約 1,297,299 件
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/23880.html
だきしめたいの【登録タグ た メディックP 曲 結月ゆかり】 作詞:メディックP 作曲:メディックP 編曲:メディックP 唄:結月ゆかり 曲紹介 メディックP の4作目。 都会的で真夜中でー、などとイメージして作ってみたら、スムースジャズっぽくなりました。(作者コメ転載) イラストは 天龍洸氏 が手掛ける。 歌詞 眠れない夜が ただ 静かに更けてく ネオンの煌めき もう 色あせてくの? ありのままのあなたを 抱きしめたいの 魂ここで休めて 朝になれば また輝く太陽 あたたかい目覚め そのときまでは 瞳(め)を閉じて ただ眠れ 真夜中のハイウェイ ただ 走り続けたら 鮮やかな光 もう 色あせてくの? ありのままのあなたを 受け止めたいの 夜空に星をならべて 朝になれば またひとり旅立つ ともしび抱えて そのときまでは 瞳(め)を閉じて ただ眠れ コメント なんかオシャレで、大人っぽくて良い -- ayu (2016-01-18 16 57 06) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/seiyu-coversong/pages/1174.html
原曲・セイントフォー 作詞・森雪之丞、作曲・加瀬邦彦 80年代に活躍したアイドルグループ・セイントフォーによる楽曲。 【登録タグ 1985年の楽曲 J-POP アイドルソング セイントフォー】 カバーした声優 高橋美佳子 田中理恵 豊口めぐみ 渡辺明乃
https://w.atwiki.jp/byoutun/pages/15.html
選択肢A「抱き締める」 俺はツンの痩せ細った体を抱き締めた。そっと。壊れそうな心を抱きとめるように。 俺「ツン……俺は、もう何も言わない。ツンが幸せなようにしたら良い。短い間かもしれないけど、そのためにできる事は何だってするから……」 ツン「……男君……ありがとう……」 あれから俺は毎日ツンの病室に通っている。ツンは非常時の延命治療から点滴まで全てを拒否し、ただ死を待つのみだった。 俺はそんなツンを見守るばかりだった。もう俺は生きる事を無理強いなどしない。ツンが望んでいるのだ、俺はその望みを叶えてやるだけだ。 ツン「もう、今週中みたい……」 男「そうか……苦しいか?」 ツン「うん、でも幸せだから……だから哀れんだりしないで」 男「分かってるよ。お前は最後まで美しくありたいんだな」 ツン「ありがとう」 ツンはその3日後に息を引き取った。 その顔はひどくやつれて、青ざめていたけれど、精一杯誇り高く、美しく逝こうとした彼女の生き様を物語るような笑顔だったと思う。 ツンの遺書には、遺品は全て俺に譲るから、要らないものは処分して欲しいとあった。 俺とツンの写った写真、交換日記、ツンにプレゼントしたみやげ物……遺品を整理しているうちに、葬式では流れなかった涙が頬を伝った。 ツンはいない。ツンはもうどこにもいない。 秋は深まり、やがて寒い冬が訪れる。冷えた手を温めてくれる彼女はもういない。 さよなら、俺の愛しい人よ。 Fin 一応バッドエンド。
https://w.atwiki.jp/bemani2dp/pages/3647.html
GENRE TITLE ARTIST bpm notes CLEAR RATE Hi-歌謡コア 抱きしめてモナムール 冬色AMOUR☆Prim 190 2129 ?%(yyyy/mm/dd) 攻略・コメント ノート数こそ2129と超物量だが配置が全体通して素直かつ良心的なのでそこまでの疲れを感じない。 -- 名無しさん (2019-03-01 23 25 43) 右鏡でラストが押しやすくなるのでオススメ。 -- 名無しさん (2019-03-03 13 53 07) 花火のような恋を部分的に強化した感じの譜面。中盤の片手螺旋地帯以外これという難所はないが集中力が切れると一気に減ったりするため油断は禁物。ラストは大回復 -- 名無しさん (2019-03-05 01 12 23) 螺旋階段以降は回復が続くが物量があるため細かいミスが出がちに思える。最後の最後は人によるかもしれないが結構な殺し -- 名無しさん (2019-03-09 15 26 19) 28小節目に出てくる3→4→5→7、2→4→5→7の5を親指ではなく人差し指で取ることぐらいしか注意すべき点がない素直な譜面 -- 名無しさん (2019-03-31 11 13 33) FLIP右鏡で緑(2P右利き)。FLIPで2回目のサビの片手乱打が1P→2Pの順になるので、右利きの人はFLIPも選択肢になるかも。↑2にあるように片手螺旋階段後で回復できるけど、notes数が多いためかゲージ上昇が妙に遅い&細かいミスが出やすいので、叩けてるはずなのにゲージがあまり伸びてないという展開になりやすいので注意。 -- 名無しさん (2019-10-03 20 30 06) 似たような配置が延々来る拷問譜面 -- 名無しさん (2020-02-26 12 54 11) 2回来るサビは2回目の方が簡単(1回目はハネじゃない側が遅い交互でハマりやすい)。1回目が出来なくても2回目は出来る可能性があるので諦めないよう -- 名無しさん (2021-09-26 08 54 54) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/83452/pages/7763.html
唯「……いきなりなに言い出してるの、和ちゃん」 和「なに言ってるもなにも、相談に決まってるでしょ。 そのためにわざわざ部活帰りの唯を捕まえて、近くの喫茶店に来てるんだし。 ここなら軽音部のみんなが来る心配も無いでしょ?」 唯「まぁそうだけど……というか、相談したいことがあるから、って連れてきたのに、相談したいことって、そんなこと?」 和「そりゃ唯にとっては“そんなこと”かもしれないけど、私にとっては死活問題なのよ」 唯「死活問題とまできましたか」 和「二学期が始まってからずっとなんだけど、どうもムギに目がいっちゃうの。あの子ホント可愛いわ」 唯「なんだかいつもの和ちゃんじゃない……」 和「いつもは頑張って抑制しているからね。いつも冷静に見えるけど、心の中ではいつもこんなこと考えてるのよ」 唯「今までずっと?」 和「いえ、ムギばかり見るようになってからね。どうも最近感情の抑制が出来なくなってきて……だから死活問題なの」 唯「いつ今みたいに口から言葉が出ちゃうか分からないってこと?」 和「そういうこと」 和「私も自分が考えてることはおかしいと思うわ。だからこそ頑張って抑制しているんだもの」 唯「確かにそうだよね。和ちゃんがそんなこと考えてるだなんて誰も想像してないもんね」 和「ええ。でもそんなことを考えて爆発寸前なのもまた事実なの。それだけムギが可愛いって事なんだけど」 唯「あっ、すいませ~ん。いちごショート追加で」 和「あえての無視なのかどうかが気になるところね」 唯「で、どうして突然ムギちゃんのことが可愛いだなんて思うようになったの?」 和「突然じゃないわよ。だってムギって可愛いじゃない。 ああもう、どうせだったら私もムギちゃんって呼びたいわ」 唯「それぐらいムギちゃんなら『どんとこいっ!』で終わると思うけど?」 和「じゃあ抱きしめて髪の匂いとか嗅いでも大丈夫かしら!?」 唯「それはさすがに……どうだろう……」 和「どうして!? あっ、言い方の問題か。 髪の匂いじゃなくて髪の香りよね、ムギの場合」 唯「そういう問題じゃないよ、和ちゃん。ちょっと冷静になろうか」 和「そういえば……唯って平気で誰彼構わず、所気にせず抱きつくけど、ムギにもしたことあるの?」 唯「う~ん……あっ、そういえば去年の冬頃かな? ムギちゃんの手が暖かいって話になって、手を繋いで抱きついて胸に顔を埋めたりとかしたかな……?」 和「なんですって!? なんて羨ましい! さすが唯ね! 計算された行動だわっ!」 唯「そんなことを大声で褒めないでよ。というかココ喫茶店だから恥ずかしいよ、和ちゃん」 和「そうか……だったら私も、唯と同じ方法を取れば手も繋げるし抱きつくことも出来る……!」 唯「いやいや和ちゃん、今まだ九月で割りと暑いよ?」 和「心頭滅却すれば火もまた涼しって言うし、いけるわよ」 唯「意味が分からないよ、和ちゃん」 和「どうして無理だって言うの?」 唯「そうだね……だって和ちゃんのキャラじゃないし……同じ方法は難しいんじゃない?」 和「そっか……確かに、抱きついた時、私のメガネがあったらムギが痛いものね」 唯「そういう意味じゃないし。と言うか和ちゃんのキャラがメガネだけとか言ってないじゃん」 和「じゃあどうすればムギを抱きしめられるの!?」ドンッ! 唯「落ち着いて。机叩かないで。あともう一回冷静になって。 私が私らしくなくなるぐらい、今日の和ちゃんはおか――冷静じゃないよ」 イチゴショートニナリマース 和「そうね……ちょっと冷静さを欠いちゃってたわ。ごめんなさい。 店員さんが来てくれなかったらあのままおかしくなりそうだったわ」 唯「今も十分おかしいけどね」 和「唯に言われても仕方が無いと思えるぐらい、私も自覚あるわ。 でもそれほどまでに、ムギが可愛すぎるのよ」 唯「……で、なんかウヤムヤになってたけど、何かきっかけがあってムギちゃんのことが可愛いって気付いたんだよね? だって同じクラスになったばかりの時とか、その前とか、そんなこと言ってなかったもん」 和「言ってなかっただけで、その頃から内に秘めていたかもしれないわよ」 唯「えっ? そうなの?」 和「いえ、違うけど」 唯「…………」 和「ごめんなさい。ちょっとした冗談のつもりだったの。 ほら、私って冗談の一つも言えないでしょ?」 唯「そうだね。さっきのも笑えなかったもん」 和「手厳しいわね。