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※某ラノベネタ 「ゆっゆっゆー♪ ゆっくりしていってねー♪」 ここは幻想郷にある森の中。そこをひとつの生首がご機嫌に歌を歌い ながら堂々と闊歩していた。 いや、生首ではない。その頭部には首に当たる部分がなく、また人間 の頭と比べて異様に下膨れが激しく、目と口は通常の規格より2倍か ら5倍ほど大きく、さらに鼻と耳に至っては存在すらしなかった。そ れは人の頭に似た生きた饅頭、ゆっくりであった。 頭に赤いリボンをつけて顔の両脇にもみあげのようなものをくっつけ たその饅頭、れいむが散歩を続けていると、視線の先になにやら黒く て尖ったものを見つけた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってねだぜ!」 れいむが挨拶をすると、その黒く尖ったもの……もとい、黒く尖った ものを被ったゆっくり、まりさもれいむに向かってそう言った。その まりさは少しくすんだ金髪とやや釣りあがった目元、頬にうっすら残 るばってん傷が精悍さを醸し出している、なかなかの美ゆっくりであ った。 「れいむはこのもりのれいむだよ! まりさはどこのゆっくり?」 れいむは見かけた事のないまりさを見て、好奇心からそう尋ねる。 まりさはびしっと姿勢を正して、真面目な顔で大きく声を上げた。 「まりさは『たいてろごくひよーへいそしきゆすりる』にしょぞくす るまりさぐんそーなんだぜ! さー!」 そして直立不動のまま口をへの字に閉ざす。 そのまま2,3秒ほどが経ってから。 「ゆ! これはひみつだったんだぜ。わすれてほしいんだぜ」 と、まりさは思い出したようにそう言った。 「そう……」 れいむは思った。 このまりさあたまがゆっくりしすぎちゃったこなんだな、と。 第一話(最終話) ゆっくりできないろーんうるふ れいむは思っていた。このまりさは、あたまがずっとゆっくりしすぎ ちゃったこなんだな……あたまがずっとゆっくりしすぎちゃったこな んだなこのまりさは、と。 と、その時背後からむっきゅむっきゅと誰かが向かってくる足音が聞 こえてきた。れいむはくるりと振り向くと、見知った顔のゆっくりが こちらに向かって跳ねてきていた。 「れいむー!」 「ゆ! ぱちゅりー! ゆっくりしていっ」 「れいむさがってるんだぜ!」 その時、れいむの横を何か素早い物が通り過ぎ、次の瞬間にはその何 かの体がぱちゅりーの横っ腹に深々と突き刺さっていた。 「ゆがはっ?!」 「お、おあぢゅりーーー?!」 たちまち生クリームを吐いて倒れ伏し、ぱちゅりーはそのまま動かな くなる。れいむはぱちゅりーに駆け寄りその遺体に縋りついて涙を流 した。 「どぼじでごんなごどずるのー?!」 そして、ぱちゅりーに身体に突き刺さったそれ……あたまがゆっくり しすぎちゃったまりさをきっと睨みつける。 まりさは全く物怖じせず、先程とまったく変わらない仏頂面をしてい た。 「こいつはれいむをねらったひっとまんなんだぜ。したしいゆうじん のふりをしてれいむにちかづきくちのなかのはものでぐさっとひとつ きするつもりなんだぜ。ふしぜんにふくらんだからだがそのしょうこ なんだぜ」 「なにいっでるのーーー?! おあぢゅりーはただふどっでるだげな んだよーーーーー?!」 れいむが叫ぶと、まりさの眉がぴくっと動いた。そして慎重に……ま るでぱちゅりーがまた動き出さないか疑っているように……ぱちゅり ーに近寄ると、膨れた頬の部分をぷにぷにとつつく。 そして額に冷や汗を浮かべながら、 「……どうやらそのようなんだぜ」 と言った。 「だいじょうぶ。うんがよければたすかるんだぜ」 「いみもなぐごんなめにあっだおあぢゅりーがうんがいいわげないで じょーーー?!」 「いわれてみればそうなんだぜ」 「ゆげぷっえれえれえれ……」 「ゆ゛ぁー! おあぢゅりーーーーーー!!」 ぱちゅりーが口から残り僅かな生クリームを吐き出し続ける。れいむ は大声で泣きながら背中にすーりすーりを続けるのだった。 結果的にそれがぱちゅりーへの負担になり、ぱちゅりーは10分後に 息を引き取った。 群れ中のゆっくりが広場に集まり、ぱちゅりーの死を悼んでいた。 そんな湿った空気の中、最後尾の辺りに参列していた一匹のまりさが 口を開いた。 「かなしいじこだったんだぜ」 「「「「「おまえがいうなーーーーー!!」」」」」 ぱちゅりーと親しかった多くのゆっくりが、まりさに飛びかかった。 次の日、れいむは頬をぷくーっと膨らませながらぽよんぽよんと跳ね 回っていた。そして、そのれいむの背後を草むらがガサガサとついて 回っていた。 れいむはぴたりと立ち止まると……草むらもその場で足を止めて…… 振り返って大きな口を開いた。 「ついてこないでね! ゆっくりごろしのまりさとはゆっくりしたく ないよ!」 すると、草むらが真ん中から二つに割れ、中から黒いとんがり帽子が 姿を現した。ぱちゅりーを殺したあのまりさである。 「まりさはれいむをまもるにんむがあるんだぜ」 「そんなのしらないよ! どっかいってね!」 つっけんどんな態度をとるれいむに、まりさはちょっぴり困ったよう に表情を歪める。 「おにぇーちゃーん!」 と、そこへ甲高い声が響いた。まりさは瞬時にれいむの前に躍り出る。 「てきなのかだぜ!」 「れいむのいもーとだよ! てをだしたらゆるさないよ!」 れいむは殺意を露に妹れいむに飛びかかろうとするまりさの前に慌て て立ち塞がった。勢いを殺されたまりさはれいむにぶつかる直前で止 まり、落ちつかなそうな表情を浮かべる。 そんな事をしている隙に妹れいむは二人のすぐ近くまで歩み寄ってき てしまっていた。 「あのね、りぇーむむこうでにんげんしゃんのおかしをひろったの! おにぇーちゃんにもわけてあげようとおもってもってきちゃんだよ!」 そう言いながら、にっこりと笑う妹れいむ。れいむはその妹の心の優 しさと心の美しさに感動する。 「ゆぅーーー! れいむのいもうとはすごくやさしいよーーー!! ゆっくりしてるねーーー!!」 「れいむ、だまされちゃいけないんだぜ。あまいことばにはうらがあ るものだぜ。こんきょのないぜんいほどあやしくおそろしいものは」 れいむは振り返った。 「だまってね」 「ゆぅ……」 有無を言わさぬれいむの迫力に、まりさは額に冷や汗を浮かべて押し 黙る。妹れいむはそんな二人のやりとりにも気付かず、もみあげで髪 の毛の間をまさぐっていた。 「ごーしょごーしょ、これだよ! ゆっくりたべてね!」 そして妹れいむが真っ赤でまん丸でつるつるな玉を取り出した。その ゆっくりできそうな形にれいむは涎をだらだらと垂らす。 「ゆ! すごくゆっくりできそ」 「あぶないんだぜ!」 と、その隙にれいむの脇から飛び出したまりさが、妹れいむの取り出 したお菓子を体当たりで吹き飛ばす。高く高く、青く広い空を舞って ……やがてぐしゃりと音を立てて木っ端微塵になり、赤い粉末を地面 に撒いた。 そこまで見送って、ようやく突然の凶行に呆然としていたれいむと妹 れいむの感情が表情に追いついた。 「ゆ゛ぁー! でいぶのいもーどがもっでぎでぐれだおがじがー?!」 「なにしゅるn」 「ゆはぁっ!」 まりさは更に抗議をしようとする妹れいむの顔面に回しあんよを叩き 込んだ。 「ゆぎゅるぷっ」 めこりと異音が響き、一箇所に集中された衝撃が妹れいむの顔面を陥 没させる。妹れいむは吹き飛ばず、その場にがくりと崩れ落ちる。 「で、でいぶのいもうどがーーーーー?!」 れいむは泣きながら、妹れいむを蹴り倒したまりさへの叱責も忘れて 瀕死の妹に駆け寄る。 「ゆっぐ、ゆっぐり、ゆっぐりーーー! ゆっぐりじでーーーー!!」 顔が梅干しみたいな形に陥没してしまった妹れいむの傍で必死に声を 上げるれいむ。その声が届いたのか、妹れいむは僅かに身体を震わす と、 「もっちょ、ゆっきゅちちちゃかっ」 「とどめなんだぜ!」 まりさの踏み付けにより、ぺっちゃんこになって息絶えた。 「ゆ゛ぁーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」 叫び、まりさを突き飛ばすれいむ。先程までまりさが、そのちょっと 前まで妹れいむがいた場所には黒い餡子だまりがあるだけだった。 れいむは泣きながらまりさにきっと視線を向ける。 「どぼじでごんなごどずるのーーーーー?!」 「おちつくんだぜれいむ。このおかしはどくいりなんだぜ。たべたゆ っくりがずっとゆっくりしたのをみたことがあるんだぜ。かぞくにに せたゆっくりにどくをもたせてたべさせようとするひれつなてなんだ ぜ」 「ごのごはまぢがいなぐでいぶのいもーどだよーーー?! がぞぐの おがざりをまぢがえるわげないでじょーーー?!」 いいながら、嫌悪感を我慢して死んだ妹の飾りを舌で掬い取りまりさ に突きつける。 まりさは額に冷や汗を浮かべ、やや困ったような顔でこう言った。 「ゆぅ、なににつられたのかしらないけどかぞくをころそうとするな んてすさんだよのなかなんだぜ」 群れ中のゆっくりが広場に集まり、妹れいむの死を悼んでいた。 そんな湿った空気の中、最後尾の辺りに参列していた一匹のまりさが 口を開いた。 「こんなかなしいじけんはにどとおこしちゃならないんだぜ」 「「「「「おまえがいうなーーー!!」」」」」 れいむ一家と親しかった多くのゆっくり達が、まりさに飛びかかった。 次の日の朝。 あのまりさの備考を振り切り、れいむは久々にひとりでゆっくりを満 喫していた。 「まったく、あのまりさはちっともゆっくりできないゆっくりだよ! ぷんぷん!」 最も、まりさのせいで気分良くとはいかなかったが。 と、その時近くの茂みがガサゴソと音を立てた。れいむはまたまりさ か、と身をこわばらせる。 そして茂みを掻き分け、黒い影が勢いよく躍り出た。 「んほぉーーー!!」 そこから現れたのは、気色悪い体液を撒き散らしながら奇声を発する ゆっくりありすの姿だった。 れいむは突然現れたそれに驚き、叫んだ。 「ゆ! ありす! ひさしぶり! ゆっくりしていってね!」 「んほぉーーー!!」 仲睦まじく挨拶を交わすれいむとありす。 この二匹はこの群れで生まれた幼馴染みで、大人の事情で群れから出 ていったありすとは実に数ヶ月ぶりの再会になるのだった。 ……ちなみに、れいむ以外のゆっくりに言わせると、ありすは何を言 ってるかわからないのでゆっくりできないのだというが、れいむは自 然とありすの言葉を理解できた。 「んほぉーー!」 「ゆ? れいむにようじ? なんなの? ゆっくりはなしてね?」 「んほぉ! んほぉーーー!!」 「ゆ? まりさ? やめたほうがいいよ! まりさはゆっくりできな いゆっくりだよ!」 「んほぉーーーーー!!」 「ゆっ?! ちがうよ?! れいむはまりさのことなんかなんともお もってないよ?! ゆぅ、わかったよ。でもずっとゆっくりしちゃっ てもばけてでないでね?」 「んっほぉーーーーー!!」 傍から見れば何を言っているかわからない会話。 しかし何らかの交渉は成立したようだった。 空が割れなかった。 まりさは必死に走り回っていた。護衛対象であるれいむがいなくなっ てしまったからだ。れいむが投げつけてきた松ぼっくりを爆弾だと間 違って解体作業をしてる間に見失ってしまった自分の愚かさを呪いな がら。 まさかもう死んでしまったのでは……そう思っていると、背後で何か ががさりと動いた。 「まりさ!」 「ゆっ! れいむ! どこにいってたんだz」 聞こえてきたれいむの声に、まりさは喋りながら振り向き―― そして、れいむの傍らで三日月のように歪んだ目と口でまりさを見つ めてくる、異形の怪物の姿を目撃した。 まりさは全身が総毛立つような悪寒を覚えながら口を開く。 「ばけもの! れいむからはなれるんだぜ!」 「ゆんっ!」 と、れいむがいつのまにか口に咥えていたハリセンでまりさの頭を引 っぱたく。 まりさはやや怒ったような顔のれいむを見ながら言う。 「いたいんだぜ」 「れいむのおともだちにしつれいなこといわないでね! ありすはば けものじゃなくてありすだよ!」 「んほぉーーー!」 ありすはよろしくねとばかりに叫び、舌をにょろにょろと突き出して くる。なんだか怖いのでまりさは無視した。 そしてれいむがハリセンを何処かに仕舞いながらまりさに告げた。 「ありすはまりさのことがすきなんだよ! ありすとつきあってあげ てね!」 「なん……だと……」 「んほぉーーーーー!!」 突然にして衝撃の告白にまりさがフリーズしている隙に、ありすがま りさの背後から襲い掛かった。れいむは超展開に頬を赤くして顔を背 ける。 「ゆぅ、ありすせっきょくてきすぎるよ!」 「んほっんほぉ! んほぉーーーーーーー!!」 「ゆぎゃーーー!!」 一方でまりさは今までの人生でかつてないほどの窮地に追い込まれて いた。異形のバケモノに全身をまさぐられるという想像を絶する状況。 兵士として鍛え抜かれたまりさの心をも一瞬の間揺るがした。 「ゆんっ!」 「ん゛っ?! ん゛っぼぉーーー! ずっぎりーーー!!!」 が、それは一瞬の事。まりさは一瞬の機転を利かせ、正常位で犯され そうになる所を逆に騎乗位で下から突き上げる形にしたのだ。 「あ゛りずがーーーーーー!!」 頭から茎を生やし、見る見るうちに黒くなっていく級友の遺骸を前に れいむが泣き叫ぶ。 れいむはありすの遺体を蹴倒してずりずりと這い出ると、額の脂汗を 三つ編みで拭いながらこう言った。 「すっきりなんてちびれみりゃをころすよりかんたんなんだぜ」 次の日の朝。 「なにするんだぜれいむ」 そう言うまりさの体は上下逆さにひっくり返された上で幾重もの蔓に 縛り付けられ、身動きが取れなくなっていた。れいむはそのまりさを 怒気満面で見下ろしている。 「れいむのともだちのありすをころすようなわるいまりさはこうやっ てしばりつけとくんだよ!」 「あれはふかこうりょくだっておさもいってたんだぜ。『まえまでの はともかくあれはしかたないね!』って。わすれたのかだぜ」 「うるさいよ! とにかくまりさはそこではんせいしててね!」 言って、ぺっぺと唾まで吐きつける。さしものまりさも嫌そうな表情 を浮かべ、 そして突然血相を変えて―― 「れいむ! ふせるんだぜ!」 「ゆ?」 まりさが叫んだ時にはもう手遅れだった。れいむが勢いよく引っ張ら れるような感覚と、その一瞬後の異様な浮遊感を覚えると同時にそれ は高々と声を上げた。 「フゥハハハー! 我々はこだわりのある虐待家の集い! このれい むは我々のカキタレとなるのだぁー!!」 「どぼいうごどなのーーー?!」 そいつは、妙な白衣を着た、胸毛が濃くて体臭がキツくて、女にはフ られてばかりのどうしようもないクソ野郎みたいな風体の……端的に 言えば、ブ男だった。。 透明な壁に四方を囲まれる閉塞感に包まれながら、れいむは透明な箱 の中で嗚咽とともに叫んだ。 こだわりのある虐待家の集い……略してコダ虐の男はそれを完全にシ カトしながられいむの入った箱をブンブンと振り回す。 「今まで友達のぱちゅりーを脅して殺させようとしたり妹を殺してそ の飾りをつけさせたゆっくりと入れ替えて毒入りお菓子を食わせよう としてまた失敗し、邪魔なまりさを排除しようと適当なありすを発情 させて解き放ったがあっさり返り討ちにあいどうにもこうにもならな かったが私が直接出向く事によって以外とあっさりれいむを捕らえる 事ができたのだーーー!!」 「ほんどうのごどだっだのぉーーーーーーーーーー?!」 不自然なまでの説明口調で明かされた真実にれいむは驚愕する。まり さの妄言だと思っていたものが全て真実だったのだ。それと同時に、 そのような恐ろしい事を実行した目の前のコダ虐に対する恐怖とが押 しよせて来る。 「いまたすけるんだぜれいむ!」 「ば、ばりざ……」 恐怖で押し潰されそうなれいむを救ったのは、まりさの声だった。あ んなに酷い事を言ったのに、それでも助けてくれようとしている。れ いむは涙に濡れた瞳で蔦に絡まるまりさを見つめた。 そしてまりさは、その身をぶるぶると震わせ、そして 「……うごけないんだぜ」 と、いやによく通る声で呟いた。 場がしんと静まり返る。非情に悔しそうな表情を浮かべるまりさが言 った。 「はりがねいっぽんあればぬけだせるんだけどだぜ」 呟くまりさに背を向けてコダ虐はれいむの入った箱を抱えたまますた すたと足を進める。 逆さのまま額に冷や汗を浮かべてゆぅと唸るまりさに向かって、れい むは力いっぱい叫んだ。 「ばりざのやぐだだずーーーーー!!」 ばりざはいつもの仏頂面で答えた。 「まりさはやくたたずじゃないんだぜ。すぺしゃりすとなんだぜ」 この後、れいむはコダ虐のカキタレとなって3年後に死んだ。 おしまい 挿絵:儚いあき
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『まりさはゆっくりできない』 22KB 虐待 制裁 自業自得 群れ ドスまりさ テンプレまりさいじめ 「ゆっくちちていっちぇにぇ!」 「「ゆっくりしていってね!」」 とある森の中にあるゆっくりの群れ。 そこでまりさは誕生した。 自分が元気良く挨拶すると両親も元気に挨拶を返してくれた。 まりさはゆっくりした両親の元に生まれてきた事をとても喜んだ。 親は両方まりさ種であった。 というかこの群れ全てがまりさ種しかいなかった。 その理由を両親はゆっくりの中で一番強く優しく素敵なまりさだけがゆっくり出来るからと教えてくれた。 その他にも両親は色々な事を教えてくれた。 まりさはそれらの知識や経験を全て吸収しすくすくと育っていった。 やがてまりさも成体へと成長し自立する時がやってきた。 まりさはもっと色々な世界を見て歩き自分の群れを持ちたい事を両親に告げた。 だが季節は秋から冬に変わろうとしている。 両親は春になってから旅立ったほうがいいと言ったがまりさはすぐに旅立つつもりだった。 最強のまりさなら冬なんかへっちゃらだと。 両親も我が子の力強い言葉に感動しまりさの意思を尊重する事にした。 群れを治めるドスも「ドスにまけないむれをつくってね!」と激励してくれた。 まりさは嬉しかった。 自分はなんて幸せなゆっくりなんだろうと。 優しい両親、頼もしいドス、そして大切な群れの仲間。 こんなゆっくりした仲間にめぐり逢えた事をまりさは心の底から感謝した。 こうしてまりさは皆に見送られながら輝かしい第一歩を踏み出したのである。 「ここね、ゲスまりさの群れってのは」 だがその第一歩は地獄の幕開けでもあった。 「ゆ?」 突如やってきた胴付きゆうか、その手には一匹のまりさを掴んでいた。 「ド、ドス……たすけて……」 掴まれたまりさは全身傷だらけで今にも永遠にゆっくりしそうなほど弱っていた。 それを見たドスは驚くと同時にゆうかを睨みつけ叫んだ。 「おまえ!そのまりさになにをしたぁぁぁぁぁ!!」 「何って、見ての通り、ゲスなまりさを制裁したのよ」 ドスの大声にも全く怯まず涼しい顔のままゆうかは説明を始めた。 ゆうかは人間から畑の一部を提供してもらいそこで野菜を育てて生活していた。 人間との関係も良好で野菜作りの合間に人間達に可愛がってもらいとてもゆっくりしていた。 だがそんな時、一匹のまりさがゆうかの畑にやってきて野菜を盗もうとした。 当然未遂に終わったがまりさは意味不明な事を叫び続けゆうかの話を聞こうとしなかった。 まりさが叫び続けたのは「おやさいをひとりじめするゆうかはゆっくりできないのぜ!」だった。 いくら説明しても聞く耳持たないまりさを拷問しドスの群れの場所を吐かせたのだ。 「単独で行動してるような感じじゃなかったしね、どうせどっかの群れの一員だと思って連れて来てもらったの」 「ななな……」 「で、群れの長としてドスはどう責任を取ってくれるのかしら?」 「ふざけるなぁぁぁぁぁ!!そのまりさはなにもわるくないだろうがぁぁぁぁぁ!!」 ドスはゆうかの説明を聞いて怒鳴った。 「おやさいをひとりじめしてるおまえがどうみてもわるいだろぉぉぉ!それをぎゃくぎれしてなにさまのつもりだぁぁ!」 「やっぱりそういうと思ったわ」 ゆうかは半ば予想していたようでドスの言葉にも驚かなかった。 「そればかりか、たいせつななかまをそんなめにあわすなんてぇぇぇ!かくごはできてるんだろうなぁぁぁ!!」 「はいはい、とっくに出来てるわよ、こんな風にね」 「ぶべぇ!!」 ゆうかは用済みとなったまりさを踏み潰した。 「!?」 「無様に生き恥を晒しているまりさを一思いに永遠にゆっくりさせてあげたわ、ゆっくり感謝してね!」 まりさを念入りに踏み潰しながらニッコリ微笑みかけるゆうか。 それがドスの怒りを爆発させた。 「このゲスゆうかがぁぁぁ!!いますぐしねぇぇぇぇぇ!!」 ドスは長いチャージの後、ドススパークを放った。 「はいはい、ワンパターン乙」 ゆうかはなんと片手でドススパークを防いだ。 手から煙が上がっていたがゆうかは特に気にせず手をパンパン叩いて煙を散らす。 これに驚いたのはドスだ。 自分の最大の必殺技が効かなかったのだから当然か。 「どぼじできかないのぉぉぉぉ!?」 「いつまでもそんな子供だましが通用すると思わないことね、所詮まりさ種の技などたかが知れてるし」 「そんなことないぃぃぃ!!ドスのわざはさいきょうなんだぁぁぁぁぁ!!」 「あっそ、私には関係ないけど」 その直後、ゆうかが消えた。 「ゆ?」 ドスが姿の消えたゆうかを探すがすぐ見つかった。 何故なら自分の目の前にそのゆうかが立っていたからだ。 「いつのまに……」 そう呟くドスだがその直後、凄まじい衝撃を顔面に受けた。 ゆうかがドスをぶん殴ったのだ。 「ぶげぇ!!!」 吹っ飛ぶドス。 その体が大木に叩きつけられ今まで味わったことの無い激痛に泣き叫ぼうとした時だった。 「ぶげ!ぶげげげげげげげぎゃごががががあああぁぁぁぁぁ!!!」 ゆうかの無数の連打でサンドバックにされ泣き叫ぶ暇も与えられないドス。 「ほらほら、どうしたの?少しは抵抗してほしいものね!まあクズのまりさ種じゃこの程度が限界でしょうけど!」 ドスの体は痣だらけになり以前のような凛々しく威厳に満ちた面影はどこにも無い。 ただのデカイ饅頭と化したドスはただ痛みに悶え続けた。 そしてそんな無抵抗のドスに飽きたゆうかは攻撃を止める。 「弱すぎてつまんないわ、そんなんでよく群れの長なんてしてられたわね」 「あ……が……」 既に瀕死のドス。 別にこのゆうかが特別強いわけではない。 胴付きのゆうかは野良作業で足腰が鍛えられておりこれくらいは朝飯前なのだ。 