約 664,583 件
https://w.atwiki.jp/83452/pages/16152.html
「梓がそんなに大切にしてくれてるとは思わなかったよ。 京都の土産なのに、京都とは何の関係もないしさ。 実は呆れられてるんじゃないかって、何となく思ってた」 「呆れるなんて……、そんな事……。 私、嬉しくて……、宝物にしようと思って……、 でも、大切にしてたのに……、落としちゃうなんて、私……。 こんなんじゃ……、こんなんじゃ私……、 先輩達の後輩でいる資格なんて……」 涙を流して、梓はその場に目を伏せようとする。 私は梓の肩を掴んでいる手に力を入れて、視線を私の方に向かせる。 梓と目を合わせて、視線を逸らさない。 泣き腫らした梓の瞼が痛々しくて、ひどく胸が痛くなってくる。 梓を悲しませているのは、軽音部の先輩である私達の無力が原因だ。 私の方も、梓と同じく大声で泣きたい気分だった。 役に立てず、負い目しか感じさせる事のできない無力過ぎる私達。 自分の情けなさに涙が滲んでくる。 だけど、泣いちゃいけない。視線を逸らしちゃいけない。 今一番泣きたいのは梓で、今泣いていいのは梓だけだ。 どうして、キーホルダーを失くしたって言ってくれなかったんだ? そう言葉にしようとしてしまうけど、唇を噛み締めて必死に堪える。 梓がキーホルダーを失くした事を私達に話さなかった理由……、 それは訊くまでもないし、訊いちゃいけない事だ。 キーホルダーを失くしたと私達に話してしまったら、 いや、知られてしまったら、 私達の心が自分から離れていってしまうって、梓は考えたんだ。 キーホルダーを一週間も一人で捜し続けてた事から考えても、それは間違いない。 あのキーホルダーは私達にとって、単なる思い出の品なんかじゃない。 軽音部の絆の証、絆の品なんだ。 特に来年一人で取り残されるはずだった梓にとっては、私達以上にその意味があるだろう。 一人でも大丈夫だと思えるために、梓はきっとあのキーホルダーに頼ってくれてたんだ。 絆を信じられるために。 そうだ。 梓が本当に悲しんでる理由は、キーホルダーを失くしたからじゃない。 キーホルダーを失くした事で、 私達の絆その物も失くしてしまった気がしてしまって、それが悲しいんだ。 実際、私達だって、キーホルダーを失くされた事で梓を責めたりしない。 梓も私達から責められるとは思ってないだろう。 梓を責めているのは梓自身。 世界の終わりを間近にしたこの時期に、絆を失くしてしまった自分を許せないんだ。 だから、誰にも知られないままに、自分の力だけで失くしたキーホルダーを見付けたかったんだ。 でも、だからこそ、私には梓に掛けてやれる慰めの言葉が思い付かなかった。 キーホルダーを失くした事なんて気にするな、なんて簡単な言葉で片付く話じゃない。 そんな言葉を掛けてしまったら、それこそ梓は今以上に自分自身を責める事になるはずだ。 一瞬だけの笑顔は貰えるかもしれない。 その場限りの安心は得られるかもしれない。 でも、それだけだ。 それ以降、世界の終わりまで、梓は自分自身を責め続ける事になるだろう。 勿論、私だって、私自身を許せないまま、世界の終わりを迎える事になる。 なら、私に何ができる? 無力で、頼りなくて、後輩に気を遣わせて追い込んでしまった私に何が? ……何もできないのかもしれない。 何もしてやれないのかもしれない。 少なくとも、今の私にできる事は何もない。今の私には何もできないんだ。 でも……。 だからこそ、今の私じゃなく……。 私は大きく溜息を吐く。 何もできない今の自分を情けなく思いながら、 それでも、掴んでいた梓の肩を思い切り自分の方に引き寄せる。 私の胸元に椅子から転がり込んでくる梓を座り込んで抱き締める。 「あの……っ、えっと……? 律……先輩……?」 小さな身体を震わせて、何をされたのか分からない様子の梓が呟く。 呟きながらも、梓の涙はとめどなく流れ続けている。 しゃくり上げながら、震える身体も治まる事がない。 今の私には梓の涙を止められない。震えも止めてやる事ができない。 梓の不安を止めてやれるのは、今の私じゃない。 だから、胸元に引き寄せた梓を、私は頭から包み込むように抱き締める。 強く強く、抱き締める。 まだ掛けてあげられる言葉は見つからない。 その代わりに、小さな梓を身体全体で受け止める。 小さな梓と同じくらい小さな私が、小さな身体で小さく包み込む。 どこまでも小さな存在の私達。 それでも、私達は小さいけれど、とんでもなくちっぽけな存在だけど、 信じてる事だって……、信じていたい事だってあるんだ。 「梓……。きっとさ……。 今の私が何を言っても、おまえの不安を消してはやれないと思う。 私は人を支えてあげられるタイプじゃないだろうし、 誰かの不安を消してあげられるくらい頼り甲斐のある部長でもないんだ。 逆に皆に支えられてばかりだしさ……」 やっと見付けた言葉が私の口からこぼれ出る。 でも、これは梓の耳元に囁いてはいるけど、梓だけに聞かせてる言葉でもなかった。 これは自分に言い聞かせてもいる言葉だ。 願いみたいなものだった。 祈りみたいなものだった。 私の胸の中で、梓は私の言葉を震えながら聞いている。 その震えを止めてやれる自信はない。 今の私に梓を安心させてあげる事はできないだろう。 私の気持ちを上手く伝える事もできないかもしれない。 でも……。 「でもさ、梓……。 こう言われるのは迷惑かもしれないけど、 私の勝手な勘違いかもしれないけど、一つだけ思い出してほしい事があるんだよ。 なあ、梓。 キーホルダーを失くしちゃった事は、梓も辛くて不安だったんだろう。 もっと早く気付いてやれなくて、悪かった。 私はさ……、こう言うのも情けないんだけど、 あんまり梓が私と目を合わせてくれないもんだから、梓に嫌われちゃったんだって思ってた。 それが不安で辛くてさ……、それで梓と話す勇気が中々持てなかったんだよな」 私の言葉を聞くと、腕の中の梓の震えが大きくなった。 その震えは不安が増したってわけじゃなく、自分の行為をはっと思い出したって感じだった。 「そんな……。そんな風に思われてたなんて……。 でも……、思い出してみたら、そう思われても仕方ない事を私は……。 すみません、律先輩! 私は律先輩の事を……、嫌いになってなんか……」 「いいよ」 言って、私はまた腕に力を込めて梓を抱き締める。 今話すべきなのは、梓が私を嫌ってるかどうかじゃない。 嫌われてたって、疎まれてたって、 それでも梓の悩みを晴らしてあげるのが、私のなりたい『自慢の部長』だと思うから。 勿論、梓に嫌われてなかったのは嬉しいけどな。 本当に泣き出してしまいそうなくらい嬉しいけど、それを噛み締めるのはまだお預けだ。 「いいんだよ、梓。その言葉だけで私は十分だよ。 キーホルダーを失くして、梓がそんなに不安に思ってくれたのも嬉しい。 キーホルダーを失くした自分が許せなくて、必死に探してたんだろうって事も分かる。 こんなにやつれちゃってさ……、こんなになるまで……。 キーホルダーを失くしたからって、私達がおまえから離れてくって思ったのか?」 「いいえ……、そんな事考えてなんか……。 でも……、でも……、ひっく、そんな事あるはずがないって思ってても……、 心の何処かで考えちゃってたのかも……しれません……。 先輩達を信じてるのに、だけど……、夜に夢で見ちゃうんです……。 キーホルダーを失くした私の前から……、先輩が離れていく夢を……。 そんな……、そんな自分が、嫌で、本当に嫌で……。 うっ、ううっ……!」 梓の涙がまた強くなる。 もしもの話だけど、キーホルダーを失くしたのが『終末宣言』の前なら、 梓はこんなにも不安にならず、涙を流す事も無かったんじゃないだろうか。 世界の終わりっていう避けようがない非情な現実。 誰だってその現実に大きな不安を感じながら、それをどうにか耐えて生きている。 普段通りの生活を送る事で、世界の終わりから必死に目を背けたり。 秘密にしていた事を公表する事で、別の非日常の中に身を置いてみたり。 そんな風に何かを心の支えにしながら、どうにか生きていられる。 梓の場合は多分キーホルダーがそれだったんだと思う。 小さいけれど、目にするだけで私達の絆を思い出せるかけがえの無い宝物。 それを失くしてしまった梓の不安は、一体どれほどだったんだろう。 私も自分が世界の終わりから逃げてる事に気付いた時は、吐いてしまうくらいの不安と恐怖に襲われた。 その時の私はそれをいちごや和に支えてもらえたけど、 梓はずっと一人でその不安に耐えて、自分を責め続けていたんだ。 こんなにやつれるのも無理もない話だった。 小さい事だけど、きっと私達はそんな小さい事の積み重ねで生きていられる。 小さい物でも、失ってしまうと不安で仕方なくなるんだ。 だけど、不安になるという事はつまり……。 「なあ、梓。 話を戻させてもらうけど、一つだけ思い出してほしい」 「は……い……?」 「軽音部、楽しかったよな? そりゃ普通の部とはかなり違ってたと思うけど、でも、すごく楽しかったよな?」 「あの……?」 「私は楽しかったよ。 ムギのおやつは美味しいし、ライブは熱かったし、楽しかった。 唯は面白いし、澪は楽しいし、ムギはいつも意外な事をやってくれるしな。 二年になって梓って生意気な後輩もできた。 楽しかったんだよ、本気で……。 軽音部、楽しかったよな……? 楽しかったのは、私だけじゃ……ないよな……?」 私の言葉の勢いが弱まっていく。 その私の姿を不審に思ったんだろう。 梓が少しだけ自分の腕を動かし、私の背中を軽く撫でてくれる。 「律先輩……? 急に何を……?」 「ああ、ごめんな……。ちょっと……さ。 梓はどうだったんだろうって思ってさ……」 「私……ですか……?」 「私ってさ、結構一人で空回りしちゃう事が多いだろ? 部長としても、役不足だったと思うし……。 でも、楽しかった事だけは、本当だったって信じてる。 ……信じたいんだ。それだけは譲りたくないんだ。 だから、梓に思い出してほしいんだよ。 軽音部が楽しかったのかどうかを。私達のこれまでを。 今の私に梓の不安を消し去ってあげる事はできないと思う。 梓の不安を消せるのは梓だけだし、私にできるのはその手助けだけだ。 それも、その手助けができるのは今の私じゃなくて、梓の中の昔の私だけだと思うんだよ」 「昔の……律先輩……?」 「これまで私が梓に何をしてあげられたか。 梓をどれだけ楽しませてあげられたか……。それを思い出してほしい。 自信なんてこれっぽっちも無いけど、ほんの少しでも手助けになればいいと思う。 なってほしいと思う。 私じゃ役不足だと思うなら、私以外とのこれまでを思い出してくれ。 澪やムギ、唯と過ごしてきたこれまでの自分を思い出してくれ。 そうすれば……、少しはその不安も晴れるんじゃないかって……、思うんだ……」 今の私に梓の不安を晴らすだけの力が無いのは、すごく無念だ。 やっぱり私は、梓にとっていい部長じゃなかったんだろう。 だけど、梓と笑い合えたあの頃の事は嘘じゃなかったはずだ。 梓も楽しんでくれていたはずだ。 私はいい部長ではなかったけど、いい友達としては梓と関係してこれたはずだ。 そのはずなんだって……、信じたい。 不安な自分を奮い立たせるのは、自分の中のかけがえのない過去。 今の自分を作り上げた誰かと積み重ねてきた楽しかった思い出だと思うから。 私は梓にもそれができると信じるしかない。 それができるくらいには、私は梓と信頼関係を積み重ねてこれたんだって信じるしかない。 そもそも不安や罪悪感ってのは、そういうもののはずなんだ。 楽しかったから、かけがえがないものだから、失うのを不安になってしまうんだ。 失ってしまった自分に罪悪感を抱いてしまうんだ。 失くすものが無ければ、大切なものが無ければ、不安なんて感じるはずがない。 それを梓が気付いてくれたなら……、 いや、気付いてはいるだろうけど、心から実感してくれたなら……。 その涙を少しは拭う事ができるかもしれない。 私は小さな身体で小さな梓を強く抱き締める。 それは小さな私にできる世界の終わりへの小さな反抗でもあった。 まだその日が来てもいないのに、世界の終わりってやつは色んな物を私達から奪おうとする。 小さなものから取り囲んで奪い去っていく。 そうはいくもんか。 もうすぐ死んでしまうとしても、それまでは何も奪わせてやるもんか。 過去も、現在も、未来だって、奪わせてなんかやらない。 私から、梓を奪わせたりしない。 不意に私の腕の中の梓が震えを止めて、小さく言った。 「そうですね。 律先輩じゃ役不足ですよ」 一瞬、頭の中が真っ白になった。 梓じゃなくて、私の身体が震え始める。止められない。 全身から何かを成し遂げようとしてた気力が抜けていくのを感じる。 駄目だった……のか……? 私じゃ、梓のいい部長どころか、いい友達にもなれなかったってのか……? 私の小さな反抗は脆くも崩れ去ったってのか……? 信じたかった私の思い出は、全部無意味だったのか……。 梓は別に私を嫌ってはいなかった。 でも、力になってやれるほど、私は信頼されてもいなかったんだ。 抱き締めていた梓を、私の胸から解放する。 もう私に抱き締められる事なんて、もう梓は求めないだろう。 私には梓の不安を晴らしてやれないし、涙も止められないし、震えも治められない。 私は梓に……。 信じさせたかった。 信じられたかった。 信じていたかった。 でも、もう私は……、私は……。 身体を離したけれど、私はそこにいる梓の顔を見る事ができない。 その場から逃げ出したくなる。 もうこの場には居られない。 「梓、ごめ……ん……」 喉の奥から絞り出して言って、 振り向きもせずに逃げ出そうとして……。 そんな私を華奢で柔らかい何かが包み込んだ。 何が起こったのか、数秒くらい私には分からなかった。 梓に抱き締められたんだって気付いたのは、それからしばらく経ってからの事だ。 私は私が梓にしたように、頭から胸の中に強く抱き留められていた。 「あず……さ……?」 何も分からなくて、間抜けな声を出してしまう。 ただ一つ分かるのは、抱き締められる一瞬前、梓が笑っていた事だった。 涙が止まったわけじゃない。 涙を止められたわけじゃない。 でも、梓は笑っていた。泣きながら、笑っていたんだ。 今梓の胸の中にいる私にとっては、もう確かめようもない事だけど……。 「ありがとうございます、律先輩……。 こんな面倒くさい後輩なのに、こんなに大切に思ってくれて、 私、嬉しいです」 「でも、梓、おまえ……。 えっと……、私を……」 言葉にできない。 梓の真意が掴めなくて、曖昧な言葉しか形にできない。 梓が明るい声を上げた。 「もう……、律先輩ったらこんな時にもいつもの律先輩で……。 真面目な話をしてるのに、普段通りのいい加減で大雑把な律先輩で……。 そんな律先輩を見てると……、何だか私、嬉しくなってきちゃうじゃないですか。 不安になってなんか、いられなくなっちゃうじゃないですか……」 「大雑把って、おまえ……。 いつもはともかく、さっきまではそんな変な事言ったつもりは……」 「もう一度、言いますよ。 律先輩は役不足です。 私の不安を晴らす役なんて、律先輩には役不足過ぎます」 「だから、そんなはっきり言うなよ……」 少しやけくそになって、吐き捨てるみたいに呟いてみる。 梓が明るい声になったのは嬉しいけど、そこまで馬鹿にされると釈然としない。 でも、梓はやっぱり明るい声を崩さなかった。 「ねえ、律先輩? 役不足の意味、知ってますか?」 「何だよ……。 その役を務めるには、実力が不足してるって事だろ……?」 「もう、やっぱり……。 受験生なんだから、ちゃんと勉強して下さいよ、律先輩。 役不足って、役の方が不足してるって意味なんですよ?」 「役の方が不足……って?」 「もういいです。これ以上は家で辞書で調べて下さい」 「何なんだよ、一体……」 「とにかく……、ありがとうございます、律先輩……。 私……、嬉しかったです。 律先輩との思い出……、思い出してみるとすごく楽しかった。 軽音部に入ってよかったって、思えました……」 まだ梓が何を言っているのかは分からない。 でも、梓の声が明るくなったのは何よりで、私の方も嬉しくなった。 梓の変な言葉も、まあ、いいか、と思える。 私の小さな反抗は、少しだけ成功したって事でいいんだろうか。 今の私も、過去の私も、結局は梓の涙を止める事はできなかった。 でも、少なくとも笑顔にしてあげる事はできたみたいだった。 それだけでも今は十分だ。 ……役不足の意味は、後で純ちゃんにでも聞いてみる事にしよう。 24