でも本当のことだし、仕方が無いわ。 でももし、ここで笑える冗談の一つでも言えれば、私ももっとムギと近づけるし話せるようになると思うの」 唯「確かにそうかもね。軽音部って、なんかそういうところがあるし」 和「でしょ? 確かにソレは私のキャラじゃないかもしれないけれど……でも、そんなものが関係なくなるぐらい、ムギと仲良くなりたいの、私は」 唯「…………」 唯「……ねぇ、和ちゃん」 和「ん?」 唯「和ちゃんってもしかして、ムギちゃんのことが好きなの?」 和「? ええ、もちろん。そうじゃなければ、こんな相談を唯に持ちかけたりしないわ」 唯「えっと……そうじゃなくて……その、恋愛感情として好きなの?」 和「え? ああ、それは無いわ」 和「別にソレ自体を否定するつもりも無いし、その趣味を持っている人を軽蔑するつもりもないわ。 でも、私のこの感情は、恋愛感情じゃないの。 ただ単純に、友人として、もっとムギと親密な関係になりたいだけなの」 唯「和ちゃん……」 和「だから抱きしめて胸に顔を埋めて髪の香りを嗅いだりしたいの」 唯「ちょっと話の繋がりが分からないなぁ」 和「ほら、唯がよく私に抱きついたりするじゃない? ああいうのを、私もムギにしたいのよ。 友人として、とは言ったけれど、確かに他の皆との今の関係よりも、一歩先に出た関係であることに変わりは無いわね」 唯「じゃあ、他の皆にはムギちゃんみたいなことしたくないの?」 和「まさか。律だって抱きしめてオデコにキスしてみたいし、澪にだってあの胸に顔を埋めたりさらさらの髪を指で梳き続けたいと思ってるし、梓ちゃんのあの小柄な体を全身で圧迫するぐらい抱きしめて私の胸に逆に埋めさせてみたいとさえ思っているわ」 唯「あれ? 和ちゃんがただの変態さんにしか見えない」 和「もちろん安心して。唯にだって、私に抱きついてきたタイミングで思いっきり抱きしめ返したいとさえ思ってるのよ」 唯「何がもちろんでどれに安心したら良いのか私には分からないよ」 唯「えっと……じゃあもし、私も含めた皆が、さっき和ちゃんが言ったようなこと誰にでも何回でもしても良いって言われたらどうするの?」 和「もちろん全員にするわよ? でも軽音部のメンバーで一人となると、断トツでムギね」 唯「…………」 和「それでも、一番の友人は誰かって訊かれたなら、私は唯の名前を挙げると思うけど。そうじゃなかったら、こんな相談出来ないものね」 唯「和ちゃん……」 和「あくまでも、今の関心がムギに向いてるだけよ。 それに、さっき言ったことと矛盾しちゃうけど、私は友情に一番も二番も無いと思ってる。 だから私にとっては、唯も含めた皆が友達」 唯「そっか……」 和「そうよ。で、今はその横並びの中で、一番輝いて見えてるのがムギなの。 あの唯とは違ったポワポワとした雰囲気に時々見せる天然のような言動、常に皆を癒す軽音部の治療手(ヒーラー)……本当、可愛いわ」 唯「……というか、友達としてなら、本人に言えば良いんじゃないの?」 和「確かにそれが一番手っ取り早いけれど、恥ずかしいじゃない」 唯「この期に及んで……?」 和「それになんだか……私って、軽音部との繋がり、結構薄いじゃない?」 唯「そうかな……?」 和「そうよ。なんていうのかな……唯を経由して知り合ったせいか、私と皆の立場って、友人の友人、みたいな感じじゃない?」 唯「う~ん……後輩のあずにゃんはともかくとして、りっちゃんと澪ちゃんとムギちゃんは違うんじゃない? 同じクラスなんだし」 和「同じクラスでも、友人の友人という立場は成り立つわ」 唯「ん~……マイナス思考になりすぎじゃないかな……?」 和「じゃあいきなり、こんな相談を皆にして大丈夫だと思う?」 唯「それはさすがに無理だよ」 和「でしょ? そういう訳だから、この気持ちをどうしたら良いのか分からないのもあって、こうして唯に相談してるって訳」 唯「そっか~……まぁ、和ちゃんが私に相談って言うのも、なんだか珍しい気もするし、どうにかしてあげたいんだけど……」 和「こんなキャラだから今まで誰かに相談なんてしてこなかったものね。 と言うより、皆から相談される立場だから、誰にも相談なんてしたことが無かった、っていうのが正しいんだけど」 唯「……もしかして和ちゃん、寂しかった?」 和「まさか。皆に頼られるのって、悪い気もしなかったし。 それだけ私の力を認めてもらえてるって事でもあるんだもの。寂しくはなかったわ。元々、他人に頼られたい性格なんでしょう、私自身。 だから、唯が気にすることじゃないわ。今まで私に頼りっぱなしだったのを気に病んでるんなら、気にしないで。 それよりも、私のこの気持ちをどうにかすることだけを考えて欲しいの。 唯「……なんだか珍しい和ちゃんの相談事がこんなのだって思うと、ちょっと複雑かな?」 和「あら。こんなのとは心外ね。これでも本当に悩んでるのよ? 今までみたいに、一人で解決出来る気もしないし、このまま一人でなんとかしようとしていたら暴走してしまいそうだったしね」 唯「暴走って……大げさだよ、和ちゃん」 和「大げさなものですか。今みたいに自分を抑えていられないのよ? そうね……今みたいに落ち着く少し前の状態――喫茶店に入ったばかりの私が常に現れてる状態かな?」 唯「それは一大事だね。今までの和ちゃんの頑張りが全て水の泡になるところだったよ」 和「それだけ崖っぷちだったのよ」 和「本当、唯みたいに人懐っこい性格に生まれてきてれば良かったのにな……そしたらいつでもムギに抱きつけたのに」 唯「そんな和ちゃんは私がイヤだよ……」 和「あらどうして? もしかして唯、私が今の私らしくなかったら、友達になってくれなかったの?」 唯「それはないよ。和ちゃんは和ちゃんだし、どんな和ちゃんでも友達だったよ」 和「嬉しいことを言ってくれるわね。さすが唯」 唯「えへへ~」 和「本当、抱きしめたくなっちゃう」 唯「前言を撤回したくなっちゃうよ、和ちゃん」 和「冗談よ」 唯「私も。冗談だよ」 唯「それじゃあ、大好きな和ちゃんのために、ムギちゃんに抱きつくための方法を考えるよ」 和「あら、別に良いわよ」 唯「え? どうして? その方法を一緒に考えて欲しいから、私に相談したんじゃないの?」 和「違うわよ。あっ、あくまで唯に期待してない訳じゃないのよ? ただ私は、爆発し始めてたこの思いを打ち明けて、楽になりたかっただけなの。 まぁ言ってしまえば、愚痴を聞いてもらったようなものね」 唯「ん~……でも和ちゃん、ムギちゃんともっと仲良くなりたいんだよね?」 和「まぁ、仲良くはなりたいわね」 唯「軽音部との皆とも、なんか壁を感じてるんだよね?」 和「確かにその通りだけど……唯、一体どうしたの?」 唯「どうしたもこうしたもないよ。 こうなったら私が、いつもお世話になってる和ちゃんのために、これから一晩中考えてそれら二つをどうにかする方法を考えてあげるよ!」フンス 和「……あ、唯。ずっとケーキに手をつけてないけど、食べないの?」 唯「どうしてそこで話題を逸らそうとするのかな……ってケーキは食べるんだけどさっ」 翌日・放課後 唯「という訳で和ちゃん、昨日の話、覚えてる?」 和「ええ。昨日はああして止めたけれど、なんだかんだで今日一日、結構期待しちゃってたからね。 お昼休みの間に今日急いでしないといけない生徒会の仕事、済ませちゃったわ」 唯「さすが和ちゃん! 準備万端だね!」 和「そりゃそうよ。昨日唯があれだけ張り切ってくれたんだもの。期待していたことが出来るかと思うと、胸も躍っちゃうわ。 で、どうやってムギに抱きつかせてくれて、軽音部の皆ともっと仲良くなれるの?」 唯「それはね……今部室にいる皆に、ババーンと! 昨日和ちゃんが私に話してくれたことを全部話しちゃいまーすっ!」 和「さてと、明日でも大丈夫な仕事も今日中に片付けちゃいましょうか」 唯「待って待って待って! どうしてどうしてどうしてなの和ちゃん!?」 和「あのねぇ唯、どうしたもこうしたも、そもそも私はあんなことを皆に言えないからあなたに愚痴ったのよ? それを皆の前で言えって……考えた結果がそれとか、期待外れすぎるわよ」 唯「じゃあ和ちゃんは、どうして皆に昨日のこと言えないの?」 和「皆が私を見る目が変わるからよ」 唯「それのどこがいけないの?」 和「どこがって……」 唯「私ね、昨日必死に考えたの」 唯「和ちゃんが昨日、そのことを私に話してくれたのは、私なら話しても大丈夫だと思ってくれたからでしょ?」 和「まぁ、そうね。今までずっと我慢してきたものを吐き出しても、付き合いの長い唯なら受け入れてくれると思ったの」 唯「でしょ? そしてそれは、軽音部の皆も変わらないよ」 和「いえ、でも……」 唯「壁を感じる? それは和ちゃんの勘違いだよ。 部室にいる皆は――私の仲間は、そんなことで、私の大親友を嫌ったりしない。 だってそもそも、皆にとっても、和ちゃんは大事な仲間なんだもの」 和「……そうかしら?」 唯「そうだよっ。だからさ、話しても大丈夫! 気を遣われるとか、そんなことは絶対に無い! 見る目が変わったって、それは今より、和ちゃんを見る角度が変わるだけ! 目は変わらないよっ! 絶対……ぜ~ったい! 和ちゃんと友達のままでい続けてくれるよ!」 和「……本当、唯には敵わないなぁ……」 唯「和ちゃん……?」 和「たぶん私、どこかで怯えてたんだと思う。皆に友達だと思われてなかったら、思われてても、それはちょっとしたことですぐに崩れてしまうものじゃないのかって。 だから、あんなことを言ったんだと思う。 でも……そうよね。私が軽音部の皆を友達だと思ってるなら、私を見る目なんて変わらないって、信じるべきよね。 だって、友達なんだもの」 唯「…………」 和「良いわ、唯。唯の考えの通り、皆に打ち明けてみる」 唯「和ちゃん……!」 和「それにまぁ、絶対に無いって思うけど……信じてるけど……もし皆に、これがきっかけで本当に避けられるようになっても、勘違いしていた壁を本当に感じるようになっても、私には、唯がいるものね。 ……そう思ったら皆に打ち明けることぐらい、どうってことないわ」 唯「じゃあ早速行こう! 和ちゃん!」 和「ええ。……あっ、そうだ、唯」 唯「ん?」 和「話すときは、出来れば隣にいてね? やっぱり、不安なものは、不安だから」 唯「それぐらい、全然お安い御用だよ~」 和「……ありがとう、唯」 唯「お礼を言われることじゃないよ。だってこれがきっかけで、和ちゃんが軽音部の皆と、もっと仲良しになれれば私も嬉しいもん」 和「そうね……皆と今以上にもっと近づけて……勘違いして感じていた壁を感じなくなれば、それは……とても、素敵なことよね」 唯「うんっ!」 2
