約 4,172,119 件
https://w.atwiki.jp/grasoturismo/pages/2844.html
もしプレリュードも後輪駆動化したら、話しが変わってたろうな -- (名無しさん) 2024-04-03 14 34 14
https://w.atwiki.jp/epicofbattleroyale/pages/492.html
【特異点、ですか】 カルデアの中枢にてそんな会話をする。 横には後輩たるマシュ・キリエライト。 前には眼鏡をかけた美女(美しい女性の姿をした人型と言う意味。空を飛ばないものを指す) 右斜め前にはロマニ・アーキマン。 私たちの周りでは職員たちがパタパタと走り回り――――まあ、いつもの光景と言えば光景だった。 「その通りだ□□□。次の特異点が見つかった。」 「まあいつも通りそこにレイシフトして聖杯を回収しようって言う話さ。」 「ただちょっといつも通りじゃないところがあって――――」 眼鏡をかけた美女(美しい女性の姿をした人型と言う意味。空を飛ばないものを指す)がいつも通りの説明を行う。 いつも通りにいつも通りじゃない歴史の歪みを見つけ、いつも通りじゃないイレギュラーを発見し、いつも通りこちらに伝える。 世界を救う作業にルーチンワークは存在しない。とはいえここまでイレギュラーが続けば慣れないことをすることにも慣れてくる。 脳裏に巡るは今までの思い出――――― 【わかりました、行ってきます】 説明を聞いて、あとは臨機応変だ。どの道覚悟を決める以外にできることなどないのだから。 眼鏡をかけた美女(美しい女性の姿をした人型と言う意味。空を飛ばないものを指す)もそのことはもう分かっているのだろう、 「流石□□□だ。」などと言いレイシフトの準備を進めていく。 さて、レイシフト――――カウントダウンが開始される。 眼鏡をかけた美女(美しい女性の姿をした人型と言う意味。空を飛ばないものを指す)が言うには今回のイレギュラーは、3つ。 『3』 場所が日本の九州北部―――― 時代的にも単なる国と国との戦争があっただけであり、歴史を変え得るほどのものではないはず、とのこと。 『2』 魔神柱の反応らしきものもない。 そうであると言うのに魔力反応が異常に高く、淀んで凝り固まっているとのこと。 『1』 つまりこれは我々の事件、魔神柱とは関係のない事態。 たまたま今回の事件と連動して発生した他の特異点とは孤立してる一つの独立した現象ではないか――――とのこと。 『レイシフト、スタートします――――』 さあ突如空に放り出されることすらあるのがレイシフトだ。何が起きようと驚かぬように覚悟だけはしておこうか―――― BACK TOP NEXT 覚醒アウェイクン 八百万神霊戦役 壱岐島 激動スタンピート
https://w.atwiki.jp/tamagrail/pages/21.html
血の匂いがした。 既に骸と化した敵の傍らに座り込んで。 安座の姿勢のまま血溜まりに手だけを浸す。 港の向こうに広がる水平線を眺める眼差しに色はなく。 吐き出す吐息は底知れない空ろさを孕んで空気に溶けていった。 白地の特攻服に染み込んだ返り血を煩わしく思いつつ。 自分でも不思議に思う程目前の骸に対する感傷はなく。 冬に溶ける白い呼気を見送って少年は呟いた。 「令呪持ちは骨が折れるな」 顔面の潰れた骸を傍目にそう呟く彼の右手にも刻印がある。 三画揃った刻印は絡み合う胎児を思わす紋様を象っており。 それを空いた左手で撫ぜる少年の仕草には何処か感傷の色があった。 戻れない何かを想うようなそんな独特の色が、覗いていた。 「素手じゃ流石に手に余る。何分も掛かっちまった」 喧嘩にこんなに掛けたことはない。 無敵と呼ばれ畏れられた少年は紛うことなく素面だった。 魔術も加護も何も受けていない。 彼自身が拒んでいたからだ。 そんな素面の人間に真っ向勝負で殴殺された魔術師は何を思うのか。 彼の骸から抜け出た魂は今自己の尊厳と目前の現実のギャップに苦悶の声をあげているのかもしれない。 しかしそれは下手人である彼にとっては至極どうでもいいことでしかなかった。 人は死ねば終わり。 死体のその後を思うことに意味はないと。 少年は身を以ってそれを知っていたから。 抱き留めた家族の亡骸が冷たくなっていく感触と。 どれだけ言葉を掛けても変わらない沈黙を覚えているから。 そしてそれ以前に彼の中で渦を巻く暗黒は、隣の相棒が教えてくれた人の道を失った彼にはもはや止めようもない。 雪が落ちてきた。 はらりはらりと夜空を裂いてこぼれる涙雪。 あの日もこんな天気だったのを覚えている。 最後までついぞ手は取り合えなかった血の繋がらない肉親の命の灯火が消える瞬間を。 空の彼方に天竺はあったのか。 確かめる術は当然のようになく。 少年は一人全ての死を抱え渦巻かせながら、空を見上げて彼方の従者へ。 あるいは女王へと念話のパスを繋いだ。 “素直になるよ。此処からはオマエも力を貸せ” これは戦争だ。 聖杯戦争。 ガキの喧嘩ではもはやない。 賭けるのは矜持(プライド)でなく互いの命。 そして互いの抱く願い事、その全て。 最後に残る一人まで。 ヴァルハラに。 天竺に。 根源という名の梵天に。 辿り着くまであらゆる全てを薪にして。 ただ永久に殺し合う。 “良いのですね。それで” “ああ” それしかないんだろ? 呟く声に肯定は返らず。 返答を待つこともなく少年は続けた。 “それが一番手っ取り早いんならそうするべきだ” 兵隊が要るなと思った。 一人でやれることはたかが知れている。 喧嘩も悪事(わるさ)もやっぱり大勢がいい。 大勢が、都合いい。 “戦争のことはオマエに任せる。 オレはオマエに従う。 だからオマエはオレを勝たせろ” この世界に奴らは居るのかどうか。 狂気、兄弟、暴力、最強、悪名、伝説、金脈。 望みは薄いだろう。となれば一からの集め直しになる。 だが、まぁ。何でもいい。 最後に勝てるなら何でもいい。 最後に立っていた奴だけが勝者だ。 ――オレが後ろにいるかぎり、誰も負けねぇんだよ あの頃は良かったな。 少年は思い馳せるように死体の隣で彼方を見つめた。 ガキとして意地と意地だけをぶつけ合って生きていられた。 誰かのために本気になれて、そのために皆が命を張れた時代。 懐かしいと素直にそう思う。 だが戻りたいとは思わない。 何故ならもう戻れない。 あの頃の自分はもうこの世界の何処にも居なくて。 此処に居るのは只の伽藍洞。 からっぽのガキが一人居るだけ。 “――行くぞバーサーカー。戦争だ。この東京をオマエの新しい郷(くに)にしろ” 聖杯を手に入れよう。 全ての願いをそれで叶えればいい。 失ったものも新たに得なければならないものも。 聖杯ならば全てが埋め合わせてくれるのだろう。 ならそれでいい。分かりやすくていい。 全員殺して、全部手に入れればいいんだから。 “良いのですね。それで” “ああ” バーサーカーは。 かつて一つの郷(くに)を作った女はもう一度、一言一句同じ問いを投げかけた。 それに対する答えは決まっている。 だから少年は即答した。 此方も先刻と一言一句同じ回答だった。 バーサーカーはそれ以上は問わなかった。 ――何度だって、助けに行くよ…。君の為…なら…何度でも……。 声がする。 誰の声だ。 蝿声のように鬱陶しい。 黙れ。これ以上喋るな。 此処は。もう。 オマエの居る場所じゃないだろう。 ――オレが…絶対…助けるから… ――何度でも…過去に戻って…何度でも… オマエの役目はもう終わった。 此処は過去でも未来でもない。 オマエの出る幕はないんだよ。 なぁ。 ――オマエを絶ッ対ェ助けてやる!!! …アイツのその言葉に。 オレはなんて言ったんだったか。 分からないまま少年は自分の手を見下ろした。 どんな不良でも暴漢でも容赦なく殴り倒したその拳は小さく震えていた。 その震えの意味すら。 今の少年には分からないのだった。 【 聖杯 存在証明完了 】 【 聖杯戦争 前奏(プレリュード) 】 【残り XX組】
https://w.atwiki.jp/wiki13_frontier/pages/94.html
BACK NEXT プリプレイ それは、アリアンロッドキャンペーンのPL決定時から始まった。 GM:かわいそうな君には次回の突発枠を優先的に回しますから(苦笑) PLになれなかった人:とっぱつ~ おねーさ~ん大好き~ GM:君の希望するルールで私の出来るものをよろしくw PLになった人:よかったねw 第1回からPLの人:おねえさん、ボク、スターレジェンドをやりたいよ~w GM:PLすらやったことないルールは無理だぃ! ……とか言ってたはずなのに。 その3ヶ月後、GMはフロンティア!初のスターレジェンド卓を立てていた。 「あれ?」 よくある話である。 GM:さて。もうすぐ21:00ですね。 GM:PLの皆さんは PC名_行動値 としてくださいな~ ALL:は~い GM:初めてのセッションなので、困ったときは相談な形で進行します。 GM:ルール間違ってたら指摘よろしく! ダイ:善処しますw リズィ:了解です~ ガーゴイル:ういw GM:では、スターレジェンド「水の星のプレリュード」開幕です♪ ナディア:水の星より愛を込めて♪ ダイ:ドンドンドンパフパフパフw GM:じゃ、今回予告! 海洋惑星マリル。そこに存在する唯一の大地『極地』。 調査の進む中、ある古代遺跡が発見された。 時同じくして、資格者の元に現れる『プレート』。 プレートを手にしたものは引き寄せられるようにマリルに集う。 スターレジェンド『水の星のプレリュード ~Water world~』 さぁ、冒険のゲートをくぐろう! GM:でもって、ハンドアウトだ~い。 ダイ・ナック 海洋惑星マリルで古代遺跡の調査をしている祖父からメールが届いた。 「面白いものを見つけた。お前になら分かるかもしれない。一回こっちに来い」 簡潔にして、必要なことが抜けたメールを見届けると、君はマリルへと向かう。 ここで無視すると何をするか分からない人だからというのと、ほんの少しの興味を持って。 コネクション:ダイン・ドクター 関係:祖父 推奨クラス:アウトロウ リズィ・アズライツ 君の事務所にアカデメイアからの郵便物が届いた。頼んでいたものが届いたらしい。 早速開けてみると、そこには頼んだ覚えのない妙な『プレート』が入っていた。 ……郵便事故だ。というか、中身を間違えられた!? 君は、いらだちながら君の荷物が届いているはずのダイン教授のもとへと向かった。 コネクション:ダイン・ドクター 関係:友人or先生 推奨クラス:テクノロジスト ガーゴイル 君は愛しの妻とリゾート地でもある海洋惑星マリルに旅行に来ていた。 ハネムーンでもフルムーンでもなく、さしずめルビームーン旅行とでも言うところだろうか? 名物の海底散歩をいそしむ君たちの前に、きらきら輝く『プレート』が現れた。 何かのイベントか、それともお宝か……ともかく、拾ってみるのも悪くない。そんな気がした。 コネクション:ラテン・ツアコン 関係:ガイド 推奨クラス:マーチャントプリンス ナディア 君はいろいろあって、青く輝く『プレート』の欠片を譲り受けた。 君の使命は、この『プレート』を守り抜き、しかる場所に納めること。 「時は来た。水の星、すなわち海洋惑星マリル。そこにこそ……」 君は『プレート』を手にマリルへ向かう。 『プレート』と共に受け取った、ささやかな記憶を手がかりに。 コネクション:チート・スウィンドラー 関係:ライバル 推奨クラス:自由 GM:では、自己紹介をPC1のダイ君からどうぞ~ ダイ:「俺はダイ・ナック、ダイとでも呼んでくれ」 ダイ:「子供のころに脱出ポッドで漂流していた所を今の両親に拾われたんだ」 ダイ:「いまはいろんなとこを旅してまだ見ぬ星や不思議なことをに触れるのを楽しみにしてる」 ダイ:「そしていつか記憶の中にだけある風景にだあえてらいいなと思ってるんだ」 ダイ:「剣の腕がそれなりにあるんで困ったことがあったら相談してくれ」 GM:うむ。