約 579,079 件
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/439.html
882名前が無い@ただの名無しのようだsage2009/09/16(水) 00 00 00 ID UYmb53Yk0 ,'^y'⌒⌒ヾヽ ))! .八~゙リ))( (.(ヾ(//。/ノ! )) <今度はククールが私の抱き枕になって…? . ,〃彡ミヽ 〈(((/(~ヾ》 . ヾ巛*゚Д゚ノ" <マ、マジっすか! どうなるか、 分かってるんだよな…? ∨ ,´" ̄ヽ´⌒,'^ ._(ミY彡《( )~゙リ)(____ | ヾ∞´("ノo"ノ! )) <覚悟は…できてるわ /⌒⌒~'⌒と_ノ~⌒⌒`/.| / / .| / / / / / / / / / | ⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒| / . |__________|/ \__________/ O o 。 .ヽ从/ 〃 ̄ミヾ. 巛(~ヽ))川 __、゚Д゚;))ノ____<夢オチかよ! | r'⌒と、j ミ .| /_ノ .ィ' `~ー-、_,/| / / | / / / / / / / / / |⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒| / . |________ |/ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | ククールへ | | | / なかなか起きないから / / 自分の部屋に / / 戻ってるわね / / 昨夜はありがとう / / ____ / / ゼシカ / / /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ . 〃 ̄ミヾ. 巛(~ヽ))川 __、 ゚-゚*ノbノ____<全部が夢だったわけじゃないのか… | iっ□と、j .| ゜ o /ー~⌒⌒ー~ー-、/| O{ドコマデカ ゙ゲンジツ ナンダロウ… / / | / / / / / / / / / |⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒| / . |________ |/
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/133.html
パルミドの情報屋によると、ドルマゲスは海の上を歩いて、西の大陸に渡ったらしい。 今の私たちに必要なものは、海を渡るための船。次に目指すのは、ドルマゲスによって一晩で廃墟にされてしまったというトロデーン城。 ・・・の、はずなんだけど。何故か今、私たちはマイエラ修道院に来ている。 トロデ王が錬金釜を強化してくれ、今度は三つのアイテムを合成できるようになったのがきっかけだった。 それを聞いて、オディロ院長の蔵書の中に錬金術に関するものも多かったと、ククールがポロッと口に出しちゃって。 エイトはもう目をキラキラと輝かせて、調べる気満々になっちゃって。 トロデ王も、自分の直した錬金釜をエイトが最大限に有効活用するつもりなのが嬉しいらしく、寄り道することにに文句を言わなかった。 ククールはいやそうな顔をしてるけど、元々自分が口を滑らせたのが原因なので、諦めたみたい。 でも、やめておけば良かった。 亡くなったオディロ院長の部屋で、まさかあんな言葉を聞くことになるなんて・・・。 「ククールとあの旅人に居所をつきとめさせ、いまいましい奴らをいちどに・・・」 マルチェロのその言葉を聞いた時、背中に冷水を流し込まれたような気持ちになった。 いまいましい奴らって、誰? いちどに、どうするの? きくまでもなく、それが実の弟の命を狙う言葉だとわかった。でも、受け入れられない。 だって私、マルチェロのこと、本当はいい人なんじゃないかって思ってたから。 オディロ院長が亡くなって、かばってくれる人の誰もいなくなったククールを自由にしてあげるために、修道院から追い出すそぶりを見せたんだって、そう思ってた。 私たちに譲ってくれた世界地図が、せめてもの優しさの印なんだって、そう信じてた。 なのに、どうして? わからない。血を分けた弟をそこまで憎める気持ちが、私にはわからない。 錬金のレシピを調べる気など無くなってしまった私たちは、その晩はドニの町に泊まることにした。 少しでも、ククールの気持ちが晴れるといいと思って。 私はお酒はあんまり飲まないんだけど、今日はやりきれなくて、ついつい杯を重ねてしまう。エイトとヤンガスも気が重そうだ。 この町では、ククールは大人気で、酒場のテラスで飲んでいるおじいさんも、バニーや踊り子さんたちも、皆が声をかけてくる。 「おや、ククール。ツケはいつでもいいから、今日もたーんと飲んできな!」 「ははっ、サンキュ」 酒場のおばさんとの、軽いやりとり。 