約 4,150,812 件
https://w.atwiki.jp/kokigame/pages/470.html
とらいあんぐるハート3 349 名前: 名無したちの午後 投稿日: 02/01/02 03 09 ID 5vkMwRY9 ガイシュウツかもしれんが、、、 とらは3のフィアッセの手コキがなぜかツボで萌え。抜けた。 あの手コキCGの表情も(・∀・)イイ!! 12 名前: 名無したちの午後 投稿日: 01/10/20 00 27 ID GkH/Owu0 愛がある手コキはいいよね。フィアッセは発射CGがないのが残念 関連レス
https://w.atwiki.jp/namagakihotel/pages/49.html
小ネタ/脳内漏れてるシリーズ 489 :名無し募集中。。。:2012/06/11(月) 20 34 17.59 0 生田<今日は生ガキDAYですね 新垣<関西人はテレビで娘。が3番組も見れるのだ 生田<今日は生ガキDAYですね(大事なことなので2回言います) 490 :名無し募集中。。。:2012/06/11(月) 21 31 35.93 0 生田はよく括弧内が漏れてるよね 492 :名無し募集中。。。:2012/06/11(月) 21 56 44.17 0 新垣<今からご飯食べに行くけどみんな何食べたい~? 田中<とんこつラーメン!(ガキさんと半分こするっちゃ) 道重<生田は何食べたい? 生田<私は新垣さんを食べたいです(パスタなんてどうですか?) 新垣<ん? 道重<生田、逆!逆! こうですかわかりません><; 493 :名無し募集中。。。:2012/06/11(月) 22 02 22.97 0 道重<りほりほさゆうさT着てくれてるの!完全に懐いたの! 鞘師<次期リーダーだし媚び売っとかないとなぁ気持悪い笑顔でこっち見んじゃねえよ(本当にこのTシャツ可愛いです!いっつも道重さんと一緒ですよ!) 497 :名無し募集中。。。:2012/06/11(月) 22 51 24.80 0 生田<私と氷どっちが好きなんですか!? 新垣<生田に決まってんじゃん。私だって本当は生田が大好き大好き世界一大好き(そりゃ普通に氷でしょw) 道重<ガキさん、逆!逆! 505 :名無し募集中。。。:2012/06/11(月) 23 25 18.11 0 田中<あ、里沙ちゃん(あ、ガキさん) 新垣<れいな・・・(田中っち・・・) 道重<やなの!殺伐のほうが楽しいの!!(二人とも、逆!逆!) 520 :名無し募集中。。。:2012/06/12(火) 00 10 18.54 0 新垣<生田はこの服とあっちの服どっちが好き~? 生田<それよりも私は新垣さんが…(この服が好きですけど) 新垣<えっ? 生田<あっ、いえ何でもないです!えりなはこの服好きです! 新垣<……… 生田<あの、新垣さん? 新垣<…私も生田が好きだよ 生田<えっ、あの、ええ? 新垣<聞こえなかった? 生田<…に、新垣さあああん!!! HAPPY END
https://w.atwiki.jp/marurowa/pages/162.html
残されたものは一つ ◆Wott.eaRjU 「はぁ、どうなるのかな……僕」 デイバックを背負って、眼鏡を掛けた少年が暗闇を歩く。 彼は殺し合いが始まった直後、空き家に身を寄せていたが次第にもの寂しさを感じていた。 危険な事はわかるがそれでもせめて、周囲の光景が変化すれば気が紛れるかもしれない。 そう考え、彼は襲われてもいつでも逃げられる準備をしながら、取り敢えず線路を目印に沿って早足で歩いていた。 彼の名は桜田ジュン。現在はとある事情により所謂引き籠りを続けている中学生。 唐突にギラーミンという男により殺し合いに巻き込まれた現状。 まるで漫画やアニメのような筋書きに則った出来事をどうするか。 今のジュンが考えるべき事はその事だけであり、他の事については碌に考えが回らない。 只、もし参加者の中に警察の人が居れば自分を保護してくれるかもしれない――と、半ば願望に似た感情はあったが。 また、既にモンスターボールは説明書とやらを見つけ、使い方はわかった。 そのため思わぬ形で出す事になったエイバムことエーたろうとやらは、モンスターボールに戻してある。 但し、ジュンは滅多な事でなければモンスターボールを使う気はない。 気味の悪い紫の毛色、馬鹿でかい頭部と大きく発達した両耳、そしてまるで三つの指が生えたような長い尻尾。 猿の一種のように見えるがどれをとっても異常であり、ジュンの常識を超えている。 説明書に『ポケモンの一種』とは書いてあるものの、肝心のポケモンが何かは特に書かれていなかった 更にこれはギラーミンが用意した品の一つであり、必ずしも自分にとって得になるという保障もない。 よって必要以上にモンスターボールは使わない事を決め、今はズボンのポケットに収まっている。 「何か良い考えが浮かぶかとは思ったけど……駄目だ、何も浮かばない……浮かぶわけないだろ。 こんなわけわかんない場所じゃ……」 線路に則した歩道を、ある程度の辺りまで歩いた所で思わず零れた呟き。 歩行と思考、警戒に意識を傾け過ぎていたため此処がエリアF-1の中心である事も気づいていない。 また、最早時間の間隔すらも忘れかけ、ジュンは時計を取り出して確認する気にもなれなかった。 単身外へ出歩き始めた事を、後悔し始めるが既に時は遅し。 必死に周囲に気を配り、怪しい人間が居ないか探るが己の疲労が高まるばかりで、碌に安心も出来ない。 少し眼を放せばその間に……一度でもそう思ってしまえば恐怖心を拭いさるのは容易ではない。 段々と歩幅の間隔も狭まり、視線すらも俯きがちになっていた。 まるで自分には不釣り合いな、重い荷物を背負わされているような感覚がこびりつく。 投げ出したい。 さっさと何処かにでも投げ捨てて楽になりたい。 本音を言ってしまえばたった一言で終わってしまう。 元々体力にも自信があるわけではなく、ジュンが早々に根を上げるのは特に可笑しい話でもない。 だが、楽になりたいと言葉にするのは容易だが実際に行動へ移すとなるとわけが違う。 優勝してギラーミンに頼んでここから抜け出す? 考えるだけでも馬鹿らしい。 ジュンには人を殺す力もなく覚悟もなく、何より自分がそこまで行動力があるとは思っていない。 ならば楽になるにはどうするか。 思い当たる節はある事はある。 毎朝、姉が学校に行った後に一人で行う朝食で何度も耳にしたキーワード。 あの時は自分には関係のない話だと思っていた。 自分には自分の部屋という誰にも侵されない領域がある。 他の同世代の奴らとは違って、ずっと此処で生きていればいい。 自分達を放り出し、外国にでも行ってしまった両親達も流石に生活費ぐらいは、これからも送ってくれると思っていたから。 だから、今までのジュンには明確なイメージは出来なかった。 毎日毎日飽きもせずに、大勢の人が色々な方法で行っているらしい行為―― ――自殺という最後の手段を。 「――ッ」 無意識的に奥歯で自分の舌の感触を確かめた。 予想以上に弾力があるような気がする。 コリコリと、分厚いゴムを触ったのに近いような感じ。 いつだったかはわからない。 テレビかネットでは確か舌を噛み切れば、自分の命を絶つ事が出来るらしい。 切断面を境目に残った方の肉片が丸まり、そのまま喉を塞いでしまう。 酸素を吸いたくても吸う事は出来ずに窒息状態に陥り、やがて待つものは死という結末。 怖いとは思う。 きっと舌を噛み切ってしまった時には、口の中で苦い鉄の味が広がるに違いない。 美味い筈もない。 ただただ嫌悪を催す臭いなど、出来れば嗅ぎたくない。 だが、それでも映画のワンシーンで見かけるような拳銃や刃物での殺害に較べれば未だましではと思いもした。 嫌なのは一瞬の事。 只、あまり発達してない顎の力を使って、力の限り噛み潰せばいいだけ。 一思いにやってしまえば――この地獄から逃れる事が出来る。 しかし、ジュンの身体は一向に動きを示さない。 「……無理だよ、僕にはそんな度胸もないんだ……そんなものがあれば学校にだって……!」 そう。ジュンには自らの命を絶つ程の行動に伴う覚悟はない。 普段のジュンならば絶対に言わなかったであろう、自分の不登校に関しての弱音すらも吐き捨てた。 いつしか歩みは完全に止まり、その場に一人立ち尽くす。 まるで全身から力が抜けきった、抜け殻のような様子さえも今のジュンからは見て取れる。 耐え切れない不安を、どうにか振り落としたく思うが、ままならない。 代わりに崩れ落ちたのはジュンの身体。 遂には歩道の真ん中で頭を抱えながら蹲る。 全くの無防備と言えるその姿を親切心に注意してくれる者も居る筈もなく、ジュンもそこまで気が回らない。 確かに震え、自分の意に反するかのようにざわめくちっぽけな体躯を必死に抑えつけるのに意識を傾ける。 どうにもならない現実、止まらない恐怖や後悔、そしてふつふつと湧き上がる疑問。 何故、自分がこんな目に遭わないといけないのか。 答えらしい答えは見つからず、『運が悪かった』という言葉だけでは納得がいかない。 だが、いつまでも此処に留まるわけには、時間を無駄にするべきではない事もジュンはおぼろげに感じていた。 「兎に角、あの真紅とかいう人形に会おう……もしかしたら何か良い方法があるかもしれない……」 未だ共に過ごした日は浅い、奇妙な少女人形――真紅。 胡散臭い奴ではあるが、それでも赤の他人よりは信頼は大きい。 現実から目を背ける様に、たった一人だけの知人である真紅との合流をジュンは深く心に刻みつける。 そう思い始めた先にほんの少しずつ冷静さが蘇り、ジュンは大きく深呼吸を行い、やがてゆっくりと立ちあがった。 が、その時、視界に見慣れない影がある事にジュンは漸く気づいた。 「だ、誰――」 長身、黒髪の男。 パッと見ただけでも、男の着込んだ服装はジュンの常識ではあまり馴染みはない。 甲冑、西洋の騎士が着装する鎧に似ているが、それでいてどこか和の風味も漂わせる。 しかし、ジュンに男の外見についてあれこれ考える時間はなかった。 こうしている間にも、刻一刻とジュンには別の事について決断を迫れている。 男に対する疑問の声を上げ終わる前に、ジュンは無我夢中で右腕を突き出す。 自分でも驚くぐらいに早く、一度乱暴にポケットに突っ込んでから。 お目当てのモンスターボールを、焦りのために生じた汗に塗れた右手で掴み終わってから――ジュンは精一杯の威嚇を行おうとした。 理由は目の前の男が片手に握り締めた一物。 鋭い切っ先を引っさげた、赤黒い槍を男がジュンに向けて走ってきていたのだから。 『止まれ!』と、大声で叫ぶと同時にモンスターボールを使えば男の動きは鈍るかもしれない。 反射的に後ろへ身を傾けながら、ジュンはそう思い立ったが――ふいに彼の右腕に何かが走る。 そう。所詮、ジュンは只の中学生であり、彼の身体能力、反応の速さは男のそれらと比べものになっていなかった。 「う、うわあああああああああああああ!!」 絶叫。 冷静な状態なら、自分がこれほど大きな声を出せたのかと思う程に、ジュンの叫びが周囲に響く。 走ったものは電撃のような痛み、乱暴に己の一部を引き裂かれた感覚。 見れば自分の右手の甲から何かどす黒いものが更に赤みを帯びながら、生えている。 痛い。 声を出してしまう程に感じる痛みから、それは自分の右腕を刺し貫いた槍の矛先である事がわかった。 槍は右腕で掴んでいたモンスターボールごとジュンの右手を刺し貫き、モンスターボールの成れの果てからは不気味な液体が滴り落ちている。 そこで何が起きたか想像するだけでジュンは気分が悪くなり、密かに心の奥底で謝った。 何故なら、今のジュンには酷な言い方であったが自分の身の方が心配であったから。 「痛い! 痛い! 痛いよ……なんで、なんでこんなコトするんだ!? 僕が……一体何をしたって言うんだ!?」 男から一刻も早く離れるために、無我夢中に右腕を引き抜く。 幸いモンスターボールが衝撃を和らいでくれたせいか、ジュンの力でも引き離す事は出来た。 しかし、刺された右腕を己の身に引いた瞬間、更に傷口から大量の血を失い、ジュンの表情は思わず引きつった。 段々と肌からは血色が失われ、確実にジュンの命の灯を奪ってゆく。 必死に自分の不運さを言葉にして呪うが、男は答えない。 只、全身を伝う恐怖と痛みでグシャグシャに歪んだジュンの顔を凝視し、無表情に槍を構え直す。 ジュンが零れ落とすのは涙、男が零れ落としたように見えるのは一切の感情。 ジュンがしきりに放出するものは叫びに似た言葉、男が只、黙って秘めるものは明確な殺意。 無反応な男により一層の恐怖を覚えるジュンは、必死に助けを願い続ける。 誰でも良い。 出来るものならば誰か、誰かに自分を助けて貰いたい。 たとえ身なりは悪く、近寄りがたい大人でも構わない。 昔、テレビで見た事があるような、正義の味方が駆けつけてくれたらどんなに良いことか。 そう。今にも自分か名前も知らない男の後ろから駆け寄って――夢のような話をジュンは無性に信じたかった。 だが、ジュンの耳に、視界に飛び込んだものは彼が望んでいたものとは違っていた。 「――すみません」 誰に対して謝ったのだろう。 ジュンが疑問を抱いた矢先に、男が動いた。 速い。さっきよりももっと速い。 距離が近いせいなのかもしれないとおぼろげながらに思った。 右胸を押し潰すように迫ってきた痛みをハッキリと受け止めながら。 「あ――――」 不思議とあまり声は出ない。 いや、正しくは出す暇すらもなかった。 男が勢いを乗せて繰り出した剛槍――ゲイ・シャルグの切っ先がジュンの一点を突き進む。 真っ直ぐに差し出されたゲイ・シャルクがジュンの肉を裂き、赤一色に染まり、心の臓を貫く。 痛い。 