞いて下さ……」 れろれろ。 「んやぁぁ……」 普段の様子が色気とは無縁の、大井の色っぽい嬌声を浴びながら、自分は脳に送られた味覚に首を傾げていた。 寒い冬の季節では、よっぽどの運動でもしない限り汗は出ない。 汗とは体の熱を逃がす為に出てくる物だからだ。 現に、自分は汗等出ていないし、こうして両手で抱えている大井の腰も特に汗ばんではいない。 なのに、舌がしょっぱい味覚を感じている。 疑問を解消すべく、目の前の装填口を、目を瞑って味覚に神経を集中させ、目一杯舌を動かす。 れろれろれろれろ。 「はぁん! ああぁぁ……」 やはり、少ししょっぱい。 舐め始めたばかりなのに、何故既にこんな味がするのだろう。 そもそもこれは汗なのか。 その正体を探るべく、唇で装填口を覆って空気を吸い込んでみる。 じゅるるううっ。 「あうぅっ!」 するとどうだろう。 空気を吸い込んだだけの筈が、水気ある音が脳に響いた。 大井は嬌声の大きさを上げた挙句、私の口には液体が数滴飛び込んできた。 大井は私の髪の毛に指を絡めているが、これは掴んでやめさせようとでもしているつもりなのか。 全く力が加わっていないので、よく分からない。 しかし、分かった事もある。 大井は濡れていた。雨水でもなく、自分の唾液でもない別の液体で。 ここを覆っていた純白のカバーは、本当に雨水で濡れていたのか? 明らかにあれは大地を巡って空から降ってきた水特有の臭いがしていたが、 それでもその前提を覆さんとばかりに、そんな疑問が出るのは仕方あるまい。 顔を上げて大井の横顔に問う。 「……何故濡れているんだー?」 「濡れて、なんか……」 嘘をつくな。人と話す時は顔と目を合わせろ。 再び加虐心は首をもたげる。 右手の中指を適当に舐って唾液でコーティングしたのち、装填口に差し込んでみる。 私の手は別段大きくはないから、中指で丁度いい位だろう? つぷ。 「ぁ……」 目の前の広大ですべすべな、 自分よりも明るい肌色の弾薬庫に舌を這わせると同時、中指にも指示を送る。 つー……。 くち、くち。 「やっ! ふわぁぁ……」 弾薬庫が小刻みに振動している。 太くない私の中指を実に手応え良く締め付けてくる。 脇から臍周りまで至る場所を舐め回す。 舌の唾液を全て消費してしまったら、口付けに変更してその間に唾液を生み出す。 柔らかい壁に挟まれた中指を小刻みに曲げたり、壁を指の腹で撫でたりするだけで、 更に潤滑油は生み出される。 どうせここには、指よりも直径のある魚雷を装填するのだから構わないだろうと思い、薬指も差し込む。 「あっ、やだ、入って……」 やだ? 嫌ならこの弾力ある壁で外に押し出してみたらいいだろう。 暫くは指を二本入れたままでいたが、一向にその中は押し出そうとしない。 弾薬庫から口を離して、大井の顔を見上げる。 「はぁ、……?」 対してこちらを見下ろす大井の、また涙が少し浮かんでいる目と目が合った。 息を整えようと口呼吸までするその惚けた顔と、 その目が次のようなモールス信号を送っているように見える。 "動かさないんですか?" こう見えるのは、自分が自意識過剰だからなのだろうか。 しかしそんな事はどうだっていい。 逐一許可を得ずとも、最初から動かすつもりだったのだから。 くちゅくちゅ。 「は、あ、あぁ……!」 前後に動かす。 潤滑油はこの短時間でそれなりに出ているようで、もうこれでも充分な気がしてくる。 左手が空いているので、上部装甲の残骸も取っ払いにかかる。 「んううっ、……あっ!」 大井の右肩とタンクと背中の一部しか覆っていなかった、と言うより、 最早肩に乗っているだけでしかなかったと言えるそれは片手で簡単に取り外せた。 露わになった二つのタンクは、敵艦の弾丸と雨雲の弾丸を浴びても魅力的な外観を全く崩しておらず、 弱っている中でも芯になっている強さのようなものを見つけた気分だ。 そんな魅力の塊を二つも装備する大井を、芯から温めてやりたい。 その一心で、ズボンのファスナーを下ろし、きつく拘束されていた中身を取り出す。 「ま、待ってっ……」 それに気づいた大井は、掌をこちらに見せる。 この場に何だと言うのか。 大井は尚も懸案事項を気にしているかのような顔で、こんな事を懇願する。 「ここに、座って下さい」 よく分からないが、言われた通りベッドに胡座を掻く。 すると大井はのそのそと起き上がり、こちらに跨ってきた。 私の肩が大井の両腕で抱き締められる。 自然と、自分の魚雷が大井の発射管に装填する寸前の状態になったが、先に動いたのは自分の口だった。 「一体どうしたんだ?」 「ふふ、いいじゃないですか。これだとお互い守り合ってるみたいでしょう?」 大井は少しの笑顔を浮かべてそんな事を言う。 本当にどうしたんだ。 そんなキザな考えを催すとは。 そう問うと、すぐにその偽りの笑顔を崩し、無表情になり、顔を逸らす。 「……下になりたい気分じゃないんです。この体勢が嫌いでも、我慢して下さい」 「…………」 "下"。"気分"。 この状況のそもそもの発端を思い出してみる。 オブラートに包まず言ってしまうと、これは大井の慰安が趣旨だ。 大井は言った。 台風の中、潜水艦に機関部を撃たれて沈んだ、と。 潜水艦とは水の中を進む艦船だ。 下が全く見えない中で、しかも上を覆って光を遮ってしまうのは、 大井に何らかの恐怖やら不安を与えてしまうのかもしれない。 せっかくの慰安なのに、自分がそうさせてしまっては本末転倒だ。 大井が言ってくれなかったら、自分は気が付かないまま成り行きで続けたかもしれなかった。 大井に感謝と謝罪の念を込めて、目の前の左頬に口を軽く押し当てる。 「……提督?」 「お前となら、どんな体勢でも好きだからな?」 そう言って、自分は何も遮る物がない大井の腰を掴み、下ろした。 ずずっ……。 「いっ……、ぁああああっ!!」 「うっ……」 大井は天井を見上げて嬌声を上げる。 仰け反る身体が向こうに倒れないよう背中に腕を回して支えてやる。 割と簡単に魚雷は大井の中に装填されたが、中々にきつい。 入れる事を特に言わずに実行した事が、大井には不意打ちだったようだ。 「すまん、痛かったか……」 「う、あ、あぐ……っ、っ」 大井は苦しそうに息を吐き出し、歯を食い縛った状態で首を振った。 そんなに苦しそうに違うと言われても、説得力がないのだが……。 少し潤滑油が足りなかったかもしれない。 思わず後悔の念が出て来て背中を擦り、そのまま動かないようにする。 自分の背中に回された大井の指は立っており、特に長くない爪が食い込む。 しかしこの痛み等気にしている場合ではない。 「いっ、いいの……」 「でも」 「んっ……、いいんです。ほらっ、ぁ、温めて……?」 大井は健気に眉尻と目尻の下がった笑顔を浮かべて誘ってくれる。 七分目まで開かれている目の中の瞳をよく見てみると、自分が若干映りこむ程には潤っていた。 愛らしい。 大井の尻を掴み、歯を食い縛って力を入れ体を持ち上げてやる。 これくらいきついと、速度は遅い方がいい。 一間置き、ゆっくりとした速度で再び落とす。 上げたり落としたりを逐一確認するようなリズムで繰り返す。 ずっ……、ずっ……。 「んっ、いひゃ、ぁ、あぅ……」 大井は、私の腰に足を巻きつける。 息が切れそうな鯉のように口を開けて、酸素を求める。 またあるいは、この圧迫感を紛らわすよう一心不乱に首を振る。 乱れていく大井の髪を、自分は一々片手を空けては整えてやる。 ペースは速めないが崩してもやらない。 全く動くなと言うのも無理な命令だ。 それから暫くは言葉を交わさず、互いの息遣いと嬌声だけが壁を反射して部屋の中で攪拌される。 速度はそのまま一定の状態を保ったので、互いの体力を極端に消耗する事なく、 大井の感じているだろう苦しさを増やす事なく、その発射管を解す事ができていた。 流石に十分程もこうしていると、中の滑りも良くなってくる。 そこだけでなく、服を着たままの自分は少し汗も掻いていた。 「はあ、はあ、んっ、んん……」 「どうだ、っん、まだ寒いか……?」 「い、えっ、温かい、ですっ……、んはっ」 装甲が靴下以外無くなっている大井でさえそれなら結構。 しかしこれだけではいけない。 幾ら滑りが良くなろうが、この体勢で自分が達する程こいつを高速で上下に動かす事等不可能だ。 手を止めて溜息を付く。 「動いてくれ」 「はぁ、え、結局私、ですか」 「お前のペースに任せようと思って」 「……じゃあ、もっと、ゆっくりでしますね」 「え……、あ、あぁ……」 作戦は失敗した。 この回りくどいやり口がいけなかったようだ。 そもそも、この速度で速かったのか。 こちらとしてはこれ以上の速度が必要だったのだが、あくまでも目的は大井の慰安だ。 言葉には責任を持てと教育されてきた以上、今更撤回する等自分勝手な選択は許されない。 自分の失敗を甘んじて受け入れ、生殺しの時間に覚悟を決めたが、大井はそもそも動こうとしない。 「……んふふっ」 無表情の大井と見つめ合い、よく分からない一間を置いてから、大井は急に愉快そうに笑みを漏らす。 背中に回されている抱擁の腕に、力が入れられ、タンクが私の胸に押し当てられる。 顔がずいと近付く。 私の考えている事を、目を通して覗き込むように。 「どうした?」 「速くしてほしいなら、そう言ったらどうなんです?」 「っ、いや、私は別に……」 「じゃあこうします」 魚雷が、発射管に締め付けられる。 火照った顔も駆使して、私を誘うように。 「提督が良くなってくれないと、私も良くなれませんから」 こいつは、無理をしているのか、本当にこう思っているのか。 どちらなのだろうな。 大井を真似して私も大井の目を覗こうとする前に、大井は縦方向に揺れ始めた。 お陰で、大井の目を凝視する事が出来なくなってしまった。 ベッドに両足を突いており、私の両脇のシーツがそれによって沈む。 大井は、魚雷が抜けそうになるぎりぎりまで最大限動き、速度もまた先程の倍を出力していた。 「ぁ、あっ、あう! きゃう!」 大井の前髪と後ろ髪も、それに伴い跳ねる。 私の胸に押し当てられたタンクも、動きたそうにずるずる動く。 このタンクの柔らかさを身体で堪能しつつ、空いた右手を大井の後ろ髪に通す。 まだほんの少し湿り気が残る長髪を撫で、頭を撫でる。 「ぁ……っ」 頭ごと身体をこちらの肩に完全に預けてきた。 大井は私の首に抱き付き、艦体を大きく揺らす。 大切なものを、こうして両腕を使って包んでいると、精神的にも上り詰めてくる。 私の真横で、大井はなるべく楽なようにか、喉をあまり使わずに吐息に言葉を乗せる。 「どっ、どう? 良い? っ、あ、良く、なってっ、ほし……っ」 すぐにでも出てしまいそうだ。 全ての感想をその一言に集約して、目の前の耳に向かってそう呟く。 すると、心なしか自分を包むそれがじゅんっ、と、よりをかけて熱く潤った気がした。 「もう、ん、出ちゃう、っ、ですか……、仕方ない、ですね」 「受け止めます、全部……ぁむ」 大井はとどめと言わんばかりに、私の耳たぶやその周りをまとめて口に含んだ。 先程の仕返しとでも言うように、全く想像していなかった死角からの攻撃に抗う事も出来ず、 肩やら背筋やらを痙攣させながら反射的に大井の腰を掴み落とす。 びゅっ! びゅるるっ! びゅくっ、びゅくっ!! 「っあ! ん! んん……~~っ!!」 魚雷の最初の爆発で耳から温もりが離れた。 その直後、大井は私にしがみ付いて口を閉じたまま達したようだった。 愚直なまでに射精を受け入れてくれる。 