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マルクスアエミリウスアエミリアヌス(マルクス・アエミリウス・アエミリアヌス) アエミリアヌスの別名。
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登録日:2010/01/09(土) 22 55 10 更新日:2024/01/03 Wed 22 54 37NEW! 所要時間:約 7 分で読めます ▽タグ一覧 イケメン エースパイロット シェルダウンだ チート テストパイロット パパ マクシミリアン・ジーナス マクロス マクロス7 マクロスΔ マクロス版ウモン爺さん マックス マックス・ザ・ワールド モニターから目を離すな! リア充 不老 初代 天才 天然 奥さんは美人 完全無欠 完璧超人 愛・おぼ 7 愛妻家 撃墜王 最強 生涯現役 自信家 艦長 英雄 誰がシェルオフしろと言った 超時空要塞マクロス 超越種 速水奨 結婚式の当日に華々しく散るのもいいだろう! マクシミリアン・ジーナスは、『超時空要塞マクロス』『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』『マクロス7』『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』の登場人物。 数々の逸話からマクロスシリーズ通しての最重要人物の一人に数えられる。 ●目次 プロフィール 概要 シリーズ最強のエースパイロット ジーナス家 劇中での活躍TV版 劇場版 マクロス7 劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!! 歴代作品における扱いアニメ ゲーム シリーズ外作品 余談 プロフィール 名前:マクシミリアン・ジーナス(Maximilian Jenius) 愛称:マックス、天才 性別:男性(地球人、ヨーロッパ地区出身) 年齢:16歳(TV版)、18歳(劇場版)⇒ 50歳以上(7)⇒ 70歳間近(小説版『恋離飛翼』)⇒ 73歳(劇場版マクロスΔ) 身長:181cm 体重:61kg 所属勢力:地球統合軍 ⇒ 新統合軍 ⇒ ケイオス 所属部隊:バーミリオン小隊(TV版)、スカル小隊(劇場版)⇒ 特務部隊ダンシング・スカル(M3)⇒ マクロス7船団旗艦バトル7(7)⇒ マクロス・ギガシオン(劇場版マクロスΔ) CV:速水奨 名前の由来は第一次世界大戦においてドイツ軍が自軍のエースパイロット達に授与した青の勲章「プール・ル・メリット勲章」の通称「ブルー・マックス」と天才(genius)から。 ブルー・マックスの「マックス」は受賞者の一人で、マニューバ「インメルマン・ターン」の開発で知られるエースパイロット「マックス・インメルマン」が由来。 概要 青い髪と大きな眼鏡が特徴の美青年。パーソナルカラーはシリーズ通して青。 凡そあらゆる分野において卓越した才覚を発揮し、特に可変戦闘機(バルキリー)パイロットとしての華々しい活躍から「天才」「天才マックス」と呼ばれる。 2009年に開戦した第一次星間大戦において、SDF-1 マクロスの防衛戦力・スカル隊のエースパイロットとして名を上げる。 凄腕揃いの部隊の中でもその実力は抜きん出ており、仲間達からの信頼も厚かった。 この時代に敵軍であるゼントラーディ軍のエースパイロット、「エースのミリア」ことミリア・ファリーナと邂逅。 一般兵では及びもつかない天才同士として激戦を繰り広げた末に恋に落ち、地球人類史上初の異星人同士のカップルとして星間結婚を果たす。 結婚式はマクロス艦内で盛大に催され、ゼントラーディ・ブリタイ艦隊との和平のきっかけの一つとなった。 戦後は銀河系各地で蜂起するはぐれゼントラーディの鎮圧のため、ミリアと共に特務部隊「ダンシング・スカル」を結成し星々を転戦して回る。 2038年、第37次超長距離移民船団の船団長に就任。 2045年に勃発したバロータ戦役では、未知の超時空生命体「プロトデビルン」から船団を死守した。 この時点ではパイロットとしては引退していたが、激化していく戦いの中でミリアと共に前線に復帰する。 2060年代に新統合軍を退役し、これまでの実績を買われ星間複合企業ケイオスに前線部隊指揮官として就職。 2068年にブリージンガル球状星団で勃発した第二次ウィンダミア独立戦争が停戦となった直後、突如現れた脅威にケイオスの前線部隊を指揮して事変の収拾に当った。 一介のパイロットから特務部隊を経て、移民船団長にまで上り詰める等、現場叩き上げの身ながら輝かしい出世を果たした。 仕事では栄光を掴んでいる半面、女性からモテる色男としてミリアから嫉妬されることが多く、私生活まで順風満帆とはいかなかった。 どうも夫婦円満の秘訣は「共に空を飛び、戦うこと」らしく、ダンシング・スカル時代で既にその兆候が見られる。 バロータ戦役中にミリアとの仲は一時改善したものの、その後も夫婦喧嘩と仲直りを繰り返している様子で、後に離婚しそうな有名人カップルランキング50年連続1位というとても不名誉な称号を獲得していたことが判明した。 「老けるというのは凡人の発想」という理由から、少なくとも2060年頃まではミリアと共に肉体年齢30歳代をキープしていた。 ただ感性自体は昔のままのようで、少々じじ臭い発言が増えている。 また、若干ミーハーなところもあるのか、孫のミラージュが護衛を担当している戦術音楽ユニット「ワルキューレ」が有名になった際、メンバーのサインをせがんだこともある。 シリーズ最強のエースパイロット マクロスシリーズ総監督の河森正治が「(操縦センスに限定した上で)最強」と明言している(*1)ことから分かるように(*2)、シリーズに数多存在する怪物達の頂点に君臨する最強のエースパイロット。 このためマクロスシリーズには、ガンダムシリーズなどにおける「最強パイロット議論」が存在しない。その席は既にマックスのもので確定しているのだ。 そのため代わりに2位争いが勃発しそうだが、これも概ね勲章を6回取って6回剥奪されるバカでほぼ決まっており、それにバサラが関わるかくらいなので平和である。 初陣で既にエース級の活躍をする等その天才ぶりを発揮しており、当時黎明期だった可変戦闘機のドッグファイト戦術の多くを編み出している。 ミサイルを囮にバトロイドのガンポッドで狙撃する「囮撃ち」等はその最たるもので、空戦におけるバトロイドやガウォークの有用性をロイ・フォッカーと共に実証した。 ダンシング・スカル時代は、通常では達成困難とされた任務をミリアと共に軽々とこなしていた。 テストパイロットとしての側面もあり、この時期に数々の試作機に搭乗し、VF-11 サンダーボルトの主力機採用に当たってはその意見が反映されている。 マクロス7時代になるとパイロットとして引退、艦隊指揮官の職務に専念していた一方、有事の際の切り札として最新鋭機を常に準備していた。 後にパイロットとして復帰した際は、殆ど回避行動が取れない洞窟内で弾幕を掻い潜るという離れ業を披露している。 階級が指揮官クラスになって以降、職権とコネを利用して新型機がロールアウトする度に専用機を必ず調達している。 そのためほぼ全VFへの搭乗経験を持つ。 図らずもVF-19にこだわるバカとの対比にもなっているが、2020年代になって「自分の実力を発揮できる機体を探していた」という考察も生まれている。 マックス本人としてもパイロットは天職であり、「生まれながらのパイロットである」という誇りと自負を老年になっても抱き続けている。 艦長や司令官といった後方指揮官職は人材不足故に担当せざるを得なかったという経緯もあってジレンマを抱えていた。 「ゴーストX-9をVF-1 バルキリーで撃墜できる」という話がネット等で挙がることがあるが、これは具体的なソースが存在しない出どころ不明の謎情報なので注意。 とは言え「できても不思議じゃない」と思わせる程にマックスの実力が常軌を逸しているのは確かである。 ジーナス家 ミリアとの間に7人姉妹をもうけている。 実際に劇中に登場した娘は少ないが、『マクロス7 銀河がオレを呼んでいる!』にてモアラミアを除く全員の姿を写真で確認できる。 各人とも両親譲りのパイロットとしての優れた才能を持ち、中にはアーティストとして大成した者も。 2060年代において、ジーナス家はエリート一族として周囲から認知されている。 長女 コミリア・マリア・ジーナス 地球人類史上初の星間混血児。 まだ育児を理解していなかったミリアに放り投げられたりしていた。 ゼントラーディへのカルチャーショック狙いで両親と共に子連れ出撃したことも。 写真ではミリアそっくりに成長している。 『超時空要塞マクロスⅡ-LOVERS AGAIN-』に繋がる時系列では、2036年が舞台の『マクロス2036』で愛機VF-1SR アタックバルキリーを駆りカムジン一派が呼び寄せたヌェルド基幹艦隊を退け、翌年の『永遠のラブソング』ではVF-4を駆りプラド基幹艦隊や謎のメルトラン軍を迎撃し、父に負けず劣らずの功績を称えられている。 次女 ミラクル・ジーナス 詳細不明。 写真では姉妹の中で唯一父譲りの青い髪。 三女 ミューズ・ジーナス テレーズの双子の姉。 テレーズとそっくりなので、写真では区別がつかない。 四女 テレーズ・ジーナス(テレーズ・マリアフォキナ・フォミュラ・ジーナス) ミューズの双子の妹。 地方分権主義組織「ビンディランス」の首魁マリアフォキナ・バンローズの正体……という噂がある。 なお、バンローズの髪色は緑だが、写真のテレーズ(orミューズ)と思われる娘の髪色は紫。 五女 エミリア・ジーナス リン・ミンメイに憧れて歌手を志し、2045年の時点では巨人化して辺境惑星の雪山で修行していた。 熱気バサラに匹敵するほどの強力な歌エネルギーの持ち主。 2050年代後半にはミンメイやバサラに並ぶビッグネームとなっている。 パイロットとしての愛機は「クァドラン・キルカ」 六女 ミランダ・ジーナス ミラージュの母。 ミレーヌが生まれた頃は茶髪のツインテールをしていた。 七女 ミレーヌ・フレア・ジーナス ロックバンド「FIRE BOMBER」のベース・ボーカル。 幼少の頃から自転車代わりにバルキリーを飛ばしており、ファイアーバルキリーのギター式操縦桿に直ぐに順応した程の才能の塊。 バロータ戦役では民間協力部隊「サウンドフォース」としてバンドメンバーと共に参戦し、歌の力でプロトデビルンと渡り合った。 バンド休止後はソロ歌手として活躍中。 愛機は「VF-11MAXL改 サンダーボルト(ミレーヌ・バルキリー)」 養女 モアラミア・ファリーナ・ジーナス(モアラミア・ジフォン) ダンシング・スカル時代に捕虜とした、はぐれゼントラーディの少女。 養女として引き取り、ダンシング・スカルの三人目のメンバーとして共に戦ったが後に軍を去った。 孫 ミラージュ・ファリーナ・ジーナス ミランダの娘。 民間企業ケイオス・ラグナ支部所属のバルキリーパイロット。 戦術音楽ユニットワルキューレ」を守るΔ小隊のメンバー。 元は新統合軍の軍人だったが敵を殺すことに慣れず、祖父母から聞いたミンメイの歌の力に興味を持ち、スカウトを受けてケイオスに入った。 力量自体はあるもののエースとしての才能がないこともあり、エース揃いの祖父母・伯母・叔母たちと比べられることも多かった様子。 愛機は「VF-31C ジークフリード」 劇中での活躍 『TV版』とそれ以外の作品では多少性格の違いが見受けられるが、天才であることに変わりはない。 TV版 主人公・一条輝の初めての部下として登場。 シミュレーションで好成績を出したことから柿崎速雄と共にバーミリオン小隊に配属された。シミュレーションとは言えマックスと同じ成績出した柿崎すげぇ 初陣で7機撃墜の戦果を挙げ、その後も主人公のはずの輝を食ってしまう程の活躍をする。 ミリアとのファーストエンゲージで彼女を圧倒し、更にマクロス艦内に忍び込んだ彼女をゲームでも圧倒、最後にはナイフでの白兵戦を挑まれこれも制圧。 この一連の出来事をきっかけに恋に落ち、人類史上初の星間結婚を果たしたことでリン・ミンメイと同じく地球人類とゼントラーディの融和の象徴となった。 輝が中隊長に昇進した後はマックスも小隊長となり、自分の小隊を持つようになる。 乗機は「VF-1A バルキリー」⇒「VF-1J バルキリー」 性格の傾向としては天然系で、「僕って天才なのかな?」という台詞が全てを物語っている。 バルキリーの操縦技術だけでなく料理、アーケードゲーム、白兵戦の能力も一級品の完璧超人。 年相応にスケベでもあり、ゲーム対決中のミリアの肢体を見てバストサイズを予測したりしていた。 その上で上記のように当然の如く勝利している。 劇場版 輝、柿崎の同僚として登場。 物語開始前から既に軍人で、スカル小隊のメンバーだった。 輝達がゼントラーディに捕縛された後、行方不明のフォッカーに代わって隊長に就任。 地球帰還後のメルトランディとの攻防でミリアと激戦を繰り広げ、敵艦内での閉所白兵戦の末に勝利。 ミリアの素顔を見たことでその美しさに一目惚れしてそのまま残留、最終決戦では巨人化して青いクァドラン・ローを駆り参戦した。 乗機は「VF-1A バルキリー」⇒「VF-1S バルキリー」⇒「クァドラン・ロー」 こちらの性格の傾向は自信家。 輝から「メルトランディは下手するとゼントラーディより手強い」と聞いて「そいつは面白い」と不敵に微笑んでいる。 なお、この直後に柿崎がミリアの狙撃で爆死するのだが、よく見ると柿崎が死ぬ一瞬前にマックスが攻撃に気付いている様子が描かれている。 絵コンテ段階ではミリアとの結婚式の映像化が予定されていたが、尺の都合でカットされている。 マクロス7 第37次超長距離移民船団「マクロス7」の船団長、及び船団旗艦バトル7の艦長に就任。 参謀としてかつてのゼントラーディ・ブリタイ艦隊副官のエキセドル・フォルモを連れている。 ミリアからは女性に分け隔てなく優しいことを嫉妬され、更にお互いが提督と市長として職務優先となった結果別居状態に陥っている。 おまけにミリアの気性を受け継いだ末娘のミレーヌともすれ違いが生じ、私生活で非常に苦労していた。 バロータ戦役勃発後は後手に回ることが多いながらも船団を死守。 オペレーション・スターゲイザーでは前線復帰を果たし、色褪せない天才的操縦技術を見せた。 作戦が失敗し、部下達と共に捕らえられても諦めず作戦を練り続け無事に脱出している。 最終決戦では自ら危険に飛び込もうとするミレーヌの意志を尊重して送り出してやる度量を身に着けた他、ミリアと共に出撃して不仲も改善した。 乗機は「VF-22S シュトゥルムフォーゲルⅡ」 劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!! 新統合軍を退役後にケイオスのスカウトを受け、エキセドルを伴いマクロス・ギガシオンの艦長に就任。 反新統合政府組織「ヘイムダル」によるウィンダミア王国急襲にあたって出撃、ワルキューレやΔ小隊を救出した。 以後、司令としてヘイムダルの野望を阻止すべくケイオスの参加部隊を取りまとめる。 座乗艦であるギガシオンはTVシリーズで活躍したエリシオンの同型艦なのだが、要塞艦形態に可動翼が装着されているという差異がある。(*3) これを活かしたのか、作中でもミラージュが動きから祖父だと気が付くほどの曲芸飛行を見せていた。※注:ギガシオンは800m級 ……この天才、戦闘機感覚でマクロスを乗りこなしていたのではなかろうか。クォーター級でも重力圏 大気圏内でここまでやらねーぞ! まあ、実際に動かしているのは操舵手だと思いたいが、ギガシオンの挙動を目の当たりにした孫娘から「あの挙動は…」という反応が出ているのが恐ろしいところである。 …マックスの挙動をマクロス級で再現できる操舵手なんているのだろうか? と思っていたら、イベントにて「艦長席にも操縦桿があり、有事の際にはマックスも操縦する」と明言された。 顔には皺が現れ、髪も白みがかかるなど、70代半ばに差し掛かって流石に老け始めた。 どう見ても普通の70代より遥かに若々しいけど。 数々の死線を潜り抜けた老将ということもあってか、マクロスシリーズ最強の死亡フラグであるパインサラダとステーキのセットですら叩き折った。 なお、居合わせたアラド隊長は年季が足りなかったので死亡まではいかなかったものの無事では済まなかった模様。オズマのパインケーキ分だろうか パイロットとしての腕前は健在であり、訓練ではヘイムダルが用いるゴーストに扮した仮想敵としてΔ小隊と対峙。 ワルキューレの歌によるブーストが掛かったΔ小隊を単機で苦も無く全滅させた。 BGMの「未来はオンナのためにある」の歌詞が妙にあう 特に対ハヤテに至っては、バトロイドに切り替えて相手の土俵に合わせて叩き潰すという完勝である。 「インクレディブルダンスと言ったところかな」 一方肉体的な衰えが少し出てきたのか、訓練終了後は胸を押さえてフラつきミラージュに心配される場面も。 この後は普通にピンピンしているので、「艦長やってたから」説とか「孫の前で張り切りすぎた」説とか「孫を揶揄った」説とか「奥さんに噂された」説などが出ることに。 孫のミラージュに対しては優しい声色で話す一方、上官・先達のパイロットとしては「エースの才能はない」と厳しい評価を伝えている。(*4) もちろんパイロットとしての能力を全否定しているわけではなく、終盤でミラージュが指揮官としての才能を開花させた時は嬉しそうな表情を見せた。 なお、ミラージュからは「恋愛関係であの人たちを真似してはいけません!!!(意訳)」という評価を下されている。上記の不名誉なランキングトップの件もここで明かされた。 ヘイムダルとの最終決戦では、負傷のため作戦不参加のアラド・メルダースが的確な指揮を見せたことで艦長としての全権を委任。 長年コンビを組んできたエキセドルと言葉を交わした後、「ただの天才」としてバルキリーを駆り前線に復帰。(*5)(*6) 敵旗艦を目指すハヤテ・インメルマンの背中をゴーストの群れから守りきってみせた。初代から続く「囮撃ち」も行っている。 乗機はパーソナルカラーの青に染め上げた超可変戦闘機「YF-29 デュランダル」(*7) EX-ギアシステムとフォールドウェーブシステム搭載のYF-29を駆るようになってようやく操縦能力を最大限発揮できるようになったとのこと。 つまり、VF-19 エクスカリバーやVF-22 シュトゥルムフォーゲルⅡといったAVFで言われていた「機体の性能にパイロットがついていけない」という問題とは真逆の、 「マックスの操縦能力に追いつく機体がこれまで存在していなかった」ことが明らかとなった。 パイロットスーツやその演出は『超時空要塞マクロス』のものが意識されており、もれなくワカメ影もついている。 マックス(と相棒のエキセドル参謀)の出演は、TV版及び前作『激情のワルキューレ』でマクロス・エリシオンの艦長アーネスト・ジョンソンを演じていた石塚運昇氏が亡くなったためのいわば(マクロス艦長枠としての)「代役」としてのものであるとパンフレットで語られている。 しかし、扱いとしては代役の枠を越えた本作のメインテーマを描写する上でもかなり重要な立ち位置におり、 サプライズ参戦だったイサムと異なり『絶対LIVE!!!!!!』のストーリー公開当初から出演が予告され、CMなどのナレーションも担当声優の速水奨氏が行っている。 『絶対LIVE!!!!!!』のでるた小劇場ではワルキューレのサインをもらっていたことが発覚。 タイミング的に模擬戦前で受け取っており、ミラージュにつっこまれた際には「近くにいたらもらうじゃないか!」と告げている。 歴代作品における扱い シリーズの象徴であるミンメイほどではないが、マックスやジーナス家を彷彿させる要素が度々登場する。 アニメ マクロスF マックスポジションのキャラクターとしてミハエル・ブランが登場。 また、ミリアポジションのキャラクターとしてクラン・クランが登場する。 それぞれパーソナルカラーが青と赤、バルキリーとクァドランを駆り、お互いを意識している。 年齢を考えれば二人とも十分天才の部類。 小説版ではマクロス7船団がまだ航行中であることが語られている。 また、特殊部隊VF-Xの監査組織として娘の噂があるバンローズの名を冠した「バンローズ機関」が組織名のみ登場する。 劇場版マクロスF 虚空歌姫〜イツワリノウタヒメ〜/劇場版マクロスF 恋離飛翼〜サヨナラノツバサ〜 ミシェルとクランがコンビネーション・マニューバ「フォーメーション・MMジーナス」を披露する。 小説版『恋離飛翼』ではマックス本人が修復したバトル7を率いて最終決戦に参戦。 70歳間近だが、やはり青年しか見えない容姿をしている。 指揮をエキセドルに任せ、自分は青に染め上げたVF-25 メサイアを駆り、ミリアと共に戦場デートを楽しんだ。 なお、同じく参戦したイサムからは「どちらが銀河最強のエースに相応しいか」と対抗意識を燃やされていた。 マクロスΔ 孫のミラージュがヒロインとして登場。 彼女の口から星間結婚の偉業が語られる。 この際『劇場版』を元にした「VF-1S vs. クァドラン・ロー」「ミリアに見惚れるマックス」、『TV版』を元にした「結婚式」の絵が登場した。 なお、上述の『絶対LIVE!!!!!!』放映前の資料ではTVシリーズでは引き続きマクロス7艦隊に所属していることが判明している。 主人公のハヤテ・インメルマンは姓やパーソナルカラー、バトロイドの扱いが上手い等マックスを彷彿させる要素を持つ。 ゲーム マクロスM3 主人公として登場。 ダンシング・スカル時代の活躍が描かれる。 マクロスVF-X2 本作に登場するバンローズは娘のテレーズである、という噂がある。 新統合軍に内密で支援を行っていたとも言われている。 マクロス30 銀河を繋ぐ歌声 プロトカルチャー遺跡「ユルヴァ・アーガ」に歌姫の一人として選ばれたミレーヌに縁のある人物として、バロータ戦役後のマックス本人が召喚される。 当初はシャロン・アップルに洗脳されていたが、ミレーヌの歌で正気に戻り、天才的な頭脳を以てシャロン攻略作戦を立案する。 生き別れになっていた輝と再会して「昔と全く変わっていないじゃないですか」と驚いていたが、「お前も変わっていない」と返された。 当時の戦友の殆どを失っているマックスにとって、輝との再会の衝撃はどれほどのものだったのだろうか…… なお、『7』からはミレーヌの他、ミリア、ガムリン木崎、バサラが一緒に召喚されている。 シリーズ外作品 スーパーロボット大戦シリーズ 初登場はα。当然能力は高く、作品によっては天才技能も相まってバトル7でスイスイ避ける。お陰でマックスが乗らないバトル7は戦闘面での使い勝手が悪い。 マクロス7の時系列で登場するとやはりその若さを突っ込まれる事が多い。 『D』だとかつて部下だった設定になっている流竜馬(チェンゲ版)が時空を超えて20代のままで再会した際には「目の前に若い君がいてもまだ信じられない」と言っていたが、 即座に竜馬には「素でその若さのあんたにゃ負ける」と突っ込まれた。 αシリーズではα外伝~第3次αの間でスカル小隊を離脱してミリアと共にマクロス7船団に参加。 その航海の最中、時空に歪みが生じてマクロス7船団だけ原作通りの年月が経過。結果、初代マクロスの時系列の輝達とマクロス7の時系列のマックス達が共演する事になった。 こちらでも30年以上振りにスカル小隊のバルキリーを見た際には「やっとまた会えましたね…」と感慨の言葉を漏らしている 余談 担当声優の速水氏にとっては初めてオーディションを受けて獲得した役がマックスだった。 結果当たり役となりその後の声優としてのキャリアを決定づけたことから、マックスを自身の名刺とまで言うほど気に入っている。 そのため『マクロス7』などで年を重ねたマックスを演じたときは自然と自分と重ねて演じていたという。 それだけ入れ込んでいたこともあり、速水氏は前々からマックスの再登場を河森氏に懇願しており、『絶対LIVE!!!!!!』での出演は悲願だったと語っている。 また、退役後の老後をパイロットとして悠々自適に生活しているマックスが羨ましい、自身もそんな生き方をしたいとも口にしている。 なお、同作のある場面で『超時空世紀オーガス』が初出の用語にマックスが言及する場面があるが、同作の主人公の声を当てたのも速水氏だった。 追記・修正は天才にのみ許されます △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 僕って天才なのかな?って発言がまったく嫌みに聞こえない珍しい人。 -- 名無しさん (2014-06-01 06 37 05) シバ御堂との関係は……? -- 名無しさん (2014-10-18 02 50 07) 赤の他人ですよ。 -- 名無しさん (2014-11-04 21 44 14) 初代の戦闘時にゼントラ兵を機体から引き摺り出してからゼロ距離ガンポットしてたな、それっきりだけど -- 名無しさん (2014-11-04 22 13 37) 老けてはいないが前髪はしっかり・・・ -- 名無しさん (2015-04-04 09 54 05) Δでマックス夫妻と同じ名字の女性が。 -- 名無しさん (2015-12-30 15 24 19) ↑ミレーヌとガムリンの娘だろうか…。 -- 名無しさん (2016-01-02 03 05 19) 実娘7人に養女も1人いるしミレーヌとは限らないだろう 名前の語感的にミラクルかミランダあたりかも? -- 名無しさん (2016-01-09 01 36 14) Δの時代では流石にパイロットとしては限界を迎えていそう。 -- 名無しさん (2016-02-09 11 08 11) ミラージュはミランダの子らしいです -- 名無しさん (2016-04-06 02 06 56) 幻の長男ミックスが不憫。 -- 名無しさん (2016-04-27 10 41 15) 劇場版、VFからクアドラン・ローに乗り換えてもあの強さなのがすごいな。さすが天才。 -- 名無しさん (2016-05-10 15 27 41) ↑4年齢ぐらいでパイロットとしての限界を迎えるとは凡人の発想 -- 名無しさん (2016-05-10 16 37 35) 人間も巨大化できると証明した人 未だに愛・おぼえてますかでのマックスの戦後がどうなったか想像できん 軍に戻らずにメルトランディに残留したのかな? -- 名無しさん (2016-05-12 06 19 28) メルトランに行ったマックスってどんな扱いだっけ -- 名無しさん (2016-06-01 01 45 44) 仮に、Δで出たら80前か。生死はまだ明言されてないよね -- 名無しさん (2016-06-10 10 35 32) Δの時で75~77か。でも、まだ空飛んでても驚かない -- 名無しさん (2016-08-07 23 40 09) ↑3 特に言及はなかったと思うが女性限定のメルトランに普通に受け入れられてること、専用カラーの専用機をもらって乗りこなしてること、トップエースのミリアに勝ってることから待遇は良さそう -- 名無しさん (2016-09-06 15 33 00) ↑2小説版Fだと決戦時にいつもの様に確保したVF-25でミリアとデート(空戦)してたからまだ乗れそう -- 名無しさん (2016-09-06 15 58 22) コミリアの活躍のゲームが河森非関与ということでパラレル扱いなのが悲しい… -- 名無しさん (2016-09-30 21 39 13) Δ劇場版があるならちらっと登場してほしいな -- 名無しさん (2016-10-01 09 25 33) おそらくこの方、VF-31も専用機として持っているんだろうな。多分ジークフリートの仕様で -- 名無しさん (2017-05-04 01 57 13) ↑4 あれ、同じ戦場にイサムもいるんだよな。チートパイロット三人と戦う羽目になった方々は最悪だな… -- 名無しさん (2017-11-28 19 43 10) ゲームも含めたら歴代最強主人公なんだよな。 -- 名無しさん (2018-01-08 23 43 22) オペレーションスターゲイザーのとき19じゃなくて22ででたのは何か作中で理由があるんだろうか? -- 名無しさん (2018-12-13 23 08 22) マクロスΔ ではさすがに老け気味か… -- 名無しさん (2021-09-18 22 22 09) ↑「あの世界の主力機動兵器となっている巨大ロボット兵器のパイロットを、最初に用いられた戦争以来五十年以上に渡って務め続けている男」とマクロス版ウモン爺さんみたいなモンなのにあの容姿なんだよなあ…… -- 名無しさん (2021-09-21 00 37 51) YF-29で参戦ってえぐい -- 名無しさん (2021-09-22 17 55 23) ↑3 それでも実年齢よりははるかに若い。