https://w.atwiki.jp/mangaroyale/pages/188.html
小さな死 ~ La Petite Mort ~ ◆6YD2p5BHYs 「ふぅ…………」 窓から吹き込む穏やかな風が、厚いカーテンを静かに蠢かせる。 気だるい午後の日差しが、カーテンの動きに合わせて揺らめく光の波を形作る。 適当に選んで侵入した民家の寝室、夫婦のものらしきダブルベッドの上で、斗貴子は艶っぽい溜息をついた。 やわらか過ぎるスプリングマットの上、指1本持ち上げるのも億劫、といった風で、額に貼りついた前髪を払う。 あまりに多くのことが、ありすぎた。 激情だけで突っ走ってきた斗貴子にも、流石に限界が来ていた。負った傷も深過ぎた。 夢と現の狭間で、彼女はぼんやりとこれまでの出来事を反芻する。 カズキと共に、殺し合いの舞台に放り込まれた。 カズキとは、生きている間にはとうとう再会できなかった。 カズキの死が告げられた。 カズキの死体を見せつけられた。 カズキの死体を嬲られた。 カズキの死体から核鉄を取り出した。 カズキの死体が破壊された。 カズキの死体を投げつけられた。 カズキの死体を串刺しにしてしまった。 カズキの死体が爆散した。 カズキの死体に吹き飛ばされた。 カズキの死体が目の前で消滅した。 カズキの核鉄さえも奪われかけた。 そして、厳しい戦いの中でなんとかカズキの核鉄を取り返し、今、こうして一緒にいる。 カズキを蘇らせるための戦い、その中途で体力の回復を図っている。 「だけど……足りない。足りないんだ」 化粧っ化の無い薄桃色の唇から漏れたのは、どこか悔しそうな呟き。 最愛のカズキを蘇らせるには、自分が優勝するしかない。なのに、これまでの戦績と来たらどうだ。 開始直後の混乱の中、最初に出会ったピエロとは戦いにもならなかった。花山薫が庇ってくれねば死んでいた。 錬金の戦士としての厳しい訓練の日々も、範馬勇次郎の圧倒的な暴力の前には何の役にも立たなかった。 カズキから得た武装練金を手にしても、吉良吉影には敗北に近い痛み分けに持ち込むのが精一杯だった。 そしてしまいには、カズキを殺したとおぼしき赤木しげるにも、傷1つつけられずに逃げられてしまった。 こんな調子では、とてもではないが優勝など望めない。 強者同士が潰しあってくれれば漁夫の利も狙えるかもしれないが、果たしてそこまで上手く行くものかどうか。 いや、これまでのことを考えれば、あまりに虫の良すぎる願いと言ってもいいだろう。 斗貴子は、改めて現状を確認する。 「……足りない。 想いを貫き通すには……力が、足りない」 左手で核鉄を頭上にかざすように持ち上げ、斗貴子は憂いに満ちた呻き声を漏らす。 彼女に残された力は、カズキの遺品であるこの核鉄1つきり。 あとは何一つ残っていない。彼女自身の肉体さえも五体満足ではない。 右手は吹き飛び、全身に火傷を負い、頭にはナイフまで刺さっていた。 この民家に侵入した際、手近にあったもので大雑把な応急処置はしたが、とても十分な治療とは言えない。 新たな戦闘力の獲得どころか、斗貴子が元々持っている力の発揮すら困難な状況である。 これでは、またさっきのように敗れてしまう。 これでは、またさっきのように核鉄をも奪われてしまう。 これでは、またさっきのように『カズキ』を喪ってしまう。 核鉄とカズキを同一視する自分の思考の歪みに気づくこともなく、斗貴子は顔を歪ませる。 「カズキ……カズキ……。私は、どうすれば……。どうすれば、君のように……!」 誰にも見せたことのない弱々しい表情、弱々しい声で、斗貴子は核鉄に語りかける。 想い人である武藤カズキは、最初はとても弱かった。戦闘技術も体力も、共に不足していた。 けれどもその魂だけは、最初からとても強かった。 絶望的な戦力差があっても、絶望的な状況に追い込まれても、決して諦めようとはしなかった。 斗貴子が諦めかけてしまった時も、彼だけは最後まで諦めなかったのだ。 この1日で散々に自信を打ち砕かれた斗貴子は、カズキの幻の向こうに自分の求める「強さ」を見る。 「私は、弱い……。私は、こんなにも、弱かったんだな……! カズキ、どうすれば。 どうすれば私も、君のように強い『心』を…………………………あ?」 稲光のように、ある考えが脳裏に閃く。 とりとめもなく呟いていた唇が、唐突に動きを止める。 遥かな過去の思い出を彷徨い、甘美な自己憐憫に溺れていた思考が、一瞬にして凍りつく。 そう。 斗貴子は、思い至ってしまったのだった。 その、方法を。 歪みきった愛情の果てにある、ひとつの究極のカタチを。 一瞬呆けたような表情を浮かべた斗貴子は、そしてやがて、ゆっくりと満面の笑みを浮かべる。 もしも誰か見る者がいればゾッとしたに違いない、壊れきった笑みを。 「そうか……簡単なことじゃないか。なんで気付かなかったんだ。 カズキ。君と、1つになってしまえばいいんだ」 * * * しゅるり――。 窓から吹き込む穏やかな風が、厚いカーテンを静かに蠢かせる。 気だるい午後の日差しが、カーテンの動きに合わせて揺らめく光の波を形作る。 侵入した民家の、夫婦の寝室とおぼしきダブルベッドの側で……斗貴子は、ゆっくりと上着を脱いでいく。 微かな衣擦れの音が、分厚いカーペットに吸い込まれ、消えていく。 「――ひょっとしたら、こんなことに意味は無いのかもしれない。 多くのものを失うだけで、私の自己満足にしかならないのかもしれない。それでも……!」 誰が見ているわけでもない薄暗い部屋の中、それでも言い訳じみた呟きを吐きながら、頬を染める。 カズキが妙に執心していた、綺麗なヘソ。美しくくびれたウェスト。小振りながら形のいい乳房。 火傷を負い、無数の掠り傷を負っていても、そのシルエットまでは失われていない。 上半身裸となった斗貴子は、己の胸に手を当てて深く深呼吸する。 自ら望み、自ら決めたこととはいえ、これからやろうとすることを考えると、思わず動悸が激しくなる。 不安。恐怖。そして――間違いなくその先に待っているであろう、歓喜の予感。 「…………武装、錬金」 逸る気持ちを抑え、歌うような呟きに応じて出現したのは、処刑鎌の武装錬金、ではなく、1本の槍。 武藤カズキの命であり、象徴であり、彼そのものを体現した存在でもある、山吹色の光を放つ突撃槍(ランス)。 改めてこうして見れば、堅く、真っ直ぐで、力強い金属塊。武藤カズキの精神を具現化したような存在。 斗貴子は慈しむかのように抱き寄せる。剥き身の槍を裸の胸に埋め、頬を摺り寄せる。 「こんなことをするのは、その、いうまでもないだろうが、初めてなんだ。 きっと、痛くて、苦しくて、ひょっとしたら泣いてしまうかもしれないが……最後までやり遂げさせてくれ。 カズキ……臆病な私に、勇気をくれ……!」 まるで槍そのものが恋人自身であるかのように、斗貴子は潤んだ瞳で語りかける。 槍を抱きしめたまま、彼女はその身をベットに沈める。 横たわり、槍を持ち上げ、角度と位置を調整しながら、自分の身体に押し当てる。 そのまま、しばらく逡巡。 ゴクリ、と喉が鳴る。 今ならまだ無かったことにもできるぞ、と、頭の片隅で甘く囁く声を無理やり振り払う。 数秒の後、ようやく覚悟を決めた斗貴子は、両目をギュッと瞑ると、そろりそろりと槍を手繰り始める。 (少女は自分の胸に槍を押し当てている。左胸に、自らその切っ先を当てている) つぷっ――。 「――んぁッ!!」 尖端が、斗貴子の身体に侵入を開始する。 武藤カズキそのものを象徴する存在が、無理やりに斗貴子の身体を押し広げ、肉を掻き分け、突き立てられる。 覚悟していた痛みとはいえ、思わず小さな悲鳴が漏れる。 生まれて初めて味わう種類の痛み。文字通り身を裂くような痛み。 動きの止まったサンライトハートと斗貴子が繋がっている場所から、つぅぅっ、と血が溢れ出す。 「だ……大丈夫だから。むしろ、ゆっくりの方が、い、痛くて、こ、怖いかも……。 はは、は……な、何言ってるんだろうな、私は……。私が、望んだ、ことなのに……!」 明らかに強がりにしか聞こえぬ独り言を呟く。声が震える。想像以上の激痛に、斗貴子の目から涙が零れる。 もう、ここまで来たら引き返せない。もう、今さら戻れない。 折れそうな心を、必死で奮い立たせる。浅く荒い息をつきながら、斗貴子は奥歯をギュッと噛み締める。 強い想いが、激痛を快感に変換する。強烈な愛が、苦痛の向こうにあるはずのモノを求めさせる。 槍が進むにつれ、自分の大事なものがブチブチと壊されていく感触。 圧倒的な喪失感と、破滅の予感と、それすらも上回る達成感、満足感、充足感。 斗貴子の頭の中はもうとっくにグチャグチャだ。息も絶え絶えになりながら、それでも彼女は彼を求める。 「構わないから、一気に、最後まで来てくれ、カズキッ……!!」 (少女の胸に槍が刺さっていく。明らかに致命傷になるであろう傷を穿ちながら、刺さっていく) ずぶっ。ずぶずぶっ。 「――――――ッ!!」 涙と涎と鼻水と汗と、ありとあらゆる体液を撒き散らしながら、斗貴子は声にならない絶叫を上げる。 ばたん、ばたんと跳ねる足がベッドを叩く。 取り返しのつかない一線を越えたサンライトハートが、それでも勢いを止めることなく突き進む。 視界がチカチカする。脳裏が真っ白に染まる。一気に登りつめていく。 自分が自分でなくなってしまうような恐怖、そして高揚感。新たな世界の扉が開かれていくという確信。 身体の奥底で、熱い体液がブチまけられる。命そのものである液体が迸る。 串刺しになった格好の斗貴子は、そして白目を剥き、大きく仰け反りながら、 (少女の胸を槍が貫く。少女の胸板を槍が貫通する。 胸の中央やや左より、生命にとって最も重要な臓器を、完膚なきまでに破壊する) 「カズ、キ――!」 愛する者の名を叫びながら、津村斗貴子は、逝った。 逝って、果てて、逝き果てて――それまでの「津村斗貴子」は、ここで死んだ。 武藤カズキと文字通り一体となって、逝き、果てた。 * * * 窓から吹き込む穏やかな風が、厚いカーテンを静かに蠢かせる。 赤く染まり始めた夕陽の日差しが、カーテンの動きに合わせて揺らめく赤い波を形作る。 先ほどと同じ、寝室の中――そんな光景を静かに眺める人物が、確かにいた。 幽霊でも、ゾンビでもなく、確かに呼吸する生きた人間が、そこにいた。 目を覚ました斗貴子は、血や汗やその他もろもろでグチャグチャのベッドの上、それでも小さく笑う。 どれほどの時間、気を失っていたのか。 新しい『命』を得て生まれ変わった彼女は、実に楽しそうに、実に嬉しそうに、笑う。 「…………ふふふっ。ああ、すごく痛かった。けど……少しだけ、気持ちよかったよ。 もう、私には怖いものなんてない。いや、『私たちには』、と言うべきかな、カズキ。 だって、君と私はこうして身体を重ねて、本当に『1つ』になったのだから……!」 熱っぽい目で語る斗貴子の視線の先には、もう突撃槍は無い。核鉄も無い。何も無い。 それでも、虚空に語りかける斗貴子に不安の色はなく、溢れんばかりの幸せに満ちている。 傷ひとつない裸の胸に毛布をかけただけの姿で、穏やかに微笑んでいる。 そう、要するに彼女がやったことは、かつて彼女が武藤カズキに施した施術の乱暴極まりない再現。 つまり、喪われた心臓の代わりとして核鉄を埋め込む、あの施術である。 ヴィクターを生み出し、カズキをヴィクターⅢにしてしまった、あの施術である。 心臓の代わりにサンライトハートを取り込んだ、あの状態。 あれを自分の身で再現できれば、自分も『カズキと同じ』になれる。『カズキと一体』になれる。 『カズキの心(ハート)』を取り込み、『カズキのようになれる』――!! 狂乱と悲嘆、敗北と絶望の果てに斗貴子が導き出した狂気の答えが、そこにあった。 しかし、斗貴子には彼女自身の心臓がある。傷ひとつない、健康な心臓がちゃんとある。 これでは核鉄を埋め込めない。元ある心臓と重ねて埋め込んでも、『同じ』にはならない。 ではどうするか。 答えは単純明快、たった1つ。その心臓が、無くなってしまえばいい。 ゆえに津村斗貴子は迷うことなく。サンライトハートの切っ先を用い、自らの心臓を破壊したのだ。 まさに暴挙。まさに自殺行為。 決死の覚悟どころか、一度完全に『死ぬ』ことを前提とした行動。 上手くいく保障などどこにもない。正気の人間なら絶対に選ばないような、最悪の選択肢。 そして、完全に絶命する寸前、武装解除した核鉄を傷口に押し込んだところで、とうとう耐え切れなくなって失神。 目が覚めた時には……彼女の望んだ世界が、待っていた。 全力疾走をした後のような倦怠感が、全身を包んでいる。 あれだけ乱暴な施術を行ったのだ、いくらしろがねの身体になっていても消耗は激しい。 胸に開けた傷口こそ核鉄の力で塞がったが、本格的に動き出すにはもうしばらくの休息が必要だろう。 できればシャワーも浴び、服も洗っておきたい。今の斗貴子の状況は、色々と最低ではある。 手持ちの戦力はほとんど変化しておらず、むしろ心臓と核鉄を兼ねることで武装練金が弱点にもなってしまった。 ヴィクター化でパワーアップする望みもない。白い核鉄による処置を受け、もうその忌まわしき力は残っていない。 メリットといえば、せいぜいが待機状態の時に手ぶらになれることくらい。 なんらかの手段で戦力の強化を図らねばならない現状に、変わりはない。 それでも、斗貴子は幸せだった。 先刻までの不安は全て消し飛び、代わりに暖かなものが彼女の中を満たす。心の底から力が湧き出してくる。 もうこれで、核鉄(カズキ)を奪われる心配はない。 もうこれで、核鉄(カズキ)を傷つけられる心配もない。 核鉄(カズキ)は斗貴子の中にいて、これからもずっと共にある。 核鉄(カズキ)が居れば、もう何も怖くない。 核鉄(カズキ)が居れば、もう何が起こっても諦めることなく進むことができる。 核鉄(カズキ)さえ居れば、もうあとは何もいらない。 斗貴子は自らの胸に手を当てる。 1人きりのベッドの上、かつて彼に向かって誓ったあの言葉を再び口にする。 