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NAME クロウ JOB 黒魔術師 兼 魔王 POSITION 敵 LEVEL ? キャラ説明 南の魔城に住む魔王。二匹のカラスとクッシー(ユッシーの亜種、3歳♂)を引き連れている。ロリコンが住み良い国を作る為に世界を滅ぼそうとするが、幼女に手を出せず、あまり良い結果を出せていない。だって、泣いてる顔とか見たくないじゃん。そりゃ、少しはドキドキするけど…。 昔一度、魔城が破壊された経験がある。遺跡から人型兵器を発見し、興味本位で起動させてみたところ、気付けば城の三分の一が吹っ飛んでいた。涙がポロポロこぼれたのを今でも鮮明に覚えている。修復するお金はあったが、資材が手に入らず、一部木造建築である。しかし住みやすく木の独特の温かみから、今では魔城の憩いの場となっている。その出来事以来、機械を起動するのに少し躊躇する事が増えた気がする。…気のせいだよな。 最近、南の魔城の立地条件の悪さと魔王自身のヘタレ具合から「田舎の魔王」というレッテルを貼られ、ここ四・五年は勇者からシカトもとい距離を置かれている。退屈過ぎて、二年前から畑仕事を始めた。薬草は全て自給自足。穀物も作る。その中で特に、トマトが美味い。どうせなら皆に分けてやりたい。けれど一応魔王だから、そんな事はしない。ていうか、やっぱりトマトは美味い。ブランドにしたら絶対売れる。絶対だ。けれど、魔王の肩書きがあるからやらない。ていうか、人間達に総叩きを食らいそうで恐い。いいじゃん別に、魔王がトマト売ったって。 資金は人間から巻き上げたいと思っているが、田舎なので襲う街が無い。代わりに、部下に鉱山でバイトをしてもらい生計を建てている。『ヒモ』って言葉が嫌い。大嫌い。虫唾が走る。別に気にしてる訳じゃないよ? また発明家としての才能もあり、自動販売機を発明し世界中に普及させた。だから多少の金はある。でも、大金を持ってるのは性に合わない。借金立て替えたりしたこともあった気がする。なんか、人のためによくお金を使っている気がする。 口癖は「この戦い、俺が33分間もたせてやる!」。 某探偵の迷言。魔王のくせに、尺を気にする。 * ハンゲーム * 2009/03/24(火) 19 33
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チェインと少年がにらみあっている頃。 アブソーはリビーをしばっていた縄を解きにかかりながら、問う。 「あの、リビーさんですよね・・・・?」 「へ? あ、うん。そうだよ」 「大丈夫でしたか?」 すると、リビーはうなだれたクルーに目を向けて。 「私は平気なんですけど、アポトニティー様が・・・・」 アブソーはちょうど縄を解き終わり、リビーはクルーへと駆け寄った。 「アポトニティー様・・・・ごめんなさい――」 今、再生してあげます。 そして、リビーは己の手をバットで殴られた部分に手をかざした。 リビーが徐々に手に力をこめていくと、手が光りだした。 「リビーさん、それって・・・・」 「『再生』の力」 アブソーの言葉を断ち切り、言ったその言葉はどこか誇らしげで、 「人の傷を再生して、もとに戻す力です」 +++ チェインが剣を横向きに持ち替えたのが、戦いの合図となった。 チェインは少年に向かって走り、剣を扇状に振った。 少年は後ろに避けた後、チェインに近付き、ナイフを振るう。 チェインはそれに対応するように、剣を振るった。 少年が言う。 「ふーん。なかなかやるね、君も。伊達に八妖精ではないって訳か」 「あたりめぇーだ、ろ!!」 チェインは力任せに剣でナイフを飛ばした。 「あ、」 「もらったぁああ!!」 チェインは少年に突きを繰り出す。 そして、腕を伸ばしきった時、少年は消えていた。 「あ? どこだ!」 跳んだのか! と言いながら、チェインは上に視線を向ける。 少年の姿は無かった。 すると、背後から風を斬る音。 急いで振り返る。 ナイフが真っ直ぐと飛んできていた。 「やっば・・・・!」 チェインは横へ跳んで、難を逃れると、ナイフの飛んできた方へと剣を向けて。 「後ろからなんて卑怯だぞ、ファント!!」 