約 794,664 件
https://w.atwiki.jp/sponsor16/pages/1805.html
火ドラ★イレブン あの子の子ども 共通事項 放送時間…火曜23 00〜23 30 絨毯の上にカラー表記 固定スポンサー NOVA 2024年6月25日火曜日 #01[新] 0'30"…NOVA(ロゴは1'30"仕様)、TOY'S FACTORY、永谷園(PT)、KIRIN(キリンビバレッジ・PT)+AC JAPAN(PT) 2024年7月2日火曜日 #02 1'00"…SUNTORY 0'30"…NOVA(ロゴは1'30"仕様)、TOY'S FACTORY、KIRIN(イミューズ) 2024年7月9日火曜日 #03 1'00"…SUNTORY(0'30"=SUNTORY WELLNESS) 0'30"…NOVA(ロゴは1'30"仕様)、KIRIN(イミューズ)、TOY'S FACTORY 2024年7月16日火曜日 #04 1'00"…SUNTORY 0'30"…TOY'S FACTORY、LION、NOVA(ロゴは1'30"仕様) 2024年7月23日火曜日 #05 0'30"…TOY'S FACTORY、NOVA(ロゴは1'30"仕様)、SUNTORY、au(KDDI・PT)、宝くじ(PT) 2024年7月30日火曜日 #06 0'30"…NOVA(ロゴは1'30"仕様)、TOY'S FACTORY、SUNTORY、LION、meiji 明治 2024年8月13日火曜日 #07 0'30"…NOVA(ロゴは1'30"仕様)、M(McDonald's)、TOY'S FACTORY、かっぱ寿司、Red Bull(PT) 2024年8月20日火曜日 #08 0'30"…NOVA(ロゴは1'30"仕様)、アサヒビール、TOY'S FACTORY、OPEN HOUSE、Red Bull(PT) 2024年8月27日火曜日 #09 0'30"…TOY'S FACTORY、MODS CLINIC、東急リバブル、ライフネット生命、NOVA(ロゴは1'30"仕様) 2024年9月3日火曜日 #10 0'30"…ライフネット生命、NOVA(ロゴは1'30"仕様)、TOY'S FACTORY、再春館製薬所(PT)、SoftBank(PT) 2024年9月10日火曜日 #11 0'30"…NOVA(ロゴは1'30"仕様)、TOY'S FACTORY、ライフネット生命、Red Bull(PT)、再春館製薬所(PT) 2024年9月17日火曜日 #12[終] 0'30"…ライフネット生命、FUJIFILM、NOVA(ロゴは1'30"仕様)、TOY'S FACTORY、Red Bull(PT)
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/258.html
国連・表現の自由に関する特別報告者(Frank La Rue氏)による報告書:表現の自由に対する子どもの権利 意見および表現の自由に対する権利の促進および保護に関する特別報告者の報告書 A/69/335(2014年8月21日) 配布:一般 原文:英語 日本語訳:平野裕二〔日本語訳PDF〕 目次 I.はじめに II.特別報告者の活動 III.表現の自由に対する子どもの権利A.国際人権法上の表現の自由に対する権利 B.第13条:表現の自由に対する子どもの権利 C.第12条:自己の意見を自由に表明し、かつその意見を正当に重視される子どもたちの権利 D.第17条:情報にアクセスする子どもの権利 IV.表現の自由に対する子どもの権利の制限 V.表現の自由に対する比例性を欠いた制限の正当化事由として利用される子どもの保護 VI.子どもの表現の自由の促進A.団体を作り、かつ政治に参加する子どもたちの自由の奨励 B.子ども主導型アドボカシーの奨励 C.さまざまな情報源からの情報へのアクセスの確保 D.メディアの自主規制の促進 VII.子どもたちによるインターネットへのアクセスA.比例性を欠いた制限が採用されることについての懸念 B.インターネットの利用に関する子どもたちのエンパワーメント C.調査研究の拡大 VIII.結論および勧告 I.はじめに 1.特別報告者は、人権理事会決議25/2にしたがって提出される本報告書において、表現の自由に対する子どもの権利に焦点を当てる。 2.子どもの権利条約では、子どもを権利の全面的主体として認識することが強調されている。条約にしたがい、子どもが未成熟であることを、子どもから権利を剥奪して当該権利を成人のみが享有するようにすることの正当化事由として利用することは受け入れられない。子どもは、ミニチュアサイズの人権を認められたミニチュアサイズの人間ではないのである。それどころか、条約は子どもの市民的および政治的権利の保護を拡大するとともに、すべての子どもがその人格を可能なかぎり最大限に発達させることを確保するための具体的措置をいくつか掲げている。また、条約にしたがい、表現の自由に対する権利は子どもの成熟にともなって漸進的に行使されるべきである。 3.子どもを害から保護することおよびおとなが子どもを指導する義務の重要性について疑義を唱える者は誰もいない。しかしながら、年齢が低いことおよび相対的に未成熟であることの結果として子どもが直面する可能性のあるリスクが過剰に言いたてられ、表現の自由に対するおとなおよび子ども双方の権利を不当に制限することの弁明として利用されることがあまりにも多すぎる。このような不当な制限は、何が有害情報であるかについての定義の曖昧さおよび幅広さから生じることもあれば、単に学校、家庭および社会一般における権威主義的態度が暗黙のうちに受け入れられていることによって固定化されることもある。 4.インターネットが開発と人権を促進するための不可欠な手段として広く認められるのであれば、インターネットが子どもにとって不可欠な手段であることも理の当然である。しかし、暴力または虐待の目的でこれらの手段を利用することについての懸念が生じている。デジタル・コミュニケーションの利用を広範に制限することおよび検閲を行なうことは、単に受け入れられないのみならず、これらの懸念の解決策としても実効性を持たない。人権規範が求めているのは、コミュニケーションに対する制限が必要性および比例性の厳格な基準に一致する形で行なわれる、バランスのとれたアプローチである。 5.特別報告者は、本報告書で、表現の自由に対する子どもの権利が国際人権条約でどのように規定されているか、子どもの権利条約にとくに注意を払いながら明らかにする。続いて、この権利の実現を妨げている重要な障壁(表現の自由および情報へのアクセスに対する子どもの権利の直接の制限、ならびに、表向きは子どもの保護を目的としているものの実質的に表現の自由に対するおとなの権利も制限している全般的制限を含む)について詳述する。また、表現の自由に対する子どもの権利の保護および促進に関わる若干の経験についても述べる。インターネットが現代社会に与えている未曾有の影響に鑑み、特別報告者は、子どもの権利の促進にとっての新たなテクノロジーの重要性と、この分野で浮かび上がりつつあるいくつかの具体的懸念についても取り上げる。最後に、国際人権法が定める関連の基準に国内法および国内実務を適合させることに関する勧告を行なう。 II.特別報告者の活動 6.(略) 7.(略) 8.本報告書の作成にあたり、特別報告者は、表現の自由に対する子どもの権利に関する関連の研究の検討および専門家との協議を行なった。また、Child Rights International Networkが蓄積した情報も活用している。加えて、特別報告者は、リオデジャネイロ(ブラジル)、フィレンツェ(イタリア)、メキシコシティおよびヨハネスブルグ(南アフリカ)でこの問題に関する専門家協議を開催した。 III.表現の自由に対する子どもの権利 A.国際人権法上の表現の自由に対する権利 9.表現の自由は、市民的および政治的権利に関するすべての国際・地域人権文書に掲げられている [1]。市民的および政治的権利に関する国際規約第19条では、表現の自由に対するすべての者の権利(国境にかかわりなく、あらゆる種類の情報および考えを求め、受けかつ伝える権利を含む)が承認されている。同条に基づき、あらゆる形態の表現およびその普及手段が保護の対象となる(第2項参照)。この権利には、規約第19条第3項および第20条に掲げられた制限に服することを条件として、他者に伝達しうるあらゆる種類の考えおよび意見の通信を行ないかつ受けることも含まれる。 [1] 世界人権宣言第19条、市民的および政治的権利に関する国際規約第19条、欧州人権条約第10条、米州人権条約第13条および人および人民の権利に関するアフリカ憲章第9条参照。 10.子どもも規約に定められたすべての市民的権利から個人として利益を得る [2] にもかかわらず、従来、表現の自由に対する権利は子どもたちと関連づけられてこなかった。ジュネーブ子どもの権利宣言(1924年)および〔国連・〕子どもの権利宣言(総会決議1386 (XIV))など、子どもについて取り上げた従前の国際文書では、子どもは未成熟さゆえに意味のある選択を行なうことはできないという憶測に基づき、この権利に関するいかなる言及もなかった。子どもの権利条約は、子どもの権利および固有の尊厳の保護における分水嶺である。従前の国際法文書とは異なり、条約は、子どもに対するおとなの義務を基盤とするアプローチ(子どもの権利宣言参照)から権利の保有者としての子どもに焦点を当てるアプローチへの、重点の劇的な転換を促している。 [2] Official Records of the General Assembly, Forty-fourth Session, Supplement No. 40 (A/44/40), annex VI, para. 2. B.第13条:表現の自由に対する子どもの権利 11.子どもの権利条約は、表現の自由に対する子どもの権利を宣明した最初の国際法文書である [3]。第13条の文言は、市民的および政治的権利に関する国際規約第19条第2項および第3項の文言を緊密になぞっている。一部の論者によれば、第13条は規約第19条の規定を、子どもに適用するための試みをほとんど行なうことなく「剽窃」したものにすぎないため、それ自体ではほとんど価値がない [4]。しかし、意見を聴かれる権利および情報にアクセスする権利を保護する条約第12条および第17条に掲げられた規定とあわせて読めば、第13条は、表現の自由に対する子どもの権利について、規約第19条による保護よりも優れているとまではいかなくとも、同等の水準の保護を与えているということができる。 [3] 子どもの権利および福祉に関するアフリカ憲章(1999年発効)第7条も参照。 [4] Sylvie Langlaude, "On how to build a positive understanding of the child s right to freedom of expression", Human Rights Law Review, vol. 10, No. 1 (2010), pp. 33-66. 12.第13条では子どもの発達しつつある能力について言及されておらず、また表現の自由に対する権利を行使するための最低年齢もしくは一定の成熟度も定められていない。この意味で、表現の自由には発達の側面があると捉えられてきた。表現の自由の目的は、子どもたちが、社会において他者とともに精神および自分自身を発達させ、かつ公的生活に参加する市民へと成長していけるようにするところにあるからである [5]。子どもの表現の自由は、子どもが自律的に意見を表明する能力を身につけたときまたは子どもがティーンエイジャーになったときから始まるのではないし、そのようなことはありえない。子どもが、事前に機会を与えられることもなく発達し、18歳という魔法の年齢に達した途端に自律的な存在として社会に参加するようになるなどと期待することはできないのである [4]。 [5] Herdis Thorgeirsdottir, A Commentary on the United Nations Convention on the Rights of the Child Article 13 - The Right to Freedom of Expression (Martinus Nijhoff Publishers, 2006). 13.とはいえ、子どもはおとなではなく、子どもが発達しつつある能力を有しているという事実を回避することもできない。子どもの権利条約第5条に掲げられたこの原則は、単純に、子どもの「子どもらしさ」を考慮する必要性と、子どもの発達および権利行使のあり方はおとなのそれとは異なるという事実を反映したものにすぎない。条約第5条に基づいて親および子どもに責任を負う他の者に付与されている役割が示唆するのは、子どもが表現の自由に対する権利を享有する度合いは、実際上、子どもに特化したものではない国際人権文書において同様の文言で表されている権利をおとなが享有する度合いほど幅広くはないということである [6]。表現の自由に対する権利の行使は子どもの成熟とともに拡大する一方、第5条に基づいて親が行なう適切な指示および指導はそれにしたがって後退していく [4]。 [6] Aoife Nolan, Human Rights Law in Perspective Children s Socio-Economic Rights, Democracy and the Courts (Oxford, Hart Publishing, 2011). 14.条約第13条の文言は全体として規約第19条の文言をなぞっているが、一部の規定は省略されている。第一に、第13条には、干渉されることなく意見を持つ権利(規約第19条第1項)が含まれていない。ただしこの権利は、第13条第1項に黙示的に含まれているか、または条約第12条もしくは第14条に包含されていると推論することもできよう [7]。第2に、第13条には規約第19条第3項の第1文(「2の権利の行使には、特別の義務および責任をともなう」)が含まれていない。現代的表現媒体の強力な影響力ゆえに規約に導入されたこの1文を含めることは、子どもの表現の自由との関連では必要ないと判断されたものと思われる [7]。 [7] Sharon Detrick, A Commentary on the United Nations Convention on the Rights of the Child (Martinus Nijhoff Publishers, 1999). 15.表現の自由に対する権利の適用範囲はかなり広い。子どもの権利委員会によれば、条約第13条は、国家に対して行使できるだけではなく、家庭、コミュニティ、学校、公共政策の決定および社会においても行使できる権利を付与するものである [4]。 16.とくに、家庭は、表現の自由に対する子どもの権利の実現におけるもっとも重要な柱のひとつと考えられている。親が子どもの養育および発達について第一次的責任を負っており、かつ子どもの最善の利益を基本的関心事としていることは、広く認められているところである。委員会は、家庭の構造を、子どもが自由な意見表明を学び、それによって社会に参加するために必要なスキルを身につけられるような参加型のものにすることを奨励している。家族構成員の義務には、子どもの意見を聴き、かつそれを真剣に受けとめる義務や、条約上の権利の実現について子どもを支援する義務が含まれる(CRC/C/43/3, paras. 999-1,002〔訳者注/「意見を聴かれる子どもの権利」に関する委員会の一般的討議の勧告、パラ16-19〕参照)。 情報を求める権利 17.情報を求める権利(子どもの権利条約第13条第1項)は、情報、とくに公的機関が保有する情報にアクセスする権利としばしば関連づけられてきた。この権利は、子どもが国内外の多様な情報源からの情報および資料にアクセスできるようにすることを目指す、条約第17条の規定とも密接に関連している。 18.情報を求めることおよび情報にアクセスすることは、子どもの発達にとって必要不可欠であるとともに、社会生活への参加に欠かせない前提条件である。したがって、子どもの権利委員会はこの権利を、公的機関が保有する情報にアクセスできるようにする積極的義務を国に課すものと解釈してきた。自由権規約委員会の見解によれば、この権利を実効あらしめるために、国は、公益に関わる情報に容易に、迅速に、効果的かつ実際的にアクセスできることを確保するためにあらゆる努力を行ない、かつ、ある者が(情報の自由法などの手段により)情報にアクセスできる必要な手続を制定するべきである(CCPR/C/GC/34、パラ19参照)。 情報を受ける権利 19.子どもは、あらゆる種類の情報および考えを受ける権利も有している。子どもの権利委員会がその総括所見および勧告でこの規定に言及することは多くない。打ち立てられつつある原則は、子どもを異なる文化に親しませるための措置がとられなければならないこと、メディアは子どもが他の文明について学ぶのを援助しなければならないこと、および、すべての子どもを対象とした児童文学の刊行、普及および提供を奨励するための措置がとられるべきであることぐらいである [4]。 20.情報を受ける権利は、教育に対する子どもの権利を締約国が承認した第28条、および、子どもの教育においてはとくに子どもの人格、才能ならびに精神的および身体的能力を最大限可能なまで発達させることを目指すものとすると強調されている第29条と、密接に関連している。 情報を伝える権利 21.最後に、子どもは他者に情報を伝える権利を有する。情報を受ける権利の場合と同様、子どもの権利委員会の先例にはこの権利への言及がほとんど見られない。委員会は、たとえば、子どもには子どもの雑誌、テレビその他のメディアに寄与する権利、学校の内外で政治的活動に従事する権利およびインターネット上のチャットルームを開設する権利があると述べている [4]。 許容される制限 22.子どもの権利条約第13条第2項では、表現の自由に対する権利の行使には一定の制限を課することができると明示的に規定し、当該制限を掲げている。子どもの権利委員会は、この権利に対する制限として許容されるものについての包括的先例を発展させていない [4]。ただし、規約第19条第3項の解釈および適用について自由権規約委員会が行なった分析は、表現の自由に対する子どもの権利についても必要な修正を加えて当てはめることができる(CCPR/C/GC/34、パラ21参照)。 23.第1に、制限は公衆がアクセスできる法律によって定められ、かつ、個人が自己の行動をしかるべく規制できるよう十分に精確に定式化されていなければならない。第2に、制限は、第13条第2項(a)および(b)に掲げられた事由、すなわち他の者の権利または名誉の尊重および国の安全、公の秩序または公衆の健康もしくは道徳の保護に基づいてのみ課すことができる [8]。第3に、制限は必要性および比例性の厳格な基準に一致するものでなければならない。 [8] 子どもの権利条約の起草過程においては、制限の正当化事由に追加する形で「子どもの霊的および道徳的福祉」への言及を含めるという提案が、そのような制限を子どもにのみ課すのは不公正となること、および、その問題は情報へのアクセスに関する第17条ですでに扱われていることを理由に却下されている。Sharon Detrick, A Commentary on the United Nations Convention on the Rights of the Child参照。 C.第12条:自己の意見を自由に表明し、かつその意見を正当に重視される子どもたちの権利 24.子どもの権利条約第12条は、国際人権法において他に例を見ない規定である。これは子どもだけが有する権利であって、おとなが有する権利ではない。子どもは、市民的および政治的権利に関する国際規約に明示的に掲げられた、自己に関わるあらゆる状況について意見を表明する一般的権利を有していないためである [4]。子どもの意見に常に耳が傾けられるわけではないという事実が、意見を聴かれる一般的権利を条約に含めることの正当な理由となる。第12条の目的は、おとなが有する全面的自律権を有しない一方で権利の主体でもある子どもの法的・社会的地位に対応するところにある(CRC/C/GC/12、パラ1参照)。 25.同条第1項は、自己の意見をまとめる力のある子どもに対し、自己に影響を与えるすべての事柄に関して自由に意見を表明する権利と、その後、その子どもの年齢および成熟度にしたがって当該意見を正当に重視される権利を付与している。第2項は、自己に影響を与えるいかなる司法的および行政的手続においても意見を聴かれる子どもの権利を定めている。 26.意見を聴かれ、かつ真剣に受けとめられるすべての子どもの権利は、条約の基本的価値観のひとつを構成するものである。子どもの権利委員会は、第12条を条約の4つの一般原則のひとつに位置づけてきた。これは、同条はそれ自体でひとつの権利を定めているというのみならず、他のあらゆる権利の解釈および実施においても考慮されるべきであることを強調するものである(CRC/C/GC/12、パラ2参照)。 27.第12条にしたがい、締約国は、当該権利を自国の法体系において承認する義務、子どもに影響を与えるすべての行動および意思決定プロセスへの子どもの積極的関与を容易にするために適切な機構を整備する義務、および、表明されたこれらの意見を正当に重視する義務を履行する義務を負う。子どもの権利委員会は、子どもの意見に耳を傾けているように見せることは相対的に難しくないものの、子どもの意見を正当に重視するためには真の挑戦が必要であると指摘してきた。委員会によれば、子どもの意見に耳を傾けることは、それ自体が目的とされるべきではなく、むしろ、国が、子どもたちとの交流および子どもたちのための行動において、子どもの権利の実施にこれまで以上の配慮を払うようにするための手段として見なされなければならない(CRC/GC/2003/5参照〔パラ12〕)。 28.表現の自由に対する権利は、第12条に掲げられた、意見を聴かれる権利と混同されることが多い。子どもの権利委員会は、どちらの条文も強く関連し合っているとはいえ、これらの条項は異なる権利を定めたものであって混同されるべきではないと考えている。第12条は、子どもに影響を与える事柄について具体的に意見を表明する権利、および、子どもの生活に影響を及ぼす行動および決定に関与する権利に関連している。この規定が、締約国に対し、子どもに影響を与えるあらゆる行動および意思決定への子どもの積極的参加を容易にし、かつ表明されたこれらの意見を正当に重視する義務を履行するために必要な法的枠組みおよび機構を導入する義務を課している一方、表現の自由は、締約国によるこのような関与または反応を要求するものではない。ただし委員会は、子どもの自由な意見表明を可能とする環境をつくり出すことは表現の自由に対する権利を行使する子どもの能力の構築にも寄与すると考えている(CRC/C/GC/12、パラ81参照)。 29.表現の自由との関連で第12条が有するもうひとつの興味深い側面は、参加が重視されていることである。この文言は同条では用いられていないものの、子どもの権利委員会は、さまざまな機会に、子どもは社会に参加することによって意見を聴かれ、公共の問題に関する見聞を広め、かつ自国の生活において役割を果たせるようになると指摘してきた(たとえばCRC/C/SR.379、パラ55参照)。参加は、家庭、学校および社会一般において奨励されるべきであり、政治的、社会的、経済的および文化的生活に関わるものであるべきであり、かつ、既存の諸制度を通じておよび子どもに特化した機関の創設を通じて行なわれるべきである。子どもの参加権を奨励することの理論的根拠は、子どもの発達を促進するところにある。子どもが学校およびコミュニティの生活に参加する経験を持たなければ、長じて社会の全面的構成員になることは期待できないからである(たとえばCRC/C/SR.277、パラ50参照)。 D.第17条:情報にアクセスする子どもの権利 30.子どもの権利条約第17条は、情報にアクセスする子どもの権利を扱うとともに、そのような情報の提供をマスメディアに対して奨励する際の国の役割について取り上げている。この規定の目的は、子どもが国内外の多様な情報源からの情報および資料(とくに自己の福祉および健康の促進を目的とするもの)にアクセスできるようにすることである。同条は、マスメディアが果たす重要な機能も認めるとともに、第17条に基づく子どもの権利を実施するために締約国がとる必要のある多くの措置を列挙している。これらの権利には、とくに書籍、雑誌、新聞、テレビ、ラジオ番組および図書館を通じて情報を求めかつ情報にアクセスする積極的権利も含まれる。 31.締約国は、第17条(e)に基づき、子どもの福祉に有害な情報および資料から子どもを保護するための適切な指針を発展させるよう求められている。したがって、子どもは成熟にともなってますます広範囲の資料へのアクセスを認められるべきであるが、その発達しつつある能力次第で、発達にとって有害となる可能性がある資料から保護されるべきでもある。委員会の先例では、「有害な資料」の包括的定義は示されておらず、暴力的、人種主義的またはポルノグラフィー的資料への一般的言及が見られる程度である。 32.この権利は、条約第13条に掲げられた、情報を求める権利と密接に関連している。この権利の行使は、子どもが見聞を広め、よって社会生活に参加できるようにすることを目的とするものだからである。子どもの権利委員会は、この権利を充足することは意見を聴かれる権利(第12条)の効果的行使の前提条件であるとも指摘してきた。委員会は、子どもは自己に関わるすべての問題についての、子どもの年齢および能力にふさわしい形式による情報(たとえば子どもの権利、子どもに影響を与える手続、国内法令および国内政策、地元のサービスならびに不服および苦情の申立て手続に関連する情報)にアクセスできなければならないと説明してきた。 33.委員会はまた、メディアが、子どもの意見表明権に関する意識を促進することおよびそのような意見表明の機会を提供することのいずれにおいても重要な役割を果たすとも指摘してきた(CRC/C/GC/12、パラ83参照)。この規定に基づくメディアのその他の義務には、さまざまな情報源からの情報へのアクセスを提供すること、若者が社会に対して行なう前向きな貢献を描くこと、子どものためのサービス、施設および機会に関する情報を普及すること、平等主義的な原則および役割を促進すること、ならびに、ポルノグラフィー、薬物および暴力の描写水準を最低限に留めることが含まれる(総会決議45/112付属文書〔リャド・ガイドライン〕参照)。 IV.表現の自由に対する子どもの権利の制限 34.子どもたちは、子どもの自由なコミュニケーションを認めることのリスクを過剰に言い立て、かつ子どもの主体性を過小評価することの多いパターナリスティックな態度が確立されていることの結果として、表現の自由に対する権利の実現を妨げる特有のハードルに直面している。加えて、子どもたちの権利は、おとなの表現の自由を阻害するすべての障壁の影響も受ける。 35.子どもの権利委員会は、多数の国々に対し、家庭、学校および社会一般を含むあらゆる領域で子どもに対する伝統的態度が残っていることにより、自由な自己表現に対する子どもたちの権利の受容が引き続き遅れていると指摘してきた(たとえばCRC/C/SGP/CO/2-3〔シンガポール〕、パラ33およびCRC/C/ECU/CO/4〔エクアドル〕、パラ40参照)。子どもたちの表現の自由を妨げる障壁は、子どもに対するおとなの権力に疑問が呈されないままの環境においてとりわけ蔓延している。教育現場は、子どもは自分自身の権利、意見および気持ちを有する人間であるという認識と子どもに対するパターナリスティックな見方との間に存在する緊張の一部が、特段のわかりやすさをともなって浮き彫りになる環境である。 36.教育の目的に関する一般的意見1号のパラ8で、子どもの権利委員会は次のように述べている。 「子どもは校門をくぐることによって人権を失うわけではない。したがって、たとえば教育は子どもの固有の尊厳を尊重し、かつ第12条第1項にしたがった子どもの自由な意見表明および学校生活への参加を可能にするような方法で提供されなければならない」 37.しかしながら、多くの国では、教育とはおとなが子どもをあらかじめ定められた形に成型するための手段であるという考え方のゆえに、子どもたちが自由な自己表現の権利を否定されている。このことは、たとえば生徒に学校の運営方法についての意見表明をさせないことが多い、権威主義的な学校環境および教育手法の蔓延(CRC/C/KOR/CO/3-4〔韓国〕、パラ40参照)に明らかである。場所によっては、意見を発展させかつ表明するよう子どもに奨励する参加型の教育手法ではなく、暗記学習が引き続き標準とされているところもある(CRC/C/15/Add.148〔サウジアラビア〕、パラ39)。 38.生徒が団体を作ることおよび政治的意見または論争を招きかねない意見を表明することを認めていない学校は多い。1969年のティンカー対デモインズ独立コミュニティ学校区事件(Tinker v. Des Moines Independent Community School District)は、おそらく子どもの表現の自由の保護に関する最初の重要判例であろう。1965年12月、3人の生徒(13歳、15歳および16歳)が、ベトナム戦争に抗議するため、平和のシンボルをあしらった黒い腕章を着けて学校に行くことを計画した。その抗議の計画を耳にした地方学校当局は、学校における腕章の着用を禁止し、関与した生徒らを停学にした。生徒らはアメリカ自由人権協会の支援を得て裁判所に不服申立てを行ない、その申立ては、1969年、アメリカ合衆国最高裁判所によって認められた。 39.司法制度は、根深い権威主義的慣行を修正するうえでしばしば重要な役割を果たす。いまのところ、表現の自由および情報へのアクセスに対する子どもの権利を確認した裁判所の決定例はほとんどない。しかし、とくに米国では教育現場における実例が増えつつある。たとえば、フロリダのある高校生は、学校でゲイの権利を支持するいかなるシンボルも着用してはならないとされた。校長が、虹をあしらったいかなるシンボルも生徒にゲイの人々のセックスを連想させると考えたためである。連邦裁判所判事は、前述のティンカー事件判決を引用した決定で、学校は当該生徒の権利を侵害したと判示した [9]。 [9] American Civil Liberties Union, "Federal judge rules that students can t be barred from expressing support for gay people" (13 May 2008). 40.生徒が運営する刊行物は、生徒が意見を表明できるもうひとつの重要な手段である。これらの刊行物は、若者にとっての関心事であり、おとなが議論に居心地の悪さを覚えるかもしれない問題についての報告が掲載されることから、支援の供給源となる。