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。 声に出して、この痛みを訴えてやりたいのにそれすらも行う力がない。 声の代わりに出たものは己の吐血。 身につけていたパーカーが朱色に染まり、口の中で苦味が広がる。 全身から大事な何かが抜けていくのがわかり、思わず掴むように手を伸ばした。 伸ばした手に広がる赤い血だまりをぼんやりと見つめ、ジュンは口をパクパクと動かす。 眼の淵からどろりと、感触の悪い液体が零れ出ているような気がしたがその流動は止まる事はなくジュンの頬を伝う。 それはゆっくりと、ジュンの全てを奪う痛みの速さと反比例の関係を保つかの如くに動き続ける。 やがて男は突き出した筈のゲイ・シャルグを、ジュンの胸から勢い良く引き抜く。 あまりにも悲痛な顔で泣き叫ぶジュンに同情したのか。 違う。 ジュンの代わりに抜いてやったかのように見えた動作には優しさは見られない。 只、これ以上は必要ないから、と告げるような淡々とした挙動。 付着した血を振り払うためかゲイ・シャルクを器用に振り、男は矛先を下に向ける。 そしてジュンの身体も動く。 ジュンが意識したわけでもないし、男がそう意図したわけでもない。 極自然に、既に両の脚では支えきれなくなり、ジュンはゲイ・シャルグの矛先に頭を向けて前のめりに倒れ伏す。 歩道に打ちつけたショックで額が切れ、更に出血が起きたのをジュンは息苦しさに咽びながら理解する。 両肩を震わせ、なんとか楽な体勢を取ろうと身体中をくねらせるがもうどうしようもない。 涙や唾液や胃液、そして鮮血が入り混じった溜まりに浸されながら、ジュンは何もかもが手遅れなのだと実感した。 (嫌だ……こんなの嫌だ…………) だが、受け入れたくはない。 このまま死にたくない。 未だ……生きたい、自分の人生を歩みたい。 もしかすれば学校に行けるようになるかもしれない。 そんな自分の未来を少しでも見てみたい――言葉に出来ない、言葉にしたい希望が喉まで来ているのだがそれ以上押し出ようとはしない。 両腕を、グシャグシャに潰された右腕すらも足掻くように必死に動かす。 自分の下に広がる歩道帯に手を伸ばすが、柔土で出来ているわけでもなく碌に掴む事も叶わなかった。 その行動の末の結果が、自分の全てを否定されたような気がしてジュンの表情が一段と崩れる。 そう思った矢先に一際大きな嗚咽をあげて、込み上げていた赤黒いものを外へ吐き出す。 何も出来ない。 結局、何も出来なかった自分を再びちっぽけな存在なのだと確認し、ジュンはやがて身を委ねる。 見知っている人物の顔が順々に浮かんでは消えてゆき、これが走馬灯なのかとぼんやりと思いながら―― (僕は……………) ジュンの意識はゆっくりと深き闇へ沈んでいった。 【桜田ジュン@ローゼンメイデン:死亡確認】 ◇ ◇ ◇ 「先ずは一人、と言ったところでしょうか」 ジュンの命を奪ったゲイ・シャルグを携えて、彼のデイバックを漁って謎のカギと忍術免許皆伝の巻物仮免を手に入れた男がそう呟く。 ベナウィ。 それが男を示す名前であり、かつてはケナシコウルペという国の侍大将であり騎兵衆隊長としての肩書きも持っていた人物。 しかし、今のベナウィは違う。 現在はこの殺し合いの参加者の一人、ハクオロが治めるトゥスクルの騎士。 そして、ハクオロの生還のためにはどんな事も、どんな命も辞さない覚悟を返り血で染めた騎士甲冑を纏い、そう決めていた。 「後戻りなど出来ない、するつもりもありません」 何も抵抗してこなかった。 いや、抵抗出来なかったジュンの命を蹴落した事にも既に後悔はない。 態々奇襲という策は取らずに、真正面から挑んだのはベナウィの気真面目さによるもの。 自分が何をするまでもなく蹲っていたところ余程この状況に怯えていたのだろう。 無理もない。 ベナウィにも一切の動揺がないわけでもなかった。 突然突きつけられたこの状況は、特に年端もいかぬ少年や少女には耐えがたいものだと想像には難しくもない。 そんなあまりにも哀れな姿を見て、自分は凶槍を奮う頃合いを、若干遅れたと言われれば完全に否定出来る保証はない。 己の力を過信するつもりはないが、もしそうでなければもう少し早く終わらせる自信がベナウィにはあった。 だが、これからのベナウィにはそんな小さな迷いのようなものは絶対に生じないだろう。 何故なら、既に一人の命を奪う事はやり遂げた。 秘めた想いの果てに奮ったゲイ・シャルグで他人の命を引き換えに、己の為すべき事を為す覚悟は更に強まっている。 途中で断念する事は出来ない。 投げ出してしまえば、自分に肉と血を捧げる形となったジュンが報われない。 一国に仕える騎士や兵士ではなく、守られるべき存在であったジュンには殺される覚悟もなかっただろうから。 やがて惨劇が行われた路線を沿うのを止め、ベナウィはある建物の前で立ち止まる。 それはエリアE-2に位置する一つの駅。 ベナウィの住む世界には駅という施設はなく、列車という概念もない。 故にベナウィは興味があった。 駅たる施設には一体どういう意味合いが隠されているのだろう。 騎馬の一頭でも其処で繋がれているかもしれない。 もし現実の話であるならば騎兵であるベナウィにとってこの上なく利点がある。 気づいた時は既に歩き始めてかなり経っており、エリアD-1の辺りを歩いていた。 更に此処は慣れない地形のため、先ずは最寄の駅とやらに続く道に辿り着き、其処を辿って目的地を目指す。 時間が制限されているわけでもなく、確実に迷う事のない道を取り、ベナウィは歩き、そしてジュンと出会ったというわけだ。 入り口に足を踏みしめ、ベナウィは駅内に侵入する。 「この身が朽ち果てる、その時まで――必ず」 そこに迷いはない。 【E-2 駅入り口 1日目 釈明】 【ベナウィ@うたわれるもの】 [状態] 健康 甲冑に返り血 [装備] 破魔の紅薔薇(ゲイ・シャルグ)@Fate/Zero、腰に和道一文字@ONE PEACE [道具] 支給品一式 シゥネ・ケニャ(袋詰め)@うたわれるもの 忍術免許皆伝の巻物仮免@ドラえもん 謎のカギ [思考・状況] 1 聖上を生き残らせるため、殺し合いに加担 2 かつての仲間を優先的に殺したい 3 駅内を探索する。出来れば馬も欲しい。 ※破魔の紅薔薇:あらゆる魔力の循環を遮断する事が可能で、対象に刃が触れた瞬間その魔術的効果をキャンセルする。ただし、魔術そのものを根元から解除するわけではない。破壊される、触れてから一定時間経過などすると効果は解除される。 ※『忍術免許皆伝の巻物仮免@ドラえもん』 ハテノハテ星雲にあるアミューズメントパーク・ドリーマーズランド における忍者の星における忍者の免許皆伝のための実地試験の 忍術が少し使えるようになる巻物。使える術は次の3つ 壁抜けの術 その名の通り壁をすり抜ける事が出来る。しかし厚すぎる壁は越えられない バッタの術 バッタのように高く飛ぶことが出来る。だいたい一般家庭における屋根裏までが限度 ネズミ変化の術 少しの間、小さなネズミの姿になることが出来る。ある程度時間がたつと元の姿に戻ります。 ※『謎のカギ』 詳細不明、何のカギでどこに使うのかは後続の書き手におまかせします。 「あーさむさむ……なんでワイがあんな目にあわなあかんねん!」 黒スーツ、いかにも堅気の職に就いてないと言わんばかりの風貌の男が愚痴る。 両肩を抱く様にトボトボと歩く男はウルフウッド、ニコラス・D・ウルフウッド。 世界を渡り歩く巡回牧師は表の顔であり、裏の顔は一流の殺し屋。 GUNG-HO-GUNSの一員、ミカエルの眼で殺人術を叩きこまれた男だがウルフウッドは此処に来て以来災難に見舞われている。 けったいな殺し合いに巻き込まれたと思えばいきなりのダイブ。 水。それもかなり冷たい水が張り巡らされた湖への理不尽な突入。 当然、身体中は水浸しになり、折角支給された銃器も使いものにならなくなった。 無事であった円盤は何故だか使う事も出来ずに、全くどうしようもない。 やばい。代謝機能の異常強化により、そこらのトーシローよりしぶとく生き残る自信はある。 だが、武器がなければ心細い。 そう。心細過ぎる。 知り合いの金髪トンガリのノーテンキな奴は『な、なんとかなるさ!』とでも言うかもしれないが、生憎ウルフウッドは違う。 きっちりと身の装備を整えて、たとえば敵に対し頭に二発、心臓に二発銃弾を叩き込めるような準備はしておきたいものだ。 「べーくっしゅい! あーあかん、風邪でも引いたらどないしてくれるんじゃボケェ!」 よってウルフウッドは、何処かに手頃な武器はないかと、辺りを手当たり次第に散索していた。 ちなみに地図はよれよれで、文字の所々が消えており、良く眼を凝らせば何処に何があるかはわかる。 そのため自分が居る位置はわかっていたが、特にこれといって目的地もない。 そんな時、ウルフウッドはふと疑問に思った。 地図の端はどうなっているのだろう、と。 そのまま此処から脱出でも出来たら儲けの至り。 まあ、そんな甘い話は転がってないだろうとは思うが、ウルフウッドは取り敢えず試していた。 湖に落ちたのはエリアE-8、其処から東に向けて前進。 途中で小さな河川を通って歩きやすそうな道路を踏みしめて、また前進。 未だ完全に水気は抜けず、ひんやりとした冷たさを感じながらも、またまた前進。 どうなるかはわからないが、やばいと感じれば一目散に逃げればいいだけの話。 逃げ出す事はウルフウッドにとって慣れ親しんだ行為であり、身体が覚えている。 平和ボケのトンガリ――ヴァッシュ・ザ・スタンピードと馬鹿をやり合った旅で何度もそんな羽目に陥った。 そう。何度も何度もやってられるかー!と叫んだ旅の中で。 「まあ、なんや。トンガリは……多分大丈夫やろ。あいつはそうそう死ぬタマやあらへんし」 そしてヴァッシュもこの殺し合いに呼ばれている事は、デイバックに入っていた名簿でわかっている。 一言で言えば甘い男。 ウルフウッドにとってはあまりにも危うく、己の命を今にも投げ捨てそうな様子さえある。 たとえ全身に銃弾を受けたとしても、一つの愛を、誰かの幸せを守れればそれでいい。 本気でそう思っているような男だが、ヴァッシュの銃の腕は抜きん出ており、他にも様々な力を保持している。 GUNG-HO-GUNSの一人、『チャペル』という名で呼ばれるウルフウッドはヴァッシュを彼の兄、ナイブズの元へ連れてゆく仕事があった。 故にこんな良くわからない場所でのヴァッシュの死は避けておきたい。 気に掛かるのはヴァッシュが誰か見ず知らずの他人ですらも庇い、己の命を散らせるような事を仕出かす事だ。 殺し合いをしろと宣告されているため、異常な状況に慣れていない人間には激しく動揺している者も居るだろう。 慎重に行動しなければ後ろからバッサリと……いっても可笑しくはない。 幾らヴァッシュといえども首を切られるなどの致命傷を受けてしまえば、彼とて死からは免れないであろうから。 流石に向こう見ずな行動は取らず、少しは慎重に動くだろうとウルフウッドは推測する。 「……あかん、前言撤回や。ムッチャ想像出来るで、おい……」 だが、ウルフウッドが見せたものは冷や汗が流れ始めた表情。 自分では否定したものの、一瞬でその自信は何処かへ消え去ってしまった事によるもの。 幾ら状況が過酷なものであっても、ヴァッシュはやる。 一人でも多くの人間を守るためには、どんな痛みすらもヘラヘラとした笑いで誤魔化す。 そう。ヴァッシュはそういう男なのだ、とウルフウッドは次第に呆れ返ったような顔をつくりながら、確認するように胸中で思う。 やがてヴァッシュの事より、一人の男の方をウルフウッドは考えだした。 名簿に載っていた、ウルフウッドが知っているもう一人の名前の事を。 「それよりも、リヴィオ……生きておったんか」 リヴィオ・ザ・ダブルファング。 いつも泣いてばかりであったが、優しい心を持っていた少年。 ウルフウッドと同じ孤児院で育ち、そしてある事件を境目に姿を消してしまった男。 『ザ・ダブルファング』という名称にウルフウッドには聞き覚えがないが、どうにもあの泣き虫リヴィオの気がしてならない。 そして同時に嫌な胸騒ぎがしていた。 孤児院から殺し屋養成の人材として引き取られ、やがて名前を貰った自分のように――。 これ以上、自分のような殺すためだけの全てを注ぎ込まれた人間が出せないためにも。 そう思い立ち、己の師であり諸悪の根源でもあった、マスターチャペルを事故に見せかけて殺したのは遅すぎたのだろうか。 答えは一向に出ず、それが遅すぎたと言われるのもウルフウッドにはどうにも堪えられない。 兎に角、このリヴィオ・ザ・ダブルファング――恐らくあのリヴィオに間違いない――には必ず会うべきだ。 堅く心に留め、歩き続けていたウルフッドはやがて行き着く。 数十分前程に、敢え無く命を落とした桜田ジュンの元へと。 「……運が悪かったな、坊主」 ウルフウッドが足を止めたのは一瞬の事。 もう少し早く此処に着いて居ればジュンの命を救えたかもしれないが、関係ない。 確かにジュンは未だ若い年齢であり、不憫だとは思うがウルフウッドとは接点はゼロ。 所詮、他人が一人死んでしまっただけの事であり、ウルフウッドは仇打ちをしてやろうなどという気はこれといって起きなかった。 そう。自分の生を生きるだけで精一杯なのに、他人の事にまで首を突っ込むなど自殺行為に等しい。 良くも悪くもヴァッシュとは反対の価値観の持ち主であり、それゆえにウルフウッドは次の行動に移る。 ランタンを取り出して、辺りに小さな光を齎す。 光に浮かんだジュンの姿を確認。 しっかりとデイバックを背負っている事も見て取り、ウルフウッドは近寄った。 中腰の体勢でうつ伏せに倒れているジュンの遺体の後ろへ手早く回る。 密かに、こっそりと『堪忍なぁ』と小声でジュンに謝りながらウルフウッドは何か銃器を得るために、荷物漁りを始めた。 