約 440,009 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8864.html
「SDナイトガンダム物語外伝」より円卓の騎士団を召喚 ゼロの円卓の騎士団-01 ゼロの円卓の騎士団-02 ゼロの円卓の騎士団-03
https://w.atwiki.jp/dai_zero/pages/50.html
第一章 光と影 第一話 ルイズと影 前ページ次ページゼロの影 一人の少女が杖を握りしめ、己の前に立ち上る煙を食い入るように見つめている。それを取り囲む者達はからかいと好奇心を混ぜた表情だ。 「まーた失敗か?」 「う、うるさいわね!」 彼女の名はルイズ。 トリステイン魔法学院にて日々勉学に励む将来有望な魔法使い――のはずだが、フライやレビテーションなど基本的なものすら使えず、生み出すのは爆発だけである。 当然他の生徒からは馬鹿にされ、ゼロのルイズと呼ばれている。 今日は使い魔を召喚する儀式が行われているが、成功を確信している者は一人もいない有様だった。 (お願い、お願いだから……!) 祈りが届いたのか、煙が晴れると一人の若者が倒れ伏していた。白銀の髪は長く伸び、青白い衣とも相まって神秘的な煌きを放っている。 「何だよ、人間の――平民じゃないよな?」 髪の下の耳はわずかに尖り、エルフに似ているのだがそれに気づく者はまだいない。 「神官か、貴族か……。さすがルイズ、俺たちにできないことを平然とやってのけるっ!」 単純な感嘆ではなく斜め上の意味が含まれていたが、彼女はふふんと鼻を鳴らし、それはもう偉そうにふんぞり返った。 もし彼が高貴な身分の者ならば、それを呼び出した自分の境遇は完全に変わる。今までの屈辱的な立場から逆に彼らを見下すことさえ可能になる。 彼らの傍らには幻想的という言葉が相応しい獣たちの姿があったが、それらに遜色ない異質な空気をまとっている。 凝視に応えるように若者の指が動き、ゆっくりと身を起こした。顔が露になり見た者が唾を呑む。整った相貌は冬の月を思わせた。目は閉ざされ、額には装飾品を連想させる黒い影が集っている。 唇からかすれた響きが漏れた。 「お許し下さい……バーン様」 (バーン様? 誰かしら) 今はとにかくコントラクト・サーヴァントを行うべきだ。歩み寄るルイズに青年は身構えようとした。 しかし、未熟な傀儡師が人形を操ったかのように動きがぎこちない。立ち上がりかけたところでルイズの唇が触れた。 若者は目の前の状況を理解しようと頭を働かせていた。 いつものように玉座の間に控えていたところ突然光り輝く鏡が出現し、主を庇おうとした際に腕が触れてしまった彼を吸いこんだのだ。 奇妙な感覚に襲われ、枷が幾つもつけられたかのように彼の体が重くなり――見知らぬ場所に放り出され、少女が歩み寄って来た時も思うように体を動かせなかった。 そのため反応が遅れ口づけを交わすこととなってしまった。 (バーン様、申し訳ありません) 真っ先に思い浮かんだのは主への謝罪の言葉。 大切な主の体に、それも唇に触れられるとは――考えられぬ失態に身を震わせる。 次に湧き上がるのは、怒り。 「よくも……許さぬ!」 端正な面からは想像できない激しい語調にルイズは思わず気圧され、一歩下がる。足を踏み出しかけた彼の体が揺れた。 「ぐああああっ!」 膝をつき、己が体を抱きしめ苦痛の叫びを上げる。 彼は弱点の光の闘気による攻撃以外痛みを感じぬはず。だが炎に焼かれるような苦痛が全身を責め苛んでいく。 その左手に不可思議な紋様が浮かび上がり、光が収まると彼は先ほどよりも怒りを燃え立たせながら立ち上がった。 突然主から引き離され、唇を奪われ、手に妙なものを刻みこまれた。 一連の異常な状況に疑問を抱くより先に罪人を裁こうとする。相手がか弱い少女であろうと容赦するはずもない。 だが、脱力感は残っている。 ふと口元に手を当てると指先に血が付着している。先ほど叫びを噛み殺そうとした際に唇を切ってしまったらしい。 (馬鹿な……封印と秘法が解けている!?) 彼はある秘法をかけられ、いかなる攻撃も受け付けない体だった。さらに、強大な力を主から封じられていたはず。 どうやらこの場に呼び出された際に両方とも解けてしまったらしい。 しかも力は解放されるどころか逆に弱まっているようだ。 少女に罰を下そうと指先を向けたが、鋼鉄の爪は伸びず漆黒の糸も出ない。彼そのものである暗黒闘気の力が使えない。 どの程度かは実際に戦ってみないとわからないが、力の低下は想像以上に深刻なようだ。 怒りが衝撃によって無理矢理冷まされ、ようやく己の置かれた状況に目を向ける気になった。先ほどからずっと主に呼びかけているが返事はない。 つまりここは――主の声が届かぬ、遥か遠い世界。 虚勢を張っているものの怯えを隠せない少女へ、感情を押し殺しながら言葉を吐き出す。 「早く私を戻せ」 「無理よ」 間を置かぬ答えに空気が不穏なものをはらむ。彼の全身から殺気が噴き出した。張りつめた糸を緩めようと教師のコルベールがルイズを庇うように進み出る。 「ミスタ、お怒りももっともですが一度契約した者を送り返すすべはないのです」 「契約だと? ……何を言っている? それにここはどこだ? 地上ではないようだが」 コルベールは青年の威圧感に汗を噴きだしつつ説明した。ここがハルケギニアと呼ばれる世界であること、トリステイン魔法学院であること。使い魔を呼びだす儀式や契約について。 沈黙をどう受け取ったかルイズは控えめに宣言した。 「つまり、わたしがあんたのご主人様ってことよ」 当初の予定ではもっと威厳たっぷりに言い放って従えるつもりだったのだが、そんな態度をとるのは危険な気がした。 彼女の言葉を聞いた瞬間、彼は激高した。 「笑わせるなっ! 小娘風情が主のような顔をするのは……身の程を知らぬにも限度がある!」 小娘呼ばわりされてルイズも負けじと声を張り上げようとしたが、続く言葉に動きを止めた。 「私は……あの御方をお守りせねばならないのに……!」 怒りだけではなく深い悲しみと悔しさ、絶望に染まった声。 ルイズは何も言えなかった。もし自分が突然未知の場所に呼び出され、元の世界の者達と引き離されて二度と会えないと告げられたらどんな気持ちになるだろう。 「我々も帰る方法を探します。ですからしばらくは――」 「ここに滞在するしかない……ということか」 どこまでも虚ろな声が響く。 手がかりになりそうなのはこの魔法学院と呼びだした存在であるルイズのみ。 今の段階では彼らと戦おうとここから出ていこうと戻る方法は見つかりそうにない。それに、秘法が解けている今食事や休息が必要となる。 彼とて血に飢えた殺人鬼や破壊衝動の塊というわけではない。主の敵には容赦しないが理性はあり、ここで暴れるのは損だと囁いている。 「ええ。できれば彼女の力になってほしいのです」 ゼロのルイズと呼ばれている少女の初めての成功だ。誇り高い彼女がどれほど傷つき苦しんでいるか知っているだけに周囲の者と本人に認めさせてやりたかった。 「……私は戦いしか知らぬ」 ルイズは青年の迫力に震えていたが、ぐっと拳を握り締め真剣に考え込んだ。 「平民だったら掃除洗濯その他を任せるところだけど、多分向いてないわよね」 不気味な沈黙とともに頷く。 「ところであんた、何者なの? 貴族? 魔法は使えるの」 「貴族……? 魔法は使えん」 大魔王の分身体を預かっているものの、魔力は最低限しか備わっていない。飛翔呪文や瞬間移動呪文を唱える程度だ。 一応試してみたのだが、何も起こらない。どうやらハルケギニアでは元の世界の魔法は使えないようだ。 答えを聞いてルイズが肩を落とす。“高貴な身分の青年は魔法の天才で召喚した自分も偉くて魔法の才能を持つ”という幻想が打ち砕かれたのだ。 「じゃあ、雑用はしなくていいから戦ってちょうだい。わたしの使い魔として――」 「……ならば証明してみせろ。仕えるに値する主人だとな」 使い魔と言われ誇り高い彼が大人しく従うはずもない。先ほど下した結論はあっさり翻され、理性はすぐ殺意に塗り替えられた。 生徒たちが恐怖に凍りついていく。 うっかり口を滑らせたルイズは慌てて手で口を押さえたが、後の祭りだ。 「私に一撃でも食らわせることができたら、少しは認めてやってもいいが……触れることすらできまい」 虫けらごときには不可能だと表情に書いてある。挑発された悔しさに杖を向けるが、使える魔法などひとつもない。 ゼロのルイズと呼ばれ散々馬鹿にされてきた自分が、これほどの殺気を放つ相手に抵抗して何の意味があるだろう。 今までの蔑視や侮辱の言葉に呪縛され、動けない。焦れば焦るほど“ゼロ”という言葉が脳内を飛び回り、怯えに変わって意識を塗りつぶしていく。 このままでは殺されてしまう――唇をかみ締める彼女の前に立ったのは、クラスメートの一人――ギーシュという名の少年だった。 前ページ次ページゼロの影
https://w.atwiki.jp/zeromoon/pages/79.html
前ページ次ページゼロの白猫 翌日、当然だが学院は大騒ぎになっていた。 名にしおうトリステイン魔法学院に盗賊が堂々と侵入し、ゴーレムを使って宝物庫を破壊、そして学院の秘宝を盗み去る。学院創立以来の大事件である。 宝物庫の壁には『破壊の杖、確かに領収致しました 土くれのフーケ』という人をくったサインが壁に残されていたという。昨夜の黒ローブは土くれということで間違いなかったらしい。 フーケが土くれと呼ばれる所以は、彼女が『錬金』の魔法の使い手で、メイジの用意した防御をことごとく土くれに変えてしまうことから名づけられたとか。 無論貴族も『錬金』の魔法の対策はしている。それは『固定化』という魔法だ。 『固定化』とは、『錬金』と同じく土系統の魔法で、物質の腐敗・酸化といったあらゆる化学反応を防ぎ、半永久的にその姿を保ち続けさせるという、菌に優しくない魔法である。醸せねー。 『錬金』の魔法を『固定化』がかかった物質へ掛けた場合、どちらが効力を発揮するかは掛けたメイジの能力に依存する。フーケは錬金のエキスパートだったらしく、これまで数々のメイジの固定化が土くれに変えられていたのだ。 そんなフーケといえど、スクウェアメイジが数人掛かりでかけた『固定化』は破ることはできまい。学院の誰もがそう思っていたのだ。だから、『固定化』以外の魔法が宝物庫に掛けられていないことを誰もが見逃していた。 結果、ゴーレムによる力技で壁をぶち壊すという荒業でまんまとフーケは仕事をなしていったのである。 「フーケめ、まさかこの学院にまで狙いをつけていたとは……!」 「『破壊の杖』はオールド・オスマンが特に危険な物と念押ししていたものですぞ!」 「見張りの衛兵は何をしていたのだ!」 慌てふためいて混乱すし、全く統制のとれていない教師たち。 ルイズは忙しない教師たちの様子を無味乾燥な眼で眺めていた。昨夜の事件の目撃者として呼び出されていたのだ。傍らにはキュルケにタバサもいる。二人の心中は知る由もないが、つまらなさそうな様子は三人とも共通していた。ルイズに同伴しているレンもあくびをしていた。 「衛兵など当てにならん、所詮平民だろう! それより当直の教師はどうしたのだ!」 教師の誰かが言った言葉に、シュヴルーズが震えあがった。 昨日の当直は彼女だった。けれども彼女は自室で眠りこけ、朝起床してようやく事件のことを知ったのである。 「ミセス・シュヴルーズ! 貴方は当直でありながら何をしていたのです!」 見て分かるほどぶるぶると震えるシュヴルーズ。責任の大きさからの恐怖ゆえか、涙まで零している。 教師たちはここぞとばかりに彼女を一斉に責め出す。学院長が来る前に責任の所在を明らかにし、自分たちは非難の的にならぬようにしようとしているのだろう。 「泣いても盗まれたものは戻ってこないのですぞ! それとも貴方が破壊の杖を弁償するとでも言うのですか!」 「む、無理です、私家を買ったばかりで……」 座り込んで泣き崩れてしまうシュヴルーズ。このまま責任を負わせる人柱が決まってしまいそうな、その時。 「これこれ、よってたかって女性を苛めるでない。女性を苛めていいのはベッドの上だけじゃぞ」 何と言う破廉恥な発言。こんな発言ができるのは、いや学院の教師全員に向かってこんな発言ができるのは、この学院の最高権力者、オールド・オスマンその人しか居ない。 オールド・オスマン。現存する最も偉大な魔法使い、300年生きたメイジなど、様々な通り名を持っている。噂では、本人は白髭公と呼ばれたがっていたとかいないとか。 しかし、このおじいさんは老いて尚盛んとも有名である。彼が先ほどの発言どおり、女性を苛めるのはベッドの上だけかは非常に疑わしい。 日ごろの彼は、カリスマは無いに等しいスケベ老人で通っている。しかし、この場においては紛れも無く最高責任者の存在感を漂わせていた。 「しかしオールド・オスマン! 彼女は当直でありながら仕事をサボタージュしていたのです!」 「この中で、日頃真面目に当直をしていたものはどれだけおるかね?」 オスマンのその言葉で、先ほどまで勢い込んでいた教師が黙り込む。教師の誰もがオスマンと目を合わせようとしない。 「この通りじゃ。当直の習慣など形骸化して久しいからのう。責任があるとすれば、この場の学院教師全員にじゃて」 オスマンにこう言われては、もはや責任を誰か一人に押し付けることなどできようはずもない。救われたシュヴルーズは涙を流してオスマンに擦り寄った。 