「そういや、あんた、修道院にいるっていう、お兄さんとはうまくやってるのかい? 両親のないあんたにゃ、ただ一人の身内だ。仲良くするんだよ」 「・・・ああ。ありがとな、おばちゃん」 その会話を聞いていて、私は急に腹が立った。 「勝手なこと言わないで!」 店中の人が驚いて、私の方を見る。でも止められない。 「何にも知らないくせに、心配してるふりだけするのはやめて! そんなこと言うなら、仲裁ぐらいしてあげてよ! どうして今まで何にもしてあげなかったの? ククールが今まであそこでどんな思いしてたと思ってるのよ!」 「ちょっと待て、ゼシカ」 ククールが止めに入った。 「ゴメン、おばちゃん、このコ酔っ払ってんだ。聞き流してくれ、ホント、ゴメン」 そのまま、私は裏口から外に連れ出される。 「ゼシカ、勘弁してくれよ。一応ここはオレにとって憩いの場なんだからさ。あんまり変なこと言うなよ、来づらくなるだろ」 「どうして? あんた、今までマルチェロにどんなふうに扱われてたか、話したこと無いの? 憩いの場だっていうなら、辛い時とか誰かに相談したりしなかったの? 気を遣ってるのは、いつだってククールの方じゃない。それで本当に気持ちは安らいだの? 助けてもらいたいって、思ったことはないの?」 「そんなに、まくしたてるなよ」 ククールは、あくまで冷静だった。 「辛気臭い修道院から抜け出してきてたってのに、ここに来てまで辛気臭い話して、どうすんだよ。オレがここに来てたのは、あくまで楽しむためであって、人生相談しながら酒飲む趣味はないんだ」 「・・・辛く、無いの? お兄さんにあんなこと言われて」 「ああ、あれで気が立ってんのか。確かにさっきマルチェロが言ってたこと、ゼシカには刺激が強かったかもしれないな。たいした話じゃないさ、ドルマゲスを見つけても報告しなきゃいいんだ。サッサと倒しちまえば、それでおしまい。簡単だろ?」 ・・・ククールが遠く感じる。 「そういう問題じゃないでしょう? 私は詳しいことは知らないけど、あんなふうに憎まれて、命まで狙われるようなこと言われて、どうしてそんなに平気そうな顔していられるの? 無理しないでよ、私たち仲間じゃない。せめて私たちの前でぐらい、やせがまんしないでよ」 ククールは、困ったような顔をしている。 「気持ちはありがたいけど、オレはやせがまんなんてしてない。いいんだよ、別に兄貴のことは。 あいつはオレのことを嫌ってるから、キツくあたって冷たくする。憎んでるから、殺したいと思う。筋は通ってるだろ? どこも矛盾してない。わかりやすくて、むしろ清々しいくらいだ」 目眩がする。自分が立っている世界が、まるで現実のものではないみたい。 わからない、本当に。 マルチェロのように、弟を憎む気持ちも。ククールのように、それを受け流してしまう気持ちも。 「ごめんなさい。もうよけいなこと言わないわ」 私が間違っていた。自分の知っている世界の範疇で、この人のことを理解しようとしていた。理解できるって、思い上がってた。 見てきた世界が違い過ぎるのに・・・。 ククールはきっと、私なんかが想像もつかないほど、いろんな苦しい思いや辛い思いをしてきて、汚いものもたくさん目にしてきていて・・・。それでもちゃんと人に気を遣ったり、思いやる心を忘れずにいてくれてる。 それだけで充分じゃない。頼もしい仲間だわ。これ以上、何かを望むのは贅沢すぎる。 きっと私なんか、一生かかっても、ククールの全ては理解できない。 なんだろう、そのことが今・・・すごく、悲しい。 違う世界-後編
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/23.html
夜の不思議な泉にて 「こんなとこでなにやってんだよ。」 「あんたこそ、なにしにきたの。」 「それよりお前さ、さびしいんじゃねえ?」 「なによいきなり。私は個性的な仲間と楽しい旅があるから、 ぜーんぜんさびしくなんてありませんよーだ。」 「ホントかよ。」 冷たい風がぴゅうっとふいた。 「ほんとは・・ちがうかも。ほんとは・・・さびしい・・・かも。」 「私、元に戻ったミーティアひめは、とてもきれいだと思うよ。けど・・ この旅終わったら・・みんなばらばらになって・・・、二度と会えないかもしれない。 私、一番復讐復讐っていってたけど・・本心を隠してるね・・・。」 ゼシカの目が潤んでいる。 「二度と会えないってわけじゃないさ。」 「はぁ?」 「世界なんて、狭いもんさ。ドルマゲスを倒しにいく俺たちにとってはな。」 「ククール・・・・。」 「じゃあな。俺、疲れてるから寝てくる。早めに帰れよ。その格好に夜風は冷たすぎる。」 去っていくククールに、 「まって!」 「ん?」 「ねえ、ククール・・・・・・。あ、やっぱりいい。なんでもない。」 「そうか。おやすみ。」 おしまい。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/46.html
