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◇===================================== カード名 . ..: 這い出る狂気 無 [無彩色]≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ レアリティ...: X≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ カードスキル : 開示の際、SP1は3に、SP3は1になる。狂乱 これを消滅し、デッキから[無彩色]リフレか[無彩色]コグニを1枚リアライズ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ ステータス. . : コスト:3 SP:3 【狂乱(2)】≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ フレーバー .: =====================================◇ ※ [無彩色の使徒]の効果で属性を失っているデータです。
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SAO/S51-021 カード名:兄想いな妹 リーファ カテゴリ:キャラ 色:緑 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:00 ソウル:1 特徴:《アバター》・《武器》 【自】 この能力は1ターンにつき1回まで発動する。あなたが【起】を使った時、あなたは自分のキャラを1枚選び、そのターン中、パワーを+1000。 【自】[①] あなたのクライマックスがクライマックス置場に置かれた時、あなたはコストを払ってよい。そうしたら、あなたは自分の山札を上から4枚まで見て、《アバター》か《ネット》のキャラを1枚まで選んで相手に見せ、手札に加え、残りのカードを控え室に置く。 私も! レアリティ:RR,SP 劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-収録 雲龍型正規空母2番艦 天城互換。
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植木鉢の思い出 トップページ>小説Index>投稿Novel s 【日下部 春流】 植木鉢の思い出 投稿者名;カノン 第4回投稿ノベル受賞作品 『誕生日のプレゼントぉ? なに、あんたがくれるっての? 嬉しいじゃない』 あぁ、これは昔の思い出。 夢の中に出てくるだけの甘美なるひと時。 相手は……耳にする分にはちょっとそっけない声だけど、それでも、自分にだけこんな風に言ってくれる人だった。 そう、もうとうに思い出になってしまったものだけれど……。 ぼんやりとした頭で、今自分が何処にいるのかを確認しようとした。 瞳を巡らせて、そこがなんてことはない、自分の部屋だと気付くのに数秒を要してしまった。 頭が重い……。 窓辺に目をやると、カーテンの隙間から朝日が差し込んでいる。 その向こう側にベランダが影になって見える。 小さな植木鉢が、殺風景さにそぐわないシルエットになって見えていた。 ふと思い出すのは、これを世話していたあの人のこと。 『花好きにはね、悪いやつはいないものさ。 あんたも花のひとつくらい置いてみたらどうだい? これなら手入れもらくだから、あんたでも大丈夫だろうよ』 そう言って、この鉢を半ば強制的に置いていったっけ。 確かに世話は楽だった。 と言うか……ほとんど、贈り主であるあの人がやってくれたようなものだったけれど。 『あぁあ、ほら。仕事もいいけど、少しはこういうの構ってやらなきゃ。 心も錆付くってもんだよぉ』 などと言っては茶化していく。 あの頃は、単に鬱陶しいものだって思ったものだったけど。 今にして思えば、幸せな時間だったのかもしれない……。 身内と言うわけでもないのに、恋人と言う関係でも勿論なくて。 ただの知り合いと言うか、お隣さん。 それだけの関係でしかないのに、いろいろと世話を焼いてくれた。 どうしてって問うと、少し淋しげに微笑んで言ったっけ。 『息子をね、思い出すんだよ。あんた見てると……』 よく自慢話をしてる、あの息子さんの事か……。 『でもさ……。本当は、もっと頼って欲しかったよ。 親孝行なんて、金目の物を贈るだけじゃあないって事さね……』 そう遠い目をして呟くように言ってた。 しばらくして目線を植木鉢に戻し、語りかけるように話してた。 『出来の悪い子でも構わなかったんだよ。そばに居てくれさえすれば……。 もう少し、頼って欲しかったね。 なんでも一人で出来ちゃうんだから、あたしなんている必要はなかったのかもしれないけれどね』 「そんなことはない」 そう咽喉まででかかったのに、言えなかった。 何か、その言葉が嘘っぽく聞こえる気がしたから。 自慢の息子でも、母親にしたら不満があるって訳か……。 俺なんて……どうなんだろうな? そばに居たとしたら、迷惑かけっぱなしだったんじゃないかな? でも、それはそれで……彼女の論理から言えば、嬉しい事なのかもしれない。 『この花はね、息子が好きだった花さ。見かけるとついつい買っちまうんだよ。 もう、コレを贈る相手もいないって言うのにね……』 耳を疑った。 贈る相手がいない? そんなこと、一言だって――そうか。言えなかったんだ。 彼女自身、信じたくない事だったのかもしれない。 最愛の息子がもういないなんて事を。 『あんたもさ、お母さんには少しは安心させてあげなよ。 行き来できるうちにさ』 あまりに哀しそうな瞳で言うから、頷く事しか出来なかった。 そして、贈った誕生日の贈り物。 満面の笑みで受け取ってくれたあの顔を忘れられはしない。 あれからまもなくだった。 彼女が病気でこの世を去ったのは。 見た目、病気なんてしてなさそうに見えていたのに、彼女はそれをみんなに隠して生活を続けていた。 病人扱いされるのが、何より嫌がっていた彼女だから……。 随分と前の話だ。 カレンダーを見て、ふと思い出した。 あぁ、そうか。 今日は彼女の誕生日なんだ……。 もういない彼女だけれど、お酒が大好きだったからな。 なにか見繕って、あげてあげよう。 勢いよく開いたカーテンの向こうに、風に揺られる植木鉢が見えた。 小さな赤い花が、ようやく蕾をつけていた。 まるであの人のように……。 { end.} ※思い出の中にいる彼女……名前とか特に決めてなかったんですが^^; 初老に差し掛かった淑女――みたいな方です。 もう既に亡くなっている方なので、設定は必要ないかと。 日下部さんのお隣さんと言うことで、よく部屋を訪れては世話を焼いていたという方。 まぁ、なくなった息子さんとダブらせて、お世話していたという事です。 ● この作品についての評価を投票受付中! 選択肢 投票 最高!!★★★ (1) ブラボー!★★ (0) 拍手★ (0) ● この投稿作品へのコメント ニックネーム ひとこと すべてのコメントを見る トップページ>小説Index>投稿Novel s
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2つの想い ◆5YzaoxPYTw 氏 銃弾よりも深く。 刃よりも鋭く。 声は如何なる武器よりも徹底的に心を打ち砕く。 その始まりは放送前のことだった。 ▼ 私は何をやっているのだろう。 アインは声に出さず自問する。 服や髪に纏わり付いた粉末を払い落としながら、消防署の壁に背をつけて空を見上げた。 青白い、虚空を見ていた。 不意に流れたそよ風に、ショートカットの黒髪が揺れる。 マリアの乗る自動車はもう見えない。 この情けないザマはなんだ。 この馬鹿馬鹿しいくらいの醜態はなんだ。 全身を包む不快感はなんだ。 わからない。 マリアに悪意が察知されていることは予測できていた。 疑われているだろうことは承知の上だった。 だから気づかれて、逃亡を選択されたこと、それ自体はいい。 しかしあまつさえ殺意を看破された挙句に、無様にも取り逃がすとはどういうわけだ。 相手が多少、鉄火場に慣れていることは分った。ただの一般人でない事は理解した。 とはいえ、だ。 ”ただの一般ではない程度”の素人を、 しかも丸腰で武器も扱えないような少女を殺し損ねるほど、己は低機能ではなかったはずだ。 思い上がりやただの自信ではなく、自分の実力とマリアの正しい実力を計算しなおした結果の話だ。 馬鹿げている。これでは初手から全てが無意味だろう。 求められているのはファントムとしての役割。 マスターが用意した新たな手駒が表の兵だとするならば、アインは裏の兵。 知られてはならない殺意の影、 暗殺者と言う大前提があっさりと崩れてしまった。 無様。 いまの状況を言い表す言葉は他にあるまい。 笑ってしまいたくなるほどの間抜けを晒していた。 しかしアインは自嘲すら浮かべす、やはり無表情のままで、これからの行動を計算し直していく。 事態の挽回を図るなら、今からでも追いかけてマリアを消した方が良いだろう。 重々承知だ。 急務ではない、彼女がそうそう長く生きられるとはやはり考えられない。 彼女の代わりもこの島にはまだいるだろう。 所詮相手はただの少女。放置しておいてもさほどの危険はない。 とはいえ、一応危険の芽は摘んでおくべき。 ひとまずの行動目標としては悪くない。 揺らいでしまった自分の心にけじめをつける意味でも。 しかし相手は車、追うことは可能か。 可能であるとアインには即答できる。 僅かな痕跡から追いつめてみせる。 心を冷え切らせていく、もう一度。 切り替える。 今度は上手くできた。 完全に切り替えることが出来た。 もう失敗はしない。 二度と心を乱したりはしない。 あんな少女に。 あんな言葉に。 こんな――物に。 アインは手に残ったあやとりを、少女の名残をきつく握り締めながら決した。 次は殺す。 その思いこそが、いまだ揺れ続けていることの証明なのだと、気づくことも出来ずに。 ▽ 私は何をやっているのだろう。 トリエラは声に出さず自問していた。 構えていた銃剣を下ろし、誰もいない市街地の歩道で、ため息をつきながら空を見た。 青白い、朝の空を見ていた。 ピノッキオの姿はもう気配すら見えない。 これは失態だ。 これはミスだ。 自分の力不足が引き起こしたことだ。 やれやれとため息がこぼれ落ちる。 そもそも、警察署の屋上に至るまでに仕留め切れなかったことが失敗だった、と分析する。 最初は相手側に勝算があって、あの場所まで引き付けられたのだと考えていたけれど。 考えてみれば、もとより敵は戦いに消極的だったのだ。 ならばその狙いが逃走ただ一つであったことに、もっと早く気づくべきだったのだろう。 