約 310,049 件
https://w.atwiki.jp/sousakujojis/pages/50.html
それいけ!お天気娘ズ オリジナル女児 符号保持者 ⚡️雷堂 セツカ⚡️ 創作注意事項 小説イラスト等あらゆる創作で自由に使ってOK カラーや服装のアレンジ可 ネタやパロディOK 目次 概要⚡️プロフィール 人物像 容貌・服装 趣味 女児符号⚡️女児符号 『電光石火』 加速符号『????』 各作品での活躍⚡️それいけ!お天気娘ズ 関連人物⚡️それいけ!お天気娘ズ 頂いたイラスト⚡️ ライジングのTwitterアカウント 概要⚡️ プロフィール 愛称 セツカちゃん 本名 雷堂 セツカ(らいどう せつか) 年齢 11歳 誕生日 7月4日 身長 145cm 体重 ??kg 一人称 ワタシ 二人称 〇〇、年上などには〇〇さん 好きなもの 走ること、ロックンロール、酸っぱいもの特にレモン 嫌いなもの チューインガム、ネズミ 趣味 ギター演奏 人物像 ツンツン系クールな女の子。 チャームポイントはもみあげ部分のイナズマヘアー。どういう原理か不明だが彼女の意思で動かすことができる。あまり多くを話そうとしない無口なところもあるがおしゃべりなライジングちゃんと一緒にいることで最近はよく話すように。またその見た目のツンツンさと本人の不器用な対人関係スキルから誤解されてしまうが当人の心は優しい子なのである。 容貌・服装 髪の毛は明るい金髪をしており黒のメッシュが所々入っている。もみあげ部分のイナズマはたいそう鋭く帯電しているためか触ると静電気が起きてしまう。 お気に入りの服は濃い黄色~明るいオレンジ色のパーカー、中に黄色にイナズママークが入っているTシャツを着ている。 下はホットパンツを履いており動きやすさを重視していることが分かる。 趣味 後述する彼女自身の女児符号によりどこでもエレキギターを鳴らすことができる。ただまだ彼女は練習中でありあまり上手くはない様子だ。 女児符号⚡️ 女児符号 『電光石火』 『電光石火-でんこうせっか-』雷の力を使い超高速で移動を可能とする。そのパワーは彼女の持つ雷槍を回転させることによって出力を上げることができる。 槍を投げ相手に突き刺し避雷針のようにして溜めた電力を確実に相手に叩き込む戦い方を好んでいる。 加速符号『????』 現在未設定 各作品での活躍⚡️ それいけ!お天気娘ズ ライジング-暁星 旭-がマーベラスマッドネスとの戦いを始めたのと同じ時期に同じく女児符号でもってチンピラと戦っていた雷堂セツカ。「こいつらの相手はワタシがやる。アンタはすっこんでろ!」そういうセツカはライジングちゃんと戦い始めた。そして互いの実力を認め共闘関係に至った。 関連人物⚡️ それいけ!お天気娘ズ ライジング-暁星 旭- ☀️お人好しなやつだなと呆れているも自分もその影響を受けていることに気づき困惑している 雨宮 五月 🌧細かなところで叱られているが悪くないなと思っているその様子はまるで夫婦 風祭 嵐華 🌪金持ちはいけ好かないと思っていたがあまりの毒のなさにあっけにとられている。 雪光 兎羽 ☃️何考えてるのかわからないけど戦いの中で一番強いのはコイツだと思っている エクリプス-暁星 明- 🌑友達と同じ姿をしておりマネヤローはワタシが倒すと息巻いている 頂いたイラスト⚡️ あどそん@ソルブレスタンプ着工/@Adoson_Flash
https://w.atwiki.jp/sousakujojis/pages/235.html
女児ズ短編小説・日常編 『少女は嘘が吐けない』 嘘。 人間は嘘を吐く生き物だ。全生物の中で唯一言葉という概念を手に入れた時から、嘘という概念も生まれたのかもしれない。 街を歩いていると、今日も色んな嘘がそこら中に溢れかえっている。 「ったく、ちゃんと来月金返せよ?」 「返す返す!約束するよ!」 ........嘘だ。その場をやり過ごす為に、口から出任せでそう言ってるだけだ。 「その服可愛いー!」 「あんたこそ似合ってんじゃん!」 ........これも嘘だ。お互いそんなこと微塵も思っていない。上っ面だけの褒め言葉だ。 「あんた宿題は終わったの?」 「うん、終わったよー。」 ........また嘘だ。一見平然としているけど、僅かに声が震えている。きっと半分も終わっていないんだろう。 別に、心が読めるわけじゃない。言葉、即ち音に関する符号に目覚めた私は、常人に比べ明らかに耳が良くなった。そのせいで、相手の発する声一つでその人が嘘を吐いているか否かくらいは見破れるようになっていた。 「あっ、そこの君!かっこいいねぇ、ちょっとお話良いかな?」 突然、スーツ姿の怪しい男の人に話しかけられた。 「.......何ですか?」 「アイドルって興味ある?今世間ではかっこいい路線のアイドルが流行ってるんだ、君のそのかっこよさなら間違いなく......」 「嘘ですよね、それ。」 「えっ..........」 「声上擦りすぎでしょ。どうせ嘘吐くなら、もうちょっと自然な感じで話せば?」 唖然とする男の人を置き去りにし、私は足早にその場を後にする。 (あーあ.........嫌になっちゃうな...........) 嘘を吐くのが悪いことだとは思わない。だけど、相手を怒らせたり、悲しませたり、失望させたりするような悪意に満ちた嘘は聞いてて嫌になる。 気づかなければ傷付かずに済むかもしれない。だけど、私は全ての嘘が見破れる。だからこそ、自分に向けて悪意を込めた嘘を吐かれることが怖くて、他人を信用することが出来なかった。 今、一緒に居る皆と会うまでは。 ............................... ................ 「聞いてくれよ皆!昨日釣りに行ったら川の主みたいな魚釣り上げたんだぜ!」 「えっ、みっちゃんそれほんと!?」 「っはは、ウソウソ!今日はエイプリルフールだからな!」 「何だ〜、びっくりさせないでよー!」 4月1日。今日はエイプリルフール、一年で一度だけ嘘を吐いても良いとされている日。教室内には、色んな嘘が溢れかえっていた。 「お父さんが宝くじで3億円当てちゃってさぁ。」 「私、実は......宇宙人なんです!」 「今日の給食見た?ビーフステーキらしいよ!」 どれもこれも、見破る必要がないくらい明らかな嘘。だけど、こういう嘘なら別に良いと思う。何せエイプリルフールなんだから、嘘を吐かないと少し勿体ない気分にもなる。 「あっ、初!お前は何か嘘つかねーの?」 「え?」 「いやいや、その質問はちょっと変でしょ......」 確かに、よく考えたら変な質問だ。どうせ嘘だって分かられているなら、わざわざ嘘を言う必要なんてない。 「ううん、私は特に.....嘘吐くの下手だし。」 「そっかー、まあ初って分かりやすいもんなぁ。ババ抜きめっちゃ弱いし。」 「そ、そうかな.......?ポーカーフェイス出来てないってこと?」 「そうそう、嘘吐くの苦手なんだろうなーって普段から思ってたよ。」 言われてみればそうかもしれない。私は嘘を吐くのが苦手だ、特に親しい人の前では。言おうと思えばいくらでも言える、でも嘘だとバレた時に相手を傷つけてしまうかもしれないと思うと、自然と嘘が吐けなくなってしまう。 「だったら、いつも通りほんとのこと言えば良いんじゃない?エイプリルフールだからって絶対嘘吐かなきゃいけないわけじゃないし♪」 旭がそう言うと、周りの皆も「確かに」と頷き始めた。 「ほんとのこと....か。」 それなら、いくらでも言える気がする。普段私が思っていることを、ありのまま言えば良いだけなんだから。 「........私、さ」 一呼吸置いて、私は言った。 「皆の事が...........好きだよ。」 .......................。 「あっ、えっと、す、好きっていうか、その、大切な友達として、ね?別にそんな、変な意味では......」 「.......ぷっ」 「「「あははははははは!」」」 教室はたちまち大爆笑に包まれた。やばい、何言ってるの私。言葉のあやとはいえ今のは流石に恥ずかしすぎる。 「あはははっ、何言い出すかと思ったら....大胆だねぇ初ちゃん!」 「ちがっ、旭、私が言いたかったのは......!」 「言わせといてなんだけど面白すぎんだろ、そういうとこだぜ初!」 「みっちゃんまで....もう.........」 熱くなった顔を片手で覆いながら、ひたすら後悔する私。穴があったら入りたいってこういうことなんだな....... 「あーあ、面白かった。むしろ嘘吐くって言った方が正解だったかもよ?」 「そ、そうかもしれない......けど...........」 少しずつ落ち着きを取り戻しつつ、私は言葉を続けた。 「やっぱり、嘘だとしても皆のこと嫌いだなんて言うのは無理かなって.......」 旭とみっちゃんは私の言葉に顔を見合わせ、また軽く笑いを溢した。 「ふふ、優しいんだね初ちゃん。あたしも初ちゃんのこと好きだよ♪これはほんとにほんと!」 「アタシもだぜ初。友達として、だけどな!」 「わ、分かってるってば!....ありがと。」 二人の言葉が嘘じゃないことは、私もすぐに分かった。二人が嘘でそういうことを言わないのは分かってたけど、いざ言われるとやっぱり嬉しいし少し照れくさくもなる。 「..........初ちゃん」 すると、遠くから此方を見ていた玲亜が近づいてきた。 「玲亜?どうしたの?」 「.......私も、初ちゃんのこと好き........」 玲亜は私の袖を摘みながら、耳まで赤くしつつ小さな声でそう言った。もしかしたら、少しやきもち気味なのかもしれない。 「....私も好きだよ、玲亜.......此処だとアレだからまた後で、ね?」 「........うん..................」 頷く玲亜の頭を軽く撫でながら、私は薄らと笑みを溢した。私の友達に、悪意のある嘘を吐くような子は居ないって分かったから。この学校に来て以来、私を何度も助けてくれた皆を、これから先もずっと信じていたい。そう思えるくらい、皆が投げかけてくれた本音の言葉は私にとって嬉しいものだった。 「......あの.......音羽さん........」 「ん?どうしたの久乱さん?」 「音羽さんの背後に、黒い影がいっぱい.....」 「あはは、久乱さんも冗談とか言うん......え、ほんとに.................?」 FIN.
