約 664,652 件
https://w.atwiki.jp/nikuq-niuniu/pages/594.html
小さな勇者の帰還 依頼主 :エルネド(東ザナラーン X11-Y22) 受注条件:レベル35~ 概要 :聖アダマ・ランダマ教会のエルネドは、シルフ族の遺体を運んで欲しいようだ。 エルネド 「お預かりした遺体の中に、シルフ族の遺体がございました。 ・・・・・・この遺体を、黒衣森の「シルフの仮宿」へ、 返しに行っていただけるでしょうか。 シルフ族は、我々とは異なる独自の文化を持つと聞きます。 ・・・・・・きっと、このシルフ族も自分の故郷で、 ゆっくりと眠りたいでしょうから・・・・・・。」 シルフの仮宿のコムシオにノラクシアの遺体を渡す コムシオ 「アナタ! 仮宿へようこそでふっち! ・・・・・・そういえば、砂の家にオツトメしてる、 ノラクシアは元気なのでふっち?」 (ノラクシアの遺体を渡す) コムシオ 「・・・・・・ふえ? ・・・・・・ノラクシアなので・・・・・・ふっち!? どどど、どういうことなのでふっち!? ななな、なんなのでふっち!?」 フリクシオ 「コムシオ、何事なのでぶっち? んもう、さわがちいのでぶっち。」 コムシオ 「長ちゃま! ちょうどよかったのでふっち!」 フリクシオ 「これは冒険者どの! 仮宿にようこそでぶっち! 今日は何の用なのでぶっち? なんと、そんなことがあったのでぶっち!? ・・・・・・くわしい話を聞かせてほしいのでぶっち。 ・・・・・・そうだったのでぶっち・・・・・・。 ノラクシアは逝ってしまったのでぶっちか・・・・・・。」 コムシオ 「ノラクシア・・・・・・。」 フリクシオ 「ノラクシアに砂の家へ行くのを奨めたのは、 ワチシなのでぶっち・・・・・・。 暁の方々や冒険者どのに、責任はないのでぶっち。 冒険者どの・・・・・・。 ノラクシアは、最後まで立派だったのでぶっち? ・・・・・・よかったのでぶっち。 きっとノラクシアも、お役に立てて喜んでいるのでぶっち。 ・・・・・・冒険者どの、ありがとうなのでぶっち。 ノラクシアは、ここでちゃんと弔うでぶっち。 お世話になった教会の方々にも、 礼を言っておいてほしいのでぶっち。」 コムシオ 「ノラクシアを殺ちたのは「テイコク」なのでふっち? ・・・・・・アイツたち、ゆるさないのでふっち・・・・・・。 アナタ、いつか「テイコク」と戦う時がきたら、 シルフ族はチカラを貸すのでふっち。 ノラクシアの想いは、シルフ族みんなで紡ぐのでふっち!」 聖アダマ・ランダマ教会のエルネドと話す エルネド 「黒衣森までの旅路、大変ご苦労さまでございました。 これでお預かりした遺体はすべて弔えました。 あのシルフ族も、故郷で穏やかに眠ることができましょう。 ・・・・・・まあ、シルフ族の長がお礼を? 私には祈ることしかできませんでしたが、 残された方の悲しみが少しでも癒えたのなら幸いです。」 ノラクシアの遺体:シルフ族の勇士、ノラクシアの遺体
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/609.html
雪の中から立ち上がると、体中に積もった雪を払い落とした。 そうだ、私がぶつかったせいでこんなことになったんだ。 「こなた、ごめんね、ぶつかっちゃって」 「大丈夫だよ。心配しないで。でも、どうしてあんなに慌ててたの? すごい勢いだったよ?」 「え、そ、それは、その……」 まずい、雪の中で倒れてると壮大に勘違いしたことだけは隠さないと。 「携帯に電話したんだけど出ないから、家に直接かけたのよ。そうしたらあんたのお父さんが出て…… って、そうだ。おじさん心配してたわよ?」 「お父さんが? そういやすぐ戻る予定だったからなあ」 「それに後で謝らないと。電話の途中で切っちゃったから」 「え、どうして?」 「うっ……」 しまった。墓穴を掘ってしまった。 「ねえねえ、どうして?」 しつこく聞いてくる。 「あ、あんたを探すためよ」 目をそらしながら答える。 「私を? どうして?」 なおもしつこく聞いてくる。 ……答えなければならないのか。 「……あんたが中々戻ってこないって、おじさん心配してたから」 なんとかおじさんのせいにすることができた。 ごめんなさい、おじさん。 それでもなお、こなたは私の目をじっと見つめてくる。 そ、そんな目で見られると…… 嘘をついてる手前、こなたの目を直視できない。 「やっぱり私のこと心配してくれてたんだ」 「なっ」 こなたは勝ち誇ったような顔でニヤニヤしてる。 でも、その顔は嬉しさで満ちていた。 くやしいけど、こうなったら開き直るしかない。 「うっ……そ、そうよ。悪い?」 「ちょっ、かがみ落ち着いて」 こなたに詰め寄りながらも、とても充実したものを感じていた。 こうやってこなたと話せることがとても嬉しい。 こなたの発する一言一言が、心地よく耳に馴染んでゆく。 どんなつまらないことでも、一緒に話せるだけでこんなにも幸せを感じる。 今日こなたと会えてほんとによかった。 このまま卒業まで口をきくこともないのかと、不安に思ってた。 でも、めぐり合いは唐突にやってきた。 運命に引き寄せられるように。 こんな偶然の形で。 神様、ちょっぴり痛い再会でしたけど、こんな素敵な偶然を与えてくれたことに感謝します。 二人並んで歩きながら、何を喋ればいいのか考えていた。 話したいことはいっぱいあるはずなのに、改めて二人きりになると何を喋っていいのか分からない。 ……そうだ、ひとつどうしても確認しなければならないことがある。 どうしてこんな朝からこなたがここにいるのか。 当たり前のように目の前にいるので聞くのを忘れていたけど、考えてみれば余りにも不自然だ。 「ひとつ聞きたいことがあるんだけど、いい?」 「ん、何?」 「こんな早い時間にどうしてここにいるのかなって」 「ここにいちゃ駄目?」 「ううん、そういう訳じゃなくて……雪を見に外へ出かけたとは聞いていたけど、まさかこんな所まで来ているとは思わなかったから」 「うん、最初はすぐに戻る予定だったんだけど。まあ、成り行きで」 「どういう成り行きでここまで来るのよ……まあいいわ。でも、どうやってここまで来たの?」 「走ってきた」 「……」 ここは突っ込むべきところなんだろうか? あえて触れてあげないことにした。 「あんたって雪とか自然を見て回る趣味でもあったの? 意外だわ」 「いやー、こんなに雪が積もった日には何か面白いことが起こりそうじゃない?」 「私は事故が起こるんじゃないかってヒヤヒヤしてたけど」 「? 何かイベントが起こってフラグが立つかもしれないよ?」 「ああ、そっちの話ね……それに、同意を求めるように言われても困るわよ」 「でも、実際に木にぶつかって雪をかぶるなんてゲームみたいな体験もできたしね。某有名ゲームの中だったら、本当にフラグが立ってるよ?」 「一体何の話よ? それにぶつかって悪かったわね」 「気にしてないからいいよ。……それに現実でもフラグが立ったからね」 当の本人は満足げに笑っている。 相変わらず付いていけなくて良く分からないことも多いけど、それで良しとしよう。 「まあ、あんたのことだから雪の中ではしゃぎ回っているのかと思ったわ」 ちょっと意地悪して言ってみた。 「む~、それはひどいよ。私だってもう大人なんだよ?」 「ずいぶん子供じみた大人ね」 ふふっと笑いながら、こなたの顔を覗き込んだ。 