約 4,150,689 件
https://w.atwiki.jp/mustnotsearch/pages/3646.html
修正議論で変更されたワードがここに書かれます。 ワード名変更議論会で変更されたワードは右メニューにあります各回ワード名変更議論会のページをご確認ください。 - 目次 名前変更されたら行ワードの一覧我が子 サトゥルヌス 和田博行 1999年8月筆 分かつまで ウェディングケーキ ワロスマニア この画像なに? ワイの指 覇気を纏う わたくし 日記改☆ 関連項目 名前変更されたら行ワードの一覧 我が子 サトゥルヌス 【記事名】我が子 サトゥルヌス 【種別】名称変更 【依頼日時】2020/03/22 【修正依頼内容】 我が子 サトゥルヌスではワード名が無理矢理な上サトゥルヌスでも出てくるのでサトゥルヌスに変更すべき。 【結果】賛成多数のため変更 和田博行 1999年8月筆 【記事名】和田博行 1999年8月筆 【種別】名称変更 【依頼日時】2020/04/25 【修正依頼内容】 ワード名を「和田博行 1999年」に変更すべき。 その方が検索しやすいため。 【結果】賛成多数のため変更 分かつまで ウェディングケーキ 【記事名】分かつまで ウェディングケーキ 【種別】名称変更 【依頼日時】2021/08/16 【修正依頼内容】 「ウェディング」が無くてもヒットするのでワード名を「分かつまで ケーキ」に変更するべき 【結果】賛成多数のため変更 ワロスマニア この画像なに? 【記事名】ワロスマニア この画像なに? 【種別】名称変更 【依頼日時】2022/08/16 【修正依頼内容】 「ワロスマニア」なしの「この画像なに?」だけでも普通にヒットするため、こちらに変更すべき。 【結果】賛成多数のため変更 ワイの指 覇気を纏う 【記事名】ワイの指 覇気を纏う 【種別】名称変更 【依頼日時】2023/03/12 【投票開始日時】2023/03/18 【修正依頼内容】「ワイの指」のみでもヒットする上に他の衝撃的な画像もヒットするのでそちらの方に変更するべき。 【投票議論ログ】 賛成です。 -- メダルゲーム。 (2023-03-19 06 35 36) 賛成です -- 名無しさん (2023-03-19 10 14 11) 賛成します -- !? (2023-03-22 01 32 35) 【結果】投票の結果、賛成多数のため変更 わたくし 日記改☆ 【記事名】わたくし 日記改☆ 【種別】名称変更 【依頼日時】2023/07/25 【投票開始日時】2023/07/29 【修正依頼内容】 「わたくしの日記」でもヒットし、こちらの方が意味が伝わるため変更すべき。 【投票議論ログ】 こちらの方が分かりやすいので賛成です -- You (2023-07-29 08 38 44) 賛成です。 -- ミューゲーム。 (2023-07-30 11 04 23) わざわざ最後に★と検索して調べる人は早々いないと思ったので賛成です -- かっき~ (2023-07-31 17 06 56) 賛成です。 -- 疾風怒濤 (2023-07-31 19 59 28) 【結果】投票の結果、賛成多数のため変更 関連項目 名前が変更されたワード一覧あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行 英行A~F 英行G~L 英行M~S 英行T~Z 数字行 その他記号行
https://w.atwiki.jp/yukinokanade/pages/61.html
緑色の‥‥ 名無しさん ちょっとした小ネタですが投下させて下さい。 「瞳は緑香の胸に、ゆっくりと手を這わせた。 緑香は心の中でニヤリと笑った。 『いよいよだ……』 緑香の手はそのまま瞳の太ももまで手を這わせ、ついにある部分に辿り着いた。その瞬間、瞳は足を上げ、それは空を切り、くぐもった声を上げた。 『ぅ、あ、あ~~ん……』 緑香は腰を落とした。 腰を落としたまま緑香は瞳の“そこ”に狙いを定め、指を挿入しようとした。 『あ、あ~~~~ん……』 ……」 どうやら奏が、こちらに気付いたようだ。 突然、行為をやめた奏に雪乃は驚き、仰向けのまま上目使いで奏を見ている。 奏は色々な意味で冷や汗をかきながら雫に聞いた。 「何やってんの?しーちゃん……」 雫は朗読していた 『じんじん女子高生』という本を閉じて、しれっと奏に言った。 「マンネリ化した姉ちゃん達を盛り上げようと……」 「いや、そんなことないよ……」 二人のやりとりを聞いた雪乃は、ゆっくりと身体を起こした。「そうそう、だって今日はかなちゃんが私達が中学の頃のセーラー服を着て……モゴモゴ」 雪乃が、とんでもないことを言い出すので奏は慌てて雪乃の口を塞いだ。 「余計なことは言わなくていい!!」 今まで、二人をじっと見ていた雫が突然はいていたニーソを脱ぎだした。 「よかったら、これ貸そうか?」 「「……………」」 おわり? 277の続き? 「……と、いうわけで姉ちゃん達は、前にあんたが言ってた、いわゆる『うらやまけしからんプレイ』をしてたよ」 「………」 無愛想な表情のまま、あっさりと言ってのける雫に咲夜は目が点になった。 「奏センパイだけが急に 北海道に帰ったのは、そういう事でしたか……」 「そう、突然帰ってきたと思ったら……」 雫は奏が帰ってきた時のことを思い出していた。 実家に帰った奏は、慌てて自分の部屋に入るなり、タンスの中身を全て床に投げ捨てていて、雫は何事かと思った。 「あっ、あった!!」 奏がタンスから見つけたものは雪乃の中学生の時のセーラー服だった。 自分の分は雫にあげてしまったから、奏は仕方なく雪乃のセーラー服を取りに帰ってきたのだ。 「それだけのために、ですか?」 「うん、あとこんなものが……」 雫は背負っていたリュックを降ろし、中身をぶちまけるように出した。 そして、リュックから出た物を見た咲夜は、さらに唖然となった。 「おなすに、きゅうりに……」 ぶちまけた物を雫は淡々と咲夜に見せた。 そして、その中からプラスチックの少し長い物体を取り出し、雫は電源のスイッチを入れた。 「バカ姉ちゃん、こないだ失敗したからって、 この緑色のウインウインでも練習したんだって」 「…………」 「……試しすぎですよ、センパイ方……」 まさか自分以上の変態(?)が、こんな身近にいるとは思いもよらなかったので、咲夜はまたいつかのように真っ白に燃え尽きてしまった。 今度こそ終わり? 上へ / 次に進む / 一つ戻る
https://w.atwiki.jp/83452/pages/18270.html
