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ニュース @wikiのwikiモードでは #news(興味のある単語) と入力することで、あるキーワードに関連するニュース一覧を表示することができます 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_174_ja.html たとえば、#news(wiki)と入力すると以下のように表示されます。 【クリスマス2021】高本彩花|ひなこい - ひなこい攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【カウンターサイド】リセマラ当たりランキング - カウサイ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) ウィキペディアを作ったiMacが箱付きで競売に登場。予想落札価格は約96万円!(ギズモード・ジャパン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【テイルズオブルミナリア】リセマラ当たりランキング - TOルミナリア攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 終末のアーカーシャ(終アカ)攻略wiki - Gamerch(ゲーマチ) メトロイド ドレッド攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【まおりゅう】最強パーティー編成とおすすめキャラ【転スラアプリ】 - Gamerch(ゲーマチ) 【グランサガ】リセマラ当たりランキング - グランサガ攻略wiki - Gamerch(ゲーマチ) アイプラ攻略Wiki|アイドリープライド - AppMedia(アップメディア) マニュアル作成に便利な「画像編集」機能を提供開始! - ナレッジ共有・社内wikiツール「NotePM」 (2021年12月6日) - エキサイトニュース マニュアル作成に便利な「画像編集」機能を提供開始! - ナレッジ共有・社内wikiツール「NotePM」 - PR TIMES 【アイプラ】リセマラは必要?当たりキャラランキング【IDOLY PRIDE】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ウインドボーイズ】リセマラ当たりランキング(最新版) - ウインドボーイズ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) モンハンライズ攻略Wiki|MHRise - AppMedia(アップメディア) 篠原悠希×田中芳樹が明かす「歴史ファンタジー小説ならではの悩み」(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース SlackからWikiへ!シームレスな文章作成・共有が可能な「GROWIBot」リリース - アットプレス(プレスリリース) 【ウマ娘】チャンピオンズミーティングの攻略まとめ - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】ナリタブライアンの育成論|URAシナリオ - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】ヒシアケボノの育成論|URAシナリオ - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】フジキセキの育成論|URAシナリオ - Gamerch(ゲーマチ) ドラゴンクエストけしケシ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【スタオケ】カード一覧【金色のコルダスターライトオーケストラ】 - Gamerch(ゲーマチ) 【スマブラSP】ソラのコンボと評価【スマブラスペシャル】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ブレフロレゾナ】リセマラ当たりランキング【ブレイブフロンティアレゾナ】 - ブレフロR攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【スパロボ30】攻略ルート早見表|ミッション一覧【スーパーロボット大戦30】 - AppMedia(アップメディア) 仲村トオル、共演者は事前に“Wiki調べ” - 沖縄タイムス 【ENDER LILIES】攻略チャートと全体マップ【エンダーリリィズ】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】あんしん笹針師の選択肢はどれを選ぶべき? - Gamerch(ゲーマチ) 【ポケモンユナイト】アップデート情報・キャラ調整まとめ - ポケモンユナイト攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【Apex】シーズン11の新要素と最新情報まとめ【エーペックス】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ゼルダ無双】スッパ(DLCキャラ)の解放条件|おすすめコンボと固有アクション【厄災の黙示録】 - AppMedia(アップメディア) ロストジャッジメント攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【Among us】新マップThe Airship(エアシップ)の解説【アモングアス】 - Gamerch(ゲーマチ) ハーネスについて小児科医の立場から考える(坂本昌彦) - 個人 - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ゼルダ無双攻略Wiki|厄災の黙示録 - AppMedia(アップメディア) ウマ娘攻略Wiki - AppMedia(アップメディア) ゲトメア(ゲートオブナイトメア)攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【白夜極光】リセマラ当たりランキング - 白夜 極光 wiki - Gamerch(ゲーマチ) お蔵入りとなった幻の『スーパーマリオ』 オランダの博物館でプレイ可能?(リアルサウンド) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース Linux Professional Institute (LPI)は、Linux認定試験LPIC-3のバージョンアップを発表 - PR TIMES ナレッジ共有・社内wikiツール「NotePM」が「ITreview Best Software in Japan 2021」のTOP50に選出 - PR TIMES 真女神転生5攻略Wiki|メガテン5 - AppMedia(アップメディア) 【B4B】近接ビルドデッキにおすすめのカード【back4blood】 - Gamerch(ゲーマチ) ポケモンスナップ攻略wiki - AppMedia(アップメディア) 富野由悠季「ブレンパワード」作り直したい!ファンを前に意欲(シネマトゥデイ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【スマブラSP】カズヤの評価とコンボ【スマブラスペシャル】 - Gamerch(ゲーマチ) ナレッジ共有・社内wiki「NotePM」が「ITreview Grid Award 2021 Fall」で、チームコラボレーションとマニュアル作成部門において「Leader」を5期連続でW受賞! 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https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/10519.html
790 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/06/15(月) 21 01 37.55 ID c6ixQ7Y70 [1/3] 顔が綺麗なロリだけど思想的にどうあがいても敵対するNPCを殺してGMPLあと外野の心に深い傷を残した事件ならあった 791 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/06/15(月) 21 47 32.14 ID 74byNl//0 [3/4] 790 NPCが殺されても仕方ないような奴だったのかどうかで困かどうか変わりそうだから詳細詳しく 792 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/06/15(月) 21 54 10.69 ID c6ixQ7Y70 [2/3] うん、SW2.0でラーリス神官で街を襲おうとしてました 普通なら躊躇なく殺す所だけどガワの顔が良くてなおかつ幼かったから主にPL間で若干躊躇の雰囲気 なお普通に兵士につきだして処刑してもらいました 困っていうほどのことじゃない 793 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/06/15(月) 22 54 08.58 ID kQX0as0G0 極めて常識的な対応に思える 794 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/06/15(月) 23 13 26.07 ID /IlbK1pZ0 PLの対応は妥当だと思うのだが、自分で出しといて傷ついちゃうGMはちょっと気になる 殺されるとは思ってなかったのか、やってるうちになんだか変に感情移入しちゃったのか 795 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/06/15(月) 23 36 48.03 ID 74byNl//0 [4/4] なんだ、ロリ娘PCが敵対するNPCに無慈悲な正義執行して周りにトラウマ振りまいた話じゃないのか・・・ 子供がラーリス信仰してる浮世を嘆きたくはなるが、成ってしまった人喰い虎を放置しておく道理も無し 817 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/06/16(火) 01 13 48.06 ID uh2JCEG00 790,792 昔コンベンションで参加したブレカナの単発セッションの話だが 殺戮者が二重人格の年端もいかぬ少女で、表の人格は自分が殺戮者だと知らない、って設定だったな 真相つきとめた後、PL間でどう処理するかで揉めたなあ スレ416
https://w.atwiki.jp/marurowa/pages/237.html
