約 441,816 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/522.html
鬼は帰なり、宇治の橋姫、緑色の目をした怪物、 人間も妖怪も、聖人君子など珍しく。有限の中で生きていく上で嫉妬などと言う物はまるで、夜の暗さの様に自分の傍を離れていかない。 永遠を生きる妖精であれば、そんなものに憑き殺される事はないだろうが、 ああ、そう言えば幻想郷にはもう一つ、嫉妬深い生き物がおりました。 ゆっくりありすは幸せ者でした。 でしたと言うからにはもちろん今はそうではないという言葉が続きます。 住み家とする森は静かで怖い動物も悪い人間もいませんでした。 食べ物は豊富で柔らかな草や甘い果実がたくさん取れ、ありすの空腹を満たしていました。 巣は手頃な大きさの洞窟があったので、そこを綺麗な石で飾りつけて使っていました。 ただ、ありすには友達がいません。 ありすには両親がいました。ゆっくりありす同士の両親はありすを大事に育てましたが、 ある春の日、こんな事を言い出しました。 「おとーさんもおかーさんも、そろそろずっとゆっくりするかもしれない」 両親は最後に教えなければならない事と。ずっとゆっくりするの意味を教える。 それは悲しい事ではない。痛くも辛くもない。身体を捨て、どこか別の場所でゆっくりするという事。 「ありすもおかーさんたちといっしょにずっとゆっくりしたい」 両親はありすの事を案じた。自分達がずっとゆっくりしてしまったら、ありすは一人ぼっちになってしまう。 どうにか、この子も自分たちと一緒にずっとゆっくりさせてあげたいが。 両親にはその方法が分からなかった。だから、ありすに嘘をついた。 「ありすも、おとーさんたちみたいに。りっぱなこどもをそだてたらゆっくりできるようになるよ」 それが本当の事かどうか、両親は知らない。 知らないが、そう言っておけば、ありすは子を生し育てる事の出来る、立派なゆっくりになるだろうと考えた。 両親は嘘を言ってしまったと思ったようだが、それは違う。 両親の言った言葉は嘘ではなく無責任なのだ。ありすはこの言葉により、ずっとゆっくりすることができなくなる。 両親がずっとゆっくりするようになって、ありすは巣を出る事にしました。 それは両親から言われていた事で、移り住む場所もしっかり決まっていました。 慣れ親しんだ巣の入り口を草と枝で覆い隠す。 「おかーさん、おとーさん、ずっとゆっくりしていってね!」 ありすは兼ねてより用意してあった自分用の巣に移った。 頑張って集めた食料、綺麗に飾った石のテーブル、干した草で作ったふかふかのお布団。 そこで暮らし始めて1年が経った頃、外が騒がしい事に気付きありすは目を覚ました。 「ゆぅ・・・なにかしら」 巣から出ると、傍で言い争っている2匹のゆっくりを見つけた。 両親から一通りの挨拶やゆっくり同士の付き合い方については教わっているので、 ありすはそれを実践してみる事にしました。 「ゆっくりしていってね!!」 ありすの挨拶に気付いたのか、2匹は言い争うのを一旦止め、煩わしそうに挨拶を返した。 「ゆっくりしていってね」「ゆっくりしていってね・・・」 2匹はゆっくりぱちゅりーとゆっくりまりさ、一緒にいるのにとても仲が悪そうだ。 「どうしたの、ゆっくりできてないの?」 ありすが尋ねると、まりさはムッとした顔をし、ありすに食ってかかった。 「ありすにはかんけいないことなんだぜ!くちをはさまないでほしいぜ!!」 それを聞くと、ありすではなくぱちゅりーが言い返す。 「むきゅー!どうして、まりさはそんならんぼうなことばづかいなの!」 ありすは思い出す。母がケンカを止める方法として教えてくれた事を。 挨拶の次はそれを実践してみる事にした。 「ふたりとも、なにかたべない?ゆっくりできるわよ」 ありすは巣から甘い果実を持ってきた。この辺りで採れるモノの中でこれが一番美味しい。 これを食べれば、まりさ達もゆっくりできるに違いないと思った。 「あまあまだぜ!それ、よこすんだぜ!!」 まりさはありすを突き飛ばし、果実にむしゃぶりついた。 それがどれだけ酷い行為か、今までゆっくりとの付き合いがなったありすでも分かる。 このまりさはゆっくりできないまりさだ。そう感じた。 しかし、お腹が一杯になるとまりさは急に大人しくなり、ありすに何度も謝罪した。 「ごめんね、おなかがすいてゆっくりできなかったんだよ。ごめんね」 「むきゅー・・・あきれた」 「ぱちゅりーもどなったりしてごめんね」 ペコペコと謝るまりさをありすは許してあげよう。そう思った。 まりさが落ち着いてから、ぱちゅりーはここに来た理由を説明してくれる。 ぱちゅりー達は遠くの森に住んでいたのだが、食料が少なくなってきた為、 別の森に移り住む事にしたらしい。もうダメだと諦めかけていた所にありすの住む森があった。 それから、まりさとぱちゅりーはありすの住む森で暮らす事になった。 ありすはまりさに食料の取れる場所を教えたやり、ぱちゅりーには果実の保存方法を教えてあげた。 食料が豊富ならまりさも大人しいのか、ぱちゅりーやありすに酷い事を言ったりしたりする事は一度もなかった。 「ぱちゅりー、あのありす、ゆっくりできるよ」 「そうね。ありすはみんなゆっくりできないかとおもっていたわ」 2匹は巣の中でヒソヒソと話す。ありすに話した事は全部嘘だ。 確かにまりさ達の森の食料が減ってきたのは確かだが、移り住んだ理由はそれが全てではない。 まりさ達の群れをある日、大勢のありすの群れが襲ったのだ。 まりさとぱちゅりーは強姦を免れ、命からがら逃げ出し、この森にたどり着いたのだ。 最初のケンカもありすを誘き出す罠だった。いくら、ありすでもケンカの真っ最中の中では気分が乗らない。 時間をかけ観察してきたが、ここのありすは強姦を行わない安全なありすだという結論に至った。 あとはこの森で赤ちゃんを生み、かつて自分達がいたような群れを作りたいと2匹は思った。 しかし、季節は秋。外敵がいないとは言え、冬がすぐそこに近付いている。 そんな状態ですっきりし、子どもができてしまっては食料の備蓄もできない。2匹は子どもを春になったら作ろうと誓い合った。 ありすは考えていた。両親の言った通り、子どもを立派に育てればありすもずっとゆっくりできる。 時間をかけ観察してきたが、ぱちゅりーもありすもゆっくりできるゆっくりだという結論に至った。 あとはこの森で赤ちゃんを生み、かつての両親のように育てようとありすは思った。 しかし、季節は秋。外敵がいないとは言え、冬がすぐそこに近付いている 早くすっきりして、子を作ってしまわなければいけない。 ありすは知らなかった。両親は自分がいるから夫婦なのだと思っていた。 