「律先輩……、私、皆さんの役に立ちたいんです……。 皆さんに必要にされたんです。 もっともっと傍に居たいんです……」 「いや、でも、急に……、何で……。 私にキスしようとなんて、どうしていきなり……。 傍に居るとか必要にされたいとか、それならもっと他に何か……」 「だって……、律先輩……。 一緒にお風呂に入った日、律先輩、私にキスしようとしてたじゃないですか……。 私の事を抱き締めようとしてたじゃないですか……。 ですから、私は……」 気付かれていた! 私は一瞬で自分の頭が真っ白になるのを感じた。 気付かれてないと思ってた。 私の逃避を……、梓に甘える事で逃げようとしてた事を、気付かれてないと思いたかった。 実際、梓は私の逃避に気付いてないよう思えた。 だけど、梓は私のしようとしてた事に気付いていたんだ。 身体が震え、嫌な汗を掻いて、 息が止まりそうなほど緊張している自分に気付く。 梓の真意が掴めない。全然掴めない。 私がしようとしてた事に気付いて、 それでも私の傍に居ようとする梓の想いが……。 全然、分からないから……。 私は……、震え続けてしまっている。 「梓、あれは……、あ……あれは……」 上手く言葉に出来ない。 上手く説明出来ない。 あの時、私がどうしてあんな事をしようとしたのか、自分でもはっきりとは分かってないんだ。 私は梓の温かさが愛おしかった。 優しさを求めたかった。 寂しさを紛らわせたかった。 それは間違いなく、言い訳しようの無い事実だ。 でも、それだけで同性の後輩を……、 梓を抱き締めたいと思うようになるものなんだろうか? 梓の事は好きだと思う。 小さくて可愛らしくて、私の事をずっと見てくれてる。 支えてくれて、引っ張ってくれてる。 梓が大好きで大切な後輩なのは間違いない。 ひょっとしたら、それはただの後輩に対して向ける感情じゃなくて……? 「律先輩、私……」 梓が顔を赤く染めたままで続ける。 その声色からは嫌悪感は全然感じられなかった。 むしろ嬉しそうに、優しい声色で囁いてくれていた。 「私、嬉しかったんです……。 あの日、お風呂の中で律先輩が私を抱き締めようとしてる事に気付いて、 最初はびっくりしたんですけど……、どうしたらいいのか分からなかったんですけど……。 でも……、やっぱり嬉しかったんです。 何の役にも立ててなかった私ですけど、何も出来なかった私ですけど、 律先輩が……私の事を大切に思ってくれてるって思うと、凄く嬉しくて……。 だから、私……、私も律先輩と……」 そこから先は聞けなかった。 そこから先の言葉を口にするには、梓も自分自身の想いが固まってないんだろう。 私だって固まってなかった。 自分の想いを完全に受け止めるには、まだまだ早過ぎる。 でも、梓と寄り添って、支え合って生きていくって想像は私を嬉しくさせた。 きっとそれは幸せな事だろう。 梓と抱き締め合ったり、キス……したりして生きていくのは、とても幸せな事なんだ。 私だって、幸せになりたい……。 だから、私は上半身を起こして、私の上に乗る梓を胸の中に抱き留めたんだ。 「梓……。 私はさ……、梓の事が好きだよ……。 梓と傍に居るのは楽しいし、面白いし、嬉しい。 私の想いを受け止めようとしてくれてるのも、涙が出そうなくらいに嬉しいんだよ……。 だから、さ……」 「私も……です、律先輩……。 私、律先輩の傍に居られると、嬉しくて、落ち着けるんです。 今だって、律先輩の腕の中に居ると……、私、落ち着けて安心出来て……。 ですから……」 私は胸の中に抱き留めていた梓を解放して、至近距離で見つめ合う。 あと拳一つの距離ほど近付けば二人の唇が重なる距離。 まだ私は震えてる。 梓も多分、緊張で震えてる。 でも、私達の唇が重なれば、この震えは止まるはずだ。 そうして、私達は手だけじゃなく、想いだけじゃなく、心と身体でも繋がれるようになるだろう。 梓が口を開き、少し遅れて私も口を開く。 お互いの想いをほとんど同時に言葉にして、お互いの気持ちを確認し合った。 「もう一度抱き締めて下さい、律先輩」 「もうやめよう、梓」 瞬間、梓の大きな瞳が更に見開かれた。 何が起きてるのか分からないって表情だった。 赤かった頬は若干青ざめてるようにも見えた。 梓のそんな表情を見るのは辛かったし、こんな風にしか言えない自分が悔しかった。 だけど、今これを言葉にしなきゃ、私達はもっと辛くて悲しい想いをする。 そう思ったから、私は梓に言ったんだ。 「えっ……? えっ……? 律……先輩? あの……、今、何て……? だって、その……えっと……」 梓が視線を散漫にさせて、言葉を何度も途切れさせながら呟く。 その呟きは自分に言い聞かせてるみたいでもあった。 そんな事があるはずがない、今のは聞き間違いなんだって。 きっと梓はそう思ってるんだろうと思う。 冗談だ、って言ってやれれば、私もどれだけ楽になれるだろう。 梓をどれだけ安心させてやれるだろう。 でも、私はそうは言わない事にしたんだ。 梓の事が大切だから……、梓の事が大好きだからだ。 私はまだ自分の身体が震えてる事に気付きながらも、どうにか梓から視線を逸らさない。 まっすぐに梓の泣き出しそうな瞳を見つめる。 「もうやめようって言ったんだ、梓。 梓が傍に居てくれると嬉しいし、正直、今でも抱き締めたい気持ちは残ってる。 二人でずっと一緒に居れば、安心出来るし、幸せになれるんだろう……。 だけど……、これ以上の事はよくないって思うんだよ。 これ以上は……、駄目なんだ……」 「どう……してっ? どうして……っ? だって、だって、律先輩、あの日、私……、私を……っ! 嬉しかった……。嬉しかったのに……っ!」 梓の表情がまた崩れる。 また涙を流し始めながらも、その言葉が止まる事は無い。 信じていた全てに裏切られた気分になってるんだろうと思う。 私に裏切られたとも考えているのかもしれない。 だけど、私は梓を裏切りたくないらこそ、自分が胸が痛いのを感じたって続けるんだ。 「梓……、おまえの言う通りだよ。 私はおまえと一緒に風呂に入った時、おまえを抱き締めようと思った。 抱き締めてキスをすれば、安心出来ると思った。 安心させてやれるって思った。 でも、それは出来なかった。 私の勝手な暴走と下心でおまえを傷付けたくなかったからだ。 いや、多分、怖かったからでもあると思うよ。 おまえとそんな関係になってしまったら、私達はもう二度と戻れなくなる。 皆で笑い合ってた頃には戻れなくなるって思ったから……、 あの日、おまえにキスしなかった事に、後悔はしてないんだ……」 「そんな……、そんなのって……ないですよ……っ! 私、嬉しかったのに……、戻れなくたって構わなかったのに……っ! どうしてそんな……、今更……っ!」 梓の大粒の涙が止まらない。 自分でも自分が何を言ってるのか分かってないのかもしれない。 そう思えるくらい、梓は自分の心を曝け出していた。 この世界に来て以来感じていた辛さや寂しさや悲しさや怒りや、 そういう感情を受け入れてくれるはずの私に拒絶されてしまったんだ。 やっと安心出来るはずだったのに、 幸せになれるはずだったのに、それを私が台無しにしてしまったんだ。 梓の涙と怒りはもっともだと思う。 私だって自分がやられていたら、怒って、泣き出していたかもしれない。 でも、私には傍に居るだけじゃなく、突き放してくれる仲間が居た。 殴ってくれる澪が居た。 叱ってくれるムギが居た。 辛い決心をしてくれる唯が居た。 だから、今度は私が梓にそうしなきゃいけない時なんだ。 「ごめんな、梓……。 あの日、私が弱くて、おまえに頼ろうとして、本当に悪かった……。 そんな事しちゃいけなかったのに、私は……」 「いいんですよ! 律先輩の気持ち、私、嬉しかった! 嬉しかった……んですから、だから、私……、 もう戻れなくたって……、構わないですから……っ! そんな事より……、一人になりたくない……。 一人になる事の方が怖いから……、 だから……、抱き締めて……、抱き締めて……下さい……っ!」 「梓……っ!」 私が低い声で呼ぶと、梓の肩が大きく震えた。 怯えた表情で私の顔を見つめている。 私自身に怯えてるっていうより、私に嫌われたんじゃないかって怯えてるみたいだ。 