時を止める幼女/チート野郎ってレベルじゃねーぞ!◆EHGCl/.tFA 煌びやかな遊園地。 そこから少し離れた森の中に二人は居た。 一人はニコラス・D・ウルフウッド。 ある砂の惑星にて牧師と殺し屋を成合としている男。 その実力たるやまさに一騎当千。 類い希なる戦闘センス、改造によりもたらされた常人を超越した身体能力と感覚神経で、与えられた任務をこなす殺し屋「だった」男だ。 もう一人は古手梨花。 何十、何百と同じ時を繰り返すという数奇な運命を背負い、そして遂にはそれを打破した少女。 精神年齢だけを取れば、隣のウルフウッドよりも遥かに上。身体は子供、心は大人を地で行く少女だ。 そんな二人が肩を並べて歩いていた。 会話はなく、ただ森林を進み続ける二人。 (なんか気まずいわね……) そんな二人の片割れ―――古手梨花が、沈黙に気まずさを覚え始めたのは歩き始めてから数分経った頃であった。 二人がした会話と言えば、最初の自己紹介の時と支給品の確認、そして木の実を貰った時だけ。 古手梨花お得意の猫かぶりを見せる間すらない。 ただウルフウッドが危険な男ではない事は、梨花にも何となく判断できた。 元々無口な男なのか、ただ他の参加者を警戒しての沈黙なのか、その判別はできないが、少なくとも悪者には見えない。 (とはいえこうも会話が無いのは流石にねぇ……) 何をする上でもコミュニケーションというものは大切だ。 信頼を深めれば緊急事態への対応も円滑になるし、窮地に陥っても互いに励ましあう事で打破できるかもしれない。 仲間の大切さを、梨花は身を持って知っている。 一人では打ち破れなかった運命も、仲間と協力する事で乗り越えた。あの苦しい苦しい日々を打ち破れた。 仲間とならばこのふざけたゲームだって脱出できると信じている。 ゲームの主催者であるギラーミンの打倒だってできると信じている。 「運命」をぶち壊し「未来」を掴み取った仲間となら―――、 だからこそ梨花は考える。このゲームを打破するには仲間の存在が必要不可欠。 そして仲間という関係には、何もせずに至れる物ではない。 お互いを知り、言葉を酌み交わすことにより漸くスタートラインに立てる物。 少なくとも、今の自分とニコラスの関係は仲間と呼ぶには余りに不充分であった。 「……ニコラスは外国の人なのですか?」 だから梨花は一歩踏み出す。 自分から動かなくては運命は変わらない。 あの時もそう。仲間に秘密を打ち明けた事が運命を打開するキッカケとなった。 失敗はもう二度としない。漸く掴み取った未来を手放すなど、絶対にしない。 だから梨花は自ら一歩を踏み出したのだ。 「……外国いうんは良く分からんけど、まぁ基本は根無し草やな」 帰ってきたのは無愛想な返事。 でもそれで良い、と梨花は思う。 この些細な会話こそが運命の打開に繋がる筈の一歩目に繋がる、そう信じているから。 振り向き答えたウルフウッドに、梨花は微笑みを贈る。 そんな梨花を、男は眩しい物を見るように目を細めて見つめ、直ぐに逸らした。 □ 眩しかった。 直視できなかった。 自分に投げ掛けられた言葉。 自分に向けられた笑顔。 思い出してしまう。 孤児院で暮らしている兄弟達を。 自分の手は血塗られている。 自分の心も血塗られている。 もはや拭い去ることなど出来ない漆黒に染まりきっている。 そんな自分が、どうしてこの少女の笑みに答えることができる? 悪党は何処まで行っても悪党。 居場所は血と血で争う地獄だけ。 今のような殺し合いの中がお似合いだ。 「そうなのですか。なら今度は雛見沢に来るといいのですよ。とても良い所なのです」 だからそんな顔を見せないでくれ。 希望を持ってしまう。 まだ引き返せるかもしれないと。 アイツのような生き方ができるかもしれないと。 そう、思ってしまう。 無理や。 いやまだ戻れる。 二つの思考がせめぎ合いを起こしている。 今、決めるんや、ウルフウッド。 アイツと同じ道を行くか、それとも自分の道を行くか―――今、決断しろ。 □ 「そうなのですか。なら今度は雛見沢に来るといいのですよ。とても良い所なのです」 別に変な事を言ったつもりは無い。ただ本心から出た言葉を口にしただけだ。 なのに、ニコラスは視線を逸らし押し黙ってしまった。 そして空を見上げたまま、木の実を一つ口の中へ放り込む。 それを咀嚼しゆっくりと飲み込むニコラスは何かを考えているように見えた。 「――嬢ちゃんは人を殺した事があるか?」 唐突に放たれたその単語に、梨花は固まってしまった。 ――「殺す」 何の脈絡もなく、突然ウルフウッドが呟いた血生臭い言葉。日常なら笑い飛ばせる言葉、でも今この状況ではあまりに重過ぎる言葉だ。 それをウルフウッドは易々と口にした。 サングラスの奥底に隠れた瞳が、鋭くなっているような気がした。 「……あ、ある訳ないのですよ。もしかしてニコラスはあるのですか? 怖い狼さんです」 にぱー☆と笑顔を作るが、その裏では声が震えないようにするので精一杯であった。 何とか猫を被ったまま喉から言葉を絞り出す。 一応、答えに嘘はない。ある世界では鉄平を殺そうともしたが結局は失敗した。 何回も殺された事はあるが、人を殺した事はない。 「ワイはあるで。まぁ、ワイの事はどうでも良い。今は嬢ちゃんについての話や」 サラリととんでもない発言をした。 さもそれが常識のようにアッサリと、本来ならば隠蔽すべき事をニコラスは打ち明けた。 先程までの恐怖も忘れ、ニコラスの顔を眺めたまま、ポカンと口を開けてしまう。 冗談なのか、本気なのか区別がつかない。 ただサングラスの奥で光る眼を見る限り、信じられないが真実のように感じた。 何なのだ、この男は。 訳の分からない質問を飛ばし、殺人を行った事実を当然のように口にする。 少なくともマトモな人ではない。 考える。質問の意図を、言葉の真偽を、男の思考を。 だが幾ら考えても答えは導き出せない。 逆に、考えれば考える程、今まで優しげに見えた男が異常者に思えてしまう。 その途端、背筋に、何かが這い上がってくるような寒気が走った。 体全体に鳥肌が立つ。 もしかして自分はとんでもないミスを犯してしまったのではないか? 目先の恐怖に捕らわれ、選択を誤ったのではないか? 脳内を駆け巡る疑問符。無意識に右足が後ろへと下がるが、それ以上は動かない。 蛇に睨まれた蛙の気持ちが少しだけ分かった気がした。 「次の質問や。嬢ちゃんは銃を撃ったことはあるか?」 自分の様子に気付いているのか、いないのか、ニコラスは飄々と悪びれた様子を一切見せずに、別の質問をした。 その質問もまた、こんな子供にするものではない、オカシナ問いである。 「な、ないわよ……ある訳ないじゃない!」 知らず知らずの内に地が出ていた。 まだ二、三言、会話を続けただけなのに、既に目の前の男が何なのか理解出来なくなっていた。 そんな梨花を尻目にウルフウッドは小さく溜め息を吐くと、デイバックに腕を突っ込み掻き回し始めた。 何を探しているのだ? 何故いきなりデイバックを漁り始める? 何故こんな子供に殺人をした事があるか、などと聞く? 何故こんな子供に銃を撃った事があるか、などと聞く? 何かが変だ。噛み合わない。 この男を本当に信用していいのか? その時、ニコラスの手からデイバックが滑り落ちた。 慌てた様子で落下を防ごうとするも手は空を掠り、バックは地面へと落下してしまう。 そして私は見た。ニコラスのデイバックから飛び出た物体を。 地面に転がった漆黒の物体――俗に言うピストルとショットガンを。 支給品の内容を互いに確認しあった時、ニコラスは私の問いに答えた。 「武器はない」と。 確かにそう言った。だが目の前には確かに二つ、強力な銃器が転がっている。 ニコラスが嘘を吐いた? 何故、どうして、嘘を吐く必要がある? 別に銃器を保有している事は悪くない。 寧ろ幸運。それらを持っている事により戦闘は有利になり、生き延びる確率も上がる。 隠す必要もなければ、嘘を吐く必要もない。 なのに何故ニコラスは嘘を吐いてまで、武器を隠した? ―――いや、ちょっと待て。 そもそも私は聞いていない。 この男が殺し合いに乗っていないと。 男が自分を殺さず、名を明かし、不器用ながらも優しさを見せてくれた事により、自分は想像してしまった。 この男は殺し合いに乗っていない、と。 まさか。 まさか。 まさか! 疑い始めたら直ぐに、その考えへと行き着いた。 視界の中ではニコラスが武器を拾う為、屈み込んでいる。注意は自分ではなく、銃器に向けられている。 そのことを確認したと同時に駆け出していた。 綱から放たれた警察犬並のスタートダッシュを決め、全力で、ニコラスから少しでも遠ざかるべく、足を回した。 逃げられる、と思った。助かった、とも思った。 だがそれらの考えは、肩に乗せられた無骨な手の感触により、「どうしたんや?」というニコラスの言葉により、一瞬で吹き飛ぶ。 何より乗せているだけにも関わらず身体を固定する、抗いようのない力に、刹那の希望は易々と砕かれた。 全身を使って抵抗など歯牙にも掛けてもらえず、無理やり身体の向きを変えられる。 視線の先のニコラスは右手に拳銃を握っていた。 くそ。 くそっ。 くそっ! こんな所で断たれるのか!? ようやく掴んだ未来が、こんな訳の分からないゲームで!? ふざけるな! 私が、仲間がどれだけ苦労し、掴み取ったと思っている! あんたが、あんたみたいな男が易々と奪い取って良い物なんかじゃない!! ふざけるな、ふざけるな! 「ふざけるなぁぁぁああああああああああああああああああ!!!」 何時しか思いが言葉となり口から飛び出していた。 ただの子供としか思っていなかった人間の突然の絶叫に、ニコラスは表情を驚愕に染め、僅かに力を緩めた。 ただそれも一瞬。逃げ出す暇などない。驚愕は直ぐさま沈み込み、肩にのし掛かる力は元に戻る。 諦めるしかないのか。あの未来を、あの日常を、取り落としてしまうのか。 涙が零れる。悔しくて、悔しくて、たまらない。 視界が滲み、役目を失う。ニコラスの表情もぼやけ、確認できない。 ――駄目だ。死ぬ瞬間までみっともない姿を晒すのか。 死ぬのならせめて誇り高く死ぬ。暴力などに屈しない。 涙を拭き、胸を張り、前を見据える。 自分は、自分達はあの運命を打破したのだ。 三十数年しかいきていない殺人鬼相手に弱みなど見せてたまるか! 晴れた視界の中ではニコラスが右腕をコチラに差し出している。 そこに握られているのは漆黒の拳銃――――ではなかった。 「あの、その、なんや、怒らせたんならスマン、謝るわ。そりゃそやな、いきなりこんなゲームやもんな、ビビる、そりゃビビる、ワイやってビビるもん。でも、な。スマンから泣かへんでくれ。な、ほら木の実全部やるから、な?」 まるで機関銃の如く謝罪。 ニコラスは困り果てた顔で頭を下げていた。 右手に乗せてある物は四粒の木の実と一枚の円形の何か。 拳銃は左手にあり、銃口は下に向いている。 この事態は何なのだ? ―――自身が思い描いていた予想とは全く違う展開に、古手梨花は混乱することしか出来なかった。 □ 「ようするに、あんたは殺し合いに乗ってないのね」 「まぁ一応な。でも向こうから襲ってきた場合は別やで」 「じゃあ、何で武器を持ってないなんて嘘を吐いたのよ」 「嘘? ……あぁ、これの事か。水に浸かってしもうてな、これは使い物にならんのや」 「な……! な、なら、あの質問は何なのよ! 人を殺したことがあるかーとか、銃を撃ったことがあるかーとか!」 「一応確認しとかなあかんと思ってな。殺しや銃の経験あれば最低限、自分身くらいは守れそうやし」 「こんな子供がそんな事する訳ないでしょ!」 「いや、嬢ちゃんは知らんかもしれへんけど、結構いるもんやで。ガキのクセして殺しが当たり前になっとる奴」 「どこの国の話よ! あんたが知ってる国ならともかく、日本でそんなことある訳ないでしょう!」 悪びれた様子もなくしれ言い放つウルフウッドに、梨花は心底呆れ果てていた。 デリカシーが余りに欠如している。 一応こちらは小学生、まだ子供。しかもこんな意味不明な殺し合いの場。 そんな状況であんな物騒な質問、加えて紛らわしい故障中の武器。 配慮に欠けているにも程があると、梨花は思った。 だがこの擦れ違いには大きな原因があった。 ウルフウッドは人死にが当たり前の世界から連れて来られた。 人と人は些細な理由で殺し合いをする事を知っている。 親を殺害されたことにより、復讐に心を染め、殺しを行う子供がいる事も知っている。 単純に生きる為に、銃を持たざるを得なくなった子供がいる事も知っている。 殺人を犯す、または犯した経験を持つ子供というものはウルフウッドにとって決して珍しい存在ではない。 古手梨花は平和な村から連れて来られた。 何百回と友人の豹変を目にし、凄惨な殺人劇を経験してきたが、殺人が日常茶飯事というには遠く及ばない。 ようするに生きてきた世界が違うのだ。 確かにウルフウッドの行動にも問題はある。 が、真の原因は世界観の違いだということに古手梨花、ニコラス・D・ウルフウッド共に、気付いていない。 