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ラノる 一 闇だ。 自分は闇そのものだ。 夜の闇に溶け込み、気配を消し、息を殺し、誰にも気づかれないようにしなければならない。 森の茂みから獣のように目だけを光らせ、道なき道を歩いている少年はそう頭の中で反芻していた。その少年、小録《おろく》晃《あきら》は小柄で、幼い顔立ちをしているが妙にギラギラとした目つきをしている。 時刻はもう丑三つ時を迎え、夜空に輝く月と星以外にその場には光は無い。人工的なものが一切排された森の中から晃は足音を立てずにゆっくりと歩を進めていく。彼の無音の歩は大したもので、辺りには虫の這う音と、時折聞こえる梟の間延びした鳴き声だけが冷たい空気の中に響いている。 (寒い――なんて泣きごとは言ってられーな……) 晃は白い息を吐きながら自虐するように嗤う。 この今の状況も自分で望んだことだ。寒さは苦手ではあるが文句は言えない。 やがて遠くからかすかに光が洩れているのを晃は見た。その光の方向へ森を進んでいくと、やがて森は終わり里に出ることが出来た。 茂みの先は崖になっており、なんとか晃はすべり落ちないように踏みとどまる。 (ここが、鬼泣村《おになきむら》……) 晃はその崖の上から里にある村を見下ろす。 そこは村と呼ぶにはあまりに小さく、家屋の数も両指で数えられるほどだ。集落と呼んだほうが妥当ではないかと晃は思った。 だが、その村の中心には朽ちた村には似つかわしくないほどの大御殿がそびえたっている。どうやら先ほど見えた光はこの家の灯りのようである。 厳格な雰囲気を醸し出している巨大な屋敷。最初晃はお寺か何かかとも思ったが、どうやらそこは一応民家であるみたいだ。その屋敷には黒服の男たちや、険しい顔をしている着物の男たちが何人もいた。 (あれが花宴《はなうたげ》家の屋敷みたいだな。思ったよりずっと大きい。こりゃあ少し厄介だぜ) 晃はそう心の中で呟くが、その言葉とは裏腹に、かすかに歪んでいる口元からは怖気づいているというよりはどこか嬉しそうな、浮足立っているような印象を受ける。 彼が村を見つめていると、かすかにポケットが震えた。 晃はそっとポケットの中のものを取り出す。それは学生証型の端末で、携帯電話の機能も果たしているものである。晃は通話ボタンを押し、できるだけ小声で応答する。 「誰だ」 『やあ晃くん。首尾はどう?』 すると、端末の向こうから若い女の声が聞こえてきた。 その人物が誰かすぐに悟り、晃は苦虫を噛み潰したような顔をした。 「ユキか……。隠密行動中に連絡してくんなってあれほど――」 『“さん”をつけなさい。私はあなたを心配してるのよ』 「嘘ついてんじゃねえよ。あんたが誰かを心配するなんてありえないね。それで、連絡してきたってことは何か情報があるんだろうな?」 晃は苛立ちながらそう促した。ユキと呼ばれた女は、感情の感じられない笑い声をかすかにあげて、ゆっくりと言葉を紡ぐ。 『面白いことを教えてあげるわ晃くん。花宴はどうやら強力な殺し屋を雇っているという情報が手に入ったわ』 「…………」 『どうする? 怖いでしょ。きっと相手はプロの殺し屋よ。一介の学生が相手にできるのかしら。引き返す? こっちとしては別の異能者を派遣してもいいんだけど』 「けっ、笑わせんなよ。俺が引き返す? 敵を前にして?」 『…………へえ』 「俺を誰だと思っている深淵の魔女め。俺は両面《りょうめん》族の戦士だ。立ちふさがる敵は全員砕いて削ってぶっ飛ばしてやる」 晃は急に語調を荒くし、吐き捨てるようにユキに向かってそう答えた。 『うふふ。かっこいいわね晃くん。本当に男前だわ。濡れちゃうわ。もう大洪水よ。帰ってきたらエッチなこといっぱいしましょうね』 「…………気持ち悪いこと言ってんじゃねえよ。俺は女なんかに興味はねえ。もう切るからな」 ユキとの会話にうんざりした晃は一方的に電話を切り、端末をポケットにしまい込んだ。 晃の服装は登山に相応しくない赤いジャージ姿に、下は子供っぽいハーフパンツ。しかしおかしなのはそれだけではない。 奇妙なことに彼の後頭部には仮面がくくりつけられている。 それはまるで頭の前後に二つ顔があるように見える。 その仮面は禍々しくも髑髏を模してあり、その後ろの顔は、じっと森の闇を見つめている。 彼は――小録晃は両面族と呼ばれる一族の一人である。神通力を操り、人を超えた力を持ち、秘術に通じる|人外の存在《ラルヴァ》の一族。古来日本では妖怪天魔、悪鬼羅刹の類として恐れられてきた。 それと同時に晃は双葉学園の生徒でもあった。 よくジャージの胸元を見ると、きちんと双葉学園の文字が刺繍されている。彼はそこの高等部の二年に席を置いている。 「ここには俺を殺せる奴がいるのか……」 晃は少しだけ寂しそうにそう呟く。だがその言葉も虚しく夜の闇にかき消えていくだけである。 晃は崖を降りる前に準備を始める。 準備と言ってもグローブに指を通し登山靴の紐をきつく結んでいるだけだ。 晃にとってグローブは、自分の手を護るためのものではない。むしろ殴った相手に対する配慮である。己の硬い拳がもろに人間の頭にでも当たれば、鍛えてもいない人間はそれだけで死ぬ可能性があるからだ。 人を超えた力を持つ両面族の武闘派は武器を使用しない。 その代わりに己の肉体が凶器となる。 それは誇りでもあった。自分たちは人間とは違う。人間のように武器や兵器などは使わない。武器とは人間同士の争いの中で生まれたものだ。両面族は身内同士で醜い争いはしない。 そう思っていたが、以前に学園で両面同士の衝突があったことを思い出し、また晃は馬鹿馬鹿しいと口を歪ませる。 (昔とは違う。俺も変わっていかなきゃならない……だけど) 晃は己の手のひらをぎゅっと握りしめる。 孤高にして誇り高い両面族の戦士が、人間の庇護を受け、人間の命を受けてこうして任務に赴いている。人間を嫌いながらもこうして生きるしかない自分を晃は嘲笑う。 (他の連中みたいに平和に生きるよりましだ。たとえ人間の言いなりであろうと、戦場から離れてぬくぬくと生きるなんてごめんだね) 晃は地面に落ちている枯葉を踏みしめながら村へと歩いていく。 戦いだ。 戦闘だ。 戦争だ。 血と骨の戦場こそが自分の生きる場所だと晃は思っている。それを奪われるくらいならば、戦場が与えられるならば人間の言いなりでも構わない。 矛盾し、歪んでいる考えだとは自覚している。それでも戦うために自分は生まれてきたのだ。 そうして両面の魔人は、鬼の泣く村へと足を踏み入れていったのであった。 二 学園から与えられた任務は二つ。 一つは先に鬼泣村へと潜入し、連絡が途絶えた学園が派遣した調査団たちの救出。 もう一つはこの鬼泣村の地主、花宴家に捕えられてしまっているラルヴァの保護。 そのラルヴァとは“件《くだん》”。 日本のラルヴァの中でも希少種で、滅多に人前に姿を現さない。その能力ゆえに一部の権力者や組織から狙われることが多いのだという。 件とは伝承としても有名な存在だ。妖怪、いや、神の使いとも言われることがある件は半牛半人の姿をしていて、人語を操り予言をする怪物である。学園側も何度か件と遭遇したことがありラルヴァと認定している。その予言能力ゆえ、一部の権力者などに悪用されることがあるため、保護の対象になっていた。 そしてこの鬼泣村の花宴の人間もまた、その件を屋敷に閉じ込め、その予言に従い権力を貪ってきたらしい。こんな山奥の村にいながらも、花宴が莫大な資産を持っているのはそれゆえだ。 そうしてその調査のために学園の調査団たちが派遣されたのだが、それから数日、連絡がつかなくなり、恐らく捕えられてしまったのだと学園側は判断した。 幸い(と言うべきかわからないが)その調査団の中には学園の生徒はいなかったようである。 そうして対ラルヴァ、対異能者の訓練をされてきた晃が村へと赴くことになったのだ。 (まったく。いつの時代も鬼や妖怪より人間のが厄介なんだよ……) 晃は身を屈め、這うように出来るだけ物影に隠れるように村の中を移動していく。