本来は愛し合う2匹が一緒になって、子どもを生むから両親なのであって、 2匹で子どもを生んだから、愛し合い両親になるのではない。 勘違いをしたままのありすは翌日こんな事を言った。 「まりさ、ぱちゅりー、あかちゃんがほしいの、すっきりしない?」 2匹の反応は冷ややかなものだった。 強姦されるのなら既にやられているはず。このありすはゆっくり同士の付き合いが少ないのは分かっている。 だから、こんな馬鹿げた発言ができるのだ。2匹はそう感じた。 「まりさはぱちゅりーのおっとなんだよ。ありすとはすっきりしたくないよ。ぱちゅりーもおなじだよ」 「むきゅん」 まりさの言葉にぱちゅりーは頷く。 「ず、ずるいよ!ありすだって、あかちゃんほしいんだよ!!」 ゆっくりの世界では基本は一夫一妻。中には群れの方針で乱交型の群れを形成する場合もあるが、 一度、番いができた状態から別の相手を受け入れることは稀である。 「ずるくないよ。まりさたちはここにくるまえからふうふだったんだよ」 「あかちゃんもいないのに、どうしてふうふなの?!」 ありすは子どものいないゆっくりの夫婦を見た事が無い。 だから、最初からそんなものいないと思っていた。 「むきゅー・・・」 困ったような表情をぱちゅりーがする。ありすはだんだん自分の考えに自信がなくなってきた。 「ありすもいいゆっくりがみつかるといいわね」 ぱちゅりーの言葉はありすへの労りよりもありすへの強い拒否の意思を含んでいた。 ありすは冬ごもりの間、ずっと考えていた。あの2匹が巣の中できっと仲良くしているんだろう。 そう思うと、雪の中に飛び出してしまいたい気分だった。 しかし、そんな事をしては両親の言ったようにずっとゆっくりする事はできない。 ありすはグッと堪えた。だから余計に嫉妬してしまう。 そして、春。 まりさ達に子どもが生まれた、まりさが2匹、ぱちゅりーが1匹。 「ゆぅーん、とってもゆっくりできるあかちゃんだね」 「むきゅー、きっといいこにそだつわ」 ありすには幸せそうなまりさ達が見える。嫉妬で何か溢れてきそうだ。 ありすには幸せそうなまりさ達が聞こえる。嫉妬で何か生えてきそうだ。 ありすはもうあの2匹とは関わらないようにした。 しかし、見えてしまう。聞こえてくる。 恨み妬み嫉み、そんな感情がどんどんとありすの感性を敏感にし、 ありすは巣の中に籠っていても、幸せそうな声が聞こえ、幸せそうな姿が見えた。 そして、ありすはまりさ達の前に姿を現した。 「あ、ありす、そのおめめどうしたの?」 「にんげんみたいにみみもあるんだぜ!」 激しい嫉妬でありすの姿は変わってしまった。 目は緑に染まり、長い耳が生えてきた。 緑色の目をした怪物。ぱちゅりーはそんな言葉を聞いた事がある。 ぱるすぃ、嫉妬で狂ったゆっくりの堕ちた姿。 「ま、ままままりさたちがいけないのよ!!」 ありす?いや、ぱるすぃ? とにかく、まりさ達の前に現れたソレは一番強いまりさに体当たりすると。 簡単に1メートルほど後ろに突き飛ばしてしまう。 ぱちゅりーは赤ちゃんたちを連れて逃げようとするが、ソレは見逃さなかった。 足の遅い赤ちゃんぱちゅりーにガブリと噛みつくと、それを赤ちゃんまりさに投げつけ潰す。 「どうじでぇ!!やめでぇ!!」 必死に残った最後の赤ちゃんまりさを守ろうとするぱちゅりーに。 ソレは何も言わずぱちゅりーに体当たりをする。そして後ろにいる赤ちゃんごと、木に叩きつけた。 さっき突き飛ばされたまりさが殺された家族に泣きつく。 強姦を行うありすであれば、ここでまりさを強姦するが、 もうソレはありすではない。泣いているまりさに噛みついた。 ゆっくりありすは幸せ者でした。 でしたと言うからにはもちろん今はそうではないという言葉が続きます。 住み家とする森は静かで怖い動物も悪い人間もいませんでした。 食べ物は豊富で柔らかな草や甘い果実がたくさん取れ、ありすの空腹を満たしていました。 巣は手頃な大きさの洞窟があったので、そこを綺麗な石で飾りつけて使っていました。 今は巣は荒れ放題。綺麗な石もどこに行ったのか分かりません。 変わってしまった容姿は他のゆっくりから忌み嫌われましたが、 全て殺してやったので、もう自分を悪く言う事は聞こえません。 ただ、あの幸せそうなまりさ達の声が耳から離れず、あの幸せそうなまりさ達の姿が目から離れず。 今日も明日もこれからもずっとゆっくりできない日々を過ごしていくのです。 ゆっくりありすはゆっくりありすでした。 でしたと言うからにはもちろん今はそうではないという言葉が続きます。 ゆっくりありすはゆっくりありすでした。 ~あとがき~ 人間が登場しないのは珍しいかもしれない。 by118 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yuzuriha_mansion/pages/160.html
夫婦 難易度:☆☆ 怖い度:☆ 原文 「おい、まだかよ?」 俺は、女房の背中に向かって言った。どうして女という奴は支度に時間が掛かるのだろう。 「もうすぐ済むわ。そんなに急ぐことないでしょ。…ほら翔ちゃん、バタバタしないの!」 確かに女房の言うとおりだが、せっかちは俺の性分だから仕方がない。 今年もあとわずか。世間は慌しさに包まれていた。 俺は背広のポケットからタバコを取り出し、火をつけた。 「いきなりでお義父さんとお義母さんビックリしないかしら?」 「なあに、孫の顔を見た途端ニコニコ顔になるさ」 俺は傍らで横になっている息子を眺めて言った。 「お待たせ。いいわよ。…あら?」 「ん、どうした?」 「あなた、ここ、ここ」女房が俺の首元を指差すので、触ってみた。 「あっ、忘れてた」 「あなたったら、せっかちな上にそそっかしいんだから。こっち向いて」 「あなた…愛してるわ」女房は俺の首周りを整えながら、独り言のように言った。 「何だよ、いきなり」 「いいじゃない、夫婦なんだから」 女房は下を向いたままだったが、照れているようだ。 「そうか…、俺も愛してるよ」こんなにはっきり言ったのは何年ぶりだろう。 少し気恥ずかしかったが、気分は悪くない。俺は、女房の手を握った。 「じゃ、行くか」「ええ」 ヒント 俺は、足下の台を蹴った。 と、いう文章が最後に来ることもある。 解説 一般論 夫婦は子供を殺して無理心中。 母親は息子に向かって「バタバタしないの!」と言っている。そのあと息子は「横になっている」。 母親の支度というのはやんちゃな息子が眠ってしまう程時間の掛かったものなのだろうか? これは息子は母親に殺され、父親が死んだ息子を見ているとすれば説明がつく、 一見里帰りのようだが、首元といえばネクタイを連想させ普通は仕事に行くときの格好だ。 この場合の首元とは首吊り用のロープのことである。 ちなみに、父親の両親は既に他界しているようだ。
