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システム・オブ・ブラック 16KB ※M1あきさんの黒バッジの絵に触発されて書きました ※独自設定垂れ流し 「ゆっくちしちぇいっちぇね!」 「ゆ! ゆっくちしちぇるね!」」 「ゆっくち! ゆっくちぃ!」 部屋の中では百匹にも及ぶ赤ゆっくりが賑やかに遊んでいた。 大きな部屋だ。ちょうど一般的な学校の体育館を思わせる広さで、たくさんの赤ゆっくり がいても手狭には感じない。 床には緑のカーペットが敷かれており、壁には緑の木々や青い空に白い雲が描かれている。 湿度も気温も快適に保たれ、じつにゆっくりとした雰囲気に溢れていた。 部屋の各所には飼いゆっくり向けの餌場や遊具、あるいはトイレなどが備えられている。 ゆっくりに詳しい者が見れば、ここがゆっくり育成用の施設であることがすぐにわかるだ ろう。 だが、そうした者がなにより目を惹かれるのは、施設そのものよりゆっくり達に違いない。 「ゆっくち! ゆっくち!」 艶やかでしとやかな黒髪。 宝石みたいな大粒の黒い瞳。 鮮やかに形の整ったおりぼん。 ふっくらもちもちしっとりしたお肌。 太陽の暖かさを詰め込んだような明るい声。 なにより、全身から溢れるゆっくりとした雰囲気。 全てがれいむ種。それも、極上のれいむ種だった。 ここはゆっくりの育成施設の中でも特別なものだ。 ゴールドバッジゆっくりとなるべく産まれ、ゴールドバッジゆっくりとなるべく育てられ る。ここは、そんな高級ゆっくりを育成するための施設なのだった。 システム・オブ・ブラック 「ゆああーっ!?」 「ゆんやぁぁぁぁぁぁ!」 「ゆっくちできないよぉぉぉ!」 ゆっくりの教育は悲鳴から始まる。 「逃げるな。よく見ろ。人間の言うことを聞かないゆっくりは、この『黒バッジ』をつけ られて、『永遠にゆっくり』することになるんだ」 ブリーダーの男が潰れた赤れいむを見せつけるように掲げる。 そのおりぼんには、男の言葉取り黒いバッジが不気味に輝いていた。 今ここにいるのは、施設に運ばれてきたばかりの赤れいむ達だ。全てゴールドバッジ取得 済みのゆっくりを親に持つ。 ゴールドバッジを持つ親が居るなら、その親に育てられた子も優秀――普通はそう考える。 だが、ゆっくりにゆっくりを教育させるとどうしても質にばらつきが生じる。ゲスになっ てしまうことすらある。ゴールドバッジだろうと、所詮ゆっくりはゆっくりなのだ。 だからこの施設では、赤ゆっくりを親ゆっくりから隔離して育てる。 潰された赤れいむは、いくら男が言い聞かせても親ゆっくりを求めて泣き喚いたゆっくり だ。 「静かに! ゆっくりしろ!」 張りのある声に、赤れいむ達はびくりと身体をすくませる。 「いいか、よく聞け! お前達はこれから、ゴールドバッジを取る為に生きる! それだ けがお前達の生きる意味だ! ゆっくり理解しろ!」 「おとーしゃんや、おかーしゃんとあっちゃいけないの……?」 「必要なことは全て私達人間が教える! 親は必要ない!」 「どぼじでぇぇぇぇ!」 何匹もの赤れいむが泣き叫ぶ。 中には反抗するものもいた。 「ちねぇ! ちねぇ!」 「おかーさんとゆっくちさせてくれないじじぃは、ゆっくちちねぇ!」 ぽすぽすと、男に体当たりを繰り返す二匹の赤れいむ。 この段階で、この二匹はゲスと呼ぶには至らない。なぜなら「親ゆっくりといっしょにい ないとゆっくりできない」というのは本能に刻まれたことであり、この行動はある種必然 的なことなのだ。 男は素早く二匹を捕まえ、黒バッジをつける。そして、両手それぞれに掴むと、赤れいむ の群れに見せつけた。 「言うことをどうしても聞かないゆっくりは、この『黒バッジ』だ!」 そして、掴む手に徐々に力を加える。 「やべちぇぇぇぇ!」 「ちゅ、ちゅぶりぇりゅぅぅぅ!!」 赤ゆっくりの身体は脆い。圧力に押され餡子が口から漏れ始め、飛び出さんばかりに開い た目からは目玉が飛び出そうだ。 「やめちぇ! やめちぇね!」 「いちゃがってるよ! やめちぇあげちぇね!」 「ダメだ。黒バッジは許されない」 赤れいむ達の抗議など意に介さず、男は黒バッジのゆっくりを時間をかけて苦しませ、潰 し殺した。 残された赤ゆっくり達は、ショックのあまり静まりかえった。 「いいか、もう一度言う! 聞き分けのないゆっくりは、『黒バッジ』だ!」 そして、男は透明な箱を取り出す。 「ゆううううううう!?」 「ゆんやぁぁぁぁぁぁ!!」 「ゆっくちできないぃぃぃぃ!」 絶句していた赤れいむ達が再び騒ぎ出す。それも無理はない。一抱えほどもある透明な箱 の中は黒バッジでいっぱいだったのだ。それはゆっくりには到底数えきれない数。 全ての赤れいむが、自分が黒バッジをつけられた姿を想像して恐怖した。 「いいか! お前らのすることは『ゆっくりする』ことじゃない! 『人間をゆっくりさ せること』だ! そのために必要なことは全部教えてやる! 考える前に従え! そして ゆっくりするんだ!」 男の言葉は、恐怖と共に餡子脳に刻み込まれた。 基本的に、ゆっくりは頭が悪い。言葉だけでは教育が出来ない。ゆえに痛みと恐怖で一つ ずつ教えていかなくてはならない。 この育成所では、最初に仲間を潰して絶対の力関係と恐怖を刻み込む。 これは恒例の儀式のようなものだ。実は潰すゆっくりはあらかじめ用意されていた。育成 対象より低いランクのゆっくりを綺麗に見えるよう細工したものだ。つまり、あれは出来 レースだったのだ。 通常の教育では痛み――即ち体罰を与えることで教育する。だが、どうしても言うことを 聞かない場合、見せしめに仲間を潰す。 そのために使われるのが「黒バッジ」だ。 ゆっくりは頭が悪い。ゆえにわかりやすい記号が求められる。育成のなか、黒バッジは行 儀の悪いゆっくりの象徴として繰り返し使用される。 だが、使用機会はそう多くはない。黒バッジをつけられたゆっくりは死ぬ。つまり、育成 所にとっては損失になる。可能ならば黒バッジは使いたくない物なのだ。 だが、それでも黒バッジは必要になる。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわちぇー!」 「だめだ。れいむ、『むーしゃむーしゃ、しあわせー』は食べた後にやるんだ。食べなが らするんじゃない。」 「ゆゆ? でも、ちゃべにゃがらしあわしぇー、しゅると、しゅごくゆっくちできりゅよ! にんげんしゃんをゆっくちさせちぇあげりゃりぇるよ!」 ブリーダーはれいむに黒バッジをつけると、赤れいむを潰した。 「いいか!? ゆっくりできるかどうかを決めるのはお前らじゃない! お前らを飼う人 間だ! 『むーしゃむーしゃ、しあわせー』を、大抵の人間は嫌がる! やっていいと言 われたときだけやれ! いいな!?」 「ゆ、ゆっくりりかいしたよ!」 赤れいむ達は、恐怖に震えながら理解した。 「ゆ~♪ ゆ~♪ ゆ~♪ ゆっくちしちぇいっちぇね~♪」 「れいむ、おうたをやめろ。おうたの練習の時間は終わりだと言ったはずだ」 「ゆゆ? おうたはとっちぇもゆっくちできりゅんでしょ? いっぱいうちゃえば、にん げんしゃんもいっぱいゆっくちできりゅよ! ブリーダーはれいむに黒バッジをつけると、赤れいむを潰した。 「いいか!? ゆっくりできるかどうかを決めるのはお前らじゃない! お前らを飼う人 間だ! 人間にはおうたを聞いているとゆっくりできない時もある! やめろと言われた やめるんだ、いいな!?」 「ゆ、ゆっくりりかいしたよ!」 赤れいむ達は、恐怖に震えながら理解した。 黒バッジを使うとき――それは、ゆっくりが「人間のことを思って」間違ったことをやっ た ときだ。 ゆっくりの「ゆっくり」と、人間が「ゆっくりに望むゆっくり」には違いがある。 所詮不思議ナマモノと万物の霊長、相容れない部分があるのだ。 飼いゆっくりを育てると言うことは、その違いをゆっくりに押しつけることだ。それはゆ っくりにとって理不尽なことであり、いくら言葉を費やそうと理解できるものではない。 そのための黒バッジだった。 やがて、理不尽を受け入れたゆっくりだけが生き残り、金バッジの試験を受けることにな る。 育成所のゆっくりの育成は極めて厳しい。しかし正しく優れたものであり、生き残ったほ とんどのゆっくりが試験に合格する。 そして、金バッジの授与。この育成所では、その授与に一風変わった方法が採られる。 「きょうは『きんばっじ』をもらえるんだってね!」 「『きんばっじ』はすごくゆっくりしできるんだってね!」 「とってもたのしみだね! ゆっくりできるね!」 一室に集められたもう子ゆっくりと呼べるほどに育ったれいむ達。もう赤ゆっくり言葉も 抜けたこのゆっくり達は、いずれも金バッジ試験に合格したものである。 それぞれが透明な箱に入れられているが、不安な様子はない。箱に収められるのも飼いゆ っくりにはよくあることであり、その時の行儀作法も当然教育済みなのだ。 こうして賑やかに話しているのも、人間にあらかじめ許可されたからだ。勝手に喋ったり はしない。その声もまた人間にとって耳障りなものではなく、とてもゆっくりした綺麗な 声であり、適度な声量だった。 「これから金バッジの授与を始める!」 大きなダンボール箱を台車に乗せ、ブリーダー達が部屋に入ってきた。ゆっくり達が色め き立つ。 ダンボールの中には小さな箱が入っており、その中には豪華な金バッジが収められている。 ブリーダー達は一匹一匹に金バッジをつけていく。 「おにいさん、ありがとう! とってもゆっくりできるよ!」 ゆっくり達は喜びに興奮しながらも、人間への感謝の言葉を忘れない。本能に流されがち なゆっくりがきちんと教育された証拠である。 まだ金バッジをもらえないゆっくりは、まだかまだかとそわそわする。しかし、決して箱 をカタカタ言わせたりするような粗相はしない。だからこその金バッジである。 だが、そんな落ち着かない時間も終わる。 最後のゆっくりに、バッジがつけられた。 「ゆゆぅぅぅぅ!?」 「ゆええええええ!?」 「どうしてえぇええええ!?」 ゆっくり達は驚きの声を上げた。 なぜなら、最後のゆっくりにつけられたバッジ――その色が、黒だったからだ。 そして、黒バッジれいむは部屋から運び出された。 残された金バッジのれいむたちは押し黙っている。 「お前ら、どうしてあのれいむが『黒バッジ』なのかわかるか?」 どのれいむも答えない。 部屋にいるゆっくり全てが同じ施設で同じように育てられた姉弟のようなものだ。当然黒 バッジをつけられたれいむのこともよく知っていた。 だが、わからないのだ。 あのれいむは自分たちと同じぐらい優秀だった。自分たちとの違いがわからない。 その疑問がれいむ達を黙らせていた。何が間違いかわからないのだから、下手なことをす れば自分も今すぐ黒バッジをつけられるのではないか――そんな恐怖があった。 今まで金バッジを目指して頑張ってきた。今やそれが自慢のおりぼんにつけられている。 それなのに、安心できない。ゆっくりできないのだ。 「お前、わかるか?」 一匹のれいむが問いかけられる。しかし、答えられない。 ブリーダーが部屋を見回すが、どのれいむも視線を逸らし、答えられそうもない。 「そうだ。それでいい。わからないのが当たり前だ」 ブリーダーの言葉に、れいむ達は驚き目を剥いた。 「いいか? 人間はお前らよりずっと頭がいい。お前らごときが人間の考えすべてを理解 できるわけがない。あのれいむに『黒バッジ』をつけた理由も、お前らに話したところで 理解は出来ない。だから説明は無しだ」 れいむたちは混乱した。 今までなにか悪いことしたら、かならず説明があった。それを学んでゆっくりしてきたの だ。それができない。 「理解しろ。お前達は所詮、ゆっくりに過ぎない」 愕然となった。自分たちは、厳しい教育を受け、難しい金バッジ試験を受けた優秀なゆっ くりのはずだった。他とは違うはずだった。 でも、結局、ゆっくりに過ぎない。いつ黒バッジをつけられるか――いつ人間に殺されて しまうか、わからないのだ。 金バッジをつけた誇らしい気持ちは今やコナゴナになってしまった。 暗く沈むれいむたちを、ブリーダーはじっと眺める。全員、打ちひしがれたのを確認し、 十分な時間をおいてから再び声をかける。 「いいか、この育成所でおぼえたことを決して忘れるな。そうすれば、お前達は人間をゆ っくりさせられる。人間がゆっくりできれば、お前達もゆっくりできる。お前達が今まで 必死に覚えてきたことだけが、お前達の生きる唯一の道だ。それを、決して忘れるな」 れいむ達の心にわずかな明かりが灯った。 自分たちがゆっくりするために学んできたこと。それは無駄な事じゃない。その証が金バ ッジだ。 人間はゆっくりより強い。難しいことを考えることが出来る。そんなことはこの施設に初 めてきたとき、仲間の死で思い知らされたことだ。 初心に帰り、そして今までしてきたことを思い出す。積み上げてきたことは無駄ではなく い。 金バッジは「貰った」ものではない。自分の力で「勝ち取った」ものなのだ。 おりぼんについた金バッジが、その重みと輝きを増したように思えた。 「お前らに最後の言葉を贈る――ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 今までの教えに従い、金バッジれいむたちは、聞いた誰もが心からゆっくりできる素晴ら しい声でゆっくりの定型句を唱和した。 その声には、金バッジを受け取った誇りと、これからなお一層のゆっくりに励もうという 揺るがぬ決意があった。 黒バッジのれいむは震えていた。透明な箱の中で、脂汗にまみれて震えていた。 なぜ。 なにがわるかったのか。 どうしてこんなゆっくりできないことになってしまったのか。 尽きぬ疑問と死の恐怖に、れいむは答の出来ない疑問を餡子脳の中で繰り返すばかりだっ た。箱を運ぶブリーダーには聞けない。聞いた途端、ゆっくりできないことになってしま いそうに思えたからだ。 やがて、れいむは部屋の中に運び込まれた。真っ白な、殺風景な部屋だ。 ここに自分の黒い餡子が広がるのだろうか。その想像にれいむは震え上がった。 れいむは透明な箱に入れられたまま、部屋の床に置かれた。 そして、ついに、ブリーダーから決定的な言葉を投げかけられた。 「れいむ、おめでとう!」 理解できなかった。 しかし、やがて言葉の意味を知る。ゆっくりでもわかるシンプルな祝福の言葉だった。 「お、おにいさん……おめでとうって……どうして?」 「れいむ。お前は特別優秀なゆっくりなんだ。だから金バッジよりすごいバッジをもらえ たんだ」 「で、でも! 『くろばっじ』はゆっくりできないよ!」 「れいむ。お前はひとつ勘違いしている。『黒バッジ』は『ゆっくりするためのもの』だ」 「ゆ、ゆゆ!?」 れいむはすっかり混乱してしまった。黒バッジをつけられたら潰されてしまう。ゆっくり できない。だから黒バッジはゆっくりできないもの――それは、れいむの餡子脳の奥の奥 まで刻み込まれた恐怖だ。 「ほら、思い出してみるんだ。確かにお前の仲間が黒バッジをつけられ、潰された。だが、 そのたびお前はゆっくり出来るようになっただろう?」 言われ、れいむは気がついた。 確かに黒バッジを見るたびに、れいむは一つずつ、人間と暮らす上で大切なルールを覚え ていった。飼いゆっくりとして、ゆっくりできる方法を身につけていった。 「お前は一番ゆっくりしたゆっくりだった。だから、金バッジ以上のバッジ……黒バッジ が与えられたんだ。ほら、見てごらん」 ブリーダーは鏡を見せた。そこには黒バッジをつけた自分の姿が映っている。 そして、れいむは気がついた。今まで見ていた黒バッジは、丸いだけでなんの飾り気もな い安物だった。だが、れいむがつけているのは金バッジ同様に、細かい細工が施された立 派なものだったのだ。 「れいむ、お前は特別なゆっくりなんだよ。だが忘れてはいけない。死んでいったゆっく り達がいたからこそ、お前は特別なゆっくりになれたんだ。そのバッジはとても大切で価 値のあるものだ。お前はそれに相応しいゆっくりとして、人間をゆっくりさせるんだ。い いね?」 れいむは理解した。このバッジはただのバッジじゃない。犠牲になった仲間達の餡子で黒 く染まったか、けがえのないバッジなのだ。 れいむは誇らしさと同時にその責任の重さを感じだ。だが、厳しい教育を乗り越えたれい むは、その重さに負けなかった。 「お前に最後の言葉を贈る――ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 今までの教えに従い、黒バッジれいむは、聞いた誰もが心からゆっくりできる素晴らしい 声でゆっくりの定型句を叫んだ。 その声には、黒バッジを受け取った誇りと、これからなお一層のゆっくりに励もうという 揺るがぬ決意があった。 黒バッジ。 この育成所においては見せしめの象徴。 だが、世間における公式な扱いは違う。 表向きには、金バッジの教育を受けたが、何らかの障害を持つゆっくりに与えられるもの とされている。 金バッジゆっくりは最高の品質を求められる。だから身体に障害を持ったゆっくりから金 バッジは剥奪されてしまう。だが、厳しい教育を受けたゆっくりにそれはあんまりではな いか――最初は、そんな声から生まれたものだった。 しかし、現在、裏では別の意味を持つ。 即ち、「公認虐待バッジ」だった。 金バッジを受けるほど優秀なゆっくりは、当然虐待を受けることなど社会的に許されない。 だが、黒バッジゆっくりは違う。どんな虐待をしても罰せられることはない。 あんよを焼くことも、目を抉ることも全て許される。なぜなら黒バッジを与えられたゆっ くりは障害を持っているはずなのだから、どんな傷を負っていても「そういうゆっくり」 ということで通ってしまうのだ。 虐待を目撃されても、「治療行為だ」と言い張れば多くの場合は許される。ゆっくりの生 態は謎が多く、何がゆっくりを癒すかわからない。だからあからさまな虐待であっても、 「障害をなんとかなおしたいと願う飼い主の行きすぎた行為」と見なされることが多いの だ。 あんよを焼いても「悪い患部を焼き切っただけ」、針を無数に刺しても「針治療」、生ゴ ミを喰わせても「特殊な食事療法」と幾らでもヘリクツが利く。裏では黒バッジ用の虐待 言い訳例集まで売られているくらいだ。 しかも、表向きは金バッジと同等のゆっくりだ。迷子になれば保護されるし、飼い主の許 し無く虐待すれば罰せられる。まさに虐待おにいさん垂涎のゆっくりなのだ。 ゆっくり育成所では、この黒バッジに目を付けた。 元々、ゆっくり育成所では金バッジ取得後のゆっくりをランダムに一匹殺していた。これ は金バッジの「選民意識」をなくすためである。 金バッジ取得は難しい。ゆえに、金バッジゆっくりは他のゆっくりを見下す傾向がある。 これにより、金バッジのゆっくりと言えどゲス化することがある。所詮、ゆっくりはゆっ くり。金バッジを一度は取得しても、転落するゆっくりは少なくないのだ。 それを防ぐため、ゆっくり育成所では金バッジ取得ゆっくりを見せしめに、無作為に潰し ていた。そうすることで「自分はいつ殺されてもおかしくない、他のゆっくりと変わらな い饅頭に過ぎない」ということを思い出されるのだ。 だが、潰してしまうのは明らかに損失だ。 そこで黒バッジに目を付けた。金バッジゆっくりの質を高め、なおかつ黒バッジゆっくり を出荷することで利益を得られる。一石二鳥とはこのことだ。 このゆっくり育成所から出荷される黒バッジゆっくりは優秀だ。金バッジ以上のゆっくり であるという自負があり、躾も性格も金バッジを持つに相応しいものだ。 しかし、このゆっくりの未来は真っ暗で、真っ黒だ。 飼いゆっくり。 それは人間に理不尽を押しつけられる存在。 黒バッジとは、その理不尽の象徴なのかも知れない。 了 by触発あき 元ネタ絵 byM1あき 触発あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ↓↓ゆっくりんぴーす -- 2016-01-31 15 23 54 チッ虐待されるとこ書いてねーのかよ -- 2015-01-01 21 29 08 豆の名前みたいな団体ってどこだ?汗 -- 2012-12-11 17 09 12 元ネタの >これでも 豆の名前みたいな団体が 難癖つけてくるのは 変わらないだろうがな 笑えたwww -- 2012-05-02 21 26 31 元ネタ絵の さて、スキンシップの時間だ あまりに綺麗な髪なのでカミソリとバリカンを新調してしまったよ クソワロタw -- 2011-12-22 17 04 01 >れいむは理解した。このバッジはただのバッジじゃない。犠牲になった仲間達の餡子で黒 >く染まったか、けがえのないバッジなのだ。 ここだね。 最後の方の、別室で試験に合格したれいむに黒バッジを付けた理由を話しているところ -- 2011-11-02 21 50 20 読んでるうちに何処だったか忘れてしまいましたが(、)がずれている箇所がありました。 -- 2010-09-10 02 34 16 挿絵じゃなく元ネタだからだ -- 2010-08-01 16 20 27 絵↑何故まりさ -- 2010-06-24 16 00 39
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※某ゲームのパロディです。 ゆっくり。人間の生首にも似た、言葉をしゃべり動き回る不思議な饅頭。 世界中にゆっくりが現れだして数年、人々が彼女らに見せた反応は様々なものだった。 無邪気に虐待をしたり、可愛がったりという人間ばかりとはいかない。 生理的に受け付けない、宗教上の理由から生物として認められないなど、 この奇妙な食べ物の存在を受け入れられない人々は、当然のことながら世界中に少なからずいた。 そして中には、ゆっくりの存在自体を蔑視、或いは『人類の敵だ』などと危険視し、 ゆっくりは絶滅させるべきだと主張するような過激な集団もあった。 北欧の或る地方、人里離れたゆっくりの集落。そんなカルトの一団の影が、ゆっくりと忍び寄っていた。 「それじゃあね、まりさ!」 「れいむ、ごちそうさま!またこんどゆっくりたべさせてね!!」 ここは木の根元に掘られたゆっくり一家の巣。 住んでいるのはれいむ・まりさ夫婦と、その子供達だ。 母親であるれいむとまりさ、そして長女子れいむが一匹に、赤ちゃんれいむとまりさが二匹ずつの計七匹家族である。 今夜は長女れいむが友達のまりさを招き、家族を伴って夕食会を開いていた。 お客さんと一緒に食べるごはんは、いつもとはまた一味違った美味しさがあった。 まりさの言う冗談はとても面白く、食べ方も誰とも違って豪快で、 明るく笑顔の絶えない、ゆっくりした食卓を囲むことが出来た。 赤ちゃん達はまりさのどこか粗野な雰囲気にかっこよさを感じ、すっかり懐いていた。 「あしたもゆっくりあそぼうね!」 「ゆゆっ!あしたはきれいなかいがらをさがしにいこうね!」 「「「「まりしゃおねーちゃん、またあしょびにきちぇね!!」」」」 暗くなった森の中を駆けていくまりさの背中を見送るれいむ。 このあたりには補食種もおらず、多少暗くなっても巣の外を出歩くことが出来た。 さて、晩御飯を食べ終わったらそろそろお休みの時間。 一日のゆっくりを締め括る、最高にゆっくりしたひとときである。 「もうよるもおそいから、みんなですーやすーやしようね!」 「おふとんをしこうね!」 「ちびちゃんたちのぶんはおねえちゃんがしいてあげてね!」 親達の号令で、子供達は一斉に寝る準備に入る。 と言っても赤ちゃん達は、お姉ちゃんれいむが寝藁を床に敷いてくれるのをゆっくり待っているだけである。 この日もいつものように、子れいむが赤ちゃん達の寝藁を部屋の隅から引っ張り出そうとしていた。 すると普段とは違い、ゆっくりしているはずの赤ちゃん達から声が上がった。 「ゆっ、まっちぇねおねーちゃん!」 「まりしゃたち、もうじぶんでおふちょんしけゆよ!」 「おひるにれんしゅうちたんだよ!!」 「ゆゆゆ!ほんとう!?」 これには子れいむもびっくりである。 少し前まで、柔らかい葉っぱさんすらも一人では食べられなかったようなおちびちゃん達が、 自分達で寝床の面倒を見れるようになっていたなんて! 赤ちゃんの成長は、何と速いのだろう。 「ゆゆっ、おちびちゃんたちすごいよ!!」 「ゆっくりおふとんをしいてみてね!!」 両親も我が子の成長ぶりを見ようと大興奮で駆け寄ってくる。 赤ちゃん達は乱雑に集積されている藁束から、端っこの数本を口にくわえて引っ張り出した。 「ゆっ・・・ゆっくちぃ!」 「ゆんしょ!ゆんしょ!」 がんばって引っ張り続けるが、絡み合った藁は赤ちゃんの小さな力ではなかなか引き出せない。 ようやく一匹の赤まりさが数本の藁をずるずると引きずり出し、寝室の真ん中へと運んでいく。 「ゆっふひ!ゆっふひ!」 寝藁を口にくわえながら掛け声をかける赤まりさ。 たった数本の藁であるが、小さな身体にとってはかなりの重さなのだろう。 一生懸命なその姿は、赤ちゃんの小ささ、儚さを感じさせ、可愛らしさをより際立たせていた。 眺めていた両親からも、自然と笑みがこぼれだす。 「ゆふふふ!あかちゃん、がんばってね!」 「ふふふ、もうちょっとでおふとんがしけるよ!」 「ゆ?おかーしゃん、どうちてわらってゆの?」 「ゆっ!それはまりさがとってもかわいいからだよ♪」 「ゆゆっ!まりしゃきゃわいい?ゆふーん!」 赤まりさは身体を伸ばして恥ずかしそうに笑い、両親に媚を売ってみせる。 そんなことをしている間に他の姉妹達はどんどんおふとんを敷いていき、それに気付いたまりさは慌てて作業に戻る。 その様子を見て、またも両親からは愛玩の笑みがこぼれるのだった。 一家の姿を眺め、子れいむも思わず笑いを浮かべる。 れいむは、長ぱちゅりーが言っていた「笑う門にはゆっくり来たる」という言葉が大好きだった。 ゆっくりすると笑顔になる。笑顔になるとますますゆっくり出来る。 きっと自分達の毎日は、それを繰り返してゆっくりと過ぎていくのだろうと思う。 未来に広がり続けるゆっくりという希望を、れいむは全く疑おうともしなかった。 おふとんを敷き終わり、「ゆっくりおやすみなさい!」と家族全員で宣言すると、一斉に睡眠に入る。 家族みんなの幸せそうな寝顔を見回して「ゆふふ」と微笑んだれいむは、自らもゆっくり目を閉じた。 れいむは夢を見る。大好きなまりさや家族達、そして群れのゆっくりみんなが笑って暮らす夢だ。 「おきてね!ゆっくりしないでおきてね!!」 れいむの幸せな夢は、親れいむの悲鳴にも似た呼び声によって無理矢理中断された。 「れいむはたのしいゆめをみてたんだよ!」とぷんぷん怒ろうともしたが、 母親のゆっくりしていないただならぬ様子に、事態の把握に努めることが先だと悟った。 「おかーさん、どうしたの?」 「「「「まだねみゅいよー・・・」」」」 外からは赤い光が差し込んでいる。朝焼けの光だろうか、とれいむは思った。 「わるいにんげんたちがせめてきたんだよ!ゆっくりしないではやくにげてね!!」 「ゆ・・・?ゆゆゆゆ・・・・!?」 れいむは何を言われているのか解らなかった。 自分達はずっと平和に暮らして来た。人里離れたこの地で生まれ育ったれいむは、人間を見たことがない。 その人間が外敵として、暴力を振るってくる……その全く未知の恐怖を、すぐには想像出来なかったのだ。 しかし親達は人間の脅威を知っているのだろう、その慌て様はれいむが生まれて初めて見るものだった。 「ゆ?にんげんしゃんたちがきちゃの?」 「まりしゃたちどうなっちゃうの?」 「みつかったらころされちゃうよ!!ゆっくりにげてね!!」 「「「「ゆゆゆゆゆ!?」」」」 赤ちゃん達はれいむ以上に困惑している。まだ生まれて間もなく、家族の愛しか知らない赤ちゃん達は、 暴力というものに対する知識や想像力を全く持ち合わせていなかった。 怖いことが起こっているということは何となく理解出来ても、それ以上の認識は持てなかったのだ。 「むぎゅうううううーーーーーー!!!」 その時、絹を引き裂くような悲鳴が巣の中に飛び込んでくる。 