約 3,621,530 件
https://w.atwiki.jp/bokuserve/pages/3098.html
【元ネタ】史実 【CLASS】アーチャー 【マスター】ロットウェル・ペルジンスキー→シロウ・コトミネ 【真名】趙鞅 【性別】男性 【身長・体重】169cm・63kg 【属性】秩序・悪 【ステータス】筋力B 耐久E 敏捷B 魔力C 幸運B 宝具A+ 【クラス別スキル】 対魔力:B 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。 単独行動:B マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。 ランクBならば、マスターを失っても二日間現界可能。 【固有スキル】 天帝の加護:B 天帝・太一(たいいつ)からの加護。 現状況で、どのサーヴァントが自身にとって障害となるかを、最大二騎まで予見できる。 ただし、覚醒状態でこの予見情報は得られないため、趙鞅はサーヴァントでありながら睡眠をとる必要がある。 二つの匣:A 天帝より下賜された二つの箱。子孫が二つの国を滅ぼすという、未来を暗示するもの。 自らが認めた者一人に対し祝福を与え、その未来に肉薄できる能力を授ける。 カリスマ:B 人を引き付ける能力。 多くの人を魅入る力を有し、悪人・変人・賢人を問わず、彼のために命を擲つ。 【宝具】 『天意を届けよ、我が使命の嚆矢(てんいをとどけよ、わがしめいのこうし)』 ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ:10 最大捕捉:2人 夢の中で天帝に命じられて、二頭の熊を射殺した弓矢。 自身が国内の卿を二家討伐するという、未来を暗示する意味を持ち、 対象に一時的に獣性を与えたうえで、獣性を保有する敵に対して大ダメージを与える一矢を放つ。 天帝の加護によって予見されたサーヴァントに対しては、即死判定を発生させる効果も持つが、 この必殺の矢は二本しかなく、よって必殺射撃は二回しか行えない。 ――この宝具の真価は一矢の威力の高さではなく、“継承可能”なところにある。 “必殺の二矢”を使い切り、天帝の加護の予見対象が、すでに消滅しているという条件を満たすことで、 “二つの匣”スキルによる祝福を与えられた者に、アーチャーの消滅後、この弓と必殺の二矢が継承される。 【解説】 春秋時代の晋国の政治家。趙氏の開祖である趙成子の六世子孫で、諡号の「簡」から趙簡子とも呼ばれる。 晋国内の上級将校・大臣である六卿の一角を担い、その才能は晋随一の賢臣である叔向にも認められていた。 周王室の後継者争いや、国内での覇権争いなどの、多くの流血を経てさらなる権勢を得る。 その後は六卿同士の内紛から、他の智氏、魏氏、韓氏と組んで、士氏、中行氏を滅亡させる。 このことは、趙鞅が病で昏倒した際に見た夢で予見されており、奇しくもその通りになった。 彼の跡は、末子の趙無恤が最も高い能力を持つとして継いだ。 そしてこの趙無恤が、趙鞅の観た夢の残り半分を実現することとなる。
https://w.atwiki.jp/bokuserve/pages/1035.html
【元ネタ】仮名手本忠臣蔵 【CLASS】アサシン 【マスター】 【真名】大石良雄内蔵助 【性別】男性 【身長・体重】157cm・87kg 【属性】中庸・善 【ステータス】筋力B 耐久C 敏捷C 魔力D 幸運A 宝具B 【クラス別スキル】 気配遮断:B サーヴァントとしての気配を絶つ。 完全に気配を絶てば発見することは非常に難しい。 【固有スキル】 単独行動:A+ マスター不在でも行動できる能力。 佯狂:A 周囲を欺く自我の偽装。 松之廊下の刃傷より討ち入りまでの2年間、 無能を装っていた行為が、魔術の域まで昇華したもの。 相手が判定に成功するまで大石内蔵助をサーヴァントとして認識させない。 カリスマ:D 軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。 カリスマは稀有な才能で、一軍のリーダーとしては破格の人望である。 【宝具】 『四十七人の刺客』 ランク:B++ 種別:対軍宝具 レンジ:0~99 最大捕捉:47人 大石内蔵助を含む赤穂浪士四十七士そのものを具現化する宝具。 全員が単独行動A+、佯狂A、気配遮断Bスキルを保有するサーヴァントであり、 それ以外の基本的なステータスは、大石内蔵助に準ずる能力を持っている。 四十七士にはそれぞれの確固たる物語、伝承が存在しているため、 大石内蔵助の「象徴」としての宝具が赤穂浪士なのではなく、 赤穂浪士の「象徴」としての存在が、大石内蔵助であるという事を示す宝具である。 その為、使用にあたって魔力の消費は一切存在しない。 ただしこの宝具は、マスターが何らかの形で裏切った場合、完全に失われる。 