「あかんか、そらぁ持ってたとしても殺ったヤツが持っていたんやろなぁ……」 デイバックを器用にジュンの身体から取って、探ってみるが碌なものはない。 残っていた名簿や地図は一応回収したが、一丁の拳銃も見当たらない。 着用していた衣服も調べた所、ご丁寧に『桜田ジュン』と女の字で書かれたため、名前はわかったがどうでもいい。 予想していた事だが、現実を突きつけられるとショックはあるものだ。 ならばもういいだろう。 そう思い、デイバックをジュンの背中にでも戻してやり、立ち去ろうとウルフウッドは顔を上げようとする。 そんな時、ふとウルフウッドの視界に映るものがあった。 「ん? なんや……」 力なく倒れたジュンが伸ばした左腕の先に赤い線が走っているのをウルフウッドは見つける。 赤い線の正体は言うまでもなく、滴り落ちた血液。 ジュンの胸部を起点として円心状に広がっている血だまりによって、指にでも血液が付着したのだろう。 ウルフウッドは血の線が何かの文字を描いているように見えた。 死ぬ前に何かメッセージでも残したのだろうか。 たとえば自分を殺した人物への恨み事が、それともその人物の名前か。 若しくは只、簡潔に『死にたくない』といったような自分の不運さを嘆いたものかもしれない。 死者が最期に遺した言葉を見てやろうなど、あまり趣味の良い話ではないがウルフウッドは一応牧師の職に就いている。 ついさっき死んだと思える人間が果たして、どんな気持ちであの世とやらに逝ったのか。 小さな興味ではあるが、どうせ荷物漁りまでもやってしまったのだから、とウルフウッドはランタンを向ける。 ハッキリと、地面に何が書いてあるのかを確認するために。 きっと力がなくなっていく身体を無理に使い、書いたのだろう。 所々、不自然に歪んで汚い字ではあったがウルフウッドはその両眼で、その血文字を焼きつけた。 ――『おねえちゃん』と書かれた文字を 「――ッ!」 なんでもない。 きっと仲の良い姉に宛てた言葉だったのだろう。 そうだ。服に態々名前を書いてくれる程に世話焼きの姉への言葉に違いない。 ありふれた文字であり、なんら可笑しくはない。 だが、ウルフウッドは自身でも驚くほどに衝撃を覚えた。 「あかん……あかんぞ、ニコラス。オドレはもう手一杯なんや、銃も碌に持ってないオドレが……あのトンガリのような真似は無理やろうが!」 思わず上げた叫び声。 現実を見定めろという声と、激しい感情を訴える自分の声が正面からぶつかり合う。 死んだ少年が桜田ジュンだとわかったせいではない。 そんな名前は聞いた事がないし、ウルフウッドが気に留める事はない。 只、考えるだけで全身が震えてしまった。 万が一の話だ。もし死んでしまったのがあの孤児院に居た誰かだったら。 いつも一人ではトイレに行けず、自分に連れて行ってくれるように頼んだ少年でもいい。 猫を追いかけて、屋根にまで上ってしまい、泣きべそをかいたあの少女でもいい。 あの中の誰かがこんな風に死んでしまったら。 憐れむ程にか細い文字で遺したら。 『二コにぃ』と、自分に対しての最期の言葉を遺したら、果たして自分は何を想うだろう か―― きっと――解き放つだろう。 滾らせて、あまりにも膨張させた想いを連ねて拳を叩きつけるに違いない。 しかし、その事はジュンの死とは関係ない。 そう。関係ない筈なのだが――ウルフウッドはなかなか落ち着かなかった。 やがて、ウルフウッドは徐に立ち上がる。 両の拳は固く握りしめ、鋭い眼光は雄々しさを印象付けるもの。 そう思いきや、ウルフウッドは踵を返し、歩き出す。 「ええか、今回だけや。乗りかかった船や……期待せんで待っとれ。 なぁ、坊主……」 何でも一人で背負い込む子と、親代わりの保母にかつて評された男が。 一人の少年が最期に残した言葉に、風変りな男がこれまた風変わりな形で応える形となる。 そう。ウルフウッドにとって危険と成り得る人物。 ウルフウッドの言葉は、そこに名も知らない一人が新たに入った事を意味していた。 【F-1/中心部/一日目/黎明】 【ニコラス・D・ウルフウッド@トライガン・マキシマム】 [状態]:健康 [装備]: [道具]:基本支給品(地図と名簿は二つずつ) デザートイーグル50AE(使用不能) SPAS12(使用不能) スタンドDISC『スター・プラチナ』 [思考・状況] 1:襲われたら返り討ち、必要以上に危険な事に首は突っ込まない。 2:ヴァッシュとの合流、リヴィオとの接触 3:ジュンを殺害した者を突き止め、状況次第で殺す。 4;武器を手に入れる、出来ればパ二ッシャー 【備考】 ※リヴィオは自分が知っているリヴィオだと思っています。 ※まだループには気づいていません ※どこへ行くかは次の方にお任せします。 ※参戦時期は未定です 時系列順で読む Back 輪廻-ロンド- Next 一人では解けない 真実のパズルを抱いて。 投下順で読む Back 輪廻-ロンド- Next 一人では解けない 真実のパズルを抱いて。 一人の夜 桜田ジュン 死亡 あり得る事、成し得る事、求め得る事…… ベナウィ 想いは簡単に届かない ニコラス・D・ウルフウッドの受難 ニコラス・D・ウルフウッド ネズミの国
https://w.atwiki.jp/multiple/pages/79.html
残されたものは一つ ◆Wott.eaRjU 「はぁ、どうなるのかな……僕」 デイバックを背負って、眼鏡を掛けた少年が暗闇を歩く。 彼は殺し合いが始まった直後、空き家に身を寄せていたが次第にもの寂しさを感じていた。 危険な事はわかるがそれでもせめて、周囲の光景が変化すれば気が紛れるかもしれない。 そう考え、彼は襲われてもいつでも逃げられる準備をしながら、取り敢えず線路を目印に沿って早足で歩いていた。 彼の名は桜田ジュン。現在はとある事情により所謂引き籠りを続けている中学生。 唐突にギラーミンという男により殺し合いに巻き込まれた現状。 まるで漫画やアニメのような筋書きに則った出来事をどうするか。 今のジュンが考えるべき事はその事だけであり、他の事については碌に考えが回らない。 只、もし参加者の中に警察の人が居れば自分を保護してくれるかもしれない――と、半ば願望に似た感情はあったが。 また、既にモンスターボールは説明書とやらを見つけ、使い方はわかった。 そのため思わぬ形で出す事になったエイバムことエーたろうとやらは、モンスターボールに戻してある。 但し、ジュンは滅多な事でなければモンスターボールを使う気はない。 気味の悪い紫の毛色、馬鹿でかい頭部と大きく発達した両耳、そしてまるで三つの指が生えたような長い尻尾。 猿の一種のように見えるがどれをとっても異常であり、ジュンの常識を超えている。 説明書に『ポケモンの一種』とは書いてあるものの、肝心のポケモンが何かは特に書かれていなかった 更にこれはギラーミンが用意した品の一つであり、必ずしも自分にとって得になるという保障もない。 よって必要以上にモンスターボールは使わない事を決め、今はズボンのポケットに収まっている。 「何か良い考えが浮かぶかとは思ったけど……駄目だ、何も浮かばない……浮かぶわけないだろ。 こんなわけわかんない場所じゃ……」 線路に則した歩道を、ある程度の辺りまで歩いた所で思わず零れた呟き。 歩行と思考、警戒に意識を傾け過ぎていたため此処がエリアF-1の中心である事も気づいていない。 また、最早時間の間隔すらも忘れかけ、ジュンは時計を取り出して確認する気にもなれなかった。 単身外へ出歩き始めた事を、後悔し始めるが既に時は遅し。 必死に周囲に気を配り、怪しい人間が居ないか探るが己の疲労が高まるばかりで、碌に安心も出来ない。 少し眼を放せばその間に……一度でもそう思ってしまえば恐怖心を拭いさるのは容易ではない。 段々と歩幅の間隔も狭まり、視線すらも俯きがちになっていた。 まるで自分には不釣り合いな、重い荷物を背負わされているような感覚がこびりつく。 投げ出したい。 さっさと何処かにでも投げ捨てて楽になりたい。 本音を言ってしまえばたった一言で終わってしまう。 元々体力にも自信があるわけではなく、ジュンが早々に根を上げるのは特に可笑しい話でもない。 だが、楽になりたいと言葉にするのは容易だが実際に行動へ移すとなるとわけが違う。 優勝してギラーミンに頼んでここから抜け出す? 考えるだけでも馬鹿らしい。 ジュンには人を殺す力もなく覚悟もなく、何より自分がそこまで行動力があるとは思っていない。 ならば楽になるにはどうするか。 思い当たる節はある事はある。 毎朝、姉が学校に行った後に一人で行う朝食で何度も耳にしたキーワード。 あの時は自分には関係のない話だと思っていた。 自分には自分の部屋という誰にも侵されない領域がある。 他の同世代の奴らとは違って、ずっと此処で生きていればいい。 自分達を放り出し、外国にでも行ってしまった両親達も流石に生活費ぐらいは、これからも送ってくれると思っていたから。 だから、今までのジュンには明確なイメージは出来なかった。 毎日毎日飽きもせずに、大勢の人が色々な方法で行っているらしい行為―― ――自殺という最後の手段を。 「――ッ」 無意識的に奥歯で自分の舌の感触を確かめた。 予想以上に弾力があるような気がする。 コリコリと、分厚いゴムを触ったのに近いような感じ。 いつだったかはわからない。 テレビかネットでは確か舌を噛み切れば、自分の命を絶つ事が出来るらしい。 切断面を境目に残った方の肉片が丸まり、そのまま喉を塞いでしまう。 酸素を吸いたくても吸う事は出来ずに窒息状態に陥り、やがて待つものは死という結末。 怖いとは思う。 きっと舌を噛み切ってしまった時には、口の中で苦い鉄の味が広がるに違いない。 美味い筈もない。 ただただ嫌悪を催す臭いなど、出来れば嗅ぎたくない。 だが、それでも映画のワンシーンで見かけるような拳銃や刃物での殺害に較べれば未だましではと思いもした。 嫌なのは一瞬の事。 只、あまり発達してない顎の力を使って、力の限り噛み潰せばいいだけ。 一思いにやってしまえば――この地獄から逃れる事が出来る。 しかし、ジュンの身体は一向に動きを示さない。 「……無理だよ、僕にはそんな度胸もないんだ……そんなものがあれば学校にだって……!」 そう。ジュンには自らの命を絶つ程の行動に伴う覚悟はない。 普段のジュンならば絶対に言わなかったであろう、自分の不登校に関しての弱音すらも吐き捨てた。 いつしか歩みは完全に止まり、その場に一人立ち尽くす。 まるで全身から力が抜けきった、抜け殻のような様子さえも今のジュンからは見て取れる。 耐え切れない不安を、どうにか振り落としたく思うが、ままならない。 代わりに崩れ落ちたのはジュンの身体。 遂には歩道の真ん中で頭を抱えながら蹲る。 全くの無防備と言えるその姿を親切心に注意してくれる者も居る筈もなく、ジュンもそこまで気が回らない。 確かに震え、自分の意に反するかのようにざわめくちっぽけな体躯を必死に抑えつけるのに意識を傾ける。 どうにもならない現実、止まらない恐怖や後悔、そしてふつふつと湧き上がる疑問。 何故、自分がこんな目に遭わないといけないのか。 答えらしい答えは見つからず、『運が悪かった』という言葉だけでは納得がいかない。 だが、いつまでも此処に留まるわけには、時間を無駄にするべきではない事もジュンはおぼろげに感じていた。 「兎に角、あの真紅とかいう人形に会おう……もしかしたら何か良い方法があるかもしれない……」 未だ共に過ごした日は浅い、奇妙な少女人形――真紅。 胡散臭い奴ではあるが、それでも赤の他人よりは信頼は大きい。 現実から目を背ける様に、たった一人だけの知人である真紅との合流をジュンは深く心に刻みつける。 そう思い始めた先にほんの少しずつ冷静さが蘇り、ジュンは大きく深呼吸を行い、やがてゆっくりと立ちあがった。 が、その時、視界に見慣れない影がある事にジュンは漸く気づいた。 「だ、誰――」 長身、黒髪の男。 パッと見ただけでも、男の着込んだ服装はジュンの常識ではあまり馴染みはない。 甲冑、西洋の騎士が着装する鎧に似ているが、それでいてどこか和の風味も漂わせる。 しかし、ジュンに男の外見についてあれこれ考える時間はなかった。 こうしている間にも、刻一刻とジュンには別の事について決断を迫れている。 男に対する疑問の声を上げ終わる前に、ジュンは無我夢中で右腕を突き出す。 自分でも驚くぐらいに早く、一度乱暴にポケットに突っ込んでから。 お目当てのモンスターボールを、焦りのために生じた汗に塗れた右手で掴み終わってから――ジュンは精一杯の威嚇を行おうとした。 理由は目の前の男が片手に握り締めた一物。 鋭い切っ先を引っさげた、赤黒い槍を男がジュンに向けて走ってきていたのだから。 『止まれ!』と、大声で叫ぶと同時にモンスターボールを使えば男の動きは鈍るかもしれない。 反射的に後ろへ身を傾けながら、ジュンはそう思い立ったが――ふいに彼の右腕に何かが走る。 そう。所詮、ジュンは只の中学生であり、彼の身体能力、反応の速さは男のそれらと比べものになっていなかった。 「う、うわあああああああああああああ!!」 絶叫。 冷静な状態なら、自分がこれほど大きな声を出せたのかと思う程に、ジュンの叫びが周囲に響く。 走ったものは電撃のような痛み、乱暴に己の一部を引き裂かれた感覚。 見れば自分の右手の甲から何かどす黒いものが更に赤みを帯びながら、生えている。 痛い。 声を出してしまう程に感じる痛みから、それは自分の右腕を刺し貫いた槍の矛先である事がわかった。 槍は右腕で掴んでいたモンスターボールごとジュンの右手を刺し貫き、モンスターボールの成れの果てからは不気味な液体が滴り落ちている。 