https://w.atwiki.jp/sousakujojis/pages/343.html
蜘蛛の糸 タグ一覧 中の人あり 創作者 劣等感 蜘蛛 諦め 創作注意事項 ネタやパロディ超OK、 各種創作に自由に使ってNG カラーや服装のアレンジ可 概要 どこからともなく現れるなぞの存在。 オウマがトキのバックヤードに出現するらしい…… 主にネタ絵が書かれるかも……? 片方の脳みそしか持たない出来損ないの蜘蛛が、生きた証を残してほしそうにそちらを見ている…… これは蜘蛛が確かに生きた証
https://w.atwiki.jp/sousakujojis/pages/157.html
影宮理子 リリとムムの先輩マキナシスターズの一員であり、作者個人の物語のキーパーソンである。 概要 プロフィール 本名 あだ名 年齢 血液型 身長 体重 瞳の色 誕生日 性格 趣味 将来の夢 マキナ・セルフィー ナナにスカウトされて変身した。 紫の衣装を身にまとい、様々な超能力で戦う。 女児符号 女児符号 加速符号 他の人との関係 ナナ ココ デウスとエクス 他の人の呼び方 心愛 野々花 リリ 瑠璃 理子 ムム デウス 響子 奈美 ミミ エクス ココ ノノ リリ ルル 自分 ムム あいつ キキ ナナ ミミ あいつ 影宮理子 25歳になった理子。後輩と名前が被った為、友人達に理子と呼ぶように勧める。 プロフィール 身長 体重 ファッション 現在の仕事 マキナ 他の人との関係 ナナ 優木リリ デウスとエクス
https://w.atwiki.jp/sousakujojis/pages/76.html
成城 こまり 概要プロフィール 人物像 容貌・服装 趣味 女児符号女児符号 深々読心(ハート・リード) 究極符号 錬成陣 御伽草子 各作品では * 関連人物家族 関連イラスト 概要 プロフィール 相棒のヨモギと 「人生とは如何に歴史に名を刻むかだと思っています」 「知りたいと思う気持ちは誰に求められない。そうでしょう?」 愛称 こまりちゃん 本名 成城 こまり 年齢 11歳 誕生日 7月7日 身長 153cm 体重 46kg 一人称 わたし 二人称 あなた 好きなもの ずんだ餅 嫌いなもの 制約 趣味 錬金術 人物像 かけだし錬金術士。相棒のヨモギと一緒に勉強をしています。 意外と喜怒哀楽が激しいと言われます。 興味のあることはなんでもチャレンジしてみるのですが失敗することもたくさんあります。 容貌・服装 緑色の髪を後ろでまとめています。 服装は緑が多めです。 趣味 錬金術が趣味です。釜を使うタイプと陣を描くタイプがありますが、ここでは前者です。 後は読書。古典文学が好きです。 女児符号 女児符号 深々読心(ハート・リード) 最大20mの実態のない錨付きの綱を誰かの胸に刺し、対象の心を読みます。 素材の声が聞こえるこの力が錬金術をより良いものにしてくれるのです。 究極符号 錬成陣 御伽草子 半径20mのドーム状の空間を私の心の中の世界で塗りつぶします。主に竹林が出てきます。 効果は錬金術で作ったアイテムの無限使用と効果上昇です。 強力ですが5分も使えばめちゃくちゃ疲れます。 各作品では * 関連人物 家族 ヨモギ お父さんが持ってきた謎の生き物。多分猫だと思います。 成城 竜吾 お父さん。植物を使った錬金術が得意です。 成城 弓子 お母さん。金属を使った錬金術が得意です。 食堂なるしろ 家族ぐるみで経営している食堂。駅近なので食事時にはまぁまぁ混雑します。 図書喫茶桜小路 本のラインナップがビックリするくらい揃ってるのでよく行きます。 関連イラスト れんきんじゅつし こまり
https://w.atwiki.jp/sousakujojis/pages/67.html
「10年後」 概要プロフィール 人物像 趣味 女児符号女児符号 「Lily,Lovely Lily/愛しき百合のために」 各作品での活躍登場作品名 関連人物アナザー(本人) 関連イラスト 中の人Twitter 概要 プロフィール illusted by はもはもさん(Twitter) 愛称 「10年後」 本名 「アーアー内緒でーす秘密でーす」 年齢 22歳 誕生日 1/30 身長 172cm 体重 「乙女に聞くことじゃないゾ」 一人称 私 二人称 ○○ちゃん、貴女 好きなもの 美少女、百合、可愛いもの 嫌いなもの 百合の間に挟まるモノ 趣味 鑑賞 人物像 アリアちゃん本人が姿を消している間に見かけることがある、自称「頼れるおねーさん」。 遠巻きに女児を眺めては、いつの間にか姿を消している。 たまに見つかってボロを出しかけつつ逃げ延びている。 「やっぱ百合は世界の宝だよねぇ――……」 趣味 「違うんです!別に手を出しては――話を聞いてください!見てただけなんです!本当です!!」 女児符号 女児符号 「Lily,Lovely Lily/愛しき百合のために」 女児?符号。 10年前の自分と一時的に入れ替わる。 時空を超えて活動できるそこそこ便利かつ常識外の能力だが、本人は「百合の補給」以外の目的を持っていない模様。 本人としては気を使っているのか、授業中など、10年前の自分に迷惑をかける使い方は避けている。 なお逮捕歴はない。 各作品での活躍 登場作品名 無し 関連人物 アナザー(本人) アリア-本木朋アリア- 関連イラスト
https://w.atwiki.jp/sousakujojis/pages/411.html
ここに作品タイトル等を記入 更新日:2021/06/13 Sun 15 00 16 タグ一覧 セブンスカラー 炎の剣と“タイラントブレイド”がぶつかり合い、火花を散らす。 「お前はあの時の・・・!!」 怪物・・・アルタイルは変身した龍香の姿を見て、以前戦ったのを思い出したようで、目付きが一気に鋭くなる。 一方の龍香は自身の状態に驚愕の色を浮かべる。 「あ、あれ!?剣を持っているのに・・・なれない!?」 《ぐっ、やっぱりダメだ!アトロシアスに変身するには力の調整が上手くつかん!》 カノープスも焦ったように言う。どうやら剣“タイラントブレイド”は使えるが、アトロシアスには変身出来ないようだ。 だが、カノープスも全力は出せないと言っていたのである程度予想はしてたがアトロシアスに変身出来ないのは正直辛い。 現に前は互角以上に押し込めていたつばぜり合いも徐々に力負けしているのを感じる。 今この状態では力での押し合いは不利と見て、龍香はすぐに地面蹴って離れて距離を取ると“タイラントブレイド”をスッと改めて構え直す。 すると刃が紫色にボンヤリと輝き始める。 「何だか知らないけど。」 アルタイルは何か仕掛けてようとする龍香に対して真っ向から突っ込む。何を企んでいるかは知らないが、アルタイルの不死身の身体は如何なる攻撃を受けても瞬く間に再生する。 それに本調子でないなら好都合。あの時受けた傷の借りを返さんとばかりにアルタイルが接近してくる。一方の龍香も汗を一筋たらしながらもアルタイルに向かう。 (彼女の攻撃は炎。危ないけど・・・炎を使う相手とは二回戦っている!) 龍香とて何も無為に戦ってきた訳ではない。炎を使う相手と戦い、ある程度分かったこともある。炎を使う相手はその攻撃力の高さから至近距離で使うと自分を巻き込みかねないため、出来る限り距離を取りたがる傾向がある。 カノープスも言っていた・・・相手の得意な距離を取らせず、自分の得意距離で戦うのも戦術において大事なこと、と。 それに龍香にはあの時とは違い、有効打も持っている。 アルタイルは龍香に掌を向けると、そこから火炎を放つ。 「ッ」 咄嗟に龍香は身を捻って放たれた火炎を何とかかわす。だが態勢が崩れた瞬間、龍香の眼前にアルタイルの膝が広がる。 剣で何とか防御するが、さらに態勢が崩れ尻餅をついてしまう。そして龍香が立ち上がるより先にアルタイルは掌を向ける。 「ハートフル・ウェルダン!!」 放たれた炎が大爆発を起こす。爆煙を切り裂いて龍香は大きく吹き飛ばされる。だがバウンドしながらも地面に跡を引きながら何とか踏みとどまる。 「ぐっ」 「まだまだ!!」 さらのアルタイルの翼から炎の尾を曳いて燃える羽根が放たれ龍香へと向かっていく。その羽根が着弾し、爆発が巻き起こる。 「あぁ!?」 その様子を見ていたプラムが悲鳴を上げる。爆発が晴れるとそこには蓄積したダメージに膝をつく龍香の姿があった。 「やっぱ、辛い、かも・・・!」 相当堪えたのか龍香は肩で息をする。服もあちらこちらが焦げてボロボロになっている。 一方のアルタイルは今こそ好機と見たか炎を纏いながら龍香へと駆け出す。龍香も何とか立ち上がって迎撃しようとするが、間に合わないのは誰の目にも明らかだった。 「これで!終わりだぁー!!」 アルタイルがトドメの一撃を放とうと腕を振りかぶった瞬間、横から猛烈な勢いで突っ込む影があった。 「なっ」 「“一人の軍隊”」 突っ込んできた影・・・だよロリ犬が青い光を纏った拳をアルタイルに叩きつける。その拳がアルタイルに炸裂すると、一発殴られただけなのにまるで数十発殴られたように身体をのけ反らせる。 「ッ?!あ?」 《今だ龍香!!》 思わぬ横槍にアルタイルが怯んだのを見てカノープスが叫ぶのと同時に龍香は“タイラントブレイド”を構えて走り出す。“タイラントブレイド”刃から炎が噴き出させながら。 「はぁあああああ!!」 「!」 