約 3,949,617 件
https://w.atwiki.jp/coharu/pages/121.html
「あっづー……ぃ……」 じりじりと地面を焼くような日差しが照る中、 カナとハルカは蒸し風呂と化した家の中で倒れこんでいた。 エアコンは昨日から故障。電池が無いのとは訳が違い、翌日電気屋さんが来るまではこの状態だ。 チアキはと言うと、真っ先に暑さに耐えきれず避暑地(内田の家)へ向かっていた。 「くっそぉ~!! チアキの奴め、今頃一人だけ涼しい思いしてるのか!」 「はぁ……そんなに言うならカナもお友達の家に行ってきたら……?」 「いないんだよ! ケイコもリコも! まったく使えない奴らだよ!!」 文句を言いながら手足をドーンと広げ横たわるカナ。 そんなカナを見て、ハルカは更に深いため息をついて口を開く。 「カナ、いくら暑いからって……服くらい着なさい」 「いやだよ。ベタベタするだろ? 汗臭くなっちゃうだろ!」 そう言って手足をジタバタさせるカナの姿は、制服のスカートに上は下着一枚。 とても年頃の女の子の格好では無かった。 「あのねぇ……もしお客さんが来たらどうするのよ?」 「平気だよ。どうせ誰も来やしないよ……来たとしてもせいぜいトウマくら――――」 ――――ピンポーン 玄関からなるインターホンの音にハルカはカナをキッと睨み、無言の注意を促し玄関へ。 しかしカナは懲りた様子も無くその辺りをコロコロと転げ回っていた。 「こんにちわ……って! うわぁ!!」 声に驚いてカナが玄関を覗くと、そこには何かに驚いてのけぞる藤岡の姿が。 「ん? 何やってんだ、藤岡?」 ハルカはその声と同時に後ろを振り向き、慌ててカナの体を隠す様に手でガードをする。 「ちょ、ちょっとカナ! 服! 服!! 藤岡君困ってるでしょ!」 確かに藤岡は困っていた。ただ、この時まだ藤岡の視界にカナの姿は映ってはいなかった。 「いや、ハルカ……多分藤岡はお前の格好を見て驚いたんじゃないのか?」 「えぇ? どうして私の…………?!!」 カナに言われてハルカが自分の服を見てみると、 汗がびっしょりで下着が透けるどころか、胸の谷間までくっきりと透けている。 「それ、多分私よりおかしな事になってるぞ?」 「お、おかしな事って……なっ、なっ……ちょ、ちょっとシャワー浴びてくる……!」 そう言い残し、ハルカは藤岡とカナを残し風呂場へと走り去ってしまった。 「……で、ご覧の通りうちはエアコン壊れてる訳だけど……どうする?」 「どうするって、今日は夕飯ご馳走してくれるって言うから、家には夕飯いらないって言っちゃったし……」 「なんだ? お前夕飯を食べる為に家に来たのか? 意外とがめつい奴だなぁ」 「そんなっ! それは南が御馳走してくれるって言っ……って! 南! どうしたのその格好!?」 この時、ようやくカナの格好に気がついた藤岡の体温は凄い勢いで上昇。 しかしカナ本人は頭を掻きながら、もう片方の手をうちわ代わりにパタパタしてあっけらかんとしている。 「あー……気にするなって。ほら、水着みたいなもんだろ?」 「き、きになるよ! だって、その……それ、下着でしょ……?」 「だから、気にするなって! ほら、もう見ちゃったもんは仕方ないんだしさ」 結局カナに手を引かれ、無理やり家へ上らされた藤岡は、 なるべくカナを見ないように顔を伏せてリビングへ向かった。 リビングに到着すると、冷蔵庫のジュースを飲みながら二人は向かい合って座り話を始める。 「ぷはぁ~! やっぱり冷たいジュースは最高だな! ハルカだって客が来てれば飲んでも文句言わないだろうし!」 「そ……そうだね……」 「? なんだぁ? 藤岡、お前テンション低すぎるだろ? 何か喋りなさいよ」 カナにそう言われ、ゆっくりと顔を上げる藤岡。 しかし、その視線は自然とカナの顔から胸元へいってしまう。 「ほら、何か面白い事言えって!」 カナにせかされ藤岡はとにかく何か言わねばと、急いで口を開いた。 「み、南って……えーっと…………意外と胸が大きいんだね!」 「…………はぁ?」 完全スベッた……いや、むしろ変態と言うべきか…… 藤岡の口から出た言葉は、カナの胸に関する話題だった。 「胸って……お前、そんな所ばっか見てたのか? 思春期か? 思春期真っ盛りなのか?」 「いや、そうじゃなくて……あの、ほら……! えっと……」 焦る藤岡の頬や首筋を、異常なほどの汗が流れおちる。 その半分は暑さによるもの。そしてもう半分は焦りや恥ずかしさによるものだ。 「うわっ、藤岡……お前、汗が凄いぞ? その量……3リットルは固いんじゃないか?」 「そ、そんなわけ無いだろ! 3リットルも出るわけ――――」 「お前も服脱いじゃえよ。涼しいぞ~」 「なっ、な……ッ!!」 二人きりの部屋で、男女が半裸になる……それはいつおかしな事が起こってもおかしくない状態。 もちろんカナにそんな気はないのだが、藤岡はそうもいかない。 付き合ってもいないのに……と、わずかに残る平常心を保ち、立ちあがって南家を後にしようとした。 「あ、あの……やっぱり今日は帰るよ!」 「え? でも家に帰っても夕飯が無いって…………あーっ! 分かったぞ……お前ッ!!」 いったい何に気づいたのか……カナは突然掴みかかり、帰ろうとする藤岡を引き止める。 「お前……一人だけエアコンの効いた自分ちへ帰ろうとか思ってるんだろ!」 「えぇ?! ち、ちがうよ!」 「問答無用! お前一人に快適な思いをさせてたまるか! この裏切り者め!! そら、脱げ!」 「わわっ……! は、離してってば……南! ちょっと、……ほんとにそうじゃなくて…………」 揉み合う二人の体は密着し、藤岡は視覚だけでなく触覚でもカナの胸を確認。 体を引き離そうとするが凄い力でひっつかれ、なおかつ肩に手を置くとカナの素肌に触れ力が入らない。 数分間の揉み合いの末、この状態を打開したのは藤岡の口から出た苦し紛れの一言だった。 「だ、だったら……南がうちに来ればいいじゃない!!」 「へ? ……私が藤岡の家へ?」 「そう! そうすれば南も俺も涼しいでしょ? ね?」 「う~ん…………それもそうだな! よし、そうと決まればすぐに出発しよう!!」 こうして藤岡は服をはぎ取られずにすみ、なおかつ好きな女の子を家へ招く事に成功したのだった。 ――――その後、風呂場では…… 「カナ? ねぇ、カナってば!」 風呂場から誰もいなくなった部屋に聞こえるハルカの悲しい叫び。 「ちょっと、聞いてるの? 着替え持ってくるの忘れちゃったら取ってほしいんだけど……」 何の返事も無い静まり返った南家。ハルカは頭の中で99%家に誰もいない事は分かっていた。 しかし、もし藤岡がいた場合……と考えると、裸でなんて恥ずかしくて出ていけない。 「ねぇ、誰もいないの? いないのね? 出るわよ? 出ちゃうわよ?!」 この後、チアキが帰ってくるまでハルカは一人、風呂場から誰もいないリビングへ声をかけ続けていたと言う…… おしまい 続きは?続きは? -- 名無し (2009-07-25 01 38 48) 続きを…どうか続きを… -- 名無しさん (2009-07-26 10 42 16) 名前 コメント 8スレ目 この野郎氏 保管庫
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/563.html
http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1316537661/408 京介×香織、彼方 桐乃、黒猫×男ども 沙織×真田 ※支離滅裂。薬物ネタ。エロパロなのにエロくないです。すいません。 「なぁ、沙織」 「ん?なんでござるか京介氏」 「沙織の家ってセレブなのか?」 「んー、セレブの本来の意味は有名人を指し示しめますがここでいうセレブとはお金持ちという意味合いでござろうか」 「ああ、それでいい。で、セレブなのか?」 「その意味でしたら拙者の家はセレブということになりますな。」 「よし!」 「なにがよし、でござるか?それに相手に向かってそのような質問はいささか不粋であると思いますぞ」 「ああ、わるい。すまんかった。ただどうしてもセレブかどうか知りたくてな」 「ふむ、どうしてでござるか?」 「最近のGoogleのニュースのピックアップにな。セレブ家族でコカイン中毒、セックスパーティーまで!みたいな記事があったんだよ。で、本当かなとおもってな」 「ははぁ、拙者の家族が金持ち=セレブだからそのようないかがわしいパーティーを催しているか気になったわけですな?」 「そういうことだ。で、どうだ?」 「残念ながら拙者の家庭ではそのようなドラッグやパーティーはしなかったでござるよ。」 「そうなのか…」 「本当に残念そうでござるな。まさか…」 「い、いや、そんなことない!ない!ただちょっとどんなもんかなと庶民の俺は思ったりしてだな、別に参加したいとは…」 「んふふ、拙者は京介氏を信じてござるよ。ところで来週の休日にきりりん氏と黒猫氏をつれて拙者のマンションに来ていただけないでござるか?見てもらいたいものがあるでござるよ」 「いいぜ…」 「な……」 俺と桐乃と黒猫は沙織のマンションのある一室に入った瞬間目を疑う光景に出くわした。 眼鏡を外した沙織が全裸でロープで天井に吊され、どこかで見覚えのある男に突かれて喘いでいた。 とてつもない激情に駆られたが部屋の甘ったるい香りに戦意は削がれ意識がとろんとしていく。 桐乃と黒猫もどこか様子がおかしい。 「ようこそ、わたしのサークル隠微な花園《エロティックガーデン》へ」 沙織の姉の槇島香織が得意げに宣言する。 俺は彼女に付き添われ部屋の中に踏み入れる。 桐乃たちも他の男どもに中に入れられる。抵抗とかそういう思考は失せていた。ただ俺達の困惑な表情を見て取ると面白そうに香織は言った。 「おや、妹からは何も聞いてないないようだな。ふふん。あいつもなかなかのSだな。これは小さな庭園《プリティガーデン》のもう一つの顔で、いわゆる乱交サークルというわけだ」 乱交サークル。セックスパーティー? 「ああ、そうともいうな。わたしは死ぬまでにありとあらゆるものを堪能したいと思っていてな、これもその一環てやつだ。インドアの隠微な活動だな」 この臭いは…? 「大麻だ。クラクラするだろ?ま、はじめだけだなそんなの。もっと凄いのになれればどうってことない」 桐乃と黒猫を見ればぐったりとしているところを男たちに服を脱がされ、腕に注射針を刺されていた。すると桐乃たちは眼を見開き、痙攣しだした。 「おい、いきなり全部注入するかよ。信也、様子を見てくれ」 そういうとずっと空中に吊された沙織を突きながら舌をひたすら絡ませていた男がぴったり動きをやめ勃起した肉棒から体液を滴らせながら桐乃たちの瞳孔にライトをあてたりしながら様子を見て 「まぁ、大丈夫だろ。○○、お前医者の癖に分量間違えるな…って聞こえてないか」 信也という男はガリガリの眼鏡男を叱ろうとするが途中で諦めた。その男は眼が完全に逝っていた。 男たちは桐乃たちの無事を確認すると隣の部屋に連れていった。 しばらくして桐乃と黒猫の「あんっ♪」「そこ、いいわっ♪」というどこか歯止めを失った楽しげな嬌声が聞こえてきた。 桐乃と黒猫はこの部屋に入るまでは処女だったはずだ。それが完全に女の声をあげていた。 「さぁ、わたしたちとたのしもうじゃないか。」 いつのまにか俺は服を脱がされ、腕に注射の跡が残っていた。 「うはぁ、君って童貞君?いいほうけいおちんぽじゃん」どこか加奈子に似た女性が俺のチンカスいっぱいほうけいちんぽを舌で剥き 「チンカスいっぱいじゃん。あたしが掃除してやるよ♪」とれろれろとなめ回されながら 沙織の姉とねっとりとした官能的なキスを交わした。 こうして俺のセレブ体験は幕を開けたのだった。 おわり。
