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イストモスのひたすら広い草原をバックパッカーが歩いていると、 向こうのほうから草を揺らして緑色のノッペラとした小人達がステップ踏み踏みやってきた。 目鼻のない彼らはバックパッカーのことに気づかないのか、どうもこのままぶつかってしまいそうに思えた。 しかもその小人達ときたらお手々を繋いで横一列となって、どうやら東の地平線の向こうから西の地平線の向こうまで。 バックパッカーは避けるにも避けれず、ならば飛び越えようかとも決意しかけたが、 ひとまずとりあえず挨拶を交わしてみることにしたのであった。 「こんにちは」 『こん』『やぁ』『にちは』『奇遇』『何か用か』『な』『だね』『誰?』 緑色の小人たちは一斉にと言えなくもない程度には同時に喋り始め、 リレーのようにというにはやや乱雑に次々に言葉を放ち、 意思を共有してるようでしないようで、 バックパッカーはとりあえず言葉尻にかろうじて捕らえた〈誰?〉に答えることにした。 「ぼくは、日本から来たバックパッカーだ。……バックパッカーとはたぶん旅人のことだ」 バックパッカーは実のところバックパッカーとは何かがよくわかっていなかった。 そのために翻訳加護の曖昧な混乱があるような気がして、補足を付け足したのだった。 『なるほ』『ど』『ぼくたちも』『バック?』『旅するものだ』『旅人です』 『俺は』『北から』『北より』『草原を』『これはご丁寧』『はじめまして』 ざわざわと草原を波打たせて答える彼らは、北から来た旅人たちだ。 いったいこんな大勢でどこへいくんだろうか? そのようなことを口にしたから、彼らは答えた。 『わたしは』『あれは』『生まれた』『来た』『草原で』『競った』『走るよ』 『イストモスの草原で』『草を舐め』『ケンタウロスと』『騎士と』『駆けた』 『どどどど』『足音は砂を』『どどどど』『ぼくは孕んだ』『ひそやかに大地に口づけた』 『砂が舞った』『われわれは』『土の子を孕んだのだ』 『南へ行こう』『あたしは』『山を駆け上る』『雪の冠を』『なんだっけ?』『煙を見た』 『南へ行く』『クルス』『炉だ』『この子を』『ベルクの山脈を』『産み落とす』『土の精の産声を』 『山を少し高くしに行こう』『炉と交わる』『ほてったよ』『山脈高く』『かなづちの音』『火とおどる』 『どうくつの』『また孕んだ』『奥深く』『土の精を吹き込み』『炎を孕みました』 『南へ行こう』『ぼくは』『砂漠』『冷たく乾いた俺たちは』『すなばかり』 『南へ行く』『熱い炎の精を孕んでいる』『ラ・ムールだ』『産み落とす』『焼くのだ』 『干物を』『猫のひげをさわり』『魚を』『乾かす』『ぼくたちはまた土を孕む』 『また南へ行こう』『何がある?』『海だ』『かこまれた』『明日に』 『海に潜る』『南へ行く』『魚人達の』『産めない』『わたしたちは』『魚の体を通る』 『生みたい』『溺れている』『また孕んで』『しまったのだ!』『パンパンだ』 『水の子を孕んだ』『ぼくたちは』『双子がおなかの中に』『いる』 『また南へ行こう』『緑』『自分の』『森を見る』『木々を』『大きな』 『雨を』『産む』『二つ子を産む』『雨を』『わたしは』『樹人を』『なめる』 『双子は森を育てる』『風だけになる』『花を咲かせた樹人を』『いだき』『木々を』『孕ませる』 『軽くなって』『花の粉』『はらまずはらませる』『南へ過ぎゆく』『わたしたちの子だ』 『また南へ行こう』『海だ』『広い海だ』『拙者は』『何も持たず』『ふくらんで』 『俺は処女になった』『海流に』『若くなった』『弄ばれる』『運ばれる』『ミズハ?』 