アルタイルはその炎を見た瞬間、一瞬固まる。その隙を逃さず龍香はその炎を纏った斬撃をアルタイルに浴びせる。 その攻撃をまともに受けたアルタイルは地面に叩きつけられ、ワンバウンドした後、外壁の突っ込む。 瓦礫の山となった壁を見ながら龍香は荒い息を吐く。 《やったか!?》 カノープスが声を上げるが、その期待も虚しく瓦礫を押し退け立ち上がる姿が見える。 「やっぱやれてないだよ。」 「ちょっと・・・辛いんだけど。」 だよロリ犬は所々焦げてはいるものの、まだピンピンしている。だが、龍香の方は息も絶え絶えと言った様子だ。 (あれ・・・おかしいな?) 龍香は変身してから過度に体力が消耗していくのを感じる。普段ならこのくらい平気なハズなのに今は息も絶え絶えと言った様子だ。 しかも体力の消耗とは別の何かを龍香は感じる。身体が熱を帯び何か黒いものが心の中で鎌首をもたげる。 す。・・・やる。 「龍香ちゃん?」 だよロリ犬の言葉に龍香はハッとなる。だよロリ犬は龍香の顔を見ながら言う。 「大丈夫?まぁ、そんなに笑う余裕があるなら大丈夫なんだろうけど。」 だよロリ犬の言葉に龍香は自分の顔に触れる。笑っている?自分が?こんな状況で? 龍香が困惑する中、瓦礫から立ち上がったアルタイルはギロリと龍香を睨みつける。その瞳は怒りと困惑の色に見えた。 「お前・・・その炎は・・・!!」 そう言いながら何故か激昂するアルタイルが攻撃の手を加えようとした瞬間。 「そこまでにしなさい!」 その声に全員の視線が声の主に向く。その視線の先には緑一色の少女がいた。後ろには赤、橙、黄、紫の少女がいる。 「これ以上私達のお店を荒らすことは許しませんよ。」 「メローナ!」 アンコがメローナ、と呼んだ少女の気迫は遠く離れた三人も一瞬怯む。アルタイルは新手の登場に不利と見たのか舌打ちをすると炎の翼を広げ、炎を巻き散らかしながら撤退する。 「お・・・終わった?」 龍香が膝をつくと同時に変身が解除され、カノープスが龍香の隣に立つ。それと同時に龍香はフラッとうなだれるように倒れる。 「龍香!」 たが倒れる前にカノープスが慌てて抱き抱える。龍香は辛そうな顔をしながらも、カノープスに微笑みかける。 「大丈夫か!?」 「えへへ・・・なんかカノープスに抱き抱えられるのって、新鮮かも。」 「・・・いい。今は休め。後のことは俺に任せろ。」 「ごめんけど・・・そう、する。」 龍香が目を閉じたのを確認すると、カノープスは龍香を抱き抱えたまま振り返る。 振り返るとそこには先程戦闘を一声で中断させた緑色の少女、メローナがいた。 彼女は破壊されている店を見やりながらカノープスとだよロリ犬に尋ねる。 「お取り込みのところ悪いけど、説明してくださる?」 「ホントにこんなとこにいんの龍香のいる場所に連れていってくれる奴が?」 突然彼女達の前に現れ、龍香を助けるために協力しろ・・・とか言った白い羽根の特徴的な怪物、アルビレオに先導されながら、雪花、黒鳥、赤羽の三人は夜の森の中を歩く。 正直半信半疑な部分はあるが現状解決策がこの怪物の言うことしか無い以上無視する訳にもいかない。 なのでこうしてついていく訳だ。 「・・・あとどれくらいかかるのかしら?って言うかなんであなた生きてるの?」 「ひぇ」 後ろから殺気を微塵も隠す気がない赤羽がギロリとアルビレオを睨む。アルビレオを二回半殺しにし、一回助けた奇妙な関係だがどうやら赤羽はアルビレオと仲良くする気はさらさらないらしい。 赤羽はシードゥスのボス、プロウフの攻撃で一緒にいたシードゥスもろとも死んだと思っていたら生きていたのが疑問のようで。 流石に一回助けられたとは言え二回も半殺しにされたのはアルビレオ的に相当トラウマになってるらしく、明らかにビクリと震える。 「さっさと言った方が良いわよ。じゃないとこの怖いお姉ちゃんに何されるか分かんないわ。まぁひとつ言えるとしたら確実に命は無いわね。」 「も、もうすぐ着くのだ。それに、ボクだってあの時から多少は心を入れ替えたのだ。」 「ふん、どうだか。」 雪花が面白そうにからかう。その言葉にアルビレオは更に怯える。 「まだ敵と決まった訳じゃない。あまりビビらせるな可哀想だろ。」 黒鳥がアルビレオを庇うように二人を嗜めると、どうやらこの三人の中で一番安全と判断したのか、黒鳥の近くに寄る。 「・・・まぁいいわ。直に分かる。」 赤羽は罠と分かれば何時でも殺すと言わんばかりに既に鎧を纏っており、アルビレオを睨む。 そんな風に四人が歩いていると目の前に小さなボロ小屋が現れる。 「・・・ここに入り口が?」 雪花が尋ねると。 「いや、ここにはない。だけど案内出来る奴がいるのだ。」 アルビレオは小屋の中に案内する。ボロ小屋の中は意外なことに生活感があり、所々に誰かが暮らしているような痕跡がある。それどころか奥の方から生活音がする。 「ピラニア、戻ったのだ。」 「おー、今日はえらく遅かった・・・か、も」 部屋の中央にゴザを引いて胡座をかいて座っていた青い髪の少女がアルビレオの声に反応し、少女が振り返って後ろにいる三人・・・特に赤羽の顔を見た少女の三白眼が大きく見開かれ、声が萎む。 「ちょ、ちょおまっ!なんて奴を連れて来ているのかも!?」 そう叫ぶとピラニアと呼ばれた少女はガバッと立ち上がり、三人から距離を取る。 明らかに赤羽の顔を見て狼狽するピラニアを見て黒鳥が尋ねる。 「・・・えらく警戒されているがこの子にもなんかしたのか?」 「・・・どこかで会ったかしら?」 顎に手を当てて首を傾げる赤羽にピラニアはずっこける。雪花はそんなピラニアをじっーと見つめて目を細める。 「いや・・・あんたどっかで見たような・・・?」 「いやいや!あんだけのことをして忘れたとは言わせないかも!!」 そう言うとピラニアはバッと自分の服を脱ぐ。陶磁器のように病的なまでに白い肌があらわになり、アルビレオはビックリしたのか顔を紅くして顔を手で覆う。ピラニア見せたその身体には大きい一文字の切り傷があった。 「うわっ、スゴい怪我ね・・・」 「お前にやられたのかも!」 ちょっと引く赤羽にピラニアがツッコミを入れる。すると、雪花がポンと手を叩いて声を上げる。 「あーっ!思い出した!確か犬みたいなシードゥスと手を組んでた魚野郎!」 「かもロリピラニア!!」 そう彼女は以前徒党を組んで雪花のクラスメートに強襲をかけ、雪花達も協力して迎え撃った過去がある妖怪・・・かもロリピラニアだ。 そしてどうやらようやく赤羽も思い出したらしく。 「あぁ。あの時に斬った奴ね。生きてたの。なら、察するにこのシードゥスを助けたのはあなた、ってとこかしら」 「そうなのだ。あの氷の奴の攻撃の余波で倒れてたボクを拾ってくれたのだ。命の恩人なのだ。」 「お前を助けたのは俺の力になるかもしれないって思ったからであって厄介事を持ってこさせるためじゃないんだけどなかも・・・!」 怒濤の展開にかもロリピラニアは完全に頭を抱える。そんな様子を見ながら黒鳥はふと何かに気づいたようで。 「・・・ってことはコイツが例の“案内人”か?」 黒鳥の言葉に雪花と赤羽の目が丸くなる。それを聞いていたかもロリピラニアは苦々しげに目を細めて言う。 「・・・は?案内人?」 「そうなのだ!アイツの行った所はオウマがトキ!ピラニアなら行けるのだろう!?」 アルビレオのその何処か必死な表情にかもロリピラニアは怪訝な顔をする。 「なんか、随分と必死だけど何かあるのかも?」 ピラニアの質問にアルビレオは一瞬口ごもって視線を反らすがが、すぐにその視線をピラニアに向け、言う。 「・・・あのピンクの奴が、あの時父上を殺した・・・奴、だから。」 「・・・ふーん復讐、って訳かも?」 かもロリピラニアに言われるとアルビレオはコクリと頷く。 父の復讐、その言葉に赤羽が少し反応をする。一方のかもロリピラニアはその言葉を放ったアルビレオを面白そうに見た後ククッと笑うとアルビレオの肩を叩いて笑いながら言う。 「お前が復讐・・・ククッ、ハハッ。・・・やめとけかも。」 「え」 かもロリピラニアの言葉にアルビレオは絶句する。 「敵がどんなのか知らないけど、コイツらが躍起になってるのを見れば大体想像がつくかも。今のお前じゃあとても勝てない、かも。」 「それでも、それでもボクは・・・!」 「それに、俺コイツら嫌いだし。」 「ピラニア・・・!」 アルビレオが必死な顔で何とかかもロリピラニアに頼み込む。しかしかもロリピラニアは行かせる気は無いらしく、のらりくらりとかわす。 これ以上は時間の無駄だと考え、黒鳥が話をしようとした瞬間。 ドンッと音がする。その音にビックリした全員が音がした方を見るとそれは赤羽が床を思い切り踏んだ音だった。 「・・・良いからさっさと私達を行かせなさいそこの魚。さもないと鱠にするわよ。」 「・・・脅しのつもりかも?あの時は分身にリソースを割いていたから、上手くいっただけ、今は、どうかも?」 赤羽とかもロリピラニアが睨み合う中、一触即発のその空気に雪花は“デイブレイク・ネメシス”を、黒鳥もマスクをつけ羽根を広げて臨戦態勢に入る。 ピリピリとした空気が流れる長いように感じるその一瞬。かもロリピラニアはふぅとため息をつくと殺気を抑える。 「・・・はぁ、俺の負け負け。流石に三対一は無理かも。」 「じゃあ・・・!」 「・・・連れてくかも。ただし、ヤバいと思ったら俺は引き上げるかも。まだ死にたくないし、コイツっていう戦力を失うのも嫌だからかも。」 