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/4445.html
にてないふたご【登録タグ に もわもわP 曲 鏡音リン 鏡音レン】 作詞:もわもわP 作曲:もわもわP 編曲:もわもわP 唄:鏡音リン・レン 曲紹介 リンレン同士のケンカを描いた曲。 歌詞 (ピアプロより転載) 双子といっても心は二つ 趣味も好みもバラバラよ(バラバラさ) 好きな食べ物エビフライ(オムライス) 納豆ご飯大嫌い(大好きさ) こんなに似てない二人なの(二人だぞ) 一緒くたにしないでよ いつも泣きべそかいている (いつもプリプリ怒ってる) 弱虫小僧の弟と (ふくれっ面の姉ちゃんと) 一緒にされてはかなわない あたしら(俺たち)少しもさっぱり絶対 全然決して似てない双子 双子といっても心は二つ けんか口論当たり前 時には本気で殴り合い 顔を見るのもいやになる 今日もちぐはぐすれ違い 二人はいつも不協和音 双子のくせにと人は言う 双子の気持ちも知らないで ひとまとめじゃわからない あたしら(俺たち)少しもさっぱり絶対 全然決して似てない双子 [レンソロ]振り向けばいつもそこにいる 俺のうるさい片割れ [リンソロ]顔を上げればそこにいる あたしの生意気な片割れ いちばん近しい人だから それだけ摩擦も多くなる だからみんなもわかってね(わかってよ) そっくりなのは見た目だけ 中身は全然別物よ(別物さ) あたしら(俺たち)少しもさっぱり絶対 全然決してちっともまったく みじんも毛ほども似てない双子 コメント いいんじゃないかな!?確かにそのとうり。双子の気持ちをよくわかってる!この曲手本に双子は生きてゆくのだぁぁ!! -- 名無しさん (2009-03-03 20 18 22) 気持ちはよく分かります。私も双子だから。(ホントウです) -- 双子の子 (2009-03-09 19 29 17) ↑双子は別に珍しくない。 この曲大輔 -- 名無しさん (2009-03-27 17 37 54) 自分双子なんすけど「似てる」って言われるとイラッてきません? -- 名無しさん (2009-03-27 17 43 32) 私も双子です! 似てるって言われるとイラッとします!! わかります! -- かな (2009-04-04 21 50 54) 私の場合兄弟なんだけど分かります!!www -- みは (2009-04-04 21 59 03) でも、双子ってうらやましいw -- 名無しさん (2009-04-04 23 34 17) 私、双子じゃなく、姉妹だけどリンレンの気持ちなんかわかる気がするな~。 -- 木イチゴ (2009-05-09 17 22 27) 私も3姉妹なんで、よく分かります\(°^°) -- ああwwww (2009-05-09 20 41 46) 本気で殴り合いwwwwわろたwwリンレン大好き!! -- 名無しさん (2009-07-31 18 14 07) あ=わかるね(笑)俺も双子 -- 名無しさん (2009-08-09 00 18 30) 私は双子じゃないけど(しかも姉弟)殴り合いは分かるな…(^ω^) -- 雪阿 (2009-08-13 20 30 43) 似てると言われた事ない双子ですw -- 名無しさん (2009-08-13 21 26 58) 私も 双子です。 最近知ったので私も心境が複雑です。 -- 名無しさん (2009-10-16 17 50 36) 私も、双子の姉弟だから、リン・レンの気持ちはわかります!良い曲! -- 鈴花* (2009-10-16 20 44 17) 殴り合い・・!?信じられんw私も双子だけど・・そんなことしない!!いつも一緒w -- 雪音 (2009-10-29 17 08 02) 双子率高ぇwwwwwwww -- 名無しさん (2009-12-30 23 08 00) 摩擦・・・やっぱ男女だからかな?私も双子だけど1回も喧嘩したことないなぁ・・・ -- キーナ (2010-01-02 14 59 44) リンとレンをよくにてないっていう人いるが、髪型はともかく顔は似てる。 -- Mimi (2010-11-21 05 33 31) ほほえましいーー -- 名無しさん (2010-12-09 16 29 18) 分かります!(兄妹だけど)私は兄ちゃんには逆らえません・・・(泣) -- いっちー (2011-03-14 08 43 20) 私も双子なんですがすごく同感ですね、この曲大好きです。 -- ハク (2011-07-19 15 18 12) 私も双子ですがさすがに殴りあいは・・・でも顔も見たくなくなるのはわかります。 -- ララ (2012-03-25 20 37 41) 一番最初に聴いたボカロ曲。リズムと歌詞が好きw -- 名無しさん (2012-07-03 21 14 08) あれ?リンの定番アイテムに納豆って入ってなかったけ?違えてたらゴメスwでもこの曲隙星 -- 名無し (2012-10-11 16 31 52) ↑この曲好きです☆ですw -- 名無し (2012-10-11 16 32 42) 自分双子だからよくわかるわ。いろいろ言われてうんざりす。 -- もんべえ (2013-02-18 19 29 47) 兄弟もいない...だから憧れます。 -- 匿名 (2016-06-20 21 33 54) リンレンの気持ち分かります!私は双子ではないけど姉妹で、似てるって言われると妹の方が性格がひどくてイラッときます。 -- 名無しさん (2017-03-30 23 43 45) リンレンって双子じゃないんだよでもその曲の物語だからね!僕この曲好きだよ -- リンレンかわいい (2017-08-01 11 53 38) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kimo-sisters/pages/584.html
700 15スレ650 sage 2008/11/25(火) 20 03 38 ID OAtHik8Q 裕子さんがこっちに来るみたいだ。 7年ぶりに会う事になるのか。 俺は公園で音楽を聴きながら、ベンチに座って待っている。 むにゅっ 何だ?この柔らかい感触は・・・ 俺は恐る恐る振り返ってみた。 「久しぶりね、会いたかったわ!」 「裕子さん!」 振り返ると裕子さんが俺に抱きついていた。 こんな所で、何考えてるんだよ。 胸当たってるし 「ん~この感触はやっぱり弟君の感触ね」 「裕子さん離れてください!恥ずかしいっす!そもそも俺は弟じゃないっすよ」 「私、弟君に会えなくてずっと寂しい想いをしてたの・・・もう少しこのままでいさせて」 「裕子さん」 裕子さんはまるで愛しい人を一生離さないように俺を強く抱きしめてる。 ちょっと苦しいけどもう少し甘えさせてあげようかな・・・ 昔よく世話になったしな。 それにしても裕子さん美しくなったな。 170cmくらいかな?背も俺より高いし、スタイル抜群で、黒髪が長くて綺麗だ。 そしてシトラスの甘い香水の香りがする。 俺は何を言ってるんだ・・・ 「そろそろいいっすか」 「ごめんなさいね」 「急に後ろから抱きつかないで下さいよ。ビックリしたっすよ」 「久しぶりに弟君に会えたからつい嬉しくて」 「だから俺は弟じゃないっすよ。けど俺も久しぶりに会えて嬉しいっすよ」 「本当!?」 むぎゅ 「昔から抱きつく癖は変わってないっすね」 「私の大事な、大好きな弟君だからよ」 「・・もう弟でいいっす」 「じゃあ私の事は裕子さんじゃなくてお姉ちゃんって呼んでね」 「それはちょっと・・・それと仕事の事なんですが」 「それはお茶でもしながら話しましょ」 俺は裕子さんとカフェへ向かった。 701 15スレ650 sage 2008/11/25(火) 20 05 00 ID OAtHik8Q 「バイクの免許持ってたんすね」 「車の免許取ったついでに最近とったのよ」 俺は裕子さんの中型バイクの後ろに乗せてもらってる。 「でも本当は免許取って1年経たなきゃ2ケツしちゃいけないんじゃ」 「細かい事は気にしない、さあ着いたわよ」 俺と裕子さんはお洒落な喫茶店に入った。 「どうして高校に進学しなかったの?」 「親に甘えたくないからっす。俺は親に頼らず1人で生きて行きたい」 「じゃあ自分のお金で1人暮らししてるの?」 「はい、物心ついた頃からからずっと金稼いで、貯めた金がありますからそれで」 「そう言えば昔から弟君は親に甘えてなかったわね」 親父もおふくろも俺の事なんか全然見ないで、妹の事しか見てないからな。 「今時自力で生きてくなんて珍しいわね。今の世の中そんなに甘くはないわよ」 俺と同じくらいの年の奴は大抵親の金で高校行ってるよな。 自分の金で行ってる奴はどれくらいいるのかな。 少ねえだろうな。 「でも俺はあんな家族とは一緒に生活したくない。例え辛くても1人で生きてく方がマシっす」 「よほど辛い想いをしたのね・・・私は弟君の味方だから」 「裕子さん・・・」 裕子さんに会えてよかったな。 昔から俺の悩み事に真剣に相談してくれて。 本当にこんな姉がいたら・・・ 「それで本当に俺を雇ってくれるんすか?」 「可愛い弟の頼みは断れないわよ」 「でも話がうますぎるっすね。詐欺とかじゃないっすよね?」 「安心して、詐欺じゃないから。証拠だってあるわよ。ほらっ」 そう言って、写真や雑誌とか色々見せてくれた。 どうやら本当みたいだ。 「じゃあ決まりね」 あっさり決まっちゃったけどそんなに簡単に決めてもいいのだろうか。 でも早く働かなきゃな。 親父にはばらさないみたいだし、今のところデメリットはないし、いやになったら辞めればいっか。 さて、仕事も決まったし、夕飯のおかずでも買って帰るか。 「それじゃあ俺はこの辺で。色々とありがとうございました」 「待って、せっかくだから弟君の家に行ってみたいな」 「急に言われてもお茶くらいしか出せませんよ」 「私は大丈夫よ」 雇ってくれたし別にいいか。 702 15スレ650 sage 2008/11/25(火) 20 07 00 ID OAtHik8Q 俺は裕子さんと夕飯のおかずを買いにスーパーへと入った。 「そんなにべたべたくっ付かないでください」 「いいじゃない。姉弟なんだし」 「姉弟じゃないけど姉弟だからこそまずいと思いますが・・」 「恥ずかしがっちゃって可愛いわね。私が全部お金出してあげるわ」 「いいんすか?」 「だから一緒に手を繋ごうよ」 「それは・・・でも出してくれるなら」 恥ずかしかった買い物を終え、俺のアパートへ向かった。 「ただいま~」 「普通お邪魔しますじゃないっすか」 「この家具は全部自分で稼いだお金で買ったの?」 「貰ったのもありますが」 「本当に自分1人で生活してるのね。そんな弟君の為に私が腕を奮ってハンバーグを作ってあげるわ!」 「えっ?別にそこまでしなくてもいいですよ」 「弟君はゆっくりしてなさい」 「じゃあ俺も手伝いますよ」 「いいのよ」 裕子さんの手料理か。 ちっちゃい頃もよく裕子さんが料理作ってくれたな、楽しみだな。 それに最近ろくなもん食ってねーからな。 だから俺は痩せてるのか。 何もしなくてもいいみたいなので、音楽聴いたりしながら適当に時間を潰すか。 「できたわよ」 うはっ美味そうだな。 気のせいか、何かよく分からない変な臭いがする。 「ハンバーグに何か入れました?」 「隠し味をたっぷり入れたわ」 「隠し味?何すかそれ?」 「ひ・み・つ」 まあいいか、変な物は入ってないだろう。 「いただきます」 俺はハンバーグを口に運んだ。 美味い!こんな美味い物食ったのはいつ以来だろうか・・・ ちょっと鉄っぽくて、何とも言い表せない味にごりごりした食感。 ハンバーグってこんな味だったっけ? 俺はハンバーグの味を忘れる程ロクなもんを食ってないのか・・・ 「むふふふふふふふふふふふふふふふふ」 「裕子さん?」 ニヤニヤ笑ってどうしたのだろうか? 「裕子さんは食わなくていいんすか?」 「私はいいの」 俺は残さず全部ハンバーグを食い終えた。 こんな美味いハンバーグを残す方がおかしいくらいだ。 「じゃあ明日8時に迎えに行くから」 「ご馳走様でした。帰り気をつけて下さいよ」 「そうだ、番号とアドレス教えてよ」 「それくらいなら」 俺は裕子さんに番号とアドレスを教えた。 「じゃあまた明日」 そう言って裕子さんは帰って行った。