輝かんばかりの幸せを纏いながら。溢れんばかりの幸せを、噛み締めながら。 そして――ドブ川のようにどんよりと濁った瞳をしたままで。 「 カズキ。君(サンライトハート)が 死ぬ(こわれる) 時が、私が死ぬ時だ。 君と私は、今度こそ本当に、一心同体だ……!! 」 窓から吹き込む穏やかな風が、厚いカーテンを静かに蠢かせる。 赤く染まり始めた夕陽の日差しが、カーテンの動きに合わせて揺らめく赤い波を形作る。 銀髪のスカーフェイスは、これからの戦いのことを考え、小さく微笑んだ。 【F-3 民家の中/1日目 夕方】 【津村斗貴子@武装錬金】 [状態]:しろがね化、心臓代わりに核鉄、精神崩壊、判断力低下(本人は正常だと思っている)、あふれる多幸感 右手消失、全身大火傷、頭部に刺し傷 (核鉄としろがねの力で回復中) [装備]:核鉄(サンライトハート・待機状態・胸の中)@武装錬金 [道具]:なし [思考・状況] 基本:最後の一人になり、優勝者の褒美としてカズキを蘇らせる。 1:とりあえずもう少し休んで回復を図る。 2:可能ならば、なんらかの手段で戦力の増強を図る。 3:強者との戦闘は極力避け、弱者、自動人形を積極的に殺す 4:アカギ、吉良、勇次郎、軍服の男(暗闇大使)は最終的に必ず殺す。アカギは特に自分の手で必ず殺す。 ※全身に酷い火傷を負っており、右手も消失と、かなりの重傷です。 ※セーラー服はボロボロに焼け焦げており、所々に穴が空いています。 ※軍服の男(暗闇大使)は参加者の一人だと勘違いしています ※斗貴子が飲んだ液体は生命の水(アクア・ウィタエ)です また斗貴子は生命の水の事は知らず、只の治療薬の一種と思っています ※しろがねとなったため、身体能力、治癒力が向上しています また斗貴子はまだその事に気付いていません ※核鉄の異変に気づきました ※アカギがカズキを殺した張本人だと、思っています。 ※自ら自分の心臓を破壊し、核鉄(サンライトハート)を心臓の代わりとして埋め込みました。 そのため核鉄やサンライトハートが壊れると確実に死亡します。 既に「黒い核鉄」に「白い核鉄」を使用した後なので、ヴィクター化する可能性は皆無です。 150 地獄の季節 投下順 152 【裏】貴重な貴重なサービスシーン 150 地獄の季節 時系列順 153 一歩進んで 149 大乱戦 津村斗貴子 163 二人の女、二人の愛
https://w.atwiki.jp/sweetmel/pages/54.html
「退屈だ」 赤い布張りのソファに深々と腰をかけ、行儀悪く足をぶらぶらとさせる少女を、アドリアンは無言で見下ろした。 金色の巻き毛は蜂蜜色に輝き、太陽を知らぬ白い肌は陶磁器のように滑らかだ。 夢のように完璧な桃色の頬と、紅をさしたわけでもなく紅く光るくちびる。 白いブラウスに黒いふわりとしたワンピース、細部にわたるふんだんなレースが、 少女の可憐さを最大限に引き出している。 まるで御伽噺のように美しい小さな主人は、その柳眉を小さく逆立てて苛立ちを従者にぶつける。 「何か面白いことはないのか」 「――ございません」 冷静に答えるアドリアンを、少女は不満たっぷりに仰いだ。 「何か提案をするのが、お前の仕事ではないのか?」 「では、紅茶などいかがですか」 「いらん。どうせなら血が欲しい」 そうか、と嬉しそうに少女が顔を輝かせた。 「出かける」 「いけません」 「……お前は、私を空腹で殺す気か?」 「あなたは空腹でなど死ねないでしょう。それに、20日前にたっぷりとお吸いになったはずです」 「ふん、あんなぶさいく」 「ジル」 とがめるようなアドリアンの言葉に、ジル・ジリッドは一瞬だけバツの悪そうな顔をして すぐに尊大な態度に戻る。 「美しいヒトの血でなくては、私の腹は満たされん」 「十分に美しい女だと、私は思いましたが?」 「なんだ、ああいうのが好みなのか」 「…………個人的嗜好は持ち込んでおりません」 「ふむ。……ここへ座れ、アドリアン」 ジルがぽんと自分の隣を叩く。 不機嫌な彼女に逆らうとろくなことにならない。 室内の調度や食器が壊されないうちに、大人しくそこへ腰を下ろす。 「言っておくがな、あんな頭の悪そうな女はよくない。子宮でものを考えるタイプだぞ。 清楚なナリをして、処女じゃないどころか色んな男の血が混じった味がした」 「ジル、お言葉にご注意を。ラインハルト様がお聞きになったら悲しまれます」 「…………ラインハルトじゃなくて、お前の話をしているんだ」 いつかろくでもない女に捕まるぞ、と幼い外見に不似合いな物言いで、 ジルはアドリアンに鬱屈をぶつける。 もうすでに捕まっている、と小さな主人に伝えようか逡巡している間に、 よいしょと声がして腰の上に軽い身体がよじ登ってきていた。 アドリアンの足にまたがるようにのしかかり、向かい合わせになった。 ジルの身体が、落ちてしまわないように背に手を回す。 「ジル?」 「大体な、どうして女ばかりなんだ。たまには少年をつれて来い」 「おや、女の柔らかな皮膚にその牙をつきたてる瞬間が悦楽であると、ラインハルト様はおっしゃっていましたが」 「だとしてもだ。いちいちお前の好みを見せ付けられているようで不愉快だ。 いつも胸の大きな女ばかりだと、私が気が付いていないとでも思っていたか。 この姿から成長ができぬ私へのあてつけか?」 人形のように無表情な美貌が、恐ろしく近くにある。 紅い双眸が怒りとも悲しみともつかぬ光をうかべ、じっとアドリアンの瞳を覗く。 「あぁなるほど。嫉妬していらしたのですね」 「……馬鹿かお前は」 「大丈夫、あなたがこの世で一番お美しい。ジル以上の美貌など、有り得ない」 「おべんちゃらは結構だ」 暴れて飛び降りようとしたジルの小さな身体を、更に強く抱きとめた。 「離せ馬鹿者」 「……あなたが、私以外の男の口や首元にその美しいくちびるを寄せ、 この輝く巻き毛が私以外の身体に落ちる一部始終を拝見しなくてはならぬ従者の気持ちを、 汲み取ってはくださらないのですか?」 「……………………お前はいちいち回りくどい」 「いいじゃありませんか、なにせ時間は無限にあるのですから。 空腹を、満たされますか?」 「……お前で我慢してやる」 さぁくちづけを、と促すより前に、細い両腕が首にからみつき、紅いくちびるがそっと触れた。 義父ラインハルトに間違った知識を植え付けられたジルは、血を吸う前にその者のくちびるを奪う。 百歩譲って女性とのくちづけは目を瞑ろう。 絵に描いたような美少年(でないとジルは見向きもしない)とジルの口付けなど、想像しただけで腹立たしい。 ふわりとした巻き毛ごとくびすじを固定し、ジルのあまいくちびるをそっと噛んでぺろりと舐めた。 小さな身体が腕の中でびくりと震える。 舌を浚って呼吸を奪うように吸い上げた。 さぁもう少し、と角度を変えたところで、もういいだろうと言わんばかりに身をよじってジルは口付けから逃れる。 ふうと息を整えて、何も言わずに彼のタイをゆるめ、シャツのボタンがぷちんと外された。 主人と生活を共にするため、こちらも真っ白な鎖骨が外気にさらされる。 少女はふっと笑って、ふわりと可憐なくちびるをアドリアンのくびすじに落とした。 細い牙が肉と血管に食い込む。 通常の人間なら苦痛でしかないその行為は、ヴァンパイアとの血の契約を結んだアドリアンに一種の快感を与える。 背に回した両腕に知らず知らず力がこもる。 快感に飲み込まれたためか、愛しさからか。どちらにしろ本能だ。 幾度かごくりと音を立てながら、ジルはアドリアンの血液を飲み込んだ。 強すぎる刺激から開放され、ほうと息をついたアドリアンをジルのしかめっ面が覗き込む。 彼の血に濡れたあかいくちびるが不愉快そうに動いた。 「神聖な食事だぞ。興奮するなどけしからん」 ちょうど膨れ上がった自身が、ジルの秘部に触れている。 アドリアンは悪びれず微笑んだ。 「まぁせっかくなので、長い夜を有意義に過ごしましょう」 真っ赤に濡れたくちびるをぺろりと舐める。 ジルはふるりと身を震わせたが、嫌がるそぶりは見せない。 「……………………お前で、我慢してやる」 それはどうも、と言いかけたくちびるを、今度はジルのほうから塞ぎにかかった。 ** 「……っは、ぁ……んっ……」 くちづけが深くなる度に、少女――ジル・ジリッドの息が徐々に荒くなる。 思い通りの反応に、アドリアンの気分はどんどんよくなった。 いささか乱暴に、黒いワンピースのバックリボンを解き、ブラウスのボタンを外して肩からすべらせた。 露になった白い肌に、感嘆のため息を漏らす。 陶磁器のような肌はいつもながらに美しい。 よくもまぁ、こんなに完璧なものがこの世に存在するものだ。 感激を表すように耳朶に甘く噛み付いて、そのまま湿ったくちびるを首筋へと滑らせる。 肩の辺りでぴたりと止めて、食事の仕返しとばかりに軽く歯を立てた。 「……ッ!」 牙のないアドリアンの歯では、少女の白い肌に赤い痕を残す程度が精一杯だが、それでもジルは痛みを覚えたらしい。 小さく声にならぬ息を漏らして、アドリアンの肩に置いた手に力を込めて拒否を示す。 意にも介さず、音を立てて吸い付いた。 薔薇のように赤い痕が、白い肌に映った。 はだけたブラウスをするりと腕から抜き取る。 かすかに膨らむ乳房を包むように下から揉み上げた。 アドリアンの手のひらに、少し足りぬ程度の大きさを彼は気に入っていたが、口に出した事はなかった。 主の興奮を反映させるかのように桃色に色づき、僅かに硬くなり始めた先端をそっと指先で嬲ると、 ジルの身体がぴくんと震えた後に諦めたように大人しくなった。 腰に回した手のひらで、露になった背を上下に撫でる。たったそれだけで、ジルの身体がますます熱くなる。 熱くなりすぎた身体をもてあまし、催促をするように小さな手がアドリアンの頬に、あごに、首筋に触れ、そっと撫でた。 先ほどジルが噛み付いた双牙の痕に触れたところで、その動きをぴたりと止める。 爪の先でぐいと押されて、痛みにアドリアンの身体がぴくりと震えた。 顔を上げて視線をぶつけると、勝ち誇ったようなジルの美貌が間近にある。 すっとアドリアンは目を細めた。 「…………いけない子ですね」 肩に触れる白薔薇の手をぎゅっと握る。 ジルの玻璃のような赤い双眸が、僅かに驚愕の色を灯す。 構わずに、攫った両の手首を後ろに回し、片手で一纏めにしてやった。 「アドリアンッ」 叫ぶくちびるを、己のくちびるを重ねて塞ぎ、空いた片手で器用に緩んだタイを外してジルの細い手首にぐるぐると巻きつけていった。 「ぅ……んんッ……」 激しさを増すくちづけの息苦しさに耐えかねて、ジルの肩が大きく上下する。 触れ合ったくちびるの隙間から、両者の熱い吐息が混じって漏れた。 きゅ、と結び終えたところでくちびるを離す。 ジルの潤んだ瞳が、恨みがましくアドリアンを睨みつけている。 抱く時は乱暴にすると決めている。 なんてことはない、ジルが悦ぶからだ。 いつだって、ジルには選択権がある。 火がついてから嫌だと騒ぎ立てるぐらいなら、触れるより前にどこかに行けと命じればいいのだ。 それなのにジルは拒否をしない。 二度と触れるなと指図を受ければ、アドリアンはその通りにするだろう。 だけどジルは、嫌だ止めろと騒ぎながら、最後にはアドリアンを欲しがって宝石のような涙をこぼす。 厳密に言えば、悦びとは少し違うかもしれない。 好きにさせてやっている、とジルに思わせることが大事なのだ。 自分が望んでいるわけではない。 従僕に請われ、仕方なく身体を差し出す哀れなジル。 ラインハルトに立派な言い訳が立つ。 だからジルは心置きなく快楽に酔える。 もっともラインハルトは、ジルがアドリアンに抱かれようと気にも留めないだろう。 そういう男だ。 そんなラインハルトを、ジルは未だに心酔し、敬愛し、追慕する。 もう忘れたと言うような事を軽く口にするが、ラインハルトの褒めた洋服を身に付け、 彼の気に入るように髪を巻き、彼の口調を懸命に真似る。 その度に、動かぬはずの心臓がちくりと痛むのだ。 ラインハルトとは違う方法で、 乱暴に、 深く深く傷をつけるかのように扱わねば、いつまでもジルの心は彼に捕われたままだ。 アドリアンは義父ではない。 間違えてもらっては困るのだ。 何か言いたげにアドリアンを睨むジルに向かって、柔らかに微笑んで軽い身体を抱き上げる。 そのままくるりと向きを代えて、小さな身体を布張りのソファに座らせた。 腰に引っかかったままの黒いワンピースと、その下のパニエを下着ごと軽々と床に落とす。 白い足に残るのは、白いハイソックスと黒いつややかな靴のみだ。 いつまでたっても慣れぬ羞恥に顔を背ける主人の前に、アドリアンは慇懃にひざまずいてジルを見上げた。 「お望みは?」 「……!」 「仰っていただかないと。不快な思いをさせたくありません」 真っ赤に染まった顔を背けたまま、少女は横目でアドリアンを見つめる。 「ジル」 名を呼ぶと同時に、白い足がアドリアンの横顔をめがけて飛んでくる。 難なく受け止め、細い足首にくちづけを落として熱い息を吹きかけた。 「っ、あっ……」 「お行儀が悪いですね」 靴をぽとんと落として、白い靴下に手をかける。 脱がされまいと暴れる足を容易に押さえつけ、するりと脱がせて白い爪先をむき出しにする。 幼くしてヴァンパイアとなったジルの魔力は非常に微弱で、身体も丈夫ではない。 そのため、アドリアンは従僕とは言え簡単にジルを押さえ込むことができる。 通常の、大人の男と少女ほどの力の差があると判っているはずなのに、ジルは抵抗をやめない。 上体を倒して、小さな爪先にくちびるを寄せた。 そのまま親指を口に含み甘く噛み、音を立てて吸い付いた。 「ふっ、アド、リアン!」 足の甲、踝、折れそうなふくらはぎに、ゆっくりと舌を這わせる。 太ももにたどり着いたところで動きを止めて、ジルを見上げた。 ふるふると快感に身を震わせながら、熱をはらんだ瞳でアドリアンを見つめる。 「ご希望は?」 先程までの剣呑さは多少薄れ、期待と、懇願と、諦めの入り混じった紅い双眸を濡らし、ジルは口惜しげに言葉をつむぐ。 「…………続きを……」 「続き? こうですか?」 ぐっと身を乗り出し、存在を主張して硬く張り詰めた乳首を甘噛みする。 「んっ、ちがっ……ひぁ!」 言葉とは裏腹に甘い響きを持った悲鳴を心地よく聞きながら、くねるジルの足に膝を割り入れる。 中央から湧き上がる疼きに耐えかねて、ますます腰を揺らし、頭を左右に振りながら少女はぽろぽろとダイヤのような涙をこぼした。 「アドリアン……っ!」 「……どうなさいました?」 「アドリアンッ、やっ、も……アドリアン!」 「ほらほら、泣かないで。……触れて、欲しいんでしょう?」 汗ばむ額を撫でながら耳元で低く囁けば、子犬のようにすっかり従順な瞳で、ジルは力なく頷いた。 ご褒美とばかりに口付けを落とし、アドリアンは満足げに微笑む。 「差し上げますよ、さぁ足を開いて」 涙が溢れる瞳を見開いて、だけどすぐに諦めたかのように瞼を伏せた。 ゆっくりと、その羽のように白い両足を開く。 「……いい子ですね、ジル」 眼前に現れた花芯はすでに蜜があふれ、刺激を欲しがってひくひくと蠢いている。 長い指で花弁をなぞり、ぴちゃりと卑猥な音が大きく響くように愛撫を始める。 「ぅ、んん……あぁ! やだっ!」 