こなたはちょっと拗ねたように、頬をぷくっと膨らましている。 そんな様子がとても可愛くて、思わず頬を突っついてしまった。 柔らかい感触が指の先から伝わってくる。 本人には迷惑なんだろうけど、ずっとこうして突付いていたくなる感じだ。 「わわっ、かがみ?」 驚いた様子で、こなたは私のほうに向き直った。 また顔が赤く見えるのは気のせいかしら? 「顔が赤いわよ? もしかして熱でもあるんじゃないの?」 そう言って、手をこなたの額に当ててみた。 特に熱はないみたい。 私の勘違いかな? こなたは額に当てた私の手をボーっと見ている。 どうしたんだろう? 「こなた、大丈夫?」 「えっ、あっ、何でもないよ」 言うや否やそっぽを向いてしまった。 心なしかさっきより赤いような。 本当にどうしたんだろう? 「こなた、本当に大丈夫なの? どこか体の具合が悪いんじゃない?」 「本当に何でもないってば……もう、かがみんは心配性だなあ」 またごまかすようにそう言った。 「ごまかさないの。私はあんたが心配で言ってるんだから」 言い終わってから、なぜか私まで恥ずかしくなってきた。 ……何でだろう。 こなたは一瞬迷ったあと、ためらうように私を見つめてきた。 どこか不安と期待が入り交じったような目をして。 「じゃあ、もう一度熱があるか確かめてみる?」 「えっ? ええ」 もう一度手を額に当てようとすると、こなたは頭を横に振った。 「ううん、そうじゃなくて。よくテレビとかでお母さんが子供に熱があるかどうか確かめるために、おでことおでこをくっつけてるでしょ? あんな感じで」 一瞬何を言っているのか分からなかったけど、その内容を理解するや否や、私は耳まで赤くなった。 「なっ、何言ってるのよ? そ、そそ、そんなことできる訳……」 何を言うかと思えば、何という突拍子もないことを。 それにそんなこと、こなたが嫌がるに違いない。 「あれ~、かがみんは何を想像してるのかな? ただ熱があるか確かめるだけだよ?」 私を試すように見ている。 その顔は私にそんなことできるはずがないという余裕の表情が見て取れた。 「恥ずかしがり屋のかがみんにはできないんだね」 さっきのお返しだよと言わんばかりの澄ました表情。 ──むっ、そんなことないわよ 心の奥から負けず嫌いな性格が頭をもたげてくる。 「そ、それぐらい私にもできるわよ」 こなたの方へずいっと身を乗り出した。 「か、かがみ?」 「い、いくわよ?」 こなたはあっけに取られている。 まさか私が本当にするなんて思ってなかったんだろう。 そんなこなたの顔を見ながら、徐々に顔を近づけていった。 …… 今になって強烈な恥ずかしさが襲ってくる。 心臓がバクバク鳴っている。 でも今さら止められない。 こなたの綺麗な瞳に見つめられていると、とても恥ずかしい。 その目をみないように目を閉じた。 そのままゆっくり顔をこなたの額に近づけていく。 …… 額に肌が触れ合う感触。 さっき手で触れたときはそんなに熱く感じなかったのに。 まるで本当に熱があるかのように熱く感じる。 でも、嫌な感じはしない。 触れ合ったところから伝わってくる熱がとても心地よく感じる。 こなたの息も間近で感じる。 肌に感じる息がとてもくすぐったい。 ずっとこうしていたい。 ずっとこうしてこなたの熱を感じていたい。 ………… …… はっ!? 思わず夢中になってしまって…… 「ご、ごめんな……さい?」 目の前のこなたはこれまで見たことがないほど真っ赤になっている。 目もどこか潤んだ様子で、ぼーっと私の顔を見ている。 おそらく私もそれ以上に真っ赤なんだろう。 「ずるいよ、かがみ……ほんとにするなんて」 また拗ねたような顔を見せる。 「ごめん、嫌だったよね……」 少し気まずさを感じ、目を逸らした。 「ううん、違うよ。全然嫌じゃないよ」 「えっ?」 意外な答えにもう一度その綺麗な瞳を見つめ直した。 「なんだか恥ずかしいね……えへへ」 「……!」 声が出ない。 これまでに見せたことのない、とびっきりの笑顔。 まるで天使のような笑顔に目が釘付けになる。 見ているだけで、そのエメラルドの瞳に吸い込まれてしまいそうだった。 ──ずるいのはこなたよ……そんな顔見せられたら、私…… 胸の鼓動が止まらない。 何で? どうして? 今日の私はどこかおかしい。 こなたと会ってから、ずっと気持ちが揺れ動いている。 嬉しかったり、悲しかったり、落ち込んだり。 でも、こなたの笑顔を見ているだけでこんなにも幸せな気持ちになれる。 これって……ううん、でもそんなこと…… 「かがみ、行くよ?」 そう言うと、こなたは私の手を取った。 「えっ、ちょっと、……もう」 手の温もりを感じながら、同時に心の中が温かいもので満たされていく。 握られた手の先から、まるで幸せがいっぱい溢れてくるみたい。 そんな幸せな気持ちを少しでも分けてあげたくて、ぎゅっと握り返した。 こなたはもじもじしながらも、ちゃんと握り返してくれた。 その小さな手から、こなたの思いが伝わってくる。 言葉なんかなくても、温かい気持ちが伝わってくる。 「こなた……」 「なに?」 「ううん……なんでもない」 「……うん」 ──こなた、ありがとう しばらくそうやって、こなたと一緒に神社の中を見て回った。 外へ出かけてもよかったけれど、普段家の中ばかりなのでたまには神社を見たいというこなたの要望で、案内することにした。 見慣れた建物ばかりだったけど、こなたと一緒だと新鮮に見える。 普段は意識することがないけれど、雪化粧された古い建物を見ると、どこか厳かな雰囲気が漂ってくるから不思議だ。 周りの雪景色を見るふりをしながら、こなたの顔をちらりとのぞいてみた。 すると、こなたもこちらを見ていたのか、目が合ってしまう。 「うっ、……な、何よ?」 「ん~? 何でもないよ?」 ほんとに何でもないやり取り。 こんな何気ないやり取りも本当に久しぶりに思える。 「こうやって一緒に話すのって久しぶりだよね」 その台詞に一瞬ドキッとした。 私を責めるような響きはない。 こなたは相変わらず嬉しそうにしている。 でも、その言葉は改めて私がこなたを避け続けていた現実を思い起こさせた。 「……そ、そうね」 何て白々しい台詞。 そうなった原因は私なのに。 素直に謝ればいいのに、私の馬鹿。 天邪鬼な性格が邪魔して素直になれない。 こなたに言わせれば筋金入りのツンデレなんだろう、私は。 でも、こんなときぐらい素直になりたい。 ううん、素直にならなきゃいけない。 こなたに謝ろうと決めたんだから。 覚悟を決めて向き直る。 「あの──」 「ねえ──」 なんて絶妙なタイミングで…… 「こ、こなたからどうぞ」 「う、うん。かがみ、一緒に雪だるま作らない?」 「えっ? 雪だるま?」 「そう、雪だるま。これだけ雪が積もれば作れるでしょ?」 何を言われるかと不安になったけど、雪だるまか。 肩透かしを食らったものの、ホッとした。 結局問題を先延ばしにしているだけなんだけど、今はこなたと一緒に何かをしていたい。 「うん」 もうすこし、このまま一緒にいさせて。 「雪だるまか」 そう一人で呟きながら子供の頃を思い出した。 雪だるまなんて前に作ったのはいつだったろう? 子供の頃つかさと一緒に作ったことは覚えている。 「たまにはこうして自然と触れ合うのもいいかもしれないわね」 知らず知らずの内にそういう遊びから離れていき、気付いたときにはすることがなくなっていた。 近年めっきり雪が減ったという理由もある。 