さっき、一人になりたくないって梓は言った。 それが梓の偽りのない本音なんだろうと思う。 元々、私達が高校を卒業する時、一人きりになる事を本気で怖がってた子なんだ。 誰よりも、孤独を怖がってるんだ、梓は。 だから、今日、もう誰とも離れないために私達の手首を包帯で結んだんだ。 今だって、自分を必要と思われたくて、 私の歪んでいた想いを受け入れようとしてくれてるんだろう。 「すみません、律先輩……。 私……、私……、変な事を、でも……、でも……っ! 私……っ、この気持ちは本当で……」 梓が震えた声で呟く。 心底怯えた表情で、戸惑っている。 一人になりたくなくて誰かを受け入れようとして、 その結果、自分を失くした上に一人になってしまうっていう矛盾。 私も同じだった。 私だって一人になりたくなかった。 和達を失って、それ以上誰かを失う事になりたくなくて、私は私の想いを殺した。 そうする事でしか、皆と一緒に居られる方法が無いと勘違いしてた。 でも、そんな事をしたって、余計皆に心配を掛けてしまっただけだった。 もうそういう事はやめないといけないんだ、私も、梓も。 私は手を伸ばして、流れる梓の涙を一滴拭った。 「謝るのは私の方だよ、梓。 私だって一人になりたくないし、皆といつまでも一緒に居たいよ。 出来る事なら、永遠に皆の傍に居たい。 でも、さ……、私、思ったんだよ。 唯が体調を崩して、この世界の事について深く考えて、思ったんだ。 梓が私達の手首を包帯で結んでくれたからでもあるかもな。 とにかく、思ったんだ。 『一緒に居る』って事と、『一緒に居たい』って思う事は似てるようで違うんだって。 違うんだよ、この二つは絶対に……」 「『居る』事と……、『居たい』って思う事……?」 「私達が卒業する前の事を思い出してくれ。 私達はいつも部室に集まってた。 それは部活だからでもあるけど、それだけの意味じゃなかったはずだよ。 部活する予定じゃない日でも、誰が呼んだわけでもないのに、 自然と五人が集まっちゃった事も何度もあっただろ……? 口にこそ出さなかったけどさ、私、それが嬉しかったんだよ。 皆が皆と『一緒に居たい』って思ってくれてるんだって思える事が、凄く嬉しかったんだ。 でも……、でもな……、『一緒に居る』って事とそれは違うと思うんだ。 『一緒に居なきゃ』って、誰かや自分に強制されるなんて、 そういうのは嫌だって思うし、悲しい事だと思うんだよ……」 そうだ。 それが私の違和感だったんだ。 皆と一緒に居れば安心出来るし、幸せになれるし、笑顔で居られる。 それはとても嬉しい事だけど……、でも、それに頼り切ってちゃいけなかったんだ。 軽音部で活動して、私達は音楽を繋いだ。 手を繋いだ。 想いを繋いだ。 でも、心までは繋ぎたくない。繋いじゃ駄目なんだって思った。 その事を梓に手首を包帯で繋がれる事で気付けた気がする。 私達は手を繋いでるんじゃなくて、心を繋いでたんじゃないかって。 閉ざされた世界。 和はこの世界の事をそう呼んでいた。 確かにこの世界は閉ざされてる。外の世界に干渉出来ないって意味で閉ざされてる。 でも、そういえば和はこうも言っていたはずだ。 「閉ざされてるのは世界の方じゃなくて、もしかして……」と。 閉ざされているのは唯の夢で、同時に私達の心でもあったんだ。 皆が傍に居なきゃ不安で仕方が無くなってた私達の心の方なんだ。 閉ざされた心。 それがきっと私達がこの唯の夢に迷い込んだ本当の理由なんだろう。 私達はお互いを繋ぎ止めてた。 五人で居なきゃ不安だった。 いつの間にか、お互いが傍に居る事を無意識の内に強制していた気がする。 離れていたって大丈夫だなんて言葉は嘘だ。 傍に居なきゃ……、一緒に居なきゃ……、不安な気持ちは決して消えない。 皆にいつか忘れられてしまいそうで怖い。忘れてしまいそうで怖い。 それが自然な感情なんだと思う。 でも、だからって……、傍に居れば、ただそれでいいわけじゃなかった。 強制して、心まで繋ぎ止めて、無理矢理に傍に居てもらって、 安心するためだけに傍に居て、絆を再確認し合うなんて、悲しいじゃないか。 私達の想いの全てを否定してしまうみたいじゃないか。 私が梓にキスしようとしてたのだってそうだ。 私は安心したかった。傍に居て梓の体温を感じたかった。 同時に私は自分の体温で梓の心を繋ぎ止めようとしちゃってんだ。 梓は優しいから、私達の事を思ってくれてるから、 身体で繋がれば、ずっと一緒に居られると考えてたんだと思う。 しなくてよかった。 躊躇ってよかった。 もしも梓が私を受け入れてくれていたら、 私はどれだけ後悔しても後悔し切れなくなっていた。 元の二人に戻れなくなってた。 傍で笑い合えてた二人には、もう二度と……。 私は梓の頬に自分の手のひらを軽く触れさせた。 まだ日焼けしている梓の頬。 子供みたいに体温が高くて、手のひらに心地良い。 二人の体温を感じ合う。 とても嬉しくて安心出来たけど、これ以上の事はしちゃいけないって思った。 私はまた涙をこらえている梓に向けて、呟いた。 少しだけ自分に言い聞かせるみたいに。 「ごめんな、梓……。 今まで上手く言えなくて……、言葉に出来なくて……。 でも、これが今の私の本当の気持ちなんだよ。 梓が私の気持ちを受け入れようとしてくれたのは嬉しい。 すっごく嬉しい。 でも……、皆のおかげで気付けたんだよ。 そういうのはしちゃいけないし、したくない事なんだってさ。 勿論、それを教えてくれたのは梓でもあるんだ。 梓は私と一緒に居てくれた。私の馬鹿げた想いにも向き合ってくれた。 ずっと私や皆を支えててくれただろ? 私達はそんな梓の事が大切だって思ったんだ。 私はもうそんな梓の笑顔を奪いたくないんだ。 今、私達がキスなんかしたら、梓は後で絶対に後悔する。 前みたいに笑えなくなる。 だから……」 私の言葉が終わるより先に、また梓の瞳から涙が一筋流れた。 身体を小刻みに震わせて、流れる涙を自分で拭いながら呟く。 「ずるい……、ずるいです、律先輩……。 わた……私……、後悔して……も……ううっ、構わ……構わないのに……。 律先輩の気持ち……、私、嫌じゃ……なかったのに……」 「ごめん……、ごめんな、梓……。 でも、今は駄目だ。駄目だと思う。 これは私の我儘だ。怒ってくれたって構わない。 これまで自分の気持ちから逃げてて、上手く言えなかった私の責任だ。 どんなに責められたって仕方ないと思う。 だけど、それだけは……、それだけはしちゃいけないんだ……」 私は絞り出すように言葉を吐き出す。 辛い言葉。胸が強く痛む言葉。 声に出す度に心が削り取られていくみたいだ。 辛い……、叫びたくなるくらい辛い……。 それでも、ここだけは譲るわけにはいかなかった。 私は梓の笑顔が好きだから。 何の迷いもなく傍に居たいと思えていた梓の笑顔が好きだから。 私は、譲らない。 「ずるい……、ずるいです……っ!」 呟きながら、梓が私の胸に両拳を交互に振り下ろし始める。 何度も何度も私の胸を叩く。 でも、その拳には力が入ってなかった。 軽く置くみたいな速度で、私の胸に言葉の代わりに想いを叩き付けていた。 私はその梓の拳を受け続ける。 避けたりなんてしない。 私は今度こそ、梓とまっすぐに向き合うんだから……! 梓が私の胸を叩きながら言葉を続ける。 「嫌い……、嫌いです……。 律先輩なんて……、大っ嫌いです……っ!」 