クラスはアウトロウとクリスタルシンガーとテラナーですな。 アウトロウ:武侠にして独立独歩な人 クリスタルシンガー:海賊退治屋さん テラナー:人々の記憶から失われた惑星『地球』出身の人 コネクションのダイン教授は、ダイの義理の祖父になります。 GM:次は、リズィどうぞ~ リズィ:「私の名前はリズィ・アズライツ……ゲート公団の技術者です」 リズィ:「幼い頃にガイア総帥に助けてもらってその後ずっとゲート公団の技術者としてお世話になってます」 リズィ:「えぇと……好きなものはメカと爆弾……です(照)」 ガーゴイル:か……解体される……(ガクガクブルブル)<メカな人 GM:うぃ。クラスはテクノロジストとコンポーザーですな。 テクノロジスト:技術者 コンポーザー:星系から星系へとワープするための『ゲート』を管理しているゲート公団の人 GM:次は解体されそうなガーゴイル(笑) ガーゴイル:「メイド財団、裏の当主のガーゴイル(球体の謎の物体)だ。ちなみに表の当主は妻のグリューネルト(メイドロボ)」 ガーゴイル:「今は、子供達に、運営まかせて、気ままに、利益になりそうなもの探しつつ、宇宙旅行を楽しんでいる」 ダイ:子供!?どうやって……(汗) ガーゴイル:設計図、書いて、部品作って、プログラム作って、組み立てて>子供 GM:……メイド財団って、どんなことしてるんですか?(ドキドキ) ガーゴイル:メイド服の販売から、戦闘兵器の販売、開発まで、なんでもやってる。 GM:……メイドさんの派遣は? ガーゴイル:ありますよ(ぉ)>メイドさんの派遣 戦争のプロ、戦闘メイドさんもいるよー ナディア:戦闘メイドって……A級護衛メイド? リズィ:幅広い経営ですね~(笑) GM:う、うみゅ。他に言い残すことはあるかね? ガーゴイル:言い残すって(汗) いやもうないが GM:む。クラスはブレインチップとネゴシエーターとマーチャントプリンスですな。 ブレインチップ:人工知能で動くロボット ネゴシエーター:交渉能力に長けている人 マーチャントプリンス:金持ちな人 お付きの人(従者)がいたりする なお、ガーゴイルの奥さんグリューネルドは、この『従者』にあたります。 GM:では、最後にナディアお嬢様です。 ナディア:「わたしの名前はナディア。多少は活発な女の子」 ナディア:「自然を愛し、宇宙を愛し、自分を愛する美少女」 ナディア:「今は学校の勉強はつまんないから、宇宙に飛び出してあちこちの星で見聞をひろげている最中」 ナディア:「もちろん莫大な権力と財力を持つ親がいるから許されることね」 ナディア:「そして、となりにボーっと立っているメガネ少年は、わたしの家の執事見習いのジャン」 ナディア:「それなりに役に立つわ。ちなみに好きな言葉は『唯我独尊』よ」 ナディア:こんなとこかな? ダイ:ひでぇw GM:クラスはネゴシエーターとマーチャントプリンスと、テラナー? ナディア:クラスはそうね。で、何がひどいの? ダイ:いえ、いいですw ネゴシエーター:交渉能力に長けている人 マーチャントプリンス:金持ちな人 お付きの人(従者)がいたりする テラナー:人々の記憶から失われた惑星『地球』出身の人 執事見習いのジャン君はグリューネルドさん同様『従者』にあたります。 GM:では、PC間コネクションを決定しましょう。 GM:ダイ→リズィ→ガーゴイル→ナディア→ダイです。 GM:コネクションを持っている相手、持たれている相手とは知り合いの方向で。 ダイ:一応ダイスを振ってみよう。(ころころ)後援者なわきゃないね(汗) GM:守られてるんですか? ダイ:チョイスして『借り』にして、以前宇宙船がいかれたときに修理してもらったってことでw リズィ:了解です~ リズィ:じゃあ私も振ってみますね……(ころころ) GM:(出目を見て)取引。どんぴしゃり? ダイ:ドライだw リズィ:取引……?ビジネスパートナーですね。 ダイ:設計に手を貸したとか?w GM:子供の? リズィ:子供のですか(笑) ダイ:まあ子供でも装備でもw リズィ:そうですね、技術提供したことがあるということで(笑) ガーゴイル:取引という名目で、解体されそーなのですが GM:それは……(涙) ナディア:技術の発展にはある程度の犠牲もやむ得ないってこと? ダイ:おいおいw リズィ:大丈夫です、ギリギリで踏みとどまりますよ……(笑) ダイ:ぎりぎりまで進むんだ?(汗) ガーゴイル:んなこといってると、支援やらんぞ~ リズィ:はぅっ、ごめんなさい……(涙) GM:で、後のお二人は?(一応フォローらしい) ガーゴイル:わしか……ナディアに?……えーと、友人で、ナディアの父親が、私の友人です。 GM:うむ、友人の娘ですな。 ナディア:……そうなの? リズィ:どんな友人関係なんでしょう?(笑) ガーゴイル:たぶん、裏取引とかしてる友人 ナディア:黒い、黒い……(汗) ダイ:それって友人?(笑) リズィ:悪友とか(笑) ナディア:秘密を共有しているんでは? ガーゴイル:星間企業が生き残っていくには、これぐらいせんとな、うんうん(自己完結) ナディア:えーと。最後にわたし?ダイスふった方がいい? GM:ん。どっちでもいいです。 ナディア:ためしに(ころころ)同行者……と ダイ:普通でよかった。 GM:完璧ですね。 ナディア:おなかすたわ。何か買ってきて。<同行者の役割 ダイ:こらまてw ナディア:あ、お金は立て替えておいてね ダイ:ふざけんなw リズィ:同行者の意味を間違えて覚えてるような?(笑) GM:さ~て。ではなにやら不穏な空気に変わる前にオープニングに行きましょう。 リズィ:・・・すごい説得力ですね・・・(たじろぎ GM:最初はダイ君からですな。 ダイ:ほいw ナディア:(同行者だから)私も一緒にいるの? ダイ:いないでしょう。 GM:うむ、他のPCの登場は不可だ。 ダイ:一緒に旅をしてもいいなってぐらいで、始終一緒じゃないよw ナディア:んじゃ、あとで合流ね。 GM:過去に一緒に旅をしたことがある……程度だからね。 ナディア:なにかで一緒だったってことね。 GM:そいうこと。 オープニング1 祖父からの手紙 シーンPC:ダイ GM:さて、ダイは今君のプライベートスペースにいる。 ダイ:ふみゅ GM:ええと、場所はパーソナルシップの中で良いか。 ダイ:そうですねw GM:で、手元には「ダイへ」と書かれた手紙が一通。 GM:手紙というか、メールだな。 GM:さっき、郵便船から転送されてきたヤツだ。 ダイ:「じっちゃんからか……なんだろ?」 GM:開けてみる? ダイ:ぺりぺり(開けたw) GM:では、メールには以下の文字が。 GM:「面白いものを見つけた。お前になら分かるかもしれない。一回こっちに来い」 GM:ダイン・ドクターの署名があるね。 ダイ:「内容これだけかよ(汗)」 GM:なお、大きさは通常の4倍ぐらいの文字。 ダイ:「でどこからだ、これ?」と見てみたw GM:どうも、海洋惑星マリルの調査団からみたいだね。 GM:差出人の欄にそう書いてある。 GM:で、そういえば、マリルで古代遺跡の調査をする……みたいなことをじっちゃんが言ってたのを思い出してよし。 ダイ:「海洋惑星マリルねぇ、ここからあんま遠くないし……しゃあない行ってみっか」 GM:うぃ。行くのを決めたらシーンエンドだ。 ダイ:「(なにがあるんだろ、へへなんかわくわくするな♪)」 ダイ:終わり~w GM:うぃ GM:コネクション:ダイン・ドクターと情報項目:遺跡を進呈しよう。 ダイ:了解です GM:じゃ、次はリズィのオープニング。他のPCの登場不可だ リズィ:はーい オープニング2 配送ミス? シーンPC:リズィ GM:リズィ。君は今職場にいる。 GM:そして、机の上には、待ちに待ったアカデメイアからの郵便物がきている。 リズィ:カタカタとパソコンを打ちながら、修理をしてます GM:配達人「確かに届けましたよ~」 リズィ:「やっと届いた・・・」(ガサゴゾと開ける) GM:すると、中から青い『プレート』が…… リズィ:「ありがとう・・・」(申し訳程度に手を振る) GM:当然、君の頼んだ物じゃない。 リズィ:「・・・これ違う・・・(困」 リズィ:「間違ったのかな・・・」とあて先を見てみます GM:海洋惑星マリル 遺跡調査団 ダイン・ドクター様 とある。 GM:でもって、その真下に、 GM:ゲート公団 リズィ・アズライツ様 と貼ってあるw リズィ:「どうなってるの・・・これ?(困惑」 GM:どうも、宛名シールを2枚張り下っぽいね。 GM:重なり具合から見て、君の名前が上になってる。 リズィ:「・・・困りましたね・・・急がないといけないのに・・・」 リズィ:「ぁ、惑星マリルならもしかして・・」とパソコンで距離などを調べる GM:うん、すぐ分かる。リゾートで有名な海洋惑星だ。 GM:ここから一番近いゲートを使って3日ぐらいの距離。 リズィ:「ここなら一日で戻ってこれる・・・」でパソコンを使ってシップを呼び寄せます GM:うむ。格納庫に準備されてますw GM:で、乗り込んでマリルに向かったと言うことでシーンエンドよろし? リズィ:他の技術者たちに「えと、皆さんちょっと出かけてきます・・・」と言って出かけます GM:うぃ。 リズィ:終了でーす GM:では、コネクション:ダイン・ドクターと情報項目:遺跡を進呈 GM:あ、情報項目:プレートもどうぞ。 リズィ:了解~ GM:……ダイン教授との関係どうします? GM:ハンドアウト指定じゃなくても良いです。あれ、推奨なんで、 リズィ:卒業した大学の教授だったと言うことで・・・(笑) GM:了解w GM:では、次のオープニングはガーゴイルだ。 GM:他のPCは登場不可~ ガーゴイル:が^がー オープニング3 ルビームーンな海底旅行 シーンPC:ガーゴイル GM:君は、海底にいる。 ガーゴイル:ふよーんふよーん GM:海底探査艇に妻と二人っきり……ではなくて GM:ラテン「シャッチョウさん、アレが海ハトです~」 GM:そう、海底探査艇の運転手兼観光会社の社長が一緒だ。 ガーゴイル:「海ハト・・・クラケンはこの辺りにはいないのかね?」 GM:ラテン「うーん、クラケンはもうちょっと向こうのポイントね。イキマショカ?」 ガーゴイル:「うむ、いこう」 GM:では、ふよ~んふよ~んと移動をはじめる。 GM:と、その途中に青く光る何かが…… ガーゴイル:「ぬ、この感覚はなんだ」(何) GM:ラテン「おおぅ!アレ、プレートね!早く取るね!」 ガーゴイル:取れるのなら取ろう、パシっと GM:うむ。海底探査艇付属のアームで取ったね。 GM:同時に、何か不思議な感覚が強まる…… ガーゴイル:「ところで、そのプレートとはなんなのかね?」 ガーゴイル:(なんだこのプレッシャーは、あのプレートという物から、放出されているのか?) GM:ラテン「懸賞ね!この惑星のどっかにあるプレート。見つけた人ラッキー」 GM:ラテン「これよりすごい探査艇もらえるね!他にもたくさん」 ガーゴイル:「懸賞?、プレートとは、いくつもあるのかね?」 GM:ラテン「いくつあるかまでは知らないね。でも、調査団に聞けば分かるね!」 ガーゴイル:「なるほど、戻ったら、聞きにいくとしよう」 GM:ラテン「ガッテンね!クラケンもうすぐ。そのあと戻るね!」 ガーゴイル:「うむ、そうしてくれ」 GM:では、ふよんふよんと探査艇は海中を進んだ。 GM:シーンカットよろし? ガーゴイル:うい GM:コネクション:ラテン・ツアコンと情報項目:懸賞 プレートを進呈 GM:そして、地球碑文†熱望†を進呈(何 ダイ:それが名前?w>ラテン・ツアコン GM:うん、名前。 