「あそこで作ろっか」 こなたは一本の大きな木を指差した。 良く見るとあの周囲は木の枝から落ちた雪が多く積もっている。 雪だるまを作るのには丁度いい。 こなたは早速木の下に向かうと、雪を集め始めた。 ……って素手で? 「ちょっと、こなた、まさか素手で作るつもり?」 「ん? そだよ?」 「そんなことしたら手がしもやけになってしまうわよ?」 「そんなに本格的に作るつもりはないから大丈夫だよ」 「でも……今から手袋持ってくるから」 「大丈夫だって。私もそんなに無理して大きなやつ作らないから。だから、ね、ちょっとだけ付き合って?」 そんなに手を凍えさせてまで作りたいの? 理由は良く分からない。 けど、こなたの顔はどうしてもそうしたいように見える。 「もう、しょうがないわね」 すこしだけ、こなたのわがままに付き合うことにした。 「さすがに冷たいわね」 指先に触れる感触はとても冷たく、どこか懐かしいものだった。 雪玉を作ろうと触れた雪は、すぐに自分の体温で溶けてしまう。 「ひとつ作るにしても、なかなか難しいものね」 何度か失敗しながらも、ようやく小さな雪の玉を一つ作ることができた。 後はこれを雪の上に転がして、と。 徐々に大きくなっていく雪の玉を見ながら、子供の頃を思い出していた。 雪自体それほど降らないのでほとんど作った記憶はなかったけど、積もったときはとても嬉しかったしワクワクしたのを覚えている。 雪だるまとはいえ、作っているときは真剣だったし、なによりとても楽しかった。 小さい頃は、そんな単純なことでも嬉しかった。 じゃあ、大きくなった今は? 目の前でだんだん大きくなりつつある雪玉を見つめながら、意外に楽しんでいる自分に気が付いた。 こういう遊びは比較的冷めた目で見ていることが多かったように思うけど、いざやってみると意外とはまるタイプらしい。 とても単純な作業だったけど、自分の手を動かして何かを作る作業は楽しかった。 「美術の授業以来かな、こうやって何かを作るのは」 子供の頃はもっと自分の手を使っていろいろなものを作る機会が多かったように思う。 最近は勉強ばかりで、そういう体験はしていなかった。 作業すること十数分、雪だるまは徐々に形ができあがっていった 不格好ながらも、久しぶりに作るものとしては上出来だろう。 こたなは出来たかな? そう思いこなたの方を振り返る。 ……うわっ、私の2倍ぐらい大きい。 ってゆーか、何でそんなに手際がいいのよ? 思わずつっこみを入れかけたものの、言葉には出せなかった。 こなたの顔は真剣だった。 普段見ている姿からは考えられないほど、一心不乱に作っている。 手を真っ赤にしてどうしてそこまで一生懸命に作れるの? 赤くなった手が痛々しくて、思わず声をかけてしまった。 「手、痛くない?」 「うん、もうちょっとだから待ってね」 そう言うと最後の仕上げに取り掛かる。 どこで見つけたのか、葉っぱの付いた2本の枝を雪だるまの頭の両側面に取り付ける。 「よし、できた」 頭から垂れ下がった2本の枝は、まるでツインテールのよう。 もしかして、これ…… 「こなた、これって……」 「うん、かがみだよ」 これもどこで見つけたのか、丁寧に葉っぱで顔まで作られている。 どこか怒ったような表情が、私によく似ていた。 「こなた……」 手があんなに真っ赤になるまで一生懸命作ってくれたことがとても嬉しかった。 とても冷たかったと思う。 それに指も痛かったはず。 そこまでして私を作ってくれたこなたの思いに、胸が熱くなった。 「葉っぱ、一枚もらってもいい?」 「えっ? うん、いいよ」 枝から細い葉っぱをつみ取ると、それを私が作った雪だるまの頭の上に挿した。 簡単に顔を描いた後、こなたが作った雪だるまの隣に移動させる。 こなたの雪だるまと比べるとずいぶん見劣りするものの、即席で作ったわりには良く出来たと思う。 「これは……」 「そう。こなたよ」 風に吹かれてわずかに葉が揺れる。 ほんとにこなたのクセ毛みたい。 「かがみと一緒だね」 「うん」 大きな雪だるまはさすがに素手では作れない。 でも、大きさなんて関係ない。 こなたと一緒に作った二つの小さな雪だるま。 見た目は不格好だけど、初めてにしては良く出来たとほめてあげたい。 ひとつはこなたで、もうひとつは私。 仲良く寄り添うようにくっついてる。 私たちの分身が仲良く寄り添う姿をしばらく一緒に眺め続けた。 ──いつまで残ってるかな できればずっとこのまま残っていて欲しい。 でも、いつかは溶けて無くなってしまうのは確かだ。 「どうしたの、かがみ?」 「ん? せっかく作ったのに、いつかは無くなってしまうんだなって」 そう思うと、少し悲しくなった。 「うん……でも、かがみと一緒に作った思い出は、これからもずっと残るよ。この手の冷たさも、痛さも、忘れない」 「……うん、ありがと」 ──溶けて無くなっても、気持ちはずっと一緒よ だから、これからもずっと私たちを見守っていてね。 小さな体でずっと私たちを見守り続けている雪だるまに、そう祈った。 「かがみ、私のわがままに付き合ってくれてありがとね」 「ううん、私も楽しかったから。それに、私の雪だるまも作ってくれたし……」 最後は恥ずかしくて、すこしどもってしまった。 「それよりも、手、大丈夫? 真っ赤じゃない」 「ほんとだ、真っ赤だね」 こなたは真っ赤になった手を見つめた。 「でも、かがみも真っ赤だよ?」 言われて確認すると、私もずいぶん赤くなっている。 「ほんとだ。こなたと一緒ね」 「えへへ」 無邪気に赤くなった手のひらを目の前で広げている。 その手がとても寒そうなので、温めてあげたくなった。 「かがみ?」 「こ、こうすれば少しは温かくなるでしょ?」 恥ずかしかったけど、このままこなたがしもやけになるよりはいい。 かじかんだ手を包み込み、ハーッと暖かい息を吹きかけた。 「わわっ、かがみ……」 身をよじって逃れようとするも、私は手を離さない。 「ほら、暴れないの」 もう一度息を吹きかける。 「もう……ずるいよ、かがみ」 こなたはまた熱が出たみたいに赤くなってる。 「ふふっ」 いつもはからかわれてばかりだけど、立場が逆転したみたい。 「赤くなっちゃって、かわいいとこあるのね」 「んなっ!? まさか、かがみんにしてやられるとは……」 「ふふふっ」 そんなこなたの様子がおかしく、しばらく笑ってしまった。 「ご、ごめん。あんまりおかし……」 すると、突然手に柔らかい感触が。 ──えっ、何? 手の先を見ると、こなたは自分の頬に握った手をこすりつけていた。 「な、何やって!?」 「ん~? 手を温めてるんだよ?」 「そ、そんなこと」 ものすごく恥ずかしい。 「かがみん、顔が真っ赤だよ?」 「うっ」 「あれ? 手を温めてるだけなのにどうしたのかな?」 「うああ……」 してやられた。 結局私はこなたにいじられる立場なのね。 当の本人はニヤケ顔で満足そう。 でも、嫌な気分はしない。 お互いの真っ赤になった顔を見、二人して笑いあった。 これまでずっと続いてきた関係が戻ってきて嬉しい。 ほんとに……嬉しい。 「やっとそんな風に笑ってくれたね」 「えっ?」 突然話が切り替えられて、頭が回らない。 「かがみが嬉しそうで、ほんとによかった」 「……」 「これまでずっと辛そうな顔してたでしょ?」 こなたはそう言うとにやけた顔を止め、まじめな顔で私を見つめた。 「見てたの?」 「私はずっとかがみのこと見てるよ」 「……」 その告白に、どう返せばいいのか分からない。 