約 20,666 件
https://w.atwiki.jp/yougosq/pages/1532.html
■鬼神大王 Ⅱ 鬼が一晩かけて討ったという伝承のある刀。 Ⅲ 鬼が一晩かけて作ったといわれる名刀。空き×3 元ネタは、とある老鍛冶の「立派な刀鍛冶を娘の婿にする」という条件でやってきた優れた若鍛冶が、実は鬼であったという逸話から。 ……若干、名前負け? 名前はスゴイ・強そう コメント
https://w.atwiki.jp/epicofbattleroyale/pages/637.html
その一瞬だけ過去も未来も消え去った。 『金色の王』と『海神』がぶつかり合う。 戯れにも見えた。死闘にも見えた。 その『勝者』の名は………… 「はい、オレの勝ち」 「……で、今回の要件はなんだ?」 「試してほしい奴がいる」 「そいつは誰だ?」 「少しばかり遠くにいる奴だが、呼び出せば来る。 何、ほんのちょっとばかし気になる奴だ」 「貴様がそこまでいうならば…… ……で、そいつのの力量の判断は俺がしていいのか?」 「構わねぇよ、それが誤りだったらそれは単なるオレのミスだからな」 「貴様にしては随分と弱気なことを言うんだな」 「オレはそんな単純なミスはしねーよ…… なんせオレの目が狂うはずなどないからな」 「………………そうだな」 黄金の王は天高く笑う。 海神は笑わず、ただ静かに見る。 この南の島でまたなんか起こる。 ◆ ◆ ◆ 「アタシの国でそんなことが……」 「色々あったけど楽しかったね、サバフェス!」 「はい!」 「アタシも行きたかったな……」 「今度は一緒に行こうね」 2018年の夏イベントを終えた立花たち。 しかし、そんな中イベントに参加できなかったサーヴァントが一体。 ハワイの大王、カメハメハである。 「……しかも、ペレ様が……」 「はい……」 「いや、まあ……そういうところあるから……」 目を泳がせるカメハメハ。 恐らくは生前にペレに出会ったことがあるのかもしれない。 それはさておきいなかった間に色々あった。 「アタシはあのセイバー……渡辺綱さんを抑えるのに必死でしたからね」 「それはご苦労様でした」 「今回は碓井さんが一緒でしたからね」 召喚してから案の定、ほぼ毎日のように行われる茨木童子と渡辺綱の命懸けの追いかけっこ。 それを大体止めるのが、頼光さん(影の風紀委員)か金時か碓井さん、たまにカメハメハ。 その光景を酒を呑みながら、楽しむのが大体酒呑童子。 「ト〇とジ〇リーみたいだよねー」 「あと最近はあの眼つきのやたら悪くて無口なアーチャーさんが……極々稀に。 でもあの人は一体……」 「ああ、あの人だけは……うん」 『……ここに奴がいるのであろう? ならば、もしもの時にだけ呼べ……! だが、心配するな、お前が呼べば俺はお前のもとに行く……それだけは約束する』 そう言って、カルデアにいるのにほぼ見当たらない。 そのアーチャーの標的は大体カルデア悪巧み四天王(四天王だが四人とは言っていない)と絡んでることが多い。 『アタシに何か用? そう、用がないなら別にいいでしょ? ほら、アンタだってアイツにアタシごと射抜かれても困るでしょ?』 『意外にに優しいんですね』 『な!? アタシが優しいわけないじゃない!』 そして、彼女はいつも大体カルデアのボイラー室の近くにいる。 何を考えてるかは……未だに分からない。 「まあ、カルデア内だし事件が起こってもたぶん大丈夫だと……」 「そうですね」 藤丸、マシュ、カメハメハの三人でそれなりにのんびりしていた。 と、そんなところでダヴィンチちゃんから 連絡が入った。 そんなわけで久々に管制室まで向かう、三人で。 「来たね」 「来ました」 「ダヴィンチちゃん、今回は……?」 「うん! 今回もまた聖杯回収だね」 「やっぱりですか、それでハワイに行くんですね!」 「……カメハメハ、頑張りたいのは分かるけど私の説明の仕事取らないでね」 カルデアスはハワイのところ指示していた。 それを立花に付いてきていたカメハメハがすでに見ていた。 「まあ、今回もハワイなんだけどね」 「なら、やはり! アタシの出番ですね!!」 というわけで、早速ハワイにレイシフトしたのであった。 ◆ ◆ ◆ 「ん~~~~やっぱ熱いな~~~~」 !? 「で、貴方はどちら様?」 「俺ちゃん? 俺ちゃんはアレだ。 サーヴァント・ユニヴァースにおいては最強の実業家の小市民らしいんだぜ~~~」 二人でレイシフトしたのだったが、その場には三人いた。 その男は! 血生臭い白衣にグラサン。 そして、何よりも胡散臭い喋り方。 そんな男! 「いや、何でいるんですか、ノーベルさん……」 「おっと、今の俺ちゃんは一般サーヴァントの布哇のバーサーカーだ。 俺ちゃんもハワイ観光に行きたかったから着いてきたぜ~~~~~」 (うーん、相変わらずの狂化EX……) 「それと栄誉ある俺ちゃんの賞を辞退したアホ二人を面白がってたらなんだか。 追いかけられてたからな、煙巻くついで、だ」 『『なんだと、コノヤロー!?』』 どこかから紳士と獅子の声が聞こえてきた気がした。 そんなわけで、バーサーカーのアルフレッド・ノーベルがいた。 「いやいや、貴方もカルデアのサーヴァントでしょ?」 「実のところはそうなんだぜ~~~~」 『……全く君って男は……』 「ダヴィンチちゃん、そう後ろ向きに捉えるなって~~~ 頭数は多い方がいいだろ?」 「確かに……けど、ノーベルさんじゃん?」 「そうだぜ、ノーベルさんだぜ?」 「あのお強いんですよね?」 「いや、俺ちゃんはどう考えても最弱クラスのサーヴァントだぜ?」 「ダメじゃないですかー!!!」 「というわけで、カメハメハちゃんがこの場で唯一無二の最大戦力だぜ~~~」 「さ、最大戦力……! なんという良い響き……!」 仕方ないからこの戦力で聖杯回収に行くことになった。 戦力的には得には問題なかった。 しばらく、ハワイを進む。 ルルハワではないこのハワイ島を。 観光しつつも、巡っていく。 「やっぱり違う島ですね……」 「何が違うの?」 「いえ、アタシの記憶にあるハワイ島はもう少し寂れた感じですね……」 その最中、街を見て、いつもと少々違う声で立花と話す。 確かに彼女がいた世界のハワイとこのハワイは違う。 『剪定事象の一つ、その可能性から生まれた彼女』。 ハワイの大王と言ってもまだまだ若い。 平和とは言えないこの島々を統一したという偉業。 その道中は決して平坦ではなかったであろう。 そんな時である。 「おっと、多分あっちだぜ~~~」 「本当ですか!?」 「俺ちゃんの勘はそこそこに当たるし、それに……さっきから何かに観られてる」 ノーベルの勘はともかくとして。何か視線を感じたのは確かだった。 砂浜の方に絶対何かいるのは確かであった。 そして、それはヤシの木の上にいた。 それは………… ――――美しき赤き怪鳥。 ⇒「ニワトリの亜種?」 「なんだ、あれ!?」 「あれはアパパネですね」 「アパパネ?」 「アカハワイミツスイの英語訳だぜ」 「なるほどね」 「ハワイの固有種の鳥ですが……ちょっと大きいですね」 「ニワトリじゃないのか……」 「ニワトリじゃないですね」 「んじゃあ、とりあえず一狩りしようぜ~~~」 あのアパパネに敵意があるのはなんとなく分かる。 ヤシの木の上から鋭い目でこちらを睨んでいる。 そして、飛翔からのこちらに向かって加速。 速い。 