約 2,694,316 件
https://w.atwiki.jp/srwdd/pages/39.html
機体名 ガンダムキュリオス パイロット名 アレルヤ・ハプティズム 作品名 機動戦士ガンダム00 加入 ワールド3第9話クリア SIZE M 機体タイプ 回避特化 移動力 4 スピード 550 地形適応 空 陸 海 宇 A A B A ステータス HP 攻撃力 防御力 照準値 運動性 初期値 3000 390 372 74 85 最大値 15000 1950 1860 216 243 通常攻撃 名称 GNビームサブマシンガン 射程 2 属性 ビーム パーツ実装履歴 2021年5月31日:トランザム連続攻撃(SSR) 配信時:GNビームサーベル(R)、GNビームサブマシンガン連射(SR) 機体性能 回避特化ながら運動性と共に攻撃力も上昇するユニット。 サービス開始時から存在してはいるもののSRまでしか実装されておらず、ごく限定的な場面でしか出番は無かった。 2021年5月に実に一年半以上の歳月を経てついにSSRが実装、同時にオーブもミッションで配布。 結果、回避壁を務めつつデバフと味方バフの両方をこなす万能サポートユニットとなった。 必殺技 トランザム連続攻撃(SSR)【恒常】 性能詳細 特性レベル タイプ 効果 0 1 2 3 4 5 ビーム 威力 180% 180% 205% 205% 220% 220% 命中 +75 射程 1~3 アクション数 3 3 3 2 2 2 回数 3 4 4 5 5 6 地形適応 空 陸 海 宇 A S B S メインスロット性能 レベル HP 攻撃力 防御力 照準値 運動性 1 900 570 438 95 104 100 2250 2850 2190 237 261 特性レベル 効果 0 1 2 3 4 5 ■戦闘回数に応じて攻撃力・運動性が[Lv]%増加する。 3.4 4.4 最大[Lv]% 17 22 ■トランザム連続攻撃命中時、防御力が[Lv]%減少する弱体効果を敵ユニットに付与する(敵ユニットが2アクション行動する間有効) 15 20 ■ガンダムキュリオス装備時、周囲4マス内の味方ユニットの運動性が[Lv]%増加する(効果は重複しない。効果の最も高いもののみ有効) 16 21 ■ガンダムキュリオス装備時、かつフィールド上に味方の刹那・F・セイエイ、ロックオン・ストラトス、ティエリア・アーデのいずれかがいるとき、攻撃力が[Lv]%増加し、 13 18 [Lv]%の確率で攻撃を完全に回避する。 20 30 恒常ながら攻運アップ、デバフ、バフ、味方指定バフと盛られまくった性能。 特に運動性バフは2021年5月現在キュリオスしかできない超貴重な能力。 戦闘回数をこなさないと運動性が伸びないことには一応注意しておこう。 照準は一切伸びないが、命中補正が高いためデバフをかける時に困ることは少ないはず。 必殺スロット性能 特性レベル 効果 0 1 2 3 4 5 ■トランザム連続攻撃命中時、防御力が[Lv]%減少する弱体効果を敵ユニットに付与する(敵ユニットが2アクション行動する間有効) 10 15 ■周囲4マス内の味方ユニットの運動性が[Lv]%増加する(効果は重複しない。効果の最も高いもののみ有効) 10 15 ■フィールド上に味方の刹那・F・セイエイ、ロックオン・ストラトス、ティエリア・アーデのいずれかがいるとき、攻撃力が[Lv]%増加する。 7.5 10 必殺技ボーナス 1 2 3 4 5 威力+4% 命中+4% 威力+4% 命中+6% 回数+2 運動性上昇と確率で完全回避が消える。回避壁としては少々厳しくなる。 無論数字は落ちるものの、バフ・デバフ要員としては変わらず運用可能。 必殺技ボーナスは優遇気味。最大まで限界突破すると回数が2も増える。 何にせよ、二つ目以降のSSR必殺実装前での必殺スロット評価は難しいだろう サブスロット性能 特性レベル 効果 0 1 2 3 4 5 回避特化タイプの移動力が[Lv]増加する(効果は重複しない。効果の最も高いもののみ有効) 1 2 これまた超貴重な移動力増加。キュリオス自体は育ててなくともこのパーツだけは欲しいという場合も十分考えられる。 GNビームサブマシンガン連射(SR) 性能詳細 特性レベル タイプ 効果 0 1 2 3 4 5 ビーム 威力 150% 155% 160% 160% 165% 165% 命中 +25 射程 1~4 アクション数 4 4 4 3 3 3 回数 2 2 2 2 2 3 地形適応 空 陸 海 宇 A A B A メインスロット性能 レベル HP 攻撃力 防御力 照準値 運動性 1 576 369 315 61 76 90 1440 1845 1575 153 189 特性レベル 効果 0 1 2 3 4 5 ■敵ユニットの命中率が[Lv]%以下の時、被ダメージを50%軽減する。 15 20 必殺スロット性能 特性レベル 効果 0 1 2 3 4 5 ■敵ユニットの命中率が[Lv]%以下のとき、被ダメージを5%軽減する。 15 20 必殺技ボーナス 1 2 3 4 5 威力+4% 命中+4% 回数+1 命中+6% 回数+2 限凸最終で回数が累計3も増えるので、出来れば最後まで限凸しておきたい。 サブスロット性能 特性レベル 効果 0 1 2 3 4 5 全てのビーム属性の与ダメージが[Lv]%増加する。 5 7 GNビームサーベル(R) 性能詳細 特性レベル タイプ 効果 0 1 2 3 4 5 斬撃 威力 150% 155% 160% 160% 165% 165% 命中 +25 射程 1~1 アクション数 4 4 4 3 3 3 回数 2 2 2 2 2 3 地形適応 空 陸 海 宇 A A B A メインスロット性能 レベル HP 攻撃力 防御力 照準値 運動性 1 378 258 216 43 53 80 945 1290 1080 108 132 特性レベル 効果 0 1 2 3 4 5 ■戦闘時、[Lv]%の確率で攻撃を完全に回避する。 15 必殺スロット性能 特性レベル 効果 0 1 2 3 4 5 ■戦闘時、[Lv]%の確率で攻撃を完全に回避する。 3 8 必殺技ボーナス 1 2 3 4 5 威力+4% 命中+4% 回数+1 命中+6% 回数+2 限凸最終で回数が累計3も増えるが、3アクションかつ射程1という点を考えると使用回数を増やすメリットは低め。 コストは安いし、回数が余って困るものでもないが。 サブスロット性能 特性レベル 効果 0 1 2 3 4 5 運動性が[Lv]%増加する。 2 2.5 アビリティチップ変換時のユニークアビリティ 防御力アップ(気力)(トランザム連続攻撃) 専用演出支援パーツ 名称 キャラ名 精神(回数) 凶暴性を備えた「反射」の人格 ハレルヤ 感応(1) メインスロット考察 唯一のSSRトランザム連続攻撃で決まり。 意図的に性能を落としたいのでもない限りSR以下に出番はない。 必殺スロット考察 必然的にSRとRで決まり。 ただしオートで回避壁をさせるのであれば、射程4のSRが邪魔になる場合もある。幸いSRを外しても回避性能に影響はない。 サブスロット考察 とりあえず回避に一番補正がかかるパーツから順に付けていこう。不屈を追加できる支援があるなら1枚混ぜてるのも良い。 その上で運動性に余裕があるなら攻撃や照準も考えよう、トランザム連続攻撃をもう一枚確保しているならセットするのも有り、手動で動かす分には移動力があって損は無い。 アビリティチップ考察 コメント欄 名前 すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/603.html
パチュリー6 5スレ目 108.111 今日も不健康だタバコがうまい。 などと考えつつ赤と白の庭でただボーっとしていた。もち、右手にタバコ、左手は携帯灰皿で。 「しっかし」 すう、と煙を肺に入れる。 「なんで彼女に惚れたんだろ……」 煙交じりのため息と共に呟いた。 彼女、とは俺の勤める地下図書館の主のこと。 詳しい話は省くとして、こういう経緯を経て俺は彼女を好きになった。 ・館内周り→地下図書館 ↓ ・紫色の少女を見てズキュウゥゥゥゥン(否キス) ↓ ・としょかんきんむ にしろ!おれは あいつの そばにいるんだ! 三番目でメイド長さんにどつきまわされたのはぜんぜんよくない思い出だが。 そして図書館勤務について少し経った頃、驚愕の事実が言い渡された。 「紫もやしは……喘息だったんだよ!」 「な、なんだってー!?」 よりによって喘息だなんて……ヘビーではないが愛煙家の俺にとってはかなりのショックだった。 そんな感じで一応司書のこぁさんにのみ喫煙者だと教え、たまに休憩を取らせてもらってる。 「……って う お っ あ ち っ !!!」 思考にふけったせいでタバコに火がついたままだということを忘れ、火傷しかけた。 「……何やってるの、貴方」 指をふーふーしていると後ろから声をかけられた。 て言うか今の声ってただの聞きまちが いだよね幻聴だそうだよでもこれって 犯罪者の言い訳っぽいな「幻聴なんで す!誰かがこうしろっていったんです!」って 「パパパパチェ萌え、じゃないパチュリー様ぁ!?」 「まったく……いつもいつもどこかに消えると思ったら……」 「いや、それはその……たまには外の空気が吸いたくて」 「それが『外の空気』?」 タバコを指差され、しまった!とすぐに後ろに隠したがもう遅い。 魔物に見つかった後にコインをくわえる様なものだ。 「小悪魔から聞いたわ。喫煙者なんですってね」 「……はい」 ああ、もう駄目だ。よく考えればこぁさんは彼女に召喚された身。強制的にでも喋らせる事はできる。 「だったら、館の喫煙所を使いなさい。灰皿も完備されてるわ」 ……へ? 「言っておくけどここは勤務が過酷なせいかタバコを吸うメイドも少なくないわ。 だから館内には喫煙所もあるしタバコの売店もある」 ああ、なるほど。……って 「じゃあいつもいつも庭に来てこっそりタバコ吸ってた俺の気遣いは……」 「無駄」 き、きっぱり言われた…… 「無駄とか言わないでくださいよぉ……パチュリー様のためだったってのに……」 思わず小さく呟いてしまう。 「私のためって……」 「えあいやパチュリー様喘息だからというか絶対に本に臭いが付くだろうしそれに個人的な感情がほとんどですけど」 「……要約して話す」 ジト目が薄くなる。まずい。 「つまりっ、要はあなたが好きだから迷惑かけたくなかっただけです!」 全てを言うしかないだろう。後はなるようになれ、だ。 「……ふうん」 吉が出るか害が出るか……間違えた。凶が出るか、だ。 「タバコ、やめられる?」 「……無理っぽいです」 よし、振られフラグ確定。……だって、いまさらやめろったって…… 「……なら、私の前では絶対に吸わないこと。それと……」 いったん言葉を切り、唇を重ねた。 「……こういうときに苦いから吸った後は口の中を洗っておくこと」 そんな俺はセブンレボパチュリーメンソール。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 5スレ目 201-202 パチェなのにパチェじゃないと悩まされる。 つまり彼女は残留思念。 流行には乗り遅れてますよ。 「ごほっ、ごほっ!!」 紅魔館のある場所に響く苦しそうな咳。 「はぁ……」 その後に聞こえたなんとも物憂げな声。 彼は苦し紛れに漏らした。 「なんで俺が―――」 紅魔館の図書館、の途中の廊下。 俺は頭を抱えながら歩いていた。 「はぁ……」 何回ため息をついたかな。 ん? 頭を抱えている理由? 風邪引いたんだよ。 パチュリーが。 一応自他ともに認める病弱っ子だし、喘息持ちで引きこもりである。 しかし! しかしだ。 病弱っ子であるはずの奴は喘息以外の病気なんて滅多におこさないのだ。 しかも逆に調子がいいわーなんて言って俺にストレスというものを押しつけてくる。 そんなパチュリーが風邪を引いたんだ。1ミクロンほどだが驚いてやった。 ま、それだけだったのなら別になんともないし、俺は嬉々としてパチュリーが居ない平和なライフを過ごしていただろう。 看病なんて小悪魔がやってくれるだろうし、うるさい奴がいないからぐだぐだ言われないし。 数日間だけだとは思うがストレスが無い日が続くだろうなー。 なんて思っていた時期もありました。 何を思ったのかパチュリーは看病を俺に任せるなんて言いやがった。 勿論抗議したさ。 だがそんな声もパチュリーには火に油を注ぐ結果になってしまったようで、 「私が決めたの。あなたは黙って従いなさい」 って言われたら逆らえないし、これ以上言ったらなんかやられそうなので黙った。 そういうことで俺はパチュリーの看病をする羽目になってしまったのだ。 ……なんで? とりあえず現在、パチュリーの昼食となる粥を持って寝室へと向かっている。 寝室に入るのは初めてじゃないので緊張も何もせずに入る、のだが。 「遅かったわね」 「何言ってるんだ、昼食取りに行ってから一刻もたってないぞ」 上半身を起こして微熱気味な紅い頬をしているパチュリーは若干、いやかなり不機嫌そうだ。 ……どうせ本が読めないとかそんな理由だろうと思うが。 足元の本を避けてベッドについた俺はパチュリーの膝へと粥を乗せた御盆を乗せた。 「食べ終わったら端に置いておいてくれ、後で取りに来るから」 そう言い残し寝室を出ようとした――のだが、パチュリーはとんでもないことを言ってきた。 「一人で食べろって言うの?」 「……へ?」 一人で食べないならどう食べろと。 「食べさせて」 「……な、なんだって?」 「食、べ、さ、せ、て」 何を言い出すんだコイツは。 自分で食べられるだろうに……俺に食べさせろだって? うーん、これはもしや……。 「なにしてるの?」 「いや、パチュリーの頭のネジをな、探してるんだ」 ゴスッ! 「馬鹿言ってないでさっさと食べさせなさい」 むぅ……こうなったら覚悟を決めるしか無い様だ。 痛む後頭部を我慢しながら粥をパチュリーの所に持っていく。 それを食べるパチュリー。 スプーンを取ろうとして中々取れなかったり早すぎかったり。 そのたびになんかぐだぐだ言われた。 そんなこんなで長々とした時間が過ぎていく。 途中小悪魔と思われる人物が扉を開けてすぐ閉めたような気配がしたがキニシナイことにした。 よーやく食べ終わらせた俺は空っぽになったなべやかんを持って寝室を脱出した。 出る前、 「退屈だとは思うがちゃんと寝てろよ」 全力を出してパチュリーの様態を心配した言葉を投げかけたが、パチュリーは何も答えなかったのが凄まじく怪しかった。 まぁ、そんなことを言うのは結局俺の安泰のためなんだけど。 こんなのが三日四日なんて続いたら死ぬ。色んな意味で。 そんなことを思いつつ、なべやかんを食堂に返し変わりにリンゴなどが乗っかった皿を貰ってもう一度向かう。 病人の世話がこんなに面倒だったとはねー。 ……いや、パチュリーだからかな。 寝室に帰還した俺だが、今度は寝ている可能性もあるので音も立てずに部屋に入り、 そして部屋に入って俺は呆れた。 パチュリーが無理してますよオーラ全開で本をうつ伏せになって読んでるじゃありませんか。 その状況に、流石に温厚な俺も頭の上あたりに十字交差点が浮かび上がるってもんだね。 いやいや、俺のせいじゃないさ。無理をしている紫もやしのせいなんだ。 俺は皿をゆっくりと置き、変わりにHARISENを持った。 そしてうつ伏せ状態でこちらに気付いていないパチュリーの背後に近づき……。 スパーン!! いい音がしたので内心ガッツポーズ。 で、叩かれた本人はと言うと、 「なっ、にすんのよ!」 「これはお前が原因だ!」 「病人にHARISEN振り下ろしておいて何を言っているのよ!」 「やかましい! 口から咳垂れる前にむきゅーと言え!」 この後色々両者共々罵詈雑言を言い合ったが、パチュリーの身体的ギブアップにより終わった。 「覚えておきなさいよ……」 「……そんなに元気があるならもう看病しなくていいだろ」 「ああ……頭が……」 「嘘つけ」 まったくこの魔女は何をしたいんだろうか。 ってか元気じゃないのか? ……まあいいか。追求しても殺されるだけだろうし。 それよりもさっさと仕事を終わらせて平穏な時間を手に入れなければ。 そう思い、俺は置きっぱなしだった皿をパチュリーのところまで持っていき、 「後は自分で食べろよ! それか小悪魔に頼め!」 パチュリーに何も言わせずそれだけを言い残して扉を閉めた。 一応ああ言ってしまったので、小悪魔に手伝ってもらう事にする件を話すと、 「いいですよ」 と快く承諾してくれた。 「それにしても……」 「ん?」 「大変ですね、○○さんも」 こちらの心配もしてくれた小悪魔。 いい子だ。 「まったくだ……パチュリーもなんで俺を指名したんだ……」 「あれ? 分からないんですか?」 「へ?」 「ああいや、何でもありません」 そう言って小悪魔はそれじゃあと言って飛んで行った。 最後のほうの言葉はなんか引っかかるけど、何か考えことでもしてたのだろうか。 その後も色々な事があったのだが、翌日になるとパチュリーはケロリと治ってしまったそうだ。 で、俺はと言うと……。 風邪を移されてしまった。 そして小悪魔に看病されているわけだが。 「なんで俺がこんな目に……はぁ……」 仕事は休めると言っても、この状況じゃ休んだうちに入りません。 でも、パチュリーの呪縛からは一時的に解き放たれるけど。 「あ、私やる事があるので」 「ん? そうか、悪かったな。風邪なんか引いちまって」 「一応代わりを呼んでおきますね」 「頼むよ」 パチュリーとは大違いだ。泣けてくるね。 小悪魔が出て行くと、途端に部屋は静かになった。 久々の平穏にまったりとしていたら、突然部屋の空気が変わった気がした。 どちらかと言うと、危機の方に。 嫌な予感がした俺は、恐る恐る入り口のほうを見てみると……。 「パ、パチュリー……」 しかもなんか手に自然界では表現できない色の液体が! まさか、それを飲ませる気か!? 「勿論」 とかいいながら近づいてくるパチュリー。なんか怖い。 「頑張って作ったのよ」 努力があってもその色の液体は飲みたく無いぞ。 そもそも飲んで治るのか、それ。 「大丈夫、成功したらすぐ治るから」 成功したらってなんだ、失敗するのか? 「八割くらいで失敗するわね」 高っ! 失敗する確立高っ! 俺はそんなのに賭けんぞ! 「うるさいわねぇ」 そう言いながら近づいてきてもうパチュリーとの距離があと少しになってきて、 「くそっ、これじゃあ前と変わらないじゃないか! 誰だ呼んだの、出てこいコノヤロー!」 呪縛からはやっぱり解き放たれてないみたいだった。 そして同日某所。 「輝け!第十八回パチュリー様と○○さんをくっつけよう大作戦会議 in レミリア様の部屋!」 『いえー!!』ドンドンパフパフ! 「司会進行は私、小悪魔が勤めさせていただきます!」 『いえー!!』 「さて、今回は私達○○さんの食事に風邪になる薬を入れる程度しかしてませんが」 「それでも少し進展したんじゃないかしら?(咲夜さん)」 「でもですね、○○さんは全然分かってないみたいです」 「それじゃあ意味ないわね……(レミリア様)」 「それで、次どうします?」 「そろそろ夏が終わりそうだし、今のうちに湖で泳ぐとかどうでしょう?(中国さん)」 「それでいいんじゃないかしら。私は無理そうだけど(レミリア様)」 「じゃあ決定で宜しいでしょうか?」 『いえー!!』 「じゃあ次はどうするか考えましょうか」 これを、彼女と彼は知らない。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 5スレ目 490 ハートZUN軍曹のお言葉に、 誰からともなく住人へ とありますが、こういうのはいいのでしょうか。 先日、東方ストライク入手したときに、 隣に積んであった本から伝言を頼まれたので、こちらに書いておきます。 パチュリーが可哀想なので。 ====== Dear 貴方様 ご無沙汰しております。 卒爾ながら、今日はお願いがあって参上いたしました。 え、誰てめぇ、ですか? これは申し遅れました。 私は、先日まで貴方様がヴワル魔法図書館で読んでいた本でございます。 何の用だ、ですか? これはこれは、単刀直入ですね。 では、私も単刀直入に。 お願いします。ヴワル魔法図書館にもう一度来ていただけませんでしょうか? 単なる本の身で、このようなお願いをする無礼は百も承知です。 ですが、パチュリー様のために筋違いながらお願いする次第です。 先日、貴方様が私を読み終わられて、図書館に来なくなってから、 パチュリー様はすっかり沈んでしまわれました。 知ってらっしゃいましたか? パチュリー様は、貴方様といると本当に笑顔が絶えないのです。 本を読みながらも、貴方様をちらちら見ていたのです。 最近写された魔道書には、全部の本のページの右隅に、貴方様の似顔絵があるのですよ。 感じてらっしゃいましたか? パチュリー様は、貴方様がいらっしゃる日には、朝からずっとそわそわしているのです。 朝早く起き、まず3時の紅茶の茶葉を確かめ、 スコーンを味見して、それに合うブレンドを作るのです。 アッサム、ダージリン、アールグレイをベースに、 少し胡椒を効かせたスコーンにはアップルティーを多めに、 甘いスコーンにはタイムなどのハーブを入れたブレンドで。 気づいてらっしゃいましたか? 貴方様がいらっしゃるときには、パチュリー様、うっすらとお化粧をしていたのですよ。 