約 1,731,009 件
https://w.atwiki.jp/keikenchi2/pages/689.html
「これでよし、と」 あるトレーナーが自宅で自分のポケモンたちにアクセサリをつけ終える 着飾りの終えたポケモン達はどこか嬉しそうだ 白をベースとした人に近い姿をしたポケモン、サーナイトはその隣にいる薄紫色をした愛らしいポケモン、エーフィをぎゅっと抱き寄せる 二匹とも通常のサーナイトやエーフィに比べ毛並みや体つきもよく、トレーナーの日ごろの努力が垣間見れる エーフィは体をくねらせサーナイトから解放されると、鏡の前で愛嬌のあるポーズを取り出した 実はこの二匹は今日ライモンのミュージカルに出場する予定なのだ 幾度か出場経験があるサーナイトは初めてで緊張しているエーフィを見て微笑んでいる トレーナーはCギアを見て時間を確認する、そろそろ時間のようだ サーナイトとエーフィに声をかけ、トレーナー達は家を後にした ライモンの外れに住んでいるトレーナーは草むらをいくつか通らないとライモンへはいけない 草むらに入る前に入念にスプレーをかけて野生のポケモンに出会わないようにし、草むらを通っていく そんなトレーナーを遠くから不思議そうに見ているポケモンが居た そのポケモンはガサガサと草むらを揺らし、トレーナーの方に近づく そしてトレーナーと目が合わさった、ピンク色の寸胴体系のポケモン、タブンネだ タブンネはトレーナーを見るとにへらっっと緊張感のない笑みを浮かべ挨拶をする ──こんにちは!はじめまして── 野生ポケモンと極力関わり合いになりたくないトレーナーはサーナイトとエーフィを連れタブンネを無視し、正面突破を試みた 迂回するとスプレーが足りなくなるからだ、いちいち時間をかけてる暇はないと判断したトレーナーとポケモン達はタブンネの横を素通りしようとした しかしそううまくいかなかったようだ、タブンネは後ろから気配を隠すつもりもなく鳴きながら付いてくる さらに無視すると、タブンネ今度はトレーナーのズボンの裾をひっぱった ──ねぇねぇトレーナーさん、私と遊びましょ── どこまでも警戒心の薄く、なれなれしいタブンネにトレーナーは苛立ちを感じ始めていた エーフィとサーナイトはそのトレーナーの様子を不安げに見つめている 見つめられているのをわかったトレーナーは心配をかけまいと無理に笑顔を作り、また歩き始めた タブンネは自分に気づいていないのでは、と思いトレーナーに突進を繰り出した 背後から肉の塊の突進を受けてトレーナーは思わず前のめりに倒れる 自分のポケモンがミュージカルにでるのだからと多少着飾った服が泥まみれだ エーフィとサーナイトはトレーナーに近づき気遣う トレーナーは何とか大丈夫と言ったようにサーナイトに手を借りて立ち上がった タブンネは遊んでいるつもりだったのだろう、トレーナー達に先ほどの気の抜けた笑顔を向ける 緊張感のかけらもなくこちらに歩み寄ってくるタブンネにトレーナーはもちろんのことエーフィもサーナイトも怒りが爆発寸前だった サーナイトはトレーナーにいやしのはどうをし、傷口を治した後泥を払う エーフィは怒りで我を忘れてタブンネに攻撃を開始した まず手始めにエーフィは念力による球体を作りだし、そしてそれをタブンネにぶつけた 精度の高いサイコショックはタブンネに決して悪くないダメージを与える 腹部にサイコショックを喰らったタブンネはその場に跪き、腹部を抑え苦しみ始めた ──お腹痛いよ、どうしてこんなことするの‥‥?── タブンネは涙目になりながらエーフィに訴える エーフィは聞く耳持たずと言った風に今度は瞑想を始めた その姿を見たタブンネは腹部を抑えながらも立ち上がり、そしてノロノロと逃げ始めた まるでナットレイのような遅さで逃げるタブンネ、そんなタブンネにエーフィが一瞬で追いつくのは明らかだった 瞑想を終えたエーフィは軽快な身のこなしでタブンネの前に入り込み、タブンネを睨みつける 急に脇からエーフィが現れタブンネはその場にへたり込む エーフィはそのまま再び先ほどより少し大きくなった念力の球体をタブンネに放った サイコショックはタブンネの鳩尾に当たり、破裂する タブンネはトレーナーとサーナイトが居る方へ大きく吹き飛ばされた 鳩尾を強打されたのと背面を強く地面に打ち付けたのとでタブンネは胃液のようなものを吐きだす そして薄らと目をあけるとそこには怒髪天を衝く程に怒っているトレーナーと 瞑想で極限まで精神を研ぎ澄ませたサーナイトが居た その姿を見てタブンネは歯をガチガチと鳴らし、恐怖する 胃液まみれの口元を拭くこともなく、トレーナーとサーナイトの方に向き直り命乞いを始めた その顔を恐怖一色に染め上げてタブンネは助かりたい一心でミィミィと鳴き続ける ──ごめんなさい!ごめんなさい!命だけは助けてください!!── サーナイトはその言葉を理解し、そしてトレーナーに伝える、シンクロによる意思疎通はエスパータイプの十八番である トレーナーはその旨を理解すると、サーナイトに命は奪うな、と指示し、そしてそれをあのタブンネに伝えるように言った サーナイトはタブンネにそういう風にテレパシーを送ると、タブンネは先ほどとは一変歓喜の表情に変わった ──ありがとうございます!ありがとうございます!── タブンネは涙や鼻水を垂れ流しながら鳴き続ける、その姿はあまりにも醜悪だった サーナイトはタブンネに微笑みかけると手を宙にかざし、力を一点に集中させ始めた 膨大な力の塊はその周囲に突風を巻き起こす 異常を察知した周囲のポケモン達はすぐさま尻尾を巻いて離れていった タブンネは一瞬あぜんとしたが、すぐさま理解した 感じ取ったのだ、トレーナーとサーナイトのこれ以上ない悪意を 涙を流し鼻水を垂らしながらタブンネは近づいてくる力の塊を見つめる その顔はやはり、絶望に歪んでいた 力の塊が当たったタブンネはまず最初に全身をミンチにされた 大きな力はタブンネの肉という肉をズタズタに引き裂き、吹き飛ばす 全身の肉が吹き飛ぶのはものの数秒だったが、タブンネにとっては何時間にも長く感じられていた 次いで行われたのは内臓の機能を最低限残したまま傷つけることだ 内臓自体に痛覚はないが、心臓や肝臓、胃などありとあらゆる内臓が傷つけられ、そのたびにタブンネは苦しんだ もはやその時点では叫び声をあげることすらできなかった 力の塊が終息するとタブンネだった肉塊はその場にどちゃりと崩れ落ちた 何より恐ろしいのは気道は確保され、心臓や肺等の臓器と血管はその形を保ち、活動をやめていないのに対し 全身の肉はズタズタに刻まれ目は抉られ嗅覚聴覚はもはやその形を保っていなかったことだ 全てを外界から隔離されたタブンネは、そのまま餓死するまでの長い時間をここで、過ごすことしかできなかった 自慢の再生力も細胞そのものを死滅させられているので意味をなしていなかった 「ごめんなエーフィ、サーナイト」 トレーナーは満足したのか、サーナイトとエーフィに謝罪の言葉を発し、その場を後にする 時間もかかり、何よりこのような格好では参加できないと判断したトレーナーは今日のミュージカルの出場を断念するようだ エーフィは頭を振る、気にするなと言っているようだ トレーナー達は本意ではなかったが、しかしそれでも幸せそうに帰路についた ──暗いよ‥‥何も見えないよ‥‥助けて‥‥助けて‥‥── その場には、ただただ誰にでもなく助けを求めるだけの哀れな肉塊だけが残った
https://w.atwiki.jp/keikenchi2/pages/686.html
ヤグルマの森にある一人のトレーナーが訪れた 特別な特性を持ったイーブイを籠に乗せて、トレーナーは自転車で辺りを散策し始める トレーナーがある程度自転車を走らせると草を揺らす音が聞こえはじめてくる ガサガサと揺れるその草はおおよそ野生のポケモンの行なう行動とは無縁の行動だった トレーナーは自転車をしまいイーブイと共にその草むらに突撃する その草むらには、やはりお目当てのものがあった うっそうと生い茂る緑とは対照的な、自己主張の激しいピンクと薄黄色の体、タブンネがいた トレーナーはビンゴ!と軽くはしゃぎ指を鳴らす その指の音を合図にイーブイがトレーナーの前へ、目の前のタブンネへ攻撃を行なう たいあたり とノーマルタイプの技では最も弱い技ではあるがそれでもレベル差故か、タブンネに確かなダメージを与えた 急に攻撃をされたせいか対処しきれずタブンネはイーブイに吹き飛ばされる タブンネはたいあたりを負い傷ついた体で逃げ始めた トレーナーはその逃げるタブンネの背中をじっと見つめる のろのろと走っているのかもわからないその姿を見てなにかを思いついたのか、笑みを浮かべた後イーブイと一緒にそのタブンネを追いかけはじめた トレーナーとイーブイはあえて鈍足のタブンネに歩調を合わせて追いかける 追いつくことはないが離されることもない、タブンネは逃げながら時折不安と期待が入り混じった顔でトレーナーの方を見る そしてトレーナーとイーブイの姿を観測するたびに表情を強張らせ、前を向いて必死に走りだす タブンネは目をぎゅっとつむり必死に逃げる、何故ここまでするのか それは倒されたらどうなるかわかっているからだ タブンネという種族は既に力尽き戦えなくなってもまだ攻撃をされたり、時にはトレーナー自身にも暴行されることがある 体のいいサンドバッグというわけだ トレーナーは尚もタブンネとの距離を測り、近づいたり離れたりする そうすることによってタブンネの恐怖心を煽っているのだ ──どうして、どうして逃げ切れないの── タブンネは恐怖心を抑えて逃げ続けた なおも必死でタブンネは逃げ続けるが、路傍に転がっていた石に躓き地面に突っ伏してしまう 立ち上がろうとした瞬間、タブンネの上にイーブイがのしかかった 地面に倒れ込んだタブンネはイーブイを退かそうともがくが意味はなかった イーブイはタブンネの上で何度も跳ね、のしかかる そのたびにタブンネは短く悲鳴を上げた ある程度タブンネがボロボロになったらイーブイはタブンネの上から退き、そしてたいあたりを行った 再び吹き飛ばされるタブンネ、先ほどよりさらに遠く飛ばされたが今度は逃げる気力すらなかった、いわゆる瀕死状態になったのだ ──せめて、このまま見逃してほしい── 朦朧とする意識の中でタブンネはそう願った 一方でタブンネを倒したイーブイにも変化が起きていた 体が白く発光し、その風貌が変わっていく イーブイは見事リーフィアに進化したのだ 先ほどの幼い姿とは打って変わって凛凛しく、そして美しいその姿にトレーナーは思わず息をのむ そしてリーフィアを抱きかかえ頬ずりをした なんとか意識を取り戻したタブンネはトレーナーがリーフィアにかまけてるうちに逃げ出そうとした こっそりとばれないように、音をたてないように逃げ出そうとする しかしそうはいかなかった、その姿に気付いたトレーナーはリーフィアにたいあたりを命令した 加速をつけてタブンネの背中に思いっきりぶつかる、先ほどとは威力は段違いだ タブンネは前面を地面に擦りながら吹き飛ばされる、そしてあまりの衝撃の所為かその場で嘔吐した 先ほど食べたであろう消化しかけの木の実が胃液と共にでてくる 疲労と怪我、そして精神的消耗でタブンネはもう限界にきていた ──助けて‥‥お願い、助けて── タブンネはそう願った、しかしそれは叶わなかった 「リーフィア、はっぱカッターだ」 どこか幼さの残る声でトレーナーはリーフィアに命令する リーフィアはそれに従い、タブンネにはっぱカッターを行った 鋭く研ぎ澄まされたいくつもの葉が回転し、タブンネを切り刻んでいく タブンネは叫び声をあげて苦しんだ 四肢の筋を切断され、肉を切られ抉られる、もはや逃げることはできなかった リーフィアは血の水たまりを作り、その中央で弱々しく息をしているタブンネの元に近寄る ──助けて‥‥死にたくないよ‥‥死にたくないよ‥‥── 力を振り絞りタブンネはリーフィアに命乞いをする 「ミィ、ミィ」とまるで母親にすがりつく赤ん坊のような鳴き声だった リーフィアに手を伸ばすタブンネだが、リーフィアはその手をはたいた そしてタブンネにリーフィアはどくどくを浴びせる 紫色の粘着性のある液体がタブンネに降り注いだ その瞬間タブンネは血ヘドを吐いてもがきくるみ始める 血が沸き立つような感覚と脳が沸騰するような感覚に責められる タブンネは喉を抑える、というよりはガリガリと引っ掻くような形で苦しむ 糞尿を垂れ流し、赤紫色へと変色した血を傷口から垂れ流し、血の涙を流すタブンネ どこまで響きそうな低い声の断末魔をあげ、タブンネは絶命した トレーナーはリーフィアをモンスターボールに戻し、タブンネの死骸を見遣る 「あの時立ち向かってきたら倒せてたかもしれないのにね」 どこか他人事のような口調でそう言い放つと、トレーナーはタブンネの死体を、ヤグルマの森を後にした そこにはただ誰に埋葬されるわけでも、思われるわけでもない、毒に汚染された物体が存在していた
https://w.atwiki.jp/keikenchi2/pages/690.html
氷雪が吹き荒れる街、キッサキシティ、そこに一人の中年のベテラントレーナーが訪れた 三十路を過ぎ、どこか味の出ているコートを羽織ったそのトレーナーはやせ細った畑で頭を抱えている農民を見つけた 男は農民に近寄り、そして何か困っているのかを訪ねた 農民はこの街では最近農作物が盗まれる被害が多発していることを話した シンオウの土地でもキッサキシティは近くの街から圧倒的に離れていて尚且つ周りは一面銀世界だ 週に何度か船で物資が届けられるが、それを含めても作物がないと困る と農民は矢継ぎ早に説明した トレーナーは顎に手を当て物思いに拭ける そもそもの話、氷雪地帯に木の実や野菜を好むポケモンが根付くはずがないのだ ニューラ等は肉を喰らうのに対しユキカブリなどはその辺の雑草を雪ごと食べる なのにどうして被害がでるのか‥‥ 「この問題、私に解決させてもらえないだろうか」 興味がわいたトレーナーは農民たちに対し、そう言い放った その日の晩、トレーナーは農民たちの畑の周りに自分のポケモンを配置させる ちょうどその日はあられが吹き荒れていて、雪がくれの特性を持つ二匹にはちょうどよかった あられの中で身をひそめる2匹のポケモン、その姿は夜なのもあってか視認することは不可能だった その時だった、農民の畑にいくつかの影が現れた この地方ではめったに見ることはないピンク色の寸胴体系のポケモン、タブンネだ 複数のタブンネ達は農作物を手当たりしだいに千切りとり、そしてその場を後にする 一匹のポケモンがふわりとした挙動でそのタブンネ達を追いかけていった もう一匹のポケモンはポケモンセンターで待機してあるトレーナーを呼びに行く ポケモンセンターのドアが開く、すると吹雪いている夜の暗闇から水色のポケモン、グレイシアが現れた トレーナーはグレイシアの姿を確認するとすぐさまコートを羽織り、そしてポケモンセンターを後にした トレーナーが先ほどの畑に行くとそこにはふわりと怪しげに舞う白いポケモン、ユキメノコが居た ユキメノコは先ほどのように身をひそめておらず、トレーナーでも容易に視認することができた トレーナーはユキメノコの傍に立ち寄るとユキメノコは先ほどタブンネ達の巣へとトレーナーを案内した キッサキシティをでて、場所は217番道路、トレーナーは切り立った崖に巣穴のようなものを確認する このような場所に近づくことはないし、近づかなければ見つけることもできなかっただろう 巣穴の入り口はあまり大きくなく、さらに入り組んでいるのでどうやら人間は入れそうにもなさそうだ そう判断したトレーナーはグレイシアとユキメノコに巣穴の中のタブンネ達を全滅させるように命令した まず最初にグレイシア、そしてそれに続いてユキメノコが巣穴へと侵入した グレイシアとユキメノコが入り組んだ巣穴を進んでいくと広まった場所へと出た そこには数匹のタブンネ達が身を寄せ合い、盗んだ作物で空腹を満たしていた グレイシアが現れたことによりその場に居るタブンネ達は酷く困惑し始めた ──みんな落ち着け、ここは俺が引き受ける── うち一匹のタブンネがグレイシアを撃退しようと戦闘態勢に入る 体を構えて、グレイシアに突進するがそれよりも早くグレイシアはあられをおこした 巣穴の中に小さな雲が現れ、辺りにあられが吹き荒れる 突進を行ったタブンネはいつの間にかグレイシアを見失い、その場で無様にこけてしまった タブンネはすぐに体を起き上がらせ辺りを見渡す しかしどこを見渡しても周りはあられが吹き荒れるだけだった あられにより少しずつ消耗していくタブンネは焦りが生じたのか辺り構わず突進をしはじめた 一方でグレイシアはと言うと奥の方に隠れているタブンネの残党共の目の前に居た あられの中で喜劇を演じるタブンネを余所にグレイシアはタブンネ達を見下す 子供が2匹に成体が3匹、どうやらこのタブンネ達は親子のようだ グレイシアは一匹の子供に対してれいとうビームを放つ れいとうビームを喰らった子タブンネはその場で氷漬けにされ、動かなくなった 氷漬けにされたタブンネを見て一同が叫び出し、絶望した グレイシアは再び口に冷気をため、れいとうビームを放とうとする すると一匹のタブンネがグレイシアの前に立ちはだかり、家族を守ろうとした ガクガクと体を震えさせ怯えているタブンネに対し、グレイシアは足元に冷気のビームを放った 胴に対して短すぎる足がすべて冷却される 身動きが取れなくなったタブンネを余所にグレイシアは後のタブンネ達に目をつけた ──お願いします、子供達は助けてあげてください── 足を氷漬けにされた母タブンネはその場でグレイシアに懇願する しかしグレイシアがそれを聞きいれることはなかった、残りのタブンネに対して吹雪を放ち、一斉に凍らせる 吹雪を終えた後には趣味の悪い氷漬けのオブジェが完成していた 生き残ったタブンネはその場に崩れ落ち、泣き叫んだ その直後あられが晴れて中からボロボロになったタブンネが現れる タブンネは辺りを見渡し、そして趣味の悪いオブジェと崩れ落ちる伴侶 悪魔のような笑みを浮かべてオブジェを尻尾でなでるグレイシアを発見した タブンネは呆然とし、その場から一歩一歩ゆっくりと歩ゆみ寄る ──どうして‥‥どうしてこんなことに‥‥── タブンネは誰に言うわけでもなくつぶやいた グレイシアはその場を後にする、その後再びただ立ち尽くすタブンネの夫妻を霰が覆った 霰が吹き荒れる中からすっと母タブンネは何者かに抱きつかれる ユキメノコだ、ユキメノコは母タブンネをマイナス50度の冷気で凍らせ、消えていく その姿を見た父タブンネは必至に追いかける、しかし追いつくことはなかった 伴侶をさらわれ子は失われ、父タブンネは失意に満ち崩れ落ちた その瞬間、小さい、本当に小さい鼓動をタブンネは聞き捕らえた 一番最初に凍らされた子タブンネはまだ生きていたのだ 氷漬けの子タブンネを抱き、そして氷を溶かそうとする しかし抱きついただけで溶ける氷でもなく、その小さな命はその生命を終えようとしていた そうはさせない、と決意に燃える目で氷を削っていく、しかしそれでは間に合わない 最終手段としてタブンネは氷漬けになった子タブンネを地面に思いっきり叩きつけた バキンという音が鳴り、氷が砕けちる それと同時に凍っていた子タブンネも砕け、その幼い命は実の父によって奪われた 最後の最後まで彼は哀れな喜劇役者だった 巣穴からグレイシアと手ぶらのユキメノコがでてくるとトレーナーは巣穴を大きな岩でふさぐ そしてグレイシアとユキメノコに吹雪を撃たせて、それを固定した これでもう二度とやつらはでてくることはないだろう そう思ったトレーナーは217番道路を後にした 結論から言うと、タブンネ達はどうやらイッシュ地方出身のトレーナーに捨てられたようだ 極寒の地で彷徨っているとそこにちょうどいい住みかがあり、そこに根付いたと思われる 理由がわかって満足したトレーナーはキッサキシティから船に乗り、ファイトエリアへと向かった 街を覆い尽くす雪雲の上には、太陽が輝いていた
https://w.atwiki.jp/keikenchi2/pages/687.html
