約 19,731 件
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/598.html
326 名前:クズ ◆MUB36kYJUE[] 投稿日:2014/12/03(水) 14 01 52 ID NtMtd7kw [1/26] 以前元カノ祥鳳が今カノ大鳳から提督を略奪する話を書いた者です。 加賀とあきつ丸で修羅場する話を書いたので投下します。 長編未完(あともう一話だけ続く予定) 軽いSM表現 提督がクズ の要素を含むので苦手な方はスルーをお願いします 1 難航するミッドウェーの攻略に海軍兵学校時代の友人Kの助言がもたらされたのは、作戦開始より二週間が過ぎた頃であった。慣れ ぬ二正面作戦、入渠の管理や戦略立てなど忙殺の極みにあった当時、提督のやつれた表情はMI攻略にあたった艦娘たちを一種の無力 感に苛ませるものであった。二重に増した気遣わしさを抱える彼に、振るわぬ戦果の報告をしなければならないという口惜しさ。また すこぶる順調な様子のアリューシャン攻略組を目にしたときの自身らの惨めさ。こと一航戦の二人は作戦開始以前にはトラウマの払拭 を目指さんと意気込んでいたために、余計に屈辱を感じているらしかった。 不幸なことには、この鎮守府の提督は普段より内心の底知れぬ雰囲気を纏っていたこと。即ち幻滅されやしないかと彼女らが不安に思 ったとして、言葉で否定したところでその杞憂を完全に払拭させることができなかったということがある。優しげな微笑も、いたわる 視線も、信頼という対人関係上の保険の心理を持っている故にむしろ辛く思われるのだった。それは薬指に契りの証を持つ加賀につい ても、例外ではなかった。 この負のスパイラルに気が付きながら、しかしどう打開もできず、ただ心労を抱え込むしかなかったその時分。先述の呉の友人より 以下の電報が舞い込んだ。 『アキツマルキカンニスベシコウロゲンテイサレル』 つと差し伸べられた救いの手。あまりに都合の良すぎる情報にまず猜疑を抱いた提督は、だが従来の戦略に手詰まりを感じているのも 事実だった。すがりつく事のできそうなものならば藁であろうが糸であろうが手繰る気になっていた彼は、ものの試しといった心緒に 彼女を執務室へと出頭させた。 果たして連合艦隊旗艦に任命されたあきつ丸の反応は、端から見ているだけでも気の毒に思われるものであった。それを伝えたとき には、ふとしたら失禁するのではないかというほど体躯を震わせる。烈風の装備を命じただけで卒倒せんばかりに唇をわなつかせ、い よいよ出撃前最後の号令を下す段ともなれば不健康な顔色を更に蒼白に染めていた。口数も少なく、自身の足先を見つめているばかり である。 執務室に整然と並んだ艦娘。数多の戦地を渡り歩いたという貫禄の漂う中に、やはり彼女の姿は異質だった。提督は瞳のせわしなく 動く彼女へ仔細にはにかんで見せ、それから労わる声音に話しかけた。 「まぁ眉唾ものの情報だからそんなに気張らなくてもいい。ただ艦戦飛ばして艦爆を落とさせないようにするだけだ。簡単だろ?」 「はい! 必ずやこのあきつ丸、期待に応えて見せるのであります!」 異常なほど燦爛とした眼に答える彼女であったが、その会話自体、微妙に噛み合っていないということにも気が付かない様子。苦笑 しつついつもの様に「無理はしてくれるなよ」と釘を刺せば、皆一斉に敬礼して、それぞれ部屋を後にする。 最後まで居残ったのは加賀であった。彼女は可憐に朱色を帯びているはずの下唇を真白くなるまでぎゅっと噛み締め、拳を震わし立 ち尽くしていた。何かを言いたげな視線を寄こすも一向に口を開こうとはせず、その睨むような目つきには混濁した感情の渦が見える ようである。 提督が知覚した心理の機微は、そのほとんどが正鵠を射たものである。陸軍の揚陸艦に旗艦の座を盗られるという屈辱と、それを是 とした提督への幻滅。かといって文句を言うには自身の立場も磐石でなく、一層それが口惜しく思われるのだろう。 彼に抱いた幻滅の情は、また彼女自身にもその刃先の向けられているものであった。苦戦はすれども、今までこのような形に役職を 解かれたことはない。 言うも言わぬも辛く、ただ目線で訴えかけるしかないのである。そういった悲哀を目の当たりにし、提督は心緒の梢に厭に生々しく 劣情を感じた。それは唾を嚥下した音が彼女に聞こえはしなかったかと、気を廻らすほどのものであった。 「あきつ丸は実戦慣れしていない。きちんと守ってやってくれな」 逡巡の後にそう口走ったのは、何も艦娘の間に軋轢の生じぬよう気を回したとか、そういった殊勝な心がけによるものではなかった。 むしろ彼女の無言の訴えを無視することによって、より悲壮を煽ろうというのだった。果たして加賀は目を見開くと、瞳を潤まし視線 を逸らす。ゆるゆると持ち上げられた左手が着物の襟をぎゅっと握り、その間呼吸も止まっていたらしい。大仰に一息いれてから、 「わかりました」 短く言った。平静を無理に装った為に、幾らか低すぎる声音となった。 ここまで健気な反応をされては、提督も吊り上がる頬を押さえ込む事ができなかった。思わず口元を手で覆ってしまい、調息にも労 をとった。その仕草を認めた加賀は途端に恨めしげな視線を寄こし、呻くように呪詛を吐く。 「そういう底意地の悪いところは嫌いだわ」 荒い語気、突き放すような言い方に滾る怒りの一端が見える。想像以上に怒らせてしまったらしいことを自覚し、提督は慌てて 「すまない」 微笑し答えた。 加賀は依然としてムスッと顔を背けるばかりである。近づき体躯を抱き寄せ、指で軽く髪を梳いた。 サイドテールの結ばれた根元が、頤の先に触れた。服飾越しの体温はいつもより熱く、どこかそこに切ない愛おしさが感ぜられた。 身をよじる様な僅かな抵抗にあいながらも無視して抱擁を続けていれば、しばらくの後むしろ自ずから背に手を回す加賀である。安 堵の吐息が鎖骨の下あたりを焼くように撫ぜ、提督はそのこそばゆさに背筋を鳥肌立たせた。 「結果が出せなくたって解体はしないから、安心しろ」 またからかう声音に言えば、肩甲骨の窪みあたりを叩かれる。遅れて鼻を啜ったらしい水音も耳朶にできて、途端に湧き出す嗜虐の 愉悦を享楽せずにはいられない。 「泣いてるのか?」 「泣いてません」 「見せてみろ」 肩を押し一尺ほど距離を開けて見ると、加賀は慌てて顔を反らす。顎に指を這わせ無理やりにこちらを向けさせてみれば、鋭く睨み つける眼の端から雫の滑り落ちるのが見えた。 含羞の屈辱に歪んだその表情が、彼の心を激しく打つ。滾る悦の奔流が、暗い欲望を掻き立たせた。彼女の精神的な弱点を嬲り遂に は落涙させるにまで至ったという征服感が、痛めつけようと思えばまだ幾らでも責め苛ませることのできるという優越感が、兎角気持 ちよくてならなかったのだ。 自身の欲情をぶつけるようにして、提督は彼女に口付けた。 突然の事に目を白黒させる加賀は、ぬたつく舌の無遠慮に侵入してくるのをただただ驚懼の心地に感じていた。疵だらけにされた心 を容赦なく締め上げてくるような、暴力的なキスである。 辛く切ない感覚に、彼女は彼の腕の中で身悶えた。割られた唇の間から漏れ出す声は、悲鳴なのか嬌声なのかもわからない悲痛さ。 だがそれでも未だ両手が背に這わされたままであるのは、つまり彼女も悦を感じているわけなのである。夜伽のたびに自身の性的趣向 をありありと剥き出しにされ、辱められる。その指教が彼女をすっかり被虐性愛の快味に順応させたのだった。 現に、貪婪にもその先を欲しているのであろう。脚は艶かしく摺り寄せられ、背の窪みを指が這い回った。意識的にしろ無意識的に しろ、少なくとも身体の方は濫りがましい欲求を滾らせているという、その証左に他ならない仕草である。 出撃号令を下してから経過してしまった時間については、もうすっかり意識の埒外に追いやられていることだった。故に執務室の戸 の開けられた音に、両者まず何故という疑問を浮かべたほどである。 「提督殿! 加賀殿が中々下に降りてこないのです、が……」 勢いよく戸を開けたあきつ丸の、頬のみるみる朱色に染まってゆくのを視界の端に捉えて、しかし提督は接吻を止めはしなかった。 無論加賀の方は水揚げされた魚の如くに激しく胸の内で暴れるが、体勢が体勢である故、顔を背ける事さえかなわない様子。執務室に はその後たっぷり十秒ほども、水音とくぐもった嬌声とが鳴り続けた。 口を離すと粘性の橋がつぅと伸び、自重で崩れてゆくのは淫らである。 「ん? あぁ、あきつ丸か。すまん、ちょっとこちらも取り込んでいてね」 唇を拭いわざとらしい声音に言いのけると、次の瞬間頬には視界の一瞬暗くなるほどの衝撃と痛みが馳騁していた。平手の一発くらい は覚悟の上、それで羞恥に苛まれる彼女を見ることができるのだから彼にとっては安い買い物なのである。 加賀はビンタを喰らわせた後、一目散に執務室を去っていった。部屋には悦の充溢した提督と羞恥と驚愕に目を見開くあきつ丸だけ が取り残され、まるで時の止まったかのような沈黙が何十秒と足元を流れ去った。 「と、時と場所とを考えていただきたい!」 帽子を深く被りなおしようやく言い叫んだ彼女は、焦ったような早足に加賀を追う。提督はとうとう堪えきれなくなると、ふとした ら床に転げまわりそうなほどに身もだえして、笑い続けるのだった。 2 午前の雑務は滞りなく消化され、ふと眺めた窓越しの海に彼女らの身を案じた時分。机上に散乱した書類を纏めつつ臨時秘書の那智 と会話をしていると、内線のけたたましいベルが鳴った。途切れた話の奇妙な間の中電飾の光る盤面を見れば、どうやら無線室からの 連絡らしかった。 「どうかしたか」 受話器を取り倦怠の滲んだ声音に言うと、その言葉の後尾に被る勢いをもって焦燥の声が飛び込んでくる。 今日当番の無線技師妖精は、普段は寡黙に草の茎を口にくわえているような輩なのであった。故にその早口から事態の切迫している らしいことだけは把握できて、彼は途端に背筋を張った。 「緊急暗号通信です!」 「誰から」 「呼出符号、ライチョウ」 「……すぐ向かう。しばし待て」 仔細顔に勢いよく立ち上がった提督を見て、那智は怪訝な表情をとった。 「どうした、司令」 「すまんがこの部屋の留守を頼む。なるべく早く戻るよ」 「……了解した」 発せられる雰囲気に気圧されて何も状況を聞き出せず、小走りに戸の向こうに消える彼を見送るしかない。長い付き合い、これだけ 語気の逼迫した彼というのを今までに目にした事は無かった。那智は一人心内に漫然とした不安を横たえらせ、心細く床を蹴った。 広い室内にぽつねんと佇立して、自身の心拍の上がった理由を胸の内に探ってみれば、そういえば今第一艦隊のいないということを 思い出す。だからこそ自身が秘書をしていたわけであるのだが、そういった状況の認識が遅れてやってくるほどに、焦燥が思惟を苛ん でいた。果たしてこのえも言われぬ不安感は、杞憂と一蹴するには真に迫るものがある。そして提督とて胸に抱く感情は同じ。 無線室に入りまず彼の目に付いたのは、肩を振るわせながら瞳を眼窩の内に右往左往させる妖精の立ち姿であった。彼は提督の姿を 視界に入れるなり幾ばくかの安堵を顔色に滲ませ、一枚の感熱紙を差し出した。 紙面の文字を追う提督は自身の予感が的中していたことを悟ると、嘆息をつく暇もなくその妖精に指示を出す。 「繋げるか」 「はい」 「やってくれ」 「……繋ぎました。どうぞ」 訓練では飽きるほどに繰り返した手順である。だがいざそれを実践する機会を目の前にすると、自身の知識に猜疑を持つような心地 となるのだった。一息の間の後、提督は意を決して口を開いた。 「ライチョウ。こちらオシノヤドリギ。無線チェック。オクレ」 「オシノヤドリギ。こちらライチョウ。感明よし。オクレ」 「オシノヤドリギからライチョウ。暗号通信を受領した。状況の説明を求む。オクレ」 「ライチョウからオシノヤドリギ。警邏任務中、貴施設へ進行中の敵艦隊を認む。艦隊規模、およそ三十。空母棲姫、戦艦棲姫を確 認。現在地北緯三十一度四十五分十二秒東経百二十八度四十六分五十八秒。女島より南東におよそ五十キロ。敵艦は定速十六ノットで 北東に航行中。およそ六時間後に貴施設へ到達。当機は監視を継続。どうぞ」 「オシノヤドリギからライチョウ。把握した。何か進展あり次第連絡されたし。オワリ」 無線のぶちりと途切れる不快音を耳朶にしながら、提督は愕然とした顔つきにヘッドセットを置いた。慢心と言えばそうである。よ りにもよって主力のいない今、まさかこの鎮守府自体を襲撃されるとは思ってもみなかったのだった。 反省など後々存分にやればいい。彼は心内に自身をそう戒めると、今やるべき事を脳内に次々列挙していった。 「何かまた通信があったら呼んでくれ」 一瞥も向けずに言い放ち、返事を聞くより先に部屋を出る。 一級、二級の艦船がいないとなれば、真正面から殴りあった所で勝てるわけもない。兎角増援を頼むことにし、そうなれば人脈のあ る自身の立場は有利だった。 執務室の戸を開けると、腕組みし苛立たしげに指を反復させていた那智が、食って掛かるようにして口を開いた。 「敵か!」 「うん。三十隻くらいだって。規模が大きすぎるから、ちょっと協力を請わなくちゃならんね」 机を回り込むのも億劫に思えて、提督は向かい側から電話の受話器を取った。打った番号は呉鎮守府、それも私用のプライベートナ ンバー、友人Kのみを呼び出す秘密のものである。 「もしもし」 随分長いコールの後、ざらつき低い熊のような声質の応答がある。 「Kか? 俺だ」 「知っている。何だ」 「手短に言うがな、うちの鎮守府に敵が迫ってるんだがこちとらALとMIに主力を投入したばかりなんだ。いちいち上を通すのも 面倒だ。この俺に免じて協力してくれ」 「……状況はわかったが、残念ながら無理な相談だな」 事情を聞き返すこともなく一蹴されるという展開は、彼にとって思ってもみなかったものであった。 「貴様、理由を言えよ」 意識せず上ったこの言葉には、大いに怒気が含まれてあって、彼は言った側から自省の心地となってしまう。一語謝るより先に、そ の心中を察したらしい。すまなさそうな調子に早口の弁解があった。 「どうやらお前は知らないらしいが、今関東の沖合で深海棲艦が大挙して進行中だ。奴さん珍しく揚陸艇まで引っさげて九十九里と 相模から首都を狙う腹づもりでね。当然もうこっちにも収集の命令がかかっているわけさ」 「このご時勢にダウンフォールか。奴らなりのMIの報復ってことなんだろうな。……だがなんで俺にはそれが知らされていないん だ」 「俺も佐世保に収集が掛かっていないってことは聞いてて疑問に思ってたんだが……お前の話を聞いて納得したよ。そっちに向かっ てる深海棲艦には揚陸艇は含まれてないんだろ?」 「ああ」 「陽動だよ。こっちの敵は上陸を目的としているが、そっちの敵はせいぜいお宅のハウスを壊しに行っている程度なのさ」 「つまり、加勢は見込めんか」 「そう気を落とすな。勝手なこと言うようだが、お前ならやれるさ。気張れよ」 「……あぁ。……悪いな」 受話器を置き、それからしばらく顔をあげることもできなかった。まずなにより、何もかも後回しに状況さえ知らせてくれない大本 営、その怠慢っぷりに腹が立った。いや、いちいち知らせる時間さえも惜しい状況なのやもしれないが、だとしても薄情に過ぎるでは ないか。胸の内に呟く呪詛は、そのまま腹底に不愉快として沈殿してゆくようだった。 机を蹴っ飛ばしたい衝動に駆られるも艦娘のいる手前流石に自重すべきで、また外面に気を遣う自身のそういった心理の動きが忌々 しさを増大させた。 提督の中に高まって行く内圧を察したか、那智は気遣わしげに声をかけた。 「断られたか」 「あぁ。陽動だからって」 「案ずるな。たかだかその程度の艦隊、私たちの敵ではない。出撃させろ」 自身はまだしも、他の艦娘には荷が勝ちすぎるということを那智は自覚していたのだった。しかし、かと言って何もしないわけには いかない。今は無き帝国での経験が記憶に継がれてある以上、たとい練度の低い艦とてそういった割り切りはできるはずだ。 彼女のこの言外の意を、提督は鮮明に知覚していた。蠢いていた怒りは砂地へ水が立ち消えになるように無くなり、後には慟哭した いほどの寂寞が心の根にわだかまった。現世において玉砕の決心をさせてしまったという不甲斐なさ。それが胸をきつく締め付け、彼 女への反抗心にとって変わってゆく。 「貴様、いつまでもそう俯いてもいられないだろう。それとも白旗でも掲げてみるか?」 「名案だけど、敵が国際法を知らないってのは問題だな。……まだ出撃はしない。全艦娘は戦闘準備を整え、待機」 「おい!」 叱咤の声に怯みもせず、彼は那智を見据えた。 「まだ手はある」 非戦闘艦、妖精のいなくなった鎮守府というのは存外に寂しいものであった。工廠に煩わしい工作機械の音も途絶え、食堂に給仕妖 精の喧騒も無くなり、日の傾きかけている時分とはいえ廓寥の心内甚だ愁いに染まりすぎている。 本棟屋上に座しているは、明石、那智、提督の三人。内、明石は自身の工具をもってして、手元に電気コードの束を弄っていた。 「できました」 げっそりと精気の抜けた声に宣言した明石は、両腕を上げ、その勢いのままコンクリの床に仰臥した。屋上の淵に沿うように全部で 五つ、探照灯が並んでおり、それらは一様に首をもたげて地平線を睨みつけていた。 「ありがとう。もう避難してもいいぞ」 「嫌味ったらしい言い方ですね!」 頬を膨らませる彼女には微笑をもってして応えた。腕時計を確認すると時刻は一六○○を回ったところ。予定を少々押してはいるが、 かといって焦燥に気分を害するほど追いつめられているわけでもなし。焦眉の急と言ってもいいほどの状況にありながら、この鷹揚と した空気の流れていることは不思議に思えた。 「車で送るよ。……先に号令かけなきゃだから、ちょっと正門で待ってて」 差し出された手にしがみつき上体を引き上げ、明石は一つ首肯した。 普段なら最終的な出撃の命令は執務室にて行われるが、今回は総力戦。主力を除いたとて、とても艦娘全員をあの部屋に押し込むこ となどできるわけもなく、一同はひとまず食堂に集められていたのだった。 那智と提督がその部屋に入ると、姦しい雑談の声は一瞬にして鎮まった。まるで同時にスイッチを切ったかのような、奇妙な連帯感 が滑稽に思えた提督だったが、艦娘たちには笑顔を作る余裕も無いらしく皆一様、黙して視線を向けてくるばかりである。 その瞳に怯えの色を湛えている者も少なくはない。遠征が主で戦闘任務は数えるほどしかこなしていない駆逐、軽巡。あるいは今回 が初めての実戦であるという者さえいるのだろう。何れは経験する事といえ戦闘処女の初めてが自身らの基地の防衛となれば、なるほ どその重圧、忖度することさえ億劫になる。 「出撃の時間だ」 この宣言は変に間が開いたために、浮ついた印象のある言葉となった。提督がそのことを一人心内に恥入っている間にも、艦娘達は 一斉に立ち上がり凛々しく敬礼して見せた。 姿勢に気後れも憂いも怯懦もない。外面には一縷の弱みも見せないという純真の立ち振る舞いが、提督の心を鬱々しくさせた。 何か言えよと那智に視線で促される。喉の中に明るい声音を作ってから、彼は口を開いた。 「情報によると敵に揚陸艇は含まれていないとのことだった。つまり敵方の目的は上陸になく、この鎮守府の破壊にあるということ だ。……出撃を命ずる立場にありながらこんなこと言うのもどうかとは思うんだがな。建物なんてのは壊されたらまた直せばいいだけ の話なんだ。いい加減タイル張りのトイレなんて不気味だし、執務室は熱がこもって馬鹿みたいに熱いし、そのせいで冷房代もかさむ し。まぁリフォームの良い機会を貰ったと考えれば、敵にやられたところで腹も立たん。 だが君たちは違う。