https://w.atwiki.jp/we2009/pages/67.html
画像の取り込み方はコチラ
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4220.html
鬼は帰なり、宇治の橋姫、緑色の目をした怪物、 人間も妖怪も、聖人君子など珍しく。有限の中で生きていく上で嫉妬などと言う物はまるで、夜の暗さの様に自分の傍を離れていかない。 永遠を生きる妖精であれば、そんなものに憑き殺される事はないだろうが、 ああ、そう言えば幻想郷にはもう一つ、嫉妬深い生き物がおりました。 ゆっくりありすは幸せ者でした。 でしたと言うからにはもちろん今はそうではないという言葉が続きます。 住み家とする森は静かで怖い動物も悪い人間もいませんでした。 食べ物は豊富で柔らかな草や甘い果実がたくさん取れ、ありすの空腹を満たしていました。 巣は手頃な大きさの洞窟があったので、そこを綺麗な石で飾りつけて使っていました。 ただ、ありすには友達がいません。 ありすには両親がいました。ゆっくりありす同士の両親はありすを大事に育てましたが、 ある春の日、こんな事を言い出しました。 「おとーさんもおかーさんも、そろそろずっとゆっくりするかもしれない」 両親は最後に教えなければならない事と。ずっとゆっくりするの意味を教える。 それは悲しい事ではない。痛くも辛くもない。身体を捨て、どこか別の場所でゆっくりするという事。 「ありすもおかーさんたちといっしょにずっとゆっくりしたい」 両親はありすの事を案じた。自分達がずっとゆっくりしてしまったら、ありすは一人ぼっちになってしまう。 どうにか、この子も自分たちと一緒にずっとゆっくりさせてあげたいが。 両親にはその方法が分からなかった。だから、ありすに嘘をついた。 「ありすも、おとーさんたちみたいに。りっぱなこどもをそだてたらゆっくりできるようになるよ」 それが本当の事かどうか、両親は知らない。 知らないが、そう言っておけば、ありすは子を生し育てる事の出来る、立派なゆっくりになるだろうと考えた。 両親は嘘を言ってしまったと思ったようだが、それは違う。 両親の言った言葉は嘘ではなく無責任なのだ。ありすはこの言葉により、ずっとゆっくりすることができなくなる。 両親がずっとゆっくりするようになって、ありすは巣を出る事にしました。 それは両親から言われていた事で、移り住む場所もしっかり決まっていました。 慣れ親しんだ巣の入り口を草と枝で覆い隠す。 「おかーさん、おとーさん、ずっとゆっくりしていってね!」 ありすは兼ねてより用意してあった自分用の巣に移った。 頑張って集めた食料、綺麗に飾った石のテーブル、干した草で作ったふかふかのお布団。 そこで暮らし始めて1年が経った頃、外が騒がしい事に気付きありすは目を覚ました。 「ゆぅ・・・なにかしら」 巣から出ると、傍で言い争っている2匹のゆっくりを見つけた。 両親から一通りの挨拶やゆっくり同士の付き合い方については教わっているので、 ありすはそれを実践してみる事にしました。 「ゆっくりしていってね!!」 ありすの挨拶に気付いたのか、2匹は言い争うのを一旦止め、煩わしそうに挨拶を返した。 「ゆっくりしていってね」「ゆっくりしていってね・・・」 2匹はゆっくりぱちゅりーとゆっくりまりさ、一緒にいるのにとても仲が悪そうだ。 「どうしたの、ゆっくりできてないの?」 ありすが尋ねると、まりさはムッとした顔をし、ありすに食ってかかった。 「ありすにはかんけいないことなんだぜ!くちをはさまないでほしいぜ!!」 それを聞くと、ありすではなくぱちゅりーが言い返す。 「むきゅー!どうして、まりさはそんならんぼうなことばづかいなの!」 ありすは思い出す。母がケンカを止める方法として教えてくれた事を。 挨拶の次はそれを実践してみる事にした。 「ふたりとも、なにかたべない?ゆっくりできるわよ」 ありすは巣から甘い果実を持ってきた。この辺りで採れるモノの中でこれが一番美味しい。 これを食べれば、まりさ達もゆっくりできるに違いないと思った。 「あまあまだぜ!それ、よこすんだぜ!!」 まりさはありすを突き飛ばし、果実にむしゃぶりついた。 それがどれだけ酷い行為か、今までゆっくりとの付き合いがなったありすでも分かる。 このまりさはゆっくりできないまりさだ。そう感じた。 しかし、お腹が一杯になるとまりさは急に大人しくなり、ありすに何度も謝罪した。 「ごめんね、おなかがすいてゆっくりできなかったんだよ。ごめんね」 「むきゅー・・・あきれた」 「ぱちゅりーもどなったりしてごめんね」 ペコペコと謝るまりさをありすは許してあげよう。そう思った。 まりさが落ち着いてから、ぱちゅりーはここに来た理由を説明してくれる。 ぱちゅりー達は遠くの森に住んでいたのだが、食料が少なくなってきた為、 別の森に移り住む事にしたらしい。もうダメだと諦めかけていた所にありすの住む森があった。 それから、まりさとぱちゅりーはありすの住む森で暮らす事になった。 ありすはまりさに食料の取れる場所を教えたやり、ぱちゅりーには果実の保存方法を教えてあげた。 食料が豊富ならまりさも大人しいのか、ぱちゅりーやありすに酷い事を言ったりしたりする事は一度もなかった。 「ぱちゅりー、あのありす、ゆっくりできるよ」 「そうね。ありすはみんなゆっくりできないかとおもっていたわ」 2匹は巣の中でヒソヒソと話す。ありすに話した事は全部嘘だ。 確かにまりさ達の森の食料が減ってきたのは確かだが、移り住んだ理由はそれが全てではない。 まりさ達の群れをある日、大勢のありすの群れが襲ったのだ。 まりさとぱちゅりーは強姦を免れ、命からがら逃げ出し、この森にたどり着いたのだ。 最初のケンカもありすを誘き出す罠だった。いくら、ありすでもケンカの真っ最中の中では気分が乗らない。 時間をかけ観察してきたが、ここのありすは強姦を行わない安全なありすだという結論に至った。 あとはこの森で赤ちゃんを生み、かつて自分達がいたような群れを作りたいと2匹は思った。 しかし、季節は秋。外敵がいないとは言え、冬がすぐそこに近付いている。 そんな状態ですっきりし、子どもができてしまっては食料の備蓄もできない。2匹は子どもを春になったら作ろうと誓い合った。 ありすは考えていた。両親の言った通り、子どもを立派に育てればありすもずっとゆっくりできる。 時間をかけ観察してきたが、ぱちゅりーもありすもゆっくりできるゆっくりだという結論に至った。 あとはこの森で赤ちゃんを生み、かつての両親のように育てようとありすは思った。 しかし、季節は秋。外敵がいないとは言え、冬がすぐそこに近付いている 早くすっきりして、子を作ってしまわなければいけない。 