「あぁこんなに濡らして。我慢が出来なかったのですね」 「ちが、う……だめ、あんっ」 もっと、とせがむ様に腰を浮かせ、頭を振りながら言葉にならぬ嬌声を上げる。 それに応じるべく唾液をたっぷりと溜めた舌でぴちゃりと秘肉に吸い付いた。 同時に前置きもなく内部へと指を進入させる。 アドリアンの指に食いつかんばかりに、ジルのそこは収縮を繰り返す。 緩慢に抜き差しを繰り返せば、主の口からさらに大きな悲鳴が漏れた。 逃れようと引ける腰を押さえつけて、執拗にジルを追い詰める。 少女のすべてを征服したようなこの瞬間に、アドリアンは興奮を隠し切れない。 「いやだ………いや、ああぁっ!」 甲高い声と同時にアドリアンを咥え込む秘部の収縮がいっそう激しくなり、やがてジルの身体がぐったりとソファに沈む。 アドリアンは満足げに頷き、ぐるりと内部で指を回し、ジルの身体がびくりと震えたのを確認するとその指を引き抜いた。 「ぁ……ん」 名残惜しげに、ジルは鼻にかかった吐息を漏らす。 肌に張り付くシャツと膨張を圧迫する衣類を脱ぎ捨てて、人形のような裸体をひょいと持ち上げる。 赤いソファにどっかりと腰を下ろし、自身の上にジルを跨がせた。 主人の両手を縛るタイをしゅるりと解く。 手首に残る、極上のワインのような赤い痕に、そっと口づけた。 「…………覚えて、いろよ」 整わない息で、ジルが懸命にアドリアンを睨む。 無論、忘れるつもりはない。 ジルの痴態のすべてを、この身に記憶させるつもりだ。 両手で押さえつけた腰を、ゆっくりと自身に押し付ける。 「はぁ……あ……ッ!」 ぬるり、と少女の秘部に押し入る触覚に、アドリアンは益々身を硬くする。 「あぁっ、アドリアンっ……んん!」 懸命に名を呼ぶ少女の口にそっとくちづけ、 「ほら、どうです?」 余裕を込めて、耳元で吐息を漏らす。 律動を激しくさせれば、赤いくちびるから漏れる声が一層大きくなる。 その声に得も知れぬ充足を得ながら、主と己を満たすためにアドリアンは腰を震わすのだった。 * 青白く輝くジルの顔を覗き込み、目を覚ます可能性の濃い事実にアドリアンは安堵する。 どれだけ肉体の苦痛に苦しみながらも、ジルは己の生命の灯火を消す事は叶わない。 大きな要因はアドリアンが人間にそうさせぬためにジルを守るためと、 彼女を殺す力を持つラインハルトが行方不明であり、 もう一人唯一それが可能なアドリアンに彼女を殺す意思がないからだ。 激しく抱いた後に、ジルは必ず昏睡のように長い眠りに付く。 体力を回復させるための本能だろうが、アドリアンはこのままジルが目覚めないのではないかと毎度不安に駆られる。 一度眠れば、短くとも5日は目を覚まさない。 それは、ラインハルトの帰宅を待ちわびるジルにとって安らぎの一瞬である事も自覚している。 「ジル……可愛いジル」 不安ならば、身体を重ねる事を止めればいいだけだ。 そうできぬ己の弱さも重く身に刻んでいる。 胸の上で両手を重ね、ぴくりとも動かず眠るジルの額に口づけを落とした。 「…………私だけの、……ジル・ジリッド……」 * ぼんやりと意識が覚醒する。 重い身体をゆるゆると起こせば、霞がかった意識に腹心の笑顔が写る。 「おはようございます。よう眠っておられました」 小さく首をふり、意識を失う寸前の情事に思いを馳せる。 「お食事を、なさいますか?」 「…………いらん」 「では、ホットチョコレートなどいかがですか?」 ぶつけた瞳を逸らさぬまま頷くと、従者はほっとしたような安堵の表情を見せる。 すぐに準備いたします、と部屋を出て行こうとするアドリアンに、ジルは声を掛けた。 「アドリアン」 「はい」 白いシャツに黒いタイをきっちりと着込んだアドリアンが、ドアの前で優雅に振り返る。 「さっき、」 ――何か、言わなかったか。 「?」 ――愛とか、なんとか。 胸のうちで纏めた言葉は、思いのほか馬鹿馬鹿しく、ジルは口をつぐんだ。 「いい、なんでもない」 チョコレートと同じ色の髪を揺らして、従者は首を傾げる。 だがすぐに気を取り直したかのように、ジルの嫌いな慇懃な姿勢と微笑を見せる。 「すぐにお持ちいたします」 「…………あぁ」 アドリアンがすぐ、と言ったならば、すでに用意は出来ているのだろう。 本当にすぐに、チョコレートは運び込まれるに違いない。 それまではもう少しまどろみに身を預けようと、ジルは紅い双眸をそっと閉じた。 ++おまえのあいなんて++ 2007/07/10
https://w.atwiki.jp/wrtb/pages/1092.html
いかようにして小さなワニは 原題:How Doth the Little Crocodile 作曲:オリバー・ウォレス* 作詞:ルイス・キャロル* 楽曲:『ふしぎの国のアリス』(1951年) バリエーション ふしぎの国のアリス 英語 リチャード・ヘイドン(キャタピラ) 日本語 玉城伸吾(キャタピラ) キャタピラが披露するポエム。
https://w.atwiki.jp/legends/pages/3977.html
(ルート ・・・んーぅ・・・っあぁ、良く寝たぁ ぐっと伸びをして、木の枝から飛び降りるルート 学校町を離れ、日本を離れ、早数日・・・とはいえ、実は大して時間は経っていない 旅をしているルートは、大きな木のある草原で休息を取っていたのだった 荷物を確認し、キョロキョロと辺りを見渡す (ルート ・・・? エーヴィヒぃ? 白いふさふさの毛並みのネコ――エーヴィヒの姿が、見当たらない 一緒に寝ていた筈なのに、何処へ・・・? (ルート ったくぅ、世話の焼けるネコねぇ・・・仕方ないわぁ ハァ、と溜息を吐いて、まず彼女は木の上を見た 自分が寝ていた枝よりも、もっともっと空に近い枝を・・・ しかし、それらしき姿は見当たらない だがこの木にいないとなると、探すのは困難だ ここは広い草原、辺りを見渡して見つからないなら、 探しものは遥か遠くに行かなければ発見できないかも知れないのだ (ルート ・・・本ッ当に厄介ねぇ、もぉ・・・! とにかく、エーヴィヒを探さなければ 彼女が一歩踏み出した時だった 「・・・ルート?」 声変わりを迎えていない、高めの少年の声 はっとして、ルートはすぐさま振り向いた 木の陰に、黒いスーツを来た中性的な少年が立っている (ルート 日、天・・・さん? どう、して・・・ (日天 やっぱり、ルートなのか・・・ルート! 駆け出した少年――栄 日天の腕に、ルートの小さな身体が包まれる ぽんっ、と顔を赤く染め、慌てて彼女はその腕から逃れた (ルート え、あ、うぅ、リ、日天、さん、なんで、ここにぃ・・・? (日天 決まってるだろ・・・お前を探しに来たんだ (ルート アタシを? (日天 お前を、「組織」に迎えたい・・・頼む、帰ってきてくれ ローゼさんも、蓮華さんも皆、お前の帰りを待ってる 微笑みながら、彼はルートに手を伸ばした (ルート ・・・あ・・・あぁ・・・・ 愛しの人が、自分に手を差し伸べてくれている それでも彼女は、その手に触れることができなかった (日天 どう、した? (ルート アタシ・・・やっぱり、無理だよぉ・・・まだ、帰れない (日天 ッ!・・・まだ、自分の罪を・・・ (ルート アタシは、色んな人の幸せをぶち壊しちゃったからぁ・・・ そんなアタシが、自分だけ幸せになって良い訳、ないもん・・・ だから、まだ、トップの姉貴にも、堅物の姉貴にも会えない そして・・・日天さんの手も、受け取れないよぉ・・・ 振り返り、彼女は相棒の元へと向かう 日天が一歩近づいたのを感じ取り、「来ないでぇ!」と怒鳴った (ルート ・・・わざわざ、探しに来てくれてありがとぉ・・・でも、もう良いからぁ・・・さよなら 涙を堪え、彼女は俯き振り返らずに走り出した 今振り返ると、ついて行ってしまいそうな気がしたから 強い決心を胸に秘め、ルートはいなくなったエーヴィヒの元へ――― (日天 それが君の正直な気持ちかい? 「へ?」と素っ頓狂な声をあげ、思わず振り返ってしまった そこにいたのは確かに日天だったが、何やら様子がおかしい と、その直後、彼の身体がゆらり、と煙のように揺らめいて、 その煙の中から、白いネコが現れた (ルート ・・・エーヴィヒ? (エーヴィヒ 悪いね、日本時間だと、今日は4月1日、エイプリルフールらしいから 君の信念を聞いておこうと思ったついでに、ね 何処までも爽やかな声で、彼は平然とルートに歩み寄った (エーヴィヒ さて、そろそろ行こうか 今日はどっちへ―――――――む? しかし、彼は知らなかった 乙女の純情ハートの恐ろしさを (ルート ・・・エェェェェェェェェヴィヒィィィィィィィィィ!!!!! その日その草原にて、物凄い速さで豹を追いかける少女が目撃されたそうな ...setzen Sie fort 前ページ次ページ連載 - 仄暗い魂
https://w.atwiki.jp/vermili/pages/463.html
発言者:ゼファー・コールレイン 対象者:クリストファー・ヴァルゼライド 聖戦を目前にして誕生した逆襲の冥王。 反粒子の生成という反則的な能力を持ちマルス、ウラヌスをあっさりと虐殺したその最悪最後の魔星に対して、 体の損壊に耐えて果敢に挑みかかりながらも光の英雄は問いかける、自分の理解の範疇を超えた存在へと 「貴様は何(・)だ」「いったい何を我々は生み出してしまったというのだ」と 「それこそ、今さら何を言う」 「俺たちは、運命の車輪に紛れた小さな小さな砂粒だよ」 「おまえ達に比べれば取るに足らない、過ちを犯しただけの幼く惨めな姉弟だ。 つまるところ、負け犬だな。さして珍しいものじゃない」 「だが、それがすべてを狂わせた」 「運命を破綻させたのは、結局のところおまえ達自身の過失だろう。───失敗したな(・・・・・)ヴァルゼライド」 「未来を愛する余り、あらゆる過去を切り捨てた……その正義(けつまつ)がこれなんだ」 ゼファーとマイナの関係を単なる犠牲者と捉えたこと─── 踏み躙ってしまったもののためにも、未来という全体幸福を尊び続けてしまったこと─── それ自体何も間違ってはおらず、立派な正論だろう─── 敬意は払おう──── ───で、だから?(だが、殺す) 「愚者(おれ)は嫌だ。分かるか? そんな強さは、嫌なんだよ」 その素晴らしい覇道(・・・・・・・)に巻き込まれ犠牲となった砂粒からすれば、正論だからといって認められるはずもなく─── 此処において、正誤の秤は投げ捨てた。 貴様らが突き動かした轢殺の車輪に無残に砕かれた敗者(ヤミ)として、その輝く英雄譚の成就を必ず砕く。 「さあ、刮目しろ───これが俺たちの逆襲劇(ヴェンデッタ)」 「勝者の栄光を踏みにじる、敗者の牙と知るがいいッ!」 戦って、勝って、全速力で前へ前へと……ひたすら進み続けた英雄が今まで理解しなかった背後から追いすがる敗者の呪詛。 その怨嗟の嘆きがついに疾走するヴァルゼライドを捉え、今まで気合と根性ですべてを乗り越えてきた男を絶対的な相性差で一蹴。 勝者を滅ぼすためだけの闇黒(マイナス)に英雄の発する絶大な光熱も何の意味もなく飲み込まれ、 生涯唯一、最大の敗北を刻みつけられた「クリストファー・ヴァルゼライド」の英雄譚は遂にここで潰えるのであった。 この後すぐカグゼライド化して再びゼファー達に立ちはだかるのだがそれはそれである 関連項目 お前の運命に紛れ込んだ、小さな小さな砂粒だッ! いいや、まだだ――“勝つ”のは彼らなんだから。守り抜いた希望を照らす、星の結晶は此処に在る グレイのがあってオリジナルのゼファーさんがないのも寂しいので追加しておきますね -- 名無しさん (2017-03-02 19 58 34) 総統が「自分に理解できないものを目にして動揺してる」ってのも他にないシーンなのもあって痛快だったなここ。まあこんな無双して終わるのはゼファーさんらしくないからこの後にもう一山あるんですけどね! -- 名無しさん (2017-03-02 20 04 10) 総統が動揺を露にしたのはここ位だったからな -- 名無しさん (2017-03-02 20 05 46) ざまぁ感はすごかったなここ -- 名無しさん (2017-03-02 20 07 05) 「踏み躙ってしまったもののためにも未来の全体幸福を目指して進む」っての正論なんだけど実際に踏み躙られた当事者からすれば知らんがなって話なんだよね。総統もそれが分からないわけではないんだろうけど、どうしても個を軽んじるのがこの手の人達だから認識が甘かったというか -- 名無しさん (2017-03-02 20 09 58) 総統ご自慢の涙を明日に変えるのだ理論に対する「そんなの実際に涙を流した側からすれば知るかバーカ」って否定だからな。総統は人気ある悪役だが悪役には違いないのでフルボッコシーンは痛快ではある -- 名無しさん (2017-03-02 20 16 36) けどメインヒロインのカグツチが、瀕死のアッシュの為に奮起するナギサちゃんみたいになるんだよなぁ… -- 名無しさん (2017-03-02 20 19 03) 総統は狂人だけど、だからってコールレイン姉弟にしたことが歴史上類を見ないレベルの外道行為という訳ではなく、いわゆる戦乱の国の指導者としては弱者を斬り捨て全体を向上させるのは普通の方策よね。古今東西の武将や王様も内政を整え戦争に勝利して国を繫栄させてきたわけだし。まあ、そういう歴史上の指導者達も、民衆に革命を起こされたり粛清した貴族の末裔に叛逆されたり・・・逆襲を受けてきたわけだけど -- 名無しさん (2017-03-02 20 20 48) マイナを殺した件など塵屑なことをしてるって自覚そのものは総統にもあったけど、それでも後ろは振り返らずに前へ前へってやってる人たちだから足を掬われるんだよって話 -- 名無しさん (2017-03-02 20 23 10) まあここの前に苦もなく倒せると思った魔星たち相手に二回も甚大なダメージ食らわせれてるのもそうだけど、油断してないように見えて認識が甘いところがあるんだよな総統も。甘いと言うか全く理解できてない分野があると言うか -- 名無しさん (2017-03-02 20 27 56) 総統によって幸せになれた人は沢山いるが、そんなのマイナ姉やゼファーにとっては「だから、許せと?無理だろ(わ)」って言うしかないしな -- 名無しさん (2017-03-02 20 28 40) ↑2苦もなく倒せると総統が断言していた状態は立ち向かうという気概のないアルケミスト、ただの悪童であったストレイドと精神的覚醒を果たしていない状態の二人だからな -- 名無しさん (2017-03-02 20 33 04) 当事者からすればお前の理想なんか知るか馬鹿って話だからねえ -- 名無しさん (2017-03-02 20 37 44) ちょっと違うけど「力が全てだ。勝った奴が正しい」とか言ってやりたい放題していた奴をフルボッコにしてやった爽快感に似てるって感じた -- 名無しさん (2017-03-02 20 39 36) ↑結局のところ、総統含めた光の奴隷が言ってることってそれなのよね -- 名無しさん (2017-03-02 20 41 04) でもそれはそれとしてやっぱりその揺らぐことなき雄々しさに只人は憧れるのである -- 名無しさん (2017-03-02 20 45 55) 憧れる分には結構だが、いざ現実になるとな。