ダイ:さすがですw リズィ:(笑) ガーゴイル:REVが一つふえたー リズィ:おめでとう~w GM:では、最後はナディアお嬢様だ。 ナディア:えっへん GM:他のPCの登場は不可。 オープニング4 はた迷惑な来訪者 シーンPC:ナディア GM:君は、惑星マリルの宇宙港にいる。 GM:で、手元のプレートを見ながら、3日ほど前のことを思い出していた…… ナディア:・・・・ぐう GM:3日前、君の目の前に変なおじいさんが現れたのだ。 ナディア:「ほぇ?」 GM:で、必死な顔で君に「無理矢理」そのプレートを渡した(何 ナディア:「・・・・なにこれ?いらないわよ」 GM:じじ「時は来た。水の星、すなわち海洋惑星マリル。そこにこそ……」 ナディア:「人の話、聞いてないわね」 GM:じじ「お嬢ちゃんなら、必ず、行けるはずじゃ!」 ナディア:「どこに?!」 GM:じじ「ヤツに、チート・スウィンドラーだけには渡しちゃならんぞ」 ナディア:「だれ、それ?」 GM:じじ「よいな、必ず、お嬢ちゃんの手で、このプレートをマリルに……」 GM:で、おじいちゃんは消える(何 ナディア:「え、え、え・・・ええ?!」 ナディア:何が、どーなっているのよ?!いったいっ! GM:……というところで目が覚めた。 ナディア:・・・・変な夢 ナディア:ん?これは・・・・? GM:そう、なぜか夢の中でもらったプレートが手元にあるのだな。 ナディア:・・・・ ナディア:「・・・・」(無言でジャン呼び出しようのブザーを押す) GM:ジャン「お嬢様!どうされましたか?」 ナディア:「ジャン、これを調べておいて・・・ってなんで、無断であたしの、乙女の部屋に入っているのよ?!」 GM:ジャン「い、いえお嬢様が非常呼び出しボタンを!?」 ナディア:「あなた、どうしてそんなにスケベなの?!」といいつつプレートを投げつけて部屋から蹴りだす GM:ジャン「お嬢様~~~あ~れ~~」 GM:それでも無事にキャッチしているジャン。執事見習いの鏡(ほろり) ナディア:* * * しばらくして * * * ナディア:「で、ジャン。何かわかった?」 GM:ジャン「はい。どうやらこれは、海洋惑星マリルで懸賞になっている品物のようですね」 ナディア:「懸賞?」 GM:ジャン「はい。詳しいことは分かりませんが、調査団が必死に探している物のようです」 ナディア:「へー・・・・で、なんでこんなものが、あたしのところに?」 GM:ジャン「分かりませんが……行ってみられますか?」 ナディア:「そこって、どんな星なの?」 GM:ジャン「見渡す限りの海で、リゾート地としても有名なようです」 GM:と、準備よくパンフレットを差し出すジャン。 ナディア:(読み読み)「そうね、暇つぶしでいってみましょうか?」 GM:ジャン「では、船の用意を……」 ナディア:「急いでよ」 GM:その言葉通りジャンは急ぎ、たった3日で君はマリルに辿り着いた。 ナディア:「あ、それと、注文しておいたドレス100着も一緒に積み込んでおいて」 ナディア:発進シーンは? GM:うむ。では、そこを入れよう。 GM:ジャン「全部ですか!?は、はい!」 ナディア:「もちろんよ。あと、水着も新しいデザインの注文しておいて」 ナディア:発進シーン GM:ジャン「い、今からですか!?は、はい!」 ナディア:ジャン「ただいまより、のーちらす號発進いたします。各員は操作マニュアルにしたがって各種チェック願います」 ナディア:機関士長「機関ルームより。エンジン出力安定。異常なし。いつでもどうぞ」 ナディア:航海士長「移動目標までのルート選定よし。航海システム、オールOK」 ナディア:戦闘班長「すべて異常なし」 ナディア:ジャン「発進手順に従い発進操作願います」 ナディア:機関士長「エンジン最大出力」 ナディア:航海士1「航海プログラム作動」 ナディア:航海士長「付近宇宙船に警報発令」 ナディア:航海士2『われ、のーちらす號航行いたす。進路上の艦籍は直ちに離脱せよ、繰り返す・・・・』 ナディア:レーダー班「周囲の安全確認」 ナディア:ジャン「発進カタパルト準備」 ナディア:管制官「ゲート、オープン。ゲート、オープン」 ナディア:ジャン「さ、おじょうさま」 ナディア:「のーちらす號、発進っ!」ごごごごご・・・・ GM:そして、3日後。君はマリルにいた。 ナディア:「・・・・暑いわっ」 GM:シーンカットよろし? ナディア:はーい GM:では、コネクション:チート・スウィンドラーと情報項目:チート・スウィンドラー プレート 懸賞を進呈 GM:で、夢を見たので…… GM:地球碑文†熱望†を進呈w ナディア:む ナディア:REV+1? GM:うぃ。+1 リズィ:おめでとう~♪ GM:というわけでオープニング終わり! ナディア:・・・・わたしは暇つぶしですよ?! GM:いや、あのおじいちゃんが「熱望」 ナディア:・・・・ BACK NEXT
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5345.html
「みくるちゃん、急に呼び出して何のよう?」 「実は涼宮さんに行って欲しい所があるんです。」 「珍しいわね、みくるちゃんがあたしにお願いなんて。」 「あの…詳しくは言えないんですけどとても重要なことなんです。今は何も聞かずにうんって言ってくれませんか。」 「団員の願いを聞くのも団長の仕事よね、いいわよ。それで?あたしは何処に行けばいいのかしら?」 「その――――」 7月6日、七夕前日。あたしたちは有希のマンションの屋上で天体観測をしていた。 「わぁ、お星様がきれいです」 「夕立が降ったおかげで空気が澄んでいますからね。」 おかげで去年の夏休みのときよりずっと星が見える。 「今日はよく星が見えるわね。みくるちゃん、望遠鏡をもう少し東に向けて見なさい。夏の大三角形が見れるわよ。」 「あっ、はぁーい。」 「夏の大三角形と言えばやっぱりベガとアルタイルよね。別にデネブがダメってわけじゃないけど、 なんたってベガとアルタイルは七夕の主役だもん。」 「詳しいんだな。」 あら、キョンがあたしの言ってることに素直に感心するなんて珍しいわね。明日雨が降らないといいけど。もし雨がふったら、織姫と彦星が会えなくなっちゃうじゃない。 「別に、これくらい常識よ。理科の授業で習うじゃない。」 「そうだっけか?」 「学校によってカリキュラムが多少異なります。あなたの学校では授業で扱わなかったのかもしれませんね。」 「ああ、なるほど。」 わざわざキョンの戯言をフォローするんて、古泉くんは本当に気が利くわね。キョンも見習えばいいのに。今度、古泉くんのつめの垢を煎じて飲ませてみようかしら。 「こいつは単純に習ったのを忘れてるだけよきっと。」 キョンはテスト直前に暗記して終わったら直ぐに忘れるタイプだから、小中学校で習ったことを覚えている可能性はかなり低いもの。 あたしの反論にキョンは少しだけ顔をしかめた。 「酷い物言いだな。」 「あら、酷いのは普段のあんたの勉強スタイルのほうでしょ。テスト前に慌てて詰め込んで直ぐに忘れちゃうんだから。こないだだってあたしが勉強見てあげなかったらどうなってたことか。」 「それは…」 「そんなあんたが学校で習わなかったって言っても説得力があるわけないでしょ。」 そう言って軽く睨んでやると、直ぐにキョンは諦めたように溜息を吐いた。 「…悪かったな。どうせ勉強に関しては物忘れが激しいよ。」 「わかればよろしい。」 「フフッ。」 「気色悪く笑いやがって。何がおかしい。」 「いえ。お二人とも仲がよろしくてうらやましいと思っただけですよ。」 古泉くんの台詞にまたキョンは少しだけ顔をしかめた。 何よ。あたしと仲が良さそうに見えるのが嫌なわけ? 「二人とも同じクラスで席が前後、そんでもってクラブも一緒ってのが 1年以上続いているんだ友情を深めるには十分すぎるだろ。」 キョン、返答が何だか子供っぽいわよ。ほら、古泉くんも笑いをこらえてるし。 「何だよ?」 「何でもありませんよ。」 古泉くんは耐え切れずに喉を鳴らして笑い出した。 「嘘付け。いいたい事があるならはっきり言ったらどうだ。溜め込むのは精神衛生上よくないぞ。」 それ、前にあたしがあんたに言った台詞。 「いえいえ、滅相も無い。」 本当、この二人も仲がいいわね。でも、これ以上仲良く喧嘩を続けられるのも ちょっとあれよね。しょーがない、そろそろ止めに入りましょうか。 「ちょっと二人とm…」 「あれ!?」 「「「「!?」」」 みくるちゃんがいきなり困惑の声をあげたのに驚いて有希以外の皆は振り返った。 「みくるちゃんどうしたのよ。」 「お、織姫星が見当たらないんです。」 「単に見えてないだけじゃないの?」 「で、でも…。」 真剣そうなみくるちゃんは悪いけど流石に星が急に消えちゃうわけないわよね。 「まあいいわ。ちょっと見せてみて。」 「はい。」 「どれどれ。」 覗き込んで見ると望遠鏡のレンズには夏の大三角が映し出されていた。 みくるちゃんの言うとおり、ベガだけが見当たらないわね。他の星はちゃんと見えてるのにどうしてかしら…。 「あっ!?」 ア、アルタイルが消えた!?そんなことあるわけ…でもついさっきまで確かにあったのに。 「どうした?」 「ほ、星が消えた。」 「見間違いか勘違いじゃないのか?」 キョンらしい何の面白みもない意見ね。でも、違う。いくらなんでも数秒目を離しただけで星がなくなるわけが無い。 「あたしも信じられないけど事実よ。ちょっと目を放した隙にアルタイルが消えたの。」 「万が一にそうだとしても、雲とかの関係で見えなくなっただけかもしれんぞ。」 それも違う。他の星はハッキリと見えるし雲なんてどこにもが当たらないもの。 「だったら自分の目で見てみなさいよ。ベガとアルタイル以外の星は綺麗に見えるはずよ。」 イマイチぱっとこないけど、これが不思議な出来事であることは間違いない。 調べて行けばひょっとすると面白いことを発見できるかも。そうと決まれば行動あるのみ! 「涼宮さん、どちらへ?」 「ちょっと調べに行ってくるわ。」 「調べるって当てはあるのか?」 「そんなもん行きながら考えればいいでしょ!」 時間は有限なんだからただ考える事だけに使うなんて勿体無いことはしたくないの。 「お、おい。」 小言なら後で聞くわ。今は、何でベガとアルタイルだけが消えているのかの調査が先。 あたしはキョンを無視し、ダッシュで屋上を後にした。 それにしても急に星が消えるなんてどうしたのかしら。まさか宇宙人の陰謀?だったら面白いのに…。 そんなことを考えていたので、足元の注意が疎かなっていたのかもしれない。 「えっ!?」 急いで階段を駆け下りていたあたしは足を滑らせて空中に体を投げ出されてしまった。 いくらあたしでも空中で体勢変えられるわけがない…ぶつかる!! 次の瞬間に襲うだろう痛みに備えて目を強く閉じて身構えた。 “ドンッ”という鈍い音が響いた。響いたのに…。 「あれ?」 痛くない。どうして? 目を見開いてみると大陸あたりの民族衣装を見にまとってしりもちをついている男に受け止められていた。 「いてて、大丈夫か?」 「!!」 あたしは驚愕した。男が日本のマンションの中にもかかわらず民族衣装を 着込んでいることに対してじゃなく、男の声と風貌に対して。 「キョン!?」 いや、そんなことあるはずがない。キョンはさっき屋上にいたんだもの、テレポートでも 使えないかぎり先回りは不可能で、そんな特殊能力をあいつが有している可能性は0だと断言できる。 「…じゃあないわよね。あんた何者?」 よくよく観察してみると、男の雰囲気はキョンより少し大人びていたし、しりもちを ついているのでわかりづらいけど身長もキョンより少し高そうに見える。 「俺か?」 