視線を村の中心に向けると、あの屋敷だけに灯りがついていて、他の家屋は電気が通っていないのか、総て真っ暗になっている。いや、そもそも人の気配すらほとんどしない。 その方が好都合だと思い、晃は屋敷の裏側の塀へと向かう。できるだけ気付かれない方がいい。正面から入っていっても大騒ぎになるだけであろう。 晃は助走をつけ、塀に向かって走り出す。そうして音も立てずに跳躍し、塀に一度足を添えた後、そのままそれを踏み台にしてもう一度跳躍し、塀の上に手をかけてなんなく登っていく。 ちょうどそこには庭の樹が何本も生えており、おかげで影になって晃の姿は解りづらくなっているだろう。 晃は塀から飛び降り、なんなく着地――するはずであったが、ジャージの襟が木の枝に引っかかり、ボキボキという激しい木の枝の折れる音が鳴り響く。そのおかげでバランスを崩した晃は無音着地に失敗し、どすんとまたもや大きな音を立ててしまった。 (くそ、しまった!) 間抜けにも尻もちをついてしまい、慌ててどこかに隠れようとするが時すでに遅く、何人かの黒服がこちらに気付いたようである。 「誰だそこにいるのは!」 「出てこい!」 晃は走った。 花宴の屋敷の庭は広く、駆けまわるには十分すぎる広さがある。日本庭園というのか、池や灯篭、松の木がそろっている。 ししおどしと、小さな人工滝から聞こえる爽やかな水音が心を安らげるが、今の晃にとってそれは余計な雑音でしかない。 (こうなったらやるしか――) 晃は樹の影から飛び出し、向かってくる黒服たちと対峙した。黒服は四人。顔立ちを見るだけで向こうもプロだということがわかった。村のチンピラというわけではないようである。 「かかってこいよドサンピン!」 晃は中指を立てて挑発し、戦いやすい足場へと誘導する。落ち葉や芝生、砂利の少ない場所に来ると、晃は走っていた方向とは逆の方を向き、黒服たちのほうへと突っ込んでいく。 「|また《・・》侵入者か!」 黒服のその言葉に晃はここに学園の調査団員が拉致されていることを悟る。最悪生きているかどうかわからないが、確認しなくてはならないだろう。 黒服の一人はボクシングのようなファイティングポーズをとり、とんとんと足でリズムを刻んでいる。そして向かってくる晃に向かって渾身の右ストレートを繰り出した。男の大きな拳が晃の視界を覆うが、晃は紙一重でそれを避け、流れるように男の伸びきった右腕を自身の左手の甲で逸らし、残った右手で男の肘を反対側に突き上げた。すると難なく男の腕は大きな音を立ててへし折れる。 「ぎゃあああああああああ!」 腕を折られた黒服の男は叫び声を上げ、そのまま膝をつき腕を押さえている。ただ腕が折られているだけではなく、折れた骨が皮膚を貫通し、肘から血塗れの骨が伸びているのが見える。男の腕は完全に破壊されてしまったようだ。 だが晃は間髪いれずにその倒れこんでいる黒服の顔面を、靴底に鉄板を仕込んだ登山靴で容赦なく踏みつける。鼻の骨が曲がり、歯も何本も折れ、その黒服は完全に気を失ってしまう。 だが油断している暇は無い。今度は二人がかり、左右から黒服が飛びかかってきた。 晃はバックステップで少しだけ距離をとる。男たち二人はぶつかりそうになり、一瞬だけ動きを止めた。それを狙ってた晃は左側の黒服の股間を蹴りあげる。男が少しだけうずくまった瞬間、顎に向かって鋭く拳を突き上げる。がくんと脳を揺さぶられた男はそのまま倒れ込むんでしまう。晃はすぐに振り返って、蹴りを繰り出していた右側の黒服軸足を払い、地面に崩れ落ちた男の心臓部分目がけてまたもや踏みつけた。 べきべきと肋骨の砕ける感触が晃の足から伝わってくる。男は口から血を流し、白目をむいて痙攣を起こしている。 その破壊の快感に酔いしれ、ほんの一瞬だけ晃はにやりと笑った。 だがその一瞬の笑いは、月明かりに照らされ修羅のように不気味で恐ろしいものに見えたであろう。 「動くな!」 ふっと晃が声の方へと視線を向けると、最後の一人が拳銃を構え、彼に向かって銃口を向けている。 「動くな? 嫌だね。俺に命令すんじゃねえ」 晃は男の忠告を無視し、ずんずんと男のほうへと歩いていく。拳銃を前にしても晃は一切臆することなく、むしろニタニタと笑っている。 「バカが。撃たないとでも思ってるのか」 男は冷静にそう言い、拳銃の引き金を絞った。 パァン――という乾いた音が響き、薬きょうが地面に落ちる音も聞こえる。それほどまでに場は静まりかえっていた。 しかし、撃ったはずの黒服の男の顔には余裕は見えない。むしろ目の前の光景に驚き、目を剥いている。 「痛てえな。ほんと痛てえ。銃ってのは人間が開発した武器の中で一番嫌いなんだよ……」 そこには左手のひらに風穴を開きながらも、悠然と立っている晃の姿があった。 穴の開いた左手からは血が流れ続けているが、それ以外にはどこも怪我をしている様子はない。どうやら晃は弾丸を左手で受け流したようである。 「う、うおおおおおおお!」 すぐに黒服は第二射を放とうと、晃の頭に照準を合わせるが、爆発するかのように晃は駆け出し一瞬で間合いを詰め、手首に手刀を決めて拳銃を払い落す。そのまま晃は男の左足の膝の付け根を思い切り踏みつけて完全にへし折ってしまう。そのまま喉元に拳をぶち込み、落ちた拳銃を蹴り払って近くの池へと落とす。 こうして一瞬にして黒服四人は再起不能となってしまった。 「脆い。脆いな人間共! こんなものか人間! 俺を殺してみろ!」 晃はそう叫びながら白い溜め息を大きく吐く。余裕の表情をしているが、撃ち抜かれた左手には痛ましい穴があき、どくどくと血が流れ続けている。 (ふん。しかしどうするかな……) 晃がそう考えているとパチパチパチという拍手の音が聞こえてきた。 晃が睨みつけるようにその方向を振り向くと、そこには数人の体格のいい男たちと、威厳のある風格をした着物姿で鷲鼻が特徴的な老人が手を叩いている。 老人に取り巻く黒い空気を感じ取り、晃はすぐにその老人が誰かを悟る。 「あんたがここの当主、花宴《はなうたげ》|恭一郎《きょういちろう》か」 「いかにも。私が花宴だ。しかし見事だな。高い金で雇った護り屋たちを一瞬でねじ伏せるとは。最初にここに来た連中とは違うようだな」 老人は醜悪な笑みを浮かべてそう言った。 彼こそがこの村の当主にして裏の財界で名を馳せている花宴恭一郎である。決して表の世界に出ることはないが、彼の影響力は大きく、様々な組織とも通じているという。 「その最初に来た連中はどうした? 生きてるのか?」 晃はキッと花宴を睨みつける。後ろの護衛たちが彼を捕えようと前へでようとするが、花宴は手でそれを制した。 「死んだよ。あの若い連中には悪いが“件”を引き渡すわけにはいかんのでな」 花宴はくくくと枯れ木のような細い体を揺らしながら嗤っている。それを聞き晃の顔はさらに険しくなっていく。 「あの連中はあたしが殺したのさ」 晃が花宴を睨みつけていると、そんな声が花宴の後ろから聞こえてきた。その声の主は護衛の男たちを押しのけ、晃の前へと姿を現す。 それは少女であった。 見た目だけならば恐らく晃と同年代くらいに見える。 その少女は艶のある黒い長髪で、チェックのスカートに黒タイツ。古着のようなジージャン、首元を隠すかのように長いマフラーをぐるぐると巻いている。少々やぼったい印象を受けるが、彼女が手にしている物のせいでそんな印象は消し飛んでしまう。 少女が持っているのは柄の長い斧である。戦斧と呼ばれる類のもので、武器として破壊に特化している斧である。 その少女は斧を地面に引きずるように持ち歩き、氷のように冷たい瞳で晃を睨んでいる。 「誰だお前……」 「この子は私が雇った殺し屋さんだ。実にいい働きをしてくれてね。最初に来た若い連中を面白いくらい簡単に殺してくれたよ」 花宴は長く白い顎鬚をさすりながら思い出し笑いをしていた。そんな花宴の様子を無視し、晃はくんくんと鼻を動かし、少女にのみ視線を向けている。血の臭いに交じっている異質の臭い。それは晃が良く知る臭いである。 「くせえ、くせえなお前。てめえ人間じゃないな」 晃にそう言われ、少女はぴくりと眉を動かした。 「隠そうとしてもわかるんだよ。