かもロリピラニアはアルビレオを見やる。そんな様子に黒鳥はふと勘ぐる。 (もしかして行くのを渋ったのってコイツを・・・) なんて思っている中あー、でもとかもロリピラニアは四人に言う。 「って言っても今から準備しても三日後になるかも。」 「・・・は?」 「今すぐ出しなさいよ。今すぐ。」 赤羽も雪花が一瞬でピリつく。 「イヤ、無理かも!だって次元越えるのどんだけエネルギー使うか分かっているのかも!?早くたって三日であってもしかしたら」 「だったら私も協力するヨ!」 なんて揉めていると入り口の方から声がする。四人がその声がした方に振り向く。 そこにいたのは・・・ スピカがようやく完成した仮拠点でくつろいでいると、空が一瞬チカッと光ったかと思うと眼前に炎が降り注ぎ、中から怒り心頭と言った様子のアルタイルが現れる。 「あら、お帰りなさい。」 「あんた!どういうことよ!?」 アルタイルはスピカに詰め寄る。だが、スピカは飄々とした様子で聞き返す。 「なんのことかしら?」 「アイツ、あの龍香とか言う小娘の剣から私の、父の炎が出ているのよ!?」 その言葉にスピカはピクッと反応する。その反応をアルタイルは見逃さなかった。 「あんた・・・何か知っているのね!?話しなさい!全部!」 アルタイルの追及にしばらくスピカは黙っていたが、観念したのか俯いたまま語り出す。 「・・・そう、もう隠しきれないわね。」 するとスピカはスッとアルタイルが求めていた赤い球を差し出す。その行動にアルタイルは困惑する。 「・・・どういうつもり?」 「ホントは黙っているつもりだったんだけど。・・・実は、この球は貴方のお母さん、アクエリアスに託されたものなの。」 「お母さんに・・・!?」 アルタイルが驚愕する中、ま、いきなり言われても信じられないでしょうけど、とスピカは続ける。 「貴方のお父さん、フェニックスがアイツに倒されたのを聞いて、同じシードゥスとして生前約束してた通り貴方のお母さんを助けに行ったけど・・・間に合わなくて。息も絶え絶えな彼女からこれと、貴方を託されたの。彼女の貴方を託す・・・その言葉を一時も忘れたことはないわ。」 「・・・」 スピカの悔しそうな振るまいにアルタイルは押し黙る。 「出来れば貴方が気づく前に倒して、貴方のためにここに安住の地を作りたかったんだけど・・・。ごめんなさい。こうなればこれを使ってせめて貴方だけでも」 「・・・嫌。」 「・・・アルタイル?」 スピカの声を遮り、アルタイルは声をあげる。 「私、アイツと決着をつけたい。」 「・・・危険よ?貴方の命を保証は出来ないわ。」 「それでも。私はやる。」 アルタイルは強い意思を感じる瞳にスピカもしばし黙った後、根負けしたのかやれやれと肩を竦めて赤い珠を引っ込める。 そしてパチンと指を鳴らすと三体の異形の人形、蜘蛛のような頭をした人形、翼を生やした人形、膨れた腹を持つ人形が姿を現す。 「その意志の固さは親譲りね。いいわ。貴方の復讐、私も手伝うわ。サポートするから貴方は安心して仇に集中しなさい。」 「・・・助かるわ。」 「ただしこっちにも“準備”があるから、貴方には休憩も兼ねて少し休んでもらうわ。」 「分かったわ。出来たら言って。」 「ええ。」 そう言うとアルタイルは振り返って歩き出す。・・・後ろで顔があれば笑みを浮かべているスピカに気づかず。 「・・・ふふ。」 「って訳で俺達はこの世界に来た。」 「そうなんですか。」 毛布にくるまる龍香を隣に、カノープスがこの世界に来た理由をメローナに話す。メローナもカノープスの話に特に疑問はないようで、納得してくれる。 「つまり、貴方達は敵を追っていたらこのオウマがトキにたどり着いた訳ですね。」 「そうだ。その敵ってのがその・・・黄緑色の十字の瞳で、桃色のドレスを着ているんだが・・・」 「見たことないわ。」 紫の物静かそうな少女、ピオーネが言う。他の少女達も見たことないと口を揃えて言う。 「そうかい・・・。・・・にしても、あれだ。悪かったな。あんたらの店で暴れちまって。」 カノープスは罰が悪そうにメローナに謝る。店はカノープスと人形、そしてアルタイルが暴れまわったせいで荒れ放題だ。 壊されている家具を他の子達がせっせと片付けている。カノープスはその行動を見て、少し申し訳ないと感じたのか立ち上がる。 「せめてだ。片付けを手伝わせてくれ。力だけなら自信はある。」 「別に気にしなくて良いのですけど・・・まぁ手伝ってくれるなら喜んでお力を貸してもらうわ。」 カノープスはポンと龍香の頭に手を置いて優しく撫でて。 「少し行ってくるから待ってろ。」 「うん。行ってらっしゃい。」 龍香がそう言うとカノープスはそのまま手伝いに向かう。そして机には龍香とメローナ、二人きりになる。 龍香はメローナを見る。体こそ緑色で、飴のような質感をしているが、顔立ちからして年齢は自分とあまり変わらないように見える。その割には大人びた雰囲気のメローナを見つめていると。 「龍香さん、でしたか。」 「あ、はい。」 「貴方はシードゥス・・・と戦っているらしいですが、ご家族とはどうなんですか?そんな危ないこと、反対しそうなものですが。」 メローナが尋ねてくる。龍香は一瞬キョトンとするが、改めて考え直すと確かに自分みたいな女の子が戦うのは危ない・・・と言うのが普通の見方であると思い直す。 雪花や黒鳥、赤羽のような経歴の子達が周りにいて、少し感覚が麻痺してたかもしれない。 「確かに最初は成り行きで戦ってて・・・色んなことがあったし、お兄ちゃんからやめるよう勧められたけど今は私皆を、友達を守りたいから。」 「・・・お兄さん、が。お父さんやお母さんはどうなんですか?」 メローネがさらに尋ねると、龍香は少し困ったように笑みを浮かべて。 「その・・・両親は私が物心つく前に死んじゃって。」 「あら・・・すみません。」 「あ、いえいえ!気にしないで下さい!正直、顔も写真でしか知らなくてあんまり実感が沸いてないですし・・・」 「・・・寂しくないのですか?」 「寂しくないと言えば嘘になります。けど、私にはお兄ちゃんが、ばあやが、雪花ちゃんやかおり、藤正君達クラスメート、“新月”の皆さん、まだまだ沢山の人達に支えられてるから。」 なんか、こう言うと照れますね、なんて恥ずかしげに頬を指で掻く龍香をメローネは黙って見つめる。 そしてふふっと微笑むと。 「羨ましいですわね。“そちらの世界”で沢山の方々が貴方がいるのを望まれているなんて。」 「え、そうですかねぇ。」 龍香が照れ臭そうにタハハと笑う。そんな龍香をメローネはにこやかに見つめる。 「・・・ホントに色んな人から、望まれていて。」 「・・・へ?何か言いました?」 「いえ、別に?それでは私も片付けをしなければならないので、これで。」 メローナはそう言うと席を立つ。そして去り際に何かを思い出したように龍香の方を向いて言う。 「貴方、少し抱え込み過ぎてないかしら?」 「え?」 「我慢するのは構わないけど、溜め込み過ぎは良くないわ。」 「え?は、はぁ・・・。」 メローナの何処か含ませた物言いに龍香は困惑する。が、この空間に来てから胸の中で何かが蠢いているように感じるのも事実だ。さっきの戦闘でそれがより一層強くなった気がする。 「私、なんか溜め込んでいるのかなぁ。」 自分の胸に手を当て、龍香はポツリと呟いた。 一方文字通り色とりどりの六人の少女・・・ロリポップ姉妹、だよロリ犬、アンコ達がせっせと小さな身体で店を修繕する作業をしていると。 「何か手伝えることはあるかい?」 ヌッと自分達の背丈の二倍以上ある巨躰を誇る怪物、カノープスが現れる。彼としては見た目こそちょっと変わってるが、少女然とした彼女らに気を使って彼なりに優しく、笑顔で接したのだが、だがその巨体と凶悪な面構えと相成って無茶苦茶怖い。 あまりの怖さに黄色の少女、シトロンがヒッと小さく悲鳴を上げる。 「おいシトロンが怖がっているじゃないか!」 「わ、悪い悪い。怖がらせたい訳じゃなかったんだ。」 橙色の少女、マーマレードがカノープスに怒る。怒られたカノープスが謝るが、シトロンは怯えてしまい、マーマレードの背に隠れる。 怖がらせるつもりはなかったんだけどなと頭を掻いて所在なさげにしていると、フロートがカノープスにポンッとほうきを渡す。 「店内を無茶苦茶にしたんですから、しっかり掃除してくださいね。」 「お、おう。」 一見つっけんどんに見える行為だが、その実何かをしようとするカノープスに役割を与えようとするフロートの不器用な優しさにちょっとカノープスがほんわかする。 「・・・ありがとな。」 「・・・ふん、お願いしますね。」 フロートから受け取ったほうきでカノープスは地面を叩こうとして、気づく。小さい。少女のサイズでちょうどいい大きさなのでカノープスにしたら小さ過ぎてなんと言うかこう、やりづらい。 「・・・やっぱ瓦礫片付けるわ・・・。」 「う、うん。なんかごめんなさいね?」 少し気まずい空気になりながらもカノープスが瓦礫を片付けに外に出て作業をしている時だった。 「ねぇ、カノープスさん。」 だよロリ犬がカノープスを見上げながら声をかけてくる。 「なんだ?」 「何であの娘は、戦っているのだよ?」 「・・・・・・」 「あの位の子が、怪物と戦う。物語としては面白いけど現実に見れば異常だよ。」 だよロリ犬の言葉はもっともだ。龍香はまだ年端もいかない子供。そんな子供が怪物と生きるか死ぬかの戦いを繰り広げる。 