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しょうめい【登録タグ VOCALOID usagi 3 し 曲 鏡音レン】 作詞:usagi 3 作曲:usagi 3 編曲:usagi 3 唄:鏡音レン 曲紹介 Movie/Kakuly 歌詞 (動画概要欄より転載) 僕が僕であるために必要なものは 愛か、友情か、 なんだったのか 僕は僕であるために積み上げたものは 金か、信頼か、 分からないや あの日バカにした夢は あの日バカにした人は 結局のところ自分より 輝いて見えてたからか あの日投げ捨てた夢を あの日切り捨てた僕よ 前を向いて生きて行くよ 見ててくれよ 今ここで 誰かでありたいと思わなくていい 自分らしく 風が吹いて 誰かになりたいと思わなくていい これが僕という『証明』だ 僕が僕であるために生きていくことは 罪か、運命か、 教えてくれよ 僕が僕であるために死んでいくことは 嘘か、卑怯なのか、 木霊しているだ 僕が僕であるために 僕が僕であるために 僕が僕であるために大切なことは 従うだけの生き方か、 僕が僕であるために変わらないものは 僕達だけの生き方だ 忘れるなよ 今ここで 誰かでありたいと思わなくていい 自分らしく 風が吹いて 誰かになりたいと思わなくていい これが僕という『証明』なんだ コメント 名前 コメント
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ある男達は殺し合いを止めようとしていただけだった。 殺し合いを止めるための味方を探していたのに皆自分の顔を見ると逃げていく。 その理由は自覚していた。 それは自分らの顔が人殺しのように恐ろしかったから。 誰に声をかけたって誰もが悲鳴を上げて逃げていく。 どんなにやさしく接してもだ。 でも彼らは心底諦めなかった。 今ここで諦めたら園児達のことはどうなるのか? 今ここで諦めたら死んでいったクラスメイトのことはどうなるのか? 「まだ諦めないぞ。きっと私たちを信じてくれる人がいるはずだ! さあ行こうキル夫君」 「人間の価値は中身ですよね。園長先生」 【二日目11時22分/新惑星・東京、お台場】 【園長先生@クレヨンしんちゃん】 【状態】健康 【装備】リボルバー銃 【道具】支給品一式 【思考】基本 主催者を倒すために仲間を集める 1 園児達を守る 2 人間は外見じゃないんだってば…… 【キル夫@2ch】 【状態】健康、トエエエエエエエエエエエエイ 【装備】鉈 【道具】支給品一式 【思考】基本 主催者を倒すために仲間を集める 1 やる夫とやらない夫の仇を討つ 2 外見で人を判断するのはよくありませんよね ※この2人は出会った参加者全員に殺人鬼と間違われています。 【今日のディアボロ@ジョジョの奇妙な冒険 2人の怖い顔を見てショック死】
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こんな所で何やってんの? あら・・・城之内、あんたスターチップ10個集めたの? え・・・まさか・・・遊戯・・・!? 遊戯が負けた!? ふざけないで!あんたがこのまま城に入れずに終わるなんて、そんなのあたしが許さない! フ、あたしを誰だと思ってるの 当然でしょ。今ここで借りを返すわ。その代わり、城であたしと戦いなさい ・・・ハン!見損なったね! たかが一回デュエルに負けたぐらいでへこんでるようじゃ、あんたもたいしたことないね! わかったわ。ただ受け取るのが嫌だっていうなら、今ここでデュエルするってのはどう それなら文句無いでしょう?さあ ・・・・・・・・・~~~っ!(怒) あきれたね。あたしに勝てると本気で思ってるの? チップが遊戯の手に渡りさえすれば、あたしは構わないんだけどね いいわ、受けてあげる。だけど、やるからにはあたしも条件があるわ もしあなたが負けたら、二度と仲間だの友情だの、安っぽい言葉は口にしないこと。いいわね ふん。あたしのターン、ハーピィレディ攻撃表示。さらにこのカードを場に伏せるわ バトル ほらほら、あたしに本気で勝とうっていうなら、もっと手応えのある攻撃を見せてごらん! 素人はこれだから困るわ。攻撃力を上げればいいってもんじゃないのよ 甘いね。魔法カード、薔薇の鞭発動。ハーピィレディの攻撃力300アップよ。
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くされたいんじゅん【登録タグ く れたP 曲 鏡音リン 鏡音レン】 作詞:れたP 作曲:れたP 編曲:れたP 唄:鏡音リン・鏡音レン 歌詞 花と木は どっちが好きですか? そんな事 聞くんじゃ無かったと そんな事も わからなくて 気づいたら 花は枯れていた 因循とか 言わせないんだから! 花の実は 8年も待たない そんな事も 分からないまま この花を 見て笑うのは やめてよ! 恵みの雨は 世代交代の時 生まれた者は 育ち 咲いた花は 散る 長く持たない 一度きりの笑顔 ああ 待ち焦がれた時は 今ここで散る 昼と夜どっちが好きですか? そんな事 聞くまでも無かった 昼寝と夜の睡眠 気づいたら 朝日は昇った 因循とか 言わせないんだから! 昼と夜 寝てその日はオール そんな事も できないまま こんな夜 毎晩寝てるつもりなの? 朝日が出たら 人は活動の時 寝る間を惜しみ 朝はあくびの連鎖 長く持たない 集中力は3分 ああ 待ち焦がれた休み 今ここで寝る。 この世の果ては 無数の矛盾と姑息 因循社会 気づけば自分もそこに それが定めならば 俺は…私は… もう… コメント ニコニコ動画ではじめて聞いたけど いい曲ですねwwww シンプルで 気持ちがわかりやすい・・・矛盾的なこともありますが がんばりたいなとも思うようなww 良曲です -- 麻里亜 (2010-07-23 07 57 32) 名前 コメント