クク「ほぉ~ココがサザンビークか。デカイ町だな。」 ヤン「ククールがご機嫌でがす。」 クク「この規模だったら可愛い子との出会いも期待できる。」 エイト・ヤン・ゼシ「・・・・・・」 ヤン「そういえば、ゼシカ姉ちゃんの婚約者もサザンビークにいるんじゃなかったでげすか?」 クク「!!」 ゼシ「そういえば、そうだったかも・・・。」 ヤン「確か、大臣の息子って事でげしたね。」 クク「・・・!」 ゼシ「つまんないこと良く知ってるわね~。」 ヤン「リーザス村で会ったでがすよ!ねえ、兄貴!」 エイトは頷いている。 クク「ふ、ふ~ん?あの大臣の息子じゃ、どうせ芋をつぶしたみたいな兄ちゃんダロ」 ヤン「結構まともだったような?ねえ、兄貴!」 エイトは曖昧に笑っている。 ゼシ「そうねぇ、特別美形!っていうんじゃないけど、愛敬もあるし、悪い人じゃないと思う。(覚えてないけど)」 ゼシ「(チラリとククを見て)浮気しなそうだし、結婚してもいいかな。」 クク「ガーン( ̄□ ̄;)!!」 こうしてククールのラグサット追撃の旅が始まった。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/109.html
ゼシカの日記 龍の月/星の日(快晴)*サヴェッラ大聖堂 今日はパルチザンを買いにサヴェッラに寄った。お金を貯める為に戦闘! 砂塵の槍を作るためにフィールドを歩き回って戦闘!!今日だけでナント200匹。 もう夏だから日差しが厳しい。頭の分け目で日焼けすると悲惨だから、帽子をかぶる。 昼過ぎ、あいつに指摘されて防止を外すと、なんと幸せの帽子がシオれる。 超ショックだった。あわててアモールの水をかけたけど、特に変化無し。 宿屋に行ってからエイトに相談したらタイツを脱げといわれたから脱いだ。 そしたら一緒に錬金釜へポイ。何を作るつもりなのかしら? 最近気づいたけど、あいつが私に話しかける回数が多くなってきた。 今まではエイトが話しかけるまで、あいつと喋る事なんてほとんどなかったけど。 しかも口説き文句とかじゃなくて、雑談なのがフシギ。あんな奴だったっけ?? 案外いい奴なのかもしれない。まあ、二人になったときは必ず告白されるのはご免こうむりたいけど...
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/52.html
道はまっすぐ伸びていて、目的地にはまだ遠いことを思わせる。 「ゼシカも今のうちに少し休憩しなよ。今日はまだまだ歩くことになりそうだし。 後は僕がやっておくから。」 がさごそと荷物の整理をしていると、エイトがそんなことを言った。 特に疲れてもいなかったんだけど、大人しく厚意に甘えることにする。 お礼を言って、馬車から出ると、眩しいくらい高い太陽に少し眩暈を起こした。 太陽の光を一身に受けて少し伸びをする。 「ふう…っ」 周りに目をやると、武器を磨きながら雑談をしているらしい、ヤンガスとトロデ王と馬姫様、そして、その少し離れた木陰にククールがいた。 ククールは休憩の時はいつもみんなから少し離れた位置にいる。 しばらくなんとはなしに眺めているとふと違和感に気づいた。 ああ、いつもしているグローブを外しているのだ。 遠目に、視線を手元に落として、細かく手を動かしているのが微かに見えた。 ここからでは何をしているのかよく見えず、それがとても気になる。 彼のほうへ歩き出した時には何かの作業が一段落ついたのか、 彼の手から力が抜けている所だった。 「ククール?」 「…ああ、ゼシカか」 いつもと変わりない声色。 「何してたの?」 不思議そうに覗き込みながらそう言うと、彼は面白そうに笑った。 くだらないことを考えてるときの笑顔とは少し違う。 「手、出して」 「え?」 意図が掴めなくて驚いていると、ククールは私の手を取った。 もう片方の手で私の指に何かをはめる。 「……これ、作ってたの?」 「たまたま四葉見つけたからさ。」 クローバーで編んだ指輪だった。 やさしい草の黄緑色に、四葉の深い緑がよく映えている可愛い指輪。 私も昔はよく兄さんとお花畑にいったりしたけど、お花の冠はいつも兄さんのほうが上手 で、上手く作れずに落ち込む私に兄さんがよくくれたっけな。 私の指にはめらた指輪は、兄さんを思い出させるくらい細かくてとても綺麗で…。 「意外と器用なのね」 「おいおい、意外なんて酷いな。オレは修道院にいたころは器用なことで有名だったんだ ぜ。オレのセールスポイントでもあったわけだ。」 「セールスポイントってあんたね………もう突っ込むのも面倒だわ」 それに、あんまり聞きたくないし。 「お返し、これならいいだろ?」 一瞬何のことだかわからずに考えを廻らせた。ああそうか、今日は…。 昨日のことを思い出す。 バレンタインのお返しは何がいいかとコイツに聞かれて、お金が勿体無いから要らない、 なんてかわいくないこと言っちゃったんだっけ。 