ありすは知らなかった。両親は自分がいるから夫婦なのだと思っていた。 本来は愛し合う2匹が一緒になって、子どもを生むから両親なのであって、 2匹で子どもを生んだから、愛し合い両親になるのではない。 勘違いをしたままのありすは翌日こんな事を言った。 「まりさ、ぱちゅりー、あかちゃんがほしいの、すっきりしない?」 2匹の反応は冷ややかなものだった。 強姦されるのなら既にやられているはず。このありすはゆっくり同士の付き合いが少ないのは分かっている。 だから、こんな馬鹿げた発言ができるのだ。2匹はそう感じた。 「まりさはぱちゅりーのおっとなんだよ。ありすとはすっきりしたくないよ。ぱちゅりーもおなじだよ」 「むきゅん」 まりさの言葉にぱちゅりーは頷く。 「ず、ずるいよ!ありすだって、あかちゃんほしいんだよ!!」 ゆっくりの世界では基本は一夫一妻。中には群れの方針で乱交型の群れを形成する場合もあるが、 一度、番いができた状態から別の相手を受け入れることは稀である。 「ずるくないよ。まりさたちはここにくるまえからふうふだったんだよ」 「あかちゃんもいないのに、どうしてふうふなの?!」 ありすは子どものいないゆっくりの夫婦を見た事が無い。 だから、最初からそんなものいないと思っていた。 「むきゅー・・・」 困ったような表情をぱちゅりーがする。ありすはだんだん自分の考えに自信がなくなってきた。 「ありすもいいゆっくりがみつかるといいわね」 ぱちゅりーの言葉はありすへの労りよりもありすへの強い拒否の意思を含んでいた。 ありすは冬ごもりの間、ずっと考えていた。あの2匹が巣の中できっと仲良くしているんだろう。 そう思うと、雪の中に飛び出してしまいたい気分だった。 しかし、そんな事をしては両親の言ったようにずっとゆっくりする事はできない。 ありすはグッと堪えた。だから余計に嫉妬してしまう。 そして、春。 まりさ達に子どもが生まれた、まりさが2匹、ぱちゅりーが1匹。 「ゆぅーん、とってもゆっくりできるあかちゃんだね」 「むきゅー、きっといいこにそだつわ」 ありすには幸せそうなまりさ達が見える。嫉妬で何か溢れてきそうだ。 ありすには幸せそうなまりさ達が聞こえる。嫉妬で何か生えてきそうだ。 ありすはもうあの2匹とは関わらないようにした。 しかし、見えてしまう。聞こえてくる。 恨み妬み嫉み、そんな感情がどんどんとありすの感性を敏感にし、 ありすは巣の中に籠っていても、幸せそうな声が聞こえ、幸せそうな姿が見えた。 そして、ありすはまりさ達の前に姿を現した。 「あ、ありす、そのおめめどうしたの?」 「にんげんみたいにみみもあるんだぜ!」 激しい嫉妬でありすの姿は変わってしまった。 目は緑に染まり、長い耳が生えてきた。 緑色の目をした怪物。ぱちゅりーはそんな言葉を聞いた事がある。 ぱるすぃ、嫉妬で狂ったゆっくりの堕ちた姿。 「ま、ままままりさたちがいけないのよ!!」 ありす?いや、ぱるすぃ? とにかく、まりさ達の前に現れたソレは一番強いまりさに体当たりすると。 簡単に1メートルほど後ろに突き飛ばしてしまう。 ぱちゅりーは赤ちゃんたちを連れて逃げようとするが、ソレは見逃さなかった。 足の遅い赤ちゃんぱちゅりーにガブリと噛みつくと、それを赤ちゃんまりさに投げつけ潰す。 「どうじでぇ!!やめでぇ!!」 必死に残った最後の赤ちゃんまりさを守ろうとするぱちゅりーに。 ソレは何も言わずぱちゅりーに体当たりをする。そして後ろにいる赤ちゃんごと、木に叩きつけた。 さっき突き飛ばされたまりさが殺された家族に泣きつく。 強姦を行うありすであれば、ここでまりさを強姦するが、 もうソレはありすではない。泣いているまりさに噛みついた。 ゆっくりありすは幸せ者でした。 でしたと言うからにはもちろん今はそうではないという言葉が続きます。 住み家とする森は静かで怖い動物も悪い人間もいませんでした。 食べ物は豊富で柔らかな草や甘い果実がたくさん取れ、ありすの空腹を満たしていました。 巣は手頃な大きさの洞窟があったので、そこを綺麗な石で飾りつけて使っていました。 今は巣は荒れ放題。綺麗な石もどこに行ったのか分かりません。 変わってしまった容姿は他のゆっくりから忌み嫌われましたが、 全て殺してやったので、もう自分を悪く言う事は聞こえません。 ただ、あの幸せそうなまりさ達の声が耳から離れず、あの幸せそうなまりさ達の姿が目から離れず。 今日も明日もこれからもずっとゆっくりできない日々を過ごしていくのです。 ゆっくりありすはゆっくりありすでした。 でしたと言うからにはもちろん今はそうではないという言葉が続きます。 ゆっくりありすはゆっくりありすでした。 ~あとがき~ 人間が登場しないのは珍しいかもしれない。 by118 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/merge-mansion/pages/97.html
お花畑ステージ 作業部屋ステージを完了すると解放されます。 22%の鉢植えの花Lv9 園芸用具Lv11スコップが第1関門、その後87%の掃除用具Lv10水切りワイパー 洗剤Lv6テレビン油で足止めされるでしょう。 参考所要日数24日 後半にジャンプ + 古いタスク群 古いタスク群 後半にジャンプ + イベント会話 ネタバレ注意 マディー この石像、まるで女神様みたいだわ。でも、なんだか寂しそうな顔をしてる... ウルスラ そりゃ、池の中で一日中突っ立ってたら悲しくもなるわよ。それに、服も濡れちゃうしね。 マディー ねえ、私が言ってるのはそういうことじゃないの! ウルスラ そうねぇ、確か身内がモデルになってるみたいだけど... おっと、もう行かなくちゃ。「トゥルークライム」のポッドキャストが始まる時間だわ! 今日は新 エピソードが放送されるのよ。 マディー 待って! 私はもっと知りたいの! ---------------------- ウルスラ トゥルークライムっていう番組のいいところはね、ものの“片付け方”を教えてくれるのよ。 マディー 物騒な話はよしてよ。そんなことより、この像について教えてちょうだい! ウルスラ しょうがないわね。彼女はおまえのおじいさんのおばあさんよ。第一次世界大戦では、ヨーロッパに看護婦として派遣されたんだってさ。 マディー 世界大戦ですって?! きっと壮絶な体験をしたんでしょうね... 彼女は無事だったの? ウルスラ ええ、たくさんの命を救って無事帰ってきたわ。彼女の両親はその功績を称えて、この像を作ったのよ。 マディー すごいお話ね! ウルスラ お話といえば... ロディだったっけ? 彼とのストーリーは進んでるの? マディー やめてよね! 彼は私を手伝ってくれてるだけなんだから!