「フェイクの痕跡にでも引っかかったのかしらね……」 目標を追い続け、ここまで来たもののいまだ追いつけない。 敵がただ逃げただけ、とは限らない。こちらを撒くためにあらゆる手段を凝らしたはずだ。 罠の可能性だって多大にある。 自分がまったくの逆方向に来ている可能性もある。 もう追うのを止めて、あの怪しい女性のところに戻ってみるか。 それも放棄して、第一守護目標たるヒルシャーの捜索を開始するか。 正直、こんなことをやっている場合なのか、という疑問がトリエラの中にもある。 いくら任務だったとはいえ、この不可解な現状はピノッキオを殺したところで何も解決しないのだ。 それならば別のことに、例えばヒルシャーのために、 脱出の為の手がかりを探すなり、やることはたくさんあるはずだ。 「さて、と」 比較的に条件付けが少ない義体であるトリエラは、その程度の思考が働くほどに達観している。 しばらく考えながら市街地の歩道を進み、これから始める行動をまとめた。 「やっぱり、あいつを追い続けるかな」 結果、いま一番近くにある目標を遂げるべきだと判断した。 トリエラは他の義体よりも条件付けが緩く、冷静さを持ち、達観している。 だからこそ、より義体らしく行動しようとするのだ。 あくまで任務に忠実に、融通を利かせず、義体である事に徹する少女だった。 「必ず見つけて、今度こそ任務を達成する」 完遂したと思っていた殺害任務。 しかしそれが為されていないと知ったならば続けよう。 一度命じられた任務か何があろうと完遂するのが勤めなのだから。 「だからそれまで、無事でいてくださ――」 彼女にしては珍しく、 そんな素直な言葉をここにいない彼に向けようとした時だった。 背後に、轟く銃声を聞いたのは。 「――――ッッァ!?」 そして次の刹那、鋭い衝撃がトリエラの背中に突き刺さった。 ▽ 早朝の市街地にて、静寂を打ち砕くように鳴らされた発砲音が一つ。 「なっ……に……ッ!?」 前のめりにたたらを踏んだトリエラから、驚愕の声が発せられる。 不意に背中を襲った衝撃によって、身体が大きく前方に傾くのを感じ取った。 しかしこの程度、義体の身ならば踏みとどまれる。 体勢の崩れた全身を支えきり、振り返りながら両手で構えたウィンチェスターM1897を背後に向かって発砲した。 閑散とした市街地に、再び銃声が轟く。 今度は一度目よりも大口径、より大きな音だ。 市街地全体に漂っていたどこか透明な空気を叩き壊して、これより戦場へと作り変える。 身体を反転させ終え、トリエラは背後の襲撃者を見極めようとした。 しかし、捉えきることが叶わない。 トリエラが見たものは、歩道と道路の間に植えられていた一本の植木が、ウィンチェスターの散弾によって大きく抉られる光景と。 今しがた、歩道から脇の喫茶店へと飛び込んでいく敵の足。 「――そこかッ!」 トリエラは迷わず駆け、追った。 敵が逃げ込んだ喫茶店の入り口のガラス戸へと、散弾を一発、二発、とぶちかます。 銃口から吐き出された銃弾は拡散し、鉄塊の雨となりて難なく扉を破砕した。 粉々に砕けて弾け飛ぶガラスの破片がトリエラの身にも降りかかるが、頓着せずに三発目を撃ち放つ。 それはさながら暴風の如き破壊の侵略。 店内に配置されていた机をひっくり返し、椅子を跳ね飛ばし、カーテンをズタズタにして、壁を貫き粉砕する。 数秒前は洒落た店内であったのに、一瞬にしてもう見る影もない有様だ。 しかしそこまでやっておいて、トリエラの表情は苦いものであった。 仕留め切れていない確信がある。反撃の気配が感じて取れる。 だから一度飛び引き、喫茶店の外壁に身を隠した。 その直後、銃弾が店内から飛び出し、トリエラのすぐ横を掠めていく。 「……馬鹿な」 荒い息を吐く。 新たな銃弾をウィンチェスターに込めつつ。 トリエラが思わず呟いたのはそんな一言だった。 自分の背中を片手で触る。 その指を見ると、べったりと赤い液体がこびり付いていた。 何が起こったのかなどと考える必要もない。 背後から撃たれていたのだ。 普通の人間ならば間違いなく即死の一撃。 叩き込まれた一発の弾丸は体内で止まっている。 トリエラの身体の防御性が貫通を防ぎ、だからこそ生きている。 普通の人間では致命となる攻撃も、彼女の命は奪えない。 けれど、トリエラはこの攻撃に、撃たれるまで気づくことが出来なかった。 いつの間に接近されていたのか。 少し考え事をしてはいたが、油断した覚えなどない。 撃たれた程度では死なないからと言って。撃たれる事を容易く許すような、温い訓練を受けてはいないと自負している。 万全の体勢で動いていたはずだ。この不意打ちを受けた要因はトリエラ自身の中に無い。 つまり、単純な話だ。 敵の驚異的な暗殺の手腕。 気づかれず、気づかせず殺す。 その技術によって為された必殺。 「強い、みたいね」 銃を強く、握りなおす。 どうやら仕事が増えてしまったらしい。 一瞬、敵はピノッキオかと思ったが、どうやら違う。 店内に散弾を撃ち込んでいた数間に見えたシルエットは、自分と同じか、もう少し上くらいの年齢の少女だった。 正体不明の敵、戦力は未知数。 けれど退く理由はない。 むしろここで仕留めなければ、トリエラが守るべき人物が危険に晒される可能性がある。 敵の居場所は限られているし、目算は付いている。 おそらく、店内奥のカウンターに身を隠しているのだろう。 そこ以外に先の掃射をやり過ごせる場所は存在しない。 ここで倒してみせる。 少女はその意志を決め、店内へと飛び込んだ。 ▼ その数秒前。 トリエラの読み通り。 喫茶店内部、カウンターの内側に彼女はいた。 馬鹿な。 そのトリエラの言葉が彼女――アインに聞こえていたとすれば。 おそらく彼女は「こちらのセリフだ」と心中で毒づいたことだろう。 馬鹿げているのはいったいどちらの方か。 確実に殺した。その筈だった。 慎重に慎重を重ねあわせながら接近を成し遂げた。 必殺の間合いから、ベレッタの銃撃を少女の心臓に叩き込んだ。 にも拘らず、敵は踏みとどまり撃ち返してきた。 心臓を撃たれて死なぬ人間などいない。 現実的に考えて、例外があるとすれば防弾チョッキを着込んでいた場合くらいだろう。 しかしそれは無いと、状況が示した。 でなければ着弾の瞬間、トリエラの背中から吹き上がった血液の説明がつかない。 ならば非現実的に考えて、例外があるとすれば、それは相手が人間ではなかった場合に他ならない。 マリアを追っていた途中、偶然捕捉した金髪でツインテール、褐色の肌が特徴的な少女。 その足運び、武器の扱い方、目の配り方。 全てが常人ではないと告げていた。 銃器を持って戦うために教育、さらには調整されたような無駄のなさ。 まさにアインと同一の気配があった。 何にしても、利用対象には当たらず、交渉にも危険が伴う相手。 周囲に人影もなし。 そして何よりも殺せる確信があったからこそ、アインは殺害に踏み切った。 「……」 その結果がこの有様である。 咄嗟に身を隠すことが出来たから良かったものの。 死なない可能性を考えていなければ、殺し返されていたかもしれない。 銃弾が通じなかったのはこれが始めてではない。その経験が活きたのだ。 僅か数時間前に戦った天使にも、拳銃の攻撃は無効化されていた。 けれど先の戦いでは逸らされていたが、今回の場合は銃弾が命中している。 この差が何に繋がるのか。 完全なる無効化ではないとしても、致命の攻撃に至る事が出来なければ、アインの不利は揺るがない。 敵の有利を崩しえない。 だからこそ、まず活路を見つけなければ。 見つからなければ、生き残る道は開かれない。 ▽ ▼ ▽ 突入戦とは呼吸が要にある。 中にいる仲間やサポートしてくれる味方。 共に動く全ての呼吸を読み、合わせて踏み込むことで、より効果的に作戦を遂行できる。 この時、相対する敵もまた例外ではない。トリエラはこの点を良く心得ていた。 丁度アインがカウンターから顔を覗かせた瞬間に合わせて、店内に踏み込みをかける。 室内戦、最初の一撃はトリエラが放った銃弾であった。 荒れた喫茶店を再度揺らす轟音と共に。カウンターの石材が砕け飛ぶ すんでの所で身を屈めたアインの頭上を数発の鉛球が通過していった。 未だ入り口付近のトリエラにとって、アインが身を隠す石製のカウンターまでは距離がある。 遮蔽物の有無により位置的な優劣はあちらに劣っている。 武装の差ならこちらに軍配が上がると言えど、甘く見るつもりはない。 ショットガンの間合いに持ち込むことを最優先として立ち回る。 セオリー通りに、迅速に有利な距離へと詰めていく。 トリエラは銃を連射しながら、前方へと一直線に疾走した。 最大効率の弾数使用でアインの動きを封殺しながら、ぐんぐん距離を詰めていく。 既に装弾数五発中の二発を放ってしまっているが、かまわない。 残りの三発でカタをつけんと走りこむ。 しかしアインとてそれをただ待つはずがない。 トリエラの銃器、ウィンチェスターM1897はポンプアクション式の散弾銃。 一発一発の威力は盛大なものであるが、連射力では他の種類の銃器に比べて低い部類だ。 ここに、アインが付け入る隙がある。 幾度目かの銃撃の瞬間。 突き出したトリエラの手の平が握ったフォアエンドを引き寄せる僅かな隙に、 カウンターからアインの腕が飛び出してきた。 敵前に晒された右腕。 カウンターの上で水平に伸ばしたアインの右手が拳銃――ベレッタM92FSを握っている。 アインはカウンターの内側にて。 沈めた姿勢からほんの少しだけ腰を浮かせ、 狙いを付けるために頭の四分の一ほどをカウンターの影から晒し、片目だけでトリエラの姿を捉えた。 床につけた左足と右膝で全身のバランスを制御する。 「……!」 反撃の三連射が放たれた。 ベレッタの銃口が閃光を放ち、鉛の礫がトリエラを喰らうべく飛翔する。 「ちぃっ!」 やむをえず、トリエラは前進を打ち切った。 アインの腕が見えた段階で既に真横に跳んでいた。 カウンターへ四発目の散弾を撃ち返しながら、回り込むようにそのまま右に走る。 結果、アインの反撃は先ほどまでトリエラがいた辺りの空間を貫くに留まり。 それに対抗するトリエラの反撃は、再び伏せたアインの頭上を掠め、更に奥の食器棚を砕いただけに終わった。 しかしカウンターから伸ばされたアインの腕は完全に引っ込まない。 直接目視せずとも足音から位置を予測しているのか、銃口だけが目でも付いているかのように旋回しながらトリエラを追う。 右へと逃げるトリエラの足元の床が撃ちぬかれ、散乱していた木材が跳ね上がる。 敵の銃口がこちらを捉えきる前に位置を誤魔化すことは不可能。 そう判断したトリエラは咄嗟に床を転がって、近場に合った柱の裏側に飛び込み、追いすがる銃弾をやり過ごした。 「まだ遠いっ……」 柱を抉る銃弾の音を聞きながら、しゃがんだ体勢でトリエラは思考する。 距離は、ほとんど詰まった。 