ここ、1番道路は比較的野生のポケモンが根付きやすい土地とされている 草花や木の実などが豊富で、近くには広く大きい水場がある その水場に一匹のタブンネが居る、どうやらオレンの実を採った後喉をうるおすためにここに来たようだ タブンネは水を両手で一掬いし、口の中に流し込む 音を立てて飲み込んだ後タブンネは口元を拭き、その場を後にしようとした その瞬間、何かが水面から上がるような音がタブンネの背後から聞こえてきた タブンネが後ろを振り向くと、そこには一人のトレーナーと、青い体が印象的なポケモン、シャワーズが居た なみのりを終えた後なのだろう、体を振り体に付いた水滴を飛ばしている タブンネは自分が見たことのないポケモンに興味津津だ 先ほど手に入れたオレンの実を差し出し、挨拶をする ──はじめまして、あなたはだあれ?── トレーナーとシャワーズは一瞬困惑する、その様子を見てタブンネも少し困惑しているようだ しかしトレーナーはすぐさまシャワーズに命令を行った シャワーズはすぐに構えに入って、口から熱湯を勢いよく噴出した 熱湯がタブンネに振りかかる、熱湯が顔面に直撃したタブンネはその場で悶絶した タブンネは顔を抑えて、地面でのたうち回る、その隙にシャワーズはタブンネが落としたオレンの実を食べ始めた シャワーズがオレンの実を食べ終えた頃にはタブンネも落ち着いていた 火傷し、より一層醜くなった顔でシャワーズとトレーナーを見つめるタブンネ ──どうして、どうしてこんなことするの── タブンネは涙ながらにそう鳴いた、しかしそれがトレーナーの耳に届くことはなかった トレーナーが合図をすると再びシャワーズは臨戦態勢に入る その姿に恐れを抱いたタブンネはその場にへたり込んでしまった 逃げることは不可能、そう判断したタブンネは媚びたような鳴き声でミィミィと鳴き始めた どうやら見逃してくれるよう懇願しているようだ、タブンネは涙を流し縋りつくように鳴き続ける それに苛立ちを覚えたトレーナーはシャワーズに再び熱湯をするように命令した 先ほどと同じように口から熱湯を噴き出すシャワーズ、今度はタブンネの体全体に当たった 体中に火傷を負って再びもがき苦しむタブンネ、その姿はあまりにも無様だった シャワーズは地面に倒れているタブンネの頭を踏みつける タブンネはただ弱く鳴くことしかできなかった ──痛いよ、体が痛いよ── トレーナーはシャワーズをどけると、タブンネの頭を乱暴に掴んだ ズルズル、とタブンネを引き摺り、水辺まで近づけるとしゃがんでタブンネの顔を水につけた タブンネは息ができず苦しむ、体をじたばたとさせて必死で水から顔を出そうとする しかし力強く頭抑えられて、更に弱っている状態のタブンネにはどうすることもできなかった タブンネの抵抗は次第に弱くなっていく、その瞬間トレーナーはタブンネの顔を水から引き揚げた 苦しそうに肩で息をするタブンネをトレーナーは再び水につけた タブンネは先ほどよりさらに大きな動きで暴れる、しかしその分ばてるのも早かったようだ 全くと言っていいほど動かなくなったタブンネを見てトレーナーは頭から手を離し立ち上がり、その場を後にした タブンネは一瞬気を失ったがすぐさま意識を取り戻し水面から顔をあげる 体にたまった水を吐きだし、肩で息をする ──助かった‥‥助かったよ‥‥── タブンネは涙を流しギュッと自分の体を抱きしめた タブンネは恐怖心と安堵で体の震えが止まらなかった しばらくし、体の震えが止まったタブンネは傷をいやす為に住みかに戻ろうとする そして振り返ったその瞬間水流をまとった尻尾がタブンネを直撃した 胴体にモロに喰らって遠方へと吹き飛ばされるタブンネ そこには先ほどのシャワーズが、その少し遠くにはトレーナーが居た 実はトレーナーはその場を離れたわけではなかったのだ 水面に叩きつけられ、溺れるタブンネをトレーナーは指さして笑う そして一頻り笑った後トレーナーはシャワーズと共にその場を後にした タブンネは散々もがいた甲斐もなく、水の中へと沈んでいった ──なんだか、眠くなってきたな── 水の中で緩やかに死を迎えるタブンネ、その横をヒンバスが何匹か通り過ぎる ──次に生れてくる時は、水ポケモンがいいな── 自由に泳ぐヒンバスの群れを見て、タブンネは目を瞑った そんなタブンネに巨大な何かが近付く 巨大な何かはタブンネに近づくとその足に噛みつき、そして水面へと勢いよく上がっていく 急に勢いよく引っ張られたタブンネは再び意識を取り戻した 水面から美しいポケモン、ミロカロスが飛び上がる ミロカロスはキラキラと光を反射する水滴をまとい、その姿はまるで人魚のようだった ミロカロスは水に潜るのと同時に先ほど捕まえたタブンネを水面に勢いよく叩きつける おおよそコンクリートに叩きつけられたのと同じくらいの衝撃をタブンネは喰らう 背面を叩きつけられ背骨や頭蓋骨が砕け、タブンネは水に浮きながら絶命した ミロカロスは異物が気に入らなかったのであろう、その姿に若干の不満を残しつつも再び水中へと潜った そこにはおおよそ水ポケモンとは無縁な、タブンネの水死体が残っただけだった
https://w.atwiki.jp/keikenchi2/pages/691.html
ジャイアントホールの内部の草むらを一匹のポケモンが子を抱え逃げ回る そのポケモンを二匹のポケモン達が追いかけていた 一匹は黒をベースとしたポケモン、ブラッキー、もう一匹は黄色をベースとしたポケモン、ピカチュウだ それぞれトレーナーから指示を受け、共に狩りをしている最中だ 逃げ惑っているポケモンは熱を出し辛そうにしている我が子の額を撫でながら息を切らし逃げ惑う しかしピカチュウに回り込まれ、逃げ道をふさがれてしまった 逃げ回っていたポケモン、タブンネは一瞬たじろぐが、すぐさま方向を変え逃げようとした しかしそれは遮られてしまった、背後でブラッキーがくろいまなざしを使った 普段の目の色とは違う、どこまでも深い暗黒のような眼でブラッキーはタブンネをじっと見つめている これによりタブンネはピカチュウとブラッキーから逃げられなくなってしまった タブンネが後ろを向くと、ピカチュウとブラッキーは少しずつにじりよって来ていた ──逃げられない‥‥どうして‥‥っ!?── タブンネはその場にへたり込み、恐怖した するとピカチュウとブラッキーの後ろから一人の人間が現れた ピカチュウとブラッキーのトレーナーだ、トレーナーはピカチュウとブラッキーの間を遮りタブンネへと近づく その顔には微笑みが浮かんでいて、タブンネは一瞬安堵した しかしそれもつかの間だった、タブンネはトレーナーに顔面を蹴られその場に倒れてしまった トレーナーはその際に熱を出し苦しむタブンネの子供を汚物のように掴みとる まだ片手で持てそうなほどの大きさの子タブンネは顔を紅潮させて、息を切らしていた タブンネはすぐさま立ち上がりトレーナーの足に縋りつく ──お願いします、この子だけは助けてください── 鼻血を垂れ流しながらタブンネは懇願するが、ポケモンの言葉など人間に分かるはずがない トレーナーはタブンネを振りほどき、再びブラッキーとピカチュウの間を通り、二匹の後に立った 「子供を返してほしかったらその二匹を倒して見ろ」 その言葉が通じたのかどうかは知らないが、タブンネは立ち上がりピカチュウへ捨て身タックルを繰り出した それをピカチュウはひょいと避ける、反動で無様に転んだタブンネだがすぐさま立ち上がり再び捨て身タックルを繰り出した しかし何度やっても捨て身タックルは当たらない、愚鈍なタブンネがどれだけそれを繰り出したところでピカチュウにそれが当たることはなかった ピカチュウは必死なタブンネをまるで闘牛のようにもてあそぶ、ひらりひらりと華麗に避けるその様はまるで本物の闘牛士のようだった 必死なタブンネをもてあそんで数分たった、肩で息をしながらそれでものろのろとすてみタックルを繰り出すタブンネにピカチュウはいささか飽きたようだ ため息を一回つくと、ピカチュウは尻尾を鋼鉄のように硬くし、そしてそれをタブンネの腹部に叩きこんだ 見事にアイアンテールが決まり、鈍い音が鳴ってタブンネは上の方へ飛ばされた 鋭い弧を画きタブンネは地面に叩きつけられる、倒れこむと腹を抑えその場でのたうち回り始めた トレーナーとピカチュウはそれをみてケラケラと指をさし笑った タブンネは悔しさと不甲斐なさと恥ずかしさでどうにかなってしまいそうだったが、それでも子のため、再び立ち上がった トレーナーの手の中で苦しそうにあえぐ子供の姿を見て、タブンネは奮起する その前に、最大まで鈍いを積んだブラッキーが立ちはだかった 素早さを犠牲にし、肉体を鍛え上げたブラッキーは、その威圧感だけでタブンネの心をへし折る 先ほどの奮起はどこへやら、タブンネはその場にへたり込み、そして助けを求めた ──お願いです、子供を返してください、助けてください── ミィミィと涙を流しながら懇願するタブンネ、その姿を見てトレーナーは厭らしい笑みを浮かべた トレーナーはブラッキーにくろいまなざしを解除するように指示する ブラッキーはくろいまなざしをやめ、タブンネははれて自由の身になった 身にまといつく何かが消え去り、タブンネは希望に満ちた表情でトレーナーの方を見る しかしその顔はトレーナーを見て一変した タブンネの視線の先のトレーナーは大きく振りかぶり、そして勢いよく子タブンネを遠くへ投げたのだ 緩やかな弧を画き遠くへと飛んでいく子タブンネ タブンネがそれを追いかけようとした瞬間強烈な衝撃がタブンネの背中を襲った 背骨はメキメキと音を立て粉砕し、内臓が風船のように破裂していく タブンネは肉片混じりの血を吐きだしながらその場に前のめりに倒れた、腹部がまるでミンチのようになっており、もはや助かるすべはなかった 息切れしたタブンネよりもゆっくりとした動きで、ブラッキーはタブンネに近づく ブラッキーが追い打ちを行ったのだ ブラッキーはゆっくりとタブンネの上に乗り、そして腰を据えた タブンネはもはや苦しむこともできなかった、薄れていく意識の中で、ただ最後まで我が子を心配していた そんなタブンネは微弱な電気ショックが流れる 絶命しかけたタブンネはショックで目を覚まし、倒れた状態で見上げる そこには子タブンネを口に咥えたピカチュウが居た タブンネは目を見開き、我が子へと手を伸ばす それを見たピカチュウは子タブンネを空中へと放り投げた 緩やかな動きで宙に浮くタブンネにピカチュウは雷を放った 小さな雷雲から雷が落ちる、それは雷雲の真下に居た子タブンネへと直撃した 空中で雷を喰らった子タブンネは叫び声をあげることもなく、落ちてきた 黒ずんだ炭になった我が子を見てタブンネは目を見開き、絶望の中その命を落とした ブラッキーとピカチュウはそれぞれトレーナーの元に駆け寄る トレーナーは二匹にミックス・オレを与えて、ジャイアントホールを後にした