「……ああ」 「自分勝手で、大雑把で、いい加減で……、 練習しないし、お菓子ばっかり食べてるし、変な事ばっかり思い付くし……、 ううっ……、本当に嫌な……、嫌な先輩です……っ!」 「……ああ」 「大雑把でいい加減なのに……、 自分の事しか考えてないように見えるのに……、 それなのに……、最後の……最後には……、 私の事……や……、先輩方の事をちゃんと……考えてて、 先の事もしっかり考えてて……、うううううっ、ひっく……。 そんな……そんな所……、本当に……本当に大っ嫌いっ!」 「……ああ」 「ずるい……、ずるいよう……。 律先輩ったら……、最後の最後で逃げ出さなくて……、 私にも逃げるのを……許してくれなくて……。 私の……後悔なんか……、私……、気にしない……しないのに……っ! どうして、律先輩は……そんなに……っ!」 「……ああ」 「だけど……、だけど、私……。 そんな……、そんな律先輩が……。 わた……、私……」 梓の言葉と拳が止まる。 涙も止まりこそしなかったけど、少しだけ落ち着いたみたいだった。 一息だけ吐いて、私は梓に正直な想いをもう一度伝える。 「梓。 私はおまえの笑顔が好きなんだ。 私の悪ふざけに苦笑してくれるおまえの笑顔が好きだ。 演奏が終わった後、満足そうに微笑んでくれるおまえの笑顔が好きだ。 部室で見せてくれるおまえの笑顔が大好きだ! 私は……、その笑顔を失くしたくないんだよ……。 今、私達がここで慰め合ったら……、 おまえのそんな笑顔が二度と見れなくなると思うんだよ……」 「私の……笑顔……? でも、私の笑顔……なんて……」 55
https://w.atwiki.jp/ao-ohanashi/pages/213.html
「マスター、背中流してあげるね」 「ん…ありがと」 「じゃあ翠星石は前を洗ってやるですぅ」 「いや!前ぐらい自分で洗えるよ!」 「いいから黙りやがれですぅ!」 「でも…ってか蒼星石!何して…!」 「どうしたの、マスター?」 「いや、背中に当たってるって!」 「ふぇ…何が…?」 「だから…」 「んな…!何おったててやがるですか! 早くしまいやがれですぅ!」 「でも蒼星石の胸が背中に…」 「えぅぅ…。もしかして僕の、当たってた?」 「あ…うん。ってかさっきからその事を…」 「あぁーっ!何をグダグダ言ってやがるですか!? もう翠星石がそれを鎮めてやるですぅ!」 「それってまさか…」 「一人でなんてずるいよ!僕も手伝うよ!」 「ちょ…!何で蒼星石まで!」 「だってマスターがこうなっちゃったのって僕のせいなんでしょ? だから僕が頑張らなきゃ…」 「これって姉妹丼ってやつだよね? …オレ、今なら死んでもいいや」
https://w.atwiki.jp/83452/pages/18253.html
でも、思った。 私が過去を思い出して笑っちゃってるって事に。 悪い事じゃないって思う。 でも、笑っちゃっていいのか、不安になった。 私は未来に進む事を決心した。 皆と一緒に居るために、突き進んでいく事を決めたんだ。 過去を切り捨ててまで……。 失った大切な仲間達を犠牲にしてまで……。 そんな私が……、過去を思い出して笑顔になっちゃっていいんだろうか……? その答えが出るより先に、ムギが静かに呟いた。 誰に聞かせるわけでもないみたいな、独り言みたいな呟きだった。 「また……、皆で演奏したいな……」 呟いた後、はっとしたみたいにムギが自分の口元に手を当てた。 まずい事を言っちゃったって思ったんだろう。 今、そんな事をしてる場合じゃないって、そう思ったんだろうな。 確かにそんな事をしてる場合じゃない。 今の私達は自分達が生きてく事を最優先に考えるべきなんだ。 ……けど。 私だってムギと同じ気持ちだった。 私とムギだけじゃなく、皆、同じ気持ちだと思う。 私達は軽音部で、音楽が大好きなんだ。聴くのも演奏するのも大好きなんだ。 過去がどうのってのはともかく、皆で演奏したいって気持ちだけは、否定したくない。 気が付けば、私はムギの頭に手を伸ばしていた。 「演奏……、また皆でしたいよな……」 言いながら、ムギの頭を撫でる。 演奏したい。 演奏してやりたい。 特に今の私は不完全燃焼なんだ。 ライブ寸前、あの一陣の風のせいで、私達は練習の成果を披露出来なかった。 そんなに上手い演奏にはならなかったかもしれないけど、演奏自体出来ないよりはずっとマシだった。 だから、すごく悔しくて、不完全燃焼だ。 出来る物なら、今すぐにでも演奏してやりたい。 ムギが意外そうな表情で私の顔を見て、 しばらくしてから、真顔になって「うんっ!」と頷いた。 私達は軽音部なんだ。 何も出来なくたって、不安に押し潰されそうだって、音楽だけは捨てたくない。 「だけど……ね……」 ちょっと悲しそうにムギが呟き始めた。 ムギが何を言おうとしてるのか分かったけど、私は黙ってムギの言葉の続きを聞く事にした。 ムギが続ける。 「楽器が……無いんだよね……」 辛そうに呟く。 やっぱりそうなんだなって思う。 私だって同じだ。 唯や澪ほどじゃないにしろ、自分の楽器には愛着があるし、今手元に無い事が辛い。 ムギだって卒業旅行の時に日本から自分のキーボードを送ってもらうくらいだったんだ。 自分のキーボードが無い事を辛く思ってるのは間違いない。 胸の痛みを感じる。 でも、私は前に進むって決めたから、ムギの頭を撫でながら言ったんだ。 ムギを傷付けるかもとは思ったけど、言っておくべきだって思ったんだ。 「ムギ……、楽器屋、行こうぜ……。 新しい相棒を探しにさ……。 今日はもう遅いから、その内、時間が出来た時にでも……さ。 それでまた演奏してやるんだよ。 な?」 ムギが私の言葉に視線を彷徨わせる。 そうするべきだって想いと、そうしたくないって二つの想いが戦ってるんだろう。 どっちが正しいのかは分からないし、多分、どっちも正しいんだろう。 でも、私は未来に進むのを選んだんだから、新しい相棒を探す事を選びたかったんだ。 結局、ムギは頷きも首を横に振りもしなかった。 迷ってるんだ、きっと。 でも、それでよかった。 私は未来に進むけど、ムギには迷って自分の答えを見つけ出してほしい。 そうやってムギが出した答えなら、私だって素直に受け止められると思う。 そうして、私達は色んな迷いや想いを抱えながら、 食糧や日用品をリュックに詰めてホテルに戻った。 複雑な表情を浮かべてたムギだけど、帰り道ではまた笑顔を見せてくれるようになった。 色んな想いを抱いて、迷いながらも、笑顔になる事を選択したんだろう。 私はそんなムギを支えていけたら嬉しいって思った。 そこまでは、私も笑えてた。 そこまでは……。 でも、それから、その私の笑顔は、 ホテルの部屋に戻って、長く失われる事になる。 長い長い間、笑う事が出来なくなる。 笑えるもんかよ……。 きっかけはホテルに戻って、 部屋の扉を開いた時に目にしたものだった。 ムギと一緒に重い荷物を持って階段を上って、 ちょっと疲れながらも元気な声を出して扉を開く。 「おいーっす。戻ったぞー」 扉を開いた先には一人の女の子が立っていた。 結ぶには少し短めの髪をポニーテールにした女の子……。 憂……ちゃん……? 私の胸が息苦しいほどに鼓動を始める。 憂ちゃんなのか? 憂ちゃんもロンドンまで飛ばされていたのか? 他の二人も元気なのか? だったら嬉しい。だったら嬉しい……けど……。 何なんだよ、この不安感は……。 喜ぶより先に私の胸が鼓動し続ける。 