https://w.atwiki.jp/opfan/pages/1521.html
『コガネウリ エイコ』 武者修行の為に鬼ヶ島を飛び出した鬼人の女戦士。 2メートル近い長身に豊満ながらも屈強な体躯を持つが、他の鬼人とは違い額ではなく両の側頭部から太い角を生やしている。 幼少時には同胞達からも物珍しげな目を向けられた過去を持ち、常に劣等感を感じていたらしい。 力試しの旅に出てからも周囲から角を奇異な目で見られる事を嫌い、当初はフードで角を隠していたとの事。 だが旅の途中、賊に襲われていた乗合馬車を助ける際にフードを脱ぎ捨てこれを蹴散らし感謝と称賛を浴びた事によって自らの角に誇りを持つに至ったようだ。 その後エレメニウムに辿り着き、闘技場での武闘大会に参加すると鬼人の怪力で優勝を勝ち取る。 歓声を一身に浴びながら飲んだビクトリーワインの味とエレメニウムの気風を気に入り、そのまま剣闘士として正規契約を交わした。 現在は優勝時のビクトリーワインから取った『ヴィクトリア』という闘士名を名乗り、花形闘士の一人として活躍中。 専属の工房で打たれた特注の金砕棒を振り回し、エレメニウムの闘士や軍人を相手に己の力を存分に振るっている。 角の形状が他の者と異なって生まれた要因は彼女自身も分かっていない。 ただ、彼女の両親は父親が不在で、母はかつて鬼ヶ島に流れ着いた角と鱗を持つ男を助け同居していたという噂がある。 ついでに最近では闘技場の観客や対戦相手から『興奮すると口元から炎が零れてる』と言われるらしいが、本人は自覚がないらしい。 関連 エレメニウム共和国 鋼と血の広場 鬼ヶ島 鬼人 戦士(ウォーリアー) 剣闘士(グラディエーター) 目次に戻る
https://w.atwiki.jp/hidamari774/pages/179.html
* 「これなんかどうかな?」 乃莉ちゃんが家に来てからもうすぐ1ヶ月が経つ。 最近では、来てすぐの頃のような丁寧口調ではなく、ちゃんとタメ口で話しかけてくれるようになった。 でも──。 「……なずなちゃん、どうかしたの?」 「ううん、なんでもないの」 相変わらず呼び方は「なずなちゃん」で、やはりまだ記憶が戻っていないことが分かる。 最近では、もう乃莉ちゃんはずっとこのままなんじゃないか、なんて考えも時々頭をよぎる。 そうだとしたら、私たちの関係はどうなるんだろう。たぶん、いつまでも一緒にはいられないだろう。 今の乃莉ちゃんにとって私はただの「友達」でしかなくて、これ以上は好意の押し付けと捉えられても仕方がない。 両親に対する態度も変わってきている。 ここのところの、乃莉ちゃんの両親に対する接し方は、以前にも増して遠慮がちになった。 当の両親は「乃莉ちゃんなら1年でも2年でもいてくれて構わない」と言ってくれているが、 もちろん偽りのない本心なんだろうけど、でも乃莉ちゃんの中には「迷惑をかけている」という意識が強くあるのだろう。 そんな折、乃莉ちゃんのもとに彼女のご両親から連絡があり、一度地元に戻ってくるように、とのことだった。 1ヶ月が経とうとしている今、これからどうするのかを、乃莉ちゃんはどうしたいのかを、話し合うのだろう。 出発の日にちはとんとん拍子で決まり、私も同行することになった。 「ごめんね、なずなちゃん」 「ううん、いいの。乃莉ちゃんと一緒にいると楽しいから」 「えっ、あっ、いや、ありがと……」 乃莉ちゃんは乃莉ちゃんであって、でも、もう乃莉ちゃんではなかった。 * 新幹線から電車に乗り継ぎ、乃莉ちゃんの地元に到着した私の目の前に、日本有数の港町の景色が広がる。 一度だけ乃莉ちゃんのご両親への挨拶のために来たことのあったこの街には、今も2人の思い出が詰まっている。 しかし、やはりというべきか、当の乃莉ちゃんにとってここは初めて来る場所で、今も横で目を大きく見開いている。 そういう私も乃莉ちゃんと同じで、異国情緒溢れる建物が立ち並ぶ景色に圧倒されていた。 駅から少し歩いた場所にある乃莉ちゃんの実家。 なんとか迷うことなく辿り着くことができた私はインターホンを押し、出迎えてくれた乃莉ちゃんのご両親に挨拶する。 ふと隣を見ると、乃莉ちゃんは少し怯えたような、まるで知らない人と会ったような顔をしていた。 そうか、そうだよね、乃莉ちゃんにとっては、自分の両親とはいっても病院で会ったきりだったんだもんね。 結果から言えば、乃莉ちゃんはあと1ヶ月だけ私と一緒に暮らして、それでもだめだったら実家に戻る、ということになった。 彼女のお母さんも向こうに行って2人で暮らすのはどうか、とのご両親の提案もあったが、 乃莉ちゃんはそれを拒み、あくまで私と一緒にいたい、と言ってくれた。 ねえ、乃莉ちゃん、乃莉ちゃんは知らないかもしれないけど、私は今でも乃莉ちゃんのことが好きなんだよ? でも、今の乃莉ちゃんにそういうことを言われると、悲しくなっちゃうな。 乃莉ちゃんの実家に到着した時間が遅かったため、 その日は今後のことだけを決めてそのまま泊まり、その翌日、私たち2人は別の都市に観光に来ていた。 電車で揺られながら考えていたことは、向こう1ヶ月のことばかりだった。 私は思う。本当に、乃莉ちゃんは私といるべきなんだろうか。 ご両親は乃莉ちゃんの気持ちと私のことを考えて一緒にいさせてくれているけど、それは乃莉ちゃんのためになるんだろうか。 こうして私と一緒にいたいと言ってくれている乃莉ちゃんは、私と付き合っていた乃莉ちゃんではない。 私の乃莉ちゃんへの未練が、彼女を引きとめさせているんじゃないだろうか。 1ヵ月後、いやその後も、乃莉ちゃんが記憶を取り戻さなかったら、はたして私は乃莉ちゃんを諦めきれるんだろうか。 それなら、今はお互い辛くても、乃莉ちゃんには地元に残ってもらった方がいいんじゃないだろうか。 電車から降りて地上に上がった私たちは、まず人の多さに驚いた。 その駅の周辺には高級ブランド店から雑貨店まで様々な店舗がひしめいていて、この街を代表する繁華街になっている。 乃莉ちゃんの地元からそう遠くないこの街には彼女も何度か来たことがあるらしく、 ここに来るように勧めてくれたのも、乃莉ちゃんの子供の頃のことを一番知っているご両親だった。 私たちは迷わないように地図を睨みつけながら、時には人を押しのけ、特に目的もなく歩き回った。 すると、ふと左手が握られた。 「どうしたの、乃莉ちゃん?」 「いや、その、はぐれないようにと思ったんだけど……ひゃっ」 そう言い訳して手を離したので、私が無言で握り返すと、乃莉ちゃんは小さく悲鳴を上げて赤い顔で抗議した。 「もう、なずなちゃん!」 「ふふ。でも、はぐれちゃったら大変でしょ?」 「ま、まあ、たしかにそうだけど……」 誰も私たちのことなんて見ていない、と分かっていても、手を繋いで歩くのは少し恥ずかしかった。 「そろそろどこかでお昼食べよっか」 「そうだね」 そうして私たちは混み気味の全国チェーンのハンバーガーショップに入った。 「ご両親の話では、乃莉ちゃんは子供のころ、よくこの街に遊びに来てたらしいんだけど、何か覚えてない?」 100円のハンバーガーにかぶりついている乃莉ちゃんに尋ねてみる。 「うーん、やっぱり何も……。でも私は、こっちよりも最初に来た街の方が好きかな」 「どうして?」 