https://w.atwiki.jp/keikenchi/pages/347.html
最近タブンネ狩りにはまった。ここ数ヶ月はタブンネを狩るために毎日草むらに入っている。 タブンネを見つけては倒し、見つけては倒し……その繰り返しだ。 今日も相棒のカイリキーを連れて草むらに入る。すると、いつものように草むらがガサゴソと揺れた。 ――毎日毎日狩り続けているのにいつも草むらが揺れる。タブンネには学習能力が無いのか?脳味噌が糞になってるのか?―― などと考えながらカイリキーを揺れる草むらに向かわせた。この頃はタブンネがエンカウントする時に見せるあの顔にイライラしてきたので草むらに直接攻撃している。 しかしカイリキーは草むらに入ったまま出てこず、そのうち草むらは揺れるのを止めた。 まさかやられたのでは、と不安になった。サイコキネシスを使う野良タブンネに会ってしまったのかと思いながら動かない草むらに入る。 すると思いがけない光景が目の前に広がった。 「ピュッピュッ♪ピュッピュッ♪」 なんと、耳と手の無いタブンネのようなポケモンがカイリキーの尻に出入りを繰り返していた。カイリキーは気絶している。 『あ!やせいのマランネがとびだしてきた!▼』 これがマランネか……噂は聞いていたが本当にいるとは思わなかった。 このままでは自分も危険だ。カイリキーに夢中になっているマランネにクイックボールを投げる。 『やったー!マランネをつかまえたぞ!▼』 『マランネのデータがポケモンずかんにとうろくされます!▼』 ……実際は図鑑には登録されなかった。都市伝説レベルのポケモンだから当然である。何しろデータ以前に存在が確認されていなかったのだ。 しかし、かといってこいつを研究所に送って研究材料にさせるのも何故か気が引けた。 奇妙だが、狩りを楽しんでいたはずの自分なのにマランネに情を移してしまったようだ。 とりあえずこいつを家で育てることにした。餌や生態が気にかかるところだが……。 『マランネはそのフォルムから、神話の世界においてはアルセウスの性器であるとされ……』 『マランネが初めて発見されたのは17世紀のフィオレ地方と言われています。サマランドの遺跡に……』 『マランネ様の精力をあなたに!今なら限定100名様にマランネ様グッズを……』 ネットで調べたが、マランネ自体はそれなりに知られていても詳しい情報は誰も知らないようだ。 どうにも信憑性に欠けるところが多い。大体フィオレ地方にタブンネがいるわけねーだろ。それに何だマランネグッズって。 「ミッピュッ♪」 「ニタァ……」 「ミ゚ュッピュッ♪」 当のマランネはマッギョの上に乗って無邪気に遊んでいる。見た目はアレだが可愛らしい。 「キェェェェェェァァァァァッ!!!!!!」 「ピュッーーッ!!」 マッギョが放電するとマランネの頭から白濁液が飛び散る。掃除するのが誰かをわかってほしいものだ。 萎びたマランネを尻目に再びマウスのホイールを回すと、興味深いサイトを見つけた。 『マランネに認められるその特異性』 このサイトを見て、マランネに対する疑問や不安が解消した。 『マランネは基本、タブンネと同じように木の実を食する。研究者ミイミイハウスの実験によるとオボンの実に……』 『マランネは陰部に膣を持ち、陰茎は持たない。ただし頭部が陰茎状になっており、交尾の際は……』 『マランネの腕部は肩から消失しており、これは繁殖を助けるための合理的……』 『また耳が耳管ごと消失しているが、これについては皮膚からの振動により音を……』 『脳と海綿体が同化しており、陰茎状頭部の収縮で思考やホルモン分泌を……』 このSSだけの嘘設定なのであまり気にしないで欲しい。 なるほど、マランネは卑猥なこと以外はタブンネと同じような生態というわけか。 気づいたらもうこんな時間だ。パソコンの電源を切り、マッギョの上で寝ているマランネの頭を拭いてやる。 そして湯冷ましを飲み干してからソファの上で本を読んでいるといつの間にか寝息を立ててしまった。 続く。 朝が来た。タブンネを狩りに草むらに行こう。 草むらの中にはいつものようにガサガサと揺れているところがあった。 今日は珍しく、ポケモンを出さずに揺れる草むらへ向かった。 いつもならすぐに攻撃するのだが、もしかするとマランネの仲間がいるかもしれないと思うと気が進まなかったからだ。 「ミッミッ!」 『あ!タブンネがとびだしてきた!▼』 なんだタブンネか、遠慮なく狩ってやろう。 『いけっ!カイリキー!▼』 目の前の1メートル弱ほどのタブンネにカイリキーが突っ込んでいく。そして真っ直ぐに爆裂パンチを喰らわせるのだ、いつもなら。 タブンネの体が青白い光を纏った瞬間、カイリキーは大きく吹き飛ばされていた。 『タブンネのサイコキネシス!きゅうしょにあたった!こうかはばつぐんだ!▼』 『カイリキーはたおれた!▼』 よく見るとタブンネの左耳に「タブちゃん」と書かれた汚いタグが付いていた。タブンネはそれ以上に汚い笑みを浮かべながら得意気にしている。 「ミッミッミィ♪」 そういえば『やせいのタブンネ』と表示されていなかった。こいつは野良タブンネだ。 大方、飼い主の手に余るようになって捨てられたのだろう。醜い脂肪が醜い顔をさらに醜く歪ませている。 妖精・天使・純心などというタブンネらしさはこいつには最早微塵も見られなかった。 カイリキーを回収し、新しくキリキザンを出す。鋼の体と悪の刃には猪口才なエスパー技など通用しない。 キリキザンは獲物を前に嬉しそうに抱き締めるようなポーズを取った。スライスしてやるつもりらしい。 タブンネは「ミィィィッ!!」と叫びながら突っ込んできた。 キリキザンは、マヌケめ……とでも言いそうな顔でタブンネを待ち構える。 しかし、捨て身タックルをしてくるという読みは外れた。 タブンネが突っ込んできたのはタックルするためではない。至近距離から確実に「獲物」を仕留めるためだった。 『タブンネのかえんほうしゃ!きゅうしょにあたった!こうかはばつぐんだ!▼』 『キリキザンはたおれた!▼』 「ミッミッ!フミィィィン!!」 想像してほしい。 タブンネに手持ちのポケモンを2体も倒されたのだ。 そいつは金切り声のような勝利の雄叫びを上げながら持っている木の実をグジャグジャと貪っている。 こんなカスみたいな奴に手持ちのポケモンが2体も倒されたのだ。 こんなことをされて頭に来ないトレーナーなど、果たしているだろうか? 何としてもこのゲスを八つ裂きにしてやりたいが、悔しいことに手持ちで今戦力になりえるポケモンはもういなかった。 タブンネは――お前なんかいつでも殺せるんだぜ――とばかりに「ミヒヒッミッ」といやらしく笑いながら近付いてきた。 そして反撃のチャンスを与えない無慈悲なタブンネの私刑が始まった。 短い腕だが急所を正確に狙ってくる。鳩尾を打たれて立てない人間に容赦無く攻撃をするタブンネは邪悪そのもの。何度も何度も殴り付けてきた。 強力なサイコキネシスで地面にめり込まされ動けない。すると周りの草むらや木の影から夥しい数のタブンネの群れが現れた。 「ミッミッ!」 「ミッミッ!」 「ミッミッ!」 殺せ!殺せ!殺せ!……と言っているようだった。その声に更に増長したゲスタブンネは手に赤い光を集める……。 目の前が真っ暗に……。 「ピュッピュッ!」 「ミィッ!?」 目を開けると、そこにはマランネが立ち塞がっていた。まだレベルは低かったが、その勇姿は伝説のポケモンのように気高く、雄々しく、そして剛直だった。 「ミブィヒヒヒヒヒィィィ!!」 タブンネ達はマランネに嘲笑を浴びせた。ゲスはニヤリと口角を上げ、マランネに迷わず火炎放射を浴びせた。 マランネの体が炎に包まれた。ゴオゴオと燃え盛るマランネを見てタブンネ達は勝利を確信した。 しかしマランネは依然として倒れることは無く、その姿は崇高ですらあった。 マランネは火の矢の如くゲスに一直線に飛び出し、なんと性器へ頭を突き刺した。 「ブギギャアアアアアアアッ!!」 一瞬にしてゲスは炎上した。マランネのピストン運動に合わせて性器がビヂビヂと音を立てながら裂ける。ちなみにゲスタブンネはオスである。 そして、マランネが「ピュッ!」と小さく鳴くとゲスは急に静かになった。 歯を食い縛り目の焦点が合っていない顔がベゴンと歪むと頭頂部から大量の白濁液を噴き上げた。周りのタブンネ達が凍り付く。 降ってきた白い雨を浴びるとマランネを包んでいた炎が消えた。マランネは余り皮が少し煤けただけで無傷だった。 タブンネの「さいせいりょく」と「だっぴ」のような治癒効果を併せ持つマランネだけの特性、「じかはつでん」。マランネは射精する度にどんなダメージも回復してしまうのだ。 タブンネ達はパニックに陥り逃げ出そうとしたが、ゲスの放った火が草むらを囲むように燃え移り、既に逃げ場を無くしていた。 「ピュッピュッピュ---ッ!!」 マランネは怒りに満ちていた。かつて自分を迫害したタブンネへの怒り。そして初めて自分を必要としてくれた人を傷つけられたことへの致命的な怒りだった。 マランネは一匹のタブンネに頭を突っ込み射精した。するとタブンネの体がみるみる膨らみ水風船のようになった。 放たれた風船タブンネは破裂するまでに大勢の仲間を滅茶苦茶に叩き伏せ、仲間もろとも生臭いミンチになった。 残りのタブンネ達にマランネが襲いかかり、一匹一匹に死の極太注射をする。 最後の一匹に風呂釜一杯分ほど射精して大爆発させるとマランネはすっきりしたようで頭が萎びてきた。 草むらも全焼、近隣のタブンネは皆殺しだ。 「守ってくれてありがとう。これからもよろしく、マランネ」 「ピュッピュッ♪」 ヌルヌルする頭を撫でて笑いかけたが、カイリキーとキリキザンのことを思い出したのですぐにイカ臭い焼け跡を後にしてポケモンセンターへと向かった。 こうして人間とマランネに友情が生まれた。彼らはこれからも仲良くタブンネを狩り続けるだろう。 「ピュッピュッ♪」 「ミギャャアアアアアアッッ!!」 おわり マランネさんカッコイイなぁ、惚れるぜ♂ -- (名無しさん) 2012-05-18 12 12 31 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/keikenchi/pages/127.html