こなたは私がずっとひどいことしてたときも、私のこと気にかけてくれてたの? 「そんなこと言うなんて、あんたらしくないじゃない」 気まずさもあって、そんな風に答えてしまった。 「うん、私もそう思う」 静かな風が私たちの間を吹き抜ける。 「……あっ、でも笑わないでね。これも私の本当の姿なんだよ?」 「うん、笑わない」 まじめに話してるこなたを笑えるわけないじゃない。 こなたの手を再びぎゅっと強く握りなおした。 「ありがと。……えっと、何から話せばいいのかな」 こなたはずっと迷っているようだった。 しばらく迷った後、何かを決めたようにこう言った。 「ごめん」 「えっ、どうして謝るのよ?」 「もうずいぶん前のことのように思うけど、かがみにひどいこと言っちゃって、それで……傷つけちゃったから」 「でもあれは私が……」 「ううん、私がかがみの気持ちを考えずに言ったから、だから、ごめん」 そう言って頭を下げた。 「そ、そんなことしないで。あれは私が勝手に勘違いして、……それに悪いのは私の方だから」 「ううん、私にも責任あるから、だから謝らせて」 「……」 そう素直に言われては、無理に言い返せない。 「かがみと会えなくても大丈夫なんて言ったけど、ほんとは、そんなの嘘だよ。かがみとずっと喋れなくて、……すごく寂しかった」 その言葉に胸が抉られる。 「あの時は受験シーズンでみんな忙しい時期だったし、って今もそうだけど、私ずっとかがみに宿題見せてもらったりして迷惑かけてたから。 だからかがみに気を使ってもらうのが悪くてあんな言い方しちゃって」 そうだったんだ。 私一人勘違いして、こなたを辛い思いさせていたなんて。 「あんな言い方したら、まるでもう来なくていいって言ってるみたいに聞こえるよね。ごめんね」 「ううん、あれは私がこなたの言いたいこと聞こうとせず、一方的に思い込んでただけだから。だからもう謝らないで」 こなたはこんなに私のこと気にかけてくれていたのに。 その気持を身勝手な思い込みで裏切っていたのは私だ。 「かがみはやっぱり笑っているほうがいいよ」 「そうかな」 「うん。かがみは意地っ張りだから、ずっと一人で辛い思い抱え込んでたでしょ?」 「……」 「私じゃ何もできないかもしれない、勉強もできないし役に立てないかもしれないけど、……でも、辛いときは言ってね。 こんな私でよければ、いつでも相談に乗るから」 「こなた……」 私は自分のことだけで手一杯だった。 でもこなたは、私のことまで心配してくれて…… これほどの強さを小さな体に秘めて、ずっと辛いことに耐えていたんだ。 ほんとに、……ほんとにごめんね。 「だから一人で辛い思いを抱え込まないで。見てる私も……とても辛かったから」 「……うん」 「今さらだけど、あの時最後に言えなかったこと、ずっと言いたかったこと言わせて。たとえ受験で一時的に離れ離れになっても、 みんなそんなこと気にせず、ずっと友達のままだよ」 「!」 こなた…… 「もしかがみと会えなくなっても、そんなの絶対に嫌だけど、それでもずっとかがみは私の……一番大切な……友達だよ」 恥ずかしそうにしながらも、精一杯の笑顔を私に見せてくれた。 「こなた、ぐすっ、……ううぅ」 もうこれ以上我慢できなかった。 こなたがこんなにも私のことを気にかけていてくれたなんて。 それに対して私はどれほどの辛い仕打ちを行ってきただろう。 嬉しさと罪悪感の両方が混ざり合って、涙が出てきた。 ふわっと全身を包み込む柔らかな感触。 こなたは私を優しく包み込んでくれた。 こなたの優しい匂いを感じる。 とても温かくて、安心できる場所。 優しく頭をなでてくれる手の感触。 それらを全身に感じ、涙が止まらない。 ……………… ………… …… 「もう、大丈夫?」 「うん、ごめんね、服汚しちゃって」 「ううん、気にしないで」 「ありがとう」 今朝に続き、また泣いてしまった。 今日はほんとによく泣く日。 いつから私はこんなに泣き虫になったんだろう。 「今日はどうしてもかがみに会いたくなって、忙しいのに無理に付き合ってもらってありがとう」 「ううん、私もこなたと会えて嬉しかった」 こなたはそうお礼を言ってきた。 でも、お礼を言わなきゃならないのは私の方なのに。 「かがみと一緒にいっぱい喋れたし、雪だるまも作れたし……とても嬉しかったよ」 「こなた?」 どこかさっきまでと様子が違う。 「また、一緒に遊びにいこうね」 「う、うん」 どうしたんだろう。 「私かがみのこと……だから」 うつむき加減にボソッと言った。 「えっ? 今何て……」 「私かがみのこと……心配だから」 赤い顔でそうおどけてみせる。 その笑顔が辛そうに見えるのは何故? 「そろそろ帰らないと、お父さん心配してるから。じゃあ、またね」 そう言うと、こなたはそのまま逃げるように駆け出した。 「えっ、こなた、どうし──」 ────………… 少女は立ち止まり、こちらを振り返る そこにあるのは悲しい笑顔 とても儚く、すぐにでも壊れてしまいそうな脆さを秘めて とても悲しそうに笑っていた 私は届くはずのない手を少女に向けることしかできない どこへ行こうというの どうして私の元を離れていくの そう尋ねても声が出ない 少女は最後に何か呟くと、そのまま闇に飲み込まれていった …………─── 「──!」 突如夢に見たシーンが目の前に蘇る。 ──駄目、そのまま行っちゃ。 「待って!」 まだ、私は謝ってないのに。 こなただけに謝らせるなんて…… それに……まだ私の気持ちも伝えてない。 幸いこなたは全力で走っていない。 これなら私でも追いつける。 そのまま全力で後を追いかけ始めた。 雪に足を取られ、思うように走れない。 でも、気にせず走り続ける。 徐々に詰まっていく距離。 あともう少しで手が届きそう。 力を出し切って、こなたへと近づく。 あと少し、もう少し── 「こなた!」 指先が触れる。 その指を絡め、温かな感触を確かにこの手に掴んだ。 小さな足跡(5)へ続く コメントフォーム 名前 コメント (*´꒳`*)b -- 名無しさん (2023-02-28 06 54 01) ちょwリップルアイランドwwwって雪崩フラグかよ -- 名無しさん (2008-05-28 01 40 04)
https://w.atwiki.jp/zillollparody/pages/42.html