https://w.atwiki.jp/gone0106/pages/270.html
第百二十七話 お前に負けたくないからだよ 投稿者:兄貴 投稿日:10/11/21-23 48 No.4418 シモンの記憶映像。 それは些細な手違いから放映されてしまったものだが、その手違いが人々に知られざる伝説を教えてしまった。 それがこの世界に住む人々の心にどれほど響いたのか、この光景を見れば一目瞭然である。 本来この世界にはあるはずのない伝説。 しかし伝説が現実になった時、世界の心は絶望の冷たい海から一気に燃え上がる赤いマグマのような熱気に包まれた。 「さあ、いくぜ! 受け継がれた新生グレンラガンのデビュー戦だ。しっかりやれよ、ダリ―!」 「ギミーこそね!」 ギミーとダリーの気合が螺旋波動となり、強い風を巻き起こす。グレンラガンの右手には巨大なギガドリル。その姿だけでも世界のワクワクが収まらない。 「あれは・・・一体・・・・」 「何じゃクルト、知らんのか? アレが一体何なのかをのう」 「シモンの・・・・大グレン団のシンボルじゃねえか!!」 現れたグレンラガンを知らないのは、クルト、そして意外なことにアムグを除く新生大グレン団のメンバーたちだ。 「私たちも知らないヨ。リーダーの仲間みたいだが・・・」 「あばばばば、すんごーい! 目玉が飛びでそー!」 当然パイオツウたちも知らない。シモンの記憶映像が放映されていた時、丁度チコ☆タンの空中喧嘩祭りに駆り出されていたゆえに、一番知らなくてはいけない奴らが知らなかった。 しかし同じ様に駆り出されていたが、この男は知っていた。 「ひは・・・・ひはははは・・・この状況は・・・まさか俺がグレンラガンと戦わなくちゃいけないとはな・・・・」 ユウサは笑いながらも小さく汗をかいた。 「ギミーとダリー・・・あの双子か・・・ひはっ、グラパールとかいうのじゃなく、グレンラガンでくるとはな・・・まあ、シモン君の記憶ではコアドリルと共に託されていたが・・・ひはははは、こりゃ~ね~だろ~?」 シモンの記憶映像と、火星に訪れた1000年前の螺旋族の顔神遺跡のラガン。それを入手した時、超鈴音が告げた未来には自分が関わっていると思っていた。 しかし、今この瞬間、別の予感がユウサの頭の中によぎった。 「あの超鈴音の未来でねじ曲がった物語・・・それを捻じ曲げたのは俺かと思っていたが・・・・まさか俺が大グレン団とグレンラガンブームの踏み台になるなんてことは・・・ね~よな~?」 引きつった笑みで、ありえなくもない可能性にユウサも自嘲した。 「映像は映像・・・伝説の真偽が分からなければ、シモン君の物語はこの世界では所詮は映画と同じ扱いだ。地球ではそれを避けるために、俺は顔神遺跡のラガンをパクッたんだが、まさか本物自らがこの世界にくるとは思わなかった。これでグレンラガンと大グレン団の伝説は全て真実だと、世界が知っちまった・・・」 そしてその予感の正体はここであきらかになる。T・鬼神(テラ・キシン)に構えるグレンラガン。 風穴開けられるのか、道を閉ざすか、これで明らかになるのだ。 「ふん・・・おもしれえ・・・未来はこの手で確かめてやる。来な!!」 ユウサと共にT・鬼神が猛る。でかい図体に魔力のオーラを纏わせ、完全に戦闘態勢に入る。 対するギミーとダリーはモニターに映るT・鬼神の大きさに少し呆れていた。 だが、二人の表情には、どこか余裕を感じた。 「へっ、デビュー戦にしてはとんでもない奴みたいだが、関係ないさ」 「うん。だって私たちは、もっと大きい・・・無限の銀河に風穴を開けた人たちを見て来たんだから!」 普通は誰もが臆するのだろう。いかにグレンラガンとはいえ、T・鬼神との大きさの差は100倍以上だ。 「無理を通して道理を蹴っ飛ばす。だが、これぐらいで無理なんて言ってたら、シモンさんにも大グレン団の皆にも、グレンラガンにも笑われちまう!」 「行こう、ギミー。私たちの気合と魂で、あのデカブツに風穴を開けよう!!」 グレンラガンは自信に満ちて威風堂々としている。コクピットのギミーとダリーも同じだ。 そう、負ける気がしないのだ。 「いくぜ、先手必勝だ!!」 「うん!」 グレンウイングが火を噴き、高速でグレンラガンが高度を増して、T・鬼神に向かっていく。 「へっ、侮るなよな。敵の予想を常に上回るのがグレンラガン。しかしシモン君の記憶映像から、テメエらのネタは全て俺には筒抜けなんだよ!」 T・鬼神は正面から迎え撃つ。冷静に対処すれば問題ない。ユウサはグレンラガンのすべてを知り尽くしているからだ。 「いけ、T・鬼神! 十指から繰り出す、十種の地獄! 十連地獄!!」 T・鬼神が向かってくるグレンラガンに向かって、10本の極太のレーザー光線を放つ。 「へっ、そんなクソったれビームなん・・・」 ビームに対して、ギミーはコクピットの中で軽く唇を舐めて操縦桿を持つ手に力を入れた。 「オラオラオラーーッ!そんなの当たらねえよ!」 「おおッ!」 グレンラガンはスピードを一切緩めることも無く、ビームの束をひらりとかわしていく。 「操縦テクニックなら、シモンさんを始めとする先輩たちにも負けないぜ!」 幼いころからグラパールを中心に、操縦テクニックを磨いていたギミーとダリーは、機体の性能さえ関係無ければ、我流と気合でガンメンを操縦する大グレン団の猛者たちを上回る技術を持っている。 なにより、螺旋王からの地上奪還後も、反政府軍のゲリラやテロリスト、さらにはアンチスパイラルとの戦争においては、銀河を舞台に無量対数の敵と戦ってなおも生き抜いたのだ。 いかに強烈な攻撃だろうと、指で数えられる程度の攻撃を回避するなど、朝飯前だった。 「ちい、ガキが・・・電撃地獄玉!!」 T・鬼神のレーザー砲を掻い潜ってくるグレンラガンに対して、ユウサはレーザーに紛れてユウサ自身の電撃攻撃を織り交ぜて放った。 極太レーザーばかりに気を取られているギミーは気づかず、電撃玉の接近を許してしまう。 だが・・・ 「螺旋弾!」 「なにッ!?」 なんとグレンラガンが小銃を取りだして、電撃玉を撃ち抜いた。シモンが操縦していた時には付いていなかった装備だ。 「ギミー、油断しない!」 「流石、ダリー! 相変わらずの射撃の腕前だ!」 果敢に攻めるギミーに対してダリーが冷静にサポートする。そしてダリーはこの状況を分析する。 「このデカブツを動かしているのは、多分頭頂部に居るあの男よ。どういう原理かは分からないけど多分これがヨーコさんが以前言っていた魔法っていう奴なのかも」 「ってことは、あいつをぶっ飛ばせばいいんだな!」 やるべきことが決まれば、後は何をするかなど打ち合わせ必要もない。ドリル掲げて突き進むだけだ。 「ちい、アンチスパイラル戦以降にあの双子に合わせた装備も付けたのか? そいつは結構厄介だぜ」 グレンラガンを詳しいと言っても、裏を返せば恐ろしさも知っているということだ。 いかに操縦しているのはシモンではないとはいえ、この圧倒的有利な状況もほんの僅かな事で覆る。 それだけは絶対に避けねばならない。 「俺はまだまだ世界に必要とされているからな!!」 T・鬼神の規格外の張り手がグレンラガンの前に立ちはだかる。 張り手の大きさは世界が一瞬で暗くなるほど大きい。ユウサのお得意のネチネチした攻撃ではなく、珍しくパワーで一気に相手を圧倒するつもりだ。 一方で、グレンラガンは世界を覆う天井のような張り手に対してあの技で立ち向かう。 「出たァ!!」 「アレだァ!!」 その技は伝説を創り、新たな道を創り、天と地と明日を貫いたドリル。 「「必殺! ギガドリルブレイク!!」」 戦場が、そして世界が一気に興奮の渦に巻き込まれる。 敵は巨大。超巨大だ。 だが、グレンラガンが繰り出すギガドリルとて、色々な物が詰まっている。 ギガドリルを掲げて突っ込むグレンラガンを見て、期待するなというのが無理な話だ。 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 「ひはああああああああああああ!!」 一歩も引く気が無い。互いが互いを打ち滅ぼそうとぶつかり合う。だが、質量差はやはりそのままパワー差につながる。 「ぬっ!?」 「ギミー、押されちゃダメ!」 T・鬼神の表皮は思ったよりも硬い。ドリルの先端が少し埋め込まれるが、それ以上先に進むことが出来ない。 「おい、見ろよ! グレンラガンが!?」 「う、うそだろ!?」 「そ、そんな!?」 「あの最強のギガドリルブレイクで掘り抜けない!?」 ギガドリルブレイクで貫けぬT・鬼神に人々が顔を青ざめさせる。この光景に笑みを浮かべたのはユウサだけだ。 「ひは・・・ひはははははは、シモン君みたいにはいかなかったな!」 そしてそのままT・鬼神の力を最大限に発揮させ、どんどんグレンラガンを押し潰そうとする。 多くの者たちが嘘だと叫びたかったが、現実は変わらず、大地を揺るがす巨大な音と共にT・鬼神の手のひらがグレンラガンごと大地を押し潰した。 「や、やべえ!?」 「グ、グレンラガンが!? 助けに行かねえと!」 「いかん!? クルト、僕に飛行船を貸してくれ。今すぐ助けに行かないと」 「ダ、ダメだ。一人で行って何が出来るんだ、タカミチ」 「このまま黙って見てなどいられない」 T・鬼神の圧倒的な体重を全て乗せ、ユウサは上からギガドリルで粘るグレンラガンをそのまま大地に押し潰した。 地の底へと押し潰されたグレンラガンの姿に世界が再び慌てふためく だが、やはりまだ誰も分かっていない。 「・・・・ん?」 いち早く気づいたのはユウサ。大地に手を置くT・鬼神の腕に、とてつもない音が聞こえたからだ。 