替わりはいない。沈まれちゃ困るし悲しい。だからこっちのことは気にせず、無理だけはしてくれるな。怒らな いから危なくなったらさっさと逃げろ。兎角、自身らの身命を第一に考えるように。 では、各員に最大の成果を期待します」 答礼すると、艦娘は一斉に駆けていった。 中々に良いことを言ったんじゃないかと手前味噌に自身の言を振り返っていると、那智に眇められた眼を向けられる。わざとらしく 小首を傾げて見せれば、大仰な嘆息の後わき腹をずいと小突かれた。 「なんだ貴様、さっきのあれは」 「何って言われてもさ、何ってなんだよ」 「もっと戦意を鼓舞するようなことを言えなかったのかという話だ」 「がらじゃないし。明石送ってくるよ」 ポケットから車のキーを取り出し見せびらかすように掲げ、提督は踵を返すのだった。 武闘派の彼女からすれば小言を言いたくなるというのも分かるし、故にこれは不毛な議論となるのだった。価値観の相違に解決の手 段などあり得ない。 無能な自身が、果たして何を言えるというのか。もう幾度目かも分からない自嘲の呟きは、口の中に停滞した。 「貴様も、そのまま避難していればどうだ」 戸を抜けようかというタイミングに、遅れてそう投げかけられた。身を案じての言葉なのか弱腰な事への皮肉なのか、仔細に過ぎて 判断に迷う声音である。 「それこそ士気に関わるだろうよ」 振り返らずに返事をしたのは、その答えを知りたくなかったからだった。 鎮守府の敷地の外れ、普段は誰も寄りつかない工廠の裏側。ただ白線によって区切られただけに見えるその駐車場には、まるで自生 しているかのごとく二台のプリウスが止められてあった。ネイビー色に染められた車体は、即ちこれが海軍の所有するものであると無言 の内に物語る。 中に入りエンジンをかける。尻から伝わる振動やハンドルカバーの滑らかさ、各ペダルの抵抗。随分久しい感触に一抹の不安を抱い た提督は、しかし遅れて認知された事柄によって途端胸を撫で下ろした。佐世保の街に避難勧告が発令され、もう随分経ったのだ。今、 道路を走る乗用車などありはしないし、故に幾ら未熟な運転をしようがそうそう事故も起きないはずだ。 正門へ向かうと、警備室の壁に背を預けた明石の姿が視界に入った。近くに止めると、彼女は後ろを回り込み助手席の戸を開けた。 「待ったかな。ごめん」 視線を計器盤脇の時計に流しつつ言うと、 「ほんとですよ! 人使いが荒いんだから……」 むくれた表情に返答される。 提督の失敗だったのは、そこで会話を押し広げる事もできず無言のまま車を発進させたことだった。それは別段彼女の発言に気分を 害されたというわけでもなく、ただ言葉から連想された思考の萌芽が口を噤ませるほどの勢いを持って脳内を馳騁したのだった。 不安げな目つきに顔色を伺う彼女に気付き、提督はようやく遅れて口を開いた。 「なんだか提督職に就く奴ってのは、あくどい卑劣漢なんじゃないかと思うんだ」 この突拍子もないように思える発言に、しかし明石は自身の良心が苛まれる、じくじくとした疼痛を覚えていた。先の言葉が提督の 心緒に波紋を広げたらしい事。例えば陶器を割ってしまうだとか大事な用事のある日に寝坊をしてしまうだとか。後にはどうすること もできない類の不安と焦燥に、胸の内を焼かれる心地だった。 その彼女の心的状況を察せられぬまま、尚も彼は続けた。 「今日、思い知った。結局現代の人類ってのは艦娘に頼らないことには自身の身すら守れないんだな。……君達は信頼という頚木に 繋がれた荷馬車の馬だ。俺は君らとの仲間意識を築いて、それを盾にしてこの卑劣なシステムを運営しているんだ」 咄嗟にそんなことないですよと口走ろうとして、しかしそういった慰めの軽薄さ。先ほどまでの自身の放った言葉を前にしては余り に都合がよすぎるようで、彼女は閉口した。 単に自身の発言を取り消したり、或いは謝ったりするのも露骨に過ぎる。もどかしさと悔悟に苛まれたままなんとか言葉を捜し探し、 沈黙の痛く感じられる段になってようやく捻出かなったのは、随分つまらない文言だった。 「でも今日は、私は探照灯を散々弄れたので、まぁ満足していますけど……」 依然、提督は仔細顔を崩さなかった。 明石を避難所へと送り届けた後には急いで復路を駆け抜けて、その後はずっと探照灯の元に座り込むのであった。 宵の地平を双眼鏡越しに眺め続ける。時間の経つほどに腹底の緊張は膨らんでいった。 脇に侍らせた妖精幾匹かも提督と同様、眼前の海面を注意深く見渡すが、どこかその様子には場慣れた余裕が感じられた。つまり戦 場に赴いたことのある者と無い者との、埋めようのない溝である。たとい同じ姿勢を取ろうとも、その発せられる雰囲気には歴然たる 差があった。 妖精の向けてくる気をかけた視線が口惜しかった。自身の発する違和感は、褥を共する処女の不格好さと似たようなものなのであろ う。尊大な自尊心を備えてない提督とて、この状況には堪えるのである。羞恥が胸を苛み、どうしようもなく心を痛ませた。 どこか茫漠と感ぜられた自身の無能さが、今確信という土壌を持ってして胸の奥底に根を下ろす。甚だ傷つけられたのは、発見の報 告さえ妖精に先を越されたという事だった。 「煙です!」 しじまを裂いた声は声量自体それほど大きなものではなかったが、状況と彼の心の内に湧いていた危機感によって大仰に耳朶にされ た。言われよく地平を眺めてみれば、夜空の紺に溶け消えかかってはいるが確かに薄暗い陰のような煙が立ち上っているらしい。 「全員、位置につけ」 静かに命ずると、妖精たちは二匹ずつそれぞれの探照灯の元に向かっていった。提督もまた立ち膝の姿勢をやめ、その場に佇立する。 大したこともない役割だと自身を無理やりに宥めてみれば、今朝方あきつ丸に言った言葉が意識の表層に思い出された。偉そうな、 上から目線の労わり。途端顔から火のでそうなほどの羞恥にかられ、彼は歯噛みし眉を顰めるのだった。 次第次第に露わになってゆく戦況は、大方予想通りのものであった。後進しながら迎撃する第一戦隊、那智を旗艦に構成された部隊 であるが、艤装に手傷を負っていない者は誰一人いないほどの消耗ぶり。反面敵方に目立った損害はなく、一方的と形容してもいいほ どの状況である。 尚も提督に焦りがないのは、即ちこれも作戦の内であったからだ。 戦闘の行われている海域から幾ばくか離れた水面の稜線。そこから放たれた信号弾の輝きが、夜空を毒々しい緑色に染めた。敵の後 方にようやく姿を現した艦娘たちは、練度の低い者を寄せ集めた第二戦隊。経験と訓練がものを言う夜戦において、素のままでは到底 役立たない即席の部隊である。 無論事情も何も知らない敵にとっては、驚異として勘定に入れなくてはならないほどの頭数である。混乱に足並み乱した彼奴等を見 届け、すかさず提督は命じるのであった。 「投光!」 くぐもったモーターの音が、遠い砲撃の喧噪をかき消してゆく。夜空へ伸びた丸太のような光線は、しばし視線を泳がせた後にかっ ちりと敵に照準を合わせた。 今や挟撃の準備は整った。練度不足とは言え艦娘は艦娘。これだけの状況を整えてやれば、第二戦隊の面々でも充分に火砲を当てる ことができるはずだ。 白光が火薬の朱と煙の黒に染められてゆくのを視界に入れ、提督は今まで呼吸の忘れていたように安堵の嘆息をついたのだった。 そもそも入り江に大した援護もなく突撃する時点で、もう愚策もいいところなのである。割り当てられた敵の頭の無さに感謝しつつ、 されど容赦をするに足る理由はない。 彼奴等はさながら、定置網に掛かった魚であった。もう逃げ道は失われ、遅かれ早かれ膾にされる運命である。 無論、この作戦にも弱点はある。それは探照灯という装備の共通する、避けようのない弱み。即ち敵に本棟の正確な位置を知らせて いる挙句、しかも艦船と違い動きようもないのであった。 「よし、全員撤退!」 双眼鏡から目を離し辺りを見渡すと、命令を下すより先に妖精は我先に避難を開始していた。彼らはふよふよと高度を上げ夜空の向 こうへと姿を消したが、それは提督にとって思ってもみなかった展開であった。 つまり、一緒にこの建物の中を降りていって外に出るという行程を踏むものだと、端から思い込んでいたわけなのである。冷静に考 えてみれば、こうして宙を漂うことができる者たちに階段なぞ必要であるはずもない。独り屋上に取り残され、途端胸の内に心細さの 風が吹き、焦燥に命じられるまま彼は出口へと走って向かった。 屋上の片隅にぽんと置かれた、立方体の建屋。本棟内部へ降りてゆくための階段とその他配電管理の機械室等を内包するペントハウ スであるが、それは三十メートルほど向こうの対岸に鎮座していた。ものの数秒に走り抜けられる距離であるのに、ひたすら遠くもど かしい心象だった。 兎角、逃げねばならない。少しでも遠く安全な場所へと、強迫観念に囚われていた最中、一つ燦爛とした何かが視界の端に捉えられた。 一瞬の内に膨張したそれがつと消失した瞬間、鼓膜を裂くかのような空気の擦過音と共に、足先には猛烈な振動が伝わった。 察知は須臾の内だった。死に際に放たれた敵戦艦決死の砲弾が、那辺かは分からないにしろこの本棟を直撃した。 作戦立案は無能としても、その武まで手練ていない訳は無い。初手から目標に当てる技量の持ち主である。誤差の修正された次の砲 火は、洒落にならないものとなるだろう。追い詰められ、自身の死期を悟った精神状態ならば尚更である。 提督は危殆なる状況に、膝を震わすほどであった。 脳天を吹き飛ばされた戦艦棲姫は水面に仰臥した後、腰からゆっくりと沈んでいった。最後、助けを請うかのように伸ばされていた 腕が遂に指先まで没したのを見届け、那智はようやく安堵の吐息をつくことができた。 張りつめていた緊張が一気に緩び、血管の一筋一筋に血の流れが生々しく感じられるような心地だった。急な目眩に膝を付き、眉間 を挟むようにして揉んでいると、駆け寄ってきた駆逐艦の身を案ずる声が耳朶にされる。顔を上げ視線に大丈夫と返信したその時、思 考の敷居の下にてくすぶっていた懸案が、わっと湧きだしてきたのであった。即ち本棟の損害の具合と、提督の安否についてである。 戦艦棲姫はその身に数多の傷を負いながらも、尋常でない意志を持ってして執拗に攻撃を続けた。砲撃は五回、三連装砲から放たれ た弾の一発も当たらなかった回は無く、今や探照灯の光線はその全てが消え果てている。 急ぎ本棟に帰還すれば、彼我の距離の縮まるにつれその被害の大きさが認知され始めた。まるでカルデラの如くに穿たれた穴から、基 礎のコンクリや鉄筋がまみえる。それらは引きちぎられた血管のようにグロテスクな様相を呈しており、しかも壁の至る所にあるもの だから凄惨に過ぎる印象だった。 焦燥に促されるまま、那智は岸壁を登った。 見るも無惨に吹き飛ばされた正面玄関は、最早以前どのような趣であったか厘毛のほども思い出せない有様である。散らかされた積 み木のように瓦礫の散乱する中、その片隅に彼はいた。 ちょうど腰の高さに切り取られたコンクリ片の上、全身を灰褐色に染めた提督は憮然とした顔に座っていた。一先ず生存を確認でき た安堵と、砲撃に巻き込まれたらしことの分かった不安が、ない交ぜになって胸を締め付けた。 「おい、貴様! 無事か」 走り寄りつつ声をかけると、片手を上げて首肯する。那智は提督のその仕草に一縷の違和感を覚えたのであった。 那智とて並大抵でない艦娘である。敵の状態を見極める目は非凡の域にあり、故に彼が無意識に庇った左腕の、その仔細な動きを察 知することは容易かった。 「見せてみろ」 すぐ側に寄った後、開口一番そう言った。引っ込められるより先に左手を救い取れば、痛みに眉を顰める彼である。 「転んで挫いただけだよ」 慌てた声音に弁解があった。だがそれは彼女の屈辱をより一層煽るだけの言葉であった。 ただでさえ戦闘以前から機嫌は悪かった。加えてこの結果、幾ら作戦の内に折り込み済みとは言え、眼前の光景には勘弁ならいもの があった。本棟は大破し司令も手傷を負い、とても防衛を成功させたとは言えない状況で、しかも後者に関しては本人に隠蔽する意思が あったらしいのだ。 「折れている。歯を食いしばれ」 返事を聞くより先に、外観よりずれていることの分かる手首を叩くようにして矯正する。途端、彼は不細工な呻き声をあげ、膝を付い て地面にへばった。 「医者の来るまで添え木しておけ。……気を遣うなら端から怪我なんてするんじゃない! 馬鹿!」 胸の中にわだかまる苛々がそのまま舌に乗った。治療を名目に彼をいたぶり、正論を武装してなじっても、気の晴れることはなかっ た。自身の不甲斐なさは怒りに置換され、罪悪感を覚える余裕さえなく、那智は悔し涙を見られないように早々に踵を返した。 提督はそういった心理の機微悉くを認知できた訳ではなく、だから心の準備を整える間さえ与えてくれなかった彼女に対しては、一 抹の怒りを覚えるのだった。 ようやく痛みの波が穏やかになりだした頃合、舌打ちしつつ顔を上げると艶やかな生足が視界に入った。 「あらぁ、提督。良い格好ですねぇ」 所々破けたアンミラ服を纏い色白の肌を煤に汚した龍田は、恍惚顔にそう言った。 「……沈んだ奴はいないんだろうな」 上体を起こしつつ問うと、頬に掌を当てながら嫌味たらしく、 「ええ。派手な囮のおかげでねぇ。……これ使います?」 彼女が差し出したのは、添え木代わりにということなのであろう。折れた槍の柄の残骸であった。丁度一尺ほどの長さがあり、確か に都合は良さそうである。 頷くと彼女は自身の服、切れ目の入っていた袖口を大きく破り、更に縦二つに裂いていった。露出した華奢なかいなが、月光にまざ まざと照らされる。 何よりもまず白さが際立った。透明なアクリル板を重ねてゆくと表面は次第に白濁してゆくが、彼女の肌の色味はそれを連想させる ものであった。骨ばった肘や滑らかな二の腕、肩口の僅かな膨らみ。腕のちょっとした造形が厭に艶かしく映えて、提督は意識の埒外に 生唾を飲み込んでいた。 「眼福だぜ」 童貞でもあるまいに晒された腕ごときに欲情したことが恥ずかしく、誤魔化すように言ちた。龍田は左手を取ると、 「壊死する前に落とした方がいいかしら」 一瞥くれることもなくすかさず吐き出し、ふふふと含み笑いを零すのである。警告は無論冗談の類であると分かってはいたが、それ でも尚心臓の縮み上がるほどの語気があった。居た堪れず、沈黙するより他にはなく、結局それから彼女が去るまで何一つ気散じな会話 のなされることはなかった。 およそ無聊を感じることができたのは何時ぶりのことであろうか。仕事場を綺麗に吹き飛ばされたことによって、彼はまったく何も やることがなくなってしまったのだった。艦娘たちは皆一様に入渠施設へ押しかけており、まさか男の出る幕もない。通りを歩くものも おらず、気を紛らす話し相手もいなかった。 ただただ座って海面を眺めるしかなかった。じわじわと血の巡る度に左手は疼き、その痛みによって思惟の世界へ旅立つ事も許されな い。極めて表面的な意識の中、提督は久しい退屈という感覚にどっぷりと身を浸したのだった。 それから一時間ほどの後、海波の合間から遂に第一艦隊の艦影が見えた。 流石に座ったまま出迎えるのも失礼に思われ、提督は億劫ながらも重い腰を上げた。岸壁の淵に立って手を振れば、ますます速度を 上げる彼女達である。言いたい事聞きたい事が山ほどあるのだろう。もうその立ち振る舞いから、逸る気持ちが肌にぴりぴりと察知さ れた。 旗艦であるから当然なのだが、まず岸に上がったのはあきつ丸であった。潤む眼を拭いながら走り寄った彼女は、その勢いのまま提 督の胸に飛び込んだ。それはロマンチックな邂逅という訳でもなく、ただ感情の爆発がそのまま彼個人に向けられたというだけの仕草 であった。腕は背に回されず、鎖骨の下辺りに握りこぶしが置かれるだけ。唇をわなつかせたまま、ようやく嗚咽交じりに発せられた 言葉は、しかし支離滅裂に過ぎていた。 「せっかく、活躍できたのであります! 自分、は。……あの、せっかくいい報告ができると、思ったのに! 何か、一体なにがあ ったのでありますか! 自分。あの、提督殿、はお怪我は、されて……あぁ! 自分は!」 そこから先、もう慟哭と差異の無い文言がが吐き出されるばかりであった。帽子の上から頭を撫でてやれば嗚咽はますます無様に大 きくなってゆき、もう提督も苦笑を漏らすより他に仕様がない。人目も憚らず彼女は彼の軍服に涙を染み込ませ続け、時折昂ぶってい る心緒を示すように胸をどんと叩いていた。 ぽつりぽつりとこの惨状の経緯を話しつつ、ようやく彼女とて気恥ずかしさを覚えるほどには心に静謐を取り戻した頃合。 「なぁ、あきつ丸」 そう呼びかけてみると、彼女は上目遣いに無垢な瞳を向けてきた。即ち今の状況がいかに危殆なるものか、自覚はないということだ った。提督は暗澹たる気持ちに嘆息を吐きつつ、加賀を伺い見ながら言った。 「いい加減、勘弁してはもらえないか。裸でくっつくのは」 小首を傾げた彼女は数瞬の後、自身の格好と彼の近さ。それから背後より投げかけられる嫉妬の怒気。それら全てを同時に知覚する のだった。唯でさえ白い顔をますます青く染め上げて、慌てて振り返り、加賀に弁解を始める。 生じてしまった亀裂に関しては、今更もうどうすることもできないのである。彼はその前途に失望するばかりであった。 3 激戦の翌朝、なによりもまず急がれたのはプレハブ小屋の建設であった。本棟の修理が終わるまで、まさかずっと業務を滞らせるわ けにもいかなかった。大本営からの査察があったのは明け方四時。それから六時間の後には、具体的な作業が始まり、簡易なユニット ハウスの建てられたのは更に二十四時間後のことであった。 提督といえば左手首の治療もそこそこに、先ず査察団の接待に追われ、彼らの帰った後には作業員の説明を拝聴し、ようやく荷が下 りたのは宵も更けに更けた時分であった。 近場にビジネスホテルの部屋を取ることができたのは幸運だった。佐世保の市民は避難指示のあった翌日というに甲斐甲斐しく働き に出ているらしい。普段通りに活気づく街の光景を目の当たりにすると、心の中に不遇を嘆いていた自身というものがなにやら矮小に 思われて、提督は独り徹夜明けの緩やかな思惟の中、恥入った。 部屋に入り、まず何よりも先にシャワーを浴びた。医者から禁止されていることではあったが、髪の毛のぱさぱさとした手触り、外 に露出していた肌の何か異様なほどの滑り具合。いい加減そういった自身の状況には勘弁ならなかったのである。 左手首の固定具にはビニール袋を被せ、輪ゴムを何重にも巻いておいた。 体を滑る湯は、たちどころ灰褐色に濁ってゆく。粘度も増したか、しばらくのうちに排水口も詰まり、時々シャワーを止めないこと には水たまりのできる有様だった。 思わず「やった、泥石鹸だぜ」と言ちた。独り後から面白くなってしまい提督はしばらく哄笑したが、そんな愉快もそう長くは続か なかった。一通り煤を洗い流した後体を拭いていると、烈々たる違和感がビニールの内より沸き上がってきたのである。 心臓の鼓動と連動して、骨からじくじく痛みだした。ベッドに飛び込めば、徹夜明けから労働した体である。眠気もあるし倦怠もあ るのに、その疼痛が現実に意識を引き留め続けた。 幸い時間はあった。結局痛みの引くまで寝付くことはできなかったが、それでも十二分以上の睡眠を貪ることはできた。 霧散しかけた意識の中で、彼は加賀の姿を幻視した。思えば帰還してより今まで一言も口を聞いておらず、しかもあきつ丸のことも あった。一抹の不安が胸の内に走るも体を起こさせるまでには至らず、結局そういった心緒もたちまち霞んでいってしまったのだった。 鎮守府に帰還したのは朝方六時。門戸を抜け、まずビニールシートを絆創膏のように被せられた、痛々しい本棟の姿が視界に入った。 