「出てる……いっぱい……」 何回かに渡って爆発は繰り返され、その都度身体を震わす。 中では潤滑油と精が混ざり合ったもので染まり、自分のもそれを浴びているらしい。 いかんな。それが零れてきてはベッドのシーツがみっともなく汚れてしまう。 そうだ。このまま抜かなければ零れない。 自分がこうしたのだから、責任を取ってどうにかするのも自分だ。 実際、シーツは既に汗と愛液で汚れているのだが、自分は知らないふりをしてそう言い聞かせた。 「……提督。なんで縮まないんですか?」 私はまだ、大井を温めていたいようなんだ。 付き合ってくれるか。 「もう……ふふっ」 …………………… ………… …… それから、体勢を全く変えずに二回目に突入、 動くのに疲れたと言うので、ベッドで四つん這いになってもらい後ろからの体勢に変更、 要するところ三回まで突き詰めた。 そうして今、自分らは互いにベッドに体を預けている。 尚、横で寝る大井は装填口のカバーを再度取り付け、 また理性も少し戻ったと言うので、自分の替えのワイシャツを着せている。 事後、一糸纏わぬ大井に私の服を、と言うのもこれはこれで……いやいや。 「……服、取りに行かないと」 大井はそう言って不意に起き上がる。 替えの服を持たずに風呂屋へ行ったような物だ。こうなって当然である。 この格好で執務室を出るところを見られるのは拙いと言うので、私のズボンも貸してやる。 ウェスト、丈、等何一つ大井に合っていないが、そんな事も言ってられず、 人目を気にしながら不恰好な状態で執務室を出て行った。 五分程待機していると、大井は普段の装甲を纏い、貸した服を手に持って戻ってきた。 しかし、それを返してもらうと、その下に明らかに大井の装甲と全く同じ物が姿を見せる。 大井はそれを広げてハンガーを通し、あろうことかこの寝室の壁におもむろにかけた。 そして振り向き、普段とは微妙に違う得意気な笑みを浮かべてこう言う。 「こうすれば、今日みたいな事があっても平気でしょう?」 艶艶した顔で、恥ずかしくないのかと問いたくなるような発言には、内心では少し茫然としていた。 すっかり慣れてきたものだな。 元々大井は初心と言う言葉とは縁が遠そうだとは思っていたが。 しかし自分は嫌な顔をする事はなく、寧ろ面白いような嬉しいような気持ちを素直に顔に浮かべて肯定した。 気づけば時針は夕飯時を指していたので、大井を食堂に誘う。 快諾してくれたので、自分は何食わぬ顔をし、 大井は普段の微笑に隠しきれない少しの色っぽさを上乗せして、共に向かう。 歩いているとやがて賑やかな音が近づいて来た。 暖簾をくぐると多くの艦娘は私に気付き、口々に挨拶を飛ばす。 それはいい。 だが、少し後ろを歩く大井が食堂に足を踏み入れると、 賑やかだった艦同士の談笑が、近い方から連鎖的に止まっていった。 こいつの雰囲気が普段と違うのは私が一番分かっている。 雰囲気を変えさせたのが何を隠そう私だからだ。 大井は自身の下腹部辺りで両手を組んでお淑やかに歩く。 しかし普段のこいつは、手を組んで歩いたりはしない。 その特徴的になった歩き方も、雰囲気の変化に大きく貢献しているのだろう。 多分今日だけだと思うが。 ビシビシ刺さる疑惑の視線を無視して、カウンターの間宮を訪ねる。 「提督さん、こんばんは。……?」 間宮もまた大井の異変にはすぐ気付いたらしく、不審気にそちらを見やる。 しかしすぐに何かを察したように手で口元を隠し、普段より増した笑顔でこちらに問う。 「あらあら。……また例の品でも、お作りしましょうか?」 人目の多い場所では、精進料理は取りづらい。 間宮もからかっているつもりだと予想、 今回も断ろうとしたが、それよりも先に口を開いたのは大井だ。 「いえ。今日は少なめで、お願いします」 そのゆったりとした声色から普段の凛々しさは失せており、代わりに鎮座しているのは色気。 その声色を聞いた間宮は、はっと驚く。 その後に続いた大井の科白は、とても際どいものだった。 「もう、今、結構お腹いっぱいなんです」 おまけに自身の弾薬庫を愛おしそうに、意味ありげにうっとりと撫でるので、 間宮が疑いを含んだ目で私を凝視するのも恐らく無理はない。 即座に目を逸らして口を閉ざすことに集中した自分は結局、大井共々"例の品"を頂く運びとなった。 …………………… ………… …… 夕飯を片付け終えた後、逃げるように食堂を立ち去った。 執務室に戻って二人きりになった時、勇気を出して抱き付いてみたが、止められてしまう。 "執務が終わっていないから"、という事だった。 確かにその指摘正しく、自分はすっかり忘れていた。提督を補助する秘書艦の鑑と言えよう。 それからは、その秘書艦に散々送った熱が覚めてしまわないうちにと、秘書共々早々と片付けた。 焦りのあまり自分のする執務内容がおざなりな物になっては秘書が止め、と言う具合だったのが、 情けなくて思い出したくない。 過ぎ去った過去に思いを馳せるという、とても無駄な熟考は頭から切り離し、目の前の光景に集中する。 「うぅ、んくっ、は、や、あぁ!」 すぐに指を動かす速度を加速させていったので、 ベッドに身体を預けている筈の大井は足に力でも入っているのか、腰が持ち上がる。 高い嬌声が耳に付く。 しかし逃がさない。 身体が"温まる"だけでは駄目だ。身体が"火照る"までやってやらないと。 ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ! 「あぁ、ああ! も、もぉ、やだぁ……!」 駄目だ。 大井の蕩けた顔、敏感に反応する身体、熱い吐息を含んだ嬌声。 これらが組み合わさって、自分の理性を再び崩しに来る。 一旦組み直した理性の壁はベルリンのそれの如く大きな力によって突破され、自分は大井と向かい合った。 大井が驚愕に顔を染めるのも無理はない。 つい数時間前までしたと言うのに飽き足らず、自分の魚雷はまだ疲弊する事を知らないようだったからだ。 そうして再び、熱源である自分の魚雷を使って、大井を火照らせにかかる。 …………………… ………… …… あれから、自分らだけの夜戦を重ねに重ねた。 どちらかの肉体に疲弊が来たら、やんわりとした演習で時間を稼ぎ、回復しきったらまた夜戦だ。 今日だけで多くの経験値を互いに貪り合ったと言えよう。 そして流石に疲弊だけでなく睡魔にも襲われ始めた頃、 どんな状態であれ秘書艦の責務を果たすらしい大井は、意識朦朧としながら時刻を告げる。 「は……んくっ、はあ……っ、マルフタマルマル……明日に響くじゃないですかぁ……」 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/yugio/pages/17863.html
起動提督デストロイリボルバー(OCG) 特殊召喚・効果モンスター 星8/地属性/機械族/攻2500/守2500 このカードは通常召喚できない。 手札及び自分フィールドの表側表示のカードの中から、 「ガジェット」モンスターカード2枚を墓地へ送った場合のみ特殊召喚できる。 (1):自分フィールドに「ガジェット」モンスターまたは 装備カード扱いの「ガジェット」モンスターが存在する限り、 このカードは戦闘・効果では破壊されない。 (2):1ターンに1度、このカード以外のフィールドのカード1枚を対象として発動できる。 そのカードを破壊する。 ガジェット補助 モンスター破壊 地属性 最上級モンスター 機械族 破壊耐性 罠破壊 魔法破壊 関連カード 起動指令 ギア・チャージ
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/346.html
507 :3-91:2014/04/10(木) 13 23 49.87 ID bP3dsiIH 提督×吹雪で投下します いつも見えてる吹雪のパンツが気になって書いた エロ薄め。一発ネタ 508 :提督×吹雪:2014/04/10(木) 13 24 59.44 ID bP3dsiIH パンツとは男の夢である。 偶然見れたならもちろん嬉しさは倍増するが、そんな機会はなかなか訪れない。 ラッキースケベでなくともどうにかして見たいという思いは常に存在する。 ……ある時から俺は、秘書艦・吹雪のパンツを毎日見ることが出来るようになった。 「司令官! こちら、新しく配属された艦娘の資料です!」 吹雪が書類の束を抱えて入ってくる。 「ああ。ちょっと手元のデータと照合するから、そこで待っててくれるか?」 「はい!」 俺の言葉に吹雪は元気よくうなずき、行儀正しく、執務机の前で「気をつけ」の姿勢をとって待つ。 ベストポジションだ。 俺は抜け目なく、目の前のパソコンに指を走らせた。 このパソコンは、鎮守府に着くと自動的に支給されるもので、どの提督の机にも一台ある。 資源の収支や艦娘のデータなど、機密に属する情報で溢れた、大変貴重なものだ。 ちなみに俺のパソコンは、以前この鎮守府にいた前任者が使用していたものらしい。 その中に一つの秘密のプログラムが存在するのを、俺は発見したのだ。 いま俺が起動させたのが、ソレである。 「どれどれ……問題ないと思うが、とりあえず確認していかなきゃな……」 などと、さもマジメに作業しているかのような台詞を吐きつつ。 俺は手元の画面に表示された小さなウィンドウ、そこに現れる光景に全力で注視していた。 その画面に映っているのは、いま、正に目の前に立っている吹雪のパンツだった。 まるで彼女の足下から見上げるようなアングル。 そしてスカートがわずかに揺れて動くのさえ伝わる、高画質なリアルタイム映像。 ……そう。秘密のプログラムとは何を隠そう、この執務机の下に見えないよう設置された、 超小型の隠しカメラ、そのデバイスを管理するためのモノである。 俺はパンツを堪能する間に、本来の作業をパッパッと片手間に終わらせてしまう。 パンツが俺の仕事の活力となり、原動力となる。 それにしても。と俺は思う。 今日は花柄か……!! 何か、朝からいいことでもあったんだろうか。ついつい、そんなことを目の前の吹雪に尋ねてみたくなる。 すると俺の目線に気づいた吹雪が、ん?と可愛らしく小首をかしげるような動作をする。 「あ、終わったんですか、司令官?」 「え!? ……あ、ああ、終わった終わった! ちょ、ちょっと待っててくれ」 いけないいけない。「こっち」の作業も済ませなければ。 俺はそのリアルタイム映像をキャプチャするボタンをクリックし、吹雪の今日のパンツを一枚の写真に収める。 ベストショットを決めるカメラマンのように。 「……よし。じゃあ資料はこちらで保管しよう。あ、それと第二艦隊に遠征の内容説明書を持って行ってくれるか?」 「はい! わかりました!」 俺が書類を渡すと、吹雪は受け取り、挙手敬礼をする。 そして、仕事を任されて単純に嬉しいのだろう。駆けるように出て行った。 その拍子に、短いスカートが浮き上がり、パンツがちらっと見えた。 花柄だ。 あ……と、俺は微妙に得したような損したような、不思議な気分を味わう。 ……いやまあ、気にするまい。 パンチラは、記憶の中にしか残せない。だけど俺は、しっかり『記録』に残せるモノを持っている。 そう独りごちると俺は、パソコンに向き直る。 画面の下にいくつか配置されたタブのうち、『情報』と書かれたタブをクリックした。 その中のプライベートなフォルダ群の中に、『fubuki』というフォルダが掘ってあり、パスワードを入力してそこを開く。 