「こ、こいつは・・・・・・まさか!?」 そのまさかだ。T・鬼神の手の平が下から持ち上げられた。 その下にはギガドリルで未だにT・鬼神の手の平にドリルを埋め込んで突き進もうとしているグレンラガンが居た。 だが、何故大地と密着するようにしてT・鬼神が叩き潰したのに、グレンラガンの機体が無事なのか? 簡単だ、大地の中に穴を掘ったからだ。 ギミーとダリーは瞬時に腕のギガドリルをT・鬼神に向けたまま、足のドリルで地面を掘ったのだ。 「ありがとよ、上から押し潰してくれて。お陰でドリルがだいぶめり込んだ」 そして今の衝撃でドリルの先端がT・鬼神の手の平に埋め込まれた。 「このまま一気に持ち上げるよ、ギミー!!」 グレンラガンは敗れてなどいない。 それどころか少しずつ少しずつだが、どんどんT・鬼神の手の平にドリルを埋め込ませている。その回転は止まるどころかさらに加速している。 そうだ、これだ。 困難であればあるほど何とかするのが、大グレン団のやり方であり、それを可能にするのがグレンラガンなのだと、世界が目を輝かせた。 「「はあああああああああああああああああああああああ!!」」 「ぐっ・・・この・・・ガキどもがァ!!」 そしてついに光り輝く緑色の光がT・鬼神の手の平に大きな穴を開けた。 世界の滅亡に現れた絶望の怪物に、僅かであるが穴を開けた。それはすなわち、絶望に穴を開けたと言っても過言ではない。 「へっ、どうだ! 俺たちを誰だと思っている!」 「・・・・ひはははは・・・・ガキが・・・」 どんなもんだとコクピットの中で胸を張るギミー。沸きあがる歓声。 一方でダリーはテンションに身を流されず、冷静に今の状況を分析していく。 「でも、ギミー。今見たとおり、パワーの差は大きいよ。それに穴を開けたと言ってもあの巨大な体のほんの一部。多分ピアスの穴を開けたぐらいにしか感じてないと思う」 「何ィ~? でも、それでもやるしかないんだろ! 俺たちがやらなきゃ誰がやるってんだ」 「分かってるよ。だから今、とっておきのアイデアを思いついたの」 「アイデア?」 コクピットの中でダリーはほほ笑み、無線機能を使う。無線の相手は・・・・ 「・・・・・へっ?」 『こんにちは。私の名前はダリー。大グレン団のメンバーです』 「う・・・うむ・・・私は~、この魔道大グレンのクルーヨ。艦長は今リタイヤしているから、出られないが、一体何の用ネ?」 魔道大グレンのモニターに映し出された桃色の髪の可愛らしい少女。パイオツウもまさか自分たちに通信が来るとは思わず、少し焦った。 『そこに、シモンさんは・・・・・・いえ、あなたたちはシモンさんの仲間ですか?』 「シモン? ああ、リーダーの名前ネ。そうか、あなたたちリーダーの仲間カ。リーダーは今、あの巨大な建物の中で戦っている」 『リーダー!? シモンさんが? 分かりました。その言葉が聞ければ十分です! 私たちと一緒に戦いましょう!』 「・・・・・・へっ?」 大グレン団の旗を掲げている、魔道大グレンという艦に乗っていたクルーが、シモンをリーダーだと言った。それだけでダリーは十分だった。 (まったく、シモンさんは本当に驚かせてくれる。だから・・・今度は私たちの番。見ていてください、シモンさん!) ダリーはこれから自分たちがやろうとしていることを想像し、武者震いが止まらない。 「さあ、ギミー! アレをやるよ!」 「ああ、そういうことだな!!」 ギミーもダリーが何を思いついたのか、言葉を交わさずに理解した。 そしてソレにまったく異議などなかった。 むしろ望むところだと頷いた。 「何をするつもりじゃ?」 テオドラが思わず呟いた。 「あの妙な機体が何かをしようとしています」 クルトも呟く。 突如妙な動きを始めたグレンラガン。下半身をドリルにし、そのまま魔道大グレンに向かって飛んで行った。 「ひはははは、・・・・何を・・・・・・・って、まさかァ!?」 ユウサは理解した。ソレが意味することを。 「ちょちょちょちょ・・・・来たよヨーーーッ!?」 突然ドリルで突っ込んでくるグレンラガンにビックリして魔道大グレンから悲鳴が飛び交う。 そしてグレンラガンは魔道大グレンの艦首に突き刺さり、その瞬間螺旋力を魔道大グレン全体に行き渡らせた。 ここまで来れば、この戦いの観戦者たちも理解できた。ソレが何を意味するのか。そして今から何が起こるのか。 そして自分たちの思った通り、魔道大グレンが変形していく。 「「「「「「「「「「あれは、・・・まさかァ!?」」」」」」」」」」 変形した魔道大グレンは突き刺さったグレンラガンを機体の中に取り込んだ。 取り込まれたグレンラガンは超弩級艦魔道大グレンの艦内中央部へと飛んだ。グレンラガンがたどり着いた先は巨大コクピット。 「すごい・・・相性はいいと思ってたけど・・・これ・・・ひょっとして・・・ガンメン?」 「おいおい、この世界に来た螺旋族はシモンさんだけなんだろ? それは違うって。でも、この際細かいことは気にしないで、さっさと動いてもらうぞ!」 あまりに機体の相性が良すぎると思ったダリーは、魔道大グレンがガンメンなのではないかと疑うが、ギミーはどうでも良いと笑い飛ばした。 操縦席に着いたグレンラガンの目の前には超巨大な螺旋メーターと大きな穴が開いていた。 「いくぜ、ギガドリル・スピンオン!!」 その大きな穴にギガドリルを捻じ込んだ。 いつもグレンラガンを起動させるときにコアドリルを捻じ込むのと同じ要領だ。 その瞬間、コクピット内に光が漏れ、巨大モニターが展開し、それと連動するように魔道大グレンの機体が人型に代わっていく。 もうそこに、世界が知っているグレンラガンはいない。 更に進化した超巨大グレンラガンが出現した。 「こ・・・・・・こんなことが・・・・」 タカミチは手の震えがとまらない。 大戦期からこれまで多くのものを見てきた彼だが、これほど胸を熱くさせるものなど滅多になかっただろう。 新たな右拳を天に掲げ、二人の新時代を担う螺旋族の声が、螺旋波動に乗って響き渡る。 「異なる銀河を飛び越えて!!」 ギミーが叫ぶ。 「新たな絆が歴史を変える!!」 ダリーが叫ぶ。 「「怒涛合体!! 魔道グレンラガァァァン!!」」 シモンたちにすらできなかった、異なる銀河を越えてのグレンラガンの合体。 もはやユウサが知っているシモンの記憶映像など何の意味もなさない。 過去に前例のない新時代の力が今ここに生まれたのだった。 「下がっていろ、小娘ども!!」 これほど巨大な剣捌きを生で見るのは初めてだ。 ガンメンクラスの巨大な化け物は見たことあるが、武器を持ち、二刀流で相手を切り刻むなど前代未聞。 さらにはそのような巨大な体で、速く、強く、洗練された戦士のような動きを見せるなど反則もいいところだ。 だが、ヴィラルは容赦しない。 敵の巨大召喚魔たちを、次々と両断していく。 「す・・・すごい・・・」 「あ、・・・・ありがとうございます!」 ヴィラルの背後で呆然と眺める裕奈たちに、ヴィラルはコクピットの中で小さく笑い、再び吠える。 「ふっ、人類の恐怖と畏怖の象徴であったこの俺が、礼を言われる世界があるとは宇宙も広い。見てみるものだな・・・まだ見ぬ明日とやらもなァ!!」 いかに巨大召喚魔たちが巨大で強大な力を持っていても、所詮は傀儡。 意思があり、気合があり、誇りを持った孤高の戦士、獣人ヴィラルとエンキドゥドゥ・改に敵う道理はない。 「全員まとめてぶっとばしてやるわよ!」 ヴィラルに負けじと、装着されている巨大な砲台から次々と螺旋の大砲を放ち、敵を撃ち滅ぼすのはヨーコ。 「ふん、所詮は烏合の衆。心も気合も魂も感じさせぬ者どもに、この俺様が後れを取ると思うなよ!!」 「そういうことよ! 大グレン団の心と気合と魂! 思い知らせてやるわ!」 まるで張り合うように、しかしその意気は見事に合い、ヴィラルとヨーコは先ほどまでネギや木乃香たちが押し潰されそうになった絶望を軽々と蹴り飛ばした。 「す、・・・すごい・・・ヨーコさんも・・・あのヴィラルっていう人も・・・」 「でも、ちょっと待って! あのヴィラルって、シモンさんの敵でしょ? カミナさんを殺した奴らの仲間でしょ?」 そうだ、ヴィラルはカミナを殺し、人類を地下に押し込めた螺旋王の部下の獣人だ。 大グレン団の前に何度も立ちはだかっていた、因縁の敵。 しかし、目の前のヴィラルは何だ? 「しかしあれは・・・記憶映像に映っていた・・・螺旋王の部下の獣人というよりまるで・・・」 「せや、シモンさんと同じ大グレン団そのものやん!」 そうだ、今のヴィラルはシモンとヨーコと同じ大グレン団そのものに見える。 シモンとヴィラルの間柄を知らぬ少女たちには分からぬことだった。 「ヨーコさん・・・・・・僕は・・・・・・」 ネギは少し俯きながら、自分たちの代わりに戦うヨーコ達を見て、顔を下ろす。 「僕は・・・・・・何を・・・」 ネギはショックだった。 ヨーコにほのかな想いを寄せていたネギは、学園祭での彼女との別れの際に自分が成長することを約束した。 だが、先ほど再会した時、ヨーコの自分を見たときの瞳はどうだった? 成長した自分を褒めている目か? それとも、がっかりしたような目か? その時を思い出そうとすると胸が痛くなる。自分の心が情けなくて仕方ない。 ネギは黙って自分の頬をさする。それは、ユウサと戦ったときに魔と憎しみに飲み込まれた自分を偽アスナがぶん殴った所だ。 道に迷った自分を、仮初のアスナの姿でありながら、彼女は自分を助けてくれた。 だが、本物の彼女は今ここにいない。 自分はその本物の彼女を救い出すために戦っていたのに、この様は何だ? (でも・・・ここで僕が落ち込もうと・・・何も変わらない・・・そんな僕にヨーコさんは・・・もっとがっかりする・・・) ならばどうする? このグルグルと渦巻く感情は? 「だああああああああああああああ!!!!」 全員が思わず驚いて振り返ると天に向かって叫ぶネギがいた。 (とにかく動くんだ。嫌な思いは全部吐き出して・・・) すると、開き直ったのかスッキリとした表情を見せるネギがいた。とにかく今は前を見ろと決意した表情だ。 「 立て直します! 楓さんと美空さんの治療を木乃香さん!」 「は、はいな!」 「いいですか! 心強い援軍が来た以上、力技で無理やり突き進む必要は無くなりました! それにこの召喚魔たちを召喚しているデュナミスさん、どういうわけか造物主の掟を所持していません! つまり際限なく召喚されているこの化物たちの数にも限界があります!! これ程の召喚魔を広範囲に、しかもこれだけの数を召喚している以上、デュナミスさんの魔力は恐らくもう少しで底を尽くはずです! つまりこの場を切り抜けるのではなく、この場で粘り続ければ僕たちの勝利です!!」 デュナミスは外の戦いで造物主の掟を奪われているのだが、ネギたちはそのようなことは知らず、ネギも今気づいた。 だが、気づいた以上それを最大限に利用する。 仮にデュナミスが自分や木乃香以上の魔力を所持しているとしたら、彼の戦闘スタイルはもっと別のものになっているはずである。だからこそ、ネギはデュナミスの魔力容量が自分たちよりも少なく、それがもう少しで空になると睨んだ。 冷静に指揮を取るねぎの姿に、生徒たちも気持ちが湧き上がる。 「へっ、やってられねーなー、別に殴ったわけでも怒鳴ったわけでもねえのに、あの人が来た瞬間に、先生がよみがえるなんてな。