『肉を分け与えてしまう』『さかなたちの』『おさかなひとの』『体を通りぬける』 『海の流れはくるくる』『すぐに戻る』『そして孕んだ』『水の子を孕んだ』『南へ』 『また南へ行こう』『大地に』『延に』『登り』『われわれは』『産む』 『水を産み落とす』『ここが宿ね』『稲を撫で』『もこもこ』『雨を降らす』『けむくじゃら』 『山を越え』『麦をゆらそう』『ひとやすみ』『終着点』『しかし』 『私は』『僕は』『旅立つ』『ゆこう』『行かねばならぬ』『南へ』 『南だ』『南だ』『南だ』『南だ』『南だ』『南だ』 『果てにたどり着く』『終わりの南だ』『ふかくへ』『南の奥深く』 『おちるわ』『落ちねばならぬ』『はらませる』『ほんとうのみなみ』『旅の終わり』 そんなことをしっちゃかめっちゃかに言うものだから、バックパッカーは混乱するしかなかった。 とりあえず、妊婦がいるようなことを言っていたので、丁重に扱うべきかと思った。 「お母さんになる人がいるんですね」 『そう』『そうだよ』『産みに行く』『南へ行こう』 『さらば』『さようなら』『また会う日まで』 そういって彼らはまた足を進める。バックパッカーを通り抜けてすり抜けて。 強い風が吹いてバックパッカーは目を閉じ、彼らを見失った。 雲がすこし、南へと動いた気がした。 風の精の一団か。季節風みたいなものだろうか? -- (名無しさん) 2013-07-04 20 24 47 雲の精霊さんかな?面白い表現だし雰囲気いいね -- (名無しさん) 2013-07-05 00 26 29 身上をユーモラスに伝える伝言ゲームか、その土地に伝わる伝承の歌なのか、ともすれば今日明日明後日の天気予報にも受け取れる不思議な小人の言葉。 不思議と出会える異世界の旅はやはり面白い -- (名無しさん) 2013-07-05 04 33 41 この不可思議な雰囲気にふとハピカトルを思い出した。旅の終わり頃にまた出会いそう -- (としあき) 2013-07-05 22 40 25 どれもが誕生へつながる自然のパースが深い。もしくは翻訳加護により分かるからこその深読みなのか。本当は何も特別ではない自然の循環なのかも -- (名無しさん) 2014-08-15 03 14 40 広い草原が雪に埋まることがあるのだろうかイストモス。もし雪の中で窮地に陥っても耳をすませば精霊や星の助言が聞こえてくるのだろうか -- (名無しさん) 2014-11-26 18 24 42 異世界の自然の中で遭遇する不思議な出来事というどこか神秘めいた雰囲気いい -- (名無しさん) 2017-03-18 07 11 22 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/frontmission3/pages/1294.html
名称 価格 重量 容量 追加出力 備考 BX090 600 50 8 - BPT9MAX 800 30 - 90
https://w.atwiki.jp/frontmission3/pages/1102.html
名称 価格 重量 容量 追加出力 備考 BX002 140 10 4 - BPT3A 200 10 - 30
https://w.atwiki.jp/frontmission3/pages/1349.html
名称 価格 重量 容量 追加出力 備考 BX090 600 50 8 - BPT9MAX 800 30 - 90
https://w.atwiki.jp/frontmission3/pages/1139.html
名称 価格 重量 容量 追加出力 備考 6式背包 300 30 6 - 5式力組装 200 10 - 30
https://w.atwiki.jp/motodic/pages/279.html
デイパック(day pack(英語)) 英語の横文字一般化の波により、リュックサックという呼び方を駆逐しつつある言葉。 語源にならうと、日帰りの荷物を入れる程度の大きさのものを限定して呼ぶ。 同義語 「リュックサック」「バックパック」 2007年04月30日
