約 115,752 件
https://w.atwiki.jp/skipbeat617/pages/42.html
351 :1/5:2005/06/01(水) 00 24 37 ID ??? きまぐれロックの収録の帰りに、やなヤツを見かけてしまった。 「キョーコちゃん、どうしたの?」 顔色を変えた私を見て、ブリッジロックの光さんが訝しげにしている。 「・・・なんでもないです・・・早く事務所戻りましょう? 私バイトもありますしー」 「バイト?キョーコちゃん最近結構仕事増えたでしょう?大丈夫?」 「下宿先の居酒屋なんです!この頃あんまり手伝えなくて申し訳なくって・・・」 「なんかキョーコちゃんらしいね。無理しないで?」 「ありがとうございます!」 光さん相変わらずイイヒトだなぁ~ 私が下積みのときから、ずっとこんな感じ。根が親切なんだろうな。 「おい、キョーコ。そいつ誰だよ」 ・・・振り返るとバカがいた。居る事忘れようと思ってたのに、ムカツクったら。 せっかく機嫌が直ったのに、話しかけてくるんじゃない!! 「・・・あんたに何の関係があるのよ、ショータr」 「その名前を口にするんじゃねぇ!」 「口にされたくなかったら近寄ってくんな!このバカショー!」 「俺のモンが勝手に男と歩いてていい訳あるかよ?」 「バカいってんじゃないわよ! 今更アンタになんでそんな事言われなきゃいけない訳!?!」 「お前を好きに出来んのは俺の権利なんだよ お前は俺の手下。パシリ。だろ?」 気が付くと光さんがものすごく訝しんでいる。 「あ、あの・・・昔の知り合いなんです。ただのバカなんです。 ・・・気にしないで下さいね?さ、事務所戻りましょうか」 「待てよ、まだ話は終わってねぇ!」 ふいにぎりっと腕を掴まれて、あまりの痛さに悲鳴も出ない。 離してよ!・・・が言葉になる前に、 別の腕がバカの腕を掴んで振りほどいてくれた。・・・? 「・・・敦賀さん・・・」 「女の子に乱暴なんて、感心しないね?」 ・・・なぜ貴方がココに? 「ただの通りすがりだよ?」 だからにっこり笑ってヒトの心を読まないで下さい・・・ 妖怪ですか、貴方は・・・ 「・・・アンタにゃ関係ないだろう。 俺とキョーコの話なんだからよ。」 あ、このバカショー!大魔王を刺激するんじゃない!!! 「・・・最上さんと君って、何か関係でもあるの?」 「ソイツは俺のモンなんだよ!昔っからな!」 ・・・なんか・・・いきなり周囲が寒くなったんですけど・・・ そしてなんで私の肩をふいに掴むんですか、敦賀さん? えええぇえ?? いきなり肩が生あったかくなったと思ったら・・・ なんで敦賀さんの顔が首筋にくっついてるんですか?? そんでなにか良く分らない鈍い感触が?? なんか見てる人みんな固まってるんですが、 一体ナニが起こっているんですか??? びっくりしてカチコチになってる私を正面で抱いて、 首筋に掛かる髪を掻き揚げて敦賀さんは言った。 「女は先に出会った男が手に入れるんじゃない。 ・・・先に手を付けた男が手に入れるんだ」 「っなっ・・・なな・・・なんでアンタが・・・」 「蕾といっても薔薇は薔薇だよ。 それを知らずに手放した君が今更吼えても 説得力は無いんじゃないかな?」 理解できない成り行きで緊迫した瞬間、 敦賀さんはふっ・・・と、柔らかく微笑った・・・ 「・・・なんてね。次のドラマの役柄風に言ってみたけど、どうだった? 最上さんがヒロインなんだから、それらしくしてみてよ?」 「ええぇ?私まだその話聞いてませんよ~? 敦賀さんは一体どんな役なんですか、それ?」 「ヒロインを手に入れるためには、 微笑みながら全く手段を選ばない、 殺人鬼の鬼畜の役だよ?」 「・・・それ、似合いすぎていませんか・・・?」 「・・・ほぅ。君の中の俺のイメージ、ぜひじっくり聞きたいものだね・・・?」 ・・・いやーーー、また地雷踏んじゃったーーー??? 「じゃ、ゆっくり聞かせてもらおうか。では失礼。」 恐る恐る肩越しに振り向くと、 タマシイを抜かれて呆然としてる二人の姿が見えた・・・ 光さん、絶対にびっくりしてるし後でどうやって言い訳しようかな・・・? バカショーはどうでもいいけど。 でも、まずは手を掴んで離してくれない大魔王をどうにかしなきゃ・・・ ・・・無理って言うのは経験上分ってるんだけど、ね・・・でも・・・ 誰か助けて~~~(泣
https://w.atwiki.jp/skipbeat617/pages/90.html
25 :電○女ACT.6 1:2005/06/30(木) 18 18 17 ID ??? 【ACT.6 再会の迷宮(ラビリンス)】 朝からバイトを探していた。 夕方からの【だるまや】に間に合うように、 時間も考え、場所も近くから探さないといけない。 自分は高校にも行ってないし、16歳でも雇ってくれる所は なかなかないので苦戦中。 部屋でバイト情報誌を見たりネットで探してみたり・・。 大将達と、ちょっと早めのお昼を食べたあと、私は商店街まで バイト探しに出た。 「今、何時だろう・・?」 何件か回ったところで、時間が気になり、時計を見ようと 左腕を見る。 「あ、そっか・・時計・・・。」 左腕にいつもつけていた時計は、あの日壊れてしまったので つけていない。 もらった時計は、やっぱり返したほうがいいんじゃないかと 思い、つけるのをためらっていた。 私は鞄から携帯を取り出し、時間を見る。 すると、『着信アリ』の表示。 「あれ?着信ありになってる・・・」 おかみさんから「戻って来い」という連絡だろうか・・・ 私は、このときまで「敦賀さん」のほうからかけてくるとは思いも してなかった。 12:43 敦賀さん 確認画面を見て、危うく携帯を落としそうになった。 何を話そう・・などと考える事もせず 慌ててかけなおす。 『留守番電話センターへ接続します・・・・』 かけなおすと留守電だった。 すぐに切ろうとしたが、掲示板での住人からの 『メッセ残した?』 の文字が頭によぎる。 「あ、あ、あの・・・あの!電車です!・・・じゃなかった 最上です!あの・・・電話もらったみたいで、出れなくてすみません・・。 あの・・・どうしよう・・・・また!そう!また電話します!」 メッセージを残すだけでも緊張して心臓バクバクだ。 電話を切ってからもしばらく手が震えていた。 電話は、15時にもかかって・・・・・・・きていた_| ̄|○ 最初の電話でメッセージを残してから すぐに【だるまや】に戻り、気をつけていたはずなのに マナーモードを解除し忘れていてまた取り逃がしたのだ。 私は馬鹿か・・・? その後は、17時・19時とかかってきたのだけど、【だるまや】の 仕事中で出られなかった。 電話が気になって、いつもはしないような失敗の連続だった。 22時。馴染みの団体さんがお座敷のほうに来ていて、いつもより 長めに店をあけていたため、片づけが残っていたが おかみさんが22時以降はいいからと私だけ早めにあげてくれた。 きっと失敗続きで様子が変だと気づき気を遣ってくれたのだろう。 部屋に戻ると、パソコンを立ち上げ、掲示板でみんなに報告する。 『今、バイトから上がりますた…_| ̄| 早く上げてもらいますた… 着信、何件も残しててくれたのに… 今からかけます 』送信っと。 こうして、誰かに報告してからでないと電話する決心がつかない。 送信してからもしばらくは携帯を手に、見つめるだけ・・。 ~落ち着いて。まず謝って、それからお礼いって、それから・・~ 電話で話すべきことを脳内整理する。 ~かけるわよ・・・・・だ、だめだ・・緊張する・・・どうしよう・・~ なかなか通話ボタンを押すことができない。 決心がつかず、掲示板を見たり時計を見たりの繰り返し。 謝る・お礼・食事という文字がぐるぐるぐるぐる頭を駆け巡る。 まるで、迷路に彷徨いこんだみたいだ。 電話をかければ、きっと出口は見えるはずなのに・・・。 ふと着信履歴を見る。 12時・15時・17時・19時の「敦賀さん」の履歴表示。 それを見たら、なぜか勇気が出、通話ボタンを押すことができた。 1.2.3コール目。今度は留守電じゃなく男の人の声で電話は繋がった。 「も、もしもし?すいません・・・最上ですが、敦賀さん・・ですか?」 「あっ、やっと繋がった・・」 あの日以来、耳にする「敦賀さん」の声だった。 あの日初めて会って、たくさん喋ったわけではないけど 低くて優しい艶のある声は、しっかりと私の記憶の中に残っていた。 「なかなか繋がらなくてすいません。 何度もかけてくださってありがとうございました。」 「昨日の電話もすいませんでした! メッセージ残さずきっちゃったりして・・、 そ、それに今日も遅くなっちゃって・・・・ホントすいません!」 なんだか私、謝ってばかりだ・・。 「いえいえ、こちらこそ・・タイミング悪くてごめんね。」 「時計!昨日届きました。こんな良い物を・・ありがとうございます。」 「無事に届いたようで安心したよ。こちらこそ、ごめんね。 あの時、君の時計壊しちゃって・・」 別に「敦賀さん」が壊したわけではないのに謝ってくれた。 「あの時は本当にすいませんでした。お時間取らせてしまって・・ それなのに、私ったら先に帰っちゃったりして・・・」 「ああ・・そんなこと気にしないで。 あの後すぐに俺達も帰ったよ。 あと、少し社さんと君のこと話してたんだ」 「え!?」 私のこと?何を!?と驚いたのだが 「あ、社さんって、メガネの・・・彼と、勇気ある子だって話をしてたんだ」 やしろさん、という名前に反応しての「え!?」と勘違いしたのか メガネの男の人の説明をされた。 『れ~~~ん・・時間~移動するよ~!』 電話の向こうから微かに遠くから呼ぶ、男の人の声が聞こえた。 「あ、ちょっとごめんね。うわさをすれば・・だ。」 そういって、「敦賀さん」は、受話器を手で塞いで、 「今、行きます!ちょっと待っててください」と返事をしていた。 どうやら、あのメガネの男の人が呼んでるらしい。 そういえば、私は最初に「今、大丈夫ですか?」と基本的な事を聞くのを忘れていた。 申し訳なくて、「あ、また後でもいいですよ。お時間のあるときで・・・。」 そう伝えると「敦賀さん」は、またあとでかけるよと言ってくれた。 電話を切ると、すぐに掲示板をリロードし、みんなに報告する。 手が震えて、なかなかうまくキーボードを打てない。 しばらくみんなと話をしたが、落ち着くどころか慌てるばかり。 今度かかってきたら、ちゃんととらなきゃ。 食事に誘わなきゃ・・・・ 謝罪とお礼は完了した。あとは、最難関の『食事のお誘い』だけが残っている。 これを言うのが、一番緊張するわけで・・・ そうこうするうちに、携帯が光る。 着信音がなる前に反射的に、慌ててでてしまう。 そして、片手でキーボードをうち、みんなに伝える。 『kた』 「ごめんね、運転するので電話できなくて・・お待たせしました。」 