しかし、生徒の記事は、ティーンエイジャーの妊娠や親の離婚の影響等の問題を取り上げているという理由で検閲の対象とされてきた。生徒によるソーシャルメディアへの投稿もますます監視の対象とされるようになっており、場合により、子どもが学校の批判を投稿したという理由で退学になることもある。 41.文化的活動への子どものアクセスも、正当な理由なく検閲の対象とされる場合がある。1993年のドゥンドゥズ・チシザ対ケイト・カインジャ大臣事件(Dunduzu Chisiza Jr. v. Minister Kate Kainja)で、マラウィの裁判官は、公立学校で独立系グループが行なうすべての劇その他のパフォーマンスを禁じるのは表現の自由の侵害であると異議を申立てた役者の申立てを認容した [10]。一部の学校が宗教的理由で音楽の自由を禁じているという報告もある。 [10] Article 19, "Kid s talk freedom of expression and the UN Convention on the Rights of the Child" (1999)参照。 42.学校カリキュラムの内容の制限も、多様な情報源からの情報に対する子どものアクセスに影響を及ぼす場合がある。これとの関連で、学校管理者が支持する考えに逆行する考えを記載した書籍および教材が禁じられることも、もうひとつの懸念事項である。たとえば、1982年の教育委員会対ピコ事件(Board of Education v. Pico)で、米国の裁判所は、思想上の理由で書籍を学校図書館から取り除くことはできないと判示している。 43.情報を直接禁止することに加え、一部の学校カリキュラムでは、歴史に関する偏った見方または特定の集団(女子、セクシュアルマイノリティ、民族的マイノリティまたは障害のある子どもなど)に対する偏見のある見方が提示される場合もある。自分自身の意見を形成する子どもの自由に悪影響を与え、かつ逆に差別を固定化させることにつながる可能性があるこのような状況については、さまざまな国連条約機関が各国に対する勧告のなかで提起してきた。 44.この問題については欧州社会権委員会も取り上げている。同委員会は、2009年、性教育を取り上げたクロアチアの学校カリキュラムが性的指向を理由とする差別を行なっていると認定した。同委員会は、カリキュラムに掲げられた一部の説明は同性愛者にスティグマを付与するものであり、かつ否定的な、歪められた、非難されるべき、かつ品位を貶めるステレオタイプに基づいていると指摘している [11]。 [11] International Centre for the Legal Protection of Human Rights v. Croatia. 45.表現の自由に対する子どもの権利を制限することの影響は、校門の内側には留まらずに公的生活にも及ぶ。子どもたちは、おとなとまったく同様に、政治的意見を表明したことを理由に過度の暴力または恣意的拘禁の対象とされる可能性がある。たとえば、子どもの権利委員会は最近、シリア・アラブ共和国に対し、南部の街であるダルアで、校舎の壁にペンキで反政府的な落書きを行なったとして罪に問われた8~15歳の児童生徒の集団が逮捕および隔離拘禁の対象とされたこととの関連で、このような人権侵害があったことを強調した(CRC/C/SYR/CO/3-4、パラ46参照)。ベラルーシに対しても、2010年12月の大統領選挙との関連で行なわれたデモの際に青少年が拘禁されたことについて懸念を表明している(CRC/C/BLR/CO/3-4、パラ35参照)。 46.法律による比例性を欠いた制限は、おとなおよび子ども双方の権利への干渉となる。これには、たとえば表現の自由は「イスラムの原則」に照らして解釈しなければならないという要件を引用する曖昧な文言の制限条項を掲げた法律や、安全保障に対するリスクの過度に広範な解釈が含まれる。これは、子どもの権利条約第13条第2項および第15条に定められた制限を超える可能性がある(CRC/C/15/Add.254〔イラン〕、パラ40およびCRC/C/PRK/CO/4〔北朝鮮〕、パラ27-28参照)。 47.平和的集会に対する子どもの権利の不当な制限には、子どもの表現の自由を妨げる一般的な障壁の一部が反映されている。平和的集会および結社の自由に対する権利に関する特別報告者は、最近の報告書で次のように指摘している。 「若者が一部のデモに参加することについて安全上の懸念があることもあろう。しかし、……マレーシアの法律のような法律〔15歳未満の子どもはデモに参加できないとするもの〕は、そのような懸念に具体的に対応するのに十分なほど限定されたものとなっていない。むしろ、特定の年齢の個人を対象とする全面的禁止は、住民のある層全体について平和的な集会に参加する権利を例外なく消滅させるものであって、子どもの権利条約第15条に反している」(A/HRC/26/29、パラ24参照) V.表現の自由に対する比例性を欠いた制限の正当化事由として利用される子どもの保護 48.分野によっては、一部のタイプの情報へのアクセスに関して子どもの安全および福祉を懸念すべき正当なかつ理解できる理由が存在する場合もある。たとえば、多くの国は、とくに子どもの保護を目的として放送(とくにテレビ)を規制している。国による規制にはたとえば何らかの年齢別放送制限システムが含まれ、かつそのシステムを執行するための独立機関が設置されていることが多い。子どもにはふさわしくないと一般的に考えられている内容には、性的に露骨な内容、暴力および攻撃的言葉が含まれる。ただし、規制はメディアの自由に相当の影響を与えかねない。そのうえ、何が有害な情報にあたるかの定義は主観的なものである。したがって、子どもの保護を目的とするあらゆる規制および当該規制を執行するために設けられた機構は、おとなおよび子ども双方の権利を縮小させる比例性を欠いたまたは恣意的な制限が課されることを防止する目的で、開かれた、かつ透明なやり方で定期的に再検討することが求められる。さらに、これらの規制の執行を委ねられた機関の独立性を確保することはきわめて重要である――たとえば当該機関の構成に関する規則は、とくに政治的勢力または経済的利害によるいかなる干渉からも保護されるような形で定めることが求められる。 49.たとえばインターネットのフィルターの設定方法の決定にあたって有害な情報を曖昧かつ広範に定義すれば、結果として、十分な情報に基づく決定を行なうための支えとなりうる情報(性教育および薬物の使用等の問題に関する誠実な、客観的なかつ年齢にふさわしい情報を含む)に子どもがアクセスできなくなりかねない。これは、リスクに対する子どもたちの脆弱性を軽減するのではなくむしろ悪化させてしまう可能性がある(さらに詳しくはインターネットについて取り上げた後掲VII参照)。 50.有害な資料から子どもを保護するために事前検閲を行なうことは、国際人権基準に逆行する比例性を欠いた制限の一例である。たとえば、『最後の誘惑』(オルメド・ブストスほか)対チリ事件(The Last Temptation of Christ (Olmedo Bustos et al) v. Chile)において、米州人権裁判所は、チリ政府が子どもの道徳を保護するためにマーティン・スコセッシの映画『最後の誘惑』を禁止したことは米州人権条約第13条(思想および表現の自由)の違反であったと判示した。同裁判所は、判決理由として、映画館への子どもの入場を規制することなど、事前検閲よりも制限度の低い措置をとることによって子どもを保護することは容易であったと述べている。 51.事前検閲に関するより最近の判例(南アフリカ印刷媒体連合ほか対内務大臣ほか〔Print Media South Africa and Another v. Minister of Home Affairs and Another〕事件)で、南アフリカ高等法院は、南アフリカ映画および出版物法(1996年法律第65号)の改正は表現の自由に対する憲法上の権利を侵害していると宣言した。同改正は、子どもが年齢にふさわしくない資料に接することを防止し、かつ児童ポルノを禁止する目的で、出版者に対し、出版物を提出して事前の承認を得るよう(若干の例外を除いて)要求するものであった。同決定は、事前抑制システムについての懸念ならびに出版物の分類に関する曖昧かつ過度に広範な基準についての懸念を指摘している。 52.子どもを保護しなければならないという主張は、情報への子どものアクセスのみならずおとなの権利に対する制限をも正当化するために子どもがますます利用されるようになってきているという、新たなパターンの一部となっている。多くの場合、制限は、子どもを有害な情報から保護したいという、真摯なかつ善意に基づく願いに根ざしたものであるが、差別および検閲を擁護するために子どもが利用される場合もある。 53.もっとも憂慮されるのは、子どもを保護しなければならないという主張が、たとえばレズビアン、ゲイ、バイセクシュアルおよびトランスジェンダーに関する問題についての情報へのアクセスを妨げるために、またそれによってセクシュアルマイノリティへの差別を正当化するために利用されていることである。ロシア連邦では、子どもを有害な情報から保護する行政法の改正が2013年7月に施行され、子どもたちの間で「伝統的ではない性的関係を宣伝すること」が違法化された [12]。平和的集会および結社の自由に対する権利に関する特別報告者は、他の委任受託者らとの合同声明で当該法についての懸念を公に表明した。子どもの保護を理由としてロシアの反同性愛者法を正当化しようとする論拠は、欧州人権裁判所によっても、2011年のアレクセイエフ対ロシア事件(Alekseyev v. Russia)において拒絶された。このような批判にもかかわらず、他の国々も追随している。ウクライナでは、2013年、子どもを対象とする「同性愛関係の宣伝」を禁止する法案を議会が検討するべきである旨の勧告が行なわれた [13]。同法案では、「宣伝」は、同性間の関係に関する情報の拡散を目的としたあらゆる公的な活動と定義されている。2014年6月には、キルギスタン議会の人権委員会が、「伝統的ではない性的関係に対する肯定的な態度の形成を目的とした」情報の普及を犯罪化する法案を承認した [14]。 [12] ロシア連邦法第135-F3号(2013年7月29日)参照。 [13] 子どもを対象とする同性愛関係の宣伝の禁止に関する法案第1155号(2011年6月)参照。 [14] 子どもの健康または発達にとって有害な情報からの子どもの保護に関する法案(2014年)参照)。 VI.子どもの表現の自由の促進 54.表現の自由に対する子どもの権利の保護することとは別に、国は子どもの表現の自由を促進する義務も負っている。子どもの表現の自由を保障するためにおとなが組織する音楽、芸術および演劇等の活動への子どもの参加を奨励するだけでは十分ではない。子どもたちは、処罰を恐れることなく、自分たちの意見を口頭またはその他の手段で詳しく述べる、満足に足る機会および空間を持てるべきであり、かつ多様な情報源からの情報に国境を越えてアクセスできるべきである――このことは、すべての子どもに対し、差別なく適用される。このような積極的義務は、公立図書館、音楽指導等の活動および遊び場等の施設のための資金が真っ先に削減されることの多い経済危機の際にも留意されるべきである。子どもたちの表現の自由を積極的に促進するために考えられる方法の若干例を以下に示す。 A.団体を作り、かつ政治に参加する子どもたちの自由の奨励 55.若者市長制から子ども議会に至るまで、子どもたちが政治に参加するための仕組みがますます用意されるようになりつつある。アイスランドでは、財政危機後の2008年、市民による憲法の書き換えを行なうことが合意された。この一環として、憲法改正プロセスで子どもおよび若者の意見も考慮されることを確保する目的で「若者憲法プロジェクト」が設置された。ドミニカ共和国では、学校における安全な飲料水の供給等の問題を扱う自治会評議会が創設され、若者による選挙でその構成員が選ばれている。 56.政治に新たな世代の子どもたちの関与を得ることは、政治文化を刷新し、かつ選挙への参加を増進させるために役立つ。最低投票年齢を16歳に引き下げた国もいくつかあるが、これは、子どもたちの意見の正当性を公的に認め、かつ子どもたちの政治参加を奨励することにつながる前向きな一歩である。あらゆる年齢の子どもたちが、自ら希望するのであれば、公共政策に関する政治的プロセスおよび協議に何らかの形で関与する機会を与えられるべきである。 B.子ども主導型アドボカシーの奨励 57.子どもたちが主導するキャンペーンは、重要な議論を喚起し、かつ社会全体に利益をもたらしてきた。子ども主導型アドボカシーの取り組みを展開する際には学生連合が中心的役割を果たすことが多い。たとえば2011年には、チリの高校生および大学生数千人が法外な教育費負担への抗議を行なった。これらの学生による動員の政治的影響は、チリの教育制度に関して続けられている議論のなかで引き続き感じられている。教育費負担に対する同様の学生による抗議はいくつもの国で行なわれてきた。 58.韓国では、教育制度内の権威主義的慣行に反対する大規模な社会的動員を高校生が進めてきた。生徒によって喚起された公的議論の結果、2012年、ソウル特別市議会は児童生徒権利条例を採択した。これは、とくに生徒の抗議権、体罰の禁止、宗教的活動への参加義務の撤廃ならびにレズビアン、ゲイ、トランスジェンダーである生徒ならびに妊娠した生徒の差別からの保護を確保するものである。この動員の流れで韓国の生徒により結成された韓国青少年権利行動は、引き続き生徒の積極的活動を推進している。 59.英国の13歳の少年は、自分が通う学校の差別的な服装規則(夏期に女子のスカート着用を認めながら男子の短パン着用は認めない)に反対して立ち上がった。クリス・ホワイトヘッドは、男子のスカート着用は禁じていないという、制服に関する学校方針の抜け穴を利用した。仲間の生徒約30名が抗議に加わり、これがきっかけとなって学校は政府に関する方針を見直した。一方、クリス・ホワイトヘッドは自由人権賞候補にノミネートされた [15]。 [15] Lucy Sherrif, "Chris Whitehead, schoolboy who wore skirt to school, up for human rights award", Huffington Post (21 November 2011). 60.インドでは、「児童婚に反対する女子クラブ」ネットワークのメンバーが、若年婚の有害な影響に関する啓発活動を行なうことにより、娘を幼くして婚姻のために手放すことがないよう家族を説得する支援をしている。このような活動は、家族の圧力に抵抗したいと考える女子だけではなく、ジェンダーを基盤とする期待にさからえば娘が排斥されたままになると恐れる親にとっても命綱となっている [16]。 [16] Melanie Kramers, "Indian girls persuade parents they are too young for marriage", Guardian, 29 June 2011. C.さまざまな情報源からの情報へのアクセスの確保 61.子どもたちが自分自身の意見を形成し、かつ見識および責任のある市民になれるようにするためには、さまざまな情報源からの情報にもアクセスできなければならない。このようなアクセスは、多くの子どもたち、とくに孤立したコミュニティで暮らす子どもおよび自由を奪われた子どもにとっては限られたものとなっている。子どもの権利委員会も、マイノリティ集団にとっての情報のアクセス可能性(情報がこれらの集団のニーズに十分に関連しておらず、またはこれらの集団自身の言語でアクセスできるようになっていない可能性)および障害のある子どもにとっての情報のアクセス可能性の問題を提起してきた。 62.委員会は、「子どもとメディア」に関する一般的討議をもとにまとめられた勧告において、子ども向けの書物、雑誌、演劇その他の形態の表現の制作および普及を確保するための国による予算的支援の重要性および国際協力を通じた援助の重要性を確認している(CRC/C/15/Add.65、パラ256)。コミュニティ放送および公共放送への投資は、多様な情報源からの情報へのアクセスを促進するうえで、また子どもたちの声をメディアに反映させるうえで中心的役割を果たすことが多い。たとえばアルゼンチンでは、通信および視聴覚サービス法により、公共放送機関を対象として、子どもたちのための、および商業放送によって軽視されているその他の層のための番組を放送する時間を確保する義務が定められている。同法の実施の監督を委ねられている公的機関は、通信および視聴覚サービスについて議論するための公聴会(子どもたちを対象とするものを含む)を推進している。また、最近では、生徒が主導して自分たちの学校で行なうラジオ放送活動も支援してきた。さらに、アルゼンチン教育省は、コンテンツ制作への子どもの積極的参加を通じたものも含む、子どもに配慮した教育番組制作の促進を目的としたチャンネルの開設を支援している。 D.メディアの自主規制の促進 63.予算的支援を提供することに加え、国は、メディア団体に対し、子どもたちの取り上げ方および関与のさせ方に関する自主規制を奨励することができる。国際ジャーナリスト連盟は子どもに関連する問題についての報道に関する指針案および原則案を策定してきたが、これは70か国のジャーナリズム団体によって採用されている。これには、ステレオタイプの使用および子どもが登場する話のセンセーショナルな提示を回避することについての規定も含まれている。 64.子どもたちはメディアへの参加権も有しており、刊行物のなかには完全に子どもたちによって運営されているものもある。前述の一般的討議をもとにまとめられた勧告で、子どもの権利委員会は、メディアに対する子どもたちの参加権を促進しながら、生徒はメディアとの関わりおよびメディアの活用を参加型の方法で実践し、かつ広告を含むメディアのメッセージの解読方法を学習できるようにされるべきであると主張している(CRC/C/15/Add.65、パラ256)。 VII.子どもたちによるインターネットへのアクセス 65.インターネットは、世界のすべての地域に住む子どもたちおよびおとなの、迅速かつ安価にコミュニケーションをとる能力を劇的に向上させてきた。そのためインターネットは、子どもたちが表現の自由に対する権利を行使するための重要な手段のひとつであり、また子どもたちが他の権利(教育、結社の自由ならびに社会的、文化的および政治的生活への全面的参加に対する権利を含む)を主張するのに役立つツールになりうる。インターネットはまた、子どもたちを含むすべての市民の関与が必要とされる開かれた民主的社会の発展にとっても不可欠である。しかし、インターネットの規制をめぐる議論では、子どもによるインターネットへのアクセスと関連した潜在的リスクについても突出した形で取り上げられ、保護のための政策において、インターネットが有するリスクにもっぱら焦点が当てられて、インターネットが子どもたちのエンパワーメントにつながる潜在的可能性は見過ごされる傾向がある。さらに憂慮されるのは、子どもを保護したいという真の思いからか、または検閲の隠れみのとしてかにかかわらず、比例性および有効性を欠いた措置(すべての人を対象としてオンライン上のコミュニケーションを阻害する、広範で配慮を欠いたフィルタリングおよびブロッキングのシステムなど)を利用する国もあることである。 66.インターネットが広がったことにより、数百万人の人々が前例のない規模で学習、発信およびコミュニケーションをすることができるようになった。インターネットは、学校における双方向的利用の可能性およびそこで利用可能とされる広範囲の情報を通じ、大いなる教育的利益を提供しうる。たとえばウルグアイの「プラン・セイバル」(Plan Ceibal)は、教育制度を通じてインターネットへのアクセスを促進する注目すべき実例である。より具体的には、子どもの権利委員会が提案するように、インターネットは、通学することのできない子どもたちに対し、インターネットに依拠した移動学校プログラムを通じて教育を提供できることから、教育において重要な役割を果たす(CRC/C/GC/11、パラ61)。 67.インターネットはさらに、若者が公の議論に参加するための他に例のない経路となる。たとえば米国では、17歳の少年が、学校で同性愛について話し合うことを教師に禁ずる法案に抗議するためのツイッター・キャンペーンを組織したという [17]。 [17] Shira Lazar, "Is it okay to say gay? Devon Hicks protests Tennessee bill", Huffington Post, 25 May 2011. 68.ソーシャルネットワーキングサイトも、人間関係を育み、かつ情報交換および交流を容易にする手段として、子どもたちにとってますます重要なものとなっている [18]。子どもたちの報告によれば、ソーシャルネットワーキングは、創造性を助長し、仲間の好みを参考にした選択および意見形成を可能にし、議論を促進し、かつオフラインでは利用できない自己表現の場を提供してくれるものである [19]。これらのサイトは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルおよびトランスジェンダーのコミュニティなど、このような場がなければ孤立感を覚えるかもしれないマイノリティ集団のメンバーにとってとりわけ重要な役割を果たす可能性がある [18]。 [18] UNICEF Innocenti Research Centre, Child Safety Online Global Challenges and Strategies (May 2012). [19] Child Exploitation and Online Protection Centre, Understanding Online Social Network Services and Risks to Youth Stakeholder Perspectives (2006). 69.とはいえ、インターネットの利用には子どもたちにとって若干のリスクがともなうのも事実である。インターネットの利用に関連するリスクとして広く認知されているものには、ポルノグラフィ―的資料にさらされること、ネット上での性的勧誘およびネットいじめなどがある。 70.たとえば性的搾取の場合、テクノロジーの進歩(インターネット接続の高速化や、インターネットサービスプロバイダを迂回する新たな資料伝達方法を含む)により、児童虐待をともなう画像の共有が容易にされてきた。ネット上での性的勧誘にもインターネットが用いられているが、現在では、性的虐待を行なう目的で子どもまたは若者と「仲良く」なり、オンライン上で性的接触を図ることまたは実際に会うことがその目的となっている [18]。犯罪者は、このような目的で、チャットルーム、ソーシャルネットワーキングサイトおよびインスタントメッセージのようなオンライン上のフォーラムを利用することが多い。これにより「伝統的なプライバシーの境界が解体され」、子どもたちがリスクにさらされる結果が生じている [18]。最後に、最後に、ネットいじめとは、情報通信技術を通じておとなまたは他の子どもが行なう心理的いじめおよびいやがらせと理解されている。ネットいじめは、脅迫および威嚇、いやがらせ、ネットストーキング、中傷および名誉毀損、排除または仲間からの拒絶、なりすまし、私的な情報または画像の勝手な公表ならびに自分の思い通りに行動させようとすることなど、さまざまな形態をとりうる。これは、ただでさえ社会のなかで弱い立場にあると考えられている集団にとってはとりわけ問題である [18]。 A.比例性を欠いた制限が採用されることについての懸念 71.インターネットはすべての子どもにとって危険であるという一般的な恐怖心は誤解につながりやすく、インターネットは特定の状況下で有害にも有益にもなりうるという現実を過度に単純化している。オンライン上のリスクに対する子どもたちの脆弱性をより幅広い社会的・文化的視点から理解することにより、これらの懸念がどのような性質のものであり、かつそれをどのように捉えるべきかについて、より深い知見を得ることが可能である。子どもたちによるインターネットの利用状況、その行動およびリスクに対する脆弱性は年齢によって異なり、かつ個々の子どもによっても変わってくる。保護のための措置は、子どもおよびおとなに同様に悪影響を与える絶対的ブロックまたは検閲の措置を利用するのではなく、子どもたちの発達しつつある能力を認めようとするものでなければならない [18]。 72.平和的集会および結社の自由に対する権利に関する特別報告者はかつて、インターネットに対する制限が増えていることを懸念とともに指摘していた。たとえば、活動家および批判者を標的にして沈黙させ、かつ合法的表現を犯罪化する目的でオンライン上の活動のブロックおよび監視を行なうことなどである――一部には、政府がそのような措置を正当化するために制限的法律を制定したケースもある(A/HRC/17/27、パラ23参照)。このような制限は透明性を欠く形で課されることが多いため、検閲問題の報告が困難になる。さらに、たとえ若干の水準の制限は正当化される場合があるとしても、不法な内容以外の資料を一括して禁ずることは保護という目的との関係で比例性を欠く(前掲、パラ44)。それどころか、そのような措置は、表現の自由に対するおとなの権利を過度に制限してしまうことから、オンライン上のリスクに関する議論を抑止することで子どもたちをいっそう危険な状況に置いてしまうことに至るまでの、意図しない影響ももたらす。 73.特別報告者は、親および学校当局が、インターネットへの子どものアクセスを管理するためのソフトウェアを利用し、かつオンライン上の安全について子どもたちを指導することができる場合、国の関係機関による全面的禁止は必要とされないと指摘している(A/HRC/17/27、パラ27参照)。それどころか、国の関係機関がそのような広範な禁止を決定することは、インターネットへの子どものアクセスに関する判断権を親および養育者が行使することの妨げとなるので、子どもの権利条約第18条と両立しない。加えて、自主規制戦略に関してコンテンツ提供者を援助するためのプロジェクトもいくつか進行中である。 74.子どもたちによるインターネットの利用状況に関する理解が限られているために、子どもの保護を目的とした、より制限的なアプローチがしばしば採用される [20]。実のところ、子どもおよび若者の圧倒的多数は、オンライン上の自分たちの振舞いが被害または危害につながるとは考えていない。子どもたちはすでにインターネットから身を守るためのさまざまな戦略を活用しており、これにはオンラインまたはオフラインの友人に相談すること、望まないコンテンツをブロックしまたは無視すること、プライバシー設定を変更することなどが含まれる [18]。調査によれば、親および教師がインターネットのことをよく知らない場合に、子どもたちはオンライン上でよりリスクの高い振舞いをすることが明らかになっている [20]。逆に、親が十分な情報を得ており、積極的に関与しようという姿勢を有しており、かつインターネットおよび自分の経験について子どもたちと話し合うことこそ、より安全なオンライン経験を確保するためのもっとも強力な保護措置であることも、証拠により示唆されているところである [18]。このことは、親および養育者がとる措置のほうが、広範な制限を課すことに傾斜する現在の傾向よりも、子どもたちを保護するうえでより効果的であることを示唆していると思われる。 [20] Sonia Livingstone and Monica E. Bulger, "A global agenda for children s rights in the digital age recommendations for developing UNICEF s research strategy" (September 2013). B.インターネットの利用に関する子どもたちのエンパワーメント 75.インターネットを含む情報通信技術が、安全も促進しつつ子どもたちの権利および発達を促進するような方法でこれらの技術を活用できるように子どもたちのエンパワーメントを図るという観点から規制されかつ監視される環境をつくっていく必要がある(CRC/C/GC/13参照)。欧州委員会による「子どもたちのためのインターネットの改善に関する欧州戦略」は、オンラインにおける子どもたちの安全を向上させるための戦略の有益な実例である [21]。ただし、エンパワーメントとは、インターネットを子どもたちにとってより安全な空間にするというだけの話ではない。インターネットがどのように情報アクセスツールおよび子どもたちの批判的思考を支援するツールとなっているかという点に注意を向けることも必要である。 [21] Brian O Neill, "Policy influences and country clusters a comparative analysis of Internet safety policy implementation" (London School of Economics, 2014) も参照。 76.子どもたちのエンパワーメントには、子どもの発達しつつある能力を念頭に置きながら子どものインターネット利用を支援するための、親を対象とした訓練および子どもとともに働く専門家を対象とした訓練が含まれなければならない [18]。オンライン上の安全および子どもの発達にとって有益な情報を紹介する積極的方法のひとつは、情報通信技術に関する学校方針の策定に子どもたちの関与を得る等のやり方も含め、学校カリキュラムを通じてそれを行なうことである。非政府組織および公共通信(ラジオなど)は、学校に行っていない子どもたちに対して同様の支援を提供することができる [16]。子どもの安全を確保するための取り組みの例をいくつか挙げるとすれば、「セイファーネット・ブラジル」、「スロバキア・セイファーインターネット・センター」、ベネズエラ・ボリバル共和国の「マノス・ポル・ラ・ニニェス・イ・アドレッセンシア」(子ども・青少年のための手)などがある。 77.インターネット上の保護およびインターネット利用促進のための戦略を策定する際には、子どもたちのニーズを満たし、かつ子どもたちがすでに用いている多様な知的戦略および創造的戦略を活用するために子どもたちの関与を得ることが、とくに子どもおよび若者は最新技術にいっそう親しんでいる傾向があるだけに、重要である。このような関与戦略は、信頼関係の構築および開かれたコミュニケーションの奨励にも役立ちうる。子どもの権利委員会は、すべての国が、保護のための子どもにやさしいヘルプラインをともなった、アクセスしやすく子どもにやさしい通報制度を設置するよう勧告している(CRC/C/GC/12、パラ120参照)。 C.調査研究の拡大 78.