【Weapon】 『討ち入り装束』 目印として白木綿の縫い付けられた、黒の小袖と股引。 内側には鎖帷子。また鉢金や兜を装着する者、刀に加えて槍を携行する者もいる。 宝具足り得るほどの幻想を持たないが、赤穂浪士を象徴する装備である。 【解説】 松之廊下で刃傷に及び、切腹、お家取りつぶしとなった赤穂藩主、浅野内匠頭の仇を討つ為、 吉良上野介の屋敷に討ち入りを行った、赤穂浪士四十七士の頭領。 二年もの間、吉良上野介について綿密な情報収集を行い、 密かに仲間を集め、討ち入り時の装備や手順に関する「人々心覚」を定めると、 元禄十五年12月14日、吉良邸に討ち入り、見事にこれを成功させた。 この時、吉良邸には二百人前後の家臣が詰めていたと記録に残っている為、 奇襲とはいえ約4倍の戦力差を、損害ゼロで覆したということになる。 その後、主君の墓前に吉良の首級を備えて仇討ちを報告した後、 「時には死を与えることも情けとなる」という綱吉の意見により、切腹となった。 尚、無能を装って二年間遊んでいたというのが定説ではあるが、 刃傷事件以前より蔵之介は遊び人として知られていた為、当人の「素」もあったものと思われる。
https://w.atwiki.jp/minnasaba/pages/2577.html
騎士譚の語り部:A (トマス・マロリー) 騎士道文学の代表たるアーサー王伝説を、現代まで語り継がれる形で編纂した業績。 騎士の属性を持つ、或いは騎士に縁があるサーヴァントに対して、真名の推察を可能とする。 アーサー王伝説に由来する者の真名をほぼ確実に看破し、 それ以外の騎士譚が原典である相手には低〜中確率で真名の推理を的中させる。
https://w.atwiki.jp/minasava/pages/978.html
起きて最初に確認したのは、全身のけだるさと魔術回路の痛みだった。 目覚まし時計を見てみると、既に昼過ぎになっている。 「まあ、今日は学校休むように連絡したからいいけど」 やはり、身体の調子が悪い。原因は分かっていた。 「あんた、魔力食い過ぎなのよ。バカスカ、バカスカ、フードファイターじゃないんだから」 「◆◆―――◆◆◆◆―――◆◆◆―――」 光の粒子が集まり、昨日召喚した狂戦士が顕現した。 何に苛立っているのか、唸り声を上げて部屋の中を歩き回っている。 召喚した当初は大変だった。いきなり暴れ回り、工房を半壊させた後、敵を求めて彷徨い、危うく家の外に出るところだったこのサーヴァントを制御できたのは、やはり凛の素質によるたまものだった。 意思疎通は簡単な命令以外無理にしても、魔力供給の量を調節することによって、ある程度動きを抑制させることはできる。 「吸い取ってる分だけは働いて貰うわよ。霊体化しなさい」 命令した上で魔力供給を少なくすると、自然とバーサーカーの身体が薄れてくる。完全に姿が消えたのを見計らい、凛はコートを羽織った。 庭に出る。昼の日射しは消耗した身体に、僅かなりとも活力を与えてくれているような気がした。 外出の目的は、セカンドオーナーとして冬木市内の見回りと、参加者として各陣営の威力偵察。 「……柳洞寺に異常は無し。てっきりキャスター辺りが陣地にしているかと思ったけど」 冬木は表向き平穏を守っている。前回の戦争では酷い被害が出たことから、今回も同じようなことが起きるかと危惧していたが、杞憂に終わったらしい……今のところは、だが。 一日中街中を見回ったが、どのサーヴァントの姿も見られない。使い魔も放ったが、結果は変わらない。 「穴蔵決め込んでるのかしら?」 凛は西日を見た。もうじきに日が暮れる。聖杯戦争は人目につかないために、戦闘はあくまで夜に行われる。と、いうことになっている。 いつ戦闘が始まっても、闘う覚悟はできているが、正直に言えばバーサーカーの制御にもう少し時間が欲しいところだ。 最後の見回り場所に立ち寄って、結界のある遠坂の屋敷に戻った方がいいだろう。 凛は、当初から決めていた最後の見回り場所を見上げた。 穂群原学園。 校舎の屋上から、街を見渡す。家々の明かりが灯り、夜の世界にも人がいることを感じさせてくれる。 「だけど、ここからは魔術師の時間よ」 決意と共に夜景を見渡すが、校舎にも異常は無かった。そろそろ帰ってもいいだろうと思ったとき、夜の校庭から不審な音が聞こえることに気がつく。 はっとした凛は、遠見の魔術で状況を観察する。 明らかに異常な量の神秘を内包した男と女、その後ろに居る子供は銀髪と紅眼を持っている。 「……アインツベルンのホムンクルスと、サーヴァント」 向かい合った正面にもサーヴァントらしい女がいる。そして、その場にいる人物が判明した瞬間、驚愕で呼吸が止まった。 「衛宮君……?」 『あの娘』が一緒に笑いあっている相手。 「三枝さん、氷室さん、蒔寺さん」 知り合い。魔術師では無く、一人の人間としての遠坂凛の知り合い。 