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「議論ならここでしよう」url置き場 目次 スレ誕生 スレタイとURL(1-) 最終書き込み スレ再開 スレ誕生 【徹底】議論ならここでしよう【討論】 1 :のほほん名無しさん:02/01/02 08 27 ID ??? 先日もちょっとした騒ぎがありましたが わたしのお気に入りのスレが嫌な雰囲気になり悲しかったです。 よかったらこのスレでやってもらえないでしょうか? あ、煽りあいとかじゃなくてあくまでも「議論」をお願いします。 上に戻る スレタイとURL(1-) 【徹底】議論ならここでしよう【討論】http //human.2ch.net/test/read.cgi/nohodame/1009927638/ 【徹底】議論ならここでしよう 2【討論】http //human.2ch.net/test/read.cgi/nohodame/1041086423/ 【自治】議論ならここでしようhttp //human.2ch.net/test/read.cgi/nohodame/1054669371/ 議論ならここでしよう その2http //human.2ch.net/test/read.cgi/nohodame/1056296623/ 議論ならここでしようpat3http //human.2ch.net/test/read.cgi/nohodame/1064754275/ 議論ならここでしようpat4http //human.2ch.net/test/read.cgi/nohodame/1067140052/ 徹底議論なら個々で仕様paerrrt5http //human7.2ch.net/test/read.cgi/nohodame/1072793846/ 議論ならここでしよう その6http //human5.2ch.net/test/read.cgi/nohodame/1086355965/ 議論ならここでしよう その7http //human7.2ch.net/test/read.cgi/nohodame/1127021469/ ( - 中断 - ) 議論ならここでしよう その8http //hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/nohodame/1348144647/ (現行スレ) 上に戻る 最終書き込み 1000 名前: のほほん名無しさん [sage] 投稿日: 2007/03/23(金) 19 40 18 ID ??? 1000なら糞コテ死亡 1001 名前: 1001 投稿日: Over 1000 Thread このスレッドは1000を超えました。 もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。 上に戻る スレ再開 議論ならここでしよう その8 1 :爆乳! ◆Gcup97A56U :2012/09/20(木) 21 37 27.04 ID ??? 1)ここは熱く議論するスレです 2)議論していない時は、なーの話題で盛り上がって下さい 3)たまにはかまって下さい 上に戻る 【登録タグ】 名前 コメント
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東ユーラシア共和国コーカサス州のとある街、サムクァイエット。 州都ガルナハンからそう遠くない場所に位置する州有数の都市だが、今この街の人々の心は荒みきっていた。 街には浮浪者があふれ出すばかりで、ストリートチルドレン達は、今日も一人、また一人と死んでいく。 道行く人々の目は、誰もが死んだ魚の様に濁っていた。 今や東ユーラシア共和国のどの街でもそうなのだが、サムクァイエットとてその例外ではなかった。 「今はまだいい。また冬が来れば多くの人が死ぬ」 立て付けの悪い窓が風を受けてがたがたと音を立てている。 東ユーラシア共和国軍サムクァイエット基地庁舎の窓越しから、街を眺めるチャーリー=ガドルは、半ば絶望にも似た思いで、そうつぶやいていた。 そんなガドルに、向かいに座る部下の青年は言う。 「そうならないために、我々はがんばっているんじゃないですか。隊長」 2年前に入隊したばかりの若年兵だ。 その瞳にはまだ生きているものの光が宿っている。 そうガドルは感じる。 こういう青年がいるのだから、この国はまだ捨てたものではない。 だが、同時にガドルは感じる。 今回の作戦にこの青年を連れて行くことは赦されることなのだろうか? そもそも今回の任務は本来、ガドルの部隊が行う類の作戦ではなかった。 ガドル隊は補給部隊だ。 前線の部隊に対する補給を行い、命のつなぐこと。 それが彼らの本来の任務だ。 しかし、今回は違った。 今回の作戦における彼らの役割は「囮」なのだ。 ――補給部隊を囮にして敵をおびき出し、秘匿していた部隊で叩く。 一見すれば正気の沙汰とは思えない任務だ。 通常、戦争において失ってはいけないものが二つある。 教育担当仕官と補給線だ。 教育担当が死んでしまっては新たな兵士を作ることが出来なくなるし、補給線が絶たれては戦線の維持が不可能になる。 いずれに場合も、その先にあるのは死という名の敗北だ。 つまり、ガドル隊は「死んではならない部隊」そのものであった。 そのことにガドルは誇りと責任を常日頃から感じていた。 それは戦争という命の奪い合いのなかで出来る数少ない命を紡ぐ作業だと感じていたからだった。 しかし、命を紡ぐ作業に対する代償は何だったのだろうか? 命を紡ぐものは、やはり命。 それがこの世界が望む代償だった。 ガドルの部下達も数え切れないほど死んでいる。 火薬を満載した補給トラックは簡単な銃撃によって火だるまになる。 