これは違うって胸の奥が叫びを上げる。 こんな事があるはずがないって、私の心の声が大声で主張する。 そうだ、ありえない。 こんな事は……、ありえない……。 これは……、これは、つまり……。 「あっ、お帰りなさい」 言いながら、女の子が振り向く。 憂ちゃんの顔の女の子……。 その顔には赤いアンダーリムの眼鏡が掛けられていて……。 和の物と同じ眼鏡が……。 息を呑んだ。 声が出ない。出せない。 これはどういう事だ……? 当然、転移の失敗で憂ちゃんと和が融合しちゃったとか、 馬鹿みたいなわけの分からない陳腐な展開ではありえない。 もっともっともっともっと単純な理由だ。 でも、転移の失敗って陳腐な理由の方が、ずっと良かったかもしれない。 そうだ。ちょっと考えれば分かる事だ。 扉の向こう、髪を結んで眼鏡を掛けた女の子は……。 間違いない。 もう見分けがつくくらい、こいつの顔は見慣れてる。 そう。 こいつは私達のよく知ってる仲間……。 唯なんだって事だ。 ◎ 何が起こったかはすぐ理解出来なかった。 正直、時間が止まった。 動き出せない。 息が止まる。 でも、頭の中だけは目眩がするくらいの思考が、 ぐるぐるぐるぐる回ってる。 何だよ、これ? 唯はどうして髪を結んでるんだ? いやいや、髪を結ぶ事自体は全然いい。 たまに結んでた事もあるし、髪くらい自由に結んでいいじゃないか。 唯のくせに可愛い髪型だなって思う事も何度かあった。 でも、何で? どうして? よりにもよって、どうしてこの髪型を選んでるってんだ? 短い髪をリボンでポニーテールに結んで、まるで憂ちゃんみたいに。 唯に瓜二つの妹の憂ちゃんみたいに……。 そして、眼鏡。 何処で見つけたのか、アンダーリムの赤い眼鏡。 多分、服を探しに行った時に見つけ出したんだろうその眼鏡。 和の物と全く同じ眼鏡。 トレードマークみたいな私達の親友の和と同型の眼鏡を……、 唯が掛けている……。 何だ、何だ、何だってんだ。 唯はどうして二人を思い出させる恰好をしてるんだよ? 過去を思い出すのはいい。 失った三人を捜し続けるのだって構わない。 それは唯の権利だし、私はその唯の選択を否定しちゃいけない。 否定したくない。 だけど、 これは、 これだけは、 駄目だ。 過去に追い込まれちゃう事だけは、絶対に駄目だ。 過去に目を向けながらでも、前には進まなきゃいけないんだ。 唯が思い出に浸るのは構わない。 でも、唯が思い出に支配されてるのは、見てられない。 唯は今、失った二人に似せた恰好をしている。 それが何を意味してるのかは分からない。 唯の気持ちなんて絶対に分からない。 でも、推測は出来る。 唯はきっと……、失った仲間達の傍に居たいんだ……。 どんな形でも、どんな手段でも、仲間達の事を感じていたいんだ。 きっとそうなんだ。 だから、こんな事をしちゃってるんだろうな……。 それが私には分かる。 私も同じ事を感じた事があるからだ。 正直な話、閉ざされた世界に来て以来、鏡を見る度に胸が痛むのを感じてた。 鏡を見て、目元なんかを見る度に、思い出すんだ。 聡を。 私の弟の聡を。 私達はそんなに似てる姉弟じゃない。 男と女だし、年子ってわけでもないし、ちょっと似てるかな? ってくらいの姉弟だ。 でも、ちょっとだけ似てるだけで十分だった。 よく歌なんかで別れた恋人と似た誰かを見つける度に辛くなるって歌詞があるけど、その通りだ。 聡の面影を見つける度に、私は胸が締め付けられそうに痛んでたんだ。 しかも、その面影が自分の顔の中にあるってんだから、余計に悔しくて辛くなる。 私でさえそうなんだ。 憂ちゃんと瓜二つの唯は、鏡の中に妹の姿を見つけてどう思ってたんだろう。 今は存在しない妹の姿を見つけて……。 私なんかには想像も出来ない喪失感が湧き上がったはずだ。 どうにかして妹を取り戻したいって思ったはずなんだ。 だから……? だから、なのか……? だからこそ、唯は髪をポニーテールにしてるのか? 自分と妹の繋がりを消さないために、 妹を絶対に忘れないために同じ髪型をしてるんじゃないか? アンダーリムの眼鏡もそうだ。 眼鏡を掛けて、和を必ず取り戻すって決意してるんじゃないか? 思い出を手繰り寄せるために……。 それは立派な事だと思う。 何かを成し遂げようとしてる唯の事は応援してやりたい。 唯の決意を支えてやるべきなんだ、私は。 支えるべきなんだよ、私は……。 でも……。 それが、 出来ない。 どうしても、出来ないんだよ……。 唯の姿を見た瞬間、頭の中から何もかもが吹き飛んでしまう感覚が私を襲った。 過去よりも未来を重視しようって決意が崩れていく気がした。 揺らいでしまったんだ、情けない事に。 分かってる。 唯にそんな気持ちが無い事は分かってる。 唯は誰かを責めるような奴じゃない。 誰かのせいにする奴じゃない。 それはよく分かってる。 信じてる。 信じてるはずなのに……。 それを一瞬考えてしまっただけで、私はもう動き出せなくなる。 唯はひょっとして、憂ちゃん達を見捨てた私を責めてるんじゃないかって。 憂ちゃんの姿を見せつけて、三人を見捨てたを自覚させようとしてるんじゃないかって……。 そんな事あるはずないのに、そう思ってしまう私が居る。 それ以上に。 唯が私を責めてるのかもって可能性以上に、 唯を疑ってしまってる自分が情けなくて、辛くて、嫌で……。 私は……、動き出せなくなる……。 「どうしたの、りっちゃん……?」 ムギが扉を開けたまま部屋に入ろうとしない私の肩に手を置く。 返事をしなきゃとは思うのに、咄嗟に言葉が出ない。 口を開いても喉から声を出す事は出来なかった。 そんな私の姿を不安に思ったんだろう。 ムギは身を乗り出して私の背中側から部屋の中を覗き込んだ。 「唯……ちゃん……?」 ムギの静かな声が響く。 その声色からは、ムギの感情は読み取れない。 私の方はと言えば、振り返ってムギの表情をうかがう事も出来ない。 ムギが唯の姿をどう思ってるのかを知るのが怖い……。 私は視線を伏せる。 出来る事なら耳を手のひらで塞ぎたい気分だった。 ムギの反応を……、知りたくない……。 「おっ、ムギちゃんもおかえりー。お疲れ様ー」 唯の明るい声が上がる。 その声に対してムギは……、ムギは……。 言った。 想像以上に明るい声で言ったんだ。 「わあっ、どうしたの、唯ちゃん? その眼鏡、すっごく似合ってる! あっ、ひょっとしてその眼鏡とその髪型って……」 それ以上の言葉を聞いて、正気で居られる自信が無かった。 気が付くと、私は自分でも驚くくらいの大声を上げていた。 わざとらしかったけど、わざとらしくても、そうするしかなかった。 「あーっ! しまったあっ!」 「ど……、どうしたの、りっちゃん……?」 唯が不安そうな声色で私に訊ねる。 その唯の表情を見る事は私には出来ない。 したくない。 これ以上、ここには居られない。 未来に進むためには、ここに居ちゃいけない……! 私はもう一度、誰の顔も見ないようにして、 背負ってたリュックサックを部屋に投げ入れてから大声で叫んだ。 「今日は私が風呂当番だったんだ! 急いで沸かさないと梓達に叱られちゃうじゃんかよ! 悪いけど荷物は頼むよ! また後でな!」 言い終わるが早いか、私はその場から駆け出していく。 駆け出さなきゃ、自分が自分で居られなくなる……! 「えっ? えーっ? 今日のお風呂当番りっちゃんだったっけ? そんなの後でも……!」 