どれだけ人間みたいに香水で誤魔化そうとしても化物の臭いは消せねーんだよ」 晃にそう言われた少女は不気味にふっと笑った。少女は宙を飛んでいた蛾を手で掴みとり、あろうことかその蛾をそのまま口に含んでばりばりと食べ始めていた。口からは蛾の羽と足が飛び出している。それはまったくもって奇妙な光景で、ごく普通の見た目の少女が虫を食んでいるなんて異常であろう。 少女はぷっと蛾の筋を吐きだし、晃に向かってこう言った。 「よくわかったな少年A。あたしは確かに人間じゃない。飛頭蛮《ひとうばん》と呼ばれる妖怪――いや、お前らが言うところのラルヴァだ」 「飛頭蛮だって? お前飛頭蛮族か」 晃はその名前に聞き覚えがあった。 飛頭蛮。胴体から首が離れ、夜な夜な首を飛ばして虫や小動物を喰らう妖怪の一族。同じ妖の類である両面族の晃もまた、その飛頭蛮族のことについて多少は知っていた。 「そうだ。あたしは首を飛ばす飛頭蛮一族の末裔。だが――」 その瞬間、目の前にいたはずの少女の姿が消えた。 晃が驚いている間にバヅンという激しい音が後方から響き、振り向く前にその音が何の音なのかを晃は知ることになる。 「まじかよ……」 その音と共に晃の目の前に四人の男の首が降ってきたのであった。 それは先ほどの黒服四人の顔で、苦悶の表情のまま固まったその瞳で晃と目が合う。 ようやく晃が振り返ると、そこにはその倒れていた四人の胴体がある。その頭頂部には何も無く、ただ噴水のような鮮血が溢れ出ているだけである。 そしてその血のシャワーを浴びて、その少女は悠然と立っていた。彼女の持っている斧には血がこびりついている。 「もっとも、あたしが飛ばすのは|他人の首《・・・・》だけどね」 血を浴びながらも笑みを浮かべるその姿は、まさに悪鬼のごとくで、人間とは別種の存在なのだということがわかるであろう。 油断していたとは言え晃の視界から瞬時に外れ、一瞬にして後ろに倒れていた黒服四人の首を切断するなんて芸当は普通の人間では不可能であろう。 「ふざけんなよてめえ……」 「あら。怒ってるのかい。こいつらはきみを襲った連中だ死んでも何も思わないだろう。それにこんな役立たずの護り屋は生きている価値なんて――」 「この俺が折角殺さないように努力したのに、勝手に殺してんじゃねえよ!」 少女は晃の予想外の言葉に驚いて黙ったが、すぐに呆れたように溜息をついた。 「ふむん。なるほど。そうか。お前も御同類《・・・》ってわけだね」 自虐するように嗤い、少女は晃に向かっていきなり駆けだした。 「ちっ――」 晃はそれに対応しようと拳を突き出すが、その直後に視界が回転し、彼の身体の上下感覚が失われていく。 壁に衝突したかと思ったが、壁だと思ったそれは地面で、晃は自分が地面に組み伏せられていることをようやく理解した。あの少女が晃の腕を固め、馬乗りになっているようである。頭上から少女の冷たい声が降ってくる。 「その後頭部の仮面、貴様は両面族の戦鬼か。化物の臭いを発しているのは貴様も同じだな」 少女は晃の頭にある仮面を見つめてそう言った。どうやら飛頭蛮である彼女もまた、両面族のことについて知っているようである。 「しかし妙だな。鬼面や狐面などは見たことあるが、骸骨の面をつけた両面族は見たことがない……」 少女は不思議そうに晃の後頭部につけられている仮面を指でなぞる。おぞましい骸の形をした仮面の、その虚空の瞳が少女を見つめている。 「俺の仮面に触るんじゃねえ」 ドスの聞いた声で晃はそれを咎める。少女はふんと鼻を鳴らし、仮面から手を離した。 「お互い哀れなものだな。あたしは殺し屋に堕ち、お前は双葉学園という人間の機関で同族《ラルヴァ》を殺しているんだろ。あたしもお前も人間に飼われるなんて因果だな」 「一緒にするんじゃねえ。俺は自分の意思で戦ってるんだ」 「あたしには違いがわからないねえ……」 少女は憐れむようにそう言い、ばっと斧を振り上げる。 だがその斧が晃の首を吹き飛ばす前に「やめなさい、李玲《リーリン》ちゃん」という花宴の言葉により、晃の首の皮ぎりぎりのところで斧はぴたりと止まった。 「何故止めるんです我が主。こいつは両面族という好戦的な化物の一族です。今殺しておかないと厄介ですよ」 「だからだよ李玲ちゃん」 花宴の言葉にその少女―李玲と呼ばれた彼女は頭にクエスチョンマークを浮かべる。 「その小僧も私のコレクションにするんだよ。“件”のようにね」 「しかし……」 「件に飛頭蛮に両面宿儺《りょうめんすくな》。最高じゃないか……くくく」 花宴は下卑た笑みを浮かべ、目を細める。だがその瞳は濁っており、どこか狂気を感じさせるものである。 「下種が……」 李玲に抑えつけられながらも晃は花宴を睨みつけそう呟いた。すると花宴は笑みを消し、手に持っていた杖で思い切り晃の顔を何度も何度も叩きつける。晃の顔は流血し、酷い痣がついていく。 「化物の小僧がこの私を下種だと! 化物が! 化物が! この花宴恭一郎を下種と申すか!」 そうして十数回ほど晃の顔を殴り、ぐったりしたところで、息を切らした花宴はようやく手を止める。老体にはこれだけでも体力を使うようで、後ろの護衛たちに身体を支えられている。 「ふぅーふぅー……。李玲ちゃん。そいつを“件”と同じ地下の座敷牢へ閉じ込めておいておくれ」 「御意」 「いや、その前に――」 未だにぎらついた目で花宴を睨んでいる晃を見て、花宴は口を歪ませ、悪戯を思いついた子供のように邪悪な笑みを浮かべる。 「抵抗できんようにそいつの両腕を切り落としておけ。くくくく。この私を下種と言った罰だ愚か者めが」 「……御意」 そうして李玲は動けない晃の腕を押さえつけ、斧を構える。 「悪く思うなよ。あたしが飛ばすのは首専門なんだが、主の命令では仕方があるまい」 李玲がそう呟いた一瞬後、斧は振り下ろされて晃の両腕は宙を舞った。 中編につづく トップに戻る 作品保管庫に戻る
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ラノる 五 花宴は自室で茶を飲んでいた。部屋の外には屈強な護衛が数人おり、彼は何の心配もせず、ゆったりとした時間を過ごしている。 花宴の一族は江戸の時代は商人であったが、明治維新から戦前にかけて闇の商売に手を染め、莫大な資産を手に入れていた。そして戦後の混沌とした時代にさらに怪しげな商売に手を染めていた。だがそれも昔の話で、花宴財閥の三代目である花宴恭一郎の時にはすでに没落状態であった。このままでは多額の負債を抱え、花宴は消滅するところであった。 だがその時に花宴は先代たちが出会ったと言う“件”の文献を屋敷の蔵で発見したのであった。 そうして花宴は件探しに躍起になり、ようやくN県に件の子供がいると聞き、それを引き取った。件の子供を座敷牢に閉じ込めて、予言と予知をさせ、花宴は昔と同じような財力を取り戻していったのである。 (あの“件”を手放すわけにはいかない。あれを失えば、私はまた――) 花宴は自分に先代たちのような才能も運も無いと自覚していた。それゆえに彼は誇りを持たず、化物《ラルヴァ》の力を借りてまで花宴の家を護り続けてきたのだ。 件を手に入れて以来彼はラルヴァに魅せられ、ラルヴァ信仰団体“|聖痕《スティグマ》”のスポンサーにつき、飛頭蛮の殺し屋である李玲を派遣してもらい、それを私兵として招き入れていた。 漠然とした不安を押し殺そうと花宴は湯呑に口をつけ、熱いお茶を飲んでいく。すると、 「うわあああああ!」 突然部屋の外から悲鳴が聞こえ、思わず噴き出してしまった。 「何事だ!」 花宴は立ち上がり顔をこわばらせる。部屋の外では怒声と銃音や、破壊音が続けざまに聞こえてくる。 「てめえ! どうやってあそこから!」 「うああ! 化物め!」 そんな護衛たちの声が響き、突然自室の扉がめりめりと音を立てて破壊される。扉は頑丈な木製の扉だったのだが、吹き飛ばされた護衛の身体ごと、扉は突き破られた。 「な、なんだと……!」 開かれた扉へと視線を向けると、そこには気絶しているのかぴくりとも動かずに倒れこんでいる護衛たちの姿があった。そして二つの人影が部屋へと足を踏み入れてくる。 