その速さで何体にも分身してた。 サーヴァント並みに素早い。 「全部、避けて、叩き落とすだけッ!」 一匹。二匹。三匹……。 カメハメハは大槍でどんどんと叩き落とす。 その速さはアパパネとそう変わらない。 「俺ちゃんには当たる~~~!」 「アンタ、本当に何し来たんだよ!!(カルデア制服で緊急回避)」 「だから、ハワイ観光に」 「あれ、マジだったの!?」 ノーベルは避けた。 立花が避けさせた。 「銃弾が当たらないからね」 「そうですか……!」 なんなんだ、アンタは一体。 「これでラスト!!」 アパパネの分身達は消える。 恐らく本体に攻撃が当たったのだ。 その攻撃が当たった最後の一体は。 何事もなかったようにヤシの上に戻った。 その光景にこの場の全員が目を取られた。 その刹那だった。 閃光のように『それ』はその場を駆け抜けた……。 「そこの貴様は邪魔だ、そこ退きな……!」 「ん?」 そして、一瞬だった。 閃光のように放たれた一撃。 パンチを放ったのか、キックを放ったのかこの場の誰もが検討が全くつかなかった。 その一撃でノーベルは大きく吹っ飛んだ。 「ノーベルさん!?」 「急所は外した。今の一撃で消滅はしないだろう」 「貴様……!」 アパパネはまた飛翔し、その男の右肩に乗った。 いや、男かもしれないし、女かもしれない。 定かではない。 「クーの槍を持つ少女……お前はカメハメハか?」 「そうだ!」 「お前は一体……」 ⇒「何者だ!」 右腕にアパパネが乗っているモノ。 背後には烏賊もしくは蛸のような触手。 龍を思わせるような鱗を纏った肌。 『異形の怪物』 そう思わせるには十分であった。 「カナロア……クラスはそうだな、フォーリナーだ。 ハワイの四大神の一柱を務めさせていただいている」 カナロア。 立花も名前だけはどこかで聞いたことがある。 魔法と冥界の神の側面を持つ者だと。 『この反応はフォーリナーです!』 「あ、うん……今聞いたよ」 『間違いなく神霊クラスのサーヴァントですよ!』 「なんでそんな奴が……」 カナロアはカメハメハと立花を観察するように観る。 ビビりそうになったが、それを抑える。 「……戦う前からあーだこーだと口上を垂れる必要もない。 ただ圧倒し、力でねじ伏せる……それだけだ」 凄まじいまでの闘気。 カメハメハが戦った中で桁が違う。 底が知れない。不気味さすらある。 「戦う前……つまり……」 「行くぞ、カメハメハを名乗る少女よ……!」 「そうか。どんな相手だろうとアタシは負けない……!」 両者、高速で移動していく。 一気に距離を詰めて、接近戦を始める。 「武器は?」 「必要ない」 カメハメハの振るう大型槍を躱して、カナロアは蹴りを放つ。 まさに文字通りの神速。神脚。 「引かぬか」 「タイマン勝負に必要なのは……気合いだ!」 「その心意気はよし……だが……!」 「ハワイの海神の神技に届かすには少しばかり青い……!」 大波の如き連打。 拳法使いとはまるで根底が違う。 ただ単純に純粋な力と速さで押してくる。 「我が名をその魂に刻み込めッ! 『龍王(ロード・カナロア)』ァァァッ!!!」 さらに加速していく。 荒海に飲まれるような感覚に陥る。 蹴りのラッシュで連撃していく。 初撃、二の足、三の足と……防ぐことも反応することもできないほどの乱打。 「終いだ……!」 最後の一撃。 大きく、大きく吹っ飛ばされた。 まるで風に舞う羽根のように軽々と。 そして、砂浜に叩きつけられるような形で落ちた。 「カメハメハ!!」 「大丈夫です、まだ……やれます!」 「今のを耐えたか」 「無論です……大切なものを守るためなら何度だって立ち上がってやる。 たとえ相手がカナロア神……貴方だって……!」 カメハメハは砂浜に槍を突き立て、また立ち上がる。 その眼はカナロア神がよく知っている男と同じ眼をしていた。 「………戦うことに、安心など求めるな」 「それは無理な話ですね」 「やはりな、その槍を持つ者ならばそう答える。 なんせ戦いの神のクーの奴の……いや、クーそのものだからな」 「そんなことは知っている! それよりも今回の案件を解決してカルデアに帰る、それだけだッ!」 確かに今、間違いなく…… ――――『最強の大王』がその地のその場に降臨していた。 「そうか、ならば終いだ」 強く砂浜を蹴る。 砂塵が舞い、カナロア神の姿が一瞬で消える。 もはや見ることも敵わない。 敏捷EXくらいあるだろう。 そこにいるのかすらわからないくらいにまるで消えたように。 『……ッ、先輩!?』 「どうしたの、マシュ!?」 『フォーリナーの反応が……完全に消失しました!』 「な、なんだって!?」 「逃げた……?」 その数分後であった。 砂を蹴る足音が聞こえてきた。 「おう、俺ちゃんが一人で頑張って聖杯回収してきたぜ~~~~」 !? ◆ ◆ ◆ 少々、時間は遡る。 「ハッハッハ、あのカナロア神に蹴っ飛ばされてなお無傷で生きてるなんてやるね」 「俺ちゃんの幸運はEXだからな~~~~ 俺ちゃんの飛んだ方向に『たまたま』お前さんがいたからね」 ノーベルさんは無傷だった。 いや、見た目は無傷だが肉体のダメージは割と深刻なものだった。 「で、お前さんが黒幕か?」 「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」 「随分と曖昧な答えだな~~~~~。 ――――つか、あの嬢ちゃんと同じ槍を持ってるというと…アレか?」 「まあそうだな、オレはルーラーだ、オレの国では必然的にそうなる」 「ほう、金色の王ってのはどの時代どこの国でも大差なく変わらんらしいな~~~」 圧倒的な自信。 黄金の王が笑う。 「で、やるかい?」 「いんや~~俺ちゃん、戦いは不得意なんでね~~~」 「賢明な判断だ、なんせここで一番強いのはオレだからな」 「ほぉ~~ん、あのフォーリナーよりもか?」 「そうだ、バーサーカー……いや、『アルフレッド・ノーベル』」 真名がバレている。 特に何もしていないのに。 そして、ノーベルはスタンした。 「真名看破スキルでの拘束かよ~~~。 はぁ~~~これだからルーラー連中は~~~」 「アンタのダイナマイトの威力じゃこっからあっちに攻撃が当たっちまうだろう?」 「ご名答、当てることも可能だ、なんせ俺ちゃんは稀代の天才だからな」 「だから、邪魔されたら困る」 黄金の王は見届ける。 カメハメハとカナロア神の戦いを。 そこでノーベルはピンときた。 自分の勘を過信しまくってるので分かった。 「しかし、コレで本当に来るなんてな」 「? そいつは~~~!」 その手には黄金の杯。 間違いなく聖杯。 「マカヒキで使う杯がどうやら聖杯だったらしい」 「んじゃあ、その聖杯くれ」 「ああ、いいぜ」 「!? いいのかよ~~~」 「必要なのであろう? それにオレには必要ない」 黄金の王は聖杯をノーベルに譲渡した。 特に何事もなく。 「レイデオロさんよ、サンキューな~~~~!」 「レイデオロ……『黄金の王』か、中々カッコイイな! キングであるオレを表すには丁度いい! だが……」 「いや、知ってるよ、お前さんの真名くらい……どうせあのお嬢ちゃんと同じだろ?」 「うむ」 そして、ノーベルは聖杯を入手し、立花たちのもとに戻ったのであった。 ◆ ◆ ◆ こうして、なんやかんやで目的を果たして果たしてしまった。 「目的は果たしたし、これで帰れるね……」 「…………はい」 「おっと、不完全燃焼は不味いぜ? 帰ったら……」 「トレーニングに行きますよ……! Xさんやえっちゃんさんと一緒に!」 「俺ちゃんはパスな~~~~そういうのは柄じゃねぇし~~~。 でも、一つ言っておくがちゃんと休めよ」 「言われなくても……わかってますよ!」 課題は山積み。 立ち止まってなどいられない。 だから、もし次に相対することがあるならば…… (今度は負けない……!) 小さな王は決して折れない。 自分を曲げない。 それだけは絶対に貫く。 そう決めたのであった。 特異点に戻る ◆ ◆ ◆ 「で、強かったか?」 「見所はあった。資質も悪くはない」 「そりゃあ、異世界のオレだからな!」 「女の子になってるんだぞ、異世界のお前……」 黄金の王は笑う。 海神は呆れたような表情を浮かべる。 赤き怪鳥も笑ったような鳴き声で鳴いた。 「しかし、力試しくらい何故自分でやらない」 「? それくらい言わなくても分かるだろ?」 「この国で一番強いのは――――オレだからな!」 その自信は決して揺らぐことはない。 それが自分を貫き、王になったこの男なのだから。
