約 19,731 件
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/7741.html
竜獅子提督ドラバトール UC 闇文明 (5) クリーチャー:ダークロード 4000 ■このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の手札を1枚選び、墓地に置いてもよい。 ■相手のカードの効果によって、このカードが自分の手札から捨てられる時、かわりにバトルゾーンに出す。こうしてバトルゾーンに出した場合、自分の山札を見る。その中から、闇のドラゴンを1体選び、相手に見せてから自分の手札に加えてもよい。その後、山札をシャッフルする。 作者:赤烏 ちなみにこれが手札から捨てられるかわりにバトルゾーンに出た場合、上の能力と下の能力が下→上の順番で誘発します。なので、手札に加えたクリーチャーを上の能力で捨てることが可能です。 収録 DMW-25 「テンプレア編III テンペスト・ミスター」23/55 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/509.html
前回の話 洒落っ気を利かせる木製の扉を叩くが、腰の重い男の声は返ってこなかった。 また誰かに膝枕でもさせているのかと黒い感情が一瞬だけ湧き、その顕れとして目を瞬きさせる。 しかしそれは本当に一瞬で、扉の向こうに生物の気配さえもない事に気づき、眉間から力が抜けた。 なので、入りますよ、と言う断りも入れず扉を開けた。 「提督?」 そもそも執務室の明かりさえ点されていなかった。 部屋を明るくすると、 金属製で無骨な昔ながらの暖房器具は鎮火しているし、い草の畳のどこにも書類の束は見当たらない。 肝心の提督はと言うと、座椅子の背もたれにかかった軍服である紺色の上着から察するに、どこかへ出掛けたか。 そして、座椅子の軍服と同時に目についた炬燵の上の紙のような物が気になる。 畳に上がって、元から好奇の対象外であった大本営の通達書を炬燵に置き、それを覗き込む。 何やらメモ帳から一枚千切っただけのそれには、 面倒臭がりな提督特有の癖のある字体で、こう走り書きされていた。 『外出中。提督』 提督は、例えばお偉いさんに呼ばれたとかなら、面と向かってそれを伝えるので、 これは私情で出て行ったと見ていいだろう。 まず軍服が置き去りにされている時点でお察し。 「どこ行ったのかな……」 誰もいないので気が抜け、疑問がそのまま口をついて出る。 夜とはいえ冬なのでそれほど遅い時間ではなく、執務はちゃんと終わっているのか心配だ。 率先してやろうにも、提督が動かしたであろう書類の場所が分からない。 いなかったとは言え、秘書艦の私に何も言わずにいなくなるなんて。 「チッ……」 きびきび動かないと気が済まない私としては、 やることがないおかげで、やらなくていいような世話までしてしまう。 提督は別にこの軍服を座椅子にかけたままでいいだろうけれど、 私はそれを手に取って裏に持って行く。 それには、まだ体温が残っているようだった。 裏の寝室の壁にかかっているハンガーを手に取り、軍服にそれを通そうとしたところで、 私の頭の中の悪魔が妙な事を囁いた。 ハンガーの事など途端に頭から抜け出し、その軍服を凝視する。 躊躇いなく顔を近づける。 目を伏せて鼻から息を吸い込む。 すーっ。 私一人しかいないから。 後ろの扉が閉まっているから。 躊躇せずこんな事をしたのだろう。 いや、扉は本当に閉まっている? 自問によって即座に頭を回転させ、背後の扉の状態を確認。 「大丈夫ね……」 そういえば、さっき自分で閉めていた。 自分のした事を忘れて再度確認するとは、なんて間抜けな。 一先ず誰かに見られていないようで、安心した。 気を取り直して向き直ると、前方にこじんまりと置かれたベッドが目に入る。 虫が花の蜜の香りに誘われて……とはよく使われる比喩だけど、その比喩は、今は全く合わないだろう。 服と寝具に染み付いた男臭い匂いに誘われる女。 どこに可憐な、あるいは妖艶な花らしさがあると言うのか。 分かりやすい、万人が感じる"いい匂い"ではない。 それでも、あの人と体を寄せ合ったり、この寝具で体を重ねたりしてきた私は、 この匂いにはすっかり毒されている。 私にとっては"いい匂い"。 だから、腕に軍服を抱えたままそのベッドに、どさっ、と倒れこんだ。 あの人の匂いが宙を舞ったように思えた。 そんな中で大胆に軍服を顔に近づけ、息を吸い込む。 すーっ。 「はぁぁぁぁ……」 思い切り深呼吸。 あの人の匂い。 いつまでもこの匂いを嗅いで安らぎに身を投げたい。 でも、逆に言えばここにあるのは匂いだけ。 残り物の匂いと温もりだけで、源のあの人は今いない。 中身のないこの軍服に不満をぶつける。 「早く、帰ってきなさい……」 こんな残り物の匂いと温もりに包まれているだけなのに、眠くなってきた。 提督が普段から執務をこっちに半分押し付けるから。 提督が声もかけないで何処かへ行ってしまって暇だから。 提督のせいだ。 ……決めた。 このまま、少し仮眠を取ろう。 提督が戻るまでに起きればいい。数十分くらいなら大丈夫だろう。 不貞腐れの気持ち半分の顕れで横向きに寝転がる。 少しの匂いと温もりが残るこの服をしっかりと胸に抱き、 頭の中で悪魔と共に色々な言い訳を並べてから、私は瞼を閉じた。 悪魔は、いつまでも自分の味方だと思い込んだままに。 …………………… ………… …… 着替えが面倒だから、上着だけ脱いで外套を羽織るという何とも中途半端な格好になった訳だが、 暖かいラーメンを食べてスープもしっかり飲んできたから、鎮守府に戻るまでにはこの熱は持つだろう。 間宮の料理は美味いのは間違いないが、 ああいう頑固親父が作るような手間のかかるラーメンは外に出ないと味わえん。 ただでさえ売れるラーメンは、 この季節では更に拍車がかかるのか、最近だと店外で待たされる事も多くなった。 待っている間は寒いし、あの味を家でも再現できないかと考え――るまでもなく断念する。 ラーメンにはにんにくを入れるだの麺は硬い方がいいだの頭の中で考えているうちに、 ひっそりと潜り込むように門番に通してもらった。 外出するなら護衛をつける等五月蝿いのを適当にあしらうのも面倒になってきたから、 今度から無視でも決め込もうか。 一般人の格好でいれば、そんなものは必要ない。 さて、遥々階段を登って高い階にある執務室にたどり着き、書き残したメモを回収したのだが、妙だ。 座椅子にかけておいたはずの上着が、見当たらないのだ。 また、部屋の明かりを消してきた事を忘れるような記憶障害にも罹っていない。 明らかに誰かが侵入した形跡があるが、なくなったのは自分の服のみ。 泥棒なら提督の服だけを盗む意味が分からないし、まず門番や艦娘に取っ捕まえられる。 一先ず代えの服を出そうと寝室を覗いて、事件は解決した。 確かに泥棒が寝ていた。 泥棒改め大井は、どういう訳か自分の軍服を胸に抱き、決して離すまいとしていた。 短いスカートから伸びる足を存分に晒し、 この冬の中を掛け布団無しで寝入っているのは、耐寒仕様も備えた艦娘ならではだろう。 だから、そんな事は別に問題ではない。 自分が先程まで着用していた衣服で、 まるで嗅いでいるかのように鼻と口元を覆って寝息を立てているのが問題なのだ。 何の意識もしない訳がない。 この光景を頭の中で噛み砕いた時、自分の顔は、眠れる大井に放火された。 顔が焼けるように熱い。 ラーメンを食べた事による幸福な熱はどこかへ吹き飛び、冬にも関わらず汗が噴き出す感覚に襲われる。 気づけば息切れを起こしたのか、胸も苦しい。 少し立ちくらみがして、ふら、と後退りしたが、壁に手をついたお陰で派手な音も立てずに済んだ。 それでも、大井が目を覚ましていないか、息を殺して顔を覗き込む。 大井の前髪は眉を上手い具合に隠しているので、女らしい睫毛のついた瞼しか見えず、 これだけではどんな気持ちで寝入っているのか読み取れない。 