「あ、ありがとうございます、オールド・オスマン!」 「ひょっひょっひょ。ええんじゃよええんじゃよ。お礼は君のお尻で払って貰うからのう」 「ええ、幾らでも触ってください、私ごときのお尻なら幾らでも!」 滑ったギャグほど寒いものは無い。特に場を和ませる為に言った物が滑った場合の寒さは本当に凍死しかねない。 誰も突っ込むものが居ない真面目な空気の中で、シュヴルーズの尻を撫でていた手を仕舞うと、取り繕うように一度咳払いをするオスマン。 「それで、犯行を目撃していたというのは誰かね」 「はい、この者たちです」 教師がルイズたち三人をオスマンに示す。無論、猫のレンは人数に数えられていない。時折後ろ足で耳を掻いているが、一応、ルイズの足元におとなしく佇んでいる。 「では君たち。昨晩目撃したものを話してもらおうかの」 「はい。昨夜、私は魔法の練習を行う為中庭にでておりました。そこにキュルケとタバサがやってきて、今日はもう帰ろうとしたところで中庭の植え込みからゴーレムが出てきたのです。ゴーレムは一撃で壁を壊して宝物庫へ侵入し……」 そこまで話して、一度ルイズは黙ってしまう。悔しさのせいで俯いてしまうが、何とか後に続く言葉を絞り出した。 「……戻ってきたフーケはそのまま逃げました。私たちを、無視して……!」 恥ずかしい。恥ずかしい恥ずかしい……! 最初から犯行現場にいながら何もできませんでした、と告白しているのだ、なんという恥辱! ゼロと蔑まれる日常も辛かったが、それとは全く別の悔しさがルイズを苛み続ける。手が真っ白になるほどに強く手を握り締めていた。 「気にすることはない、ミス・ヴァリエール。悪名高いフーケと対峙して君たちに怪我が無かったことこそ幸いじゃて」 ルイズへのオスマンの声は優しかった。生徒である彼女たちを責める気など微塵もないらしい。だが、そんな言葉も屈辱に打ち震えるルイズには何の癒しももたらさなかった。 「その後、タバサが風竜でゴーレムを追跡しましたが、ゴーレムは只の土の山になっていました。恐らくゴーレムを囮にして馬に乗り換えたのではないかと」 ルイズの報告にキュルケが補足する。あの後タバサはフーケを追っていたらしい。しかし何の痕跡も見つけられなかったということだ。 「むむう、それではまるで手掛かり無しか……」 髭を撫でながら唸るオスマン。現状の打開策がなく、部屋に重い沈黙が漂った。そこへ扉からノックの音が響く。 「誰じゃ?」 「失礼します。ロングビルです。遅くなってしまい申し訳ありません」 「入りたまえ」 学院長の許可と共にドアが開かれ、眼鏡の女性が入ってくる。 彼女はミス・ロングビル。オスマンの秘書である。年は恐らく20歳前半くらいか。その年齢でありながら秘書として有能らしく、オスマンからの信頼も篤い。しかし、噂によるとオスマンからのセクシャル・ハラスメントに日々悩まされているとか。 結婚適齢期であり、ややきつめのスーツではっきり浮き上がる女性の起伏は男性教師のみならず男子学生にもけしからんといわれている。その辺りにも原因があるだろう。オスマンにベッドの上以外で苛められている女性筆頭候補である。合掌。 「何処へ行っていたのです、大変なことになっているのですぞミス・ロングビル!」 「存じております。まず勝手に行動したことに謝罪を。朝から独自に調査を進めておりましたので遅れてしまいました」 「調査じゃと?」 「はい。朝起きれば学院中が騒がしい上、騒ぎの中心の宝物庫は無残に壊れているではありませんか。その上最近貴族を脅かしているというフーケのサインまで残されていたと聞きました。そこでフーケが逃げたと思われる経路を辿っていたのです」 「仕事が早いのう、ミス・ロングビル」 教師陣は驚きを隠せない。いち秘書に過ぎない彼女が誰よりも早く行動を起こしていたとは。 「して、何か手がかりは掴めたのかね」 「はい、フーケの隠れ家が分かりました」 「なんと!?」 ざわ……ざわ……。 「フーケを追った先で会った村で聞き込みを行ったところ、農民の一人が黒ローブで馬に乗った怪しい人物を目撃したと。その者は森の中の廃屋に入って行ったそうです」 「黒ローブ……確かに昨日のメイジも黒ローブをまとっていました! そいつがフーケに間違いありません!」 昨晩の犯行を行った人物は黒いローブで顔までスッポリ覆われていた。フーケに間違いないと思ってルイズは言う。 「ここからフーケの居る場所までどれほどかかるのかね?」 「はい、馬で4時間といった所でしょうか」 「オールド・オスマン! すぐに王宮へ衛士隊派遣の要請を……」 「バカモン!! 王宮まで使いを出し、要請が受理され、衛士が派遣されるまでどれだけかかると思っておる! その間にフーケは更に遠くへ逃げてしまうわ!」 一人の教師の提案はオスマンに一蹴される。確かに、フーケがいつまでもそこに潜伏している可能性は低い。すぐに追わねばフーケも秘宝も闇の中へと消えることだろう。 「それにこの事件は学院内で起きたもの。栄えあるトリステイン魔法学院は盗賊の侵入を許したばかりか秘宝まで奪われ、挙句解決に外部へ力を乞うたなどと恥を広げる気か! 我々学院の者だけで処理する!」 名誉を何より重んじるトリステインの貴族、その貴族たちの子供を通わせる名門トリステイン魔法学院。そこへ賊が入られ、おめおめ逃がしたとあればその権威は地に落ちるだろう。学院存続にもつながりかねない出来事なのだ。内々に処理したいというのは当然。 「ではこれよりフーケ討伐隊を編成する。我こそは、と思う者は杖を掲げよ!」 室内が静まり返る。誰一人として、杖を掲げるものは居なかった。 「どうした、誰もおらんのか! フーケを討って名を上げようというものは!」 再度のオスマンの呼びかけにも誰も応えない。誰とも目が合わないように俯き、なのに誰か志願者が居ないか横目でこそこそ伺っている。 ルイズは先ほどからずっとムカムカしていた。これが、貴族の姿か? 賊に入られて、宝を盗まれ、責任を擦り付け合い、敵の居場所が判っているのに尻込みする。 無様。それがルイズが彼らに抱いた感想だった。そして、ここにいる自分もこんな無様な連中と括りにされるのか。そう思った時、ルイズはもう堪らなかった。 「何をしているのです! ミス・ヴァリエール!」 シュヴルーズの悲鳴じみた声に、部屋中の視線がルイズに集中する。ルイズが高々と杖を掲げているのだから当たり前か。彼女の使い魔のレンも例外ではなかった。 「貴方は学生でしょう! 討伐者として行くなど危険すぎます!」 「誰も掲げないじゃないですか」 ルイズは教師の言い分をばっさり切り捨てる。今はこんな議論をしている一分一秒が惜しいのだ。誰も行かぬのなら自分がフーケを捕らえて見せる。私はこんな貴族たちにはならない。 ゆるぎない瞳でオスマンを見る。オスマンもまたルイズを見返し、笑って頷いた。 「うむ、ならば彼女に頼もうかのう」 「オールド・オスマン! 本気ですか! 相手はあの土くれのフーケなのですぞ!」 「ならば君が行くかね、ミスタ・ギトー」 「いえ、私は、今日は喉の調子が悪いもので……」 成る程、ルーンが唱えられないのならば仕方があるまい、などという者はこの場に一人も居はしなかった。 キュルケはしばらくルイズを見ていたが、やがて彼女も杖を取り出し、高々と掲げた。 「ミス・ツェルプストー! 君までどうしたというのだ!」 「ヴァリエールには負けていられませんもの。それに昨日の雪辱を晴らしたい、とも思いまして」 トライアングルクラスとしての自負はあった。しかし昨日のゴーレムは自分の炎をものともしていなかった。その屈辱を晴らすには、確かにこの討伐に参加するのが近道だろう。 杖を掲げる二人も見て、タバサも自分の身長よりも大きい杖を掲げる。 「ちょっとタバサ、あなたまで付き合うことないわよ」 「心配」 キュルケを見上げる瞳は無感情だが、彼女の言葉と行いはまぎれもなくキュルケとルイズを案じているものだった。 「タバサのそういう所、好きよ!」 場所をわきまえず、ぎゅーっとタバサに抱きつくキュルケ。あまつさえすりすりと頬ずりしている。一方のタバサは相変わらずの無表情であった。 「オールド・オスマン。やはり学生だけの討伐隊というのは無理があるのでは……」 「心配はいらぬよ。特に、ミス・タバサはその年でシュヴァリエの勲章を授与されているという話ではないか」 その時教師たちに電流走るーー! シュヴァリエの爵位は、照合の位置付けは低いが、授与されるには何らかの業績を残す必要があり、実力が無ければ貰えないものなのだ。タバサの年齢でそれを与えられたというのは、彼女が相当な実力者であることを示している。 「知らなかったわ。何で黙ってたのよ」 「言う必要も無い」 キュルケの問いに応えるタバサは冷めたもの。いつものぼーっとしたような瞳でぼんやり前を見つめている。 「ミス・ツェルプストーはゲルマニアの軍人の家系。優秀な軍人が何人も輩出されている。彼女自身も素晴らしい炎の使い手と聞いておる」 オスマンの言葉に、キュルケは髪を掻き上げて胸を張る。あの、胸元まで開いたシャツでこれ以上その胸を張られると、シャツからこぼれかねないのですがキュルケさん? 「そしてミス・ヴァリエールもトリステイン公爵の家の出身。またとても勤勉な学生じゃ。何より彼女は貴族の心構えが誰よりも素晴らしい」 オスマンの言葉に、ルイズもキュルケのように胸を張る。しかし、彼女にはこぼれるだけの起伏などありはしなかった。南無。 「では、フーケの居場所までは私が案内いたします」 「うむ、よろしく頼むぞ、ミス・ロングビル。すぐに馬車を用意させる。君たち、何としても破壊の杖を奪還してきてくれ」 「はい、必ず。杖にかけて!」 「「「杖にかけて!!」」」 若きメイジたちは杖を掲げて唱和し、オスマンへ一礼するのだった。 御者台で馬車を操るのはロングビル。残りの三人と一匹はは、荷車のような屋根の無い馬車に乗っていた。襲われた時にすぐ逃げ出せるようにという配慮らしい。 馬車で揺られること4時間の旅。太陽が天頂近くに来た時には森へとついていた。森への中へは馬車が入ることができない。一行は馬車から降りて徒歩で森の中を進んだ。 獣道のような細い道を進んでゆくと、視界が開けた場所に出た。空き地のようになっている草むらに、ぽつんとぼろい廃屋が建っている。 「私が聞いた話によると、あそこにフーケは潜伏しているそうです」 そういってロングビルは小屋を指差す。確かに、こんな奥まった森の中、しかも捨てられたような小屋に立ち寄るような物好きは居まい。隠れ家としては上々だろう。 「作戦を立てる」 タバサが一行に呼びかけた。流石シュヴァリエ授与者。こういったケースにも一家言あるらしい。 立てられた作戦はこうだ。最善策はフーケに何もさせないこと。小屋をキュルケの魔法で焼き払えれば一番なのだが、その方法だと奪還すべき『破壊の杖』が無事である保証が無い。 次善策として、フーケは土のメイジであることに着目する。自分に有利なフィールドとして、敵を発見すればフーケは土のある屋外へ出ようとする筈。囮兼偵察役が小屋へ行き、フーケが居た場合外へおびき出し、魔法の集中砲火で一気に殲滅する、ということに決めた。 「レン、あんた偵察に行ってきなさい」 ルイズは白猫を自分の眼前まで持ち上げて命令する。 「前にやったみたいに私と視覚を共有して、あんたが偵察に行くの。中にフーケが居たらあんたがおびき出しなさい。誰も居ないようなら私たちも行くわ」 レンから返答は無かったが、ルイズの顔を見つめ返しながら一度こくりと頷いた。するとルイズの右目の視界だけにルイズ自身の顔が写る。視界の共有に成功したようだ。 ルイズの腕からレンが飛び降り、小屋へとまっすぐに向かっていく。小屋から丸見えだろうが、囮役としては良いだろう。フーケが小屋の中にいるならかなり気を張っているはず。メイジの使い魔に多い猫が近づいてくるならば何らかのアクションをする可能性が高い。 「ご自分の使い魔を信頼されているのですね、ミス・ヴァリエール」 つぶさにレンと小屋を観察していたルイズに、ロングビルから声がかけられた。 「ええ、逃げ足の速さは。良く逃げられますので」 「ルイズ、それ自慢にならないわよ」 「黙ってなさいツェルプストー」 「貴方の使い魔はどんな能力があるのですか?」 そのロングビルの質問に一瞬詰まるルイズ。ここは無難に普通の使い魔にできることだけ言っておけばいい、と考えた。 「どんなって、普通です。視界の共有や意思の疎通ができるくらいの。それが何か?」 「いえ、とても綺麗な猫だったので、少々興味があっただけですよ」 そう言ってロングビルは小屋へと向かうレンへと視線を戻した。ルイズもレンと小屋へ意識を向ける。 もうレンは小屋まで辿り着き、窓を覗きこんでいるところだ。ルイズにも小屋の内部の様子が見えてくる。 「中に誰もいないじゃない」 窓から見える範囲では中に人影は確認できなかった。レンはさまざまな角度から小屋の中を見渡してみるが、やはり誰一人見つけることはできない。 「フーケはいないみたいよ。私たちも小屋へ向かいましょう」 「では、私はフーケが戻ってきたときに備えて周辺を警戒していますわ」 「一人で大丈夫? フーケは少なくともトライアングルクラスの使い手よ」 「ご心配には及びません。私もメイジの端くれ。ラインクラスとはいえ皆様が戻るまで逃げ延びるくらいはして見せます」 ロングビルはそう言って森の中へと入っていった。 