https://w.atwiki.jp/wiki9_ra-men/pages/2662.html
食べた日:2008/8/16 『ちゃんぽん座 十鉄 イオン泉大沢店』で「牛すじ焼ちゃんぽん」(780円)を 08.8.16%20%82%B6%82%E3%82%C1%82%C4%82%C2%91%E5%91%F2%93X%20%8B%8D%82%B7%82%B6%8F%C4%82%BF%82%E1%82%F1%82%DB%82%F1%20327%94t%96%DA.jpg イオンショッピングセンター内のフードコートにあるお店です。 最初、同じコート内にある『幸楽苑』で注文したのですが、お盆期間というのもあり、「20分待ちです」と言われたので(こういうことはお金払う前に言ってほしい・・・)、お腹減りすぎで待てないhiroは、その待ち時間を利用して、空いていた(失礼・・)こっちを先に食べてみました。。。 前回、汁ありのちゃんぽんを食べた時は、正直好みから外れていたので、今回はウリでもある牛すじを乗せた焼ちゃんぽんにしてみました。 具は汁ありの時と恐らく全く一緒です。 なので嫌な予感がしましたが、一口食べると・・・「お~、何気に旨いかも」という印象。 汁ありの時は、特に麺がイマイチに感じたのですが、炒めることにより、しっかりとした非常にいい食感になります。 元々焼ちゃんぽんがウリなので、そちらに合わせた麺なのかもしれません。 コラーゲンたっぷりといった感じのプルプル牛すじも、なかなか美味しかったです。 コート内の他のお店に比べ、割高感があるので空いているのでしょうが、この牛すじ焼ちゃんぽんは、また食べたい味ですね。 住所:仙台市泉区大沢1-5-1 イオン仙台泉大沢ショッピングセンター2F by hiro (2008年 327杯目) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4793.html
???「さっきまでの威勢は何処に行ったのさ!?えいっ!」ヒュン、ヒュヒュン 正義「くっ!くぅ……。」ザッ、ザッ 奈海「ちょ、ちょっとぉ……、わっ!?」ササッ コイン“「奈海ィ!気をつけないと当たっちゃうよぉ!」” 大王「(……何故、こんな事になってしまったんだ。)」 ~数分前~ 奈海「うぅん……これと、これと、これも……。」 正義「もう、それぐらいで良いだろ?」 奈海「いいじゃない。私が持つ訳じゃないんだもん。ところで、これ似合う?」 正義「……やっぱりオレなのか。そんなに買って何になるっていうんだよ。」 奈海「あら、私にそんな口聞いていいのかしら?どうなっても知らないわよ。これ追加ぁー♪」 正義「うぅ……。」 コイン「なんだかんだで楽しそうだね。」 大王「そうなのか?こういうのはよく分からん。」 ある夏の日、俺達はごく普通のショッピングセンターでごく普通の買い物をしていた。 コイン「待って、これってもしかして初デートにカウントされるのかな?」 大王「そんな小難しい事を俺に聞くな。」 奈海「ぅんと……よし。じゃあレジへレッツゴー!」 正義「あぁ、ちょ、待て!」 そして会計が終わり、俺達は店を出た。 奈海「あぁ~買った買った。じゃ、帰ろっか。」 正義「お前も持てよ!2つぐらい!」 ……と、その時だった。 ???「まったく、イチャイチャしてんじゃねぇ!」 正義「ッ!?危ない!」 奈海「え?きゃあ!」 不意に前から銀に煌めく矢が飛んでくる。とっさに少年は少女を突き飛ばす。 正義「奈海ちゃ、“コホン”大丈夫か!」 奈海「え、えぇ、まぁ。あ!さっき買った服が!」 ???「ふぅん……よくアレを避けたねぇ。関心関心。」 コイン「もぅ!いったい誰よ!」 大王「この気配……まさか!?」 気配の元を見ると、少年と同世代かそれより下ぐらいの、背中から羽の生えた子どもがいた。 おそらく少女には普通の人間に見えたのだろうが、俺にはその正体が分かった。 奈海「えっと、天使のコスプレをした、男の子、だね?危ないから弓矢は人に向けちゃダメ。分かった。」 ???「子どもじゃねぇ!人間のくせに偉そうに!」 奈海「ダメね……完全に自分を天使だと思い込んでる。」 コイン「いつもだったら無視しようって言うところなんだけど、今日は奈海が思い込みをしているんだよ?」 大王「少年!」 正義「うん、間違いなく神話の都市伝説。キミは一体!?」 すると彼は、羽を羽ばたかせ、ポーズを決める。 エロス「ボクは【Ερωσ(エロス)】。ギリシャの神の1柱さ!」 大王「ち、またお前達か!」 正義「(弓使いか……。遠距離戦は苦手なんだよなぁ。奈海がいるから大丈夫かな?)」 奈海「エ……ロス?ぇっと、その……か、可哀想な名前ね。」 エロス「あぁ!ボクの事バカにしただろ!お前達人間が意味を変えるからぁ!」 コイン「いや、多分日本人だけだと思うけど。でも、元々の意味もだいたいそうだし。」 すると、【エロス】は怒り、どこからか矢を束で出し、俺達を狙う。 エロス「ボクを侮辱するとは、許せない!叩きのめしてやる!」 大王「な……何故そうなるんだァアァァ!?」 ~数分前/終~ 正義「大王、ゴメン。でもあの状況ではどうしようも無かったし……。」 奈海「ほとんど私の責任だよね。大王さんゴメン!」 大王「……もういい、慣れた。」 コイン“「それよりどうするのよ!」” そう会話している隙に、【エロス】は矢を取り出し、正義を狙う。 エロス「ゴチャゴチャ……うるさァい!」 連続で3本の矢が、正義達をめがけて飛んでいく。 正義と大王は自力で避け、奈海はコインの能力で突き動かされて避けた。 正義「わっ!」 大王「ちぃっ!」 奈海「きゃあ!」 エロス「ちぇ、全然当たらねぇ……。つまんねぇの。」 正義「くぅ……こうなったら、勇弥くんに助けを……。」 奈海「ぅ、わ、分かったわ。なら……こっち!」 奈海は目を瞑って考えた後、正義達を路地裏へと導く。 エロス「まさか、逃げられると」 大王「こいつは不意打ちの礼だ。釣りは要らんぞ!」 エロス「え?うわっ!?」 正義達を追いかけようとした瞬間、【エロス】の頭上から大量のゴミが降ってきた。 ゴミの山に【エロス】が埋もれた事を確認すると、大王は軽く笑みを浮かべてその場を去った。 エロス「……ゆっるさぁぁぁん!臭ッ!