でも実際バレンタインにあげたチョコレートは、安く売ってたから買っただけだし お返しなんてもらうのも何か申し分なくて。 「別に、いいのに……」 照れを隠すように呟いた言葉を無視して、 ククールは立ち上がると衣服についた草を手でぱんぱん払い落とした。 「でも。…ありがと」 お礼は、言わなきゃね。 少し嬉しかったなんてこと、悔しいから言ってやんないけど。 ククールは笑顔で返すとそろそろ行くか、とみんなの方へ歩き出した。 歩き出す彼の後ろで、太陽の光で照らしながらクローバーの指輪をじっと見つめる。 あることに気がついてしまった。 わかってるんだか、わかってないんだか。 深い意味はあるんだかないんだか。 そんなことを考えていると、私の心を見透かしたように彼は歩みを止めて振り返った。 「ちゃんとしたやつはまた今度な」 悪戯っぽい笑顔で言う。 不覚にも、顔が熱くなってしまった。 「こら、ちょっと、ど、どーゆ意味よっ!」 左手薬指のクローバーに軽く口付けして、慌てて彼の後を追いかけた。
https://w.atwiki.jp/angevierge/pages/762.html
《ナビゲーション システムNP=ゼシカ》 プログレスカード レベル3/白/P7000/G4000/S1 【人間】/【武器】 リンクフレーム なし 《自》このカードが登場した時、あなたのレベル0のプログレスが3枚以上いるなら、 あなたの手札のレベル3以下のプログレスを1枚まで選び、プログレスゾーンにフォールして置く。 《自》リンク-リンクステップ開始時【リンク(5)-1ΩΩ】 そのターン中、このカードのパワーを+7000。 「世界は少しずつ安定しているはずなのに…このシグナルはなに?」 illust モフ 蒼空の変転世界で登場のレベル3の白色のプログレスカード。 収録 蒼空の変転世界 B4-104 R
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/194.html
「ククール、乾杯の前に何してましたか?」 「ん…?乾杯の前?えーっとえーっと…その~」 「私が子どもたちと話してたとき、他の女の子を口説いてたでしょ」 「う、うん…いやそれは…」 「バカ」 「ごもっとも」 私が子どもたちのためにメラ~なんて唱えているとき、恋人は他の娘とイチャイチャイチャイチャ。 その姿をちゃんと横目で確認しちゃう私がなんだかバカみたいじゃない。 遊びだってわかってても本当はすごく苦しいんだから。 そこのところわかってるの?ククール。 「悪ふざけがすぎました。ごめんなさい」 正座をして深々と頭を下げるから結局は許しちゃう。 でもまだもうちょっと反省させないと。だって本当にイヤなんだからね。 他の女の子とベタベタベタベタするの。しかも楽しそうなのが余計にイヤ。 だからまだ許したそぶりなんて見せてあげない。 「ごめんね、ゼシカちゃん」 ククールもちょっとはマズイと思っていたのか、おそるおそる私の顔を覗き込んで心配そうな表情。 その目の端が赤々と染まっていて、さっきの涙の名残だとわかった途端に怒ってるポーズは終了。 やっぱり私って甘いのかな。 「もう怒ってないよ。だから…」 「わかってる。おいで」 こういうとき絶妙なタイミングで優しく抱きとめてくれるククール。 私のしてほしいことをちゃんと察知して、そのとおりにしてくれる。 ククールの腕の中でそんなことを思っているとふいに額にキスをされた。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/105.html
「ようこそ防具の店に。ご用はなんでしょう?」 「たびびとの服を一つお願いしたいんだけど」 「70Gになりますがよろしいですか? こちらで装備なさいますか?」 「あ、いえ、違うの。私用じゃなくて、そっちにかけてある紳士用のが欲しいの」 「ああ、プレゼント用でしたか。リボンでもお付けいたしましょうか?」 「いいえ、実用品だから大袈裟にしないで、簡単に包んでちょうだい」 「ありがとうございました。またおいでくださいませ」 買ってしまった・・・。 本人の好みも訊かずに勝手にこんな事したら気を悪くするかしら。 でも仕方ないわ。 これから夏になるっていうのにあんな格好、見ているこっちが暑苦しくなる。 全身真っ赤で、ブーツは膝上まであって、おまけにマントまで羽織ってるのよ。 確かに修道院の建物は、川が近かったせいか風通しがいいのか、ひんやり涼しかったけど、もう騎士団はやめたんだから・・・。 そう、やめたはずなのに、何故彼はいつまでも騎士団の服を着続けているんだろう・・・。 ラプソーンとの戦いに勝ち、トロデーン城で祝杯をあげる時、私たちは装備していた重い鎧や盾、かぶとを脱ぎ、楽な格好に戻った。 戦いの間に集めた装備品や道具は、あの杖が封印されていた部屋を改装してそこに展示室を造ろうというトロデ王の提案に賛成し、特別思い入れのない物は全て城に残してきた。 