無限のソウルは自らの子を孕んだ、風の巫女を抱き寄せた。 すっぽりと自らの内に収まる、小さな体。 その小さな体の上に圧しかかり、半ば無理矢理に足を開かせた。 その小さな膣内を無理矢理にこじあけ、彼女の体内に欲望と愛を最初に解き放ったのは、それほど昔の事ではないはずだ。 しかし今、その幼さを残す小さな体の腹部がぽっこりと膨れて、男女の性行為の後を、明確に知らしめる。 こんなにも幼さを残す少女が、すでに男のモノをその身に受け入れ、くわえこんで、もうすぐ母となるのだと。 男は膨れる下腹に触れた。 「エア」 「ふふ、そなたの子じゃ。間違いなくのぅ」 小さな少女は、女らしい艶やかな笑みを向ける。 「妾がイやじゃ、許せと願っても、そなたは妾を離してはくれなんだ。そなたは嫌がる妾をおもいっきり玩び、汚してくれたのう」 口調は非難めいているが、幸せそうに、男の手に自らの手を重ね、お腹を押さえて笑う。 エアを後から抱き締める男の手が、ゆっくりとエアの胸に移動した。 彼女の幼い胸は母となる準備のために、林檎のような大きさまで育ち、パンパンに膨れていた。 幼い少女のあどけない顔身体に、その2つの林檎のような大きさの胸は、どこか淫美で背徳的な色気が漂う。 「ん…っ。そなた…ん、む」 両手で、そのエアのたわわに実った乳房をもてあそび、男を仰ぎ見たエアの唇にキスをした。 エアの口内を、犯すように強引で濃厚なキスを、何度も何度もし続ける。 「ん…ふっ…む…ちゅ…」 両手は、その小さい身体で母となる少女のふたつの乳房を空気に晒し、揉みしだいた。 柔かいおっぱいの感触、その頂点で勃起した桃色の乳首を、こりこりと指先で摘み、擦った。 「……?」 キスを続けながら、男はエアの乳首をいじる指先に、滴る乳白色の流れを見てとった。 右手をエアの乳首から離すと、エアの身体が切なそうに震えた。 自らの下半身を、男の股間に密着させ、そこに主張をしはじめていた男のモノに擦り擦りと下半身を擦り寄せた。 男はエアのおねだりに気づき微笑みつつも、男の指先に滴る乳白色の体液を舐めとった。 左の指先と手で、さらにエアの乳房をいじり絞ると、エアの乳首から母乳が、ぴゅっとほとばしる。 「んあっ…これ…やめぬか!…妾もそなたも濡れてしまう…んんっ!?…あっ…はぅっ…これ…」 男はエアに向き直ると床に膝をつき、その小さな身体を抱き寄せてエアの乳房を口に含み、ちゅーちゅーと吸いたてた。 「あああっ…!…これは…赤子のモノぞ…。んっ…んあっ…気持ちは良いが…そなた…あっ!?」 男は左腕でエアを強く抱き寄せ、右手をエアの装束の中に潜り込ませる。 男のいいつけで、常に下着をつけていないエアの秘部に男の指先が潜り込み、グチュリと音を鳴らして貫いた。 「あっ…ヤメよ…!そなた…これ以上まだ、妾を辱めるつもり…か…!?」 エアの懇願も非難も、男は優しく笑って受け流す。 左腕にエアの身体を強く抱いて、顔は母乳を滴らせるエアの胸に埋まり、右手は自らの子をそこに孕むエアの秘部を攻めて。 「あんっ…ヤメよ…そなたの子が…ここに居るに……っ!?…んあっ…!!」 エアは懸命に身をよじるが、長身の男の腕から、小柄で幼い身体の彼女が逃れられるはずもなかった。 エアは自らの母乳を全身に浴び、子を子宮の内に孕みながら、男のペニスを膣内に受け入れて、何度もイッた。 「…まったく、無体な事をするわ…無限の…ソウル…」 その幼い顔を、涙と母乳で濡らし、小さな全裸の下腹はぽっこりと孕んで、赤子のように無防備におっぴろげられた股間のヴァギナからは、男のモノから注がれぶちまけられ白濁液が流れ出ていた。 ふふ、とエアは笑う。 男に身体をもて遊ばれ、愛され、孕んだ。 それでも、これは妾の望みぞ。無限の…ソウル…。 【終】
https://w.atwiki.jp/purememowikiwiki/pages/745.html
《小さなこだわり》 イベントカード 使用コスト3/発生コスト2/黄 [メイン/相手] 相手のキャラ1枚を休息状態にする。 (ごめん……我が家ではひっくり返すのが定番で……。) ひだまりスケッチで登場した黄色のイベントカード。 相手のキャラ1枚を休息状態にする効果を持つ。 相手キャラのアプローチ・休息状態にして発動する使用型テキスト効果・次の自分ターンでの妨害を防ぐことができる。 サポートエリアのキャラも選択できるので、サポートキャラを止めることが可能。 コストが《げんこつ》より軽く使いやすいが、コンバットトリックではないので注意。 《頭痛》と全く同じ効果を持つ。あちらの方がコストが軽い。 カードイラストはひだまりスケッチ×365第7話「4月7日 入学式と歓迎会」のワンシーン。フレーバーはその時のゆののセリフ。 関連項目 《頭痛》 《お小遣い》 《げんこつ》 収録 ひだまりスケッチ 01-099
https://w.atwiki.jp/kikkokkokko/pages/53.html
小さな王国エルトリア バッドエンド 記念すべき一回目はバッドになってしまった…orz 何とも間抜けな話で、もうちょっとしたら魔王と倒しに行こう、行こう、と先延ばしにしてたら時間が足りなくなったという話(笑) これは酷い… いや、重要なイベントがね、一つすっぽ抜けてしまったので、倒しに行くの躊躇してたのよね… くそー!!悔しいので次こそ頑張る! ディジーエンド ディジーED。 可愛らしいEDで和んでしまうね(*’K’*) ちょっとボリューム小さめのゲームで、もうちょっと色々あったり出来たら楽しいのにーとは思ったけど、PSPで片手間にやるには丁度良いシナリオ感で、好きな系統のゲームでした! だん商と初期アトリエを足して2で割った感じ?落ち着いたらまた違う子の攻略に勤しんでみたいねー。 エルトリア メモ 『技術の開発』の『生産技術』を上げる(開発が28日にかからないようにする) 学校・露天商、警察署・花屋・占い館を建てる。 開拓地 1番地 2番地 3番地 4番地 5番地 6番地 もみ 警察署 ××× くすのき ××× ××× 学校 マーガレットの家 もみじ 教会 警察署 公園 ポプラ 露天商 病院 病院 花屋 しらかば 占い館 開発メモ 警察署 工期6日 15,000 教会 工期6日 22,500 学校 工期11日 24,000 病院 工期6日 26,250 公園 工期5日 11,250 公共住宅 工期6日 13,500 小さな王国エルトリア
https://w.atwiki.jp/teltel55/pages/41.html
小さな巨人ミクロマン ●6点 タカラ懐かしのヒーロー玩具のリバイバル的復活に伴い製作された初のアニメ作品。 手のひらサイズのヒーロー、ミクロマン達が、地球人の少年少女らと共に悪と戦う。 …という、「小さなヒーロー」以外にこれといった特徴も無い平凡なヒーローもの。 玩具の方は組み換え遊びを主軸としたプレイバリューの高いシリーズだったが、 肝心のアニメではそれらがほとんど活かされず、前半主力商品だったロボットマンも 「支援組織がたまに送り込んでくるお助けロボ」という扱いの悪さだった。 とまぁ箸にも棒にも引っかからないのが前半だったが、後半は新型ロボットマンを 主軸にクオリティも大幅にアップ。かつて故郷を守りきれなかった戦士という 裏ドラマの浮上や、敵味方合わせた各キャラクターの掘り下げ、戦闘シーンの強化に マニア向けのお遊び要素の追加等、見るほどに魅力が増していく。 残念ながらそうしたテコ入れが始まるのが遅過ぎた為、それらをいまいち昇華しきれないまま 物語は終わってしまうが、辛抱強く全52話を見続けただけの満足度は得られたかなと思う佳作。
https://w.atwiki.jp/poppic/pages/21.html