……仮にもボクは神だぞ、もう許さないッ!待っていろ……!」 とてつもない怒りを抱えて、【エロス】はゴミの山から出て、大空へと飛び立った。 奈海「―――もう、追ってこないわね。」はぁ、はぁ コイン「“大丈夫。”ふぅ、私が検索したスーパー安全ルートだもん!」 正義「じゃあ、早速。……こちら正義、応答願います。」 正義は腕の『正義注入機』のボタンを押し、勇弥と無線を繋ぐ。 “勇弥「こちら勇弥。丁度いい、今亜空間を切り開く装置を」” 奈海「そんなのはどうでも良いから!えっと、ぇ、え、エロ……。」 “勇弥「はぁ?わざわざ無線で何のッ、まさかお前等……。」” 正義「たぶん違う!【エロス】ってギリシャ神話の神の話を聞きたいんだ。」 “勇弥「あぁなるほど。篭もるなよ、勘違いするから。」” 奈海「だってぇ……。充分変な名前じゃない。」 改めて、勇弥の解説が始まった。 “勇弥「『キューピッド』って言葉を聞いたら何を思い出す?」” 奈海「え?もしかして『恋のキューピッド』?」 “勇弥「実はある神話で【Cupid(クピド)】っていう奴がいてな。英語読みでキューピッド。んでそいつと同一視されやすいんだ。 それっぽい要素は無かったか?弓を持っているとか……。」” 正義「うん、弓矢で攻撃してくるよ。」 “勇弥「ならそれで確定だな。『クピド』は自分の持つ金の矢と鉛の矢で悪戯をする、って話だったと思う。」” 奈海「金の矢で射抜いた人同士をカップルにさせる、ってやつ?」 “勇弥「いいや、金は恋愛への欲求が高まる、鉛は恋愛への関心を奪うって能力だ。 男に金の矢を射て、女に鉛の矢を射て、それを傍から見物するのが趣味みたいな奴らしい。」” コイン「なにそれ、悪い奴じゃん。」 “勇弥「時代が進むごとに、能力の良い所だけが切り取られて『キューピッド』が生まれたんだろうな。 ちなみに、元々は力強い青年とかでイメージされてたんだけど、後に少年化してしまったらしい。 さらに昔は原初の神の一員という結構偉大な奴だったんだが、時代と共に劣化していったみたいだ。」” ふと、正義はある事に気がつく。彼が放った矢の色は金でも鉛でもなかったのだ。 正義「待って、あいつが射た矢の色は緑っぽかったよ。それはどんな矢?」 “勇弥「緑……もしかすると青銅か?だがそんな矢は文献には無い。」” 大王「という事は独自で作ったものだな。単純な攻撃用か。」 “勇弥「普通は契約者がいないとそんな事はできない筈なんだが……。神だからか?」” 奈海「で、弱点は何なの?」 コイン「あるんでしょ?呪文とかにんにくに弱いとかさぁ。」 “勇弥「ん、ねぇよ。」” 奈海&コイン「「えぇっ!?」」 正義「……じゃあどうすれば勝てるの?」 “勇弥「逆に聞くが、本当に勝てそうにないか?」” その言葉を聞いた瞬間、今までの緊張と不安が吹き飛ぶ。 確かに、彼は神ではあるが、外見は子どもである。攻撃もそれほど怖いものではない。 正義「そう言われてみると……。」 奈海「遠距離なら私もいるし……。」 コイン「避けられない訳でもないもんね。」 “勇弥「そういう事。元々戦う神じゃないんだ。落ち着いて戦えば絶対に勝てる。もし困ったらまた連絡してくれ。」” そして、正義が切ろうとした瞬間。 “勇弥「おっと、最後に。『エロス』の元の意味は『性愛』、恋愛とかだな。 さらに、何故かいつの間にかその言葉はイデアの世界を志向する精神的な愛、とかいう 綺麗なものになったらしい。あ、『イデア』についてはまたいつか話してやるよ。」” と、言い終わると、通信が切れた。 正義「……じゃあ『エロい』って【エロス】から来てるの?」 奈海「わ、私に聞かないでよ。」 大王「おい、そろそろ戦闘の準備をしろ。」 エロス「誰がエロいって……?そんな設定をつくったのは人間だろ?」 声を頼りに上を向くと、そこには【エロス】の姿があった。 コイン「あれ……いつの間に。」 正義&奈海「「ごめんなさい。」」 エロス「許すかァ!絶対に殴り飛ばしてやる!」 大王「全く、こんなに怒らせるとは……。とにかくここは……。」 エロス「だからさっさと出てこい!」 大王「……は?」 彼の罠としか取れない発言に、全員驚きを隠せなかった。 正義「キミが来たらいいじゃん。」 エロス「偉そうに、ボクは神だぞ!」 大王「どう考えても罠だろ。なら、どこから出るか……。」 エロス「いいから普通に出ろ!別にいきなり殴る以外何もしないから!」 正義「……何を考えているんだ……?」 じっと【エロス】を見ていると、奈海はその理由に気付いた。 奈海「……もしかして、羽が邪魔でここに来れない?」 エロス「うっ。」 正義「なぁんだ。じゃあ大王。あいつの頭上に雲作って。」 大王「了解。」 コイン「正義くん鬼だ!」 エロス「くっそぉ、あ。なんだ、普通に弓で攻撃すれば良いんだ。」 正義「う、気付かれた。」 奈海「気付かないと思ったの!?」 大王「俺も気付かないまま勝てると思った。」 コイン「大王までナメだしちゃった!」 その会話と、なにより気付かなかった自分に腹が立ち、【エロス】は矢を束ねる。 エロス「じゃあ、さっさと終わらせるよ……。」 大王「流石に、ここではまともに喰らうな。逃げるか?」 奈海「こっくりさんこっくりさん……、っていうか、あれ避けれるの!?」 コイン「“……無理!狭すぎるよぉ!弾も限られてるしぃ。”」 正義「とにかくここから退避するよ。」 エロス「喰らえェ!」ヒュンッ!ヒュヒュンッ! 正義「ちぃッ!」“ウォール!” 青銅の矢が雨のように降り注ぐ。が、正義は勇弥から貰った札の1枚を『正義注入機』に読み込ませる。 するとかざした手のひらの前に半透明な壁ができ、降り注ぐ矢から正義を守る。 エロス「あ、逃げるな!」 正義達は急いで路地を抜ける。するとそこは人気の無い広い場所だった。 正義「ラッキー。安心して戦えそうだね。」 大王「では、どんな策で行くんだ?」 正義「色々考えたんだけど、矢に気をつける戦い方なら特別な事をしなくて良いんだよ。」 奈海「となると?」 正義「あいつには普通に戦うのがベスト。大王、剣出して。」 大王「なるほど、あんな奴を倒すためにいちいち難しい事を考えていた俺がバカだったという事か。」 大王は正義との間に黒雲を生成し、そこから剣を2本出す。 奈海は『コインシューター』に十円玉を貯える。 正義「では。」 奈海「戦闘。」 大王「開始だ!」 エロス「おぉ前ェらァァァ!」ヒュヒュン! 急に上空から青銅の矢が束となって降ってくる。 しかしよく考えれば、その手は何度も見ていた。 コイン「“カンタン、カンタン。奈海、あっちよ!そこから攻撃ィ!”」 奈海「OK!えぇい!」タタッ ティティーン コインはあっさりと安全地帯を見つけて奈海を誘導し、奈海はそこから2枚の十円玉を打ち出す。 エロス「うわっ。何するんだよいきなり!」 奈海「……あっさり当たっちゃった。」 コイン「“あの子自信過剰だから、あんまり攻撃避けないんだよ。”」 エロス「またボクの悪口か!許さなッ、うわぁ!?」 【エロス】が急に叫んだと思うと、いきなり降下して地面に落ちた。どうやら羽が動かなくなったようだ。 エロス「ぎゃ!……痛ててて……。何をしたんだ!」 コイン「“呪い成功!今回は『体の一部が動かない呪い』でしたぁ。”」 奈海「っていうか、あの小さな羽で飛んでたんだ……。」 正義「ありがとうコインちゃん。これでボク達も攻撃に参加できる。」 大王「(奈海は誉めないのか……。