けれどもあと少しだけ足りない。 近接戦に持ち込んでしまえば、拳銃が主武器の相手にこちらが負ける要素はありえない。 あと少し、あともう少しだ。その少しをどうやってゼロにするか。 思考しつつリロードを済ませる。 そして、トリエラは一つ息を吸い込み、柱から飛び出してウィンチェスターを構えた。 狙いは、カウンターよりも僅かに手前の床だった。 再び店内を揺るがす銃声。 度重なる散弾の命中によって積もっていた椅子や机、カウンターなどの木材石材の破片が巻き上がる。 更に続けてカウンター奥の食器棚を銃撃し、中に収められている食器を砕き、その下にいるであろうアインの頭上に降らせた。 疑似的な煙幕と間接攻撃。いまこそ、一気に距離を詰める。 二歩三歩四歩、絡め手が効果を発揮したのだろう予想通り敵の銃撃は来ない。 ここまで来ればこっちの間合いだ。ノーガードで突き進む。トリエラはカウンターに足をかけ、登り、そして。 「…………!」 しかし覗き込んだ遮蔽物の内部に、アインは既にいなかった。 見えたものは無人の床。 積み重なった割れた食器類。 そして、その上にポツンと残された、一発の手榴弾。 当然の如く、ピンは抜かれている。 「やられたっ……!」 トリエラは振り上げていた銃剣を引き戻すよりも早く。 何よりも優先して後ろへ飛ぶことを選んだ。 渾身の力でカウンターを蹴り飛ばし、跳躍する。 その瞬間、これまでの戦闘で最大級の轟音が響き渡った。 トリエラは腕をクロスして、顔面を守る体勢のまま後方に吹っ飛んだ。 背中への衝撃。 それが床に落ちた衝撃だとすぐに理解し、そのままゴロゴロと床を転がって追撃から逃れるべく移動する。 入り口付近まで自分が飛ばされたことを認識し、体のダメージを確認する。 トリエラの咄嗟の判断はどうやら間に合ったようで、服が煤けはしたが深刻なダメージは未だない。 一方で、アインは小休止など挟まない。 トリエラが食器棚を狙い撃った時には既にカウンターから抜け出して、左の壁際の柱に潜んでいた。 そこから手榴弾を投げ込んだ後は、仕留め切れなかった対敵を狙い打つべく拳銃のリロードを済ませ、 床を転がるトリエラへと追撃する。 追ってくる連射撃に、 トリエラはひっくり返っていた大き目のテーブルの内側に転がり込む。 木製のテーブル一つでは盾として不十分、むかってくる銃弾は貫通するも、それには頓着しない。 姿が隠せれば、それで十分だ。 「あああああああッ!!」 テーブルの足を二本、両手で掴み。 食いしばるような声と共に力を込める。 少女ではありえない怪力でもって、四人用のテーブルを持ち上げた。 流石に驚愕するアインの顔面に向けて、思い切りぶん投げる。 「…………っ!」 横に転がって避けるアインを仕留めるべく。 トリエラは床からウィンチェスターを拾い上げる。 今度こそ逃がさない。 その意志で銃口を前へと向けた瞬間だった。 「なっ!?」 トリエラは虚を突かれることになる。 アインは逃げるどころか、こちらへと一直線に駆けて来る。 ベレッタをトリエラの膝と胸部と顔面に一発づつ、薙ぎ払うように撃ちながら。 自殺行為だ。 普通の人間相手ならそれで十分に殺すことが出来るだろうが、トリエラは義体の身体を持つ。 正面きっての撃ち合いで勝てる見込みなどないだろう。 銃弾への対抗策として、トリエラは左腕を顔の前にかざしながら、右腕でウィンチェスターを突きつけた。 アインが放った銃弾は全てトリエラに命中したものの、やはりどれも致命打には至らない。 膝と胸部、左腕に銃創が刻まれただけだ。 チェックメイト。トリエラは引き金を引く。 しかしアインも食い下がる。 発砲の一瞬前。 足が一本欠けた状態の椅子がアインに蹴り上げられ、飛来し、トリエラが握るウィンチェスターに激突した。 装着していた銃剣が仇になり、またトリエラが両手ではなく片手で銃を支えていた事も相まって、射線が強制的に押し上げられる。 アインから僅かにずれる射線。その直後にウィンチェスターは発砲した。 散弾の雨を潜るように、姿勢を低くしてアインは走り続ける。 頭上を通り過ぎていく幾度目かの散弾を見送って、自ら間合いを詰め切り。 臆す事無く腰を捻り、トリエラへと回し蹴りを打ち込んだ。 正確にはトリエラの右手が掴むウィンチェスターへと。 「やらせないッ!」 トリエラはそれに、顔の前に翳していた左手で応戦する。 伸び上がってくる蹴りを裏拳で払う。 重い音が鳴った。 十分に溜め込んでから放たれた蹴りが、裏拳の初速によって迎撃された。 例えるならば全速力の自転車と発進したばかりのバイクが激突したかのような威力の格差だった。 アインは弾き返された足を床へと戻しつつ、その足に仕込んでいたナイフを左手で抜き取る。 そのままの距離で飛来したトリエラの蹴りを上半身と首を捻って回避。 反撃として、ナイフをトリエラの顔面に向けて突き出していく。 だがこの体勢では、その更に次にくるだろうウィンチェスターの銃剣による一撃を、確実に避けられない。 「――――!!」 瞬間、ウィンチェスターを投げ捨てたトリエラの右手が、アインの左手首を掴み取っていた。 「――――!!」 みしみしと音が鳴るくらい締め上げられたアインの手から、ナイフが零れ落ちそうになり。 (こいつ……まさか……!) けれど、手首から力が抜けきる前に、トリエラの背には悪寒が走り抜けていた。 (義体の……) 滑るような動作で、アインの右手が動いていた。 ペレッタの銃口が緩やかな軌道を描き。 (弱点を突くつもり……!?) トリエラの眼球に合わせられた。 「――!!」 義体、唯一の急所。 人体と言う構造を持つ以上、眼球だけはどうやっても脆くなる。 その先に続く脳へと、攻撃を通してしまうのだ。 ベレッタの引き金が絞られていく。 トリエラの右手はアインの左手を留める為に動かせない。 蹴りの対応として動かしてしまっていた自分の左手を戻そうとするが。 果たして間に合うのか自分でも分らない。 間に合えば勝てる。 しかし間に合わなければ、敗北となる。 (……くッ!) 咄嗟の判断。 トリエラは掴んだままのアインの左腕を思い切り引きよせた。 義体が発現する力の全てをじかに敵へと伝えてやる。 そのまま身体を反転させて、アインの胴体に自分の肩を差し込んだ。 「……っ!!」 獣の顎に食いつかれ、引き込まれるように、アインは大きくバランスを崩す。 ベレッタから発せられた銃撃はトリエラ頭の横を通り過ぎ、天井だけを撃ち抜いた。 「らああああああッ!」 アインの体が持ち上がり、そのままトリエラの全身の力によって投げ飛ばされる。 砲弾のように。少女の体は喫茶店奥に向って宙を飛んだ。 空中ではアインにも為すすべはなく。 速度を維持したまま背中から食器棚に直撃し、 「か……はっ……!」 うめき声と共に、アインはカウンターの内側に落下した。 ▼ 意識を保つ事に全力を尽くした。 ここで落ちたらアインの負けだ。 それだけは揺るがない。 だから彼女は途切れそうになる意識を全力で繋ぎとめる。 勝てる。 その確信がアインにはあった。 天使との戦いの時とは違う、確かな勝算がある。 だから撤退など選ばないし敗北などもっての他だ。 起きろ。 起きて準備をしろ。 勝つために、戦うために、生きるために。 自分に言い聞かせて奮い立たせる。 ――だって、あの人はまだ戦っているのだから。 その想いが、唯一の希望が。 とっくに凍てついたはずの心に火をつける。 「く……あ……」 アインはゆっくりと身体を起こす。 割れた食器の上に落ちたせいか、体のあちこちが切れていた。 痛みに意識を回す。そうする事でおぼろげな意識からの覚醒を果たす。 (放送が、鳴ってる……) ようやく耳に飛び込んでくる女性の声に意識が及んだ。 第一回定時放送。 現在までの死者の発表と、禁止エリアの発表。 今はどうやら死者の発表を行なっているらしい。 けれど今はそれ以上に重要な事がある。 まだ戦いは終わっていない。 このカウンターの向こうにいる敵との戦いがある。 アインが殺すか、殺されるまで終わらない。 敵の殺し方はもう分った。 攻撃が命中するにも拘らず、死なない少女。 その弱点は十中八九、眼球だ。 複数の事象がこれを物語る。少女自身が示した近い。 アインが戦闘のさなかに行なったベレッタの三連射。 敵の膝、胸部、顔面。その三箇所を同時に狙った攻撃。 いずれも人体急所。 天使にも同じ攻撃を行い、弱点を探ろうとしたが失敗に終わった。 しかし今回、これに対して敵は唯一、顔面だけを腕で守っていた。 あの時、敵は顔面への攻撃をも無視して銃を両手で掴んでいれば、アインを殺せていたかもしれない。 それでも顔面の守護を優先した。 しかも方法は片腕で守るという、明らかに範囲の足りない盾を用いたものだった。 この不可解、ならば逆に考えて、片腕で足りる面積が急所だとすればどうか。 という予測に基づいて、アインがナイフの一撃を眼球を狙って加えようとしたところ。 敵は銃を手放してまで止めにかかった。 極めつけに銃で狙えば、最早隠すつもりも無く対応してきたのだ。 明らかにその部分だけ敵の意識が違った。 なるほど幾ら頑丈とは言えども、人の形をしている以上はその部分が脆くなるのも頷ける。 これで確定だ。 顔面、高い確率で眼球に対して、敵は肉を切らせて骨を絶つような戦法が使えない。 こちらが敵の弱点を知ったことは悟られているだろう。 敵は今まで以上の警戒をもってぶつかってくるはず。 近接戦の力勝負で勝ち目が無いのも思い知らされている。 それでも勝てる。 近接戦において。一瞬でいい。 敵の不意を突いた上で、こちらが手数で上回りさえすれば、暴いた急所に一撃を叩き込むことが出来れば勝てる。 合計四本の手足に拳銃とナイフ一本。切り札の手榴弾を温存するとなると確かに不可能だろう。 しかし切り札はまだある。 手数を増やし、敵の防御を突破するという一点ならば、これ以上ないほどの奥の手が。 だから行こう。 行って倒す。 行って殺す。 今、この身はそれだけの為にある。 身を取り巻くものは、辛くて苦しいことばかりの世界だった。 今も、闇だけが目の前に広がっている。 だけどまだ生きているから。 自分も、もう一人の自分であるあの人も、生きている。 辛いばかりの世界でも、そんな世界のどこかで、彼はまだ戦っているのだ。 ならば自分も生きないと。戦わないといけない。 たった一つの希望をくれた彼がこの世にいる限り。 自分の意志で、生きることができる。 それだけがアインにとっての希望だった。 光は胸に仕舞って、目には殺意だけを灯す。 もう準備は整った。 今こそ、決着をつけよう。 そう、意を決して。 アインがカウンターの上に手をかけようした途端の事だった。 それが聞こえたのは。 「――――ぇ?」 聞くまいとしていたのだろう。 無意識のうちに、意識から追い出そうとしていたのだろう。 けれど最終的には、無視する事も出来なかったのだろう。 