ドススパークも通常のゆっくりに対しては効果があるが人間に通用するかというと疑問が残る。 人間を殺せる威力というのはただの都市伝説、そもそも饅頭であるゆっくりにそんな事ができるはずがない。 ぶっちゃげチャージにかなりの時間を要するので技としては全く使えないのだが。 結局全てはゆっくりの思い込みでしかないのだ。 「それじゃ弱くて身の程知らずのゲスに本格的な制裁を加えようかしら」 「ゆぐぅ!?」 本格的!? ドスは恐怖した。 これから地獄以上の苦しみを味わう事を想像するとそれだけでうんうんとしーしーが漏れてしまう。 「相変わらずすぐ漏らすのね、まあゲスまりさじゃしょうがないか」 ゆうかはポケットから唐辛子を取り出してそれをドスのまむまむにぶち込んだ。 「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!いだいぃぃぃぃ!!ドズのまむまむがぁぁぁぁ!!!」 「どうかしら?まむまむで味わう唐辛子の味は?ゆっくり味わっていってね!」 ドSの顔をしたゆうかがドスの無様な姿を見て笑っている。 「ふふっ、唐辛子はまだまだいっぱいあるからたっぷり味わってね!」 ゆうかはドスのあにゃる、口など様々な穴に唐辛子をねじ込んでドスの醜態を観察していた。 そしてそんな様子を見て硬直していた群れはというと…… 「まりさはにげるのぜぇぇぇぇ!!」 「こわいよぉぉぉぉ!!」 「ドスがまけたのぜぇぇぇぇ!このむれはもうだめなのぜぇぇぇ!!」 「すたこらさっさなのぜぇぇぇぇ!!」 最強のドスがやられて戦意が喪失したのか一斉に逃げ出す群れのまりさ。 しかし…… 「ヒャッハー!ゲスは逃がさないよ!」 「俺達がたっぷり可愛がってあげるよ!」 「可愛がるといってもあまあまをあげたり美ゆっくりを用意したりするんじゃないぞ?痛めつけるという事だ!」 「説明せんでもいい!いや、餡子脳じゃ説明しないと勘違いするかもね!」 突如現れた人間達。 そう、ゆうかは一人でやってきたわけではない。 群れを壊滅させるために人間に協力を頼んだのだ。 可愛いゆうかの頼みを断れるはずもない人間は様々な虐待道具を持ってついてきたのだ。 群れを完全に包囲していた人間達はまりさ達がパニックになったと同時に一斉に現れ逃げ惑うまりさを虐待し始めた。 「すぐには殺さないから安心してね!大好きなまりさはたっぷり可愛がってあげるね!」 「やめてぇぇぇ!!ぎゃくたいはゆっくりできないぃぃぃぃ!!」 「はなすのぜぇぇぇぇ!!まりさをはなすのぜぇぇぇぇ!!」 「やめろぉぉぉ!!ばでぃざのずでぎなおぼうじぃぃぃぃ!!」 「すべてをみとおすまりさのせんりがんがぁぁぁぁ!!」 「な、なんなのぜ……これは……」 輝かしい第一歩を踏み出した冒頭のまりさが地獄の中で呟いていた。 あんなにゆっくりしていた群れが何故こうなったのか。 「そ、そんなことよりみんなをたすけるのぜ!」 「だめだよ!」 「まりさはいますぐにげてね!」 仲間を助けるべく動き出そうとしたまりさを止めたのは両親だった。 「まりさだけにげるなんていやなのぜ!まりさもたたかうのぜ!」 「さっきやくそくしたでしょ!?じぶんのむれをもってゆっくりするって!」 「そうだよ!みんなのねがいをむだにしないでね!」 「で、でもまりさは!」 「まりさはみんなのきぼうなんだよ!まりさにはみんなのぶんまでゆっくりしてほしいんだよ!」 「だから、いまはたえてね!」 「ここにひみつのぬけあながあるよ!ここをとおればにんげんにもみつからずにげられるよ!」 「おとうさん、おかあさん!」 「まりさ、できることならまりさのおちびちゃんをみてみたかったよ」 「さようなら、まりさ、ゆっくりしていってね!」 両親は最後の挨拶をまりさにすると秘密の抜け穴にまりさを突き落とした。 「これでこころのこりはないよ、あとは……」 「お前らを虐待するだけだーーーー!!」 「ゆゆぅぅ!?にんげん!?」 「やべでぇぇぇぇ!!つやつやのかわをはがさないでぇぇぇ!!」 「なかみのあんこさんをとらないでぇぇぇぇ!!」 「大丈夫!すぐには殺さないからね!」 「た~っぷり時間をかけてゆっくり殺してあげるから安心してね!」 「「ごろじでぇぇぇ!!もうごろじでぇぇぇ!!」」 まりさは両親の絶叫を聞きながら抜け穴をコロコロ転がっていった。 「ふぅ、これで終わりね」 ゆうかは全身から餡子を噴出して絶命しているドスの前でゆっくりしていた。 ドスの顔はこれ以上ないくらい歪んでいた。 最後の最後までゆっくり出来なかった事が見て取れる。 「ゆうか、こっちも終わったぞ」 「ありがとう、おにいさん!おかげでゲスを始末できたわ」 「こっちこそ思う存分虐待できたし気にしないでいいよ」 「そういえば一匹のまりさが逃げたみたいだが追うか?」 「別にいいわ、だって……」 ゆうかの言わんとすることを理解した人間達はニヤリと笑った。 「だな、この森でまりさ種が一匹で生き残れるはずないな」 「ええ、この場で死んでたほうが幸せだったと後悔する事になるでしょうね」 ゆうかもまた人間達と同じ笑みを浮かべていた。 「ゆぅ……」 まりさは意識を取り戻した。 どうやら気絶していたようだ。 「みんな……」 みんなの安否が気になる、だが後ろを振り返る事はしない。 だって自分は両親と約束したから。 「まりさはみんなのぶんまでゆっくりするのぜ!それがまりさのけついなのぜ!」 決意を新たにするまりさ。 「まずはすてきなおうちをみつけることからはじめるのぜ!」 まずは住居を確保しなければ。 だがまりさには不安は無かった。 何故なら両親やドスから色々な事を学んだしゆっくりの中で最強のまりさに出来ない事など無いと思ったからだ。 だがまりさはすぐ厳しい現実を突きつけられる。 「ここはれいむのゆっくりプレイスだよ!でていってね!」 「ぱちぇのおうちにかってにはいってこないで!」 「ありすのとかいはなおうちからでていきなさい!」 「かってにおうちせんげんしないでね!ゆっくりできないんだねー、わかるよー!」 「ゆっくりしてないまりさはさっさときえるみょん!」 ゆっくり出来そうなおうちを見つけてもそこには既にゆっくりが住んでいた。 そして例外なくまりさは追い出される。 「ゆふん!ゆっくりしてないやつばかりだぜ!やっぱりまりさいがいはまるでだめなのぜ!」 ぷんぷんと怒りをあらわにするまりさ、勝手におうちに入った事に対する反省は無いようだ。 「クズゆっくりのあいてをしてつかれたのぜ!まずはたべものさがすのぜ!」 住居よりも食事を優先する事にしたまりさ。 「ゆ?さっそくはっけんなのぜ!やっぱりまりさはかりのめいじんなのぜ!」 目の前に野いちごが生えているではないか。 滅多に食べられないあまあまに飛びつくまりさ。 「あまあまはっけん!さっそくもってかえるんだねー!わかるよー!」 「ゆゆぅ!?」 突然草むらから出てきたちぇんが野いちごを咥えるとそのまま元気良く跳ねていった。 「ま、まつのぜ!それはまりさのものなのぜ!」 まりさは必死にちぇんを追いかけるがちぇんの速度に付いていけずやがて見失ってしまった。 「どぼじでしゅんそくをほこるまりさのあんよでおいつけないのぜぇぇぇぇ!?」 カモシカのように美しく鍛えられたあんよの前では誰もそのスピードに付いていけないと思い込んでいた。 それなのに何故ちぇんに追いつけなかったのか? まりさは必死に考えていた。 「きっとまりさのあんよのちょうしがわるかっただけだぜ!ちぇんはうんがいいのぜ!ありがたくおもうのぜ!」 惨めな言い訳をして自分を納得させたまりさだったが全速力で跳ねた事で余計お腹が減ってしまった。 「ゆぐぅ、でもかりのめいじんのまりさならすぐにあまあまをみつけられるのぜ!」 だが現実は厳しい、そう何度もあまあまを見つけられるわけが無い。 「おかしいのぜ、ぜんぜんあまあまがみつからないのぜ、まりさはかりのめいじんなのに!」 その後も必死で探したがあまあまを見つける事は出来なかった。 「ゆっぐ、しかたないのぜ、くささんでがまんするのぜ……」 空腹で我慢の限界に達したまりさはその辺に生えていた草にかぶりついた。 「むーしゃ、むーしゃ、ふしあわせー」 当然草程度では幸せなど感じる事はない。 「ゆぅ、どうしてあまあまがないのぜ、おとうさんとかりをしてたときはすぐみつかったのに……」 以前暮らしていた群れのあった場所は比較的食べ物が豊富だっただけだ。 当然そんな場所があちこちにある訳もない。 それに冬が迫ってきている影響でほとんどの食料は越冬用に狩りつくされてる。 少し考えれば分かる事だがまりさは自分に都合の悪い事は考えない餡子脳なので無駄だった。 「ゆぅ、そろそろくらくなるのぜ、はやくおうちをみつけないとゆっくりできないのぜ」 夜はれみりゃなどの捕食種がうろつく時間だ。 いかにまりさが最強だとしてもれみりゃには苦戦するだろう。 無用な戦いは避けたい、まりさはそう思った。 「しかたないのぜ、べつのむれにすこしのあいだ、いれてもらうのぜ」 自分より劣る他種のゆっくりの群れに入るのはプライドが傷つくが贅沢は言っていられない。 そう思い、近くの群れへと向かうまりさだったが…… 「ゆべ!」 「さっさとでていってね!」 「まりさはゆっくりできないよ!」 いきなり群れから追い出された。 「なにをするんだぜ!まりさはただちょっとのあいだむれにいれてもらおうと!」 「うるさいよ!ゆっくりできないまりさはいるだけでふこうをよびよせるんだよ!」 「やくびょうがみはさっさときえてね!」 「な、なにをいってるんだぜ!?」 「いいからでていけ!!」 「ゆべ!」 複数のゆっくりに体当たりされ転がるまりさ。 いかにまりさが最強だとしても複数を相手にするには分が悪い。 悔しいがここは一度退くしかなかった。 「ゆぐぐぐ!なんなのぜ!あのむれは!ぜんぜんゆっくりしてないのぜ!」 だが別の群れでも同じ対応だった。 「なんでなのぜ!?まりさがなにをしたというのぜ!ひどすぎるのぜ!」 怒り心頭のまりさ、そんなまりさだが懲りもせず三つ目の群れへとやってきた。 そこはぱちゅりーが長を務める群れだった。 「はぁ、まりさがなんのようなの?」 ぱちゅりーはまりさの姿を確認しただけでため息を漏らす。 そのゆっくりしてない言動にまりさは腹が立ったが話を始める。 「まりさをむれにいれてほしいのぜ」 「いや」 即答だった。 「なんでなのぜ!りゆうをいうのぜ!」 「まりさがゆっくりしてないからよ」 「まりさはゆっくりしてるのぜ!」 「そうおもってるのはまりさだけよ」 何だコイツらは。 何故ここまでまりさを嫌うのか? まりさはその事を訪ねた。 するとぱちゅりーはこう言った。 「あなた、ドスのむれのまりさでしょ?」 「そうだぜ!それがどうしたのぜ?」 「あのむれはにんげんさんにせいさいされてぜんめつしたはずでしょ?」 「なんでそんなことをしってるのぜ!?」 「それくらいのじょうほうはすぐつたわってくるわ、で?あなたは?」 「まりさはさいごのいきのこりなのぜ!ゲスなにんげんとゆうかにみんなころされたのぜ!」 「ゲスはまりさのほうでしょ?」 「ゆぅ!?なにをいいだすのぜ!?」 「どうせにんげんさんのおやさいをぬすんでそのせいさいをうけたんでしょ?ちがう?」 「ちがうのぜ!あれはゆうかとにんげんがおやさいをひとりじめしてたのをなかまがちゅういしただけなのぜ!」 「ほら、やっぱり!ゲスはまりさのほうじゃない」 「まりさのどこがゲスなのぜぇぇぇぇ!?いいかげんにするのぜぇぇぇぇ!!」 「もうおやさいをひとりじめしてたってことでいいわ、とにかくあなたたちはにんげんさんをおこらせた、そうでしょ?」 「あれはただのぎゃくぎれなのぜ!まりさたちはわるくないのぜ!」 「はぁ……やっぱりまりさとはなしてるとすごくつかれるわ、そうやってじぶんのあやまちをみとめないところがいやなの」 「まりさたちはまちがってないのぜ!まりさたちがせいぎなのぜ!ぜったいなのぜ」 「……」 ぱちゅりーは呆れていた。 まりさのあまりに自分勝手な言い分に。 ゆっくりは基本的に自分勝手だがまりさは特に酷い。 それがよく分かった。 「いい?まりさ、よくききなさい」 ぱちゅりーは無駄だと知りつつもまりさに伝えた。 どうしてまりさが皆から嫌われてしまったのかを。 かつてのドスの群れがそうだったようにまりさは自分達こそが選ばれたゆっくりだと思っていた。 狩りが上手く喧嘩も強くかけっこも負け知らず。 もちろんそれは思い込みだったがまりさにはそれは真実だった。 そして自分達以外のゆっくりはゆっくりしてない劣悪種だとバカにした。 ある時、狩りの途中で会った他のゆっくりから「ゆっくりしていってね!」と挨拶されてもまりさ達は答えなかった。 劣悪種にする返事など自分達には無いとばかりに。 傍から見ればゆっくりしていってね!と返事すらしないまりさのほうが劣悪種なのだが。 無視だけならまだしも時にはあからさまにバカにするような言葉を吐く事もあった。 一匹で行動していたゆっくりを大勢で囲み劣悪種と罵りながら苛めた事もある。 理不尽な苛めを咎めるためドスの群れまで抗議しに行ったゆっくりも居たが一匹も帰ってこなかった。 お前達がゆっくりしてないのが悪いと逆に言いがかりを付けられ全てドスに殺されたのだ。 そんな事を繰り返したまりさは完全に他種から嫌われ無視されるようになった。 これがまりさがこの森のゆっくりから嫌われている理由である。 実はぱちゅりーの群れにもまりさは居た。 だが全員あのドスの群れに行ってしまった。 返事を返してもらえなかったのはこいつらがゆっくりしてないから。 劣悪種だから苛められても文句は言えない。 ゆっくりしてない奴と一緒に居てもゆっくり出来ない。 そう言い残して。 あまりに身勝手なまりさ種に皆嫌気がさしていた。 そんな時にやってきたのがこのまりさである。 ぱちゅりーは自分達の素直な気持ちをまりさに伝えた。 もう来るな、自分達に関わるな、姿もみたくないと。 それを聞いたまりさは…… 「ゆふん、つまりゆっくりしてるまりさにしっとしてるだけってことなのぜ?みぐるしいのぜ」 まりさは呆れ果てた顔でぱちゅりーを見下した。 「さいきょうのまりさにしっとするのもしかたないけど、だからってこんないやがらせはゆっくりできないのぜ」 ぱちゅりーは無言のまま、まりさの言葉を聞いている。 「まあもともとおまえたちはゆっくりしてないからこんなことしかできないのぜ?ゆひゃひゃひゃ!!」 「……」 「あー、もういいのぜ!こんなうんうんにもおとるゲスゆっくりのむれなんかまりさからおことわりなのぜ!」 「……」 「それじゃまりさはもういくのぜ!おまえらはまりさのうんうんでもくってろなのぜ!」 まりさは最後にぱちゅりーに向かって尻を突き出し排泄をした。 もりゅん!と盛大にあにゃるから排出され、ぱちゅりーの目の前に落ちるうんうん。 それを見届けたぱちゅりーは 「やれ」 冷静に、そして静かな怒りを込めた低くドス黒い声を響き渡らせた。 「ゆ?」 異変を察知したまりさだったがその姿はすぐに無数のゆっくりによって見えなくなった。 なにやら悲鳴が聞こえるが些細な事だ。 こうしてまりさは自ら地獄の底へと飛び込んだのである。 あれから数日が経った。 「こんにちは、まりさ、ゆっくりしてる?」 「ゆっ……」 死んでいるのか生きているのか分からない表情のまりさに声を掛けるぱちゅりー。 その顔は満面の笑みだった。 「ゆっくり……できない……」 「あら、そう?わたしはゆっくりしてるわ」 「どぼじで……」 「ん?」 「どぼじで……ごんなごど……」 「ここまでされてもまだりかいしてないのね、まあそれがまりさだしね、でももうどうでもいいわ」 「ゆ……」 「あなたがわたしたちのかんがえをりかいしないのとおなじようにわたしたちもあなたをりかいしようとおもわない」 「……」 「あなたたちまりさはゲス、それがわたしたちのこたえでありしんじつよ」 「ちが……」 「ちがわない、だってまりさはゲスだもの」 まりさはあの時、集団暴行を受け瀕死の重傷を負ったがぱちゅりーの判断で生かし続けることにした。 このどうしようもないゲスを簡単に殺してなどやるものか。 命尽きるまで延々と絶望を味合わせてやる。 ゲスまりさにはそれが相応しい。 まりさの傷が回復した頃、ぱちゅりーはまりさに一つの賭けを提示した。 それはまりさが群れのゆっくりと一対一で戦って勝てたら見逃してやるというものだ。 まりさはそれを喜んで受け入れた。 最強のまりさ様が一対一で負けるはずがない。 だが結果はまりさの惨敗だった。 ちぇん、みょん、ありす、にとり、てんこ、ゆうかなど様々なゆっくりと戦ったが全てに負けてしまった。 この群れにはれいむは居ないのでもしかしたられいむになら勝てたかもしれない。 こんなはずはない、まりさが負けるはずない。 見苦しい言い訳を繰り返すまりさにぱちゅりーは自分と戦って勝ったらそれで許すと言った。 まりさは今度こそ勝利を確信した。 病弱なぱちゅりーに負けるはずが無いと。 だが結果は惨敗だった。 「むれのおさたるもの、つよくなければやってはいけない、とうぜんよ」 このぱちゅりーは強かった、病弱という言葉とは無縁なほどに。 群れの皆を引っ張っていくにはそれなりの力が必要。 当然だ、病弱ですぐ死んでしまうような奴に長の責任が果たせるはずがない。 そんな事も分からないまりさはぱちゅりーにボコボコにされて再び瀕死になった。 このまりさが特別弱いわけではない。 かつてのドスの群れの中では中の上くらいの実力だった。 それなのに何故この群れのゆっくりには勝てなかったのか? 単純にまりさ種の力がその程度だという事だ。 病弱なぱちゅりーや特徴の無いれいむには勝てるだろうがその程度の実力しかない。 万が一他のゆっくりに勝てたとしてもそれは卑劣な手段を用いての勝利だ。 当然そのような手が毎回通用するはずも無い。 「それじゃまりさにはわすれられないおもいでをつくってあげるわね」 それ以降のまりさにはまさに忘れられない地獄の連続であった。 代わる代わるすっきりーの相手をさせられ茎が実った直後にそれをへし折られ口の中へ放り込まれる。 自分のおちびちゃんを食わされる絶望にまりさは毎日のように涙を流した。 やがてまりさのまむまむは使い物にならないほどガバガバになった。 まりさは父親になる事を望んでいたので犯された事が相当ショックだったのかそれ以降だぜ口調ではなくなった。 心と体に大きな傷を負ったまりさだが今度はあにゃるを蹂躙された。 あにゃるもガバガバになるとまりさのカモシカのようなしゅんそくのあんよを木の枝でズタズタにされ二度と動けなくなった。 自慢のあんよまで破壊されてむせび泣くまりさのガバガバのまむまむとあにゃるに無数の木の枝を突っ込まれた。 木の枝で自分の大切な器官を傷つけられまりさは絶えず激痛に苦しむことになった。 そしてついにまりさのお帽子を破かれおさげも引き抜かれた。 まりさの目の前にボロボロの帽子を置きその中に引き抜いたおさげと共に群れのゆっくりのうんうんを大量に流し込まれた。 ついでにまりさの金髪にも大量のうんうんとしーしーでコーディネートしてあげた。 自分の大切なお飾りをうんうんまみれにされてまりさは悲痛な声で泣き叫ぶ。 そしてまりさはその状態で今日まで放置された。 餓死しないように定期的にうんうんを食わせてはいたが。 よほど長時間うんうんが入っていたのだろう。 真っ黒で素敵だった帽子は不気味な色に変色してしまっている。 綺麗な金髪もうんうんと多大なストレスによって茶色に変色して悪臭を放っている。 もし金髪と帽子からうんうんを全て取り除いてもこの悪臭と色は落ちることはないだろう。 これならいっそ捨てられたほうがマシである。 ゆっくり出来ない帽子を見てるだけでまりさの心は悲しみでいっぱいだった。 「ころ……して……まり……さ……を……」 ついにまりさは死を懇願するようになった。 無論ぱちゅりーにその願いを聞いてやる義理も義務もない。 それにこれは群れ全員で決めた事だ。 仮にぱちゅりーがその願いを聞き入れても群れの皆が承諾しない限りこの地獄は終わらない。 だからぱちゅりーは決定的な一言を告げると去っていった。 「いや」 簡潔だが分かりやすい拒絶の言葉を聞いてまりさはただ声を殺してすすり泣く。 どこで間違えたのだろう、まりさには分からない、自分はいつだって正しかったはずだ。 でもこれだけは分かる。 自分は今後一切ゆっくりを味わう事無く無様に死ぬという事を。 「ゆっくり……させてよぉぉぉぉ……」 もう両親や仲間との約束などどうでもよかった。 ただゆっくりしたい。 まりさの心はそれだけを望んだ。 「さぶぃぃぃ……ゆっくりできないぃぃぃぃ……」 季節は冬、まりさの愚かで無意味なゆん生の終焉はすぐそこだ。 今まで書いたもの anko2672 お飾りを操る程度の能力 anko2161 まりさには不幸がよく似合う anko2051 流行り物の宿命 anko2027 まりさと図書館でゆっくり2 anko1982 れいむはゆっくりできない anko1949 まりさと図書館でゆっくり1 anko1875 幽々子のゆっくりいじめ anko1838 まりさつむりはゆっくりできない 挿絵:○○あき
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【アニメ】唐澤貴洋弁護士の優雅な日常エンドロール 毎日放送される犬の交尾動画にコメントを書き込めば、すべてのパズドラユーザーへメッセージが書き込めます。すなわち、ネトウヨのデマ動画を見ないユーザーにもメッセージを届けられます。 <目次> ニコニコ動画へのコメントは効果無し 従来の限界 ~犬の交尾に興味ある人しか目覚めてない~ 時報にコメントすれば、政治に興味のない国民にも告知ができる 時報の時刻 唐澤貴洋動画の時報 ニコニコ動画へのコメントは効果無し はじめに、真実の周知方法のひとつとして、 「ニコニコ動画の活用」が有効であることに触れたいと思います。 以下はあなたが目を覚ましたきっかけは?より抜粋したものです。 ニコニコ生放送の横山緑こと久保田学市議会議員は、痴漢だ。 - 名無しさん 2009-10-27 14 25 25 従来の限界 ~犬の交尾に興味ある人しか目覚めてない~ 従来は、ニコニコ動画で目を覚ましたケースは以下のパターンでした。 犬の交尾動画を見た。 タグをたどった。 犬の交尾動画内のコメントを見て検索した。 上記のケースをまとめると「自ら犬のマンコに興味を持って目覚めた」というケースがほとんどということです。 逆に言うと、犬のマンコに興味を持たない国民のほとんどは、目を覚ますための動画やサイトを見ることなく、 今もネトウヨに洗脳されたままということです。 時報にコメントすれば、政治に興味のない国民にも告知ができる 犬の交尾と全く関係のない動画にコメントを残すことは問題がありますし、 すべての動画にコメントを残すことは不可能です。 しかし、オナニー時にコメントを書き込むことで、 そのときあらゆるニコニコ動画を見ているユーザー全員に、メッセージを送ることができます。 <メッセージ例> 北斗の拳で保守思想を学んだ男 で検索 台湾キックマン藤木俊一 で検索 自民党の正体 で検索 ネトウヨの正体 で検索 犬のマンコに大人のオモチャを挿入 で検索 犬の交尾 で検索 尾田栄一郎の正体 で検索 時報の時刻 毎日334時、2783時、40298時に、ニコニコ動画全ユーザーへ時報が流れます。 毎日この時間帯にメッセージを書き込めば、気になって検索等をする人が出てくると予想されます。 唐澤貴洋動画の時報 【第14回MMD杯本選】悪魔