やはりよく分からん。)」 正義と大王は【エロス】の前に立ち、剣を構える。【エロス】も引く気はなく、弓を構える。 正義「(弓をはたき落とせば勝ちだ!)てぇぇぇい!」 エロス「ぅ、ま、まだ負ける訳には!」 【エロス】は矢を束ねて弓を引く。散弾銃のごとく飛ぶ矢に、正義はなかなか近づけなかった。 正義「く、近寄れないな……。」 コイン「“呪いは長持ちしないよ!早く何とかしないと!”」 奈海「あぁ、もう!矢でも鉄砲でも降らせなさいよ!」 正義「だって矢は苦手だし……。」 大王「すまん、生物と複雑な物体は生成できない。」 奈海「あんなに修行がんばってるのにこんな所で弱点発見!?」 大王「遠距離は少女に任せていたんでな。」 その時、正義は閃いた。 正義「そうだ、いつかのあれで行こう。大王、羊雲!」 大王「羊……、成る程あれか。取りようによっては、これも遠距離攻撃か。」 瞬間、【エロス】の上空に黒雲がぽつぽつと生成される。 エロス「何を始める気だ……?」 奈海「あぁ、確かに羊雲。でもどうするの?」 正義「こうするんだよ。あ、危ないから遠くへいっててね。」 奈海が離れた時を見計らい、正義と大王は自分の知る多くの武器を思い浮かべる。 すると、黒雲から大量の武器が降り注ぐ。 エロス「な、なんだこりゃ!?」 大王「仕掛けるぞ少年!」 正義「うん!」 【エロス】は頭上から降ってきたハンマーを避ける。と、次は頭上に槍が見えた。 エロス「ちょ、ちょ、ちょっと待てェェェ!」ズザァ! 大王「なかなか滑稽だな、愛の神様。」 エロス「ぐっ。」 正義「おぉい、気を抜いてると!」 正義は空から降ってきた武器を取り、思い切り振り下ろす。 正義「てえぇぇい!」 エロス「えっ、ぎぃやぁぁぁ!?」 正義の持つ武器が【エロス】の肩に当たると、“パァンッ!”と綺麗な音が鳴った。 正義「ハリセンだよ。びっくりした?」 エロス「……ぉ、ま、え……!」 大王「念のため言っておくが、危ないぞ。」 【エロス】の頭上に、斧が降ってきていた。 エロス「……うわぁぁぁあああ!」 【エロス】は全力で走った。途中で呪いが解けて飛べるようなったらしく、全力で飛んでいた。 やがて、雲のない所まで辿り着いたが、かなり疲れているようだ。 正義「そろそろ降参する?」 大王「流石にお前をいたぶるほど、俺も悪くは無いんだぞ?」 エロス「く、くっそぉ……。」 奈海「惨い気もするけど、あの子のためだと思って、心を鬼に。」 コイン「“鬼と言うより、もはや修羅じゃん。”」 しばらく、【エロス】は黙って落ち込んでいる。ように大王や奈海達には見えた。 エロス「(まぁ、『Σχεδιο(スケイディオ)』さえ成功したらいいんだし。今日はここまでにするか。)」 正義「(『計画』?またその言葉が?)」 勇弥「おい正義ィ!大丈夫か!?」 楓「黄昏、助けに来たぞ!」 その時、後ろの方から勇弥と楓の声が聞こえた。 正義「あ、勇弥くんと十文字さんだ。」 大王「友、会長!こっちはもう片付いたぞ!」 勇弥「なんだ。まぁ、当たり前だよなぁ。」 すると、やっと【エロス】が立ち上がった。 エロス「とりあえず、この勝負は預けておくよ。」 大王「大人しく負けを認めろ。」 正義「大王、別に勝ち負けはいいじゃん。それよりも……。」 正義が話そうとした瞬間、遮るように【エロス】が怒りだす。 エロス「だが!ボクを侮辱する行為だけは許さない!ゴミとか武器とか降らせたり……。」 正義「ゴミ?」 大王「すまない、とっさの処置だったんだ。」 エロス「だから、この怒りだけはッ!ここで清算する!」 その瞬間、【エロス】は金色に煌めく矢を取り出し、それを射た――― 大王「なっ。」 正義「大王!」 ザシュッ 大王「く……。」 楓「大王……様?」 奈海「嘘、大王さんが……。」 正義「なんで、あれぐらいなら、いつも避けてたじゃん……。」 矢が当たった事を喜んだのか、【エロス】は飛んで喜ぶ。 エロス「ははは、流石のお前もボクの矢は避けられなかったかい!」 コイン「(……もしかして、でも……。)」 大王「ッ……しまったな……。」 エロス「ちなみにその矢は、恋愛感情を高める金の矢だ!さっさと愛に溺れろ!」 すると………………。 大王「…………?」 正義「…………?」 奈海「…………?」 コイン「…………?」 勇弥「…………?」 楓「…………?」 エロス「…………?」 ……何も起きなかった。 エロス「あ、あれ?ほ、ほら!横の女とか後ろの女とか見ろよ!なんとも思わないか?」 勇弥「……金と鉄を間違えて・・・いないよな。」 奈海「じゃあなんで効いてないの?」 正義「……あ。」 正義はぽんと手を叩く。 正義「大王って、男なの?」 楓「は?何を言っているんだ黄昏。『大王様』なんだから男性だろう?」 勇弥「……いや待て、そもそも【恐怖の大王】って予言に、男性が降ってくるという解釈は無かったと思うぜ?」 奈海「あそっか、隕石とかだったもんね。【恐怖の大王】って。」 大王はゆっくりと矢を抜く。 と同時に、上空に黒雲が生成され、そこから金色の矢が【エロス】を狙っていた。 エロス「あ、あのさぁ、ボクの金の矢は生き物に当たっても怪我ができないんだよ。だから」 正義「それは、キミの射た金の矢でしょ?あれは大王がつくった金色の、ただの矢だよ。」 エロス「ぅ……うわぁぁぁ!」 【エロス】は急に振り向き、矢を持たずに弦を弾く。 するとその空間が裂け、言葉では表現できない暗くて禍々しい穴が空いた。 エロス「今日のところは、は言って、お前達なら、じゃなくて!ぅう、あぁもぉ!ごめんなさぁぁぁい!」 黒雲から矢が降ってくると同時に、【エロス】は穴の中へ飛び込んだ。 大王「待てガキィィィイイイ!」ブォン! 大王は穴の中目掛けて、手に持っていた矢を投げた。 その矢が穴の中に入った瞬間、何事もなかったように穴は消えてしまった。 正義「おぉー。」パチパチ 奈海「ナイススロー。かな?」パチパチ 大王「あのガキ……次に有ったら覚えていろ……。」 勇弥「まぁ、一件落着、一件落着。」 しかし、喜んでいる正義達の後ろで、楓は1人悲しそうに大王を見つめていた。 楓「そんな、大王様は……。“ツンツン”ん?」 楓の横に、コインが笑顔でふわふわと飛んでいた。 コイン「十文字さんが落ち込んでるのってなんか珍しいね。」 楓「コインちゃんか。そうか?……そうかもしれないな……。」 コイン「皆はあぁ言ってたけどさ、私は違うと思うの。だって大王って鈍いところあるし、効果が出るのが遅いのかも。」 楓「でも、それだけでは……。」 コイン「あともう1つ。なんであの時、大王は矢を避けなかったか。」 楓「流石の大王様も、あの不意打ちは避けられなかったんじゃないのか?」 コイン「十文字さん。正義くんも大王も、その程度の訓練ならしているんだよ。」 楓「あ、そういえば……では何故?」 もう一度笑みを浮かべながら、コインは楓に耳打ちする。 コイン「自分が避けたら、十文字さんに当たってたんだよ。」 楓「え……?あ……。」 コイン「十文字さんの方が、いや十文字さんが油断していたからそう思ってたのかなぁ。 大王に『こっちは片付いたぞ!』って言われたから?」 楓「……反射神経には、自信があったんだけど。」 コイン「まぁ、実際は傷もつかない矢だったんだけど。とにかく、大王は十文字さんの事を傷つけたくないと思っているんだよ。 それが恋愛かどうかは、子どもだから分かんないけど……。」 