約 1,499 件
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/20.html
子どもの権利委員会・一般的意見10号:少年司法における子どもの権利(後編) 前編/中編 F.自由の剥奪(審判前の勾留および審判後の収容を含む) 78.条約第37条には、自由の剥奪の利用に関する主導的原則、自由を奪われたすべての子どもの手続的権利、ならびに、自由を奪われた子どもの取扱いおよび環境に関する規定が掲げられている。 基本原則 79.自由の剥奪の利用に関する主導的原則は次のとおりである。(a) 子どもの逮捕、拘禁または収監は、法律にしたがって行なうものとし、最後の手段として、かつもっとも短い適当な期間でのみ用いられる。(b) いかなる子どもも、不法にまたは恣意的にその自由を奪われない。 80.委員会は、多くの国で、子どもたちが数か月、またはそれどころか数年間、審判前の勾留による被害を受けていることに、懸念とともに留意する。これは条約第37条(b)の重大な違反である。自由の剥奪は最後の手段としてのみ用いるという、条約第37条(b)上の自国の義務を締約国が実現するためには、一連の実効的な代替的手段が利用可能とされなければならない(前掲IV章B参照)。これらの代替的手段の活用は、制裁対象となる子どもの「網を広げる」のではなく、審判前の勾留の利用も減らしていくことができるよう、注意深く構築されたものでなければならない。加えて、締約国は、審判前の勾留の利用を少なくするために十分な立法上その他の措置をとるべきである。処罰として審判前の勾留を利用することは、無罪推定原則の違反となる。とくに子どもの出廷を確保するために子どもを審判前の勾留下に置きまたは当該勾留を継続するべきか否か、および、子どもが自分自身または他の者にとって直ちに危険を及ぼすような状態であるか否かを判断するために必要な諸条件について、法律に明確な規定が置かれるべきである。審判前の勾留の期間は法律で制限し、かつ定期的再審査の対象とすることが求められる。 81.委員会は、子どもが可能なかぎり早期に、かつ必要な場合には一定の条件下で審判前の勾留から釈放され得ることを、締約国が確保するよう勧告する。審判前の勾留(その期間を含む)に関する決定は、権限ある、独立のかつ公正な機関または司法機関によって行なわれるべきであり、子どもに対しては弁護人その他の適切な者による援助が提供されるべきである。 手続的権利(第37条(d)) 82.自由を奪われたすべての子どもは、弁護人その他の者による適切な援助に速やかにアクセスする権利、ならびに、その自由の剥奪の合法性について裁判所または他の権限ある、独立のかつ公平な機関において争い、かつ当該訴えに対する迅速な決定を受ける権利を有する。 83.逮捕されて自由を奪われたすべての子どもは、当該自由剥奪(の継続)の合法性について審査するため、24時間以内に権限ある機関に引致されるべきである。委員会はまた、審判前の勾留の合法性が定期的に、望ましい頻度としては2週間ごとに再審査されることを、締約国が厳格な法規定によって確保するようにも勧告する。たとえば代替的措置を適用することによる子どもの条件付釈放が不可能な場合、当該子どもは、審判前の勾留が実行されてから30日以内に、罪を問われている犯罪について正式に告発され、かつ裁判所または他の権限ある、独立のかつ公平な機関の前に引致されるべきである。委員会は、裁判所による審理がしばしば複数回行なわれる慣行があることを踏まえ、締約国に対し、裁判所/少年裁判官または他の権限ある機関が、告発についての最終決定を、それが提出されてから6か月以内に行なうことを確保するために必要な法規定を導入するよう促す。 84.自由の剥奪の合法性について争う権利には、異議申立ての権利のみならず、自由の剥奪が(たとえば警察、検察官その他の権限ある機関による)行政決定である場合に、裁判所または他の権限ある、独立のかつ公正な機関もしくは司法機関にアクセスする権利も含まれる。迅速な決定を受ける権利とは、決定は可能なかぎり早期に、たとえば異議申立てが行なわれてから2週間以内に言い渡されなければならないことを意味する。 処遇および環境(第37条(c)) 85.自由を奪われたすべての子どもは、成人から分離されるものとされる。自由を奪われた子どもは、成人刑務所その他の成人用施設に措置されてはならない。成人刑務所に子どもを措置することがその基本的安全、福祉、および犯罪とは無縁の生活を維持しかつ再統合する将来の能力を損なうことについては、無数の証拠がある。成人から子どもを分離することに関する例外は、条約第37条(c)において「子どもの最善の利益にしたがえば成人から分離すべきではないと判断される場合を除き」という形で認められているが、この文言は狭義に解されるべきである。子どもの最善の利益は、締約国にとっての便宜を意味しない。締約国は、自由を奪われた子どもを対象とする独立の施設を設置するべきであり、これには明確に区別された子ども中心の職員、要員、政策および実務が含まれる。 86.このような規則があるからといって、子どもを対象とする施設に措置された子どもは、18歳を迎えるとただちに成人用施設に移送されなければならないというわけではない。子どもを対象とする施設に引き続き滞在することも、それがその子どもの最善の利益にかなっており、かつ施設にいる年少の子どもの最善の利益に反しない場合には、可能とされるべきである。 87.自由を奪われたすべての子どもは、通信および面会を通じて家族との接触を保つ権利を有する。面会の便宜を図るため、子どもは家族の居住地から可能なかぎり近い施設に措置されるべきである。このような接触の制限につながりうる例外的事情は、法律で明確に定められるべきであり、権限ある機関の裁量に委ねられるべきではない。 88.委員会は、国連総会が1990年12月14日の決議45/113で採択した、自由を奪われた少年の保護に関する国連指針に対して締約国が注意を向けるよう求める。委員会は、締約国に対し、関連するかぎりにおいて被収容者の処遇に関する最低基準規則も考慮に入れながら、これらの規則を全面的に実施するよう促すものである(北京規則の規則9も参照)。これとの関連で、委員会は、締約国がこれらの規則を国内法規に編入し、かつ、少年司法の運営に携わるすべての専門家、NGOおよびボランティアがその国または地域の言語でこれらの規則を利用できるようにするよう、勧告する。 89.委員会は、とくに、自由剥奪のあらゆる事案において次の原則および規則が遵守されなければならないことを強調したい。 子どもに対しては、居住型措置の目的である立ち直りに一致する物理的環境および居住設備が提供されるべきであるとともに、プライバシー、感覚刺激、仲間と交流する機会ならびにスポーツ、体操、芸術および余暇時間活動に参加する機会への子どものニーズに対して、正当な配慮がなされなければならない。 義務教育年齢にあるすべての子どもは、そのニーズおよび能力に適合し、かつ社会復帰の準備を目的とした教育に対する権利を有する。加えて、すべての子どもは、適当な場合には、将来の就業の備えになると思われる職種についての職業訓練を提供されるべきである。 すべての子どもは、拘禁/矯正施設への入所と同時に医師による診断を受ける権利を有し、かつ、施設に滞在する全期間を通じて十分な医療ケアを提供されなければならない。当該医療ケアは、可能な場合には、地域の保健施設および保健サービスによって提供されるべきである。 施設職員は、子どもがより幅広いコミュニティと接触することを促進し、かつそのための便宜を図るべきである。このような接触には、家族、友人その他の者または定評のある外部の団体の代表との連絡、ならびに、自宅および家族を訪問する機会が含まれる。 抑制または有形力は、子どもに自傷他害の直接のおそれがある場合にのみ、かつ、他のあらゆる統制手段が尽くされた場合にのみ、用いることができる。身体的、機械的および医学的抑制を含む抑制または有形力の使用は、医学および(または)心理学の専門家による緊密なかつ直接の管理下に置かれるべきである。処罰の手段として抑制または有形力を用いることがあってはならない。施設職員は適用される基準についての訓練を受けるべきであり、規則および基準に違反して抑制または有形力を用いた職員は適切な処罰の対象とされるべきである。 規律の維持のためのいかなる措置も、少年の固有の尊厳の支持および施設ケアの基本的目的に合致したものでなければならない。条約第37条に違反する規律の維持のための措置は、厳格に禁止されなければならない。このような措置には、体罰、暗室または閉鎖房への収容もしくは独居拘禁、または、対象とされる子どもの身体的または精神的健康もしくは福祉を害するおそれのある他のいずれかの処罰が含まれる。 すべての子どもに対し、内容について検閲を受けることなく、中央行政機関、司法機関または他の適当な独立機関に要望または苦情申立てを行ない、かつその返答について遅滞なく知らされる権利が認められるべきである。子どもは、これらの機構について知り、かつこれらの機構に容易にアクセスできる必要がある。 独立のかつ資格を有する査察官に対し、定期的に査察を行ない、かつ職権で事前通告なしの査察を行なう権限が与えられるべきである。査察官は、施設に措置されている子どもと、秘密が守られる環境下で話をすることをとくに重視するよう求められる。 V.少年司法の組織 90.これまでのパラグラフで述べてきた原則および権利の全面的実施を確保するためには、少年司法を運営するための実効的組織および包括的な少年司法制度の確立が必要である。条約第40条3項で述べられているように、締約国は、刑法に抵触した子どもに対して特別に適用される法律、手続、機関および施設の設置を促進しなければならない。 91.これらの法律および手続の基本的規定がどのようなものでなければならないかについては、この一般的意見で述べてきた。これ以上のおよびその他の規定については、締約国の裁量に委ねられる。これらの法律および手続の形式についても同様である。これらの法律および手続は、一般的な刑法および手続法に特別の章を置いて定めることもできるし、少年司法に関する独立の法律としてまとめることもできる。 92.包括的な少年司法制度においては、さらに、警察、司法機関、裁判制度、検察官事務所内に専門部署を設けること、ならびに、専門の弁護人または他の代理人が子どもに法的その他の適切な援助を提供することが必要とされる。 93.委員会は、締約国が、独立の部局としてまたは既存の地域/地区裁判所の一部としてのいずれであれ、少年裁判所を設置するよう勧告する。実際上の理由からこれがただちに実現可能でないときは、締約国は、少年司法事件を取り扱う専門の裁判官が任命されることを確保するべきである。 94.加えて、保護観察、カウンセリングまたは監督のような専門サービスが、たとえば通所型処遇センターならびに必要な場合には罪を犯した子どもの居住型ケアおよび処遇のための施設を含む専門施設とあわせて、設けられるべきである。このような少年司法制度においては、これらのあらゆる専門的な部局、サービスおよび施設による諸活動の効果的な調整を継続的に促進することが求められる。 95.非政府組織が、少年非行そのものの防止のみならず少年司法の運営においても重要な役割を果たすことができ、かつ現に果たしていることは、多くの締約国報告書から明らかである。したがって委員会は、締約国が、自国の包括的な少年司法政策の策定および実施においてこれらの組織の積極的関与を求めるとともに、これらの組織に対し、このような関与のために必要な資源を提供するよう勧告する。 VI.意識啓発および訓練 96.罪を犯した子どもはメディアで否定的な取り上げ方をされることが多く、これがこうした子どもたちに対する、かつしばしば子どもたち一般に対する、差別的および否定的なステレオタイプの形成を助長している。罪を犯した子どもを否定的に取り上げ、または犯罪者扱いすることは、しばしば少年非行の原因に関する誤った提示のしかたおよび(または)誤解にもとづいており、かつ、より厳しいアプローチ(たとえばゼロトレランス〔絶対的不寛容〕、3ストライク・アウト〔3度以上有罪と認定されれば例外なく収監刑〕、義務的量刑、成人裁判所における裁判および他の主として懲罰的性質の措置)を求める声に帰結するのが常である。少年非行の根本的原因およびこの社会問題に対する権利基盤アプローチに関して理解を深めるための積極的環境を創り出すことを目的として、締約国は、刑法に違反したと申し立てられている子どもに条約の精神および義務にしたがって対応する必要性および義務についての意識を高めるための教育的その他のキャンペーンを実施し、促進しかつ(または)支援するべきである。これとの関連で、締約国は、議会議員、NGOおよびメディアの積極的かつ前向きな関与を求めるとともに、刑法に抵触したことのあるまたは現に抵触している子どもに対する権利基盤アプローチについての理解の向上に関する、彼らの努力を支援することが求められる。子ども、とくに少年司法制度に関わった経験を有する子どもがこれらの意識啓発の努力に関与することは、不可欠である。 97.とくに法執行および司法機関に従事するあらゆる専門家が、条約の規定一般、とくにその日常業務に直接関わる規定の内容および意味について適切な訓練を受けることは、少年司法の運営の質にとってきわめて重要である。このような訓練は体系的かつ継続的に組織されるべきであり、関連する国内法および国際法の規定についての情報に限定されるべきではない。とくに、少年非行の社会的その他の原因、子どもの発達の心理的その他の側面(女子およびマイノリティまたは先住民族に属する子どもに対しては特別な注意を要する)、若者の世界の文化および傾向、集団活動の力学、ならびに、刑法に抵触した子どもを取り扱うために利用可能な措置、とくに司法手続によらない措置に関する情報(前掲IV章B参照)が含まれるべきである。 VII.データ収集、評価および調査研究 98.委員会は、とくに、子どもが行なった犯罪の件数および性質、審判前の勾留の利用件数および平均期間、司法手続以外の措置により取り扱われた(ダイバージョン)子どもの人数、有罪判決を受けた子どもの人数ならびにこれらの子どもに科された制裁の性質について、細分化された基礎的なデータさえ存在しないことを深く懸念する。委員会は、締約国に対し、少年司法の運営の実務に関する情報に関わるデータであって、条約の原則および規定に全面的にしたがいながら少年非行を効果的に防止しかつこれに対応することを目的とする政策およびプログラムの策定、実施および評価のために必要な細分化されたデータを、体系的に収集するよう促すものである。 99.委員会は、締約国が、少年非行の実務、とくにとられた措置(差別、再統合および累犯に関わるものを含む)についての定期的評価を実施するよう勧告する。これらの評価は、独立の学術機関によって行なわれることが望ましい。たとえば少年司法の運営における格差のうち差別に相当する可能性があるもの、および、効果的なダイバージョン・プログラムまたは新たに生じつつある少年非行活動のような少年非行分野における変遷に関する調査研究は、成功および懸念事項に関わる重要なポイントを指し示してくれよう。子ども、とくに少年司法制度のいずれかの局面に接したことのある子どもがこのような評価および調査研究に関与することは、重要である。これらの子どものプライバシーおよびその協力に関わる秘密は、全面的に尊重および保護されるべきである。これとの関連で、委員会は、締約国が、調査研究への子どもの関与に関する既存の国際的指針を参照するよう求める。 更新履歴:ページ作成(2011年4月24日)。
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/30027.html
登録日:2014/10/04 Sat 00 30 37 更新日:2024/09/12 Thu 01 10 57NEW! 所要時間:約 7 分で読めます ▽タグ一覧 インパール作戦 ジンギスカン ハゲ 中将 佐賀県 体罰 問題点しか見当たらない 太平洋戦争 日本 日本史 根性論 牟田口廉也 盧溝橋事件 精神論 軍人 近代史 陸軍 牟田(むた)口(ぐち) 廉(れん)也(や)とは、日中戦争から太平洋戦争の時期において活動した日本の軍人である。 国:日本 生:1888年10月7日 没:1966年8月2日 出身地:佐賀県 最終階級:中将 が、現代日本においては「愚将」「迷将」の代表格として真っ先に挙げられる人物であり、実際に戦後アメリカでは寺内寿一、富永恭次と共に「陸軍三馬鹿」として挙げられた稀有な存在である。 が、彼はその三馬鹿の中でもブッチギリにネタにされた人物である。これ程までに批判が多く寄せられる日本人はそうはいない。 何故そう言い切れるかといえば、それだけ彼は大変なことをしでかしているのだ。その経歴を見てみよう。 ●日中戦争まで 佐賀出身で陸軍士官学校(22期)卒、陸軍大学校(29期)卒という、大日本帝国時代において極めて典型的な高級軍人であった。当時の重臣らは彼を優等生と評価していた。 同郷の真崎甚三郎らの引き立てもあり、陸大卒業後のキャリアの大半は参謀本部や陸軍省勤務であり、このまま軍中央で官僚的軍人として出世する……かと思いきや、彼のキャリアを一変させる事件が起きる。 1936年の二・二六事件である。 これは当時の政治体制に失望し、国家社会主義にかぶれ真崎や彼の盟友、荒木貞夫に心酔した、「国体原理派」を名乗る陸軍将校らが「天皇親政を実現する昭和維新」を目指したクーデターであり、真崎の大命降下、つまり首相就任を目的の一つとしていた。 教育総監という重責を追われていたところだった真崎も悪い気はせず、事件首謀者たちに迎合する形で事態の終息を図る。 昭和天皇「朕自ラ近衛師団ヲ率イテ此レガ鎮定ニ当タラン」 真崎・荒木「」 ……が、事件と犯人に怒り心頭であった昭和天皇による事実上の反乱鎮圧命令と、生死不明であった岡田啓介首相の救出成功でクーデターは失敗。 そしてかねてから派閥抗争で荒れに荒れていた(*1)陸軍内部では真崎荒木に近しい軍人の一掃が始まる。 同年3月、牟田口は支那駐屯歩兵第1連隊に着任。事実上の左遷であった。 かくして中央から飛ばされた牟田口だが、またも思いもよらぬ形で国家の命運を左右する事件に、しかも今度は当事者として直面する。 1937年7月7日夜、連隊の夜間演習中に中国側から銃撃を受けたと具申した一木清直の意見を聞き入れて応戦。日中両軍の全面戦闘状態となる。世に言う盧溝橋事件である。 この盧溝橋事件は現地では数日後に収束に向かうも日中双方の首脳部を刺激し、上海に飛び火した結果どうなったのかというと支那事変……後年に言う「日中戦争」拡大の原因にもなったのである。 これだけで済めばよかった。 ●太平洋戦争の初戦 しかし、事変は泥沼化長期化し、その打開策とした仏印進駐(*2)と三国同盟により日本軍はアメリカの虎の尾を踏み、追い詰められた日本は開戦を決意。真珠湾およびマレー半島に進出し太平洋戦争に至った。 この時、牟田口はマレー半島の激戦地に赴任。余談だがこの時の上司はやはり皇道派で軍中央から追放された山下奉文で、信任も厚かったとか。その際、彼は敵兵に襲われて大けがを負うも、勇敢に部隊を率いて勝利に導いたのである。 あれ? いい人じゃないの? 確かに彼は、師団長クラスまでなら勇敢で有能な男だった。上に立つ者が責任を取りつつ適当に押さえつけてくれれば最適な働きをしてくれる。 つまり部下としてはやや先走りしがちではあるが「使える男」だったのだ。 当時の部下たちからも、温情ある将軍という好意的な声の方がむしろ多かったとも言われている。 …もっとも、通信が発達した時代に戦場全体を俯瞰しなければならない立場の師団長たる者が最前線で陣頭指揮というのはそれはそれで間違っている。 (最前線で得られる情報には限りがあるため、複数の部隊を統合的に指揮する立場の高級将官は後方で全体の統一指揮を執らねばならない。ある一部隊に対してだけ最前線でベストな指揮をしても、他の部隊が放っておかれては全体として勝利は摑めないのだ。前線での陣頭指揮を好んだロンメルも、西方電撃戦で起きたアラスの戦いでは部隊の混乱を招いている。また指揮する者が戦死した場合、指揮系統がバラバラになり一気に壊滅する危険を孕むという面もある。「将」とつく高級指揮官が捕虜になったり戦死したりする例が極端に少ないのはこのため) しかし、彼自身がトップに立ち、彼を押さえつける上役がいなくなったとき、その暴走を止めることは誰にもできなくなったのである。 ●インパール作戦 なんかヤバい作戦、無謀な作戦として有名だが、実際の所どういった作戦だったのかは意外と知られていない。 ここから解説していくが、先に結論から言うと作戦自体はそう悪くないのである。 まずインパールはビルマとの国境近くにおける街道の結節点であり、かつイギリスのインド植民地への玄関口に当たる。 イギリス側としてはここを奪取されると大英帝国を長年支えてきたインド植民地の失陥が現実味を帯びてくるという非常に重要な地域であった。 加えて日本側からすれば連合国から重慶の蒋介石政権への軍事支援ルート(いわゆる援蒋ルートの一つ)が存在するため、日中戦争の趨勢にも関わってくる戦略的価値の高い地域だったのである。 次に戦況だが、この当時、ビルマの日本軍は太平洋方面に陸空軍戦力を引っこ抜かれ、更にインドからビルマに掛けて聳え立つアラカン山脈によって敵襲もされないであろうと思われていたものの、第一次アキャブ作戦やウィンゲート旅団による空挺侵入といったイギリス軍の反攻を受けて緒戦の勢いを無くしていた時期であった。 幸い、ノルマンディー上陸作戦を間近に控えていた英軍は戦力の大半をヨーロッパ方面へ振り分けていたため本格的な反攻は行われていなかったが、日本軍側ではもはや英軍の総反攻が開始されるのは時間の問題だという認識が強まっていた。 牟田口はかつて、インパール方面への侵攻作戦である二十一号作戦計画に反対していた。 しかしこうした切迫した状況に、牟田口も「英軍を積極的に叩くことで反攻を抑え込む」という方針に傾いていく。 とはいえこの時点ではインパール方面を守る強力な英第14軍の存在と峻険な山脈地帯から予見される補給の困難さから牟田口を含め上層部にはまだ迷いがあったようである。 しかしここで日本軍側に決断を促す報告がもたらされる。 なんと日本軍の陽動作戦によりネックだった英第14軍が誘引されてインパール方面から離れたというのである。つまり今、インパールはガラ空きなのだ。 ことここに至り、遂に日本軍は決断した。 ウィンゲート旅団が入ってきたのだから、こちらもアラカン山脈を越えてインパールを攻める事も可能なはずだ。 この隙をついて速やかにインパールを奪取する他ないと。 そうして立案されたのがインパール作戦である。 作戦の要点を説明すると まず重砲その他の砲戦力をあえて殆ど装備せずに機動力を確保した軽師団がインパールの都市コヒマへの最短ルートである山岳地帯を踏破、ガラ空きのコヒマを電撃的に確保する。 軽師団はそのままコヒマに立てこもり、予想される現地に残る弱体な英軍の反撃を撃退しつつ、強力な装備を備えた味方主力師団の到着まで持久する。 主力師団は重砲などの強力だが嵩張る兵器と、軽師団への補給用も含めた大量の兵站物資を装備する。もちろん物資が多いので、山岳地帯の最短ルートは使えないため、遠回りだが整備された道のあるルートを進軍する。 コヒマに到着後、主力師団から補給を受けた軽師団と共に残存英軍を撃破、インパール方面を完全に掌握する。 というものだった。作戦計画だけで言えば理に適っており、成算も高いものだったのである。 脅威である英第14軍が消えたとはいえ、相変わらず兵站に不安を抱えることとなる軽師団の将校の中には反対する者も多くいた。しかし作戦司令官となった牟田口は大本営に要請して追加の自動車、輜重部隊を確保し最低限の補給は受けさせると言ってこれを宥めた。 実際に牟田口は自動車中隊150個と輜重中隊20個を大本営へ要請しこれは受け入れられた。が、蓋を開けてみれば作戦直前に大本営から届けられたのは約束の2割程度に過ぎなかったという。まあ大本営だしね 牟田口は困った。 足りない輜重部隊をどうにかして補わなければならない。 そして閃いた。 牟田口「そうだ! 牛や馬に運ばせればいい。名付けてジンギスカン作戦。その牛や馬も食糧として供ずる」 こんな感じで馬や牛をビルマのあちこちからも徴収。インパール作戦が挙行されたのである。 一応弁護するならば、足りない自動車などを牛馬で補うというのは古来より重量物を運ぶのに使われた、ごく自然な発想である。第二次大戦中においても連合枢軸問わず多くの指揮官が実行している。 加えて言うならばそもそもコヒマに到着しさえすれば主力師団から補給を受けれるので。道中の兵站はそれほど問題ではなかったのだ。まぁとあるミスで足を引っ張るのだが。 さて、いざインパール作戦が始まりコヒマへ急行する役割を請け負った軽師団は見事峻厳な山岳地帯を踏破した。それはまさに電撃的と言ってよい速度であり、後は守る者のいないコヒマを占領するだけである。インパール作戦は半ば成功したように思えた。 軽師団は「我、これより無人のコヒマに突入す」と司令部に打電し、意気揚々とコヒマに突撃した。 しかしそこで軽師団は目にするのである。無人であるはずのコヒマに英国の大軍が待ち構えているのを。 実は英軍はインパール作戦開始の2週間前というギリギリのタイミングでインパールが危険な状態にあることに気が付いていた。そしてインパールが落ちて援蒋ルートが潰されたら君らのクビが飛ぶよ?と紳士的に米軍を脅迫して譲り受けた輸送機で1週間半もの間不眠不休で兵士をコヒマへ空輸し防衛体制を整えたのだ。さすが英国紳士 当然ながら軽装備で戦闘能力が弱体な軽師団は大損害を受けた。 それでもどうにか都市部を確保するも英軍はコヒマ南西の高台に既に別の防御拠点を築いていたため戦線は膠着状態に陥った。 困惑した軽師団は「コヒマに有力な英軍在り」と司令部に打電する。しかし牟田口ら司令部は英軍の留守部隊が思ったより多く、軽師団であるため攻撃力が不足していたのだろうと事態を軽視。主力師団の到着を待って共に英軍を包囲攻撃せよと命令を下したのだ。まあ英軍が天下の米軍を脅し上げて大軍を不眠不休でピストン空輸してるなんて知るわけないもんね 当然ながら現に強力な英軍と相対している軽師団では司令部への不信感が募るものの、それでも主力師団と合流し英軍を見事に包囲し再度攻撃した。流石に主力師団は強力であり、英軍は大きな被害を負ったもののそれでもコヒマ陣地を維持し続けた。 この頃になると制空権は連合国側のものとなりつつあり、インドから英軍の増援が迫るなど作戦参加師団の間では最早作戦の達成は不可能だという認識になっていた。師団は司令部に何度も撤退を具申するも、相変わらずコヒマにいるのは英軍の第14軍の僅かな残党だけだと考える司令部はこの具申を却下する。 この時点で撤退していれば被害は軽微だったと思われる。しかしそのチャンスを逃した日本軍はその後、連日の爆撃と無謀な攻撃で戦力をすり減らしていき、遂に到来した英軍の増援により明確に窮地に立たされることとなる。 さらに、上記のジンギスカン作戦であるが牟田口はいくつかの致命的なミスを犯していた。 まず牟田口が牛は牛でも農耕用の牛を徴用した事で、急坂を登れなかった。 さらに牛に似た「水牛」を選んでいた事。水牛は見た目は似通っていても、沖縄八重山名物の水牛車とは違ってジャングルや山岳地帯での荷物運びに適用していないのである。 極め付けに牟田口はなんとヒツジまで使っていたのだが、ヒツジは1日にせいぜい3km程しか移動しない動物であり、明らかに習性を知らずに徴用した大失態であった。 結局、ヒツジは早々に棄てられ、牛に関しても発砲音で逃げられ肝心な食料を失う結果になってしまった。結果的にこれらの失態は軽装備を強いられる遠因となる。 もはや作戦の失敗は誰の目にも明らかであったが、司令部はそれでも撤退を認めなかった。 これは一説には牟田口と司令部の人間が作戦失敗の責任を負うのを嫌がり、撤退命令を出す役を押し付け合ったためだと言われている。結局正式に撤退命令が下されるのは明確に戦況が日本軍不利に傾いてから2カ月後であった。 この判断の遅れの結果、撤退は惨状を極めた。 今や完全に制空権を握った連合国軍は散々に補給路と撤退する日本軍を爆撃し、日本兵はまともに食糧を得ることもできず昼夜空爆の恐怖に晒され続けた。 撤退路には戦死者と餓死者、それに動けなくなった傷病兵が無数に倒れ、その地獄絵図から白骨街道と呼ばれた。 参加した兵隊の中にはガダルカナル島戦(兵站が壊滅して餓死者の山を築き「餓島」と恐れられた)の経験者も居たが、戦後の証言で「インパール作戦の方が酷い」と評する程の有様だったという。 この時、牟田口は反抗する多くの将兵等を更迭したり突き放したりするという横柄ぶりを見せたという。 しかも、当の本人は作戦期間中は宴会を開いていたそうな。彼の居た司令部は高原のリゾート地で、前線とは日本でいう金沢から仙台くらいの距離がある場所。 聞きつけたイギリス兵はその様子をスピーカーで最前線へ流したため、前線の士気はたちまち消沈。そりゃそうだ。 また、苛立った…というよりもはや戦う前に命が危うくなった多くの将兵の中には、指揮官命令に背いて退却するという前代未聞の事態まで起こす者もいたし、牟田口に不満を持つ部下による暗殺未遂も複数起こった。 33師団隷下の輜重兵第33連隊副連隊長の逸見文彦中尉による手記によると「(33連隊本部がある)チュラチャンプールに突然姿を現した牟田口を見るや一将校が激怒、「いっそ牟田口を殺して、自分も自決する」と手榴弾を持って軍司令官の幕舎に飛び込もうとした」と残すなど、このテの牟田口の暗愚を怨み暗殺に走るケースはインパール戦後もなお続発したと言う。 牟田口はこの事態をきっかけにようやくインパール作戦の中止を決定した。 …が、これは自分の過ちを認めたからではない。部下が抗命したから負けた、という言い訳ができるからである。 なお、上記の退却を指揮した佐藤幸徳中将(*3)はやっと帰還した際当然ブチ切れており、「俺は牟田口をぶっ殺したる!」という勢いで彼の元に押し掛けようとしたが阻止され、精神病扱いで左遷されてしまった(軍法会議にかけることで佐藤の主張が公になることを恐れた故の扱いとも言われる)。もちろん後に佐藤に異常はないと診断された。まぁどれだけ恨みを買っていたのか実に解ると言うものである。 そして、帰ってきた将兵たちに精神論で説教するも、既に衰弱していた将兵たちはその説教のさなかにもバタバタと倒れてしまった。 責任を取って自決したいと殊勝な発言を部下にするも、彼がどんな人物かよく理解していた部下は「立場として一応止めるけど、黙って死んだら? 大体死ぬ死ぬと言って死んだ試しなんてないんだよね(意訳)」と遠回しにバッサリ。案の定、自決はしなかった。 もっともこの自決を巡るやりとりをした参謀の藤原岩市もインパール作戦の推進派だったり、戦後も本作戦の責任転嫁を図ってたりと大概な人物である。 こうしてインパール作戦は完全に失敗し牟田口の軍人としての人生は終わりを告げた。 作戦を振り返れば、計画自体には理があり狙いも時宜に適っており、成功も十分に見込めるものだった。作戦そのものは悪くはなかったのだ。 しかし、牟田口は英軍をナメて掛かった上に、頓珍漢な見立てで作戦を立てた結果、それが英軍の卓越した対応により破綻した後に、牟田口という人間と日本軍という組織の歪みが現れた。牟田口や司令部が将帥として責任を負う覚悟を持って判断を下していれば、撤退はより迅速で痛みの少ないものになっただろう。それが現実にならず後世に語られるような惨劇になったのは、ひとえに「勇猛果敢」を重んじて不適材不適所の人物を充ててしまったが故の彼らの保身によるものである。 牟田口は無能では無かったが、人の上に立つ器では無かったのだ。 やがて、作戦失敗の責任で予備役に転属された後、A級戦犯として逮捕されたが不起訴となる。 この「戦犯」というのが連合国の都合で決定されるもので、「インパールで連合国に利した彼は罰する必要が無かったから」……とはしばし言われる。 確かにA級戦犯は「世界侵略の共同謀議」という連合軍のストーリーを元に裁かれた事は否めない。 しかし牟田口の場合は陸軍省や参謀本部にいたとはいえ、途中で政争に敗れ、また最高でも総務部の庶務課長に過ぎなかったことや 中央にいた頃の彼の親分であった荒木は終身刑(後に減刑)だったが、もう片方の真崎は不起訴だったこと。 更には日本軍人に厳罰を与える事で有名だった英軍法務担当士官のシリル・ワイルド少佐が牟田口を尋問する直前に 飛行機事故で死亡してしまった事も重なって不起訴になった。 これらを踏まえるとむしろ彼は端役だった、と見るべきではないだろうか。 なお、「牟田口はインパールで連合軍を利した」という評価だが、 この作戦の失敗でそれまで互角だったビルマ方面は連合軍優位で推移したうえ、 蒋介石はともかくこの頃のイギリスにとって重要度の低いビルマ方面について、インパール作戦失敗後も「戦略的な敵戦力分散と消耗」を重視していたこと考えると、おおよそ否定しようがない事実である。 ●戦後 牟田口は戦後しばらくはインパール作戦における問題点について謝罪の弁があったという。 ところが、没する4年前の1962年に敵であった英軍の軍事研究家からビルマ戦線の戦記を執筆する際に「作戦の成功いかんは紙一重であった」と作戦を賞賛されたのが祟ってしまい、以降作戦は正しいという発言を続け、本まで書いて自衛隊にまで押しかける様子が語られ、この3年だけで色々と評価を貶める原因を作ってしまった。 彼が1966年に没した際、ある者は「なぜあいつが畳で死ねるんだ!?」と憤慨し、またある者は「もうこんなヤツのことなんか早く忘れてしまおう」と諦めの境地に達した。 その結果、遺言を残して自分の葬儀にあたって自分は正しいというパンフレットを配布までさせていた(*4)と言う風説をはじめ、中華レストラン「ジンギスカンハウス」を開業していたと言うものまで数々の事実に基づかない風聞が出回ってしまう事になった。 ●評価 まあ、上記の体たらくの軍人に対し、肯定的な声はそうそう上がるものではない。 日本軍否定派はもちろん、日本軍に好意的な見方をする者も、牟田口に対して好意的な見方をする者はほとんどいないと言える。 ただ、インパール作戦の結末を牟田口一人のせいにすべきかという点については、疑問があるとする意見もある。 2018年夏に出版された広中一成氏の書籍では牟田口一人に責任を負わせるのは適切ではなく、上官である河辺正三、後ろ盾である東條英機にも責任はあったのでないかと指摘している。 また、牟田口の指揮したビルマ方面軍の上層部自体、大分軍紀が緩んでいた状態であり牟田口の緩みは彼らの悪評が牟田口個人に押し付けられたという説もある。 もっとも広中一成氏が牟田口批判の急先鋒として槍玉に挙げた高木俊朗氏は牟田口個人だけではなく、 河辺は勿論のこと第15軍の情報参謀だった藤原岩市中佐や高級参謀の木下秀明大佐、南方軍総司令官の寺内寿一元帥や首相兼陸相兼参謀総長の東条英機大将も糾弾しており、 同氏は牟田口を過剰弁護している節もある。 特に河辺は軍司令部で兵站を軽視した計画に反対意見が噴出する中、唯一牟田口を支持してインパール作戦に賛成した人物でありながら、インパール作戦の失敗の責任を追及されることなく、その後大将にまで昇進している。 9万人もの兵士を動かす作戦が牟田口の一存で実行に移せるはずもない。責任を取るべき人間は他にもいるはずなのに牟田口一人だけが叩かれているのは、ある種のスケープゴートとされたのでは、悪評も意図的に脚色されたものでは、という考察がされている。特に東条英機の腰巾着たる「三奸四愚」(*5)の存在も大きかった。 周囲の意見に同調して、あるいはこのような記事を見て「牟田口は愚将」「彼だけが諸悪の根源」という印象を抱いた人は、河辺が行った印象操作にまんまと引っかかった…という見方もできるのだ。 また、インパール作戦のような無理な作戦を当てにせざるを得なくなったのも、そもそも日本が中国やアメリカやイギリスを相手に多正面作戦をすると言う無茶な戦争をしてしまったからでもある。 無茶な戦争を何とか勝利に持って行こうとすれば、無茶な作戦をバクチ的にやらざるをえなくなるのは当たり前のことである。 戦時中、作戦に失敗したり、無謀な作戦指令によって多くの犠牲が出た例は別にインパール作戦に限った話ではない。 彼の場合更にまずかったのは、戦後に自己弁護をするだけでなく、失敗を部下のせいにする発言を繰り返してしまったことであろう。 部下に対して責任を擦り付けるような態度をとらなければ。せめて発言を慎んで黙っていれば… 上記のような状況を踏まえ、ある程度は同情的な意見も出てきたのではないだろうか(*6)。 もっと言えば、当時の牟田口は敗軍の将となり、沢山の兵を死なせた挙句、配下の指揮官はおろか共に作戦を推進していた参謀にまで非難され、四面楚歌となっていたことであろう。 真っ当な人間なら、良心の呵責に押しつぶされかねない状態であるし、自分は悪くない、という考えに飛びつきたくなるのも無理からぬことでもあろう。 そこでなまじ敵から褒められるような言辞を貰い、「自分は悪くない」という考えに裏付けができてしまったことで、彼の暴走は止められなくなったのかもしれない。 もっとも、だからと言って牟田口がインパールの担当司令官としてベストを尽くしたのか、当時の観点から見てもやるべきことを全てやり、やってはならないことは避けたのか、名将といわれるべき男だったのか、というとそれはノーだろうが。 だいたい、彼にいかなる事情があろうとも、無謀な作戦で命を散らした将兵やその遺族にとって、そんなことを配慮する義理はどこにもない。 そうやって精神を保たなければいけない状態になってしまう時点で、司令官という立場には決定的に向いていなかったことは明らかだった。 しかも戦後になって、そうした遺族や今も生きている元部下たちが存在することを忘却し、自己保身に走ったというのも、人の上に立った人物としてありうべからざる行いである。 内心でどう思っていようとも、かつての部下たちやその遺族に詫びる姿を見せることこそが、彼に求められていて、彼が唯一取りうる態度ではなかったのか。 インパール作戦以外でも、 「ジンギスカン作戦のように現場をおよそ知らずに実現不能な指示を出すため部下も作戦案が作れない」 「部下(それも高級将校)に対して体罰やパワハラを連発の末、その部下より数回暗殺され掛かる」 といった、上司として問題のある行為が大量に告発されるに及び、牟田口は今日に至るまで好意的な評価がほとんどない状態になってしまったのである。 「なぜ牟田口のように本来その場にいるべきではない人が出世してしまったのか(*7)」 「なぜ牟田口のような無茶な指揮を誰も止められなかったのか(*8)」 という点で、「無謀な作戦」の代名詞として現代における組織論におけるマイナスのモデルケースとしても、著書などのテーマなどで頻繁に使われている。そのせいか牟田口が愚将の代名詞として挙げられるに至っているのである。 余談 海軍にも牟田口格郎という大佐(死後少将に昇進)がいたが、陸軍の牟田口とは特に関係ない。 こちらは軽巡洋艦・大淀艦長としてレイテ沖海戦、礼号作戦、北号作戦を潜り抜けた歴戦の猛者であったが、戦艦伊勢艦長就任後に呉で空襲を受けて戦死。 しかし、陸軍の牟田口が有名になりすぎているため、こちらはフルネームか「海軍の」とつけて呼ぶことをお勧めする。 インパール方面から浸透し、ビルマの日本軍を撹乱したウィンゲート旅団もまた補給不足が深刻で、飢えたところに赤痢やマラリアに罹患した末の死者や負傷者が続出した。 創設者のウィンゲートも軍法会議が取り沙汰されたが、膠着したビルマでの数少ない戦果から有耶無耶になっているどこも似たようなものであるうちに部隊視察中の飛行機事故で死亡した。 日本陸軍の将軍の中ではかなり知名度の高い人物であることから、仮想戦記でもそれなりに出番は多い。 史実通りの無能な人物として扱われることもあるが、意外性を狙ってなのか、驚くほどの大活躍をする作品も少なくない数が存在する。 上記の強引な性格が様々な要因から結果的に良い方向に働く、という展開が多いようである。 追記修正よろしくお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- 愚痴や誹謗中傷、外部URLを載せる行為はりどみにより禁止されており、守られない場合はコメント欄の撤去やIPの規制といった処置がされますのでやめましょう。 ▷ コメント欄 [部分編集] 依頼によりコメントリセットと警告を追加しました -- 名無しさん (2018-09-19 14 45 22) なんでこんな人が中将に迄なれたのか。この辺の人事構造にも日本の敗戦の一因がある。 -- 名無しさん (2018-09-19 15 06 15) 昔、セガサターンのアドバンスド大戦略 鋼鉄の旋風でインパール作戦のマップ(担当は日本)をプレイしたけど無茶苦茶厳しかった。正攻法じゃまず勝てない。 -- 名無しさん (2018-11-25 23 13 30) とはいえイギリスにとってインドは生命線だからそれを叩こうというのは戦略的に間違いではない。可能かどうかは別にして -- 名無しさん (2019-04-10 19 04 34) 「シビリアンコントロール」の使い方これで合ってる? -- 名無しさん (2019-04-11 01 26 13) 無能ハゲほんとすき -- 名無し (2019-04-11 01 53 08) アルキメデスの大戦に登場しました -- 名無しさん (2019-07-02 01 21 16) 連合軍の切り札的な存在だ。 -- 名無しさん (2020-02-23 23 06 24) いたずらに兵士殺しておいて、最期はのんびり死ぬってただただ胸糞悪い -- 名無しさん (2020-02-23 23 22 29) 実はかの砂漠の狐ロンメルはスエズを攻略できていれば中東経由で牟田口率いるインパール方面軍と合流し共同戦線を張る予定だった。もしかすると違う世界線では牟田口とロンメルという奇跡のコラボがあったのかもしれない... -- 名無しさん (2020-03-07 00 55 00) 牟田口って日本軍弁護の出汁に使われてる感が否めないんだよね。確かに唯の無能なんだけど、返せばただ無能なだけで評判ほどヤベーやつでは無い。日本軍の失態を押し付けて"上の一部が無能だったせいで優秀な日本軍は負けたんだ"みたいな論法に持ってこうとする意図が見えるわ。似たようなので栗田批判や牛山批判があるけど -- 名無しさん (2020-03-17 09 52 01) 銀河英雄伝説のフォーク准将のモデルなのかな? -- 名無しさん (2020-03-17 12 57 10) ↑2 まぁ忘れられがちだけど牟田口がインパール作戦強行できたのは大本営の意向があったからなんだよね。無能は牟田口の責任だが無能が暴走した責任は日本軍の組織の問題 -- 名無しさん (2020-03-22 19 10 22) ぶっちゃけ無茶口将軍以外にも「有能な部下だが組織の頭としては無能」って日本人の大多数が抱えてる弱点だからな… -- 名無しさん (2020-04-20 17 54 19) ↑2フォークの作戦のモデルはナポレオンのロシア遠征だけどね。危険だと言う意見を退けて強行したところも含めて -- 名無しさん (2020-04-20 19 40 43) シビリアンコントロールじゃなくて印象操作じゃね? -- 名無しさん (2020-04-20 20 07 40) 牟田口格郎さんは泣いていい。 -- 名無しさん (2020-10-21 22 20 40) 久しぶりに見たらやたらふざけた感じというか刺々しい感じになっているな 前の淡々とした感じのがコメントも荒れにくいと思うが -- 名無しさん (2020-11-16 20 28 41) 牟田口だけが悪いかっていうよりは日本軍の悪い所が煮詰まった結果こうなったんだと思ってる。責任の押し付け合いやら現場の状況の軽視やらなんとも現代日本の組織にもよくよく当てはまるような点も多いし人物からも作戦からも学ぶモノが多い項目 -- 名無しさん (2021-05-16 00 59 00) 緊急事態宣言の地域を拡大しながら五輪開催は強行しようという現在の方針はクリソツと言わざるを得ない… -- 名無しさん (2021-05-16 01 53 40) ↑日本人の組織は基本的に損切りが物凄く下手なんだよな。一度初めてしまうと内心ではもうムリって分かっていても周りの空気を読んでしまい止めようって言えなくなる -- 名無しさん (2021-05-16 02 24 20) 老後に焚きつけた英国人は醜態晒すの絶対わかっててやってると思う。 -- 名無しさん (2021-08-14 17 01 34) 笑いが止まらんかったろうな多分 -- 名無しさん (2021-08-16 20 25 09) なぜか上司が牟田口にたいして及び腰だったのが謎 -- 名無しさん (2021-12-17 18 03 30) 不思議なのはインパールの地図があったのか、なかったのか、現地がどういう気候や地理であるのかは作戦において重要なのに -- 名無しさん (2021-12-17 23 23 56) 連合国を勝利に導いた英雄 -- 名無しさん (2022-02-03 17 20 02) 昭和のプーチン -- 名無しさん (2022-03-11 17 25 59) 功績だけ見て考えなしに出世させるとこうなるって典型 -- 名無しさん (2022-05-12 16 24 12) 親族が大概その後社会的に成功してるのがなんだかもんやりする。子孫に咎がないとはいえね……でも苗字のせいで苦労しただろうしなあ。もんやりする -- 名無しさん (2022-05-12 16 56 39) 21世紀にインパール作戦を曲がりなりにも常任理事国がやるとは... -- 名無しさん (2022-05-13 22 56 29) 牟田口の擁護はしたくないが…佐藤もクソなんだよなあ。犬猿の仲とは言え、私怨で勝手に持ち場離れて隣の15師団壊滅させた罪は無かったことになってるのモヤモヤするわ。佐藤こそ無能of無能だろ。 -- 名無しさん (2022-06-06 00 58 54) 誰が無能どれが貧弱と言い出せば結局全部ってなるぐらいアホみたいな国だったから仕方ない -- 名無しさん (2022-06-06 01 27 07) 「配った」という事だけは有名なパンフレットの実物は残ってないのかね? -- 名無しさん (2022-06-06 11 50 20) 「日本軍の指導者達には根本的な欠陥があるように思える。それは"道徳的な勇気の欠如"である。彼らには自分達が間違いを犯したこと、計画が失敗し、練り直しが必要であることを認める勇気がないのだ」(イギリス軍第14軍、ウィリアム・スリム司令官) -- 名無しさん (2022-08-15 23 47 17) 変な手紙が送られてこなければ一応は穏便に終わっていただろうに、どういうつもりだったんだろう -- 名無しさん (2022-08-16 00 30 46) 今となっては牛を持たせてくれただけ水食糧無しで戦場に送り付けるロシア軍よりマシだったっていう -- 名無しさん (2022-10-10 00 16 40) ↑補給部隊や物資の増派を要請して蹴られたからなかばヤケで少しでも運ぶもの増やそうというあがきだからね -- 名無しさん (2023-09-30 18 42 44) 「作戦失敗の責任を負うのを嫌がり、撤退命令を出す役を押し付け合った」これ現代企業でも本当によく見るからなあ…目に浮かぶわ。 -- 名無しさん (2023-11-12 18 05 51) 牟田口「やりたい」 上司(盟友)「南方軍さん是非やらせてくれ」更に上司(陸軍の最長老)「そうだね、大本営やってもいい?」参謀総長と陸軍大臣(陸軍のツートップ)「許可するけど補給は要求の2割ね」牟田口将軍の精神面に問題が無いとは思わないけど、作戦が日本陸軍全体の意向にまでなって尚損切り出来た人材がそもそもいたのか…当時補給面が苦しいのはどこも同じだから撤回理由としては弱そうだし、しても最悪首を挿げ替えて強行されそう -- 名無しさん (2024-02-27 16 25 03) こんなのが中将になれるとか日本軍終わってるだろ。戦後も気楽に生きれたみたいで羨ましいよこの人、その図太さ分けて貰いたいね -- 名無しさん (2024-08-13 03 17 49) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1254.html
『甘やかした結果』 若草の萌える季節、桜も散った森の中を2mほどもある巨大なれいむが駆けていた。 頬は大きく膨らんでいて、そこに大量の食料が詰められていることが分かる。 明らかに巨大れいむ一人が食べきれる量ではなく、今は春なので冬篭りのための食料でもない。 この食料は娘のための食糧だった。 巨大れいむのおうちである広い洞窟の入口前で大小様々なゆっくりが遊んでいた。 巨大れいむが帰ってきたのに気づいた一匹の成体れいむが洞窟の中のゆっくりに「おひるごはんだよ!!」と呼びかける。 その声に洞窟の中でゆっくりしていたゆっくり達がゾロゾロと洞窟から出てきた。 それらはほとんどれいむ種で、まりさ種はれいむ種ほどではないがそれなりにいる。 成体のれいむ数匹は全て巨大れいむの娘だ。 成体のまりさは一匹だけだが、そのまりさが巨大れいむの娘たちに子種を与えたゆっくりだった。 まりさの子種を受けたれいむの産んだ子ゆっくりと赤ちゃんゆっくりが巨大れいむの孫ということになる。 巨大れいむが頬に貯めた食糧を地面に全部吐き出すと娘や孫たちは礼も言わずにガツガツと食事を始める。 「うっめ、めっちゃうっめ!!」 「はふはふ、ちょっとすくないけどしあわせー!」 「おかーしゃん、れいみゅもたべたい!!」 「れいむのごはんをわけてあげるね!」 「わーい、ありがちょう!!」 巨大れいむは自分などそっちのけで食事する娘たちを寂しげに見ていたが、やがておうちに戻ると深いため息をついた。 いつからこうなったのだろうか。 立派な成体ゆっくりの娘たちは未だに食糧調達に出かけようともせず独り立ちをする気配もない。 成体まりさも娘を孕ませたうえに半ば無理矢理おうちに住み着き、そのくせ一度も食糧調達には出かけていない。 これでも一緒に食べ物を探しに行こうと何度か誘った。 しかし「またこんどいくよ!」だとか「あかちゃんのせわでひまがないよ!」などと何かと理由付けて断られた。 赤ちゃんの世話と言うが、一番大変な食事集めの他に何があるのだろう。まりさは赤ちゃんと一緒に遊んでるだけだった。 孫の子ゆっくりや赤ちゃんゆっくりもそんな親に育てられたせいか、 食料は危険を冒して取りに行くものではなくて運ばれてくるものだと思ってる節がある。 そんな孫たちに教育しようとした時もあったのだが、 「れいむのかわいいこどもはれいむがそだてるよ!」 「おかーさんはそれよりもたべものとってきてね!!」 「おちびちゃんはこっちでゆっくりあそぼうね!!」 といった風に娘たちが邪魔してくるのだ。 孫たちも教育なんてつまらないことよりも娘の誘いに乗って遊びに行ってしまう。 そんなうちに孫たちはどこまでも甘えさせてくれるお母さんである娘に懐き、 何かと口うるさいお婆さんの自分に甘えるのは食事を持ち帰った時ぐらいのものだ。 それすらも最近は無くなったが。 おうちの入り口付近で駆け回ったり押し合いして遊ぶ娘達を見て巨大れいむは再びため息をついた。 巨大れいむは後悔していた。娘達を甘やかしすぎたことを。 産まれて間もない娘達の喜ぶ顔が見たい一心で巨大れいむは食料を集めていた。 甘えてくる娘達を受け止めて存分に甘やかした。 娘達が子ゆっくりに育っても、平均的なゆっくり家族のように子供と一緒に食べ物集めには行かなかった。 娘を危険な目に合わせるわけにはいかないと一人で食料を探しに出かけていたのだ。 娘達が成体と呼ばれるまで大きく育っても巨大れいむは娘を独り立ちさせずに世話をし続けた。 この時はまだ自分の育て方が悪いと思ってなかったし、事実として娘達はとてもゆっくり出来ていた。 そんなある日のこと、食料を集め終えておうちに帰ると一匹のまりさが娘達とゆっくりしていた。 巨大れいむは侵入者のまりさよりもまず、娘達の頭に茎が生えていたことに驚いた。 どの茎にもれいむ種とまりさ種の赤ちゃんが実っていた。 それはつまり、どこからともなく現れたまりさによって娘が孕まされたことを意味していた。 自分の居ない間におうちに侵入した上に、可愛い娘をも汚したこのまりさを許すわけにはいかない。 強い憤りを感じた巨大れいむはまりさをこの場で潰してやると身構えたが、 「このまりさはれいむたちをすっきりさせてくれたんだよ!」 「ゆっくりできるまりさだよ!!」 「おかあさんみてみて! あかちゃんができたんだよ!」 「まりさのおかげでゆっくりできるよ!!」 幸せそうに笑顔を浮かべて喜ぶ娘達を見ると、目の前でゆっくり殺しなど出来るわけもなかった。 かといってまりさに対する怒りが消えたわけではない。 怒鳴りつけたいのを抑え、極めて冷静にまりさへ話しかける。 「まりさ、こんなにたくさんのあかちゃんをうませたけどちゃんとそだてられるの?」 「もちろんそだてられるよ! だからきょうからここをおうちにするね!!」 「よろしくねまりさ!」「いっしょにあかちゃんそだてようね!!」 どうやら娘達とまりさの間ではこのおうちに住み着くことは決定済みらしい。 それは赤ちゃんを生やした娘のことを考えるとそれでいいのだが、 まりさの返答を聞く限りでは赤ちゃんの世話について深く考えておらず、何とかなるだろう程度にしか考えていないように見えた。 逆にそうでなければ「もちろんそだてられる」などと軽々しく即答できるわけが無い。 きっと後先考えず、性欲の赴くままに娘たちに子種を植え付けたのだろう。 そうしてまりさはおうちに住み着き、次の日には赤ちゃんゆっくりが産まれ落ちた。 娘全員から5~10匹産まれたので相当な数の赤ちゃんでおうちは満たされた。 窮屈に感じられたが、元々広い洞窟なので生活するのに不都合はなかった。 それでも跳ねるときは赤ちゃんを潰さないように細心の注意が必要になったが。 「おばーちゃんゆっくちしていっちぇね!」 「おばーちゃんいっしょにゆっくりちようね!!」 と身体を摺り寄せてくる孫はとても可愛くてゆっくりできていた。 だが同時に、この可愛い孫達のために大量の食べ物が必要だと思うと不安が募るばかりだった。 念のために貯蓄しておいた食べ物だって二日と持たないだろう。 なので巨大れいむはまりさに食べ物集めを手伝うようにお願いしたのだが、 「まりさはあかちゃんのせわするからむりだよ! またこんどね!」 と断られ、娘や孫達には 「おかーさん、あかちゃんのたべものおねがいね!」 「がんばってねおかーさん!」 「ゆっくりまってるよ!!」 「ほら、あかちゃんたちもおねがいしてね!」 「「「おばーちゃん、ゆっくちたべものちょーだいね!!」」」 「まりさのぶんもわすれないでね! おおめにね!」 と頼まれた巨大れいむは可愛い娘や孫達の頼みならば仕方ないと一匹で食料調達に出かけた。 最後のまりさの頼みにはイラっと来たが、怒りを露にして赤ちゃん達を怯えさせるのも良くないと思って我慢した。 明日には一緒に食べ物を集めてくれるだろう、そう信じて巨大れいむは食べ物を集めた。 しかし次の日も、また次の日も、そしていつまで経ってもまりさも娘達も食べ物集めを何かと理由付けて手伝ってくれなかった。 そうしている間に赤ちゃんゆっくりは子ゆっくりサイズにまで成長した。 それぞれ食べる量も多くなり、巨大れいむ一匹で集めた食料だけではもう足りなくなっていた。 なので娘達には子を連れて引越ししてもらおうと思ったが、その旨を伝えようとした矢先に娘達とまりさはまた次の赤ちゃんを産み出していた。 これ以上赤ちゃんが増えると食べ物が足りなくてゆっくり出来ないからすっきり禁止と伝えていたのにも関わらずだ。 当然巨大れいむは娘達を責めたが、 「かわいいあかちゃんをみるとゆっくりできるよ」 「すっきりをがまんしたらゆっくりできなかったよ。だからすっきりしたんだよ」 などと訳の分からない言い訳が返ってきた。要は自分勝手な理由で赤ちゃんを産んだのだ。 さすがの巨大れいむもこれには呆れるしかなかった。 娘達はまた可愛い赤ちゃんが産まれたと、孫は妹が出来たと喜んでいたが、巨大れいむは全く嬉しくなどなかった。 確かに目の前の赤ちゃん達はとてもゆっくりした赤ちゃんで愛らしい。 しかしながら巨大れいむにとって赤ちゃんはこの状況下において負担でしかないのだ。 それから三日経った今、巨大れいむはこうして溜息をついているわけである。 巨大れいむは二度目の赤ちゃんゆっくりが産まれてからはほとんど休まず食料調達に出かけた。 朝は日が昇る前から出かけ、 昼は娘達に集めた食べ物を渡すと十分ほど休んでまた出かけ、 日が暮れる前に戻って疲れを取るためにすぐ眠りに付く。 ゆっくりする暇なんてとてもじゃないが無かった。 しかし疲れが溜まっていたのだろう。 娘の育て方に後悔して溜息している間に巨大れいむは深い眠りについてしまったらしい。 目が覚めると夕暮れ時だった。 本来なら夕食を持ち帰ってきているはずの時間だ。 だが昼寝をしてしまったので当然食べ物などあるわけが無かった。 「ゆ…ゆっくりねたけっかがこれだよ…」 初めは焦った巨大れいむだったが、一食ぐらい抜いても大丈夫だよねと結論付けた。 何よりも今日まで毎日休まずに食べ物を探しに出たのだ。半日ぐらい休んだっていいはずだ。 ところが夕飯は運んでもらうのが当たり前の娘や孫達からすればそんなの勝手な理由でしかない。 巨大れいむはおうちに勢揃いした家族達に口々に文句を言われ、責められた。 「なにかんがえてるの! あかちゃんがおなかすいてるよ!!」 「れいむもいっぱいあそんでおなかすいてるんだよ!」 「これじゃゆっくりできないよ! おばーちゃんはゆっくりできないね!!」 「おなかちゅいたよ! おかーちゃんたべものはー?」 「ほら! おかーさんがさぼるからゆっくりできないよ!!」 「まりさはおこってるよ! やることやらずにゆっくりしないでよね!」 「ゆ"…」 なんでここまで怒られるのか全く分からなかった。 毎日ゆっくり遊んでるだけのくせにどうしてそんな事を言えるのだろう。 今までゆっくり出来たのは自分がゆっくりせずに頑張ってきたからだ。 それなのにちょっとゆっくりした結果がこの罵詈雑言の嵐である。 夕食を用意出来なかったのは確かに悪かったとは思ってる。 だがここまで言われるような悪い事をしたのだろうか。 何も一食抜いたぐらいで死にはしないし、我慢できなければ周囲の草木を食べれば十分のはずだ。 だからこそいつまでも続く娘や孫達からの罵倒に巨大れいむはイラつき始めていた。 「おかーさんはほんとつかえないね!」 「さいきんはたべものすくないし!」 「そうだよ! さいきんおなかいっぱいになれてないよ!!」 (それはあかちゃんをふやすからとりぶんがへったんだよ) 「こどもとあかちゃんがおなかすいてゆっくりできないよ!」 「たくさんたべものもってこないからだよ!!」 「おばーちゃん、おなかちゅいたよ!!」 「たべものもってこないおばーちゃんはきりゃいだよ!!」 (たべものもってるときだけあまえてくるおまえたちなんてれいむもすきじゃないよ) 「たべものもってくるぐらいちゃんとしてよね!」 「なんでそんなこともできないの!」 「れいむたちでもやればできることだよ!?」 (やったこともないくせにかんたんなんてよくいえるね) 「ほんとだめなおかーさんだね!」 「まりさもゆっくりしてないでなんかいってよ!!」 「ゆ! まりさはあたまいいからしってるよ! しごとしないならゆっくりするけんりはないんだよ!!」 (そうだよね。たしかにまりさのいうとおりだよ。 しごとしないならゆっくりするけんりなんてないよね) 「ゆんっ、こんなおおきいだけのむのうなれいむはしんでね!」 まりさがニヘラと笑顔を浮かべて体当たりしてきた。 まりさの頭の中では巨大れいむを吹き飛ばす光景が見えているのだろう。 巨大れいむは微動だにせず、可哀想なぐらい軽い体当たりを悠々と受け止めた。 そして間髪入れずにまりさに噛みつき、歯で締め上げた。 「ゆ"っ!? あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!!」 まりさは巨大れいむの歯に挟まれ、痛みに悶える。 だが体に食い込むほど強く噛みついているのだから逃げられる訳もない。 出来ることと言ったら、外に出てる口で必死に悲鳴を上げるぐらいだ。 「なんでごんなごどずるのぉぉぉぉ!!!」 「まりざをはなじでえぇぇ!!」 「おがーさんひどいよぉぉぉぉ!!」 周りの娘達が何だか煩いのでまりさを離してやることにした。 ペッと唾を吐き出すのと同じ要領でまりさを地面に吐きだした。 「ゆぎっ! ゅ"、ゆ"ぅ"…」 地面に落とされたまりさは体をガクガクと震わせ、大粒の涙を流しながら這いつくばっていた。 歯形が残っているとはいえ普通のゆっくりならこの程度の痛みでここまで苦しむことはない。 だがゆっくりしすぎたまりさは痛みに慣れておらず、大袈裟なほど苦しんでいた。 つい数秒前まで生意気言っていたくせに今は惨めでしかなかった。 「まりさー!」 「ゆっくりだいじょうぶ?」 「いたいのゆっくりとんでってね!!」 「おかーさん! まりさになにするの!!」 まりさに駆け寄った娘たちはまりさを庇うように巨大れいむの前に立ちはだかった。 何で目先のゆっくりやすっきりしか見えないまりさを庇うのだろう。 元はと言えばこのまりさが娘たちをすっきりさせなければ食べ物に困らなかったし、 このまりさが食べ物集めを手伝ってくれれば食糧事情も少しは楽になったろうに。 いや、この娘たちはそんなの分かってないのだ。 娘たちはこのまりさと同じで目先のゆっくりしか見えていない。 そしてこんな娘に育てたのは他でもない自分だ。 ああ、そうか。 そこまで考えた所で巨大れいむはようやく理解した。 これまで娘たちを甘やかしていたからこそ自分がゆっくり出来てなかったということに。 娘たちが子供を連れて引っ越さないのも、 まりさがいつまで経っても食べ物集めを手伝わないのも、 自分が文句も言わず、叱りもしない結果だったんだ。 「あまやかしたけっかがこれだよ…」 「ゆ? なにいってるの!」 「そんなことよりまりさにあやまってよね!!」 「あとたべものもいまからでいいからとってきてよね!」 俯いていた巨大れいむは口の減らない娘たち、そして孫達を強い意思の宿った瞳で睨みつけた。 その強い視線に娘達も孫も、そして呻くだけのまりさも目を合わせられず黙り込んだ。 そして巨大れいむは娘達に告げる。 「ゆっ、きめたよ。 れいむはもうみんなのためにたべものをはこばないよ。 あしたからはじぶんでたべものさがしてね」 巨大れいむはようやく決心したのだ。 もう娘たちの世話はしない。 これからは娘たちに娘たちの家族を養わせる。 まりさには特に働いてもらおう。 何しろこれだけの子供や赤ちゃん達共通の親なのだから。 「たべもののおおいばしょはおしえてあげるからがんばってね」 「ゆっ! まってよ!!」 「そんなのなんでれいむたちがやらなきゃいけないの!!」 「そうだよ! たべものなんておかーさんがもってくればいいでしょ!!」 「さぼろうとするなんてゆっくりできてないね!!」 「やるきがないならおうちからでていってね。 しごとしないゆっくりはゆっくりするけんりはないよ」 「なにいってるの!」 「れいむはおこったよ! あかちゃんだっているんだよ!!」 「でてくならおかーさんがでてってね!!」 「とにかくきめたことだよ。 れいむはでていかないし、おまえたちがみんなのせわをすることもかわらないよ。 ゆっくりりかいしてね」 その後もゆーゆーと煩い娘たちだったが、 日が完全に暮れて真っ暗になると一匹、また一匹と眠りについていった。 まりさはその間もずっと痛みで泣いていた。異常なほど打たれ弱いまりさだ。 そこまで確認して巨大れいむも眠りについた。 翌朝。 日が昇り始めたころに巨大れいむは目を覚ました。 娘たちは今までかなりの遅起きだったようだがこれからはそうはさせない。 食糧調達に出かけてもらうまりさと娘たち、さらには子ゆっくり達を舌でつついて起こした。 「ゆぅ、なに? なんなの?」 「おばーちゃん、にゃんなの? じゃまちないでね…」 「まだおきるじかんじゃないよ。ゆっくりねさせてね」 「ねむりをじゃまするなんてゆっくりできないね!」 「たべものさがしにでかけてね」 「なにいってるの? ばかなの?」 「それはおかーさんのしごとで…ゆ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!?」 巨大れいむは一匹の娘に噛みつくとおうちの外へと投げ飛ばした。 そして他の娘たちも次々と投げ飛ばす。 「なにするの! まりさのれいむにらんぼうしないでね"っ!?」 もちろんまりさも投げ飛ばした。 娘たちよりも気持強めに噛みついておいた。 「い"だい"ぃ"ぃ"!! まりざにもらんぼうじないでぇぇぇ!!」 「いたいのがいやならたべものさがしにいってね」 まりさも娘たちも震えて泣きながら頷いた。 痛みに慣れてないのは娘たちも同じで、体罰はよく効いたようだ。 「あかちゃんはれいむがせわみてあげるからほかのみんなはたべものさがしてきてね」 赤ちゃんはまだ外に出すつもりはない。 赤ちゃんの仕事はゆっくり育つことなのだから。 しかしこれで面白くないのは赤ちゃんではない子ゆっくりだ。 「なんでれいむもいかなきゃいけないの!」 「いもうとはなんでいかなくていいの!?」 「そうだよ! おばーちゃんずるい!!」 妹である赤ちゃん達はゆっくりしていいのに姉である自分がダメなのか分からないらしい。 いや、この環境下で育った子供達が分からないのも当然か。 しかしだからといってここで甘やかしたら自分の娘のように働かないゆっくりに育ってしまうかも知れない。 巨大れいむとしては自分の犯した過ちを繰り返したくなかった。 といっても小さい孫に娘と同じような体罰は出来ない。 自然と外に行きたくなるよう説得することにした。 「ゆっ! だいじょうぶだよ。 おかあさんについていくだけだからゆっくりできるよ。 ゆっくりぴくにっくしてきてね」 「ゆ? ゆっくりできるの?」 「おかあさんとぴくにっく? ゆっくりできそう!」 「ゆーん! おかーさんゆっくりいこうね!」 「ゆ、ゆん…ゆっくりいこうね」 実の娘が自分とのピクニックを楽しみにする姿を見た娘たちは諦めがついたようだ。 むしろ子供の様子を見て外に出かけるのもいいかもと思ったのかもしれない。 「ゅー? れいみゅたちはどうしゅればいいの?」 「ゆっきゅりまってればいいの?」 「まりしゃもおかーしゃんといっしょにいきたいよ!」 「おちびちゃんたちはおるすばんだよ。 おかーさんがたべものもってきてくれるからあんしんしてね」 「ゅゅー! おかーしゃんがもってきちぇくれるの!」 「ゆっきゅりたのしみ!」 「いっぱいもってきちぇね!!」 「ゆ! わかったよれいむのあかちゃん!」 「ゆっくりまっててね!!」 赤ちゃんの声援のおかげで娘達はやる気が湧いてきたようだった。 これは良い傾向だ。 どうなるかと思って不安だった巨大れいむも今は胸のつかえが取れたような清々しさを感じていた。 その後は赤ちゃんと共に娘たちとその子供、それとまりさを見送った。 「おひるにはかえってきてね!」 「おかーしゃんまっちぇるよ!!」 「ゆっくりいっぱいもってきちぇね!!」 「ゆっ! あかちゃんのためにがんばるよ!!」 「ゆっくりまっててね!」 娘達は赤ちゃんの応援を受けて嬉しそうに駆けていった。 食べ物のある場所はすでに教えてある。 そう遠くは無いし、あそこは外敵もいないから大丈夫だろう。 ただひとつ心配なのはまりさがずっと乗り気ではなさそうだったことぐらいか。 だが今までゆっくりし続けていた娘たちは巨大れいむが思っていたよりもゆっくりしすぎていた。 お昼過ぎになっても帰ってこなかったのだ。 そうなれば当然赤ちゃん達はお腹を空かせて喚きだす。 「おばーちゃんおなかへっちゃよ!」 「おかーしゃんがかえってこないよ? どうちたのー?」 「おなかがへってちからがでにゃいよ!!」 「ゆぅ…」 一体どうしたというのだろうか。 お昼に戻るように確かに伝えたはずだ。 それに娘達は赤ちゃんのためにやる気を出していた。 もしや外敵に襲われたのだろうか? それとも何か事故でもあったのだろうか? 巨大れいむは娘の身に何かあったのかと大きな不安に襲われた。 良かれと思って娘達を外の世界に行かせたことは間違いだったのか。 しかし悩んでいても赤ちゃん達のお腹は膨れない。 仕方ないので赤ちゃんを連れておうちの周りにある草木を食べさせた。 非常食であり隠れ蓑でもあるのでなるべく食べたくないが、赤ちゃんをこれ以上飢えさせる訳にもいかなかった。 そうして赤ちゃんのお腹が膨れたが、その後も娘たちは帰ってこない。 赤ちゃん達が不安がって泣き出したりもしたので巨大れいむはその対応に追われた。 だが夕方になると娘達は巨大れいむの心配をよそに満足そうな顔して帰ってきた。 娘もその子供達もみんな無事のようだ。 巨大れいむは安心したが一応どうしたのか聞くことにした。 「ゆ! どうしてひるにかえってこなかったの? あかちゃんがおなかすかせてたいへんだったんだよ」 「ゆ、ゅー…」 何ともばつの悪そうな反応をする娘たち。 そういえば夕食のための食べ物を持っていないようだった。 「それにたべものはどうしたの? これじゃあきょうもゆうしょくぬきになるよ?」 途中で誰かに取られたのだろうか? それとも迷った? 巨大れいむはいくつかの答えを予測していたが、娘達の答えはその中でも一番最悪のパターンだった。 「ゆっ、ゆっくりわすれてたよ!」 「でも、でもしょうがないよね!! こどもたちとあそんでたんだよ!!」 「みんなでかけっこしてあそんだんだよ!!」 「そうだよ! それにれいむたちはたべものちゃんとたべてこれたんだよ!!」 「れいむたちはよるごはんをたべてきたからだいじょうぶだよ!」 「あかちゃんはゆっくりがまんしてね!!」 「ゅー! おかーしゃんおなかしゅいたよー!」 「にゃんでたべものもってきちぇないのぉぉ!!」 「これじゃゆっきゅりできないぃ!!」 「うるさいよ! おうちでゆっくりしてたあかちゃんはゆっくりだまってね!」 「おなかすいたならじぶんでとってきてよね!!」 ああ、何という。 何というバカ娘なのだろう。 巨大れいむは嘆くほかなかった。 言い訳ばかりで一番守るべき赤ちゃんに八つ当たりまでするなんて。 巨大れいむは口で叱るよりも前に娘達とまりさに対して次々とその巨体をぶつけていた。 「ゆっくりはんせいしてね!!」 「ゆぎぃっ!!」 「ゆぎゃ!」 「なにずるの…ぁ"ぅ"っ」 「ま、まりさはわるくないよ! わるいのはれいむうぅ"ぅ"ぎい"ぃ"ぃ"ぃ"っ!!!」 「おまえたちはおやとしてさいていのことをしたんだよ!! じぶんがゆっくりできればあかちゃんがゆっくりできなくてもいいの!?」 おうちに響く巨大れいむの怒声。 続くのは怒られた娘たちの、そして怒声に怯えた孫達の泣き声だった。 しばらくして娘達は泣きながら謝罪を始めた。 「ゆっくりごめんなざい"ぃ"!」 「あかじゃんごめんね"ぇ"ぇ"ぇ"!!」 「れいむだちがぜんぶわるいのぉぉ!!」 わんわん泣きながら娘は赤ちゃん達に謝った。 赤ちゃんも泣きながらお母さんに擦り寄っていた。 仲直りしたのはいいことだが赤ちゃん達の夕食が無いことに代わりはない。 どうしようかと巨大れいむが思案していたその時だった。 「ゆっ! もうこんなゆっくりできないところにいられないよ!! ゆっくりできないれいむたちはみんなしんでね!!!」 「ゆっ? どういうことまりさ!!」 「おまえたちのせわなんてかんべんだよ! まりさがゆっくりできないならこんなところにいてもしょうがないよ!!!」 ただ一匹謝らずに不貞腐れていたまりさがそんな叫びと共におうちを飛び出した。 巨大れいむはまりさを追う。 ただの癇癪なのかもしれないが、このまりさは妻と子供を見捨てようとしているのだ。 逃がすわけにはいかない。 まりさは逃げながら考えていた。 こんなはずじゃなかった。 まりさがあのおうちに忍び込んでれいむ姉妹と出会った時に聞いたのだ。 あの親の巨大れいむが全部の世話をしてくれる。食べ物も全部運んでくれるからゆっくり出来ると。 だからこそあのれいむ姉妹と乱交した後に立ち去らず、そのまま居残ったのだ。 妻や赤ちゃん達に囲まれて王様気分だったのに突然巨大れいむが食べ物集めろなんて変なこと言いだした。 なんで他のゆっくりのために働かなきゃいけないのか分からない。 赤ちゃんがどうとかあの巨大れいむは怒っていたが、赤ちゃんなんてまた作ればいいだけ。 所詮他のゆっくりは自分がゆっくり出来るための道具なんだ。 ああ、でももういいや。 もうあんなゆっくり出来ないゆっくり達とは別れてもっとゆっくり出来るパートナーを探すとしよ―――― まりさがれいむ家族との決別を決めたその瞬間。 まりさの背後から圧倒的な質量が圧し掛かってきた。 そして次の瞬間にはまりさの体は宙を飛んでいた。 (おそらをとんでるみたい) 吹き飛ばされたまりさはそんな危機感のないことを思いながら真っ直ぐ飛んでいく。 直後木の幹にぶつかってまりさの意識は途絶えた。 巨大れいむは気絶したまりさを咥えるとおうちへと持ち帰ることにした。 まりさに追いつくのは簡単だった。 体長の違いもそうだが、毎日娘や孫のためにあちこちを駆けていた巨大れいむとほとんど運動していなかったまりさとでは運動能力に差がありすぎた。 怒りにまかせてその場で潰してしまうことも考えたが、そんなんじゃ巨大れいむの気は収まらなかった。 おうちへ戻った巨大れいむはまりさをおうちの中央に置いた。 痙攣して気を失っているまりさを憎しみの篭った瞳で睨みつける娘と孫たち。 共通の夫、共通の親であるまりさが自分たち放って逃げようとしたのだ。恨まれて当然である。 巨大れいむはまりさの処罰について考えていた。 まりさをもし許したとしてもまたすぐに脱走を企てるに違いない。 許さないのは決定でいいとしてどうしたものだろう。 と、そこへ一匹の赤ちゃんが言葉を漏らした。 「おかーしゃんおなかしゅいたよ」 自分の空腹を自分の母親に伝えただけなのだろうが、巨大れいむはその言葉を聞いていいことを思い付いた。 この憎たらしいまりさに相応しい最後。それでいて実益のある処刑を。 食べ物を取ってこなかった罪、裏切った罪はその身で払ってもらえばいいのだ。 巨大れいむはうっすらと笑みを浮かべながら赤ちゃん達に話しかける。 「ねぇ、あかちゃん。たべものなら、あるよ」 「ゅ? どきょ?」 「ゆっきゅりたべものちょーだい!!」 「おばーちゃんだいちゅきー!!」 「たべものはね。これだよ」 巨大れいむは舌でまりさを示す。 頭の上に"?"を浮かべた家族だったが、 巨大れいむの考えが徐々に理解できた家族の顔が青ざめていく。 そして震えた声を出す。 「ゅ…でも、これ、まりさだよ?」 「まだ…いきてるよ。いきてる、まりさだよ…?」 「まりしゃおかーしゃんはたべものじゃないよ!」 「おかーさん…? なに、かんがえてるの…」 「まりさはたべものとってこなかったよ。だからまりさはたべものになってもらうよ」 「で、でも…」 「まりさをたすけたいの? このまりさはみんなをうらぎったんだよ? そんなまりさはたべられてとうぜんだよね?」 巨大れいむの真っ黒な瞳が娘たちを映した。 まるで捕食者に睨まれているような気分だった。 この提案を断ったら自分も食べ物にされるんじゃないかという恐怖が娘達を襲う。 「あ、あかちゃん。まりさを、まりさをたべてね!」 「ゅ? でもまりしゃおかーしゃんは…「いいからゆっくりしないでたべてね!!」 「ゅゅーっ! た、たべりゅよ!!」 母への恐怖が娘を突き動かした。 娘たちは怯えた声で赤ちゃんに親食いを命じた。 数十匹の赤ちゃんは親に従ってまりさの体に被さった。 そして小さな口で啄むようにまりさを食べていく。 少しずつ少しずつ食べられていく痛みにまりさは不幸にも目を覚ました。 「ゆぎぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!? い"だい"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!!!!!」 全身至る所を噛み千切られる痛みに悲痛な叫びをあげる。 体を転がして痛みの原因を取りはらおうとするが、赤ちゃんが数十匹纏わりついているのだ。 力が弱く根性も無いこのまりさは身動き取れずにいた。 「なんでぇぇぇ!! なんでまりざをだべるのぉぉぉぉお!!!?」 「まりさはいったよね。 しごとしないならゆっくりするけんりはないって」 「ゆぎっ、ゆぎゅぶぉおぉおぉぉごおぉ!!!」 口を開いた結果、上唇も下唇も別の赤ちゃんに噛みつかれたようだ。 話しかけた巨大れいむの方に視線を向けているので一応聞いているのだろう。 「まりさはまいにちゆっくりばかりでしごとしなかったよ。 あかちゃんがふえてもゆっくりあそぶだけ。 きょうもたべものわすれてゆっくりあそんだんだよね?」 「おごおぉぉぉ!! ぼぎょっ、ぼごっ……!!」 まりさは涙をボロボロ流して巨大れいむに助けてとアイコンタクトで訴えかける。 開いた口から数匹の赤ちゃんが入りこんで、口の中からまりさは食べられていた。 歯茎の辺りなど美味しいのか剥がすように食われていた。 さらにまりさの片目は赤ちゃんの小さな口でちまちまと齧られている。 もう片方の目もそろそろ噛みつかれるだろう。 「でもまりさはさいごにこうしてしごとができたよね」 「………」 「たべものはもってこなかったけど、たべものになってくれたね」 「………」 まりさはもう口内をことごとく食い荒らされて喋れない。 眼球は瞳から食い破られ、中身を吸われるように食されてもう何も見ることが出来ない。 音だってもう聞こえないのかもしれない。 娘たちやその子供はおうちの隅で泣いて震えながらその惨状を見ていた。 巨大れいむもまた、心がすっきりするのを感じながら黙って見ていた。 「むーちゃ、むーちゃ、ちあわせー!」 「まりしゃおかーしゃんおいちーね!!」 「ゅゅー、こっちもおいちーよ!!」 おうちの中には善悪の無い赤ちゃんによるまりさの味批評の声と咀嚼の音、あとは娘達のすすり泣く声だけが響いていた。 それから時間にして30分程度だろうか。 まりさは数十匹のプチトマトサイズの赤ちゃんに非常にゆっくりと食べられた。 ハーレムの王を気取っていたまりさは僅かな食べかすと帽子を遺してこの世からいなくなった。 赤ちゃん達は満腹になってスヤスヤとお休みモードだ。 罪悪感なんてないのだろう。とても満足そうな表情を浮かべている。 娘たちと子ゆっくり達はというとゆっくりの捕食シーンを目の当たりにして怯えていた。 何よりも巨大れいむに怯えていた。 確かにまりさが自分たちを見捨てようとしたのは許せない。 でもそれに対する罰は袋叩きにして追放する程度だと考えていた。 しかしお母さんである巨大れいむはどうだ。 お腹を空かせた赤ちゃんにまりさを食べさせたのだ。それも生きたままのまりさを。 そんなことをさせるお母さんが何よりも恐ろしく、身の危険すら感じていた。 対して巨大れいむはドス黒い快感にすっきりしていた。 あの憎いまりさが自分の赤ちゃんに食べられて体の崩れていく様はこの上なく興奮できた。 何だか物足りない気もしたが、これで赤ちゃんも満腹になれたし働かないまりさもいなくなった。 娘たちも反省しているようだし全てが上手くいったんだ。 巨大れいむはそれを確信し、幸せな気分のまま眠りについた。 翌朝、娘と子供達は昨日と同じように食糧調達に出かけた。 巨大れいむと赤ちゃん達は笑顔で見送ったが、娘達は二度と帰ってくることは無かった。 遊び呆けて赤ちゃんの世話を忘れた昨日とは違った。 恐ろしい母とはもう居られない。 生きていたまりさを食べ、同種の味を知った赤ちゃんも連れていきたくなかった。 それゆえに子を連れて旅立ったのだ。 こうして甘やかされた娘達は巨大れいむの意図しない形で独り立ちを果たした。 子と共に食糧調達に出かける楽しみを知った彼女たちはもう大丈夫だろう。 きっと野生に生きるゆっくりとして生き、野生に生きるゆっくりとして死ぬのだ。 一方おうちに残るのは巨大れいむ一匹になっていた。 辺りには孫の赤ちゃんの名残である飾りが散らばっている。 巨大れいむが食べ物を探しに出かけている間に赤ちゃんは共食いを始めた。 生きたまりさを食べさせたのが間違いだった。 同種の味を知っただけでなく、悪いことをしたゆっくりは食べ殺してもいいと勘違いしたのだ。 お腹の減った赤ちゃんは巨大れいむが出かけている間にちょっとしたことで姉妹を悪者に仕立て上げた。 それは「ぶつかってちょっといたかった」とか「じぶんのおもちゃ(小石)をとった」だとかほんの些細なことだ。 そしてお互いに悪いゆっくりを食べた。 そしておうちに戻った巨大れいむに最後に残った赤ちゃんが噛みついた。 巨大れいむはそれがまりさ種だと確認すると、自分の顎に食いつく赤ちゃんまりさをそのまま壁に押し付けて潰した。 巨大れいむは深い溜息をつく。 自分はどこで間違ったのだろうか。 甘やかした娘達を更生させようとした結果がこの孤独だ。 寄生虫のようなまりさは処刑してやった。 なのに娘達は食べ物を探しに行ったきり行方知れずになった。 そして孫達はどうしたことか共食いして全滅した。 ああ、なんということだろう。 結局自分は家族を崩壊させてしまっただけじゃないか。 取り返しのつかないことをしてしまったと巨大れいむは嘆いた。 だが巨大れいむは気付いていなかった。 娘達は形だけではなく本当の親としての第一歩をしっかりと踏み出せていた。 その点で言えば巨大れいむは間違ってなかったのかも知れない。 しかし巨大れいむがそのことに気づくことは永遠にない。 結局巨大れいむは死ぬ間際までどこで何を間違えたのかと後悔し続けた。 終 by ゆっくりしたい人 巨大れいむに運命の分岐点があるとすれば逃げたまりさに追いついた時。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/237.html