私を呼び止めようとする唯の声が響いたけど、私は振り返らずに走り続ける。 物凄い勢いで走る。 その場から、逃げ出す。 唯の姿を見たからだけじゃない。 ムギの明るい声を耳にした瞬間、私は自分の心が壊れそうになるのを感じた。 似てる誰かが居るのは、私と唯だけじゃない。 新入部員の菫ちゃんって子はムギとそっくりだって梓が言っていた。 私も何度か目にした事があるけど、菫ちゃんはムギとよく似てると思う。 だとしたら、ムギだって私達と同じ苦しみを感じてたはずだ。 鏡を見る度に、辛い気持ちで居たはずなんだ。 でも……、ムギは唯の姿を見て明るい声を出した。 唯の行動を嬉しく思ってるみたいな声だった。 それはつまり、ムギは唯の想いを認めたって事なんだ。 思い出から目を背けず、 大切な思い出を絶対に取り戻すってムギも思ってるって事なんだ。 やめてくれ、と思った。 やめてくれよ……。 私の決心を揺るがさないでくれよ……。 未来を生きようって選んだ私の選択が間違ってたんじゃないかって思わせないでくれよ……。 思い出をまっすぐ見つめられてる唯達みたいに、私は強くないんだよ……。 私は一つの事に目を向ける事しか出来ないんだよ……。 「ちっ……くしょー……」 私の口から呟きが漏れる。 誰に向けて漏らした呟きでもない。 強いて言えば、自分自身に向けての呟き。 揺れてばかりの弱くて情けない自分への言葉だった。 私だって三人の事は忘れたくない。 忘れたくないけど……、 そればっかりに目を向けて進めるほど、私は器用じゃない。 胸の痛みに目を向けながら歩けるほど、私は強くないんだ。 不意に。 私は憂ちゃんと一緒に風呂に入った時の事を思い出した。 私と憂ちゃんの距離が少しずつ近付くきっかけになったあの日の事……。 憂ちゃんの笑顔と憂ちゃんの言葉はまだ鮮明に思い出せる。 忘れたくない。 だけど……。 あの日、憂ちゃんに背中に抱き着かれた感触だけは、 何故だか、どうしても思い出せなかった。 憂ちゃんの体温が私の中から少しずつ消え去ってしまっている。 憂ちゃんだけじゃなく、和や純ちゃんの体温も……。 少しずつ消えていく仲間達への想い……。 ひょっとしたら、それこそ私の望んでた事かもしれなかったけど……、 それはとても、 悲しかった。 38
https://w.atwiki.jp/encyclepedia_rougui/pages/166.html
あいりに倒された魔女(使い魔?)(アイリニタオサレタマジョ(ツカイマ?)) 目次 back→<魔女、使い魔に戻る> プロフィール あいりに倒された魔女(使い魔?) プロフィール 商業作品 各作品の総括 あいりに倒された魔女(使い魔?) 各作品の総括 本編 アニメーション 関連作品(外伝、パロディを含む) ドラマCD コミック あいりに倒された魔女(使い魔?) 魔法少女かずみ☆マギカ 〜The innocent malice〜 小説 ゲーム ネット上での扱い(注意!人によっては不快な内容を含む恐れあり!) ネット上での扱いの総括 あいりに倒された魔女(使い魔?):ネット上での扱いの総括 二次設定とネタ(あるいは叩き) あいりに倒された魔女(使い魔?) 二次設定とネタ(あるいは叩き) 各所での扱い あいりに倒された魔女(使い魔?) 2ちゃんねる、コピペブログでの扱い あいりに倒された魔女(使い魔?) ニコニコ動画(ニコニコ大百科)での扱い あいりに倒された魔女(使い魔?) Pixv(ピクシブ百科事典)での扱い back→<魔女、使い魔に戻る>
https://w.atwiki.jp/lucs/pages/1184.html
《埋葬(まいそう)された運命(うんめい)》 通常魔法 このデュエル中に相手が使用した魔法カードが 相手の墓地に存在しない場合に発動する事ができる。 自分の墓地からこのデュエル中に使用した魔法カード1枚を手札に加える。 イラストで地面に埋まっているラブレターは、同じくアニメで万丈目が使用した《恋文》と同じものだろう。 原作・アニメにおいて- アニメGXの「十代vs万丈目ホワイトサンダー」戦で、正気を取り戻した万丈目が使用。 このデュエルでは十代は洗脳されていた万丈目の代わりに「おジャマ」カードをデッキに入れて使用していたが、 万丈目が正気を取り戻したことでカードを取り返すためにお互いの墓地のカードを《セメタリー・チェンジ》の処理で交換している。 その上で、十代が1度使用し、上記の墓地交換により万丈目の墓地に行っていた 《おジャマ・デルタハリケーン!!》 をこのカードで手札に加えた。
https://w.atwiki.jp/stone/pages/377.html
題名・・・絶体絶命 -- 結晶氷河 (2007-10-30 21 24 06) うわ~スゴイですね!こんなのにあったら瞬殺決定ですね -- セパレート (2007-10-30 21 54 58) し・・死ぬ~~ -- くうふう (2007-10-31 17 40 13) これ倒せたら最強だな・・・ -- スーパーカービイ(いえーい) (2007-12-24 19 47 39) おまるのメンバー全員で協力すれば倒せるかも^^ -- 白炎 (2007-12-24 23 16 49) OMARUのニュースのところが「○○が○○に倒された」で埋まりそう・・・ -- 風来丸 (2007-12-26 20 56 35) ジュダ1番最初だな -- スーパーカービイ(いえーい) (2007-12-27 18 47 35) 一年に一回くらいネタで5体同時に出るとか? -- ココロン (2010-04-02 18 40 49) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/chaos-tcg/pages/2045.html
改変された世界 読み:かいへんされたせかい カテゴリー:Event 作品:STEINS;GATE Main 目標の【セット】を持たないセットカード1枚を控え室に置く。 消えたんだ。その瞬間を、確かに見たんだ illust:5pb./Nitroplus NP-298 C 収録:ブースターパック 「STEINS;GATE & CHAOS;HEAD」
https://w.atwiki.jp/83452/pages/18274.html