プロローグ 何時もの朝。窓から差し込む光から、今日も良い天気がうかがえる。 ピピピピピ 目覚ましが鳴り響く中、部屋の隅でもぞりと何かが動く。 「ふぃぁ~・・・・」 大あくび一発をかまして起き上がると、寝ぼけ顔のまま着替え始めた。 一通りパジャマを脱ぎ 枕元に置いてあった服を手に取ると大事そうに抱えた 「今日から新しい学園か・・。緊張するなぁ」 制服を大事そうに抱えて思いにふけっていると、 「ねこっぺ~!何してるの!ご飯食べちゃいなさい!!」 階下から母親の怒鳴り声が響いてきた。 「やっば~い!もうこんな時間、初日から遅刻は勘弁だよ」 ねこっぺは、大急ぎで身支度を整えると食堂に向かった。 「パパ、ママ、お兄、おねえty以下略 おはよう」 食堂にはすでに家族がそろっていた。 ねこっぺの家では 珍しくも家族そろってご飯を頂く教育なのだ。 「早く座って食べなさい」「はぁい」 母親に促されて席に着くと美味しい匂いが漂ってきた。 今日は好物の、イカ墨パスタである。「らっき~」 食べながら家族と今日の予定などを話し合う。ねこっぺは、家族と話せるこの時間が好きだった。 「「「「いってきまーす」」」」 各々準備をし、家をでる家族たち。少し遅れるようにして ねこっぺも玄関から出てきた。 「忘れ物ない?書類持った?」 後ろからママが声をかけてくる。 「心配ないよ。小学生じゃないんだから!」 ちょっと不満に思いながらも返事をすると、 「ねこっぺだから不安なのよねぇ~」 ・・・ねこっぺはこりゃだめだと早々に退散することに決めた 「とにかくいってきまーす!」 ママさんの視線を感じつつも 勢いよく走りだした。 今日から新しい学園生活が始まるのだ。 出足ちょっとくじいた気がしないけど、きっとなんとかなる! ねこっぺは不安と緊張と ほんの少しの希望を胸に秘めていたのでした。
https://w.atwiki.jp/warandpeace/pages/126.html
戦場の小さな天使たち
https://w.atwiki.jp/h_session/pages/7742.html
「ハァハァ、も、萌えー」 かりそめの名:小津 志朗(おづ しろう) 表の職業:浪人生(社会注目:5 社会地位:5 ) 年齢:20歳 性別:男性 容姿:キャラモノのプリントTシャツを着たデブヲタ、指ぬきグローブもあるよ! 魔の名:“時の王子”ヘールライ アーキタイプ:魔王の息子+妖精 魔の性:男性 魔の齢:142歳 魔の姿:王冠にサーベル・白タイツと王子様スタイル。そして背中には透明な羽根。ちっちゃくてかっこいい。 設定:人間好きを拗らせて“妖精郷”から飛び出した妖精の王子様。 (現在人間性:48) ■人の能力値 知性:【5】 感情:【4】 肉体:【4】 ■魔の能力値 知性:【6】 感情:【10】 肉体:【2】 ■絆(絆レベル合計:23) 知性:予備校の講師(仕事)3 魔界の目付け役(義理)10 感情:同好の士(友情)6 肉体:浪人仲間(同境)4 ■エゴ(エゴレベル合計:18) 知性:人間に見つかりたくない(禁忌)6 感情:人間に干渉したい(欲求)10 肉体:高貴な血の誇り(自慢)2 ■血と肉:18+1D6 ■イニシアティブ修正:±0(人間時)/+5(魔物時) ■武器:なし (1D6/SR/通) ■防具:魔法の服 (1+修正値) ■技 【知性】<情報>2 <言語:英語>2 <知識:ヲタ知識>2 【感情】<人にやらせる>1 【肉体】<回避>1 <ストーキング>1 【特殊】≪≫ ■業 【知性】<> 【感情】<こっちこっち!>2 <王子の我侭>1 <針でチクチク>1 <妖精飛行>1 【肉体】<> 【特殊】≪魔界の目付け役≫1 ≪小さな身体≫1 ≪姿隠し≫1 ■所持品 参考書、問題集、ペットボトル、エロ同人誌、紙袋、パソコンとインターネット環境、携帯電話 ■設定 “妖精郷”から飛び出して、人間界で暮らし始めたはいいものの、ものの見事に文化汚染されてヲタ化した妖精王子。 妖精特有の脳天気さで「まあいいか」と自分も目付け役も(!)このスバラシイ人間界をマンキツしている。 かりそめの姿/一人称:拙者 二人称:~氏 語尾:~でござる。 魔の姿/ 一人称:余 二人称:汝、等 語尾:~である。 注)かりそめの姿と魔の姿ではまるっとイケメン度が変わるんだ。 目付け役は、地獄の道化師とのハイブリッド妖精。「俺の名前を言って見ろォー!」「“とむ・てぃっと・とっと”」「あ、はい」 ■変異 ▼第一段階「可愛い人」 身体が小柄になり、耳の先がかすかにとがる、目にとまるほどの特徴ではない。 ▼第二段階「妖精族の娘」 耳は不自然なほどにとがるので、帽子や髪で隠さなければならなくなる。背中には小さな透明の羽根が生じるが、これも服で隠せる範囲である。 身体はさらに小さくなり、人ごみなどにいるとその小ささが目立つようになる。 ▼第三段階「夢見る妖精」 身体はいっそう小さくなるので、子供のふりでもしないと不自然となる。耳は長くなり、背中の羽根は服の中にしまっておくには窮屈な大きさとなる。 身のこなしが軽やかになり、歩いていると、時折ふわりと羽毛のように浮かぶことがある。 ■性嗜好など注釈 二次萌え!俺の嫁達は画面の中に。……もとい、シュリンカー・小女子等、ひぎぃやぼこぉができるよ。 ■アーツデータ <こっちこっち!> 感情 汎用ワザ<回避>としてあつかう。
https://w.atwiki.jp/princess-ss/pages/164.html
メイファは朝貢国から差し出された、人質の姫だった。 ほとんどの朝貢国は恭順の証として、王族の子を人質に差し出す事を義務付け られていた。 万が一、戦ともなれば惨殺したその首を前線に掲げ、敵の戦意を削ぐためのもの であるから、人質は王の血族の女子供、つまり戦に巻き込むにはむご過ぎると 相手国、及びその国民が判断するような、ごく弱い立場の者に限られた。まあ、 中華の国たるこの国の、底意地の悪さの垣間見える制度だ。 近年はひどく平和で、朝貢までしていながらわざわざ強大なシン国と事を 構えようとする国もなく、人質が命まで取られるほどの事態は起こっていないが、 小さな揉め事にも人質は有効だ。 それゆえ、『留学』という名目でシン国の王都に集められた各国の王族の子供達は、 外出は出来ても常にシン国側が居場所を把握できるようにしておかねばならなかったし、 はかりごとを防ぐために国から侍女や従者を伴う事も許されず、代わりにシン国側から 監視をかねた侍女と従者があてがわれた。また『身代わり』なしに一時帰国する事も 許されないし、全ての親書は、ごく私的な手紙まで検閲されていた。 * * * しかしメイファには、そういった暗い影は見当たらなかった。 「ここ、空いてますか。──良かったあ! 今日もシュンレン様のお隣の席を許される なんて、光栄です!」 僕の隣は、いつでも空いている。 学年が違っても同じ講義はいくつもあって、そのたびに僕達は、隣の席に座った。 辺境国での教育では、学院の講義に必要な知識がいくつも抜け落ちていて、この お姫様の知らない部分を補って説明してあげると、彼女は面白いくらいに吸収した。 説明と引き換えに僕は、メイファの祖国の話を聞いた。 彼女は随分と、お転婆だったみたいだ。 木から落ちたり、崖から落ちたり、沢に落ちたりは日常茶飯事、と聞いて、ハリ国 ではそもそも王族が気軽に出歩ける事に驚いた。かの国では王族は絶対的支配者 ではなく、頼りにされる調停者に過ぎないらしかった。 華美を好まず、清貧を愛し、民が飢える時には共に飢える。そのために、王都に 来たばかりのメイファは、同じ年頃のシン国の貴族の子に比べても、ひどく 痩せていた。 それでもその瞳はいきいきと輝いていて、彼女の育った国──神々が棲むと 信じられているという山々の麓の国──の暮らしの話を聞いているのは、ひどく 楽しい時間だった。 「そんなにのびのびと生きてきたのに、この王都に来て、監視…じゃなかった、 護衛にいつもついて廻られるのって、窮屈じゃない?」 「いいえ? シン国の従者も侍女も、本当によくしてくれます。 わたしがここにいることが、少しでも祖国の役に立つなら、嬉しいです!」 メイファには、陰湿な政治の駒として囚われても揺るがない、強さがあった。 