そして、貴方様が来る予定のぎりぎりの時間まで、 クローゼットの服を鏡の前で体に当てて、その日の勝負服を決めていたのです。 水色のリボンの時には、ピンク系を中心にまとめ、 赤いリボンには、エメラルドグリーンの服にイエローのアクセントをつけて。 そして、貴方様がいらっしゃるとイの一番に入り口へ行っていたのです。 覚えてらっしゃいますか? いつもパチュリー様が、自ら貴方様を書架まで案内していたことを。 しかも、しっかりと手を繋いで、頬を染めながら。 貴方様がいらっしゃる日には、パチュリー様はいつも小悪魔様に用事を言いつけておりました。 貴方様と2人きりになりたいという、乙女心だったのですよ。 その時には、貴方様が不快に感じられないように、でも意識してくれるようにと、 柑橘系の香水を軽く、振りかけていらしたのです。 顔を赤くして貴方様を待つパチュリー様は、本当に恋する乙女でした。 しかし、貴方様がいらっしゃらなくなって、パチュリー様の至福の時間も終わってしまいました。 しばらくの間は、私を抱きしめながら、 「何で、いるうちに告白しなかったのかしら」 と、ふさぎこんでいました。 最近は、私を読むとも無くめくりながら、壁を眺めているばかりです。 昨日届いた、パチュリー様が貴方様のためにと買われた可愛い服も、 小包から出さないままになっています。 図書館のドアが開くたびに、入ってくる人物を凝視しては、 小悪魔様だと知って嘆息をする、そんなパチュリー様は見るに耐えません。 わが友人の『パチュリーの日記』氏によれば、 パチュリー様の日記には、いつも貴方様のことが書いてあるそうです。 いらっしゃった日はいわずもがな、いらっしゃらなかった日も、 「今日は来なかった」で始まるとのことです。 貴方様が図書館に用事が無いのは知っています。 でも、もし一片の慈悲があるならば、 図書館に来て、パチュリー様に会ってあげてくださいませんか。 よろしくお願いします。 おっと、もうこんな時間ですか。 私がいないと、パチュリー様が大騒ぎしますので、帰らねばなりません。 「この本は、私とあの人を繋ぐたった一つの絆だから……」 とのことですが。 どうか、早く来てください。 僭越ながら、お願い申し上げます。 From ヴワル魔法図書館の一書籍 ─────────────────────────────────────────────────────────── 5スレ目 729 その日も図書館で本を読んでいた。 絨毯は厚く埃も多く、喘息持ちでなくても咳き込んでしまいそうになる。 「…… 一冊読み終わり、無言で首を回す。ここの管理人はとかく煩くするのを嫌う。 次の本を持ってこようと席を立つと、対面に座っていたその管理人が、 つ、と少し顔を上げ、右側に積んであった本の山を少し差し出すとまた顔を下ろした。 (この量を戻してきてくれってのか… げんなりする程の量が積まれていたが、覚悟を決めて山に手をかける。 何冊かを束にして持ち上げようとすると、ぺしぺしと机を叩く音が聞こえた。 (私の分も追加の本を持ってきてくれ、か 彼女は基本的に乱読するので、どの本を持っていこうかと悩まないですむのはありがたい。 とはいえ、一応今読んでいる本の題名を確認し、同じような系統の本を選ぼうと考える。 (どれ、なんて本かねえ としゃがむと、ついと本を伏せられた。 なんだろうかと思うが、まあいろいろな種類の本を読みたい気分なんだろうと気にしないことにする。 いや、単なる悪戯か? いくらか本を抱え、のたのたと机に向かう。厚い本は重いし持ちにくくて困る。 上に乗っけた2冊を自分の座っていた場所に置き、残りを向かいの席に運ぶ。 音を立てないように慎重に彼女の左側に置き、ぐしゃぐしゃと頭を撫でる。 驚いたのか本から目を離し、す、と頭を上げこちらを見る。 これは好機とここぞとばかりに頬を撫でると、気持ちよさそうに目を細める。 満足したので自分の椅子に戻ろうとすると、袖を捉まれ、くいくいと引っ張られる。 されるがままに腰をかがめると、胸に顔を押し付けてくる。 愛い奴めと思っていると、さらにぐしぐしと顔を横に振る。 顔を拭きたかっただけかい。それとも眠いのか? 眠いなら寝かせよう。しかし彼女はなかなかベッドに行かない。 体が弱いくせに本を読みながら机に突っ伏して寝る、ので、風邪をひいては大変と毛布を持ってこようとすると、 腕を腰に回され、グイグイと引っ張られる。 どうしたものかと顔を上げて、なんとなく辺りを見回してみる。 よく見ると椅子の後ろが少し空いて、人が入れるようになっている。 ああそういうことか、と合点してスペースに体を滑り込ませようとするとあっさり腕がほどける。 後ろに回り彼女を膝の上に乗せて腕を腹に回し、そのまま顔を肩に乗せた。 5分後、痺れたので足を開いて落としてみた。喜ばれた。 いくつかSSとか書いててわかったんだが、俺文章固いな ─────────────────────────────────────────────────────────── 5スレ目 898 私がこの幻想郷に来てしまってから長い時間がたった。 今では体も昔のように思い道理には動かなくなってしまった。 若い頃は、危ないと分かってても物珍しさから随分とムチャをしたものなんだが… 氷精をからかって怒らせたり、魔法の森を探索しに行って迷ったり、花畑に突貫しに行ったり… いつもボロボロになってヒーヒー言っていたな。ハハッ 本当に懐かしい、あの頃は珍しいことを聞けばすぐに行動していた。 その度に、館の人達には迷惑を掛け、メイド長には長い説教を聞かされ …ナイフが飛んでくる事もあったな。 それでも、めげずに何回もムチャをやって、何度も怒鳴られて、最後には呆れられて、それが日常となって 笑いながらバカな土産話をするようになって。 だが、そんなバカばかりやっていた頃でも出来ないことが唯一つだけあった。 いや、ちがうな… 出来なかったんじゃない、やろうとしなかったんだ。 ただ、怖かった。 この気持ちを貴女に伝える事が、この日常が変わってしまう事が 『断られたらもうこんなバカな毎日が続けられなくなる…』 そんな本当に愚かで馬鹿なことを本気で考えて、いつもは強気なくせに どうしようもなく憶病で でも、こんな馬鹿な私ですが、この思いだけは誇りたいと思う。 貴方を思ったあの日から、人として長い今までの時間、決して色あせる事の無かったこの思いだけは… 老い先短い私がこの思いを貴女に伝えることはもう無いでしょう 文にしたためる事ももう無いでしょう。 この思いは誰にも伝えず、誰にも悟らせず、私が墓場まで持って行きましょう。 貴女が私のことをどう思っているかはわかりません。 しかし、だからといって怖いわけではありません。 貴女の人生はまだ長い、そこにもう命の短い人間の思いなど背負わせたくはないのです。 貴女は その冷静な考えからよく冷たく見られます。 けれども、私は良く知っています。 貴女が感情表現が苦手なだけで、本当はとても優しい事を 貴女が本を見ているときは、とても表情豊かになることを 貴女は無関心なように見えても誰よりも周りをよく見ていることを だからこそ、貴女がどんな答えを持っていても、貴女は必ず迷うでしょう そして私が死んでしまった後、必ず後悔し悲しんでしまうでしょう。 これは私の我が侭です。 馬鹿で愚かな人間の身勝手な我が侭なんです。 だから、私は誰にも言わずただ一人思います。 あの時からこれまでの時間、そして 死が近いこれからの時間 ただ貴女一人だけに、伝えぬ 弱く、されど 強い思いを 『パチュリー、貴女を 愛しています』 ─────────────────────────────────────────────────────────── 6スレ目 338 紅魔館でクリスマスパーティーをする予定だからとメイド長に 強制的に連れ去られ馬車馬のごとく扱き使われた24時間・・・ よく考えれば、まだまだ時間があるんじゃないかと抗議したいが ・・・した瞬間、間違いなくナイフが飛んでくるんだろうな。 まあ、ひとまず一区切り付いたのでヴワル図書館なら静かかつ比較的安全に休めるだろうと 思い来てみたんだが・・・ 「寒っ!メチャクチャ寒っ!?」 扉の向こうは雪国だった・・・ 「てっ違うだろ!しかも、それはトンネルの向こうだ!!」 「うるさいわよ、いきなり何を叫んでいるの」 図書館の管理者が現れた。 「てっそれも違うな。・・・いや、意味は合ってるか」 「だから何なのよ・・・」 「いや、すまない。何か変な思考が少し」 「クリスマスの準備疲れかしら?」 「ああ・・・それは否定できないな・・・マジで」 「そっそう。・・・・・・薬でも飲む?」 「いや、遠慮しとく 永眠しそうだし」 「魔理沙じゃあるまいし、そんな危険なもの作らないわ」 「うっすまん」 いつものジト目がさらに細くなっている。 「フゥ、まあいいわ。それで何しに来たの」 「少しの間、休ませてもらおうと思って来たんだけど・・・」 「騒がなければ好きなだけ居ていいわよ」 「いや、メチャクチャ寒いんですけどココ」 「ああ、日の光が入らないから室温が上がらないのよ」 「いや、上がらないのよって、寒くないのか?」 「・・・・・・私が何か忘れたのかしら?」 さっき戻ったジト目が また細くなっていく 心なしか部屋の温度が下がった気さえする 「何かって?パチュリーだろ」 「そうじゃなくって」 目を伏せ小さくため息を吐く 「? ああ、魔女だってことか!」 「・・・どうして忘れられるのかとても疑問に思うわ」 「いや~俺にとってパチュリーはパチュリーだし」 「っ///」 パチュリーの顔が一気に赤くなる。帽子で見えないが耳まで赤いことだろう どうやら、不意打ちに弱いようだ・・・ 「どうしたんだ?」 「なっなんでもないわ!」 どうやら彼は、鈍感のようだ・・・ 「しかし、魔女か・・・なるほど魔法か」 「ええ、自分の周りを常温にしているのよ」 「へー 便利だな~」 「・・・何で近づいてくるのかしら?」 「気にしない、気にしない。」 「気になるわよ」 「そうか?ところでちょっとだけ椅子から立ってもらえないか?」 「 ? べつにいいけど」 言われたとおりにその場に立つパチュリー すかさず俺は椅子とパチュリーの間に体を入れ、パチュリーの体の前に手を回し そのまま椅子に座る 「キャッ///」 「あっ本当だ。あったけ~」 「ち、ちょっと何しているのよ!」 「後ろからパチュリーを抱きしめています♪」 「・・・・・・可愛くないわよ」 「・・・・・・自分もやって後悔した」 「それで何で私を・・・その・・・抱きしめているのかしら?///」 「ん~暖を取るため?」 「そう#」 「いやいや、ウソですウソ!」 「まあ、率直に言えば・・・抱き締めたかったからかな」 「・・・まあ、許しとくわ」 「間が気になるけど、ありがとうございます」 それからしばらく経ち、本をめくる音だけが図書館に響いていた 「・・・静かだな」 「・・・そうね」 「でも・・・暖かいな」 「ええ・・・そうね」 「・・・パチュリー」 「・・・なに」 「大好きだ」 「・・・・・・」 私も、大好き・・・よ (省略されました・・・。続きは明日発売の文々。新聞「幻想郷の甘~い!特集」をお買い上げ下さい) ─────────────────────────────────────────────────────────── 6スレ目 365 図書館の屋根の上で夜空を見ながら煙草を一服。 それが俺のここでの数少ない楽しみの1つだ。 思えば俺がこの幻想郷に迷い込み、紅魔館に拾われて 人手の足りないという図書館で働くようになってから結構経つ。 元々本が好きなせいもあってか、仕事は大して苦にならない。 それに図書館には彼女がいる・・・ と、物思いに耽っていると 「こんな所にいたの」 「ん?」 振り返ると俺にとっての幻想郷での最大の楽しみ パチュリー・ノーレッジが俺を見下ろしていた。 俺は慌てて携帯灰皿に煙草を放り込む。 喘息もちの彼女には煙草の煙は猛毒も同じだろう。 「どうした?外に出てくるなんて珍しいじゃないか。」 「ただ何となく、貴方と話がしたかったから・・・」 そう言うと彼女は俺の隣に腰を下ろした。 何故だろう?いつも持っているはずの物を今は持っていない。 「本は?」 そう尋ねると彼女は 「今は必要ないと思ったから。」 と、これまた珍しい事を言った。 俺はあまり深くは訊かない事にした。 それにしてもこの時期に外でその服装は・・・見ているこっちが寒くなる。 まあ魔女だから魔法でも使って暖はとれるのだろうが 「夜は冷えるぞ」 そう言って、コートを脱いでかけてやる。 「大丈夫よ」 「いいから、見てるこっちが寒い」 そういうと彼女は素直に従った。 何故だか少し微笑んでいるように見える。 それから――2人で他愛もない話をした。 本当にどうでも良いような話。 彼女が時折浮かべる笑顔に俺はドキドキした。 話のネタも尽きてきて、沈黙が流れる・・・ その沈黙の中で彼女の横顔を見ながら思った。 今言わないと2度と言えない気がする。 俺は厄介事は嫌いだ。 だが、今俺は自分からとんでもない厄介事に飛び込もうとしている。 迷いはない。 「パチュリー、俺は君の事が――」 「止めて・・・」 彼女は俺の告白を途中で遮り、俯いた。 「貴方が言おうとしている事は分かってる。 だけど、言わないで・・・ 私と貴方じゃ種族が違う、寿命も・・・私はこれからも数百年生きるけど、貴方は数十年で死ぬ 私は、貴方がさっき言おうとした言葉を聞いたら、たぶん貴方が死ぬ時に耐えられない・・・だから言わないで」 彼女はそう言って悲しそうに笑った それでも俺は―― 「パチュリー、君の事が好きだ!!種族の違いなんか関係ない!!俺は残りの人生を君と過ごしたい!!」 彼女は驚きの表情を浮かべたあと 「勝手な人ね・・・」 そう言って涙を流した 俺は彼女を抱き寄せて、そっと唇を重ねた 唇を放すと彼女は微笑を浮かべて 俺の肩に頭を預けてきた 満月が2人を照らした ─────────────────────────────────────────────────────────── 6スレ目 408 今さ、布団の脇にノート置いて書き込んでるんだけど 毎晩パッチュリが布団に潜り込んで来て困っちゃうよね さすがにあんなにくっつかれたら冬でもあっついよね あっ こら、また勝手に入ってきてー そんなくっつくなって え、いや、まあ、迷惑って事でもないっつーか、うん うん……うん、 俺も、大好きだよ じゃ、おやすみ…… ──────────────────────────────────────────────── 6スレ目 577 図書館の一画。 目当ての本を見つけた俺はパチュリーの隣に座り、本を開いた。 「仕事をサボって何を読んでるのかしら?」 言われて顔を上げると、パチュリーが本を少し下げてジトリと俺を睨んでいる。 「アガサ・クリスティーのクリスマス・プディングの冒険、 しかし本当にこの図書館は何でも揃ってるな~・・・。 少しくらい良いだろ? 本の整理は終わったし、もう特にする事も無い 大体クリスマスイヴだってのに、休みもくれないお前が悪い 今日に限って図書館に来るような物好きなんてそんなに居やしないよ。 あとの雑務は小悪魔にでもやってもらえば良い」 そう長々と答えるとまた睨まれた。 「私と過ごせるなら何処だって良い。 なんて言ったのは誰だったかしら?」 「それを言われると ぐうの音も出ない・・・」 一拍、間を置いて2人で苦笑。 お互いに視線を本に戻す。 静かに時間だけが流れる・・・。 華やかではないがこんなイヴも良いかもしれない・・・。 「なあパチュリー、部屋に戻ったら今夜はワインでも開けようか?」 俺がそういうと彼女はクスリと笑って、 「そうね」 と、一言だけ言った。 ──────────────────────────────────────────────── 6スレ目 620 パッチェさんが風邪を引いた。と言うわけで見舞いに行く。 見舞いと言うからには何か持っていったほうがいいだろうから、 とりあえず紅魔館の食堂から適当にりんごでも持って行くことにした。 ちなみに食堂の食べ物がなくなると門番の食事が減らされると言う噂がある。 明らかに内部犯だろうに外にいる者の食事が減らされるというのはどうかと思うが、まあどうでもいい。 一応勝手に持っていくわけで、カウンターに身を隠しながら、置いてあるりんごに近づきすろすろと手を伸ばす。 丸い形と重さを確かめ、2,3個抱え込むように持っていく。 と、不意に声をかけられる。 「りんご持っていくんなら、ナイフはいりませんか?」 「手持ちがあるからいいや。それよりすりおろすやつおくれ」 「はいどうぞ」 「はい、ありがとう」 計 画 通 り。 パチュリー私室は、毎度黴臭い図書館内の閲覧個室の改装されたものとなっている。いや図書館自体が私室といえばそうか。 ノックをしても返事はない。いつもない。声が届かないらしい。風邪を引いているなら尚更か。 返事が無いので勝手に入る。待っていたらいつまでも入室できんぞなもし。 入って見渡すと、ベッドの上がもぞもぞと動いている。どうやら寝ているらしい。 ……と思ったら寝そべりながら本を読んでいた。 予 想 通 り。 いや、予想が当たったからと喜んでいる場合じゃない。どうにかせにゃならん。 いくら本読み魔女と言ってもゲロ吐きながら読むものじゃない。 なので、横から本を取り上げる。 なーなー言っていたが、何を言おうとしていたのか分らないので無視していすに座り、 本を体と椅子の背もたれの間に挟みこんで取れないようにする。ついでにりんごを机に置く。 「なに……するのよ」 咳き込みながら文句を吐く。 「風邪引いてるときに本を読むものじゃないだろ」 「魔女が本を読まないでどうするのよ」 「病人が寝ていないでどうするんだよ」 「む、じゃあ代わりにその本読んで頂戴」 「風邪引いてるのにこんな難しい本読むもんじゃないよ」 言いながら本を抱えてドアに向かう。 「その本がいいのよ」 無視してドアを出る。ラテン語なんか読めるか。 難しい本を戻し代わりの易しい本を持って部屋に戻ると、パチュリーはうつ伏せのまま寝入っていた。 息がし辛そうなので横向きに直してしばし寝顔を観察する。 しかし、ずっと観ているわけにもいかないので、本を持って退室する。 が、司書連中に運悪しくつかまり書庫整理の手伝いなどをやらされる。 盗難本のリストアップらしいが、照会に時間がかかり正直暇だ。というか俺いらんだろ。 捉まってから1時間ばかりたった。 仕事を10分ぐらい、後は皆で駄弁っていた。どうせまた盗られるんだし、リスト作っても無駄よね、と言うことだ。 駄弁った結論として、女って怖いなあ、と言うことが再確認された。 不意に子供の泣き声が響く。何かの魔道書かと思い音のする方へ駆けると、パッチェさんの自室だった。 訝みながらドアを開けると、パチュリーが突っ伏して泣いていた。 これはアレか、病気のときに誰もいないで不安で泣くというやつか、愛い奴め、と思いながら近づくと、 ほんーほんーわたしのほんー、と言って泣いていた。 本かよ。俺じゃないのかよ。 がっくりしながら話しかける。 「起きたかね。じゃあ、作るからすりおろしりんごでも食べなさい」 「それよりも本はどこ?」 「とりあえずりんご食え。あと水飲んで寝れ」 「寝かしつけないで頂戴。で、本はどこ」 「りんご食べたら持って来るからりんご食え」 「わかったわよ……」 同意を得たところで皮を剥き、種を取り、すりおろして器に盛る。 多少血が入った気がするが問題ないだろう。 器と匙を渡すともそもそと食べ始める。 少し寝たからなのか心なしかさっきより血色も声色も良いように思える。 食べている間に見繕っておいた本を取ってくる。 「食べ終わったわよ。で、本は?」 「ん、あるよ」 「妙に薄いわね…というかそれ絵本じゃない」 「うん? 風邪引きにはちょうどいいだろう」 「読んでくれるなら向こうの棚に入ってる本がいいんだけど」 「だから難しい本はだめだって」 アラビア語も読めんがな。 枕元の椅子に腰掛けて絵本のページをめくる。 ゆっくりとしたペースで読んでいると、パチェさんが端ににじり寄ってくる。 「うん? 遅い?」 「絵が見えない。絵本なんだから絵も見せて頂戴」 どうやら絵本が存外に気に入ったらしい。 ベッドに深く腰掛けて、腿に頭を載させるようにして読もうとするが、 「見辛い。あと首いたい」 仕方がないので、寝かせて顔の上に本を持ってくるが、今度は自分が読めない。しかも、 「いたいいたい。紙が当たってるわ」 ページをめくる時に顔に当たったり手から抜けたりするようになった。どうにも目測がつけ難い。 どうしようかねえ、と考えていると、パチュリーが枕元をぱんぱんと叩いている。 こっち来いって…ああ、そういうことか。 結局枕を退けて自分が枕代わり、と言うか座椅子になった。 背中がベッドの宮に当たっるので、邪魔な枕と布団を背中に置く。 それでも痛いのと布団の重みで体が少し丸まる。 パチュリーは頭を首筋にもたれかけ、毛布を巻いている。 なので各々が肩に頭を持っていくような格好になる。 「読むのは結構上手いわね。でも少し早いかしら」 「そうかねえ? まあもう寝て早く治してしまいなさいな」 「そうね」 そういってごそごそと動くが、 「なんで胸の上で寝ようとするの?」 「おやすみ」 「それじゃ寝にくいでしょうに」 「うーん」 不満げな声を上げる。これは動きそうにも無い。 しょうがなしに少しずつ体をずらしてベッドに横になる。 肩にかぶっていた布団を掛け、枕を頭の下に敷いてやってから抜け出そうとする。 「あら」 思わず声が出る。 服の端がしっかと握られていた。