「卑怯では無いですよ」 背後に囁かれたその声は、どこか冷たかった。 「勝負に――卑怯も何も無いでしょう」 ましてや私は、ファントなんですから。 そして、少年は自分で飛ばしたナイフを獲って、目の前の獲物へと振るった。 「これで、幕を閉じましょう」 そして、金属音が聞こえた。 それは、つまり。 金属と金属がぶつかりあう音。 一つは勿論、少年の持った灰色のナイフ。 そして、もう一つは――何だ? チェインは剣を自分の前に構えていたので、これで防御できないことは一目瞭然だった。 ――なら、もう一つの金属って・・・・? チェインは首だけ振り向いた。 そこで見えたのは、驚いた表情の少年、そして―― 「まったく、世話のかかる男ですね」 群青色に輝く剣を持った、クルーだった。 「なんで、起きちゃってるんだよ?」 少年がクルーに訊いた。 「リビーが再生してくれたんですよ」 「へぇー・・・。けれど、そんな早く直るものなの?」 「殴った人が子供だから、あまり傷は深刻では無かったようですよ」 「あぁ、そっか!! 今度からは気をつけないと」 何故か被害者と加害者で和やかに会話を進めている二人に、チェインは唖然としつつも、己の剣をふるって、少年に牽制を与える。 「うわっ、馬鹿。卑怯だぞ!」 上体を反らして剣を避けた少年に、さっきと言ってること違くねぇか、と思いながらも、チェインは少年と一旦距離をとる。 勿論、隣にはクルーがいた。 ふと、チェインが問う。 「お前、無理はしてねぇよな」 クルーはその言葉に、目をパチクリさせた後、信じられないといった口調で答えた。 「無理はしてませんよ。チェイン、私のことを心配してくれて「ばっ! ち、違ぇよ」 ただ、今後の戦闘に支障が無いか確認を・・・・など、言い訳を並べるチェインにクルーは軽く笑って、 「チェイン、私は嬉しいですよ。貴方が心配してくれて・・・・」 私はチェインの親友になって、とても幸せですよ。 最後は心の中で呟いて、クルーは剣を構える。 「貴方こそ、私の足手まといにならないように」 「はぁ?! んなわけねぇだろ。そもそも、怪我してるお前に「チェイン」 クルーはチェインの言葉を断ち切って、言う。 「助けてくれて、ありがとう」 クルーはそう言って、こちらを眺めて暇そうにしていた――もう不意打ちをするつもりはないらしい――少年に向かって、突きを繰り出す。 その後ろでチェインは、目を見開いていた目を閉じ、ため息をついて、 「俺はお前のそういうとこが嫌いだよ」 呟いて、剣を構える。 刃と刃が交錯し、緊迫感に溢れた空気は充満しているあるお店の中で、少年は叫ぶ。 「ちょっと待て!! 私がいくらファントといえども、こんな子供の姿じゃ貴方達二人も相手できない!!」 「はっ! そんなこと知るか」 残酷にそう継げて、チェインはクルーの横から少年の後ろへと回り込んだ。 ――しっかし、『あの』クルー相手にナイフ一本で対応できるなんて。やっぱ魔力だけじゃなくて体術も並じゃねぇな。 「ま、クルーがナイフ持っていたとしても、クルーが優勢なのは変わらねぇがな」 「ほぉ、チェインも私を褒めることがあるのですね」 「うるせぇ、お前は黙って剣振ってろ」 そうして敵に感心しながらも、その敵に向かって無情に剣を振り下ろした。 いわば少年を挟み撃ち。 チェインの攻撃を避けたらクルーの鮮やかな剣を受けてしまう。 かと言って後ろに下がれば、チェインの致命的な一撃を食らってしまう。 そして、彼は、 「ふふふ。ここが見せ場ですかね」 何故か不敵に笑って、少年はパチンと指を鳴らした。 瞬間。 周りにいた数名のすでに負傷した人間が、チェインの前に立たされた。 「なっ――!」 「まさか、あのマグマのことを忘れたわけじゃ、ありませんよね?」 私はある程度の洗脳が、できる。そして人間もソレの例外では無い。 少年の、赤い眼はそう語った。 そしてチェインの剣の勢いは、止まらない。 無実な人間の脳天に剣が堕ちていく。 このままじゃこのままじゃこのままじゃ―――・・・・ そして、結果的に剣は寸でのところで、停止した。 しかし、犠牲が無かったとは言い切れない。 チェインの剣を素手で、クルーが握って止めていた。 クルーの両手の隙間からポタポタと雫のように垂れるそれは、赤かった。 