「質問を質問で返さないで。あんまりふざけてると通報するわよ。この不審者。」 「悪い、悪い。」 男は笑いをこらえるような顔でそう答えた。 「ちょっと、今のあたしの台詞の何処がおかしいって言うのよ!」 「まあ、そう言うなって。それよりいい加減退いてくれないか?この体勢は話しをするのに向いてるとは言いづらいぞ。」 確かに。あたしはしりもちをついてる男に覆いかぶさるようにしてるし、男はあたしを受け止めた ときのまま、つまり下から抱きしめるような体勢。とても話をする体勢じゃないわね。 オッケー、話は起き上がってからにしまs…。 「おい、今すごい音がしたぞ大丈夫…」 えっ!? 「…………か…。」 「キョ…ン…!?」 「…………。」 全世界が停止したかと思われた。 と言うのは流石に冗談だけど一気に場の空気が悪くなってしまった。 「何やってんだ?お前…。」 キョンは苦虫を噛み潰したような表情でそう言った。 今のキョンを見てると自分が何か悪い事をした気分になるのは何でかしら。 「あっ、これは…。」 と、とりあえず誤解を解かないと…いや、その前にまずここから退かないと…あー、もう。頭がこんがらがってきたっ! 「こいつが足を滑らせて床にぶつかりそうになったから受け止めようとしたんだよ。もっとも、受け止めきれずにこうやって情けなくしりもちつく結果になっちまったがな。」 あたしが退くのを見ながら男はそう説明してくれた。 「!!」 男の声と風貌にキョンも驚愕を隠せないみたい。無理もない。いきなり自分そっくりな人間を見たんだもの。 「というわけよ。わかった?」 「…ああ。」 キョンは唖然としながらも肯いてくれた。見た感じ納得はしてくれた様子。 「誤解が解けて何よりだ。」 ほんと、誤解が解けてよかった。これで心置きなくこいつの尋問できる。 「で、あんた何者なのよ。」 「ああ、そういえばまだ名乗ってなかったな。いいか、聞いて驚くなよ」 「はいはい、驚かないからさっさと言いなさい。」 「俺は牽牛だ。」 はい? 「牽牛?」 牽牛って確か彦星の別名よね。 「ああ。」 「あんたが?」 「ああ。」 そう言われてみると男の格好は彦星っぽく見えなくもないけど、 「嘘っぽいな。」 キョンの言うとおり何か嘘っぽい。こう、雰囲気とかその他もろもろが。 「確かに嘘っぽいよな。自分でもそう思う。だが、嘘っぽいからって、本当に嘘とは限らないだろ?」 若干挑発を含んだ悪戯っ子みたいな笑顔で自称牽牛はそう言ってきた。 挑発的な台詞ね。いいわ、受けてたってやろうじゃない。 「いいわ。嘘っぽいけど面白そうだし、あんたの言ってること信じてあげる。」 「どうも。」 「おい、信じるのかよ。」 何よキョン。あたしがこいつの言ってることを信じようと信じまいとあたしの勝手じゃない。 「こいつ、あたしが床にぶつかる直前に狙い済ましたように出てきたのよ。しかも突然。 こいつが本当に牽牛かどうかはわかんないけど不思議な奴であることは間違いないと思うわ。」 「不思議なもんがホイホイ沸いてくるわけがない。そいつが突然現れたと思ったのは不意のアクシデントで気が動転してたからとかそんなオチだろどうせ。」 ムカッ。何よ今日はやけに絡んでくるじゃない。何時もはどうでも良さそうにしてるくせに。 「そうやって頭ごなしに物事を否定してばっかだからあんたはダメなのよ。宝くじは買わないと当たらないように、不思議だってその存在を信じてみないと見つからないわ。」 「あのなあ。」 「何よ!」 「まあまあ、お二人さん。」 あたしがキョンに詰め寄ろうとした所に自称牽牛が割り込んできた。 「仲良く痴話げんかしてるところ悪いが一つ聞きたいことがあるんだが。」 「「どこをどう見れば仲良く痴話げんかしてるように見えるのよ(んだ)!?」」 あっ、ハモっちゃった。 「そうだな色々あるが強いて一つ上げるならそういう息ピッタリなところだな。」 「「////////////////」」 は、恥ずかしい。たくバカキョンのせいでとんだ恥をかいちゃったじゃない。 「ぷっ、はははははははは。」 ちょっと牽牛笑いすぎよ。 「そ、れ、で?聞きたいことって何よ?」 恥ずかしさを押し殺すために強気な口調で牽牛に問い返す。 「お二人さん、織姫を見なかったか?」 織姫ってやっぱりあの織姫よね。 「織姫って七夕でベガな織姫でいいのよね。」 「ああ、その織姫だ。」 織姫と牽牛か、えらくタイムリーな話題ね。明日は七夕だし、現在進行形でベガとアルタイルが消えちゃってるし。これって偶然…じゃないわよね 「残念ながら見てないわ。」 「そうか。」 「ひょっとして、ベガとアルタイルが消えちゃったことと関係があるの?」 「まあな。じゃあ、俺はもう行くよ。ここにはあいつはいないみたいだし。邪魔したなお二人さん。」 「ちょっと待ちなさい。」 「うげっ。」 身を翻してこの場を去ろうとする牽牛の襟を捕まえる。 「もう少し優しく引き止めたらどうだ。自称牽牛が咽てるぞ。」 「げほげほっ。」 「うっさいわね。」 「…何だ?まだ聞きたいことでもあるのか?」 多少苦しそうではあるけれど牽牛は殆ど平然そうな感じでそう言った。 えらく立ち直りが早いわね。こういうのに慣れてるのかしら? 「あんた、困ってるんでしょ。それも不思議な悩みで。」 「不思議かどうかは人によりけりだが…そうだな、確かにお前たちからすれば不思議かもな。」 やっぱりね。織姫に牽牛に不思議、何だかワクワクしてきたわ! 「だったら、あたしたちが力になってあげる!」 「そりゃあ助かる。俺一人で織姫を探すのは骨が折れそうで、猫の手でも借りたいと思ってた所なんだ。」 「あたしたちSOS団が手伝うんだから織姫も直ぐに見つかるわ!大船に乗ったつもりでいなさい!」 屋上に戻ってみんなと合流したあたしたちは牽牛の紹介をそこそこに、彼が直面している問題の説明を聞いている。 「――と言うわけだ。」 牽牛の話を要約すると、余りにも退屈な日常に嫌気がさして飛び出して行ってしまった織姫を探して牽牛は遠路遥々地球のこの町までやって来たらしい。 成る程そのせいでベガとアルタイルが消えちゃったのね。…あれ?ベガやアルタイルからは10光年以上離なれてるんだから、彼らがいなくなっても直ぐには星は消えないわよね?…まあ、そんな細かいことどうでもいいか。それより今はこの不思議を思う存分楽しまなきゃね。 「皆状況は把握できた!?」 一応念のために皆に確認を取ってみると、 「もちろんです。」 古泉くんは爽やかな笑顔で、 「えっ、ええっと…、多分…わかったと思います。」 みくるちゃんは自信なさげな感じで、 「……………。」 有希は何時もどうりの無表情で、 「…ああ。」 キョンは何時も以上のむっつり顔で、それぞれ肯いてくれた。よし、皆ちゃんとわかってるわね。 「それじゃあ今からSOS団総出で織姫探しを開始します!」 「少しお待ちください、涼宮さん。」 古泉くんがあたしの台詞を遮るなんて珍しいわね。何かしら? 「どうしたの?古泉くん。」 「いえ。まだ僕たちは織姫さんの風貌をお聞きしていなので聞いておいたほうがいいのではと思いまして。」 「ああ、そう言えばそうね。」 牽牛があからさまな格好をしていることを踏まえると織姫もいかにもそれらしい格好をしてそうだから見かけたら一発でわかりそうだけど一応聞いておいたほうがいいわよね。 「牽牛、織姫ってどんな感じの人なの?」 「どんな感じか…そうだな…。」 何よ人のことジロジロ見てないでさっさと教えなさいよ。 「服装は俺みたいにいかにも織姫っぽいやつで…特徴は…反則的なまでよく似合っているポニーテール、この上なく整った目鼻立ち、銀河系を閉じ込めたみたいに輝かしくて大きい瞳、それから…。」 それじゃあ織姫がポニーテールの美人だって事しかわからないじゃない。でも、いかにも織姫っぽい格好をした美人が街中を歩いてたらかなり目立つだろうから、まあいいか。 そこまで考えたときに、ふと牽牛以外の視線を感じて振り返って見るとキョンが微妙な表情であたしをじっと見ていた。 何よ、人の顔をじろじろ見て。 「なあ、牽牛。一つ聞いてもいいか。」 「何だ?」 「まさかとは思うがその織姫ってハルヒを少し大人にして髪を伸ばしてポニーテールにした感じの見た目じゃないよな。」 はぁ?何言ってんのよ。偶々牽牛があんたに似てるからってそんなことあるわけ…。 「いや、そのとうりだ。」 …あったのね。事実は小説より奇なりだわ。 「あー…そう…。」 「織姫の風貌もわかったことだし今度こそ織姫探しを開始しましょ。」 皆で同じ所を探しても非効率的だから組を分けたほうがいいわよね。 「あたしは牽牛と組んで探すからそっちも二人一組に分かれて手分けして探してちょうだい。さっ、行くわよ牽牛。」 「おう。」 「ちょっと待て。」 「何よ。」 あたしはさっさと織姫探しに行きたいのよ。用件は手短にしなさい。 「俺も一緒に行く。別に二人一組3チームじゃなくて、三人一組2チームでもいいだろ。」 はい?いきなり何言い出すのよ、こいつ。 「別にいいけど、どうしたの急に。」 何時もだったらみくるちゃんと二人っきり的な事を想像して間抜け面になるのに。 「いや……ほら、あれだ…夜は色々と物騒だろ2人で行動するよりは3人の方が安全だろ。」 どちらかと言うと物騒なのはあんたの方だと思うけど。暗がりなのをいいことにみくるちゃんや有希に良からぬことをしだしそうだし。 「それに3人で探したほうが見落としが少なくなるしだな…。」 まあ、いいわ。ここでキョンと話を聞き続けてても時間の無駄だし一緒に行きたいんだった連れて行ってあげましょう。 「わかったわよ。じゃあ、あたしとキョンと牽牛のチームと古泉くんとみくるちゃんと有希のチームに分かれて織姫を探す。これでいいわね。」 「大変結構かと。」 「わたしはいいですよ。」 「…問題ない。」 あたしの問いかけに3人は笑いを堪える顔、やや驚き顔、何時もどうりの無表情で賛同してくれた。 はい。満場一致でけってーい。古泉くんが笑いを堪えてるのが少し気になるけど、それより探索、探索! 「オッケー!じゃあ、行くわよキョン、牽牛!」 あたしは二人の手首を取って駆け出した。 「おっとっと。」 「ちょっ、ハルヒ、いきなり引っ張るな。」 「引っ張られたくなかったらあたしより早く走りなさい。」 「…やれやれ。」 さあ、織姫探しの始まりよ! 「見つからないわね。」 「見つからないな。」 あたしたちがマンションを飛び出してはや1時間が経ったけど、一向に織姫の姿は見当たらなかった。 おかしいわね、牽牛同様それっぽい格好でうろついてんだったら目立つはずなのに。現に織姫を探し回ってる間、彦星はすれ違う人々に必ず振り替えられてたし。…でも見つかってないものは見つかってないわけだし……ううん。ちょっと楽観視しすぎだったわね。やり方を変えたほうがいいかも。 「キョン、みくるちゃんたちの方がどうなってるか電話で聞いてみて。」 「はいよ。」 「牽牛、ちょっと。」 「何だ?」 「織姫の人柄を教えなさい。」 「どうしたんだよ突然。」 「織姫の行動をプロファイリングするために情報が欲しいのよ。」 闇雲に探すより、織姫の人物像を掴んで行動を予測しながら探した方が上手くいきそうな気がする。 「成る程な。いいぜ、教えてやる。あいつの人柄は…。」 ちょっとワクワクするわね。織姫ってどんな人なのかしら。 「唯我独尊、傍若無人、猪突猛進―」 え? 「才色兼備、負けず嫌い、普通嫌い、イベント好き、ええっと、それから……ん?どうした?変な顔して。」 はっ、いけない。あたしとしたことが思わず唖然としちゃった。 「な、何でもないわ。」 織姫の性格があまりにもイメージと違いすぎたから驚いた…なんて言えないわよね。 「織姫ってちょっと変わってるのね。」 「そうだな。」 何よ、牽牛。そんなに笑って。何がおかしいのよ。 「変わってるとか、お前が人のこと言えた義理じゃないだろ。」 