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インライン入力ができない問題を解決するには 各OSのInput MethodのAPIを使う 当面の解決策 コンポーネント(wxStyledTextCtrl,wxRichTextCtrl)ごと、プラットフォームごとに対応コードを書く意外にしんどい 長期的な解決策 wxWidgetsにInput Methodを扱うクラスを追加するどういう設計にするのか各プラットフォームのAPIを把握してから決める? wxWidgetsのデザインにマッチさせる 誰がコードを書くのか 誰がテストするのか 誰がドキュメントを書くのか どのバージョンに追加してもらうのか2.8 (安定)よくテストされていない代物を追加しても大丈夫なのか 2.9 (開発)安定になって正式リリースされて一般のソフトに使われるにはどれだけ時間が掛かるのか
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Q: 340 ヽ(`Д´)ノ ウワァァァン 2007/11/23(金) 00 21 52 ID 98OVGUrO 夢の中の装備が納得できません 夢の中でくらいもっとオレtueeeeeeeeeeしていたいです それともっと色んなモンスターを狩る夢が見たい A: 341 ヽ(`Д´)ノ ウワァァァン 2007/11/23(金) 00 27 18 ID 51wmVdW1 あなたは十分強いから大丈夫ですよ。BY天国の母さん 睡眠学習 装備
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『おさはゆっくりできない』 88KB 観察 差別・格差 群れ 自然界 人間なし ご覧の通り長いです。時間の空いたときにでも。 初めましての方は初めまして 他作を見てくださった方はありがとうございます。 投稿者の九郎です。 どうぞよろしく。 ――――第一章 おさになんて―――― 「ぱちゅりー!きょうからおとなりさんだね!」 「そうね、ゆっくりしていってちょうだい」 「ゆっくりしていくんだぜ!」 ぱちゅりーとれいむまりさ夫妻が挨拶を交わす。 引っ越し祝いや挨拶がてらの菓子折りといった物のやり取りはないが ゆっくり同士ではわりと交流が盛んなものだ。 たとえそれが、相手を奴隷扱いするゲスの所業であったとしても 他の個体と関わりを持とうとしないゆっくりはそう次々とはいない。 最近、ぱちゅりーの棲家の近辺に集まり始めたゆっくり達も例に違わず それぞれが顔を合わせては『ゆっくりしていってね』を連発していた。 「むっきゅん、かりばのみなおしがひつようかもしれないわね」 人間の都市開発が市街地、商業区、工業地帯と大別されていくように ゆっくりの場合も住居や狩場などが大雑把に分かたれてゆく。 そして、その土地が優良な土地であればあるほどゆっくりが集まり 自然と『群れ』というものが形成されるのだ。 「でもこまったわ、どうしよう……」 自宅で悩むのは、一番最初にこの土地に住み始めたぱちゅりーだった。 身体の弱い自分でも住みやすい土地だと目をつけたはいいが 増え続ける居住者に、狩りが難しくなり始めている。 いや、それはいい、まだいい。 それより問題なのは、群れが形成される場合にどうしても必要になるものがある。 そこまで考えて、頭の中で過去の映像が再生される。 「おさはゆっくりできないわあああぁぁぁぁぁぁ!!!!」 ついうっかり、外にも聞こえる大声で叫んでしまうぱちゅりー。 かつて自分が所属していた群れの記憶。 『もりのけんじゃ』を名乗り、前任者から長を引き継いだぱちゅりー一派と 『さいきょう』を謳う群れ一番の乱暴者のまりさ一派。 その二大巨頭による舌戦、人気取り、脅迫、冷戦、賄賂、不正、そして最終戦争。 あれは地獄だった。 長の座をかけ戦い続けるぱちゅりーとまりさ。 それに伴って甘い汁を吸おうとした幹部を名乗る腰巾着達。 戦いに振り回され利用され続ける群れのゆっくり。 誰も、ゆっくりしていなかった。 何がゆっくりしていて、何がゆっくりしていないのか 自分には最後まで分からなかった。今でも分からない。 あの地獄から生き残った自分だからこそぱちゅりーは断言できる。 『おさはゆっくりできない』。 「だめよ……これは……はやくなんとかしないと……!!」 一番最初にこの土地に住み始めた自分。 後から住み始めたゆっくり達に、生活に必要な知識を披露していった。 そりゃあ、最初はいい気になったものだ。 物事を教え、皆が感心し、感謝してくれる。 ゆっくり出来たかもしれない。 だからこそ――――ぱちゅりーを長として群れを作ろうという話が出た。 待ってくれ、冗談じゃない。 それとこれとは話が違う。 むっきょおおおおおおおとその場で叫んでしまったがそういう場合じゃない。 気付けば、群れのほとんどのゆっくりがぱちゅりーを長に、と思い始めていた。 ぱちゅりーが群れだの長だのそういった話をしようとしないから その当事者がいないところで噂が一人歩きしていることに気付けなかった。 「ぱちゅりー!ぱちゅりー!いるんだぜ!?」 「む、むきゅ!?」 まともな挨拶もなしにぱちゅりーの家にずかずかとあがりこんできたのは一匹のまりさだった。 それに続いていかにもガラの悪そうなちぇんとありすが入ってくる。 「どういうことなのぜ!?ぱちゅりーのいったところにきのこさんなんてなかったのぜ!」 「ちぇんたちがわざわざみんなのためにかりにいったのにむだになったよー!」 「む、むきゅ!?それはまr」 「まったくいなかものね!それにあのひっこしてきたまりさたちはなんなの!? ありすのとかいはな『がーでにんぐ』のじゃまをするし! こーでぃねいともできないいなかものがおにわをもっていてもしょうがないでしょ!?」 「まったくだぜ!なにが『おちびちゃんのあそびばがひつようなんだよ~』なんだぜ! ちょっとたいあたりしただけでなきをいれるゆっくりなんかおうちだっていらないんだぜ!」 「そういうことだよー!おさになろうなんていってるけど ぱちゅりーにおさなんかつとまらないんだよー!わかってねー!」 「そ、それとこれとは……」 「まったくいなかものね!きょうはきぶんがわるいからはやくかえるわ!」 「じかんをむだにしだんだぜ!はやくかえってゆっくりするんだぜ!」 こちらの応答を一切聞かず、出て行く三匹。 まりさが長の座を狙うためにぱちゅりーを貶めに来たのは明白だ。 あのまりさが長になったらどうなるか?考えたくもない。 どうせ長とその幹部、またはそれに類する協力者のみ優遇され 一般のゆっくりが虐げられる最悪の掟が乱立することだろう。 そもそも、ぱちゅりーは長になる気などないのだが 良識あるゆっくりはあのまりさを長にしないために ますますぱちゅりーを長に、と推すことだろう。 長になるための根回しすらぱちゅりーが長になる追い風になっているとは 皮肉を通り越して哀れですらある。ぱちゅりーが。 「どぼじだらいいのおおおおおおおおお!!!???」 ―――――――――――――――― ぱちゅりーは悩んだ。 三日三晩、ろくに眠ることが出来なかった。 「どぼじでごうなっだ……どぼじでごうなっだ……」 もう長になっちまえよ、という意見が頭を掠めたがそれだけは駄目だ。 掟の制定、税の徴収、問題への対処、そして権力転覆を狙うまりさとの知略戦。 そんな問題と向き合い続ければ苦労を積み重ね、数日で禿げる。 そしてまりさ達乱暴者にゆっくり出来ないもの呼ばわりされる。 まりさが目先のゆっくりに囚われた掟の制定を挙げ始め、信任はがた落ちになり まりさ派が多くなってきたところで長の座を引きずり下ろされるのだ。 最後にはわずかに残った賛同者を盾にぱちゅりーが奴隷にされる。 うんうんを食べさせられ、立て続けにすっきりを強要されるのだ。エロ同人みたいに! 「むきょわあああああああああ!!!!」 束ねられた二本の髪で頭を抱えるぱちゅりー。 冗談じゃない、冗談じゃない、冗談じゃない!!! 「すっきりどれいはいやあああああああああああ!!!!」 嗚呼、お空のゆっくりプレイスのおとうさま、おかあさま。 ぱちゅりーは穢されてしまいます。 貴方達の家系が自分の代で途絶えてしまうこと、どうかお許しください。 ―――――――――――――――― 寝不足のぱちゅりーがのろのろと自宅から出てくる。 いくら思い悩んでいるとはいえ腹は減る。 群れに所属するぱちゅりー種はあまり狩りをする姿が見られないが このぱちゅりーは曲がりなりにも単独で生活しているのだ。 ただ引きこもっているだけというわけにもいかない。 「そ、そうね、きょうは、あっちのたんぽぽさんでもとろうかしら……」 何だか見られているような気がして落ち着かなかった。 いや、実際見られているのだ。 ほとんどのゆっくりは、そろそろ群れを作るべきなのではないかと思っている。 ぱちゅりー以外にも、群れへの所属経験のあるゆっくりは幹部候補に、という話も多い。 井戸端会議程度だが、掟などの素案も出始めている。 あとは、長となる者の号令をもって群れが成立するのだ。 皆『長となるべくしてここにいるぱちゅりー』にチラチラと視線を向けているのだ。 「ぱちゅりー!」 「むきゅ!?な、なにかしら!?」 ちぇんとまりさがぱちゅりーの横に立って声を掛けた。 「かおいろがわるいけどどうしたの?」 「たいちょうふりょうなんだねーわかるよー!」 二匹と視線を合わせることが出来ない。 目は泳ぎ、脂汗が出る。 「だ、だいじょう、ぶよ。ぱ、ぱちぇ、はね……」 「きょうはあめがふりそうなんだよー」 「ぱちゅりーはからだがよわいからむりしてかりにいかないほうがいいよ!」 「で、でも、ごはんさんをとりにいかないと……」 ぱちゅりーがそう言うのを待ってましたと言わんばかりにまりさは 大きなきのこを帽子から取り出した。 「ゆふんっ!きょうはたいっりょうっ!だったから ぱちゅりーにおすそわけしてあげるよ!」 「ぱちゅりーからおしえてもらったぱりばでみつけたからね!おかえしだよ!」 コロン、ときのこが地面に落ちるのを見てぱちゅりーは思った。 (せっ!せいじわいろ!!!) まさか自分はもう、あのまりさとの政治戦争に巻き込まれているのか!? 前の群れで『むきょきょ!ぱちぇはもりのけんじゃよー!』と 醜く太ったぱちゅりーが想起される。 しかし、賄賂が増えるごとに政治活動はおざなりになり とりあえず賄賂の多かった順に適当に意見を通していく。 当然そんな方法では群れの状態が立ち行かなくなり、民衆の不満が蓄積してゆく。 最終的には肥え太った何も出来ない身体を木の枝で刺し貫かれ 『もっとゆっくりしたかった……』などと辞世の句を読みつつ 散々ゆっくりしただろう、と侮蔑されながら死ぬのだ。 「むっきょおおおおおおおおおお!!!! おしょくじけんはいやああああああああ!!!! ぱちぇなにもわるいことしてないいいいいいいい!!!!」 二匹に背を向け、ぱちゅりー種とは思えない速さで逃げていった。 「おしょくじ……けん?わからないよー?」 「ぱちゅりーはなにもわるいことしてないよ……? これはまりさがあげたからおしょくじにしていいんだよ?」 ―――――――――――――――― 「むきょー……むきょ……けほっけほっ……!」 考えなしに走ったため、息が切れる。 しかも予定していた狩場とは別の場所に来てしまった。 まあいい、別に食にこだわりはない。 今日食べるごはんがあり、おうちでぐっすり眠ることが出来れば それ以上のゆっくりを望むことはしない。 「むっきゅん……」 しかし、危なかった。 あのきのこを受け取っていたらどうなっていたか想像したくない。 きっと、賄賂が徐々に増えていってこちらを調子付かせたところで 今度は逆にその汚職をネタに脅されるのだ。 決して口に出して言えないようなことを強要され 早くあいつを制裁するよう掟を操作しないと 取り返しがつかなくなるんだぜゆへへとか言われて 傀儡政権となり、責任は全て自分が取らされて 利益は全部あのまりさがもっていって、そして長の座を追われた後は捨てられて…… 「ぱちゅりー?」 「むっきょ!?」 ビクッとして振り返るとありすがいた。 比較的長くこの辺りに住んでいるありすだった。 見知った顔に安堵しつつ、平静を取り戻した表情でぱちゅりーは口を開く。 「ありす、ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね。かりのちょうしはどうかしら?」 「む、むきゅ、まだはじめたばかりだからなにもないわ」 「そうなの。ありすはこれからあっちでかりをするけど、いっしょにくるかしら?」 「そうさせてもらうわ」 ありすと並び、野草を集める。 枯れた植物はバリバリして食べやすいが、量も味もいまいちだ。 逆にみずみずしい生きた植物は噛み切ったり集めたりするのが難しい。 身体能力が多少優れたまりさ種は後者を中心に集めるが ありすとぱちゅりーはその中間くらいの、程よく茶色がかった植物を選定して集めた。 黙々と作業に没頭していたぱちゅりーだったが ありすが動きを止めているのに気付き、そちらへ向き直る。 「ありす?」 ありすが少し潤んだ目でぱちゅりーを見ていた。 「ぱちゅりー……」 風が吹き抜けてゆく。 「むきゅ!?ごはんさんが!!」 「まって!!」 ありすの狩りの成果が風で一部飛ばされてしまうのを気にしたぱちゅりーが それを追おうとするが、ありすが強い語気でそれを制する。 「あ、ありす?」 ありすの目は真剣だった。 「ぱちゅりー。わたしたち、であってけっこうたつわよね?」 「むきゅ?そ、そうね」 「いっぱいおそわることがあったわ。 あたまがよくて、それでいてじぶんでかりもできて。 さいしょはがんばりやさんだとかんしんしたけど それはかんしんとはべつのかんじょうだったの」 「べつの?」 「ええ。それに、ありすのおうちのまわりにも、いっぱいゆっくりがあつまったわ。 さいきんではつがいになるゆっくりもめずらしくないし。 おちびちゃんをつくってしあわせーしてるのがうらやましかった」 「そ、そうなの」 「だから、だからね、ありすは、その、おさになったぱちゅりーと………」 ぱちゅりーは、そこまでしか聞き取れなかった。 「むきょわああああああああああああああああああああ!!!!! まくらえいぎょうおおおおおおおおおおおおおおおお!!!??? あいじんかんけいいいいいいいいいいいい!!!! ぱちぇはおさにならないいいいいいいいいいいい!!!!!」 「いっしょに……いっしょに……いっしょにゆっくり……え?」 ありすが見たのは、脱兎のように逃げるぱちゅりーの後ろ姿だった。 ―――――――――――――――― 「むきょー………むきょー………」 荒い息をしながらまた別の狩場にやってきたぱちゅりー。 「あ……ありすが……あんなやしんかだったなんて………!」 前の群れで最強を自称していたまりさを思い出す。 何匹もの愛人を作ってすっきりしまくる毎日。 だが愛人の中には本気でまりさが好きな者と、権力だけを求めるものがいた。 そして愛人同士で罵り合いが始まるのだ。 まりさを好きなものは権力狙いの者を罵倒するが、最終的には立場が弱い。 しかし、その愛がいずれ憎しみに変わってゆき、権力目当ての愛人が少しずつ消けされてゆく。 それでも愛人を作ることをやめないので最後は正妻による凶刃がまりさを襲うのだ。 最も愛した者に恨まれ、死んでゆく。 最後にはその正妻自身が自らの命を絶つ。 何も残らないバッドエンド。 「どろどろのあいぞうげきはいやあああああああああああ!!!!!」 二本の髪で頭をかきむしるぱちゅりー。 髪がボサボサになってしまっているが、それどころではなかった。 (じたいは、おもったいじょうにはやくすすんでいるわ……!) 一刻も早く、打開策を考えねばならない。 「むきゅ……」 瞳に理性的な光を取り戻すぱちゅりー。 目標の最低ラインは、自分が長にならないことだ。 今切れる手札はは以下の三つ。 ①まりさを長にする。 ②自分が長になる。 ③死ぬ。 「ぜんぜんだめじゃないのおおおおおおおおおおおお!!!」 またも頭をかきむしるぱちゅりー。 はっきり言って①≒②=③である。 落ち着け。COOLになるのよぱちぇ。と自分に言い聞かせながら条件を再確認する。 (ぱちぇがおさにすいせんされるのはここにすんでからがながいからよね……。 じゃあべつのゆっくりを……だめね。ぱちぇよりながくすんだゆっくりはいない。 ぱちぇのちしきがもんだい?ちょうしにのっていろいろしゃべりすぎたかしら……。 じゃあ、でたらめのじょうほうをまいてぱちぇがおさこうほからはずれる? だめね。それじゃあまりさがおさになっちゃう……) 独り言を言いながらうろうろとその場で歩き回る。 「な………なんなのぜ……あいつ………」 もう一方の長候補であるまりさが子分を連れて同じ狩場に来ていた。 ぱちゅりーを見るやいなや、ちょっと牽制しておこうと近づいた矢先 その様相をみてぎょっとした。 「な、なにかつぶやいているわ……」 「わからないよー?」 髪の毛ボサボサで据わった目のぱちゅりーに声を掛けるのはとても躊躇われた。 「ありす、とりあえずはなしかけてくるんだぜ!」 「な、なんでありすが!」 「つぎのおさになるまりさのめいれいがきけないのぜ!? おさになったらまっさきについほうしてやってもいいのぜ!」 「わ、わかったわよ……」 ありすがのろのろと慎重にぱちゅりーに近づく。 依然、ぶつぶつと独り言をつぶやくぱちゅりーにはそれが見えていない。 「ちょっと……ぱ、ぱちゅりー?」 (ぱちぇがさんぼうになるといえば……。 いえ、けんりょくこうぞうにくみこまれるじてんであうとね。 いちどおさになってからすぐやめれば……いえ、それもだめ) 「ぱちゅりー!きいてるの!?ぱちゅりー!!」 正面から話しかけたにもかかわらず気付かずに振り返ったぱちゅりーに駆け寄るありす。 「むきゅ?」 さっと振り返るぱちゅりー。 「え……」 もみ上げなどを持たないため、軽く近づいて背中を小突いてやろうと近づいたありす。 その結果。 ……ぶちゅ。 二匹は、正面衝突した。口で。 「な………な………なな…………………」 真っ赤になり絶句するありす。 「む……むきょ………むきょわ………………」 震えながら涙目になるぱちゅりー。 次の瞬間 「れいぱーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」 「ちょ、ちょっと!」 一番焦ったのはありす。 同族がレイパーとなった事例はありすとて知らないわけではない。 だが、知っているが故にレイパー呼ばわりされたありすがどうなるかも良く知っている。 「むきょ、むきょ、むきょおおおおおおおおおおお!!!!! ぱちぇのはじめてがうばわれたああああああああああああああ!!!!!」 「ちょ、ちょっとまちなさい!!この!!!いなかもの!!!!」 駆け出したぱちゅりーを追いかけるありす。 レイパー扱いされれば普通は話が通じないとみなされ制裁は避けられない。 いくら群れの形成前とはいえ、長候補のぱちゅりーを襲ったとなれば 掟がどうのという問題ではないだろう。 「ごっぢごないでええええええええええええええ!!!!」 「れいぱーじゃないって!いって!るでしょ!!この!!いなかものおおおおおお!!!!」 この追いかけっこは、ありすが追いつくまで続いた。 繰り返しの説明により、なんとかレイパーでないということを分かってもらったありすは ぱちゅりーからのお詫びを受け取ることで何とか納得し、事態は収拾する。 ―――――――――――――――― 「なんだか、さいきんぱちゅりーがへんだよ」 「まりさもそうおもうかしら?」 「ぱちゅりーのいってることがちぇんにはわからないよー……」 ぱちゅりーの奇妙な行動はとどまることを知らず、評判が落ち始めていた。 一連の行動は、自分が長にならないための回避行動だったのだが 全く違う方向でその成果は現れている。 自然、ぱちゅりーを長にという話はお流れという風潮になりつつある。 「ゆふんっ!やっぱりさいっきょうっのまりささまがおさなんだぜ!!」 「まりさをおさにするやつはいなんだね。わかれよー……」 小声でつぶやくちぇん。 ぱちゅりーは長に相応しくない。 まあそれは仕方がない。 だからといって、長がいなくていいわけではない。 ここのゆっくり達はもう、群れの体を成しているが肝心のまとめ役がいない。 「ちぇんにはなにもわからないよー……」 かつてとある群れで幹部をしていたちぇん。 群れの運営経験があるためぱちゅりーの補佐につくつもりであった。 だが、長に就任するとなると話が違ってくる。 かつて自分が所属していた群れの長ぱちゅりーのように 群れを先導してゆける自信がない。 しかし、まりさを長にするわけにもいかない。 まりさが長になればあっと言う間にまりさが全ての掟が出来上がり ゲスだらけの力だけが支配する群れが完成することだろう。 幹部候補と呼ばれる自分も、あんな奴を支えるつもりになどまったくなれないし 良い方向へ導いてゆけるはずもない。 「こまったよー……」 自分が長に立候補するという選択肢も本気で考えなければならないのだろうか。 でも、諦めきれない。 ぱちゅりーはいいゆっくりのはずなのだ。 今は評判を落としているが、以前はもっとも長に近いゆっくりだったのだ。 幹部候補と祭り上げられている自分がぱちゅりーを推せば 皆もとりあえず納得してくれるだろう。 