それから小脇、スチール壁を四枚囲い袈裟掛けに上から支えのパイプを這わした、直方体の建屋が見える。例のユニットハウスなのだ ろうが、外観はもう結構なもので、すぐにでも執務を始められそうな雰囲気を放っていた。 「あの、お疲れさまです。ちょっといいです?」 近くを通った作業服の男に声を掛けると、気だるげに小首を傾げられた。 「これって、もう完成ですか」 「まだガスと電気と水の工事が残ってるよ」 「……電気は分かるにしても、水とガスですか」 「風呂トイレ付きだからねぇ。まぁまだしばらくできないが。……そうさな、午前中には終わるだろう」 「ありがとうございます」 踵を返しつつ、提督は感心の嘆息を漏らした。たったの一日で随分なものが建つようである。 また何をするでもない時間が生まれ、ひとまずは食堂に向かうこととした。朝食には少し早い時刻だが、自身の部屋というものの無 い現状、落ち着いて座ることのできる場所さえ限られていた。 食堂は本棟と廊下によって接続された建物であるが、艦娘宿舎との距離の兼ね合いによって奥まった箇所に鎮座していたために、砲 撃の被害を受けることはなかった。本棟の周りには鉄骨やぐらさえ組み立てられ始めている様子。中を通る抜けることはできないらし く、建物を大きく迂回するしかなさそうだった。 裏手に回ると艦娘宿舎からの渡り廊下、その柵壁に肘を置く人影が見えた。漆黒の服飾と、迷彩白粉を剥いでも尚血色悪い肌。あき つ丸は憂いの顔つきに、ずっと遠くを眺めるばかりである。 「おはよう」 十歩の距離にまで近づき声をかけると、彼女は大仰に背を震わした。それから見開いた眼にしばらく提督を見つめた後、苦々しく眉 を顰めたのであった。 「ごめん。何か邪魔したか」 「いえ! そんなことは、ないのでありますが……」 歯切れ悪く視線を反らしたあきつ丸は、痛む心中を堪えるように、握った掌を胸に置いた。思えば提督の帰還する時刻は知れていた。 このような所でたそがれていれば鉢合わせになるのも当然であるのに、そういった危機感をすっかり欠いてしまっていたのは失態だっ た。 どんな顔をして会えば良いか、思案していた矢先の邂逅だったのだ。彼女は焦燥と悔悟を混ぜ合わせた感情に、目も回る心地である。 「どうかしたか?」 それとなく尋常でない精神状態なのを閲歴したか、気遣う視線を向けられた。今のあきつ丸にとって、彼のそういった優しさという ものは良心を苛む鋭利な鋏であって、大きく広げられたその刃を前にしては、とうとう勘弁ならなくなるのであった。 懺悔するかの如くに頭を垂れ、彼女は重い口を開いた。 「提督殿に、謝らなくてはならないことが……」 「何?」 「あの、昨日加賀殿が、随分荒れていたようなのでありまして……。責任は、あの、不埒な真似をしてしまった自分にあるのではと ……」 「荒れてたって?」 「慟哭の声とか、何か物を投げつけたらしいような音が部屋からしていたのであります。その、なんとお詫びすればいいのか……」 最初要領を得なかった提督は、幾ばくか思惟の廻らした後、ようやく状況の概略を掴めたのであった。 加賀の荒れていたその要因は複合的なものであるはずだ。例えば先日の作戦の無力感や、鎮守府を襲撃されたというその精神的ショッ ク。無論、あきつ丸が中破の半裸で抱きついた事への嫉妬もあろうが、のみではない。嫉妬のみによって荒れたのだという謬見によっ て、彼女は許しを請うているわけだった。その認識のちぐはぐさのせいで、彼女が何を言わんとしているのか、その知覚が遅れたので ある。 微笑ましく、健気なように見えた。この程度のことでわざわざ首を差し出しに来るのはいじらしかった。煽られた嗜虐の心根と愛お しさ、それから唐突に思い出された自身の役職への侮蔑の念が複雑に絡み合い、提督の心情は甚だ混沌と濁ってゆく。 意識の埒外に腕が動いていた。彼は彼女の髪を軽く指で梳いた後、その体躯を引き寄せ胸に抱く。 「な、何をするでありますか!」 強気な声音に咎められるも、さして抵抗がないのは不思議だった。温い体温を感じつつ、提督は思いついた言葉をそのまま舌に乗せて いった。心の篭っていない言葉だが、しかし自身でも本心が何処にあるか、それさえ分からないのである。 「お詫びにこうさせててよ」 「意味がわからないのであります! こんなの誰かに見られたら……」 「また加賀が怒る?」 「そうでありますよ! 離してください!」 自身の言葉に心情が追いついたのか、彼女その段になってようやく体を捩り出し、手を間に差し入れて距離を取ろうとし始めた。背 に回していた腕を一気に解いてみれば、彼女は勢い余って数歩後ずさる。その頬には朱が差して、目には怒りの色が滲む。 「妻帯者なのでありますから! こういうことは自重していただきたい!」 意図せず、彼女の罪悪感を払拭できたのは僥倖だった。逃げるように食堂へと向かった彼女の背を見つめ、提督は独り様々思惟を廻 らしている。 朝食に加賀の現れることはなかった。 宿舎の空母寮に足を踏み入れ、一航戦の相部屋をノックしてみれば、顔を出したのは赤城であった。彼女が逡巡に視線を右往左往さ せているのを見て、提督も大方の事情は察せた。 「無理はするなよとだけ、伝えてくれる?」 微笑を作って言えば、安堵に目を伏せ頷く赤城だった。おずおずすまなそうな顔つきに戸を閉められ、提督はどこか心緒の片隅に寂 寞の風が凪ぐのを感じた。三行半を突きつけられた時の気持ちというのは、きっとこれと似たようなものなのであろう。そう、胸の内 に独り言ちる。 臨時の秘書に馴染みの那智を起用せず、あえてあきつ丸を指名したのは、つまり当て付けであった。貴様がずっとふてくされている ならばこちらもそれなりの手に出るぞという、伝える意思の無い脅迫だった。 信頼の契り、ケッコンという終端の価値が揺らいでいるのだ。提督職への絶望が、或いはただ守られるだけの存在である人類種とい うものへの失望が、指輪と頚木の境目を分からなくさせた。果たして加賀と結ばれたままでいることが、加賀自身の幸福に繋がってい るのか。愛情を植えつけられた娘が戦地に向かうという異常を、今の提督は容認しかねるのだった。 あきつ丸を連れ完成したユニットハウスを見物してみると、感動と落胆、その両極端の感情が一斉に迫ってくるようだった。たった の一日でここまでの物ができるのかと感心しつつ、やはり簡易な構造の口惜しさもある。 まず玄関を上がると、突然すぐ目の前に執務室が広がっていた。間仕切りも靴箱もなし。ただ部屋自体の大きさは本棟の物と遜色ない。 部屋奥の壁は片隅を半間の大きさにくり貫かれており、その先にはベッドと箪笥を置いてあるだけの小さな寝室があった。 トイレ付きシャワー室は後から連結されたような格好になっており、一度外に出ないことには中に入れない。湯冷めしない時節であ るのは、不幸中の幸いだった。 「プライベートルームと仕事場の間に仕切りがないってのは、なんか厭だね。ぞっとしない」 一通り見てまわった後、執務机に腰を降ろし、まず提督はそう言った。あきつ丸も首肯したがそれは何となしに首を動かしたのでは なく、本心からまったく同意しての仕草であった。 どこか危機感がある。朝方の彼との抱擁を意識せずにはいられないのであった。無論信用はしているし、間違いの起こることはない だろうと思われたが、それでも秘書艦に呼ばれた時よりずっと不安は尾を引いていた。 こういった感情の厄介なのは、俯瞰しているもう一人の自身が、その心緒を自意識過剰だと糾弾することであった。本能的な防衛の 感と義侠的な建前とが、胸の内に激しく衝突する。 何もないまま時が過ぎてゆけば、どちらがより勢を増すかは自明である。結局執務の終わるまで、軽いスキンシップさえないのであ った。 意外な心地に受け止めていたあきつ丸は、ふとしたらその感情も寂寞であるとか名残惜しさにも置換されそうで、独り頬を熱くした。 提督には相手がいる。何か特別な情を抱く事さえ憚られるべきであるし、ましてや背徳に悦を覚えるなど不品行も甚だしい。燈りかけ た官能の熱に厭悪と恐怖を覚えた彼女は、頭を振って湧き出てきた妄想を掃ったのである。 宵もどっぷりと更けてしまい、最早夜半と言ってもいい時分。書類の背をとんと叩き、提督は立ち上がった。 「それじゃあ、おやすみ。俺、シャワー浴びるから」 「あの、戸締りは?」 「べつにいいよ。めんどくさい」 それから着替えとタオルと輪ゴム、ビニール袋を持った彼は、颯爽と執務室を飛び出してゆく。 ぽつねんと部屋の中央に取り残された彼女は、しばしの逡巡に身を固くしていた。施錠しないというのはやはり些か無用心に思われ、 だが、まさかシャワーの終わるまで待っているのもいらぬ誤解を与えかねない。 本人が良いと言うのだから、もう関知せずとも責められる謂れはない。一分ほどの思考の後、そう結論付けた彼女は、壁に掛かる鍵 束から視線を外した。出口に体を向け帰路の一歩を踏み出し、だがその時、目の前に佇立していた人影が彼女を驚懼の面持ちとさせた のである。 玄関の敷居を跨ぐ加賀は、あきつ丸を見るなり眼を眇めた。 シャワーを終えて部屋に戻ると、執務机の椅子に腰掛ける幽鬼の如き加賀があった。普段サイドテールに纏められている髪も、今は ただ無造作に下ろされているだけ。うなだれたまま視線さえ寄越さず、膝の上の両手を見つめている。もしかしたら左手の薬指を凝視 していたのやもしれないが、本人以外には知りえないことであった。 何と声を掛けるべきか提督は判断しかねていた。別段喧嘩をしていた訳でもないのに、言いしれぬ気まずさが胸を締め付けるばかり。 下手な慰めは、寧ろ相手を辛くさせるだけである。無力感、自身の無能さへの屈辱というものは、提督とて経験した事だ。故に頭に 浮かぶ文言悉く口走ってはならないものだと裁定できたし、また何を言い掛ければ楽にできるのかも分かり得ないことだった。そして また、自身のそういった甲斐性の無さに失望してしまうのである。 どれほどか経ち、先に沈黙を破ったのは加賀だった。 「何も、何をすることもできなかったわ。私」 自嘲を吐く女性に向かってその言を否定するのは、こと気の置けない間柄であるならば、必ずしも正解の一手にはなり得ない。内心望 んでいる言葉を導く為の回りくどい布石であると、そう判断するのは早計に思えた。提督には、まさかあの加賀が矜恃を投げうち、浅 ましく女々しい手段に出るとも考えられなかったのである。 「どういう意味?」 彼は探り探り、問うた。 「ミッドウェーを攻略できたのは、あの陸の娘のおかげ。私たちだけでもっと早く攻略を済ませられたなら、鎮守府が壊されること もなかった。あなただって、怪我をしないでいられたわ」 唐突な懺悔にはあざとさを感じた。もしの話をする無意味さを、解していない彼女ではないはずだった。真意を測りかね、苛々が腹 底に沈殿してゆく。だがその後すぐ、ゆったりと向けられた彼女の視線によって、提督の疑問はたちまち氷解に至る。 彼女の瞳は怯懦を片隅に控える一方で、切望に燦爛としているのでもある。それを見、彼は彼女の今までの葛藤全てを閲歴したよう な心地となった。自身に求められている慰めが如何様なものか、ようやく知覚できたわけである。 それが勝手な思い込みでないことを証明するため、彼は加賀の側にまで近づくと頤をぐいと無理やり上向かせてみた。果たして示さ れた反応は従順なものである。視線を逸らし、唇をほんの僅か開いていた。諦観を装った渇欲が、表情の端々に滲み出た。 荒々しく唇を押し当てると、歓喜の悲鳴が耳朶にされる。自身の予測のまったく正しいことが分かり、提督は独り安堵と憂鬱を覚え ていた。つまり加賀の望んでいた慰めの実態は、辱めることによる懲罰であったわけである。 寧ろ自身が謗られるべきであるのに、罰を与えるのは躊躇われた。だがつまり同時にそれは、懇願を無碍にできる立場にもないとい うことなのである。唯でさえ役に立たない役職にあるのだから、彼女を慰藉する役目くらい全うせねばなるまい。キスに没頭しつつ、 提督はそう腹を据えざるを得なかった。 呼吸の暇も付かせぬほどに、彼女の口を嬲り続けた。舌根の吸われる度漏らされる声は、苦しげに切なく震えていた。 唇の端から漏れた唾液が顎の線を滑るまでになって、ようやく彼は体を離す。見れば酸欠と悦楽に表情を蕩けさせ、肩で息をする彼 女であった。 「脱げよ」 見下ろし、乱雑に言い放つ。加賀は狼狽に視線を滑らせながら、か細く赦しを請うた。 「こんな、場所では……。せめてベッドに」 「無理ならいいよ。別に」 一歩距離を開けると泣きそうに眉を歪ませ、彼女は提督の裾を摘んだ。 「わかり、ました」 手を引き立ち上がらせ、肩を押して突き放す。ぞんざいな扱いをする度、提督は罪悪感に苛まれ、己の行為の正当性を猜疑せざるを 得なくなった。加賀は口答えせず衣服に手を掛け始めており、意の合致している事は明白なのだが、恥辱に唇を噛む彼女の姿を見ると 心が締め付けられてならなかった。 髪を下ろした加賀は幾分か、普段より幼げな印象となる。馴染みの服の、全て床に落ちた今では年頃の女学生と見紛うばかりであっ た。鎖骨の凹を、はらりと毛先が叩く。 時々躊躇いの視線を寄こす彼女には、黙し嘲りの目を向けてやった。度に体躯をびくつかせ、おずおずと脱衣を再開するのは健気だ った。 普段より夜伽では被虐の立場になる加賀は、無意識的に羞恥を鍵として情欲を滾らせるようになっていた。明るい中ストリップをする のは初めての経験である。故に胸底の切なくなるほどの興奮が享楽され、提督の心情とは裏腹、辱めに悦びを見出していた。 ついに裸体を晒した彼女への、提督の指示は冷淡である。 「自分でやれ」 幾ら自身から求めた事といえ、その言葉は酷薄に過ぎる印象だった。加賀は抗議の声を上げようとするも、彼の仕草、その意図を察 した途端に寧ろより劣情を充溢させる。 提督は左手を差し出し、 「動かせないからな。仕方ないだろ?」 そう言いのけたのだ。 それはこの被虐の感の根源であった。自身の罪を視覚的に象徴する、服従の頚木だった。 裸である事の心細さがこの諦観の悦楽と合わさって、具体的な贖罪という目的が意識の表層に顕れた。目尻より零れた涙は悲観のそ れではなく、寧ろ昂ぶる悦のものであった。 「……はい」 震えた声音に、加賀は言う。 既にそこは濡れそぼり、指が動かされる度水音の跳ねるほどであった。左手の人差し指を噛みなんとか声を堪えようとするも、荒い 息遣いに混じって喉の震えは外へと漏れ出す。 「んっ……ぅぁ……」 我慢しきれずに漏れ出してしまう嬌声への羞恥が、何よりも胸を苛んだ。無論、自慰を見られているだけでも相当に辛いのであるが、 自分のものと思えない声を耳朶にした時の恥ずかしさというのは殊更、屈辱なのである。 生きたまま膾にされるような心地だった。快楽が体全体を突き抜ける度、その無意識の震えが自身の淫らさの証に思え、嫌気を覚え るのもまたしかし、悦楽と認知されるのである。同時に先の自嘲の心緒は性的なそれへと置換され、痛められれば痛められるほど癒さ れてゆくのだった。 落涙は止め処なかった。嗚咽交じりの喘ぎ声は、よほど無様に思われた。手折られ、踏み躙られた心の疼きが、もう性的な快味に直 結している。 終端はものの数分の内に到来した。 「も、もう駄目っ……です。んっ、ぁぁあッ!」 一際大きく体をびくつかせ、加賀はその場に頽れる。荒い息をつき、しじまに自身の喘ぎの響いた事へ羞恥を感じる余裕もないよう だった。 絶頂の余韻に、もう数刻前の自責も立ち消えになる。快楽に侵され蕩けきった微笑には、一片も昏い所は無かった。 放心していた加賀は、床の冷たい心地よさに意識を向けるばかりであった。だから何時の間にやら提督が背後に立っていたこと、そ の気配を察するのもあまりに遅く、今更危殆なる感覚を得たとてどうしようもないのであった。 背を突かれ、腰に手が這わされる。 「待って! まだ、待ってください提督!」 柄にもなく叫ぶようにして言うも、四つん這いの体勢にされては碌な抵抗もできなかった。加賀は容赦なく自身に進入してくる彼の 感触に、背筋も凍るような、莫大に過ぎる悦楽を無理やりに享受させられたのであった。 「い、いやぁッ! 待って……ていと、くっ……んぅ! ぁあっ、ひぐっ……ぅ」 振り乱した髪が背筋の窪みをさらさら滑り、肩口を落ちた房、その根元からはうなじの生毛が垣間見えた。肘の頽れる度、軽く尻臀を 平手に叩くと益々嬌声は大きくなった。 湿潤な感触が、彼女の興奮を生々しく伝播させる。眩暈にも似た快楽の中で、しかし提督は頭の芯に冷たい思惟を残していた。 彼女は慰められたのであろう。自責の念を性の悦びに塗り潰し、幾らかは救われたのであろう。だが一層、自身は胸の内に悔悟を沈 ませるばかりであった。不満とまではいかない僅かな苛立ちが、この陵辱の行為に転化されていった。 最初は彼女のためを思っての演技であった。今はもう、自身が虚偽の仮面を付けているのかどうかさえ分からないような有様だった。 暴力性に促されるまま提督は加賀を犯し続け、煮えた思考も何も情動の灰色に染まりきると、征服の証を吐き出しつくす。加賀の、 何度目かの絶頂の嬌声を聞きながら、提督は湧き出す自己嫌悪に眉を顰めた。 空母寮にまで加賀を送るその中途、つと気が付いたことがあった。傍らに彼女を連れた状況には詳細を確認できないその事実。否、 まだ予測としか言えないほどのか弱き事柄だが、提督の心はたちまち厭悪に揺れ動いた。 酷使してしまった加賀の体を労わる、その表面的な優しさは維持したまま、しかし思惟はすっかりその事だけに占有されてしまった のだった。別れのキスの最中さえ、考えに耽っていたほどである。加賀の背が戸の向こうに消え果るのを見届け、提督は憮然と踵を返 した。 寮の出入り口近く、厠の脇に彼は立った。 夜半の静けさの中に身を浸せば、たちまち予測の正しかったことが分かった。今このトイレの中、尋常の目的外に身を潜ませる者が ある。 おそるおそるといった風にひょっこり身を出したそれは、提督に気が付くこともなく自身の部屋への帰路を歩みだした。 「おい」 最低限の声量に呼びかけると彼女は大仰に背を震わせ、勢い良く面を向けた。色白の肌に、漆黒の服飾。この寮には似つかわしくな い小柄の体躯から、既に彼女が誰であるのかは察していた。そしてそれは、まったくぞっとしない予測を正しいものと裏付ける、何よ りの証左でもあったのだ。あきつ丸は眼を大きく見開いたまま、ただ硬直するばかりであった。 苛立ちを隠しもせず、歩み寄る。途端身を竦ませる彼女の細い腕を乱雑に掴み、提督は寮の出口へと向かった。 「い、痛いであります! 提督殿!」 流石に気を使ったのか、彼女が抗議の声を上げたのは外に出た後だった。無論懇願を聞き入れることは無く、彼は彼女の体躯を適当 な壁に押さえつけた。右手を顔の脇に置いて眇めた眼に見下ろせば、狼狽と恐怖の表情は益々その色を濃くしていく。 「お前、何時から見ていた」 あきつ丸の口から、短く小さい悲鳴が漏れた。 提督は嘆息を吐くと、彼女を侮蔑の視線に見据えた。この娘への憎々しさが、体中を遮二無二渦巻くようであった。よりにもよって あんな無様を、自身のこともそうであったが何より加賀にとっても堪えられない屈辱であ る筈だ。 慰めの為の睦みを第三者に見られるという含羞の怒りに、提督は苦々しく歯噛みする。 「あ、あの……提督殿」 「答えろ」 「ち、違うんであります。見る気はなかったのであります! ただ、あの……加賀殿と提督殿のことが、気になって……それで、隠 れていたら、あの」 「最初からずっとか」 「ぅ、その……申し訳、ありません」 壁を殴りたい気分であった。流石にそれを自重するだけの理性は残っていたが、代わりに意識の埒外から呪詛が零れだしていた。 「見損なったよ」 顔を見ることさえ勘弁ならず、提督は踵を返した。 ずっと、鎮守府を壊され時よりずっと引き摺っている惨めさがかつて無いほどにまで膨れ上がり、もう頭を破裂させそうなほどだっ た。自身は汚辱の極みにある人間なのだと、卑劣で無能なクズだと自嘲するたび、怒りの念が際限なく腹の内側をのたうつのだ。壊さ れた本棟や、加賀の切望に揺れた瞳、そしてあきつ丸の怯懦の表情がチカチカと目の前に燦爛とした。 振れた情緒の嵐の中で、彼はただ帰路の事だけを考えようとしたが 「提督殿!」 背後より迫る彼女の呼びかけが、無慈悲にもそれを妨げた。 無視しようと足を速めるより先、行く先に回りこむ彼女であった。 「提督殿! 待って欲しいのであります!」 「帰れ」 「あ、あの何とお詫びすればいいのか、分からないのでありますが……。その本当に悪気は無かったのであります! ただ自分は、 無用な事とは分かっていたのでありますが、しかし心配でもありまして……」 「帰れ! いいから帰れよ!」 荒らげた声が静寂を裂き、だが数瞬の後にはまた蕭々たるしじまに立ち戻る。たかだかこの程度のことで、年端もいかない娘に怒鳴 り散らす自身。それを俯瞰した気になって、益々提督は惨めさに胸を締め付けられた。 「ゆ、許してほしいので、あります……っ」 とうとう嗚咽を漏らし始めたあきつ丸は、彼の腕に縋りつくと落涙もそのままに懇願するのだった。 「なんでもするのであります。許してくださるならなんでもしますからぁ……っ。ぅぁ……ごめんな、さい。提督殿、どうか……」 「なんでもするのか」 「はいぃ……します! しますから、どうか……」 強引に唇を重ねたとき、だが確かに提督の心の梢には慰安の風が凪いだのだった。逃げる舌を掬い取り嬲り啜る度に、その狼狽の声、 反射的に捩られた体、反応全てに愛おしさを覚えるのだ。 十秒二十秒と経ち、彼女の方からもおずおずと舌が差し出されるに至った。互いに真意など読めはしない。だが共有された悦楽は確 かに二人を結び付け、また不貞の背徳を意識するような段ともなれば、もう行為に歯止めは利かなかった。 〈続く〉 → 提督×加賀・あきつ丸15-472 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/155.html