大義は総統にあるのはわかるが、この場ではゼファーに共感したわ -- 名無しさん (2017-03-02 20 48 34) ↑そういう構図だからそう想って貰えたなら高濱もライター冥利に尽きるってもんだろうな -- 名無しさん (2017-03-02 20 51 49) (それはそれとして、続編(トリニティ)に向けて運命は次なる生贄探しを始めるのであった) -- 名無しさん (2017-03-02 20 53 54) 聞きたいんだけど「力が全てだ」とか言ってやりたい放題していた奴をぼこした後「俺が勝ったんだから俺に従えよ」みたいなこと言ってやった作品ってどんなのがある? -- 名無しさん (2017-03-02 20 57 56) まあヴァルゼライド総統は魅力のある男だけど物語的に見ればやってることはどこまでいっても悪役なのでここは好きなだけザマアするのが正しい反応。 ヴァルゼライド単体としてはここで敗北だけど戦いはまだ終わらないんだけどね! -- 名無しさん (2017-03-02 21 02 08) 小さな小さな砂粒だもそうだけど、「そんな強さは、嫌なんだよ」も聖戦の再現になったレイン√でアッシュを犠牲にして進むヘリオスに対してケルベロスが言ってたねえ -- 名無しさん (2017-03-02 21 12 54) と言っても、ゼファーさんの物言いも極論すれば視野が狭くて身勝手な自分本位、になりかねんからねぇ。全員がそれ言い出したら、行き着く先は大欲界天狗道だろうし。結局はバランスよな。そして、光属性に全振りしてる総統にはそれが致命的に足りなかった。 -- 名無しさん (2017-03-02 21 31 28) ↑それがはからずも模倣されてしまったのが、レイン√のアレになる、と -- 名無しさん (2017-03-02 21 32 46) ↑2さらに言えば光の眷属も「決めたからには果て無く行く」を全員でやれば大欲界天狗道になるしな。そういう意味でスフィアが極端な思想に染まるのはいけない言う天照も一理ある。 -- 名無しさん (2017-03-02 21 34 34) 犠牲者に対して申し訳ないという感覚はあっても総統やカグツチに比べたら取るに足らない存在なのは事実なのでマイナやゼファーの関係などという個については大して重く見ていなかったってのがなんとも視点が高すぎる人たち「らしい」失敗ではある -- 名無しさん (2017-03-02 21 35 18) ヴェンデッタ自体が英雄譚に巻き込まれたモブの逆襲の物語だからねえ -- 名無しさん (2017-03-02 21 36 25) ↑8作品と言われるとピンとこないが、弱肉強食を謳う相手を味方につける展開は物語の序盤でよくありそうな気がする。もっとも大抵の悪役は「自分は従わせても自分が従うなんてありえない」と特攻・自害したり、俺は負けてない!って結局言う事聞かない奴が大半だが -- 名無しさん (2017-03-02 21 40 34) 力こそ正義と言ったラスボスを泣きながらこんなものが正義であってたまるかと主人公がぶん殴るダイ大 -- 名無しさん (2017-03-02 21 42 39) ↑7みんなが皆俺は嫌だで動いたら世の中回らんくなるからねぇ -- 名無しさん (2017-03-02 21 43 52) ↑2俺もそれが思い浮かんだわ -- 名無しさん (2017-03-02 21 44 33) ↑3自分はいいけど他人はだめ!!!って奴か救えんな -- 名無しさん (2017-03-02 21 45 40) ↑ミスった↑4だ -- 名無しさん (2017-03-02 21 46 47) ↑ミス -- 名無しさん (2017-03-02 21 47 11) ぶっちゃけ「弱肉強食、力こそすべて、敗者は従え」って信念すら貫けてない悪役も結構多いからな。負けたら主張を棚に上げる -- 名無しさん (2017-03-02 21 48 15) 足元がお留守な人たちの失敗談でもあるからなあ。踏み躙ってごめんとは思ってても「何」を踏み躙ってしまったのかまでは見ようとしてなかったと言うか -- 名無しさん (2017-03-02 21 48 29) 総統もなんだかんだ諦め悪いしな -- 名無しさん (2017-03-02 21 50 01) 正しさしか愛せず、個を愛せないがゆえに、個を愛する人がそれを守るためなら正しさも自分の命も全て投げ打ってでも守ろうとするってことを根本的に理解できなかった故に負けたからね -- 名無しさん (2017-03-02 21 51 11) チトセが言った「何処までも私闘の域に過ぎんだろうよ」がもっともというか。まあその理屈は極論ではあるが、総統の場合、方針自体は全体主義ではあるが、本質は周りと話し合いや落とし所探しすら碌にできないほど行き過ぎた存在だったのも批難される理由というか -- 名無しさん (2017-03-02 21 54 06) ↑2そういう意味ではヘリオスは片翼の嫁のナギサを宿敵に定めてた辺り、正しく自信とぶつかり合う個人の強さを認識してた感がある -- 名無しさん (2017-03-02 21 55 21) ヴェンデッタが目覚めなかった理由(受精卵)やゼファーが選ばれた理由(マイナとの関係)など諸々の取るに足らない小さな小さな「個」の事情に目を向けなかったのが積み重なって聖戦という大きな大きな運命の破綻に繋がるという大きすぎる人たちの失敗談 -- 名無しさん (2017-03-02 22 13 38) トリニティにおける砂粒枠はグレイもそうだけど、それ以上にムラサメ師匠な気がする。英雄にも成れず、強者に逆襲することもできなかった、スフィアや魔星どころかエスペラントでさえない只人のムラサメ師匠が、界奏の誕生と烈奏との和解のきっかけになったわけだし -- 名無しさん (2017-03-02 22 28 21) ↑3前任者がそういう個人間の愛を軽視して失敗してそれを踏まえたうえでの先に進もうとしたのがヘリオスさんだからね -- 名無しさん (2017-03-02 22 30 54) 「で?だから?」ってセリフ、ゼファーさんの勝利確定ワードだよね実は -- 名無しさん (2017-03-02 22 36 30) このゼファーの宣言の直後、今までオルフェウスとしか呼んでいなかった相手の変貌にお前は何だって慌てていた総統が初めて「ゼファー、コールレイン……!」って噛みしめるように言うのがようやくゼファーという個を認識していなかった失敗に気付いたって表現できてていい -- 名無しさん (2017-03-02 22 44 21) ↑2他にどこかでつかわれてたっけ? -- 名無しさん (2017-03-02 22 47 20) ↑↑基本「聖戦起こそうぜサイド」の人たちはゼファーの名前呼ばないからな。オルフェウスという装置としてしか見てなかったのが結局失敗に繋がるんだからある意味全体での伏線とも言えるし上手い -- 名無しさん (2017-03-02 23 18 03) ↑×3そして死後、互いに合体技嫌がるほどの不倶戴天に・・・ 一緒に戦えや -- 名無しさん (2017-03-02 23 40 33) ↑海洋王ですら内臓破裂モノの仲の悪さよ。でもそういう不合理な感情を出しているあたり総統は死後大分人間味が出たな -- 名無しさん (2017-03-02 23 45 37) ↑ ゼファー&閣下「コイツとだけはヤダ」 アッシュ「まあまあ、そう言わずに……ごふぁっ!?」 ゼファー&閣下「あ、ごめん…」 -- 名無しさん (2017-03-02 23 49 04) 説得難易度 総統 魔星二体<<<<ノリノリの壁<<<<<糞眼鏡に対するお前は駄目だ大合唱団 -- 名無しさん (2017-03-02 23 51 40) 「愚者(おれ)は嫌だ」ってのが良い味出してるわ。確かに一見愚かで自分勝手な言い分でしかないが、どれだけ総統に大義があったとしても現実に家族を殺されてるゼファーの言い分もまた正しく、ゼファーには総統にNOを突き付ける権利がある -- 名無しさん (2017-03-03 00 12 29) 貴重な総統フルボッコシーン -- 名無しさん (2017-03-03 01 10 39) この項目見て改めてこのシーンプレイしてみたけど「失敗したなヴァルゼライド」とかの言い方が好きだわ。そこまでの総統相手の対話はどういう内容であれゼファー側が必死だったけど、この時のゼファーは未だ何故こうなったのか理解していない総統をもう心底馬鹿にしてるって感じ -- 名無しさん (2017-03-03 03 21 37) ↑思うんだけど総統はマイナを糞眼鏡が撃った後極論ゼファーさんに損害賠償とかするべきだったんじゃなかろうか。ゼファーさんってその辺何とかなってりゃ軍人にならずに居たろうし。 -- 名無しさん (2017-03-03 05 05 04) 総統そっちのけで親子喧嘩していた爺さんとアスラ、本当の目的はゼファーさんの元に辿り着くことだったルシードと、実は総統に対しての殺意がメインで総統と向き合った相手ってゼファーさんだけだったりするのも面白いなって -- 名無しさん (2017-03-03 10 20 47) ↑2 -- 名無しさん (2017-03-03 10 40 13) ミス -- 名無しさん (2017-03-03 10 40 25) またミスった。スラムで損害賠償なんかしたら徹底的にむしられて死亡する未来しか見えん。第一損害賠償なんかじゃ償えんだろう -- 名無しさん (2017-03-03 10 41 50) 損害賠償はともかく殺害対象のことくらいちゃんと事前に調べておくべきだったな。本人の口から語られるまでゼファーとマイナが血縁であることすら知らなかったとかさあ…… -- 名無しさん (2017-03-03 11 35 39) こうやって英雄譚を打ち砕くのが作品のテーマだから、そりゃ要望あっても聖戦エンドは実装しないよなぁと納得した -- 名無しさん (2017-03-03 11 44 28) ↑2 そういった部分はやっぱり調べたとしても調べなかったとしても、マイナもほかの排除した者たちも、最終的には皆自分が背負う犠牲という形で全部一緒くたにあるいみ軽んじてしまえるのが、総統の悪癖が如実に出ていたところなのだろうな…と思えます -- 名無しさん (2017-03-03 11 51 39) まあこの土壇場の「ゼファー、コールレイン……!」まで一度も名前呼ばなかったのもそうだけどマイナやゼファーみたいな個人ではなくて「犠牲にしてしまった人々」みたいなジャンルで人間を認識してる部分があるからね。全体主義の極みみたいな人たちは個を意識してない。そりゃそれって誰だよみたいに言われまくりますわ -- 名無しさん (2017-03-03 12 00 55) 総統はグランセニック商会での交戦時もゼファー・コールレイン個人の事情は全く考えず「ただ巻き込まれた哀れな被害者」と見てヴェンデッタを非難してたからなあ。視野狭窄と言うか、視野が高すぎて逆に狭いと言うか -- 名無しさん (2017-03-03 13 26 12) 後継のヘリオスさんにその辺の悪癖はトリニティでも指摘されているからな -- 名無しさん (2017-03-03 13 29 16) ↑だからこそ、ヘリオスと対峙するのがナギサになったんだろうな -- 名無しさん (2017-03-03 14 55 57) ↑ 8要はさ、閣下って償うって言ってやることは覇道を進む更なる燃料にするだけじゃん?それってさ、被害者や遺族からすると償うっつって全然違うことに善行積んでるだけじゃん?そうじゃなくて犠牲者かせめて遺族個人に対する損害賠償やらそういうことするべきだったよね。奪われるとか償いきれないとかって以前の話よ。 -- 名無しさん (2017-03-03 15 32 00) 全体主義過ぎて個人への償いをしなかったってことかな? -- 名無しさん (2017-03-03 15 38 37) 被害者が自分には何の保障も与えられてないのに赤の他人を加害者が救ってるだけとも言えるからな -- 名無しさん (2017-03-03 15 51 22) 死に対する償いって何すりゃいいのか分からんから代わりの代償行為を行うのもしょうがないっちゃしょうがないんだけどそれってつまり被害者個人には何も補償しないことと同じだしな -- 名無しさん (2017-03-03 15 56 19) まあじゃあ事情説明してお金なりなんなりで償ったら遺族(ゼファー)が許してくれんのかと言うと絶対にないと思うけどそれは結果論だし、ゼファーが遺族であることすら知らずに「たまたま自分たちの運命に巻き込まれただけの哀れな吟遊詩人」とか思ってんのはお前いくらなんでも個々の被害者の情報に興味なさすぎるだろって思うわ -- 名無しさん (2017-03-03 15 56 54) ↑そこらへんはギルベルトにも通じるところがあったな。アイツも最後は有象無象と切り捨てた弱者に逆襲されてたし -- 名無しさん (2017-03-03 16 01 03) 閣下の「涙を明日に変えるため」ってさ、ゼファーさんからすりゃ「お前の涙をお前以外の誰かの素晴らしい未来に変えてやるから許せ」って言われてるようなもんなんだよな。そりゃキレるし逆襲劇も始まるわ -- 名無しさん (2017-03-03 16 10 14) 個々の被害者を一人一人意識するようなら「それって誰だよ」には繋がらんだろうしなぁ、正田が俺ならマイナを総統の初恋にするわ!って言ってたけどその場合どうなるんだか -- 名無しさん (2017-03-03 16 17 38) どうせマイナ死んでるか不特定多数の他人のために己の唯一愛した女を犠牲にする感じだよ。パンプキンシザーズの少尉的になるんじゃね?あっちも今は正義とはなにかをやっとるし -- 名無しさん (2017-03-03 16 26 48) トリニティでヘリオスが言ってたけど光の亡者は個人間の愛とか絆とかそういうものの力は軽視してるからな。大義のために殺した少女が直前にセックスして妊娠していたせいで上手く魔星として機能しなかったりとか、そのセックスした相手であった実弟がそいつを目覚めさせたと思ったら今度はその魔星と恋をしてその後姉を殺されていたという真実を知るとかそういう恋とか愛とか怒りとかがあくまで個々人間のちっぽけな感情がエラーとして積み重なった結果世界レベルの大きな計画が破綻するとか英雄さんには想像できない展開 -- 名無しさん (2017-03-03 16 30 27) ↑2 メインヒロインの伍長(男)をゼファーさんが見たら英雄達とは別の意味で発狂しそう -- 名無しさん (2017-03-03 17 05 02) 基本戦闘中の論争はどっちも折れない平行線の罵り合いになるこのシリーズで総統が明らかに動揺してて言われっぱなしでろくに反論もできずにボコられてるのも印象深い。まあ「お前の正義も理想も知ったことか。