「よお花宴のじじい。まさか今のさっきで脱出してくるとは思わなっただろ」 「…………」 そこには座敷牢にいるはずの晃と、そしてその隣には件である澪がこちらを睨んでいた。澪は晃の影に隠れ、憐れむような視線を花宴に向ける。 「く、クソガキめ。私の“件”を返せ!」 花宴は憎悪をこめた目で二人を睨み返した。高齢にも関わらず、未だに執着心は一切衰えてはいないようである。 「澪はお前の物なんかじゃねえよ。連れて帰させてもらうぜ」 「許さん。そんなことは許さんぞ!」 花宴はばっと部屋に飾ってあった日本刀を手に取り、その鞘を抜き、煌めく刀身を剥き出しにして晃にその切っ先を向ける。だが晃は澪を後ろに追いやるも、まったく動じてはいないようである。 「なんだよじじい。やる気か?」 「殺す殺してやるぞ小僧……」 晃は花宴を挑発し、花宴は護衛を失ったため、意を決したように刀を構える。それを見て晃の後ろにいた澪が突然叫び始めた。 「あ、ああ! 駄目お兄ちゃん! また“視えた”の。お兄ちゃんが刀で刺される姿が!」 その言葉を聞いた花宴は狂気の笑みを浮かべる。 (殺せる!) 件の予言は絶対だ。澪が晃の刺される姿を視たというのならば、それは実際に起きることだ。つまり自分は晃を殺せる。そう花宴は確信した。 「うおおおおおおおお!」 花宴は刀の切っ先を晃の腹部目がけて突き出す。晃は避けることもせず、そのまま肩は晃の腹部を貫通していく。肉を貫いていく感触が花宴の手に伝わり、確かな手ごたえを感じていた。後ろから澪の甲高い悲鳴が聞こえてくる。 「はははは。間抜けめ。死ね、死ね!」 花宴は死にゆくであろう晃の顔を見ようと、顔をあげる。だが、その晃の顔を見て、その顔に違和感を覚えた。 そう、その晃の顔にはさきほど杖で叩かれたときの傷が消えていたのである。 どこにも痣なんてない、綺麗な肌がそこにあるだけだ。 (な、なんだと……!?) 花宴は刀を突き刺していても晃は平然とした顔をしている。まるで刀で刺されても死なないとでも言いたげな顔をしていた。 「こ、この化物めえええ!」 「そうだよ。俺は化物だ」 晃はそう冷たく言い放ち、全力のキックを花宴の顔面にクリーンヒットさせる。花宴は刀から手を離し、壁の方まで飛んでいき、がっくりと気絶してしまった。 ◆ 倒れた花宴を見下ろし、晃は彼が気絶したことを確認する。 振り返ると澪が涙を浮かべ、震えながら晃の方を驚いたように見ている。晃は腹部に刀が刺さったまま、澪のもとへと歩いていく。 「お兄ちゃん……だ、大丈夫なの?」 「ああ、全然平気だぜ。ところで澪、この刀引き抜いてくれよ。生憎俺の腕はこんなだからな」 「う、うん。わかった」 澪は怯えながら晃に突き刺さっている刀に手をかける。筋肉に掴まれているかのように硬く突き刺さっていたが、全体重をかけてようやく無理矢理引っこ抜くことができた。刀を抜いた瞬間血が溢れ出てくるのではないかと思ったが、そんなことはなく、少しだけ流血したがそれよりもっと驚くべき光景を澪は目の当たりにした。 「うそ……!」 刀で開いたはずの晃の傷が、みるみるうちに治っていくのを澪は見た。まるで逆再生しているかのように傷口が閉じ、肉も皮膚も元通りになっていく。最後にはジャージに穴があいているだけで、そこにはツルツルとした晃の肌が見えているだけになっている。 「これが俺の化物としての、両面族としての“能力”だ。これでわかったろ。俺は不死身の身体を持っている。どれだけ俺が刀で刺されるだの斧で斬られるだのと予言してもそれは俺の死に繋がるわけじゃねえ」 晃はそう説明するが、まだ澪は口をぱくぱくさせて驚いている。 「そ、それならそうって言ってよお兄ちゃん! し、心配したんだから。すっごく心配したんだからね!」 澪は怒ったように顔を真っ赤にさせ、晃の胸をぽかぽかと叩く。目にはまだ涙が浮かんでおり、晃は澪が心の底から心配していたのだと理解し、肩をすくめた。 「悪かったよ澪。それよりこの部屋のどっかに俺の腕があるんだろ。ちょっと探してくれないか。さすがに手がないと引き出しも開けれやしねえ」 「もう、お兄ちゃんなんか知らない」 澪はぷいっとそっぽを向いてしまったが、仕方なく部屋の中の引き出しを片っ端から開いていく。すると、箱に入っている晃の両腕を見つけ出した。 「腕あったけど……。お兄ちゃん、これをどうするの?」 「いいから、その腕をこっちの断面とつけ合わせてくれ」 澪は言われるままにその腕を晃の両腕にくっつける。すると、驚くことにその切り離された腕もまた、腹部の傷のように再生していくのであった。数十秒後、切り離されていた腕は完全に結合され、傷口も消えてしまい、まるで最初から腕なんて落とされていないかのように平然とくっついてしまった。 「すごい……」 「言ったろ。俺は不死身なんだよ」 晃は手を何度か繰り返し握ったり開いたりして筋肉と神経の調子を確かめる。どうやら万全のようで、強く拳を握りしめ、澪のほうを向き直った。 「さて、逃げるぞ」 「うん!」 そう二人は頷きあうと、廊下の方から他の護衛たちが駆けてくる音が聞こえてきた。 「当主! 大丈夫ですか!」 「全員集まれ、件と賊が逃げ出したぞ!」 彼らはもうこの部屋の近くまで来ているようである。晃はひょいと澪を抱きあげ、お姫様だっこをして窓から外へ飛び出した。 ◆ 花宴専属の殺し屋である飛頭蛮の李玲は屋敷の人間たちと共に主の自室へと向かった。だが、部屋に辿りつくと花宴の部屋を護衛していた男たちが全員そこに倒れているを見つける。 (どうやらさっきの両面族の小僧と“件”が逃亡したようだな……) 部屋の中へ入ると花宴もまた気絶しており、部屋の中が物色された後があった。窓を見つめるとそこは開いており、外を覗くと二つの足跡があるのが見える。 「おいお前ら。おそらく賊は外へ逃げた。後を追え! あたしは主を手当てする!」 李玲は他の連中にそう命令し、花宴の部下や護衛をけしかける。中には李玲の言葉に従うことに嫌な顔をするものもいたが、それでも全員この場から離れていった。 李玲は斧を構え、気絶している花宴を見下ろす。 「悪名高き花宴も、“件”がいなければ惨めなものだな……」 花宴の身体に跨り、李玲は斧を振り上げ、花宴の首筋を睨みつける。 「あんたはもう終わりだろう花宴の旦那。“件”がいなければ財閥もすぐに廃れてしまう。そうすればあたしはあんたに仕える理由がなくなる……」 李玲は憎々しく花宴を睨み続ける。知らず知らず斧を握る手に力が入る。 飛頭蛮は非常に弱く、何人もの同胞が人間の手によって滅ばされてきた。それに立ち向かうために飛頭蛮の一族は殺人技能を高めて生き延びてきた。だがそれすらも人間に利用され、殺し屋として裏の世界を生きることになった。 その飛頭蛮の中でも李玲は最強と呼ばれる存在であったが、このような老人の私兵になるしかない自分の境遇を呪っていた。 (いま、こいつを殺せばあたしは自由になれるのか……?) 花宴を殺し、ここから離れた先に自分の居場所はあるのだろうか。東京には自分のような化物を狩りながらも、保護する機関があるということは知っている。だが、数え切れないほどに人を綾めてきた自分が、今さらそんなところで暮らせるわけがない。 「あたしたち飛頭蛮は両面族とは違う。人間なんかと一緒に生きていくなんて御免だ。あたしは、あたしは!」 断ち切るのだ。 人間に飼われ、利用されることはもうない。 今日から自分は自由に生きるのだ。 李玲はそう念じながら斧を思い切り振り下ろした。 「―――ふふっ」 だがその斧は花宴の首の横に振り下ろされ、床に刃先が食い込んでいた。 「旦那。あたしは両面族とは違う。化物として、誇りを持ってあんたから離れる。だからあんたは生かしておいてやる」 李玲は床に突き刺さっている斧を引っこ抜いた。 「だけど、あの小僧との決着はつけねばならないだろう……あたしは、化物としての誇りを取り戻すんだ」 李玲はそう呟き、斧を引きずりながら部屋から出ていった。 六 「うおおおおおおお!」 晃の拳は護衛である黒服の男の顎を砕く。男は大きく吹き飛び池に落ちていく。