約 458,861 件
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/14129.html
きろく【登録タグ き 巡音ルカ 曲 鼻声P】 作詞:鼻声P 作曲:鼻声P 編曲:鼻声P 唄:巡音ルカ コーラス:初音ミク 曲紹介 「クサってないで踊ろうよっ」て再び巡音さんがミクさんを道連れにエセトランスに乗せて歌ってくれましたwあれ?タイトルが似てr(ry(作者コメより) 歌詞 最後に見たのは空の青さ 肌で感じた風の行く先 瞳に映るあなたの姿 壊れてゆく… 気付かないように声を殺して 気付かないように気配を消して あなたのそばへ近付いて あなたの領域(エリア)へ 聞こえてくるのはあなたの嗚咽 耳にかかる髪そっとかき上げ 子供の頃過ごした日々が 遠く 遠く… 嬉しいことなど何もなかった 怒りに震え眠れなかった 悲しいことだけ押し寄せていた 日々は 終わる 震える 心を 蝕む 身体を 刻んで 今すぐに バラバラに 砕いて あなたの 「キオク」は 薄れて いくのに あなたの 「キロク」は 消えない 消せない はがれて落ちるあなたのカケラ 拾い上げたのはわたしのこの手 交わす言葉はなにもないけど わかる 伝わる 真綿で首を絞めるように 冷たい笑顔で毒を注ぐ 息苦しいのよこの世界は 消えてしまえ コンクリートの部屋の向こうは わたしを捕らえる欲望の群れ 手に持つ武器はガラスの破片 誰か助けて 消えていくのは望まないの 消されてくのは受け入れるの 残されてくのは耐えられないの 許せないの… コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/11153.html
つきとぼく【登録タグ gomezP つ 初音ミク 曲】 作詞:kei 作曲:gomezP 編曲:gomezP 唄:初音ミクAppend(dark) 曲紹介 目を閉じればすぐに会える。もうこの世に、キミはいなくとも。 歌詞 輪郭のない 夜の顔が ひたひたと押し寄せる 群青に月は潜む 隠れんぼ 密やかに 見つめてる 神様の通り道の様に ただ 雨は降ってる 行く当てもなく はたり 飛び立つのは あの鳥か ボクだったか 深い夜の底 泳ぐ 月とボク うまくは泳げない ☆雨を見ていた さよなら そう百年も千年も 夢を見ていた さよなら 何も言わずにおやすみ 月だけがボクを見ていた ただ 心の中に祈る 月 雨雲を導の様に 神様は渡ってく まだ止まぬ雨 明日には 熱いアスファルト 海を広げてる 華やかな夢の後ろ姿を ボクはじっと見送る ☆繰り返し ただ 静かに夢を見る 千年の夢を見るだけ キミはもういない 目を閉じてみる 月 輝きはボクに ボクに 生き続ける ☆繰り返し×2 ただ 静かに夢を見る 千年の夢を見る ただ 心の中に祈る 月 コメント 癒されました -- 名無しさん (2010-08-25 14 15 57) この曲は本当にいい!!ギターとか素敵☆ -- 名無しさん (2011-03-17 18 15 40) 百年も千年もという歌詞が好きです -- 名無しさん (2012-09-25 17 35 35) しっとりしてて大好きな歌です。 -- 名無しさん (2014-04-17 20 16 03) この曲全然評価されてなくて悲しいぞ -- 名無しさん (2016-04-21 14 51 43) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ya40masadental/pages/338.html
トウテキ村へ到着した謎の少女『エルザ』と小精霊『うみにん』。 村人に出迎えられ、宿で一晩を過ごそうとする。 が、その背後に恐るべき影が迫っているとは知る由も無かった。 ―『アリだー!』 この叫び声と共に村の状況は一変する。 突如として大群で押し寄せてきた『ターム』が村を襲ったのだ。 静寂の一夜に訪れた悪夢― 果たしてエルザたちの運命は……? ―一方、神聖帝国軍は予てよりのカルマ遺跡探索へと本格的に乗り出し、 その一歩を遺跡内へと踏み込んだ。 暫く進むと突然警報音と共に鈍いブリキの音が鳴り響いた。 その巨体はオーガともトロルとも言えない金属質の巨躯だった。 『マシンゴーレム』と名づけられたそれは、ガッツのドラゴンころしを 受け付けず、隠密頑駄無の手裏剣をいとも簡単に跳ね返したのだ。 機械系モンスターに苦戦する一行。 そのときだった…一行の後方から黒い雷鳴が轟き一閃する― 光速の稲妻によって貫かれたマシンゴーレムは轟音と共に沈黙する。 現れたのは、なんと別ルートへ行ったはずの『闇の騎士デスサイズ』。 そして一行は彼の思惑と共に暗黒の迷宮へとさらに進んでゆくのだった―
https://w.atwiki.jp/hentaivip/pages/36.html
【ともえ】 フルネームは『上城 巴(かみしろ ともえ)』。1-C所属。 背が低く(推定145cm)、恥ずかしがり屋で上がり症と小動物的なキャラクター。守ってあげたくなると同時に嗜虐心を駆り立てられる。 時子率いるオカルト研究部(通称オカ研)の部員で、強引に入部させられた主人公とは違い自発的に入部した。 オカルトにはそれなりに興味があるようで、ある程度の知識は持ち合わせている。オカ研に入ってからも熱心に勉強しているようである。 マニア向けショップ『マニメイト』でアルバイトをしており、新人ながら人気ナンバーワンの看板娘になっている。其もその筈、日曜朝の超人気アニメ『魔法少女ラディカル杏子ちゃん』の主人公『杏子(あんこ)ちゃん』にソックリなため、その可憐な容姿を一目見ようと連日ファンが押し寄せているらしい。 時子の趣味でよくコスプレさせられる。本人は恥ずかしがっているが、時子はノリノリで『巴はコスプレの才能があるから、これからしっかり育てていく』とのたまっている。 時子曰く、日に日にコスプレスキル(なんのこっちゃ)が上がってきているらしい