「ひゃっ。」 「ちょっと、キョン。いきなり後ろから声をかけないでよ。」 びっくりするじゃない。 「そりゃあ、悪かったな。」 「向こうはどうだったんだ?」 「こっちと同じだってよ。」 キョンはぶっきら棒にそう答えた。 キョンの奴、牽牛に対する態度が妙にとげとげしいわね。牽牛の何処が気に入らないのかしら?自分そっくりなのに。 それにしても本当にキョンと牽牛は似てるわね。まるで牽牛がキョンの未来の姿みたいだわ。 でも、どうしてだろ?何か牽牛が他の誰かにも似てる気がする…うーん、誰だっけ。 「それで、これからどうすんだ?」 キョンは視線を牽牛からあたしに移してそう聞いてきた。 「そうね…。」 この一時間で結構色んな所をまわったけど全く収穫無しだし、さっき牽牛から聞いた織姫の人物像だけじゃあ、プロファイリングするには不十分だし…。次は何処に行こうかしら。 「…そろそろかな。」 ん? 「何か言った牽牛?」 「いや、何も言ってないぜ。」 本当かしら?怪しい。 「キョンは聞こえなかった?」 「聞こえなかったぞ。空耳じゃないのか。」 おかしいわね。確かに、牽牛がボソッと何か言って気がしたんだけど。 「なあ、ハルヒ。お前、七夕って聞いたら何処を連想する?」 いきなりな質問ね。まあ、あたしもさっき似たようなことしたけど 「七夕で連想する場所ね…」 ―まあ、七夕だしな。似たようなことをしてる奴に覚えがあっただけさ― 「東中かしら。あたしの母校の。」 「成る程。じゃあ、そこに行ってみようぜ。」 「あたしが七夕と聞いて思い浮かべる場所に織姫がいるかもってのは理論の飛躍しすぎじゃない?」 「そうでもないさ。織姫とハルヒは見た目だけじゃなく中身も似てるみたいだからな。」 そんなもんかしら? 「お前もそう思うだろ?」 疑問を解消しきれないあたしをよそに牽牛はキョンに話を振った。 「…そうだな、無いとは言い切れない。」 全く、その根拠はどこにあるのよ。まあ、いいわ。どうせ次に探す場所も思いつかないしその案に乗ってあげようじゃない。 「オッケー。二人がそう言うんだったら行ってみましょ。こっちよ。」 「もう少しで東中よ。」 東中か…4年前の七夕にあいつと出会った場所。そして、あたしが始めて不思議に出会った場所。 ……あいつ今頃何処で何をしてるのかしら。 「…………い!」 そういえば以前キョンとあいつが似てるって思ったことあったわね。若干雰囲気が似てるのが気になる所だけど、当時はあいつも中1なんだからキョンがあいつなわけ無いわよね。 「……ル……!」 そうか。さっき牽牛がキョン以外の誰かに似てる気がしたけど、あいつだったんだ。見た目の年齢的にはキョンより近そうだけど、これも大概ありえないわよね。でも、ひょっとしたら…。 「おい!ハルヒ!」 キョンが急にあたしの肩を掴んできた。 「何よ。」 「そのまま進むと東中の前を通り過ちまうぞ。」 気が付くとあたしたちは東中の校門前に到着していた。 「あっ。」 いけない、考え事してせいで危うく通り過ぎるところだったわ。 まさか、またここに忍び込むことになるとわね。 少し感慨深いものを感じつつ、あたしは以前そうしたように門を乗り越える。 「よいしょっと。」 さて、織姫はいるかしら? 「よっと。」 少しだけ遅れてキョンと牽牛も門を乗り越えてきた。 「さあ、行くわよ。」 「へいへい。」 「おう。」 目指すは校庭。あいつとの思い出の場所。 「えっ!?」 校庭へとやってきたあたしは驚愕した。校庭に白線で巨大な地上絵が描かれていたからだ。 「嘘…どうして。」 しかも、その地上絵は4年前にあたしが描いたものと瓜二つ。 「あれはあたしとあいつしか…」 「遅い!罰金!!」 どこかで聞き覚えのある声があたしを正気へと呼び戻す。 「よお、織姫。」 「よお、じゃないわよ。あまりにもあんたが見つけにくるのが遅いから待ちくたびれたじゃない。」 視線の先をグラウンドから声のするほうに向けるとあたしより身長と髪が伸びていて髪形がポニーテールないかにも織姫って感じの格好をしたあたしそっくりの人物がそこにいた。 「待ちくたびれるようなら最初っからいなくなったりするなよ。」 「うるさいわね。こっちにも色々事情があるのよ。」 しかし…まさか本当にいるとわね。 「見つけられて良かったわね。」 「ああ。これもハルヒたちが協力してくれたおかげだ。ありがとな。」 お礼を言われるのって嬉しいんだけど何かむず痒い感じ。言われ慣れてないせいかしら? 「お礼なんていいわよ。あたしたちは不思議な出来事に出会えればそれだけでもう十分満足なんだから。ねえ、キョン。」 「ああ…そうだな。」 「何よその微妙な返事は。」 それに表情まで微妙だし。せっかく牽牛が織姫に逢えてめでたしめでたしなのに何か不満でもあるの!? 「別に。あっちこっち探し回って少し疲れてるだけだ。気にするな。」 「ふぅん。」 どうだか。 「さてと、織姫帰るぞ。」 「えー。折角だしもうちょっとここにいましょうよ。」 「ダメだ。」 「ケチ。」 「何とでも言え。」 今目の前で繰り広げられてるのは織姫と彦星の会話という物凄くレアな光景のはずなのに全然そんな感じしないわね。というか、どう見てもただの痴話げんかだし。…そうだ、折角だしさっきのお返しをしてやろっと。 「はいはい。仲良く喧嘩はあたしたちがいないところでやってよね。」 「「なっ!!」」 ふふふ。してやったり。 「気を取り直して…帰るぞ織姫。」 「わかったわよ。」 「二人とも悪いが、後で他の皆にも俺がお礼を言ってたって言っておいてくれ。」 「わかったわ。」 「わかったよ。」 それにしても二人ともどうやって帰るのかしら? 「二人ともちょっと後ろ向いててくれ。」 「何でよ。」 そんなことしたら二人が帰るところ見れないじゃない。 「大方。帰るところを他の奴に見られるわけにいかないとかそういう理由だろ。」 「まあ、そんなところだ。」 ちぇっ、ケチ。 「ほら、さっさと後ろ向くぞ。」 そう言ってキョンが肩を掴んでくる。 「自分で後ろ向くから手を離しなさい。」 「ダメだ。こうしないとお前がこっそり後ろを見るかもしれんからな。」 あたしに後ろを向かせたキョンはそう言ってさらにあたしの目を自分の手で隠す。 「ちょっと、何すんのよ。」 「気にするな。単なる保険だ。」 保険って、少しは団長を信用しなさいよバカキョン。 「じゃあな。お二人さん。」 あっ、牽牛と織姫が帰っちゃう。 「ねえ、牽牛。」 「何だ?」 「あんた、ひょっとして―。」 ―ジョン?- 「ひょっとして、何だよ。」 「やっぱいいわ。」 よく考えてみると牽牛があいつであろうとなかろうと今のあたしには関係ないわよね。 「何だそりゃ。」 だって、今のあたしにはSOS団の皆がいるんだもの。…それに、時には答え知らない方がいい謎ってのもあるかもしれないしね。 「いいから、帰るんだったらさっさとしなさい。じゃないとキョンを振りほどいて振り向いちゃうわよ。」 「ふふ。それは困るわね。」 キョン以外の気配があたしに近づいくる。あれ?何か急に意識が…。 「バイバイ…か…の…たし…キョ…と………く……」 揺れている。闇の中、浮上しつつある意識の端っこで、あたしはぼんやりとそう感じた。 「………ん。」 寝ぼけながら目を開けてみて最初に見えたのはキョンの後ろ頭。どうやらあたしは背負われてるらしい。 …何で背負われてるんだろう?それ以前に何時の間に寝ちゃったのかしら。確かあたしは有希のマンションの屋上で天体観測をしててそれで…。 「起きたか?」 「…うん…一応…。」 でも、正直な所まだかなり眠い。気を抜くとまた寝ちゃいそう。 「その声だとまだ眠そうだな。このまま背負ってお前の家まで送っててやるからもう少し寝ててもいいぞ。」 「…あり…がと…。」 あたしは瞼の重みに耐えられなくなって再び目を閉じた。 「ねぇ…キョン…。」 「何だ?」 「あたし…何で…あんたに背をわれてる…わけ?」 よく思い出せないけど意識が途切れる前、あたしは織姫と牽牛と別れるところだったと思うんだけど。 「お前、天体観測の最中に寝ちまったんだよ。」 え? 「その後2時間くらい待ったけど全然起きなかったからそのまま解散したんだ。で、古泉が朝比奈さんを、俺がお前を家に送っていくことになったってわけだ。」 嘘…あれ? 「それ…本当?」 「嘘ついてどうするんだよ。」 「…そ…う…。」 夢…だったのかしら。確かに今考え直すとおかしな事だらけだったけど…。でも、あれが夢だとしたら物凄くリアルな夢をみたことになるわね。まるで去年の5月末のときみたいに。 「ここんとこ飛ばし気味だったからな、疲れが溜まってたんだろ。記憶が曖昧になってるのはそのせいさ。」 そう…なのかしら。…ダメだ…眠すぎて頭が上手く働かない。 「…………………。」 …お…や…す…み…。 「寝ちまったか?」 「……すー……すー……すー…。」 完全に意識が途切れる直前にキョンが何か言っている気がした。 「………な……ひ…………お……………ん……………ちゃ………………ら…」 「行っちゃったわね二人とも。」 「ああ、これで俺たちのすることも全部終了。後は朝比奈さんたちと合流して俺たちの時代に戻るだけだ。」 「にしても、あたしがこんなことをする羽目になるなんてね。みくるちゃんに行って欲しい所があるって言われたときには想像も出来なかったわ。」 「だろうな。俺も似たようなことがあったから気持ちはわかるぜ。」 「だったらもっと早く来なさい。あんたたちがなかなか来ないから暇で暇でしょうがなかったんだから。」 「そうもいかなかったんだよ。俺の記憶では俺たちはあの時間に東中行ったことになってたからな。」 「だからって、これはないわ。わざわざ過去に来てすることが母校のグラウンドに落書きして、その後ずっと待ちぼうけ、そんでもって織姫の真似事ってどんな3流RPGのお使いクエストなのよ!」 「朝比奈さんの依頼は大体こんな感じのお使いだ。諦めろ。」 「むー。」 「そんなにむくれるなよ。俺たちがこれをやったからこそ今があるわけなんだしさ。」 「…そうね、あれもこれもきっかけ作りだったということで納得した方がいいのかしら。」 「いいと思うぞ。」 「でも、やっぱりそれとこれは話が別。みくるちゃんは後でとっちめてやるわ。団長をあごでこき使った罪は重いんだから。」 「はぁ…。程々にしとけよ。朝比奈さんはお前と違って…」 「そうと決まれば早速みんなのところに戻るわよ!!」 「おい、人の話を聞け、袖を引っ張るな、少し落ち着け!」 「問答無用!!」 「やれやれ。何で俺はこんなやつに…」 「皆の所へレッツゴー!!」 「……まっ、今更か。」 「ほら、キョン。もっと早く走りなさい。転ぶわよ。」 「へいへい、わかったよ。」 「ほら、着いたぞ。」 「…………んんっ。」 そういえばキョンに家へ送ってもらってたんだっけ。 「立てるか?」 「大丈夫よ。」 まだ少し眠いけど頭の回転は幾分ましになったわ。さっき眠ったおかげね。 「ならいいが。」 「じゃ、また明日ね。」 とはいえ眠いものは眠いわ。今日はさっさと寝よっと。 「ああ、また明日。」 あたしはキョンに手を振りながら玄関へと歩く。 「………ハルヒ。」 「何よ。」 あたしは眠いのよ。くだらない話なら明日にして頂戴。 「………やっぱり何でもない。」 変なキョン。まあ、いいわ。とりあえず今は一刻も早く布団にダイブしたい。 「あっそ。」 「じゃあな。」 行っちゃった。暗がりにちらっと見えたキョンの横顔に若干朱がさしてたような気がするけど気のせいよね多分。 ふと携帯を見てみる。今日は7月6日、七夕イブ。 「明日は七夕か。」 七夕には色々思う所があって毎年少し鬱になるんだけど今年は大丈夫よね。今のあたしは去年までのあたしとは違う。 それにあたしにはSOS団の皆、みくるちゃんに有希に古泉くん、…そして、キョンがいるから。 「頼むわよバカキョン。」 どうか、明日の七夕があたしたちにとって楽しい日となりますように。