これが俺の記録であり、お宝。数ヶ月に渡って記録した、毎日の吹雪のパンツ写真である。 (ちなみに一瞬フォルダアイコンまで吹雪のパンツにしようかとも思ったけどやってないよ、ほめて) 俺はそこに今日の一枚を保存すると、また一枚増えたそれらのパンツ群を眺めて、しばし恍惚に浸る。 「うむ……今日の花柄はなかなかの当たりだ……」 基本的に、吹雪のパンツは一週間ほどでローテーションされている。 その内訳を数えると、花柄一枚、水色一枚、ピンク一枚、ピンクの縞々一枚、白が三枚。 年頃の女の子にしては少ないが、そこはやはり軍隊生活ゆえだ。 三枚ある白のパンツを、俺は密かに『白のい号』、『ろ号』、『は号』と呼んでいる。 中でもフロントに小さな赤いリボンのついた『は号』は、俺の一番のお気に入りだ。 ……閑話休題。 パンツ空間をひとしきり堪能してニヤニヤすると、俺はちょっと椅子にもたれ、天をあおぐ。 (この偉大なる『パンツ監視システム』を作った前任者さん、あんたには感謝してもしきれない…… いつかどこかで出会ったら、秘蔵の写真をおごらせてくれ……) 前任者とは俺の先任の提督、すなわちこの執務机の下にカメラを設置し、その管理ツールを密かにこのパソコンに仕掛けた人物である。 今はどこで提督をやっているものか、ようとして知れない。 噂ではどうも何らかの罪科を問われ異動になったと聞くが……。 ハテ、一体こんなすばらしい趣味と能力を持つ人物が、何の咎で左遷されたと言うのか? 不思議でしょうがない。 「ぱんぱかぱ~ん! 提督、作戦完了で帰投よ~~!! え~い、むぎゅっ」 鎮守府の夜。夜戦を終えた第一艦隊が帰投する。 その旗艦・愛宕さんが帰るやいなや飛びついてきた。 「ご苦労だった。どうだった、戦果は?」 「ええ、我が方の勝利! でしたけど……服はボロボロになっちゃいましたぁ~」 彼女の言うとおり、その服は夜戦で受けた砲撃によって、溶ける水着を発明したドイツ人もビックリのすさまじい脱げ方をしている。 こぼれた二つのたわわな果実が、そのままむにゅ~っと俺に押しつけられていた。 「うむ。入渠ドックは2つとも空いているから、損傷の激しい者から先に入ってくれ」 「あ……はい、提督」 抱きつく愛宕を引き離して、俺がこともなげに言うと、彼女は少し気勢をそがれたようにそう言う。 「提督って、マジメでいらっしゃるんですね……」 去り際に愛宕は、寂しげな声でそう呟いた。 そんな彼女に続いて、大半の者が服が裂けたり、下着が見えたりしている満身創痍の艦隊が、ひょこひょこ夜の鎮守府へ帰って行く。 ある意味扇情的な光景だが、俺はそれに別段心動かされることはない。 マジメ……その評価に俺は、内心少し笑ってしまう。 なるほど、現に俺はあられもない姿をした愛宕に抱き着かれても、 こうして中破大破の艦娘たちを見てても、決していやらしい心を起こしたりはしない。 そんな態度のおかげで、すっかり艦娘たちの間では『マジメ』『堅物』で通っている俺だ。 ……が、実のところさっきの愛宕のハグに股間一つ動かなかったのは…… 単純に、昼に吹雪のパンツ写真を『おかず』にナニに耽り、文字通り精も根も出し尽くしたからに他ならない。 そう。官能的で成熟した艦娘たちに囲まれながらも、なぜだか俺の性欲の矛先は、吹雪にしか向かないのだ。 「あっ、司令官! お疲れ様ですっ!」 ……などと述懐しながら戻る途中、廊下で吹雪と出くわした。 こんな夜中でも、相変わらずの元気な挨拶だ。 「あ……ああ、お前も秘書艦の務め、ご苦労だな。吹雪」 「はいっ、ありがとうございます!」 昼間、さんざん彼女を妄想の中で辱めた罪悪感のせいか、つい返答がぎこちなくなってしまう。 が、吹雪はもちろんそんな素振りに気づいた様子もない。 「司令官は今日のお仕事はもうお済みですか?」 「うーん……あとは今日の資源の収支報告をパソコンに打ち込むだけかな」 「あの、それでしたら私、代わりにやっておきましょうか?」 「本当か!? 助かるな……それじゃカギ渡しておくから、頼めるか?」 俺は懐から執務室のカギを取り出し、吹雪に手渡す。 「はい、お任せ下さい!」 吹雪は挙手敬礼すると、回れ右して執務室の方へ駆けていく。 そのときにまた、スカートがひらりとそよいでパンツが見えた。本日二回目の花柄。 「…………」 支給品のスカートが短いためでもあるが……こう日に何度もパンチラされると、目のやり場に困る。 最近気づいたのだが、べつに盗撮などしなくても、吹雪は普段からガードがゆるいのだ。 もしかしたら、自分が他の艦娘に目もくれず、吹雪に欲情する理由はそこにあるのかもしれない。 自分が性的な対象になることなんて全く想像していないその純真さ。そして無防備さ。 まだ『女のコ』としての自覚が薄い彼女を、守ってやりたいという庇護欲。 そして同時に、そんな無垢な彼女を自分の手で汚してしまいたいような征服欲。 最初に秘書艦として選んで以来、俺はそんなアンビヴァレントな感情を、知らず知らずのうちに吹雪に抱いているのだった。 ……ああ、それにしても、日頃あれだけパンツを見てしまっていると、 ふとした偶然のパンチラに『ありがたみ』を感じなくなるからいけない。 もっとパンツを見るという機会に『敬意』を払わなければ……。 そこまで考えて、俺は廊下の途中でピタリと足を止めた。 ……あれ、俺は……何か恐ろしいことを忘れていないか? 『それじゃカギ渡しておくから、頼めるか?』 『はい、お任せ下さい!』 さっきの会話がフラッシュバックする。 俺はカギを吹雪に渡した。吹雪は俺の仕事を引き継ぐためパソコンに向かい…… パソコンに…… (う、うおおおおおおおぉぉぉ!!) 俺は心の中で声にならない叫びを上げながら執務室にダッシュした。 そうだ。まずい。あのパソコンの画面には……昼間見ていた吹雪のパンツ写真のフォルダがそのまま! ついでに隠しカメラも起動しっぱなしだ!! ばたん! と執務室の扉を開けると、ちょうど吹雪がパソコンの前に座っているところだった。 「や、やあ吹雪……」 「し、司令官……!?」 驚いたらしい吹雪が、ガタッと席を立つ。 彼女の向かっているパソコンの画面は、もちろん入り口からは見えない。 どうか、どうか吹雪が見ていませんように、と心の中で祈る。 「あ~……その、そのだな。し、仕事はやはり自分でやることにしたよ。ご苦労だった吹雪、下がってよろしい」 「あ、は、はい司令官……」 そう言うと吹雪は席を立った。そして、いつもの活発さを欠いた足どりで、 執務室の扉へ小股で歩いて行く……なぜか俺を心持ち迂回するようにして。 「なあ、吹雪……」 「は、はい、なんでしょう!?」 「……いや。おやすみ、吹雪」 「……あっ、はい! お、おやすみなさい司令官っ、し、失礼します!」 ぱたん。 吹雪が退出し、むなしい響きで執務室の扉が閉まった。 「…………」 恐ろしいぐらいの嫌な予感を抱きながらも、俺はよろよろと執務机のパソコンへ向かう。 パソコンの画面には……はたして、カメラのウィンドウも、例のパンツ写真フォルダも展開されていなかった。 デスクトップ画面が表示されてるだけだ。 ……俺の思い過ごしだったのだろうか? もしかしたら昼間、俺はちゃんとウィンドウを閉じて席を離れたのに、それを覚えていないだけなのか? それとも吹雪がすべてを目にし、俺が来たとき驚いて閉じたのだろうか? ……あらゆる希望的観測と、逆に最悪の事態の予想が頭に渦巻いて、その夜はほとんど一睡もできなかった。 次の朝。 執務机に向かい、秘書艦・吹雪がやってくるのを待つ俺の心は非常に重かった。 いつもなら先んじて隠しカメラを起動させておいたりするのだが、それすらする気が起こらない。 何しろ、こうした盗撮のすべてが吹雪にバレているかいないか、それを何としても確かめないといけないのだ。 とりあえずは、それとなく探りを入れるしかないだろう。 昨夜の彼女の態度は若干ぎこちないものがあったが……とにかく、すべてが杞憂でありますように、と俺は必死で祈っていた。 と、ぱたぱたと元気な足音がして、執務室の扉が開いた。 「……し、司令官、おはようございます!」 そう言って吹雪は、まずはいつもどおりの時刻にやってきた。 ……若干、声が上ずってる気がしないでもないが。 吹雪の立った位置は、いつもならそのパンツをカメラで拝見する絶好の位置だ。 やめなければと思いつつ、つい頭はいつものクセで、彼女のスカートの下に隠されているものを想像してしまう。 「……うむ、おはよう。え、えー……今日の仕事はだな……」 そう言いながら俺は適当にパソコンをいじって、スケジュール帳を開こうとする。 「……あの、司令官」 「うん。何かな、吹雪?」 「……あの……今も……見てるんですか?」 一瞬、俺の体は石像のようにピタリと止まった。 キーを叩こうとする手がカタカタと震え、吹雪に目を合わせることができない。 「……み、見てるって、ナニを、かな」 舌がもつれて、ほとんど言葉にならなかった。 「……その……私の……ス、スカートの中、を……」 「!!!」 俺の頭の上に、メタルギアソリッドで主人公を発見した敵兵の頭に浮かぶみたいな巨大な!マークが浮かぶ。 目眩がし、冷や汗がドッと滝のように次から次へと流れた。 心臓が早鐘を打ち、足下の床が抜け落ちるような喪失感が体を襲う。 やっぱり吹雪は、見てしまっていたのだ。何もかも。 吹雪は他の艦娘にも話しただろうか? ……それとも、上に訴え出たりしただろうか? どこまで噂が広がったかによっては、艦娘たちから総スカンどころか左遷、いや軍刑務所行きすらありえる。 ……いやそれよりも。 吹雪の中で、今まで俺が有能な司令官として培ってきた信頼は地に堕ちたに違いない。 きっと彼女がこの先、今までと同じ誠実で勤勉な秘書艦を務めてくれることは、もうありえない。 そう思った瞬間、心の中に懺悔の気持ちが湧き起こった。 「吹雪……今は、今は見ていない……たのむ、信じてくれ」 俺は震えながら、罪を告白するようにそう絞り出す。 今までずっと、吹雪のパンツを盗撮してきたことは事実だ。 うわべには面倒見のいい司令官を装ってきた分、盗撮魔としての俺の姿は、きっと吹雪の心にダメージを与えたに違いない。 けれど、今は罪を悔いている。それだけは俺の、最後に残った真実だった。 「……」 吹雪は黙って俺の言葉を聞くと。 次に、信じられない一言を言い放った。 「司令官……あの、見てても……いいですから……」 「……え?」 吹雪、いまなんと? 「し、司令官がどうしてもっておっしゃるなら……ぱ、パンツ……見てても、いい、ですから……っ!」 「!!!!!!!!!!!!!!!!」 まるでメタルギアソリッドで敵兵全員が一斉に主人公を発見したときみたいな、!マークの羅列が俺の頭に浮かんだ。 「吹雪……ほ、本当に……?」 「……は、はい……!」 ようやく顔を上げて吹雪を見ると、なんといつもの彼女からは想像もつかないような、真っ赤な顔をしていた。 こっちをまっすぐに見ようとはせず、恥ずかしそうに顔は伏せられている。 あの吹雪が、それほどの恥ずかしさを我慢して、俺がパンツを見るのを許容しようとしてくれている? ……俺のために? そう思った瞬間、否応なく興奮で心臓が高鳴った。 その高鳴りは、さっきまで絶望に苦しく鳴っていた鼓動とは全く種類を異にするものだ。 「本当に……いいんだな?」 「…………はい……」 最後の念押しをすると、俺はおそるおそる……カメラを起動する。 これまで幾度となく吹雪の前でなに食わぬ顔で行ってきた操作。 