そして真の原因に気付かぬまま会話は進んでいく。 「……それでこのレコードみたいなのは何なのよ。これで身を守れって言うの?」 「よくは知らんけど、それを頭に差し込むとゴッツい力が手に入るらしくてな。ワイは駄目やったけど嬢ちゃんならもしや、と思ったんやけど。……そしたらいきなり逃げ出すんやもんなー」 「うっさい! あんたが悪いのよ!」 「ハイハイ、分かった分かった。あ、コレ説明書や。途中千切れとるけど、一応な」 怒り冷めやらぬ梨花は乱暴にウルフウッドが持つソレを受け取る、もとい奪い取った。 もはや猫かぶりをする気も起きないのか、その口調には地の彼女がありありと出ていた。 梨花は水にふやけ、途中で破けている紙へと目を通す。 書いてある事は非現実的。 頭に差し込むとのことだがその時点でかなり怪しい。 種類によってという事はまだ他にもあるのか? というか超常的な力というは何だ? 抽象的すぎて想像がつかない。これでは説明書としての役目を果たしきれていないだろう、全く。 粗方の愚痴を脳内で吐き捨て、説明書からDISCに目を移す。 不思議な光沢の中に、変な姿の人影が映っている。 じっくりとそれを眺めた後、梨花は大きく――側でボンヤリと傍観に務めている男にも聞こえるようため息を吐いた。 「で、これを頭に入れろって言うの?」 「そや」 「ふざけてんの?」 「いや、別に」 再度ため息。 これ以上話しても無駄と判断し、DISCと向き直る。 「力が手に入る」―――これは梨花にとって魅惑的な言葉であった。 今の自分は無力。純粋な力だけで見れば、参加者中で最も下かもしれない。 それに支給品も外ればかり。 もし最初にウルフウッドでなく、殺人鬼に出会っていれば間違いなく死んでいただろう。 しかしこのDISCとやらの使用が可能なら、超常的な力が手に入れられる。 力を、得られるのだ。この場で生き抜く力を。 ウルフウッドは何も言わない。全ての決断を梨花へと任せている。 膨大な不安と僅かな恐怖に挟まれ梨花は逡巡する。 しかしそれも数秒、十秒にすら至らない。 梨花は覚悟を決め、不安を振り切るように勢いよく、DISCを頭に突っ込んだ。 □ 世界が黒と白に染まっていた。 先程まで聞こえていた風の音や木々が擦れ合う音もない。 振り返り、あの唐変木を見るが、コイツもまた静止していた。 一歩、二歩、三歩、横に歩いてみる。 うん、私は動ける。 この状況には覚えがあった。 あの日、あの時、羽入を救う際に発動した不思議な力。 あの時の状況と今の状況は非常に酷似している。 これが超常的な力の正体なのか? そこまで考えたところで不意に力が抜けた。 寸前、自分の後ろに誰かが立っている事に気付いたが、姿までは確認できなかった。 ―――そして、時は動き出す。 □ 「何やと?」 驚愕の声を上げたのはウルフウッド。 サングラスの奥の瞳はこれ以上なく見開かれていた。 それもその筈。眼前の少女が瞬間的に移動したのだから。 たった数メートルの距離だが、自分にすら知覚できない速度で、何の力も持たない筈の少女が移動した。 少なくともウルフウッドにはそう見えた。 「凄い……凄いわよコレ!」 歓声を上げる梨花を呆然と見やる。 不審と驚愕の混じった視線に気が付いたのか、梨花は満面の笑みを浮かべながら、ウルフウッドへと近付いてきた。 「……瞬間移動か?」 ウルフウッドの問いに梨花は首を横に振る。 「違うわ、時を止めたのよ」 「時を止めた……やと?」 「ええ、たった数秒だけどね、私が時を止めたのよ」 んな阿呆な、と思わず口から出掛けた言葉をウルフウッドは飲み込んだ。 確かに見てしまったからだ。 少女が何の前触れも、予備動作すらも見せずに移動した瞬間を。 「マジかいな……卑怯すぎるやろ、そんな能力」 下手すればあの歩く核兵器にすら勝利できるかもしれない馬鹿げた力に、ウルフウッドは天を仰ぐ。 何故その能力が嬢ちゃんに使えて、ワイには使えないんや、と心の中で愚痴るのも忘れていない。 ウルフウッドは大きく肩を落とした。 「みぃ~かわいそかわいそなのです☆」 「うっさいわ、ボケ……ハァ……」 嘲り百パーセントの励ましを右から左に聞き流すと、梨花の方へと向き直り―――そしてその瞬間、ウルフウッドはあらゆる動作を停止した。 「? どうしたのですか、ウルフウッド?」 まるで時が止まったかの如く固まったウルフウッドに不穏を感じ、梨花は首を傾げる。 そして、それと同時に視界が真っ黒に染まった。 続いて身体が横に傾く、いや強制的に傾かされる。 突然覆い被さってきたウルフウッドにより、餓えた野獣のように襲いかかってきたウルフウッドにより、押し倒されたのだ。 梨花とて外見は幼いにせよ、紛れもない乙女。 本能的な危険を感じ、悲鳴を上げようとする―――が、ウルフウッドの胸板に顔面を押し付けられ悲鳴も上げられない。 なんとか脱出しようともがくが、その瞬間、脳天と地面が熱烈なキスをかました。 頭に衝撃が走る。 埋め尽くされた漆黒に火花が走り、意識が真の暗闇へと浸透しかけた。 しかしそこでまた別の衝撃が意識を引き上げる。 梨花の瞳が数秒振りの景色を映し出す。 そこでようやく梨花も現状の一部分を理解した。 ニコラスに抱き上げられ――というより荷物のように脇に担がれ――何処かに移動しているのだ。 梨花は叫び声を上げるのを中断し、懸命に走り続ける男へと大声で怒声を浴びせる。 「離しなさいよ、この変態! いきなり、何すんのよ!」 「悪い、今は少し黙っててくれ!」 やけに切羽詰まったウルフウッドの返答。 今までのウルフウッドとは違う雰囲気に気圧され梨花は沈黙する。 途中一度足を止め、振り返り何かを振るったが、また直ぐさま走り出した。 結局、梨花が解放されたのはそれから十分程、疾走を続けた後であった。 □ 「二本同時に防ぐとはな。なかなか楽しめそうだ」 つい数分前まで、一人の男に一人の少女が怒りをぶちまけていた場所にクレアは立っていた。 唯一の武器を奪われたというのにその顔に悔しさは微塵もない。 それどころか、珍しいことに感心の表情を浮かべてさえいた。 「だがあれでは貴重な武器が壊れてしまうぞ? 奴は馬鹿か?」 するとクレアは不意にうずくまり、何かを拾い上げた。 それを躊躇うことなく頭へと差し込むクレア。身体が弾かれることはなかった。 「さっきの少女は、驚くことにこの俺でさえ知覚できない速度で移動した。いや、俺が知覚できなかったという事はただ移動ではないか。おそらく瞬間移動。面白い能力もあるもんだ」 クレアはしっかりと見ていた。 梨花が円盤状の物体を頭に差し込む瞬間を。 梨花が時を止め移動した瞬間を。 ウルフウッドに押し倒された際に梨花の頭から飛び出たDISCの存在を――。 「さてここで問題なのは、その能力が少女自身のものか、それともこのレコードが関係しているかだ」 クレアはまた何の気なしに周囲を歩き、手頃な木の前で立ち止まる。 その後ろにはクレアより二回りほど大きい、人間の形をした何かが寄り添うように佇んでいる。 「よし、壊せ」 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!」 人間が繰り出す目にも止まらぬ連打。 クレアの胴体視力でも全てを見切るには至らないであろう連打が、巨木をまるで紙切れのように宙へと誘った。 「ふむ、凄まじいパワーとスピードだ。それに感覚の共有もできる。こんな支給品を手に入れるとはな、やはり世界は俺を中心に回っている。……だが瞬間移動は出来そうもないな。ってことあの能力は少女自身のものか、まぁ良い」 クレアは満足げに笑い、再び歩き始める。 その圧倒的な自信――、一厘の疑いも持たない、異常とも言える自信により最強のスタンドを従えたクレア・スタンフィールド。 この出来事により、彼の中にあった確信はさらに深みを増した。 「さてと、武器……というのも変な物だが、武器は手に入れた。行くか」 ウルフウッドは気付くべきだった。梨花の頭からDISCが抜け落ちたことを。 図らずも彼は誕生させてしまったのだ。 最強のスタンド・スタープラチナ、最強の殺し屋・クレア――世界も次元も概念も越えた二つの最強が重なり合った怪物を。 【G-2 遊園地周辺 1日目 早朝】 【クレア・スタンフィールド@BACCANO!】 [状態] 健康 若干の疲労 拳に血の跡 [装備] スタンドDISC『スター・プラチナ』@ジョジョの奇妙な冒険 [道具] 支給品一式×2 未確認支給品0~1 [思考・状況] 1:優勝し、ギラーミンから元の世界へ戻る方法を聞き出す。 2:優勝のために他の参加者を殺す 3:レヴィ、ウルフウッド、梨花と再び出会った時には彼女を殺す。 【備考】 ※何処へ向かうかは後続の方にお任せします。 ※参戦次期は1931~特急編~でフライング・プッシーフット号に乗車中の時期(具体的な時間は不明) ※未だ名簿は見ていないため、フィーロが居る事も知りません。 ※スタープラチナを発現できますが、時止めの適正があるかは不明です。 ※梨花が瞬間移動の能力を持っていると思っています。 □ より一層濃くなった緑の中、ウルフウッドと梨花は相対していた。 ウルフウッドは雑草をくわえ喫煙衝動を誤魔化しながら、古手梨花は怒りの感情を隠そうともせずに、二人は向かい合う。 「で、何であなたはあんな行動を取ったのかしら? 返答によってはあなたを変態扱いしなくてはいけなくなるんだけど」 眉間に皺を寄せ睨んでくる少女にチラリと視線を送り、ウルフウッドはため息を吐いた。 そして答えを返さずにただ無言でデイパックからある物を取り出し、梨花に見せる。 黒色のそれは、遂数分前に誤解の火種ともなったショットガンであった。 「なによ、これ……」 だがその銃器は先程と僅かに姿を変えていた。 鉄の銃身に巨大な刃物が二本食い込んでいるのだ。 先に行くに連れ幅を増していく特徴的な刀身が、銃身に挟まり日光に照らされていた。 「グルガナイフやな。武器にしとる奴はあまり見掛けへんけど、これはなかなか上物やで。まぁ、最初はただ逃げよ思うたんやけど、ご丁寧に追撃かましてくれたからな。ついでにナイフも貰といたわ」 「嘘……何時の間に……」 梨花は、呆然と戦闘が起きた証拠を見つめる。 自身が気付かぬ内に、命の危機に晒されていたのだ。 ショックを受けるなという方が無理な話だろう。 「……もしかして助けてくれたの?」 そして結論に至る。 あの時、ウルフウッドが自分を押し倒したのはナイフから助ける為に。 あの時、ウルフウッドが自分を荷物のように担いでいたのは襲撃者から逃亡する為に。 自分が知らぬ内にこの男は命を救ってくれたのだ―――ウルフウッドの行動の真意を古手梨花は理解した。 「気にする事はあらへん。子供は大人に助けられる物や。変に気ぃ使われると、逆にこっちが困ってまう」 口の中の雑草を吐き捨て、励ますでもなく、さも当然のようにウルフウッドは告げた。 彼方を向いた顔に、少量の気恥ずかしさが含まれている事に梨花は気付かなかった。 「…………ありがとう」 その時、静寂の森に言葉が響いた。 ウルフウッドの目が見開かれる。 その脳裏に浮かぶある光景。 自分に微笑みかけてくる子供達。 無邪気な笑みをあの時と変わらずに向けてくる子供達。 血塗られた自分には、変わってしまった自分には決して訪れないであろう光景。 思わず視線が梨花へと移る。 そこには、僅かに頬を朱に染めにぱー☆と微笑む少女が居た。 □ そんな顔を見せないでくれ。 希望を持ってしまう。 まだ引き返せるんやと。 こんな自分でも、救える者がいるんだと。 こんな自分でも、アイツのような生き方ができるんだと。 希望を持ってしまう。 勘違いをしてしまう。 悪党は何処まで行っても悪党。 変わらない。 たった一人の命を救ったところで、この事実は揺るがない。 悪党は何処まで行っても悪党。 頼む。 そんな顔を見せないでくれ――― 【E-3 森 1日目 早朝】 【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】 [状態]:健康 (少々の不安はあるが前向きに) [装備]:なし [道具]:支給品一式、王の財宝(の鍵剣)、インデックスの修道服@とある魔術の禁書目録、ミッドバレイのサクソフォン(内蔵銃残弾100%)@トライガン・マキシマム [思考・状況] 1:ニコラスと行動 2:必ず生き残る。 