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技名 NITT/バックパッカー 演技者 NITT/バックパッカー 説明 天中殺~小皿~天中殺~大皿~天中殺~中皿~天中殺 備考 天中殺のやり方はタグをたどってください。 タグ すくい 天中殺 玉つきさし コメント 名前
https://w.atwiki.jp/edf6/pages/113.html
●概要 起動すると射撃を開始。自分の近くにいる敵を狙う。射程内に敵がいなくても、常に攻撃を行う。 リロード時間が長いので使いどころは注意が必要。 自身に追従してくれるセントリーガンといった感じで、生身で移動しながらの戦いでも頼もしい護衛となってくれる。逆に定点に配置することはできず、自身が離れた状況で味方の援護をさせたり、安全な位置から敵を攻撃するといった用途には向かない。 ビークルに搭乗しても追いかけてくれるが、飛行速度は遅め。 ソロプレイでは関係ない話だが、使用者が倒れるとカプセルも消滅してリロードに入る。ギリギリの状況で使用開始して、せめて少しでも仲間の援護に…、という理由での使用には不適格。ちなみにレンジャーのセントリーガンやダイバーのスーパーウェポンは使用者が倒れても撃ち尽くすまでちゃんと機能する。 ピックアップ + 警護・カプセル S3W 警護・カプセル S3W ハード帯の装備ながら警護カプセルでは最も瞬間火力にすぐれている。 距離減衰や射程に難はあるものの警護カプセル全体でその傾向が強いためそこまで気にならない。マシンガンタイプに比べて稼働時間に劣るため敵の足止めには向かない。硬めの地上戦力を短時間で排除するための火力補助として有用である。 LV27以下(EASY,NORMAL使用可) / LV52以下(HARD使用可) / LV77以下(HDST使用可) / LV99以下(INF使用可) / LV100超(DLCミッション使用可) / 検証結果 LV 名称 弾数 連射速度(発/sec) ダメージ リロード[自動](sec) 射程(m) 弾速(m/sec) 精度 配備数 追従タイプ 射撃方法 稼働時間(sec) 備考 マシンガン搭載 0 警護・カプセル A 218(★7) 4.6(★5) 17.0~8.5(★8) 44.1(★8) 90.6(★8) 135.9(★8) B+ 1 相対 近くの敵を狙う 47.0 初期装備マシンガン搭載 4 警護・カプセル R 273(★7) 6.0(★5) 26.0~13.0(★8) 44.1(★8) 90.6(★8) 135.9(★8) B+ 1 相対 近くの敵を狙う 45.0 高性能マシンガン搭載 10 警護・カプセル A2W 273(★7) 4.6(★5) 26.0~13.0(★8) 44.1(★8) 90.6(★8) 135.9(★8) B+ 2 相対 近くの敵を狙う 59.0 マシンガン搭載 20 警護・カプセル R2 546(★7) 12.0(★5) 34.0~17.0(★8) 44.1(★8) 113.2(★8) 169.9(★8) B+ 1 相対 近くの敵を狙う 45.0 高性能マシンガン搭載 35 警護・カプセル G 437(★7) 4.6(★5) 113.2~56.6(★8) 44.1(★8) 113.2(★8) 169.9(★8) B+ 1 相対 近くの敵を狙う 95.0 大口径弾搭載 58 警護・カプセル A3 437(★7) 10.0(★5) 113.2~56.6(★8) 44.1(★8) 135.9(★8) 203.8(★8) B+ 1 相対 近くの敵を狙う 43.0 マシンガン搭載 85 警護・カプセル A4W 873(★7) 15.0(★5) 51.0~25.5(★8) 44.1(★8) 181.2(★8) 271.8(★8) B+ 