ルーラの使えない私は皆に会いたくなった時すぐにどこでも行けるように、風のぼうしを譲り受けた。後はリーザス村を出る時に着ていたたびびとの服と、いつの間にかエイトたちに持ち出されていた普段着だけ持って故郷に帰った。 そして彼、ククールはレイピアと騎士団の服と指輪。そして騎士団長の指輪を持って、ひとまずドニの町へ落ち着くと言って城を離れていった。 それを見て、私何だか落ち着かない気持ちになった。 ククールは事あるごとに「オレは修道院から解放された」なんて言ってるけど、本心は違うのかもって。 僧侶は彼の天職なんじゃないかっていうのは、前からずっと思ってた。 回復呪文が得意とか、邪悪な気配に対する勘が並外れているとかそういうことだけじゃなく、神聖なものに対する敬意とか、呪いにかけられたトロデーンの人たちに祈りを捧げる姿なんかを見ていると、誰よりも純粋な気持ちで神様と向き合っているんだと思う。 でも、もしククールがそれに気付いてしまったら・・・。修道院に戻るようなことになってしまったら、彼自身の幸せはどうなるの? ……いいえ、違う。こんなのは言い訳。傍から見て窮屈な暮らしでも、自らの意思でそれを選ぶのなら、それは幸せな人生。 私は私自身の気持ちのために、ククールに修道院に戻ってほしくないのよ。 気がつくと、大分陽が高くなっていた。 いけない、急いでトロデーン城へ行かないと。 今日はミーティア姫がサヴェッラ大聖堂へと旅立つ日。あのチャゴス王子と結婚するために・・・。 正直その知らせを受けた時はビックリしたわ。あの王子の最低を見て、まだそんな話が続いてるなんて。 出発前に姫と話をして、本当にそれでいいのか気持ちを聞きたい。 出発前で忙しいでしょうに、姫様は私を自室に通して人払いをしてくれた。 でも私の「チャゴス王子なんかと本当に結婚する気なの?」という問いかけに対する姫様の答えは「王族のつとめだから」の一点張り。意外な頑固さにこれまたビックリ。 ミーティア姫の固い決意を知った私は、先に中庭へと向かう。 途中でエイトとばったり会って、ククールとヤンガスはもう中庭に行っていると教えてもらう。 エイトはこの結婚のこと、どう思ってるのかしら。自分の心の中を話してくれる人じゃないから、気持ちを読み取るのは難しいけれど・・・。 今の私に言えるのはこの言葉だけ。 「早くミーティア姫のところに行ってあげて」 中庭に出てみると、改めてこのお城ってこんなに美しかったんだと感動する。呪いが完全に解けて、本当に良かった。 階段のそばには懐かしい人たちの姿。変よね。懐かしくなるほど長い時間は経っていないのに。 ククールの服装は心配していた通り、暑苦しい騎士団の服。 でも、それはいいわ。予想していた通りだから。それよりも何よ、あのバニーと踊り子は! 「よう、ゼシカ久しぶり、元気そうだな」 ククールが私に気付いてこっちに近づいてくる。 「ええ、おかげさまで。ところでそちらの方達は?」 「ああ、踊り子のマーニャちゃんと、バニーのミーニャちゃん。サヴェッラまで一緒に来て、いろいろ手伝ってくれるんだ」 手伝うって、一体何をよ! 今日はミーティア姫にとって特別な日なのに。あんな最低王子とイヤイヤ結婚するために旅立たなきゃいけない日だっていうのに、チャラチャラ両手に花やってる場合じゃないでしょう! ……私バカみたい。ククールはこうしてちゃんと楽しくやってるんじゃない。 帰るところがないんじゃないかとか、修道院に戻ってしまうんじゃないかとか、大きなお世話よね。 よく考えるとたびびとの服なんて安物だし、ククールには似合わないだろうし、騎士団の服って布地も上等だし案外着心地いいのかもしれない。 なによ、踊り子さんとヒソヒソ話なんか始めちゃって、そういうのって感じ悪いと思うわ。 きれいな中庭にゴミを散らかすようで申し訳ないけど、とりあえずこの包みは階段の下へ隠しておこう。 包みをそっと下に落として後ろ足で押し込んだので、誰にも気付かれていない。 この旅が終わったら、こっそり取りにこよう。だからそれまでここに置かせておいてね。 「まったくあの野郎! なーにが平民ふぜいは式に招待できないだ! ムカツクぜ」 ククールがテーブルを拳で叩き、怒りをあらわにしている。いつもクールにしているのに、ちょっと珍しいかも。 「王者の儀式からだいぶたったが、あの様子じゃ、あいかわらず性根はくさったままだな」 全く同感。このままじゃ、姫様がかわいそうすぎる。 「なあ、エイト? 親父さんの指輪をクラビウス王に見せてみたらどうだ? クラビウス王もお前が亡き兄の息子だってわかれば、考えを変えるかもしれないぜ」 でもエイトは首を縦に振らなかった。王族の方々は法皇の館にお泊りになってる。当然警備だって甘くはない。自分が近衛隊長とはいえ、大臣に帰るよう言われている以上、穏便に館に入ることは無理だろうと。 「ヤッホー、ククールー」 そこへ拍子抜けするような声をあげながら、マーニャさんとミーニャさんが入ってきた。 「頼まれてたことOKよ~」 何を頼んでたのよ、この深刻な時に。 