https://w.atwiki.jp/83452/pages/12599.html
1 注意:変態! 2011/03/29 http //hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1301362847/ 戻る 名前 コメント すべてのコメントを見る この世界は争いとかないんだろうね -- (名無しさん) 2015-11-18 00 31 40 どうなってるんだい、こいつらは… -- (名無しさん) 2012-08-06 00 21 44 もうやだこの国・・・ -- (名無しさん) 2012-08-05 23 33 26 ↓大丈夫、僕も見えた← -- (名無しさん) 2012-06-11 18 25 22 ケンカしちゃってをクンカしちゃってに見えた俺 -- (名無しさん) 2012-03-09 10 46 25 HTT=変態達 -- (名無しさん) 2011-12-01 03 37 17 消しゴム1つでお姉ちゃんを感じれる憂ちゃんさすがww -- (名無しさん) 2011-11-30 21 25 09 和はこんな変態共からさっさと縁を切るべき。 -- (名無しさん) 2011-09-06 17 55 31 変態のまごころを、君に! -- (名無しさん) 2011-09-06 14 32 17 わ「…気持ち良い…」 -- (。) 2011-09-06 13 43 50
https://w.atwiki.jp/isekaikouryu/pages/850.html
「話に聞きし南蛮《オンベスカフ》、よもやここまでの死地とは」 正規とはいえ珍しい手段にて南蛮へ到来した蟷螂人ジェン・タングは、南蛮行4日目にしてそう結論付けた。 主上より賜った南蛮渡航推薦状を手に、南蛮へと足を踏み入れたジェン。 南蛮とは言え比較的安全な延軍勢力下を半日ほどで越え、さらに一昼夜の単独行軍を経る頃には、陸にあっては鬼人に大漢、大猿人、犀人、象人、河川や湖沼の際にあっては食肉魚人や鯱人、鰌人や電鯰人も加わり、知性ある殺戮者だけでもその種別は多種多様。 生を屠る本能に忠実に生きる破滅獣に至っては、大小や種を問わなければ、既に二百は狩り殺したであろうか。 波状の如くに押し寄せる生への暴虐に対し独り立ち向かうにあたり、蟲人特有のメンタリティとバイタリティ、そして辛うじて残るディルカカネットへのアクセスにより収集した情報が無ければ、とうの昔に南蛮人の仲間入りか土に還るかのどちらかとなっていたであろう。 広く「南蛮」として知られる区域を指して主に語られるのは、まだヒトあるいはヒトと獣の境が曖昧な存在が智謀と武力により生活圏を形成している地域である。 自由と土地、食料を主な目的として塞王に攻め入る者たちは、普段は集落部で憩い、比較的温厚な(とは言え既知世界の猛獣とは比べるべくもない凶悪さだが)破滅獣と衝突あるいは懐柔を繰り返しつつ、日々糧を得るために開墾に精を出し塞王の向こうへ攻め入るための鍛錬を繰り返している。 中には攻城せずこの破滅の地で生きることのみに注力する村落もあるのだろうが、そんな彼らと交流出来た者など、死者を除き南蛮に足を踏み入れた総ての者から数え上げても一割から二割が精々だろう。 南蛮人たちが塞王を砕き北上を目指そうとする理由、それは先にも述べたように生存圏の拡大にある。 彼らは常に南から破滅獣に押し込まれ、北を目指さざるを得ない、というのは地理的要因であり、そして辛くも拿捕に成功した南蛮人の証言からも明らかである。 なお、塞王に攻め入って来る南蛮武人は女人や高齢者が多いが、それらでもなお延国軍の武人もかくやと言うほどの、粗野ながら一撃の破壊力に優れた武技の錬達を以て襲い来る。 膂力に優れた象人や犀人などであれば、老体であっても多少の犠牲を前提とした数による消耗戦でしか敵わない。 それが延国軍塞王部隊の現状であり、それ故に延国内にして国府警護に次ぐ武力と戦力が塞王に集結することとなる。 破滅獣は南から来る。 これはもう既に揺るぎ無いものとして語られているが、なぜ破滅獣は南から来るのか、そもそもどういう変遷で規格外の生態を得るに至ったのか、「突如として塞王周辺にその姿を現す」という現象が起こるのか、といった点については、未だ解明の余地がない。 南蛮人ですら知らぬことなのだから、まだまだ解明への道は遠いことは火を見るより明らかである。 行軍15日目の昼前、既にジェンが奪った命の数も五百に達しようかという頃。 「成程・・・主が言うように、実に面妖な景色也。 岩盤の如き土壌より岩の若芽が芽吹き、玉石の華を咲かせておる」 深緑の迷宮とも呼ばれ故郷マゼ・バズークの東に広がる帰還不能大森林《ケンバリ・ヴォイマーツ》も生への反攻が激しい場所ではあるが、地下には生活圏があり生気の溢れる場であると聞いている。 それに対し、この石岩樹林。 確かに石の草木が生い茂り花すら咲き誇っているが、生命の息吹が全く感じられない。 更に言えば、全身が流体の如くに滑らかにうねる珪素質あるいは水銀で出来た巨蛇や、岩山と言っても差し支えない程巨大な希少金属の甲羅を背負う巨亀、岩石でありながら人語を介し宝玉の果実を食らう岩人、そしてそれらを砕き屠り捕らえ捕食する、大黒白を筆頭とする大型破滅獣。 「石ノ森に辿り着きて道三分、だったか。 主の話では、中腹あたりに偏屈者が住まう小屋があるとのことだが」 現にこの地を踏破した主の話に異論を挟む余地は無いとは思うが、ここまでの行程からすれば、「全うなヒトの営み」がこの南蛮というヒトがヒトを食うことも茶飯事な地で行われているとは思えない。 