子どもの権利委員会・一般的意見15号:到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利(第24条) 前編 一般的意見一覧 子どもの権利委員会 第62会期(2013年1月14日~2月1日) CRC/C/GC/15(2013年4月17日/原文英語) 日本語訳:平野裕二〔日本語訳全文(PDF)〕 目次 I.はじめに(パラ1-6) II.健康に対する子どもの権利を実現するための原則および前提(パラ7-22)A.子どもの権利の不可分性および相互依存性(パラ7) B.差別の禁止に対する権利(パラ8-11) C.子どもの最善の利益(パラ12-15) D.生命、生存および発達に対する権利ならびに子どもの健康の決定要因(パラ16-18) E.意見を聴かれる子どもの権利(パラ19) F.子どもの発達しつつある能力およびライフコース(パラ20-22) III.第24条の規範的内容(パラ23-70)A.第24条第1項(パラ23-31) B.第24条第2項(パラ32-70) IV.義務および責任(パラ71-85) → 健康に対する子どもの権利 後編A.締約国の尊重義務、保護義務および充足義務(パラ71-74) B.国以外の主体の責任(パラ75-85) V.国際協力(パラ86-89) VI.実施および説明責任履行の枠組み(パラ90-120)A.健康に対する子どもの権利についての知識の促進(第42条)(パラ93) B.立法措置(パラ94-95) C.ガバナンスおよび調整(パラ96-103) D.子どもの健康への投資(パラ104-107) E.行動サイクル(パラ108-118) F.健康権侵害の救済措置(パラ119-120) VII.普及(パラ121) I.はじめに 1.この一般的意見は、子どもの健康に対して子どもの権利の視点(すべての子どもに、身体的、情緒的および社会的ウェルビーイングを背景として、それぞれが有する潜在的可能性を全面的に発揮しながら生存し、成長し、かつ発達する機会を有する権利がある)からアプローチすることの重要性を基礎として作成されたものである。この一般的意見全体を通じて、「子ども」とは、子どもの権利条約(以下「条約」)第1条にしたがい、18歳未満のすべての個人をいう。条約が採択されて以降、近年、子どもの健康権の充足について目覚ましい成果が達成されたにも関わらず、相当の課題が残ったままである。子どもの権利に関する委員会(以下「委員会」)は、予防、治療およびケアのために利用可能な知識および技術の適用に対する政治的なコミットメントおよび十分な資源の配分があれば、子どもの死亡、罹病および障害のほとんどは予防可能であることを認識する。この一般的意見は、到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利(以下「子どもの健康権」)の尊重、保護および充足について締約国および何らかの義務を負うその他の主体を支援するため、締約国および何らかの義務を負うその他の主体に指針を示し、かつ支援を提供することを目的として作成された。 2.委員会は、第24条で定められている子どもの健康権を、予防、健康促進、治療、リハビリテーションおよび緩和ケアのための時宜を得た適切なサービスのみならず、最大限可能なまで成長発達し、かつ、健康の根本的決定要因に対応するプログラムの実施を通じて最高水準の健康に到達することを可能にする条件下で生活する権利にまで及ぶ、包摂的な権利と解釈する。健康に対するホリスティックなアプローチをとることにより、子どもの健康権の実現は、より幅広い、国際人権法上の義務の枠組みのなかに位置づけられる。 3.委員会は、子どもの権利および公衆衛生の分野で活動する一連の関係者(政策立案およびプログラムの実施に携わる者ならびに活動家を含む)、ならびに、親および子どもたち自身に宛ててこの一般的意見を公にする。広範な子どもの健康問題、保健制度、ならびに、国および地域によって異なるさまざまな文脈との関連性を確保するため、この一般的意見はその一般的性質を明確にしたものである。ここではもっぱら第24条第1項および第2項に焦点を当て、第24条第4項についても取り上げる [1]。第24条の実施においては、すべての人権原則(とくに条約の指導的原則)を考慮に入れなければならず、またエビデンスに基づいた公衆衛生上の基準および模範的実践によって実施のあり方が決定されなければならない。 [1] 有害慣行に関する一般的意見が現在作成途上にあるため、第24条第3項については取り上げていない。 4.世界保健機関憲章において、各国は、健康について、完全な身体的、精神的および社会的ウェルビーイングの状態であって単に疾病または病弱の存在しないことではないと考えることに合意した [2]。健康に関するこの積極的理解は、この一般的意見の公衆衛生上の基礎をなすものである。第24条はプライマリーヘルスケアに明示的に言及しているが、これに対するアプローチはアルマアタ宣言で定められ [3]、かつ世界保健総会によって強化された [4]。このアプローチで重視されているのは、健康に関する排除の解消および社会的格差の縮減を図り、住民のニーズおよび期待に即する形で保健サービスを組織し、関連セクターに保健を統合し、協働型の政策対話モデルを追求し、かつ、関係者の参加(サービスに対する需要およびサービスの適正な利用を含む)を強化する必要性である。 [2] 国際保健会議が1946年7月22日に採択した世界保健機関(WHO)憲章前文。 [3] アルマアタ宣言(プライマリーヘルスケアに関する国際会議、アルマアタ、1978年9月6~12日)。 [4] 世界保健総会「保健制度の強化を含むプライマリーヘルスケア」(A62/8)。 5.子どもの健康はさまざまな要因の影響を受けるものであるが、これらの要因の多くはこの20年間に変化してきており、今後も変化し続ける可能性が高い。これには、新たな健康問題の発生および保健面での優先課題の変化が注目されるようになったこと(HIV/AIDS、インフルエンザの世界的流行、非感染性疾患、精神保健ケアの重要性、新生児ケアおよび新生児期・思春期の死亡等)、ならびに、子どもの死亡、疾病および障害を助長する諸要因(世界的な経済・金融情勢、貧困、失業、移住および強いられた集団避難、戦争および動乱、差別ならびに周縁化等の構造的決定要因を含む)に関する理解が高まったことも含まれる。気候変動および急速な都市化が子どもの健康に及ぼす影響についての理解も広がりつつあり、ワクチンおよび医薬品等の新技術も開発されており、また、効果的な生物化学的、行動科学的および構造的介入策、ならびに、子どもの養育に関連しており、かつ子どもに積極的効果を及ぼすことが証明されてきた若干の文化的慣行についてのエビデンスもいっそう蓄積されている。 6.情報通信技術の進展により、子どもの健康権を達成する新たな機会および課題が生じてきた。保健セクターがこれまで以上の資源および技術を利用できるようになっているにも関わらず、子どもの健康促進、予防および治療のための基礎的サービスにすべての者がアクセスできることをいまなお確保できていない国は多い。子どもの健康権を全面的に実現するためには、何らかの義務を負っているさまざまな主体の関与が必要であり、また親その他の養育者が果たす中心的役割についての認識が高められなければならない。政府機関および非政府組織のパートナー、民間セクターおよび資金拠出団体を含む関係者が積極的に関与し、国、広域行政圏、地方およびコミュニティのレベルで活動する必要がある。国には、何らかの義務を負うすべての主体が、その義務および責任を履行するための十分な自覚、知識および能力を有すること、ならびに、子どもが自己の健康権を主張できるようにその能力が十分に発達させられることを確保する義務がある。 II.健康に対する子どもの権利を実現するための原則および前提 A.子どもの権利の不可分性および相互依存性 7.条約は、すべての子どもがその精神的および身体的能力、人格および才能を最大限可能なまで発達させることを可能とする、すべての権利(市民的、政治的、経済的、社会的および文化的権利)の相互依存性および平等な重要性を認めている。子どもの健康権それ自体が重要であるのみならず、健康権の実現は、条約に掲げられた他のすべての権利の享受にとっても欠かせない。さらに、子どもの健康権を達成できるかどうかは、条約に掲げられた他の多くの権利の実現にかかっている。 B.差別の禁止に対する権利 8.すべての子どもの健康権を全面的に実現するため、締約国には、脆弱性を助長する重要な要因のひとつである差別の結果として子どもの健康が損なわれないことを確保する義務がある。条約第2条には多くの差別禁止事由(子ども、親または法定保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、民族的もしくは社会的出身、財産、障害、出生またはその他の地位を含む)が挙げられている。これらの差別禁止事由には性的指向、ジェンダーアイデンティティおよび健康状態(たとえばHIV感染および精神的健康)も含まれる [5]。子どもの健康を損なうおそれがある他のいかなる形態の差別に対しても同様に注意が向けられるべきであり、また複合的形態の差別の影響に対する対処も行なわれるべきである。 [5] 「子どもの権利条約の文脈における思春期の健康と発達」に関する一般的意見4号(2003年、Official Records of the General Assembly, Fifty-ninth Session, Supplement No. 41 (A/59/41), annex X)、パラ6。 9.ジェンダーに基づく差別はとくに蔓延しており、女子の新生児殺/堕胎から、乳幼児への栄養の与え方、ジェンダーに基づくステレオタイプおよびサービスへのアクセスに関わる差別に至るまで、広範な結果に影響を及ぼしている。女子・男子の異なるニーズ、ならびに、ジェンダー関連の社会的な規範および価値観が男子・女子の健康および発達に及ぼす影響に注意が向けられるべきである。伝統および慣習に深く根ざしており、かつ女子・男子の健康権を損なっている、ジェンダーに基づく有害な慣行および行動規範に対しても注意が向けられなければならない。 10.子どもの健康に影響を及ぼすすべての政策およびプログラムは、若年女性の全面的な政治参加、社会的および経済的エンパワーメント、セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関する平等な権利の承認、ならびに、情報、教育、司法および安全への平等なアクセス(あらゆる形態の性暴力およびジェンダーを理由とする暴力の撤廃を含む)を確保する、ジェンダー平等に対する広範なアプローチに根差したものであるべきである。 11.不利な状況に置かれた子どもおよびサービス等が行き届かない地域で暮らす子どもが、子どもの健康権を充足するための努力の中心に据えられるべきである。国は、子どもを脆弱な状況に追い込み、または特定の集団の子どもを不利な立場に追いやる、国および地方のレベルに存在する要因を特定することが求められる。子どもの健康に関する法令、政策、プログラムおよびサービスを発展させる際にこれらの要因への対処が行なわれるべきであり、公正を確保することに向けた活動が進められるべきである。 C.子どもの最善の利益 12.条約第3条第1項は、公的または私的な社会福祉機関、裁判所、行政機関および立法機関に対し、子どもに関わるすべての活動において子どもの最善の利益が評価され、かつ第一次的に考慮されることを確保する義務を課している。この原則は、子ども個人または集団としての子どもたちに関わる保健関連のすべての決定において遵守されなければならない。子ども個人の最善の利益の判定は、その身体的、情緒的、社会的および教育的ニーズ、年齢、性別、親および養育者との関係ならびに家族的および社会的背景に基づいて、かつ、条約第12条にしたがってその意見を聴いた後に、行なわれるべきである。 13.委員会は、締約国に対し、子どもたちの健康および発達に影響を及ぼすすべての決定(資源の配分を含む)、ならびに、子どもたちの健康の根本的決定要因に影響を及ぼす政策および介入策の策定および実施において、子どもたちの最善の利益を中心に位置づけるよう促す。たとえば以下のとおりである。 (a) 治療の選択にあたっては子どもの最善の利益が指針とされるべきであり、実行可能なときは経済的考慮よりも優先されるべきである。 (b) 親とヘルスワーカー間の利益の衝突を解決するために、子どもの最善の利益が役立てられるべきである。 (c) 子どもが生活し、成長しかつ発達する物理的および社会的環境を阻害する行動を規制するための政策の策定は、子どもの最善の利益によって左右されるべきである。 14.委員会は、すべての子どもの治療、その差し控えまたは停止に関わるあらゆる意思決定の基礎としての、子どもの最善の利益の重要性を強調する。国は、子どもの最善の利益について判定するために設けられている、公式なかつ拘束力のある他の手続に加えて、保健分野における子どもの最善の利益の評価に関してヘルスワーカーの指針となる手続および基準を策定するべきである。委員会は、一般的意見3号 [6] において、HIV/AIDSに対応するための十分な措置は、子どもおよび青少年の諸権利が全面的に尊重されなければとることができないと強調した。したがって、予防、治療、ケアおよび支援のあらゆる段階でHIV/AIDSについて検討する際に、子どもの最善の利益が指針とされるべきである。 [6] 「HIV/AIDSと子どもの権利」に関する一般的意見3号(2003年、Official Records of the General Assembly, Fifty-ninth Session, Supplement No. 41 (A/59/41), annex IX)。 15.一般的意見4号 [7] において、委員会は、健康問題に関する適切な情報へアクセスできることが子どもの最善の利益にのっとっている旨、強調した。一定のカテゴリーの子ども(心理社会的障害のある子どもおよび青少年を含む)に対し、特別な注意がむけられなければならない。入院または施設措置が検討される場合、その決定は、子どもの最善の利益の原則にしたがって、かつ、可能なかぎりコミュニティにおいて、家庭的環境のなかで(可能であれば、家族および子どもに提供される必要な支援を得ながら自分自身の家庭において)ケアされることこそ障害のある子どもの最善の利益にのっとっているという第一義的理解に立って、行なわれるべきである。 [7] 「子どもの権利条約の文脈における思春期の健康と発達」に関する一般的意見4号(2003年、Official Records of the General Assembly, Fifty-ninth Session, Supplement No. 41 (A/59/41), annex X)、パラ10。 D.生命、生存および発達に対する権利ならびに子どもの健康の決定要因 16.第6条は、子どもの生存、成長および発達(発達の身体的、精神的、道徳的、霊的および社会的側面を含む)を確保する締約国の義務を強調している。ライフコース中の広範な決定要因に対処する、エビデンスを十分に踏まえた介入策を立案しかつ実施する目的で、子どもの生命、生存、成長および発達の基底にある多くのリスクおよび保護要因が体系的に特定されなければならない。 17.委員会は、子どもの健康権を実現するためには、個人的要因(年齢、性別、学業成績、社会経済的地位および居住地等)、家族、同世代の子ども、教師およびサービス提供者からなる直近の環境で作用している決定要因(とくに、直近の環境の一環として子どもの生命および生存を脅かす暴力)ならびに構造的決定要因(政策、行政機構および行政制度、社会的・文化的価値観および規範を含む)を含む、多くの決定要因を考慮しなければならないことを認識する [8]。 [8] 「あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利」に関する一般的意見13号(2011年、Official Records of the General Assembly, Sixty-seventh Session, Supplement No. 41 (A/67/41), annex V)参照。 18.子どもの健康、栄養および発達を左右するもっとも重要な決定要因としては、母親の健康権の実現 [9] および親その他の養育者の役割がある。乳児の死亡の相当数は、妊娠前および妊娠中ならびに分娩直後の時期に母親の健康状態が望ましくないこと、および、母乳育児の収監が最適ではないことと関連して、新生児期に生じている。親およびその他の重要な成人の健康状態および健康関連の行動は、子どもの健康に重要な影響を及ぼす。 [9] 女性と健康に関する女性差別撤廃委員会の一般的勧告24号(1999年、Official Records of the General Assembly, Fifty-fourth Session, Supplement No. 38 (A/54/38/Rev.1))、第I章A節参照。 E.意見を聴かれる子どもの権利 19.第12条は、自己の意見を表明し、かつそのような意見を年齢および成熟度にしたがって真剣に考慮される子ども〔の権利〕を定め、子ども参加の重要性を強調している [10]。これには、保健に関わる対応のあらゆる側面(たとえば、必要とされるサービスの内容、当該サービスをもっともよい形で提供できる方法および場所、サービスへのアクセスまたはサービスの利用を妨げる障壁、サービスの質および保健専門家の態度、自分自身の健康・発達についていっそう高い水準の責任をとる子どもの能力を強化する方法、ならびに、子どもたちがピアエデュケーターとしてサービス提供にいっそう効果的に関与できるようにするための方法を含む)についての意見が含まれる。国は、効果的な介入策および保健プログラムの立案に対する貢献として子どもたちが有している健康上の課題、発達上のニーズおよび期待について知る目的で、子どもの年齢および成熟度に適合した定期的な参加型協議、および、子どもを対象とする調査研究を実施すること(その際、子どもたちの親とは別に行なうこと)を奨励される。 [10] 「意見を聴かれる子どもの権利」に関する一般的意見12号(2009年、Official Records of the General Assembly, Sixty-fifth Session, Supplement No. 41 (A/65/41), annex IV)参照。 F.子どもの発達しつつある能力およびライフコース 20.子ども時代は、出生から乳児期および就学前期を経て思春期に至るまでの継続的成長の期間である。身体的、心理的、情緒的かつ社会的な発達、期待および規範に関して重要な発達上の変化が生じるため、一つひとつの段階が重要な意義を有する。諸段階を経て進む子どもの発達は累積的なものであり、各段階がその後の段階に影響を及ぼしながら、子どもの健康、潜在的可能性、リスクおよび機会を左右する。子ども時代の健康問題が公衆衛生一般にどのように影響するかを評価するためには、このようなライフコースを理解することが不可欠である。 21.委員会は、子どもの発達しつつある能力が、自己の健康問題に関する独立した意思決定に関係してくることを認識する。委員会はまた、このような自律的意思決定についてはしばしば深刻な格差があり、差別をとくに受けやすい子どもはこのような自己決定を行使できる度合いがしばしば低いことにも留意する。したがって、支援的な政策が整備されること、ならびに、子ども、親およびヘルスワーカーに対し、同意、承諾および秘密保持に関する、権利を基盤とする十分な指導が行なわれることが不可欠である。 22.子どもの発達しつつある能力、および、ライフサイクルに沿って異なる健康上の優先課題に対応し、かつこれらを理解するため、収集・分析されるデータは、国際基準にしたがい、年齢、性別、障害、社会経済的地位および社会文化的側面ならびに地理的所在ごとに細分化されるべきである。これにより、時間とともに変化する子どもの能力およびニーズを考慮に入れ、かつすべての子どもに関連性の高い保健サービスを提供するのに役立つ適切な政策および介入策を計画し、策定し、実施しかつ監視することが可能になる。 III.第24条の規範的内容 A.第24条第1項 「締約国は、到達可能な最高水準の健康の享受……に対する子どもの権利を認める」(States parties recognize the right of the child to the enjoyment of the highest attainable standard of health) 23.「到達可能な最高水準の健康」の概念は、子どもの生物学的、社会的、文化的および経済的前提条件ならびに国が利用可能な資源(非政府組織、国際社会および民間セクターをはじめとする他の出所から利用に供される補完的資源を含む)の双方を考慮に入れたものである。 24.子どもの健康権には一群の自由および権利が含まれる。自由とは、能力の成長および成熟の進行にしたがって重要度を増すものであり、自己の健康および身体をコントールする権利(性および生殖に関わって責任のある選択を行なう自由を含む)が含まれる。権利には、到達可能な最高水準の健康を享受する平等な機会をすべての子どもに与える、一連の施設、物資、サービスおよび条件へのアクセスが含まれる。 「疾病の治療および健康の回復のための便宜」(に対する子どもの権利)(and to facilities for the treatment of illness and rehabilitation of health) 25.子どもは、予防、健康促進、治療、リハビリテーションおよび緩和ケアのためのサービスを含む、良質な保健サービスに対する権利を有する。第一次レベルでは、これらのサービスが、十分な量および質をともなって利用可能とされ、十分に機能し、子どもである住民のあらゆる層にとって物理的および金銭的に手が届き、かつ、すべての者にとって受入れ可能なものとなっていなければならない。保健ケア制度は、保健ケア面の支援を提供するのみならず、権利侵害および不公正の事案に関する情報を関連の公的機関に通報することも行なうべきである。第2次および第3次のレベルでも、保健制度のあらゆるレベルでコミュニティおよび家族を結びつける、十分に機能する紹介・移送システムをともなったケアが可能なかぎり利用可能とされるべきである。 26.包括的なプライマリーヘルスケア・プログラム(予防ケア、特定疾患の予防および栄養関連の介入策を含む)が、すでに効果が証明されているコミュニティ基盤型の取り組みに沿って提供されるべきである。コミュニティレベルでの介入策には、情報、サービスおよび物資の提供に加えて、たとえば公共空間の安全、道路安全ならびにケガ・事故・暴力防止教育への投資を通じた、疾病およびケガの予防も含めることが求められる。 27.国は、すべての子どもを対象とした保健サービスを支えるのに十分な人数の、適切な訓練を受けた人員を確保するべきである。コミュニティヘルスワーカーを対象とするものを含め、十分な規制、監督、報酬およびサービス条件も必要とされる。能力開発活動においては、サービス提供者が、子どもに配慮したやり方で活動し、かつ、子どもが法律により受給資格を有しているいかなるサービスも子どもに提供しないことがないようにするべきである。品質保証基準が維持されることを確保するため、説明責任を履行させるための機構を組みこむことが求められる。 「締約国は、いかなる子どもも当該保健サービスへアクセスする権利を奪われないことを確保するよう努める」(States parties shall strive to ensure that no child is deprived of his or her right of access to such health care services) 28.第24条第1項は、保健サービスおよび他の関連のサービスがすべての子どもにとって利用可能でありかつアクセス可能であることを、サービス等が行き届いていない地域および集団にとくに注意を払いながら確保する、締約国の強い行為義務を課すものである。そこでは、包括的なプライマリーヘルスケア制度、十分な法的枠組み、および、子どもの健康の根本的決定要因に対する持続的関心が要求される。 29.保健サービスに子どもがアクセスすることを妨げる障壁(金銭的、制度的および文化的障壁を含む)が特定され、かつ解消されるべきである。すべての子どもを対象とする無償の出生登録は前提条件であり、また社会保護的介入策(子ども給付金または子ども交付金、現金給付および有給の親休暇のような社会保障を含む)を実施し、かつこれを補完的投資と考えることも求められる。 30.保健追求行動のあり方は、それが行なわれる環境(とくにサービスの利用可能性、保健知識の水準、ライフスキルおよび価値観を含む)によって決まる。国は、親および子どもによる適切な保健追求行動を奨励することにつながる、促進的環境の確保に努めるべきである。 31.子どもは、子どもとともに活動する専門家によって子どもの最善の利益にのっとっていると評価される場合には、その発達しつつある能力にしたがい、親または法定保護者の同意を得ることなく、秘密が守られるカウンセリングおよび助言にアクセスできるべきである。国は、親または法定保護者がいない子どもを対象として、子どもに代わって同意を与え、または子どもの年齢および成熟度によっては子ども自身による同意を援助することができる適切な養育者を指名するための、法律上の手続を明確にすることが求められる。国は、HIV検査ならびにセクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスのためのサービス(セクシュアルヘルス、避妊および安全な妊娠中絶に関する教育および指導を含む)など一定の医学的治療および介入策について再検討を行ない、これらの治療および介入策については親、養育者または保護者の許可を得ることなく子どもが同意できるようにすることを検討するべきである。 B.第24条第2項 32.第24条第2項にしたがい、国は、子どもの健康権に関連するその他の問題を特定し、かつこれに対処するための手続を整備することが求められる。そのためには、とくに、優先されるべき健康問題の観点から現状についての詳細な分析を行なうとともに、適当なときは子どもたちと協議しながら、主要な決定要因および健康問題に対応する、エビデンスを十分に踏まえた介入策および政策を特定しかつ実施することが必要である。 第24条第2項(a)「乳幼児および子どもの死亡率を低下させること」(To diminish infant and child mortality) 33.国には、子どもの死亡を減少させる義務がある。委員会は、5歳未満児の死亡のうちますます多くの割合を占めるようになっている新生児期の死亡に対し、特段の注意を向けるよう促す。加えて、締約国は、低い優先順位しか与えられないのが一般的な思春期の罹病および死亡についても対処を進めるべきである。 34.介入策において注意が向けられるべき問題としては、死産、早産合併症、出生時仮死、低出生体重、HIVその他の性感染症の母子感染、新生児感染症、肺炎、下痢、はしか、低栄養および栄養不良、マラリア、事故、暴力、自殺ならびに思春期女子の妊産婦罹病・死亡などがある。リプロダクティブヘルス、妊産婦保健、新生児保健および児童保健のための連続的ケアの流れのなかですべての子どもにこのような介入策を提供するため、保健制度を強化することが勧告されるところである。予防および説明責任の履行を目的として、妊産婦死亡および周産期死亡に関する外部調査を日常的に実施することが求められる。 35.国は、肺炎、下痢性疾患およびマラリアを対象とするコミュニティ基盤型治療など、すでにその効果が証明されている、単純、安全かつ安価な介入策の拡大展開をとりわけ重視するとともに、母乳育児の慣行の全面的な保護および促進を確保することに特段の注意を払うべきである。 第24条第2項(b)「プライマリーヘルスケアの発展に重点をおいて、すべての子どもに対して必要な医療上の援助および保健を与えることを確保すること」(To ensure the provision of necessary medical assistance and health care to all children with emphasis on the development of primary health care) 36.国は、子どもおよびその家族が生活している場所のできるだけ近く、とくにコミュニティの環境で提供されるプライマリーヘルスケア・サービスに、すべての子どもがアクセスできるようにすることに優先的に取り組むべきである。サービスの厳密な形態および内容は国によって異なるであろうが、いずれにしても効果的な保健制度が必要となる。このような保健制度には、健全な資金拠出機構、十分な訓練を受け、かつ十分な給与を支払われている人員、決定および政策の基盤となる信頼できる情報、良質な医薬品および技術を供給するための十分に維持管理された器材および物流システム、ならびに、力強いリーダーシップおよびガバナンスが含まれる。学校における保健サービスの提供は、疾患のスクリーニングによる健康促進の重要な機会となり、また就学している子どもにとって保健サービスのアクセス可能性を高めることにつながる。 37.推奨されているサービス・パッケージ、たとえば「リプロダクティブヘルス、妊産婦保健、新生児保健および児童保健のために必須の介入策、物資およびガイドライン」[11] が活用されるべきである。国には、世界保健機関の必須医薬品モデルリスト(可能であれば小児用製剤の形態をとった子ども向けリストを含む)に掲載されたすべての必須医薬品の利用可能性、アクセス可能性および負担可能性を確保する義務がある。 [11] The Partnership for Maternal, Newborn and Child Health, A Global Review of the Key Interventions Related to Reproductive, Maternal, Newborn and Child Health (Geneva, 2011). 38.委員会は、青少年の間で精神的健康障害(発達障害および行動障害、抑うつ、摂食障害、不安症、虐待・ネグレクト・暴力・搾取の結果として生ずる心理的トラウマ、アルコール・タバコ・薬物の濫用、インターネットその他の技術の過剰な利用およびこれらへの依存のような強迫的行動、ならびに、自傷行為および自殺を含む)が増加していることを懸念する。子どもの精神的健康、心理社会的ウェルビーイングおよび情緒的発達を損なう行動上および社会上の問題にいっそう注意を向ける必要があることは、ますます認識されるようになっているところである。委員会は、過剰な医療化および施設措置に対して警鐘を鳴らすとともに、各国に対し、子どもおよび青少年の精神的健康障害に対処するための公衆衛生面および心理社会面の支援を基礎とするアプローチをとり、かつ、子どもの心理社会的、情緒的および精神的問題の早期発見・治療を促進するプライマリーケア・アプローチに凍死するよう、促す。 39.国には、不必要な投薬を行なわないようにしつつ、精神健康障害および心理社会的障害がある子どもに十分な治療およびリハビリテーションを提供する義務がある。精神健康障害の世界的負担および国レベルで保健・社会セクターが調整のとれた包括的対応をとることの必要性に関する世界保健総会決議(2012年)[12] は、とくに子どもの精神的健康を促進し、かつその精神障害を予防するための介入策の有効性および費用対効果性に関するエビデンスが増えていることに留意している。委員会は、各国に対し、家族およびコミュニティの関与を得ながら、保健セクター、教育セクターおよび保護(刑事司法)セクターを含む一連のセクター別政策およびプログラムを通じてこれらの介入策を主流化することにより、その拡大展開を図るよう強く奨励するものである。家庭環境および社会環境のために危険な状況に置かれている子どもについては、その対処能力およびライフスキルを増進し、かつ保護的および支援的な環境を促進するため、特別な注意が必要とされる。 [12] 決議WHA65.4(世界保健総会第65会期、2012年5月25日)。 40.人道的緊急事態(自然災害または人災を理由とする大規模な避難に至るものを含む)の影響を受けている子どもにとっての、子どもの健康に対する特有の課題を認識する必要がある。子どもが妨げられることなく保健サービスにアクセスできることを確保し、子どもが家族と(ふたたび)一緒にいられるようにするとともに、食料および清潔な水のような物質的支援だけで子どもを保護するのではなく、恐怖およびトラウマを防止しまたはこれに対処するための親その他の者による心理社会的ケアも奨励するために、あらゆる可能な措置がとられるべきである。 第24条第2項(c)「環境汚染の危険およびおそれを考慮しつつ、とりわけ、容易に利用可能な技術を適用し、かつ十分な栄養価のある食事および清潔な飲料水を供給することにより、基礎保健の枠組の中で疾病および栄養不良と闘うこと」(To combat disease and malnutrition, including within the framework of primary health care, through, inter alia, the application of readily available technology and through the provision of adequate nutritious foods and clean drinking-water, taking into consideration the dangers and risks of environmental pollution) (a) 容易に利用可能な技術の適用 41.子どもの健康に関する新たな技術であってその効果が証明されているもの(薬剤、装備および介入策を含む)が利用可能となるのにともない、国はこれらの技術を政策およびサービスに導入するべきである。移動による提供体制およびコミュニティを基盤とする取り組みによって若干のリスクを相当に低下させることが可能であり、これらの手段をすべての者にとって利用可能とすることが求められる。このような技術には、小児期に一般的に見られる疾患の予防接種、とくに乳幼児期における成長発達モニタリング、女子を対象とするヒトパピローマウィルスの予防接種、妊婦を対象とする破傷風トキソイドの摂取、下痢性疾患の治療のための経口保水療法および亜鉛補給剤へのアクセス、必須医薬品としての抗生物質および抗ウィルス薬、微量栄養素補給剤(ビタミンAおよびD、ヨウ素添加塩ならびに鉄分補給剤等)ならびにコンドームが含まれる。ヘルスワーカーは、必要に応じてこれらの簡便な技術にアクセスし、かつこれらの技術を実行する方法について、親に対する助言を行なうべきである。 42.民間セクター(健康に影響を及ぼす企業および非営利組織を含む)は、子どもの健康における相当の前進に貢献しうる技術、薬剤、装備、介入策および処置法の開発・改良においてますます重要な役割を果たすようになりつつある。国は、必要とするすべての子どもが利益を享受できることを確保するべきである。国はまた、保健技術のアクセスおよび負担可能性を向上させることにつながりうる官民提携および持続可能なイニシアティブを奨励することもできる。 (b) 十分な栄養価のある食事の供給 43.栄養価が十分であり、文化的に適切でありかつ安全な食料 [13] へのアクセスを確保し、かつ栄養不良と闘う国の義務を充足するための措置は、特定の文脈にしたがって採択することが必要になろう。妊婦を対象として直接行なわれる効果的な栄養支援介入策には、貧血症、葉酸欠乏症およびヨウ素欠乏症への対応ならびにカルシウム補給剤の提供が含まれる。女性の健康のため、かつ胎児および乳児の健康的な発達を確保する目的で、生殖可能年齢のすべての女性を対象として、子癇前症および子癇の予防および管理が確保されるべきである。 [13] 経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約第11条、および、「十分な食料に対する権利」に関する社会権規約委員会の一般的意見12号(1999年、Official Records of the Economic and Social Council, 2011, Supplement No. 2 (E/2000/22), annex V)参照。 44.生後6か月までの完全母乳育児が保護・促進されるべきであり、また母乳育児は、実行可能であれば、適切な補助食品とあわせて2歳まで続けられることが望ましい。この分野における国の義務は、世界保健総会が全会一致で採択した「保護・促進・支援」枠組み [14] に定められている。国は、子どもの健康権に関する国際的に合意された基準(「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」および世界保健総会がその後採択した関連の決議、ならびに、世界保健機関・タバコ規制枠組み条約を含む)を国内法に導入し、実施し、かつ執行することを要求される。妊娠および母乳育児との関連で母親に提供されるコミュニティおよび職場における支援ならびに実行可能かつ負担可能な保育サービスを促進し、かつ1952年の母性保護条約(改正)の改正に関する国際労働機関第183号条約(2000年)の遵守を確保するため、特別措置がとられるべきである。 [14] WHO and United Nations Children’s Fund (UNICEF), Global Strategy for Infant and Young Child Feeding (Geneva, 2003) 参照。 45.乳幼児期における十分な影響供給および成長モニタリングはとりわけ重要である。必要なときは、施設およびコミュニティを基盤とする介入策を通じて重度の急性栄養不良の統合管理が拡大されるべきであり、また中度の急性栄養不良の治療(治療的な栄養補給介入も含む)についても同様である。 46.学校給食は、すべての児童生徒が十分な食事に毎日アクセスできることを確保するために望ましい手段であり、学習に対する子どもたちの注意を高め、かつ就学率を上昇させることにもつながりうる。委員会は、学校給食と組み合わせる形で栄養・健康教育(子どもたちの栄養状態および健康的な食習慣を向上させるための学校庭園の設置および教員の研修を含む)を実施するよう勧告するものである。 47.国はまた、子どもの肥満にも対処するべきである。子どもの肥満は、高血圧、心血管疾患の早期診断マーカー、インスリン抵抗性、心理的影響、成人期肥満の可能性の上昇および早期死亡と関連しているためである。脂肪分、糖分または塩分が多く、エネルギー密度が高く、かつ微量栄養素に乏しい「ファストフード」、および、高濃度のカフェインまたは潜在的有害性がある他の物質を含む飲料を子どもたちが摂取することは、制限されるべきである。これらの物質の販売促進は――とくに当該販売宣伝が子どもたちを対象としているときは――規制されるべきであり、また学校その他の場所におけるこれらの物質の入手は統制されるべきである。 (c) 清潔な飲料水の供給 48.安全かつ清潔な飲料水および衛生設備は、生命および他のあらゆる人権の全面的享受にとって必要不可欠である [15]。水および衛生を担当する政府部局および地方当局は、子どもの健康権の実現を支援する義務を認識するとともに、インフラの拡大および飲料水供給役務の維持管理を計画しかつ実行するさい、ならびに、無償の最低配分量および供給停止に関する決定を行なうさいに、栄養不良、下痢その他の水に関連する疾患および世帯規模に関する子ども指標を積極的に考慮することが求められる。国は、たとえ水・衛生分野で民営化を行なったとしても、自国の義務を免除されない。 [15] 水および衛生に対する人権に関する〔国連〕総会決議64/292。 (d) 環境汚染 49.国は、地域的な環境汚染があらゆる場面で子どもの健康に対してつきつける危険性およびリスクに対処するための措置をとるべきである。十分な住居(危険性のない調理設備があること、煙がこもらない環境であること、適切な換気が行なわれていること、廃棄物が効果的に管理され、かつ生活区画および隣接周辺環境からのゴミの処分が確立されていること、カビその他の有毒物質が存在しないこと、および、家庭衛生が確保されていることを含む)は、健康的な養育および発達の中核的要件である。国は、子どもの健康権、食料安全保障ならびに安全な飲料水および衛生設備へのアクセスを損なう可能性がある事業活動の環境面での影響を規制し、かつ監視することが求められる。 50.委員会は、環境汚染に留まらず、環境そのものが子どもの健康にとって関連性を有することに注意を喚起する。気候変動は子どもの健康にとっての最大の脅威のひとつであり、かつ保健格差を拡大するものであるから、環境に関わる介入策においてはとくに気候変動への対応が行なわれるべきである。したがって国は、子どもの健康に関する問題を自国の気候変動適応・緩和戦略の中心に位置づけることが求められる。 第24条第2項(d)「母親のための出産前後の適当な保健を確保すること」(To ensure appropriate pre-natal and post-natal health care for mothers) 51.委員会は、予防可能な妊産婦の死亡および罹病は女性・女子の人権の重大な侵害であり、女性・女子自身およびその子どもの健康権に対する深刻な脅威であることに留意する。妊娠および出産は自然な過程であり、これについて明らかになっている健康上のリスクは、早期に発見されれば予防および治療的対応の双方が可能である。リスクをともなう事態は、妊娠中、分娩中ならびに産前産後期に発生し、かつ母子双方の健康およびウェルビーイングに短期的影響および長期的影響のいずれをも及ぼす可能性がある。 52.委員会は、各国に対し、子ども時代の諸段階全体を通じて、以下のような子どもに配慮した保健アプローチをとるよう奨励する。(a) 母子同室および母乳育児を保護し、促進し、かつ支援する「赤ちゃんにやさしい病院」イニシアティブ [16]。(b) 子どもおよびその家族の恐怖心、不安および苦痛を最低限に抑えるやり方で良質なサービスを提供するためのヘルスワーカー研修に焦点を当てた、子どもにやさしい保健政策。(c) 青少年に対して好意的でありかつ配慮し、秘密保持を尊重し、かつ青少年にとって受け入れ可能なサービスを提供することを保健従事者および保健施設に求める、青少年にやさしい保健サービス。 [16] UNICEF/WHO, Baby-Friendly Hospital Initiative (1991). 