https://w.atwiki.jp/hugc/pages/198.html
プレリュード・イ短調(Prelude a minor) 作曲者:二橋 潤一 年代:? 演奏形態:独奏 収録:現代ギター 1998年6月号
https://w.atwiki.jp/pocketstation/pages/84.html
2000年6月22日発売3ブロック ガンマンのような早撃ちゲームが遊べます。 パチスロ3機種のデータベースもあります。 【収録内容】 早撃ちチーパオ カンフーレディゲーム データベース 【通信販売】 パチスロ帝王6カンフーレディバンバンプレリュード Best of the Best パチスロ帝王6~カンフーレディ・バンバン・プレリュード2~
https://w.atwiki.jp/wiki13_frontier/pages/28.html
スターレジェンド リプレイ『水の星のプレリュード ~Water World~』 GM : あーさん 【今回予告】 海洋惑星マリル。そこに存在する唯一の大地『極地』。 調査の進む中、ある古代遺跡が発見された。 時同じくして、資格者の元に現れる『プレート』。 プレートを手にしたものは引き寄せられるようにマリルに集う。 スターレジェンド『水の星のプレリュード ~Water world~』 さぁ、冒険のゲートをくぐろう! 【ハンドアウト】 ダイ・ナック 海洋惑星マリルで古代遺跡の調査をしている祖父からメールが届いた。 「面白いものを見つけた。お前になら分かるかもしれない。一回こっちに来い」 簡潔にして、必要なことが抜けたメールを見届けると、君はマリルへと向かう。 ここで無視すると何をするか分からない人だからというのと、ほんの少しの興味を持って。 コネクション:ダイン・ドクター 関係:祖父 推奨クラス:アウトロウ リズィ・アズライツ 君の事務所にアカデメイアからの郵便物が届いた。頼んでいたものが届いたらしい。 早速開けてみると、そこには頼んだ覚えのない妙な『プレート』が入っていた。 ……郵便事故だ。というか、中身を間違えられた!? 君は、いらだちながら君の荷物が届いているはずのドクター教授のもとへと向かった。 コネクション:ダイン・ドクター 関係:友人or先生 推奨クラス:テクノロジスト ガーゴイル 君は愛しの妻とリゾート地でもある海洋惑星マリルに旅行に来ていた。 ハネムーンでもフルムーンでもなく、さしずめルビームーン旅行とでも言うところだろうか? 名物の海底散歩をいそしむ君たちの前に、きらきら輝く『プレート』が現れた。 何かのイベントか、それともお宝か……ともかく、拾ってみるのも悪くない。そんな気がした。 コネクション:ラテン・ツアコン 関係:ガイド 推奨クラス:マーチャントプリンス ナディア 君はいろいろあって、青く輝く『プレート』の欠片を譲り受けた。 君の使命は、この『プレート』を守り抜き、しかる場所に納めること。 「時は来た。水の星、すなわち海洋惑星マリル。そこにこそ……」 君は『プレート』を手にマリルへ向かう。 『プレート』と共に受け取った、ささやかな記憶を手がかりに。 コネクション:チート・スウィンドラー 関係:ライバル 推奨クラス:自由 【目次】 プリプレイ オープニング1 祖父からの手紙 オープニング2 配送ミス? オープニング3 ルビームーンな海底旅行 オープニング4 はた迷惑な来訪者 ミドル1 マリル宇宙港 ミドル2 調査団事務所 ミドル3 怪しい商船 ミドル4 海底探査 ミドル5 海底遺跡での再会 クライマックス エンディング1 新しい従者 エンディング2 旅行の続き エンディング3 手に入れた荷物 エンディング4 家族だから アフタープレイ NEXT
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/44057.html
《傾倒のカノン 清唱》 (無色)(コスト5)(パワー5200) (クリーチャー)(オラクル) ■S・トリガー ■このクリーチャーが出た時、エレメントを2つまで選び、タップまたはアンタップする。それが相手のエレメントなら、次の相手のターンのはじめまでアンタップしない。 ■自分のシールドゾーンにカードがなければ、このクリーチャーは「ブロッカー」を得る。 選択肢 投票 壊れ (0) 即戦力 (0) 優秀 (0) 微妙 (0) コメント 名前 コメント 《聖鐘のプレリュード》 (無色)(コスト3) (呪文) ■このターン、次に召喚する自分の無色クリーチャーの召喚コストを最大5少なくしてもよい。 ■この呪文を唱えた後、このカードを山札の上または下に置いてもよい。 選択肢 投票 壊れ (0) 即戦力 (0) 優秀 (0) 微妙 (0) コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5730.html
「みくるちゃん、急に呼び出して何のよう?」 「実は涼宮さんに行って欲しい所があるんです。」 「珍しいわね、みくるちゃんがあたしにお願いなんて。」 「あの…詳しくは言えないんですけどとても重要なことなんです。今は何も聞かずにうんって言ってくれませんか。」 「団員の願いを聞くのも団長の仕事よね、いいわよ。それで?あたしは何処に行けばいいのかしら?」 「その――――」 7月6日、七夕前日。あたしたちは有希のマンションの屋上で天体観測をしていた。 「わぁ、お星様がきれいです」 「夕立が降ったおかげで空気が澄んでいますからね。」 おかげで去年の夏休みのときよりずっと星が見える。 「今日はよく星が見えるわね。みくるちゃん、望遠鏡をもう少し東に向けて見なさい。夏の大三角形が見れるわよ。」 「あっ、はぁーい。」 「夏の大三角形と言えばやっぱりベガとアルタイルよね。別にデネブがダメってわけじゃないけど、 なんたってベガとアルタイルは七夕の主役だもん。」 「詳しいんだな。」 あら、キョンがあたしの言ってることに素直に感心するなんて珍しいわね。明日雨が降らないといいけど。もし雨がふったら、織姫と彦星が会えなくなっちゃうじゃない。 「別に、これくらい常識よ。理科の授業で習うじゃない。」 「そうだっけか?」 「学校によってカリキュラムが多少異なります。あなたの学校では授業で扱わなかったのかもしれませんね。」 「ああ、なるほど。」 わざわざキョンの戯言をフォローするんて、古泉くんは本当に気が利くわね。キョンも見習えばいいのに。今度、古泉くんのつめの垢を煎じて飲ませてみようかしら。 「こいつは単純に習ったのを忘れてるだけよきっと。」 キョンはテスト直前に暗記して終わったら直ぐに忘れるタイプだから、小中学校で習ったことを覚えている可能性はかなり低いもの。 あたしの反論にキョンは少しだけ顔をしかめた。 「酷い物言いだな。」 「あら、酷いのは普段のあんたの勉強スタイルのほうでしょ。テスト前に慌てて詰め込んで直ぐに忘れちゃうんだから。こないだだってあたしが勉強見てあげなかったらどうなってたことか。」 「それは…」 「そんなあんたが学校で習わなかったって言っても説得力があるわけないでしょ。」 そう言って軽く睨んでやると、直ぐにキョンは諦めたように溜息を吐いた。 「…悪かったな。どうせ勉強に関しては物忘れが激しいよ。」 「わかればよろしい。」 「フフッ。」 「気色悪く笑いやがって。何がおかしい。」 「いえ。お二人とも仲がよろしくてうらやましいと思っただけですよ。」 古泉くんの台詞にまたキョンは少しだけ顔をしかめた。 何よ。あたしと仲が良さそうに見えるのが嫌なわけ? 「二人とも同じクラスで席が前後、そんでもってクラブも一緒ってのが 1年以上続いているんだ友情を深めるには十分すぎるだろ。」 キョン、返答が何だか子供っぽいわよ。ほら、古泉くんも笑いをこらえてるし。 「何だよ?」 「何でもありませんよ。」 古泉くんは耐え切れずに喉を鳴らして笑い出した。 「嘘付け。いいたい事があるならはっきり言ったらどうだ。溜め込むのは精神衛生上よくないぞ。」 それ、前にあたしがあんたに言った台詞。 「いえいえ、滅相も無い。」 本当、この二人も仲がいいわね。でも、これ以上仲良く喧嘩を続けられるのも ちょっとあれよね。しょーがない、そろそろ止めに入りましょうか。 「ちょっと二人とm…」 「あれ!?」 「「「「!?」」」 みくるちゃんがいきなり困惑の声をあげたのに驚いて有希以外の皆は振り返った。 「みくるちゃんどうしたのよ。」 「お、織姫星が見当たらないんです。」 「単に見えてないだけじゃないの?」 「で、でも…。」 真剣そうなみくるちゃんは悪いけど流石に星が急に消えちゃうわけないわよね。 「まあいいわ。ちょっと見せてみて。」 「はい。」 「どれどれ。」 覗き込んで見ると望遠鏡のレンズには夏の大三角が映し出されていた。 みくるちゃんの言うとおり、ベガだけが見当たらないわね。他の星はちゃんと見えてるのにどうしてかしら…。 「あっ!?」 ア、アルタイルが消えた!?そんなことあるわけ…でもついさっきまで確かにあったのに。 「どうした?」 「ほ、星が消えた。」 「見間違いか勘違いじゃないのか?」 キョンらしい何の面白みもない意見ね。でも、違う。いくらなんでも数秒目を離しただけで星がなくなるわけが無い。 「あたしも信じられないけど事実よ。ちょっと目を放した隙にアルタイルが消えたの。」 「万が一にそうだとしても、雲とかの関係で見えなくなっただけかもしれんぞ。」 それも違う。他の星はハッキリと見えるし雲なんてどこにもが当たらないもの。 「だったら自分の目で見てみなさいよ。ベガとアルタイル以外の星は綺麗に見えるはずよ。」 イマイチぱっとこないけど、これが不思議な出来事であることは間違いない。 調べて行けばひょっとすると面白いことを発見できるかも。そうと決まれば行動あるのみ! 「涼宮さん、どちらへ?」 「ちょっと調べに行ってくるわ。」 「調べるって当てはあるのか?」 「そんなもん行きながら考えればいいでしょ!」 時間は有限なんだからただ考える事だけに使うなんて勿体無いことはしたくないの。 「お、おい。」 小言なら後で聞くわ。今は、何でベガとアルタイルだけが消えているのかの調査が先。 あたしはキョンを無視し、ダッシュで屋上を後にした。 それにしても急に星が消えるなんてどうしたのかしら。まさか宇宙人の陰謀?だったら面白いのに…。 そんなことを考えていたので、足元の注意が疎かなっていたのかもしれない。 「えっ!?」 急いで階段を駆け下りていたあたしは足を滑らせて空中に体を投げ出されてしまった。 いくらあたしでも空中で体勢変えられるわけがない…ぶつかる!! 次の瞬間に襲うだろう痛みに備えて目を強く閉じて身構えた。 “ドンッ”という鈍い音が響いた。響いたのに…。 「あれ?」 痛くない。どうして? 目を見開いてみると大陸あたりの民族衣装を見にまとってしりもちをついている男に受け止められていた。 「いてて、大丈夫か?」 「!!」 あたしは驚愕した。男が日本のマンションの中にもかかわらず民族衣装を 着込んでいることに対してじゃなく、男の声と風貌に対して。 「キョン!?」 いや、そんなことあるはずがない。キョンはさっき屋上にいたんだもの、テレポートでも 使えないかぎり先回りは不可能で、そんな特殊能力をあいつが有している可能性は0だと断言できる。 「…じゃあないわよね。あんた何者?」 よくよく観察してみると、男の雰囲気はキョンより少し大人びていたし、しりもちを ついているのでわかりづらいけど身長もキョンより少し高そうに見える。 「俺か?」 「質問を質問で返さないで。あんまりふざけてると通報するわよ。この不審者。」 「悪い、悪い。」 