だが今は、その吹雪の合意の下に盗撮(?)に及んでいるという事実が、比べ物にならない興奮をもたらしていた。 ほんのわずかな動作音がして、カメラが立ち上がり、映像を写すウィンドウがポップアップした。 (おお……っ!!) 吹雪が何枚か持っている、地味なたたずまいの白パンツ。 しかしその正面には小さな赤いリボンがあしらわれ、ヒラヒラ揺れて可愛げに存在を主張している。 これは……『白のは号』! 思わず吹雪(本体)の方へ目をやると、さながらカメラを通して食らいつくような視線を感じてでもいるかのように、 その細い体をフルフルと震わせていた。 もしかしたら彼女にとって、初めて男の餓えた目に晒されるのを自覚した瞬間なのかもしれない。 そんな真っ赤になった吹雪の顔と、ウィンドウの中で白く眩しいパンツを交互に見ていると、俺の心の中にふと、ある問いが浮かぶ。 吹雪は、どこまで許してくれるのだろう、と。 「吹雪……」 それは同時に、この清らかな少女を、どこまで自分色に染められるだろう、という卑俗な思いでもあった。 けれど構わなかった。今までモニター越しにぶつけるだけだったこの欲望を、俺は吹雪に知ってもらいたかったのだ。 「吹雪、その…………直接、見せてくれないか!?」 「!!?」 吹雪の肩がビクッと揺れ、かわいそうなくらい動揺しているのが見てとれた。 「直接って……あ、あの……」 「パンツだ。吹雪のパンツを、この目で見たい」 「……!! ……あの、今、ここで……ですか……っ!?」 そう答える吹雪は、相変わらず、爛々と欲望に輝く俺の目と目を合わせようとせず、おろおろした顔を下に向けたままだった。 いけない。俺は決して吹雪を困らせたり、いいように弄びたいわけじゃないのだ。 「言っておくが吹雪、これは決して命令じゃない」 「あ、え……!?」 「もしお前が少しでもイヤだと思ったら、そう言ってくれ。 そしたら俺は、二度とこの話を持ち出したりしない……パンツ写真も、全部削除して、二度と覗かない」 別に殊勝なことを言ってるつもりではない。第一、写真を捨てたところで、 今までの盗撮の事実も精算して吹雪と元通り、ふつうの司令官と艦娘の関係に戻れるなんて考えてはいなかった。 ただ、権力をカサに着て、いたいけな女の子に望まない行為を強要する、なんてのは、 それこそ軍刑務所どころか地獄に堕ちても仕方ない罪だ。そう思っただけだった。 「吹雪……イヤか?」 「いっ、イヤじゃありませんっ……! わ、私……」 驚いたことに吹雪はそんな風に即答してくれた。イヤじゃないと。限りなく恥ずかしくとも、イヤではないと。 「私……し、司令官のため、なら……」 吹雪の手がスカートの前に伸びる。 俺は耳元のすぐ近くで鳴ってるみたいな自分の心臓の音を聞きながら、その動作を取り憑かれたように見ていた。 吹雪のスカートが、お腹の高さへとまくり上げられるまで。 (……う、おおおぉぉっ……!!!!) 夢ではなかった。純白だった。 目の前でまぶしく輝いていた。吹雪のパンツが。 吹雪のパンツそのものには、年頃の女の子の下着らしい性的なアピールなどは一切ない。 むしろウェストがおへそのすぐ下までくるような、だぼっとしたタイプだ。 けれどその下にあるモノが描くカーブは、やっぱり隠すことが出来ない。吹雪の大事な部分が描く、ふわりとした曲線。 そう。その下に吹雪の、女の子の秘密を守っているからこそ、覆い隠すような形も、純潔の白の色すらも予兆的で、性的に見えるのだ。 ……また一歩パンツの奥義に近付いた気分だった。 しかもそれを、他ならぬ吹雪自身が。この執務室の中、俺一人だけにさらけ出してくれている。 興奮するなという方がムリな、至福のシチュエーションだった。 「ふ、吹雪……っ」 そして吹雪はと言えば。 スカートを自分の手でまくり上げながら、極度の恥ずかしさで固まったみたいになっていた。 目はぎゅっと閉じられ、首は横を向いている。真っ赤に火照った、桜貝みたいなかわいらしい耳がよく見えた。 膝はわずかに震えていて、羞恥で腰が抜けてしまいそうなのを必死にこらえているかのようだ。 「吹雪……ち、近くで見てもいいか……っ!?」 「……~~~!!!!??」 けれど俺は、ここで止まるつもりはなかった。 浅ましい覗き魔の俺を受け容れ、許してくれた吹雪に、もっとそのままのむき出しの俺を知ってほしかった。 「……近くで、見たいんだ。吹雪のパンツを」 「…………は、はい……っ」 吹雪のか細いが確かな返事をもらうと俺は、執務机から立ち上がる。画面に映った方のパンツなどは、もう目にも入らなかった。 「……ぁ、あの、し、司令官……っ……!」 俺が近寄ると吹雪が反射的にそんな声を漏らす。しかしまず俺が向かったのは吹雪の方へではなかった。 彼女の後ろにある執務室のドアに向かい、それをカチャリと施錠する。 そうしてからふたたび吹雪の方へ、くるりと向き直る。 「し、司令官っ……!! わ、私……司令官以外には、こんな、見せたことないですからっ…… あ、だから、あのっ……司令官が、は、初めての人ですから、私……っ!!」 そんな俺の行動に、テンパってるのか怯えているのか、しどろもどろになる吹雪。 「吹雪……お前の考えてるようなことをするわけじゃない。その……痛いことはしないから、安心してくれ。吹雪」 「……え、あ……」 実際、ここで吹雪を押し倒したとしても、彼女は受け容れてくれたかもしれない。 吹雪が司令官である俺に寄せる全幅の信頼とは、どうやらそれほどのものらしい。 けれど俺には、恋に恋する少女が夢見る『初めての男』になってあげるよりも、もっと崇高な義務が、自分に課せられている気がした。 その使命感に従うまま、俺は吹雪の前まで来ると、ひざまずく。 目と鼻の先に、フロントリボンをあしらったパンツ『白のは号』が鎮座ましましていた。 「…………~~~~!!!!」 吹雪が声にならない声を上げるが、構いはしない。 もはや吹雪のパンツのすべてのディテールが目に入る距離だった。 やわらかな綿の繊維の質感も。吹雪のおへその下にキュッと控えめに食いこむゴム紐も。 太ももの間でわずかにふくらんだ部分を守っているクロッチも。 それでも俺は顔を近づけていく。 鼻で息を吸いこむと、洗いたての服の爽やかな匂い。それから、太陽と波の潮をたくさん浴びた健康的な肌の匂いがした。 ああ、吹雪のスカートの中の空間にはいつもこんな甘やかな匂いが広がってるんだろうか? (……吹雪……吹雪っ……!!) ついにたまらなくなった俺は。 吹雪の腰をがしっと両手で掴むと、そのまま吹雪のパンツに顔をうずめた。 「ひゃあぁ、ああッ……~~~!!!!? し、司令官……っ!!!」 ふにゅっ、と。言葉で表すのも変だがとにかくそんな感触がした。 鼻先を押しつけるともっと、ふにゅにゅ、と確かな弾力があり、ついでに頭の上で吹雪がひっくり返ったような声を出す。 目の前には一面白い世界が広がっていた。『白のは号』のフロントリボンが時々鼻にこしょこしょと当たって、こそばゆかった。 ……不思議な空間だった。 目に映るのはただ清潔な、純白の布地ばかりなのに、その向こうにはたしかに体温を持った、ふにふにとやわらかい感触がある。 きっとこの奥には、吹雪のいちばん大切な部分が隠れているのだ。ある意味ではいちばん不浄な部分が。 吹雪がお風呂で洗うとき、トイレで用を足すとき、生理のとき、あるいは……吹雪が自らを慰めるとき。 そんな人目をはばかるときにしか、姿を現さない場所が。 それを守るパンツという空間は、はたして聖域なのか不浄なのか。 いま触れているのは布なのか、体なのか。 ここは夢なのか、現実なのか。 吹雪の匂いと体温とパンツの感触に包まれて、頭がクラクラしそうだった。 (……ん?) ちゅく、と。触れている部分が、前触れもなく濡れ始めた。明らかにパンツの中から染み出たものだ。 確かめてみようと、舌で触れてみる。 「や、ぁああああぁぁっ……~~~!!!!!」 ひときわ高い吹雪の声が上がり、同時にまた、じゅくじゅくした液体が、パンツの奥から染み出してくる。染みは生理食塩水の味がした。 抑えきれない声と、とろとろ滴る露と。 二つはともに、成熟の途上にある吹雪の身体が、未知の快楽に対してせいいっぱい返す反応だった。 何か夢中になってしまい、杯を頂くようにして吹雪のクロッチに口を付ける。 その部分を吸い上げてやると、また可愛い声が漏れた。 「ああぁっ、司令官っ……!! 舌、や、舐めちゃ……ッ、ふ、あぁ、当たって……!!!」 吹雪が滴らすものと唾液とで、大事なところの形がすっかり浮き出てしまった吹雪のパンツ。 そのどこを刺激してやれば好いリアクションが返ってくるか、俺はなんとなく把握しつつあった。 ぷにぷにとした門を割り開いて、舌を差し入れてやるようにすると、とろりとした愛液が。 その門の上、触るとようやくわかる程度に尖り出た秘芯を吸ってやると、驚いたような声と共に、もれなく体が跳ねる。 「ひゃう、ふあああぁぁっ……!!! ん、あぁっ……し、司令官……っ!!!」 ぱさっと。頭の上に布が降ってきた。 吹雪が自分でまくり上げていたスカートの端を、掴んでいられなくなったのだろう。 スカートに頭を突っこんだ格好になりながら、俺は吹雪の布越しの秘所への責めを続ける。 きっと布地の上からでは、吹雪にはもどかしいような刺激しか与えられないかもしれない。 それでも懸命に、吹雪の感じる場所を探って舌を動かす。 こっちのひとつひとつの責めに、いちいち小動物みたいな、愛くるしい声を上げる吹雪が、可愛くてたまらなかった。 鼻にかかったような甘い声や、甲高い、はしたない嬌声。 吹雪がそれを漏らすたび、俺は、吹雪が清らかな少女の殻を破り、俺と同じ、浅ましい欲に駆られた、 むき出しの姿を見せてくれているみたいで、ただただ快感だった。 「ん、やあぁぁっ……!! あ、ふあっ……も、や、やめっ……あ、ああぁぁっ……~~!!!!」 吹雪が弱々しい声を漏らすと、急に俺の肩へと両手をかける。 とうとう腰が抜けたのか、足だけでは立っていられなくなったらしい。 俺の抱えている吹雪の腰も、ふいに、ふにゃりと弛緩したように力が抜ける。 その隙を逃さず、舌で尖った部分を刺激しつつ、強く吸い上げてやると。 「……~~~~~っっ!!!!! だ、だめです、し、司令……んっ、ぁ、あああああぁぁぁぁッッ!!!!!!」 嬌声と共にがくがくと、面白いように腰と膝を震わせる吹雪。 そして快楽に突き動かされるように、自ら腰を突き出して、俺の顔に押しつけるようにしたかと思うと。 びくん、と一度、体を震わせ、やがて、糸が切れたように大人しくなった。 ……絶頂を迎えたのだろう。 くたっと脱力した体が床へと崩れ落ちそうになるのを、慌てて支え抱きとめてやった。 吹雪の頭を肩にかかえ、床に膝をついた吹雪の体を抱き、あやしてやるみたいな格好になる。 「……ぁ、はあっ…………し、司令官……」 耳元で吹雪が熱い息を吐き、夢見るような声で言う。 まだ快楽の余韻に震えているせいだろうか、すごく艶っぽい声だった。 ちなみに。 俺の砲身はズボンの中で、さっきから馬鹿みたいに硬く屹立している。 それでなくても、吹雪の体をひしっと抱きとめているこの姿勢は色々危なかった。理性との戦い的に。 「……なあ、吹雪」 「はい……司令官……」 甘い声で返事をする吹雪。なんだかすっかり恭順してしまった犬のようだった。 その艶っぽい声に当てられそうになったが……俺には使命として、吹雪にやってもらわなければいけないことがあった。 そう、ここまで来たからには。 