アインは自分の全思考が漂白されていくのを感じていた。 第一回定時放送。 死者の発表。 吾妻玲二。 彼の名が呼ばれることの意味。 銃弾よりも深く胸を抉られる。 刃よりも鋭く心に突き刺さる。 その声は如何なる武器よりも徹底的に、少女の心を打ち砕いた。 ▽ 荒い息を吐きながら銃を拾い上げ、トリエラはもう一度柱に身を預けた。 流れてきた放送を聞きながらも、気を抜くそぶりは見せない。 大丈夫だ。勝てる。もう少しだ。 自分に言い聞かせるように繰り返す。 酸素を吐き出して、また吸い込む。その繰り返しを何度も行い。 気持ちを落ち着けていく。 残弾の確認、損傷の確認、状況の確認。 再戦準備を整える。 敵はまだ倒れていないだろう。 だから戦わなければならない。 撤退などもっての他だ。 (ヒルシャーさん……) 消費した分の銃弾をウィンチェスターに込めていく。 (ヒルシャーさん……私は……) 戦況はほぼ振り出しに戻った。 敵との距離は数メートル。 阻む物は木製の柱が一本と、石製のカウンターが一つ。 警戒しなければならないものは。 (私は……怖くなんかありませんよ……) 義体の弱点が知られていること。 知られていること自体が問題なのではない。 問題は敵が知った上で、的確に狙ってくるという脅威性だ。 敵は強い、ではそろそろ済まなくなってきた。 あの少女は間違いなく、身体上は普通の人間だ。 力勝負で終始自分が圧倒していたことが証明になる。 だからこそトリエラはあの少女をより脅威と見なす。 生身単独で義体と勝負に持ち込めるほどの実力者など、それこそピノッキオくらいしか見た事がない。 先ほどの攻防。 まかり違えば殺されていたかもしれない。 少なくとも銃口が片目の視界を覆った瞬間には本気で死を感じさせられた。 (むしろ、幸せなくらいです) だが、勝てる。勝てるとも。 もう負ける道理がない。 次で殺す。同じ手は二度も食わない。 そして、こちらはまだ奥の手を残している。 今度こそ確実に、仕留めてみせる。 (私はいま、あなたの役に立てている) 死が迫るのを感じる。常に感じている。 トリエラ自身が戦いに身を投じるまでも無く、どうせこの身は長くない。 機械の肉体はトリエラに強さと同時に短命を確約していた。 それでも、怖くはない。むしろ希望を感じてすらいた。 今、戦っている。彼のために戦っている。彼の役に立っている。 その事実がこの胸にある限り、何も怖くない。 (きっと……あなたの役に立ってみせる) 必要とされている限り、体が動く限り戦える。 義体の少女達共通の理念。 ここで命を燃やせるならば、本望であるとすら思えていた。 けれども、同時にトリエラは決めていることがある。 精一杯生きること。 守るべき彼は絶対に守る。役割を果たす。そのために生きる。それは当然として。 けれど同時に、手抜きはしないと決めていた。 出来うる限り彼の意に添えるように、こんな時に彼が何を望むのかを考えて動く。 本当に彼の為というならば、それくらい出来て当然なのだ。 「だから、死にませんよ」 だからこんな所ではまだ死ねない。 命を燃やすのは今じゃない。 精一杯生きて、彼に褒めてもらってから。 満足して死ぬのはそれからだ。 準備は完了した。 後は挑むだけ。 挑み、そして、勝利するだけだ。 そう、トリエラが意を決して。 柱の影から飛び出そうとした瞬間の事だった。 それが聞こえたのは。 「…………ぇ?」 何も意図せぬ間に、両の腕から力が抜けていた。 ウィンチェスターがするりと両手から零れ落ち、床に銃剣が突き刺さった。 けれどトリエラは見向きもしない。 金縛りなったように、全身が膠着する。 ただ目を見開いたまま、ゆっくりと両手が頭部に伸びていく。 耳を押さえながら、金髪の髪をクシャリと掴んだ。 「そんな……」 自分の中で様々な思いが燃え上がり、吐き出される前に燃え尽きる。 強烈な吐き気と、眩暈が襲い来る。激痛が脳を締め付ける。 けれど一番心を満たしたのは、何もない、ただの空虚感だった。 「そん……な……」 やがて足も力を失った。 柱に背を付けたまま、滑り落ちるように座り込む。 何もかも、一切が無に還るようだった。 すべてが終わる。 こんなにも呆気なく。 こんなにも唐突に。 子供の玩具を壊すくらい簡単に。 トリエラの精神は動きを止める。 第一回定時放送。 死者の発表。 ヴィクトル・ヒルシャー。 彼の名が呼ばれることの意味。 銃弾よりも深く胸を抉られる。 刃よりも鋭く心に突き刺さる。 その声は如何なる武器よりも徹底的に、少女の心を打ち砕いた。 ▽ トリエラは時間の感覚がよく分らなくなっていた。 あれからどのくらい経過したのか。 自分はどれくらいここに留まっているのか。 ずっと柱に身を預けていた。 身体に力が篭らない。 何をしようという気にもならない。 理由は分りきっている。 彼が死んだから。 ヴィクトル・ヒルシャーを失ったから。 ただ一人の”兄妹”が、代えの効かないただ一つの希望が失われたからだろう。 「ああ……」 ここには記憶を消してくれる人も、眠らせてくれる人もいない。 他の義体ならば、パニックを起こして自らを撃ち殺していたかもしれない。 事実トリエラがそうなる可能性も十二分にあったのだ。 だけどトリエラは死ぬ気にもなれなかった。 「そっか……まだ終わってないから……」 いま彼女が生きているのはきっと。 彼女が義体の中でもかなり精神的に落ち着いている傾向があり、自分を客観視できたことと、 そしてなによりも、まだ残された任務を全うしていないからだろう。 「まだ……任務は終わってない……」 もう何の生きる希望もない。 兄を失った義体は義体としての機能を失うに等しい。 つまり正しい任務の遂行が不可能になる。 そして、少女が喪失の記憶を持ちながら生きていくことは非常に難しい。 けれどここに一つ、為されていない任務があるとすればどうか。 「あいつを……殺してない……だから……」 兄が死んでも、生前の任務はまだ生きている。 それがトリエラにとって生きる理由になりえた。 「ははは……」 虚しい笑いが口から漏れていた。 理由があるからなんなのだろう。 人に生きる理由があろうとも、希望が無ければどこまでも空虚だ。 理由だけで生きられるほど心は単純ではない。 もう二度と会えない。 二度と彼に触れることも、触れてもらうことも出来ない。 ぬいぐるみを貰う事も、名前を呼んで貰う事も出来ない。 その事実が胸を締め付けるだけ締め付けて、空虚感だけを残して去っていく。 「ヒルシャー……さん……」 トリエラにとって彼は必要な人物だった。 名前をくれた。存在をくれた。生きる希望をくれた。 それだけは揺るがない事実だった。 だから彼を失ったいま、今までのように生きていけるほど、彼女は強くない。 「……」 立ち上がる。 力ない動きで銃を掴み、ふらふらと歩き出した。 戦いを終わらせるために、そして全てを終わらせるために。 カウンターの向こうにいるであろう敵にものもとへと進む。 理由があるから死ねないけれど。 希望がないなら生きていたって仕方ない。 どうせこんな心で戦いを続けたところで、結果は分りきっているのだから。 ならば行こう。楽になるために、死神のとろに行こう。 カウンターに手をかけて、足をかけて上り、向こう側を覗き込んだ。 銃を構えて、力の入らない指をトリガーに引っ掛ける。 そして、見た。 「……どう……して……?」 ガラスの破片が散らばった床に、力なく横たわる少女。 四肢を投げ出して、完全に戦意喪失している敵の姿を。 ▼ どうしてと聞かれても困る。 アインはぼんやりした意識でそう思った。 ただ、なにも出来なくなっただけだ。 戦う事も、立ち上がることも、なにもかも億劫になった。 アインが胸に秘めていた唯一の希望は打ち砕かれた。 もう、何もしたくない。 生きる理由はある。 サイスマスター。彼が与えてくれる。いままでもこれからも。 理由だけならば幾らでもくれるだろう。 だけど、もう希望がない。 吾妻玲二。彼が死んでしまったから。もうこの世界にいないから。 一人では生きられない。 彼のいない世界になんて、生きていたくない。 決して自分の意志を捨てない彼の強さに憧れていた。 彼がいたから、希望があったから、今まで生きてこれたのだ。 だけどもう、彼はいない。 空っぽの自分に意志をくれた。憧れをくれた。 殺しの道具じゃない、一人の人間としての名前をくれた。 ただ一つの希望をくれた彼は、もういない。 理由があるから死ぬ気にはならない。 そもそもアインは自分の意志一つでは誰も殺せない。 サイスマスターの命令があったからこそ、誰でも殺すことが出来たのだ。 だけど今、自分ひとり殺すことが出来ない。それほどに本来の彼女は弱い。 だからここで、終わらせて欲しいと願う。 上から真っ直ぐに向けられる銃口に。金髪の少女が放つ銃弾で幕を引いて欲しいと。 けれどいつまで待っても終わりは来ない。 少女がやりやすいようにと、ベレッタを突きつけるけれど、それでも銃声は鳴らなかった。 「どうして……?」 今度はこちらが聞きかえす。 どうして撃たない。どうして終わらせてくれないのだろう。 それを聞いたとき、アインにも分ってしまった。 少女にも伝わったらしい。 互いに、同時に、銃を下ろす。 すべてが無駄だと知ったのだ。 幕引きなんて、この相手には期待できない。なぜなら。 「そう、あなたも……失くしたのね……」 この瞬間、二人はまったくの同時に、希望を失い。 理由だけが残ったのだと。 生かされているだけの、空っぽな存在なのだと。 二人は同じ存在だと、知ったのだから。 ▼ ▽ ▼ 荒れ果てた喫茶店の内部に、二人の少女がいた。 石製のカウンターを一つ挟んで、背中合わせに床に座っていた。 生きる理由と銃だけを抱えて、少女達はそこにいる。 互いに、互いへの害意や敵意は死に絶えている。 もっと大事なものを失ったから。そんなことはもう、どうでもよくなってしまった。 「ねえ、あなたは……」 背を付けたまま、金髪ツインテールの少女、トリエラが口を開く。 向こう側の少女に告げるようで、その実自分自身に告げるように。 「あなたは……どう思います……?」 それを聞いた。 「もしも願い事が、一つだけ叶うとすれば……」 トリエラが何を指して言ったのかは明白だろう。 優勝、その見返りとして支払われる報酬。 本当かどうかも分らない。その言葉。 「……そうね」 返事は返された。 反対側で、背を付けたまま、黒髪ショートカットの少女、アインは答える。 たった一つ、願いが叶うとすれば―― 「私には分らない。あなたは……?」 「私にも……分りません」 二人とも、答えは出せなかった。 もし彼を生き返らせたとして、それが望みなのか。 彼が望まない方法で、彼を取り戻しても良いのか。 自分はそれで満たされるのか。 かまわないと思うようで、何かが違う気もする。 ハッきりとした事はひとつだけ。 