バイザー越しだけど40代の外見だぞ。 -- 名無しさん (2021-10-08 21 30 19) Δだと内臓はさすがに辛くなってるのね -- 名無しさん (2021-10-09 02 39 04) ↑むしろ天才じゃなくて艦長だったから負担かかってたイサム理論説 -- 名無しさん (2021-10-10 12 01 25) 他の連中がバフ増し増しでかろうじて戦える最新型チートゴーストを素のYF29でボコボコにしてるアラウンドエイティのジジイなんなの・・・ -- 名無しさん (2021-10-10 15 37 02) あの頼もしさは凄まじかった。まさに「帰ってきた英雄」って感じで。 -- 名無しさん (2021-10-10 22 41 40) 艦長じゃない…今はただの天才だ!でゴースト瞬殺はマックスすぎる… -- 名無しさん (2021-10-10 22 49 57) マックスは基本的に機体ポテンシャルの高さメインで機体選んでそう(技量がインチキレベルなので) -- 名無しさん (2021-10-10 22 52 09) パンフレットいわくYF-29で操縦技術の全てが発揮された(=今まではVF-22すら機体性能がマックスに追いついてなかった)とか…60年余かけてようやく人類の技術発展が天才に追いついたんだね… -- 名無しさん (2021-10-11 09 56 23) ↑「え?!YF-21でヒトが操るには身体の耐久限界すら超えてしまうところまでいったのに?!」……と思ったがフォールド技術を応用して急制動時に肉体に加わる負荷を緩和できるんだっけか。「純粋なヒトのまま航空機を操るための技術がヒトの肉体の限界を超越していた」ってマジで何者なの…… -- 名無しさん (2021-10-15 11 19 19) 肉体的衰えが出てるって事は全盛期ならYF-29でもマックスの操縦技術に追いつけないとかあるんじゃなかろうな… -- 名無しさん (2021-10-15 22 41 43) 弱体化したおかげで最新鋭機を自分の手足のように操れる一見すると意味が分からないことをする男 てっきりYF-29はアルトが投棄した機体を独自のルートで回収して修理した奴だと思ってた -- 名無しさん (2021-10-16 00 44 39) 自重しろ推定75歳以上の天才www -- 名無しさん (2021-10-17 01 10 39) 夜も嫁を撃墜しまくってんのな… -- 名無しさん (2021-10-23 21 07 54) 絶対LIVEのマックス尋常でなくカッコいいわ。CGまわりかなり気合入ってるから尚更ね -- 名無しさん (2021-11-06 20 27 35) 年齢でいうとマル・アデッタ時のビュコック提督とほぼ同年齢なんだよな -- 名無しさん (2021-11-10 12 14 28) あの台詞、脚本にはなかったけど、監督が追加したんだってな -- 名無しさん (2021-11-23 15 18 04) 絶対LIVE!!!!!!のハヤテとの模擬戦のシーン見てるとパフォーマンス、戦場では攪乱する手段としてダンスアクションを取り入れてるハヤテと敵機の制圧に最も効率よく、合理的な行動をしなきゃ生き残れない時代を生き抜いたマックスの差がよく出てる。 -- 名無しさん (2021-11-27 13 54 32) 着痩せ女子に一言ある男 -- 名無しさん (2022-09-28 14 06 29) この人、もしかして年(70代半ば)を取ったからYF-29がちょうど良くなった説があるんじゃないかと妄想してしまう……。 -- 名無しさん (2022-10-03 23 08 26) マックスが苦戦したり戦術、戦略が後手に回った相手ってプロトデビルン位で他は余裕なイメージ -- 名無しさん (2023-02-15 09 14 34) スパロボのところ、初登場はαって書いた次の文章からDの話が始まっててめちゃくちゃ違和感あるな -- 名無しさん (2023-02-16 00 31 04) ↑まあ、容姿の話だしね -- 名無しさん (2023-02-16 08 41 49) 絶対LIVE!!!!!での「もう艦長ではない、ただの―――天才だ!」には震えた -- 名無しさん (2023-02-18 07 46 14) 「僕って天才なのかあ」って言ってる姿が妙にかわいい。なんなのこの人。 -- 名無しさん (2023-03-22 16 35 42) 美樹本晴彦の漫画マクロスザファーストが長く中断したままだがぜひTV版のミリアにに襲われて勝つ→くっころミリアを見て「美しい」…の後どうやってプロポーズまでいったのか描いてほしい -- 名無しさん (2023-07-09 19 30 50) マックスのYF-29ってアルトの方と比較して後に製造されたからクォーツ以外の部分は性能も向上していそう。 -- 名無しさん (2024-01-03 22 54 37) 名前 コメント
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[ファミリア]ホーンバク 画像 ファミリアデータ 2匹のモンスターの60%の確率で3秒間少しゆっくりとした攻撃ミナル森でアイテムとメルドロップ率を上昇させる。 攻撃力 1492 攻撃性 600 ホーンバクへ
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[ファミリア]お化け提灯 画像 ファミリアデータ 3匹のモンスターの80%の確率で6秒間中毒させて攻撃きのこ神社で継続的にHPとMPを回復させる。 レベル 40 攻撃力 191 攻撃性 700 お化け提灯へ
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でいうぉーかー5 冬、紅魔館と言えども、寒さとは無縁ではない。 むしろ、寒い寒いと言いながら、それすらも風流の糧とするところがある。 暖炉に火を灯し、暖かいものを飲んで暖を取る。 そういった生活が、冬の紅魔館の暮らしだった。 「とはいえ、寒いわねえ……」 咲夜に淹れてもらった紅茶を飲みながら、レミリアがぽつりと呟いた。 「咲夜、メイド達は大丈夫? 無論貴女も含めてね」 「ええ、大丈夫ですわ。今年は○○さんも手伝ってくれていますし」 「……○○はほっとくとずっと働き続けるんじゃないかしら」 軽くため息をついて、紅茶に再び一口つける。 「今日も?」 「ええ、薪などの燃料を運び出すのを……」 もう一度ため息をついて、レミリアは紅茶のカップをソーサーに戻す。 「まあ、好きにするように言ってるしね……仕方ないか」 「ですが、そういうところもお嬢様は気に入っておられるのでは?」 咲夜のちょっとしたからかいに、レミリアは紅くなった顔を背けた。 「否定はしないけれど、咲夜も言うようになったわね」 「僭越でした。申し訳ありません」 そう言いつつも、咲夜はくすくすと楽しそうに微笑んでいる。 もう一度何か言おうとした時、ドアがノックされて中に一人の少女が飛び込んできた。 「お姉様! 咲夜ここにいる!?」 「いるわよ。そんなに騒々しくしなくても。どうしたの?」 「魔理沙にもらったの!」 嬉々として飛び込んできた少女――フランドールが持っていたのは、どう見ても。 「……湯たんぽ、ですか?」 「咲夜、知ってるの?」 「ええ、里ではよく使われている品です。夜眠る時、この時期は寒いですから、お湯などを入れて暖めるものなんですけれど」 「それをどうしてフランが持ってるか、なんだけど……魔理沙って言ったわね」 レミリアが尋ねると、フランドールは嬉しそうに頷いた。 「うん、今日から使いたいから、咲夜、お湯を用意して!」 「ええ、かしこまりました。お休みの前に準備いたしますね」 嬉々としているフランドールを見ながら、レミリアはどこか不満気な声を出した。 「それにしても、フランにだけ持ってきて私にはないなんて。魔理沙も気が利かないわね」 「え、でも魔理沙言ってたよ?」 「? 何を?」 首を傾げたフランドールに、レミリアは逆に問い返す。 「『お前のお姉様には極上の湯たんぽがあるから必要ないだろ』って」 紅茶を飲んで無くてよかった、とレミリアは心底思った。 「毎度毎度、一体フランに何を吹き込んでるのかしらあいつは……」 そう、一息つくために紅茶を口に運んで―― 「ねえ、お姉様、それって○○のこと?」 「……っ! ごほ、ごほっ!」 ――むせ返った。 「こほ、フラン、それも魔理沙が?」 「え? ううん、そうかなって思ったの。○○はお姉様のだし」 ねえ? とさも当然の如くフランドールは咲夜に同意を求め、咲夜も困ったような微笑を返す。 「……咲夜、湯たんぽの用意してあげなさい」 「はい、かしこまりました。妹様、よろしければ準備する所を見てみますか?」 「見るー!」 上機嫌のフランドールを連れて、咲夜が一礼して退室していく。 それを見送って息を整えるためにもう一度紅茶に口をつけて、レミリアは誓った。 とりあえず、今度魔理沙が来たらシメておこう。 「で、妙に不機嫌なの?」 「そうじゃないわよ」 「○○さんなら図書館の燃料を置いたら此処に戻ってくるから、待ってたら逢えるわよ」 「そ、それでもないわよ、此処にきた目的は」 「はいはい、ついでなのね」 何のついでかは言わず、パチュリーは温かな紅茶に口を付けた。 「パチェは欲しい?」 「何を?」 「湯たんぽ、よ。図書館も夜は冷えるでしょう?」 「本を読むときでなく、眠るときに使うものだけど……まあでも、暖かいのはありがたいかしら」 自分の体調をそれとなく気遣ってくれたことへの感謝の意をそういった言葉で表しながら、パチュリーは手元の本をめくる。 「と、そんなことを言ってる間に、来たわよ」 「ええ、来たわね」 親友の言葉に頷きながら、レミリアは羽をパタパタさせてこつこつと近付いてくる足音に耳を傾けた。 「燃料補充完了ですー。あ、レミリアさん、こちらにいらっしゃってたんですか」 「ええ。暇だったからね」 「暇、ねえ」 くすくすと微笑うパチュリーを軽く睨んで、レミリアは諦めたように首を振った。 「○○、今日はこれからは?」 「本を二、三冊借りようかと思ってますが、それくらいで」 借りる本ももう頂いてますし、とテーブルの上の本に目を向ける。 「ん、じゃあ、私に付き合いなさい。本はいつでも読めるでしょう?」 「はい。では、パチュリーさん」 「ええ、お疲れ様」 ひらひらと手を振るパチュリーに見送られて、二人は図書館を後にした。 「で」 「はい?」 廊下を歩きながら、レミリアが尋ねる。 「いつから話聞いてたの?」 「あー、えと、話が聞こえていたのは湯たんぽの辺りでしたが」 「そのとき一瞬立ち止まったのはどうして?」 「うあ、ばれてましたか」 「当然でしょ。で、どうして?」 パチェも気が付いてたしね、と付け加えて、レミリアは○○を振り返った。 「いや、湯たんぽでちょっと」 「何かあったの? 向こうで使ってたとか?」 「いや向こうでも使っては無かったんですけどね」 むう、と唸って、ぽつぽつと彼は呟くように告げる。 「……いや、フランさんにお会いしましてね」 「フランに?」 「それで、その……僕は、レミリアさんの湯たんぽなのかと訊かれまして」 「……なるほど」 何ともいえない表情の○○を見上げて、レミリアもため息をつく。 「何でそんな話にとも思ったのですが」 「元凶は魔理沙よ。全くもう……」 そう言いつつも、ふむ、と思ってみる。 今は冬で、あまり外に出られないこともあってか、大抵一緒にいるし、寝るときも一緒だ。 眠る前の徒然に、外の世界の物語を話してもらったり――そうしているうちに、温かさにうとうとしてそのまま眠ってしまうこともたまにある。 そう思うと、湯たんぽと言うのもあながち間違いじゃないような―― 「レミリアさん?」 「あ、え、な、何?」 急に顔を除きこまれて、レミリアは頬が熱くなるのを感じる。 まだ彼の何処か唐突な行動に慣れていないのもあるし、何より直前まで目の前の恋人のことを考えていたのだ、驚きも照れもする。 「何だか急に考え込んだから、どうしたのかと」 「い、いえ、何でもないわ……ねえ、○○、何か話が聞きたいわ」 「ん、いつものですか?」 「ええ、暇だもの。いいでしょう?」 「はい、では、埃っぽいのでシャワー浴びてから参りますね」 にこにこと笑う彼を見ながら、ふと考えたことにレミリアはそっと息をつく。 ああ、風呂上りならさぞ温かいでしょうね、なんて思うなんて。 どうやら言われたことが随分と響いているようだということを再認識しつつ、もう一度大きくため息をついた。 「咲夜は使ったことある?」 「湯たんぽでしょうか? ありますよ」 「よくわかったわね」 「何となくですが」 微笑んで紅茶のお代わりを注ぎながら、咲夜は頷いた。 「特に寒い日は、次の日に差し支えないように防寒をしますから。体調管理も従者の仕事ですわ」 「大変ね、人間は」 頷き返しながら、レミリアはその温かい紅茶を手に取る。 「でも、そうして咲夜が健康に気を遣ってくれてるお陰で、私はこうして美味しい紅茶が飲めるのよね」 「お嬢様がお望みになるときはいつでも」 くすくすと微笑いあって、一口紅茶に口を付けたところでノックの音がした。 「○○かしら」 「そうでしょうね」 咲夜がそう言って、扉を丁重に開ける。 「ああ、どうもありがとうございます」 「いいえ」 「○○もどう?」 「あ、いただきます」 レミリアと同じテーブルに着いた○○に、咲夜が紅茶を淹れる。 「いただきます。ああ、美味しいです。温まりますね」 「一日の終わりには最適、ね」 「まさに」 それぞれの言い方で褒められた咲夜は微笑んで一礼した。 今日一日の報告を兼ねた話を四半時間ほど交わした頃、ふとレミリアが時計に視線を向けた。 「そろそろ休みましょうか。咲夜、ご苦労様」 「はい、それでは失礼致します。おやすみなさいませ」 「ええ、おやすみ」 「おやすみなさい」 ティーセットを持って立ち去る咲夜を見送って、さて、とレミリアは○○の袖を引いた。 「休みましょう?」 「はい」 強請るように抱きかかえさせて、ベッドまで運んでもらう。 「今日は何の話をしてくれるの?」 「そうですねえ……」 「……さん、レミリアさん?」 「ん……ごめんなさい、うとうとしてたわ」 「いいですよ。では今日はここまでにしますか」 「ん」 温もりに擦り寄って、レミリアは一つ息をついた。 「温かいですか?」 