親れいむと子供達は、みな一様に身体をビクリと震わせた。 「い、いまのはぱちゅりーのこえだよ!!」 「おかーしゃん、ぱちゅりーおねえちゃんどうしちゃの!?」 「ゆっくちできない・・・こわいよぉぉ・・・・・」 「ぱちゅりーはにんげんにつかまっちゃったんだよ!みんなもにげないとつかまっちゃうよ!!」 知人の死というリアルな恐怖に晒され、現実を認識し始めた赤ちゃん達の目から涙が溢れ出す。 れいむも例外ではない。ぱちゅりーとは仲良しで、まだ教えてもらいたいことが沢山あったのに。 気付いてみれば、外からはゆっくりの悲鳴や何かを叩くような音が絶え間なく聞こえ続けていた。 「ゆっ・・・ゆぇ・・・・・」 「ゆわあぁぁぁん、やぢゃやぢゃやぢゃ!!れいみゅいたいのやぢゃよぉぉぉぉ!!」 「おかーしゃん、にゃんとかしちぇね!!まりしゃたちをゆっくちたしゅけてね!!」 恐慌状態に陥った赤ちゃん達は、巣の中を暴れるように跳ね回り、悲鳴を上げて助けを求めた。 れいむはお姉さんとしてそれを抑えなければならないと思ったが、一緒になって泣き叫びたい気持ちでいっぱいだった。 すると、親れいむが子供達をキッと睨み付ける。 「しずかにしてねっっ!!」 「「「「ゆっ!!」」」」 いつも優しいお母さんが、初めて見せる鬼の形相。 赤ちゃん達はあまりの恐怖にすくみ上がり、お母さんの方を向いて静かになった。 「うるさくしてるとにんげんにみつかっちゃうよ!!みんなころされちゃってもいいの!?」 「や、やぢゃよ・・・」 「だったらおかあさんのいうことをきいてね!!」 親れいむはこれからすべきことについて、子供達に説明する。 木の根元に掘られたこの巣には、木の真下をくぐって反対側に非常口が作られている。 一度も使われたことはなく、落ち葉に覆われているので見つかることは絶対に無い。 そこから出た先の森にはゆっくりは住んでいないので、人間の襲撃の手が回ることもないだろう。 真っ直ぐ行って三本目の木の近くに、親れいむが昔親まりさと一緒にかくれんぼをした洞穴がある。 そこに潜んで、人間達が去るまでやり過ごして欲しい、と。 特に子れいむには、妹達を守ってあげてほしいとよく言って聞かせた。 「ゆ、ゆっくりわかったよ!それじゃあおかあさんもいこうね!!」 「ゆっ・・・だめだよ!おかあさんはおうちにのこるよ!!」 「ど、どうして!?にんげんさんにつかまっちゃうよおおおぉぉぉ!!」 「ゆっくりのおうちにゆっくりがいなかったらあやしまれるよ!! おかあさんたちがにんげんたちをくいとめておくから、ちびちゃんたちはゆっくりにげてね!! まりさもいりぐちでがんばってくれてるよ!!」 「いやだよ!!いやだよ!!おかあさんがいないとゆっくりできないよぉぉぉぉぉ!!」 「おかあさんのいうことをゆっくりしないできいてねっ!!」 どん、と親れいむから体当たりを受けてしまう子れいむ。生まれて初めて味わう親からの体罰だった。 そしてそれは、自分達のためにお母さんがどれだけ必死になってくれているのかということを、そのまま子れいむに伝えた。 痛みと悲しみから目に涙を滲ませながら、子れいむは親を置いて逃げ出す決心を固める。 「お、おかあさん・・・ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしていってね、れいむ・・・おかあさんたちになにがあっても、 れいむだけはぜったいにいきのびてね!!ちびちゃんたちをまもってあげてね!!」 互いに泣き顔を伏せ、背を向け合う。 れいむはおろおろしている赤ちゃん達を半分は頭に載せ、半分は口に含み、巣の奥へと駆け出す。 後ろの方から、親まりさの「いだいよ!!やべでね!!!」という声が聞こえてきて、ぎゅっと目を瞑った。 (おかあさんたちごめんね!!れいむはおかあさんのぶんもゆっくりいきるよ!! いきてまりさといっしょにゆっくりするからね!!) 閉じられた非常口を体当たりで押し開け、言われた通りの場所へと、音を立てないように急ぐれいむ。 赤ちゃん達の半分はれいむの口の中だし、もう半分はれいむの髪の毛に口を使って必死にしがみついているので、 悲鳴を上げる余裕などなかった。赤ちゃん達を口に含んでいるれいむも静かにならざるを得ない。 途中何度か振り返って様子を見てみると、ゆっくり集落のあちこちが炎に包まれ、 まだ深夜の暗闇に包まれる森の中を赤々と照らしていた。 どれほどか昔、なぜか人間がこの森に作り捨てていった、小さな木の小屋。 群れをまとめてくれた長ぱちゅりーが住んでいたそれは、既に黒い炭を残すのみとなっていた。 れいむはそれを見て、(もうむれはおしまいなんだ)と嫌でも悟らざるを得なかった。 ゆっくりの返り餡を浴びた何人もの人間達が、炎に照らされて狂乱の宴を繰り広げている。 その手には各々、ゆっくりを屠殺するための何種もの武器が握られ、風を切って唸りを上げていた。 これが本物の恐怖。 れいむは、動かなくなりそうな足を引きずり……お母さんの言っていた洞穴へと辿り着いた。 「ゆっ!ここまでくればもうだいじょうぶだよ!!」 何せ、あのお母さんが用意してくれた隠れ場所。見つかるはずがない……そう信じたかった。 口の中の赤ちゃんを吐き出し、頭に載せていた赤ちゃんもゆっくり降ろしてやる。一同はようやく一息つくことが出来た。 おうちに比べれば遥かに狭い洞穴の暗闇で身を寄せ合いながら、赤ちゃん達はプルプルと震えている。 「ゆぅ・・・にんげんしゃんきょわいよぉ・・・」 「ぜんぜんゆっくちちてない・・・どうちてあんなことしゅるの・・・」 「ほんとだね・・・にんげんさんがあんなにこわいなんて・・・」 頭の上から人間の蛮行を目の当たりにした赤ちゃん達は意気阻喪し、へたりと潰れて弱弱しく泣いている。 ゆっくり達を潰して回る人間達の表情は、みな一様に笑顔だった。 れいむですら、食べ物である虫を殺す時に罪悪感を覚えることがある。 食べるのは生きてゆっくりする為に、生き物誰にでも必要なことだ。そう自分に言い聞かせ、尊い犠牲を摂取している。 しかしあの人間達は、食べるでもなく、ただゆっくりを殺戮する事に快感を覚えていた。 れいむには理解できぬ死生観……聞いていた人間というイメージとは違う、異形の怪物がそこにいるような気がした。 「ゆゆっ!ゆっくちできにゃいにんげんしゃんなんて、まりしゃおねーちゃんがやっちゅけてくれゆよ!」 「まりしゃおねーちゃんはちゅよいんだよ!!いぬしゃんにもかったことがありゅんだよ!!」 口の中にいた赤ちゃん達が、他のみんなをそう言って励ます。 まりさお姉ちゃんとは、れいむの親友のまりさのことだ。 お食事会の時、じゃれてきた赤ちゃん達にまりさは自らの武勇伝を語って聞かせていた。 野犬に襲われた時に、まりさが知恵と体力の限りを尽くして撃退した現場には、れいむも居合わせた。 その時のまりさの姿は、この世の何よりも強く頼もしく、かっこよく映ったものだ。 れいむはイメージを反芻し、自分を勇気付ける。あの強いまりさなら、人間達にも負けはしない……。 「ゆぎゃあああぁぁぁ!!やべでっ!やべでねえぇぇぇぇ!!ばりざにひどいごどじないでねぇぇぇ!!」 「ゆっ・・・このこえ!!」 その時森の方から聞こえて来たのは、紛れも無い大好きな親友、まりさの声だった。 「ゆぎっ、ぞれはやべで!!ほんとうにいだいがらやべでね!!ぞれはほんどうにだべなのぉぉあびびびびびび!!」 聞いたことも無いような声。 野犬に噛まれて餡子がはみ出した時も、「こんなのなんともないよ!」と言っていたまりさ。 そのイメージは、霞のようにれいむの中から消え去ろうとしていた。 「やだ、やだよぉ・・・もうごろじでね・・・ゆびっ!?な、なんでおがあじゃんがあぁぁぁぁぁ!!」 一度は絶望の底に追いやられたらしいまりさの声に、再び恐怖という生気が宿る。 何が起きているのかは全く解らない。窺い知ろうとも思えない。 ただただ、その場の「おそろしさ」だけが、まりさの悲鳴を通じてれいむ姉妹に届けられていた。 「まりざじにだぐないよ!!だずげで!!だずげでれいむぅぅぅぅぅ・・・ゆぎゃっ!」 それきり、何も聞こえなかった。 「ま、まりざっ・・・」 思わず声が漏れ、はっと口を噤むれいむ。 「あしたはきれいなかいがらをさがそうね!」と言うまりさのゆっくりした笑顔が脳裏に浮かぶ。 そのイメージすらもガラガラと消え去る。れいむの精神的支柱は崩壊したのだ。 もしも両親がいなくなっても、大好きなまりさと一緒なら生きていけると思っていた。 人間に殺されているかも知れない。だとしても人間達が去るまで、その可能性には触れまいと思っていた。 しかし、思わぬ形で最悪の現実を目の当たりにしてしまう。既にれいむの感情を縛るものは何もなかった。 もう生きていてもしょうがない。悲しい。怖い。沢山泣いて楽になってしまおう。 そう思い始めたれいむだったが、赤ちゃん達のすすり泣きに出鼻を挫かれてしまう。 「ゆぁ・・・まりしゃおねーちゃん・・・どぼちて・・・」 「うしょだよ・・・まりしゃおねーちゃんはちゅよいんだよ・・・にんげんしゃんにゃんかにまけにゃいよ・・・」 まりさを絶対のヒーロー視していた赤ちゃん達にとって、 憧れのお姉さんが惨めに助けを求めながら死んでいったのは大きなショックだった。 小さな身体が枯れ果ててしまいそうなほどの大粒の涙を流し、泣き声は次第に大きくなっていく。 「ゆっ・・・ゆええぇぇん・・・・」 「おかーしゃぁん・・・おねーちゃん・・・・まりしゃおねーちゃぁん・・・」 「どうちてれいみゅたちをいじめゆの・・・かわいいれいみゅをいじめちゃだめなにょにぃ・・・」 「ゆぇぇ・・・ゆっくちちたい・・・ゆっくちちたいよおぉぉぉむぐ!」 大声を出しそうになった赤ちゃんまりさの口を、咄嗟に舌を伸ばして塞ぐれいむ。外に漏れるような悲鳴は防ぐことが出来た。 口から抑えられた悲鳴がそのまま涙となったかのように、小さな瞳からはぼろぼろと砂糖水が溢れて来る。 そうだ。生まれて間もないこの子達は、きっと自分よりも大きな恐怖を味わっているはず。 この子達には、生きることの喜び、ゆっくりすることの素晴らしさを沢山知ってもらいたい。 まだ成体ですらないれいむにそこまで思わせたのは、 「ぜったいにいきのびてね!!」という親れいむの力強い言葉だった。 自分だけは恐怖に呑まれるわけにはいかない。赤ちゃん達の為にもしっかりしなければ。 そのまま舌を使ってよしよしと身体を揺すってやり、赤まりさの気を落ち着けてやろうとする。 「お、おねーちゃ・・・」 ようやく落ち着いて来た頃、後ろから赤れいむの声がかかる。 れいむは洞穴の奥を向いて赤まりさを抑えていたため、外の様子を見ることが出来なかった。 振り返ったれいむが目にしたものは、自分達を覗き込む、大きくつぶらな瞳。 人間だった。 何故? 「俺は人よりちょっと鼻が利くんだよねぇ。お前らの涙って甘ったるくて、そう……クセぇからさあ。 クセぇニオイが森の外れまで続いてるなぁ、泣いてるゆっくりがいるんだなぁ〜〜〜って、すぐ解っちゃったんだよねぇ」 その手に巨大なナイフを弄びながら、男がれいむの疑問に答えた。 焼きゆっくりや潰れゆっくりの甘い匂いに満ちた森の中で、一筋の涙の匂いを人間が嗅ぎ分けるのは、 もはや嗅覚よりも遥かに強い、ゆっくりへの執念のようなものを感じざるを得なかった。 今れいむ達は男に洞穴から引きずり出され、森の中央にある広場に連れて来られていた。 周囲では幾人もの人間達が、ニヤニヤとれいむ達が震えるのを眺めていた。 他に動くものの姿は無い。そこかしこに散乱した原型を留めないゆっくりの死体が、群れの全滅を雄弁に語った。 「大きな声を上げなきゃ見つけないでいてくれるとでも思ったのかな? でもそんなクセーもん撒き散らしてたら片手落ちも良い所だよなぁ〜〜〜」 「ゆっ!ま、まりしゃのなみだはくしゃくにゃいもん!!ぷくぅ!!」 一番多量の涙を流して脅えていた赤まりさが、勇敢にも人間に食って掛かる。 れいむはそれを見てギョッとしたが、赤まりさもれいむと同様、 憧れていたまりさの死を受け入れ、強くあらねばならないと思ったのかも知れない。 「“ほうしぇき”みたいななみだだっておかーしゃんがいっちぇくれたもん!! くしゃいのはおにーしゃんだよ!!ゆっくちあやまっちぇね!ぷんぷん!!」 「俺が臭い? だろうなぁ。お前らのお仲間の餡子をたっぷり浴びてるから、全く鼻が曲がりそうだぜぇ〜〜」 「ゆぅぅぅぅぅ!!ちね!!ゆっくちできにゃいにんげんしゃんはゆっくちしにゃいでちねぇ!!」 「あん……?」 男が眉をひそめ、ナイフを握って赤まりさに近づく。赤まりさの頬から息が抜け、「ゆわぁぁぁ」と泣き出してしまう。 まずいと思ったれいむは間に飛び出し、ぷくぅぅぅと膨らんで男を威嚇する。 「ん? 何だコイツ」 「や、やめてね!!れいむのかわいいいもうとにひどいことしないでね!! どうしてもやるなられいむにやってね!!れいむはぜんぜんこわくないからね!!」 チョンチョンと男の爪先に突かれ、その度に底知れぬ恐怖を受けながらも、れいむは必死に赤ちゃん達を守った。 赤ちゃん達はれいむの膨らんだ身体の陰に隠れてゆぅゆぅ泣いている。 「そっかぁ……それならお望み通りにしてやるよッ!」 「ゆっ!!」 男がナイフを振り上げたのを見て、れいむは目を瞑る。 何があっても最期まで赤ちゃん達は守り抜く。そう思い痛みを覚悟した時。 「おやめなさい」 ゆっくりいじめ系1770 らふぃんぐゆっくり・後編?に続く
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前 れいむはふと、目を覚ました。 四畳半ほどの白い部屋だった。白い床に白い天井。四方を囲む壁の内、一方が黒なのを除けばやはり白く染まっていた。 「………」 見渡すと、目と目が合った。 やはり、死んだはずのまりさだった。何度も死んだはずのまりさだった。れいむはこの施設できちんと躾られたゆっくりだが、数の数え方はまだ教わっていなかった。だから四より多くの数は理解できない。目の前のまりさが何回死んだのかもわからなかった。 すべて、夢だったのか。夢の中でいくつもの夢を見ていたのか。れいむにはわからなかった。 「「ゆっくりしていってね!」」 機械的に、何回目かわからない本能的な挨拶を交わす。 頭に何も入ってこない。 「明日は、れいむ。お前の番だ」 お兄さんの言葉が頭の中でこだまする。刹那的に生きるゆっくりにとって、明日とは眠って目が覚めたら来るものだ。当たり前に来るはずの、ただそれだけのもののはずだった。 それなのに。 れいむには、明日が来ない。 いつまでたっても明日が来ない。 当たり前にくるはずの明日が来ない。 そんなことでは、ちっともゆっくりできない。 「「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!」」 まりさに合わせて、無意識に声を上げている自分に驚く。今まで夢で何度も見たけど、現実では初めてのハズのことなのに、既にありふれた日常の習慣のようになってしまっている……! 「ま”りざああああああっ!」 「おわっ、れいむっ!?」 たまらなくなって、まりさに飛びつく。そして、激しくすーりすりする。 「まりざあああああっ! まりざのあがぢゃんほじいいいっ! れいむにあがぢゃんちょうだいっ! れいむですっきりーじでぇぇぇぇ!」 「あ、あかちゃんっ!? あったばかりなのにずいぶんせっきょくてきなれいむだぜ!」 れいむは必死だった。 明日を迎えられないれいむは、なんでもいいから後に残るものが欲しかった。生きている証が欲しいのだ。それがなくては、とてもゆっくりできないのだった。 また夢と同じ事が起きるなら、まりさは死んでしまう。だが、自分がにんっしんすればまりさがいた証が残る。 それが情熱となって現れた。その熱にまりさはのぼせあがってしまう。元々ゆっくりは刹那的な生き物である。それに、レイパーにすっきりされるのならともかく、自分がすっきりする分には面倒がないから問題ないように思えた。このまりさも施設で躾られたゆっくりであったが、すっきりーの規制はまだきちんと教わっていなかった。 「「すっきりー」」 だから、思う存分れいむですっきりーした。 れいむの情熱はすぐに結実した。頭からあっという間ににょきにょきと、芽吹いて三つの実がなった。植物型の受胎だった。 れいむはとても喜んだ。あまりに嬉しそうなだから、まりさも照れ臭くなった。でも、誇らしくもあった。 だから、別れは今までの夢より辛かった。 「れいぶぅぅぅ! あがぢゃぁぁぁぁんんんん!」 「まりざぁぁぁぁ! おにいざんおねがいぃぃぃ! まりざをごろざないでぇぇぇぇ!」 れいむは透明の箱に押し込められ、まりさは部屋に連れ去られる。 今度の虐待はローラーに背中からゆっくりと巻き込まれると言うものだった。 通常、片側から潰されると、餡子が寄ってきてゆっくりは破裂する。それを防止するために、まりさの頭には餡子を排出するための管が刺された。その管はお兄さんの熟練の技で、ローラーで中枢餡子が容易に吐き出されないよう刺されている。 ローラーはひどく緩慢に動いた。そのたびにまりさは潰されていき、管からは命の源、餡子が漏れでた。時折、お兄さんは途中で死なないようにオレンジジュースをかける。 「おにいざん! おねがいじばずぅぅぅ! まりざをごろざないでぇぇぇ! まりざをだずげでえええぇぇぇ!」 お兄さんには何度もまりさの生存を懇願した。だが、いつものように無言だった。まりさはまりさで、絶え間なく与えられるじわじわと与えられる苦痛で悲鳴以外の言葉を上げられなかった。 だが、 「まりざあぁぁぁぁ、まりざあぁぁぁぁ!」 「ゆ、ゆぐぐぅ……れ、れいぶ、まりさたちのあかちゃん、ゆっくりそだててほしいんだぜ……」 「ま、まりざ……!?」 最期にきて、まりさは悲鳴以外の言葉を発した。もうあと数ミリローラーが巻き込めば、まりさは絶命する……そんな段階で、まりさは自分の意志を取り戻した。死の間際、痛覚が麻痺したのかも知れない。通常のゆっくりにはありえない奇跡だった。 「だいじにそだてるよ……! まりさにまけないくらいゆっくりしたゆっくりにそだてるよ……!」 「れいぶぅ……まりさはいいゆっくりだったか……?」 「うん……! うん……! まりさはすごくゆっくりしたゆっくりだったよ!」 まりさは微かに微笑んだ。 「もっど……ゆっぐり……じだがっだ……」 「まりざあああああああーーーーーーっ!」 そして、まりさは永遠にゆっくりした。 れいむは泣いた。子供を残したいだけの、つかの間の愛だった。しかし、このまりさは最高のゆっくりだった。世界一のまりさだった。 凄惨な虐待の場でありながら、静謐で神聖な沈黙が場を占める。 そんな中、今までの夢と同じくお兄さんは口を開く。 「明日は、れいむ。お前の番だ」 淡々と告げられた。 あまりにも凄惨な未来。だが、れいむは、 「れいむはいいよ。でも、あかちゃんはたすけて……!」 その言葉が無駄になることを予感しながら、それでもれいむは力強く言った。 そして、はじめてのすっきりーとまりさとの別れ。極度の疲労で、れいむは気を失った。 **** れいむはふと、目を覚ました。 四畳半ほどの白い部屋だった。白い床に白い天井。四方を囲む壁の内、一方が黒なのを除けばやはり白く染まっていた。 「………」 見渡すと、目と目が合った。 「お、めをさましたんだぜ!」 特徴的な三角の黒い帽子、金の髪を揺らして答えたのはゆっくりまりさだった。 愛したまりさだった。 愛してくれたまりさだった。 この上なく幸せな気持ちで満たされた。 そして、見上げた。そこには、二人の愛の結晶である赤ちゃんが……。 いなかった。 茎の跡形もない。わずかな傷痕すらない。 なくなった。 昨日の証がなくなった。未来への希望がなくなった。 なくなって、しまった。 「ど、どうしたんだぜ……?」 ぶるぶると震えるれいむに、まりさは声をかけた。 やさしい声だった。だが、軽い声だった。れいむの苦悩に気づいていない。だって赤ちゃんを失ったならこんな冷静に聞けるわけがない。もっと苦しむはずなのだ。もっと悲しむはずなのだ。 このまりさは、違う。 ゆっくりの本能では同じだと認識している。れいむの理性では違うと叫んでいる。 その矛盾が、 「ゆがああああああっ!」 爆発した。 一瞬だった。 「ゆううっ!?」 れいむのいきなりの突進に、まりさは強かに突き飛ばされた。 「な、なにをするんだぜっ!? やるきならようしゃしないんだぜ!」 まりさ種は、れいむ種に比べて活発だ。一発不意打ちを食らったぐらいで気持ちは萎えない。負ける気は無かった。だが、その威勢は自分の身体の異変に気づいてすぐさましぼんでしまった。 「ぎ、ぎゃあああああぁぁぁぁっ!?」 れいむはただぶつかったのではなかった。食いちぎっていた。わずかだが、まりさのほおの辺りを食いちぎっていたのだ。これはゆっくり同士のケンカにおいて致命傷だった。ゆっくりのケンカは基本的には身体のぶつけ合いだ。だから、餡子の漏れ出す穴が空いたらもうおしまいだ。身体をぶつければぶつけるほど餡子が漏れてしまうのだ。攻撃も防御も出来ない。回避のために迂闊に動くことすらできないのだ。 通常ならばれいむがまりさの皮を食い破るなんてことはできない。だが、限界を超えた激情が不可能を可能にしたのだ。 「こ、こうさんなんだぜ……」 こうなったらケンカではなく殺し合いだ。施設で育てられたまりさに、致命傷を負わされて戦い続ける度胸も理由もなかった。 だが。 「まりざがわるいんだあああぁぁぁ! れいむがあいじだまりざじゃない! ぞんなまりざがいるがらあがちゃんがいなくなるじ、あしたもごないんだああああっ!」 れいむはもはや正気ではなかった。容赦なくまりさにぶつかりつづける。まりさはどうにか逃げようとするが、広さが限られた密室だ。逃げ場もないし、助けもない。すぐに追いつめられ、れいむの体あたりを幾度と無く喰らい、身体中の餡子を外に押し出されて永遠にゆっくりした。 れいむは荒い息を整える。 そして、久しぶりのゆっくりした気持ちを味わっていた。 「これであしたがくるよ……」 お兄さんはいつも言っていた。「明日は、れいむ。お前の番だ」、と。なら、まりさがいなければ、明日が来てれいむの番になるのだ。そのはずなのだ。 「あれ……おかしいよ……?」 鈍い餡子脳でも気がついた。まりさがいない。なら、明日を待つまでもなく、今日、それもこのあとすぐにでも、自分が虐待されてしまうのではないか。死んでしまうのではないだろうか。 「やっぱり、あしたは、こない……?」 背後で、部屋の扉が開いた。 「ゆっくり、できない……?」 振り向いた。 ゆっくり用スイーツを持ってきた、お兄さんがいた。 れいむは意識を失った。 **** れいむはふと、目を覚ました。 四畳半ほどの白い部屋だった。白い床に白い天井。四方を囲む壁の内、一方が黒なのを除けばやはり白く染まっていた。 「………」 見渡すと、目と目が合った。 何度も死んだまりさがいた。れいむの感情は、動かなかった。 今まで見た夢の通りだった。まりさがいて、むーしゃむーしゃして、透明の箱に詰められて、まりさは隣の部屋で虐待された。 虐待だけがいつも違った。 今日の虐待はちょっと変わったものだった。 まず、まりさにたらふくオレンジジュースを飲ませた。最初は「うっめ! これめっちゃうっめ!」と美味しそうに飲んでいた。だが、もうお腹いっぱいになってもお兄さんは限界まで無理矢理飲ませた。 そして、まりさのぺにぺにが引き出された。それを包み込むようにチューブがあてがわれ、テープで固定される。チューブの反対の端は帽子を取った頭の中心に深々と突き立てられた。 「ゆががががががっ!」 お兄さんはそこまでの作業を終えると、まりさをれいむの正面に置いた。 まりさは痛みに痙攣していたが、れいむは声をかけるどころか眉一つ動かさなかった。 しばらくすると、まりさは頭に刺さったチューブよりべつのことに苦しめられた。 しーしーがしてくてたまらなくなったのだ。 ゆっくりは身体の中の水分を一定に保つ必要がある。そのために、過剰に水分を摂取すればしーしーで排出しなくてはならないのだ。 「し、しーしーするよ!」 生理現象には逆らえない。言葉にするまでもなく、しーしーが出始めた。 しーしーはぺにぺにから出る。当然、そこに繋がれたチューブを伝わり、行き着く先は刺さった頭の中だ。 「ゆぎぎぎぎぎぃっ!?」 最初はチューブに残った空気。次にしーしーがまりさの身体の中に注ぎ込まれる。それらはゆっくりに対して致命的な害になるものではない。だが、異物を身体に注ぎ込まれる苦痛は別だ。 「いぎゃいぃぃぃ! いぎゃいぃぃぃいいいぃぃぃぃぃ!」 躾の体罰でも味わったことのない、体内からの未知の苦痛が身を焦がす。 混乱する餡子脳でも、しーしーを続ければ痛みが止まらないことがわかった。だが、 「しーしーどぼじでどばらないのおおおおぉぉぉっ!? いぎゃい、いぎゃい、ゆぎゃああああああああっ!!!」 止まらない。しーしーは元々身体の余分な水分を排出するためのものだ。排出したはずの水分が戻ってくるのだから、止まるはずがない。 痛みは永劫に続くかと思われた。 「う、うんうん! うんうんでるよおおおぉぉぉ!」 ゆっくりも、水分を摂りすぎてゲリになることがある。ぺにぺにからの排出が無理となった今、身体はうんうんでの水分排出を選んだ。 だが、それはお兄さんによって阻まれる。用意したのはゆっくり用のうんうん栓とテープ。それでがっちりと肛門を塞いでしまう。 「うんうんでないぃぃぃ! うんうんでないいぃぃ! だずげでえええぇぇぇ!」 苦しみに七転八倒するが、ガッチリ固定されたぺにぺにと体内を繋ぐチューブも肛門を塞ぐ栓も外れない。 「ゆげえええぇぇぇ!」 しーしーもうんうんもダメとなれば口から吐くしかない。しかし、それはお兄さんの素早く阻まれる。驚くほどの早業で口を縫うと、トドメとばかりにテープで固定した。 「んー! んごぉぉぉ! んごごごおおおぉぉぉぉ!!」 苦しみに泣く。涙がどっと溢れる。滝のように流れるそれは、通常のゆっくりの流す量ではない。異常な状態に、身体は涙で水分を出そうとしているのだ。これまたお兄さんによって阻まれる。素早く縫いつけ、テープでだめ押しだ。 そして、まりさはうなって震えることしかできない不気味なオブジェと化した。 時折、お兄さんはまりさをゆっくりと上下に振る。水分が偏り、皮が破れることを避けるため中を攪拌しているのだ。 だからまりさはなかなか死ねない。川に落ちて水に溶けてしまうゆっくりとは違う。体内の水分量は限りなく限界に近いが、越えているわけではないのだ。 容赦のない責めを、れいむは無感動に見ていた。どうせ、これも夢。どうせ、明日は来ない。目の前でまりさが苦しんでいるだけ。自分は苦しくない。見ているだけ。もう考えるのをやめてしまったのだ。 やがて、まりさの震えが弱まる。いくら水分量は限界ギリギリ限界と言っても、本来は排出すべきしーしーを体内に注ぎ込むという暴挙を続けているのだ。ゆっくり特有の不思議餡子変換機能にも限界に達していた。 もう死は近い。それを見極めると、お兄さんはまりさを押さえつける用に手を載せた。 それを、全力で振動させた。強烈な振動に、死が近づいたまりさの頬に赤みが差した。 発情状態になったのだ。 生き物は死が近づくと子孫を残すべく子種を出そうとする。ゆっくりにもそれがどうやら当てはまるらしい。 そして、お兄さんは一気に拘束を解いた。目と口を覆うテープを剥がし糸を抜き、チューブを取り去った。あざやかな手並みだった。 瞬間的に、ありえないほどまりさのぺにぺにが膨張した。まりさの体長もこれる成人男性の腕ほどもあるそれは、もはやマグナムを越えてキャノンだ。山の神もびっくりの威容だった。 「んほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」 そして、一気に放出した。 すっきりーで放出する子種ではなかった。 しーしーでもなく、うんうんでもなかった。 それらすべてが混ざった、液状化したまりさの中身全てが、巨大なぺにぺにから放出された。 その時のまりさは、恍惚と苦しみが同居したおぞましい表情をしていた。 だが、れいむは見ることが出来なかった。 まりさの放出物が部屋を隔てるガラスに飛び散り、視界を奪ったからだ。 