「っ痛・・・・」 「おま、早く手を離せ!!」 クルーがやんわりと離すのと、クルーの血で赤くなった床に、金色の剣が音をたてて落ちたのは同時だった。チェインは服をちぎって傷に包帯のように巻きつけた。 それを見て、少年は言う。 「なんという・・・・なんという笑劇だ! たかが人間のために剣を握る手を犠牲にするなんて!! そんな傷ではまともに私と戦うことはできませんね!!」 「黙れ餓鬼!!」 チェインは一人、立ち上がって、 「俺はお前じゃないんだよ」 チェインは再度剣を構えなおすと、少年の前へと歩いていく。 「何ですか? まさか、一人で戦うつもりですか? 貴方も見たでしょう、私がクルーと互角に戦った所を! つまり、貴方は勝利の最低限の条件としても、クルーよりも強くなければ私には勝てないんですよ?」 チェインは、すでに少年の前に立っている。 「確かにクルーは俺よりも強いし、お前も俺よりも強いかもしれない。だが、だからといってお前に負ける気がしねぇんだよ。これっぽっちもな」 「ふふふふ、それこそ笑劇ですね。いや、自意識過剰な主人公の悲劇ともとれますね。ふふふ」 手で口を抑えて笑うその姿は、はたから見れば普通の子供だったので、チェインは一瞬己が誰と戦っているのか分からなくなった。 そしてチェインは口を開いて、 「俺とお前じゃ違うことがあるんだよ。それが、俺がお前に勝つ理由だ」 言って、剣の切っ先を少年に向ける。 「すいません。意味が分かりませんね」 手をひらひらと振って、少年は答える。 「ま、そうだろうな。んじゃあ、こっちからいくぞ――「戦う前にいいですか?」 剣を降る直前の格好で止まったチェインは、怪訝そうな顔を作る。 そして、少年は言った。 「二人のお嬢さんと一人の紳士はどこに行きました?」 +++ 二人のお嬢さんは走っていた。 「本当にこっちに走って行ったのですか?」 「そのはずよ!!」 二人はクルーがまだ負傷していない時、店の外で怪しい男を発見したのだ。 身なりは全身黒ずくめに加え、手にはなにやら大きな入れ物を持っていた。 それをリビーが発見して、今のような状況になっているのだった。 「だけど、もしも悪い人だったら、どうしますか?」 「その時は私が羽を剣に変えて戦います!!」 「そんな、無茶はしないでください、リビーさん」 「その台詞、ついでに貴方に返しますよ、えーと・・・・」 そこでリビーは隣で一緒に走る少女の名前を知らないことに気付き、問うた。 「貴方、名前は?」 「そういえば、名乗っていませんでしたね。私はアブソーです」 「アブソー・・・・」 ――どこかで聞いたような・・・・。 「あ」 「ん? どうしまし・・・・」 そこで二人が見たもの。 赤く赤く燃える、炎だった。 +++ 少年が動いた。 チェインが避けるように上体を反らすと、ナイフの刃が頬を掠める。 あの後、やはり実力はファントの方が若干勝っていたが、姿が子供なので決定的で致命的な攻撃をチェインに与えられずにいた。 そのチェインはというと、おもに上半身にかすり傷を負っていた。 その原因は、さきほどのような状況が続いていることを示していた。 つまり。 チェインは避けることもままならないでいたのだ。 「ん? さっきから逃げてばかりじゃない? さっきの威勢はどこにいったのかな?」 「うるせぇ、こっちにも作戦ってものがあるんだよ」 「へぇー、そう」 興味なさげにそう返すと、少年は容赦なく刃を振るう。 「くっ・・・・」 チェインはその高速のナイフ捌きに、ただただ剣で防御することしかできなかった。 刃と刃のぶつかる音が連続して、まるでオルゴールのメロディーのように聞こえる。 少年はその旋律に酔いしれたように、踊るようにナイフを動かした。 そして。 「それっ!」 そんな声と共に、隙のできたチェインの胸に――心臓に向かってナイフを突く。 「こっ・・の・・・・」 チェインは体を横にずらして、かろうじて危機をのりこえた。 腕にかすり傷をのこして。 そこで唐突に、少年が気付いたように言う。 「そうだね。そろそろこの笑劇にも飽きてきたし――」 「今度こそ幕を堕ろそうか」 と。 少年はチェインに向かって床を蹴り、突進する。 「・・・・一騎打ちって訳かよ」 ぼそりと呟き、チェインは少年の攻撃を待つように、その場で剣を構えた。 