「うん、安心するわ……」 そう、温かくて安心するから、つい気を緩めてしまう。 満足そうに微笑むレミリアに、○○もまた相好を崩した。 「湯たんぽ、ですか?」 「んー……かも、ね」 「僕にとっても、ですよ」 「ん、でも、私はそんなに温かくないと思うけど」 「でも、温かいです」 背に回ったレミリアが枕にしていないほうの腕が、優しくレミリアを抱き寄せる。 「温かいですよ」 「……そう」 頬を寄せて、柔らかく微笑い合って。 きっとこんな時間が、何よりも幸せなのだろうと、そう思う。 「……ねえ、○○」 「はい」 「……こんな温もり、私は知らなかったわ」 「……はい」 「だから、その……ん」 言いよどんだレミリアに、彼は軽く口付けた。 「大丈夫ですよ、僕はずっと此処にいますから」 「……うん」 「何処にも行かないから」 「うん……寒いからかしら、少し気弱になったみたい」 私らしくもない、と照れを隠すように微笑って、レミリアは○○の肩口に顔を埋めた。 「だから、温めていて」 「はい」 抱きしめる力が、少しだけ強くなって。 外は音がしそうなほど雪が降っていたけれど、部屋の中は。 いいえ、私を抱いてくれるこの腕の中は。 とても、とても温かかった。 新ろだ334 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「――というわけで、今年は外の世界では逆チョコと言うのが流行ってるみたいなのよ」 「――で、それをどうして私に言うのかしら」 不意に訪ねてきた――本当に唐突に訪れた八雲紫に、レミリアはため息をついた。 大体、今は眠っているのではなかったのか。 「あら、私だって骨休めに起きることもあるわよ?」 「……何も訊いてないわよ」 「顔に出てるわよ、貴女はわかりやすいから」 「からかいに来ただけなら帰れ。第一、そういう話は私じゃなくて○○にしなさいよ」 「もうして来てるに決まってるじゃない」 そう言いつつ、紫は出されていた紅茶を口に運んだ。 以前に比べ――あくまで比べ、だが、紅魔館は不意の客人にも寛大になったように思われる。 「……本当に何しに来た」 「外の最新情報をお届けしに来ただけよ? ああ、ここの紅茶を頂きに来たのもあるけど」 藍の緑茶も良いけど、紅茶ならここよね、と胡散臭く笑う。 「ここは喫茶店じゃないんだけど」 「きちんと手土産は持ってきてるから、そうカリカリしないで頂戴な」 宥めながら、紫はスッと宙を裂く。そこから出てきたのは―― 「…………チョコ? 料理用の?」 「わざわざ出向くぐらいですもの、これくらいは」 そう言って、紫は咲夜に視線を送る。それに気が付いて、レミリアが頷いてみせた。 「では、失礼致します」 咲夜は一言断りを入れると、紫とレミリアのカップに紅茶のお代わりを注いだ。 「流石ねえ」 「自慢の従者だもの」 褒められて悪い気はしないのか、レミリアの羽がはためく。 「わかりやすいわねえ。まあ、お土産は好きに使って頂戴な。私はそろそろまた休むから」 「ありがたく頂いておくわ」 「量も十分だから、彼と一緒に作ったらどう?」 「…………っ!」 一瞬にして顔を真っ赤にしたレミリアを満足気に見て、紫はスキマを広げる。 「じゃあ、頑張ってね。御馳走様。おやすみなさい」 スキマの中に姿が消え去った後、テーブルの上に空のカップだけが戻ってきた。 それを見て一つため息をつくと、レミリアは咲夜のほうを向く。 「咲夜、これの管理、お願いね」 「かしこまりました。お作りになられますか?」 「そう、ね。もったいないし」 照れたように顔を逸らす、どこまでも素直でない主を微笑ましく見やって、咲夜は頷いた。 「はい、それでは、準備いたしますね」 「んー、こんなもんかなあ……あ、レミリアさん、咲夜さん、どうも」 台所から聞こえてきた暢気な声に、レミリアは一瞬表情に迷った後、背後の咲夜を振り返った。 「……どうして○○がここにいるのかしら?」 「申し訳ございません。本日は図書館にいると聞いていたので……」 図書館に行くときは大体一日作業なので、その認識は本来間違ってはいない。 「ああ、図書館にもお邪魔しましたよ。その後にこちらに」 あまりに自由な行動に少しため息をついて、レミリアは首を振った。 「……そうね、自由に動くことを許可してるのは私だものね……」 「申し訳ありません。誰がどちらにいらっしゃるのかは大体把握しているつもりなのですが」 「いいわよ、咲夜。仕方ないわよ、○○だもの」 それに全部把握されてるのも何だか癪だし、とぼそぼそと呟く。 「ところで、○○、その大量の材料は何? どこから持ってきたの?」 「これですか? 紫さんに頂いたんですよ」 「……多すぎない?」 紅魔館の厨房は広い。それに比例して調理代なども広い、のだが。 その半分を埋め尽くしているとはどういうことか。 「はあ、何だか大量に」 「断りなさいよ」 まあ、あのスキマ妖怪がそれを聞くとも思えないが。 「……で、どうするの?」 「もったいないし、何か作ろうかと」 そのためにレシピ探してたんですよね、と微笑う。 「……随分な量が出来そうだけど」 逆チョコ、とかいうものの話を、○○も知っているはずだ。 だが、この量は一人に贈るようなものでは―― 「ええ、それで、外の世界の話なんですけど」 「逆チョコとかいうのなら知ってるけど」 「ああ、今年はそれもあるようですけど、それでなくて――」 「――つまり、世話になっている相手にも贈る、ってこと?」 「ええ、日ごろの感謝を込めて」 ○○の説明に、レミリアは納得するように頷いた。 「家族や友人に渡す、ということもありましたし」 「一概ではないのね」 「ええ――まあ、今の話の半分くらいは材料をもらうときに聞いたものですが」 「……一気に信憑性が薄れたわ」 でもまあ、とレミリアは微笑む。 「面白いかもね、それも」 「ええ。それでよろしければ」 一緒にどうですか、と誘う彼の言葉を、断る理由など彼女にはなかった。 咲夜の仕事に戻して、二人で台所を占拠する。 「何を作ろうかしら」 「量にも因りますが、とりあえずレシピは一通り」 「……図書館にこんなのあったんだ」 「外の世界のですけどね。前に蔵書整理の手伝いのときいくつか見つけまして」 そう取り出したるはレシピ本。可愛らしい装丁で、表紙に”チョコレート特集!”と書かれている。 「本自体は少し古いですけど、中身は全然大丈夫ですよ」 「んー、妖精メイド達にも渡すから、クッキーなんてどうかしら」 パラパラと本をめくりながら、レミリアが呟く。 「いいと思いますよ。ですが、本当にみなさんに配られるんですね」 「主人は時に従者達を労うものよ」 かしこまりました、と頷いて、とりあえず、とばかりに彼はエプロンを取り出した。 数刻後。 「できた……かしら?」 「ええ、そろそろですね」 レシピがあることをいいことに、いろいろと試してみたのが良くなかったか。 あまり直視したくないが、周囲は戦場さながらの光景となっている。 わくわくしているレミリアのエプロン姿を眺めながら、自分にも原因の一端はあるな、と○○は頷いた。 とりあえず、予想以上の破壊力だった。何度か気を取られたのも、まあ事実である。 「仕上がったらラッピングしていきましょうか。片付けもしつつ……あ」 「どうしたの?」 「どうやって配りましょうか。量が……」 「あら、いいものがあるじゃない」 「……これ、ですか」 レミリアの指し示したものに微妙な表情をしつつ、○○は頷かざるを得なかった。 「うー、寒いなあ」 紅魔館正門前。寒風吹き荒ぶ中、白い息を吐きながら美鈴は呟いた。 もう日も暮れる。今日も一日が終わっていく――まあ、最近はずっと曇りか雪かだから太陽はあまり見えないが。 「こんな時期に好き好んで攻めてくるのなんていないし、かといってサボるわけにも」 うっかり眠ろうものなら凍えかねない。結局、太極拳などをやって気を巡らせることにした。寒さは凌げる。 「精が出るわね、美鈴」 「お、お嬢様!?」 夕闇に不意に現れた姿に、美鈴は声を上げた。 「でも、主の気配にくらいは気付くものよ」 「も、申し訳ありません……ところで、お出かけでしょうか?」 「いいえ、貴女に用よ。○○、取って」 背後にいた○○に声をかけて、レミリアは包みを受け取る。 「はい、美鈴。今年のバレンタインは、私から皆へ特別報酬よ」 「私にもですか!? あ、ありがとうございます!」 深々と頭を下げて、再び顔を上げた美鈴は、○○の担いでいるものに目を留めて何とも言えない表情になった。 「……○○さん、それは」 「……この袋しかなくて」 十二月にやってくる赤服の老人が担いでいるような大きさの袋が、彼の肩にかけてあった。 「……二ヶ月遅いですね」 「全くです。まあ、次は妖精メイドさん達ですから大抵なくなるでしょうけれど……」 「丁度良かったんだもの。さあ、○○、次はメイド達のところに行くわよ」 「はい、そろそろ休憩の時間ですしね」 頷いて応じた○○に柔らかく微笑んで、レミリアはもう一度美鈴の方を向いた。 「冷めないうちに食べなさいね。さ、行くわよ」 「はい、では、美鈴さん」 「ええ、お疲れさまです」 二人の後姿を見送った美鈴は、いそいそと包みを開けた。 中身はフォンダンショコラ。まだ温かいようで、少し割ってみると中のチョコレートが湯気を立てた。 「あー、温かいものだー」 どうして他のみんな――咲夜やパチュリー、フランドールよりも先にここに来たのかと少し思っていたけど。 温かいうちに持ってきてくれようとした配慮がいろいろ嬉しくて、美鈴は少し微笑んだ。 「さあて、お仕事頑張りますかー」 ホールに集められた妖精メイド達はさざめいていた。 唐突にお嬢様に呼び集められたのだ。無理もない。 「ほらほら、静かになさい。お嬢様がいらっしゃるわよ」 咲夜が声をかけると、さざめきはすこし小さくなる。それでも不安なのか、そわそわしているものが多いようだ。 そうしていると、ホール上の階段のテラスにレミリアが現れた。後ろに大きな袋を担いだ○○を伴っている。 「咲夜、ご苦労様。これで全部?」 「はい、お嬢様」 咲夜の報告に満足げに頷くと、レミリアは胸の前で腕を組んで口を開いた。 「寒い中ご苦労」 メイド達がぴたっと静かになった。それには気を留めず、レミリアは○○に目配せする。 指示に従うように彼だけが階段を降りて、咲夜のところに近づいていった。 「すみません、お手伝い願います」 「ええ、いいわよ」 袋から取り出す準備する様を確認して、レミリアは言葉を続ける。 「いつも頑張ってる貴女達に特別報酬よ。ありがたくいただきなさい」 偉そうな口調で、偉そうに命じる。 それこそがレミリアなのだと微笑ましく思いながら、どうやら同じ想いをしているらしい○○に咲夜は声をかけた。 「足りるのかしら?」 「大丈夫ですよ。大量に作りましたので――ただ、その結果の片付けが全部に手が及んでなくて」 「わかったわ、後で片付けておくから」 「すみません」 ごそごそと取り出す彼もまた楽しそうに見える。さて、と咲夜は一つ息をついて、妖精メイド達に命じた。 「さ、仕事もつかえているから、早く並んでしまいなさい」 半刻後。 きゃっきゃっと喜んでいる妖精メイド達がそこかしこに見受けられた。 「随分と喜んでもらえたようね」 降りてきたレミリアに、咲夜が頷く。 「甘いものはみな大好きですから。しばらくは仕事にならない気もしますが」 「まあ、たまには良いでしょう」 「たまに、でもないのですけれどね」 少し困ったように微笑んだ咲夜に、レミリアも微笑ってみせる。 「それもそうね。さ、○○」 「はい」 ほとんど空になった袋をごそごそと探って、○○は一つのラッピングされた箱をレミリアに渡す。 「はい、咲夜。貴女にも」 「私にも、ですか?」 意外そうな表情の咲夜に、レミリアはため息をついた。 「当然じゃないの。メイド達に渡してるのに、どうして貴女に渡さないなんてことがあるの?」 もう、と可愛らしく怒る主に微笑んで、咲夜は瀟洒に頭を下げた。 「ありがとうございます、お嬢様」 「ええ、どういたしまして」 機嫌が良さそうに――本当に上機嫌な笑みでその言葉を受け取り、レミリアは○○の袖を引いた。 「さあ、次は図書館よ」 「はい。もう袋はいいですかね」 「大丈夫でしょ。咲夜、後はお願いね」 「かしこまりました」 一礼した咲夜に、レミリアが先に行ったことを確認した○○がそっと告げた。 「随分と悩んで苦心されてましたよ」 「え?」 「咲夜さんの好みを、一生懸命再現しようとしていて」 「あ……」 にこにこと笑う彼に何かを言おうとしたとき、先を行くレミリアがの声が届いてきた。 「○○ー?」 「はい、今行きますー! では、咲夜さん」 「え、ええ」 ○○の姿がレミリアを追って消えたのを確認した後、咲夜は時間を止めて、レミリアにもらった箱を開いた。 中には、トリュフ型のチョコ。 一つ手にとって食べると、甘く、ほろ苦く、珈琲にもよく合いそうな味が口の中に広がった。 「美味しい……」 確かに、これは咲夜の好みの味で。 心から嬉しそうに微笑むと、咲夜はもう一度レミリアの居る方向に頭を下げた。 そして箱を閉じ、能力を解除する。 「さあ、貴女達、仕事に戻るわよ」 「パチュリー様ー!」 「どうしたの」 パタパタと楽しげに飛んできた小悪魔に、パチュリーは顔を上げた。 珍しい行動ではある。大抵、本から顔を上げることもなしに応えることのほうが多い。 上げた理由は一つ。使い魔の後ろから、慣れた気配が二つほどついてきていたから。 「お嬢様がいらっしゃいました」 「お姉様? ということは○○も?」 パチュリーの隣で大人しく本を読んでいたフランドールに、小悪魔は頷いてみせた。 「はい、妹様もお探しでしたよ」 「私も?」 「……そうか、そうね」 パチュリーが一人小さな声で頷く中、コツコツと二つ足音が響いてきた。 「パチェ、来たわよ……あら、フランもここにいたのね」 「うん……?」 フランドールは何かに気がついたように立ち上がると、並んで歩いてきていたレミリアと○○の両方に抱きつくように飛びついた。 「フラン?」 「フランさん? どうしました?」 「お姉様と○○、甘い匂いがする……」 どう、と尋ねるように、フランドールはレミリアと○○を交互に見上げた。 「ええ、そうよ。フラン、とりあえずテーブルに戻りなさい」 「えー」 「いいものがあるから」 苦笑してフランドールを戻らせて、レミリアは持ってきていた箱を、パチュリーとフランドールの前に置いた。 「今年のバレンタインは私からみんなに、よ」 「お姉様から?」 