男は笑いをこらえるような顔でそう答えた。 「ちょっと、今のあたしの台詞の何処がおかしいって言うのよ!」 「まあ、そう言うなって。それよりいい加減退いてくれないか?この体勢は話しをするのに向いてるとは言いづらいぞ。」 確かに。あたしはしりもちをついてる男に覆いかぶさるようにしてるし、男はあたしを受け止めた ときのまま、つまり下から抱きしめるような体勢。とても話をする体勢じゃないわね。 オッケー、話は起き上がってからにしまs…。 「おい、今すごい音がしたぞ大丈夫…」 えっ!? 「…………か…。」 「キョ…ン…!?」 「…………。」 全世界が停止したかと思われた。 と言うのは流石に冗談だけど一気に場の空気が悪くなってしまった。 「何やってんだ?お前…。」 キョンは苦虫を噛み潰したような表情でそう言った。 今のキョンを見てると自分が何か悪い事をした気分になるのは何でかしら。 「あっ、これは…。」 と、とりあえず誤解を解かないと…いや、その前にまずここから退かないと…あー、もう。頭がこんがらがってきたっ! 「こいつが足を滑らせて床にぶつかりそうになったから受け止めようとしたんだよ。もっとも、受け止めきれずにこうやって情けなくしりもちつく結果になっちまったがな。」 あたしが退くのを見ながら男はそう説明してくれた。 「!!」 男の声と風貌にキョンも驚愕を隠せないみたい。無理もない。いきなり自分そっくりな人間を見たんだもの。 「というわけよ。わかった?」 「…ああ。」 キョンは唖然としながらも肯いてくれた。見た感じ納得はしてくれた様子。 「誤解が解けて何よりだ。」 ほんと、誤解が解けてよかった。これで心置きなくこいつの尋問できる。 「で、あんた何者なのよ。」 「ああ、そういえばまだ名乗ってなかったな。いいか、聞いて驚くなよ」 「はいはい、驚かないからさっさと言いなさい。」 「俺は牽牛だ。」 はい? 「牽牛?」 牽牛って確か彦星の別名よね。 「ああ。」 「あんたが?」 「ああ。」 そう言われてみると男の格好は彦星っぽく見えなくもないけど、 「嘘っぽいな。」 キョンの言うとおり何か嘘っぽい。こう、雰囲気とかその他もろもろが。 「確かに嘘っぽいよな。自分でもそう思う。だが、嘘っぽいからって、本当に嘘とは限らないだろ?」 若干挑発を含んだ悪戯っ子みたいな笑顔で自称牽牛はそう言ってきた。 挑発的な台詞ね。いいわ、受けてたってやろうじゃない。 「いいわ。嘘っぽいけど面白そうだし、あんたの言ってること信じてあげる。」 「どうも。」 「おい、信じるのかよ。」 何よキョン。あたしがこいつの言ってることを信じようと信じまいとあたしの勝手じゃない。 「こいつ、あたしが床にぶつかる直前に狙い済ましたように出てきたのよ。しかも突然。 こいつが本当に牽牛かどうかはわかんないけど不思議な奴であることは間違いないと思うわ。」 「不思議なもんがホイホイ沸いてくるわけがない。そいつが突然現れたと思ったのは不意のアクシデントで気が動転してたからとかそんなオチだろどうせ。」 ムカッ。何よ今日はやけに絡んでくるじゃない。何時もはどうでも良さそうにしてるくせに。 「そうやって頭ごなしに物事を否定してばっかだからあんたはダメなのよ。宝くじは買わないと当たらないように、不思議だってその存在を信じてみないと見つからないわ。」 「あのなあ。」 「何よ!」 「まあまあ、お二人さん。」 あたしがキョンに詰め寄ろうとした所に自称牽牛が割り込んできた。 「仲良く痴話げんかしてるところ悪いが一つ聞きたいことがあるんだが。」 「「どこをどう見れば仲良く痴話げんかしてるように見えるのよ(んだ)!?」」 あっ、ハモっちゃった。 「そうだな色々あるが強いて一つ上げるならそういう息ピッタリなところだな。」 「「////////////////」」 は、恥ずかしい。たくバカキョンのせいでとんだ恥をかいちゃったじゃない。 「ぷっ、はははははははは。」 ちょっと牽牛笑いすぎよ。 「そ、れ、で?聞きたいことって何よ?」 恥ずかしさを押し殺すために強気な口調で牽牛に問い返す。 「お二人さん、織姫を見なかったか?」 織姫ってやっぱりあの織姫よね。 「織姫って七夕でベガな織姫でいいのよね。」 「ああ、その織姫だ。」 織姫と牽牛か、えらくタイムリーな話題ね。明日は七夕だし、現在進行形でベガとアルタイルが消えちゃってるし。これって偶然…じゃないわよね 「残念ながら見てないわ。」 「そうか。」 「ひょっとして、ベガとアルタイルが消えちゃったことと関係があるの?」 「まあな。じゃあ、俺はもう行くよ。ここにはあいつはいないみたいだし。邪魔したなお二人さん。」 「ちょっと待ちなさい。」 「うげっ。」 身を翻してこの場を去ろうとする牽牛の襟を捕まえる。 「もう少し優しく引き止めたらどうだ。自称牽牛が咽てるぞ。」 「げほげほっ。」 「うっさいわね。」 「…何だ?まだ聞きたいことでもあるのか?」 多少苦しそうではあるけれど牽牛は殆ど平然そうな感じでそう言った。 えらく立ち直りが早いわね。こういうのに慣れてるのかしら? 「あんた、困ってるんでしょ。それも不思議な悩みで。」 「不思議かどうかは人によりけりだが…そうだな、確かにお前たちからすれば不思議かもな。」 やっぱりね。織姫に牽牛に不思議、何だかワクワクしてきたわ! 「だったら、あたしたちが力になってあげる!」 「そりゃあ助かる。俺一人で織姫を探すのは骨が折れそうで、猫の手でも借りたいと思ってた所なんだ。」 「あたしたちSOS団が手伝うんだから織姫も直ぐに見つかるわ!大船に乗ったつもりでいなさい!」 屋上に戻ってみんなと合流したあたしたちは牽牛の紹介をそこそこに、彼が直面している問題の説明を聞いている。 「――と言うわけだ。」 牽牛の話を要約すると、余りにも退屈な日常に嫌気がさして飛び出して行ってしまった織姫を探して牽牛は遠路遥々地球のこの町までやって来たらしい。 成る程そのせいでベガとアルタイルが消えちゃったのね。…あれ?ベガやアルタイルからは10光年以上離なれてるんだから、彼らがいなくなっても直ぐには星は消えないわよね?…まあ、そんな細かいことどうでもいいか。それより今はこの不思議を思う存分楽しまなきゃね。 「皆状況は把握できた!?」 一応念のために皆に確認を取ってみると、 「もちろんです。」 古泉くんは爽やかな笑顔で、 「えっ、ええっと…、多分…わかったと思います。」 みくるちゃんは自信なさげな感じで、 「……………。」 有希は何時もどうりの無表情で、 「…ああ。」 キョンは何時も以上のむっつり顔で、それぞれ肯いてくれた。よし、皆ちゃんとわかってるわね。 「それじゃあ今からSOS団総出で織姫探しを開始します!」 「少しお待ちください、涼宮さん。」 古泉くんがあたしの台詞を遮るなんて珍しいわね。何かしら? 「どうしたの?古泉くん。」 「いえ。まだ僕たちは織姫さんの風貌をお聞きしていなので聞いておいたほうがいいのではと思いまして。」 「ああ、そう言えばそうね。」 牽牛があからさまな格好をしていることを踏まえると織姫もいかにもそれらしい格好をしてそうだから見かけたら一発でわかりそうだけど一応聞いておいたほうがいいわよね。 「牽牛、織姫ってどんな感じの人なの?」 「どんな感じか…そうだな…。」 何よ人のことジロジロ見てないでさっさと教えなさいよ。 「服装は俺みたいにいかにも織姫っぽいやつで…特徴は…反則的なまでよく似合っているポニーテール、この上なく整った目鼻立ち、銀河系を閉じ込めたみたいに輝かしくて大きい瞳、それから…。」 それじゃあ織姫がポニーテールの美人だって事しかわからないじゃない。でも、いかにも織姫っぽい格好をした美人が街中を歩いてたらかなり目立つだろうから、まあいいか。 そこまで考えたときに、ふと牽牛以外の視線を感じて振り返って見るとキョンが微妙な表情であたしをじっと見ていた。 何よ、人の顔をじろじろ見て。 「なあ、牽牛。一つ聞いてもいいか。」 「何だ?」 「まさかとは思うがその織姫ってハルヒを少し大人にして髪を伸ばしてポニーテールにした感じの見た目じゃないよな。」 はぁ?何言ってんのよ。偶々牽牛があんたに似てるからってそんなことあるわけ…。 「いや、そのとうりだ。」 …あったのね。事実は小説より奇なりだわ。 「あー…そう…。」 「織姫の風貌もわかったことだし今度こそ織姫探しを開始しましょ。」 皆で同じ所を探しても非効率的だから組を分けたほうがいいわよね。 「あたしは牽牛と組んで探すからそっちも二人一組に分かれて手分けして探してちょうだい。さっ、行くわよ牽牛。」 「おう。」 「ちょっと待て。」 「何よ。」 あたしはさっさと織姫探しに行きたいのよ。用件は手短にしなさい。 「俺も一緒に行く。別に二人一組3チームじゃなくて、三人一組2チームでもいいだろ。」 はい?いきなり何言い出すのよ、こいつ。 「別にいいけど、どうしたの急に。」 何時もだったらみくるちゃんと二人っきり的な事を想像して間抜け面になるのに。 「いや……ほら、あれだ…夜は色々と物騒だろ2人で行動するよりは3人の方が安全だろ。」 どちらかと言うと物騒なのはあんたの方だと思うけど。暗がりなのをいいことにみくるちゃんや有希に良からぬことをしだしそうだし。 「それに3人で探したほうが見落としが少なくなるしだな…。」 まあ、いいわ。ここでキョンと話を聞き続けてても時間の無駄だし一緒に行きたいんだった連れて行ってあげましょう。 「わかったわよ。じゃあ、あたしとキョンと牽牛のチームと古泉くんとみくるちゃんと有希のチームに分かれて織姫を探す。これでいいわね。」 「大変結構かと。」 「わたしはいいですよ。」 「…問題ない。」 あたしの問いかけに3人は笑いを堪える顔、やや驚き顔、何時もどうりの無表情で賛同してくれた。 はい。満場一致でけってーい。古泉くんが笑いを堪えてるのが少し気になるけど、それより探索、探索! 「オッケー!じゃあ、行くわよキョン、牽牛!」 あたしは二人の手首を取って駆け出した。 「おっとっと。」 「ちょっ、ハルヒ、いきなり引っ張るな。」 「引っ張られたくなかったらあたしより早く走りなさい。」 「…やれやれ。」 さあ、織姫探しの始まりよ! 「見つからないわね。」 「見つからないな。」 あたしたちがマンションを飛び出してはや1時間が経ったけど、一向に織姫の姿は見当たらなかった。 おかしいわね、牽牛同様それっぽい格好でうろついてんだったら目立つはずなのに。現に織姫を探し回ってる間、彦星はすれ違う人々に必ず振り替えられてたし。…でも見つかってないものは見つかってないわけだし……ううん。ちょっと楽観視しすぎだったわね。やり方を変えたほうがいいかも。 「キョン、みくるちゃんたちの方がどうなってるか電話で聞いてみて。」 「はいよ。」 「牽牛、ちょっと。」 「何だ?」 「織姫の人柄を教えなさい。」 「どうしたんだよ突然。」 「織姫の行動をプロファイリングするために情報が欲しいのよ。」 闇雲に探すより、織姫の人物像を掴んで行動を予測しながら探した方が上手くいきそうな気がする。 「成る程な。いいぜ、教えてやる。あいつの人柄は…。」 ちょっとワクワクするわね。織姫ってどんな人なのかしら。 「唯我独尊、傍若無人、猪突猛進―」 え? 「才色兼備、負けず嫌い、普通嫌い、イベント好き、ええっと、それから……ん?どうした?変な顔して。」 はっ、いけない。あたしとしたことが思わず唖然としちゃった。 「な、何でもないわ。」 織姫の性格があまりにもイメージと違いすぎたから驚いた…なんて言えないわよね。 「織姫ってちょっと変わってるのね。」 「そうだな。」 何よ、牽牛。そんなに笑って。何がおかしいのよ。 「変わってるとか、お前が人のこと言えた義理じゃないだろ。」 「ひゃっ。」 「ちょっと、キョン。いきなり後ろから声をかけないでよ。」 