炎に包まれながらもだえ苦しむ部下の姿をガドルは一日たりとも忘れたことは無かった。 いや、忘れることは出来なかったというべきだろう。 昨日まで故郷に待つ妻と子供のことをうれしそうに語っていた青年が、自分よりも先に死んでいく。 それがガドルにとっての戦争そのものだった。 (……そろそろ、俺の命が捧げられてもいい頃だろう) ガドルは、そう思って頭をふる。 それは軍人にとって良い考えではなかったが、ガドルは前線で死に逝く兵士達を見送るだけの人生にも飽き飽きしていた。 そんな折、司令部は彼に願ってもない作戦を提示してくれた。 それが今回の囮作戦だった。 ――特攻。 忌まわしい言葉が脳裏を過ぎる。 しかし今回の任務はまさにそれに近い。 もちろん敵を迎え撃つために主力としてモビルスーツ、ルタンドが用意されている。 しかしそれはあくまで敵を倒すためであって、自分達を守るものではい。 「……シュタインベル、君はなぜ今回の作戦に参加するのだ?」 ガドルは目の前の青年――シュタインベルに語りかけた。 「……自分は、この戦いを早く終わらせたいのです。レジスタンスたちによる戦いは、この東ユーラシアを少なからず疲弊させています。この国には今、そんな余裕はどこにも無いんです」 「しかし、そのために危険にさらされることをなぜ選択した?」 「隊長はどうなんですか?」 「自分はロートルだ。代わりはいくらでもきくからな」 シュタインベルの瞳が少し曇りを帯びる。 本当に良い青年だ。 ガドルは素直にそう思った。 「……君はベルリンの出身だったな……」 ベルリン。 あの巨大モビルスーツによって焼き払われた都市。 ここ数年のベルリンの荒廃ぶりは目を覆わんばかりのものだ。 最近は西ユーラシアが統一地球圏連合直轄領になったことにより、少しは好転したのかもしれないが、あの惨劇はこの青年に大きな傷を背負わせたことは想像に難くなかった。 「分かった。早くゲリラを掃討して平和を取り戻そう」 ガドルは自分の言葉の欺瞞に、何とも言えない居心地の悪さを感じた。 しかし彼に出来ることはそれしかなかった。 例え目の前のこの青年の命を捧げてでも、レジスタンスを叩くことしか。
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838 名前:通常の名無しさんの3倍 :2010/02/19(金) 18 35 17 ID ??? (サテリコン入口にて) ザコ「この注意書きもボロボロになってきたザコね。書き換えるザコ(クシャクシャ ポイッ) …あの漢字はどうやって書くんだったザコ………まあいいザコ(カキカキ)」 ~ここではきものをぬいでください~ ステラ「うぇーい♪(ヌギヌギ)」 パーラ「わーーーーーっ!!!(上着を脱ぎかけたステラを担いで更衣室までダッシュ) あ、危なかった………(ゼェゼェ)」 ステラ「うぇーい?」 846 名前:通常の名無しさんの3倍 :2010/02/19(金) 23 02 36 ID ??? 838 シン「どーしたパーラ?見ての通りまだ脱衣所は清掃中だz」 ステラ「うぇーい♪シンー!」 シン「ぶっ!ステラ!?なんで半裸なんだよ!?」 パーラ「ええい!とりあえずラッキースケベは出とけ!」ゲシッ シン「痛っ!?」 847 名前:通常の名無しさんの3倍 :2010/02/19(金) 23 06 57 ID ??? 838 プル「プルプルプル~!」 パーラ「こっちもかーーーっ!」上着を脱ぎかけたプルを担いでダッシュ プルツー「姉さん…」(-_-; 849 名前:通常の名無しさんの3倍 :2010/02/19(金) 23 48 45 ID ??? ジュドー「プルが完全にアホの子じゃないか(棒) いや、原作でもそうだったけど(棒)」 カミーユ「フォローしてやろうという気はないのか」
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【登録タグ It is R m 曲 闇音レンリ】 作詞:It is R 作曲:It is R 調声:It is R 唄:闇音レンリ 曲紹介 もうすぐクリスマスですね。 静かなクリスマスソングを作りました。 闇音レンリさんに歌ってもらっています。 歌詞 (ここにて) 聖なる夜、白く染まる世界 美しい雪をただ見たいだけ 思い出の場所、この季節あなたと どうしても過去を思い切なくなるの 孤独と共にただ街を歩く 鼓動の音にあなた思い出す 外の風はとても冷たくて 冷たさにポケットに入れた手を握る それでも街のネオンはこれでもかってぐらい綺麗で 消え入りそうな心も、寂しさも吹き飛ばすほどの 艶やかな光景 雨やがて雪 勇気もらえるような雰囲気 銀の世界 真の愛 永遠の誓い もう一回 一緒にいたい あなたに会えてホントに良かった 懐かしさ記憶は空の彼方 街には雪が積もってゆく あなたへの想い募ってゆく あなたに会えてあたしは変われた だから今ここで神に誓った 精一杯あたし生きていく もう一回掴んでみせる あなたに会えてホントに良かった 懐かしさ記憶は空の彼方 街には雪が積もってゆく あなたへの想い募ってゆく Don’t forget yourself I always feel that you’re here I’ll change My heart is still yours Merry Christmas… おとぎ話の世界なら もしもサンタがいるのなら この願い叶えてください あなたの声が聞きたいのお願い 涙あふれ、愛されて別れ、離れ離れ やがて一人 哀れね このまま雪降る空へ どこまでも行ける遠くへ 歩き疲れ 涙も乾き あなたの事、忘れられたかな このままこの気持ちで前進め 笑顔崩さずに死ぬまで走り抜けて 涙は拭いた方が美しい 咲いた花は枯れるまでが命 それまで歩いていこう 折れるまで探していこう