異常以外何物でもない。だよロリ犬の問いにカノープスはしばし黙った後。 「・・・俺が、弱いからだ。」 「・・・。」 「アイツかいなけりゃ、俺は勝てねぇ。守れもしない。・・・アイツにゃ悪いと思っている。まだまだ遊びたい盛りの子供に、こんな重荷を背負わせちまうなんて・・・。」 カノープスは心情を吐露すると黙り込む。そのまま沈黙の時間がしばし二人の間に流れる。 しばらく沈黙の時間が続くが、その沈黙を破るようにだよロリ犬が口を開く。 「でもさ。本人が望んでやってんなら良いんじゃない?」 「・・・・・・。」 「そりゃ、異常とは言ったけど。別に正しくないとは言ってないし。」 だよロリ犬が言葉にカノープスはマーブル模様の不思議な空を見上げて答える。 「・・・・・・出来れば、せめてアイツにはこんなこと知ってほしくなかったよ。」 「・・・後悔してるんだよ?」 「まぁ、な。アイツは優しいから特に何も言わないが、かなり我慢しているのは分かる。」 だよロリ犬もカノープスと同じように空を見上げる。 「色々見てるんだね?まるで“父親”みたい。」 「からかう・・・な、よ?」 だよロリ犬の言った言葉を聞いた瞬間、カノープスの脳裏に一瞬何かが過る。 散らかされた薄暗い部屋、血まみれの男性、窓から差し込む月明かり・・・そこまで景色が途切れる。 「・・・ッ・・・!?」 「どうしたのだよ?」 突然頭を押さえて俯いたカノープスに心配そうにだよロリ犬が話しかける。 「なんでもねぇ・・・何でもねぇよ・・・。」 そう答え、心配そうに見つめるだよロリ犬をよそに、カノープスは困惑する。 (これは・・・この光景は一体・・・?) そういくら胸に問いかけても、答えは出そうになかった。 「メローナお姉ちゃん!」 「何かしらプラム?」 ピンク色の少女、プラムがお店の損害状況を確認しているメローナに話しかける。 「あの娘はどうなの?“妹”になってくれそう?」 プラムがそう尋ねるとメローナは少し困ったような顔をして答える。 「そうね・・・彼女はちょっと私達の“妹”にはなってくれなそうね。」 「えー。何で~?」 「彼女は私達のようになれない。“向こう”に強い執着があるだろうし、それに彼女の中にいる“何か”が邪魔をしてしまうもの。」 「そっか~残念だね。」 「そうね。・・・羨ましい位に。」 「?」 「何でもないわ。」 メローナはそう言うと作業に戻る。プラムは去っていくその背中を不思議そうに見つめているのであった。 どうやらここの世界にも夜はあり、それと同時に夜明けもあるようで。不思議な光を放つ太陽に照らされ始める中、喫茶“オウマがトキ”を見下ろす影があった。 見下ろす影、アルタイルに後ろからスピカが話しかける。 「いよいよ、ね。もう身体は大丈夫かしら?」 「ええ。全然大丈夫よ。それよりも、準備は済んだのかしら?」 「勿論。“準備”は済ませたわ。確認だけどあくまで私が出来るのは貴方と仇の戦いに邪魔が入らないようにするだけ。援護は期待しないで頂戴ね?」 「それだけやってくれれば充分よ。私と、アイツ。一対一なら負ける気はしないわ。」 その瞳には強い炎。そしてその自信は驕りでも、何でもない。そんな彼女を見てスピカは。 「そう。なら祈ってるわ。貴方が両親の仇を打つことを。」 「えぇ。見てなさい。」 オウマがトキを見下ろしながらアルタイルは炎の翼を拡げる。 「私が、アイツを倒す所を。」 To be continued・・・ 関連作品 (続編や派生作品が有れば、なければ項目ごと削除でもおk)
https://w.atwiki.jp/sousakujojis/pages/376.html
「…………もちゃ……………… ……アもちゃん……………… アもちゃん!!」 「っはぁっ!!!……はぁっ……はぁっ……」 「やった……!起きた!!良かった……!! アもちゃん!もう起きないかと思ったよ!」 目を覚ますと、そこにはみんながいた。 よく見ると皆目が潤んでいる。 オレを心配して、泣いてくれてたのか。 「あー、心配かけて、その、悪かった。 みんな、ありがとな」 途端に、みんなが驚いた顔でこっちを見る。 ……オレ、なんか変な事言ったか? 「アもちゃんが、素直にお礼を言うなんて… これはお赤飯ものじゃないっ!?」 「だいじょうぶっ!?アもちゃん、 やっぱりどこか頭でも打ったんじゃ……!」 「てめぇら……人を何だと思ってんだ!!」 …………………… ……………………………… ………………………………………… 「……なぁ。Dr.マッドは……あの後、 どうなったんだ?」 「………………うん。アもちゃんとDr.が正面から ぶつかり合った時……すごいパワーが溢れ出して、 みんなも吹き飛ばされそうになったの。 それが収まった後慌てて見に行ったら、 アもちゃんもDr.も倒れてて…………。 Dr.は、その…………もう、ダメだった」 「………………そうか」 Dr.マッドを、倒す。 そのつもりでずっと戦って来たのに、 本当に死んでしまったと知るのは、 あまり気持ちの良いものではなかった。 無我夢中だったが、 オレ達は目的を果たした。 後は、純乃の符号の力を借りて別世界へと 移動するだけだ。 Dr.マッドがいなくなった今、 世界の消滅は秒読みのはずだ。 今のところ大きな崩壊は起きていないが、 ずっと続いている世界の揺れは、 少しずつ強くなっている気がする。 「なぁライジング。 移動の準備はもうできてるのか?」 「うん。純乃ちゃんが、装置のところで待ってるよ。 もう、大丈夫そう?」 「あぁ、もう普通に歩ける。 行こう、もたもたしてると逃げ遅れちまう」 …………………… ……………………………… ………………………………………… 「では、行くぞ。 全員、しっかり手を繋いだか?」 純乃の符号は本来、相手をランダムに別次元に飛ばすだけの能力だ。飛ばす先の指定はできず、また1人を飛ばすだけで凄まじいエネルギーを使う。 だからこそ、Dr.の時空転移装置が重要なキーになる。これを使って移動先の時空を指定し、なおかつ必要なエネルギーを肩代わりしてもらうのだそうだ。 「飛ばす先の世界は、現実の世界に限りなく近い別時空だ。現実の世界にはもう1人のお前たちがいるからな、そこに飛ばしてしまっては同じ人間が2人いる事になり、大問題に なってしまう。だからこそ……」 「能書きはいいからよ、さっさと飛ばしてくれよな。 世界が崩壊しかかってるんだぜ」 「ちょ、ちょっとアもちゃん! 純乃ちゃんは私達を助けようとしてくれてるのに……!」 「…………いや、彼女の言う通りだ。 事は一刻を争う。……では、飛ばすぞ。 忘れ物はないか?」 「あっ、そういえば……」 はもはもに、天国みたいな場所で言われた事を思い出した。 「はもはもに、礼を頼まれたんだった。 ……ありがとうな、純乃。 オレ達を助けてくれて。お前がいなかったら、 オレ達は世界と一緒に消える運命を 受け入れるしかなかった」 「……ッ!!…………あぁ、気にするな。 礼には及ばない。 さぁ、今度こそ忘れ物はないか!? 装置を起動させるぞ!」 皆が頷く。 …………ん、待てよ。 この方法だと、純乃はどうやって別世界へ移動するつもりなんだ? 「なぁ、純乃。お前はこの後 どうやって…………」 「さよならだ、みんな。 君たちの歩む未来に、栄光の光が輝く事を祈っている」 おい!! まさか、アイツ……!!! 「純乃ちゃん!!まさか、最初からここに残るつもりで…………!!」 装置が起動し、オレ達は光に包まれる。 ライジングや他の女児が慌てて外に出ようとするが、光の帯のようなものに阻まれ、 出る事ができない!! 「意味もなくここに残るわけじゃないさ。 ……いくら装置の後押しがあっても、 私の符号で全員を別世界に移動させるのは 不可能だ。……私の命を、燃やし尽くさない限りは、な。 なに、元々私は現実には存在しない人間だ。 気に病む事はない。 君たちは、十分私の心を救ってくれた。 これ以上を望むのは、贅沢というものさ」 グォン、グォン、 グォングォングォン……! 時空転移装置の駆動音が鳴り響き、 オレ達の身体がふわりと浮き上がる。 まばゆい光が周りを包み、もう外の光景は見えなくなる。 「純乃ちゃんっ……!!」 光の隙間から、一瞬…… 純乃の晴れやかな笑顔が見えた気がした。 バシュウウゥン!!!! …………………… ……………………………… ………………………………………… カチ、コチ、カチ、コチ。 カチッ。 「………………はっ!!」 目を、開ける。 身体を起こすと……そこは、オレ達が見慣れた場所だった。 「ここ……青空学園、だよね……?」 オレ達が知る学園とは少し違っているが、 ほとんど同じ建物だ。 となると、ここは。 もう、さっきまでいた夢の世界とは違う、 別の世界なのか? 「わたし達、助かったんだね。 …………だけど、純乃ちゃんが…………」 ライジングの言葉に、皆が押し黙る。 アイツは、最初っから自分が助かるつもりはなかったのか。 オレ達を助けるためだけに、命を捨ててまで符号を発動してくれたのか……。 「………………………………」 しんみりとした沈黙が流れる。 気にしても仕方ないのは分かっている。 だけど、アイツや、はもはもの犠牲のおかげで 自分たちは助かったと喜ぶ気分には、 今はとてもじゃないがなれなかった。 …………ぃ………… 「……ん?何か、聞こえないか?」 「え?なんだろ、この世界の人が こっちに気付いて来たのかな」 ……ぉーぃ………… ……おーい!みんな───!………… 「え……あれ、って…………」 「何で……!どういう事だ……!?」 「みんな───!! 良かった、やっと会えたよー!!」 「は……はもはもちゃん!?」 第10章(後編)へ