車の運転・・・するんだ・・・。 ということは、あの電車をいつも使ってるわけじゃないのね・・ 「すごく早かったですね」 「ああ、近かったからね。」 「なんか急がせてしまった様ですいません・・」 「平気だよ?いつもこれぐらいで着くし。」 それからしばらく、さっきの続きを話した。 あの日、一緒にいた社さんの事、電車の時の事、 俺がすぐに女性に注意すれば良かったのにごめんね、と謝ってくれたり・・ だけど、私は、食事に誘う流れに持っていこうと必死で 『時計のお礼に食事』が頭の中をめぐり、内容はあまり耳に入ってこなかった。 「あの・・・時計、本当にありがとうございました。」 『時計のお礼に食事』の『時計』クリア。 「ああ、気にいってくれた?」 「もちろん!・・・・でも・・・あの本当にコレ・・頂いた時計って すごく高価なものですよね ・・・? 気を遣わせてしまってすいませんでした」 そういって、時計を眺める。 「ああ、あれの事なら気にしないで。 こちらこそ返って気を遣わせてしまったようでごめんね」 「いえ・・・あ、あの!お礼!」 『時計のお礼に食事』の『お礼』クリア 「え?」 もう後には引き返せない。腹を決める。 「と、時計のお礼と言ってはなんですが、よかったら食事ににいhmb、fjgろp」 最初のほうを勢い良く言ったものだから、後がつづかず噛んでしまった。 ~・・・・馬鹿か、私は・・・・~ 案の定、「敦賀さん」は「え?」と聞き返してきた。 落ち着け、私! 「え~っと、食事、はどうでしょう?ご馳走、させてください」 今度はゆっくり、はっきり言えた。 「食事・・・?」 思ってもみなかったのだろう、「敦賀さん」は意外そう。 「はい。もし良かったら・・・でいいので・・」 弱いな・・・自分・・・ 「気を使わなくても大丈夫だよ?本当にたいしたものじゃないし・・」 ああ・・やっぱりだめなのね・・・ 「そう・・ですか・・・・」 そうよね・・・一度会ったぐらいの・・・しかも私みたいな子から 突然誘われて、OKする人なんて・・ 「そうだな・・・割り勘、とかどう? せっかく君が誘ってくれたんだから、是非お受けしたいんだけど 若いお嬢さんにご馳走させる、ってのはちょっと・・・ね?」 イタ━━━━━(゚ ∀゚ )━━━━━!!!!! じゃなくて、「へ?」思わず間抜けな声が出る。 「わ、割り勘というと・・・・・?」 「ご馳走になるまでは悪いので、自分の分は出すよ?どう?」 キタ━━━━━(゚ ∀゚ )━━━━━!!!!! 震える手で、掲示板に書き込む。 『おk』 「ほ、本当・・ですか?(夢、じゃないよね?)」 「本当。」 そう、しっかりと「敦賀さん」は答えた。 【ACT.6 再会の迷宮(ラビリンス)】おわり 【ACT.7 その名は禁忌(タブー)】 「敦賀さん」は忙しい人らしく、 「俺のスケジュール、調整してから電話するよ」と 最初の電話でしっかりとした日付は決まらなかった。 しかし翌日すぐに連絡があり、7月の19日に決まった。 「朝から迎えに行くよ。」といわれ、19日は朝から会うことになった。 私は、19日まで日があるので、短期バイトをすることにした。 今までは、長く勤められて・・・と考えていたので、 なかなか見つからなかったのだが、1日~2日の登録制の単発なら たくさん募集している。 私は早速、登録会に行き、バイトを詰め込んだ。 19日の為に、服や靴も買わなきゃいけないし、髪もどうにかしなきゃ。 それに・・・・ 私は、「敦賀さん」から時計が送られてきた次の日、時計を持って 質屋に行った事を思い出した。 別に質入目的ではない。 ただ、時計がどれぐらいのものなのか知りたかったのだ。 試しに持っていくと質屋のおじさんはこういった。 「これは・・・‘普通は’30万はするんだが・・こりゃ、特注だねぇ。」 おじさんが言うには、この時計は、日本に50本限定であるらしいのだが 私が持ってきた時計は、文字盤が菫青石という青い石で作られていて ほかでは見たことがないという。 しかも、その付加価値がついて、40万はくだらないということだった。 そんな高価な時計をくれた人を、そこらの店に連れて行くわけにはいかない。 最初は、貯金から少し・・と思っていたが、高校へ行くための貯金を やっぱり崩したくない。 2週間、毎日働けば・・・。 そして、今日。 私はいつもは絶対に履かない、超ミニスカートをはいて繁華街に立っていた。 「もー!あんた、もうちょっと声出しなさいよ!!」 「もー!こっちじゃなくてあっちよ!」 「もー!学生に渡してどうするのよ!」 「もー!あんた、一体何日やってんのよ~!」 もーもー うるさく言ってるのは、この仕事の先輩。 綺麗な人だが、なんだか口うるさくて厳しくてとっつきにくそう・・。 「今日、初めてなんです・・。」 「初めて!?もー!なんで、そんなはじめての子と2人なのよ!」 詰め込むだけ詰め込んだ単発のバイトは、新発売の商品を街中で配ったりする キャンペーンガールだった。 今日の仕事は、新しくなったタバコのキャンペーン。 登録したときは、まさかこんな制服を着るとは思いもしなかったし、 こんな仕事とは思ってもみなかった。 しかも初めての仕事で、慣れない上に、この先輩・・・。 「お昼、行くわよ!」 「え・・?いいんですか?ここは・・?」 「今日は、2人しかいないからいいわよ。ほっといて。 人数多いときは交代で行くことになってるんだけど・・。 一人でもいいって言うんなら、いいわよ?」 「・・・・・いえ、一緒に行かせていただきます・・・。」 「はい、どーぞ。」 そういって、先輩はスタスタと歩き始めた。 初めてでどうしていいかわからない私は、仕方ないので彼女についてくことにした。 先ほど配っていた場所が見えるカフェに入り食事をしていると 「配ってるともらってくれない人多いけど・・・ ホラ、見てみなさいよ。 ほっといたら ああやって勝手に持ってくの。 仕事減って楽でいいわ~」 先輩はそういって笑った。 「この仕事、長いんですか?」 「そうね~3ヶ月だから長くはないと思うけど・・・あんたもすぐ慣れるわよ。」 「慣れる・・かなぁ・・・仕事よりもまず、このミニスカートが・・」 「確かに短かすぎるけどね。オヤジとかジロジロ見てくし・・・ 一人でやってると、変な男寄ってくるから気をつけなさいよ」 まさか、だからお昼・・・こうしてくれたのかしら・・・? 「・・けど、あんた足 綺麗なんだからいいじゃない。 自信持ちなさいよ。」 「はい!」 それがきっかけで、私は先輩「モー子さん」と仲良くなった。 次の日も、モー子さんと同じ仕事で、その日は5人いたが お昼は、モー子さんと一緒に取った。 「もー!あんた、そのモー子さんってやめてよ!」 「いいじゃな~い。いっつももーもー言ってるからよ。今も言ってたし。」 彼女とのお喋りは楽しい。 私は今まで友達という友達がいなかったから彼女が初めての友達だった。 「そうだ!モー子さんって、どんな美容室行ってるの?」 「美容室?何?髪でも切りたいの?」 「うん。ちょっと・・・いろいろあって・・・綺麗にしたくて・・」 「いろいろって何よ?」 私は、あの日の事をモー子さんにすべて話した。 モー子さんは、「え~!ちょっとその男、ヘタレじゃないの?」とか 「あんた騙されてんじゃないの?」と心配してくれたが、 最終的に、美容室を紹介してくれて、 服を買いに行くのも付き合ってくれることになった。 モー子さんは女優を目指していて、普段は単位制の高校に行っていた。 「こういう人目につく仕事してたら、もしかしたらスカウトされるかも しれないでしょ?それに、こうして大声だして発声練習にもなるし 度胸もつくわ。ちょうどいいのよ、この仕事。」 夢を持って、努力をしている彼女がとてもうらやましかった。 私には何もない。 とりあえずは、高校へ・・と思ってるけど、その先どうしようかとか 何がやりたいとか目標がない。 それもこれもヤツに依存してたからだ・・・。 変わらなきゃ・・・・・・・・・ 「それじゃ、あまり長さは変えないで、少し軽くして・・ って感じでいいのかな?」 「はい。」 モー子さんの紹介してくれた美容室は、おしゃれで芸能人も来る 有名店だった。 予約を入れるのも大変らしいのだが、ちょうどモー子さんが 予約を入れておいてた日を譲ってくれたのだ。 「色は変えない?」 「う~ん・・・ちょっと明るくぐらいで・・・」 「そうねぇ~綺麗な髪だしねぇ~変えるよりも、そうだ! こんな感じ、どうかしら?」 そういって、美容師のおねえさんは 雑誌を取り出し 「知ってるかな?最近デビューした新人のアイドルでね・・ 『七倉 美森』って言ってね、ちょっとお人形さん系でかわいいでしょ? 感じも似てるし、どうかしら・・・?」 と、黒髪ロングの子のページをさした。 「あ・・・ほんとだ・・・」 そういって、まじまじと雑誌を見ていると 「最近、あの『不破 尚』と噂になったんだけど・・・・」 「・・・・は?」 「この子。美森ちゃん。なんかね、『不破 尚』とマンションから 出てくる所、撮られたって・・・」 髪の毛をブロッキングしながら、美容師さんは続けた。 「マンションから出てきた・・・って事は・・・ねぇ?」 「切ってください!」 「・・え?」 「やっぱり、気が変わったので、切ってください。 最初に言ってたようにバッサリいっちゃってください。 で、色も。とにかくイメチェン!します!」 誰が好き好んでヤツの女と同じになんかするか! 私は変わるんだ。 もうヤツと一緒に暮らしてた時の自分(の髪の毛)とは決別して 新しく人生やり直すんだ。 【ACT.7 その名は禁忌(タブー)】おわり 【ACT.8 危険地帯(デンジャラスゾーン)】 ちょっとした事で人生は、変化する。 それは、運なのか気持ちの持ちようなのか・・・。 そして、それはある日 突然やってくる。 「モー子さん!」 「・・・・・は?・・・ってあんた、キョーコ!?」 「おはよう!」 「おはよう・・・ずいぶん変わったわねぇ~~~」 私は、昨日髪を切った。 腰近くまであった長さを肩につくぐらい短くし 色も、明るめのオレンジブラウンに変えた。 【だるまや】に戻ると、大将とおかみさんは 最初気づいてくれなくて。 「ただいま戻りました」と声をかけたらやっと気づいてくれて おかみさんはすっごく驚いてたけど 「やっとキョーコちゃんも年頃の娘らしくなった」とかなんとか 喜んでくれて・・。 だけど、大将は茶髪が気に入らないのか その日、まったく口を利いてくれなかった・・。 「垢抜けたわよ。ほんと。なんか別人みたい。」 「自分でも鏡見るたびにビックリするよ。」 「で?それがもらった時計?」 そういって、モー子さんは私の左腕に光る時計を覗きこんだ。 「・・・・・ものすっごく、高そうね」 「うん・・・ちょっと着けてると怖いよ・・・落としたりしないかな?