子どもの権利の行使におけるインターネットの役割を明らかにするためには、とくに、子どもがインターネットをどのように利用しているか、子どもはインターネットの安全な利用法をどのように学習しうるか、および、どのようにすれば親、養育者および国はインターネットを破壊的なツールではなく肯定的なツールとしてとらえられるかということとの関連で、いっそうの調査研究が実施されなければならない。また、インターネットについて現在行なわれている利用制限を注意深くかつ批判的に検討することにより、子どもおよびおとなにとっての潜在的悪影響を明るみに出し、インターネット上の安全に関わる懸念の実際的解決策を奨励し、かつインターネットにおける子どもたちのための機会を最大化することも重要である。 VIII.結論および勧告 79.表現の自由に対する子どもの権利は、すべての子どもの権利の保護にとって画期をなした子どもの権利条約を含む国際人権条約によって十分に確立された権利である。実際上、子どもたちを権利の全面的主体として承認すること――条約に掲げられた理念――は、法律、政策および態度の転換を必要とする。表現の自由に対する子どもの権利を尊重し、保護しかつ促進することは、このような転換の中核である。 80.世界人権宣言と市民的および政治的権利に関する国際規約は、第19条で表現および意見の自由に対する権利を定めているが、この権利を享有するのはもっぱらおとなであるとは述べていない。それどころか、規約前文では、国際連合憲章において宣明された原則にしたがい、人類社会のすべての構成員の固有の尊厳および平等のかつ奪いえない権利を認めることが世界における自由、正義および平和の基礎をなすものであると定められている。前文ではまた、これらの権利がすべての者に固有の尊厳に由来するものであることも認められている。 81.子どもの権利条約が世界のほぼすべての国によって批准されたにもかかわらず、表現の自由に対する子どもの権利を実効あらしめるためにとられた措置はあまりにも少なく、子どもたちにとってのこの権利の実現を妨げる多くの障壁が依然として残っている。学校および家庭では、異議を申し立てられないままの権威主義的な態度がおとなと子どもとの関係を形づくっていることが多い。より憂慮されるのは、通信技術の進展とともに一部の国が表現の自由に対する比例性を欠いた制限を採用し、それを、実質的に子どもおよびおとなの権利を制限するものでありながら、子どもたちを危害から保護するための措置として打ち出していることである。 82.国が子どもたちを保護する基本的義務を負っていること、および、子どもに指導を行なうのがおとなの義務であることは明らかである。しかし、子どもの保護と表現の自由を対立する目標として扱ってはならない。逆に、子どもたちが優れたコミュニケーションスキルを発達させ、かつ新たなテクノロジーの積極的活用を学べるよう支援することによってこそ、危害から身を守る子どもたちの能力を増進させることができるのである。 83.子どもたちはおとなと同じ成熟度に達していないかもしれないが、子ども時代とは変化のプロセスであり、その過程で成熟が徐々に進んでいく。意見を発展させかつ明確に表現する能力は、人生の最初期の段階から開始される学習プロセスより生じるものであり、当該プロセスの完遂のためには適切な尊重および奨励が必要である。子どもを危害から保護する義務の懈怠が重大なリスクをもたらすとすれば、子どもたちがその精神、批判的思考および意見を発達させる余地を否定することも同様の結果につながる。特定の事柄に関する情報を奪い、かつ公的議論への参加を禁止することは、子どもたちの孤立および政治的疎外を強化させるだけになりかねない。子どもが意見を聴かれる権利を行使できるようにすることは、義務であるだけに留まらず、保護措置の有効性の増進にとってもきわめて重要なのである。 84.国は、あらゆる公共政策の最前線に子どもの最善の利益という目標を据え続けることをけっして忘れてはならない。これには、子どもたちを危害から保護するための規制の規範を確立することとともに、同時に、すべての規範において表現の自由に対する権利に関連する国際基準が遵守されるようにすることが含まれる。 85.特別報告者は、各国が次に掲げる措置をとるよう勧告する。 子どもの表現の自由に対する不当な制限を撤廃する目的で法令および政策を見直すこと 86.国は、国際人権基準との一致を図る目的で、子どもの自己表現の権利および情報へのアクセス権を制限する国内法令および国内政策を改正するべきである。おとなまたは子どもの表現自由を制限するいかなる法律においても、この権利の制限について確立されている3つの基準、すなわち曖昧さのない法律による規定、正当な目的の追求ならびに必要性および比例性の原則の尊重も遵守されなければならない。 87.国は、放送活動、インターネットおよび他のあらゆるメディアにおける子どもの保護についての法令を注意深く改正するべきである。たとえば、放送活動における子どもの保護のための番組類別制度は受け入れられるが、いかなる特定の表現についても、それが公表される前に事前検閲の対象とすることは受け入れられない。通信に関する規則の執行権限を与えられた機関の独立性は、政治的および経済的干渉から保護されるべきである。 88.国は、子どもの主体性の促進において学校が中心的位置を占めることに鑑み、教育制度における権威主義的な規範および実践を取り除くことに特段の注意を払うべきである。 表現の自由に対する子どもの権利を促進すること 89.国は、表現の自由に対する子どもの権利(情報へのアクセスを含む)をあらゆる場面で積極的に促進するべきである。家庭、学校および社会一般を含むあらゆる領域で見られる、子どもたちへの伝統的な権威主義的態度に異議を申し立ててもよい。とくに国は、子ども主導の活動のための回路の創設に注意を払うべきである。 90.国は、子どもたちが学校で多様なコミュニケーション形態(口頭、文書およびあらゆる形態の芸術を含む)を用いることを奨励するべきである。学校カリキュラムにおいて、社会的コミュニケーション、メディアおよびジャーナリズムについての知識を伝達することが求められる。 91.国は、異なる年齢層の子どもを対象とした教育的および娯楽的内容を有する番組づくりならびに内容を子どもたちが制作する番組づくりを促進するべきである。 インターネットへのアクセスおよびオンライン上の安全を促進すること 92.国は、あらゆる場面で子どもたちによるインターネットへのアクセスを促進するために積極的措置をとるべきである。教育制度において、子どもが有するすべての権利(とくに表現の自由に対する権利、公的生活に参加する権利および教育に対する権利)の促進におけるインターネットの中心的役割を考慮することが求められる。インターネットを、否定的なまたはその他の点で危険な媒体と見なすのではなく、肯定的な――個々の子どもおよび社会全体にとっての利益を有する――資源として捉え直すための努力が行なわれるべきである。たとえば、すべての社会的出身の子どもにとって、インターネットは書籍にアクセスするための優れた手段となる。 93.国は、子どもたちの安全を脅かすインターネットのリスクに対し、オンライン上の危害から身を守るための利用者の能力の増進を含むホリスティックな戦略を通じて対応するべきである。戦略には、親を対象とする訓練および子どもとともに働く専門家を対象とする訓練を含めることが求められる。オンライン上の安全の促進を目的とした取り組みの立案および実施には、子どもたちの積極的関与を得るべきである。インターネットが子どもたちの生活に及ぼす影響についても、さらなる調査研究が必要とされる。 表現の自由に対する子どもの権利への国際的関心を高める 94.表現の自由に対する子どもの権利の侵害に対し、すべての国際人権保護機構によって常に注意が払われるべきである。とくに子どもの権利委員会は、各国に対する勧告のなかで第13条および第17条を組織的に取り上げていくことができる。 更新履歴:ページ作成(2015年4月10日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/237.html
子どもの権利委員会・一般的意見15号:到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利(第24条) 前編 一般的意見一覧 子どもの権利委員会 第62会期(2013年1月14日~2月1日) CRC/C/GC/15(2013年4月17日/原文英語) 日本語訳:平野裕二〔日本語訳全文(PDF)〕 目次 I.はじめに(パラ1-6) II.健康に対する子どもの権利を実現するための原則および前提(パラ7-22)A.子どもの権利の不可分性および相互依存性(パラ7) B.差別の禁止に対する権利(パラ8-11) C.子どもの最善の利益(パラ12-15) D.生命、生存および発達に対する権利ならびに子どもの健康の決定要因(パラ16-18) E.意見を聴かれる子どもの権利(パラ19) F.子どもの発達しつつある能力およびライフコース(パラ20-22) III.第24条の規範的内容(パラ23-70)A.第24条第1項(パラ23-31) B.第24条第2項(パラ32-70) IV.義務および責任(パラ71-85) → 健康に対する子どもの権利 後編A.締約国の尊重義務、保護義務および充足義務(パラ71-74) B.国以外の主体の責任(パラ75-85) V.国際協力(パラ86-89) VI.実施および説明責任履行の枠組み(パラ90-120)A.健康に対する子どもの権利についての知識の促進(第42条)(パラ93) B.立法措置(パラ94-95) C.ガバナンスおよび調整(パラ96-103) D.子どもの健康への投資(パラ104-107) E.行動サイクル(パラ108-118) F.健康権侵害の救済措置(パラ119-120) VII.普及(パラ121) I.はじめに 1.この一般的意見は、子どもの健康に対して子どもの権利の視点(すべての子どもに、身体的、情緒的および社会的ウェルビーイングを背景として、それぞれが有する潜在的可能性を全面的に発揮しながら生存し、成長し、かつ発達する機会を有する権利がある)からアプローチすることの重要性を基礎として作成されたものである。この一般的意見全体を通じて、「子ども」とは、子どもの権利条約(以下「条約」)第1条にしたがい、18歳未満のすべての個人をいう。条約が採択されて以降、近年、子どもの健康権の充足について目覚ましい成果が達成されたにも関わらず、相当の課題が残ったままである。子どもの権利に関する委員会(以下「委員会」)は、予防、治療およびケアのために利用可能な知識および技術の適用に対する政治的なコミットメントおよび十分な資源の配分があれば、子どもの死亡、罹病および障害のほとんどは予防可能であることを認識する。この一般的意見は、到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利(以下「子どもの健康権」)の尊重、保護および充足について締約国および何らかの義務を負うその他の主体を支援するため、締約国および何らかの義務を負うその他の主体に指針を示し、かつ支援を提供することを目的として作成された。 2.委員会は、第24条で定められている子どもの健康権を、予防、健康促進、治療、リハビリテーションおよび緩和ケアのための時宜を得た適切なサービスのみならず、最大限可能なまで成長発達し、かつ、健康の根本的決定要因に対応するプログラムの実施を通じて最高水準の健康に到達することを可能にする条件下で生活する権利にまで及ぶ、包摂的な権利と解釈する。健康に対するホリスティックなアプローチをとることにより、子どもの健康権の実現は、より幅広い、国際人権法上の義務の枠組みのなかに位置づけられる。 3.委員会は、子どもの権利および公衆衛生の分野で活動する一連の関係者(政策立案およびプログラムの実施に携わる者ならびに活動家を含む)、ならびに、親および子どもたち自身に宛ててこの一般的意見を公にする。広範な子どもの健康問題、保健制度、ならびに、国および地域によって異なるさまざまな文脈との関連性を確保するため、この一般的意見はその一般的性質を明確にしたものである。ここではもっぱら第24条第1項および第2項に焦点を当て、第24条第4項についても取り上げる [1]。第24条の実施においては、すべての人権原則(とくに条約の指導的原則)を考慮に入れなければならず、またエビデンスに基づいた公衆衛生上の基準および模範的実践によって実施のあり方が決定されなければならない。 [1] 有害慣行に関する一般的意見が現在作成途上にあるため、第24条第3項については取り上げていない。 4.世界保健機関憲章において、各国は、健康について、完全な身体的、精神的および社会的ウェルビーイングの状態であって単に疾病または病弱の存在しないことではないと考えることに合意した [2]。健康に関するこの積極的理解は、この一般的意見の公衆衛生上の基礎をなすものである。第24条はプライマリーヘルスケアに明示的に言及しているが、これに対するアプローチはアルマアタ宣言で定められ [3]、かつ世界保健総会によって強化された [4]。このアプローチで重視されているのは、健康に関する排除の解消および社会的格差の縮減を図り、住民のニーズおよび期待に即する形で保健サービスを組織し、関連セクターに保健を統合し、協働型の政策対話モデルを追求し、かつ、関係者の参加(サービスに対する需要およびサービスの適正な利用を含む)を強化する必要性である。 [2] 国際保健会議が1946年7月22日に採択した世界保健機関(WHO)憲章前文。 [3] アルマアタ宣言(プライマリーヘルスケアに関する国際会議、アルマアタ、1978年9月6~12日)。 [4] 世界保健総会「保健制度の強化を含むプライマリーヘルスケア」(A62/8)。 5.子どもの健康はさまざまな要因の影響を受けるものであるが、これらの要因の多くはこの20年間に変化してきており、今後も変化し続ける可能性が高い。これには、新たな健康問題の発生および保健面での優先課題の変化が注目されるようになったこと(HIV/AIDS、インフルエンザの世界的流行、非感染性疾患、精神保健ケアの重要性、新生児ケアおよび新生児期・思春期の死亡等)、ならびに、子どもの死亡、疾病および障害を助長する諸要因(世界的な経済・金融情勢、貧困、失業、移住および強いられた集団避難、戦争および動乱、差別ならびに周縁化等の構造的決定要因を含む)に関する理解が高まったことも含まれる。気候変動および急速な都市化が子どもの健康に及ぼす影響についての理解も広がりつつあり、ワクチンおよび医薬品等の新技術も開発されており、また、効果的な生物化学的、行動科学的および構造的介入策、ならびに、子どもの養育に関連しており、かつ子どもに積極的効果を及ぼすことが証明されてきた若干の文化的慣行についてのエビデンスもいっそう蓄積されている。 6.情報通信技術の進展により、子どもの健康権を達成する新たな機会および課題が生じてきた。保健セクターがこれまで以上の資源および技術を利用できるようになっているにも関わらず、子どもの健康促進、予防および治療のための基礎的サービスにすべての者がアクセスできることをいまなお確保できていない国は多い。子どもの健康権を全面的に実現するためには、何らかの義務を負っているさまざまな主体の関与が必要であり、また親その他の養育者が果たす中心的役割についての認識が高められなければならない。政府機関および非政府組織のパートナー、民間セクターおよび資金拠出団体を含む関係者が積極的に関与し、国、広域行政圏、地方およびコミュニティのレベルで活動する必要がある。国には、何らかの義務を負うすべての主体が、その義務および責任を履行するための十分な自覚、知識および能力を有すること、ならびに、子どもが自己の健康権を主張できるようにその能力が十分に発達させられることを確保する義務がある。 II.健康に対する子どもの権利を実現するための原則および前提 A.子どもの権利の不可分性および相互依存性 7.条約は、すべての子どもがその精神的および身体的能力、人格および才能を最大限可能なまで発達させることを可能とする、すべての権利(市民的、政治的、経済的、社会的および文化的権利)の相互依存性および平等な重要性を認めている。子どもの健康権それ自体が重要であるのみならず、健康権の実現は、条約に掲げられた他のすべての権利の享受にとっても欠かせない。さらに、子どもの健康権を達成できるかどうかは、条約に掲げられた他の多くの権利の実現にかかっている。 B.差別の禁止に対する権利 8.すべての子どもの健康権を全面的に実現するため、締約国には、脆弱性を助長する重要な要因のひとつである差別の結果として子どもの健康が損なわれないことを確保する義務がある。条約第2条には多くの差別禁止事由(子ども、親または法定保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、民族的もしくは社会的出身、財産、障害、出生またはその他の地位を含む)が挙げられている。これらの差別禁止事由には性的指向、ジェンダーアイデンティティおよび健康状態(たとえばHIV感染および精神的健康)も含まれる [5]。子どもの健康を損なうおそれがある他のいかなる形態の差別に対しても同様に注意が向けられるべきであり、また複合的形態の差別の影響に対する対処も行なわれるべきである。 [5] 「子どもの権利条約の文脈における思春期の健康と発達」に関する一般的意見4号(2003年、Official Records of the General Assembly, Fifty-ninth Session, Supplement No. 41 (A/59/41), annex X)、パラ6。 9.ジェンダーに基づく差別はとくに蔓延しており、女子の新生児殺/堕胎から、乳幼児への栄養の与え方、ジェンダーに基づくステレオタイプおよびサービスへのアクセスに関わる差別に至るまで、広範な結果に影響を及ぼしている。女子・男子の異なるニーズ、ならびに、ジェンダー関連の社会的な規範および価値観が男子・女子の健康および発達に及ぼす影響に注意が向けられるべきである。伝統および慣習に深く根ざしており、かつ女子・男子の健康権を損なっている、ジェンダーに基づく有害な慣行および行動規範に対しても注意が向けられなければならない。 10.子どもの健康に影響を及ぼすすべての政策およびプログラムは、若年女性の全面的な政治参加、社会的および経済的エンパワーメント、セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関する平等な権利の承認、ならびに、情報、教育、司法および安全への平等なアクセス(あらゆる形態の性暴力およびジェンダーを理由とする暴力の撤廃を含む)を確保する、ジェンダー平等に対する広範なアプローチに根差したものであるべきである。 11.不利な状況に置かれた子どもおよびサービス等が行き届かない地域で暮らす子どもが、子どもの健康権を充足するための努力の中心に据えられるべきである。国は、子どもを脆弱な状況に追い込み、または特定の集団の子どもを不利な立場に追いやる、国および地方のレベルに存在する要因を特定することが求められる。子どもの健康に関する法令、政策、プログラムおよびサービスを発展させる際にこれらの要因への対処が行なわれるべきであり、公正を確保することに向けた活動が進められるべきである。 C.子どもの最善の利益 12.条約第3条第1項は、公的または私的な社会福祉機関、裁判所、行政機関および立法機関に対し、子どもに関わるすべての活動において子どもの最善の利益が評価され、かつ第一次的に考慮されることを確保する義務を課している。この原則は、子ども個人または集団としての子どもたちに関わる保健関連のすべての決定において遵守されなければならない。子ども個人の最善の利益の判定は、その身体的、情緒的、社会的および教育的ニーズ、年齢、性別、親および養育者との関係ならびに家族的および社会的背景に基づいて、かつ、条約第12条にしたがってその意見を聴いた後に、行なわれるべきである。 13.委員会は、締約国に対し、子どもたちの健康および発達に影響を及ぼすすべての決定(資源の配分を含む)、ならびに、子どもたちの健康の根本的決定要因に影響を及ぼす政策および介入策の策定および実施において、子どもたちの最善の利益を中心に位置づけるよう促す。たとえば以下のとおりである。 (a) 治療の選択にあたっては子どもの最善の利益が指針とされるべきであり、実行可能なときは経済的考慮よりも優先されるべきである。 (b) 親とヘルスワーカー間の利益の衝突を解決するために、子どもの最善の利益が役立てられるべきである。 (c) 子どもが生活し、成長しかつ発達する物理的および社会的環境を阻害する行動を規制するための政策の策定は、子どもの最善の利益によって左右されるべきである。 14.委員会は、すべての子どもの治療、その差し控えまたは停止に関わるあらゆる意思決定の基礎としての、子どもの最善の利益の重要性を強調する。国は、子どもの最善の利益について判定するために設けられている、公式なかつ拘束力のある他の手続に加えて、保健分野における子どもの最善の利益の評価に関してヘルスワーカーの指針となる手続および基準を策定するべきである。委員会は、一般的意見3号 [6] において、HIV/AIDSに対応するための十分な措置は、子どもおよび青少年の諸権利が全面的に尊重されなければとることができないと強調した。したがって、予防、治療、ケアおよび支援のあらゆる段階でHIV/AIDSについて検討する際に、子どもの最善の利益が指針とされるべきである。 [6] 「HIV/AIDSと子どもの権利」に関する一般的意見3号(2003年、Official Records of the General Assembly, Fifty-ninth Session, Supplement No. 41 (A/59/41), annex IX)。 15.一般的意見4号 [7] において、委員会は、健康問題に関する適切な情報へアクセスできることが子どもの最善の利益にのっとっている旨、強調した。一定のカテゴリーの子ども(心理社会的障害のある子どもおよび青少年を含む)に対し、特別な注意がむけられなければならない。入院または施設措置が検討される場合、その決定は、子どもの最善の利益の原則にしたがって、かつ、可能なかぎりコミュニティにおいて、家庭的環境のなかで(可能であれば、家族および子どもに提供される必要な支援を得ながら自分自身の家庭において)ケアされることこそ障害のある子どもの最善の利益にのっとっているという第一義的理解に立って、行なわれるべきである。 [7] 「子どもの権利条約の文脈における思春期の健康と発達」に関する一般的意見4号(2003年、Official Records of the General Assembly, Fifty-ninth Session, Supplement No. 41 (A/59/41), annex X)、パラ10。 D.生命、生存および発達に対する権利ならびに子どもの健康の決定要因 16.第6条は、子どもの生存、成長および発達(発達の身体的、精神的、道徳的、霊的および社会的側面を含む)を確保する締約国の義務を強調している。ライフコース中の広範な決定要因に対処する、エビデンスを十分に踏まえた介入策を立案しかつ実施する目的で、子どもの生命、生存、成長および発達の基底にある多くのリスクおよび保護要因が体系的に特定されなければならない。 17.委員会は、子どもの健康権を実現するためには、個人的要因(年齢、性別、学業成績、社会経済的地位および居住地等)、家族、同世代の子ども、教師およびサービス提供者からなる直近の環境で作用している決定要因(とくに、直近の環境の一環として子どもの生命および生存を脅かす暴力)ならびに構造的決定要因(政策、行政機構および行政制度、社会的・文化的価値観および規範を含む)を含む、多くの決定要因を考慮しなければならないことを認識する [8]。 [8] 「あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利」に関する一般的意見13号(2011年、Official Records of the General Assembly, Sixty-seventh Session, Supplement No. 41 (A/67/41), annex V)参照。 18.子どもの健康、栄養および発達を左右するもっとも重要な決定要因としては、母親の健康権の実現 [9] および親その他の養育者の役割がある。乳児の死亡の相当数は、妊娠前および妊娠中ならびに分娩直後の時期に母親の健康状態が望ましくないこと、および、母乳育児の収監が最適ではないことと関連して、新生児期に生じている。親およびその他の重要な成人の健康状態および健康関連の行動は、子どもの健康に重要な影響を及ぼす。 [9] 女性と健康に関する女性差別撤廃委員会の一般的勧告24号(1999年、Official Records of the General Assembly, Fifty-fourth Session, Supplement No. 38 (A/54/38/Rev.1))、第I章A節参照。 E.意見を聴かれる子どもの権利 19.第12条は、自己の意見を表明し、かつそのような意見を年齢および成熟度にしたがって真剣に考慮される子ども〔の権利〕を定め、子ども参加の重要性を強調している [10]。これには、保健に関わる対応のあらゆる側面(たとえば、必要とされるサービスの内容、当該サービスをもっともよい形で提供できる方法および場所、サービスへのアクセスまたはサービスの利用を妨げる障壁、サービスの質および保健専門家の態度、自分自身の健康・発達についていっそう高い水準の責任をとる子どもの能力を強化する方法、ならびに、子どもたちがピアエデュケーターとしてサービス提供にいっそう効果的に関与できるようにするための方法を含む)についての意見が含まれる。国は、効果的な介入策および保健プログラムの立案に対する貢献として子どもたちが有している健康上の課題、発達上のニーズおよび期待について知る目的で、子どもの年齢および成熟度に適合した定期的な参加型協議、および、子どもを対象とする調査研究を実施すること(その際、子どもたちの親とは別に行なうこと)を奨励される。 [10] 「意見を聴かれる子どもの権利」に関する一般的意見12号(2009年、Official Records of the General Assembly, Sixty-fifth Session, Supplement No. 41 (A/65/41), annex IV)参照。 F.子どもの発達しつつある能力およびライフコース 20.子ども時代は、出生から乳児期および就学前期を経て思春期に至るまでの継続的成長の期間である。身体的、心理的、情緒的かつ社会的な発達、期待および規範に関して重要な発達上の変化が生じるため、一つひとつの段階が重要な意義を有する。諸段階を経て進む子どもの発達は累積的なものであり、各段階がその後の段階に影響を及ぼしながら、子どもの健康、潜在的可能性、リスクおよび機会を左右する。子ども時代の健康問題が公衆衛生一般にどのように影響するかを評価するためには、このようなライフコースを理解することが不可欠である。 21.委員会は、子どもの発達しつつある能力が、自己の健康問題に関する独立した意思決定に関係してくることを認識する。委員会はまた、このような自律的意思決定についてはしばしば深刻な格差があり、差別をとくに受けやすい子どもはこのような自己決定を行使できる度合いがしばしば低いことにも留意する。したがって、支援的な政策が整備されること、ならびに、子ども、親およびヘルスワーカーに対し、同意、承諾および秘密保持に関する、権利を基盤とする十分な指導が行なわれることが不可欠である。 22.子どもの発達しつつある能力、および、ライフサイクルに沿って異なる健康上の優先課題に対応し、かつこれらを理解するため、収集・分析されるデータは、国際基準にしたがい、年齢、性別、障害、社会経済的地位および社会文化的側面ならびに地理的所在ごとに細分化されるべきである。これにより、時間とともに変化する子どもの能力およびニーズを考慮に入れ、かつすべての子どもに関連性の高い保健サービスを提供するのに役立つ適切な政策および介入策を計画し、策定し、実施しかつ監視することが可能になる。 III.第24条の規範的内容 A.第24条第1項 「締約国は、到達可能な最高水準の健康の享受……に対する子どもの権利を認める」(States parties recognize the right of the child to the enjoyment of the highest attainable standard of health) 23.「到達可能な最高水準の健康」の概念は、子どもの生物学的、社会的、文化的および経済的前提条件ならびに国が利用可能な資源(非政府組織、国際社会および民間セクターをはじめとする他の出所から利用に供される補完的資源を含む)の双方を考慮に入れたものである。 24.子どもの健康権には一群の自由および権利が含まれる。自由とは、能力の成長および成熟の進行にしたがって重要度を増すものであり、自己の健康および身体をコントールする権利(性および生殖に関わって責任のある選択を行なう自由を含む)が含まれる。権利には、到達可能な最高水準の健康を享受する平等な機会をすべての子どもに与える、一連の施設、物資、サービスおよび条件へのアクセスが含まれる。 「疾病の治療および健康の回復のための便宜」(に対する子どもの権利)(and to facilities for the treatment of illness and rehabilitation of health) 25.子どもは、予防、健康促進、治療、リハビリテーションおよび緩和ケアのためのサービスを含む、良質な保健サービスに対する権利を有する。第一次レベルでは、これらのサービスが、十分な量および質をともなって利用可能とされ、十分に機能し、子どもである住民のあらゆる層にとって物理的および金銭的に手が届き、かつ、すべての者にとって受入れ可能なものとなっていなければならない。保健ケア制度は、保健ケア面の支援を提供するのみならず、権利侵害および不公正の事案に関する情報を関連の公的機関に通報することも行なうべきである。第2次および第3次のレベルでも、保健制度のあらゆるレベルでコミュニティおよび家族を結びつける、十分に機能する紹介・移送システムをともなったケアが可能なかぎり利用可能とされるべきである。 26.包括的なプライマリーヘルスケア・プログラム(予防ケア、特定疾患の予防および栄養関連の介入策を含む)が、すでに効果が証明されているコミュニティ基盤型の取り組みに沿って提供されるべきである。コミュニティレベルでの介入策には、情報、サービスおよび物資の提供に加えて、たとえば公共空間の安全、道路安全ならびにケガ・事故・暴力防止教育への投資を通じた、疾病およびケガの予防も含めることが求められる。 27.国は、すべての子どもを対象とした保健サービスを支えるのに十分な人数の、適切な訓練を受けた人員を確保するべきである。コミュニティヘルスワーカーを対象とするものを含め、十分な規制、監督、報酬およびサービス条件も必要とされる。