3:圭一達を見つける。 4:安全な場所に行きたい。 5:ネズミ? ※王の財宝の使い方(発動のさせ方)を分かっていません。(説明書もありません) ※ウルフウッドを信頼、けどちょっとむかつく。 ※電車に誰か(橘あすか)が乗っているのに気づきました真紅に気づいたかどうかは不明です。 ※サクソフォンの内蔵銃に気付いていません。 ※スタープラチナに適正を持っています。僅かな時間ですが時止めも可能です。 ※クレアの姿を確認していません。 ※スタンドDISC『スター・プラチナ』を落とした事に気付いていません。 【ニコラス・D・ウルフウッド@トライガン・マキシマム】 [状態]:健康 [装備]: [道具]:基本支給品(地図と名簿は二つずつ) デザートイーグル50AE(使用不能) SPAS12(使用不能)チーゴの実×3@ポケットモンスターSPECIAL シェンホアのグルカナイフ×2@BLACK LAGOON [思考・状況] 1:襲われたら返り討ち、必要以上に危険な事に首は突っ込まない。血まみれの謎の男(クレア)を警戒 2:古手梨花を守る 3:ヴァッシュとの合流、リヴィオとの接触 4:ジュンを殺害した者を突き止め、状況次第で殺す。 5:武器を手に入れる、出来ればパ二ッシャー 6:この木の実結構ウマイ ※スタンドDISC『スター・プラチナ』を落とした事に気付いていません。 時系列順で読む Back 本気のココロを見せ付けるまで 僕は眠らない Next コードギアス ナナリーと旅館三騎士 投下順で読む Back 本気のココロを見せ付けるまで 僕は眠らない Next コードギアス ナナリーと旅館三騎士 たった少し希望と不器用な優しさと 古手梨花 救いと因果と たった少し希望と不器用な優しさと ニコラス・D・ウルフウッド 救いと因果と Show me the way to you クレア・スタンフィールド 心に滲んだ赤いアラベスク
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時を止める幼女/チート野郎ってレベルじゃねーぞ!◆EHGCl/.tFA 煌びやかな遊園地。 そこから少し離れた森の中に二人は居た。 一人はニコラス・D・ウルフウッド。 ある砂の惑星にて牧師と殺し屋を成合としている男。 その実力たるやまさに一騎当千。 類い希なる戦闘センス、改造によりもたらされた常人を超越した身体能力と感覚神経で、与えられた任務をこなす殺し屋「だった」男だ。 もう一人は古手梨花。 何十、何百と同じ時を繰り返すという数奇な運命を背負い、そして遂にはそれを打破した少女。 精神年齢だけを取れば、隣のウルフウッドよりも遥かに上。身体は子供、心は大人を地で行く少女だ。 そんな二人が肩を並べて歩いていた。 会話はなく、ただ森林を進み続ける二人。 (なんか気まずいわね……) そんな二人の片割れ―――古手梨花が、沈黙に気まずさを覚え始めたのは歩き始めてから数分経った頃であった。 二人がした会話と言えば、最初の自己紹介の時と支給品の確認、そして木の実を貰った時だけ。 古手梨花お得意の猫かぶりを見せる間すらない。 ただウルフウッドが危険な男ではない事は、梨花にも何となく判断できた。 元々無口な男なのか、ただ他の参加者を警戒しての沈黙なのか、その判別はできないが、少なくとも悪者には見えない。 (とはいえこうも会話が無いのは流石にねぇ……) 何をする上でもコミュニケーションというものは大切だ。 信頼を深めれば緊急事態への対応も円滑になるし、窮地に陥っても互いに励ましあう事で打破できるかもしれない。 仲間の大切さを、梨花は身を持って知っている。 一人では打ち破れなかった運命も、仲間と協力する事で乗り越えた。あの苦しい苦しい日々を打ち破れた。 仲間とならばこのふざけたゲームだって脱出できると信じている。 ゲームの主催者であるギラーミンの打倒だってできると信じている。 「運命」をぶち壊し「未来」を掴み取った仲間となら―――、 だからこそ梨花は考える。このゲームを打破するには仲間の存在が必要不可欠。 そして仲間という関係には、何もせずに至れる物ではない。 お互いを知り、言葉を酌み交わすことにより漸くスタートラインに立てる物。 少なくとも、今の自分とニコラスの関係は仲間と呼ぶには余りに不充分であった。 「……ニコラスは外国の人なのですか?」 だから梨花は一歩踏み出す。 自分から動かなくては運命は変わらない。 あの時もそう。仲間に秘密を打ち明けた事が運命を打開するキッカケとなった。 失敗はもう二度としない。漸く掴み取った未来を手放すなど、絶対にしない。 だから梨花は自ら一歩を踏み出したのだ。 「……外国いうんは良く分からんけど、まぁ基本は根無し草やな」 帰ってきたのは無愛想な返事。 でもそれで良い、と梨花は思う。 この些細な会話こそが運命の打開に繋がる筈の一歩目に繋がる、そう信じているから。 振り向き答えたウルフウッドに、梨花は微笑みを贈る。 そんな梨花を、男は眩しい物を見るように目を細めて見つめ、直ぐに逸らした。 □ 眩しかった。 直視できなかった。 自分に投げ掛けられた言葉。 自分に向けられた笑顔。 思い出してしまう。 孤児院で暮らしている兄弟達を。 自分の手は血塗られている。 自分の心も血塗られている。 もはや拭い去ることなど出来ない漆黒に染まりきっている。 そんな自分が、どうしてこの少女の笑みに答えることができる? 悪党は何処まで行っても悪党。 居場所は血と血で争う地獄だけ。 今のような殺し合いの中がお似合いだ。 「そうなのですか。なら今度は雛見沢に来るといいのですよ。とても良い所なのです」 だからそんな顔を見せないでくれ。 希望を持ってしまう。 まだ引き返せるかもしれないと。 アイツのような生き方ができるかもしれないと。 そう、思ってしまう。 無理や。 いやまだ戻れる。 二つの思考がせめぎ合いを起こしている。 今、決めるんや、ウルフウッド。 アイツと同じ道を行くか、それとも自分の道を行くか―――今、決断しろ。 □ 「そうなのですか。なら今度は雛見沢に来るといいのですよ。とても良い所なのです」 別に変な事を言ったつもりは無い。ただ本心から出た言葉を口にしただけだ。 なのに、ニコラスは視線を逸らし押し黙ってしまった。 そして空を見上げたまま、木の実を一つ口の中へ放り込む。 それを咀嚼しゆっくりと飲み込むニコラスは何かを考えているように見えた。 「――嬢ちゃんは人を殺した事があるか?」 唐突に放たれたその単語に、梨花は固まってしまった。 ――「殺す」 何の脈絡もなく、突然ウルフウッドが呟いた血生臭い言葉。日常なら笑い飛ばせる言葉、でも今この状況ではあまりに重過ぎる言葉だ。 それをウルフウッドは易々と口にした。 サングラスの奥底に隠れた瞳が、鋭くなっているような気がした。 「……あ、ある訳ないのですよ。もしかしてニコラスはあるのですか? 怖い狼さんです」 にぱー☆と笑顔を作るが、その裏では声が震えないようにするので精一杯であった。 何とか猫を被ったまま喉から言葉を絞り出す。 一応、答えに嘘はない。ある世界では鉄平を殺そうともしたが結局は失敗した。 何回も殺された事はあるが、人を殺した事はない。 「ワイはあるで。まぁ、ワイの事はどうでも良い。今は嬢ちゃんについての話や」 サラリととんでもない発言をした。 さもそれが常識のようにアッサリと、本来ならば隠蔽すべき事をニコラスは打ち明けた。 先程までの恐怖も忘れ、ニコラスの顔を眺めたまま、ポカンと口を開けてしまう。 冗談なのか、本気なのか区別がつかない。 ただサングラスの奥で光る眼を見る限り、信じられないが真実のように感じた。 何なのだ、この男は。 訳の分からない質問を飛ばし、殺人を行った事実を当然のように口にする。 少なくともマトモな人ではない。 考える。質問の意図を、言葉の真偽を、男の思考を。 だが幾ら考えても答えは導き出せない。 逆に、考えれば考える程、今まで優しげに見えた男が異常者に思えてしまう。 その途端、背筋に、何かが這い上がってくるような寒気が走った。 体全体に鳥肌が立つ。 もしかして自分はとんでもないミスを犯してしまったのではないか? 目先の恐怖に捕らわれ、選択を誤ったのではないか? 脳内を駆け巡る疑問符。無意識に右足が後ろへと下がるが、それ以上は動かない。 蛇に睨まれた蛙の気持ちが少しだけ分かった気がした。 「次の質問や。嬢ちゃんは銃を撃ったことはあるか?」 自分の様子に気付いているのか、いないのか、ニコラスは飄々と悪びれた様子を一切見せずに、別の質問をした。 その質問もまた、こんな子供にするものではない、オカシナ問いである。 「な、ないわよ……ある訳ないじゃない!」 知らず知らずの内に地が出ていた。 まだ二、三言、会話を続けただけなのに、既に目の前の男が何なのか理解出来なくなっていた。 そんな梨花を尻目にウルフウッドは小さく溜め息を吐くと、デイバックに腕を突っ込み掻き回し始めた。 何を探しているのだ? 何故いきなりデイバックを漁り始める? 何故こんな子供に殺人をした事があるか、などと聞く? 何故こんな子供に銃を撃った事があるか、などと聞く? 何かが変だ。噛み合わない。 この男を本当に信用していいのか? その時、ニコラスの手からデイバックが滑り落ちた。 慌てた様子で落下を防ごうとするも手は空を掠り、バックは地面へと落下してしまう。 そして私は見た。ニコラスのデイバックから飛び出た物体を。 地面に転がった漆黒の物体――俗に言うピストルとショットガンを。 支給品の内容を互いに確認しあった時、ニコラスは私の問いに答えた。 「武器はない」と。 確かにそう言った。だが目の前には確かに二つ、強力な銃器が転がっている。 ニコラスが嘘を吐いた? 何故、どうして、嘘を吐く必要がある? 別に銃器を保有している事は悪くない。 寧ろ幸運。それらを持っている事により戦闘は有利になり、生き延びる確率も上がる。 隠す必要もなければ、嘘を吐く必要もない。 なのに何故ニコラスは嘘を吐いてまで、武器を隠した? ―――いや、ちょっと待て。 そもそも私は聞いていない。 この男が殺し合いに乗っていないと。 男が自分を殺さず、名を明かし、不器用ながらも優しさを見せてくれた事により、自分は想像してしまった。 この男は殺し合いに乗っていない、と。 まさか。 まさか。 まさか! 疑い始めたら直ぐに、その考えへと行き着いた。 視界の中ではニコラスが武器を拾う為、屈み込んでいる。注意は自分ではなく、銃器に向けられている。 そのことを確認したと同時に駆け出していた。 綱から放たれた警察犬並のスタートダッシュを決め、全力で、ニコラスから少しでも遠ざかるべく、足を回した。 逃げられる、と思った。助かった、とも思った。 だがそれらの考えは、肩に乗せられた無骨な手の感触により、「どうしたんや?」というニコラスの言葉により、一瞬で吹き飛ぶ。 何より乗せているだけにも関わらず身体を固定する、抗いようのない力に、刹那の希望は易々と砕かれた。 全身を使って抵抗など歯牙にも掛けてもらえず、無理やり身体の向きを変えられる。 視線の先のニコラスは右手に拳銃を握っていた。 くそ。 くそっ。 くそっ! こんな所で断たれるのか!? ようやく掴んだ未来が、こんな訳の分からないゲームで!? ふざけるな! 私が、仲間がどれだけ苦労し、掴み取ったと思っている! あんたが、あんたみたいな男が易々と奪い取って良い物なんかじゃない!! ふざけるな、ふざけるな! 「ふざけるなぁぁぁああああああああああああああああああ!!!」 何時しか思いが言葉となり口から飛び出していた。 ただの子供としか思っていなかった人間の突然の絶叫に、ニコラスは表情を驚愕に染め、僅かに力を緩めた。 ただそれも一瞬。逃げ出す暇などない。驚愕は直ぐさま沈み込み、肩にのし掛かる力は元に戻る。 諦めるしかないのか。