ただ嘘であればいいのにと、二人は矛盾した願いを抱いていた。 この放送、彼の死が嘘であればいい。 嘘にするのではなく、最初から嘘であってくれれば、どれ程に救われたことだろう。 希望を失った二人の少女。 差し伸べられた一つの言葉。 果たしてそれは、新たな希望に為りえるのか。 【一日目 F-3 市街地の喫茶店内 朝】 【トリエラ@GUNSLINGER GIRL】 [状態]:膝、胸部、左腕に銃創、空虚感 [装備]:ウィンチェスターM1897(3/5)@GUNSLINGER GIRL、M1897用のバヨネット@GUNSLINGER GIRL [道具]:基本支給品×1、予備弾×5、ランダム支給品0~2(確認済) [思考] 基本:任務を果たす 1:願いが叶うとすれば…… 2:ピノッキオを探す 【アイン@Phantom ~Requiem for the Phantom~】 [状態]:背中に切り傷、空虚感 [装備]:ベレッタM92FS残弾(2/15)飛び出しナイフ@現実、核鉄「バルキリースカート・アナザータイプ」@武装錬金 紐@現実 [道具]:基本支給品、手榴弾セットx2、ハンディトランシーバー@現実 [思考] 基本:どのような形であれ、サイスマスターを勝利させる。 1:願いが叶うとすれば……。 2:利用できる者は利用し、このゲームを有利に進める。 3:使えない者、マスターに害ある者はリスクに応じて速やかに排除する。 4:マスターの優勝または脱出に繋がる情報を得る。 5:マリアを追う。 ※サイスマスターとは今後の方針などを事前に決めました。 ※第二部からの参戦。 061 再殺部隊、始動? 投下順に読む 063 [[]] 時系列順に読む 049 座敷童子の親心 アイン 0 [[]] 050 クロマティ 逃げた先にも クロマティ トリエラ
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夏の思い出 夏の思い出 一日目 夏、俺は楓の家へ泊まりに行った 前に来たのは春休み、ひさびさに楓に会うなぁ・・・ そう思いながら電車とバスを乗り継ぎ、バス停から少し歩いて 楓の家へ到着。意気揚々と、チャイムを鳴らす俺 しばらくすると「はーい」というなじみのある返事が聞こえてきた 楓である ガチャ、と言う音とともにドアが開き笑顔で 「いらっしゃい」と一言言ってくれた 「しばらくお世話になりますーす」 そういいながら玄関に入ってみるといつも見る顔 従姉の梓、お母さん 長女は、夏休みはなぜかいない、父さんは夜帰宅がパターンだ もうお決まりのパターン 麦茶とスイカが出てくる お母さん「スイカ冷えてるから食べてね」 スイカ・・・麦茶・・・のあとは、大抵 川に飛び込む 従姉の家の近くにはきれいな川が流れてるのだ 楓に「いくぞー」と言うと もう準備してあるらしく 浮き輪やら、いろいろ持ち出してくる 梓に「いこうー」とねだるとしょうがないなーと言った感じで 「着替えてから行くから先いってて~」と言う この時もうすでにエロい俺は梓の水着姿が楽しみだったのであるwwww とにかく楓と川に行く しかし、水着姿ではない(超印象的だった)そのときは別段疑問に 思わなかったが川辺で脱ぎだしたときはびっくりしたwwwww エロの鼓動がした・・・ここは言うまでもないwwwwww 楓の姿は少し厚手のTシャツに何か羽織ってた感じに、ジーンズだった いきなり目の前で脱ぎ始めたので 俺は「まてまて・・・・」と思わず言った 楓「えっち」「下は水着だよ~」 ちょwwwwwwまてwwww さっき言った言葉にはげしく後悔した。 チョット気まずい空気を払ってくれたのが しばらくして現れた梓の水着姿である エロいというよりも、きれいなのである しばらく見とれていると 「やっぱえっち」と言われ後ろから何かが飛んできた 浮き輪である 浮き輪といってもトラックのチューブ気空気を入れた特製の奴である 結構重い・・・それを楓はぶん投げたのであるwwww それは見事に命中し、俺は前のめりになった そして、楓のほうに目をやると、なんとなく膨れっ面 気を悪くしたのだろうか・・・ 梓はやれやれといった顔をしながら 「いってきなさい」と小声で僕に促した 僕はそれに従い楓のもとへ行き、しばらく遊んだ しばしば川辺にいる梓の姿に気をとられていると その度に何かが飛んできたのは忘れられない思い出だwwwww 川で遊んだあとは、とりあえずご飯 俺はご飯の席は梓の隣を狙っていたwww 梓お姉さんはおかずとか取ってくれてヤサシス しかも俺的に美人 しかし、なかなか難しいもので 最悪のときはお父さんの隣wwww 最初に席についていると大体楓が隣に来る そして俺の席争奪戦の結果によりお食事タイムがいいものであるかどうかが変わってくる ご飯が終わったらほぼ恒例の花火タイム これは、梓の浴衣姿が見れるので俺の中では必須イベントである しかし見とれていると、楓に不意打ちねずみ花火を足元にぶち込まれるので 注意が必要だったwww 「私もいつかは浴衣着るもん」とか言ってたような気がする 花火が終わったあとは お風呂 まぁ・・・これといって何もないwww そのあとは、ゲームとかするんだが ここからが楓と二人きりになるんだ やるゲームは昔なつかしFCとかPCエンジンwwww 人生ゲームやボンバーマンなどwww ゲームやる時はなぜか必要以上にぴっとりくっ付いてくる とても、浮き輪や花火を投げつけてくる奴とは思えないくらいに静かになってwwww そして、1時間くらいゲームをやって寝ることになるのだが この時も二人きりなのであるwwww 布団に入って電気を消して 目を閉じ寝るかー・・・と思うと しばらくして、楓が布団づたいにこっちの布団に入ってきた 「一緒に寝ていい?手も繋いでほしいな」 !!! こいつ・・・こんな事いうん? 不意を疲れた俺は一瞬固まった でも・・・「いいよ」と言い手を繋いで寝た 夜中トイレに立ち、忘れていて再度手を繋がずに寝たのだが 朝目が覚めた時には僕の左手と楓の右手はしっかりと繋がれていた 夏の思い出 2日目 こ日はバーべキューだった お肉、焼きそば、ウィンナー好きな俺としてはたまらないイベントである 川辺でやるので 鉄板など気合を入れて運びます ふと、その時、楓の姿が目に入った 両手に野菜の入った袋を持ち「おもい~」と言っている 一つづつ持って行けばいいのにwwwと思ったのだが 俺は「重い方頂戴」と言い手伝った その時「うん」と言う一言とともに一瞬見せた笑顔は 女性を意識させるものだった。荷物を持ったとき あの浮き輪に比べたら軽いじゃんwwwと思ったのだが 言葉には出せなかった・・・ 楓の笑顔をもう少し見ていたいと思ったから・・・ その後、川辺について気づいたのだが、渡された袋の方が軽かった・・・ 少し切なくなった・・・ 焚き木に火をつけ、台の上に鉄板をおき、油を敷く バーベキューの始まり 肉!・・・とにかく肉が好きな俺は、焼いては焼いては皿に乗せる 一応確保したところで食べ始める しかし、そうすると「これも食べなきゃダメだよ」と 梓さんが野菜セットを持ってくる・・・そりゃぁないぜwwww梓さん・・・ しかし梓さんの言うことだ・・素直に聞く俺www 食べ終わると 梓さんが「ちゃんと食べれたね、偉いね」と言ってくれた その時俺は、チョット顔が赤くなってたかもしれない すると楓が「たりないよね~」と言って 野菜セットもう一つ持ってくる ちょwwwっをまwwww 俺がチョット嫌な顔をして拒否を示すと 「楓が持ってきたのも食べてくれるよね?」 と顔を覗き込むようにして言ってくる かまわずに、お肉のほうに箸をやると ムッとした顔をしながら「食べてくれるよね?」と再び言ってきた もはや退路は立たれたwwwww クスクスと笑う梓さん・・・救援部隊の到着も(梓さんの助け)なさそうwww 仕方がなく野菜を食べると 楓が「偉い偉い」と言いながら俺の頭をなでてきた この時楓は何を思っていたのだろうか? 勝手に推測するとお姉さんぶりたかったのだろうか? とにかくしっくりこないバーベーキューだった バーベキューをやった後は川でそのまま遊ぶことになる 一日目と違うところは川の上流までゴムボートを持っていって 「何ちゃって激流くだり」をやった事である これが意外と楽しい 500メートル位上流までボートを担いで移動するのが苦じゃない位に・・・ ボートの前に俺、後ろに楓・・・それぞれオールを持って川くだり開始 川は結構曲がりくねっていて、岩場にボートがごつごつ当たる その度に、水しぶきがあがる そして何度か、岩場にぶつかった後、ちょっとバランスを崩した 後ろから「きゃ・・・」という声が聞こえたかと思うと 二人ともそのまま水中へ・・・ 水面へ浮かび上がると、ちょうど淵になっている所に俺と楓がいた ボートもちょうどそこにある・・・とりあえずは一安心だ 楓も同じことを思ったのであろうか・・・? 僕のほうを見てにっこりと笑った ボートを起こし、僕たちはまた川くだりを始めた・・・ 最初と違うことは、楓の笑顔がしばらく頭から離れなかったことである・・・ 川くだりを終え、川の淵になっているところで素潜りをして遊ぶ俺と、楓 暫くは、水面に出てきたところを狙って水をかけたりしてお互い遊んでいたのだが 突然楓が俺の手を掴み、その胸に押し当てた・・・ 俺はかなり焦り動揺した・・・ 言葉なんてでやしない・・・ すると楓は、「私の胸、大きくなったかなぁ・・・どう?」・・・と言ってきた 大きいかどうか判断する思考回路なんて回らない・・・ 俺が、楓の胸を触っている・・・しかも楓の意思によって・・・ 何とか気を保とうと思っても「う・・うん」としか答えることができなかった・・・ 俺はこの時、完全に楓を女としてみていた・・・ そしてその後の夕ご飯 俺は初めて、梓よりも、楓の隣で食べたいと思った・・・ そしてその願いは叶い、楓の隣でご飯を食べることになったのだが 俺は、妙に意識しまくりだった・・・ いつもは楓が野菜を進めてきても「多すぎるー」とかつっぱねてたのだが この時は、渡されるものを何も言わずに食べた・・・ おかずのお皿を受け取るとき、楓の手に触れただけでドキッとしたくらいだから・・・ たった一つの出来事でここまでなってしまうとは本当に思ってもみなかった。 最初は唇を重ねるだけ・・・そう思っていた 唇と唇が離れ・・・お互いを見詰め合う二人・・・ 楓の目が少し潤んでいる・・・泣いているのか・・・? そう思った時・・・「好き・・・」という言葉とともに 今度は楓に唇を奪われた・・・ 驚いたのはそれだけでなく・・・舌を入れてきたことだった・・・ しかし、驚きよりも、ドキドキ感と楓を求めたい気持ちで 俺も舌を入れディープキスをする形になった・・・ 舌と舌が絡み合い・・・お互いの口へ・・・ 暫くお互い夢中になっていたのか・・・床に唾液がポタポタとたれていることに 後になって気がついた お互いにへたくそだったと思う・・・でもこの出来事は今でも忘れられない・・・ ここ今探し中・・・ 俺達は暫くキスをし続けた・・・ すると楓は俺の肩からてをはずし、片方づつ水着の肩の部分をずらし始めた 俺は息を飲んでその行為を見ていた・・・ そして、両方の肩から水着が外れると、楓は「胸・・・さわって・・・」・・・と小声で言った 確かに顔から下は水中で、周りに人もいるはずなどないのだが 誰かに見られてはいないだろうか・・・?