能力開発活動においては、サービス提供者が、子どもに配慮したやり方で活動し、かつ、子どもが法律により受給資格を有しているいかなるサービスも子どもに提供しないことがないようにするべきである。品質保証基準が維持されることを確保するため、説明責任を履行させるための機構を組みこむことが求められる。 「締約国は、いかなる子どもも当該保健サービスへアクセスする権利を奪われないことを確保するよう努める」(States parties shall strive to ensure that no child is deprived of his or her right of access to such health care services) 28.第24条第1項は、保健サービスおよび他の関連のサービスがすべての子どもにとって利用可能でありかつアクセス可能であることを、サービス等が行き届いていない地域および集団にとくに注意を払いながら確保する、締約国の強い行為義務を課すものである。そこでは、包括的なプライマリーヘルスケア制度、十分な法的枠組み、および、子どもの健康の根本的決定要因に対する持続的関心が要求される。 29.保健サービスに子どもがアクセスすることを妨げる障壁(金銭的、制度的および文化的障壁を含む)が特定され、かつ解消されるべきである。すべての子どもを対象とする無償の出生登録は前提条件であり、また社会保護的介入策(子ども給付金または子ども交付金、現金給付および有給の親休暇のような社会保障を含む)を実施し、かつこれを補完的投資と考えることも求められる。 30.保健追求行動のあり方は、それが行なわれる環境(とくにサービスの利用可能性、保健知識の水準、ライフスキルおよび価値観を含む)によって決まる。国は、親および子どもによる適切な保健追求行動を奨励することにつながる、促進的環境の確保に努めるべきである。 31.子どもは、子どもとともに活動する専門家によって子どもの最善の利益にのっとっていると評価される場合には、その発達しつつある能力にしたがい、親または法定保護者の同意を得ることなく、秘密が守られるカウンセリングおよび助言にアクセスできるべきである。国は、親または法定保護者がいない子どもを対象として、子どもに代わって同意を与え、または子どもの年齢および成熟度によっては子ども自身による同意を援助することができる適切な養育者を指名するための、法律上の手続を明確にすることが求められる。国は、HIV検査ならびにセクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスのためのサービス(セクシュアルヘルス、避妊および安全な妊娠中絶に関する教育および指導を含む)など一定の医学的治療および介入策について再検討を行ない、これらの治療および介入策については親、養育者または保護者の許可を得ることなく子どもが同意できるようにすることを検討するべきである。 B.第24条第2項 32.第24条第2項にしたがい、国は、子どもの健康権に関連するその他の問題を特定し、かつこれに対処するための手続を整備することが求められる。そのためには、とくに、優先されるべき健康問題の観点から現状についての詳細な分析を行なうとともに、適当なときは子どもたちと協議しながら、主要な決定要因および健康問題に対応する、エビデンスを十分に踏まえた介入策および政策を特定しかつ実施することが必要である。 第24条第2項(a)「乳幼児および子どもの死亡率を低下させること」(To diminish infant and child mortality) 33.国には、子どもの死亡を減少させる義務がある。委員会は、5歳未満児の死亡のうちますます多くの割合を占めるようになっている新生児期の死亡に対し、特段の注意を向けるよう促す。加えて、締約国は、低い優先順位しか与えられないのが一般的な思春期の罹病および死亡についても対処を進めるべきである。 34.介入策において注意が向けられるべき問題としては、死産、早産合併症、出生時仮死、低出生体重、HIVその他の性感染症の母子感染、新生児感染症、肺炎、下痢、はしか、低栄養および栄養不良、マラリア、事故、暴力、自殺ならびに思春期女子の妊産婦罹病・死亡などがある。リプロダクティブヘルス、妊産婦保健、新生児保健および児童保健のための連続的ケアの流れのなかですべての子どもにこのような介入策を提供するため、保健制度を強化することが勧告されるところである。予防および説明責任の履行を目的として、妊産婦死亡および周産期死亡に関する外部調査を日常的に実施することが求められる。 35.国は、肺炎、下痢性疾患およびマラリアを対象とするコミュニティ基盤型治療など、すでにその効果が証明されている、単純、安全かつ安価な介入策の拡大展開をとりわけ重視するとともに、母乳育児の慣行の全面的な保護および促進を確保することに特段の注意を払うべきである。 第24条第2項(b)「プライマリーヘルスケアの発展に重点をおいて、すべての子どもに対して必要な医療上の援助および保健を与えることを確保すること」(To ensure the provision of necessary medical assistance and health care to all children with emphasis on the development of primary health care) 36.国は、子どもおよびその家族が生活している場所のできるだけ近く、とくにコミュニティの環境で提供されるプライマリーヘルスケア・サービスに、すべての子どもがアクセスできるようにすることに優先的に取り組むべきである。サービスの厳密な形態および内容は国によって異なるであろうが、いずれにしても効果的な保健制度が必要となる。このような保健制度には、健全な資金拠出機構、十分な訓練を受け、かつ十分な給与を支払われている人員、決定および政策の基盤となる信頼できる情報、良質な医薬品および技術を供給するための十分に維持管理された器材および物流システム、ならびに、力強いリーダーシップおよびガバナンスが含まれる。学校における保健サービスの提供は、疾患のスクリーニングによる健康促進の重要な機会となり、また就学している子どもにとって保健サービスのアクセス可能性を高めることにつながる。 37.推奨されているサービス・パッケージ、たとえば「リプロダクティブヘルス、妊産婦保健、新生児保健および児童保健のために必須の介入策、物資およびガイドライン」[11] が活用されるべきである。国には、世界保健機関の必須医薬品モデルリスト(可能であれば小児用製剤の形態をとった子ども向けリストを含む)に掲載されたすべての必須医薬品の利用可能性、アクセス可能性および負担可能性を確保する義務がある。 [11] The Partnership for Maternal, Newborn and Child Health, A Global Review of the Key Interventions Related to Reproductive, Maternal, Newborn and Child Health (Geneva, 2011). 38.委員会は、青少年の間で精神的健康障害(発達障害および行動障害、抑うつ、摂食障害、不安症、虐待・ネグレクト・暴力・搾取の結果として生ずる心理的トラウマ、アルコール・タバコ・薬物の濫用、インターネットその他の技術の過剰な利用およびこれらへの依存のような強迫的行動、ならびに、自傷行為および自殺を含む)が増加していることを懸念する。子どもの精神的健康、心理社会的ウェルビーイングおよび情緒的発達を損なう行動上および社会上の問題にいっそう注意を向ける必要があることは、ますます認識されるようになっているところである。委員会は、過剰な医療化および施設措置に対して警鐘を鳴らすとともに、各国に対し、子どもおよび青少年の精神的健康障害に対処するための公衆衛生面および心理社会面の支援を基礎とするアプローチをとり、かつ、子どもの心理社会的、情緒的および精神的問題の早期発見・治療を促進するプライマリーケア・アプローチに凍死するよう、促す。 39.国には、不必要な投薬を行なわないようにしつつ、精神健康障害および心理社会的障害がある子どもに十分な治療およびリハビリテーションを提供する義務がある。精神健康障害の世界的負担および国レベルで保健・社会セクターが調整のとれた包括的対応をとることの必要性に関する世界保健総会決議(2012年)[12] は、とくに子どもの精神的健康を促進し、かつその精神障害を予防するための介入策の有効性および費用対効果性に関するエビデンスが増えていることに留意している。委員会は、各国に対し、家族およびコミュニティの関与を得ながら、保健セクター、教育セクターおよび保護(刑事司法)セクターを含む一連のセクター別政策およびプログラムを通じてこれらの介入策を主流化することにより、その拡大展開を図るよう強く奨励するものである。家庭環境および社会環境のために危険な状況に置かれている子どもについては、その対処能力およびライフスキルを増進し、かつ保護的および支援的な環境を促進するため、特別な注意が必要とされる。 [12] 決議WHA65.4(世界保健総会第65会期、2012年5月25日)。 40.人道的緊急事態(自然災害または人災を理由とする大規模な避難に至るものを含む)の影響を受けている子どもにとっての、子どもの健康に対する特有の課題を認識する必要がある。子どもが妨げられることなく保健サービスにアクセスできることを確保し、子どもが家族と(ふたたび)一緒にいられるようにするとともに、食料および清潔な水のような物質的支援だけで子どもを保護するのではなく、恐怖およびトラウマを防止しまたはこれに対処するための親その他の者による心理社会的ケアも奨励するために、あらゆる可能な措置がとられるべきである。 第24条第2項(c)「環境汚染の危険およびおそれを考慮しつつ、とりわけ、容易に利用可能な技術を適用し、かつ十分な栄養価のある食事および清潔な飲料水を供給することにより、基礎保健の枠組の中で疾病および栄養不良と闘うこと」(To combat disease and malnutrition, including within the framework of primary health care, through, inter alia, the application of readily available technology and through the provision of adequate nutritious foods and clean drinking-water, taking into consideration the dangers and risks of environmental pollution) (a) 容易に利用可能な技術の適用 41.子どもの健康に関する新たな技術であってその効果が証明されているもの(薬剤、装備および介入策を含む)が利用可能となるのにともない、国はこれらの技術を政策およびサービスに導入するべきである。移動による提供体制およびコミュニティを基盤とする取り組みによって若干のリスクを相当に低下させることが可能であり、これらの手段をすべての者にとって利用可能とすることが求められる。このような技術には、小児期に一般的に見られる疾患の予防接種、とくに乳幼児期における成長発達モニタリング、女子を対象とするヒトパピローマウィルスの予防接種、妊婦を対象とする破傷風トキソイドの摂取、下痢性疾患の治療のための経口保水療法および亜鉛補給剤へのアクセス、必須医薬品としての抗生物質および抗ウィルス薬、微量栄養素補給剤(ビタミンAおよびD、ヨウ素添加塩ならびに鉄分補給剤等)ならびにコンドームが含まれる。ヘルスワーカーは、必要に応じてこれらの簡便な技術にアクセスし、かつこれらの技術を実行する方法について、親に対する助言を行なうべきである。 42.民間セクター(健康に影響を及ぼす企業および非営利組織を含む)は、子どもの健康における相当の前進に貢献しうる技術、薬剤、装備、介入策および処置法の開発・改良においてますます重要な役割を果たすようになりつつある。国は、必要とするすべての子どもが利益を享受できることを確保するべきである。国はまた、保健技術のアクセスおよび負担可能性を向上させることにつながりうる官民提携および持続可能なイニシアティブを奨励することもできる。 (b) 十分な栄養価のある食事の供給 43.栄養価が十分であり、文化的に適切でありかつ安全な食料 [13] へのアクセスを確保し、かつ栄養不良と闘う国の義務を充足するための措置は、特定の文脈にしたがって採択することが必要になろう。妊婦を対象として直接行なわれる効果的な栄養支援介入策には、貧血症、葉酸欠乏症およびヨウ素欠乏症への対応ならびにカルシウム補給剤の提供が含まれる。女性の健康のため、かつ胎児および乳児の健康的な発達を確保する目的で、生殖可能年齢のすべての女性を対象として、子癇前症および子癇の予防および管理が確保されるべきである。 [13] 経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約第11条、および、「十分な食料に対する権利」に関する社会権規約委員会の一般的意見12号(1999年、Official Records of the Economic and Social Council, 2011, Supplement No. 2 (E/2000/22), annex V)参照。 44.生後6か月までの完全母乳育児が保護・促進されるべきであり、また母乳育児は、実行可能であれば、適切な補助食品とあわせて2歳まで続けられることが望ましい。この分野における国の義務は、世界保健総会が全会一致で採択した「保護・促進・支援」枠組み [14] に定められている。国は、子どもの健康権に関する国際的に合意された基準(「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」および世界保健総会がその後採択した関連の決議、ならびに、世界保健機関・タバコ規制枠組み条約を含む)を国内法に導入し、実施し、かつ執行することを要求される。妊娠および母乳育児との関連で母親に提供されるコミュニティおよび職場における支援ならびに実行可能かつ負担可能な保育サービスを促進し、かつ1952年の母性保護条約(改正)の改正に関する国際労働機関第183号条約(2000年)の遵守を確保するため、特別措置がとられるべきである。 [14] WHO and United Nations Children’s Fund (UNICEF), Global Strategy for Infant and Young Child Feeding (Geneva, 2003) 参照。 45.乳幼児期における十分な影響供給および成長モニタリングはとりわけ重要である。必要なときは、施設およびコミュニティを基盤とする介入策を通じて重度の急性栄養不良の統合管理が拡大されるべきであり、また中度の急性栄養不良の治療(治療的な栄養補給介入も含む)についても同様である。 46.学校給食は、すべての児童生徒が十分な食事に毎日アクセスできることを確保するために望ましい手段であり、学習に対する子どもたちの注意を高め、かつ就学率を上昇させることにもつながりうる。委員会は、学校給食と組み合わせる形で栄養・健康教育(子どもたちの栄養状態および健康的な食習慣を向上させるための学校庭園の設置および教員の研修を含む)を実施するよう勧告するものである。 47.国はまた、子どもの肥満にも対処するべきである。子どもの肥満は、高血圧、心血管疾患の早期診断マーカー、インスリン抵抗性、心理的影響、成人期肥満の可能性の上昇および早期死亡と関連しているためである。脂肪分、糖分または塩分が多く、エネルギー密度が高く、かつ微量栄養素に乏しい「ファストフード」、および、高濃度のカフェインまたは潜在的有害性がある他の物質を含む飲料を子どもたちが摂取することは、制限されるべきである。これらの物質の販売促進は――とくに当該販売宣伝が子どもたちを対象としているときは――規制されるべきであり、また学校その他の場所におけるこれらの物質の入手は統制されるべきである。 (c) 清潔な飲料水の供給 48.安全かつ清潔な飲料水および衛生設備は、生命および他のあらゆる人権の全面的享受にとって必要不可欠である [15]。水および衛生を担当する政府部局および地方当局は、子どもの健康権の実現を支援する義務を認識するとともに、インフラの拡大および飲料水供給役務の維持管理を計画しかつ実行するさい、ならびに、無償の最低配分量および供給停止に関する決定を行なうさいに、栄養不良、下痢その他の水に関連する疾患および世帯規模に関する子ども指標を積極的に考慮することが求められる。国は、たとえ水・衛生分野で民営化を行なったとしても、自国の義務を免除されない。 [15] 水および衛生に対する人権に関する〔国連〕総会決議64/292。 (d) 環境汚染 49.国は、地域的な環境汚染があらゆる場面で子どもの健康に対してつきつける危険性およびリスクに対処するための措置をとるべきである。十分な住居(危険性のない調理設備があること、煙がこもらない環境であること、適切な換気が行なわれていること、廃棄物が効果的に管理され、かつ生活区画および隣接周辺環境からのゴミの処分が確立されていること、カビその他の有毒物質が存在しないこと、および、家庭衛生が確保されていることを含む)は、健康的な養育および発達の中核的要件である。国は、子どもの健康権、食料安全保障ならびに安全な飲料水および衛生設備へのアクセスを損なう可能性がある事業活動の環境面での影響を規制し、かつ監視することが求められる。 50.委員会は、環境汚染に留まらず、環境そのものが子どもの健康にとって関連性を有することに注意を喚起する。気候変動は子どもの健康にとっての最大の脅威のひとつであり、かつ保健格差を拡大するものであるから、環境に関わる介入策においてはとくに気候変動への対応が行なわれるべきである。したがって国は、子どもの健康に関する問題を自国の気候変動適応・緩和戦略の中心に位置づけることが求められる。 第24条第2項(d)「母親のための出産前後の適当な保健を確保すること」(To ensure appropriate pre-natal and post-natal health care for mothers) 51.委員会は、予防可能な妊産婦の死亡および罹病は女性・女子の人権の重大な侵害であり、女性・女子自身およびその子どもの健康権に対する深刻な脅威であることに留意する。妊娠および出産は自然な過程であり、これについて明らかになっている健康上のリスクは、早期に発見されれば予防および治療的対応の双方が可能である。リスクをともなう事態は、妊娠中、分娩中ならびに産前産後期に発生し、かつ母子双方の健康およびウェルビーイングに短期的影響および長期的影響のいずれをも及ぼす可能性がある。 52.委員会は、各国に対し、子ども時代の諸段階全体を通じて、以下のような子どもに配慮した保健アプローチをとるよう奨励する。(a) 母子同室および母乳育児を保護し、促進し、かつ支援する「赤ちゃんにやさしい病院」イニシアティブ [16]。(b) 子どもおよびその家族の恐怖心、不安および苦痛を最低限に抑えるやり方で良質なサービスを提供するためのヘルスワーカー研修に焦点を当てた、子どもにやさしい保健政策。(c) 青少年に対して好意的でありかつ配慮し、秘密保持を尊重し、かつ青少年にとって受け入れ可能なサービスを提供することを保健従事者および保健施設に求める、青少年にやさしい保健サービス。 [16] UNICEF/WHO, Baby-Friendly Hospital Initiative (1991). 53.妊娠前、妊娠中および妊娠後に女性が受けるケアは、その子どもの健康および発達にとって甚大な影響を与える。セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関する介入策の包括的パッケージにすべての者がアクセスできることを確保する義務を充足しようとする際には、妊娠前から妊娠、出産および産褥期全体を通じての連続的ケアという考え方が基礎とされるべきである。これらの期間全体を通じて時宜を得た良質なケアを提供することは、健康障害の世代間転移を予防する重要な機会となり、またライフコース全体を通じた子どもの健康に対しても高い効果を及ぼす。 54.この連続的期間全体を通じて利用可能とされるべき介入策には、必須保健としての予防および健康促進ならびに治療的ケア(新生児破傷風、妊娠時のマラリアおよび先天性梅毒の予防を含む)、栄養ケア、セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関する教育、情報およびサービスへのアクセス、健康的行動教育(たとえば喫煙および有害物質濫用に関するもの)、出産準備支援、合併症の早期認識および管理、安全な妊娠中絶サービスおよび中絶後のケア、出産時の必須ケア、ならびに、HIVの母子感染の予防ならびにHIVに感染した女性および乳児のケアおよび治療が含まれるが、これに限られるものではない。分娩後の産婦および新生児のケアにおいては、母親が子どもから不必要に分離されないことが確保されるべきである。 55.委員会は、社会的保護に関する介入策に、ケアの完全普及またはケアに対する金銭的アクセスの確保、有給の親休暇およびその他の社会保障給付、ならびに、母乳育児代替品の不適切な販売促進を制限するための立法が含まれるべきことを勧告する。 56.青少年の妊娠率が世界的に高く、かつ、青少年の妊娠には関連する罹病および死亡のリスクが付け加わることを踏まえ、国は、セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関わる青少年の特有のニーズを保健制度および保健サービス(家族計画および安全な妊娠中絶のためのサービスを含む)が満たせることを確保するべきである。国は、女子が自己のリプロダクティブヘルスについて自律的な、かつ十分な情報に基づく決定を行なえることを確保するために行動するよう求められる。青少年の妊娠を理由とする差別(停退学等)は禁止されるべきであり、また継続的教育の機会が確保されるべきである。 57.健康的な妊娠・分娩の計画および確保にとって男子・男性がきわめて重要であることを考慮し、国は、セクシュアルヘルス、リプロダクティブヘルスおよび子どもの健康のためのサービスに関する政策および計画に、男子・男性を対象とする教育、意識啓発および対話の機会を統合するべきである。 第24条第2項(e)「すべての社会構成員とくに親および子どもが子どもの健康および栄養の基礎的知識、母乳育児および衛生ならびに環境衛生の利益、ならびに事故の予防措置を活用するにあたって、情報が提供され、教育にアクセスし、かつ援助されることを確保すること」(To ensure that all segments of society, in particular parents and children, are informed, have access to education and are supported in the use of basic knowledge of children’s health and nutrition, the advantages of breastfeeding, hygiene and environmental sanitation and the prevention of accidents) 58.この規定に基づく義務には、健康関連の情報および当該情報の活用に関する支援の提供が含まれる。健康関連の情報は、物理的にアクセス可能であり、わかりやすく、かつ子どもの年齢および教育水準にふさわしいものであるべきである。 59.子どもは、ライフスタイルおよび保健サービスへのアクセスに関して十分な情報に基づく選択を行なえるようにするための、健康のあらゆる側面に関する情報および教育を必要とする。情報提供およびライフスキル教育においては、幅広い健康問題(健康的な食事ならびに身体活動、スポーツおよびレクリエーションの促進、事故およびケガの予防、公衆衛生・手洗いその他の個人的衛生習慣、ならびに、アルコール、タバコおよび向精神性物質を使用することの危険性を含む)が取り上げられるべきである。情報および教育は、子どもの健康権、政府の義務、ならびに、健康情報および保健サービスにアクセスできる方法・場所についての適切な情報を包含し、かつ、学校カリキュラムの中核的一部として、また保健サービスを通じて、かつ学校に行っていない子どものために他の場所においても、提供することが求められる。健康に関する情報提供資料は、子どもたちと連携しながら制作し、かつ広範な公共の場所において普及するべきである。 60.セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関する教育には、身体(解剖学的、生理学的および情緒的側面を含む)に関する自覚および知識が含まれるべきであり、かつすべての子ども(女子および男子)がアクセスできるべきである。このような教育は、性的な健康およびウェルビーイングに関連する内容(身体の変化および成熟過程についての情報等)を含み、かつ、子どもがリプロダクティブヘルスおよびジェンダーを理由とする暴力の予防についての知識を獲得し、かつ責任のある性的行動をとれるようになるやり方で立案することが求められる。 61.子どもの健康に関する情報は、さまざまな方法(診療所、子育て教室、広報リーフレット、職能団体、地域団体およびメディアを含む)を通じ、すべての親に対して個別にまたは集団単位で、かつ拡大家族およびその他の養育者に対して、提供されるべきである。 第24条第2項(f)「予防保健、親に対する指導、ならびに家族計画の教育およびサービスを発展させること」(To develop preventive health care, guidance for parents and family planning education and services) (a) 予防保健 62.予防および健康促進においては、コミュニティおよび国全体で子どもたちが直面している主要な健康上の課題が取り上げられるべきである。このような課題には、疾病のほか、事故、暴力、有害物質濫用、心理社会的問題および精神的健康上の問題といった、その他の健康上の課題が含まれる。予防保健においては、感染症および非感染性疾患について取り上げ、かつ、生物化学的、行動科学的および構造的介入策を組み合わせて編入することが求められる。非感染性疾患の予防は、妊婦、その配偶者/パートナーおよび乳幼児を対象とする、健康的かつ非暴力的なライフスタイルの促進および支援を通じて、人生の早い段階から開始されるべきである。 63.子どものケガの負担を軽減するためには、溺水、火傷その他の事故を減らすための戦略および措置が必要とされる。このような戦略および措置には、立法および執行、製品および環境の改変、支援を目的とする家庭訪問および安全特性の促進、教育、スキル開発および行動変容、コミュニティを基盤とするプロジェクト、ならびに、搬送前のケアおよび救急ケアならびにリハビリテーションが含まれるべきである。道路交通事故を減らすための努力には、シートベルトその他の安全装備の使用に関する法律を定めること、子どもが安全な輸送機関にアクセスできることを確保すること、ならびに、道路計画および交通規制において子どものことを正当に考慮することが含まれるべきである。これとの関連で、関連産業およびメディアの支援が欠かせない。 64.暴力が子ども、とくに青少年の死亡および罹病の重要な原因のひとつであることを認識し、委員会は、子どもを暴力から保護し、かつ家庭、学校および公共空間における態度および行動の変容への子ども参加を奨励する環境づくりの必要性、健康的な子どもの養育について親および養育者を支援する必要性、ならびに、あらゆる形態の暴力に対する寛容およびその容認を固定化する態度に異議を申し立てていくこと(マスメディアによる暴力の描写を規制する等の手段によるものも含む)の必要性を、強調する。 65.国は、子どもを溶剤、アルコール、タバコおよび不法物質から保護し、関連のエビデンスをいっそう収集し、かつ、子どもによるこのような物質の使用を減らすための適切な措置をとるべきである。子どもの健康にとって有害な物質の広告および販売、ならびに、子どもが集まる場所ならびに子どもがアクセスするメディア経路および出版物におけるこのような物品の販売促進を規制することが勧告される。 66.委員会は、薬物の統制に関する国際諸条約 [17] および世界保健機関・タバコ規制枠組み条約をまだ批准していない締約国に対し、批准を奨励する。委員会は、有害物質の使用について権利基盤アプローチをとることの重要性を強調するとともに、適切なときは、有害物質濫用が健康に及ぼす悪影響を最小限に抑えるために有害性削減戦略を採用するよう勧告するものである。 [17] 麻薬に関する単一条約(1961年)、向精神薬に関する条約(1971年)、麻薬および向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約(1988年)。 (b) 親に対する指導 67.親は、幼児の早期診断およびプライマリーケアを行なうもっとも重要な存在であり、かつ、青少年のハイリスク行動(有害物質の使用および安全ではないセックス等)に対するもっとも重要な保護要因である。親は、健康的な子どもの発達を促進し、事故、ケガおよび暴力の危害から子どもを保護し、かつリスク行動の悪影響を緩和するうえでも中心的役割を果たす。自らが育つ場である世界を理解し、かつその世界に適応するうえできわめて重要である子どもの社会化の過程は、親、拡大家族その他の養育者の影響を強く受ける。国は、とくに子どもの健康上の課題およびその他の社会的課題を経験している家族を対象として、望ましい子育てのあり方を支援するための、エビデンスに基づく介入策(子育てスキル教育、サポートグループおよび家族カウンセリングを含む)を採用するべきである。 68.体罰が子どもの健康に及ぼす影響(致死性・非致死性のケガならびに心理的・情緒的影響を含む)に照らし、委員会は、各国に対し、家庭を含むあらゆる場面において体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰を撤廃するため、あらゆる適当な立法上、行政上、社会上および教育上の措置をとる自国の義務を想起するよう求める [18]。 [18] 「体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利」に関する一般的意見8号(2006年、Official Records of the General Assembly, Sixty-third Session, Supplement No. 41 (A/63/41), annex II)。 (c) 家族計画 69.家族計画のサービスは、セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスのための包括的サービスのなかに位置づけられるべきであり、かつ、カウンセリングを含むセクシュアリティ教育を包含するものであるべきである。これらのサービスは、第24条第2項(d)についての箇所で述べた連続的サービスの一環と考えることもできるほか、すべてのカップルおよび個人が、性および生殖に関する決定(子どもの人数、出産間隔および出産時期を含む)を自由にかつ責任をもって行なえるようになり、かつ、そのための情報および手段を提供されるように設計することが求められる。既婚および非婚双方の女性ならびに思春期の男子全員が、秘密を守られながら物資およびサービスにアクセスできるようにすることに、注意が向けられるべきである。国は、青少年が、サービス提供者の心情を理由とする拒否によって、セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関するいかなる情報またはサービスも奪われないことを確保するよう、求められる。 70.コンドーム、ホルモン避妊法および緊急避妊薬のような短期的避妊法を、性的活動を行なう青少年が容易にかつ直ちに利用できるようにするべきである。長期的かつ恒久的な避妊法も提供することが求められる。委員会は、国が、妊娠中絶そのものが合法であるか否かに関わらず、安全な中絶および中絶後のケアのためのサービスへのアクセスを確保するよう、勧告する。 (健康に対する子どもの権利 後編へ続く) 更新履歴:ページ作成(2013年6月28日)。/表示がおかしくなっていたため再保存(2016年1月4日)。