「フーケの追跡から聞き込み、私たちの案内に加えて哨戒まで。働き者ねぇ、あの人」 「私たちも負けてられないわ。行くわよ」 ルイズたちは小屋へと向かって歩き出す。その間も周囲を警戒しながら進むが、やはり何の妨害も無かった。無事に小屋まで到着する。ルイズは仕事をこなしたレンの頭を軽く撫でてやった。 タバサがドアへ『ディテクト・マジック』を唱える。対象物の状態を調べる魔法だ。タバサがうなずく。どうやらワナは無いらしい。 「開けるわ」 小屋の中へと入るルイズとキュルケ。タバサは念のため入り口で見張りをしておく。 長い間、人が入らなかったらしい。小屋の中は何処もかしこも埃だらけ。床には積もった埃に足跡が残っている。最近人の出入りがあったことは確かだろう。 中にはほとんど物が無かった。その中で目を引くのは簡易的なチェスト位か。こんな所にまさか破壊の杖があるとは思えないが、念のため開けてみる。 「え」 「これ、『破壊の杖』じゃない! あっけないわねー」 大穴だ。まさかこんな簡単に破壊の杖が取り戻せるとは。 ルイズは手にとって『破壊の杖』を観察する。まず、軽い。そして何から作られているのかわからない。金属でできているということはわかるが、こんな金属はルイズもキュルケも見たことが無かった。 見た限りでは1メイルほどの大きさの筒、といった印象だろうか。はっきり言って、魔法の杖には見えない。 ふと、ルイズはレンがなにやらじっと破壊の杖を凝視していることに気付く。この猫もこれに興味があるのだろうか。 と、大きな音を立ててドアが開かれる。タバサには珍しく焦った様子でルイズたちへ叫ぶ。 「来た!」 その声と同時に、小屋の屋根が吹き飛んだ。余計なものが無くなってすっきりした、などという感想が浮かぶはずも無い。綺麗に吹き飛んだ天井から見えるのは、青い空、白い雲、そして土でできた拳。 「これは……待ち伏せ……!」 襲ってくるタイミングが良すぎる。恐らくフーケは近くからこちらを伺っていたのだろう。それなら何故破壊の杖を持ち出さなかったのか、という疑問が湧くが、今は頓着している場合ではない。 ゴーレムに小屋ごと潰される前にルイズとキュルケは脱出する。そこには昨日と同じ、自分たちの十数倍はある大きさのゴーレムがその巨躯をさらしていた。 フーケは見当たらない。昨日のようにゴーレムに乗っていれば一気に攻撃を仕掛けただろうが、そんなヘマをするほど向こうも甘くは無いらしい。 「やるしか、ないわね!」 「キュルケ、タバサ! 一斉に仕掛けるわよ!」 「了解」 ルイズの求めに応じ、三人がゴーレムへ一斉に杖を向ける。 まずタバサが『エア・ハンマー』を唱える。空気の塊がゴーレムの胴体に直撃し、巨体を揺らす。 それにキュルケが『フレイム・ボール』続いた。彼女の胴体ほどもある巨大な火球が放たれ、タバサの起こした空気の塊に引火し、ゴーレムは業火に包まれた。 最後にルイズが攻撃を仕掛けた。彼女が唱えたのは『ファイアー・ボール』だったが、結局炎は生まれなかった。何時もどおり、いや何時もより大きい爆発が、ゴーレムの胴体で前触れも無く炸裂する。 「どう……!?」 もうもうとした土煙でゴーレムの姿が遮られてしまう。数秒の後に現れたのは、ぽっかり開いた穴を下の土で再生しているゴーレムの姿だった。控えめに見ても、攻撃が聞いているようには思えない。 「これほどなの……!?」 「一旦退却」 タバサが口笛を吹く。その音を合図として、空に風竜のシルエットが現れる。確かに破壊の杖の奪還は果たした。ならばこのまま逃げるのが上策だろう。が――。 「駄目よ! ミス・ロングビルが居ないじゃない!」 小屋へ侵入する前に別れてから、一度もロングビルを見ていない。見えないところでフーケと応戦しているのか、あるいは既にフーケに……。 「っ!!」 「きゃあぁ!!」 逡巡しているメンバーにゴーレムの拳が降って来る。三人とも何とか交わしたが、ルイズは二人と別方向に跳んでしまった。ゴーレムを間に挟む形でのパーティー分断。状況は非常にまずい。 「ルイズ! 上からシルフィードであなたを拾うわ! それまで何とか逃げ延びなさい!」 キュルケが風竜に乗り込みながらルイズへ叫ぶ。ゴーレムの間を走り抜けることは確かに危険だ。それを避ける為に風竜で回り込んでルイズを拾う考えらしい。 問題は、それまでこのゴーレムの拳から逃げられるか、ということだ。ゴーレムの動きは確かに鈍いが、巨体ゆえの力の大きさ、辺り判定の大きさ、一挙動の動きの大きさを考えると、回避し続けるのは難しいだろう。 「そうだ! これを使えば……!」 ルイズは自分が持っている破壊の杖に意識を向けた。学院長があれほど危険視したマジックアイテムである。名前からしても、こんなゴーレムをも倒せるようなすごいシロモノに違いない――! 祈りをこめて『ファイアー・ボール』の詠唱をする。地響きを立ててこちらへ近づいてくるゴーレムに焦りが生じる。可能な限り早く、間違いの無いように――! 長いような短いような時間が経ち、ゴーレムの腕が届くような距離に来た時に、ルイズはようやくルーンを唱え終えた。間に合う!! 「ええぃっ!!」 そして破壊の杖を振り下ろす。しかし、何も起こらなかった。 「あ、あれ!?」 ゴーレムへの攻撃はおろか、何時もの失敗魔法の爆発も起こらない。必死でルイズは破壊の杖を振る。しかし杖はうんともすんとも言いはしない。 焦燥に胸を焦がすルイズに構わず、ゴーレムは足を持ち上げる。ルイズを踏み潰す気らしい。キュルケとタバサは未だ上空に居る。絶体絶命だ。 視界全てを黒く塗りつぶすゴーレムの足に、ルイズはぎゅっと目をつぶった。 「タバサ! 強引にでもルイズへ近づけて! 私があの子を回収するから! お願い!!」 キュルケが必死にタバサへ懇願する。タバサは安全の為もっと後ろ側から近づきたかったのだが、確かにそんな余裕は無さそうだ。もうゴーレムとルイズは接近しすぎている。 ルイズは破壊の杖を振り回しているが、何も起こる様子は無い。本当にあれはマジックアイテムなのか、という疑念すら浮かぶ。 シルフィードに高速でルイズへ急降下するように指示を飛ばすが、それよりも早くゴーレムが足を持ち上げた。 「やめてーーー!」 キュルケの悲鳴が上がった。だが、そんな悲鳴ではゴーレムは止まらなかった。 どず……ん―― 一際大きい地響きが生じる。ゴーレムの足はもう振り下ろされていた。 「そんな……」 呆然とつぶやくキュルケ。あのゴーレムの足の裏では、ルイズが目も当てられないようなモノになってしまっているだろう。思わず原型すら留めていない彼女の死体を想像してしまう。 タバサとルイズは大して交流は無かった。それでも、今回仲間として一緒に作戦に参加した仲だ。そしてルイズは気難しいが高潔な精神を持つメイジだった。そんな彼女を無残に殺された。タバサの心にも怒りが生じる。 敵は討たねばならない、とフーケが居るはずの森へと視線を移そうとしたとき、ふと何かが視界をよぎった。フーケかと思って目を凝らしてみるが、違う。その娘とは一度だけだが面識があった。 キュルケもそれに気付く。タバサよりも小さな身体。全身白一色の衣装。きらきらと翻る銀髪。ルビーのように真紅の瞳。 「あれは……!?」 「アルク……ちゃん……!?」 「何やってるのよ、このばかマスター」 轟音がしたのに、いつまで経ってもゴーレムの足は振ってこない。代わりに降って来たのは、彼女の声だった。ぎょっとして目を開けると、そこには彼女の使い魔のレンの顔が。 なんとルイズはお姫様抱っこをされていた。自分よりも背の低い幼女に、両肩と両膝を抱え上げられている。お姫様がお姫様に抱っこされているような、それは矛盾していながらも幻想的なシチュエーション。 そして、それはどさりとレンにルイズが捨てられることで終了する。呆然としていたルイズはお尻を地面に打ち付けた。 「な、何するのよ!?」 「貴女があんまりにもヘタレだから助けに来たんじゃない。そんなロケットランチャー振り回しても魔法が出るわけ無いでしょ」 冷たい目でこちらを見下ろしているレン。そんな瞳や打ち付けた臀部の痛みより、今レンが呆れたように言った言葉の内容に驚いた。破壊の杖をレンに見せてルイズは聞く。 「これが何か知ってるの!?」 「知識としてはね。使い方までは知らないわよ。あれが調べる時間をくれるとも思えないし」 ずしん、と響く音の音源へとレンは向き直る。ゴーレムとこちらは数メイルの距離が開いている。レンがルイズを抱えて救出した時にそれだけ距離ができたらしい。そのわずかな距離をゴーレムはのっそり近づいてくる。 「ルイズ、足止めはしてあげるわ。その間に安全圏まで離れてあの竜に乗せてもらいなさい」 言うが早いが、レンはゴーレムへ向かって駆け出した。ルイズが止める暇も無い。あっという間に互いの距離が0になるレンとゴーレム。 射程範囲に入った白い物体へ向かってゴーレムの前蹴りが跳ぶ。しかし、その時にはレンはゴーレムの足より上へ跳んでいた。 自分の身長の何倍も高くレンは浮き上がる。ゴーレムの胸当たりまで跳んだ彼女は、ゴーレムを自らの手で殴りつけた。 「レン……!?」 レンの攻撃は一撃では終わらない。四肢を駆使した突き、払い、振り下ろしのラッシュ。それを一度も着地せず、空で舞うように叩き込む。遠目に、彼女の両手両足に赤い光球があるのが見えた。あれでゴーレムを叩いているらしい。 しかし、ゴーレムにしてみればレンなど人間にとっての羽虫に等しい大きさである。少々の打撃など先程のルイズたちの魔法にも及ばない。あっと言う間に地面の土が生じた傷を塞ぐ。 お返しとばかりにゴーレムがレンを殴りつける。 「―――っ!!」 声にならない悲鳴を上げるルイズ。落下を始めて動けないレンに、彼女の身長の何倍もの大きさの拳が直撃する――! レンはそれに動じることもなく、空中で見事にエビ反りになる。まるで落ちる木の葉が巻き起こる風に乗るように、ひらりとレンは逃れて見せた。 回避してからもレンは止まらない。パンチを放ったゴーレムの腕を掴むと、自分の身体を振り子のように振り、勢いを付けてゴーレムへと飛ぶ! 「ちょっ―――!?」 もはやルイズの目はレンに釘付けだ。主の思いも知らずにレンは好き勝手に動く。いつも飼い主の事など歯牙にもかけない猫そのものに。 飛び出したレンはゴーレムにぶつからずに、脇腹の横を素通りして着地した。振り返ったゴーレムが左手を振り下ろす、が、間に合わない。手が激突する前にレンは射程外まで跳んで逃れていた。 ふと、ルイズはゴーレムの脇腹が光っていることに気がついた。よく見てみると、ゴーレムの脇腹に何か生えている。水晶のようにきらきらしたものが、まるで骨が飛び出したみたいに。 目を凝らしているうちに、飛び出ている何かは砕け散った。 「『ウィンディ・アイシクル』―――!?」 風と水をあわせて使う、『ウィンディ・アイシクル』という魔法がある。確かにその魔法に似ていたが違う。通常はは無数の氷の矢が一斉に襲い掛かるのだが、レンが放ったものは彼女の身長よりも大きな氷柱が一本だけ。それがいつの間にかゴーレムに突き刺さっている。 何よりも、彼女の手には相変わらず手には時折赤い光球が浮かぶだけで、杖を所持していない。彼女が姿を変える魔法を一瞬で行うように、恐らくあれも先住魔法の一種だ――。 「ちょっと! なんで逃げてないのよ!」 目の前で繰り広げられる戦闘に目を奪われていると、レンから叱責が飛んできた。レンの声が届くも、ルイズは動く事ができない。 ゴーレムは二人のやり取りになど頓着せず、再度ゴーレムが右腕を振り上げる――! 「ああもう、空気を……」 ズドォン、と地面へ叩き付けられるゴーレムの拳をターンして難なくレンはかわす。そして彼女も右手を高く掲げ―― 「読みなさいっ!」 勢いよく振り下ろす。その手の動きに従うように、先ほどよりも大きい氷柱が生じ、ゴーレムの足首に深々と突き刺さった。 そして先程のように氷柱は砕ける、がそれだけで終わらない。砕けた氷の欠片が無数の刃となって舞い、ゴーレムの足首を削っている。 削れた足首がゴーレムの巨体を支えきれず、ぐしゃりと潰れる。その隙を逃さず、レンはバランスを崩されたゴーレムの横を走り抜け、ルイズの元まで戻ってきた。 「逃げなさいって言ったでしょうが! 死にたいの!?」 ルイズを責めるレンにはいつもの余裕はない。彼女もあのゴーレムとやりあう事は危険だったのだろうか。 レンの叱咤にようやくルイズに生気が戻ってゆく。主人の気も知らず危ないことをしていたこの使い魔が憎らしくて、とにかく大声で反発した。 「逃げられるわけ、ないじゃない! 私は貴族よ! 貴族が敵に後ろを向けられるわけないわ!」 「そんな意地で死んだら本当に唯の役立たずよ! 杖の奪還を失敗したばかりか自分の命まで粗末にしたって嗤われるだけって分からない!?」 レンの言葉は、レンの『役立たず』という言葉は、今まで誰が言った蔑みの言葉よりもルイズの心にぐさりと深く突き刺さった。 その言葉が痛くて、レンを睨む鳶色の瞳に涙が浮かぶ。 「あんたには分からないわよ! 私よりも魔法が使えてあんなゴーレムとも殴り合えるあんたには! 私はゼロじゃない! もうゼロなんて呼ばれたくないの! だから……!」 ぼろぼろ涙を零しながらルイズは叫ぶ。 見返してやりたかった。馬鹿にされて見下されるばかりの毎日はもう嫌だった。だから討伐隊に志願した。フーケを捕らえればもうゼロと蔑まれることはないと信じて。 なのに結果はどうだ。