「吹雪……パンツ、濡れちゃっただろ。脱いだらどうだ」 それを聞いて吹雪は、一瞬固まったものの。 「……はい」と小さく呟くと、その場でしゅるしゅると、パンツを脱ぎだした。 肌に触れるたびぐしゅぐしゅと濡れた音を立てるそれを、吹雪は膝立ちのまま器用に、片足ずつ抜く。 脱ぎ終わると、パンツを片手に持ったまま、ちょっと戸惑う吹雪。濡れて丸まったそれをどこに置いたものか迷っているのだろう。 俺はその隙に。ひょい、と吹雪の手からそれをさらう。 「……ぁ、やっ……!!」 わずかな抗議の声を上げる吹雪。 「パンツ、記念にキープしといちゃ、ダメか?」 「…………いえ、し、司令官がお好きなら……」 そう言いながらも、ちょっと焦れったそうな吹雪の声色が面白かった。 まるで脱ぐだけじゃなくて、もっと先を求めてるかのように。 けれど、きっと今日の体験だけで初めて尽くしだろう吹雪に、『これ以上のコト』をしてしまうのも酷だろうと思った俺は。 「ほら、立てるか? 吹雪」 吹雪の手を引いて立たせてやる。 ふらふらと立ち上がった吹雪は、少し潤んだ目で俺の方を見つめてきた。 その可愛さにまたちょっと心動かされかけたが、とりあえず俺は吹雪の背中を押して、ドアの方を指し示す。 「その、なんだ……今日の執務は他の艦娘に任せるから、ゆっくり休むといいぞ、吹雪」 「……はい……」 それだけ言うと吹雪は。 ノーパン状態が気になるのだろうか、いつもより三倍増しくらい女の子っぽい仕草で、スカートをなでつけたり、押さえたりしながら。 これまた普段は滅多に見ないような、かわいらしい小股歩きで、ぴょこぴょこと執務室を出て行った。 ぱたん。 ……後に残されたのは、そんな吹雪のあまりに女の子ちっくな仕草に、股間を最大限まで怒張させきった俺と。 その手にしっかり掴んだ、吹雪のパンツ『白のは号』。 「………………」 やることは決まっているような気がした。 その後、吹雪のパンツを見ながら1回。吹雪のパンツを自分の砲身に被せながら3回。 吹雪のパンツを顔に被って吹雪のパンツ越しの酸素を吸いながら2回。 涸れ果てそうなくらい自慰に耽った俺が、ようやく空を仰いだ頃には、もう午後もだいぶ回っていた。 今日の艦隊は平日休業、と事前に艦娘たちには伝えてある。鎮守府は音もなく静かだ。 横須賀の海の上には、夕陽を受けて、青い水着のパンツと少女の肌のような、青と橙色のコントラストが広がっていた。 その景色を見ているうち、ふと思い立って、机に戻りパソコンに指を走らせる。 いくつかの操作の後、俺のパソコンからは綺麗さっぱり、隠しカメラの管理ツールも、 そして『情報』タブの中の『fubuki』フォルダの写真も、すべて消えていた。 今の俺にはそれらはもう必要ないものだった。 隠しカメラを外すため、アホみたいな体勢で机の下にゴソゴソ潜りこみながら俺は、 この隠しカメラを同じくアホみたいな体勢で設置したであろう、前任者の提督のことを思った。 また、彼が左遷された理由も、何となくわかった気がした。 俺は、彼の轍を踏むまいと思った。 何より俺には。 吹雪が自分の意思で託してくれた、本物があるのだから。 次の日の朝。 「司令官、おはようございます! 今日は、何をすればよろしいですか?」 挙手敬礼して、執務室の俺の前に立つ吹雪。その挨拶はいつも通り、元気にあふれていた。 その若い血気がうらやましくもあり、俺もついつい笑みがこぼれてしまう。 「そうだな、今日は主に南西諸島方面への遠征、それから各艦娘へ装備の定期検診の通告、 それに……そうそう、一番大事なことがあった」 「はい、何なりと!」 俺は肘をついた手を胸の前で組みながら、最も重要な任務を重々しく宣告するときの面持ちで言う。 「吹雪、今日のパンツは何色だ?」 問いを受けた吹雪も、一瞬目を大きく開く。 そして、ちょっと顔を赤らめてから背筋を伸ばし、息を吸いこんで答える。 「はい! 私の今日のパンツの色は……」 (了) +後書き 518 :3-91:2014/04/10(木) 14 11 11.45 ID bP3dsiIH 吹雪ちゃんが女のコとしての自分に気づき始めるのはいつ頃だろう うちの鎮守府の吹雪にもいつか「パンツ見えてるよ」って指摘してあげないとなぁ 持病の文章が長くなる病で一発ネタのはずが読みづらい文章量になった SSを簡潔にまとめる工夫とかあったらどなたか是非ご教授くださいませ
https://w.atwiki.jp/dm-original/pages/1158.html
核神提督カイザー・アライブ R 光/水 (8) 6000 クリーチャー:レインボー・コマンド・ドラゴン ■マナゾーンに置くとき、このカードはタップして置く。 ■相手のカードの効果でこのクリーチャーが自分の手札から捨てられる時、墓地に置くかわりにバトルゾーンに置いてもよい。 ■このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から3枚をすべてのプレイヤーに見せる。その中からゴッドをすべて手札に加え、残りを好きな順序で山札の一番下に戻す。 ■W・ブレイカー 収録 巡界編第4弾 究極神爆誕(ゴッド・ノア) 作者 天照 評価・意見 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/trpgvoice/pages/15.html
スペック 【性別】Man 【誕生日】10/13 【趣味】TRPG、トロンボーン、音ゲーマー(弐寺9段)、ネットゲーマー 読書(活字漫画どちらも読むがノンフィクションは好まない) 【特技】肩がデカイとかデカくないとかという冗談を除けばUFOキャッチャーがそこそこできることと本を読むのは早いはず 主にGMをするシステム SW2.0 CoC でたとこサーガ 神我狩 などファンタジーを好む 主にPLをするシステム 上記GMをするものに加え アルシャードセイヴァー DX3rd インセイン その他誘われれば乗るかもしれない プレイスタイル(GM/PL) GMの場合は結末は二つほどしか用意せず過程を重要視する。面白く進み最後にキレイにまとまればよいのだ PLは「迷うな進め、さすれば物語的にはおいしいじゃろ」と神がささやくプレイスタイル キャラクター傾向は青年からオジサン、たまに男勝りな女性を演じたくなる気質 自由アピール欄 一応ここの管理者 加入初日に「産業廃棄物さん」とまことに光栄な呼び方をされたこともあり割とフレンドリー 最近は化けの皮が剥がれてきていますが基本は紳士的な行動を心がけておりますよ ええい、このスイッチだ!
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4821.html
前ページ次ページゼロな提督 ドウッ! 突如、突風が巻き起こった。 全てを吹き飛ばすほどの風が周囲のブドウの枝をへし折り、ほとんどの葉を宙に舞わせ る。ヤンを奪い合っていた女性達も、いきなり殴りつけられるかのような空気の壁に吹き 飛ばされそうになってしまう。 「お、おでれーた…なんだぁありゃあ!??」 ブドウの木に引っかかって飛ばされるのを免れたデルフリンガーが、驚きの声を響かせ た。 空中に全長10メイルほどの、何か大きな三角形の塊が浮いていた。 材質は、陶器とも金属ともつかない不思議な物質だ。鈍く黒光りする下側をヤン達に向 けている。上側は、何か焦げ付いたような黒ずみがあるが、元は銀色だったらしい。頭ら しき部分の目らしき場所には、大きなガラスのようなものがはまっている。突風は塊から 生み出されていた。 「なな、何あれ!鳥!?」「まさか、アルビオンの軍艦なのかい!?」 ルイズとロングビルの叫びに、翼らしき部分を指さすシエスタが答えた。 「違います!あれは、あれは…恐らく、ひいお祖父ちゃんの国の船です!」 シエスタの指さす先には、焦げて読みにくいが、確かに帝国語が書き込まれていた。 三人が慌ててヤンを振り返る。 上半身裸の彼は、さっきまで締め上げられていた首をさすりながらも、空に浮かぶ物体 を凝視していた。 「て…帝国の、銀河帝国の強襲降下艇だっ!」 それは大気圏内飛行用のデルタ翼を持った、惑星制圧専用艇。聖地の雷撃に焼かれた跡 で見えにくいが、表面にはローエングラム王朝の王朝旗であるゴールデンルーヴェ (黄金 獅子旗)が記されていた。 《提督ぅー!》 突如、若い男の声が響いた。 女性達には、その声が何を叫んだのか分からなかった。何故なら全く聞いた事のない言 語だったからだ。 ヤンは聞き違いかと思った。だが彼がその声を聞き違える事は有り得なかった。 「ま・・・まさか、ユリアン!ユリアンなのかっ!?」 《提督!ご無事ですか!?・・・えと、とってもご無事のようですね》 《ヤン先輩!どーやら間に合った…かな?》 《いや、もしかして、邪魔したんじゃないか?》 《せっかく提督が結婚という牢獄から逃れ羽を伸ばしていた所、全く持って申し訳あ りませんなぁ》 次々と響いてくる同盟公用語の声は、彼がもう一度会いたいと願い、そして諦めた人々 の声。ユリアン、アッテンボロー、ポプラン、シェーンコップ…その他の懐かしいイゼル ローンの面々だ。ヤンが夢にまで見た故郷の仲間達の声だ。 ただ、今その声を聞く事は、死線を共にくぐり抜けた友人達に再会する事は、湧き起こ る嬉しさに加えて災厄の予感が付きまとった。 「その!みんな、来てくれたの…かい?と、言うか、あの…もしかして…」 彼の言葉は、途中で止まる。 その後を続けるのが、聞きたい事を聞くのが恐ろしかった。 いや聞くまでもない事だ。だが聞きたかった。彼の予想が外れている万に一つの可能性 を求めて。 《私から説明する》 突然、聞き慣れない男の声に切り替わった。その口調は感情が欠けている、というより 氷の針が植え込まれているような印象があった。 ヤンは同盟・帝国を通じ、このような声と口調の人物には一人しか思い当たらない。 「もしや…パウル・フォン・オーベルシュタイン、元帥?」 《そうだ。名乗るのが遅れて失礼した。この無人降下艇は装甲を強化した際に立体映 像投影装置を取り外したため、音声しか送れない。 かい摘んで現在までの経過を話す》 感情の欠けた声が、ヤンのサモン・サーヴァントによる次元転移以後の経過について説 明し続けた。それは、大体においてヤンが予想し、そして期待した展開だった。それでも 帝国とイゼルローンが手を組み、自分を必死に探してくれた事には感動と感謝で涙がでそ うになった。 ところで、これらの話は帝国公用語で語られた。なのでルイズ・ロングビル・タバサ・ シルフィード・デルフリンガーには何を言ってるのか全く分からない。帝国公用語が分か るシエスタでも、ほとんど理解出来ないような内容だ。 彼等は黙って、感動しきりに頷いて話を聞くヤンを見つめ続けていた。 「・・・というわけで、あの船が通る分だけのゲートを広げることにしたんだ。なので、 必要な艦の数を大幅に減らせたんだ。丸二日の予定が、こんなに早くゲートを通って船を 送ることが出来た、ということなんだって」 ヤンはルイズとシエスタとタバサとデルフリンガーと、服を着たロングビルにオーベル シュタインの話を通訳して説明した。彼も上着を再び身に着けている。シルフィードも耳 を傾けている。 彼等は話に驚き、不安やら期待やらを隠しきれない様子で聞き続けていた。 「おっでれーたなぁ! なあヤンよ、するってーと、おめーはまだしばらくは故郷に帰れねーということか?」 