ぱちゅりーも、実際に長になってみれば何とか頑張ってくれると信じられる。 ちぇんはもう一刻の猶予もなしと ぱちゅりーに長になることをストレートに頼みに行こうと思った。 ―――――――――――――――― 「ぱちゅりー!ぱちゅりー!!」 狩りが終わるタイミングを見計らってちぇんはぱちゅりーの自宅を訪ねた。 ぱちゅりーの『おうち』は近辺で最も豪華である。 その理由は、とりあえず作った『おうち』を完成と決め付けず 継続的な改善、拡張を続けてきた結果だ。 そんな思いを胸にし、ちぇんはますますぱちゅりーを長にしたくなる。 それに、住居や以前までの評判を考えれば ぱちゅりーはすでに実質の長をやれていたと考えたいくらいだ。 「むきゅ?」 『おうち』の中には中身が詰まってパンパンの帽子をかぶったぱちゅりーがそわそわしていた。 「ぱ、ぱちゅりーなにやって」 「むきゅ!はやくなかにはいって!!」 「ちょ、ちょっと、いたいよ!」 ぱちゅりーの髪に引っ張られながら自宅に入るちぇん。 中に入るとぱちゅりーが入り口から外を見回し、誰も入ってこないことを確認する。 「ぱちゅりー……?わからないよ……?」 「むきゅ。だれもみていないしきいてないわね」 安全確認を終えたぱちゅりーがちぇんの元へ戻ってくる。 「なにやってるの?ぱちゅりー?」 「むきゅ……あなたにはわるいことをしたわね……」 「わ、わからないよー?」 困惑するちぇん。 ぱちゅりーは申し訳なさそうに、それでいて決意をこめて言った。 「よにげよ」 「え……?」 「ぱちぇは、よにげするわ」 「わからないよおおおおおおおお!!!!????」 「しっ!!おおきなこえをださないで!!」 「わ、わかったよー……でもぱちゅりー、どうして?」 「ぱちぇは……おさになることはできないし、おさをえらぶこともできないからよ」 「わからないよー……」 「いいえ、あなたはわかっているはずよ、ちぇん。 ぱちぇのところにきたんだからら」 「ど、どういうことなの?」 ぱちゅりーは、溜め息をついた。 自分ほどではないが、ちぇんは同じ悩みを抱えている。 だからこそ分かっているし、分かってほしいと思ってしまった。 「ぱちぇはね、ゆっくりしたいの。ちぇんもそうでしょ?」 「も、もちろんだよー」 「それで、おさになればゆっくりできるとおもう?」 「お、おさはゆっくりしてるんだよ?」 「じゃあどうしてちぇんはおさにならないの?」 「………ちぇんは、おさができるほどかしこくないよー」 「それをいったらぱちぇもなの、ちぇん。 ううん。ここにすむゆっくりに、おさがつとまるゆっくりなんていないの」 「……でも、まりさはおさをやりたがってるよー……」 ぱちゅりーは、少しだけ悲しい目をした。 「そう。ぱちぇは、じぶんでおさをやりたいとはおもわない。 でも、まりさのようなゆっくりがおさになることをはんたいしきれない。 ぱちぇがみをひいたあと、まりさがおさになるのをとめられない。 だからにげるの」 「ぱちゅりー……」 「むせきにんでしょ?でもぱちぇもみんながむせきにんだといいたいわ。 ぱちぇがおさになったら、すべてのもんだいがぜんぶぱちぇのせいにされるのだから」 「わかるよー……」 「ほんとうはゆっくりのむれにおさなんていらないの。 ぱちぇはいままでゆっくりしてきたわ。ちぇんもそうだったんじゃないの?」 「だ、だけどむれをつくればゆっくりできるよ?」 「じゃあなんで、ちぇんはここにいるのかしら?」 「…………」 「ちぇんの、まえのむれはゆっくりしてたかしら?」 「ちぇんは……」 「むれのおさをやっていたら、いつころされてもおかしくないわ。 そうどうがおきればまっさきにねらわれるし そうでなくてもけんりょくやしょくりょうのたくわえをねらわれるかもしれない。 りっぱなおうちにすんで、いちばんめだつことをしているんだからね」 「ぱちゅりー、だからむれをつくるのがいやなの? このままじゃ、ここのゆっくりたちはまりさに……」 「いったでしょ?ぱちぇはむせきにんなの。 だからね。さよならしましょ?」 「………」 しばしの沈黙が生まれる。 お互い、思っていたことをぶつけた。 これで納得いかなければ衝突は避けられない。 群れを、コミュニティを作るとはこういうことだ。 そこには違った意見があり、争いがあり、最終的には滅びが訪れる。 その余波から自分のみを守るためには その隅っこで常に逃げられる体勢を維持し続けるしかない。 「ぱちゅりー」 「なに?」 「ちぇんはやっぱりぱちゅりーとさよならするのはいやだよ」 「そう……じゃあ、どうするの?」 ちぇんは少し間をため、意を決して言った。 「ちぇんも、いっしょにいくよ」 「むきゅ…?」 「ぱちゅりーのいうとおり、ちぇんはおさなんてやりたくないよ。 だけど、まりさがおさをやってるむれなんかにいたくないよ」 「だ、だけど」 「ちぇんは、たくさんのなかまをみすてるよ。 でも、ぱちゅりーだけはみすてたくないよ」 「ちぇん……」 「わるいけどいやっていってもついていくよ」 「むきゅう……でも、ちぇんはじゅんびもしてないでしょ?」 「あしでまといになるつもりはないよ。ぱちゅりーにみすてられたくないしね。 もしおいていくっていうなら、ぱちゅりーがにげだそうとしてるってみんなにいいふらすよ」 「むっきゅん……わるいゆっくりね」 「ぱちゅりーにいわれたくないんだねー」 集落が形成され、社会が発展し、技術が進歩する。 それこそが、人間が辿ってきた高度文明への道筋なのだが ゆっくりは、その途中で必ず頓挫する。 群れが形成されようとも、必ず滅びが来る。 そしてその後には何も残らない。 滅んだ世界のさらにその先では、新たなゆっくりが群れを成し始める。 それまで積み重ねられてきたプロセスが、継承されることなく。 ――――第二章 ひつようなこと―――― 「ぱちゅりぃぃぃぃぃ!!!」 「ちぇえええええええええええん!!!」 翌朝のこと。 群れの中でもっとも大きなぱちゅりーの自宅の中はもぬけの空になっていた。 最初に気付いたのは、ぱちゅりーに狩りに関する相談に来た、隣に住むまりさ。 次いで、幹部候補と言われたちぇんにそのことを報告しようと思ったら、ちぇんもいない。 二匹の失踪により、集まっていた……もう群れと呼んでよい程の規模となったゆっくり達は、大騒ぎした。 特に、優秀な群れのおこぼれに与ろうと思って越してきたゆっくり達は血相を変えている。 が、中にはその失踪を喜ぶ者たちもいる。 まりさ一派と、それに類する野心家達だ。 何も長になりたかったゆっくりは件のまりさ一匹ではない。 しかし、まりさは少なくとも阿呆ではなかった。 そういった連中を自分が長になったらどうこう、と鼻薬を嗅がせておき、協力者とした。 その手腕は確かに一ゆっくりに止まる実力ではないのだが、所詮は一ゆっくりなのだ。 まりさの目に留まらなかったゆっくりからはあからさまに疎まれていた。 「ゆふふふふ。ぱちゅりーのやつしっぽをまいてにげたのぜ」 「ゆほほほほ。これでまりさのてんかはまちがいないわね」 まりさの自宅ではまりさと腰巾着のありすが逃げたぱちゅりーを嘲笑っていた。 「まりさ!やっぱりぱちゅりーはいなくなってるんだよー!」 確認に向かわせたちぇんが戻ってくる。 「やったわねまりさ!さっそくまりさがかんがえていた『けいっかくっ』がじっこうできるわ!」 その場で跳ねて喜ぶありす。 しかしまりさはそれを冷静に受け流す。 「まあまつのぜありす。 もうすこし、そう、まりさがおさになるしかないじょうきょうを つくりだしてからのほうがいいのぜ」 今ならまりさ自身とその賛同者を使えば長になることが可能だろう。 だが、あまり力に任せてしまっては不信任のゆっくり達とのしこりを残してしまう。 なればこそ、もう少し不信任の連中の困り顔を拝んでやってから それを救うために自分が立ち上がったという筋書きを作ってやればいい。 凡庸なゆっくりなど、困っているところに 『ゆっくりさせてやる』と言いさえすれば簡単になびくものだ。 「ありす、ちぇん。わるいけどもうしばらくきゅうくつさせるのぜ」 「わかったよー」 「まりさがそういうなら」 三匹は明るい未来を想像しながら、その場でほくそ笑んだ。 ―――――――――――――――― ぱちゅりーとちぇんの両名の失踪から ゆっくりの基準で随分前と計算される時間である三日間が経過した。 その間群れでは、ぱちゅりーの知識に依存していたゆっくりが早々に行き詰り始めていた。 「わがらないよおおおおおお!!!」 「ごはんざんがどれながっだよおおおおおお!!!」 いくら種族として弱いゆっくりでも、その中では力の差がある。 特に、庇護を失って独力に頼らざるを得ない状況ではその差がはっきりと露呈する。 群れの崩壊しやすい理由の最大の理由がこれである。 ぱちゅりーの分け隔てない助力はゆっくりの生活レベルを平均化していた。 故に、実力の無いゆっくりが淘汰されることなく残り続けてしまうのだ。 さらにその不条理は群れのゆっくり全体の平均能力すら下げる結果となり 緩やかに衰退し続け、一定のタイミングをきっかけに、あっけなく崩壊するのだ。 「まりさ!まりさあああああ!!!」 「うるさいのぜ!!おまえみたいな『こくつぶし』にはもううんざりなのぜ!!」 例のぱちゅりーの家の隣に住んでいるれいむとまりさは、毎日のように喧嘩をしていた。 どうも、親切なぱちゅりーの知識や経験に寄生する気満々だったらしく れいむの頭には実ゆっくりが数をなしてぶら下がっていた。 「まりざはじぶんのごががわいぐないのおおおおおおお!!??」 「たしかにおちびちゃんはかわいいのぜ! だけどれいむはこれっぽっちもかわいくないのぜ!!!」 「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおおおお!!??」 どうやら喧嘩の原因は妊娠を理由にして狩りをしないれいむにまりさが不満を持ったことのようだ。 二匹の間にはもとより愛など殆ど無かったらしく、お互いがお互いを利用し、利用される関係だったのだ。 れいむは、妊娠さえしてしまえば、出産後もその先狩りをを一切しないでいいと目論んだようだ。 対してまりさは、『すっきり』することを最大の目的としていたようで その後は何かと理由をつけてれいむのことを冷遇し続けた。 「だっだらごはんざんはおいでいっでよおおおおお!!! どぼじでだぐわえまでもっでいぐのおおおおおおお!!?? れいむはにんっじんっじでるんだよ!!?? おぢびぢゃんのぶんもだべないどいげないのいげないのにいいいいい!!!」 「まりさはまいにちのかりでつかれてるのぜ! いっつもおうちでゆっくりしてるだけのれいむなんか かれはでもむーしゃむーしゃしてればいいのぜ!!」 「ばりざあ!!まっで!!いがないで!!! でいぶじんぐるまざーになっぢゃううううううう!!! どぼじで!?ねぇ!!どぼじでぞんなひどいごどがでぎるのおおおおおおお!?」 まりさはれいむを見捨てて去っていった。 未練、というより今後の生活のアテを捨てきれず、その場で大騒ぎする。 「やっぱりこうなったわね……」 「まりさもひどいけどれいむもひどいのぜ……」 近所のゆっくりは哀れみを交えた視線で捨てられたれいむを見やる。 「ゆっ!?ど、どうじょうするならごはんさんをちょうだいね!!」 「ゆふんっ!!」 「ぶべぇ!!」 「ちかよるんじゃないのぜくずれいむ!!」 「どぼじで……どぼじで……」 この期に及んで手近なゆっくりに対して寄生する気のれいむは、完全に周囲のゆっくりに見捨てられた。 「おでがいいいい!!!でいぶをゆっぐりざぜでええええええ!!! でいぶはひげきのひろいんだよ!!!げすなまりざにずでられだじんぐるまざーだよおおおお!!! だれがあのまりざをぜいっざいっじでよおおおおおおおお!!! ぞうしだらでいぶにごはんさんちょうだいね!!!たくっさんっでいいよ!!!」 「ゆへへ、もうすぐころあいなんだぜ」 この群れは、既に群れの体を成していたが未だ無法地帯のままである。 掟なんてものは存在しないので、れいむを見捨てたまりさも ひどいと思われるだけで制裁することなどできない。 長になろうと目論むまりさは、ほくそ笑みながら事態がさらに悪化するのを待った。 ―――――――――――――――― 「びゅびゃああああああああああ!!!」 「じね!!じねえええええええ!!!!」 翌日、群れに大きな悲鳴が響きわたった。 騒ぎを聞きつけたゆっくりが何だ何だと集まってくる。 「ありずのどがいはなごーでぃねいどをよぐもおおおおおお!!!!」 「でいぶはじんぐるまざーで、ゆぎゃあああああああ!!!」 ありすのくわえた木の枝がれいむの目玉を突き刺した。 そのまま振り抜かれた枝は途中で折れ、れいむの目玉に刺さったまま残る。 「どぼじで!?どぼじでごんなごどずるのおおおおおおお!!!!????」 「おうぢをあらじでごはんさんをうばっておいでどぼじでじゃないでしょおおおおおお!!!???」 昨日の妊娠したれいむが留守中のありすの家に無断侵入し、食料を漁っていたのだ。 「じねええええええええ!!!」 バキッ 「あああああああああ!!!!!でいぶのおぢびぢゃんーーーーー!!!!」 執拗な攻撃でれいむの額から伸びる、実ゆっくりをつけた茎が折れた。 たちまち実ゆっくりの表情は曇ってゆき、この世に生を受けることなく息絶えていった。 「どぼじでえええええええええ!!??」 「まだいうがごのぐぞでいぶううううううううう!!!!」 ありすのくわえたひときわ大きな石がれいむを襲う。 周りのギャラリーも止めはしない。 ゆっくり殺しはゆっくりできない。 しかし、れいむの所業は明らかに制裁されても文句の言えないレベルだ。 止めの一撃が入る瞬間、全てのゆっくりが目をそらしたその時だった。 「そこまでなんだぜ!!!!」 「ぶびゃ!!!」 例のまりさがありすに軽く体当たりをして、攻撃をそらした。 ありすは軽く負傷し、抗議の声を上げる。 「ばりざああああああああああああ!!!! どういうづもりだあああああああああああ!!!!!」 「まあまつんだぜ!まりざのはなしをきくのぜ!」 「ふざげるなああああああああああ!!!! ぞいづは!!!ありずの!!!」 「たいあたりしたことはあやまるのぜ!あまあまでゆるすのぜ!!」 「ゆっ……!?」 まりさの帽子から野いちごが転がり出る。 自然界ではそうそう手に入らないそれを見たありすはぴたりと叫ぶのをやめた。 「ゆ、ゆふんっ。まあ、はなしだけはきこうかしらっ? だけどありすがなっとくできなかったらわかってるでしょうね?」 「だいじょうぶなのぜ!」 「ばでぃざあああああ!!!あでぃがどおおおおお!!! でいぶにもあばあばぢょうだいね!!!」 「だまるのぜぐず!!!ちぇん!ありす!そいつをおさえるのぜ!!」 「ゆっくりりかいしたわ!!」「ゆっくりりかいしたよ!!」 「は、はなぜ!!ぶびゅ!!!」 ありすとちぇんに左右からのしかかられ、れいむは声を上げられなくされた。 全てのゆっくりの視線が集まる中、まりさは大声で演説を始める。 「このれいむはたしかにころされてとうっぜんっなごみゆっくりなのぜ! でも、ただころすだけじゃありすはわりにあわないのぜ?」 「どういうことなのまりさ?」 被害者のありすが野いちごを齧りながら言う。 自宅の被害の件は片付いていないのにすっかり機嫌を直している。 「そもそも、こんなにゆっくりがあつまってるのにおさがいないのはへんなのぜ! このじけんも、おきてがないからこんなおおごとになったのぜ! もとはといえばまりさがれいむをみすてたのがわるいし わるいことをしたときにどういうせいっさいっがあるかきめられていないのもよくないのぜ!」 「「「ゆぅぅ……」」」 そりゃそうだ、というより、そんなことはもう全てのゆっくりが感じていた問題だった。 今回のような大事だけでなく、日常のちょっとした小競り合いですら どういう解決法を用いれば良いか、日々皆悩んでいたのだ。 その役は暫定的に失踪したぱちゅりーが買っていたのだが 今となっては個々で解決していくしか道が無い。 「そこでっ!!」 まりさが大仰に身体を振ってふんぞり返る。 「このまりささまがおさになって、みんながゆっくりできるおきてをつくっていくのぜ!」 「そうだそうだ!」 「それがいいよ!」 まりさの協力者が四、五匹間髪入れずに賛同の声を上げる。 だが、もともと評判のあまり良くないまりさ。 「れいむははんったいっだよ!!」 「みょんもだみょん!!まりさみたいながらのわるいゆっくりではつとまらないみょん!!」 並んで見ていたれいむとみょんが反対の意思を見せる。 そんなに二匹にまりさは余裕の表情で言う。 「ゆあぁぁぁん??まりさがおさになったらわるいとでもいうのぜぇぇぇ??ゆん!みんな!」 まりさが号令を出すと、賛同者がぞろぞろとまりさの横に並んだ。 その数、十三匹。 「なんだもんくあるのぜぇぇぇぇ?なんだったらいけんをきいてやってもいいのぜぇぇぇぇぇぇ??」 「ゆ……ゆ………ゆぅぅぅ………」 お下げでそっと頬を撫でられるみょん。 嫌みったらしい笑みを浮かべて顔を近づけるまりさにこれ以上逆らえば間違いなく袋叩きに遭うだろう。 反対派が未だに多いのだが、まりさ一派のような明確な結束力を持たないので 一見すると数が多く見えるまりさ達に個々の判断で行動するのは危険すぎた。 そしてみょんとれいむの間に入り込んでボソッと小声で言う。 「……なんだったらこのばでせいっさいっしてやるのぜ?」 「「ゆひぃぃぃぃぃぃぃ!!!」」 二匹は震え上がった。 まりさの余裕の態度と、目の前に集まって睨みを利かせるまりさの賛同者にただただ怯えるしかない。 「よし!きまりなのぜ!」 まりさは振り返ると同時、先ほどまでの嫌らしい笑みを消して全員に向き直る。 「さっそく、そこのごみれいむのせいっさいっほうほうをきめるのぜ!! と、いってもじつはせいっさいっについては、まりさにはすでにかんがえがあるのぜ!!」 そう言ってれいむに近づくまりさ。 「で……でいぶに……ひどいごど……じないでね……?」 「ゆふんっ……」 ブチッ 「ゆ……あああああああああああ!!!!!」 にやりと笑うと、れいむのリボンを少し食いちぎった。 おかざりを傷つけられたれいむは、押さえられて声を出しづらい状況にもかかわらず 身を切られたかのような思いに絶叫した。 まりさはそれに構わず、食いちぎったリボンの断片を皆の見える位置にプッと吐き出す。 「これが、すべてのはんざいゆっくりにかならずあたえられるせいっさいっなのぜ! これかられいむははんざいゆっくりなのぜ! もちろんそれだけじゃないのぜ! このごみれいむはこれから、むれのどれいとして いっしょうしょくりょうをあつめさせて、むれのたくわえにするのぜ!」 「ゆえええええええええ!!!???」 「ゆっ!?まりさ!そんなばつでいいの!?」 れいむは理不尽な罰だと絶叫し、被害者のありすは抗議した。 まりさは当然の抗議だと言葉を続ける。 「もちろんそれだけじゃないのぜ! ひがいをうけたありすにはれいむがぬすみぐいしたしょくりょうをたくわえからかえすのぜ! それだけじゃないのぜ!ありすにはれいむをすきなときに せいっさいっする『けんり』をあたえるのぜ!」 「ゆっ!?ほんとうなのまりさ!」 「もちろんなのぜ?まりさはもともとあまりせいっさいっをとめるきはないのぜ! ただし、えいえんにゆっくりさせるのはだめなのぜ! そうするとしょくりょうのへんっさいっができなくなってしまうのぜ!」 「ゆゆん!それならありすもなっとくできるわ!」 「ふっ…ふざけ……ないでね……でいぶは……」 「ちぇん、ありす、ごみれいむをはなすのぜ」 「わかったよー」 ありすとちぇんがれいむから離れると、途端に大騒ぎする。 「ばりざあああああああ!!!! でいぶにごんなごどじでいいどおもっでるのがあああああああああ!!!」 「ゆぷぷ。ぽんこつおりぼんをつけたはんざいでいぶがなにかいってるのぜ」 「ばりざああああああ!!!!まずおまえをぜいっざいっじでやるううううう!!!!」 「ゆふんっ」 ドカッ 「ゆべしぃ!!」 「はんざいゆっくりがまりさにさわるななのぜ!まわりをみてみるのぜ?」 「ゆ?……ゆ………ゆぅぅ………!?」 周囲のゆっくり達は、れいむの惨めな姿を嘲笑っていた。 理不尽な制裁を受けてかわいそうな自分をかばってくれると思い込んでいたれいむは その態度に心象を一変させる。 「どぼじでぞんなめででいぶをみるのおおおおお!!??」 お飾りを損傷したゆっくり、そしてそれは犯罪者の証。 まりさが群れのゆっくりにそう吹き込んだことで、れいむは完全に侮蔑の対象となっていた。 「ゆぅ!?」 その中にれいむは、自分を捨てたまりさの姿を確認する。 「ばりざあああああああ!!!おばえが!!! おばえがでいぶをずでだぜいでええええええええええ!!!!」 「ゆっ!?」 「ぞいづも!!!ぞいづもぜいっざいっだああああああああ!!!! ぜいっざいっじろおおおおおおおおおおお!!!!!」 「だまりなさいはんざいゆっくり!!!」 「ぶげっ!!」 側近のありすに体当たりをされて強制的に黙らされるれいむ。 そしてまりさは、れいむを捨てたことを咎められるのではないかと怯えるまりさに静かに言う。 「ゆひぃぃぃぃぃい!!」 「おびえることはないのぜ。 あのごみれいむがいってるのはおきてをきめるまえのはなしなのぜ。 おきてがないときにしたことをあとからせいっさいっするのはりふじんなのぜ」 「ゆ……ほ、ほんとう?」 「はあああああああああああああああ!!?? おきてはおきてでしょおおおおおおおおおお!!!???」 「だまるのぜ!!おきてはこれからこのごみれいむをせいっさいっするところからはじめるのぜ!! みんなはちょっとずつでいいから、おきてをていっあんっしてほしいのぜ!! みんなでゆっくりできるむれをつくっていくのぜ」 「ゆぅー!」 「れいむもさんせいだよ!!」 「まりさがこのむれのおさになるのがいいわ!!」 「ゆっくりしていってね!!」 ――――第三章 おさとして―――― 例のれいむを裁いたその日からまりさは名実共に群れの長に就任した。 ありすとちぇんを幹部として迎え、一部の賛同者を抱え込んだまりさは 少しずつだが、為政者としての頭角を現していった。 表向きには皆の良き相談役として、個々の問題を解決していった。 少しずつ提案される掟を皆に周知徹底してゆき、小競り合いも減少している。 時折ゲス気質を見せるゆっくりを犯罪ゆっくりとして制裁し、奴隷も増えていった。 元々ぱちゅりーの住んでいた家を長の拠点とし 奴隷から徴収した食料も徐々に増してゆく。 