寝ていようが目を覚まそうがこの鼓動は収まらないが、ともかくは起きていないようではあった。 ここでこそ提督の決断は試されると意識した時、ある考えが浮かんだ。 散々言われた"時間と場所を弁えて下さい"の雷撃脅迫に基き、寝込みを襲うのは今度にしてやる。 だからと言ってこの好機を逃す等、キスカ作戦で濃霧を逃す事と同じ程度にはあってはならない事だ。 踵を返すと同時、気持ち悪く歪んだ顔を引き締める。 誰かが勝手に起こす事のないよう扉はしっかり閉め、自分は一旦忍び足でこの場を立ち去った。 …………………… ………… …… 腕時計を見れば、あれから三十分は経つか。 その間にやりたい事は終わらせた。 後は目標が姿を現すのみ。 結局代えの上着は出さずに、ワイシャツの格好で執務室に篭らずに彷徨う事にしている。 あそこに篭っていたら目標が目を覚ましても姿を現さないかもしれないからだ。 只、出くわす艦娘に一々この格好を聞かれて洗濯中だの冬のクールビズだの答えるのもまた面倒になってきた。 何より、"鍛えられていない線の細さが見え見えですわ"と、容赦なく急所を突く奴がいたからしょげる。 執務室に繋がる廊下に足を踏み入れてみると、思惑通りに目標が姿を現していた。 こちらの存在でも待ち構えているのか、執務室の扉に寄りかかっている。 「……あ」 近づこうと歩むと、数多の板がぎしぎしした音で大井に接近を知らせた。 こちらに首を回して姿を確認するなり駆け足で寄って来て毒を浴びせる。 の割には、普段の微笑が二割増のように見えるが。 「おかえりなさい。提督ともあろう御方が、執務を放り出しての外出は楽しかったですか」 そこからか。 勘違いしないで欲しいのだが、自分はしっかりと書類を束ねて整理するところまで終わらせたんだ。 それから、通す書類が減るよう出撃回数を下げたり等もしているが、これは言う必要はないだろう。 「あ、そうだったんですか」 少し驚きを秘めたように目が見開かれる。 こうした話とは全く別のところで、自分は少し考えている事があった。 ――さっきまで服なんか抱き締めていた癖に、それの主に対しては何も無いのか―― 「提督にしては、仕事が……あっ!」 少し妬いた自分は結果、行動を起こした。 喋り途中でも構わずに一歩踏み出して目前の大井を腕に抱き締めた。 大井はもぞもぞと身動ぎした後、拒絶するように掌を胸に押し当ててくる。 「ちょっと、提督っ、何す……」 「誰も見てないんだから、良いだろう?」 「……調子に乗らないで下さい」 その小声は震えているが、それが歓喜によるもののように聞こえるのは、自分が自意識過剰なのだろうか。 首を動かして廊下を見渡してから、大井は拒絶する手をゆっくりと下ろし、私の背中に回した。 大井も抱き付く姿勢になった事で、自分の胸に山が二つ押し当てられる。 こいつは、これについて意識しているのかね。 そして、私の胸の音でも聞くかのように、頭は九十度回転させ、…………。 こいつは背中といい胸といい、私の体に耳を当てるのが好きなのか。 こんな可笑しな趣味をしているから、 速まる鼓動と態度をなるべく連動させないようにする訓練を否応無しにさせられているような錯覚さえ覚える。 さて、何の話だったか。 「で、どこに行ってたんです」 「近所のラーメン屋だよ」 大井は、獲物を捕まえた食虫植物のようにその体勢から数ミリも動かず、 呟くように再度疑問を投げかける。 「……なんで一人で行くんですか」 機嫌が悪いのか。 声は小さいが、あまりその声色に優しさ等は添付されていない。 むしろ、機嫌が悪い事を暗に示すような……。 「男しか行かないようなラーメン屋には、ついてこないだろう?」 「提督に誘われれば行きます」 なんと。 女にとってはラーメン屋は入り辛い店の中でも上位に食い込むような店だと思っていたが。 入り易い入り辛いの前に、まず行こうとさえ思わないだろう。 まず一緒に行ったとして、大井は注文でもするのか。 金は落とさないのに混んでいる店の席を一人独占するだけの連れは、 こちらとしても店に申し訳なくなるので、只ついてくるのであれば正直遠慮したい。 「私だってラーメンは食べます」 「何より、どこへ行くかじゃなくて、誰と行くかで楽しさが決まるって、どこかで聞きました」 出た。 何かの切欠で出てくる、普段は内に秘められている大井の一面が。 これだ。 これを引っ張り出すのがとても楽しいのだ。 話が逸れた。 "どこか"と言う抽象的な言葉は釈然としないが、その意見には自分も大いに賛同できる。 女とラーメンなんてあり得ない、と言う固定概念が長年自分にはあったが、 こう言うのなら、今度から大井を随伴艦にラーメン屋へ出撃する一考の余地もあるのかもしれない。 誰と行くかで楽しさが決まる、と言うのは、確か旅行での一つの考え方だったとうろ覚えに留めていた気がする。 「なら、今度な」 「はい。秘書艦に何も言わずに、どこかに行っちゃ駄目ですからね」 聞いているこちらが微笑ましくなるが、実際の自分は意地汚い顔に変貌を遂げる。 何せ、そろそろ本題に入ろうと思っていたのだ。 大井がこちらを見上げていなくてよかった。 そして、用意していた一つの質問を待ち遠しく投下する。 「ところで、さっき執務室に戻ったら置いていた上着が無くなっていたんだが、大井は知らないか?」 「……!」 確かに大井は先程から私に抱き付いて動かないままだったが、 たった今、違う硬直に変わった気がした。 「……し」 「ん?」 「知りませんよ提督の上着なんて私は提督の家政婦か何かじゃないんですから 風でどこかにでも飛ばされたんじゃないですか? それよりも提督はどこまで行っても駄目で困った人ですね自分の着用する軍服をなくすなんて あるいはこういう時の為に私みたいに代わりの服でも用意しておけばいいのに 備えあれば憂いなしって霧島さんがいつも言っているでしょう これだから周りから駄目だのクソだの言われるんですよそんな人の秘書やってる私の気持ちにもなって下さい そんな穴だらけの考えで戦場を指揮していたらどうなるか分かって……」 「おかしいな。窓は閉まっていた筈だが」 「……開いてました」 嘘言え。 この冬の中、窓を開ける訳がない。 実際帰った時も確かに閉まっていた。 何より、窓から入ってきた風が衣服を窓の外に飛ばすと言う現象等、到底あり得る事ではないと思う。 大井は悟られまいとひどく焦っているのか、 普段の高速艦から転じたかのようなとても速い口調で毒を並べる。 よくもまあそこまで人を罵る言葉がすらすらと出てくるものだ。 しかし全てを知っている自分はしょげるどころか、 笑いを顔に放出する代わりに横隔膜が動かないよう堪えていた。 上半身を密着されているこの状態で腹から笑うのは拙い。 「ところで、最近の写真技術の進歩は著しいものがあると思わないかな」 「……?」 ここで、自分は一枚の写真を取り出し、話を続ける。 話を転換する接続詞をつけているが、実は話は変わっていないのだ。 それを、未だ胸に耳をつけたままの大井の顔の前に持って行き、意地悪く見せ付ける。 「ほら、綺麗に撮れているだろ?」 「……っ!」 大井は、初めてこちらに顔を向けた。その顔は赤い。 先程の自分もこんな顔をしていたのだろうか。いや、ないな。 だって大井は、ただ赤いだけでなく、知られたくない事を全て知られて羞恥心に塗れた顔をしている。 大井は瞬時に両手を私の胸に突いて体を引っぺがした。 「私の上着は、どんな匂いだったんだ?」 「……ぁ、あ、あ……」 そう。 あの後、青葉にカメラを借りて大井の寝姿を撮影、すぐに写真の現像を青葉に頼んでいたのだ。 無論、青葉からは間宮のあいすくりん券を出すよう交渉されたので、それに応じて極秘に進呈してやった。 そのお陰でこの写真には、自分がこの目で見た光景と同じものが写っている。 嗚呼全く。 いつまでも残しておきたいこの微笑ましい、愛らしい光景を、 これだけ鮮明に紙に残す事ができるとは、いい時代になったものだな。 そう思わないか? 「なあ。大井?」 「提督の馬鹿ーっ!!」 …………………… ………… …… 土俵際まで追い詰めたと確信したあの時、何割か引き出されたらしい艦娘の底力か何かを持って、 自分は平手打ち一つでノックアウトさせられた。 そして気が付けば、明石の頬の軽い手当ての下、こうして療養室の寝具にて目を覚ます事になった。 ちなみに、傍に写真が落ちていたりはしなかったらしい。 ……没収されたな。 それでも、大井をあれだけ弄り倒す事ができたので、自分は満足だ。 笑いが漏れる。 「くすっ、ふふ……ふふ……」 「……提督は、まだ少し修理した方がいいみたいですね」 大井から散々馬鹿と言われたように、馬鹿は修理しても直らないよ。 自業自得の結果、頬の修理を任せてしまうのは申し訳ないと思うが。 「分かっているなら、女の子をあんまりいじめちゃ、めっ、ですよ?」 「分かっていても、やめられないなあ」 全く。可愛い奴だ。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/10.html