これでは出るに出られない。 無理してはずす事もできるだろうが、そうすれば起きてしまうかもしれない。 「まあ……役得かねえ」 そういって横顔を見ながら自分もゆっくり目を閉じた。 ──────────────────────────────────────────────── 6スレ目 721 いつも通り本の整理をしていると急に視界がぐらついた。 疲れてるのかな? そう思った矢先 図書館の床が目の前に迫り、意識が消失した。 気がつくと俺はベッドに横になっていた。 どうやら気を失っていたらしい。 上半身だけ起こすと濡れタオルが額から落ちてきた。 「あっ!!」 声のした方を見ると椅子に座っていたらしい小悪魔が立ち上がり 「今パチュリー様を呼んできます」 と言うと駆け出していった。 しばらくするとまた走る足音が聞こえてパチュリーが部屋に入ってきた。 彼女はホッとした様子で 「良かった」と言った。 「心配させちゃったみたいだな・・・すまん」 「いいわよ、別に。 薬作ってきたから飲んで安静にしてて。 一応試しに飲んでみたけど副作用もないし、安心して飲んで」 そう言うと半透明の液体が入ったグラスを渡してきた。 色は悪くないが・・・一応覚悟して一息に飲み干す。 味も思ったほど悪くない、というかむしろ良い方だ・・・が。 このグラスの底に残ってる虫の足みたいなのは何だ? 「な、なあパチュリー。 この薬って原材料はなんだ?」 「どうしてもって言うなら教えてあげるけど、聞かない方が良いと思うわよ」 彼女がそういうなら本当に俺が知らない方が良い材料で構成されているんだろう。 知らぬが仏、俺は訊かない事にした。 「なんか、普段と立場が完全に逆だな。 いつもなら俺が看病する方なのに・・・面目ない」 「気にしなくていいわよ、とにかく大事じゃなくて良かった」 微かに賑やかな音が聞こえる 「今夜もレミリアさんの気紛れパーティーか」 「皆大騒ぎしてる、まったく人の気も知らないで」 本当に心配かけちまったな・・・ 「今後はもう少し健康管理に気をつけるよ。 そんな顔するなって、美人が台無しだぞ?」 そういって笑いかけると彼女も笑みを浮かべた。 「それよりお前は大騒ぎに参加しなくて良いのか?」 「今日はいいわよ、毎回参加してたら身がもたないし、貴方の看病もあるし、何処でもやる事は変わらないしね」 そう言うと脇に抱えていた分厚い本を見せた。 「そうか、じゃあ俺は大人しく横になってるから心配しないで読書してくれ。」 「必要な物があったら言って、すぐに用意するから」 そういうとベッドのそばの椅子に座って本を読み始めた。 しかし読み始めてすぐ「あ」と思い出したように声を上げると本から顔を上げて 少し迷うようにしてから 「添い寝、してあげましょうか?」などと言ってきた。 「おいおい、風邪だったらどうするんだよ」 「たぶんただの疲労だと思うから大丈夫」 「確かに咳も喉の痛みも無いが、本読むんじゃなかったのか?」 「寝ながらでも本は読めるし、問題ないわ」 そう言うと彼女はベッドに潜り込んできてうつ伏せになって本を読み始めた。 思わず抱き寄せる。 「ちょっと、 本が読めないんだけど」 「いや、つい。 もう少しこのままでいさせてくれないか?」 「別に・・・良いけど・・・」 遠く聞こえる喧騒の中で、ささやかな幸せを抱き締める ────────────────────────────────────────────────
https://w.atwiki.jp/dmps_fun/pages/888.html
PREV:探偵チュリン 前編 NEXT:探偵チュリン 後編 ストーリー ここよデッキをなくした男の子はこの辺でデュエマしていたのだわ コットン 案内ありがと!男の子はどこかな~ 自然の守護者 チュリン まだいたらいいんですけど…… ルピコ ………… 男の子 あ、あの男の子なのだわ! コットン あの子だね、よーし、さっそく聞いてみるよ! 自然の守護者 チュリン こんにちはコットンから聞いたんだけど、デッキがなくなったんだって? 自然の守護者 チュリン うん、大切にしていたのにケースごとなくなっちゃったんだ…… 男の子 それは心配だよね、よかったら、その時の状況を教えてくれる? 自然の守護者 チュリン いいよ、僕、ここで友達とデュエマしてたんだ 男の子 でも二回くらいした時、駄菓子を買いにいこうって話になって―― 男の子 駄菓子を!?美味しいよね! 自然の守護者 チュリン あ、じゃなくって……それからどうしたの? 自然の守護者 チュリン ええっと、駄菓子屋に向かったんだけど…… 男の子 途中でケースごとデッキをここに置き忘れたのを思い出したんだ 男の子 急いで戻ってきたんだけどなくなってて…… 男の子 なるほど!ちなみにその時怪しい人を見なかった? 自然の守護者 チュリン 見てないよ僕のカード、もう戻ってこないのかな…… 男の子 そんなことないよボクが犯人を捜してあげるからさ! 自然の守護者 チュリン 本当?ありがとう! 男の子 チュリンが男の子を励ましたのだわ…… コットン もしかしてチュリンは本当に犯人じゃない……? コットン でも、手がかりなしでどうやって犯人を見つけるのかしら? コットン ちょっと待って今考えるよ…… 自然の守護者 チュリン あ、そうだ!ここを見張っていたら犯人が戻ってくるかも! 自然の守護者 チュリン 名案です!犯人は現場に戻ると言われていますもんね! ルピコ すごい!探偵みたいでかっこいい! 男の子 でしょ~!君はこれからどうするの? 自然の守護者 チュリン もう少しここで友達と遊んでるよ 男の子 じゃあ、怪しい人を見つけたら、教えてくれる? 自然の守護者 チュリン うん、わかった! 男の子 よーし、張り込むぞ!でも、ただ見張るだけじゃ退屈だよね 自然の守護者 チュリン 【プレイヤー】、デュエマしようか! 自然の守護者 チュリン え?デュエルに熱中して犯人を見逃すかもしれませんよ? ルピコ 大丈夫大丈夫! 自然の守護者 チュリン デュエマしてても周囲に気を配ることくらいできるよ! 自然の守護者 チュリン 勝利時 はぁ、また負けちゃった…… 自然の守護者 チュリン 犯人もまだ来てないみたいだし……ん? 自然の守護者 チュリン ………… 忍者 コタロウ あ、コタロウさんです! ルピコ あいつ、いかにも怪しいのだわ コットン キョロキョロ辺りを見ているし、泥棒のような格好までしているのだわ コットン コタロウさんは忍者ですから、いつもあの格好です…… ルピコ あ! あのデッキケース!僕のデッキだ! 男の子 そんな、まさかコタロウさんが……!? ルピコ とにかく、突撃!捕まえるよ~!! 自然の守護者 チュリン あん?お前らこんなところでどうしたんだ? 忍者 コタロウ わっ、いきなり何しやがる! 忍者 コタロウ デッキを取り返した!ケースに男の子の名前を確認、犯人確保―っ!! 自然の守護者 チュリン ええっ、犯人って俺のことか!? 忍者 コタロウ だって、このデッキを持ってたじゃん 自然の守護者 チュリン 男の子からカードを盗むなんて、コタロウ、そこまで落ちぶれて…… 自然の守護者 チュリン ご、誤解だ!俺は配達の帰りにデッキケースを忘れていくガキを見かけたんだ 忍者 コタロウ それで、デッキをなくしたら困るだろうと思って、急いで追いかけたんだけどよ… 忍者 コタロウ 間が悪く信号に引っかかってそれから街中をずっと捜し回ってたんだよ! 忍者 コタロウ えっ、そうだったの? 自然の守護者 チュリン お前ら、俺をなんだと思って…… 忍者 コタロウ ははは、ごめんなんて言うか、大変だったね~ 自然の守護者 チュリン それじゃあ、盗まれたわけじゃない……? コットン そうなるね君、デッキが見つかってよかったね! 自然の守護者 チュリン うん、ありがと!忍者のお兄ちゃんも届けてくれてありがと! 男の子 ああ、デッキはデュエリストとして大切なもんだろ?もう置き忘れるんじゃねぇぞ 忍者 コタロウ うん!じゃあね! 男の子 しかし俺も捜し回らないでもっとスマートに渡せたらよかったな冷静さを欠いていたんだろうな 忍者 コタロウ じゃ、忍者イーツの仕事に戻るぜあばよ 忍者 コタロウ ばいばーい! 自然の守護者 チュリン ………… コットン 私、犯人じゃない人を犯人だと疑ってしまったのだわ…… コットン 敗北時 ボクの勝ちー!犯人を見張りながらデュエマするのって、ドキドキするね! 自然の守護者 チュリン 私は犯人を見逃さないかドキドキしています! ルピコ えっ、【プレイヤー】犯人が現れるまでデュエマしよう? 自然の守護者 チュリン そうだね!とりあえずもう一戦しようか 自然の守護者 チュリン PREV:探偵チュリン 前編 NEXT:探偵チュリン 後編
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/611.html
パチュリー14 うpろだ1408 ある日の紅魔館の一室で、俺はメイド長と一緒にいた。 「しかしまたなんでこんなものを」 「お嬢様たちのおやつに作ったのよ」 目の前には小鉢に入れられたマロングラッセが数個。 「それを何で使用人が?」 「さあ、なんででしょう。何でだと思う?」 軽いクイズを出され、目の前にあるものをまじまじと見つめる。 小鉢の中は彩り豊かで、形も凹んでいたり穴が開いていたりと様々だ。 「ああ、不出来なのはお出しできないからですか」 「そういうこと。お嬢様や妹様のおやつになれるのは綺麗なものだけよ」 言いながら咲夜さんがフォークを渡してくる。 「後は味見と毒見ね」 お嬢様に毒なんて効かないんだけど、と言って咲夜さんは笑う。 それに釣られて俺も笑う。毒を混ぜたことがあるのかと戦々恐々としながら。 「いい感じに甘い……いやだいぶ甘い」 「少しシロップが濃かったのかしら?」 口に放り込むとパリと言う音と一緒に、栗の外の糖が割れる。 外の砂糖と共に栗の甘さも口に溶け出し、紅茶がないと少しつらい。 「まあ、これくらいなら許容範囲でしょ。お嬢様方は甘いもの好きだし」 そう言いながら咲夜さんは紅茶を口に含む。 すぐに口に含むあたり、やはり相当甘いと感じたのかも知れない。 「咲夜さーん、頼まれていた本持ってきましたー」 「ありがとう。そこのテーブルにでも置いておいて」 館内のことと図書館のことで多少話し合っていると、小悪魔がやってきた。 数冊の革表紙の本をテーブルに置くとこちらにさらに近寄ってくる。 「おいしそうなの食べてますねえ」 「心配しないでも後でパチュリー様の分と一緒に持っていかせるわよ」 どうやら関心があったのは今日のおやつだったようで、自分の分もあると判ると歓声を上げている。 「お味はどうなんです?」 小悪魔が期待するような目でこちらを見る。 咲夜さんは我関せずといった体でやはりこちらを見ている。 ため息をつきながら小悪魔の口の中に栗をひとつ放り込む。 すると満面の笑みを浮かべながら小悪魔はそれを咀嚼し、口直しに俺の紅茶を少し飲むと礼を言って出ていった。 「あなたも大変ね」 こちらもため息混じりに咲夜さんが言う。 俺は何も言わずに紅茶を口に流し込んだ。 「パチュリー様、三時の紅茶とお茶受けです」 図書館に紅茶とお茶菓子を運ぶのは日々の日課だ。 妖精メイドが粗相をしては面倒だし、メイド長はお嬢様方の世話をしているのだから、当然とも言える。 「今日のお菓子はマロングラッセです」 テーブルにポットなどを並べながら言う。 普段なら最低限本から目を離しこちらに目をやるのだが、今日に限ってはぷいと向こうを向いたままだ。 それを特に気にせず砂糖壷を掴み何杯入れるかを聞くが、やはり返事は無い。 「パチュリー様、どうしました?」 返事は無い。どうにも機嫌が悪いようだ。 「なあ、今日何かあった? 白黒の来襲とか」 「いいえ、今日は誰も来客はありません」 不満の原因を探るべく、そこらを歩いていた小悪魔を捕まえて尋ねる。 「じゃあ、何か今日のおやつでパチュリー様に言った?」 そう問いかけるとすぐに返事が返ってきた。 「ええ、ひとつ食べさせてもらいましたが、甘くておいしかったですよ、って」 言動に何も不審な点は見当たらない。 「それ以外には?」 「特に何も。あとは咲夜さんの部屋に行ったらあなたが居た、ってことくらいでしょうか」 「確かに特に何も無いなあ。なら、不満の原因は別のところに……」 ここでハタと気付く。さっき小悪魔はなんて言っていた? 「もらったじゃなくて、食べさせてもらった?」 「ええ、そうです」 小悪魔が小悪魔らしい笑みを浮かべる。 「それで機嫌が悪いのか」 「パチュリー様にもおんなじことをして差し上げないと、きっと機嫌は直らないでしょうね」 「だろうね」 頭を抱えながら振り返るとパチュリーが見ていた。 「パチュリー様どうぞ」 フォークに一粒栗を突き刺し、口の前に差し出す。 しかし一瞥しただけで、またそっぽを向いてしまう 「小悪魔と同じようにしてくれないと食べないわ」 パチュリーが小さな声出つぶやく。 小悪魔の方へ向き直ると、やはり笑いながらこっちを見ていた。 フォークを置いて小悪魔に近寄ると、小悪魔は抑えてと言う風なジェスチャーをする。 「パチュリー様になんて言ったんだ?」 声を押さえ気味に、つまりは怒りを隠すように言う。 「食べさせてもらったって言っただけですよ」 小悪魔は笑いながら答える。 「じゃあ、どういう風に食べさせてもらったって言ったんだ?」 また尋ねる。小悪魔はやはり笑いながら言う。 「聞きたいですか?」 その笑みからおよそどう言ったのかがわかる。 「いや、やっぱいいや」 「指でつまんで、優しく口の中に入れてもらって、指についた砂糖は綺麗に舐めて……」 「だからいいって言ってるだろうに」 全く口移しといわなかっただけまだましとはいえ、この悪戯娘には本当に困る。 「この悪魔め」 「いいえ、小悪魔です」 小悪魔は平然とした顔で返してきた。 「ほら、早く戻らないとパチュリー様怒っていますよ」 振り返ると、こちらを凝視しているパチュリーと目が合う。 彼女は目を逸らそうともせず、ただこちらを睨め付けていた。 「パチュリー様お口開けてください」 栗を一粒つかんで、子供をあやすように言うと、パチュリーは少し見た後、口を開けた。 開けた口の中に、恐る恐るといった体で栗を入れていく。 何分少ししか口を開けないし、一粒入るとも思えないので、適当なところで噛み切らせないと息を詰まらせてしまうだろう。 ティーカップを見ると量も色も変わっているので、こちらには手をつけているらしい。 二口目で一粒全部を食べ終えると、パチュリーはカップに手を伸ばし一口二口紅茶を飲んだ。 その間に指を拭いてしまいたかったのだが、パチュリーの空いたほうの手で抑えられているのでそれが出来ない。 振り解こうと思えば、それは容易く出来るのだがそうしてしまうわけにはいかなかろう。 紅茶を飲み終えると、パチュリーは親指と人差し指を順繰りに口に含み、指についた砂糖を舐めとっていった。 こそばゆい上に噛まれるかも判らないので怖いのだが、言っても止めてはくれないだろう。これは意地のようなものだ。 考え事をしていると、袖を引っ張られ次の催促をされた。 テーブルの上においた腕を動かし二粒目を摘みあげようとする。 とここで気付いた。卓の上に肘を乗せるのは、いかにも行儀が悪い。 皿に伸ばした手を引っ込め、椅子から立ち上がる。 「こっちの方が食べさせやすい」 顔に疑問符を浮かべるパチュリーを持ち上げると、彼女の座っていた椅子に座る。 抱えていたパチュリーを膝の上に座らせると、二粒目を手にとり口元に近づけていく。 空いた左手で頭を撫でてやると、パチュリーは気持ちよさそうに目を細めた。 半分をかじると、パチュリーが小声で言ってきた。 「今日の仕事はもう終わりにしていいわ。だからパチェって呼んで」 早上がりは度々あったが、今日は特に早い。 「はいな、パチェ。紅茶のお代わりは?」 「いいえ、まだいいわ」 二粒目の残りを口中においてやり、言う。 仕事が終わった途端にフランクになるのは仕方が無い。こういう性分だ。 「それよりあなたも一つどう?」 「いや、俺はさっき味見したしいいよ」 「そう? これもおいしいわよ」 咲夜のことだから歪んだのしか出していないでしょうと、言いながら一粒手にとる。 それを口に半分咥え、差し出すように顔をこちらに向けて突き出した。 顔を真っ赤にしている様をじっと見てやろうかという悪戯心もでたが、やめておく。 せっかく直してくれた機嫌をこんなことで損ね、天国を失うわけにはいかない。 ゆっくりパチェの口に顔を近づけ、栗を攫う振りをしてパチェの舌を攫った。 ちなみに妙をした小悪魔の分は没収しようとしたが、いつの間にかすべて平らげられていた。 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ1491 「ふぅ、此処の冬は寒いなぁ」 真っ暗な廊下を蝋燭の明かりを頼りに歩いた 外は雪が降っているようだ、暗いので良くわからないが 吐く息が白くなる、窓は風でがたがたと音を立てている 「ん?」 咳き込むような、声のような 少し先の部屋から明かりが漏れていた 部屋の中をのぞいてみる 誰も居ない? いや、背中を丸めて小さくなっている、誰かが 「大丈夫ですか?」 少女は声に振り向き、辛そうな顔を見せた 「貴方は確か・・・」 「○○です、先週から此処でお世話になってます」 少女、たしかパチュリーとか言う魔女の人だったと思う 「パチュリー様、苦しそうですが」 「ただの喘息よ、寒いとね」 喘息か、なるほど 俺はパチュリー様にしばし待つように言って、厨房に向かった 「お待たせしました」 お盆に魔法瓶やら何やらのせて部屋に戻った 彼女は相変わらず苦しそうだ 「それは?」 「お茶です、あったかいの」 「ありがと・・・」 「沢山飲んでください、その方が良い、それと・・・」 俺は自分のポケットからあるものを取り出した 「・・・なにそれ?」 「喘息の吸入器ですよ、此処をこうすると―」 彼はそれから背中さすったり新しくお茶を入れてくれたりと、私を看病してくれた 「・・・ありがと、だいぶ良いわ」 「みたいですね・・・じゃあ俺はこれ片付けて見回りに戻ります」 そういって部屋を出ようとする彼 私はそれを呼び止めた 「○○・・・ありがとう、助かったわ」 「・・・苦しいときは何時でも呼んでください、少しなら力になれるかもしれません」 彼は、一応置いて行きます、と言ってさっきの薬を置いていった 「・・・○○か」 その晩、私はゆっくりと眠る事ができたらしい、気がついたらお昼過ぎだった しかもちょうど起きたときに、彼が居たのだ 「あ、おはようございます」 「○○?おはよう・・・」 何で彼がいるのだろう、まずその疑問が頭に浮かんだ 「いえ、心配だったので何度か見に来たんですが、ぐっすり眠ってらっしゃったので安心しました」 そう答える彼、つまり眠ってないのでは?しかし疲れた様子もなく、微笑んでいた 「あ、パチュリー様、おはようございます」 廊下を歩いていると咲夜に会った 「ご機嫌ですねパチュリー様」 自分でも良くわかる、今私は機嫌がいい 「ええ、好い事があったの」 「それは良かったですね・・・それで何があったんですか?」 「秘密よ・・・それより、レミィは部屋にいる?」 「はい、いま紅茶をお持ちしたのでまだいらっしゃるかと」 咲夜に礼を言って、レミィの部屋まで足を運ぶ事にした 部屋の前に立ったとき、ちょうどドアが開き、レミィが出てきた 「あ、パチュりー、ちょうど良かったわ、今からお茶するんだけど一人じゃ寂しいから、付き合って」 「良いわ、ちょうど貴女に話があったの」 それで話は?彼女の視線がそういっていた レミィはおそらく茶会に相応しい暇を潰せる話を求めたのだろうが 残念ながら渡しにその手の話のボキャブラリーは存在しない 「○○っているじゃない」 「ええ、いるけど・・・彼が何か?」 「彼、私に頂戴」 レミィは少しだけ考えていた そして 「いいけど・・・頂戴って言われると急に惜しくなるわね」 「ふふ、そんなものよ、なくなるからこそ愛おしいんじゃない」 「・・・それで、なんで彼?」 当然の質問だ、昨日の晩まで彼とは話した事などなかった そう、一目ぼれだ いやちょっと違う、だが、弱っているときは、やさしさが沁みるのだ 「気に入ったのよ、彼が」 レミィは何か納得したようで ニヤニヤしながら紅茶を飲んでいた 「なによ、気味悪いわね」 「いや、だって貴女が・・・一個人を、しかもただの人間を気に入るなんて、珍しい」 私だって元人間だ、そういう感情を持ったりもする だがレミィは違う、彼女は生まれついての、化け物なのだ、しかし・・・ さて、お茶もなくなったし、図書館に戻ろうか 「それじゃあレミィ、私は図書館に行くわ」 「そう、それじゃあ○○には私から伝えておくわ」 「レミィ、貴女にもいつか・・・素敵な出会いがあるわよ」 「なに、それわけ解んないわ」 「だってここは幻想郷よ?何が起こっても不思議はないわ」 だって私でさえ、こんな少女のような恋心を持つぐらいだ 「ふぅん・・・じゃあそれを楽しみにしてるわ」 私はそれを聞いて、扉を閉じた 私は彼をもっと好きになりたい そして彼には私を好きになってほしい まぁあってまだ二日だ、あまりあせるといい結果は出ない、魔術と同じだ とりあえず、図書館に行って恋愛について書かれた本でも探してみるとしよう ─────────────────────────────────────────────────────────── 消えない虹(新ろだ126) 消えない虹 一話 「レミィ、しばらく紅魔館を留守にするよ」 七曜の魔女。 