少年が走りながら叫ぶ。 「喰らえっ!」 手に持っていたナイフを、投擲した。 チェインは慌てて剣を使ってナイフをはじいた。 ――・・・・何で、自ら武器を捨てた? チェインはすでに目前にいる少年の手を見た。 そこには、少年がさきほど人間から拝借したもう一本のナイフが光を反射して、光っていた。 「やばっ・・・・!!」 チェインには剣を振る時間など、無かった。 少年は言う。 「Good bye a brave knight」 赤が、舞った。 +++ 「どどど、どうしましょうアブソー様!!」 「わわわ、分かりません!!」 どもる二人の前には、炎。 まだあまり大きな炎とは言えないとはいえ、それは十分少女達にとって脅威となった。 炎は建物を出るための唯一のルートを、塞いでいた。 故に、脅威。 「じゃあ、さっきの人は、火をつけるために・・・・」 「ということは、あの男もファントに操られていたのね。もう! せっかくアポトニティー様と良い雰囲気だったのに!!」 そう言って悪態をつくリビーに、アブソーは冷静に言う。 「あの・・・・リビーさん。取り敢えず、ここは危険ですし、戻りませんか?」 言った瞬間。炎から火の粉が散って、さらに火の手を広げた。 リビーはそれを見て、改めて状況を確認し、 「そ、そうね。一旦戻りま――」 振り返って、歩こうとした――その先に、いた。 クルーが立っていた。 「クルーさん?」「あ、アポトニティー様?!」 二人の輪唱に、クルーは答えた。 「手を、治療してくれませんか――」 そして、刹那。 クルーは炎を発見する。 +++ 「ちっ、思ったよりも痛ってぇな」 「・・・・ふふふ。本当に勇気ある騎士ですね。貴方は」 どうじに呆れますけどね、と言う少年のナイフは、チェインの体に突き刺さってはいなかった。 ナイフはチェインに片手で握られて、止まっていた。 「クルーのアレを見てな。あれはもしかしたら使えるんじゃないかと思った」 『アレ』とは、勿論クルーが両手を使ってチェインの剣を止めたことである。 「そうですか。なかなか模倣の才能があるようですね」 おどけて言うと、少年はチェインに問う。 「それで、ここからどうするおつもりで?」 チェインはナイフを防御するために、やむなく剣を落としていた。 つまり、武器が無い。 「剣を持っていない騎士【ナイト】は、ただの人ですよ」 少年はさらにナイフを押す力を強める。それに比例し、チェインの顔も歪んでいく。 「はっ! けど俺は人は人でも妖精だ!!」 そして――そして、一瞬の刻が過ぎ。 チェインの手は光った。 少年が気付いた時には、ナイフの刃は、紙になっていた。 「へ、『変化』の力・・・・」 「じゃあな!! 餓鬼はおとなしく寝てろ!!」 チェインは無傷だった片方の手を強く握って拳を作り、それを思いっきり少年の顔面に喰らわせた。 少年の体は後方まで飛び、そのまま倒れて、そして、動かなかった。 それを見て、チェインは安堵のため息を吐き、そして息を吸い、 「痛ってぇえええ!! 今頃痛みがじわじわときたぁああ!!」 手を押さえながら、叫んだのだった。
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大好きな 君に送る 心からの 僕の思い 素直じゃないから さ 遠まわしに 意地悪に 「また一歩 死に近づいたね」 なーんて 言ってしまう 自己嫌悪 陥りそうなる 本当は そう思ってないよ 思ってない 思ってないから もう一回 言い直していい? 深呼吸して 落ち着いて 「お誕生日 おめでとう」 やっと 素直に言えた
https://w.atwiki.jp/shousetsu/pages/479.html
俺たちが、変態だ。 ○お知らせ○ ※お知らせの更新履歴 4/1 色々と項目追加 19d2f0f6_1238914880018.jpg 壊れる日々に射す、優しい光 二年前のアフリカ国際音楽ホール爆発テロ事件。 この事件から苦しくも生還を果たした少年、櫻井雪。 彼はとある夏の雨の日に、一人の少女と出会った。 先天性の病を患う少女、小日向比奈 数奇なる因果に結ばれた二人が出会った時、彼らの中で止まっていた時が、再び動き出す―― ※直接書きなので、色々と粗が目立ちます、随時修正予定。 名前 コメント