136 :名無しさん@ピンキー:2013/08/27(火) NY AN NY.AN ID Jav7v0bd 8月25日 拾った軽空母1隻と『牧場』産の軽巡で赤城を近代化改修した。 これで装甲と対空兵装は現時点で限界まで鍛えられたはずである。 施工後に『これでもっと働けます!』と笑顔で感謝された。 なに、この強化でお前の食費が少しでも浮けば僥倖さ。 8月26日 各海域の深海棲艦に動きがあったようだ。通達によると新兵器による戦力増強か、とのこと。 早速うちの艦隊も甚大な被害を受けた。なんだあの戦艦の主砲の数は。 隊で一番の大怪我をした赤城は10時間の入渠を余儀なくされた。 女性の見舞いに男性が訪れるのはタブーだが、どうしても帰投後の沈んだ表情が焼きついて離れなかった。 非礼を承知でこっそり見舞いに行く。カーテンの向こうで彼女は『……モト提督』と寝言を口にし眠っていた。涙が見えた。 俺の名前ではない。 差し入れのボーキドーナツを冷蔵庫に忍ばせて、去った。 8月27日 戻ってきた赤城の様子が少しおかしかった。 髪を、いつもの流れるようなストレートではなく、ツーテールに結わえて周囲を驚かせていた。 ふるまいにしても、いつもの落ち着いた様子ではなく勝気な言動が目立った。 イメチェンを図って意識の段階から自らを変えようとしているのだろうか? 彼女なりの努力なら温かく見守り、サポートしてやろうと思う。 8月28日 赤城だけじゃなく島風や金剛の様子も似たように変わってきた。 あのヘアスタイルが流行っているのか?今度同僚に訊いてみるかな。 8月29日 提督の夏休み。またも瞬殺 糞が! 137 :名無しさん@ピンキー:2013/08/27(火) NY AN NY.AN ID Jav7v0bd 9月3日 やはりおかしい あれではまるであの娘が いやそんなことはあるはずがない どの提督だってやっている事だし だが自分の鎮守府の娘だけあんな風になるなんて 9月5日 どの娘の改修にも彼女を使った、それも何隻も 今になって工房に連れて行く時の彼女の顔が思い出される 酒で洗い流そうとしても無理だった 何も映さない瞳、全ての気勢を削がれ力なく運ぶ白い足、前向きな言葉とは裏腹に死人のようだった顔色 俺達を恨んでいるのか 9月14日 執務室にいるのが怖い 四六時中あの娘の声と顔に囲まれている 転属希望の書類はとっくに送付したはずだがまだ返事が来ない 郵便課の連中はなにをしている! 月 日 (読めない) 月 日 ごめんつぎはもっとだいじにするからゆるして
https://w.atwiki.jp/ranobesaikyou/pages/1425.html
. 【作品名】艦隊これくしょん -艦これ- 一航船、出ます!(著:鷹見一幸 協力:「艦これ」運営鎮守府) 【名前】提督(本名不明) 【属性】提督(一応は人間とする)、司令官、少佐 【大きさ】成人男性並(20代のようにも30代のようにも40にも見える年齢不詳な姿) 【攻撃力】軍人並 【防御力】軍人並 【素早さ】移動・反応は軍人並 【特殊能力】特になし 【長所】基本優柔不断だが、ここぞというときは決断する 【短所】艦娘達をやたら触ったり、まさぐったり、じゃらしたり、手を握ったり パンツや風呂覗いたり、あげくには押し倒したりする変態 【戦法】がんばって格闘だ 【備考】艦娘達を統率する脇役の変態?提督。 「本当の名前も記憶も、彼には無い。 彼に求められているのはより良く戦うための才覚であり、そのためにここに存在している。 彼は「提督」であり、それ以外の何物でもないのだ。」 と説明されていて、鎮守府に現れた艦娘や深海棲艦以上に出自などが不明な謎の存在。 プラウザゲーム「艦隊これくしょん」のノベライズ。 「とある鎮守府の一日」シリーズ(著:銅大、椎出啓、鷹見一幸)と共通の設定と世界観で描かれている。 その他の媒体や他作家のノベライズ作品と繋がりはないパラレル。 37スレ目 参戦、人数オーバーで番外へ .
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/476.html
「提督、こちら、確認を願えますでしょうか?」 「やあ、すみませんね、榛名さん。何から何まですっかり、手伝わせてしまって」 「いいえ……提督、そんなこと。ただ、榛名が好きでやっているのですから」 「……ありがとう、嬉しく思います。さて……今日はもう、この辺りにしておきましょう」 「いいのでしょうか? まだ、幾分お仕事が残っているように見受けられますが」 「もう、こんな時間になってしまいました。これでもし、なにか間違いが起こったらいけませんからね」 「まあ! この鎮守府で提督、何か間違いが認められると、そう仰るのですか?」 「女性ばかり、というわけでしょうか」 「その通りです」 「部屋に戻るのが遅くなってしまえば、嫌な噂の一つでも聞こえてくるかもしれませんよ」 「榛名は、大丈夫ですよ?」 「榛名さんは真面目ですね。……アア、今度からは、代わりに秘書艦を務めてもらうのも良いかもしれません。金剛さんの代わりに」 「もう、提督ったら……怒られてしまいます。……でも、なれば秘書艦任務、全力で務めさせて頂きたく思います!」 「ふーむ? 別段、無理に、とは言わないのですが」 「榛名は、提督のお役に立てれば嬉しいです。無理にだなんて、とんでもないです……」 「そうですか? では、そのように。お言葉に、甘えさせてもらいましょう。金剛さんも、負担が減ったと喜んでくれるでしょうし。明日にでも、その旨、伝達致します。朝、金剛さんと一緒に、ここまで来て下さい。僕の方から言います」 「いえ。それより先に、榛名から多少でも話しておいた方が、何かと都合がよいかと思われます」 「すみません」 「多少……そう、多少……時間が遅くなるかもしれませんが……!?」 「きゃっ!」 「おや。蛾、か……窓は開けていたから、入ったのでしょうね。大丈夫ですか?」 「はい……申し訳ありません、提督」 「いいんです。虫には、同じ侵攻路を利用する知恵もありませんしね。虫は苦手ですか」 「榛名……情けないです……」 「そんな事ありませんよ。むしろ、普段凛々しくある榛名さんの、意外な一面といいますか」 「う、うう……」 「……おや。霧島、さん?」 「失礼します、指令――ん、どうしたんです? 榛名姉さま?」 「何でもないですよ。ただ、虫が入っただけです。霧島さんこそ、どうしてこんな時間に」 「上の姉さまが、榛名姉さまをお呼びですので。たぶん、提督のトコロが怪しいネー! ……だとか仰いまして。さすが姉さま、慧眼でした」 「ほら。榛名さん、やっぱり心配されていますよ。早く、部屋に戻りなさい」 「ところで……あのう、榛名姉さま? 姉さま、この前、部屋で虫を手づかみで外に放りなさって……」 「――ああ?」 (霧島は榛名を榛名姉と呼ばずにただ榛名と呼び捨てしてるけどこれは霧島の霧島っぽさ、貴重な霧島の妹っぽさを半減させる愚行だと思います霧島) これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/1265.html