知識と日陰の少女。 動かない大図書館。 パチュリー・ノーレッジは親友に対して、こう切り出した。 秋の永き夜。 陽もとっぷりと暮れ落ちて、吹きわたる風の冷たさが身に染みてくるころのこと。 ようやく起き出した紅魔館の主人、レミリア・スカーレットは友人の管理する(というか、住み着いている)大図書館へと顔を出していた。図書館とは言うものの、書庫にある本はまだまだ未整理のまま、乱雑に積み重ねられているだけだ。およそ百年という歳月を経て無尽蔵に集められた文物と、その時間に付随する、重苦しささえ感じられる埃と黴の匂いが支配するところ。気質的に夜と闇に属すレミリアでさえ、あまり寄りつくことはない。 しかし、今日はその珍しい訪問の日であったようだ。 「留守? どこか用事でもあるの?」 唐突なパチュリーの物言いに、レミリアは幼い眉を顰めながら問い返す。 当然の疑問だろう。 出不精という言葉で済まされるものか、パチュリーは十日くらい平気で図書館に籠りきりになる。さらには何か月単位で紅魔館の外に出ないこともざら、らしいと聞く。 会話を交わしながらも、吸血鬼の親友は長机に向って書き物をしたまま。厚い革表紙に幾つもの紋様が刻まれている。いわゆる魔導書の類らしい。そんなことを気にする様子もなく、レミリアは書物に埋もれた机の反対側に座る。彼女用の椅子は常備されていて、脚は高く背は低い。普通のものでは顔半分が机の上に出ないためだ。 待ち構えていたかのように差し出されるティーカップとソーサー。 瀟洒な従者はいつどんなときも、主の要望に応えることができる。次の瞬間には時を操りどこかへ居なくなっているが。 一呼吸。 紅色の液体を口に含んだところで、パチュリーが再び口を開く。 「用事……まあ、そんなとこかな」 「曖昧な答え方」 「そうかな? 外界に行ってみようかと思って」 この台詞に、聞いていた者たちは驚きを隠せない。呆けたような表情のまま、レミリアは固まっている。どうやらカリスマというものは何処かに忘れて来たらしい。 「驚いた。理由を聞いてもいい?」 ここ百年は友人やっている彼女が言うのだから、相当のことなのだろう。 「探したいものがあるのよ」 内容は曖昧に、しかしきっぱりと言い切った。羽ペンを滑らせていた手を止め、運命を見通すと言われる友人の瞳を見つめている。確かに答えは曖昧。曖昧だったが、魔術の詠唱をしているときのような確信と、弾幕を避けているときのような決断力を内包した言葉。深紅と紫紺の瞳が交錯している。 その間ほんの数秒の出来事だ。 先に視線を外したのは、驚いたことにレミリアだった。 二口目の紅茶を飲み込んだところで、 「行ってくるといい。ま、わざわざ私に許可なんて取らなくても良かったのに」 と、苦笑混じりで言う。 「ありがとう、レミィ」 反対にパチュリーは、明らかに緊張が解けている。どうやら彼女の中では大事なことだったらしい。しかし、目的をはぐらかしたことから、友人にも腹のうちを見せないつもりか。外界に行って何を探すつもりなのか、とんと見当がつかなかった。 「それで……外界に行くってのは、八雲紫がはじめた外界ツアーで行くんでしょ?」 「そういうことになるね」 いつのまにかパチュリーの手には新聞があった。 題字は『文々。新聞』だ。そこにはレミリアの言う、外界ツアーの記事が載っている。 掻い摘んで説明すると、神無月に神様たちが出雲大社へと里帰りする。そのとき幻想郷から出るのに、八雲紫の隙間を通じて行く。その隙間をほかの人妖たちにも開放して、一月だけの外界バカンスを楽しもう――というものだ。 「ってことは、外界に詳しい人物が必要じゃないの?」 そうだった。 流石に外の世界の常識を知らない奴らを、そのまま放りだすのは心もとない。何をやらかすか予想がつかないし。だから、現界に詳しい――外界から来た人間を付き添いとして連れて行かねばならないという条件があるのだ。 迷い人として幻想郷を訪れ、定住してしまった人間はそこそこ数がいる。大抵の者は、半人半獣のハクタク先生に斡旋されて、人里にて能力に似合った仕事についている。しかし、他に縁があって、博麗神社やら白玉楼やら永遠亭やら守矢神社やら地霊殿やらで暮らしている者も、僅かながら存在するのだ。例えばここ、紅魔館にも。 「ええ。だから、○○を連れていくわ」 パチュリーの隣でここ数日間に整理した蔵書の帳簿をつけていた、俺、こと○○は、紅魔館の大図書館にて司書と雑用を兼ねて、住み込みで働かせてもらっている。 「俺……ですか、パチュリーさん」 「あなたしかいないじゃない。外の世界に通じている人間なんて」 「確かにそうだけど」 いまの会話からもわかる通り、俺は外界の、生粋の人間だ。年齢は……まあ、二十歳前後とでもしておく。ここらに住んでいる連中から比べると、何の能力もない一般ピープルである。それで良かったとも思うが。どうして能力を持っている奴らは、こうも曲者揃いなのか。 ちょうど小悪魔さんが紅茶を運んできたので、俺たちも手を休めることにする。 「お疲れさまなのさ」 「ありがとう、小悪魔さん」 礼を言いつつ、一口目を啜る。琥珀色の液体が揺らめきならが口の中へ流れ込んでくる。ぴりりと引き締まった渋みを香りとともに楽しむ。埃っぽい仕事柄、時々の紅茶休憩は日課のようになっていた。 「咲夜も貴方たちの分まで紅茶の用意をしとけばいいのに」 「レミィが飲んでるのと同じのは、私たち飲めないわよ」 「それもそうね」 レミリアの飲んでいる紅茶は、人間の血を混ぜた特別製らしい。血が主食である吸血鬼だが、幻想郷内での吸血は基本的に禁じられている。外界の人間の血が提供されているようだ。最近では献血が盛んなので、昔より食料の補給は楽なのではないか。 「でも、この紅茶は美味しいわ。また腕を上げたわね、小悪魔」 「ありがとうございます、なのさ」 「俺もこっちに来てから、紅茶にハマったからなぁ……」 「そういえば、ここで働きだした頃は珈琲が欲しいって、いつも言ってたのさ」 俺が幻想郷に来た理由は、それほど難しいものではない。 実際のところ、ただの偶然だ。 七曜の魔女と言われるだけあって、パチュリーは七つの属性の精霊を使役した魔術を得意とする。普通は一つの属性の精霊を支配するので精いっぱいなのだが、彼女は同時に二つ以上の精霊を意のままに操ることができる。物凄い腕前らしいのだが、魔術そのものを理解できない俺にとってはよくわからんことだ。ただ、いつも図書館内で新魔術の開発と言う名目で、怪しい実験を繰り返しているのを見ると、努力家(ただの暇つぶしかもしれない)なのだろうということはわかる。 閑話休題。 そのときもパチュリーは新たな精霊召喚の魔術を試していた。同時に俺は、たまの休日を満喫していた……はずだった。激しい衝撃と眩暈とともに視界が暗転し、ここ、紅魔館大図書館の一角に転移させられるまでは。 要するに失敗である。術式の途中で召喚対象の設定を間違えたそうだが、未だに正確な理由はわかっていない。俺が選ばれる可能性なんて、それこそ天文学的な数字であろう。宝くじに当たったようなものだと、今では開き直っている。 「○○が来てからもう半年近くになるのね」 「初めの頃の狼狽ぶりからだと、見違えるわ」 「その話はやめてくれ。一般人がいきなりあんな状況になったらビビるだろ、普通」 突然わけのわからんところに連れて来られて、混乱しているわけで。目の前にはパジャマみたいな服を着た女の子が怪しげな呪文をもにゃもにゃ唱えてるし、その後ろには明らかに生モノの羽の生えた女の子もいる(今でもパチュリーの服装は魔女に見えない)。そりゃ腰くらい抜かしても仕方ないと思いませんか? 見かねた小悪魔さんが、この館の主に会わせてくれたと思ったら、見た目十歳くらいの幼女だし。吸血鬼だし。メイド長は人間だと聞いてたけど、どうみてもDIO様です本当にありがとうございました。むきゅ~。 「それで……他の外界の人間にアテがあるの?」 ああ、そういえば外界旅行の話でしたか。半年もこっちで暮らしてると、人里の方にも少しは知り合いがいるけど、そういうことができる人間はいない。 「うーん、ないなあ」 「あったとしても、見ず知らずの人間を連れて行くなんて嫌」 なら聞くなよ。まあ、赤の他人とは見られてないとわかっただけでも良しとしておこう。 「その程度には信用してくれてると?」 「そりゃあ……そうだけど」 だんだんと小さくなる語尾。旅行へ行くこと自体は良いのだが、本当は一人旅をしたくて、俺を連れていくのは嫌だとか? 俯いてしまったパチュリーの思考は、俺にはさっぱりわからない。 パチュリーが失敗の責任を取るという形で、レミリアは俺が紅魔館で働くことを許可してくれた。 最悪、食われるという結末も用意されていたのだから、かなりマシな結果だったろう。 幻想郷で生活することについて特に問題はなかった。向こうでは季節雇用の出稼ぎ労働者だったし、親しい身内や友人もいない。仕事して、仮住まいのアパートに戻って……というだけのモノトーンな生活である。 幻想郷に迷い込む中に、けっこうな数の自殺志願者がいるらしいが、流石にそこまでではないにしても、現実に希望を見出せないという点で俺も似たようなものだった。極端な話、働いてメシが食えればどこでもよかったのだ。だからかもしれないが、早くにこちらの気風に馴染めたんじゃないかと思う。 紅魔館は吸血鬼が住んでいることもあって、活動時間は夜に集中している。俺の主な仕事は、大図書館の蔵書整理と館内の雑用。他に力仕事があれば進んで受けることにしていた。働かないレミリアはともかく、パチュリーや咲夜さん、小悪魔さんは肉体的に女の子と変わりないわけで。男手は貴重な戦力になっているようだ。 そんなこんなであっという間に半年が過ぎ、春から秋へと季節はとめどなく流れていた。文明の利器のない生活にようやく慣れ、落ち付いて今後のことに思考が回るようになったころ、パチュリーの外界旅行の話が舞い込んできたのだった。 転機かな、と思う。ここらで一度、自分が生まれ育った世界を見つめなおしたい。いずれ向こうに戻るにせよ。こちらに居つくにせよ、いま俺がやっておかねばならないことのように思う。 パチュリーの沈黙に助け舟を出すようにして、 「これも――運命と思って諦めることね」 と、レミリアは言った。 獲物を狙う狼のような含み笑いを湛えての台詞。彼女がその言葉――運命――を口にすると、洒落にならない重みが加わるから困る。幻想郷を紅色の霧で覆った事件、それより前、紅魔館が幻想郷へ来たばかりの頃に起こした吸血鬼事変。二つの首謀者であるレミリアの能力とは、ありあまる力でも身体能力でもない。運命を操る――などという、わけのわからないものである。しかし、 「あんまり簡単に言わんで下さい。俺は運命って信じてないから」 何でも運命で片付けられたらやってられない。いまさら足掻いたって、どうにもならないこともある。既に起きた事実は変えられなくて、未来は変えられる。そこに至るまでの努力すら運命だと言うのなら、自分っていう存在はなんなのだろうか。 「そうかしら? 私には見えるわよ。数多の運命の糸が絡み合う世界が」 本当か? とは口にしない。言っても詮無いことだし、説明してもらって理解できるとも思わない。 「例えば……そうね、あんたたちの運命とか」 俺とパチュリーを見比べて言う。 「どういうことだ?」 「まんまの意味よ。あんたたちの辿るはずの数奇な運命――」 「やめてくれ」 「今回の外界旅行は――」 運命を未来の出来事だとするのなら、それは不躾なものだ。ましてや、それを操ることが出来るというのなら、押し付けがましいものでもある。出来るならば聞かせて欲しくない。 「レミィ」 と、パチュリーが静かな声で友人の言葉を遮る。珍しく棘があるように聞こえたのは気のせいだったろうか。俺としては有難かった。どうもこういう話は気に食わないようだ、理由はわからないが。 「○○も。レミィの能力は呼吸と同じように存在するもの。ある者はない者のことをわからないものよ」 思考を読んだかのような彼女の言葉。 当たり前だと思っていることで相手を不快にさせる。右と左を間違うくらいの確率で、ままあることだ。常識と常識のすれ違いといったところだろう。話してみなければわからないこともある。だから、別にレミリアのことが嫌いなわけじゃない、と、レミリアに視線を向けると、彼女も肩を竦めてみせた。 「話題が逸れちゃってたな」 「そうみたいね。パチェ、続きは?」 とパチュリーに視線が集まる。 「……そう、それで、○○はどうなのか。一緒に行ってくれるのかな? もしかしたら……外界に帰れるチャンスかもしれないよ」 うって変わって、風が囁くような声で言う。 パチュリーの意図が先ほどから掴めなくて困る。俺に対するときだけ弱気になっているようだ。それが何を意味するのか、わからない。 旅行については問題ない。喜んでついていくだろう。相方がパチュリーであることに戸惑いはあるが。 実のところ、普段の生活の場で、割と近くにいるはずなのに俺とパチュリーとの会話は殆ど無い。無限に知識を求める魔女――と聞いていたので、最初の頃は外界のことに聞かれるかと構えていたが、そんなことはなかった。仕事の場合も、必要最小限のことを指示するぐらいである。だからといって嫌われているわけでもなさそう。たまたま廊下で出くわしたときも、こちらから挨拶すれば目礼くらいは交わしてくれるし。レミリアに対する場合は別として、彼女は誰にもそんな感じの態度だから。 とはいうものの、こんな形でパチュリーに指名されるのは予想外だった。 他に外界出身で適任者が紅魔館にいないとはいえ、だ。 「うーむ」 どちらにせよ俺が頷かないと、この話は立ち消えになるわけで。わからない部分は、時間が解決してくれるさ、と自分を励ましておく。こいつらが本気になれば、意思など関係なく無理やりにでも良いのだ。そういうことはしない――緊急時じゃない限り――というのは経験上わかっている。だからこそ俺はこの場所に留まっているのだから。 それに、上目使いでこちらの様子を窺っているパチュリーの表情を見ると、ジェントルな俺は断れないじゃないか。 「仕方ないな」 小さく聞こえた溜息は安堵のものなのだろうか。パチュリーは、ほっとした様子で眉尻を下げ、木の芽が綻ぶような微笑みを見せてくれた。 それほどまでに外界に行きたい理由は何なのか。知りたいと思うが、聞いても語ってくれない気がする。あまりプライベートに立ち入るのは良くないとも思う。もし語れるような心境になったとしたら、自然と零れてくるものだろう、こういうことは。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 新ろだ198 どこまでも果てしなく広がる宇宙の姿が、丸窓の形に切り取られてロケットの壁に貼り付いている。 視界の半分を埋めるのは薄らと白く、優しくぼんやりと輝く青い星。 そこに住まう人々が名付けた数多の星座。尾を引いて飛んで行く彗星達。 自覚する。 夢を見ている。 頭に三角帽子を被って、お尻からコンロみたいな火を噴き続けている落書きロケットは、そんな自分を乗せて宇宙を飛び続けている。 不思議な、素敵な夢だ。 いっちょ前に備え付けられたコンピューターは静かな駆動音を響かせ、聞いたことも無い星系から発信しているらしいラジオは、緩やかな曲調の歌を流している。 そして、無重力に遊ばれてゆらゆらと部屋に浮かぶ、赤。 それをもっと良く見てみたくて、 手を―――― 「……」 「……おはよう」 寝息一つ立てずに椅子にもたれて、珍しく眠っていた魔女は全く唐突に目を覚ました。 そのまま無遠慮に目の前にある顔をしげしげと眺めて「カボチャ……では無かったわね」と呟いた。 これっぽっちも腑に落ちないが、酷く失礼な事を言われたのではなかろうか。 しかし、謀らずも勝手に寝顔を拝む形になっていた事に少なからず引け目を感じた○○はその不満を飲み込み、変わりに思った事を口に出すことにした。 「パチュリーが寝てるところなんて初めて見たな」 以前、魔法使いには睡眠は必要ないとか言っていたような気がする。 「最近忙しかったから、気分的にでも休養を取ってみたの」 パチュリーは眠たげな目をしたままぼんやりと答えた。ちなみに寝起きでなくとも彼女は普段から大体こんな目つきをしている。 「意味あるのか? それ」 「病は気から」 「確かに気合が不足してそうだな。慢性的に」 パチュリーはそれには答えずにテーブルの上の本に手を伸ばす。 ○○は、彼女がひとたび本に没頭しだすと完全に外界をシャットアウトしてしまうのを知っている。 「なぁ、忙しかったワケってさ」 「ロケット製作」 先に言われてしまった。 「門番から聞かなかった?」 「ワガママ君主と他数名で月旅行中らしいな」 聞きたいことはそれだけ? と、目が言っている。 窺うような視線を受けて、軽く息を吸ってから告げる。 「俺も行きたかった」 胡乱な瞳が僅かに揺れる。どうやらこの返答はそれなりに意外だったらしく、手の上の本を一時テーブルに戻してくれた。 「あなたが宇宙に興味を持っていたとは知らなかったわ」 男の子ですから。と返すと、何よそれ。と再びジト目で睨まれた。 「いつも土いじりの本ばかり借りて行くクセに」 「そっちは生活が懸かってるからな。いつも助かってるよ。ありがとう」 「私が書いた本じゃないし」 「拗ねるポイントはそこなのか」 ふと席を立ったかと思うと、彼女は近くの本棚から一冊の本を抜き出して戻ってきた。そして、そのまま手に持った本をこちらに差し出して一言だけ。 「はい、コレ」 「何だコレ」 渡された本は、やたら分厚いくせにその割に控えめな装丁を施された物だった。 「錬金術のハウツー本よ。書いたのは私」 脈絡が無い上に意味がわからないんですが。 「私が直接手渡しした時点で仕掛けは外れているから魔力の無い貴方でも問題なく読めるわ」 「はぁ」 「内容についてもヘルメス文書にも負けていないつもりよ」 「そうですか」 「宇宙に行きたいんでしょ?」 まさにその宇宙そのものを秘めているかのようなコスモ的な色の瞳でトツトツと語るパチュリー。さっきから微妙に話が通じていない気がする。誰か小悪魔を呼んできてくれ。 「錬金術の究極的な命題は魂の浄化にあると言えるわ。人の卑俗な魂を神霊のレベルにまで昇華させ、それによって遍く全ての物質を組成している第一質量を意のままに操ることができるようになる。つまり金の練成、万能薬の生成、生命の誕生、宇宙の創造すらも自らの手で実現する事が可能になる訳ね。そもそも宇宙というものを本質的な概念で捉えると」 俺の困惑なぞ知ったことかとばかりに頼もしくシカトをくれつつ、淀みなく長広舌をぶち続ける姿は、正直、かなりアレだ。 それでいて目線はしっかりこちらを捉えたまま動かないので冗談抜きで怖い。つうか持病の喘息はどうした。 「要するに、不完全を完全に。これを目指すのが錬金術なの。何か質問はある?」 これだけ熱弁を振るったにも関わらず、いたって涼しい顔をしている事についてこそツッコみたかったが、迂闊に口を開けば倍返し程度では済まなさそうなのでやめておいた。 目の前の何故か生き生きとした様子のパチュリーと、手元の本の表紙を交互に見つめて、軽く息を吐く。 「悪い。やっぱこの本、返すわ」 一瞬だけ翳ったその表情に、胸が痛む。 「そう。残念ね」 本を渡すと、既にいつもの眠そうな目つきに戻っていた。 「天地創造は俺にはちょっと荷が重い。おとなしく畑を耕してる方が性に合ってる」 床に置いていた鞄に手を突っ込んで収穫したばかりのトマトを取り出し、テーブルに置く。土産のつもりで持って来ていたのだがタイミングを逃してしまい、出しそびれてしまっていた。 突如として出現した赤い果実に、パチュリーの目が僅かに困惑の色を滲ませる。 元より月の石になんか興味は無かった。 月面に旗を立てて何かを主張したかった訳でも無い。 ただ、単純な理由だ。 「それにな、俺はパチュリーの造ったロケットに乗りたいんだ」 それだけの話だ。 机の上のトマトは、どこまでも普通のトマトだ。 赤くて、甘くて、少し酸っぱくて。 うちの畑で採れた、日の匂いのする宇宙のかけらだ。 トマトを見つめたまま動かないパチュリーが妙におかしくて、少し意地悪をしたくなった。 「どうぞ召し上がれ」 弾かれた様にトマトからこちらへ、またトマトへ。交互に視線を送るパチュリーを見て唇がつり上がるのを抑えきれない。 「あの、○○? ひょっとして」 「水洗いしてあるから大丈夫」 何が大丈夫なんだとはあえて言わない。 「……咲夜が帰ってきたらパイにしてもらいましょう。紅茶も淹れて。うん、そうしましょう。レミィも喜ぶわ」 「採れたてを食べるのが良いんじゃないか。五、六個持ってきたから、そっちを今度パイにしてもらえばいい」 「そもそも私、食事摂らなくても平気だし」 「好き嫌いは良くないな」 からかわれているのが分かっているのに無碍にも出来ないという内心の葛藤が手に取るように見えるので実に面白い。これはどっかの素兎でなくても「うささささ」と言いたくなるというものだ。 こっちがニヤニヤと笑っているのに気付くと、パチュリーは少しムッとして席を立ってしまった。 ちょっとやりすぎたか、と慌ててこっちも席を立とうとすると、パチュリーは難しい顔で眉をひそめたまま、ポツリと呟いた。 「本を戻しに行くだけだから。汁、飛んじゃうでしょ」 ───────────────────────────────────────────────────────────
https://w.atwiki.jp/twmoe2nd/pages/15.html