とか 傷ついたりしないかな・・・って気つかっちゃって・・」 昨日、変わった自分を見て、時計を使う決心をした。 「敦賀さん」に会った時、やっぱり返そうかとも思ったのだけど 返すのも失礼だし・・・それよりも、これを着けていったほうが あの人は喜んでくれると思ったから。 それに、外見だけだけど変わった自分に、少し自信がついたから・・。 外見を変えて、あの人からもらった時計を着けただけで 気持ちが前向きになって、仕事もいつもより楽しく思えた。 「ちょっと!君たち・・・・」 「はい?・・・ああ、こんにちは! 新しくリニューアルした『キュララ』です!どうぞ!」 サラリーマンらしき おじさんが声をかけてきたので 今日のキャンペーン商品の炭酸飲料を渡した。 「ああ、ありがとう。君たち、ちょっといいかな?」 「え・・あの・・・」 何だろう?やだ・・コレがモー子さんが言ってたエロオヤジかしら・・? 「すみません。仕事中ですので、お断りします!」 困っていると、モー子さんが先にピシャリと答えた。 「あ~変な者じゃないよ。LMEってわかるかな?芸能事務所なんだけど 君たち、芸能界に興味あるかな?」 げいのうかい? するとすぐに、モー子さんの態度が変わった。 すごい変わり身の早さにビックリしていると、おじさんは名刺と紙を差し出した。 LME芸能プロダクション タレント部 主任 椹 武憲 T.sawara 紙はオーディションの応募要項などが記載されているものと応募用紙だった。 「今週末で、すぐなんだが良かったら受けにきてくれるかな?」 「はい!行きます!」 モー子さんは、応募用紙を受け取ると即行、返事をした。 「じゃあ、待ってるよ」そういって、おじさん・・いや、椹さんは行ってしまった。 「良かったね!モー子さん!すごいよ!」 女優志望のモー子さんにとって、大チャンスだ。 「何言ってんの!あんたもよ!」 「・・・・は?」 「ほら見なさい。2枚づつ・・・あるでしょ? それに、あの人 君たちって最初から言ってたじゃない。」 「・・・・え?」 「LMEよ!LME!業界最大手よ! オーディション受けるのだって、ちょっとやそっとじゃ 受けさせてもらえない所よ?そのLMEの主任自らスカウトしてきたんだから! このオーディションもらったわ!」 モー子さんは、やる気満々だ・・・。 私は・・・・信じられなかった・・・。 自分がスカウトされるとは・・・。 確かに、まだオーディションを受ける機会ができただけで 芸能人になれると決まったわけではないけど・・・。 「ごめん、モー子さん・・せっかくだけど、私受けないよ。」 「どうして!あんたどうかしてるわよ。 受けたくても受けられない子たっくさんいるのに!」 「だって、私、芸能界に興味があるわけじゃないし・・・・」 それに、‘そこ’には、ヤツがいる。 もう会うこともない・・・いや、会いたくないヤツが・・。 「・・・・・あんた、変わりたいとか言ってたのは嘘?。」 「え・・?」 「あんた、人生やり直すとか言ってたじゃない?」 「うっ・・・うん言ってたけど・・・」 「まさか髪きって、イメチェンしただけで人生変わったとか思ってないわよね?」 「え・・・ううん!まさか!!」 「じゃあ、受けるわよね?」 半ば、脅しが入っていた。 「・・・・」 「受けるだけ受けてみなさいよ。 合格したらしたで、やるかやらないかは後でいくらでも考えて結論出せるし オーディション受けて、他人の目にどう映るか見てもらうだけでも 今後のあんたにはいい機会だと思うわよ?」 「・・・・」 「あんたは自分に自信がなさすぎるのよ。 さっきの思い出してみなさいよ。LMEでたくさんの綺麗な人を見てきてる 主任がよ?こんな人でごった返す中であんたを見て声をかけた。 それがどういうことがわかる?」 「それは・・・こんな格好してるから・・・」 「あんたと私って友達じゃなかったんだ?」 「まさか!友達だよ」 モー子さんの意外な言葉に、慌てて答えた。 「友達なら、私の言うこと信じられるよね?」 そういわれると、私はもう反論することができなかった。 その日、帰りに二人で服を見にいった。 オーディション用の服と、「敦賀さん」との約束の日に着ていく服。 そして オーディション当日、私とモー子さんは LMEの本社のドアをくぐった。 そこが危険地帯とも知らずに・・・・ 【ACT.8 危険地帯(デンジャラスゾーン)】おわり 【ACT.67 ディープ・ショック】 「朝いちで業者に渡すから・・・・そうだな、都内なら夕方には届くと思うよ。」 「それじゃ、お願いします。」 朝から俺は事務所で俳優部門の松島主任に荷物を渡した。 「あれ?蓮、もう用意してたんだ?」 「ええ、たまたまうちにちょうどいいものがあったので・・」 そう答えて、詳しいことは社さんには話さなかった。 きっと、‘あの時計’を送ったといえば、 社さんの事だ、理由をしつこく聞いてくる。 それに、なんと言っても社長にそれを知られたくなかった。 社長に知られればきっと、余計な勘違いをされる。 ‘そんなつもり’ではないんだ。あの時計を、贈ったのは・・・。 朝から分刻みのスケジュールで、息つく暇もなく、 彼女、『最上キョーコ』からの着信に気が着いたのは、深夜だった。 番号を携帯に登録していなかったため、最初は誰からだろうと 気づかなかったのだが、彼女に書いてもらったメモを見て、 彼女からの電話だとわかる。 「届いたかな・・?」 この時間、かけなおすのはさすがに彼女も寝ているだろう。 俺は、朝かけなおすことにして、ソファにもたれ いつの間にか、眠りについていた。 なつかしい夢をみた。 あの子の・・・『キョーコちゃん』の夢だ。 「コーン、行かないで・・・」 そういって、俺の右腕を掴んでいる・・・。 「ごめんね」そういって振り返ると、『キョーコちゃん』が あの子・・・電車で会った『最上キョーコ』の姿に変わっていた・・。 はっとして、目が覚める。 頬につたう生暖かい感触。 何、泣いてんだ・・・俺は・・・・。 懐かしい『キョーコちゃん』に面影の似た少女に出会ったからか。 あの子に会ってから、なぜか心がざわめく。 今まで考えようとしなかった『キョーコちゃん』の事ばかり 考えてしまう。 どうかしている・・・・。 夢で彼女が掴んだ感触が、まだ右腕に残っている。 腕に目を移すと、そこには時計が光っていた。 翌日のスケジュールも分刻み・・いや、秒刻みだった。 この日は朝からロケで、共演者の新人の子のNGで余裕なく押し気味だった。 昼、一度 彼女の携帯に電話をかけてみたが出ず。 留守電にもなっていなかったので、そのまま諦め再度かけなおすことにした。 何度か、すれ違い、22時過ぎ。 次の移動先まで余裕ができた時だった。 やっと彼女と電話で話すことができた。 時計が届いた事を報告し、電話でのすれ違いを一生懸命電話口で謝る彼女。 きっと、電話の向こうで必死に頭を下げてるんだろうと想像すると 笑いがこみ上げてくる。 しばらく話をしていたが 「蓮!移動!早くしないと遅れるぞ」 社さんの声で、現実に引き戻される。 俺は、またかけなおすといい、電話を切った。 「蓮、なんかいいことでもあった?」 「・・・・え?」 移動中の車で、社さんが俺の顔を覗きこんで口を開いた。 「今日は余裕なかったからお前ずっと厳しい顔してたけど、 なんか今は、そうでもないな~と思ってさ。」 「そうですか?ああ、もう次で終わりだな、と思ってるからじゃないですか?」 「そう?」 渋滞にはまらなかったからか、いつもより早く移動先に着き 次の仕事まで時間的に余裕ができたので 俺は、社さんから離れ携帯を取り出し彼女に電話した。 1コールで、彼女が出る。 待っててくれた・・? なぜか、顔が緩む・・。 しばらく話をしていると、彼女が意外な事を言い出した。 「時計のお礼と言ってはなんですが、良かったら 食事に・・・・」 思わず、「え?」と聞き返す。 「えーと、食事はどうでしょうか?ご馳走させて下さい」 普段、女性に誘われた時は、やんわりと断る俺だが、 なぜだろう・・・・・ 「そうだな・・・割り勘、とかどう? せっかく君が誘ってくれたんだから、是非お受けしたいんだけど 若いお嬢さんにご馳走させる、ってのはちょっと・・・ね?」 そう答えていた・・・。 しかし、忙しい俺はすぐにスケジュールをあけることなどできない。 翌日、無理をお願いして社さんに調整してもらい、少し先だが 7月の19日をあけてもらう。 早速、彼女に電話をし、19日の話をする。 食事、ということだったので彼女の希望を聞くことにした。 食事に関して、俺は特にこだわりがない。 何が食べたいとか、どうしてもこれでなきゃダメだというのがない。 腹に入れば、何でもいい。時間をかけず、だと尚さら可だ。 「君の好きなものにしよう。」 そういうと、最初 彼女は遠慮してたが 「ハンバーグ!」 そう答えた。 それを聞いて、思わず笑ってしまう。 『キョーコちゃん』もハンバーグが大好きな子だった・・・・。 電話を切り、俺は考えていた。 まいったな・・・なんでここまで彼女とかぶる・・? 面影は、俺の気のせいだとしても 名前といい・・・好きなものといい・・・ 偶然・・? 『キョーコちゃん』、確か彼女は、今年で16歳。 『最上キョーコ』もそれぐらいだ・・。 やっぱり、俺は『キョーコちゃん』が初恋だったのかもしれない だから今、こうして思い出す・・? 思い出を切り捨てられなかったのも、そのせいか。 俺は今まで『キョーコちゃん』のことを考えようとしなかったが それは、‘あの時’手に入らないとわかっていたから・・? だから忘れようと・・・心の奥で・・・諦めようと・・・ もがいていた・・? では、今・・ 彼女と・・ 『キョーコちゃん』と似た少女が目の前に現れた今・・・・ 俺は━━━━━どうする━━━━━? 【ACT.67 ディープ・ショック】おわり 【ACT.9 プリンセス革命(クーデター)-イヂワル姫-】 「ああ、君たち!待ってたよ!」 LMEの正面玄関を入ると、椹さんがすぐに声をかけてきた。 「おはようございます。今日はよろしくお願いします」 「ああ、頑張ってね。それじゃ応募用紙もらおうか?」 そういって、応募用紙を手渡すと、受付まで案内された。 受付で、番号のついたバッジをもらうと、オーディション 参加者のいる控え室まで案内された。 「う”っ!」 「どーしたのよ?」 「・・・綺麗な子がたくさん・・・・」 「そりゃ、芸能界目指す子が集まってるんだから・・」 周りを見渡せば、着飾った綺麗な子がたくさんで 自分に自信のない私は、気後れしてしまう。 モー子さんと適当に選んだ椅子に座り、今日の流れが書かれた スケジュール表に目を通した。 「ねぇ、モー子さん・・・一次審査まで、なんか時間ありすぎじゃない?」 「え?