私たちの苦労や心配は何だったんだか・・・」 千雨はヨーコが現われた瞬間、自力で立ち直ったネギを見て、思わず苦笑した。 「でも・・・あれがヨーコさん・・・私たちの目標ですから」 のどかも少し嫉妬しながらも、仕方ないなと思わず笑ってしまった。 「・・・この場の守護はシャークティ先生や新生大グレン団の方にお任せします・・・」 「刹那さん・・・あなたはどこに?」 刹那は刀を手に取り、ゆっくりと前へ進みながら、ほほ笑んだ。 「私にとっても目標の方が来てくださったのです。ならば・・・負けていられません」 今の自分をヨーコにも見てもらう。何故なら、刹那にとってもヨーコとは絶対に超えなければならない壁だからだ。 「僕も見てもらいます。あんな姿じゃない・・・今の僕を」 ネギも動く。 戦場で好き放題暴れまくるヨーコとヴィラルだけでなく、自分たちもここに居る、そしてこれが今の自分たちだと証明するために、再び戦場へと舞い戻る。 「なんや・・・おもろいことになっとるやないか」 そして・・・ 「私たちも混ぜろよなーーーッ!!」 更なる仲間たちがここに駆けつけた。 「小太郎君!?」 「ネギ、とりあえずアーニャの嬢ちゃんは救ったで!」 「ネギーーーーーーーー!!」 「アーニャ!!」 無事だ。全員無事だ。 小太郎たちの格好から見て、何か激しい戦闘があったのではないかと感じられるが、それでも彼らが無事な姿で居てくれた。 それだけでもう満足だ。 「へっ、ネギぃ~、シモンの兄ちゃんおらんが、大グレン団に押されっぱなしやないかい」 「うん・・・気を抜いたら本当に一瞬で飲み込まれそうだよ」 「んで? 飲み込まれるんかい?」 「・・・まさか・・・」 ネギは小太郎に笑う。小太郎もネギに笑う。 「「まだまだこれから!!」」 そうだ、自分たちはまだ何も成し遂げては居ない。 このまま置いていかれるものかと、大グレン団に対抗意識を燃やす。 「雷天大装・2!!」 「超獣進化!!」 自分たちが何をなすのか、今こそ見せてやると、ネギと小太郎は共に飛んだ。 「障壁突破『石の槍』(ト・テイコス・ディエルクサストー ドリュ・ペトラス)!!」 「超銀河ソニックジャマー!!」 鋭い岩が大地から伸び、シモンを貫通させようとするが、シモンが放った音波攻撃により空間全体が揺らぎ、その振動がフェイトの攻撃を砕き、フェイト自身の表情を歪める。 「ぐっ・・・音・・・ッ!?」 あらゆる物理攻撃をも防ぐ強力な障壁も、防げないものはある。それが音。 シモンはその事を知って使ったのかは分からないが、超音波による耳鳴りがフェイトを襲い、今ならば攻撃を叩き込むチャンス。 シモンは両腕に濃密な螺旋力の炎を凝縮させ、一気に爆発させてフェイトの腹部に叩き込む。 「超銀河大宇宙大爆裂双拳破ァ!!!!」 銀河を揺るがす大爆拳が轟き、フェイトに叩き込まれる。 だが・・・ 「甘いよ」 「なっ・・・がっッ!?」 拳はフェイトには届かない。その拳の軌道を見切り、フェイトはシモンの強烈な破壊力を込めたパンチを利用したカウンターパンチをシモンに叩き込む。 「ぐっ・・・なんて一撃だ・・・天元突破の炎が揺らいだ!?」 「ふん、自分のパンチで自滅したようだね。不思議だ。これだけ気持ちは高揚しているのに、頭の中は驚くほど冷静だ」 シモンは自分自身の破壊力を利用されたカウンターに天元突破の炎が乱され、ダメージで少し足が震えた。 それを回復するには数秒かかりそうだが、フェイトは数秒もまたない。 駆け出して右ストレートをシモンの顔面に放つ。 「そう簡単に・・・いかせるかァ!!」 対してシモンは避けられぬと判断し、真っ向から迎え撃つ。 先ほどのカウンターのお返しとばかりに、フェイトの右ストレートにタイミングを合わせて、かぶせるように左のパンチを放つ。 「クロスカウンター・・・!」 クロニアがぼそっと呟き、そしてシモンのクロスカウンターがフェイトを捉えたと確信した。 しかし、その瞬間フェイトは右ストレートの延ばしたひじを曲げて、シモンのカウンターパンチの軌道を逸らした。 「ッ!?」 「言っただろ・・・頭の中は驚くほど冷静だと」 フェイトはそのままがら空きになったシモンの顎目掛けて拳を打ち抜く。 何とカウンターに対するカウンター技を放った。 「ク・・・クリスクロス・・・これほどの魔力や火力の中でそれほどの高等技術まで・・・やはり火力はシモンのほうが上ですが、技はアーウェルンクスが上・・・」 シモンの破壊力を逆に利用した二発の攻撃は、紛れもなく無敵であるはずの天元突破モードのシモンにダメージを刻んでいる。 「シモン・・・僕は君のような敵は嫌いだ・・・でも、君という人間はそれほど嫌いじゃないよ」 「フェ・・・・イト・・・がはっ・・・ぐっ・・・」 ダメージがまだ回復していないシモンにフェイトが呟く。 「出会いが違えば・・・出会いがもし違えば・・・もっと・・・僕たちは互いを高められる関係になれたのかもしれない・・・」 「フェ・・・フェイ・・・・ッ!?」 その瞬間、フェイトの中段突きがシモンにめり込む。 「だが・・・僕たちの出会いも立場も、そして今も、もう変わらない。だから・・・これで終わ・・・ッ!?」 今度はシモンのアッパーがフェイトの顎を跳ね上げた。 「つっ・・・少しは回復したか」 「つっ・・・・・・しぶといね!」 「当たり前だ!」 互いが互いに向けて拳を繰り出す。シモンが拳でフェイトを殴れば、フェイトも引かずに殴り返す。 「流石だね。君を突き動かすもの、心、気合、魂。そんな曖昧なものでそこまで戦えるとはね」 シモンはここに至るまで、いくつもの戦闘を乗り越えてきた。 いかに天元突破の力を身に纏おうと、精神的な疲れはピークに達しているかもしれない。 連日の戦闘、ユウサ、アムグ、監獄、召喚魔、クロニア、マジン・ガン、そこで消費された力は簡単にあらわすことはできないだろう。 だがそれでもシモンは倒れない。それは今フェイトが言ったことと、さらに・・・ 「曖昧なんかじゃない。それに・・・今は・・・それだけじゃない」 「それだけじゃない? ならば他に何があるんだい?」 シモンを支えているもの。それは・・・ 「決まってるだろ? お前に負けたくないからだよ」 「・・・・なるほどね!」 二人の拳は同時に互いの顔面を捉えた。 「フェイト、今更言っても仕方の無いことだ! 俺たちは京都で敵として出会った。お前の大義と俺の信念は相容れないと互いに知ってしまった。確かにお前の言うとおりそんなもの全てをチャラに出来たら・・・きっと俺たちはいい相棒になれたかもしれない・・・でも、・・・そんなもしもに惑わされない! だから俺は負けられないんだよ!」 「それは僕も同じだよ、シモン! 負けられないことは同じ! 何故なら大義をなすことこそが僕の存在理由だからだ!」 シモンもフェイトも同じ。ただ、負けられない。 世界を書けた戦いの中で二人を支えているのは、負けたくないという意思だった。
https://w.atwiki.jp/niko2/pages/478.html
私は人間じゃないから(中編) ◆wC9C3Zbq2k (非登録タグ) パロロワ ニコニコ動画バトルロワイアル 第207話 「天海春香は俺が看取った。閣下の遺志は俺が継ぐ」 脳震盪でも起こしたか立ち上がれずにいるデーモンから距離を置き、胸の核鉄に手をあてながらKASが告げる。 「そっか、やっぱり私しか残ってなかったんだ」 「ヤケにはなるなよルイージ。お前は一人じゃない。大切な仲間だと俺も思ってるからな!」 「わかってるよ。真美とも約束したし。絶対戻っていおりんや兄ちゃんに伝えなきゃいけないもん。それにオメガモン感謝祭も開かなきゃいけないし」 「小学生でそれだけ言えりゃー上出来だ。俺の子供の頃はもっと(゚Д゚ )アラヤダ!! って感じだったぜ!」 「医者の娘で現役アイドルだしねぇ。それに……慣れちゃったかも。これってよくない事のような気がするけど」 不安そうにそう答える亜美を見てKASは気付く。この子は俺の勝手な気配りに気付いていて、わざとその逆であるこちらに来たのだと。 ほんの僅かでも役に立ちたかったのだろう。それがどれほど危険なことか理解した上で。なら、ここで降りかかる危険を排除するのが小さな観客を迎えることのできたヒーローとしての務めだ。 「どうして神の邪魔をするのかな?」 ようやく起き上がったデーモンがふらつきながら呪詛を吐き、こちらを見据える。 「悪い子にはおしおきが必要だね。壊さなきゃ、壊さなきゃ、壊さなきゃっ……!」 「しつこいオカマに用はないぜっ!」 瞬時に踏み込んで拳を固めたKASの体が一瞬輝き、溜め放たれた正拳がデーモンをありえないほど遥か遠方へと吹き飛ばす。これぞスマッシュヒット! それはッ、全てのスマブラ族に捧ぐ一撃ッ! 「KASくんすごい!」 亜美へ振り返り、Vサイン……できない!? 動揺するが、直後に笑い飛ばす。 「……? 拳完全に砕けたかww ぶら~んぶら~んww」 「笑い事じゃないよKASくん!」 全身が痛いせいでここまで骨が逝ってしまっていてもあまり実感は沸かなかった。ひょっとするとこのまま自分は致命傷を既に受けていて死んでしまうのかもしれない。 けれど、まだ諦める気にはなれなかった。死んでも生き残ると誓ったからにはこの程度のことは気にする必要はない。全て済んでからおもいっきり痛がればいい。 「よしいける! 覚醒してるうちに博之と一緒にハルヒをぶっとばす!」 KASは宣言する。 「それは無理ね。あんたの仲間はもうそこにいるちっこいのだけよ」 二人のいた林が光を遮られ影一色に染まる。見上げると太陽にかかる雲ではなく、低く身を乗り出した神人の姿がそこにあった。その首元には使役主であるハルヒ。 「もう気にしないことにしたわ。人間の思惑を神様が一々考慮しないのは歴史を見ても明らかじゃない。あたしの崇高な理念が理解できずにチンタラ正義の味方ごっこなんてしてる馬鹿どもはただ死んでいけばいいのよ」 「何言ってやがる! ってやば!」 畳の上の蚊でも叩くかのような迷いのない神人の掌撃。例えるなら、走り抜けることを前提にしていないただ殺すためだけの超高速巨杭トラップ。 スーパーマリオなら一撃までは平気かといえば当然否。無敵時間など与えられているはずもない。一度でもくらえば死あるのみだ。 「逃げるぞルイージっ! さすがにここから大勝利するのはゆきぽの中の人でも無理だっ!」 「へ、なんでKASくんがゆきぴょんの事知ってるの? ていうか中の人って何ソレ」 「全部じゃないけどカイバーマンたちのおかげで思い出せたんだよ! いいから急げ!」 本能的に平原へと駆け出す。最大加速が可能で、空にいるはずの博之からも見える場所。勝機が見えてこない今、すべきことは逃げることだけ。これだけ翻弄できたのだからあとは逃げ切ればこの場は自分たちの勝利のはずだ。 「くそっ、なんで当たらないのよ! 赤とか緑とか目立つ的なのに!」 KASを狙うその一撃ごとに大地が砕かれ、草は薙ぎ消され、軽舗装路が叩き潰される。圧倒的な拳速と破壊力を誇る神人だが、ハルヒの意識によって動く存在であるがゆえにその精度は決して高くはない。それが二人にとっての救いだった。 「すごいじゃんKASくん!」 「声援ありが……油断すんな馬鹿ッ!!」 急加速した神人の巨大な両足で、亜美の進路が塞がれた。 