*** バラの香りのシャンプーで体をきれいにしてもらって、タブンネにピッタリのかわいいベッドで眠ったらすぐに朝になったんだ。 朝食はタブンネだけみんなより大きなオボンの実。 今日からおしごとするからいっぱい食べなきゃね。 他のタブンネさんはまだ緑がかった熟してないオボンの実をたべて、お外に出たよ。タブンネもついてくとおそとにご主人様が立ってたの。 畑にタブンネさんが一列に並んでて、そのタブンネさんたちの子どものタブンネちゃん達はお外にある水がたぷたぷに入ったプールの中にシビルドンさんと一緒にひとまとめに入れられてたの。 きっとシビルドンさんは保母さんなのね。 あれ?でもみんな目をつぶって震えてるミタイ。 ご主人様は大きな声で、 「タブンネ共、あなをほれ!」 そのかけ声に大人のタブンネさんたちは一斉に畑に潜ったよ。 肉体労働してご主人様に恩返しするんだね。タブンネはナースさんでよかった。 穴をほりながら畑をたがやしてるけれど、みんな次第に疲れてきてペースが落ちちゃってきてるみたい。 すると、ご主人様は穴をほっていたタブンネさんたちがみている前で、子どもタブンネちゃんたちがいるプールのほうに向かって、 「シビルドン、放電だ!」 っていったの。 え?!そんなことしたら… チビちゃんたちは… 「ミギャァァァァァ!!!!!!!」 「ピヒャァァァァァァァァァァ!」 ち一斉に悲鳴をあげたの! もちろん大人タブンネさんたちも「やめてぇぇ!!!子どもだけは…!」って泣きながらさけんでる。 子どもタブンネちゃんたちはシビルドンさんの放電でおててやあんよがピリピリしびれてるみたい! するとご主人様は、 「働かざる者食うべからず!しっかり耕せ!」 って怒鳴って、また大人タブンネ達に穴をほらせたの。 ご主人様…こわいよぅ… タブンネはチビちゃんたちにいやしのはどうをしてあげたけど、みんなまたすぐに震えちゃってるの、どうしよう…どうしよう… いやしのはどうじゃ、体力は回復してもまひはとれないんだ! どうしよう…うまく泳げなくて溺れかけてるチビちゃんがいっぱいいるの! 「ミィバァ!」「ミボッ!」「ミュヒ!」「ミィビ!」「ミバァ!」「ミ!」「ミ!」 あちこちで溺れたチビちゃんたちの悲鳴がこだましてる、なんとかしなくちゃ… 一番手前にいた沈みかかったチビちゃんを抱きかかえてタブンネが微笑んであげたの。 そうしたらタブンネのいやしのこころでしびれがみるみるとれたみたい!ヨカッタ。 すると他のチビちゃんたちも「わたしも!わたしも!」っていうようにタブンネのほうに手をバチャバチャさせてるの。 「ちょっとまってねぇ」って声かけながらひとりずつ抱き上げようとしいたんだけど、ご主人様がタブンネの腕をギッチリにぎってるの! なんで?!早くしないとチビちゃんが… 「タブンネちゃん、みんなでせっかくプールで遊んでるんだから邪魔しちゃダメだよ!ほら、いますぐその子をプールにもどしなさい!」 って命令するの!そんな…この子たちは苦しんでるんだよ?今プールに戻したら… 「あれ?言う事聞けないの?じゃ、タブンネちゃん、ナース失格だ!あいつらと一緒に穴ほりしてもらおうか…?!」 そういってニヤって笑うの…いやいや!タブンネはママとおんなじナースさんでいたいの、穴ほりなんてムリ…。 タブンネはさっき救い上げたチビちゃんをそっとプールに戻したの。 チビちゃんは「やーー!プールやー!ママーーパパーー!」って泣いてるの。 ごめんね…。 背後からは大人タブンネさんたちの怒鳴り声があちこちから聞こえてくるよ…。 「やめて!プールにもどさないで!死んじゃうじゃない!」 「なんで全員助けてやらないんだ!ナースだろ!」 「いやしのはどうのせいで苦しむ時間が増えてるだけじゃないのか!」 みんなみんなタブンネを責めないでよ…タブンネだって苦しいの…。 「さすがトクベツなタブンネちゃん!主人の言う事をちゃんと聞いて、エライね。」 そういってご主人様は笑顔でタブンネの頭をナデナデしてくれたけど…。 大人タブンネさんたちはタブンネのことみて睨んでる…こわいよぅ…。 ご主人様は、 「今から2往復!遅かったヤツのガキにシビルドンの放電を再度くらわす!ガキの為にもしっかり耕せ!!」 ご主人様の言葉を合図に一斉に大人タブンネさんたちは穴をほりだしたの。 パパタブンネさんたちは早いけど、ママタブンネさんたちはみんな1往復終えたあたりでヨロヨロしてるみたい。 タブンネはいやしのはどうをつくってみなさんに届きますようにって気持ちを込めて投げたんだけど、ご主人様が… 「ナースタブンネちゃんからのプレゼントで元気になっただろう!もう1往復追加だ!しっかり働け!」 って叫んだの!そんな…大人タブンネさんたちは一様に「余計なことすんなよな、ナースタブンネ!」っていう顔でタブンネをひと睨みしてまた穴を掘り出したの…。 タブンネは…タブンネは…みんなの疲れをいやしたかっただけなのに…。 3匹のママタブンネさんだけがまだあと1往復残ってる。 がんばって!タブンネは見守るしかできなかったの。 ママタブンネさんは最後になるまいと必死、なってるけど結局全員同着だったの。 この場合は全員シビルドンさんの放電はなしなのかなっておもったら… 「なさけない、お前らの仲間はこんなに愚鈍なのか!あきれたぜ。バツとして、連帯責任で全員のガキに放電だ! 文句あるならこいつらに言え!シピルドン、放電しろ!」 そ、そんな!!みんながんばってたのに…。 シビルドンさんはチビちゃんたちに無関心みたいで平気なカオで放電したの! 「ミギャァァァ!」「ピィヤァァァァ!」「ミュヒィィィィ!」 チビちゃんたちの悲鳴は畑じゅうに響き渡り、その声を聞いた大人タブンネさんたちも、 「イヤーーー!」「まだ、まだ赤ちゃんもいるのよ!」「やめてーーーー!」「心臓が破裂しちゃうわー!」 って叫びながら、土の上で気を失ったり、倒れたたりしてる! タブンネのいやしのこころは張り裂けそう…。 ご主人様は、 「さ、ガキタブンネと親タブンネのケア、ヨロシクネ。」 そう言い残してシビルドンさんとどっかいちゃったよ、そんな…。 ひとまずタブンネはチビタブンネちゃんたちをまずプールからひきあげていやしのはどうをしたけれど、タブンネのいやしのこころじゃ、しびれがとれない子もいたの。 どうしよう。お薬もないし…くすん。くすん。 大人タブンネさんたちにもいやしのはどうをしてあげたけれど…。 気がついてタブンネが微笑みかけてもプイッてするの…なんでなの? プールの外で「ミシュン!」「ミシュン!」ってくしゃみしてるチビちゃんたちをつれてみんなお家に帰っていったけど、誰ひとりタブンネに「ありがとう」っていってくれるひとはいなかったの。 タブンネのママはいやしのはどうをしてあげるとみんなに感謝されてたのにナ…。 *** 夜になってお布団で寝ていたけど、タブンネさんたちの声が聞こえて目が覚めたの。 窓のそとをのぞくとトラックが止まってたけど…あれは? ご主人様と知らない人間の声が聞こえてきたので耳をすましてみたら、 「この4匹は筋肉と脂肪のバランスがちょうどいい頃かな、これ以上育つと肉質が落ちる。今が一番だな。」 「いやぁ~、ここのタブンネは本当に素晴らしいです!野生のタブンネでは到底つかない筋肉と、それを包む脂肪! この脂肪も良質な木の実を食べないとできませんからね!フーズじゃ薬臭くてありゃダメだからなぁ。助かります。」 その二人の会話を聞いてる4匹のタブンネさんたちは 「子どもがいるの!」「いやーーー!赤ちゃんとはなれたくない!」「おねがいだから、逃がしてくれぇ!」 と叫んでる!お外のトラックはもしかして………。 「じゃ、高値で引き取らせていただきます。」 そういって4匹に催眠術をかけてトラックに運びだしてしまったの! そんな、そんな! その4匹の子どものタブンネちゃんたちにご主人様は、 「一生、会う事はないんだ、最期に声でもかけてやれ」 というと、チビちゃんたちは一斉に 「ママーー!ママー!」「パパいかないでぇ!」「ママー!」「パパおきてぇ!」 って泣きながら必死になって叫んでるの。 タブンネはキュッとお耳をふさいで目を閉じたけどポロポロ涙がこぼれてくるの。 チビちゃんたちの鳴き声はいつまでもいつまで続いていて、苦しいよぅ。 ピカっとライトがついてトラックが走り去ってもチビちゃんたちの鳴き声はやまないまま朝を迎えちゃったの…。 *** ご主人様の畑は、半分がオボンの実が植えられていて、残りの半分は何も植えていない畑。 今日はオボンの実のなってる畑のほうでお仕事するみたい。 大人タブンネさんたちは夫婦一組でカゴを持たされてる。 チビちゃんたちはそれぞれの子どもごとに瓶にいれられているの。一応小さな空気穴はあるみたいだけれどみんな苦しそう…。 昨晩親を失ったチビちゃんたちは、 「親のかわりに今度はお前らが畑にでろ!」 といわれてちいちゃな体で畑の方に向かわされてるの…。チビちゃんたちの中にはまだヨチヨチ歩きの子もいるのに…。ご主人様は、 「カゴにオボンの実をありったけつめろ。一番少なかったヤツの子どもは、瓶の中にスカタンクのどくガスをまく! 昨日親ナシになったチビどもは10個以上とれなかったらオマエらも瓶づめにしてどくガスだ!いいな!」 その言葉を合図にみんな一斉にオボンの実の採取をはじめたの。 大人タブンネさんたちは我先に実をむしりとっていくけど、チビちゃんたちは採ろうと手を伸ばすとすぐ他の大人タブンネさんたちに採られちゃって結局1つしかカゴにいれられなかったみたい。 