・・・・そう・・ねぇ・・」 集合時間は、9時だった。 しかし、一次審査の開始は11時。 「・・・ねぇ、モー子さん・・・さっきから人・・・減ってない?」 「・・・え?・・・・・・・・そう・・・・ねぇ・・・・」 なんだか様子がおかしかった。 100人近くいた参加者が、少しづつ減っていってるのだ。 「みんな、トイレとか行ってんじゃないの?」 「あ、そうかもね・・・」 そう二人で話してると、ふわふわの巻き髪でフリフリのお洋服を着た 人形のような小さな女の子が近くにやってきた。 そういえば、さっきからウロウロしてたわね・・ この子も参加者かしら・・・? それにしてもかわいいわぁ・・・お姫様みたい・・。 そう思ってジロジロ見ていると、 「こんにちわ。」 と声をかけられた。 「こんにちは。あなたもオーディションに?」 「・・・いいえ。」 そういって、ニッコリ微笑む姿は本当に天使のよう・・。 「お姉さまたちは・・・興味ないの?」 「へ?」 「蓮さまがいるわよ?控え室の外に。見に行かなくてよろしいの?」 そういって、控え室のドアを指差した。 私は何を言われてるのかわからず、キョトンとしていると モー子さんが口を開いた。 「ああ、あの人ね。俳優として、興味はあるけど別に実物見てもね~。 本人には興味ないわ。悪いけど・・。」 「そう?・・・合格ね・・・・」 女の子はそうボソリと呟き、 「それじゃお姉さまたち、またお会いしましょう!」 ニッコリ微笑んで去って行った。 私は何がなんだかわからず、モー子さんに尋ねる。 「蓮さまって・・・?」 「・・・あんた知らないの?俳優の・・・」 「私、芸能人良くしらなくて・・テレビも見ないし・・・」 「ふーん・・。あの『敦賀 蓮』をしらないなんて・・・ でも、知っといたほうがいいわよ。」 「・・つるが・・・・れん・・・・・・?」 「そう、ココの看板俳優。敦賀 蓮よ。」 「・・・・・聞いたこと・・ある名前・・・・」 「ああ、あんたの言ってた男も『敦賀さん』だったわね」 『つるが れん』・・・・聞いた事のある名前・・・。 確か・・・あの人も・・・・「敦賀さん」も・・・ 下の名前は『蓮』だったような・・・。 「ねぇ・・・モー子さん・・・ちなみにその『つるがれん』とやらは どんなお顔をしてらっしゃるの・・かしら・・?」 「どんな顔って・・・ここの俳優だから、その辺にポスターかなんか あるんじゃ・・・・ってあった!あそこ!あれよあれが『敦賀蓮』」 そういって、モー子さんが指差したポスターに映っていたのは 紛れもなく、あの日 電車であった彼、「敦賀さん」だった。 「なsdfghjkl;:::!!!!!!!!!!!!!」 私は驚き声も出せず、 さっき女の子が「蓮さまが居る」といって指差していた 控え室のドアのほうへ駆け出した。 するとドアが開き、 「ちょっと蓮が居るって、ガセじゃな~い!」 「もう、何なのよ!」 「誰よ、蓮いるって言ったの・・・」 そう口々に言いながら女の子が続々と戻ってきた。 私は、力が抜け その場にへたり込んでしまった。 【ACT.9 プリンセス革命(クーデター)-イヂワル姫-】おわり 【ACT.10 プリンセス革命(クーデター)-舞踏会への招待状-】 これは・・・どういう事・・? ドアのほうへ勢い良く走り出し、その場にへたり込んだ私に 後ろから慌てて追ってきたモー子さんが声をかけた。 「ちょっと大丈夫?どうしたのよ突然!」 私は、地面にへたりこんだままモー子さんに尋ねた。 「ねぇ・・モー子さん・・・ここの住所って・・?」 「ハァ?住所?え~っと・・・港区●●・・番地は知らないわよ!」 「ねぇ・・モー子さん・・・LMEって正式名称・・?」 「正式名称・・?えっとLがローリィーってのは知ってるけど MとEはなんだったかしら・・?」 「・・・ろーりぃず・・まじぇすてぃっく・・えんたーていめんと・・?」 「あ!そうそうそれよ!何だあんた知ってんじゃないの!」 ゴクリ・・・。 すべてが一致する。 私はあの日の「敦賀さん」を思い出していた。 あの日、「敦賀さん」は、人目を避けるように電車に乗ってた。 彼を見た酔っ払い女の態度豹変といい、周りの女性達の様子もおかしかった。 警察で、「騒ぎになると困る」とも言っていた。 それにあの一緒に居たメガネの・・社さんの態度・・。 加え、「敦賀さん」の‘あの’容姿・・・。 すべて、辻褄が合う・・・。 私は・・・なんで私は今まで気がつかなかったのよ! ヤツと決別してからヤツの姿を見ないようにと、 テレビや雑誌なんかに見向きもせず、芸能界の事など耳に入れようともしなかった。 ヤツと暮らしてるときも、なるべく見ないようにしていた。 ヤツが、「自分至上主義」だったから・・・。 他の芸能人・・たとえ、ジャンルが違っても、男の芸能人なんてテレビで 見てた日には、すぐ機嫌が悪くなって大変だったのだ。 「敦賀さん」が芸能人・・・ 俳優・・・・ 私は・・・・・? そんな凄い人と私・・・・ 地味な一般人・・・ いいえ!ちょっと待って! 今、私は 何しにここに来てる? オーディション! そうよ、‘芸能人’になるためのオーディションに来てるんじゃない! これは、偶然じゃない! 運命よ! 「敦賀さん」と出会ったのも・・・ こうしてオーディションを受けることになったのも すべて、‘運命’よ! でなきゃ、なかなかこんな偶然ないわ。 それに、敦賀さん! あなたと出会ったのを、偶然になんかしたくない! あなたに近づくために、このオーディションなんとしてでも受かって、 神様がくれた、この‘芸能界への招待状’・・私、いただくわ。 そしてあなたに相応しい所までのぼり詰めなきゃ! 私はそう決心し、モー子さんに‘全て’を話した。 【ACT.10 プリンセス革命(クーデター)-舞踏会への招待状-】おわり 【ACT.11 プリンセス革命(クーデター)-魔法-】 幼いころ読んでいた御伽噺。 魔法をかけられて、美しくなったお姫様は 舞踏会で王子様に出会い、恋をした。 魔法使いがかけた魔法は 0時を過ぎたら解けてしまったけれど・・・ 30分前、私は電車で出会った「王子様」の正体を知った。 「王子様」の正体は、芸能界一いい男 誰もが認める、実力派俳優『敦賀 蓮』だった。 正体を知り、私は、このオーディションをなんとしてでも 合格して、芸能界への招待状を手に入れようと決心した。 オーディションに合格するためには、綺麗にならなくては! そう思い、私は今、魔法使いに魔法をかけてもらっている。 「あんた随分、化粧映えするのね~」 モー子さんはそう言いながら、手を動かす。 「これでヨシ、と。ほら、見て御覧なさいよ鏡。」 目を開けると、そこには綺麗に化粧をした自分が居た。 本当に、魔法をかけられたみたい・・別人だ・・。 「これ・・・私・・?」 「そうよ!感謝しなさい。私の腕に!」 「ありがとう!モー子さん!!!!!」 初めてのメイク・・。 ずっと、憧れていた。 こんな形で叶うとは、思わなかったけど・・。 「モー子さんって、メイクうまいんだねぇ・・・」 「そんなことないわよ。あんたが化粧映えするからよ。」 鏡に映る自分をまじまじと見つめる。 まるで、魔法にかかったシンデレラ・・・。 戦闘態勢は整った。 「王子様」は不在だけれど、舞踏会に乗り込む用意はできた。 「そろそろ時間よ。いきましょう」 私は、舞踏会へと足を踏み入れた・・・。 【ACT.11 プリンセス革命(クーデター)-魔法-】おわり 【ACT.12 プリンセス革命(クーデター)-舞闘会-】 私はモー子さんみたいに、 最初から芸能界を目指していたわけではない。 だから他のオーディションがどんなのかは知らない。 だけど、これだけはわかった。 お か し い と。 何がおかしいって、社長の登場の仕方からして おかしかった。 普通じゃなかった。 尋常だった。 急に、ファンファーレがなるかと思ったら、 サンバのリズムに合わせた踊り子さん達が どこからともなく湧き出てきて、 「ここはリオ?」 と目をゴシゴシとこすっていると、クルクルと踊りながら・・・ 「ローリィ・宝田です」と社長登場・・・。 芸能界って、やっぱりおかしいのよ! というか、こんな社長のいる会社に‘あの’敦賀さんがいるなんて・・。 敦賀さんが不憫に思えてきた・・。 一次審査は、自己紹介や特技を披露するものだった。 私は、昨夜 オーディションを受けることを大将とおかみさんに報告し 特技を披露するために必要な、大将の「大事な包丁」をお借りした。 オーディションの話をすると、二人はかなり驚いていたけれど 「やれるだけやってこい」と・・大将は、そう言ってくれた。 大将から借りた包丁は、手入れが行き届いていてそれは立派なものだった。 自分の順番がやってきた。 こんな人前で披露するのは久しぶりで緊張する。 前に‘これ’を人前で披露したのは、 確か【だるまや】のバイトが決まった時。 おかみさんと大将の前で披露した時だったか・・。 あの時、おかみさん曰く、 ‘めったに人を褒めることがない大将’ その大将が褒めてくれたのを 今でも、鮮明に覚えている。 「ほう・・綺麗な子じゃないか・・」 「・・・そうですね・・随分と・・・応募書類の写真と違いますが・・」 化粧で変わった私は、応募書類につけたスッピン写真とは別人だった。 「61番、最上 キョーコ、大根でバラを作ります!」 そういって、私は特技の桂剥きを披露した。 「おおおおおお・・・・・」 他の参加者や、審査員の連中が驚く中、私は夢中で大根を剥き続けた。 その時、私は大根に夢中だったから気づかなかった。 あのおかしな社長が、 私の手元ではなく、左腕に目を留めている事に・・・。 【ACT.12 プリンセス革命(クーデター)-舞闘会-】おわり 【ACT.13 プリンセス革命(クーデター)-心(ハート)に火をつけて-】 「凄い、特技だったわね・・」 「モー子さんこそ凄いよ!どうやったら覚えられるの?」 モー子さんの特技は、本をパラパラとめくっただけで すぐに内容を暗記できる、一流女優でも絶対に無理であろう 神業級のものだった。 この特技のおかげか、二人とも一次審査を無事合格した。 スカウトしてくれた椹さんも、「君達なら絶対大丈夫だよ」 と太鼓判を押してくれて、ここまでは良かったのだ。 しかし、2次審査で思わぬ弱点を私は衝かれた・・・。 コンコン 「61番、最上キョーコ入ります」 そういって、扉を開けると、審査員と社長さんがずらりと 待ち構えていた。 「座ってください」 目の前にあった椅子に座るよう指示される。 「失礼します・・」 最初は他愛のない会話。 どうして、芸能界に~とか何がやりたいか~などの質問をされた。 私は、適当に当たり障りのないよう答えていく。 途中までは、かなりうまく乗り切っていた。 しかし、社長さんの意外な質問で私は躓く。 「君は、恋をしたことがあるかな?」 