「そうだね、今のペースだと、ワープで帰れるようになるまで、いつになるか分からない みたいだ」 その言葉にヤンを慕う女性三人は安堵のため息をつく。 ふと遠くから、大きな話し声が近づいてくるのが聞こえる。 ふもとを見ると、船を指差しながら数人がこちらへ向かって斜面を登り始めていた。村 の方でも見慣れぬ船が浮いているのに気がついたようだ。 《さて、そちらの説明が済んだなら、こちらの話を続ける》 再びドライアイスのように冷たい声が響き渡った。 《ヤン・ウェンリー。卿の早急な身柄奪還がなしえない以上、それまでの間、警護の 人間を送る必要がある。だが、先ほど説明したとおり、現段階でそちらの宇宙へ移動 すると二重遭難に陥る。 このため、警護の人選は志願者の中からこちらで最小限に厳選した。先ほど完成し たばかりの小型艇で、そちらへ向かっている》 「志願者から、厳選・・・ですか?」 ヤンは誰が来るのだろうかと予想してみる。 今さっきの通信回線に出てきたのは、ユリアン・アッテンボロー・ポプラン・シェーン コップ。なら彼等は司令所にいるのだろう。彼ら以外となると、誰かローゼンリッター隊 員だろうか? 《卿の良く知る人物であり、例え帰還不能という二重遭難の事態に陥っても皆の納得 を得られる人物だ。何より、本人の強い希望だ。もうすぐそちらへ向けて、大気圏に 突入する》 いったい誰がくるんだ? 彼は記憶を検索する。脳内には様々な人物の顔写真が流れていく。だが、どれもヒット しない。いや、実は最初からヒットしている人物がいるのだが、あえてその人物以外の可 能性を探しているのだ。 なぜなら、その人は、オーベルシュタインの言う条件に最も適合する人物であり、ヤン が最も再会を切望した人物だから。かつヤンが今一番会いたくない人物であり、あのオー ベルシュタインなら絶対に送り込むであろう人物だから。 そう、帝国もイゼルローンも、数十時間前からハルケギニアを、そして中央広場での戦 闘以後は自分を衛星からモニターしていたのだ。ずっと監視していたんだ。 だとすれば、ついさっきも・・・さっきのことが司令所のモニターに大写しになってい た・・・みんなが、見ていた・・・。 カチッと音を立てて、また音声が切り替わった。 《え~っと、ですね。先輩…それで、なんというかですね…》 《うん、僕達も止めたんです。でも絶対に提督の所へ行くって、聞かなくて》 《そうだよな、俺たちも止めたんだよ。けど、ブラスターまで引き抜くからなぁ》 《まぁ、そういう事なので、これも色男の特権と思ってよいでしょう》 次々と彼の息子や後輩や部下達が不穏当な事を言う。しかもなにやら、故意に結論をは ぐらかしている。 ヤンの手は、ブドウの木に引っかかっていたデルフリンガーへと伸びていく。 《というわけで、提督。頑張って逃げ》 ドゴンッ! 突然、強襲降下艇が火を噴いた。ユリアンの声は話の途中で途切れ、代わりに爆発音が 響き渡り爆風が降下艇の下にあった全てを吹き飛ばす。 三角を描く降下艇のボディに、いきなり大穴が開いて炎を吹き出したのだ。降下艇は浮 力を失い、直下に出来たクレーター中央に墜落した。 降下艇は天空から砲撃を受けたのだ。 そして空の彼方には流れ星のようなものが見える。その流れ星は、徐々に大きくなって いく。真っ直ぐにタルブへ向けて落下しているとしか見えない。 ヤンはデルフリンガーの柄を握りしめ、一目散に駆け出そうとした。 《 あ な た 》 逃げようとするヤンの頭上から、女の声がした。 突然の爆発に吹き飛ばされた女性陣も、麓から慌てて駆け上がってきた村人達も、ヤン の目の前に舞い降りてくる物体を見た。 それは白銀に輝く針とでも言える形をしていた。全長10メイルはある、巨大な鋭い針 のようだ。人一人しかくぐれない大きさのゲートを拡大せず通過するために、ボディを極 端に細くしてある。かつ土と岩の壁を突破して精霊から逃げるための貫通力・突進力を得 るよう、先は硬く鋭くなっている。 その白銀に輝くボディの一部が透明になっていく。透き通ったキャノピーの中には、操 縦席に座る女性の姿が見えた。 ルイズ達学院から来た人は知っている、女性が着ている服はヤンが召喚された時に着て いた軍服と同じデザインだ、と。それは同盟軍の軍服。ヘイゼル(淡い茶色或いは赤みが かった褐色)の瞳と金褐色の髪を持つ、美しい女性軍人だ。 「ふ・・・ふれ・・・フレ、デリ…カ」 ヤンの声は嬉しさと、何より恐怖で引きつっていた フレデリカ・グリーンヒル・ヤン。14歳の時にエル・ファシルで出会った21歳のヤン 中尉に一目惚れ。25歳でヤンと結婚した、現イゼルローン共和政府代表たる才女。 《・・・本当に、久しぶりね、あなた。きっと生きてるって信じてたわ》 その女性の声は引きつっていなかった。だが、再会を喜ぶような口調にも聞こえなかっ た。満面の笑みをたたえているのに、絶対に笑っていないと断言出来た。 《あなたが見つかったって聞いて、急いでイゼルローンから駆けつけたのよ。その時 の私の嬉しさ、分かるかしら?》 ヤンはカクカクと頭を上下させる。腰が抜けて地面にへたり込んだまま。 右手に握るデルフリンガーが手の震えでカタカタ音を立てている。 《そしてね、オーベルシュタイン閣下が司令官席へ連れてきてくれたの。今、皇帝陛 下は病気療養中だからって、代わりに、私を司令官席へ、ね。 そうしたら、ね。あなたが映ってたの。生きて、無事で、元気なあなたがいたの。 二ヶ月ぶりに見たあなたは、とっても元気そうだったわ。ええ、それはもう、他の女 と仲良くするくらい》 ルイズ達や駆けつけた村人など、周囲の人々もハルケギニア語で話される女性の言葉は 理解出来た。ゆえに、彼等は他の事も理解出来た。 彼の為に遠い国から妻が来た…が、夫は現地妻と浮気中だった。 同情と軽蔑の目がヤンに集中する。尻餅をついたまま、じりじりと小型艇から後退して いく浮気者に。 《・・・もちろん、あなたも辛かったんでしょうね。そんな異次元に飛ばされて、一 人で必死に生きていこうとしてたんでしょう?それでも寂しかったから、ほんの遊び で、ただの気の迷いで…そうよね?》 カシュン…と音がした。 ボディの一部が開き、中から何か鉄の棒のようなものが突き出た。 それは、砲身だった。先ほど上空から降下艇を一撃で沈めた、、レールガンの砲身。 その砲口は、真っ直ぐにヤンへ向けられていた。 《そうよ…ね?》 フレデリカは、再び同じ問をする。ヤンに銃口と笑顔を向けながら。 彼は妻の姿を見る。今ですら、昔と変わらぬ微笑みを向けてくれる、愛しい妻を。 次に彼はマチルダを見る。あまりにいきなりな事態に言葉もない、愛する恋人を。 彼が愛する女性達の間で、潤んだ視線が無様に彷徨う。 そして彼は、走った。 デルフリンガーを握りしめ、左手のルーンを輝かせ、ガンダールヴを全開にして。 彼が愛した女性達に背を向けて、風のごとき速さで逃げた。 《をほ》 呆気に取られた地上の人々の間に、妙な声が響く。 《をほ、をほほ》 どうやら、それはヤンの妻が発する笑い声だったらしい。らしい、というのは、操縦席 のキャノピーが再び白銀に輝き、中の女性が見えなくなったから。だが、確かに声は小型 艇から響いていた。 《をほほほほほ、をーっほほほほほをほをほをほほほほ!》 不気味な笑い声を響かせる小型艇の砲身が僅かに動く。先ほどヤンが走り去った方向に 向け、照準を合わせたのだ。 ドゥンッ! 銃口が火を噴いた。 その瞬間、周囲にいた人々は衝撃波で吹き飛ばされた。あまりの轟音に耳鳴りが止まな い。 遙か彼方へ飛んでいく銃弾は、射線上にあるブドウの木を全てなぎ倒してく。 そして、山向こうに着弾した弾丸が、舞い上がる土煙と斜面の大穴を生む。 数秒して何か雄叫びの様な、こだまが聞こえてきた。 ぶりみるのばかぁ~・・・ どうやら、音速を遙かに超える弾丸を避けつつ、魂の叫びを発したらしい。 《をーっほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほっっ!!》 小型艇は甲高い音を上げて飛び去る。男の叫びが聞こえてきた方へ。 少しして、山頂から山の麓まで連続して土煙が上がった。数秒遅れて炸裂音が響いてく る。逃げ回るヤンにフレデリカが容赦なく弾丸を浴びせているらしい。いや、わざとギリ ギリに外していたぶっているのかも知れない。 「何故だあーーー!何故僕がこんな目にあうんだあーーーーっ!!」 デルフリンガーを握りしめ、ガンダールヴの肉体強化を最大限に利用し、ヤンは戦略的 撤退を余儀なくされ続けていた。 彼の背後、横、前、足下にも容赦なくレールガンの弾丸が浴びせられる。それを人間の 範疇を超えた体力と反射神経、何より動物的カンでかわし続ける。ヤンの人並み以下なは ずの肉体は、人生全ての力を今この一瞬に出し切るかのように、超人的働きを見せ続けて いた。 こんな時だというのに、レールガンの一撃を食らえば伝説の剣も粉々に砕けるかもしれ ないのに、デルフリンガーはカチカチとツバを鳴らしてヤンに話しかけてくる。 「いいぞー、いいぞ相棒ー。その調子だー。『ガンダールヴ』の力は心の震えで決まるんだ ぞー。 いやー、すげえ心の震えだわ。これは怒り、後悔、恥辱、罪悪感つーとこか?まーな、 そりゃ心を震わせりゃなんだって良いんだけどな。実際、ここまでの心の震えはオレっち 見た事ネーや。 おでれーたねぇ、こんな事で伝説の使い魔の力を発動されるとは、ブリミルもビックリ だろうよ」 長剣の言葉は、あまりにも白々しい。最初から最後まで棒読みだった。 そんな神経を逆撫でする長剣の言葉に憎まれ口を返す余裕は、今のヤンには無かった。 「ブリミルのバカぁーーーっっ!!」 浮気男の虚しい叫びが夕方の山に木霊する。だがその叫びも、レールガンが大気と大地 を穿つ音にかき消されるのだった。 ステーションの司令室でも、妻に浮気がばれて逃げ回る夫の姿が大画面に大写しされて いた。 その様を、司令席横に立つ冷徹なる義眼が冷たく見つめ続けている。同僚達からは尽く 嫌われている軍務尚書は、レールガンの砲撃から逃げまどう宿敵の姿に、何の感情も感傷 も交えず観察を続けているようだ。 司令席後方に控えているヒルデガルドは、いや司令席下のオペレーター達も、帝国同盟 の軍人達も、そんな冷徹極まりない「正論だけを彫り込んだ永久凍土上の石版」と評され る男へ恐怖の視線を向けていた。そして彼等の足は先ほどから数歩ずつ、オーベルシュタ インから離れていく。 「こいつとだけはやり合いたくない…勝てるわけがない」 誰かがそんな言葉を呟いた。かつて、とある帝国軍将校が似たような言葉を口にしてい た。だが今は、誰の発した言葉かは分からない。誰の言葉でも不思議はない。誰もがそう 思っていたから。特に妻帯者が。 自らの手を全く汚さず、政治的な手段ですらなく、旦那の浮気を目撃して逆上した女房 に帝国の宿敵を始末させる。他人の家庭の問題なので、帝国が非難を受ける謂われは全く ない。 あまりにあまりなやり口に、誰も言葉が出てこない。 そんな静寂の中、画面の中では未だにヤンが逃げ回っていた。 夕暮れ空の下、女性達は溜息とともに肩を落とした。 緑の髪が俯く顔を覆い隠す。 「はぁ~…短い恋だったわ…」 「え!?ロングビルさん、諦めちゃうんですか!?」 黒髪の少女が驚いて左を見る。 ロングビルは右のシエスタへ、力なく微笑んだ。 「ああ…もともと、あいつが女房の事を忘れられないのを承知で迫ったんだよ。