「珍しいわね」 「まあね」 「私ももらったんですよー」 嬉しそうにしている小悪魔を見て、フランドールがレミリアに尋ねる。 「ねえ、開けてもいい?」 「ええ、いいわよ」 フランドールの箱には、綺麗にトッピングがなされた小さなホール型のチョコレートケーキが。 パチュリーの箱には、ハーブの香のする、ミントの葉が飾られた一口大のロシェ風のチョコが幾つか入ったものが。 それぞれ、丁寧ながらも手作りの様相を保った様子で納められていた。 「わあ……」 「……意外と、凝ったものを作ったのね」 「○○も手伝ってくれたからね。ね?」 「レミリアさんが上手だったからですよ」 「はいはい、甘いもの前にしてるんだから、空気まで甘ったるくしないで」 パチュリーが苦笑している間に、○○が皿とフォークを用意してフランドールのケーキをセットした。 小悪魔は小悪魔で紅茶の用意をしている。 「どうぞ」 「うん、ねえ、食べていい?」 「ええ」 頷いて、レミリアはフランドールがケーキにフォークを入れていくのを眺める。 それを見ながら、パチュリーはそっと小声で○○に尋ねた。 「貴方の入れ知恵ね? このレシピの選び方は」 「ん、まあ、レシピは僕の方が知ってましたし」 「貴方はお菓子作りも上手だったわね」 「趣味ですよ、ただの」 言いながら、彼はフランドールの世話を焼いているレミリアを、微笑ましそうに見つめていた。 「ああもう、お熱いことね」 「え、あ、そうです、か?」 微かに慌てたような反応に満足して、パチュリーも手元のチョコを口に運ぶ。 「……あら、美味しいわね」 チョコの甘みと、ミントのすっきりとした後味。何か香りがすると思ったらミントだったのかと、パチュリーは納得した。 「パチェにそう言ってもらえたら合格ものかしら」 満足そうなレミリアの言葉に被さるように、フランドールが問いを口にした。 「あれ……お姉様、これ、クランベリー?」 「ええ、どうかしら?」 「美味しいよ……その、ありがとう」 「どういたしまして、フラン」 小さな声でのフランドールの礼に、レミリアは柔らかく微笑んだ。 恥ずかしいのか、俯いていたフランドールにはそれは見えなかっただろうけど。 「……良かったわね」 「……全くもって」 ○○の相槌に頷いて、パチュリーは大事な親友からもらったチョコをもう一つ、口に入れた。 図書館でしばらく談笑して、部屋に戻って湯浴みを終えたのはもう夜も明けようとする頃。 「楽しかったわ」 「ええ、みなさん喜んでくださってましたしね」 ベッドに腰掛けて、そう微笑い合って――レミリアがふと、○○の袖を引いた。 「ねえ、○○」 「はい」 「その、貴方にも」 そういうと、手元にどこからか箱を取り出す。 「いつ渡そうかと思って、今になったけど」 「ありがとうございます。では、僕からも」 交換するように、彼もまた箱を取り出した。レミリアから受け取って、自分の箱を渡す。 「いつの間に作ってたの?」 「同じ言葉を返していいでしょうかね?」 「それもそうね……開けていい?」 「ええ、僕も開けますね」 二人で同時に開ける。中を見て、くすくすと笑みを交わした。 「生チョコ、ね」 「ええ、リキュール入り、ですね?」 堪えきれなくなって、二人で声を合わせて笑う。 「何も、同じようなの作らなくても良かったのに」 「まあ、そちらには香り程度にしか使ってませんけどね」 「ん、ごめんなさい、そっちのはちょっと多いかも」 すまなそうに言ったレミリアに首を振る。 「いえいえ、多少なら。いただいても?」 「ええ、どうぞ」 そう言いながら、レミリアも○○の作ったチョコに手を伸ばす。 ○○もそれを見た後一つ口に入れて――甘みとともに、仄かな酒精が香るのを感じた。 「ああ、美味しいですね。僕もこれくらい入れても良かったかなあ」 「ん、これも美味しいわよ」 「ですか? だといいんですけど。あ、一つ食べます?」 「いただくわ」 ○○が一つ抓まんで差し出したのを、レミリアは指ごとぱくりと口に含む。 「っ!?」 「んー……でもやっぱりちょっと強かったかしら?」 ○○の指先をぺろりと舐めて、レミリアが見上げながら首を傾げる。 「……そうですかね」 意識してないんだろうなあ、と○○は心の中だけで嘆息する。 はたして彼の中の葛藤など知らないように、レミリアは頷いた。 「そうかも。ほら、○○のも食べてみて」 そう、同じように差し出されたので、お返しとばかりに指ごと咥えてみた。 「ひゃうっ!? ○○!?」 驚くレミリアに少し満足しながら、同じように指先を舐めて、○○は離れる。 「……レミリアさん、同じことしたんですよ?」 「あ……」 さっと顔を紅くする様子を可愛いなあと思いながら見ていると、軽く睨むように見上げてきた。 「……○○ばかり余裕でずるい」 「いや余裕があるわけじゃないんですけどね」 「むー……そうだ」 こういうときの、そうだ、は大抵碌なことには――と思うが早いか、○○はレミリアに押し倒されていた。 「レミリアさん……?」 「○○ばかり余裕でつまらないから……」 楽しげに言いながら、レミリアは一つチョコを抓み上げる。○○に作ったチョコだ。 「少しは、焦らせてあげる」 言うが早いか、口に咥えて、○○の口唇に押し付けてくる。 「……っ!」 「ん…………これで、一矢報えたかしら?」 「……ええ」 至近距離で、レミリアが微笑った。口の中に甘いチョコの香りと、リキュールの風味が残る。 かっと頭に血が上るのを感じながら、○○は誤魔化すように頬をかいた。何か、悔しい。 「……では、僕からも」 「え……んんっ!」 一つチョコを口に含むと、○○はレミリアを引き寄せ、口付けた。 甘い味が口の中に広がるが、それだけでは終わらせずにキスを続ける。 舌が触れ合って、レミリアがびくりと体を震わせた。それに気が付いて、○○は口唇を離す。 「まだ、慣れません?」 「……ちょっと驚いただけよ」 むー、と不満そうに唸って、レミリアは再びチョコに手を伸ばした。 「……まだ続けますか?」 「○○に勝つまでやめないわよ」 何だか目的がすっかり変わってしまっているのだが、それを指摘する前に、言葉はチョコの味をした口付けに飲み込まれた。 約十分後。 「は……う…………」 レミリアが○○の胸の上に力なくしなだれかかって、ぱた、ぱた、と羽を微かに震わせている。 こうなるのはわかってたんだけどなあ、と心の中だけで呟く。 「大丈夫です?」 「う、うん……」 顔を真っ赤にして、○○の胸に擦り寄る。 やれやれ、と微笑んで、まだ幾つか残っているチョコの箱を閉めてサイドボードに置いた。 そんなに量は減っていない。互いに食べさせ合う時間より、段々口付けの時間が長くなっていって――結果がこれだ。 楽しくはあったのだが、口の中が甘い。チョコレートの味が残りすぎてるな、と思いながら、サイドボードの水差しに手を伸ばす。 「レミリアさんも、水、要ります?」 こくり、と頷くレミリアに、○○は水差しからコップに移して一口飲んだ後、薦めようとしたのだが。 「……飲ませて」 「…………いいですけれど、随分と今日は甘えてくださいますね」 「……だって、今日あんまりくっつけなかったもの」 半身を起こしている○○に寄り添うように、レミリアも身を起こしていた。 「だから、ね」 「はい」 彼は口に水を軽く含むと、レミリアの頤に手を当てて、自分の方を向かせた。 口移しでもらった水を、こくり、と嚥下して、レミリアは一つ息をつく。 「ありがとう」 「……礼を言うのは僕のような気もしますが」 「い、今のだけじゃなくて」 パタパタと羽が動く。自分で強請っておきながら恥ずかしいらしい。 「今日のこと。みんなにチョコレートを配れたこと。私一人だったら、考えもしなかった」 「……みなさん、喜んでおられましたよ」 「うん。そうならば嬉しい。私は此処の主だもの。此処に仕えるものは私のものだから、それらが嬉しいのは嬉しいわ」 ○○の服を掴んで、さらに身を寄せる。甘えるように擦り寄る。 「○○がいてくれたからよ」 「僕がしてることは小さなことですよ」 「いつでも、小さな物事から運命は流転するわ。今だってきっとね」 くすくす、と微笑って、○○に頬を寄せてくる。 「大好きよ、○○。ありがとう」 「僕の方こそ、ありがとう、ですよ。愛しています、レミリアさん」 抱き寄せて、今度は軽い口付けを交わして。 「休みましょうか」 「ええ」 腕の中の定位置に収まったレミリアに、○○は微笑んで、そうだ、と呟く。 「言い忘れてました」 「何を?」 「チョコレート、ありがとうございます。とても、美味しかったですよ」 「……うん、私からも。ありがとう、美味しかったわ」 別の甘さも同時に思い出したのか、少し照れたように顔を紅くしながら、レミリアも応じるように微笑んだ。 「ね、○○」 「はい」 「まだ甘えてて、いい?」 「はい、いつでも」 嬉しそうに擦り寄るレミリアを、○○もそっと抱き寄せた。 甘い一日は終わるけれど。 この甘さはきっと醒めないだろうと、そう思いながら。 新ろだ341 ─────────────────────────────────────────────────────────── 風が温かさを増し、だが未だ寒さの残る三月。 まだ残っていた雪かきを終え、彼は作業していた里の者達と一緒に茶屋で一服していた。 「兄ちゃん、精が出るな。お疲れさん」 「どうも」 店主に一礼して緑茶と団子を受け取る。甘いものは好きだった。肉体的な栄養補給にはならないが、精神的には安らぐ。 そちらの栄養補給は、水筒に血入りの紅茶を持ってきている。当初は輸血パックを勧められたが、里でそれは拙いと今の形に落ち着いた。 もきゅもきゅと団子を食べながら、ぼうっと空を見上げる。後ろからは雑談の声が聞こえるが、あまり聞いていない。 「兄ちゃんどうした、ぼーっとして」 「ああ、すみません、ちょっとホワイトデーのことを考えていまして」 そう笑顔で返す彼に、ああ、と何人かが声を上げる。 「あれか、女に菓子を返すっていう」 「はい、先月のお礼ということです」 「ああ、そっかー。いきなり広まった奴な」 またがやがやと会話が始まる。その中、ふいと店主が彼に話を振った。 「しかし、だとすると兄ちゃんは大変だろう、何たって相手があの吸血鬼のお嬢様じゃ……」 そこまで言って、慌てたように店主は口を噤んだ。 「大丈夫ですよ」 丁寧に彼はそう手を軽く振った。あるいは鷹揚にも見えたかもしれない。果たして、店主はほっとしたようだった。 彼が里に出る条件の一つがこれだった。あまりにも妖怪らしくなく威厳もないが、一応妖怪は妖怪、少しは恐れられる要素が欲しい。だが無い。 だから、周囲が噂を流布させたのだ。彼は里を襲わないが、彼の溺愛する主に対する戯言の類には激怒すると。 彼がそれを知ったのは随分後のことで、慧音と阿求にそれを聞かされたときは思わずその場にがくりと膝と掌をついたものだ。 その様子を見ていた二人には、声を揃えて『事実(だろう)(でしょう)?』と言われたのは記憶に新しい。 ちなみに、本気で暴れたときは全力で止めてやるから安心しろ、と慧音には言われていたりもする。それは死亡フラグではないだろうか。 「ま、うちとしちゃそれが切っ掛けで売り上げが上がるといいんだがなあ」 「あー、まあそういう側面も……みなさんはどうされるので?」 ○○が話を振ると、方々でまた声が上がる。 返すにしろ何にするのか、甘いものなら何でもいいのか、いや適当なものだと怒るぞ……等々。 「でも、作るのも悪くないと、ちょっと思ったりするんだ」 誰かがぽつりとこぼした声に、また議論が起こる。それをふむふむと聞きながら、彼は緑茶を一口啜った。 「んー、作ってみたい人も多いみたいですし……店長さん、ちょっとよろしいですか?」 最近、○○があまり紅魔館に居ない。 春が近付き、里の仕事が増えたためだ――それでも、以前よりは自重しているらしいが。 「でも、それならどうして前より館にいないときが多いのよ」 「レミリア、じゃああんたは何故此処で愚痴ってんのよ……」 神社の縁側。霊夢の背中にくっついてレミリアが管を巻いていた。 「だって暇だし」 「だからってうちに入り浸るな」 そう霊夢はため息をつく。レミリアの愚痴だか惚気だかわからない話を延々聞かされているのだから、うんざりもしてくるというものだ。 不意にレミリアが視線を宙に向けた。つられて霊夢が視線を上げると、二つの見慣れた影が降りてこようとしていた。 「よっ、元気かー?」 「お嬢様、やはりこちらに」 魔理沙と咲夜であった。二人を交互に見て、霊夢が首を傾げる。 「珍しい、どうしたの二人で」 「いやまあ、偶々そこで会ってな」 「お嬢様もこちらだろうから、ってことで一緒に来たのよ」 受け答えをしながらそれぞれ縁側に座るのを見て、レミリアが標的を魔理沙に移す。 「魔理沙、あんたも付き合いなさい」 そう愚痴をこぼし始めたのを見て、霊夢が一つ息をつく。 「今日ほどあんた達が来て良かったと思ったことはないわ」 「それは光栄ですわ」 咲夜だけが涼しげな顔で、主の様子を眺めていた。 「んー、すっきりした」 小半時程魔理沙に絡んでいたレミリアが一つ伸びをする。魔理沙は縁側に突っ伏していたが。 「霊夢……茶を一杯……」 「はいはい」 呆れながらも、霊夢はお茶を淹れて魔理沙に手渡す。 「ところで、咲夜はレミリアを呼び戻しに来たんじゃなかったの?」 「それもあるんだけれど……お嬢様、よろしいですか?」 「何?」 縁側に腰掛けて可愛らしく首を傾げるレミリアに、咲夜は柔らかく微笑んで提案する。 「よろしければ、里に御召し物などを見に行きませんか? 気分転換も兼ねまして」 「里に?」 んー、と考えるレミリアに向かって、霊夢が頷く。 「いいんじゃない? 咲夜の言うとおり、気分転換にはいいでしょ」 「そーだそーだ。こんなところで管巻いてるよりはよっぽと建設的だぜ」 「こんなとこって何よ」 とにかく、と霊夢はビシッとレミリアに指を突きつける。 「○○さんに会いたいなら会いに行ってくればいいのよ」 「え、あ、う……」 指摘されて、レミリアの顔がみるみる紅く染まっていく。 「そ、そりゃ、逢いたくないわけじゃ、ないけど」 でも、仕事してるだろうし、とか何とか呟く。誰かが傍にいるとなれば、普段のように振舞うことも出来ないからだ。 「お嬢様、買い物のついでと思いましたら」 「そ、そう、ね」 咲夜の取り成すような言葉に赤い顔のまま頷いて、レミリアは日傘を手に立ち上がった。 「じゃあ、行きましょう、咲夜」 「はい」 「またね、霊夢、魔理沙」 「今度はお賽銭入れに来なさいよ」 そう言う霊夢に軽く手を振って、レミリアは咲夜に開いた日傘を手渡して神社を後にした。 