https://w.atwiki.jp/83452/pages/7764.html
唯「みんな、おまたせ~」 澪「おう、遅かったな」 律「どうしたんだ? 掃除当番でもなかっただろ?」 唯「えへへ~、ちょっとね」 梓「ちょっとね、じゃありません! もうすぐ文化祭なのに遅れてくるなんて、唯先輩からやる気が感じられません!」 唯「はうっ、あずにゃんが怖いよ~」 紬「うふふ、すぐお茶の準備するから、ちょっと待っててね」 梓「ムギ先輩、遅れてきた唯先輩のお茶なんて準備する必要ありません! 今日はこれから早速合わせ練習です!」 唯「がーん!」 律「あははっ、張り切ってるな~、梓は」 梓「当然です! 去年のようなことにはなりたくありませんから!」 澪「確かに、今年で最後の文化祭だもんな。絶対に成功させたい気持ちも分かるよ」 梓「澪先輩……!」 唯「ああ~……でも今日はちょっと、練習始めるのを待って欲しいんだよ」 梓「なっ、唯先輩! そんなにお茶がしたいんですか!? 練習よりもお茶ですかっ!?」 唯「違うよ~……いや、うん、確かにお茶も飲みたいけど……今日はちょっと、皆とお話したいんだよ」 梓「いつもしてるじゃないですか!」 唯「私じゃなくて、和ちゃんが」 律「和が?」 唯「うん。和ちゃん、入ってきて」 和「ごめんね、皆。練習の邪魔しちゃうみたいで。 特に梓ちゃん、とても練習したがってるのに、私の我侭で練習を止めてしまって。 ごめんなさい」 梓「あっ、いえ、そんな……真鍋先輩の用事なら、仕方ないです」 和「ふふっ、今更苗字で呼ぶことも無いわ。 軽音部の皆に呼ぶように、下の名前で呼んで頂戴」 梓「はぁ……分かりました。ま……の、和先輩」 和「ありがとう、梓ちゃん」 澪「それで和、話ってのはなんなんだ?」 和「ああ、そうね。ただでさえ練習時間を割いて話を聞いてもらうんだものね。早く済ましてしまわないと 律「いや、それは別に構わないんだけど……もしかして、また部活関係のことか?」 梓「まさかまた律先輩が書類出し忘れてるんじゃ!」 律「いや、今はまだ書類とか無いから。文化祭までなんだかんだで結構あるし」 和「そうね。だから今日来たのは、私個人のことよ」 澪「和個人?」 和「ええ。ちょっと皆に聞いてもらいたいことがあるの」 律「聞いてもらいたい事?」 唯「和ちゃん、逸る気持ちも分かるけど、まずはお茶飲まない? せっかくムギちゃんが準備してくれてるんだし」 和「え?」 紬「うん。ちゃんと和ちゃんの分も用意してあるわよ」 和「あれ? どうして私が来るって分かってたの?」 紬「う~ん……なんとなく、かな?」 梓(また乙女電波ってやつですか……) 和「さすがムギね。思わず抱きしめたくなっちゃうわ」 澪律紬梓「「「「え?」」」」 唯「和ちゃん、嬉しさのあまり興奮してない? 本音が出てるよ」ボソッ 和「あらいけない。自重しないとね」ボソッ 和「ごめんなさい。とりあえず、お茶を頂くことにするわ」 律「あ、あ~……うん」(聞き間違いかな?) 澪「そうだな」(聞き間違いだろ) 梓「とりあえず、立ち話もなんですしね」(聞き間違いですよね) 紬「好きなところに座ってちょうだい」(聞き間違えたのかな?) 和「ありがと。でも席は、出来れば唯の隣がいいかも」 律「おっ、それなら私の席と変わろうぜ~! 私はさわちゃんの席に座るから」 和「ありがとう、律。そういうさり気ない優しさ、私は好きよ」 澪律紬梓(*1))) 唯(和ちゃん相当テンパってるな……嬉しさとか緊張とか、そういうのが混ざってるから、いつもみたいに言葉が自重出来てないや。 ……まぁ手っ取り早いからこのままでいっか) 和「ふ~……やっぱりムギの紅茶はおいしいわね」 紬「ふふっ、ありがとう。和ちゃんにそう言ってもらえると嬉しいわ」 律「で、和。改めて、話ってのはなんなんだ?」 和「そうね……本当、今更、って言われるかもしれないし、呆れられるかもしれないけれど……実は今まで、皆に対して思っていたことがあるの」 澪「思ってたこと?」 律「なんだなんだ……もしかして、私たちがだらけ過ぎだとか、そういうのか?」 和「そうじゃないわ。ただ、ね……私、微妙に軽音部の皆と壁を感じてるの」 紬「壁?」 和「そう、壁。 なんていうのかな……私、皆と仲良くなったきっかけって、唯繋がりでしょ? そりゃ、そういう友達から友達って形で、友達は増えていくもんなんでしょうけど……やっぱり、皆とは妙に距離を感じじゃってね」 律「え~っと……つまりはだ、和は私達と友達じゃないかもしれない、って思ってるってことか?」 和「思ってる、のとはちょっと違うわね。 だって私は、皆と友達だと思ってるし、そうでありたいとも思ってる。私の独りよがりで勝手な思い込みだったしても、そうであってほしいと思ってる。 なら、その時点で友達でしょ? だから、そうじゃないの。 そうじゃなくて、なんとなく、私が皆に遠慮しちゃってるの」 澪「なるほど……遠慮か……確かにそれなら、私だって和に感じてるかもな。律には出来ることでも、和には出来ないしな」 律「でもそれって、それぞれのキャラだろ?」 紬「でも付き合いの長さってのもあると思うわ。ほら、私を叩いてってりっちゃんにお願いした時、私を叩くのかなり躊躇ったでしょ?」 律「っつかそもそも、私はツッコミじゃないしな。そういうのは元々澪の専売特許みたいなものだし」 澪「勝手に人を軽音部のツッコミ代表みたいに言うなっ」 律「でもそれなら、和だってそうじゃないのか? 唯にしか出来ないこととか、唯に一番しやすいことってあるだろ?」 和「そうね。確かに昨日唯に相談したのだって、唯に一番話しやすいと思ったからだもの」 律「だろ? だから今のそれぞれの距離が、それぞれのキャラと付き合いの長さでピッタリなものなんだよ」 和「でも私、皆ともっと仲良くなりたいの。 唯にしか出来ないこととか、唯に一番しやすいことも、皆に同じぐらい出来るようになりたいの。 軽音部の皆と、もっともっと、仲良くなりたいの」 紬「和ちゃん……!」 律「ん~……私は今でも十分仲良しだと思うんだけど……っつか、和は具体的に何がしたいんだ?」 和「そうね。まず第一に、皆に抱きつきたいわ」 澪律紬梓「「「「」」」」 唯「和ちゃん、それじゃ言葉足らずだよ」 和「ああ、そうね。確かにこれだけだと、昨日唯がしてた勘違いをさせてしまうわね。 ごめんなさい。正確に述べるなら、唯や皆がしているような、抱きつくようなスキンシップをしたいの。 具体的には力強く抱きしめた後に、ムギならその髪を――」 唯「和ちゃん、ちょっと落ち着こうか。それ以上は口外しない方が良いよ」 和「え? そうかしら?」 律(口外しない方が良いって……) 澪(どんだけだよ) 梓(でもこういうの、ムギ先輩好きそうだなぁ) 紬「まあ!」キラキラ 澪律梓(やっぱり……) 律「……」い、いや~……和からそんな言葉を聞くことになるとは、思わなかったな~……」 和「そうね。律が言うように、私はそういうキャラだって、皆に固定されているものね。 でも、本当の私は、割とこういう友達同士の触れ合いとか、頭の中で沢山考えてるのよ。 ただ、面や口に出さないようにしているだけで」 律「そ、そっか~……そうだったんだ~……」 和「引いた?」 律「いや、っつか、今もそうだけど、ビックリしてる」 和「ま、そういう訳で、私がしたい話というのは終わり」 紬「な、なるほど……! ……と、時に、和ちゃん!?」 和「どうしたの? ムギ」 紬「の、和ちゃんは、女の子同士とか、好き?」 和「そうね……唯にも言ったんだけど、否定するつもりは無いわ。 ただ私は普通で、ただ友達同士のスキンシップがしたいだけなんだけど」 紬「ひ、人肌恋しいってやつですか!?」 律澪(違うだろ……) 和「そうね。……うん、きっとそうだわ」 律澪(違ってなかった!) 和「手っ取り早く、かつ、一番他人との繋がりと温かさを実感できるものだから、私は、その人を抱きしめたいと思ってるのかもしれないわね」 紬「そ、それ! 私もなの!」 和「ムギも?」 紬「そう! 私も!」 紬「私、昔からお金持ちのせいで、お嬢様だお嬢様だって言われて、他人とよく距離を置かれてて……他人との繋がりの温かさとか、距離の置き方とか、良く分からなかったの。 そのせいで、昔は軽音部の中でも敬語を使ってたし」 澪「ああ……そう言えばムギ、最初はずっと敬語だったな」 紬「そうなの。でもね、今は違う。 気がついたら敬語なんて使わなくなってた。皆と仲良しになれた。私が望んでた、理想だった友情関係が結べた。 ……でもね、そしたら次は、私の距離の取り方が正しいのかどうか不安になって……」 和「それで、正しいことがすぐに分かる――仲良くなれていることが実感できる、私が今求めてるような、そんなスキンシップを求めるようになったと?」 紬「そう! 特に私の場合、他の皆がその方法で仲良くしてるのを見るだけで、とっても幸せな気分になれるの!」 和「そっか……きっとそういうのは、ムギの優しさよね」 律澪(いや、たぶんただの趣味だよ) 梓(和先輩、それはたぶんムギ先輩のただの性的嗜好ですよ) 和「だからきっと私は、ムギを一番に抱きしめたいのと思ったのかもしれないわね」 紬「えっ!?」 