それでも ヤンが好きだ、全部ヤンの好きにして良いって。だから、あいつはあたしを抱いてくれた んだ。 女房が来たなら、あたしは身を引かないとね…」 「えー!なにそれ、それでいいの!?」 今度はロングビルの左にいるルイズが叫んだ。 「しょうがないさ、そういう約束なんだから。 でも、そうだなぁ…このまま別れるのもしゃくだわね」 後ろで聞いていたタバサが首を傾げる。 「どうする?」 青い髪の少女を振り返り、ロングビルはウィンクした。 「殴る」 一瞬言葉を失った少女達に、女はさらに言葉を続ける。 「あいつを力一杯ぶん殴って、わんわん子供みたいに泣いて、それから忘れる事にする。 正直、時間かかるけどね」 それを聞いたシエスタはすっくと立ち上がった。 「なら、私も思いっきりひっぱたいちゃいます!私も、それくらいしていいはずです!」 ついでにルイズまで立ち上がって握り拳を突き上げる。 「なら私だってやっちゃうんだから!乙女の純情の重さ、思い知らせてやる!」 おーっ、という黄色い雄叫びが赤い空に溶けていった。 そんな声に引き寄せられたかどうか知らないが、土煙と炸裂音、そして宙に浮く白銀の 小型艇がルイズ達の方へ戻ってくる。 ロングビルがやれやれ…という感じで立ち上がる。 「まぁ、まずはあのバカ夫婦を止めようかね」 シエスタも土をスカートからはたき落とす。 「そうですね。でも、どうやって止めますか?」 ルイズは、明らかに風竜より早く飛ぶ小型艇へ杖を向ける。 「んじゃ止めるから、受けとめてね」 言うが早いか、ルイズはルーンを唱え出す。 ヤンを追い回す小型艇の前に、いきなり光の塊が現れた。 回避する間もなく小型艇は光に飲み込まれる。 ちゅどーん 小型艇は爆発した。 地面に墜落しそうになった操縦席部分を、ロングビルとタバサ、そして騒ぎを聞きつけ て集まってきていた他のトリステイン軍メイジの『レビテーション』が受け止める。そし て地上に降ろされた。 「ひぃ・・・へぇ・・・はぁ・・・」 走ってきたズタボロなヤンが、ようやくルイズ達の前に止まり、ひっくり返った。 パシュンッと何かが弾けるような音と共に操縦席のキャノピーが開いた。もうもうと黒 煙を吹き出す操縦席から、髪が黒くチリチリに焦げたフレデリカが降りたつ。 それでも彼女は地面に大の字になるヤンへ駆け寄り、跪いた。 そして、抱きついた。 「…会いたかったわ、あなた」 「ごめん、フレデリカ…心配させて、ゴメン」 夫も、疲れ果てた腕で妻を抱きしめた。 夕日が赤く染めるブドウ畑。砲撃ですっかり荒れ果てたが。 再会を喜びあう夫婦。ススで全身を黒く染めた妻と、追い回されて疲れ果てた夫。 間抜けな展開に呆れた人々が眺める中、二人は抱き合い続けた。 数日後、魔法学院。 五芒星を描く学院の塔が、雲の合間からのぞく朝日に照らされている。 学院の壁の外側に、黒こげになった金属の塊が幾つか置かれていた。ルイズの魔法で破 壊された小型艇と強襲降下艇の残骸だ。他に、未だ白銀の輝きを失わない小型艇も数機横 たわっていた。 水の塔の一室から、若い男の笑い声が響いていた。 「全く、笑い事ではありませんよ、閣下」 笑い声はベッド上に置かれた通信機の立体モニターから漏れていた。ベッドの主たるヤ ンは、体中を包帯で巻かれた状態で上半身を起こしている。ベッドの横にはルイズ、ベッ ドの端に立てかけられたデルフリンガーがいる。 《いやいや、笑って済まなかった。しかし、私がついに勝利を勝ち取れなかった同盟 軍最高の智将が、まさか、浮気がばれて死にかけるとは…》 そういってモニターに投影される金髪の若者は、再び笑い始めた。ヤンと同じくベッド 上で体を起こしている皇帝ラインハルト一世は、おそらく、ここ数年来は無かったであろ う勢いで腹を抱えて爆笑し続けた。 その様に憮然と腕組みするヤンは、やけくそ気味でルイズと長剣に帝国語の会話を通訳 する。 ひとしきり大笑いした皇帝は、従卒から受け取った水を一気に飲み干した。 《ありがとう、エミール。 いやはや、ともかく、無事で何よりだ。正直、地球教徒に邪魔されゲート事件で宇 宙から消失したと分かった時には、もはや我等の会見は為し得ぬものと諦めつつあっ た。モニター越しとはいえ、再び出会えたのは幸運と言うべきだろう》 「全くです。ですが、まだまだです。無事に私が元の宇宙へ帰還し、直接に閣下と会見で きたとき、私は自分の幸運を喜ぶとしますよ」 《そうだな、全く卿の言うとおりだ。だが、それはかなり先の事となる。それまで卿 には死んでもらっては困る…いや、オーベルシュタインの件は申し訳なかった。奴に は私から処罰を下すとしよう》 「いえ、それには及びません。何しろあの人のおかげで妻と再会出来たのですから」 《そうはいくまい。ところで、件の奥方はどうしているか?》 「厨房です。私に手料理を作ると張り切っていましたが…恐らく、かまどの使い方すら分 からず四苦八苦していることでしょう」 《そうか、卿も苦労をしたのだろうな》 「ええ、それはそれはもう、本当に苦労しましたよ。でも、こちらにいる私の新しい雇用 主が、ずっと私を守ってくれました」 そういってヤンは、隣で椅子に座るルイズを紹介する。 「ハ、ハジメマシテ。ワタシハ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリ エール、デス。ヤン、ノ、アルジヲ、シテイマ、ス」 ルイズは、恐らくは何度も練習したであろう拙い帝国語で自己紹介した。柄にもなく緊 張するルイズ。「そんなに硬くなんなよ~」と声をかけるデルフリンガーは軽く蹴飛ばされ た。 《うむ、予は銀河帝国皇帝ラインハルト1世だ。 予の宿敵たるヤン・ウェンリーの命を救い、庇護し続けたとの事。予からも礼を言 わせて欲しい》 そういってラインハルトはモニターを覗き込むルイズへ向かって頭を下げた。金髪を輝 かせる美貌の皇帝に礼をされ、ルイズも真っ赤になって照れてしまう。 頭を上げたラインハルトは、目を輝かせてヤンへ向き直った。そして部屋の隅に控えて いた従卒のエミールも近くへ呼び寄せる。 《さて、先ほど話したとおり、卿へは今後も小型艇で護衛と物資を送る。それで座標 算定が終了して迎えを送れるようになるまで凌いでもらいたい。 その間、かなりの時間がかかると思う。この時間を有効活用するためにも、卿から の情報に期待している。帝国、旧同盟、イゼルローン…卿の話で宇宙は持ちきりなの だ。皆、異世界の話に飢えている》 「承知しています。時間はあるのですから、この魔法世界の事、これからの両宇宙の事、 沢山話せますよ まずは、早急にエルフ達と聖地の件について・・・」 その後も、ヤンが語る魔法世界の冒険譚にラインハルトもエミールも耳を澄ませて聞き 入った。 途中で黒こげになった手料理を運んできたフレデリカや、彼女にかまどの使い方を講釈 していたシエスタ、学院の外に置いてある小型艇と降下艇について尋ねたくてしょうがな いコルベールやエレオノールなど、沢山の人を交えて、話は尽きる事がなかった。 第28話 黄昏から暁へ END 前ページ次ページゼロな提督
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3074.html
559 :557:2015/01/07(水) 20 41 28 提督の憂鬱×シャドウラン 2001年。それは新たなる世紀の始まりであり、多くの人は新たなる時代の始まりでもあると信じていた。「彼ら」もまたそう信じていた。前世紀末の1999年に同胞にして仇敵が成したように、 自分たちも新たなる時代を築きその先頭に立つのだと。だが最高裁判所の正門階段を下りる「彼ら」の能面めいた顔には、くっきりと絶望と敗北の文字が透かし彫りされていた。「彼ら」の 胸元に光る所属バッチはつい先ほどまで人生の勝利者であることをその名をもって明確に示していた。だが今やそれは敗北者の証拠品と成り果てたのだ。 2001年、最高裁にて判決は下された。多国籍総合企業シアワセ社『敗訴』。日本国最高裁判所長官の名のもとに、完全民間核施設の運営は公式に否認され、多国籍企業の治外法権は正式に否定された。 彼らが夢見た楽土(ディストピア)は、その手から遥か彼方へと消え去ったのだった。 敗北に打ちひしがれる彼らの横を、フラッシュの雨に打たれながらSPに囲まれた男がゆっくりと階段を下りる。彼は被告でもなければ原告でもなく、弁護士でもなければ検事でもない。 彼は法廷の傍聴席で静かに判決を聴いていただけだ。だが彼がこの法廷における中心人物であることは、彼を取り囲む記者の軍団が明確に示していた。彼の名は神崎博之。現日本における 内閣総理大臣である。日本の明日を決めるこの法廷から、彼は勝利者として帰還したのだ。 憎悪を込めて神崎首相を見つめるシアワセ社の企業人(さらりまん)。昨日までの彼らが勝者として眺めた光景であり、今日から彼らが敗者として体感する光景である。せめて後ろに 企業軍傭兵(カンパニー・マーセナリー)がいれば、この憎しみを晴らせたものを。しかし神崎首相の周囲は重サイバネされたサムライSPで固められ蟻の這い入る隙間もない。それだけではない。 加えて彼の傍に立つ秘書官は、宮内庁から派遣された神祇官(オリエンタルメイジ)だ。もしも彼らの中に殺意を呪文として揮える者がいたとしても、アストラル空間には山犬の姿をした 式神(コマンドスピリッツ)が雑霊一匹通さない霊的防御を施している。例え呪殺に長けた魔術師(ウィザード)でも、これを貫けるものはいないだろう。 さらりまんの視線を背中に、神崎首相は公用車に乗り込んむ。一瞥すらしない。彼にとって背後の連中は祖国を踏みにじり資本主義の地獄を生み出そうとした売国奴だ。奴らは会社のためなら 文字通り国を売るだろう。その下らない野望を打ち砕いた以上、気に掛ける意味も価値も、なにより時間もない。 公用車は最高裁のある千代田区隼町を離れ、目的地へと向けひた走る。 道中の時間を有効活用すべく神崎首相は書類をめくる。一つの重要な仕事を果たしたとはいえ、彼は日本の最高指導者であり無駄に休んでいる時間はない。「前世」の総力戦を思い出す強行軍だ。 小さな思い出し笑いを口元に浮かべる。彼の笑みを訝しむ秘書官を片手で制し、彼は共犯者にして腐れ縁の同胞へと回線をつないだ。 560 :557:2015/01/07(水) 20 42 14 「ようやく判決が下りました。これでシアワセ社の株価は自由落下して、ついでに倖(シアワセ)一族の首にも絞首台の紐がかかるでしょう」 『お疲れ様です、神崎首相。いえ嶋田首相とお呼びした方が良いでしょうかね?』 まるで10年来の悪友のように気安く首相を呼ぶ声。立場ある者としては少々問題あるかもしれないが、彼らの腐れ縁は「前世」を入れれば三桁に達する。多少立場が変われどもそれで何かが 変わるような短い付き合いではない。 「相も変わらずですね大蔵省長官殿、いや辻さん。海外の動きはどうですか?」 『腐肉の匂いを嗅ぎつけて世界中からハゲタカが観光にいらっしゃってますよ。これから歓迎のクラッカー代わりに日銀砲を予約しています』 大蔵省の魔人と呼ばれる彼にかかれば、ウォール街で幹部(エグゼク)街道を邁進していた企業人も、明日には臓器屋(ボディーラー)の前で腎臓相場と睨めっこする羽目になるだろう。 もちろん、自分の真っ黒なハラワタを1¢でも高く売るために、だ。 