https://w.atwiki.jp/sousakujojis/pages/377.html
──────────── 気がついたら、わたしは見慣れない空き地に倒れていた。 ここは、どこだろう? ……いや、それよりも。 そうだ。 わたしは、あの時─── 死んだはずなのに。 どうして、生きているんだろう。 あの時は「何か」に突き動かされるように 行動していたからか、記憶が曖昧だ。 空の上で、アもちゃんと話をした気がする。 ……そうだ。あの時わたしは、 もう二度と、純乃ちゃんと御滴ちゃんに 会えないような気がして。 だから、どうしてもお礼を言いたくて。 アもちゃんに、それを託したんだ。 ───みんなのところに、 行かなくちゃ。 きっと、この辺りのどこかにいるはずだ。 学園に行ってみよう。 どうしてかは分からないけれど、 みんな、そこにいる。 そんな予感がした。 「良かった、やっぱりここにいたんだね。 なんとなく、そんな気がしたんだ」 「それよりも、本当に……本物のはもはもちゃんなの!? わたし……はもはもちゃんにはもう、会えないんだって 思ってて……うぅっ……」 涙を零す猫丸ちゃんの頭を撫でながら、 ハンカチを差し出す。 「泣かないで、猫丸ちゃん。 心配かけてごめんね。わたしは本当に ここにいるよ。向こうの記憶も、ちゃんとある」 「……なら、説明しろよ。 なんでお前が無事なのか、なんでここにいるのかを。 ……オレだって、お前が死んだ時、めちゃくちゃ悲しんだんだからな。あれは死んだフリでした〜、なんて言ったら、 ブン殴るぞ」 ぶっきらぼうな言い方をしているけど、 アもちゃんの頬が少し赤くなっているのが見えた。 ……ふふ、照れ隠ししてるんだね。 「うん。アもちゃんも、わたしのこと気にしてくれて ありがとう。いっぱいいっぱい、 大変な思いさせちゃったね」 「べ、別にあれくらい大変じゃねぇよ。 なんて事なかったぜ。……って、そんな事はいいから! 説明してくれよ!」 「……うん。 わたしも、どうして自分が助かったのか、 ハッキリとは分からないんだけど……なんとなく、御滴ちゃんが助けてくれたんだろうなって気がしてるの。 御滴ちゃんの符号は時間の流れを操作する事が できるでしょ? それなら、時間を早めるだけじゃなくて、巻き戻す事も できるんじゃないかなって」 「そっか……はもはもちゃんの時間を巻き戻して、 自分を刺した事実自体を、なかった事にしたんだね」 それに、わたしは……目が覚める前に、 時の歯車が動く音を聞いたような、 そんな気がする。 「…………そういえば、御滴ちゃんはどこに行ったの?さっきから姿が見えないけど……」 「え?おかしいな、時空転移装置を起動する時には確かにいたはずなのに……」 ……まさか。 御滴ちゃんは、こっちに来ていない? 純乃ちゃんと一緒に、向こうに残った まま……!? 「そんな!純乃ちゃんだけじゃなくて、 御滴ちゃんまで……!!」 「わたし達を助けてくれたのに、それでお別れだなんて!そんなのってないよ……!!」 「……子供達、少し良いかの」 珍しく静かに、のじゃ猫ちゃんが会話に入ってくる。 「あやつらは、本来世界に存在しない人間じゃ。 言わば、Dr.マッドが作り出した架空の存在。 オヌシらはずっと一緒におったからそんな事は 気にせんじゃろうが……誰でもない 本人達が一番それをよく理解しておる。 世界に存在してはいけない、とまでは言わんがの、 強力な符号を持つあやつらの存在が、 世界にどんな影響を与えるかは誰にも分からん。 じゃから、この別れはあやつらなりのケジメなのじゃ。 いずれ消えなけらばならぬのなら、 オヌシらを助けて消えたい……という、の。 それを受け入れてやるのが優しさというものじゃと、 ワシは思う」 すうっと、頭の中に学園生活での純乃ちゃんや御滴ちゃんの姿が過る。2人とも、過酷な生活の中でも楽しそうに笑っていた。 彼女達にとっては、Dr.に指示された仮初の 生活だったのかも知れない。 それでも、あの笑顔が演技だったとは思えない。 2人が選んだ結末から考えても、 そんな気がしてならなかった。 「…………わかった。 純乃ちゃんと御滴ちゃんがそれを望むなら、 わたしはもう別れを悲しんだり、 Dr.のせいにしたりするのはやめるね。 2人の選択を、受け入れるよ」 「うむ。立派になったの、はもはもちゃん」 「えっ、そんな、わたし別に、 立派になんて……!」 「カカカ、のじゃ猫ジョークじゃ」 「も、もう!からかわないでよっ!!」 「ふふ、仲が良いのね。なんだか妬けちゃうわ」 「なになに?サンカクカンケーの予感!?」 この4年間、色んな事があった。 辛い事、悲しい事、苦しい事が続いて、 全てを投げ出したくなる時もあった。 だけど、わたし達はなんとか諦めずに足掻いて来れた。 のじゃ猫ちゃん、神楽坂さん、色んな人達の 助けがあったからこそだけど…… 生きる事を、諦めなくて本当に良かった! わたし達は、様々な苦難を経てたどり着いた この新しい世界で生きていく。 だけど、夢の世界で起きた4年間の事を、 この先も絶対に忘れないだろう。 世界と一緒に消えると思っていた わたし達の命を救ってくれた、 純乃ちゃんと御滴ちゃんの事も。 絶対に、忘れない。 「……………………………………」 ふと、遠くからの視線を感じた。 遠慮がちな、 どうやって輪に入ったら良いか分からない、 そんな視線。 わたしは、『その子』に向かって 大きく声をあげた。 「ねぇ、こっちにおいでよ! ───アリアちゃん!!」 それは、ひとつのありようで 完 EX4へ
https://w.atwiki.jp/sousakujojis/pages/410.html
ここに作品タイトル等を記入 更新日:2021/05/18 Tue 23 19 13 タグ一覧 セブンスカラー 満点の星空が広がる黒と群青の夜空をピンクの光が妖しく照らしていた。 そしてその光の出所に目をやると、吸い込まれそうな程漆黒の穴がピンクの光を放ちながら現れていた。 さらにその近くでは火花が散り、光が飛び交っていた。 「あらあら、どこから嗅ぎ付けたのかしら。お鼻がいいこと。」 笑みを浮かべながら敵に向かって光線を放つピンクのドレスを纏う貴婦人のような緑色の十字の目をもつ怪物、スピカはさらに攻撃の手を強める。 「たぁあ!」 気合い一閃。スピカと対峙する恐竜の意匠が施された紫色のドレス、“ティラノカラー”の龍香はスピカの放った光線を“タイラントアックス”で弾く。 《スピカの奴、何をしようとしてやがる!》 龍香の頭についている恐竜の頭蓋骨のようなヘアアクセ、カノープスが叫ぶ。一方で白い戦闘スーツ“デイブレイク・ネメシス”を纏った雪花と烏のようなマスクをつけた黒鳥はスピカが放った人形達を相手にしているため、中々龍香への救援に駆け付けに行くことが出来ない。 「ホント、どうなってんのよアレ!」 「分からん!だが、止めねばロクな事にならんのは目に見えている!」 黒鳥は叫ぶと翼を広げ、それを刃のように硬質化すると振り回して人形達を切り裂く。雪花もそれに続いてチェンソー型大剣“マタンⅡ”で人形を斬り伏せる。 「ふふ、そろそろ、ね。」 スピカは微笑むと、何処からか赤い珠を取り出す。そしてそれに念を送ろうとした瞬間脳裏に声が聞こえてくる。 《スピカ。どういうつもりですか。》 「あら、プロウフ。」 念を送ったプロウフにスピカが返事をすると、プロウフは続ける。 《私のリソースの一部が欲しいといったかと思えば今度は時空間に穴を開ける。あなたは何をしようとしているのです?》 「安心して、プロウフ。貴方達に危害を加えないわ。この計画は、ね。」 《答えになっていませんよスピカ。もし真意を明かさないなら。》 スピカはプロウフのその言葉にふと、上の方を見ると、切り立った崖の上の方に数体の影が見えた。 蠍の怪物、弓矢を構えた怪物、魚のような怪物、アンタレス、ルクバト、アルレシャが並んでいた。 《力ずくで止めさせて頂きます。》 「流石プロウフ。手が早いわね。けど。」 スピカはそう言うと赤い珠を天高く掲げる。すると赤い珠はより一層強い赤い輝きを放ち、後ろの穴が周りの物体を吸い込み始める。 「な、何!?」 あまりの吸引力に全員は立っていられず、思わず膝をついてしまう。 「す、吸い込まれる!?」 全員が何とか吸い込まれないように四つん這いに耐えている中、スピカは笑いながらその穴の中へと吸い込まれてしまう。 「うっ、に、が、すかーっ!」 それを見た龍香はスピカの狙いはこの穴の奥にあると睨み、立ち上がると思い切り飛び上がり、スピカに続くように穴へと吸い込まれる。 「ちょっ、龍香!」 雪花が叫ぶが、時既に遅く龍香は穴の中へと完全に吸い込まれてしまう。 「きゃあああああ!?」 《どああああああ!?》 龍香とカノープスは叫びながらその穴へと消えてしまう。それと同時に穴も完全に閉じ、光も消える。 「龍香・・・。」 呆然とする二人。 だがそんな二人を物陰からみる一つの影があった。 「・・・」 か・・・うか!・・・ゅうか! 何処からか声が聞こえる。私、どうなったんだっけ?