「単純に街のきれいさ、かな。最初に駅から出た時、建ち並んだ洋風の建物に感動したもん」 私にはそれが、乃莉ちゃんの記憶の奥深くに刻み込まれた記憶によるものなんじゃないかと思えて仕方がなかった。 その後、ウィンドウショッピングを楽しんだ私たちは、日が暮れ始める前には帰路につき、今は乃莉ちゃんの実家にいる。 今日もここに泊まり、明日の朝、新幹線で向こうに帰ることになっている。 夕食を食べ終え、乃莉ちゃんがお風呂に入っている隙に、私はご両親と話をすることにした。 「乃莉ちゃんはこっちに残るべきだと思います」 「たしかに私も、乃莉ちゃんだって、離れ離れになるのは辛いことだと思います」 「でも、乃莉ちゃんにとって、私はただの『友達』でしかありません」 「その友達でしかない私が、いつまでも乃莉ちゃんを引き止めているわけにもいかないと思うんです」 「現に、昨日私たちがここに来た時も、乃莉ちゃんはお2人を見て、初めて会ったかのような顔をしていました」 「やっぱり本来、乃莉ちゃんはご両親と一緒にいるべきなんだと思います」 私は一言一言を選ぶようにゆっくりと話し、それを終えると、何も言わず聞いていたご両親が口を開いた。 ご両親の意見は、それは乃莉ちゃんが決めるべきだ、と。 もう本人には話したのか、という問いに私がまだだと答えると、 ご両親は家の車を使っていいから今夜どこか雰囲気のいいところにでも行って話すようにと、結論はその後でいいと、言った。 最後に、まだ娘のことは愛してくれているか、という答えに強く頷くと、ご両親は何も言わず無言で笑顔を返してくれた。 乃莉ちゃんに続いてお風呂を頂いた私は、髪の毛を乾かしながら、乃莉ちゃんに夜景を見に行かないかと誘った。 今の私と同じく髪の毛を下ろしている乃莉ちゃんは、私なんかと違って、いつ見ても可愛いと思う。 昔そう乃莉ちゃんに言ったら、顔を真っ赤にして私をバシバシと叩きながら否定されたが。 「いいね、なずなちゃん。それで、どこに行くの?」 「えっと、それは……秘密、かな」 「ええ、いいじゃん、教えてくれても」 「ふふ、行ってからのお楽しみ、ってやつだよ、乃莉ちゃん」 「うーん、そんなに言うなら楽しみにしてるよ。 あ、ちょっと待って、今髪を結ぶから」 「あ、できれば髪は下ろしたままにしてほしいな」 「どして?」 「ううん、別に理由はないの」 乃莉ちゃんは不思議そうな顔をしながら、テーブルの上のヘアゴムに伸ばした右手を引っ込めた。 * ご両親から借りた車で向かった先は、日本三大夜景にも数えられる夜景の見える山だった。 以前一度、まだ乃莉ちゃんが記憶を失う前にご両親に挨拶に来た時、その夜に乃莉ちゃんに連れてきてもらったのだ。 山頂近くにあるお寺の駐車場に車を停めた私たち2人は、道に沿って展望台を目指した。 季節はもうすっかり冬になっていて、吹きつける風は、重ね着をしても私たちの体温を容赦なく奪っていく。 何も言わず私の左手を握った乃莉ちゃんの右手の温もりは、手袋越しにも私に伝わったような気がした。 お互い無言で歩いていると、展望台に辿り着き視界が開け、目の前に広がる一面の夜景が私たちを圧倒した。 海を挟んで向こう側に見える街は、今日の昼間に行ったあの街だろうか。 そんなことを考えていると、乃莉ちゃんがぽつりと言葉をこぼした。 「きれいだね」 私の左前にいる乃莉ちゃんの髪は風になびき、そのなびいた髪の隙間からも街の光が覗いている。 それはまるで、乃莉ちゃんが夜景の一部となって街を見守っているかのようだった。 「きれいだね」 乃莉ちゃんがもう一度、たしかめるように、夜景を壊してしまわないようにそっとつぶやくと、私の方を向いて微笑んだ。 「そうだね、本当にきれいだね」 私が乃莉ちゃんを見つめて笑いながらそう言うと、乃莉ちゃんはどうしてか顔を赤くして前を向いてしまった。 そうした無言の時間も、この街の光は静かに包み込んで、不思議と息苦しさや気まずさは感じさせなかった。 ──そんな沈黙を破ったのは、乃莉ちゃんだった。 「なずなちゃん、ここに来たのには何か理由があるんだよね?」 乃莉ちゃんの瞳に映る私は、どんな顔をしていたんだろうか。 「いいよ、どんなことでも覚悟はできてるから」 そう言って笑う乃莉ちゃんを、私はただ見つめるだけしかできなかった。 「えっと、私は、乃莉ちゃんはこっちに残るべきだと思うの」 私はここに来る前にご両親に話したことと同じ内容を乃莉ちゃんに話した。 少しずつ言葉を紡ぐ私の目を貫くように見据えた乃莉ちゃんは、しかしやはり微笑んでいた。 「──そっか。たしかに、なずなちゃんの言う通りかもしれないね」 一瞬だけ少し悲しそうな顔を見せた彼女は、すぐにまた先ほどと同じように微笑をその顔に湛えて言う。 「なずなちゃんは、私のこと、嫌い?」 「そ、そんなことはないよ!」 「そっか、そう聞いて安心したよ」 それから一呼吸置いて続けた言葉は──。 「私も、なずなちゃんに言うことがあるんだ」 私の心臓は突然暴れ始め、とても寒いはずなのに体中が熱くなってくる。 「なずなちゃん、もしよかったら、私と付き合ってくれない?」 ああ、あの時と同じ、乃莉ちゃんの言葉。 でも……。 「ありがと。でも、ごめんね、乃莉ちゃん。 私、ずっと思い続けてる人がいるの。だから……」 いつか、ずっと先のことかもしれないけど、乃莉ちゃんが私を「なずな」と呼んでくれるようになったら、 牛肉の肉じゃがを作ってくれるようになったら、また乃莉ちゃんの後ろに座って、バイクでどこか遠くへ行きたいな。 おわり
https://w.atwiki.jp/tokyomadlog/pages/22.html
【名前】朝比奈 ドール(アサヒナ ドール) 【年齢】不明 【性別】女 【容姿】暗いグレーのショートカットに、ぱっちりとした暗い紺色の瞳をしている。童顔で、身長も155cmと小柄。グレーのシャツに、青のリボンを付け、下は茶色のショートパンツの下に黒タイツを履いている。靴は黒のスニーカー。シャツの上から黒色のローブを羽織っており、裾はくるぶし位まである。袖はドールの腕より長く、袖が余っている。袖はボロボロになっている。右の太股にバンド、両手首に腕輪があり、それぞれにダガーが付いている。 【性格】いつも余裕たっぷりで能天気。テンション高めで細かいことは考えない自由人だが、空気を読む事は出来る。基本的に誰にでもタメ口。煙草が嗜好品で、自分の年齢が分からないことをいいことにかなり吸っている。煙草を吸っていることを咎められると屁理屈でねじ伏せる。口喧嘩は強い方かもしれない。 【魔法】『ブルーシガレット』煙草に息を吹き掛ける事で青い炎を灯すことが出来る。息を少しかければ明かりとして使える程度に、多くかければ燃え上がり、投擲武器として使える。 【得物】ダガー6本 【備考】幼い頃に両親は殺されている。両親を殺した暗殺者はドールを連れて帰った。年齢が不明なのは物心付く前に暗殺者に連れて行かれた為である。ぶっちゃけ未成年。純日本人だがハーフみたいになっているのも暗殺者に付けられたため。自分の両親を殺したのがその暗殺者という事は知らない。 後天性の無痛症。師匠に拾われた時点では既に発症していたとの噂。発汗も少なく、体温調節出来ない癖して年中ローブ姿である。毎年夏に倒れる。懲りない。 【sv】「はーい!どもども私はドーーールッさんだぁー!!」 「煙草?いいじゃん私何歳か分かんないし。止めさせたかったら私の未成年を証明して?」 「え?生まれた年が分かれば年齢分かる?…キミ天才じゃん!…私何年生まれだろ…」 【外見イメージ】http //pict.3dss.jp/image.php?i=35346