117 :4:2012/07/28(土) 23 09 05 提督たちの憂鬱 第4話登場人物一覧 1/7 1927年 夢幻会会合 嶋田繁太郎:海軍大学校校長。 会合出席。 夢幻会の組織力を改めて実感。カップ麵の試食会に頭を痛める。 海軍大学の教育改革推進。陸海軍の協調を目指す文化祭、運動会共に成功。 『ひょっとして自分だけが異常なんだろうか…… 嶋田は人知れずそんな不安を感じた。』本編4話より抜粋 伏見宮博恭王、大角岑生、南雲忠一:会合出席。新発売されるカップ麵を試食。 辻政信:会合出席。新発売されるカップ麵を試食。聖ペテロ女学院設立。 『「東京近郊の学校には、やたらとロシア系美少女が多いようですが? ああ、モンゴロイド系もコーカソイド系もいましたね」』本編4話より抜粋 三菱代表:会合出席。新発売されるカップ麵を試食。政財界に絶大な影響力を持つ。 『「まあ憲政会の政治家たちにも飴は与えてあります。 イザというときには役に立つでしょう」』本編4話より抜粋 伊藤博文、山県有朋:死去。 西園寺公望:夢幻会協力者。会合出席。 『伊藤博文も山県有朋もこの世を去った今では数少ない明治の元勲だ。』本編4話より抜粋 118 :4:2012/07/28(土) 23 10 38 2/7 若槻禮次郎:名前だけ登場。若槻内閣不成立。 『「片岡を外して作ることも出来たが、 別に若槻内閣を作る必要なかったからな」』 『「政友会でうまくやっている。 わざわざ憲政会に組閣をさせてやる必要はないだろう」』本編4話より抜粋 片岡直温:名前だけ登場。 若槻内閣大蔵大臣。 史実では失言で金融恐慌が発生していたが本編では任命されず金融恐慌も防ぐ。 インスタントラーメン:新発売されるカップラーメン。 トランジスタ開発:コンピュータ開発でのアドバンテージを得るために必要。 1932年から開始する予定の第二次五ヵ年計画の中で開発を進める。 満州:『第一次世界大戦後、連盟の監視下で満州は合法的に日本の影響下にあった。 連盟(列強)の監視もあって治安も安定しておりわざわざ張作霖を排除するような機運はなかった。 さらに米もあまり反日を煽れば連盟の警戒と日本による武力介入を呼ぶ可能性があるとして 極端な日中離反工作はできないでいた。さらに21ヵ条要求などをしていないので反日機運もそこまで高くは無く、 むしろ反英機運が高かった。』本編4話より抜粋 聖ペテロ女学院:亡命ロシア人子女の為に設立。 陸軍:『米国企業を馬賊、そして最近出没するようになった共産ゲリラなどから護ると同時に、 米財界とのコネクション作りを着々と進めていた。』本編4話より抜粋 119 :4:2012/07/28(土) 23 11 22 3/7 1928年 嶋田繁太郎:球磨型軽巡洋艦弐番艦「多摩」艦長就任。 張作霖:名前だけ登場。暗殺を免れる。 蒋介石:名前だけ登場。 『史実では国民党の北伐による北京制圧と満州某重大事件と呼ばれる張作霖暗殺事件が起こった。 しかしながらこの世界ではそれらのイベントは発生していなかった。 米国の支援を受けた張作霖は依然として華北部を中心に強力な戦力を保持し、 国民党相手に一歩も引くことなく北京を維持していたのだ。 これによって張作霖は中華民国の正統政府は自分達であると主張して止まなかった。 勿論、国民党の蒋介石はこれに反発したが、 米国(+日本)をバックに持つ張作霖に真っ向から戦うことはできず、 華南での足固めに終始していた。』本編4話より抜粋 120 :4:2012/07/28(土) 23 14 40 4/7 1929年 世界恐慌前 嶋田繁太郎:天城型航空母艦「天城」艦長就任。航空無線を取り入れた集団戦法の研究を進める。 『後々に、この集団戦法は日本軍の航空部隊の基本戦術となっていく。』 『嶋田は、海軍有数の派閥の一員なのだ。尤もそれだけ色々と苦労も多い。 妬む奴もいれば、媚を売ってくる奴もいて、人間関係で気がめいることが多いのだ。』 『嶋田は新たな戦術を研究すると共に、 赤城型空母『赤城』の艦長となった山本五十六と航空機の未来について話す機会を多々設けた。 彼等は飲み屋や寮などで大いに話を盛り上げた。 尤も嶋田は海軍有数の名将と呼ばれる事になる山本五十六を前にして 緊張のあまり背中で汗を流していたが。』本編4話より抜粋 山本五十六:赤城型航空母艦「赤城」艦長就任。嶋田さんと航空機の未来について語り合う。 121 :4:2012/07/28(土) 23 15 30 5/7 1929年10月24日 暗黒の木曜日 世界恐慌 夢幻会会合 『この恐慌の発生を予め知っていた日本は、 むしろこの大暴落を利用して莫大な資金を稼ぎ出した。 それは各省庁の裏金や、皇室財産からも資金をひねり出して 仕掛けた夢幻会一世一代の大博打だった。尤も彼らの行為は、 インサイダー取引なんて目じゃないほどのインチキだが、 インチキはばれなければ問題ない。』本編4話より抜粋 嶋田繁太郎:会合出席。辻~んの爆弾発言に思わず持っていた湯のみを落とした。 東条さんの股間に零れる。 南雲忠一:会合出席。嶋田さんを宥める。 『「南雲さん。今、私は5.15や2.26事件を引き起こした将校たちの気分が わかったような気がしますよ」』本編4話より抜粋 伏見宮博恭王:会合出席。コントを終わらせ議題に入る。 加藤寛治:名前だけ登場。伏見宮殿下と協力して関係省庁との協議を進める。 辻政信:MMJ幹部。会合出席。黒ニーソ派。爆弾発言で会合が大荒れ。 『世界恐慌で荒稼ぎした金の総額を見た辻が、 喜びのあまり何やら高笑いをしていた。』 『「そうです化学繊維を作るためです。 ぶっちゃけ、高オクタンのガソリンは二の次です!」』本編4話より抜粋 122 :4:2012/07/28(土) 23 16 06 6/7 複数のMMJ幹部:会合出席。紺靴下派、白靴下派が言い争う。 牟田口廉也:MMJ幹部。会合出席。袴派として参戦。 東条英機:会合出席。 嶋田さんが持っていた湯のみが隣にいた股間にかかり転がりまわる。 宇垣一成:夢幻会協力者。 化学繊維開発:デュポン社より早く特許を押さえ莫大な利益を得る為辻~んが推進。 『世界恐慌によって世界各国で生産縮小、企業の倒産が相次いでいた。 その中で日本は巧みな金融政策、経済政策でその打撃を最小限に抑えた。』本編4話より抜粋 123 :4:2012/07/28(土) 23 17 01 7/7 1930年1月 ロンドン銀相場暴落 ロンドン銀相場暴落でも荒稼ぎ。 1930年 ロンドン軍縮会議 1月21日~4月22日 日英同盟:駆逐艦の排水量制限を緩和させることを条件に対米戦争参戦義務削除。 米国国務省は外交での勝利と考えたが、実際には日本のシナリオどおりであった。
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/559.html