晃は後方から責めてくる大勢の黒服たちを、澪を庇いながら同じように殴り、蹴り、吹き飛ばしていく。 晃は屋敷内の庭園を駆け抜ける。周りには屋敷中の人間が銃や刀を構えて襲いかかってくる。晃は自らが率先して盾になり、澪に刃が向かないようにしていた。 (俺一人がどれだけ攻撃を受けてもいいが、澪に怪我をさせるわけにはいかねえ) 屋敷の出口に向かおうとするが、次々と黒服たちは襲いかかってきた。 「死ね化物が!」 この人数相手ではちょっとした隙が命とりになる。黒服の一人が晃の脇腹に刀を突き刺した。それに続いて数人の黒服たちも晃に刃を突き刺していく。晃は血を吐きながらもなんとかそれを耐える。 だが不死身の身体を持つ晃には、命とりは命とりではないのだ。 「くそ、人間共め……!」 晃は両面族としてのポテンシャルを完全に解放し、技術もなにもない、ただ純粋な暴力で黒服たちをねじ伏せていく。骨を砕き、肉を裂き、圧倒的な怪物としての力を黒服たちに見せつけていく。晃が腕を振るうだけで男たちは宙を舞い、晃が蹴りを身体に入れれば肉体は破壊される。 晃の傍には澪がいるため、黒服たちは銃を使えないのも晃にとっては有利であった。さすがに脳や心臓を撃ち抜かれたら再生はできないであろう。 無力な澪は、晃に突き刺さっていく刀やナイフを引っこ抜いていくことくらいしか出来なかった。晃でなければもう二桁は死んでいる。 「お、お兄ちゃん大丈夫!?」 「平気……とは言えなくなってきたな。さすがに再生力が落ちてきた」 晃は身体に突き刺さる刀を抜き去りながらそう呟く。確かに傷の治りが追い付いておらず、あちこちから噴水のように血が溢れている。 屋敷の方へ目を向けると、まだ十数人も黒服たちは残っている。彼らも手に刀やナイフを手に持ちこちらに向かってきていた。 (さて、後何回攻撃に耐えられるかねえ……) 人間を超えた体力を持っていても、どうやら晃の体力もそろそろ限界が近づいてきているようだ。これ以上澪を庇って戦うのは難しいであろう。 「おい澪。走って逃げろ。俺が食い止める」 「何言ってるのお兄ちゃん。そんなのダメだよ!」 澪は泣きながら晃の腕にしがみつき、離れようとはしなかった。 「バカ。このままじゃ二人とも死ぬぞ。お前は逃げるんだ」 「やだよ! お兄ちゃんは不死身なんでしょ! 死なないって言ったじゃない」 澪は駄々っ子のように晃の腕に顔をうずめ、一歩も動こうとはしなかった。澪にとって、自分の人生で初めて優しくしてくれたのは晃であった。それまでは実の母親ですら彼女に触れようともしなかったのだから。 (しかたねえな。だけどどうする……) 晃は真っ直ぐに向かってくる黒服たちを睨みつける。 だが、その黒服たちの一番後ろに、一人だけ異質な存在こちらに歩いてくるのが見えた。 それは少女、戦斧を引きずりながら、マフラーを巻いた少女がやってきていたのであった。 「あいつは……!」 少女が斧をぶんっと振るった瞬間、その場にいた総ての黒服たちの首が宙を舞った。 それはまるで映画でも見ているかのような光景である。男たち首が夜空に舞っていき、血の雨が庭園の地面を濡らしていく。そしてやがてボトボトボトと男たちの首が音を立てて落ちてくる。その男たちの眼は、恨めしそうに少女に向けられていた。 だが彼女は現実感を薄れさせるように、惨状の中を笑いながら歩いてくる。 「飛頭蛮……」 「李玲だ」 「は?」 晃は突然自分の名を名乗った飛頭蛮の少女――李玲を不審な目で見つめる。彼女の眼は濁っているような澄んでいるような、よくわからない輝きを放っていた。李玲が何を考えているのかわからないが、なぜかその瞳からは迷いは感じられない。李玲は斧の切っ先を晃に向け、高らかに名乗りを上げた。 「あたしは飛頭蛮一族の末裔。断頭斧使いの李玲だ。名乗れ、両面族の戦鬼よ。決闘だ」 その言葉を聞き、晃は一瞬唖然とするが、すぐに耐えきれなくなり大声で笑い始めた。その様子を李玲は不快そうな目で睨む。その不穏な空気を気にしてか、澪は晃の袖を引っ張った。 「駄目だよお兄ちゃん。笑うなんて……」 「いやいや、悪かった。くくく」 「何が可笑しい!」 「いや、今どきそんな馬鹿正直に名乗りを上げて決闘なんて言う奴なんて久しぶりに見たぜ」 「あたしだって普段はそんな風に名乗りはしないさ。だがこの戦いはあたしのケジメだ。そこの“件”が外の世界へ出るのなら、あたしだって自由にこの世界に生きていきたいと思ったのさ」 「だったら勝手にしろよ。俺たちも花宴も放っておいてとっとと逃げればいいだろ。誰もお前を縛るものなんてねーんだから」 「そういうわけにもいかない……」 李玲はゆっくりと晃の方へと歩み寄ってくる。倒れている男たちの屍を踏み越えながら。血を浴び、真っ赤に染まっているその姿はさながら修羅のようである。 「これはあたし自身のケジメだ。あたしと似たお前を討ち倒し、外へ出ようとする“件”を滅ぼし、あたしはようやく自由になれる気がするんだ……もう、人間に縛られるのはやめだ」 その言葉を聞き、ようやく晃は自身の顔から笑みを消す。澪を物影へと隠れるように促し、手加減用のグローブを脱ぎ棄てて李玲と対峙する。 「いいぜ。やろうぜ飛頭蛮。いや、李玲」 晃は自分の後頭部に縛ってある髑髏の仮面を外し、自分の顔に被りなおした。骸骨の顔を正面に向けるその姿はまるで、本当に亡霊のようである。 「双葉学園の実践教訓その四。『無害であり意思の通じるラルヴァの生命は尊ぶべし。しかし人に害をなすラルヴァはその限りにあらず』――だ。お前が人殺しの糞野郎でよかったぜ。俺もお前に手加減も容赦もしなくてすむ」 晃はぽきぽきと手の骨を鳴らし、拳を前に突き出して構える。 「 俺は両面族の戦士。不死の力を冠する“骸面《むくろめん》”の小録晃だ」 両面族にとって、仮面は自己の精神面の安定だけではなく、その仮面は彼らの持つ特殊な力を現しているものである。狐面は狐火を操り、鬼面は鬼のような怪力を発揮すると言ったふうに。 骸面とは両面族の中でも稀にしか存在しない特異的な能力を現す面である。 まさに歩く屍のように、どのような攻撃を受けても死ぬことは無く、瞬時にその傷を回復させることができるという。 「不死の力か。どうやらはったりではなさそうだな……」 李玲は晃の穴だらけの肉体を見ながらそう呟く。だがその顔には邪悪な笑みが浮かび、斧を構えなおしていた。 「どれだけ不死でも、首を刎ねてしまえばいいんだろう。ならばそれはあたしの得意分野だ」 「いいぜ。おもしれえ。殺し合いを始めようぜ!」 晃は仮面越しに李玲を睨みつける。二人の間には張り詰めた空気が流れ、風が吹き、草木を揺らしている。 そして、ししおどしの音が鳴り響いたその瞬間、李玲は爆ぜたようにその場から駆け始めた。 李玲の動きは素早く、晃との距離を縮めていく。常人の動体視力ではまるで李玲が消えたかのように見えるだろう。李玲は腰を屈め、真っ直ぐに晃の方へと向かってきた。 李玲は腕を振り、片手で斧を横に薙いだ。 空気が切り裂かれる音。 その斧の切っ先は晃の首もとを狙っていた。晃は持ち前の反射神経で上体だけを逸らし、紙一重でそれを避ける。いや、避けれてはいない。晃の首は骨まで切断され、噴水のように鮮血がほとばしる。 だが、完全に首が切り離されていないのであれば、瞬時に再生が可能だった。李玲は振り回した斧の慣性に引かれ、少しだけバランスを崩す。 「甘いぜ」 晃は繋がっていく首を気にしながら、右足のつま先を李玲の顎に向かって蹴りあげた。その蹴りは李玲に直撃するが、李玲は斧を持っていない方の手で晃の足を掴み上げ、斧で晃の足を切断する。片足を失った晃はそのまま地面に倒れこんでしまう。 「ぐ……!」 「お兄ちゃん!」 澪は思わずそう叫ぶが、倒れ込んだ晃に止めを刺そうと李玲は斧を振り上げていた。 「終わりだ」 斧が振り下ろされる瞬間、晃は身をよじりなんとか避けようとするが、斧は晃の脇腹にかすり、肉がそげる。 「ちょこまかと逃げるな!」 這いまわる晃に苛立ったように李玲は叫ぶ。晃は地面に落ちた自分の足を手に取り、すぐに足にくっつける。だがその間に李玲はまた晃に斧を叩きつける。 「畜生!」 