恋・・・・? なぜ、こんな質問をするのだろう・・? 「・・・・はい・・・ある・・・と思います」 「あると、思います?どういう意味かな?」 「え・・っと・・・・」 「質問を変えようか?好きな人はいるかな?」 「・・・・・いる・・と思います・・・。」 私は、敦賀さんを思い出していた。 「いると思います?どういう意味かな?自分の好きな人のことだよ?」 「あ・・・それは・・・まだ好きか・・わからないからです」 そういって、私は自分の左腕に光る時計を見つめた。 「ふ~む・・・正直に答えてくれるかな?今・・恋人は?」 「いません。」 「・・・そう。」 「それじゃ、君にとっての『愛』ってなんだね?」 「愛・・・・・愛・・・・わからないです・・・」 「・・・・・『愛』を一言で表すと君ならどう表現する?」 「・・・・・・・破滅と絶望の序曲・・・・です」 言いながら、社長さんの顔を見ると、今にも泣き出しそうな 子犬のような顔だった・・・。 私は、二次審査で不合格となった。 「元気だしなさいよ。芸能界に入れなくても、敦賀さんには会えるんだから」 「・・うん・・モー子さん・・・それじゃ頑張ってね・・」 モー子さんは無事に合格し、次の審査のため私達はそこで別れた。 モー子さんが去ると、後ろから椹さんがやってきた。 「最上くん!」 「椹さん・・・・」 「ちょっといいかな?」 そういって、私は椹さんにLMEの喫茶室に連れて行かれた。 「君の評価は、すごくよかったんだけどね・・ 問題は・・その・・・二次面談での社長との話で・・・」 「何が・・・いけなかったんですか・・?」 聞かなくても、なんとなく理由はわかっていた。 「君は・・芸能人として一番、欠いてはならないものが欠けてる」 「芸能人として欠いてはならない・・もの?」 「君、愛は破滅と絶望・・そう言っていただろう?」 「・・・・はい・・・」 「そこが問題だったんだ。芸能人は大衆に愛されてこそ・・なんだ だから・・・・・・」 愛・・・・・・・・ 愛しても、愛し返される保障がないのに・・・・? どうやったら、人を愛することができるの・・? 血の繋がった人間にさえ・・・ずっと一緒に育ってきた人にさえ 愛されることがなかった私に、 どうやって顔も知らない人間を愛せと・・・? 「・・・・・・わかりました・・・・・」 誰か・・・私に、愛を教えて・・・・ 【ACT.13 プリンセス革命(クーデター)-心(ハート)に火をつけて-】おわり 【ACT.14 プリンセス革命(クーデター)-AM12:00-】 LMEを後にし、【だるまや】に戻った私は、 部屋にこもり、抜け殻のようになっていた。 即興でかけた魔法は、涙で崩れ 0時を待たずあっという間に解けた。 パソコンを立ち上げ、掲示板を開く・・。 泣き顔を見られず、人と話せる場所で私は、 元気なフリをして、住人と語り、気を紛らわす。 私は、オーディションを受けるということは、住人には話していなかった。 『もうすぐだね。コーンとの約束の日』 その文字で、敦賀さんとの約束を思い出す。 19日は、もうすぐそこだ・・・。 『コーンとあれから話した?』 コーン・・・敦賀さんとは、約束を決めた日以来、 メールでやり取りをしていた。 忙しいから、返事はすぐには出せないけど 電話よりは、すれ違いにはならないだろうから・・と 気を遣ってくれたのだ。 『コーンって、マジ何者だろうね? 会ったら、少しは謎がとけるかな?』 住人に黙っているのは、少し心ぐるしかったけど 敦賀さんの正体は、住人には報告しなかった。 パニックになるどころか、大変な事になってしまうから・・。 敦賀さん・・俳優さんだったとはね・・・。 忙しいよね・・? 忙しい人というのは、わかっていた。 だけど・・・・ 声が聞きたかった。 私は無意識に敦賀さんに電話をかけていた。 『もしもし?』 敦賀さんの声で、我にかえる。 「あ!ご、ごめんなさい!!」 思わず、謝る。 無意識にかけて・・彼の声を聞くまで気づかないなんて・・ 『どうした?』 電話の向こうから、優しい声が聞こえた。 「あ・・あの・・・・」 まさか、無意識にかけました。とは言えない。 『何かあった・・・?』 心配そうな声・・・。 「いえ・・何もないんですけど・・って、何もないじゃなくて・・」 用がないのにかけてきたと思われたくなくて、慌てていい訳を考える。 電話の向こうで、クスリと笑い声が聞こえた。 『・・・もうすぐだね』 「え・・?」 『19日。俺もちょうど君に電話しようと思ってたところだったんだ』 いつの間にか止まっていた涙が再び、溢れ出した。 敦賀さんの声が優しいから・・ 敦賀さんの気遣いがわかったから・・・ 『ハンバーグ、ちょっと遠いけど、いいお店紹介してもらったから そこでいい?』 「あ・・・探してくれたんですか・・?」 『うん。社さんに聞いて・・』 「ありがとうございます・・・」 『楽しみにしてて?』 「はい!そうだ・・私、おめかししていきますが、驚かないで下さいね…」 きっと、私の変わりように敦賀さんは驚くだろう。 『そう?じゃあ、俺もおめかししていこうかな』 時計は0時を過ぎていた。 幼いころ読んでいた御伽噺。 魔法をかけられて、美しくなったお姫様は 舞踏会で王子様に出会い、恋をした。 魔法使いがかけた魔法は 0時を過ぎたら解けてしまったけれど・・・ 王子様がかけた、恋の魔法は解けることなく・・・・・・・・ 【ACT.14 プリンセス革命(クーデター)-AM12:00-】おわり 【ACT.15 一蓮托生】 ふぅむ・・・・・・ 「おじいさま!おじいさまってば!」 「ん?ああ・・・どうした?マリア?」 「ずっと考え事してらっしゃるけど、どうなされたの?」 ローリィは一枚の紙を見ながら、考え事をしていた。 今日は、午後から一日中こんな感じだ。 「ああ・・・オーディションの事を考えてたんだよ・・・」 「オーディション?」 そういうと、マリアはローリィの持っている紙を覗きこんだ。 「あら?このお姉さま・・・」 「マリア、知ってるのか?」 マリアは、ローリィから紙を奪う。 「・・・控え室で少しお話しただけよ?」 ローリィが持っていた紙は、キョーコの応募用紙だった。 「なんの話を・・・?」 キョーコの応募用紙を眺めながらマリアはニヤリと笑った。 「いつものように、‘審査’をしたの。」 LMEオーディション、それはスケジュール表にはない、謎の第一審査から始まる。 その謎の第一審査 審査員はここにいる我が孫娘、宝田マリア・・この子である。 うちの看板俳優である、『敦賀 蓮』は、女性に人気があり その蓮に近づく為、生で蓮を見る為という理由でオーディションに 応募してくる人間も少なくはない。 そんな、応募者を一次審査前に見抜き、落とすのがこの子の趣味・・・。 いや、仕事である・・・。 別に社長である自分が頼んだわけではない。 蓮に懐いているこの子が、勝手にいつの間にかやりはじめたことだ。 まぁ、自分も助かっているので、特に口出しはせず 好きにやらせている。 「それで?‘正式な一次審査’に居たということは、お前の‘審査’は 通過したわけだが・・・何を話したんだ?」 「ん~特に、話らしい話はしなかったわ。 だって、そのお姉さま、蓮さまの事、知らなかったのよ・・・」 「・・・・蓮の事を・・・しらなかった・・・?」 「ええ。蓮さまの事を知らない人って、私はじめてよ。」 あの子が・・・蓮を知らない・・・・・? いや、そんなはずはない。 あの子の左腕には確かに、蓮と同じ‘あの時計’が光っていた。 見間違えるはずはない。 あれは自分が蓮にプレゼントしたものだ。 確かに、日本に50本は同じデザインのものが出回ってはいる。 しかし、あの文字盤・・・・。 蓮の希望で変えた、『菫青石』の文字盤・・。 彼女の時計も確かに、蓮と同じ『菫青石』の文字盤だった。 あの石の文字盤で作られたのは、日本で・・・いや、世界でたった二つだけ。 蓮と、そして蓮と運命を共にする者だけがつけるはずの二つの時計。 彼女が蓮の熱狂的なファンで金を積んで、 蓮と同じ時計を作ったとも考えられない。 マリアは『そのお姉さま、蓮さまの事、しらなかったのよ・・』といっている。 これは・・・どういうことだ? 最上キョーコ・・・何者だ・・? 彼女は蓮を知らないというのに、蓮の時計の片割れを持っている。 蓮の時計の片割れを持っているのに、『恋人はいない』という・・。 『愛』がわからないと言う・・。 蓮とこの子はどういう関係なのだ・・・・? 【ACT.15 一蓮托生】おわり
https://w.atwiki.jp/skipbeat617/pages/76.html
725 :側近は見た! 1:2005/06/21(火) 23 44 31 ID ??? 「ーーーーぃ様・・・・リィしゃちょう・・・社長!」 『しーーーーーーーーーーーーーーっ!』 目の前で、四つんばいになり床に張り付いてるこの方は、私の上司であるローリィ社長。 ここは、そのローリィ社長の遊び場・・いえ、城であるLMEの・・・・・ ・・・・・・・LMEの・・・・・・・・2階、天井裏。 くもの巣が張り、埃っぽく 高さ50センチもないこの場所で 私たちは四つんばいになって、換気口から下を覗いておりました。 真下には、現在社長のオモチャ・・・・ターゲットである 蓮様と京子様のお姿が。 ここは、きっと場所的にはラブミー部室あたりではないかと・・・ え? あんた誰?って? 私は、ローリィ様の側近。 訳あって、名前と顔は明かせません。 仕事内容といい苦労ぶりといい、ガラ●メで言うところの、 『聖』と似たようなものです。 (↑知らない方はスルーしてください。) 毎日、ローリィ様の周りに薔薇の花びらを巻いたり、らくだやウマー(゚д゚)を 引いたりしてお仕えしております。 私がこの方にお仕えして、もう何年がたちましたでしょうか。 お仕えを始めた当初は、この浮世離れした毎日に 己が身の運命を呪いもしました。 しかし、人間『諦め』が肝心ですね。 それに、『洗脳』というエッセンスを加えれば最強です。 『ここは日本じゃない・・・-LMEという名の国である-』 『これは演技だ・・・-そうよ、私は女優・・-』 ・・そう思うことにして今ではすっかり、 これが当たり前の生活になってしまいました。 話がそれてしまいましたが、ここは先ほど言いましたが天井裏です。 先日、いつものごとく 突然に何かを思いつかれたローリィ様は、 左手にデジカメ・右手にボイスレコーダを持ち、コソコソと 蓮様と京子様の周辺を嗅ぎ回られるようになりました。 時間があれば業務そっちのけで 毎日、蓮様と京子様を記録されているご様子。 一、側近の私には、理由はわかりません。 そして今日も、マリア様作成のLME社内裏マップを持って、 こうして天井裏からお二人を観察をしているところです。 っと!いけない。 