そこで何が起きたか想像するだけでジュンは気分が悪くなり、密かに心の奥底で謝った。 何故なら、今のジュンには酷な言い方であったが自分の身の方が心配であったから。 「痛い! 痛い! 痛いよ……なんで、なんでこんなコトするんだ!? 僕が……一体何をしたって言うんだ!?」 男から一刻も早く離れるために、無我夢中に右腕を引き抜く。 幸いモンスターボールが衝撃を和らいでくれたせいか、ジュンの力でも引き離す事は出来た。 しかし、刺された右腕を己の身に引いた瞬間、更に傷口から大量の血を失い、ジュンの表情は思わず引きつった。 段々と肌からは血色が失われ、確実にジュンの命の灯を奪ってゆく。 必死に自分の不運さを言葉にして呪うが、男は答えない。 只、全身を伝う恐怖と痛みでグシャグシャに歪んだジュンの顔を凝視し、無表情に槍を構え直す。 ジュンが零れ落とすのは涙、男が零れ落としたように見えるのは一切の感情。 ジュンがしきりに放出するものは叫びに似た言葉、男が只、黙って秘めるものは明確な殺意。 無反応な男により一層の恐怖を覚えるジュンは、必死に助けを願い続ける。 誰でも良い。 出来るものならば誰か、誰かに自分を助けて貰いたい。 たとえ身なりは悪く、近寄りがたい大人でも構わない。 昔、テレビで見た事があるような、正義の味方が駆けつけてくれたらどんなに良いことか。 そう。今にも自分か名前も知らない男の後ろから駆け寄って――夢のような話をジュンは無性に信じたかった。 だが、ジュンの耳に、視界に飛び込んだものは彼が望んでいたものとは違っていた。 「――すみません」 誰に対して謝ったのだろう。 ジュンが疑問を抱いた矢先に、男が動いた。 速い。さっきよりももっと速い。 距離が近いせいなのかもしれないとおぼろげながらに思った。 右胸を押し潰すように迫ってきた痛みをハッキリと受け止めながら。 「あ――――」 不思議とあまり声は出ない。 いや、正しくは出す暇すらもなかった。 男が勢いを乗せて繰り出した剛槍――ゲイ・シャルグの切っ先がジュンの一点を突き進む。 真っ直ぐに差し出されたゲイ・シャルクがジュンの肉を裂き、赤一色に染まり、心の臓を貫く。 痛い。 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。 声に出して、この痛みを訴えてやりたいのにそれすらも行う力がない。 声の代わりに出たものは己の吐血。 身につけていたパーカーが朱色に染まり、口の中で苦味が広がる。 全身から大事な何かが抜けていくのがわかり、思わず掴むように手を伸ばした。 伸ばした手に広がる赤い血だまりをぼんやりと見つめ、ジュンは口をパクパクと動かす。 眼の淵からどろりと、感触の悪い液体が零れ出ているような気がしたがその流動は止まる事はなくジュンの頬を伝う。 それはゆっくりと、ジュンの全てを奪う痛みの速さと反比例の関係を保つかの如くに動き続ける。 やがて男は突き出した筈のゲイ・シャルグを、ジュンの胸から勢い良く引き抜く。 あまりにも悲痛な顔で泣き叫ぶジュンに同情したのか。 違う。 ジュンの代わりに抜いてやったかのように見えた動作には優しさは見られない。 只、これ以上は必要ないから、と告げるような淡々とした挙動。 付着した血を振り払うためかゲイ・シャルクを器用に振り、男は矛先を下に向ける。 そしてジュンの身体も動く。 ジュンが意識したわけでもないし、男がそう意図したわけでもない。 極自然に、既に両の脚では支えきれなくなり、ジュンはゲイ・シャルグの矛先に頭を向けて前のめりに倒れ伏す。 歩道に打ちつけたショックで額が切れ、更に出血が起きたのをジュンは息苦しさに咽びながら理解する。 両肩を震わせ、なんとか楽な体勢を取ろうと身体中をくねらせるがもうどうしようもない。 涙や唾液や胃液、そして鮮血が入り混じった溜まりに浸されながら、ジュンは何もかもが手遅れなのだと実感した。 (嫌だ……こんなの嫌だ…………) だが、受け入れたくはない。 このまま死にたくない。 未だ……生きたい、自分の人生を歩みたい。 もしかすれば学校に行けるようになるかもしれない。 そんな自分の未来を少しでも見てみたい――言葉に出来ない、言葉にしたい希望が喉まで来ているのだがそれ以上押し出ようとはしない。 両腕を、グシャグシャに潰された右腕すらも足掻くように必死に動かす。 自分の下に広がる歩道帯に手を伸ばすが、柔土で出来ているわけでもなく碌に掴む事も叶わなかった。 その行動の末の結果が、自分の全てを否定されたような気がしてジュンの表情が一段と崩れる。 そう思った矢先に一際大きな嗚咽をあげて、込み上げていた赤黒いものを外へ吐き出す。 何も出来ない。 結局、何も出来なかった自分を再びちっぽけな存在なのだと確認し、ジュンはやがて身を委ねる。 見知っている人物の顔が順々に浮かんでは消えてゆき、これが走馬灯なのかとぼんやりと思いながら―― (僕は……………) ジュンの意識はゆっくりと深き闇へ沈んでいった。 【桜田ジュン@ローゼンメイデン:死亡確認】 ◇ ◇ ◇ 「先ずは一人、と言ったところでしょうか」 ジュンの命を奪ったゲイ・シャルグを携えて、彼のデイバックを漁って謎のカギと忍術免許皆伝の巻物仮免を手に入れた男がそう呟く。 ベナウィ。 それが男を示す名前であり、かつてはケナシコウルペという国の侍大将であり騎兵衆隊長としての肩書きも持っていた人物。 しかし、今のベナウィは違う。 現在はこの殺し合いの参加者の一人、ハクオロが治めるトゥスクルの騎士。 そして、ハクオロの生還のためにはどんな事も、どんな命も辞さない覚悟を返り血で染めた騎士甲冑を纏い、そう決めていた。 「後戻りなど出来ない、するつもりもありません」 何も抵抗してこなかった。 いや、抵抗出来なかったジュンの命を蹴落した事にも既に後悔はない。 態々奇襲という策は取らずに、真正面から挑んだのはベナウィの気真面目さによるもの。 自分が何をするまでもなく蹲っていたところ余程この状況に怯えていたのだろう。 無理もない。 ベナウィにも一切の動揺がないわけでもなかった。 突然突きつけられたこの状況は、特に年端もいかぬ少年や少女には耐えがたいものだと想像には難しくもない。 そんなあまりにも哀れな姿を見て、自分は凶槍を奮う頃合いを、若干遅れたと言われれば完全に否定出来る保証はない。 己の力を過信するつもりはないが、もしそうでなければもう少し早く終わらせる自信がベナウィにはあった。 だが、これからのベナウィにはそんな小さな迷いのようなものは絶対に生じないだろう。 何故なら、既に一人の命を奪う事はやり遂げた。 秘めた想いの果てに奮ったゲイ・シャルグで他人の命を引き換えに、己の為すべき事を為す覚悟は更に強まっている。 途中で断念する事は出来ない。 投げ出してしまえば、自分に肉と血を捧げる形となったジュンが報われない。 一国に仕える騎士や兵士ではなく、守られるべき存在であったジュンには殺される覚悟もなかっただろうから。 やがて惨劇が行われた路線を沿うのを止め、ベナウィはある建物の前で立ち止まる。 それはエリアE-2に位置する一つの駅。 ベナウィの住む世界には駅という施設はなく、列車という概念もない。 故にベナウィは興味があった。 駅たる施設には一体どういう意味合いが隠されているのだろう。 騎馬の一頭でも其処で繋がれているかもしれない。 もし現実の話であるならば騎兵であるベナウィにとってこの上なく利点がある。 気づいた時は既に歩き始めてかなり経っており、エリアD-1の辺りを歩いていた。 更に此処は慣れない地形のため、先ずは最寄の駅とやらに続く道に辿り着き、其処を辿って目的地を目指す。 時間が制限されているわけでもなく、確実に迷う事のない道を取り、ベナウィは歩き、そしてジュンと出会ったというわけだ。 入り口に足を踏みしめ、ベナウィは駅内に侵入する。 「この身が朽ち果てる、その時まで――必ず」 そこに迷いはない。 【E-2 駅入り口 1日目 釈明】 【ベナウィ@うたわれるもの】 [状態] 健康 甲冑に返り血 [装備] 破魔の紅薔薇(ゲイ・シャルグ)@Fate/Zero、腰に和道一文字@ONE PEACE [道具] 支給品一式 シゥネ・ケニャ(袋詰め)@うたわれるもの 忍術免許皆伝の巻物仮免@ドラえもん 謎のカギ [思考・状況] 1 聖上を生き残らせるため、殺し合いに加担 2 かつての仲間を優先的に殺したい 3 駅内を探索する。出来れば馬も欲しい。 ※破魔の紅薔薇:あらゆる魔力の循環を遮断する事が可能で、対象に刃が触れた瞬間その魔術的効果をキャンセルする。ただし、魔術そのものを根元から解除するわけではない。破壊される、触れてから一定時間経過などすると効果は解除される。 ※『忍術免許皆伝の巻物仮免@ドラえもん』 ハテノハテ星雲にあるアミューズメントパーク・ドリーマーズランド における忍者の星における忍者の免許皆伝のための実地試験の 忍術が少し使えるようになる巻物。使える術は次の3つ 壁抜けの術 その名の通り壁をすり抜ける事が出来る。しかし厚すぎる壁は越えられない バッタの術 バッタのように高く飛ぶことが出来る。だいたい一般家庭における屋根裏までが限度 ネズミ変化の術 少しの間、小さなネズミの姿になることが出来る。ある程度時間がたつと元の姿に戻ります。 ※『謎のカギ』 詳細不明、何のカギでどこに使うのかは後続の書き手におまかせします。 「あーさむさむ……なんでワイがあんな目にあわなあかんねん!」 黒スーツ、いかにも堅気の職に就いてないと言わんばかりの風貌の男が愚痴る。 両肩を抱く様にトボトボと歩く男はウルフウッド、ニコラス・D・ウルフウッド。 世界を渡り歩く巡回牧師は表の顔であり、裏の顔は一流の殺し屋。 GUNG-HO-GUNSの一員、ミカエルの眼で殺人術を叩きこまれた男だがウルフウッドは此処に来て以来災難に見舞われている。 けったいな殺し合いに巻き込まれたと思えばいきなりのダイブ。 水。それもかなり冷たい水が張り巡らされた湖への理不尽な突入。 当然、身体中は水浸しになり、折角支給された銃器も使いものにならなくなった。 無事であった円盤は何故だか使う事も出来ずに、全くどうしようもない。 やばい。代謝機能の異常強化により、そこらのトーシローよりしぶとく生き残る自信はある。 だが、武器がなければ心細い。 そう。心細過ぎる。 知り合いの金髪トンガリのノーテンキな奴は『な、なんとかなるさ!』とでも言うかもしれないが、生憎ウルフウッドは違う。 きっちりと身の装備を整えて、たとえば敵に対し頭に二発、心臓に二発銃弾を叩き込めるような準備はしておきたいものだ。 「べーくっしゅい! あーあかん、風邪でも引いたらどないしてくれるんじゃボケェ!」 よってウルフウッドは、何処かに手頃な武器はないかと、辺りを手当たり次第に散索していた。 ちなみに地図はよれよれで、文字の所々が消えており、良く眼を凝らせば何処に何があるかはわかる。 そのため自分が居る位置はわかっていたが、特にこれといって目的地もない。 そんな時、ウルフウッドはふと疑問に思った。 地図の端はどうなっているのだろう、と。 そのまま此処から脱出でも出来たら儲けの至り。 まあ、そんな甘い話は転がってないだろうとは思うが、ウルフウッドは取り敢えず試していた。 湖に落ちたのはエリアE-8、其処から東に向けて前進。 途中で小さな河川を通って歩きやすそうな道路を踏みしめて、また前進。 未だ完全に水気は抜けず、ひんやりとした冷たさを感じながらも、またまた前進。 どうなるかはわからないが、やばいと感じれば一目散に逃げればいいだけの話。 逃げ出す事はウルフウッドにとって慣れ親しんだ行為であり、身体が覚えている。 平和ボケのトンガリ――ヴァッシュ・ザ・スタンピードと馬鹿をやり合った旅で何度もそんな羽目に陥った。 そう。何度も何度もやってられるかー!と叫んだ旅の中で。 「まあ、なんや。トンガリは……多分大丈夫やろ。あいつはそうそう死ぬタマやあらへんし」 そしてヴァッシュもこの殺し合いに呼ばれている事は、デイバックに入っていた名簿でわかっている。 一言で言えば甘い男。 ウルフウッドにとってはあまりにも危うく、己の命を今にも投げ捨てそうな様子さえある。 たとえ全身に銃弾を受けたとしても、一つの愛を、誰かの幸せを守れればそれでいい。 本気でそう思っているような男だが、ヴァッシュの銃の腕は抜きん出ており、他にも様々な力を保持している。 GUNG-HO-GUNSの一人、『チャペル』という名で呼ばれるウルフウッドはヴァッシュを彼の兄、ナイブズの元へ連れてゆく仕事があった。 故にこんな良くわからない場所でのヴァッシュの死は避けておきたい。 気に掛かるのはヴァッシュが誰か見ず知らずの他人ですらも庇い、己の命を散らせるような事を仕出かす事だ。 殺し合いをしろと宣告されているため、異常な状況に慣れていない人間には激しく動揺している者も居るだろう。 慎重に行動しなければ後ろからバッサリと……いっても可笑しくはない。 幾らヴァッシュといえども首を切られるなどの致命傷を受けてしまえば、彼とて死からは免れないであろうから。 流石に向こう見ずな行動は取らず、少しは慎重に動くだろうとウルフウッドは推測する。 「……あかん、前言撤回や。ムッチャ想像出来るで、おい……」 だが、ウルフウッドが見せたものは冷や汗が流れ始めた表情。 自分では否定したものの、一瞬でその自信は何処かへ消え去ってしまった事によるもの。 幾ら状況が過酷なものであっても、ヴァッシュはやる。 一人でも多くの人間を守るためには、どんな痛みすらもヘラヘラとした笑いで誤魔化す。 そう。ヴァッシュはそういう男なのだ、とウルフウッドは次第に呆れ返ったような顔をつくりながら、確認するように胸中で思う。 やがてヴァッシュの事より、一人の男の方をウルフウッドは考えだした。 