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/850.html
第三話『愛猫家への道』 俺の両親はくだらない奴だった。まず、その職業からしてくだらないものだった。 俗に言う、咒師(まじないし)。 つまり、藁にもすがる思いで助けを求める者を相手とする詐欺師、だった。 俺はもちろん『まじない』なんてオカルトなど信じたことはなかった。物心が付いてからは、そんなことで金を稼ぐ親を、少なくとも『尊敬する両親』として認識したことなど無かった。そんなやつらに面倒をみてもらうことも耐えられなかった。両親も、そんな俺に対して必要以上のコミュニケーションをとろうとはしなかった。俺の、自分の家庭、生活に対する不満は日々募っていくばかりだった。 しかし、そうは思っていても所詮俺はただのガキだったわけで。家を飛び出して自分だけの力で生きていくことなど出来なかったわけで。しかも、両親は俺を虐待とかしていたわけでもなく、衣食住は十分に施されていたわけで―――。 それに、あいつらは咒(まじない)の中で1つだけ奇妙な芸が出来た。それはインチキだと信じて疑わない俺の目から見てもトリックの分からないものだった(まあ、トリックは分からずとも真似だけは簡単にできたので尊敬するに至ることはなかったのだが)。そのおかげで咒を信じてやってくるアホは後を絶たず、金銭的にはかなり恵まれる生活を送っていた。俺はその快適さを手放して生きる苦労を予想することが出来る程度に利口だった。そしてそれを分かっていても投げ出すことの出来る度胸も無かった。 「いつまでこんなことをしなければならないのですか、とミサカは目に涙をためて訴えます」 「まあまあ。全ては真の愛猫家になるための訓練だ。我慢して集中集中」 俺たちは座り込みながらそんなことを言い合った。 ここは病院の間近に隣接している公園だ。人目に付かないように林の茂みの中で行為に及んでいるのだが、ここだけは2メートル四方ほどの空間が出来ており、なかなか快適に過ごすことが出来る。木々の間を抜けてきたそよ風が頬を撫でて心地言い。午後の太陽の木漏れ日が、二人の体の表面を照らして揺れる。 「お前だってこんなことやあんなことをしたいんだろ?」 俺は そ れ に頬ずりしながら、不服げな表情を浮かべるミサカに言い聞かせた。 「……分かりました。すべては猫のためです、とミサカは訓練のために意識を再度集中させます」 ミサカは更に不服げな表情を浮かべたものの、渋々といった様子で言った。しかし新たなる追及点を認めてまた睨みを利かせてきた。 「しかしあなたはいったい何のためにそのようなことをしているのですか、とミサカは当然の疑問をあなたにぶつけます」 「え?こ、これ?いや、そりゃお前―――」 俺は彼女の凄まじき非難の視線から逃げるように、 「だって俺猫好きなんだもん」 腕に抱える寅之助を見せ付けて、言った。 「猫に触ってないと3秒で死んじゃうの」 ついでにその状態から撫でまくった。 「………………………………………」 ミサカの非難の視線は止むどころか更に強くなってきたような気がしないこともないけどとりあえずスルーすることにする。この感情を向上心へと変換してくれることを願うばかりだ。 寅之助ほどではないものの、好奇心から顔を覗かせてこちらを伺っているほかの猫たちの相手をしてやる。着ている入院服の中に猫達を7匹ほど入れてみた。結構良いな、うん。至福だ。猫達磨だ。なんか『後で覚えとけよこの猫馬鹿野郎、とミサカは喉まで出てきた言葉を飲み込みます』とか聞こえたが気のせいだろう。飲み込んだのなら聞こえはしないはずだ。うん。
https://w.atwiki.jp/enemy/pages/635.html
スレ176より 64 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 15 22 14 0 ここは夫と私の実家の揉め事について書き込んでもいいのでしょうか? 67 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 15 39 28 0 64 とりあえず書いてみたら? 70 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 16 02 17 0 じゃあ書いてみます。 単純にいえば自分の味方をしてくれないことに腹が立っているんです。 私は実両親と車で20分と中距離別居なのですが 両親は私のことが心配なのかよく家まで来ます(夫もこれについてはかまわないといっています) しかし家事のやり方などで揉めます。 これについて夫にも散々何とかしてくれといったのですが(私では頭が上がらない) そのたびに何で俺が…とか、親子の喧嘩に俺が入ってどうするんだよ…とか文句を言われます。 たしかに嫁姑問題ではないので夫が介入すべきではないのですが あまりに冷たい態度にもやもやしています。 もちろん私が悪いことはわかっているのですがそのことを理解できても納得できないというか 74 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 16 08 36 0 70 実親の相手は実子がすれば良いんでは。 これ立場逆なら、なんで防波堤にならないのとか問い詰められるパターンでしょう。 釣りにしても程がある。 76 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 16 10 14 0 74 だから! 私じゃ勝てないから味方をしてくれって頼ってるんです。 それなのに俺が直接言ったら角が立つだの 相手には相手の言い分があるんじゃないのかなんて… 母の言葉に言い分があることはわかってるんです、でも私の味方をしてほしいっていう気持ち 共感していただけませんか? 77 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 16 10 36 0 夫と私の実家の揉め事… 夫無関係じゃねぇかよw 79 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 16 12 03 0 74 いろいろいいたいことはありますが 一方の配偶者が苦しんでいたらもう一方が助けるのが当たり前なのではないでしょうか? あなたの言い分からすれば夫は防波堤であることを放棄しているようにも思えるのですが 80 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 16 13 24 0 77 関係あります。 夫さえかばってくれたら私も少しは気が楽になるのに。 