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/50021.html
【検索用 ひょうきのこともたち 登録タグ 2022年 VOCALOID inuha ひ 初音ミク 曲 曲は】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:inuha 作曲:inuha 編曲:inuha 唄:初音ミク 曲紹介 出発の朝。 曲名:『病気の子どもたち』(びょうきのこどもたち) 歌詞 (動画説明文より転載) セシル ハンナ イアン ラシエ デニス ロジー エドム ニーナ みんなおはよう 私 行くよ 地平の向こう 陽のかけらを きっと帰るから きっと治るから コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kodomonomachi/pages/13.html
※2018/02/26追記 最新版を作成中です。こちらからご覧ください(別ウインドウで開きます) ▼各都道府県に飛ぶ 北海道/青森県/岩手県/秋田県/宮城県 栃木県/千葉県/埼玉県/東京都/神奈川県 富山県/長野県/静岡県/岐阜県/愛知県 滋賀県/三重県/京都府/大阪府/奈良県/兵庫県 島根県/広島県/高知県/福岡県 不明/番外編 北海道(2つ) ♪オホーツクMiNiタウン(北海道北見市 他) ♪こどものまち ミニさっぽろ(北海道札幌市) 青森県(2つ) ♪はちのへ こどものまち(青森県八戸市) ♪ミニ ひろさき(青森県弘前市) 岩手県(1つ) ♪ミニひろの(岩手県洋野町)秋田県(1つ) ♪しごとーーいあきた(秋田県八郎潟町)宮城県(3つ) ♪せんだいこどものまち(宮城県仙台市) ♪piccoliせんだい(宮城県仙台市) ♪こどものまち・いしのまき(宮城県石巻市) 栃木県(2つ) ♪あそびのまち(栃木県小山市) ♪ミニかぬま(栃木県鹿沼市) 千葉県(14つ) ♪こどものまちCBT(千葉県千葉市) ♪はなみがわCBTこどものまち(千葉県千葉市) ♪おゆみ野cafeこどものまち(千葉県千葉市緑区) ♪スマイル・グリーン・シティ(千葉県千葉市緑区) ♪わかば CBT こどものまち(千葉県千葉市若葉区) ♪吉岡こどもまちづくりプロジェクト(千葉県四街道市) ♪ミニ☆いちかわ(千葉県市川市) ♪ミニいちかわ(千葉県市川市) ♪キッズビジネスタウンいちかわ(千葉県市川市) ♪ミニさくら(千葉県佐倉市) ♪ピノキオマルシェ(千葉県柏市) ♪キッズタウンNARITA(千葉県成田市) ♪ミニまつど(千葉県松戸市) ♪ラーバンこどものまち(千葉県印西市) 埼玉県(11つ) ♪こどもがつくる街Coみなみ(埼玉県さいたま市南区) ♪ミニ北区(埼玉県さいたま市) ♪ミニ桜区(埼玉県さいたま市) ♪ミニ大宮(埼玉県さいたま市) ♪ミニ見沼区(埼玉県さいたま市) ♪ミニさいたま(埼玉県さいたま市) ♪ミニまつぶし(埼玉県松伏町) ♪ミニかわごえ(埼玉県川越市) ♪ミニあさか(埼玉県朝霞市) ♪子どものまち・ましがるつ(埼玉県鶴ヶ島市) ♪ミニそうか(埼玉県草加市) 東京都(8つ) ♪こどものまちをつくろう(東京都新宿区) ♪ミニたちかわ(東京都立川市) ♪ミニこがねい(東京都小金井市) ♪キッズタウンいたばし(東京都板橋区) ♪児童館・こどもシティ(東京都八王子市) ♪むさしのミニタウン(東京都武蔵野市) ♪日本橋キッズタウン ~わくわく!ワーク体験~(東京都中央区) ♪キッズハッピーよこ町(東京都台東区) 神奈川県(7つ) ♪ミニヨコハマシティ(神奈川県横浜市) ♪ミニたまゆり(神奈川県川崎市) ♪ミニひらつか(神奈川県平塚市) ♪エンジョイスマイルさがみ(神奈川県相模原市) ♪ミニさがみはら(神奈川県相模原市) ♪たなっちょタウン(神奈川県相模原市) ♪ミニあやせ(神奈川県綾瀬市) 富山県(1つ) ♪未来ぽ~ろ(富山県富山市) 長野県(2つ) ♪あそびのまちin松本(長野県松本市) ♪あそびのまちin東信(長野県真田町) 静岡県(5つ) ♪にじの子タウン(静岡県伊豆の国市) ♪ミニしずおか(静岡県静岡市) ♪こどもクリエイティブタウンま・あ・る(静岡県静岡市) ♪ミニはままつ(静岡県浜松市) ♪KIDS TOWN ぼくらのまちのはら(静岡県牧之原市) 岐阜県(5つ) ♪ぎふマーブルタウン(岐阜県岐阜エリア) ♪西野マーブルタウン(岐阜県西野エリア) ♪岐大祭マーブルタウン(岐阜県岐阜市) ♪羽鳥子どものまち(岐阜県羽鳥市) ♪かさまつ子どものまち「ミニかさ横丁」(岐阜県笠松町) 愛知県(21つ) ♪子ども商店街(愛知県安城市) ♪あいちマーブルタウン(愛知県三河エリア) ♪エコットキッズタウン(愛知県豊田市) ♪こどものまち・みずほ(愛知県名古屋市) ♪ピンポン横丁(愛知県名古屋市) ♪キッズタウンなかむら(愛知県名古屋市) ♪だがねランド(愛知県名古屋市) ♪なごや☆子どもCITY(愛知県名古屋市) ♪守山児童館『こどものまち』(愛知県名古屋市) ♪こどものまち☆たかおか(愛知県名古屋市) ♪こどものまち 前津児童館(愛知県名古屋市) ♪子どもCity in zoo(愛知県名古屋市) ♪こどものまち・デザイン ちくちく(愛知県名古屋市) ♪なごみん横丁(愛知県岡崎市) ♪マーブルタウン(愛知県岡崎市) ♪愛知学泉大学マーブルタウン(愛知県岡崎市) ♪こどものまち in ちた(愛知県知多市) ♪もりもりタウン(愛知県丹羽郡) ♪クローバーズタウン(愛知淑徳大学版マーブルタウン)(愛知県長久手市) ♪愛知学院大学マーブルタウン(愛知県日進市) ♪ドリームタウン(愛知県安城市) 滋賀県(1つ) ♪こどものまち おおつ(滋賀県大津市) 三重県(1つ) ♪こども四日市(三重県四日市市) 京都府(4つ) ♪ミニ京都(京都府京都市) ♪宇多野(京都市宇多野) ♪東山区民ふれあいこどものまち(京都府京都市) ♪チャキッズタウン(京都府京都市) 大阪府(8つ) ♪ミニ大阪(大阪府大阪市) ♪ミニ☆大阪(大阪府大阪市) ♪ミニ★シティ(大阪府大阪市) ♪KisdCity!天王寺(大阪府大阪市) ♪ミニすみのえ(大阪府大阪市) ♪ミニたいしょう(大阪府大阪市) ♪ミニひがし(大阪府堺市) ♪ミニさかい(大阪府堺市) 奈良県(1つ) ♪ミニまほろば(奈良県橿原市) 兵庫県(3つ) ♪ミニたからづか(兵庫県宝塚市) ♪こどものまち高砂(兵庫県高砂市) ♪こどものまち東播磨(兵庫県) 島根県(1つ) ♪海士人村(あまんちゅむら)(島根県海士町) 広島県(1つ) ♪広島キッズシティ(広島県広島市) 高知県(2つ) ♪とさっ子タウン(高知県高知市) ♪ミニ香北町(高知県香北町) 福岡県(2つ) ♪ミニふくおか(福岡県福岡市) ♪子ども金印ランド(福岡県志賀島) 不明(2つ) ♪ながれランド ♪ぷらざタウン 番外編(1つ) ♪リトルトーキョー(東京都江東区) 計 112 つの子どものまちが存在しています(2017/05/03現在)▲ページのトップへ
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/261.html
子どもの権利委員会・一般的討議勧告:デジタルメディアと子どもの権利 一般的討議勧告一覧 (参考)国連人権理事会・意見および表現の自由に対する権利の促進および保護に関する特別報告者の報告書:表現の自由に対する子どもの権利(2014年) (第67会期、2014年) 原文:英語 日本語訳:平野裕二 VI.勧告 84.各国が自国の政策およびプログラムにおいて考慮すべき問題を特定する目的で子どもの権利に関する意識の喚起および討議を図る場であるというDGD〔一般的討議〕の趣旨に照らし、またデジタルメディアの文脈における子どもの権利の尊重、促進および充足に関する指針を他の関連の主体に提示する目的で、委員会は以下の勧告を公にする。以下の勧告は、第一義的に義務を負っている国を名宛人とするものである一方、家庭、学校、市民社会および民間セクターを含む他の関係者の積極的関与および参加も要求するものである。 一般的勧告(立法、政策および調整に関するものを含む) 85.国は、デジタルメディアおよびICT〔情報通信技術〕にアクセスしかつこれを利用することの子どもにとっての重要性、ならびに、すべての子どもの権利(とくに表現の自由、適切な情報へのアクセス、参加、教育ならびに休息、余暇、遊び、レクリエーション活動、文化的生活および芸術に対する権利)の促進にとってのこれらのメディアおよびテクノロジーの可能性を認識するべきである。加えて、国は、インターネットを含むデジタルメディアおよびICTへの平等かつ安全なアクセスがポスト2015年開発アジェンダに統合されることを確保するよう求められる。 86.国は、デジタルメディアおよびICTへの子どものアクセスについて統合的に定め、かつ、デジタルメディアおよびICTを利用する際に条約およびその選択議定書に基づく全面的保護を確保する、人権を基盤とした包括的な法律および政策を採択しかつ実施するべきである。この問題が変化を続けていることに照らし、国はまた、法律および政策の実施状況の定期的監視ならびに法律および政策の評価を確保することも求められる。 87.国は、法律、政策、戦略およびプログラムを採択する前にならびに被害を受けた子どものためのサービスを設置する際に、恒常的な公的議論と、あらゆる関係者、とくに子ども、親およびその他の養育者、子どもとともにまたは子どものために働く専門家(教育分野の専門家を含む)、市民社会ならびにICTおよびその他の関連産業の積極的関与を促進しかつ容易にするよう、求められる。さらに、国は、デジタルメディアおよびICT関連の政策、プログラム、実務および決定がすべての子どもの権利、福祉および発達に及ぼす影響の効果的評価を行なうよう勧告されるところである。これによって国は、条約の基本原則(差別の禁止に対する権利、子どもの最善の利益を第一次的に考慮される権利、生命、生存および発達に対する権利ならびに自己に影響を与える事柄について意見を表明する子どもの権利を含む)が効果的に優先され、かつ意味のある形で実施されることを確保するよう求められる。 88.国は、子どもの権利とデジタルメディアおよびICTに関連するすべての活動を部門横断的にならびに国、広域行政権および地方のレベルで調整し、かつ国際協力を推進する明確な任務および十分な権限を備えた、国家的な調整枠組みを採択するべきである。国はまた、当該調整機関に対し、その効果的活動のために必要な人的資源、技術的資源および財源が提供されることを確保することも求められる。 データ収集および調査研究、監視ならびに取り組みの評価 89.国は、子どもによるデジタルメディアおよびソーシャルメディアへのアクセスおよびその利用ならびにそれが子どもの生活に及ぼしている影響についての理解を深めるための調査研究、データ収集および分析を継続的に行なうべきである。データは、子どもにとってのリスクおよび機会の双方を対象とするとともに、すべての子ども(とくに被害を受けやすい状況に置かれた子ども)の状況に関する分析を促進する目的で、年齢、性別、地理的所在、社会経済的背景、障害、マイノリティ集団および(もしくは)先住民族集団の構成員であること、民族的出身または適切と考えられる他のあらゆる属性によって細分化されていることが求められる。 90.委員会は、これらのデータを、進展を測定できるようにするための基準線の設定、関連の法律、政策、プログラムおよびプロジェクトの立案および評価ならびにその実施状況の監視のために活用することを勧告する。国はまた、これらのデータが、公的機関によって、検閲または他のいずれかの政治的および経済的干渉を奨励するために利用されないことを保障するための保護措置も確保するべきである。 91.委員会はさらに、締約国が、あらゆる関係者(とくに子ども)との考え、情報、経験および優れた実践の交流を、国レベル、国際地域レベルおよび国際的レベルで、プラットフォームの創設等も通じて促進するよう勧告する。 独立の監視 92.国は、人権の保障に責任を負う国内機関(国内人権機関、オンブズパーソンまたは平等機関など)に対し、条約およびその選択議定書の遵守状況の監視において主要な役割を果たせるよう、権限および十分な資源を与えるよう求められる。このような機関は、デジタルメディアおよびICTに関連する子どもの権利に対応する具体的任務を委ねられるとともに、子どもからの苦情を子どもに配慮したやり方で受理し、調査しかつこれに対応すること、被害者のプライバシーおよび保護を確保すること、ならびに、被害を受けた子どものために監視、フォローアップおよび確認の活動を行なうことができるべきである。 市民社会との協力 93.委員会は、子どもがICTおよびデジタルメディアにアクセスできることを確保し、かつこれらの手段を利用する際に子どもの権利を保護するうえで非政府組織(NGO)が果たしている重要な役割を認識する。委員会は、国が、関連の法律、政策およびプログラムの策定、実施、監視および評価ならびに調査研究およびデータ収集に、デジタルメディアと子どもの権利の分野で活動しているすべてのNGOの関与を組織的に得るよう勧告するものである。 意識啓発および研修 94.委員会は、締約国が、ICTおよびデジタルメディアの利用に関連する機会およびリスク(自作コンテンツがもたらす意図せざる結果を含む)について公衆一般およびとくに子どもの感受性を高めるための、年齢にふさわしい意識啓発プログラムを実施するよう勧告する。国は、子ども向けにとくに制作された関連の情報資料、ならびに、特定の年齢層および親その他の養育者ならびに子どもとともにまたは子どものために働くすべての専門家向けに制作された関連の情報資料を配布するとともに、意識啓発プログラムの組織化および実施に際して市民社会との緊密な協力を求めるべきである。 95.委員会はさらに、デジタルメディアおよびICTの責任ある利用ならびに子どものリスク回避能力および危害から身を守る能力を増進させる目的で、国が、子どもに対し、そのそのデジタルリテラシーおよびソーシャルリテラシーに関わるスキルの発達を確保するための十分な訓練および支援を提供するよう勧告する。国はまた、親その他の養育者ならびに子どもとともにおよび子どものために働く専門家(教育分野の専門家を含む)に対しても、その技術的スキルを増進させ、リスクおよび潜在的危害についての情報を提供し、子どもがテクノロジーをどのように利用しているか学び、かつ、責任ある安全なやり方によるデジタルメディアおよびICTの利用に関して子どもを支援できるようにするための十分な訓練および支援を提供するべきである。 子どもの権利と企業セクター 96.企業セクターが子どもの権利に及ぼす影響に関わる国の義務についての委員会の一般的意見16号(2013年)ならびにこの分野における他の国際的規範および基準に照らし、国は、締約国で操業するICTその他の関連産業に対して子どもの権利の尊重を要求する、明確かつ予測可能な法的環境および規制環境を確保するべきである。国はまた、ICTその他の関連企業の説明責任を向上させる目的で子どもの権利侵害の調査および救済を行なう監視機構を設置するとともに、子どもの権利とICTに関連する基準の策定に関する規制庁の責任を強化することも求められる。 97.委員会は、国が、企業に対し、デジタルメディアおよびICTを利用する際の子どもの権利に企業が及ぼす影響を特定し、防止しかつ緩和する目的で子どもの権利に関する相当の注意(デュー・ディリジェンス)を払うことを要求するよう、勧告する。さらに国は、ICTその他の関連産業の慣行が条約およびその選択議定書ならびに他の国際的規範および基準に全面的に一致することを確保するため、ICTその他の関連産業による、自発的、自主規制的、職能的および倫理的な指針および行動基準その他の取り組みの発展(オンライン上の安全を促進する技術的解決策を開発し、かつICTおよびデジタルメディアの利用に関する子どもにやさしい取引条件を採用すること、ならびに、年齢にふさわしいコンテンツを発展させることなど)を奨励しかつ促進するべきである。加えて、国が、ICTその他の関連産業との討議および協力のための空間を確保することも勧告される。 差別の禁止 98.国は、自国の管轄内にあるすべての子ども(とくに女子、障害のある子ども、遠隔地に住んでいる子ども、貧困下で暮らしている子ども、マイノリティに属する子ども、先住民族の子ども、路上の状況下で暮らしている子ども、施設で生活している子どもならびに被害を受けやすい状況および周縁化された状況に置かれたその他の子ども)が差別なくデジタルメディアおよびICTにアクセスできることを確保するべきである。とくに委員会は、締約国がとりわけ以下の措置をとるよう勧告する。 (a) インターネット・インフラが利用できる範囲を拡大して農村部も含まれるようにするための措置をとること。 (b) 年齢を考慮しつつ、デジタルメディアおよびICTにインクルーシブな形でアクセスできることならびにテクノロジーおよびデジタルコンテンツが金銭的に負担可能な形でデザインされることを促進するとともに、知的所有権が、子ども(とくに障害のある子どもおよびマイノリティまたは先住民族集団に属する子ども)が文化的資料にアクセスすることにとっての不合理または差別的な障壁とならないことを確保すること。 (c) デジタルコンテンツの言語的および文化的多様性を促進すること。 (d) 女子に対するあらゆる形態の差別の効果的撤廃を確保し、かつ、意識啓発プログラム等を通じ、女子によるテクノロジーへのアクセスおよびその利用を制限しているジェンダー・ステレオタイプおよび社会的規範に対応するための取り組みを強化すること。 (e) コンピューター設備および接続の費用をまかなうための援助を学校およびコミュニティに提供するとともに、低コストな技術的解決策の開発を促進すること。 (f) 反差別の法律、政策、戦略およびプログラムに、デジタルメディアおよびICTへの子ども(とくにもっとも被害を受けやすい立場および不利な立場に置かれた集団に属する子ども)によるアクセスに対応する見地を含めること。 これとの関連で、委員会は、国が、とくに国際連合児童基金(ユニセフ)、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)、国際電気通信連合(ITU)および国際連合人権高等弁務官事務所(OHCHR)の技術的援助を求めるよう勧告する。 子どもの意見の尊重 99.国は、デジタルメディアおよびITCに関連する法律、政策およびプログラムの策定ならびにサービスの立ち上げその他の措置において子どもたちの意見および経験を考慮に入れる目的で、子どもたちが協議の対象とされることを確保するべきである。これには、男子のみならず女子も、また被害を受けやすいまたは周縁化された状況に置かれた子どもも含めることが求められる。デジタルメディアおよびICTの安全な使用(オンライン上の安全を含む)を促進するための取り組みの立案および実施にも、子どもたちの積極的関与を得るべきである。とくに、国は、子どもたちが責任のある安全なやり方で意見および見解を表明できるオンライン上の空間を設置するよう奨励される。 表現の自由、適切な情報へのアクセス、結社および平和的集会の自由に対する権利 100.委員会は、各国に対し、条約ならびにその他の国際的な人権規範および人権基準との整合性を図るため、いかなる場面(オンライン環境を含む)においても、表現、適切な情報へのアクセスならびに結社および平和的集会の自由に対する子どもの権利を制限する国内法令および政策を改正するよう求める。 101.国はさらに、あらゆる場面(オンライン環境を含む)において、表現、適切な情報へのアクセスならびに結社および平和的集会の自由に対する子どもの権利を積極的に促進するべきである。とくに、国は、子どもが主導する活動の回路の創設ならびにさまざまな年齢の子ども向けの教育的および娯楽的コンテンツ(子どもたち自身が制作するコンテンツを含む)を促進するよう求められる。 プライバシーに対する権利 102.国は、デジタルメディアおよびICTとの関連でプライバシーに対する子どもの権利の保護を保障するとともに、条約で定められた子どもの権利の全面的享受を不当に誓約することなく、濫用に対する効果的な保護措置を発展させるべきである。国はまた、デジタルメディアおよびICTの利用ならびに自作コンテンツに関連したプライバシー上のリスクに関する子ども向けの意識啓発プログラムを発展させかつ強化することも求められる。 103.委員会はさらに、すべての子どもが、自己のデータがどのように収集され、保存され、かつ利用されているかおよびどのように他人と共有される可能性があるかについて、意味のある、かつ子どもにやさしい情報を得ることを国が確保するよう勧告する。これとの関連で、国は、デジタルメディアおよびICTを利用する子どものために、明確な情報および警告を付記した年齢にふさわしいプライバシー設定が利用可能とされることを確保するべきである。 適切な情報へのアクセス 104.国は、プライベートメディアを含むマスメディアに対し、子どもにとって社会的および文化的利益がある情報および資料(たとえば健康的なライフスタイルに関するもの)を普及するよう奨励するべきである。 暴力、搾取および子どもの虐待を含む危害からの保護 105.国は、条約およびその選択議定書で定められた子どもの権利の全面的享受を確保するホリスティックな戦略を通じて、デジタルメディアおよびICTが子どもの安全にもたらすリスク(オンライン上のいやがらせ、子どもの性的搾取、暴力的および性的コンテンツへのアクセス、性的目的での勧誘および自作の性的コンテンツを含む)に対応するべきである。国は、そうすることによって、デジタルメディアおよびICTが提供する機会の促進と危害からの子どもの保護との間で常にバランスを確保することが求められる。とくに、国は以下の措置をとるべきである。 (a) 子どもたち、かつての被害者、関連のNGOおよびICTその他の関連産業の関与を得る等の手段により、危害を防止することならびにデジタルメディアおよびICTがもたらすリスクに対処することを目的としたプログラムを発展させかつ強化すること。 (b) 子どもがリスク管理を行ない、かつどこの助けを求めればいいか知ることができるよう、子どもたちに対し、デジタルメディアおよびICTを利用する際の安全に関する年齢にふさわしい情報を提供すること。 (c) ICT産業との調整を図ることにより、当該産業が、暴力的資料および不適切な資料ならびにデジタルメディアおよびICTが子どもにもたらすその他のリスクから子どもを保護するための十分な措置を発展させかつ整備するようにすること。 (d) デジタルメディアおよびICTを利用する際のリスクの防止およびこれへの対応に関する子ども向けの意識啓発プログラムおよび教育プログラムを、子どもたちの関与を得ながら、子どもにやさしい広報資料の開発等も通じてさらに強化すること。 (e) 法執行要員、司法機関の構成員ならびに子どもとともにおよび子どものために働く専門家を対象として、その技術的スキルの増進を目的とした、十分かつ継続的な研修を実施すること。 (f) デジタルメディアおよびICTに関連する子どもの権利侵害を通報するための、アクセスしやすく、安全で、秘密が守られ、年齢にふさわしく、子どもにやさしく、かつ効果的な通報経路(子どもホットラインなど)を確保すること。 (g) 子どもを対象として、自作の性的コンテンツを関連の公的機関に報告するための安全な、子どもにやさしい、かつ秘密の守られる窓口を提供すること。 (h) 子どもを巻きこんだ有害な資料を削除するための迅速かつ効果的な手続を用意すること。 (i) 条約および選択議定書で対象とされているすべての犯罪について、被害者の特定ならびに責任者の摘発、捜査、訴追および処罰を強化すること。 (j) 事案の付託および被害を受けた子どもへの効果的支援を確保する保護制度における、あらゆる主体および部門間の調整を強化すること。 (k) 適用される法的枠組みの効果的執行を確保するための国際的・地域的調整および連携を促進しかつ推進すること。 効果的な救済措置および賠償ならびに被害者への援助 106.国は、適切な場合には国家賠償を通じ、被害を受けた子どものために効果的な救済措置(こうむった危害に対して迅速かつ適切な賠償を求めるための援助を含む)へのアクセスを確保するべきである。国はまた、デジタルメディアおよびICTに関連する人権侵害の被害を受けた子どもに対し、その子どもの全面的な回復および再統合を確保するための包括的サービスを含む十分な支援および援助を提供するとともに、被害を受けた子どもの再被害を防止することも求められる。 家庭環境 107.国は、親、他の養育者および法定保護者に対し、デジタルメディアおよびICTの責任ある安全な利用について、子どもをその発達しつつある能力を尊重しながら指導できるようにするための訓練、援助および支援のサービスを提供するべきである。訓練および支援は、技術的能力に関するものに限定されるべきではなく、一般的な子どもの養育責任の履行における支援も含めることが求められる。 障害のある子ども 108.委員会は、国が、民間セクター、国際協力および公共調達に関連する政策にアクセシビリティ要件を編入する等の手段により、障害のある子どもがデジタルメディアおよびICTにアクセスできることを確保するための法律および政策を策定し、実施しかつ監視するよう勧告する。この文脈において、国は、公的資金がデジタルメディアおよびICTの享受および利用を促進するためにもっぱら活用されることを確保するとともに、サービスおよび製品にアクセスできないことから生じる差別を生み出しまたは固定化しないようにするべきである。さらに国は、障害のある子どもたちと積極的に協議する等の手段により、インクルーシブなコミュニティおよび教育制度の創設を強化し、かつ否定的なステレオタイプの流布と闘うためのデジタルメディアおよびICTの利用を促進するよう求められる。委員会はまた、国が、障害のある人の権利に関する条約および「盲者、視覚障害者または印刷物を読むことに障害を有するその他の者による公刊物へのアクセスの便宜を図るためのマラケシュ条約」を批准することも勧告するものである。 教育 109.委員会は、国が、子どもの発達しつつある能力にしたがい、基礎教育カリキュラムの一環としてデジタルリテラシーの発達を促進するよう勧告する。訓練および教育は、技術的能力に関するものに限定されるべきではなく、倫理的原則および価値観に関する意識の喚起も含まれるべきであり、またオンラインでおたがいに交流および関係を持つ際に責任あるやり方で振舞い、かつリスクに対して適切かつ安全に対応するスキル(ソーシャルリテラシー)を子どもに教えるようなものであるべきである。加えて委員会は、国が、セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関する教育が学校の義務的カリキュラムの一環として位置づけられ、かつ思春期の女子および男子を対象として行なわれることを確保するよう勧告する。 CRC〔子どもの権利条約〕およびOP〔選択議定書〕に基づく定期的報告 110.委員会は、締約国が、条約およびその選択議定書に基づく定期報告書に、子どもの権利とデジタルメディアおよびICTに関する情報を体系的に記載するよう勧告する。 更新履歴:ページ作成(2015年5月17日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/23.html