「・・・む、長く立ち止まりすぎたか」 ジェンを取り囲むように集結してきたのは、表皮が文字通りの火炎で出来た6本脚の大蜥蜴の群れ。 「本当に生物なのか、貴殿らは? ・・・と、問うた所で返礼も無し、か」 破滅という字名の由来は破壊の使徒だからという単純なものなのか、あるいは生命として破綻した生態を指しての事なのか。 そんな事を考えながら、ジェンは前肢に備えられた鉄鋼奴すら両断する大鎌を繰り、火炎蜥蜴を一刀の下に切って捨てて往く。 そして、血の匂いに誘われたのか、殺気渦巻く戦地に惹かれたのか、黄金食に彩られた自走する食肉草や宝玉の刃に等しき花弁を旋回させ空を舞う食肉花、今や世界で最も有名な破滅獣である大黒白、あるいは伝承や異界遊戯に現れるという巨龍の如き生物までもが寄り集まり、互いに互いを食い、殺し、屠り合う。 地が揺れ、鉱石の樹木が折れ飛び、希少金属の塊が砕け、血液とも内臓とも知れない得体の知らない飛沫が飛び散り、咀嚼の音が響く。 「ふむ、異界にあるという石ノ森では毎年奇怪な異能で魔を討つ勇者が輩出されると聞くが、こちらの石樹林でこれならばその話も然り、か」 石樹林に踏み込み2日が経過し、既にディルカカネットがもたらす情報という偉大な恩恵による安全確保は不可能となり、さらには短期間に密度の高い戦闘を繰り返したこともあり、ジェンの身に蓄積された疲労は許容限界の手前に差し掛かっていた。 主から聞いていた家屋というものが全く目に付くことも無く、よもや過ぎ越してしまっているのではなかろうかと思い始めた時、 「これは久しぶりに珍しいものを見た。 こんな辺鄙な土地に蟲人独りとは」 涼やかな雌の声が聞こえてくる。 その声の主の姿は、樹国のエルフ種、というよりは主が持つ「絵が出る鉄板」で見た異界ヒトの雌そのもの。 異界門の開放より幾年過ぎ双方の往来が盛んであるとはいえ、このような死地に異界ヒト一人とはまず考えられない。 「異界ヒト、か? このような地に何故・・・?」 「私の容姿はお気遣い無く。 何が目的でこんなところに来たかは知らないけれど、ここで会ったのも何かの縁。 大した持成しは出来ないが、我が家で休んでいくと良い」 「これは忝い。 ご迷惑をお掛けする」 「構わないさ。 何せ前にヒトを見てからもう10年になる。 久々に世俗のことも聞いてみたくもあるし、君の話が宿泊の対価という事にしようじゃないか」 「心得た。 大した話は出来ぬやも知れぬが、御容赦願いたい」 ジェンとしては全幅の信頼を寄せたわけではないが、目の前の雌の佇まいからすれば、言に偽りは感じられない。 それに主が語った小屋がこの雌の家だとすれば問題は無かろう、とも判断出来た。 「そういえば名乗ってもいなかったな。 私はクァ・エァルカ=シッシオーリ。 訳有ってこの石岩樹林《ダンフォレクヤ》に隠遁している」 「ジェン・タング。 主命により、この先にあるという終焉樹《デュロコダマー》へ向かう所だ」 互いに名乗りこの場にいる理由を語った後は、特に言葉を交わすことも無く、クァと名乗る雌の宅へと辿り着いた。 その過程で、全天から捕食の機会を伺っていたはずの破滅獣の気配が薄くなっていることにジェンが気付くまで、そう時間はかからなかった。 【前】 もじり方や既存の設定の使い方が上手い。キャラの種類というか配役が光ってる -- (とっしー) 2012-09-18 22 24 34 いちいちカッコイイネーミングセンスにビクンときたわー -- (tosy) 2012-09-21 22 10 56 未踏破地帯はどこもヤバい! -- (名無しさん) 2012-09-22 00 52 38 蟷螂人強い!かっけー! -- (名無しさん) 2012-10-30 14 21 44 国の枠から出ると野生の世界という単純明快さを実感 -- (名無しさん) 2013-02-08 00 45 37 大延国の繁栄を守護する大壁の向こうに広がる地での人が獣になる道理を容赦なく見せるのは痛快でした。 南蛮の種も獣でなく人だったのならば、塞王にもっと違った攻め方で押し寄せていたのかなと。 ジエンが戦いながら進むのであれば、食事や睡眠などの様子も見せれば過酷な地の印象も深まるのではと思いました。 固有名詞は語源語幹上でくどくなりそうなぎりぎり手前で留めているのは上手いですね -- (名無しさん) 2013-09-13 02 27 14 凶暴な力の支配する南蛮ですがそれは土地そのものが影響を及ぼしているのではないかと思いました。神の力も及びがたい南蛮で何が起こっているのか起ころうとしているのか興味がありますね -- (名無しさん) 2015-02-08 17 19 09 じょうごかふるいか生存競争の果てなのか必然性をもって戦闘能力の高い種族が集まってる南蛮 -- (名無しさん) 2017-12-18 19 19 16 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/teikokuss/pages/517.html