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弓道場を後にした星光(シングァン)は、すがすがしい気分と、曇った心を 同時に抱いていた。訓練の後はいつもこんな気分なのだ。自分を待ち受けてい るであろう書類の山を想像するとぞっとする。 自室へ戻ると、案の定机の上には書類が山と積まれていた。しかし、文句を 言うわけにもいかない。帝や月光(ユェグァン)の机にはこの倍をゆうに超え る量が置かれているのだ。 星光が腹をくくって椅子に座ったとき、突然囁く声が聞こえた。『殿下、少 しお時間を頂けますか?』 『彼ら』は用があるときはいつもこうだ。星光は頷いて言った。 「構わん。参れ」書類の山を後回しに出来ることならなんでも大歓迎だ。 星光の背後に、ストン、と何かが着地する音が聞こえた。振り向くと、見慣 れない小柄な男がひざまずいていた。予想を裏切られ、星光はすっと短刀に 手を添えた 「貴様、刺客か?」すると、男は落ち着いた様子で言った。「いいえ。殿下 の盾です」 それを聞いて、星光は首を傾げた。現在星光に仕える盾は二人で、そのどち らもこの者より大柄だ。やはり見覚えは無い。 「貴様、『名』は何だ?」星光が問うと、男は口を開いた。 「蒼豹(ツァンバオ)と申します」 そう言って、顔を覆っていた覆面を外し、星光に顔が見えるようにした。 星光が男だと思っていた相手は、身の丈160を少し超えた程度のやや大柄な女 だった。 星光は、盾の名を聞いて、自分が数日前に、盾の長、金龍(ジンロン)に極 秘に命じ、盾を一人増やしたことを思い出した。盾は女だと聞いていたが、 低い声と覆面のせいで分からなかったのだ。よく考えれば、刺客ならば 紅兎(ホントゥ)と紺鮫(ガンジャオ)がとっくに取り押さえているはずだ。 「そうか。お前が俺の新しい盾か。」星光が言うと、蒼豹は静かに言った。 「は。命を賭してお守り致します。」 それを聞くと、星光はふっと笑って言った。「俺の為に命なぞ賭けるな。 まぁともかく、死なない程度に守ってくれ。」それを聞いて、蒼豹は 少し黙っていたが、結局それには答えず、さっと一礼して言った。 「失礼致します。」 星光が『盾』の方を見たときには、そこにはすでに蒼豹の姿は無かった。 NEXT 7話
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「・・・・・・」 「お、気がついたか?」 俺が目覚めると、声をかけてきた者がいた。 鳳凰 零(ほうおう ぜろ)。本来の名は別にあるらしいが、基本的にこの名を名乗っている、不死鳥の青年である。 「帰っていたのか?」 「『大賢者』に、至急もどれって言われてな」 俺の問いに、零はうなずく。 「しかし、しゃれにならんことになっているようだな。あんたが止められないなら、ほかの連中じゃ手におえんだろう?」 「まあな。一部を実体化させたに過ぎない今の状態では、何度やっても結果は同じだろう」 俺は『王』と呼ばれる、『世界』そのものが力の一部を実体化させた存在である。基本的に『王』は自分の『世界』にしか実体化できないが、俺は長年の研究の末に異世界にも実体化させることができるようになったのだ。ただし、普段は霊体で(他の事情もあって竜の守護例をやっていた)、使える力も極端に制限される。 しかし、実体化が維持できなくなるほどダメージを受けたのは予想外であった。 「それで、奴は?」 「無差別に街を破壊した後、休眠状態に入る、ということを繰り返しているわ。幸いなのは活動時間が一日のうち5,6時間程度であること。戦闘になればまだ早く休眠状態にできる。ただ、休眠状態では一切の攻撃が通用せず、しかも直前に無作為転移するって問題があるけど」 零の問いに答えたのは、竜の母、天界神 ミナであった。 彼女の姿を見たとたん、零は一歩後退した。ミナも零と同じく不死鳥なのだが、零はミナを苦手としているらしい。『一歩後退』は以前から比べるとだいぶましになっている。 「いたんですか?」 「いたわよ」 ミナは一見笑顔だが、目が笑っていない。『一歩後退』は見逃してはもらえないだろう。 「やはり、止められるのはあいつくらいか。