前回の話 時刻はマルハチマルマル。 鉄や鋼が金槌に鍛えられ押し込まれる、耳をつんざく音が響く。 上から日課とされている開発任務の催促を消化しにやってきたのだが、 それについて自分は起床時から全く思考の一枚も重ねておらず、形式上終わらせる事しか考えていなかった。 と言うのも、艦に必要な装備は一通り揃い、 資料に登録出来ていないものといえば酷く製造が難しい極一部の精密な設計のものだけだからである。 そういったものは製造コストが資源に嵩むので、それなら今あるものでやりくりする方針で行く。 空母を例に挙げれば、普通の彗星やら流星やら烈風だけでも十二分な戦力となり得るのだから、 震電とかいうものを製造してみる気はない、という事だ。 冒頭に話を戻すと、そういった理由で自分は端から大井に適当な砲を作らせて報告書をでっち上げるつもりでいた。 時間もかからずに中型艦以下にはお馴染みの十四サンチ単装砲が一丁仕上がり、 大井も反論する様子は見受けられなかったので本題に入る。 話の内容が内容なので、自然と自分の口調は堅い物になる。 「検討した結果、大井は単装砲を捨て、九三式酸素魚雷を従来の二十発から三十発に換装してもらう。異論は……」 「あの。他の艦も、強くしてあげて?」 あるか、と問おうとしたのだが、大井から帰ってきたのは通論とも異論とも判断しかねる言葉であった。 至極穏やかでふわりとした控え目の笑みを浮かべて傾げる艦首、 そしてわざととしか思えない素っ頓狂な論点のずらし方に、たちまち自分の口調も崩れる。 「……他の艦の事よりも、第一に自分の事を気にしてくれ」 「私はもう充分強くなったからいいんです。それよりも北上さんや木曽ちゃんにあげた方がいいと思うんですよ」 確かにそういう選択肢もある。 しかし、兵装実験も兼ねて最先端を走るこの装備こそ、魚雷の扱いの練度が一番成熟した大井に託したいのだ。 それともう一つ。 身も蓋もない事なので口には出さないが、世のあらゆるところで特化型はバランス型よりも有利になるのだぞ。 大井は富士山にも届く程どんどん尖らせて行きたい。 「……そういうことなら、喜んで頂きます」 意外と素直に受け入れた大井は、早速装備換装の為奥のカーテンに向かい手をかけ、何事か振り向く。 綺麗な長髪を予兆なく さら、と揺らして振り向く大井の顔は、 その笑みに楽しげな成分がよく見ないと伺えない程度に盛られていて……。 「私の着替え、覗きます?」 阿呆な事を言ってないでさっさと済ませてきなさい。 両腕両足の装備を変えるだけだろうが。 「っふふ」 数分後、大井は戻ってきた。 魚雷は九三式酸素魚雷のままに、発射管を零式五連装発射管へと姿を変え、 それを両足に四基、両腕に二基搭載している。 大井は初めての五連装発射管が新鮮なようで、それらを手で撫でながら呟く。 「この魚雷火力、うまく使って欲しいなぁ……」 これらの発射管は開発したものではなく、 この鎮守府の戦果功績が認められて試験運用の名目で上から支給された物だ。 試験運用と言っても返す義務はないそうなので気楽なものだ。日々の報告書の作成は一枚増えるだろうが……。 自分もこの目で見るのは初めてで、大井が腕の発射管を眺めている傍で跪き、足の発射管を眺めて弄くり回す。 さわさわ。さわさわ。すりすりすりすり……。 「提督も気になります? 更にいっぱい付きましたよね、って……。 触りすぎなので提督に三十発、撃っていいですか」 「提督が艤装の検査をするのがそんなに悪いか」 「途中から艤装じゃなくて足触ってますよね」 「ついでに船体も磨こうと思ってな。お前はいつでも綺麗でいて欲しいからな」 「いい加減にしてくれないと私、本気にしちゃいますよお?」 状況によってはこの科白は昂りの材料になりそうだが、声色が威圧感を含んでいたので仕方なく離れる。 優しい目尻を貼り付けた笑みはそのままに、 眼力を強めるという器用な顔が出来る大井はいつまで経っても照れ屋だ。全く。 「朝からこんなところで盛らないで下さいね」 その言葉の裏を突こうものなら、局部に魚雷が飛んで来かねない事も考えて自粛しておく。 スキンシップを拒まれた自分は、単細胞生物の如く深く考えずにこのような科白をのたまった。 「足触っただけなのに、水臭いね」 …………………… ………… …… 「…………」 この人のセクハラを止めながらも、長い月日の付き添いの下、 昔の私が知ったら怒り狂いそうな気持ちを私は秘めていた。 私からあっさり離れながらも恥も捨てて愚直に不満を漏らす提督に、私は距離を再び縮めようと一歩前に出る。 「もう少しだけなら触っ……」 「提督!」 提督以外の者には聞こえないように発した小さな声は、大きな声に叩き伏せられた。 提督の向こうにいた声の主は、大本営からの任務通達を担当する軽巡大淀さんだった。 大淀さんが探しに来るという事は、何か緊急の通達があったに違いない。 だから、提督が即座にそちらへ意識の全てを向けるのは何ら間違っていない。 間違っていないのだが、腑に落ちない。 「大淀? どうした」 せっかく縮めた距離も、また開いてしまう。 よく考えれば私は秘書なのだから、提督と同じように私も大淀さんの知らせを聞きに行けばいい筈なのだが、 提督との戯れを妨害された挙句に一人取り残されたような処遇で、その場に立ち尽くしてしまった。 「……ああ。……ああ。分かった、ありがとう」 最後にいくつかの書類を渡してから、大淀さんは凛とした面持ちを崩さぬままその場を立ち去った。 戻ってきた提督も、気を引き締めた面持ちに切り替わっていた。 「急で悪いが、用事が出来たから留守番を頼む。午前の演習は休みになるそうだ」 「……分かりました」 何か良くない事でも起きたのかと思ったら、そんな事はなかった。 でも、午前の演習がお休みになるって事は、用事は午後までかかるという事よね。 演習が出来ない。せっかくの五連装魚雷が試せない。 残念だなあ……。 …………。 ぎゅ。 「え……?」 暫く思考が止まり、次に我に返った時には強い力で暖かいものに包まれていた。 目前にあるのは、提督の肩? 抱き締められている? 「ほら、出かけるからって悲しそうな顔しない」 「……し、してませんよ。自意識過剰も程々にしてください」 口では微動だにしない姿勢を演じつつも、 本当のところは間近で感じるこの人の匂いだとか熱だとか、 私の腕と肩をいっぺんに包むこの人の腕、押さえるように腰に添えられた手の感触が気になって仕方がなかった。 「そうか? それにしてはさっき何か言いかけてなかったか」 「提督の空耳ですっ」 「……ふうん」 ここはうるさい工廠なのに。 まして小さい声だったはずなのに。 確かに全く聞こえないような声だったら口に出す意味がないとはいえ、聞こえていたなんて。 あそこで大淀さんが来ていなければ、 多分私は勇気が羞恥心を上回ったままこの人の好きにさせていたかもしれないけど、 あの戯言をこんな形で受け止められてしまっては、時間差も手伝って羞恥心が勝る。 私は何を言っているんだろう、という自己嫌悪に滅多刺しにされるのだ。 そんな私の心情などお構いなしに、この人はいっそう抱擁の力を強める。 「勝手にするけどね。何せ昼過ぎまで帰って来られないんだから、私も補給しておかないと」 「はぅ……」 「あー、暖かい……」 急な用事ではないんですか。 こんな事をしている場合ですか。 秘書として言える事は沢山あるのに、 締まらなくなった蛇口のようにそんな事をのたまうこの人の離す気配のない抱擁に、私は……。 「……熱くなってきてないか、お前」 「っ!」 この人の声色から、口の端が天に向かっているのは容易に想像が付くのだけど、 とうに突っぱねる選択肢を失っていた私は何も出来なかった。 昼過ぎまで、出撃も演習もなく、この温もりもないのだから。 それからは提督の気の済むまでそうしていた。 それから惜しむ間なく別れて、自室に戻ろうとして私は不意にある事を思いついた。 ――そうだわ。昼過ぎまで帰って来られないって言ってたんだから、お弁当でも―― 食事なんかしている時間はないかもしれない。 手に余らせて迷惑がられるかもしれないけど、知った事か。 思いついてしまった以上、ここで何もしないという選択はない。 実のところ土曜日のカレー以外は殆ど料理はしていないけど、 カレーが作れるなら不味い物は出来ないはずだ。 そう気を持って、朝食時を過ぎた厨房へ向かう。 私の運の悪さが災いしたのか、単に食材の仕入れ作業にでも行ってしまったのか、 頼みの間宮さんは不在だった。 勝手ながら厨房を借り、何とか残っていた少ない食材を駆使して、一つの包みの開発に成功する。 成功……したのかしら。 時間もないし簡単なもので仕上げたけど。 兎に角、提督の身仕度が終わっていないかが心配だ。 包みを抱えて小走りで玄関口へ向かうと、あと少しのところで大淀さんを見つける。 「はぁ、大淀さん! 提督もう行っちゃいました!?」 「ええ、今し方出ましたけど」 何てこと。 ということは、大淀さんは提督を見送ったところか。 一方の大淀さんは、私の手に持っているもので察したようで、どう反応すべきか困ったように苦笑する。 「あら、残念でしたね……」 「作戦が悪かったわ……」 あるいは私の運が悪かったか。 