オラナイヤ 1 中天高い日に、手をかざす。 刻限は迫っていた。 オラナイヤは、物見の台から、中庭の者らを見渡した。女衆はいない。すでに子供を引き連れて、背後の丘の低い頂にある、上屋敷へと逃れていた。 残った男衆は、手に手に槍を、銃を持ってはいたが、その面には戦い、勝ち抜く覇気は無かった。 仕方あるまい。オラナイヤはそう思っていた。 今、立つ物見の台から振り返れば、庄の村と、その外を囲う畑が見渡せる。その畑の広がりの向こうに、くさ原がある。森と庄との間に広がる草原に、それらはあった。 黒い軍勢だ。 今は人の群れとは思えぬほど、整然と列を成して草原にある。ざっと見たところで一千を下るまい。 それらは四つの横長陣を敷いて、庄に、囲む畑ごと、対峙していた。対峙というのも生ぬるい。あれだけの兵がいれば、ハフヌッツェン庄などひとたまりもないはずだ。畑を獣から守る柵も、村を敵から守る壕も、あれらを阻むことはできまい。 何より、奴らには砲がある。奴らの黒い陣の前に、それあることを示すように砲が並んでいる。十には足りないが、だからといって救いになるわけでもない。あれらが撃つのを止めさせる術は無いのだから。 砲がどれくらいの力を示すか、オラナイヤは良く知っていた。奴らが撃ちかけ始めれば、この屋敷はことごとく打ち砕かれるだけだ。 もちろん、屋敷の壁と、中の者らの分け隔てなどあるまい。 奴らの示した刻限は、中天に日のかかる刻限だった。 奴らの陣に、不意に白煙が現れた。砲の一つだ。 強く何かが轟く。それは風のように押し寄せ、オラナイヤを押しぬけ、吹き去ってゆく。 すぐにわかった。撃ったのだ。 それが証拠に、現れた白煙は、明らかに砲の一つからで、そして風に流されてゆっくりと広がり、散ってゆく。 けれど、そこまでだった。 帝國の黒い陣に特段の動きは無い。彼らは陣の形に整列したまま、鑓も銃も横たえ、休むままだった。 ただ、騎影が奥より現れ、陣の前へと駆け出してくる。 「オラナイヤ様、騎影です」 横からコナレグが指し示す。 数えても、あわせて四騎ほどしかいない。物見だろうか。二騎が立てに進み、つづいて二騎が横並びで続く。続くその二騎は、手に銃を携えているようだった。前の二騎のうち、一騎は鑓を携えているようだ。その先に白い小旗がひらめいているのが見える。 そして、もっとも先を行く一人は、何をかむっているのだろう。 オラナイヤは目を凝らした。 先を行く騎影のものの頭は、昼の光にも白く輝いて見える。被り物だろうかと思った。 だが、そうでは無いらしい。蹄の拍子に合わせて、かすかに揺れる。 それは銀の髪だとわかった。 銀の髪の者と、それに続く三騎の騎影は、畑の中の道を駆け、先に押し開かれたままの柵扉を通り抜け、村の土道を駆けてくる。 そして気づいた。 先の砲声は、刻限を知らせる砲声だったのだ。 オラナイヤは、ゆっくりと振り返った。 下屋敷の中庭では、ざわめきが広がっている。先の砲声の響きが、何を示すか判らないからだろう。 「聞け!」 オラナイヤは、声を上げた、一つ、二つ、三つ鼓動の打つ間に、中庭の男たちのざわめきは静まってゆく。彼らは戸惑いながらも、門の上の物見台と、そこに立ち手すりに両手を預けるオラナイヤを見るのだ。 「先の砲声は、刻限を知らせるものだ」 その意が行き渡るのを待ち、さらにオラナイヤは続けた。 「奴らの軍師が来る。定めたとおりに応じる」 もはや、抗いは無かった。声さえ無かった。力無く、男たちは頭を垂れる。嗚咽に似た呻きもあった。 オラナイヤは、物見台からの階段を下りて行った。防壁の内側に沿って下り、門の脇へと歩いてゆく。 閉じられたままの門の前に立ち、オラナイヤは中庭へと振り返った。 「聞け!我らが下るは、庄のすべてが焼き尽くされ、踏みにじられてはならんとするからだ!」 オラナイヤは続ける。 「だが、われらはすべてをなげうったわけではない!庄の女子供に害成すならば、すべてを焼き払われようとも、奴らと刺し違える!良いか!」 中庭でうつむく男らの、肩が震える。 「屈辱があるとしたら、われら男衆にとってではない!良いか!判っておるな!」 応えは無かった。けれど、嗚咽の呻きも消えていた。中庭は静まり返っていた。 「コナレグ、門を開け」 「承知」 オラナイヤの背後で、大かんぬきの楔が打ち払われる。手伝いに出る物も無かった。コナレグは一人、力を込めて、大かんぬきを押し出してゆく。 「開きます!」 コナレグの声に、オラナイヤは大きく応じた。 「開け!」 軋る音とともに、表門が押し開かれてゆく。舞う風が、オラナイヤの足元で巻いて、中庭に吹き込む。 中庭の者らに背を向けて、オラナイヤは振り返った。 壕を跨ぐ短い橋と、その先に伸びる少しの道、そして先には広場がある。常なら村の行事を行う広場だ。 そこには、騎影が駆け込む姿が見えた。 銀の髪を持つ男と、つづいて白旗をつけた鑓の男、さらに二人の銃兵だ。彼らは馬を降り、地に立つ。 刻限どおりなのだろう。抗う力は、すでに無い。 「コナレグ、着いて来い」 「承知!」 オラナイヤは、踏み出し、歩き始めた。 そればかりは、彼の自ら選んだことだ。
https://w.atwiki.jp/borderbreak/pages/783.html
ゲルベルク要塞跡 ~黒煙の連合戦~ ユニオンバトル専用 概要 全体図 設置施設一覧 戦術プラントごとのコメントプラントA プラントB プラントC プラントD プラントE プラントF プラントG プラントH プラントI フェーズ1戦術 フェーズ2戦術 ユニオンオーダー攻略プラント侵攻阻止 ニュード吸収装置破壊 大型機動兵器迎撃 概要 通称ゲルベルクG。ユニオンバトル専用マップ。 前回のアルド・シャウラは撃退されたので、エイジェンはツィタデルで再度侵略を開始した。 北東側の普段はGRFのベースが連合軍ベースとなる。 全体図 公式サイトでPDFのマップを見ることが出来る。 設置施設一覧 プラント 全部で8個。 詳細は後述。 リペアポッド 10ヵ所。 連合軍ベース内に3基。 A・B・E・F・Gプラに1基ずつ。 Dプラに2基。 カタパルト 18基。 パワーバウンダー 13基。 リフト 3ヶ所。 自動砲台 連合軍ベース内に8基。ベース外には無し。 レーダー施設 1カ所。 連合軍ベース内にあるが、ゲームルールの関係上なくなっても全く問題にならない。 ガンターレット 連合軍ベース付近にGが1基。 Fプラ付近にLが1基。 Eプラ東にRが1基。 Dプラ付近の円形建物にMが1基。 CプラとAプラの中間地点にMが1基。 Bプラ北側にGが1基。 サテライトバンカー 連合軍ベース内に1ヶ所。D・Eプラ間に1ヶ所。D・Eプラ間は屋根も何もないので、敵の猛爆にさらされやすい、要チェック。 