あなたに会えてホントに良かった 懐かしさ記憶は空の彼方 街には雪が積もってゆく あなたへの想い募ってゆく あなたに会えてあたしは変われた だから今ここで神に誓った 精一杯あたし生きていく もう一回掴んでみせる あなたに会えてホントに良かった 懐かしさ記憶は空の彼方 街には雪が積もってゆく あなたへの想い募ってゆく Don’t forget yourself I always feel that you’re here I’ll change My heart is still yours Merry Christmas… 聖なる夜に想い乗せて 今日は特別な日 寂しいなんて思えるくらい 今夜の空は星が綺麗で もしもまた会えたら 恋が色褪せたら あなたに会えてホントに良かった 懐かしさ記憶は空の彼方 街には雪が積もってゆく あなたへの想い募ってゆく あなたに会えてあたしは変われた だから今ここで神に誓った 精一杯あたし生きていく もう一回掴んでみせる あなたに会えてホントに良かった 懐かしさ記憶は空の彼方 街には雪が積もってゆく あなたへの想い募ってゆく Don’t forget yourself I always feel that you’re here I’ll change My heart is still yours Merry Christmas… コメント 名前 コメント
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再びリヴァイブ基地に連れ帰られたソラは、基地の一室で保護されていた。 他に誰もいない部屋の中、粗末なベッドの上にソラは膝を抱えて座っている。 頭の中はずっと昨日の出来事で一杯だった。 凄まじい爆音と閃光。 鉄のひしゃげる嫌な音と圧倒的な破砕音。 巨大な鋼鉄同士のぶつかり合い。 その全てが幻想とすら思えるほどの、しかし決して夢でも幻でもない現実。 「あれが、戦争……なんだ……」 ソラはモビルスーツを今まで見たことがないわけでない。 むしろ治安警察やラクス=クライン親衛隊のピースガーディアンなど、平和を守る力の象徴として日常的に、とまでいわないまでもTVや式典などで見かけることは度々あった。 その巨大さと力強さに、頼もしさすら覚えたほどだ。統一連合主席カガリ=ユラ=アスハの操る、金色の守護神アカツキなど特に。だが昨日見たその光景は、今までの評価を180度変えるに足るものだった。 「怖い……怖いよ……」 膝を抱える手が震える。ソラはそうしていれば恐怖から逃れられるかのように、より強く膝を抱えた。 「こうなっちゃうと、もうオーブに帰せるのはいつになるか……。いや、もしかしたらもう二度と帰せないかも知れないな。本当に困ったよ」 自室になっている書斎のソファーに深く腰を沈めながら、ロマはやや大仰にため息をついた。 向かいには艶やかな亜麻色の髪をした白衣の美しい女性が座っている。 年の頃はおそらく20代後半だろうか。 銀縁の眼鏡の奥にある視線は、ロマとは対照的に物静かで知的な印象を漂わせる。 「でも全ての可能性が絶たれたわけではないでしょう?リーダー」 「まあね。交渉ルートはいくつかあるからそっちに働きかけてみるけど、それでも時間がかかるだろう。問題は……」 「あの子がここで生活していけるかですね」 「そういう事だよ。センセイ」 普段ロマはほとんどのメンバーに対して弱音を吐くことがない。 その例外の一人が今、彼の目の前にいる女性、通称『センセイ』だ。 彼女はレジスタンス組織リヴァイブの医療を一手に引き受ける軍医である。 職業柄に加えその美貌と落ち着いた物腰で、リヴァイブ内での人気や信頼度は高い。 だがその一方、彼女の経歴は誰も知らない。 それどころか、本名すら明かされていないのだ。 しかしメンバー誰もそれを疑問にも思わない。 そんな例は他にもあるから。 だから皆、愛着と信頼を込めて彼女の事を『センセイ』と呼んでいる。 それはロマも変わらない。 彼は腕組みをし、センセイに話を続ける。 「放り出すわけにもいかないし、当分は監視付で軟禁状態にするしかないかな?いっそオーブに帰ることを諦めてくれたら楽なんだけどね」 「はっきり言ってそれは現状では有り得ないですね」 「そうなんだよね。……しょうがない、当分軟禁生活で我慢してもらおう」 「わかりました。では一応は本人に訊ねておきますわ」 「軟禁か帰るのを諦めるか、どちらにするかをかい?」 「選択肢が全くないのと自分で選んだ結論とでは、全然違いますもの」 「僕たちってずるい大人だよね……」 無言でセンセイをしばらく見つめた後、ユウナは言った。 「すまない。嫌な役をやらせる」 「いえ、お気になさらずに。では失礼します」 そう言ってセンセイが去って行った部屋に、もう一度だけロマのため息がこぼれたのだった。 ロマの自室を出た後、センセイはソラのいる部屋に向う。 彼女の部屋は前の大戦で連合がこの基地を使っていた時、士官用個室として使われていたものだ。 粗末だがベットはもちろん、簡単な洗面台はもちろんエアコンなども整っている。 シン達がすし詰めにされている大部屋より遥かにいい待遇だ。 しかしその部屋のドアの前には、若い青年兵が腕を組んで見張りに立っていて、それが今のソラの状況を如実に示していた。 「見張り、ご苦労様」 「おや、センセイ。どうかしましたか?」 「ちょっとリーダーに頼まれてソラさんにお話を、ね。何か変わったことは?」 「静かなものです。静か過ぎて、少し心配な位です」 見張りの青年に「そう、分かったわ」と声をかけると、センセイはコンコンと軽くドアをノックした。 「ソラさん?ちょっといいかしら?あなたに是非話したい事があるの」 返事は無い。 「ソラさん?寝てるの?」 再び問いかけてから、ドアをノックする。 しかしまたもや返事はない。仕方がないのでドアを開ける事にした。 