名簿に載っていた、ウルフウッドが知っているもう一人の名前の事を。 「それよりも、リヴィオ……生きておったんか」 リヴィオ・ザ・ダブルファング。 いつも泣いてばかりであったが、優しい心を持っていた少年。 ウルフウッドと同じ孤児院で育ち、そしてある事件を境目に姿を消してしまった男。 『ザ・ダブルファング』という名称にウルフウッドには聞き覚えがないが、どうにもあの泣き虫リヴィオの気がしてならない。 そして同時に嫌な胸騒ぎがしていた。 孤児院から殺し屋養成の人材として引き取られ、やがて名前を貰った自分のように――。 これ以上、自分のような殺すためだけの全てを注ぎ込まれた人間が出せないためにも。 そう思い立ち、己の師であり諸悪の根源でもあった、マスターチャペルを事故に見せかけて殺したのは遅すぎたのだろうか。 答えは一向に出ず、それが遅すぎたと言われるのもウルフウッドにはどうにも堪えられない。 兎に角、このリヴィオ・ザ・ダブルファング――恐らくあのリヴィオに間違いない――には必ず会うべきだ。 堅く心に留め、歩き続けていたウルフッドはやがて行き着く。 数十分前程に、敢え無く命を落とした桜田ジュンの元へと。 「……運が悪かったな、坊主」 ウルフウッドが足を止めたのは一瞬の事。 もう少し早く此処に着いて居ればジュンの命を救えたかもしれないが、関係ない。 確かにジュンは未だ若い年齢であり、不憫だとは思うがウルフウッドとは接点はゼロ。 所詮、他人が一人死んでしまっただけの事であり、ウルフウッドは仇打ちをしてやろうなどという気はこれといって起きなかった。 そう。自分の生を生きるだけで精一杯なのに、他人の事にまで首を突っ込むなど自殺行為に等しい。 良くも悪くもヴァッシュとは反対の価値観の持ち主であり、それゆえにウルフウッドは次の行動に移る。 ランタンを取り出して、辺りに小さな光を齎す。 光に浮かんだジュンの姿を確認。 しっかりとデイバックを背負っている事も見て取り、ウルフウッドは近寄った。 中腰の体勢でうつ伏せに倒れているジュンの遺体の後ろへ手早く回る。 密かに、こっそりと『堪忍なぁ』と小声でジュンに謝りながらウルフウッドは何か銃器を得るために、荷物漁りを始めた。 「あかんか、そらぁ持ってたとしても殺ったヤツが持っていたんやろなぁ……」 デイバックを器用にジュンの身体から取って、探ってみるが碌なものはない。 残っていた名簿や地図は一応回収したが、一丁の拳銃も見当たらない。 着用していた衣服も調べた所、ご丁寧に『桜田ジュン』と女の字で書かれたため、名前はわかったがどうでもいい。 予想していた事だが、現実を突きつけられるとショックはあるものだ。 ならばもういいだろう。 そう思い、デイバックをジュンの背中にでも戻してやり、立ち去ろうとウルフウッドは顔を上げようとする。 そんな時、ふとウルフウッドの視界に映るものがあった。 「ん? なんや……」 力なく倒れたジュンが伸ばした左腕の先に赤い線が走っているのをウルフウッドは見つける。 赤い線の正体は言うまでもなく、滴り落ちた血液。 ジュンの胸部を起点として円心状に広がっている血だまりによって、指にでも血液が付着したのだろう。 ウルフウッドは血の線が何かの文字を描いているように見えた。 死ぬ前に何かメッセージでも残したのだろうか。 たとえば自分を殺した人物への恨み事が、それともその人物の名前か。 若しくは只、簡潔に『死にたくない』といったような自分の不運さを嘆いたものかもしれない。 死者が最期に遺した言葉を見てやろうなど、あまり趣味の良い話ではないがウルフウッドは一応牧師の職に就いている。 ついさっき死んだと思える人間が果たして、どんな気持ちであの世とやらに逝ったのか。 小さな興味ではあるが、どうせ荷物漁りまでもやってしまったのだから、とウルフウッドはランタンを向ける。 ハッキリと、地面に何が書いてあるのかを確認するために。 きっと力がなくなっていく身体を無理に使い、書いたのだろう。 所々、不自然に歪んで汚い字ではあったがウルフウッドはその両眼で、その血文字を焼きつけた。 ――『おねえちゃん』と書かれた文字を 「――ッ!」 なんでもない。 きっと仲の良い姉に宛てた言葉だったのだろう。 そうだ。服に態々名前を書いてくれる程に世話焼きの姉への言葉に違いない。 ありふれた文字であり、なんら可笑しくはない。 だが、ウルフウッドは自身でも驚くほどに衝撃を覚えた。 「あかん……あかんぞ、ニコラス。オドレはもう手一杯なんや、銃も碌に持ってないオドレが……あのトンガリのような真似は無理やろうが!」 思わず上げた叫び声。 現実を見定めろという声と、激しい感情を訴える自分の声が正面からぶつかり合う。 死んだ少年が桜田ジュンだとわかったせいではない。 そんな名前は聞いた事がないし、ウルフウッドが気に留める事はない。 只、考えるだけで全身が震えてしまった。 万が一の話だ。もし死んでしまったのがあの孤児院に居た誰かだったら。 いつも一人ではトイレに行けず、自分に連れて行ってくれるように頼んだ少年でもいい。 猫を追いかけて、屋根にまで上ってしまい、泣きべそをかいたあの少女でもいい。 あの中の誰かがこんな風に死んでしまったら。 憐れむ程にか細い文字で遺したら。 『二コにぃ』と、自分に対しての最期の言葉を遺したら、果たして自分は何を想うだろう か―― きっと――解き放つだろう。 滾らせて、あまりにも膨張させた想いを連ねて拳を叩きつけるに違いない。 しかし、その事はジュンの死とは関係ない。 そう。関係ない筈なのだが――ウルフウッドはなかなか落ち着かなかった。 やがて、ウルフウッドは徐に立ち上がる。 両の拳は固く握りしめ、鋭い眼光は雄々しさを印象付けるもの。 そう思いきや、ウルフウッドは踵を返し、歩き出す。 「ええか、今回だけや。乗りかかった船や……期待せんで待っとれ。 なぁ、坊主……」 何でも一人で背負い込む子と、親代わりの保母にかつて評された男が。 一人の少年が最期に残した言葉に、風変りな男がこれまた風変わりな形で応える形となる。 そう。ウルフウッドにとって危険と成り得る人物。 ウルフウッドの言葉は、そこに名も知らない一人が新たに入った事を意味していた。 【F-1/中心部/一日目/黎明】 【ニコラス・D・ウルフウッド@トライガン・マキシマム】 [状態]:健康 [装備]: [道具]:基本支給品(地図と名簿は二つずつ) デザートイーグル50AE(使用不能) SPAS12(使用不能) スタンドDISC『スター・プラチナ』 [思考・状況] 1:襲われたら返り討ち、必要以上に危険な事に首は突っ込まない。 2:ヴァッシュとの合流、リヴィオとの接触 3:ジュンを殺害した者を突き止め、状況次第で殺す。 4;武器を手に入れる、出来ればパ二ッシャー 【備考】 ※リヴィオは自分が知っているリヴィオだと思っています。 ※まだループには気づいていません ※どこへ行くかは次の方にお任せします。 ※参戦時期は未定です 時系列順で読む Back 輪廻-ロンド- Next 一人では解けない 真実のパズルを抱いて。 投下順で読む Back 輪廻-ロンド- Next 一人では解けない 真実のパズルを抱いて。 一人の夜 桜田ジュン 死亡 あり得る事、成し得る事、求め得る事…… ベナウィ 想いは簡単に届かない ニコラス・D・ウルフウッドの受難 ニコラス・D・ウルフウッド ネズミの国
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1352.html
「ほれ」 「ニャン♪」 「ほら」 「ニャウ!」 「パンくずを口の中に突っ込んで、飲み込ます!」 「ミーーーーーーーー!?」 「逆立ちでも食えるのか?」 「ケフッ!?」 「食べてる最中に鼻を塞いだらどうなる?」 「ミュ……!」 「鳥を食べている最中に、苦い葉っぱとすりかえる!」 「エヒッ!?」 「サンドイッチだぁ!」 「ニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャ!」 そんなこんなで色々していたら結局サンドイッチを全て子猫に食わせてしまっていた。 色々してみたが結局最後には普通に食べさせてしまった。変な食べさせ方に飽きたというのもあるんだが。 さすがの子猫も腹が一杯になったのか丸くなってあくびをしている。あれだけのことをしたのによく逃げずに食べきったものだ。 それだけ腹が空いていたのか、それともマゾの気でもあるのか。どうでもいいけどな。 しかし寝るのはいいんだが私の足の上で寝ないで欲しいな。重くは無いが邪魔だ。 すこしガヤガヤした声が聞こえる食堂での食事が終わって皆が出てきたのだろう。 ルイズの場所に行かなければいけないな。 ルイズの場所に行こうと立ち上がる。子猫は私の足で眠っていた。 立ち上がる前に起こすとか除けるだとかしなかったので子猫は地面に落ちた。 しりもちをついた様な格好で目をパチクリさせている。 「じゃあな。色々楽しかったぞ」 猫にそう告げ食堂へ向かった。猫にそんなことを言うのは少し変だと思ったが、楽しんだからいいかなと思った。 最後に子猫を振り返ると子猫はこちらをじっと見ていた。 「あんたどこに行ってたのよ!」 ルイズの元へ戻ると早速文句を言われた。 「外に食べに行ってたんだ。席が空いてなかったからな。というかちゃんとそう言って食堂を出ただろう」 文句を言われるのは想定の範囲内だ。 別に驚くようなことではない。 「その後わたしは椅子を持ってくればいいって言ったわ」 「そうなのか。聞こえなかった」 「……もういいわ。今度から気をつけてくれればいいから」 「わかったよ」 そのような会話を交じわしながらルイズと教室へ向かった。 教室へ入ると何故かルイズのクラスメイトたちが私たちを取り囲んだ。 一体なんだってんだ?そう思っていると、 「ねえルイズ、あなたたち、授業を休んでいったいどこに行っていたの?」 取り囲んでいたうちの一人が腕を組み偉そうに言ってきた。 ああ、なるほど。休んでいた間に色々噂が立ったのか。ルイズにギーシュ、キュルケにタバサと、一気に4人も休んだからな。 教室を見渡すとタバサとキュルケとギーシュがすでに席についていた。 タバサは本を読んでおり、キュルケは化粧を直しており、ギーシュは調子に乗っている。 そして私たちと同じように取り囲まれていた。 しかし、タバサとキュルケは答える様子が無い様ですでに回りも諦めている。 ギーシュは周りにちやほやされて調子に乗っている。何故か腕には包帯がグルグル巻きにされており腕が吊られている。 あ、顔が完全に治ってるな。歯も欠けたはずなのに治ってる。よかったなギーシュ、どうでもいいが。 でも、聞くにしてもタバサとキュルケは喋りそうにないからな、ギーシュはわからないが。 それで新たに現れたルイズに矛先を変えたのか。しかしたかだか休んだくらいでこれほどまでに大騒ぎする様なもんなのかね。 五月蠅くて堪らない。 「きみたち、ぼくに聞きたいかね?ぼくが経験した秘密を知りたいかね?困ったウサギちゃんたちだな!あっはっは!」 ギーシュがさらに調子に乗ってそんなことを言い始めた。 調子に乗っている証拠に足まで組んでいる。 あのバカは本当に正気か?あれは王女の密命だぞ。それをこんな大勢に話すつもりなのか? あの情報がばれたらどうなるかわかっているのだろうか? キュルケやタバサはまだいい。途中参加で結局任務の内容はわからなかっただろう。 しかしギーシュは違う。ルイズと王女の話を盗み聞きしていたから任務内容を結構細部まで知っている。 ルイズもそれに気がついたのか、人壁掻き分けギーシュに近づくと吊ってる腕を思いっきり引っ叩いた(私にはそう見えた)。 「ノォォォォオオオオオオオオオオオオオオォォォォォオオオオオオオウッ!!!!」 ギーシュが叩かれた場所を押さえ椅子から転げ落ちる。可哀想に…… 暫らく転げまわり落ち着いたのか立ち上がる。その目に若干だが涙が浮かんでいた。 「なにをするんだね!きみも見ただろう、この怪我の酷さを!まだ治ってないんだよ!」 「うるさいわね。あんたが姫さまに嫌われないようにしてあげたのに」 「どういうことだい!?」 「口が軽いと姫さまに嫌われるってこと」 ルイズがそういったとたんギーシュがはっとした顔になり黙ってしまった。さすが王女のファンだな。王女に嫌われることはしないか。 しかし皆が注目している時に言ったのがいけなかった。 王女を引き合いに出されたせいか再びルイズを取り囲みやいのやいの言い始めた。五月蠅いのでルイズを無視し適当な席に着く。 しかしそれで騒音が聞こえなくなるわけではない。 「ルイズ!ルイズ!いったい何があったんだよ!」 「どうしてそこで姫さまが出てくるんだよ!」 「血管針って正直わけわかんねえよ!」 「魔法衛士隊の隊長と一緒に出かけたのはわかってるんだぞ!」 「俺パピヨンマスク手に入れたんだ!」 「同級生なんだから教えてくれてもいいでしょ!」 「お前らのやってることは、全部すべてまるっとどこまでも、お見通しだ!」 「どんな手柄立てたんだよ!」 やれやれ、どうしてこうガキっていうのは騒ぐのが好きなのか。 「なんでもないわ。ちょっとオスマン氏に頼まれて、王宮までお使いに行ってただけよ」 ルイズは質問攻めに耐えかねたのか適当にでもいいから答えることにしたようだ。 「ねえギーシュ、キュルケ、タバサ、そうよね」 ルイズは他の3人に同意を求める。 キュルケは意味深げな微笑を浮かべ、磨いた爪の滓を吹き飛ばした。それはなにかありましたと言ってるようなものじゃないのか? ギーシュは素直に頷いた。しかしさっきまでの態度から信じるものはいないだろう。 タバサは我関せずといった具合に本を読んでいる。こいつも私と同じで静かにして欲しいと思ってると思う。 やがてルイズも喋らないとわかり取り囲んでいた者たちは次々に席に戻って行った。 しかしみんなして隠し事をするルイズに腹が立ったらしく口々に文句を言っていた。 「どうせ、たいしたことじゃないよ」 「だよな。期待して損しちまったよ」 「血管針ってそういう意味だったのか」 「どうせ目立ちたくて一芝居打ったんだろ」 「お前それパピヨンマスク偽者じゃん!スケキヨ伯爵のマスクだよ!怖すぎる!」 「ルイズなんてどうでもいいしねー」 「ま、まず~い!ばれていたのか!」 「こんな奴に手柄が立てれるかよ」 ……どうでもいいこと言ってるやつらいないか? 「そうよね、ゼロのルイズだもんね。魔法のできないあの子に何か大きな手柄が立てられるなんて思わないわ!」 巻き髪の少女が大きな声で言う。 「フーケを捕まえたのだって、きっと偶然なんでしょう?あの使い魔が、たまたま破壊の杖の力を引き出して……」 巻き髪はそれはそれはイヤミったらしく言う。 ルイズはそれを聞きながら唇を噛み締めていた。怒鳴り返さないのが不思議だ。 でも反論したって巻き髪の言う通りだしな。アルビオンに行った際もルイズは全く役に立ってなかった。むしろ足手まといだ。フーケの時もだ。 フーケを捕まえたのも偶然だしな。 ロケットランチャーも偶然この世界にあったものだし、使い方がわかったのも偶然ガンダールヴになったからだ。 だからフーケを倒せれたのは偶然と言えなくも無い。 窓から外を見る。そこから1本の木が見えた。それを見ながら、植物のように静かに生きたい、ぼんやりとそう思った。 ルイズへの文句は教室にコルベールが入ってきたことにより中断され皆が席に戻った。 そして授業が始まった。