名称 レアドロップモンスター名 TOPへ 取得場所 価格 耐久 硬度 突き 斬り 物防 魔攻 魔防 命中 回避 敏捷 Cri補正 合成回数 条件 ルーレット(MR)費用/備考 †シャークハット 赤のプレゼント箱課金 Sell 35 30 6 6 7 - 7 - 20 - 0 MAX Lv80 †ホエールハット 赤のプレゼント箱課金 Sell 35 30 - - 9 9 9 - - - 0 MAX LV80 †ジラフハット 赤のプレゼント箱課金 Sell 35 40 - - 10 - 8 6 6 - 0 MAX LV100 †神滅の兜 赤のプレゼント箱課金 Sell 35 30 6 6 7 - 7 5 20 - 16 MAX 無し 2010/6/9追加装備 †真・海賊帽子 課金 Sell 35 30 6 6 10 - 10 5 20 - 16 MAX LV70 2011/12/17追加装備 †毛糸の帽子 赤のプレゼント箱課金 Sell 15 10 - - 20 - 2 - 5 - 0 MAX 無し †沙憎帽 怪物の木(強) レア課金 Sell 20 25 3 - 9 - - - - - 0 3 無し †聖光之兜 赤のプレゼント箱課金 Sell 20 50 3 3 - 3 - 3 3 - 0 3 LV62 †バッターヘルメット 謎のプレゼント箱課金 Sell 25 20 3 3 - - - - - - 0 MAX 無し †キャッチャーマスク 課金 Sell 28 21 - - 15 - - 5 - - 0 MAX 無し †大きい野球帽 課金 Sell 21 19 - - 8 - 12 - - - 0 MAX 無し †白鳥サンバ 赤のプレゼント箱課金 Sell 45 30 - - - 9 9 - - - 0 MAX LV20 †ステキヘッド 赤のプレゼント箱 Sell 38 35 - - 25 - - - - - 0 MAX LV70 見た目はバッタの兜取引不可 †嵐神の兜 課金 Sell 50 40 2 2 - 2 - - - - 0 MAX 無し †真・嵐神の兜 Sell 50 40 7 7 1 7 1 2 5 - 0 MAX 無し 重課金GMから貰えるらしい †ライオンヘルメット 課金 Sell 70 100 - - 55 - 50 8 25 5 0 MAX 無し
https://w.atwiki.jp/motodic/pages/639.html
半ヘル 半キャップ型ヘルメットの略称かつ通称。半分 + ヘルメット(未作成)の略語とも考えられる。 また、阿弥陀被りのことを指す場合もある。 同義語 「阿弥陀被り」「半キャップ型ヘルメット」「お椀型ヘルメット」「ハーフキャップヘルメット」「帽子ヘルメット」 関連語 「オープンフェイスヘルメット」「ジェットヘルメット(未作成)」「セミジェットヘルメット(未作成)」「ハーフジェットヘルメット(未作成)」「フルフェイスヘルメット(未作成)」「ヘルメット(未作成)」 2007年04月30日
https://w.atwiki.jp/powerstonewiki/pages/18.html
imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 豊穣と富を象徴し、ツキを呼ぶ石 大きな運とツキを呼ぶ石、豊穣と富をもたらす石として、先見の明を与え、ビジネスを成功へと導くパワーがあると言われています。 自律神経のバランスを整えてイラつきを鎮め、平穏で安定した気持ちを取り戻すことで、冷静な判断ができるよう導いてくれたり、 集中力と記憶力を高めてくれると言います。 宝石言葉 恋のチャンス ・安眠 ・沈着 ・勇敢 誕生石 / 守護石 牡羊座 ・牡牛座の守護石 意味 / 効果 大きな運とツキを呼ぶ石、豊穣と富をもたらす石として、先見の明を与え、ビジネスを成功へと導くパワーがあるといわれています。 自律神経のバランスを整えてイラつきを鎮め、平穏で安定した気持ちを取り戻すことで、冷静な判断が出来るよう導いてくれたり、 集中力と記憶力を高めてくれると言います。アベンチュリンは、ハートに働きかけ、愛情を豊かにするとされるパワーストーンです。 身につけると、広い目で物事をとらえたり、受容出来るようにするとされるため、人間関係を円滑にし、問題を円満に解決するための糸口を導いてくれるでしょう。 劣等感を解消し、自信を高める効果もあるとされ、リーダーシップを発揮できるようになると言われています。 人の悩みにアドバイスしたり、バランスのよい見方が出来るようになるでしょう。また、恋の安定期が苦手で、マンネリに耐えられずに、心が移ろいやすい人にもオススメです。 穏やかな愛の喜びをもたらし、恋愛関係を維持するようにサポートしてくれるでしょう。 アベンチュリンは、物事の本質を見抜き、先見の明を与えるパワーがあるとも言われ、大きな運とツキを呼び寄せる石として有名です。 人間関係や財産などの豊かさをもたらすでしょう。また、アベンチュリンは、最悪の事態を好転させ、新たな流れに乗るよう促すパワーがあるとも言われています。 こんな時 / こんな人に ○ 夫婦円満で、穏やかな家庭をつくりたい ○ マンネリした関係が続いている ○ ストレスを緩和し、感情をおだやかにしたい ○ 不眠症を解消したい ○ 自信を取り戻したい ○ 人間関係を円滑にしたい ○ 集中力・記憶力を高めたい ○ ビジネス、事業のお守りがほしい ○ 洞察力を高め、リーダーシップを発揮したい ○ 物事の本質を見極めたい ○ 運を高め、ツキを呼び込みたい
https://w.atwiki.jp/timeshift/pages/294.html
MHP:1,224,324 種族:Devil サイズ:大 属性:闇3 アクティブ DEF:49 MDEF:52 出現場所: 取得中です。 Dropアイテム: バフォメットカード 取り巻き:バフォメットJr6体 ロードオブヴァーミリオン アースクエイク使用
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/14302.html
5せんち【登録タグ その他の文字 曲 鏡音リン 鏡音レン 鼻声P】 作詞:鼻声P 作曲:鼻声P 編曲:鼻声P 唄:鏡音リン・鏡音レン 曲紹介 鼻声P初のリンレンオリジナル曲。 歌詞 (ピアプロより転載) 行きも帰りも 同じ道 同じ学校 同じクラス 制服姿を 毎日見てるけど 私服のきみを 僕は知らない 勇気出して 告白すれば どれだけ楽に なるだろう 友達という そのポジション 壊れるのが こわいんだ あと5センチの 勇気があれば ぼくはどれだけ 変われるだろう あと5センチの 手の届く距離 白いリボンに 手の届く距離 いつもあいつは わたしの隣 ひまわりみたいな 大きな笑顔 テカテカの制服 肩にひっかけ 別れ際はいつもの「じゃあな」 あいつといっしょ 通学路 帰り道は いつも寄り道 カラオケ ゲーセン ファーストフード 楽しい時間は あっという間 あと5センチの 勇気があれば わたしはどれだけ 変われるだろう あと5センチの 手の届く距離 ネクタイの先 手の届く距離 あと5センチの 勇気があれば 未来はどれだけ 変わるのだろう あと5センチの 手の届く距離 変われるはず その手の届く距離 もう一回 あと5センチの 踏み出す勇気 未来は自分で 変えていくのさ あと5センチの あいつとの距離 わたしは摘んだ あいつの端っこ コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/orz1414/pages/300.html
あー、パチュリーに言われてお届け物だ。 中身はクッキーだったかな。 「本に書いてある通りに作ってみた。甘い方がいいだろうから砂糖は大目よ」 だとさ。横で作るの見てたんだが、一掴みくらい入れてたか、砂糖。 まあ、いいだろ? 恋は甘い方がいいに決まってる。お菓子だってそれさ。 受け取ってくれよ 9スレ目 269 ─────────────────────────────────────────────────────────── 霧に煙る朝の湖。 こんな日くらい、湖岸の散歩を楽しんでも良いじゃないか。 そう自分に言い聞かせる。 単にパチェに貰った飛翔の呪符の更新を怠って、 他に手段が無いという切実な現実はあえて忘れよう。 借りている薄めの一冊の本の他、大した荷物もないし、 それにもう間もなく着くはずだ。彼女の住む館へ。 「あ、○○さん。おはようございます。珍しいですね、歩いてこられるなんて。」 「おはようございます。美鈴さん。朝から大変ですね。」 紅魔館の門番、紅美鈴さん。始めてきた時に、パチェが図書館を始めたという話を 聞いてなかったらしく、通す通さないで散々揉めたのを思い出す。 そういえば、図書館を始めたという話は誰に聞いたんだったか……。 解決しない思考を振り払って館に入ろうとすると、 「あ、ちょっと待ってください。」 呼び止められた。 近くに来て真面目な表情でじっと見つめられる。 「んー、やっぱりいよいよですか。頑張ってくださいね。」 にやり、と笑って門へと戻っていく。 良く解らない人だ。悪い人ではないのだが。 大図書館の大きな扉の前。そこで意外な人が待っていた。 紅魔館の主レミリア・スカーレット嬢、朝方とはいえ、 日が出てる間に活動してるのを見るのは稀だ。 「まったく、なんでこんな奴が……。」 小声でそう呟くのを聞いた時、突然思い出した。 パチェが図書館を始めたのを伝えにきたのはこの人だった。 そのときも「まったくなんでこんな奴が……」と呟き、そして手書きの チラシを1枚渡して帰って行ったんだ。 「あの……。」 なんと言おうか考えてるうちにレミリア嬢はふい、とそっぽを向いて霧になって消えた。 何が言いたかったんだろう。微かに苛立ちを覚えないではないが、相手が悪すぎる。 大図書館、いつもの場所でパチェは本を読んでいた。 とりあえず、本を返し、新しく一冊の本を借り、 本を読むパチェの隣で読み終わるのを待つ。 パタンと本を閉じ、次の本を取ろうとするパチェの手を掴み、 意を決し今日来た一番の目的を告げる。 「パチェ……。」 振り返るその顔を正面から見つめ、言う。 「パチェのことが好きだ。」 しかし、パチェはスッと目を細め、そして何事も無かったかのように 本を手に取り読み始める。 色々な反応を予想してはいたが、これはまったく予想外の展開だ。 「えっと……「それで。」 言いかけたのを遮ってパチェが言う。 「○○は、それでどうしたいの?」 本から顔を上げずに続ける。 「人が人に好きだというのは大きく分けて二つの意味があるわね。 一つは相手への揺さぶり。その発言によって相手に動揺をもたらし、 釣り橋効果で自分への好意を引き出そうとする利己的な物。 もう一つは宣言。自分は相手が好きだと宣言した以上、相手に対する行為は その宣言のもとに許されるという傲慢。いずれにしても美しい物ではないわ。 大体、あなたは人間、私は魔女。魔女の存在は人の隣にありながら常に妖怪を指向する。 けして交わる事の無い平行線。死する運命を持つ物に永遠は理解できない。」 早口で言い、そして更に続けようとするパチェを制して言う。 「解った。ごめん。」 それだけ言い残し、大図書館を去る。 深夜、パチュリーは紅魔館の主のもとを一人、訪れる。 「レミィ、私……。」 「それ以上言う必要は無いわ。」 夜の王は言い放つ。 「何が起きたのかも何を思っているのかもこれからどうなるのかも、 すべて知っているけど私の言うべき事は一つね。 貴女が思い感じたとおりに行動しなさい。運命は人の意思が作るべきもの。」 「うん…………。」 パチュリーの去った部屋でレミリアは一人呟く。 「まったく、なんで私が恋愛相談なんかに……。」 「嫉妬ですか?」 咲夜の声が答える。 「貴女、何時からそこに居たのよ。」 「最初から控えておりました。」 「まぁいいわ。それにしても私なんて500年も生きているのに、 パチェはまだ100年かそこらのひよっ子じゃない。なんか悔しいわね。」 「あら、この場合年は関係ないかと思います。それに……。」 「それに何よ。」 苛立った声でレミリアは問いただす。 「レミリア様には私が居ますわ。永遠に。そういう運命ですもの。」 「咲夜、運命という言葉を軽々しく使うのは」 「人の意思の作るもの、そうでございましょう?」 「ふん」 馬鹿にしたように、しかし何処か嬉しそうにレミリアは笑った。 翌日、昨日借りた本を結局持ってきてしまったことに気付く。 気は進まないが、返さないわけには行かないだろう……。 義務感から紅魔館を訪れるが、門番の姿はおろか妖精メイド一人すら見かけない。 多少不気味ではあるが、しかし誰にも顔をあわせずに済むなら寧ろその方が好都合か。 そっと図書館に本を返し、帰ろうとしたその時、 「○○っ。」 パチェの声がしたように思った。おそらく幻聴だろう。 まったく未練がましい自分が嫌になる。 振り返るのも癪なのでそのまま帰ろうとしたら、今度は袖を掴まれた。 「待って、○○。」 必死の形相で引き止めるパチェを胡乱げに見つめる。 「あの……私○○に酷い事を。あの時私、嬉しくて、恥ずかしくて、どんなキモチで ○○が言ってくれたのか解ってたのに、私……卑怯だ。もう、○○はこんな私のこと 嫌いかもしれないけど、それでもこれだけは言わせて。私、○○の事が好きだった。 ずっと前から好きだったの。」 そう言うパチェの肩に手を置いて、答える。 「―――――――――――」 一羽の蝙蝠が、音も無くその場を離れていった。 9スレ目 442-443 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「・・・」 「・・・」 2人きりの空間に2人がページをめくる音だけが響く。 「・・・」 「○○。 本取って来て頂戴。 ××の棚の△△っていうタイトルの」 「分かった。 ちょっと待ってろ」 奥に本を取りに行く。 「これで良いんだよな?」 「ありがとう」 再び2人、それぞれの本のページをめくる。 「失礼します」 咲夜さんが入ってくる。 「パチュリー様、お茶を御持ちしました」 「悪いわね」 「咲夜さん、お疲れ様です」 咲夜さんが退室した後、お茶を飲みながら、再び静かに時が過ぎて行く。 紅茶に落とした角砂糖が溶けるように、ゆっくり、ゆっくりとした、 それでいて甘い時を過ごす。 2人に言葉は必要ない。 お互いにそこにいるだけで良い。 今日も紅魔館の一室に、甘く静かな時が流れる。 9スレ目 490 ─────────────────────────────────────────────────────────── 最近心が不安定になっている 本を読んでも内容が入ってこないし 魔導書を書こうと思っても思うように書けない 理由は分かってる 彼と……○○と出会ってから私は不安定になってきている 最初に会ったのは魔理沙が何時もの様に 本を借りると言う名の強奪をしに来た時だ なんでも外の世界から来た魔法使いだそうで 魔理沙の話を聞いてここに興味を持ったらしい まるで子供のような顔をしてきょろきょろと図書館を見るその姿を見て 呆れるよりも何故か微笑ましく思った 思えば一目ぼれだったのかもしれない だから今は言えないけど近い将来私は必ず貴方に伝えるわ 「○○、私は貴方のことを愛している」って 9スレ目 561 ─────────────────────────────────────────────────────────── 最近、○○が他の女と一緒にいる時の事ばかりが頭に浮かんでは消えていく。 「お嬢様はいつも御綺麗ですね」 何故? 「咲夜さん、今日もお疲れ様です」 そんな事を言うの? 「よお中国。 頑張ってるな。 差し入れ持ってきたけど食うか?」 どうして? 「小悪魔も少し休憩したらどうだ? 仕事は俺が代わりにやっとくから」 私以外の女を気にかけるの? 優しくするの? 褒めるの? 小さな嫉妬がやがて、大きな強迫観念となって私に襲い掛かってくる。 ○○とほんの少しでも関わった女達が私の頭の中で融合し、1人の女になって私から○○を奪おうとする。 彼の心を私から離れさせようとする。 だから…… 私は…… 「どうして他の女を褒めたり、他の女に優しくしたりするの?」 パチュリーが無表情、冷たい視線で訊ねてくる。 まるで研ぎ澄ませた刃物のように、鋭い口調で俺の心に切りかかってくる。 「俺は別に……普通にしてるつもりだが」 「○○はいつもそうよね。 今までに私を褒めてくれた事があった? 私に優しくしてくれた事があった?」 当然褒めてもいるし優しくもしている。 でも、今は何を言っても無駄な気がした。 冷静に問い詰めているようでも、パチュリーは正気を失っている。 直感的にそう思った。 「この前魔理沙とアリスが来た時だって……2人と凄く楽しそうに話してた。 私と一緒にいてあんなに楽しそうにしてる事なんて無かったわ」 その言葉に、さすがに我慢できずに反論する。 「そんなこと無――」 だが、反論は言い切る前に遮られた。 「どうして私だけを見てくれないの!?」 パチュリーが珍しく声を荒げる。 「どうしたんだよいったい? 少し落ち着け。 今日のパチュリー変だぞ?」 「変?…そうよ!! ○○のせいで私は変わった!! 全部○○のせいよ!!」 声を荒げているというより、それはもう怒声だった。 喘息持ちで辛いだろうに、かすれた声で休みなく続ける。 「もうここで1人だけで本を読み続けるのは嫌なの!! ○○がいつも傍にいてくれなきゃ駄目なのよ!!」 溜め込んだ感情を吐露するパチュリーに、俺は罪悪感のようなものを感じ始めていた。 自分がもっと彼女を理解できていれば……。 彼女がどう思っているのか考えていれば……。 ズキリと胸が痛んだ。 「私はもう○○の物なのに……どうして○○は私の物になってくれないの……」 怒りは既に無くなり、怒声が嗚咽と懇願に変わっていた。 今、目の前にいるのは膨大な知識を持った魔女なんかじゃなくて、嫉妬と強迫観念に駆られ、ただ泣く事しかできない1人の女の子だった。 俯いて涙を流す彼女に、俺も自分の思いを言葉にする。 「俺は……お前を愛してる。 俺は好きだとか愛してるとか、そういうことはパチュリーにしか言わない。 解るよな?」 彼女は泣きながら俺の言葉に耳を傾けた。 「俺ももうパチュリーの物なんだから、下らない事で嫉妬なんかするなよ。 ずっと傍にいるから」 次の瞬間、突然パチュリーが抱きついてくる。 その体は驚くほど細くて、軽くて、俺は優しく抱き返した。 「もっと強く」 「?」 「もっと、壊れそうなぐらい強く抱いて頂戴」 「でも――」 「良いから、○○になら壊されても良いから。 お願い」 絶対に離さないという意思を示すように、彼女の華奢な体を強く抱きしめる。 パチュリーもそれに答えるように俺を抱き返してきた。 「○○……」 「ごめんなさい」 「へ?」 何を言ってるんだろう? 「やっぱり私、これだけじゃ満足できない。 だから……」 パチュリーが流麗に、俺が今まで聞いた事も無い言語で何かを唱える。 どんな詩よりも叙情的に、どんな歌よりも美しく詠みあげていく。 同時に、俺の体を紋様が走った。 それは苦痛と快楽が綯い交ぜになったようで、酷く嫌な感覚だった。 肉体から自分の意思が、力が抜けていくような……眠りにつく寸前のような心地良い感覚。 それでいて頭だけ起きているような、不気味な感覚に支配されていく。 どれだけ抗おうとしても眠りについた肉体は俺の意思を受け付けない。 腕の中にいるパチュリーの匂いも、感触も、徐々に遠ざかって行く。 「ごめんなさい」 そう聞こえたのを最後に、俺の世界が閉ざされていった。 そこはパチュリーしかいない世界。 でも、姿は見えるし声も聞こえるのに、自分から触れる事は出来ない世界。 2人だけの歪んだ楽園……。 一週間後の魔法図書館。 はて? あの青年は何処へ行ったのだろう? 「パチュリー様、○○さんはどうしたんですか? 最近見ませんけど」 「○○には別の仕事を任せてあるから当分は帰ってこないと思うわ」 「えっと……そうなんですか」 別の仕事とは何だろう? ここでの仕事といったら本の整理ぐらいしかない筈だが……。 まあ2人は恋人同士だし色々あるのだろう。 訝りながらも私は主を信じて仕事に戻った。 同日。 魔法図書館、隠し部屋。 「ごめんなさい。 ちょっと読書に夢中になって今日は来るのが遅れちゃったわ」 うなだれて椅子に腰掛けていた青年が顔を上げて微笑みかける。 彼は私の声だけ聞いてくれる。 彼は私だけのために笑ってくれる。 彼は私だけを見てくれる。 そう、私だけ……。 一見するとただの洗脳のようでも、ちゃんと自我は残っている。 心も、体も、私のものになっただけ。 「今日は何をしましょうか?」 訊ねても、微笑むだけで彼は何も答えない。 仕方がないので隣に座り本を開く。 解っている。 ○○は壊れていくのだろう。 いずれ自我も崩壊して、本当に壊れてしまうのだろう。 でも、それでも良い。 何故なら、これで○○は私だけのものになったのだから。 そう考えると、彼が壊れていくのも嬉しい。 私はそっと、○○にキスをした。 動きたくても体は自由に動かない。 言いたい事は山ほどあるのに口も開かない。 見ている事しかできない。 パチュリーが俺のせいでどんどん壊れていく。 それがとても悲しかった。 だが、同時にそれが嬉しくもあった。 自分がそれほどまでに彼女に愛されているのだと実感できたから。 そう考えると、彼女が壊れていくのが嬉しかった。 いつか渡そう。 そう思って、肌身離さずシャツの胸ポケットに入れて持ち歩いていた安物の指環の軽い感触も、とっくに消えていた。 間違っているのは解っている。 