「ああ、ありがとう、さすがだな。二人に頼んで間違いなかったよ」 「あたいたちの魅力をもってすれば当然よ。楽勝、楽勝」 何のことかと思ったら、なんと、マーニャさんは法皇の館側の天の道の見張りを、ミーニャさんは大聖堂側の見張りを、昼の間に仲良くなって、夜の勤務時間に抜け出させる約束をしてきたんだという。 「見張りなんて、どっちか片方にいればいいじゃないって言ったら、あっさりよ」 サヴェッラに着いてすぐに姿が見えないと思ったら、そういうことだったの」 ククールが懐から聖堂騎士団の指輪を取り出し、エイトに渡す。 いえ、よく見ると色が違う。あれはそう、騎士団長の、マルチェロの指輪だ。 「館の前まではオレも一緒に行く。万一誰かに見咎められても、お前のことは制服の準備が間に合わなかった新米で押し通す。その時にはその指輪を見せろ。それは正真正銘騎士団員しか持てない指輪だ、誰も疑わない」 騎士団の制服に、騎士団の指輪が二つ・・・。もしかしてククールは、ラプソーンを倒したすぐ後から、この日のことを考えて計画してきたんだろうか・・・。 「ククール、そろそろ待ち合わせの時間よ」 「ああ、じゃあ行こうか」 ククールがエイトを促して立ち上がる」 「アッシは何をすればいいでがすか?」 「悪いな、ヤンガスとゼシカはここで待っててくれ。二人ともちょっと目立ちすぎるんだ」 そうして、宿には私とヤンガスだけが残された。 「ククールのヤロウ、アッシらを除け者にしやがって」 「そうね」 「あんな計画、一人で立てやがって、一言相談してくれればいいものを」 「そうね」 気の抜けた返事しか出来ない私。 「・・・うまくいくといいでがすね」 「・・・本当にそうね」 願いは虚しく、エイトはお父様の形見のアルゴンリングをクラビウス王に取り上げられ、肩を落として帰ってきた。 私達はエイトに何もいうことが出来ず、眠れぬ夜を過ごした。 朝になってベッドから身体を起こすと、エイトは疲れきった顔で眠っていたが、ククールとヤンガスは既に目を覚ましていた。 エイトを起こさぬように、無言のまま外に出る。 「うっ、うっ。かわいそうな兄貴。クラビウス王もひどい事するでがす。あんまりでがすよ」 「まったくだわ。せめてアルゴンリングだけでも返してもらえないかしら。たった一つのご両親の形見ですもの」 「いや、ここまできたら指輪だけなんでケチなこと言わずに、姫様もさらっちまおうぜ。ミーティア姫も本当はそれを望んでるだろうに、エイトの奴もわかってないよな」 「そんなにこの結婚を止めたいの?」 ちょっと意外な気がして聞いてしまった。ククールって、こんなにおせっかいだったかしら。 「ああ、まあな。エイトの奴には何とか幸せになってもらいたいんだよ。こう見えても、あいつには誰よりも感謝してるんだぜ? あいつのおかげでいろんなものが変わったからな」 「それは聞き捨てならんでがす。誰よりも兄貴に感謝してるのは、このアッシでがす」 「ああ、はいはい、わかったよ。ヤンガスの次ぐらいに感謝してるよ。ついでにおせっかいも移っちまったようだけどな」 「わかればいいでがす。それじゃあアッシはちょっくら先に大聖堂の様子を見てくるでがす」 ヤンガスが走り去って二人きりになったので、私は今のうちに勝手に誤解したことを謝っておくことにした。 「あの、ククール、ごめんなさい。私、マーニャさんとミーニャさんのこと、チャラチャラした女たちなんて言ったりして・・・」 エイトたち為に力を貸してくれたのに、本当に失礼だったわ」 「へ? そんな事言ったっけ? いつ?」 「いつって、トロデーン城を出る前・・・」 そこでハッと気付く。あれはエイトに対して言ってしまった言葉で、ククールたちの耳には聞こえていなかったのだ。 ああ、私のバカ。言わなければ知られずに済んだのに、思い切り墓穴掘っちゃった。 でも、謝らなきゃいけないとは思うし、ああ、どうしたらいいの?」 「おう、エイト、起きたのか」 天の助け。良いところでエイトが宿から出てきてくれた。今のうちに少し落ち着こう。 何気なく、大聖堂の方を見上げると、もう石段のところはすごい人だかりだった。結婚式はもう始まってしまったかしら。 「オレたちは仲間だ。お前が何かするつもりなら力を貸すぜ」 ククールがエイトの肩を叩く。その言葉に背中を押されるように、エイトは大聖堂へ続く階段を一気に駆け上がっていった。 「やれやれ、やっと行ったか。全く世話のやける奴だぜ」 「ホントね、あっ!」 エイトの前に立ちはだかった騎士団員を、ヤンガスが殴り倒すのが見えた。 「あいつはすぐにアレだ。もっとオレみたいにスマートにやれないもんかね」 「仕方ないわよ、ヤンガスだもの」 私たちも加勢すべく、石段を上る。 「でも、私まで置いていくことないじゃない。お色気だったら、バニーにも踊り子にも負けないのに」 「ゼシカが他の野郎を誘ってる姿なんて、考えただけでも我慢できないね」 えっ、それって・・・。 「皆さん、落ち着いてください!」 