2 相対 近くの敵を狙う 58.0 マシンガン搭載 115 マスター警護・カプセル A5W 873(★7) 15.0(★5) 122.3~61.2(★8) 44.1(★8) 181.2(★8) 271.8(★8) B+ 2 相対 近くの敵を狙う 58.0 DLC2マシンガン搭載 ショットガン搭載 1 警護・カプセル S 44(★7) 2.0(★5) (22.6~5.7)×8(★7+) 44.1(★8) 90.6(★8) 135.9(★8) B- 1 相対 近くの敵を狙う 22.0 ショットガン搭載 29 警護・カプセル S2 44(★7) 2.0(★5) 101.9~25.5×10(★7+) 44.1(★8) 113.2(★8) 169.9(★8) B- 1 相対 近くの敵を狙う 22.0 ショットガン搭載 52 警護・カプセル S3W 44(★7) 2.0(★5) (101.9~25.5)×11(★7+) 44.1(★8) 135.9(★8) 203.8(★8) B- 2 相対 近くの敵を狙う 22.0 ショットガン搭載 火炎放射器搭載 6 警護・カプセル FW 1310(★7) 30.0 6.8(★8) 58.8(★8) 23.8(★8) 47.6(★8) B+ 2 相対 近くの敵を狙う 43.0 火炎放射器搭載 65 警護・カプセル F2W 1310(★7) 30.0 54.4(★8) 58.8(★8) 34.0(★8) 67.9(★8) B+ 2 相対 近くの敵を狙う 43.0 火炎放射器搭載
https://w.atwiki.jp/nitendo/pages/2942.html
ブラックパックン とは、マリオシリーズのキャラクター。 プロフィール 作品別 元ネタ推測 関連キャラクター コメント プロフィール ブラックパックン 他言語 Muncher (英語) 種族 【パックンフラワー】 初登場 【スーパーマリオブラザーズ3】 【プチパックン】の亜種のようなキャラクター。茶色系、青色系、黒色の3色が確認されているが、どの色でも「ブラックパックン」という名称である。 その場を動く事は無いが耐久力が異常に高い。 作品別 【スーパーマリオブラザーズ3】 空の国・氷の国・土管の国に登場。基本は黒色だが、地下エリアでは背景が黒で見づらくなるため、名前に反して6-9の地下では暗い茶色系、7-パックン1とパックン2の地下では暗い青色系である。 基本的には無敵の障害物であり、倒す方法は存在せずに触れるとダメージを受ける。クリボーの靴を履いている時は上に乗れる。 W6-10では凍っている個体もいる。ファイアボールを当てると動き出して攻撃判定が付く。 スイッチブロックを踏むとコインに変わるのでそのコインを取る事で消せる。 実は内部的には壊せないブロックという扱いになっており、しっぽマリオで横からしっぽ攻撃をするとブロックに変わる。 【スーパーマリオワールド】 その名の通りに黒色のみ登場。倒せない。 【ヨッシー】なら上を歩く事が可能。但し、横から触れるとプレイヤーキャラが直接ダメージを受ける。 また、コースによっては【インディー】の上に乗ってここを進む場面もある。 + 解析情報 本作では敵扱いなので、灰色のスイッチブロックを踏むとコイツもコインに変化するが、コイツと灰色Pスイッチが一緒に出てくるコースは無い。 【スーパーマリオコレクション】 名前に反してなぜか空の国と土管の国では全て茶色系、氷の国では全て青色系になっており、黒色の個体が存在しない。 【スーパーマリオアドバンス4】 【スーパーマリオコレクション】までと異なり、しっぽを当ててもブロックにならなくなった。 【New スーパーマリオブラザーズ Wii】 9-7に登場。氷の中に閉じ込められている。もちろんファイアボールを当てると復活するので注意。 なお、アイスボールで再凍結させる事はできない。 + 解析情報 ヨッシーに乗ってコイツの上を進もうとするとヨッシーが逃げてしまう。勿論コイツとヨッシーが一緒に出てくるコースは無い。 【New スーパーマリオブラザーズ U】 フローズンだいち-1やロックさんみゃく-6に登場。特徴は前作までと同じ。倒せない。 【New スーパールイージ U】? ドングリへいげん-城、フローズンだいち-2、マシュマロうんかい-2に登場。勿論倒す方法は無い。 【スーパーマリオメーカー】? 全スキンに対応。汎用性が高い。 今回はある程度は敵扱いになっており、POWブロックや【トゲゾー】の甲羅で頭突きすることで倒せる。 代わりにPスイッチで変化しなくなった。 敵の配置数に含まれるので、スーパーマリオブラザーズ3の7-7のようなコースを作ろうと大量に配置しようとすると敵の配置数上限ですぐ配置できなくなってしまう。単純な固定のダメージ障害物として配置するつもりならトゲブロックの利用の検討したい。 強制スクロールやブラックパックン同士、他のブロック挟まれると圧死するし、無敵等で通り抜けることもできないので、地形としても扱われるようだ。そのため、敵をブラックパックンで挟めば敵も倒せる。【クッパ】すら倒せる。 土管に入れた場合、【パックンフラワー】と同様に出たり入ったりを繰り返す動きになる。 振ると画面に【ハエ】が出現し、そのハエをタッチする事でハエたたきを遊べる。 【スーパーマリオメーカー 2】? 前作と同じだがハエは出さなくなった。 【スーパーマリオ ラン】? ワールドツアーではW3-3、W4-3、Wスター-6に登場。無敵状態やヨッシーなら上に乗れる。 【スーパーマリオブラザーズ ワンダー】 本作でも、POWブロックで倒すことができる。 元ネタ推測 Black+パックンフラワー 関連キャラクター 【パックンフラワー】 【プチパックン】 コメント 名前 全てのコメントを見る?
https://w.atwiki.jp/isekaikouryu/pages/127.html
見よ。この空と海の青さを。この清清しさを。 あの青い空を遮るものは何一つない。雲ひとつさえ。 そして同じく海もただただ青い。陸も船も欠片すら見えないんだ。 バックパッカーの上下四方、水平線の遠くまで海と天だけがどこまでも広がっている。 あまりの果てしなさに途方にくれるばかり。 つまり、まさに、漂流中であった。 ただ大海に一人バックパッカーは孤独であった、というわけでもない。 笑いがこめられた意思の波動がけたたましく響き渡っていた。 『あはははっ!まぬけ!まぬけね! こんなまぬけを見たのは初めてよ!あはははっ!』 「うっせーうっせー。 望みどおり漂流するまでの顛末を話したんだ。 黙ってさっさと陸地まで運べってんだよ」 『言われなくても!ついさっきから全速全開絶好調よ! とばしまくりだわ!』 バックパッカーは波に乗って海上を進んでいた。かなりのスピードで、進み続けていた。 もちろん超絶泳法でも何でもない。 そこの喧しい水の精霊の魔法がためである。 「いや、伝えたかったのはそこじゃなくて、 黙って のとこなんだがなぁ…… ま、いいや。あと陸までどんくらいなんだ?」 『うーん。あー。えー。そうだわ!そうね!結構遠いわよ!』 「見りゃ分かる。 あと何分で、何時間で着くかって」 『聞きたいの!?』 「そりゃもちろん」 『いいわ!教えてあげる!そうね!一月だわ!』 しばしの沈黙。 バックパッカーは恐る恐る口を開いた。 「…一月?」 『一月よ!』 「ああ…明日は星月ってことか」 『キラキラと今日も良い天気だわ!夏の日差しが気持ち良いわね! ちなみにここら辺では星月は冬よ!』 まったくもって精霊の言うとおりである。 現在は夏真っ盛り。 天も海も風も全身全霊で夏を主張し、バックパッカーの期待をぶち壊す。 「……もしかして大ピンチ?」 