53.妊娠前、妊娠中および妊娠後に女性が受けるケアは、その子どもの健康および発達にとって甚大な影響を与える。セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関する介入策の包括的パッケージにすべての者がアクセスできることを確保する義務を充足しようとする際には、妊娠前から妊娠、出産および産褥期全体を通じての連続的ケアという考え方が基礎とされるべきである。これらの期間全体を通じて時宜を得た良質なケアを提供することは、健康障害の世代間転移を予防する重要な機会となり、またライフコース全体を通じた子どもの健康に対しても高い効果を及ぼす。 54.この連続的期間全体を通じて利用可能とされるべき介入策には、必須保健としての予防および健康促進ならびに治療的ケア(新生児破傷風、妊娠時のマラリアおよび先天性梅毒の予防を含む)、栄養ケア、セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関する教育、情報およびサービスへのアクセス、健康的行動教育(たとえば喫煙および有害物質濫用に関するもの)、出産準備支援、合併症の早期認識および管理、安全な妊娠中絶サービスおよび中絶後のケア、出産時の必須ケア、ならびに、HIVの母子感染の予防ならびにHIVに感染した女性および乳児のケアおよび治療が含まれるが、これに限られるものではない。分娩後の産婦および新生児のケアにおいては、母親が子どもから不必要に分離されないことが確保されるべきである。 55.委員会は、社会的保護に関する介入策に、ケアの完全普及またはケアに対する金銭的アクセスの確保、有給の親休暇およびその他の社会保障給付、ならびに、母乳育児代替品の不適切な販売促進を制限するための立法が含まれるべきことを勧告する。 56.青少年の妊娠率が世界的に高く、かつ、青少年の妊娠には関連する罹病および死亡のリスクが付け加わることを踏まえ、国は、セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関わる青少年の特有のニーズを保健制度および保健サービス(家族計画および安全な妊娠中絶のためのサービスを含む)が満たせることを確保するべきである。国は、女子が自己のリプロダクティブヘルスについて自律的な、かつ十分な情報に基づく決定を行なえることを確保するために行動するよう求められる。青少年の妊娠を理由とする差別(停退学等)は禁止されるべきであり、また継続的教育の機会が確保されるべきである。 57.健康的な妊娠・分娩の計画および確保にとって男子・男性がきわめて重要であることを考慮し、国は、セクシュアルヘルス、リプロダクティブヘルスおよび子どもの健康のためのサービスに関する政策および計画に、男子・男性を対象とする教育、意識啓発および対話の機会を統合するべきである。 第24条第2項(e)「すべての社会構成員とくに親および子どもが子どもの健康および栄養の基礎的知識、母乳育児および衛生ならびに環境衛生の利益、ならびに事故の予防措置を活用するにあたって、情報が提供され、教育にアクセスし、かつ援助されることを確保すること」(To ensure that all segments of society, in particular parents and children, are informed, have access to education and are supported in the use of basic knowledge of children’s health and nutrition, the advantages of breastfeeding, hygiene and environmental sanitation and the prevention of accidents) 58.この規定に基づく義務には、健康関連の情報および当該情報の活用に関する支援の提供が含まれる。健康関連の情報は、物理的にアクセス可能であり、わかりやすく、かつ子どもの年齢および教育水準にふさわしいものであるべきである。 59.子どもは、ライフスタイルおよび保健サービスへのアクセスに関して十分な情報に基づく選択を行なえるようにするための、健康のあらゆる側面に関する情報および教育を必要とする。情報提供およびライフスキル教育においては、幅広い健康問題(健康的な食事ならびに身体活動、スポーツおよびレクリエーションの促進、事故およびケガの予防、公衆衛生・手洗いその他の個人的衛生習慣、ならびに、アルコール、タバコおよび向精神性物質を使用することの危険性を含む)が取り上げられるべきである。情報および教育は、子どもの健康権、政府の義務、ならびに、健康情報および保健サービスにアクセスできる方法・場所についての適切な情報を包含し、かつ、学校カリキュラムの中核的一部として、また保健サービスを通じて、かつ学校に行っていない子どものために他の場所においても、提供することが求められる。健康に関する情報提供資料は、子どもたちと連携しながら制作し、かつ広範な公共の場所において普及するべきである。 60.セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関する教育には、身体(解剖学的、生理学的および情緒的側面を含む)に関する自覚および知識が含まれるべきであり、かつすべての子ども(女子および男子)がアクセスできるべきである。このような教育は、性的な健康およびウェルビーイングに関連する内容(身体の変化および成熟過程についての情報等)を含み、かつ、子どもがリプロダクティブヘルスおよびジェンダーを理由とする暴力の予防についての知識を獲得し、かつ責任のある性的行動をとれるようになるやり方で立案することが求められる。 61.子どもの健康に関する情報は、さまざまな方法(診療所、子育て教室、広報リーフレット、職能団体、地域団体およびメディアを含む)を通じ、すべての親に対して個別にまたは集団単位で、かつ拡大家族およびその他の養育者に対して、提供されるべきである。 第24条第2項(f)「予防保健、親に対する指導、ならびに家族計画の教育およびサービスを発展させること」(To develop preventive health care, guidance for parents and family planning education and services) (a) 予防保健 62.予防および健康促進においては、コミュニティおよび国全体で子どもたちが直面している主要な健康上の課題が取り上げられるべきである。このような課題には、疾病のほか、事故、暴力、有害物質濫用、心理社会的問題および精神的健康上の問題といった、その他の健康上の課題が含まれる。予防保健においては、感染症および非感染性疾患について取り上げ、かつ、生物化学的、行動科学的および構造的介入策を組み合わせて編入することが求められる。非感染性疾患の予防は、妊婦、その配偶者/パートナーおよび乳幼児を対象とする、健康的かつ非暴力的なライフスタイルの促進および支援を通じて、人生の早い段階から開始されるべきである。 63.子どものケガの負担を軽減するためには、溺水、火傷その他の事故を減らすための戦略および措置が必要とされる。このような戦略および措置には、立法および執行、製品および環境の改変、支援を目的とする家庭訪問および安全特性の促進、教育、スキル開発および行動変容、コミュニティを基盤とするプロジェクト、ならびに、搬送前のケアおよび救急ケアならびにリハビリテーションが含まれるべきである。道路交通事故を減らすための努力には、シートベルトその他の安全装備の使用に関する法律を定めること、子どもが安全な輸送機関にアクセスできることを確保すること、ならびに、道路計画および交通規制において子どものことを正当に考慮することが含まれるべきである。これとの関連で、関連産業およびメディアの支援が欠かせない。 64.暴力が子ども、とくに青少年の死亡および罹病の重要な原因のひとつであることを認識し、委員会は、子どもを暴力から保護し、かつ家庭、学校および公共空間における態度および行動の変容への子ども参加を奨励する環境づくりの必要性、健康的な子どもの養育について親および養育者を支援する必要性、ならびに、あらゆる形態の暴力に対する寛容およびその容認を固定化する態度に異議を申し立てていくこと(マスメディアによる暴力の描写を規制する等の手段によるものも含む)の必要性を、強調する。 65.国は、子どもを溶剤、アルコール、タバコおよび不法物質から保護し、関連のエビデンスをいっそう収集し、かつ、子どもによるこのような物質の使用を減らすための適切な措置をとるべきである。子どもの健康にとって有害な物質の広告および販売、ならびに、子どもが集まる場所ならびに子どもがアクセスするメディア経路および出版物におけるこのような物品の販売促進を規制することが勧告される。 66.委員会は、薬物の統制に関する国際諸条約 [17] および世界保健機関・タバコ規制枠組み条約をまだ批准していない締約国に対し、批准を奨励する。委員会は、有害物質の使用について権利基盤アプローチをとることの重要性を強調するとともに、適切なときは、有害物質濫用が健康に及ぼす悪影響を最小限に抑えるために有害性削減戦略を採用するよう勧告するものである。 [17] 麻薬に関する単一条約(1961年)、向精神薬に関する条約(1971年)、麻薬および向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約(1988年)。 (b) 親に対する指導 67.親は、幼児の早期診断およびプライマリーケアを行なうもっとも重要な存在であり、かつ、青少年のハイリスク行動(有害物質の使用および安全ではないセックス等)に対するもっとも重要な保護要因である。親は、健康的な子どもの発達を促進し、事故、ケガおよび暴力の危害から子どもを保護し、かつリスク行動の悪影響を緩和するうえでも中心的役割を果たす。自らが育つ場である世界を理解し、かつその世界に適応するうえできわめて重要である子どもの社会化の過程は、親、拡大家族その他の養育者の影響を強く受ける。国は、とくに子どもの健康上の課題およびその他の社会的課題を経験している家族を対象として、望ましい子育てのあり方を支援するための、エビデンスに基づく介入策(子育てスキル教育、サポートグループおよび家族カウンセリングを含む)を採用するべきである。 68.体罰が子どもの健康に及ぼす影響(致死性・非致死性のケガならびに心理的・情緒的影響を含む)に照らし、委員会は、各国に対し、家庭を含むあらゆる場面において体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰を撤廃するため、あらゆる適当な立法上、行政上、社会上および教育上の措置をとる自国の義務を想起するよう求める [18]。 [18] 「体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利」に関する一般的意見8号(2006年、Official Records of the General Assembly, Sixty-third Session, Supplement No. 41 (A/63/41), annex II)。 (c) 家族計画 69.家族計画のサービスは、セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスのための包括的サービスのなかに位置づけられるべきであり、かつ、カウンセリングを含むセクシュアリティ教育を包含するものであるべきである。これらのサービスは、第24条第2項(d)についての箇所で述べた連続的サービスの一環と考えることもできるほか、すべてのカップルおよび個人が、性および生殖に関する決定(子どもの人数、出産間隔および出産時期を含む)を自由にかつ責任をもって行なえるようになり、かつ、そのための情報および手段を提供されるように設計することが求められる。既婚および非婚双方の女性ならびに思春期の男子全員が、秘密を守られながら物資およびサービスにアクセスできるようにすることに、注意が向けられるべきである。国は、青少年が、サービス提供者の心情を理由とする拒否によって、セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブヘルスに関するいかなる情報またはサービスも奪われないことを確保するよう、求められる。 70.コンドーム、ホルモン避妊法および緊急避妊薬のような短期的避妊法を、性的活動を行なう青少年が容易にかつ直ちに利用できるようにするべきである。長期的かつ恒久的な避妊法も提供することが求められる。委員会は、国が、妊娠中絶そのものが合法であるか否かに関わらず、安全な中絶および中絶後のケアのためのサービスへのアクセスを確保するよう、勧告する。 (健康に対する子どもの権利 後編へ続く) 更新履歴:ページ作成(2013年6月28日)。/表示がおかしくなっていたため再保存(2016年1月4日)。
https://w.atwiki.jp/fysl/pages/21.html
外国人処女と結婚する方法を考察をする トップページ メニュー メニューページ サブメニュー サブメニューページ ページ一覧 AVページ AV男優ページ AV女優ページ セックス セックスページ アイドル アイドルページ 乃木坂46の乱 結婚物語 本まとめwiki 処女の外国人女性と結婚する方法を考察する - Seesaa wiki https //seesaawiki.jp/kaigai-konkatsu/ 地域別情報 海のむこうに ~外人嫁・海外脱出など~ - atwiki(アットウィキ) https //w.atwiki.jp/uminomukou/ 地域別 - 海のむこうに ~外人嫁・海外脱出など~ - atwiki(アットウィキ) https //w.atwiki.jp/uminomukou/pages/88.html 日本人女性の現状を確認 ○夫をATMとしか思ってない? ○国際離婚 ○日本人女性の性に対する意識 ○”結婚適齢期”という言葉に騙されるな! 貞操観念について ○貞操の重要性 ○様々な見解 国別情報 前提として※初めに 現地で探す際の具体的な方法の例 世界 世界 国際 国際ニュース万博 首相 大統領 外国企業 外資系企業 日本企業 アジア アジア アジア日中韓 香港・台湾 シンガポール アジアンビューティー天皇 皇族 反日 日本 日本人 日本論 日本企業 日本文化 日本社会 日本政府 日本戦争 自衛隊 生活保護 地方自治体 都会と田舎 都会 田舎 関東 東京 関西 大阪 兵庫 沖縄 長野 新潟 秋田 和歌山 北海道 東京都知事選挙 東京大学 札幌医科大学 東京女子医科大学 京都式排除アート 日本の闇 日本のメディア 日本のメディアの闇 中世ジャップランド 牛角 チャイナドレス 三体 華僑 中国 中国情報 台湾 台湾情報 台湾人 台湾人美女 台湾風俗 台湾ナンパ 韓国 韓国情報 韓国語 韓国人 韓国人美女 韓国風俗 韓国ナンパ 韓国ゴシップ 韓国ゴシップ記事 北朝鮮 シンガポール情報 シンガポール風俗 シンガポール人 東南アジア 東南アジア 東南アジアベトナム タイ※応用可能※ インドネシア ミャンマー ミャンマー情報 フィリピン フィリピン情報ベトナム情報 ベトナムサイト ベトナムブログ ベトナム語 ベトナム人 ベトナム人美女 ベトナム人ハーフ ベトナム風俗 ベトナムナンパ ベトナムの歌手 ベトナムのアイドル ベトナムのニュース タイ情報 タイサイト タイブログ タイ語 タイ人 タイ人美女 タイ人ハーフ タイ風俗 タイナンパ タイの歌手 タイのアイドル タイのニュース インドネシア情報 インドネシアサイト インドネシアブログ インドネシア語 インドネシア人 インドネシア人美女 インドネシア人ハーフ インドネシア風俗 インドネシアナンパ インドネシアの歌手 インドネシアのアイドル インドネシアのニュース仲川遥香 中央アジア 中央アジアウズベキスタン ウズベキスタン情報 ウズベキスタンその他 バングラデシュ バングラデシュ情報 欧州 欧州 欧州 ヨーロッパ ヨーロッパ人のイギリス人像ロシア ロシア情報 ロシアの今時の女子高生 ロシア人 ロシア画像 おそロシア ポーランド ポーランドその他 イタリア スペイン フィンランド フィンランド人彼女 ベラルーシ アルメニア トルコ トルコ情報 トルコの恋愛観 トルコ人 ウクライナ ウクライナ情報 ウクライナ人 イスラエル イスラエル情報 イスラエル人 その他の国 その他の国 その他 南米 中米 北米 米国 米兵 ハワイ パラオ共和国 ニュージーランド ニュージーランドブログ 本まとめwiki 処女の外国人女性と結婚する方法を考察する - Seesaa wiki https //seesaawiki.jp/kaigai-konkatsu/ 地域別情報 海のむこうに ~外人嫁・海外脱出など~ - atwiki(アットウィキ) https //w.atwiki.jp/uminomukou/ 地域別 - 海のむこうに ~外人嫁・海外脱出など~ - atwiki(アットウィキ) https //w.atwiki.jp/uminomukou/pages/88.html 在外 在外 在外日本人 在外ブログ 在外ブロガー iYuta@4カ国語話すPUA iYuta - lit.link(リットリンク) https //lit.link/iyutac 水商売 キャバクラ キャバ嬢 風俗 風俗Q&A 風俗 風俗嬢 ソープ ソープ嬢 デリヘル デリヘル嬢 パパ活 パパ活 パパ活男 パパ活女 パパ活男ブログ パパ活女ブログ 海外夜遊び 風俗 ナンパ 海外風俗 海外ナンパ 海外夜遊び 海外風俗まとめ 海外ナンパ師 iYuta PUA 海外PUA ナンパ師 海外ナンパ師 夜遊びブログ 風俗ブログ 海外風俗ブログ 夜遊びYouTuber 風俗YouTuber 海外風俗YouTuber 海外夜遊びまとめ iYuta 夜遊び 海外夜遊び 風俗 海外風俗 海外風俗まとめ ナンパ 海外ナンパ PUA 海外PUA ナンパ師 海外ナンパ師 風俗YouTuber 海外風俗YouTuber 売春が合法な国 体験談 エロい体験談 海外まとめ ポッカキット 恋愛婚活結婚 上昇婚 下方婚 トロフィーワイフ トロフィーハズバンド パワーカップル 奢り収入身長 奢り 収入 賃金 身長 身長差別 恋愛 恋愛と奢り 恋愛と収入 恋愛と身長 婚活 婚活と奢り 婚活と収入 婚活と身長 結婚 結婚と奢り 結婚と収入 結婚と身長 マウンティング マウンティング男子 マウンティング女子 学歴 学歴 学歴差別 学歴差別YouTuber 警察 警察 警察問題 警察犯罪 警察VSドライブレコーダー 冤罪 交通違反 交通違反冤罪 お金 残クレ 情報 テンプレ ”オタク”が武器に? オタク オタク文化 ドルヲタ アイドライザー アイドル アイドルページ AVページ AV女優ページ セックス セックスページ セックスの同意 女のセックス 童貞 処女 処女婚 ブログ ブロガー まとめブログ まとめブロガー トレンドブログ トレンドブロガー アイドルトレンドブログ アイドルトレンドブロガー ポリコレ 核 核爆弾 原子力爆弾 原子力発電所 絵 画力 芸術 贋作 マネーロンダリング お金 投資 株価 時代 世代 炎上 謝罪 炎上と謝罪 文化 文化資本 資本主義 民主主義 外交 外交特権 国際問題 領土問題 地政学 意見 宇宙 戦争 中東戦争 中東戦争と被爆地 難民 移民 移住 海外移住 海外移住について アンチエイジング アンチエイジング薬 年齢 高齢者 認知症 独身 独身男性 独身女性 婚姻 結婚 結婚生活 恋愛結婚 幼馴染 夫婦 心理 恋愛心理 蛙化現象 据え膳 夫婦 夫婦観 国際夫婦 国際夫婦 恋愛 恋愛観 国際恋愛 結婚 結婚観 国際結婚 結婚物語 婚活 婚活観 国際婚活 婚活体験談 友達の婚活 友達の婚活体験版 婚活市場 婚活男性 婚活女性 国際結婚 恋愛詐欺 結婚詐欺 結婚相談所 国際結婚相談所 メールオーダーワイフ ロマンス詐欺 国際ロマンス詐欺 頂き女子りりちゃん 頂き女子のんちゃん NR・NSX殺人事件 ハニートラップ 恋愛 モテ 非モテ モテと非モテ モテと非モテの恋愛論 ぬいぐるみペニス現象 デート デートなう デート商法 プロポーズ 年の差 年の差婚 年の差有名人 年の差カップル 歳の差 歳の差婚 歳の差恋愛 歳の差有名人 歳の差カップル ロリ婚 ロリコン ショタコン わいせつ 公然わいせつ ハラスメント セクハラ マルハラ アカデミックハラスメント いじめ 学校 教育 教師 教師の正体 塾講師 職業 職業一覧 職業ページ 建築 医師 看護師 保育士 警察 警察問題 警察犯罪 検察 検察問題 刑務所 お役所 お役所仕事 公務員 公務員の収入 公務員の犯罪報道 ボランティア 家賃 収入・物価 男女の収入 身長 身長差別 スペック 自己啓発 遺伝 遺伝子 化粧 美容 男性美容 睡眠 睡眠法 個人情報 個人情報流出 セキュリティ サイバー サイバー攻撃 AI AI美女 AIモデル CG CG史 IT IT法 IT職 IT業界 IT資格 PC PCスペック CGPCスペック PCデポ炎上 PCショップ炎上 Microsoft WWDC Apple Apple信者 Apple Watch Apple Pencil Mac MacBook iPhone iPad DJ DJブログ スマホ スマホシェア 趣味 無趣味 モテない趣味 筋トレ スポーツ スポーツ選手 スポーツ選手の彼女 スポーツ選手の妻 美人スポーツ選手 美少女スポーツ選手 フィギュアスケート 雑誌 週刊誌 男性誌 女性誌 ナンパ ナンパAV 逆ナンパ 逆ナンパAV オフパコ マッチング 出会い 出会いナンパ 不倫 不倫男 不倫女 電通不倫 不倫サレ妻 ヤリチン ヤリマン ニンフォマニアック 学校 教育 教師 部活 体罰 学力 学習 語学 語学データ 留学 英語 英語力 英語動画 英語教育 発音 日本人と英語 日本人と発音 通訳者 歴史 アサシンクリードシャドウズ弥助騒動 意見 人間 人間研究 人種 差別 人種差別 人種問題 警察 警察問題 価値観 美醜 子育て 人生観 死生観 少子化 高齢化 老人 反出生主義 反出生主義の往復書簡 日本論 日本人口論 はてな日本論 日本人の恋愛と結婚と子作りと日本の人口推移 コミックエッセイ 同人 同人誌 同人作家 漫画 漫画家 映画 映画用語 俳優 男優 女優 ドラマ 朝ドラ 夜ドラ バンド 音楽 歌手 姉妹歌手 シンガーソングライター 小説 官能小説 生配信 生配信アプリ ニコニコ生放送 インターネット クールジャパン テーマパーク ディズニー ディズニーリゾート ジブリ ジブリパーク レゴ レゴランド 声優 不倫声優 中絶声優 芸人 芸人妻 女芸人 不倫芸人 中絶芸人 文化 日本文化 海外文化 国際交流 出会い アプリ SNS LINE Instagram Instagramの世界の美女画像集 世界の美女情報 美醜 美女 美女雑多 美女その他 美女まとめ 巨乳 ロリ巨乳 CM CM美女 CM美少女 CM制作会社 二世 二世美女 二世美少女 ハーフ ハーフ姉妹 ハーフ美女 ハーフ美少女 ハーフグラドル ハーフ顔 ハーフ顔美女 ハーフ顔美少女 ハーフ顔グラドル クォーター クォーター姉妹 クォーター美女 クォーター美少女 クォーターグラドル クォーター顔 クォーター顔美女 クォーター顔美少女 クォーター顔グラドル そっくり そっくり美女 そっくり美少女 そっくりグラドル 長身 長身美女 長身美少女 長身グラドル デカ女 デカ女ブーム ミスコン ミスコン美女 ミスコン美少女 ミスコングラドル ミスコンノミネート ミスコン廃止 ミスコン女王 ミスコン女子アナ グラビア グラビアニュース グラドル グラドルズ 巨乳グラドル 爆乳グラドル モデル モデルグラビア アイドル アイドルグラビア 下着 下着CM 下着モデル Seventeen Seventeenモデル 坂道 坂道顔 コスプレ コスプレイヤー コスプレイヤーズ ハーフコスプレイヤー 外国人コスプレイヤー アジア人コスプレイヤー アシュリー・グラハム(バイオハザードRE 4) コンパニオン コンパニオンズ レースクイーン レースクイーンズ 撮影会 露出 露出コーデ カップル イケメン ブサメン イケメンとブサメン ドルヲタ アイドル アイドルページ アイドル女優 アイドル熱愛 アイドル結婚 アイドルトラブル アイドルグラビア 平成アイドル 男女混合アイドル 男女混合アイドルランキング 男性アイドル ジャニーズ ジャニーズ事務所 ジャニーズ事務所報道 ジャニーズ事務所と芸能界 ジャニー喜多川 ジャニーズ百科事典 元ジャニーズ ジャニーズ圧力 ジャニーズ熱愛 ジャニーズ食い ジャニ丼 メイルレイプ アナウンサー アナウンサーの収入 女子アナ 女子アナの収入 玉の輿女子アナ 美人女子アナ 美少女女子アナ ハーフ女子アナ ハーフ顔女子アナ NHK女子アナ NHK記者 美人記者 記者 人物 芸能 芸能界 芸能事務所 芸能人 芸能人の収入 社長 社長の収入 会長 会長の収入 公務員 公務員の収入 企業 起業 起業家 スタートアップ 脱税 タックスヘイブン 就職 就職差別 入社 入社エントリー 退職 退職エントリー マネージャー ガーシー ガーシー情報 熱愛 いじめ 揉め事 裁判 セレブ NTS GI PG PA PT PS XV IR BBC AMWF 自殺 殺人 事件 容疑者 殺人事件 事件その他 紀州のドン・ファン 紀州のドン・ファンの妻 ゲーム ゲーム機 ゲーム会社 ゲームソフト ゲームレビュー ゲームセンター ゲームコントローラー CD オーディオ エネルギー オリンピック オリンピック不正 東京オリンピック 東京オリンピック不正 北京オリンピック パリオリンピック パリオリンピック不正 パリオリンピック誤審 パリオリンピック性別騒動 パリオリンピックいじめ パリオリンピックひいき ぼったくり男爵 スポーツ 野球 サッカー 国家 選挙 政治 政治家 タレント政治家 政党 自民党 政治活動家 環境活動家 ロイヤル 旅行 観光 観光客 観光客美女 外国人観光客 外国人観光客美女 オーバーツーリズム 世界一周 自転車 自転車法 ママチャリ モペット スーパーカー高速道路クレジットカード偽造詐欺事件 車のページ一覧 車 車2 新車 車女子 車美女 車屋 中古車 中古車屋 愛車 改造車 バス 高速バス 運転 煽り運転 ロードレイジ レース レーサー 自動車 電気自動車 自動車メーカー 自動車メーカー不正 車種 車比較 車中泊 車の技術 高速道路 バイク バイク男子 バイク女子 バイク美女 バイク関連 車とバイク 自動車の種類 スポーツカー スーパーカー ハイパーカー スポーツカー購入 スーパーカー購入 ハイパーカー購入 日本車 アジア車 アメリカ車 ヨーロッパ車 フェラーリ スモールフェラーリ ランボルギーニ ベビーランボルギーニ メルセデス・ベンツ ポルシェ GT-R レクサス テスラ 日本車 アメリカ車 ヨーロッパ車 その他の車 マフラー セレブ ジョニー・デップ MeToo 岡田斗司夫 ハーヴェイ・ワインスタイン お茶の水女子大学セクハラ事件 不祥事 性犯罪 わいせつ レイプ メイルレイプ デートレイプドラッグ デートレイプドラッグ事件 ストーカー ジェンダー ジェンダー海外 トランスジェンダー トランスジェンダー差別 フェミニスト フェミニスト海外 フェミニスト炎上 フェミニストの裏垢 フェミニストVS.アンチフェミニスト ツイフェミ はてフェミ まなざし村 LGBT LGBTQ ゲイ レズ パワーレズ 男女の収入 国際性差 夫婦同姓 夫婦別姓 男女 男女平等 男性 弱者男性 弱者男性の姫 女性 女性専用 女性専用車両 女子枠 日本人 外国人 日本人と外国人 外国人と日本人 日本人男子 日本人男性 日本人女子 日本人女性 日本人女性の海外売春 日本人女性の日本人男性像 日本人女性をナンパする外国人 ヨーロッパ人のイギリス人像 日本人と外国人 外国人と日本人 日本人 日本人差別 アジア人 アジア人差別 外国人 外国人差別 差別 差別用語 性差別 男性差別 女性差別 同人性差別 性差別主義者 熱愛 熱愛リスト 熱愛リンク 熱愛その他 統一教会 統一教会の分派による売春 宗教 宗教二世 宗教三世 風俗まとめ 売春が合法な国 立ちんぼ 立ちんぼ動画 パパ活 売春 売春ツアー 買春 買春ツアー 売買春法 風俗 海外風俗 海外夜遊び 海外ナンパ 風俗の種類 風俗の料金 男性用風俗 女性用風俗 恋愛と風俗の間 ハニートラップ 歌舞伎町 整体師 ヤリ部屋 ラブホテル エロ アオカン セックス セックスページ セックステクニック AVページ AV女優ページ AV AVリスト AVリンク AVその他 AV作品 AV作品リスト AV作品リンク AV作品その他 AV総集編 AV総集編リスト AV総集編リンク AV総集編その他 AV検索ワード AV検索ワードリスト AV検索ワードリンク AV検索ワードその他 AVシリーズ AVシリーズリスト AVシリーズリンク AVシリーズその他 AV男優 AV男優リスト AV男優リンク AV男優その他 AV女優 AV女優リスト AV女優リンク AV女優その他 AV女優の収入 AV女優の恋愛 AV女優の結婚 AV女優の婚活 AV女優のセカンドキャリア AV女優プロフィール 元AV女優 blank XV女優 XV女優リスト XV女優リンク XV女優その他 XV女優プロフィール ナンパAV ナンパAVリスト ナンパAVリンク ナンパAVその他 グラビア グラビアリスト グラビアリンク グラビアその他 グラビアアイドル グラビアアイドルリスト グラビアアイドルリンク グラビアアイドルその他 K-POP K-POPリスト K-POPリンク K-POPその他 K-POP記事 K-POP犯罪 K-POP海外 K-POP事務所 宝塚歌劇団 YouTube YouTuberグラビア YouTube創作動画 エロYouTube 性教育YouTube YouTuber 美人YouTuber 離島YouTuber 在日YouTuber 在外YouTuber 海外YouTuber 外国人YouTuber ロシア人YouTuber 海外風俗YouTuber カップルYouTuber 国際恋愛YouTuber 国際結婚YouTuber 国際カップルYouTuber 迷惑系YouTuber 私人逮捕系YouTuber バーチャルYouTuber 女子アナYouTubeチャンネル YouTuberの海外新進 note 映画note 推し活note 推し活ビジネス 推し活他界 テレビ テレビ局 NHK NHKの闇 NHKサイト NHK出演者 NHKスタッフ 放送倫理・番組向上機構(BPO) 訃報 ニュース ニュースサイト ヤフーニュース ヤフーニュース個人 本 雑誌 タイム誌 週刊誌 週刊誌記事 現代ビジネス 女性自身 女性セブン 週刊女性PRIME スマートフラッシュ ベッキー ベッキー・クルーエル ビリー・アイリッシュ バラク・オバマ ジョー・バイデン ドナルド・トランプ ドナルド・トランプとイーロン・マスク イーロン・マスク イーロン・マスクの献金 イーロン・マスクの発言 イーロン・マスクによる差別 イーロン・マスクによる女性差別 イーロン・マスクによるフェイク動画共有 イーロン・マスクによるフェイク動画拡散 エマ・ストーン エマ・ストーンによる人種差別 エマ・ストーンによるアジア人差別 GACKT ダウンタウン 松本人志 ワイドナショー ワイドナティーン ラヴィット ラヴィット姉妹 トラウデン直美 トラウデン都仁 バンクシー エミネム 暇空茜 安倍晋三 河野太郎 長谷川岳 竹田恒泰 大谷翔平 水原一平 木村拓哉 長瀬智也 高橋一生 山寺宏一 荻上チキ しみけん 貞松大輔 菅井秀憲 井手上漠 上川陽子 山口真由 三浦瑠麗 鈴木愛理 市川美織 山下美月 金川紗耶 影山優佳 松田好花 岸帆夏 菜々緒 森香澄 佐々木舞音 山之内すず 安田菜津紀 勝間和代 北村紗衣 雨宮紫苑 国際性差 出羽守 フワちゃん 滝沢ガレソ 妹尾ユウカ 小島アジコ コロンブス Mrs.GREEN APPLE なかやまきんに君 アメリ 謎コメント まとめブログ 雑多 レスバ 記事 記事その他 記事その他ネット 記事その他のその他 記事まとめブログ 記事 Wikipedia 記事 Wikipedia雑多 痛いニュース 痛いニュース記事 痛いニュースまとめ Yahoo知恵袋 まなざし村 増田文学 はてな はてな村 はてな不倫 はてフェミ はてなユーザー はてな村学級会 はてな匿名ダイアリー はてな匿名ダイアリーとは はてな匿名ダイアリーレスバ はてな匿名ダイアリー記事 はてな匿名ダイアリー記事まとめ はてなブックマークとは はてなブックマーク論争 はてなブックマーク検索 はてなブックマーク記事一覧 はてなブックマーク検索ワード はてなブックマーク検索キーワード はてなブックマーク記事ランキング はてなブックマークコメント非表示機能 はてなブックマークとヨッピー はてなブックマークとは差別主義者集団 はてなブックマークとは憎悪を増幅するプラットフォーム はてなブックマークとはURLに勝手にコメントつけるWebサービス はてなブックマーカー はてなブックマーカーの反応 はてフェミ ニュース 国際報道 リンク集 リンク集ETC リンク集その他 リンク集その他その他 感想 魚拓エラー blank アイドル Bot(ページ名リンク) メールオーダーワイフ メールオーダーブライド Mail-order bride https //en.m.wikipedia.org/wiki/Mail-order_bride 対BBA用資料 BBA用語集 アットウィキ アットウィキ メッセージ アットウィキの使い方 アットウィキ(@WIKI)ご利用ガイド https //www.atwiki.jp/guide/ https //www1.atwiki.jp/guide/ https //www1.atwiki.jp/guide/sp/
https://w.atwiki.jp/ddffneta-collect/pages/102.html
51 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 21 25 13 ID lbUMCcLx0 49 ごめん、ただ思いつくままに書いた 他にも気を悪くした人がいたらごめんなさい 調子に乗ってすいませんでした 52 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 21 29 02 ID bjK/WCL+O 51 そんな恐縮しないで 前スレで延々とガンダムネタ続いたこともあったので こういう意見もあるって言いたかったので あなた限定で槍玉にあげてるわけじゃないんだ 声優の力に頼らないあなたの今後のネタ楽しみにしてるよ 53 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 21 29 21 ID RRTLd47EO 51 49は声優ネタ使う言った私の 44宛じゃないかな? 54 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 21 31 00 ID kx7zZvRcO 屋上から約束の地へ… を毎日してそうなイカ ティーダ「今日もセフィロス跳んでるっスね!あの人何がしたいんだろう!」 玉遊び中 55 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 21 31 30 ID 5jJQb/V00 50 なるほど、ケフカはバレエ部か 56 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 21 31 51 ID j+w9GmTnO ティーダ「いいか、指笛を使うんだ。女の子は指笛でイチコロだからな。」 スコール(意味不明、黙れ) ティーダ「何だよスコール。言ってくれなきゃわからないぞ」 玉ねぎ「頭の悪いティーダの言うことは信用できないってさ」 ティーダ「何だと!スコール、そうなのか!?」 スコール「……ああ」 ティーダ「おう、そうか」 スコール(いや、それだけなのかよ) 57 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 21 34 33 ID B+KqIkk2O 50 今カオス勢の昼休みの行動考えてたとこw クジャ→ラブレター装ってジタンを呼び出す(校舎裏に) 皇帝と先生→皇帝があまりにも自滅するので先生に鍛え直されている アナゴ→体育館で重量あげしたり、筋トレ 暗くもとミッシー→女子トイレでペチャクチャ ガーランド→武器引きずってグラウンドにお絵描き ゴル兄→セシルと一緒 ケフカ→ティナにちょっかいを出す セフィロス→クラウドに嫌がらせ ジェクト→ティーダとブリッツかアナゴと筋トレか ガブラス→EXチャージ(笑) 58 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 21 37 33 ID ZH8NuDkLO 50 ゴル先生はしょっちゅうカウンセリングとかしてそうだ もちろんお気に入りはセシル 59 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 21 37 37 ID bjK/WCL+O 個人的に便所飯してそうだなと思うメンツ クラウド、スコール、セフィロス 60 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 21 40 41 ID j+w9GmTnO 59 原作ではスコールって学園中の生徒に慕われてるんだぜ 61 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 21 46 47 ID 7UIEcmk2O エクスデス「ファファファ!明日から三者面談を行う!各自親御さんを…」 WoL「自分の名前も分からない私に親の事など分かるわけないだろう!」 フリオ「親は…帝国軍に殺された」 タマネギ「ボクも本当の親は知らないよ」 セシル「既に両親共に鬼籍に入ってます」 バッツ「既に両親共に鬼籍に入ってます(ものまね)」 ティナ「これ…父さんです…(魔石マディン)」 クラウド「興味ないね…(知らんがな)」 スコール(親父は大統領だぞ?明日連れてこいとか無理に決まってるだろ…) エクスデス「先生が悪かったぁぁぁぁぁッ!この話はなかったことにしよう!誠に申し訳御座いませんでした!」 ティーダ「あー、ウチのなら明日でも多分大丈夫ッスよ?」 エクスデス「アレとは毎日顔合わせてるから別に今更やってものう?」 62 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 21 48 18 ID HHSq13L7O セフィロスは英語教師だと思うんだ。 JE「NOVA」的な意味で…。 ここでウサミミとピンクタイツに身を包んだタシロスが踊ってるのが頭に…いや何でもない。 63 :名前がない@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 21 49 14 ID ffu0hy8T0 クラウド「昼飯か・・・あそこで食うか」 スコール(昼か・・・食堂はいっぱいだろうからな、あそこならだれもいないだろう) 屋上 ガチャ クラウド「ん?」 スコール「あ」 次の日 スコール(体育館裏で食べるか) ざっざっざっ スコール(だれだ?) くらうど「あ・・・」 次の日 空き教室 クラウド「ここならゆっくり ガラガラガラ スコクラ「「あ・・・」」 64 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 21 51 42 ID rguzbBS/0 アルティミシア「……頼むから、フラッドを使うのは止めてくれ。」 ティナ「え?なぜ……」 暗闇の雲「ずぶ濡れになるのに耐えられんのじゃそうだ。」 アルティミシア「この間など、危うく風邪を引きそうになるわ、 男どもの視線が落ち着かないわでやってられん。 別に、メテオとフラッドの連発が強いからという理由からではないぞ?」 ティナ「……そうですか、わかりました。HP攻撃、メルトンに変えておきますね。」 アルティミシア「分かってくれて何より (突然のフラッド」 バッツ「へっへー。俺もフラッド使えるんだな~これが。」 ティナ(至近距離なのでずぶ濡れ「……そうね。あなたも使えたわよね、物まねで。」 アルティミシア(対象に取られてもろに直撃「……何も考えていないにも、ほどがあるな。」 暗闇の雲(近くにいたので巻き添え「覚悟は出来ておろうな?」 バッツ「へっへ~みなさんそろって水も滴るいい女~なんてねっ」 集束式はどうほう 騎士の剣 メルトン 一斉攻撃をひらりとかわして、ぶみっ バッツ「っと、危なかった……って、何を踏んだ?」 シャントット「このわたくしを踏んづけるとは覚悟はよろしくて?」 バッツ「え?」 シャントット「そもそも、女性をずぶ濡れにして謝りもせずに逃げ出そうとするお馬鹿さんには体罰が必要です。」 バッツ「ちょっと待て、流石にいくらなんでも……」 シャントット「ぶちきれましたわー!」 