目の前にある残り資源の報告書に鬱々と頭を抱えながら決済をする。 原因は最近着任した目の前にいる艦娘だ。 「これ、しばらくの間まともな作戦行動が取れないんじゃない?」 「誰のせいだ~!!!」 そう言いながら机を飛び越え、細身の体の割に豊満な胸に向かって手を伸ばす。 ガシッ! 「oh…」 「念のため確認するけど、今私の胸を触ろうとした?」 ギリギリ……こっちの腕を掴んだ手に力が込められる。 「……hai、スミマセン」 「もしかしてしょっちゅうこういうことしてるの?」 「……たまに」 「ふふっ、面白いわね。そうことなら私から仕掛けてもいいのかしら。ね? 提督」 「hai! すいませんでしあ……へっ?」 「あら、そういうことしたいんじゃなかったのかしら?」 「えっと……その」 「どうなの?」 「……はい、したいです」 「うふふ…素直なのは嫌いじゃないわ」 そう言うと彼女はこちらの手を離した。 「あら、何もしないの?」 戸惑うこちらに彼女は無防備な姿勢のまま挑発的な視線を投げかけてくる。 「押忍!失礼します!」 気を取り直して……(むしろノリで触ってぶっ飛ばされた方が気が楽だったのだが)胸に手を伸ばす。 たっぷりとした重みと柔らかな弾力が手のひらに跳ね返ってくる。 しばらく思いのままに揉んでいると彼女の顔色が微妙に赤らんでいることに気づく。 さっきの意趣返しではないがもうちょっと恥ずかしい思いもさせてやりたい。 そう思い…… バッ 「きゃっ!?」 短めの上着を跳ね上げると下着に覆われていない乳房が視界に飛び出す。 間髪を入れずその先端に激しくむしゃぶりつく。 チュルッチュパッレロレロレロチュゥゥゥゥゥ! 「あっ!ンンッ! ちょ、ちょっとがっつきすぎ……あんっ!」 いきなりの刺激に彼女もびっくりしたようでびくりと体を跳ね上げる。 そのまま床に押し倒し、口と手で両の胸を激しく責め そして空いた手でムッチリとした太ももの付け根に手を伸ばす。 抵抗をほとんど見せずに彼女はそれを受け入れる。 わずかに湿っているそこを指で丹念になぞり続けるとやがて奥から徐々に愛液が流れだし、指に絡みつく。 「あぁっ、うん、そこ…気持ちいい……んっ!」 濡れた指でクリトリスを刺激してやると蕩けた表情でこちらにそんな言葉を返す、かわいい。 十分に濡れそぼったそこを早く味わいたくて慌ててズボンを脱ごうとする、が ゴン! 「イテッ!」 脱ぎかけのズボンが足に絡まりこけてしまう、俺カッコワルイ。 「あはは! 大丈夫よ、私は逃げないから」 そう笑う彼女から気恥かしさを隠すように覆いかぶさると彼女はコクンと頷いた。 ズブズブズブ……プチッ 「……ッ痛ぅ……!」 「え?」 その感触と反応に我に返る。 「は、初めて……か」 「……そう……よ。悪い?」 「い、いや……でも、なんで?」 そういえばよく考えたら行為をしていたのはほぼこちらで、彼女は何もしていない。 なんで? 自分みたいなやつを初めてに選んだのだ? いろいろな『なんで?』が頭の中をかけめぐろうとした時 彼女は言った。 「『今の私』の初めては『あなた』にしてもらいたかった。それだけよ」 その言葉で理性が切れる。 まだ痛みが伴うであろう彼女の膣を貪るように腰を振り、何度も何度も奥に腰を打ち付けた そして呻きとも喘ぎともつかない声を発し続ける彼女の中で一気に達した。 荒い息を整えながら今更ながら乱暴にしてしまったという後悔を抱きつつ 「だ、大丈夫か?」と声をかける。 「全然大丈夫じゃないわ。全くもう、乱暴なんだから」 「スマン」 「最後の方はちょっと気持ちよかったけど、提督だけ気持ちよくなったっていうのはちょっと不公平よね」 「え?」 ニヤリと笑うと彼女は引き抜かれた肉棒に舌を這わせ始める。 「ちょ!初めてなのになんでそんなこと知って!?」 「元の軍艦の中なんてこんな話ばかりする人がいっぱいいたのよ、イヤでも覚えちゃうわ」 そう言いながら頑張って立たせようと懸命に舌を這わせている。 動作は拙いが一見好きのなさそうな彼女がこんなことをしているのを見て興奮しないわけがない あっという間に肉棒はガチガチになってしまった。 「じゃあ…いただきます」 ズブズブズブ… こちらに跨った彼女が腰を落とすと音を立ててそれが中に飲み込まれていき 危うくそれだけで再び射精してしまいそうになるがなんとか堪える。 慣れない状態で動く彼女に合わせてゆっくりと腰を動かしてやると お互いの結合部がぶつかりパチュパチュという水音が室内に響く。 「あっあっ……提督……私、そろそろ……くぅっ!!」 「こっちも……そろそろ無理だ……出すぞ!!」 お互いにラストスパートをかけ、激しく腰を動かしながら下から胸をつかんで絞り上げる。 その瞬間膣内がギュウゥゥと肉棒を締め付け、その刺激で今日二回目の精が中に放たれる。 「ふう」 「あら、余韻に浸っている暇なんてあげないわよ?」 「へ?」 「言ったでしょ? 私からも仕掛けていいのかしらって」 「え、ちょ」 「じゃあ提督、最後まで頑張りましょうね♪」 「イヤァァァァァ!!!」 ───ちゅんちゅん 「パトラッシュ……僕はもう疲れたよ」 「西洋の童話だったかしら? それ」 一晩中全く休まず精を絞り尽くされ、息絶え絶えの言葉で放った言葉は軽くいなされてしまった。 「ああ……というか、な。ここまでしておいてなんだけど、どうして俺がよかったんだ?」 「ああ、そのこと?」 している最中に浮かんだ疑問 それをここで蒸し返すのは無粋なのかもしれない。 だがどうしても聞いておきたかった。 「短い時間だったけど、それなりに報告書に目を通したのよ? 全く……私みたいな軽巡を迎えるためだけに武蔵を迎える時以上の ヘタをすれば戦艦100隻じゃきかない資源を消費して おまけに過労の娘達からの苦情もちらほら」 「あー…まー…うん」 「でも誰も轟沈させなかった」 「ああ……それだけは、な」 「自分のためにここまでされちゃって、おまけに絶対に味方を護りきって見せる人なんて 好きになっちゃうしかないじゃない」 そう言うと悪戯っぽい笑みを浮かべた顔をこちらに向ける。 彼女を迎えるためにとった行動は(メタ的に言えば)単なる独りよがりの欲望に過ぎなかったのかもしれない。 それでも彼女はそのことを感謝し、好意さえ抱いてくれた。 「なら、俺も好きになるしかないな」 「あら、別に好きってわけじゃなかったとか?」 「あらためて、というわけさ」 そう言いながら彼女の体を引き寄せ唇を奪う。 お互いの鼓動が聞こえるくらい体を合わせ、しばらくその甘い時間を楽しんだ。 そして普段のキリっとした顔ではなく、どことなく優しさを感じさせる顔でこちらに微笑みかける彼女に向かってこう言った。 「これからもよろしくな、”矢矧”」
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/112.html
「んもぅー、ギリギリまで一緒にいたいのに。あなたも、一緒にお休みする?」 「…」 意味深なセリフを吐く目の前の少女…いや『艦娘』に内心ため息をつく。 「…馬鹿なこと言ってないで、さっさと入渠してこい」 「司令官ったら、つれないわねぇ…うふっ」 ゆっくりとした足取りで執務室を出て行く駆逐艦娘を見送り、俺はドサリと椅子に腰を下ろす。 …まったく、何を考えているんだか。 何の因果か艦娘達を指揮して未知の敵「深海棲艦」を叩く「提督」となって、はや数週間。 新米提督の俺には彼女…如月のような駆逐艦娘でも貴重な戦力であり、初期に出逢った縁もあって思い入れもそれなりにある。 見た目に反して(と言っては失礼かもしれないが)秘書としてはそれなりに有能なので、未だに秘書艦を務めてもらっているのだが 彼女の言動には未だ掴みきれないところがあり、慣れないのだ。 …いやまあ、正直に言ってしまうと、あの思わせぶりな態度にいちいちドキマギしているだけなのだが 中破姿であんな事言われたら嫌でも反応してしまう。ただでさえ目の遣り場に困るのだ。 俺だってあれが信頼ゆえの冗談の類だということはわかっている。 わかっているが、淡い期待をしてしまうのが男という生き物なのだ。 「…はぁ」 本日何度目かわからない溜息をついて、次の攻略目標を確認する。 「製油所地帯沿岸」。 まだ近場とはいえ、そろそろ敵の戦力が本格的に充実してくることが予想される。 俺にできるのは、鍛錬の計画を立ててやることと、艦娘の報告を元に手持ちの戦力で攻略方法を模索することだけ。 一緒に戦ってやることができないのは歯がゆいが、俺なんかが戦場に出ても邪魔なだけだろう。適材適所というものがある。 とにかく、ここを抑えれば燃料の調達に一定の目処が立つだろう。 資源はどれも不足しているが、特に燃料不足は我が鎮守府において喫緊の課題である。 うちの戦力も充実しているとは言えないが、一応俺なりには鍛錬を積ませたつもりだ。 ベストメンバーをぶつけて、あとは上手くいくようここで祈っているのみだ。 ******************************************************************************************************** 「…まさか、これほどとは」 提出された報告書を眺め、俺は顔をしかめていた。 大破2、中破2、小破1。撃沈艦こそ出さなかったものの、惨敗である。 初めて確認された深海棲艦。暫定的に「ル級」と名付けたそれは、既存の深海棲艦の火力を大きく上回るものだった。 おそらく戦艦クラスだろう。このような近海に出現するとは… 今までは比較的楽に進めてこれただけに、ショックは大きい。少々楽観視が過ぎたようだ。 「すみません司令官…私の力及ばず…」 報告書を提出した如月もまた、手ひどくやられていた。 「いやー、やばかったやばかった。ありゃあかなりの強敵だねぇ」 「gkbrでしたよ、ご主人様ぁ」 「水上爆撃機での攻撃も、ほとんど効果ありませんでした」 「やはり私達のような軽巡や駆逐艦だけでは力不足なのでしょうか」 「…かもしれないな。ともかく、対策を考えておく。 皆、ご苦労だった。損傷を受けたものはすみやかにドックに。今日はもう休んでくれ。 …あー、如月は修復後、執務室に来るように」 「…! は、はい…」 全員の修理が完了するのは、まあ3時間後といったところだろう。 消沈した足取りで出て行く皆を見ながら、どうしたものかと考えあぐねる俺だった。 「司令官。如月、参りました」 「ん。入ってくれ」 ガチャ、とドアを開けて入ってくる如月。まだやられたショックが尾を引いているのか、やはりいつもより元気が無い。 「修復は完了したか?」 「…はい。問題ないです」 「うむ、良かった。お前が一番やられていたからな、心配だった」 「は、はい。申し訳ありません」 「はは、別に責めたわけじゃないよ。ドックの妖精さんにお礼を言いな。…で、次回の作戦だが」 「っ!」 ビクリと肩を震わせる如月。 「…ん、どうした?」 「い、いえ…」 「そうか?…コホン、製油所地帯沿岸の攻略にあたってだが、対策として…まあ対策と呼べるほどのものでもないな。 鍛錬を積み、挑むだけだ。目標として、今回攻略にあたった全員を改造できるレベルにまで引き上げる。 特に北上と千歳は、改造することでかなりの強化を期待でき―どうした?」 「え…?」 如月は呆然とした面持ちでこちらを眺めている。 「い、いえ…あの、より強力な艦の採用は考えないので?」 「うむ…俺も考えたんだがな。建造、運用ともに我が鎮守府の台所事情ではちと厳しくてな。 今のメンバーを強化する方針で行くことにしたよ」 「…」 「…と、いうのは半分建前でな」 「え?」 「正直なところ、俺は今のメンツにはそれなりに愛着があるのだよ。もちろん今後限界が来るだろうが、 それまでは頑張れるところまで頑張ろうと思っている」 「では、私を呼び出したのは…?」 「何を言ってるんだ、君は俺の秘書艦だろう?今後の予定を把握しておく必要があるじゃないか。皆に伝えておいてくれ」 「…」 「…あー、本音の部分は伝えなくていいぞ、こっ恥ずかしいからな」 「…は、はい!では、失礼しますっ…」 ドアが閉まる音を聞を聞きながら、俺も今日のところは切り上げることにする。 そういや、今回は如月のセクハラ…もとい、社交誘惑(と勝手に名づけた)は無かったなぁ、などと考えながら 風呂に入るべく執務室を後にしたのだった。 ******************************************************************************************************** 次の日から、地道な鍛錬の日々が始まった。ひたすら近海の雑魚達を虱潰しに潰して回るのだ。 漣からは「ああ、ファンタジー北島ですね」などと言われたが…正直意味がよくわからなかったので適当に相槌を打っておいた。 まあ、時間がかかるのは否めないが、今のメンバーでいくならこれがおそらく最短ルートなのである。 そうこうしているうちに千歳が改造可能になり、その副産物である甲標的を同じく改造した北上に載せると効率は飛躍的に上がった。 もちろん彼女らにずっと付き合っている他のメンバーも着々とレベルを上げ、ついに全員が改造済みとなった。 「…ふむ」 俺はその旨を報告する報告書を満足気に眺め、それを持ってきた如月に目線を向けた。 「うん、ここまで強化すればなんとかなるだろう。如月、ご苦労だったな。皆にも伝えてくれ」 「は、はいっ!」 いよいよ明日、リベンジを決行する。如月も緊張しているようだ。 「できることはだいたいやった。あとは君たちの頑張り次第だ。期待しているよ」 「はい!で、では、失礼します…」 「ははは、そう気負うな。何なら添い寝してやろうか?」 「! お、おやすみなさいっ」 「ああ、おやすみ」 パタパタパタ…がちゃん。 うん、意外に可愛い反応するじゃないか。今までやられっぱなしだったがたまにはやり返すのもいいだろう。 そういえば最近は社交誘惑の頻度も落ちてきており、無ければ無いでなんとなく寂しい気もする。 まあ忙しかったしな。疲れていてはそんな余裕もあるまい。 俺も明日に備えて早めに休むとしよう。 ******************************************************************************************************** いよいよ翌朝である。埠頭にて、出発前の艦娘たちへの激励。 「えー、ごほん。本日はお日柄もよく―」 いやいや、なぜ俺が緊張してるんだ。 「ごほんごほん。えー、今日こそは諸君らの練度を見せつけるときである。 ル級は手強い相手だが、レベルが倍になった諸君らは十分対抗できると私は信じている。 各員の奮闘を期待する」 「はいっ!」「はーい!」「はい…」「はーい」「うーい」「はっ!」 「あー…最後に一つ。帰ってくることが最大の戦果だ。そこを忘れないように。以上」 「「「「「「「はい!」」」」」」 鍛え上げた艦娘達を送り出したあとは俺にできることはない。せいぜい執務室をそわそわと歩きまわるぐらいである。 近海なので結果はすぐ出る。その時を待つのみである… やけに長い午後が終わった。待ちきれず暮れつつある埠頭で待つ俺のもとに、ついに艦隊が帰投してきた。 「提督、第一艦隊、ただ今帰投しました!」 しかし、帰投の報告をしたのは長良であった。旗艦はもちろん如月だったはずである。 どくどくと跳ねる心臓を抑え、なるたけ平静を装って長良に声をかける。 「ああ、ご苦労だった。戦果と損害を報告せよ」 「はい。我が艦隊は製油所地帯の敵の排除に成功。次のエリアに進軍可能です。 損害ですが…」 どくん。 「―大破1、中破2。如月の損害が特にひどく、撃沈は免れましたが辛うじて浮いている状態です。 航行不能のため神通が曳航しており、到着は今しばらく―」 その後の長良の報告は耳に入らなかった。 練度が足りなかったか。慢心だったのか。いや、いくら練度を上げても損害をゼロにすることはできない。 しかし敵の火力が高いことはわかっていたはずだ。「愛着がある」程度の理由は艦娘をひどく傷つける結果となっても正当化できるのか。 自問自答が頭の中をグルグルと回り、後悔の念が押し寄せてくる。 「…わかった。よくやってくれた。損傷を受けたものは、すみやかにドックに入りなさい。その後はゆっくり休んでくれていい」 「はい、分かりました…あ!神通たちが到着したようです!」 「!」 急いで港の方を見ると、神通と彼女に手を引かれている如月がちょうど入港するところだった。 「神通!」 「提督!如月が、如月が…」 涙目の神通から、ぐったりとしている如月を受け取って抱き上げ、そのままドックへ走る。 「あ…司令…官…」 「! 大丈夫か、如月!」 「わが艦隊、は…やりましたよ…私も…ううっ」 「今は喋らなくていい、すぐに入渠させてやるからな…妖精さん!」 ドックに駆け込み、周りで飛び跳ねているドックの妖精さんを呼び集める。 「こいつを…早く直してやって下さい!」 「はーい」「またひどくやられましたなー」「まあ、なんとかなるです?」「しすてむじょう、ておくれはありえませぬゆえ」 「…っ、お願いします!」 ******************************************************************************************************** ドックの妖精さんに託したら、もう俺にできることはない。執務室に戻り、如月の修復を待つ。 当然仕事など手につかず、悶々とするしかできなかった。