祖国のために尽くそうという気概と矜持も。 それも、愛されて育ったがゆえか。 メイファは笑うときはいつでも、顔全体をほころばせて、とろける様に笑う。 その笑顔を見るだけで、彼女がどれだけ溢れるような愛情を注がれてきたか、 目に浮かぶようだ。 後宮では、こんな風に笑う娘は、滅多に見かけない。 おそらく彼女が今まで生きてきたのは、安心で、安全で、善意と愛情に溢れた 世界。世の中の暗さ、悪意、猜疑心のような、澱んだ黒いものは、きらきらと したその瞳にはあまり映ることが出来ないようだった。だから、メイファの前では、 誰も彼もがいつもより少しいいものになったような気がしてしまう。 つま弾き者の僕と一緒に居ても、そんなメイファに悪意を向けられる者などは 居ないようだった。少なくともこの学院の中には。 ──羨ましい。 ごく反射的に、そう思った。 僕はこのシン国の皇族として、ひどく恵まれた暮らしをしているはずだ。だから 安易に、立場が違う者のことを羨んではならないと、ジン・ツァイレンからいつも 言われていた。 それでも、そう思うのを止められなかった。 羨ましい。羨ましい。──ずるい。 どうして、こんなにも違うのだろう。愛されて、愛されて、誰からも好かれる 小さな姫。 僕と何と違うのだろう。幼い頃から暗がりの中に居た僕は、このまま薄闇の中に 居続けるしかないのか。 心の奥が、ちりちりと痛んだ。 「──ほほう、それで、生い立ちのあまりの違いに苛つくけれど、無視する事も、 嫌う事も出来ないと。 ベタですね。物凄く、ベタですね。 まさかシュンレン様が、ここまでベタで来るとは、思いもよりませんでした。」 休憩で熱い茶を啜りながら、ツァイレンはからかうように言った。 「ベタって、何が。」 話の見えない僕は、少し憮然として聞き返す。 「恋の、始まりがですよ。」 「こ…恋っ?!」 「何を今さら。進級してからというもの、その姫君の話しかしてないじゃ ありませんか。」 「いきなり、何を言い出すんだ、ツァイレンっ?!」 そうは言うものの、声が異常に上擦っているのが、自分でもありありと分かった。 「いえ別に、いいんですけどね、いつ自覚しようと。 見ている分には、面白い事に変わりはないし。」 ツァイレンは、泣きぼくろのある眼を細めて微笑った。 「そんな…単にメイファは、誰からも好かれる娘で…。」 そう、あんなに可愛くて、明るくて、愛されてる娘は、誰からも好かれるはずだ。 誰からでも。僕で、なくとも。 思考は、そこだけを中心にくるくると廻った。 ──メイファに手を出さないこと。 僕が彼女の同期生達を脅しつけるようになるまではそう長くはかからなかった。 「本当に、僕って、性格悪い…。」 メイファのように他人の長所や美点を見つけてやることは苦手で、他人の弱みを 握ったり、脅したりするのは得意。いつだって、他人の暗い部分、澱んだ心ばかりが 見えてしまう。 誰もが僕から、距離を置こうとするのも頷ける。 でも僕は、メイファのようには、育たなかった。あんな風に、安心と安全に守られて、 愛情に満たされた記憶なんて、無い。 僕はこのままで、何とか生きていくしかないのだろう。 それでもメイファのよく通る涼やかな声で、「レン…」と呼ばれるのは、悪くなかった。 親しい人からは、そう呼ばれている、と彼女に言ったのは、半分本当で、半分嘘。 僕の親しい人間なんか限られていて、ジン・ツァイレンやカオ家当主は臣下の身分 なので、親しげに読んだりしない。ほかの母の違う兄弟たちも、親しげに呼び交わす 仲の者は居らず、そうやって僕を呼んでいたのは、ただ母上だけだった。 * * * 「レン…」 ひどく近くで、僕を呼ぶ声がする。あの辺境国から来た、小さな姫君の声だ。 彼女の声でそう呼ばれると、ひどく胸を締め付けられる感じがする。 「──メイファ。」 頭をめぐらせて彼女の姿を認めると、熱く沸騰するような感情がわき上がる。 震える指先で、彼女の柔らかな頬に触れると、彼女は恥ずかしげに目を伏せた。 桜色に染まる頬と、長い睫毛がひどく扇情的で、掌をその頬に沿わせて、もっと よく見ようと顔を近づける。 「可愛い…。」 今はただ、そんな単純な褒め言葉しか出てこなかった。 瞳を僅かに上げたメイファと、近い距離で視線が絡み合う。いつも強い意志を宿す その瞳は、今は少し潤んでいて、僕を誘うように瞬きしてまぶたを震わせる。 「メイファ…君が好き。」 僕はその瞳に吸い込まれそうになりながら、うっとりとして愛の言葉を囁く。 唇を彼女の頬に触れるか触れないかの軽さで幾度も落としながら、優しく華奢な 体を抱き寄せる。 メイファの身体は細くて軽くて、でも王都に来てからのこの半年のうちに、女らしい丸みも帯 び始めていた。 「レン…嬉しい。あなたの、思うままに…。」 その瞳に浮かぶのは、羞恥と期待と信頼の色。僕は眩暈がしそうなほどの幸福感に 満たされて、そのやわらかな唇に自分の唇を重ね── ──そして。 目が覚めた。 目覚めた僕を待っていたのは、いつもどおりの自分の寝台。、天蓋つきのそれは 一人には広すぎるほどで、四方に垂らされた薄布の隙間から朝日が射していた。 掻き抱いていた寝具を払いのけて起き上がると、僕は自嘲気味に呟く。 「最低…。」 先程まで胸を満たしていた幸福感は泡沫のように消え、代わりに砂を噛むような 空虚感が広がっていた。 その日はもう、学院に行く気力は無かった。 かといって、起こしに来た侍中に逆らう気力も無く、身支度を整えて外出する …ように見せかけて宮中に戻り、ジン・ツァイレンの居室を訪ねた。 ツァイレンは、若い女官達を集めて、演奏の指導だか音合わせだかをやっている 最中だった。 「ツァイレン…、今日は一人で居るのは辛いんだ。ちょっとここに居させて もらえないかな。」 「おや、シュンレン様。朝からサボリのときは『秘密基地』に行かれるのでは? …でも、今日はいらっしゃると、思っておりましたよ。お待ちしておりました。」 ツァイレンが居並ぶ若い女官達に目配せすると、彼女達は楚々として楽器を片付け、 しずしずと房室を後にした。 僕は彼女の言葉尻に引っかかりを感じて、そこだけ繰り返す。 「…来ると、思っていた?」 「件(くだん)の姫君と、諍いを起こされたとか。」 ツァイレンはこともなげに答えた。 「な…っ…、何で知ってるんだよ! ほんの昨日のことなのに!」 「後宮の女官の情報網を、甘く見られないほうが宜しい。 われらは後宮からは滅多に出られませぬが、外のことを見聞きする手段は、 持っているのですよ。」 彼女は使っていた楽器の手入れを始めながら、悠然と微笑った。 「女官、侍女、下女、飯炊き女…どこにでも、使われる女というのは居るものです。 我らは弱い存在ゆえ、助け合っておるのです。」 後宮の女官の中でも屈指の権力を持つ才人[ツァイレン]であり、常に毒舌を 吐く彼女が弱い存在とは思えなかったが、彼女はときおりこういう物言いをする。 「ツァイレンの言う通り、メイファと喧嘩して──というより、僕が一方的に 嫌われるようなこと、したんだけど──そのことを考えると、顔を合わせづらくて。」 「ほう、ほう。あのお気に入りの姫君に、一方的に嫌われるようなことを。しかして それは、いかなる理由で?」 ツァイレンは両の口角をくいと持ち上げて、目を輝かせた。明らかに面白がられて いるが、こんなときに話し相手がいないよりましだ。 「──いつか嫌われるのが、怖かったから。」 