あの未来を、あの日常を、取り落としてしまうのか。 涙が零れる。悔しくて、悔しくて、たまらない。 視界が滲み、役目を失う。ニコラスの表情もぼやけ、確認できない。 ――駄目だ。死ぬ瞬間までみっともない姿を晒すのか。 死ぬのならせめて誇り高く死ぬ。暴力などに屈しない。 涙を拭き、胸を張り、前を見据える。 自分は、自分達はあの運命を打破したのだ。 三十数年しかいきていない殺人鬼相手に弱みなど見せてたまるか! 晴れた視界の中ではニコラスが右腕をコチラに差し出している。 そこに握られているのは漆黒の拳銃――――ではなかった。 「あの、その、なんや、怒らせたんならスマン、謝るわ。そりゃそやな、いきなりこんなゲームやもんな、ビビる、そりゃビビる、ワイやってビビるもん。でも、な。スマンから泣かへんでくれ。な、ほら木の実全部やるから、な?」 まるで機関銃の如く謝罪。 ニコラスは困り果てた顔で頭を下げていた。 右手に乗せてある物は四粒の木の実と一枚の円形の何か。 拳銃は左手にあり、銃口は下に向いている。 この事態は何なのだ? ―――自身が思い描いていた予想とは全く違う展開に、古手梨花は混乱することしか出来なかった。 □ 「ようするに、あんたは殺し合いに乗ってないのね」 「まぁ一応な。でも向こうから襲ってきた場合は別やで」 「じゃあ、何で武器を持ってないなんて嘘を吐いたのよ」 「嘘? ……あぁ、これの事か。水に浸かってしもうてな、これは使い物にならんのや」 「な……! な、なら、あの質問は何なのよ! 人を殺したことがあるかーとか、銃を撃ったことがあるかーとか!」 「一応確認しとかなあかんと思ってな。殺しや銃の経験あれば最低限、自分身くらいは守れそうやし」 「こんな子供がそんな事する訳ないでしょ!」 「いや、嬢ちゃんは知らんかもしれへんけど、結構いるもんやで。ガキのクセして殺しが当たり前になっとる奴」 「どこの国の話よ! あんたが知ってる国ならともかく、日本でそんなことある訳ないでしょう!」 悪びれた様子もなくしれ言い放つウルフウッドに、梨花は心底呆れ果てていた。 デリカシーが余りに欠如している。 一応こちらは小学生、まだ子供。しかもこんな意味不明な殺し合いの場。 そんな状況であんな物騒な質問、加えて紛らわしい故障中の武器。 配慮に欠けているにも程があると、梨花は思った。 だがこの擦れ違いには大きな原因があった。 ウルフウッドは人死にが当たり前の世界から連れて来られた。 人と人は些細な理由で殺し合いをする事を知っている。 親を殺害されたことにより、復讐に心を染め、殺しを行う子供がいる事も知っている。 単純に生きる為に、銃を持たざるを得なくなった子供がいる事も知っている。 殺人を犯す、または犯した経験を持つ子供というものはウルフウッドにとって決して珍しい存在ではない。 古手梨花は平和な村から連れて来られた。 何百回と友人の豹変を目にし、凄惨な殺人劇を経験してきたが、殺人が日常茶飯事というには遠く及ばない。 ようするに生きてきた世界が違うのだ。 確かにウルフウッドの行動にも問題はある。 が、真の原因は世界観の違いだということに古手梨花、ニコラス・D・ウルフウッド共に、気付いていない。 そして真の原因に気付かぬまま会話は進んでいく。 「……それでこのレコードみたいなのは何なのよ。これで身を守れって言うの?」 「よくは知らんけど、それを頭に差し込むとゴッツい力が手に入るらしくてな。ワイは駄目やったけど嬢ちゃんならもしや、と思ったんやけど。……そしたらいきなり逃げ出すんやもんなー」 「うっさい! あんたが悪いのよ!」 「ハイハイ、分かった分かった。あ、コレ説明書や。途中千切れとるけど、一応な」 怒り冷めやらぬ梨花は乱暴にウルフウッドが持つソレを受け取る、もとい奪い取った。 もはや猫かぶりをする気も起きないのか、その口調には地の彼女がありありと出ていた。 梨花は水にふやけ、途中で破けている紙へと目を通す。 書いてある事は非現実的。 頭に差し込むとのことだがその時点でかなり怪しい。 種類によってという事はまだ他にもあるのか? というか超常的な力というは何だ? 抽象的すぎて想像がつかない。これでは説明書としての役目を果たしきれていないだろう、全く。 粗方の愚痴を脳内で吐き捨て、説明書からDISCに目を移す。 不思議な光沢の中に、変な姿の人影が映っている。 じっくりとそれを眺めた後、梨花は大きく――側でボンヤリと傍観に務めている男にも聞こえるようため息を吐いた。 「で、これを頭に入れろって言うの?」 「そや」 「ふざけてんの?」 「いや、別に」 再度ため息。 これ以上話しても無駄と判断し、DISCと向き直る。 「力が手に入る」―――これは梨花にとって魅惑的な言葉であった。 今の自分は無力。純粋な力だけで見れば、参加者中で最も下かもしれない。 それに支給品も外ればかり。 もし最初にウルフウッドでなく、殺人鬼に出会っていれば間違いなく死んでいただろう。 しかしこのDISCとやらの使用が可能なら、超常的な力が手に入れられる。 力を、得られるのだ。この場で生き抜く力を。 ウルフウッドは何も言わない。全ての決断を梨花へと任せている。 膨大な不安と僅かな恐怖に挟まれ梨花は逡巡する。 しかしそれも数秒、十秒にすら至らない。 梨花は覚悟を決め、不安を振り切るように勢いよく、DISCを頭に突っ込んだ。 □ 世界が黒と白に染まっていた。 先程まで聞こえていた風の音や木々が擦れ合う音もない。 振り返り、あの唐変木を見るが、コイツもまた静止していた。 一歩、二歩、三歩、横に歩いてみる。 うん、私は動ける。 この状況には覚えがあった。 あの日、あの時、羽入を救う際に発動した不思議な力。 あの時の状況と今の状況は非常に酷似している。 これが超常的な力の正体なのか? そこまで考えたところで不意に力が抜けた。 寸前、自分の後ろに誰かが立っている事に気付いたが、姿までは確認できなかった。 ―――そして、時は動き出す。 □ 「何やと?」 驚愕の声を上げたのはウルフウッド。 サングラスの奥の瞳はこれ以上なく見開かれていた。 それもその筈。眼前の少女が瞬間的に移動したのだから。 たった数メートルの距離だが、自分にすら知覚できない速度で、何の力も持たない筈の少女が移動した。 少なくともウルフウッドにはそう見えた。 「凄い……凄いわよコレ!」 歓声を上げる梨花を呆然と見やる。 不審と驚愕の混じった視線に気が付いたのか、梨花は満面の笑みを浮かべながら、ウルフウッドへと近付いてきた。 「……瞬間移動か?」 ウルフウッドの問いに梨花は首を横に振る。 「違うわ、時を止めたのよ」 「時を止めた……やと?」 「ええ、たった数秒だけどね、私が時を止めたのよ」 んな阿呆な、と思わず口から出掛けた言葉をウルフウッドは飲み込んだ。 確かに見てしまったからだ。 少女が何の前触れも、予備動作すらも見せずに移動した瞬間を。 「マジかいな……卑怯すぎるやろ、そんな能力」 下手すればあの歩く核兵器にすら勝利できるかもしれない馬鹿げた力に、ウルフウッドは天を仰ぐ。 何故その能力が嬢ちゃんに使えて、ワイには使えないんや、と心の中で愚痴るのも忘れていない。 ウルフウッドは大きく肩を落とした。 「みぃ~かわいそかわいそなのです☆」 「うっさいわ、ボケ……ハァ……」 嘲り百パーセントの励ましを右から左に聞き流すと、梨花の方へと向き直り―――そしてその瞬間、ウルフウッドはあらゆる動作を停止した。 「? どうしたのですか、ウルフウッド?」 まるで時が止まったかの如く固まったウルフウッドに不穏を感じ、梨花は首を傾げる。 そして、それと同時に視界が真っ黒に染まった。 続いて身体が横に傾く、いや強制的に傾かされる。 突然覆い被さってきたウルフウッドにより、餓えた野獣のように襲いかかってきたウルフウッドにより、押し倒されたのだ。 梨花とて外見は幼いにせよ、紛れもない乙女。 本能的な危険を感じ、悲鳴を上げようとする―――が、ウルフウッドの胸板に顔面を押し付けられ悲鳴も上げられない。 なんとか脱出しようともがくが、その瞬間、脳天と地面が熱烈なキスをかました。 頭に衝撃が走る。 埋め尽くされた漆黒に火花が走り、意識が真の暗闇へと浸透しかけた。 しかしそこでまた別の衝撃が意識を引き上げる。 梨花の瞳が数秒振りの景色を映し出す。 そこでようやく梨花も現状の一部分を理解した。 ニコラスに抱き上げられ――というより荷物のように脇に担がれ――何処かに移動しているのだ。 梨花は叫び声を上げるのを中断し、懸命に走り続ける男へと大声で怒声を浴びせる。 「離しなさいよ、この変態! いきなり、何すんのよ!」 「悪い、今は少し黙っててくれ!」 やけに切羽詰まったウルフウッドの返答。 今までのウルフウッドとは違う雰囲気に気圧され梨花は沈黙する。 途中一度足を止め、振り返り何かを振るったが、また直ぐさま走り出した。 結局、梨花が解放されたのはそれから十分程、疾走を続けた後であった。 □ 「二本同時に防ぐとはな。なかなか楽しめそうだ」 つい数分前まで、一人の男に一人の少女が怒りをぶちまけていた場所にクレアは立っていた。 唯一の武器を奪われたというのにその顔に悔しさは微塵もない。 それどころか、珍しいことに感心の表情を浮かべてさえいた。 「だがあれでは貴重な武器が壊れてしまうぞ? 奴は馬鹿か?」 するとクレアは不意にうずくまり、何かを拾い上げた。 それを躊躇うことなく頭へと差し込むクレア。身体が弾かれることはなかった。 「さっきの少女は、驚くことにこの俺でさえ知覚できない速度で移動した。いや、俺が知覚できなかったという事はただ移動ではないか。おそらく瞬間移動。面白い能力もあるもんだ」 クレアはしっかりと見ていた。 梨花が円盤状の物体を頭に差し込む瞬間を。 梨花が時を止め移動した瞬間を。 ウルフウッドに押し倒された際に梨花の頭から飛び出たDISCの存在を――。 「さてここで問題なのは、その能力が少女自身のものか、それともこのレコードが関係しているかだ」 クレアはまた何の気なしに周囲を歩き、手頃な木の前で立ち止まる。 その後ろにはクレアより二回りほど大きい、人間の形をした何かが寄り添うように佇んでいる。 「よし、壊せ」 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!」 人間が繰り出す目にも止まらぬ連打。 クレアの胴体視力でも全てを見切るには至らないであろう連打が、巨木をまるで紙切れのように宙へと誘った。 「ふむ、凄まじいパワーとスピードだ。それに感覚の共有もできる。こんな支給品を手に入れるとはな、やはり世界は俺を中心に回っている。……だが瞬間移動は出来そうもないな。ってことあの能力は少女自身のものか、まぁ良い」 クレアは満足げに笑い、再び歩き始める。 その圧倒的な自信――、一厘の疑いも持たない、異常とも言える自信により最強のスタンドを従えたクレア・スタンフィールド。 この出来事により、彼の中にあった確信はさらに深みを増した。 「さてと、武器……というのも変な物だが、武器は手に入れた。行くか」 ウルフウッドは気付くべきだった。梨花の頭からDISCが抜け落ちたことを。 図らずも彼は誕生させてしまったのだ。 最強のスタンド・スタープラチナ、最強の殺し屋・クレア――世界も次元も概念も越えた二つの最強が重なり合った怪物を。 【G-2 遊園地周辺 1日目 早朝】 【クレア・スタンフィールド@BACCANO!】 [状態] 健康 若干の疲労 拳に血の跡 [装備] スタンドDISC『スター・プラチナ』@ジョジョの奇妙な冒険 [道具] 支給品一式×2 未確認支給品0~1 [思考・状況] 1:優勝し、ギラーミンから元の世界へ戻る方法を聞き出す。 2:優勝のために他の参加者を殺す 3:レヴィ、ウルフウッド、梨花と再び出会った時には彼女を殺す。 【備考】 ※何処へ向かうかは後続の方にお任せします。 ※参戦次期は1931~特急編~でフライング・プッシーフット号に乗車中の時期(具体的な時間は不明) ※未だ名簿は見ていないため、フィーロが居る事も知りません。 ※スタープラチナを発現できますが、時止めの適正があるかは不明です。 ※梨花が瞬間移動の能力を持っていると思っています。 □ より一層濃くなった緑の中、ウルフウッドと梨花は相対していた。 ウルフウッドは雑草をくわえ喫煙衝動を誤魔化しながら、古手梨花は怒りの感情を隠そうともせずに、二人は向かい合う。 「で、何であなたはあんな行動を取ったのかしら? 返答によってはあなたを変態扱いしなくてはいけなくなるんだけど」 眉間に皺を寄せ睨んでくる少女にチラリと視線を送り、ウルフウッドはため息を吐いた。 そして答えを返さずにただ無言でデイパックからある物を取り出し、梨花に見せる。 黒色のそれは、遂数分前に誤解の火種ともなったショットガンであった。 「なによ、これ……」 だがその銃器は先程と僅かに姿を変えていた。 鉄の銃身に巨大な刃物が二本食い込んでいるのだ。 先に行くに連れ幅を増していく特徴的な刀身が、銃身に挟まり日光に照らされていた。 「グルガナイフやな。武器にしとる奴はあまり見掛けへんけど、これはなかなか上物やで。まぁ、最初はただ逃げよ思うたんやけど、ご丁寧に追撃かましてくれたからな。ついでにナイフも貰といたわ」 「嘘……何時の間に……」 梨花は、呆然と戦闘が起きた証拠を見つめる。 自身が気付かぬ内に、命の危機に晒されていたのだ。 ショックを受けるなという方が無理な話だろう。 「……もしかして助けてくれたの?」 そして結論に至る。 あの時、ウルフウッドが自分を押し倒したのはナイフから助ける為に。 あの時、ウルフウッドが自分を荷物のように担いでいたのは襲撃者から逃亡する為に。 自分が知らぬ内にこの男は命を救ってくれたのだ―――ウルフウッドの行動の真意を古手梨花は理解した。 「気にする事はあらへん。子供は大人に助けられる物や。変に気ぃ使われると、逆にこっちが困ってまう」 口の中の雑草を吐き捨て、励ますでもなく、さも当然のようにウルフウッドは告げた。 彼方を向いた顔に、少量の気恥ずかしさが含まれている事に梨花は気付かなかった。 「…………ありがとう」 その時、静寂の森に言葉が響いた。 ウルフウッドの目が見開かれる。 その脳裏に浮かぶある光景。 自分に微笑みかけてくる子供達。 無邪気な笑みをあの時と変わらずに向けてくる子供達。 血塗られた自分には、変わってしまった自分には決して訪れないであろう光景。 思わず視線が梨花へと移る。 そこには、僅かに頬を朱に染めにぱー☆と微笑む少女が居た。 □ そんな顔を見せないでくれ。 希望を持ってしまう。 まだ引き返せるんやと。 こんな自分でも、救える者がいるんだと。 こんな自分でも、アイツのような生き方ができるんだと。 希望を持ってしまう。 勘違いをしてしまう。 悪党は何処まで行っても悪党。 変わらない。 たった一人の命を救ったところで、この事実は揺るがない。 悪党は何処まで行っても悪党。 頼む。 そんな顔を見せないでくれ――― 【E-3 森 1日目 早朝】 【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】 [状態]:健康 (少々の不安はあるが前向きに) [装備]:なし [道具]:支給品一式、王の財宝(の鍵剣)、インデックスの修道服@とある魔術の禁書目録、ミッドバレイのサクソフォン(内蔵銃残弾100%)@トライガン・マキシマム [思考・状況] 1:ニコラスと行動 2:必ず生き残る。 3:圭一達を見つける。 4:安全な場所に行きたい。 5:ネズミ? ※王の財宝の使い方(発動のさせ方)を分かっていません。(説明書もありません) ※ウルフウッドを信頼、けどちょっとむかつく。 ※電車に誰か(橘あすか)が乗っているのに気づきました真紅に気づいたかどうかは不明です。 ※サクソフォンの内蔵銃に気付いていません。 ※スタープラチナに適正を持っています。僅かな時間ですが時止めも可能です。 ※クレアの姿を確認していません。 ※スタンドDISC『スター・プラチナ』を落とした事に気付いていません。 【ニコラス・D・ウルフウッド@トライガン・マキシマム】 [状態]:健康 [装備]: [道具]:基本支給品(地図と名簿は二つずつ) デザートイーグル50AE(使用不能) SPAS12(使用不能)チーゴの実×3@ポケットモンスターSPECIAL シェンホアのグルカナイフ×2@BLACK LAGOON [思考・状況] 1:襲われたら返り討ち、必要以上に危険な事に首は突っ込まない。血まみれの謎の男(クレア)を警戒 2:古手梨花を守る 3:ヴァッシュとの合流、リヴィオとの接触 4:ジュンを殺害した者を突き止め、状況次第で殺す。 5:武器を手に入れる、出来ればパ二ッシャー 6:この木の実結構ウマイ ※スタンドDISC『スター・プラチナ』を落とした事に気付いていません。 時系列順で読む Back 本気のココロを見せ付けるまで 僕は眠らない Next コードギアス ナナリーと旅館三騎士 投下順で読む Back 本気のココロを見せ付けるまで 僕は眠らない Next コードギアス ナナリーと旅館三騎士 たった少し希望と不器用な優しさと 古手梨花 救いと因果と たった少し希望と不器用な優しさと ニコラス・D・ウルフウッド 救いと因果と Show me the way to you クレア・スタンフィールド 心に滲んだ赤いアラベスク
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それは、明日 晶が、上田 明也から幼zy……少女、穀雨 吉静を預かっていた間のこと 「晶おねーちゃん、あれ、なぁに?」 「うん?…あぁ、アイスのワゴンだね」 穀雨と一緒に、食材の買いだしに出かけていた晶 …この穀雨と言う少女、外見に似合わずなかなか素敵な食欲の持ち主である 1人暮らしをしていた晶の家には、この少女の分の食材までは備蓄していなかったのだ 当然、買出しに出かける必要は発生する 「アイス?」 キラリーン 瞳を輝かせる穀雨 愛らしいその様子に、晶は釣られたように笑みを浮かべた 子供は苦手な晶だが、この穀雨と言う少女の無垢で無邪気な様子は、純粋に可愛らしいと思う 超能力を使わなくても、はっきりとわかるくらい伝わってくる感情は、見ていて何だか和んでしまう 「それじゃあ、荷物が増えて大変になる前に、食べようか?」 「いいの?」 いいよ、と頷いてあげれば、穀雨はますます瞳を輝かせた ぐいぐい、晶の手を引っ張ってくる 「早く行こうよー」 「わっ、とと、そんな引っ張らないでって」 苦笑しながら、穀雨に手を引かれて行く明日 アイスのワゴンに近づいていく、その最中 『-----わわっ!?』 「みゃっ!?」 「わたっ!?」 どんっ!!と 目の前から歩いてきた青年と、ぶつかってしまった 青年は、大きな荷物を抱えていて、前がよく見えていなかったようだ ぶつかった拍子に、荷物の中身が…リンゴが、道にぶちまけられた リンゴ、だけではない ぱらぱらと散らばっているのは…何かの、種? 『わ、わわわ……』 おたおたと、リンゴを拾い始める青年 リンゴは、転がりきる前に何とか拾えたようだが…ぶちまけられた種は、拾いきるのは大変だろう それを見て、穀雨が、種を拾うのを、手伝いはじめた ぶつかってしまったのが原因でぶちまけられてしまったのだから、手伝わなければと思ったのか… (…いや、違うか) 単純に、目の前で困っている人がいるから、助ける そんな動機で穀雨が青年を手伝ってあげているのに気づき、晶は笑みを浮かべた 本当に、いい子だ ……上田から、悪い影響を受けなければいいのだけれども 晶も青年を手伝って、種を拾っていってやる この形……リンゴの種か? 「はい、どうぞ」 「どうぞー」 「ア、アリガト、ゴザイマス」 晶達の言葉で、彼女達が日本人だと理解したのだろう 青年は、片言の日本語で、そう言って来た 晶は、改めて、その青年を観察する まるで、リンゴのように赤い髪の青年だ ひょろっ、とした頼りない長身を…言っちゃ悪いが、少々みすぼらしい服で包んでおり、ボール紙製の、ひさしの広い帽子を被っている …そして、よく見ると、裸足だ 街中を裸足で歩いて、痛くないのだろうか 「日本語、話せるの?」 「少シ、話セル、デス」 穀雨の言葉に、微笑んでそう言って来た青年 ぺこりと、頭を下げてくる 「親切、シテモラッタ、オ礼、スル、デス。アソコノ、ワゴンノアイス、ゴ馳走スル、デス」 「え、いや、そんな、悪いですよ」 どうやら、日本語がわかるようなので、日本語で応対する晶 …アメリカ暮らしをしてはいるが、彼女、英語がちょっぴり苦手なのである が、青年は人のいい笑みで続けてくる 「イエ、親切ニシテモラッタカラ。オ礼、シマス」 にこにこと微笑んでいる青年 …そして、アイスをご馳走してくれると言うその言葉に、瞳を輝かせている穀雨 ……うーん (…ま、いいか) 悪人とかではなさそうだし 「それじゃあ、お言葉に甘えて」 「アイスー!」 無邪気な笑顔の穀雨の様子に、晶も青年も、思わず和んだ笑みを浮かべたのだった 「ワタシ、ジョニー・アップルシード、イイマス」 もぎゅもぎゅもぎゅ 美味しそうに、バケツサイズの入れ物に入ったアイスを食べている穀雨 …これだけ食べて、おなかを壊さないだろうか そして、アメリカのアイスは、カロリーがとっても素敵な事になっているのだが…大丈夫だろうか 同じ女性として、そこを心配する晶 そんな最中、青年…ジョニーから、自己紹介を受けていた 「ジョニーさんか。私は明日 晶。この子は…」 「穀雨 吉静だよ」 口の周りにアイスをつけたまま、自己紹介した穀雨 …うん、口の周りを拭いてあげるのは、食べ終わってからでいいだろう 「ミス・アキラ、ト、ミス・ヨシズ、デスネ。ホントニ、アリガト、ゴザイマシタ」 ぺこり、と 改めて、頭を下げてきたジョニー 晶は、小さく苦笑した 「いえ、こちらこそ。ご馳走になっちゃって」 もぎゅもぎゅもぎゅ 再び、アイスに夢中になっている穀雨 …アイスに夢中で、多分、他の事は耳に入ってこないだろう そう考えて…穀雨は、ジョニーに尋ねる 「…ジョニーさん、都市伝説でしょ?」 「……!ワカル、デスカ?」 「うん、まぁ、ちょっと」 超能力と契約している晶 それくらいは、わかる …この、ジョニー・アップルシードと名乗った青年は、都市伝説だ だが、危険な存在ではない どちらかと言うと、聖人とか、そう言う類に近い存在のようだ 「ハイ、ワタシ、都市伝説、デス。リンゴ、アメリカ中ニ広メタ、言ワレタ、デス」 「あー…聞いたことあるようなないような。開拓者にリンゴの種を配った、アメリカ西部にリンゴをもたらしたって言われている人か」 …それで、リンゴの種を持っていたのか、あんなに大量に ちょっと、納得した 「アナタ達、都市伝説、怖イ、違イマスカ?」 「怖くはないよ。ジョニーさんは、危険な都市伝説じゃないしね」 危険な都市伝説だとわかったならば、そもそも、こうやってのんびり、穀雨をはさんでベンチ座って話していたりしない アイスだけご馳走になって、とっくに逃げている 「アメリカも、結構しゃれにならない都市伝説多いからね。でも、ジョニーさんはそう言うのとは違うでしょ?」 「…ソウ、言ッテモラエル、嬉シイ、デス。ソウ考エナイ、人間、多イ、デス」 そばかすだらけの顔に、笑みを浮かべるジョニー 都市伝説だと知られるだけで、大変な目にあう事も多いのかもしれない ジョニーは、晶と穀雨を、じっと見つめてきて… …そして、ごそごそと、持っていた荷物をあさりだした どうしたのだろう? 晶が首をかしげて、その様子を見つめていると…ジョニーは、一つのリンゴを取り出した それは、金色のリンゴだった 金メッキした、とか、そう言う感じはしない …元からこの色なのだ、と、そう確信できる、そんなリンゴ まさしく、黄金のリンゴだ 「コレ、アゲマス、デス」 「え…」 「アナタ達、ナラ、悪イ事ニハ、使ワナイ、思イマス」 渡された、黄金のリンゴ 晶は、それをじっと見つめる 「…これも、都市伝説…?」 「ハイ、ギリシャノ方ノ、神話ニ、出ル、戦争ノ原因、ナッタ、リンゴ、デス」 「もしかして、トロイア戦争の…?」 ギリシャ神話にて とある神と神の披露宴に投げ込まれた、黄金のリンゴ それには、「もっとも美しい女神へ」と書かれていた 披露宴に呼ばれなかったとある女神が、腹いせに投げたそのリンゴ 書かれた文字に、三人の女神が手を伸ばした 詳しくは割愛するが……ここから、トロイア戦争へと、話は動いていくのだ 「ワタシ、契約者、アッタ頃、ソノリンゴ、手に入レタ、デス。ワタシ、ソレ、アッテモ、使ウ、ナイ、デス」 「…でも、いいんですか?本当にもらっても」 「イイ、デス。アナタ達ナラ、大丈夫」 にこり、ジョニーは笑った そして、荷物を抱えてすくり、立ち上がる 「ソレデハ、ワタシ、モウ、行ク、マス。ミス・アキラ。ミス・ヨシズ。オ元気デ」 「アイス、ごちそうさまでした…ほら、穀雨ちゃん、お礼を言わないと」 「ありがとーございました!」 …おぉう、ジョニーと話している間に、穀雨の口の周りがアイスで凄い事にっ!? 慌てて、口の周りを拭いてやる晶 その、まるで姉妹のような様子に、ジョニーはにっこり、笑みを浮かべて リンゴとリンゴの種が一杯入った大きな荷物を抱えて、裸足で街中の喧騒へと、消えていった 後には、まだ何も書かれていない、黄金のリンゴが一つ 残されていったのだった to be … ? 前ページ / 次ページ