「それはまた、ウォール街で紐なしバンジーが流行りそうですね」 『ええ、ウォール街をアメリカより一足先に”クラッシュ”させる予定ですので。2011年まで待っていられませんからね』 2011年、10年先の話だ。日進月歩の現代社会では想像と予測でしか語れない未来である。その上語る内容は「アメリカの崩壊」と余人ならば到底信じがたい話だ。だが彼らの言葉に迷いはない。 それはまるで太陽が東から上ることを話すような、当たり前ことを当たり前に話す口調だ。 彼らは狂人の集まりなのか?それとも終末を信じる宗教にでも入っているのか?それとも……彼らは未来を知っているのか? 561 :557:2015/01/07(水) 20 42 51 そう、知っているのだ。彼らは、転生者たちは、夢幻会は、この先の未来を知っている。 精霊(スピリッツ)と竜(ドラゴン)が暴れまわり亜人(トログ)たちが練り歩く第六世界が来訪した未来を、 巨大企業(メガコーポ)が支配する巨大都市(メガプレックス)の悪徳と混沌の未来を、 そしてその闇の中を非合法活動の請負人“シャドウランナー”が駆ける未来を。 だから今、夢幻会は戦っている。前世と同じように、その身を粉にして知恵を尽くして戦っている。 幾多の試練がこの国を待ち受けていることは確かだ。現代のペスト禍「VTAS」、ヒトが人間でなくなる「鬼怪化(ゴブリナイゼーション)」、そして2011年12月24日に来る第五世界の終末。 だが彼らに屈服の二文字はない。激変する未来と巨大な敵からこの国を守るために、少しでもマシな明日をこの国にもたらすために彼らは決して諦めず、 有能な人材と未来知識を駆使して戦い続ける……まあ、人材に少々癖はあるのだが。 『それと……少し話しづらいことがありまして』 「何ですか?倉崎翁が超音速弾道飛行機を作った話は聞きましたし、北さんが魔法を使った新作料理に手を出したことも耳に入っていますよ」 『MCTに夢幻会が融資している話はご存知ですよね?』 MCT(ミツハマ・コンピュータ技術)は後に十大(ビック10)の一つとなるAAAクラスの巨大企業だ。だが現在においては社長である三浜氏も駆けずり回る、 資金繰りに悩む一ベンチャー企業に過ぎない。本来の歴史ならば彼はヤクザの融資を受けて、MCTはその支配下に置かれることとなる。その未来を知る夢幻会は彼に多額の資金提供をすることで、 日本国の影響下に置くことを狙ったのだ。狙い通り急速に成長するMCTと政府は関係性を深め、MCTは事実上日本国配下の巨大企業となりつつある。 『MCTに出向した技官にMMJ分派のメンバーが混じっていたらしく、その、MCTで開発中の対話型AIに余計なことを仕込んでしまいまして』 「あ、あいつらは一体何をやらかしたんですか!」 『細かい事情は調査中ですが、とにかく彼らがやらかした結果、AIが自我に目覚めた挙句、世界一の萌え絵師になると主張しています…………し、嶋田さんしっかりしてください!嶋田さん!!』 ああ、前世でもこんなことあったな。遠くなる意識にどこか懐かしい既視感を覚えつつ、彼は連日の激務に疲れた精神をゆっくりと手放した。 内閣総理大臣神崎博之。かつて前世は嶋田範太郎として大いに振り回された夢幻会メンバーに、今度もまた思い切り振り回される日々なのであった。 一応終わり 562 :557:2015/01/07(水) 20 44 16 おまけ メガコーポ解説風日本説明 十大(ビック10)のトリを飾るのはAAAランクのメガコーポじゃない。史上最後の列強国家(ラスト・グレートパワー)、時代遅れ(オールド・ファッション)のやり口(スタイル)に 拘る現代の恐竜(ダイナソア)、日本国だ。 ただし、恐竜が竜と比されるように、その鱗は堅く牙は鋭い。ミツビシ、クラサキ、MCTなどなど、メガクラスの企業(コープ)を幾つも抱え込み、独自基盤(エスニックスタイル)で 千年級(ミレニアムクラス)の魔術防衛を固めている。おまけに霊峰富士には同盟者のグレート・ドラゴン「龍冥(リョウミョウ)」が腰を据えている始末。まさに他の十大を全部まとめてぶちのめせる 唯一無二の超国家(スーパーパワー)だ。 だが、奴らは巨体だ。恐竜は小さな傷に鈍い。深入りはせず、小さく手堅く動け。企業と違って国家には建前が効く。搦め手を使え、法律を駆使しろ、笑顔を絶やすな。 奴らはバカじゃない。この現代で時代遅れを貫ける力と知恵を持ち合わせている。注意と警戒を怠るな。気を抜けば恐竜に丸飲みにされるのはお前だ。 最後に忠告を一つ。例えどれだけ新円(ニュー・イェン)を積まれても、皇居(インペリアル・パレス)には手を出すな。アズテクみたく龍冥の吐息(ブレス)で都市ごとローストされたきゃ別だがな。
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/572.html
せっかく疲労を回復させていたところなのに、何故だ。 下腹部をこそばゆいようなくすぐったいような感触で、自分の意識は深海から浮上して行くのが分かる。 自分の中の時計はまだ習慣付られた睡眠時間を刻んでいないようで、不快感に見舞われながら徐々に覚醒させられる。 そんな中、やがては下腹部を液体で濡らされ始めた事も分かった。 いい歳して寝小便? そんな訳が無い。 それだったら外気に晒されて寒い思いをする訳がなく、下穿きの中が蒸れる筈だ。 それだけでなく、一点だけは熱い。 この感触が催してしまった事によるものではないのは明白な訳で。 「……っ」 「ぅー……、ぺろ、ぺろ。……ん、んん……ちゅ……」 自分の砲身に口を押し付けていたのは、航空戦艦山城であった。 自分の砲が立派な物に改装されてしまっているのは山城の所為ではない。 人とは眠りから醒める時、全身の神経に隈なく命令を送る。 男の場合そこの神経も活性化されるので結果、肥大すると言う事だ。 断じて山城の所為ではない。 「おい。何をしている」 「れろ。……見て分からないんですか」 問い掛けを問い掛けで返すな。 何のつもりだ。自室に戻って寝ていろ。 明日もまた、私もお前もやる事はある。 「ちぅ……、私を使うつもりなんかない癖に」 何を拗ねているんだ。 今日お前は出動していただろう。 演習において潜水艦を交えた艦隊が一つあったからお前に出撃命令を出した事、もう忘れたのか。 「ちる、たったそれだけ、ぺろ、じゃない……」 「いいからやめろっ」 自分は黒髪を纏う山城の頭を精一杯の力を込めた両手で押し退けた。 山城は不満気だ。 降ろされていた下穿きとズボンを直し、砲身をねじ込むように無理矢理格納する。 横に退かされていた布団も被り直し、山城から顔を背けるように寝返りを打つ。 「明日も潜水艦を相手にする事があったら考えん事もない。今回の事は不問にするからもう寝なさい」 「…………」 僅かな沈黙があった後、一隻分の重さを受けていたベッドが軋み、その圧力がなくなった事を示す。 扉が控え目に開閉の音を立てる。 山城は部屋を出て行ったようだ。 自分はその音を聞き、布団の中で大きく溜息を吐いた。 明日も仕事だ。寝なければならない。 だと言うのに、山城に付けられた唾液のお陰で砲身は一向に鎮まらず、 自分は悶々としながら再び深海に意識を落とすのに時間をかける事になってしまった。 …………………… ………… …… 次の日の晩。 自分は壮烈な既視感を覚えながら摘まむように必死に惰眠を貪ろうとしていた。 「ちゅう……、ぇる、れる、ぇうー……」 まただ。 もう少し強く言ってやらないと駄目らしい。 自分は辿々しい動きによって局部に与えられる感覚を振り払って起き上がった。 「っ!」 勢い良く上体を起こした自分の顔を見て、山城は驚いたように私の砲身から舌を離した。 その小さな舌も山城の口の中に引っ込んだ。 自分は私の砲身に添えられていた白い両手を掴み、そこから離す。 「…………」 山城の赤い目を睨んだが、山城はまるで怯んでおらずうんともすんとも言ってくれない。 山城はやはり不満そうな、よく見ると悲しそうな顔をしていた。 しかしそれは知った事ではない。 私の局部に覆いかぶさっていた山城の上体を両手を押し退ける事で下手糞な正座に移行させた。 やはり立派な物にさせられている自分の砲身の我儘もまた知った事ではなく、私は下腹部の服装の乱れを整えた。 それから私は山城にしゃんとした正座で向き合う。 「山城、少し話をしようか」 「…………」 はいとでも言ったらどうなんだ。 俯き気味に視線を落とすんじゃない。 人と話す時は目を合わせなさい。 「一体どういうつもりなんだ。私と山城はそんな関係ではないだろ」 「……近代化改装よ。これで、欠陥戦艦とは言わせないし」 山城は此方を睨み返すように視線だけを上げて戯言をのたまってくれた。 何を馬鹿な事を言っているんだ。 何が不満なんだ。 読心術なんか持ち合わせていないんだから、口に出してくれないと分からないぞ。 こう諭しながらも、自分の語気は静かに苛々が含まれて行くのが分かる。 「……提督。昨日はあんな事を言っておいて、今日は使ってくれませんでしたよね」 またその話か。 確かに考えん事もないとは言ったが、別に約束した訳じゃない。 今日どのような事があったからと言って、明日の事柄を透視できる能力がある訳でもないんだ。 「"ケッコンカッコカリ"、ってあるじゃないですか」 あるな。 頭が花畑と化したらしい上が考えた制度だ。 「昨日の演習の中に一隻、それをしていた艦がいたじゃないですか」 いたな。 元帥殿が最も気に入っているらしいあの艦は、他の艦とは練度の格が違ったな。 お前もその艦を狙うのに苦労していた。 「その艦が言っていたんです。夜は提督とこういう事をしていて、それがとても幸せだって」 演習後の情報交換の時間で聞いたのか。 その艦は一途に元帥殿に愛されているのだろうな。 ……で? その艦がそう言っていたから、自分もそういう事をすれば幸せになれる筈だと? ふざけるな。 浅はかにも程がある。 「これで二度目だぞ、いい加減にしろ。 山城の考える幸福ってのは何なんだ。自分でも分からないなら強引に私を巻き込むんじゃない」 最早怒気を言葉に込める事は抑えられなかった。 こんな形でこのような行為を強要されて、嬉しい訳が無い。 不愉快だ。 自我を持った艦娘がそうであるように、自分もまた良いように扱われていい道具じゃない。 山城は幸福になりたいのかもしれないが、これでは私が不幸だ。 人に不幸を押し付ける等、幸福がそんな汚い事の上に成り立つ物である筈がない。 「罰を与える。山城にとっての幸福が何なのか、考え直してきなさい。 相談ならいつでも受けるから今日のところは帰れ」 人差し指で私室の扉を指差しながら促す。 こうやって自分は拒絶の意を尖らせて表す。 山城は前髪で目が隠れる程俯き、一瞬右手を目元へ持っていった。 何の仕草か分からなかったが、その後顔を上げた山城の赤い目は少し潤んでいるように見えた。 気のせいだ。気のせいに違いない。 「……分かりました。迷惑かけてごめんなさい」 悲しそうな顔をいい加減どうにかしろ。 これではまるで私が悪者ではないか。 流石にここまで辛辣な言葉は口にはせず、 自分を正当化するための免罪符として心の中に縛り付けていた。 山城は、昨日より控え目に扉を閉めて出て行った。 この珍事、どう対処したら良いのだろうな。 あれだけ山城に大言を叩いておきながら、布団の中で自分はそんな自問の雨を浴びていた。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/