と龍香はぼんやりとモヤがかかる頭で今までのことを思いだそうとする。 龍香!おい!しっかりしろ! その間にも自分を呼ぶ声は大きくなる。なんだったら身体を揺さぶられる感覚もする。揺さぶられることで徐々に意識がモヤから浮上し、しっかりしてくる。 そうだ。確かスピカとか言うシードゥスが逃げ込んだ時空の穴にスピカを追いかけるために入ったんだった。 そして龍香は重たい瞼を開け、目を覚ます。 「目が覚めたか!」 そして目に映し出されたのは、自分を抱える恐竜の骸骨を全身の至る所に張り合わせたような外見の紫色の怪物だった。 「うっ、ぎゃああああああ!!?し、シードゥス!?」 龍香はビックリして飛び上がると一気に離れて距離を取る。そして頭についてあるだろうカノープスに触れて魔龍少女へと変身しようとするが、頭を触って気づく。 そう、カノープスがいない。 「あ、あれ?カノープス!?」 「おい!龍香!俺だ俺!カノープスだ!」 カノープスがいないことに慌てる龍香に目の前の怪物が自身を指差して名乗る。パニックになっていた龍香だが、目の前の怪物から聞こえる声に聞き覚えがあることに気づく。 「えっ、その声・・・ホントにカノープス!?えっ!?でもなんで身体があるの!?」 「お前が驚くのも無理ない。俺も正直ビックリしてる。だが、もしかしたらこの空間のせいかもな。」 カノープスが龍香に周りを見るように顎を前に出す。言われた通り周りの光景を見て、龍香から思わず声が漏れる。 「何これ・・・」 そこは摩訶不思議な空間だった。龍香の身長の何倍もはあろうかというホールケーキやチョコレートが塗りたくられた棒が乱雑に生え、クッキーが道路のように敷かれている様はさながら子供が想像するお菓子の国、と言った感じだがそこから漂う妖しげな雰囲気はどう考えても楽しい場所とは程遠いように思えた。 「訳の分からん空間だ。どうやら俺達はとんでもない空間に飛ばされたらしいな。」 「う、うん。・・・これからどうしようか?」 取り敢えずスピカを逃がさない一心で突っ込んだため、具体的なことを考えていなかった龍香はカノープスに尋ねる。 「取り敢えずスピカの野郎を探しだしてぶっ飛ばす。多分だが、アイツの行動を見るに奴がもっている赤い珠がここを行き来する鍵になる・・・と思う。」 カノープスの推測は龍香も正しいように思えた。スピカがあの赤い珠を掲げるとあの穴はそれに反応するように吸い込み始めた。つまり、あの珠が鍵であると龍香も感じた。 「とにかくここから移動するぞ。」 カノープスが立ち上がり、龍香と歩きだそうとした時だった。いきなり周りの地面がポコポコッと盛り上がったかと思うと地面から白いヤドカリのような見た目の怪物が現れる。違和感をあげるとすれば龍香の腰ほどに背丈が大きく、そして殼がアポロチョコのようになっていることか。 「龍香!」 カノープスは直ぐ様龍香とヤドカリの間に立つ。目の前のヤドカリはハサミをカチカチと鳴らしながらこちらに向かって来ている。どう見ても仲良く出来そうな相手ではない。 「カノープス!変身は・・・!」 「してやりてぇとこだが今は無理だ!今の俺はお前に“安全”に変身する力を与えてやる程器用じゃねぇ!」 その間にもジリジリとヤドカリは迫ってくる。意を決してカノープスが飛びかかられる前に打って出ようとしたその瞬間。 「とぉーッ!」 上から気合い一閃の叫び声と共に何かが降ってくる。そしてそれは落下の勢いそのままヤドカリに痛烈な蹴りを叩き込んだ。 その鋭い一撃はヤドカリの殼を破ってその身体にめり込んでおり、いかにその一撃が痛烈であったかを悠々と物語っていた。 降ってきたのは頭から犬のような耳と、黒い髪をポニーテールにした快活そうな表情の少女だった。 「ハァッ!」 そして少女はそのまま蹴りを入れたヤドカリを足蹴にして他のヤドカリに膝蹴りを叩き込む。 ヤドカリ達は瞬く間に二匹もやられたことに驚いたのか、そそくさと逃げようと地面を掘るが、それより先に女児の拳や蹴りが叩き込まれ、あっという間に全員が地面に転がる。 「つ、強い・・・」 そして、少女はふぅと一息つくと今度は物凄い速さでカノープスに裏拳をかましてぶっ飛ばす。 「ぶべらぁ!?」 「か、カノープス!!」 ぶっ飛ばされたカノープスと龍香の間に入るように少女はポジションを取る。龍香に背を向けながら少女は龍香に言う。 「君、大丈夫!?怖かったと思うけど私が来たからにはもう安心だよ!」 「え、いや。」 「見たことないモンスターだけど、この私に見つかったのが運の尽き!成敗してやるだよ!」 どうやらこの娘は龍香がカノープスに襲われていたと勘違いしているらしい。まぁ確かにカノープスの凶悪な見てくれはどう見積もってもヒーローには見えない。 けど、誤解は解かなくてはならない。 龍香は自鼻を鳴らす少女におずおずと申し出る。 「あ、あの。実は」 「ん?」 龍香が見てくれは凶悪だが、私の味方である旨を伝えると少女は きょとんと眼を見開き、二人を交互に見て・・・凄い勢いで頭を下げる。 「ご、ごめんだよー!!見た目がもうスッゴい凶悪だから敵だと思っちゃって・・・!」 「し、仕方ないですよ。正義の味方って面構えじゃないですし。」 「悪かったな。凶悪な面構えで。」 ぶたれた頬を擦りながらカノープスは龍香の方へ歩いてくる。猛烈な勢いでかっ飛ばされた割にピンピンしていることから、大したダメージにはならなかったらしい。 「それにしても・・・君達見ない顔だけど、何処から来たのだよ?迷い込んじゃった感じ?」 「え」 その質問に龍香は固まる。どう答えようか。と言うかむしろここが何処なのかこっちが聞きたい・・・そんな風に思っていると。 「察しの通り俺達は迷い込んじまってな。ここが何処なのか・・・そして出来れば帰る方法を知りたい。」 「あっ、やっぱり迷い込んじゃった感じ?」 カノープスが少女に答える。 (ちょ、ちょっとカノープス!) (別に間違っちゃないだろ。それに、アイツの口振りから誰かが迷い込むのは珍しくもないみたいだしな。帰れる方法は知っとくに越したことはない。) なんて二人で小声でこそこそ話しているが、少女は特に気にした様子もなく二人に背を向けて歩き出すと手をこまねいてついてくるようジェスチャーする。 それに従い二人は少女と共に歩き出す。 「取り敢えず力になれそうな人の所へと案内してあげるだよ!あ、私の名前はだよロリ犬!そして」 だよロリ犬と名乗った少女は手を広げてお菓子が広がる一見楽しそうに見えて不気味な雰囲気を放つ空間で、手を広げて言う。 「ようこそ。“オウマがトキ”へ。」 「ふぅ、こんな所かしら。」 とある一角。お菓子や、良くわからないキラキラしたものが森のように生い茂る地帯でスピカは一息つく。 だがスピカの回り一帯は焦げ跡と破壊痕が色濃く刻まれ、これまたお菓子と動物を組み合わせたような怪物が転がっている。 そして目の前ではスピカお手製の人形達が陣地を形成すべく動いている。 スピカはフッと微笑むと後ろの人物へと振り返る。 「それにしても、助かったわ。貴方がいたお陰で拠点の目処が立って、その上拠点作成まで手伝ってもらっちゃったし。」 スピカが振り返った先にいた少女の肩に手を置いて労いの言葉をかける。その少女は長く、そして炎のように赤い髪をしており、その肌は陶磁器のように白くまるで人間味を感じさせない美しさを際立たせている。だが、普段であれば誰もが息を飲むような美しい顔は今、眉間に皺をよせて不機嫌を露わにしている。 「別に。アンタが協力してくれたらその赤い球を返してくれるって言うから手伝っているだけだし。」 「あら、つれないのね。」 少女・・・アルタイルが睨み付けるも、スピカは飄々とそれを受け流すと何処から取り出した赤い球をしげしげと見つめる。 「ま、これは私の好奇心を満たす“新しい世界”に行くための切符のようなものだから、使い終わったら返すわ。」 「そう・・・それで、一つ聞きたいんだけど。」 「何かしら。」 「それ。何処で手に入れたの。」 アルタイルがスピカに尋ねる。たが、その瞳には何処か有無を言わせないような鋭い眼光が見えた。 「フフっ。知りたい?まぁ、教えてあげるのも良いけど・・・」 だが、スピカは一切怯む様子はなく、それどころか逆にアルタイルの瞳を覗き込むように顔を近づける。 その十字の光を湛える仮面のような顔に近づかれ思わずアルタイルはギョッとなるが、スピカはそのまま自身の口元に指を近づけて悪戯っぽく囁く。 「次のお願いを聞いてくれたら教えてあげる♥️」 「着いたのだよー!」 だよロリ犬に案内されるままに二人はどでかい喫茶店の前まで案内される。目的地にたどり着いただよロリ犬が二人の方を振り返ると、そこには頭を抱えて唸る二人の姿が。 「どしたのだよ?疲れたのだよ?」 「いや、だよロリ犬さんに教えて貰ったここの説明が・・・」 「俺が言うのもなんだがなんて理不尽で意味不明な世界なんだ・・・。」 カノープスが額を押さえながら唸る。 だよロリ犬が話すにはここは異世界で、あらゆる次元に通じる夢のような世界。たからか時々人が迷い込んでくることがあるそう。 しかもさっき自分達がいたのはなんでも敵も風景も全てがお菓子で出来ているリビングスイーツなる空間らしく、たまに迷い込む人を助けるためにだよロリ犬はパトロールをしているんだとか。 「訳が分からん。その一言に尽きる。」 「アハハ!大丈夫!正直私も良く分かってない!」 「大丈夫なのかな・・・」 「まぁまぁ!