今日初めて自覚した、俺の中での如月の存在の大きさ。 艦娘とはいえ、あんな小さな娘に無理をさせてしまった。もう少しで俺は彼女を失うかも知れなかった。 その恐怖と己の愚鈍さへの自責の二重苦に苛まれ、どれだけ経っただろうか。コンコン、という控えめなノックの音に顔を上げる 「… 如月です」 「! あ、ああ、入りなさい」 「司令官…ご、ご心配を、おか、お掛け…」 「…かった」 「え?」 「よかった…帰ってきてくれて…」 「ああ、あのあの、司令…!?」 俺は思わず如月に駆け寄り、抱きしめながら泣いていた。 俺の腕の中にすっぽり入るほど小さく、そして温かい。 ここにいてくれることに感謝しながら、俺はいつまでそうしていただろう。 「あの…ご報告を…」 「あ、ああ…」 報告なら長良から受けたが、正直あの時は動転していたのでほとんど聞けていない。 何より如月から聞かないと、報告を受けたという実感が湧かない。 「わ、我が艦隊は、製油所沿岸にて敵主力艦隊を発見。前回の接敵時と同じく、戦艦『ル級』を確認。交戦状態に入りました。 戦闘の結果、敵艦隊の撃滅に成功。我が艦隊の損害は駆逐艦大破1、軽巡・雷巡それぞれ中破1。戦果と比較すれば、軽微と言えるでしょう」 「…」 確かに、戦果と損害の比較としてならそうだろう。しかし、俺には「駆逐艦大破1、軽巡、雷巡中破2」で片付けられてしまうそれを軽微と呼びたくない。 この小さな艦娘が傷つく姿を、軽微とは呼びたくないのだ。 だがそれは艦娘の前で言う訳にはいかない。俺は提督なのだから。 「…ああ、よくやってくれた。君は俺の自慢の艦娘だよ」 「ひぅ…っ」 頭を撫でながら労いの言葉をかけると、如月は真っ赤になって固まってしまった。 「はは、ちょっと気障だったかな。…ご苦労様。ゆっくり休みなさい」 「は、はいぃ…お、おやすみなさい」 「ああ…」 退室する如月を見送り、安堵と、さっきの自分の醜態に今更ながらに羞恥を覚えながら、 俺も就寝の準備を始めるのだった。 ******************************************************************************************************** 次の海域は「南西諸島防衛戦」。ここを突破すれば、いよいよ本格的に敵を叩くことになる。 なるのだが… 「…あ、あの、おは、おは…」 「…ああ、おはよう如月」 …如月の挙動がすっかり不審になってしまったのだ。 「は、はい…」 顔を赤らめて返事を絞りだす如月。 いや…これは挙動不審というか…どう見ても、その… 原因は明らかに先日の俺の所業だろう。どうやら図らずもクリティカルヒットしてしまったようだ。 今までイケイケな如月しか見たことがないこともあり、この如月はこの如月で破壊力抜群だった、おそらくこちらが素の如月なのだろう。 当然「接待誘惑」もぱたりと無くなったが、あれは無理してキャラ付けをしていたのだろうか? まあ、そのへんはこの際どうでもいい。問題は如月の秘書業に支障が出ていることと、 ついでに他の艦娘たちの「早く何とかしてやれや(意訳」な有形無形のちょっかいがうざったいことである。 しかし、そんなことを言われても俺は提督である。個人的にはその…非常に嬉しいのだが、立場上その気持ちに応える訳にはいかないのだ。 それにこっちだってこんなことに手馴れているわけではない。…困った。 「情報によると、南西諸島には空母が出現するらしい。なので、千歳を重点的に鍛えようと思う。 …あー、それでだな。一時的に千歳に旗艦を務めさせてみようと思うのだが…」 「…はい」 あーもう、そんな悲しそうな顔をするな! 「あくまで一時的な措置だぞ。南西諸島防衛戦には君にも頑張ってもらうつもりだ」 「はい…では、千歳さんをお呼びしてきますね」 しゅんとした様子で退室する如月。 …はぁ。何とかしてやりたいのはやまやまなんだがなぁ… ******************************************************************************************************** 「提督。千歳、参りました」 「ああ、入ってくれ」 如月に呼ばれてきた千歳に、次の海域での作戦の概要を説明する。 「――というわけだ。期待しているよ」 「了解です。…ところで提督、なにかお悩みですか?」 雰囲気を察したのだろう、千歳は目端が利く。…そうだ、彼女に相談してみるのもいいかもしれない。 「いや、どうしたものかってね」 「ふふ、如月ちゃんのことですね?」 流石である。 「受け止めてあげればいいじゃないですか。よっ、色男!」 「あのなぁ…そう簡単な話じゃない。俺は…提督なんだ。艦娘と特別な関係になる訳にはいかない」 「それは規律的な意味でおっしゃってるんですか?」 「そうだ。万一そんなことになってしまったら、おそらく業務に支障が出るだろう。 贔屓をするなと如月に反感を持つものが出てくることも考えられる。第一、あんな小さい娘と―」 「提督は、あの娘のことをどう思われているんです?」 俺の台詞を遮って、千歳が質問をぶつけてくる。 「…うちの大事な艦娘の一人だ」 「そういう意味で聞いたのではないとお分かりのはずです」 「…」 くそう。「全てお見通しです」みたいな顔してやがる。 そう…俺だって、如月にどうしようもなく惹かれているのだ。如月を失いそうになって初めて自覚した、自身の気持ち。 千歳相手では、どうやら隠し通すのは無理なようだ。 「…そんなに俺、バレバレか?」 「はい」 マジかよ。即答されてしまった。 「提督。あの娘が以前、どうして誘惑するようなセリフを言っていたか御存知ですか?」 「…いや…」 「あの娘はですね、『前』はほとんど何もできないまま沈んでしまったんです。 ずっとそれを気にしていたと、せめて『ここ』では、役に立ちたい…活躍したい、と…そう言っていました」 「…!」 「だから、ちょっと無理してでも積極的に振る舞って。あれが、あの娘なりの精一杯のアピールだったんでしょうね。 もちろん、提督はそんな誘いに乗らないというのはあの娘もわかっていたでしょうけど。 でも…製油所地帯沿岸の攻略で、だいぶ心境に変化があったみたいですよ?」 「…?この間の戦いで?」 俺が如月にアレ(泣きつき&クサいセリフ)をやらかしたのは、つい先日のはずだが… 「どういうことだ」 「ふふ…本人に聞いてみてはどうですか?」 千歳が言葉尻をドアの向こうに向ける。…え、まさか… 予感は残念ながら大当たりし、頬を染めた如月がドアの影から姿を現す。やばい、全部聞かれてたか…? 「では私、ちょーっと野暮用で席を外しますね。しばらくは帰ってきませんし、 この部屋には誰も入ってきませんからご心配なく~♪」 「お、おい!」 無責任にもそう放言していなくなる千歳。ドアがバタンと閉じられて、静寂が執務室を支配する。おい、どうすんだこれ… …と、如月は無言でこちらに近づいてきて、俺のそばまでやってくる。やばい、どうする。 「あ、あのな如月…」 「以前、ここに呼び出された時です」 「え…」 「私達が製油所地帯沿岸の攻略に失敗して、ボロボロになって帰ってきた時です。 所詮、私は旧式の駆逐艦。あんな深海棲艦に、とても敵わない。私はもう司令官のお役に立てないって思いました。 ですから入渠のあと呼び出された時、きっと私は艦隊から外されてしまうんだって。い、いよいよお役御免だって。私、すごく怖かった。 でも…」 如月の目からポロポロと涙がこぼれ落ちる。 「でも、司令官は、き、如月のこと、使ってくれるって。私は秘書艦でいいんだって。 わ、わたし、まだまだお役に立てるんだって。嬉しくて…気づいたら、司令官のこと、す、好きに、なっちゃってました…」 …そうか。あれがきっかけだったのか。思えば、あの頃から如月の雰囲気は変わっていたっけ。 「…最初は諦めようって、忘れようって思ってました。司令官は司令官なんですから、こんなこと言われたって困るだろうって。 司令官だって、あくまで私を艦娘としてああいうことを言ってくれたんだろうし、私だけに向けられた優しさではなかっただろうから。 でも、大破して帰ってきた私を、あんなに必死に抱きかかえて、ドックまで連れて行ってくれて。 帰ってきてくれてよかったって泣いてくれました。おかげで、気持ちが抑えられなく…なってしまいました… 私にはそれをどうすることもできなくって、落ち込んでたら、千歳さんが相談に乗ってくれて。私に任せろ、なんとかしてやるって…」 くそう、それで千歳の奴、誘導尋問のごとくカマかけてきやがったのか。不覚… 「それで、あの、司令官…さっきのは…」 「くそっ…ああそうだよ。俺だってお前のことは好きだ。でも…うわっ!」 如月が抱きついてくる。落ち着け、落ち着け俺の煩悩。 「それは…女の子として…ですか?」 「…ああ。俺もつい最近わかったんだが、な。艦娘は皆平等に接しなきゃならんのに、提督失格さ…俺は」 「でも、私は…嬉しいです」 その言葉にどきりと心臓が跳ねる。もはや、俺には拒絶することができなかった。 俺の腕の中で如月の、物言いたげな大きな瞳がこちらを見つめている。彼女の欲していることを、俺は正確に読み取っていた。 「ん…ふ…」 唇を重ねるだけの、しかし決定的な行為。 どれだけそうしていただろう。キスを終えて、ほう、とため息を吐く如月。 「お願いです…如月を司令官のものに、して…」 上気し潤んだ瞳で投げかけられるその『誘惑』は、今までに彼女が放ってきたものとは、明らかに異質だった… ******************************************************************************************************** 執務室の奥の仮眠ベッドに如月を横たえさせる。 「あ…あの…司令官…」 「何だ?」 「私…こ、こういうの、初めてだから…」 「ああ…俺に任せてくれればいい。楽にしててくれ」 コクリと頷く如月に寄り添い、体を抱き寄せて ときおり軽くキスをしながら、背中やうなじ、頬を優しく撫でて、緊張を解してやる。 「…ん…は、あ…司令……っ」 肌に触れる度に俺の腕の中で悩ましげな吐息を漏らす如月は、それだけでどうしようもなくこちらの興奮を煽る。 今すぐ滅茶苦茶にしたい衝動を必死に堪え、丁寧に進めていく。 「…脱がすぞ」 「っ」 ぴくりと体を震わせてこちらを見つめる如月を肯定と受け取り、セーラー服のリボンをしゅるりと引きぬく。 胸元のホックを外し服の前面をぱかりと開くと、華奢な少女の素肌を覆う、少し派手な下着が現れる。 中破時に見慣れたそれは、しかしまじまじと見たのはこれが初めてである。 如月が顔を真っ赤に染めて恥じらう様子も加わって、以前よりも余程扇情的な姿だった。 「綺麗だ、如月。如月の輝く肌、もっと近くで見たい」 「や、やぁっ…」 自分で言う時は我慢出来ても、さすがに他人に言われるのは恥ずかしいのだろう。分かってて言っているのだが。 「ブラ、取るよ」 返事はない。きゅっと目をつむったまま、羞恥に耐えることしかできないようだ。 抱きしめるように如月の背中に手を回し、ホックを外してブラジャーを脱がすと、控えめながらも美しい双丘が現れた。 「如月の胸、とても綺麗だ」 「~~~っ」 まるで宝物に触るかのように、如月の胸にそっと触れる。 触られた瞬間はビクリと震えたものの、ゆっくりと撫でてマッサージするように揉んでいくと 如月の体からだんだんと力が抜けていく。 「…っあ、 …はぁ…はぁ…っん、んんっ…あ…」 時折漏れる微かな嬌声がスパイスとなり、俺自身も如月の体に夢中になっていく。 乳首は充血してツンと尖り、俺の指がそこに触れる度に一段高い喘ぎ声を上げる。 その声は俺が唇で乳首をはみ、舌で刺激するとどんどん大きくなっていく… 「はんっ…あ、しれいか、ああっ、あ、そこっ、そんなにっ…はぁんっ…」 頃合いを見計らって胸への愛撫を中断すると、物欲しげな如月の目線とぶつかる。 「…下、触るよ」 「はぁ…はぁ…っ」 宣言と同時にスカートの中に手を差し入れ、滑らかな太腿を撫でる。 撫でる度にぴくりと体を震わせるが、拒絶の意思は感じられない。 そのまま焦らすように少しずつ手の位置を陰部の方に近づけていく。 「はぁっ…はぁ…、あっ、んん…っ」 やがて…ついに如月の下着に手をかけ、その上から恥丘を、クリトリスを、スジを撫で回す。 スカートの中でワレメを下着ごと弄って、くちくちと淫靡な水音を立てているのに直接見えないその動きは、 だからこそより扇情的な刺激となって、俺と如月を煽り立てる。 「見ても…いいかな?」 荒い息のまま無言でこくこくと頷く如月。 留め具を外してスカートを取り去ると、ブラと同色のショーツが露出する。 既にうっすらと染みの付いているそれをたっぷりと時間を掛けて脱がしていく。 蠱惑的な曲線を描く無毛の恥丘が、きれいなピンク色のスジが、愛液の糸を引きながら露わになっていく… 「全部無くなったよ、如月…如月の身体、すごく綺麗で可愛い」 「やぁっ…そ、そんな、言わないで…っ」 「もっと見てみたいな。如月の身体、全部見せて欲しい。いいかな」 確認するポーズは取るものの、ここまで来たらもう止められない。 つややかな如月の太腿を優しく撫でながら、ゆっくりと股を開かせてゆく。 やがて…愛液にまみれた如月のまだ幼さを残した女性器が完全に曝け出される。 すべてを見られている羞恥にプルプルと震える如月。 「…~~~っっ…」 「全部見せてくれたね。ありがとう如月」 安心させるように抱きしめキスすると、羞恥も少しは和らいだか震えは止まる。 その体勢のまま、覆うものの無くなった如月のワレメに手を伸ばす。 「あっ…! しれ、ぃ、ゆ、び、は、はぁんっ は、はいって、ひ、ひぃんっ」 愛液でヌルヌルになったスジにそって中指をなぞらせ、膣内の浅い場所をちゅくちゅくと弄り、クリトリスを優しく指で押しつぶす。 その度に一際甘い悲鳴が執務室に響く。 自分の指先の動き一つで愛する女の子が嬌声を上げることが嬉しくて、未成熟な少女のワレメを好き放題弄くり回すことに夢中になる俺。 同時に首筋、乳首、臍…と、キスする場所をどんどん下に移していく。 「ぁぁっ…し、れい…っ そこ、だめぇっ…な、舐めるの、やぁ、やああっ…!」 下腹部、太腿の付け根、恥丘、包皮に覆われたクリトリスにキスを繰り返し、如月の一番大切な場所にぬるりと舌を這わせる。 少女の性器を味わうことで頭がいっぱいになった俺は、スジを指でくぱぁと広げ、奥に隠されていた膣口に舌を伸ばす。 時折ヒクヒクと蠢くそこを直接舌で愛撫し、止めどなく分泌される愛液を夢中で舐めとる。 「あっ…ふわぁぁぁ、んっ、ふ…っ そ、そこ、あ…あっ しれ、ぇ、ふぁ、あ、は、あぁー… っあ、あっあっあぁあー…っ」 如月はもはや甘い啼き声を抑えようともせず、与えられる淫らな快楽に身を委ねている。 トロトロにこなれた肉穴は指を侵入させると容易にそれを飲み込み、膣内を掻き回す度にぬちぬちゅと粘質な音を立てている。 トドメとばかりに、俺は露出し始めている陰核を包皮ごとちゅう、と吸い上げた。 「っくひ、ぃぃぃっ…う、あ、っ… 、あ、はぁっ、はぁっ、はぁ…」 その途端、如月の身体がブルブルと震えて膣内の指がきゅうきゅうと不規則に締め付けられ、やがてくたりと弛緩する。 どうやら達してしまったようだ。 身体を火照らせた如月の息が整えるまで待ち、もう一度唇を塞ぐ。 「んっ…ふ、ひれぇ、は、ちゅ、ぴちゅっ、んん、んぅっ…ちゅ、はぁ、司令…」 今度は舌と舌を絡め合う、濃密なキス。お互いの唇をはみ、自分の唾液を送り込み、相手のそれを舐めとる、口でするセックス。 ちゅく、くちゅる、ちゅぱちゅぽと派手に音を立て、如月の吐息さえ全て自分の肺腑に取り込みたくなる。 脳髄まで甘く蕩けて、口の周りがベトベトになってもまだやめない。やめたくない。 「あふぅ、ふっ、ふっ…はぁ、あむっ… ちゅう …っ…ぷはっ!はぁっはぁっ、はぁっ…」 限界まで如月の口腔を犯して、ようやく口を離し、抱き合ったままベッドに身体を投げ出した。 しばらく息を整えて、俺も立ち上がって衣服を乱暴に脱ぎ去る。如月との間にあるもの全てが、もどかしい。 …と、お互い生まれたままの姿になったところで、如月がひしと抱きついてきて、そのまま動かなくなる。 「…お、おい。どうした…?」 「…」 手当たり次第俺の身体にキスをしながら、そのままずるずると身体を落とし、如月の身体が、顔が、下にずれていく。これは、もしかして… そうこうしているうちに如月は膝立ちになり、如月のちょうど目の前にいきり立った俺のペニスが姿を現す。 如月のキスは、当然ソコにも降り注ぐ。 「…ちゅ、ん、はぁ、ちゅ、ちゅぷ、ちゅぴ、はぁ、はぁ、れろ、ちゅぷっ…」 やはりそうだ。如月は俺のやったことをそのまま俺に返そうとしているのだ。 如月が俺の愚息に口付けしているというだけで腰が砕けそうになり、たまらずベッドに座り込むがそれでも如月の奉仕は止まらない。 「ちゅ、ふうっ、ふう、ちゅぷっ、ちゅぴっ、ぢゅるぅ、はぁ、はぁ、くちゅっ、ぴちゃっ、ぴちゅっ…」 むしろ俺の様子を見て自信を付けたようで、フェラチオはどんどん大胆になっていく。 「はぁっ、はぁっ、き、さらぎ…根本、から、舐め上げて…それから、唾を塗りつけるみたいにっ…全体を…」 「… れろぉっ…ちゅ、ちゅっ、にゅるぅ、はぁ、れるぅっ、ちゅうっ、ちゅくっ、はぁ、はぁ、ちゅ、ぺろ…」 無言で俺のリクエストに応える如月。 如月の熱い吐息と柔らかい小さな舌が這いまわり、剛直全体が如月の唾液まみれになっていく。 拙くとも俺を気持ちよくさせようという思惟が舌遣いから伝わって、それがより快感を加速させる。 「う、ん…いい、ぞ…手でゆるく握って…しごきながら、先っぽをしゃぶってみて…」 「はぁ、はぁ、… ぱく、んふぅっ、ちゅっ、んふ、ん、んっ、はぁ、はぁ、んんぅっ、ちゅ、ちゅぴっ…」 根本が如月の小さな手で握られ、唾液とカウパーでにゅちにゅちといやらしい音を立ててゆっくりとしごかれる。 亀頭が熱い口内に包まれ、カリ首がちゅうちゅうと吸われる。 時折、これでいい?と確かめるように上目遣いで見られるのが堪らない。 「っく、はぁっ、そ、それから、出来るところまででいいから、深く咥えこんでみて…っ」 「… くぷぷっ、ぬろぉぉ、ぐぷっ、ぐっぽ、じゅぶっ、くぷっ、くぽっ、くぽっ、くぽっ…」 俺の注文になるたけ応えようと、動きはどんどん激しくなっていく。 自分の小さな口に不釣り合いな、男のモノを咥えこんでいるというのに、表情はトロンと蕩けている。 俺も如月にクンニしていたときは、こんな表情だったのだろうか…そんなことを考えているうちに、限界はあっという間に近づいてきた。 「ちゅる、じゅ、ちゅぽっちゅぽっ、ふぁ、ん、ぐっぽ、んぶぅ、ちゅっぷ、ちゅっ……ぢゅううううっ!」 「っくあっ…き、如月…離れろ…っ」 しかし如月はペニスに吸い付いたまま離れない。むしろ尿道口が舌先で弄りられながら、ちゅうっと吸い上げられた。その瞬間― ぶびっ、びゅるるるーっ! どくん、どぐっ、びゅ、びゅっ… 「っ! んぷ、っ、んっ、…っ … こぷっ、ふ、ふ、ふう、ふう…」 欲望が決壊し、性欲の塊が如月の口内にぶち撒かれる。 溢れた白濁液をぼたぼたと垂らしながらも、如月は懸命に受け止めている。 「ふー…ふーっ… …んくっ…はー、はー…」 大半は零してしまったが、確かに今、口内に残っている分を飲み込んだ。 その上、発射して萎えてしまったペニスにも舌を這わせ、精液の汚れを舐めとっている。 「き、如月…っ」 「…かったですか?」 「え?」 「きっ…気持ち良かったですか…?」 「あ、ああ…見て分かる通り…最高だった。