最初は?秒で同時に投下される。 以後消滅から?秒ごとに再投下。 戦術 プラントごとのコメント プラントA 相手ベースの近く、平坦よりは盛り上がっている丘の上。 第一フェースでほぼ取れない最奥プラントだが、ごくたまに争奪戦になる。 できればプラントCを占拠しておき、そこからカタパルトで飛んできたい。 プラントBからはカタパルトがなく微妙に距離もあるので不便。 プラントB なだらかな下り坂と微妙な建造物に挟まれたプラント。 ごくたまに争奪戦になる。リペアポッドはあるが、ツィタデルの侵攻ルート上なのでおよそ使いにくい。 戻りカタパルトと兵装換装エリアがある。 プラントC リペアポットは無いが、高難易度では切り捨てても構わない? 取っておくと、まず序盤にツィタデルの側面を叩ける。 さらにカタパルトがプラントAとBに向いているので、ニュード吸着装置やプラントAの争奪戦に便利。 できればフェーズ1でとっておきたい。 プラントD たまに争奪戦になる。大型円筒物に半分ほどめり込んでおり、溝があって凸凹している。 敵はほとんど奥から押し寄せてくる。 Dから少し戻るとバンカーポートへアクセスできる。 パワーバウンダーで円柱状の建物の上に乗れば、序盤は正面、中盤は後方を楽に攻撃できる。 プラントE 少し進むとバンカーポートにアクセスできる。バンカーポートを含めるとカタパルトは3基ある。 さらにリペアポッドもあるので重要。 時々争奪戦になる。敵はおよそ奥真正面から来る。 プラントF 崖がT字に並んでいてトンネルがあるプラント、時々争奪戦になる。 敵はリペアポッドのある奥正面から押し寄せてくる事が多い。 プラントG 終盤プラント侵攻の目標になることが多い、浜辺の近くにあるプラントで、リペアポッドもある。 敵は奥の崖あたりから沸いて押し寄せてくる。 幸い周辺に障害物が少なく射線が通る、なおかつなだらかな傾斜があるのでオートガンが非常に有効。 プラントH 時々争奪戦になるプラント。微妙な建物と崖に挟まれておりやや狭い。塹壕があるので凸凹している。 敵は奥から大挙してくるので、そちらにマグネタイザーを仕掛けたい。 ベースの左奥のカタパルトから直接飛んでこれるので、サテライトバンカーを仕掛けやすいか。 プラントI 存在しない。誰だ、これ書いたの。 フェーズ1戦術 ベース → HかG → F → E → D → B → C → A 基本どおり順次取っていくべき。最低限Bまで取っておかないと色々支障がでる。できればCまで取りたい。 プラントBからAにはカタパルトがなく距離もあるので行かないのが無難。 プラントCを取ってからカタパルトでAに行きたい。まず無理だが、味方の足並み次第では全プラント占拠も可能。 フェーズ2戦術 全般 ユニオンバトルでは当たり前だがサテライトバンカーの2基同時運用を心掛けたい。 特にツィタデルはサテライトバンカー以外に機能停止させる手段がないため 内部に乗り込むチャンスが限られている。 現在はNeLISなどの高火力武器があるので内部発動が少なくてもフォローはきくものの ルームメイト全員が仕上がっているとも限らないので 時には1基目を持っている味方に「待って」などのチャットで指示を出す必要もあるだろう。 また戦場各地から煙が上がっているため 特に中盤では遠距離からだとツィタデルを視認しづらい場合もある。 序盤 中盤 終盤 巨大兵器最接近、といってもツィタデルなのであまり接近しない。むしろ今までで一番遠いと思うのは気のせいか。 手の空いた時に砲台の一つでも攻撃したいが、ベースからは遠いので狙撃銃でもない限り難しい。 その分、ツィタデルの攻撃もほぼ届かない。もちろん電磁榴弾砲は別だが。 ドローンも強化機兵も真正面からいつもどおりやってくるが、やや数が少ない気がする。 凶悪なのは奇襲で、何と戻りカタパルトを使って強化機兵がいきなりベース正面の傘下に飛び込み、すぐさま時計回りにコア攻撃を始める。 大勢が一度にという事はないが、2機くらいなら飛び込んでくる。もちろん撃ちもらしていると、後からドンドン押し寄せてコアが割られてしまう。 飛び込み強化機兵を迅速に処理するには、やはりマグネタイザーしかないだろう。傘下真正面のちょい右がいいだろうか。 爆発で撤去される事も考えると、マグネタイザーを持っている遊撃機は2機ほしい。そうすれば他の味方機が片付けてくれるだろう。 ユニオンオーダー攻略 プラント侵攻阻止 上記参照。 ニュード吸収装置破壊 起伏や障害物が多いためロビン偵察機が無いとかなり厳しい。 プラントBCあたりに2,3個ばら撒かれるが、およそ上の方に設置されるので探せば見つかるはず。 陰険なのはプラントDの円柱建物の裏手、内部ではなく外に設置される物。 例えばプラントCの近くの地面に設置されるが、フェンスが並んでいるのでCからは見えるのに行きずらい。バウンダーを使えばいけるか。 またはプラントDのリペアポッドのちょい奥の壁に貼り付けられる。上でも下でもなく真ん中あたり、狭いところなので見つけにくい。 プラントEの裏手の丘の民家のあたりに、さりげに設置されて見落とす事がある。 プラントEとFの水路のあたりにも幾つか撒かれるが、数が多い分誰かが片付けてくれるだろうか。 大型機動兵器迎撃 いつものように、まずやられないように、そして追いかけながら攻撃する事。 戻りカタパルトは、プラントA、B、C、E、FとGの間、と数はある。しかしどれも微妙に離れていて、続けざまに飛んでは帰れない。 うまくいけば、攻撃しつつ前進、カタパルト、を繰り返せるか。 プラントBとFあたりに兵装換装エリアがあるので、場合によっては利用しよう。 ゴーレムはプラントB-D間から登場し、 プラントD-E間→プラントE-F間→プラントF-H間→ベース周辺→ベース内部へとジャンプ移動する。