65 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 21 54 28 ID bjK/WCL+O 61 ゴルベーザ「私でも、いいですとも?」 クジャ「本来ならばこんな面倒なことは御免だがジタンが地べたに頭と尻尾をこすりつけて 『誰よりも美しく気高いクジャ様お願いします』と頼むなら行ってやらないこともないよ?」 66 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 22 00 20 ID PnPw3AGP0 ここのネタスレみていると10戦士を綺麗にまとめたコスモスが改めてパネェと思えるwww お母さんというか、ストーリー各所で助言するあたり保母さんポジションだよな。 67 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 22 01 21 ID c2bwlKyr0 63 腐キモイ自重しろ。 返事はいらない 68 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 22 04 13 ID 7UIEcmk2O 65 やべ、ジタン素で忘れてた。 ガラガラ ガーランド「話は聞かせてもらった!宿命の三者面談だ!」 ジタン「帰れ同姓同名!」 69 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 22 05 43 ID RRTLd47EO 61 クラウドの親は、セフィロスに殺されたんじゃ? 70 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 22 08 05 ID WALka5wqO ラグナなら喜んでサボって面談来そうだなw しかし自分は傭兵学校のトップクラスで親は大統領 彼女の親も大佐と歌手ってセシルに次ぐリアル勝ち組すぎる 71 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 22 12 33 ID mJFC30hdO 61 ティナが切ない 72 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 22 21 52 ID D2osiTbKO なんとなくティナは声で好きになれなかったけど、このスレみてたらかわゆす レベル100にしてこよっと 73 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 22 23 10 ID GqgAtWg/0 61 フリオの両親殺したのは帝国じゃないだろ 皇帝が魔物呼び出して世界征服始める前から フリオは両親亡くしてレオンハルト家に居候してたはずだぞ 74 :フルーツポンチ侍:2009/01/15(木) 22 23 11 ID OQ6RBmI/0 69 村もろとも焼かれちゃってたな 75 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 22 32 48 ID E4m3T4XiO 学園もので シャワー室裏 玉葱「フリオもうちょっと詰めろよ」 フリオ「…待て、もう見えるから。ゴクッ」 その頃、シャワー室内では 雲「さすがにティナの肌は張りがあるのぉ」 ミッシー「ホント、うらやましい」 ティナ(胸を気にしながら)「…でも」 雲「大丈夫じゃ」 ミッシー「私たちが大きくしてあげるから、揉んで」 声だけは聞こえ、 玉葱「…これは」 フリオ「ゴクッ」 WOL「そこの二人何をやってる。…覗きは感心しないな。光よ」 玉葱、フリオ避けて壁に大穴が 続く 76 :63:2009/01/15(木) 22 34 01 ID ffu0hy8T0 おれって腐だったのかwww 77 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 22 36 47 ID j+w9GmTnO 76 どうも目が腐ってる人にはそう見えるらしい たぶん二人の名前の最初の二文字を組み合わせたからだね それにしても過剰な反応 78 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 22 39 23 ID 9RvAal/8O 63は一人になりたい奴らの行動被っちゃって一人になれないって話だと思ってたがw まあスコールはジタンやバッツが誘ってくれるかも試練が 79 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 22 39 29 ID E4m3T4XiO 土煙りの中から小さな人影が シャントット様「…何をしてくれやがりますか」 WOL「いや、この二人が覗きを…」 シャントット様「あなたしかいませんことよ」 WOL「ま、待て」 あがる悲鳴を遠くに聞きながら 玉葱「まさか入っていたのがれでぃだったなんて」 フリオ「危なかった」 80 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 22 40 54 ID ZmdSxyCAO 気にせずほのぼのとネタを出していきましょうぜ! 81 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 22 41 33 ID uMQMW8ha0 ジタン「お前らやんちゃだなwwwww」 セシル「こんなことやっちゃいけませんよ」 バッツ「こんなモン見てうれしいのか?」 82 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 22 42 50 ID G0F5MvwP0 オブライトさん・・・きっと鎧や下着が細切れになっても兜だけは脱いでないんだろうな・・・ 83 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 22 52 12 ID PnPw3AGP0 食べ物の好みでケンカとかありそうだ。 作中であった好物、苦手な物とかで絡みないかなぁ。 84 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 23 06 51 ID LjoHf+C80 俺の脳内で、あずまんが大王の大阪みたいに辛いもの苦手なセシルが降臨した 85 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 23 10 50 ID ZH8NuDkLO セシル「僕はガリが反吐が出るほど嫌いなんだ」 クジャ「僕はコーラはコカコーラしか認めないよ…ペプシなんてクズだね」 ジタン「…二人ともなんでそんなに忌み嫌うんだ?」 セシル クジャ「「生理的に嫌いなんだからしょうがないよ」」 ジタン「一体何があったんだろう?」 ゴル「……私にもわからん。」 86 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 23 12 29 ID dv3eLcyp0 カオス勢でケータイ使えるヤツいるのかな。 87 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 23 15 40 ID 9+gGEh13O 56 シュールでなんか良いなw 88 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 23 16 51 ID WJmaQawt0 セフィロス、未来人のミシア、ザナルカンドにいたジェクト、迎撃システムなどを使いこなせるゴル、かな? 89 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 23 17 22 ID pHYgpfiT0 86 金剛番長みたいに携帯をどうやって使うのか分からずミシミシやってるのを想像した 90 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 23 17 45 ID 2hy7bZRQO カオスはコスモスに持たされた通話のみ携帯電話 ミッシーはどっちが本体かわからなくなるくらいストラップをつける ジェクト様は持たせた瞬間うっかり食べちゃう。 などと現実逃避 91 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 23 21 52 ID z1KraJvm0 迎撃システムが送迎システムに見えた 92 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 23 23 20 ID jU3BTgqQ0 バッツ「ジンギスカン・・・か」 ジタン「どーしたよ?美味いぞ、コレ?」 セシル「まぁ、独特の風味があるから、苦手と言う人も多いと聞くが・・・」 WOL「好き嫌いは良く無いぞ?」 バッツ「キライじゃないんだが・・・昔、ある村で ①宿屋で無料で歓待を受ける ②無料の料理で全回復&ポーションまでもらう ③何回か利用したらやってもらえなくなった ④外を見ると、羊の群れが一匹もいなく・・・ バッツ「・・・ということがあったんだ。それからどーしても羊料理を見るとおもいだしちまってなー・・・」 スコール「(想像するとえぐいな・・・)」 クラウド「それが摂理だ、しょうがない」 バッツ「でもなー・・・料理はともかく・・・」 T田「まだなんかあるっスか?」 バッツ「 ポ ー シ ョ ン が 実 は 羊 の 体 液 製・・・とか考えるとどーも・・・な」 一同「・・・・えぐい」 93 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 23 23 51 ID NyJQS1Cm0 63 クラウドは単独行動とみせかけて ちゃっかり一人でぽつんとしているティナと合流しそうだ さすがクラウド汚いクラウド 94 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 23 24 24 ID xXslr2Dh0 みんな短縮キー押すより手軽にテレポってるしなぁ 95 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 23 28 52 ID uMQMW8ha0 86 ガーランド→爪でパキッとやっちゃう 皇帝→使いこなす 暗雲→使い方が分からない ゴル兄→セシルとのコミュニケーションツール エクスデス→爪でパキッとやっちゃう セフィロス→クラウドにイタ電 ミッシー→案外使いこなす クジャ→画像フォルダは自分の写真でいっぱい ジェクト→息子とのコミュニケーションツール ってイメージ 96 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 23 29 16 ID 5jJQb/V00 ティナ「トルネド」 皇帝「うお、壁があって逃げられん!」 ティナ「トルネド!」 皇帝「ぐわああああ!ウボァー注意報発令!」 ティナ「トルネ…うぶ」 皇帝「ウボ…冷たっ。おや?雨か?」 オニオン「駄目だ!今すぐ電源を切るんだ!」 ジタン「もしかして酔ってゲr…」 オニオン「切れー!」 皇帝「ウボァー」 ティナ「ごめんなさい、風引いてて鼻水が…」 皇帝「それはそれでウボァー」 97 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 23 30 48 ID F0nlh4AR0 暗闇は本体よりも触手が携帯使いそうだ 98 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 23 31 15 ID 3Up3pxL90 95 4と10は極めて平和な使い方だな 8はなんかチェーンメール広めそうで怖い 99 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 23 31 36 ID ko2b5Qmx0 92 シャントット「そんな馬鹿な話有るわけ御座いませんでしょう?」 バッツ「だよなぁwいやぁ、食事中に悪い悪い」 シャントット「ポーションは、セージと蒸留水とト カ ゲ の 尻 尾を水のクリスタルで混ぜ合わせ・・・」 一同「(  ̄3);.;.ブーッ!!」 シャントット「お行儀の悪い方々ですわね! 因みにハイポーションは、セージと蒸留水とモ ル ボ ル の つ る を・・・」 100 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/15(木) 23 32 00 ID rBtwKL1+0 96 発令すんなwww
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/12696.html
登録日:2009/07/12(日) 00 14 05 更新日:2024/09/15 Sun 00 58 16NEW! 所要時間:約 8 分で読めます ▽タグ一覧 SLAM_DUNK みんなの先生 オヤジ ケンタッキーおじさん スラムダンク タプタプ顎 バスケットボール バスケ部 ホワイトヘアードデビル ホワイトヘアードブッダ 三井の恩師 人格者 先生 名将 名監督 名言製造機 安西先生 安西光義 宝亀克寿 既婚者 湘北高校 白髪仏 白髪鬼 監督 結構暗い過去持ち 置物 西村知道 諦めたらそこで試合終了ですよ 遺影 人気漫画及びアニメ作品SLAM DUNKに登場する人物。 本名:安西(あんざい) 光義(みつよし) 声:西村知道(TV版)/宝亀克寿(THE FIRST SLAM DUNK) 湘北高校バスケ部の監督。 「ホワイトヘアードブッダ(白髪仏)」と呼ばれるほど温厚な風格。 「ケンタッキーおじさん(*1)人形」呼ばわりされる程にかなり太っている。 桜木は、ことあるごとに彼の二重あごをタプタプする。実に気持ちよさそうである。 監督なのだが普段の練習に口うるさく指示を出すことはなく、基本赤木任せ。 試合の時もいつも置物のように座っているが、ここぞというときに冷静かつ大胆な戦術を指示し、 選手の才能を見抜く眼力も素晴らしく、選手からの信頼も厚く、ライバル校の監督からも尊敬の意を込め「安西先生」と呼ばれる名監督である。 ただ桜木からは「オヤジ」と呼ばれている。 また選手のモチベーションを高めるのも得意である。 『あきらめたらそこで試合終了ですよ…?』 はあまりにも有名。 この言葉は中学時代の三井、山王戦での桜木を奮い立たせた。 赤木・三井・宮城は彼を慕って湘北に入ってきた。 …流川は近かったから。 太っているが実は元全日本の選手であり、豊玉高校の元監督の北野とは同期。そのためシュートフォームはかなり綺麗である。太っているのに。 原作設定かどうかは不明だが、アニメでは175cmという設定がある。 「昔の日本のバスケ選手」と考えれば妥当な身長と言えよう。 湘北に来る前は某大学の監督をやっていたが、当時は今と違ってバリバリの鬼監督。 その気性の激しい性格から「ホワイトヘアードデビル(白髪鬼)」と呼ばれ恐れられた(*2)。 このときの才ある教え子・谷沢を日本一の選手に育てバスケ界を去ろうとしていたが、すれ違いの果てに谷沢は事故死を遂げてしまった。 これをきっかけに大学監督を引退、その後性格も体格も丸くなり、 谷沢への夢がちゅうぶらりんとなったままバスケ界を去れずに高校の監督をやっていた。 そのため類い稀なる素質をもつ流川・常人離れした成長を見せる桜木、2人の成長に谷沢の夢の続きを見ている。 時たまホワイトヘアードデビルの片鱗を垣間見せ、山王戦では1ページ丸々使って桜木を黙らせるほどの威圧感を見せる。 「聞こえんのか?あ?」 家族には妻が確認されている。 バスケ界の有名人であるからか、妻と住む自宅は結構な和風豪邸に見える。 上述の肥満が災いしたのか、インターハイ予選期間中の練習時に桜木のシュート練習を見ていたところ倒れてしまうが、桜木の処置のおかげで大事には至らなかった。 そのためか原作終了後の黒板漫画では医者に言われてダイエットに励んでいた。 ───以下名言─── 「諦めたらそこで試合終了だよ」 「下手糞の 上級者への 道のりは 己が下手さを 知りて一歩目」 「お前のためにチームがあるんじゃねぇ、チームのためにお前がいるんだ」 「まるで成長していない…」 「聞こえんのか?あ?」 「君たちは強い」 「谷沢‥見ているか?ここにお前を超える逸材がいるのだ…それも二人も同時にだ‥。」 「ホッホッホッ」 「桜木君がこのチームにリバウンドとガッツを与えてくれた」 「宮城君がスピードと感性を」 「三井君はかつて混乱を ほっほっ……のちに知性ととっておきの飛び道具を」 「流川君は爆発力と 勝利への意志を」 「赤木君と木暮君がずっと支えてきた土台の上に これだけのものが加わった」 「それが湘北だ」 諦めたらそこで追記終了だよ。 ──安西先生………修正がしたいです………。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 「下手糞の~」は忘れられない言葉だわ -- 名無しさん (2013-08-23 13 07 12) 白髪鬼時代のオヤジだったら桜木はタプタプしてたかな? -- 名無しさん (2013-12-25 21 25 06) ゴリ相手でも地雷を踏みに行くのが桜木 -- 名無しさん (2013-12-25 21 32 09) 桜木がオヤジにタプタプ→ミッチー「やめんか‼」の流れが好きだ。 -- 名無しさん (2013-12-26 17 03 03) 選手時代はどれほどの実力だったのかな?シュートめちゃくちゃうまいからな -- 名無しさん (2013-12-27 01 09 40) ほっほっほ -- 名無しさん (2013-12-30 22 12 03) タプタプタプタプ -- 名無しさん (2014-01-06 22 59 52) 安西先生って子供いんのかな? -- 名無しさん (2014-01-22 12 18 05) タプタプが可愛い。女性人気高いデブである -- 名無しさん (2014-01-22 12 50 37) ↑かわいいよなw -- 名無しさん (2014-01-22 13 55 10) 作中で一番の萌えキャラである -- 名無しさん (2014-01-25 18 53 21) タプタプでいつも笑う -- 名無しさん (2014-01-27 21 57 56) 豊玉戦のハーフタイムでも怒ってたな -- 名無しさん (2014-01-29 21 58 22) 赤木は眼鏡にかなわなかったのかな・・・; -- 名無しさん (2014-01-29 22 03 02) ↑眼鏡ってメガネ君のこと? -- 名無しさん (2014-02-01 10 16 41) しかし谷沢の件があったのになぜ三井がグレたのを放置してたのか・・・ -- 名無しさん (2014-02-01 10 39 15) ↑メタ的なこと言うと、三井の改心イベは途中で考えたものだから。てか三井、怪我でバスケ辞めてたわけだし。 -- 名無しさん (2014-02-01 10 58 14) ↑2 去る者追わずって感じなんかもな。ゴリと合わなくて辞めた部員もいるし -- 名無しさん (2014-02-01 11 12 21) 安西先生…タプタプがしたいです… -- 名無しさん (2014-02-01 14 29 28) 桜木と流川を目の当たりにしたり三井が戻って来たりで谷沢の頃に見ていた夢をもう一度って気分になったってとこじゃないか? -- 名無し (2014-02-01 19 08 20) 二万本シュートのときの安西先生の準備運動がかわいい -- 名無しさん (2014-02-05 21 53 54) モイチが湘北最大の不安要素に安西先生不在を挙げているので人望が厚い -- 名無しさん (2014-02-22 21 33 05) 桜木を試合に出さなかったり、ベンチ送りにするとタプられる -- 名無しさん (2014-03-28 15 44 31) 谷沢に強く深く指導した結果自分の元から去ったのがトラウマだったんじゃないかな。だから三井に対しても放置になってしまったんじゃないだろうか? -- 名無しさん (2014-03-28 16 03 36) 元全日本でその後も大学の監督で白髪鬼と恐れられていた男が赤坊主のおもちゃに… -- 名無しさん (2014-04-03 12 59 31) 彩子さんが「ああ見えても若い頃は全日本選手だったらしい」って言ってたがその頃を見てみたかった。 -- 名無しさん (2014-04-09 18 46 44) ↑当時からおっかなかったんだろうか。さすがに白髪ではなかったろうけど -- 名無しさん (2014-04-09 19 24 40) 安西先生って体重何kgあんだろ?ゴリより重そうなんだがw -- 名無しさん (2014-04-17 21 38 22) 桜木にタプタプされたときにほっほっと喜んでるときもある -- 名無しさん (2014-05-11 17 58 59) このタプタプが花道のリラックスの源なのかも知れない。 -- 名無しさん (2014-05-11 18 05 00) 安西先生の奥さんも桜木にタプタプされてる安西先生見て喜んでそう -- 名無しさん (2014-05-11 18 44 22) 桜木流川育て上げたら監督引退すんのかな? -- 名無しさん (2014-05-14 19 08 41) 理想の指導者。カーネル… -- 名無しさん (2014-05-22 08 54 24) タプタプしたい、花道がうらやましい。こんな素敵な先生にあえて。 -- 名無しさん (2014-05-22 09 39 38) 無能扱いするやつもいるけど山王戦とか監督が安西先生じゃなきゃ勝てなかったろ。 -- 名無しさん (2014-05-22 11 41 34) 白髪仏安西は一人称が私だが白髪鬼安西は一人称がわし -- 名無しさん (2014-05-23 13 06 02) 山王戦で一瞬だけ見せたデビル安西先生は怖かったな。イメージかどうかは分からんがあの怖いもの知らずの桜木ですらもビビってるんだから読者の俺はマジでビビった。普段が穏やかな人ほど怒らせたら怖いものはないってのの典型だな。まあちゃんと愛情に裏打ちされた厳しさだから嫌いじゃないけど。 -- 名無しさん (2014-05-23 13 12 27) 海南戦でおきもの扱いされてんのはなぜか笑った -- 名無しさん (2014-05-23 22 08 40) 桜木がマンツーマンでコーチをしてもらえることに宮城と三井がガチで羨ましがっていたのが印象的 -- 名無しさん (2014-05-23 23 00 30) もう60代ぐらいなのにかわいいキャラ -- 名無しさん (2014-05-24 18 52 45) 君たちはケンカしたからオシオキです。プイッ -- 名無しさん (2014-06-04 00 31 37) マツコデラックスも見事な安西顎の持ち主だな -- 名無しさん (2014-06-07 12 15 39) 白髪鬼安西も雰囲気とか言動が怖かっただけで体罰はしてないよな -- 名無しさん (2014-06-14 22 13 56) 安西先生がダンクしてるコラは笑ったな -- 名無しさん (2014-06-22 22 47 07) あ…安西先生…そしてエージさん、お久しぶりです。 -- 名無しさん (2014-06-28 05 38 26) 安西フライドチキン -- 名無しさん (2014-07-18 20 57 50) 過干渉で谷沢を死なせちゃったから、反動で三井に対しては放任気味になっちゃったんじゃないか -- 名無しさん (2015-01-21 22 40 31) 赤木があれ程全国制覇と言ってるなら山王戦のビデオをどうして見せなかったのだろうかと思う。(全国ベスト4の海南に30点差で葬る事が出来る山王位じゃないと無理)谷沢の時みたいに過干渉した結果がアレだったからもうそこまでの熱意は無かったのか。 -- 名無しさん (2015-01-27 00 31 43) ↑ 自信喪失する可能性があるから。 -- 名無しさん (2015-02-09 13 26 11) 三井なんて尊敬どころか崇拝してるから一回でも見舞い行ってやりゃ立ち直るだろうにな。2年ぶりに顔見ただけであれなんだし。まあ相手からどれだけ慕われてるかなんてわからないだろうけど -- 名無しさん (2015-02-19 18 02 11) ホントページ一つ使っての「聞こえんのか?あ?」の時の先生はアッチの筋、しかもそれなりに偉い人だと言われても納得の迫力 -- 名無しさん (2015-09-05 11 14 34) あきらめたら?のコラには北斗の拳の時の「命は投げ捨てるもの」に通ずる面白さがある -- 名無しさん (2016-01-15 11 37 24) 三井は本人がやめたがってるのを無理に強要したらまた谷沢の時みたいになるんじゃないかと思ってたんじゃね? 赤木が県内トップクラスになれたのは先生の指導あってこそだろうし『やりたい人にだけ教える』状態だったんだろう -- 名無しさん (2016-05-23 00 09 12) 桜木のシュート2万本の特訓の際に出てた道楽の流れは好きだった。 -- 名無しさん (2017-05-01 13 14 49) 違反コメントを削除しました -- 名無しさん (2017-11-16 21 02 07) 「諦めたらそこで試合終了だよ」で人生に絶望しかけていた元Jリーガーは車椅子バスケの日本代表に…バスケ界に影響のある偉大な教師 -- 名無しさん (2018-01-22 00 26 49) 道楽云々のセリフも好き -- 名無しさん (2018-03-17 17 33 04) 正直、選手育成に関しては田岡監督の方が優秀なイメージ。 戦術やカリスマ性は絶大なんだが、赤木と三井の件でストーリーの割を食った印象が強い。 アイドルアニメでプロデューサーが肝心なところで役立たずなように。 -- 名無しさん (2020-06-07 19 36 32) 監督としてはともかく教師としては正直割と…… -- 名無しさん (2020-07-13 23 41 30) あきらめたら、そこで滅殺だよ(声優ネタ) -- 名無しさん (2020-10-12 20 09 46) 選手の才能を引き出すのには手腕を発揮する一方で、小暮以下の凡人キャラに指導するシーンが皆無なのが指導者としての両極端ぶりを示してる。 -- 名無しさん (2021-03-21 20 15 27) やってることだけ見ると才能の有無で指導するしないを決めるというよりただ単に桜木が好きって感じだよねこの人。 -- 名無しさん (2021-06-22 08 21 36) 桜木や流川に対して、ずっと矢沢の面影を見てるんだろうな。特に桜木。矢沢に対してこう言ってやればよかった、という反省というか後悔をずっと抱いていて、それを桜木に対してやってたんじゃないだと思う。 -- 名無しさん (2022-02-11 20 00 41) 安西先生「おや。もともと君に怖いものなどあったのかね?」花道「ない」というアドバイスをしれっと寄越しておきながら「聞こえんのか?あ?」と、恐れ知らずの花道を震え上がらせている。白髪仏と揶揄されながらも往年の闘志は消えておらず「諦めたらそこで試合終了」のとおり、湘北で誰より諦めてなかったのもまた安西先生だった -- 名無しさん (2022-07-22 20 02 54) 一応、三井に関しては今回の映画で三井本人が避けてるって描写になってた。 -- 名無しさん (2023-03-16 14 01 06) 流川に対して「(米国に行くのは)日本一の高校生になってからでも遅くはない」と止めてた割には具体的には誰がその日本一の高校生プレーヤーなのかを説明してなかったという(仙道に1on1挑んだときに仙道から自分より上は少なくともいる位しか教えてもらってないし、南から怪我させたことに対しての謝罪を受けた時に南の口から山王の沢北が高校NO1だから沢北に勝てるならNO1になれるかもしれんと助言を貰った程度) -- 名無しさん (2023-05-19 13 17 06) 一般の授業等を行っているシーンがないため、教師としての専門科目等が不明な人でもある。あるいは教師ではなくて、あくまでバスケ部の外部コーチなのを「学校における指導者への総称」として先生と呼んでいる可能性もある -- 名無しさん (2024-02-11 22 34 34) ロクブルにも似たような老教師が出てたな -- 名無しさん (2024-02-16 08 06 47) 赤木君と木暮君がずっと支えてきた土台の上に これだけのものが加わった リョータ・安田・角田・塩崎「あの…俺たちも一応…後リョータも入院する前は…」 -- 名無しさん (2024-09-15 00 58 16) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/324.html
子どもの権利委員会・一般的意見24号:子ども司法制度における子どもの権利 一般的意見一覧 参考:子どもにやさしい司法に関する欧州評議会閣僚委員会指針(2010年) CRC/C/GC/24 配布:一般(2019年9月18日)[注] 原文:英語 日本語訳:平野裕二(日本語訳PDF) [注] 技術的理由により2019年11月11日に再発行されたもの。 子どもの権利委員会 子ども司法制度における子どもの権利についての一般的意見24号(2019年) I.はじめに 1.この一般的意見は、少年司法における子どもの権利についての一般的意見10号(2007年)にとって代わるものである。そこには、国際的および地域的基準、委員会の先例、子どもおよび青少年の発達に関する新たな知識ならびに効果的実践(修復的司法に関連するものを含む)に関するエビデンスの普及の結果として生じた、2007年以降の進展が反映されている。また、最低刑事責任年齢についての傾向および自由の剥奪の根強い利用などの懸念も反映されている。この一般的意見では、非国家武装集団(テログループとして指定されているものを含む)による徴募および使用の対象とされている子どもならびに慣習的司法制度、先住民族司法制度またはその他の非国家的司法制度における子どもに関連する諸問題のような、特定の問題も取り上げている。 2.子どもは、その身体的および心理的発達の面で、大人とは異なる。このような違いが、より低い有責性の認識、および、差異化された個別的アプローチをともなう独立の制度の根拠となる。刑事司法制度との接触が子どもにとって害となり、子どもが責任ある大人となる可能性を制約することは実証されてきた。 3.委員会は、公共の安全の保全が、子ども司法制度を含む司法制度の正当な目的のひとつであることを認知する。しかしながら、締約国は、子どもの権利条約に掲げられた子ども司法の原則を尊重しかつ実施する自国の義務を前提として、この目的を追求するべきである。条約が第40条ではっきりと述べているように、刑法に違反したとして申し立てられ、罪を問われまたは認定された子どもは、常に、尊厳および価値についての子どもの意識を促進するのにふさわしい方法で取り扱われることが求められる。エビデンスの示すところによれば、子どもが行なう犯罪の発生件数は、これらの原則にのっとった制度が採択された後に減少する傾向にある。 4.委員会は、条約に合致した子ども司法制度を確立するために行なわれてきた多くの努力を歓迎する。条約およびこの一般的意見に掲げられた規定よりもいっそう子どもの権利に資する規定を有している国は称賛の対象であり、かつ、条約第41条にしたがい、いかなる後退的措置もとるべきではないことを想起するよう求められる。締約国報告書が示すところによれば、多くの締約国はいまなお条約の全面的遵守を達成するために相当の投資を行なう必要があり、このことはとくに防止、早期介入、ダイバージョン措置の開発および実施、多職種連携アプローチ、最低刑事責任年齢ならびに自由の剥奪の削減との関連で顕著である。委員会は、自由を奪われている子どもに関する国連国際研究を主導した独立専門家の報告書(A/74/136)に対し、各国の注意を喚起する(この報告書は、委員会が端緒となった国連総会決議69/157にしたがって提出されたものである)。 5.この10年の間に、司法へのアクセスおよび子どもにやさしい司法を促進するいくつかの宣言・指針が国際機関および地域機関によって採択されてきた。これらの枠組みは、犯罪の被害者および証人である子ども、福祉手続における子どもならびに行政審判所の審理の対象とされる子どもを含む、司法制度のあらゆる側面における子どもを対象とするものである。これらの進展は、貴重ではあるものの、この一般的意見の範囲には入らない。この一般的意見では、刑法に違反したとして申し立てられ、罪を問われまたは認定された子どもに焦点を当てている。 II.目的および適用範囲 6.この一般的意見の目的および適用範囲は次のとおりである。 (a) 子どもの権利条約の関連の規定および原則に関する現代的なとらえ方を示すとともに、各国に対し、子どもの権利の促進および保護につながる子ども司法制度のホリスティックな実施に向けた指針を提供すること。 (b) 防止および早期介入の重要性ならびに制度のあらゆる段階における子どもの保護の重要性をあらためて指摘すること。 (c) 子どもの発達に関する知識の増進にのっとって、刑事司法制度との接触がもたらすとりわけ有害な影響を低減させるための主要な戦略、とくに次に掲げる戦略を促進すること。(i) 刑事責任に関する適切な最低年齢を定め、かつ子どもが当該年齢に達しているか否かにかかわらず適切に取り扱われることを確保すること。 (ii) 公式な司法手続からの子どものダイバージョンおよび効果的プログラムへの付託の規模を拡大すること。 (iii) 子どもの拘禁が最後の手段であることを確保するため、社会内処遇措置の利用を拡大すること。 (iv) 体刑、死刑および終身刑の使用をなくすこと。 (v) 自由の剥奪が最後の手段として正当とされる数少ない状況において、当該措置が年長の子どものみを対象として適用され、厳格な期間制限に服し、かつ定期的再審査の対象とされることを確保すること。 (d) 組織、能力構築、データ収集、評価および調査研究の向上を通じた制度の強化を促進すること。 (e) この分野における新たな進展、とくに非国家武装集団(テログループとして指定されているものを含む)による子どもの徴募および使用ならびに慣習的司法制度、先住民族司法制度および〔その他の〕非国家的司法制度と接触する子どもについての指針を示すこと。 III.用語法 7.委員会は、刑法に違反したとして申し立てられ、罪を問われまたは認定された子どもに関連して、スティグマにつながらない言葉の使用を奨励する。 8.この一般的意見で使用されている重要な用語を以下に列挙する。 適切な大人(appropriate adult):子どもを援助できる親または法定保護者がいない状況においては、締約国は、適切な大人が子どもを援助することを認めるべきである。適切な大人としては、子どもおよび(または)権限ある機関によって指名された者も考えられる。 子ども司法制度(child justice system)[1]:罪を犯したとみなされる子どもにとくに適用される法律、規範および基準、手続、機構ならびに規定、ならびに、このような子どもに対応するために設置された制度および機関。 自由の剥奪(deprivation of liberty):いずれかの司法機関、行政機関その他の公的機関の命令によるあらゆる形態の拘禁もしくは収監または公的もしくは私的な身柄拘束環境への措置であって、対象とされた者がみずからの意思で離れることを許されないもの [2]。 ダイバージョン(diversion):関連の手続の開始前または進行中のいずれの時点であるかにかかわらず、子どもを司法制度から切り離して他の対応に委ねるための措置。 最低刑事責任年齢(minimum age of criminal responsibility):法律により、当該年齢に達していない子どもは刑法に違反する能力がないと判断される最低年齢。 未決拘禁(pretrial detention):逮捕の時点から処分または刑の言い渡しの段階までに至る拘禁(審理の全期間を通じて行なわれる拘禁を含む)。 修復的司法(restorative justice):被害者、罪を犯した者および(または)犯罪活動の影響を受けた他のいずれかの個人もしくはコミュニティ構成員が、しばしば公正かつ中立な第三者の援助を受けながら、犯罪から生じた問題の解決にともに参加するすべてのプロセス。修復的プロセスの例としては、仲裁、会議、調停および量刑サークルなどがある [3]。 [1] この一般的意見の英語版では、「少年司法」(juvenile justice)に代えて「子ども司法制度」という用語を用いる。 [2] 自由を奪われた少年の保護に関する国連規則(ハバナ規則)、第11条(b)。 [3] 刑事事案における修復的司法プログラムの利用に関する基本原則、パラ2。 IV.包括的な子ども司法政策の中核的要素 A.子どもの犯罪の防止(最低刑事責任年齢に達していない子どもを対象とする早期介入を含む) 9.締約国は、「犯罪防止および刑事司法の分野における子どもに対する暴力の解消に関する国連モデル戦略および実務措置」ならびに刑事司法制度への子どもの関与の根本的原因に関する国内的および国際的比較研究を参照するとともに、防止戦略の策定の参考とするために独自の調査研究を行なうべきである。調査研究の結果、さまざまな社会制度(家庭、学校、コミュニティ、仲間関係)に存在する、子どもが示す深刻な行動上の困難を助長する側面に肯定的変化をもたらすことを目的とした、家庭およびコミュニティを基盤とする集中的な処遇プログラムにより、子どもが刑事司法制度に関与するようになるおそれの低減につながることが実証されている。防止および早期介入のプログラムにおいては、家族、とくに脆弱な状況にある家族または暴力が生じている家族への支援に焦点が当てられるべきである。危険な状況にある子ども、とくに通学しなくなった子ども、退学させられた子どもまたはその他の形で教育を修了していない子どもに対して支援を提供することが求められる。仲間集団による支援および親の強力な関与が推奨されるところである。締約国はまた、子どもの特有のニーズ、問題、悩みおよび関心に対応し、かつその家族に適切なカウンセリングおよび指導を提供するような、コミュニティを基盤とするサービスおよびプログラムも発展させることが求められる。 10.条約第18条および第27条は子どもの養育に対する親の責任の重要性を確認しているが、条約は同時に、締約国に対し、親(または他の養育者)が親としての責任を果たすにあたって必要な援助を与えることも求めている。乳幼児期のケアおよび教育への投資は、将来の暴力および犯罪の発生率の低下と相関関係にある。このような援助は、たとえば親としての能力増進を目的とする家庭訪問プログラムなどによって、子どもがごく幼い時期から始めることが可能である。援助のための措置は、コミュニティおよび家族を基盤とする防止プログラム(親子の相互交流向上プログラム、学校とのパートナーシップ、肯定的な仲間関係ならびに文化的活動および余暇活動など)に関する豊富な情報を活用することが求められる。 11.最低刑事責任年齢に満たない子どものための早期介入においては、子どもが最低刑事責任年齢に達している場合には犯罪とみなされるであろう行動の最初の兆候に対し、子どもにやさしい多職種連携型の対応をとることが必要となる。このような行動の背後にある複合的な心理社会的原因のみならず、レジリエンス(回復力)を強化する可能性がある保護的要因も反映した、エビデンスに基づく介入プログラムを発展させるべきである。介入に先立って、子どものニーズの包括的かつ学際的アセスメントが行なわれなければならない。絶対的優先事項として、子どもは家庭およびコミュニティにおいて支援されるべきである。家庭外への措置が必要となる例外的事案においては、そのような代替的養護はなるべく家庭的環境のもとで行なうことが求められる。ただし、必要とされる一連の専門家によるサービスを提供するため、一部の事案においては施設養護への措置が適切である場合もありうる。施設養護への措置は、最後の手段として、かつもっとも短い適切な期間でのみ用いられるべきものであり、また司法審査の対象とされるべきである。 12.防止に対する組織的アプローチには、貧困、ホームレス状態または家族間暴力の結果であることが多い微罪(学校の欠席、家出、物乞いまたは住居侵入など)の非犯罪化を通じ、子ども司法制度への経路を閉ざすことも含まれる。性的搾取の被害を受けた子どもおよび同意に基づく性的行為を行なう青少年も犯罪者として扱われることがある。地位犯罪としても知られるこれらの行為は、成人が行なう場合には犯罪とみなされない。委員会は、締約国に対し、自国の法令から地位犯罪を削除するよう促す。 B.最低刑事責任年齢に達している子どもを対象とする介入 [4] [4] 後掲IV.Eも参照。 13.条約第40条(3)に基づき、締約国は、適切な場合には常に司法手続によらずに子どもに対応するための措置の確立を促進しなければならない。実務上、このような措置は一般的に2つのカテゴリーに分類される。 (a) 関連の手続の開始前または進行中のいずれの時点であるかにかかわらず、子どもを司法制度から切り離して他の対応に委ねるための措置(ダイバージョン)。 (b) 司法手続の文脈でとられる措置。 14.委員会は、締約国に対し、双方のカテゴリーの介入に基づく措置を適用するにあたって、子どもの人権および法的保障が全面的に尊重されかつ保護されることを確保するために最大限の配慮がなされるべきであることを想起するよう求める。 