◎ 私達が連れ立ってホテルの部屋に戻ると、唯達三人は嬉しそうな顔で私達を出迎えてくれた。 私はこれまでの事情を説明しようとしたけど、 何を言うよりも先に梓と二人で風呂場に追いやられてしまった。 どうやら、私達の表情を見ただけで三人には全部の事が分かってしまったらしい。 唯の体調は心配だったけど、見る限りでは特に問題は無さそうだった。 と言うか、物凄い力で私達を風呂場に追い込んだのは唯だった。 元気そうで何よりなんだが……、元気過ぎないか? ひょっとして私と梓に話をさせるために、 体調が悪い振りをしてた……、っってのは考え過ぎかな? どっちにしても、唯が元気なのは嬉しい事だ。 追いやられた風呂場には既に湯が張られていた。 疲れてる身体をこの湯で癒せって事なんだろう。 ありがたい事にはありがたかったけど、何か凄く裏を感じる……。 絶対何か企んでるな、あいつら……。 まあ、勘繰ってみた所で私達に何が出来るわけでもない。 私達は肩をすくめながら、とりあえず服を脱いでありがたくお湯を頂く事にした。 服だけは濡れないように、こっそり扉の隙間から唯が回収してくれたみたいだった。 湯舟に浸かりながら、私と梓は特に会話はしなかった。 話す事はいくらでも湧いて来るだろうけど、今は二人で黙っていたかった。 考えたい事があったんだ。 お互いに考えているのは、多分、ライブの事だと思う。 ライブで演奏したい曲は決まってる。 『天使にふれたよ!』だ。 とりあえずだけど、この曲だけは梓と、皆と演奏したい。 私達の最後の曲を再始動の最初の曲にするのも悪くないし、 あんなに練習してた梓の歌声を聴きたいんだ。 聴かせたいんだ、皆に。 まだそんなに上手くなってるわけじゃないけど、聴いてほしいんだ。 この世界で、この世界だからこそ私達が辿り着けた音楽を。 私が梓と視線を合わせると、梓は静かに頷いてくれた。 考えが伝わっているのかどうかは分からないけど、多分、考えてる事は同じだった。 これでも一応新バンドの仲間なんだしな。 その点に関してだけは、唯達よりも梓の事を分かってる自信はあるぞ。 カラスの行水ってわけじゃないけど、私達は早めに風呂場から上がる事にした。 全身をちゃんと洗ってはいるぞ? でも、普段より急いで二人で洗い合ったのは確かだ。 気が早って仕方が無かったからだ。 皆とライブの話を、世界の話をしたかった。 ゆっくり湯舟に浸かってなんて居られなかった。 そうして、置いてあったタオルで身体を拭くのもそこそこに風呂場から出ると……、驚いた。 私も梓も目を見開いて息を呑んでしまっていた。 無いんだ。 何一つ無かったんだ。 その場にあるはずの物が消えてしまっていたんだ。 どういう事なんだ……。 いや、服の話だけどな。 唯に回収されたはずの服どころか、着替えの服すら置かれていなかった。 着替えの服くらい用意してくれてると思ったんだが……。 しかも、何処に行ったのか、唯達の姿すら見えない。 あいつら、私達にどういう罠を仕掛けたんだよ……。 仕方ないから私達はバスタオルを身体に巻いて部屋の探索を始める。 下着と服はすぐに見つかった。 と言うか、ベッドの上に二着置いてあった。 いや、置いてあったのはいいんだけど、その服は非常に不可思議な形状をしていた。 さわちゃんが縫いそうな奇妙な服ってわけじゃない。 ただ、何と言うか……、超ヒラヒラだった。 水色のヒラヒラのワンピースで、例えるなら赤毛のアンが着るみたいな服だった。 ……これを私に着ろって事か? 私がこの服に袖を通した姿をちょっとだけ想像してみる。 ………。 ……。 …。 無い無い無い! 超無いし! 超おかしーし! こんな服を着た日にゃ、一生、唯か澪に馬鹿にされ続けるわ! とんでもない罠だ! ムギは褒めてくれるかもしれないけど、それはそれで何か嫌だ……。 肩を落としながら梓に視線を向けてみると、梓もげっそりとした表情を浮かべていた。 流石に梓もこの衣装は嫌らしい……。 そういや、梓もそんなに女の子っぽい恰好をするタイプじゃないしな……。 私達の中では比較的スカートを穿く奴ではあるんだけどさ。 私と梓はその服をベッドに置くと、他の服を捜してみる。 確かベッドの横にまとめて畳んでたはずだったんだが……、やっぱり無かった。 この調子だと隣の部屋にでも全部隠してるんだろう。 私は溜息を吐きながら、部屋と部屋を繋ぐ扉のノブに手を掛けた。 この部屋に居ない以上、唯達は多分隣の部屋に隠れてるはずだ。 意外にも扉に鍵は掛けられてなかった。 呆気なく開いた扉の先には、意外な光景が広がっていた。 「……何やってるんだ、おまえら」 私は思わず小さく呟いてしまった。 後ろから身を乗り出して扉の先を確認した梓も微妙な顔をしていた。 それもそのはず。 ベッドに置いてあったのと同じワンピースを既に唯達三人が着ていたからだ。 準備がいいと言うか何と言うか……。 こいつら、自分達が着替えるためにも私達を風呂場に追いやったわけか……。 しかも、三人とも普段とは全然違う髪型をしていた。 ムギが襟足で二つ結びにしていて、澪も珍しい三つ編みにしてる。 そして、普段とは一番変わってる髪型にしてるのは唯だった。 私とそう長さが変わらない髪のくせして、無理矢理左右両側で三つ編みを結んでる。 しかも、眼鏡まで掛けてるとか、一体これは何なんだ……。 でも、ちょっと安心もしていた。 眼鏡こそ掛けてるけど、その唯が掛けた眼鏡は和と同じ眼鏡じゃなかった。 掛けていたのは太い黒縁の眼鏡。 田舎臭いと言うか古臭いけど、その唯の髪型にはよく似合っていた。 「何だよ、律。まだ着替えてないのか?」 そう言ったのは澪だ。 こいつ……、さわちゃんの衣装を着る時は一番嫌がるくせに……。 こんなの着られるか! と言おうかと思ったけど、やめた。 澪の奴、さわちゃんの衣装は嫌がるくせに、 こういう女の子女の子した服を着るのには抵抗の無い奴なんだよな……。 昔、ヒラヒラを私に着せようとした事も何度かあったしな……。 こいつには何を言っても無駄だろう。 ムギ……も駄目だな。 強要したりはしないはずだけど、褒め殺しで説得されちゃう気がする……。 だとすると、唯か……。 あんまり説得出来る気もしないけど、他に可能性も無いし、頑張ってみる事にしよう。 私はずれ落ちそうになるバスタオルを押さえながら唯に言ってやる。 「何なんだよ、おまえらのその服装は……」 「知らないの、りっちゃん? ワンピースだよ!」 「服の種類を訊いてるんじゃねーよ! どうしてそんな服を着てるのかって訊いてるんだよ! いや、おまえ達がワンピースを着るのは勝手だけど、 どうしてそのワンピースを私達が着なきゃいけないんだ……」 「そうですよ! 唯先輩! 人の服を隠してどういうつもりなんですか!」 私の言葉に続いたのは梓だ。 予想以上にワンピースを着るのを恥ずかしがってるらしい。 よし、流石の唯でも、梓の援護射撃があれば説得出来るか? だけど、梓の責めに珍しく唯は譲らなかった。 「えー、ワンピース可愛いよー。 あずにゃんのワンピース姿可愛いと思うよ? 私も澪ちゃんもムギちゃんも楽しみにしてるから、着て見せてよー……」 「……そ、そうですか?」 唯の言葉に満更でもなさそうに梓が呟いた。 弱っ! もう落とされやがった……! やっぱ梓は私よりも唯の事の方が好きなんじゃ……。 ……って、何嫉妬してるんだよ、私は……。 いや、嫉妬じゃない……はずだ……。 でも、私は自分に素直にならなきゃ……。 いやいや、今はそんな事はともかく……! 私は一息吸うと、少しだけ大きな声を出してやった。 上擦っていたたかもしれないけど、それは気にしない事にした。 「とにかく、梓はいいとしても私は嫌だぞ、あんなヒラヒラ! 何で私があんなヒラヒラ着なきゃいけないんだよ! 他の服を寄越せ、他の服をっ!」 「りっちゃんも着てみようよー。 折角のロンドンなんだし、ロンドンっぽい服装するのもいいと思うよー?」 「ロンドンっぽいのか、それっ?」 「だって赤毛のアンっぽいでしょー? 赤毛のアンってヨーロッパの話だよねー?」 唯も赤毛のアンっぽいって思ってたのか……。 それはそれとして、赤毛のアンってイギリスの話だっけ? 読んだ事ないから確かな事は言えないけど違ったような……。 「カナダだ、カナダ」 呆れ顔で突っ込んだのは澪だった。 そうか……、カナダだったのか……。 ヨーロッパですらねえよ……。 流石はメルヘン代表の澪しゃん。 赤毛のアンも既に読破しておられたか……。 そういや、澪の家で何度か見掛けた事がある気がするしな。 