壮絶な惨劇を前にして、それでもれいむの感情は動かなかった。 だが、表情は動いていた。 れいむは微笑んでいた。 **** 「資料届けに来ましたーっ!」 ゆっくり加工場。その研究棟の一室に、研究お兄さんは資料を届けに来ていた。 部屋の中では資料をまとめる研究お姉さんの姿があった。まとめる資料の中には、見かけない色をしたゆっくりのサンプルがあった。 「あら、ありがと……」 「いただきまーすっ」 研究お姉さんが止めるヒマもなく、研究お兄さんはサンプルをひとかけらちょうだいしていた。 ここゆっくり研究棟では常に新しい味の模索をしている。こうして新製品を味見できるのが大きな魅力のひとつだった。 とは言っても、最近研究お兄さんは新しい味に出会っていない。ゆっくりは基本的に虐待の程度によって味の深みと濃度を変えることができるが、その研究もされつくされている。最近は熱したナイフで薄切りにしてみたり過剰水分を摂らせて中身全部を餡子ジュースにしてみたりなど、もっぱら変わった食感の研究が大半だった。 サンプルとしてあったのはただのゆっくりの欠片。これぐらいいただいてもいいだろうと研究お兄さんは思ったのだが……。 「ふわあ……」 陶然となった。 初めての味だった。基本的な味そのものはゆっくりに間違いないのだが、ふんわりとやわらかいこの独特の甘味は初めてだった。うまい。しかし、言葉にならない。あまたのゆっくりの味わいを文章化して記録してきた研究お兄さんをして、言語化ができない。それが戸惑わせる。まるで目覚めた時は覚えていたのに時間が経つと思い出せなくなる、夢のようなつかみどころのない味だった。 ふと気がつくと、研究お姉さんに顔を覗き込まれていた。研究お兄さんは赤面した。 「それ食べると、みんな夢みるような顔になっちゃうのよねー」 「な、なんなんですかこれ?」 「『発狂』したゆっくりよ」 「は、『発狂』……って、あいつら最初っから頭おかしいじゃないですか?」 研究お兄さんの素直な言葉に研究お姉さんは苦笑する。 「そうね。別棟で研究しているあなたには理解しづらいでしょうから、まず作り方から教えるわね」 そして、研究お姉さんはこのゆっくりの作り方を説明した。 1.れいむ種とまりさ種を同室に置く 2.れいむ種の前でまりさ種を永遠にゆっくりするまで虐待する この時、まりさ種の帽子は傷つけず回収する 3.虐待後、「明日はお前を同じように虐待する」と脅す 4.まりさ種を用意して、「2.」で回収した帽子をかぶせる 5.「1.」に戻る 「まあ、大筋はこんな感じね。これを一ヶ月ぐらい毎日繰り返す」 「これで『発狂』するんですか?」 研究お兄さんにはいまいちピンとこなかった。目の前で虐待を見せ続けたことはある。それによってこのような味の変化は無かった。 「重要なのは、ゆっくりは飾りで個体を識別するってことね。れいむ種にとっては、虐待で死んだハズのまりさ種と出会うことになるのよ。これってホラーじゃない?」 研究お兄さんは想像してみた。昨日死んだハズの人間が生きていることを想像した。一度だったら何かの間違いか夢だったとごまかせるだろう。だが、一ヶ月に渡ってそんなことが起きたら……。 「ぞっとしませんねぇ。そりゃ、あの餡子頭もおかしくなるでしょうねぇ……」 「毎日同じ事の繰り返しだから、時間感覚も狂うみたいなのよね。夢と現実の狭間でさまようって……正気でできることじゃないわ」 「確かにあいつらのおかしさともひと味違いますね」 「でしょ。肉体的苦痛だとなかなかそういうふうに追いつめられないのよね。あいつら、軟弱な割に死ぬまで正気を保つからね」 「責めすぎると餡子吐いておだぶつですしね……でもこのれいむ、そんなこと続けられてよく餡子吐いて死にませんでしたね」 「あら、吐いたわよ? 何度となく、ね。でもほら? 餡子を吐いても、体外に排出しないかぎりいずれ吸収されて蘇生するじゃない。脆いクセにしぶといわよね」 れいむは透明の箱に収められた。中枢餡子を吐いたが、まったく動けない箱の中では対外に排出するまで至らない。口を直接塞いでも良かったが、せめて悲痛な声を聞きたいと虐待係から要望があってそれはやめたのだ。ただでさえ日々同じ事をしていると演出するため、虐待係には沈黙を守らせている。やむをえない処置だった。不満ばかりの作業ではいい仕事はできないのだ。 「でも『発狂』したゆっくりってどんな風になるんですか?」 「こんな風よ」 研究お姉さんが差し出したのは一葉の写真だった。そこに写っているのは虐待されるまりさ種を薄ら笑いを浮かべて眺めるれいむ種だった。 異様だった。 何が異様って、その笑みには羨望が伺えるのだ。虐待されるまりさをうらやましがるなんて、 「あー、確かに狂ってますねー」 「狂ってるでしょー」 「普通のあいつらのおかしさとは、文字通りひと味違いますね。いや、この味はいけますよ! 新製品誕生ですね!」 「商品名はさしずめ『夢みるれいむの幻想味』ってとこかしら。でもまだちょっと作るのに手間がかかりすぎるのよね。コスト的に商品化は難しいわ。まあ検体は並行して何体か進めてるから、『発狂』した段階で赤ゆっくりでもつくらせてみようかしらね。直系なら近い味を保てるかも知れないわ」 研究お姉さんはうーんと伸びをした。ここまでには様々な失敗があったが、ようやく新しい味が出た。この生き物は、まだまだ奥が深い。 ここはゆっくり研究所。 常に新しいことに挑戦する、熱気と探求心溢れる場所だ。 明日と希望を見失い、夢と現実の区別がつかなくなったれいむも、そこでの実験の結果のひとつに過ぎない。 了 このSSに感想を付ける
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登録日:2021/06/05 Sat 22 07 08 更新日:2024/06/16 Sun 16 57 42NEW! 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 100カノ うさみみ かわいい それいけ!巻き寿静ちゃん むっつり サンリオ サークレットラブストーリー ヒロイン マスコット枠 主人公より先に立った項目 吃音症? 合法ロリ 君のことが大大大大大好きな100人の彼女 図書委員 天使 失語症? 好本静 小動物 幼女バーガーの片割れ 強風が吹くと吹き飛ばされる女 恋太郎の恋太郎を見た唯一の彼女 恋太郎ファミリー 文学少女 本好き 歌うだけで人を吹き飛ばす女 母との不和 毒舌 毒親育ち 涙腺崩壊 涙腺崩壊→初登場回と家族回 無口 王冠恋物語 番犬に庇護される侵入者 石見舞菜香 積極的 究極のか弱さ 結構暗い過去持ち 自然界最弱のミジンコウサギ 被食者の戦い方 複雑な家庭事情 語彙力の高さに定評がある人 読み上げアプリ 軽量 長縄まりあ 静指姫 類い稀なるあまりの弱さ 高校一年生 高校生 いつも優しく 膝に乗せてくれたり肩に乗せてくれたり あなたは本当に優しくてあたたかい人で そんな—— 大好きな恋太郎君と出会えたことが 私が生まれてきた中で一番の幸せです 好本(よしもと) 静(しずか)とは『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』のヒロインであり、愛城恋太郎の3人目の彼女。 CV:石見舞菜香(ボイスドラマ)/ 長縄まりあ(アニメ版) ◆概要 お花の蜜大学附属高等学校に通う高校一年の女子生徒。誕生日は11月1日 (*1) 。 図書委員を務めており、入学から一ヶ月程度しか経っていないにもかかわらず図書室内にある本は全て把握してある。 恋太郎と同じクラス(1年4組)(*2) 。 ◆容姿 クセっ毛の紺色の長髪が特徴的な小柄な少女。 制服時はブレザーではなくブルーグレーのベストを着ており、左上腕に図書委員のバンドをつけている。スカート丈は校則の模範そのままみたいな長さ。 私服時はお団子ヘアにしていることが多い。 ◆性格 恋太郎君だって言ってた…!! 「できるかなんて分からない」けど “精一杯頑張る”だけだって…!! 私もそう思ったからここに来たんだ!! 一人称は「私(わたし)」。 臆病で内気な性格をしており、それに加えて声を発することが苦手。 人と関わることができないあまり、本の世界にのめり込むようになっていった文学少女。 平時は自分が伝えたい内容に該当する手持ちの本の文章を指差し、それを相手に読んでもらって意思疎通を行なう、言わば書談をしている。 しかし、静自身はコミュニケーションを忌避していないもののビクビクした態度も相まって他者からはマトモに接してもらえず、母親(CV:米澤円)からはその会話方法を治すように体罰と言っても過言ではないやり方で叱られ続けており、トラウマレベルでコンプレックスを抱いていた (*3) 。 ただしこうした振舞いから普段使う機会が多い「ごめんなさい」は自然に喋ることができる。 こうした人生を過ごしてきたので、自己肯定感が著しく低い。 仲が深い面々の前でも(あるいはだからこそ)かなりの勇気が必要になるものの、歌うことは問題ない。 一方で、発声ができなくなったきっかけは明かされていない。魂シャッフル回の描写から肉体的な問題ではないとも受け取れるが、135話では乳児期や幼児期にもすでに吃音らしき症状が出ていた描写がある。 肉体的・精神的な脅威度は圧倒的ドベであり、あまりの弱さゆえ明らかな侵入者なのに番犬にすら庇護の対象にされたほど。 浮き輪をつけていても満足に泳げないし、肉体のリミッターが外れても恋太郎に追いつけずに転び、マウントを簡単に外される。 ただこの人とは反対に、基礎身体能力が低いのであってセンスの面ではそれほど壊滅的というわけではない模様。実際、プロのコーチや恋太郎の指導のもとでアイドルのステージパフォーマンスを練習した際には、最終的に目立ったミスもなくステージをやりきった。 また、一口が小さく必然的に噛む回数が増え、結果的によく噛んで食べているため顎の力は割と強く、フードファイト回でもしっかり活躍した。 なお、成績は上の下といったところ。かなり分厚い小説の文章を一字一句場所まで間違いなく覚えていることから記憶力は高いことがわかる。 笑う際はくすくすとこぼすように笑うのが愛らしい。ただし大笑いするときは声を出さず普段の会話方法で大笑いを示す異常者。 ◆恋太郎との馴れ初め 初登場は第3話。 図書室に来ていた恋太郎と同じ本に手を伸ばし、目が合ったことでビビーンと一目惚れをする。 恋太郎の問いかけに書談で対応しつつ、「恋愛小説が欲しい」という恋太郎のために図書室内の恋愛本を全てかき集めて以降、彼との交流が始まった。 当初は戸惑いこそあったものの、静の奇怪な話し方に恋太郎が何も気に留めずに「普通に」仲良く接してくれたこと、そして自分を頼ってくれたことで嬉しさのあまり恋太郎に幸せな恋心を抱いていた。 しかしある日、恋太郎には既に彼女が2人(羽香里と唐音)いて、それぞれからほっぺにチュー(?)を受けてイチャついている場面を見て失意の底に。 「こんな変な子と話してる時間なんて 誰にもあるわけないんだ」と、幸せな時間を自ら手放そうとする。 足しげく通ってくれていた恋太郎がぱったり来なくなったこともあり、そのままなかったことにようと、自然消滅的に忘れようとする。 しかしその後、静の沈んだ気持ちとは裏腹に嬉しそうに顔を出してきた恋太郎に一つの提案をされる。 それは静がいつも持ち歩いてる本「王冠恋物語(サークレットラブストーリー)」の内容をスマホの読み上げアプリに読ませることで「静が相手の眼を見て会話をできるようにする」という心がこもった提案だった。 恋太郎がしばらく顔を見せなかったのは分厚い小説一冊分の文章を徹夜でテキスト読み上げアプリに打ち込んでいたからだったのだ。 「それが一番いいことだとしても、声を出して会話をすることが(静にとって)どれだけ難しいことかわからないから、がんばって声を出せるようになろうなんて言えない」という優しさを受けたことで、本当は心にしまっておくはずだった——忘れようとしていた涙と本心があふれ、それをこぼれるまま恋太郎にぶつけた。 【好きです】 【ごめんなさい 気になさらないでください】 【返事が欲しいわけではないのです】 【あなたに許(•)嫁(•)がいることは知っています】 【ただ最後にどうしても伝えたくて…!】 この決死の想いを聞いて恋太郎は、それまで微かに心の中にあった「運命の人だから」「付き合わないと彼女は死んでしまうから」という義務感を捨て、ただひたすらに静の想いに答える形で、静と付き合うことを決意。 『私もあなたを愛しています』 【ですが私達は 愛し合ってはならない定め——】 『そんな運命などはね除けてしまえばいい!』 『共に行こう——』 静! 嬉しさと幸せのあまり滂沱の涙を流す静を優しく抱きしめる恋太郎。 こうして静は恋太郎の3人目の彼女になったのだった。 ◆恋太郎ファミリー加入後 と……言うわけで 好本静ちゃんを新しい彼女として迎え入れさせて頂いてもよろしいでしょうか 脳みそ腐ってんのかおめー!!!! 脳みそ!!!! 腐ってんのかおめえええええええええ!!!! 返す言葉もございません… ぷるぷるぷるぷるぷる 以降完全に本作のテンプレと化す「新しい彼女を迎え入れさせていただく」パートだが、静はその最初の事例であった。 そのためさすがにちょっとしたゴタゴタが起きたものの、恋太郎の「ハラを切るから」という狂気めいた覚悟と、羽香里の脳みそピンク、唐音の善性で解決。 ちなみに二人に紹介される時はかわいそうなぐらい恐縮して震えていた。そらね。 そして最初こそ控えめな性格と後ろめたさから遠慮がちな態度を取り、カノジョになった以上あくまで対等を望む唐音から叱責を受けるも、羽香里と唐音が非常に素敵な女性であると混じりっけのない称賛をし、だからこそ「恋太郎君に二人と比べられるのが怖い」……という理由であったため、その無垢で素直な性格と天然の愛くるしさをもって唐音と羽香里は見事ノックアウト。 それ以降は他のメンバー達からも部外者からも他所の家の番犬からも「守ってあげたい」欲求を著しく刺激する、可愛いナチュラル小動物キャラに収まった。 むしろ小動物が過ぎて年下のメンバーからも幼子扱いされている程。ぶっちゃけ合法なんたらの域である。 スク水が似合いすぎる体型のためか、一応唐音含めてナイスバティのカノジョ達には羨望の眼差しを向けていて、目を輝かせるような一面もある。 その愛くるしさに楠莉の調合した薬品でブーストがかかったカラオケ回では、静と(対策してくぐり抜けた)恋太郎を除く全員が ただただ純粋な可愛さ 「声を出して歌う静」という新鮮さとギャップ それがどれほど勇気がいることか知ってるから感じる健気さ といった可憐さのあまりカラオケ店の壁を突き破りバーストされちゃう程である。 なお、バーストされた彼女達は恋太郎が全員空中キャッチして救出したのでご安心を。 恋太郎の彼女が増えることに対しては、続く凪乃の時点で【我自身追加戦士の身故 異論などない】と受け入れている。追加戦士って言うな。そもそもどんな場面の台詞なんだそれ。 自分の立ち振る舞いを個性だと認めてくれて、自分らしく居座らさせてくれる恋太郎ファミリーのことは心の底から大好きで、加入当初に「もっと遠慮なくいていい」と励まされてからは遠慮することがいい意味で少なくなり、特に恋太郎とのイチャラブに関してはファミリー入りの初日のキスを皮切りに、割と自発的に動くように。その積極性には恋太郎や周囲も虚を突かれ驚くこともしばしば。 そもそも一目惚れした相手とはいえ自分の愛読書を初対面の異性に貸すのが初動な子であったので、案外こちらが生来の性格なのかもしれない。 日常の一コマでは大好きな人達に囲まれ、幸せそうに頬をゆるめてほわほわと笑う光景が見られる。 恋太郎に熱々にほだされて羞恥心と道徳心が消し炭になっている恋太郎ファミリーの中では比較的常識人寄りで、メンバーに危機が迫ったときは「どうにかしたい」思いが先行して飛び込むことが多い。 多い……が一生懸命が過ぎて己の非力さをも忘れ、飛び込んだはいいものの自滅してることもしばしば。 「なにやってんのだ?」 逆にメンバーが恋太郎の風呂をのぞこうとしたときは、ただひとり皆を止める立場に回っていた。そして布団で巻き寿司にされた。 ちなみにその結末として、静は破廉恥淫乱親子達を差し置いて、恋太郎ファミリー内で唯一恋太郎の陰部を目に焼き付けている。 【“キリン”さんが好きです。でも“ゾウ”さんの方がもっと好きです。】 折に触れて純真なことは描かれていたが、どうやら純真過ぎて周囲から浮くこともしばしばあり、学生だからと何の疑問も持たずプールデートで学校指定水着を着てから認識のズレに気づいたり、普通に人がいる時間帯に校内の廊下で異性(恋太郎)の肩に乗せられて微笑み合うという奇行行為を素直に喜ぶ精神性の持ち主。 ただしまったく世間一般的な感覚がないわけではなく自分の中で住み分けができているだけのようで、精神退行していた18歳が本来の年齢ではお人形遊びを恥ずかしがっているのに当事者として遭遇した際は、誰に言われずとも15歳の素できゃっきゃしてたことに赤面する場面もあった。 腹黒な羽香里のように策を講じて挑発しようとしたり、有利な展開に持っていったりする邪さは持たないものの、キスに積極的なことからもわかるとおり、恋人間の当然の幸せとしてそういうことにも興味津々。そういう意味でも純真な子。無垢であっても無知ではない。文学少女だしね。 なお前述のようにゾウさんを目撃した際は劇中トップレベルで赤面し鼻血を噴いて倒れているため、あまりに直接的にそっちに寄ると閾値を超え刺激が強くなり過ぎるようである。 既に読み上げ機能での意思疎通はとっさの笑い声として上げられるほど身についている。 【“高らかに笑った” “高らかに笑った” “高らかに笑った”】 「想像していたのと別の次元の何か」 「えっ わ…笑うのすら台詞(それ)なの!?」 【“悲しい哉 それが現実であった”】 しかしながら、勇気を振りしぼって助けを求めたときや、羽香里のピンチに無我夢中で駆け出した際にうめき声程度だが声を出している。徐々に前進している……のだろうか。 恋太郎からは現状、「静が自分から望めば全力で手伝うが、そうでなかったら絶対に強要しないし、発声を暗に促すような状況にも置かない」といったスタンスで見守られ中。 ◆王冠恋物語(サークレットラブストーリー) 作中に出てくる静の愛読書。筆者は本尾(ほんお)角夜(かくよ)。 大まかなあらすじは「イオ姫と騎士カマクルによる多くの困難と運命に阻まれた恋の物語」だとのこと。 作中ではまだ続刊しており、静が新刊を買うところも描写されている。 アニメの追加台詞によるとまだ電子書籍にはなっていないとの事。 壮大なファンタジー系の世界が舞台であるらしく、様々な登場人物が出てくる模様。そして静はそれらの台詞や地の文を一言一句暗記したうえで満遍なく読み上げアプリで使用するため、会話が苦手なキャラでありながらエッジの効いた台詞を切り返せるようになっている。 ちなみに恋太郎のことを台詞でハッキリ「狂戦士」と評したのは静。 静はあからさまな悪役やコメディリリーフの台詞も躊躇なく使っており、当人的には何でもない一言がギャップボケになっていることもしばしば。ファンタジー物には出てきそうにない単語も部分部分を継ぎ合わせて無理矢理再現するため、傍目には『王冠恋物語』のボキャブラリーが豊富を通り越してカオス化しているように見える。 小説版「君のことが大大大大大好きな100人の彼女 番外恋物語~シークレットラブストーリー~」では本書がピックアップされており、「第四話『王冠恋物語』より」では恋太郎ファミリーが王冠恋物語の世界に転生してしまい、本来のストーリーから逸脱してしまったのでみんなで埋め合わせに奔走して何とか元のストーリーを再現する話である。 この物語の一番の特徴はこれまでに静が引用していたセリフが王冠恋物語本来の形で執筆されている所にある。更に単体の物語としても破綻がないように華麗な補完がされており非常に面白い。 原作やアニメを見た後に読めば「このセリフ、あの時言ってた!」となること間違いなしである。 ◆恋太郎ファミリー内での関係 ファミリー内では、主にちびっこ同士の楠莉や知与、同じく物静かなタイプの凪乃と一緒にいることが多い。 特に凪乃とは何はなくとも一緒に買い物に出かけたりするほどで、凪乃も静関連の展開になると感情が普段以上に動いたり本人も制御できない言動が飛び出すなどバグった挙動が多くなる。 楠莉、知与とはロリトリオとして並び立っているシーンが多く、恋太郎にサンリオ扱いされたり羽々里の母性を刺激したり山女に肩車されたりしている。 無害さや純真な部分がシンパシーで安心するのか、注目されると逃げ出してしまう愛々にとっても一緒にいて問題ないようで、一緒に編み物しては笑い合ったり、触れられる至近距離にいても平静を保っている。ミスディレクションの際にも静の元へ隠れることが多く、静もそれを受け入れている。 (誰であっても変わらないのは前提として)皆を慕い大切に想う健気さ、優しさからファミリー内の全員から深く愛されている。 それ故に、そんな彼女のどうしても自己評価を高く持てない弱気な部分をことさらなじったりして静を傷つけることは恋太郎ファミリーで最大級のタブーであり、恋太郎は言うまでもなく、どれだけ温厚なカノジョであっても例外なく人格が変わって見えるほどブチギレる事態となった。 ◆好本家 家族構成は父と母と三人家族。 父は仕事でほとんど日本にいないということのみしか明らかにされていない。そこそこ裕福な家庭。 そのため母と二人暮らし同然の状態である。 静の母 実の母親。小動物的な愛らしい可愛さを持つ娘とは真逆に吊り目でクールな雰囲気の美女。初登場は134話からであるが、それまでも静の回想でセリフだけは出ていた。 夫がほぼ家にいないこともあり、会話がろくにできない娘の書談に対して厳しく叱り続けており、一時期は静のトラウマになっていた。さらにはいつまでも治らないどころか、テキスト読み上げアプリで会話するようになったことから悪化していると見て静からスマホを取り上げてしまった。 しかしそれは「こんなことでは社会に出た時にどうなるのか」「自分がいなくなった時に静はどうなってしまうのか」「直らないのは厳しさが足りなかったせいでは」「自分が静に甘えたせいでは」という強迫観念と娘への愛から来た行動であり、本心では「静がこうなったのは母である私のせい」と思っている(*4)。 恋太郎と共に母と向き合う覚悟を決めた静の「生の声」を聞き、己も娘と向き合うべきと気づいたことからスマホを返却し和解。 単行本のおまけでは娘に料理を教えている微笑ましい姿も描かれている。 ◆余談 名前の由来は「本好き」のアナグラムと「図書室では静かに」と言うルールの組み合わせ。 上述の通り初登場は第3話だが、実は第1話で恋太郎が廊下を歩くシーンの背景に静らしき姿が写り込んでいる。よって厳密に言えば劇中で最初に登場したヒロインは彼女だったりする (*5) 。 彼女の愛読書である「王冠恋物語(サークレットラブストーリー)」は原作の中村氏の初の連載漫画、「シークレットラブスクーリー」の捩りである。 【どれだけ項目が増えようと十分すぎるほど追記修正をくれる故 恐れるものなど何もない!!】 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 純真風だけど、10連キスしてたり夢が夜のプロレスだったりと十分不純組に染まってんだよな -- 名無しさん (2021-06-05 22 24 00) 純真なのと旺盛なのは矛盾しない、むしろ純粋だからこそそういうことにも抵抗がないというか。ほら、童話でちゅっちゅっするカップルが不純かというと違うじゃない。あんな感じ。文学少女だから知識自体は豊富だし。 -- 名無しさん (2021-06-05 22 41 04) 何気にヒロインの記事化第一号か -- 名無しさん (2021-06-05 22 57 29) 唐音あたりが最初に来るかと思ってたので意外 そう来たかぁ -- 名無しさん (2021-06-05 23 10 39) ↑4、3のやり取りで「心が叫びたがっているんだ」の主人公も言葉が話せなくてムッツリ疑惑あったのを思い出した -- 名無しさん (2021-06-06 00 32 51) 負けヒロイン出るから絶対やらないだろうけど人気投票あったら相当上の方に着けそう -- 名無しさん (2021-06-06 20 11 55) 名有り登場キャラの多くがトラウマや重い過去を持っている100カノで特に重いと言われる娘 -- 名無しさん (2021-06-06 20 50 49) 結構追記。といっても元記事の削除された部分を引っ張ってきただけだけど。 -- 名無しさん (2021-06-06 21 41 22) 告白シーンはこの漫画随一のエモいシーンだと思う -- 名無しさん (2021-06-21 03 46 37) 最近はルールを破ってデッドリンクを貼り付けるのが流行ってるの? -- 名無しさん (2021-07-17 12 29 43) 親は今のところ回想のみの登場っぽいけど、本格的に出たら出たで恋太郎ファミリーが殺人事件起こしかねないからなぁ……。 -- 名無しさん (2021-07-25 02 39 00) ↑でも、親御さんの気持ち考えると中々辛いものがあるのも事実だしな…今は恋太郎ファミリーがいるからどうとでもなるけれど、当時は将来とかメチャクチャ心配だったろうし(大学は厳しいし、就職はほぼ完全にアウト)。お母さんをやっつけるよりも、救ってあげてほしい気もする… -- 名無しさん (2022-03-11 17 05 29) サイン会でショックのあまり作画崩壊してるのかわいすぎかよ -- 名無しさん (2022-03-31 20 59 01) ↑2親の根っこの心情次第だろうね。本気で心配してるんなら救われる余地はあるだろうし、「自分(親)の足引っ張んなダメ娘」なスタンスならやっつけられた方がいい。判断するには出番が少なすぎるからまだ何とも言えないね。 -- 名無しさん (2022-04-29 15 57 46) “高らかに笑った。” -- 名無しさん (2022-11-04 08 58 21) ファミリー内では恋太郎に次いで他カノジョ達から一番愛されてるキャラだろうなぁ。 -- 名無しさん (2022-12-29 13 54 41) 野球回で、敵チームメンバーになじられた静が泣きじゃくりながら自分の声で他カノジョ達に「足引っ張ってごめん」って言ってるシーンは結構心に来るものがある -- 名無しさん (2022-12-29 13 57 00) アニメで登場したら電子音声とモノローグはボイスドラマのように声優は共通だろうか。 -- 名無しさん (2023-06-21 00 46 45) 家族回、「互いに歩み寄れてよかった」って感想が一番に来た。お母さんもお母さんで悩んでいたんだよなあ -- 名無しさん (2024-04-12 22 13 04) 長縄さんの演技でより庇護欲を駆り立ててくれる感がマシマシに -- 名無しさん (2024-06-08 15 01 18) 名前 コメント