こんな説明をしている場合ではありませんでした。 「ローリィ様、お時間です。もうそろそろ会議室に向かわねば 会議に遅れてしまいます。」 そう、ローリィ様にはそろそろ遊びをやめて本来の仕事に 戻ってもらわなければいけないのです。 「う~~いい所だぞ?・・・・もう少し・・・」 「いけません!ほらもうあと5分しかありません。急ぎませんと!」 確かに、私も蓮様と京子様のご様子を見ているのは、 正直楽しいのですが・・・ こうしてローリィ様のスケジュールを把握し先を促す、 いわゆる秘書的な仕事も私の勤めです。 水城秘書のような優秀な秘書が居てくだされば、 (↑知らない方はスルーしてください。) 私の苦労も少しは減るのですが・・。 「ふむ・・・仕方ない、行くぞ!」 そういって、狭い天井裏で四つんばいのまま方向転換をし スゴスゴと去るローリィ様の姿を追おうとした その時でした・・・。 「んっ!敦賀さん!」 京子様の声に、ふと換気口に目を向けると、目に飛び込んできたのは ドラマ・・?とは思えない、生生しいお二人のキ、キスシーン・・。(照) 「ーーーーぃ様・・・・リィしゃちょう・・・社長!」 『しーーーーーーーーーーーーーーっ!』 『もう少し、頭さげてください。』 『ああん? しようがねーだろう。お前より俺のがデカイんだから。じゃあお前、前にいけ』 『あ~コラ!今度は俺がみれねーだろう!やっぱお前は後ろだ後ろ!』 『し~~~~~~~~~~!今!いいところなんですから!』 あれ以来、私もお二人の様子が気になり、すっかり出歯亀の仲間になってしまいました。 今では、お二人を観察するときにローリィ様と場所を取り合ってる始末。 『なんだよ、お前 興味なかったんじゃねーのかよ・・・・』 私の後ろでボソボソと文句を言いつつ観察を続けるローリィ様と 今日も二人で蓮様と京子様を観察しています。 LMEに入社し、ローリィ様の側近になって数年・・・ なんだかんだ言いつつも、楽しく過ごさせていただいています。 そうそう最近、気づいたことが二つあるんです。 自分(の趣味)がローリィ様と似てきた事と・・・ ―――――――――LME2大俳優の恋。 これは、私だけの秘密です。
https://w.atwiki.jp/skipbeat617/pages/25.html
158 :1/5:2005/05/23(月) 04 32 42 ID ??? あと言い忘れましたがブラック(?)松です。 コイツは…誰だ――…? 物心がついたときから一緒に住んでいた最上キョーコと 今目の前にいるコイツとは別人のような気がした。 いや、そんなことはどうだっていい。コイツは俺のモンで俺だけが好きに扱える。 それだけ分かってれば十分だ。そんなことを考えていた時だった。 「はい、もしもし?・・・えっ敦賀さん!?」 一瞬俺は自分の耳を疑った。 キョーコは確かLMEで敦賀蓮の後輩だ。ということは… どうやら俺の聞き間違いではないらしい キョーコは今、あの憎き敦賀蓮と電話をしてる。 頭が真っ白になってキョーコが何を喋っているのか耳に入ってこない。 しかし電話をしているキョーコの姿を見るだけで 二人がそれなりに親しいことは一目瞭然だった。 「ちょっ、ちょっと!!なにすんのよぉぉっ!」 俺は無意識のうちにキョーコから携帯電話を奪い取っていた。 敦賀蓮相手に何を話したかは覚えていない。 何かテキトーにいって電源を切った。 ――ブツンッ―― 「なんてことしてくれたのよっ!あぁもう…お詫びの電話をし… きゃっ!痛っ!離してっなにするのよっ!?」 俺はキョーコの腕を強引に引っ張って歩き出した。 「ちょっと来い――…」 離せだのふざけるなだの色々わめいていたが、 キョーコの言葉は全部無視してさっきまで使っていた楽屋の部屋に押し込んだ。 「もうっなんなのよ一体!」 「…。」 「黙ってないで何とかいいなさいよ!」 「……あの野郎とはどういう関係なんだよ。」 「…は?」 「敦賀蓮とはどういう関係かって聞いてんだよ!」 自分でもなんでこんなにイライラしてるのか分からなかった。 自分で自分の感情のコントロールがきかない。こんなことは初めてだ。 キョーコもそんな俺に戸惑ってる様子だ。 「つ、敦賀さんは事務所の先輩よ。」 「そういうことじゃねえよ!」 意図した事とは違う内容が返ってきたことに余計にイライラがつのり 俺はキョーコの肩を掴み思いっきり壁に押し付け、顔を近づけた。 「まさかあの敦賀蓮がただの後輩にわざわざ電話なんてするわけねぇよなぁ。 どれだけ親しいんだ?なぁ言ってみろよ。」 今度はちゃんと俺の聞きたい事を理解したみたいだ。 「特別親しいってわけじゃないわよ。敦賀さん食生活がよくないから 家にお邪魔してご飯作ったりしてるだけ。色々お世話になってるし、 本当はもっと色々してあげれたらいいんだけど 私にできることなんてご飯作る事くらいしかないのよね~。」 ちょっと待て!何言ってるんだコイツは。ご飯作ったりしてるだけ…? ふざけるなよ。お前にそういうことやらせていいのは俺だけのはずだ。 お前は俺のモンなんだから――… 「ちょっと!聞いてんの?あんたが話せっていうから話したんでしょ!」 どうやら俺が何の反応もないのを見て、俺が話を聞いてないと思ったらしい。 「答えてあげてんだからちゃんと聞いてなさいよ。 まったくもう…何回も言わせないでよ。敦賀さんとは――」 俺だってこんな事何回も聞かされたくなんかねぇよ! いてもたってもいられず俺は自分の唇でキョーコの唇をふさいだ。 そしてそれはいつしか熱いキスになっていた。 キョーコは経験がないのか固まっていて俺のされるがままになっている。 そういう俺もこんなに余裕のないキスをしたのは初めてだ。 しばらくして唇を離したがキョーコは依然固まったままだ。 「おい、キョーコ!おいったら!」 全く呼びかけに反応しないキョーコにどうしたらいいのかと戸惑っていると ――バシーンッ―― 急に右の頬にヒリヒリとする痛みが来た。 どうやら焦って考え込んでるうちに平手打ちされたらしい。 「おまっ…なにすんだよ!俺の顔に…!」 「なにするのはこっちのセリフでしょ!なんであんたなんかに私の…。」 「へぇ。お前もしかしてファーストキス?まぁそんなことだろうと思ったけど。」 それだけのことでキョーコは俺のモンだと確認できた気がしてふと微笑みがこぼれた。 「なっ…笑うなんて最低!このスケコマシ!!」 そう言い放ってってキョーコは走り去っていった。 俺は平手打ちされた頬をさすりながら さっきまでキョーコが立っていた場所を眺めていた。 アイツは俺のモンだ。誰にも渡さねぇ。誰にも――… END-
https://w.atwiki.jp/skipbeat617/pages/57.html
2-1482-314-あめふり617628685686716740939
https://w.atwiki.jp/skipbeat617/pages/26.html
171 :1/8:2005/05/23(月) 23 16 43 ID ??? 怖い、怖いよう・・・どうしよう。 それもこれもあのバカショーがっ!! たまたまバラエティーで一緒になっただけなのよ? なのにあのバカが休憩時間に近寄ってきて。 そして更にたまたま敦賀さんから携帯が来て。 でもまさかこの状況で電話を取れる訳がないから 発信元を確認してすぐにしまおうとしたら、 何かを察したあのバカに携帯取り上げられて 勝手に電話に出られて暴言吐かれて。 ・・・もちろんバカショーはその後ちゃんと〆といたけど、 それにしても。それにしても。 あの後敦賀さんに電話しても出てくれないし、バカショーが絡むと 敦賀さんはいつも瞬時に大魔王になってしまう。 あの冷ややかな氷点下怒りって、いつ遭遇しても怖いよ~・・・ 時計を見ればもうPM8時。 モー子さんに話を聞いて欲しくて待ってみたけど この調子だと今日は直帰なのかな。 いつまでもラブミー部の部室でうだうだしてても仕方ないし 今日は確か敦賀さんの帰りは遅いはず・・・ 明日どうやって敦賀さんをなだめようか考えよっと。 ふう。っとため息をつきながら、椅子から立ち上がったら。 「・・・もう、帰るの?」 だから、貴方はどーして気が付いたら背後に立ってるんですか・・・(泣 耳元で甘く低く凄まないで~なんか寒いし~~ 「・・・さっきのアレ、一体ナニ? 出来るだけ近づくな、って俺があれだけ言ってるのに、 なんで君は不破とよく一緒にいるのかな?」 「バラエティー番組でたまたま一緒になっただけです! 私があからさまに嫌な顔してるのに、アイツが勝手に寄って来るんです。 別にずっと一緒にいたとかじゃないですよ・・・そんな怒んなくたって・・・」 「君は俺が怒ってるという。なら・・・怒らせるようなことをしたと思ってるんだね?」 「・・・さっきの電話、きっとすごく不愉快だったと思うし・・・ 携帯獲られちゃうなんてホントうかつだったと・・・反省してます・・・」 ・・・どんどん体感温度は下がっていく・・・もうどうしたらいいモノヤラ・・・ 「・・・ふーん。じゃあ、態度で見せてくれる?君の反省。」 背後から腰に手を廻されて身体を軽く持ち上げられ、 有無を言わさず壁際に移動させられて。 背には壁、両脇には彼の腕、目の前には・・・大魔王(泣 「ねぇ、俺にどうやって見せてくれるの?君の反省?」 「・・・今ものすごく怖いので、出来れば可及的速やかに 機嫌を直して欲しいんですけど・・・ どうしたらいいのかサッパリワカリマセン(泣 お手数ですが敦賀さんのご指示を頂けましたら幸いデス・・・」 「君は他人に反省の気持を見せたい時に 相手にどーすりゃいいんだ、なんて聞くのか? それって余計に怒らせることになると思うんだが?」 ・・・それは貴方が今まで謝っただけで許してくれたことなんて、 一度も無かったからなのですが・・・ 「・・・ぅうん?何だってェ?よく聞こえないなぁ~」 「・・・まだ何も言ってません・・・!!チンピラのイチャモンですかっ!」 「その態度のどこが反省だって?」 「・・・だって・・・本当に、どうしたら許してくれるんですか・・・(泣」 「・・・じゃあ、君の可愛い顔でも見せてもらおうかな」 君は少し怯えて潤んだ目で俺を見上げる。 ・・・そんな顔するから、もっといじめたくなるんだよ。 君は何も分っちゃいないんだろうけど。 俺は表情を緩めずに右の中指を君のふっくらした唇に当てた。 「・・・とりあえず、舐めて?」 彼女はますます怯えの色を濃くしながら、 目を伏せてそっと唇を開いた。 少し強引に指を押し込むと一瞬だけ目を見開く。 でも、驚いていても歯は立てないんだね? 「・・・いいコだ」 途中からは加減しながら、指を根元まで君に埋め込む。 咽の奥までたどり着いた指に、君は少し苦しそうだ。 でも、まだその位じゃ許してあげないよ? 噎せさせない様にギリギリの力加減で抜き差しをする。 