なんとか腕で防御し直撃を避けるが、今度は腕が吹き飛んでしまうだけであった。 (くそ、得物がある分向こうが有利か……) 晃は切り落とされた左腕を掴み、李玲に向かってぶん投げる。李玲は思わずそれを反射的に叩き落とす。だがその瞬間を見逃さずに、晃は李玲に向かって全力で駆けだす。 「うおおおおおおおお!」 晃は李玲の両足の膝を踏みつけ、完全に折り、その足の骨が皮膚を突き破り剥き出しになってしまう。李玲は苦痛に顔を歪ませていた。 晃はそのまま地面を蹴り、全力の飛び蹴りを李玲の身体にぶち込んだ。小柄な李玲の身体は、玩具のように吹き飛び、何度も地面をバウンドして庭園にある大きな岩へとぶつかった。 「はぁ……はぁ……」 晃それを見つめ、落ちた腕拾い上げて再び繋ぎ合わせる。 岩にぶつかった李玲はぐったりとしていた。晃はゆっくりとした歩調で、李玲のもとへ歩み寄っていく。両足を砕かれた李玲はもう戦いに復帰は不可能であろう。ヒトウバンには晃のような再生能力はない。これで勝負は決した。 「やったか……?」 晃がそう呟き、李玲を見下ろす。すると李玲は目を開き、晃を睨みつけた。 「“やった”だと……? あたしはまだ死んではいないぞ両面族の戦鬼よ」 「何言ってんだ。お前もう立つことも出来ねえだろ」 晃はぐちゃぐちゃに潰れた李玲の足を見る。だが、それでも李玲は不気味に笑っていた。 「くくくく。甘い。甘いな両面族の戦鬼よ。人間に飼われてぬるま湯につかっていて戦いの掟を忘れたのか」 李玲は笑いながら、自分の首を巻いていた。マフラーをほどいていく。 「お前が言ったんだぞ『殺し合いを始めよう』ってね。だったらお互いどちらかが死ぬまで戦いは終わらない」 「…………」 「中途半端な情けは戦士への冒涜だ。それにあたしはまだ、戦える!」 マフラーをほどき終わった瞬間、晃はそこにありえない物を見た。いや、それは李玲の種族を考えれば当然のことであろう。 マフラーの下から見えた李玲の首は、胴体と繋がってはいなかった。首から頭が離れ、空中を浮いている。 飛頭蛮。それは名の通り首を飛ばす妖物。これこそが李玲の本当の姿であった。 「あたしたち飛頭蛮にとって足なんて飾りだ!」 そう呟いた瞬間、李玲の首は晃目がけて弾丸のように飛んできた。晃はそれを手で防いだが、李玲の口の鋭い歯に噛みつかれ、肉がもっていかれてしまう。腕の骨が露出するほど深く肉をそがれてしまった。 「こっからが本番ってわけか――」 晃は拳を構えひゅんひゅんと空を切りながらこちらに滑空してくる李玲の頭と対峙する。長い髪が空中になびき、まるで蛇のようにも思えた。 「お兄ちゃん危ない!」 澪の声も虚しく、晃は凄まじい速さで飛びかかってくる李玲に何度も噛みつかれ、身体はどんどん削られていく。 ただでさえ常人を超えた素早さを持っている李玲なのに、首だけになり身軽になった李玲のスピードはもはや晃には知覚できないものになっていた。 それとは対照的に、晃の身体の傷はどんどん再生スピードが落ちていく。 (糞……。そろそろ限界か……) 晃の不死身の体の正体は、実はただの治癒能力《ヒーリング》である。しかしその回復能力は桁違いで、首を切り落とされたり心臓を破壊されない限りは瞬時にどんな怪我も再生させてしまうものである。もっとも、これは自分自身にしか使えない治癒能力であるため、人の怪我を治すことはできないようだ。 晃のこの治癒能力は魂源力《アツィルト》を消費しているため、何度も再生を繰り返していくとガス欠状態になり、治癒ができなくなってしまう。 実際に晃の怪我はもうほとんど治ってはいなかった。 斧を持っていない李玲の攻撃力は大幅に落ちたが、このまま防戦一方のまま長期戦になれば自分の不利にしかならない。 (どうにか拳をあの顔面に叩き込めれば……) そう思い拳を振るっても、残像をかき消すだけで、李玲に拳を噛まれ、削り取られるだけであった。 「どうした両面族の戦鬼よ! お前はそんなものか!」 「うるせえ! ぶんぶんぶんぶんと飛びまわってんじゃねえよ!」 晃は真っ直ぐ飛んでくる李玲の頭めがけて回し蹴りを放つが、李玲は弧を描き、晃の攻撃を避けて脇腹に噛みついて内臓を抉っていく。 「ぐふっ」 晃は血反吐を吐き、そのまま膝を崩してしまった。傷口からは内臓がでろりとはみ出、普通の人間ならばショック死するほどのものであった。晃は無理矢理内臓を体内に押し込め、再生するのを待つ。だが、そんな暇もなく李玲はまるでカラスが獲物をつつくように何度も執拗に噛みついてきた。 「もうやめて! お兄ちゃんを傷つけないで!」 岩影に隠れていた澪がそう叫びに晃のほうに向かって走り出していた。 「来るな澪、邪魔だ!」 晃は澪にそう怒鳴りつけるが、澪は泣きながら晃のもとにやってきて、晃の身体にしがみついた。 「離れろ、お前を庇って戦える相手じゃない!」 晃がそう言っても、澪はぶんぶんと長い髪を振り乱し、黙っているだけであった。 それを李玲は空中から嘲笑っているだけである。 「“件”か。貴様も我々と同じ化物だ。貴様を向かい受けてくれる場所なんかない。ならば貴様もここで命を終えたほうがいいだろう。どこに行っても利用されるだけだ」 「…………違う」 「なに……?」 晃は空高くから自分を見下ろしている李玲を睨みつけ、その言葉を否定した。 「学園にいる俺は、利用されてるわけじゃない。これは全部俺の意思だ。学園の人間共に利用されているわけじゃねえ」 「ふん。どうかな。お前の意思だと思っていても、結局は人間の利益にしかならないんだろ。あたしたち化物は、人間に滅ばされるか、利用されるだけしかない。あたしはそんなの御免だ。花宴の支配から逃れ、あたしは自由になるんだ! お前たちとは違うんだ!」 そう叫んだ瞬間、李玲の頭はまたもや凄まじい速さで飛びまわり、晃を狙い近づいてきた。 (くそ、これまでか……) 晃が諦め、ふと澪の顔を見つめると、そこには虚ろな瞳で自分の角を撫でている澪の姿があった。 そして、その小さな口からかすかに言葉が漏れていた。 「…………右斜め後ろ」 その澪の呟きを瞬時に理解した晃は、言葉の通りの場所へと己の拳を振り回した。すると拳の先に何かが当たり、小さな叫び声と共にその何かは吹き飛んでく。地面を転がっていったそれは、李玲の頭部であった。彼女は不思議そうに目を白黒させ、自分が殴られた事実を認識できずにいた。 「な、なぜだ。なぜこのあたしのスピードに……」 晃はその言葉には答えなかった。ただ、晃は勝利を確信する。 まぐれに違いないと李玲は再び晃に向かって飛びかかってくる、今度は複雑な軌道で晃を翻弄し、喉元に噛みついてやろうとしていた。だが晃は目を伏せ、李玲のほうなど微塵も見てはいない。彼はただ、澪の言葉に耳を傾け、集中している。 「……前方右斜め」 澪がそう呟いた瞬間、晃は何の迷いもなくその方向へと渾身の正拳突きを放った。ボッという空気を貫く音ともに放たれたその晃の拳は、突っ込んできた李玲の大きく開かれた口の中に思い切りぶち込まれた。 その拳は李玲の口を貫き、彼女の頭部はその反動で遠くに飛んでいき、庭にあった池の中へと、水しぶきをあげて落ちていったのであった。そうして、李玲がそこから飛び出してくることはなく、完全に沈んでしまったようである。 「はぁ……はぁ……勝った――のか?」 「あれ……? ぼく、どうしたんだろ……」 澪は正気に帰ったかのように瞳に光を戻し、ぽかんとした表情で晃を見上げた。そんな澪の頭を晃は撫でてやる。ふんわりとした澪の髪の毛が晃の手をくすぐる。 「ありがとよ。お前の力のおかげで勝てた……」 件の予言の力が李玲の軌道を先読みし、晃を救ったのであった。晃に褒められた澪ははにかみながらも笑顔晃の腕に抱きつき、目をつぶった。 「お礼を言うのはぼくのほうだよお兄ちゃん……ぼくを助けてくれてありがとう……」 澪の素直な言葉に、晃は照れくさそうな笑みを浮かべ、ふっと空を見上げる。 もう東の空からは日が昇り始め、空は綺麗な橙色に染まっていく。晃は傷だらけの自分の身体を見て、これからこの身体で山を降りるのが一番苦労するだろうな、と大きな溜息をついた。 