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命、その価値は ホクトが死んだ。 余りに呆気なく。 ボンという音と一緒に命が消えた。 ホクトだけじゃなかった。 他にも6つの音が。 つまりは七人逝ったという事。 「畜生……くそおおおおおおおおお」 ガンと地面に拳を殴りつける。 唯、咆哮が暗い暗い土をくりぬいたような洞窟に響く。 涼しい風が俺に当たる。 ジメッとした湿気が何となくイラつく。 俺――倉成武――は悔しかった。 何もできずに失った息子。 倉成ホクト。 俺には何時の間にか出来た子供。 本当にいつの間にかだった。 愛したつぐみを助けて一眠りをしたら。 17年たっていた。 ……悪い冗談のようだ。 でもそれは紛れも無い事実。 あの地獄のような7日間。 その間に俺は不老不死になった。 キュレイウィルスによって。 キュレイウィルス―――詳しくは俺も分からないが未知のウィルス。 感染したものはキュレイウィルスによって細胞を書き換えられ不老になる。 そして自然治癒力が上がり不死に近い状況になるらしい。 治癒力は怪我に関しては全治2ヶ月、元通りにに歩けるようになるまで更に数ヶ月を要するほどの重傷が1日で回復し、歩きまわれるようになってしまうほどだ。 そして副次的効果として運動能力の上昇もみられるらしい。 最も俺もよくは分からないが。 そのキュレイをもともとの感染者であった小町つぐみから感染してもらった。 生き残る為に。 そしてその7日間の間に俺はつぐみを好きになり屈折あったが結ばれた。 その時に出来た子供が二人。 ホクトと沙羅という双子。 まぁその後色々あって俺が目が醒ましてのは7日間を過ごしてから17年後。 気がつけば37歳でパパだ。 昨日まで20歳だったのに。 いや、心は20歳だ。 うん 本当ビックリだ。 それでもよかった。 あの地獄のようなサバイバルを終えやっと幸せな日々になると想ったんだから。 愛してるつぐみと子供たちと。 だけど。 奪われた。 殺し合いという名のふざけたゲームに。 ホクトとの命と共に。 悔しかった。 息子の死に何も出来なかった自分が。 悔しくて。 哀しくて。 だからこそ。 「壊してやる、こんなゲーム……命の重みを知らない奴らなんかに……絶対に負けてたまるか」 俺は。誓う。 この殺し合いを壊す事を。 主催者のいう通りになってたまるかと 命の大切さを知らない奴らに。 この参加者の命……絶対に上げるわけにはいかない。 それがホクトの死に何も出来なかった自分の償いになると信じて。 頑張ろうと。 俺はここで挫けるわけにはいかなかった。 ホクトは言った。 『パパ……ママ。頑張って。殺し合いなんかに負けないで。絶対に負けないで』 と。 俺は……死なない。 絶対に死なない。 絶対に負けない。 頑張ってみせる。 死んでたまるか。 「見てろ……ホクト。絶対勝ってみせる。生きてみせる」 なぁホクト。 俺は頑張るから。 絶対。 絶対死なない。 「……さて、行こう。まずはつぐみ、少年と合流しよう」 小町つぐみ、少年――桑古木涼権――。 愛する者と七日間を過ごし生き抜いた大切な仲間。 殺し合いに乗ってるわけがない。 だからとりあえずそいつらとの合流を。 「んーどっちを行こうか」 ランタンを掲げて道を照らす。 今俺がいるのは洞窟見たいな所。 一本道になっており長さは分からないが幅はかなりある。 前か後ろ、どっちに行こうか思案している時だった。 「きゃぁあああああ!?」 「!?」 前方の方から少女の叫びが聞こえたのは ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「……ぐす」 暗い暗い洞窟から少女の啜り泣きが響く。 少女は黒い制服を纏い灰色の髪をしていた。 髪に飾り付けられている碧のリボンがゆれる。 少女は少し怖くて泣いていた。 この状況が余りにも異質で。 彼女を照らす灯は手に持ったランタンと壁に取り付けられてる灯のみ。 光はそれしかなくて後は闇が支配するのみ。 その闇に少女は唯怯えた。 少女―――リセルシア・チェザリーニ―――はよくわからなかった。 突然広い場所に連れてこられて殺し合いをしろと綺麗な女の人が言った。 そして情報をまとめようとする内に沢山の人の首が飛んだ。 怖かった。 哀しかった。 沢山の人の死に。 そして気がつけばこんなくらい場所に。 名簿を見た。 そこには見知った名前が4つほど。 よく知ってる人と名前しか知らない人。 クリス・ヴェルテイン。 最近リセと仲良くしてくれる人。 不思議な人だった。 自分の唄に興味を示して近づいてくる。 人付き合いが苦手で離れるのについて来る彼がとても不思議でそしてリセにとって嬉しかった。 そのクリスまでいる。 彼がこの島に居ることがリセにとって嬉しいような哀しいような複雑な気分だった。 ファルシータ・フォーセット。 自分に良くしてくれる同じ学校の生徒会長。 同じ孤児院出身でとても利発的な人だった。 後はクリス伝いから聞いた名前のみ。 トルティニタ・フィーネ。 アーシノ・アルティエーレ。 よく知らないけど無事であるといいなと唯そう想った。 「……どうしよう」 溢れる涙を拭いながらもリセは考える。 いつまでも泣いてるわけにはいかないから。 恐怖はいつでも傍にある。 こんな命の危険を晒されることなどなかったけど。 それでも恐怖は日常からあったのだから。 哀しい事にリセルシア・チェザリーニは恐怖に慣れていた。 痛みに慣れていた。 リセは孤児であった。 それをフォルテールを扱える、その一点で拾われた。 有名な音楽家がであり今の父に。 父の教えは厳しくて。 失敗すると飛んでくる体罰。 怖かった。 痛かった。 それでも頑張った。 頑張って父に認められること。 それでも自分は父を愛してくれたから。 父が自分を愛してると想っているから。 リセは傷つきながらも生きていた。 だから、恐怖は慣れっこだった。 きっと……きっとその先に幸せがあると思って。 「……うん。大丈夫。大丈夫」 怖いと想う。 充満した死の臭い。 血の臭い。 今でも頭に残っている。 でもリセは生きなきゃと想う。 理不尽な死にたくなかった。 誰もが想うしにたくないという感情。 でもそれでも誰かを傷つけることなど考えたくなかった。 結局リセは優しい人間だから。 殺し合いという理不尽で哀しいものに参加するなんて考えたくなかった。 だからこそ小さな勇気を振り絞る。 この地獄の場所で生きようとするために。 「……まずはこの暗い所から出たいな」 よたよたと歩き始める。 彼女の体には不格好のディバックを持ちながら。 この絶望に満ちた場所で希望を見つけるために。 「……暗いなぁ」 それでも闇がリセの心を不安にさせる。 少しでも明るくさせようとランタンを掲げた瞬間。 「……ひゃぁ!?」 幽鬼の如く目の前に立っていた少女。 青い髪で端整な顔立ち。 白い服と黒のロングスカートを纏っていた。 彼女は目の前のリセを見つめ口を開く。 「貴方……」 「……ひゃい?」 リセはおどおどしながら口を開く。 まさか人がいると想ってから。 それにリセは人付き合いというのになれて居なかった。 リセはいつも孤独だったから。 級友から嫌悪されていつも一人。 リセが部屋に入ると皆が出て行ったり食事も独りだった。 いつも独りで。 だからつい戸惑う。 どう接せばいいかと。 そんなリセにかまうことなく少女は続ける 「……依人。森宮依人知ってる?」 「……貴方は?」 「森宮蒼乃。依人の姉」 そっけなく少女―――蒼乃は呟く。 リセを一瞥しつつただ返答待っていた。 リセは驚いてる自分の心を抑えながら返答をする。 「知りません……えと、私は蒼乃さんが始めてです」 「そう……」 それで会話は途切れる。 リセはえっとと口ごもりをしどう切り出そうかと。 貴方は何をしてるんですかと聞こうか。 それとも自己紹介をすべきかと。 いくつもの言葉が頭に浮かんでは消えていく。 思案し迷うリセを尻目に蒼乃はふぅといきをつきそして告げる。 「……じゃあ、死んで」 永遠の死を。 もう、必要なかったから。 森宮依人という彼女の全てを知らない少女は蒼乃にとって要らなかったから。 「え?」 リセが呟いた瞬間蒼乃は右手を挙げる。 その時何もない所から現れるは白くて薄いもの。 そして蒼乃が手を振った瞬間、それはリセに向かう。 そうそれは紙。 白く鋭い紙。 紙が舞いそしてリセの視界を覆った。 「きゃぁあああああ!?」 目の前の異常。 そして命の危険。 そのことに怯えたか、はたまた偶然か。 リセは咄嗟の判断で横に避ける。 だか一枚の紙が鋭くリセの頬を切り裂いた。 「あぅ……いたぃ」 頬から流れる紅い紅い血。 その頬を抑えながら恐怖に怯えながらも蒼乃を見つめる。 何故? どうして? そんな困惑がリセの頭を支配する。 「……何故ですか」 「依人の為……」 ストイックにそれだけを蒼乃は告げまた手を掲げる。 今度は仕留めるつもりで。 その行動に躊躇いもなかった。 目は唯冷静に。 「……そんなの」 それでもリセは想う。 依人がどんな存在かはリセには分からない。 でも大切なのだろうとだけは解る。 それはリセの勘も入っているけど。 何れ自分は死ぬだろう。 その事に恐怖を感じる。 だけど……それよりも。 この目の前の感情の起伏が薄い森宮蒼乃が。 どうしようもなく。 たまらなく。 「……哀しいですね……うん……哀しい」 「……何が」 「貴方が、森宮蒼乃さんが……哀しい」 哀しかった。 これからリセを殺すだろう。 そしてそれはこの人の業になるだろう。 それを蒼乃が重荷に感じるとは想わない。 だけどそれでも哀しかった。 蒼乃がその大切な人の為に業を背負うことが。 人殺しという業を。 大切な人を想うが余り。 決して赦されない業を背負うのが。 またその選択肢しか選べなかった蒼乃が。 リセにとって森宮蒼乃そのものが余りにも哀しいものだった。 自分の命が永遠に失われる事よりも。 自分が耐えがたい痛みに襲われる事よりも。 何よりも蒼乃の事が哀しくて可哀想だった。 結局の所、リセルシア・チェザリーニはどうしようもなく優しくて。 優しすぎて。 自分よりも他人のことを考えてしまう。 他人が悲しむのを考えてしまう。 とても、優しくて……そして誰よりも哀しい子だった。 「それがどうしたというの?……死になさい」 だけどその思いは蒼乃には届かない。 リセの悲しみや優しさは森宮蒼乃には絶対に届かない。 フワッと現れる3枚の紙。 それはリセに向かい鋭く向いていた。 「可哀想……」 願うくは森宮蒼乃の明日に希望を。 リセはそれを想い目をつぶる。 ―――紙は舞った。 「させるかぁあああああ!!!」 されどそれはリセの命を奪うなかった。 リセの眼前には一人の男。 手に持った華麗な装飾がされている剣。 それで紙を切り捨てていた。 濃い紺色の髪を持ち白に真ん中にラインが入ったTシャツとジーパンを纏う一見普通の男。 されど目には怒りと闘志を湛え蒼乃を睨む。 その男の名は倉成武。 息子を理不尽にうばれ尚も殺し合いに反逆するものだった。 そして誰よりも命の尊さを知る男。 その男が今、何の躊躇いもなく命を奪おうとしている少女を睨んでいた。 「てめぇ……何のつもりだ」 「……見たとおり」 「命がどんなに大切か解ってるのかよ! それを奪おうとするのかよ!」 「……それが?」 武の憤怒に蒼乃は涼しい顔で返す。 躊躇いなど要らない。 再び無数の紙を現し空に浮かべる。 邪魔が入ったがやることは変わらない。 「邪魔をするなら……倒すだけ」 紙は鋭い矢のような形に変質し武の方を向く。 蒼乃の手が振り下ろされればそのままむかえるように。 武は舌打ちしつつ後ろのリセに向かって言う。 リセは悲しい目を唯、蒼乃に向けて。 「俺は倉成武……危ないから下がってろ」 「え……はい。私はリセです……助けてもらって有難うございます……」 「気にすんな」 「……はい」 リセは一度礼をし後ろに下がっていく。 それを見届けるまもなく武を剣を構え唯蒼乃に向かっていく。 「俺は命を蔑ろにするやつを絶対に赦さない!」 目の前の蒼乃に唯吼え向かっていく。 殺し合いを止める為に。 しかしそれはただの蛮勇の様で。 「……」 何も語らず蒼乃は手を振り下ろす。 そして向かうは矢の如く鋭い紙。 それは一直線に武の下に。 「なっ!?……ぐぅ!?」 武は向かう紙を切り刻んでいくも全部を切ることができず、左肩、右足にに刺さっていく。 紙とは思えない鋭さで深く刺さっていた。 紙に紅い血が滲む。 それでも走りをとめない。 止まれば即ち死。 武だけではなくリセまでも。 「うぉおおおおおおおおおお!」 向かっていく。 唯蒼乃の元に。 命の重要さ知る武だからこそ。 絶対に赦すわけには行かない。 だが 「……終わり」 それでも蒼乃は武の想いなど知らない。 蒼乃は唯想うのは一つ。 依人と。 そして目の前の敵を殺すこと。 手を掲げた先にできるもの。 それは壁。 白い白い壁。 暗い暗い洞窟に唯、唯埋め尽くす白。 幾千の紙。 それが織り成す白い紙の壁だった。 「……依人」 蒼乃は唯、手を振り下ろす。 その合図と共に紙が唸りを上げた。 襲うは紙の嵐。 襲い狂う竜の如く。 圧倒的な質量を持って武に唸り向かい襲い掛かる。 無数の紙が。 「ぐがぁああああ!!!!!」 武はその圧倒的な紙の質量に押されその勢いで壁に叩きつけられる。 その威力は一撃で武の動きを封じた。 「……ゴホッ……ガハ……」 武は壁に叩きつけられたまま、ただうごめく。 体は無数の打撲を受けていた。 肋骨が折れたかもしれない。 それぐらいの叩き付けだった。 動こうにも体が動かない。 「……」 蒼乃はそれを一瞥すると紙で形成された剣を作り上げる。 剣は細く鋭いもの。 それをもち唯武に向かっていく。 止めを刺すために。 「……お前はそれでいいのかよ」 武が唯、言う。 何のためらいもなく殺そうとする蒼乃に向かって。 蒼乃がそれでいいのかと。 大切な人の為に殺すのがいいかと。 「……ええ」 剣を向け唯短く応える。 覚悟はした。 というよりもとより蒼乃はそうだ。 蒼乃の全ては依人だから。 剣が掲げる。 命を刈り取る為に。 武の胸に残るのは後悔。 救えなかった。 唯、それだけ。 願うくはリセが逃げ延びる事。 それを思いを死を受け入れようとする。 が 「「!?」」 武、蒼乃の二人が驚愕する。 予測してない出来事に。 「……させ……ない」 腕を目一杯広げて武と蒼乃の間に入ってきたリセ。 体は震え目には涙を湛え。 それでもここは通さないと言わんばかりに立ちはだかっていた。 「……何を?」 蒼乃はたまらず尋ねる。 まさか間に入ってくるとは思わなかった。 唯、リセの行動が不思議だった。 「……殺さないでください……この人を」 リセがいうのは懇願。 蒼乃はある意味呆れそしてまずこの少女からと剣を掲げる。 だけどそれは懇願ではなくて。 「変わりに……私の命だけ……で……」 「なっ!?」 「おい……リセ?」 取引だった。 武を助ける代わりにリセを殺すという。 簡単な取引。 けれどそれはあまりに哀しくて。 武も蒼乃も唯、驚愕するだけだった。 「嬉しかったんです……助けてくれて」 本当に嬉しそうに語る。 リセは嬉しくて。 誰も助けに来ないと思ったのに。 武が助けに来てくれて。 そのとこが堪らなくて嬉しくて。 だから、恩返しをしたかった。 だから助けようとした。 それが恩返しになると思って。 「蒼乃さん……だから私だけ殺してください」 リセは優しすぎて。 他者の事しか考えなくて。 最も大切な自分の命さえ簡単に投げ出してしまう。 ――哀しい子だった。 「……」 蒼乃は語らず。 唯、改めて剣を強く握って。 リセに剣を向けた。 リセは目をぎゅっとぎゅっと瞑って受け入れようとする。 怖い。 でもそれ以上に救えると思うと嬉しくて。 ただ、その時を待っていた。 (させるか!……させるか!……絶対にさせるかああああああああ!) 武は足掻く。 そんな哀しい運命、嫌だった。 自分のせいで誰かが命を散らすなんて絶対嫌だった。 体も動かせるようになってきた。 足掻く。 唯足掻く。 そして、少女を救う為に。 唯、唯足掻く。 デイバックに手にかけ弄る。 何か救えるものを。 絶対に救う為に。 そして取り出したもの。 「……っ!?……これなら!」 取り出したもの。 そして希望があると信じた瞬間。 「……カフッ」 リセは斬られていた。 袈裟懸け気味に。 蒼乃は何の躊躇いも無く。 唯、意志を持って切り裂いていた。 「う……あぁああああああああああああああああ!!!!!!!!」 武は絶望しかけるも止まらない。 そして取り出したものを投げつける。 その瞬間 「!?」 閃光が洞窟を支配した。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「……日の光ではなかった」 目が次第に慣れてきた蒼乃はただそう呟く。 弱点である日の光。 それではなかった。 一瞬それであると怯んでしまった。 (……あの子) リセとあの子の姿はもう無い。 あの男がリセを抱えて逃げていった。 何故だか追う気にはなれなかった。 あの少女の懇願。 自分は叶えようしたのだろうかと。 自問するも答えは返ってこない。 ただ、リセが一瞬誰かににている気がして。 何故だかわからなかったけど。 でも死んでしまうだろう。 自分が殺したのだから。 後悔もなかった。 「……依人」 思うは大切な弟。 同じく殺し合いの舞台に立っている依人。 彼がいる。 だから殺し合いに乗る。 今はとりあえず少しでも依人が生き残れる可能性を増やす為に。 もし……もし依人が死んでしまった時、優勝して元通りになる為に。 そのために殺し合いに乗った。 それだけだった。 思うは依人の事。 大切な弟の為に。 蒼乃は歩み始めた。 それが血塗れた道であろうと。 蒼乃には関係が無かった。 全ては愛すべき弟の為に。 それが蒼乃の全てだから 【E-2地下洞窟/1日目 深夜】 【森宮蒼乃@sola】 【装備:】 【所持品:支給品一式×1、不明支給品(0~3)】 【状態:健康】 【思考・行動】 基本方針:依人の為に殺し合いに乗る 1:依人の為に参加者を殺す。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「死なせるか! 絶対に死なせるか!」 武はリセを抱え地下の道を唯走っている。 武が投げたのは閃光弾。 それでめくまらましをし、リセを救った。 リセの傷は何故かそれほど深くは無かった。 一瞬の手加減があったのだろうか。 武には分からないけど。 それでも幸運だと思い走る。 容態は良くない。 近いうちにリセは死ぬだろう。 そんな事させたくなかった。 何としても。 荒い息。 少しづつ消えていく命の灯火。 それでも武は走る。 救う為に。 絶対に死なせたくないと。 唯走っていた。 ―――リセを救うとするなら……武のデイバックに入ってるキュレイウィルスが入っている注射器。 だがしかし、武は死ぬ事が無い永遠の命をリセに与える事はできるのだろうか? それは未だ誰も分からない――― 【E-1地下洞窟(神社で入り口寸前)/1日目 深夜】 【倉成武@Ever17 -the out of infinity-】 【装備:夜禍殺しの剣@sola】 【所持品:支給品一式×1、閃光弾×5、キュレイウィルス@Ever17 -the out of infinity-】 【状態:全身打撲、右肩、左足刺し傷】 【思考・行動】 基本方針:殺し合いを壊す 0:リセを助ける 1:殺し合いに乗らない 2:つぐみたちと合流 【リセルシア・チェザリーニ@シンフォニックレイン】 【装備:無し】 【所持品:支給品一式×1、不明支給品(1~3)】 【状態:大きな切り傷、出血多量、意識不明】 【思考・行動】 基本方針:殺し合いに乗らない 0:???? 【備考】 ※何もなければ数時間後死にます。 真っ暗な部屋とゴキっぽい妖精と何も知らない私。 <前 次> 闇と光。そして影の少年と向日葵の少女 ▲上へ戻る
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―葉月の頃 その7― 【8月24日 湯屋】① 闇と虫の声に包まれていた山の夜が、ひっそりと明けゆく頃―― 翠星石もまた、夢を見た憶えのないまま、浅い眠りから覚めた。 開け放した障子の向こう、窓越しに仰ぎ見る東の空は、仄白い。 まだ未練がましく居残っている夜の部分さえも、もう淡い紫に色づいていた。 夏の夜明けは早いものながら、こんなに早起きしたのは、久しぶりだった。 空気のニオイとか、マクラや布団が違ったせいかも知れない。 ここ最近、翠星石がベッドを起き出すのは、午前8時を過ぎたくらい。 気温が上がって、暑苦しさに耐えかねた挙げ句に、仕方なく起きるのである。 (ん……いま、何時ですかぁ?) 時間を気にしながらも、翠星石は既に、二度寝モードに突入しかけていた。 抜けきらない眠気に一寸すら抗おうともせず、腫れぼったくて重たい瞼を瞑る。 いつもの調子で、ふぁ――と、大欠伸だって、したい放題。 それでも一応、時刻を確かめる意志は、失っていない。 横たわったまま、寝る前に外して枕元に置いた腕時計を、もそもそ手探りした。 二度、三度……右へ左へ腕を彷徨わせては、指を窄めることを繰り返す。 けれど、彼女の腕は空を切り、指先は悉く、畳を掻くだけだった。 そして、四度目の正直とばかりに、えいやっと大きく振り回した手は―― 時計ではなく、ナニか固いモノを、ぺち! と叩いていた。 (あっちゃぁ~…………やっべぇですぅ) 指先に絡んでくる、細やかな糸状のモノ。触感から、すぐに髪の毛だと理解する。 そして今更ながらに、同じ部屋に泊まっている娘たちの存在を思い出した。 蒼星石、雪華綺晶、薔薇水晶の三人のことを。 いま撲ってしまったのは、誰? 起こしてしまったかな? 少しの間、翠星石は身動きを止め、息を潜めたまま、様子を窺った。 ――すると、次の瞬間っ! ぱくんっ♪ 擬音語にするなら、こんな感じ。 突如として、親指を除く4指が、生温かく湿ったナニかに捕らえられていた。 ただでさえデリケートな翠星石の心臓はキュッと萎んで、身体が硬直した。 (いひぃいぃ――っ!? なな、なんなんですぅ!) 不意打ちに狼狽えた心臓が、カゴの中のリスみたいに、胸の奥でドキドキと暴れだす。 のたのた巡っていた血液は一気に加速され、暴走列車の如く、全身を循環していく。 それによって、まとわりついていた眠気と気怠さも、どこかに運び去られてしまった。 頚を軋ませ、焦りと驚きに見開かれた双眸を、腕の先に向けた翠星石は…… 鮮やかな白のイメージを纏った娘の、幸せそうな寝顔を見つけた。 雪華綺晶は可愛らしい口で、翠星石の指をパクッと銜えこんでいた。 しかも、彼女のナマ渇きの舌が、ねとねとと指先を舐めだしたから堪らない。 くすぐったいやら、気持ちいいやら、筆舌に尽くしがたい感覚だった。 暫くすると唾液が溢れ始めたのか、ちゃぷちゃぷとアヤシイ音まで漏れだした。 その音に誘われるように込みあげてくる、不思議な胸の高鳴り。この感じは、なに? 翠星石の背筋を、悪寒とも悦楽ともつかない震えが、ゾクゾクッと駆け抜けていく。 横になっているにも拘わらず、腰が抜けるような脱力感に襲われていた。 「ふわぁぁ……きらきーのお口の中、あったかいですぅ~」 ……なんて、思わず譫言を口にしたところで、翠星石は我に返った。 ほのぼのと快感に酔いしれている場合ではない。隣には、蒼星石も寝ているのだ。 こんな場面を見られては、あらぬ誤解を受けて、またぞろ面倒なコトになろう。 それは困るとばかりに、翠星石が手を引き抜こうとした折りも折―― いきなりガブッと、たべごろマンマ! 「ひぎっ?!」 咄嗟に空いている方の手で口を押さえて、迸りかけた絶叫を喉元に留めた。 それでも、半端ない激痛に、ブワッと涌きあがってくる涙は止めようもない。 前歯でガッチリかぶりつかれているから、無理に引っ張ったらケガをする。 かと言って、このまま放置していても、大ケガは必至。 そこで、翠星石が採った緊急手段は―― (こうなったら…………くらいやがれですぅ!) 困ったときのハムラビ法典。歯には歯を、ガブッとやられたら、ガブッと。 カタツムリのように布団から半身を乗り出し、雪華綺晶の首筋に顔を近付けると、 翠星石は、芳香を放つ髪の間に表れている彼女の耳に、かぷりと噛みついた。 窮余の一策のハズが、意外にも効果覿面。雪華綺晶は鼻にかかった甘い声を上げた。 僅かでも口が開いたこの隙を逃さず、翠星石は、サッと手を引っこ抜く。 そして、雪華綺晶が完全に目を覚ましてしまう前に、彼女の耳を解放した。 幸いにも、彼女は「やめちゃらめぇ~」と、呂律の回らぬアヤシイ寝言を呟いただけで、 スヤスヤと眠りの世界に戻っていった。 (ひぃぃ、いったぁぁい。もうっ! 私の指は、ソーセージじゃねぇですよっ) 唾液まみれの指には、くっきりと歯形が残っていた。微かに、血も滲んでいる。 涙で曇った瞳で、暢気に寝息をたてている雪華綺晶をジトっと睨めつけながら、 翠星石は噛まれて出血した箇所を、ちろ……っと舌先でなぞった。 そして、ふと雪華綺晶のヨダレも舐めたことに気付いて、トマトみたいに赤面した。 あたふた慌てながら、誤魔化すように枕元の腕時計を摘みあげ、針の位置を読む。 時刻は、5時を少し過ぎたところだった。 いくらなんでも、起きるには早すぎる。もう一度、寝直そうか。 そう思ったが、雪華綺晶のせいで、眠気はカンペキに吹っ飛んでいた。 優雅に朝風呂を満喫するのも良さそうだけれど、ここで人見知りスキル発動。 たった独りで行くのは不安で、考えたそばから、気が引けてしまった。 (しゃーねぇです。早起きは三文の得って言いますしぃ…… 折角だから、誰か叩き起こして、散歩に付き合わせるですよ) こういった場合、蒼星石に白羽の矢が立つのが、いつものパターンだ。 通例に倣い、翠星石は、隣に敷かれた布団に顔を向けた。 ――が、そこに、蒼星石は眠っていなかった。 試みに手を差し入れてみると、布団の中は、まだ温かい。 出ていって間もないようだ。トイレにでも行ったのだろうか? (起こす手間が省けたですね。廊下で待ってりゃ、逢えるハズですぅ) なるべく物音を立てないように、翠星石は布団を抜け出した。 幽かな衣擦れに、雪華綺晶が小さく呻いたが、目を覚ますには至らない。 薔薇水晶に至っては、眼帯が額までズリ上がっているばかりか、 浴衣の胸元がはだけているのに、起きる気配がなかった。 「寝相の悪いヤツですぅ。ほれ……そんな格好してると、風邪ひくですよ」 翠星石は試みに、露わになった薔薇水晶の胸の桃色ボタンを、ぷに……と押してみた。 しかし、覚醒しない。ならばと、ボタンを軽く摘んで引っ張ってみたが、効果なし。 そこでモヤモヤと脳裏に浮かんでくる、第三の選択肢は―― ┏━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ 1:【スイッチぽん!】 ┃ ┃ 2:【押してダメなら引いてみな】┃ ┃⇒3:【吸ってみる】 ┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━┛ 自分で考えておきながら、かぁっと赤面した翠星石は、ぶんぶんと頭を振った。 いくら起こすためのイタズラでも、そこまでは出来ようハズもない。 もう知らんです。翠星石は、薔薇水晶をそのままにして、窓際へと移った。 眠りこける二人を余所に、洗面所の鏡を見ながら、長い髪にブラシを入れる。 翠星石は、身だしなみを整えながら、意外に空気がヒンヤリしてるなと思った。 顔を洗うために触れた水も、室内の蛇口だというのに、まるで氷水だ。 ただ立っているだけで、浴衣からはみ出した二の腕や足先から、体温が奪われてゆく。 ここですら肌寒く感じるのだから、夜中、宿の外は、かなり冷え込んだろう。 「そう言えば……あいつ、平気ですかねぇ」 ブルッと身震いして、両腕を掻き抱いた翠星石は、ある人物を思い浮かべた。 あいつ――とは、他でもない。メンバー唯一の男性、桜田ジュンその人だ。 彼は昨夜、みっちゃんの車に宿の布団を運び込み、車泊したのである。 夏休みシーズンということもあり、予約を取れたのは、和室が3部屋だけだった。 倫理的な観点からすれば、ジュンが一部屋を専有することになる。 となると、女性陣は残る二部屋に、5人と6人で分かれなければいけない計算だ。 部屋の広さ的に見て、5人の雑魚寝が、いっぱいいっぱい。 6人だと、誰かが押入で寝なくてはいけなかった。 最善策としては、3部屋に4人ずつ泊まること。 これならば、きちんと布団を敷いて、のびのびと眠れる。 問題があるとすれば、誰か3人が、ジュンと相部屋になることだ。 だからと言って、女の子たちが多数決により、車泊を強要したのではない。 それどころか、彼と同室になることを、密かに期待している娘も居たほどだ。 ジュンも薄々、その雰囲気を察していたのだろう。 後に禍根を残さないため、敢えて、災いの芽を摘む選択をしたまでだった。 「今頃、布団にくるまって、ガタガタ震えてるかも知れねぇですね。 