「あー……そういえば」 「どうしたの?」 その姿を見送っていた魔理沙が、茶を啜りながら思い出したように呟いた。 「○○の奴、ここ数日よく香霖堂にも顔出してるって言ってたな」 「それ、もっと早く言いなさいよ」 そうすればここまで絡まれなかったでしょうに、と霊夢が呆れたように応じた。 「お嬢様、こちらなどは」 「…………咲夜、貴女、私を着せ替えて楽しんでない?」 あれこれと衣装を合わせる咲夜に、レミリアは一つ息をついた。 「そんな、滅相もありませんわ」 そう言いつつ、やはり咲夜はどこか楽しそうだ。 里には妖怪対象の店もあるが、レミリア自身が買い物に来る、というのはかなり珍しい。大抵咲夜が全て済ませてしまうからだ。 だからどういう気紛れなのだろうかと、どこか雑多ながら垢抜けて整然としている店内を眺めながら咲夜に尋ねる。 「急にどうしたの? たまにはこういう趣向も悪くはないけれども」 「随分と退屈されていたようでしたので……たまには、こういったのもよろしいかと」 「まあ、楽しくないわけじゃないけれど……」 「それよりもお嬢様、こちらは如何でしょう?」 「……本当に楽しそうね」 珍しく嬉々としている咲夜を見て、レミリアはもう一度ため息をついた。 だがまあ、確かに滅多に見られないものを見れたので、それはそれで良しとするべきかもしれない。 フランドールの分も買って、店の外に出たところで不意に声をかけられた。 「おや、珍しい。陽も落ちぬうちから」 「ご挨拶ね、白沢」 どこかに出かける途中らしい慧音を、レミリアは軽く睨み上げる。 「いや、気分を害したなら済まない。だがその様子だと、やはり紅魔館は関係ないのか」 ふむ、と考え込む慧音に、レミリアと咲夜は顔を見合わせる。 「どういうことかしら?」 「いや、何、最近里の男衆が○○の先導で何かしているらしい、という話を聞いてな」 「○○が?」 「そうだ。方々で仕事が終わった後でも姿を見かけているようでな。それに合わせるように男衆も何かをしていて」 「知らないわ」 レミリアの声はやや硬かった。隠し事をされていた、というのが気に食わないのだ、と自分に言い聞かせる。 「良かったら、私達も連れて行ってもらえないかしら?」 「貴女達も?」 咲夜が主の状態を察して申し出たことに、慧音は首を傾げる。 「紅魔館の者のことですもの。そうですよね、お嬢様」 「ええ、そうよ。白沢、案内しなさい」 「あ、ああ。確か、今日は向こうに歩いていっていたと……」 レミリアの気迫に押されるように、慧音は道を指し示して一緒に歩き出す。 「あちこちに顔を出してるらしいが、何しているのかわからなくてな」 「里の者達も?」 「誰に聞いても曖昧な返事しか返さなくてな」 「どのみち、隠し事をしているのは気に食わないわ」 咲夜と慧音の会話を打ち切るように、今度は言葉にも出す。 何故だかもやもやとして、落ち着かない。気に食わないのか、不安なのか。 不安? 何が不安なのだろう。 苛々したまま、陽も落ちかけている里を歩く。 「ん、あれは……」 「○○さんですわね」 二人の声に、レミリアは顔を上げる。○○が里外れの茶屋に入ろうとしているところだった。 「あ……」 声をかけようとして、立ち竦む。茶屋の店員らしき娘に微笑いかけて何事か話しかけているその姿を目にしてしまったから。 楽しそうな表情をしている、と思って、息が詰まりそうになる。 「お嬢様?」 咲夜の声に我に返った。ふと見れば、○○は既に茶屋の中に入ってしまった後で。 「……帰る」 「え?」 「帰るわ、咲夜」 「○○のことはいいのか?」 慧音の言葉に、噛み付くように返す。 「楽しそうだからいいのよ」 言うが早いか、日傘を咲夜の手から取って飛び立つ。何かが悔しくて、寂しくて、でもそれが何かを知る前に。 逃げるように、紅魔館に向かって飛び去った。 「……誤解と思うんだがな」 「私もそう思うのだけれどね」 慧音と咲夜が顔を見合わせて肩を竦める。 「みなで集まってるのは確かなのだし、とりあえず私は様子を見てこようと思うが」 「私もご一緒させてもらうわ」 「おや、いいのか?」 「お嬢様のスピードには、今から追いかけても追いつけないわ」 それに誤解を解くのも役目だからね、とウインクして、咲夜と慧音は連れ立って茶屋に近付く。 「あ、先生、いらっしゃいませ。ごめんなさい、今日はもう……」 「ああ、そうなのか。いや、知り合いが入っていったものでね、みなも集まっているようだし、何かしているのかと」 「あー、いえ、特には」 そう答える彼女に、咲夜が微笑を湛えたまま言葉を繋ぐ。 「申し訳ないのだけれど、少し誤解を解いておきたいこともあるの。何しているのか教えてもらえないかしら」 その言葉に店員の娘は少し考えて、そういうことなら、と案内する。 「内緒ですよ。みなさんまだ内緒にしておきたいようですから」 「?」 「あー、もしかしてあれかしら」 疑問符を浮かべた慧音と、少し納得したような咲夜に頷いて、どうぞ、と厨房の裏の窓を彼女は指し示した。 館に戻ったところで自室にいるのも落ち着かず、レミリアは結局図書館に降りてきていた。 「パチェー」 「レミィ、どうしたの?」 「ちょっとね」 親友の声に何だかほっとするものを感じながら、レミリアはパチュリーと同じテーブルに着く。 「……○○さんと、喧嘩でもしたの?」 唐突に核心を付く言葉に、レミリアは咄嗟の返答に詰まった。 「……別に、喧嘩してるわけじゃないわ」 「でも、不機嫌なのは何かあったからでしょう?」 こういった物言いが彼女に向かって出来るのは、この館ではパチュリーくらいのものだ。 レミリアは軽くパチュリーを睨むと、発言したこと自体は咎めず、テーブルに頬杖をついた。 「……だって、楽しそうだったのよ」 「○○さんが?」 「私はいないのに、それでも、○○は楽しそうだった」 それでも、私はいいはずだったのに、と、ぽつぽつと話を進めていく。 聞いていくうちに理解と納得がいって、やれやれ、パチュリーはため息を吐いた。 その感情が嫉妬であることに、レミリアは気が付いていない。店の少女と話していたことが切っ掛けになったことにさえ。 それでも、寂しさや悔しさといったものが先に出て、レミリアを不安定にさせているのだ。 それを理解しながらも、パチュリーはそれについては深く述べず、こと、と一つのボトルをテーブルの上に出した。 「レミィ、明日が何の日か、知ってる?」 「え?」 「一月前のお礼を返す日、なのだそうよ。元々は、外の商業戦術らしいけれど」 そして、すっとボトルをレミリアの前に置く。ボトルの中の淡い薄紅色の液体が、緩やかに揺れた。 「……パチェ、これ」 「私から、よ。一月前のお礼」 促されるように開けてみると、柔らかい香りが広がった。 「これ、桜?」 「少し季節は早いけれどね」 本に目を落としたまま、パチュリーは頷く。 「何にでも使えるはずだから。飲用にも香水にもアロマキャンドルにも」 「……パチェは一体何を作ろうとしたの?」 呆れたように呟いて、でも、とレミリアは微笑う。 「ありがとう、パチェ」 「どういたしまして……ついでに言うなら、私にこの風習の詳細を教えてくれたのは○○さんよ」 「え……?」 思わぬところから名前が出てきて、レミリアは目を瞬かせる。 「少し前から、何やかんやと準備していたから訊いてみたんだけどね」 「○○が……?」 「ええ。里の方に出てたのもその関連だと思うけど」 私もよくは知らないけどね、とはらりと頁をめくる。 レミリアは何かを言おうとして口を開き、だが何も言わず閉じた。そのまま、考え込むように目を細める。 しばらく、静かな時間が続いた。はらりと頁をめくる音だけがしばらく続いて、ようやくレミリアが声を上げる。 「ねえ、パチェ」 「ん?」 「……私、は」 紡ごうとした言葉は、唐突に背中に突っ込んできた衝撃に遮られた。 「お姉様、みーつけたー!」 「……フラン?」 妙に機嫌よくパタパタと羽を動かしている妹に、レミリアは首を傾げる。 「どうしたの?」 「あのね、○○に教えてもらったの!」 そう言って、何かをレミリアの手に押し付けてくる。ガラスの間に押し花を挟んだ、二枚の栞だった。 「お姉様にもらったもののお返し。お姉様と、○○と」 「最近、こちらにいらっしゃることが多いようですので……とお勧めしたのですけれど」 小悪魔がフランドールの後ろからひょっこり顔を出す。 「これは……貴女が作ったの?」 「うん、○○やパチュリーや咲夜や美鈴や小悪魔に教えてもらったりしたけど」 どう? と首を傾げるフランドールに、レミリアはふわりと柔らかく微笑う。 「嬉しいわ、フラン。ありがとう」 「本当?」 「ええ、本当よ」 そう頭を撫でるレミリアに視線を向けて、パチュリーは小悪魔に声をかける。 「ご苦労様」 「いえいえ、私個人では何も用意できてませんから」 「こちらの手伝いもお願いしたしね」 そう、パチュリーは手元の紅茶のカップに手を伸ばした。 「ああ、レミィ」 「ん?」 「言いかけたことは、私に言う言葉じゃないでしょう?」 「……うん」 何のこと? と尋ねるフランドールに軽く首を振って、レミリアは妹の髪をまた一つ撫でた。 しばらくの後、レミリアはテラスに場所を移した。 ○○が帰ってくるまでは暇でもあるし、ここからの風景は気に入りでもある。何を言いたいのか、落ち着いて考えるには悪くない場所だった。 「お嬢様、こちらに」 「咲夜、遅かったわね……あら?」 「どうも」 「お邪魔してますー」 慧音と文も一緒についてきていて、レミリアは不思議そうに一行を見やる。 「また随分と珍しい組み合わせね」 「まあ、事の顛末を伝えるだけはしようかと思って」 慧音はそう少し微苦笑気味の表情を浮かべる。その言葉に、レミリアは複雑な表情になった。 「……ああ、さっきのか。天狗がいるのも?」 「ええ、咲夜さんに折角取った写真を強奪されそうになったので」 「あら、貸して欲しいって言っただけじゃない」 咲夜は涼しげな表情で答える。文は軽く首を竦めると、レミリアが座っているテーブルの上に写真を出した。 「今回の独占記事予定の写真の一部です――ああ、これは使用しないのでお見せできるものなんですが」 何枚か出された写真に視線を向けて、レミリアは固まった。 「…………何これ」 「何これと言われましても」 「……料理教室、だと思われるのだが」 里の者達らしき男達が調理場にいる。そしてその中には確かにレミリアの恋人の姿もあった、のだが。 「……何で割烹着なんてもの着てるのよ……」 吸血鬼としての威厳が、とレミリアは何だか少しピントのぼけた感想を漏らす。 だがレミリアにも意外と似合うかも、などと後の三人の少女は同時に思ったのだが、幸いにして誰も口には出さなかった。 「ま、まあ、顛末は、明日のための料理教室だった、ということだな」 「作ってみたい、という声が結構あって、あちこちの茶処が企画したのだそうですわ」 「で、その相談役が、外から来た者だから、ということで○○さんだったわけです」 元々外の風習ですからねー、と文は手帳を開きつつ笑う。 「いや、独占記事もいただけましたし、今回はほくほくです。明日まで出すのを待って欲しい、とは言われましたが」 「……なるほど、あの店員は口止め役だったのね」 「みながみな内緒にしたがっていたらしくてな。それで彼女は知っているが知らないということになっていたと」 「なるほどね、理由はわかったわ」 レミリアは写真をまとめてテーブルの上に置き直しながら頷く。そのとき不意に、三人の態度の違いに気が付いた。 同じものを見てきただろうに、慧音は迷うような、文は楽しげな、咲夜は微笑ましげな表情をしている。 「何、まだ何かあったの?」 「いや、まあ、な」 「いいものを聞かせてもらったのでー」 「お嬢様に直にお聞かせできなかったのが残念ですわ」 「…………?」 疑問を呈したところ、彼女達が聞いてきた言葉を一句違わず告げられて――レミリアは耳まで顔を紅くする羽目になった。 ○○は遅くなるだろうからと、咲夜に促され、ティールームにさらに場所を移す。 「ねえ、咲夜」 「はい」 「今日買い物に連れて行ってくれたのも、明日の前倒し?」 尋ねるレミリアに、咲夜は柔らかく微笑んだ。 「お気に召しませんでしたでしょうか?」 「いいえ、その逆。楽しかったわ、咲夜。ありがとう」 楽しそうに言って、咲夜の淹れた紅茶を口に運ぶ。そして一息ついて、テーブルの上に飾られている花を眺めた。 「……あら?」 「どうなさいました?」 「この花は? 美鈴かしら?」 「ええ、呼んできましょうか」 「そうね、お願い」 さっと咲夜が席を外し、すぐに戻ってくる。同時にバタバタと廊下を走る音がして、部屋の中に美鈴が飛び込んできた。 「お呼びですか!?」 「ええ、この花なんだけれど」 「あ、ええと、春の花を気を整えて早めに咲かせたんですけれど……お気に召しませんでしたでしょうか?」 慌てて説明する美鈴に、レミリアはもう一度花に視線を移しながら伝える。 「これ、後で私の部屋に持ってきてもらえる?」 「え、は、ええ?」 「ここだけで楽しむには惜しいわ。出来る?」 「え、ええ、もちろんです! ありがとうございます!」 慌てた様子から一転、嬉しそうに美鈴は頭を下げる。 「随分、嬉しそうね」 「ええ、そりゃ、渡したものを喜んでいただけましたら嬉しいですよ。では、後で参ります!」 それだけ言って駆け去る美鈴を見送った後、ふと気が付いて、今度はレミリアが慌て出す。 「咲夜、どうしよう」 「どうなさいました?」 「私が、○○に何も準備してない」 先程までの様子がどこへやら、どうしよう、と呟く。 「何かいい案はない? 今からじゃ……」 「でしたらお嬢様、こういうのはどうでしょうか?」 何も物だけが想いを伝える方法ではありませんわ、と言って、咲夜は瀟洒に微笑んだ。 「随分遅くなっちゃったな……」 紅魔館への帰りを急ぎながら、○○はぽつりと呟いた。 「レミリアさん怒ってるかなあ」 料理教室は大盛況で、まあ否応なしに来る羽目になった者も居た様だったが、概ね楽しんで行えた。 それはいいが、最後の酒盛りが余計だった。少しだけしか飲んでいないものの、何か口走った気がする。 というか口走った。直後に会った、外にいた三人がそれぞれの反応を示していたのが何よりの証拠だ。 何言ったのかは怖くて聞けていないけど。 「さてと、そろそろ……落としてないよな」 懐にある物の感触を確かめて、○○は一つ頷く。ここのところ帰りが遅かったのも今回のことを引き受けたのもこれのためなのだ。 紅魔館の中庭に降り立って入り口に急いでいると、後ろから声が聞こえてきた。 