巻き込まれた被害者である俺たちはお前が嫌なんだよバーカバーカ」だから反論も何もないんだが -- 名無しさん (2017-03-03 17 38 25) いつもなら、「そうだろうな、だが殺す」みたいになるんだけど完全に不意を突かれてる感じもあったし -- 名無しさん (2017-03-03 18 17 49) 閣下「貴様たちは何だ!?いったい何を我々は生み出してしまったというのだ」ギルベルト 「それこそ、今さら何を言っているのですか閣下」 ダインスレイフ「俺たちは、運命の車輪に紛れた小さな小さな砂粒だよ」 -- 名無しさん (2017-03-03 18 25 21) ↑ ずいぶんと態度も横柄でぎらぎら鬱陶しい砂粒がいたものですねぇ… -- 名無しさん (2017-03-03 18 27 03) 砂粒と言うか歯車が高熱で溶けて歪になった存在と、泥団子が塊魂のノリでデカくなって車輪に自ら嵌ろうとしてると言うか・・・ -- 名無しさん (2017-03-03 18 34 53) ここのゼファーそれまでと違ってもう完全に総統を見下してる感じで格好良かったなあ。 そんな強キャラっぽい終わり方するのはゼファーさんじゃないのでこの後さらにトンチキどもと戦うことになるけど -- 名無しさん (2017-03-03 18 35 17) 英雄も傷のない存在からは遠い。まあ欠点を含めた上でまだ英雄が認められるのは、他者を犠牲にした上碌な償いも犠牲の分の成果も出せない逆襲前のゼファーさんみたいな只人が大半だからだろうなぁ(ウラヌスちゃんは論外) -- 名無しさん (2017-03-03 18 36 06) ↑5 てめえは糞団子だろ!しね! -- 名無しさん (2017-03-03 18 37 08) まあ総統以外の光の奴隷にも言えるけどゼファーとマイナみたいな被害者から俺たちはお前が嫌だし許さないんだよって言われたら反論しようもないので結局最後は「理解した。ならばその上で(ry」みたいに最終的に暴力で押し通してきたわけで、最後に力なんか関係ないレベルの相性差で「逆襲」されるのもまた因果応報である -- 名無しさん (2017-03-03 18 42 51) 総統の思想は正しいのかもしれないけど客観的に見れば大切な人を傷つけられたミリィやルシードやゼファーが最終章で総統に「お前を認めない」ってするのも人として当然のリアクションなのでまた正しいわけなので、結果的に総統も「より強い方だから理想へ進める」というギルベルト理論的な進み方をしてきちゃってるからなあ -- 名無しさん (2017-03-03 18 52 45) 総統に「お前、塵屑の分際で他人のいのちを背負うなんて言ってんのかよ」みたいなこと言ったらどう返してくんのかな? -- 名無しさん (2017-03-03 19 06 21) ロリオカン√のミリィに対する返答と同じじゃね?その通り。ぐうの音も出ない。俺は歪んでいる。お前と対等の人間として向き合おう。されど止まらん俺は勝つ。で終了 -- 名無しさん (2017-03-03 19 09 06) 光の亡者に〇〇的なこと言ったらどうなるのかなは大体お前の言うとおりだ。だが俺は止まらんで終わるんだよなぁ -- 名無しさん (2017-03-03 19 14 17) 逆に言えばこの時の総統は理解した以下略とかお前の言うとおりだ以下略とかテンプレ返答できないほど混乱してたってことでもあるよなあ。まあ前方に立ち塞がるものをバッサバッサは腐るほどやってきたけど、踏み躙ってきた敗者に後ろから刺されるのは総統にとってこれが初めての経験だったようだが -- 名無しさん (2017-03-03 19 38 04) 実際は総統に仕返しにいく奴なんてそういないし、ミリィ√ゼファーみたいに勝手にやっててくれになるからなぁ、物分かり良すぎる奴は総統を正しさを否定できず、国に迷惑かかるの覚悟の復讐なんてできないし -- 名無しさん (2017-03-03 20 08 03) 上でも言われてたけ背負うとか言っておいて犠牲者のことたいして知らんはないよな。トレーズみたいに犠牲者のこと正確に把握してるとかなら背負ってる感じはあるけど -- 名無しさん (2017-03-03 20 32 39) いやちゃんと知ってはいるんじゃないか?ミリィの事まで知ってたし -- 名無しさん (2017-03-03 20 35 54) それこそ上で挙げられているトレーズとその辺りは変わらんと思うぞ -- 名無しさん (2017-03-03 20 37 42) 知ってはいる、理解してはいないって感じかね -- 名無しさん (2017-03-03 21 02 42) まあでも総統って「その男(ゼファー)は巻き込まれた被害者だろう。誰の因果でそうなったか知らぬとは言わせない。只人のまま終われた未来を摘み取ったのはいったい誰だ?」とか言っていけしゃあしゃあとヴェンデッタを非難してたあたり、マイナとゼファーの関係については本気で思い当たってなかったみたいだから「犠牲者のこと知らない」って言われても仕方ない気が。ヴェンデッタがゼファーを選んだのは偶然じゃなく必然なんだからゼファーが巻き込まれたのはマイナを殺したお前のせいだろうがっていう -- 名無しさん (2017-03-03 21 07 25) うーむ、スラムの浮浪児だった2人の関係なんて当事者か一緒にいた子供くらいしか知らないんじゃない?他の子供は死んで、マイナも糞眼鏡にころされ、ゼファーさんがマイナの事ペラペラ人に話すとも思えんし -- 名無しさん (2017-03-03 21 14 53) そういやヴェティを起こすためにいろんなエスペラントのデータを使って実験したし、ゼファーさんのデータもあったとか言ってたはずだから血縁は気が付いても良い気がすんだけどな -- 名無しさん (2017-03-03 21 16 57) マイナの名前は把握してたわけだから殺害当時なら遺族がいることくらい調べようと思えば調べられたんじゃない。まあ実際血縁にしろ絆にしろ愛情にしろ個人間の繋がりは些事としか思ってない性格だから最後の最後思わぬところで落とし穴が待っていたわけだしな -- 名無しさん (2017-03-03 21 21 12) とあるネット漫画読んだのと、練炭を思い出した。確かに小さな犠牲でもそこにいたもの達にはそれが全てだった。ただそれだけ、それだからこそなんだよな。失くしたものは戻ってこない、戻ってくるものに価値は無い、だからそこにある宝物を大切にする -- 名無しさん (2017-03-03 21 36 12) 反論できなくなったら暴力で黙らすってそこらへんのDQNと変んねぇよな -- 名無しさん (2017-03-03 21 41 16) 別に反論されてもキレないけど、立ち塞がるなら殺すってスタンスだし。 -- 名無しさん (2017-03-03 21 44 49) 総統のスタンスはDAGAKOROSUだからな -- 名無しさん (2017-03-03 21 46 14) まあ犠牲を無駄にはせん涙を明日に変えるのだの人だからね。当事者からすればまさに「愚者(おれ)は嫌だ。分かるか?そんな強さは、嫌なんだよ」なんだが -- 名無しさん (2017-03-03 22 24 46) なお立ち塞がらなくても勝手に点数付けて、低いと有効利用と得点加算の名の元にモルモットにする糞眼鏡 -- 名無しさん (2017-03-03 22 32 13) 自分がヘイトを集めることで崇拝対象である総統の株を上げる信者の鑑 -- 名無しさん (2017-03-03 22 34 49) まあ総統もマイナに関しては立ち塞がりも何もしてないのに計画の犠牲にしたんだけどね。本当に敵でもなんでもない人物を手に掛けたのはそれが唯一ということらしいけど -- 名無しさん (2017-03-03 22 44 23) その総統にとって最大の罪が結果逆襲の女神になって自身を滅ぼすのだから結局因果応報ではある -- 名無しさん (2017-03-03 22 48 52) そうやってちゃんと因果応報喰らったから人気キャラになったんだろうな。これで多分冗談でちょくちょく言われている主人公として描かれて聖戦やっていたらここまで人気出なかったと思う -- 名無しさん (2017-03-03 22 51 01) さすがに聖戦エンドなんてやらかしたら総統どころかヴェンデッタの評価自体暴落すると思うぞ -- 名無しさん (2017-03-03 22 52 08) もう上で言われてるけど総統が個をあんま見てなかったってのはこのやり取りで初めて「ゼファー、コールレイン……!」ってようやく目の前の相手がオルフェウスでもなんでもなく過去の自分が踏み躙った敗者だって認識できたっぽいとこでも示していると思う -- 名無しさん (2017-03-04 00 33 24) 他の魔星は死んだ帝国の敵の中から素養があるものを選びましたってだけだけど、結局最初に殺害した罪もない少女に逆襲されるあたりいくら御大層な大義があろうが悪いことしたら報いを受けるって話 -- 名無しさん (2017-03-04 03 24 32) いつもなら言葉で否定されたら理解したとか貴様の言う通りだとか言いつつ「だが殺す」になるのが総統なんだけどこの場面はゼファーの名前呼ぶだけなあたり本当にこの主張は理解できないというかしたくないんだなとも思う。ある意味これも総統の個人的な感情が見えるシーン。死後の記憶ですらゼファーと組むのは嫌がってたしな -- 名無しさん (2017-03-04 12 14 17) ↑で言われてる総統が損害賠償した場合考えてみたんだがゼファーさんが聖戦に絡まなくなるって意味では悪くない気がするw 金あれば軍に入らないだろうし、スラムで奪われて死ぬんならゼファーさんどっちにしろ絡まないし。 -- 名無しさん (2017-03-04 12 33 58) 逆襲劇が第二太陽除けば一番最初のスフィアってのが面白いわ -- 名無しさん (2017-03-04 14 57 00) このゼファーに斬り掛かった時の総統の声は他のシーンで総統が一切見せない感情である「恐怖」すら混ざってるようで印象的だった -- 名無しさん (2017-03-05 14 04 51) ↑3その場合ヴェティが目覚めないので聖戦が起こらずに総統の寿命が尽きそう。そもそもマイナを素体に使った時点で詰んでる気がする。ゼファーが冥王にならないと連鎖的にアッシュも死ぬし、ゼファーの行動って色んな人に与える影響がでかいな -- 名無しさん (2017-04-09 13 00 08) 総統ってゼファー相手だと結構意固地になるよな。チトセ√だとあっさりと敗北を受け入れたけど、冥王に負けたときは認められないってしてたし、ゼファーとの合体技もいやがってたし -- 名無しさん (2017-04-09 21 10 02) ↑2ムラサメ師匠相手に愚痴ったことがアッシュとナギサの生存に繋がったり、ある意味総統以上に運命に選ばれてる感あるゼファーさん -- 名無しさん (2017-04-10 08 49 39) ↑ 運命=高濱 -- 名無しさん (2017-04-21 02 58 34) ↑3まぁ冥王の力って要は弱者が人の足引っ張ろうとする力といえるし、チトセルートの総統とは別の方向に前向いてる感あるゼファーでは印象が変わるんだろ -- 名無しさん (2017-04-21 03 03 01) 思うんだが高濱的にはつゆきさくらってどう思うんだろう。あの純粋無垢過ぎるツンデレ不良と幽霊バニーの二人は高濱的にストライクゾーンだと思うし二人が出した結論と別離もヴェンデッタをやった後だとまた違う感慨深さが込み上げてくる。 -- 名無しさん (2017-04-22 14 26 49) 魔女と百騎兵のアグニって運命に紛れ込んだ小さな砂粒になれたかもしれないんだよな。愛する人が世界を破壊する邪神、だけどその邪神がアグニに恋してあり方が変わっていった。だけど邪神を恐れるもの達により世界の為にというお題目の下故郷を焼かれ人質にさせられてそれで目の前で最愛の人が殺され、封印のために沼に沈められるという車輪に轢殺された砂粒属性が強いんだよな...もし少し運命が違っていたら逆襲劇の主役になれたのではと思う。 -- 名無しさん (2017-04-30 17 23 16) 総統的には得体の知れない相手に殺されるとか絶対に認められない展開なのに、側から見ると「マイナ姉ちゃんによる復讐」というこれ以上ない程「相応しい裁き」なのが皮肉 -- 名無しさん (2017-04-30 23 22 47) これ英雄視点で見ると、主人公とラスボス「さあ、英雄譚を--」モブ「--お前ら、目障りなんだよ」主人公「グハァッ!?」ラスボス「我が好敵手!?」モブ「お前が正しいのは理解してる。俺がやってるのも只の貶めに過ぎない--で、だから?俺は嫌だ、お前たちなんか、だから殺す。お前の英雄譚を踏みにじってやるよ。英雄様ァ!」主人公「否!否!否ァ!こんな終わり方、断じて...グバァ!?(体がついていけない)」モブ「--これが、我らの逆襲劇」ラスボス兼ヒロイン「クリストファー...ヴァルゼライドォ...冥王...貴様ァァァァアア!!」なのにカタルシスは増大なレベルというね。 -- 名無しさん (2017-05-12 23 59 12) だって英雄はこの作品の主人公じゃないもの -- 名無しさん (2017-05-13 00 00 25) ぶっちゃけ無関係な人間を犠牲にしておいて聖戦やるで!な主人公とか好感持てないしな -- 名無しさん (2017-06-12 01 51 22) 総統閣下にお似合いの結末は、上述にもあったように自分が踏み躙ってきたものに逆襲されるか、波旬のような下劣畜生に桁違いの強さで塵屑みたいに踏み躙られることだと思う。 -- 名無しさん (2017-07-01 23 36 07) ↑それは違うと思うの。続編の迷惑な連中と違って総統はちゃんと国を変えて環境を変えて多くの命を救ってるし、その分悪い報いだけじゃなく良い報いもあって良かっただろうに -- 名無しさん (2017-07-12 23 38 44) ↑糞眼鏡「貴方のような人に報われてほしいのだから!」→総統閣下「一切不要!」な人なので……そもそも本人が報われることを望んでいないという -- 名無しさん (2017-07-12 23 47 37) ↑2 けれどあのまま突き進んでしまえば総統が救ってきた者達さえ、総統自身の手で無価値で無意味にしてしまっていた訳で……総統自身で止められない以上、結局何処かで誰かが止めなきゃいけなかったんだよ -- 名無しさん (2017-07-12 23 49 23) ↑↑本人が望んでるか否かは関係なく無い? その理論でいくとアッシュ君がお墓エンド行っちゃうやんけ -- 名無しさん (2017-07-12 23 57 37) ↑別にアッシュはどの√でも死ぬことを望んでたわけじゃないと思うけど? -- 名無しさん (2017-07-13 00 33 21) 多分だけど、本人が救いを望んでるか否かと、その人を救いたいと思う人がいるかどうかは別の話、って事を言いたいんじゃないか? ↑↑のコメ -- 名無しさん (2017-07-13 00 38 37) ↑そうなら総統もアルバートのおっちゃんやアオイさんいたしなぁ、総統の問題点はそう言った人に感謝しつつも邪魔になるなら切り捨てるってとこに起因してるし。