びっくりするじゃない。 「そりゃあ、悪かったな。」 「向こうはどうだったんだ?」 「こっちと同じだってよ。」 キョンはぶっきら棒にそう答えた。 キョンの奴、牽牛に対する態度が妙にとげとげしいわね。牽牛の何処が気に入らないのかしら?自分そっくりなのに。 それにしても本当にキョンと牽牛は似てるわね。まるで牽牛がキョンの未来の姿みたいだわ。 でも、どうしてだろ?何か牽牛が他の誰かにも似てる気がする…うーん、誰だっけ。 「それで、これからどうすんだ?」 キョンは視線を牽牛からあたしに移してそう聞いてきた。 「そうね…。」 この一時間で結構色んな所をまわったけど全く収穫無しだし、さっき牽牛から聞いた織姫の人物像だけじゃあ、プロファイリングするには不十分だし…。次は何処に行こうかしら。 「…そろそろかな。」 ん? 「何か言った牽牛?」 「いや、何も言ってないぜ。」 本当かしら?怪しい。 「キョンは聞こえなかった?」 「聞こえなかったぞ。空耳じゃないのか。」 おかしいわね。確かに、牽牛がボソッと何か言って気がしたんだけど。 「なあ、ハルヒ。お前、七夕って聞いたら何処を連想する?」 いきなりな質問ね。まあ、あたしもさっき似たようなことしたけど 「七夕で連想する場所ね…」 ―まあ、七夕だしな。似たようなことをしてる奴に覚えがあっただけさ― 「東中かしら。あたしの母校の。」 「成る程。じゃあ、そこに行ってみようぜ。」 「あたしが七夕と聞いて思い浮かべる場所に織姫がいるかもってのは理論の飛躍しすぎじゃない?」 「そうでもないさ。織姫とハルヒは見た目だけじゃなく中身も似てるみたいだからな。」 そんなもんかしら? 「お前もそう思うだろ?」 疑問を解消しきれないあたしをよそに牽牛はキョンに話を振った。 「…そうだな、無いとは言い切れない。」 全く、その根拠はどこにあるのよ。まあ、いいわ。どうせ次に探す場所も思いつかないしその案に乗ってあげようじゃない。 「オッケー。二人がそう言うんだったら行ってみましょ。こっちよ。」 「もう少しで東中よ。」 東中か…4年前の七夕にあいつと出会った場所。そして、あたしが始めて不思議に出会った場所。 ……あいつ今頃何処で何をしてるのかしら。 「…………い!」 そういえば以前キョンとあいつが似てるって思ったことあったわね。若干雰囲気が似てるのが気になる所だけど、当時はあいつも中1なんだからキョンがあいつなわけ無いわよね。 「……ル……!」 そうか。さっき牽牛がキョン以外の誰かに似てる気がしたけど、あいつだったんだ。見た目の年齢的にはキョンより近そうだけど、これも大概ありえないわよね。でも、ひょっとしたら…。 「おい!ハルヒ!」 キョンが急にあたしの肩を掴んできた。 「何よ。」 「そのまま進むと東中の前を通り過ちまうぞ。」 気が付くとあたしたちは東中の校門前に到着していた。 「あっ。」 いけない、考え事してせいで危うく通り過ぎるところだったわ。 まさか、またここに忍び込むことになるとわね。 少し感慨深いものを感じつつ、あたしは以前そうしたように門を乗り越える。 「よいしょっと。」 さて、織姫はいるかしら? 「よっと。」 少しだけ遅れてキョンと牽牛も門を乗り越えてきた。 「さあ、行くわよ。」 「へいへい。」 「おう。」 目指すは校庭。あいつとの思い出の場所。 「えっ!?」 校庭へとやってきたあたしは驚愕した。校庭に白線で巨大な地上絵が描かれていたからだ。 「嘘…どうして。」 しかも、その地上絵は4年前にあたしが描いたものと瓜二つ。 「あれはあたしとあいつしか…」 「遅い!罰金!!」 どこかで聞き覚えのある声があたしを正気へと呼び戻す。 「よお、織姫。」 「よお、じゃないわよ。あまりにもあんたが見つけにくるのが遅いから待ちくたびれたじゃない。」 視線の先をグラウンドから声のするほうに向けるとあたしより身長と髪が伸びていて髪形がポニーテールないかにも織姫って感じの格好をしたあたしそっくりの人物がそこにいた。 「待ちくたびれるようなら最初っからいなくなったりするなよ。」 「うるさいわね。こっちにも色々事情があるのよ。」 しかし…まさか本当にいるとわね。 「見つけられて良かったわね。」 「ああ。これもハルヒたちが協力してくれたおかげだ。ありがとな。」 お礼を言われるのって嬉しいんだけど何かむず痒い感じ。言われ慣れてないせいかしら? 「お礼なんていいわよ。あたしたちは不思議な出来事に出会えればそれだけでもう十分満足なんだから。ねえ、キョン。」 「ああ…そうだな。」 「何よその微妙な返事は。」 それに表情まで微妙だし。せっかく牽牛が織姫に逢えてめでたしめでたしなのに何か不満でもあるの!? 「別に。あっちこっち探し回って少し疲れてるだけだ。気にするな。」 「ふぅん。」 どうだか。 「さてと、織姫帰るぞ。」 「えー。折角だしもうちょっとここにいましょうよ。」 「ダメだ。」 「ケチ。」 「何とでも言え。」 今目の前で繰り広げられてるのは織姫と彦星の会話という物凄くレアな光景のはずなのに全然そんな感じしないわね。というか、どう見てもただの痴話げんかだし。…そうだ、折角だしさっきのお返しをしてやろっと。 「はいはい。仲良く喧嘩はあたしたちがいないところでやってよね。」 「「なっ!!」」 ふふふ。してやったり。 「気を取り直して…帰るぞ織姫。」 「わかったわよ。」 「二人とも悪いが、後で他の皆にも俺がお礼を言ってたって言っておいてくれ。」 「わかったわ。」 「わかったよ。」 それにしても二人ともどうやって帰るのかしら? 「二人ともちょっと後ろ向いててくれ。」 「何でよ。」 そんなことしたら二人が帰るところ見れないじゃない。 「大方。帰るところを他の奴に見られるわけにいかないとかそういう理由だろ。」 「まあ、そんなところだ。」 ちぇっ、ケチ。 「ほら、さっさと後ろ向くぞ。」 そう言ってキョンが肩を掴んでくる。 「自分で後ろ向くから手を離しなさい。」 「ダメだ。こうしないとお前がこっそり後ろを見るかもしれんからな。」 あたしに後ろを向かせたキョンはそう言ってさらにあたしの目を自分の手で隠す。 「ちょっと、何すんのよ。」 「気にするな。単なる保険だ。」 保険って、少しは団長を信用しなさいよバカキョン。 「じゃあな。お二人さん。」 あっ、牽牛と織姫が帰っちゃう。 「ねえ、牽牛。」 「何だ?」 「あんた、ひょっとして―。」 ―ジョン?- 「ひょっとして、何だよ。」 「やっぱいいわ。」 よく考えてみると牽牛があいつであろうとなかろうと今のあたしには関係ないわよね。 「何だそりゃ。」 だって、今のあたしにはSOS団の皆がいるんだもの。…それに、時には答え知らない方がいい謎ってのもあるかもしれないしね。 「いいから、帰るんだったらさっさとしなさい。じゃないとキョンを振りほどいて振り向いちゃうわよ。」 「ふふ。それは困るわね。」 キョン以外の気配があたしに近づいくる。あれ?何か急に意識が…。 「バイバイ…か…の…たし…キョ…と………く……」 揺れている。闇の中、浮上しつつある意識の端っこで、あたしはぼんやりとそう感じた。 「………ん。」 寝ぼけながら目を開けてみて最初に見えたのはキョンの後ろ頭。どうやらあたしは背負われてるらしい。 …何で背負われてるんだろう?それ以前に何時の間に寝ちゃったのかしら。確かあたしは有希のマンションの屋上で天体観測をしててそれで…。 「起きたか?」 「…うん…一応…。」 でも、正直な所まだかなり眠い。気を抜くとまた寝ちゃいそう。 「その声だとまだ眠そうだな。このまま背負ってお前の家まで送っててやるからもう少し寝ててもいいぞ。」 「…あり…がと…。」 あたしは瞼の重みに耐えられなくなって再び目を閉じた。 「ねぇ…キョン…。」 「何だ?」 「あたし…何で…あんたに背をわれてる…わけ?」 よく思い出せないけど意識が途切れる前、あたしは織姫と牽牛と別れるところだったと思うんだけど。 「お前、天体観測の最中に寝ちまったんだよ。」 え? 「その後2時間くらい待ったけど全然起きなかったからそのまま解散したんだ。で、古泉が朝比奈さんを、俺がお前を家に送っていくことになったってわけだ。」 嘘…あれ? 「それ…本当?」 「嘘ついてどうするんだよ。」 「…そ…う…。」 夢…だったのかしら。確かに今考え直すとおかしな事だらけだったけど…。でも、あれが夢だとしたら物凄くリアルな夢をみたことになるわね。まるで去年の5月末のときみたいに。 「ここんとこ飛ばし気味だったからな、疲れが溜まってたんだろ。記憶が曖昧になってるのはそのせいさ。」 そう…なのかしら。…ダメだ…眠すぎて頭が上手く働かない。 「…………………。」 …お…や…す…み…。 「寝ちまったか?」 「……すー……すー……すー…。」 完全に意識が途切れる直前にキョンが何か言っている気がした。 「………な……ひ…………お……………ん……………ちゃ………………ら…」 「行っちゃったわね二人とも。」 「ああ、これで俺たちのすることも全部終了。後は朝比奈さんたちと合流して俺たちの時代に戻るだけだ。」 「にしても、あたしがこんなことをする羽目になるなんてね。みくるちゃんに行って欲しい所があるって言われたときには想像も出来なかったわ。」 「だろうな。俺も似たようなことがあったから気持ちはわかるぜ。」 「だったらもっと早く来なさい。あんたたちがなかなか来ないから暇で暇でしょうがなかったんだから。」 「そうもいかなかったんだよ。俺の記憶では俺たちはあの時間に東中行ったことになってたからな。」 「だからって、これはないわ。わざわざ過去に来てすることが母校のグラウンドに落書きして、その後ずっと待ちぼうけ、そんでもって織姫の真似事ってどんな3流RPGのお使いクエストなのよ!」 「朝比奈さんの依頼は大体こんな感じのお使いだ。諦めろ。」 「むー。」 「そんなにむくれるなよ。俺たちがこれをやったからこそ今があるわけなんだしさ。」 「…そうね、あれもこれもきっかけ作りだったということで納得した方がいいのかしら。」 「いいと思うぞ。」 「でも、やっぱりそれとこれは話が別。みくるちゃんは後でとっちめてやるわ。団長をあごでこき使った罪は重いんだから。」 「はぁ…。程々にしとけよ。朝比奈さんはお前と違って…」 「そうと決まれば早速みんなのところに戻るわよ!!」 「おい、人の話を聞け、袖を引っ張るな、少し落ち着け!」 「問答無用!!」 「やれやれ。何で俺はこんなやつに…」 「皆の所へレッツゴー!!」 「……まっ、今更か。」 「ほら、キョン。もっと早く走りなさい。転ぶわよ。」 「へいへい、わかったよ。」 「ほら、着いたぞ。」 「…………んんっ。」 そういえばキョンに家へ送ってもらってたんだっけ。 「立てるか?」 「大丈夫よ。」 まだ少し眠いけど頭の回転は幾分ましになったわ。さっき眠ったおかげね。 「ならいいが。」 「じゃ、また明日ね。」 とはいえ眠いものは眠いわ。今日はさっさと寝よっと。 「ああ、また明日。」 あたしはキョンに手を振りながら玄関へと歩く。 「………ハルヒ。」 「何よ。」 あたしは眠いのよ。くだらない話なら明日にして頂戴。 「………やっぱり何でもない。」 変なキョン。まあ、いいわ。とりあえず今は一刻も早く布団にダイブしたい。 「あっそ。」 「じゃあな。」 行っちゃった。暗がりにちらっと見えたキョンの横顔に若干朱がさしてたような気がするけど気のせいよね多分。 ふと携帯を見てみる。今日は7月6日、七夕イブ。 「明日は七夕か。」 七夕には色々思う所があって毎年少し鬱になるんだけど今年は大丈夫よね。今のあたしは去年までのあたしとは違う。 それにあたしにはSOS団の皆、みくるちゃんに有希に古泉くん、…そして、キョンがいるから。 「頼むわよバカキョン。」 どうか、明日の七夕があたしたちにとって楽しい日となりますように。