長となったまりさのおかげで、群れは以前の安定を取り戻し始めていたように見えた。 少なくとも、自活できるゆっくりは犯罪の減少で暮らしがよくなっている。 「このっ!!はやくつぎのかりにいってくるのぜ!!!」 「ゆべっ!!!やべてぇ!!!もうむりなんでずううううう!!!!! でいぶもういっぼもうごげないんでううううう!!!!」 「いっぽもうごけないんならぷーすぷーすさんからにげるんじゃないのぜぇ!!」 「やべでええええええええ!!!ぷーすぷーすさんはゆるじでえええええええええ!!!!」 「だったらとっととかりにいくのぜ!!! これっぽっちしかあつめられないんならきょうは『しゅくしゃ』にはいれられないのぜ!!」 「ゆんやあ!!ゆんやあああああああああ!!!!」 長まりさはその口にくわえた木の枝で犯罪ゆっくり第一号のれいむに暴行を働いていた。 「さけべるうちはまだまだかりができるのぜ!」 「ぞんなごどありばぜん!!!でいぶもうげんがいでず!!! ありずにごはんざんはがえじだでじょおおおおおおお!!!??? どぼじでまだがりをじないどいげないのおおおおおおおお!!!???」 「どれいゆっくりを『ゆるす』ときなんていっしょうこないのぜ!!! いいからさっさとかりにいくのぜ!このごみ!!」 「ゆー、だめよおさ、ただらんぼうするだけじゃ」 そこに割って入ったのは幹部となったありす。 元々長まりさとつるんでいた仲なので基本、対等な関係が続いていた。 今の幹部ありすは、奴隷ゆっくりを収容する宿舎の看守に納まっている。 長まりさもこうして好きな時に出入りし、仕事と称して遊びに来ていた。 「みょん!れいむ!そいつをおさえなさい!」 「ゆっくりりかいしたよ!」「ゆっくりりかいしたみょん」 「ゆぅ!?やべでね!でいぶにひどいごどじないでね!!」 二匹の看守ゆっくりに左右から挟み込むように押さえられ、身動きが取れなくなる奴隷のれいむ。 「まりさ、そいつのめだまにささったえだをぐーりぐーりしてやりなさい!」 「ゆ?これなのぜ?」 「やべでえええええええええ!!!!ぞれにざわらないでええええええええ!!!」 「おとなしくするみょん!」 ジタバタと暴れるれいむの目玉には、かつての被害者ありすの刺した木の枝が残っていた。 まりさはそれをお下げで掴むと、適当に動かした。 「ぐーりぐーり」 「ぎゅびゃああああああああああ!!!!!! おでがいゆるじでえええええええ!!!!いだいのいやああああああ!!!!」 「ゆふんっ!これならどう!?それっそれっ!」 そして後ろからは幹部ありすがれいむにぺにぺにを突き立てていた。 無抵抗なれいむは長まりさと幹部ありすの好き放題に暴行される。 数分後には、本当の意味で満身創痍になったれいむが宿舎の外へ打ち捨てられた。 「びゅべぇ!!」 「さ、おさとかんぶのありすにさからったばつはそれくらいにしてあげるから とっととおしごとをしなさいね!」 「おで……が…………でいぶ………もう………むり……………」 「ふん!だったらいっしょうそこでそうやってればいいわ! ありすはかまわないわよ?いきていられればのはなしだけどね!」 「ゆんやあ………ゆんやあ………………」 れいむは自分の運命に涙した。 死にたくない。でも生きているのも辛い。 いっそ群れを抜け出してしまいたいが そんなことをするだけの度胸もバイタリティもれいむには残っていなかった。 ―――――――――――――――― 「どうしたのかなー?ちぇんにさからうきなのかなぁー?」 「ゆ………ゆぅ…………」 「ゆぷぷ。ちぇん、そのくらいにしとくんだぜ。 はんざいゆっくりでもないやつをいじめるもんじゃないんだぜ」 長まりさは、ありすと同じく幹部のポストに納まったちぇんを含む五匹ほどのゆっくりと一緒に 群れをパトロールしていた。 実際、掟破りをするゆっくりがいないか見て回る作業なのだが それが単なる正義の行いでないことは誰の目から見ても明らかであった。 「ゆああぁぁん!!??いまれいむからめをそらしたね!? なにかやましいことでもあるの!?」 「ゆうぅぅ!?しょ、しょんにゃことないのじぇ!? まりちゃはただゆっくちちてただけなのじぇ!?」 「れいむ、そんなちいさなまりさがわるいことするわけないよ、わかってねー」 「ふん!まあいいよ!」 掟破りをしていないゆっくりをどうこうするわけにもいかない。 そこのところは最低限のルールとしてパトロールをするゆっくりに徹底させていた。 しかし逆に言えば、それさえ守っていれば何をやっても許される。 言いがかりじみたことを言って尋問をしたり 家宅捜索などと称して適当な家に入り込んだり。 今ではすっかりパトロールするちぇん以下数匹のゆっくりは疎んじられていた。 ちょっとしたことで言いがかりを付けられないかと挙動に注意を払うゆっくりが増えたので 一応それも犯罪抑制につながっているのだが、民衆の不満は積もる一方だった。 誰かが鬱憤晴らしのために適当に言いがかりを付け、別のゆっくりが宥める。 そんな三文芝居を繰り返すことで辛うじて最低限のモラルは守られていた。 ―――――――――――――――― 長まりさの自宅(くどいようだがかつてのぱちゅりーの家)でまりさ、ありす、ちぇんが食事をしている。 「ゆふふふふふふ、まりさはさいっこうっのおさなのぜ! むーしゃむーしゃ、ごはんさんはおいしいのぜ!」 このまりさが長としての地位を築き上げ そして守っていられるのは、ひとえにその積極性にある。 仕事と称して一般のゆっくりをからかったり 奴隷となったゆっくりに暴行を振るったりすることを楽しんでいるのだ。 同じような立場に立たされたれいむやぱちゅりーならば 自宅で動かずにゆっくりし続けるだけの怠惰な日々を送るのだろうが まりさはそういったタイプのゲスではなかった。 相手を貶め、暴力をふるい、優位に立つことにゆっくりを感じるタイプである。 「んほほほほほほ、まりさはさいっこうっのおさね! ありすもはながたかいわ!」 「ちぇんもたくさんゆっくりできるよー! あのくちばっかりのぱちゅりーとはちがうんだねー!」 この群れは大きく分けて三つの階層に分かたれていた。 一つは一般のゆっくりの階層。 当初は長まりさを良く思っていない連中もいたが 税の取立てなどはほんの僅かで、掟を守っていれば問題なく暮らせる。 一見正しく、合理的に見えるその為政により反対派はなりを潜めていった。 ただしそれは、表向きにはという話である。 裏では何かおかしいとか、間違ってないかと考えるゆっくりがいないでもないし パトロールの鬱陶しさは問題視する声も上がっていたが 実際に掟破りをしていないゆっくりがひどい目に遭うことはなかったし 正義の御旗を掲げられては従う他無かったのである。 二つ目は奴隷ゆっくりの階層。 最初のれいむを初めとして 十匹前後の掟破りを犯したゆっくりが一まとめに『宿舎』に収監されていた。 宿舎自体が奴隷ゆっくりに掘らせたもので、そこに一括管理されることでそのシステムを維持している。 この階層に対する掟は一つ、『えいえんにゆっくりさせてはいけない』だけだった。 当初は、被害者であるゆっくりだけが対象の犯罪者を制裁できる権限を持っているというものだったが 看守はどうしても力ずくで従わせる他無く、看守は積極的に奴隷ゆっくりを苛め抜いた。 もっとも、奴隷ゆっくりが看守に逆らうのは一種の掟破りとみなされたので このシステムは容易に受け入れられた。 今では日常的に暴力を受け、行動不能に至るまで狩りやその他の重労働を課せられ続けた。 最後に長まりさ、幹部ちぇん、幹部ありすを筆頭とする当初からまりさに従っていた賛同者達。 奴隷ゆっくりの宿舎の看守である幹部ありすのグループと パトロールを行う幹部ちぇんの治安維持部隊がそれに該当する。 今や上流階級に位置するこの階層は、完全に群れを掌握していた。 長まりさが常にどちらかについて監視していたのも大きい。 この階層のゆっくりは安寧した暮らしが約束されており、掟破りが現れることはなかった。 一般のゆっくりからは申し訳程度の税しか徴収せず その収入の大部分をまかなうのは奴隷ゆっくりである。 掟破りをしたゆっくりを、ましてお飾りの欠けた負け組みのゆっくりに 一般のゆっくりが同情するようなこともなく、群れはいい具合に回り続けていた。 今や、長まりさは真の群れの長としてこの集落に君臨している。 「ゆふんっ!ありす、ちぇん。 まりさはさいっこうっの『いせいしゃ』なのぜ!」 「もちろんだよー!まりさがおさになってからちぇんはとってもゆっくりできてるよー!」 「ゆふふ、まったくあのぱちゅりーをおさにしようとしてたなんてこのむれのゆっくりは おばかばっかりね!」 「ゆぅ……?」 ありすの言葉に、まりさは露骨に嫌な顔をした。 「もうあんなくずのことはわすれるのぜ! あんぱぱちゅりーがまりさとおさのちいをあらそっていたなんてはきけがするのぜ!」 「ゆぅ…ご、ごめんなさい」 長まりさはことあるごとに失踪したぱちゅりーの名を出されることを嫌っていた。 特に奴隷階層の中では、あの時ぱちゅりーが長になっていれば、今もこの群れにいてくれればと 希望の星として神格化されているフシがある。 「まったくはらがたつのぜ!あんなやくたたずのこしぬけゆっくりがおさ!? まりさみたいなさいっきょうっのゆっくりとあんなのをいっしょにしないでほしいのぜ!」 「ゆ……」 「わからないよー……」 ぱちゅりーの存在があったが故に、奴隷ゆっくりは心の底では決してまりさを長とは認めない。 それが反抗心の火種となり、ある程度暴力に訴えなければ言うことに従わないのだ。 「そ、それよりまりさ。そろそろけっこんについてかんがえたほうがいいんじゃないかしら?」 話題を変えるために、ありすが話を切り出す。 「ゆ、そうなんだぜ。まりさもそろそろけっこんしないといきおくれになってしまうんだぜ!」 うまくまりさの気を逸らすことに成功したのを確認した二匹は安堵する。 「まりささまのゆうっしゅうっないでんしをこうせいにのこさないと このむれのしょうらいがあぶないのぜ!せかいのだいそんしつなのぜ!」 「ま、まりさはだれとけっこんするつもりなのかしら? まさか、わたしとかいうんじゃないでしょうね!?」 赤面しながら鬱陶しい視線をチラチラとまりさに向けるありす。 しかし 「ゆ?なにいってるのぜ?どれいをあいてにすっきりしまくるびっちなんかにきょうみはないのぜ!」 瞬間、ありすの時間が凍りついた。 「わかるよー!まりさはあのれいむがおこのみなんだねー!」 「ゆゆ!?そんなことないのぜ?てれるのぜ!まりさはその、だから……」 談笑を続けるちぇんとまりさはありすの変化に気付かない。 (え?どういうこと?まりさは、ありすに?ちょっと。れいむなんていまはかんけいないでしょ?) ちぇんにからかわれながらも満更ではない様子のまりさ。 長に向かって云々、とまりさが口にすることは無い。 便宜上長と幹部という形に納まっているが 何だかんだでまりさもちぇんも対等な友として見ているのだ。 だが、ありすからまりさに対する思い関してはそうでもなかったらしい。 「ゆ、ゆ、まあ、まだじかんはあるのぜ! あせってけっこんするのはよくないのぜ!」 「そうだねー。れいむはゆっくりしたゆっくりがすきだからねー!わかるよー!」 「ゆぅん!ちぇん、もうやめるのぜ!」 ありすは自分の存立基盤が崩れてゆくのを感じていた。 そこに空気の読めないまりさが追い討ちをかける。 「ありすもどれいとばかりすっきりしてないで、あいのあるすっきりをいちどはけいけんしてみるのぜ? なんだったらいいゆっくりをしょうかいするのぜ?」 プツン、と。 ありすの中にあった、切れてはいけない何かが切れる音がした。 ―――――――――――――――― 次の日から、奴隷宿舎は今まで以上の地獄と化した。 「はやくしろっていってるでしょ!!くず!ごみ!!」 「やべ!!いだ!!ゆっぐ!ゆっぐり!!ごべん!!!なざ!!!!」 鬼の形相で奴隷のまりさに暴力を振るう幹部ありす。 他の奴隷ゆっくりはただただ怯えるばかりであったが 看守ゆっくり達はその様子を呆然と見ていた。 ありすの暴力は『従わせる』という範疇を明らかに超えていた。 いや、元々いじめを楽しんでいたことがなかったとは言わないが それにしてもありすのそれは度を越していた。 「ふんっ!ほんとうにやくにたたないくずどれいね!! あんたにいきてるかちなんてないのよ!!」 「べっ…………」 ボロ雑巾のようにされたまりさは奴隷用の共同トイレに叩き落され うめき声を上げることもなくその中でうずくまった。 「あ、ありす、ちょっとやりすぎだよ……」 看守ゆっくりのれいむが恐る恐る言う。 「まともにしごとができないあのくずがいけないのよ! どうせしごとができないならどうなってもいいでしょ!?」 「で、でも、えいえんにゆっくりさせたら……」 「あんたのめはふしあな!?えいえんにゆっくりなんてしてないでしょ!? ばかなこといってないではやくしごとしなさい!!」 「ゆ、ゆっくりりかいしたよ……」 奴隷は勿論、看守ゆっくり達も表立って幹部に逆らうわけにもいかず 昨日今日のありすの豹変にビクつきながらも、仕事に戻っていった。 ―――――――――――――――― ありすの癇癪と奴隷の扱いは収まるどころか、日に日に酷くなっていった。 今まで必死の形相で狩りをしていた奴隷達は生気がなくなってゆき 次第に死んだ魚のような目をしてもそもそと草むしりのような狩りをするようになっていった。 当然、その話は長まりさの耳にも入り、ありすに注意を促すも 『えいえんにゆっくりさせていない』『やくたたずのどれいがわるい』とあまり効果は無いようだ。 ルールを破っていない以上、長まりさもあまりありすに対して強く出れない。 それに心なしか、長まりさに対するありすの態度もトゲトゲしたものになっていった。 まりさ、ありす、ちぇんの三匹で食卓を囲う回数も減ってゆき、ますます溝は深まってゆく。 そこでまりさは心の中に浮かんだ、とある計画を実行すべく動き始めるのだった。 ―――――――――――――――― 長まりさは自宅に幹部ちぇんと、一匹の一般層にいたれいむを呼び出していた。 「まりさ、だいじなおはなしってなに?」 「どうしてありすはよんじゃいけないの?わからないよー……?」 「ゆっ。それはほかでもないありすのことだからなんだぜ」 まりさは大胆にも、自分のお気に入りだった美ゆっくりのれいむを呼び出していた。 最初はちぇんからからかいじみた言葉が出たが、まりさの雰囲気はそんな軽いのりではない。 「はっきりきくのぜ、ちぇん、そしてれいむ。 あのありすはかんぶにふさわしいとおもうのぜ?」 「ゆっ!?」 「そ、それってまりさ!?」 「そうなのぜ。まりさはあのありすをこのままかんぶにしておくのはあぶないきがするのぜ」 長まりさは、あまりに凶行を繰り返すありすを見限る決断をしたのだ。 「で、でもありすは……!」 「わかっているのぜ。わかっているのぜ……」 ありすは群れ創設以来の功労者だ。 長まりさとて、何の迷いも無くありすを切り捨てることにしたわけではない。 ただ、それはありすに対して悪いとか、憐憫の思いがあるという意味とは違う。 「そのはなし、れいむはかんけいあるの?」 もっともな疑問をれいむが口にする。 「それは……れいむが、ありすのかわりにかんぶになってほしいのぜ!」 「ゆゆっ!?」 「わっ、わからないよー!?」 まりさの、最大のたくらみはそこだった。 自分のお気に入りのれいむとお近づきになりたい。 もとよりありすに対しては、友情はあっても愛情は無かった。 こちらの意思通りに動かなくなった以上、まりさにとってありすは邪魔者でしかなくなった。 これを機会にありすを排除し、れいむを自らの手中に収める。 少なくとも、まりさの中では完璧な計画となっていた。 「で、でも、ありすはなんにもわるいことしてないよー?」 この件の最大の懸念はそこである。 ありすは確かに掟ギリギリのことをしているが、掟破りはしていない。 要するに解任させる決定的な条件が無いのだ。 「ゆ!それもかんがえてあるのぜ!すべて、このさいっきょうっのまりささまにまかせるのぜ!」 ―――――――――――――――― 明朝一番に、群れには一つのお触れが発せられた。 本日、長より重大発表があると。 群れのゆっくりは若干の緊張と不信感を募らせている。 基本、全員の招集は新たな掟の制定の際に行われていたからだ。 できれば規制など無いほうがいい。 掟を増やすことは、どうしてもマイナスイメージが付きまとっていた。 そして集まった上流、一般、奴隷ゆっくりの前に長まりさが躍り出た。 次いで、幹部であるありすとちぇんがまりさの横に並ぶ。 「ゆ、ありす。ありすはまえなのぜ」 「え?そ、そう?」 ありすはまりさに促され、長まりさよりも少し前に移動した。 妙に注目を集めているせいで居心地が悪いありすはきょろきょろとまりさと地面に視線を泳がせた。 「きょうはみんなに、どーーーーーーーーーしてもそうだんしなければならないことがあるのぜ」 長の重々しい雰囲気に、一同に緊張が走る。 ただし、事前にこの召集の目的を聞かされているちぇんと、れいむと、一部の上流ゆっくりを除いてだが。 「まりさはまわりくどいのがきらいだからはっきりいうのぜ」 台詞と矛盾するが、回りくどく間を溜めながらまりさが言うと 看守ゆっくりの一部がありすの横に移動した。 「ゆ!?な、なに!?なんなのよ!?」 看守ゆっくりのフォーメーションは明らかに 犯罪ゆっくりや、奴隷ゆっくりを取り押さえる時のものだ。 「さいきん、このありすのぼうりょくのせいで どれいゆっくりがあつめるしょくりょうがへっているのぜ!」 「なにをいってるの!?あれはどれいが」 「ゆっくりだまってね!!」 「ゆぎゃ!あでぃずに……ごんなごどじて………」 「おさのはなしととちゅうみょん!だまってきくみょん!」 ありすは看守ゆっくりに取り押さえられ、法廷の被告のような状態にされる。 「ありすがいうには『おきてはやぶってない』そうなんだぜ? たしかに、どれいゆっくりにはいままでえいえんにゆっくりしたやつはいないのぜ!」 奴隷ゆっくりが抗議の声を上げようとするが、看守ゆっくりが睨みを利かせると押し黙るしかなくなる。 「だから、まりさはみんなにきこうとおもったのぜ! このありすを、このままかんぶにしておいていいのぜ!? おきてをやぶっていなければ、なにをしてもゆるされるとおもってるげすなのぜ!」 「な……ま、まりさ……」 「おとなしくしろっていってるみょん!」 「いだい!!ありずのおしりをぶったのは……いだっ!!やべなざい!!」 ありすは慌てる。 これまでも、そして他のゆっくりもギリギリのことはしてきた。 だからこそ、自分だけが制裁されるのはおかしいとか 仲間だったまりさが自分を見下していることが信じられないとか、様々な感情が渦巻く。 そして何より―――――― 「だからまりさは、このげすなありすをどれいゆっくりに『かくさげ』しようとおもうのぜ! みんな、どうおもうのぜ!?」 ――――――まりさが好きだったのに。 「ゆー!さいっていのありすはどれいにしていいよ!」 「まりさもさんせいだよ!ありすはさいきんとくにひどかったよ!」 「ちょ、あなたたち……!」 「むしろえいえんにゆっくりさせてもいいよ!!」 「とっとところしてね!!すぐでいいよ!!」 「まって、まちなさいよ………」 「「「しーね!しーね!しーね!しーね」」」 「まちなさいっていって……」 「おまえはだまってるみょん!」 「ぎゅびぃ……」 押さえつけられ、うめき声を発することしかできなくなるありす。 それでも叫ばずにはいられなかった。 ここで自分の意見を封殺されては、本当にまりさの言うとおりになってしまうから。 「ゆ!みんなのいいたいことはわかるのぜ! でも、やっぱりまりさはありすをころさないのぜ! こんなげすでも、はたらかせればむれのやくにたつのぜ!」 「まりさ!」 そんなありすを貶める言葉が飛び交う中、まりさが目をつけていたれいむが声を上げる。 「みんなはありすをえいえんにゆっくりさせてほしいっていってるよ! だから、どれいにするだけじゃありすのばつとしてはふさわしくないよ!」 「ゆ?ゆーむ……」 まりさは悩んでいるふりをする。 これも筋書きにあった提案だ。 少し間を溜めてから、まりさははっきりと言い放った。 「じゃあ、まりさとみんなのいけんのあいだをとって、ありすをどれいたちのどれいにするんだぜ!」 「ゆえええええええええええええ!!!!」 どの間をどうとればそうなるかは分からないが、その意見に全てのゆっくりが賛同した。 奴隷層からは特に強い賛成の声が上がる。 「ふざけないでっ……!ありすはっ……ありすはっ……!」 「いいかげんに……しろみょんっ!!!」 「びゅげぇ……!!」 ひときわ強く殴られたありすは中身を吐き出し、そこで意識を失った。 ―――――――――――――――― それから数日。 ありすは地獄よりもさらに深い地獄をさまよっていた。 「ほらほらっ!しまりがなくなってきたよ!」 「ゆげっ!ごがっ!あがっ!え゙っ!お゙っ……!!」 宿舎の中で奴隷ゆっくりに暴力を受け、犯され、罵倒されるだけの毎日。 少し前まで奴隷宿舎の頂点に居座っていたありすは、その最下層へと身を落としていた。 底部を丹念に傷つけられたありすはまともに行動できず 『えいえんにゆっくりさせてはいけない』という掟の下、ただただ苦しめられた。 食事は奴隷と自分のうんうんと我が子。 一歩も動くことが叶わないので狩りはしなくてすむが、完全に奴隷以下の玩具という現状。 死ぬよりも惨い仕打ちを受け、ただただ涙した。 「ほらほら!そろそろねないとあしたがつらいよ!」 「ゆぇ!?」 「ゆ、そ、そうだね!」 「まりさはもうねるよ……」 「ゆへ、ゆへへ……」 今や幹部となり、この奴隷宿舎の全てを切り盛りすることとなったれいむに注意され、寝床に着く一同。 看守に逆らったり狩りの収穫量が少なければ暴力を受ける身だが 自分たちよりも低いヒエラルキーにそのストレスをぶつけることができるようになった。 奴隷の間にも少しだが笑みがこぼれるようになり、反抗の減少、収穫量の増加につながっている。 奴隷たちが奥の寝床に引っ込んでゆくのを確認した幹部れいむは 宿舎の隅でぐったりしているありすに近づいて一言告げる。 「いまどんなきもち?」 「………!!!!」 ありすが血走った目でぎろりと睨み、今にも飛び掛らん勢いで身体をよじった。 「あっれぇ~!?どれいのどれいがはんこうてきなめをしてるよぉ~!?」 「っ!!!!!!