温かい飲み物でも手みやげに、いっちょ様子を見に行ってやるかですぅ~」 翠星石は足音を忍ばせて、そそくさと部屋を出た。 彼が夜気に凍えているようなら、温泉に誘ってみるも良し。 まだ眠っていたら、そっと布団に潜り込んで、二度寝してみるのも一興かも。 ああ、でも……添い寝なんかして、襲われちゃったら……どうしよう? やおら湧いたヘンな妄想が、翠星石の胸をざわつかせた。 ジュンは、そんなコトしない。と言うか、襲ったりする度胸はないだろう。 ――とは思うのだけれど……彼を信じてはいるけれど、やはり……少し怖い。 だが、ココロのどこかでは、そうなることを望んでいるのかも知れない。 でなかったら、こんなご都合バリバリ急展開を、はしたなく期待しやしないだろう。 「わ、私…………やっぱり……今でも、あんな、へっぽこぽこのすけを――」 一度は、想いを伝えた。青い感情を燃えたたせて、胸を焦がしもした。 それは叶わなかったけれど、だからと言って、想いの全てを捨て去るなんて無理。 だって、本気だったから。 誰もが一度は経験する、通過儀礼的な恋愛ゴッコなんかじゃなかったから。 だからこそ、小さな恋の芽は今も、翠星石の胸の中で枯れずに残っていた。 とにかく、行動してみよう。結果を欲するなら、そうするより他にない。 恋愛にカンニングペーパーなど無いのだから、答えを導くには計算式が必要だ。 そう思って、いつになく積極的な心持ちに、翠星石自身ですら戸惑いを覚えた。 何も変わらないかも知れない。あるいは、また傷つくだけかも知れない。 だけど……それでも、逸るココロを抑えきれなかった。 「もし、ジュンが……も、求めてきたら―― ――わ、私……断れないかも……ですぅ」 いゃぁん。翠星石は、桜色に染めた頬に手を当てて、廊下でモジモジ身悶えだした。 彼の腕に抱かれながら、淫らな笑みを浮かべる自分を想像してしまったら、 期待と不安で小刻みに震えだす膝を、止められなかった。 妖しい熱が、翠星石の身体を火照らせ、意識をクラクラさせる。 腰の辺りが奇妙にウズウズして、落ち着かない。 さっさと行こう。胸のドキドキを持て余しながら、彼女は歩き始めた。 しかーし。そうは問屋が卸さない。 3歩と進まない内に、耳を衝く甲高い涙声が、翠星石を呼び止めていた。 また、よりにもよって絶妙のタイミングで、妨害してくれる。 翠星石の火照りは、冷や水を浴びせられたように、しおしおと萎んでいった。 ナニ考えてたんだろう。翠星石は額に手を当てて、はふぅ――と吐息した。 「ぶゃぉわあぁあぁんっ……翠ちゃあぁぁんっ!」 「うっせーですよっ! 朝っぱらから、キンキン声で泣き喚くなです。 おめーは他人の迷惑ってもんを考えらんねぇですか、おバカ苺っ!」 翠星石が、駆け寄ってきた雛苺の脳天に、まさかりチョップを見舞う。 ゴッ! という鈍い音が、冷え冷えとした空気を震わせた。 一応、翠星石の名誉のために断っておくと、これは体罰ではない。 スパルタ乙女の『苦悶式・教育的指導』である。 雛苺は両手で頭を押さえながら、怨みがましく翠星石を睨んだものの、 言いかけた文句を引っ込めて、本題を切り出した。 「トモエが居ないのっ! 昨日の夜、寝るときは一緒だったのにっ」 「だからって、泣くほどのコトですぅ? ちゃんと探したですか」 翠星石の問いに、雛苺は濡れた目頭をこすりこすり、小さく頷いた。 聞けば、宿の中は、ひと通り探してみたと言う。 「オディールは、なんて言ってたです?」 雛苺と巴、オディールの3人は、同じ部屋に寝泊まりしている。 ならば、誰かが部屋を出る気配を、夢うつつに察していたかも知れない。 そんな翠星石の推測に、雛苺は間髪入れず、首を横に振った。 「グッスリ眠ってるの。だから、きっとオディールは知らないのよ」 「なるほど。あぁ、そう言えば、蒼星石も部屋に居なかったです。 どっかで見かけなかったですか?」 「ううん、ヒナは見てないのよ。ひょっとして、トモエは蒼ちゃんと?」 「……どうですかねぇ。蒼星石と巴って、あまり接点ないようですけどぉ」 友達ではあるけれど、いつも一緒に遊ぶほど親しい間柄ではない。 巴は控えめで奥手な感じだし、蒼星石も、過度の馴れ合いを好まない方だ。 そんな二人が、繋ぎ役を介さずに意気投合するだろうか。 仮に、そうだったとして……二人は連れ立って、どこに行ったのだろう? 翠星石と雛苺は、腕組みをして、起き抜けで働きの鈍い頭をフル回転させていた。 と、そこへ―― 「おはよ、二人とも。こんな朝早くに顔を揃えちゃって、どうかしたの?」 宿の正面ホールを横切り、近付いてくる人影が、翠星石たちに話しかけてきた。 それは他でもない、浴衣姿の蒼星石だった。 「蒼星石こそ、独りでドコほっつき歩いてるですか。心配したですぅ」 「ごめん、姉さん。いやさ、なんだか早くに目が覚めちゃってね。 そしたら、ほら……肌寒いでしょ。ジュン君、平気だったのかなって」 「ふぅ~ん。気懸かりだから、あいつの様子を見に行ってたですか」 考えることが同じだなんて、やはり双子ですねぇと、翠星石は破顔した。 だが、ふと……彼女の胸の片隅で、変なざわめきが生まれていた。 もしかして、蒼星石もジュンのことが好きなのだろうか、と。 考えることが似通うなら、寄せる想いもまた、共通してくるものではないか? 双子は同じタイプの人を好きになると、聞いた憶えもある。 ――まさか。しかし、有り得ないコトではない。 そんな予感めいた不安を、翠星石はココロの中で、強引に押し潰した。 「それで……ジュンは、冷たくなってやしなかったですか?」 「杞憂だったよ。ボクたちが気を揉むまでもなく、ジュン君には彼女がいるもの」 鼻の頭を指で掻き掻き、はにかむ蒼星石の態度から、翠星石と雛苺は全てを察した。 雛苺とオディールを部屋に残して、居なくなった巴。 蒼星石が言った『彼女』とは、つまり―― 「……たはぁ~。剣道で培われた勝負勘は、伊達じゃねぇですね。 受けどころと攻めどころを、ちゃーんと弁えてやがるですぅ。 大胆に攻め込んだってコトは、きっと昨夜はお楽しみに……きししっ」 「うゆ? 翠ちゃん。お楽しみって、なぁに?」 「決まってるじゃねぇですか。ジュンと、にゃんにゃ――」 「わ、わぁーっ?! なに言いだすのさ、姉さんっ! 違うよ、雛苺っ! ジュン君と柏葉さんは、そんなコトしてないからね!」 「わかんねぇですよぉ~? 大体、なんで蒼星石は、違うって断言できるですか。 ははぁん……さては、コッソリ覗いてやがったですねぇ~?」 焦りまくりの蒼星石は、姉のニヤケた流し目に晒され、更に狼狽えてしまった。 ロクに反論もできずに「知らないっ」と言い捨て、その場から逃げだそうとする。 そんなナイーブな妹の腕を、翠星石が掴んで、引き留めた。 「あぁん。待つですよ、蒼星石ぃ。冗談を真に受けるなですぅ」 「…………もぅ。ヒドイよ」 恥ずかしさか、からかわれた悔しさか、蒼星石は、ぷーっとむくれた。 翠星石は朗らかに笑って謝りながら、妹の柔らかい髪を、ぽふぽふと撫でる。 そして徐に、右腕で蒼星石の肩を、左腕で雛苺の肩を、グイと引き寄せた。 「さぁて。巴の所在は判ったし、蒼星石とも会えたですから、問題解決ですぅ。 珍しく早起きしたし、気晴らしも兼ねて、ちょっくら散歩に行くですー」 いつもの強引さで、翠星石は実の妹と、妹みたいな親友を引きずり、宿を出た。 二人の肩を抱き寄せたまま、足早に駐車場を横切って、林道の方に向かう。 その際、みっちゃんの車が視界に入ったが、翠星石は努めて顔を背けていた。 内側が結露した車のガラスを見てしまったら、きっとドス黒い感情が噴出してくる。 車内の様子が気になって、覗かずには居られなくなるだろう。 そして、寄り添って眠る二人に嫉妬して、ココロを醜く穢れさせていくのだ。 明け方の林道に、彼女たちの足音と、早起きな鳥の声が谺する。 もう少し気温が上がれば、また煩くセミが啼きだすだろうが、今は静かだ。 木々の間から、朝霧が音もなく浸みだしてくる光景は、とても幻想的だった。 路肩のなだらかな斜面には、斑入りの白い花が、霧に紛れて点々と咲いている。 「わぁっ! ねえねえ見てっ。あれ、ユリの花なのよね?」 「そうだよ、雛苺。あれは、ヤマユリ。花言葉は『純潔』と『荘厳』だったかな」 蒼星石の返答に、雛苺は「うよー」と感嘆して、白い可憐な花に目を注いだ。 鮮やかな緑の葉や茎に、しっとりと降りた夜露が、朝日を受けて煌めいている。 確かに、いま翠星石が見つめている花たちには、花言葉どおりの趣があった。 それに引き替え、ジュンと巴の仲を妬む自分は、なんて醜いんだろう。 翠星石は、胸の痛みを覚えながらも、目を逸らすことなくヤマユリを眺めていた。 (私のココロには……まだ、純真な部分が残ってるでしょうか? あるとしたら、これから先も、ずっと純真なままでいられる……です?) 少しの間、答えを探してみる。そして、一分と経たずに諦めた。 解りっこない。人生は、この林道のようにハッキリと形作られてなどいないから。 未舗装の部分があったり、突然の崖崩れで寸断されることも有ろう。 でも――どんな困難に直面しても、いつだって気高く生きていたいと思った。 願わくば、かけがえのない親友たちと、いつまでも一緒に。 翠星石は、蒼星石と雛苺の肩に掛けていた腕を、そっと背中に降ろした。 そして、溢れんばかりの慈しみに、ちょびっとの恥じらいを滲ませながら、 なにも言わずに、二人を抱き寄せた。 キリリと冷えた山の空気の中で触れ合った、蒼星石と雛苺の温もり。 それは、翠星石のココロに蟠っていた黒い感情を、すぅっと融かしてくれた。 まるで、泥まみれの名残り雪を消し去る、春の日射しのように――
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登録日:2012/04/06(金) 17 58 02 更新日:2024/05/28 Tue 12 54 46NEW! 所要時間:約 36 分で読めます ▽タグ一覧 #189 エナジーバンパイア オレンジリボン ゲロ以下 ゲロ以下の臭い ゲロ臭い ネグレクト マインドコントロール 不愉快 世界の歪み 事件 人間のクズ 人間の屑 児童相談所 児童虐待 子供 性的虐待 恨みます 所要時間30分以上の項目 暴力 最低の行為 毒親 現在進行形 社会問題 社会悪 絶対に許さない 虐待 被害拡大 被害者が加害者になる 親 親の顔が見てみたい 親権不可侵 許さない 許してはいけない 負の連鎖 近所付き合い 過保護 過干渉 邪悪 児童虐待とは、その名の通り児童(*1)に対して行われる虐待行為である。 この項目では「児童」を対象にした虐待を取り扱うが、対象が異なる動物虐待、高齢者虐待や障害者虐待なども児童虐待と大部分で共通する。「パワハラ」や「セクハラ」などのハラスメント行為を児童に向けた場合は児童虐待になる。 虐待と同様に問題視される「いじめ」も、気付いた大人が適切に対処するべきであるが、気付いたのにもかかわらず見て見ぬふりをしたり、まして加担した場合も加害者に変わりない。 ◎虐待内容●暴力行為 ●放置・監禁 ●言葉の暴力 ●性的虐待 ●経済的虐待 ●過干渉 ●過保護 ●無戸籍児童 ●搾取子&愛玩子 ●ヤングケアラー ●宗教二世 虐待を受けると児童はどうなるのか 虐待をする親の問題 周囲の対応 虐待の兆候児童の様子 親の様子 行政による保護の問題点 虐待は誰がするのか? 児童虐待と冤罪 虐待を受けた場合は ◎虐待内容 ●暴力行為 大怪我や死亡などの痛ましい結果に繋がるため、ニュースで最も話題に上りやすい。体罰とも。 刑法では暴行罪や傷害罪に該当する立派な犯罪行為である。 「取っ組み合ってでも児童から遠ざけなければならない危険があった」(*2)等の緊急事態を除き、 特に意味がない、または理由に対して明らかに過剰な暴力行為を親が働いた場合に虐待とみなされる。 この場合、親側は躾(しつけ)と称して暴行を加えていることが多く、児童相談所に通報しても「躾と言い張られる」などで対処しづらいという問題もある。 ビンタやげんこつなどは1発程度であれば躾の範疇とされていたが、今はこれも立派な体罰であるとされる。 過剰な暴行によって児童が死亡したり、命は失わずに済んでも重篤な障害を負わされたりするケースもあるが、 この手の虐待を行う親の多くは「躾のつもりだった」と供述することがほとんどで、暴行を受けていた児童さえも「親は悪くない、悪いのは親に従えないダメな自分」と信じ込んでしまうこともある。 たとえ本当にそのつもりで児童が自分に非があると認めていたとしても、行き過ぎた暴力を「躾」で言い訳にすることはできないのである。 下手をすると虐待を行う親の側にその認識が無くても暴力行為や叱責行為に快楽状態と依存性を得てしまう(*3)「嗜虐依存」状態に陥る危険性もある。 2018年の東京都目黒区で両親から虐待を受けた5歳の女児が「ゆるしてください」と手紙を残して死亡した事件、 2019年の千葉県野田市で父親から虐待を受けた小学4年の女子児童が死亡した事件は世間から注目を浴びた悲惨な虐待事件であるが、いずれも暴力行為が日常的であった。 これらの事件をきっかけに躾であっても暴力をふるう行為を禁じる動きが一気に加速する。 また、しつけとは別に、「病気やけがをした児童の献身的な親」を演じることに快感を覚えてしまい、故意に児童を傷つけて積極的に医者に行くという親もいる。 代理によるミュンヒハウゼン症候群(MSBP)の項目を参照。 ●放置・監禁 親からの全面的な補助が必要な乳幼児期・幼年期の児童に十分な衣食住や補助を与えなかったり、教育を行わないことが該当する。 「育児放棄」「ネグレクト」とも称され、放置されている期間が長くなれば児童が死亡することもままある。 また、親が子を車に放置してパチンコに行って、熱中症で死亡するニュースを聞くことがあるが、こちらも車の中に児童を監禁状態にしていると言ってよい。 特に夏場の炎天下では車内温度が50℃近くまで上がり、ものの10分もしないうちに重篤な熱中症や脱水症状を起こしてしまう。児童は体温調節機能が大人と比べて低く、車から逃げ出すなどの対処も全くできないので非常に危険である。(*4) 育児は多大なストレスを感じるものであり、財布としっかり相談し、子育てに悪影響がないよう適度に嗜むのであれば、パチンコ自体はストレス発散として責められない。 パチンコ屋の側が託児スペースを設けるケースもある。 だが、子どもの命に関わる程・経済的に困窮する程熱中するとなれば話は別。本来は賭博でもある以上、依存をどうにかするのが本筋だろう。 大阪で数ヶ月放置された幼い姉弟が餓死して発見された事件を覚えている人もいるだろう。 …否、決して忘れてはならない。 ●言葉の暴力 成人ですら優位性が上の者から下の者への言葉の暴力はパワハラ(場合によってはセクハラなど他の呼び方にも)となる。 児童に対する言葉の暴力は当然ながら虐待である。 たとえ叱責や指導を行ったとしても、適切なものは児童のためになるが、度が過ぎたものは虐待である。 2017年、福井県池田町では、他の生徒が身震いするほど過剰な叱責を日頃から受けた中学生が投身自殺した。 叱責が「薬」となるならば、過剰に投与すれば「毒」でしかない。 親や教師から心無い言葉を浴びれば児童はどう感じるであろうか? 本来、心の拠り所となるべき人から精神的に追い詰められる。 神経がすり減るなどという生易しいものではなく、ズタズタに擦り切れて長い間重い精神障害に苦しむ事態にさえなりうるのだ。 特に児童が乳幼児の場合、叱られても自分が何が悪いのかすら分からず、「ただ怒られている 怖い」としか認識できない場合も多い。 その場は萎縮してその行為をしなくなるかもしれないが、何が悪いのかを理解していないのでほとぼりが冷めた頃別のきっかけで繰り返す。 また児童はただでさえ知識が少ないので語彙に乏しく、児童側も保護者にうまく伝わらない事に憤りを感じていたり、大人の側が乏しい語彙による発した言葉を誤解し激怒する事もある。 叱る事自体は必要なこともあるが、元々乳幼児の育児は親にとって大きな負担である事も課題である。 叱責をきっかけに親の感情が爆発しやすく、必要な叱責のつもりが言葉の暴力になってしまう可能性がある。 ●性的虐待 性的知識に乏しく、また、抵抗する膂力が発達していない児童は、性別問わず性的虐待の被害者になり得る。 加害者と被害者の性別がどちらであれ、性行為に至る過程がどうであれ、発覚すれば犯罪として取り締まられる。 また、性器や性行為、アダルトメディアを見せる・見せてもらう・触らせる・卑猥な言葉を言わせる・裸の写真を撮る(*5)などといった、 性行為まではいかなくとも、児童に性的ないたずらや搾取をしようとすれば性的虐待とみなされる。 ちなみに刑法では、男女の別を問わず13歳未満と性行為を行うことは同意の上でも強制性交として罰則の対象となる。つまりレイプと同じ扱いだ。 また、性的な目的で児童の写真を流布・所持することも児童虐待の一種である。 インターネットの危険性などを理解できていない児童が、悪意を持った相手に猥褻な写真を要求されてそれに応じてしまったり、 仲良くなった(と思い込んだ)相手に直接会おうと誘われ、それに応じたら性行為などを強要される等という、SNSを利用した事件が発生している。 平成29年度よりの法改正で、18歳未満の子に手を出した場合、合意の有無に関わらず監護者性交等罪(本番、フェラ)もしくは監護者わいせつ罪に問われ成人への強姦と同様の扱いを受けることとなり、 それによる罰則も懲役5年と重くなっている。これは実親だけでなく、養親や養護施設の職員にも適用される。 他方、児童が性的被害を受けたのかが気になり、過剰に児童を問い詰め、結果として児童に嘘の被害申告をさせてしまった例も報告されている。 ●経済的虐待 財産の使い込みをするという形で高齢者虐待で問題になりやすいが、児童虐待としての事例も。 高齢者と違い児童は金を持っていない場合が多いため、児童虐待防止法では経済的虐待は児童虐待に含まれていないが、実際には深刻な問題である(*6)。 親は財産を管理する能力が無い子の財産をきちんと管理し、扶養する権利と義務があるが、 お金を全て自分の贅沢に使ってしまい、子には必要最低限の面倒しか見ない親というのも中には存在する。 元の収入自体が少ないのにギャンブルや酒に使い込むケースがまず定番で、これは親の依存症を直さないとたとえ周囲の人間が注意しても治らない可能性が高い。 収入が無いならともかく、十分な収入があるのに学費すらケチって学校にも行かせず、自分はのうのうと贅沢三昧(特に賭博や嗜好品の過剰な購入等)する者や、 酷くなると、子に奨学金を申請させた上で振り込まれた奨学金をむしり取って学費を払えず学校に通えない状態にしてしまったり、子のアルバイト収入を全部むしり上げ全て自分で使ってしまうようなケースもある。 もちろんその奨学金を返す義務があるのは子であり、実質子に借金させてまでお金を巻き上げているのと同じである(*7)。 生活が苦しく親の財産が足りなくなったので、子のために子自身の財産を使わせるなら親権としてアリだが、親が自分の努力を怠って子にタカっていいわけではない。 他にも、子どもが貰ったお年玉など個人の財産になった物を管理権があるのをいい事に勝手に使いこんだり、子どもの個人的に集めたものを勝手に捨てる行為もこれに当たる。 昔の子役などでは、芸能活動で得た収入は児童本人には一切手を付けさせず親が完全に私財として使い込む様な事もあった。 近年でも℃-uteの岡井千聖が母親にギャラをソシャゲ(ツムツム)で使い込まれてしまったり、元モーニング娘。の加護亜依が継父に娘。時代のギャラを殆ど使い込まれてしまったりという被害体験談がある。 岡井の場合はそれをネタにして復讐しているのでまだ笑い話で済んでいるが、加護の方はその後度々失敗を重ねる羽目(*8)になっており、後々まで深い禍根を残している。 この為現在は児童芸能人の収入は本人専用の口座を作ってそこに振り込み、親の手が付けられない様にしているケースもある。(*9) 本来給料は労働者に直接払われるべきもので、親であろうと代理人に支払ってはいけない。 受け取りに来た親に払ってしまった場合、使用者は労働者である子にもう一度支払い直す義務がある。 アメリカでは、現在の日本円で10億円以上にもなる子役の収入を全て親に使い込まれたスター子役がいたため、 法律で「子役の収入のうち一定額は子役の口座に積み立て」を義務付ける法律がある。(*10) ただし、児童芸能人の場合親も子にそれなりに投資している場合が多く、レッスン料などのある程度の投資分を子の収入から回収するという程度ならば虐待とは言えず、どこまでを禁じるべきかは難しい。 また、片親が亡くなった際に残されたもう片親がローンなどの返済を放置したため、子に山の様な借金の返済義務が相続されてしまうケースもある。 速やかに相続放棄などのきちんとした法的手続きを取れば、子への一方的な請求から守ることは可能なのだが、親も社会生活能力に乏しく、端から相続があることを考えもしていないケースが多い。 親からの相談がなければ弁護士などの専門家も介入することができず、子への請求書が届いた後では手遅れになっているという訳である。 ●過干渉 児童(子供)も1人の人間。自分の意思を持って行動したいはずである。 そこで、親が子に他の人に迷惑が掛かる事等を制限して、子に正常な判断能力や社会適合能力を養わせなければならない。 だが、行き過ぎた制限は虐待に他ならない。「厳し過ぎる教育・家庭内規則を強要する」などして、子を親の思い通りに行動させる事が過干渉である。 マスメディアなどでよく言われる「教育虐待」はこれの一種に該当する典型と言える。 例えば児童に社会的な能力を身に付けろと言いつつそのツールとなる遊び道具や同年代内で流行物・情報に対し触れる事すら許さない矛盾行動を強いたり 教師など家庭外の「他の大人」の言う事に対し「あんなものは戯言だ」「あんな連中の言う事などこの家では何の意味もない」といった過剰な罵倒や否定を行ったり、 児童の意思を全く尊重しないで塾やスポーツなどの習い事を強いる、交友関係に一々口を挟む、親が所謂名門校のみを進学先として強制し、四六時中勉強させると言った行動なども該当する。 これ等は直接虐待行為を行うのが家庭教師など別な人間であっても彼等に伝える要望内容の時点でその状態であれば親の側の虐待行為と言える。 こうした教育虐待は、親が自身の行動を「正しいことだ」と信じ込んでしまっている場合が多く、例え公的機関が介入したとしても親が考えを改めることは困難という厄介な問題がある。 過干渉の問題点は虐待内容が所謂「エリート養成ノウハウ」そのものだったり伝統職業の伝承等の為の特殊な家庭内規則の適用だったりするので 当然止めさせた場合対象は(少なくとも本来誰かが思い描いていた)「エリート」としての人生コースから外れたり伝統職業などの場合その伝統技能が失伝してしまう事等のリスクがある。 伝統継承の訓練の場合、時代が変化したが為に現在では違法なのであって、過去では立派に認められた内容だったので、その辺の折り合いも難しい。 また同じような干渉を行った結果、児童自身がその干渉をよかったと考え、成功している親の例もしばしば紹介される。 その為周囲が見て見ぬ振りをしたり伝統文化的な損失を恐れて虐待行為を肯定してしまうケースが少なくない。 キチンと専門知識や他者との交流によって相互監視されている場合はまだマシと言えなくもないがそういった物を齧った程度の専門性の無い親(*11)が児童に無理強いした場合、 児童の側は徒に疲弊消耗する上に親は結果の出ない原因を児童の側に求め暴力やネグレクトなどを行う為増々児童はダメージを負う悪循環に苛まれる。 ●過保護 これは上記の例とは逆に一切叱咤などをせず、児童の欲しがるままに好きなものばかり与え、とにかく甘やかしてしまうケース。 児童自身は思い通りになるため苦しむことはない。 親としても児童にそれほど愚図られたりしないので願ったりかなったりに思える。 だが、きちんとした躾を受けなかった児童がまともに育つだろうか。 思い通りにいかないストレスに対する忍耐力・自分で考える力そのものが欠如し就学や勤労に対する意欲を失う、仮に就いたとしても全くついていけずニート化する可能性がある。 また、好きなものばかりの偏った食事で肥満体となりやすいため若くして生活習慣病の重症者となってしまう。 他にも、子供を過保護に思うあまり、先述した過干渉をしてしまうこともある。そのためこのパターンの場合「厳しいのは親からの愛」と思い込んで、また過干渉を繰り返す、悪循環に陥ることもある。 児童の将来の可能性を塞ぐという意味ではこちらも虐待と言える。 学校で上手く現実と向き合い矯正できればよいが、学校だけでは限界もあり、あまり期待はできないばかりか、 中には学校側に対して理不尽な要求(*12)を行う、所謂モンスターペアレントと化する親もいるため、 上手く指導するどころか担当教諭が精神を病んでノイローゼになってしまうなどのケースも起こっており、中々根深い問題になっている。 フィクションではこういう育ち方をしたキャラは単なる「本人の怠慢」扱いされ、高確率で悪役にされやすい傾向にあるが、 見方を変えればこれも虐待の一種であり、彼等は親の虐待の被害者と言える。 またこれに類似した物として「児童に一切人間の暗部恥部に触れさせずお花畑な子供時代を送らせる」という物もある。 此方は一見、理想的な子育て状況の様に見えるが、こういった状態で育った子供は世の中に悪意を持った存在がいる事を知らず疑わない状態になってしまう為、 過激で聞こえだけは良い文言を聞かせる宗教団体や過激思想集団・マルチ商法などにとっては絶好のカモ。 なまじ悪意に触れた事が無い為本人は善意善行と思い込んで他者に迷惑をかける独善を押し付ける者になってしまったり本人自身が 宗教団体のイカサマ教義や思想集団の無意味なノルマ達成などで心身をすり減らし虐待状態になってしまう事もある。 ●無戸籍児童 親が、子が生まれた事を役所に届けず、子を公的保護の目から届かなくさせてしまう。 親の側にもDVをする相手から逃げたいなどの事情がある場合も多いのだが、 ただでさえ片親で子育てが難しい中、公的支援まで閉ざされる児童の立場は非常に厳しくなる。 特に未婚の母の場合、「婚前交渉をするふしだらな母親が悪い」という母親への非難もあるため、ますます母親は閉じこもりがちになってしまう。 詳細はリンク先を参照。 ●搾取子&愛玩子 簡単に言うなら兄弟姉妹の間で、子供を差別して育てる。 年齢や性別に応じた対応の結果として兄弟姉妹間で対応を変えることは悪いわけではないが、明らかに愛情の有無からして違うのが明白な場合である。 搾取子はサンドバッグと呼称されることもあり、親のストレスのはけ口にされる役割の子供のことを指す。あらゆる欲求を様々な理由で我慢させられる、家事を無理矢理させられるのは序の口で、酷い時には暴力・暴言など上記の虐待を常に受ける。どれだけ努力しようと善行を重ねようと、それを評価されることは一切無い。 一方で愛玩子とは可愛がられ、自慢したり見せびらかしたりするための存在であり、欲しいものは何でも与えられ、どんなに悪いことをしても努力を怠っても怒られることもない。 誰にでもアニメ・漫画・ゲーム問わず「お気に入りのキャラにはとことん入れ込むが、それ以外には無関心」といった経験はあると思われるが、それを子育てにほぼそっくりそのまま当て込めているのである。 基本的に誰が搾取子・愛玩子になるかは親にもよるが、兄弟姉妹誰であろうと何人も当てはまる場合もある。 いずれにせよそんな差別を是とする家庭環境で子供がまともに育つはずもなく、搾取子・愛玩子共に洗脳状態になり、中にはその状態が当然と感じてしまう者も。 愛を与えられずに育つ搾取子の中には洗脳に気付くなどして絶縁し独り立ちする者もいるだろうが、大抵は自己肯定感の低い卑屈な性格に育ってしまいがち。 そして愛玩子も甘やかされすぎた結果、自立のできない我が儘なろくでなしになってしまうだろう。 ●ヤングケアラー 児童が、本来大人の担うべき弟妹や祖父母、障害のある家族などの監護・介護(*13)を担当する「ヤングケアラー」となっているケース。 