盗賊風情のゴーレムに手も足も出なくて、危険なところを使い魔に救われて、その使い魔は敢然とゴーレムに向かっていって!? 自分は一体何をしに此処までやってきたのだ。暗い絶望がルイズの胸を押し潰し、危険から逃げることすら忘れさせていた。 「此処で逃げたら私は死んだも同然よ! 誇りすらないんじゃ私は正真正銘のゼロじゃない……!!」 こぼれる涙は留まるところを知らず、地面に涙が吸い込まれていった。ルイズは目の前の使い魔から目を逸らさずにしっかりと睨む。 レンはそんなルイズに複雑な表情を返していた。蔑むような、非難するような、あるいは……憧憬のような。 そして、そんな口論の時間が命取り。ゴーレムの足の修復は既に終わり、二人に向かって距離を詰めてくる。敵の接近を示す地響きを聞いて、レンは溜息を一つ付いた。 「……仮にも私のマスターならもっと強くなってよ。でないと私も力を振るえないんだから」 そう言うとレンは空を仰ぐように両手を広げる。すると、彼女から目に見えない何かが吹き出した。 「!?」 「よく見てなさい」 そう言うと、レンはゴーレムへ向かって歩いていく。無造作に、まるで散歩にでも出かけるような軽快さで。 ゴーレムの射程にレンが入った途端、天頂へ振りかぶられた豪腕が振りりかぶられる。だが、レンは避けようとしない。ルイズが避けろと命令するよりも早く、ゴーレムの渾身の一撃が繰り出される……! 「はい」 レンの軽い掛け声が聞こえた。レンを潰そうとするゴーレムの腕と、まるでそれを受け止めるように伸びたレンの手が衝突した、と思った瞬間――世界が暗転した。 「~~~!?」 もはや何が起こっているのかルイズには理解できない。ほんの一瞬前まで此処は草原だった。なのに今ルイズの眼に映るものは、鏡、鏡、鏡ーー無数の鏡だけ。他の空間は全て暗黒に塗りつぶされていた。 「ラストワルツよ……」 数瞬の後、鏡が一点に向かって集合、いや吸い込まれていく。 吸い込まれたのはレンの両掌の上。吸い込まれた一点だけが真っ白に輝き、闇の中に立った一人佇む彼女を照らしていた。 光りに照らされるレンに見入っていると、ビシリ、と黒いセカイに皹が入った。生じた隙間から入ってくる突然の光りにルイズの目が眩む。 「ーーーっ!?」 暗闇に慣れた目には痛いほどの光りの奔流。ルイズは両腕で自分の瞳をかばった。 「……夢から覚めまして?」 レンの声がする。おそるおそる目を開けてみると――そこはさっきまでの草原だった。レンは後ろで手を組んで悠然と立っている。しかし、ゴーレムは何処にも居なかった。 「は―――」 さっきからルイズは何も言葉にすることができない。何も理解することができない。かろうじてわかるのは、ゴーレムを消し去ってしまった張本人がレンだということくらい。 「まったく、木偶の坊ごときが手こずらせてくれたわ」 レンがさらりと髪を掻き上げて呟いた。その様子はいつもと全く変わらず、あんな巨大なゴーレムを相手したというのにまるで余裕のようである。 いったい自分の使い魔は何者なのか。エルフではないと言っていたが、実はエルフに勝るとも劣らないのでは? 自分の使い魔の所業に、最初の夢の時に抱いた畏怖にも似た感情を思い出す。未だ動けないルイズへ、レンが向き直って言った。 「お分かり頂けましたか? 貴女の使い魔の力を。私と契約しているからには、貴女もこれくらいはできるようになりますわ」 慇懃無礼な口調に戻って、呆然としているルイズへと語りかけるレン。ひょっとして、この使い魔は励ましてくれているのだろうか。 「それと、そろそろ泣き止んだ方が宜しいかと。キュルケたちに見られますわよ?」 ぼっと自分の顔が熱っぽくなるのを感じる。確かにさっき涙が零れてしまった時に、拭う事もしていなかった。気が付くと涙の痕が顔がひりひりしているのが判る。 ごしごしごし、と袖で自分の顔を乱暴に拭っていると、ばっさばっさと羽音を響かせてシルフィードが着陸してきた。 「こ、これは土埃が目に入ったからよ! 別に泣いたりしてないんだからね!」 「はいはい、そういうことにしておきます」 ルイズをあしらいながら、もうレンの瞳は降りてきたキュルケとタバサに向けられている。二人はこちらにゆっくりと近づいてきた。杖をレンに向けて。 「ちょっとあんたたち! どういうつもりよ!?」 「どういうつもりはこっちの台詞よ。ルイズ、あなたいつエルフを味方につけたの?」 二人はレンへの警戒を解かずにルイズへ質問する。確かに、この世界でエルフは恐怖の象徴だ。警戒されるのも無理は無いが、彼女は自分の使い魔なのだ。 ルイズはレンを庇う様に前に出るが、レン自身がそれを制する。 「恩人に向かってひどい対応ですこと。この前は食事を共にした仲ですのに」 「何者」 タバサの簡潔な問いに、レンはルイズに初めて会ったときのように優雅に一礼する。 「改めまして。私、ルイズの使い魔、夢魔のレンと申します。以後どうかお見知りおきを」 いつもの慇懃無礼な態度でレンは自己紹介を進めた。 「レン……って、あなたがルイズの白猫だっていうの?」 「エルフじゃない?」 二人とも目を丸くして聞き返す。 「そうよ。あの白猫よ。エルフじゃないわ。この娘は正真正銘私の使い魔よ。二人とも杖を下ろして。さっきも私を助けてたでしょう?」 「信じられない。夢魔があんな巨大なゴーレムを消せるだけの力を持ってるなんて」 「猫に化けるのも珍しい」 「あんまり珍獣扱いしないで下さらない? それより、あの眼鏡秘書とフーケ本人は何処かしら」 レンの言葉で、一行に緊張が戻る。そうだ、ゴーレムは消えたがまだフーケは確認できていない。が、ゴーレムを操っていた以上この付近に必ず居る。 4人それぞれが背中合わせになり、周囲を警戒する。すると、林から物音が聞こえた。全員がそこへ注意を向ける。杖と視線が集中する森から出てきたのは、眼鏡秘書の方だった。ロングビルだ。 「ミス・ロングビル! ご無事でしたか!」 「はい。申し訳ありません。ゴーレムに襲われて気を失っておりましたので」 襲われた、といっているが、しっかりした足取りでルイズたちへロングビルは近づいてくる。そしてルイズの傍に立つと、レンに目を向けた。 「それにしても、ミス・ヴァリエールの使い魔が先住魔法の使い手とは驚きましたわ」 その言葉に違和感を覚え、キュルケとタバサが怪訝な顔になる。ロングビルは静かに立ち位置をルイズの背後へと移動させていく。 「見てたのに助けに入らなかったの?」 「ええ、だって」 答えを言い終わらぬうちに、ロングビルがいきなり動いた。破壊の杖を持ったルイズの手をひねり、後ろ手に拘束すると、右手に持った杖をルイズの首筋に突きつける。 「お前らを襲うのに忙しかったからねえ」 前ページ次ページゼロの白猫
https://w.atwiki.jp/zensensyu/pages/903.html
ゼロの使い魔 317 名前:水先案名無い人:2009/12/20(日) 01 59 56 ID /vl4D+R40 全「ゼロの使い魔」17巻までの登場人物入場!! 人殺しは生きていた!! 空飛ぶヘビくんを積み人間凶器が甦った!!! 炎蛇!! ジャン・コルベールだァ――――!!! 水精霊騎士隊はすでにわしが育てている!! セクハラ学院長 オスマンだァ――――!!! 抱き締めしだい慰めまくってやる!! まともな大人代表 カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌだァッ!!! エルフの異端審問なら私の騎士団がものを言う!! 本当は無免許 ウソチュイター ベアトリス・イヴォンヌ・フォン・クルデンホルフ!!! 真の顔面を知らしめたい!! 真っ赤なリンゴ ジョゼットだァ!!! 無茶振りは3階級制覇だが裸踊りなら全階級私のものよ!! イジメの達人 イザベラだ!!! 聖戦対策は完璧だ!! ド腐れ教皇 ヴィットーリオ・セレヴァレ!!!! サイトのベスト・フレンドとは僕のことである!! 浮気の神様が来たッ ギーシュ・ド・グラモン!!! 変顔なら絶対に敗けん!! 暴走騎士のケンカ見せたる 特攻隊長 アニエス・シュヴァリエ・ド・ミランだ!!! バスト・レボリューション(胸がおかしい)ならこいつが怖い!! アルビオンのハーフ・エルフ ティファニア・ウエストウッドだ!!! ラグドリアン湖から腐った死体が昇天だ!! プリンス ウェールズ・テューダー!!! 恋人の仇を討ちたいから戦争(人災)を起こしたのだ!! 素人の侵攻を見せてやる!!アンリエッタ・ド・トリステイン!!! めい土の土産にジョゼフとはよく言ったもの!! 自称神の頭脳が今 船上でバクハツする!! 一流かませ犬 シェフィールド先生だ―――!!! フーケのゴーレムこそが輝く思い出の代名詞だ!! まさかこの姉さんがきてくれるとはッッ マチルダ・オブ・サウスゴータ!!! 振り向かせたいから調合したッ 法律一切無視!!!! 香水のドラッグ(混入)ガール モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシだ!!! 余は聖職者ではない虚無の担い手なのだ!! 御存知ヘタレ オリヴァー・クロムウェル!!! ひとり上手の本場は今やガリアにある!! 俺の心を震わせる奴はいないのか!! ジョゼフ1世だ!!! 長ァァァァァいッ息継ぎ必要!! 独身(27)!!! 独身(27)!!! エレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエールだ!!! 鳥の骨は政治で使えてナンボのモン!!! 超鳥の骨宰相!! 職場王城からマザリーニの登場だ!!! 虚無の力は僕のもの 邪魔するやつは思いきり刺して思いきり殺すだけ!! フェード・アウト統一王者 ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド コルベールを試して学院で死んだッ!! 怖い顔全ハルケギニアチャンプ メンヌヴィル!!! 女装に更なる磨きをかけ ”ブタ”マリコルヌ・ド・グランドプレが帰ってきたァ!!! 今の自分に遠慮はないッッ!! 言葉・責めラー ブリジッタ!!! 六千年前の遺産が今戦争を起こす!! 現人神 ブリミル・ル・ルミル・ユル・ヴィリ・ヴェー・ヴァルトリだ!!! いい男の前でなら私はいつでも発情期よ!! 盛る微熱 キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー 全裸で登場だ!!! メイドの仕事はどーしたッ 雌の本能 未だ消えずッ!! セーラー服も伯爵夫人も思いのまま!! シエスタだ!!! 特に理由はないッ 無口青髪が可愛いのは当たりまえ!! サイトにはないしょだ!!! 新王就任! シャルロット・エレーヌ・オルレアンがきてくれた―――!!! 酒場で磨いた実戦ツンデレ!! 魅惑の妖精亭のトレビアン・フェアリー ジェシカだ!!! オカマだったらこのミ・マドモワゼルを外せない!! 超A級一人両親 スカロンだ!!! 超一流伝説の超三流の記憶力だ!! 何でもいいから思い出しやがれッ ガンダールヴの左腕!! デルフリンガー!!! 末娘の性格はこの女が完成させた!! ヴァリエール公爵家の核弾頭!! カリーヌ・デジレだ!!! わわわわ、若き虚無が帰ってきたわッ どどどどど、どこへ行っていたのかしらッ レモンちゃんッッ 大きいにゃんにゃんに苛められたいにゃんッッッルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの登場だ――――――――ッ 加えてシリアス過多に備え可愛い使い魔を3匹と1人御用意致しました! つぶらな瞳 ヴェルダンデ!! るる るーるる シルフィード!! 男と使い魔契約!ジュリオ・チェザーレ! ……ッッ どーやらもう一匹は落ち込んでいる様でしゅが、調子に乗り次第ッ皆様にご紹介致しましゅッッ 関連レス コメント 名前
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/6486.html