81 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 16 14 36 0 79 あんたの親とあんたの間に、「夫」という防波堤は無いと思うけど。 夫の親とあんたの間には、「夫」という防波堤はあってもね。 86 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 16 17 07 0 81 それが理解できません。 そもそも夫は冷たいと思いませんか? 嫁がこんなに苦しんでいるのに、何もしないんですよ? 私からすれば実質的にはトメからのいびりと変わりないんです。 87 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 16 18 35 0 書き忘れてましたが夫と母の仲は至って良好です。 だから余計に夫が味方をしてくれないんじゃないかって思っています。 どうしてこんなことで離婚になるんですか? 私は何も悪いことをしていません。 89 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 16 20 19 0 自己責任ですか、綺麗な言葉ですが少なくとも私と夫の間には不要な言葉です。 お互い助け合いをすることが大事だと思います。 104 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 16 32 09 0 夫「お義母さん、口出しするのやめてもらえますか?本人嫌がってますので・・・」 母「なんですって!娘ちゃんそんな事言ってるの?迷惑なの!?」 70「え?わ、私そんな事言った覚えないよっ…」 夫「(´・ω・`)・・・」 105 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 16 33 20 0 104 今だから懺悔しますが、一度だけそういうことをしてしまいました。 反省しています。 107 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 16 35 51 0 じゃあ未来永劫味方してくれないでしょ 夫の反応は あ た り ま え 114 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 16 47 42 0 なんだか面白い人がいたのねー 実親でも家に入れなければいいだけでは? 117 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 16 52 26 0 114 実の親にそんな冷たいこと出来ません。 あなたはそんな非情なことをなさるんですか? 122 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 17 00 30 0 117 自分の夫を生け贄にする人間が何を言うw 釣りにしても酷いなーwww 124 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 17 05 51 0 妻が夫を守る必要があるんでしょうか? 夫からは「君を守りたい」と言われての結婚です。 だから私が実家との問題で困っている時に、助けてくれるのは当然のはずです。 132 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 17 29 37 0 角が立つの意味をわかってないんでしょ 書き込み読んでると親が心配で目が話せないのもわかる気がするわ 結婚するには精神年齢低すぎたね 133 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 17 34 28 0 たしかに…。 夫は妻を守れないくらい精神年齢の低い人です。 だから私から目が離せずに干渉してくるのかもしれません。 だからこそ夫には私の両親と対峙して欲しいと切に願っています。 でもなかなか難しいですね…。 144 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 17 46 30 0 夫が攻撃的な人間で、70実親に厳しくクレームつけて 夫と70実親の関係が悪化したら70はどうするつもりなのだろう 70実親が70に「離婚しなさい」言ったら70はどうする? 145 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 17 51 47 0 両親は離婚しろとは言わないと思います。 離婚はみっともないという考え方なので。 夫には私の両親からも信頼を得られる人になって欲しいです。 ちょっと過干渉な両親ですが、それも私への愛情故ですし。 私が両親から受ける私への干渉を夫がやんわりと反らすことが出来れば、 私の両親も夫が家庭の大黒柱として私を守れる一人前の男だと見てくれると思います。 150 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 17 56 31 0 145 両親から一番信頼されてないのは 145だよ。 156 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 18 03 10 0 150 それは言えてるね。じゃなきゃ家事にまで口出ししないよね。 よっぽど不出来な娘というか、どうしようもない碌でなし娘って 意識なのかもしれないね。 159 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 18 07 25 0 母は家事が苦手なのに、口出しが好きなんです。 きっと私の家事が完璧すぎるので文句をつけたいのだと思います。 夫も私の家事を常に褒めてくれますし。 せっかく仲良く暮らしている夫婦なのに、親とのことで揉めるのが辛いです。 私が実両親に干渉を注意すると喧嘩になってしまいます。 夫が言葉巧みに母を言いくるめてくれれば、全て上手くいくのに。 そう思うと夫が頼りなく思えてきて悲しいです。 161 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 18 10 03 0 159 あなたはそんなに馬鹿に生まれて可哀想ね。 そんな馬鹿を妻にした夫は、さらに可哀想。 まあ、そんな頼りない旦那さんは離婚してさしあげたら? 旦那さんはとっても幸せになると思いますよ。 165 名前:名無しさん@HOME[sage] 投稿日:2009/08/15(土) 18 15 20 0 161 いっそ離婚して楽になりたいと思います。 でも両親が悲しみますし、何より夫が私と別れたがらないと思います。 本当に私を大事にしたいと思ってるようなので。 そのためにも夫には大人になってもらわなければならないのですが…。 私なりに夫をサポートして、彼が人当たりいい娘婿としてでなく 男性として、人間的として、わたしの両親に認められるよう頑張りたいと思います。