介護を児童の年齢に見合った水準で手伝わせるだけならば問題はない。 だが、ヤングケアラーの場合、介護が忙しすぎて宿題や予習に手が回らず、要介護者の体調悪化などで休まざるをえないケースまで出てくる。部活や修学旅行も介護のために参加できなくなり、学業の遅れが生じて進路に制約が生じたり、友人関係の形成に大きな支障を来すことになる。 中には、ヤングケアラーが監護していた弟や妹に手を上げて児童虐待の加害者になってしまうと言う事態も報告されている。 家族の側も、家族構成員が少なかったり、仕事で稼がないと食い扶持もないので介護には手が回せなかったりで児童相手でも介護を手伝わせないと物理的に介護が成り立たないケースもあり、公的機関の支援なしに対応するのが非常に難しい。 ところが、 「行政に十分なサービスの仕組みがない」 「サービスの仕組みがあっても児童や家族の側が行政に助けを求めない」 「行政が学校経由などで事態に気づいて支援を受けることを勧めるが、「恥ずかしい」「児童を児相に取られてしまう」等と考えた家族が拒否してしまう など、支援には何重もの壁が立ちはだかっている。 「家族なんだから介護くらい当たり前」と言う認識は、社会一般の人々も持っている場合も少なくないし、児童が助けを求めないのもそれが原因であるケースも少なくない。 だが、介護されている側が知的な障害を起こし、精一杯監護しても感謝どころか罵倒され、それが何年続くか分からないような状況を想像できるだろうか? 本来介護とは(相手の状態や程度にもよるが)人体の適切な扱い方や繊細な接し方などの多くの専門的な知識、そして介助のため相手の身体を支え誘導する高い肉体能力が相対的に求められる高度な行為であり、介護職では入社時に各種資格を必須としているくらいである。 大の大人ですら、監護・介護の負担に耐えかねてノイローゼやうつ病を起こし、介護殺人や無理心中を図ってしまうことが問題になっている。それを満足な知識も筋力も無い児童にさせていると言えば、どれだけ危険な状態か察することもできるだろう。 未熟な介護による事故で双方の命に拘る事態になりうることも十分ありえるし、何より児童の健全な育成の阻害の言い訳になってはいけない。 共倒れになってしまう前に、躊躇なく行政や周囲の人間などに助けや知識を求め、専門の人にお願いするなりするべきである。 ●宗教二世 児童の親が、カルト宗教に依存してしまっているケース。 親にも信仰の自由があり、社会生活や家庭生活を脅かさないレベルで宗教を信じているだけならば特に問題はない。 ところが、カルト宗教は、親を通じて児童にも実質的に入信やイベントへの参加を強制することがしょっちゅう。 児童自身がカルト信者になってしまう場合はもちろん、カルトへの参加を拒否する児童に対して圧力をかけ続けてしまう行為が問題になっている。 明らかに非合理的な『教義』を信仰し、「信仰に基づいて」学校教育や医療を受けさせないなどの行為も問題となっている。 宗教に限らず、疑似科学や陰謀論、スピリチュアル、インチキ健康法等に過剰に傾倒する親もこれに近い問題だと言えるだろう。 医師の治療や予防接種を陰謀論を理由に拒否する。 ヴィーガンやマクロビオティックを過剰に信奉して子にもその食生活を押しつける。(*14)アメリカでは、ヴィーガンで子を餓死させた親に終身刑が言い渡されたケースもある。 とにかく「自然がいい」という主張から医者を敵視し、子が体調を崩しても医者に連れて行かない(通称:自然派ママ)。頼るのは同じ仲間のSNSの民間療法だが、もちろん全く効果が無い。 特定の思想に過度に依存する人物を目覚めさせる効果的な方法はなく、家族はおろか、学校や児童相談所の干渉も役に立ちにくい。 場合によってはかえって公的機関を敵視し、思想仲間にのみ依存してそこに児童が囲い込まれることもある。 両親ともはまっているケースはもちろん、はまっているのが片親のみの場合でも、信仰にはまりすぎたり両親の対立の溝により家庭が崩壊するケースも少なくない。 カルトによる洗脳や過激思想への依存から目覚めさせることは、公的機関の力をもってしても容易ではないのである。 化物語の戦場ヶ原ひたぎは母親が悪徳宗教にはまってしまった宗教二世である(父親はまとも)。 虐待を受けると児童はどうなるのか 何かしらの形で虐待を受けると、当然ながら子供(児童)は悪影響を被ることになる。 暴力を受けた児童には叩いた痕や傷、痣が体に残っている。中には暴力を振るったと分からないように腹部など目立ち難い部分を集中して攻撃する親もいた。 放置された児童の場合は栄養が十分に摂取できず同年齢の平均的な子供と比べ心身の発達が遅れることがある。 頭部の攻撃によって脳や神経系へのダメージがあった場合は知的の発達に遅れが生じることがある。 過干渉によって酷使された児童の場合早期に病気に罹って虚弱化したり、心身の成長に歪な物が見られたりもする。 また完全に解明されたわけではないが母体にいる状態で母体がDV等で虐待を受けた場合でも児童の側がストレスを蓄積した状態で生まれ、悪影響を被る場合もある。 これらの特徴があるからと言って虐待されていると判断するのは早計であるが(*15)、児童に何らかの悪影響を与えることは間違いない。 また、虐待を受けた経験はトラウマとなることがほとんどで、年月を経ても精神に甚大な影響を及ぼす。 精神病の症状として現れるほか、深い劣等感や無力感などを持ち続けることも。 「厳しくしつけられるという事は、自分はダメな人間なんだ」という児童の側の劣等感が「助けを求める」という選択肢を奪ってしまう場合もある。 所謂「アダルトチルドレン」(*16)も幼少期の虐待などによるトラウマを持った人であり、多くは当時の劣等感や無力感から自分の行動・判断に自信が持てない、 常に他人の承諾や称賛を必要としてしまう、必要以上に自己犠牲的になるなど、生きづらさを持った人間に成長してしまう。 また、児童は大人とのかかわりの中で人間関係の構築を学ぶため、周囲の人間と良好な関係の作り方を知らずに成長する恐れがある。 「周囲の人間」とは自分の子も含まれ、後述のように自分の子を虐待するという悪循環を生みかねない。 更に、虐待された子は攻撃的な性格になることも少なくなく、他人に対していじめや傷害などを起こす子供になってしまうこともある。 親がしている暴力行為を悪いことと思わず、「躾」同様に理由があるなら他人に行っても良いと認識してしまうからだ。 子供たちが非行に走るのも児童虐待が遠因となっていることが多い。 家庭に居場所が無い少年達がいつしか暴走族、半グレのような悪い仲間たちとの付き合いを「居場所」にし、そこから暴力団などに取り込まれるという形で、泥沼にはまってしまうこともある。 しかし気を付けて欲しいのは、上記の特徴が当てはまらない子もいるという事だ。 一見普通のいい子だが、実は虐待を受けている子もいたり、虐待を受けた児童がそのまま大人になって初めて気づくというケースも沢山ある。 これは児童にとって両親が当たり前の存在だからである。 こういった子の場合友達や先生などに指摘されてようやくその子とその家族が気付く事も多く、両親もそういった意識もなく愛故に一時的にそういう態度を取っていたこともある。 そこの貴方、画面の前のキミ、虐待を受けていませんか? 貴方は「当たり前」とは何か?と問われた時、どう答えるだろうか? この問いは非常に難しいが、不正解はわかるだろう。「出会い頭にキスをする」「魔法が使える」等だ。 しかし挨拶としてキスをする文化の国もあるし、二次元の人々にとって(作品によるが)魔法も当たり前なものという設定だろう。「当たり前」は周囲の環境次第で簡単に変わるのだ。 SCP Foundationをよく知っているアニオタならミーム汚染を思い出すかもしれない。つまりそういう事である。 虐待をする親の問題 色々読んで、多分多くのアニヲタが胸糞悪くなったであろう。 「そう言うヤツは生きてる価値なんざ無いんじゃい!」 という意見があるのも分かる。 だが、虐待した親を叩くだけなら誰でも出来るし、それで解決するなら児童虐待はこんなに根深い問題にはならない。 虐待した親は多くの場合、自分の親から虐待を受けていたことがままある。過干渉の項目にもあるが「昔は虐待ではなく合法な躾け行為だった」内容も多々あるのだ。 つまり 虐待されているのを自分のせいにして、親に対しての感情を抑え込む ↓ 成長して自分が親になる ↓ 自分は愛情のある育て方をしようと思っても子供が言うこと聞かず(これ自体は子育てをすれば誰もが経験すること) ↓ しかし自分が原因だと自身を責める ↓ 押し殺していた感情が児童に向けて爆発してしまう ↓ その子供も、親を責めずに自分を責める というような負の連鎖が出来上がるのである。もちろん他の連鎖反応式もある。 これを止める為には、周りが気づいて止めてあげる事が必要になってくる。 CMなんかでも言っているが、間違っているかもしれなくても児童相談所に電話してほしい。 児童相談所も人手不足や制度不備で十分動けないことはあるが、それでも救われる児童は少なくない。 虐待のあった家庭の近所に住む人の多くは、気づいてあげられなかったことを後悔している。 当の親も、自分の行動が悪いことである事が分かっているのに虐待を止められず、警察に相談すれば逮捕されてしまいかねず、誰にも相談できないまま泥沼にはまっている事もある。 そんなときに児童相談所から差し伸べられる手が希望の光になることは少なくないのだ。 こうなった原因の多くは、近所付き合いの無さである。 電話一本で救える可能性があります。子供も親も。 また幾つかの虐待の原因の中には「実は親の方が脳などに疾病を患っており始終過負荷が掛かった状態の為堪える事自体が不可能だった」ケースもある。 この場合は明確に加害者側の身体状況の方が原因のため、家庭の側だけの努力ではどうにもならない。 そういった親の疾病を取り除く医療の目や医療を受け易くする経済・社会面の支援も重要(*17)と言う事である。 周囲の対応 児童虐待は、児童自身から助けを求めることが難しく、周囲の気づく視点が大切である。 後悔してからでは遅いんです。もう一度言うが、間違っているかもしれなくても児童相談所に電話してほしい。 虐待の相談対応は、決して簡単ではない。 それどころか、周囲の対応のまずさが、虐待された児童にとどめを刺してしまう場合もある。 児童が助けを求めてきても、その場で虐待の物証などなかなか出せるものではない。 児童の証言しか根拠がないと、「児童虐待なんてあり得ない」「ただの親子ゲンカだろう」という先入観から 「ぶたれるようなことをしたきみが悪い」 「親はきみを愛しているのだからそんなことをするはずがない」 と、児童を突き放してしまうケースがあるが、これは絶対にやってはいけない最悪の対応である。 「助けを求めても意味がない」「むしろ自分が悪いことにされてしまう」ことを理解させられた児童は、誰にも助けを求められないまま、取り返しのつかない事態になってしまうのである。 確かに、児童の言い分にも何か間違っている点がある可能性は否定できない。 専門の相談員や警察官ならともかく、近所の一般人や親戚が児童から話を持ちかけられて、適確に対応しろ、と言うのも厳しい話だ。 けれども、虐待の相談を受けたなら、まずは児童の言うことを否定せずに聞くこと。 児童が間違ったことを言っていたとしても、それを非難したり説教したりするのは、相談を持ちかけられた周囲の仕事ではない。 安易な決めつけは、虐待の共犯になることを肝に銘じて欲しい。 虐待の兆候 以下のような特徴があれば、児童が虐待を受けている可能性がある。 児童の様子 叩いた痕や痣があったり、目立つ傷に治療を受けている様子がない。特に痕や痣をやたら隠そうとする子供は危険。 年齢と比べて明らかに体が小さい。またはやせ細っている。 逆にあまりにも太っている(食事こそさせてもらえているが、ろくな栄養管理がされていない可能性が高い)。 冬にTシャツ1枚だったりするなど、季節に合わない服を着ている。 服や身体が見るからに不潔。体臭が酷かったり、一見して分かるほど口の中が虫歯だらけになっていることも。 鼻風邪や虫歯治療などが施されていない(青っ洟の垂れ流しなどは戦後初頭の摂取栄養が低い頃に頻発していたものなので平成や令和以降の今にも拘らず「戦後初期の様な生活水準である」という事)。 夜中に親や信頼できる大人が付き添わない状態で外にいる。 怒鳴り声や泣き声が毎晩のように聞こえる。 家に帰ること自体を嫌がる。 普通の児童が明らかに学校に行っている時間帯に公園などにいることがしょっちゅう。 親などの大人に対してやたらと萎縮した態度を見せる。 嘘をつくことを繰り返す(自分の身を守ったり、気を引くために嘘をつかなければならない状態になっている可能性がある)。 単におとなしいというレベルではないほどに表情などの反応が乏しく、無反応・無表情が多い。逆に、何に対しても落ち着きがない。 やたらと友達の家に遊びに来て、食事などをねだる(食事すらさせてもらえていない可能性がある)が、自分の家には行かせたがらなかったり自分の家より他人の家の方が寛げている。 非行や犯罪行為に手を染める(飲酒、喫煙、万引き、いじめ(*18)、暴力、動物虐待、その他問題行動)。 明らかに年齢と合わない性的な言動の多発。 前項に近いが明らかに時代錯誤な価値観内容の言動が多い(女性蔑視、優生選民思想、カースト的な下位身分への侮辱罵倒語など)。 親の様子 それとない忠告や子育ての話題にヒステリックな反応をする。 子供の話題の話をしている際、よく聞いてみると子供の良い部分を自分の手柄の様に宣い、悪い部分を配偶者か子供本人の個性に押し付けている。 他人を叱り付ける、暴力に物を言わす話題を好み、始終他者の落ち度や悪さのあら捜しに没頭している(嗜虐依存の現れ) スポーツ観戦などをしている際、選手の健闘を称えたり褒める事をほとんどせず、ミスや落ち度ばかりを探し選手や監督などを侮辱罵倒して憂さ晴らしする事ばかりに没頭している。 人の見ている前で乱暴な叱り方をしたり、時には暴力をふるう(見ていない所でもダメだが、見ている前でやっている場合悪いとすら思っていない可能性が高く危険性が高い)。 子供の見ている前で末端店員や窓口応対職員などに対し横柄不遜な態度を取り、決してへりくだらない(子供を含めた「目下の人間に対する基本思想」がそのまま出る)。 先天性疾患や内臓系の持病を持った他者に対し「先祖が何か罰当たりな事をした」、「ああいう医者の手に係るのはそもそも早死にすべき出来の悪い穀潰し」などと言って本人や入院通院治療行為などを侮辱罵倒する(優生淘汰思想的な差別思考の現れ、大抵子供にも向けられる)。 自身の学歴や境遇に対して強烈なコンプレックスや過剰な誇りを抱いており、自身や他者(配偶者含む)に対して学歴・職業差別発言を頻繁に行う。 児童を家に一人にして夜中の帰宅や朝帰りがしょっちゅう。あるいは、ギャンブルなどにふけっている。 兄弟姉妹間で露骨な差別、取り分け大人に都合の良い価値観を満たす者を贔屓し、本来の年齢相応だったり個性的な行動をする者を蔑み虐げる対応を採る。 児童芸能人などに対し大人に都合の良い、特に親の栄光心や経済的な都合を満たす部分ばかり評価し、年齢相応の部分を嫌悪する。 SNSなどで児童の話題を出す時に児童を貶してばかりいる。(*19) 親自身がもう片親から暴力やハラスメント、DVを受けている(得てして子にも矛先が向けられる。行為を見せるだけでも虐待に成り得る)。 他所の家庭的だったり子供に親身な親や教育者の対応を見て「子供が付け上がる」、「ガキに舐められてるだけ」といった罵倒や愚弄する態度を取る(「子供は屈服させる目下の者」という思想の現れ)。 スポーツなどを自分で教える際に自己流かつプロの大人用インストラクトなどを無理に押し付け年齢に合った教育法を行わない、あるいはそれ等のプロの児童向け指導者の指摘などに対し攻撃的になり侮辱や罵倒を行う。 過度の飲酒や喫煙(子供が真似する恐れがある、親の体調悪化による育児放棄、受動喫煙が子供にも悪影響を与える恐れがある、泥酔して暴れるなど)。 家がゴミ屋敷になっていたり、電気ガス水道が止まっている。 時代錯誤な価値観に憧憬を見出す発言をしている(父系家族を至上とする、女性を蔑視する、西部開拓初期等の様な人付き合いに乏しく武装自衛が必要な世界・家族状態を愛好する等)。 行政による保護の問題点 上記のような事態を見て、「行政が児童を預かればいいんじゃないの?」という疑問を抱く人は多かろう。 確かに、虐待する親から児童を取り上げて国の養護施設で面倒を見る制度はある。 だが、現状虐待された児童を軒並みそれによって救うというのは、あまり現実的ではない意見だと言わざるを得ない。 というのも、様々な虐待を受けて心に傷が付き、個別の配慮が必要な児童を集団で管理するのは非常に難しい。 そして、引き取る養護施設の児童は、虐待を受けていた児童だけではない。 非行少年もいたり、親の死亡や重病など、誰かに落ち度がある訳でもないのに入所せざるを得なくなった児童もおり、多かれ少なかれ生じている児童の心の傷に対し、必要なケアの種類はバラバラだ。 これに対して、養護施設および職員の人的・経済リソースはかなりカツカツ。 時には十人以上にもなる児童ひとりひとりにしっかり向き合い、惜しみ無い愛情を注ぎ、彼らなりに考える最善の保護環境を提供することは物理的に不可能なのが実情。 養護施設の手前である一時預かり所は子供が集中し易く、更にリソースが切迫している。 自治体によって差異があり、全ての施設がこんな状態ではないことは留意頂きたいが、ただでさえオーバーワークな職員の負担を減らすためひたすら事故などが起こらないよう機械的・或いは懲罰的に管理統制するだけの施設も残念ながら存在する。 「児童同士私語も目を合わせるのも禁止」 「携帯電話を持っていても使用禁止、外部の友達とも話せない」 「ルール違反にグランドを何周もさせる(*20)」 「『同室の児童と談笑していたから』と言う理由で、窓すら無い二畳間の懲罰部屋に軟禁」 「真冬に二時間正座させたまま反省文を書かせる」 「それまで問題なく通えていた学校にも通えない」 「施設によっては私物はパンツ一枚持ち込めない」 「進学校で優秀な成績を収めていた中学生に小学校低学年向けの計算問題を解かせる」 なんて事例が報告されている。 もちろん 「一緒の施設には非行少年も入っている。彼らとつるんで非行を学んでは困る」 「ルール違反を許して増長されると管理が難しくなる。要保護児童には中学生以上もいて、職員より体力があることも珍しくなく、管理に従わない児童は職員を危険にさらしかねない」 「学校に通わせようにも、虐待親が登校中を狙って子を奪還しかねなかったり(*21)、距離がありすぎて危険。と言って送迎の人手はない。」(*22) 「児童の年齢や成績に応じた教材なんてとても準備できないし、教えられる先生役も準備できない」 「不公平と思われたら児童が言うことを聞かなくなるので、「携帯など私物のない児童」「学校に通えない児童」など、環境の悪い児童に合わせて全員に我慢させざるを得ない」 という養護施設側のやむにやまれぬ事情はある。 だが、養護施設側の事情がいくらあっても児童の側からは関係のない話で、これでは養護施設で余計にグれてしまったとしても無理はない。 面積的な制約もあるので、「私物はランドセル一個分しか許可されず、親の形見も強制的に捨てさせられた」という事情がトラウマだったと語る施設出身の凶悪犯も居た。 養護施設とは少々違うが、 「頼れる親戚のいない親が1か月入院する必要が生じてしまい、止む無く施設に我が子を預けたら、入院前は元気だった我が子はPTSDを患って不登校になってしまった」 といった事例も複数報告されており、2021年現在訴訟が施行中である。 こうした養護施設の保護環境の劣悪さに耐えかねて「虐待をする親でもいいから家に帰りたい」と訴えたり、「親とうまくやっていけない自分が悪いの」と自分を責める児童すらいるほどだ。 引きはがされた親がショックで更生すればよいが、これ幸いと施設に児童を押し付けてしまうことさえある。 また、児童を親と復縁させないでずっと施設で暮らしてもらう、と言うのも現実には問題が大きい。 施設で暮らしていれば、進学にも制約が大きくなる。 高校や大学への進学には親の経済力が重要という現状は厳然として存在している。奨学金も決して簡単に得られるものではないし、得られたところで返さなければならなかったり、そもそも保証人(大概は親)がいないと借りられない奨学金も多い。 給付型奨学金もなくはないが、虐待トラブルで心に傷がついて学業も遅れがちな児童が、優秀さが求められる給付型奨学金を得るのは困難を極める。 就職するにしても、進学せず施設育ちの児童が暮らしを営めるような仕事に就職するのは厳しいと言わざるを得ない。親がいないため、身元保証人すら簡単に立てられないのだから。 親と絶縁させてずっと施設で暮らさせる、ということは、児童をこうした将来の大きな負担に晒す危険性が大きい。 親が更生するならば、上記のような問題は発生しにくく、施設で暮らすよりは児童にとってずっと良い。 そう考えると、「保護することは児童にとって良いことだ」と簡単に決めつけられない場合が多く、児童相談所も安易に「親と永続的に切り離す」という決断に踏み切れないのだ。 このような前提条件を考えると、施設に入れる方が児童の利益と簡単に言えないため、施設に入れるのは最終手段になりがちである。 また、児童相談所ができることについて「保護されるような児童が脱走したら不安だ」「子どもを連れ帰る親が押しかけて住民に危害を加えるのでは」「治安が悪化して地価が下がるのではないか」という住民からの反対運動も起きている。 反対運動を起こした住民側が炎上し、児童相談所も最終的には無事に設置されたケースもあるが、反対運動の激しさに設置が断念されたケースもある。 もちろん、設置に際して別に反対運動も何もなく、スムーズに設置できているケースもある。しかし、こうした反対運動が広がれば、設備の拡充だって難しくなるのだ。 一般市民としても虐待親に怒りを表明するだけではなく、児童の保護に理解を示し、予算を割き、保護に協力していく姿勢を出していかなければ救える児童も救えないのである。 虐待は誰がするのか? 日本で虐待が一番多いのは母親。児童といる時間が最も長いのが最大の原因だろう。 その9割近くが旦那がいない(シングルマザー)、旦那が育児に無関心or育児に割けるリソースを失っている状態であり、 日本の育児は女の仕事と全て母親に放り投げてしまっているのが原因とされる。 育児によって心の余裕や社会性がなくなる為、母子だけの閉ざされた環境が続きストレスが溜まる。 そのストレスから狂暴性を持ってしまうのは動物的な本能なので母親を責めるのは本当は間違い。 一番いいのは育児が大変だから、他人に迷惑になるから等と家に閉じ込まらず様々な場所へ行って孤立しないようにすること。 夫や両方の家族、周り近所が少しずつ手を貸すことにより母親に余裕が出て虐待数は減る。 虐待で最悪な場合死を迎えるケースも少なくないが、こちらは食事すら与えない育児放棄(ネグレクト)や体罰が原因で、 自分なら大丈夫だからと大人に対する力加減で暴力を振るったり、自分ならそんなに食事しなくても平気だった等成人基準で考えて行動してしまうケースが多い。 昔はよかったと同じ心理で記憶の誇張や改ざんが原因となっている。 そもそも根本的な話、人間は群れで生活する様に進化してきた生き物なので、「夫婦二人のみで子供を育てる」事自体が無茶なのである。 生まれて数時間で歩けるようになる獣、例えば馬なんかとは、生物としての在り方が全く異なるのだ。 公私問わず受けられるだけのサポートはありったけ受けよう。それは決して恥ではない。 サポートを受けることや、いわゆる「未婚の母」を攻撃する言説…そうした攻撃を見た母親は問題を抱え込みやすくなり、結果として最悪の事態を生じさせてしまうのだ。 家庭の実情を理解せず、安い正義感で母親を攻撃する言葉は、まぎれもなく虐待の原因である。 上にあるが虐待数が1番多いのは母親だが虐待死させるのが1番多いのは父親。 男性は比較的、力が強く為子供への力加減ができないケースや自分が産んでいるという意識が低い事から自分の子供としての意識の欠落が多く、 それ故家族ではなく邪魔物・厄介者等として扱ってしまう。そしてこちらも動物本能が原因で自分の群れに新入りが入った事への不満等から当たってしまう。 これを防ぐには父親に親子であると認識させる為子供と遊んだり、食事をさせる等行うのがいいがそれでも認識できない者は多い。 性的虐待も父親の方が多く、日本でも1番多い性的虐待者は父親が断トツで次が兄、その次が弟・姉・母、そして他者である。 日本では性的虐待を受ける女児は多く、小学校卒業までに7割の女児が何かしらの性的虐待を受けている(痴漢も性的虐待に入る)。 その2割が虐待や事件によって亡くなっているので女児の場合は性的虐待が原因で亡くなるケースが1番多い(成長してからの自殺含める)。 家族は子供に性的虐待を行う事すら考えつかない為発見が遅く、子供も幼いと性的虐待を虐待と知らない為誰にも言わず手遅れになる。 子供だから忘れるだろう、ちょっと悪戯しただけ、少し興味があった等と軽く考えているケースが多い。 子供の記憶力は大人より優れている事もあるので一生残る心の傷になる。 幼い子供には男女関係なく大人の成熟した性器を見せるのもトラウマになる為、これも立派な性的虐待だったりする。 男児の性的虐待は小学校卒業までに3割ほどだが、虐待を行うので一番多いのは兄。 様々なアダルト知識を弟に見せたりしているケース。 これの一部には「兄弟姉妹を同じ部屋で住まわせる」のが原因である場合があり、年上の側が思春期などに入りどうしても性的関心が発生し、 下の血縁者に性的行為・いたずらを行ってしまうという部分がある。 部屋を個室にすれば危険は減るが、貧乏な賃貸や社宅アパート、古い家屋で暮らしている場合は子供と大人の部屋すら分けられないケースも多く、危険を避けることは難しい。 児童虐待と冤罪 児童虐待の中でも、特に乳幼児に対するものは、児童がケガをするなどして運び込まれた病院などの通報により発覚することが多い。 しかし、児童自身に虐待された意識がなく、親が虐待を否認すれば、虐待の証拠は児童自身のケガの様子しかない場合も多い。 児童は親にはしばしば予想もつかない行動をし、僅かな衝突やうっかりミスが重大なケガに繋がる事故も起きやすいため、事故で負ったケガなのか虐待で発生したケガなのか区別するのが非常に難しい。 こうなると虐待の有無の判断は医師の専門的な鑑定に頼らざるを得ない。 だが検察や児童相談所が依頼すべき医師が何科か正確に理解できておらず、脳の障害について脳神経外科でなく小児科医に、腕の骨折について整形外科でなく内科医に判断させるということも起きてしまっている。 更に、こうした鑑定を任される医師は児童虐待防止運動に関与している医者が多く、逆に言えば児童虐待の防止に過度の正義感を持っており、中立性が疑われたり、刑事裁判の一大鉄則である「疑わしきは罰せず」を理解しないまま虐待と決めつけるようなケースも出ている。 実際彼らの鑑定を根拠に虐待と断定したところ、裁判で本物の専門家が出てきて虐待という鑑定が言い負かされ、結果として裁判所が「虐待と断定する医師の鑑定は信用できない」と判断して無罪となるという事例が近時度々報道されるようになってきた。 児童虐待の疑いがかかれば、親はたとえ全く虐待などしていなくとも、何年もの間、傷害や時には殺人などの疑いをかけられて裁判に臨まなければならなくなる。一度実刑を言い渡されながら高裁で逆転無罪となった事例さえある。 そこまでいかなくとも、長期間にわたって子と引き離される親の例はしばしばある。 かといって、児童虐待が弱者を標的にする許しがたい犯罪であることや、放置していれば児童の命にかかわることも事実であり、児童相談所や裁判所は本当に虐待があったのかどうかにしばしば頭を抱えている。 