総統の願いが叶うのが良い報いだというなら、聖戦の成就(既存世界崩壊)になってしまう -- 名無しさん (2017-07-13 00 45 32) せめてヘリオスみたいに止まってくれれば… ダメだ、既に多くの薪をくべてる分止まるか気がしない。 -- 名無しさん (2017-07-13 00 47 58) ↑↑総統が生存した状態で聖戦を止めるしかない。 -- 名無しさん (2017-07-13 00 50 42) ↑アルバートのおっちゃんにアッシュ並みのコミュ力があって、スフィア到達したらワンチャンあるかないかってレベル? -- 名無しさん (2017-07-13 00 54 48) 救いは自分と相手の双方が手を伸ばさないと成り立たない概念だからね。誰かに手を差し伸べることはあっても、誰かに手を伸ばそうとしない閣下は誰にも救えないんじゃないかな? ヘリオスは何だかんだで自分から歩み寄った(手を伸ばした)のが大きい。尊敬し合う相棒同士で話し合って、対等の比翼に戻るってのが本当に尊い…… -- 名無しさん (2017-09-03 03 50 26) 「英雄」ってのは「さあこの足跡へと続くのだ」って感じで「道を創る」存在だから、根本的に何かを「救う」っていうのとはベクトルが違うからな -- 名無しさん (2017-09-03 04 05 13) ↑2いや、その理屈は成り立たない。改革前のアドラーは貴族主義の横行と腐敗で平然と民が踏み躙られるのが常だった訳で、そこを叩いて自国を繁栄させ、その繁栄を自国民のために活かす為政者としての行いだけでも相当数を救ってるだろう(アドラーの敵国にとっては単に戦場で殺しまくる死神だが)。改革のために流される血はチトセ&ギルベルトがやろうとした場合より遥かに少なく、改革自体が無ければ偽アマツみたいな輩が好き放題し続ける。どうあれアドラーの情勢が詰んでたのは確かで、ヘリオスが世界規模でそういった理不尽を是正しようとしたことも間違いない。そんな両者だけど、聖戦やらアルカディアやらで救おうとしたものを消し飛ばしてしまうという……高濱ァのサディズムはほんと際限がないな! -- 名無しさん (2017-09-03 07 55 16) 結果的に見ると程々のところで満足出来ない総統だからこそ、そういった偉業を成し遂げることが出来たけどその止まる事を知らぬ有り方ゆえに最期は大切な物を吹き飛ばしてしまうという構図なんだよな。皮肉な事に総統が改革とか諸々成し遂げて、聖戦が成就する事無く敗北で砕け散ることになったのがアドラーにとっては最善っぽいという。もちろん一番の最善は総統が程々のところで満足して、統治者として長く君臨する事だったんだろうけど -- 名無しさん (2017-09-03 08 33 12) ↑×2ごめん。言いたかったのは、閣下が手を伸ばせない人だから閣下自身が救われることはないんだろうなってこと。閣下が国民を救えても、閣下が誰かに救われることはないんじゃないかなーって思ったんだ -- 名無しさん (2017-09-03 19 19 01) でもぶっちゃけ閣下自身は自分が救われることを望んではいないし、強いて言えばこの世の悪を根絶することこそが閣下の救いかなあ。そもそも救いとはいったい・・・ -- 名無しさん (2017-09-03 19 44 05) っていうかあれだよな。「それって誰なんですか」って閣下も使えるんだよな。「貴方のような人こそ救われて欲しいのだから!」に対してとか。「それは『誰』にとっての救いなのだ?少なくとも俺は救われたいなどと思ってはいないし、そもそも救われるべきでもない。それが本望だ」的な -- 名無しさん (2017-09-03 19 46 18) ↑個人的にはギルベルトに対する返答が悲しかった。「誰かのために生きて死ぬ」ってのは英雄的でカッコイイけど、逆に言えば英雄が報酬なしに死ななきゃいけない訳じゃなくないって -- 名無しさん (2017-09-03 19 57 39) ↑そもそも総統の場合「勝利し成し遂げる事」そのものが報酬みたいなものだからねぇ……成し遂げた末に得るものに興味も無ければソレが救いになる事も無い以上、あの結末は必然だったと思うが。 -- 名無しさん (2017-09-03 22 43 57) まぁどこまで行っても満たされない存在はそりゃ自壊するしかないよなって。 -- 名無しさん (2017-09-03 23 17 04) そこらへん破綻しているの、自覚してたしなー -- 名無しさん (2017-09-03 23 40 16) 互いに似ている者は往々にして惹かれ合うとは言うが、ゼファーが消極的だったのが総統の誤算だったのでは? -- 名無しさん (2019-05-11 11 03 12) ↑こっちのラインでも正田ラインでもゼファー程消極的な奴いないからな。 -- 名無しさん (2019-05-11 11 04 59) 栄光・ノブ・アッシュ・クラウディア→積極派。ゼファー→消極じみた化け物。 -- 名無しさん (2019-05-11 11 06 07) 臆病な消極派に見えていざとなるとヤバい面見せるからなーゼファーは。 -- 名無しさん (2019-05-11 11 06 55) まさか三部作すべてに小さな砂粒として運命を狂わせるとはなぁ・・・ -- 名無しさん (2020-04-29 11 57 54) 砂…粒…? -- 名無しさん (2020-04-29 12 01 36) もはや砂粒ではなく反物質か何かではないだろうか? あれ、砂粒サイズでもちょっとしたダイナマイトぐらいの威力出せるはずだよね? -- 名無しさん (2020-04-29 13 45 49) 第一作は砂粒、第二作は冥狼、第三作は冥王の間違いなんだよなぁ -- 名無しさん (2020-04-29 13 54 33) もう目立ち過ぎて砂粒どころか巨大岩石。砂粒の名はグレイとかもっと目立たない人に譲ってどうぞ -- 名無しさん (2020-04-29 14 21 27) バタフライエフェクトで世界を救うことに定評のあるゼファーさん -- 名無しさん (2020-04-29 14 27 53) ぶっちゃけそりゃ本当のメインラインは逆襲劇だから当然だけど英雄譚の方が横道だよねこの世界では -- 名無しさん (2020-05-25 08 20 10) 粒自体は小さいけど、その量が尋常じゃなかった…… -- 名無しさん (2020-07-08 18 48 36) ↑6 1gの反物質が対消滅すると90TJのエネルギーが発生する、なお長崎型原爆のエネルギーは88TJ -- 名無しさん (2020-07-08 21 14 27) 確かに因果応報だけどそれを言い出したらゼファーは因果応報受けてないし閣下も閣下で罪悪に対する応報は受けても功績に見合うだけの応報も得られてない。つまり現実と同じで完璧な因果応報なんて存在しないという事。必要ないとも思うけどね。 -- 名無しさん (2021-08-25 10 43 21) ↑でもある程度の因果応報は成り立たせないとレイン√での問答みたいに誰も立ち上がらないってなるんだよなぁ -- 名無しさん (2021-08-25 22 49 31) やはり必要なのだ…完璧な因果応報が -- 名無しの審判者 (2021-08-28 21 37 06) ↑だからって因果応報が完全にまかり通ると行きつく果ては正しいだけの極楽浄土(地獄)なんだよなぁ -- 名無しさん (2021-08-28 23 05 41) 糞眼鏡のは完全な因果応報どころか強ければ全てがまかりとおる理論だしなぁ…閣下が客観的にみて正しい事してるから成り立つだけだしなぁ… -- 名無しさん (2021-08-29 01 07 46) ぶっちゃけゼファーさんも総統も糞眼鏡も全員極端でプラスも大きいけどマイナスもでかいって面倒な存在すぎる… -- 名無しさん (2021-08-29 01 42 25) まさに英雄の所業か… -- 名無しさん (2021-08-29 20 11 59) 完璧な因果応報が実現した場合は総統やゼファーさんの様な成し遂げた功績が犯した罪科を上回る場合は功績が罪を打ち消すんで一切裁かれなくなる。だって使い切れないだけの褒賞貰っても死刑や懲役刑だと結局使えないから意味ないし落とし所として罪の打ち消しか賠償金の支払いを褒賞金で賄うとかになる。 -- 名無しさん (2021-08-29 20 31 38) まあ完璧な因果応報!とか机上の空論だしギルベルトのキャラ立てとしては面白かったからそれ以上深く考える必要ないと思う -- 名無しさん (2021-08-29 20 41 48) 経緯は払おう、だが殺すは光側もやってるからゼファーさんと総統が似たもの同士ってのが良くわかるよぁ -- 名無しさん (2021-09-07 07 51 47) まぁ、糞メガネもその因果応報の後継者になったからね。 -- 名無しさん (2022-03-17 12 54 39) もう少し敵味方の能力をマイルドにすればジョジョ7部SBRのとある一幕になるな -- 名無しさん (2023-09-14 20 47 46) ↑3光属性量産しすぎた結果対極の存在のゼファーさんが1番総統に近い感じが出るの笑う -- 名無しさん (2023-09-25 04 17 55) やっぱり初代主人公・ラスボスは違いますわ -- 名無しさん (2023-09-25 16 43 59) なんか総統グランセニック邸でゼファー相手に好きに足掻けって言ってたからそれに応じて滅奏を奏でながら総統殺したのかこのシーン -- 名無しさん (2023-10-28 02 03 26) ゼファーさん「好きに足掻きました」 -- 名無しさん (2023-10-28 02 07 56) 総統本人から足掻いていいと言われて抵抗するチャンスあるなら足掻くよね -- 名無しさん (2023-10-28 02 53 55) 総統のお言葉はすべてに優先されるのでゼファーの足掻きもあの瞬間から正当化されたのです(んなわけあるか) -- 名無しさん (2023-10-28 11 00 27) 実際正しさに反旗を翻すって話ではあるけど別に総統側に正当性とかないのは作中で繰り返し指摘されてるからね -- 名無しさん (2023-10-28 11 32 04) ヴァルゼライドはたしかに帝国に繁栄をもたらしたがなんか宿敵との国をかけた1戦で世界崩壊→新世界誕生とかいうアホみたいな結末になっちゃってるからね…残念だが死んでもらうしかないね…(良いのだろうか) -- 名無しさん (2023-10-28 11 37 33) まあ本気で計画の礎にするならゼファーとその計画に反対する面子をギロチンにかけるなり牢屋に入れるなりしてさっさと回収すれば良いのが武力による反抗を認めたのと作品はバトルモノなのでスフィアレイザーで滅ぼすんですね -- 名無しさん (2023-10-28 11 56 24) 総統がメガホン片手に同僚や民衆相手に聖戦と神星との決戦を演説しつつ帝国民の士気高めさせたらゼファーさんとかもう逃げられず死ぬしかねぇからな -- 名無しさん (2023-10-28 12 07 10) アドラー帝国総統の鶴の一声は万事に勝るので生贄とする相手に対して抵抗を認めればもう権利は得られたも同然なのだ -- 名無しさん (2023-10-28 16 26 21) 男に二言は無いらしいからな。総統はあらゆる苦難にも挑むし生贄になりたくないゼファーは滅びの星を奏でて英雄を殺すんや -- 名無しさん (2023-10-28 18 02 53) 同じお気持ちアタックでもヴェンデッタとラグナロクでどうしてこうも差が出たのやら… -- 名無しさん (2024-06-02 17 38 50) 「仕方が無い?それで全て済ませるのか!」デジモンのアポカリモンの台詞を思い出す。 -- 名無しさん (2024-06-18 20 28 42) 大義のために犠牲にしようとした姉弟が原因で何もかも崩れるの本当にカタルシスが凄い -- 名無しさん (2024-06-18 23 30 20) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/chisato_ojosama/pages/810.html
前へ 「ケッケッケ・・・でも、この歌はやめときまーす」 小悪魔チックに笑った鈴木さんはごめんねとつぶやいてお嬢様の髪をぽんぽんと撫でた。 「んーん・・・」 すると、まるで意識があるかのように、夢の中にいらっしゃるはずのお嬢様が、イヤイヤとグズるような仕草をし出した。 「あららー」 「あい・・・あぃり・・・うたは?」 「なんか、駄目みたいですよー」 「んー・・・!うた、あいり、のうたは?」 あわわ、お嬢様が幼子のように・・・! キーッと頭に血が上っていらっしゃる姿は何度かお見かけした事があるが、こんなに本能のままにわがままを言われるとは、・・・若干ちょっと、胸キュンしてしまった。 鈴木さんもそう感じられているのか、クリンと丸い目を嬉しそうに細めて、お嬢様の小さな身体を包み込むようにそっと抱き寄せた。 「うた・・・」 「んー、違う歌なら、いいですか?」 「はひっ」 突然お話を振っていただいて、僕は慌ててガクガクとうなずいた。 「何の歌がいいですかぁ?」 「えぼ、ぼくが、そんな差し出がましい」 「またまたぁ~」 考えてみれば、鈴木さんとこんなにも会話が往復したのは初めてのことだ。 おはようございますお疲れ様です、ただいまもどりましたおかえりなさいませ、それぐらいが関の山だったはず。 嬉しいけれど、現実感がなさすぎて、全然頭がついていってない。 まるで、一夜の夢のような・・・ 「執事さーん?」 そうか、これは夢だと思えばいいんだ。一夜の夢。 神様から執事マスターを目指す僕への、いたずらなプレゼント。そういうことだ。 「はい、ではリクエストさせていただきます!消失点で!」 「おおー、意外な選曲。ケッケッケ」 昨年の学園祭で、鈴木さんが披露されたこの曲。 残念ながら、会場へ駆けつけることはできなかったが(村上さんがシフト変われよオラァ!みたいなことを言ったので)、 あとで“一人で行くBuono!学園祭ライブ”にて、りぃさんという固定さんが挙げていた音源をゴニョゴニョ・・・まあ、それはともかく、 あの時はミヤビさんという方が一人で歌っていたこの曲、ずっと、鈴木さんverを熱望していた。 「どうでしょうか・・・」 「ケッケッケ、お嬢様ぁ、消失点ですって」 「んー・・・焼支店」 「burning pointじゃないですよぅ」 「笑止天・・・」 「あはは~、じゃあいきますよー、♪言葉にしたら壊れそうで怖くて・・・」 夏の夜の庭園に、鈴木さんの涼やかな声が凛と響く。 ステキすぎる・・・清楚で可愛らしいだけでなく、音楽の才能までお持ちとは・・・。根本的に、僕なんかとは住む世界が違いすぎる。 「・・・う、んめいは、変わって・・・のかな」 住む世界が違うといえば、わが小さな主の千聖お嬢様。お嬢様も、鈴木さんに触発されたかのように、また歌を紡ぎ出した。 ♪どうしてだろう ずっとこのまま僕らは変わらない・・・ センチメンタルな歌詞が、スーッと胸に入ってくる。 よもや、2人でCDデビューでもできるんじゃあるまいか。そんな妄想すら浮かんでくるような、すてきなハーモニー。 歌詞の切なさも相俟って、感極まった僕は、再び、うっかり懐中電灯を手からすべり落としてしまった。 「ぎゃふん」 もちろん、落下先はまた足の小指。一人SMか。そろそろ骨がイッたかもしれない。 「あらら?執事さん?」 「だ、大丈夫です!おかまいなく!」 うずくまる僕の前、制止も気になさらず、鈴木さんがぴょこんとしゃがみこんでくださった。 「足の指ですか?痛いですよねー」 ――あわわ、距離、近っ! 鈴木さんの“顔近づけ癖”は、よく寮生の皆さんもネタにしているのをみた事があるが・・・異性である僕にも同じ調子とは、あばば、お嬢様のそれとはまた違う、花の匂いを思わせるコロンが優しく香ってくる。 「す、鈴木さん!あの、僕は・・・」 次へ TOP