絶望的だ。全方位に動けるはずの草原だというのに亜美の加速が充分すぎるせいで逆に止まることなく走り続けることのできる方向を大幅に狭めてしまっている。瞬間移動でもしなければこのあと来るであろう拳の軌道は決して回避できない。 「よし、これで二匹目!」 神人の拳が亜美に向かって振り上げられた。 「うらあああっ!!」 KASは取って返し、ただ走る。距離を考えれば決して間に合うはずはなくとも。神と称えられたあのTASに並ぶと多くのユーザーが評価してくた最速タイの男になら、必ず奇跡は起こせると信じて。 亜美は動かない。スピードを殺さずに走り抜けられる唯一の道が相手の攻撃線上にあることをすでに察してしまったのか、ただ黙ってLというマークの記されたトレードマークともいえるその緑の帽子を離れた場所へ投げ捨てる。 「オメガモン、ごめん」 そう言い残して、その小さな姿は光の巨人の振り下ろした腕の下に消えていった。 よほどの勢いがあったのか地面は崩落し、間に合わせる事のできなかったKASを地割れの中へと引きずり込む。 「ルイージいぃーっ!!」 「アハハハハッ! いい気味だわ」 だが、自由落下していく中で確かにKASは聞いた。 「亜美は、ハルヒって人を殺すよ」 その声に驚いた彼が見下ろした先、地下壕の底に光り輝く剣を持った彼女はいた。 オメガブレード。知る者ならばその剣をそう呼んだだろう。古代デジタルワールドより伝わる伝説の聖剣。竜人族の究極種にしか扱えないといわれる破魔の長剣である。それが巨大な神人の豪腕を受け止めている。なんという光景だろうか。 それを手にしている少女は、一糸まとわぬ姿なのだ。 不格好に落ちてきた彼に向かって、照れた顔で亜美は言う。 「人を殺したくなんてないってオメガモンに言ったのに、それが嘘になっちゃった」 「お前……」 「あ、いま紳士スタイルだからあんまり見ちゃやだよ!?」 呪いのアイテムであるルイージの帽子を装備しているうちはその呪縛を打ち消してくれる装飾品であるホーリーリングを外すことはできない。そのため帽子を捨てて全裸にディパックのみという格好になる必要があったのだ。 瓦礫に紛れて足元に落ちていたその緑の帽子を拾い、今更のようにKASは目を逸らす。 「そんな武器どこに持ってたんだよ。本気で死んだかと思ったっていうww」 「亜美も知らなかったんだけど、なんでか知らないけど首輪が取れたときに気付いたんだよ。オメガモンのくれたこのリングは武器だったんだって」 初速を殺せなかったためここまで落ちてくることになったが、一度しっかり止めればこちらのほうが優勢なのかここの足場は砕かれない。光を纏った亜美の剣がその身の何百倍はあろうかという神人の拳を押し返し始める。 刀身に刻まれた神聖文字が意味するのは「初期化」。断ち切らずとも相手の力と存在を始原へと回帰させてゆく白き刃。神人の青白かった姿が次第に黄味を帯びてゆく。 「何よ! どうなってるわけ!? KASの仕業なの?」 神人の色が変化したことにハルヒは驚愕する。崩落した地面の中まで覗き込めるわけではない彼女にはわからない。神人が振り下ろした拳を戻すこともできぬまま消滅しようとしていることに。 ただ、眼にかかる負荷の異常さが彼女の不安をかきたてていた。 「KASくん離れてて! はぁああああっ!!」 これがとどめ。動かなくなったその拳に再度まっすぐ剣を突き立てる。そして数秒後神人の全身は色を失い、音もなく消滅した。 刺さる対象を失った剣が地下壕の蒼いタイルの床に落ちてカランと音を鳴らす。巨大な敵を消し去った亜美がやりとげた表情で振り返り、ゆったりと床にへたり込んだ。 青白い光の柱がもう一度地下壕に振り注いだのは、その直後だった。 ハルヒの乗っていた神人は滅びた。だから彼女は落下中に代わりの神人を喚び出した。 たとえ顕在化できるのが1体だとしても昔見た夢の中で校舎を叩き潰していた神人は複数だったことを彼女は覚えている。死んだ場合いくらでもかわりはいると思ったのだ。 予想通り神人は現れた。眼に耐えがたい激痛が走ったが転落死は免れたし、KASが落ちたであろう場所に確実に一撃を叩き込めた。いくらあの白いコートが硬くともあれだけしっかり手ごたえがあれば動けるはずはない。 「眼が痛い、体も……痛すぎるわ。まさかこのままあたし死ぬのかしら。古泉はあたしを見つけたら神は死んだなんてニーチェばりのことを言って笑うのかしら。 いやよ。絶対に死んでなんてやるもんですか。味方ごと皆殺しにしてでも、あたしは新しい世界に君臨してみせる」 一時的に視界はブラックアウトしている。脳がかき回されているかのような不快感が全身を巡っている。こんな気分になったのはマラソン大会の直後に強壮剤をチャンポンで一気飲みしたとき以来だ。 あのときを基準とするならおそらくあと数分も持たずこのまま自分は気絶する。ハルヒはそう理解していた。 だからもし敵が生きていても簡単には見つからない場所に行かなければいけない。体の調子にはかまわず、木々のあったはずの方向へととにかく走った。 「はぁ……はぁ……」 何も見えない状態で疲労の極みにある健常者が走れる距離などほんのちっぽけなものでしかない。体感では200メートル以上全力で駆けていたしても実際に進んだ距離はせいぜい15メートル。 ただ、その現実を彼女に伝えられる人間はここには誰もいない。 「デーモンはどこまで行ったのよ……派手に吹っ飛ばされていったのは見えてたけど、もう戻ってきてたっていいじゃない」 そういえば博之を弾き飛ばした方向もデーモンが吹っ飛んでいった方向と同じだった。もし博之が生きていたとしてもデーモンのほうが回復が遅いなんてわけはないのだから出会っていればとどめをさしていていくれるだろう。 きっとそのせいで遅いに違いない。あの破壊の権化は本当に壊すことが大好きなのだから。 考えがまとまらない。ハルヒはもう限界だと思った。 倒れる瞬間、巨大な赤い光球が現れ彼女を受け止めたことなど、彼女には知るよしもなかった。 受け止めた赤い光球だった青年はため息をつく。 「やれやれですよね。結局僕はどれだけ否定されても彼女に従うほかない」 「何度聞いてもよくわからない理屈ね。超能力の使えない友達としての古泉一樹が存在意義を強く否定されたから、閉鎖空間ではないここでも超能力を行使できるようになったって」 「わからなくてもいいんですよ。僕が嫌おうとどうしようと、涼宮さんはそういう絶対的な存在なんです」 古泉を支えて神人から飛び降りた永琳は、やはり期待したほども飛べなかった。 いまにも墜落しようとする永琳を救ったのは古泉。首輪が外れたことでついに彼も超能力者として目覚めたのかと彼女は喜んだ。そうではないと古泉は説明したが理屈はどうあれ超能力が使えるようになったことはありがたい。 二人は満身創痍ながらも戦闘が終わればすぐ合流できるよう、期せずして巨大な目印となっている神人を目指して近くまで歩いてきていたのである。そして気を失ったハルヒを岩に頭を打ちつける寸前で保護した。 「退きましょう。ここにいては全員が危うい」 「デーモンはどうするの? どこにいるのかわからないけど」 「八意さんを殺そうとした奴なんてこちらから探そうとは思いません。それに、奴は僕や涼宮さんにも殺意があったような気がしてならないんです」 「神が有希って呼んでた人格の部分のことかしら。暗黒長門……」 「ご明察。襲われないうちに行きましょう。彼女……なら放っておいても冷静でさえあればエリアサーチなりなんなりのせこい魔法で戻ってくるはずですからね」 どれだけ疲れていても、どれだけ傷だらけでも、明確な目的のある彼らの意志は揺るがない。気絶したハルヒをオタチに抱えさせ、三人と小さな一匹はなるべく人の気配を感じない静かな方向へと歩いていった。 (それはそれとして、やっぱり神に命令された通り彼女のセーラー服を着なきゃいけないのかしら……いくら忠誠を誓ったとはいえ、ねぇ?) 永琳の複雑な心境を知るものは、誰もいない。 【D-2 草原/二日目・日中】 【八意永琳@東方シリーズ&新世紀 東方三国志~ひぐらしの憂鬱~】 [状態]:首輪なし、疲労大、重傷(少しずつ回復中)、左腕欠損(デーモンの情報操作で一応くっつけて貰ったが、まだ全然馴染んでいない)、 肩に怪我(手当て済み)、体力消耗・中、背中に火傷(手当て済み)、古泉を信頼 [装備]:王者の剣@DQ3(刃毀れ)、小型爆弾*1、ベレッタM92F(12/15) 、ヲタチ(残りHP60%)@ポケットモンスター [道具]:支給品一式*3(食料四食分・水二食分消費)、ゾンビマスク@現実(ゾンビーズ)、蒼星石のローザミスティカ、萌えもんパッチ@ポケモン言えるかなで擬人化してみた、ミニ八卦炉@東方project、 クロスミラージュ@リリカルなのは、ゴム@思い出はおくせんまん、自動ぶんなぐりガス(残り1/5)@ドラえもん、ヴェルタースオリジナル*1@ヴェル☆オリ 真紅のローザミスティカ@ローゼンメイデン、くんくん人形@ローゼンメイデン、ヤクルト@乳酸菌推進委員会、水銀燈の体、 包丁、デジヴァイス@デジモンアドベンチャー 、北高の制服@涼宮ハルヒの憂鬱、テニスボール、毒入りパン、千年パズル、DCS-8sp*6、予備弾薬各100発@現実(ベレッタM92F用26発消費、トカレフTT-33用16発消費) 【DMカード@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ】 使用可:プチモス、カタパルト・タートル 午後まで使用不可:魔導戦士ブレイカー 夕方まで使用不可:ブラックマジシャン 夜まで使用不可:真紅眼の黒竜 次の朝まで使用不可:聖なるバリアミラーフォース [思考・状況] 1.対主催、運営の様子を見極めた結果、一時撤退でハルヒの回復待ち。 2.ハルヒの能力で全て元通りにしてもらう。そのためハルヒを神と仰ぎ、命を賭けてハルヒを守る。 3.言いつけ通り北高制服を着なきゃいけないのかしら……ハァ…… 4.遊戯の信頼を得たい。いずれ本当の仲間になってもらう。 5.どうにかしてハルヒとデーモンに遊戯の事を本当の意味で信頼させる。 6.遊戯から生前のニートの様子を聞きたかったけど、気まずくて聞けなかった…… 7.古泉一樹と武藤遊戯、ハルヒ、デーモンの五人で協力して全てを元通りにする。ハルヒの邪魔をする対主催、運営には容赦しない。 ※ハルヒの能力を完璧に信じました。 ※遊戯の持つ情報を全て把握しました。 【古泉一樹@涼宮ハルヒの憂鬱】 [状態]:首輪なし、超能力者として覚醒、重傷、頭部鈍痛、ろっ骨を骨折(応急処置済み)、疲労極大、八意永琳を信頼 [装備]:ゆめにっき@ゆめにっき(手の形に血が付着) 、トカレフTT-33(8/8) 、逆刃刀@フタエノキワミ アッー!