和「じつはこうして話すことになったきっかけって、ムギを抱きしめたいって思いが爆発した結果なの」 紬「そ、そうだったの!?」 和「ええ。きっとムギに惹かれたのは、私と同じものを感じていたり持っていたりしたからかもしれないわね」 紬「じゃっ、じゃあ和ちゃん! 早速抱きしめあいましょう!?」 唯(ムギちゃんもぶっ飛びだしたなぁ~) 和「そうね。でもさすがに、皆の前だと、さすがの私も恥ずかしいわ」 澪(そういう感情はまだ残ってるか) 紬「私はそうでもないわ!」 梓(ムギ先輩はもう色々と終わり始めている……) 和「ふふっ、面白いわね、ムギは。 でもお願い、隣の部屋で抱きしめあいましょう。 二人きりの方が、回りも気にせず、もっと体温を感じられるでしょ?」 紬「そ、そうね!」 ガチャッ パタンッ ~~~~~~ 律「……で、だ。唯、和たちがいなくなったから改めて聞くが、さっきの和の話はマジなのか?」 唯「うん、本当だよ。昨日相談されたことをほぼそのまま言ってた」 澪「そうか……和も妙なことを心配するんだな」 梓「と言うか、軽音部ということは、私も入ってるんですか?」 唯「入ってるよ。あずにゃんとも仲良くなりたいって言ってたし」 梓「う~……私、和先輩とそんなに話したこと無いです」 律「まぁ確かにな。っつか、梓がイヤだって言えば、和も無理強いはしないと思うぞ?」 梓「べ、別にそこまでイヤって訳でもありませんが……ただ、理由が知りたいんです」 澪「理由、か……そうだな。たぶん、和は不安なんだと思う」 梓「不安、ですか?」 澪「うん。ほら、今の時期って、もうそろそろ生徒会の引継ぎとかで、色々と卒業を意識させられる時期だろ? 私達はまだ文化祭も終わってないし、そんな気もしないけどさ」 律「ああ~……なるほどな。それで不安が募って、今まで制御できてた感情が制御できなくなったと」 澪「と言うより、卒業したら私達と今まで通り会って話しが出来ないかもしれない、ってことに、不安を感じてるんじゃないのか?」 梓(卒業に対しての不安……そっか、私とおんなじなんだ……) 唯「でもその不安をぶつけてもらえるのが私達で良かったじゃん」 律「ま、唯の言うとおりだな。それだけ私達と仲良くなりたがってたって証でもあるんだし」 澪「確かに。それに、あの和の内面が知れたのは、私としても嬉しいしな」 唯「で、澪ちゃんとりっちゃんはどうするの? ムギちゃんみたいに、和ちゃんのお願い聞いてあげるの?」 律「ま、私は聞いてあげても良いかな。 それで和の抱えてる不安は無くなるんだし、それに、今よりもっと和と仲良くなれし、今まで世話になった恩も返せるもんな。 ……まぁ確かに、結構恥ずかしくはあるけどさ」 澪「私も。た、確かに、抱きつくとか、そういうのは恥ずかしいけど……和が不安を感じるのも、分かるから。 私だって、軽音部の皆と今みたいに仲良くなかったら、同じような不安を抱えてたと思うし」 唯「そっか……ありがとう」 律「なんで唯がお礼言うんだよ。っつか、今日の唯はなんかしっかりしてるな」 唯「私だってしっかりする時はするよ。そうじゃなかったら、ずっと和ちゃんと一緒にいる意味がないじゃん。 ずっとずっと、頼ってばかりじゃ親友でも幼馴染でもないもん」 梓「唯先輩がまともだ……」 唯「む? 失礼なこと言うね、あずにゃんは。 私だって、皆のためだったら色々と考えるんだよ。 それで、その肝心のあずにゃんはどうするの?」 梓「私は……どうしましょう。正直、先輩方と違って、私は和先輩とそんなに話したことがありませんので……戸惑ってます」 律「ま、そりゃそうだわな」 澪「梓の場合、無理はしなくて良いと思うぞ? 和だって、それが分からないぐらい、不安に押しつぶされそうって訳でも無いだろうしな」 3
https://w.atwiki.jp/llnj_ss/pages/1546.html
元スレURL 栞子「ランジュ、私を抱きしめてみてください」 ランジュ「えぇ!?」 概要 微妙に間違った相撲知識を吹き込まれたランジュのために 栞子が実践を交えた解説を…? タグ ^三船栞子 ^鐘嵐珠 ^短編 ^ほのぼの ^しおラン 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/wiki6_tenten/pages/69.html
夜明け前より瑠璃色な システム Ethornell - 書庫 *.arc (PackFile) プログラム:Darios Sawm(BURIKO) 思春期 アーカイブ *.g2 [10 33 D3 47 33] Hな除霊パズル! いきたい いかせて霊媒師 かなたのお願い アーカイブ *.pak (HyPack) 音楽 CDDA 花の記憶7 アーカイブ *.WAR (WARC 1.3) CLEAVAGE アーカイブ *.war(WARC 1.5) jy s掲示板情報 PS版やるドラの、ダブルキャストと季節を抱きしめての画像プラグイン vectorのsusieのページにgpxプラグイン?? ぱすてるチャイムcontinueのplug-in MamiList3
https://w.atwiki.jp/suiginto/pages/37.html
375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 04 35 48.90 ID EWchVx/f0 私は窓を開けて、昨日の天使?を待っていた クーラーが使えないのは痛いが、UMAの方が優先度は上だ。 昼食が運ばれてくる。 よし、そろそろ来るはずだ。 10分、20分、30分・・・・あーやっぱり駄目か、来ないよね。見間違いかプラズマって落ちですか。 あーあ、窓まで移動して捨てるのめんどくさいなー。 私がベットから立ち上がろうとすると、彼女が来た。 あの天使の子が来たのだ! 「あら、今日もコッペパン?」 落ち着け、落ち着いて対処するんだ。 「そんな事より、あなたはご飯を食べないのぉ?」 意外な反応、だが慌てない。 「だって、美味しくないんだもの。まるでゲロね、食べてみる?」 天使は少し考えて、トレーからスプーンを手にし、お粥? のような物を口に含んだ。 「どう、美味しい?」 これで美味かったら、味覚障害よ、ふふふ 「まっず・・・」 「でしょ?ふふ」 切っ掛けはゲロだけど、私と天使の付き合いはこうして始まった。 378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 04 43 13.49 ID EWchVx/f0 どうやら、彼女の名前は水銀燈と言うらしい。 こりゃ親がDQNなタイプだな、可哀想に、名前で虐めれたんじゃない? 「あ、これで王手よぉ」 異国の娘と思ってたらやるじゃない、ハンゲじゃ負け知らずの私が、 こうも簡単に敗れ去るとはね、時代を感じるわ。 「所で、水銀燈」 「なぁに?」 「あなた、臭いわ。特に獣臭い」 「は、はぁ!?私が臭いですって!?」 顔を真っ赤にしながら私に食いかかる。 だって臭いんだもん、ぷりぷり。うわ、これも自爆だ。 水銀燈は必死に自分の臭いを嗅いでいた。 私はそのスキを突き、駒を5つほど並び替える。 「はい、どうぞ」 心優しい私は病室の入り口にある、アルコール消毒液を持ってた。 臭いは雑菌なので、これで臭いはとれるはずだ。私が言ってた、間違いない。 よっしゃ行くぜ、消毒祭りだ! 私のがんばりで水銀燈が救われた、主に臭いの面で。 「うわ、今度は消毒液臭い」 水銀燈はもう何も言わずに、コッペパンとヤクルトを手に取ると、 窓から飛び立った。ふふ、男の所ね・・・。 「きゃーやったー!水銀燈に将棋でかっちゃったー!」 私は水銀燈が居なくなってから、一人将棋をし、水銀燈陣営をボロボロに打ち負かした。 大将が土下座して命乞いするシーンは、爆笑物だ。 380 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 04 57 21.74 ID EWchVx/f0 んー今日は水銀燈こないわね、きっとドロドロの昼ドラを展開してるんだ。 遊びに来たら話聞かなきゃ。 私はコッペパンとヤクルトを取り分け、残りを空に食べさせた。 ふふふ、私のおかげで今日も青いのね。 あーあ、私の所にも天使じゃなくて、王子様がこないかなーイケメンがいいなー。 そうだ!次に目に入った男の人が、王子様なんだわ、間違いない。 そんな感じで、私が青空に思いを馳せていると。 偶然病院の下を通りがかった青年と目があった 「うーん、チェンジで」 やっぱり王子様なんて居ないんだなー残念だリン☆ あれ、これはちょと可愛いんじゃない? 「あら、めぐちゃん、最近元気でとってもいいわよ」 あの看護婦だ。 「ご飯も食べてるし、関心関心」 「ふん、どうでもいいでしょ」 あーもう、アンタが居たら水銀燈が来ないでしょ! 「じゃあ、下げるわね」 「勝手にしたら?」 彼女はまだしらない、自分の奇行がナースステーションで話題になっている事を。 383 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 05 10 36.21 ID EWchVx/f0 あー光物欲しいなー、だって女の子だもん☆ うん、やっぱ星わいいわ、安定感があるよね。 「って事で、水銀燈。その指輪をちょーだい、ねっ?」 失敗失敗、って事では発音しなくて良かったんだ。 「だ、駄目よぉ」 両手を後ろに回して隠す水銀燈。 「どうしても?」 「どうしても、絶対だめだわぁ」 そんなに言われたら、どんどん欲しくなるよね?うん、そうよね。 「もしかして、男?」 揺さぶりかけちゃえ、小学生みたいだけど効果あるよね。 どんどん顔が赤くなる水銀燈。 あ、あれ?正解? 「に、人間の男の人?」 こくりと水銀燈がうなずく。 あっるえー、もしかして私、人形に恋愛レベルで負けてる? 「どんな人なの?」お父さんとか言ったら、たたじゃおかねぇ 「む、昔やっかいになってた、男の、人」 最後の方は、蚊の鳴くような声だった。 