死神たちから連絡は?」 それをあえて見なかったことにして、俺はミナに問いかけた。 「死神王も動いているけど、まったく見つからないようね。どこかに閉じ込められていると考えていいわね」 死神たちの役目は魂の回収。今回の一件の要因となった、魔女も例外ではなかったのだが、死神が魂の回収に向かった時にはすでに消えていたらしい。以来、行方不明となっている。 先ほど俺が言ったように、竜の暴走を止められるとすれば彼女くらいだから、その魂が見つからないのはかなり怪しい。 いや、それ以前におかしいことがある。 死神たちを統括する、死神王は、必然的に人(だけではないが)の寿命を知ることとなる。その死神王が言っていたのだ。 「彼女はあの場で死ぬはずではなかった」 と・・・・・・。
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例えば今までの仮定を否定してみる。 今まで「それ」を人間という生命の形をした存在として仮定して考えていた。 今回はそれを否定し、全く別の存在として扱い考える事にする。 つまりは人間としての大きさや、質量を別のものと仮定する。物理法則を全て無視するのは次の機会にするとしよう。 まず最初に「それ」の情報を整理してみよう。 壹、「それ」は一度も視界に入れて見て、確認した事がないので、大きさと形は一切不明である。 貮、「それ」は背中から声を必ず掛けてくる。 參、「それ」は私と会話出来ている。つまりは「ヒト」としての言葉が使える。 肆、「それ」は私より高い声を出しており、性別で言えば女性という仮定が有力である。 伍、「それ」は家から離れても付いてくる事が出来る。 睦、「それ」は移動中の音が一切無い。 漆、「それ」は私の近くに他人がいる時は一切発言をしない。 捌、「それ」は他人も見る事が不可である。 玖、「それ」は夜になると活発に発言してくる。 拾、「それ」は食事をしていない。 こんなところだろうか。 それでは仮定を開始する。 まず「ヒト」である仮定を無くしたことから、いくらでも大きさの仮定を変化出来る。大きさは私の後ろに常駐出来る事から、最大で私の部屋に収まるくらいだろう。高さは三米以内、幅は仮定しにくく、移動も出来る事から最大で一米あれば十分だろうか、最小で言えば須臾以下だろうと考えられる。だが、流石にここまで小さいのは仮定しかねる。何故なら「それ」の言葉は明らかに鼓膜で聞き取っているのだ。テレパシーでも使わない限り、そんな小さいものの音なんて拾う事が出来ないだろう。 次に何故背中からなのかという点。ただ単に姿を見せたくないだけなのだろうか。それ以前に「それ」は背中にどのように移動しているのかという事を考える。もし「それ」が本当に極少の小ささで、背中にひっついているのだろうか。小さいのであれば重さは確かに感じる事も無く、後から声を掛ける事も可能であろう。そして続けて「ヒト」としての言葉が聞こえる点。これはかなり現実離れしているが、宇宙人なのだろうかも知れない。宇宙人なら声を変える技術だってあるだろう。 ……まあ流石にこれは無いとして次だ。 声は女性と決めつけてしまうのもあれだが、確かに高い声で、男性には出せない高さである。もし男性だと仮定するならば、声変わりをしていないか、子供であるとも言える。と、普段は仮定するが、今回は「ヒト」以外である。これも宇宙人……なんて事は言えず、全く見当もつかない。 次に纏めて言ってしまうが、「それ」は私がどこに行こうが、一人きりになってしまえば、話しかけてくる。これは「それ」を私しか確認する事が出来ない為、「それ」が他人から私が変な人に思われないようにと思っての行動なのだろうか? それなら外出時は大人しく留守番でもしてほしいものである。そして移動は家にいる時と同様音が聞こえない。背中にべったり付いているのであれば、浮いていない限り足音が多少聞こえるはずだ。確かに屋外なら他の人の足音などが邪魔をして聞こえないかも知れないが、屋内であれば聞こえるはずなので、これは浮いているのか、先ほど仮定した、背中にひっついているかのどちらかだと仮定する。 次に夜になると活発に声を掛けてくる。