登録日:2009/05/26 Tue 19 43 24 更新日:2024/06/20 Thu 16 29 31 所要時間:約 10 分で読めます ▽タグ一覧 06年夏アニメ 07年夏アニメ 08年夏アニメ 12年冬アニメ 2004年 HN-Re A型ウイルス感染源 J.C.STAFF MF文庫J おっぱい アニメ ゼロの使い魔 ゼロ魔 ファンタジー ヤマグチノボル ライトノベル ラジオが本編 レモンちゃん 作者急逝 厨二病 地球なめんなファンタジー 志瑞祐 未完→完結 王道 異世界 豪華声優陣 釘宮理恵 釘宮病 魔法 我が名は ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司(つかさど)るペンドラゴン。 この者に祝福を与え、我の使い魔となせ。 『ゼロの使い魔』とは、ヤマグチノボル作のライトノベル、およびそれを原作としたアニメ。 ■あらすじ 普通の高校生 平賀才人はある日突然、異世界に召喚されてしまう。 そこは科学の代わりに魔法が発達し、空には二つの月が浮かぶ異世界ハルケギニアだった。 美少女魔法使い、ルイズの"使い魔"にされてしまった才人は、ハルケギニアに起こる数々の動乱を潜り抜けながら、 「始祖ブリミル」の残した謎に迫っていくことになる。 一、二巻辺りを読むとありきたりなツンデレヒロイン萌えラブコメディのようだが、 巻を追うごとに才人が成長していく。燃える戦闘シーンはかなりの見所。 また、要所で地球の武器が活躍するのがお約束で、特にゼロ戦やタイガー戦車が活躍する戦いは人気が高い。 「地球なめんなファンタジー!」 2013年4月4日、作者のヤマグチノボル氏が二年に渡る闘病生活もむなしく、41歳の若さで末期癌により逝去。 あと2巻を残し図らずも未完の作品となった。 完結編 しかし、作者の死因となった病気である癌は「余命宣告から亡くなるまでにいくばくかの時間的余裕がある」ことから、ヤマグチ自身も生きている間に自らの執筆では完結しきれないという見通しが立った時点でプロットを残し、代筆者による完結を承諾していた。 2015年6月25日に続巻が決まったとの公式発表があった。 その予告通り、2016年2月25日に21巻が発売。実に5年ぶりの新刊であるが、ファンの希望がついに形あるものとして実現することとなった。 執筆はヤマグチノボル先生公認の代筆者によるもの。 偏見を持たれたら困るということで代筆者の名前は発刊時は公開せず、あくまで「ヤマグチノボル」名義での刊行となる。 また、復活を記念してブレスオブファイアや神撃のバハムートなどのソーシャルゲームとのコラボが実現。 ルイズ、才人、タバサらがボイス付で各ゲームの期間限定イベントの配信カードとして登場する。入手は困難だが、いずれも一線級のパワーカードである。 特に神撃のバハムートはグラフィックの美麗さに定評のあるゲームなのでカードイラストには一見の価値あり。 そして、2017年2月24日に最終巻が発売し、シリーズは無事に完結した。 なお、21,22巻の代筆者は2017年6月24日に発売されたメモリアルブックにてライトノベル作家の志瑞祐だったことが公表された。 (ちなみに、志瑞氏が当時執筆していた『精霊使いの剣舞』の刊行ペースが落ちた時期が本作の刊行時期と重なっており、この作業の影響だったと思われる。) 志瑞氏自身ももともと作品の大ファンであったといい、志瑞氏によると本来は才人とルイズの間に産まれた子供の話もヤマグチ氏は描きたがっていたという。 ■登場人物 平賀才人 CV.日野聡 主人公。 地球ではモテなかったのに何故かハルケギニアではモテモテ。 神の左手「ガンダールヴ」で、あらゆる武器や乗り物を使いこなす。 何だかんだで平民→シュヴァリエ(位の低い貴族)→女王直属親衛隊副隊長兼地方領主と、大出世している。 最近はルイズがデレ始めたので、優柔不断になりつつある。 中身は割と普通の少年で普段は悪友たちと馬鹿ばかりやってる。 巨乳大好きではあるが、女の子の好みはルイズと辛い二律背反を抱えた男。 「地球なめんなファンタジー」は彼の名言。 ルイズ CV.釘宮理恵 才人のご主人様。貧乳その1。水瀬伊織ではない。 本名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 名門貴族ヴァリエール家の娘でありながら、全く魔法が使えずいつも爆発ばかりさせていた。 そのことから仇名は「ゼロのルイズ」。 しかし実は伝説の系統"虚無"の担い手。 代表的なツンデレキャラだが、ヤンデレと言っても過言ではな……うわ何するやめ。 「うざい」と言うのは作者公認の感想。 良くも悪くも貴族であり、選民思想で周りに喧嘩を売りまくりもすれば、ノブレス・オブリージュに則り命を懸ける事もある。 でもこれが発揮された時は大体悪い方向に転ぶのがお約束……。 彼女の名前を空で言えれば立派なゼロ魔ファンである。 余談だが、原作挿絵とアニメでは別人のように顔が違うのも有名。 シエスタ CV.堀江由衣 魔法学院で働くメイド。巨乳その1。萩原雪歩ではない。 才人にベタ惚れで、甲斐甲斐しく才人の世話を焼く。 普段は大人しいが、ルイズに対して貴族と平民という身分の差を気にせず宣戦布告、 また性知識が乏しいルイズに官能小説を読ませたり胸のことをからかったりと(色々な意味で)勇敢な人。 ルイズが精神的に病んでたのを叱咤し立ち直らせた中盤以降はルイズの悪友に近い立ち位置になっている。 原作ではそばかすがあるが愛嬌のある顔立ちとなっているが、アニメでは無くなっていて普通の美少女。 同僚曰くきめ細やかなすべすべお肌らしい。 また祖父がどうやら日本から来たらしくトリステイン人と日本人のクォーターという事になる。 才人やルイズが精神的に不安定になった時は大体彼女の出番。 才人ハーレムではルイズとの関係を認めた上で、2号の座を狙う黒い人。だがそれがいい! アンリエッタ CV.川澄綾子 トリステイン王国の女王。巨乳その2。 ルイズの幼なじみで、昔はルイズがアンリエッタの遊び相手を務めていた。 スイッチが入った時のエロさは作中最凶。ノボルの筆が最もノるヒロイン。 正直、才人のED疑惑が持ち上がるレベルである。 ロイヤルbうわなんだやめr ティファニア CV.能登麻美子 巨乳その3にしてNo.1のおっぱい。別名・幸せ製造機。 人間とエルフのハーフで、細長い耳がついている。 ウエストウッド村でひっそりと暮らしていたが、才人たちの後押しもあり魔法学院の生徒となった。 彼女の胸はかなりの大きさで、男なら誰もがむにむにしてみたいと思うはず。 ナイスおっぱい!! その破壊力はバスト・レヴォリューションなる新たな言葉を生み出した。 タバサ CV.いのくちゆか 寡黙な少女。貧乳その2。 読書が好きで、いつも本を読んでいる。 昔のある事件をきっかけに、キュルケと仲良しになった。 タバサとは偽名で、本名はシャルロット。実はガリアの姫様だったりする。 メガネ・読書好き・無口・やけに主人公から頼られる「こいつに頼めば何とかしてくれる」的なポジションから、 一妻多夫の某宇宙人とどことなく似ている、気がする。 正統王女→暗部仕事人→留学生→暗殺者→囚われのお姫様→浪人→女王→囚われのお姫様→一地方領主の肉布団 という波乱の人生を送る。 余談だがキュルケとニコイチで行動していることとその外見から、正体が明かされるまで女装しているショタだと思い込んでた視聴者もいたとかいう話である。 外伝「タバサの冒険」では主人公をつとめる。 キュルケ CV.井ノ上奈々子 巨乳その4。 トリステインの隣国ゲルマニアの留学生で、褐色の肌が健康的なナイスバディー姉さん。タバサの親友で姉的存在。 領土がすぐ隣のルイズとは仲が悪いが別に心底嫌っているというわけではなく、むしろ高慢なルイズをからかうのを楽しんでる様子。 実際には何かとめんどくさいルイズのフォローに回ってくれてる情の深い女の子。 ちなみにT171/B94/W63/H95の超絶バディの持ち主だが、惚れやすく非常に冷めやすいという男泣かせな性格をしている。 初期は才人を落とそうと頑張っていたが最近はコルベールにベッタリで生徒と教師の関係など気にせず情熱的に迫る。 キュルケにしては珍しく冷める様子のないベタ惚れの模様。 実は生徒の中では1番常識人であるという噂も。 デルフリンガー CV.後藤哲夫 才人の愛用する、意思を持ってしゃべれる剣『インテリジェンスソード』。 魔法を吸収する能力を持ち、あちこちで才人の危機を救ってきた。 軽口を叩くいいかげんな性格だが、その過去にはなにかを秘めていそう。 しかし日常場面では出番が少なく、出れる度に喜ぶのがお約束。 ギーシュ・ド・グラモン CV.櫻井孝宏 才人がハルケギニアに来てはじめて戦ったメイジで、後に才人の悪友に。 顔立ちは悪くないがキザでお調子者でバカの三枚目。才人と並んでギャグパートのオチ担当。 実力そのものは高くないがやる時はやるし、貴族としての責を感じているシーンも多い。 序盤での問題行動を中の人関連で弄るのはやめてあげましょう モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ CV.高橋美佳子 キュルケとかとよく一緒にいるでこはっちん。「香水」の異名を持つ。 ギーシュのガールフレンドで、作中(ある意味で)最大の事件のトラブルメーカー。 登場当初はルイズをいびって楽しむよくあるイヤなお嬢様ポジションだったがいやまあルイズもどっちかというとその系統だが、 話を追うごとにお互いの彼氏がアレ、ということでルイズと悪友みたいな扱いに。 ケティ・ド・ラ・ロッタ CV.鈴木久美子 学院の一年生。黒髪の幼げな女の子。二つ名は「熾火」。 ギーシュに思いを寄せられていたがモンモランシーと二股をかけられていた。 スフレケーキを作るのが得意。 アニメでは非常に可愛らしくデザインされており、視聴者にも隠れたファンが多い。 マリコルヌ・ド・グランドプレ CV.時田光 飛ばない豚はただの豚。 ただし嫉妬に狂った時は周囲に恐怖を撒き散らす狂豚と化す。 俺たち代弁者。 あと途中で女に対してはMに目覚めた。 オールド・オスマン CV.青野武→島田敏 魔法学院の学院長。エロジジイ。 決めるときは決めるのだが、いまいち出番に恵まれない不憫な人。 齢300歳とも言われ、ゼロ魔の設定を混乱させている原因の一人でもある。 アニメ3期の後に中の人をしていたピッコロ大魔王がお亡くなりになったのでFではブロリーに代わった。 ジャン・コルベール CV.鈴木琢磨 魔法学院の教師で、髪の神に見放された人。 魔法至上主義のトリステインの貴族でありながら、 魔法を扱えない人たち(シリーズ序盤は露骨に被差別民扱い)にも柔らかい物腰で接する、 恐らくシリーズ一優しさを誇る良識人。 実は作中屈指のチート人物で、ファンタジー世界の生まれにもかかわらずに地球の道具を見ただけで産業革命ぶっちぎりの発明をする。 非常に理解力に優れ地球の道具の機構を見て理を明かし応用する知恵者。 エンジニアとしては某「こんなこともあろうかと」の人にも匹敵するのではないかと思われ、 才人が気兼ねなく地球の武器や道具を扱えるのは彼あってのこと。 また才人は彼が亡くなった(実際には生きてたけど)事を聞いた時にはルイズすら近よらせず一人で泣いている。 この事からもルイズや他の生徒たちとは違う信頼や親近感を持っていた事は間違いないだろう。 また魔法の腕もトリステイン屈指の実力だが、 当人の性格と過去の出来事により余り使う事を好まず、特に他者を攻撃する為に使用する事を極端に忌避する。 ちなみに唯一本気で戦ったところをキュルケに見られてしまい惚れられた。 この際、キュルケとタバサのトライアングルメイジ二人の奇襲をも容易に返り討ちにした相手を一蹴している。 なお魔法だけでなく剣技・体術にも非常に秀でているらしい。 エレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエール CV.井上喜久子 ルイズの姉でヴァリエール三姉妹の長女。父親似。 美人だが、別れた貴族の感想いわく「もう限界」。 しかもそれを伯爵が公爵令嬢を国の貴族が集まったパーティー会場に「もう限界」と記した手紙送り付ける形で振ったと言う中世貴族として考えれば不敬とかそう言うレベルを通り越した何かな所業をかましたにもかかわらず、 パーティー中の事件だった為ガッツリ聞いていた周囲の貴族が誰一人として彼を責めるどころかむしろ同情しか抱いていなかった程。 いやどんだけキツかったの……? この姉にしてあの妹あり、実によく似ている。 本当の感情を表に出さず強く当たる事を是としている辺り完全に姉妹である。 あと胸が貧しいのもそっくり。 中の人は17歳教のお姉ちゃん。あらあらうふふ系のキャラが多い彼女には珍しい役どころである。 カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌ CV.山川琴美 ルイズの姉でヴァリエール三姉妹の次女。 母性の塊のような人で、ルイズの欠点をすべて改善して大人にしたようなかんじといえる理想的な女性。 ルイズにとって、才人に会うまでは唯一の心の支えといえる人物で、現在でもルイズは彼女にべったりである。 しかし不治の病に侵されており、自分の領地から出れないほど体が弱い。 独身なのに彼女だけ姓が違うのはこのためで、ろくに外出もできないことを憐れんだ親が分家させて、形だけでも独立させたため。 そのため、書類上はヴァリエール家の次女ではなく、フォンティーヌ家の当主ということになる。 もっともアニメ版では病弱の設定はほぼ形骸化しており、原作では出ないストーリーにも登場する。 しかしこの慈母の塊のような性格はどこで育まれたのか……母・姉・妹の三人とは見事に性格が異なっている。 ジェシカ CV.樋口あかり トリスタニアにある居酒屋「魅惑の妖精亭」の看板娘。 黒髪の美少女のさっぱりはつらつとした性格で才人ともすぐに打ち解けた。 客からの人気も高いが、チップはしっかりいただいて関係は決して超えることはないしたたかなプロでもある。 実はシエスタとはいとこ。 スカロン CV.後藤哲夫 魅惑の妖精亭の店主。 ジェシカの父でもあるが、筋骨隆々としたオカマ。 なぜこうなったかというと、妻と死別した後からジェシカの母親代わりにならないとと意気込んだのが行き過ぎたのだと。 しかし情に厚く優しい人柄からジェシカや店員の女の子たち皆から慕われている。 口癖は「トレビアーン」。 ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド CV.志村知幸 The.かませ犬。