もしかして何かしているのかもしれない。あるいは……。 青年に何があっても対処できるように、目配せをする。 彼もそれを理解し、小さく頷いた。 「ソラさん、開けるわよ。いいわね」 そう言ってセンセイはドアの鍵を開ける。 部屋の中には小さな机と洗面台、そしてベットがあった。 ソラはそのベットの隅っこにじっと座っている。 「ソラさん?なんだ、起きてる……」 しかし最後まで言うまでもなく、センセイはソラの異常に気付く。 普通は部屋の中に誰かが入れば多少はそちらを注目するものだが、今のソラは完璧に無反応だった。 視線が空に浮いているのが、遠目にも分かる。一種のショック状態だ。 医者である彼女には、こうなった理由はすぐに分かった。 (何も知らない年頃の女の子が、いきなりモビルスーツ同士の戦闘を間近で見たんだもの。こうもなるわね) そっと隣に座るが、それでもソラは何の反応も示さない。 するとセンセイはそんな彼女を、後ろからそっと包み込むように抱きしめる。 その途端、今まで無反応だったソラが突如暴れだした。 「いやぁっ!放して……放してぇ!!」 「……」 暴れるままにセンセイの腕や足など、手の届く範囲を殴打し、引っ掻く。 しかしセンセイは無言のままギュっと抱きしめ続けた。 「帰して……家に……、オーブに帰してぇ……」 叫び声に涙が混じり始めた頃、落ち着いたというより暴れることに疲れたせいか、やっとソラは静かになった。 だがやはりセンセイは無言のまま抱きしめ続ける。 白衣越しに緩やかなセンセイの温もりがソラに伝わり、その穏やかさに少しずつソラの心に平静さが戻ってくる。 「大丈夫……。大丈夫だから……」 じっとソラを抱きしめて、静かになだめ続ける。 しばらくするとソラの瞳に生気が戻ってきた。 それを見極めると、センセイはそっとソラを離す。 「……少しは落ち着いたかしら?」 「……」 ソラは何も言わない。 しかしさっきまで荒かった息が、今は静かだ。 やっと落ち着いたらしい。 するとセンセイはそっとソラを離し、今度は正面から彼女を見据えた。 「……謝っても許されることじゃないけど、ごめんなさい」 初めて見る見知らぬ白衣の女性に謝られて、それまで黙っていたソラもたどたどしく問いかけた。 「……あの……あなたは?」 まだ少し戸惑っているソラを刺激しないように、センセイはゆっくりとした口調で自己紹介をした。 「……初めてお会いするわね。私はこの基地に勤めてる医者で、皆から『センセイ』って呼ばれてるわ。よろしくね」 「……センセイ?それ……名前なんですか?」 「訳あって匿名希望なのよ。でも名無しの権兵じゃ何だから『センセイ』ってワケ。医者だし、いつもこんな格好だからおあつらえ向きね」 そういってセンセイは白衣を摘んで見せてみる。 ソラはクスッと少しだけ笑った。 センセイからはコニールやシン達の様などこかギラギラした雰囲気はしない。 彼女の落ち着いた余裕がソラにそう感じさせていたのかもしれない。 それまであった彼女の警戒心が和らいだのがセンセイにも分かった。 そしてセンセイはさっきまでとは違う真摯な表情で告げる。 「ソラさん。私達はあなたには謝らなければいけないわね。あなたを巻き込んでしまった上に、また基地に戻す事になってしまって。どんなに謝っても許されることじゃないのはわかっているわ。でも、本当にごめんなさいね」 そういうとセンセイは深く頭を下げる。 「なるべく早くオーブに帰してあげたかったんだけど、現状では難しくなった、というのはわかるわね」 「……はい」 一言返事をした後は、しっかりとセンセイの目を見て話を聞いている。 「そこでこれからどうするか、あなたにも決断してもらわないといけないの。これはとても大事な事なのよ。あなたには二つの選択肢があるわ。どちらも辛いでしょうけど、ここではっきりと選んでちょうだい」 「……」 ソラは何も言わない。 そこでセンセイは一拍置いてゆっくりとソラに語りかけた。 「一つは、あなたがオーブ帰ることを諦めること。住居は提供するし、生活費もあなたが成人するか、リヴァイブが瓦解するまでは保障します」 「そんな!帰るのを諦めるなんて!!」 「でしょうね。では、あなたにはもう一つの選択肢を選んでもらうしかないわ。あなたをオーブに帰すことができるまで、この基地内で軟禁状態になる、という選択肢を」 「軟禁、状態?」 「そう、軟禁。つまり戦争が終わるか、あなたがオーブに帰れるようになるまで、どこか一室にずっと閉じこもったままでいてもらうの。戦争において相手の情報はとても大事だわ。あなたがリヴァイブについて知れば知るほど、あなたをオーブに帰した時の私達のリスクが増える。だから本当にオーブに帰りたいのなら、あなたはルールを守って欲しいの。それは私達”リヴァイブ”について知ろうとしないこと」 「だから私を軟禁、ですか」 一度頷いてからセンセイは続ける。 「繰り返すけどごめんなさい、あなたには、この二つのどちらかを選んでもらうしかないの。不条理と思うでしょうけど、これが戦争をしている私たちができる、ギリギリの譲歩なのよ」 「そうですよね……。戦争、してるんですもんね」 それだけ呟くと再びソラは無言になる。 僅かな呼吸音だけが部屋を満たす。 「それでも、やっぱりオーブに帰してください。お願いします」 「わかったわ。リーダーには、そう伝えておきます」 小声だがしっかりと答えたソラに、センセイは頷きながら言葉を返す。 そんなセンセイの二の腕に少しだが引っかき傷があるのにソラは気付いた。 「あ、あの!その腕の傷……ごめんなさい、私がつけた傷ですよね」 「あら?女の身体を傷物にしたのよ?言葉だけで許してもらえると思ってるの?」 「え?」 素直に戸惑うソラにセンセイは忍び笑いを漏らす。 「うふふ、冗談よ。レジスタンスやっているんですもの、こんなのは傷のうちにも入らないわ」 「酷い。からかったんですね」 ほんの少しだが、初めて笑みらしいものを見せた。 