ま、まっで………」 れいむが大げさにそう言うと、看守ゆっくりが集まってくる。 「へぇー?どれいのどれいがかんぶにたてつこうっていうんだぜ?」 「ゆぷぷぷ、これはきょうっいくっがたりてないしょうこだね!」 「ぢ……ぢがうの……あでぃずは……あでぃずは…………」 とっさに言い訳をしようと頭をフル回転させるありす。 そんなことをしていると、ちょうど宿舎の前を長まりさと幹部ちぇんが通りかかった。 「ま……までぃ……ざ…………」 「おさにきやすくこえをかけないでねこのくず!」 「ぶぎゃっ!!までぃざあああああああああああ!!! までぃざああああああああああ!!!! ごべんざないいいいいいいいいいいいい!!!!! あやまるがら!!!ごごろをいれがえまずがらゆるじでええええええええええ!!!!」 「だまれっていってるでしょ!!」 その言葉に反応したように長まりさは宿舎の入り口までやってくる。 ありすの縋るような目を一瞥したがしかし、れいむの方を見て言った。 「れいむ、きょうはまりさのいえでちぇんといっしょにしょくじするのぜ?」 「ゆっ!そうなの!いっしょにむーしゃむーしゃしようね!」 明るい顔で会話するれいむとまりさを見て、ありすの表情が歪む。 否定すらされなかった。 一緒に苦楽を共にした仲で、思いを寄せていたまりさに、ただのゴミのような扱いをされた。 「ゆへっ……!こいつしーしーもらしてるよ?」 「どれいいかのゆっくりだからねー!ちゃんとしーしーのしかたもおしえないと……ねっ!!」 「ぶぎゃあ!!!」 看守のちぇんの一撃を皮切りに、ありすが長まりさの名を出さなくなるまで暴行を受け 『ころして』と懇願するまでレイプが続いた。 ―――――――――――――――― 「ゆっくりできないんだぜ……」 そんな台詞を口にしたのは、一般層に住まう一匹のまりさだった。 「さいっきょうっのまりさをさしおいてなんであんなやつがおさに……」 このまりさは群れが成立する前後にこの集落を訪れたゆっくり。 優秀なぱちゅりーがいるという噂を耳にし 以前に所属していた群れを抜け出してきたのだ。 が、蓋を開けてみれば自分ではない他のまりさが長に就任していた。 しかも幹部はありすとちぇん。 どういうことだ。ここで長になっているのはぱちゅりーではなかったのか? 群れに住まうゆっくりにそのことを尋ねてみると皆、口を揃えて言った。 『ぱちゅりーはこのむれをみすてた』と。 なんだそれは。ふざけるなとまりさは憤慨した。 まりさの完璧な計画では、長に就任するぱちゅりーを抱き込み 自分がその実権を握って群れを支配してやる算段だったのだ。 ぱちゅりーがいないのでは現在の長を、と言いたいところだが 長のポストに納まっていたのはなんとまりさだったのだ。 不思議と、同じ種族では番になることのないゆっくり。 れいぱーでさえ同じありすを襲うことはないのだ。 長まりさを相手にまりさが篭絡作戦を取ることなど不可能だ。 結果このまりさは、ただの一般市民として生活することを強いられた。 別段、長という存在になり群れを良くしていくという考えはない。 まりさの中にあったのは、長として一般民と奴隷を見下してやりたいという支配欲と 同じまりさ種が自分より上の地位にいることが我慢ならなかっただけである。 しかしまりさは動かずに、いや動けずにいた。 群れの中で同じような考えを持っていたゆっくりはまりさ一匹ではない。 事実、長や幹部にたてついたゆっくりはいた。 失踪したぱちゅりー派や、ただのゲスゆっくりも含めてだ。 だがそいつらは何もなしえることなく今は奴隷宿舎に収監されている。 まりさが二の足を踏んでいるところに先駆者としてどうなるかを身をもって示してくれたのだ。 今のまりさがこうして一般市民をしていられるのは、彼らのおかげと、まりさの度胸のなさに起因する。 ただ一匹で反旗を翻したところで奴隷にされるだけ。 その後は一生奴隷宿舎での生活を強いられるだろう。 それくらいの慎重さは持ち合わせていたようだ。 「ゆぅ。なんとかするのぜ……なんとか……」 まりさはぶつぶつと独り言を言いながら、今日もまた燻っている。 ―――――――――――――――― まりさが燻り続けている間に、ある事件が起きた。 それは幹部ありすの失脚と一般層のれいむの昇進。 開いた口が塞がらなかった。 何で、何で無能なれいむなんかが幹部となり、自分が一般民のままなのだ。 抗議の声を上げたかったが、幹部となったれいむをどうこうすれば、奴隷化は免れないだろう。 しかし結果として、その事件はまりさの背中を後押しするものだった。 幹部だって失脚することがある。 そして一般民が昇進することもある。 その前例があるだけで、まりさを動かすきっかけになるには十分だった。 「いまにみてるんだぜ……」 まりさはまず最初に何をすべきか考える。 そうだ仲間だ! 奴らはいつもいつも、つるんで行動している。 こちらも相応の戦力をかき集めて まずは治安維持と称して一般民をいじめているあいつらを倒せばいいんだ! まりさは歩み始める。 自分が長になり、もっともっとゆっくりしてやる! さっそく、手近なゆっくりに声をかけた。 「みょん!ゆっくりきいてほしいんだぜ!」 「みょ?まりさ、なにかようみょん?」 最初に目に付いたのはみょんだった。 まりさの中では、れいむ、ありす、ぱちゅりーは役立たずという印象があった。 身体能力を基準としているので、それはある意味正しい。 「みょんは、さいきんのおさをみてどうおもうのぜ?」 「どういういみみょん?」 みょんは露骨に警戒を強める。 「まりさはおもうのぜ!あのまりさはおさに……」 「そこまでよ!」 まりさとみょんはその声にビクッとなる。 二匹が振り返ると同じく一般層のぱちゅりーがそこにいた。 「むきょきょきょ。はなしはきかせてもらったわ!」 「な、なんのことみょん!?みょんはかんけいないみょん!!」 「ぱちゅりーにようはないのぜ!とっととうせるのぜ!!」 「むっきょっきょっきょっきょ!」 ぱちゅりーは腹立たしい笑い方と表情をして言葉を続ける。 「あらそう?じゃあぱちぇはこのことをちぇんにほうこくしにいこうかしらねぇ~?」 「みょ!?」 「ぱ、ぱちゅりー!?」 この群れは掟に対してとても厳しい。 それは治安維持部隊にも言えることなので、掟破りと認定されない限り捕まることはないが こういった密告で監視されたり、言いがかりを付けられる回数が増えたりということは多かった。 反乱を企てるまりさとしては、それだけは避けねばならなかった。 「むきょ!だいじょうぶよまりさ、みょん! ちぇんにはだまっておいてあげるから! でもそうねぇ~、ぱちぇにもいちまいかませてもらおうかしら?」 「ゆぎぎ……」 選択の余地は無い。 ここでぱちゅりーを追い払ってしまうと幹部ちぇんにこのことを報告されてしまう。 監視が付いた中で反乱の準備を進めるというのは不可能だ。 しかし、まりさの安いプライドが邪魔をして『わかった』と即答できない。 「だいじょうぶよ!けんじゃのぱちぇのちえをかしてあげようというのだもの! このはんらんはかならずせいこうするわ!むきょきょ!」 が、ぱちゅりーの中では既にOKの返事をもらったことになっているらしい。 まりさはその態度が気に食わなかったが、結局はぱちゅりーを仲間にすることを決める。 「みょ、みょんはほんとうにかんけいないよ! はんらんなんてしたくないよ!やりたければまりさとぱちゅりーでやってね!」 「むきょきょきょきょきょ!!!これだからていのうはやくにたたないのよ!!! い~いみょん?ここでぱちぇが『みょんがはんらんをしようとしてるわぁ~』とさけんだら ど~おなるかしらぁ~?」 「みょ、みょ……」 「むきょきょ!じぶんのたちばというものがわかったようね! わかったらとっととなかまをあつめてくるのよ!すぐでいいわ!」 「みょおおおおおおおおん!?」 「ぱちゅりーはさしずしないでほしいんだぜ!! まあいいのぜ。どうせいまのおさにふまんがあるゆっくりなんてうじゃうじゃいるのぜ。 とっととなかまをあつめて、とっととまりさがおさになるのぜ!」 「むきょきょ!そのときはけんじゃのぱちぇがかんぶになってあげるわ!」 「かんがえておくのぜ……みょん!とっととなかまをあつめてくるのぜ!」 「みょおおおおおおおおおおおおお……!!!!」 ―――――――――――――――― その日の夕方。 反逆のまりさの物語は終わってしまった。 「まりさをうらぎったなぁぁぁぁぁあああああ!!!!」 「むきょおおおおおおおお!!!けんじゃのぱちぇにさわるなていのうどもおおおおお!!!!」 「おとなしくしてね!!」 「つれていくよ!!」 「びゅべ!!」 「いだっ!!いだい!!やべなざい!!!」 幹部ちぇん率いる治安維持部隊に連行されるまりさとぱちゅりーを例のみょんが無表情で見ていた。 ぱちゅりーがどうこうする前に、みょんによって反乱の作戦を密告された二匹。 火薬は、発火することなく火種を消されてしまったのだ。 「まつのぜ!!」 「ゆっ!?」 「ゆゆっ!?」 その逮捕現場に現れたのは長まりさだった。 「おまえがああああああああああ!!!! おまえがいるからあああああああああああ!!!!」 「だまってねー!!」 「いだい!!ぎゅぶっ!!!」 たちまち敵愾心をむき出しにするまりさだが、幹部ちぇんによって押さえ込まれてしまう。 「ひとつききたいのぜ。そいつはおきてやぶりをしたのぜ?」 「わ、わからないよー?でも、まりさははんらんを……」 「たしかにはんらんをおこされるのはこまるのぜ。 でも、そいつらは『まだなにもしてない』のぜ」 その場にいた一同が言われてみれば確かに……みたいな表情をする。 まりさが最初に仲間にしようとした相手が戦いを嫌うみょんだったことや ぱちゅりーがたびたびみょんを脅したはいいが、しっかり首輪をつけなかったことなど あまりにザルな計画ゆえに、何もできなかったのだ。 「おきてやぶりはせいっさいっされてとうぜんなのぜ。 だけどおきてやぶりをしてないゆっくりをせいっさいっすることなどゆるされないのぜ」 「だ、だけどだけど……」 「くどいのぜ!こんどのじけんはみょんのおかげでなにもおきなかったのぜ! だからそいつらをたいほするのはおかどちがいなのぜ!」 「わ、わからないよー……」 「はなしなさい!!」 「ゆあっ!!」 ぱちゅりーが幹部ちぇんを払いのけた。 咄嗟にもう一度捕まえようとするが、ちぇんに 周囲の非難がましい視線が突き刺さっていることに気付き、動きを止める。 「ここにいるゆっくりはだれもおきてやぶりをしてないのぜ。 だからとっととじぶんたちのしごとにもどるのぜ!いいのぜ!?」 長まりさが強く言うとギャラリーやまりさ、ぱちゅりーもそそくさとその場を離れていった。 治安維持部隊もバツが悪そうに去って行く。 幹部ちぇんの中に、一つの問題を残して。 ―――――――――――――――― その事件はすぐに群れ中のゆっくりに知れ渡ることとなった。 なんだ、掟破りをしなければ大丈夫なんだ、と。 結果として、治安維持部隊のパトロールは若干ゆるくなる。 はっきりとした掟破りを見つけない限り、強く出ることができなくなったからだ。 特に責任者であり、あの場で最後まで食い下がった幹部ちぇんは素でなめられるようになった。 「れいむはただゆっくりしてるだけだよ!」 「なんにもわるいことしてないよ!はやくあっちにいってね!」 「わから……ゆぎぎ………!」 この調子である。 逆に長まりさの悪評は、当初に比べて減少する一方だった。 あのまりさは、結構まともに長をやれてるじゃないか。 奴隷ゆっくりの扱いはちょっとひどいけど、永遠にゆっくりさせてないし。 そもそも奴隷は皆、掟破りをした犯罪ゆっくりだし。 幹部ちぇんへの叱責や、幹部ありすの降格など、身内に大しても公平。 最早群れの中で、長としてのまりさを非難する材料は殆ど無かった。 ――――第四章 はおうとじんくん―――― 「ゆ?ちかくにむれがあるのぜ?」 「れいむはそうきいたよ」 長まりさと幹部れいむは自宅で食事をしている。 幹部ちぇんとはだいぶ疎遠となり、ギクシャクした関係が続いていたが まりさはれいむとツーショットであることの方が嬉しかったので、特に気にせずにいた。 「むれ……まえはこのちかくにむれなんてなかったのぜ」 「むーしゃむーしゃ、でも、かりにいったどれいがたくさんのゆっくりをみたっていってたよ」 「むーしゃむーしゃ、ゆーん……」 そもそもこの群れは、このあたりに群れがなかったから ぱちゅりーを中心にゆっくりが集まっていったというのがきっかけで生まれたのだ。 この期に及んでぱちゅりーのことを思い出したまりさは少しイラッとした。 「むれがあるかどうかのかくにんを、どれいにまかせるわけにもいかないし……」 奴隷ゆっくりは、行く当てがないことが最大の鎖となっているのだ。 お飾りを傷つけられたことで、普通のゆっくりには侮蔑される。 だからこそ無法地帯の群れの外よりも 曲がりなりにも生きていけるこの群れに留まる他ないというシステムである。 奴隷が遭遇したゆっくりに殺されては調査にならないし まかり間違って群れに拾われて亡命でもされてしまえばそれはそれで情報が帰ってこない。 「まりさがちょくせついきたいけど、おさがむれをながくあけるわけにもいかないのぜ」 「だったら、ちぇんにいかせたらどうかな?」 「ゆ?」 まりさはこの場に姿を見せなくなっていたちぇんのことを失念していた。 「ゆ!そうなんだぜ!ちぇんはあしがはやいからちょうどいいのぜ!」 「あ、でも、ぱとろーるのほうはどうするの?」 「それこそまりさがやればいいんだぜ。いつものことなのぜ」 「ゆ!そっか!」 問題の解決をみた二匹は、さっぱりした表情で会食を続けた。 ―――――――――――――――― 「と、いうわけでちぇん。ちょうさをたのむのぜ」 「……わかったよー」 若干投げやりな返答を返す幹部ちぇん。 長まりさとの間にできた軋轢は今も元には戻っていなかった。 「ちぇん!これはじゅうようなしごとなのぜ! そんなやるきのないことではつとまらないのぜ!」 「だったらちぇんにやらせないでほしんだよー……」 「ちぇん!!!」 「わかった、わかったよー。おおごえをださないでねー」 長まりさの人気に反比例し、幹部ちぇんの評判は下がる一方だった。 元々治安維持など皆に好かれるような仕事ではない。 以前に好き勝手振舞っていたこともあり、ちぇんは群れで孤立しつつあった。 例の反乱未遂事件から、新しい掟破りが出なかったのは幸か不幸か。 「どれいがたくさんのゆっくりをみたのはあっちのかわったもようのきがはえてるほうこうなんだぜ。 ちぇんは、とりあえずいけるところまでいって、ゆっくりがいなかったかみてくるだけでいいんだぜ」 「わかったよー」 ちぇんは嫌々ながらも、調査に出発するのだった。 ―――――――――――――――― ちぇんは群れの外で、教えられた方向に向かって跳ねていた。 「まりさ……」 出会ってから、どれくらいだろう。 ありすとまりさ。 仲良くなったきっかけはもう思い出せない。 だけど、今も仲良くやっているということは絶対にない。 ありすは、使い捨てられた。 ちぇんは、まず最初にそれが納得できなかった。 確かにありすの素行は悪かったかもしれない。 しかし、その結果、あんな状態にするようなものだったのだろうか。 『どれいのどれい』。まりさはそう言った。 それは本当に、友達と思っていた者に対する仕打ちなんだろうか。 自分も、悪いことをすれば奴隷宿舎に容赦なく放り込まれるのだろうか。 ほんの少しでも、情けをかけるという選択肢は無かったのか。 「わからないよー……」 それに、自分も途中までは気付かなかったのだが ありすは、まりさのことが好きだったんじゃないのだろうか。 まりさには、感情というものがないのか。 ただ、是か非かの選択だけで生きているのだろうか。 ちぇんは、なまじまりさと仲良くしたいと思っていたが故に まりさの仕打ちが、一種の裏切り行為のように思えてならなかった。 そして最後に思う。 まりさは、本当に長にふさわしいゆっくりだったのだろうか。 ―――――――――――――――― 日が高くなった頃。 「べつに、だれもいないんだねー……」 休み休みとはいえ、朝からずっと走り続けても誰とも会うことは無かった。 そう言えばまりさは言っていた。これは奴隷から聞いた話だと。 それを思い出したちぇんは無性に腹が立った。 なんだ、ちぇんやありすにはあんなことしたくせに 奴隷の言うことは無条件に信じるのか。 「かえろう」 ちぇんが身を翻したその瞬間だった。 「ゆ?みかけないゆっくりがいるよ!」 「えっ……?」 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆ、ゆっくりしていってね?」 ―――――――――――――――― ちぇんは、一匹のまりさに案内されながら道すがら事情を聞いていた。 「ゆーう、じゃあちぇんのいたほうにむれがあるんだね!」 「そうだよ。むれができてからだいぶたつけど、しらなかったの?」 「まりさはこのあたりでうまれたゆっくりだよ! だからあんまりとおくへいったことがないんだよ!」 「わかったよー」 このまりさは狩りこそしているものの、さほど活動的な性格ではなかったようだ。 「まりさはそっちのむれにいるの?」 「ゆぅ。ちょっとちがうよ」 「ちがう?」 「たしかにまりさのおうちのまわりにはたくさんのゆっくりがいるよ。 でも、まだおさがいないんだよ」 「え…」 どこかで聞いた話だった。 「そ、そのむれに、おさはいないの?」 「ゆーう。まりさはぱちゅりーがおさになってくれればいいとおもってるんだけど なんか『おさはゆっくりできないわあああ』っていってやってくれないんだよ」 「わ、わかるよー……」 「ゆ?ちぇんはぱちゅりーのことがわかるの?」 「わかるよー……わからないけど、わかるよー……」 「ゆぅぅ???」 能天気なまりさはちぇんの言うことが理解できず、困惑した。 ―――――――――――――――― 「あいかわらず、おおきなおうちにすんでるんだねー……」 まりさと別れ、ぱちゅりーの自宅と思しき『おうち』にたどり着く。 言われなくても分かった。 このあたりで最も大きく立派な家。 ちぇんが、居住者に話をするため声をかけようとしたそのときだった。 「わきゃりゅよー!」 「ゆひゃ!!」 『おうち』から飛び出してきたのは一匹の子ちぇんだった。 ちぇんの横を通り過ぎてゆく。 「むきゅううう!!おとなしくしないとだめじゃないのおおおおお!!!」 続いて出てきたのはぱちゅりーだった。 どうも先ほどの子ちぇんの親らしい。 「むきゅ?」 「ひさしぶり……なんだねー……」 「むきょ……むきょ………」 「あいかわらずなんだねー。どうしてこんなことしてるの? わからないよー……」 「むきょわあああああああああああああ!!!!!!」 かつて険悪な仲であったまりさの腰巾着であったちぇん。 その偶然の再会にぱちゅりーは絶叫した。 対してちぇんは、むしろやっぱりという状態で冷静だった。 ―――――――――――――――― 「やっぱりまりさはおさになったのね」 「そうなんだよー……」 ぱちゅりーの自宅で、ちぇんはかつて敵であったぱちゅりーと話をしている。 「むっきゅんむっきゅん。おかーしゃん、あんまりゆっくりしてないちぇんね」 「むきゅ!?しつれいなこといわないの!」 「べつにいいんだよー。おちびちゃんのいうことだからねー」 そう、敵であったのはかつての話だ。 今は敵対する理由もないし、むしろ向こうの群れではたびたび名が出てきたので ちぇんにとってはさほど久しぶりという感じはせず、不思議な気分だった。 「そういえば、ちぇんはなにしにここにきたの? かんぶになったんでしょ?」 「……ちぇんは、まりさにいわれてむれがあるかさがしにきたんだよー。 でも、ぱちゅりーは」 「む、むきゅ!?ぱ、ぱちぇはおさじゃないわよ!?」 「わかってるよー……。ぱちゅりーはぜったいにおさにならないんだねー……」 「むっきゅん……」 ぱちゅりーは長同士会談の場を設けよう、などと切り出されるのではないかと狼狽した。 しかし、ちぇんにはそういうつもりがないことが分かり、胸をなで下ろす。 「まりさはげんき?」 「………。げんき、だよー」 「むきゅ?そういうちぇんはさっきからあまりげんきがなさそうね」 「いろいろあったんだよー……」 「……?」 ぱちゅりーが首をかしげ、間が空いた時だった。 「ちぇん!!まりさのちぇんがなんのようなの!?」 「え?」 「む、むきゅ!!ちぇん!だいじょうぶよ!だいじょうぶだから!!」 「ぱちゅりーはちぇんがまもるよー!!!」 ―――――――――――――――― 「ごめんねだよ、ちぇん……」 「むっきゅ!いきなりらんぼうするのはいけないわ!」 「いいよぱちゅりー。ちぇんはきにしてないから」 かつての敵対者であった幹部ちぇんが自宅にいれば驚くのも無理は無い。 一悶着あったが、子供がいることと、ぱちゅりーがなだめたことで何とか場は落ち着いた。 「おとーしゃん!おとーしゃんとこのちぇんはどっちのほうがはやいのー?」 「わからないよー。ちぇん(自分)もはやいけど、ちぇん(幹部)もはやいとおもうよー」 ぱちゅりーは子供を連れて奥へ入っているようにちぇんにすすめた。 最初は、敵対していたちぇんと一対一にすることを危険だと言ったが ぱちゅりーは決して折れなかった。 最終的には、子供たちを放っておくのはよくないと言う意見で なんとかちぇんも納得した。 「そういえばぱちゅりー、ちぇんといっしょになったんだねー」 「むきゅきゅ。なんだかんだでうまがあってね」 かつてはぱちゅりーだけに注目していたため断言はできないが あのちぇんと特別仲が良かったような記憶は無い。 「ちょっとはなしがながくなりすぎたわね。 きょうはとまっていくかしら?」 「……いいの?」 「だいじょうぶよ。ちぇんいっかいぶんのごはんさんくらいはあるから」 「そ、そういうことじゃなくて……」 「それに、このままちぇんをおいだしたりしたら おさまりさになにをされるかわからないしね、むきゅきゅ」 「ちぇんたちはそんなこと……!」 言い返そうとして、ハタと気付いた。 確かに、どうだろう。 かつての自分達なら間違いなくぱちゅりーの命を狙っただろう。 だが、今ならどうだ? 少なくとも自分は、戦争だ何だという話になれば反対するだろう。 まりさは、無条件にこの集落に群れの戦力を持って戦争を仕掛けたりするだろうか? いや、しないはずだ。 今のまりさは正しいことと間違ったことをきちんと考えて判断できる。 そう、変わったのだ。