才人のライバル的ポジションになるかと思われたが、そんなことはなかった人。 ちゃっかり1巻に出た土くれのフーケと腐れ縁となったおり肉体関係を持ってる役得な兄ちゃん。 お髭のナイスミドルに見えるが実際はまだ26歳。老け顔過ぎである。 ルイズとは親同士が決めた許嫁であったが、ルイズとの歳の差は10歳。 婚約が決まった時にはワルド16歳、ルイズ6歳。…社会制度を鑑みればおかしくはないが… アニエス・シュヴァリエ・ド・ミラン CV.根谷美智子 アンリエッタの親衛隊であり全員女性で結成された『銃士隊』の隊長。 メイジを除けば作中最強クラスの人物であり、才人に剣術の指南などをした。 自他共に厳しく、重い生い立ちをしているために彼女が出るとシリアス展開になりやすい。 しかしアニメ版では(中の人の演技もあってか)ややキャラ崩れしており、顔芸やギャグシーンが増えた。 なお、事務仕事は苦手で、特にアニメ版では何度も管理体制の不備で危機的状況を招いてしまった。 ミシェル CV.石松千恵美 銃士隊の副隊長。アニメ2期のオリジナルキャラクター。 アニエスに輪をかけて気が強く生真面目な女騎士。特に才人とは仲が悪い。 実力もあり、アニエスからの信頼も厚いが、反面生き急いでいるような余裕のなさもある。 中盤、学院で起きた事件の捜査を始めるが…… モット伯ほど使いやすい設定ではないからか二次創作での出番は少なめ。だが登場した場合には重要キャラ化する場合もあったりもする。 ちなみに銃士隊はアニメ・原作含めても名前ありのキャラはアニエスとミシェルのふたりしかいない。 ベアトリス・イヴォンヌ・フォン・クルデンホルフ CV.辻あゆみ ルイズたちの進級後に入学してきた一年生の少女。 国内屈指の資産力を持つクルデンホルフ家の令嬢であり、ギーシュの実家らは借金をクルデンホルフ家に背負っているので上級生らも頭が上がらない。 性格は典型的な高飛車なお嬢様で、ティファニアに因縁をつけて彼女を異端審問にかけようとしたがルイズに異端審問の資格を持っていないことを看破されて追い詰められる。 しかし孤立したところをティファニアに「お友達になりましょう」と呼びかけられたことで涙を流しながら彼女と和解。 その後はティファニアにすっかり懐いてしまい、ティファニアが辟易するほどべったりされている。 ジョゼフ1世 CV.小杉十郎太 原作後半にいたるまでの才人たちの宿敵と呼べる人物。 大国ガリアの国王であり、無能王と世間からは呼ばれているが、 実は悪魔的な策謀を張り巡らす知者であり、劇中の多くの事件が彼の差し金によるものである。 戦術的な思考を超えた複数の国家を巻き込む遠大な戦略を練っており誰も策謀その物を気づけなかった。 だが、彼自身に野心や欲望といったものはなく、その動機は過去に起こしたある事件でうしなった「あるもの」を取り戻すためでしかない。 そのスケールは暇つぶし同然に国家間の戦争を起こすほどで、 しかも非常に周到に行動するために、才人たちも彼が黒幕だと知ったのは中盤に入ってからだった。 シェフィールド CV.勝生真沙子 ジョゼフに仕える虚無の使い魔ミョズニトニルンで、あらゆる魔道具を自在に操れる能力を持つ女性。 主人であるジョゼフに絶対の忠誠を誓っており、彼のためであればいかに非道な行為でも平然と行う冷酷さを持つ。 序盤から中盤までの事件のかなりの割合が彼女が策動して起こしたものである。 シェフィールドというのは偽名であり本名は不明。東方の神官の出身であるらしい。 ヴィットーリオ・セレヴァレ CV.立花慎之介 ブリミル教の総本山、ロマリア皇国の教皇。神官ジュリオ・チェザーレの主人でもある。 決して悪人という訳ではないのだが、ブリミル教の悲願のためなら手段は選ばない本質的には冷酷無比な人物。 原作後半からの数々のえげつない策謀や最終目的から一時期彼がラスボスになるのではとも噂されていた(実質ラスボス的な存在ではある)。 なお、ブリミル関連の設定には数多くのきな臭い謎や矛盾が見受けられている。 ジュール・ド・モット CV.松本保典 トリステイン王国の貴族。アニメ1期のオリジナルキャラクター。通称モット伯。 美少女の使用人を集めてはいかがわしいことをさせている、という典型的な悪徳貴族。 しかし話せばわかるところもあり、善人とはいえないが悪人とも言い切れない面もある。 二つ名は『波濤』。なにげにメイジとしての実力は作中屈指の高さを持つ。 二次創作では頻繁に登場し、悪役キャラとしてかませにされるが、ギャグ色の強い作品ではただのエロオヤジとして笑いを取りに来る。 エンシェントドラゴン アニメ版におけるラスボスで原作には登場しない。 エルフの伝説における大災厄そのものであり、ハルケギニアを滅ぼすために暴れまわる。 シルエットはオーソドックスなドラゴンであるが、冷えた溶岩のような外皮から赤い肉体がところどころ見えているなど禍々しい姿をしている。 例えるならばシン・ゴジラの第四形態そのままである。強さは比較にもならないが…… 飛行能力と口からのブレスのほか、野生のドラゴンや竜騎士のドラゴンを洗脳して手駒にする能力も有している。 ハルケギニアの武力では歯が立たない相手だったが、才人が自衛隊から持ち出した戦闘機のミサイルで大ダメージを受けるなど、 地球のレベルからしたらたいしたことはなく、ぶっちゃけ『ス●イヤーズ』や『フェア●ーテイル』の世界だったら2ページでやられてそうな敵である。 まあ水爆食らったりマグマの中で水泳したりするような怪獣たちと日常的に戦っている某島国の基準がおかしすぎるだけかもしれないが。 余談 登場人物の多くは17~18世紀のフランス革命前の歴史上の人物から名前が取られている。 地名もまた同様(*1)であり、世界史専攻した学生ファンは教科書をめくってるだけで楽しめる事であろう。 作者ことヤマグチノボルも相当な変態であった。 まあ本業はエロゲのシナリオライターであるし、 本作の執筆動機も「ハリポタのハーマイオニーたんに詰られたい踏まれたいハアハア」だったらしいことからも納得である。 あとがきにもよくそれが滲み出ており、初期は"ややおかしい人"レベルだが、だんだんと"ただの変態"レベルになっていく。 「ハムラビ法典! ハムラビ法典! ハムラビ法典!」 「ヒアイズファンタジーワールド! ヒアイズファンタジーワールド! ヒアイズファンタジーワールド!」 「と ま っ て い る」 ルイズたんのコピペは一度は目にした事があるであろう。 ルイズへの愛を最大限に叫んだ気持ち悪いコピペである。 ■アニメ版 アニメ版は4期まで放送。 こちらは途中から原作とは異なるストーリーではあるが、 ラノベアニメによくある「続きは原作で!」とか「俺達の戦いはこれからだ」エンド等ではなく綺麗に完結している。 ○ゼロの使い魔(第1期) 2006年7月~9月放送。全13話。 監督:岩崎良明 物語開始からルイズの虚無魔法覚醒までを描いたストーリー。 ただし、本来この先のイベントがフライング的に盛り込まれている。 オリジナルストーリーとしてモット伯編がある。 また、ルイズは原作では召喚台詞を言っておらず、有名な「この世のどこか~」の文句はアニメ発祥である。 ○ゼロの使い魔~双月の騎士~(第2期) 2007年7月~10月放送。全12話。 監督:紅優 アルビオン戦争終結までを描かれている。しかし戦争の描写の大半が割愛されてしまっている。 オリジナルストーリーは1期よりも増えた。また、準レギュラーのオリジナルキャラクターとして銃士隊副長のミシェルが登場する。 ○ゼロの使い魔~三美姫の輪舞~(第3期) 2008年7月~9月放送。全12話+OVA1。 監督:紅優 タバサ救出までをなぞる。本作は原作にやや忠実でオリジナル展開は少ない。 その代わりにOVAは完全オリジナル。 キュルケたちが精霊魔法を使ってしまい、DVDで修正されたことが地味に有名。 ○ゼロの使い魔F(第4期) 2012年1月~3月放送。全12話。 監督:岩崎良明 シリーズ構成にヤマグチノボルが参加。 アニメ最終作。原作が未完のために大半の伏線が未回収であるが、仕方がないことであろう。 オリジナルのラスボスとしてエンシェントドラゴンが登場。 いずれの作品もOPはICHIKOが、EDはルイズ名義で釘宮理恵が担当している。 ◇ゲーム版 恋愛アドベンチャー ○小悪魔と春風の協奏曲(2007年) ○夢魔が紡ぐ夜風の幻想曲(2007年) ○迷子の終止符と幾千の交響曲(2008年) ※いずれもPS2対応。 オリジナルキャラクターの春奈に人気があり、二次創作作品でもちょくちょく登場することがある。 SRPG ○超ヒロイン戦記(2014年) クロスオーバー型ゲームで、一言で言えば『美少女アニメ版スパロボ』 ゼロ魔からはゼロの使い魔Fが参戦した。 ただし、ゲーム本体としての出来は悪くないものの、参戦作品が一部を除いてマイナーなものやブームを大きく過ぎたものが多く 発表当時は「ガンダムもマジンガーもいないスパロボ」「有名どころにオファーを断られまくった余りものの寄せ集め」などと呼ばれた。 使用可能キャラはルイズ、シエスタ、ティファニアの三人。 しかしルイズはエクスプロージョン一辺倒であるし、シエスタもティファニアもバトル向けキャラではないため戦闘シーンはかなり違和感がある。 PS3及びPSVITA対応。 ◇二次創作 ラノベ原作の二次創作作品は数多いが、ゼロの使い魔はその中でも特に二次ssが多く作られた。 理由は、人気作だったということも当然であるが、当時はまだ異世界転生ものが決してメジャーなジャンルではなかった(*2)ため、 非常に二次創作に持って行きやすい設定だからということが大きい。 小説投稿サイトで二次創作が可なところでは、ほぼ確実にゼロの使い魔の検索欄がある。 しかし、貴族主義で平民が圧迫されているという世界観や、ルイズの性格に対してのアンチも多く、 一時期はただ単にメアリー・スーをするだけの駄作が氾濫し、原作を読んでいないけどルイズが嫌いですと公言するような 恥知らずな二次作家が溢れたせいもあって、二次創作小説の衰退、投稿サイトの規制強化につながった面も忘れてはいけないだろう。 現在では、極端なヘイト作品はおおむねの投稿サイトで規制されるために落ち着いており、全盛期ほどではないが 作品は増え続けている。 神聖で美しく、強力なアニヲタ民よ! 私は心より求め、うったえるわ。 この項目を追記・修正しなさいっ! △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 追記乙 -- 名無しさん (2013-04-13 14 27 26) もしも作者がご存命だったなら、監修してたアニメ版4期をなぞる終わり方したのかな? -- 名無しさん (2013-08-29 22 37 11) プロットとか残ってないのかな…… -- 名無しさん (2013-10-10 18 20 30) ツンデレ(笑)暴力ヒドイン -- 名無しさん (2013-12-01 23 36 01) ↑x2制作動機が作者のリビドーである以上、別人が書くとテイストが大幅に変わる危険性がある。プロットが残っていたとしても、それをもとに続編を…というのは難しいのでは。 -- 名無しさん (2013-12-01 23 42 14) とは言え、何らかの形で終わらせてほしいな。極端にテイストが違わなければ別人が執筆してもいいかもね。 -- 名無しさん (2014-01-23 00 32 10) 風の聖痕見たいに、遺稿をまとめた最終巻とかなら敷居が低いかな -- 名無しさん (2014-01-23 00 35 41) 執筆動機が「ハーマイオニーたんに踏まれたいハァハァ」だったのは本当の話なのだろうか -- 名無しさん (2014-04-04 12 07 53) 吉田直さんの「トリニティ・ブラッド」みたいに作者が亡くなって未完になったのが残念 -- 名無しさん (2014-04-08 23 33 57) クロスオーバーしやすい設定だから全盛期はルイズに召喚されてない作品を探すほうが大変なくらい二次があったなあ -- 名無しさん (2014-05-23 12 22 47) ↑×3、 ハリポタの二作目の制作が発表されたころにHPの日記にそれらしいこと書いてたらしい。オレ自身はコピペでしかみたことないから本物かはわからんけど ハーマイオニーの椅子になって座られたいとか、「この薄汚い椅子は今日も私のお尻をさわって…」と罵られたいとか -- 名無しさん (2014-05-31 00 06 54) ↑x2なんでも、実写トランスフォーマーのブラックアウトが召喚される話まであったそうじゃないか。 -- 名無しさん (2014-05-31 00 10 44) 一妻多夫の某宇宙人って誰だ? -- 名無しさん (2014-05-31 12 22 35) 最近、ラノベもいいな、と思ってこれを購入したから、今日はラノベ記念日。 -- 名無しさん (2014-07-02 11 44 41) ↑項目にも書いてあるけど作者が亡くなって、完結まであと2巻か3巻くらいの所で未完になってるから覚悟しとけよ -- 名無しさん (2014-07-02 12 10 56) ↑大丈夫。脳内補完するから。 -- 名無しさん (2014-07-07 00 18 51) 確か核兵器が出た辺りで終わったんだっけ。立ち読みレベルでしか知らないけど。 -- 名無しさん (2014-09-12 17 27 16) 正確には核ミサイル装備の原潜な。もしも使用したところまで書かれてたらゴジラとのクロスも生まれてたと思う -- 名無しさん (2014-12-06 21 44 02) ゴジラとのクロスはあったよ。物語も始まらん所で終わってたけど -- 名無しさん (2014-12-30 23 42 02) 最近のニコニコニュースでアニメのツンデレキャラ10選てのあってルイズが入ってた。というか半分近くがくぎゅキャラだったが -- 名無しさん (2015-02-22 15 59 05) 思えばファンタジー+ミリタリーの元祖とまではいかなくても最初期の作品なんだよな。ミリ姫や艦これでミリタリーへの関心が強い今でこそヤマグチ先生は活躍してほしかった -- 名無しさん (2015-05-07 02 49 03) ゼロの使い魔復活!!やったぜ!! -- 名無しさん (2015-06-25 22 41 44) 代筆者ね…。できればいい方向で終わりゃいいんだが。ともあれ、復活おめでとう -- 名無しさん (2015-06-26 23 06 03) プレッシャー半端なさそうだな代筆者。 -- 名無しさん (2015-06-26 23 10 20) 先生公認ってどういうこと?入院した時にもしもの時の為に代筆者を選んでいたの? -- 名無しさん (2015-06-26 23 27 24) 生前に編集部と相談して決めたとのことだから、もう自分は間に合わないと感じたんだろうなあ。 -- 名無しさん (2015-07-03 09 04 26) 公認代筆者ってことは自分が書ききれなかった時を考えてこう完結するつもりを話した人がいるんだろうね、作品が完成しないことや読者にラストを見せてあげようって気持ちが強かったんだろうな・・・ -- 名無しさん (2015-07-03 09 54 23) ゼロの使い魔の続きが見れるなんて。こんなに嬉しいことはない -- 名無しさん (2015-07-03 18 15 10) 外伝の烈風の騎士姫の続きも見たいがさすがにそこまでは無理だろうか? -- 名無しさん (2015-07-04 09 52 06) 今じゃ山のように粗製乱造されてるファンタジー世界に現代人が召喚されるというジャンルを確立させた作品だよな。その末路がどうなるのか、最初期の作品だけに是非見てみたい -- 名無しさん (2015-07-31 03 18 51) ↑実はダンバインという先駆けがあるんだぜ。 -- 名無しさん (2015-07-31 08 59 39) ↑ほかにもNG騎士ラムネ&40とか魔人英雄伝ワタルとかもあるかなwちなみに全部地球人が異世界に召喚されてロボットに乗って戦う!昔のロボものでちらほらあったw -- 名無しさん (2015-07-31 09 13 55) 昔からあるっちゃあったんだよ、ただラノベの流行り始めにゼロ魔が人気出たからその手の設定のラノベの代表作みたいな感じなだけで -- 名無しさん (2015-10-07 23 47 28) 代筆とは言え続刊は嬉しいけど不安な面も多々あるなあ。言葉にしにくいけどどんな物語でも作者ごとのクセみたいなもんがあっから -- 名無しさん (2015-10-07 23 50 29) ↑そりゃそうだけど、どうしたってノボルが生き返るわけじゃないんだから贅沢を言い出せばきりがない。こういうのは期待の60パーセントでも満たされれば上々ってものだよ -- 名無しさん (2015-10-08 05 41 14) 亡くなられたころ、後一冊分は書き溜めたもの(下書き?)があるからそれを出せれるようにする…っていう感じの記事みたことがあったけど…それベースなのかなぁ代筆。 -- 名無しさん (2015-10-08 05 45 52) ぶっちゃけどれだけ正確にヤマグチ先生の癖を再現して完璧なゼロ魔を仕上げたとしても、絶対にこれは違うとかこんなのゼロ魔じゃないと喚き出す奴らは出て来る。 -- 名無しさん (2015-12-21 15 46 29) ↑大山ドラしか認めないって人間が懐古厨として冷笑しかされないようになるまでかかったように、時間が解決してくれるまで待つしかないな -- 名無しさん (2015-12-21 16 03 47) ヤマグチ先生が本当に望んでいるものは何か、それは託した者が無事に完結させてくれることではなかろうか。ヤマグチ先生らしさをめぐる終わりのない議論をする事が、亡くなった先生の望みなのか。違うと思う。 -- 名無しさん (2016-02-01 19 53 25) 当の21巻には代筆者の名前がなかったけど、こういうのって出さないのが普通なの? -- 名無しさん (2016-02-25 12 31 25) 普通かどうかは知らんが出さんが妥当だろう -- 名無しさん (2016-02-25 20 19 42) 出版社の人達も変な先入観が持たれないようにあえて代筆者明かさないってさ。ちなみに印税面は遺族の方々と話はつけているって -- 名無しさん (2016-02-29 23 20 17) 代筆者は先生と担当者の共通の知人の作家さん -- 名無しさん (2016-02-29 23 21 57) 時間かけただけに21巻は20巻以前との違和感はほとんどなかった -- 名無しさん (2016-04-17 12 01 30) 神撃のバハムートとのコラボは良イベだった。ルイズの虚無ってミスタルシアの視点で見ても相当なものなんだな -- 名無しさん (2016-05-27 15 51 49) アニメとある程度合わせてあると言う事は最終巻で教皇が死ぬかな -- 名無しさん (2016-07-12 00 27 39) 原作ももうすぐ終わりか。アニメと同じく結婚式から地球行きでしめるか、それともまったく別の終わり方をするのか -- 名無しさん (2017-02-04 23 37 50) いやー上手く畳んだわ、お疲れ様でした。ネタバレだが↑は前者だっだな(内容は違うが) -- 名無しさん (2017-03-02 15 18 18) 復刻イベントでまた神撃のバハムートでコラボとはな。追加カードもあるみたいだし粉を吐き出すつもりでやろう -- 名無しさん (2017-03-07 21 21 56) デルフリンガーの中の人、亡くなられたのか…。ご冥福をお祈りいたします -- 名無しさん (2018-11-09 09 25 01) 原作準拠の再アニメ化をして欲しい作品の一つ -- 名無しさん (2020-11-08 10 04 54) 残念なところは展開がワンパターンすぎたというところかなあ。サイトとルイズが何らかの理由で離ればなれになっては再会するシチュエーションがとても多い -- 名無しさん (2021-09-23 23 06 23) どっかで北朝鮮による拉致被害を風刺している作品とか言われてたな。まぁ確かにある日突然全く知らない土地に連れ去られて使い魔という名の『奴隷』として(後に改善したが)家畜同然の扱いを受けてたり割とブラックなところが初期はあったよね。 -- 名無しさん (2022-01-15 16 50 14) ↑今見たら女の子の着替えを手伝ったり下着を洗濯したりとご褒美としか思えないけどな -- 名無しさん (2022-07-17 09 38 47) 「死にたくねえよ畜生」「相棒はてんで義理堅えや」 -- 名無しさん (2023-01-04 13 48 30) ↑2そりゃ相手が美少女だからコメディだけど、これがオッサンだったら地獄なんだよなあ… -- 名無しさん (2023-01-08 15 34 12) 偶然だとは思うけど、所々に銀河英雄伝説をモチーフにしているような描写があるのは気のせいだろうか? 何故か両作品は既視感を覚える感じがする。 -- 名無しさん (2023-04-10 20 10 18) 報告にあった荒らしコメントを削除しました。 -- 名無しさん (2023-06-04 21 22 29) ハーメルンではまだかなりの数の新作が投稿され続けてるから新規の読者も増え続けてると思えて嬉しい -- 名無しさん (2023-06-29 20 10 58) ツンデレ、貧乳、巨乳、メイド、エルフ、メガネロリ、etc……性癖の開拓および発展にこれほど貢献した作品はそうはあるまい -- 名無しさん (2024-05-29 20 52 24) 完結はしたけど、結局『東の国』『ブリミル周りの真相』『虚無の魔法の正体』については明かされなかったね。ただ、断片的とはいえ正解に近い解釈ができるのがすごいところ。 -- 名無しさん (2024-05-30 12 50 41) 最終盤でのブリミルの発言から高次存在の何らかの介入や思惑があった事は間違いあるまい。 -- 名無しさん (2024-05-30 13 56 46) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/978.html
158 :ゼロの慎二 ◆mkWK7X3DHc :2007/10/26(金) 20 40 35 待 名前も知らぬ少女の手伝いをする 「おい、ちょっとまて」 「はい?」 「あ〜……んー、なんだ——」 『手伝う』そんな簡単な言葉が出てこない。自分から手伝おうとするなんて、何年ぶりだろうか。少なくても記憶には残っていない程昔になる。 発声の仕方をを忘れたかの様に、声が出てくれない。照れくさい。こんな事は自分のキャラクターじゃない。普段なら絶対に自分からしようとなんてしない。なのに今、目の前の少女に手伝いを申し出ようとしている。申し出ようとはしているのだが、それができないでいる。 ——ああっ、面倒だっ……! 言葉よりも先に手が出ていた。少女が片づけようとしていた食器の乗ったお盆を奪い取る。 「……自分でやるからいい」 これが僕の精一杯。これだって顔から火が出るほど恥ずかしい。 「いいですよ。他にも片付けないといけない物も有りますから」 せっかく奪ったお盆を、取り返そうとする女。だが易々と取られたりはしない。 「いいっていってるだろ。自分の仕事しろよ、お前」 「……ですが」 「——しつこいぞ。自分の事は自分でするって言ってるんだよっ」 僕は何をやってるんだろ。食事を用意してくれた彼女の……手伝いたかった筈なのに…… 「どこに運べばいいんだ?」 お礼すらもまともに言えない自分の性格が嫌になる。 「こちらです」 案内された先には、山のような食器。 「これ、お前一人で片付けるのか?」 あはは、と乾いた笑いだけが返ってくる。これを一人で片づけていたら、終わるのは深夜になるだろう。 「コレをいつも一人で片づけているのか?」 「いえ……いつもは三人はいるんですけど……」 言いにくそうに言葉を詰まらせる。その先を問いただすように促す。 160 :ゼロの慎二 ◆mkWK7X3DHc :2007/10/26(金) 20 43 05 「————昼間の『騒ぎ』に巻き込まれて、怪我をしてしまったんです」 顔を俯かせ、済まなそうに告げた。 そうか、この惨状は僕のせいって訳か……なのに少女は笑顔で食事を用意してくれた。 「ふーん、大変だな。ま、頑張りなよ」 なのに出てくるのはそんな言葉で…… 「はい」 少女の笑顔が、心に突き刺さった。 「さて、さっさと片づけるかな」 眩しい笑顔から顔を背けるように、皿を洗い始める。 一枚、また一枚と、手際良く食器をかたしていく。カチャカチャと陶器のぶつかり合う音だけが、空間を満たす。 少女はいつまでたっても洗い終わらない僕を不思議がって、此方の様子を伺ってきた。 「あっ、使い魔さんっ! それはいいですよ。ご自分の食器は終わってるじゃないですか」 慌てて僕を止めようとする。 「これは洗われて困る物なのか? そうじゃないなら別にいいだろ。僕が好きでやってるんだから。部屋に戻っても暇だしな。」 それは嘘。こんな面倒な事は、今すぐにでも投げ出してしまいたい。でもそうしない。責任感? 罪悪感? 自分の起こした結果への免罪符が欲しいのか? 分からない。でもここで帰ったら、ぐっすり眠れない。だから僕はやるんだ。そうだ、今夜熟睡するためなんだ。胸の中のモヤモヤを掻き消すように、自分に言い聞かせる。 「ありがとうございます」 深々と頭を下げられる。本当は僕が下げなければいけないのに…… 「別にお前のためにやる訳じゃない、勘違いするなっ!」 結局洗い物が終わったのは日付の変わった後だった。あと少しで終わる所で抜け出してきたが、もう終わっているだろう。 さっさと部屋に戻ってぐっすり眠ってしまおう。今日は色々ありすぎて疲れた…… 部屋の主を起こさない様に、静かに扉を開ける。部屋の中には…… 起 一号が仁王立ちしていた。 眠 静かな寝息が響いていた。
https://w.atwiki.jp/gundamwarnexa/pages/2441.html
ゼロの示す未来 [部分編集] プロモーションカード COMMAND 00/C WT007P 3-白2 (ダメージ判定ステップ):自軍本国の上のカード1~3枚を表にする。その場合、戦闘エリアにいる敵軍ユニット1枚にXダメージを与える。Xの値は、この効果で表にしたカードの中にある、ユニットの合計国力の合計値とする。 破壊 白-W 2014年12月の公認大会の参加賞として、ヤクト・ドーガ&クェスとセットで配布。