と俺は少しあたりを見渡したりしてあたふたした 「・・・ね?」・・・と言い楓の手が俺の手を胸に誘導する・・・ 水着がはずれ、外に出ている楓の胸に俺の手が触れた・・・ 暖かくてやわらかい・・・ 「耕一君・・・どうかな・・・」・・・と言う楓の問いに 「う・・・うん」・・・としどろもどろに答えるしかない俺・・・ 「耕一君にならいつでも触らせてあげる・・・」・・・完全に俺の知っている楓ではない声で俺に囁く 「楓・・・」そういうのが精一杯だった・・・ それを聞き「ふふ・・・」っと笑う楓の顔はとてもかわいく・・・そして少し・・・いやらしかった 夜・・・ 俺は連日・・・そして昼間の事もあり、楓の事をいつも以上に意識していた 俺は楓に「そっちに言っていいかな・・・?」・・・と告げ 答えを待たずに楓の布団の中へ入っていった 楓を抱き寄せキスをする・・・ 唇から・・・首筋へ・・・ 首筋に強くキスをすると、ビクン・・・と反応する楓 首筋が弱いのだろうか・・・? 俺は楓の反応をもっと見たいと思い、耳たぶへキスをした 「ん・・うん・・・んんん」・・・そんな感じで声を漏らす楓 耳へフッ・・・と息をかけるとその反応はさらに多きくなった 何かに耐えるかのように俺をギュッと抱きしめてくる楓 その反応にさらに俺の心は動かされ、俺は暫く耳たぶにキスをし続けた・・・ 俺は楓の声・・・そして反応に興奮していた・・・ キスをしながら服のボタンをはずしていく・・・ 「胸・・・いいかな・・・」・・・と楓に尋ねるようにささやく俺 楓は目を閉じながら2度・・・3度とうなずいた 楓の乳首はすでに硬くなっていた・・・ それを見ながら楓の乳房に触れ軽く揉む俺・・・そして俺は乳首に舌を這わせ、回すように動かした キスのときほどではないが、ピクン・・・と反応し 「ん・・・」と声をもらす楓 俺は続けて、楓の乳首にキスをし、少し吸い上げた 「うぅん・・・」・・・とさっきより大きく声を漏らす楓 吸い上げたまま、俺は舌で乳首を弾いてみた・・・ すると楓は口をつぐんで声を漏らすのではなく 「あ・・・うぅん」・・・と口をあけ声を漏らした 俺は胸から下へ手を下ろしながら「いいか・・・?」と楓に尋ねた 少しして楓は「うん・・・」と言った 俺はその言葉を聞き、楓の下着を脱がしていった 豆電球の小さな黄色い明かりの中だったけど 楓の裸体は、俺の目に鮮明に映し出されていた 俺は楓の秘所に手を当てた・・・ 楓は少し震えていたようだけど、キスをして 「大丈夫だから俺に任せて」・・・と言うと 楓は背中に回していた手に力をいれ「うん・・・」・・・と言った 楓の中に中指を少しだけ入れてみると、すでに少し濡れていた 少しほぐすように中指を入り口あたりで回したり前後させたりしてみる 小さな我慢するような声と、俺の背中に回された手に入っている力から楓が感じていることを確認できた 「人差し指もいれるね」・・・と俺が言うと楓は身構えるように背中に回した手にいっそう力をいれ 「キスして・・・」・・・と言ってきた 俺はその言葉に従い楓にキスをした・・・そしてキスをし終わると俺と目が合い 楓は「うん・・・おねがい・・・」・・・と言った 俺はその言葉に促されるかのように、楓の秘所に手をやり 中指と人差し指で楓を愛撫した 暫く愛撫し続けて、楓の中も受け入れるのに大丈夫なほどになった 俺は、「いくよ」・・・と楓に伝えた 体勢を入れ替え、そのときに背中に回されていた手が解ける・・・ 楓は、自分のてを胸の辺りで×の字にクロスさせ自分の肩に手をやり身構えた 俺はそれを見ながら、楓の秘所にあてがい少しだけ挿入した・・・ そして楓の体に体を預けるような正常位の体制に戻り、楓の首筋にキスをした 楓はまた俺の背中に手を回し、力を入れた・・・ 「いくよ・・・」といい俺は少しずつ楓の中に入っていった 「う・・・あぁ・・・」と言う楓・・・少し痛かったのだろうか・・・ 背中に回された手にもいっそう力がこもっていた 俺は、「少しだけ我慢してね・・・」・・と囁き、再びキスをしながら楓の中でゆっくりと動いた 楓の中で動き出して、暫くすると楓の手にこもっている力が抜けていった 「今は痛く無い?」・・・と尋ねると 「うん、・・・平気」・・・と言う答えが帰ってきた その声を聞いて、俺は楓を抱き起こし騎乗位の体制を作った その時に、結合部を見て初めて楓が処女だったことを知った・・・ 俺は少し楓に気を遣ったのかわからないけど「大丈夫?」・・と聞いた 楓からは「うん・・・」・・・と言う声が返ってきた 俺はそれを聞いて、「楓のペースで動いてみて」・・・と楓に促した 楓は「う・・・ん」・・と不安そうに答えたが、少しづつ腰を上下していった それに合わせて俺は楓の乳房に手をやり優しく揉んでいった・・・ 楓は、腰を動かしつつ「手・・・握って」・・・と言ってきたので 俺は右手でてを指をクロスさせて握った 楓は上下に動きながら「んっ・・・んっ」・・・と声を漏らす 自分のペースで感じているのだろう・・・ 俺は楓の中が気持ちいいのもあったが、その声にさらに興奮していた 楓の上下するペースが少しあがり、その声も 「あっ・・・うん・・んん・・ぅんあっ・・・」・・・とその行為に感じはじめている事をあらわしていた 上下する度に結合部からあふれてくる愛液もそれをあらわしているかのようだった 俺は気持ちよかったのだが、あまりペースを握られるとそのまま逝かされてしまいそうなので 楓の背中に手をやりスッと倒し、体制を正常位に戻した・・・ 俺の右手から手が解かれ、また背中に回された 「今度は俺が動くね」・・・と楓に伝え俺のペースで動いていった 自分のペースでなくなったからなのか、俺が不規則に動いてみると 「んん・あ・うんぅ・・あぁぁ・・・」・・・と声を押し殺せない感じで喘ぎ始めた 俺はその声に更なる興奮を感じさらに早く動いていった・・・ すると楓は「んんん・・・・・ぅん・あああぁ・・・」・・・とよりいっそう大きな声を上げた 楓は右手を肩からはずし、手の甲を口元に当てた・・・声を漏らさないようにするためだろうか・・・ そして、少しスピードを緩めると 「キス・・んんぅ・キスしてぇ・・・」・・・と甘えるように訴えてきた 俺はその声にさらに興奮し、楓の唇をむさぼるようにキスをした キスをすると、お互いが舌で舌をむさぼる様に動かした そのときもペースは遅いものの楓の中で上下運動をしていたので 「ん・・・」・・・と声を出そうとのどを鳴らそうとする楓・・・ キスをしながらなので声にはなっていなかったがその動きは俺の唇を吸うような形になったりして 俺の興奮も最高に達していた キスをし終わり「楓・・・そろそろいくね」・・・と伝え、上下運動のペースをあげていった 楓は、また一旦肩に両手を回したのだが、少し刺激が強かったのか 「あぁああ・・・」・・・と声を上げその手に力を込めた そして、声を押し殺そうと、また右手の甲で口をふさぐ仕草を見せる 俺は自分の欲望のままに動き続け、射精寸前まで来ていた・・・ 「楓・・・そろそろいくね・・・中はまずいから外に出すね・・・」と楓に伝えた 「うぅ・・・んんん・・・うん」・・・と感じている声も混じりながらだけど答えてくれた 俺は楓の中から自分を引き抜き、楓の体に射精した・・・ 楓の下腹部から胸のあたりにかけて白い液体が飛び散った 楓は俺の精を受けながら「あ・・・」・・・といいその後「あったかい・・・」・・・と言った そのあと、俺はティッシュで楓の体をふいてあげた・・・ 「耕一君優しい・・・」・・・と楓は言った・・・ 「楓・・・ごめんね・・・シーツ汚しちゃった・・・」 俺はやっとシーツの状態に気づき楓に伝えた・・・ 「大丈夫、私が何とかするから・・・」・・・と楓は答えてくれた 続いて俺は、今シャワー浴びてもきづかれないかな・・・?」・・・と問いかけた 「ん~・・・多分大丈夫」といい「一緒に入ろ・・・」と付け加えられた さすがにそれは気づかれた時やばいと思いそれを伝え 「楓、先入ってきていいよ」・・・と伝え先に入ってもらうことにした 10分ちょっとで楓は戻ってきたので、俺も続いて気づかれないようにすばやく出てきた 部屋に戻ってみると、シーツが新しいものになっていた・・・ それについて尋ねると楓は「シーツの事は楓に任せて」・・・と言った 二度念を押されたので楓に任せることにして 「じゃ・・・寝ようか」・・・と楓に伝え楓にキスをした その後寝るときもお互い抱き合ったりしていた・・・
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私の好きな人には好きな人がいる。 「かがみ達のお弁当は今日もおいしそうだね、つかさが作ったの?」 こなちゃんはチョココロネをかじりつつ、羨ましそうにお姉ちゃんのお弁当を見て言った。 「うん、そうだよ」 「悪かったわね、どうせ私が作ったらまずそうよ」 お姉ちゃんはそっぽを向いて、唐揚げを一つ口に運ぶ。 「かがみが作ったのには、裏に努力が見えてそこに萌えというプラス要素が入るのだよ」 その様子を見ながら、こなちゃんはケラケラと笑う。 本当に嬉しそうな笑顔。 私じゃ作る事のできない笑顔。 「あっそう、勝手に言ってろ」 お姉ちゃんも口では怒った風だけど、本当に怒っているわけじゃない。 微笑ましい。客観的に見ればそう思うはずの光景。 でも私は、そんな二人を見ていると、胸が苦しくなる。逃げ出したくなる。 「てか、そもそも『萌え』って何よ」 「ん~日本語って難しいなぁ」 「何よ、あんた良く知らないで使ってるわけ?」 「それを自然に捉えられるのがオタク。っていうのが私の意見」 「よかった、私は良くわからないわ。つかさもそうでしょ?」 「え? ああ、うん」 私は、ただ話に合わせる為に曖昧に頷いた。 「はいはい、どうせ私はオタクですよ」 ほっぺたを膨らまし、こなちゃんはチョココロネにかじり付いた。 拗ねるこなちゃんを見て、お姉ちゃんは穏やかに笑う。 そして私は笑顔を作る。 ―片想いの行方― 「かがみってさ、好きな人とかいるのかな?」 こなちゃんはゲーム画面を見ながら、唐突にそう言った。 この為にお姉ちゃんが出かけてる日に遊びに来たのかな、なんて冷静な考えが頭をよぎる。 「どうして……?」 私は平静さを意識して質問を返す。 本当はわかっていた。どうしてかなんて一つしかない。 