https://w.atwiki.jp/mustnotsearch/pages/3645.html
修正議論で変更されたワードがここに書かれます。 ワード名変更議論会で変更されたワードは右メニューにあります各回ワード名変更議論会のページをご確認ください。 - 目次 名前変更されたら行ワードの一覧ロシア 睡眠実験 ロブノール 核実験 ロンドンの黒魔術師 リサイクル食用油 ロスセタス レッドブル 飲みすぎ 関連項目 名前変更されたら行ワードの一覧 ロシア 睡眠実験 【記事名】ロシア 睡眠実験 【種別】名称変更 【依頼日時】2019/10/13 【修正依頼内容】 率直なため「ロシア 睡眠」に名前を変更するべき。 【結果】賛成多数のため変更 ロブノール 核実験 【記事名】ロブノール 核実験 【種別】名称変更 【依頼日時】2020/01/12 【修正依頼内容】 スペルミスのためロブノール 核実験→ロプノール 核実験に変更。 【結果】賛成多数のため変更 ロンドンの黒魔術師 【記事名】ロンドンの黒魔術師 【種別】名称変更 【依頼日時】2020/07/22 【修正依頼内容】 現在は調べてもヒットしないため、ページ名を「all spirit and nowhere to go」に変更する(ブラクラや"ロンドンの黒魔術師が作った"として有名なのは『all spirit and〜』のページであり、当該の記事もこのページを指しているため)。 【結果】賛成多数のため変更 リサイクル食用油 【記事名】リサイクル食用油 【種別】名称変更 【依頼日時】2021/10/06 【修正依頼内容】 このワードで検索しても出てこないので、地溝油に変えるべき。 【結果】賛成多数のため変更 ロスセタス 【記事名】ロスセタス 【種別】名称変更 【依頼日時】2023/02/04 【修正依頼内容】基本的に「ロス・セタス」と言われているので名称をそちらに変更すべき。 【結果】賛成多数のため変更 レッドブル 飲みすぎ 【記事名】レッドブル 飲みすぎ 【種別】名称変更 【依頼日時】 2023/10/01 【修正依頼内容】 現在このワードでは該当動画がヒットしないためワード名を 「レッドブル 2L」に変更すべき 【結果】賛成多数のため変更 関連項目 名前が変更されたワード一覧あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行 英行A~F 英行G~L 英行M~S 英行T~Z 数字行 その他記号行
https://w.atwiki.jp/83452/pages/8539.html
さぁ!過去を振り返る時だよ! ポワワワワワワー 過去の思い出の町!サンタローズ! 唯「…………」 憂「サンタローズだね。お姉ちゃん」 唯「……うん。」 憂「この町はゆいの思い出がいっぱい。いーっぱい詰まってるよね」 唯「…そうだね……」 憂「もちろんお姉ちゃんとの思い出だって私いーっぱい覚えてるよ!このゲームの思い出もね!」 唯「……ありがとう。うい…私もよ…」 憂「あれ?あれって子供ゆいじゃない!?ほら!あれ!」 唯「…………」 唯「……子供ゆいだね……」 憂「でも女王さまの言ってる事ちょっとわかりにくかったよね!」 唯「そ、そうかな…」 憂「うん。わかりにくいよ。だって私まだわかってないもん。お姉ちゃんはわかってる?」 唯「…………」 憂「その顔はわかってるってことだよね!教えてよ!お姉ちゃん!この光るオーブをどうするの!?」 唯「…………」 憂「ほらぁ馬鹿な妹に教えてよ!お願い!」 唯「…………えるのよ……」 憂「……え!?なんて!?」 唯「……すり替えるのよ……」 憂「ごめん!もう一回!」 唯「すり替えるって言ってんでしょ!ざーとらしく聞き返してんじゃないわよ!」 憂「お姉ちゃんもちろん覚えてるよね?」 唯「お、覚えてるよ……」 憂「何を?」 唯「う、憂がすり替えだって論じた事……」 憂「そういうことじゃないでしょ?おねえちゃん。」 唯「……」 憂「賭けだよ。賭け。賭けの話をしてるの」 唯「……」 憂「今誤魔化そうとしたでしょ?」 唯「し、してないよ!」 憂「ちゃんとやるからね」 唯「わかってるよ!いちいち確認しないでも!」 憂「うーんでもなぁ……恥ずかしいことトップ3って言ってもほとんど昨日今日でやっちゃったんだよなぁ…」 唯「…そ、それならもういいじゃん!別に無理してやらなくてもさ」 憂「それもそうなんだけどねぇ…」 唯「そうだよ!むしろ今まで妹のばかみたいな罰ゲームに付き合ってた私の方が寛大だよ!」 憂「うん。わかったよお姉ちゃんトップ3全部はもういいや」 唯「うん!その方が良いって絶対!姉妹の仲のためにも!………………全部…は……?」 憂「残しておいたナンバー1に恥ずかしい事をやってもらえるだけで十分だよ。私は」 憂「じゃあそういうことでね!」 唯「…………」 憂「ちゃんと約束守ってね!」 唯「…………」 憂がさっき考えた絶対やりたくない恥ずかしい事No1 『卒業アルバムの寄せ書き交換時に、自分の名前を『インパス・オブ・ジョイトイ唯』にすること』 天空城!浮くよ! 唯「無駄に時間食ったじゃない…」 憂「でも成功してよかったね!ゴールドオーブすり替えがね!」 唯「…しつこい……」 憂「何か言った?」 唯「……何も…」 憂「さぁプサンさんにゴールドオーブ渡そうよ!それで浮くはずだよ」 ナチュラルにつけっぱ! プサン「おぉオーブを持ってきてくれたのですね!ささ、こちらへきてください」 唯「ついにこの城が海のそこから浮かぶときがきたんだね!」 憂「天空城だもんね。すごい浮くよ!」 唯「ついに、ついにOPで流れてた天空城が現れるんだね……感無量だよ……」 憂「え……?なにそれ?」 唯「え?だから電源入れたときに流れる天空…………」 憂「…………」 唯「…………」 『総プレイ時間58時間』 はいすい! ブルァァァァァァァスィーーーーー 唯「すごいすごい!」 憂「浮いた浮いた!」 ザァァーーー 唯「お城に溜まってた水が一気に出てきたね」 憂「何かこういうの見るのって気持ち良いよね」 ザァァーーー 唯「わかるよその気持ち。お風呂の栓抜いた感じだよね」 憂「そうそう。溜まったものが流れていくっていうか」 ザァァーーーー 唯「……うん」 憂「…………」 ザァァーーーー 唯「……長くない?」 憂「……いっぱい溜まってたんでしょ…」 城乗り! 唯「すいーすいーあはは!」 憂「魔法の絨毯以来の喜びようだね」 唯「すっごいよこれ!移動速度ちょっと遅いけど森とか山跳び越せるもん!これで今まで行けなかった所全部いけるんじゃないのかな?」 憂「そういえばさいごの鍵取ってから、今までスルーしてたやつまだ回収しに行ってないよね」 唯「あー……別にいいんじゃない?」 憂「え、でも重要なアイテムとかあるかもしれないし…」 唯「…あー、クリアしてから回収しにいこうよ。気楽にね」 憂「お姉ちゃんクリアしたら絶対電源入れないでしょ…」 唯「……………………」 憂「……………………」 唯「…すいーすいーあはは!」 一番高いボブルの塔! 唯「あれ?正面扉開かないよ?」 憂「鍵かかってるね。レヌール城と同じパターンだよお姉ちゃん」 唯「あぁ、あったね…よく覚えてるね憂」 憂「あの時視点変更知らなかったから城の後ろの通路に気づくまで、何十分も詰んでたじゃない…」 唯「……思えば説明書を同封してくれなかったりっちゃんの責任も十二分にあると思うんだよ…」 憂「そもそもこの時期にゲーム貸す方がありえないけどね……借りるほうもだけど……」 唯「やめて……私今ファンタジーの世界にどっぷり浸かっていたいの……」 憂「……うん……。」 唯「……………………」 受験まであと1ヶ月! 一番上から一番下、そして地下! 唯「結構進んだよねぇ…?」 憂「うん。正面扉も開けたしいつでも帰れるよ」 唯「うーん……じゃあとりあえず探索しよっか」 憂「そうだね。地下行く?」 唯「じゃあ地下から探索で」 野心家ジャミ!保守家ゴンズ! 唯「……」テクテクテク 憂「……」 唯「……あ、ボスっぽいのが居る…」 憂「本当だ…ボス……だよねぇ……?通路の隅っこにいるけど……」 唯「……何か配置的にミミックと同じ様な扱いだから、ボスかどうかわからないんだけど……」 憂「とりあえず話しかけてみたら?」 唯「一応回復しとこ…」 ゴンズ「ぶはは!お前達がゲマさまが仰っていたゆい達か!ゲマ様の手を煩わせる事もあるまいっ!ここで死ね!」 唯「うわっ!このBGM…やっぱりボスだったよ!」 憂「ずいぶん微妙なところにいるんだね…今回のボス」 4分後! ゴンズを倒した! 憂「しかも弱い…」 唯「本当にボスだったの……?何か適当すぎじゃない……?」 憂「それにしてもどっかで見た事あるんだよなぁ……」 唯「私も気になってた……」 憂「どこだっけ……?」 唯「…………デモンズタワーとかじゃない……?」 憂「あ、たぶんそうだね…」 唯、憂「『(…………思い出せない)』」 保守家ゴンズ! りゅうのひだりめ! 唯「イベントアイテム……だよねぇ……?」 憂「たぶんそうじゃないかな?ほら、さっき1階にドラゴンをかたどった巨大な像があったじゃない。あれに両目をつければ良いんじゃないかな?」 唯「あ、たぶんそうだ!憂やるね!……ってことはみぎめも手に入れないと駄目ってことでしょ?」 憂「ほら、地下まだ下があるらしいよ?そこにちゃんとしたボスがいるんじゃないのかな?」 唯「そいつが持ってるってわけだね?任せてよ。どんな敵が来たって楽勝だよ」 憂「まぁ双子のレベルもあがったしね…並大抵の敵じゃ苦戦しないと思うよ」 唯「あ、一本道に入った。これ絶対ボスだよ」テクテクテク 憂「さっきの中ボスとはえらい違いだね。本気度が伺えるよ」 唯「!?」 憂「!?」 唯、憂「『ゲマッ!?』」 復讐のとき! 唯「しょ、正直こいつは最後らへんで出てくるとばかり……」 憂「わ、私もそう思ってたよ……もしかして気づかないうちに物語終盤に突入してたの……?」 唯「うーん…RPGぜんぜんやらないから一般的な長さがわからないよ……いま大体どのあたりなんだろう……」 憂「割りと終盤あたりだと思うよ……MAPも大体埋まってるし…」 唯「と、とにかくお父さんの仇だもんね!こいつは私の手で殺さないと気がすまないよ!」 二度手間! ゲマ「ふっふっふ。ここで待ってれば会えると思ってましたよ。」 唯「な、なんて憎たらしい奴…お父さんを殺した上に私達を石化までしといて…」 憂「信じられないよ……この態度…」 ゲマ「私の事を覚えてますか?」 憂「当たり前だよ!ね!?」 唯「もちろんだよ!いけしゃあしゃあと言ってくれちゃって!」→はい ピッ ゲマ「ほっほっほっ。まぁそんな事はどちらでもいいでしょう。」 唯、憂「『じゃあ聞くな!』」 バトル開始! 憂「…………」 唯「……よし!行こう!まずスクルトだよ!」 憂「……待ってお姉ちゃん」 唯「……え?」 憂「…お姉ちゃんさっきボスと戦ったよね?」 唯「う、うん……」 憂「……交代でしょ?」 唯「!?」 平沢姉妹ゲームルール 死んだら交代 ボスと戦ったら交代 新しい町に入ったら交代 飽きたら交代 5分後! 唯「だから次のボス二連戦していいって言ってるでしょ!?」 憂「そんなどうでもいいボスなんかでゲマ戦は譲れないよ!」 唯「なんでよ!?ゆいのお父さんだよ!?私が戦うべきに決まってるでしょ!」 憂「何その理論!?知らないよ!それだったらういのおじいちゃんでもあるんだから、私だって関係あるでしょう!?」 唯「ないよ!ぜんっぜんないから!ロボコップと足ツボマッサージ並に関係ないから!」 憂「意味わからない例えださないでよ!そこらへんの雑誌見て適当に言っただけでしょ!?」 唯「うるさい!」 20分後 唯「…………」ピッピッ ゲマの攻撃!ゆいに40のダメージ! ゆいはスクルトを唱えた! 防御!防御!防御! 唯「…はい」スゥ 憂「…………」ピッピッ 妥協案! 1ターン交代! 13
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/4784.html