無理を言ってすまなかったな」 「いえ…そんなここと…ないです…私が、してあげたかったんです…」 しかし…口のまわりを俺の精液で汚したままはにかむ如月は… 「如月…お前、やっぱエロいわ」 「ええぅっ…!」 今更ながらに自分のやった行為を思い出して耳まで染まる如月を、俺は抱き上げて改めてベッドに寝かせる。 仰向けの如月に覆いかぶさり、耳元で囁く。 「…できるだけ優しくする。きつかったら言えよ」 「多分…大丈夫です。司令官は優しいですから…」 「…っ」 多分他意なく放っている言葉なのだろうが、いちいちドキリとさせられる。 一気に挿入したい気持ちを抑え、剛直の先端を如月の花弁に押し当てる。 双方ともに既にいろんな体液でヌルヌルになっており、触れた場所から熱く火照った如月の高い体温が伝わってくる。 少しでも緊張をほぐそうと、こちらを見上げる如月の頭を優しく撫でた。 「…いくぞ。力、抜いて…」 「は、はい…」 腰をゆっくりと押し進め、俺の肉棒が小さな如月の胎内に侵入していく。 「っあ…」 狭い膣口に亀頭が飲み込まれる。さっきのフェラチオに似た、しかし肉で握りしめられるような感触。 「…っく、あ…あっ…」 更に慎重に進めると、亀頭に何かが突っかかる。多分、これが、如月の… 意を決して、さらに肉槍を押しこんでいく。 「ふ…うっ、はっ、は…っ くああっ…! …はーっ、はーっ、はーっ…」 プツリという感触とともに更に陰茎が膣内に沈み、やがてコリコリとした肉の壁に突き当たる… 「如月…全、部、入ったぞ…大丈夫か…?」 「は、はい… っっ!」 如月の顔が苦痛に歪む。 「っお、おい…やっぱりやめる―」 「だめッ…!」 慌てた俺の声を、如月が遮る。 「だめ…やめないで…私、は、大丈夫、です、から…」 …如月は、役に立てなくなるのが怖いと言っていた。その恐怖が、『以前』の記憶が、そう言わせるのだろうか。 だとすれば、今止めれば更に彼女を傷つけてしまうだろう。 「…如月…」 「はぁ、はぁ、ぁむ…ん…」 痛みを堪える如月に、繋がったままキスする。 同時に首筋や背中を優しく愛撫しながら、胎内の異物に慣れるまで抱きしめてやる。 しばらくそうすることで、ギチギチだった膣内も少しずつ緩くなってくる。 「ふっ…う…あぁ、はぁ、ん、うあっ、は…っ」 前戯でさんざん濡らしていたのが良かったのか、一旦動けるようになると意外と抵抗は少ない。 きつすぎる膣圧と分泌される愛液が、逆にゾクゾクする快感となって俺のペニスを責めたてる。 「あ…あん、はぁ、んん…んっ、ぁ、はぅ、はぁ、はぁ、んゃっ…」 漏れる吐息に甘いものが混ざり始めた。如月も大分慣れてきたようだ。 もう少し大胆に、膣内をかき混ぜるように腰を動かす。 「あぁ、はぁんっ、はぁ、はぁ、 ! う、あぁっ…! しれい、は、やぁんっ…!」 少女の小さな肉穴に俺の肉棒が飲み込まれ、その光景がにゅちゅ、くちゅ、という淫らな水音とともに興奮を煽る。 意識して亀頭で天井を擦り上げると、その度に甘い嬌声が上がり、膣内のモノがきゅん、と締め付けられる。 射精してしまいそうになるのを懸命に堪え、如月の美しいとしか表現できない上半身に手を伸ばす。 「ひぃんっ!あ、や、そこ、も、さわっちゃ、あっ、わ、わた、しぃっ… ~~~っ」 グミのようにしこった乳首を指でこね、押しつぶすと、如月の受けた刺激がそのまま膣肉からの刺激に変換される。 その様子があまりにもいやらしくて、射精欲も限界に近づいてくる。 腰を動かしながら無意識に如月の裸体を抱きしめて、耳元で絶頂が近いことを告げる。 「きさ、らぎっ…だす、ぞっ…お前のナカにっ…ぜん、ぶ、だす…からなっ…!」 「は、いっ… はいっ… きさらぎ、をっ…しれい、かんの、ものに、してっ…」 その懇願とともに膣内が子種を欲するかのようにきゅうう~っと締め付けられ、それがトリガーとなって欲望が爆発する。 ドクッ!ビュルル、ビュルッ、ビュッ… 肉棒がどくんどくんと脈動し、俺の精が如月の胎内に流れ込んでいく… 「はぁっ、あ、びくびくってっ…しれいかんのっ…なかに、いっぱい、あぁ…っ」 「はぁ、はぁ、きさらぎっ…」 溜めていたものを最後まで注ぎ込んだあとも、如月の小さくて熱い体を抱きしめたまま、離れることができない。 如月の華奢な腕も俺の背中を抱いて、俺達は溶け合ったかのように一体となっていた。 どれだけそうしていただろうか。 お互いの息も落ち着き、ようやく離れて萎えた陰茎を引き抜くと、生々しい色合いの粘液がごぽりと溢れ出る。 それを指先で拭い放心状態の如月の口元に持って行くと、無言でちゅぱゅぴとしゃぶりだす。 …やっぱり、如月はエロい。 「…あ、司令官…」 「ん?」 「…ずっと、お側に置いてくださいね」 初めて出会った時に聞いた、しかし全く違う意味を持った言葉。 俺もその時と同じ、だが少しだけ違う返事を返した。 「…ああ。これから も 、よろしくな」 ******************************************************************************************************** その後、如月の態度はほとんど以前の様子に戻り、秘書業にも問題はなくなった(千歳を筆頭とする他の艦娘の冷やかしは未解決のままである)。 が、「社交誘惑」に時折社交ではないものが混じるようになり、その判別に俺が苦悩することになったのは言うまでもない。
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/668.html
694 名前:1-560避:孕み党提督[] 投稿日:2015/04/14(火) 22 06 27 ID lT9gjsfo ※注意 戦艦レ級逆レイプ物 もうここに閉じ込められてどのくらい時間がたつのだろう 第二次サーモン海域北方海戦にて俺の指揮した艦隊は新種の深海棲艦 通称:戦艦レ級の前に敗北 気がついた時、俺は奴らの捕虜に…いやこれは捕虜ではなく… 「うっ」突如としてこみ上げてくる射精感に我慢できず 自身の股間をむしゃぶるそれを押さえつける、人間ならば嘔吐するところだがそいつは構わず、亀頭の先を飲みこむように絞りあげて更に奥へ奥へと導こうとする 「っ……!」 その動きに、耐えていたものが決壊した。喉の奥に亀頭をこすりつけながら、快楽の脈動と共に、汚液を吐き出していく。 「ウーンやっぱり苦くて、臭くて、喉にまとわり付くし、最悪だネ」 ぐちゅぐちゅと口で精液を噛み、あーんと口の中を見せたゴクリと飲み込み、そいつはニヤリと笑った 病的に白い肌と髪 瞳の色は紅いのに何故か青白く輝く目 胸は控えめで、肋骨がわずかに浮いているのが見える、中性的な痩せた身体。 足首から先のない、足のようなヒレのような不可思議な機関 そして臀部からは尻尾のようなものが垂れており、それに付属した艤装がそいつの正体を物語っていた。 そう俺の目の前にはいるのは戦艦レ級、人のような姿をしたバケモノであり、人類の敵 そして俺の現在の飼い主でもある 「君は、とてもよわぁイ」 突然クスクスと、馬鹿にしたような笑い声が響く 「よわぁいはつよぉいに食べられル」 命を弄ぶのを楽しむような声音が頭を揺らす そいつは俺の顔を手で掴み、キスと言うには余りに乱暴な口づけを行ってくる 冷たい舌が俺の口内を嫐り、唾液を啜りとる 負けじとレ級の頭を掴み、塩でパサパサになった髪を乱暴に掻き上げてやりながら反撃としてそいつの口内へと舌を侵入させる、奴の青臭い匂いと、鉄錆の味にはもう慣れた これにはレ級も流石にびっくりしたようで、一瞬こちらを振りほどこうとしたがすぐにやめムキになったのか、ますます激しく俺の口内を陵辱しじゅるりと音をたて俺の唾液を嚥下した。 お互い存分に口内の唾液と体温を交換したところで、どちらともなく口を離す 「…キミの精液は美味しかったかイ?」舌なめずりをしながら囁いてきやがった、ドヤ顔で 返事の代わりにレ級の胸部艤装をとっぱらい、その青白い肌へ、首筋へと舌をはわせ存分にむしゃぶり味わい尽くす 「アン、最近積極的で嬉しいヨォ…」まるで人間の少女のようなかわいらしい声で喘ぎ、俺の股間を手で愛撫し、そのついでに耳へとカプリと噛み付いてきた。 実際、最初に襲われた時、股間は恐怖と寒さで惨めなほどに縮こまっており、どうにか奮い立たせたそれを一方的にレ級が「使用」するという単なる「自慰」であった それがいつの頃からか、言葉を交わし、口づけを交わし、愛撫を行うようになり、「行為」 へと変貌していった。 男は、まだ若く、しかも女を知らなかった。 逆に言えばそれが幸いだったのかもしれない。 いつしか、男はバケモノに「 」を覚えた。 この光すら届かぬ海の底においてバケモノと肌を重ねる一時 それは男にとってこの海の底にさした一筋の光明に等しかった そしてそれはバケモノにとっても同様で… すっかり回復した硬い一物にレ級は跨ると、つぷり、と入り口にその先を当てた。 「熱い…このまま入れたら、ボク焼けちゃうかもネ~」 相変わらずのドヤ顔で此方を伺うレ級 ずるっ、と、じれったいほどゆっくりとバケモノは腰を下ろして男の一物を呑みこむ。 「ア……アァ…これって楽しいヨォ…気持ちいいヨォ…」 胸が反り、乳房が揺れる、後の鰐見たいな艤装が舌出してアへ顔ってるのはご愛嬌 中はどろどろに溶けていたが、締めつけはきつく、そして冷たかった。 根元から搾り取られ早くも暴発しそうになったのを、俺は息を吐き快感をこらえた。 落ち着いたところで、上下を運動を開始する、腰を叩きつける度に両側に広げられた足だかヒレだかがブラブラ揺れる。徐々に体温がレ級へと移動し暖かくなり、それに合わせるかのようにポタポタとレ級の割れ目より流れでた分泌物が床に飛び散る 「アッ、ヤッ、ンン!」 辛うじて身体を支えていた尻尾が脱力して此方に倒れこんでくる、控えめな乳房が俺の汗で濡れて、胸板に触れると吸いつくような感触がした。 どういうわけだか、そこだけ薄いピンク色になっている突起を指で転がしながら、乳房を下から揉みしだく。 接合部はますますとろけて、腰を叩きつけるたびに粘着質な音が鳴った。 「イイ!いいヨォ!なんて素敵なんだろうネ、 ネッ、これからボクが守ってあげル、ボクが沢山可愛がってあげル、裏切ったら細切れにして食べてあげル、先に死んでも食べてあげル、でも断っても食べてあげル、ネッ、ネッ、どうする?ネッ、どうすル?」 返事の変わりに俺はそっとレ級に口付けし、耳元で囁いた 可愛がるではなく、そういう時はこう言うのだと 「 」 ぎゅうっと、俺はバケモノに、いや「 」に抱きしめられ、再び口を奪われた お互い乱暴に吸い付いては、呼吸のためにまた離れ、また乱暴に吸い付く。 レ級は中でますますぎゅうぎゅうに締め付け、射精してもまだ腰を動かして無理やりにも勃起させた。 肋骨が浮いているような、胸を、細い腰を、足ビレを撫で回す。 「ンッ、フッ、ウウン!!」 もうレ級も何度絶頂を迎えたのだろうか、だがそんなことも関係なく俺は獣のように荒い息を吐きつつ腰を振り続ける、上下は逆転し今は俺がレ級の尻尾にまたがり押し倒しつつ、腰を打ち付けていた。 レ級の快感に潤む瞳と目が合う、官能的に薄く開いた唇と、その蠱惑的な瞳の色に、限界を越えた。 「アッ、アッ、アアアアアアアアア!!!」 びくんびくんと、レ級の身体が、尻尾が大きく震え、振り落とされそうになる しかし、危ういところで足ビレが俺の腰に巻き付けられ、内壁に亀頭の先端がくわられたと想った時、溜まりきった欲望がレ級の中へと放出されていく、射精は長く続いた よだれを垂らして、絶頂を悦ぶその顔に、俺は愛しさを覚え、「 」となった、レ級のか細い白い身体を思わず抱きしめた。 ―――…… サーモン北方沖に突如として響き渡る轟音 辛うじて「レ級」による開幕爆撃を生き残った空母ヲ級が慟哭する 「ヲヲヲ…トチクルッテテイトクトオトモダチニデモナッタノカ!?」 「オトモダチ?違うネ!?」 艦載機を回収し、再び尻尾の艤装を掲げたレ級が高らかに宣言する 「ボクは俺の嫁…じゃない提督の嫁になったのサッ!」 だが、その宣言は恐らく届かなかっただろう、ヲ級は既に砲撃の爆炎へと消えていたからである。 その後、提督の嫁として鎮守府に帰順したレ級は籠絡…いや鹵獲艦扱いとなり、戦艦石見と名付けられ艦隊へ編入、闘い続けることとなる。 終わり。 697 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/04/14(火) 22 10 04 ID LYm3pKek GJ! これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/65.html
「あれ?提督じゃん、何してんの」 「いや、北上。お前こそ何してんの」 鎮守府の屋上の扉を開け、一息つこうと思ったら既に先客がいた。 「あーあたし? サボり」 そう言うと下を見る。 その手摺に近づいて北上の視線をたどると駆逐艦達を率いてランニングしている天龍がいた。 「あの熱血指導にはついていけないわー」 「ああ、そういえば今日は天龍と一緒にあいつらの訓練だったか」 まぁ訓練そのものは問題ないだろう、あれで天龍は駆逐艦たちから懐かれているし訓練に手を抜いたりもしない。 「といってもそれとこれとはまた別な話だと思うんだが」 「問題なさそうだしいーじゃん別に。それより提督は何しに来たのさ?」 「サボりだ」 どうだ参ったか、と言わんばかりに胸を張って言ってやる。 「それ人のこと言えないって、っていうか霧島ネキも災難だねー」 「自業自得だ自業自得」 昨晩執務中に中元でもらった黒霧島を秘書艦の霧島が見つけてしまい 仕事終了と同時に他の姉妹も呼んで酒盛りが始まってしまったのだ。 金剛はいつにもましてやたらと抱きついてくるし比叡はそれに負けじと金剛に抱きついているし 榛名は据わった目で酒を注いでくるかと思えば突然大声で笑い出したり 当の霧島は「かかってこいよサウスダコタァ! レーダーなんか捨ててかかってこい!!」 とか叫び始めるしとにかくカオスだった。 途中から酒を入れる振りをして水を飲んでいたので助かったのだが その後まだ歩けた榛名は金剛と比叡に抱えられて退場。 高いびきをかいている霧島は仕方がないので執務室の布団に転がしてさっさと部屋に戻って寝た。 で、朝執務室に来たらまだ寝ていたので寝かせておいたら昼近くまで起きないので流石にたたき起こし 昼食抜きで残りの仕事をこなしながら今に至る。 「酔っ払いって怖いわー」 「ほんとそう思うわ」 顛末を聞いた北上の感想に全面的に同意する。 「そういや大井は一緒じゃないのか」 「んー大井っち、? 別にいつも一緒ってわけじゃないしそんなに不思議でもないっしょ?」 「いや、いつも一緒にいるイメージがあるからな」 「そりゃまぁ確かに親友だから他の子よりは多いだろうけどねぇ」 不思議そうな顔をする北上。 「だってお前らデキてるんじゃないの?」 「え?」 「え?」 「なにそれこわい」 意外な返事にびっくりする、ついでに北上もびっくりしている。 あそこまで百合百合しいといっそ清々しいとさえ思えたのだが。 「いやいや、いくら仲がいいからって百合認定とか変な本の読みすぎでしょ」 「そうなのか、いやマジで意外だわ」 あっさりと否定する北上に拍子抜けする。 「じゃあ、北上にも好きな男のタイプとかあったりしたのか」 「う~ん……そうだねぇ。強いて言うなら提督みたいな感じかねぇ」 「なるほどねぇ、俺みたいな感じかー」 「まぁ強いて言うならなんだけどねー」 「そうかー……ってはい?」 「ん? どうかした?」 「え、いやだってさぁ。いきなりタイプとか言われたらびっくりするだろ」 「北上さん! その飢えた野獣から離れてっ!!」 とっさにしゃがむとさっきまで頭があった空間を砲弾が通過する。 「おー、大井っちじゃん。どしたの?」 「いや、『どしたの』じゃないだろ。『どしたの』じゃ」 息を吐きながら北上との間に割って入ってきた大井を睨む。 「北上さんを提督の毒牙にかけさせたりはしません!」 むしろ北上じゃなくてコイツの方がやばいんじゃないか そう思いながらホールドアップ。 「というかお前は一体何をしてるんだ」 「私は屋上倉庫に物を取りに来ただけですよ」 「いきなりぶっぱなすことはないだろう」 「うふふ、提督ならきっと避けてくださると思ってましたから♪」 「いや、洒落になってないから」 「で、北上さんは何してたの?」 「訓練サボってたら提督もサボりに来たから話してただけだよ」 「あら、どんなことを?」 「あたしと大井っちが百合なんじゃないかとかいうからさー んなわけないじゃんって話してたんだよ」 「えっ!?」 愕然とした表情で後ずさる大井。 「大井っち?」 「そ…そんなことって」 「ちなみにタイプは俺みたいなのらしいぞ」 面白いので追い討ちをかけてみる。 「強いて言うならって言ってんじゃん」 呆れたような北上の声を聞いていないかのように大井がよろよろとよろめく。 「な……なんて趣味の悪い……」 「おい、上官に対して失礼すぎるだろそれ」 「ふ…ふふ……私は所詮お邪魔虫だったというわけね……さようなら北上さん!!」 ダッシュで走り去る大井を北上と一緒に呆然と見送る。 というかあいつ取りに来た荷物もっていかなくていいのか。 「あーまぁ……こんなこともあるよねぇ」 北上はというと指で頬をかきながら苦笑している。 「で、提督は戻んなくていの?」 「少ししたら戻ろうかと思ってたけど疲れたよ……」 さすがにいきなり撃たれるとは思ってなかったのでどっと疲れた。 「ほほー、んじゃあたしが膝枕でもしてあげよっか?」 「また随分とお優しいことで……」 「まーまー。親友が迷惑かけちゃったってことでさ」 「あー、んじゃ頼むわ」 あっさりと北上の提案にのって正座した彼女の太ももに頭を乗せる。 なんだかんだで女の子だ、柔らかな感触を後頭部に感じつつ安息の時間を過ごそうとするが…… ──5分後 「提督ー」 「なんだ?」 「足痺れた」 「そんな気がしてた」 座ってから一分たったあたりで既に足を小刻みに動かしていたのでそうではないかと思ったのだが…… 立ち上がって北上を見ると微妙に顔をしかめている。 まぁ珍しい体験も出来たしいいだろう。 そう思って立とうとする北上に手を貸してやる。 「お、気がきくね提督……ってうわわっ」 まだ足の痺れが取れてなかったらしく、足をもつれさせてこちらにしがみついてしまう。 「おい、大丈夫か」 「う~む……さすがのあたしもこの姿勢は恥ずかしいわー」 ちょうど北上がこちらに抱きついてそれを抱えるような形になっている。 「仕方ないな、痺れが取れるまで座ってろ」 「あれ、そこはお姫様抱っこで部屋まで送ってくれるとかじゃないの?」 「そうか、その方がいのか」 そう言うと北上の足を抱えて抱き上げてお姫様だっこをしてやる。 さすがに慌てるかと思いきや…… 「おー、楽チン楽チン」 全くそんなことはなかったのであった。 抱えてしまったものは仕方がないので部屋まで連れて行ってやる。 幸い誰にもすれ違わなかった。 正直大井にでも見られたら今度こそ頭を吹っ飛ばされるんじゃないかとビクビクしていたのだが。 部屋までたどり着いておろしてやると、もう痺れはすっかり取れたようでいつものように床に立つ北上。 「やれやれ……」 「いやー助かったよー。案外悪くないもんだねぇ」 「こっちは今度こそ頭吹っ飛ばされるんじゃないかとビクビクしてたぞ」 「あーごめんごめん。大井っちにはちゃんと説明しとくからさ」 「ふう、頼むわ。じゃあ執務室に戻る」 「あーちょっと待って、一応お礼がしたいからさ」 「膝枕は五分が限界だろ」 「うん、まぁそんなわけだからちょっとしゃがんでよ」 「?? こうか?」 北上の言葉に従って彼女の頭と同じ高さくらいまでしゃがんでやる。 すると…… チュッ 頬に柔らかな唇が触れる感触 「へへっ、ありがとね」 「ガラにもないことするんじゃないよ……まったく」 「あーひどいなー」 そんな抗議の声を聞きながら足早に執務室へと戻るのだった。 微妙にドキドキしてる鼓動を北上に悟られないように。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2955.html