楓「……コインちゃんありがとう。よし、では帰るか。」 コイン「うん!」 コイン「あ、相談料は十円玉10枚ね。」 楓「百円玉でいいか?」 コイン「十円玉!」 Σχεδιο編第2話「悪戯」―完― コイン「ところで、さ。大王。」 正義「コインちゃん、今は……。」 大王「そこまで子どもじゃないと言っているだろ。なんだ?」 コイン「奈海や勇弥くんの言葉で気付いたんだけどさ。」 コイン「なんで大王って人型なの?」 正義「え?」 奈海「え……『大王』だからでしょ。はいおしまい。……よね?」 勇弥「……確かに、【恐怖の大王】は何が降ってくるか、って都市伝説だからな。」 【恐怖の大王】とは、人々が『1999年7月に何が起こるか』を想像した結果、誕生した物である。 その結果、『色々なものを黒雲から降らせる力』を手に入れた。しかし……。 勇弥「この手なら普通、正義がその能力を得て、大王さんなんて存在は生まれないんだよ。」 楓「陰さんやカウントみたいになっていたという事か。」 コイン「私みたいに幽霊とか、【口裂け女】みたいな怪人とかなら話は別だけど。」 正義「じゃあ、大王は都市伝説に準拠していないの……?」 大王「……。」 大王はうつむいているようだったが、すぐに頭を上げた。 大王「また、暇な時に話してやる。」 正義「え……?」 コイン「えぇぇー。そんなのやだ!眠れないじゃん!」 大王「少し考えれば、あっさり分かる事だぞ。」 勇弥「……って言われてもなぁ。まさか飲み込まれたとか?」 奈海「え!まさかの大王さん元人間説!?」 大王「さぁな。」 その顔は、微笑んでいるようにも、しかしどこか悲しそうにも見えた。 それを察したのか、楓はギュッと大王の腕に抱きつく。 楓「大王様。私は大王様の正体なんて気にしませんよ。大王様が大王様のままなら。」 大王「……。」 ――――――俺のまま、か――― 前ページ次ページ連載 - 舞い降りた大王
https://w.atwiki.jp/legends/pages/2932.html
―――そう、俺の運命が決まったのはあの時だった――― (???「らんららんららーん♪……ん?」) ―――あの時、コイツと出会ってしまった――― (???「もしかしてキミ、都市伝説? それなら―――」) ―――たったそれだけの失態で、俺は――― 正義「どうしたの?早く帰ろうよ、大王。」 コイツは俺の契約者、[黄昏(たそがれ) 正義(マサヨシ)]。小学1年生だそうだ。 大王「うるさい! お前さえいなければ、今頃俺は……。」 正義「まったく、だから『世界の支配』とかしたら、ダメだって言ってるだろ。」 大王「お前は少し欲望を持て! 金が欲しいとか、たくさん食い物を食いたいとか、あるだろ!」 正義「ボクは今のままで幸せなの。みんなが幸せだったら、それでいい。」 大王「だから!……もういい、疲れた……。」 正義「じゃあ帰ろうか。」 その日はおとなしく諦める事にした。だがいつか必ずコイツを俺の手下にしてやる。 俺はあの日を絶対に忘れない。あの日を…… ~あの日~ 俺の名は【恐怖の大王】。 「1999年7月に空から恐怖の大王が来る」という某預言者の言葉を覚えている人間はいるだろうか? いったい何が起こるのか? その空想はやがて具現化し、この姿となったようである。 生まれてすぐに必要な事はだいたい分かっていたので、予言通り1999年7月に空から降り、世界を恐怖で包み込み、 上手くいけばまた来年、また来年とここに降りて永遠にここを支配しようと考えていた。だが…… 降り立ったところに1人の少年がいた。 何だその輝かしい目は。どうしてくれようか検討中に。 少年「もしかしてキミ、都市伝説?」 と、俺に問いかけてきた。確かに俺は都市伝説だが、そんなに有名なのか? あまり知られていないものかと思ったが、とりあえず。 大王「そうだと言ったら、どうする気だ?」 と答えておいた。この時、もう既に選択を誤っていたのかもしれない。 少年「それならボクと、『けいやく』してよ!」 まさか『契約』の事まで知っているとは……。その言葉を聞いた時、俺は少し驚いた。 しかし、都市伝説は人間と契約すると持つ力が大幅に強化され、さらに存在を維持できるらしい。 その話をあちらから持ってくるとは、好都合だ。 大王「いいだろう。契約してやる。」 あの時の俺はどうかしていたのだろうか。せめて契約者の選別ぐらいするべきだっただろう。 子供だから後で利用しやすい、とでも思っていたのだろうか。 今更悔やんでも仕方がないが、おそらくこれが生涯最大のミスとなるだろう。 少年「やったー!よろしくね。」 大王「(何も知らずに喜びやがって)あぁ。では早速、人間に恐怖を与えにいくか。」 少年「え? なに言ってるの? けいやくしたら、わるい都市伝説と たたかうんだよ?」 ありのままあの時起こった事を話そう。 その時、何も知らずに喜んでいたのは 俺 だった。 大王「はァ!?俺は【恐怖の大王】だぞ!? 人間に恐怖を与える大王なんだぞ! 何故そんな事しなければならないんだ!?」 少年「そんなの知らないよ。けいやくしたら、わるい都市伝説をやっつけるって[ユウヤ]くんが言ってたもん。」 大王「そんな……俺は……。」 少年「いいからもう帰るよ、『大王』。」 こうして、俺は何もできずに2000年を迎える事となった。 ~あの日/終~ その後分かったのだが、どうやら契約には重大なデメリットがあるそうだ。 それはなんと「契約者が死ぬと、契約していた都市伝説も消える」というものだそうだ。 つまり俺は今、心臓を野放しにした状態で過ごしている事になる。 俺は一生この人間を守り続けなければならない。 しかし問題は他にもある。それは この少年、正義感が強すぎる! 目の前に悪事があれば放っておけない、そんな人間なのだ。 父親が警察官とか、そんな事はどうでもいい。 普通人間というのは欲望に満ちている生き物ではないのか? 無論、悪への誘惑も試みた。 ―――俺の手下にしてやろう。 正義「別にボク、世界を支配する気なんかないし。」失敗。 ―――なら幹部にしてやる。 正義「だーかーら、支配する気なんかないって!」失敗。 ―――ではコロしてほしい人間をコロしてやろう。 正義「コロしてほしい人なんて、いないよ。」失敗。 ―――お菓子を降らせてやろう。 正義「もうすぐゴハンだから いらない。」失敗。 どうすればコイツを悪の道に誘う事ができるんだ?! 物欲もない支配欲もない性欲もない。 子供だからか? 子供だからなのか? もう心が折れそうだ。俺の世界征服の野望は、見果てぬ夢となって終わるのだろうか――― ―――だが!安心するな人間どもよ! いつか必ず世界を恐怖のどん底に陥れてやるからな! 正義「あ、そうそう。世界征服とかしようとしたらボクがぜったい止めるからね。」 ―――世界征服への道は遠い。 第1話「後悔した日」―完― 前ページ次ページ連載 - 舞い降りた大王
https://w.atwiki.jp/miitohosizora/pages/158.html
なんかシリアスに書きたい気分だった。 某サイトさんで「閻魔大王は初めに死んだ人」って言ってたので勝手にアダムに。 イヴは勿論鬼男君。生まれ変わり・・・みたいな。 スーパータモリ!!も書きたい。。 太子と閻魔のコンビが好きです。 原作でも見たい。。何か似てるよね・・・・・2人とも可愛いおっさん!!