時々指で縮こまった舌を撫でると、 最初はおずおずと・・・その内自分から舌を絡めてくる。 生暖かい口腔が次第に君の唾液で潤っていく。 キスとはまた違う気持よさだろう? 苦しさは多少のスパイスだろう? ここまで来ると、君の目には苦しさと・・・確かな欲情が灯っている。 もう口の中の指の動きしか分らなくなってる君に、俺は。 ・・・ピピッ・・・ 俺の左手の携帯のシャッター音に、君は我に帰った。 「・・・キョーコ、すごく可愛い顔をしていたよ?」 指をゆるゆると唇から抜きながら口の端で微笑んで見せると、 君は真っ赤になって抗議してきた。 「・・・なっなっな・・・なんてトコを・・・なんでそんな・・・?!?!」 「なんでって?君、俺の機嫌を直したいって言ってたよね? うん、これで直ったよ。 こんなに可愛い君の画像が手に入ったんだから、ね?」 わざと写真を目の前にかざすと、 彼女は俺の携帯を取り上げようと必死で手を伸ばしてくる。 「やー!!なんですか、ソレ?!そんなのすぐ消してくださいーーー!!!」 「嫌だよ。・・・最近では一押しのナイスショットだな。 ・・・ああ、そうだ。これ、不破にも送ってやろうか? コレを見たら彼も君のこと『色気が無い』なんて絶対に言えなくなるって」 「絶っ対に止めてくださーい!!!」 「やる訳ないだろ?・・・そんなもったいないことするもんか。 じゃ、そろそろ行くね。キョーコ、明日の予定は?」 「・・・午前中は学校で、午後からドラマの収録デス」 「俺も12時前には帰ると思う。・・・じゃ、続きは後でね?」 触れるだけのキスをして満面の笑みを向けると、 君は真っ赤になって絶句していた。・・・本当に可愛いな・・・ ・・・だから君をいじめるのは止められないんだよ。 部室を出たら後ろから彼女の怒号が聞こえてきた。 いつの間にか待っていた社さんがすこしあきれた顔で。 「蓮・・・お前の機嫌が直ったのならそりゃまぁ・・・いいんだけどさ・・・ でもキョーコちゃんいじめるのもほどほどにしとけよ・・・?」 俺はそれには答えないでくすくすと微笑んでいた。 君は俺がなぜ不破の事で心底不機嫌になるのか知らないだろう? 君は多分気が付いていないけれど、 君の中で不破は「憎い男」って程じゃなくなっても、 復讐の気持がとっくに薄れた今になっても。 一緒にいた16年間で、今もなお「幼馴染」として・・・奴は君にとっての特別。 君に俺以外の「特別な男」がいるのが、俺には心の底から不愉快なんだ。 例えそれが恋愛感情ではないと分っていても尚、それでも・・・ でもそれは君に告げてもしょうがない事。 無意識の思いを指摘しても君は困惑するだけだろう? ならば。告げる意味のない事は胸に仕舞って。 君を喜ばせて笑わせて、怒らせて捕らえて。 君の中の全てをどこまでも俺で一杯にしたい。 「特別な幼馴染」なんてその辺の有象無象と同じになるまで。 俺が居る底の無い深みに。 君も早く堕ちておいで――…
https://w.atwiki.jp/skipbeat617/pages/55.html
502 :先走った予定 1:2005/06/12(日) 07 33 27 ID ??? 彼女からの熱い視線を感じる――――――・・・ 「何かな?最上さん。人の顔をジロジロと見たりして・・・。」物凄く気になるんだけど・・・。 「・・えっ・・?ただ単に敦賀さんは背が高いなぁ・・と思って見ていただけでして・・・。」 「なんだ・・。」そんなつまらない事か・・・。 「敦賀さんは幼少期から背が高い方だったんですか?」 「最上さん、俺に興味あるんだ?」何気に探りを入れてみた。 「まぁ、人並み程度には・・・。背が高いのはやっぱり遺伝なんですか?」 「さぁ・・どうだろうね?どうしても気になるようだったら知る良い方法があるよ。」 その方法を聞いたら君は驚くだろうけどね。 「あっ!もしかして敦賀さんの両親や小さい頃の写真を見せてくれる・・・とかですか?」 「・・・いや、違うよ・・・」 それだけは絶対に無いよ、最上さん。俺が『コーン』であるという事実はまだ知られたくないからね。 彼女にとって『思い出の中の俺』はどんな存在なんだろうか聞いてみたい気もするけれど・・・。 「敦賀さんの小さい頃かぁ・・。なんだか想像出来ないなぁ。」 そんな彼女の今の姿と幼かった頃の姿がダブって見えて俺は自然と笑みが零れてしまう。 「そう?俺だったら君の小さい頃の姿が想像出来るけどね・・。」 昔、会った事があるから・・・ね?キョーコちゃん。 「何なんです?その笑いは・・・。不気味ですよ。」 不気味って・・・それはちょっと酷いんじゃないか?と思ったが、話を元に戻すことにした。 「さっきの遺伝かどうかって話・・・。俺の小さい頃の姿が拝めて、尚且つ成長過程まで バッチリ拝む事が出来る良い方法があるんだけど・・・聞いてみたい?」 「もちろん聞きたいです!(どキッパリ)」 聞かない方が君の身の為だと思うけど・・・。言っちゃうよ? 「君が俺によく似た男の子を産めばいいんだよ。そうすれば遺伝かどうかが判るから・・・」 「・・・は・・・?今・・何って言ったんですか・・・?」 やっぱり言わないほうが良かったかな? 「うん。だからね?俺にそっくりな子供を君が産んでくれれば長身なのが遺伝かどうかが判る上に 成長過程までバッチリ見られるって話なんだけど・・・。」 「な・な・・・なに・・言って・・・?//////」 「最上さん、俺の子供を産んでくれる気あるかな?」 まだ付き合ってもいないのに唐突すぎるかなとは思ったけれど・・・まぁいずれ産んでもらう予定ではいるし。 「つっ・敦賀さんのバカぁ~~~/////」彼女は顔を真っ赤にしている。しかも涙目だ。 聞きたいって言った君が悪いんだよ?この際だからもう一つ希望を言っておこうかな。 「君によく似た女の子も欲しいんだよね。今から予約しておいてもいいかな?」 そう言った俺は幼い頃の彼女の姿を思い浮かべた。その瞬間――――――・・・ 「お・お前ら、もうそこまで話が進んでいるのかーーー?!」 「「・・・えっ・・・?」」 俺と彼女は同時に声のした方へと顔を向ける。 そこには顔を青くして呆然と立ち尽くす社さんの姿があった。
https://w.atwiki.jp/skipbeat617/pages/37.html
288 :1/5:2005/05/29(日) 01 13 50 ID ??? 忙しくてなかなか会えなくて。 少し、強行突破してみた。 「・・・?敦賀さん?なんでまたココに?」 「そんなに俺が来ちゃ変か?」 「・・・かなり、変かも・・・」 「その仲居の格好、可愛いね」 「またそんな事ばっかり言って!嫌がらせですか!」 仕事帰りに話だけはよく聞いていただるまやへ行くと、 俺を見た彼女はえらくびっくりしていた。 ・・・嫌がらせでわざわざ家の近くでもない飲み屋に寄るほど ヒマじゃないんだけどな。でもここの料理、旨いなぁ。 君の料理にどことなく雰囲気が似てるよ。 君のバイト姿を見ながら、ゆったりと充電してる気持ちになる。 やっぱり来て良かったな・・・ 冷の日本酒をするすると飲んでいると、 いつの間にか閉店時間になってたらしい。 客は俺一人になっていた。 店内の片づけをしながら 最上さんが俺の顔を覗き込んできた。 「敦賀さん?大丈夫ですか? ・・・随分ペース速かったみたいですけど・・・」 ・・・せっかくだしね。少しカマでも掛けてみようかな。 「・・・ん・・・冷たいお茶もらっていい?」 俯き加減でぼんやりとそういうと。 「敦賀さん、大丈夫ですか? 少し休んだ方がいいのでは?」 「・・・休むって?」 「とりあえず、私の部屋に来ませんか? 落ち着いたらタクシー呼びますよ?」 「え・・・でもそれは申し訳ないよ・・・」 「いいですよ!いつもお世話になってるんですから!」 とりあえず、魚はエサに食いついてくれたみたいだ(ニヤリ でもなぁ。大将がこちらを睨んでいる。 いきなり敵に廻すと後々やりにくいから、 ここはひとつ好青年を演出しておくか・・・ 「あ・・・すいません。敦賀と申します。 いつも最上さんにはLMEでお世話になっております」 「・・・こちらこそ、いつもウチのキョーコが世話になってるそうで」 「夜分にお邪魔して申し訳ありませんが、 落ち着いたらすぐ帰りますので・・・」 「・・・まぁ、キョーコがあんな態度をとる事も珍しいからな。 アンタにはよほど気を許してるんだろう・・・悪さはすんなよ」 ・・・俺は、にっこりと微笑んで会釈した・・・ こうやって女の子の部屋に入るのも 随分久しぶりだよな・・・ 「・・・なんで不破と俺のポスターが並べて貼ってあるの?」 「えーっと、それは・・・その・・・」 まぁなんとなく理由の見当は付くけど。 壁際に寄りかかりお茶をもらっていると、 君は手持ち無沙汰そうに視線を彷徨わせている。 少し深く俯くと、君は心配そうにそばに寄ってきた。 「大丈夫ですか・・・?」 君の右手が、俺の額に当てられた。 大丈夫じゃないよ、全然ね・・・ 君がこんな間近に居て、平静な訳が無いだろう・・・ ぐいっと抱き寄せて君を胸の中に収めると、 君は真っ赤になって俺の頬を軽くはたいた。 「・・・敦賀さん?!ちょっと??・・・大丈夫・・・ですか?」 「・・・少し、寒いんだ。しばらくこうしててくれないか? ・・・多分、すぐ収まるから・・・」 「・・・分りました・・・」 君のぬくもりにほうっと大きく一息つくと、 ・・・君はすでに眠っていた・・・早っ?! あんな単純な男の嘘をすんなり信じるのも、 この状態でその寝つきの良さも、どうなんだそれは・・・ 本当は多少なら悪さもしたかったけどね。 ・・・まぁいいか。彼女の額に小さくキスを落とすと、 俺もなんとなくまどろんできた・・・ そういや結構疲れてたんだっけ。 彼女に会ってるうちは忘れてたよ・・・ 携帯の目覚ましをセットして、 とりあえず今は眠ってしまおう。 明日君は俺を見てどんな顔をするんだろう。 真っ赤になってるのは間違いないだろうけど、ね・・・ 293 :おまけ。:2005/05/29(日) 01 18 26 ID ??? 「あら、まぁ・・・」 「・・・毛布でも掛けてやっとけ」 「そうだね・・・二人ともなんか幸せそうな寝顔だね・・・(フフ」 285です。某所のお題でもエロにならなんだのでコチラへ。 すいません、いつもこんなんばっか書いてますです・・・ お目汚し失礼しますた~ε=ヽ(;´Д`)ノ
https://w.atwiki.jp/skipbeat617/pages/80.html