「ごめんなさい!」「やーーー!やーー!」と泣きわめくチビちゃんたちをご主人様はスカタンクさんといっしょに瓶にいれ、 「スカタンク、どくガスだ!」 といって命令したの!チビちゃんたちは走り回って体力もおちてるのにスカタンクさんのどくガスでみるみる青い顔になっていっちゃってる! しんじゃう…このままじゃしんじゃうよ! 「…ッミ…ミ……」「ミヒュ…ミヒュゥ…」 チビちゃんたちのうめき声がタブンネのアタマの中でサイレンみたく鳴り響くの… タブンネは瓶越しにいやしのはどうをするけれど、ガラスが邪魔してチビちゃんたちに届かないよぅ…。 せめてタブンネのいやしのこころでどくがとれれば!っておもって瓶にすがりついたけど、タブンネの思いは届かなかったみたいでチビちゃんたちは瓶の中で折り重なるように倒れていったの…。 この子達には心配してあげるひとがタブンネしかいないのに…タブンネなにもできないよ…。 どんどんどくがまわりだして、瓶の中のチビちゃんたちの心臓の音、弱くなっていってるの!しんじゃう!しんじゃうよう…! ご主人様が全部の瓶のふたをあけてくれたけど、どくが回ってるチビちゃんたちだけは起き上がってくれないの…。 いやしのはどうをしても、すぐにまたぐったり…。 ご主人様、おねがい、お薬あげてちょうだいよぅ…って涙目でご主人さまの足元にすがりついたけど、 「それはキミのおしごとだよ。いやしのこころがちゃんと発動したら、どくは消えるだろう?がんばって!」 そういって他のタブンネさんたちとお部屋に入って行ったの。 ご主人様、この子たちにはママもパパもいないのよ…。 タブンネはなきながらいやしのはどうを撃ち続け、なでなでしてあげたけど。 4匹中、1匹の坊やだけは回復してくれなくてそのまま冷たくなっちゃったの。 タブンネ…ママみたくみんなを治せないよ…ママ、お知恵をかしてほしいよぅ。 冷たくなっちゃった坊やをタブンネのお部屋にコッソリつれていってタブンネはいっぱいいっぱい泣いたの…。 サファイヤみたいなタブンネの自慢の瞳はルビーのように赤くなっちゃった…。 *** ご飯の時間だけど、タブンネはお部屋を離れるわけにはいかなくてご主人様のノックを無視してたの。 でもそんなタブンネの様子にご主人様は気付いたみたい…。 ドア開けられないように必死になって手でおさえたけど、ご主人様の力には勝てなくてお部屋にはいってきちゃったの。 どうしよう… 「タブンネちゃん、この子、冷たくなっちゃったねぇ。どうしてかな?」 ご主人様の声がいつもと変わらず優しい。タブンネは上目遣いして涙をポロポロこぼしながらご主人様を見つめたの…。すると、 「タブンネちゃん、ナースさんのお仕事、いやだったのかな?」 って。タブンネは首を横にふってちがうちがうってしたけれど、 「大事な大事な子タブンネちゃん、死なれちゃ困るんだよね…」 わかってる!タブンネだって坊やに生きていてほしかったの!だけど… 「そうだ、僕ね、明日誕生日なんだ!僕にも、バースデータブンネ、手に入るんだ。キミみたいな無能な子じゃないといいんだけどね。」 え……どういうこと…?それじゃナースがふたりになるの??? タブンネがオロオロしてると、 「同族を殺すようなナースじゃ困るから、キミは明日から畑に出てもらうし、この部屋も新しいバースデータブンネちゃんのお部屋にするから、とっとと出てけ!」 そんなそんな、まだタブンネ、新米ナースさんだよ?イヤイヤ、ナースさんでいたいよぅ! ご主人様にすがりついたけど、ご主人様はタブンネのあたまにちょこんとのってるナースキャップを強引にはずして 「キミはもう、トクベツなタブンネじゃないんだよ」 っていってタブンネをお部屋から引きずりだしたの。 いやぁ、タブンネのナースキャップ、タブンネのなのにぃ!!!! 泣きながらお部屋を追い出されたタブンネは他のタブンネさんたちのお部屋に入れられたの。 とてもせまいへや。周りを見ると、みんなタブンネに背を向けてる。 タブンネも仲間にいれてよ…。 さっき助けたチビちゃんがいたからニッコリ笑ってみせたけど、 「おにいちゃんを殺しといてヘラヘラすんなよ!」 っていって他の大人タブンネさんたちの中にはいっていっちゃったの。 くすん…タブンネたすけてあげたのに…坊やのことだって助けようと一生懸命だったのに…。 タブンネが泣いてると、体格のいいママタブンネさんが、 「子どもがやっと寝たのに、アンタの鳴き声でおきちゃったじゃないの!そんなんだからナースもクビになるのよ!」 そう怒鳴ると、他のタブンネさんたちも「そーだ!そーだ!」っていってタブンネを笑い者にしたの。 息ができないくら悲しくてつらくて、いやしのこころが粉々にくだけちゃいそう…。 タブンネはバースデーリボンをキュッて握りながら、みんなの笑いが止むのを待つしか出来なかったの。 窓の外からその様子をみていたご主人様はすごく嬉しそう。 なんで?タブンネが仲間はずれにされてるのに…。 *** ご主人様はタブンネの大事な「いやしのはどう」を忘れさせて「あなをほる」を覚えさせたの。 またタブンネのちいちゃなおててからはあのあたたかくてやさしいはどうはでなくなっちゃってる…。 他にも「ふぶき」や「あまごい」「にほんばれ」をおぼえさせられて、タブンネさんじゃないみたいだよ…くすん。ご主人様の、 「ようし!穴をほれ!」 を合図に穴を掘り始めたけど、目や口に土がはいって気持ち悪くてすぐに地上に顔出しちゃった。その度にご主人様は、 「勝手にやすんでんじゃねぇ!」 っていってタブンネのあたまを土の中にグイッて押し込むの! ケフン!ケフン!土が鼻にはいってくるしいよぅ…。 そんなタブンネの姿を他の大人タブンネさんたちは嬉しそうに見て、わざとタブンネのほうに土がかかるように掘ったりするの…。 どうしてこんなひどいことするの?タブンネはナースさんじゃやなくなっちゃってすごく悲しいのに。 ご主人様は 「新しい穴ほりタブンネちゃんが全然はたらかないから、連帯責任!タブンネ、にほんばれしろ!」 タブンネはご主人様がこわくて震えるお手で初めて「にほんばれ」をしたの。 そしたら天気が燃えるように熱くなって立ってるのがやっとなくらいのカンカン照りに。 チビちゃんたちはちいちゃなビニールハウスの中に入れられていて、遠くから、 「あついよー!あついよー」「お水ほしいよー!」「ハァ…ハァ…」 っていう声が聞こえてくるの。大人タブンネさんたちはみんな 「おまえのせいで子どもが死んじゃうじゃない!」 「自分は子どもがいないからって平気な顔してんじゃねぇよ!」 っていってタブンネのほうにドロダンゴをベチャベチャなげつけてくるの…。 タブンネ平気な顔なんてしてないよ? おねがいやめてちょうだい!みんなのココロがトゲトゲしていてタブンネ、悲しいよぅ。 ご主人様は、 「3往復!!一番遅かった奴に全員でおうふくビンタだ!」 そのかけ声でみんなまた穴をほりだしたの。 タブンネも頑張ったけど、うまく進めなくて結局ビリになっちゃって…。 それからおうふくビンタをいっぱいされたけど途中で意識を失っちゃって気付いたら、夕焼けの畑の中にひとりでいたの。 目が覚めなければよかったのに…。 *** お部屋に入ると、バースデーリボンをつけたご主人様のバースデータブンネがいたの。 あ、タブンネのいもうとなんだね。タブンネは泥だらけのリボンを手で払ってみせてあげたけど、その子はタブンネのことみて悲しい顔をしたの。ご主人様が、 「あの子、お姉ちゃんたちに意地悪して、元のご主人様に捨てられたキミのおねえさんだよ!」 って言ったの!そんな…ひどいタブンネなんも悪いことしてないよ? タブンネは、 「そんなことしてないよ!信じて、お姉ちゃんの事信じて!」 って訴えたけど、いもうとタブンネは、 「ジョーイさんもママもボロボロのリボンみて泣いてたもんタブンネも悲しい。」 そういってポロポロ泣き出しちゃった!え! 「いもうとちゃんは優しくていいこだね、やっぱりナースさんにピッタリだ!」 その言葉をきいたいもうとはニコって笑ったの。 みんなタブンネのこと仲間はずれにするって思ったらタブンネ悲しくて、こっそりこのお家を出ようと決心したの。 ゆっくりゆっくり扉をあけて…見上げたらお月さまがタブンネにニッコリ微笑んでくれたよ。 ここを出て、ひとりで暮らすの、寂しいしこわいけど、きっとタブンネのこと大事にしてくれるひといるはずだもん、だいじょうぶ! って思ったのに、お外には見張りのヨルノずくさんがいっぱいいて、タブンネのバースデーリボンのエンブレムがキラッて光っちゃったから見つかっちゃったみたい! ヨルノズクさんたちの空気のやいばがタブンネの体中を切り裂くの! いやいやいやぁ、タブンネの体ボロボロなんだよ?やめてぇぇ!! タブンネの声を聞きつけたご主人様がやってきて、 「そんなに走りたいなら、明日はタブンネちゃんひとりで耕してもらおうか。」 そういってタブンネの尻尾を掴んで引きずりまわしたの。 いやぁぁ!タブンネ今ケガしてるのに!バイキンが傷口からはいっちゃうよぅ… う…う… タブンネ自慢のベビーピンクのカラダは汚れたぬいぐるみみたくなっちゃったよ…。 ツヤツヤな毛並みだったのに… *** 朝になってタブンネだけが畑に立たされたの。 他のタブンネさんやいもうとたちはご主人さまのうしろに並んでタブンネをみながら笑ってる…。 タブンネ、体中がボロボロなのに…立ってるのがやっとなのに…今すぐママにいやしのはどうしてもらって、あったかいブランケットに包まれながらねんねしたいのに…。 「今日はお前ひとりで畑を耕すんだ。お前はグズだから待ってたら夜中になる。だから、お前のあと追うように後ろからマンムーが歩く。 モタモタしてると踏みつぶされるから覚悟しろ、いいな。」 後ろをふりむくと目の周りが青くて大きなマンムーさんがのしのし地ならしをしてるの。 こわい、こわいよぅ。 「タブンネ、穴をほれ!」 う…ケホケホ…。土が目に入っていたいよぅ。傷口に土が入ってしみるよぅ。お耳の中にもドロが入ってきて気持ち悪いよぅ……。 でも、タブンネの後ろから地鳴りのような音をたててズシンズシンってマンムーさんがくるの。 