机に突っ伏して腕を枕にしてそう嘆いても、提督の手元にこの包みは渡らない。 自動車だから、空母に頼み込んだところで航空機の燃料が持たないだろう。 そうして行き場を失ったこの包みを持ち、私は執務室で一人退屈の渦中に巻き込まれる事となっていた。 こういう時って、駆逐艦は他の艦と違って大人数で集まって好きに動くのよね。 でも騒がしいのはどちらかといえば好きじゃない私は、それを見習う気にはならない。 それは私だけでなく、北上さんや木曽ちゃんもまた同じ。 北上さん、大丈夫かな……って、そういえば早い昼寝と洒落込んだんだった。 普段の招集頻度は高い方だから、こういう時があれば身を休めようとするのは己の為になるだろう。 ああ、炬燵に突っ伏してぼんやりつらつらとそんな事を考えているうちに、私も睡魔に襲われていく。 姿勢が悪かろうと、こうなると今更自室まで体を動かすのは億劫だし……。 大人しめな色合いの包みを穴が空くほどじっと睨んでいたが、私の意識は段々と低下していった。 …………………… ………… …… 不定期に開かれる軍の会議にやっと終わりの鐘が鳴り響いた時、時計の時針は無慈悲にも正午を通り過ぎていた。 議題の一つ一つの話が回りくどいし長ったらしい。 おかげで尻が痛い。 正午は現代日本人にとって二度目の食事時だというのに、 鎮守府の門を通った時、時計の時針はその重要性を吐き捨てるように大幅に過ぎ去っていた。 庁舎に入り、まず持って行くように言われた書類を置いてくる為に真っ先に執務室へ向かう。 歩く足を止めず扉を叩きもせずに開けたが、自分はそれを反省する事になる。 「おっと……」 畳の中心に設置した机で大井が突っ伏していたからだ。 自分がいない執務室にまさかいるとは思わず、反射的に姿勢を正す。 それから自分は音を立てないよう細心の注意を払って扉を閉め、畳に上がり込んだ。 手持ちの書類を机にそっと置き、大井の傍に置かれている包みに意識を向ける。 これは何だろうか。 外からの手触りからこれは弁当箱だと察した。 ではこれは誰のだろう。 こんなものを執務室に持ってくる時点で候補は大幅に絞れるが、確信もない。 食事なら食堂を使えばいいのだから、大井が弁当を持つ意味が分からない。 まずこれを作ったのが大井という確信もないから、大井が寝ている手前誰に聞けばいいかも分からない。 自分が出かける直前、自分は大井から何も言われていないのだ。 どうしたものかと何気無く大井の寝顔を見やった。 「すー……、すー……」 朝の工廠で見せた、あの悲しむような寂しがるような顔はなかった。 大井は絶対否定するだろうが、 自分が出かけると言った時に見せた口角を落とした顔、気落ちした様子を表す声の抑揚のなさは、 落ち込んでいるという事が手に取るように分かりやすいものだった。 それだけにこの安らかな寝顔を見ると安堵するものだ。 その安眠を邪魔しないよう、普段よりも慎重に頭を撫でる。 「ていとくぅ……、んふふー……」 するとどうだろう。 大井は目を瞑ったまま突然口の幅を大きく広げ、大井らしからぬ間抜けな声を漏らしたではないか。 寝息がそのまま続いているから、起きてはいまい。 「おい、しい……ですか……、すー……」 夢でも見ているのか。 寝言で大体察した。 そこの弁当は手をつけてしまっても問題なかろう。 大井なりに男が持つのに合う物を選んだ気遣いが伝わってくる包みを解いてゆく。 箱を露わにし、黒塗りの箸を手に取った。 思えば、大井にさせている料理の殆どは土曜日のカレーであった。 なので大井はカレーに関しては高い練度を発揮出来るが、カレー以外ではそうはいかない。 あまり余計な負担をかけないようにと思っていたが、これはこれであまり良くないのでは、と思ってしまった。 カレーは毎週少しずつ出来が良くなっていったが、変化したのはカレーだけだったようだ。 大井の作ったであろう弁当は、不味い訳ではないが、とても美味しい、とも言えないものだったのだ。 カレー以外は殆ど演習させていないから、恐らく下ごしらえだとか、調味料だとか、火の通し方をまだよく知らない。 レパートリーが不足しているのだ。 これはいけない。 自分の為に出してもらえる飯が美味いに越した事はないのだ。 そうだ。それなら演習をしよう。 興味があって人並みに出来るくらいまで勉強した自分が少し口出ししようかと、 持ち帰ってきた書類を仕分け、少しでも時間の許す限り執務を進めながら考えていた。 勿論大井の寝息を聞きながら。 「んっ、んんん~……!」 筆を置き背を伸ばす。 もうヒトヨンマルマルだ。 午後に演習があるため、あまりのんびりしてはいられない。 「大井、起きろ」 呼びかけて肩を揺する。 大井が瞼をゆっくりと半分開いた。 起動し切っておらずという具合に、顔を上げるにも時間をかける。 「あ……、ていとく……」 目を覚ますにはまだ時間がかかりそうだが、自分は構わず用件を口にする。 「さて、時間もあまりないから、少し私と演習しようか」 「……分かりました」 本当に分かっているのか。 顔でも洗わせに洗面所へ向かわせた方がいいだろうか。 とか考えている間に、何やら大井は行動を見せる。 一体全体どういう理屈か、大井はこちらへ四つん這いで近付き、私の首に両腕を巻き付けてきた。 突然の事に自分は後ろに倒れかけたが、間一髪両手を畳に付き事なきを得る。 しかしこれは同時に、抵抗する手段を失っていた事に自分は気づけないでいた。 そして。 「んんっ!?」 なんなんだ。 何故自分は大井に唇を奪われ、好き勝手に弄られているのだ。 「ちゅ、ちゅぱ、……んん~、んぅんぅ、ちゅる……ぅ」 しかも舌を差し入れ、私の口を開けさせようと歯茎を舐め回し、歯を突つく。 混乱した自分は素直に口を開いてから後悔した。 阿呆か、自分は。 頭の中で反省文を原稿用紙に長々と書かせる暇がある訳なく、 立てこもり犯のようにいとも簡単に舌を同じものに捕まえられてしまう。 「んっ、はむ、ちゅく、んぁ、ちゅる、ふぅ……、えへへー……」 大井らしからぬ間抜けな声を漏らす辺り、まだ寝呆けているに違いない。 そんな調子の大井相手に情けない事だが、碌に抵抗もできずに気の済むまでされてしまった。 こんな事をする意図があったつもりは毛頭ないので、さっさと息を整えて止めにかかる。 大井は言っていた。朝から盛るなと。 どっちが。 「はぁ、はぁ。おい、目を覚ませっ」 口を離した時が隙と見て、倒され気味だった体勢を直す。 畳に付いていた両手を大井の肩に置いて揺らすという少々強引な手を使う。 「……ぁ、あら? 提督、帰っていたんですね」 やっと目を覚ましてくれたらしい。 これで妙な展開は静まると安堵したが、その油断が自分の落ち度だったのかもしれない。 「提督、どうして口の周りをべとべとにしてるんですか。汚いので早く拭いてくださ……」 「お前の所為だ馬鹿」 「……え? あれ、だって、提督、夜戦の演習って……」 「……お前は白昼から何の夢を見ていたんだ」 「……夢?」 大井のその呟きを最後に、見つめ合う事数秒。 きょとんと垢抜けた顔はぼっと赤くなり、困ったように目尻と口角が下がる。 大井が目を下に逸らす。 何やら口を動かしているようだが、よく聞こえない。 大丈夫か、と問おうとするその直前。 「提督の馬鹿ーっ!!」 バチコーンッ!! 「ぐふっ、大井……、私が何をした……」 Oh, ジーザス。 艤装を付けていない艦娘の底力を渾身の平手打ちで表現された自分は、盛大に体を壁に叩きつけられる。 理不尽さとデジャヴと、大井の柔らかかった唇の感触を走馬燈のように思い出しながら、意識を失ってしまった。 …………………… ………… …… その晩。 床に就いた自分は眠るまでに多少の時間が必要そうなので、 駆逐艦イ級の数を数えるのに必死でいた。 リラックスしないと眠りには就けないのに必死とは、寝る気あるのかと突っ込まれても反論一つできない。 そう自嘲していると。 もぞもぞ……。 「!」 「夜戦……、しないんですか?」 ジーザスは言っている。 ここで引くべきではないと。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/1268.html