(るろうに剣心 英語版) [道具]:支給品一式*16(食料6食、水15食分消費)、 赤甲羅@スーパーマリオシリーズ、笛@スーパーマリオ3 糸(あと二メートルほど)、裁縫針、武器になりそうな薬物、DCS-8sp、退魔の剣@怪~ayakashi~化猫、アニマルマスク・サラブレット@現実、ダンボール@メタルギアシリーズ、ヴェルタースオリジナル@ヴェル☆オリ、携帯電話@現実、 庭師の鋏@ローゼンメイデン、おたま@TOD、 カワサキのフライパン@星のカービィ、ワイン(残り半分)、傘@現実 、A.C.E.3@現実(少し詩音の血がついている)、塔組の推理メモ、塔の『バグ』について纏めた紙 、バルサミコ酢@らき☆すた、 グルメテーブルかけ(残り19回)@ドラえもん、時計型麻酔銃(予備針残り0本)@名探偵コナン、アイスソード@ロマンシング・サガ、スパイダーブレスレット@東映版スパイダーマン、ケンジのカメラ@ポケットモンスター、 うまい棒、津田英治ブロマイド(音声付き)@大変な途中下車シリーズ、ビー玉(30個ほど)@ピタゴラスイッチ、 黄色甲羅@スーパーマリオシリーズ、 【DMカード@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ】 使用可:死者蘇生、黒騎士の魔剣少女、セイバー 深夜まで使用不可:ブラック・マジシャン・ガール、ホーリーエルフの祝福、ゴキボール、強制脱出装置 次の朝まで使用不可:オレイカルコスの結界、オシリスの天空竜、オベリスクの巨神兵】 次の午前まで使用不可:エネミーコントローラー [思考・状況] 1.対主催、運営の様子を見極めた結果、一時撤退でハルヒの回復待ち。 2.千年パズルを人質にして遊戯を無理やり従わせる。 3.三つ巴の状況を上手く利用する。 4.ゆめにっきを上手く使って闘う。 3.殺し合いにのっていない参加者を優先的に始末。相手が強い場合は撤退や交渉も考える。 4.八意永琳、涼宮ハルヒ、デーモンと協力する。八意だけかなり信頼 5.仕方ないので涼宮ハルヒに従い、彼女を生かすため、守る。 6.全てが終わった後、ハルヒに「合法的に愛しの彼とニャンニャンできる世界」を実現させてくれと頼む。 9.遊戯うぜぇ……でも遊戯が無事に帰ってきたらもう邪魔者扱いしない。永琳にも謝るつもり 10.支給品を配分しないといけませんね。 ※古泉は絶対に脱出なんて出来ないと考えていましたが、クッパ城を見て考えを改めました ※ゆめにっき@ゆめにっき 本編には出てこない日記、絵本の形式で書かれています。 2m以内で最後のページを見た人は強制的にゆめにっきの世界に飛ばされます。出てくるには日記が開いている状態で頬を抓れば出てこられます。 一部監視が行き届いていない所がありますが2人は知りません。あと薬が塗られているので並大抵の事じゃあ燃えません。 ※主催者側に強い疑いを持っています。そのため、永琳と共にハルヒを神とし、彼女を守ります。 ※遊戯の持つ情報を全て把握しました。 【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】 [状態]:神への覚醒、首輪なし、気絶、左肩に銃創、左脇腹と顔面と首に殴られた傷、腕から出血、脇腹に弾丸がかすった傷、古泉達を信頼 [装備]:陵桜学園の制服@らき☆すた、デジヴァイス@デジモンアドベンチャー、バーサーカーソウル@遊戯王DM [道具]:支給品一式*3(食料・水一食分消費)、DIGIZO HYPER PSR(残り二十分程度)@現実、 テニスボール*2、雛見沢症候群治療セット1.5日分(C-120、注射器、注射針)@ひぐらしのなく頃に 、マウンテンバイク@GTASA、花粉防止用マスク、ドリルアーム [思考・状況] 1. (気絶中) 2. 対主催、運営の様子を見極めた結果、対主催の掃討を優先。 3.古泉と永琳に従い、遊戯を利用する。許す気は今のところない。 4.三つ巴の状況をうまく利用し、勝利する。 5.主催者や対主催を皆殺しにして新世界を創造する。神である私が絶対である世界に。 6.能力が復活したら、世界の破滅を救う神として、すべての世界に名を残す。 その際、世界を破滅に導くため、ヴァンデモンを更に強化する。 ※狂いました。それを自覚していません。 ※自分の能力を信じました。神人を召喚したりなど、能力を使えるようになりましたが、 会場全体にかけられた制限があるためまだ完璧ではありません。 ※神なので古泉も呼び捨てにします。 ※小さな神人を呼び出せます。ハルヒの意思に応じてすぐに大きくなります。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 大金星をあげた亜美に駆け寄ろうとしたKASが見たものは、衝撃とともに眼前に落ちてきた青白い柱と赤い霧。 「おい、なんだよこれ。ルイー……亜美はどこにいるんだよ?」 コートに付着しねとつく赤い霧をシルバースキンがきらめきながら粒子に変え自動的に浄化してゆく。毒ガスや硫酸などからも体を守ることのできる最強の防具は、その驚きの白さも決して譲ることはない。 すぐそばにいたはずの少女がいない。KASの動悸が加速する。あの柱はなんだったのか、そして一瞬で立ち込めたこの霧はなんなのか。考えてはいけないと理性が警告したが、本能がそれを理解するほうが早かった。 「うわぁあああああああ!!」 神人の腕が再度姿を消し、開いた穴から陽が差し込むと同時に霧も晴れてゆく。そこにあったのは浅い血溜まり。離れた先に見えるのは倒れた胸像。否。半身を失なった裸体の少女。何のためらいもなくKASはただその小さな身体を抱え上げる。 「わがまま言って、ごめんね……」 「メッじゃねーのかよ! ヒアウィーゴーだろ? ポジティブになれ亜美! そして俺!」 まだ生きている。助ける方法はないか。普段使わない脳みそをフル回転させる。しかし医療技術のない場所で半身を失ってなおも生き続ける方法などこの核鉄以外に思いつかない。 そして核鉄は既に己自身の心臓。もう外すことなどできはしない。他に何かなかったか。KASは歯噛みした。 「伝言……ピヨくんに。事務所に行って社長にみんなのこと……伝えてって。場所は教えてあるの」 「わかった! ピヨシートに必ず伝えるっ! だからお前もそれに同行してやれっ!」 嘘をついた。 ニコニコ動画のことを思い出したKASは既に二人がそれぞれ別の日本から来ていることももう知ってしまっている。元の世界に戻ってしまえば彼こと日吉若が彼女の世界の高木社長に会うことなどできはしないのだ。決して。 「それから……やっぱいいや」 「諦めんなこのスットコドッコイ! 俺が一瞬で別の核鉄を見つけてきてやる!」 考えてもいないのに口から解決策が出た。核鉄が他にもあれば助かるかもしれない。 だが、亜美は目を閉じて微笑んだ。それっきり口を開こうともしない。 KASの抱えていた半身が、急激に軽くなった。 「……ここからが奇跡を呼ぶ男の本領発揮! T∀Sが神なら俺はザラキを使わないクリフトになる!」 嫌な予感を吹き飛ばすように大声をあげ、長い地下壕をひた駆ける。未探索のこの場所なら隠し部屋相応の重要アイテムが眠っている可能性は高い。ひたすらに亜美を抱えたまま走る。走る。力の限り。 そしてついに何もない通路を抜ける。その先でKASを待っていたのは割れたガラスを片付けた跡のある水びたしの大部屋と、その中央の壁近くに浮かぶ鍵穴のような黒い小さな謎の穴だった。 (まさかこれって、鍵クリアか?) 自問自答する。どこへ繋がっているかわからない上にこれはほぼ間違いなく大切なアイテムである鍵を消費する場面。ただし迷っている暇はない。すでに大量出血者が生命を維持できる限界は過ぎてしまっている。 「ままよ!」 ディパックから秘密の鍵を取り出し、鍵穴へ突っ込む。ニコニコで聴きなれた人工の歌声が何故か聞こえてくると同時に、いつもの鍵クリア同様暗い空間が拡大してゆく。すぐ正面にはワープスターの存在も確認できた。 「あれこそ俺にとってのスタートスター! もう少しだから死ぬな亜美!」 が、彼の手にしていた亜美は元の空間に取り残されようとしていた。 「ちょ、どういうことだよ!? あいつを連れていけないなら俺だけ行くわけにはいかねーって!」 広がった空間が今度は縮小してゆく。もう手を伸ばしても戻れない。何故、なんで一緒に入れなかった? ……認めるしかないとでもいうのか。彼女が既に生を止めていたことを。 (いってらっしゃい) 空間が閉じる最後の瞬間、KASはその優しげな言葉を確かに聞いた気がした。 「ああもう……。行ってくるぜ!」 【双海亜美@THE IDOLM@STER 死亡】 【D-2 ワープスター/二日目・日中】 【KAS@KAS動画】 [状態]:重症(少しずつ回復中)、右拳粉砕骨折、お尻に火傷、全身に切り傷、強い決意と熱い闘志 [装備]:シルバースキン@真赤な誓い、洞爺湖の木刀@銀魂、レムーのリボン [道具]:首輪探知機(残り電池80%)@バトルロワイヤル 、ルイージの帽子、 【DMカード】コカローチナイト(深夜に二度、昼に一度、日中に一度使用) [思考・状況] 1.ワープする 2.ハルヒは絶対に許さない。 3.城に戻れたら、ハルヒ達の事を皆に話しつかさに木刀を渡す 4.でっていうを殺した大馬鹿野朗を倒す! 5.閣下の分も生きる。絶対に生き残る。 6.時間ができたら地下壕へ戻って亜美の遺体を回収する 7.谷口…………アリーヴェデルチ! 8.このクソゲーをぶち壊してボスのスットコドッコイを倒して土下座させて悪い奴以外全員生き返らせるぜ!!!! 9.笛が気になる。 ※ニコニコ動画に関する記憶が完全に戻りました。 ※核鉄 使用時以外は持ち主の治癒力を向上させる。 ある程度の制限がかかっているが、2個、3個と使用すれば、回復力は上昇する。 KASの核鉄は心臓を担っているため、核鉄状態では取り出せない。 ※亜美の遺体はアンダーグラウンド・サーチライト大部屋内にとり残されました ※亜美のディパックは下半身ごと神人の拳によって消滅しました ※オメガブレードは剣の形態のまま同通路内に放置されています 「……生きとる。普段の般若心経のおかげやな。感謝感謝」 切り株にだらりともたれかかったまま博之がつぶやく。 もう動き回れるほどの余力は残っていない。例の気持ち悪い巨人の気配は遠くに感じるので空を飛べばまだ暴れているところを見られるかもしれないが、KASなら手伝わなくともあんなものに捕まらず逃げ切ってくれると信じたい。 あれだけ驚異的な移動速度を持つ熱い男がハルヒのような馬鹿女に負けるはずはないのだ。 「悪いけどな。俺はもうしばらく動けんぞ」 言って苔だらけの草むらに寝転がる。どこを骨折したかも自覚できないほど体全体の疲労が酷い。光の巨人といえば再放送の初代ウルトラマンかはたまたティガかという世代の博之だが、怪獣はあんなパンチを受けながら戦っていたのかと今更ながら尊敬した。 見上げる空は人の気も知らないでと思いたくなるほど、何事もないかのように青い。 その空を、見たくなかったものが横切った。 「だあっ!」 無理やり跳ね起きて血と永久歯が1本ほど混じった唾を吐く。痛みをこらえながら再び翼を広げる。飛べた。なら戦うことだってきっとできる。この心が砕けぬ限り。だから叫ぶ。 「待てやそこのグレーターデーモンっ!!」 彼方へ吹っ飛ばされたあと頭を強打しようやく意識を取り戻したデーモンは、神ハルヒと合流すべく空を飛び東へ向かっているところだった。そんなところへ突然地上から呼び止められたのだから驚く。その結果、全ての人格で返事をした。 「あらあら。博之さんじゃないですか。今度こそ殺してあげますよ」 「敵性因子の生存を確認。これより排除に移る。つーか今すぐ死ね」 「でもデーモンでいいよ。