しかし、赤毛のアンを知ってても、読んだ事がある人ってどれくらい居るんだろう……。 少なくとも唯は読んでないみたいだが、まあ、それはどうでもいいか。 私は腰に手を当てて、はったりを大量に込めて唯に言ってやる。 「ほれ、やっぱりロンドンも何も関係無かったじゃんか。 だったら、私がそれを着る必要は無いよな? さあさあ、隠した私の服を出したまえ、唯隊員」 「ええぅ……? でもでも……」 唯は譲らなかった。 唯がこんなに食い下がるのは珍しかった。 でも、唯はどうしてこんなに五人お揃いの服にこだわってるんだろうか。 五人で同じ服を着る理由なんて……。 ……あっ。 そこで私はやっと気付いた。 そうだ。一つだけあった。私達が同じ服を着なきゃいけない理由。 それは……。 「ひょっとして、それ……、ライブの衣装……か?」 私が訊ねると、唯が少しだけ嬉しそうな顔になって頷いた。 澪とムギも唯に続いて頷く。 なるほどな。唯の奴が対バンとか言ってたから、すっかり勘違いしてた。 唯は最初から放課後ティータイムのライブをするつもりだったんだ。 そういや放課後ティータイム同士の対バンとも言ってた気がする。 対バンするにしても、あくまで放課後ティータイムとしてライブをするつもりだったんだ。 私は小さく息を吐いてから、唯の頭に手を置いて続ける。 「何だよ……。 それならそうと最初っから言えよな、唯。 澪とムギもだぞ?」 「ううん、澪ちゃんとムギちゃんは悪くないよ。 私が用意してたこの服でライブやりたいって言ったんだもん。 可愛い服だって思ったから、皆でこの服を着たかったんだ……。 でも、りっちゃんとあずにゃんは、こういう服苦手かなって思って……。 変な意地悪みたいになって、ごめんね、りっちゃん……」 唯が落ち込んだ様子で呟く。 衣装を勝手に用意してたって事もあるけど、まだ申し訳無さを感じてもいるんだろう。 この世界に私達を引き込んでしまった事にまだ責任を感じてるに違いない。 でも、唯がそんなに責任を感じる必要なんて無かった。 確かに始まりは唯が原因だろうけど、それを選んだのは多分私達なんだ。 私達が唯と一緒に居たかったんだ。 唯はそれを叶えてくれただけなんだ。 私は軽く唯の頭を撫でながら言ってやる。 「確かにこういう服は苦手だよ。 ヒラヒラしてて、無駄に女の子っぽくてわけ分かんねーし……。 でも、さ……、そんな事より皆でお揃いのライブ衣装を着れる事の方が嬉しいんだぜ? 折角唯が用意してくれた服なわけだし、ライブ衣装なら喜んで着るよ」 「いいの……?」 「いいって言ってんだろ? 妙に遠慮すんなよ、唯。もっと普段通り好きな事言ってくれよ。 おまえもおまえらしくやってくれた方が、私も嬉しいからさ」 「じゃ、じゃあ……、髪を……」 「あ、三つ編みは嫌だからな。 嫌だよ、あんな痛い髪型。三つ編みだけは断固断る。 それ以外なら従ってやらんでもないが」 「先を越されたっ?」 唯が悔しそうに唸り、それを見ていた澪達が楽しそうに笑った。 やれる事はやってやるが、出来ない事はちゃんと断る。 それこそが本当の仲間ってやつだ、多分。 「じゃあ、風邪をひく前に着替えちゃいましょうか、律先輩?」 梓が私の肩を軽く叩いて言った。 確かにそうだ。 三つ編みはともかくとして、冷える前に着替えなきゃ風邪をひいてしまう。 まあ、この私であって私でない身体が、風邪をひくのかどうかは分かんないけどさ。 梓がベッドに置いてある衣装に向かったのを見届けた後、 「じゃあ、着替えてからな」と言って私が部屋を繋ぐ扉を閉めようとした瞬間、 唯が最後にもう一つだけ私に小さな頼み事をした。 小さな事。でも、私としては結構勇気の居る唯の頼み事……。 少し躊躇ったけど、三つ編みよりはマシかもしれない。 私は頷いてからそれを受け取ると、扉を閉めて梓と一緒に着替えを始めた。 ◎ 五人並んで、ロンドンの街をゆっくりと歩く。 お揃いの水色のワンピースに腕を通して、 自分で言うのも何だけど、何処か古い神学校に通学する女生徒達みたいだ。 仮にも女子大生の身として気恥ずかしい感じもするけど、別に悪い気分じゃなかった。 皆でお揃いの恰好をするのなんて、高校の卒業式以来だ。 久し振りで懐かしくて、何だか嬉しい。 恰好だけじゃなく、皆の心も同じだったら、もっと嬉しいなって私は思う。 ただ同じ恰好をするのはいいんだけど、一つだけ問題があった。 それはやっぱり髪型の事だ。 梓は三つ編みを断らなかった。 普段からまっすぐな長い黒髪を結んでる奴だ。 恥ずかしい髪型ってわけでもないし、三つ編みくらい何でもないんだろうな。 梓の三つ編みは結構似合ってるし、新鮮でいいと思う。 でも、私自身の髪型にはちょっと納得がいってない。 今、私は前髪を下ろして、白い帽子を被っている。 三つ編みを断っちゃった気後れもあって、 唯から受け取った帽子なんだけど、被った後に鏡を見るとどうにも恥ずかしかった。 やっぱり前髪を下ろすのなんて、私には似合わないよな……。 苦し紛れにカチューシャを着けようとすると、それは何故か梓に止められた。 その帽子にカチューシャは似合わないって言うのが、梓の反対理由だった。 いや、まあ、それは私も分からないわけじゃないけどさ……。 仕方が無いから、思い切って前髪を下ろしたままで、 ワンピースに着替えて唯達の前に姿を見せると、唯に笑われてしまった。 私の髪型が笑われたってわけじゃない。 唯は私の被った白い帽子を指差して、くすくす笑った。 唯曰く、「りっちゃん、肉まん被ってるー」との事だ。 いや、この帽子被れっつったのおまえじゃねーかよ……。 怒っていいのか呆れていいのか迷ったから、とりあえず私は唯の頬を軽く抓っておいた。 ちょっと強めにしておいたつもりだったけど、唯は頬を抓られながら何故か笑っていた。 私もそれに釣られて笑ってしまった。 色々と納得いかなくはあるけど、唯がこうして笑ってくれるなら、別にいいのかもしれない。 今、私達が向かっているのは、私達が最初に転移させられた場所……。 私達がロンドンでライブをやったあの公園の広場だった。 向かっているのは、勿論これから五人だけのライブをするためだった。 私と梓は知らなかったんだけど、唯達はライブをするために既に楽器と会場の準備をしていたらしい。 新曲を私達に聴かせたがってた三人だ。 本当なら、もっと早く私達に新曲を聴かせたかったんだろう。 私だって聴きたいし、演奏したいんだから、これから楽器を集める手間が省けて助かった。 どんな楽器を用意してくれてるんだろうって一瞬思ったけど、その考えはすぐに振り払った。 心配する必要は無い。 唯達の事だ。 きっと私と梓にぴったりな楽器を見つけてくれているはずだろう。 そうして、私は歩く。 皆と肩を並べて、五人笑顔で歩いて行く。 私達のライブ会場へ。 前に進んでいくためのライブを開催するために。 大好きな音楽に包まれ、包み合うために。 半分くらいの距離を進んだだろうか。 「あ、そうだ!」と唯が何かを思い出したみたいに小さく叫んだ。 唯の事だから本気で忘れてたんだろう。 私が首を捻って「どうした?」と唯に訊ねてみると、 「ねえ、皆、私ね、ちょっとやっておきたい事があるんだ」って言って、 そのワンピースの何処に仕舞い込んでいたのか、細長くて白い物を取り出した。 一瞬、包帯かと思ったけど、そうじゃなかった。 唯が取り出したのは純白のリボン。 肌触りの良さそうな、優しい感触のリボンだった。 59