146 :4:2012/07/29(日) 22 17 44 提督たちの憂鬱 第5話登場人物一覧 1/3 遼河油田:『列強によって半植民地にされていた中国では元々排外運動が活発だったが、 日本によって遼河油田が発見されてからは、今まで以上に権益の回収運動が活発化した。 そして1932年、中国上海でその動きは頂点に達した。』本編5話より抜粋 1932年 上海事変発生 夢幻会幹部:こぞって不満をもらす。 『「連中め、満州が日米の投資で発展した途端に手のひらを返し始めたか」 「忌々しい。これまで日米の投資を募っておいて、最後は総取する気だ。 全くそんなんだからいつまでたっても信用されんのだ」』本編5話より抜粋 辻正信:逆にこれを利用。 大角岑生:上海事変発生にため息をつく。 『「全く共産主義といい、中華思想といい、厄介だな」』本編5話より抜粋 東条英機:浙江財閥の引き込みを猛烈に反発した。 『「無茶言うな。今でさえ譲歩していると文句を言われているんだ。 これ以上譲歩したら何を言われることか判ったものじゃあない」』本編5話より抜粋 ソ連、中国共産党:仕掛け人と思われる。 国民党:租界回収が成功すればそれに便乗すると思われる。 浙江財閥:蒋介石のスポンサー。 147 :4:2012/07/29(日) 22 18 51 2/3 天城型航空母艦:「天城」戦闘機、攻撃機は何を搭載しているか不明。 鳳翔型航空母艦:「鳳翔」 扶桑型戦艦:「扶桑」この3隻を中心にした第3艦隊と3個師団1個混成旅団を邦人保護の為派遣。 陸軍第3師団、第12師団:白川大将指揮。八九式中戦車、九二式軽戦車を保有。 陸軍第9師団、第24混成旅団:夢幻会陸軍派閥杉山元(はじめ)中将指揮。 八九式中戦車、九二式軽戦車を保有。 嶋田繁太郎:第3艦隊参謀長。 杉山元:陸軍中将。夢幻会陸軍派閥。陸軍第9師団、第24混成旅団指揮。 白川義則:上海派遣軍総司令。陸軍大将。夢幻会協力者。陸軍第3師団、第12師団指揮。 夢幻会派某将校:戦艦扶桑の砲撃に大ハッスル。 『「粉砕、玉砕、大喝采!!」』本編5話より抜粋 参謀本部:『一気に南京まで進撃するべきとの意見が高まるものの、 夢幻会が素早く手を回して日中は停戦へ向かった。』本編5話より抜粋 1932年7月 『素早い日本の対処で上海事変が下火になりつつあった1932年7月、 米の後押しを受けていた張作霖は突然、南進を開始。 さらにこれまで押さえられていた地方軍閥が蒋介石に対して叛旗を翻したため、 中国は泥沼の内戦に突入していく。』本編5話より抜粋 張作霖:突然、南進を開始。 蒋介石:地方軍閥が叛旗を翻したため、中国は泥沼の内戦に突入していく。 辻正信:『「これは予定外だが、ふふふ、まぁ良いさ。せいぜい帝国のために利用させてもらおう」 この事態を受けても尚、辻はニヤリとほくそ笑むだけであった。 その顔はまさに悪役、The悪役といったものであった。 どうみても、前世の補正が掛かっているようだった。』本編5話より抜粋 148 :4:2012/07/29(日) 22 19 36 3/3 1932年7月以降 第二次五ヵ年計画 第二次五ヵ年計画:上海事変を片付けた日本政府は第二次五ヵ年計画を開始した。 八木秀次:八木・宇田アンテナ、マグネトロンの開発。 『八木教授を筆頭に関係者を呼び寄せて強力なプロジェクトチームを編成し 未来の知識をベースにして助言を与えつつ開発を推し進めていった。』本編5話より抜粋 夢幻会会合 嶋田繁太郎:TVアニメ推進派にぼやく。会合出席。 『「アニメを放送するより大切なことがあるでしょうに」』本編5話より抜粋 TVアニメ推進派:嶋田さんに反論。会合出席。 『「文化発信力は、イメージ戦略において重要な意味を持ちます!」 「そうです! 史実の21世紀の世界で、日本アニメが多くの国々の人間に、 日本についてよい印象を与えたことをお忘れか!」』本編5話より抜粋 尾崎秀実:夢幻会協力者。MMJが引き込む。嶋田さんに反論。会合出席。 『「アニメや漫画は米英のイメージ戦略に対抗するのに有効な手段ですぞ! 絵を使えば文盲の人間にも強い印象を与えられる!! 上手に利用すれば共産主義の思想の浸透に対する対抗手段になり得ます!!」 「……尾崎さん、貴方、その共産主義者だったのでは?」 「確かに史実の私はそうでした。ですが、私は違う!! 私は目覚めたんです!!」』本編5話より抜粋 辻正信:漫画・TVアニメ推進。宣撫工作の一環として予算は工面できる。 海上保安庁創設。会合出席。 『辻は第二次五ヵ年計画によって創設された経済産業省と連携して、 トランジスタの生産に必要なシリコンなどを得るために、 日本国内だけではなく列強との交渉を進めていた。 これらの交渉が実れば必要な資源を揃えることが出来る。 勿論、辻が動いていたのはシリコン確保のためだけではない。 石炭、木材、鉄鉱石、当時不足していた資源を得るために 外務省と連携して英仏に働きかけを強めていた。』 『「ああ。この時代には字が読めない人間が海外には多い。 そこで絵でアピールできる漫画は重要でしょう」 後に辻たちの進める政策に基づいて陸海軍合同文化祭で、 同人誌の発売が始まることになる。』本編5話より抜粋 南雲忠一:会合出席。 『「史実の海自と海保の仲の悪さを知る南雲はこの提案に顔を曇らせる。』本編5話より抜粋 海軍関係者:会合出席。 伏見宮博恭王:会合出席。海上保安庁に海軍の影響力確保の為軍人を派遣させる。 短期間で空母や強襲揚陸母艦に改装可能な船舶の建造の補助 並びに高速タンカー整備の予算通過を引き換えに設立。 管轄は運輸省。人員は高等商船学校や警察、内務省から回す。 指揮系統に関して辻~んと伏見宮が一時睨み合うが辻~んが軍人派遣を了承する。 牟田口廉也:会合出席。 フーバー:名前だけ登場。ニューディール政策が史実ほどの効果を発揮できず焦っている。 諸葛亮孔明:ジャ○アント・ロボ。 『嶋田は不気味に笑う辻の背後に、白いスーツを着、口髭を生やした細身の男を幻視していた。』 『「ま、まさしく、これは孔明の罠!!」』 『「ああ、あちらの……ということはさしずめ我らは十傑集ですね」 「……ということは夢幻会=B○団ですか?何か色々とあってそうで嫌なんですが」』本編5話より抜粋
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/1716.html
312 :ひゅうが:2013/08/04(日) 20 58 39 ――ネタSS「ハンガリア舞曲~提督たちの憂鬱×征途~」 ――西暦1993年 日本民主主義人民共和国 臨時首都 豊原 「座ってくれ。同志人民英雄。」 ニヤリと笑う「偉大なる若き指導者」に、藤堂守は思わず顔をひきつらせかけた。 「光栄でありますな。偉大なる若き指導者。」 この男、どうやら見た目通りの放蕩息子ではないらしい。 「驚いたかね?」 放蕩息子から切れ者――まるで「戦前」の彼が知っている帝国海軍の諸提督のような――に一瞬で雰囲気を切り替えた男、川宮哲夫はいたずらが成功した少年のような苦笑を浮かべつつ藤堂を席に座るように促した。 「はい。」 理由は述べなかった。 さもあらんとばかりに頷く滝川源太郎NSD長官がまた苦笑していたからだ。 それに、この目の前の男たちの思惑に乗るのも癪であるし政治的に言質を取られるわけにもいかない。 「まぁ見ての通り、私と滝川長官は『だいぶ昔から』敵対しない程度の仲だ。」 「同志の団結は素晴らしいものです。偉大なる若き指導者。」 「その偉大なる何とやらはやめてくれ。正直虫唾が走る。健全な精神を持つのであればね。」 露骨に顔をしかめた川宮に、藤堂はこの次代の独裁者候補の評価を改めた。 彼が口直しとばかりにうまそうに飲んだ南の――サントリーのウィスキーがそれを後押ししたのかもしれないが。 「いかがですか?大丈夫、毒などいれませんよ。」 丁寧な口調で滝川が藤堂に勧めた。 時代がかった丸眼鏡の奥の冷徹な瞳は彼が知るそのままのものであるが、口調にはある種の仲間に対するような親愛の情が感じられた。 