けれど、もうどうでも良いような気がする。 愛し合っていることに変わりは無いのだから。 ○○が パチュリーが 壊れていく。 それは見ていて、愉快だった。 だけど、楽園の終わりはすぐそこまできていると、この館の主が紅茶を飲み干して笑っていたことを、 俺は 私は まだ知らない。 10スレ目 96 ─────────────────────────────────────────────────────────── 紅魔館の大図書館に住む魔女、パチュリー・ノーレッジ 彼女の仕事に最近、幻想郷の出版物の検閲が追加された。 何故かって? 本人が言うには蔵書に閻魔帳が欲しかったから、だそうな。 そんなわけで紅魔館には一足早く新聞が届く。 「そうか、明日は快晴なのか……。」 隣で楽しそうに閻魔帳をめくるパチェに話を振る。 「せっかくいい天気なんだし、たまには外に出かけてみないか?」 「…………?」 そんなに変な物でも見るようなジト目で見なくてもいいじゃないか。 「晴天は外出の誘引にはならないわ。レミィやフランのような特殊体質なら 雨の日は外に出たくないという意味で曇りを避けるかも知れないけれど、 寧ろ私は肌や髪が荒れるから曇天の方が外出日和ね。」 そういえば前にそんな事言ってた気もするな。 「そうか……解った。図書館だと何時も小悪魔が居るしたまには二人で、と思ったんだが。」 そう言って新聞を戻そうと立ち上がったら、 「あ……。」 袖を掴まれた。 「やっぱり行く。晴れの日はハレの日だから外出日和だ、って本に書いてあったし。」 あっさり前言を翻すとは魔女失格じゃないのか? 「肌や髪が荒れるんじゃなかったのか?」 「いい、魔法で何とかする。」 まあ、本人がそう言っているんだから大丈夫なのだろう。 何はともあれ明日が楽しみだ。 翌朝、予報通り突き抜けるような快晴。 「パチュリー様、無理をなさっては……」 「くどいわ。使い魔なら使い魔らしく主に従いなさい。」 珍しく二人が口論をしている? 「おはよう。」 「あ……おはよう、○○。」 この様子は……昨晩全く寝てないのか? 「○○さんからも言って下さい。こんな状態で外出なんて無茶です。」 小悪魔の言ってる事は正しい気もするが。 「規定値以上の陽光を遮る魔法もかけたし、大丈夫よ。さあ、早く…………」 「パチュリー様! 」 相当無理してたんだろうな……さて、どうしたものか。 「パチュリー様は夜を徹して魔道書の執筆をなさっていて…」 「ん、どんな内容? 」 「耐火、耐水、耐衝撃、耐魔法、耐巫術、耐人形操術……の結界を張る魔法です。」 そりゃまた豪勢な。 「せっかくだし、行くか。」 「パチュリー様はどうするんですか。」 「背負っていく。後、その魔道書も……」 「これをもって行かれるのですか? 」 怪訝そうな顔で小悪魔が取り出した本は優に10000ページはありそうな…… 「圧縮してる時間が無いからと一気に書き上げられてました。」 これを持って行くのはちょっと、辛いかもな。 「私が持って行きます。大丈夫、お邪魔はしませんから。」 そんなわけで、今パチェを背負って山登り(丘登り?)をしている。 規則的な寝息を立てて丸くなってるパチェは以外にも暖かいし、柔らかい。 空は今も変わらず快晴。天高く馬肥ゆる秋、だね。 ふっ、と息を吐いて丘の頂を仰ぎ見る。 小悪魔の話では丘の上に魔道書と飲み物、そしてお弁当が置いてあるそうだ。 道中にも飲み物を置いてもらうべきだったかと少し考えるが、 やはり楽しみは頂上まで取っておくべきだろう。 「ん……」 背中のパチェから小声が漏れる。どうやら目を覚ましたらしい。 「あ……」 降ろしてくれと言うように体を捩る。 そっと降ろして、そして振り返る。 「○○……大変だったでしょ、ごめんね。」 「せっかく誘っいに応じてくれたんだからな……。これくらい大したこと無い。」 「そう……」 呟いて空を仰ぐ。 「……空凄いね。」 「そうだな。」 「風、気持ちいいね。」 「そうだな。」 「二人っきりだね。」 「ああ。」 はにかみながら目を閉じるパチェ。 そっと、その肩を抱いて唇を寄せて…… 10スレ目 107 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「おいパチュリー、この本借りるぞ」 「ええ・・・」 紅魔館の図書館、俺は主に魔法関連の本をあさっていた パチュリーは紅茶をちびちびと飲みながら本を読んでいる 俺の分の紅茶はとうに冷めていた、冷めても飲めればいいしな 「ねぇ○○・・・」 「ん?どうした?」 本を読みながら目を合わせずに、パチュリーが話しかけてきた 図書館でパチュリーから話しかけてくるのは非常に、珍しい 「明日なんだけど・・・何か予定はあるかしら?」 「明日?・・・・・・悪い、アリスと実験する約束が・・・」 「そ、そう・・・アリスによろしく伝えといてね」 「ああ・・・何かあったか?」 彼女がなぜか、悲しそうに見えたから 「いいえ、気にしないで」 それから会話はなく、俺は借りた本をもって家路を歩いた ~翌日~ 「・・・ちょっと!」 「うぇ!?あ、ああ悪い」 俺は約束通りアリスと実験をしている 「全然集中できてないじゃない!怪我するわよ!」 そうなのだ、前々集中できていない、なぜか寂しそうな彼女の顔が、頭をよぎるのだ 「・・・今日は終わりにしましょう」 「え?いや・・・まだ昼前だぜ?」 「実験は後回しに出来るけどね、ヒトの心は後回しには出来ないのよ」 「え?あ、ああ?」 「何か大切な事があるんじゃないの?今しなきゃいけない事があるんじゃないの?」 「アリス・・・ありがとな!」 それじゃあ、と手を振って彼は走っていってしまった 彼が持って来た実験道具やら本やら、いろんな物を忘れていった 「・・・はぁ、何でいつもこうなんだろう・・・ねぇ上海?」 「パァァァチュゥゥゥウリィィィィィイ!!!げふげふ」 むせながら図書館へ、重いドアを開け放ち、彼女のもとへ 「○○!?え?え?」 「ようパチュリー、待たせたな」 驚き戸惑っているパチュリー、そりゃあそうだ 「え?今日はアリスの」 「今日は切り上げてきた、パチュリーが・・・気になったから」 「あ・・・」 赤くなって俯くパチュリー、まるで少女のように、初心な感じで・・・少女パチュリー略してパチュ子 「それで・・・なんか用が有ったんだろ?ほれほれ、遠慮せずに言ってみろ」 すこし、間をおいて、彼女は言った 「あ、貴方と一緒にいたいな、と思っただけだから・・・きにしない「パチュリー!」 俺はか細い両肩を掴んで、彼女をこちらに振り向かせた 「な、なに?」 「・・・そういうことを言うと・・・勘違いしちまうぜ?・・・勘違いしていいなら、目閉じて」 半分冗談ぐらいで言ったつもりなんだが、パチュリーはゆっくりと目を閉じた、ちょっと上向いて、唇を・・・ 「あー・・・うん、えっと・・・」 とりあえずキスはまだ早い、キスは結婚してからだ、うん とりあえず優しく抱きしめた、やっぱりすごく、細い 「・・・でも抱き心地いいな」 癖になりそうだ 「・・・き、キス、は?」 「んーまた今度な、まぁゆっくり、な?」 ゆっくりゆっくり歩いていけばいい、走る必要は無いのだから そーして最後にキッスでしめるのさー そうだな、帰り際にキスしようか、驚く彼女が目に浮かぶようだ 何かワクワクしてきたぞ! ~終~ 10スレ目 204 ─────────────────────────────────────────────────────────── パ「この本を読んでほしいのよ」 俺「え?俺にですか?」 パ「そう」 渡されたのは一冊の絵本。 俺「…では後で読んでおきます」 パ「違うわ、いま私に読んでほしいのよ」 俺「え?」 パ「いやなの?」 俺「と、とんでもないです!」 パ「お願いね」 パチュリー様の顔からはなにも窺えない、とりあえず椅子に座り本を開く。 俺「では…」 パ「それでは見えないわ」 そう言うとパチュリー様は俺の身体と本のあいだに割り込むように ももの上にちょこんと腰を掛けた。 俺「ち、近いです…」 パ「読んで」 俺「…はい。むかしむかし、あるところのオーロラの先にたくさんの雪だるまが」 逆らえない雰囲気に押され、絵本を読み進める。 俺「さようならなの…だッ!?」 突然パチュリー様が背中に腕を回し、服をきゅっと掴んだ。 そして俺の胸に顔をうずめるようにゆっくりと抱きついた。 俺「あああ、あの…」 パ「…」 俺「…」 パ「…どきどきしているのね」 俺「…はい」 パ「…そう」 下目に少しだけ嬉しそうな顔が見えた。 そのとき遠くから足音が近づいて来るのが聞こえ凍りつく。 俺「パチュリー様!だ、誰か来ましたよ!?離れてください!」 パ「…」 小「パチュリー様ぁ~、なにかお飲みモノッ…!?」 俺「…は、はは」 小「…」 パ「…」 微動だにしないパチュリー様、しがみついたまま… 小悪魔さんは無言でふらふらと立ち去って行く、完全に目が死んでいた。 俺「見られましたね…」 パ「それより」 俺「はい?」 パ「『様』はやめてほしいわ」 俺「そういうわけには」 パ「パチェと」 俺「レミリア様に怒られてしまいます…」 パ「早く」 俺「…パ、パチェ」 パ「聞こえないわ」 俺「パチェ」 パ「そう」 俺「…」 パ「…」 また力強くきゅっと抱きつかれる。 俺「…あ、本の続き読みますね」 パ「いいわ」 俺「そ、そうですか?」 パ「まだ、どきどきしているのね」 俺「うっ、ひきょうですよ…」 パ「そうね」 俺「…」 パ「…なら、あなたも確かめてみて」 俺「え!?」 パ「早く」 俺「…」 パ「早く」 俺「は、はい」 , , ! \ \ , _,,.. -‐ "´ ̄`" ト、.,_. ,,--,┐ \ ヽ / \ \\ r-、 ァ ´ _ト、.,__ノ ノ `ヽ,ヘ, // / ! < ∠______ ノヾ、rァ __,ゝ‐i"`y __]` ー、 / ` t,// / ! / / \\ ` (__!r-‐i__」-‐ "´,i ` ー、」ー-ヘ、イ "´.! ||||| / \ (___ \ r‐ァ ´]-‐ / ! ハ /!ィ i ` ー 、/ゝ | ||||| ;t 、 ミ _______ ` 、 ヽ7´ ! !/!メ、!」 レ-rァ iT7 iヽ」`i´! !!!」 ノ ! i / ´ i´ヽ. | .! ! !-rァ T 、,_,ノ !__トr┘i r 、` ´ ; \ 、,_____ (`ヽ;、 `ヽr、. └‐ `ゞ、ハ. 、_ノ ⊂⊃ ! ;./ ; ゝ.,二二7i < ,.-`ヽ i_,!`ヽ、 /| !⊃ r‐-、 /! ! ヽ._」 / ! / ー┼- `ー‐ァ (´__,ノ! | `7! .i >,、.,__ --‐ ,..イ! i ̄´ノ! | / ー┼- ーri´ヽ_/7 〈 V7「ヽ7i ̄´ ノ ! .、 、 、 ; \ r-iー、 --─ ! | // r-、,ゝ、!__j ; トー i i , `ヽ.、 / \ `ー 、ゝ ン___,,...->ア`ー- 、 , i | i i | ヽ. ヽソ` ー--‐ / --─ァ ヽヽ  ̄ く ./___」_ ;/ ! | ! ! ! i ,ゝ-‐ ンヽ. く / rソ´`ヽ、` ァー-‐ ,.イ/ , , ! , く_」`7´ハ 〉 、___ _r ー--‐ "´ / ; i i ,ハ ヽ !_/ヽ!__L/ く i // -イ /! ; / ム \ \. ├‐ rン_,,.. - / / ; !レ ´ i `ヽ. < r-iー、 `ト、 ! 〈 i ; / ,ハ ヽ. r、 / `ー ノ.ノ __ ノ i V / / /! ., _r ヘ / l 7 l 7 i_| V / ハ./ ; i i 、 }><{ ン´/!/ \ |/ .|/ ヽヽ ∧ / ; i , ヽ、 i r "ン / / o o パ「ひとつ約束してほしいわ」 俺「はい」 パ「毎日わたしに会いに来なさい」 俺「はい」 パ「それとずっと私のそばにいなさい」 俺「はい」 パ「毎日好きだと言いなさい」 俺「はい」 パ「それと絶対に私に逆らってはダメよ」 俺「…はい」 パ「あとは…えーと」 俺「あの、全然一つじゃないんですけど…」 パ「ふふ、そうね」 彼女はとても満足そうに笑った。 11スレ目 463 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「パチュリー様?大丈夫ですか?」 ひゅうひゅうという音、顔色も悪い 「・・・発作が出ておられるようですね・・・白湯をお持ちします」 「だい、じょうぶ・・・すぐ治まるから」 とても大丈夫そうには見えない とりあえず埃の多い図書館よりも部屋の方がよかろう そう判断した俺はとりあえずパチュリー様を移動させる事に 「・・・失礼しますよ」 「えっ!?ちょ、ちょっと」 「大人しくしていてください、発作が悪化します」 「・・・」 俺はパチュリー様を抱えて(そこはもちろんお姫様抱っこで)パチュリー様の部屋へ向かった 「ベットに横になって・・・膝を立てて腹式呼吸を・・・そうです、すぐに白湯をお持ちしますので」 「あり、がと・・・永琳から貰った薬があ、るからすぐにおちつくか、ら」 棚から小瓶を取り出し小さな薄いオレンジ色の錠剤を取り出す しょうがないので白湯を取りに厨房まで行くことにした 「・・・まぁこれぐらいでいいだろ、あんまり熱くてもかなわんからな」 熱いポットとカップをお盆に載せて・・・後は何もなかったかな? 「また発作?」 「あ、メイド長」 はろーと軽く手を振られる、もう夜なんだが・・・ 「この季節になるとどうしても辛いみたいね・・・まぁ辛さはわかりようがないけど」 「・・・とても辛いと思いますよ、あのパチュリー様が弱気になるほどですから」 「へぇ・・・引き止めて悪かったわね、それじゃあ」 コツコツと足音が遠ざかっていった メイド長も心配してるんだな、わざわざこんなところまで 「パチュリー様?」 「○○、ありがと・・・だいぶ良いわ」 「そのようですね・・・今日は早めにお休みください、ここで油断すると悪化しますよ」 顔色もさっきと比べればまぁ良い、呼吸も今は落ち着いている 「・・・ねぇ○○、一緒に寝ましょう?」 「なななな、何をおっしゃてるんですか!?わ、私も一応男ですので・・・」 「○○は喘息の発作で苦しんでいる私相手に欲情できるような人じゃ無いでしょ?それぐらいは知ってるわ」 「いや、しかし・・・」 「夜中に発作が出たらどうするの?アナタの部屋までとてもじゃ無いけど行けないわ、大声も出せないでしょね」 「・・・」 「お願い、あなたがいると安心できるの・・・お願い○○」 「わ、わかりました・・・喜んで」 「ふふ・・・ありがと」 辛そうだが、とてもいい笑顔に見えた 結局ベット脇に毛布に包まって寝た、同じベットで寝るというパチュリー様の提案を却下して そしてその夜、発作が悪化したパチュリー様を抱えて永遠亭まで走ったのだが・・・それはまた別の話 end 10スレ目 400 ─────────────────────────────────────────────────────────── (軽く三日ほど、日の光を浴びてない…)○○はぅぅぅと微かな呻り声を上げながら内心で愚痴ってみるが、同じ図書館内にいる己の上司は取り合ってくれなかった。 いつも通り本を読んでいる。彼女の考えていることは分かりづらい、間抜けな呻り声を上げる自分を馬鹿にしているんだろうかなどと彼は考える。 考えて、上司の顔をじーっと睨んではみるのだけれど、やはり反応が返ることは 無い。 「どう考えても仕事、多過ぎじゃないですか?パチュリー様。」 今度は内心ではなく口にして○○は訴えてみる。 「…あなたにこなせる程度の量だけれど、具体的には小悪魔の半分ほど。」 言いたいことは先程の呻り声で十分伝わっている、と言わんばかりに一蹴された。 自分の前にある本の山とパチュリーの机とを見比べて、お互いの顔が辛うじて見える山がいくつも並んでいることにまた○○は呻る。 こうなっては、ここ最近顔を見れない程度に離れたところで仕事をしている小悪魔の控えめな気遣いが恋しくなって来る気がした。(最初のころは悪魔って聞いてとにかく怖かった、けど!) 一向に減らない整理しなければならない本、本、本。(仮眠する時だって、図書館を出てない!) 目を離すとまた増えている気がするパチュリーの机の本の山と戻さなければいけない読み終わった本。(気のせい?ホントに気のせい?!) (ずっと本とパチュリーしか見てない。ずっとパチュリーとしか会ってない。ずっとパチュリーの声しか聞いてない!) 悲鳴の様な心の叫びを上げて○○は図書館の入り口を見やる。 ここ一週間ほど役目を果たす機会のない扉に憂鬱な溜息をついてみたけれど、やはりというか案の定パチュリーは取り合わず、ページを滑らせる音だけが 響く。 (…寝よう。目が覚めたらせめて小悪魔と同じ仕事にかかれますように) ・ ・ ・ ・ 「そう、それじゃあその仕事も彼にまわすわ。 ……彼の仕事が多過ぎだって?良いのよ。少しくらい働きすぎでも、私が彼の顔をいつでも見れるのだから。」 11スレ目 670 ─────────────────────────────────────────────────────────── 本を読んでいたパチュリーが唐突に口を開いた。 「何かくれなきゃ悪戯するぞー」 「……」 「……」 唖然、とはこういう事を言うのだろう。 俺と小悪魔はかける言葉が見付からない。 黙り込む俺達に、パチュリーは真っ赤な顔で抗議する。 「何か言う事は無いの? 恥ずかしいじゃない」 なんか可愛い……。 パチュリーってこんな事もするんだ。 しかし、いくら今日がハロウィンで素で魔女だからってこれはどうなんだろう? 「可愛いな」 「可愛いですね」 「むしろ悪戯されたいな」 「されたいですね」 言ってにやつく俺と小悪魔に、パチュリーは更に顔を赤くして 「馬鹿! ○○と小悪魔なんてもう知らない!」 そう言って再び本に視線を戻した。 今日も図書館は平和だ。 10スレ目 438 ─────────────────────────────────────────────────────────── あなたとみる世界はとてもうつくしくて、あたたかくて、しろくて、とうといのだ。(そう、それはまるで、あなたのように。) 「おっしゃっ出来たぞー!パチェ、ちょ、来い!!」 「・・・はーい(声おおきいわねぇ)」 「遅せぇーぞ!早く来い!パチェ、はやく!」 「わかってるわよ、今行くからっ!」 きゃんきゃんと子犬のように(あんなに大きいのに、子犬。雪にはしゃいでいる、可愛らしい犬ね)大声を上げ続けている○○に叫び返したら、彼の動きが一瞬止まった。 が、すぐまたぶんぶんと腕を振り回しだす。 ・・・こんな寒いのに、元気なこと。 久しぶりの外は冬景色で、私はただ歩くだけで凍て付くような冷たい風に変わる外気に震えながら、首までずり落ちていたマフラーを引っ張って鼻先まで上げた。 まだ少し距離が遠くてきちんと表情は見えないけど、たぶん彼はにこにこ笑ってるんだろうと思う。 真っ黒のロングコートには、ところどころ雪がくっついている。 キラキラと光を放ちながら、さらさらと溶け出すそれは、私が前に○○にあげたマフラーくらいに真っ白だった。 編み物なんて知識はあってもした事はなかったから全然上手に出来なくて、自分で見ても歪だったから、つけなくてもいいと言ったのに。 つけないどころか、洗濯しないの?って聞いても絶対にマフラーを手放さない彼の姿をふと思い出して、少し苦笑した。 苦笑と言っても苦しいから笑ったわけじゃなくて、幸福だから漏れた笑い。 私は自分の笑った顔がそんなに気に入ってなかったけれど、この時の顔だけはなかなかいいんじゃないかと自惚れている。 だって、○○もこんな顔でよく笑っているのだ。 (幸福そうな、幸福そうな。私よりも、もっと綺麗で、純粋で、あたたかいけれど) 「なに、どうしたの」 「見せたいものがある」 「見せたいもの?」 「おう!」 ぜってぇ驚くぞ!!○○がけたけたと大声で笑う。 色白の頬は赤く染まっていて、真っ白な景色に柔らかく色をつける。 夏の激しさが嘘だったように、優しく降りそそぐ太陽の光を浴びた黒髪は、輝きを失うことなく揺れていた。 伸ばされた手は厚い手袋に包まれていて私の一番好きな手のひらとは少し違う様子だったけど、握ってしまえばいつもと変わりが無い。 大きくて、心地の良い温度。 絡めた指先は○○の手袋と私の手袋とに阻まれてごわごわしていたけど、いつもより強い力が加わっていたので悪くない、と思った。 葉を落とした茶色い木の枝に乗っかる冷たそうな塊。 歩くたびに響く、かき氷にスプーンを突っ込んだときみたいな、ざくざくという音を聞きながら、ふたり並んで歩く。 ○○は上機嫌に鼻歌を歌っていて、私はそれを黙って聞いた。 聞いたことないから、たぶん外の世界の歌だと思う。 今真面目に聞いて、覚えて。後で歌って驚かせてやろう。 そう思って内心ほくそ笑んでいたら、○○が唐突に「あ」と言った。 「どうかしたの?」 「あのな、・・・パチェ」 「何、○ま る、って最後まで言い切る前に、抱きしめられて押し倒された。(ええええええええ!?) ぼふんって音がして、雪が私たちの周りをもう一度舞った。 空を見上げたら青くて眩しくて、視界の端に貴方が見えた。 髪の毛を通り越して頭皮とか首周りとか、きちんと皮膚の部分に触れた雪は、私の体温で少しずつ溶けて水になる。 長いスカートから出ていた足の下の雪は直接当たって、冷たかった。 まだ熱を持っているのは、○○に握られたままの指先だけ。 