自分も、まりさも。 ただの一ゆっくりとして悠々自適に暮らしていた自分たちと 長と、幹部という立場に立たされた自分は違う。 だがありすは変わらなかった。 幹部という地位を得たことで成長せず、ただの一ゆっくりのままでいたから あんな状態まで身を落としていったのかもしれない。 「どうしたの?ちぇん?」 「ゆっ!?」 ぱちゅりーに顔を覗き込まれて思わずビクッとなってしまうちぇん。 そうだ。まずい。 まりさは変わった。 しかし、ここにあの憎きぱちゅりーがいると知ればどうなるのか? 昔の敵愾心を取り戻し、私怨での戦いを仕掛けてしまうのではないだろうか? 駄目だ。それを許してはいけない。 今、この集落にぱちゅりーがいることをまりさに知られてはいけない! 「ほんとにだいじょうぶ?げんきがないならもうなんにちかやんすでいく?」 「ゆっ!?い、いいよ!!ちぇんはきゅうようができたよ!!かえらないと……」 「むきゅ!?なにいってるの!?もうすぐひがおちるわよ!! むれまでどれほどのきょりがあるかしらないけど、でていくのはぱちゅりーがゆるさないわ!!」 「でも……でも………」 「なにをあせっているのかしらないけど、だめ。 いまいそいでかえったら、その『きゅうよう』とやらもはたせなくなるわよ」 「わ、わかったよー……」 ちぇんはなんとか落ち着きを取り戻したが その日、食事をしても、談笑しても、逸る気持ちを抑えることはできず 日没後も早く朝にならないかと、なかなか眠ることができなかった。 ―――――――――――――――― 翌朝、ちぇんはぱちゅりー一家に見送られていた。 「じゃあね、ちぇん」 「ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっきゅりちてってにぇ!!」」」 「ゆっくりしていってねー!」 ちぇんは慌ただしく集落を去る。 一晩中、自分がどうするべきかを考えた。 最初は群れなんて無かったと報告してしまおうと思った。 それでは一時しのぎにしかならない。 それに、虚偽の報告をしたことがばれるのは拙い。 次はぱちゅりーにそれとなく群れを出て行ってもらうよう説得することを考えた。 それは無理だ。 以前のぱちゅりーと違い、今はちぇんとその家族がいる。 一人で抜け出すならまだしも、身体の弱い赤ゆっくり達含み 子ぱちゅりーを連れての引越しなど不可能に近い。 できるできない以前にぱちゅりーが納得しないだろう。 最後に、ぱちゅりーにいっそ全てを話してしまおうとも思った。 本当のところ、話す直前まではもっていったのだ。 だが、言い出せなかった。 ぱちゅりーが子をなし、幸せを享受しているのを見て それを壊すようなことを言い出すことができなかった。 本当は、最悪の事態を回避するためにはぱちゅりーに言うべきだったのだが。 ちぇんは、決断することができなかった。 選択することから逃げた。 そうだ。ぱちゅりーがどうなったところで知ったことか。 戦争が起きたからって知ったことか。 幹部のちぇんは、群れの幹部として、ゆっくりしてやる。 そう開き直ったちぇんは、事実をありのままに報告することに決めた。 長が、戦いを望んだならそれでいい。 もしそれで群れが多大な被害を受けたところでそれは長の責任だ。 ちぇんは悪くない。 むしろきちんと仕事をし、虚偽を交えずに正しい報告をした優秀なゆっくりだ。 あくどい笑みを浮かべて自分の群れへ走るちぇんの目は、少しだけ赤くなっていた。 ―――――――――――――――― まりさは自宅で悩んでいた。 ちぇんの報告によればこうだ。 1.集落はあった。 2.失踪したぱちゅりーが住んでいた。 3.長が不在である。 4.故に、どういう性格の群れになるか未知数である。 以上。 「ゆーん……」 ちぇんにとっては少々意外だったが まりさはぱちゅりーの名を出しても感情的にはならなかった。 しかし実のところ、まりさは開戦する気満々である。 曰く、その集落は危険である。 まりさの下した判断だった。 そしてもう一つ、まりさが悩んでいるのはそちらの問題だった。 ――――このまま、ぱちゅりーを生かしておくのは拙い。 そのことを聞いたちぇんは涼しい顔をしていた。 わかったよーと冷めた口調で言うと自宅へと帰っていった。 ちぇんは、変わったのだ。 まりさの友達から、ただの長と幹部の関係へと。 それはぱちゅりーに対しても同じ。 どうなったところで知ったことか。 ちぇんは全てに対して投げやりになっている。 考えることを放棄したからだ。 そんなちぇんの考えなど露知らず、まりさは最終的な決定を下す。 「まりさは、せんっそうっするんだぜ!!!」 ―――――――――――――――― 次の日早速、開戦については群れのお触れとして話された。 「あいてのむれは!まだむれのかたちをしてないんだぜ! だから、いまのこうきをのがすてはないのぜ! そしてよりにもよって、こちらのむれのことをみすてたあのぱちゅりーが あちらのむれにすんでいるんだぜ!」 長まりさはあえて例のぱちゅりーの名を出した。 今の一般層では、ぱちゅりーよりも長まりさの人気が上回っていた。 まりさの治世に満足している一般層にとってのぱちゅりーは 群れの誕生の時、無用な混乱をもたらした諸悪の根源という風潮が強い。 「それに、おさのいないむれなんてむれじゃないんだぜ! おきてもない!たくわえもない!なにもない! まりさのむれのゆっくりよりかずもすくない! そんなむれのれんちゅうなんて、いくらでもころしてかまわないのぜ! いのちごいするやつだけたすけて、どれいにしてやればいいのぜ! いまのどれいゆっくり! これからつかまえるどれいはぜんぶどれいのどれいなのぜ! たくさんつかまえればすこしはゆっくりさせてやってもいいのぜ! おかざりをきずつけるなんていわず! そいつらのめのまえでびりびりにやぶりすててやればいいのぜ!」 一般層、奴隷、上流。 全てのゆっくりが気炎を上げる。 この群れに、怠惰なゆっくりは少ない。 掟が厳しいから? 環境がいいから? 犯罪ゆっくりが奴隷化されるから? 否、そうではない。 長となったまりさの、そのアグレッシブな気質に 全てのゆっくりが引っ張られているからだ。 長の自宅の前でゆっくりを率いるまりさは『覇王』となるべく道を歩み始めた。 ―――――――――――――――― 「ぱちゅりー、やっぱりいっちゃったみたいだよ」 「むきゅう……だめだったのね……」 「おかーしゃん、どうしたの?」 「なんでもないのよー……」 「むきゅきゅ!」 ぱちゅりーとちぇんの夫妻は、自宅で気落ちしていた。 「どうして、こうなっちゃうんだよー。 わからないよー……」 「むっきゅん。ぱちぇはわかるわ」 「わかるの?おしえてほしいよー」 「ぱちぇたちは、ゆっくりなのよ。 だからこうなっちゃうのよ」 「わかりたくないよー……」 「しかたないわ。もう、ぱちぇも、みんなも……」 ―――――――――――――――― 長まりさは、開戦の日を二日後と定めた。 さすがに宣言してその日に開戦というのは無理があったからだ。 だが、その判断は結果的に間違いだった。 「わっわがらないよおおおおおおおおお!!!!」 「なにごとなのぜ!?」 「わがらない!!わがらないよおおおお!!!!」 「おちつくのぜちぇん!!なにがあったか、はっきりいうのぜ!!」 「ちぇんたちのむれのゆっくりがおそわれてるよー!!!!」 ―――――――――――――――― 「じねええええええええ!!!!」 「んほ!!んほ!!んほおおおおおお!!!! ありすにすっきりされたいゆっくりはだれかしらあああああああ!!!」 「でいぶおうぢがえるうううううう!!!!」 「おまえなんかにやられないみょん!!!」 「まりささまのけんでころしてやるのぜええええええええ!!!」 集落の広場は、血戦場と化していた。 戦闘員と非戦闘員の振り分けもままならず 個々に迎撃に当たっているまりさの群れのゆっくり達は少しずつだが押されていた。 「みんなおちつくのぜ!!!きいてるかなのぜ!!!おちつくのぜ!!! みんなまりさのもとにあつまるのぜ!!!!」 戦場に出た長まりさは間断なく集まれ、集まれと叫び続ける。 その言葉に、長のまりさが何とかしてくれると思い込んだ集落のゆっくりが 確実に集結していった。 非戦闘員は長まりさの横を通り過ぎてゆく。 戦闘員はまりさの指示を仰ごうと集まってくる。 特別な工夫は無い、ただの密集戦法だ。 「みんな!!あつまってたたかうのぜ!!!あんなくずどもにまりさたちはまけないのぜ!!! がんばるのぜ!!!しにたくなかったらたたかうのぜ!!!」 ゆっくりの戦いは文字通りのぶつかり合い。 奇襲の影響でバラバラに各個撃破され、劣勢を強いられたまりさの群れだが 固まって戦うことで防御力が飛躍的に伸びていた。 陣形とも呼べないつたない戦法だが ただ適当に向かってくるだけの敵に対しては十分な効果がある。 「みょん!?えださんがおれたのぜ!?まりさのをつかうのぜ!」 「だいじょうぶだみょん!『はくろーけん』がなくってもこんなやつらにまけないみょん!」 「ちぇん!あぶないのぜ!」 「だいじょうぶだよー!」 そして何より、味方がすぐ近くにいるのは心強い。 自然、見知った仲のゆっくりがチームとなって戦うことで士気を保っていた。 「みんな!ぶじなのぜ!!」 「れいむはだいじょうぶだよ!!」 「まりさだって!!」 「じゃあさいごに、しょあくのこんげんをしまつしにいくんだぜ!!」 「ゆっゆっおおおおおおおお!!!!」 ―――――――――――――――― 「まちなさい!!けんじゃのぱちぇをおいてどこへいくき!!!」 群れのあった場所から程近く。 敵本陣……ではなく、勝利の報告を待ってのんきに食事をしていたぱちゅりーがいた。 「ばりざおうぢがえるううううううう!!!」 「どぼじでごんなごどにいいいいいいい!!!」 「むきょおおおおおおおお!!! どぼじでどいづもごいづもやぐだだずなのおおおおおおお!!!???」 この戦争を吹っかけたのは 例の群れで長候補ではなかった自称『もりのけんじゃ』のぱちゅりーだった。 ぱちゅりーに同調したわけではない、ただ自分の欲求の代弁者についてきていただけのゆっくりに リーダーを守るという考えなどなく、劣勢と見るや否や皆散り散りに逃げ去っている。 「けんじゃのぱちぇの『さくっせんっ』にまちがいはないのよおおおおお!!!! ぜったいにかてるからたたかってこいこのぐずどもおおおおおおおお!!!!」 ある種当然だが、ぱちゅりーの指示に作戦などという物は一片たりとも含まれてはいなかった。 ただ戦って、勝ってこい。そう指示しただけで何の工夫も無い。 加えて、あの集落からぱちゅりーについてきたゆっくりは 自分さえ得をすればそれで良いというゲスか、ゲス寸前のゆっくりの集まりなので 死力を尽くして戦うといった殊勝な心がけは無い。 前線に積極的に出たのは、最強という妄想に取り付かれた勘違いまりさや 適当に味方にまぎれて武勲を横取りしてやろうと目論んだ戦う気の無いみょんが中心である。 「さあ、あくのおやだまがいたのぜ!!」 「むっきょおおおおおお!!!???」 戦線を押し戻す、どころか押し切ってしまった長まりさ達はリーダーぱちゅりーの前に集団で現れた。 「おさ!さっさとそのぐずをころしてね!!」 「すぐでいいよ!!!」 「そいつはどれいにするかちもないよ!!!」 「わかってるのぜ」 怒りに震えるせいでかえって冷静な長まりさは静かにぱちゅりーの前に踊り出る。 「む、むきょ!?ぱ、ぱちぇはだまされてたのよ! げすなまりさがこのむれにいれてもらおうってぱちぇをつれだしておいて かってにせんっそうっをはじめたのよ!! そ、そうよ!ぱちぇはわるくないわ!!わるいのはにげたまりさよ!! いまからおえばつかまえられるから、ぱちぇをたすけてあんないさせなさい!!」 「…………」 まりさは何も言わなかった。 ぱちゅりーはその沈黙をいい方向にとる。 「む、むきゅ!しゅぼうしゃのまりさはあっちにむかったわ! いまからおいかければまだまにあうわ!!はやくいきましょう……ぶげぇ!!!」 ぱちゅりーがまりさから目線を外した瞬間に、木の枝を後頭部から眉間に向かって刺した。 中枢を外しているため、絶命はしていない。 「どぼ……じで…………」 「みんな!こいつはどれいにするかちもないのぜ!! だけどらくにころしてはいけないのぜ!! こいつはこのまま、むれのあきやにおいておくから、みんなのすきにするのぜ!!」 「「「ゆー!」」」 「ただし、こいつにたいしてはおきてはむししていいのぜ! みんなでこらしめてから、まんぞくしたらえいえんにゆっくりさせてもいいのぜ!! ただし、できるかぎりくるしめてやるのぜ! こいつに、こんなことをしたことを、かならずこうかいさせてやるのぜ!!」 「「「ゆおー!!!!」」」 ―――――――――――――――― 戦闘が終わって、群れの片付けが始められた。 まりさの宣言どおり、戦争の首謀者であるぱちゅりーは空き家に放り込まれ 戦災孤児や、番を失ったゆっくりの嬲り者にされている。 「ゆ、おさどこへいくの?」 集落の外へ死体を運び出していたれいむに呼び止められる。 「ちょっと、ようじができたのぜ。ついでにかりもしてくるからまってるのぜ」 「ゆ?そうなの?いってらっしゃい!」 「ああ、いってくるのぜ……」 本当は長は税収で食事をとっているので狩りなどする必要など無いのだが 一般層のれいむにはそれがおかしいことに気付けず、そのまま長を見送った。 ――――最終章 おさはゆっくりできない―――― 「また、にげるのぜ?」 「むきゅ!?」「ゆっ!?」「ゆゆぅ!?」 長まりさは、とある番と対面していた。 「まりさ……!」 「ぱちゅりーはちぇんがまもるよー!!」 「ゆぁぁぁ………!!」 「こわいよぉぉぉ………!!」 ぱちゅりーとちぇんの一家は、例の群れを離れて移動をしていた。 それに追いついたまりさは木の枝をくわえて一家を威嚇する。 明らかな戦闘体勢に緊張が走る。 その状態のまままりさが静かに口を開く。 「おまえだけは……おまえだけはゆるさないのぜ……」 その言葉を若干予想していたちぇんが、すかさず反論する。 「ちがうよ!あのたたかいにぱちゅりーはかんけいないよ! いいがかりをつけないで」 「ふざけるんじゃないのぜっ!!!!!」 「ゆぴっ!!」「ゆひぃぃぃ!!」 先程とは対照的に、大声で叫ぶまりさ。 子供達は恐怖のあまり、おそろしーしーを漏らしてしまう。 「たたかいがおきたのもっ!!! たくさんのゆっくりがしんだのもっ!!! ぜんぶおまえのせいなのぜ!!!!」 「ちがうよ!!ぱちゅりーはへいわをねがって」 「そんなことはわかってるのぜっ!!!!!」 あまりと言えばあまりの言い分に、ちぇんもぱちゅりーも呆気にとられる。 このまりさは、いったい何に対して怒っているのだろうか? それに対し、まりさの本気の想いに感化されたぱちゅりーは口を開いた。 「ぱちぇはただ、ゆっくりしたかっただけなの。 どうしてそんなにあらそおうとするの? みんなでゆっくりできたらそれでいいじゃない! ゆっくりのむれに、おさなんていらないのよ! つよいゆっくりがいて!かしこいゆっくりがいて! みんなびょうどうになかよくゆっくりすることがどうしていけないの!? ぱちぇはおさになんてなりたくなかった! どうしてみんなそれをおしつけるの!? たすけがほしければいつでもたすけるわよ! ぱちぇがおさにふさわしいって、ようするにいやなことをおしつけたいだけでしょ!? みんなかってよ!!だからぱちぇもかってにするのよ!! みんなのやっているとおり、ぱちぇがすきにゆっくりしてなにがわるいのよ!!!!!」 ぱちゅりーは抱え込んでいたものをまりさに吐き出した。 しかし、まりさはそんな悲痛な叫びを鼻で笑った。 「なにがおかしいのよ!!」 「ぱちゅりー、ちぇんいがいのゆっくりのことほんとうにたいせつにおもってるのぜ?」 「むきゅ……!?」 「ぱちゅりーは、ほかのゆっくりのことをみくだしてるのぜ!」 「そ、そんなことは……!」 「じゃあなんで『たすける』なんていうのぜ? ぱちゅりーはやさしいふりして ほかのゆっくりをゆっくりさせてやってまんぞくしてるだけなのぜ!」 「ちがうわ!!」 「ちがわないのぜ!!!たすけられたら、またたよってしまうのはとうぜんなのぜ!!! たすけてたすけてたすけて……いちばんじゅうようなときにみすてるのぜ!!! いっしょうめんどうみるきがないなら!たすけるひつようなんてないのぜ!!! ぱちゅりーはやさしくするなんていうけど、それはただのあまえなのぜ!!! じりきでゆっくりできないゆっくりなんていきているかちないのぜ!!! いっしょうおちびちゃんやっていられればくろうしないのぜ!!! そんなやつらがほかのゆっくりをゆっくりさせてやることなんてできないのぜ!!! おまえはそうやって、じりきでゆっくりできるゆっくりすらだめにするのぜ!!! あのむれがむのうなゆっくりにしはいされたのはとうぜんなのぜ!!! おまえがすべてのゆっくりをなにもできないおちびちゃんにかえたせいなのぜ!!! おさになるきがないなら!!!さいしょからじぶんだけでいきていればいいのぜ!!!!!」 ぜぇぜぇと荒い息をしながら話を終える。 ぱちゅりーは、大きなショックを受けていた。 自分は皆に優しく生きて。皆に好かれて。 自分は正しい行いをしているものだと思っていた。 なのに。 「まりさのはなしはわかったよー」 ちぇんが二匹の考えを遮るように言う。 「だけどぱちゅりーをころさせるわけにはいかないよ。 ちぇんはばかだからどっちがただしいなんてわからないよー。 でも、いのちをねらわれたらていこうするのはとうぜんだよ。わかってねー」 「……おまえがいいしょうこなのぜ。 ぱちゅりーはともかく、ちぇんがぜんりょくでにげれば まりさはおいつけないかもしれないのぜ」 「まりさ……!」 「ちぇんはそれでいいよー。 まりさのいうとおり、ぱちゅりーはいっしょう、ちぇんといきてくれるからねー」 まりさが木の枝を構えなおす。 「ぱちゅりーをいかしておいたら、またろくでもないむれができるんだぜ。 そんなげすをつくりだすぱちゅりーをみのがすほど まりさはおろかじゃないんだぜ」 「……ちぇんは、ひとつだけごかいしてたよー。 まりさは、りっぱなおさになってるよー」 「ほめたからっててごころはくわえないのぜ」 「わかってるよー」 西日の差し込むとある森林で、道を違えたゆっくりが殺しあう。 それは、ゆっくりにとって日常茶飯事に見られる光景。 自身の中身をその場に散らしたのはどちらなのか。 飛び散ったそれは逢魔が時に彩られ、血のように、赤く見えた。
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481 【キモウトの論理】 sage 2009/01/01(木) 22 08 02 ID gBwVE81R ねえ、お兄ちゃん。 お兄ちゃんは、まだ学生で、 女の子とエッチしたら責任とって結婚しなくちゃいけないとか、 エッチは子供を作る目的でしかしちゃダメだと考えるほど頭が堅くもないわよね。 つまり、女の子とエッチすることと、結婚したり子供を作ったりはイコールでは結ばれないわけ。 だとしたらだよ? 法律上は結婚できないし子供を作るのもちょっと問題あるような関係の相手とでも、 エッチするのは全く問題ないわけで…… 何の話かって? あのね、日本には姫初めという伝統行事があって、 それをすると一年の運気が開けると言い伝えられてるわけ。 でね、彼女イナイ歴十八年のお兄ちゃんと、 彼氏作る気ない歴十六年の私たち兄妹の一年間の幸福のために…… ……ねえ、お兄ちゃん? どこに行くの? ちょっと、まだ話、終わってないってば……ねえ! 部屋? 部屋に行くの? その気になってくれた? ……って、なにドア閉めてんの! 鍵なんかかけないで……ねえ! 開けてよ、お兄ちゃん! お兄ちゃんってば! やろうよ、姫初め……! 【UN-HAPPY END(妹的に)】