虐待を受けた場合は 虐待を受けると、「虐待を受けたことは恥ずかしい」「怖くて言えない」「自分が悪いのでは」といった思考に陥りがちです。 しかし、虐待はどこまでいっても卑劣な犯罪であり、あなたは全く悪くないのです。もし虐待を受けている場合、速やかに189への通報を強くお勧めします(通告は法律で定められた国民の義務です)。 また、「仕返しが怖い」という方は、児童相談所に直接駆け込んで状況を説明し、帰りたくないという意志をしっかり示すことが重要です。たとえ追い返されても何度でもやってください。 あなたが健やかに生活できることを祈っています。 以上、被虐待児の高校生からのアドバイスでした。 「父親である事は権利ではない。 …神の恵みだ」 「子供達を殴る方がクズだ!」 「親の躾はできないが、この子はなんとしても守ってやりたい」 「子供の為なら、死んでもいいっ!そういうのが親なんだよっ!!」 (´●ω●`) 神に詫びろ…!!腐れ外道が!!! 追記・修正は虐待を許さない方がお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 子供に八つ当たりするならなぜその子を産んだんだよって問い詰めたい -- 名無しさん (2018-07-17 19 39 47) コメント欄が長くなってきたのでリセットしました -- 名無しさん (2018-09-05 20 49 53) 問い詰めた所で意味ないけどね -- 名無しさん (2018-12-20 18 01 29) こういうようなことをする輩にポケモンのタケシのあの言葉「お前ら人間じゃねぇ!」って言いたい(冗談抜きで) -- 名無しさん (2018-12-20 21 04 35) クロームちゃんもこれかもな!実の母と義理の父は娘が事故でケガしても見向きもしなかったし、なんとなく犬が心配するのも無理はないな! -- 名無しさん (2019-01-08 15 27 26) ↑5こういう親は「いまだに結婚してないの?」と親に急かされるか、いきずりの恋愛で「できちゃった婚」と、覚悟が無い状態で親になるから「子供が子供を育てる」という悪循環に近くなる。特にDQNだと更に酷い -- 名無しさん (2019-01-27 12 27 44) 子供をモノとして見てるケースもある。「面白半分で育てたけどなんか飽きたから捨てよう」ってタイプも過去にあった -- 名無しさん (2019-02-21 08 31 02) Wikipediaによると、父母どちらかによる連れ去り(合意のない別居、子供に会わせないなど)も虐待にあたるらしい。子供だけでなく配偶者への虐待でもあるな -- 名無しさん (2019-02-21 09 53 04) 花騎士に嫁入り修行と称して両親の性行為を縛ってでも見せられ続けた子がいたらしいっすねえ -- 名無しさん (2019-02-21 10 00 40) 一番世界的に有名な被害者はたぶんスターリンだと思う 虐待されたら性格が歪むってのがよくわかる典型例 -- 名無しさん (2019-03-01 01 39 39) ヒトラーも過干渉で暴力的な父と過保護な母のおかげで歪んだしなあ -- 名無しさん (2019-03-01 02 05 35) サンジってレイジュにも何かされたっけ? とりあえずリアルの虐待親は殺処分でいいと思う -- 名無しさん (2019-03-06 18 52 16) ↑サンジが虐待されてるの見て保身のために笑ってはいたが陰で助けてたのにな -- 名無しさん (2019-03-06 20 35 14) ルイ17世の生涯もかなりヤバいよな。 -- 名無しさん (2019-04-17 00 04 10) ストライク・ザ・ブラッドの煌坂紗矢華もこのケースだよ -- 名無しさん (2019-04-17 02 02 04) 項目ではウルトラマンジードこと朝倉リクの名前も挙がってるけど地球で巡り合った「親」が優しい人ばかりだったので真っ直ぐ育った稀有な例。それとは別にとんでもないネタバレになるから言わんけどエゲツないネグレクトくらったニチアサ主人公がいるみたいですね......... -- 名無しさん (2019-06-23 01 41 25) キャルちゃんかわいそう。リアル親のせいでゲーム世界でも酷い目にあってる -- 名無しさん (2019-07-18 11 13 57) 子供の目の前でアニメ作品や出演声優に対するアンチ発言をするのも虐待や毒親の内に入るだろうか -- 名無しさん (2019-10-12 05 21 13) ズッコケ三人組のモーちゃんのお姉さんもこれかな?父親が大酒飲みだったから、お母さんにやったことはDVだよな。 -- 名無しさん (2019-11-02 11 12 22) 故意ではないが、キン肉マンは赤ん坊の頃に両親によって宇宙船から地球に捨てられ、十数年間援助を全く受けずに生きざるを得なかったという、ある意味最大級の虐待の被害者とも言えるかもしれない。しかしそのせいで正義超人のエリート意識とは無縁に育ち優しい性格になったため、後に超人世界に変革をもたらしたという稀有な例 -- 名無しさん (2020-03-19 10 50 41) 改めて考えると暗殺教室では児童虐待を受けた人多いな。千葉くんや速水さんもそうだし。広海は改心したけど、許しがたい女。 -- 名無しさん (2020-04-04 07 16 11) どうしても子供を上手く育てられない時は手放してあげるのも愛情だと思う -- 名無しさん (2020-05-12 01 35 42) 「年齢と比べて明らかに体が小さい。またはやせ細っている。」→先天性の障害が原因でこうなってんのに虐待扱いされたときは本当に不快だったわ。障害者に生きる権利はないのかよ。 -- 名無しさん (2020-05-12 22 31 10) ↑ 不愉快になる気持ちはわかるが、「先天性かもしれないから」で放り出してたら手遅れになる子供が出ることも事実だし調べてみないと分からないよ。 -- 名無しさん (2020-05-12 22 42 13) 遊戯王、特に原作の父親は児童虐待、もしくはそれに近いことをやりまくってるのがやばい。現代の親だけじゃなくて古代エジプトの父親共も故意かどうかは別として子供に害を残しまくってる。登場しなかった遊戯父が一番マシってどういうことやねん -- 名無しさん (2020-06-30 13 45 19) ジーザスタウンというのはある意味究極の虐待防止かもしれない -- a (2020-09-24 00 27 53) フルーツバスケットとかいう虐待の嵐、少女漫画の沼は深い -- 名無しさん (2020-09-26 02 34 10) [t -- 名無しさん (2020-09-27 15 52 36) 「天気の子」の帆高くんも小説版によると父親にボコられていたらしい。なら島を脱出したがったのも無理は無い。 -- 名無しさん (2020-09-27 15 53 58) 虐待する親を子供が殺害した場合って情状酌量はされるのかな? -- 名無しさん (2020-09-29 08 52 39) ↑70年代当たり、父親からの虐待に耐えかねた女性が父親を殺害した時、当時尊属殺は軽くても無期懲役だったため、これで無期はおかしいのではないかという声があり、最終的にに執行猶予付きの判決になって、その後尊属殺に関する法律はなくなった。 -- 名無しさん (2020-09-29 13 40 17) 暗殺教室の潮田広海は改心したとはいえ許しがたい女だが彼女も親(渚くんの祖父母に当たる人物)に虐待みたいな教育をされていたとか?あと広海を他のキャラに例えると絶チルの須磨だな(皆本の前担任の)。薫達をまともに変えようとするのだが虐待みたいな暴力な教育でやってたしそれは須磨自身も母に虐待されてたせいなんだよな。 ただしアニメ版では須磨はなんやかんやで薫達を理解しようとしてたとか?アニメ版では須磨の虐待のシーンカットされたし他のアニメにも虐待のシーンのカットあるかな? -- 名無しさん (2020-10-26 18 40 55) 自身を虐待していた母と祖母を殺害した女子高生がいたがその後どうなったんだろ。 -- 名無しさん (2021-01-01 21 29 44) ↑2劇中で改心してちゃんと父親ともより戻したんだから渚の母ちゃんはもう許してやれよ… -- 名無しさん (2021-03-24 20 07 42) ↑1 確かにそうだが、だからと言って渚くんを脅して放火するのは良くないと思う!下手したら、あの鞭使いにもっと痛い目あってたと思うよ、広海。 -- 名無しさん (2021-04-04 05 55 30) 三次では是非とも滅ぶべき概念だけど割と二次元でも滅んでほしい。創作物で登場人物の悲しいバックボーンでの採用率が高すぎて脊髄反射的に「作者ボキャ貧だな…」ってなっちゃう -- 名無しさん (2021-06-26 21 57 00) 虐待は許せない -- 名無しさん (2021-08-28 14 26 17) でも、日本では対処の甘さから事実上... -- 名無しさん (2021-08-28 15 49 20) 助けて、入れて! ねぇ寒い入れてよ! 入れて……あ^~ -- 名無しさん (2021-10-22 16 02 07) ガキの頃、親の基準(ていうか気分)に触れると、触れた数×年齢×10回、登山用のロープ切ったやつで叩かれてたな。背中がミミズバレだらけになって寝るのもきつかった。そのくせ終わると「あんたの背中なんかより私の手の方が何倍も痛いわ!!」っつって逆ギレされた。なお、外面は良かったので児相は役に立たなかった。高校終わった翌日家を出て25年帰ってない。ちなみに結婚もしてない。子供に同じことしそうで怖い。 -- 名無しさん (2021-10-25 12 39 23) ヒロアカの轟くんとホークス、死柄木も入るな。 -- 名無しさん (2021-11-02 22 55 35) 2↑一昔前の凶悪犯罪者の統計みたいに罪を犯した側だけの統計から(似たような境遇でも犯罪に走らなかった人々をぬきにして論じていた)犯罪者の傾向を論じていたみたいに、児童虐待も本当に連鎖するのか疑問をもたれているからあとは貴方次第だと思うよ -- 名無しさん (2022-01-03 14 04 41) 子供の目の前で暴力行為が行われることも最近では虐待の定義にはいるから追記お願いします -- 名無しさん (2022-01-03 14 05 40) 子供のころの環境から相手に面となにかを主張すると最悪殴られる(そして殴り返すと自分のせいにされて警察のお世話になる)と思って表立ってなにかを主張できなくなる -- 名無しさん (2022-01-03 14 07 38) ↑ 学校では先生からも同級生からも殴られる蹴られる、家でも殴られる蹴られる怒鳴られる家に入れてもらえなかったから警察に助けを求めた小学生時代、まずは交番に言ったら「生まれた星の下が悪かったねー」だって。 警察署では「ちゃんと話し合えば分かり合えるよ」だとさ。 なくなるわけないんだよ、虐待なんか。 -- 名無しさん (2022-01-03 18 57 48) ↑児童虐待という概念がわりかし最近のものとはいえ、警察がその状況で保護を怠るってヤバすぎる -- 名無しさん (2022-01-03 19 01 16) ↑ 小4の頃だ、あの時の怨みを忘れたことはない -- 名無しさん (2022-01-03 20 14 40) ↑3 それ故か滋賀県で起きた母親殺害した事件とか北海道で起きた祖母と母親を殺した事件は親を殺した方が可哀想っていうケースだったな…どっちも虐待されていて警察に駆け込んでも何も対応してくれないからやむを得ずって… -- 名無しさん (2022-01-03 21 41 10) 母親庇って父親と殴りあいになったとき、警察来たけれど父親の話だけ聞いて私の話は聞かずに帰って行った。あの人たち片方が怪我しても保護にはなっても家庭内の問題だからと何もしないからね -- 名無しさん (2022-01-03 21 45 56) 人間って、少し手を伸ばせば救える存在をどれだけ取りこぼすんだろうなぁ -- 名無しさん (2022-01-10 04 53 32) 親「親のせいにするな!でも手柄は全部親のおかげ!」←これがほとんどの親が思ってることです。 そもそも「親に感謝しろ」っていう風潮がある時点で「親のせい」であることは明らかなんですよね。悪い責任はとりたくないけど良い責任はとりたいみたいな親が多過ぎます。 「親に感謝しろ」って言うってことは、それほど親の影響力が大きいって認めてるってことです。都合が悪い時だけ「親のせいにするな」はないですよね。 ま、自己中で自分大好きじゃなきゃ子供なんて作りませんよね(笑) -- 名無しさん (2022-03-11 18 49 21) ↑ 一歩社会になれば、人の上に立っているのはそんな人ばっかり。 子供のうちに気づくべきだったって後悔している自分が要る -- 名無しさん (2022-03-11 19 17 59) 虐待的人間関係の再現も追加すべき。 -- 名無しさん (2022-04-15 22 20 09) 気づいても大抵は見なかったことにする、それが現実 -- 名無しさん (2022-05-21 13 23 39) コメント欄にもちょくちょく痛いのが… -- 名無しさん (2022-05-21 15 04 03) その姿が痛いことに気がつかない、気がついても他にどうしたらいいかわからない。それが問題の解決していない毒親育ちさ -- 名無しさん (2022-11-06 17 42 25) 親にお金取られて生活できない、はある自分のなのに「私のお金」で持ってかれて終わり支払いも一切しないで酒と煙草して入院、溜まった支払いは全部自分がおっ被り+生活費も奪ってくから月数千円での生活。相談しても効果も意味無し、逆の立場だったら…とか考えて欲しい -- 名無しさん (2022-11-21 15 10 11) 「親になる資格」なんてもの誰ひとりとして持ってるわけねーだろ… そうやって都合のいい「理想で完璧の親」を脳内で作ってるから生きづらい人生なんじゃないの?「俺の毒親のせい」じゃなくてさ -- 名無しさん (2022-11-21 15 30 25) 子供の飯を抜くのは虐待ですか? -- 名無しさん (2022-12-13 19 35 17) ↑2資格はどうでもいいけど覚悟はいるだろ理想だとかもそういうんじゃなくて厳然たる事実として親が重い原因に明らかになってるものは世の中腐るほどある。それに作ってるから生きづらいんじゃなくて生きづらいから「普通の親だったら、」とか思うんじゃないの?ちょっと短絡だと思う -- 名無しさん (2022-12-19 10 34 44) ステップファミリーも原因として結構あるよ -- 名無しさん (2023-01-18 17 01 08) やってるほうは虐待だと本気で気づかないからね、過去に自分がされていたことを無意識に(下手すると意識的に)しているから本人的には整合性がとれてたりする -- 名無しさん (2023-08-17 19 33 49) この手の事件が起こると加害者について必ず「死刑にしろ、殺処分にしろ」なんて意見が続出するけど、まずは罪刑法定主義について考えるべき。納得できないなら自分たちで被虐待児を保護するなり、その親を始末すればいいじゃない。尤も、そこまでの正義感を持った人間なんて滅多にいないだろうけどね -- 名無しさん (2023-08-20 01 22 51) 記事を読んだ後にコメントの体験談を見るとなかなかキツイ・・・ -- 名無しさん (2024-03-25 16 09 36) 虐待する親って、大体が自身も虐待を受けて育ってきたパターンが多い。児童虐待を見聞きして「親許せない!親非道い!」って思える人は親からちゃんと愛を教わり愛を知っているから、と思うわ。 -- 名無しさん (2024-03-25 21 10 31) 名前 コメント
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※某ゲームのパロディです。 ゆっくり。人間の生首にも似た、言葉をしゃべり動き回る不思議な饅頭。 世界中にゆっくりが現れだして数年、人々が彼女らに見せた反応は様々なものだった。 無邪気に虐待をしたり、可愛がったりという人間ばかりとはいかない。 生理的に受け付けない、宗教上の理由から生物として認められないなど、 この奇妙な食べ物の存在を受け入れられない人々は、当然のことながら世界中に少なからずいた。 そして中には、ゆっくりの存在自体を蔑視、或いは『人類の敵だ』などと危険視し、 ゆっくりは絶滅させるべきだと主張するような過激な集団もあった。 北欧の或る地方、人里離れたゆっくりの集落。そんなカルトの一団の影が、ゆっくりと忍び寄っていた。 「それじゃあね、まりさ!」 「れいむ、ごちそうさま!またこんどゆっくりたべさせてね!!」 ここは木の根元に掘られたゆっくり一家の巣。 住んでいるのはれいむ・まりさ夫婦と、その子供達だ。 母親であるれいむとまりさ、そして長女子れいむが一匹に、赤ちゃんれいむとまりさが二匹ずつの計七匹家族である。 今夜は長女れいむが友達のまりさを招き、家族を伴って夕食会を開いていた。 お客さんと一緒に食べるごはんは、いつもとはまた一味違った美味しさがあった。 まりさの言う冗談はとても面白く、食べ方も誰とも違って豪快で、 明るく笑顔の絶えない、ゆっくりした食卓を囲むことが出来た。 赤ちゃん達はまりさのどこか粗野な雰囲気にかっこよさを感じ、すっかり懐いていた。 「あしたもゆっくりあそぼうね!」 「ゆゆっ!あしたはきれいなかいがらをさがしにいこうね!」 「「「「まりしゃおねーちゃん、またあしょびにきちぇね!!」」」」 暗くなった森の中を駆けていくまりさの背中を見送るれいむ。 このあたりには補食種もおらず、多少暗くなっても巣の外を出歩くことが出来た。 さて、晩御飯を食べ終わったらそろそろお休みの時間。 一日のゆっくりを締め括る、最高にゆっくりしたひとときである。 「もうよるもおそいから、みんなですーやすーやしようね!」 「おふとんをしこうね!」 「ちびちゃんたちのぶんはおねえちゃんがしいてあげてね!」 親達の号令で、子供達は一斉に寝る準備に入る。 と言っても赤ちゃん達は、お姉ちゃんれいむが寝藁を床に敷いてくれるのをゆっくり待っているだけである。 この日もいつものように、子れいむが赤ちゃん達の寝藁を部屋の隅から引っ張り出そうとしていた。 すると普段とは違い、ゆっくりしているはずの赤ちゃん達から声が上がった。 「ゆっ、まっちぇねおねーちゃん!」 「まりしゃたち、もうじぶんでおふちょんしけゆよ!」 「おひるにれんしゅうちたんだよ!!」 「ゆゆゆ!ほんとう!?」 これには子れいむもびっくりである。 少し前まで、柔らかい葉っぱさんすらも一人では食べられなかったようなおちびちゃん達が、 自分達で寝床の面倒を見れるようになっていたなんて! 赤ちゃんの成長は、何と速いのだろう。 「ゆゆっ、おちびちゃんたちすごいよ!!」 「ゆっくりおふとんをしいてみてね!!」 両親も我が子の成長ぶりを見ようと大興奮で駆け寄ってくる。 赤ちゃん達は乱雑に集積されている藁束から、端っこの数本を口にくわえて引っ張り出した。 「ゆっ・・・ゆっくちぃ!」 「ゆんしょ!ゆんしょ!」 がんばって引っ張り続けるが、絡み合った藁は赤ちゃんの小さな力ではなかなか引き出せない。 ようやく一匹の赤まりさが数本の藁をずるずると引きずり出し、寝室の真ん中へと運んでいく。 「ゆっふひ!ゆっふひ!」 寝藁を口にくわえながら掛け声をかける赤まりさ。 たった数本の藁であるが、小さな身体にとってはかなりの重さなのだろう。 一生懸命なその姿は、赤ちゃんの小ささ、儚さを感じさせ、可愛らしさをより際立たせていた。 眺めていた両親からも、自然と笑みがこぼれだす。 「ゆふふふ!あかちゃん、がんばってね!」 「ふふふ、もうちょっとでおふとんがしけるよ!」 「ゆ?おかーしゃん、どうちてわらってゆの?」 「ゆっ!それはまりさがとってもかわいいからだよ♪」 「ゆゆっ!まりしゃきゃわいい?ゆふーん!」 赤まりさは身体を伸ばして恥ずかしそうに笑い、両親に媚を売ってみせる。 そんなことをしている間に他の姉妹達はどんどんおふとんを敷いていき、それに気付いたまりさは慌てて作業に戻る。 その様子を見て、またも両親からは愛玩の笑みがこぼれるのだった。 一家の姿を眺め、子れいむも思わず笑いを浮かべる。 れいむは、長ぱちゅりーが言っていた「笑う門にはゆっくり来たる」という言葉が大好きだった。 ゆっくりすると笑顔になる。笑顔になるとますますゆっくり出来る。 きっと自分達の毎日は、それを繰り返してゆっくりと過ぎていくのだろうと思う。 未来に広がり続けるゆっくりという希望を、れいむは全く疑おうともしなかった。 おふとんを敷き終わり、「ゆっくりおやすみなさい!」と家族全員で宣言すると、一斉に睡眠に入る。 家族みんなの幸せそうな寝顔を見回して「ゆふふ」と微笑んだれいむは、自らもゆっくり目を閉じた。 れいむは夢を見る。大好きなまりさや家族達、そして群れのゆっくりみんなが笑って暮らす夢だ。 「おきてね!ゆっくりしないでおきてね!!」 れいむの幸せな夢は、親れいむの悲鳴にも似た呼び声によって無理矢理中断された。 「れいむはたのしいゆめをみてたんだよ!」とぷんぷん怒ろうともしたが、 母親のゆっくりしていないただならぬ様子に、事態の把握に努めることが先だと悟った。 「おかーさん、どうしたの?」 「「「「まだねみゅいよー・・・」」」」 外からは赤い光が差し込んでいる。朝焼けの光だろうか、とれいむは思った。 「わるいにんげんたちがせめてきたんだよ!ゆっくりしないではやくにげてね!!」 「ゆ・・・?ゆゆゆゆ・・・・!?」 れいむは何を言われているのか解らなかった。 自分達はずっと平和に暮らして来た。人里離れたこの地で生まれ育ったれいむは、人間を見たことがない。 その人間が外敵として、暴力を振るってくる……その全く未知の恐怖を、すぐには想像出来なかったのだ。 しかし親達は人間の脅威を知っているのだろう、その慌て様はれいむが生まれて初めて見るものだった。 「ゆ?にんげんしゃんたちがきちゃの?」 「まりしゃたちどうなっちゃうの?」 「みつかったらころされちゃうよ!!ゆっくりにげてね!!」 「「「「ゆゆゆゆゆ!?」」」」 赤ちゃん達はれいむ以上に困惑している。まだ生まれて間もなく、家族の愛しか知らない赤ちゃん達は、 暴力というものに対する知識や想像力を全く持ち合わせていなかった。 怖いことが起こっているということは何となく理解出来ても、それ以上の認識は持てなかったのだ。 「むぎゅうううううーーーーーー!!!」 その時、絹を引き裂くような悲鳴が巣の中に飛び込んでくる。 親れいむと子供達は、みな一様に身体をビクリと震わせた。 「い、いまのはぱちゅりーのこえだよ!!」 「おかーしゃん、ぱちゅりーおねえちゃんどうしちゃの!?」 「ゆっくちできない・・・こわいよぉぉ・・・・・」 「ぱちゅりーはにんげんにつかまっちゃったんだよ!みんなもにげないとつかまっちゃうよ!!」 知人の死というリアルな恐怖に晒され、現実を認識し始めた赤ちゃん達の目から涙が溢れ出す。 れいむも例外ではない。ぱちゅりーとは仲良しで、まだ教えてもらいたいことが沢山あったのに。 気付いてみれば、外からはゆっくりの悲鳴や何かを叩くような音が絶え間なく聞こえ続けていた。 「ゆっ・・・ゆぇ・・・・・」 「ゆわあぁぁぁん、やぢゃやぢゃやぢゃ!!れいみゅいたいのやぢゃよぉぉぉぉ!!」 「おかーしゃん、にゃんとかしちぇね!!まりしゃたちをゆっくちたしゅけてね!!」 恐慌状態に陥った赤ちゃん達は、巣の中を暴れるように跳ね回り、悲鳴を上げて助けを求めた。 れいむはお姉さんとしてそれを抑えなければならないと思ったが、一緒になって泣き叫びたい気持ちでいっぱいだった。 すると、親れいむが子供達をキッと睨み付ける。 「しずかにしてねっっ!!」 「「「「ゆっ!!」」」」 いつも優しいお母さんが、初めて見せる鬼の形相。 赤ちゃん達はあまりの恐怖にすくみ上がり、お母さんの方を向いて静かになった。 「うるさくしてるとにんげんにみつかっちゃうよ!!みんなころされちゃってもいいの!?」 「や、やぢゃよ・・・」 「だったらおかあさんのいうことをきいてね!!」 親れいむはこれからすべきことについて、子供達に説明する。 木の根元に掘られたこの巣には、木の真下をくぐって反対側に非常口が作られている。 一度も使われたことはなく、落ち葉に覆われているので見つかることは絶対に無い。 そこから出た先の森にはゆっくりは住んでいないので、人間の襲撃の手が回ることもないだろう。 真っ直ぐ行って三本目の木の近くに、親れいむが昔親まりさと一緒にかくれんぼをした洞穴がある。 そこに潜んで、人間達が去るまでやり過ごして欲しい、と。 特に子れいむには、妹達を守ってあげてほしいとよく言って聞かせた。 「ゆ、ゆっくりわかったよ!それじゃあおかあさんもいこうね!!」 「ゆっ・・・だめだよ!おかあさんはおうちにのこるよ!!」 「ど、どうして!?にんげんさんにつかまっちゃうよおおおぉぉぉ!!」 「ゆっくりのおうちにゆっくりがいなかったらあやしまれるよ!! おかあさんたちがにんげんたちをくいとめておくから、ちびちゃんたちはゆっくりにげてね!! まりさもいりぐちでがんばってくれてるよ!!」 「いやだよ!!いやだよ!!おかあさんがいないとゆっくりできないよぉぉぉぉぉ!!」 「おかあさんのいうことをゆっくりしないできいてねっ!!」 どん、と親れいむから体当たりを受けてしまう子れいむ。生まれて初めて味わう親からの体罰だった。 そしてそれは、自分達のためにお母さんがどれだけ必死になってくれているのかということを、そのまま子れいむに伝えた。 痛みと悲しみから目に涙を滲ませながら、子れいむは親を置いて逃げ出す決心を固める。 「お、おかあさん・・・ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしていってね、れいむ・・・おかあさんたちになにがあっても、 れいむだけはぜったいにいきのびてね!!ちびちゃんたちをまもってあげてね!!」 互いに泣き顔を伏せ、背を向け合う。 れいむはおろおろしている赤ちゃん達を半分は頭に載せ、半分は口に含み、巣の奥へと駆け出す。 後ろの方から、親まりさの「いだいよ!!やべでね!!!」という声が聞こえてきて、ぎゅっと目を瞑った。 (おかあさんたちごめんね!!れいむはおかあさんのぶんもゆっくりいきるよ!! いきてまりさといっしょにゆっくりするからね!!) 閉じられた非常口を体当たりで押し開け、言われた通りの場所へと、音を立てないように急ぐれいむ。 赤ちゃん達の半分はれいむの口の中だし、もう半分はれいむの髪の毛に口を使って必死にしがみついているので、 悲鳴を上げる余裕などなかった。赤ちゃん達を口に含んでいるれいむも静かにならざるを得ない。 途中何度か振り返って様子を見てみると、ゆっくり集落のあちこちが炎に包まれ、 まだ深夜の暗闇に包まれる森の中を赤々と照らしていた。 どれほどか昔、なぜか人間がこの森に作り捨てていった、小さな木の小屋。 群れをまとめてくれた長ぱちゅりーが住んでいたそれは、既に黒い炭を残すのみとなっていた。 れいむはそれを見て、(もうむれはおしまいなんだ)と嫌でも悟らざるを得なかった。 ゆっくりの返り餡を浴びた何人もの人間達が、炎に照らされて狂乱の宴を繰り広げている。 その手には各々、ゆっくりを屠殺するための何種もの武器が握られ、風を切って唸りを上げていた。 これが本物の恐怖。 れいむは、動かなくなりそうな足を引きずり……お母さんの言っていた洞穴へと辿り着いた。 「ゆっ!ここまでくればもうだいじょうぶだよ!!」 何せ、あのお母さんが用意してくれた隠れ場所。見つかるはずがない……そう信じたかった。 口の中の赤ちゃんを吐き出し、頭に載せていた赤ちゃんもゆっくり降ろしてやる。