司法手続の利用を回避する介入 15.司法手続の利用を回避しながら子どもに対応する措置は、世界中の多くの法体系に導入されてきており、一般的にダイバージョンと呼ばれている。ダイバージョンにおいては、事案が公式な刑事司法制度から切り離されて他の対応(通常はプログラムまたは活動)に委ねられる。このようなアプローチは、スティグマが付与されることおよび前科がつくことを回避できることに加え、子どもにとって望ましい結果をもたらし、かつ公共の安全に適合するとともに、費用対効果も高いことが証明されてきた。 16.ダイバージョンは、事案の大多数において、子どもに対応する望ましいやり方とみなされるべきである。締約国は、ダイバージョンが可能な犯罪(適切な場合には重大犯罪を含む)の範囲を継続的に拡大するよう求められる。ダイバージョンの機会は、制度への接触後の可能なかぎり早い段階から、かつ手続全体を通じたさまざまな段階で、利用可能とされるべきである。ダイバージョンは子ども司法制度の不可欠な一部とされるべきであり、かつ、条約第40条(3)にしたがい、あらゆるダイバージョンの手続およびプログラムにおいては子どもの人権および法的保障が全面的に尊重されかつ保護されなければならない。 17.ダイバージョンの正確な性質および内容について決定し、かつその実施のために必要な立法上その他の措置をとることは、締約国の裁量に委ねられている。委員会は、社会奉仕、指定された職員による監督および指導、家族集団会議ならびにその他の修復的司法措置(被害者に対する原状回復および賠償を含む)など、コミュニティを基盤とする多様なプログラムが開発されてきたことに留意するものである。 18.委員会は次の点を強調する。 (a) ダイバージョンは、申し立てられている犯罪をその子どもが行なったこと、子どもが脅迫または圧力を受けることなく自由かつ自発的に責任を認めていること、および、子どもが当該責任を認めたことがその後のいかなる法的手続においても子どもの不利になるような形で用いられないことについて確証がある場合でなければ、利用されるべきではない。 (b) ダイバージョンに対する子どもの自由かつ自発的な同意は、措置の性質、内容および期間ならびに措置に協力せずまたは措置を修了しなかった場合の結果に関する、十分かつ具体的な情報に基づいたものであるべきである。 (c) 法律においてどのような場合にダイバージョンが可能かが明らかにされるべきであり、かつ、警察、検察官および(または)その他の機関による関連の決定は規制および審査の対象とされるべきである。ダイバージョンのプロセスに参加するすべての国の職員および関係者に対し、必要な研修および支援を提供することが求められる。 (d) 子どもに対しては、権限ある機関から提示されたダイバージョンに関連する法的その他の適切な援助を求める機会および措置の再審査の可能性が認められなければならない。 (e) ダイバージョンの措置に自由の剥奪が含まれるべきではない。 (f) ダイバージョンの修了をもって、当該事案は確定的かつ最終的に終結したものとされるべきである。ダイバージョンの記録は、行政上、再審査上、捜査上および研究上の目的で秘密が守られる形で保存することができるものの、当該記録は刑事上の有罪判決とみなされるべきではなく、または犯罪歴の記録とされるべきではない。 司法手続の文脈における介入(処分) 19.権限ある機関によって司法手続が開始されるときは、公正かつ適正な審判の原則が適用される(後掲D参照)。子ども司法制度においては、社会的および教育的措置を活用する機会、ならびに、逮捕の時点から、手続全体を通じ、かつ量刑において自由の剥奪の使用を厳格に制限するための機会が豊富に用意されるべきである。締約国は、指導および監督の命令、保護観察、コミュニティモニタリングまたはデイレポートセンター〔通所型保護観察施設〕ならびに拘禁からの早期釈放の可能性のような措置が最大限かつ効果的に活用されることを確保するため、十分な訓練を受けた職員による保護観察機関または同様の機関を整備することが求められる。 C.年齢と子ども司法制度 最低刑事責任年齢 20.犯行時に最低刑事責任年齢に満たなかった子どもは、刑法上の手続において責任を問うことはできない。犯行時に当該最低年齢に達していたが18歳未満であった子どもは、条約を全面的に遵守したうえで、正式な告発および刑法上の手続の対象とすることができる。ただしこれらの手続(終局的結果を含む)は、この一般的意見で詳しく述べられている条約の原則および規定を全面的に遵守するものでなければならない。委員会は、締約国に対し、適用される年齢は犯行時の年齢であることを想起するよう求める。 21.条約第40条(3)に基づいて締約国は最低刑事責任年齢を定めなければならないが、同条は具体的な年齢を明らかにしていない。50以上の締約国が条約批准後に当該最低年齢を引き上げており、国際的にもっとも一般的な最低刑事責任年齢は14歳である。にもかかわらず、締約国が提出する報告書によれば、受け入れられないほど低い最低刑事責任年齢を維持している国があることが明らかになっている。 22.子どもの発達および神経科学の分野で記録されてきたエビデンスが示すところによれば、12歳から13歳の子どもはその前頭皮質がいまなお発達中であるため、その成熟度および抽象的推論能力もなお発達途上にある。したがって、この年齢層の子どもが自己の行動の影響または刑事手続について理解できる可能性は低い。これらの子どもは、思春期に達しようとしていることからも影響を受けている。思春期における子どもの権利の実施についての一般的意見20号(2016年)で委員会が指摘しているように、思春期は、急速な脳の発達によって特徴づけられ、その後の人生のあり方を左右する人間発達上の特有の段階であって、このことがリスクをともなう行動、ある種の意思決定および衝動制御能力に影響を及ぼしているのである。締約国は、最近の科学的知見に留意するとともに、自国の最低年齢をしかるべき形で、少なくとも14歳まで、引き上げるよう奨励される。さらに、発達および神経科学に関わる証拠は、青少年の脳が10代を終えてもなお成熟し続けており、ある種の意思決定に影響を及ぼしていることを明らかにしている。したがって委員会は、より高い最低年齢(たとえば15歳または16歳)を定めている国を称賛するとともに、締約国に対し、条約第41条にしたがって、いかなる場合にも最低刑事責任年齢の引き下げを行なわないよう促すものである。 23.委員会は、最低刑事責任年齢を合理的に高い水準に設定することは重要であるものの、アプローチが効果的なものとなるかどうかは、当該年齢以上および当該年齢未満の子どもに国がどのように対応するか次第でもあることを認識する。委員会は、締約国報告書の審査においてこの点を引き続き吟味していく。最低刑事責任年齢に達していない子どもは、そのニーズに応じた援助およびサービスを提供されなければならず、刑法上の犯罪を行なった子どもと捉えられるべきではない。 24.年齢の証明がなく、かつ子どもが最低刑事責任年齢未満であるか否かが立証できないときは、その子どもは灰色の利益を認められなければならず、刑事責任を有しないものとされなければならない。 最低年齢の例外を設けている制度 25.委員会は、たとえば子どもが重大な犯罪を行なったとして申し立てられている事件において、より低い最低刑事責任年齢の適用を認める慣行があることについて懸念を覚える。このような慣行は、通常は公衆の圧力に対応するために設けられたものであり、子どもの発達に関する理性的理解に基づいたものではない。委員会は、締約国がこのような慣行を廃止し、その年齢に達していない場合には例外なく子どもの刑法上の責任を問うことができない、統一された単一の年齢を定めるよう強く勧告する。 2つの最低年齢を設けている制度 26.締約国のなかには、2つの最低刑事責任年齢(たとえば7歳と14歳)を適用し、低いほうの年齢には達しているものの高いほうの最低年齢には満たない子どもについて、十分に成熟していることが実証されないかぎり刑事責任を欠くという推定を設けている国がある。当初は保護のための制度として設けられたものだが、これが実際には保護につながらなかったことは証明済みである。刑事責任の個別鑑定という考え方を支持する声もあるものの、委員会の見るところ、これは裁判所の裁量に多くを委ねることになり、結果として差別的実務につながっている。 27.締約国は、単一の適切な最低年齢を定めるとともに、このような法改正が最低刑事責任年齢に関する立場の後退につながらないことを確保するよう、促される。 発達の遅れまたは神経発達障害に関連する理由で刑事責任を欠く子ども 28.発達の遅れまたは神経発達障害(たとえば自閉症スペクトラム障害、胎児性アルコール・スペクトラムまたは後天性脳損傷)がある子どもは、たとえ最低刑事責任年齢に達していたとしても、けっして子ども司法制度の対象とされるべきではない。このような子どもは、自動的に除外されない場合、個別鑑定の対象とされるべきである。 子ども司法制度の適用 29.子ども司法制度は、犯行時に最低刑事責任年齢に達していたものの18歳には満たなかったすべての子どもに適用されるべきである。 30.委員会は、自国の子ども司法制度の適用を16歳(またはそれ以下の年齢)未満の子どもに限定している締約国、または16歳ないし17歳の子どもが例外的に(たとえば罪種を理由として)成人犯罪者として扱われることを認めている締約国に対し、自国の子ども司法制度が犯行時に18歳未満であったすべての者に差別なく全面的に適用されることを確保するために法律を改正するよう勧告する(一般的意見20号、パラ88も参照)。 31.子ども司法制度は、犯行時に18歳未満であったものの審判または量刑言い渡し手続の間に18歳に達した子どもに対しても保護を提供するべきである。 32.委員会は、一般的規則としてまたは例外としてのいずれであるかにかかわらず、18歳以上の者に対する子ども司法制度の適用を認めている締約国を称賛する。このアプローチは、脳の発達は20代前半まで続くことを示す発達学上および神経科学上のエビデンスにのっとったものである。 出生証明書および年齢鑑別 33.出生証明書を持たない子どもに対しては、年齢証明のために必要とされるときは常に、国によって速やかにかつ無償で当該証明書が提供されるべきである。出生証明書による年齢の証明ができない場合、当局は、年齢を証明しうるすべての書類(出生届、出生登録抄本、洗礼証明書もしくはそれに類する書類または学校成績表など)を受理するよう求められる。書類は、別段の証明がないかぎり真正なものとみなされなければならない。当局は、年齢についての親の事情聴取もしくは親による証言を認め、または子どもの年齢を知っている教員もしくは宗教的指導者もしくはコミュニティの指導者による宣誓書の提出を認められるようにするべきである。 34.これらの措置が功を奏さないことが証明される場合にかぎり、専門の小児科医または発達のさまざまな側面の評価に熟達した他の専門家によって実施される、子どもの身体的および心理的発達の鑑別を行なうことができる。このような鑑別は、迅速な、子どもおよびジェンダーに配慮した、文化的に適切なやり方(子どもが理解できる言語による、子どもおよび親または養育者の事情聴取を含む)で実施されるべきである。国は、とくに骨および歯の分析に基づく医学的手法(これらの手法は、誤差が大きいために不正確であることが多く、かつトラウマにもつながりうる)のみを用いることがないようにするよう求められる。もっとも侵襲性の低い鑑別手法が適用されるべきである。決定的証拠がないときは、子どもまたは若者に対して灰色の利益が認められなければならない。 子ども司法措置の継続 35.委員会は、ダイバージョン・プログラムまたは社会内処遇措置もしくは施設内処遇措置を修了する前に18歳に達した子どもが、成人向け施設に送致されるのではなく、当該プログラム、措置または刑の修了を認められるべきであることを勧告する。 18歳を前後して行なわれた犯罪および成人とともに行なわれた犯罪 36.若者が複数の犯罪を行ない、その一部は18歳前に、一部は18歳に達した後に行なわれた場合について、締約国は、合理的理由があるときはすべての犯罪について子ども司法制度を適用できるようにするための手続規則の制定を検討するべきである。 37.子どもが1人または複数の成人とともに犯罪を行なった場合、審理が併合されるか分離されるかにかかわらず、子どもに対しては子ども司法制度の規則が適用される。 D.公正な審判のための保障 38.条約第40条(2)には、すべての子どもが公正な取扱いおよび審判を受けられるようにすることを目的とした一連の権利および保障が掲げられている(市民的および政治的権利に関する国際規約第14条も参照)。これらの権利および保障は最低基準であることに留意するべきである。締約国は、より高い基準を設けかつ遵守することが可能であるし、そのように努めることが求められる。 39.委員会は、これらの保障を維持するために、子ども司法制度に関与する専門家の継続的かつ体系的訓練が欠かせないことを強調する。このような専門家は、学際的なチームを組んで働くことができるべきであり、かつ、子どもおよび思春期の青少年の身体的、心理的、精神的および社会的発達ならびにもっとも周縁化された子どもの特別なニーズに精通しているべきである。 40.差別を防止するための保障措置が刑事司法制度との接触の最初期から審判全体を通じて必要であり、かつ、いかなる集団の子どもに対する差別についても積極的是正が要求される。とくに、女子に対しておよび性的指向またはジェンダーアイデンティティを理由に差別されている子どもに対して、ジェンダーに配慮した注意が払われるべきである。障害のある子どもに対する配慮も行なわれるべきであり、このような配慮としては法廷その他の建物への物理的アクセス、心理社会障害のある子どもへの支援、意思疎通の援助および文書の読み上げならびに証言のための手続的調整などが考えられる。 41.締約国は、制度との接触(職務質問、警告または逮捕の段階を含む)の時点から、警察その他の法執行機関による拘禁中、警察署、拘禁場所および裁判所間の移送中ならびに尋問、捜索および証拠物の収集の際において子どもの権利を保障する法律の制定および実務の確保を図るべきである。あらゆる段階および手続において、子どもの所在および状態に関する記録を保管することが求められる。 子ども司法の遡及的適用の禁止(第40条(2)(a)) 42.いかなる子どもも、実行のときに国内法または国際法によって犯罪とされていなかったいかなる犯罪についても、有罪とされない。テロリズムを防止しかつこれと闘うために刑法の規定を拡大する締約国は、これらの変更によって子どもの遡及的処罰または意図せざる処罰が行なわれないことを確保するよう求められる。いかなる子どもも犯行時に適用されていた刑罰よりも重い刑罰を科されるべきではないが、犯罪後の法改正でより軽い刑罰が定められた場合、子どもは当該改正の利益を受けられるべきである。 無罪の推定(第40条(2)(b)(i)) 43.無罪の推定により、どのような性質の犯罪であるかにかかわらず、被疑事実の立証責任は検察側に課されなければならない。子どもには灰色の利益が認められ、これらの被疑事実が合理的な疑いを超えて立証された場合にのみ有罪とされる。子どもの疑わしい言動は、手続に関する無理解、未成熟、恐怖心その他の理由によるものである可能性があるため、当該言動を理由として有罪の推定が行なわれるべきではない。 意見を聴かれる権利(第12条) 44.委員会は、意見を聴かれる子どもの権利についての一般的意見12号(2009年)のパラ57~64において、子ども司法の文脈で意見を聴かれる子どもの基本的権利について説明を行なった。 45.子どもは、最初の接触の時点から始まる手続のすべての段階において、代理人を通じてのみならず、直接意見を聴かれる権利を有する。子どもには黙秘権があり、子どもが陳述を行なわないことを選択した場合に、いかなる不利な推論も行なわれるべきではない。 手続への実効的参加(第40条(2)(b)(iv)) 46.最低刑事責任年齢に達している子どもは、子ども司法の手続全体を通じて参加する能力を有しているとみなされるべきである。実効的に参加するために、子どもは、代理人弁護士に指示を与える目的で被疑事実ならびに考えられる結果および選択肢について理解し、証人に異議を申立て、出来事について陳述し、かつ、証拠、証言および科されるべき措置について適切な決定を行なうための支援を、すべての実務家から提供されなければならない。手続は子どもが完全に理解できる言語で進められるべきであり、また通訳者が無償で提供されなければならない。手続は、子どもの全面的参加を可能とする、理解に満ちた雰囲気のなかで進められるべきである。子どもにやさしい司法に関わる進展は、あらゆる段階における子どもにやさしい言葉遣い、子どもにやさしい面接空間および法廷の配置、適切な大人による支援、委縮につながる法服の廃止ならびに手続の修正(障害のある子どものための配慮を含む)を促進するきっかけを提供している。 被疑事実に関する迅速なかつ直接の情報(第40条(2)(b)(ii)) 47.すべての子どもは、自己に対する被疑事実を迅速かつ直接に(または適切なときは親または保護者を通じて)告知される権利を有する。迅速にとは、子どもが司法制度と最初に接触してから可能なかぎり早期にという意味である。親に対する告知を便宜上または資源上の理由で怠るべきではない。被疑段階でダイバージョンの対象とされる子どもは自己の法律上の選択肢を理解できるべきであり、また法的保障が全面的に尊重されるべきである。 48.当局は、子どもが被疑事実、選択肢および手続について理解することを確保するべきである。子どもに公式書類を提供するだけでは不十分であり、口頭による説明が必要となる。子どもは、いかなる書類についてもそれを理解するために親または適切な大人の援助を受けるべきであるが、当局は、被疑事実の説明をこれらの者に委ねるべきではない。 弁護人その他の適切な者による援助(第40条(2)(b)(ii)) 49.国は、手続の最初の段階から、防御の準備および提出において、かつすべての不服申立ておよび(または)再審査が尽くされるまで、子どもに対して弁護人その他の適切な者による援助が保障されることを確保するべきである。委員会は、締約国に対し、第40条(2)(b)(ii)に関して行なったいかなる留保も撤回することを要請する。 50.委員会は、多くの子どもが、弁護士による代理の利益を受けることなく、司法機関、行政機関その他の公的機関において刑事告発の対象とされ、かつ自由を奪われていることを、依然として懸念する。委員会は、市民的および政治的権利に関する国際規約第14条(3)(d)において、弁護士による代理を受ける権利はすべての者にとって刑事司法制度における最低限の保障であるとされており、これが子どもに対しても平等に適用されるべきであることに留意するものである。同条では自ら防御することが認められているものの、司法の利益のために必要とされるときは弁護士代理人が選任されなければならない。 51.以上のことに照らし、委員会は、子どもが成人を対象とする国際法上の保障よりも弱い保護しか提供されていないことを懸念する。委員会は、各国が、司法機関、行政機関その他の公的機関において刑事告発の対象とされているすべての子どもに対し、効果的な弁護士代理人を無償で提供するよう勧告する。子ども司法制度においては、放棄の決定が自発的に、かつ公平な司法的監督のもとで行なわれる場合を除き、子どもが弁護士による代理を放棄することが認められるべきではない。 52.子どもがプログラムへのダイバージョンの対象または有罪判決、前科もしくは自由の剥奪に至らない制度の対象とされているときは、十分な訓練を受けた職員による「その他の適切な者による援助」が援助の形態として容認される場合もある。ただし、すべての手続において子どもに弁護士代理人を提供できる国は、第41条にしたがってそのようにするべきである。その他の適切な者による援助が認められている場合、当該援助を提供する者は、子ども司法手続の法的側面について十分な知識を有しており、かつ適切な訓練を受けていなければならない。 53.市民的および政治的権利に関する国際規約第14条(3)(b)で求められているとおり、防御の準備のために十分な時間および便益が保障されなければならない。子どもの権利条約に基づき、子どもとその弁護士代理人またはその他の援助者との通信の秘密が保障されなければならず(第40条(2)(b)(ii))、またプライバシーおよび通信への干渉から保護される子どもの権利(条約第16条)が尊重されなければならない。 遅滞なく、かつ親または保護者の関与を得たうえで行なわれる決定(第40条(2)(b)(iii)) 54.委員会は、犯罪の遂行から手続の終結までの期間は可能なかぎり短いべきであることをあらためて指摘する。この期間が長くなるほど、対応によって所期の成果を得られない可能性が高まる。 55.委員会は、締約国が、犯罪の遂行から警察による捜査の完了、子どもを告発する旨の検察官(または他の権限ある機関)の決定ならびに裁判所または他の司法機関による終局決定までの期間について期限を定め、かつ当該期限を実施するよう勧告する。当該期限は、成人について定められたものよりもはるかに短いものであるべきであるが、それでも法的保障を全面的に尊重できるものであるべきである。ダイバージョン措置に対しても同様の迅速な期限を適用することが求められる。 56.手続全体を通じ、親または法定保護者が立ち会うべきである。ただし、裁判官または権限ある当局は、子どもまたはその弁護人その他の適切な援助者の求めにより、または子どもの最善の利益にかなわないという理由で、手続における親の立会いを制限し、制約しまたは排除する旨の決定をすることができる。 57.委員会は、締約国が、親または法定保護者が手続に最大限可能なまで関与する旨を法律で明示的に定めるよう勧告する。このような関与は、子どもに対する全般的な心理的および情緒的援助を提供し、かつ実効的成果に寄与する可能性があるためである。委員会は、親でも法定保護者でもない親族と非公式に暮らしている子どもも多いこと、および、親の援助が得られない場合には本当の養育者が手続において子どもを援助できるようにするために法律を修正すべきであることも、認識する。 自己負罪の強制からの自由(第40条(2)(b)(iv)) 58.締約国は、子どもが証言することまたは罪を自白しもしくは認めることを強制されないことを確保しなければならない。自認または自白を引き出すために拷問または残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いを行なうことは、子どもの権利の重大な侵害である(子どもの権利条約第37条(a))。このようないかなる自認または自白も、証拠として認容することはできない(拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰に関する条約第15条)。 59.子どもに自白または自己負罪的証言を強要することは容認されない。「強制され」という文言は広く解釈されるべきであり、有形力に限定されるべきではない。虚偽の自白のおそれは、子どもの年齢および発達、理解の欠如ならびにどうなるかわからないという恐怖(収監の可能性を示唆されることによる恐怖も含む)ならびに尋問の期間および状況によって、高まる。 60.子どもは、弁護人その他の適切な援助者にアクセスできなければならず、かつ尋問の際には親、保護者または他の適切な大人による支援を受けられるべきである。裁判所その他の司法機関は、子どもによる自認または自白の任意性および信頼性を検討するにあたり、その子どもの年齢および成熟度、尋問または勾留の期間、ならびに、弁護人または他の独立の援助者および親、保護者または適切な大人の立会いの有無を含む、あらゆる要素を考慮に入れるよう求められる。警察官その他の捜査機関は、強要されたまたは信頼性を欠く自白または証言につながる尋問の技法および実務を回避するための十分な訓練を受けているべきであり、また可能な場合には視聴覚技術が利用されるべきである。 証人の出廷および尋問(第40条(2)(b)(iv)) 61.子どもは、自己に不利な証言を行なう証人を尋問し、かつ自己の防御を支援する証人の関与を得る権利を有しており、子ども司法手続においては、平等な条件のもと、弁護人による援助を受けた子どもの参加が望ましいものとみなされるべきである。 再審査または上訴の権利(第40条(2)(b)(v)) 62.子どもは、あらゆる有罪の認定または科される措置について、上級の、権限ある、独立のかつ公平な機関または司法機関による再審査を受ける権利を有する。この再審査の権利はもっとも重大な犯罪に限定されるものではない。締約国は、とくに前科または自由の剥奪に至る事件において再審査が自動的に行なわれる措置の導入を検討するべきである。さらに、司法へのアクセスはより幅広い解釈を要求するものであって、あらゆる手続的または実体的誤謬に基づく再審査または上訴が認められ、かつ実効的救済が利用できることが確保されなければならない [5]。 [5] 人権理事会決議25/6。 63.委員会は、締約国が、第40条(2)(b)(iv))についてのいかなる留保も撤回するよう勧告する。 通訳者による無償の援助(第40条(2)(b)(vi)) 64.子ども司法制度で用いられる言語を理解できずまたは話せない子どもは、手続のあらゆる段階において、通訳者による無償の援助を受ける権利を有する。当該通訳者は子どもとともに活動するための訓練を受けているべきである。 65.締約国は、意思疎通上の障壁を経験している子どもに対し、十分な訓練を受けた専門家による十分かつ効果的な援助を提供するべきである。 プライバシーの全面的尊重(第16条および第40条(2)(b)(vii)) 66.手続のすべての段階においてプライバシーを全面的に尊重される子どもの権利(第40条(2)(b)(vii))は、第16条および第40条(1)とあわせて解釈されるべきである。 67.締約国は、子ども司法の審判は非公開で実施されるという原則を尊重するべきである。この規則に対する例外は、きわめて限定された、かつ法律で明確に定められたものであることが求められる。評決および(または)量刑が法廷において公開で宣告される場合、子どもの身元が明らかにされるべきではない。さらに、プライバシーについての権利とは、子どもに関する裁判書類および記録は厳重に秘密とされるべきであり、かつ、事件の捜査および裁定ならびに事件についての判決言渡しに直接携わる者を除き、第三者に対して非開示とされるべきであることも意味する。 68.子どもに関連する判例報告は匿名で行なわれるべきであり、また判例報告がネット上に掲載される場合にもこの原則が順守されるべきである。 69.委員会は、締約国が、いかなる子ども(または犯行時に子どもであった者)についても、いかなる公的な犯罪者登録簿にもその詳細を掲載しないよう勧告する。非公開ではあるが再統合の機会へのアクセスを妨げる他の登録簿にそのような詳細を記載することも回避されるべきである。 70.委員会の見解では、子どもが行なった犯罪については生涯にわたって公表からの保護が保障されるべきである。公表を禁止する規則を設け、かつ子どもが18歳に達した後も禁止を継続しなければならない根拠は、公表が継続的なスティグマの原因となり、教育、仕事、住居または安全へのアクセスに悪影響を及ぼす可能性が高いところにある。これにより、子どもが再統合し、かつ社会において建設的役割を果たすことが阻害される。したがって締約国は、あらゆるタイプの媒体(ソーシャルメディアを含む)について、生涯にわたるプライバシーの保護が一般的規則とされることを確保するべきである。 71.さらに委員会は、締約国が、子どもが18歳に達したときにその犯罪記録を自動的に(または例外的場合においては独立の審査を経たうえで)削除することを認める規則を導入するよう勧告する。 E.措置 [6] [6] 前掲IV.Bも参照。 手続全体を通じたダイバージョン 72.子どもを司法制度の対象にする旨の決定がなされたからといって、その子どもが正式な裁判手続を経なければならないというわけではない。前掲IV.Bで述べた所見にしたがい、委員会は、権限ある機関――ほとんどの国では検察官――はダイバージョンその他の措置を通じて裁判手続または有罪判決を回避する可能性を継続的に模索するべきであることを強調する。換言すれば、ダイバージョンの選択肢が、最初期の接触の時点から審判が開始されるまでの間に提示されるべきであり、かつ手続全体を通じて利用可能とされるべきである。ダイバージョンを提示する過程においては、ダイバージョン措置の性質および期間は要求水準の高いものとなる可能性があり、したがって弁護士その他の適切な者による援助が必要であることを念頭に置きながら、子どもの人権および法的保障が全面的に尊重することが求められる。ダイバージョンは、公式な裁判手続を一時的に停止するための手段であり、ダイバージョン・プログラムが満足のいく形で履行されれば当該手続も終了するものとして、子どもに提示されるべきである。 子ども司法裁判所による処分 73.条約第40条を全面的に遵守した手続が行なわれた後(前掲IV.D参照)は、処分についての決定が行なわれる。法律は、幅広い社会内処遇措置を掲げるとともに、自由の剥奪が最後の手段としてかつもっとも短い適切な期間でのみ用いられることを確保するため、社会内処遇措置が優先されることを明示的に定めておくべきである。 74.社会内処遇措置(修復的司法措置を含む)の利用および実施については幅広い経験が存在する。締約国は、このような経験を役立てるとともに、これらの措置を自国の文化および伝統にあわせて修正することによってその発展および実施を進めるべきである。強制労働または拷問もしくは非人道的なおよび品位を傷つける取扱いに相当するような措置は明示的に禁じられ、かつ処罰の対象とされなければならない。 75.委員会は、制裁としての体罰はあらゆる形態の残虐な、非人道的なおよび品位を傷つける取扱いおよび処罰を禁じた条約第37条(a)違反であることをあらためて指摘する(体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利についての委員会の一般的意見8号(2006年)も参照)。 76.委員会は、犯罪への対応は常に、犯罪の状況および重大性のみならず、個人的状況(子どもの年齢、有責性の低さ、状況、および、適切な場合には子どもの精神保健上のニーズを含むニーズ)ならびに社会の種々のニーズおよびとくに長期的ニーズにも比例したものであるべきであることを強調する。厳格に懲罰的なアプローチは、条約第40条(1)に掲げられた子ども司法の原則にしたがうものではない。子どもが重大犯罪を行なった場合、罪を犯した者の状況および犯罪の重大性に比例する措置を、公共の安全および制裁の必要性に関する考慮を含む形で検討することができる。第一次的考慮事項としての子どもの最善の利益および社会への子どもの再統合を促進する必要性が重視されるべきである。 77.委員会は、自由の剥奪が子どもおよび青少年に引き起こす害およびそれが再統合の成功の展望に及ぼす悪影響を認識し、締約国が、犯罪を行なったとして申し立てられた子どもを対象として、「もっとも短い適切な期間」の原則(子どもの権利条約第37条(b)を反映した刑の上限を定めるよう勧告する。 78.一定以上の量刑を義務づけることは、子ども司法における比例性の原則、および、拘禁は最後の手段でありかつもっとも短い適切な期間でなければならないという要件と両立しない。子どもに刑を言い渡す裁判所は白紙の状態から出発するべきである。裁量に基づく最低量刑制度でさえ、国際基準の適正な適用を阻害する。 死刑の禁止 79.条約第37条(a)は、18歳未満の者が行なった犯罪に対して死刑を科すことを禁じた慣習国際法を反映したものである。いくつかの締約国は、この規則は執行時に18歳未満である者の死刑執行を禁じているにすぎないと考えている。18歳まで執行を延期する国もある。委員会は、明示的かつ決定的な基準が犯罪遂行時の年齢であることをあらためて指摘するものである。ある者が犯行時に18歳未満であったという信頼できる決定的証拠がないときは、当該者には灰色の利益が認められるべきであり、死刑を科すことはできない。 80.委員会は、18歳未満の者が行なったすべての犯罪に関する死刑の言い渡しをまだ廃止していない少数の締約国に対し、緊急にかつ例外なく廃止の対応をとるよう求める。犯行時に18歳未満であった者に対して言い渡されたいかなる死刑も、条約に全面的に一致する制裁へと減じられるべきである。 仮釈放のない終身刑の禁止 81.犯行時に18歳未満であったいかなる子どもも、釈放または仮釈放の可能性がない終身刑を言い渡されるべきではない。仮釈放の検討までに経なければならない期間は成人よりも相当に短くかつ現実的なものであるべきであり、かつ仮釈放の可能性が定期的に再検討されるべきである。委員会は、釈放または仮釈放の可能性がない終身刑を実際に子どもに言い渡している締約国に対し、このような制裁を科すにあたっては条約第40条(1)の実現に向けて全力を尽くさなければならないことを想起するよう求める。このことは、とくに、終身刑を言い渡された子どもに対し、その釈放、再統合、および社会において建設的な役割を果たす能力の構築を目的とした教育、処遇およびケアが提供されるべきであることを意味するものである。また、釈放の可能性について決定するために子どもの発達および進歩を定期的に審査することも求められる。終身刑は、再統合という目的の達成を、不可能ではないにせよ非常に困難にするものである。委員会は、拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰に関する特別報告者が、2015年の報告書において、終身刑および長期刑(累積刑など)は、子どもに対して科されたときは著しく比例性を欠いており、したがって残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける処罰にあたると認定していること(A/HRC/28/68、パラ74)に留意する。委員会は、締約国が、犯行時に18歳未満であった者が行なったすべての犯罪について、あらゆる形態の終身刑(無期刑を含む)を廃止するよう強く勧告するものである。 F.自由の剥奪(未決拘禁および審判後の収容を含む) 82.条約第37条には、自由の剥奪の利用に関する重要な原則、自由を奪われたすべての子どもの手続的権利ならびに自由を奪われた子どもの取扱いおよび環境に関する規定が掲げられている。委員会は、到達可能な最高水準の身体的および精神的健康を享受するすべての者の権利に関する特別報告者の、2018年の報告書に対して締約国の注意を喚起するものである。特別報告者は、同報告書において、拘禁および監禁の対象とされている子どもの苦痛の規模および甚大さに鑑み、コミュニティを基盤とするサービスへの投資の拡大と並んで、子どもを対象とする刑務所および大規模養護施設の廃止に対する世界的コミットメントが必要であると指摘している(A/HRC/38/36、パラ53)。 84.この一般的意見のいかなる記述も、自由の剥奪の利用を促進しまたは支持するものとして解釈されるべきではなく、自由の剥奪が必要と判断される少数の事案における正しい手続および環境を示したものとして解釈されるべきである。 主導的原則 85.自由の剥奪の利用に関する主導的原則は次のとおりである。(a) 子どもの逮捕、拘禁または収監は、法律にしたがって行なうものとし、最後の手段として、かつもっとも短い適切な期間でのみ用いられる。(b) いかなる子どもも、不法にまたは恣意的にその自由を奪われない。逮捕が未決拘禁の出発点となることは多く、各国は、逮捕の文脈において第37条を適用する明確な義務が法律で法執行官に課されることを確保するよう求められる。各国はさらに、子どもが移送留置または警察における留置の対象とされず(最後の手段としてかつもっとも短い適切な期間である場合を除く)、かつ成人とともに収容されないこと(そのような収容が子どもの最善の利益にかなう場合を除く)を確保するべきである。親または適切な大人のもとに速やかに釈放する手続を優先させることが求められる。 86.委員会は、多くの国で、子どもが数か月の未決拘禁に苦しんでおり、その期間が数年間に及ぶことさえあることに、懸念とともに留意する。これは条約第37条(b)の重大な違反である。未決拘禁はもっとも深刻な事案を除いて利用されるべきではなく、もっとも深刻な事案においても、コミュニティへの措置について慎重に検討した後でなければ利用されるべきではない。未決段階でのダイバージョンは拘禁の利用を少なくすることにつながり、たとえ子どもが子ども司法制度における審判の対象とされる場合でも、未決拘禁の利用を制限するために社会内処遇措置が注意深く目指されるべきである。 87.法律で未決拘禁の利用の基準について明確に定めておくべきであり、その利用は主として裁判所における手続への出頭を確保することを目的とする場合および子どもが他の者に差し迫った危険を及ぼす場合に限られるべきである。子どもが(自分自身または他の者にとって)危険を及ぼしていると考えられるときは、子ども保護措置を適用することが求められる。未決拘禁は定期的再審査の対象とされるべきであり、かつその期間は法律で制限されるべきである。子ども司法制度に携わるすべての者は、未決拘禁下にある子どもの事案に優先的に対応することが求められる。 88.自由の剥奪はもっとも短い適切な期間でのみ科されるべきであるという原則を適用するにあたり、締約国は、勾留(警察留置を含む)から早期に解放して親または他の適切な大人のケアに委ねられるようにする恒常的機会を提供するべきである。権限を認められた者または場所に出頭することのような条件を付したうえで釈放するか否かについては、裁量の余地を認めることが求められる。保釈金の支払いについては、ほとんどの子どもにとっては支払い不可能であり、かつ貧しい家族および周縁化された家族を差別することになるため、要件とされるべきではない。さらに、保釈について定められている場合には、子どもは釈放されるべきであるという裁判所の原則的認識が存在することを意味するのであって、他の手続を活用して出廷を確保することが可能である。 手続的権利(第37条(d)) 89.自由を奪われたすべての子どもは、弁護人その他の適切な者による援助に速やかにアクセスする権利、および、その自由の剥奪の合法性について裁判所または他の権限ある、独立のかつ公平な機関において争い、かつ当該訴えに対する迅速な決定を受ける権利を有する。委員会は、公共の安全または公衆衛生に関わる真正の懸念が存在する場合を除いていかなる子どもも自由を奪われないようにすることを勧告するとともに、締約国に対し、子どもの自由を合法的に剥奪することの年齢制限(16歳など)を定めるよう奨励する。 90.逮捕されて自由を奪われたすべての子どもは、当該自由の剥奪(またはその継続)の合法性について審査するため、24時間以内に権限ある機関に引致されるべきである。委員会はまた、締約国が、未決拘禁を終わらせることを目的とした定期的再審査が行なわれることを確保するようにも勧告する。最初の引見(24時間以内)のときまたはその前に子どもを条件付きで釈放することが不可能なときは、当該子どもは、可能なかぎり早期に、かつ未決拘禁が実行されるようになってから30日以内に、申し立てられている犯罪について正式に審判開始請求の対象とされ、かつ、当該事案の処理のため裁判所または他の権限ある、独立のかつ公平な機関の前に引致されるべきである。委員会は、裁判所による審理がしばしば複数回、かつ(または)長期にわたって行なわれる慣行があることを認識し、締約国に対し、審理継続の回数および期間の上限を定めるとともに、裁判所または他の権限ある機関が当該請求についての最終的決定を拘禁の開始日から起算して6か月以内に行なうことを確保するために必要な法律上または行政上の規定を導入するよう、促す。当該期限が守られなかった場合には。子どもは釈放されるべきである。 91.自由の剥奪の合法性について争う権利には、裁判所の決定に不服を申し立てる権利のみならず、行政決定(たとえば警察、検察官その他の権限ある機関によるもの)について再審査を求めるために裁判所にアクセスする権利も含まれる。締約国は、条約で要求されているように、迅速な決定を確保するため、不服申立ておよび再審査の終了に関する短期の期間制限を定めるべきである。 処遇および環境(第37条(c)) 92.自由を奪われたすべての子どもは、警察の留置房における場合も含めて、成人から分離されなければならない。自由を奪われた子どもは、成人用の施設または刑務所に措置されてはならない。成人用施設に子どもを措置することが、子どもの健康および基本的安全ならびに犯罪とは無縁の生活を維持しかつ再統合する将来の能力を損なうことについては、豊富な証拠があるためである。成人からの子どもの分離について条約第37条(c)で認められている例外――「子どもの最善の利益にしたがえば成人から分離すべきではないと判断される場合を除き」――は狭義に解されるべきであり、締約国の都合が最善の利益よりも優先されるべきではない。締約国は、自由を奪われた子どもを対象として、適切な訓練を受けた者が職員として配置され、かつ子どもにやさしい方針および実務にしたがって運営される、独立の施設を設置するべきである。 93.