だがその表情は妙にすがすがしいものであった。 晃と澪は顔を見合わせ、お互いに身を寄せ合った。 七 あれから数日後、学園側の応援部隊に救助された晃は、いつもの学園生活を過ごしていた。任務に出ることが多い晃は授業に出るのは久しぶりであったが、とくになんのトラブルも無く一日の授業を終え、自分の生活の場である男子寮へと帰っていった。 男子寮に足を入ると、同じ寮に住んでいて、自分のクラスメイトであるイワン・カストロビッチがパンツ一丁のままニヤニヤと晃のほうを見ていた。どうやら晃より先に寮に帰っていたらしい。しかしなぜカストロビッチがこっちを見て笑っているのか理解できなかった。 「何見てんだよイワン」 「なんだい小録。聞いてないのか? 今日から新しい寮生が入ったんだ」 「ふうん。興味ねーな」 「そんなこと言っていいのかい。その新人はお前と同室なんだぜ」 「――は?」 この寮には一人部屋と、二人部屋が存在する。二人部屋は家賃がその分安くなるらしいが、ここの寮の生徒は誰も二人部屋には住んでいないようだ。晃はその二人部屋に住んでいるのだが、ルームメイト希望者が存在しないため、一人で住んでいた。ルームメイトが来たということは晃の家賃の負担が半額になるので、晃にとってルームメイトが入ることは好都合であった。 (どうせ俺はあんまこっち帰ってこねーし金が勿体なかったんだよな) 「もうその寮生は部屋に来てるみたいだから挨拶してきなよ」 「わかったよ」 カストロビッチにそう言われるまま、晃は自室へと戻っていった。 ノブに手をかけると、特に鍵はかかっておらず、すんなり扉は開く。 「よお、俺はルームメイトの小録――」 晃はその部屋の中にいる人物に驚き、言葉を詰まらせる。そこにいた人物は学園指定のブレザーのスカートをひるがえしながら、晃の方へと振り返った。綺麗な黒髪をなびかせながら彼の身体に抱きつく。 「今日からここで暮らすことになった九段《くだん》澪です」 呆気にとられる晃をよそに、澪は悪戯っぽい笑顔を浮かべ、晃の腕を引っ張った。 「よろしくね、お兄ちゃん♪」 ――了 中編にもどる トップに戻る 作品保管庫に戻る
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各位獵人好: 感謝各位獵人的熱情與愛護2010/01/12 AM 10 00 ~ PM 14 00魔物獵人預計將進行伺服器例行性維護作業 請各位獵人稍做休息,待伺服器維護完畢後,再進行狩獵。 本次例行性維護更新項目: 1.更新遊戲內《期間限定任務》任務內容。 不便之處 敬請見諒 《期間限定任務》 陷阱師 興奮劑 槍手的準備 大豬大繁殖 金銀蛋和怪鳥 怪鳥之亂! 猴子螃蟹大戰‧鬥技場! 藍的怪鳥,藍的礦石 煙火大會!(NEW) 礦石獵人的宴會! 蛋蛋的夢想‧沙漠篇 共鬥(NEW) 彈性的伸縮(NEW) 濃密森林的幻影 呼喚沙風暴的龍 在雪原中奔跑的幻獸(NEW) 天空之王與陸地女王(NEW) 森丘之影(NEW) 暴威的金獅子‧鬥技場! 濃密森林的幻影 燃燒熱沙的地獄火(NEW) 擊中古塔的落雷(NEW) 流星 雙轟的雙顎(NEW) 黑狼鳥的強襲 死鬥!激鬥!黑狼鳥!(NEW) 轟龍捕獲作戰 紅色的蠕動 心血來潮的寶石商 幻惑的結晶石(NEW) 二重奏 火龍群與秘傳的筆記(NEW) 溶岩龍與秘傳的筆記(NEW) 《古龍迎擊戰》 擊退老山龍吧! ( 周五 ~ 周日 ) └ 傳說中的工匠 ※ 以上為本周預定更新事項,遊戲內期間限定任務,將不定時隨時調整。 次回預告: 升空 x 翱翔 x 熱氣球 = 正式服務
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神靈之盾一族,又稱伊積士一族,是帝裔尚族精靈的其中一個支族,在秘密的協議中負責維持血統純正的使命,然而到現在這使命的原意已經變質 詳細 在帝裔尚族精靈的秘密協議中,神靈之盾一族,負起的是維持「帝裔血統純正」的使命,即只與各帝裔尚族之間通婚來維持血統純正。到了數代後,他們雖然只剩下本族內的族人,也堅持以亂倫去維持「帝裔血統」的純正。 由於近親的亂倫,生下來的孩子很大基會有缺憾的。在最初的時期,為了減少家族的負擔與得到額外的金錢來源,由族人共同決定通過「族奴」這一制度,透過族奴使節團,把帶有缺憾的孩子合法地賣出。而帝裔尚族精靈那純正的血統仍然是具有一定的市場,像魔法實驗品,特殊的奴僕,甚至地下食品等等。 明顯地,當年代開始變得遙遠,當初祖先的意願已消失得無形無蹤,剩下的就只有「虛幻的帝裔血統」。族群內的心也漸漸被低下的生活所扭曲。變賣的孩子越是美麗,越是受過教養,得到的金錢亦隨之越高。 神靈之盾一族的族人把自己最深愛的孩子被變賣,心中帶著的仇恨亦借由變賣其他族人那最深愛的孩子而得到渲泄。 神靈之盾一族的著名人物 蘇菲亞‧依積士
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正式名稱 妖紋海族 別稱 海妖,蛇女 發源 拉艾 祖先種族 人魚族祖先 現況 主要種族 海妖的正式名稱為妖紋海族(Selrúne Azurkuri),她們的樣貌是上半身為人類的樣子,擁有美麗的外表以及動人的嗓音,下半身是長身,如蛇般靈活的魚尾,海妖並沒有雄性,形態與生理為雌性,能夠使用咒法與任何有靈性的種族創造下一代,她們平時性情溫和,但當到每月的新月或殘月時間就會顯得稍不近人。她們的成年歲數是二十,平均可以活過三百年。 妖紋海族是海族中的祭司貴族,她們是海族的精神領導團體"瑞藍咒法修團"的唯一成員,主要掌握海族社會的祕法使用和預計自然界的變化,由於掌握大海和生靈的溝通渠道,她們在海族中的地位也是最高。 妖紋海族由於職責和地位的特殊而在海族社會內有不少禁忌,她們不可進行社會生產或貿易的活動,亦不得被處以死刑或任何類型的肉刑,她們亦必需在戰爭時與蜥龍海族出動保衛自己的家園,而為了海族咒法血統的純正她們亦只可以與海族通婚。 妖紋海族不認為其他種族能夠理解海族的種姓制度及其制度對整個海族存亡的重要性,所以她們並不會對外族特意舖張自己在海族中的地位,同時亦會對其他種族有著對等的態度。反而,其他種族認為海族是大海的主人,而妖紋海族就正正就是主中之主,她們在各地也是被一定的敬畏心對待,一些沿海居住的種族更認為海妖的到訪為吉祥之事。 海族內的海妖由出生那一天開始就是瑞藍咒法修團的一員,她們從小受著前輩的各種教導和訓練,每一位也會踏上成為優秀的秘法使的宿命,而她們亦會為了進行修團的試煉或主命等離開自己的家園,在大海的其他地方,甚至是陸地上冒險遊歷,一些海妖亦會選擇長居於陸地各族的集落或城市,並融入該地方的生活,也有一些海妖會犯著禁忌,寧願被永遠驅逐,甚至冒著被捉拿並監禁的危險,幻化成該種族的形態並與外族通婚,決心永不回到大海中。
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种族 血族 职业 学生 年龄 外表11 性别 女 现居地 莫茜兰 发色/瞳色 垂地银发,红瞳 外貌特征 爱穿白色配色的衣服 摘自《图书馆探险部:莱拉.克里斯特调查报告》 莱拉.克里斯特,克里斯特学园的新入生。入学时作为学生代表发言。跟学生会会长安杰利塔关系非常好,基本到了形影不离的地步。入学后加入了骑士部,不过几乎是挂名的。比起骑士部莱拉更经常出现在学生会室里,捉弄除安杰利塔外的学生会成员。 这名血族的新入生实在是有过多的谜团。莱拉在学园里的住处不明,可以肯定不在学生宿舍里。作为血族,非常喜欢在白天出没。 血族来莫茜兰就读并不是那么奇怪的事。首先光之教会虽然是血族的天敌,但两者并非对立关系。血族在幼年期外表成长很快,到了某个年龄时才会突然减缓成长速度。注重个人培养的血族,偶尔会让子女来到人类社会体验家族教育之外的经历。在人类与血族的交流越来越多的当今,神秘的血族也逐渐曝光于人类社会。 克里斯特这个姓氏不在已知的血族家族列表里,并且跟学校同名。普遍认为莱拉刻意隐藏了家族名,换上了克里斯特这个显而易见的假名,但是这瞒不过我们图书馆探险部。在魔法部地下密道发现的隐身卷轴中,制作者那一栏曾经见过这个名字。