「ふーん、その男の人は今何してるの?」 焦らさないで早く言いなさいよ、もうっ、入院生活じゃこんな話題に中々触れられないんだから! 「私が、失敗しちゃって。離れ離れになっちゃたぁ」 地雷だ、地雷踏んだ。ゴーゴーレスキューヘルプミー! 罪悪感を感じた私は、水銀燈の髪の毛を櫛で梳かしてやった。 「その人と出会った時の為に、身だしなみはしとかないとね」 「うん、ありがとぉ」 水銀燈は背中で泣いていた。何となく、私には分ったのだ、女の勘って奴ね、多分。 387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 05 25 54.14 ID EWchVx/f0 この日、水銀燈は来なかった。 昔の男捜してるんだろうなー、かったりー 私は布団に潜り込んだ。 なんかむかつくから、空には絶食させる。 「あ、メグちゃん、今日はご飯食べてないの?」 私は無言で返す。 「それと、メグちゃんにお見舞いしたいって人が居るんだけど、その」 「いや、絶対いやっ!」 こんな時は総理だって追い返すぜ。 「す、少しだけでも会わない?」 「嫌だって言ってるでしょ!でてけっ!!」 私はメグミルクを看護婦に投げつけた。 「ご、ごめんね。そうよね。今ご飯片付けるわね」 看護婦はいそいそとトレーを持って出て行った。 外で、誰かと話す声が聞こえてくる、若い男の声だ。 もしかしたらあのチェンジ男かもしれないし、出なくて良かった。 時計の針が部屋に鳴り響く。 いつもなら水銀燈と遊んでいる時間だった。 ゲロを消毒液で洗い流したような、そんな臭いがプンと鼻についた。 水銀燈と一緒なら、気づかなかった臭い。 あの子は、水銀燈は、私の大切な、初めての友達だったのだ。 私は布団を被って泣いた。 私には友達が必要なんだ、たった一日会わないだけで、それを嫌というほど痛感した。 389 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 05 31 42.71 ID EWchVx/f0 今日も、今日も来ないとは、もう許さん、ジワジワと嬲り殺してくれる。 そんな事を考えてたら、もう夜中。一日って早いわよね。 その時、窓に二つの人魂が!じゃなくて、水銀燈の下僕? みたいな、そんな奴よね、あれ。 なんか尋常じゃない動きで私の目を楽しませる。 ふふふ、もっと踊りなさい。 意地悪はそのぐらいにして、私は病院を抜け出し 古い教会の森を走っていた。 競歩と競争したら、負ける自身がある速度だったのだが、 今はこれが精一杯。 私は森を抜け、教会の中へと入った。 夏場なのに、内部は蔵の中のように涼しかった。本物に入った事はないが。 私が次に感じたのは、水銀燈に感じた獣臭さだった。 退院したら、二度と古い教会には近づくまいと心に決める。 そんな事より水銀燈はどこなのよ、もしかして人魂に騙された? 周囲を見ながら、あっ、見つけた。 水銀燈はステージ?のすぐ前に居た。 「水銀燈、水銀燈だいじょうぶ!?」 水銀燈を抱かかえる、羽が大きくなっていたが、特に重さは感じなかった。 私は水銀燈と、その持ち物であろう鞄を手に取り、自分の部屋へと急ぐ。 ふふふ、今日はお泊りね。 男の人のイロハを教えてもらうんだから! 私は大切な友達をしっかりと抱きしめた。これで落とす事はないだろう。 数日後、あの教会が取り壊された。 なんでも、その時に狂犬病の恐れがある犬が作業の邪魔をして 今も逃げ回ってるらしい。怪我人も出たんだとか。 看護婦がそんな事を言っていたのを思い出し、水銀燈に誇張をつけて説明する。 すると、水銀燈はクスリと笑った。 390 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 05 32 07.86 ID EWchVx/f0 水銀燈と女の子 391 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 05 32 26.11 ID EWchVx/f0 2/5終わりです、お疲れさまでした 395 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 05 44 36.37 ID EWchVx/f0 本当は、この連番の奴は先にメモ帳に起してから 書き込むはずったのに、なんていうのかな、ちょと 1で先走ってねHAHAHA!! 403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 06 26 47.96 ID EWchVx/f0 連続で投稿したんで、ちょと休憩を挟もうかと思ってます。 連番の奴は、後だいたい15レスが一つ、5レスが二つ ってな感じで終わらせようかと、思ってます。 よろしければ気長に間ってやってください。 407 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 06 54 54.18 ID EWchVx/f0 どえもんにそんな話がったよね、懐かしい。 416 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 07 49 25.73 ID EWchVx/f0 もう朝だからね、そりゃ眠いと思うよ。 425 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 09 48 22.41 ID EWchVx/f0 あばばばばばばば 426 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 09 54 57.83 ID EWchVx/f0 こいよベネット!銃なんか捨ててかかってこいよ! 428 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 10 16 56.13 ID EWchVx/f0 シャワワワワワワ 430 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 10 36 59.53 ID EWchVx/f0 水銀燈の影 431 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 10 37 15.23 ID EWchVx/f0 君は寝起き機嫌がいいかい?僕は悪い。良い方とはとても言えない。 想像してほしい、君は今さっき、ベットで目が覚めた、そうだな、 ベットの周りにテーブルはあるかい?テーブルじゃなくてもいい、コップが置ければ良い。 そこに置いてあった、冷めたコーヒーを胃に流し込んだ直後、こんな状態だ。 君はそんな状態は好きかい?僕はお断りだ、僕ならもう一度まどろみの中に片足を突っ込んで、 昼過ぎまで寝るか、シャワーを浴びて、一発抜いてもう一度寝るか、このどっちらかだ。 だが、世の中そうそう上手く行かない、ここで君の家の電話が鳴る、あの喧しい電子音だ。 そろそろイライラしてきだろ?僕は携帯電話が好きじゃない、なんと言っても画面の 大きさが気に食わない。まあ、いいさ、話を戻そう。君の自宅電話が鳴り響き 君は重い体を起して、受話器を取りに行きこんな話を聞かされるんだ。 「おーすおはよう、起きてたかい?」 「ああ、今さっき起きた所だ」 「寝起きみたいだな」 「それより、どうしたんだい?」 「あー。えーとな、総合病院の近くに古い教会があるだろ?」 「ああ」 「そこか近々取り壊される事になったんだ」 「へえ?」 「何でも、そこに幽霊が出るらしい。だから、取り壊される前に見に行こう。 今晩の9時に教会入り口に集合だ、ラ・ヨダソウス・ティアーナ」 と、こんなテンションの電話が朝から来るわけだ。 まあ、愚痴った所でどうにもならないのは重々承知している。 僕が今、ちょうど寝起きだったから、こんな事を言いたくなったんだ、 犬に噛まれたとでも思って諦めてくれ。 私は後9時間ほど寝ようとベットに潜り込んだ。 見事、約束の時間2時間前に起きる事に成功した、やってみるもんだね。 433 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 11 03 59.33 ID EWchVx/f0 私は夜道を歩いていた、待ち合わせ場所に行くためだ。 月光ばかりがやけに冴える夜半街角をまがり、湿っぽい風が流れる露地に出た。 ここか。私は古めかしい教会の入り口の前に立っていた。いかにもな場所である。 友人はまだ来ていない。私は時計を見る、映画ダイ・ハードを見てから、 私は右手首に腕時計をつけるようにしていた。私は右腕の時計を見て時間を確認する。 どうやら30分ほど遅刻してしまったらしい。 「こりゃ、帰ったな」私はそのまま15分ほど待ち続けてみたが、人っ子一人通らなかった。 まあ、せっかくここまで来た訳だし。私は一人で教会の中に入ることにした。 映画だったらここで死亡フラグが立つが、私はフィルムの住人ではないので 構わず教会へと足を進めた。 この教会は、古びていて、昼間でも暗く、庭には大きな木が何本も生えていて、 その鬱蒼と深く茂った葉に屋根や窓を覆われてされに暗く、いかにも近寄りにくい 場違いな気品と威厳をたたえていた。 教会の周りは森で囲まれているが、教会の森なのか、隣に新しく出来た総合病院の森なのか。 この教会だけが森に守られ、古風で陰気な雰囲気を守り通していたのである。 「まるでタイムカプセルだ」私はそう呟いた。 435 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 11 21 50.48 ID EWchVx/f0 私は森を抜け、森というより雑木林か。つまり、そんな感じの所を通り やっとの事で入り口から門までたどり着いた。 