『わたしね!今まで結構な数の漂流者を助けてきたわ! 大ベテラン!これこそわたしのライフーワーク!最大の趣味ね!』 「おお、頼もしいな!」 『その経験からいって!十中八九死んじゃうわね! 無念なり!あははははっ!』 無慈悲な現実に一瞬言葉を失うバックパッカー。 何か反論でもしたいが、何も出てこない。 苦し紛れに適当に、叫び声をあげた。 「……ぎゃー」 『あははっ!なにその気の抜けた声! 逆にいえば一人二人は生き残るんだから元気出しなさいよ!』 「うっせー。なんかこう気を紛らわしたかったんだよ。 ま、そうだな…。 腑抜けじゃ助かるもんも助からねえ。 こんな海のど真ん中で腐ってなんかいちゃ、笑われちまうぜ!」 『そう!そうよ!その意気だわ!精神に勢いを!あはははっ! 腐ってなんかいちゃだめよ!だめなんだから! ん? 腐って ? ああっ!そうだった! 腐って で思い出したわ!』 「ん? 何をだ? 良い響きはしないかんじだが…」 『ねえっ!もしも、もしも死んじゃったら!死体はどうしようか! わたしね!死霊貴族にお友達がいるの! よかったらスラヴィアに連れてってあげるわよ!』 「せっかくだが、やめてくれ。 アンデッドなんかになっちまったら、死んでも死に切れない。」 『えーー。えーーー! けちんぼ!いいじゃない!わたしに助けさせてよ! 死にたいなら!わたしが助けてから死ねばいいじゃない! ちょっとくらいなら! アンデッドになってもいいとは思わないの!?』 「思わん。思わん。 そんなのアンデッドが生まれただけじゃねえか。俺とは関係ねえよ」 『精神は連続するわ!ついでに肉体も! パーツになっちゃうわけじゃないのよ!わたしが保障してあげる!』 「違けえよ!んなこと心配してるんじゃねえ。 なりたくねえんだ。 死なないなんて、気持ち悪いだろ」 『むむっ…! もしかして、わたしに喧嘩売ってる…!?』 「あ? ああ、違う、すまん。違うんだ。 精霊やアンデッドが気に食わないって言ってるわけじゃねえ。 ただの信条だ。悪いな」 『むー。こんなにわたしが助けたいって言ってるのにーー!』 「だから俺はそれじゃ助からないんだ」 『本当に?』 「ああ、助からない」 『はあ…。じゃあ仕方ないか…!』 「すまんな」 『いいよっ!よし!こうなったら頑張って生還させるしかないか!』 「おうさ!俺も死力を尽くそう!」 『生還するには一つの壁があるわ!なんのことだか分かる!?』 「食料!食料が必要だ! そうだな。魚でもとれればいいのか!」 『違うわ!でも惜しい!魚ってことはあってるわよ! 下を見てみて!』 いわれた通りに下を見る。とたんに怖気が走る。 そこには巨大な影が。大魚が。大口を開けて。 ぎょろりとした眼には。熱が。欲望が。食欲が存分に塗り込められていて。 「……いつからだ?」 『ずっと前からよ!わたしが必死に!気合を!入れて!速度をあげていたのは! こいつのせいよ!』 「マジか」 『マジよ!』 「近づいてきてね?」 『ええ!あの巨体ですっごい速いの!理不尽ね!』 「ふふっ、ふっはっはっはっ、笑うしかないなぁ……」 『あはははっ、そうね!どうすることもできないわね!』 「『あははははははっ!』」 バクン!ゴックン! 一人のバックパッカーと水の精霊は大魚に飲み込まれてしまった! 精霊はともかく、人間の生存は絶望的であろう!残念無念極まりないことである! 【中編】 一月と言われた後からのパッカーと精霊との問答にも似たやりとりにお互いの死生観をぶつけ合う激しさを感じました。でもここまでいい具合に引っ張ってきてゴックンで終るのは諸行無常ですね -- (名無しさん) 2013-03-18 20 34 21 このお話はけっこう好きだな俺。水精霊の性格も面白い。続きはちょっぴり蛇足感。 -- (名無しさん) 2013-03-18 20 57 05 名前 コメント すべてのコメントを見る