802 :1:2005/06/26(日) 11 30 42 ID ??? キンコーン しばらくした後、ゆっくりとドアが開く。 ここは、ワンフロアまるごとがひとつのお部屋になっている、 敦賀さんの自宅マンション。 「キョーコちゃん、悪いんだけど、夜もし時間が空いたら 蓮に食事作りにいってやってくれないかな?」 あいつ、一人だとほんっと食べないからなー… なんだか最近様子がおかしいし。 社さんの困り果てた声に絆されて。 というか、本当に敦賀さんのことが心配になってしまった。 様子がおかしいっていうのも気になるし。 敦賀さんたら、身体が資本な職業のくせに まだ食生活を改善する気がないのね…! 生まれて初めてひいた風邪で あんなに痛い目にあったっていうのに。 もう…。 マネージャーさんにあんなに心配かけるなんて。 「…どうしたの…こんな時間に…」 敦賀さんが玄関先に現れた。 ロックを外してもらえるようにエントランスでお願いしたときにも 同じことを言われた。 …あんまり機嫌良くないのかな、 とりあえずはこうして入れてくれたけど…。 それに、なんだか声がかすれている。 ま、まさかまた風邪とか体調悪いんじゃ… 「あ、あのっ、お夕飯召し上がりましたか?…社さんから頼まれ」 「また社さん…?もう…あの人は何考えてるんだろうね? こんな時間に君を俺のところに寄越すなんて」 私が用件を言い終わらないうちに敦賀さんはそうつぶやくと、 ややあって私の手首をつかんで部屋に引き入れた。 …手首をつかんだ? 「ご飯、作ってくれるんだ?」 気がつくと、敦賀さんは私が下げている買い物袋を見つめていた。 「はっ、はい、もしご迷惑でなかったら作らせてください」 簡単に、カレーでもいいですか? そう言おうとして敦賀さんの顔を見上げた私は とんでもないものを見てしまった。 いやああああああぁ いつもの、極上紳士スマイル…に見えるのに、目が、目が笑ってないわ…。 「迷惑だなんてとんでもない、ありがとう、キッチンわかるよね?」 「ははははいっ、わかりますわかります、敦賀さん座って待って」 「一緒に行こうか」 は? いいい今なんて一緒、一緒にって うぐ、手、今!手つかまれてる私ー! ひゃ、指、指絡ませられてるー! 「…楽しみだなぁ…」 な、何なのーこれ、きょ、今日の敦賀さん絶対おかしいー! 今まで手なんて繋いだこともないはずの敦賀さんに手を引かれて、 思い切り動揺しながらもキッチンに入る。 「あ…あの、手をは、離して…くださぃ…」 「…ああ、ごめん、繋いでたら料理できないね?」 やっとのことでそう言うと、突然の出来事にばくばくしている胸に手をやった。 なな、なんで手なんか繋いでるんだろ… 私もなんでこんなにドキドキしなくちゃいけないんだろう。 そ、そうだ、キョーコ、あんたはカレーを作るのよ!早く! 「顔、真っ赤だよ?」 なんとか意識をカレーに集中しようとした矢先に、 ひょい、と敦賀さんが私の顔を覗き込む。 うひゃあっ、ご、5センチ!! 恥ずかしさのあまり、思わず顔を背けてしまった。早く向こうへ行ってええ。 「ああああのっ、敦賀さんはリビングででも座って待っててくださいぃ!」 「ここにいたら…ダメかな?邪魔、しないから…」 アワアワしている私を尻目に、そっと背後に立つと、 敦賀さんは私の髪に触れてこう言った。 「…最上さん…アイツ、不破にはなんて呼ばれてたの? …キョーコちゃん?それとも呼び捨て?」 「えぇイヤあの」 「キョーコ…ちゃん…」 不意打ちでショータローの話題を持ち出され、 それが今日のおさんどんと何が関係あるのか なんで敦賀さんは私の髪の毛に触れて、 なんで「キョーコちゃん」って呼ぶのか もう何がなんだかわからなくなって、頭がオーバーヒートしそう。 「ととととりあえずあのっ…もうちょっと離れていただかないと… 支度もできないので…あの」 「キョーコ…ちゃんはそんなに俺のことが嫌いか…」 敦賀さんのその言葉と同時に、私の身体に腕が回されて 後ろから抱きすくめられるような格好になってしまった。 きゃあぁぁあぁ、な、なななんでこんなことに… 背中から伝わる敦賀さんの体温と、身体に絡みつく腕。 身体中が心臓みたいにドキドキいってる。 だ…だめ、何もかも刺激が強すぎる。 そう思った瞬間ヘナヘナとその場にへたりこんでしまった。 ち…力が入らない。 「あぁ…大丈夫?…ちょっと休んだ方がいい」 なんと敦賀さんは私をこともなげに抱きかかえて立ち上がった。 こ、ここれってま、また「お姫様だっこ」―?! 「いえ、大丈夫ですっあ、歩けます歩けますからあぁぁ」 必死に抵抗してみたけど…無駄な努力みたいだ。 でも…おろしてえぇぇ… ん? っていうか! 敦賀さんもしかしてお酒飲んでる?! かすかにただようアルコールの匂い。 抵抗したところでどうにもならなくて、 仕方なくお姫様だっこされながらリビングに入ると やっぱりテーブルにはお酒のボトルが何本も。 グラスにはまだ飲みかけも残ってる。 …そうか、敦賀さんがおかしい理由がやっと…わかった。 この人…酔っ払ってるんだ。 ひー…酔ったらこんなふうに絡んだりするんだ。 私をソファに座らせると、そのすぐ隣に敦賀さんも腰を下ろす。 どうしよう…なんとかキッチンに戻って 早くご飯食べてもらわないと私も帰れないよ…。 どうやってここを切り抜けるかぐるぐる考えていると 髪に再び触れられた。その長い指でくるくると毛先を弄ばれてる。 「っ…」 「もう…君は本当に可愛いな…そんなに手を出させたい?」 っな、何てことを!いつ私がそんなことを!? それに、…耳元で囁くのはやめてくださいぃぃ…。 敦賀さんの身体が明らかに私のほうへにじり寄る。 少しずれようと腰を浮かせたら、 肩に手を置かれた。完全にこっちを向いてる。 その部分から体温が伝わってきて、まるで重石のようで 身体を動かすことができない。 な…何気に逃げられなくされてる? そんなことしなくても、逃げたくても逃げられませんから! ち、違う、そんなこと思ってる場合じゃなかった。 「つつ敦賀さん、待って、私、ご飯つくらなきゃいけないのであの」 「んー…ご飯より…こっちのほうが…いいかな」 こっちってナンデスカー!ご飯何を比べてるんですかー! …どうしよう、わざとやってるのかな? ドラマも一緒だし、最近友好的だと思ってたのに それは私の大いなる勘違いだったの?イヤガラセ? そんでもって後で憶えてないとか…? うう…とんでもない日に来ちゃった…。 そんなことをいろいろ考えてるうちにも顔が近づいてくるーひえー 身体を動かせない代わりに、手でバリケードを作ってみた。 ほんとにされそうになったらこう、手でガッと…できるの私? その時、膝に何かが落ちてきた。 あ、れ? 恐る恐る目を開けてみると。 つつ、敦賀さんの頭が膝の上に―… 「敦賀さん、敦賀さんっ…寝てるんですかっ…」 身体を揺すってみたけど、ぴくりとも動かない。 寝てしまってる…。 …酔って人に散々からんで、それで寝てるのね?! 何なの。これは…何かのバツゲームなの? ああ…どうしようどうしよう…、起こしちゃいそうで動けない。 敦賀さん、本当にわざとやってるんですか…? どうしたらいいの…社さんのバカー! …いえ、バカなんて嘘ですから…お願い、助けにきて下さい…。
https://w.atwiki.jp/skipbeat617/pages/34.html
258 :蓮の場合1/3:2005/05/27(金) 22 49 03 ID ??? 社さんと事務所に行くと、椹さんとピンクつなぎ2人が なんだか賑やかにしているのが見えた。 何かポスターを見てるみたいだ。 「ナニ見てるの?楽しそうだね?」 「ひぃっ・・・!!!つつつ敦賀さん・・・オツカレサマデス・・・(汗」 ・・・?最上さんがいつも以上に硬直してる・・・? 片や琴南さんは、意味ありげにニコニコしてて・・・ 「こんにちは、敦賀さん。この子こないだ化粧品のCMの仕事受けて、 そのポスターが今日出来上がってきたんですよ~ ねぇ、結構可愛く取れてますよね?」 ぴら。目の前で広げてもらったソレは・・・ソレって・・・ 「へー、水着だぁ~しかもビキニ。キョーコちゃん可愛いよ! スタイルいいんだね~」 「えー社さん、またそんなこと言ってからかって・・・ 私、胸ナイからすごく恥ずかしかったんですけど、 担当さんが化粧品のサンプル一杯くれるって言うから つい受けちゃって(照照」 ・・・社さん気を逸らしてくれてありがとう。 おかげで一瞬赤く火照った顔を なんとか素に戻すことが出来た・・・ 「そりゃまたずいぶん安いエサで釣られちゃってまぁ。 でも、コレよく似合ってるね。可愛いよ。」 あ、最上さんが耳まで赤くなった。 他の人たちもなんだか上気して目を逸らしてる・・・ 俺そんなヘンな事言ったかな? 「蓮、その笑顔は犯罪だから止めろ・・・」 社さん?それどういう意味ですか? にしても、彼女結構スタイルいいんだな。 胸は小ぶりだけど形がいいし、腰も足も細っ。 いつもあんなに元気なのに、こんなに華奢なんだ・・・ まだ青い果実だけど、これからどんどん色づくんだろうな・・・ ・・・って、何考えてるんだ、俺・・・ 盛りのついたティーンじゃないんだから・・・ と、内心あたふたしながらポスターから目を逸らすと、 今はピンクつなぎの最上さんと目が合った。 まだちょっと顔が赤いままとぎまぎしてる。 ふーん、このツナギを脱がすとこーなる・・・ ・・・ってだから!しっかりしろ、俺・・・ 自分の邪な思考を逸らしたくて彼女から目を逸らすと、 今度は社さんのにやにや笑いが・・・なんか見透かされてるかも・・・ 「キョーコちゃん、このポスター俺欲しいなぁ。ダメ?」 「え?どうしてですか、社さん?」 「だって俺キョーコちゃんのファン第一号だし~ これ、ホント可愛く取れてるし、ね?」 「なんかちょっと恥ずかしいんですけど・・・ 何枚かありますし、いいですよ(照」 「じゃあ、友達の分と2枚もらってもいい?」 「はいどうぞ、お友達にもよろしくお伝えくださいね!」 用事を済ませて事務所を後にすると、 社さんがさらにニヤニヤしながらポスターを指差した。 「・・・いる?」 迷うだけ迷ってから・・・俺は自分に素直になってしまった・・・ 「・・・ください。2枚とも」 「え?俺の分まで持ってくの?」 「出来たら誰にも見せたくないんです」 「そんなこと言ったって・・・これから街中に貼られるのに・・・」 「一応、ささやかな抵抗ですかね」 「分かったよ、あげるよ。にしても・・・お前、あの部屋のどこに貼るの?」 ・・・あまりにもアイドルのポスターが似合わない 自分の部屋を思い出して、俺は頭を抱えてしまった・・・ おまけ モー子さん 椹さん「・・・あれって・・・ひょっとして・・・」 キョーコ「敦賀さんの笑顔が怖い!怖すぎる! 嫌味も言われないなんて普段より倍怖いよ~(泣」 モー子さん 椹さん「・・・(この究極鈍感娘・・・)」 お粗末さまでした・・・ 松であんまり書くことなかったわ 蓮が大魔王になってくれなかったわもう・・・orz 水着シチュってオイシイと思うんで、 他にも書いた人がいたらうぷキボンだよアミーゴ――・・・