933 :Monolith兵:2014/11/26(水) 01 44 41 ネタSS「提督達の☆聖戦」 終結した第1次世界大戦の決着を付けるため、1919年パリ講和会議の席上で当時のアメリカ大統領ウッドロウ・ウィルソンはかねてより暖めていた、国際平和維持機構の設立を提案した。 政治的独立と領土の保全を相互保障し合う、特殊な盟約に基づいた国際連盟は紆余曲折を経て設立にこぎつける事が出来た。 だが、国際連盟は良心による相互保障に期待する所が大きく、平和維持を実現するための能力に乏しかった。その為、国際連盟の掲げる理想の実現は不可能であると考える者は多かった。 そんな時、大日本帝国全権代表である西園寺公望は、今後の平和を考えるならば国際連盟には平和維持のための抑止力となる軍事力が必要である!と主張したのだ。 西園寺は夢幻会からの情報でこれからの歴史を知り得ていたが、それ故に第2次世界大戦の勃発を防ぐ事が自分にとって何よりも重要な使命であると考えていた。 国際連盟に軍事力を持たせ、各国の戦力を分散させ相互監視する事で戦争を防ぎ、それによって日本国内での不穏な動きを封じ切り、逆に他国の危険な動きも牽制する。彼は史実では21世紀になっても未だ実現できなかった、国際平和強制執行軍の設立を主張したのだ。 「平和を実現するのには、人の良心にだけ依存するのは危険だと思っている。」 「同意します。それに、各国軍が仮称国際連盟軍に将兵を派遣すれば、些細なきっかけでの軍事衝突も未然に防げる可能性があります。それに、連盟加盟国が一貫した態度を取る事で、短期で戦争を終わらせる事も可能なはずです。」 「我が国は国土が戦場になった事で疲弊している。だからこそ、長期の平和を実現する為の軍事組織の設立は願ったりだ。全力を持って挑もう。」 イギリスのロイド・ジョージ、フランスのジョルジュ・クレマンソーは西園寺の提案に強い興味を示し、彼らの助力もあって、前年の国際連盟に続いて1921年国際自衛隊が設立される運びとなった。 国際連盟に平和強制実行部隊が常設されるという情報は、世界中を巡り当然日本にも伝わった。この情報を知った転生者達は、余りにも史実と逸脱した状況に混乱し、こうなった原因を調べ回った。 その結果、彼らは西園寺の近くにいる1人の陸軍大尉に辿り着いた。 「石原莞爾だと・・・!?」 「なんて事だ!これじゃあ、先の見通しが立たないぞ!!満州事変といい、今回の件といい、あいつは疫病神か何かか!!!」 転生者達は、史実情報から日本の国力を増大させる計画を立てていたのだが、石原の介入によりそれが崩壊してしまったのだ。不幸な事に、この時夢幻会を構成していた主要な者達は、仮想戦記について詳しい物がおらず、従ってある火葬戦記について知らなかった。 「こうなれば、連盟軍いや国際自衛隊における主導権を日本が握る他無い。幸い我が国は国際自衛隊の発案者。であれば、国際自衛隊に置ける発言権は英仏並には与えられるだろう。 史実どおり米国が国際連盟に参加しない以上、国際連盟と国際自衛隊を通じて、米国の牽制と太平洋戦争の勃発の阻止をするほかない。」 そして、彼らは動き出した。その果てに何があるか知る者は・・・。 その頃、国際自衛隊の設立を知ったある帝国海軍将校が空ろな目をして新聞を眺めていた。 「国際自衛隊・・・、もしかしてここは帝国の聖戦の世界なのか?いや、だとしたらアラスカが日本領じゃないのはおかしい。 いや、それどころじゃ無いぞ!帝国の聖戦の世界だとしたら、日本は米ソを相手に大立ち回りをしなくてはならなくなる・・・。」 嶋田繁太郎は国際自衛隊の設立を知り、未来に不安を感じていた。かの物語では、最終的に日英仏を中心とする国際連盟が勝者となったが、状況の違うこの世界ではそうとも限らないのだ。 「そういえば帝国の聖戦では、あのハルゼーが日本海軍の機動艦隊を指揮してたよな? 下手したら部下か同僚になるのか、あのブルが。・・・よし頃合を見て退役だ!」 しかし、この後軍令部長伏見宮博泰の呼び出しから、退役する事は適わず、ハルゼーと山口コンビを目にする事になるのだが、それは遠い未来の話であった。 おわり
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/160.html
メンテと放置ボイスから小ネタ 「提督ー・・なんかマジ退屈なんだけど!出撃しないの?しゅ~つ~げ~き~!」 こたつに入りぶーぶー文句を言う鈴谷 「仕方ないだろー、お偉いさんの監査だし、飛び込みじゃなくて日時指定されているだけマシだ」 「そうは言ったってさぁ・・外出許可も下りないし缶詰じゃん!?」 「所属艦娘に実情を聞いたりしてるって噂もあるけどどうなのかねぇ」 取り合えずお茶と煎餅とみかんを出してやる。 「おっ、みかんだー。美味しいよね」 「提督を他所にいい身分だな鈴谷ぁ・・・」 こたつに入りなおし、徐に両手をこたつへ突っ込む 「うりゃぁ!」 鈴谷の片足を自身の両足でがっちり固め、太ももとひざ小僧をさわさわと撫でてやる。 「うひっ!?ちょっ提督やひひっ!だめっあっはははは!」 いい反応だ。そしてそれ以上に良い太ももだ、すべすべすべー。 「ほーれ、ほーれ」 「~~っ!ふっ・・っはっは!?ひー!だめ!ぎぶぎぶぎぶ!」 身を捩り、こたつと床をばんばん叩きまくる・・・この辺にしとこう。 「ほい。ちったぁ反省したか」 「はーっ・・・はーっ・・・したした・・・超反省した・・・とりゃーっ!」 「んなっ・・・」 逃げるようにこたつから出ていた鈴谷はそのまま此方に向かってダイブ ひっくり返らないようしっかり受け止める 「っとと、あぶな」 「かかったぁ!」 言うや否や腕を折りたたまれ、ベアハッグのように抱きつく鈴谷 ・・・こんな子にベアハッグされて嬉しくない訳が無い。 がそれを顔に出さずあくまでも自然に 「おいおい・・正面から抱きついても何も出来んぞ?」 「ふっふっふー・・それはどうかな?すぅー・・」 息を吸い、ゆっくりと顔を近づける鈴谷 「ちょっと、おい、」 段々と顔と顔の隙間が狭まっていき・・・通り過ぎた 「ふぅー」 「うおわっ!」 耳に吹き付けられる息 「お前、耳は反則だろ!?」 身を捩ろうとするも、抱きつかれていて動きが取れない それを見て鈴谷がにやにやしている。 「どぉーよ!鈴谷からはぁ・・逃げられないっ!」 「ぎゃああああああああ!」
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/1331.html
255 :4:2012/08/27(月) 09 13 50 本編時系列 提督たちの憂鬱 第12話 1/9 1939年11月30日 ソ連軍芬蘭侵攻を開始。 『陸軍大国ソ連が本気を出せば、人口370万の小国であるフィンランドは成す術がない…… 多くの国が当初そう判断した。しかしその判断は当事者の行動ではなく、 部外者である大日本帝国の行動によって修正されることになる。』 『ソ連がフィンランドへ侵攻する直前に成立した近衛内閣はフィンランドに対して 出来る限りの支援を行うと発表した。支援の内容が明らかにされると、各国は驚愕した。 何しろ義勇軍の派遣、大規模な物資支援、さらに資金援助まで行うと日本が公言したのだ。 ソ連に蹂躙されるばかりと思っていた国にとっては金を溝に捨てる行為であった。 だがこれまで日本の先読みによって痛い目にあった国々の中に、フィンランドが勝算を持っている、 又は持ち堪えるという確信を日本が持っているのではないか、そう考える国が出てきたのだ。 さらにフィンランドがソ連相手に強硬な態度を貫いたのは日本と密約があったからではないか、 そう勘繰る者さえ居た。』本編12話より抜粋 独逸総統官邸 ヒトラー:遣欧艦隊の通行を許可する。 日本がこれ以上英国寄りになり欧州に本格介入をさせず、 さらに英国の介入を阻止、そしてソ連からの抗議を受け流す等動きまわる。 独逸:『この世界では史実以上に疲弊していた。ハイパーインフレや世界恐慌の際に 日本が火事場の何とやらで、貧しいドイツをさらに貧しくしてくれたので台所事情は史実よりも 火の車であったのだ。このせいでドイツ海軍では装甲艦が2隻しか建造できず、 ビスマルク型も1番艦であるビスマルクの建造しか出来なかった。 さらに日本海軍の長門型が出てきたときに備えて強引に42cm砲を積んだため、 色々と不具合が起こっていた。この状態で英国海軍と戦えるわけが無い。』本編12話より抜粋 ドイッチュラント級装甲艦:「ドイッチュラント」「アドミラル・シェーア」 予算不足により2隻しか建造できず。 ビスマルク級戦艦:「ビスマルク」予算不足により1隻しか建造できず。 強引に42cm砲を積んだため、不具合が起こっていた。 英国首相官邸 チェンバレン:宰相。チャーチルと芬蘭の問題について会談。 チャーチル:海軍大臣。チェンバレンと芬蘭の問題について会談。 256 :4:2012/08/27(月) 09 14 23 2/9 遣欧艦隊 南雲忠一:遣欧艦隊司令官。旗艦妙高の自室で頭を抱えていた。 『「フィンランドへの支援が名目だ。あまり深入りしないようにしないと。 しかしあまり消極的に戦うとデータが取れないし。 それに私も闘志が低いなんて言われかねない……源田の二の舞になるのも嫌だしな」』 『「胃が痛いな……はぁ」』 『任務、艦隊の保全、それに自身の評判、 様々なものに挟まれて南雲は苦悩した。』本編12話より抜粋 加藤建夫、坂井三郎、篠原弘道、樫出勇、笹井醇一:遣欧艦隊所属陸海軍航空隊。名前だけ登場。 源田実:名前だけ登場。 『海軍主流派(夢幻会派)や戦闘機派に思いっきり睨まれ、 窓際に追いやられていた。』本編12話より抜粋 山本五十六、大西瀧治郎:名前だけ登場。 『山本や大西は助かったものの、下手をすれば国防に大穴を開けかねない 失態を犯したことは否定できず、彼らの昇進は遅れることになる (夢幻会派の将官の昇進を優先させたいという生臭い理由もある)』本編12話より抜粋 妙高型重巡洋艦:「妙高」「足柄」遣欧艦隊所属。 遣欧艦隊旗艦「妙高」 『様々な人間の思惑が交差しつつ、日本艦隊はフィンランドに向かう。』本編12話より抜粋 257 :4:2012/08/27(月) 09 14 55 3/9 冬戦争序盤、ヘルシンキ空襲。 クリル・A・メレンコフ:上級大将。芬蘭侵攻作戦総司令官。 開戦初頭からの苦戦に驚愕し焦る。『前線空軍にあらゆる損害を無視して空襲を行え』と指示。 同時に各地の陸軍部隊に進撃を命じる。 スターリン:名前だけ登場。 クリメント・ヴォロシーロフ:ソ連国防委員長。名前だけ登場。メレンコフの上司。 山口鋠:陸軍少佐。名前だけ登場。冬季戦技教育団(通称:冬戦教)を創設。 <提督たちの憂鬱 支援SS> 創設者辺境人氏。 ttp //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9191/1178968418/161 ttp //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9191/1178968418/162 ttp //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9191/1178968418/163 ソ連空軍:芬蘭空軍により大損害を受ける。 I-15戦闘機:ソ連製。複葉機。九三式戦闘機の襲撃により多数が撃墜される。 SB-2爆撃機:ソ連製。フィンランド空軍と首都に配備された高射砲群により多数が撃墜される。 九三式戦闘機:複葉機。最高速度400キロ。7.7mm機銃2門。航続距離700キロ。 I15と互角に戦える機体。日本が格安で提供。 高射砲群:日本の支援で首都ヘルシンキに秘密裏に設置された高射砲群。 ソ連陸軍:日芬ゲリラ部隊に苦戦。 『ソ連軍はフィンランドへ北部、中部、南部の3方向から攻め込んでいた。 だがどの戦線でも思っていたように進撃することはできなかった。 故に彼らは中部戦線でフィンランド軍の防衛線を突破、 その後に南北のフィンランド軍を包囲殲滅することを狙い攻勢に出た。』本編12話より抜粋 軍団砲兵:ソ連軍所属。 日本人義勇兵:旅行を名目にして芬蘭に派遣されていた兵士は 即座に義勇兵として芬蘭軍へ加勢した。 『カムチャッカや樺太、北海道である程度寒さに耐性をつけていた彼らは、 フィンランド兵と並んでソ連兵と戦った。特に山口鋠陸軍少佐によって創設された 冬季戦に特化した部隊・冬季戦技教育団(通称:冬戦教)から派遣された将兵は、 フィンランド軍が驚くほどの早さでフィンランドの冬に順応していた。』本編12話より抜粋 冬季戦技教育団:冬季戦に特化した陸軍特殊部隊。(通称:冬戦教) スキー・九四式軽雪上車:移動や奇襲に活躍。 258 :4:2012/08/27(月) 09 15 31 4/9 中部戦線、要衝・コッラ ソ連軍第8軍:56師団75師団所属。コッラ突破を図る。 『彼らは軍砲兵、師団砲兵を総動員してフィンランド軍及び日本義勇軍が立て篭もる陣地に 砲弾の雨を降らせてから突撃を開始する。』 『最終的にフィンランド軍の頑強な抵抗で、ソ連軍のコッラ侵攻は多大な犠牲の末に頓挫し、 中部戦線はこう着状態に陥った。』本編12話より抜粋 銃剣、スコップ:塹壕に取り付いたソ連兵たちを芬蘭軍兵士が叩き出す。 ベ式短機関銃:MP18改。開発者辺境人氏。 ttp //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9191/1178968418/163 試製九六式狙撃銃:開発者New氏。 ttp //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9191/1178968418/421 九七式狙撃銃:開発者New氏。 ttp //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9191/1178968418/422 昭五式小銃:三八式の後継新型自動小銃。開発者New氏。 ttp //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9191/1178968418/929 説明書:ミニスカサンタの美少女が色々と銃器の取り扱いを説明している漫画風の取り扱い説明書。 MMJが(ry 259 :4:2012/08/27(月) 09 16 17 5/9 北部戦線 スターリン:赤軍の苦戦により機嫌は悪くなっていった。 『スターリンをさらに苛立たせているのは、日本海軍遣欧艦隊の存在であった。 スターリンはドイツやスウェーデンに色々と圧力を掛けて日本艦隊が 現地に到着しないように画策したものの悉く失敗した。』 『スターリンはヒトラーの態度から、ドイツがソ連の弱体化を 図っているのではないかと疑うようになった。』 『赤い独裁者の中に、拭いがたい、ドイツに対する深い疑念、 そして敵意が芽生えていく。』本編12話より抜粋 ソ連軍第163狙撃師団:スオムッサルミ村で芬軍に包囲されて孤立。 ソ連軍第44狙撃師団:精鋭部隊。第163狙撃師団救援に向かうも撤退。 ソ連空軍:瑞典が輸出したサーブJ9戦闘機や 日本が援助した真空管レーダーや無線機が有機的に機能し始めると、 迂闊に攻撃することが出来なくなっていった。 サーブJ9戦闘機:開発者辺境人氏。 ttp //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9191/1178968418/588 260 :4:2012/08/27(月) 09 17 19 6/9 冬戦争中盤。 『フィンランド軍の抵抗でソ連軍が悪戦苦闘を重ねていることは、 日本や英国の情報操作もあり、あっという間に世界中に喧伝された。 一般国民は圧倒的兵力で侵略を行うソ連に果敢に戦うフィンランド軍という好印象を与えていた。 しかしある程度、情報を掴める人間達は戦争前からの日本の姿勢から、 この情報を冷静に受容れていた。そして彼らの関心は、日本から到着する本格的援軍(表向きは義勇軍) に向けられた。情報分析能力が高いことに定評のある日本が差し向けた援軍、 果たしてその実力は……誰もがそちらに興味を持った。 フィンランド軍総司令官・マンネルハイム元帥は日本の義勇兵が極寒の地である北欧で 十分に戦えることを知って、新たに到着した日本軍に期待していた。』本編12話より抜粋 芬蘭軍最高司令部 マンネルハイム:元帥。芬蘭軍総司令官。杉山大将と会談。 遣欧軍独立遊撃部隊の編成を要請。 杉山元:大将。遣欧軍司令官。マンネルハイム元帥と会談。 心の中でガッツポーズをとった後、申し出を受託。 『(火消し役、独立遊撃部隊か……ふふふ、出番も増えるな。 日本の、帝国軍の評判を高めるには丁度良い舞台だ……)』本編12話より抜粋 南雲忠一:遣欧艦隊司令官。 部隊の消耗を心配していたが、比較的消耗が少なくて済みそうだと安堵した。 遣欧軍:1個旅団(戦車連隊1個、歩兵大隊1個、砲兵大隊2個、 戦闘工兵大隊1個、輜重大隊1個)、2個航空戦隊、鳳翔戦闘機隊。 『質の面では選りすぐりであったが、如何せんソ連軍と正面から相対するには 数が不足しているのは否めない。』本編12話より抜粋 261 :4:2012/08/27(月) 09 18 03 7/9 南部戦線、地上戦。 宮崎繁三郎:少将。旅団長。派遣され即座に現地を視察。 『「ふむ、確かに参謀本部が15師団から部隊を選抜したのは正解だったな。 下手をすれば我々が露助の二の舞になるところだった」 -40度にもなる極寒の大地にさすがの宮崎も圧倒された。 同時に参謀本部が対ソ戦の要である15師団から部隊を引き抜いたのも納得がいった。 もしもこの大地の寒さを甘く見ていれば、大した防寒装備もないソ連軍の二の舞となり、 凍傷によって部隊の戦闘力は激減していた。 またカムチャッカや樺太に配備されたことのある人間な この極寒の環境にもすぐに慣れて、存分に戦えるだろう。』本編12話より抜粋 一木清直:中佐。歩兵大隊大隊長。転生者。包囲殲滅戦は男の浪漫。 西竹一:少佐。戦車部隊を率いる。 芬蘭軍連絡将校:日本軍の用意周到さに脱帽。 『「驚きました。ここまで日本軍の防寒装備が整っているとは……」』本編12話より抜粋 温熱給水用沸水兼給水自動車、携行式組み立てストーブ:芬蘭軍連絡将校も驚く防寒装備。 日本陸軍第15師団 :豊原に駐留。対ソ戦の要。遣欧軍へ戦力を抽出。 第51混成旅団(宮崎旅団):マンネルハイム防御線での遊撃任務を担当。 豊原に駐留している第15師団から抽出された部隊で構成される。 友好的な雰囲気で芬蘭軍と協力関係を構築。 九七式中戦車:開発者New氏。和製T-34。8両出撃。 KV-1の76mm砲弾を弾き返す。歩兵部隊との連携によりソ連軍戦車を圧倒。 ttp //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9191/1178968418/689 九五式対戦車噴進弾:和製パンツァーファウスト。開発者New氏。 ttp //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9191/1178968418/869 ソ連軍 :宮崎旅団の到着を知りさらなる攻勢に出ることを決断。 