倒れる前に微かに見えた、雪上に引かれた下手なラインは、確かに相合傘のかたちで。 (見せたかったものは、これか)(ああどうしよう、なんて、なんて。) 「なにするのよ○○」 「相合傘、作ったんだ。線引いて」 「だから?」 「俺とパチェがその上に乗ったら、完成するだろ。これ」 ぎゅうと手を握る力がもっと強くなる。 上半身だけ起こしてみたら、相合傘の形の上の私と○○。 どこの漫画よ、と思わず笑ってしまいそうな光景だけど、とろけそうな顔で微笑んでいる、○○の優しい視線に笑うことも出来なくなる。 うそ、こんなに嬉しいなんて。 どきどきと早く動きだす私の心臓は、私と同じくらい愚かだ。そして恋をしている。 頭にハートの形のついた、同じ傘の下にいる彼に。 服はじわりと水を吸ってきていたけど、もう気にならなかった。 「すげーだろ」 「うん すごい」 「驚いた?」 「ええ とっても」 「・・・ほんとにそう思ってんの?」 思ってるわよ。本当かよ。思ってるって。いやでもパチェ、 まだ何か言おうとする○○のマフラーを掴んで引っ張って、そのまま頬にキスをしたら、彼の頬は私の唇が冷たかったせいでない(と思うのは自惚れじゃない?)赤に染まる。 もうコートにくっついているどころか、乗っかってしまっている雪を掃ってやりながら、私は笑った。 そうそれは貴方と同じ幸福そうなあの笑顔。 赤い頬のまま笑いあう私たちは、つめたくてあたたかい雪の中で、本当に相合傘の一部になってしまったよう。 「パチェ」 「なに、○○」 「俺たちもうこれで永遠だと思わない?」 「相合傘に守られてるから?」 「・・・パチェがこんなに傍にいるから」 どこの漫画よ、笑う前に騒ぎ出す私の心臓をさらに騒がせるのは、頬だけにじゃない貴方のくちづけ。 12スレ目 356 うpろだ818 ─────────────────────────────────────────────────────────── ――それじゃ、また。 そう言って彼は帰っていった。あとに残されたのは静けさが支配する本の寝所。 気のせいか彼がいなくなったことで温度が少しだけ下がったような気がする。 だから、だろうか。 私は読んでいた本から顔をあげ、席を立った。そして、さっきまで彼が使っていた椅子に意味もなく座ってみる。 ……あったかい。 あ、やっぱりダメだ。頬がにやけてしまうのが押さえられない。こんなところ誰かに見られでもしたら余裕で死ねる。死因はきっと喘息の発作。 ほんとうに、私はいつからこんなになってしまったのだろう。魔女である私が、たかだか人間ひとりの事でこんなにも心を揺さぶられるなんて。 彼こと○○との出会いに特筆すべきことは何も無い。 命を救われたとか、殺されかかったとか。そんなことは一切無い、ごくごくありふれた出会いだった。 ……まああれを“ありふれた”で片付けてしまう自分の思考にすこしばかり危機感を覚えるのだけれど。 ○○は魔理沙に連れられてやってきた。例によって例のごとく魔道書を強奪しにこの図書館に来たときに。 魔理沙は「私はここらで一番大きい図書館を紹介しにきただけだぜ」と言っていたが結局何冊か持って帰ったのだから同じことだ。 もってかないでって言ってるのに、もう。 と、それで○○のことだけど。 魔理沙曰く、○○は“外”の人間らしい。服装からしてなんとなくそんな気はしていたのでさほど驚くことではなかったが、自分の目で外の人間を見たのはこれが初めてだったので少しだけ興味は湧いた。 彼は幻想郷に迷い込んだものの、こちらの世界が気に入ったらしくこっちで永住することに決めてしまったらしい。 ○○自身のことは魔理沙も詳しくは知らないそうだが、その事で話をしにいった先の霊夢も「まあ、それならそれでいいんじゃない」とあっさりOKを出してしまい、今では神社近くの里で暮らしているらしい。 こうしてめでたく幻想郷の住人と化した○○だが、しばらくして魔理沙に「どっか図書館とかないのか? 最近暇なんだ」と漏らしたらしい。 ……あとはもう想像に難くない。 実験の手伝いとその期間の食事の世話という対価を要求した魔理沙が、○○をこのヴワル魔法図書館につれてきたというわけだ。 本を折らない曲げない汚さない破らないもとの場所にちゃんと戻す貸し出し禁止。 以上のことを守るならば好きに読んで構わないと私は許可を出した。その時○○は「それは普通じゃないのか?」と言っていた。 ……○○、それを守れない輩が約一名いるのよ。具体的にはあなたをここに連れてきた張本人が。 それを言うと彼は苦笑していた。 それから○○はここに通うようになった。 とはいえ里での仕事もあるのだろう、毎日という訳ではなかったがそれなりによく通ってきていたと思う。 門番とレミィには話を通しておいたので問題ないのはわかっていたが、紅魔館まではどうやってきていたのだろうと思って以前気まぐれに聞いてみると魔理沙がいるときは魔理沙に頼んでつれてきてもらっていたらしい。 もちろん対価は要求されたそうで。魔理沙がどうしても都合が付かない時は霊夢に護符もらって走って駆け抜けているとのことだった。 ともあれ。 ○○はここにいる間は無駄に話かけてもこなかったし、ほとんど無言のまま本をひたすら読み漁っていたので悪い印象は抱かなかった。 本の扱いも丁寧だし、彼がここに来るようになってから最初は小悪魔以外の誰かがいるというのは違和感があったけどそれもすぐに消えて言った。 ――だから、私の中での○○の在り方が大きく変わったのはそんなある日のこと。 その日は何故か○○は魔道書とにらめっこしていた。 いつもとは違い、隣にいた小悪魔に何度も質問しつつ眉間に皺をよせながら少しずつ読み進めていた。 そんな○○と小悪魔の様子がたまたま目端に入って、少しだけ私も興味をそそられて覗いてみたんだった。 本そのものはなんのことはない、初心者向けの魔道書だった。理論も簡単なものしかのっていない。 きっとそれすら読めないのだから○○は魔道の才能はないのだろうなあと思い、けどそれでも必死になんとか理解しようとしている○○を見て興が乗ってその本に載っている指先に小さな灯りを燈す魔法を目の前でやってみせた。 ……その時浮かべた○○の表情を私はいまでも忘れられない。 ○○はそれを、まるで子供のように目を輝かせてみていた。 人間からすればどうということのない事なのかもしれない。些事なのだろう。でも、それでも。 永き時を生きてきた者からして見れば彼の浮かべた表情は胸をつくような、締め付けつけるようなものだったのだ。 少なくとも私はそう感じていた。 その後、彼は当然のように私に教えを請い、私もそれを承諾した。そういえば小悪魔がやけに驚いていたっけ。 普段の私をよく知っているのだからその反応も当然といえた。……だって他ならない私自身が承諾してしまったことに驚いていたんだから。 そして私は○○に魔法を、とりあえずあの指先に灯りを燈す魔法を教えることになったのだが。 なんというか。教え子として○○はどうみても落第だった。 はっきり言うと才能の「さ」の字もなければ、資質の「し」の字も無い有様だった。 それでも引き受けたからにはこのままでは魔女の名が廃る。 様々な手を尽くして、もうこれ以上どうしようも無いというところまでやって、二年という歳月を消費してようやく――彼は灯りを燈す程度の魔法を使えるようになったのだった。 あの時の妙な達成感は思わず小悪魔と手を取り合うぐらいに大きいものだった。 そんな私の側に○○が寄ってきた。まだ魔法を使えたという興奮が冷め遣らないのだろう目にはあの時の輝きが宿っていた。 そして私と目をあわせるなり、本当に嬉しそうな声で○○は言った。 『ありがとう。パチュリー』 ……――ああ、私のバカ。 ○○に魔法の才能がないなんてどうして思ったんだろう。 そんなわけないじゃない。だって彼はずっと前から魔法を使っていたんだから。 私がそれに気付かなかっただけ。そして気付かぬまま彼の魔法にかかってしまっていただけなのに。 この胸に宿る熱が、鼓動が、ふとしたときに○○を追うようになっていた視線が、その証。 自覚してしまえばもう止められない。人間と妖怪という避けて通れない壁もあるけれど、今はとりあえず保留にしよう。 だって。私、パチュリー・ノーレッジは 間違いなく、○○に恋してるのだから。 「はあ……」 ○○の遺した熱を感じながら私はまた彼のことを考えてしまっていたようだ。 最近はいつもこうだ。おかげで○○がいるときも、いないときも読書に身が入らない。 ○○のことを考えるだけで胸が熱くなる。 ○○のことを思うだけで胸が痛む。 ○○のことを見つめるだけで胸が張り裂けそうになる。 ほんとうに、重症だ。でも、それが別にいやじゃないと感じてるのだから困ったものだと思う。 ふと視線をやると、その先にあった暦はもうすぐ如月を指そうとしていた。 ……そういえば。○○が毎年外の世界では如月の月になると――。 「小悪魔、いる?」 「はい? どうかなさいましたかパチュリー様」 「探してほしい本があるの。外の行事について詳しく載っている本を持ってきてちょうだい」 「はい。その行事について名前とかわかりますか? わかればそれだけみつけやすくなりますけど」 「そうね……確か『バレンタインデー』だったかしら?」 私がこんな風に、貴方無しではいられなくなってしまったのは全部○○の所為。 だからちゃんと責任をとって? ――貴方がかけた、恋の魔法の。 12スレ目 643 うpろだ863 ─────────────────────────────────────────────────────────── 1月5日 新しい研究テーマを立ち上げることにした。 基礎理論は既に構築しているので、そう苦労せずに結実を見ることが可能だろう。 今日は朝から妙にメイドたちが浮き足立っていた。 もともと騒がしい連中なのに、更に落ち着きがないとなったら、大変な目障りだ。 小悪魔によると、昨晩保護した行き倒れの人間の男が、中々の男前だとの事。 実にどうでもいい理由だった。 小悪魔がニヤニヤしながら「気になりますか? 気になりますか?」とやかましかったので、アグニシャインで燃やしておいた。 1月7日 小悪魔に伴われて、人間の男が図書館にやってきた。 先日助けた行き倒れだとの事。 メイドたちが騒ぐほどの美形ではないように思う。 何か挨拶をしてきたが、面倒なので適当に目礼を返しておいた。 そのまま放っておいたらおもむろに禁書を開こうとしだしたので、慌てて止めに入った。 普通の図書館と魔法図書館の区別がついていないらしい。 結局そのまま図書館を案内することになってしまった。 別に面白くもおかしくもなく済んだが、終始おとなしくしていてくれたのはありがたかった。あまり喋るほうではないらしい。 ただ、魔法についての話をするたびに、一々驚いていたのが印象的だった。 彼が帰った後、小悪魔がニヤニヤしながら「いやあお疲れ様でした」などと言い出したので、あんたの仕事でしょうとエメラルドメガリスで潰しておいた。 1月8日 昨日の男がまたやってきた。 帰らなくていいのかと思ったが、小悪魔によると外界からの迷い人であるとの事。 魔法についての知識がない理由に納得する。 帰る方法が見つかるまでここにいることにしたらしい。 紅魔館は普通の人間が生きていくには少々厳しい環境であるように思うが、一体何が気に入ったのか。 まあ別に私には関係のないことだ。 図書館の使用許可を求められたので、騒がないこと、私の邪魔をしないこと、勝手に本を持っていかないことなどを条件に許可した。 それはわざわざ言うほどのことなんですかと不思議そうな顔をされた。悲しい。 彼は本を持ってきて、読んで、帰っていった。 去り際にまた来ますね、と言ってきたので、そう、と適当に返しておいた。 私としては、私の邪魔にさえならなければ、いてもいなくてもどうでもいい。 小悪魔がニヤニヤしながら、「恋の予感ですか?」とよくわからないことを言ってきたので、プリンセスウンディネで頭を冷やしておいた。 2月13日 今日は特筆すべきことはなかった。研究も引き続き順調に推移している。 無理をして一点挙げるとするなら、○○の姿を今日は見なかったことだろうか。 このところは毎日来ていたように思うが、あまり注意していなかったので本当にそうだったかはよく分からない。 聞いてもいないのに小悪魔が、彼が風邪を引いたらしいということをしつこく言ってきた。私にどうしろと言うのか。 それを問うと、ニヤニヤしながら「またまたあ。わかってるくせに」と意味不明なことを言ってきたので、マーキュリポイズンで沈没してもらった。 2月14日 今日は朝から妙なことを言われ通しだった。 まず起き抜けに顔を合わせるなり小悪魔が「部屋は二階の掃除用具入れの隣ですよ」と言い出した。誰の部屋だ。 朝食の席に行こうとすると廊下で門番と出くわし「酷い風邪だそうで。このたびは大変でしたねえ」と慰められた。なぜ私が大変なのか。 席に着いたら着いたでレミィが「そういえば、あいつの容態はどうだ?」と聞いてきた。私が知るわけがない。 挙句の果てに咲夜が「薬膳を作ったのですが。持っていっていただけますか?」などと言って怪しげなスープを押し付けてきた。自分で持って行けと思った。 妙な臭いに辟易しながら持っていくと、○○はベッドで眠っていた。確かに風邪のようで、高潮した頬や湿っぽい吐息がその症状を伝えていた。 ベッド脇に土鍋を置くと、その音に反応して、一瞬だけ薄目を開けたように見えたが、消耗しているのか、すぐにまた眠りに落ちていった。 看病など柄でもないのですぐに立ち去ろうと思ったが、せめて床に散乱しているシャツくらいは椅子にでも掛けておいてやろうかと手に取ると、 「おう、風邪引いたんだって? 調子はどうだ?」と言いながら扉を蹴破るようにして魔理沙が入ってきた。 しかし魔理沙はシャツを持つ私を見ると急に頬を赤らめ「あー、すまん。これを渡しに来ただけだから。義理だから全然心配しなくていいぜ」と 早口で言いながら、私に小さい箱を押し付けるやいなや「じゃあお前から渡しておいてくれよ。まあなんだ、邪魔したな」と、 困惑する私を尻目に去っていった。 意味が分からないので箱を開けると、「義理 Marisa.K」と白文字で大書されたチョコレートが入っていた。 そういえば、これまでは女所帯なので大して気に留めることもなかったが、今日は確かそういう風習がある日だった。 もっとも、男がいたとしても気には留めなかったと思うが。 それも土鍋の横において部屋を出る。なんだかよく分からないが、まだ朝だというのに異様に疲れた。 図書館に戻ると、小悪魔がニヤニヤしながら「看病イベントですね! これでフラグが立ちましたよ」とこれまた意味不明なことを言ってきたので、 ジンジャガストで薙ぎ倒しておいた。 2月16日 驚愕の事実が判明した。 どうも周囲からは、私と○○が両想いの仲だと思われているらしい。 通りで先日は皆から妙なことを言われると思った。 実際には、私と○○は会話することすらあまり無いのだが、確かに図書館の外から見ると、私に会いに足しげく通いつめているように見えるかもしれない。 良い悪いという以前に困惑せざるを得ない事態だ。実験にも身が入らない。 考えていると、間の悪いことに当の本人がやってきた。もう大丈夫なんですか、という小悪魔の質問に、ええおかげさまで、などと呑気に答えている。 こちらの身にもなってほしいものだ。 ○○がこちらを向いて、パチュリーさん一昨日の朝に来てくれましたよね、と言ってきた。あいまいにうなずくと、きっとあのスープが効いたんです、 ありがとうございますと頭を下げた。 あれは私じゃなくて咲夜が作ったものだと言おうと思ったが、小悪魔がさえぎるように「いやーそうなんですよー、パチュリー様ったら慣れない料理を 一生懸命、○○さんのためにですね」とよどみなく嘘を並べ立てた。○○はそれを聞き、よりいっそう感謝の念を深めたようだった。非常に困る。 彼はまた帰り際に改めて礼を言い、お返しには期待しておいてくださいね、と笑顔を残して去っていった。 小悪魔に目線で非難を送ると、悪びれずにニヤニヤしながら「だって本当に両想いになったほうが面白いじゃないですか」とうそぶくので、 セントエルモピラーで爆破しておいた。 2月28日 どうにも先日以来、○○が来ると調子がおかしくなって困る。 それもこれも、あの両想いだとか何とかいう噂のせいだろう。 何度か否定してみても、誰もが「またまた照れちゃって」という顔をする。まったく信じてくれないのはどういうことだろうか。 小悪魔によると、○○と私は「静かで本好き」という共通点があるため、きわめて「お似合い」であるのだそうだ。意味が分からない。 その○○は今日もテーブルの隅でページをめくっていたが、こんな状況ではその様子が気になって何度も目を向けてしまう。 一度は○○がそれに気づいて目が合ってしまい、慌てて視線をそらしたほどだ。まるでこれでは本当に恋仲のようではないかと、我ながら呆れてしまう。 そういえば○○はこの噂を知っているのだろうか。知っているのだとしたら、それについてどう思っているのだろうか。以前なら気にも留めなかっただろう 些細なことが、なぜか今はとても気になった。 あと小悪魔がニヤニヤしながら「いやあ青春っていいですねえ」と言ってきたので、エレメンタルハーベスターで削っておいた。 3月13日 本を読んでいる○○の元に狐の式神が訪れた。 そろそろ春、隙間妖怪が目覚める時期なので、それにあわせて外界に帰る算段をつけたいとの由。 ようやくと言うべきか、これで私の精神にも平穏が訪れるというわけだ。 しかしあろうことか、○○は狐に、帰るつもりはありませんと言った。 私の心臓はなぜか跳ね上がり、狐も当然驚いたが、私を見ると急ににやつきだし、何かを納得した様子で帰っていった。 そしてまた図書館は静かな状態に戻ったが、私はどうしても気になったので、なぜ帰らないのかと尋ねた。 ○○は驚いたように顔を上げたが、すぐに満面の笑みを浮かべると、僕がここに通うようになって初めてじゃないですか、パチュリーさんのほうから 話しかけてくれたの、などと言い出した。 私はそれを聞くと急に○○を見ていられなくなって、馬鹿じゃないの、と小声で言い、本に視線を落とした。 そのページに何が書かれていたのかは、あまり覚えていない。 後で小悪魔がニヤニヤしながら「あーあパチュリー様ばっかりいいですねー。私もときめきたいですー」と言い出したので、ノエキアンデリュージュで 押し流しておいた。 3月14日 そういえば結局昨日はなぜ帰らないのか聞いていなかったということに気づき、改めて今日聞いてみた。 ○○は悩んでいるようなそぶりを見せたあと、もともと帰るところなんてなかったんです、と少し寂しそうに笑った。 それを聞いて初めて、そういえば私は○○のことを何も知らないということに気づいた。知っていることといえばせいぜい名前くらいだった。 それに気づくと、私は急に○○へ質問がしたくなった。 外界では何をしていたのか。どんな本を読むのか。好きな食べ物は。そのような、まったくどうでもいい疑問は尽きることなく湧き続け、その答えを 得るたびに、私のどこかにある空白が埋まっていくように感じられた。 今日は随分と喋った気がする。今まで○○と喋った分、その数倍を今日一日で喋っただろう。 その間、本は脇に置かれたままだったが、ありえないことに、それはあまり気にならなかった。 最後に、○○は「先月のお礼です」と言って袋包みのクッキーを置いて帰っていった。 おそらく手作りだろうそれを前に私がぼんやりしていると、小悪魔がニヤニヤしながら「いらないんですかー。私が食べちゃいますよー」と 言ってきたので、ラーヴァクロムレクで撃ち抜いておいた。 3月25日 いつになく真剣な目つきの○○がやってきて、何かと思ったら愛の告白をされた。 正直○○本人よりも、「ついにやった!」という顔の小悪魔のほうが強く印象に残っている。 返事は少し待ってほしい旨を告げると、○○は分かりましたと言って、本は読まずに帰っていった。 ○○のいないテーブルは、少し広く感じた。 なんで即断即決じゃないんですかー、と不満そうな小悪魔は無視し、私は考えた。 ○○とは誰か――紅魔館の前で行き倒れていた外の人間。毎日のように図書館へ来る。 私はそれが嫌か――嫌ではない。 では、それは好ましいことか――今はそのように思える。 愛の告白を受けて、どのように感じたか――嬉しかった。 つまり……おそらく、私は○○のことが好きだ。 本当は、こんな問答を行うまでもなく、自分の答えはわかっていた。 ただ、それを認めてしまうのは、少し怖かったのだろう。 何しろ、知識以外の物事に自らをゆだねたことは、いまだかつて全くなかったのだから。 きっと、私には自分から踏み出す一歩が必要なのだと思う。 そう決心して腰を上げると、小悪魔がニヤニヤしながら「行きますか? 行っちゃいますか?」とやたら楽しげに言うので、サイレントセレナで 少し黙らせておいた。 3月26日 小悪魔がニヤニヤしながら「ゆうべはおたのしみでしたね」と言ってきたので、ロイヤルフレアで蒸発させておいた。 6月30日 6月の花嫁は幸せになるという俗説がある。それになぞらえたのかどうかは知らないが、とにかく今日、私と○○の結婚式が執り行われた。 わずか半年前、過去に戻って「お前は来年の6月に結婚する」と言ったら信じるだろうか。とても信じまい。実に隔世の感があった。 ただ隣にいる、慣れない礼服に辟易した様子の○○の存在が、これは夢ではないということを告げていた。 控え室で○○が、言ってなかったけど、ここにお世話になることに決めた理由は、パチュリーに一目ぼれしたからなんだよね、とぽつりと言った。 