いや!いや!土の中で死んじゃうなんて…。 苦しくて息つぎに顔を出したら、すぐ後ろにマンムーさんがいて、あわててまた土の中に入っちゃったからうまく呼吸が出来なくて苦しいよぅ…。 たすけて!ママ…ジョーイさん… 苦しくてミパッ!って息つぎに顔をあげたらマンムーさんの足がタブンネの体全体にのしかかったてきたの! いやぁぁぁからだ…タブンネのカラダ…バラバラになっちゃうよぉ………… 目をさますといもうとがいやしのはどうをしたあとみたいでなんとか起き上がる事ができたの。でも… 「ようし、マンムー、畑で頑張るタブンネにふぶきだ!」 そのかけ声でタブンネにむかって冷たい冷たい雪が突き刺さるように吹いたの! イヤァ…手が、手がカチコチになってるよぅ!タブンネのピンクの毛はつららみたく固まってるし、畑も固く冷たくなっちゃってるよ。 「タブンネ、穴をほれ!マンムーおいかけろ!」 タブンネが地中に入ろうとしたけど土がかたくてほれなくて… タブンネは何度も何度もマンムーさんに押しつぶされて、 その度にいもうとのいやしのはどうで起こされて…またつぶされての繰り返しで、 タブンネの体はまっすぐに歩く事もできないし、指先の感覚もないの…。 ぐすん…。ぐすん…。 かわいいピンクの肉球はつぶれていびつに変形してる…ポケモンセンターのみんなにナデナデされてたハートの肉球…くすん…。 大事なリボンはマンムーさんにつぶされちゃってエンブレムがボコボコになっちゃったの。 うう…タブンネ…なんでこんな目にあわなきゃいけないの…。 幸せになりたいだけなのに…。 ご主人様は畑の中で泣いてるタブンネの方にむかって歩いてきた。 今度はなにするの!? 真っ赤なプレシャスボールをもってタブンネの顔を覗き込んで、 「キミにひとついいことをおしえてあげよう。キミは自分はなんでこんなに不幸なの? って思ってるみたいだけど、その答えはひとつしかないんだよ。」 「それはキミが運がないだけ、ただそれだけなんだ。キミに限らず、 ポケモンはみんな運次第で幸せになるか不幸せになるかきまるんだ。 ジョーイさんの子どもだからトクベツなんてことはないんだよ。 現にキミは最初のトレーナーに捨てられたね。 もし、産まれてくるのが双子のいもうとより遅ければ違ったかもしれない、 キミの個体値が優秀だったら捨てられなかったかもしれない。」 「それから、バースデータブンネは誕生日を迎えたひとに贈られるタブンネなんだ。 だから他のひとが主になったって、その主が誕生日を迎えたら、主の為のバースデータブンネがあらわれる。 最初の主に捨てられたタブンネはがんばったって一番大事にされることはないんだよ。 キミのようにね!」 「あ、トラックがきた。唯一キミのこと必要としてくれる人が迎えにきたよ」 あれは、あれはいつかきたトラック…そんな、そんな… いやぁぁぁあ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! END
https://w.atwiki.jp/keikenchi/pages/1405.html
このタブンネたちには何一つ救いがないな -- (名無しさん) 2013-10-19 13 28 26 歳をとってもタブンネに幸せがないことがよく分かるな -- (名無しさん) 2014-02-23 02 59 03 歳を取ってもやっぱりタブンネはタブンネだな -- (名無しさん) 2017-05-10 10 11 39
https://w.atwiki.jp/keikenchi/pages/1251.html
流石に家が無くなると食べてる余裕もないんだね。近くに物陰が無い所を見ると狩られる立場でありながらそうとう目立つ場所にいたという危機感の無さはさすがタブンネ -- 名無しさん (2013-03-16 02 54 06) ママンネとチビンネのどちらが先に凍えてアボンするかしら -- 名無しさん (2013-03-18 20 31 06) せっかくデカイ焚き火があるんだから暖まればいいのにね。(52から)間もない日数だとすると中から香ばしい匂いが漂ってきそうだけどwww -- 名無しさん (2013-03-19 00 03 52) ヘビンネがやりました。 -- 名無しさん (2022-05-23 11 51 57) ママンネが死んだら火事は消えるよそしたらベビンネさんが燃えてくれます -- 名無しさん (2022-10-21 16 49 40) ひみつのちからで早く次作ればいいのに。これで子供を食べられて「私可哀想」って酔いしれるんだろうな。 -- 名無しさん (2024-06-10 15 42 00) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/keikenchi/pages/560.html
イッシュ地方ヤグルマの森― ここに住まう野生ポケモン達は、一週間ほど前にタブンネ一家に頭を悩ませていた。 最初のうちは新たな仲間が増えたということで森のポケモン達からも歓迎をされていたが、 森の木の実は底なしの食欲によりあっという間に食いつくされ、糞尿を撒き散らし、それを悪戯に投げつけたり、 注意したポケモン達はタブンネによる攻撃を受け怪我を負う。 放置しておくと今の森の生活は崩れてしまうだろう。 この惨状に耐えかねた森のポケモン達は、今後タブンネのことをどうするか話し合った。 結果、満場一致でタブンネを森から排除するという決断へと至った。 翌朝からタブンネ駆除作戦は執行へと移された。 先陣を切ったのはエルフーン、タブンネの親子を見つけるとふわふわと近寄っていく。 構成は母タブンネに加え、子タブンネが1匹。父タブンネは木の実をとりに出かけているのだろうか。 このままでは森は完全にタブンネに侵食されてしまうだろう。 さて、タブンネ親子はというとエルフーンに気づかず、クッチャクッチャと森の木の実を貪り続けている。 「こんにちは、タブンネちゃん。僕はエルフーンだよ お食事中にごめんねぇ~、あんまりタブンネちゃんのお子さんがかわいいからつい声をかけちゃった、 もしよかったら後でお子さんを抱っこさせてくれないかな?」 「嫌ミィ、タブンネちゃん一族以外にチビちゃんを抱っこさせるとチビちゃんが汚れるミィ、 それにここの森はタブンネちゃんのおうちだミィ!部外者は邪魔だからさっさと出て行くミィ!」 タブンネのその発言を受けて、エルフーンの顔は一瞬歪んだが再び笑顔で母タブンネの言葉に答える。 「へえ、タブンネちゃんのおうちなら仕方ないね。でもさあ、もう我慢できないんだよ。 タブンネちゃん、君のお子さんを僕にくれないかな?」 そう言うとエルフーンは親タブンネの足に向かってやどりぎのタネを撒いた。 瞬く間に親タブンネの足は蔓によって縛られ、身動きがとれなくなる。 「ミィ!?タブンネちゃんに何をするミィ!こんなことをしてただじゃ済むとは思うなミィ!」 タブンネはブヒブヒと抗議をし、すてみタックルで蔓を引きちぎろうとするが、 固く結びついた蔓は非力なタブンネに引きちぎれるはずもなく、母タブンネは壮大に転んでしまった。 「あはは、そんなブヨブヨの身体で僕の蔓が千切れるわけがないじゃん。 それじゃこのタブンネちゃんは貰っていくから、気が変わったら返してあげるよっ!」 エルフーンは子タブンネを抱えると森の湖へと向かっていった。 「まま、たすけてミィ!タブンネちゃん以外にはさわられたくないミィ!いやぁぁぁぁぁ!」 「チビちゃん!チビちゃん!!!!!!!チビちゃんが汚れるからさっさと離すミィ!」 「君たちよりは清潔な自信があるから、汚れることはないと思うよ。 僕も殺しなんて物騒なことはしないよ、こんなにかわいいお子さんを殺すわけないじゃん まあ気が向いたら返してあげるよ、それじゃあタブンネちゃんにサヨナラバイバイ♪」 「「「「「ミィィィィィィィィィー!」」」」」 タブンネ親子の悲鳴がヤグルマの森にこだました。 エルフーンはやがてヤグルマの森の湖に到着した。 「さあタブンネちゃん、到着したよ。それじゃあせっかくだし面白いことをしようか、ちょっとまっててね。」 エルフーンは子タブンネに声をかけると、そっとふかふかの葉っぱの下に子タブンネを降ろした。 「ミィ!はやくおうちにかえすみい!おうちにかえるみい!たぶんねじゃないぽけもんなんていや!」 「まあまあ、こんなにいい場所なんだしゆっくりしていってよ。ちなみに僕の名前エルフーンだから覚えてね。」 そう言いつつエルフーンはもこもことコットンガードを生成している。 「これはね、コットンガードっていって・・・と言っても分からないか。 それはさておき、タブンネちゃん喉乾いてるよね?うん、きっとそうだよね。ここの泉の水を飲みなよ。 「べつにのどはかわいていないミィ・・・それにタブンネちゃんはオボンのみのじゅーすしかのみたくないミィ! こんないずみのみず、きたないし、のんだらおなかこわしちゃうミィ!」 「そんな事言わずにとりあえず飲んでみなよ、呑まず嫌いはよくないよ、タブンネちゃん」 エルフーンはそう言うと蓮の葉で泉の水を掬いとって子タブンネの口に流し込んだ。 子タブンネはたまらず吐き出そうとするが、もこもことした何かに阻害されてしまった。 「好き嫌いはよくないなあ・・・タブンネちゃん?このコットンも泉の水も、残さず飲んでくれよ?」 先ほどエルフーンが生成していたコットンガードは子タブンネの口にねじり込まれていた。 エルフーンが泉の水を掬い、タブンネの胃に流しこんでいくたびに水は綿に吸われ、奥の方へと引きずり込まれていく。 「ミ・・・や・・・ミガァ・・・」 子タブンネは目に涙を浮かべながら小さな手足をばたつかせ抵抗するが、 その抵抗も虚しく綿はどんどん体の奥へと吸い込まれていく。やがて綿は先端が少し見える程度になっていた。 「まあこんな感じかな?タブンネちゃん、森自慢の水はおいしかったかい?まあそんな状態じゃ喋れないか。」 子タブンネはフゴフゴと鳴きながら、口元の綿に手を当ててそれを引っ張ろうとする。 「あ、その綿には触らないほうがいいよ?だって―」 子タブンネはその綿を動かした瞬間、涙を流して地面に這いつくばった。 