子どもの権利委員会・一般的意見12号:意見を聴かれる子どもの権利(2) 意見を聴かれる子どもの権利(1)より続く A.法的分析(続き) 3.締約国の義務 (a)締約国の中核的義務 48.意見を聴かれる子どもの権利は、適切な情報、必要な場合の十分な支援、意見がどの程度重視されたかに関するフィードバック、および、苦情申立て、救済措置または是正措置の手続へのアクセスを子どもたちに提供する機構を導入するために国内法を再検討しまたは改正する義務を、締約国に対して課すものである。 49.これらの義務を履行するため、締約国は以下の戦略をとるべきである。 第12条に関する制限的な宣言および留保を再検討しかつ撤回すること。 子どもの権利に関する幅広い権限を有する子どもオンブズマンまたは子どもコミッショナーのような、独立の人権機関を設置すること [8]。 子どもとともにおよび子どものために働くすべての専門家を対象として、第12条および実践におけるその適用についての研修を行なうこと。このような専門家には、弁護士、裁判官、警察官、ソーシャルワーカー、コミュニティワーカー、心理学者、ケアワーカー、居住型施設および刑務所の職員、あらゆる段階の教育制度の教員、医師、看護師その他の保健専門職、公務員および公的職員、庇護担当官ならびに伝統的指導者が含まれる。 規則および体制を整えることにより、子どもの意見表明を支援および奨励するための適切な条件を確保し、かつ子どもの意見が正当に重視されるのを確実にすること。このような規則および体制は、法律および機関内規則にしっかりと根ざしており、かつその効果に関して定期的評価が行なわれるようなものでなければならない。 広く蔓延している慣習的子ども観を変革するための公的キャンペーン(オピニオンリーダーおよびメディアによるものも含む)を通じ、意見を聴かれる子どもの権利の全面的実現を妨げる否定的態度と闘うこと。 [8] 独立した国内人権機関の役割に関する委員会の一般的意見2号(2002年)参照。 (b)司法的および行政的手続に関わる具体的義務 (i) 民事上の司法手続において意見を聴かれる子どもの権利 50.子どもの意見が聴かれなければならない主な問題について以下に詳述する。 〈離婚および別居〉 51.別居および離婚の事案において、当該関係のもとにある子どもが裁判所の決定の影響を受けることは明白である。子どもの養育費ならびに監護権および面接交渉の問題は、審判において、または裁判所が主導する調停を通じて、いずれにせよ裁判官によって決定される。多くの法域では、その法律に、関係の解消と関わって、裁判官は「子どもの最善の利益」を至高の考慮事項としなければならない旨の規定を置くようになっている。 52.このような理由から、別居および離婚に関するあらゆる立法には、子どもが意思決定担当者によっておよび調停手続において意見を聴かれる権利が含まれていなければならない。法域によっては、政策上または立法上の問題として、子どもに自己の意見を表明する力があると見なされるいずれかの年齢を定めることが望ましいとされている場合もある。しかし委員会は、この問題が個別事案ごとに決定されることを期待するものである。これは年齢および成熟度に関わる問題であり、そのため子どもの能力を個別に評価することが必要だからである。 〈親からの分離および代替的養護〉 53.家庭内で虐待またはネグレクトの被害を受けているという理由で子どもを家族から分離するという決定が行なわれるときは常に、子どもの最善の利益を判断するためその子どもの意見が考慮されなければならない。このような介入は、子ども、他の家族構成員または虐待もしくはネグレクトを訴えるコミュニティの構成員からの苦情申立てによって開始されることが考えられる。 54.委員会の経験では、意見を聴かれる子どもの権利は締約国によって常に考慮されているとはかぎらない。委員会は、締約国が、立法、規則および政令を通じ、里親養護または施設への措置、ケアプランの策定および見直しならびに親および家族の訪問に関わるものを含む決定において子どもの意見が求められかつ考慮されることを確保するよう勧告する。 〈養子縁組およびイスラム法のカファラ〉 55.子どもが養子縁組またはイスラム法のカファラのために措置され、かつ最終的に養子となりまたはカファラの措置が行なわれる見込みのときは、子どもの意見を聴くことがきわめて重要である。このようなプロセスは、継親または里親家族が子どもを養子とするときにも、子どもと養親になろうとする者がすでに一定期間ともに生活していた可能性もあるとはいえ、必要となる。 56.条約第21条は、子どもの最善の利益が最高の考慮事項であると述べている。養子縁組、カファラその他の措置に関する決定においては、子どもの意見を考慮することなく子どもの「最善の利益」を定義することはできない。委員会は、すべての締約国に対し、可能であれば養子縁組、カファラその他の措置の効果について子どもに情報を提供し、かつ子どもの意見が聴かれることを立法によって確保するよう促すものである。 (ii) 刑事上の司法手続において意見を聴かれる子どもの権利 57.刑事上の手続において、自己に影響を与えるすべての事柄について自由に自己の意見を表明する子どもの権利は、少年司法手続のあらゆる段階を通じて全面的に尊重されかつ実施されなければならない [9]。 [9] 少年司法における子どもの権利に関する委員会の一般的意見10号(2007年、CRC/C/GC/10)参照。 〈罪を犯した子ども〉 58.条約第12条第2項は、刑法に違反したとして申し立てられ、罪を問われまたは認定された子どもが、意見を聴かれる権利を有すべきことを求めている。この権利は、子どもが黙秘権を有する審判前の段階から、警察、検察官および予審判事によって意見を聴かれる権利まで、司法手続のあらゆる段階を通じて全面的に遵守されなければならない。この権利はまた、判決および処分の段階ならびに科された措置の実施の段階全体においても適用される。 59.調停を含むダイバージョンの場合、子どもは自由なかつ自発的な同意を与える機会を認められなければならず、かつ、提案されているダイバージョンの適切さおよび望ましさについて判断するにあたり法的その他の助言および援助を得る機会が与えられなければならない。 60.手続に実効的に参加するため、すべての子どもは、自己に対する被疑事実について迅速かつ直接にならびにその子どもが理解する言語で知らされなければならず、かつ、少年司法手続および裁判所がとる可能性のある措置についての情報も提供されなければならない。手続は、子どもの参加および自由な意見表明を可能にするような雰囲気のなかで行なわれるべきである。 61.法律に抵触した子どもの裁判その他の聴聞は非公開で行なわれるべきである。この原則に対する例外はきわめて限定されたものであるべきであり、国内法で明確に定められ、かつ子どもの最善の利益を指針とすることが求められる。 〈子どもの被害者および子どもの証人〉 62.犯罪の被害を受けた子どもおよび犯罪の証人である子どもに対しては、国際連合経済社会理事会決議2005/20「子どもの犯罪被害者および証人が関与する事案における司法についての国連指針」[10] にしたがって、自己の見解を自由に表明する権利を全面的に行使する機会が与えられなければならない。 [10] 国際連合経済社会理事会決議2005/20、とくに8、19および20条参照。下記URLで入手可:www.un.org/ecosoc/docs/2005/Resolution%202005-20.pdf 63.このことはとくに、子どもの被害者または(および)証人が、審査中の事案への関与に関わる関連の事柄について協議の対象とされ、かつ、司法手続への関与に関する意見および懸念を自由にかつその子どもなりの方法で表明できることを確保するために、あらゆる努力が行なわれなければならないということを意味する。 64.子どもの被害者および証人が有するこの権利は、保健サービス、心理サービスおよび社会サービスの利用可能性、子どもの被害者および(または)証人の役割、「尋問」が行なわれる方法、苦情を申し立てたり捜査および裁判手続に参加したりする際に子どものために用意されている支援のしくみ、聴聞が行なわれる具体的場所および時間、保護措置の利用可能性、補償を受けられる可能性、ならびに、上訴に関する規定について情報を知らされる権利とも関連している。 (iii) 行政上の手続において意見を聴かれる子どもの権利 65.すべての締約国は、第12条の要件を反映した行政手続を立法で策定し、かつ、意見を聴かれる子どもの権利を他の手続的権利(関連する記録の開示、聴聞の告知および親その他の者による代理に対する権利を含む)とともに確保するべきである。 66.子どもは裁判手続よりも行政手続に関与することになる可能性のほうが高い。行政手続はそれほど形式的なものではなく、より柔軟であり、かつ法令を通じて確立することが相対的に容易だからである。手続は、子どもにやさしく、かつアクセスしやすいものでなければならない。 67.子どもたちに関連する行政上の手続の具体例としては、学校における規律上の問題(たとえば停退学等)、学校証明書の発給拒否および成績関連の問題、少年拘禁所における規律上の措置および特権を認めることの拒否、保護者のいない子どもによる庇護申請、ならびに、運転免許の申請に対応するためのしくみなどがある。これらの事案において、子どもは意見を聴かれる権利を認められるべきであり、かつ「国内法の手続規則と一致する」その他の権利を享受できるべきである。 B.意見を聴かれる権利および条約の他の規定との関係 68.第12条は、一般原則のひとつとして、第2条(差別の禁止に対する権利)および第6条(生命、生存および発達に対する権利)のような他の一般原則と関連しており、かつ、とくに第3条(子どもの最善の利益の第一次的考慮)と相互依存関係にある。同条はまた、市民的権利および自由に関わる条項、とくに第13条(表現の自由に対する権利)および第17条(情報に対する権利)とも密接に関連している。さらに、第12条は条約の他のすべての条項とも関係しているのであって、これらの規定は、子どもがそれぞれの条項に掲げられた権利およびその実施について自分なりの意見を有する主体として尊重されるのでなければ、全面的に実施することができない。 69.第12条と第5条(子どもの発達しつつある能力ならびに親による適切な指示および指導、この一般的意見のパラ84参照)との関係はとくに関連性を有する。親が指導を与える際には子どもの発達しつつある能力を考慮に入れることがきわめて重要だからである。 1.第12条と第3条 70.第3条の目的は、子どもに関わるすべての行動において、その行動が公的もしくは私的な社会福祉機関、裁判所、行政機関または立法機関によってなされたかどうかに関わらず、子どもの最善の利益が第一次的に考慮されることを確保することである。このことは、子どものためにとられるすべての行動において、その子どもの最善の利益が尊重されなければならないことを意味する。子どもの最善の利益は、締約国に対し、子どもの最善の利益が考慮されることを確保するための措置を行動プロセスに導入するよう義務づける手続的権利とそれほど変わらない。条約は、締約国に対し、これらの行動の担当者が第12条で定められているとおりに子どもの意見を聴くことを確保するよう、義務づけている。このような措置は義務的なものである。 71.子どもとの協議に基づいて確立された子どもの最善の利益は、諸機関、公的機関および行政の行動において考慮されるべき唯一の要素というわけではない。しかしそれは、子どもの意見と同様に、決定的重要性を有する要素である。 72.第3条ではもっぱら個別事案が対象とされているが、子どもに関わるあらゆる行動において集団としての子どもの最善の利益が考慮されるよう要求していることも明らかである。したがって締約国には、子どもたちの最善の利益を明らかにする際に子ども一人ひとりの個別的状況を考慮するのみならず、集団としての子どもたちの利益も考慮する義務がある。さらに、締約国は、官民諸機関、公的機関および立法機関の行動も検討しなければならない。この義務が「立法機関」に対しても拡大されていることは、子どもたちに影響を与えるすべての法令または規則は「最善の利益」基準を指針としなければならないことを明確に示すものである。 73.いずれかの定義による集団としての子どもたちの最善の利益が、個別の利益を衡量する場合と同じやり方で確立されなければならないことには疑問の余地がない。多数の子どもたちの最善の利益が問題となっているときは、諸機関、公的機関または政府機関の長は、子どもたちに直接または間接に影響する行動(立法上の決定を含む)を計画する際、具体的に定義されていないそのような集団の子どもたちのうち関係する子どもたちから意見を聴き、かつその意見を正当に重視する機会も設けるべきである。 74.第3条と第12条との間に緊張関係はなく、2つの一般原則の補完的役割が存在するのみである。一方が子どもの最善の利益を達成するという目的を定め、他方が子ども(たち)の意見を聴くという目標を達成するための方法論を用意している。実のところ、第12条の要素が尊重されなければ第3条の正しい適用はありえない。同様に、第3条は、自分たちの生活に影響を与えるあらゆる決定における子どもたちの必要不可欠な役割を促進することにより、第12条の機能性を強化している。 2.第12条、第2条および第6条 75.差別の禁止に対する権利は、子どもの権利条約を含むすべての人権文書で保障されている固有の権利である。条約第2条にしたがい、すべての子どもは、第12条で規定されているものも含む自己の権利の行使に関して差別されない権利を有する。委員会は、自己の意見を自由に表明しかつその意見を正当に考慮される権利を、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、民族的もしくは社会的出身、財産、障害、出生またはその他の地位を理由とするいかなる種類の差別もなくすべての子どもに対して保障するために、締約国が十分な措置をとらなければならないことを強調するものである。締約国は、子どもたちが意見を聴かれる権利を保障され、かつ、自己に影響を与えるすべての事柄に他のすべての子どもたちと平等に参加できるようにされることを確保する目的で、差別(権利を侵害されやすい立場に置かれたまたは周縁化された集団の子どもたちに対するものも含む)に対応しなければならない。 76.委員会はとりわけ、一部の社会で、慣習的態度および慣行によりこの権利の享受が阻害されかつ深刻に制限されていることに、懸念とともに留意する。締約国は、条約に基づくすべての子どもの権利の全面的実施を達成する目的で、このような態度および慣行の否定的な影響について意識啓発および社会の教育を行ない、かつ態度の変革を奨励するための十分な措置をとらなければならない。 77.委員会は、締約国に対し、意見を聴かれ、必要であれば支援を受け、自己の意見を明らかにし、かつその意見を正当に重視される女子の権利に特別な注意を払うよう促す。ジェンダーに基づくステレオタイプおよび家父長制的価値観により、第12条に掲げられた権利の女子による享受が阻害されかつ女児に深刻に制限されているからである。 78.委員会は、障害のある人の権利に関する条約第7条において、障害のある子どもが、自己の意見を自由に表明し、かつその意見を正当に重視されることを可能にするために必要な援助および設備を提供されることを確保する義務が、締約国に課されていることを歓迎する。 79.子どもの権利条約第6条は、すべての子どもが生命に対する固有の権利を有すること、および、締約国は子どもの生存および発達を可能なかぎり最大限に確保しなければならないことを認めている。委員会は、意見を聴かれる子どもの権利のための機会を促進することの重要性に留意するものである。子ども参加は、第6条、および、第29条に掲げられた教育の目的に一致する形で子どもの人格の全面的発達および子どもの発達しつつある能力を刺激する手段のひとつだからである。 3.第12条、第13条および第17条 80.表現の自由に対する権利に関する第13条および情報へのアクセスに関する第17条は、意見を聴かれる権利を効果的に行使するために決定的に重要な前提である。これらの条項は、子どもが権利の主体であることを確立するとともに、第12条とあわせて、子どもにはこれらの権利を自分自身で、その発達しつつある能力にしたがって行使する資格があると主張している。 81.第13条に掲げられた表現の自由に対する権利は、第12条と混同されることが多い。しかし、どちらも強く関連し合っているとはいえ、これらの条項は異なる権利を定めたものである。表現の自由は、意見を有しかつ表明する権利ならびにいかなる媒体を通じても情報を求めかつ受け取る権利に関連している。これは、どのような意見を有しまたは表明するかについて締約国による制約を受けない子どもの権利を擁護するものである。したがって、これによって締約国に課される義務は、コミュニケーション手段および公の議論にアクセスする権利を保護しつつ、これらの意見の表明または情報へのアクセスに対する介入を行なわないことである。しかし第12条は、子どもに影響を与える事柄について具体的に意見を表明する権利、および、自分の生活に影響を及ぼす行動および決定に関与する権利に関連している。第12条は、締約国に対し、子どもに影響を与えるあらゆる行動および意思決定への子どもの積極的参加を容易にし、かつ表明されたこれらの意見を正当に重視する義務を履行するために必要な法的枠組みおよび機構を導入する義務を課しているのである。第13条に掲げられた表現の自由は、締約国によるこのような関与または反応を要求するものではない。ただし、第12条に一致する形で子どもの意見表明が尊重される環境をつくり出すことは、表現の自由に対する権利を行使する子どもの能力の構築にも寄与するものである。 82.第17条に一致する形で情報に対する子どもの権利を充足させることは、かなりの程度、意見表明権を効果的に実現するための前提である。子どもたちは、自分たちに関係するあらゆる問題についての情報に、その年齢および能力にふさわしい形式でアクセスできる必要がある。このことは、たとえば、自分たちの権利、子どもに影響を与えるいずれかの手続、国内法令および政策、地元のサービスならびに異議申立ておよび苦情申立ての手続に関する情報について当てはまる。締約国は、第17条および第42条に一致する形で、学校カリキュラムに子どもの権利を含めるべきである。 83.委員会はまた、メディアが、子どもの意見表明権に関する意識を促進する上でも、そのような意見を公的に表明する機会を提供する上でも重要な手段のひとつであることを、締約国が想起するよう求める。委員会は、さまざまな形態のメディアに対し、プログラムの制作に子どもたちの参加を得ること、および、子どもたちが自分たちの権利に関するメディアの取り組みを発展させかつ主導する機会を創設することにいっそうの資源を振り向けるよう、促すものである [11]。 [11] 子どもとメディアに関する一般的討議勧告(1996年):www.unhchr.ch/html/menu2/6/crc/doc/days/media.pdf 4.第12条と第5条 84.条約第5条は、締約国が、条約で認められた権利を子どもが行使するにあたって適当な指示および指導を行なう、親、法定保護者、または地方的慣習で定められている拡大家族もしくは共同体の構成員の責任、権利および義務を尊重しなければならないと述べている。したがって子どもは指示および指導に対する権利を有するのであるが、この指示および指導は、子どもの知識、経験および理解力の欠如を補うようなものでなければならず、かつ、同条で述べられているように、子どもの発達しつつある能力による制約を受けるものである。子ども自身の知識、経験および理解力が高まるにつれて、親、法定保護者または子どもに責任を負うその他の者は、指示および指導を、子ども自身の気づきを促すための注意喚起およびその他の形態の助言に、そしてやがては対等な立場の意見交換に、変えていかなければならない。このような転換は、子どもの発達の固定された時点で生じるのではなく、子どもが自分の意見を表明するよう奨励されるなかで着実に進行していくものである。 85.この要件は、子どもが自己の意見をまとめる力を有しているときは常にその意見が正当に重視されなければならないと定めた条約第12条によって活性化される。換言すれば、子どもが力を獲得していくにつれて、自己に影響を与える事柄の規制に関してますます高い水準の責任を負う資格を有するようになるのである [12]。 [12] 子どもの権利条約の実施に関する一般的措置についての一般的意見5号(2003年)。 5.第12条と子どもの権利一般の実施 86.以上のパラグラフで論じた諸条項に加え、条約のその他の条項も、ほとんどは子どもたちに影響を与える事柄への子どもたちの関与を要求しかつ促進するものである。このような多層的な関与については、参加という概念があらゆるところで用いられている。当然のことながら、このような関与の要となるのは第12条であるが、子どもたちとの協議に基づく計画、活動および発展は条約全体で要求されている。 87.実施の実践においては保健、経済、教育または環境のような幅広い問題への対処が行なわれるのであり、このような問題は個人としての子どものみならず子どもたちの集団および子どもたち一般にとっての関心事でもある。したがって、委員会は参加を常に幅広く解釈し、個々の子どもたちおよび明確な定義に基づく集団の子どもたちのみならず、先住民族の子ども、障害のある子どものような子どもたちの集団、または、社会における社会的、経済的または文化的生活条件によって直接もしくは間接に影響を受ける子どもたち一般のための手続も定められることを目指してきた。 88.子どもたちの参加に関するこのような幅広い理解は、〔国連〕総会第27特別会期で採択された成果文書「子どもにふさわしい世界」に反映されている。締約国は、「家庭および学校ならびに地方および国のレベルにおけるものも含む意思決定プロセスに、思春期の青少年を含む子どもが意味のある形で参加することを促進するためのプログラムを策定および実施する」ことを約束した(パラ32(1))。委員会は、子どもの権利条約の実施に関する一般的措置についての一般的意見5号で、「政府が子どもたちとの直接の関係を発展させ、非政府組織(NGO)や人権機関を通じて仲介された関係に留まらないようにすることも重要である」と述べている [13]。 [13] 前掲パラ12。 C.さまざまな場面および状況における意見を聴かれる権利の実施 89.意見を聴かれる子どもの権利は、子どもが成長し、発達しかつ学習する多様な場面および状況で実施されなければならない。このような場面および状況では子どもおよびその役割についてそれぞれ異なるとらえ方が存在しており、それによって日常的事柄およびきわめて重要な決定への子どもの関与が促されたり制約されたりする場合がある。意見を聴かれる子どもの権利の実施に影響を及ぼす方法にはさまざまなものがあり、締約国は子ども参加を促進するためにそれらを活用することが可能である。 1.家庭における実施 90.子どもがもっとも幼い年齢から自由に意見を表明でき、かつそれを真剣に受けとめてもらえる家庭は重要なモデルであり、かつ、より幅広い社会において子どもが意見を聴かれる権利を行使するための準備の場である。子育てに対するこのようなアプローチは、個人の発達を促進し、家族関係を強化し、かつ子どもの社会化を支援するうえで役に立つとともに、家庭におけるあらゆる形態の暴力に対して予防的役割を果たす。 91.条約は、子どもに適当な指示および指導を行なう親その他の法定保護者の権利および責任を認めている(前掲パラ84参照)が、それは子どもがその権利を行使できるようにするためであることを強調するとともに、指示および指導が子どもの発達しつつある能力にしたがって行なわれることを求めている。 92.締約国は、親、保護者および保育者に対し、子どもに関わるあらゆる事柄について子どもたちの声に耳を傾け、かつその意見を正当に重視するよう、立法および政策を通じて奨励するべきである。親に対してはまた、社会のあらゆるレベルで自由に自己の意見を表明し、かつその意見を正当に考慮される権利の実現に関して子どもたちを支援することが望ましいという助言も与えられるべきである。 93.意見を聴かれる子どもの権利を尊重する子育てスタイルの発展を支援するため、委員会は、締約国が、すでにある前向きな行動および態度をもとにそれらをさらに発展させ、かつ条約に掲げられた子どもおよび親の権利に関する情報を普及する親教育プログラムを推進するよう勧告する。 94.そのようなプログラムでは次のような問題を取り上げる必要がある。 親子間の相互尊重関係 意思決定への子どもの関与 家族構成員全員の意見を正当に重視するということの意味 子どもの発達しつつある能力の理解、促進および尊重 家庭内で意見が食い違うときの対処方法 95.これらのプログラムは、女子と男子は平等な意見表明権を有しているという原則を強化するものでなければならない。 96.メディアは、親に対し、その子どもの参加は子ども自身、その家族および社会にとって高い価値を有するものであることを伝えるうえで強力な役割を果たすべきである。 2.代替的養護における実施 97.施設を含むあらゆる形態の代替的養護のもとにある子どもたちが、自分の措置、里親家族またはホームにおける養護の規制および日常生活に関わる事柄について自己の意見を表明でき、かつその意見が正当に重視されることを確保するための機構が導入されなければならない。このような機構には次のようなものが含まれるべきである。 措置、養護および(または)処遇に関わるいかなる計画についても情報を得る権利、ならびに、意思決定プロセス全体を通じて自己の意見を表明しかつその意見を正当に重視される意味のある機会を子どもに認める立法。 子どもにやさしい養護サービスの開発および設置において、意見を聴かれる子どもの権利およびその意見が正当に重視されることを確保する立法。 第3条に基づく義務にしたがい、子どもの養護、保護または処遇の提供について定めた規則および規制の遵守状況を監視するための、権限のある監視機関(子どもオンブズパーソン、子どもコミッショナーまたは査察官など)の設置。このような監視機関には、居住型施設(法に抵触した子どもたちを対象とした施設も含む)に何ら妨げられることなくアクセスし、子どもの意見および懸念を直接聴き、かつ、施設自体によって子どもの意見がどの程度聴かれかつ正当に重視されているかを監視する権限が与えられるべきである。 施設の方針およびあらゆる規則の策定および実施に参加する権限を有する、居住型養護施設における効果的機構の確立(たとえば女子および男子双方の代表による子ども会など)。 3.保健ケアにおける実施 98.条約の諸規定を実現するためには、子どもたちの健康的な発達およびウェルビーイングの促進に関する子どもの意見表明権および参加権を尊重することが必要である。このことは、保健ケアに関する個別の決定にも、保健政策の策定および保健サービスの開発への子どもたちの関与にも当てはまる。 99.委員会は、自分自身の保健ケアに関わる実務および決定への子どもの関与に関わって検討が必要な、それぞれ異なってはいるが関連しているいくつかの問題を明らかにする。 100.乳幼児を含む子どもたちは、その発達しつつある能力に一致した方法で、意思決定プロセスに包摂されるべきである。子どもたちに対しては、提案されている治療ならびにその作用および結果に関する情報(障害のある子どもにとって適切かつアクセスしやすい形式によるものも含む)が提供されるべきである。 101.締約国は、子どもたちが、子どもの安全またはウェルビーイングのために必要な場合、子どもの年齢に関わらず、親の同意を得ることなく秘密裡に医療上の相談および助言にアクセスできることを確保するための立法または規則を導入しなければならない。子どもたちは、たとえば家庭で暴力もしくは虐待を経験しているとき、リプロダクティブ・ヘルスに関わる教育もしくはサービスを必要とするとき、または保健サービスへのアクセスをめぐって親と子どもとの間に食い違いがあるときなどに、このようなアクセスを必要とする可能性がある。相談および助言に対する権利は医療上の同意を与える権利とは異なるものであり、いかなる年齢制限の対象にもされるべきではない。 102.委員会は、一部の国において、子どもが定められた年齢に達した時点で同意権が子どもに移行する制度が導入されていることを歓迎するとともに、締約国に対し、このような立法の導入を検討するよう奨励する。このようにして、当該年齢以上の子どもは、独立した有資格の専門家と協議した後に個別の専門的評価を受けなければならないという要件を課されることなく、同意を与える資格を認められるわけである。しかし委員会は、当該年齢未満の子どもが自己の治療について十分な情報に基づく意見を表明する能力を実証できるときは、この意見が正当に重視されることを締約国が確保するよう、強く勧告する。 103.医師および保健ケア施設は、子どもたちに対し、小児科学研究および臨床試験への参加に関わる権利について、明確かつアクセスしやすい情報を提供するべきである。その他の手続的保障に加えて十分な情報に基づく子どもの同意が得られるよう、子どもたちに対しては当該研究に関する情報が提供されなければならない。 104.締約国はまた、子どもの健康および発達のためのサービスの計画およびプログラム立案に関して子どもたちが自己の意見および経験を提供できるようにする措置も導入するべきである。子どもたちの意見は保健体制のあらゆる側面について求められるべきであり、これには、必要とされているサービスの種類、そのようなサービスを最善の形で提供するための方法および場所、サービスへのアクセスを妨げる差別的障壁、保健専門職の資質および態度、ならびに、自分自身の健康および発達について徐々に水準を上げながら責任を負う子どもたちの能力を促進する方法も含まれる。このような情報は、とくにサービスを利用しまたは研究に参加した子どもを対象とするフィードバック・システムおよび協議プロセスを通じて入手することが可能であり、かつ、子どもの権利を尊重する保健サービスの基準および指標を策定する目的で、地方または国の子ども評議会または子ども議会に送付することができる [14]。 [14] 委員会は、HIV/AIDSと子どもの権利に関する一般的意見3号(2003年、パラ11および12)および思春期の健康に関する一般的意見4号(2003年、パラ6)にも注意を促すものである。 4.教育および学校における実施 105.教育において意見を聴かれる子どもの権利を尊重することは、教育に対する権利の実現にとって根本的に重要である。委員会は、依然として続く権威主義、差別、敬意の欠如および暴力が多くの学校および教室の現実を特徴づけていることに、懸念とともに留意する。このような環境は、子どもが意見を表明することおよびこれらの意見が正当に重視されることに資するものではない。 106.委員会は、締約国が、以下の問題に関して子どもたちが意見を表明しかつその意見が正当に重視される機会構築のための行動をとるよう勧告する。 107.乳幼児期の教育プログラムを含むあらゆる教育環境において、参加型学習環境における子どもたちの積極的役割が促進されるべきである [15]。教授および学習においては、子どもたちの生活条件および展望が考慮に入れられなければならない。そのため、教育当局はカリキュラムおよび学校プログラムの計画に子どもたちおよびその親の意見を含めなければならない。 [15] 「万人のための教育に対する人権基盤アプローチ:教育に対する子どもたちの権利と教育における権利の実現のための枠組み」ユニセフ/ユネスコ(2007年)。 108.人権教育は、子どもが他の子どもたちおよびおとなとともに学び、遊びかつ生活する施設で人権が実践されないかぎり、子どもたちの動機づけおよび行動形成にはつながりえない [16]。とくに、意見を聴かれる子どもの権利は、条約で宣言されているとおり実際に自分たちの意見が正当に重視されているかどうか目の当たりにできるこれらの施設で、子どもたちによる批判的吟味の対象とされている。 [16] 教育の目的(条約第29条1項)に関する子どもの権利委員会の一般的意見1号(CRC/GC/2001/1)。 109.子ども中心の双方向型学習のために必要な協力と相互支援を刺激するような人間関係的雰囲気を教室につくり出すためには、子どもたちの参加が欠かせない。子どもたちの意見を重視することは、差別の解消、いじめの防止および規律維持のための措置においてとりわけ重要である。委員会は、ピア・エデュケーションおよびピア・カウンセリングの拡大を歓迎する。 110.意思決定プロセスへの子どもたちの着実な参加は、とくに、学級会、生徒会、ならびに、学校理事会および学校委員会への生徒代表の参加を通じて達成されるべきである。このような場で、子どもたちは学校方針および行動規範の策定および実施について自由にその意見を表明できる。これらの権利は、それを実施しようという公的機関、学校および校長の善意に依拠するのではなく、立法に掲げられる必要がある。 111.締約国は、学校に留まらず、教育政策のあらゆる側面について地方および国のレベルで子どもたちと協議するべきである。これには、教育制度、子どもたちに「2度目のチャンス」を与えるインフォーマルなおよびノンフォーマルな学習上の便益、学校カリキュラム、教授法、学校の構造、基準、予算策定および子ども保護システムの子どもにやさしい特徴を強化することも含まれる。 112.委員会は、締約国に対し、独立した生徒組織の発展を支援するよう奨励する。このような組織は、子どもたちが教育制度への参加役割を適切に果たすことを援助しうる。 113.次の学校段階への移行または能力・適性別コースもしくはクラスの選択に関する決定においては、意見を聴かれる子どもの権利が確保されなければならない。これらの決定は子どもの最善の利益に深い影響を及ぼすためである。このような決定は行政上または司法上の再審査に服さなければならない。加えて、規律維持に関わる事案においては、意見を聴かれる子どもの権利が全面的に尊重されるべきである [17]。とくに、子どもを授業または学校から排除する場合には、この決定は、教育に対する子どもの権利と矛盾することから、司法審査に服さなければならない。 [17] 締約国は、体罰を解消するための参加型戦略について説明した、体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利に関する委員会の一般的意見8号(2006年、CRC/C/GC/8)を参照することが求められる。 114.委員会は、多くの国で子どもにやさしい学校プログラムが導入されていることを歓迎する。これは、子どもたちと青少年が社会で積極的役割を果たしかつコミュニティ内で責任ある市民として行動できるよう準備させる、双方向的な、配慮と保護に満ちた参加型の環境を提供することを追求するものである。 5.遊び、レクリエーション、スポーツおよび文化的活動における実施 115.子どもたちは、発達および社会化のために遊び、レクリエーション、身体的および文化的活動を必要としている。これらの活動は、子どもの好みおよび能力を考慮に入れながら立案されるべきである。自己の意見を表明できる子どもたちは、遊びおよびレクリエーションのための設備のアクセスしやすさおよび適切さについて協議の対象とされるべきである。正式な協議プロセスに参加することができない、非常に幼い子どもたちおよび障害のある子どもたちの一部は、自分の希望を表明する特別の機会を提供されるべきである。 → 意見を聴かれる子どもの権利(3)へ続く 更新履歴:ページ作成(2011年5月2日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/238.html