みんなそう呼んでるから」 「あなたを壊して、師匠はそのあとですね」 意見はよほどのことがない限り常に一致。すなわちそれ破壊衝動の趣くままに。鈴仙の人格がまた表に出てきていようと、困る状況でないなら急いで再封印しようなどとは考えない。 壊せる悦びは、分け合える幸福なのだから。 呼び止めた博之に実は勝算はなかった。ただ、KASが神人だけなら華麗にかわしきれても、この厄介な攻撃を仕掛けてくる化物まで一度に相手させては間違いなく命を落とす。そう思っただけだ。 「まずったかもしれんな……これ勝てんぞ」 こちらの純戦力は博之本人に戦えるだけの力が残っていないことを考慮すると青眼の白龍2枚だけ。詩音といいジーコといい妹ちゃんといい、このDMカードというものでデカブツを召喚した人間は大概近いうちに命を落としている。 使用者の精神力や運のよさをごっそり奪い取る効果があってそれが死亡フラグを呼んでいる。そんな気がしてならない。 「来ないならこっちから行くよ!」 「使いたくないもんを無理に使うよりはまあね、逃げるとしますか!」 神人とは逆、すなわち西へ飛ぶ。相手も見たところ体力はあまり残っていないようなのだ。運がよければ相手が先に力尽きてくれるかもしれないし、城から神人を倒すための増援が来てくれているかもしれない。 どちらも無理だったならそのときはカードからこの強そうな龍を一気に召喚してしまえばいい。そう思うと少し気が楽になった。 巨大な強化セラミックかと思われる太い槍の飛来を急激な飛行速度の低下でかわし、詠唱とともに発せられるディバインバスターなる悪魔が使うのはおこがましい意味の極太魔法ビームは顔面を蹴りつけて射線をそらす。 ついでに飛んできた座薬はかわせそうな気がしたのでチョイ避けする。赤い瞳に怒りの色が見えた。 「頑張りますねー。うちの姫様にも見習ってほしいくらいですよ。だからとっととくたばれって言ってんだよこのクズがっ!!」 「ふざけんなこの多重人格デーモンが!」 多重人格。何かがひっかかった。 けれど相手に今以上に疲弊する様子はなく、援軍が来て助けてくれる気配もない。 「使うしかないようやの、この切り札を!」 「なにかな?」 距離を確保しながら二枚のカードを天に掲げる。 「出でよ! ブルーアイズ!」 しかし なにも おこらなかった 「え?」 「アーッハッハッハッ。ざまあないねぇ。惜しかったけどここまでだね」 カード使用失敗の隙をついてデーモンは巨大な爪を博之の胴に叩き込む。ズンと深い衝撃を内蔵に受け、博之は膝元へ胃液を大量に吐き出した。 「な、なんで……」 続いて両腕でこちらの両腕をものすごい握力で潰しにくる、骨の折れた音こそしなかったが皮膚から肉が弾け大量に血が滲み出す。こちらに切り札など使わせるものかという強い意思表示。 もう神経が生きていないはずだ。手は固まったまま全く動かせない。 「もう一度見てみるといい。貴方は波長を操られ正常な認識を妨害された。だからとっとと惨たらしく薄汚い屍さらせやっ!」 手にしていたカードを再確認する。ユニットカード「進化の繭」・魔法カード「融合」。何度見ても5枚持っていたDMカード中の戦闘力のなさそうな2枚だ。駄目すぎる。 デカブツを呼び出してもいないのにそれを使おうとしただけで死亡フラグになってしまった。嫌な予感大的中だ。戦力を出せなかった以上勝ち目は残されていない。 ……いや、本当に駄目か? お互いもう首輪はしていない。相手はデーモンで、ほぼ間違いなく多重人格。つまり一体の悪魔でありながらその意思はバラバラ。やってみる価値はあるかもしれない。 「魔法カード発動、融合。対象は永井博之・デーモン!」 メガテン名物、悪魔合体。 ただし悪魔と悪魔の通常合体ではなく、魔人と悪魔。かの有名なデビルマンを生み出すことのできるTRPG版くらいでしか使わない特殊ルールが適用されるかもしれない。それでもかまわない。 合体ができさえすればたかだか25%ずつの意思になど負けるつもりはない。そして可能かどうかはこの魔法カードの性能にかかっている。 「え、だめ、そんな、ちょっと待」 「よっしゃ、ざまあwww」 緑色の閃光が、人ならざる二人を包んだ。 sm207:私は人間じゃないから(前編) 時系列順 sm207:私は人間じゃないから(後編) sm207:私は人間じゃないから(前編) 投下順 sm207:私は人間じゃないから(後編) sm207:私は人間じゃないから(前編) 武藤遊戯 sm207:私は人間じゃないから(後編) sm207:私は人間じゃないから(前編) 双海亜美 死亡 sm207:私は人間じゃないから(前編) 矢部野彦麿 sm207:私は人間じゃないから(後編) sm207:私は人間じゃないから(前編) 永井博之 sm207:私は人間じゃないから(後編) sm207:私は人間じゃないから(前編) KAS sm207:私は人間じゃないから(後編) sm207:私は人間じゃないから(前編) 八意永琳 sm207:私は人間じゃないから(後編) sm207:私は人間じゃないから(前編) 古泉一樹 sm207:私は人間じゃないから(後編) sm207:私は人間じゃないから(前編) チューモン sm207:私は人間じゃないから(後編) sm207:私は人間じゃないから(前編) 涼宮ハルヒ sm207:私は人間じゃないから(後編) sm207:私は人間じゃないから(前編) ピエモン sm207:私は人間じゃないから(後編)
https://w.atwiki.jp/hanj/pages/12.html
韓国兄さんに聞きたい! なんでチョンは誇らしい母国で選挙権行使しないの? なんでチョンは兵役の義務果たさないの? なんでチョンはノーベル賞ゼロの屑民族なの? なんでチョンは何一つ発明できず独創性ゼロなの? なんでチョンは日本様に受けた恩を忘れて被害者面してんの? なんでチョンは世界一不細工なの? なんでチョンは近親相姦ばっかしてるの? なんでチョンは民族顔否定して日本人様顔に整形するの? なんでチョンはハングルも使えないの? なんでチョンは嫌いな日本人に成りすますの? なんでチョンは嫌いな日本に就職に来るの? なんでチョンは売春婦が強制連行されたと嘘つくの? なんでチョンは惨めで恥ずかしい歴史しかないのに捏造したり誇張したりするの? なんでチョンは日本人様より身体能力が低い劣等民族なのに虚勢はったりするの? なんでチョンは厚顔無恥、言動不一致なの? なんでチョンは息を吐くように嘘をつくの? なんでチョンは未開な糞食い劣等民族の癖にアジア人や黒人差別するの? なんでチョンは日本の5ちゃんねるに張り付いてるの? なんでチョンは日本名、名乗るの?子供に日本名つけるの? なんでチョンは自分のルーツが朝鮮半島なのに生粋の日本人のフリするの? なんでチョンは妄言と戯れ言しか言えないの? なんでチョンは日本で泥棒、詐欺、放火、強盗、強姦、殺人などの重犯罪を多数犯すの? なんでチョンは世界中で嫌われてるの? なんでチョンは人類に何一つ貢献した物事がない上に日本と中国の大国的経済特需の恩恵と支援を圧倒的に受けて成長できた属国の癖に常に上から目線で厚かましいの? なんでチョンは日本人様が早く日本から出ていけと言ってるのに出て行かないの? なんでチョンはIDコロコロ変えて自作自演するの? なんでチョンは生きてて恥ずかしくないの? なんでチョンは早く首を吊ろうとしないのwwwwwwwwwwwwww
https://w.atwiki.jp/nettouyo/pages/2.html
メニュー トップページ カメラが捉えたネットウヨ1 カメラが捉えたネットウヨ2 長野で暴れたネットウヨ
https://w.atwiki.jp/night2ndandante/pages/138.html
Sideイクス 春風が心地よく吹きぬける放課後の学園屋上。 5月を春と言うには若干のクエスチョンマークが残る気がしますが 昼食のブロッコリーのブロッコリー添え弁当が美味しかったので気にしないことにします。 昼のメールによるとアンゼロットの使いが指令を伝えに来る筈なのですが・・・・・・遅いですねぇ。 全身の穴と言う穴にカリフラワーでも突っ込まれてしまったんでしょうか。 僕が所在無く空を見上げていると、月衣で身を隠した使いが上空からこちらに向かってくるのが見えます。 少し話が逸れてしまいますが、表界は『世界結界』と呼ばれる結界に守られているのです。 世界結界の内部は"常識"に守られていて常識外だと判断されたもの、 例えば魔法使いや悪魔は存在できずに淘汰されてしまいます。 僕達ウィザードや侵魔も常識外であると判断され、本来であればこの世界に存在することができないのですが、 世界結界による淘汰から身を守ってくれるのがこの月衣と呼ばれるものです。 身に纏うタイプの個人結界という表現がしっくりくるでしょうか。 月衣というものはなかなかに多機能で、例えばイノセントしか欺けませんがあの使いの様に姿を隠す事もできるのです。 かく言う僕もイノセントに見つかると面倒なので月衣で姿を隠しているわけですが。 「お疲れ様です、イクスさん」 翼を数度羽ばたかせてふわりと着地した使いである若い使徒の男性は背筋をトウモロコシのように伸ばして敬礼します。 それにしても彼はどうやって地面への激突を免れたのでしょうか。これは是非聞いておくことにします。 「ご苦労様です。ピザでも作りましょうか?」 「あ、いえ・・・・・・自分はまだ回らないといけないところがあるので。本題に入りますが、ここ最近、地震と停電がここら一帯で頻発しているってことは、既にアンゼロット様から聞いていると思います。停電の方なのですが、ブリッツと言う冥魔によって引き起こされているそうです。貴方にはブリッツの討伐をお願いします」 なぜか質問に答えてくれませんでした。きっと企業秘密なのでしょう。 「火曜日は燃えないゴミの日ですねぇ・・・・・・。僕のブロッコリーが高まりますよ、了解しました」 「それと、もしヴァイオラと言うウィザードを見かけたら、助けになって欲しいとのことです。今からヴァイオラの写真を転送しますので」 彼がそう言い終えると同時に、僕の携帯電話が鳴りました。 送信されたデータを確認すると、コスモガードの制服を着た紫キャベツヘアーでブロッコリー顔の男性が映っています。 「彼のキュウリはどうなっているのでしょうねぇ・・・・・・、覚えておきますよ」 「お願いします。ブリッツの方ですが、奴が次に現れる場所は大体目星がついています。"セントラルタワー"です。先ほどのデータに地図ファイルも添付しておきましたので、次に地震が起きたら、そこに向かってください。連絡は以上です。何か確認することはありますか?」 どうやって目星をつけたのかその根拠も気になりますが やはりアンゼロットのボッシュートで地面への直撃を避ける方法の方が気になりますね。ダメ元でもう一度聞いてみますか。 「ピザでも作りましょうか?」 使いは踵を返すと無言で飛び立っていきました。やはり相当の企業秘密なのでしょう。 Prev 初任務 Next 原因不明のゆれ
https://w.atwiki.jp/soltlake/pages/91.html
バロン曰く、エビちゃんに話しかけられているのに無視するのは「そば食ってる」かららしい。