そしてソラは微笑むセンセイを見て、前から疑問に思っていたことを意を決して訊ねた。 「……センセイはなんでレジスタンスなんてしているんですか?それに匿名希望って……」 「あら、また随分と直球ね。でもね、秘密は大人の女のアクセサリーよ。そう簡単に教えるわけには、ね?」 「……」 はぐらかす様に冗談めかして答えるセンセイだったが、ソラの真剣な眼差しに折れてしまう。 「ふう……。仕方ないわね。秘密にすると約束してくれるなら、少しだけ教えてあげるわ」 頷くソラをを見てセンセイは口を開く。 「私はね……」 「ここかい?シンが馬鹿やって攫ってきたっていう女の子の部屋は!」 二人の邪魔をするドヤトヤと騒がしい声。 センセイが肝心なことを話す前に、それは突如部屋に乱入してきた屈強そうな男達に遮られた。 「……仮にも女の子の部屋よ?ノックくらいしたらどうなの?」 呆れたように問うセンセイに、先ほど大声を上げながら入ってきた赤いメッシュの入った金髪が特徴の男が答えた。 「そんな硬いこと言うなって。あ、君が噂の子だね。う~ん。五年後くらいが楽しみだ。俺のことは気軽に『少尉さん』って呼んでくれ。よろしく!」 「は、はぁ……よろしくお願いします」 そういうと男はいきなり右手を差し出さしてきた。 相手の気迫と陽気な笑みに押し切られて、ソラは思わず握手してしまう。 「君、名前は?」 「ソ、ソラ=ヒダカといいます……」 「ソラちゃんかあ。爽やかないい名前だね~。しかしシンの馬鹿に巻き込まれるなんて大変だったね。ソラちゃん、その胸の悲しみを僕に、どうぞ打ち明けたまえ」 両手を広げて「飛び込んでおいで」と暑苦しい位爽やかな笑みを浮かべる少尉の顎に拳が叩き込まれた。 ガツン!と鈍い音が響く。 「そういう俺達の品位を疑われるようなことはするな、とあれほど言った筈だが?」 「いっつー!いきなり何すんですか大尉!俺は言われたとおり紳士的に振舞ってるじゃないです……くわ!?」 顎を押さえてしゃがみ込んだ少尉の頭に、黒い拳が目掛けて落ちていた。 悶絶している少尉の後ろから、ぬっと煙草を咥えた色の黒い大男が現れる。 見慣れない風体にソラは思わずぎょっとする。 「ソラさん……、だったな?こいつの女好きは病気なんだ。どうか許してやって欲しい。私の事は大尉と呼んでくれ」 「ど、どうも……。あの……私気にしてませんから……」 大尉と名乗った黒人男性はすっと手を差し出す。 ソラはおっかなびっくり握り返すが、固い掌からこの人も戦場を潜り抜けてきた人なんだと、漠然と感じた。 先ほどの少尉と名乗った男も筋肉質な体型だったが、大尉はそれとは比べ物にならないほどごつい体つきをしている。 少尉よりも低い身長も合わさって遠目に見たら、少々肥満体にすら見えるほど発達した筋肉をしている。 ただその容姿とオーブではあまり見かけない黒人ということもあってソラは、大尉の丁寧な謝罪と挨拶にも関わらず少し怯えていた。 「大尉~、ソラちゃんが怯えてるじゃないっすか。大体女の子を慰めるのなんて大尉のキャラにはあってないんすからやっぱりここは俺が」 「どうしてももう一発欲しいようだな、ああん!?」 握り拳を作って少尉に迫る大尉。 そんな二人の後ろから無表情、というには僅かながら眉を寄せた顔付きで男が入ってくる。 「何やってんですか、二人とも。彼女すっかり怯えていますよ」 「や、そうだったか。スマンな中尉。気づかなかった」 「だから俺がさっきから……」 もう一発少尉の頭にゲンコツが飛んだ。 中尉と呼ばれた第三の男。 ソラのこの男の第一印象は「細い」だった。 しかしそれは少尉より頭半分ほど高い身長によって全体像として細く見えるだけで、腕の太さなど局部だけを見ればやはり強靭そうな筋肉に覆われていた。 「申し訳ありません、センセイ。止めようとはしたのですが二人がかりでは流石に不可能でした」 「……気にしないで、大体の事情は察しがつくから」 入り口付近で大声で騒ぐ大尉と少尉の二人にちらりと目をやる。 「いつもの事ってことなのよね」 センセイはふうっとため息をついた。 通称『大尉』、『中尉』、『少尉』。 この三人は貴重なモビルスーツのパイロットであり、皆の信頼を集めるリヴァイブの中核メンバー達である。 しかしその反面プライベートにおける行動はあまり評判はよろしくない。 決して悪い人間ではないのだが少尉は事あるごとに女性にちょっかいを出すし、大尉は”面白そう”という理由だけで結構突飛な行動をすることもしばしば。 中尉が二人を抑えに入るが大抵押し切られてしまう……というのが何時もの流れだった。 ただセンセイの立場から言えば呆れる事ばかりだし、もう少し自重してくれると助かる、とも思っている。 ちなみに中尉は三人の中では紳士然とした抜きん出た常識人で、センセイも彼をとてもく信頼している。 ただもう少し二人への抑えが効けば嬉しい、と密かにさらなる期待をしているのは秘密だ。 もっともそれは無理な話なのだが。 「……三人とももう挨拶も済んだんだし満足でしょう?モビルスーツのパイロットは休むのも仕事のうちなんだから。あんまりふらふら出歩いてないで自室に戻ったらどうなのよ」 「甘いぜ、センセイ。俺達は三人一組だぜ?三位一体、一蓮托生!俺達三人で見張りに立てばバッチリでしょ!!」 「中尉……」 「申し訳ありません。そういうわけでして……」 「大尉……」 「このバカを一人でここに置けと?狼の前に何とやらですよ、センセイ」 「……」 少尉にヘッドロックをかけたまま大尉は断言する。 センセイは思わず軽い頭痛を覚えた。 すると入り口の向こうから、それまで見張りをしていた青年が途方に暮れた様に聞いてくる。 「あのー、私は?」 「お前はとっとと休憩に入れ!交代だ、交代!」 シッシッと少尉は青年を追い払おうとする。 ところが不意にひょっこりと青年の横から小ぶりな男の子が現れた。 「駄目だよー。