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ロリッ!幼女だらけのクリスマスパーティー ~ボインもあるよ!~(前編)◆Vj6e1anjAc それは小さな願いだった。 何事もない穏やかな日々、ずっと求め続けていた温もり……何よりも愛しかった日々に、暗く、静かに落ちた影…… 運命という名の鎖を断ち切る力を、この手に得ることができるなら、全てを捨てても構わないと思った。 嗚呼――なのに、何故。 私は、こんな所へ来てしまったのだろう―― ◆ ただひたすらに、這いずるように逃げていた。 カートリッジはない。自分の得意とするタイプの武器じゃない。 何より、今も傷口から流れる血が、体力と思考力を根こそぎ奪い続けている。 こんな状況で挑んだところで、まともに勝てるはずもない。 故に見つからないようにすることだけを考えて、みっともなく逃げ続けていた。 巨大な戦艦の内部を歩いていく。 ふらふらとした足取りで、がらんどうの闇の中を進んでいく。 もう自分がどこにいるのかも、どの道筋を辿れば出られるのかも分からない。 有体に言えば、迷っていた。 これだけうろつき回ったのだ。右腕から溢れる血痕の道も、ぐちゃぐちゃに混線していることだろう。 唯一救いがあるとするならば、そうして追っ手をかく乱できたことくらいか。 何故、自分は逃げているのだろう。 ふと、ぼやけた脳内で思考する。 出来損ないのはずの自分が、何故この期に及んで逃げているのだろう。 もはや居場所なんてないのに。 人殺しの罪を犯した自分を受け入れる者など、誰もいないというのに。 生きていく意味も、共に生きたいと思える仲間も、全てなくしてしまったというのに。 命は何にだって一つだ。 他の何かで代用できる命などない。命はそれぞれに等価値なんだ。 そんな言葉を、どこかで聞いたような気がする。 他人に命の品定めをされ、結果捨てられた自分にとって、その言葉はひどく優しく聞こえた。 けれど。 だからこそ、今になって理解できる。 命の価値を決めるのは、他人ではなく自分自身。 すなわちそれは、自分を無価値だと決め付けるのは、他ならぬ自分自身だということ。 自分は無価値だ。 まるで命に意味を見出していない。 まるで生きようとしていない。 幾度となく迷い悩んでも、大切な人達に支えられ、その度に道を切り拓いてきた。 しかしそれは裏を返せば、他人という存在がいなければ、今の自分は存在しえなかったということ。 ■■■■・■・■■■■■という人間は、いわばファミレスのガラスコップ。 色とりどりのドリンクを、他人から注がれることがなければ、ただ透明で空っぽなだけの存在。 他人の存在なしにしては、何の個性も得られず、何も決められず、何を為すこともできはしない。 観賞用にも使えぬコップに、一体どれほどの意義がある。 たった独りの空虚な自分に、一体どれほどの価値がある。 死ねばいいのに。 死ねば助かるのに。 死んでしまえば、少なくともこの苦痛と絶望からは、解放されるというのに。 嗚呼。 なのに、何故――死ぬことは、こんなにも、怖い。 今ここで自分の命が失われれば、何もかもが虚無へと還る。 右腕を苛む痛みも、誰からも愛されぬ悲しみも、あっという間に捨て去ることができる。 けれどそれは、他の全ても捨てる選択肢だ。 大切な人に出会えた喜びの記憶も。 大切な人と培ってきた楽しい思い出も。 大切な人を救いたいと願った真っ直ぐな意志も。 何より、この身体と魂を持って生まれた、■■■■・■・■■■■■という存在そのものも。 自分なんて大嫌いなのに。 自分であることがひどく苦痛なのに。 自分が消えてしまうのが、怖い。 憎しみや悲しみだけでなく、喜びさえも消え去って、何もなくなってしまうのが怖い。 無様なものだ。 死にたいくらいに絶望してなお、死ぬのは怖いと足掻いている。 生きていても仕方がないのに、生きていたいともがいている。 本当に。 なんて、無様。 「……?」 かつり、かつり、かつり、と。 不意に、微かな靴音が聞こえてくる。 追っ手のそれではない。あの巨大な鎌を引きずる、がりがりという音が聞こえてこない。 こっそりと物陰から顔を出し、ばれないように正体を伺う。 そこに歩いていたのは、1人の少女。 きっと自分と同い年くらいの、紫色の髪の女の子。 フェイト・T・ハラオウンのそれと同じ――赤い瞳をした女の子だった。 ◆ インテリジェントデバイス・マッハキャリバー。 あのへなちょこな新人のデバイスにしては、大した速度を持っている。 胸元にぶら下がる水晶へと視線を落とし、ルーテシア・アルピーノは思考した。 先のアニメイト襲撃から数時間が経過した今、彼女は聖王のゆりかごへと到達していた。 マップ上の区切りで言えば、2マス分を斜めに突っ切ったことになる。 多少時間はかかったものの、歩幅の狭い子供の自分では、徒歩でならもっと時間がかかったことだろう。 最悪、途中で疲弊していたかもしれない。 それを考えれば、第3回目の放送よりも早く、ここまで辿り着けたことは、僥倖としか言いようがなかった。 眠るヴィヴィオを背中に担ぎ、薄暗いゆりかごの廊下を進んでいく。 足元に血痕が見えたのが気にかかったが、さして重要なことではないと判断。 恐らく戦闘でもあったのだろうが、血を流しているということは、手負いの死に損ないなのだろう。 仮に加害者がいたとしても、自分にはイフリートという味方がいる。 何せ本来なら制限の対象である召喚獣だ。そうそう簡単に遅れを取る場面は想像できない。 そうこう考えているうちに、目当ての玉座の間へと到着。 天井の高い殺風景な部屋に、ぽつんと飾り気ない椅子だけが置かれた場所だ。 聖王とはあくまで主権者ではなく、強力な兵器でしかなかったことが、否応なしに理解できる。 かつり、かつりと靴を鳴らし。 入り口から、灰色の玉座へと到着。 この部屋に血の痕は見られなかった。ということは、ここは無人なのだろう。 誰かが隠れていて、物陰から襲いかかってくる――その可能性を排除できただけでも、幾分か安堵できた。 かちゃん、と鳴る音。 座らせた器を、椅子に備えられた拘束具をもって固定。 首にかけたマッハキャリバーを端末とし、ゆりかごを起動せんと準備に取り掛かる。 「………」 ふと。 意識のない横顔を見て、思った。 この娘もまた、自分と同じだったのではないかと。 たとえ偽りのものであったとしても、ヴィヴィオはあの女を――高町なのはを母親として慕っていた。 彼女もまた、自分の母と引き離され、1人その背を追い続けていたのではないのかと。 眠る母を蘇らせるべく、孤独に戦う自分と同じ存在ではないのか、と。 同情はする。 大切なものを失い、それを取り戻したいと願う気持ちは理解できる。 その命を奪うということは、その意志を否定することではないのか、ということも、理解している。 しかし、してやれるのは同情だけだ。 今は確かに殺さない。ヴィヴィオが死ねば、聖王のゆりかごは起動しなくなる。 だが、この戦艦が他の全ての参加者を抹殺すれば、ルーテシアは迷うことなくその首を刎ねるだろう。 誰だって我が身が一番可愛いのだ。 自分の母親の命を救うためなら、他人の願いだって踏みにじってみせる。 『プログラム構築、完了』 マッハキャリバーの音声が響く。 もやもやした気分を振り払い、己がデバイスへと意識を向けた。 組んだプログラムは2つだ。 基本となる聖王のゆりかご起動のためのものと、最終防衛手段としての、聖王モードへの強化改造用のもの。 「あとは……レリック」 準備は整った。 残るはヴィヴィオを改造するための材料――レリックさえ手に入れば、すぐにゆりかごを飛び立たせることができる。 拘束はしておいた。必要なレリックは、今から探しに行けばいい。 行動方針を定め、今まさに振り返らんとした。 「――来てたんだね、ルーちゃん」 その、瞬間。 背後から聞こえる、声。 入り口からかけられた呼び声に、反射的に身体の回転速度を上げる。 「来てたのなら、挨拶くらいしてくれてもいいのに」 そこに立つのは桃色の少女。 淡い桜色の髪の少女。 自分と同じくらいの身体を、どこぞの伝統衣装に包んだ娘。 「貴方……六課の」 機動六課、ライトニング04。飛竜フリードリヒを駆る竜召喚士。 確か、名はキャロ・ル・ルシエとかいったか。 執務官の保護者と、赤毛の友人に囲まれた、幸せたっぷりな笑顔を浮かべていた無知な餓鬼だ。 その、はずだった。 「来てたって分かってたら、ちゃんとおもてなししたんだよ? ひどいね、ルーちゃんは」 であれば、今まさに歩み寄ってくるこいつは何だ。 黄金と漆黒で彩られた、その禍々しきデスサイズは一体何だ。 何より、その顔。 くすくすと笑うその表情。 果たして彼女の笑う顔は――これほどに空虚なものであったか。 いかに無知な子供といえど、その顔には確かに温もりがあった。 笑顔を浮かべるに相応しいだけの幸福感が、そこには確かに宿されていたはずだ。 なら何故、今の彼女はそんな笑顔を浮かべられる。 喜びも何も込められていないような、虚ろな目をすることができる。 何故、そんな。 「……嫌な顔」 吐き気を催すような、忌々しい笑顔を浮かべられる。 「仕方ないよ、エリオ君が死んじゃったんだもの」 感情の希薄な声でキャロが言った。 エリオとは、確か例の赤毛の少年の名か。 ライトニング03、エリオ・モンディアル――違法技術・プロジェクトFの遺産。 富豪の家に生まれた御曹司である、本来のエリオのコピーとして生まれた、長槍を振るう少年騎士の名だ。 そういえば、彼もまた放送で名前を呼ばれていたか。 最初の放送で呼ばれた死者など、ほとんど忘れかけていた。 「エリオ君が死んじゃって、私はとっても悲しかった……だから、決めたの」 ぶん、と巨大な鎌を振るう。 身の丈の倍ほどはあるであろう、死神の大鎌を難なく構える。 込められるのは禍々しき魔力。 顕現するのは奇妙な魔法陣。 ミッド式ともベルカ式ともつかぬ、極彩色をしたそれは、さながらコンピューターのデジタル紋様。 「エリオ君を取り戻そうって――みんな殺して優勝して、エリオ君を生き返らせてもらおうって」 ああ、そうか。 ようやく合点がいった。 その言葉を耳にしたことで、ようやく理解することができた。 彼女の顔に浮かぶ表情は。 そのいけ好かない嫌な目は。 「そう……貴方も、私と同じになったの」 他ならぬ、自分自身のそれだ。 大切なものを失って、他の全てに価値を見出せなくなった、空虚でがらんどうな目だ。 かけがえのない者と一緒に、心までも殺されてしまった、何もない空っぽな人間の放つ視線だ。 「そうだね……今の私なら、ルーちゃんの気持ちが理解できる」 くすくす、とキャロが笑う。 どうりで気に食わないわけだ。 自分と同じ存在など、到底好きになれるわけがない。 他ならぬルーテシア自身が、現状の自分を嫌っているのだから。 