「だってその綿、君の身体の中に入り込んでるからなあ!」 「まあ、そろそろ飽きてきたし、ママのところに返してあげるよ。それじゃあいこうか、タブンネちゃん。」 エルフーンは涙を流して未だ悶えている子タブンネを抱えて、先程のタブンネの巣へと戻っていった。 エルフーンがタブンネの巣に着くと、母タブンネは先程の場所に立ち尽くしていた。 身体には無数の擦り傷がついており、おそらく何度もすてみタックルで蔓を引きちぎろうとしたのだろう。 「ただいま、タブンネちゃん、いやあお子さんは本当にかわいいねえ。」 「ミィ!早くチビちゃんを返すミィ!返して私をこの蔓から離すミィ!早くしろミィ!」 「分かったよ、お子さんは気が変わったので返してあげる。 それにしても、まだその蔓切れてなかったんだね、情けないなあ。普通のポケモンならとっくに振り払ってる頃なのに。 まあ僕にもどうすることもできないしさ、頑張って!」 エルフーンはそう言うと、子タブンネを母タブンネへ向かって投げつけた。 母タブンネは蔓に足を取られて子タブンネを受け取ることができず、子タブンネは木に激突してしまった。 子タブンネの身体はささくれ立った木にぶつかり、木の皮により傷ついていった。 「だめだなあタブンネちゃんは、自分の子どもなんだからちゃんとキャッチしてあげないと。 もう一回いくから頑張ってキャッチしてあげてね!」 今度は見当違いの、茨の生い茂った場所へと子タブンネの身体は投げられた。 茨は子タブンネの血でところどころ赤く染まり、子タブンネは声にならない悲鳴をあげた。 「やめるミィ!どこに投げているんだミィ!パパが帰ってきたらただじゃおかないミィ、パパは強いミィ!」 「他力本願はよくないな、タブンネちゃん。ほら、キャッチできるまでチャンスをあげるから頑張って!」 そういうとエルフーンは再び母タブンネに向かって子タブンネを投げつけた。 これを繰り返すこと数回、ようやく母タブンネは子タブンネと感動の再開を果たすことができた。 エルフーンはそれを見て笑顔で、 「ママと会うことができてよかったね、おちびちゃん!ママとパパとお幸せにね!」とタブンネ親子を祝福した。 母タブンネは「チビちゃん、よかったミィ!本当によかったミィ!何かされなかったミィ? タブンネ以外の種族に触られちゃったし、後で体を洗わないといけないミィ!」 「・・・あれ?チビちゃん、口から何かゴミが出ているミィ。分かったミィ、これのせいで喋れないミィ? 今ママが取ってあげるから、ちょっと我慢しててミィ!」 母タブンネが子タブンネの口元の綿に触れると、子タブンネは必死の形相で首を横に振り、小さな手で母タブンネの手を押しのけようとした。 「チビちゃん、痛いかもしれないけど、チビちゃんのためミィ。後でオボンのみをあげるから我慢してミィ。」 母タブンネは綿を口から引っ張る。なかなか抜けないのか、母タブンネの手に力がこもる。 子タブンネは耐え難い痛みから白目を剥き、涙を流し口からは血の泡を吹いている。 母タブンネは子タブンネの口から異物を取り出すということに夢中でそれに気づいていない。 やがて血などを吸って重量を上げた綿は子タブンネの口からすっぽりと抜け、母タブンネは思わずその衝撃で尻餅をついてしまった。 「ふぅ・・・ようやくチビちゃんのキュートなおくちを塞いでいたゴミがとれたミィ、・・・ミィィィィィ!?」 母タブンネが一息ついて先ほど子タブンネの体から出てきた綿を見ると、そこには子タブンネの血で真っ赤に染まった塊があった。 「ゲボォォォォォォオォォォォォオォォォォオォ!」 子タブンネはショックから赤黒い血を口から噴水のように吐き出した。 「チビちゃん!チビちゃん!しっかりするミィ!」 母タブンネは子タブンネに近寄り、慌てて抱き上げる。 「ヒュー・・・ヒュー・・・ウゲェエェエエェェエエェェゲェエエェェ!」 子タブンネは母タブンネに抱き上げられた瞬間また大きく痙攣をし、白、黄色、赤―様々な色の入り交じったカラフルなゲロを吐き出した。 何度も木に叩きつけられたことにより、子タブンネの脆弱な体は内部からダメージを受けていたのだろう。 下半身からは未消化の茶色いオボンのみの残骸やこれまた内臓が垂れ流しになっており、 子タブンネと母タブンネは汚物と血と内臓まみれになっていた。 母タブンネは涙を流しながら必死に癒しの波動をかけ続けるが、損傷が酷すぎて回復する気配がない。 その光景を、エルフーンが爆笑しながら観察していた。 「ま・・・ま・・・ひど・・・ミ・・・」 子タブンネは目から血の涙を流し、全身を赤黒く染めながらそうつぶやくとやがて動かなくなった。 「チビちゃん・・・!?」母タブンネは虚ろな目をして子タブンネに触覚を当てると、引き攣った表情でその触覚を離した。 先ほど、エルフーンが来るまではあれほどまでに元気で生命の鼓動を感じさせてくれたチビちゃん・・・ その鼓動が、何も感じられないのだ。母タブンネは初めて感じる死の恐怖に凍りついていた。 「あーあ、タブンネちゃん、自分の子どもを殺しちゃった。ママ失格だね。 最後はきっと、まま、ひどいミィ・・・って言ってたんじゃないかなあ? それにしても、おちびちゃん、痛そうだったなあ。ママにキャッチしてもらえずにボロボロになって、 イヤイヤしてたのにママに体の中を引きずりまわされた挙句あんなに血を吐いてさぁ。 あ、僕は悪くないよ?おちびちゃんと森の泉で遊んで、綿でできたご飯をあげておいしい水をあげて、タブンネちゃんに返してあげただけさ。」 エルフーンは母タブンネに声をかけるが、本人は文字通り空っぽになった子タブンネを抱き抱えたまま放心状態だ。 「聞こえてないかなあ?まあ僕はそろそろ帰るね、 最後に言っておくけど、僕はこういう悪戯が大好きなんだ。よかったら覚えておいてね!それじゃ、サヨナラ!」 エルフーンは母タブンネと一瞥し、元の場所へと帰っていった。 母タブンネの慟哭は森へと響き続けた。その声と血の匂いを嗅ぎつけたのか、ペンドラーが母タブンネの前へ現れた。 ペンドラーの角が母タブンネの腹部に突き刺さる。角が抜かれると母タブンネの腹部には風穴が空き、 傷口は毒によりシュワシュワと音を立てて溶け始めているが、自ら子を殺してしまったということと最期の言葉が耳に焼き付いており、 全身を走る熱感と痛み以上に、そちらの方に気を取られていた。生きることを放棄した母タブンネは、 ペンドラーの口に入ると、咀嚼され背骨からバキバキと砕けて行った。 やがて母タブンネの体は完全にひしゃげ、ペンドラーの体内へ飲み込まれると、母タブンネはその一生を終えた。 母タブンネが最期に思ったことは、「チビちゃんごめんなさい」と、ただそれだけであった。 さて、父タブンネはというと― 木の実を探しに森を歩いていた途中、ドレディアに出会った。あたりはすっかり日が落ちていた。 ドレディアは笑顔でお辞儀をしながら父タブンネに挨拶をした。 「あら、かっこいいタブンネさん。よかったら私と一緒に踊っていかない?」 (か、かわいいミィ・・・!どうせ妻も子供も見ていないんだし、このチャンスを逃さない手はないミィ!) 「ミィ!ドレディアちゃんと踊れるだなんて、大歓迎だミィ!」 「ありがとう、それではかっこいいタブンネさん、私と踊りましょ♪」 ドレディアは父タブンネの手を取ると、くるくるとダンスを始めた。 父タブンネは短い足を動かしながらドレディアの動きに合わせていく。 「うふふ、タブンネさん、私の踊りはいかがかしら?」 「ミィ!とっても上手ミィ!かわいいしスタイルもいいし、うちの女房よりずっと・・・」 「あら、お嫁さんがいるのにそういうのはよくないわよ。そんなことより・・・私たちドレディアの得意な踊りって知ってる?」 「あんなのより、ドレディアちゃんのほうがずっといいミィ!・・・ドレディアちゃんの得意な踊り?それって何ミィ?」 「私たちドレディアの得意な踊りはね、・・・「はなびらのまい」よ」 ドレディアがそういうと、父タブンネの周りに美しい花びらが舞い始めた。 「さあ、タブンネさん、私と踊り続けましょう」 ドレディアは父タブンネの手を強く掴み、くるくると回りだす。 回るたびに父タブンネの体は花びらにより切りつけられ、花びらは赤色へと染まっていった。 「ミギャアアアアアアアアアアアア!痛いミィ!死んじゃうミィ!ドレディアちゃん、もっと優しくしてくれミィ!」 ドレディアは舞に夢中で周りの声は耳に入っていない。 回転はどんどん早くなっていき、さながら天然のミキサーのようだった。 「ミィアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」 父タブンネの切り傷はどんどん深くなっていき、あちこちに鮮血が飛び散った。 花びらと血は月明かりに照らされて降り、赤が血でなければさぞ美しい光景だっただろう。 やがてはなびらのまいが終わるころには、ズタズタになった父タブンネが転がっていた。 「ヒュー・・・ヒュー・・・」 父タブンネは喉をやられており、空気の漏れ出す音が静かな森へと響き渡った。 「あら、もうダウンかしら?だらしないタブンネさんね・・・」 父タブンネは力なくドレディアのことを見て、横たわり続けている。 「それじゃあ、最後の仕上げといこうかしら・・・」 ドレディアが父タブンネの腹部に向かってはっぱカッターをすると、腹はぱっくりと割れ内臓が露出した。 ドレディアはぽっかりと開いた腹部に枝を入れ、ぐちゃぐちゃとかき回すとその度に父タブンネは大きく痙攣し、血を吐き出した。 そしてドレディアが父タブンネの腸を引きずり出し、その腸が父タブンネの目に入ると、そのショックにより父タブンネは息絶えた。 「・・・貴方達が悪いのよ、この森を滅茶苦茶にしたんだから。」 ドレディアはそう言うと、自分の家へと帰っていった。 こうして森に越してきたタブンネ達は駆除され、ヤグルマの森に平穏な日々が戻ってきたのであった。 今後のヤグルマの森の平和も、ポケモン達によって守られ続けていくだろう。 タブンネちゃん、汚いの君たちだよ。www -- (名無しさん) 2014-06-13 17 31 34 名前 コメント すべてのコメントを見る