ここからは俺の見張り番だから」 「シ、シゲト!?」 「へっへー、ここの見張り番はオイラの役目に回ってきたのさ、で、ちょうど今が見張りの交代時間ってわけ」 短く刈った茶髪とニンマリと笑う笑顔。 典型的なわんぱく坊主といった感じだ。 と言っても既に女の子一人に女性一人、さらにごつい男が三人も居る部屋は満杯の状態で部屋の入り口に立った、の方が正しい表現だが。 「見張りって誰の命令だよ」 「リーダーだよ。ほら、交代のスケジュール表にもちゃんと書いてる」 そういうとシゲトと呼ばれた少年は大尉達に交代要員の一覧が書かれた紙を見せる。 確かにそこにシゲトの名前があった。 「……シゲト、本気でお前一人でか?少々不安だな」 「そうそう、お前一人じゃ大したことも出来ないだろ。諦めて帰れ」 大尉と少尉が交互にシゲトと呼ばれた少年を冷やかす。 「何だよ!俺達だってリヴァイブの立派なメンバーだぞ!見張りぐらいどおって事ねえよ!」 茶化された少年はぷいっっと膨れっ面で反論した。 「俺達?」 少尉が怪訝な顔をする。 なんとシゲトの腕にはあの時計”AIレイ”があった。 《そういう事だ。一切問題ない、俺も一緒だからな》 「なんだレイ。お前もいたのかよ。そうならそうと早く言えよな」 《最初からシゲトは『俺達』と言っていた筈だが?》 正論にぐっと少尉は喉を詰まらせる。 「ま、レイが一緒ならシゲトでも大丈夫だな」 「でもってなんだよ!でもって!」 シゲトが抗議するが大尉はあっさりと無視した。 「行こうか、少尉、中尉。いい加減にしないとセンセイも怒り出しそうだしな」 「了解です、大尉」 「じゃ、ソラちゃん。また後で会おうね~」 来たときと同様、三人は唐突に去っていった。 大尉と少尉が暴れだした辺りから圧倒されっぱなしだったソラがやっと一息つく。 「なんていうか……凄い人達ですね」 「でもああ見えてそれほど悪い人達じゃないわ。意外に紳士的な所もあるのよ」 「そ、そうなんですか」 とはいうものの、野次馬根性よろしくドタバタと騒いでいった大尉達三人と、センセイのいう”紳士的”という言葉がどうにもかみ合わない。そんな取り留めの無い事を考えていたソラは、ふと気づく。 「……あ、そういえば」 「どうしたの?」 「私、あの人達の名前ちゃんと聞いてませんでした」 「言ってたじゃない。『大尉』『中尉』『少尉』だって」 「え、でも……」 それは名前じゃなくて階級だ。それぐらいはソラにも分かる。ところがセンセイはソラに思わぬ事実を告げる。 「ここではいろんな過去を持っている人がいるわ。だから中にはいろんな事情から、本名を名乗れないで偽名を使ってる人もいるの。あの三人も同じ。だから私みたいに通り名ですましてるわ。本当の名前はあるでしょう。でもね、戦いが終わるまでそれは封印されたままなのよ」 「……ここが戦場だからですか?」 「んー、半分だけ正解かしら。確かに私達がレジシタンスという事も理由のひとつね」 「あとの半分は何なんです?」 「それはね、ヒ・ミ・ツ」 センセイは笑ってそう答えるが、ソラの胸中は複雑な思いで満たされる。 戦場という世界は人が人として普通に生きる事すら、制限してしまうのか。 そういう現実を垣間見た気がした。 「さてお喋りはもうお終い。私もそろそろ自分の仕事場に戻らないといけないから。じゃあまた後でね、ソラさん」 立ち上がり、部屋から出て行こうとするセンセイは、すれ違いざまに微笑みながらシゲトにそっと囁く。 「変な気を起こさないようにね?シゲト君」 「なッ!!?」 《問題ない、俺もいるからな》 「確かにレイがついているなら安心だわ。後はよろしくね」 手をヒラヒラと振りながら去っていったセンセイをシゲトは苦い顔で見送った後、つけていた腕時計を外してソラに突きつける。 「これ」 「えっと?」 AIレイだった。 「シンからだよ。レイなら側にいてもそれほど気にならないし話し相手が居た方がいいだろ?オレは外にいるから何か用があったら呼んで」 《まあそういう事だ》 ぶっきらぼうに言うシゲトから、少し戸惑いながらソラは受け取る。 再びソラの手元に戻ったAIレイは相変わらず愛想の欠片もなかった。 「あ、あの……」 「俺の名前はシゲト。シゲト=ナラ。シゲトでいいよ。大尉達みたいに偽名とかじゃないぞ!ちゃんとした本名だからな!」 「……」 ぎこちなく自己紹介をするシゲトの様子が、なんだが微笑ましかった。 なんとなく気持ちがほぐれてくる。 「うん、ありがとう……。シゲト君」 「い、いや!き、気にしないでいいよ!」 「私はソラ。ソラ=ヒダカ。シゲト君と同じ、れっきとした本名だよ」 「ソラさんか……!き、綺麗ないい名前だね!」 「うん、ありがとう」 「ソ、ソラさん!じゃ、また今度!」」 顔を真っ赤にしてシゲトはそれだけ言うと部屋の外に飛び出して行く。 《おい、シゲト。ドアの鍵を閉め忘れてるぞ》 「あああ、そ、そうだった!?」 真っ赤な顔をさらに赤くして戻ったシゲトは勢いよくドアを閉め、ガチャリと鍵をかけると、そのままバタバタと走り去っていってしまった。 部屋の中にははソラとAIレイだけが、ポツンと残された。 「どうしたんだろ?なんか慌ててたみたいだけど」 《リヴァイブにはいなから同世代の異性と接触した経験があまりシゲトにはない。どう接すればいいのかよくわからないのだろう。そのうち慣れる。気にするな》 「そうなんですか……シゲトくんは普通の男の子に見えるし、なんでレジスタンスなんてやってるんだろう。シゲトくんだけじゃない。センセイだって。それにさっきの大尉さん達なんてモビルスーツのパイロットなんでしょう?てっきりもっと怖い人たちかと思ってたのに。本当になんでレジスタンスなんて……」 《そうだな、そう思うのも当然だろう。そう思うことが本来は正しい。皆も口には出さずともそう思っているだろう》 「それが正しいと思うのならなんでレジスタンスを?」 