「私、かがみの事が好きみたい」 こなちゃんはゲームを続けながら、まるでゲームの話をするように答えた。 わかっていたことを改めて言われると、どう反応したらいいのかわからなくなる。 「そうだったんだ……たぶんいない……と思うよ」 「驚かないんだね」 その言葉で私の心臓は今頃驚いた。 そうかもっと大げさに驚くべきだったんだ。 でも、何故こんなに冷静でいられるのか、自分でも不思議だった。 「そんなことないよ、驚いてるよ。」 驚いてるよと落ち着いた声で言ってもなんて信憑性がないんだろう。 顔を見られていない事が唯一の救いだけれど、それでカバーできているかどうか……。 しかし、それで信じてくれたのが幸か不幸か。こなちゃんは続けて訊いてくる。 「かがみに言ったらなんて言うと思う?」 なんて残酷なんだろう。それを私に訊くなんて。 「お姉ちゃんも、こなちゃんのこと……好きだと思う」 だってこなちゃんと居る時のお姉ちゃんは、楽しそうだもん。他の誰と居る時よりも……。 「うん、私も嫌われてはいないって思う。でも、そういう好きとは違うから」 「きっとお姉ちゃんだって――」 違う好き。そう続くべき言葉を私は口にできなかった。 しかしその続きをこなちゃんは読み取って「ありがとう」と言った。 「つかさは好きな人とかいないの?」 わざと聞いてるの? だとしたら酷い人だ。 「……いるよ」 目の前に。私はその言葉を飲み込んだ。 「ホントに!? 誰?」 突然こなちゃんは振り向くと、大きく目を見開いて、先ほどとは打って変わって明るい声になった。 「それは……内緒」 私がつくり笑いでごまかすと、こなちゃんは口をとがらせて「私は言ったのにー」と嘆きながらゲームに 戻った。 「エヘヘ、ごめんね」 言ったらきっと後悔する。私もこなちゃんも。 「あっくそっ死んだー! ぐあっセーブしたのダンジョン入る前じゃん!」 後ろを向いていた間に倒されてしまっていたらしい。 ゲームオーバーの音が流れて、こなちゃんはもうその話を続けなかった。 だから私も、それ以上その話には触れなかった。 *** 「今日ゲマズ寄って帰ろうかと思うんだけど、みんなもいかない?」 翌日の放課後、こなちゃんは駅に着くとみんなを誘った。 ゆきちゃんは用事があるからと断っていたけど、そもそもああいう店でゆきちゃんが何か買うって想像で きないかも。 「そういやフルメタの新刊今日だなー寄ってくかー。つかさも寄って帰る?」 「あー」 適当な言葉を発しながら頭の中で一考し、 「ううん、私はいいや」 昨日の事があったからというわけではないけれど、なんだか二人と一緒に居るのは躊躇われた。 それに気づいたのか、こなちゃんは怪訝な表情を浮かべる。 「つかさ……もしか――」 「私は別に買うものもないし、お母さんに買い物頼まれてるから」 こなちゃんの言葉を遮るように、そう付け加え、 「じゃあね、バイバイ、またね」 私は小走りでホームへと向かった。 *** 「あれ、かがみは?」 家に帰ると、まつりお姉ちゃんは一人で帰ってきた私を見て言った。 「買うものあるからこなちゃんと寄り道して帰るって」 「つかさは行かなかったの?」 「うん、買うものもないし」 「ふーん、めずらしいね」 「どうして?」 「だって、つかさはいつも、金魚のふんみたいにかがみにくっついてるじゃん」 金魚のふんって……。お姉ちゃんとよく一緒にいるのは認めるけど。 「私だって一人で行動することだってあるよ」 「ま、そりゃそうか」 台所からパタパタと足音が聞こえ、 「つかさ、ありがとう。丁度買い物行こうと思ってたから助かったわ」 お母さんは私が買ってきた買い物袋を見て言った。 「ううん、料理も手伝おうか?」 「ホントに? ありがとう助かるわ」 今は何かで気を紛らわしていたかった。 こんな私には「ありがとう」なんて言われる資格がないような気がした。 *** 「つかさーちょっといい?」 夕食を終えて、部屋で漫画を読んでいると、お姉ちゃんが私の部屋へ入ってくる。 そういえば、食事中もやけにお姉ちゃんに見られているような気がしていた。 しかし、気のせいではなかった。 その足取りには、少しの怒りが含まれているように感じる重さがあった。 「どうしたの?」 お姉ちゃんはベッドに座る私の前に仁王立ちし、 「こなたから、なんか言われた?」 前置きなしに訊いてくる。 なんか。 それはきっとこなちゃんがお姉ちゃんを好きって話。 「なんかって?」 「私のこと」 即答で答えが返って来る。 予感は的中。 返答を思案する私に、お姉ちゃんはさらに質問を浴びせる。 「それで今日先に帰ったの?」 「そういうわけじゃ……」 「やっぱ知ってたんだ」 「あっ」 慌てて口をつぐんだが、しまったと思ったときにはもう遅い。 「それで気を利かせたの?」 まるで尋問で「お前がやったんだろう」と自白を迫られているような状況に苦笑する。 「だからそういうわけじゃ……」 「じゃあどういうわけ?」 次々と投げかけられる言葉に、返す言葉を見つける事ができない。 「余計なことしないでよ」 その言葉に体中の血が一気に湧き上がった。 「なにが余計なの!」 「え……」 私が何も反論しないと思っていたのだろう、私が発した言葉にお姉ちゃんは一瞬たじろいだ。 「こなちゃんは本当にお姉ちゃんの事好きなんだから! それを応援することのどこが余計なのっ」 「つか――」 「こなちゃんは本気でっ」 「わかってるわよ! わかってるからでしょ!」 そんな私を押さえつけるようにお姉ちゃんも声を荒らげる。 「え……」 「本気だってわかるから…………。私だってこなたのこと好きよ。でもこなたの言う好きとは違う」 「それ、こなちゃんに言ったの……?」 「言った」 はっきりとしたその言葉を聞くのが早いか、部屋を飛び出したのが早いか。 私は家を出て、自転車に飛び乗っていた。 彼女に会うために。 *** こなちゃんの家の前に着き、もう夜だっていうのに、私はチャイムを連打する。 こなちゃんは出てきた途端、私を見て後ずさった。きっと私がはぁはぁと激しく息をしていたから。 「つ、つかさどうしたの?」 私は驚いた表情を見せるこなちゃんに飛びついた。 「ごめんね、こなちゃん! 私が軽々しくあんなこといったからっ」 少し間があって「かがみか……」とこなちゃんは納得したように呟いてから、 「結果的にはこうなっちゃったけど、私は後悔してないよ?」 思いがけない答えが返ってくる。 「え……」 「かがみは真剣に答えてくれたから……、だからそれでいいんだよ」 こなちゃんの声は落ち着いていた。 そのせいなのか。 「どうしてつかさが泣いてるの。本来泣くのは私のような気がするんだけど」 こなちゃんは困った顔をして、笑いかけてくれる。 「ごめん……」 私は急いで涙を拭った。 「でも、ありがと。つかさ」 こなちゃんの声は優しくて、胸にしみた。 やっぱり私には「ありがとう」なんていわれる資格はないと思う。 だって私は……。 嬉しいなんて思ってしまったんだから――。 *** 次の日、私達は普通だった。普通なのが不自然だった。 普通なら普通で居られるはずない。なのにどうして。そんな疑問が頭の中を渦巻いていた。 昼休みが終わり、こなちゃんは、お姉ちゃんが教室から出て行くのを確認すると、 「よかった」 溜息混じりに呟いた。 「どうして? ……どうしてそんな普通にしてられるの?」 素直な疑問をぶつけてみる。 「ん~かがみがそういってくれたからかな」 「お姉ちゃんが?」 「ずっと友達なのは変らないからって。だから今までどおり。私もそれでいいって言った、側にいれるなら それでいいやって。やっぱり好きだからね……」 こなちゃんは呆れたように笑ってから、お姉ちゃんが出て行った扉を愛おしそうに見つめた。 「どうして……どうしてあきらめないの! 絶対無理なのにっ」 私だったらもっと――そんな気持ちが先走って、独りよがりな言葉が口をつく。 「つかさにはわからないよ」 その言葉は冷たかった。体が凍りつく程に。 私が一番良くわかってたはずなのに……。好きな人が振り向いてくれない辛さを……。 こなちゃんは私の顔を見ずに席に戻っていった。 「どうしててあきらめないの」なんてそのまま自分に言えば良いのに。 ねぇつかさはどうしてあきらめないの?って。 絶対無理なのにどうしてあきらめないの?って。 ……最低だね、私。 *** その日の下校時間も、まるでドラマを見ているかのように現実味がない。 ゆきちゃんと別れ、私達は下り電車へと向かい、こなちゃんとお姉ちゃんは他愛のない会話を始める。 何だが英語で話されているかのように頭に入ってこない。 「つかさ?」 お姉ちゃんの声で現実に引き戻される。 「あっごめん、何?」 馬鹿な返答をしてしまった。聞いていませんでしたって言っているようなものだ。 「なんか今日おかしいわよ」 確かに私はおかしいのかもしれない。でも、こんな演技のようなことをするのが普通なの? 「……おかしいのは二人の方だよ」 私が呟いた言葉で一瞬にして空気が変わる。 二人は答えない。 否、答える言葉を持ち合わせていないのだ。二人には沈黙という答えしか残されてなどいなかった。 頑張って普通に振舞おうとしているところに私は水をさしている。 それはわかっていたけれど、どうしても私はそれに耐えることができなかった。 「私にはわからないよ、お姉ちゃんの気持ちも、こなちゃんの気持ちも!」 私は走って二人が乗るであろう電車よりも一つ早い電車に飛び乗った。 乗ると同時に扉が後ろで閉まった。 振り返ると、扉の向こうに二人の姿が微かに見える。 私と二人の間には大きな壁があるような気がした。 そして電車は走り出す。 まるで私と二人の距離をさらに広げるように。 ドアにもたれ掛かりおでこをガラスにくっつける。自然と漏れた溜息によって白く曇ったガラスの向こう に、三人で乗っている時は気にもしなかった景色が今日はやけに目に入った。 「なんであんなこと言っちゃったんだろ……」 私が一番わかってあげられているなんて……お姉ちゃんに振られたら、私のことを見てくれるなんて……。 そんな都合のいいこと私は考えていたのかな……。 溢れ出そうになる涙を堪えるのに必死で、気づくと一駅乗り過ごしていた。 *** 家に着いて、玄関の靴を見ると、お姉ちゃんの靴は既にあった。一駅乗り過ごしたせいで、抜かれてしま ったらしい。 私は会うのを避けるように、なるべく足音は立てずに階段を上った。 部屋に入り、カバンを放り投げると、ベッドの上に倒れこんだ。 枕を抱え込むように抱きしめて顔を埋める。 「つかさにはわからないよ」という、こなちゃんの言葉が、頭の中で何度も私を責めたてる。 私はそれに必死に絶えていた。 しかし、そんな煩悶を打ち切られる。 ドアをノックする音だ。先ほどの努力は無意味だったらしい。 「つかさー入るよ」 私の返事を聞かずにお姉ちゃんはドアをあける。 