基本的には。 今までの常識からすると、ゴーレムは最終的にはベース内部に飛び込むのでこちらもベース内部で迎撃すべきだった。 ところがなんと、このステージでの一部のゴーレムはベース内部に飛び込まず、ベース周辺にいながら時間切れでベースへビームをぶっ放す。 こんなのアリかと台バンしたくなるが、店の迷惑になるだけなので止めよう。ベース内部だけでなく周辺にも目を配ろう。 残ると面倒なのは、ベースから見て左側、ベースの左壁と崖とプラントHの建物に囲まれた微妙な空き地に入り込むゴーレムである。 視線と射線は下記の三方向からしか通らない。 ①ベース内部から見る。ベースの左壁が邪魔なのでゴーレムのてっぺんがちょいと見える程度。 ②ベース前の塹壕地帯から探す。ベースの左壁とプラントHの建物が微妙に邪魔で接近する必要がある。 ③プラントHの方から見る。ベースへ戻る途中で通る場所でもないので、あまり行かない場所である。ベースの左後のカタパルトから飛んでこれるが、プラントHは塹壕がありやや狭いので、攻撃された時に回避しにくい。 …もちろん途中で味方が途中で撃破している事もあるし、他のゴーレムが生き残っている事もよくある。 また、ベースの真正面にもゴーレムがベースへ飛び込まずに居座る事がある。ベース内部だけでなく周辺にも目を配れば、丸見えのど真ん中なのですぐわかる。
https://w.atwiki.jp/gununu/pages/5989.html
口寄せ〔とーかー〕 作品名:カミヤドリ 作者名:[[]] 投稿日:2011年1月16日 画像情報:640×480px サイズ:128,936 byte ジャンル:目隠れ キャラ情報 このぐぬコラについて コメント 名前 コメント 登録タグ 2011年1月16日 カミヤドリ 個別と 目隠れ
https://w.atwiki.jp/25438/pages/1020.html
============ その頃――小田原城・本丸 ============ 成田軍が緒戦を制したことは、北条家が関東中に放った忍びによって、ここ小田原にも伝えられていた。 北条家前当主ながら、いまだ実権を握っている北条氏政は、さわ子を大広間に呼びつけた。 氏政「喜べ!桜が丘城が緒戦に勝利したぞ!」 さわ子「えぇっ!」 氏政「石田三成らの軍勢二万を手もなく退けおった。今なお頑強に抵抗を続けておる!さわ子よ、お前も城の家臣どもに負けぬよう、励むのだぞ」 さわ子「は、はい……」 ~~~~~~~~~~~~~~ 大広間を退出したさわ子は、まるでぬけがらのように一人呆けていた。 さわ子「(……どうなってんの?何で戦してんの?そしてどうして勝ってるの?)」 さわ子「(いったい誰が戦をするなんて言い出したの?和ちゃんは死んだって聞いたし……澪ちゃん?いや、あの子に限ってそんなことは……)」 さわ子「(りっちゃん?確かに押しは強いけど、大勢の兵をまとめ上げられるかしら……)」 さわ子「(梓ちゃん……いやいや、あの子は戦したことなんてないし)」 さわ子「(…………唯ちゃん?)」 さわ子「(……まっさかね~。あの子は絶対にないわ!だいたい戦を嫌がってたじゃない!)」ブンブン さわ子「(…………)」 さわ子「(……って、あいつらあああ!内通ホゴにしやがってえええっ!!)」ゴゴゴゴゴ 氏政「(おぉ、さわ子め……関白打倒に燃えておる!)」コソコソ ===== 数日後―― ===== 晶の思惑通り、労働対価に釣られた百姓達が、丸墓山の陣所に大挙して押し寄せた。 利根川と荒川の間には人の大行列が出来上がり、七里にもわたる人工堤建設がいよいよ始まった。 未耕の土地から掘られた土が、俵に詰め込まれていく。そうして出来た土俵が、次々と積み上げられ、堤の形を成していく。 人夫達は報酬のために、ただひたすらに土俵を作り、それを高く積み上げて行く。 何が目的で作るのかも知らされず、ただ黙々と―― 純「えっほ、えっほ」ザクッザクッ 人夫「よう、嬢ちゃん。随分頑張ってるな。そんなに髪ボサボサにして」 純「フン!これは元からだもん!」モフモフ 人夫「おぉ怖えー。なぁ、あんたどっから来たんだ?」 純「下桜村」ツーン 人夫「おいおい、桜が丘城下じゃねえか。嬢ちゃん、不忠もんだなぁ」 純「うるさいなー、百姓に忠も不忠もないわよ!侍じゃあるまいし!」 人夫「へへ…まぁ、桜が丘軍じゃ、どんなに働いても銭や米はもらえねえもんな」 純「(見てなさいよ、桜が丘城の侍共……)」ザクッザクッ =========== 夜――桜が丘城・佐間口 =========== 唯と澪が、やぐらの上から丸墓山の方角を眺めている。 暗闇の中、間を置いて、ポツポツと明かりが点っている。人工堤に沿って、かがり火が焚かれているのである。堤では、昼と変わりなく工事を行われていた。 唯「一体何をしてるんだろうね……はっ、まさかお祭り!?夜店!?」 澪「堤だ、堤!堤を作ってるんだ!利根川と荒川を結んでるんだよ!」 唯「川と川を?」 澪「城の裏の上流で川を決壊させて、水をあそこでせき止めれば、どうなると思う……?」 唯「遊泳場ができる!」 澪「城が沈むんだっ!!」 唯「へ?」 澪「水攻めだ……八年前、関白が備中高松でやった戦法だよ。やられた城方は降るしかなかった……」 唯「ほえ~、そんなにすごいんだ~」 澪「何でそんなに他人事なんだ!唯、水攻めは防げない!このままじゃ私達の負けだ!」 唯「ねえ澪ちゃん……あれを作ってるのは誰?」 澪「城外の百姓達だろ。きっと報酬目当てでやってるんだ。高松でもそうだったらしいし……」 唯「なら、大丈夫だよ!」ニコッ 澪「何が大丈夫なんだ!!」 唯「え、澪ちゃん分かんない?分っかるかな~、分っかんないだろうな~ぁ」クネクネ 澪「くっ……もういい!私一人で策を練る!」 澪はやぐらを降りていく。 