ここから玄関まで、石畳の道が数メートル続き、両側には檜、楠、欅、榎、 槇、などの古木が茂っていた。夜なので種類までは良く分らなかったが、 これだけ名前を出せば一つは当ってるだろう。 あまり掃除もしないためか(当然か)、石畳は落葉にかくれてしまっている、 その落葉は風にとばされてきてポーチまで多い、それが大時代な造りの玄関のドアを、 いかにもそれらしいものに見せている。もっとも、ソレなのだろうが。 私は最初そのドアを引くべきか、押すべきか悩んだのだが、私は扉を引く事にした。 ひんやりとした風がカビの臭いとカクテルになって、私に届けられた。 「懐かしい臭いだ」私の声は教会の壁につめたく反響していた。 教会に天窓でもあるのか。とても、幻想的な光景が目の前に広がっていた。 説教部屋と言うのか、ミサ室全体が、青く冷たい月の光りの中に夢のように浮かび上がっている。 こんな光景が見れるのなら、あんな電話に付き合ってもいいかもしれない。 私がそう思い始めた頃、教会の奥で物音がした。 とても微かな音だったが、人の声、だったと思う。 私は、その声の主を探しに、教会の奥へと進んだ。私の足取りも月明かりに浮かび上がる。 437 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 11 42 43.35 ID EWchVx/f0 月光の光りを受けて夜光塗料を塗った網のように青く輝いている蜘蛛の巣を払って戸口を潜ると、 内部は床の板ではなかった。戸外と同様にただの土である。雑草もちらほら見受けられた。 大きなテーブルが一つあるだけで、土間には椅子がなかった。南向きに 大きな窓があり、そこから月の光りが差し込んでいた。 机の上を指で撫でると、誇りが5ミリメートルは積もっていたんじゃなかろうか。 私の指は、そのまま綿人形の詰め物になりそうな程だった。 土間を抜けるとドア、ドアの向うに部屋が一つ。残念な事に、ドアがあった形跡しか認められなかったのだが。 部屋の内部はこじんまりした物だった、宗教者だしルールにはうるさいのだろう。 片側に二段ベット、そしてその反対側の椅子の上に、人間の女の子が座っていた。 知っているだろうか、夏の心霊スポットで出会う可能性が一番高いのが、 第一位が蚊、そして第二位が不良なのだ。この女の子はそのどちらでもなかった。 そもそも、女の子が一人こんな場所に居るだろうか? 服装もどこか変だ、日本、いや、外国の子供でもこんなドレスは着ないだろう。 私はその女の子の手を取る、反応がない。死んでいるのか? キイ、キイとその子を動かすたびに手から音がした。 私はよくよくその腕を観察してみると、間接に段差がある。簡単に言うと、その子は良く出来た人形だった。 440 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 11 59 14.06 ID EWchVx/f0 見れば見るほどよく出来ている。 髪の毛は月明りを受けて青白く光っているが、銀髪なのだろう、 肌は陶磁器のように白くすべすべしていた、ビスク人形だし当然か。 唇は小さくふっくらとしており、朱を塗ったようだった、鼻筋もしっかしている。 白い肌とは対照的に黒いドレスを着ているのも、悪くない。 人形である事が不思議だった。まるで、今にも目を開けそうな、そんな生々しい生を内包している印象も受けた。 私は人形の顔を両手で優しく持ち上げた。コキリと首が動く音がする。 人形の目が開かれた、紅い瞳。ローズレッドの瞳を私は覗き込む、 深い赤だ、吸い込まれそうになる。私が覗き込んでいるのに、私が覗き込まれているような、 奇妙な感覚に、私はいつの間にか捕われていた。 馬鹿な、そんなはずがあるか。この人形には首の角度で目が開くようになっているのだ。 自らの意思で、目を開いて、私を覗き込むなんて有りえる事ではない。 その時、その人形が「おとうさま」と呟き、私に抱きついてきた。 顔から血が引いて行くのが感じられた。唇がこわばり、 舌がシュッと音をたててのどの奥にひっついた。とても怖かったが、間抜けな叫び声は出なかった。 443 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 12 28 34.50 ID EWchVx/f0 私は部屋の明りをつけた。 死にそうな声を上げ、蛍光灯に電気が走る。 甘い臭いとカビと埃と汗の臭いとファブリーズの臭いと生ゴミとの香りとが絶妙にブレンドし合い 部屋の空気を淀ませていた。この匂いを嗅ぐと、部屋に帰ってきたという実感がわく。 私は、教会で人形に父親と間違えられて抱きつかれ、恐怖のあまり腰を抜かし尻餅をついたのだが、 何をどう間違えたのか、あの人形を部屋に連れ帰ってしまっていた。 別に私が人形相手にしか勃起しない、変態という訳ではない。あの人形が 私を父親と勘違いして抱きつき、泣き始めたのだ。まさか置いてくる訳にもいかないだろう。 それに私は教会から人形しか持ち出していない、備品泥棒にはならないはずだ。 件の人形は、部屋の隅っこ、いわゆる女の子座りでちょこんと座っていた。 「そんなに、気を使わなくても。自分の部屋だと思って楽にしてください」 親戚の子供相手に鍛えたベストスマイルを作りつつ、オレンジジュースを手渡した。 その人形は、コップを受け取ったは良いが、しくしくと泣き始めた。 お父様、お父様と呟きながら泣いている、一体何があったんだろうか、私には見当もつかない。 私は人形に布団の使用権を与え、自分はちゃぶ台の直ぐ脇で横になった。 いつもとあまり変わらないような気もする。私は、その日直ぐに眠りに引きずり込まれた。 色々な事があって疲れていたのだろう、私が眠る頃には泣き疲れたのか 隣から寝息が聞こえてきていた。 446 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 12 47 47.01 ID EWchVx/f0 私は人形に朝は食べるかと聞いた。どうやら、食べるらしい。 トーストと目玉焼きとオレンジジュースで簡単な朝食を作った。昨日渡したオレンジジュースも 朝起きて見たら飲み干されていた。本当に人形かどうか疑わしくなる。 朝食の後片付けも済ませ、私は人形に名前を聞いた。 名前がないと呼び難い。彼女は「水銀燈」と答えた、本物の人形らしい。 私も簡単に自己紹介を済ませると、昨日何故あの場所に居たのか、聞いてみた。 人様の所有物だったら、返さなきゃいけない。 「私は、あなたを、お父様をあそこで待っていたのよぉ」 どう言う事だ? 「お父様なんでしょぉ?だって、だって私を」私は混乱して来た。 「いえ、水銀燈さんと会うのは、初めてのはずですが」 「うそっ!うそうそうそうそ、うそっ!」 水銀燈が私との間合いを詰める。 「ねぇ、お父様、あの時みたいに私の瞳を、見つめてぇ?」 私の瞳が覗き込まれ、その瞳を覗き返した。 明るい所で見ると、まるで陽が落ちる寸前の夕焼けの赤、そんな透明感がある瞳をしていた。 視線をそらす事が出来ない、私は彼女の瞳に吸い込まれていた。 「ねぇ、お父様なんでしょぉ?」 瞳を覗き込まれながら問いかけられ、私はつい「はい」と肯定してしまった。 449 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 13 05 51.49 ID EWchVx/f0 「はい」と肯定した日から、私の生活がガラリと一変した。 何をするにも水銀燈が付きっ切りなのだ。 食事を作る時も横に立って手伝いをしてくれ、洗濯物を干す時も、 籠からアシストしてくれる。最初は、ちょとしたお手伝いさんを雇ったような、そんな気持ちだった。 それとも、本当に娘が出来たらこんな感じなのだろうか。 本を読んでいる時に「お父様お父様」と後ろからオンブを迫られ、 「忙しいから後にしてくれ」とあしらった時は、両の目に溢れんばかりの涙を溜め、 必死に泣くのを堪えてる事もあった。そんな時は決まって私が折れるのだ。 膝の間に座らせておくだけで、本人は満足するらしく。ツボを押さえた甘えが出来る、 素晴らしい子だった。 そして寝る時も一緒に寝るようになった。最初は布団を買おうかと思っていたのだが、 「お父様と一緒に寝たいわぁ」と言うので、結局、元の布団で一緒になって寝ている。 本当の「お父様」には悪いが、私は水銀燈との生活が楽しく、すでに捨てる事は出来なくなっていた。 しかし、水銀燈と一緒に寝だしてから、私は変な夢を多く見るようになっていたのだ。 451 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 13 14 12.66 ID EWchVx/f0 私は海の中に居た、緑色の水だった。 海と言ったのは、その場所がとても広く、とても深かったからだ。 私は黄色の波に押されて色々な場所へ流れた。 そこで、声が聞こえてきた。 「聞こえるかい」 「ああ、聞こえる。あんたは誰だい」 「知りたいか?」 「ああ」 黄色い波はうねり、私の体を上に持ち上げたり、下に持ち上げたりした後に。 「我々は時の間を彷徨っているわけさ。宇宙の創世から死までをね。だから我々には 生もなければ死もない。唯風だ。」 「波ではないのか」 「ああ、風だ」 「風となり何を得た」 黄色い波は私を駒のように回したり、どこかに運んだりし、紫になって消えた。 私は緑の水の中を、ただひたすら落ち続けた。 私はそこで、目が覚めた。私の体は寝汗でぐっしょりとしていた。 シャワーを浴びようと体を起した時、水銀燈も起きてしまったのか、目を擦りながらぼけっと座っていた。 「どうしたの?」 「ちょと、海水浴をね」そう言った私の腕を滴る汗を、ペロリと舐めた。 