足音は間近で止まり、ベッドに座ったらしい振動でベッドが波打ったが、私は顔を上げずに俯き続けた。 「こなた心配してたわよ」 心配? 何故? 私はこなちゃんに心配してもらえるような人間じゃない。むしろこなちゃんに酷い事を 言ってしまった。 「言いたいことがあるならはっきり言って。今日みたいなのは迷惑」 そんなこと一番私がよくわかってた。 私は起き上がり、枕をぎゅっと抱きしめたまま、 「……お姉ちゃん、こなちゃんのこと本当に好きじゃないの?」 そう切り出した。 「だから好きよ。友達としてね」 「ごまかさないで!」 「ごまかしてなんて……」 お姉ちゃんの歯切れは悪い。 「私、これでもずっとお姉ちゃんと双子やってきたんだよ?」 お姉ちゃんが、他の友達とこなちゃんを区別してるのはわかってる。 「……」 「こなちゃんと居る時のお姉ちゃんは違うもん……」 認めたくなかったけど、それは確かだ。 私の言葉にお姉ちゃんは苦笑して、 「つかさにそう言われちゃうと、反論できないね」 「じゃあどうして!」 「好きなだけじゃダメな事だってあるよ」 トーンを落として答えた。 色々と問題があるのはわかる。いわゆる普通の恋愛ではないのだから。でも――。 「ずるいよ、そんなの……」 好きになってもらえるくせに……。「うん」という言葉だけで、私の欲しいものを手に入れられるのに。 「そうかもね」 お姉ちゃんは目を据えて認めた。 「だったら!」 「じゃあ、つかさはどうなの?」 お姉ちゃんは、矛先を切り返す。 「え……」 私は急に向けられた矛に言葉を失う。 「私はつかさのほうがずるいと思う」 お姉ちゃんの言葉は痛かった。痛くて、動けなくなる。 「あいつのこと好きなら、明日はちゃんとできるよね?」 お姉ちゃんは立ち上がり、答えることができない私に「おやすみ」とだけ言い残して出て行った。 お姉ちゃんの言うとおり、私はずるい、私には何もいう資格なんてない。 私は……私は何もしていない。お姉ちゃんみたいな決断も、こなちゃんみたいな勇気も。 私は何一つできていないのだから。 *** 翌日の休み時間、まばらになったクラスメイトの中から、こなちゃんは何ごともなかったかのように 私の席へと歩いてくる。 「つかさー何してるの」 いつものように、ごく自然に。 「考え事……こなちゃん、昨日はごめんね」 私は素直に謝ることにした。そうしやすいようにしてくれたんだと気づく。 こういう自然な優しさのせいかな、好きになってしまったのは。 「ううん、私のせいで嫌な思いさせちゃって、こっちこそごめん」 こなちゃんは何も悪くないのに……。 「私ね、こなちゃんの気持ちわかるよ」 「私の気持ち……?」 「好きな人が好きになってくれない辛さ……」 「え……」 「私、こなちゃんが好きだから」 驚いた表情を見せるこなちゃんに、ハッキリと言った。 言ってから、ああ、これって告白だ。なんてまたしても冷静に考えていた。 「つ、つかさ? どうしたの? なんか変な物でも食べたー?」 こなちゃんは、手を阿波踊りみたいに動かし、見るからに動揺していた。 「食べてないよ」 私は苦笑して続ける。 「だから、諦められない事だって本当はよくわかってるよ」 真面目に言ってる事が伝わったのか、こなちゃんは動きを止めた。 「そう……、バカだなぁつかさは……私なんか好きになるなんて。でも……、気持ちがわかるって事はそう いうことなんでしょ?」 「……うん」 私は頷いて答える。 こなちゃんはお姉ちゃんのことを、諦められない。 同じ様に、私もこなちゃんを好きじゃなくなる、なんてできない。 「まるでハチクロだね」 「ハチクロ?」 「……片想いの連鎖」 「誰も結ばれないの……?」 「うん、でも……人の気持ちは変わるものだから。いい意味でも、悪い意味でも。ってゲームとかの受け売 りなんだけど。でも、本当にそういうものだと思うよ。未来はわからないから、だから頑張れる」 こなちゃんは窓越しに空を見上げてそう言った。 私は、パンドラの箱に最後に残ったのは”希望”という名の”予知” そんな言葉を思い出していた。 *** その日の帰り道は久々にちゃんと笑えたような気がする。 「じゃねー、二人とも」 「ばいばいこなちゃん」 「おーまた明日」 こなちゃんと別れ、私とお姉ちゃんは歩き出す。 「ちゃんと笑えてたじゃない」 「……うん。私ね、こなちゃんに好きって言ったの」 「……そう」 お姉ちゃんはまるでその事を知っていたかのように答えた。 「だから、お姉ちゃんも逃げないで」 私は歩きながら言った。しかし、お姉ちゃんは立ち止まる。 私は少し歩いて振り返った。 「お姉ちゃんがダメだったからって、私のところに来るようなこなちゃんは嫌。私はこなちゃんに好きにな ってもらうように頑張る。私がいいって言ってもらえるように。だからお姉ちゃんも逃げないで」 「つかさ……」 「私の為に身を引こうとか考えてたんだったら……許さないからね!」 私はお姉ちゃんにビシッと人差し指を突きつけて宣戦布告。 そんな私を見て、お姉ちゃんはフッっと笑いを漏らし、 「そんなことしないわよ。……つかさ、自信もてたんだ」 「え……?」 「でも、こなたが好きなのは、わ た し なんだからね」 唇を片方だけ吊り上げてニヤリと笑った。 「負けないもん!」 「それくらい言ってくれないと、張り合いないわね」 ほら、とお姉ちゃんは右手を差し出す。 私はその手をゆっくりと、でもしっかりと握った。 「私だって、よそ見するような奴は願い下げ」 「ふふ、でもどうして握手?」 「なんとなく、正々堂々と戦う時のイメージかしらね」 ――――幕は切って落とされた。 第二章「彷徨う心」へ続く。 コメントフォーム 名前 コメント この二人にはズルく立ち回るという思考回路が無いんですな。 天使のような双子すな -- 名無しさん (2011-04-27 02 21 12)
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想い出と共に描かれるもう一つの記憶 峠を彩る様々な役者達 主役は道、されど主役を立てる脇役も負けてはいない 幾万の様々な記憶を集めて舞台を完成させよう オススメの品:お値段 この峠まできたら オススメした人 ああ い一枚岩鹿鳴館 う梅の郷月ヶ瀬温泉 え お かか き く け こ護摩山スカイタワー ささ し す せ そ たた ち つ湖畔の里つきがせ て と なな に ぬ ね の はは ひ ふ へ ほ まま み む め も やや ゆ よ らら り る れ ろ わわ を ん あ あ い 一枚岩鹿鳴館 カツカレー:900円 和歌山県道熊野古座川線 Laisserfaire-Laurant う 梅の郷月ヶ瀬温泉 地鶏すき焼き定食:1050円 奈良県道82号線 Laisserfaire-Laurant え お か か き く け こ 護摩山スカイタワー 天空プレート 1800円(一日20食限定) 高野龍神スカイライン 国道371号線 Laurant さ さ し す せ そ た た ち つ 湖畔の里つきがせ 湖畔の里うどん:680円 奈良県県道4号線 Laisserfaire-Laurant て と な な に ぬ ね の は は ひ ふ へ ほ ま ま み む め も や や ゆ よ ら ら り る れ ろ わ わ を ん NEME この鹿鳴館のカツカレーは想い出の味 - Laurant 2012-06-08 23 37 36
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【検索用 かしつ 登録タグ NEUTRINO か テラ小室P 曲 東北きりたん】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:テラ小室P 作曲:テラ小室P 編曲:テラ小室P 唄:東北きりたん 曲紹介 曲名:『過日』(かじつ) イラストは鯖味噌氏 歌詞 (動画より書き起こし) どこまでも見えない 誰かに怯えていた 繋がり求めていた 記憶を閉じ込めて 綻び出した糸が 絡まる指先 飾る日常 同じことの繰り返しが 誰のためにも ならなかったから どこまでも消えない 虚ろな未来の果て 誰かに怯えていた 流れるだけの毎日 言葉が溢れだして 壊れそうな夜に 届けられないままの いつもの弱虫 遠くに消えた あの日追いかけられなくて 変わり始める 切っ掛けだった 始まりはいつしか 置いてけぼりのままで 留まれない傷みなら 想い出にできないから どこまでも消えない 虚ろな未来の果て 誰かに怯えていた 流れるだけの毎日 始まりはいつしか 置いてけぼりのままで 留まれない傷みなら 想い出にできないから コメント 名前 コメント
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【検索用 すへてあなたのゆえんです 登録タグ 作す 作すは 作り手】 + 目次 目次 特徴 リンク 曲 CD 動画 関連タグ内の更新履歴 コメント 特徴 作り手名:『全てあなたの所以です。』(すべてあなたのゆえんです) 主にYouTubeで全てあなたの所為です。氏をリスペクトした所謂「模倣曲」を投稿している。 使用音源はデフォ子のみ。 リンク YouTube Twitter 曲 # ¹ ² A⁴ R² ∴ ∴∴ ∴∴∴ ∴∴∴∴ 想い出の枯葉が飛び去る前に 確執 奇 偶 呪縛/全てあなたの所以です。 セル 鵺 CD まだCDが登録されていません。 動画 関連タグ内の更新履歴 + 関連タグ内の更新履歴 関連タグ内の更新履歴 ※「全てあなたの所以です。」「全てあなたの所以です。CD」タグ内で最近編集やコメントのあった記事を新しい方から10件表示しています。 A⁴ 想い出の枯葉が飛び去る前に 鵺 呪縛/全てあなたの所以です。 セル 偶 奇 確執 ∴∴∴ ∴∴ コメント 名前 コメント
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思い出した時間 作詞/56スレ20 本気になんてしないからね 「別れよう」なんて 突然だった いやそう思いたかった そうじゃないと 今までの君との思い出が 崩れてしまいそうだった あの時僕は「さよなら」 それしか言えなかった 付き合ってた時 君が傍にいるのが当然だと思ってて 君の震えながらの一言 それは 君のことをどれほど好きだったか 気付かせてくれた だから・・・戻ってきて・・・・・お願い 君が戻ってこないことは分かる 君を見てれば あなたがどれほど悩んでいたか 気付かなかった僕を許してください そして・・・どうか幸せでいてほしい そして・・・ できれば僕とのすごした あのときを・・を忘れないで また出会うことがあったら 笑ってくれるか? 自分がどれだけ幸せだったか 気付いた。