いつから、あの小さな姫に、こんなにも捕われてしまったのだろう。 もしかすると、最初に会ったときからかもしれなかった。 逢うたびに、ひどく楽しくて、心が浮き立って。 こんな相手は初めてで、それを恋と勘違いしているのだと、自分に言い聞かせようと したけれど。 どこに居ても、目で追って。 いつでも何をしているのか、気になって。 近づけば、触れたくて。 心に思い浮かべるその姿が、実際の年齢よりも艶めいたものになってゆくにつれ、 自分の心を認めざるを得なくなってきた。 女に触れるのは、はじめてではなかった。 母も居ない僕には、行動を細かく制限するものも居ない。 色街の方も、相手が子供でも、特殊な身分でも、いくらでも抜け道は用意していた。 だから、精通が始めればすぐに、そういう場所にも行ってみた。『愛』と呼ばれる こともあるその行為に、なにがしかの期待をして。 結果は、惨憺たるものだった。 僕の会った遊び女の誰もが、『どこも見ていない』目をしていた。 覗き込むと、その中の大きなうつろに、飲み込まれそうだった。 互いにほとんど視線を合わせないまま、身体を重ねた。 あとでジン・ツァイレンに、たしなめられたものだ。 「そういう場所で、女の目を覗き込むものではありません。 遊び女というのは大抵、女の中でも最もひどい境遇に苛まれている者達 なのですから。」 それでも、そういう場所でもなければ、発散され得ない熱というのも、確かに自分の 中にはあって。 行った後には、ひどく暗澹とした気分になったものだった。 もし、あの女たちのかわりに、メイファとそういうことをしたらどんな気持ちだろう。 くるくると良く動く瞳で僕を見て、あの綺麗な声で僕の名を呼んで。 少し想像しただけでも、沸き立つような感じになる。 でも、現実のメイファは、ひどく純粋で、よこしまな想像を寄せ付けないほど、 清廉だった。これだけ周り中男ばかりでも、いや、それだからこそか、色恋には 全く興味がない様子で。 むしろ、未婚の男女の間での色恋など、害悪以外の何者でもないと、敵視していた。 そんなメイファの夢は、結婚せずに、祖国に帰って政治に携わること。 確かに、結婚して妻になるだけなら、こんなに厳しく学問を修める必要もない だろうけど。 彼女がわくわくするようにそんな夢を語るとき、僕はいつもひどく疎外されている ような気分に陥るのだった。 そして、前期の成績発表の日。 予想通り、メイファは上位の成績を取っていた。まあ、当然だ。 他人事ながらほくそ笑むのを止められない僕を、メイファが呆然とした眼で 見つめていた。 「何故…?」 あれ? 何が? 僕のほうの成績が? というか、今まで知らなかった? ──ありえない。 僕が奇行癖の持ち主で、常に下位成績しか取らず、真面目とは無縁の性格だと いうことを、知らない者は居ない。メイファと同じ、入ってすぐの学年でも。 確かにメイファに対しては僕の噂話をやたらと流さないように、とは同期の子達に 言っておいたが、漏れ聞こえてこないようなものでもない。 おそらくメイファは、みずから耳を閉ざしていた。 「噂は真実を映しません。だからわたしは、レンから直接聞いたことだけを信じます。」 メイファは、そうも言っていた。彼女の中では、誰しも長所は大きく、短所は 小さく映って少しいい奴になってしまう。 彼女の中の僕はいったいどんな人間になっているのだろう。そいつはきっと、心の中 までキレイ過ぎて、僕とは友達になれないような気がする。 本当の僕は、こんなにも、暗く、汚く、澱んでいるのに。 ──本当の僕を、知られたら? 軽蔑されるだろうか。失望されるだろうか。もうあんなきらきらした視線を、貰えなく なるだろうか。 そう考えると、もうどうしていいのか、分からなくなった。 どんな顔をして会えばいいのかも、何を喋っていいのかも、分からない。 そして。 「ほう…。それで、姫君の嫌いそうな、春画を贈られたか。 つまりはあなた様の汚い部分を見たらどうするか、という謎かけでもあったのですね? ──で、振られたと。」 「ツァイレンはさあ、ほんっと、人が弱ってるときも、容赦無いよね?!」 「それはまあ、あまりに、面白すぎますゆえ。 シュンレン様は、悩みは歳相応に少年らしいのに、春画などと。やることはオヤジで ありますな。」 「うるさいなっ。どうせ僕は、薄汚いよ。」 「薄汚い部分は、最後まで隠しておくものでしょうに。全てを認めて欲しいとは、 理想主義とい申しますか、意外と潔癖症と申しますか。」 「うう…。隣に座る娘もいないのに学院に出て行くのなんかもう嫌だ…。」 「早めに謝っておかれたほうが、宜しいと思いますよ。」 「謝ったからって…。既に嫌われているし、わずか数年で、また遠くの国に帰って しまうのに。」 「恋は盲目と申しますか…。シュンレン様はその辺の事情がお分かりにならぬ方では ないのに。 それとも、恋した姫君の願いは何でも叶えてあげたいのですかね。 姫君は、おそらく祖国へはお帰りになれないと思いますよ。帰られても、 ほんの一時的なものになりましょうな。」 「どうして。あんなに純粋に、祖国のために尽くしたいと、願っているのに。」 「姫君の生き方というものは…御本人が、お決めになる事ではないのですよ。 大抵の、女と一緒でね。 祖国の為にというならなおさら、このシン国と縁を結ぶよすがになるか、 あるいは近隣国と、か。 姫君に嫌われたままですと、この宮廷内で、ご兄弟のどなたかに嫁がれた姫君と 将来も顔を合わせねばならず、気まずい思いをなさる事になるやも知れませぬよ。」 「政略結婚…って、何でそこで他の兄弟に嫁いでしまうことになっている? 僕でもいいだろう?」 「ですから、嫌われたままですと、と申し上げております。」 「く…っ、もう少し、早く言ってくれれば…!」 「普通でしたらシュンレン様は、ご自身でお気づきになられておりますでしょう。 道理も見失うほど、その姫君に夢中になっておられるとは…。ふふ、面白い。」 ジン・ツァイレンは、心配しているのではなく面白がっているのだということを、 今更隠す気もないようだった。 たった十二歳で、人質としてひとりこの国に差し出されている、小さな姫君。 どんなにか不安だろうに、あまりに純粋に祖国に帰ってからの夢を語るので、 この国に無理矢理引き止めるのは、残酷に思えた。 でも──政略結婚なら、シン国にも、メイファの祖国、ハリ国にも利がある。 第一、二十一番目の皇子と、辺境国の姫君なら、釣り合うように思えた。相手が 十二歳という若さでも、婚約だけなら問題ない。 僕はすぐに、この考えに夢中になった。 一旦嫌われてしまったけれど、時間をかけて、何とかして。 ただ、怒らせたときのメイファの、傷ついたような泣きそうな顔を思い出すと、 どうやって関係を修復していいかわからず、足が動かなくなって、そのまま自室に 留まってしまう。なにしろ、自分から誰かとなにかの関係を持とうとしたことなど、 皆無なのだ。 そのままうだうだと、三日ほど学院をさぼって過ごした。 そうこうするうち、三日目の夕方、訪問客があった。 客人の名を聞くと僕は飛び起きて、着衣を整えて足早に応接の間に向かった。 そこには従者を二人、後ろに控えさせて、応接卓の椅子にメイファがちょこんと 座っていた。 放課後にここへ寄ったのだろう、いつもと同じに、立て襟のぴったりした服を着て、 髪をきっちりと結い上げて。 背筋をぴんと伸ばして、大きな瞳でまっすぐ前を見つめていた。 ───続く───