澪「(全く、唯のやつ……人をバカにして!)」 地上に足をつけた澪は、睨みつけてやろうと思って、やぐらの上の唯を見た。 澪「……えっ?」 唯は、堤の方をじっと見つめていた。 夜風になびく髪以外は、微動だにしない。その表情は、喜怒哀楽全ての感情を覆い隠しており、読み取ることはできない。 つい先ほどまでの、なよなよとした姿はそこにはなかった。 得体の知れない、底知らずの将器というものを、澪は感じずにはいられなかった。 澪「(まさか……水攻めを破る方法が本当にあるのか?)」 ===== 四日後―― ===== ついに堤は完成した。 利根川と荒川を半円形に繋いだ、七里にもおよぶ堤の上に、すでに上方軍二万の兵が配置されている。 晶は堤の上から桜が丘城を眺め、実に満足げな顔をしていた。 晶「この出来映えを、殿下にお見せできないのが残念だな!」ツヤツヤ 幸「本当に四日間で作っちゃうなんて……」 菖「まぁ何にせよ、これで桜が丘のやつらに一泡吹かせられるね~」 晶「私はこの戦を伝説にするぞ!だから、これを石田堤と名付ける!」 菖「え~、なんかありきたりじゃない?」 晶「は?じゃあ何ならいいんだよ」 菖「そうね~……菖堤とか?」 晶「何でお前の名前なんだよ!だったら晶堤にしろよ!」 菖「どっちも似たようなもんじゃない?」 晶「んだとぉ!?」 幸「あの……恩那堤ってどう?」 晶「お、それいいな」 幸「え」 菖「うん!私達女がこれだけのもんを作ったんだもんねー!」 晶「よし、この堤を恩那堤と名付ける!!」 幸「(冗談で言ったのに……)」 晶「それじゃあ、いくぞ――決っ壊!!」 ジャンジャンジャンジャン!! 『うおおおおおーぅ!!』 恩那堤の上、二万の兵が一斉に鉦を鳴らし、鬨の声を上げた。 ~~~~~~~~~~~~~~ 大地をも揺るがすその音は、利根川の堤にまで届く。そこには、火を携えた兵達が待機していた。 『合図だ!火薬に点火しろ!』 ドカ――――ン!! ドカンドカ――――ン!! 堤の数カ所で爆発が起こり、土手が跡形もなく吹っ飛ぶ。 ドドドドドドドドド!! 河の水がどっと溢れ出した。桜が丘城目指して、凄まじい勢いで流れ込んでいく―― ========= 同時刻――荒川の堤 ========= ドカ――――ン!! ドカンドカ――――ン!! ドドドドドドドドド!! ここでも爆発が起こり、決壊した箇所から川の水がとめどなく溢れ出ていく。 やがて二つの川の水は合流し、怒涛となって城へと押し寄せていく―― ┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”・・・ ======== 桜が丘城・長野口 ======== 敵軍の鉦の音と鬨の声は、ここにも聞こえてきていた。 律「来やがったな……」 律は城門を開け放って、城外を見渡す。 目の前には、荒れ果てた田んぼが広がっており、敵軍の姿はない。 律「さて、どう出てくる……」 ふと、音が止む。 静寂が訪れたのもつかの間、地平線の果てから地鳴りと共に、津波のような濁流が迫ってきた。 律「げっ!なんだあれ!?」 ┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”・・・ 律「に、逃げろおおおぉ!!」 ~~~~~~~~~~~~~~ ┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”・・・ 濁流から一番遠い佐間口でも、地鳴りは強くなっていた。 恵「は、早く外へ出なきゃ!!」 澪「お、おお、落ち着いてください!ほほ、本丸の方が高いです!そそそ、そ、そっちに逃げましょう!!」オロオロ 曜子「秋山様もどうか落ち着いて!」 ~~~~~~~~~~~~~~ 轟音は、下桜口にも響いてきた。 ┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”・・・ 姫子「ちょ、ちょっと!これはヤバイよ!」 エリ「あああ、阿弥陀如来様!薬師如来様ァ!!」 梓「みなさん、早く本丸へ!ここも水がきます!!」パカラッパカラッ ~~~~~~~~~~~~~~ ┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”━━━━━━━━━━━━・・・ 長野口に押し寄せてきた濁流は、城門を突き破り、中へと流れ込んでいく。 無人となった城下町では、濁流が目抜き通りを勢いよく突き進む。みるみるうちに水かさを増し、町家を跡形もなく押し流していく。 濁流は、無人となった佐間口の内側に達すると、城門を打ち抜いて、鉄砲水のごとく城外へと噴出した。 ┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣” ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・・ 城と田んぼを洗い浚った濁流は、恩那堤にも押し寄せてくる。 晶「……来るぞ!」 菖「ちょっと晶?近づき過ぎじゃない!?」 幸「流されても知らないよ?」 晶が笑みを零した瞬間―― ザッッバアァ―――――――――――――ン!!!! 怒濤が堤に激突した。 土手に激震が走る。波から散った無数の飛沫が、晶達に降り注ぐ。 菖「うわわっ!も~、またビショビショだよ……」 幸「……あの時と一緒だ」 八年前、香奈が自分の目の前でやってのけた大技――いつか自分もやってみたいと思っていた戦が、今現実のものとなった。 晶は、桜が丘城に大打撃を与えたことよりも、秀吉に近づいたと思ったことに、恍惚の表情を浮かべた。 晶「(これだよ!これこそ私の求めた戦だ!!)」 