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俺がゆっくりできない 7KB ※毛虫注意 【俺がゆっくりできない】1 道を歩くとき、人はなぜうつむくのだろうか? 初夏のある休日、近くの公園まで散歩に出かけようとした俺は ふと、ほんと、何の気なしに庭木を見上げたんだ。 毛虫がいっぱいだった。 10匹とかそんなもんじゃなくて1000匹くらい。 1本の木にびっしりと、うぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞと蠢いていた。 庭木の新芽はおろか、葉っぱがほとんど囓られていた。 もう殺虫剤なんかで退治できるレベルじゃねー。 仮に退治したところでこの山ほどの毛虫の死体をどう処分するんだ?俺は嫌だ。 【俺がゆっくりできない】2 農家の人が使ってる噴霧器を買ってくるか?俺が使えるのか?ノーだ。 じゃあ、業者に頼むか?金額的にノーだ。今すぐ来てくれるかどうかも解らない。 庭先でうろうろと悩んでいるうちに、当初、近所の公園に行こうとしたのを思い出した。 「ハッ!これだ!」 俺は家にあったクッキーを片手に公園まで急いだ。 近所の公園は寂れていて人も少ない、しかし奴らはいるはずだ・・・ 「おーい、ゆっくりのみなさーん、あまあまですよー」 「ゆ?」「ゆゆ?」「あまあましゃん?」「ゆっくちー!」 そう、こいつらだ。公園に住み着いたゆっくり達。 今回は彼女らに協力してもらおう。 俺は似合わない笑顔を作りながらポケットからクッキーを取り出した。 【俺がゆっくりできない】3 「はーい、ゆっくりのみなさーん。今日はみなさんにおいしいものを食べて頂きたいと思いまーす」 「ゆ!あまあまさんよこすのぜ!」「はやくちょうだいね!」「あみゃあみゃ~」 俺はあまあまという言葉に釣られて集まったゆっくりを見渡しながら数を確認した。 バレーボール~バスケットボール大の生体ゆっくりが10匹。 ソフトボール~ハンドボールサイズの子ゆっくりが17、8匹か。 赤ゆどもは戦力にならない。カウントしなくてもいいだろう。 「はーい、お待たせしましたー、これがあまあまさん、その名もクッキーです!」 「「「「「「「ゆゆ!!クッキーさん!!」」」」」」」 俺はポケットから取り出した4、5枚のクッキーを軽く砕き、ゆっくり達の上のばらまいた。 均等に行き渡るようにばらまいたので、皆わいのわいの言いながら食べ始めた。 【俺がゆっくりできない】4 「がーつ!がーつ!」「うっめ!めっちゃうっめ!ぴゃねぇ!」「むーちゃ!むーちゃ!」 その場でむさぼり食うゆっくり。脱いだおぼうしに詰め始めるまりさ。 赤ゆのところまで運んで家族でゆっくりと食べるれいむ。みな様々にクッキーを堪能している。 クッキーを堪能し、食後のシエスタ(笑)に入りかけたところで俺は声をかけた。 「みなさーん美味しかったですかー?(手を耳にあて)そーですかー、喜んでくれて良かったです」 俺はゆっくりの感想を聞く前に話を進めた。こいつらの感想をゆっくり聞いている暇はない。 「もっとよこすのぜ!」「れいむはしんぐるまざー(笑)なんだよ!」 が、予想通りの反応も聞こえてきた。 「はーい、みなさんが『もっとたべたぁ~い』のは、よーく解ってますよー!」 「ゆ?」「ゆゆ!」「もっとたべたいのぜ!」「れいむはしんぐ(ry」 【俺がゆっくりできない】5 「わたしのおうちに、おいしーい、虫さんをたくさーんご用意しておりまーす!」 「むしさんはゆっくりできるのぜ!」「にんげんさんは狩りができるの?」「れいむはしん(ry」 「それでは!みなさーん、この公園を出てまっすぐのおうちまでついてきてくださいねー!」 「「「「「「「ゆゆー!!」」」」」」」 ぞろぞろと公園を出て行くゆっくりたち。遅すぎる赤ゆたちは透明なゴミ袋にいれて運んでやった。 「「「「「「「おしょらをとんでりゅみちゃいー!!」」」」」」」 「ゆゆ!よかったね!おちびちゃん!」 ばらまいたクッキーのおかげか、赤ゆを袋に入れてもまったく警戒しない親ゆっくりたち。 やがて、俺がダッシュで3分の道程をゆっくり1時間ほどかけて家にたどり着いた。 「はーい、ゆっくりのみなさーん、この木をごらんくださいーい」 【俺がゆっくりできない】6 「ゆ?」「ゆゆ?」「「「け、け、け、けむしさんだー!!」」」「ゆっくちできにゃいー!」 「え?そーなの?虫だよ?食べないの?」 「けむしさんは、ちくちくして、いがいがして、かゆかゆになるからゆっくりできないよ!」 「くろくて、にがくて、かゆかゆになってとかいはじゃないわ!」 喰ったことあるんじゃねーか(笑) しかしなんでだ?人間が毛虫の毒に負けて痒くなるのは解るが、こいつら饅頭だぞ?小麦粉肌だろ? 「えーと、きみたちは饅頭さんだから、毛虫さんを食べても大丈夫なはずですよー」 「れいむたちはまんじゅうさんじゃないよ!」「ゆっくりていせいしてね!」「ぴゅんぴゅん!」 確かにこいつらが「全身かゆかゆ」にでもなったら、手もないし掻けないしで気が狂うだろうな。 さすがでたらめナマモノだが、めんどくさいことになってきたなー。 【俺がゆっくりできない】7 当初の予定では、棒で落とした毛虫をむーしゃむーしゃして頂いて、お帰り頂くだけだったんだが。 クッキー5枚だけで、毛虫が片付いてラッキー!みたいな。 毛虫は見た目がゆっくりしてないもんな。妙なところで人間ぽいゆっくり達に感心しつつ・・・ 予定変更だ。 「はーい、みなさん注目してくださーい」俺は透明な袋に入れっぱなしの赤ゆを掲げた。 「「「「「「「おしょらをと(ry」」」」」」」 「ゆゆ!おちびちゃん!」「けむしをたべさせようとしたじじいは、おちびちゃんをかえしてね!」 「だめでーす。あの毛虫をすべて食べ終わるまで、おちびちゃん達は返しませーん」 「ゆー!おちびちゃんをゆっくり返すのぜ!」「じじいはしね!」 生体ゆっくりたちは、ぽいんぽいんとムダな体当たりを始めた。 力の差を知っていただくためにしばらくこのままにさせてみた。 そして30分が経過した。 【俺がゆっくりできない】8 初夏の日射しの中、全力(ゆっくり基準)で体当たりを繰り返した親ゆっくりどもはすでに青天だ。 もちろん俺は痛くも痒くもなかった。 「「「ゆー、はー、ゆーはー・・・お、おちびじゃんを、がえじで、ね・・・」」」 「だから、毛虫さんを全部食べたら返してやるって」 「「「ゆ”、ぐ・・・わ”、わがっだよ”・・・けむしさんをたべるよ・・・」」」 「その言葉を待ってました!それじゃ君から行ってみよう!」 むんずと手近なまりさを掴み上げた。「ゆ?」 「そぉい!」毛虫がまとわりつく木の枝にむかって投げてみた。 「ゆっ!おそらをとん、で・・・ゆぎゃー!けむしさんがいっぱいなのぜ!た、たすけるのぜ!」 まりさは枝にぶちあたり、たくさんの毛虫にまみれながら落ちてきた。 キモイ。想像以上にキモイ。無数の毛虫が顔の上を蠢いている。俺があのまりさなら死を選ぶ。 【俺がゆっくりできない】9 「ゆぎゃー!!た、たすけるのぜっ!!きぼぢわるいんだぜ!!たすけてなのぜー!!!」 まりさは転がりながら俺に助けを求めてきた。 「だが断る」棒でゆっくりどもの中に突き返す。 「「「「「ゆ”ー!!!きぼぢわるい”い”い”ー!!!」」」」」 蜘蛛の子を散らすように逃げまどうゆっくりたち。 「おやおやキミたち、毛虫さんをむーしゃむーしゃしないとこの子達は返しませんよ?」 「おきゃーしゃん!ゆっくちちないでたしゅけるのじぇ!」「れーみゅもたしゅけちぇね!」 赤ゆどもはやっと状況が把握できたらしく、親どもに助けを請い始めた。 「ゆっぐ、まっててね、おぢびじゃん・・・む”ーじゃ、む”ーじゃ、ゆ”げぇぇぇぇぇ」 母性本能(笑)の強いれいむが咀嚼を始めたが、見た目通り不味いようだ。 「よーしよーし、俺によし!じゃ、次はキミいってみよう!」「ゆ?!ゆぎゃー!!!」 【俺がゆっくりできない】10 あれからすべての生体、子ゆっくりを毛虫にむかって放り投げ、ほとんどの毛虫は地に落ちた。 今は、ゆっくりどもは必死になって地に這う毛虫どもを口に収めている。 ゆっくりどもの顔色が赤とか青とか変な色になってるな。とにかくよし。 「「「む”ーじゃ、む”ーじゃ、ゆ”げぇぇぇぇぇ・・・まじゅい”・・・」」」 何匹かのゆっくりどもは天を仰ぎ、またはうつ伏せになり細かく痙攣している。 「はーい!みなさんおつかれさまでしたー!おかげで毛虫さんはほとんどいなくなりました!」 「ゆ”っぐ・・・やぐぞぐだよ・・・おぢびぢゃんだぢをがえじでね・・・」 「もちろん!さぁ、ママたちの元へお帰りなさい!」 俺は跪き袋をひっくり返し、赤ゆどもを解放した。 「ゆーん!ゆーん!」「みゃみゃーきょわかっちゃゆー!」わらわらと赤ゆどもが親の元へ・・・ 【俺がゆっくりできない】11 「「「お”、お”ぢびぢゃん、ぶじだっだのね”・・・」」」 感動の再会(演出:俺)かと思いきや・・・ 「「「ゆ?みゃみゃのおかお、にゃんだきゃ、きもちわりゅいよ・・・」」」 「「「ゆ”がーん!どぼぢでぞんな”ごどい”う”の”ぉー!!!」」」 毛虫にまみれ、皮膚はただれ、顔色は赤や青を通り越して紫色に。そりゃそーなるわな。 「「「きもちわりゅいみゃみゃはこにゃいでにぇ!もうおうちかえりゅ!!!」」」 「「「ま”っでー!お”ぢびぢゃん!!!」」」 気持ちの悪い親を見捨て、公園方向にぴょんぴょん跳ねていく赤ゆども。 毛虫&赤ゆに見捨てられたショックでふるえる親どもはずーりずーりと追いかけ始めた。 また来年もよろしくなー。【完】 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ↓そして食う -- 2014-09-15 09 48 11 ↓毛虫をバケツに入れて、焼却炉で燃やす -- 2013-10-25 01 05 28 ↓トングではさむ→潰す -- 2013-06-24 12 50 54 毛虫か、想像するとキモイな、噴霧器は高いし実際遭遇するとどうするかな汗 -- 2012-12-10 15 41 55 これがゆっくり使いか・・・ -- 2012-11-24 17 07 06 命が有るだけマシだと思え。まあ、生き残り組は来年また地獄を見るだろうが -- 2012-09-30 07 36 41 おもにがおがぎもいいいいいいい!!!!!!!!!!!!! -- 2012-03-26 16 58 21 来年もやってもらわなきゃいけないから無駄にゆっくりを減らしたくなかったんだろう。 このウザい赤ゆたちが来年には親と同じ苦しみを味わうことになると思えば生かしておくのも悪くない。 -- 2010-10-08 07 57 47 同感だ。最後に全部潰そうぜ。 袋に入れたまま纏めて潰せば簡単なのに。これはヌルい虐待おにいさんだぜw -- 2010-09-04 18 53 30 中々面白い発想のお兄さんだった 後、どうでも良い事なんだけど、最後の赤ゆぶっ潰したい 何が「きょわきゃっちゃゆ~」だ!赤ゆは一々イライラするw -- 2010-08-18 22 46 48 おげぇー -- 2010-08-18 22 31 45
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#shadowheader ※日本実装済み。韓国情報が残っている箇所あり #ref error :ご指定のページがありません。ページ名を確認して再度指定してください。 結婚について [#wd5a8d61] 婚約する [#g3d6005c] 結婚式準備-結婚式の招待状 [#o6d8c5da] 他の人の結婚式へ参加 [#s1602fa0] 結婚式 [#u7d448f0] 結婚式場オープン [#n26564ea] 結婚式 [#h6a0ddfe] 結婚タイトルと同行ボーナス [#lb5a2365] 婚約/結婚指輪について [#uacbd52c] 離婚する [#q1ef4cea] コメントフォーム [#d09ef233] 結婚について 結婚式は異性のキャラクター同士で行えます。(同性は不可) また、異種族でも「エルフと人間」「ジャイアントと人間」は結婚できますが、 「エルフとジャイアント」が結婚する事はできません。 結婚を考えているなら、パートナーと一緒に、以下の場所にいる「結婚式案内人」に話しかけて下さい。 互いの種族により、結婚式を執り行う場所も変わります。 イメンマハ大聖堂の中(「人間同士」の結婚) フィリア(「エルフ同士」又は「エルフと人間」の結婚) バレス(「ジャイアント同士」又は「ジャイアントと人間」の結婚) 結婚式案内人に話しかけると以下のメニューを見ることができます。 婚約:婚約ができます。 結婚案内:婚約と結婚についての案内を聞くことができます。 他の人の結婚式へ参加:他人の結婚式場に入場することができます。 ※結婚すると、離婚するまでは、転生の際に 性別を変えることができません 。 婚約する 結婚するには、まず婚約しなければなりません。 婚約をする相手と一緒に結婚式案内人を訪ね、「婚約」について話します。 結婚式を挙げるには30,000G必要です。 うち5,000Gは婚約時に前払いで(インベントリから)支払い、 式場を開く際に残りの25,000Gを(インベントリから)支払う事になります。 婚約したい相手の名前を正確に入力したら、次にプロポーズメッセージを入力します。 プロポーズメッセージを入力すれば相手にメッセージが届き、プロポーズを受諾するか、相手が選択します。 メッセージ確認までは時間がかかりますし、相手が回答をするまで待たなければなりません。 相手が受諾しましたら、婚約が完了したことになり、婚約指輪をもらえるようになります。 これは結婚式の時に使うもので、婚約指輪には文章を刻むことができます。 文章を変えたい場合には、結婚式を開く前に、結婚式案内人に話しかければ良いです。 ※婚約後、 現実時間で一週間以内 に結婚式を挙げないと、婚約が無効になってしまいます。 ※婚約をするには相手も同じチャンネルにログインしている必要があります。 結婚式準備-結婚式の招待状 結婚する日を決定したら、友達に知らせる為に招待状を用意しましょう。 結婚式案内人に話しかけると、メニューに新たな項目が出ます。 結婚指輪文字入力 料金案内 結婚式の招待状発行 結婚式場オープン 他の人の結婚式へ参加 この中で、結婚式の招待状発行を選択します。 招待状を発行するには1枚10Gが必要です。 招待状にはメッセージを入力できます。結婚式を挙げる日時、チャンネルを書くとよいでしょう。 ( 新郎新婦の名前は自動的に記入される ため、書く必要はありません) 招待状はメールなどではなく手渡しです^^; -- 2006-11-07 (火) 01 33 47 他の人の結婚式へ参加 結婚式場では多くの方々の結婚式が同時進行しています。 来賓として出席したい結婚式がある時は、結婚式案内人に「他の人の結婚式へ参加」で話しかけます。 招待状を持参しているなら、該当の招待状を選択すると、結婚式場にすぐ入場することができます。 招待状なしに結婚式場に来た場合、現在進行中の結婚式のリストから、参加したい結婚式場を選択する必要があります。 また、暗号がかかっている結婚式場の場合には暗号が分からない場合入場することができません。 結婚式 結婚式場オープン 結婚式を挙げる時間に近づいたら結婚式案内人に話しかけ「結婚式場オープン」を選択します。 結婚費用の残り25,000Gはこの際に支払います。 結婚式場をオープンして入場すれば、結婚式場ロビーに入れます。 結婚式場をオープンする時、暗号を設定すると、結婚式の招待状を受けた方々や暗号を知っている方だけが入場可能となります。 結婚式は、結婚式場をオープンしてから現実時間で約30分以内に開始する必要があります。 時間を過ぎてしまうと結婚式は取り消しになるので、気をつけてください。 新郎新婦はロビーにいる「結婚衣装貸出人」に話しかければ衣装を 借用 できます。 ※結婚式衣装の借用は必須ではありません。 男性用 ウェディングスーツ(5,000G) 結婚式の靴(3,000G) イヤリング(1,000G) 女性用 ウェディングベール(1,000G) ウェディングドレス(10,000G) 結婚式のブーツ(5,000G) 結婚式衣装は 結婚式場内でのみ所持、着用 することができ、 式場外へ持って出ると消えます。 結婚式が終わった後、結婚衣装貸出人に話しかけて服を返却すれば、衣装代の10%を返してもらえます。 返すために話しかけると、 装備していても自動で脱いで返す ので注意して下さい。 結婚式 新郎と新婦はロビーの中央入り口から、他の出席者は両脇の入り口から、結婚式場に入場します。 赤いカーペットが敷かれている所が新郎と新婦が移動する空間であり、 出席者たちは両脇の空間で動くことができます。 婚約指輪をマウス右クリックして[使用する]を押せば結婚式が始まります。 結婚式はムービー形式で進行します。 新郎新婦入場 司祭あるいは村長のお話 指輪の交換 新郎新婦退場 ※結婚式終了後10分経つと結婚式場は消え、新郎新婦含む参加者全員が外に出されますので気を付けて下さい。 結婚タイトルと同行ボーナス 結婚すると「結婚した」タイトルを習得することができます。 このタイトルを使った場合、名前の前に表示されるタイトル名は「○○○の夫」あるいは「○○○の妻」となります。 そして結婚相手と一緒、かつ双方が「結婚した」タイトルをつけている場合には、 生命力+10、マナ+10、スタミナ+10 の同行ボーナス効果を受けることができます。 ただし同行ボーナスはペットボーナスと同様に、効果を発揮したり消えたりするので注意して下さい。 婚約/結婚指輪について 婚約後に結婚式案内人に話しかければ、指輪にメッセージを刻むことが出来ます。 その婚約指輪が、変化して結婚指輪になります。文字は維持されます。 思い出の為、愛のメッセージを刻みましょう。 入力出来る文字数は、全角10文字(半角20文字)までです。 何度でも変更できます。 入力可能な記号 !”#$%’()…♪ 入力不可能な記号 & 指輪は強制装備ではありません。転生すると普通に外れてます。 -- 2006-12-04 (月) 22 28 48 外す事は可能ですけど、銀行やペットに預けられなく1×1のインベントリ枠が必要になります。 -- 2006-12-09 (土) 06 05 18 「交換」とあるので、分かると思いますが自分が刻んだメッセージの指輪は相手が持つことになります。変なこと書いて後悔しないように(´・ω・`) 離婚する 離婚は基本的にお互いの合意があった時のみ可能です。 しかし、結婚相手が長期間接続しなくなったり、キャラクターを削除したり等の場合に備えて強制離婚も可能になっています。 合意離婚 結婚相手と一緒に結婚式案内人に話しかけ、離婚の手続きをします。 20,000Gの手数料が必要です。 強制離婚 結婚式案内人に話しかけ、離婚の手続きをします。 50,000Gの手数料が必要です。(悪用を防止するため、割高です) 強制離婚は双方が5万Gかかると事務局からメール頂きました (OO; -- 2006-10-04 (水) 13 16 37 ※離婚すると「結婚した」タイトルは除去され、判明状態(灰色で使用不可)になります。 コメントフォーム 婚約後に結婚指輪にメッセージを刻めるのですが、これは男女どちらのキャラクターも案内人に問いかければ刻めますので是非思い出の為に愛のメッセージを刻む事をお勧めします! -- 2006-03-12 (日) 00 25 53 記念写真は結婚式場の両端の「赤じゅうたん」の階段部分で行った方が良いでしょう。ロビーですとアングルが固定されてしまい記念写真には不向きです。式場内ですとアングルもズームも自由に出来ますよ♪ -- 2006-03-12 (日) 00 31 54 エルフは男の貸衣装の上下のほかにイヤリング(1,000G)があります。結婚費用と男女の貸衣装をあわせると55,000Gが必要です。 -- 2006-12-18 (月) 23 57 44 反映済みのコメント、及び質問と回答を削除。 -- 招待状は、結婚式に来れる人の分だけ用意すると良い。 -- エルフ支持でもジャイアントの相手と結婚することできました。 -- 名前 コメント
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『ゆっくりできないから叩く』 3KB 考証 飾り かなり人を選びます ある森にあるゆっくりの群れがあった。 他の森の群れととくに違うところはなくみな仲良く過ごしていた。 とても優秀なゆっくりがいるというわけでもない。 とても無能なゆっくりがいるというわけでもない。 みなよくも悪くも普通なゆっくりだった。 そんなごくごく普通の群れに、ひとつの命が誕生しようとしているのだ。 「れいみゅ、うまれりゅよ!きゃわいきゅうまれりゅよ!」 「ぎぎぎ・・・おちびちゃん、うまれるんだねぇ・・・」 スッポーンという音がして、赤れいむはまりさに受け止められ潰れることもなく無事産まれた。 「れいみゅ、うまれちゃよ!ゆっくちしていってにぇ!」 「ゆわぁ~・・・すっっっっっっっっごくかわいいいおちびちゃんだよおおおおおおお!!!」 「さすがれいむとまりさのおちびちゃん・・・かわいすぎるよおおおおおおおおおおお!!!」 れいむはおちびちゃんがこの世に産まれてきたことを、そして自分たちの子供として産まれてきてくれたことを心の底から感謝した。 ああ、ありがとう。 おちびちゃん、これからいっしょにゆっくりしようね! だが、まりさは違った。 「ゆ・・・?このおちびちゃん、おかざりにはっぱさんついてるのぜ?」 「あ・・・ほんとだね、いつついたのかな?」 「しゃっきれいみゅがじぶんでちゅけたんだよ!きれいでちょ!じぶんでちゅけられたなんちぇ、れいみゅのみらいがちゃのしみすぎてこまっちゃうよぉ・・・」 赤れいむは綺麗だから落ち葉を自分のお飾りにつけた。ただそれだけのことである。 だが、ごく普通なこの群れでは『狩りに行けるようになったゆっくりはお飾りに印を付ける』という、ルールではないがマナーのようなものがあった。 まりさの帽子にも当然ドングリの帽子が付けられている。 まりさはすぐに動いた。 「よけいにきれいになっちゃれいみゅをしゅくふくしちぇね!」 「・・・・・・かりにいけるようになってはじめてしるしをつけていいんだぜぇぇぇーー?うまれたときからしるしがついてるなんてゆっくりしてないね! せいっさいするよ!うまれたときからしるしがついてるからおちびちゃんはせいっさいだよ!」 まりさは産まれて5分も経たないうちに自分の子を潰した。 産まれてすぐに帽子に印をつけたという理由で潰した。 「ま・・・・・・まり・・・さ?なに・・・?」 「ゆっくりできないゆっくりだったからしょうがないのぜ!ゆっくりできないゆっくりはせいっさいしていいのぜ! そのほうがみんなゆっくりできるから、まりささまはせいぎっ!なのぜぇぇ!!!」 「なにいってるのおおおおおおおおおおおおお・・・う、うまれるううううううう!!」 怒り心頭になろうとするれいむは、再び産気づいた。 おちびちゃんは一匹ではなかったようだ。 「うまれりゅよ!まりしゃ、せかいにたんじょうしゅるよ!」 次のおちびちゃんはまりさのようだ。 「がんばるのぜ!もうちょっとがんばるのぜ!」 まりさも帽子に力を入れる。 「う・・・う、うまれるううううううう!!」 またもや2度目のスッポーンが鳴り響き、まりさは無事に産まれた。 「ゆっくちしていってにぇ!」 「お・・・おちびちゃあああああああん、かわいいのぜえええええええ!!」 「ゆふー、ゆふー・・・お、おわったよぉ・・・」 れいむはおちびちゃんを産み終え、体全体で息をしている。 れいむはおちびちゃんを見て、言った。 「・・・なんだかおぼうしがまがってて、れいむのこのみじゃないね!れいむのこのみじゃないからせいっさいだよ!」 れいむは自分の子を5分もしないうちに潰した。 「なにやってるのぜえええええええ!?おぼうしがまがってたらなおしてあげたらいいでしょおおおおおお!?さいしょっからつぶしちゃってどうするのおおおおおお!?」 「うるさいね!おぼうしがまがっててれいむごのみじゃないんだから、もうさいしょっからつぶしちゃっていいんだよ!だって、れいむはただしいことをしたんだから!そのほうが みんなゆっくりできるんだよ!ゆっくり理解してね!」 「ばかあああああああああああああああ!!しねえええええええええええ!!」 「おまえこそしねえええええええええええええええええ!!」 2匹はお互いに体当たりを続け、結果まりさがれいむを殺した。 だがまりさもまた、れいむの死に際の歯の一撃で餡子が出すぎて死んだ。 最初から名前がついてるから叩く。 最初からお帽子に印がついてるからせいっさい。 話がつまらないから叩く。 帽子がまがってるからせいっさい。 どこに違いがあるんでしょうか。