目の前で起こった乱闘にざわついていた見物人たちが、ククールの一声で静かになる。 「賊は、我々聖堂騎士団にお任せください。みなさんは危険ですから、端の方に寄っていてください。大丈夫、危険はありません!」 良く聞くと、危険はないけど、危険だから端に寄れってメチャクチャなんだけど、ククールにはやはりカリスマ性があるのか、皆ククールの支持に従う。 あの整った顔から、ちょっと低めの甘い声で、大丈夫、なんて言われたら、まあ信じちゃうわよね大抵は。 私だっていつも見慣れた騎士団服姿なのに、今日は何だか貫禄があるようにも見えるわ。 通り道が出来たので、私達は石段を上り、ヤンガスと合流する。 「兄貴は無事に中に入ったでがすよ」 「ああ、後はどうにかして二人を逃がすだけだ。戦いの準備をしておこう」 私ったら、どうして何も武器を用意してこなかったのかしら。人を相手にあんまり魔法は撃ちたくないけど、仕方ないわ、何とか上手く手加減しよう。 大聖堂の扉が開く。身構えた私たちの目に映ったのは、純白のウエディングドレスを着たミーティア姫。そして、その隣にいるのは、エイト! 二人の手がしっかりと握られているのも見て、私たち三人は顔を見合わせ、全てを理解した。 全てうまくいったんだ! 思わず歓喜の声をあげ、二人に向かって手を振る。 見物の人たちも、拍手で二人を祝福してくれている。 ふと顔を上げると、ククールが初めて見る無邪気な顔で笑っている。 今までの彼は、笑っているときも、どこか皮肉な感じがしていたのに・・・。 そんなククールの顔を見て、私はますます嬉しくなる。 良かった。本当に良かった。 トロデ王が(いつのまにか)御者を務める馬車に乗って、エイトとミーティア姫は故郷のトロデーンに帰っていく。 私達はその後姿が見えなくなるまで見送った。 「さて、全て丸く収まったことだし、軽く祝杯でもあげるか」 ククールの提案に、私もヤンガスも文句なく賛成する。 「その前に、と」 突然ククールが騎士団の服のボタンを外し始めた。 「な、何してるのよ、こんなとこで」 「野郎のストリップは見たくないでがすよ!」 私とヤンガスは止めようとしたが、よく見ると中にもう一枚着ているよう。よく今までのぼせなかったもんだわ。っていうか、さっき貫禄があるように見えたのって、単に着膨れしてたってことだったのね。 あら? ・・・その中の服ってもしかして・・・。 「もう騎士団の服が役に立つことはないだろ。ああ、暑かった。茹だるかと思ったぜ」 いや、待って、落ち着くのよ。あんなの市販品なんだから珍しくも何ともないわ。ただの偶然・・・。 「これすげー涼しいよ、ゼシカは気が利くなあ」 やっぱり、私が買った服ーっ!!? 「・・・あーあ」 ヤンガスが大きな溜め息を付く。 「アッシは先に一杯やってるでがす。つきあってられないでがす」 一人でつぶやきながら行ってしまう。待ってよ、私を置いていかないで。 「・・・どうやって見つけたの?」 「オレがハニーから目を離すはずないだろ?」 「・・・バカ」 どうして、そういうことをテレもせずに言えるのよ。本気じゃないからじゃないかって、そう思っちゃっても仕方ないでしょう。 「でも、何であんなところに隠したりしたんだ?」 う・・・。当然の疑問なんだけど、それだけは聞かないでほしかった。勝手にヤキモチ焼いて、何て言えない・・・。 「・・・似合わないと思ったのよ。真っ赤な姿のイメージ強すぎて」 「バカだなあ、オレぐらいの美形になると、何着たって似合うもんなんだよ」 「ハイハイ、言ってなさい」 でも、ほんと、思ったより似合ってる。何だか少し子供っぽくなった感じがするけど、キザな感じが薄れて好青年って感じ。 「それに他ならぬゼシカが買ってくれた服なら、どんなのだって喜んで着るさ」 またもう、コイツは。 「ところで、一つ聞きたいんだけど・・・」 ククールは急に真剣な顔付きになる。 「な、何?」 「男がレディーに服を送る時は、それを脱がせるためだけど、女の子の場合もやっぱりそうなのかな?」 「メラゾーマ」 「うそです! 冗談です!」 「・・・は、勘弁してあげるわ。新しい服を燃やしたくないから」 「ふう、ゼシカには冗談言うのも命がけだな」 真剣にうろたえてる。こういうところも初めて見るかも。 「でもなあ、ゼシカがなあ・・・」 今度は、すごく嬉しそうな顔をするククール。服が変わったせいか、どんな表情も初めて見るように見える。 「ヤキモチやいてくれるなんてなあ。今日はいい日だなあ」 一気に顔に血が昇ってしまったのがわかる。 「な、誰がいつヤキモチなんてやいたっていうのよ! うぬぼれるのもいい加減にしなさいよ!」 ああ、ダメ、声がうわずってる。 「目の前で、他の女性と内緒話なんてしたら、そりゃあ面白くないよな、オレが悪かったよ」 「だから違うって・・・」 もう穴があったら入りたい。イオラで掘れるかしら。 「オレにとって、彼女たちは姉さんみたいな人たちなんだ。