堤を反射した大波は、高さを増して、再び城を飲み込まんと突き進んでいく―― ┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”・・・ ======== 桜が丘城・二の丸 ======== 本丸を目指して逃げていく城兵と百姓達。背後からは迫り来る轟音が聞こえる。 澪「(二波目が来る……ここも危ない!)」パカラッパカラッ 『誰かー!』 澪「えっ?」 後方から子供の呼ぶ声が聞いた澪は、馬を止め、もと来た道を引き返す。 太郎「誰か来てくれよおー!」 澪「ひいっ!また四つ子……」クラクラ 次郎「三郎が足ケガしてるんだ!」 澪「え?」 花子「誰か助けてよぉ!」 足を抱えてうずくまる三郎の周りを、他の三人が困った様子で叫んでいる。 澪「(みんな逃げるのに必死で、この子達を放ってるんだ……)よし、みんな!私に任せろ!」 太郎「あ、侍のねーちゃん!」 澪「その子を、私の馬に乗せるぞ」 次郎「うん、分かった!」 澪は三郎の体を抱えると、馬の背中に乗せた。 ┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”・・・・・・ 澪「くっ、水がもうそこまで……みんな乗れ!」 澪は残りの三人も抱えて、全員馬の上に乗せた。 澪「よいしょっと……振り落とされないよう、しっかり捕まってろ!」 太郎次郎三郎花子「「「「うん!」」」」 澪「行くぞ!やああぁ!!」 パカラッパカラッパカラッ…… 太郎「すっげー!」 次郎「はえーっ!」 三郎「ねーちゃん、かっこいー!」 花子「もっと行けー!」ワーワー!ギャーギャー! 澪「こ、こら!頼むから大人しくして!やっ、ちょっと!どこ触ってるんだ!?///」 ~~~~~~~~~~~~~~ 大急ぎで馬を駆け、本丸へと繋がる橋まで辿りついた澪達。ここまで来れば、安全な場所まであと僅かなのだが―― 『何やってんだー!』 『さっさと前進めー!』 『水が来ちゃうー!』 『死にたくないよー!』 澪「人がいっぱいで橋がつかえてる……?」 梓「あ、澪殿!」 澪「梓!先に来てたか」 梓「澪殿……知らなかったです。こんな可愛い子供が四人も……」 澪「ち、違う!この子達は百姓の子で……」 梓「ち、父親は百姓なんですか!?」 澪「違う違ーう!!///そんなことより、これは一体何が起きてるんだ!?」 梓「どうやら、本丸が満杯らしいんです!」 澪「そんな!館に入れば全員収まるはずだぞ!?」 律「二の丸が沈むぞーっ!!」パカラッパカラッ 澪「律!無事だったか!逃げ遅れた人はいないか!?」 律「なんとかな……って、澪!?その子らはまさか……」 澪「だーかーらー!断じて私の子じゃなくって!」 梓「酷い!澪殿あんまりです!この子達がかわいそうです!」 律「澪の鬼母!人でなし!」 ボカンッ! 律「あいったぁ!どうしていつも私だけ!」ギャーギャー 本丸を目の前にして、騒ぎは増すばかりだった―― ====== 本丸の居館前 ====== 敷地内はすでに群衆で溢れかえっていた。しかし、百姓達は玄関に上がろうとしない。 紬「みんな、館に上がって!早く!」 憂「とは言われましても……」チラ 紬「え?私の足を見つめてどうしたの?///」キラキラ 憂「私達の足で御館に上がるのはちょっと……」ドロドロ 菫「百姓の身分で上がってよいものでしょうか」 紬「お百姓だろうと構わないから!早く!後ろの人達が間に合わないわ!」 憂菫「「うぅ……」」 唯「あれ?どうしてみんな入らないの?」タタタタ 紬「あ、唯ちゃん!みんなが土足を気にして……」 唯「はっ!」ピョーン 紬「え?」 ベチャッ 唯「ほらほら、みんなも上がってね~!私一人泥だらけだと、澪ちゃん達に怒られちゃうからね」ドロドロ 憂「……くすっ。しょうがないなぁ、お姉ちゃんは」 紬「……えいっ!」ピョーン 唯「ムギちゃん!?」 菫「お姉ちゃん!?」 ベチャッ 紬「ほら、これで私も一緒よ」ドロドロ 菫「…………ふふっ」 唯「……はは、あははは」 全員「あははははははは!!」 ベチャッ! 紬「きゃっ!」 菫「あぁ!姫様のお顔に泥が!」 唯「ふっふっふ、スキあり!」ブイッ 紬「……やったな~♪」 ベチャッ! 唯「ぶわっ!!」ドロドロ 全員「あははははははは!!」 憂「さぁみんな!上がろう!」 ダダダダダダダ…… 百姓達が一斉に居館に上がっていったことで、人の流れは良くなり、二の丸で立ち往生していた者達も、皆本丸へ辿り着くことができた。 その直後―― ┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣” ┣”┣”┣”┣”━━━━━━━━━━━━━━・・・・・・ 濁流が二の丸を飲み込んでいった。 ======= 本丸・城塀辺り ======= 澪「やれやれ……これで全員助かったか」 太郎「あっ、ねーちゃんだ!」 直「みんな!探したんだよ!」ダダッ 太郎次郎三郎花子「「「「ねーちゃーん!!」」」」ダダダッ 澪「良かったな……ほら見ろ!あの子達の姉は私とあまり変わらない娘だぞ。私が母親なわけないだろ!」 律「いや、あの娘は腹違いってことも……」 澪「まだ引っ張るか!!」 太郎「このねーちゃんは、かーちゃんじゃないよ」 澪「ほらな!」 律「え~、なんだよー」ブー 太郎「かーちゃんもとーちゃんも、いくさで死んだんだ」 律澪「えっ……?」 次郎「だから、ねーちゃんが一人でおれ達を育ててくれてるんだ」 律「そっか……悪かったな」 直「もう、姉ちゃんから離れちゃダメだからね?」 三郎花子「ごめんなさい……」 澪「…………」 『おい、見ろよ……』 『これはひでぇ……』 百姓達は、城塀から外を眺めていた。 城塀の向こうは一面水に浸かり、湖のようになってしまっている。彼方に見えるのは、丸墓山と恩那堤ぐらいであった。 『田んぼは全滅だぁ……』 『ちくしょう……俺たちゃどうやって暮らしていけばいいんだよ……』 『戦さえなかったら……』 澪「………………」 8