58 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/04/26(日) 16 34 01 ID ??? よし、ではまとめ読んでて思い出した昔のネタでも落としてみるよ俺 今から12~3年前、 さいたま市の狛犬じゃなくて狛兎な神社近くで開かれたコンベに行ったのよ で、行ったら開かれてない、時間ぎりぎりだからかスタッフも居ない その日はしかたなく帰って、次回にスタッフに聞いたら 『会場の係員の手違いで二重予約、で勝手に予約取り消された』 と…これが本当だったら係員が困ったちゃんだよね? ちなみに思い出した元はスレ99の『開催されなかったコンベ』ですわ http //www6.atwiki.jp/kt108stars/m/pages/1645.html?guid=on 61 名前: NPCさん [sage] 投稿日: 2009/04/26(日) 19 03 24 ID ??? 60 そう思うならもう少し盛り上げたほうが良くないか?2時間も放置されている状況では、説得力が無い。 58 確かめようが無いが、実際には主催者側のミスでコンベンションが登録されてなかったのかもな。 知らずに来る人の為に一人くらいスタッフが待機していた方が良かったのかも知れん。 コンベンション情報の登録ミスで、数人来ていたけどコンベンションが開かれなくて諦めて帰ったのは苦い思い出だ。 別のコンベンションで名称が変えられていて、気付かずに帰ってしまった事もある。 スレ223
https://w.atwiki.jp/orikyara3rd/pages/495.html
ガンマニアな元警官・女の私立探偵・性別不明の科学者というちぐはぐトリオ、お互いが互いに依存している双子、エクソシスト詐欺師、自称魔法使いの明るい女の子、ポジティブシンキングのバスケ部………等など。 この人たちはもとより敵意がなかったり、協力の意思があったりして友好な関係を組めた。 もちろん、出会った人達のみんながみんなそうだったわけでもない。こんなワケわからん世界に飛ばされてきたんだ、当然「信ずるものは我が身のみ」な奴も居た。 初日に出会った氷・雷能力ペアなんかもこの部類でいいだろうし、炎を纏う人外さんもいた。この人外さんとは戦わずに逃走した結果、命をかけた鬼ごっこになった。最終的には逃げ切ってやったがな。 そんな面白い出会いをしてきた俺ですが、現在、これまでの出会いを霞ませる強さを持った方とエンカウントしています。 それはミニスカートからのびる生足がまぶしい、警察の制服を着たにこやかに笑う女性。 澄んだ大きな目、快活そうに見せるウェーブのかかった綺麗な髪、スラリとした四肢、抜群のプロポーション。同世代の女性が嫉妬で般若と化してもおかしくない、世の男性の理想を体現したかのような、美しさも可愛さも兼ね備えた人物。 だ が バ ズ ー カ 装 備 。 「ほらほらほら!もう少し私を楽しませてみなさいよ!!」 爆発するビルの一部、散乱する瓦礫、巻き上がる粉塵、笑う彼女。 気が付けば、辺り一帯は廃墟と化していた。 「どうしてこうなった…」 俺の嘆きはバズーカの発射音に書き消された。 約20分前まで話はさかのぼる。 15食の食料のうち、14食は食べてしまったので次の食料を探すことにした。ラストは今日のランチだ。 「安定して供給される飯が食いたいなぁ…」 元来順応性は高いので、飛ばされてきてからも何とか生活できている。しかし、いつ襲われるか分からない恐怖と銃の重さ、そして何よりも安定した衣食住と娯楽がないことがだんだんと精神を蝕んでいった。 「暇と贅沢は人を殺す毒薬、なんてね…」 これだけ暇だと哨戒中にも関わらず、つい歌を歌ってしまう。 あるー晴れーた日ーのことー♪ まほーいじょーのユーカイが♪ 緊張感がない? そりゃそうさ、ずっと警戒していたら精神が擦りきれちまう。 「限りーなくー 降りそーそぐー♪」 ライフルを構えるのを忘れてそのまま無警戒でビルの角を曲がる。 「「ふかのーじゃないわー♪」」 自分の声じゃない声が乱立するビル群にこだました。 「ハルヒかわいいよねー、ハレ晴レユカイのダンス覚えちゃったし」 「っ!」 慌ててG36を構えてダットサイトを覗く。 前方、クリア。後方、クリア。右方…左方もクリア。というか人影がない。 「あはは、かぁわいい。そんなに慌てちゃって!」 「どこのどなたかは存じ上げねぇがな、話しかけるなら姿を見せなきゃマナー違反だろ。姿を見せないんなら電話しろ電話ァ!!」 「ハイハイ…っと!」 ヒュタッ、と音を立てて進行方向の約20m先に突如として現れたのは女性。 「電話番号知らないからねー。姿を見せちゃいました♪」 「……そんで?いきなり話しかけてきて何の御用だ?」 「いやー話しかけるつもりは無かったんだけど、懐かしいなーって思ってね」 「はーん、あぁそう。んで?さっきまでどこにいた」 「う・え♪」 上ぇ?と上方を見ると、ビルの窓が一枚だけ空いていた。 「あれ何階だ?15?」 「ん?18」 「お、おう…」 まずい、コイツ相手にしたらいけないヤツだ。 「足腰強いんだな、能力?」 「さぁね?」 「………まあ、特に何の用があるって訳でも無いみたいなので、俺はこれで」 「フフ、待ちなさいって」 あぁぁ、嫌な予感がする! 今思えば、どうして振り切って逃げなかったのか。どうして 「なんなんスか…」 なんて構っちゃったのか、小一時間問い詰めたい。 「私ね、暇なのよ」 「俺もですよ。ネットもゲームも無ければ遊ぶ友人もいない」 「それでね、私戦うのが好きなの。バトルマニアなの」 「そうですか、俺は平和主義ですけどね」 「それでね、私武器を持ってるの」 「そうですか、俺も持ってますけどね」 「それでね、死んでほしいのよ。暇潰しのために」 「そうですか、嫌ですけどね。そんなんで死ぬのは」 数瞬にらみ合いが続いたあと、反射的に伏せた。体が勝手に動いた、というのは本当にあるらしい。 直後、激しくうるさい何かが体の真上を通過していき、後方にあるビルの一部を轟音と共に吹き飛ばした。 「……………は?」 「次、いっくよ~♪」 その女性を見ると、肩に担いだ長い筒の狙いを伏せたこちらにつけていた。 なりふり構わずにさっき曲がって来た角に飛び込む。 飛び込んだ瞬間、背中を掠めるように飛んでいく何か。 チラリと角から覗くと、砲身がこちらを向いた。 「げぇっ、ロケット砲!?」 「愛用のバズーカよ!」 そう言ってまた一撃。今度は自分が隠れたビルの後ろ向かいのビルに着弾。…まずい、退路の一つを潰された。道が瓦礫で封鎖されてしまった。 「反撃するぞ!正当防衛だからな!」 ビルの陰からG36だけを出して弾をバラまく。 …手応えなし。全弾明後日の方向へ飛んでいったらしい。 だが、今の行動が彼女に火を点けたらしい。 「やっぱそうこなくっちゃ!!どんどん行くよ!」 次々と撃ち込まれる砲弾は盾代わりのビルの角の上の方にすべて着弾し爆発。 限りなく降り注ぐのは瓦礫とガラス片だったってオチか、なんてこった全く! 「死んでも文句言うなよ!?」 いったん瓦礫を避けるためにビル陰の奥に引っ込んでいたが、タイミングを見計らって手榴弾を投擲し、瓦礫を盾代わりにしながらライフルを連射する。 バズーカ砲を撃たれ、避けるように隠れ、装填の隙をついてライフルを撃つ。そんな応酬がいくらか続いた。 ―――で、最初の方の場面に戻る、と。 「ほらほらぁ!亀みたいに引っ込んでたら落ちてくる瓦礫とか爆風とかで死んじゃうよ!」 「だぁぁぁっ!!お前もうバズーカ撃つのやめろ!!」 「やーだよっ!唯一の武器なのに」 「お前、バズーカ砲の歴史知ってたら人に向けて撃たねぇわ普通は!」 「知らなくてもトリガーは引けるじゃない」 あまりの正論に反論できなくなってしまった。ぐぬぬ…。 さて。彼女が隠れているビルに大量にロケットを撃ち込み、瓦礫と破片で殺す戦法をとってくれたお陰で、ビルの2階のこちら側の壁が破壊されている。そして瓦礫が階段代わりになっているので、容易に2階に上れるのだ。 「瓦礫が階段になってる今がチャンスか…」 もちろんビルの2階を移動中にロケット弾を撃ち込まれたら、まぁ間違いなく死ぬ。 でも、このまま続けているよりは生存率は上がる…かも。ならば腹をくくってやるしかない。 まずはスモークグレネードで敵の目を塞ぐ。時間差で2個投擲して、効果をより長く継続させる。 「きゃー手榴弾!伏せ―――って煙 ゲホッ 何も見えな ゲホゲホ 」 よし、GO!! 瓦礫を駆け上がり、2階を走り抜ける。 彼女が居る横あたりに来て、一時停止。煙が晴れるのを待つ。 「くっそー騙したな!?喰らえっ!!」 彼女にとっては恐らく俺が居るであろうところへ直接ロケット弾を撃ち込んだ。…こっちに来てなかったら死んでたわ。 作戦続行、スタングレネード投擲!…で、すかさず耳を指でふさいで目をきゅっとつむり、伏せる。自分もダメージを喰らいたくない。 「装填中のところを邪魔して悪いが…」 パン!!と乾いた音がして、スタングレネードが爆ぜた。 「キャアアァァァァ!!!!目がぁぁぁぁ!!」 目と耳が一時的に死んだんだ、パニックにもなろう。 ためらいなく2階から飛び降り、彼女に接近する。飛び降りる音が聴かれないためのスタン。スモークだったら聴かれてしまうからな。 暴れている彼女の背後にこっそり接近し、首に腕を回す。ここまで来たら後は一瞬。 「そぉい!!」 「きゅっぷい」 意識を刈り取って作戦完了。 ぼろっぼろのビルたちの谷間に女性を一人気絶させておくと何をされるか分かったものじゃないので、被害を受けていないビルの中に寝かせておく。もちろんバズーカ砲も忘れない。 「何しに来たんだっけ…」 戦いに来たわけではないのは覚えて…メシだ。メシ集めなきゃ。 様々な過程を省きに省いて結果だけを報告すると、あの後たまたま入ったビルに大量の食料備蓄があり、段ボール6箱分をとりあえずもらって帰った。これで20日は余裕か? 「あのビル、覚えとこ。貴重な食料倉庫だ」 日没も過ぎたし、寝る準備するか。 そういえば、こっち来てから生活パターンが平安時代みたいなんだよね。日没と共に就寝し、日の出と共に起床という。 「肩凝り治ったし、戻っても続けよう…」 ではおやすみなさい。
https://w.atwiki.jp/83452/pages/18260.html
ああ、もう、何をやってたんだ。 何をやってたんだよ、私は! 私は皆の未来を守るためって言って、自分の弱さから逃げるために思い出を捨てて。 それで、私の思い出を守りたかった唯にこんな行動を取らせる結果になって。 何だよ、もう……。何をやっちゃったんだ、私は……。 私のせいだ……。 私のせいで、私が弱かったせいで、私は唯に死を自覚させる事になったんだ。 体調を崩させたってだけじゃない。 苦しんでる私を、何をしたって救いたいって唯に思わせちゃったんだ。 例え自分の命を引き換えにしたって……。 自分が傷付く事より、私達が傷付く事の方に耐えられない奴なんだ、唯は。 「私……ね……?」 唯が優しい声色で穏やかに言葉を続けた。 穏やかな声が、逆に辛かった。 責められた方が何倍も楽だと思った。 でも、それは私の逃げだったし、楽になってもいけなかった。 私は息苦しさと強い胸の痛みに耐えながら、唯の顔に視線を向け続ける。 それだけが私に出来る事だったから……。 「私……、皆に会えて……嬉しかった……。 音楽に出会えたし……、皆のおかげで……ずっと楽しかったもん……。 皆の事が大好き……。 りっちゃんの事だって……大好き……だよ……。 大好きだから……ね……、嫌なんだ……。 これ以上、皆に嫌な思いを……させたくないんだ……よね。 私、嬉しかった……。 皆とまた遊べて、ライブをやろうって頑張れて、嬉しかった……。 傍に居てくれて……、すっごく嬉しかったんだよ……? だけど……、いつまでも我儘言ってちゃ、駄目だよね……? だから……、だからね……、もう……」 不意に唯の言葉が止まった。 聞いていて辛かった唯の言葉。 だけど、いつまでも聞いていたかった唯の声。 そう……、私達はまた唯とこうして話したくて、きっとこの世界に……。 でも、唯がその先の言葉を口から出す事は無かった。 苦しみ始めたからだ。 凄い汗を掻いて、呻き声を上げて、ベッドに転がってもがき始めたからだ。 まるで……、消える前の蝋燭の火みたいな、激しい苦しみ方で……。 いや……、違う! 何を考えてるんだ、私は! 何を考えちゃってるんだよ、私は! そんな事はさせてたまるか! 唯を絶対に死なせてたまるか! さっき唯は私の事を好きだと言った。 大好きだと言ってくれた。 私だって唯の事が大好きだ。 無茶苦茶な部だった私の軽音部にずっと居てくれて、私だって嬉しかったんだ。 大切な唯達を失いたくなかったから、思い出を捨てようと思ったんだ。 何よりも残された唯達を大切にしたかったんだ。 もし元の世界に戻れるとしたって、その世界に唯が居ないなんて……、意味が無い! 何の意味も無い! 死なせない……! 絶対に助けてみせる……! だけど……、私に何が出来る……? 私には何も出来ないんじゃないか? 看病なんてろくに出来ないし、私が今までやって来た事のほとんどが裏目だ。 決意も決心も、何もかもが皆を追い詰めるだけだった。 皆を傷付けるだけだった。 だったら、私はもう何もしない方が……? その方が……唯達のために……? でも、それじゃ、私は何のために今まで……。 いや、私の事よりも、今は苦しむ唯を救う方が先決で……。 堂々巡りだった。 こんな状態になって、私は自分に出来る事、出来た事がほとんど無かった事に気付く。 部長が聞いて呆れる。 皆の足を引っ張ってばっかりだ。 