オレおぼっちゃんだったからさ、甘えっ子なんだよ」 「私だって、お嬢様だから甘えっ子よ・・・」 甘えっ子同士って、もしかして相性悪いんじゃないの? 「だから、これからもたくさんゼシカを怒らせるだろうけど、そうやっていろんなこと感じて、うまくやっていこう」 「・・・そうね」 この一日で、私、彼の知らなかった一面を色々見た気がする。長い時間一緒に旅してきたのに、変な話よね。私ってククールのこと、ほとんど理解していなかったのかもしれない。 それに、今まで気付かなかったヤキモチやきで子供な自分も・・・。 でも、それも悪くない。だって新しく見るククールの姿は、私を何だか嬉しい気持ちにしてくれる。 ヤキモチやくのも、ちょっとだけ楽しかったし・・・。 これからも知らない人と出会うような気持ちでドキドキしながら彼に会えたら・・・。きっと楽しくやっていけるわ。 <終わり>
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/527.html
本スレメロメロンの隠れ屋verです。 *「…ったく、この小悪魔」すると赤い顔もそのままに、ククールがいきなり私の手首を掴んでベッドに押し倒した。きょとんしたのも束の間。遮る間もなく口唇をふさがれて目を見開く。すぐに離されると思っていたのに、いつまで経っても解放されなかった。口唇だけじゃなく、口腔も、歯列も、舌も、すべてを優しくなぶられて目眩がした。薄目を開けると、あの切れ長の瞳が私を愛おしげに見つめていて、うっとりする。長時間の口付けに息を乱す私に、ククールがひそやかに笑いかけた。「…どう?」「……ずるい」「コッチでしか、オレはお前に勝てないみたいだからな。存分に夢中にさせてやるよ」「さすが、経験豊富な色男さんはキスもお上手なのね」「…まーだそんなカワイクないこと言うかこのお嬢さんは…」ひきつった笑みで私を見下ろすその顔に取り繕った余裕がなくなって、私は笑いが抑えきれない。「そんな憎まれ口叩けねぇように、ずーーっとキスしててやる」「やだも…っ、ん…っ」優しいだけじゃない、ちょっと強引なキスに翻弄される。きっと、さっきの“好き”の仕返しのつもり。ずっとずっと、ベッドの上で2人抱き合って、お互いの口唇と言わず顔じゅうにキスを降らせていた。私たち、いつまでこんなことしてるんだろう。どうして仲間たちは起こしにこないんだろう?熱い息を吐き出しながら、ぼうっとして呟く。「…キスだけ…?」「…キスだけじゃイヤ?」「わかんない…ククールは?」「オレはもちろんキスだけじゃ困るけど」ククールの意地悪な笑みに、頬が熱くなった。自分が何をしたいのかよくわからない。でも…「……もう…後悔、したくないの」「オレもだよ」「だから…」最後まで言わせず、いっそう深く口付けられその熱に思考を浚われた。 いやだ…朝なのに、朝から、私、何考えてるの…心臓が爆発しそう。ククールの瞳が確かめるように私を見下ろしたけど、私はただ視線で訴えるしかなかった。この、言葉にするにはあまりにもはしたない、恥ずかしい期待を。「……クク……」「…大丈夫か?お前疲れてるだろ?」気遣う声にハッとした。「そ、それを言うならククールでしょ?昨日まで、死にかけて…」「もう十分回復したよ。……今は体力より人間的欲求の方が問題かな」「にんげんてきよっきゅう?」「3大欲求って言うだろ?一つは食欲、これは今んとこクリアー。二つ目は睡眠欲、これもゼシカのおかげでしっかり熟睡。そして3つ目は…」本気でなんだっけ、と頭に思い浮かべた。しばらくして答えがようやく思い当たる…「ッ!!……」「……それだけ満たされてない」やっぱり、そうなんだ。もう私たちが今したいことなんて、一つしかないの。「満たしてくれるか?」「……ぁ、ぅ…」「もうゼシカじゃないと、満たされねぇんだよ…」ククールの低い声が耳に吹き込まれ、耳たぶを噛まれ全身が硬直した。抵抗できない。…する気もない。これから一体何をされるのか、自分がどうなってしまうのか、恐怖より好奇心が勝っている。このまま、ククールの好きにしてほしいとか。ククールだけのものにしてほしいとか。キスだけじゃなくて、たくさん触って…。…いやらしいこと、教えてほしいとか…「…ッア」いつの間にか首筋を伝い降りたゆるゆるとした舌の動きに、思わず息をのんだ。そして落ち着かないうちに、今度はククールが口付けている肩のあたりに小さな刺激が走り、また体が小さく跳ねる。チューッて音がしたから…多分、キツく吸われた?何してるのかって不安になって、必死で彼の顔を窺おうと首を傾けると、細くすがめた瞳が私を責めるように見つめ返してきた。もう捕えられて逃げられない。「…言ってくれ。お前から。オレだけが がっついてるなんて、思いたくねぇ」私はカアッと全身を染めた。もう、逃げられない。逃げられない。獣に捕食される小動物のように。私はククールに、大切なものを差し出す。…ちがう。「…ククール」声が震えた。それでも、この一言が、この行為に必要なものだと私は知っていた。「―――――奪って」私の、すべてを。