「もらおう。」 この滝川という男が意外に人間味がある男であることを藤堂は知っていた。 でなければ、病気の偉大なる指導者のためと理由をつけて彼の妻の病気を治すために政治的にギリギリなチェコや旧東独から医師を呼び寄せるようなことはしないだろう。 南では何といわれているかは知らないが、あの極東ソ連軍の政治将校どもやその悪弊を拡大させた有畑時代の連中のような「野蛮」なことはしないというのが世間一般における滝川の評価だった。 「容赦なく粛清」するのではなく「容赦なく隔離」する。しかして親族の罪は問わない。 70年代以降、北日本が「極東のチェコ」と半ばやっかみを込めていわれるようになったのは彼の功績(?)といっていい。 にもかかわらずモスクワからの干渉を排除できたのは、滝川が共産主義を否定する連中に「容赦しない」ことがルビャンカのご同業によく知られていたからに過ぎない。 民主化運動家からすれば鬼のような存在であったのだが、藤堂からすればテロルまがいのことをする連中と夢想家への評価を保留しているためまったく問題にしていない。 藤堂は、「南」の酒精をあおった。 うまい。 英国産のものにひけをとらない品質だ。 313 :ひゅうが:2013/08/04(日) 20 59 15 「今日、来てもらったのは、我々の計画に協力を期待してのことだ。」 唐突に川宮がいった。 そらきた。 藤堂は身構えた。 目の前の男は、腐っても「共産主義者」なのだ。 無言で藤堂は先を促す。言質を与えるつもりはない。 「我々の計画は、来るべき近い将来における祖国の統一だ。」 「素晴らしいことですな。」 唾棄すべき感情を押し隠し藤堂は返答した。 「その模範としては、親愛なる同志エーリッヒにならいたいと思う。」 藤堂は、思わず眉を上げた。 「ああ、同志レーフでもいいかな?われわれもまた彼にならって「連帯」せねばらなぬ。祖国の「解放」のために。」 エーリッヒ・ホーネッカーとレーフ・ワレーサときたか。 いよいよこの「共産主義者」は胡散臭い。 「来るべき統一において、我々は人材を温存せねばならぬ。誤った政治体制に協力した共犯者としてではなく、その反対者として迎えられるため、心を砕くべきだろう。 同志にはその助力を頼みたいのだ。」 「『偉大なる若き指導者』、あなたは何を目指される?」 藤堂は問うた。 川宮哲夫は、椅子から立ち上がった。 「偉大なる祖国の復活だ。同志。天に太陽は二ついらぬのだよ。ことわざにもあるではないか。古きを温め新しきを知ると。我々はこれに範をとらねば。」 「統一の暁には・・・」 そこまでいって藤堂は少し躊躇した。 と、滝川NSD長官が立ち上がり、南側製のCDを再生機に入れる。 流れてきたのは、ブラームス。 「そういうことですか。」 藤堂は、人の悪そうな笑みを浮かべた。 流れていたのは、ハンガリア舞曲だった。 「そうだ、同志、せっかくこうして会えたことだし、こんどピクニックに行かないかね?」 川宮がニヤニヤしながらいった。 「いいですな。さぞかし楽しい『ピクニック』になるでしょう。偉大なる若き指導者。」 共犯者たちは、そろって高笑いを浮かべた。 314 :ひゅうが:2013/08/04(日) 21 00 51 【あとがき】――というわけで、中の人に転生ネタでした。 中に仕込まれたネタは、「ヨーロッパピクニック計画」でぐぐるとニヤニヤしやすいでしょうw
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/184.html
霞が私の元に来たのは艦隊指揮を任されて間もない頃だった 彼女の性格は、悪く言えば可愛げがなく他の提督から敬遠されたらしい 当初は罵倒されたりダメ出しされたりと佐官に上り詰めた私のプライドなどお構い無しの彼女に対し悪い印象しかなかった 負けん気と言うのも変だが私も彼女に反論されないよう立ち振舞いや作戦を考えていた。 ほかの艦娘から案を聞いたりもした そんなある日、大本営からお叱りを受けた。私の作戦は戦果よりも生存率を求めた物が多く他の艦隊よりも戦果が低かった そして、止せばいい物を私は怒鳴り追い出してしまったのだ。この作戦は霞達と言い争いながら作り上げたものでそれを否定された事にキレてしまった せっかく築いた佐官の地位、そして艦隊指令の座を投げ捨てるような真似である。冷えた頭に少しの後悔が過った ため息を付きながら司令室に戻ると霞が立っていた 「馬鹿じゃないの?」と開口一番に罵倒される。実際馬鹿をやらかしたのだから反論など出来ない。数日したらこの艦隊は解体されるか私以外の指令官が着任するだろう 沈黙が部屋を支配し私は俯いた。 「しっかりしなさいよ、このグズ!」 そんな罵声が間近に聞こえる。ギュウと強くしがみ付いた細い腕、胸元に押し付けられた顔。 「か、霞?」「指揮するあなたが居なくなったら、皆が困るのよ…」と言いながらゆっくり体が離れる 「また、指令官が居なくなるなんてゴメンよ…」 かつての記憶が蘇ったのか震えている肩。普段の不遜な態度が嘘の様に小さい 中腰になり顔の高さを揃え目を見る。 「すまない、お前たちと練った戦略が否定されてつい」「戦果が少ないならもっと良いのを考えるなりしなさいよ馬鹿本当に馬鹿!」 霞は一息で言い終えるとグイっと顔を近けた。同じ目線のため唇が触れ合う 固まる私に赤らめた頬の霞が「でも、怒鳴り散らかす位霞達の戦略を大切にしてくれたのは嬉しかったわ」と。 「今のはファーストキス?」「普通聞く?…まあ、そうだけど」「私みたいなおっさんに…」「あなただからよ!もう、霞に恥をかかせる気!?」 そう霞が言い放った後、今度は私から唇を重ねた。肩を優しく掴み舌を唇の間にねじ込み歯列をなぞり口を開けさせる。 驚いた様だが霞もゆっくり口を開け舌を出してきた。その舌を絡め離し口内を舐める くちゃっと唾が音を立て、時折漏れた吐息が耳を擽る。霞の小さな舌は最初こそされるがままだったが次第にこちらに絡め返してくる 「れろ…くちゅ、ぐちゅ…んんんっ!」 酸欠になったらしい霞が背中を叩く。名残惜しく離れた唇を混ざった唾が繋ぐ。 「霞」「ハァハァ、なによ」「ありがとう」「はぁ?何お礼なんか言ってるのよ」「お前が居てくれて私は…」 言い終える前に私の唇に霞の人差し指が添えられる「今は、そういう事は聞きたくない…」 プツプツと自らの服のボタンを外す 「最後までして頂戴」「…わかった」 はだけた服や子供っぽさの残る下着をゆっくりと脱がす。成長し始めた小さな膨らみの頂に薄いピンクの乳頭。ぴっちりと閉じた性器。 初老に片足突っ込んだオッサンと幼い少女が性行為など犯罪以外何物でもない、がその背徳感が背筋を走る。何より全てを曝け出した霞に中途半端では申し訳ない 口と左手で両方の胸を弄ると「ひゃあ!」と可愛らしい悲鳴が響く。 「あっ、気持ちっ良いっ!」 嬌声と熱い息遣いが響きだす頃には性器もしっとりと濡れている。 くぷっと右の人差し指が霞のナカへ。霞の体が弓なりに反り「入ってぇ、くるッ!」と息も絶え絶えに反応をする ぐちぐちゃと指が膣内を押し広げる。そして二本、三本と指を飲み込む肉穴はだらだらと愛液を垂れ流しひくついている 「力を抜くんだ」といきり立った一物が霞の肉穴にあてがわれる。 ゆっくりと穴に飲み込まれるぷちっと愛液と共に血が流れる結合部。痛みから私にしがみ付く腕に涙や鼻水で汚れた顔。そして蠢く膣内 生々しく感じる性行為の快感と目の前の霞で頭が一杯となり無意識に振り出した腰が一段と早くなる 年甲斐もなく霞と交わり続け、何回もその膣に精を吐き出した 「ヘーイ、提督ゥ!戦果リザルトが上がったヨー!」 指令室の扉を壊すような勢いで第一艦隊旗艦の金剛が入ってくる あの後、新しく戦略を考え戦果で大本営を黙らせた我が艦隊は気が付けば大隊と呼べる規模となった。 「まだ作戦に改良の余地ありね」 そんな私の傍らには霞が何時も立っている これからも騒がしく忙しい毎日を可愛げのない愛しい駆逐艦と過ごせるように今日も今日とて戦略会議が開かれる