足手纏いになりたくて、逆に足手纏いになってしまってる。 完全に単なる間抜けでしかない私……。 だけど、立ち止まってるわけにもいかなかった。 私には何も出来ないけど、何も出来ないなりにやらなきゃいけない事がある。 私は強く唯の手を握る。 「唯……、おまえは治る……! 元気になるって信じろ……! 治ったら話したい事がある。 文句を言ってやりたい事もいっぱいある……! だから……、死ぬなんて……、もう言わないでくれ……!」 私に言える精一杯の言葉を伝える。 今の唯にどれだけ私の言葉が届いたか分からない。 届いてなくたって構わない。 私の言葉を届けようと思えた。今の所はそれだけで十分だ。 届けたかった言葉は、いつかまた必ず届けてみせる……。 頷くと、私は大きく息を吸い込んでから、大声で叫んだ。 「ムギぃ! 梓ぁ! 唯の体調が急変した! 頼む! 今すぐ来てくれえっ!」 叫んでいる間も、私は唯の手を強く握り続けた。 この先、唯の手の熱さと私の唯達への想いを絶対に忘れないように。 それが何も出来ない私に出来る最後の抵抗だ。 ◎ 隣の部屋で休んでいたムギと梓はすぐに駆け付けてくれた。 オレンジジュースを取りに行っていった澪も、 私の叫び声が聞こえたようですぐに部屋に入って来た。 いや、澪は部屋の外で私達の話が終わるのを待ってくれていたみたいだ。 この世界に取り残された五人が部屋の中に集まる。 唯が私達が集まった事に気付いているのかどうかは分からなかった。 目を瞑り、ただ呻き声を上げて、苦しんでいる。 唯のその様子を見ているのは辛かったけど、 私はその唯から目を逸らさずに、唯の様子を見るムギに訊ねた。 「どうだ、ムギ……? 唯の様子はどうなってる? 風邪が悪化した……って感じか?」 ムギは心配そうな表情を浮かべ、ゆっくり首を横に振った。 それから、小さく呟くみたいに答えてくれる。 「ごめんね……、分からないの……。 熱は計ってみたけど、そんなに上がってはいないみたい。 多分、疲れが溜まってた分が出ちゃっただけだとは思う……。 安心出来る状態ってわけじゃないけどね……」 「で、でも、唯先輩、こんなに苦しそうじゃないですかっ?」 梓が小さく叫んだけど、 すぐ後にはっとしたように「すみません」と謝った。 ムギに叫んでも仕方が無いって事は梓だってよく分かってるんだろう。 でも、分かってても叫ばずにいられない気持ちもよく分かる。 ムギは梓の叫びを悪く思ったわけでもなさそうで、また言葉を続けた。 「そうなの……、梓ちゃんの言う通りなの……。 病状が悪化してるはずないのに、まるで体調だけ悪化してるみたい。 何だかね……、症状こそ風邪に似てるんだけど、 唯ちゃん、本当に風邪なのかなって私、思うんだ……。 ねえ、皆? 唯ちゃんがこうなってから、咳やくしゃみを出してる所、見た事ある?」 ムギの突然の質問に皆で顔を見合わせる。 しばらく経ったけど、それには誰も名乗り出なかった。 そう言えば、私も唯の体調が崩れてから唯の風邪の症状を見た事が無い。 ただ熱が高くて、苦しんでるだけだ。 いや、ただ……ってレベルでもないのは分かってはいるんだけど。 でも、唯の風邪と言えばくしゃみのイメージがあるし、 その唯がこんな状態で一回もくしゃみをしてないなんておかしくないだろうか? 風邪じゃないって事なんだろうか? そこまで考えて、不意に私は思い付いた。 現実離れした考えだったけど、今更現実離れしてたって誰も気にしないだろう。 この世界は誰かの夢の中の世界で、多分、それは唯の夢のはずだ。 世界は夢だ。 でも、ここに居て、物を考えてる私達はどうなんだろう? 少なくとも、私は私や唯、ムギ達が唯の夢の産物とは思えない。 私達は確かに生きてる。生きて、考えてる。 他の物が全部夢だとしても、私達の心だけは本当の物のはずだ。 心だけは本当なんだ。 本当だから、苦しんでるんだ。 だけど……、ひょっとしたら……。 そう思った瞬間、辛そうな表情の梓の顔が視界に入った。 真っ黒に日焼けした梓の顔……。 気が付けば私はその梓の頬に手を伸ばして触れていた。 「律先輩……? な……、何なんですか、こんな時に……」 梓が複雑そうな表情をしながら呟いて、 それど私は自分のやってしまった事に気付いて「悪い」と素直に謝った。 だけど、正直、私の頭の中はそれどころじゃなかった。 そうだ……。 私達の心は本物だ。確証は無いけど、そうだって思える。 でも、私達の身体はどうだ? この世界の構成物質が夢だとしたら、 私達の身体の抗生物質も夢だとしても全然おかしくない。 私達の身体が誰かの夢だって証拠の一つが梓の日焼けだ。 日本の夏よりもずっと涼しいロンドンに転移させられて一週間も経つのに、梓の日焼けは全然治ってない。 すぐ真っ白に戻る新陳代謝のくせに、今回だけ梓の日焼けは治らない。 それこそ、梓の身体も誰かの夢で構成されてるって証拠じゃないだろうか。 それを伝えていいものなのかどうかは迷った。 そもそもこの世界が誰かの夢だとは確定してない。 唯の夢だなんて、確定したわけじゃない。 それに唯は私だけにその話をしたんだ。 約束をしたわけじゃないけと、私と唯だけの内緒の話にしてほしかったんだろうと思う。 もしかすると、自分が死んだ時に誰も悲しませないために。 元の世界に戻った澪達が、唯が死んだおかげで元の世界に戻れたって事に気付いて傷付かないために。 唯の気持ちは痛いほど分かる。 私だって、唯と同じ状況ならそうしてたかもしれない。 だけど、思った。 今の唯と私の状況が逆だったなら、唯はきっとこうするだろうと思った。 もしもこの世界が私の夢で、私が唯だけにそれを打ち明けていたなら、こうしたはずなんだ。 心の何処かでこうしてほしかったはずなんだ。 だから、私は皆に全てを打ち明ける事にしたんだ。 後で唯にどれだけ怒られたって構わない。 これも私と唯の選びたかった選択肢なんだろうから。 「なあ、皆、聞いてくれるか? 突然だけど、この世界の事についてなんだ。 唯の体調にも関係してくる話だから、落ち着いて聞いてほしい。 唯と話し合ってて思い出した事があるんだ。実は……」 私は、話した。 私の思い出した曖昧な記憶の事を。 あの夏休みの日、私達は確かに梓達のライブを観た事。 その後で私達も演奏をした事。 大成功とは言わないまでも、それなりの満足感を持って、 さわちゃん、菫ちゃん、奥田さんを含める皆で一緒にいつもの帰り道を帰っていた事。 そして……、私達の家路の別れ道のあの横断歩道で……、確かに何かが起こった事を。 事件なんだか事故なんだかはまだはっきりしないんだけど、私達はそれで大怪我をしたはずなんだ。 私達の怪我は命に関わるような怪我じゃなかったと思う。 だけど、唯だけは……、違った。 唯は病室に横たわっていて、目も開かずにいくつものチューブやコードに繋がれていて……。 それはまるで、体調を崩して寝込んでいる今の唯みたいな状態で……。 それで、唯も、私も、少しずつ思い出して、気付き始めたんだ。 この世界が本当に夢だとして、この世界が誰の夢で、何のための夢だったのかって。 そう、私達はきっと、傍に居たかったんだ。 始まりはそれだけだったんだ。 「そんな……」 私が唯が自分が死について話した事以外について語り終わると、 梓が動揺した表情を見せて呟き、澪が梓を気遣ってその肩を軽く抱いた。 ムギはただ真剣な表情で唯と私を交互に見ている。 「やっぱり……、この世界は誰かの夢って事でよかったのか?」 澪が梓の肩を抱きながら私に強い視線を向ける。 この世界が誰かの夢だって強く疑ってたのは、和と澪だ。 和が居ない以上、この世界について一番考えられるのは自分だけ。 自分こそが、この世界の真実を考えなきゃいけない。 そういう意志の強さが見える澪の視線だった。 私は気圧されそうな気持ちになりながら、それでも頷いた。 「完全に決まったわけじゃないよ、澪。 まだまだ分かんない事だらけだからな。 でも、多分……、そうだと思う。 私と唯が少しずつ思い出して来た記憶の事もそうなんだけど、そう考えると辻褄が合う事も多いんだよ。 ロンドンの中途半端な気候、日本じゃ見えないはずの南十字星、 あの公園にあるはずなのに無くなってたでかい樹、治らない梓の日焼け、他にも色々……。 この世界は夢……、誰かの思い出のイメージなんだ。 それでその誰かって言うのは……」 「唯ちゃん……なの……?」 ムギが唯の手を取りながら、静かに呟いた。 その声色からは、ムギがどんな感情を持っているのかまでは読み取れなかった。 私はムギの肩に手を置いてから続ける。 「ああ……、そう……だと思う。 この世界が誰かの夢だって決まったわけじゃない。 でも、この世界が誰かの夢だとしたなら、それは間違いなく唯の夢だよ。 色んな状況がそれを示してるし、唯自身も自覚し始めたみたいだった。 それに……」 一瞬、私はそれ以上の言葉を出すのを躊躇った。 まだはっきりしない記憶を口に出すのもどうかと思ったし、 それ以上にその記憶をはっきり断定させるのが怖かった。 あの日、私達は大怪我をした。したはずだ。 怪我をした箇所は、私は右腕、ムギも右腕で、澪は左脚、梓が肋骨。 そして……、唯が……。 唯……が……。 「私……、本当はね……」 不意にムギが静かに語り始めた。 口を挟めるような様子じゃなかった。 私は……、私達はじっとムギの次の言葉を待った。 三十秒くらい経っただろうか。 ムギが決心した表情でまた言葉を出した。 「何度か……、夢で見てたの……。 世界から皆が居なくなっちゃってすぐの頃からかな……。 皆がね……、大怪我をしてね……、 血まみれでね、倒れててね……、凄く……凄く怖い夢でね……。 それで……、それで唯ちゃんが病院のベッドに……、ベッドに居てね……。 私……怖くて、でも、夢の話だから、皆に言い出せなくて……。 ごめん……、皆……」 決心した表情だったけど、ムギの肩は震えていた。 言葉にする度に、夢の恐怖を思い出してるんだろう。 それを必死に抑えてるんだ……。 私はそんな夢を見た事は無かったけど、 個人それぞれで記憶の残り方が違ってるって事なんだろうと思う。 でも、なるほどな、って思った。 やっぱり、ムギは私達に何が起こったのかを、夢に見る事で何となく思い出してたんだ。 それで私達の中で一番この世界を怖がってたんだろうな……。 ムギの肩は長い間震えていた。 ひょっとすると、泣き出しているのかもしれない。 ムギはずっと私達の事を心配してくれていた。 誰かが死んでしまう事を嫌がっていた。 だから、自分が見た夢を現実に起こった事だと思いたくないんだろうと思う。 私だってそうだ。 私が思い出した過去の方が、本当の意味での夢だったらどんなにいいだろう。 どんなに幸せだろう。 でも……。 唯がこんな状態になってる以上、もう目を逸らしてるわけにもいかなかった。 目を逸らしてたら、今度こそ本当に手遅れになる。 もう手遅れになってしまうのは嫌だ。 絶対に……、嫌だ……! もう……、仲間達を失いたくない……! だから、私は自分が震えてるのが分かりながらも、何とか言葉を口に出した。 「唯は病室のベッドに横たわってた……。 悲しそうな表情の憂ちゃんや和達が唯を見てた……。 それを私達が遠巻きに見てた……。 そこまでは思い出した。思い出したんだ。 それで……、唯がベッドで寝てる理由も思い出したよ。 唯は怪我をしたんだ。とんでもない大怪我を。 頭に……さ」 頭……。 そう、頭だ。 私達が大怪我をした時、唯は私達と同じく、 そして、よりにもよって頭を大怪我したんだ。 だから、唯はベッドの上にずっと横たわってたんだ。 横たえられていたんだ。 脳死……、ではなかったと思う。 まだ思い出せてないだけかもしれないけど、脳死じゃかったはずだ。 だけど、唯は目を覚まさなかった。 頭の何処かに大きな損傷を負ったって話を聞いた記憶はある。 これから目を覚ますかどうかわからないらしいわ……、 って、そう悲しそうに呟く和の表情だけはしっかり思い出した。 私達はそれが嫌だった。 脳死でないにしても、唯が目を覚まさないなんて耐えられなかった。 また唯と話したかった。笑いたかった。演奏したかった。 どうにかしてまた一緒に居たかった。 傍に……、居たかったんだ……。 そうして、私達の願いは叶った。 何がどんな作用を起こしたのか。 何でこんな状態になってるのか。 その辺りはまだ何も分からないけど、とにかく夢は叶ったんだ。 叶って……しまったんだ……。 それがよかったのかどうかは……、私にもまだ……、分からない。 しばらく沈黙が部屋の中を包んだ。 聞こえるのは苦しそうな唯の呻き声だけ。 沈黙してる場合じゃないのは分かってたけど、 何をどうしたらいいのか、その解決の糸口も掴めてなかったからだ。 「あ、あの……」 少し呆然とした様子ながら、梓が呟き出した。 何か考えた事があるんだろう。 「どうした?」と私は梓に訊ねてみる。 「はい……。 この世界が唯先輩の夢だって言うのは……、 あの……、私も何となく分かるんです……。 律先輩もおっしゃってましたけど、こんなに日焼けが治らないのなんて初めてで……、 もしかしたら私の身体は本当の私の身体じゃないんじゃないかって、そう思わなくもなかったんです。 唯先輩の私に対するイメージが、私の身体を作り上げたってそんな気も……します……。 ですけど……、どうして……、 どうしてこんな事が起こってるんでしょうか……? 私、怪我の記憶はあんまり無いんですけど、 律先輩の言う事が事実だとしたら、私、この世界に来れて嬉しいです。 唯先輩が……、目を覚まさないなんて嫌です……。 傍に居て、笑っていてほしいです……。 だけど……、どうしてこんな不思議な事が起こってるんでしょうか。 あの……、もしかして……、ひょっとしたら、唯先輩が……。 いえ、でも……」 45