このような規則があるからといって、子どもを対象とする施設に措置された子どもが、18歳に達したらただちに成人用施設に移送されなければならないというわけではない。子どもを対象とする施設に引き続き留まることも、それがその子どもの最善の利益にかなっており、かつ当該施設の子どもの最善の利益に反しない場合には、可能とされるべきである。 94.自由を奪われたすべての子どもは、通信および面会を通じて家族との接触を保つ権利を有する。面会の便宜を図るため、子どもは家族の居住地から可能なかぎり近い施設に措置されるべきである。このような接触の制限につながりうる例外的事情は、法律で明確に定められるべきであり、当局の裁量に委ねられるべきではない。 95.委員会は、とくに、自由の剥奪のあらゆる事案において次の原則および規則が遵守されなければならないことを強調する。 (a) 隔離拘禁は、18歳未満の者については認められない。 (b) 子どもに対し、入所措置の目的である再統合に資する物理的環境および居住環境が提供されるべきである。プライバシー、感覚刺激、仲間と交流する機会ならびにスポーツ、身体運動、芸術および余暇時間活動に参加する機会に対する子どものニーズについて、正当な配慮を行なうことが求められる。 (c) すべての子どもは、そのニーズおよび能力(受験に関連するものを含む)に適合し、かつ社会復帰の準備を目的とした教育に対する権利を有する。加えて、すべての子どもは、適切な場合には、将来の就労の備えになると思われる職種についての職業訓練を提供されるべきである。 (d) すべての子どもは、拘禁施設または矯正施設への入所と同時に医師または保健従事者による診断を受ける権利を有し、かつ、施設に滞在する全期間を通じて十分な身体的および精神的保健ケアを提供されなければならない。当該保健ケアは、可能な場合には地域の保健施設および保健サービス機関によって提供されるべきである。 (e) 施設職員は、子どもがより幅広いコミュニティと頻繁に接触することを促進し、かつそのための便宜を図るべきである。このような接触には、家族、友人その他の者(定評のある外部の団体の代表を含む)との通信ならびに自宅および家族を訪問する機会が含まれる。子どもが、弁護士または他の援助者と、秘密が守られる形でかついかなるときにも通信できることについては、いかなる制限も課されてはならない。 (f) 抑制または有形力は、子どもが自分自身または他者に対する切迫した脅威となっている場合に限って、他のあらゆる統制手段が尽くされた場合にのみ用いることができる。抑制は従わせるために用いられるべきではなく、また意図的に苦痛を加えることはけっしてあってはならない。処罰の手段として用いられることもけっしてあってはならない。身体的、機械的、医学的および薬理学的抑制を含む抑制または有形力の使用は、医学および(または)心理学の専門家による緊密な、直接のかつ継続的な管理下に置かれるべきである。施設職員は適用される基準についての研修を受けるべきであり、また規則および基準に違反して抑制または有形力を用いた職員は適切な処罰の対象とされるべきである。国は、抑制が行なわれまたは有形力が用いられたすべての案件の記録、監視および評価を行ない、かつ抑制または有形力の使用が最低限に留められることを確保するよう求められる。 (g) 規律の維持のためのいかなる措置も、少年の固有の尊厳の擁護および施設ケアの基本的目的に合致したものでなければならない。規律の維持のための措置のうち条約第37条に違反するもの(体罰、暗室への収容、独居拘禁、または対象者である子どもの身体的もしくは精神的健康またはウェルビーイングを害するおそれがある他のあらゆる処罰を含む)は厳格に禁止されなければならず、かつ、規律の維持のための措置において子どもの基本的権利(弁護士代理人による面会、家族との接触、食料、水、衣服、寝具、教育、運動または他者との意味がある日常的接触など)が奪われるべきではない。 (h) 独居拘禁は子どもを対象として用いられるべきではない。子どもを他の者から分離するいかなる措置も、可能なもっとも短い期間で、かつ子どもまたは他の者を保護するための最後の手段としてのみ、用いられるべきである。子どもを分離して収容することが必要であると判断される場合、適切な訓練を受けた職員の立ち会いまたは緊密な監督のもとで行なわれるべきであり、かつ理由および期間を記録することが求められる。 (i) すべての子どもに対し、内容について検閲を受けることなく、中央行政機関、司法機関または他の適切な独立機関に要請または苦情申立てを行ない、かつその返答について遅滞なく知らされる権利が認められるべきである。子どもは、自己の権利について知るとともに、要請および苦情申立てのための機構について知り、かつこれらの機構に容易にアクセスできなければならない。 (j) 独立のかつ資格を有する査察官に対し、定期的に査察を実施し、かつ職権で事前通告なしの査察を行なう権限が与えられるべきである。査察官は、施設に措置されている子どもと秘密が守られる環境下で話をすることをとくに重視するよう求められる。 (k) 締約国は、子どもの自由の剥奪を促進する誘因、および、措置に関する腐敗または物品およびサービスの提供もしくは家族との接触に関する腐敗の機会が存在しないことを確保するべきである。 G.特定の問題 軍事裁判所および国家安全保障裁判所 96.軍事裁判所および国家安全保障裁判所による文民の裁判は、権限ある、独立のかつ公平な裁判所による公正な裁判を受ける逸脱不可能な権利の侵害であるという見方が広がりつつある。このような裁判は、常に専門の子ども司法制度によって対応されるべき子どもの場合、さらに懸念される権利侵害である。委員会は、いくつかの総括所見においてこの点に関する懸念を提起してきた。 非国家武装集団(テログループとして指定されているものを含む)による徴募および使用の対象とされている子どもならびにテロ対策の文脈で罪を問われている子ども 97.国際連合は、非国家武装集団(テログループとして指定されているものを含む)による子どもの徴募および搾取が行なわれた無数の事案を確認してきた。このような事案は、紛争地域のみならず非紛争地域(子どもの出身国および通過国または帰還先の国を含む)でも発生している。 98.子どもは、そのような集団の支配下にあるとき、複合的形態の人権侵害の被害を受ける可能性がある。強制的徴募、軍事訓練、敵対行為および(もしくは)テロ行為(自殺攻撃を含む)における使用、処刑の強要、人間の盾としての使用、誘拐、売買、取引、性的搾取、児童婚、薬物の輸送または売買における使用、または危険な任務(スパイ行為、見張り、検問所の警備、見回りまたは軍備の輸送など)を遂行させるための利用などである。非国家武装集団およびテログループとして指定されている集団が、忠誠心を示させることおよび将来の逃亡を抑止することを目的として、自分の家族に対してまたは自分のコミュニティのなかで暴力行為を行なうことを子どもに強制しているという報告も行なわれてきた。 99.締約国当局は、このような子どもに対応する際、多くの課題に直面する。締約国のなかには、子どもの権利をまったくまたはほとんど考慮しない懲罰的アプローチをとってきた国もあり、その結果、子どもの発達にとっての永続的影響および社会的再統合の機会への悪影響が生じ、ひいてはより幅広い社会にとって深刻な影響が及ぶ可能性も出ている。このような子どもは、紛争地域における行動、および、それほどの規模ではないものの、出身国または帰還先の国における行動を理由に、しばしば逮捕、拘禁、訴追および裁判の対象とされている。 100.委員会は、安全保障理事会決議2427 (2018)に対して締約国の注意を喚起するものである。理事会は、同決議において、あらゆる非国家武装集団(テロ行為を行なった集団を含む)と関係を有する子どもまたは関係があると主張されている子どもを子どもの保護に携わる関連の文民関係者に迅速に引き渡すための標準運用手続を確立する必要性を強調した。理事会は、軍隊および武装集団によって適用可能な国際法に違反して徴募されてきた子どもおよび武力紛争中に犯罪を行なったとして申し立てられている子どもについて、第一義的には国際法違反の被害者として主に扱われるべきであると強調している。理事会はまた、加盟国に対し、訴追および拘禁に代わる選択肢として再統合に焦点を当てた非司法的措置を検討することも促すとともに、軍隊および武装集団との関係を理由として拘禁されたすべての子どもを対象として適正手続を適用することも求めた。 101.締約国は、犯罪を理由に告発されたすべての子どもが、犯罪の重大性または文脈にかかわらず、条約第37条および第40条の規定にしたがって対応されることを確保するとともに、意見の表明したことを理由にまたは非国家武装集団(テログループとして指定されているものを含む)と関係があることのみを理由に子どもの告発および訴追を行なわないようにするべきである。一般的意見20号のパラ88にのっとり、委員会はさらに、締約国が、テロ対策関連の安全保障理事会決議(決議1373 (2001)、2178 (2014)、2396 (2017)および2427 (2018)など)および総会決議72/284(とくにパラ18に掲げられた勧告)を実施する際にも、社会的要因および根本的原因に対処するための予防的介入ならびに社会的再統合措置を採用するよう勧告する。 慣習的司法、先住民族司法および非国家的司法 102.公式な司法制度と並行してまたはその周縁で運用される複数の司法制度と接触を持つことになる子どもは多い。このような制度には、慣習的司法制度、部族司法制度、先住民族司法制度その他の司法制度が含まれる場合がある。これらの制度は、公式な機構よりもアクセスしやすく、かつ、文化的特性に適合した対応を迅速に、かつ相対的に費用のかからない形で提案できる利点を有することがある。このような制度は、子どもに対する公的手続に代わる手段となりうるものであり、子どもと司法に関する文化的態度の変化に好ましい形で貢献する可能性が高い。 103.司法部門のプログラムの改革においてこのような制度に注意を向けるべきであるという合意が形成されつつある。手続的権利に関する懸念および差別または周縁化の危険性に関する懸念に加え、国家の司法および非国家的司法との間に生じうる緊張関係も考慮し、改革は、関係する比較可能な諸制度についての全面的な理解を踏まえた、かつすべての関係者が受け入れることのできる手法により、段階的に進められるべきである。慣習的司法の手続および結果については、憲法ならびに法的および手続的保障との一致を図ることが求められる。同じような犯罪を行なった子どもが並行的な制度または場において異なる形で対応される場合、不公正な差別が生じないようにすることが重要である。 104.子どもに対応するすべての司法機構に条約の原則が浸透させられるべきであり、締約国は条約が知られかつ実施されることを確保するべきである。修復的司法に基づく対応は、慣習的司法制度、先住民族司法制度または他の非国家的司法制度を通じて達成できることが多く、かつ公式な子ども司法制度にとって学びの機会を提供してくれる可能性もある。さらに、このような司法制度を認知することは先住民族社会の伝統の尊重を高めることにも貢献しうるのであり、そのことが先住民族の子どもにとって利益となりうる。介入、戦略および改革は特定の文脈に応じて立案されるべきであり、プロセスは国内の関係者によって主導されるべきである。 V.子ども司法制度の組織 105.これまでのパラグラフで述べてきた原則および権利の全面的実施を確保するためには、子ども司法を運営するための実効的組織の確立が必要である。 106.包括的な子ども司法制度においては、警察、司法機関、裁判制度、検察官事務所内に専門部署を設けること、ならびに、専門の弁護人その他の代理人が子どもに法律上その他の適切な援助を提供することが必要となる。 107.委員会は、締約国が、独立の部局としてまたは既存の裁判所の一部としてのいずれであれ、子ども司法裁判所を設置するよう勧告する。実際上の理由からこれが実現可能でないときは、締約国は、子ども司法関連の事件を取り扱う専門の裁判官が任命されることを確保するべきである。 108.保護観察、カウンセリングまたは監督のような専門のサービスが、専門の施設(たとえば通所型処遇センター、ならびに、必要な場合には子ども司法制度から付託された子どもの入所型ケアおよび処遇のための小規模施設)とあわせて設けられるべきである。これらのあらゆる専門的な部局、サービスおよび施設による諸活動の効果的な機関間調整を継続的に促進することが求められる。 109.加えて、子どもの個別鑑別および多職種連携アプローチが奨励される。最低刑事責任年齢に達していないものの支援が必要であると鑑別された子どもを対象とする、コミュニティを基盤とする専門のサービスに対して特段の注意が払われるべきである。 110.非政府組織は子ども司法制度において重要な役割を果たすことができ、かつ現に果たしている。したがって委員会は、締約国が、自国の包括的な子ども司法政策の策定および実施においてこれらの組織の積極的関与を求めるとともに、これらの組織に対し、このような関与のために必要な資源を提供するよう勧告する。 VI.意識啓発および訓練 111.犯罪を行なった子どもはメディアで否定的な取り上げ方をされることが多く、これがこうした子どもたちに対する差別的および否定的なステレオタイプの形成を助長している。このように子どもを否定的に取り上げまたは犯罪者扱いすることは、しばしば犯罪の原因に関する不正確な説明および(または)誤解にもとづいており、かつ、より厳しいアプローチ(ゼロトレランスおよび「3ストライク・アウト」アプローチ、義務的量刑、成人裁判所における裁判および第一義的には懲罰的性質を有するその他の措置)を求める声に帰結するのが常となっている。締約国は、子ども司法制度の対象とされている子どもについて条約のあらゆる側面が擁護されることを確保するための教育およびその他のキャンペーンを促進しかつ支援する目的で、議会議員、非政府組織およびメディアの積極的かつ前向きな関与を求めるべきである。子ども、とくに子ども司法制度に関わった経験を有する子どもがこれらの意識啓発の努力に関与することがきわめて重要となる。 112.子ども司法の運営の質にとって、関連するすべての専門家が条約の内容および意味について適切かつ学際的な訓練を受けることは不可欠である。このような訓練は体系的かつ継続的であるべきであり、関連する国内法および国際法の規定についての情報に限定されるべきではない。このような訓練には、とくに、犯罪の社会的その他の原因、子どもの社会的および心理的発達(現在の神経科学上の知見を含む)、一部の周縁化された集団(マイノリティまたは先住民族に属する子どもなど)への差別に相当する可能性がある格差、若者の世界の文化および傾向、集団活動の力学ならびに利用可能なダイバージョン措置および社会内処遇刑(とくに司法手続に訴えることを回避するための措置)に関してさまざまな分野から得られる、確立された情報および明らかになりつつある情報が含まれるべきである。ビデオによる「出廷」のような新たな技術の利用の可能性についても、DNAプロファイリングのような他の新技術のリスクに留意しつつ、検討することが求められる。機能するやり方に関する継続的再評価が行なわれるべきである。 VII.データ収集、評価および調査研究 113.委員会は、締約国に対し、子どもが行なった犯罪の件数および性質、未決拘禁の利用および平均期間、司法手続以外の措置(ダイバージョン)により対応された子どもの人数、有罪判決を受けた子どもの人数ならびにこれらの子どもに科された制裁の性質および自由を奪われた子どもの人数に関するものを含む細分化されたデータを体系的に収集するよう促す。 114.委員会は、締約国が、子ども司法制度の定期的評価が、とくにとられた措置の実効性について、かつ差別、再統合および再犯パターンとの関連で、実施されることを確保するよう勧告する。このような評価は独立の学術機関によって行なわれるのが望ましい。 115.子ども(とくに現に制度と接触している子どもまたはかつて制度と接触したことのある子ども)がこのような評価および調査研究に関与すること、ならびに、評価および調査研究が、調査研究への子どもの関与に関する既存の国際的指針にのっとって行なわれることは重要である。 更新履歴:ページ作成(2020年2月18日)。/パラ75「制裁としての制裁」を「制裁としての体罰」に修正(9月9日)。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1659.html
『甘やかした結果』 若草の萌える季節、桜も散った森の中を2mほどもある巨大なれいむが駆けていた。 頬は大きく膨らんでいて、そこに大量の食料が詰められていることが分かる。 明らかに巨大れいむ一人が食べきれる量ではなく、今は春なので冬篭りのための食料でもない。 この食料は娘のための食糧だった。 巨大れいむのおうちである広い洞窟の入口前で大小様々なゆっくりが遊んでいた。 巨大れいむが帰ってきたのに気づいた一匹の成体れいむが洞窟の中のゆっくりに「おひるごはんだよ!!」と呼びかける。 その声に洞窟の中でゆっくりしていたゆっくり達がゾロゾロと洞窟から出てきた。 それらはほとんどれいむ種で、まりさ種はれいむ種ほどではないがそれなりにいる。 成体のれいむ数匹は全て巨大れいむの娘だ。 成体のまりさは一匹だけだが、そのまりさが巨大れいむの娘たちに子種を与えたゆっくりだった。 まりさの子種を受けたれいむの産んだ子ゆっくりと赤ちゃんゆっくりが巨大れいむの孫ということになる。 巨大れいむが頬に貯めた食糧を地面に全部吐き出すと娘や孫たちは礼も言わずにガツガツと食事を始める。 「うっめ、めっちゃうっめ!!」 「はふはふ、ちょっとすくないけどしあわせー!」 「おかーしゃん、れいみゅもたべたい!!」 「れいむのごはんをわけてあげるね!」 「わーい、ありがちょう!!」 巨大れいむは自分などそっちのけで食事する娘たちを寂しげに見ていたが、やがておうちに戻ると深いため息をついた。 いつからこうなったのだろうか。 立派な成体ゆっくりの娘たちは未だに食糧調達に出かけようともせず独り立ちをする気配もない。 成体まりさも娘を孕ませたうえに半ば無理矢理おうちに住み着き、そのくせ一度も食糧調達には出かけていない。 これでも一緒に食べ物を探しに行こうと何度か誘った。 しかし「またこんどいくよ!」だとか「あかちゃんのせわでひまがないよ!」などと何かと理由付けて断られた。 赤ちゃんの世話と言うが、一番大変な食事集めの他に何があるのだろう。まりさは赤ちゃんと一緒に遊んでるだけだった。 孫の子ゆっくりや赤ちゃんゆっくりもそんな親に育てられたせいか、 食料は危険を冒して取りに行くものではなくて運ばれてくるものだと思ってる節がある。 そんな孫たちに教育しようとした時もあったのだが、 「れいむのかわいいこどもはれいむがそだてるよ!」 「おかーさんはそれよりもたべものとってきてね!!」 「おちびちゃんはこっちでゆっくりあそぼうね!!」 といった風に娘たちが邪魔してくるのだ。 孫たちも教育なんてつまらないことよりも娘の誘いに乗って遊びに行ってしまう。 そんなうちに孫たちはどこまでも甘えさせてくれるお母さんである娘に懐き、 何かと口うるさいお婆さんの自分に甘えるのは食事を持ち帰った時ぐらいのものだ。 それすらも最近は無くなったが。 おうちの入り口付近で駆け回ったり押し合いして遊ぶ娘達を見て巨大れいむは再びため息をついた。 巨大れいむは後悔していた。娘達を甘やかしすぎたことを。 産まれて間もない娘達の喜ぶ顔が見たい一心で巨大れいむは食料を集めていた。 甘えてくる娘達を受け止めて存分に甘やかした。 娘達が子ゆっくりに育っても、平均的なゆっくり家族のように子供と一緒に食べ物集めには行かなかった。 娘を危険な目に合わせるわけにはいかないと一人で食料を探しに出かけていたのだ。 娘達が成体と呼ばれるまで大きく育っても巨大れいむは娘を独り立ちさせずに世話をし続けた。 この時はまだ自分の育て方が悪いと思ってなかったし、事実として娘達はとてもゆっくり出来ていた。 そんなある日のこと、食料を集め終えておうちに帰ると一匹のまりさが娘達とゆっくりしていた。 巨大れいむは侵入者のまりさよりもまず、娘達の頭に茎が生えていたことに驚いた。 どの茎にもれいむ種とまりさ種の赤ちゃんが実っていた。 それはつまり、どこからともなく現れたまりさによって娘が孕まされたことを意味していた。 自分の居ない間におうちに侵入した上に、可愛い娘をも汚したこのまりさを許すわけにはいかない。 強い憤りを感じた巨大れいむはまりさをこの場で潰してやると身構えたが、 「このまりさはれいむたちをすっきりさせてくれたんだよ!」 「ゆっくりできるまりさだよ!!」 「おかあさんみてみて! あかちゃんができたんだよ!」 「まりさのおかげでゆっくりできるよ!!」 幸せそうに笑顔を浮かべて喜ぶ娘達を見ると、目の前でゆっくり殺しなど出来るわけもなかった。 かといってまりさに対する怒りが消えたわけではない。 怒鳴りつけたいのを抑え、極めて冷静にまりさへ話しかける。 「まりさ、こんなにたくさんのあかちゃんをうませたけどちゃんとそだてられるの?」 「もちろんそだてられるよ! だからきょうからここをおうちにするね!!」 「よろしくねまりさ!」「いっしょにあかちゃんそだてようね!!」 どうやら娘達とまりさの間ではこのおうちに住み着くことは決定済みらしい。 それは赤ちゃんを生やした娘のことを考えるとそれでいいのだが、 まりさの返答を聞く限りでは赤ちゃんの世話について深く考えておらず、何とかなるだろう程度にしか考えていないように見えた。 逆にそうでなければ「もちろんそだてられる」などと軽々しく即答できるわけが無い。 きっと後先考えず、性欲の赴くままに娘たちに子種を植え付けたのだろう。 そうしてまりさはおうちに住み着き、次の日には赤ちゃんゆっくりが産まれ落ちた。 娘全員から5~10匹産まれたので相当な数の赤ちゃんでおうちは満たされた。 窮屈に感じられたが、元々広い洞窟なので生活するのに不都合はなかった。 それでも跳ねるときは赤ちゃんを潰さないように細心の注意が必要になったが。 「おばーちゃんゆっくちしていっちぇね!」 「おばーちゃんいっしょにゆっくりちようね!!」 と身体を摺り寄せてくる孫はとても可愛くてゆっくりできていた。 だが同時に、この可愛い孫達のために大量の食べ物が必要だと思うと不安が募るばかりだった。 念のために貯蓄しておいた食べ物だって二日と持たないだろう。 なので巨大れいむはまりさに食べ物集めを手伝うようにお願いしたのだが、 「まりさはあかちゃんのせわするからむりだよ! またこんどね!」 と断られ、娘や孫達には 「おかーさん、あかちゃんのたべものおねがいね!」 「がんばってねおかーさん!」 「ゆっくりまってるよ!!」 「ほら、あかちゃんたちもおねがいしてね!」 「「「おばーちゃん、ゆっくちたべものちょーだいね!!」」」 「まりさのぶんもわすれないでね! おおめにね!」 と頼まれた巨大れいむは可愛い娘や孫達の頼みならば仕方ないと一匹で食料調達に出かけた。 最後のまりさの頼みにはイラっと来たが、怒りを露にして赤ちゃん達を怯えさせるのも良くないと思って我慢した。 明日には一緒に食べ物を集めてくれるだろう、そう信じて巨大れいむは食べ物を集めた。 しかし次の日も、また次の日も、そしていつまで経ってもまりさも娘達も食べ物集めを何かと理由付けて手伝ってくれなかった。 そうしている間に赤ちゃんゆっくりは子ゆっくりサイズにまで成長した。 それぞれ食べる量も多くなり、巨大れいむ一匹で集めた食料だけではもう足りなくなっていた。 なので娘達には子を連れて引越ししてもらおうと思ったが、その旨を伝えようとした矢先に娘達とまりさはまた次の赤ちゃんを産み出していた。 これ以上赤ちゃんが増えると食べ物が足りなくてゆっくり出来ないからすっきり禁止と伝えていたのにも関わらずだ。 当然巨大れいむは娘達を責めたが、 「かわいいあかちゃんをみるとゆっくりできるよ」 「すっきりをがまんしたらゆっくりできなかったよ。だからすっきりしたんだよ」 などと訳の分からない言い訳が返ってきた。要は自分勝手な理由で赤ちゃんを産んだのだ。 さすがの巨大れいむもこれには呆れるしかなかった。 娘達はまた可愛い赤ちゃんが産まれたと、孫は妹が出来たと喜んでいたが、巨大れいむは全く嬉しくなどなかった。 確かに目の前の赤ちゃん達はとてもゆっくりした赤ちゃんで愛らしい。 しかしながら巨大れいむにとって赤ちゃんはこの状況下において負担でしかないのだ。 それから三日経った今、巨大れいむはこうして溜息をついているわけである。 巨大れいむは二度目の赤ちゃんゆっくりが産まれてからはほとんど休まず食料調達に出かけた。 朝は日が昇る前から出かけ、 昼は娘達に集めた食べ物を渡すと十分ほど休んでまた出かけ、 日が暮れる前に戻って疲れを取るためにすぐ眠りに付く。 ゆっくりする暇なんてとてもじゃないが無かった。 しかし疲れが溜まっていたのだろう。 娘の育て方に後悔して溜息している間に巨大れいむは深い眠りについてしまったらしい。 目が覚めると夕暮れ時だった。 本来なら夕食を持ち帰ってきているはずの時間だ。 だが昼寝をしてしまったので当然食べ物などあるわけが無かった。 「ゆ…ゆっくりねたけっかがこれだよ…」 初めは焦った巨大れいむだったが、一食ぐらい抜いても大丈夫だよねと結論付けた。 何よりも今日まで毎日休まずに食べ物を探しに出たのだ。半日ぐらい休んだっていいはずだ。 ところが夕飯は運んでもらうのが当たり前の娘や孫達からすればそんなの勝手な理由でしかない。 巨大れいむはおうちに勢揃いした家族達に口々に文句を言われ、責められた。 「なにかんがえてるの! あかちゃんがおなかすいてるよ!!」 「れいむもいっぱいあそんでおなかすいてるんだよ!」 「これじゃゆっくりできないよ! おばーちゃんはゆっくりできないね!!」 「おなかちゅいたよ! おかーちゃんたべものはー?」 「ほら! おかーさんがさぼるからゆっくりできないよ!!」 「まりさはおこってるよ! やることやらずにゆっくりしないでよね!」 「ゆ"…」 なんでここまで怒られるのか全く分からなかった。 毎日ゆっくり遊んでるだけのくせにどうしてそんな事を言えるのだろう。 今までゆっくり出来たのは自分がゆっくりせずに頑張ってきたからだ。 それなのにちょっとゆっくりした結果がこの罵詈雑言の嵐である。 夕食を用意出来なかったのは確かに悪かったとは思ってる。 だがここまで言われるような悪い事をしたのだろうか。 何も一食抜いたぐらいで死にはしないし、我慢できなければ周囲の草木を食べれば十分のはずだ。 だからこそいつまでも続く娘や孫達からの罵倒に巨大れいむはイラつき始めていた。 「おかーさんはほんとつかえないね!」 「さいきんはたべものすくないし!」 「そうだよ! さいきんおなかいっぱいになれてないよ!!」 (それはあかちゃんをふやすからとりぶんがへったんだよ) 「こどもとあかちゃんがおなかすいてゆっくりできないよ!」 「たくさんたべものもってこないからだよ!!」 「おばーちゃん、おなかちゅいたよ!!」 「たべものもってこないおばーちゃんはきりゃいだよ!!」 (たべものもってるときだけあまえてくるおまえたちなんてれいむもすきじゃないよ) 「たべものもってくるぐらいちゃんとしてよね!」 「なんでそんなこともできないの!」 「れいむたちでもやればできることだよ!?」 (やったこともないくせにかんたんなんてよくいえるね) 「ほんとだめなおかーさんだね!」 「まりさもゆっくりしてないでなんかいってよ!!」 「ゆ! まりさはあたまいいからしってるよ! しごとしないならゆっくりするけんりはないんだよ!!」 (そうだよね。たしかにまりさのいうとおりだよ。 しごとしないならゆっくりするけんりなんてないよね) 「ゆんっ、こんなおおきいだけのむのうなれいむはしんでね!」 まりさがニヘラと笑顔を浮かべて体当たりしてきた。 まりさの頭の中では巨大れいむを吹き飛ばす光景が見えているのだろう。 巨大れいむは微動だにせず、可哀想なぐらい軽い体当たりを悠々と受け止めた。 そして間髪入れずにまりさに噛みつき、歯で締め上げた。 「ゆ"っ!? あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!!」 まりさは巨大れいむの歯に挟まれ、痛みに悶える。 だが体に食い込むほど強く噛みついているのだから逃げられる訳もない。 出来ることと言ったら、外に出てる口で必死に悲鳴を上げるぐらいだ。 「なんでごんなごどずるのぉぉぉぉ!!!」 「まりざをはなじでえぇぇ!!」 「おがーさんひどいよぉぉぉぉ!!」 周りの娘達が何だか煩いのでまりさを離してやることにした。 ペッと唾を吐き出すのと同じ要領でまりさを地面に吐きだした。 「ゆぎっ! ゅ"、ゆ"ぅ"…」 地面に落とされたまりさは体をガクガクと震わせ、大粒の涙を流しながら這いつくばっていた。 歯形が残っているとはいえ普通のゆっくりならこの程度の痛みでここまで苦しむことはない。 だがゆっくりしすぎたまりさは痛みに慣れておらず、大袈裟なほど苦しんでいた。 つい数秒前まで生意気言っていたくせに今は惨めでしかなかった。 「まりさー!」 「ゆっくりだいじょうぶ?」 「いたいのゆっくりとんでってね!!」 「おかーさん! まりさになにするの!!」 まりさに駆け寄った娘たちはまりさを庇うように巨大れいむの前に立ちはだかった。 何で目先のゆっくりやすっきりしか見えないまりさを庇うのだろう。 元はと言えばこのまりさが娘たちをすっきりさせなければ食べ物に困らなかったし、 このまりさが食べ物集めを手伝ってくれれば食糧事情も少しは楽になったろうに。 いや、この娘たちはそんなの分かってないのだ。 娘たちはこのまりさと同じで目先のゆっくりしか見えていない。 そしてこんな娘に育てたのは他でもない自分だ。 ああ、そうか。 そこまで考えた所で巨大れいむはようやく理解した。 これまで娘たちを甘やかしていたからこそ自分がゆっくり出来てなかったということに。 娘たちが子供を連れて引っ越さないのも、 まりさがいつまで経っても食べ物集めを手伝わないのも、 自分が文句も言わず、叱りもしない結果だったんだ。 「あまやかしたけっかがこれだよ…」 「ゆ? なにいってるの!」 「そんなことよりまりさにあやまってよね!!」 「あとたべものもいまからでいいからとってきてよね!」 俯いていた巨大れいむは口の減らない娘たち、そして孫達を強い意思の宿った瞳で睨みつけた。 その強い視線に娘達も孫も、そして呻くだけのまりさも目を合わせられず黙り込んだ。 そして巨大れいむは娘達に告げる。 「ゆっ、きめたよ。 れいむはもうみんなのためにたべものをはこばないよ。 あしたからはじぶんでたべものさがしてね」 巨大れいむはようやく決心したのだ。 もう娘たちの世話はしない。 これからは娘たちに娘たちの家族を養わせる。 まりさには特に働いてもらおう。 何しろこれだけの子供や赤ちゃん達共通の親なのだから。 「たべもののおおいばしょはおしえてあげるからがんばってね」 「ゆっ! まってよ!!」 「そんなのなんでれいむたちがやらなきゃいけないの!!」 「そうだよ! たべものなんておかーさんがもってくればいいでしょ!!」 「さぼろうとするなんてゆっくりできてないね!!」 「やるきがないならおうちからでていってね。 しごとしないゆっくりはゆっくりするけんりはないよ」 「なにいってるの!」 「れいむはおこったよ! あかちゃんだっているんだよ!!」 「でてくならおかーさんがでてってね!!」 「とにかくきめたことだよ。 れいむはでていかないし、おまえたちがみんなのせわをすることもかわらないよ。 ゆっくりりかいしてね」 その後もゆーゆーと煩い娘たちだったが、 日が完全に暮れて真っ暗になると一匹、また一匹と眠りについていった。 まりさはその間もずっと痛みで泣いていた。異常なほど打たれ弱いまりさだ。 そこまで確認して巨大れいむも眠りについた。 翌朝。 日が昇り始めたころに巨大れいむは目を覚ました。 娘たちは今までかなりの遅起きだったようだがこれからはそうはさせない。 食糧調達に出かけてもらうまりさと娘たち、さらには子ゆっくり達を舌でつついて起こした。 「ゆぅ、なに? なんなの?」 「おばーちゃん、にゃんなの? じゃまちないでね…」 「まだおきるじかんじゃないよ。ゆっくりねさせてね」 「ねむりをじゃまするなんてゆっくりできないね!」 「たべものさがしにでかけてね」 「なにいってるの? ばかなの?」 「それはおかーさんのしごとで…ゆ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!?」 巨大れいむは一匹の娘に噛みつくとおうちの外へと投げ飛ばした。 そして他の娘たちも次々と投げ飛ばす。 「なにするの! まりさのれいむにらんぼうしないでね"っ!?」 もちろんまりさも投げ飛ばした。 娘たちよりも気持強めに噛みついておいた。 「い"だい"ぃ"ぃ"!! まりざにもらんぼうじないでぇぇぇ!!」 「いたいのがいやならたべものさがしにいってね」 まりさも娘たちも震えて泣きながら頷いた。 痛みに慣れてないのは娘たちも同じで、体罰はよく効いたようだ。 「あかちゃんはれいむがせわみてあげるからほかのみんなはたべものさがしてきてね」 赤ちゃんはまだ外に出すつもりはない。 赤ちゃんの仕事はゆっくり育つことなのだから。 しかしこれで面白くないのは赤ちゃんではない子ゆっくりだ。 「なんでれいむもいかなきゃいけないの!」 「いもうとはなんでいかなくていいの!?」 「そうだよ! おばーちゃんずるい!!」 妹である赤ちゃん達はゆっくりしていいのに姉である自分がダメなのか分からないらしい。 いや、この環境下で育った子供達が分からないのも当然か。 しかしだからといってここで甘やかしたら自分の娘のように働かないゆっくりに育ってしまうかも知れない。 巨大れいむとしては自分の犯した過ちを繰り返したくなかった。 といっても小さい孫に娘と同じような体罰は出来ない。 自然と外に行きたくなるよう説得することにした。 「ゆっ! だいじょうぶだよ。 おかあさんについていくだけだからゆっくりできるよ。 ゆっくりぴくにっくしてきてね」 「ゆ? ゆっくりできるの?」 「おかあさんとぴくにっく? ゆっくりできそう!」 「ゆーん! おかーさんゆっくりいこうね!」 「ゆ、ゆん…ゆっくりいこうね」 実の娘が自分とのピクニックを楽しみにする姿を見た娘たちは諦めがついたようだ。 むしろ子供の様子を見て外に出かけるのもいいかもと思ったのかもしれない。 「ゅー? れいみゅたちはどうしゅればいいの?」 「ゆっきゅりまってればいいの?」 「まりしゃもおかーしゃんといっしょにいきたいよ!」 「おちびちゃんたちはおるすばんだよ。 おかーさんがたべものもってきてくれるからあんしんしてね」 「ゅゅー! おかーしゃんがもってきちぇくれるの!」 「ゆっきゅりたのしみ!」 「いっぱいもってきちぇね!!」 「ゆ! わかったよれいむのあかちゃん!」 「ゆっくりまっててね!!」 赤ちゃんの声援のおかげで娘達はやる気が湧いてきたようだった。 これは良い傾向だ。 どうなるかと思って不安だった巨大れいむも今は胸のつかえが取れたような清々しさを感じていた。 その後は赤ちゃんと共に娘たちとその子供、それとまりさを見送った。 「おひるにはかえってきてね!」 「おかーしゃんまっちぇるよ!!」 「ゆっくりいっぱいもってきちぇね!!」 「ゆっ! あかちゃんのためにがんばるよ!!」 「ゆっくりまっててね!」 娘達は赤ちゃんの応援を受けて嬉しそうに駆けていった。 食べ物のある場所はすでに教えてある。 そう遠くは無いし、あそこは外敵もいないから大丈夫だろう。 ただひとつ心配なのはまりさがずっと乗り気ではなさそうだったことぐらいか。 だが今までゆっくりし続けていた娘たちは巨大れいむが思っていたよりもゆっくりしすぎていた。 お昼過ぎになっても帰ってこなかったのだ。 そうなれば当然赤ちゃん達はお腹を空かせて喚きだす。 「おばーちゃんおなかへっちゃよ!」 「おかーしゃんがかえってこないよ? どうちたのー?」 「おなかがへってちからがでにゃいよ!!」 「ゆぅ…」 一体どうしたというのだろうか。 お昼に戻るように確かに伝えたはずだ。 それに娘達は赤ちゃんのためにやる気を出していた。 もしや外敵に襲われたのだろうか? それとも何か事故でもあったのだろうか? 巨大れいむは娘の身に何かあったのかと大きな不安に襲われた。 良かれと思って娘達を外の世界に行かせたことは間違いだったのか。 しかし悩んでいても赤ちゃん達のお腹は膨れない。 仕方ないので赤ちゃんを連れておうちの周りにある草木を食べさせた。 非常食であり隠れ蓑でもあるのでなるべく食べたくないが、赤ちゃんをこれ以上飢えさせる訳にもいかなかった。 そうして赤ちゃんのお腹が膨れたが、その後も娘たちは帰ってこない。 赤ちゃん達が不安がって泣き出したりもしたので巨大れいむはその対応に追われた。 だが夕方になると娘達は巨大れいむの心配をよそに満足そうな顔して帰ってきた。 娘もその子供達もみんな無事のようだ。 巨大れいむは安心したが一応どうしたのか聞くことにした。 「ゆ! どうしてひるにかえってこなかったの? あかちゃんがおなかすかせてたいへんだったんだよ」 「ゆ、ゅー…」 何ともばつの悪そうな反応をする娘たち。 そういえば夕食のための食べ物を持っていないようだった。 「それにたべものはどうしたの? これじゃあきょうもゆうしょくぬきになるよ?」 途中で誰かに取られたのだろうか? それとも迷った? 巨大れいむはいくつかの答えを予測していたが、娘達の答えはその中でも一番最悪のパターンだった。 「ゆっ、ゆっくりわすれてたよ!」 「でも、でもしょうがないよね!! こどもたちとあそんでたんだよ!!」 「みんなでかけっこしてあそんだんだよ!!」 「そうだよ! それにれいむたちはたべものちゃんとたべてこれたんだよ!!」 「れいむたちはよるごはんをたべてきたからだいじょうぶだよ!」 「あかちゃんはゆっくりがまんしてね!!」 「ゅー! おかーしゃんおなかしゅいたよー!」 「にゃんでたべものもってきちぇないのぉぉ!!」 「これじゃゆっきゅりできないぃ!!」 「うるさいよ! おうちでゆっくりしてたあかちゃんはゆっくりだまってね!」 「おなかすいたならじぶんでとってきてよね!!」 ああ、何という。 何というバカ娘なのだろう。 巨大れいむは嘆くほかなかった。 言い訳ばかりで一番守るべき赤ちゃんに八つ当たりまでするなんて。 巨大れいむは口で叱るよりも前に娘達とまりさに対して次々とその巨体をぶつけていた。 「ゆっくりはんせいしてね!!」 「ゆぎぃっ!!」 「ゆぎゃ!」 「なにずるの…ぁ"ぅ"っ」 「ま、まりさはわるくないよ! わるいのはれいむうぅ"ぅ"ぎい"ぃ"ぃ"ぃ"っ!!!」 「おまえたちはおやとしてさいていのことをしたんだよ!! じぶんがゆっくりできればあかちゃんがゆっくりできなくてもいいの!?」 おうちに響く巨大れいむの怒声。 続くのは怒られた娘たちの、そして怒声に怯えた孫達の泣き声だった。 しばらくして娘達は泣きながら謝罪を始めた。 「ゆっくりごめんなざい"ぃ"!」 「あかじゃんごめんね"ぇ"ぇ"ぇ"!!」 「れいむだちがぜんぶわるいのぉぉ!!」 わんわん泣きながら娘は赤ちゃん達に謝った。 赤ちゃんも泣きながらお母さんに擦り寄っていた。 仲直りしたのはいいことだが赤ちゃん達の夕食が無いことに代わりはない。 どうしようかと巨大れいむが思案していたその時だった。 「ゆっ! もうこんなゆっくりできないところにいられないよ!! ゆっくりできないれいむたちはみんなしんでね!!!」 「ゆっ? どういうことまりさ!!」 「おまえたちのせわなんてかんべんだよ! まりさがゆっくりできないならこんなところにいてもしょうがないよ!!!」 ただ一匹謝らずに不貞腐れていたまりさがそんな叫びと共におうちを飛び出した。 巨大れいむはまりさを追う。 ただの癇癪なのかもしれないが、このまりさは妻と子供を見捨てようとしているのだ。 逃がすわけにはいかない。 まりさは逃げながら考えていた。 こんなはずじゃなかった。 まりさがあのおうちに忍び込んでれいむ姉妹と出会った時に聞いたのだ。 あの親の巨大れいむが全部の世話をしてくれる。食べ物も全部運んでくれるからゆっくり出来ると。 だからこそあのれいむ姉妹と乱交した後に立ち去らず、そのまま居残ったのだ。 妻や赤ちゃん達に囲まれて王様気分だったのに突然巨大れいむが食べ物集めろなんて変なこと言いだした。 なんで他のゆっくりのために働かなきゃいけないのか分からない。 赤ちゃんがどうとかあの巨大れいむは怒っていたが、赤ちゃんなんてまた作ればいいだけ。 所詮他のゆっくりは自分がゆっくり出来るための道具なんだ。 ああ、でももういいや。 もうあんなゆっくり出来ないゆっくり達とは別れてもっとゆっくり出来るパートナーを探すとしよ―――― まりさがれいむ家族との決別を決めたその瞬間。 まりさの背後から圧倒的な質量が圧し掛かってきた。 そして次の瞬間にはまりさの体は宙を飛んでいた。 (おそらをとんでるみたい) 吹き飛ばされたまりさはそんな危機感のないことを思いながら真っ直ぐ飛んでいく。 直後木の幹にぶつかってまりさの意識は途絶えた。 巨大れいむは気絶したまりさを咥えるとおうちへと持ち帰ることにした。 まりさに追いつくのは簡単だった。 体長の違いもそうだが、毎日娘や孫のためにあちこちを駆けていた巨大れいむとほとんど運動していなかったまりさとでは運動能力に差がありすぎた。 怒りにまかせてその場で潰してしまうことも考えたが、そんなんじゃ巨大れいむの気は収まらなかった。 おうちへ戻った巨大れいむはまりさをおうちの中央に置いた。 