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2580.html
前ページ / 豆粒ほどの小さな使い魔 / 次ページ 食堂につくまでに、席についてからも何度か周りから悪口を投げかけられるルイズ。言い返すのは同じだけど、その度に小さく、これじゃだめなのにと呟いていた。 変わろうとしているらしい。それが難しいことを私も知っている。だから、尊敬に近いものを感じた。 ルイズに言われたから、私は部屋においていくつもりでいた木の実の殻のコップも持ってきた。ドングリよりも皮が少しだけ薄い。 愛用の工具があれば取っ手をつけたり彫刻をしたりするんだけど、当分は無理だろう。他にもしないといけないこと沢山あるし。 シエスタに、おべんとうのお礼を。コップを見せたとき、自分も子供の頃お人形遊びで同じような物を作ったと。 「そうよ! 人形の家具があるじゃないの」 なるほど、ここでも人間の女の子はお人形遊びをするのか。違うようでいて、ニホンと似てるところも意外と多いのかもしれない。 早く探索を、ガッコウの中だけでもしたい。考えるのには、正確な情報が、沢山いる。 野菜だと思ってたら、すごくにがい。灰汁抜きをしたら少しは食べやすくなると思う、けど、これは。 ルイズも私も残してしまった。ただこの匂いは、虫除けの香草に似てる。 「るいず、コレハ、ヤクソウ?」 「え? さぁ、知らないわ。薬に使うなんて聞いたことないから」 パンの欠片を浸して食べた羊のシチューはとても美味しかった。 * * 部屋に戻って、どこにハヤテのお部屋を作るか決めようとしたんだけど、その前にハヤテが小さな声で、窓を薄く開けておいてくれないかと言ってきた。 まぁ構わないけど。 「それで、どんなところがいいのかしら」 連絡員の部屋が隠されてるのは、人間にその姿を見られないようにするため。だけどハヤテが私の使い魔だということは隠してない。 「こそこそする必要もないんだから、大事なのはハヤテが過ごしやすい場所であることよ」 自明の理なのに、ハヤテの方が少し、照れてるのかな? 遠慮することなんてないのに。 「デモ、るいずノ仮ノ連絡員ナンダカラ、連絡員ラシクシタイ」 照れてるんじゃなくて、何かこだわりがあるみたい。 言いたいことをちゃんと言ってくれるのは、分かりやすいし、何よりすっきりする。また一つ、ハヤテの好きなとこが見つかった。 クローゼットや引き出しの中は、出入り口を作るのがちょっと大変そうだから、今は無理かな。人形の家をそのまま使うのはいや。さて、 「るいず、小サイ明カリッテ、ナイ?」 「あっ、そうか、中が真っ暗になるようじゃ困るんだ」 それってかなり条件が難しくないだろうか? それともコロボックルは、暗くても平気なの? 「夜目ハ利クケド、部屋ガ暗イト、困ル」 ハヤテは、自分の顔くらいの円を作って、彼女の国には、そのくらいの大きさの明かりがあるって。 「ごめん、そんな小さな明かりは私には用意できそうにないわ」 隠れ家を作るのって、難しいのね。 「難シイ、ダカラ楽シイ」 ハヤテは、ちょっと自分でも探してみる、と、その一言を残して一瞬で姿を消した。小人の視点で見たら、また違った答えが出るのだろう。 何しろ人間の目に触れることなくここまで来た種族なんだから。 私は、使い魔を守る義務がある、ううん、ハヤテを誰にも渡したくない。 ベッドに背中から倒れこんで、天井を見据える。 昨日今日と、クラスメイトとはまともに話してない。考えてみれば、運がよかった。だからこの先の態度を今決めないと。 珍しい、希少な使い魔を迎えられたことを、自慢してやりたかった。声を大にして皆に向かって叫びたかった。 だけど、それで得られるのは? 子供の満足感だけだ。 ハヤテがそこにいるのが当たり前だという態度。自然に。そう思うと浮かんでくるのは、ちい姉様。 ちい姉様の部屋にどれだけ珍妙な動物がいようと、あのほんわかした癒しの空気に触れると、どうでもよくなって、あたりまえのように思えてしまう。 ハヤテの本当のことを知るのは、ハヤテが信用した相手だけでかまわない。 もしかしたら、これは自分が変わることの第一歩になるんじゃないだろうか。 ちい姉様は、どうしてあの動物たちを相手に自然でいられるんだろう。正しい問いは答えをその内に含んでいる。ちい姉様にとって、彼らが自然な存在だからだ。 きっと人にそのまま言ったら、ふざけるなと言われそうだけど、でもそうなんだ。 昨夜よりも今朝、今朝よりも今、段々にハヤテを相手に緊張しなくなってきてる。 ハヤテのことが少しずつ分かってきて、ハヤテも私のことを少しずつ分かって……もっと潜る……私のことを、知りたいと思ってくれたから、だ。 今日の遠乗り、もの凄く大きな意味があったと、今更ながら。 それともう一人。私は、ハヤテと同じ髪の色をしたメイドに、少し興味を抱いた。話して、どんな人かなってちらっと。 シエスタは? 私を、学院の生徒の一人から、ルイズ・ド・ヴァリエールと見てくれるようになっただろうか。 途中から、取りとめのない空想に入ってた枕元に小さな影がとんと飛び降りてくる。 「あ、ハヤテお帰りなさい。どう? いいところは見つかった?」 「本棚ノ、一番上ノ段、アソコニ、はんかちデ仕切リヲ作リタイ。ダメ、カナ?」 「あそこに?」 ハヤテを肩に乗せて、指差された本棚に行ってみる。 ここも自分で掃除してるし、奥行きもそこそこあるんだけど、こんなに簡単なところでいいのか、逆に不安になった。 「アノネ、るいず、一回、入口ニ行ッテミテ」 そうして、ドアのところから部屋を振り返って…… 「……あ」 ドアの開く向き、それに私が机に座ってれば余計に、入ってきた人からは本棚の中は全然見えない。 それに、ハヤテが指し示した場所は、はっきりと意識してじゃないと、まず目を向けない場所なんだ。 ちょっと、ぞくりとした。 ハヤテの小さな姿を見て、彼女の中にどれだけのものが詰まっているのか、予測できる人は殆どいないんじゃないだろうか。ただ珍しいと思うだけで、その中身までは。 ハヤテは、人間のことをよく知ってる。 ドラゴンやサラマンダーとは、方向性が全く違う、もの凄い大当たりだ。自分の幸運に眩暈がした。 「必要なのは、凄い工夫とかじゃないのね」 魔法も、本当は、もしかしたら、そうなんじゃないだろうか。必要なだけの速さ、必要なだけの強さ、杖を持っていない右手が、自然に握られる。 今、何かヒントが頭の中をすり抜けた気がする。後で思い出してみよう。 「参った、降参だわ。一回本を全部どけて、ちゃんと掃除するから、ハヤテはどのハンカチがいいか選んでてくれる? 他にも欲しいのがあったら」 元々一番上の段は半分も使ってなかった。手を伸ばすのがちょっと面倒だったから、普段あまり読まない本を入れてただけだし。 本を机に移して、水拭きと乾拭きを、奥の仕切りも背伸びしてちゃんと拭いた。 これ以上は、ハヤテが自分で掃除すると思う。私の目には奇麗でも、ハヤテにはゴミが見えてるだろうし。 「本は、左側に寄せておけばいいのよね」 「ウン」 返事の度に私の肩まで戻るのでは、ハヤテが大変だ。かと言って頷いたり手を振ったりしても、ハヤテじゃ小さすぎて見えない。 「ダッタラ、コレ、ドウカナ」 ハヤテが右手を口にやる。そこから、 ピュイッ けして大きくないけど、鋭い口笛の音が響いた。節を変えながら、もうニ回。 「最初ノ音ガ、『ハイ』、次ノ音ガ、『イイエ』、最後ノガ、『るいず』ッテ呼ブ音。ドウ?」 聞いて思った。まるで、鳥の囀りだ。 「ばっちりよ! ハヤテって何でもできるのね」 これも、マメイヌ隊の合図だとか。囀りに似てると思ったのも正解で、もっとずっと沢山の節回しがあるんだって。 試しに、長めのを拭いてもらったら、耳に馴染みはないけれど、こんな鳥もいるかもと思わせるくらい上手だった。 「ねえ、今のは何を伝える合図なの?」 ぱちぱちと拍手をしながら聞いてみた。 「『さくらノ技師ガマタ実験ニ失敗シタカラ、大至急後片付ケヲ手伝ウコト』 私ガ最初ニ覚エサセラレタ合図」 真面目な顔で言うものだから、笑っていいのか一瞬迷ってしまった。 「さくらノ技師ハ、国デモ一番ノ技師。デモ一番沢山シッパイスル技師。トッテモイイ人。ヨクオ菓子クレル」 余計分からなくなってしまった。ただ、ハヤテはそのサクラノ技師のことがかなり好きなんだということはよく分かった。 「明日外で、合図がどれくらい離れても聞こえるのか、試してみましょうね」 ハヤテがカーテンの代わりに選んだのは、地味な色合いのハンカチだった。ピンで端を止めれば外からは見えないし、重りを置けば風でまくれることもないだろう。 キュルケが部屋に飛び込んできても、まずハヤテの部屋だとは気づかれないと思う……私が変な態度をしなければ。 「まだ寝床とかもないし。あ、この小物入れあげるから使って」 中に入っていたイヤリングを別の小箱に移して、ハヤテにプレゼントする。 まだ持ち物はないけど、その内増えるはずだし、くつろぐときには剣とか外してもいいと思う。 「アリガト、るいず」 一番白くて目の細かいハンカチも一枚進呈。 「これは、切り取って、布として使ってもいいからね」 肌触りのいい上等のそれなら、ハヤテの肌を傷つけないし、私のお気に入りをハヤテが身近に使ってくれると思うと、胸の辺りがこう、あったかくなる気がする。 もしも、今日、誰かが私の部屋の音を聞いてたら、私の独り言と鳥の囀りがまるで話してるみたいに聞こえたんじゃないかな。 前ページ / 豆粒ほどの小さな使い魔 / 次ページ
https://w.atwiki.jp/kyoukaisen/pages/115.html
名前 クラリス・ウェル・アルカード=アブソリュート 性別 女性 出身 遥かどこかの生態研究所 容姿 淡桃色のボブカット、夜色のドレス、裸足。自信と優越に飾られた金の双眸。 身長145cm体重32kg 性格 自身を最上とみる故の自信と優越、確固たる自信のもとで他の存在を下等とみる価値観。 冷静でいて頓着、対話を好み口が回り、その仕草は万別を魅了する。 ずかずかと突っ込んでくる性格であるがため攻め手である。 能力 [アブソリュート・クラリス(絶対災厄)] オリジナルの能力メカニズムサンプルデータを基に構築、完成された対比の能力。 外部からの概念的な刺激、はたまたこの世における現象、身に危害を与える事態を完全に拒絶する能力。 再生に分類されるオリジナルと比べ、これは遮断に分類され、魔術的な理論が大きく加担している。 火傷もしなければ凍傷もせず、怪我を負うこともなければ病を患うこともないし、刃物は刺さらず跳ね返る。 一見すれば最強の防御能力だが、オリジナルの様な持続性は根本的な違いから確率には至らなかった。 そのため物理的な手段であれば、数回の連続攻撃でこの能力の遮断許容量を超え、本体にダメージを与えられることが判明している。 最強の欠損作品といえるが、これが身体に及ぼす影響は計り知れない。クラリスの生命を使用するたびに蝕んでいく様は形ある病原体である。 [導きの可能性] クラリスの身体に施された魔術処理の呼応名。 本来の五感に比べ、知性や身体的力を強化する。 その小柄な体躯からは想像できない身体能力を持つクラリスの秘密はこれである。 何の関連のない人の子に、神ならざる疑似能力を植え付けるに必要だった処理は、本来の寿命を大幅に削る。 絶対災厄と導きの可能性を保持するために行使される脳はすでに限界を見せ始め、クラリスの余命は残り3年ほど。 普通の生活を営んでいれば丸一日、フルで酷使すれば最大2時間で活動限界症状(目と鼻、口から血が流れ出す)が表に出初め、身体を休めなければ脳が焼き切れ即死にいたる。 [形態魔術・黒] 主に物質を思い描いたカタチで顕現させる術式、黒は武器製錬を重点に置く。 クラリスの過去を探れば、意外にも魔術師の両親を持つ家系であるが故に、使用が可能。 近接武器を製錬するのが得意で、中でも剣と大鎌を製錬させれば右に出るものは居ない。これはクラリスが元々持つ才能と術式である。 概要 魔術が科学を抜いた世界が彼女本来の出どころであるが、【ゲート】を介して攻め入った他世界の住人の侵略と、魔術軍の紛争により戦争孤児に。 他世界の高度な科学兵器に敗れた魔術国家は世界の所有権を異世界の住人に明け渡し、荒れ果てた大地と裕福層の差が激しい独裁主義国家が新たに設立、世界の所有権を利用し貧困の差は過激を増す。 戦争孤児になり行き場を失った彼女は、あくる日の夕刻、軍の研究員に目をつけられ拉致され、この世界から姿を消した。 世界には自分と瓜二つの他者が数人いると言われているが、彼女の場合は似ているを通り越し同一。 奇跡的にも身体的特徴までもがシン・リンカーラスト=アブソリュートと一致したために、シンの能力を疑似した能力を植え付ける実験の被害者となる。 その際、実験に耐えうる身体を持たせるため魔術処理[導きの可能性]が施された。 ただしそれは小さな身体と未発達な脳に多大な負荷を生じさせ、人格崩壊と記憶障害を引き起こす結果となり、彼女の今の性格は改めて形成されたモノである。 実験の結果は成功とも失敗とも言えず、後にこの盛大な計画は終焉を迎え、証拠の隠蔽を理由に被害者や研究員たちは全員が抹消されてしまう。 その中でも、極めて成功に近かった彼女だけはその性質上抹消を拒絶し、生き残る。有り余る力をフルに暴走させ敵陣を強引に切り抜けた先で【ゲート】に遭遇。 結果、訳も分からぬままに世界を彷徨うようになった。
https://w.atwiki.jp/nennouryoku/pages/487.html
投稿日: 03/02/26 21 19 00448 能力名 小さな力持ち(アントセンドハンド) タイプ 物品生成(念道具)・身体能力操作・磁力\重力 能力系統 具現化系 系統比率 未記載 能力の説明 手袋を具現化する。つかんだ物の重さを軽くし持ち上げることができる。 片手でトラックを持ち上げたりできるが手から離れると元の重さに戻るので 重いものを投げつけての攻撃は難しい。 重いものを叩きつけHitする瞬間に能力解除し押しつぶすのが基本戦法。 普段はパワー型強化系を装う。 制約\誓約 - 備考 - レスポンス 類似能力 コメント すべてのコメントを見る 具現化系 物品生成(念道具) 磁力\重力 身体能力操作