子どもの権利委員会・一般的意見15号:到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利(第24条) 後編 (健康に対する子どもの権利 前編より続く) IV.義務および責任 A.締約国の尊重義務、保護義務および充足義務 71.国は、子どもの健康権を含む人権との関連で3つの態様の義務を有する。すなわち、諸自由および諸権利を尊重する義務、第三者からまたは社会上もしくは環境上の脅威から諸自由および諸権利の双方を保護する義務、ならびに、促進措置または直接の対応を通じて諸権利を充足する義務である。条約第4条にしたがい、締約国は、自国の利用可能な資源を最大限に用いることにより、かつ必要な場合には国際協力の枠組みのなかで、子どもの健康権に含まれる諸権利を充足しなければならない。 72.すべての国は、その開発水準に関わらず、これらの義務を優先的課題として、かついかなる種類の差別もなく実施するための即時的措置をとるよう要求される。利用可能な資源が明らかに不十分な場合でも、国はなお、子どもの健康権の全面的実現に向けて可能なかぎり迅速かつ効果的に行動するための、焦点の明確な措置をとるよう要求される。資源の高に関わらず、国は、子どもの健康権の享受を阻害しうるいかなる後退的措置もとらない義務を有する。 73.子どもの健康権に基づく中核的義務には、以下のものが含まれる。 (a) 国・地方の法律上および政策上の環境を見直し、かつ、必要なときは法律および政策を改正すること。 (b) すべての人が良質なプライマリーヘルスサービス(予防、健康促進、ケアおよび治療のためのサービスを含む)および必須医薬品の対象とされることを確保すること。 (c) 子どもの健康の根本的決定要因について十分な対応を行なうこと。 (d) 子どもの健康権の充足に対する人権基盤アプローチとなる政策および行動計画(予算措置をともなうもの)を策定し、実施し、監視しかつ評価すること。 74.国は、第24条に基づくすべての義務の漸進的充足に対するコミットメントを明確にし、たとえ政治的もしくは経済的危機または緊急事態の状況にあってもこれに優先的に取り組むべきである。そのためには、子どもの健康および関連の問題に関する政策、プログラムおよびサービスの計画、立案、資金的手当および実施を持続可能なやり方で進めることが必要となる。 B.国以外の主体の責任 75.国は、サービスの提供を国以外の主体に委任しているか否かに関わらず、子どもの健康権の実現について責任を負う。この点については、国に加えて、子どもの健康およびその根本的決定要因に関連する情報およびサービスを提供している幅広い国以外の主体が、具体的な責任を有しており、かつ具体的な影響を及ぼしている。 76.国の義務には、国以外の主体の責任に関する意識を促進する義務、および、必要なときは適正評価手続を適用しながら、国以外のすべての主体が子どもに対する責任を認識し、尊重しかつ充足することを確保する義務が含まれる。 77.委員会は、健康促進および保健サービスに関与しているすべての国以外の主体、とくに民間セクター(製薬産業および医療技術産業ならびにマスメディアおよび保健サービス提供業者を含む)に対し、条約の規定を遵守しながら行動すること、および、自らに代わってサービスを提供するパートナーがいる場合には当該パートナーによる遵守を確保することを求める。このようなパートナーには、国際機関、国際銀行、地域金融機関、グローバル・パートナーシップ、民間セクター(民間の財団および基金)、ドナー、および、とくに人道的緊急事態または政治的に不安定な状況において子どもの保健のためのサービスまたは金銭的支援を提供している他のあらゆる機関が含まれる。 1.親その他の養育者の責任 78.親その他の養育者の責任については、条約のいくつかの規定で明示的に言及されている。親は、必要なときは国の支援を受けながら、常に子どもの最善の利益にのっとって行動しつつ自己の責任を履行するべきである。親および養育者には、子どもの発達しつつある能力を考慮に入れながら、子どもが健康的に成長しかつ発達するよう子どもを養育し、保護し、かつ支援することが求められる。第24条第2項(f)には明示されていないものの、委員会は、親に対するいかなる言及にも、その他の養育者も含まれるものと理解する。 2.国以外のサービス提供者その他の主体 (a) 国以外のサービス提供者 79.国以外の主体を含むすべての保健サービス提供者は、そのプログラムおよびサービスの立案、実施および評価に、条約のすべての関連規定ならびに利用可能性、アクセス可能性、受容可能性および質に関する基準(この一般的意見の第VI章E節で説明)を編入しかつ適用しなければならない。 (b) 民間セクター 80.すべての企業は、条約に基づくすべての権利を含む人権に関して相当の注意義務を有する。国は、企業に対し、子どもの権利に相当の注意を払うよう要求するべきである。そのためには、企業として、その活動が子どもの健康権に及ぼしている悪影響を特定し、防止しかつ緩和すること(事業関係全体を通じて、かつ世界的に操業している場合には当該操業に関して、このような対応をとることも含む)が必要になろう。大企業は、その活動が子どもの権利に及ぼす影響に対処するために行なっている努力を公表することが奨励されるべきであり、また適当なときはこのような公表が要求されるべきである。 81.他の責任のなかでもとくに、またあらゆる文脈において、私企業には、子どもの労働に関する最低年齢の遵守を確保しつつ、危険な労働に子どもを従事させないようにすること、「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」および世界保健総会がその後採択した関連の決議を遵守すること、エネルギー密度が高く微量栄養素に乏しい食品、および、高濃度のカフェインまたは子どもにとって有害となるおそれがある他の物質を含む飲料の広告を制限すること、ならびに、子どもを対象としたタバコ、アルコールその他の有毒物質の広告、販売促進および販売ならびに子どものイメージの使用を控えることが、求められる。 82.委員会は、製薬部門が子どもの健康に及ぼす甚大な影響を認知するとともに、製薬企業に対し、「医薬品へのアクセスに関する製薬企業のための人権ガイドライン」に特段の注意を払いながら、医薬品への子どものアクセスを増進させることに向けた措置をとるよう求める [19]。同時に、国は、製薬企業が子どもに対する薬および薬品の使用を監視し、かつ子どもに対する薬および薬品の過剰な処方および使用の促進を行なわないことを確保するべきである。知的財産権は、必要な医薬品または物資を貧困層にとって負担不可能にしてしまうような方法で適用されるべきではない。 [19] 到達可能な最高水準の身体的および精神的健康を享受するすべての者の権利に関する人権理事会決議15/22も参照。 83.民間健康保険企業は、いかなる禁止事由に基づくものであっても妊婦、子どもまたは母親への差別を行なわないこと、および、連帯の原則に基づく国の健康保険制度との提携を通じて平等を促進することを確保するとともに、支払い能力がないためにサービスへのアクセスが制限されることがないようにするべきである。 (c) マスメディアおよびソーシャルメディア 84.条約第17条はマスメディア組織の責任を明らかにしている。健康の文脈においては、その範囲をさらに拡大し、子どもの間で健康および健康的ライフスタイルを促進すること、健康促進のために広告スペースを無償で提供すること、子ども・青少年のプライバシーおよび秘密保持を確保すること、情報アクセスを促進すること、子どもおよび一般的保健にとって有害な広報番組および資料を制作しないこと、ならびに、健康関連のスティグマを固定化させないことを含めることが可能である。 (d) 研究者 85.委員会は、子どもを対象とする調査研究を行なっている諸機関(研究機関、私企業その他の機関を含む)には、条約および「人を対象とする生物医学研究の国際倫理指針」[20] の原則および規定を尊重する責任があることを強調する。委員会は、研究者に対し、子どもの最善の利益は常に一般社会または科学の進歩の利益よりも優先されなければならないことを想起するよう、求めるものである。 [20] 国際医学団体協議会/WHO、ジュネーブ、1993年。 V.国際協力 86.条約の締約国は、自国の管轄内で子どもたちの健康権を実施するのみならず、国際協力を通じて世界的実施に貢献する義務も有する。第24条第4項は、各国および国家間機関に対し、住民の最貧困層および開発途上国における子どもの健康上の優先的課題に特段の注意を払うよう、要求している。 87.ドナーおよび援助受入国が行なう、子どもの健康に直接間接に関わるすべての国際的な活動およびプログラムにおいて、条約が指針とされるべきである。そのためには、パートナー国が、受入国の子ども、妊婦および母親に影響を与えている主要な健康問題を特定し、かつ、第24条に掲げられた優先的課題および原則にしたがってこれらに対応することが必要となる。国際協力においては、国が主導する保健制度および国家的保健計画を支援するべきである。 88.各国は、緊急事態時における災害救援および人道援助の提供に関して協力する個別および共同の責任(国際連合機構を通じて履行されるものを含む)を負う。このような場合、国は、適切な国際的医療援助、資源(安全な飲料水、食料および医療物資等)の配布および管理ならびにもっとも脆弱な立場に置かれたまたは周縁化された子どもに対する金銭的援助等も通じて子どもの健康権を実現するための努力を優先させることを考慮するべきである。 89.委員会は、各国に対し、国民総所得の0.7%を国際開発援助に配分するという国際連合の目標を達成することを忘れないよう求める。財源は、資源が限られている国における子どもの健康権の実現にとって、重要な意味を持っているからである。最大の効果を確保するため、各国および国家間機関は、援助効果向上に関するパリ原則〔宣言〕およびアクラ行動計画を適用するよう奨励される。 VI.実施および説明責任履行の枠組み 90.説明責任は、子どもの健康権の享受の中核に位置する。委員会は、締約国に対し、可能な最高水準の子どもの健康および保健ケアを子どもが18歳に達するまで維持することについて、関連の政府機関およびサービス提供者が説明責任を負うことを確保する自国の義務を想起するよう求めるものである。 91.国は、義務を負うすべての主体が子どもの健康権に関わるその義務および責任を履行することを促進する環境を提供するとともに、すべての主体がその枠内で活動し、かつ監視の対象とされうる規制枠組みを定めるべきである。そのための手段には、子どもの健康に関連する問題に対する政治的および財政的支持を動員すること、ならびに、義務を負う者がその義務を履行する能力および子どもが健康権を主張する能力の構築を図ることが含まれる。 92.説明責任を確保するための国内機構は、政府、議会、コミュニティ、市民社会および子どもたちの積極的関与を得た効果的かつ透明なものでなければならず、またすべての主体についてその行動の責任を問うことを目的とするものでなければならない。このような機構は、とくに、子どもの健康に影響を及ぼす構造的要因(法律、政策および予算を含む)に対して注意を向けるべきである。財源およびそれが子どもの健康に及ぼす影響を参加型の手法で追跡することは、説明責任を確保するための国の機構にとって必要不可欠である。 A.健康に対する子どもの権利についての知識の促進(第42条) 93.委員会は、各国に対し、子ども、その養育者、政策立案者、政治家および子どもとともに働く専門家を対象として、子どもの健康権およびその実現のために自分たちが行なえる貢献に関する教育を行なうための包括的な戦略を採択しかつ実施するよう、奨励する。 B.立法措置 94.条約は、締約国に対し、子どもの健康権を差別なく実施するためにあらゆる適当な立法上、行政上その他の措置をとるよう要求している。国内法は、子どもの健康権を実現するために必要なサービス、プログラム、人的資源およびインフラを提供する制定法上の義務を国に対して課すとともに、支払い能力に関わりなく、妊婦および子どもを対象とした、必須の、子どもに配慮した良質な保健サービスおよび関連サービスを受ける制定法上の権利を規定するべきである。法律は、差別的な効果または子どもの健康権の実現にとっての障害がないかどうか評価するために見直しを行ない、かつ必要なときは廃止することが求められる。必要な場合、国際機関およびドナーは、そのような法改正のために開発援助および技術的援助を提供するべきである。 95.立法には、子どもの健康権の範囲を定義し、かつ子どもを権利の保有者と認めること、義務を負うすべての主体の役割および責任を明らかにすること、子ども、妊婦および母親がどのようなサービスの請求権を有するのか明らかにすること、ならびに、サービスおよび医薬品が良質であり、かつ害を及ぼさないものであることを確保するためにこれらを規制することにより、子どもの健康権の実現に関わる多くの追加的機能を果たすようなものであるべきである。国は、子どもの健康権について活動している人権擁護者の活動を保護しかつ促進するための、十分な立法上その他の保障が存在することを確保しなければならない。 C.ガバナンスおよび調整 96.国は、子どもの健康に関連する国際的および地域的な人権文書を批准しかつ実施するとともに、子どもの健康のあらゆる側面についてしかるべく報告するよう、奨励される。 97.子どもの健康に関する政策および実践の持続可能性を確保するためには、国家的な優先課題として支持されかつ確立された長期的な国家的計画が必要である。委員会は、政府省庁間および諸段階の行政機構間の協力ならびに市民社会の関係者(子どもたちを含む)との交流を促進するため、国が、条約の原則に基づいて構築され、かつ包括性および結集性を兼ね備えた、子どもの健康に関する国家的調整枠組みを確立しかつ活用するよう勧告する。子どもの健康に関連する政策およびサービスについての活動を行なっている政府機関、立法機関および省庁が種々の段階に多数存在することを踏まえ、委員会は、法令上の枠組みにおいて各機関の役割および責任を明確にするよう勧告するものである。 98.周縁化されたおよび不利な立場におかれた集団の子どもならびにいずれかの形態の暴力および差別を受けるおそれがある子どもを特定し、かつこれらの子どもに優先的対応を行なうことに、特段の注意が向けられなければならない。すべての活動について、全面的な費用見積もり、資金的手当および国内予算における可視化が行なわれるべきである。 99.子どもの健康とその根本的決定要因との関連を強調しながら、「すべての政策に子どもの健康を」戦略が活用されるべきである。子どもの健康に影響を及ぼすサービスの提供における透明性、調整、パートナーシップおよび説明責任の阻害要因を取り除くため、あらゆる努力を行なうことが求められる。 100.諸地域および諸部門の特有のニーズを満たすために地方分権化が必要とされる一方、これによって、自国の管轄内にあるすべての子どもに対して義務を果たす中央政府または国の政府の直接責任が減殺されるわけではない。諸段階のサービスおよび地域に対する配分についての決定は、プライマリーヘルスケアに対するアプローチの中核的要素を反映して行なわれるべきである。 101.国は、子どもの健康権の実施において、子どもたちを含む社会のすべての層の関与を得るべきである。委員会は、このような関与のための取り組みに、市民社会組織(草の根グループおよびコミュニティのグループを含む)の継続的な成長、発展および持続可能性に資する条件をつくりだすこと、子どもの健康に関する政策およびサービスの策定、実施および評価へのこれらの組織の関与を積極的に促進すること、ならびに、適切な金銭的支援または金銭的支援の獲得に関わる援助を提供することが含まれるべきことを勧告する。 1.国レベルの説明責任の確保における議会の役割 102.子どもの健康関連の問題について、議会は、透明性および包摂性を確保しながら立法を行ない、かつ、継続的な公の議論および説明責任の文化を奨励する責任を有する。議会は、実績に関する報告および討議を行ない、かつ、独立の検証機構への公衆参加を促進するための公的な場を創設するべきである。議会はまた、独立の検証の結果行なわれた勧告の実施について行政府の説明責任を問うとともに、その後の国家的計画、法律、政策、予算、および、説明責任を確保するためのさらなる措置において、検証の結果が参考にされることも確保するよう求められる。 2.国レベルの説明責任の確保における国内人権機関の役割 103.国内人権機関は、説明責任の履行状況を検証しかつ促進し、子どもに対して健康権侵害の救済を提供し、かつ、当該権利の実現のための制度的変革を唱道するうえで重要な役割を有している。委員会は、一般的意見2号を想起するとともに、各国に対し、子どもコミッショナーまたは子どもオンブズマンの権限には健康権の確保も含まれるべきであること、および、このような権限を有する機関は十分な資源を与えられ、かつ政府から独立しているべきであることを想起するよう、求める [21]。 [21] 「子どもの権利の促進および保護における独立した国内人権機関の役割」に関する一般的意見2号(2002年、Official Records of the General Assembly, Fifty-ninth Session, Supplement No. 41 (A/59/41), annex VIII)参照。 D.子どもの健康への投資 104.予算の配分および支出に関する決定において、国は、子どもの健康のための必須サービスの利用可能性、アクセス可能性、受容可能性および質を差別なく確保するよう努めるべきである。 105.国は、マクロ経済政策に関する決定が子ども(とくに脆弱な状況に置かれている子ども)の健康権に及ぼす影響を継続的に評価し、子どもの権利を損なう可能性があるいかなる決定も行なわれないようにし、かつ、このような決定を行なう際に「最善の利益」原則を適用するべきである。国はまた、国際協力において子どもの健康権が十分に考慮されることを確保するため、国際金融機関との交渉のあらゆる側面において第24条に基づく義務を考慮することも求められる。 106.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 公共支出のうち子どもの保健に配分されるべき特定の割合を法律で定めるとともに、これに付随して、当該支出を体系的にかつ独立の立場から評価できるようにする機構を創設すること。 (b) 1人あたり最低保健支出に関する世界保健機関の勧告を達成し、かつ予算配分において子どもの保健を優先させること。 (c) 子どもに配分された資源および支出された資源の詳細な積算を通じ、国家予算において子どもへの投資を可視化すること。 (d) 権利を基盤とする予算モニタリングおよび予算分析、ならびに、投資(とくに保健セクターにおける投資)が子どもの最善の利益にどのようにのっとっているかに関する子ども影響評価を実施すること。 107.委員会は、資源の活用における評価手段の重要性を強調するとともに、締約国が子どもの健康権の実施における進展を監視しかつ評価することを援助するために測定可能な指標を発展させる必要があることを認識する。 E.行動サイクル 108.締約国が第24条に基づく自国の義務を履行するためには、計画、実施、モニタリングおよび評価というサイクルの過程を経たうえで、その結果を参考にしながら、さらなる計画、修正を加えたうえでの実施、ならびに、モニタリングおよび評価のための新たな取り組みを進めることが必要となる。国は、サイクル全体を通じて必要な修正を容易にするため、子どもたちの意味のある参加を確保し、かつフィードバックのための機構を組みこむべきである。 109.子どもの健康権の実現を目的とする政策、プログラムおよびサービスの策定、実施およびモニタリングの中心に位置づけられるのは、関連性および信頼性のあるデータが利用できることである。これには、脆弱な立場におかれた集団に相当の注意を払いつつ、子どものライフコース全体を通じて適切に細分化されたデータ、優先されるべき健康問題(死亡および罹病の新たな原因および軽視されてきた原因を含む)に関するデータ、および、子どもの健康の主要な決定要因に関するデータを含めることが求められる。戦略的情報管理のためには、通常の保健情報システム、特別調査および研究を通じて収集されるデータが必要であり、またそこには量的データおよび質的データの双方が含まれているべきである。これらのデータは、国および地方の政策およびプログラムの参考とする目的で収集し、分析し、普及し、かつ活用することが求められる。 1.計画 110.委員会は、第24条に基づく義務を履行するための活動の実施、監視および評価の参考とするため、国が、既存の問題、争点およびサービス提供のためのインフラに関する状況分析を行なうべきであることに留意する。当該分析においては、制度的能力、ならびに、人的資源、財源および技術的資源の利用可能性に関する評価が行なわれるべきである。分析の成果に基づき、すべての関係者(国および国以外の主体ならびに子どもたち)の関与を得ながら戦略を策定することが求められる。 111.状況分析を行なうことにより、国および地方における優先事項ならびにその達成のための戦略のあり方が明確になろう。基準および達成目標、予算措置をともなった行動計画ならびに運用戦略を、政策、プログラムおよびサービスの監視および評価ならびに子どもの健康に関する説明責任の履行促進のための枠組みとともに、確立するべきである。これにより、既存の体制および制度を条約と一致するように構築しかつ強化する方法が浮かび上がることになろう。 2.実績および実施に関する基準 112.国は、子どもの健康に関するすべてのサービスおよびプログラムが、利用可能性、アクセス可能性、受容可能性および質の基準を遵守することを確保するべきである。 (a) 利用可能性 113.国は、子どもの健康に関する施設、物資、サービスおよびプログラムが、十分に機能する形で、かつ十分な量で存在することを確保するべきである。国は、国内のすべての子ども、妊婦および母親に対して保健ケアを提供するのに十分な病院、診療所、保健従事者、移動型のチームおよび施設、コミュニティヘルスワーカー、器材ならびに必須医薬品があることを確保しなければならない。十分な量が確保されているかどうかは、サービスが十分に提供されていない住民およびサービス提供が困難な住民にとくに注意を払いながら、ニーズにしたがって判断されるべきである。 (b) アクセス可能性 114.アクセス可能性の要素には4つの側面がある。 (a) 差別の禁止:保健サービスおよび関連のサービスならびに機材および供給品は、法律上も実際上も、いかなる種類の差別もなく、すべての子ども、妊婦および母親にとってアクセス可能でなければならない。 (b) 物理的アクセス可能性:保健施設は、すべての子ども、妊婦および母親にとってアクセス可能な距離に存在していなければならない。物理的アクセス可能性を確保するためには、障害のある子どもおよび女性のニーズに追加的注意を払わなければならない場合もある。委員会は、各国に対し、サービスが十分に提供されていない地域における施設およびサービスの設置を優先的に進めるとともに、とくに脆弱な立場に置かれた集団の子どもにサービスを提供するための手段として、移動によるアウトリーチのアプローチ、革新的技術、ならびに、十分な訓練および支援を受けたコミュニティヘルスワーカーに投資するよう、奨励する。 (c) 経済的アクセス可能性/負担可能性:サービス、供給品または医薬品の費用の支払い能力がないためにアクセスが否定されることになるべきではない。委員会は、各国に対し、利用料を廃止するとともに、支払い能力がないことを理由として女性および子どもを差別しない医療財政制度を実施するよう、求める。税および保険のようなリスクプーリング機構は、公正な、資力に基づく拠出に基づいて運営されるべきである。 (d) 情報アクセス可能性:健康促進、健康状態および治療の選択肢に関する情報は、子どもおよびその養育者にとってアクセスしやすくかつ明確に理解できる言語および様式で提供されるべきである。 (c) 受容可能性 115.子どもの健康権との関係において、委員会は、健康に関連するすべての施設、物資およびサービスの立案および実施に際し、必要なときは一部の集団に特別な注意を払いながら、医療倫理ならびに子どものニーズ、期待、文化、意見および言語を全面的に考慮しかつ尊重するようなやり方をとる義務として、受容可能性を定義する。 (d) 質 116.健康に関連する施設、物資およびサービスは、科学的および医学的に適切であり、かつ良質なものであるべきである。質を確保するためには、とくに以下のことが必要となる。(a) 治療、介入策および医薬品が、入手可能な最善のエビデンスに基づいたものであること。(b) 医療従事者が熟練しており、かつ、母子保健ならびに条約の原則および規定について十分な研修を提供されていること。(c) 病院の器材が科学的承認を受けており、かつ子どもにとって適切なものであること。(d) 医薬品が科学的承認を受けており、使用期限切れになっておらず、(必要であれば)小児専用であり、かつ副作用に関するモニタリングの対象となっていること。(e) 保健機関のケアの質について定期的評価が実施されること。 3.モニタリングおよび評価 117.前掲の実績基準に基づく要件を満たすためのモニタリングおよび評価を行なう目的で、十分に構造化され、かつ適切に細分化された一連の指標が確立されるべきである。データは、子どもの健康権の充足の支えとなる政策、プログラムおよびサービスの再立案および改善のために活用することが求められる。保健情報システムにおいては、プライバシーに対する個人の権利を保護しつつ、データが信頼でき、透明であり、かつ一貫していることが確保されるべきである。国は、人口動態登録および疾病サーベイランスを含む保健情報システムを、その改善の目的で定期的に見直すことが求められる。 118.国レベルで説明責任を確保するための機構は、モニタリングおよび検証を行ない、かつその知見に基づいて行動するべきである。モニタリングとは、子どもたちの健康状態に関するデータを提供することとともに、子ども保健サービスの質、ならびに、子ども保健サービスへの支出額および支出がどこで、何に、かつ誰に対して行なわれたかについて検証することをいう。これには、経常的モニタリングおよび定期的に実施される詳細な評価の双方が含まれるべきである。検証とは、子どもたちの健康が向上したか否かおよび政府その他の主体がその約束を果たしているか否かについて判断する目的で、データを分析し、かつ子どもたち、家族、その他の養育者および市民社会と協議することをいう。行動とは、これらのプロセスを通じて得られたエビデンスを活用することにより、効果があった取り組みを再度行ないかつ拡大すること、および、効果がなかった取り組みを是正しかつ改善することをいう。 F.健康権侵害に対する救済措置 119.委員会は、各国に対し、十分に機能し、アクセスしやすく、かつコミュニティを基盤とする子どものための苦情申立て機構を整備するとともに、子どもの健康権が侵害されまたは侵害されるおそれがある場合に子どもが賠償を求めかつ得られるようにするよう、強く奨励する。国はまた、法的地位に関わる幅広い権利(集団訴訟を含む)も定めるべきである。 120.国は、子ども個人およびその養育者が裁判所にアクセスできることを確保しかつ促進するとともに、子どもの健康権侵害に対する救済措置へのアクセスを妨げるいかなる障壁も取り除くための措置をとるべきである。この点については、国内人権機関、子どもオンブズパーソン、保健関連の職能団体および消費者団体が重要な役割を果たしうる。 VII.普及 121.委員会は、各国が、議会に対しておよび政府全体を通じて(省庁、諸部局ならびに子どもの健康問題について活動している自治体および地方の機関を含む)この一般的意見を広く普及するよう勧告する。 更新履歴:ページ作成(2013年6月28日)。
https://w.atwiki.jp/pixno/pages/200.html
『楽園の子どもたち』 作者:すずひめ ステータス:連載終了 タグ:社会派 リンク:(別窓) コメント: さぁ、常識を否定するところから始めよう。 『結婚』『家族』という概念のない閉鎖的な『村』で生活する幼い少年「ユウマ」が主人公の『全の章』 極端な少子化により国家が財政破綻し、地方自治で運営される社会で自警団に所属する女性「一ノ瀬」が主人公の『一の章』 全く違う二つの章が交互に織りなす物語。 全16話。 8/31 最終話投稿 ありがとうございました!