痙攣して気を失っているまりさを憎しみの篭った瞳で睨みつける娘と孫たち。 共通の夫、共通の親であるまりさが自分たち放って逃げようとしたのだ。恨まれて当然である。 巨大れいむはまりさの処罰について考えていた。 まりさをもし許したとしてもまたすぐに脱走を企てるに違いない。 許さないのは決定でいいとしてどうしたものだろう。 と、そこへ一匹の赤ちゃんが言葉を漏らした。 「おかーしゃんおなかしゅいたよ」 自分の空腹を自分の母親に伝えただけなのだろうが、巨大れいむはその言葉を聞いていいことを思い付いた。 この憎たらしいまりさに相応しい最後。それでいて実益のある処刑を。 食べ物を取ってこなかった罪、裏切った罪はその身で払ってもらえばいいのだ。 巨大れいむはうっすらと笑みを浮かべながら赤ちゃん達に話しかける。 「ねぇ、あかちゃん。たべものなら、あるよ」 「ゅ? どきょ?」 「ゆっきゅりたべものちょーだい!!」 「おばーちゃんだいちゅきー!!」 「たべものはね。これだよ」 巨大れいむは舌でまりさを示す。 頭の上に"?"を浮かべた家族だったが、 巨大れいむの考えが徐々に理解できた家族の顔が青ざめていく。 そして震えた声を出す。 「ゅ…でも、これ、まりさだよ?」 「まだ…いきてるよ。いきてる、まりさだよ…?」 「まりしゃおかーしゃんはたべものじゃないよ!」 「おかーさん…? なに、かんがえてるの…」 「まりさはたべものとってこなかったよ。だからまりさはたべものになってもらうよ」 「で、でも…」 「まりさをたすけたいの? このまりさはみんなをうらぎったんだよ? そんなまりさはたべられてとうぜんだよね?」 巨大れいむの真っ黒な瞳が娘たちを映した。 まるで捕食者に睨まれているような気分だった。 この提案を断ったら自分も食べ物にされるんじゃないかという恐怖が娘達を襲う。 「あ、あかちゃん。まりさを、まりさをたべてね!」 「ゅ? でもまりしゃおかーしゃんは…「いいからゆっくりしないでたべてね!!」 「ゅゅーっ! た、たべりゅよ!!」 母への恐怖が娘を突き動かした。 娘たちは怯えた声で赤ちゃんに親食いを命じた。 数十匹の赤ちゃんは親に従ってまりさの体に被さった。 そして小さな口で啄むようにまりさを食べていく。 少しずつ少しずつ食べられていく痛みにまりさは不幸にも目を覚ました。 「ゆぎぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!? い"だい"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!!!!!」 全身至る所を噛み千切られる痛みに悲痛な叫びをあげる。 体を転がして痛みの原因を取りはらおうとするが、赤ちゃんが数十匹纏わりついているのだ。 力が弱く根性も無いこのまりさは身動き取れずにいた。 「なんでぇぇぇ!! なんでまりざをだべるのぉぉぉぉお!!!?」 「まりさはいったよね。 しごとしないならゆっくりするけんりはないって」 「ゆぎっ、ゆぎゅぶぉおぉおぉぉごおぉ!!!」 口を開いた結果、上唇も下唇も別の赤ちゃんに噛みつかれたようだ。 話しかけた巨大れいむの方に視線を向けているので一応聞いているのだろう。 「まりさはまいにちゆっくりばかりでしごとしなかったよ。 あかちゃんがふえてもゆっくりあそぶだけ。 きょうもたべものわすれてゆっくりあそんだんだよね?」 「おごおぉぉぉ!! ぼぎょっ、ぼごっ……!!」 まりさは涙をボロボロ流して巨大れいむに助けてとアイコンタクトで訴えかける。 開いた口から数匹の赤ちゃんが入りこんで、口の中からまりさは食べられていた。 歯茎の辺りなど美味しいのか剥がすように食われていた。 さらにまりさの片目は赤ちゃんの小さな口でちまちまと齧られている。 もう片方の目もそろそろ噛みつかれるだろう。 「でもまりさはさいごにこうしてしごとができたよね」 「………」 「たべものはもってこなかったけど、たべものになってくれたね」 「………」 まりさはもう口内をことごとく食い荒らされて喋れない。 眼球は瞳から食い破られ、中身を吸われるように食されてもう何も見ることが出来ない。 音だってもう聞こえないのかもしれない。 娘たちやその子供はおうちの隅で泣いて震えながらその惨状を見ていた。 巨大れいむもまた、心がすっきりするのを感じながら黙って見ていた。 「むーちゃ、むーちゃ、ちあわせー!」 「まりしゃおかーしゃんおいちーね!!」 「ゅゅー、こっちもおいちーよ!!」 おうちの中には善悪の無い赤ちゃんによるまりさの味批評の声と咀嚼の音、あとは娘達のすすり泣く声だけが響いていた。 それから時間にして30分程度だろうか。 まりさは数十匹のプチトマトサイズの赤ちゃんに非常にゆっくりと食べられた。 ハーレムの王を気取っていたまりさは僅かな食べかすと帽子を遺してこの世からいなくなった。 赤ちゃん達は満腹になってスヤスヤとお休みモードだ。 罪悪感なんてないのだろう。とても満足そうな表情を浮かべている。 娘たちと子ゆっくり達はというとゆっくりの捕食シーンを目の当たりにして怯えていた。 何よりも巨大れいむに怯えていた。 確かにまりさが自分たちを見捨てようとしたのは許せない。 でもそれに対する罰は袋叩きにして追放する程度だと考えていた。 しかしお母さんである巨大れいむはどうだ。 お腹を空かせた赤ちゃんにまりさを食べさせたのだ。それも生きたままのまりさを。 そんなことをさせるお母さんが何よりも恐ろしく、身の危険すら感じていた。 対して巨大れいむはドス黒い快感にすっきりしていた。 あの憎いまりさが自分の赤ちゃんに食べられて体の崩れていく様はこの上なく興奮できた。 何だか物足りない気もしたが、これで赤ちゃんも満腹になれたし働かないまりさもいなくなった。 娘たちも反省しているようだし全てが上手くいったんだ。 巨大れいむはそれを確信し、幸せな気分のまま眠りについた。 翌朝、娘と子供達は昨日と同じように食糧調達に出かけた。 巨大れいむと赤ちゃん達は笑顔で見送ったが、娘達は二度と帰ってくることは無かった。 遊び呆けて赤ちゃんの世話を忘れた昨日とは違った。 恐ろしい母とはもう居られない。 生きていたまりさを食べ、同種の味を知った赤ちゃんも連れていきたくなかった。 それゆえに子を連れて旅立ったのだ。 こうして甘やかされた娘達は巨大れいむの意図しない形で独り立ちを果たした。 子と共に食糧調達に出かける楽しみを知った彼女たちはもう大丈夫だろう。 きっと野生に生きるゆっくりとして生き、野生に生きるゆっくりとして死ぬのだ。 一方おうちに残るのは巨大れいむ一匹になっていた。 辺りには孫の赤ちゃんの名残である飾りが散らばっている。 巨大れいむが食べ物を探しに出かけている間に赤ちゃんは共食いを始めた。 生きたまりさを食べさせたのが間違いだった。 同種の味を知っただけでなく、悪いことをしたゆっくりは食べ殺してもいいと勘違いしたのだ。 お腹の減った赤ちゃんは巨大れいむが出かけている間にちょっとしたことで姉妹を悪者に仕立て上げた。 それは「ぶつかってちょっといたかった」とか「じぶんのおもちゃ(小石)をとった」だとかほんの些細なことだ。 そしてお互いに悪いゆっくりを食べた。 そしておうちに戻った巨大れいむに最後に残った赤ちゃんが噛みついた。 巨大れいむはそれがまりさ種だと確認すると、自分の顎に食いつく赤ちゃんまりさをそのまま壁に押し付けて潰した。 巨大れいむは深い溜息をつく。 自分はどこで間違ったのだろうか。 甘やかした娘達を更生させようとした結果がこの孤独だ。 寄生虫のようなまりさは処刑してやった。 なのに娘達は食べ物を探しに行ったきり行方知れずになった。 そして孫達はどうしたことか共食いして全滅した。 ああ、なんということだろう。 結局自分は家族を崩壊させてしまっただけじゃないか。 取り返しのつかないことをしてしまったと巨大れいむは嘆いた。 だが巨大れいむは気付いていなかった。 娘達は形だけではなく本当の親としての第一歩をしっかりと踏み出せていた。 その点で言えば巨大れいむは間違ってなかったのかも知れない。 しかし巨大れいむがそのことに気づくことは永遠にない。 結局巨大れいむは死ぬ間際までどこで何を間違えたのかと後悔し続けた。 終 by ゆっくりしたい人 巨大れいむに運命の分岐点があるとすれば逃げたまりさに追いついた時。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/872.html
『甘やかした結果』 若草の萌える季節、桜も散った森の中を2mほどもある巨大なれいむが駆けていた。 頬は大きく膨らんでいて、そこに大量の食料が詰められていることが分かる。 明らかに巨大れいむ一人が食べきれる量ではなく、今は春なので冬篭りのための食料でもない。 この食料は娘のための食糧だった。 巨大れいむのおうちである広い洞窟の入口前で大小様々なゆっくりが遊んでいた。 巨大れいむが帰ってきたのに気づいた一匹の成体れいむが洞窟の中のゆっくりに「おひるごはんだよ!!」と呼びかける。 その声に洞窟の中でゆっくりしていたゆっくり達がゾロゾロと洞窟から出てきた。 それらはほとんどれいむ種で、まりさ種はれいむ種ほどではないがそれなりにいる。 成体のれいむ数匹は全て巨大れいむの娘だ。 成体のまりさは一匹だけだが、そのまりさが巨大れいむの娘たちに子種を与えたゆっくりだった。 まりさの子種を受けたれいむの産んだ子ゆっくりと赤ちゃんゆっくりが巨大れいむの孫ということになる。 巨大れいむが頬に貯めた食糧を地面に全部吐き出すと娘や孫たちは礼も言わずにガツガツと食事を始める。 「うっめ、めっちゃうっめ!!」 「はふはふ、ちょっとすくないけどしあわせー!」 「おかーしゃん、れいみゅもたべたい!!」 「れいむのごはんをわけてあげるね!」 「わーい、ありがちょう!!」 巨大れいむは自分などそっちのけで食事する娘たちを寂しげに見ていたが、やがておうちに戻ると深いため息をついた。 いつからこうなったのだろうか。 立派な成体ゆっくりの娘たちは未だに食糧調達に出かけようともせず独り立ちをする気配もない。 成体まりさも娘を孕ませたうえに半ば無理矢理おうちに住み着き、そのくせ一度も食糧調達には出かけていない。 これでも一緒に食べ物を探しに行こうと何度か誘った。 しかし「またこんどいくよ!」だとか「あかちゃんのせわでひまがないよ!」などと何かと理由付けて断られた。 赤ちゃんの世話と言うが、一番大変な食事集めの他に何があるのだろう。まりさは赤ちゃんと一緒に遊んでるだけだった。 孫の子ゆっくりや赤ちゃんゆっくりもそんな親に育てられたせいか、 食料は危険を冒して取りに行くものではなくて運ばれてくるものだと思ってる節がある。 そんな孫たちに教育しようとした時もあったのだが、 「れいむのかわいいこどもはれいむがそだてるよ!」 「おかーさんはそれよりもたべものとってきてね!!」 「おちびちゃんはこっちでゆっくりあそぼうね!!」 といった風に娘たちが邪魔してくるのだ。 孫たちも教育なんてつまらないことよりも娘の誘いに乗って遊びに行ってしまう。 そんなうちに孫たちはどこまでも甘えさせてくれるお母さんである娘に懐き、 何かと口うるさいお婆さんの自分に甘えるのは食事を持ち帰った時ぐらいのものだ。 それすらも最近は無くなったが。 おうちの入り口付近で駆け回ったり押し合いして遊ぶ娘達を見て巨大れいむは再びため息をついた。 巨大れいむは後悔していた。娘達を甘やかしすぎたことを。 産まれて間もない娘達の喜ぶ顔が見たい一心で巨大れいむは食料を集めていた。 甘えてくる娘達を受け止めて存分に甘やかした。 娘達が子ゆっくりに育っても、平均的なゆっくり家族のように子供と一緒に食べ物集めには行かなかった。 娘を危険な目に合わせるわけにはいかないと一人で食料を探しに出かけていたのだ。 娘達が成体と呼ばれるまで大きく育っても巨大れいむは娘を独り立ちさせずに世話をし続けた。 この時はまだ自分の育て方が悪いと思ってなかったし、事実として娘達はとてもゆっくり出来ていた。 そんなある日のこと、食料を集め終えておうちに帰ると一匹のまりさが娘達とゆっくりしていた。 巨大れいむは侵入者のまりさよりもまず、娘達の頭に茎が生えていたことに驚いた。 どの茎にもれいむ種とまりさ種の赤ちゃんが実っていた。 それはつまり、どこからともなく現れたまりさによって娘が孕まされたことを意味していた。 自分の居ない間におうちに侵入した上に、可愛い娘をも汚したこのまりさを許すわけにはいかない。 強い憤りを感じた巨大れいむはまりさをこの場で潰してやると身構えたが、 「このまりさはれいむたちをすっきりさせてくれたんだよ!」 「ゆっくりできるまりさだよ!!」 「おかあさんみてみて! あかちゃんができたんだよ!」 「まりさのおかげでゆっくりできるよ!!」 幸せそうに笑顔を浮かべて喜ぶ娘達を見ると、目の前でゆっくり殺しなど出来るわけもなかった。 かといってまりさに対する怒りが消えたわけではない。 怒鳴りつけたいのを抑え、極めて冷静にまりさへ話しかける。 「まりさ、こんなにたくさんのあかちゃんをうませたけどちゃんとそだてられるの?」 「もちろんそだてられるよ! だからきょうからここをおうちにするね!!」 「よろしくねまりさ!」「いっしょにあかちゃんそだてようね!!」 どうやら娘達とまりさの間ではこのおうちに住み着くことは決定済みらしい。 それは赤ちゃんを生やした娘のことを考えるとそれでいいのだが、 まりさの返答を聞く限りでは赤ちゃんの世話について深く考えておらず、何とかなるだろう程度にしか考えていないように見えた。 逆にそうでなければ「もちろんそだてられる」などと軽々しく即答できるわけが無い。 きっと後先考えず、性欲の赴くままに娘たちに子種を植え付けたのだろう。 そうしてまりさはおうちに住み着き、次の日には赤ちゃんゆっくりが産まれ落ちた。 娘全員から5~10匹産まれたので相当な数の赤ちゃんでおうちは満たされた。 窮屈に感じられたが、元々広い洞窟なので生活するのに不都合はなかった。 それでも跳ねるときは赤ちゃんを潰さないように細心の注意が必要になったが。 「おばーちゃんゆっくちしていっちぇね!」 「おばーちゃんいっしょにゆっくりちようね!!」 と身体を摺り寄せてくる孫はとても可愛くてゆっくりできていた。 だが同時に、この可愛い孫達のために大量の食べ物が必要だと思うと不安が募るばかりだった。 念のために貯蓄しておいた食べ物だって二日と持たないだろう。 なので巨大れいむはまりさに食べ物集めを手伝うようにお願いしたのだが、 「まりさはあかちゃんのせわするからむりだよ! またこんどね!」 と断られ、娘や孫達には 「おかーさん、あかちゃんのたべものおねがいね!」 「がんばってねおかーさん!」 「ゆっくりまってるよ!!」 「ほら、あかちゃんたちもおねがいしてね!」 「「「おばーちゃん、ゆっくちたべものちょーだいね!!」」」 「まりさのぶんもわすれないでね! おおめにね!」 と頼まれた巨大れいむは可愛い娘や孫達の頼みならば仕方ないと一匹で食料調達に出かけた。 最後のまりさの頼みにはイラっと来たが、怒りを露にして赤ちゃん達を怯えさせるのも良くないと思って我慢した。 明日には一緒に食べ物を集めてくれるだろう、そう信じて巨大れいむは食べ物を集めた。 しかし次の日も、また次の日も、そしていつまで経ってもまりさも娘達も食べ物集めを何かと理由付けて手伝ってくれなかった。 そうしている間に赤ちゃんゆっくりは子ゆっくりサイズにまで成長した。 それぞれ食べる量も多くなり、巨大れいむ一匹で集めた食料だけではもう足りなくなっていた。 なので娘達には子を連れて引越ししてもらおうと思ったが、その旨を伝えようとした矢先に娘達とまりさはまた次の赤ちゃんを産み出していた。 これ以上赤ちゃんが増えると食べ物が足りなくてゆっくり出来ないからすっきり禁止と伝えていたのにも関わらずだ。 当然巨大れいむは娘達を責めたが、 「かわいいあかちゃんをみるとゆっくりできるよ」 「すっきりをがまんしたらゆっくりできなかったよ。だからすっきりしたんだよ」 などと訳の分からない言い訳が返ってきた。要は自分勝手な理由で赤ちゃんを産んだのだ。 さすがの巨大れいむもこれには呆れるしかなかった。 娘達はまた可愛い赤ちゃんが産まれたと、孫は妹が出来たと喜んでいたが、巨大れいむは全く嬉しくなどなかった。 確かに目の前の赤ちゃん達はとてもゆっくりした赤ちゃんで愛らしい。 しかしながら巨大れいむにとって赤ちゃんはこの状況下において負担でしかないのだ。 それから三日経った今、巨大れいむはこうして溜息をついているわけである。 巨大れいむは二度目の赤ちゃんゆっくりが産まれてからはほとんど休まず食料調達に出かけた。 朝は日が昇る前から出かけ、 昼は娘達に集めた食べ物を渡すと十分ほど休んでまた出かけ、 日が暮れる前に戻って疲れを取るためにすぐ眠りに付く。 ゆっくりする暇なんてとてもじゃないが無かった。 しかし疲れが溜まっていたのだろう。 娘の育て方に後悔して溜息している間に巨大れいむは深い眠りについてしまったらしい。 目が覚めると夕暮れ時だった。 本来なら夕食を持ち帰ってきているはずの時間だ。 だが昼寝をしてしまったので当然食べ物などあるわけが無かった。 「ゆ…ゆっくりねたけっかがこれだよ…」 初めは焦った巨大れいむだったが、一食ぐらい抜いても大丈夫だよねと結論付けた。 何よりも今日まで毎日休まずに食べ物を探しに出たのだ。半日ぐらい休んだっていいはずだ。 ところが夕飯は運んでもらうのが当たり前の娘や孫達からすればそんなの勝手な理由でしかない。 巨大れいむはおうちに勢揃いした家族達に口々に文句を言われ、責められた。 「なにかんがえてるの! あかちゃんがおなかすいてるよ!!」 「れいむもいっぱいあそんでおなかすいてるんだよ!」 「これじゃゆっくりできないよ! おばーちゃんはゆっくりできないね!!」 「おなかちゅいたよ! おかーちゃんたべものはー?」 「ほら! おかーさんがさぼるからゆっくりできないよ!!」 「まりさはおこってるよ! やることやらずにゆっくりしないでよね!」 「ゆ"…」 なんでここまで怒られるのか全く分からなかった。 毎日ゆっくり遊んでるだけのくせにどうしてそんな事を言えるのだろう。 今までゆっくり出来たのは自分がゆっくりせずに頑張ってきたからだ。 それなのにちょっとゆっくりした結果がこの罵詈雑言の嵐である。 夕食を用意出来なかったのは確かに悪かったとは思ってる。 だがここまで言われるような悪い事をしたのだろうか。 何も一食抜いたぐらいで死にはしないし、我慢できなければ周囲の草木を食べれば十分のはずだ。 だからこそいつまでも続く娘や孫達からの罵倒に巨大れいむはイラつき始めていた。 「おかーさんはほんとつかえないね!」 「さいきんはたべものすくないし!」 「そうだよ! さいきんおなかいっぱいになれてないよ!!」 (それはあかちゃんをふやすからとりぶんがへったんだよ) 「こどもとあかちゃんがおなかすいてゆっくりできないよ!」 「たくさんたべものもってこないからだよ!!」 「おばーちゃん、おなかちゅいたよ!!」 「たべものもってこないおばーちゃんはきりゃいだよ!!」 (たべものもってるときだけあまえてくるおまえたちなんてれいむもすきじゃないよ) 「たべものもってくるぐらいちゃんとしてよね!」 「なんでそんなこともできないの!」 「れいむたちでもやればできることだよ!?」 (やったこともないくせにかんたんなんてよくいえるね) 「ほんとだめなおかーさんだね!」 「まりさもゆっくりしてないでなんかいってよ!!」 「ゆ! まりさはあたまいいからしってるよ! しごとしないならゆっくりするけんりはないんだよ!!」 (そうだよね。たしかにまりさのいうとおりだよ。 しごとしないならゆっくりするけんりなんてないよね) 「ゆんっ、こんなおおきいだけのむのうなれいむはしんでね!」 まりさがニヘラと笑顔を浮かべて体当たりしてきた。 まりさの頭の中では巨大れいむを吹き飛ばす光景が見えているのだろう。 巨大れいむは微動だにせず、可哀想なぐらい軽い体当たりを悠々と受け止めた。 そして間髪入れずにまりさに噛みつき、歯で締め上げた。 「ゆ"っ!? あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!!」 まりさは巨大れいむの歯に挟まれ、痛みに悶える。 だが体に食い込むほど強く噛みついているのだから逃げられる訳もない。 出来ることと言ったら、外に出てる口で必死に悲鳴を上げるぐらいだ。 「なんでごんなごどずるのぉぉぉぉ!!!」 「まりざをはなじでえぇぇ!!」 「おがーさんひどいよぉぉぉぉ!!」 周りの娘達が何だか煩いのでまりさを離してやることにした。 ペッと唾を吐き出すのと同じ要領でまりさを地面に吐きだした。 「ゆぎっ! ゅ"、ゆ"ぅ"…」 地面に落とされたまりさは体をガクガクと震わせ、大粒の涙を流しながら這いつくばっていた。 歯形が残っているとはいえ普通のゆっくりならこの程度の痛みでここまで苦しむことはない。 だがゆっくりしすぎたまりさは痛みに慣れておらず、大袈裟なほど苦しんでいた。 つい数秒前まで生意気言っていたくせに今は惨めでしかなかった。 「まりさー!」 「ゆっくりだいじょうぶ?」 「いたいのゆっくりとんでってね!!」 「おかーさん! まりさになにするの!!」 まりさに駆け寄った娘たちはまりさを庇うように巨大れいむの前に立ちはだかった。 何で目先のゆっくりやすっきりしか見えないまりさを庇うのだろう。 元はと言えばこのまりさが娘たちをすっきりさせなければ食べ物に困らなかったし、 このまりさが食べ物集めを手伝ってくれれば食糧事情も少しは楽になったろうに。 いや、この娘たちはそんなの分かってないのだ。 娘たちはこのまりさと同じで目先のゆっくりしか見えていない。 そしてこんな娘に育てたのは他でもない自分だ。 ああ、そうか。 そこまで考えた所で巨大れいむはようやく理解した。 これまで娘たちを甘やかしていたからこそ自分がゆっくり出来てなかったということに。 娘たちが子供を連れて引っ越さないのも、 まりさがいつまで経っても食べ物集めを手伝わないのも、 自分が文句も言わず、叱りもしない結果だったんだ。 「あまやかしたけっかがこれだよ…」 「ゆ? なにいってるの!」 「そんなことよりまりさにあやまってよね!!」 「あとたべものもいまからでいいからとってきてよね!」 俯いていた巨大れいむは口の減らない娘たち、そして孫達を強い意思の宿った瞳で睨みつけた。 その強い視線に娘達も孫も、そして呻くだけのまりさも目を合わせられず黙り込んだ。 そして巨大れいむは娘達に告げる。 「ゆっ、きめたよ。 れいむはもうみんなのためにたべものをはこばないよ。 あしたからはじぶんでたべものさがしてね」 巨大れいむはようやく決心したのだ。 もう娘たちの世話はしない。 これからは娘たちに娘たちの家族を養わせる。 まりさには特に働いてもらおう。 何しろこれだけの子供や赤ちゃん達共通の親なのだから。 「たべもののおおいばしょはおしえてあげるからがんばってね」 「ゆっ! まってよ!!」 「そんなのなんでれいむたちがやらなきゃいけないの!!」 「そうだよ! たべものなんておかーさんがもってくればいいでしょ!!」 「さぼろうとするなんてゆっくりできてないね!!」 「やるきがないならおうちからでていってね。 しごとしないゆっくりはゆっくりするけんりはないよ」 「なにいってるの!」 「れいむはおこったよ! あかちゃんだっているんだよ!!」 「でてくならおかーさんがでてってね!!」 「とにかくきめたことだよ。 れいむはでていかないし、おまえたちがみんなのせわをすることもかわらないよ。 ゆっくりりかいしてね」 その後もゆーゆーと煩い娘たちだったが、 日が完全に暮れて真っ暗になると一匹、また一匹と眠りについていった。 まりさはその間もずっと痛みで泣いていた。異常なほど打たれ弱いまりさだ。 そこまで確認して巨大れいむも眠りについた。 翌朝。 日が昇り始めたころに巨大れいむは目を覚ました。 娘たちは今までかなりの遅起きだったようだがこれからはそうはさせない。 食糧調達に出かけてもらうまりさと娘たち、さらには子ゆっくり達を舌でつついて起こした。 「ゆぅ、なに? なんなの?」 「おばーちゃん、にゃんなの? じゃまちないでね…」 「まだおきるじかんじゃないよ。ゆっくりねさせてね」 「ねむりをじゃまするなんてゆっくりできないね!」 「たべものさがしにでかけてね」 「なにいってるの? ばかなの?」 「それはおかーさんのしごとで…ゆ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!?」 巨大れいむは一匹の娘に噛みつくとおうちの外へと投げ飛ばした。 そして他の娘たちも次々と投げ飛ばす。 「なにするの! まりさのれいむにらんぼうしないでね"っ!?」 もちろんまりさも投げ飛ばした。 娘たちよりも気持強めに噛みついておいた。 「い"だい"ぃ"ぃ"!! まりざにもらんぼうじないでぇぇぇ!!」 「いたいのがいやならたべものさがしにいってね」 まりさも娘たちも震えて泣きながら頷いた。 痛みに慣れてないのは娘たちも同じで、体罰はよく効いたようだ。 「あかちゃんはれいむがせわみてあげるからほかのみんなはたべものさがしてきてね」 赤ちゃんはまだ外に出すつもりはない。 赤ちゃんの仕事はゆっくり育つことなのだから。 しかしこれで面白くないのは赤ちゃんではない子ゆっくりだ。 「なんでれいむもいかなきゃいけないの!」 「いもうとはなんでいかなくていいの!?」 「そうだよ! おばーちゃんずるい!!」 妹である赤ちゃん達はゆっくりしていいのに姉である自分がダメなのか分からないらしい。 いや、この環境下で育った子供達が分からないのも当然か。 しかしだからといってここで甘やかしたら自分の娘のように働かないゆっくりに育ってしまうかも知れない。 巨大れいむとしては自分の犯した過ちを繰り返したくなかった。 といっても小さい孫に娘と同じような体罰は出来ない。 自然と外に行きたくなるよう説得することにした。 「ゆっ! だいじょうぶだよ。 おかあさんについていくだけだからゆっくりできるよ。 ゆっくりぴくにっくしてきてね」 「ゆ? ゆっくりできるの?」 「おかあさんとぴくにっく? ゆっくりできそう!」 「ゆーん! おかーさんゆっくりいこうね!」 「ゆ、ゆん…ゆっくりいこうね」 実の娘が自分とのピクニックを楽しみにする姿を見た娘たちは諦めがついたようだ。 むしろ子供の様子を見て外に出かけるのもいいかもと思ったのかもしれない。 「ゅー? れいみゅたちはどうしゅればいいの?」 「ゆっきゅりまってればいいの?」 「まりしゃもおかーしゃんといっしょにいきたいよ!」 「おちびちゃんたちはおるすばんだよ。 おかーさんがたべものもってきてくれるからあんしんしてね」 「ゅゅー! おかーしゃんがもってきちぇくれるの!」 「ゆっきゅりたのしみ!」 「いっぱいもってきちぇね!!」 「ゆ! わかったよれいむのあかちゃん!」 「ゆっくりまっててね!!」 赤ちゃんの声援のおかげで娘達はやる気が湧いてきたようだった。 これは良い傾向だ。 どうなるかと思って不安だった巨大れいむも今は胸のつかえが取れたような清々しさを感じていた。 その後は赤ちゃんと共に娘たちとその子供、それとまりさを見送った。 「おひるにはかえってきてね!」 「おかーしゃんまっちぇるよ!!」 「ゆっくりいっぱいもってきちぇね!!」 「ゆっ! あかちゃんのためにがんばるよ!!」 「ゆっくりまっててね!」 娘達は赤ちゃんの応援を受けて嬉しそうに駆けていった。 食べ物のある場所はすでに教えてある。 そう遠くは無いし、あそこは外敵もいないから大丈夫だろう。 ただひとつ心配なのはまりさがずっと乗り気ではなさそうだったことぐらいか。 だが今までゆっくりし続けていた娘たちは巨大れいむが思っていたよりもゆっくりしすぎていた。 お昼過ぎになっても帰ってこなかったのだ。 そうなれば当然赤ちゃん達はお腹を空かせて喚きだす。 「おばーちゃんおなかへっちゃよ!」 「おかーしゃんがかえってこないよ? どうちたのー?」 「おなかがへってちからがでにゃいよ!!」 「ゆぅ…」 一体どうしたというのだろうか。 お昼に戻るように確かに伝えたはずだ。 それに娘達は赤ちゃんのためにやる気を出していた。 もしや外敵に襲われたのだろうか? それとも何か事故でもあったのだろうか? 巨大れいむは娘の身に何かあったのかと大きな不安に襲われた。 良かれと思って娘達を外の世界に行かせたことは間違いだったのか。 しかし悩んでいても赤ちゃん達のお腹は膨れない。 仕方ないので赤ちゃんを連れておうちの周りにある草木を食べさせた。 非常食であり隠れ蓑でもあるのでなるべく食べたくないが、赤ちゃんをこれ以上飢えさせる訳にもいかなかった。 そうして赤ちゃんのお腹が膨れたが、その後も娘たちは帰ってこない。 赤ちゃん達が不安がって泣き出したりもしたので巨大れいむはその対応に追われた。 だが夕方になると娘達は巨大れいむの心配をよそに満足そうな顔して帰ってきた。 娘もその子供達もみんな無事のようだ。 巨大れいむは安心したが一応どうしたのか聞くことにした。 「ゆ! どうしてひるにかえってこなかったの? あかちゃんがおなかすかせてたいへんだったんだよ」 「ゆ、ゅー…」 何ともばつの悪そうな反応をする娘たち。 そういえば夕食のための食べ物を持っていないようだった。 「それにたべものはどうしたの? これじゃあきょうもゆうしょくぬきになるよ?」 途中で誰かに取られたのだろうか? それとも迷った? 巨大れいむはいくつかの答えを予測していたが、娘達の答えはその中でも一番最悪のパターンだった。 「ゆっ、ゆっくりわすれてたよ!」 「でも、でもしょうがないよね!! こどもたちとあそんでたんだよ!!」 「みんなでかけっこしてあそんだんだよ!!」 「そうだよ! それにれいむたちはたべものちゃんとたべてこれたんだよ!!」 「れいむたちはよるごはんをたべてきたからだいじょうぶだよ!」 「あかちゃんはゆっくりがまんしてね!!」 「ゅー! おかーしゃんおなかしゅいたよー!」 「にゃんでたべものもってきちぇないのぉぉ!!」 「これじゃゆっきゅりできないぃ!!」 「うるさいよ! おうちでゆっくりしてたあかちゃんはゆっくりだまってね!」 「おなかすいたならじぶんでとってきてよね!!」 ああ、何という。 何というバカ娘なのだろう。 巨大れいむは嘆くほかなかった。 言い訳ばかりで一番守るべき赤ちゃんに八つ当たりまでするなんて。 巨大れいむは口で叱るよりも前に娘達とまりさに対して次々とその巨体をぶつけていた。 「ゆっくりはんせいしてね!!」 「ゆぎぃっ!!」 「ゆぎゃ!」 「なにずるの…ぁ"ぅ"っ」 「ま、まりさはわるくないよ! わるいのはれいむうぅ"ぅ"ぎい"ぃ"ぃ"ぃ"っ!!!」 「おまえたちはおやとしてさいていのことをしたんだよ!! じぶんがゆっくりできればあかちゃんがゆっくりできなくてもいいの!?」 おうちに響く巨大れいむの怒声。 続くのは怒られた娘たちの、そして怒声に怯えた孫達の泣き声だった。 しばらくして娘達は泣きながら謝罪を始めた。 「ゆっくりごめんなざい"ぃ"!」 「あかじゃんごめんね"ぇ"ぇ"ぇ"!!」 「れいむだちがぜんぶわるいのぉぉ!!」 わんわん泣きながら娘は赤ちゃん達に謝った。 赤ちゃんも泣きながらお母さんに擦り寄っていた。 仲直りしたのはいいことだが赤ちゃん達の夕食が無いことに代わりはない。 どうしようかと巨大れいむが思案していたその時だった。 「ゆっ! もうこんなゆっくりできないところにいられないよ!! ゆっくりできないれいむたちはみんなしんでね!!!」 「ゆっ? どういうことまりさ!!」 「おまえたちのせわなんてかんべんだよ! まりさがゆっくりできないならこんなところにいてもしょうがないよ!!!」 ただ一匹謝らずに不貞腐れていたまりさがそんな叫びと共におうちを飛び出した。 巨大れいむはまりさを追う。 ただの癇癪なのかもしれないが、このまりさは妻と子供を見捨てようとしているのだ。 逃がすわけにはいかない。 まりさは逃げながら考えていた。 こんなはずじゃなかった。 まりさがあのおうちに忍び込んでれいむ姉妹と出会った時に聞いたのだ。 あの親の巨大れいむが全部の世話をしてくれる。食べ物も全部運んでくれるからゆっくり出来ると。 だからこそあのれいむ姉妹と乱交した後に立ち去らず、そのまま居残ったのだ。 妻や赤ちゃん達に囲まれて王様気分だったのに突然巨大れいむが食べ物集めろなんて変なこと言いだした。 なんで他のゆっくりのために働かなきゃいけないのか分からない。 赤ちゃんがどうとかあの巨大れいむは怒っていたが、赤ちゃんなんてまた作ればいいだけ。 所詮他のゆっくりは自分がゆっくり出来るための道具なんだ。 ああ、でももういいや。 もうあんなゆっくり出来ないゆっくり達とは別れてもっとゆっくり出来るパートナーを探すとしよ―――― まりさがれいむ家族との決別を決めたその瞬間。 まりさの背後から圧倒的な質量が圧し掛かってきた。 そして次の瞬間にはまりさの体は宙を飛んでいた。 (おそらをとんでるみたい) 吹き飛ばされたまりさはそんな危機感のないことを思いながら真っ直ぐ飛んでいく。 直後木の幹にぶつかってまりさの意識は途絶えた。 巨大れいむは気絶したまりさを咥えるとおうちへと持ち帰ることにした。 まりさに追いつくのは簡単だった。 体長の違いもそうだが、毎日娘や孫のためにあちこちを駆けていた巨大れいむとほとんど運動していなかったまりさとでは運動能力に差がありすぎた。 怒りにまかせてその場で潰してしまうことも考えたが、そんなんじゃ巨大れいむの気は収まらなかった。 おうちへ戻った巨大れいむはまりさをおうちの中央に置いた。 痙攣して気を失っているまりさを憎しみの篭った瞳で睨みつける娘と孫たち。 共通の夫、共通の親であるまりさが自分たち放って逃げようとしたのだ。恨まれて当然である。 巨大れいむはまりさの処罰について考えていた。 まりさをもし許したとしてもまたすぐに脱走を企てるに違いない。 許さないのは決定でいいとしてどうしたものだろう。 と、そこへ一匹の赤ちゃんが言葉を漏らした。 「おかーしゃんおなかしゅいたよ」 自分の空腹を自分の母親に伝えただけなのだろうが、巨大れいむはその言葉を聞いていいことを思い付いた。 この憎たらしいまりさに相応しい最後。それでいて実益のある処刑を。 食べ物を取ってこなかった罪、裏切った罪はその身で払ってもらえばいいのだ。 巨大れいむはうっすらと笑みを浮かべながら赤ちゃん達に話しかける。 「ねぇ、あかちゃん。たべものなら、あるよ」 「ゅ? どきょ?」 「ゆっきゅりたべものちょーだい!!」 「おばーちゃんだいちゅきー!!」 「たべものはね。これだよ」 巨大れいむは舌でまりさを示す。 頭の上に"?"を浮かべた家族だったが、 巨大れいむの考えが徐々に理解できた家族の顔が青ざめていく。 そして震えた声を出す。 「ゅ…でも、これ、まりさだよ?」 「まだ…いきてるよ。いきてる、まりさだよ…?」 「まりしゃおかーしゃんはたべものじゃないよ!」 「おかーさん…? なに、かんがえてるの…」 「まりさはたべものとってこなかったよ。だからまりさはたべものになってもらうよ」 「で、でも…」 「まりさをたすけたいの? このまりさはみんなをうらぎったんだよ? そんなまりさはたべられてとうぜんだよね?」 巨大れいむの真っ黒な瞳が娘たちを映した。 まるで捕食者に睨まれているような気分だった。 この提案を断ったら自分も食べ物にされるんじゃないかという恐怖が娘達を襲う。 「あ、あかちゃん。まりさを、まりさをたべてね!」 「ゅ? でもまりしゃおかーしゃんは…「いいからゆっくりしないでたべてね!!」 「ゅゅーっ! た、たべりゅよ!!」 母への恐怖が娘を突き動かした。 娘たちは怯えた声で赤ちゃんに親食いを命じた。 数十匹の赤ちゃんは親に従ってまりさの体に被さった。 そして小さな口で啄むようにまりさを食べていく。 少しずつ少しずつ食べられていく痛みにまりさは不幸にも目を覚ました。 「ゆぎぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!? い"だい"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!!!!!」 全身至る所を噛み千切られる痛みに悲痛な叫びをあげる。 体を転がして痛みの原因を取りはらおうとするが、赤ちゃんが数十匹纏わりついているのだ。 力が弱く根性も無いこのまりさは身動き取れずにいた。 「なんでぇぇぇ!! なんでまりざをだべるのぉぉぉぉお!!!?」 「まりさはいったよね。 しごとしないならゆっくりするけんりはないって」 「ゆぎっ、ゆぎゅぶぉおぉおぉぉごおぉ!!!」 口を開いた結果、上唇も下唇も別の赤ちゃんに噛みつかれたようだ。 話しかけた巨大れいむの方に視線を向けているので一応聞いているのだろう。 「まりさはまいにちゆっくりばかりでしごとしなかったよ。 あかちゃんがふえてもゆっくりあそぶだけ。 きょうもたべものわすれてゆっくりあそんだんだよね?」 「おごおぉぉぉ!! ぼぎょっ、ぼごっ……!!」 まりさは涙をボロボロ流して巨大れいむに助けてとアイコンタクトで訴えかける。 開いた口から数匹の赤ちゃんが入りこんで、口の中からまりさは食べられていた。 歯茎の辺りなど美味しいのか剥がすように食われていた。 さらにまりさの片目は赤ちゃんの小さな口でちまちまと齧られている。 もう片方の目もそろそろ噛みつかれるだろう。 「でもまりさはさいごにこうしてしごとができたよね」 「………」 「たべものはもってこなかったけど、たべものになってくれたね」 「………」 まりさはもう口内をことごとく食い荒らされて喋れない。 眼球は瞳から食い破られ、中身を吸われるように食されてもう何も見ることが出来ない。 音だってもう聞こえないのかもしれない。 娘たちやその子供はおうちの隅で泣いて震えながらその惨状を見ていた。 巨大れいむもまた、心がすっきりするのを感じながら黙って見ていた。 「むーちゃ、むーちゃ、ちあわせー!」 「まりしゃおかーしゃんおいちーね!!」 「ゅゅー、こっちもおいちーよ!!」 おうちの中には善悪の無い赤ちゃんによるまりさの味批評の声と咀嚼の音、あとは娘達のすすり泣く声だけが響いていた。 それから時間にして30分程度だろうか。 まりさは数十匹のプチトマトサイズの赤ちゃんに非常にゆっくりと食べられた。 ハーレムの王を気取っていたまりさは僅かな食べかすと帽子を遺してこの世からいなくなった。 赤ちゃん達は満腹になってスヤスヤとお休みモードだ。 罪悪感なんてないのだろう。とても満足そうな表情を浮かべている。 娘たちと子ゆっくり達はというとゆっくりの捕食シーンを目の当たりにして怯えていた。 何よりも巨大れいむに怯えていた。 確かにまりさが自分たちを見捨てようとしたのは許せない。 でもそれに対する罰は袋叩きにして追放する程度だと考えていた。 しかしお母さんである巨大れいむはどうだ。 お腹を空かせた赤ちゃんにまりさを食べさせたのだ。それも生きたままのまりさを。 そんなことをさせるお母さんが何よりも恐ろしく、身の危険すら感じていた。 対して巨大れいむはドス黒い快感にすっきりしていた。 あの憎いまりさが自分の赤ちゃんに食べられて体の崩れていく様はこの上なく興奮できた。 何だか物足りない気もしたが、これで赤ちゃんも満腹になれたし働かないまりさもいなくなった。 娘たちも反省しているようだし全てが上手くいったんだ。 巨大れいむはそれを確信し、幸せな気分のまま眠りについた。 翌朝、娘と子供達は昨日と同じように食糧調達に出かけた。 巨大れいむと赤ちゃん達は笑顔で見送ったが、娘達は二度と帰ってくることは無かった。 遊び呆けて赤ちゃんの世話を忘れた昨日とは違った。 恐ろしい母とはもう居られない。 生きていたまりさを食べ、同種の味を知った赤ちゃんも連れていきたくなかった。 それゆえに子を連れて旅立ったのだ。 こうして甘やかされた娘達は巨大れいむの意図しない形で独り立ちを果たした。 子と共に食糧調達に出かける楽しみを知った彼女たちはもう大丈夫だろう。 きっと野生に生きるゆっくりとして生き、野生に生きるゆっくりとして死ぬのだ。 一方おうちに残るのは巨大れいむ一匹になっていた。 辺りには孫の赤ちゃんの名残である飾りが散らばっている。 巨大れいむが食べ物を探しに出かけている間に赤ちゃんは共食いを始めた。 生きたまりさを食べさせたのが間違いだった。 同種の味を知っただけでなく、悪いことをしたゆっくりは食べ殺してもいいと勘違いしたのだ。 お腹の減った赤ちゃんは巨大れいむが出かけている間にちょっとしたことで姉妹を悪者に仕立て上げた。 それは「ぶつかってちょっといたかった」とか「じぶんのおもちゃ(小石)をとった」だとかほんの些細なことだ。 そしてお互いに悪いゆっくりを食べた。 そしておうちに戻った巨大れいむに最後に残った赤ちゃんが噛みついた。 巨大れいむはそれがまりさ種だと確認すると、自分の顎に食いつく赤ちゃんまりさをそのまま壁に押し付けて潰した。 巨大れいむは深い溜息をつく。 自分はどこで間違ったのだろうか。 甘やかした娘達を更生させようとした結果がこの孤独だ。 寄生虫のようなまりさは処刑してやった。 なのに娘達は食べ物を探しに行ったきり行方知れずになった。 そして孫達はどうしたことか共食いして全滅した。 ああ、なんということだろう。 結局自分は家族を崩壊させてしまっただけじゃないか。 取り返しのつかないことをしてしまったと巨大れいむは嘆いた。 だが巨大れいむは気付いていなかった。 娘達は形だけではなく本当の親としての第一歩をしっかりと踏み出せていた。 その点で言えば巨大れいむは間違ってなかったのかも知れない。 しかし巨大れいむがそのことに気づくことは永遠にない。 結局巨大れいむは死ぬ間際までどこで何を間違えたのかと後悔し続けた。 終 by ゆっくりしたい人 巨大れいむに運命の分岐点があるとすれば逃げたまりさに追いついた時。 このSSに感想を付ける