《……『正しい』というだけでは通じないことがこの世には多すぎる。俺の口からはこれ以上は言えない》 レイの答えはソラを深い疑問の渦へと誘う。 (『正しい』というだけでは通じない……じゃ『正しい』って何だろう?) その頃、東ユーラシア共和国軍サムクァイエット基地司令室。 先ほど共和国政府国防省から送られてきた通達に、司令ドリュー=ガリウスは色を失っていた。 「これは一体……!なんだと……!!」 衝撃にうち震える手に握られた指令通達書。 それにはこう書かれていた ――失態がこれ以上続くなら、治安警察からの出向指揮官にコーカサス方面軍の全権を委ねる、と。 つまりこれはガリウスへの降格に等しい処分なのだ。 先日のレジスタンス討伐失敗が治安警察の面子を潰したのだろう。 そのため業を煮やした彼らが直接介入に踏み切ったのだ。 もはやガリウスには選択肢はなかった。 「至急ここに少佐を呼べ!大至急だ!」 ガリウス司令は隣室に控えていた秘書官を怒鳴りつけ、即刻副官を呼ぶよう厳命した。 もはや手段や多少の損害に拘っている場合ではない。 そして数時間後、ひとつの作戦が決定する。 補給部隊を囮にしてリヴァイブをおびき出し――叩く、と。
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東ユーラシア共和国コーカサス州のとある街、サムクァイエット。 州都ガルナハンからそう遠くない場所に位置する州有数の都市だが、今この街の人々の心は荒みきっていた。 街には浮浪者があふれ出すばかりで、ストリートチルドレン達は、今日も一人、また一人と死んでいく。 道行く人々の目は、誰もが死んだ魚の様に濁っていた。 今や東ユーラシア共和国のどの街でもそうなのだが、サムクァイエットとてその例外ではなかった。 「今はまだいい。また冬が来れば多くの人が死ぬ」 立て付けの悪い窓が風を受けてがたがたと音を立てている。 東ユーラシア共和国軍サムクァイエット基地庁舎の窓越しから、街を眺めるチャーリー=ガドルは、半ば絶望にも似た思いで、そうつぶやいていた。 そんなガドルに、向かいに座る部下の青年は言う。 「そうならないために、我々はがんばっているんじゃないですか。隊長」 2年前に入隊したばかりの若年兵だ。 その瞳にはまだ生きているものの光が宿っている。 そうガドルは感じる。 こういう青年がいるのだから、この国はまだ捨てたものではない。 だが、同時にガドルは感じる。 今回の作戦にこの青年を連れて行くことは赦されることなのだろうか? そもそも今回の任務は本来、ガドルの部隊が行う類の作戦ではなかった。 ガドル隊は補給部隊だ。 前線の部隊に対する補給を行い、命のつなぐこと。 それが彼らの本来の任務だ。 しかし、今回は違った。 今回の作戦における彼らの役割は「囮」なのだ。 ――補給部隊を囮にして敵をおびき出し、秘匿していた部隊で叩く。 一見すれば正気の沙汰とは思えない任務だ。 通常、戦争において失ってはいけないものが二つある。 教育担当仕官と補給線だ。 教育担当が死んでしまっては新たな兵士を作ることが出来なくなるし、補給線が絶たれては戦線の維持が不可能になる。 いずれに場合も、その先にあるのは死という名の敗北だ。 つまり、ガドル隊は「死んではならない部隊」そのものであった。 そのことにガドルは誇りと責任を常日頃から感じていた。 それは戦争という命の奪い合いのなかで出来る数少ない命を紡ぐ作業だと感じていたからだった。 しかし、命を紡ぐ作業に対する代償は何だったのだろうか? 命を紡ぐものは、やはり命。 それがこの世界が望む代償だった。 ガドルの部下達も数え切れないほど死んでいる。 火薬を満載した補給トラックは簡単な銃撃によって火だるまになる。 炎に包まれながらもだえ苦しむ部下の姿をガドルは一日たりとも忘れたことは無かった。 いや、忘れることは出来なかったというべきだろう。 昨日まで故郷に待つ妻と子供のことをうれしそうに語っていた青年が、自分よりも先に死んでいく。 それがガドルにとっての戦争そのものだった。 (……そろそろ、俺の命が捧げられてもいい頃だろう) ガドルは、そう思って頭をふる。 それは軍人にとって良い考えではなかったが、ガドルは前線で死に逝く兵士達を見送るだけの人生にも飽き飽きしていた。 そんな折、司令部は彼に願ってもない作戦を提示してくれた。 それが今回の囮作戦だった。 ――特攻。 忌まわしい言葉が脳裏を過ぎる。 しかし今回の任務はまさにそれに近い。 もちろん敵を迎え撃つために主力としてモビルスーツ、ルタンドが用意されている。 しかしそれはあくまで敵を倒すためであって、自分達を守るものではい。 「……シュタインベル、君はなぜ今回の作戦に参加するのだ?」 ガドルは目の前の青年――シュタインベルに語りかけた。 「……自分は、この戦いを早く終わらせたいのです。レジスタンスたちによる戦いは、この東ユーラシアを少なからず疲弊させています。この国には今、そんな余裕はどこにも無いんです」 「しかし、そのために危険にさらされることをなぜ選択した?」 「隊長はどうなんですか?」 「自分はロートルだ。代わりはいくらでもきくからな」 シュタインベルの瞳が少し曇りを帯びる。 本当に良い青年だ。 ガドルは素直にそう思った。 「……君はベルリンの出身だったな……」 ベルリン。 あの巨大モビルスーツによって焼き払われた都市。 ここ数年のベルリンの荒廃ぶりは目を覆わんばかりのものだ。 最近は西ユーラシアが統一地球圏連合直轄領になったことにより、少しは好転したのかもしれないが、あの惨劇はこの青年に大きな傷を背負わせたことは想像に難くなかった。 「分かった。早くゲリラを掃討して平和を取り戻そう」 ガドルは自分の言葉の欺瞞に、何とも言えない居心地の悪さを感じた。 しかし彼に出来ることはそれしかなかった。 例え目の前のこの青年の命を捧げてでも、レジスタンスを叩くことしか。