心のない自分が許せないからこそ、死せる母を蘇らせて、自分を変えようとしているのだから。 「それにルーちゃんだからこそ、私の気持ちも分かるよね?」 ああ、そうだとも。 その動機は痛いほど分かる。 自己の半身とでも言うべき存在をなくす痛みは、現在進行形で味わっている。 ましてや、彼女は自分の保護者すらも喪った。 フェイト・T・ハラオウンの名前は、二度目の放送で読み上げられていた。 半身と半身を失ったのなら、なくしたものは合計して一身。 自己の存在そのものすら、揺るがしかねない強烈な痛みだ。 「だから死んで。私のことを思うなら、私のために、ここで私に殺されて」 そしてその要求も、理解できる。 自分以外の人を殺せば、大切な人が蘇る――同じ立場に立たされたなら、自分だってそうするだろう。 否、それどころか、自分も同じ立場に立たされている。 しかもかのプレシア・テスタロッサが、人を殺せば願いを叶えると、直接顔を合わせて約束したのだ。 「……悪いけど、それは無理」 だからこそ、返事も決まっている。 ヴィヴィオの時の焼き回しだ。 キャロの境遇に同情はするが、それ以上のことなどしてやらない。 彼女のために殺されてやらない。 彼女の願いの礎になどならない。 「私にも、退けない理由があるから」 逆にこの場でキャロを殺して、自分の願いの礎にする。 大体、彼女に自分の気持ちが分かるなら、こちらも同じ想いで戦っていると分かっているはずなのだ。 それを知ってなお、こちらの願いをないがしろにするというのなら。 そんな自分勝手な女になど、誰が従ってやるものか。 「お願い、イフリート……」 す、と宝珠を懐から取り出す。 ルーテシアの指先で光り輝くのは、紅蓮の召喚獣を封じ込めたマテリア。 灼熱纏いし地獄の鬼神――イフリートを呼び出す魔法の宝石だ。 小さな珠へと魔力を込める。 召喚の力を具現化する。 リンカーコアより力を注ぎ、異界の門を叩いて開く。 荒ぶる火炎の獣の声を、内に聞いたその瞬間。 「――遅いよ」 “死ヲ刻ム影”! 痛烈な衝撃が、胸元を襲った。 「――ッッ!?」 じわり、じわりと。 激烈な衝撃が身体を襲う。 強烈なエネルギーが身体を蝕む。 魔力が表皮から体内へと浸透し、内側でのたうち回る不快な感触。 熱い無数の手が臓物をえぐり、容赦なく五体を陵辱し尽くす感触。 「データドレイン、って聞いたことある?」 苦痛と不快感の向こうから声が聞こえる。 艶っぽい吐息に混じったキャロの声が、波動を押しのけ響いてくる。 「使うにはたくさんの魔力を消費しなきゃいけないんだけど…… 命中すれば、魔力結合の組成を書き換えたり、壊したりすることができるんだって」 くすくす、と笑いながら声が迫った。 かつり、と靴を鳴らしながら足音が迫った。 一歩一歩着実に、悶え苦しむルーテシアへと歩み寄る。 「リンカーコアの機能だって、停止させることができるらしいよ?」 突きつけられたのは絶望的事実。 くわと瞳が見開かれた。 全身の体毛が総毛立った。 脳の思考は一瞬停止し、目の前が真っ暗になったような錯覚を受ける。 「ん……んうぅ……っ」 喘ぎにも似た苦悶の吐息。 よがるように身をくねらせる。 なるほど、不快感の正体はそれか。 刹那の思考停止の間を置いて理解した。 全身を這いずり回る奔流が、体内を侵食していくのが分かる。 魔力の源泉たるリンカーコアが、その感覚を喪失していくのが分かる。 ぽとり、とマテリアを床に落とした。 召喚獣の声は既に聞こえなかった。 シャットアウト。 全ての機能は停止する。 動力炉は静かに動きを止め、バイパスは残らずシャッターを下ろされた。 我が身を駆け巡る魔導の力が、軒並み遠退いていく脱力感。 「世界は広いよねぇ、ルーちゃん」 その言葉を皮切りに、全ての責め苦は終了した。 解放される。 全身を這う衝撃と圧力による拘束から、小柄な身体が解き放たれる。 されどリラックスすることもできず、その身は床へと投げ出された。 ばたん、と鳴る音。 それが自身が床に倒れた音だと理解するのにも、更に一瞬の間を必要とした。 顔中に浮かんだ脂汗に、前髪が鬱陶しくへばりつく。それを払うことすらもかなわない。 身体が重い。 息が苦しい。 節々が痛い。 五体に満足に力が入らない。 暴漢に囲まれ犯し尽くされた後のような、苦痛と脱力と疲労感。 投げ出された華奢な体躯が、びくんびくんと痙攣した。 「私もすっごく疲れたけど……これでルーちゃんは、しばらく一切の魔法が使えない」 霞がかかった意識の中で、エコーを伴う声が響いた。 ぐっ、と前髪が鷲掴みにされる。 ぐい、と顔面が引き寄せられる。 だん、と右足が腹を踏みつけた。 「私の勝ちだね」 にぃ、と口元を吊り上げるキャロの顔を、黙って見上げることしかできなかった。 ああ、忌々しい。 身体にまるで力が入らない。 魔力の使えない餓鬼などこんなものか。 リンカーコアの機能を封じ込められただけで、こんなにも自分は弱くなるのか。 まともに働かなくなった思考の中、ぼんやりと恨み言を捻り出す。 相手の言葉に従うのなら、条件はさほど変わらないはずだった。 珠のような汗を浮かべるキャロもまた、膨大な魔力を消耗しているはずなのだ。 されど、違う。 相手の魔力量は僅かでしかなく、ゼロのルーテシアよりは多い。 おまけにその手には死神の鎌。 完全に無手のルーテシアとは、比べ物にならないアドバンテージ。 完全に、詰みだ。 悔しいが、認めるしかなかった。 「時間も惜しいから、さくっと殺しちゃいたいんだけど……何か言い残したいことはある?」 嫌な笑顔で彼女が囁く。 嫌な瞳で問いかけてくる。 ああ、自分もこんな目をしていたのだろうか。 こんながらんどうの視線を向けて、多くの人を傷つけたのだろうか。 「……くたばれ」 呪いの言葉を投げつける。 それが最期の抵抗だ。 ああ、くそ。 忌々しいったらありゃしない。 こんなところで終わるのか。 こんなところで自分は死ぬのか。 あれほど大勢殺したというのに、こんなに呆気ない形で殺されてしまうのか。 母を助けることもできないままに。 心を手にすることもかなわないままに。 「ふふっ……じゃあね、ルーちゃん」 金色の刃が迫り来る。 漆黒の殺意が襲いかかる。 これで何もかも終わりか。 この9年間の人生の足跡は、全て無駄に終わってしまうのか。 何も為せず、何も掴めず。 たった1つの大切な命すら、守ることもできないままに。 最期の瞬間、脳裏に浮かんだものは。 (母さん――) 最期まで求めて止まなかった、愛しき母親の笑顔だった。 ◆ ごとり、と鈍い音が鳴る。 ぶしゅう、と噴水の音が鳴る。 赤い血霞の中に佇むのは、嗜虐的な笑みを浮かべた可憐な少女。 竜鱗の右手に携えるのは、命を刈り取る死神の刃鎌。 「あははははっ! やった、やっと殺せた! 見てた、エリオ君? 私もちゃんと殺せたよ!」 無邪気な笑い声が木霊する。 瞳を閉じた王者の前で、壊れた少女が笑いを上げる。 キャロ・ル・ルシエとルーテシア・アルピーノ。 互いに異なる組織に属し、互いに大切なものを失った召喚士は、いわば宿敵と呼べる間柄であっただろう。 されど一たび世界を違えれば、運命が定めたルーテシアの敵はキャロではなかった。 少女の携える大鎌は、太古の昔より蘇りし魔具――<死の恐怖>憑神鎌(スケィス)。 本来あるべき世界においては、かのエリオ・モンディアルが操っていたものだ。 そして死神の処刑鎌(デスサイズ)の世界において、ルーテシアの敵はそのエリオだった。 同じ巫器(アバター)に選ばれた者同士、彼らは互いに刃を交え、激しくしのぎを削り合った。 そして今、ここに少女は散る。 同じ世界のキャロ・ル・ルシエと。 違う世界のエリオ・モンディアル。 母を求める少女は逝く。 ルーテシア・アルピーノという少女は、二重の宿命に討たれたのだった。 【ルーテシア・アルピーノ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡確認】 ぴ、ぴ、ぴ、ぴ。 聖王のゆりかごの玉座の間に、電子音声が鳴り響く。 コンソールを操る指先は、鋭く禍々しき黄金の爪。 憑神鎌の籠手を身につけたキャロが、1人キーボードを叩いていた。 ヴィヴィオの座る玉座には、紐の千切れたマッハキャリバーが置かれている。 生前のルーテシアが何やら操作をしていたので、もしやと思い調べてみたが、やはり当たりだったようだ。 本来スバル・ナカジマの首にぶら下がっているはずのデバイスには、 ゆりかご起動とヴィヴィオの改造のためのプログラムデータが保存されていたのだ。 この娘もさっさと殺してしまおうと思っていたが、思わぬ置き土産が手に入った。 ならば、このまま死なせるのは惜しい。 たとえ小型のレプリカといえど、聖王のゆりかごの力が手に入れば、ぐっと楽に殺しができるはずだ。 ヴィヴィオの方は言うまでもない。 エース・オブ・エース――高町なのはと互角に渡り合う戦闘力を我が物にできるのだ。これ以上美味い話はあるまい。 (最後の仕上げ――レリックもちゃんと手に入った) にやり、と口元に三日月を描き、虚ろな視線を下方にずらした。 足元にごろりと置かれているのは、煌々と輝く血塗れの宝石。 莫大な魔力量を内包した、深紅に煌くロストロギア――レリック。 これはキャロの支給品でも、ましてやルーテシアの支給品ではない。 否、ルーテシアの持っていたものという範疇ならば、ぎりぎり後者に近いだろうか。 これは彼女の体内から、直接摘出したものだ。 先ほど遭遇したルーテシアだが、そこにはキャロの認識と大きく食い違うところがあった。 額に刻まれた紋様が消えていなかったのだ。 JS事件が終わった後の世界からやって来たキャロの認識では、既にそれは消えていたはずだった。 しかし、その赤い模様が、まだルーテシアの額に残されている。 首を落とした後でもしやと思い、身体をぐちゃぐちゃに抉ってみれば、案の定そこにはレリックがあった。 再び埋め込まれたのか、あるいは過去の時代からやって来たのか。 どういう理屈かは知らないが、ともかくもこうしてキャロは、血みどろの肉塊からお宝を発掘したのだ。 今や生首と元の形すら判然としないミンチになったルーテシアに、内心で感謝する。 こうなれば後はこっちのもの。 ゆりかごのコンピューターにマッハキャリバーのデータを流し込み、レリックを用いて聖王ヴィヴィオを覚醒させる。 次元航行艦の操舵技術を持っていない以上、すぐにはゆりかごを動かせないのが玉に瑕だが、 それもクアットロ辺りを捜して脅せば解決するだろう。 「もうすぐだよ、エリオ君。もうすぐエリオ君に会える……」 ひょい、と宝石を拾い上げ。 聖王の玉座へと捧げながら。 ぽつり、とキャロが呟いた。 「うふふ……」 ぴ、と。 それが最後のスイッチだった。 プログラムの片割れが起動する。 魔力の結晶が発光し、王者の肉体へと溶け込まんとする。 データドレインの影響を受け、不能になっていないかと不安に思っていたが、どうやら杞憂に終わったようだ。 リンカーコアと魔力回路を蝕んだそれも、ぎりぎりレリックには届かなかったらしい。 ともあれ、これで全てが上手くいった。 全てがキャロに味方していた。 運が向いてきたらしい。何もかもが、彼女の思うままに運んでいる。 最強の味方を手に入れたとあれば、もはやキャロ・ル・ルシエに敵はいない。 たとえキングだろうがクアットロだろうが、あの金髪の男や鎧だろうが。 聖王と憑神鎌――2つの力を手に入れたキャロに、もはや死角はありはしない。 「あはははははは」 ――ずどん。 「は」 その、はずだった。 Back 楽斗 ――そして終わりなき斗いの歌 時系列順で読む Next ロリッ!幼女だらけのクリスマスパーティー ~ボインもあるよ!~(後編) Back 機動六課部隊長斬り捨て事件~バトルロワイアル放浪ツアー、街角に待ち受ける幻惑の罠、鉄槌の騎士と烈火の剣精は聞いていた~ 投下順で読む Back 崩落 の ステージ(後編) ヴィヴィオ Back 崩落 の ステージ(後編) ルーテシア・アルピーノ Back 命の理由 フェイト・T・ハラオウン(A s) Back 命の理由 キャロ・ル・ルシエ