KV-1重戦車:ソ連軍。新型重戦車。一方的に撃破される。 T-35重戦車:ソ連軍。多砲塔戦車。 同上。 T-100重戦車:ソ連軍。多砲塔戦車。同上。 軽戦車部隊:ソ連軍。重戦車部隊の後方に配備。同上。 狙撃師団:ソ連軍。重戦車部隊の後方に配備。同上。 262 :4:2012/08/27(月) 09 18 34 8/9 南部戦線、空戦。 加藤建夫:陸軍中佐。名前だけ登場。九六式戦闘機24機指揮。 柴田武雄:海軍少佐。名前だけ登場。九六式戦闘機12機指揮。 九六式艦上戦闘機:開発者辺境人氏。 最高速度562キロ、12.7mm機銃を4門搭載し、 航続距離2200キロを誇る当時最強の戦闘機。 ttp //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9191/1178968418/588 芬蘭空軍:九三式戦闘機・サーブJ9戦闘機配備。 遅れてやってきたが獅子奮迅の働きを見せる。 ソ連軍司令部:地上の苦戦により航空支援を開始。 I-15戦闘機:ソ連軍。複葉機。日芬航空隊の活躍により壊滅。 I-16戦闘機:ソ連軍。単葉戦闘機。同上。 『空で圧倒的優位に立っていることを知った フィンランド軍は、地上で反撃に出る。』本編12話より抜粋 芬蘭軍:『日本軍による援護の下、 彼らは果敢にもソ連軍の戦車に対して肉弾攻撃を仕掛けた。 ある者は火炎瓶を戦車の機関部の排気管めがけて投げ込み ある者は車体に駆け上がり、抱えていた爆薬を砲塔の死角に押し込んだ。 直接戦車を狙わない者は、無限軌道の前に対戦車地雷を放り込んだ。 この攻撃で次々に重戦車群は急停止、爆発炎上していく。』本編12話より抜粋 『戦車がやられ、空軍もボロ負けとなり、ソ連軍の士気は地に落ちた。 元々士気が低かった彼らは、我先に後退し始めていく。 それは、ソ連の攻勢が頓挫したことを意味していた。』本編12話より抜粋 スターリン:創意工夫でソ連軍戦車を撃破した芬蘭軍の奮戦や、 ソ連軍の重戦車が日本軍の新型中戦車によって一方的に撃破され激怒。 自分に責任が及ばないようにメレンコフを更迭し、 経験豊富な軍人を総司令官にすることを決断。 クリル・A・メレンコフ:上級大将。芬蘭侵攻作戦総司令官。更迭される。 263 :4:2012/08/27(月) 09 19 25 9/9 夢幻会会合 日本軍の快勝を聞いて祝杯を挙げた。 嶋田繁太郎:会合出席。戦闘機重視派。 『九六式戦闘機が活躍していることに胸を撫で下ろした。 何しろここで戦闘機が役に立たなかったら目も当てられない。 「これで零戦の導入にも弾みが付く」』 『栄達よりは、快適な引退生活を夢見ていた嶋田であったが、 今の情勢が彼の我が侭を許さなかった。 「海軍大臣か、連合艦隊司令長官か、それとも軍令部総長か。選り取り好みですな」 「面倒ごとが増えるだけですよ………宮様の腰巾着と言われるし」 「ははは。出世が早いと、嫉妬も強いものですよ」』本編12話より抜粋 辻正信:会合出席。 『「赤い熊達をカレリア地峡やコッラ川やラーテ林道で、 大量の肥料に変えれたことに乾杯しましょう」』本編12話より抜粋 東条英機:会合出席。 新型戦闘機開発:零式艦上戦闘機の開発に取り掛かる。 『緊急連絡が会合の席に飛び込んだ。 それはこの場の誰もが予想しなかったもので、そして史実の悪夢を呼び覚ますものであった。 「張作霖が乗った列車が!?」 かくして、中国で新たな動乱が幕を開ける。』本編12話より抜粋
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/5359.html
701: ハニワ一号 :2018/08/10(金) 19 18 41 提督たちの憂鬱×海底軍艦ネタSS 1963年(昭和38年)ムウ帝国が世界を植民地にすべく全世界に向けて宣戦布告をしてきた。 そして世界各国は強大な科学力を持つムウ帝国の襲撃によって大きな被害を受ける事となった。ムウ帝国の根拠地を見つけ出して反撃しようにもドイツの勢力圏を襲撃したムウ帝国潜水艦を追撃したドイツが誇る日本の原潜に対抗して開発されたドイツ最新鋭原潜が深海の水圧に耐えきれず圧壊してしまうなど世界で唯一ムウ帝国の襲撃に対して勢力圏の防衛に成功していた日本を除いた英独を始めとした世界各国の国々はムウ帝国に対して打つ手なしの状態にあった。 このようにして世界中がムウ帝国に対して大被害を受ける中で唯一日本だけが防衛に成功したのは映画「海底軍艦」の原作を知る夢幻会が転生してこの世界が映画「海底軍艦」の世界だと気が付き原作知識を生かしてムウ帝国への対策をすでに済ませていたためだ。 「ついにムウ帝国が宣戦布告してきましたか。最初はこの世界が海底軍艦の世界だと半信半疑でしたが・・・。」 「そう思うのは無理もないですね・・・。史実と違いこの世界では神宮司大佐や楠見少将たちが存在し帝国海軍では海底軍艦が設計され、原作で国からの支援もなく神宮司一派が轟天号を建造する事を可能とした史実にはない資源豊かな島の存在などの様々な証拠がなければここが海底軍艦の世界だと信じることは難しかっただろうな。」 「近衛公を始めとする夢幻会の特撮ファンたちは海底軍艦の世界に転生して轟天号を建造出来た事に大喜びでしたね。」 そう夢幻会が転生した世界は本来転生するはずの憂鬱本編の日本ではなく「海底軍艦」世界の日本だったのだ。そして憂鬱本編と同じ展開となりアメリカは滅亡して「海底軍艦」日本は敗戦することなく戦後に日本が列強筆頭となり、日独英の三大勢力が鼎立する世界となってしまった。 夢幻会が転生したために大日本帝国が存続している事で神宮司大佐率いる帝国海軍残党だけで南方の秘密基地で極秘に建造していた原作とは違い、轟天型海底軍艦建造計画が夢幻会肝いりの帝国海軍の最重要計画として第二次世界大戦中から轟天号建造の研究が始まり、豊富なヒト、モノ、カネが投入され18年もの歳月を経た結果、海底軍艦 轟天号は原作よりも建造が早まり、轟天号の性能も原作より向上する事に成功していた。 まずは轟天号に投入される新技術の運用や問題点を洗い出して改善するための轟天号の試作艦を建造した後に轟天号の試作艦を建造、運用で得られた知見を元にして建造された轟天型海底軍艦を従来の戦艦や空母、原潜を超える帝国海軍の主力艦として3隻もすでに建造され就役済みでさらに四番艦、五番艦などが建造中だった。轟天型海底軍艦の一番艦はもちろん轟天号だ。続く二番艦・震天号、三番艦・驚天号はアニメ映画のゴジラの小説に出てくる轟天型潜水艦から命名されていた。また轟天号に使用されている軍事技術は通常兵器にも転用されて日本軍全体の強化に一役買うことになるのである。 大日本帝国が進める轟天型海底軍艦建造計画について表向きには国内や諸外国には最新鋭の原潜建造計画と発表されており、極秘計画である轟天型海底軍艦建造計画の予算もダミーの最新鋭の原潜建造計画のために組まれた予算から出ていた。まさか海中だけでなく陸・海・空すべてで行動できる万能戦艦を日本が建造しているとは思っていない英独を始めとする列強は最新鋭原潜の建造計画という日本の発表を受け入れ、何らかの画期的な技術を投入してくるであろう日本の最新鋭原潜の対抗策に頭を悩ませることとなる。 702: ハニワ一号 :2018/08/10(金) 19 19 24 そしてムウ帝国に対する轟天号の防諜であるが原作でムウ帝国が轟天号の存在と性能を知ったのは脱走した神宮司大佐の乗る伊号403潜がムウ帝国潜水艦に攻撃されたために神宮司大佐が轟天号の設計図の一部を残して脱出に成功したもの轟天号の設計図の一部がムウ帝国の手に渡ったためだ。だが夢幻会のいる海底軍艦世界では夢幻会が最重要機密として海底軍艦 轟天号の存在を秘匿し、英独を始めとする列強と特にムウ帝国に知られる事のない様に徹底的に気を使っていたために原作とは違いムウ帝国は轟天号の性能を知る事はなかった。 そのために日本の勢力圏を襲撃したムウ帝国軍は防衛にやってきた轟天型海底軍艦の性能に驚愕する事になるのである 「そろそろ轟天艦隊を率いる神宮寺提督がムウ帝国の根拠地を突き止めて突入してくる頃でしょう。ムウ帝国の持つ高度な技術が欲しいのでムウ帝国には降伏を選んでほしいものですが徹底抗戦するならば原作のムウ帝国滅亡の結末になってもやむを得ないでしょうね。」 すでに衝号計画を発動してアメリカを滅亡させた夢幻会にとって降伏交渉が決裂した場合ムウ帝国を滅ぼす事に反対するものはいなかった。 原作で轟天号を建造し完成した轟天号の艦長として活躍した神宮司大佐は大日本帝国が滅亡せずに存続した夢幻会ありの海底軍艦の世界では神宮寺大佐の上官である楠見少将と共に轟天型海底軍艦建造計画を主導して成功した功で順調に昇進を遂げて海軍大将に昇進していた。 神宮司大将は最初から轟天号建造計画に携わり轟天号の運用にたけていた事もあり、轟天型海底軍艦で編成された轟天艦隊の司令長官に就任し深海底に存在するムウ帝国攻略を任されていた。原作で神宮司大佐率いる「轟天建武隊」が轟天号を建造した資源豊かな島は大日本帝国海軍による轟天型海底軍艦専用の秘密基地となっていた。 轟天号を含む轟天型海底軍艦が3隻とムウ帝国を制圧するための陸戦隊を搭乗するために輸送型に改装された試作型轟天号1隻の計4隻で編成された轟天艦隊はあっさりとムウ帝国の守護神であるマンタとムウ帝国の防衛戦力を撃破しムウ帝国の心臓部である巨大な動力炉を制圧に成功した事を背景にムウ帝国に対して降伏を要求する事になる。 轟天型海底軍艦3隻投入というチートによる蹂躙によって心が折れたムウ帝国の女帝はムウ帝国の臣民の安全を条件に大日本帝国に降伏する事を選択した。これによって原作とは違いムウ帝国は滅亡せずに大日本帝国の傘下として命脈を保つことになるのである。 これによってムウ帝国が引き起こした戦乱は大日本帝国の勝利によって終結する事になった。これによって戦勝国である大日本帝国がムウ帝国の高度な科学技術を独占する事となるのである。 「深海底に住むムウ帝国の高度な科学技術とノウハウを手に入れたことによって将来の大日本帝国による海底都市建設や海底資源採取のコストの劇的な低下などが見込め大日本帝国の更なる発展につながるでしょう。そして件のムウ帝国の被害にあった国々に対する賠償金についてはムウ帝国の高度な科学力をうまく使えば十分返済可能なので大丈夫でしょうね。」 「それは良いが英国やイタリアなどムウ帝国の被害にあった多数の国々は賠償金で決着する事で合意したがドイツや朝鮮がムウ帝国の科学技術を要求してうるさいんだが。」 「優先順位が低すぎてムウ帝国の攻撃対象にされていなかった朝鮮が不必要な過大な賠償を要求するのはいつもの朝鮮として無視するとしてドイツの要求についてもドイツが実力でムウ帝国に占領部隊を送り込む事が不可能ですから無視していいでしょうね。何しろ日本以外の地上の国々は深海にあるムウ帝国に兵を送り込めるような深海の水圧に耐えられる潜水艦をどの国も保有していませんからね。だからこそ英国やイタリアなど多数の国々は賠償金での決着で済ませましたし、不必要にムウ帝国の科学技術を要求して海底軍艦を保有する大日本帝国の不興を買い敵対する愚を理解していましたしね。まあムウ帝国は「大日本帝国」に降伏したのであってドイツには降伏したわけではありませんからこれ以上ドイツがごねるのならドイツにその意味を知ってもらうのもいいでしょうね。」 「むしろムウ帝国とドイツが戦争継続してもらえば敗北したドイツからムウ帝国移住のための土地を割譲する事ができて色々な面倒事が回避できますね。」 実はムウ帝国は地殻変動により帝国の終焉が迫ったために地上に返り咲き、世界をその植民地にせんと企んだのだ。ムウ帝国の高度な科学技術を欲する大日本帝国と夢幻会の意を受けた神宮寺大将はムウ帝国を降伏させる変わりにムウ帝国を移住させるための土地の提供を約束していたのだ。すでに夢幻会によって大日本帝国勢力圏内のムウ帝国移住地のための土地の候補地の選定と準備は済んでいたとはいえ、それでも様々な反発が起きる事は予想されていたのだ。 703: ハニワ一号 :2018/08/10(金) 19 20 10 「それよりも嶋田さん今回のムウ帝国との戦争で神宮寺提督が英雄となって嬉しいのではありませんか。何しろあなたの後継者が誕生したのですから。」 「いやいや神宮寺君はまだまだ未熟だよ。私の後継者になるためにはまだ勉強しなければいけない事がいろいろありますからね。」 辻の言葉に対して嶋田はそう謙遜しながらも自分の後を継ぐ生贄を見つけた暗い喜びにあふれていた。 轟天号建造計画を主導し自ら轟天号艦隊を指揮して世界の脅威たるムウ帝国に勝利した神宮寺大将はムウ帝国との戦争前は轟天型海底軍艦建造計画が秘匿されていた事もあって神宮寺大将の知名度はとても低かったがムウ帝国に勝利し轟天型海底軍艦の存在が明らかになった今では世界を救った英雄として日本どころか世界でも知らぬものがいない東郷、嶋田に続く大英雄となっていたのだ。元帥内定や華族叙任がすでに決定されていた。また東郷、嶋田のように神格化しようとする動きが出てくる始末だった 「ふふふ・・・。神宮寺くん英雄となった君には絶対に私の後継者になってもらうぞ。」 その頃、家で愛娘と家族団欒を過ごしていた神宮寺提督は無意識に将来に対する不吉な気配を感じとり背筋を寒くしていた。 かくしてムウ帝国の世界征服の野望は打ち砕かれたがムウ帝国との戦いによって最新鋭の原潜だとばかし思っていた轟天号の正体と驚異的な性能が明らかになった事による軍事バランスの圧倒的変化によって英独などの列強の政治・軍備計画などが大混乱に陥るのだがそれはまた別の話である。 704: ハニワ一号 :2018/08/10(金) 19 20 57 あとがき 「海底軍艦」を見てテンションが上がったので時間がかかりましたが海底軍艦と夢幻会のクロスSSを書いてみました。原作では神宮司大佐率いる帝国海軍残党で轟天号を建造できたので大日本帝国が轟天号建造に取り掛かったらどうなるかを書いてみたかったのが本作です。その結果、轟天号が試作型と合わせて4隻建造されたり神宮司大佐が大将となって英雄として嶋田さんの後継者になってしまったりと変化してしまいましたw そして参考にまで原作の海底軍艦の性能も書いておきます。 全長:150メートル 重量:1万トン 空中速度:マッハ2 水上速度:80ノット 水中速度:50ノット 地中速度:時速20キロメートル 地上速度:時速300キロメートル 武装: 艦首ドリル 主砲(冷線砲) 副砲(3連装電子砲) 帯艦電撃 など
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/615.html
671 :名無しの紳士提督:2015/01/08(木) 14 08 00 ID v5pdzD9U 艦娘達「なんで提督は私たちが散々アプローチしているのに、のってこないんですか?」 提督「俺は妻子持ちなの、悪いがお前たちにそんな感情はもっていない」 艦娘達「ガーン」 意外と大丈夫組 金剛「テートクにワイフが…デモテートクが幸せならいいのデース」 榛名「…提督なら仕方ないですね…榛名はおとなしく身を引きましょう」 鈴谷「あらら嫁さんいるのか~残念~」 電「提督には…そうですか…でもがんばるのです」 やばい組 加賀「…このまま引き下がれない」 大和「ええ、終わらせてなるものですか」 雷「そうよ…私がいればいいじゃない」 大鯨「ほえええ…ほええ…ほええ…」 翔鶴「終わらせない、このまま…」 扶桑「うふ、ふふふふふふ…」 色々ダメ組 足柄「(返事がない…ただの屍のようだ)」 赤城「…」 飛龍「赤城さん、提督に養ってもらうつもりだったみたいね」 672 :名無しの紳士提督:2015/01/08(木) 18 29 19 ID X78f.K66 普段尽くすタイプの方が怖いのねw 699 :名無しの紳士提督:2015/01/09(金) 08 35 32 ID hs4s8WlI 673 ちょっと考えてみた。 意外と大丈夫組→身は引いたけれど提督の奥様はどんな人なのか気になる!→提督のプライベートに潜入。 やばい組→ドロドロな愛憎劇。 色々ダメ組→意外と大丈夫組の焚きつけ役。 足柄(改二)「フフフ、司令官の妻とやらを一目見るまでは死ぬわけにいかないわ…」ギラギラ 羽黒「(司令官が妻帯者だったというショックが秘められた力を呼び覚ましたのでしょうか…?)」 こんな感じか? 700 :名無しの紳士提督:2015/01/09(金) 10 48 04 ID Fvj9pz5w 673 全然平気組はケッコンオコトワリ勢か 見守り組は鳳翔とかの包容力系あたりだな… 嫁さんに興味あり組は天龍や暁とか 701 :名無しの紳士提督:2015/01/09(金) 18 25 09 ID 7AEY3uMs そしてヤバイ組が負けを認めるほどの嫁さんが出てくると… まあ、個性豊かな艦娘達をまとめあげる提督の嫁さんだもん 702 :名無しの紳士提督:2015/01/09(金) 23 28 30 ID hs4s8WlI 700 そして提督の息子or娘に興味ある組の長門が加わる。 703 :名無しの紳士提督:2015/01/10(土) 00 06 58 ID FTCjaXyk やっぱり長門はいつも通りなのか 705 :名無しの紳士提督:2015/01/10(土) 02 16 39 ID qizzBoGg 提督と嫁さんがいちゃラブしているのを見て、部屋で提督を想いながらあんなことするけど 空しさだけ残り「心なんていらなかった」と泣きじゃくる加賀や翔鶴の姿が 707 :名無しの紳士提督:2015/01/10(土) 08 53 35 ID j66vER5w 703 長門は子供に人気だったし、提督の息子or娘の方から会いたがるって展開もありそう。それ以外にも提督の子供と艦娘との絡みも面白そうな気がする。 708 :名無しの紳士提督:2015/01/10(土) 10 38 00 ID OzTorjww 684 彼我の軍艦や軍籍の船の魂が無念とかで堕ちてしまった存在といわれるのが1番しっくり来るだろうし 彼女等の無念とかを祓えさえすれば、そういう未来も有り得るんじゃないかな (個人的には彼女等を鎮める為に生まれた、艤装への適性がある子が「艦娘」と考えてる。) 709 :名無しの紳士提督:2015/01/10(土) 18 03 45 ID V8BOxbWU 671 そして元艦娘の奥様に、物理的から女子力まで、コテンパンに返り討ちにされるんですね。 「母は強し、と言う事です。いずれわかりますよ」 711 :名無しの紳士提督:2015/01/10(土) 20 19 44 ID H8uQnvxo 709 自分は包容力&家事能力抜群(元艦娘ではない)の嫁さんに毒気を抜かれるってのを考えた。 713 :名無しの紳士提督:2015/01/10(土) 23 25 21 ID H8uQnvxo 699 プライベートに潜入までしなくても提督の忘れ物を届けにいってそこで提督の妻子と出会う…ってのでもいけると思う。 714 :名無しの紳士提督:2015/01/11(日) 01 40 47 ID zIPU15oE 提督の嫁は… 1、一般人 2、元艦娘(三笠や伊吹や筑波等) 3、艦娘いらないんじゃと思われる最強 さあ、どれがいい、答えろルド(以下略 722 :名無しの紳士提督:2015/01/11(日) 09 54 57 ID b8/obXMQ 714 艦娘候補だったけど、艦娘になれなかった女性ってのはどうだろうか?艦娘=元人間説が前提になるけど… 進行中 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/