一同はようやく一息つくことが出来た。 おうちに比べれば遥かに狭い洞穴の暗闇で身を寄せ合いながら、赤ちゃん達はプルプルと震えている。 「ゆぅ・・・にんげんしゃんきょわいよぉ・・・」 「ぜんぜんゆっくちちてない・・・どうちてあんなことしゅるの・・・」 「ほんとだね・・・にんげんさんがあんなにこわいなんて・・・」 頭の上から人間の蛮行を目の当たりにした赤ちゃん達は意気阻喪し、へたりと潰れて弱弱しく泣いている。 ゆっくり達を潰して回る人間達の表情は、みな一様に笑顔だった。 れいむですら、食べ物である虫を殺す時に罪悪感を覚えることがある。 食べるのは生きてゆっくりする為に、生き物誰にでも必要なことだ。そう自分に言い聞かせ、尊い犠牲を摂取している。 しかしあの人間達は、食べるでもなく、ただゆっくりを殺戮する事に快感を覚えていた。 れいむには理解できぬ死生観……聞いていた人間というイメージとは違う、異形の怪物がそこにいるような気がした。 「ゆゆっ!ゆっくちできにゃいにんげんしゃんなんて、まりしゃおねーちゃんがやっちゅけてくれゆよ!」 「まりしゃおねーちゃんはちゅよいんだよ!!いぬしゃんにもかったことがありゅんだよ!!」 口の中にいた赤ちゃん達が、他のみんなをそう言って励ます。 まりさお姉ちゃんとは、れいむの親友のまりさのことだ。 お食事会の時、じゃれてきた赤ちゃん達にまりさは自らの武勇伝を語って聞かせていた。 野犬に襲われた時に、まりさが知恵と体力の限りを尽くして撃退した現場には、れいむも居合わせた。 その時のまりさの姿は、この世の何よりも強く頼もしく、かっこよく映ったものだ。 れいむはイメージを反芻し、自分を勇気付ける。あの強いまりさなら、人間達にも負けはしない……。 「ゆぎゃあああぁぁぁ!!やべでっ!やべでねえぇぇぇぇ!!ばりざにひどいごどじないでねぇぇぇ!!」 「ゆっ・・・このこえ!!」 その時森の方から聞こえて来たのは、紛れも無い大好きな親友、まりさの声だった。 「ゆぎっ、ぞれはやべで!!ほんとうにいだいがらやべでね!!ぞれはほんどうにだべなのぉぉあびびびびびび!!」 聞いたことも無いような声。 野犬に噛まれて餡子がはみ出した時も、「こんなのなんともないよ!」と言っていたまりさ。 そのイメージは、霞のようにれいむの中から消え去ろうとしていた。 「やだ、やだよぉ・・・もうごろじでね・・・ゆびっ!?な、なんでおがあじゃんがあぁぁぁぁぁ!!」 一度は絶望の底に追いやられたらしいまりさの声に、再び恐怖という生気が宿る。 何が起きているのかは全く解らない。窺い知ろうとも思えない。 ただただ、その場の「おそろしさ」だけが、まりさの悲鳴を通じてれいむ姉妹に届けられていた。 「まりざじにだぐないよ!!だずげで!!だずげでれいむぅぅぅぅぅ・・・ゆぎゃっ!」 それきり、何も聞こえなかった。 「ま、まりざっ・・・」 思わず声が漏れ、はっと口を噤むれいむ。 「あしたはきれいなかいがらをさがそうね!」と言うまりさのゆっくりした笑顔が脳裏に浮かぶ。 そのイメージすらもガラガラと消え去る。れいむの精神的支柱は崩壊したのだ。 もしも両親がいなくなっても、大好きなまりさと一緒なら生きていけると思っていた。 人間に殺されているかも知れない。だとしても人間達が去るまで、その可能性には触れまいと思っていた。 しかし、思わぬ形で最悪の現実を目の当たりにしてしまう。既にれいむの感情を縛るものは何もなかった。 もう生きていてもしょうがない。悲しい。怖い。沢山泣いて楽になってしまおう。 そう思い始めたれいむだったが、赤ちゃん達のすすり泣きに出鼻を挫かれてしまう。 「ゆぁ・・・まりしゃおねーちゃん・・・どぼちて・・・」 「うしょだよ・・・まりしゃおねーちゃんはちゅよいんだよ・・・にんげんしゃんにゃんかにまけにゃいよ・・・」 まりさを絶対のヒーロー視していた赤ちゃん達にとって、 憧れのお姉さんが惨めに助けを求めながら死んでいったのは大きなショックだった。 小さな身体が枯れ果ててしまいそうなほどの大粒の涙を流し、泣き声は次第に大きくなっていく。 「ゆっ・・・ゆええぇぇん・・・・」 「おかーしゃぁん・・・おねーちゃん・・・・まりしゃおねーちゃぁん・・・」 「どうちてれいみゅたちをいじめゆの・・・かわいいれいみゅをいじめちゃだめなにょにぃ・・・」 「ゆぇぇ・・・ゆっくちちたい・・・ゆっくちちたいよおぉぉぉむぐ!」 大声を出しそうになった赤ちゃんまりさの口を、咄嗟に舌を伸ばして塞ぐれいむ。外に漏れるような悲鳴は防ぐことが出来た。 口から抑えられた悲鳴がそのまま涙となったかのように、小さな瞳からはぼろぼろと砂糖水が溢れて来る。 そうだ。生まれて間もないこの子達は、きっと自分よりも大きな恐怖を味わっているはず。 この子達には、生きることの喜び、ゆっくりすることの素晴らしさを沢山知ってもらいたい。 まだ成体ですらないれいむにそこまで思わせたのは、 「ぜったいにいきのびてね!!」という親れいむの力強い言葉だった。 自分だけは恐怖に呑まれるわけにはいかない。赤ちゃん達の為にもしっかりしなければ。 そのまま舌を使ってよしよしと身体を揺すってやり、赤まりさの気を落ち着けてやろうとする。 「お、おねーちゃ・・・」 ようやく落ち着いて来た頃、後ろから赤れいむの声がかかる。 れいむは洞穴の奥を向いて赤まりさを抑えていたため、外の様子を見ることが出来なかった。 振り返ったれいむが目にしたものは、自分達を覗き込む、大きくつぶらな瞳。 人間だった。 何故? 「俺は人よりちょっと鼻が利くんだよねぇ。お前らの涙って甘ったるくて、そう……クセぇからさあ。 クセぇニオイが森の外れまで続いてるなぁ、泣いてるゆっくりがいるんだなぁ???って、すぐ解っちゃったんだよねぇ」 その手に巨大なナイフを弄びながら、男がれいむの疑問に答えた。 焼きゆっくりや潰れゆっくりの甘い匂いに満ちた森の中で、一筋の涙の匂いを人間が嗅ぎ分けるのは、 もはや嗅覚よりも遥かに強い、ゆっくりへの執念のようなものを感じざるを得なかった。 今れいむ達は男に洞穴から引きずり出され、森の中央にある広場に連れて来られていた。 周囲では幾人もの人間達が、ニヤニヤとれいむ達が震えるのを眺めていた。 他に動くものの姿は無い。そこかしこに散乱した原型を留めないゆっくりの死体が、群れの全滅を雄弁に語った。 「大きな声を上げなきゃ見つけないでいてくれるとでも思ったのかな? でもそんなクセーもん撒き散らしてたら片手落ちも良い所だよなぁ???」 「ゆっ!ま、まりしゃのなみだはくしゃくにゃいもん!!ぷくぅ!!」 一番多量の涙を流して脅えていた赤まりさが、勇敢にも人間に食って掛かる。 れいむはそれを見てギョッとしたが、赤まりさもれいむと同様、 憧れていたまりさの死を受け入れ、強くあらねばならないと思ったのかも知れない。 「“ほうしぇき”みたいななみだだっておかーしゃんがいっちぇくれたもん!! くしゃいのはおにーしゃんだよ!!ゆっくちあやまっちぇね!ぷんぷん!!」 「俺が臭い? だろうなぁ。お前らのお仲間の餡子をたっぷり浴びてるから、全く鼻が曲がりそうだぜぇ??」 「ゆぅぅぅぅぅ!!ちね!!ゆっくちできにゃいにんげんしゃんはゆっくちしにゃいでちねぇ!!」 「あん……?」 男が眉をひそめ、ナイフを握って赤まりさに近づく。赤まりさの頬から息が抜け、「ゆわぁぁぁ」と泣き出してしまう。 まずいと思ったれいむは間に飛び出し、ぷくぅぅぅと膨らんで男を威嚇する。 「ん? 何だコイツ」 「や、やめてね!!れいむのかわいいいもうとにひどいことしないでね!! どうしてもやるなられいむにやってね!!れいむはぜんぜんこわくないからね!!」 チョンチョンと男の爪先に突かれ、その度に底知れぬ恐怖を受けながらも、れいむは必死に赤ちゃん達を守った。 赤ちゃん達はれいむの膨らんだ身体の陰に隠れてゆぅゆぅ泣いている。 「そっかぁ……それならお望み通りにしてやるよッ!」 「ゆっ!!」 男がナイフを振り上げたのを見て、れいむは目を瞑る。 何があっても最期まで赤ちゃん達は守り抜く。そう思い痛みを覚悟した時。 「おやめなさい」 ゆっくりいじめ系1770 らふぃんぐゆっくり・後編に続く
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南海の帝、北海の帝、七孔穿つは人の有為とか―― 雷のベル・ウィル・リング 第一幕 桑原雷 自分の名前が嫌いだ。 あずまという響きが厭だし、何より「雷」という字面が嫌いだ。 何故「雷」なのだ。意味が判らない。 名前とは親から子への願いであり、祈りではないのか。意味があって付けるものではないのか。それが雷とはどういうことだ。 雷鳴のように激しい人になれということなのか。 雷光のように刹那的に生きろということなのか。 そう、考えたこともあった。 自分なりに考えて、その後父に訊ねて返ってきた答えはこうだった。 ――うちは姓が桑原だろ。くわばらと云えば雷が鳴っている時に唱える言葉だ。だからそれに因んで――。 つまるところ。 意味など無かったのだ。 願いも祈りも無かった。 自分の持っていた名前の概念というのがそもそも妙に古めかしく、現代人の名前など所詮そんなものだと云われれば確かにそうだろうとも思うのだが、それでも何らかの意味はあってほしかった。 意味。 自分の意味。 両親は自分をどう思っているのだろうか。 ――どうも、思ってないんだろうな。 血の繋がった娘だとか扶養するべき対象だとか、そう云う風には思っているだろう。 だがそれらは雷の属性でしかない。雷そのものではないのだ。 例えば雷が突如別人格になり代わったとしても、彼らのDNAを受け継いだ娘に違いなければどうとも思われまい。自分たちと関わりのある属性さえ異なっていなければ、彼らにはなんの問題もないのだろうと思う。 つまり彼らの娘は雷でなくともよいのだ。 子を疎ましいと思わない親はいないだろう。共に暮らしていれば腹が立つこともあるだろうし、云うことを聞かなければ手も上げたくなるのかもしれない。しかしそうしたことがあっても尚家族が成り立つのは、決して扶養の義務や血縁だけに因ることではないのだと雷は思う。 義務という無機質な制約では、人々を家族という関係に縛りつけることは出来ない。人々を家族という枠の中に入れることは出来ても、人々の間に「家族としての関係」を拵えることは出来ない。 血縁とは先天的要素であり、そもそもは血縁集団こそを家族と呼ぶのだろう。ならば血縁などは義務を以て嵌め込むべき枠組みだ。血縁だから扶養の義務が生じる。しかし、だからこそこれもまた――家族としての関係を拵えるものではない。血が繋がらない家族と云うのもあるのだ。血縁とは、寧ろ家族という関係を説明するために後から付け足すような――そう、ただの意義付けに過ぎないものなのだろう。 では――家族としての関係を拵えるものとは何だろうか。 家族を名前や枠組みでなく、その関係性からして決定づけるもの。 義務ではない。血縁でもない。 もしや愛とか云うものなのだろうか。 ――そもそも愛って何よ――。 そう心の中で呟いて、直後に雷は笑い飛ばした。 我ながら馬鹿馬鹿しいと思った。 また随分と陳腐なところに行き着いたものだと思った。 今雷が考えたいのは、そんな低俗なのか高尚なのかすらも曖昧なことではないのだ。 しかし――雷が答えを見つけようとしている問題について考える場合、この陳腐で曖昧な概念は、決して無視出来るものではないのかもしれない。そうも思った。 愛。 愛がある家族。互いに愛し合っている家族。――想像出来る。 愛が無い家族。互いに愛し合っていない家族。――こちらも想像出来る。 愛が無い家族は、家族としての関係性も無いのだろうか。血縁や義務によってのみ結び付けられた家族。愛が無ければ「家族としての関係性」は成り立たないのだろうか。 ――いや。 そんなことは無いように思う。 夫を心底煙たがっている妻も、いざ夫が亡くなったとなれば、何処か寂しく思うものなのだろう。親を心底煩わしく思う子も、いざ親がいなくなってみると心細くなるものなのだろう。それは家族としての関係があるからこそ思うものである。 否。それまでは憎んですらいた人でも、失くした途端に哀しくなったりもするらしい。哀しくなるのは、つまり結局は愛していたから――ということなのだろうか。 ――憎しみは愛の裏返しだとか。 ――いやいや憎しみも愛に含まれるとか。 これらは何となく成程と思ってしまう論である。だがよくよく考えてみると、物凄く表面的なことなのではないかと思う。おまけにどちらも結局のところ意味は変わらない気もする。 愛しているからこそ憎く思う場合もある。共にそう云う事を云っているに過ぎない。 それは勿論そうだと思う。例えば恋愛における嫉妬とは、そうした感情の動きのことを云うのだろう。 だから取り敢えず間違ってはいない。間違ってはいないのだが。 しかし――これはあくまで「そういった場合もある」というだけのことに過ぎないのではないだろうか。憎しみと愛を結びつけることは、愛と云うもののイチ側面を説明しているに過ぎないのではないか。 終ぞ憎しみに転じない愛もあるのだろうに。 憎しみが必ずしも愛由来で発生するわけでもない。 つまり、愛と憎しみは確かに共存し得るものなのだが、しかし必ずしも共存しているとも限らない――と云うことだ。 あまりすっきりしない結論ではあるが、世の中と云うのは得てしてそうなのだろう。相反する二つの有力な説が立った場合、その中間こそが最も正しい――と云うケースは存外多いとも聞く。 憎んでいたからつまり愛もあったのだという――それは必ずしも正しいわけではない。 それに、愛が無いイコール憎み合っているというわけでもないのだ。 愛おしいとも憎いとも思わない家族。それでも失くすと哀しいのだろうか。寂しいのだろうか。 何故、そう思うのだろうか。 ――人間同士に限った話じゃあないや。 雷は、これを人間と物に置き換えてみることにした。 例えば履き慣れた靴。 もう随分長いこと履いているから足に良く馴染むし、特にお洒落をするでもない時には毎回履いている。でも特にお気に入りと云うわけでもない、そんな靴。 そんな靴に穴が開いて、もうどうにも履けなくなってしまったら――。 ――哀しいし、寂しいし――か。 たかが靴を愛しているわけがない。憎んでいるわけもない。 それでも失くせば哀しく思うし、寂しく思うものなのだ。 では何故そう思うのか。 多分それこそが答えなのだろう。 愛の無い家族。そこに家族としての関係を与えるもの。 履き慣れた靴を失った時の喪失感の理由。 それは――。 ――時間――だ。 履いた時間。一緒に過ごした時間。 共有した時間こそが喪失感の理由なのだ。 愛が無くとも家族としての関係がきちんと構築されている家族。愛の代わりに「家族としての関係性」を拵えているのは「時間の共有」に違いない。 家族ならば、この「時間」というのは「日常」という言葉にも置き換えられるだろう。 日常の共有こそが、愛の無い家族に「家族としての関係性」を与えているのだ。 そしてこれは、もしや愛のある家族においても云えることなのではないだろうか。 そもそも愛のある家族は、何故互いに愛し合っているのか。子供を愛おしく思うのは本能だとしても、家族の関係性は親から子だけではない。子から親。親同士。兄弟姉妹などの子同士。彼らは何故互いを愛おしく思うのか。 血縁はあっても無くても変わらない。血が繋がらなくとも愛し合っている家族はいる。そもそも夫婦に血の繋がりは無いではないか。 だから愛のある家族を包括的に家族たらしめる最も大きな要素もまた――日常の共有なのではないか。 親が子を愛おしく思うのは本能だが、それは子供がある程度成長した段階で失効する。野生動物などを見れば判る。親は子が独り立ちする頃になると、自ら突き放すものである。次の繁殖期が来た時に、新たな子を作るためである。だからこれは有性生殖の、子育てと云うシステムにおける必然のプロセスなのだ。特定の子に対する母性・父性本能は、時間の経過によって失われる。そしてきっと本来は人もそうなのだろう。 親にとって子供はいつまで経っても子供だと云うし、子供が更に子を成しても親子と云う関係が崩れるわけではない。これは即ち、親子という関係が本能のみによって成り立っているものではないと云う事を証明しているのではないか。独り立ちした子を尚子として扱う理由は、本能では説明できまい。 親子関係のスタート地点こそ本能なのだろうが、独り立ちした子を子として扱うところは既に日常の共有に因って生まれた関係性になっている。 だから、遍く家族に家族としての関係性を齎すのは日常の共有なのだ。 愛があろうが無かろうが、これは有効なのである。 漸く答えを得ることが出来た。 ――てことは、だ。 雷は、今度は自分について思いを巡らせる。自分の家族について。 父と母は普段、家にいない。 共働きである雷の両親は共に多忙であり、家にいないのが当たり前なのである。帰りが遅いとかではない。帰らない日が殆どなのだ。 だから雷は、家ではいつも独りだ。 昔は祖母がいてくれた。 雷は元々父方の祖父母と一緒に棲んでいて、祖父は雷が物心付く前に亡くなってしまった。だから祖母は不在が基本の父母に代わって、一人で雷を育ててくれた。両親は祖母に雷を任せられるからこそ、家を空けがちにしていたのかもしれない。 祖母は優しく――それでいて決して易しくはない人だった。 いつも穏やかに笑っている印象がある。よく面倒を見てくれるし、甘えれば必ず答えてくれる。しかし叱るときは、それは厳しく叱る人なのである。 かなり泣いた記憶がある。そして泣いても反省するまでは絶対に許してくれなかったのだ。――本当は反省していないのに反省したフリをしたら、殴られたものである。 ただの一度だけだったが。 愛ゆえの鉄拳とはいえ随分痛かった。 信頼していた人に殴られたのだからショックも大きかったのだが、だからこそ自分がどれだけ悪いことをしたのか、文字どおり痛感することも出来た。――思うに体罰とは、あらかじめ信頼関係が構築されていて初めて、それで漸く本当の意味で機能するものなのだろう。 優しくて、それでいて自分をしっかり導いてくれる。 雷はそんな祖母が大好きだった。 祖母が亡くなったのは一昨年のことだった。 祖母がいなくなったので両親は家にいるようになったのかと云えば――そうでは無かった。雷は十四歳で、身の回りのことはもう一人前に出来るようになっていたからである。 だから雷はあと三カ月で十七歳になるのだが、その短い人生の中で、両親と共に過ごした時間というのはとてつもなく短いのである。 ――だからさ。 扶養されていても。 血が繋がっていても。 仮令愛されていても。 日常の共有こそが家族の関係を作るのなら。 「アタシにとってあの人たちは、やっぱり家族じゃないんだよ」 棄て鉢にそう呟いて、小石を蹴り上げた。 さして飛びもしない小石は夜の闇に消え、数拍の後、微かな音と共に土手の斜面に着地した。 ゆらぐ水面に白光が煌めいた。 あれは月の光か。 それともこの銀しろがねの髪か。 此処は佐倉川の土手である。 雷はひと月以上前に、この場所を中心として起きた奇妙な事件に巻き込まれた――らしい。 らしいというのは、あくまで人に聞いた話だからである。 巻き込まれておいて自覚が無いというのは実に奇妙なことなのだが、事実そうなのだから仕方が無い。あれはそうした事件だった――のだそうだ。 七人もの人間が殺された、世に云う「高校生連続両断殺害事件」。何でも犯人は人外の生物で、自分はその生物に催眠術のようなもので操られていたのだとか。 現実感が無いこと甚だしい。 あの少年――たしかカモンと名乗ったか。 自分に負けず劣らずヘンテコな名前だという印象を受けた。どう云う字を書くのだろう。 カモンと名乗った少年は、何故か夜の佐倉川に集まった日向学園の生徒たち――勿論雷も含め――に対し、何故今自分がこんなところにいるのか、知りたい者だけに事情を話すと云った。 多分皆疑問に思っていたことだから、全員が彼に説明を求めた。 そこで彼が語ったことと云うのが、先ほどの奇妙な事件のことであった。――実際はかなり長々と話されたのだが、雷が覚えていたのはあんなところだ。 皆納得出来ていないようだった。 当たり前である。 説明した本人も端から納得を得られるとは思っていなかったようで、嘘だと思ったのなら忘れることです――と云ってその後すぐに夜の闇へ消えて行った。 納得出来なくとも仕方無いと思うのなら、何故わざわざ説明したのだろうか。意味が無いではないか。 意味が判らないことを意味無く語ったカモンとか云う少年は、そもそも何者だったのだろうか。 雷がカモンと出会うまでに何度か夜中に家を抜け出していたのは事実だし、それが原因で補導歴が豊かになったこともまた事実である。だから夜中に佐倉川界隈をうろついていたことまでは紛れもない事実なのだろう。 うろついていた理由を雷は自覚していないわけで、それでも何がしかの理由は必ずあるのだろうから、そこを明かしてもらえるのなら有難いことではある。しかし――あの説明は如何なものか。 まるで信憑性が無かった。 話に筋は通っていたのだが、登場する単語やら現象がいちいち現実離れしていたのである。 適当な嘘っぱちだろうかと思ったのだが、嘘ならもっと本当らしいことを騙るだろうとも思った。 ならば本当のことなのだろうか。 本当だとも思えない。 ――思えない、か。 思えないということは、思うことが不可能だと云うことである。 カモンの話が本当だと信じることが出来ないと云うことである。 単純に気持ちの問題の様な気もしてきた。 客観的に見て相手を疑う余地が無いにもかかわらず、それでも疑ってしまうのは、最早完全に個人の内面の問題なのだろう。 もっともカモンはその素性も目的も判らない、疑う余地のあり過ぎる人物なのだが。 だがカモンが嘘を云っていたと仮定しても、そちらの方だって疑う余地はある。さしたる証拠も無しに、ただ怪しいから嘘吐きであると断ずることだって無茶があるのだ。 何故カモンが嘘を吐いていると思うのか。 正体や目的が掴めないからだけではない。云っている内容が現実離れしているからだ。 では、何故現実離れしていると思うのか。 自分の常識の範疇に収まらない話だから現実離れしていると思うのだ。 常識の範疇。雷の常識。――それは果たして、世界の在り様を把握するに相応しいだけの広さと深さを持っているだろうか。 他の大多数の人間と同じように、雷は現実にあることの全てを知っている訳ではない。 宇宙の果てがどうなっているのか知らないし、そんなスケールの大きいことでなくとも、幽霊は本当にいるのかどうかという、極めて次元の低いことでさえはっきりとは判らない。 そんな卑小な常識から外れているということは、それだけで疑う余地にはなり得ないだろう。単に雷が知らないだけ、ということで済まされてしまう。 疑うなら寧ろ、科学的・論理学的な方面から「人を操って殺人に使う生物の存在」を検証すべきなのである。 しかし雷は科学の知識が豊富ではないし、論理学など産毛の先ほども知らない。 だから結局のところ、特に根拠もなく「何となく」怪しんでいるに過ぎないのだ。 そうと判ると何だか馬鹿らしく思えてきたので、考えるのは止めることにした。 雷は、誰もいない家へ帰るべく踵を返した。○ ただでさえさびれた千倉ちくらの駅は、夜になるとより一層さびれて見え、果たしてこの世の人は滅んでしまったのだろうかと云う荒唐無稽な疑念さえもごく自然に湧き上がってくる。 冬場の防寒のために設けられた待合所は大抵無人である。そのくせ半端に広いから、余計に人気の無い寂しさというか、空しさが強調される。 そもそも切符を切るはずの駅員からして窓口にいないことがある。 学園に最寄りの白水しらみず駅には何年か前に自動改札が取り入れられたが、ここは未だに人の手による改札なのである。 通勤通学の時間帯でも利用人口が少ないから、手動で充分間に合っているのだ。 いい加減に田舎であるこの土地に、あるべくしてある駅と云った感じだろうか。 そう納得はしてみるものの、一つ前の駅やもう二つほど先の駅には自動改札があるから、もういっそのことここにも付けてしまえばいいとも思わないこともない。 しかし自動改札のある駅は必要だからある訳で、つまりその駅は内倉よりも遥かに利用者が多く、人手では捌くのが大変だからと云うれっきとした理由がある。 そう――自動改札の有無などと云う、至極詰まらない事にもいちいち意味があるものなのだ。 自分の名前には無いけれども。 ――アタシは自動改札以下かよ。 意味の有無で存在や事象の貴賤が決まるとも思わないが、それでも何か負けたような気がするのであった。 人間の価値が名前の意味の有無などで決まってしまっては敵うまい。 勿論それは見かけがいいとか悪いとか。 勉学が出来るとか出来ないとか。 そういったことで決まってしまってもいけないと思う。――ただし現実にはそういったことで人間の価値が判断されてしまう場合も多々ある訳で、雷の友人にもそれらの偏見を受けて捻くれてしまった輩はいるのだが。 そもそも雷は「格差学園」とも呼ばれる日向ひゅうが学園の高等部に通っており、またその最下位クラスに在籍しているのだから、寧ろ身の回りはそういう輩ばかりだとも云える。 しかしそんな輩ばかりが集うクラスに居ながら、雷自身は勉強が不得手と云う訳ではない。どちらかというと出来る方である。 分野に拘わらず新たな知識を得ることは楽しいと思えるし、物事を筋道立てて考えることは苦手ではない。自分は勉強が好きな質なのだとさえ思うことがある。 だからそんな雷が下位クラスにいるのは、「仕方なく」ではなく「敢えて」なのである。 雷にとってはごくごく普通の人間よりも、多少なりともスレたり捻くれている、所謂不良やチンピラの方が付き合いやすい。中学の時も、自分の友人は皆、周りから白い目で見られるような者ばかりだった。 自分と同じように心に何らかの傷があったり、周囲に対し負い目を感じたりしている者達が集う空間。 そこは豪く居心地がよかった。 だから日向学園でもそういった輩ばかりが集うクラスに編入されるよう、編成試験の時に手を抜いた。 結果、雷は従来通りに居心地の良い空間を手に入れている――はずであった。 それが如何にも居心地が悪いことに気づいたのは、例の夜の後のことである。 如何にも居心地が悪い。 授業態度は不真面目を極め、時には授業を途中で抜け出して、近隣でも屈指の賑わいを見せる平野ひらのの駅前に繰り出す。 そのまま夜まで平野駅前で過ごしたり、友人の家に上がり込んで騒いだり。敢えて人の少ない千倉の駅舎でひたすらだべるようなこともあった。 煙草をふかし、酒を呑む。そして内容も無い話をして、笑う。 雷にとってそれは中学の時から変わらない日々であったはずなのに、最近はどうもしっくり来ないと云うか、かつてあったはずの楽しさや正体不明の安堵感のようなものは得られなかった。 寧ろ掴みどころのない不安に駆られるばかりであった。 その不安が焦燥感であることに気づいたのが、例の夜以降である。 一体何に焦っているのか判らないのだが、しかしそれは確実に、まるで常温を少し上回った程度の温い炎が体じゅうを隈なく舐め、徐々に焦がしていくように ――雷を追い詰めていった。 ――アタシは何に焦ってるんだ。 焦る謂れなど何も無い筈である。 雷は自分の将来に対して明確なビジョンを持っているわけではないのだが、それでも何故か将来の不安と云うのは湧いたことが無い。 ――否。 だから。――だろうか。 所詮根拠のない平穏など、根拠無く揺るがされて当然なのかもしれない。 立てつけの悪い家は、地震などなくても常に崩壊の危機に晒されているものである。 つまりこの焦燥感の正体は、無為な日々を送るばかりで将来を考えないことに対するもの――と云うことか。 それもどこか違うと思った。 いかにもこの時期の少年少女にありがちな悩みではあるし、だから雷もいずれそういった焦燥を覚える日が来るのだろう。否、今現在も抱いているのだろうが、それはそれである。 雷を体となく心となく焦がすこの温い炎の正体は、きっとそう云うものではない。限りなく似ているとは思うが、しかし絶対に異なるものである。 雷がその炎の正体に気づくのは――もう少し先のことである。 BACK LIST NEXT