私はそれに、今更そんなことを言われても困ると思った。これから本番だというのに、恥ずかしくて新婦が新郎の顔を見れないというのでは式にならないから。 結婚式の様子については、多く語ることもない。館のメイドたちやそれなりに多くの人妖が私たちを祝福し、私たちはその祝福を受けた。 式は西洋の作法にのっとって行われた。もちろん神父などというものを呼ぶはずもないが、代わりに紅魔館のエントランスに設けられた高台にレミィが立ち 「おいお前、パチュリー・ノーレッジを妻とし、病める時も健やかなる時も、生涯愛することをこの私に誓え」とものすごく偉そうなことを言っていた。 ○○は私の目を見て笑みを浮かべると、レミィに向かい、誓います、と言った。 その言葉だけで、私は幸せになれた。 ことはそう単純ではない。そもそも寿命も異なるし、今後どうしていくのかということも不透明だ。 ただそれでも、その言葉を聴けただけで、今の私は、これはきっと間違いではなかった、と思えた。 次いでレミィが私にも問いかけた。私もまた、レミィに誓った。 ありきたりな言葉だけれど、きっとその誓いが、二人で生きていくということなのだろうと思う。 そのあと、小悪魔が泣きながら米粒を投げてきたので、花束を叩きつけておいた。 9月30日 今日で結婚から3ヶ月経ったことに気づいたが、生活が何か変わったかというと、実のところそれほど変わったようには思えない。 私は相変わらず図書館で本を読んでいるし、○○もまた、館の仕事をこなしては図書館へとやってくる。 今日、唯一つ違ったのは、○○と二人本を読んでいると、小悪魔が知らない男を連れてきたことだった。 聞けば、彼もまた、○○と同じように外界から来た行き倒れだという。 彼は○○と違ってよく喋り、また屈託なく笑ったが、馬が合ったのか三人で歓談していた。 やがて部屋を案内すると言って男二人は出て行ったが、小悪魔がなんとなく落ち着かない様子で、そわそわと立ったり座ったり、ちらちらと 扉に目線を送ったりしていた。 私はピンと来るところがあり、ニヤニヤと笑みを浮かべながら小悪魔に言った。「恋の予感かしら?」 反撃はなく、ただ小悪魔は酷く赤面した。 12スレ目 853 うpろだ896 ─────────────────────────────────────────────────────────── 退行したぱっちぇさん。 「ねぇねぇ○○」 「どうしたのパチュリー」 「あのね、お本読んで~」 「あ・・ぁ良いよ、ささ、ベッドに行こうね」 「○○~」 「なあに?」 「お本てね、食べられるの?」 「美味しくないよ」 「じゃあ食べない」 「うん」 「・・・でした、おしまい」 「ありがと~○○~」 「今日のお話は面白かった?」 「ん・・・わかんない、でも」 「でも?」 「○○が読んでくれたから、面白かった気がする~」 「そうかい、それはよかった・・・ ところでパチュリー」 「?」 「ぎゅってしたいのは良いが腰に抱き着くとポジション的に」 「そ、そ、そ、そそそそそこまでですぅ!」 12スレ目 887 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「うう……」 口から言葉が漏れると同時に無意識で本を開く手が止まった。 集中して読んでたはずなのに、思わず呻いてしまうようなこの匂い。 いや、匂いそのものはまったくもって問題ない。 甘くていい匂いだ。 ……だから問題なのはその量。甘い匂いがこれはありえんだろうというくらいに充満している。それも紅魔館中に。 そもそもこのヴワル図書館にまで届くような匂いってどういうことだ。 しかし本来このことにお怒りになられるはずであろうパチュリーはというと、今回はこの匂いを生産する側。 お嬢様、妹様、中gもとい美鈴さん、咲夜さんも同様だ。 加えて紅魔館で働くメイドの数を考えれば……いややっぱありえない。どう考えてもおかしい。 一体どれだけの数の『チョコレート』がこの紅魔館にあるというのだろう。 想像することすらもはや不可能っていうか想像したくない。 流石は悪魔の館というべきなのか。なにか間違ってる気がするけど。 ――今日の日付は2月14日。つまるところ完全無欠にバレンタインデーだった。 「つってもなあ」 一体なんで幻想郷に外の世界の行事なバレンタインデーがあるのかとかはこの際おいとく。 しかしこっちであるからといっても俺にはさほど関係が無い。 確かにこっちに来て女の子の友人がやたら増えたが、まあ義理チョコ一個くらいもらえれば御の字と思ってるし。 本命? ははは、ばかだなあ。そんなの天地がひっくり返ってチルノが⑨じゃなくなるくらいありえない。 もう期待すらできなくなった俺の外での経験に涙がでそうだ。 く、くやしくなんかない! ……でもパチュリーが生産する側ときいたからちょっとだけ期待もしてたりもする。 どっか矛盾してるけどしょうがないよね、だって男の子だもん。 本を片手にニヤニヤしながらそんな事を考えていると、扉を開ける音が俺の意識を妄想から引き上げた。 目を向ければそこにはパチュリーと小悪魔の姿。 ……と同時に、館に充満していたであろう甘いをとおりこして甘ったるいチョコレートの匂いが襲ってきた。 「あががががが」 「○○? どうしたの」 「あ、いやなんでもない」 「? ……そう。じゃあ小悪魔、準備して」 「はいー」 平素状態そのままに、そう言って奥に飛んでいく小悪魔。 つかなぜこの強烈な匂いに気付かないんだ皆。感覚が一時的に麻痺してんじゃと思わざるを得ない。 救いといえば、パチュリーが後ろ手に持っているものからの匂いはここまで強烈ではないこと。 「…………」 「…………」 そして小悪魔が準備している間。 その間ずっと身体をソワソワしさせているパチュリーから断続的に俺に視線が飛んできていた。 視線が合うとそらされ、だけど恐る恐る戻して、しかしまた合うとそらす。 普段では絶対にお目にかかれないパチュリーの姿に俺はもう狂喜乱舞しそうです。キャッフー。 これはいいんですよね、期待してもいいんですよね!? 少なくとも義理はもらえるはず! しかしそんなことはおくびにも出さず平静を装う俺。 そして気付いたときにはすでにお茶会セットは準備完了しており、俺とパチュリーは向かい合うように席についていた。 とりあえず、目の前の適温に温められた紅茶を手に取り一口飲む。 ……嗅覚の影響をうけたのか、なんだか甘い。 「あの、これ……」 お互いに紅茶を飲んでいたがやがてパチュリーの方がカップをおいた。 陶器がかち合う音と同時に、すっと俺の方に小さな包装された箱が差し出される。 「あ、これチョコ?」 「ええ。……今日は、そういう日なんでしょ? 貴方は整理とか手伝ってもらってるし、本の扱いも丁寧だし、もってかないし……」 言葉を探しながら色々と理由付けしようとするあたり、らしいといえばらしい。 可愛いなあと思ったがどこぞのギャルゲー主人公のように口にだしたりはしないぜ。 「食べてみても?」 「……うん」 顔がニヤケるのを必死で抑え込みながら、包装を丁寧に剥がしていく。 この包装もところどころ曲がってたりしていたが手作り感がまた非常にグッドです。 箱を開けてみると中に入っていたのは一個のチョコレート。 ……しかしですねパチュリーさん。ハート型ってのは、こう、気恥ずかしいです。はい。 向こうもそうなのか俺が箱を開けた瞬間に俯いてしまった。耳まで真っ赤にして。 とりあえずこのハートのチョコを真っ二つに割ってしまうというバッドエンドフラグを回避すべく、端っこを少しだけ割る。 そして口の中に放り込んだ。 ……。 …………。 ………………。 「どう……?」 無言でいた俺に不安を抱いたのだろう。 恐る恐るといった感じで聞いてきたパチュリーに、俺は新たに割ったチョコの欠片をパチュリーの口の中に突っ込むことでその返答とした。 「んむ!?」 最初は一体なにを! と眉がつりあがっていたが咀嚼するにつれてだんだん眉がさがっていく。 俺の言わんとしていたことがわかったのだと思う。 そうして、こくりと喉を小さく鳴らした後 「ニガイ」 言ってから紅茶に手をつけた。 それを確認してから、俺もまた紅茶に手をつける。 チョコそのものの出来は全然問題ない。むしろかなり良いと言っていい。 しかし如何せん、苦すぎた。ビターというよりはド・ビター。つまり凄く苦い。 まあ、この甘ったるい空気の中なので俺には普通のビターより少し苦いくらいにしか感じなかったのだが。 同じものを食べたパチュリーの感想は違っていたようで。 「ごめんなさい……」 ひどく申し訳なさそうに言ってきた。 ついでにちょっと涙目。 俺の冷静な部分は「涙目のパチュリー。なんてレア……!」とか思ってたりもするが大部分では大慌てだ。 どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう!? その時。 8割がたパニックになりかけな俺の目に飛び込んできたのはティーセット一式。 ――これだっ! そのひらめきのままに、新たに注ぎなおされた紅茶に多めの砂糖とミルクを入れる。 パチュリーの紅茶にもおなじことをして例のチョコを割り、二欠片つくって片方をパチュリーのソーサーに置く。 そして俺の奇行に向けられるじと目はとりあえず無視してチョコを再び口に放り込んだ。 「あ……」 小さな声が聞こえたような気もしたけどそれも無視。 口の中で砕かれたチョコが熱でゆっくりと溶け、苦味が広がっていくところにさっき作った甘めのミルクティーを含む。 すると二つの味がちょうどいいかんじに混ざり合っていって―― 「ん。うまい」 素直な感想が口から出た。 俺がそう言うと、確かめるようにパチュリーもおなじようにしてチョコを食べる。 するとこちらも少しだけ驚いた顔で 「……おいしい」 と言った。 まあやった事といえば、苦ければ甘いので打ち消せいいというそれだけの事なのだけれど。 今回の場合はそこにミルクが加わったことで、砂糖の尖った甘さがマイルドになったのだ。 チョコの出来はいいんだし。口当たりの良さは抜群だった。 ともあれ、僅かな変化ではあるがパチュリーも笑顔を浮かべてくれているみたいだしよかったよかった。 涙目なパチュリーも可愛かったけれど。 やっぱり……その、好きな人には笑っていて欲しいし、そっちの方が断然イイ。 改めてそう思いながら俺は手に持っていたカップを静かに置いた。 「チョコ、ありがとな」 「どういたしまして」 はにかみながらも笑顔を向けてくれたパチュリーに、思わず赤面しながらそれを誤魔化すためにまたチョコを一欠片口に入れる。 口の中に広がる苦味を感じながら思った。 ――まあ、こんなバレンタインも悪くないかな。 ……後日、図書館中に染み付いたチョコの匂いにパチュリーが遅れて激怒した。 12スレ目 970 うpろだ925 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「―ゴホッ、ゴホッ」 「……やれやれ、またか」 ここ何日か、パチュリーが俺をつけ回してる。 いわゆるストーカー、なのだが…… 「また発作だな?ほら、背中さすってやるから」 「ゴホッ……あ、ありがとう……」 「なあ、もうやめたら?俺は絶対浮気なんかしないし、 何よりパチュリーにはストーカー向いてないって」 「……だって、貴方を他の誰かに取られたらと思うと、私……」 体力がなく、動き回るのになれていないのに 外をついてくるもんだから、 発作を起こしたり日射病で倒れたり。 何度介抱したことか。 「せめて、小悪魔に代わってもらうとか……」 「……あの子が一番心配なのよ、ゲホッ、ゴホッ……」 こりゃ図書館に住み込むしかないかな、などという俺の思いをよそに、 今日もパチュリーはついて来るのだった。 13スレ目 216 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「……エヘヘ……○○とこんな感じでこう」 「なあ、パチュリー、なに読んでるんだ?」 「ちょ、見ちゃ駄目!……ハァハァ」 「寂しいなあ……。?……鼻血!おい、マジでなに読んでたんだよ!」 「証拠を……隠滅しなきゃ……」 「そんなことより早く安静に!ただでさ「大丈夫。ちょっとくらっと来ただけ……あれ?」 「どうした」 「本がない……」 「大事なものだったのか?よし、探してきてやる!」 「あ、ちょっ」 「ここにありますよー!!!!!」(小悪魔) 『放課後の淫魔な図書館』 「え?なにそ「そ、そこまでよッ!!!」 13スレ目 221 ─────────────────────────────────────────────────────────── じー…… パチェ「…………(読書中)」 むにっ パチェ「……………何?」 いやなんでも パチェ「…そう……(読書再開)」 むにむに パチェ「…………」 愛してるぞ 「……そう」 パチェ可愛いよパチェ 13スレ目 239 ─────────────────────────────────────────────────────────── ふと思った 身長180オーバーの俺からしたら、幻想郷の女の子はみんなちっちゃいのだ 勿論想像だが、イメージ的に長身なのは師匠やこまっちゃんぐらいなものだと思う そこでその体格差を最大限に活かし、パチュリーを膝の上に座らせたい 椅子の上に座った俺の膝の上に、パチュリーが腰掛けるのだ 「これ1冊しかないから・・・」とかわざわざ言って俺の上に腰掛けてくるパチュリー 座ったはいいものの慣れない据わり心地にもぞもぞするお尻から伝わるバイブレーション 視線を下げればすぐそこにある絹糸のような紫の髪とそこから漂うフレグランス じっと見ている視線に気づいて「何よぅ」と見上げてくる不機嫌そうな瞳 それを塞ぐようにぎゅっと抱き締めて、半ば強引にその唇を・・・ ・・・どうしてパチュリーは現実にはいないんだ ヤらしいこととかしなくていいから、一日中腕に抱いて過ごしていたいよぅ 13スレ目 255 ─────────────────────────────────────────────────────────── 図書館にて―― パ「また来てたの?」 ○「ああ、ここには面白い本がたくさんあるからね。ほとんど読めないけど」 パ「そう。はい、コーヒー」 ○「お、ありがと」 パ「…………ぼそっ(日符『ロイヤルフレア』)」 ゴボゴボゴボッ ○「うあっちぃ!?」 コトッ パ「えー?」 ○「ふーっふーっ、あー熱かった。てかなんで急に熱くなったんだ?」 パ「なんでこぼさなかったの?」 ○「本のある場所で飲物をこぼすようなことはしないって。それよりいたずらしたのパチュリーだろ」 パ「ここにある本は飲物くらいかけられても問題ないしズボンにこぼしたコーヒーを拭きながら だんだんとアレな雰囲気になって○○とそこまでよ! なことしたかったのに」 ○「それが目的か」 パ「えーと、積極的に○○とアバンチュールする方法は……」 ○「おーい、そこは消極的にだろー」 13スレ目 335 ─────────────────────────────────────────────────────────── ものすごい轟音と共に現れた普通の魔法使い 「パチェ~。今日も借りに来たぜ~っと。○○じゃないか」 パチェはやれやれ。といった目つきで魔理沙を眺める。 が、特に動く気は無いらしい。いつもの事。といった感じで。 「魔理沙。パチュリーの…というか紅魔館の苦労も考えような」 「いやいや○○。これは私の道だ。邪魔はさせん」 そう言って魔理沙は俺の頭を撫でる 「邪魔をする気は無いがなぁ。パチェの苦労を考えたら、一声掛けといたほうがいいな、と」 「○○。魔理沙は基本的には何を言っても無駄よ。何かを言って帰るようなら苦労はしない」 その言葉に魔理沙が食いつく 「また私を馬鹿みたいに言いやがって」 「違うの?」 「私は馬鹿じゃないぜ。図書館に寄って本を借りる勤勉な魔法使いだ。なぁ○○?」 あながち間違えでは無いが、借りるってとこがどうもパチェには気に食わないらしい。 「借りる借りるって、いつ返すのよ。そろそろ取り立てに行くわよ?」 「別にいいぜ?返却する義務はいつも課せられてないからな。お前が捕まるだけだ」 「何よそれ。勝手に取って行ってる貴女が言えるセリフなの?」 ピリピリした空気が流れる。そして俺空気。 「な…なぁパチェ。少し落ち着け。魔理沙も。な?」 「それもそうだな。○○に落ち着けと言われて、落ち着かなかったら良いことが起きない」 「いつも落ち着かないで事を悪いほうに進めてるのは貴女だけどね」 「なんだと」 更にピリピリとした空気が流れる。なんだ?今日はパチェの機嫌が悪いのか? 「パチェ。落ち着けって。なんか今日変だぞ?」 「…○○。魔理沙の事を追い返しておいて。私はちょっと自分の部屋に行くから」 「俺に任されても…」 「いいから」 「…はいはい」 これはさっさと魔理沙を帰してパチェと話す必要がありそうだな… 「なぁ魔理沙。今日は勉強もいいが休む日にしないか?いつも勉強詰めじゃあ疲れるだろ」 なんとなく変な空気と分かった魔理沙は今日は食い下がる 「…あぁ。分かった。今日は勉強と趣味を慎む日にするぜ。じゃあな」 そう言って素直に帰る魔理沙。小悪魔はドアの修理に早速取り掛かっている 「小悪魔?」 「なんでしょうか」 そう言ってこっちを見る 「パチェ、今日機嫌悪かったみたいだけど…なんか知ってる?」 「いいえ。なんででしょう?魔理沙さんが来るまでは、いつもどおりの用に見えましたが」 「だよなー。まぁちょっとパチェのところに行ってくるわ。いつもすまないが修理頼んだ」 「はいはい。パチュリー様の部屋に行ってもお話だけにしてくださいよ」 「なんだそのジョークは」 俺は苦笑いし、ドアの修理を小悪魔に任せてパチェの部屋に向かう。 「どうしたんだろう…」 本当に何なのか分からないままパチェの部屋の前に止まる。 そして一呼吸置いてノックする。 「誰?」 「○○だけど」 「…いいわよ」 そう言われ俺は部屋に入る。 パチェはベットに寝転がっている。その横に腰を掛ける 「で、何よ?」 「いや、今日どうしたのかな。って」 「別に何でも無いわ」 「そういうときに限って絶対なんかあるんだよな」 そう俺が言うとパチェが黙る 「どうしたんだよ。言ってくれなきゃわかんないぞ?」 「あんまり言いたくない…というか、ちょっと考えれば分かるわよ…」 そう言われ、俺はパチェの機嫌が悪くなったと思われる行動が、何かあったか考える 今日は図書館に来て、そろそろ図書館を仕舞おうかなー。 って思ってるときに魔理沙が来て、俺が注意して、魔理沙がさり気なく反論しながら俺の頭を撫でて 俺が微妙に突っ込みを入れた後パチェが怒って… …そういうことか、パチェ。可愛いやつめ 俺はパチェの頭を撫でる 「あぁもう可愛いなぁパチェは。俺が魔理沙に撫でられたくらいで怒って」 パチェは顔を赤くして枕に頭を埋める。やはり図星か。 「だって…私の大好きな○○が魔理沙に撫でられたら…」 「ちょっとしたことでヤキモチを焼くのが、お前のまた可愛いところなんだなぁ。パチェ。好きだぜ」 そう言うとパチェはのっそりと起き上がり、俺に抱きいて、ベットに一緒に倒れる 「今日はなんか凄い積極的だな」 俺は笑いながら言う 「だって久しぶりに○○が好きって言ってくれたんだもん。私も大好きよ。○○」 パチェも笑顔で返す そんな甘甘ムードの中ベットで二人が寝転がっている 俺がパチェの顔を見つめると目を横に反らす そこで顔を徐々に近づけて… コンコン 二人ともビクリと体が動く ガチャリ 「小悪魔です。パチュリー様。ドアの修理が終わりました…っと」 俺が小悪魔の顔を反射的に見ると、この世のものと思えないほどニヤニヤしている 「へぇー…へぇー。お取り込み中でしたか。へぇー。」 いやらしく笑いながら小悪魔は言う。 「では、失礼致します。パチュリー様」 パチェは口をパクパクさせ、目は泳いでいる。 小悪魔が帰ろうとするが、後ろからでもニヤニヤオーラが出てるのが分かる。 そりゃ、あんなシーンを見せたらな。 ガチャリ。とドアを閉め、小悪魔が出て行った 「…はぁ。見つかっちゃったな」 小悪魔にばれたらちょっかいを掛けられる。と常々言わていたが、まさかこんな所を見られるとは。 「でも、まぁ見つかっちゃったんだから、これからは堂々と図書館でもイチャイチャできるわね。しないけど」 「ま、そうだな。見つかったんだからしょうがないな」 俺とパチェは楽しげに笑う。 「○○。さっきやろうとしてたことは、結局無しになったの?」 パチェは目を閉じて言う 「いやいや。そんな分けないだろ」 そう言ってキスを交わす 「もうせっかくだしこのまま寝ちゃう?」 「う~ん。まぁそうだな。時間も時間だし」 魔理沙が趣味を働く時間は大抵真夜中だ。 「じゃあ髪縛ってるのはずしてくるからちょっと待ってて」 「あ、俺はずすよ」 そう言ってパチェを後ろに向かせてそれをはずす 「はい。とれたよ」 「有難う」 「相変わらず、髪。凄い綺麗だな」 「○○に撫でてもらえるように髪を綺麗にしてるから…」 「そんなことをしなくても、パチェは可愛いさ。俺もお前にもっと好かれるように、格好良くならなきゃな」 「大丈夫よ。○○は、世界で一番私の好きな人だし、世界で一番格好良いから」 二人とも、ウフフ。と遠慮がちに笑う 俺はパチェの髪を撫でながら眠りに付く。 朝起きて、腕が痺れててもまぁ良いか。それは幸せな痺れだと分かっているから。 うpろだ1304 ───────────────────────────────────────────────────────────