考えても分かんないこと考えたってしょうがないだけだよ!」 だよロリ犬は笑いながらそう言うとガチャリとドアを開けて中へと進む。 開けると同時にカランコロンと鈴の音が店内に鳴り響く。 店の中は普段よく見るモダン形式のカウンターや、洋風のソファが置いてある一般的によく知られている喫茶店のような内装…なのだが、周りの壁が虹色のサイケデリックな色合いに彩られ、龍香とカノープスの視界にある種の暴力的な風景を叩き込んでくる。 「お、おう…」 「いらっしゃいませー!!」 二人が面食らっていると奥の方から元気の良い声と共に一人の少女が出てくる。 あどけなさと元気の良い快活さを感じさせる笑顔を浮かべながら白と黒が入り雑じったショートヘアーの女の子が現れる。 只一般人と違うところで言えば頭と背から黒と白の翼を生やし、足が猛禽類のソレになっていることか。 「あれ?“よそ”からのお客さん?」 その少女は龍香達に目を向ける。 「にしちゃあ随分と厳ついね、君。」 「…俺そんなに厳つい?」 少女の言葉にカノープスが龍香に尋ねる。カノープスの表情は恐竜の頭蓋骨を張り付けたようなかなり厳つい顔をしており、怖いか怖くないかで言うともう無茶苦茶怖い。 「うん、厳つい。」 「そっかぁ…。」 ションボリするカノープス。少女が二人をマジマジと見つめていると、また奥の方から別の少女達が出てくる。 しかも今度は肌の色が赤だったりピンクだったり、カラフルな上に見た感じ質感は滑らかでまるで水飴のようだった。 自分達に近そうで、遠い存在。そんな少女達に二人はさらに身構える。だが、その少女達の内一人、ピンク色の元気そうな少女が口を開く。 「あれー?アンコちゃん、お客さん?随分と久し振りだねー!」 「プラム。案内してあげなさい。」 水色の物静かそうな少女が、ピンクの少女、プラムに案内するように促す。 「い、いや。私達は。」 「私と同じピンクの髪で可愛いね!私はプラム!よろしくね!んで、水色のがフロートお姉ちゃん!そして黒と白の子がアンコちゃんだよ!」 「う、うん。」 「ここは良いとこだよ!メニューも沢山あるから気軽に頼んでね!」 「うん。ありがとう。けど、今私達が知りたいのは」 二人が喫茶店に用があるのではなく、元の世界に帰る方法を知りたい、そう言おうとした瞬間だった。 またもやカランコロンと鈴の音が鳴る。こんな所に客が来るのか、という気持ちとどんな客か見てみたい、という好奇心から二人が振り返るとそこには赤い一つ目の女性の体つきをした人形が数体現れる。 「お、またお客さんとは珍しいだよ。」 事情を知らないだよロリ犬がそんな人形達を見てもの珍しそうな顔をする。 だが、事情を知っている龍香とカノープスの二人の顔色は一気に変わる。 「みんな避け」 龍香が叫ぶより早く人形が槍を取り出し龍香に向けて突き出す。だが、その槍は龍香に届くより先にカノープスに蹴り飛ばされて明後日の方向に突き刺さる。 そしてカノープスは槍を突き出した人形の顔面を思い切り殴って吹っ飛ばす。 「龍香!下がってろ!」 カノープスはそう叫ぶと龍香の前に立つ。一拍遅れて、突然目の前で起こった狼藉にプラムが悲鳴をあげる。 「な、何!?何なの!?」 「!」 色鮮やかな飴色の少女達が騒ぐ中、完全に戦いの火蓋は切って落とされ、人形達が堰を切ったようにカノープス達に襲い掛かる。 「やっぱ俺達が狙いか!」 カノープスが身構え、迎撃しようとするとそれより先にだよロリ犬が動き、人形の一体を蹴り飛ばす。 「だよロリ犬さん!」 「なんだか知らないけど!力になるよ!」 だが残る数体がカノープスに襲い掛かる。人形の攻撃に対し、カノープスは腕や足で弾くと人形の一体を掴んで思い切り振り回して別の人形に叩きつける。 「はっ、ブランクはあるがお前らごときこの俺の敵じゃねェ!」 カノープスは次々と襲い掛かる人形達を蹴散らす。その様子を後ろから龍香が見ていると、ドンと何かに当たる。 何に当たったのかと後ろを振り返るとそこにはいつの間にか回り込んでいた人形の姿が。 「やっ」 心の何処かで間に合わない、と思いつつも龍香が逃げようとしようとした時だった。 「えいっ!」 パコンと間の抜けた音がする。見れば先程の黒と白の翼の少女がフライパンで人形の後頭部を殴り付けていた。 だがその間の抜けた音に反して中々の威力だったらしく人形が怯む。 「こっちこっち!」 声がする方を見ると龍香に対して先程のピンク色の少女が物陰に隠れており、こちらに手招きをする。 龍香はちらと人形を一瞥した後手招きに従って駆け出す。 「カノープス!」 「!」 龍香の叫び声にカノープスが反応する。カノープスは大きく跳躍すると龍香達の方へと着地し、フライパンの一撃で怯んだ人形の顔面を掴むとカウンターの机に思い切り叩きつける。人形がカウンターにめり込んだと同時にペキャッと何かが砕ける音がし、それと同時に人形の動きが停止する。 「お、お店がァーッ!?」 水色の少女、フロートが悲鳴をあげる。よく見ればカノープスは相当暴れたのか無惨に破壊された机や椅子がその辺に転がっている。 「大丈夫か!?」 カノープスが叫ぶ。龍香はカノープスに向けて手で大きく丸を作る。 それを確認したカノープスが龍香達に近寄ろうとした瞬間。上空、天井を突き破って炎が龍香達とカノープスの間に降り注ぐ。 そして爆発が起こり、皆が吹き飛ばされる。 「うぉう!」 「うわぁ!?」 皆が爆発によって怯む中、爆発の中心に人影が見える。 それは炎の中心にいながらも全く気にした様子もなく、それどころか炎を手から吹き出して辺りを見回している。 そして炎が吹き消え、中から燃えるように赤い髪の毛が特徴的な目付きの鋭い少女が現れる。 「…チッ。人形は大半が潰れてる。何が役に立つ、よ。」 少女は倒れる人形達を一瞥し、周りを見渡す。そして龍香と少女の目が合う。 「え」 少女は龍香を見て、怪訝な顔をする。 「あれ・・・あんたどっかで」 だが少女が言葉を続けるより先に突然現れただよロリ犬が少女に蹴りをかます。その威力は凄まじく、蹴りが直撃した少女の頭が吹っ飛ばされる。 「う、あ、あ?」 「先手必勝!!」 突然ぶちかまされた光景にだよロリ犬以外が絶句するが、頭を吹っ飛ばされた少女に変化が起こる。 吹っ飛ばされた頭があった場所に炎が集まる。そして炎が頭のように形作り、次の瞬間には完全に元通りに修復される。 「な、治った!?」 どうやら少女ほ先程の強烈な一撃を喰らったにもかかわらず、眉をひそめるだけの様子を見る辺り攻撃が全く効いていないらしい。 一瞬だよロリ犬は驚くが、すぐに持ち直して攻撃を仕掛ける。 「うぉおおおおお!!」 繰り出された攻撃は全て少女に炸裂し、身体の何割かが吹き飛ぶが、それもすぐに炎が集まり修復される。 「・・・無駄だよ。私にその攻撃は一切通じない。」 少女はそう呟くと手をだよロリ犬に翳す。 「それに・・・ちょっと目障りだよ。」 「ッ!危な」 次の瞬間翳した手から炎が噴き出す。その炎は凄まじくだよロリ犬は大きく吹き飛ばされる。 そして炎が止むと少女は炎の翼をはためかせる鳥のような怪物へと変貌する。 「ッ!?あの子は?」 その姿に龍香は見覚えがあった。そうその少女はかつて龍香達と敵対した怪物だった。しかも龍香最強形態“アトロシアス”を持ってしても追い込まれた程の強敵である。 龍香はすぐにカノープスに目配せをする。カノープスもあの怪物には“アトロシアス”で無ければ勝てない、と思っていたのか少し渋るが龍香に手を伸ばす。 「いいか。龍香。正直今は力の調整が難しい。だから・・・俺がマズイと判断したら即引いてくれ。いいか?」 「うん!行くよカノープス!」 カノープスが光輝く。そして巨大な光を放つ恐竜になると、龍香をパクリと丸飲みにする。 「の、飲み込まれたーッ!?」 突然の出来事にプラムが叫ぶ。そして恐竜が砕けると同時に恐竜の頭蓋骨のような装甲が散りばめられた紫色のドレスを纏った龍香、“ティラノカラー”に変身した彼女は紫色の刃が煌めく剣、“タイラントブレイド”を構えると少女に向かって突っ込んでいく。 龍香の接近に気づいた怪物はすぐさま炎の剣を生成して龍香の振るった一撃を受け止める。 「ッ、お前は」 「貴方は止める!」 二人の視線が交錯し、つばぜり合いをしながら互いに睨み合う。さらなる戦いの火蓋が切って落とされた。 「くっそ。アイツらがどうなったのかまだ分かんないの!?」 日が沈みかけた黄昏時の道中で雪花が叫ぶ。昨夜の一件から“新月”メンバーは龍香の行方捜索に躍起になっているが、影も形もその痕跡すら見つからない。 「少し落ち着け。皆必死に頑張っているんだから。」 黒鳥が苛立って憤る雪花を宥める。 「そうよ。騒いで見つかったら苦労はないわ。」 黒髪に朱が混じった鋭い目付きの少女赤羽が嘆息する。その言葉に雪花のこめかみに青筋が浮かぶ。 あぁもう、と黒鳥が二人が激突する前にこの場を納めようとした時だった。 「そこのお前ら!待つのだ!」 後ろから声がかけられる。その声に三人が振り返るとそこには白い翼が特徴的で、顔に何処か幼さが残る怪物がいた。 だが、そいつは赤羽には見覚えがあった。 「・・・お前は」 「あの女の子を助けたいなら・・・力を貸すのだ。」 そう。かつて赤羽と龍香と戦い、何だかんだで一時協力したこともある・・・アルビレオがそこにいた。 To be continued・・・ 関連作品 (続編や派生作品が有れば、なければ項目ごと削除でもおk)