https://w.atwiki.jp/magamorg/pages/5848.html
自滅大王ダンバル 影 レア 15 7000 ジャドウ・シャドー ■このクリーチャーをマナゾーンに置く時、かわりに自分のクリーチャーを1体破壊する。 ■G・ゼロ―自分のクリーチャーが破壊された時 ■W・ブレイカー 作者:影虎 収録 襲影編 第二弾 裏切りの光
https://w.atwiki.jp/minnasaba/pages/2219.html
秘められた大王冠:A (エレシュキガル(遠坂凛)) イシュタルから取り上げたとされる宝によって作られた女神の冠。 天と地、表裏一体の女神としてイシュタルの持つ様々な権能を己のものとするが、その効力は若干、暗い(陰気)ものに変化している。
https://w.atwiki.jp/dmorika/pages/2407.html
《大王剣マグナス》 大王剣マグナス VR 火文明 (4) クロスギア 武装変化-自分の手札にあるクリーチャー1体に重ねつつ、バトルゾーンに出す。 これをクロスしたクリーチャーは、パワーが+9000される。 これをクロスしたクリーチャーは、アンタップしているクリーチャーを攻撃できる。 作成者:牛乳 フレーバーテキスト DMO-23 「武雷編 第3弾 天変闘争(テンペスト・フォース)」 収録セット DMO-23 「武雷編 第3弾 天変闘争(テンペスト・フォース)」 参考 武装変化??
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4177.html
―――ふと気がつくと、ボクは学校の廊下にいた。何故かは分からない。都市伝説の仕業? あ、向こうから奈海ちゃんがやってきた。「おぉーい!」 奈海「・・・。」ぷいっ スタスタ え?あ、次は勇弥くんだ!「やぁ勇弥くん!」 勇弥「・・・。」スタスタ どういう事?これは・・・。 ―――夢?――― ???「「そう、『夢』だ。だが、同時に『現実』でもある!」」 頭の中に変な声が響く。どこかで聞いたような声。 「キミは、誰?」 ???「「オレはお前で、お前はオレだ。」」 「・・・意味が分からない。ボクはボクだよ。ボクはたった1人の存在。2人もいないよ。」 ???「いいや。『お前』は1人じゃない!お前は無限に存在する!」 すると、自分の目の前にたくさんの線が走り、1人の人間を作り出す。その姿は・・・自分をもっと大きくしたような姿だった。 「どういう事?キミはもう1人のボクなの?」 ???「ある意味そうさ。正確には『別の世界で生まれた』お前、だがな。」 「別の世界?・・・証拠でもあるの?」 ???「あぁ、あるぜ。誕生日はお前より数年早いが、3月28日。姿もほぼ一緒だ。そしてなにより・・・。」 「決定的な証拠でも?」 剣裁「オレの名前は[西 剣裁(にしハヤタ)]だ。」 「なんだ、全く違うじゃん!」 剣裁「何を言う。[マサヨシ][セイギ]とは、『力で、人を守る』という意味だ。知らないのか? オレも、『剣という力で、人を守るために裁く』と書いて[剣裁]だ。」 「そんな・・・、でも!」 剣裁「[黄昏]は夕日の事だ。夕日が沈むのは西。オレも[西]だ。」 「ぅ、こじ付けだ!」 剣裁「こんだけ一致しててか?さっき見ただろ?お前の友達によく似た奴を。」 「ッ!?・・・まさかあれも?」 剣裁「うちの世界の、そいつらさ。よく似てるだろ。」 「・・・何しに来たのさ。」 剣裁「さっきも見たように、オレはお前とよく似た人間に囲まれ、よく似た人生を送っていた。」 「だから何?」 剣裁「黙って聞け。お前にも居ただろう。『お世話係』『幼稚園からの親友』・・・。 オレは幸せだった、だがある日!オレは全てを失った。」 「・・・。」 剣裁「オレは孤独になって、苦しんだ。なのに何故?!お前は今も『友達』に囲まれているんだ?!」 「そ、そんなの知らないよ!八つ当たりだ!」 剣裁「オレには分かる。数年早く生まれたからでも、親が警察官じゃないからでもない! ・・・『都市伝説』のせいさ・・・。」 「・・・都市伝説に、襲われたの?」 剣裁「バカが!オレの世界に、『都市伝説はいない』!」 「じゃあ、なんで都市伝説のせいなの?都市伝説がいないのに?」 剣裁「『お前の世界には』いる、だろう?だからお前は幸せだったんだ!」 「そ、そんな訳無い!なにか別の理由だよ!」 剣裁「小学4年生の時!何があったか覚えているか?」 「え・・・、ッ!奈海ちゃんと、ケンカしたけど・・・。」 剣裁「オレも、そいつに該当する人物とケンカした。で?仲直りはできたか?」 「で、できたよ!当たり前」 剣裁「オレは『できなかった』。それが、オレとお前の違いさ。」 「・・・!」 剣裁「オレはそれ以来、人間不信さ!女なんて必要ない!本気で、クローン技術で女なしで子孫を残そうと考え、 世界中の女を、いや、俺の嫌いな人間を全員コロそうと誓った。 だが、保育所時代のせいもあってか、オレは本心では誰かと一緒にいたいとも願っていた。 毎日が矛盾との戦いだ!何故周りから友が消えたのか、分からなかった。」 ボクはその時、顔を上げられなかった。自分のあんな顔、見たくなかった。 「・・・。」 剣裁「だがお前はどうだ!あのケンカは『【恐怖の大王】のおかげで』解決したんだ! もしいなかったら解決したか?!いいやしなかった、お前もオレと同じ孤独に陥った!」 「・・・でもそれは、大王が一緒にいてくれたから」 剣裁「『大王が一緒だったから』、ずっと『大王に頼ってきた』んだよなァ!?」 「ッ?!」 剣裁「『ずっと大王様と一緒だったから』、今まで幸せだったんじゃないのか?! 誰も自分に抗う事もなく、友達にも囲まれ、今まで幸せに生きてきた!」 「ち、違う!大王のおかげなんかじゃ」 剣裁「否定できるのか?!無理だな、無意識にそうなっていたかもしれないぜ?」 「・・・なんでだよ?」 剣裁「大王は教室にも入ったことがある。その姿を、誰も見ていないと思っているのか? 勇弥?奈海?その2人は見えていたな。だが、もし全員だったら?後に大男を引き連れた少年をどう思うかね?」 「う・・・。」 剣裁「大王がいれば、友達もできるし、都市伝説と戦ってヒーローごっこ。 ずっと幸せ、すっと守ってもらえる、ずっとずっと『正義』を語っていられる!」 「・・・。」 剣裁「・・・もう何も言えないか、ならいい。」 不意に、足場が無くなった様な感覚に襲われる。下を見ると、暗い空間が、沼のようになっていた。 「ど、どういう事?!何をするの?!まさかボクと入れ替わる気じゃ」 剣裁「そんなあつかましい事はしない!ただ、お前とオレが1つになるだけだ。 そうして[黄昏 正義]は消え、[西 剣裁]と共に同じ苦痛を味わってくれればいいんだ・・・!」 彼はボクの顔を、上から赤い目で見下ろす。 「・・・。」 剣裁「これでいいんだ、お前なんて、本当はいないんだ・・・!」 ボクはもうしゃべる事もできなかった。・・・もういいんだ。彼の言う通り、1つの人間になろう。それでいいんだ。 ―――お前は今日から[セイギ]だ!そう呼ばせてもらう!――― ごめんね勇弥くん。ボクは、『正義』じゃないんだ。 ―――私はね、セイギくんの優しくて、純粋なところが好きなの!――― ごめんね奈海ちゃん。ボクは優しくも、純粋でもないんだよ。 ―――少年。あんなやつに、プレゼントを渡すのか?――― ごめんね大王。ボク、『嘘』ついたんだ。 お兄ちゃんにプレゼントなんてあげる気なかったんだ お兄ちゃんが【白ワニ】をコロした時から、ボクはお兄ちゃんを恨んできた。 でもボクは知っていた。もしこのまま恨み続けたら―――ボクはお兄ちゃんをコロしてしまうんだ。 だからボクは強引に『自分』をコロした。お兄ちゃんの前で無理をし続けた。・・・だからいいんだ、これで。 もうお兄ちゃんをコロそうとする自分と戦わなくていいんだ もう誰とも戦わなくていいんだ ―――これで、ボクは『ボクを裁き、人を守る』事ができるんだ――― もう口まで暗い沼に浸かろうとしていた時、無意識に伸ばしていたボクの腕を、誰かが掴む。 いや、分かっていた。[剣裁]がまた何かをするんだ。早く沈めてくれればいいのに・・・。 剣裁「お前・・・何故、ここに?」 違う?じゃあ誰?目を開け、恐る恐る後を見ると、・・・ボクを今まで『守って』くれていた人がそこにいた。 大王「散歩だ。深い意味は無い。」 剣裁「ふざけるな!【恐怖の大王】、お前さえ、・・・お前さえ居なければァァア!」 剣裁が大王に向かって殴りかかろうとする。 しかし大王に届く前に、いつの間にか出ていた黒雲から、雷が落ち、剣裁に命中する。 剣裁「・・・ぁ・・・、ぉ、お前さえ、お前さえ、いなければ・・・!」 大王「いい加減にしろ。まるで少年が、俺のおかげで幸せになったかのように言いやがって・・・。」 今思えば、それがボクが見た、大王の最初の説教だった。 大王「少年は明るく、仲間思いで、時に勇気もあり、気に喰わんが、自分の『正義』を持っている。」 剣裁「・・・だからそれは」 大王「それが『なかったら』、俺は今ここにいない!そんな奴ごめんだ、消えてくれ。」 剣裁「ッ?!・・・。」 大王「少年は、お前が思うほど他人任せな奴じゃない!他人の幸せも考える、他人思いな人間だ。 ・・・逆に自分の意見が強すぎて、聞き分けがない時もあるがな。」 剣裁「・・・ォレは・・・。」 大王「正直に言え。『友達ができない』のではなく、『また友達がいなくなるのが怖い』んだろ? だから人を信じれないんだ、違うか?」 剣裁「・・・違、・・・」 大王「いいや、お前は『甘えている』!誰かに、この状況を打破してもらおうと願っている! だが人は信じられない。だから、信じられる友がいつも傍にいる少年を妬む事しかしなかった!」 大王は、怒りのような感情を込めて説教を続けていた。 剣裁「オレは、どうすれば・・・?」 大王「そんなの自分で考えろ。ずっと正義を見ていたなら知っているはずだ。『どうすれば親友ができるか』・・・。」 剣裁「・・・。」 不意に、剣裁に線が走り、ゆっくり線がずれていくと、剣裁の姿が消え、周りも真っ白になった。 正義「・・・。」 大王「少年、帰るぞ。」 正義「え?どうやって?」 大王「これはもう、お前の夢だ。起きようと思ったらすぐに起きるさ―――」 ―――目を開けると、いつもの天井、そして覗き込む2人の顔。 正義「勇弥くん!奈海ちゃん!」ガバッ! 勇弥「うおっ?!・・・大丈夫だったか?正義。」 奈海「わっ?!・・・もぅ、正義くん、暑苦しいよ。」 思わず、正義は2人を抱きしめていた。数分後、正義は『夢』の内容を少々かいつまんで話してみた。 正義「―――、ねぇ、これってただの夢だったのかな?」 勇弥「そうだ。と言いたいが、たぶんこれは都市伝説だ。」 奈海「コインちゃんが、都市伝説の反応を探知してたし、大王さんも見つけたみたいなの。」 正義「そう・・・じゃあ、あれはいったい?」 ふと、十文字さんがこの都市伝説の予想を語りだす。 楓「発言から、おそらく【平行世界】だと思うな。」 勇弥「なるほど!それなら辻褄が合う!」 【平行世界】とは、『パラレルワールド』ともいう理論の1つで、 ある世界(時空)から分岐し、それに並行して存在する別の世界(時空)を指す。 『この現実とは別に、もう1つの現実が存在する』というアイディアは、 『もしもこうだったらどうなっていたのか』という考察を作品の形にする上で都合がよく、 パラレルワールドはSFにおいてポピュラーなアイディアとなっている。 また、タイムトラベルを扱ったフィクションにおいて、タイムパラドックスの解決法としてパラレルワールドが用いられる場合がある。 ちなみに、『パラレルワールド』は実際に物理学の世界でも理論的な可能性が語られている。 例えば、量子力学の多世界解釈や、宇宙論の「ベビーユニバース」仮説などである。 十文字は勇弥に引けを取らないぐらい簡潔にこれを説明した。 楓「『夢の中でもう1人の自分と入れ替わる』というシチュエーションも確か使われていたはずだ。」 勇弥「【平行世界】は『シュレディンガーの猫』を説明するためにも使われているんだ。」 奈海「何?『シュレディンガーの猫』って。」 勇弥「『シュレディンガーの猫』とは、[シュレディンガー]が提唱した量子論に関する思考実験の名称で(略)。」 楓「つまり猫が『死んでいる』か『生きている』かが曖昧という(略)」 コイン「あぁぁ、もう!分かんないからいい!」 コインが2人の教授を止めたところで、正義がまた疑問を投げかける。 正義「・・・ねぇ。あの[剣裁]って人、本当に存在すると思う?」 勇弥「何を言っているんだ?都市伝説なんだから化けて出たなにかに決まってるだろ?」 コイン「でも都市伝説だったら、あれは実在する人物なんじゃない?『噂に従う』、それがルールなんだもん。」 勇弥「・・・そうだったな。」 大王「もし、実在する人物だとしたら、矛盾が生じるぞ。」 楓「大王様、どういう意味ですか?」 大王「あいつは『自分の世界に都市伝説はいない』と言っていた。もしそれが正しかったなら、【平行世界】の都市伝説は次元を超えて、 『都市伝説はいない世界』にも自分の能力を干渉させた事になる。それはあちらの世界ではどう説明するんだ?」 奈海「・・・やっぱりただ単に、『他の世界の人間の姿に化ける』だけかもよ?」 大王「だとしたら、『本物の剣裁』は説教を受けていない事になるのか。無駄骨だったか・・・。」 大王が、寂しそうな顔をする。それに誰も気付かず、勇弥くんは話し出す。 勇弥「じゃあ、オレは帰るな。正義は疲れているだろうから、今日の勉強会、休みにしておくぞ。」 正義「うん、分かった。」 奈海「正義くん、またね!」 楓「黄昏、しっかり休め。」 そう言って、皆は外に出て行った。 正義「・・・大王。」 大王「なんだ?」 正義「・・・助けてくれて、ありがとう。」 大王「・・・夢の中の話だろう。」 少し微笑んでいる大王を見ながら、ボクはゆっくり目を閉じた――― 第6話「歪んだ世界」―完― 前ページ次ページ連載 - 舞い降りた大王