「本当だ、しょっぱいわぁ」 「ほらみろ、やはり海の類だ」 454 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 13 27 22.72 ID EWchVx/f0 古い革張りのソファと肘掛け椅子に座っている水銀燈を見つけたが、 窓からの 斜めに差し込む月あかりの中にうずくまっているだけであった。 水銀燈の白い肌が月明りに照らされ、白い肌と黒い服のコントラストで、 白い肌が腐っているような妄想に取り付かれるが、 馬鹿な妄想だと払いのけ、私は水銀燈の腕を取った。 すると、ぼろりと腕がとれ、中から大きなウジがわらわらと溢れ出て来た。 私はここで目が覚め飛び起きた。隣に寝ていた水銀燈を確認しようとするが、隣に水銀燈が居ない。 水銀燈はちゃぶ台の近くまで、転がりだしていた。 私は水銀燈を布団に引き戻そうと手をさし伸ばした直後、水銀燈が青い炎で燃え上がる。 青い炎は水銀燈の服を焼き尽くし、白い肌が露になる。水銀燈は必死に自分のお腹を隠そうとする、 なぜなら彼女にはお腹がなかったのだ。しかし青い炎は容赦しない、 そんな水銀燈の体を焼き尽くし、全てを灰にしてしまった。 私は急な出来事に、唖然としてしまった。次は、再び灰から 青い炎が吹き上がり、先ほど映像を、逆回しで見せられるような、不思議な光景であった。 水銀燈が燃えながら元の状態に戻った。 私は、夢の続きをみているのか?つねった頬は痛かった。 455 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 13 39 07.06 ID EWchVx/f0 昨日の晩に合った事は、水銀燈には黙っておいた。 いちいち話すのも、どうかと思うし、私も思い出したくなかった。 「お父様ぁ、なんだか眠いわぁ」 「お昼寝するといい」 「私が眠ってる間、いなくならなぁい?」 「ああ、何処にも行かないよ」 私は、水銀燈の以前より透明感を増した夕焼けのような瞳を覗き込んで言った。 それを聞いて安心したのか、水銀燈は私の布団で寝始めた。 それから20分ぐらい経っただろうか、ドアホンが鳴らされた。 「はい、どうしました?」ドアを開ける。 「どうも、お隣の村上です。回覧板を回しにきました」 「あ、これはどうも」 「そう言えば、聞きました?狂犬病の話」 「いえ、特に何も?」 「あの古い教会があったじゃないですか、それを取り壊し工事の時に、狂犬病の犬が 現れ、作業員に噛み付いたらしいですよ、怖いですね」 「へえ、それは怖い」 私は適当に話をあわせ、早々に切り上げたかった。 「では、確かにお渡ししましたよ。それでは」 村上さんも空気を読んだのか、直ぐに退散した。いい隣人だ。 私は又、水銀燈の安らかな寝顔を見つめだした。 その時、姿見鏡が光りだした。 457 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 13 44 30.76 ID EWchVx/f0 光る鏡から、人形が現れた。青い服を着た男の子、いや女の子だ。 この人形が「お父様」なのか?私は探りを入れる事にした。 「どうも、何の用ですか?」 「珍しいですね、僕を見ても驚かない」 「いえいえ、驚きましたよ」 青い人形は鼻先で軽く笑い、布団で寝ている水銀燈を視界に捕らえ苦い顔をした。 「やはり、現れていたか・・・」 現れる?こいつは「お父様」とは又別の存在なのか? 「お兄さん、この子を僕に渡してくれませんか?」 突然の申し出、何を言ってるんだ。 「この子は『お父様』への愛が生んだ残留思念の様な物です。 今は大丈夫でも、いずれ死と生を繰り返すだけの人形になってしまう。 そうなったらもう遅い。ですから、僕に引き渡してくれませんか?」 「それは、青い炎で・・・灰に・・・」 私は昨日あった事を、断片的に口にした。 「もう、そこまで。悪い事は言わない、今すぐ引き渡してください」 ジリジリと青い子が水銀燈へと近づいてゆく。 「どうしたのぉ、お父様ぁ誰かきた」 水銀燈が青い子を目で捉えた瞬間、大きな悲鳴を上げ、 私の背中に回りこみ、わんわんと泣き出した。 「帰ってくれ!」怒鳴った。 「いずれ、又きます」 ここが引き時だと感じたのか、青い子は光る鏡へと消えていった。 460 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 13 51 00.20 ID EWchVx/f0 青い子を追い返して、数日が経つ。 水銀燈の青い炎の頻度が上がった。燃えて、灰になり、灰が燃え上がり体を作る。 これが日に多い時で7回は起きていた。私には見守るだけしか、出来なかった。 ある日、水銀燈の灰から一匹の、丸々と肥えた蛆虫が出てきた。 私は無性に腹が立ち、その蛆虫を指で潰した、潰れて飛び出た汁が皮膚にかかり、 指が一瞬氷のように冷たくなった。この蛆も、燃える回数が増えるに連れ 現れる個数が増え、中には蝿となって飛び立つのもあった。 そして、ついに実生活に支障が現れて来た時、鏡が再び光り、青い子が表れた。 「もう、楽にしてあげませんか」 青い子が燃えている水銀燈を見ながら言った。 「楽にって、どうやって」 「海にかえします」 「海?」 「ええ、僕達が利用出来る特殊な空間の一つです。 そこにあの子をかえします」 丁度水銀燈が燃え尽き、灰になった。 「痛く、ないのか?」 「ええ、今よりは確実に痛くありません」 「そうか、なら。お願いするよ」 「ええ、そう言ってくれると、思っていました。ありがとう」 灰が燃え上がり、だんだんと水銀燈が形作られていく。 「どうやら、そろそろ時間のようだ、僕が居たら泣かれてしまう。では、近い内に」 青い子は体を半分鏡に入れた状態で言う。 「待ってくれ、君の名は?」 「第4ドール蒼星石」 網膜に写る光りの余韻が消えた頃に、水銀燈は元に戻った。 481 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 16 54 22.48 ID EWchVx/f0 青白い月が輝く晩に蒼星石は来た。 水銀燈には、絶対に守ると約束し、蒼星石が来る事を伝えた。 「お待たせしました、色々と準備に手間取りまして」 帽子を軽く持ち上げ挨拶をする、水銀燈は 私の背中に隠れてビクビクと様子を伺っている。 「それで、どうするんだい」 「2時まで待ってください」 右手首を見た、あと10分と言った所か。 場に妙な沈黙が流れる。水銀燈は相変わらず私の背中から動こうとしない。 「そろそろだ、彼女をこちらへ」 スクと立ち上がり、手をこちらに、水銀燈へと伸ばした。 水銀燈は蒼星石と私とを交互に見る。 「大丈夫だよ、すぐ終わる」 こくりと頷き、水銀燈は蒼星石の手を取った。 「それじゃあ、この鏡から手を離さないでください」 蒼星石は水銀燈の手を鏡に置く。 水銀燈は私の方に視線を送り続けていた。 「レンピカ」 蒼星石に呼ばれ、人魂の様な物が現れ、鏡が光り輝きだした。 水銀燈は完全に怯えきっている。 482 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 16 55 08.91 ID EWchVx/f0 ガチンと時計の針が2時を指し、鏡から緑色の海があふれ出してきた。 「え、えぇ、や、やぁ!お父様、お父様助けて!」 緑色の海は水銀燈の手から順々に鏡の中へと引き込んでゆく。 私は思わず立ち上がり、水銀燈の手を取ろうとする、が。 「いけない、いまあなたが手を出したら巻き込まれていまう、そうなると僕には助ける事は出来ない」 「し、しかし」 水銀燈の体はすでに半分鏡に吸い込まれていた。 「お父様!おとうさまぁ!」 私は蒼星石の静止を振り切り、水銀燈を抱きしめ、緑の海が水銀燈と私を引き込んだのは、 ほぼ同時だった。 私は、いつかの夢の中に居るようであった。 以前と違うところを挙げれば、水銀燈が一緒に居るぐらいであろうか。 右手首を見る、時計の針はぐるんぐるんと回っていた。 「水銀燈さん、実を言うと私は、」 「知ってるわぁ、そのぐらぁい」 意外な答えが返ってきた。 「作ってくれたのは、違うお父様だけどぉ、あの教会で 私を見つけてくれたのは、アナタだものぉ」 「そんなもんなんですか?」 「そんなもんよぉ。それより、ごめんねぇ巻き込んじゃってぇ」 「いえ、好きでした事ですから」 「おばかぁん」と水銀燈が私に抱きついてきたので、私もしっかりと抱きしめ返した。 どこか、頭の遠くで「君は、何を得た」と、問いかけられた気がした。 483 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 16 55 24.52 ID EWchVx/f0 水銀燈の影 484 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 16 55 46.45 ID EWchVx/f0 3/5終わりです、お疲れさまでした 485 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 16 57 56.36 ID EWchVx/f0 すみませません、途中で寝てしまってこんな時間になってしましました。 ごめーんちゅい! 487 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 17 02 20.74 ID HAcoMI/s0 相変わらず「おばかぁん」が好きなんだな 488 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 17 03 13.97 ID EWchVx/f0 印籠みたいなもんだからな 500 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 17 21 02.31 ID EWchVx/f0 あ んた一体なんなのよ!皆を待たせる!しかもまだ続きがあると言う!自分は寝る! 