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/165.html
子どもにやさしい司法に関する欧州評議会閣僚委員会指針 採択日:2010年11月17日 原文英語(日本語訳:平野裕二) 前文 閣僚委員会は、 欧州評議会の目的が、とくに法律上の問題に関する共通の規則の採択を促進することによって加盟国間におけるさらなる統一を達成することであることを考慮し、 子どもの権利を保護しかつ促進する、拘束力を有する既存の国際基準および欧州の基準(とくに以下のものを含む)の効果的実施を確保する必要があることを考慮し、 難民の地位に関する1951年の国際連合条約 市民的および政治的権利に関する1966年の国際規約 経済的、社会的および文化的権利に関する1966年の国際規約 子どもの権利に関する1989年の国際連合条約 障害のある人の権利に関する2006年の国際連合条約 人権および基本的自由の保護に関する条約(1950年、ETS NO.5)(以下「ECHR」) 子どもの権利の行使に関する欧州条約(1996年、ETS No. 160) 改正欧州社会憲章(1996年、ETS No. 163) 子どもに関わる面接交渉に関する欧州評議会条約(2003年ETS No. 192) 性的搾取および性的虐待からの子どもの保護に関する欧州評議会条約(2007年CETS No. 201) 子どもの養子縁組に関する欧州条約(改正)(2008年、CETS No. 202) ECHRで保障されているとおり、かつ欧州人権裁判所の判例にしたがって、司法および公正な裁判に対し――そのすべての構成要素(とくに情報を知らされる権利、意見を聴かれる権利、弁護人選任権および代理人選任権を含む)に関して――アクセスするすべての者の権利は、民主的社会において必要なものであり、かつ子どもにも平等に適用される(ただし、その際には自己の意見を形成する子どもの能力が考慮される)ことを考慮し、 関連する欧州人権裁判所の判例、欧州評議会諸機関の決定、報告書その他の文書(拷問および非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰の防止に関する欧州委員会(CPT)の勧告を含む)、ならびに、欧州評議会人権コミッショナーの声明および見解ならびに欧州評議会議員会議の種々の勧告を想起し、 閣僚委員会が子どもの権利の分野で加盟国に対して行なった種々の勧告(庇護希望者の収容措置に関する勧告Rec(2003)5、少年非行に対する新たな対処法および少年司法の役割に関する勧告Rec(2003)20、入所施設で暮らす子どもの権利に関する勧告Rec(2005)5、欧州刑務所規則に関する勧告Rec(2006)2、制裁または措置の対象とされた少年犯罪者のための欧州規則に関する勧告CM/Rec(2008)11、および、子どもを暴力から保護するための統合的国家戦略についての政策指針に関する勧告CM/Rec(2009)10を含む)に留意し、 第28回欧州法務大臣会議で採択された、子どもにやさしい司法に関する決議第2号(ランサローテ、2007年10月)を想起し、 以下のもののような、国際連合による子どもの権利の保障の重要性を考慮し、 少年司法の運営に関する国際連合最低基準規則(「北京規則」、1985年) 自由を奪われた少年の保護に関する国際連合規則(「ハバナ規則」、1990年) 少年非行の防止に関する国際連合指針(「リャド・ガイドライン」、1990年) 子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての国際連合指針(経済社会理事会決議2005/20、2005年)〔Word〕 「国際連合事務総長指針覚書:子どものための司法に対する国際連合のアプローチ」(2008年) 子どものための代替的養護の適切な利用および条件に関する国際連合指針(2009年)〔PDF〕 人権の保護および促進のための国内機関の地位および職務に関する原則(「パリ原則」) 加盟国がより高い基準またはより望ましい措置を導入しまたは適用することを妨げることなく、子どもの権利に関する既存の拘束的規範の効果的実施を保障する必要があることを想起し、 欧州評議会プログラム「子どもたちのためにおよび子どもたちとともに築くヨーロッパ」を参照し、 子どもにやさしい司法の実施に向けて加盟国で達成された進展を認知し、 にもかかわらず、司法制度に子どもにとっての障壁が存在していること(とくに、司法にアクセスする権利が存在せず、部分的でありまたは条件付であること、手続が多様かつ複雑であること、種々の事由に基づく差別の可能性があることなど)に留意し、 子どもが関与するまたは子どもに影響を与える手続において、子どもが司法制度による二次被害を受ける可能性を防止する必要があることを想起し、 現存する欠陥および問題点について調査し、かつ子どもにやさしい司法の原則および実務を導入しうる分野を特定するよう、加盟国に対して慫慂し、 欧州評議会加盟国全域で協議の対象とされた子どもたちの意見および見解を認知し、 この指針が、法律上および実務上存在する欠点の実際的是正策を明らかにすることに対する貢献を目的としていることに留意し、 加盟国が子どもの具体的な権利、利益およびニーズにあわせて司法制度および司法外制度のあり方を修正するための実践的ツールとして以下の指針を採択するとともに、加盟国に対し、司法における子どもの権利に責任を負いまたはその他の形で関係しているすべての公的機関の間でこの指針が広く普及されることを確保するよう、慫慂する。 I.適用範囲および目的 1.この指針では、司法手続およびそのような手続に代わる措置における子どもの立場および役割ならびに意見、権利およびニーズの問題について取り扱う。 2.この指針は、いかなる理由に基づいてであるかおよびいかなる立場においてであるかを問わず、子どもが、刑事法、民事法または行政法の実施に関与するあらゆる権限ある機関および部局と何らかの方法で接触するあらゆる場合に適用されるべきである。 3.この指針の目的は、そのようないかなる手続においても、子どものすべての権利、とくに情報に対する権利、代理人選任権、参加権および保護に対する権利が、子どもの成熟度および理解力ならびに事案の事情を正当に考慮しながら全面的に尊重されることを確保することである。子どもの権利を尊重することにより、他の関係当事者の権利が脅かされるべきではない。 II.定義 子どもにやさしい司法に関するこの指針(以下「本指針」)の適用上、次の用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 a.「子ども」とは、18歳未満のすべての者をいう。 b.「親」とは、国内法にしたがって親責任を有する一または複数の者をいう。親が存在しないか、またはすでに親責任を有していないときは、後見人、または指定された法定代理人をいうこともある。 c.「子どもにやさしい司法」とは、以下に列挙した諸原則に留意し、かつ子どもの成熟度および理解力ならびに事案の事情を正当に考慮しながら、すべての子どもの権利の尊重および効果的実施を到達可能な最高水準で保障する司法制度をいう。「子どもにやさしい司法」とは、とくに、アクセスしやすく、年齢にふさわしく、迅速であり、怠惰に陥ることがなく、子どものニーズおよび権利に適合しおよび焦点化され、ならびに、子どもの権利(適正手続に対する権利、手続に参加しかつ手続を理解する権利、私生活および家族生活を尊重される権利ならびに不可侵性および尊厳に対する権利を含む)を尊重する司法のことである。 III.基本原則 1.本指針は、前文で言及されている諸文書および欧州人権裁判所の判例に掲げられた既存の諸原則を基礎とし、それらを発展させたものである。 2.当該諸原則の発展については、以下の節においてさらに詳しく述べられる。これらの諸原則は、本指針のすべての章に適用されるべきである。 A.参加 1.自己の権利について知らされ、司法にアクセスするための適切な方法を与えられ、ならびに自己が関与するまたは自己に影響を与える手続において相談されおよび意見を聴かれるすべての子どもの権利が、尊重されるべきである。これには、このような参加を意味のあるものとする目的で、子どもの成熟度および子どもが有している可能性のある意思疎通上の困難に留意しながら、子どもの意見を正当に重視することも含まれる。 2.子どもは完全な権利保有者として見なされおよび取り扱われるべきであり、ならびに、自分自身の意見を形成する能力および事案の事情を考慮に入れた方法で自己のすべての権利を行使する資格が認められるべきである。 B.子どもの最善の利益 1.加盟国は、自己が関与するまたは自己に影響を与えるすべての案件において自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利が効果的に実施されることを保障するべきである。 2.当事者である子どもまたは影響を受ける子どもの最善の利益を評価するに際しては、以下のことが守られるべきである。 a. 子どもの意見および見解が正当に重視されること。 b. 子どもが有する他のすべての権利(尊厳、自由および平等な取扱いに対する権利など)が常に尊重されること。 c. 関係するすべての利益(子どもの心理的および身体的ウェルビーイングならびに法的、社会的および経済的利益を含む)が正当に考慮されるよう、関連のすべての公的機関によって包括的アプローチがとられること。 3.同一の手続または事案に関与するすべての子どもの最善の利益は、相反する可能性がある子ども同士の利益を調和させる目的で、個別に評価されおよび衡量されるべきである。 4.終局決定を行なう最終的権限および責任を司法機関が有しているときは、加国は、必要に応じ、子どもが関与する手続においてその最善の利益を評価するための学際的アプローチを確立する目的で協調のとれた努力を行なうべきである。 C.尊厳 1.子どもは、その個人的状況、ウェルビーイングおよび具体的ニーズに対して特段の注意を払われ、かつその身体的および心理的不可侵性を全面的に尊重されながら、いかなる手続または事案においても、その全体を通じ、配慮、繊細さ、公正さおよび敬意をもって取り扱われるべきである。このような取扱いは、子どもが司法的もしくは非司法的手続またはその他の介入のいずれの対象にされたかを問わず、かついずれかの手続または事案においてどのような法律上の地位および立場にあるかに関わらず、子どもに対して行なわれるべきである。 2.子どもは、拷問または非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは処罰の対象とされてはならない。 D.差別からの保護 1.子どもの権利は、性、人種、皮膚の色もしくは民族的背景、年齢、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的もしくは社会的出身、社会経済的背景、親の地位、国民的マイノリティとのつながり、財産、出生、性的指向、性自認またはその他の地位のようないかなる事由に基づく差別もなく、保障されなければならない。 2.移住者である子ども、子どもの難民および庇護希望者、保護者にともなわれずに入国した子ども、障害のある子ども、ホームレスの子どもおよびストリートチルドレン、ロマの子どもならびに入所施設の子どもなど、より脆弱な立場に置かれた子どもに対しては、特別な保護および援助を与える必要がある可能性もある。 E.法の支配 1.法の支配の原則は、成人に適用されるのと同様に子どもに対しても全面的に適用されるべきである。 2.罪刑法定主義および比例性の原則、無罪推定、公正な裁判に対する権利、法律上の助言を得る権利、裁判所にアクセスする権利ならびに上訴権のような適正手続の諸要素は、成人に対して保障されるのと同様に子どもに対しても保障されるべきであり、子どもの最善の利益の名目で最小限に抑えられまたは否定されるべきではない。このことは、すべての司法的および非司法的手続ならびに行政手続に適用される。 3.子どもは、適切な、独立した、かつ効果的な苦情申立て手続にアクセスする権利を認められるべきである。 IV.司法手続の前、最中および後における子どもにやさしい司法 A.子どもにやさしい司法の一般的要素 1.情報および助言 1.子どもおよびその親は、司法制度または他の権限ある公的機関(警察、出入国管理部局、教育部局、社会部局または保健ケア部局など)に最初に関与することになった時点から、かつ当該プロセス全体を通じて、とくに以下のことに関する情報を速やかにかつ十分に知らされるべきである。 a. その権利(とくに、子どもが関与しているまたは関与する可能性のある司法的または非司法的手続との関連で有している具体的権利)、および、その権利が侵害された場合に利用可能な救済手段(司法的もしくは非司法的手続またはその他の介入を利用する機会も含む)。これには、手続が継続する期間の見込み、不服申立て手続にアクセスする可能性および独立の苦情申立て機構に関する情報が含まれる場合もある。 b. 関連する制度および手続。これに関する情報提供の際は、子どもが置かれる特定の立場および子どもが果たす可能性のある役割ならびに種々の手続的段階を考慮に入れるものとする。 c. 司法的または非司法的手続に参加する際に子どもを支援するために設けられている機構。 d. 定められた法廷内手続および法廷外手続の妥当性および考えられる結果。 e. 適用可能なときは、子どもおよびその親の苦情申立てについて行なわれた告発またはフォローアップ。 f. 子どもが当事者であるときは、裁判手続その他の関連の出来事(聴聞など)の期日および場所。 g. 手続または介入の一般的進行状況および結果。 h. 保護措置の利用可能性。 i. 子どもに影響を与える決定の再審査を行なうために設けられている機構。 j. 司法手続、代替的な民事上の手続その他の手続を通じ、犯罪者または国から賠償を得るために設けられている機会。 k. 諸サービス(保健サービス、審理サービス、社会サービス、通訳および翻訳サービスその他)または支援を提供できる機関の利用可能性、および、(適用可能なときは緊急の金銭的支援を得て)当該サービスにアクセスする手段。 l 子どもが他国の住民である場合にその最善の利益を可能なかぎり保護するために特別な取決めが存在するときは、当該取決め。 2.子どもに対する情報および助言の提供は、その年齢および成熟度に適合した方法、子どもが理解できる言語ならびにジェンダーおよび文化に配慮した言葉遣いで提供されるべきである。 3.原則として、子どもおよび親または法定代理人の双方に対して直接情報が提供されるべきである。親に対する情報の提供は、当該情報を子どもに伝達することの代替的手段とされるべきではない。 4.関連の法的情報を掲載した子どもにやさしい資料が利用可能とされかつ広く配布されるべきであり、また子どもを対象とする特別な情報サービス(専門のウェブサイトおよびヘルプラインなど)が設けられるべきである。 5.子どもに対する告発の情報は、告発が行なわれた後、速やかにかつ直接に与えられなければならない。この情報は、子どもおよび親の双方に対し、告発の正確な内容および告発によって生じる可能性のある結果が理解できるような方法で提供されるべきである。 2.私生活および家族生活の保護 6.司法的または非司法的手続およびその他の介入に関与しているまたは関与した子どものプライバシーおよび個人データは、国内法にしたがって保護されるべきである。このことは、子どもの身元を明らかにしうるまたは間接的にその開示につながりうるいかなる情報または個人データも、とくにメディアにおいて利用可能とされまたは公表されてはならないことを一般的に含意する。このような情報または個人データには、画像、子どもまたは子どもの家族に関する詳細な描写、氏名または住所、録音および録画等が含まれる。 7.加盟国は、立法措置またはメディアによる自主規制の監視を通じ、6に掲げられたプライバシー権がメディアによって侵害されることを防止するべきである。 8.加盟国は、とくに子どもが関与する手続において、子どもの個人データおよび要配慮データを記載したあらゆる記録または文書へのアクセスの制限について定めるべきである。子どもの最善の利益を考慮しつつ、個人データおよび要配慮データの転送が必要となるときは、加盟国は、関連のデータ保護法制にしたがってこのような転送の規制を行なうべきである。 9.司法的もしくは非司法的手続またはその他の介入において子どもが聴聞されまたは証言を行なうときは常に、これを非公開で行なうことが望ましい。原則として、直接の当事者のみがその場に出席するべきである。ただし、当該出席によって子どもの証言が妨げられないことを条件とする。 10.子どもとともにおよび子どものために働く専門家は、子どもに危害が生じるおそれのある場合を除き、秘密保持に関する厳格な規則を遵守するべきである。 3.安全(特別防止措置) 11.子どもは、すべての司法的もしくは非司法的手続またはその他の介入において、脅迫、報復および二次被害を含む危害から保護されるべきである。 12.子どもとともにおよび子どものために働く専門家は、必要なときは、子どもとともに働くための適格性を確保する目的で、国内法にしたがい、かつ司法の独立を妨げることなく、定期的な適性資格審査の対象とされるべきである。 13.加害者であると疑われる者が親、家族構成員または主たる養育者であるときは、子どもに対して特別な警戒措置が適用されるべきである。 4.専門家の研修 14.子どもとともにおよび子どものために働くすべての専門家は、さまざまな年齢層の子どもの権利およびニーズならびに子どもにあわせて修正された手続についての、必要な学際的研修を受けるべきである。 15.子どもと直接接する専門家は、あらゆる年齢および発達段階の子どもならびにとくに被害を受けやすい状況に置かれた子どもとの意思疎通についての訓練も受けているべきである。 5.学際的アプローチ 16.私生活および家族生活に対する子どもの権利を全面的に尊重しつつ、子どもについて包括的に理解し、かつその法的、心理的、社会的、情緒的、身体的および認知的状況についてのアセスメントを可能とする目的で、種々の専門家間の緊密な協力が奨励されるべきである。 17.決定を行なう専門家に対して必要な支援を提供し、特定の事案において子どもの利益を最善の形で実現できるようにする目的で、子どもが関与しまたは子どもに影響を与える手続または介入において子どもとともにまたは子どものために働く専門家(弁護士、心理学者、医師、警察官、出入国管理官、ソーシャルワーカーおよび調停官など)を対象とした共通アセスメント枠組みが確立されるべきである。 18.学際的アプローチを実施する際には、秘密保持に関する職業上の規則が尊重されるべきである。 6.自由の剥奪 19.子どもの自由の剥奪は、いかなる形態であれ、最後の手段とされ、かつもっとも短い適当な期間で用いられるべきである。 20.自由の剥奪が行なわれるときは、子どもは原則として成人とは別に収容されるべきである。子どもが成人とともに拘禁される場合、これは例外的な理由により、かつ子どもの最善の利益を唯一の根拠として行なわれるべきである。あらゆる状況において、子どもはそのニーズに適した施設に拘禁されるべきである。 21.自由を奪われた子どもの脆弱性、家族の絆の重要性および社会への再統合を促進することの重要性にかんがみ、権限ある公的機関は、国際文書および欧州の文書に定められた子どもの尊重を確保し、かつその充足を積極的に支援するべきである。他の諸権利に加え、子どもに対してはとくに以下の権利が認められるべきである。 a. 司法の利益および子どもの利益に照らして制限が必要とされる場合を除いて、面会および通信を通じ、親、家族および友人と定期的かつ有意味な接触を維持する権利。この権利の制限が懲罰として用いられることがあってはならない。 b. 適切な教育、職業指導および職業訓練ならびに医療ケアを受け、かつ、思想、良心および宗教の自由ならびに余暇(体育およびスポーツを含む)へのアクセスを享受する権利。 c. 子どもの情緒的および身体的ニーズ、その家族関係、住居、就学および就労の可能性ならびに社会経済的地位について十全な注意を払いつつ、子どもが自己のコミュニティに復帰するための準備を前もって整えられるようにするためのプログラムにアクセスする権利。 22.保護者にともなわれずに入国した未成年者(庇護希望者を含む)および入国前に養育者から分離された子どもの自由の剥奪が、在留資格がないことのみをきっかけまたは根拠として行なわれることはあってはならない。 B.司法手続の前における子どもにやさしい司法 23.刑事責任に関する最低年齢はあまりに低くあるべきではなく、かつ法律によって定められるべきである。 24.調停、(司法制度からの)ダイバージョンおよび裁判外紛争解決手続のような司法手続に代わる手段は、これが子どもの最善の利益にかなう可能性があるときは常に奨励されるべきである。このような代替的手段を予備的に活用することが、司法に対する子どものアクセスを妨げる理由として用いられるべきではない。 25.子どもは、裁判手続または裁判所外の代替的手段のいずれかを利用する機会について余すところなく情報を提供されかつ相談されるべきである。このような情報の提供に際しては、それぞれを選択した場合に考えられる結果についても説明が行なわれるべきである。裁判手続に代わる手段が存在するときは常に、法律上その他の十分な情報に基づき、裁判手続と当該代替手段のいずれを利用するかが選択できるようにされるべきである。子どもに対しては、提案されている代替手段の妥当性および望ましさについて判断するに際し、法的助言その他の援助を得る機会が与えられるべきである。このような決定を行なうにあたっては、子どもの意見が考慮されるべきである。 26.裁判手続に代わる手段においては、同等の水準の法的保護措置が保障されるべきである。この指針および子どもの権利についての関連のあらゆる法的文書に掲げられた子どもの権利の尊重は、裁判所内外のいずれの手続においても同等に保障されるべきである。 C.子どもと警察 27.警察は、すべての子どもの人格権および尊厳を尊重するとともに、その脆弱性を顧慮する(すなわち、子どもの年齢および成熟度、ならびに、身体障害もしくは精神障害がありまたは意思疎通の困難を有している可能性がある子どもの特別なニーズを考慮する)べきである。 28.子どもが警察に逮捕されたときは常に、子どもに対し、その年齢および理解力の水準にふさわしい方法および言葉遣いで、拘束の理由が知らされるべきである。子どもに対しては弁護士のアクセスが提供されるべきであり、かつ、その親または子どもが信頼する者に連絡する機会が与えられるべきである。 29.例外的事情がある場合を除き、親は、子どもが警察署にいることを連絡され、子どもが拘束された理由の詳細を知らされ、かつ警察署に来るよう求められるべきである。 30.拘束された子どもは、弁護士または子どものいずれかの親もしくは親が立ち会えないときは子どもが信頼する他の者の立ち会いがなければ、犯罪行為について尋問され、または犯罪行為への関与に関する調書を作成しもしくはこれに署名するよう求められるべきではない。親または子どもが信頼する他の者については、当該犯罪行為への関与が疑われるときまたは司法妨害に相当する行為を行なうときは、立ち会いを認めないことができる。 31.警察は、可能なかぎり、留置中のいかなる子どもも成人とともに拘禁されないことを確保するべきである。 32.公的機関は、警察に留置されている子どもが、安全であり、かつそのニーズにふさわしい環境で収容されることを確保するべきである。 33.これが検察官の権限とされている加盟国においては、検察官は、捜査手続全体を通じて子どもにやさしいアプローチが用いられることを確保するべきである。 D.司法手続の最中における子どもにやさしい司法 1.裁判所および司法手続へのアクセス 34.子どもは、権利の保有者として、自己の権利を効果的に行使し、または自己の権利侵害について行動するための救済措置を利用できるべきである。国内法は、適当なときは、自己の権利についておよび自己の権利を守るための救済措置の利用について十分に理解している子どもが十分な法的助言に基づいて裁判所にアクセスできることを容易にするべきである。 35.手続の費用または弁護人の不存在など、裁判所へのアクセスを妨げるいかなる障壁も取り除かれるべきである。 36.子どもに対して行なわれた一部の特定犯罪または民事法もしくは家族法の一部の側面に関わる事件については、裁判所へのアクセスは、必要なときは子どもが成年に達してから一定期間が経過するまで認められるべきである。加盟国は自国の時効を見直すよう奨励される。 2.弁護人および代理人 37.子どもと親その他の当事者との間に利益相反があるまたはその可能性がある手続においては、子どもに対し、自らの名義で自分自身の弁護人および代理人を選任する権利が認められるべきである。 38.子どもは、成人と同一の条件またはより寛大な条件で無償の法律扶助にアクセスできるべきである。 39.子どもの代理人を務める弁護士は、子どもの権利および関連の問題について訓練を受けかつ精通し、継続的かつ徹底的な研修を受け、かつ子どもの理解力の水準にあわせて子どもと意思疎通する能力を有しているべきである。 40.子どもは独自の権利および完全な地位を有する依頼人と見なされるべきであり、子どもの代理人を務める弁護士はその子どもの意見を提出するべきである。 41.弁護士は、子どもに対し、子どもの意見および(または)見解によってもたらされる可能性がある結果についてあらゆる必要な情報および説明を提供するべきである。 42.親子間に利益相反がある事件においては、権限ある公的機関は、子どもの意見および利益を代弁する訴訟後見人または他の独立の代理人を任命するべきである。 43.とくに親、家族構成員または養育者が犯罪の被疑者である手続においては、十分な代理および親とは独立の代理人を選任する権利が保障されるべきである。 3.意見を聴かれる権利および意見表明権 44.裁判官は、自己に影響を与えるあらゆる事案において意見を聴かれ、または、少なくとも、当該事案について十分な理解力を有していると見なされるときには意見を聴かれる子どもの権利を尊重するべきである。この目的のために用いられる手段は、子どもの理解力の水準および意思疎通を図りかつ事案の事情を考慮する子どもの能力に適合したものであるべきである。子どもは、意見を聴かれたいと希望する事案に関して相談の対象とされるべきである。 45.子どもの意見および見解は、その年齢および成熟度にしたがって正当に重視されるべきである。 46.意見を聴かれる権利は子どもの権利であって、子どもに課される義務ではない。 47.子どもは、年齢のみを理由として意見を聴かれることから排除されるべきではない。裁判官は、子どもが自己に影響を与える事件で意見を述べたいと申し出たときは常に、意見を聴かないことが子どもの最善の利益にかなう場合を除いて意見を聴くことを拒否せず、当該事件においてその子どもに影響を与える事柄についての意見および見解に耳を傾けるべきである。 48.子どもに対しては、意見を聴かれる権利を効果的に活用する方法についてのあらゆる必要な情報が提供されるべきである。ただし、意見を聴かれかつその意見を考慮される権利が必ずしも最終的決定を左右しない場合もあることが、子どもに対して説明されるべきである。 49.子どもに影響を与える判決および裁判所の決定、とくに子どもの意見および見解のとおりにならなかった決定においては、子どもが理解できる言葉でしかるべき理由が付されかつ説明が行なわれるべきである。 4.不当な遅延の回避 50.子どもが関与するあらゆる手続において、法の支配を尊重しながら迅速な対応を行ないかつ子どもの最善の利益を保護するため、緊急性の原則が適用されるべきである。 51.家事事件(たとえば親子関係、監護権、親による奪取)においては、裁判所は、家族関係に悪影響が生じるいかなるおそれも回避するために格別の注意を払うべきである。 52.必要なときは、司法機関は、仮の決定または予備的判決を言い渡し、一定期間監視した後に再審査する可能性を検討するべきである。 53.司法機関は、法律にしたがい、決定の即時執行が子どもの最善の利益にかなう事件においてそのような決定を行なうことができるべきである。 5.手続のあり方、子どもにやさしい環境および子どもにやさしい言葉遣い 54.子どもは、あらゆる手続において、その年齢、特別なニーズ、成熟度および理解力の水準を尊重しながら、かつ子どもが有している可能性がある意思疎通上の困難に留意しながら取り扱われるべきである。子どもが関与する事件は、恐怖心を覚えさせることのない、子どもに配慮した環境で扱われるべきである。 55.子どもは、手続の開始前に、裁判所その他の施設の配置ならびに関係職員の役割および身分についてよく知る機会を与えられるべきである。 56.子どもの年齢および理解力の水準にふさわしい言葉が用いられるべきである。 57.司法的および非司法的手続においてならびにその他の介入の際に子どもが意見を聴かれまたは事情聴取されるときは、裁判官その他の専門家は敬意および繊細さをもって子どもとやりとりするべきである。 58.子どもは、親、または適当なときは子どもが選んだおとなにつきそってもらうことを認められるべきである。ただし、理由を付された決定により、当該人物について別段の判断が行なわれたときはこのかぎりでない。 59.録画もしくは録音または非公開の審理前聴聞のような事情聴取手法が活用され、かつ証拠能力を認められるべきである。 60.子どもは、可能なかぎり、その福祉にとって有害となる可能性のある画像または情報から保護されるべきである。有害となる可能性がある画像または情報を子どもに開示するか否か決定する際には、裁判官は、心理学者およびソーシャルワーカーのような他の専門家の助言を求めるべきである。 61.子どもが関与する審判期日は、子どものペースおよび注意持続時間にあわせて定められるべきである。定期的な休憩が予定されるべきであり、また審判の時間が長すぎてはならない。子どもがその認知能力を最大限に活用して参加することを促進し、かつ子どもの情緒的安定を支えるため、中断および混乱は最低限に抑えられるべきである。 62.適当かつ可能なかぎり、子どものための、子どもにやさしい環境を備えた事情聴取および待機のための部屋が手配されるべきである。 63.法律に抵触した子どものため、可能なかぎり、専門の裁判所(または法廷)、手続および制度が設けられるべきである。これには、警察、司法機関、裁判制度および検察機関内に専門の部局を設置することも含まれる場合がある。 6.子どもの証言/陳述 64.子どもの事情聴取および子どもからの陳述の取得は、可能なかぎり、訓練を受けた専門家によって行なわれるべきである。子どもの年齢、成熟度および理解力の水準ならびに子どもが有している可能性がある意思疎通上の困難を顧慮しながら、子どもが、もっとも望ましい環境およびもっとも適切な条件下で証言を行なえるようにするため、あらゆる努力が行なわれるべきである。 65.被害者または証人である子どもによる視聴覚手段を用いた陳述は、当該陳述の内容について争う相手方の権利を尊重しつつ、奨励されるべきである。 66.複数回の事情聴取が必要なときは、子どもの最善の利益に照らしてアプローチの一貫性を確保するため、同一人物によって行なわれることが望ましい。 67.事情聴取の回数は可能なかぎり限定されるべきであり、かつ、その長さは子どもの年齢および注意持続時間に適合したものであるべきである。 68.被害者または証人である子どもと、加害者であると申し立てられている者との直接の接触、対面またはやりとりは、被害者である子どもが求める場合を除き、可能なかぎり回避されるべきである。 69.子どもは、刑事事件において、加害者であると申し立てられている者と相対することなく証言する機会を与えられるべきである。 70.証言に関する規則が緩和されていること(宣誓または他の同様の宣言が要求されないことなど)または子どもにやさしい他の手続的措置が設けられていることのみをもって、子どもの証言の価値が減殺されるべきではない。 71.子どもの証言の有効性を補強するため、子どものさまざまな発達段階を考慮した事情聴取標準手続が立案されかつ実施されるべきである。当該標準手続においては、誘導尋問を回避することによって信頼性が高められるべきである。 72.裁判官は、子どもの最善の利益および福祉にかんがみ、子どもが証言しないことを認めることができるべきである。 73.子どもの陳述および証言が、当該子どもの年齢のみを理由として無効であるまたは信頼性に欠けると推定されることがあってはならない。 74.被害者および証人である子どもの陳述を、特別に設計された子どもにやさしい施設および子どもにやさしい環境において録取する可能性が検討されるべきである。 E.司法手続の後における子どもにやさしい司法 75.子どもの弁護士、訴訟後見人または法定代理人は、子どもに対し、言い渡された決定または判決について子どもの理解力の水準にあわせた言葉で伝達しかつ説明するとともに、上訴または独立した苦情申立て機構への申立てなど、とりうる措置に関する必要な情報を提供するべきである。 76.国の機関は、子どもが関係するおよび子どもに影響を与える司法決定/判決が遅滞なく執行されることを促進するため、あらゆる必要な措置をとるべきである。 77.決定が執行されないときは、子どもに対し、可能であればその弁護士、訴訟後見人または法定代理人を通じて、非司法的機構または司法へのアクセスのいずれかを通じて利用可能な救済措置についての情報が提供されるべきである。 78.強制による判決の実施は、子どもが関与する家事事件では最後の手段とされるべきである。 79.争いの激しい手続における判決後は、子どもおよびその家族に対し、専門機関による指導および支援が、理想的には無償で提供されるべきである。 80.ネグレクト、暴力、虐待またはその他の犯罪の被害者に対しては、特別な保健ケアならびに適切な社会的および治療的介入のためのプログラムまたは措置が、理想的には無償で提供されるべきであるとともに、子どもおよびその養育者に対し、当該サービスが利用できることについて速やかにかつ十分に情報が提供されるべきである。 81.子どもの弁護士、訴訟後見人または法定代理人に対しては、子どもが被害者である刑事手続の際にまたはその後に損害賠償請求を行なうためにあらゆる必要な措置をとる権限が認められるべきである。適当なときは、当該費用を国が負担し、かつ加害者から回収することも考えられる。 82.法律に抵触した子どもを対象とする措置および制裁は常に、比例性の原則、子どもの年齢、身体的および精神的福祉ならびに発達および事案の事情に留意した、行なわれた行為に対する建設的かつ個別化された対応であるべきである。教育、職業訓練、就労、更生および再統合に対する権利が保障されるべきである。 83.社会への再統合を促進する目的で、かつ国内法にしたがい、子どもの犯罪記録は、子どもが成年に達するのと同時に司法制度外では開示されないこととされるべきである。重大な犯罪の場合には、当該情報の開示に関する例外は、とくに公の安全を理由としてまたは子どもに関わる職業への就労が関連する場合に、認められる場合がある。 V.その他の子どもにやさしい行動の促進 加盟国は、以下の措置をとるよう奨励される。 a. 子どもにやさしい司法のあらゆる側面(子どもに配慮した面接技法ならびにそのような技法に関する情報の普及および研修を含む)についての調査研究を促進すること。 b. 子どもにやさしい司法の分野における実践交流および協力の推進を国際的に図ること。 c. 関連の法律文書を子どもにやさしく解説した資料を刊行し、かつ可能なかぎり広く普及すること。 d. 可能であれば弁護士会、福祉機関、(子ども)オンブズマン、非政府組織(NGO)等と連携した子どもの権利に関する広報事務所を設置し、または維持しかつ必要なときは強化すること。 e. 裁判所および苦情申立て機構への子どもによるアクセスを促進するとともに、裁判所および独立した苦情申立て機構への子どもによる効果的アクセスを国内的にも国際的にも支援するうえでNGOおよびその他の独立機関(子どもオンブズマンなど)が果たしている役割をさらに認めかつ促進すること。 f. 子どものための専門裁判官・弁護士制度の確立を検討するとともに、子どもおよびその家族のために法的措置および社会的措置の双方をとることができる裁判所をさらに発展させること。 g. 国内的救済措置が存在しない場合または尽くされた場合に正義および権利保護を追求できるようにすることを目的とした、人権および子どもの権利の保護のための国際的なおよび欧州レベルの機構を発展させ、かつ、子どもおよび子どものために行動する他の者による当該機構の利用を促進すること。 h. 子どもの権利を含む人権を、学校カリキュラムにおける、および、子どもとともに働く専門家を対象とした、義務的学習要素とすること。 i. 子どもの権利に関する親の意識啓発のための制度を発展させかつ支援すること。 j. 子どもが鑑定目的の面接および検診を受け、包括的なアセスメントの対象とされ、かつ、適当な専門家によるあらゆる関連の治療サービスを受けられる、子どもの被害者および証人を対象とした、子どもにやさしい、複数の機関による学際的センターを設置すること。 k. 無償のオンライン相談、ヘルプラインおよび地域コミュニティサービスのような、専門的でかつアクセスしやすい支援・情報サービスを設置すること。 l とくに子どもが関与するまたは子どもに影響を与えるすべての種別の手続において子どもの最善の利益を評価する際に子どもの権利を十分に保障しかつ実施する目的で、司法制度において子どもに接しながら働くすべての関連の専門家が適当な支援および研修ならびに実践的指導を受けることを確保すること。 VI.監視および評価 加盟国はまた、以下の措置をとることも奨励される。 a. この指針の実施のために必要な改革を確保するため、国内の法律、政策および実務のあり方を見直すこと。 b. 子どもの権利に関わる関連の欧州評議会諸条約を、未批准であれば迅速に批准すること。 c. 子どもにやさしい司法現場における活動方法を定期的に再検討しかつ評価すること。 d. この指針の実施を促進しかつ監視する目的で、自国の司法制度および行政制度にしたがい、適当な枠組み(一または複数の独立機構を含む)を維持しまたは確立すること。 e. 市民社会(とくに市民社会組織)、および、子どもの権利の促進および保護を目的とする諸機関が監視プロセスに全面的に参加することを確保すること。 更新履歴:ページ作成(2012年2月27日)。