另外在关于建校历史的资料里,也出现过这个名字。但是就算是成长缓慢的血族,也不会那么久还是幼女的身形,这实在是让我们不解。 学园的守护者-莱拉.克里斯特 曾经与同是血族的劳纹家族爆发过战争。全族仅剩自己一人的莱拉,决定不再发展自己的血族,断绝血族之间的复仇之链。 莱拉.克里斯特最终在莫茜兰获得了一处领地,得以在人类社会隐居。见证了这个学园从小小的学堂发展到占地广阔的贵族学园,见证了光之教会的灿烂与黯淡。虽然一族之名到此为止,但莱拉把学生们都看作自己的孩子,开始了另一段生活。卸任了学园领事长的职位后,莱拉隐居在了时钟塔上层里。 时钟塔礼堂下层是能容纳全校人的大礼堂,门口的画像是到上层的传送门,滴入血液则可发动。上层虽外表看上去是个普通的钟楼,内部却是异空间。这里是莱拉的居所,永夜的庭园。作为隐居在此的与莫茜兰王室的契约,莫茜兰提供这个学园作为莱拉的隐居地,莱拉则负责长久保护这里的学生。 经历了与弗朗戈.劳纹的第二次战争,并击退了黑骑士布莉斯特后,因为受了重创变成了幼女体型的莱拉,决定去体验一回青涩的校园生活。 光之灿烂时期,莱拉遵守保护王族的契约,担任了一段时期的王家近卫队队长。 虽然没有特别的血族能力,但千年练就的剑术与身法已逾传奇。爱用的武器是细剑。 【传奇剑术】 使用剑(军用武器)时,可以拥有以下的效果。 剑术大师 描述:你的剑术已入化境。 效果:你的攻击对方无法主动格挡。每轮回复SP+1。全战技SP消耗-1。 战技连击 描述:你疯狂地使出剑招,撕裂敌人。 效果:任何攻击你都可以无视限制使用战技,你的一次攻击可以同时施展至多两个战技。 拨挡攻击 描述:以四两拨千斤,处于不败之地。 效果:使用军用武器,主动格挡+20,并且格挡成功时免疫物理伤害。
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建築說明列表 建築名稱 每級提昇效果 建築功能及注意事項 提昇上限 銀庫 每升一級增加銀兩上限25萬 超過上限停止生產,賣物超過上限的錢會消失 80級 糧倉 每升一級增加糧食上限25萬 糧超過上限就不產了 40級 馬場 每升一級訓練馬匹速度提高3% 生產馬匹,需先學習生產技術 40級 農田 每升一級提升農產量60/小時 增加糧食產量 100級 湯屋 武將生命值自動恢復速度增加10%、增加銀兩100/小時 提昇武將自我生命恢復速度 20級 營房 每升一級可增加50位勇士居住 從招募獲得勇士,居住上限為士兵+勇士 60級 茅廁 每升一級增加糧產100銀兩100/小時 增加糧食/白銀產量 20級 太廟 每升一級減少建築速度5%訓兵速度提升5% 提升各建築建造速度 徵兵速度(招募也算在這個) 10級 城主府 每升一級所有建築速度增加3% 提升各建築建造速度 20級 畜牧場 每升一級畜牧飼養速度增加3% 生產畜牧,需先學習生產技術 40級 冶煉坊 每升一級製造寶物速度增加3% 生產礦物 丹藥,需先學習生產技術 40級 練兵場 每升一級訓練兵速度增加10% 生產士兵需先學習生產技術 50級 藏寶閣 每升一級增加50單位空間(被車不會被搶走) 放在藏寶閣內的物品被攻打不會被搶走 120級 將軍府 容納武將數量增加1位 城池容納武將+1 使用白銀提昇至7級之後可用商城將府卡無限提昇 麗春院 增加招募精英武將數量1位 單次招募武將數量+1 10級 悠嘻寶塔 增加出征武將數量1位 出征武將+1 使用白銀提昇至7級之後可用商城悠嘻寶塔卡無限提昇 提昇時間算法 不論建築或是生產物品減少時間之算法如下: 假設城主府20級(每級提昇3%)總共提昇時間為60%,某建築建設時間為2小時,經過20級城主府提昇後時間為--2小時/1.6=1.25小時
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SIMPLE1500シリーズ Vol.60 THE テーブルホッケー D3PUBLISHER 2001/4/26 PS.PSN"GA" ゲーセンでよく設置してあるテーブルホッケーをするゲーム テーブル台が10種類以上あり、4人同時対戦も出来る 関連 SIMPLEキャラクター2000シリーズ Vol.05 ハイスクール!奇面組 THE テーブルホッケー
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■らんぽう 演出 12B 13B 16B ■キン肉マン 演出 88 95 103 109 114 121 ■ゲゲゲの鬼太郎 第3シリーズ 演出助手 演出 21(白) 28(白) 36 66 98 ■世紀末救世主伝説 北斗の拳 演出 64(明) ■ハイスクール!奇面組 絵コンテ 3 ■ミスター味っ子 演出 4 9 15 20 ■関連タイトル ゲゲゲの鬼太郎1985 DVD-BOX ゲゲゲBOX80's
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フロギィXシリーズ【ガンナー】 特徴 一式ではオトモの能力を強化できる奇面王の采配や、通常弾・連射矢UP等が発動する。 本シリーズ最大の特徴は、剣士同様やはり腕パーツである。 通常弾強化、痛撃のスキルポイントが非常に高い上、スロットが1つ空いている。 通常弾・連射矢重視の装備を作る時に、非常に組み合わせやすいため、腕だけ生産しておいてもいいだろう。 基本性能 値段 防御力 火耐性 水耐性 氷耐性 雷耐性 龍耐性 装備一箇所 12300z 72 3 -3 -5 0 3 装備全箇所 61500z 360 15 -15 -25 0 15 最大強化全箇所(G級) 230300z 320 LV13 防具強化 防具強化 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 Lv6 Lv7 Lv8 Lv9 Lv10 Lv11 Lv12 Lv13(MAX) 防御力 45 48 52 56 57 58 59 60 61 62 63 64 強化素材 堅鎧玉 重鎧玉 真鎧玉 費用 1730z 3460z 4460z 生産素材 部位 名称 スキル系統 スロット 生産素材 頭 フロギィXキャップ 対防御DOWN+2 通常弾強化+2 食事+2 采配+3 貫通弾強化+1 OO- 偉大なクチバシ*2 毒狗竜の堅腕甲*2 フロギィの上鱗*2 デプスライト鉱石*3 胴 フロギィXレジスト 対防御DOWN+2 通常弾強化+1 食事+2 采配+1 装填数+1 OO- 毒狗竜の厚皮*4 毒狗竜の上皮*4 堅牢な鳥竜骨*3 メランジェ鉱石*2 腕 フロギィXガード 対防御DOWN+2 通常弾強化+5 食事+1 采配+1 痛撃+3 O-- 幻鳥竜玉*1 毒狗竜の堅腕甲*5 猛毒袋*1 デプスライト鉱石*3 腰 フロギィXコート 対防御DOWN+2 通常弾強化+1 食事+3 采配+3 貫通弾強化+3 O-- 毒狗竜の厚皮*3 王者のクチバシ*2 フロギィの上鱗*4 デプスライト鉱石*5 脚 フロギィXレギンス 対防御DOWN+2 通常弾強化+1 食事+2 采配+2 装填数+2 OO- 毒狗竜の厚皮*2 毒狗竜の上皮*4 堅牢な鳥竜骨*4 メランジェ鉱石*2 スロット合計/必要素材合計 9 堅牢な鳥竜骨*7幻鳥竜玉*1フロギィの上鱗*6毒狗竜の上皮*8毒狗竜の厚皮*9毒狗竜の堅腕甲*7猛毒袋*1王者のクチバシ*2偉大なクチバシ*2デプスライト鉱石*11メランジェ鉱石*4 発動スキル スキル系統 頭 胴 腕 腰 脚 計 発動するスキル あと少しで発動しそうなスキル 対防御DOWN +2 +2 +2 +2 +2 +10 鉄面皮 通常弾強化 +2 +1 +5 +1 +1 +10 通常弾・連射矢UP 食事 +2 +2 +1 +3 +2 +10 早食い+1 采配 +3 +1 +1 +3 +2 +10 奇面王の采配 貫通弾強化 +1 +3 +4 装填数 +1 +2 +3 痛撃 +3 +3 ※あと少しで発動しそうなスキルとは±4ポイント以内で発生するスキルのことです。