自分の妄想を聞いてくれだなんて突然メチャクチャを言い出す! かと思ったら変なレスし出して大勢普通に見てた人を追い出す!挙句はコマンドーのガイドラインから引っ張ってくる!あんた人間 なの!?お次も変態ときたわ!スレが落ちそうになったんで助けたわ!そしたらあたしまで睡眠不足よ !一体なにがあったのか教えて頂戴!→駄目だ 505 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 17 39 48.40 ID EWchVx/f0 メッツ!!!! 506 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2007/08/01(水) 17 42 04.93 ID EWchVx/f0 メェエエエッツ!メェエエエッツウゥツウ!トメェェエェエエッツ! 515 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 18 22 09.22 ID EWchVx/f0 よし!やっと眠気がとんだ 516 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 18 23 30.84 ID EWchVx/f0 睡魔が、睡魔が襲ってくるんです! 521 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 18 36 30.20 ID EWchVx/f0 水銀燈のエッチな画像みてたら、テンション上がってきた 525 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 18 58 33.97 ID EWchVx/f0 そろそろ本気だす 530 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2007/08/01(水) 19 24 28.02 ID EWchVx/f0 ちょ、今すぐ空見てみろ 531 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 19 24 56.89 ID ZplqcIsL0 テラ真っ赤 532 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 19 24 59.12 ID EWchVx/f0 今、俺たちは同じ空見てるんだぜ・・・? 541 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 19 48 57.57 ID EWchVx/f0 水銀燈と青年 544 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 19 50 07.16 ID EWchVx/f0 喉の乾きのためだろうか、私が目覚めたのは朝の6時前だった。 部屋の中には油絵の具のツンとした匂いが立ち込めていた。 赤絵の具も青絵の具も嗅ぎ分ければ微妙な違いがあるのかもしれないが、 私にはどうでもいい事だった。 私は鉛でも入ってるのかと疑いたくなる体を引きずり、やっとの思いで 狭いベットから立ち上がり、玄関の横にある冷蔵庫から水を取り出し、 馬のように水を飲み、ボトルを1本空にし流しの脇に置いた。 冷蔵庫の中ではヤクルトがパックに詰められ冷えていた。 私はそのまま朝食を作ろうかと思ったがやめた。 毎朝朝食にはヤクルトを要求してきた同居人はもう居ないのだ、 それを考えると虚しくなり、私はベットに戻った。 水銀燈はもう居ないのだ 549 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 20 04 55.43 ID EWchVx/f0 私が次に目が覚めたのは昼の3時だった。 部屋の中は蒸し暑く、絵の具の匂いも生臭くなっていた。 どうだろう、絵の具にフルーティーな香りをつけたら、もっと売れるんじゃないかな。 まあいいや、私は小鍋でゆで卵を作り、そのお湯でコーヒーを淹れた。 菓子パンとゆで卵とコーヒーをちゃぶ台の上に運んだ時、また悪い癖が出たの気づかされた。 ちゃぶ台の上には、昨日のコーヒーがまだ残っていた。他にも水や烏龍茶などが 飲みかけの状態で放置されている。とりあえず比較的古そうな物から飲み物を片付ける事にした。 同居人が居なくって色々と私の生活が変わった。 これもその一つだろう、彼女と一緒に暮していた時にも、よくしていたのだが その度に彼女が注意してくれたのだ、今じゃコップが溜まる一方だ。 553 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/01(水) 20 22 59.73 ID EWchVx/f0 彼女が居なくなってから私は押入れの奥に突っ込んでいた絵画の道具を引っ張り出した。 昔少々齧っていた程度なので、お世辞にも上手とは言えないが、 油絵ってのは時間をかけてペタペタやって行けるから、下手な私に向いていた。 もうお分かりだと思うが、私は日がな絵を描いて過ごしている。もちろん水銀燈の絵だ。 私は夏の初め、水銀燈と教会までの道を歩いた。私の靴音がコンクリートに冷たく反響した音、 電灯が燃えた音、今でもはっきり覚えている。そして、最後に浮かべた水銀燈の笑顔が 今も頭にこびり付い離れない。 だから私は日がな絵を描いて過ごしていた、描くと言うより作業だろうか。 カンバスに向き合い、あの日の水銀燈を復元する作業だ、未だに終わりは見えない。 だけど、終わりが見えるのも寂しい感じもする。それに一日中水銀燈と向き合ってるのは悪い気はしなかった。 556 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/08/01(水) 20 35 54.53 ID EWchVx/f0 そうだな、彼女が居なくなってからの話をしよう。 夏の初めに離れ離れになった話まではしたよね、じゃあその後の話をしよう。 最初はただ待っていたね、だけど頭の中じゃもう帰ってこないって分ってたんだ。 左手の指輪も無くなってしまっていたからね。 その時私の部屋の電話が鳴った、携帯には料金を払ってないから自宅電話だ。 少し迷ってから電話線を引き抜いた、ついでにコンセントも。 今の私に電話してくる奴は一人しかない。どうせ肝試しのお誘いなのだろう、とってもお断りだ。 話を戻そう。指輪がなくなった後、礼儀正しい人形が尋ねてきたんだ、名前は蒼星石と言っていた。 何でも、謝りに来たと言っていた。私は最初、その類の人形とは会いたくなかったんだ、 水銀燈を思い出すからね。だからさっきの電話のように無視していた。 そしたら、彼女どうしたと思う?私の部屋を見渡したかと思うと、テキパキと片付け出したんだ、笑えるだろ? 掃除も終わって彼女が一言「また来ます」だってさ。 557 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/08/01(水) 20 39 41.51 ID EWchVx/f0 最初の方で言っていたと思うんだけど、私はコップを溜める癖があるって話だ。 これも彼女が居なかったら、ちゃぶ台の近くにコップのチョモランマが出来てたんじゃないだろうか。 だけど、そろそろ自分で掃除しなくちゃならない、彼女には彼女の生活があるんだから。 私はふと蛍が見たくなった。急にラーメンが食べたくなるのと同じだ、特に理由はない。 適当に身支度を整え、私は久しぶりに外に出た。あと一日遅かったら歩き方を忘れていただろう。 この辺りで蛍を見れる場所は一箇所しかない、古教会裏の小川だ。 夕暮れの風が私を撫でた。私は小川脇に腰を下ろした。白い一輪の月が木の鞘にかかって浮かんでいた。 蛍の灯が一つ、二つと燈されていく、弱く、とても淡い色だった。私の記憶の中では蛍の灯は もっとくっきりとした鮮やかな光を夏の闇の中に放っているはずだった。そうでなければならないのだ。 街の明かりだろうか、だが夜はその取り分を確実に運び去る。 目を閉じた、体が今にも夏の闇の中に吸い込まれそうになる。 私は昔見た、色鮮やかな蛍を思い出す、その蛍は瞼の中でクルクルと飛び回っていた。 558 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/08/01(水) 20 40 17.87 ID EWchVx/f0 私は目を開いた、辺りはすっかり暗い、水音が聞こえる。 そして目の前を何十匹という蛍が飛び回っていた。だが、どれも私の記憶していた蛍ではない。 燃えさかる火の粉のような、そんな蛍は一匹も居なかった。 だけど、私はこのまま待ち続けた。 その時一匹の蛍が、燃えさかる火の粉のような蛍が淡い闇に浮かんでいた。 私の目の前で素早く弧を描き、光りの線が風に滲むのを見届けるべく少し留まり、 やがて教会の方へと飛び立っていった。 ’蛍’が消えてしまったあとでも、その光りは私の網膜に焼き付いていた。 私は重い腰を上げ教会へと歩き出した。 559 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/08/01(水) 20 40 33.56 ID EWchVx/f0 水銀燈と青年 560 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/08/01(水) 20 40 50.47 ID EWchVx/f0 4/5終わりです、お疲れさまでした 次へ
https://w.atwiki.jp/83452/pages/11792.html
和「私もムギを抱きしめたりしたいわ」 紬「軽音部とはなんだろう」 澪「素直澪ちゃん!?」 律「もしもの話をしよう」 唯「ホワイトデーだよ、みんな!」 ※完結済み 戻る