「あー、おかえりなさいー」 美鈴だった。両手に抱えるほどの花を丁寧に抱いている。 「ただいまです、美鈴さん。その花……」 「あ、ええ。お嬢様にも気に入ってもらえたみたいで」 嬉しそうな美鈴と、扉を押し開けて中に入る。 「おかえりなさい。随分遅かったわね。まあ、お嬢様も少し時間かかりそうだから丁度良かったけど」 「ただいまです。ああ、もしかしてもうおやすみですか?」 「いいえ、全然。とりあえず貴方は湯を浴んできなさい。料理してたんだから」 「あ、はい……」 帰るなり説教を受け、申し訳なさそうに○○は頭を下げる。 「あ、咲夜さん、お嬢様はお部屋ですか?」 「ええ、美鈴、持っていってもらえるかしら?」 「もちろんです。それでは!」 さっと駆け上がっていく美鈴を見送った後、さて、と咲夜は○○に向き直る。 「お嬢様が首を長くして待ってらっしゃるから、早く準備して行きなさい。準備したら丁度良いころでしょうし」 「はい、ありがとうございます。丁度良い、とは?」 「まだ内緒よ。さ、早く」 咲夜に促され、彼は勝手知ったる館の中を歩き始めた。 何だかんだで小半刻後、咲夜に連れられて○○はレミリアの部屋の前に居た。 「どうもです、咲夜さん」 「いいえ。さ、お嬢様が随分お待ちかねよ」 「あー……怒ってらっしゃいますか?」 「まあ、いろいろとね」 少し苦笑して、咲夜は扉をノックする。 「お嬢様、○○さんがいらっしゃいました」 入っていいわ、という声が中から聞こえてきて、咲夜が扉に手をかけた。 「さ、どうぞ」 「はい、では」 一礼して、部屋の中に入る。入ってすぐに、花の香りとそれとは違う甘い香りがすることに気が付いた。 「○○?」 「あ、はい、失礼します……」 呼ばれて、いつも座っているテーブルに目を向けるが、そこに座る影はない。 「こっち」 視線を巡らせると、ベッドの上で枕を抱いて座っているレミリアが視界に入った。 「ああ、すみません、休まれるところでしたか?」 「そうでは、ないんだけど」 そうぼそぼそと言いながら、○○を手招きする。 「……? ああ、ええと、遅くなってすみません」 「そうね、随分遅かったわよね」 何かを思い出したのか、隣に座った○○の服の裾を引っ張って、むうと可愛らしくむくれる。 「すみません、いろいろと用がありまして」 「私に内緒でいろいろ行ってた癖に?」 「知ってたんですか?」 「ええ、今日は、どこかの女の子と話していたのも見たしね」 言い切ってから、レミリアの表情に微かに悔いるような色が見えた。 少し戸惑って、だがその表情の意味に○○は気が付く。 「……もしかして、やきもち焼いてくれてました?」 「誰が……っ!」 図星だったのか、顔を紅くしてレミリアは○○の胸を軽くポカポカと叩く。 途端、枕が落ちて、レミリアの格好が露わになった。その服に、○○は若干くらりとするものを感じる。 「……レミリアさん、その服は……」 「あ、え、ああ、その、咲夜が今日、買ってくれたものなの」 薄桃の地に、黒の縁取りがなされたベビードール。微かに透けているような気がするのは気のせいにすることにした。 「似合わない……?」 「とんでもない! 凄く、可愛いですよ」 「それなら、いいけど」 嬉しそうな顔をするレミリアを思わず抱きしめたくなったが、そこは自制する。 そして、大事に持っていた箱を取り出した。 「まず、誤解は解いておきたいんですけれど、僕は別に、誰かに会ってたわけじゃなくて」 「ん、いいわ、知ってるもの。お菓子教えてたんでしょう?」 「僕は教える側じゃなかったんですけど……って、知ってたんですか?」 反応が遅いわよ、と楽しげに微笑って、レミリアは○○に擦り寄る。 「そのときに何て言ってたのかも、ね?」 「うあ」 頭を抱える。相当恥ずかしいことを言ったはずなのだが。 「……聞いてたんですか?」 「…………いいえ、咲夜と天狗と白沢からだけど」 少し顔をそらして言って、顔を○○の胸に押し付ける。 「……『大好きな人の為なら、愛する人の為なら、何だって出来る。例え彼女の方が自分よりどれほど強くても、彼女の何かを守ることは出来る……』」 「ちょ、レミリアさ……!」 「全部は言わないけど、随分な大演説だったらしいわね?」 くすくすと微笑われて、○○は紅くなった頬をかく。見れば、レミリア自身も顔が紅い。 「……少し、嬉しいわ」 「ありがとう、ございます」 照れくさくなって、○○は気を取り直すように小さめの箱を改めて取り出した。 「えと、そういうわけで、ホワイトデーのお返しです」 「ん、ありがとう、○○」 レミリアは嬉しそうに受け取って、綺麗に包装されたそれを丁寧に開ける。 「……飴?」 「ええ、苺味にしてみました」 中には綺麗な袋に入れられた、小さな赤い飴が幾つも入っていた。 「少し早いんじゃない?」 「ちょっと協力者が」 そう微笑って、どうぞ、と勧める。 「……食べさせて」 「え?」 「食べさせて欲しいの」 駄目? と首を傾げられて、断れるはずもなく。 「……では、はい、どうぞ」 小さめの飴を一つ摘み上げて、レミリアに差し出す。少し不満そうにしながら、ぱくり、と指ごと口に含む。 驚いた顔をする○○に、してやったり、という表情でレミリアは笑ってみせた。 「学習能力がないわよ、○○……あ、美味しい。ん……少しだけ、貴方の血入れた?」 「ええ、みんなと作ってたときだったので、ほんの僅かですが」 こっそりとですけれど、と自分の指先を切る真似をする。 「ま、見つかったら大変だものね……でも、○○、その食べさせ方じゃ嫌」 「え?」 「食べさせて。こうやって」 そう言って、身を乗り出して○○に軽く口付けをしてきた。 「……僕にとってはだいぶ不味いんですけどね、僕の血」 「それでも、ね?」 強請られては嫌とはいえない。紅い顔を誤魔化しながら、飴を手に取る。 「あー……はい、降参です。わかりました」 「よろしい」 膝の上に載ってくるレミリアを抱き上げて、口移しで飴を与える。 カラリ、という飴の乾いた音と共に、苺の甘さと何とも言い難い不味さが広がった。 「ん……」 服をぎゅっと掴んできているので、離すに離せないし、離すのも惜しい。 同時に、飴とは違う甘い匂いが、彼の鼻をくすぐった。 「ん、ありがとう」 「……いえいえ」 しばらくして口唇を離して、レミリアが微笑む。互いに顔が紅いので、直視するのは何だか恥ずかしいが。 「何だか、良い匂いがしますね」 「あ、わかる? パチェからもらったのよ」 「ん、香水ですか?」 「……飲むのにもアロマキャンドルにも出来るって言われたけど」 「一体何なんですかそれ」 それは私も言った、と言いながら、レミリアは彼の手から箱を取って、サイドボードの上に置く。 「美味しいけど、たくさん食べるとお腹一杯になっちゃいそうね」 「ああ、晩御飯の後になっちゃいましたしね」 「ゆっくり食べるとするわ。そうだ、○○」 サイドボードの上にあった栞を手に取って、嬉しそうに見せる。 「フランから。私と○○で使って、って」 「ああ、フランさん、栞にしたんですね」 「ええ、嬉しそうにしていたわ。本当に、嬉しそうに」 そういうレミリアの方がずっと嬉しそうで、思わず微笑ましくなってくる。 それをサイドボードに戻すときに、あれ、と気が付いた。 「……それは?」 「ああ、テーブルクロス? だいぶ歪でしょう? 無理もないわ、妖精メイド達が作ったものらしいから」 レミリアの口調は言葉とは裏腹に穏やかだった。 「全員で作ったらしいわ。テーブルに使うには小さいしあまりに歪だから、サイドボードにね」 「……ええ、それがいいかもしれないですね」 そう言いながら、レミリアを背中から抱き寄せる。唐突なことに、レミリアは目を瞬かせた。 「○○?」 「僕からも、もう一つ」 そう、レミリアの手に箱を乗せた。開けて、中にあるものにレミリアは首を傾げる。 「……指輪?」 「大層なものじゃないですけどね。ああ、銀じゃないです。いろいろ混ぜてるんで」 香霖さんにお願いしたんですよ、と説明する。 「正式なものはいずれ、ですけど」 「……ありがとう」 自分の指に着けて満足そうに微笑した後、レミリアは○○に向き直る。 「……○○、私からは、渡せる物を準備してないの」 「あ、いえ、そんな」 「だから、私からは、この想いを」 ぎゅっと抱きついて、○○に口付けしてくる。甘くて、優しい口付けを。 「形はないけれども、これしかないけれども、私から貴方に」 口付けの合間に、言葉を繋ぐ。 「貴方を愛していると言う、想いを」 そして、少しだけ不安そうな瞳で、○○を見つめた。 「貴方が誰かと話しているとき、私は確かに嫉妬したわ。 自由な貴方が好きなのに。貴方を縛り付けてしまいたくないのに。 ごめんなさい、それでも」 私は、貴方が大好きなの、と、レミリアは囁いた。 「……嬉しいです」 思わずぎゅっと抱きしめて、彼は呟く。 「どうしよう、嬉しくて嬉しくてたまらない」 「……怒らないの?」 「何故怒らなきゃいけないんですか」 愛する者にここまで想われて、嬉しくない男など居るだろうか。 「僕だって、大好きです。大好きですよ、レミリアさん」 「ん、ありがとう、○○」 レミリアはほっとした想いで、○○に擦り寄った。 ああ、そうか、と呟く。美鈴が言った意味がようやくわかったのだった。確かに、嬉しい。 「……レミリアさん、もう一つ、飴を食べますか?」 「……そうね、貴方が食べさせてくれるなら」 「ええ、もちろん」 貴女が望むだけ、と○○は微笑って、飴を歯で咥えた。 「お腹一杯になりそうね」 「そうですね――随分と、甘い夜になりそうです」 「あら、楽しい夜になりそう、の間違いでしょう?」 微笑んで、レミリアは彼から与えられる飴を、その口付けと共に受け取った。 翌日昼、ここ数日の詫びとばかりに、レミリアは霊夢と魔理沙を招いていた――のだが。 「随分眠ってるわねえ」 「ここ数日、昼夜逆転どころの生活じゃなかったみたいですからね」 ○○の膝を枕にして、すやすやと眠るレミリアの姿があった。 他者にはめったにこういった姿を見せないが、霊夢や魔理沙、咲夜といった面々は別のようである。 「ほとんど毎日うちに来てグダグダ言ってたら、まあそうなるわよね」 「すみません」 霊夢の言葉に心底すまなそうに微笑んで、○○はレミリアの髪を撫でる。 「まったく、見せ付けてくれるよなあ。あ、まさか、レミリアが寝不足なのはお前の所為じゃないだろうな?」 魔理沙がクッキーを齧りながら冗談のように言う。いや、確かに冗談だったのだろうが。 彼は大きく咳払いすると、瞬間で顔を紅く染めて目を彷徨わせた。 「………………いや、そんなことはないですよ」 「……待て、何だ今の間は」 明らかな挙動不審さに、魔理沙は一瞬呆れた後、人の悪い笑みを浮かべる。 「さー、何したんだ? 楽しそうだから吐いてもらおうか」 「嫌です。聞いてどうするんですか」 「ブン屋に売る?」 「絶対話しません」 ということは何かはあったんだなー、と続けて楽しそうに問い詰める魔理沙を呆れたように眺めながら、霊夢はため息をついた。 「○○さんも墓穴掘らなければいいのに。あ、咲夜、紅茶お代わり」 「はいはい」 そう差し出された空のカップに、咲夜は紅茶を注ぐ。 「砂糖とミルクは?」 「いらないわ、ここに来ると甘いものの大量摂取になるから」 ひらひらと手を振って、霊夢は紅茶を啜った。 「ま、綺麗に収まった、ってとこかしら?」 「ええ、そうね。前よりも、また少し甘くなったかもしれないけど」 「それは重畳――世は並べて事も無し、ね」 「本当に」 騒ぎに目を覚まして怒るレミリアやそれをなだめる○○やさらにからかう魔理沙などを眺めながら、霊夢と咲夜はそう頷いた。 兎にも角にも、紅魔館は今日も平和である。 新ろだ424 ─────────────────────────────────────────────────────────── 夜こそが吸血鬼の本分。なれども、日が変わるのは夜中なわけで。 「そういえば」 「?」 「今日はエイプリルフールよね」 「まあ、そうですね」 紅茶を啜りながら、○○は頷く。 「ね、○○」 「はい?」 「貴方の血なんて、飲みたくないわ」 そう言いながら、○○の膝の上に乗ってくる。 「だから、逃げていいのよ?」 「……だいぶちぐはぐな嘘ですね」 「あら、バレた?」 バレますよ、と言う頃には、レミリアの牙が首筋に迫っていて。 「でも、いただきます」 ちく、と痛みが走った。 「では、僕も」 レミリアを抱き寄せて。 「貴女の血なんて、欲しくない」 首筋に口付けて。 「飲みたくない、です」 そう、伺うように牙を当てる。 「……嘘が下手ね」 「かもしれません」 「……あげないわよ?」 言葉とは裏腹に、レミリアは○○の髪に手を当てて、牙を押し付けさせる。 「飲んじゃ、駄目」 「はい」 言われたとおり、○○はレミリアの首筋に牙を突き立てて、その血の甘さを味わった。 「……ね、○○」 「はい?」 「嫌い、って言える?」 ○○の膝の上に乗って、レミリアは尋ねる。 「……想いの意味で言うなら、嘘でも無理です」 「正直者ね」 「別に今日が、嘘だけしか言ってはならない日ではないですから」 だから、と○○は後ろから強く抱きしめた。 どれだけ言葉だけで嘘がつけたとしても。 感情や衝動に、嘘がつけるわけではないから。 「……そうね」 ○○の腕の中で、レミリアが向かい合うように体勢を変えながら頷く。 「嘘を言うだけの日ではないなら、○○」 「はい」 「私は、貴方を愛しているわ」 そう言って、レミリアは○○の頬に手を当てると、優しく口付けた。 新ろだ435 ───────────────────────────────────────────────────────────