https://w.atwiki.jp/pokemonsv/pages/2463.html
もくじを見る 商品情報 概要 関連項目 商品情報 商品情報 タイトル 『ポケットモンスター スカーレット ゼロの秘宝』(番外編)『ポケットモンスター バイオレット ゼロの秘宝』(番外編) 配信開始日 2024年1月11日(木) 公式サイト 概要 関連項目 ゼロの秘宝 コンテンツ 碧の仮面 藍の円盤 番外編
https://w.atwiki.jp/animerowa/pages/508.html
平賀才人 2 46 弓兵と使い魔、そして皇 ◆FbVNUaeKtI 57 有機生命体の耐久度調査 ◆Bj..N9O6jQ ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール 13 24 「うん、それ無理」 ◆LXe12sNRSs 36 見えない恐怖 female gorilla ◆5VEHREaaO2 47 RESSRRECTION LOUISE~即席のスリーアロー~ ◆hqsGYwUFfw 84 現実の定義 Virtual game ◆B0yhIEaBOI 119 幸運と不幸の定義 near death happiness ◆QEUQfdPtTM 129 「サイトと一緒」 ◆5VEHREaaO2 141 二人の少女 恐怖のノイズ/二人旅 ◆Lp4e6dlfNU 163 二人だけの第三楽章~復讐の炎は地獄のように胸に燃え~ ◆5OBhuaMu0o 183 響け終焉の笛 ◆FbVNUaeKtI 193 調教 ◆g3BDer9VZ6 195 【黒禍】 ◆S8pgx99zVs 207 「ゼロのルイズ」(前編)「ゼロのルイズ」(後編) ◆LXe12sNRSs 215 なまえをよんで Make a Little Wish(前編)なまえをよんで Make a Little Wish(後編) ◆2kGkudiwr6 タバサ 1 31 reckless snow wind ◆.9Q8uilou6
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8190.html
前ページ次ページゼロの賢王 トリステイン魔法学院。 その中庭で、ドカーンと威勢のいい音が鳴り響いた。 これで何度目だろう・・・。 同じ制服を着た少年少女たちは、1人の少女を見ながらそう思っていた。 ピンクブロンドの髪を振り乱し、華奢な体をふるふると震わせる少女。 彼女の名はルイズと言った。 ルイズは何とか自分を落ち着かせると、再び目を閉じて、杖を構えた。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」 そう静かに、そして確かに呪文を唱える。 「五つの力を司るペンタゴン」 これは召喚魔法。 彼女のパートナーとなる使い魔をこの場に呼び寄せる呪文である。 「我の運命に従いし、"使い魔"を召喚せよ」 少女は力を込めて杖を振った。 その直後、目の前で大爆発が起きた。 大量の土煙が舞い上がり、その場には大きなクレーターまで出来ていた。 周りで見学していたルイズの同級生たちは誰もが、 「『ゼロのルイズ』がまた失敗した」 そう思い、ルイズを嗤おうとした。 その時、立ち込める煙の中に人影が現れた。 少女は目を見開く。 もうもうとした土煙が晴れると、そこには金色の長い髪の男が倒れていた。 「・・・え?」 ルイズは愕然とした。 ドラゴンやグリフォンなどといった高等な生物まではいかなくとも、 せめて使い魔らしい使い魔を呼びたかった。 だが、目の前にいるのは人間。 しかもどう見ても平民である。 それに気付いてから同級生たちの嘲笑の声が辺りに響き渡るのに時間は掛からなかった。 「ハーッハッハッハハ!!!おい、見ろよ。あれ平民だぜ!?」 「やっぱり『ゼロのルイズ』だな!!アハハハハハハ」 「ひ・・・ひ・・・も、もうダメ・・・笑い過ぎで、腹が・・・!!」 ルイズは頭の中が真っ白になった。 暫く呆然としていると倒れていた男がピクリと動く。 「んん・・・」 男は頭を押さえながらよろよろと立ち上がった。 そして、薄く開いた目で辺りをキョロキョロと見回している。 その顔もこれまた野暮ったい顔である。 年齢もこの召喚テストを取り仕切っているコルベールと変わらない様に見える。 ルイズは思わず頭を抱えていたが、すぐにピンクブロンドの髪をひるがえして、 側でルイズと同じ様に呆然としているコルベールへと向き直った。 「ミスタ・コルベール!」 「・・・あ、な、なにかな、ミス・ヴァリエール?」 「あの・・・も、もう一度!もう一度召喚させて下さい!!」 「それは出来ない」 コルベールは首を振って否定の意を示した。 「使い魔の召喚は神聖な儀式だ。一度呼び出した使い魔を変更することは出来ない」 「でも、アレは平民です!使い魔じゃありません!!」 「例え平民であっても、召喚された以上は君の使い魔だ。君は責任を持って彼と契約する義務がある」 「で、でも!!」 ルイズは必死に食い下がるが、コルベールは再び首を振ってそれを拒否した。 「さあ、早く『コントラクト・サーヴァント』をしたまえ」 「し、しかし!!」 そうは言いながらもルイズは分かっていた。 『サモン・サーヴァント』が成功したのは、今の自分にとっては奇跡的なことであり、 今が最後のチャンスなんだということを。 正直、ルイズは再び『サモン・サーヴァント』を成功させる自信が無かった。 「ちょっといいか?」 突如聞こえた言葉がルイズの思考を遮る。 気が付くと、男が二人の側まで来ていた。 「ここは一体何処だ?俺は一体どうなった?さっきまで確かに船の上にいたんだがよぉ・・・」 ルイズは横目でジーっと男の顔を見る。 そしてハァとため息をつくと、覚悟を決めたかの様に男へと向き直った。 「あんた、名前は?」 そう言うと、ルイズはキッと男を睨み付ける。 頭で納得出来ても、やはり心では納得出来ていないのだ。 男はいきなり睨み付けられて少しムッとした顔になった。 「お嬢ちゃん。人に名前を聞く時はまず自分から名乗るのが年上に対する礼儀って奴だぜ?」 「いいから名前!!」 「だから、まずそっちが名乗れって・・・」 「名前!!!!」 「・・・・・・」 男は先程のルイズの様にため息をつくと、やれやれと言った感じで答えた。 「・・・ポロンだ」 「ポロン?変な名前ね。いいわ、ポロン。ちょっと屈みなさい」 そう言うとルイズは人差し指をポロンに向けて、下へと曲げた。 「ハァ?何で俺がいきなり会った見ず知らずのガキに名前呼び捨てにされて、 更に言われた通りにそんなことしなきゃならねえんだ?」 「ガキ・・・?(ピキッ)・・・いいから早くしなさい」 「ったくよぉ」 ポロンはこれ以上言っても無駄だと思い、渋々身を屈めた。 ルイズの顔が近くなる。 「あんた、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから」 (意外と可愛い顔しているな) ルイズの顔を間近で見て、素直にポロンはそう思った。 だが、ポロンとて愛する妻がいる身であり、血が繋がってはいないもののたくさんの子供もいる。 ポロンがルイズに感じた可愛さは、親が子に思うそれと同質のものであった。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔となせ!」 それに見惚れていたというわけではないが、ルイズの突然の行動にポロンは何も出来なかった。 重なる唇。 流石のポロンもサクヤや子供たち以外と口づけを交わすのはかなり久し振りであり、少し気恥ずかしくなる。 ルイズの体がポロンから離れた。 「・・・終わりました」 それだけ言うと、ルイズの顔は急に赤くなりポロンから目を背けた。 可愛らしいところもあるんだな、と思った瞬間、ポロンの左手に激痛が走った。 「何!?」 毒でも仕込まれたのか?と一瞬勘ぐったが、痛みはすぐに治まった。 代わりに左手には見たことも無い文字で印が刻まれていた。 「何だ・・・こりゃあ?」 「それは使い魔のルーンよ」 「使い魔の、ルーン?・・・つーか、使い魔って何だ?」 「使い魔は使い魔よ。ポロン、今日からあなたは私の使い魔となるのよ」 「ハァ!?何だそりゃ!?」 ポロンは開いた口が塞がらないという感じで言った。 するとコルベールが二人の間へ入った。 「ミスタ・・・そのことは私から説明しましょう」 コルベールから今の事情について簡単に説明した。 今は使い魔召喚の試験を行っているということ。 ミス・ヴァリエール・・・つまりそこの少女がポロンを召喚したということ。 彼女はこの試験に合格出来なければ留年となること。 故にポロンと使い魔の契約を交わしたということ。 「何じゃそりゃあ!?俺は使い魔なんてやらねえぞ!!」 それを聞くとポロンは全力で拒否の意を表明した。 いきなり見知らぬ土地へ連れて来られて、更に見知らぬ子供に口づけされて、 それで今度はその子供の使い魔となれ。と言われているのだ。 拒否しない方がおかしい。 「ハァ?何言ってんの?あんたみたいな平民に拒否権なんて無いわよ」 「ああ?あんだってー?」 「平民が貴族に従うのは当然じゃない!大人しく使い魔になりなさい」 「今のでカチンと来た!!絶対に嫌だね!!」 ポロンが頑なに拒否していると、またクスクスと笑い声が聞こえる。 「おい、『ゼロのルイズ』が平民に拒否られてるぞ!」 「アハハハハ、自分の使い魔に拒否られるなんて流石は『ゼロのルイズ』だな!!」 「ていうか、あれって使い魔なの?ただの平民だろー?」 その声は、事情を知らないポロンさえも不快な気分にさせた。 『ゼロのルイズ』が何を意味しているかは分からないが、 目の前の少女が馬鹿にされている。というのは伝わって来る。 ふと見ると、ルイズはわなわなと震え、目には涙を浮かべていた。 ポロンは「ふむ」と顎に手をやると、すぐに軽く頷いた。 「おい」 「・・・何よ?」 「使い魔になってやってもいいぜ」 「へ?で、でもあんたさっき絶対に嫌だって・・・」 「気が変わった。これからよろしくな、えーっと・・・ルイズだっけ?」 「な、何で私の名前を?」 「さっきから周りのガキ共が『ルイズ』って言ってたからな。お前のことだろ?」 「ええ・・・」 『ゼロの』という部分を敢えて言わないのはポロンの優しさだった。 本来のポロンは子供にはとても優しい人間である。 『ゼロ』が示す意味については気になる部分もあったが、それが彼女にとって触れられたくないものである。 ということはすぐに察せられたので『ルイズ』とだけ言ったのだ。 「ふ、フン!最初から素直に使い魔になってれば良かったのよ」 「素直じゃないのはお互い様でね」 「な、何よ!」 二人の様子を見てコルベールは安心したように頷くと、ふと何かを思い出してポロンの元へ駆け寄った。 「すみませんミスタ、その左手のルーンを見せていただいてもよろしいですか?」 「あん?これか?別にいいけど・・・」 「ふむ、珍しいルーンだ。有難う」 コルベールは素早くポロンのルーンをスケッチすると、手をパンパンと叩いて皆の注目を集める。 「では皆さん、これから部屋へ戻って今呼び出した使い魔との交流を深めて下さい」 コルベールの号令とともに他の生徒たちもぞろぞろと部屋へ戻って行く。 「ルイズ、お前は歩いてこいよ!」 「あいつ、フライはおろか、レビテーションさえまともにできないんだぜ!」 去り際にそんなことを言いながら飛んでいく生徒たちを見てポロンは驚いた。 その様子を見て、ルイズは「魔法を知らないなんて何処の田舎者よ」と呆れていたが、 ポロンが驚いていたのは飛べることではなかった。 (何で飛べるんだ!?世界から呪文は失われたはずなのに・・・) 思わずポロンは立ち尽くしていた。 ルイズはそんなポロンに気付かず、その場に置いて先へ進んでしまった。 ポロンは暫く呆然としていたが、ハッと気が付くとすぐに地面へ手を向けた。 「メラ・・・!」 すると、懐かしい感触とともに手の平から火の玉が放たれた。 火の玉は地面へ着弾すると、そのままパチパチと燃えている。 (呪文が・・・使える・・・だと!?) これは絶対に有り得ないことであった。 『失われし日』を境に呪文の消失は全世界に及んでいた。 魔力の有無に関わらず、全世界で呪文を使用することが出来なかったのだ。 それが使用出来るというのは、すなわちここが自分たちが知る世界では無い、ということである。 「・・・・・・」 ポロンはごくりと唾を飲み込むと、もう一度呪文を唱えた。 「メラゾーマ!!」 しかし、今度は何も起きなかった。 (魔力は足りている。呪文を忘れた?いや、違う。そういう感じじゃねえな・・・。急に使えるようになったから、心と体が慣れていないのか?そんな感じだな・・・) 「ちょっとポロン!!何で付いてきていないのよ!!」 ルイズが急いでポロンの元へ駆けつける。 ポロンはルイズの顔を見た。 ルイズは怒りながらも何処か不安そうな顔をしていた。 (そうか・・・俺がお前を置いてどっかへ行っちまったとか思ったんだな) 「ああ・・・すまねえな」 そう言うと、ポロンは軽く頭を下げた。 「ふ、フン。はぐれるんじゃないわよ!・・・ほら私の部屋へ案内するから。今度は一緒に付いて来るのよ?いい、離れないでね?」 ポロンは笑いながら頷くと、ルイズの後を追って歩き始めた。 前ページ次ページゼロの賢王