まあ私としては夜にテレビを見て一緒に会話する相手というのはいいものだと思うのだが、これも疑問でもある。朝よりは夜の方が頻繁に声を掛けてくる回数が増えるというのも、何か訳があるのか、それとも私に声を掛けるには何か条件でもあるのだろうか? 最後に食事ついて、「それ」は食事を一切取らずに存在を確立している。生命というのは何かしら糧がないと存在を維持出来ないものである。それを考えれば「それ」は食事以外の何かで糧を作っているのかも知れない。 「ふぅ」 私は一口分残っていたコーヒーを口に含み飲み干し、片付ける為に立ちあがる。 「ねぇ」 今回も「それ」は何も発てずに声だけを掛けてくる。 「何?」 私はキッチンでコップに付いたコーヒーの後をスポンジで擦り落としながら答える。 「楽しい?」 ある意味難しい質問をして来る。 「普通」 いつものようにあしらう。 「私との会話は?」 「楽しいわよ」
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人々が行き交う、名もない無法地帯の街。 活発な町並みの裏には、住む所を失った人間が犯罪を繰り返す汚れた世界が広がっている。 住宅街にある一軒家の前に、二人の少年少女が行き着いた。 そして一人の少年がうなだれながら呟く。 「・・・きちまった・・・。」 そう、彼は食欲に負けたのだ。 半ば強引に連れてこられ、最終的には自分から付いていく形になってしまったのだ。 「どーぞ?入って。」 そう言うと、少女は家の扉を開け少年を案内する。 「・・・座って。」 テーブルと椅子がある部屋へと案内された少年は、少女の言う通り木製の椅子に腰掛けた。 辺りを見渡せば、広い部屋に数枚の写真が飾られている。 「・・・お前、親は?」 幸せそうに写る三人の家族の写真を見て、少年が少女に問いかける。 「・・・殺されたわ。あなたが持ってる・・・疑心刀を狙う奴らにね。」 「・・・疑心刀?」 少年が少女に再び問いかける。 「・・・知らないの?」 持っていた荷物から食料を取り出し、少年が腰に携えている刀を指差した。 「・・・あなたが持ってる刀の事よ。それがどんな刀か・・・知らないで使ってたの?」 「・・・。」 疑心刀。 今まで刀の名前に興味を持たなかった少年にとって、初めて聞く名前だった。 「・・・見た所、かなり強い『憎しみ』が入ってるみたいだけど・・・。」 今はもう錆びれた刀を見て、少女が言う。 「知ってる・・・?疑心刀って、人間の強い感情が刀に入り込んだものなのよ?」 「・・・人間の感情?」 「うん、強い感情がそのまま刀に宿るの。・・・その人の命と引き換えにね・・・。」 「・・・!」 突然、少年が何かを確信したかのように自分の腰にある疑心刀を手に取った。 「・・・そう・・・か・・・。」 悲しい表情で、疑心刀を見つめる少年。 そして次第に、その表情が憎しみの表情に変わっていく。 「・・・どうしたの?」 「・・・十年前・・・。」 「・・・え?」 突然、口を開く少年に、少女が少し戸惑う。 「・・・十年前・・・、俺は親に捨てられた。・・・二歳上の姉と共に。」
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年明けたからって 何かが変わるわけではない ただ挨拶して 餅食って おせち食っているだけ 何がそんなに そこまでめでたいのだろう 去年が何事もなく 終わったから? 身内が死んだところも あるじゃないか 新しい出会いが 自分たちを待ってるから? 過去に縋り付くやつも いるじゃないか 別に 過去を忘れて 「初めまして」と 言うわけでもなし ただ 時間が一定の周期を回った たったそれだけの ことなのに なんでそんなに めでたいのだろう なにがそんなに めでたいのだろう
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広大なこの地上で 僕らは何処へ行けるのか 広すぎて広すぎて 行ける範囲が少なくて それに虚無感を覚えて 大きすぎて大きすぎて 行けるところが多すぎて それに迷いを覚えて いつしかくるくる回って くるくる過去の二の舞を 犯.すのか間違えるのか わからないわからないわからない 思考回路と行動は こうして静かにショートを起こす