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登録日:2015/02/03 Tue 21 04 30 更新日:2024/04/27 Sat 15 03 34NEW! 所要時間:約 5 分で読めます ▽タグ一覧 DM DM-09 DMC-34 DMC-39 DMX-09 アイドルカード クリーチャー コモン デュエマ デュエル・マスターズ デュエル・マスターズ プレイス ビーストフォーク レア 女の子 女性型ビーストフォーク 小田切優衣 自然文明 自然文明のクリーチャー 誕生の祈 闘魂編 おらおら進め! 破壊の狼煙が援軍を呼ぶと心得よ! 概要 「死ごときで、我らの鼓動を止められるものか!」――誕生の祈 誕生の祈とは、デュエル・マスターズのクリーチャー。 DM-09「闘魂編 第4弾 覇道帝国の絆(インビンシブル・ブラッド)」にて初収録。レアリティはコモン。 ■DMC-34「コロコロ・ドリーム・パック2(エターナル・レガシー)」 ■DMC-39「ビクトリー・ソウル」 ■DMX-09「デッキビルダー鬼DX ガンバ!勝太編」 などでも再録を果たしている。 アタックトリガーで山札をサーチ出来るクリーチャー。 自然文明の手札補充要員として優秀な性能を持つ。 スペック いいのかね? わたしを止めないと、戦況は悪化する一方だぞっ!! 誕生の祈(バース・アイ) C 自然文明 (3) クリーチャー:ビーストフォーク 2000 このクリーチャーが相手プレイヤーを攻撃してブロックされなかった時、自分の山札を見る。その中からクリーチャーを1体選び、相手に見せてから自分の手札に加えてもよい。その後、山札をシャッフルする。 相手プレイヤーを攻撃してブロックされなかった場合、山札から相手に見せる形でクリーチャーをサーチ出来る。 手札補充手段に欠ける自然文明では、手札補充として有効に活用できる。 相手プレイヤーへの攻撃+ブロックされないという条件はややきついが、成功した場合の見返りは大きいと言える。 能力発動後の殴り返しが気になる面があるが、そこは自身のサーチ能力を上手く使えば回避できる場合もある。 特に、シノビとは抜群の相性を誇り、誕生の祈でシノビをサーチすれば、殴り返しや相手のブロックなどに対抗できる。 サーチしたクリーチャーは相手に見せることになるので、相手にシノビを見せることでのプレッシャーを与えられる。 シノビを投入したビートダウンデッキでは、この戦法を実現しやすいだろう。 ただし、誕生の祈はライバル候補のクリーチャーも多い。例として挙げると 効果は連続できないが、確実に山札から一枚はサーチ出来る《鳴動するギガ・ホーン》 タップ能力でサーチを行える《魅了妖精チャミリア》 などのクリーチャーがライバル候補として挙げられるだろうか。 ただ、上記のクリーチャーよりも誕生の祈はコストが軽いのでそこで差別化できるか。 また、誕生の祈の種族もビーストフォークという優遇種族のため、種族面でも差別化を図れる。 自分の使うデッキがビートダウンかコントロールかで使い分けると良いだろう。 双極篇環境では【ドギラゴン剣】のデッキパーツとして評価が上がり、【誕生ドギラゴン剣】という主役デッキが構築されるなど、出世を果たした。 闘魂編時期のカードであると考えると、インフレが激化するDMの環境においてもかなり頑張っているカードとなっている。 関連カード 無頼王機スケル・アイ R 水/自然文明 (5) クリーチャー:グレートメカオー/ビーストフォーク 2000 マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。 このクリーチャーはクリーチャーを攻撃できない。 このクリーチャーはブロックされない。 このクリーチャーは攻撃されない。 このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札を見る。その中からクリーチャーを1枚選び、相手に見せてから手札に加えてもよい。その後、山札をシャッフルする。 誕生の祈は《弾丸透魂スケルハンター》が好みだったのか、まさかの合体を果たした。 誕生の祈のアタックトリガーに、スケルハンターの能力が合体している。 実際に、アンブロッカブルの能力と山札サーチのアタックトリガーは相性が良いと言える。 しかしコストが重い割に小さいパワー設定などもあり、スケル・アイが採用されることは残念な事に少ない。 崩壊の影デス・タギア R 闇文明 (5) クリーチャー:ゴースト 1000 相手は呪文を唱えた時、自分自身の手札を1枚選んで捨て、自分自身のマナゾーンからカードを1枚選んで持ち主の墓地に置く。 DM-09で登場したゴースト。 イラストでは、誕生の祈と激突している様子が見て取れる。 また、DM-09版の誕生の祈のフレーバーテキストとDM-09版のデス・タギアのフレーバーテキストは繋がるようになっている。 勝敗は不明だが、実際のゲームのスペックだとパワーの面などから誕生の祈が有利。 クラッグザウルス C 火文明 (3) クリーチャー:ロック・ビースト 3000 DM-10で登場したロック・ビースト。 イラストでは誕生の祈や《黄金の翼》と激闘を繰り広げている。 ゲーム的なスペックで見ると、クラッグザウルスのパワーならば、黄金の翼はともかく誕生の祈を倒すことは可能である。 なお、クラッグザウルス自体はただのバニラであり、種族的な面で見ても使い道が殆どないに等しい。 デュエル・マスターズ プレイス 誕生の祈(バース・アイ) R 自然文明 (3) クリーチャー:ビーストフォーク 2000 このクリーチャーが相手プレイヤーを攻撃してブロックされなかった時、自分の山札をからクリーチャーを1体探索し、相手に見せてから自分の手札に加えてもよい。その後、山札をシャッフルする。 プレイスでは、DMPP-02 第2弾「伝説の再誕 -RETURN OF LEGENDS-」から参戦。 プレイスの仕様の都合でサーチが探索能力となっているほか、レアリティがコモンからレアに格上げされた。 女性クリーチャーという設定も反映して、女性声優の小田切優衣氏がボイスを担当している。 探索なので本家よりも好きなカードを持ってこれる可能性は低いが、ある程度融通の利く手札補充が可能な時点で十分協力。 本家における強力なカードという評価はこちらでも変わらず、登場から早速速攻やビートダウン系のデッキで活躍中。 強いて難点を上げるなら、コモンではなくなっているので入手は面倒になってしまっている点か。 補足 この誕生の祈でよく驚かれることは、このクリーチャーが女性であるということ。 フレーバーテキストなどの口調から、誕生の祈をいつも通りの男性型ビーストフォークと勘違いしている人も多い。 だが、イラストやDMX-09収録時のフレーバーテキストの一人称を確認してほしい。 誕生の祈のモチーフは、かわいい動物として広く親しまれている動物であるウサギ。 そしてイラストを見ると、意外と大きいおっぱいが目に入る。 つまり、誕生の祈は明確な女性なのである。 ビーストフォーク自体は現在でも女性型のクリーチャーは多くないため、数少ない存在とも言える。 いいのかね?追記・修正をしないと、項目は悪化する一方だぞっ!! △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] メディアミックスでもっと活躍すべき。 -- 名無しさん (2015-02-03 21 17 11) おっぱいはもちろん、太股・腹筋・脇・ケモノとフェチ属性多目のクリーチャー。DSで転生してくれませんかね… -- 名無しさん (2015-02-03 22 55 46) クリスタルメモリー内蔵クリーチャーが水、ロジックキューブ内蔵クリーチャーが光にいなかった? 補足に加えてもいい気はする。 -- 名無しさん (2015-02-04 05 36 31) 名前 コメント
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〇〇「「あなたはコンティニューできないのさ!」って、何か変じゃないか?」 フラン「そう? かっこいいと思うんだけどなぁ」 〇〇「もっといいの考えようぜ。「いよいよもって死ぬがよい」とか「そしてさようなら」とか」 フラン「そんなのやだよ。かっこわるいし」 〇〇「なに言ってんだ、裏ボスに挑む前の由緒正しいセリフだぞ」 フラン「えー」 夢を見てる 〇〇とわたしが一緒にいる だからこれは夢 とっても楽しい夢 〇〇「よくもここまで来たものだ 貴様らはフランを怒らせてしまった これは許されざる反逆行為と言えよう」 霊夢「反逆って、この館に仕えた覚えはないんだけど」 魔理沙「同感だぜ」 〇〇「この最終鬼畜嫁をもって貴様らに処罰を与える」 フラン「死ぬがよい!」 〇〇「痛っ! なにすんだ!?」 フラン「怒るべきか恥ずかしがるべきかわかんないよ! 最終鬼畜って何! あと嫁って何!?」 〇〇「最終鬼畜っていうのはノリで訂正がきかなかっただけなんだが…… 嫁って何か問題か?」 フラン「あたりまえでしょ!」 〇〇「ん~ 俺はフランが大好きだぞ」 フラン「そっ それはわたしだっておんなじだけど……」 〇〇「じゃあ何か問題あるか?」 フラン「……ない」 〇〇「じゃあ嫁ってことで。式の日取りは近日中に公開するぜ」 フラン「まったく……強引なんだから」 〇〇「それが俺だからな」 魔理沙「私たち、完璧に忘れられてるぜ」 フラン「忘れてないよ。お邪魔虫がいるなぁって思ってたよ」 霊夢「いきなり目をつけてくるのもどうかと思うけど」 〇〇「涙と鼻水の準備はよろしいか?」 魔理沙「正に恐悦至極……なわけがないぜ」 そうそう、この二人を追い払った後、わたしたちは結ばれたんだった 変な人間だとは思ってたけど、まさか人間と吸血鬼で結ばれるなんてね 〇〇「レミリアにボロクソになじられた」 フラン「わたしたちのこと?」 〇〇「ああ。吸血鬼と人間が相容れるわけは無いだの、未来は暗いだのさんざんだ」 フラン「そっか……」 〇〇「気にすんな。ガツンと言い返してきてやったぜ」 フラン「なになに、なんて言ったの?」 〇〇「ならば、君の強い命をもって我が未来改竄素敵計画を完遂する って」 フラン「……で?」 〇〇「レミリアとメイド長にフルボッコにされた」 フラン「酷い目にあったのは見ればわかるよ。アザだらけ」 〇〇「少しくらい容赦してくれてもバチは当たらないってのになぁ…… だが俺は諦めんぞ。我々の未来をより輝かしいものにするためにな!」 フラン「うん、わたしも頑張るよ!」 お姉様は、私たちの仲をぜんぜん認めてくれなかった 人間となんかうまくいくわけがない、って口癖のように言われたっけ だけど、わたしも〇〇も諦めなかった 〇〇「寝るがよい」 フラン「……は?」 〇〇「いやスマン、言葉が足りなかったな」 フラン「足りなさすぎ」 〇〇「これからレミリアと、俺たちの交際について長い長い話し合いなんだ フラン、不安になると暴れちゃうかもしれないだろ?」 フラン「だから寝るの?」 〇〇「そうだよ。部屋に戻ってゆっくり休むがよい ……なにも知らぬまま……」 フラン「……〇〇」 〇〇「いやいや、今のは軽いジョークだ」 フラン「冗談になってない! 次やったら怒るよ!」 〇〇「すまんね」 フラン「反省の色が見えないけど……まあいいや それじゃ、終わったら起こしてね」 〇〇「おう。起きたら俺たちは恋人として認められてるぜ。乞うご期待」 フラン「じゃあ、私が寝る前に、キスして」 〇〇「ああ、いくらでもどうぞ。お姫様」 フラン「………んっ ありがと。おやすみっ!」 〇〇「ああ、おやすみ」 そうだ だからわたしは寝てるんだった まだかな? 早く〇〇が起こしに来てくれないかな…… もうすぐ来てくれる…… 会いたいな…… もうちょっと待ってみよう レミリア「おやすみなさい 美しくて、気持ちよくて、楽しい夢を見ながらおやすみなさい…… あなたが何を見ているか知らないけれど、それはみんな夢 登場人物も、過去の出来事も、何もかも、みんな夢……」 地下室、安らかな顔で眠る少女の棺の前で、歪んだ笑みを浮かべる当主 〇〇「レミリア、何があったんだ!? この館の中にいたやつはみんな眠ってるぞ!」 そこに飛び込んできた青年。当主の思い人 レミリア「わからないの! 私の目の前で、みんなっ……!」 偽りの涙を浮かべる当主 〇〇「俺は眠ってない、大丈夫だ! 俺じゃ頼りないだろうがここにいてやる! 落ち着け!」 館の全員と引き換えに、青年の同情を買った当主 レミリア「〇〇、抱いて。怖いの」 青年の胸に顔を埋める当主 〇〇「……ああ」 小さな体を抱きしめる青年 その腕の中でほくそ笑む当主 「……計画通り」 あなたは今 幸せですか? その幸せは夢ではないと 言い切ることができますか?
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混沌SR ミリアドアイリスフェザー ミリアドアイリスフェザー MAX Lv 65 性別女性 必要統率 30 HP AT DF TOTAL 初期能力(純正品) 1720(4634) 4120(9952) 2650(6396) 8490(20982) LvMAX時能力(純正品) 6860(9774) 13720(19552) 8820(12566) 29400(41892) 純正継承値 +2914 +5832 +3746 スキル ワンダフル・ダンシング敵DF -10%初期 ☆ MAX --- 売却価格 5880マーニ 入手経路 コロシアムイベント『熱砂のヴァルハラ』 召喚セリフ 図鑑テキストさぁさぁお立ち会い!われらの奇跡的に美しい舞をご覧になってください。そう、そしてここから先へは絶対に行かないこと。絶対に…。さぁ、この舞を堪能したら、今すぐ引き返すことです…。 レアリティ一覧 ランク キャラクター名 Lv 統率 スキル Uノーマル ピーコックキーパー 45 13 敵DF -5% 初期 ☆ レア ピーコックマスター 55 19 敵DF -7% 初期 ☆ Sレア ミリアドアイリスフェザー 65 30 敵DF -10% 初期 ☆ Uレア セブンカラードパフォーマー 75 50 敵DF -12% 初期 ☆ レジェンド エターナルレインボーグロリアス 85 94 敵DF -15% 初期 ☆ SKレベル 5☆☆☆☆☆ 10★★★★★ 15★★★★★ 20★★★★★ 25★★★★★ 30★★★★★ 35★★★★★ →に近づくほど発動率がUP(効果は変わらない) コメント
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[ファミリア]コケッコー 画像 ファミリアデータ 3匹のモンスターに80%の確率で8秒間気絶させて二回攻撃一緒にいると継続的にグループメンバーのHPとMPを回復してくれる。 レベル 20 攻撃力 89 攻撃性 600 コケッコーへ
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[ファミリア]白銀棒使い 画像 ファミリアデータ 2匹のモンスターに60%の確率で押し出しながら攻撃同伴時のINTを多く上昇させる。 攻撃力 622 攻撃性 800 白銀棒使いへ