なぜ、彼等がいるのか。考える間もなく、剣を持った男が彼等の方に近づく。 反射的に凛はバーサーカーを顕現させ、叫ぶ。 「バーサーカー、ぶっ倒しなさい!」 「◆◆◆◆―――◆◆◆◆◆◆―――◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 咆吼して飛び降りたバーサーカーに数秒遅れて、凛もまた飛び降りる。 「こんばんは、かしら。衛宮君、三枝さん」 呆けた表情をしている知り合いに、努めていつもと変わらない『遠坂凛』としての顔を見せた。 「はじめまして、それともお久しぶりと言った方がいいかしら、アインツベルンさん?」 冬木のセカンドオーナーとしての貫禄を見せ、魔術師の少女は眼前の敵に僅かに微笑んだ。 「ええ、そしてさようならを始めましょう」 アインツベルンのマスター、二騎との契約という法外な技を見せる少女は、天真爛漫な笑顔を崩さない。 互いの従卒が前に出る。口火を切ったのはセイバーだった。 「宝具を使われる前に倒させて貰うぞ。狂戦士(ベルセルク)!!」 閃光のような斬撃が、バーサーカーの心臓を狙う。その速さにバーサーカーは反応できずに、魔剣がバーサーカーの心臓に吸い込まれていく。 「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆!!!!!!!!!」 だが、バーサーカーへの攻撃をしかけたセイバーは、即座に飛び退いた。今まで居た場所の地面を、バーサーカーの持つ槍が突き刺し、校庭に地割れを作る。 剣を構えたセイバーは、バーサーカーの前に立つ。その表情に軽い驚きが生まれた。 「……それがタネか」 バーサーカーの胸部が、変色している。今まで人肌の色をしていた皮膚は、土器のような質感と配色に変貌していた。 その変化は、ビキビキという不快な音と共に、瞬く間に全身を覆う、数秒も経たずにバーサーカーは両眼と口以外の全身が土色の皮膚に包まれた姿となった。口の部分が裂けたように大きく開く。 「◆◆◆◆◆◆―――◆◆◆―――◆◆◆―――!!!!!!!!!!」 両眼を狂気にギラつかせ、大口を開けて叫ぶバーサーカーは、その姿と相まって正に怪獣の外見となっていた。 「吠えるな、やかましい!」 セイバーの斬撃が連続してバーサーカーを襲う。 頭部、眼球、腹部、両腕、踵、胸部、首、背中……ありとあらゆる部位にかけられた総攻撃は、しかしバーサーカーにダメージを与えられていない。 勢いを全く落とさずにバーサーカーの攻撃がセイバーを襲う。 マシンガンのような斬撃を放つセイバーは間違いなく超越した存在だ。 だが、それならばそのセイバーの攻撃を正面から受け止めて平気でいるバーサーカーは何者なのか。 埒があかないと悟ったか、セイバーは片脚でバーサーカーの頭を蹴りつけて後退する。 「◆◆◆◆◆◆◆……◆◆◆◆◆……◆◆」 「イリヤ」 バーサーカーの視線から隠すようにイリヤの前に立つ剣士は、自分のマスターに話しかけた。 「まだ、戦争は始まったばかりだが、あのバーサーカーは手強い」 そこで、セイバーは言葉を句切った。 「宝具を使っていいか」 うーん、とイリヤは腕組みして、少しの間考える素振りをした。 「まあ、いいでしょう。弱点がばれたところで、ランサーがいるから心配は無いわ」 マスターの言葉に、セイバーは満足げな表情を見せる。そして、剣を構え直した。 「いくぞ。狂犬。身体の硬さが自慢らしいが、竜以上かどうか見てやる」 瞬間、セイバーが持つ剣の刀身が陽炎のように揺らめき、黄金の光を爆発するように放った。 宝具とは人間の幻想を骨子に作られた幻想。英霊が持つ物質化した奇跡であり、いずれも強力な兵装だと、士郎は最初にキャスターから聞いていた。 だが、聞くのと実際に見るのとでは迫力が違う。思わず後ずさりをする程その光景は凄まじい。 「あれが、セイバーの宝具」 呆然とするキャスターの視線の先には、恒星の輝きがあった。全てを焼き尽くす太陽。それが剣の形状をしている。離れているこっちにまで熱が伝わってくる。 セイバーは絶対の自信を表情に見せ、剣を振りかぶった。その圧力だけで突風が巻き起こる。 「運命られし―――」 必殺の一撃を前にしても、バーサーカーは退こうとしない。退く、という回路自体が無いのかも知れない。 「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆!!!!!!!!!!!!」 その姿にセイバーは敬意を覚えたか、それとも覚えたのは哀れみか、一切の躊躇無く、振り抜いた。 「―――破滅の剣(グラム)!」 太陽が、爆発した。 太陽剣グラム。 かつて神々の王オーディンが英雄シグムントに与え、その後その英雄の息子の手に渡った魔剣。 神によって与えられ、小人によって鍛え直され、そして邪竜を討ち果たした剣。 その担い手はシグルド。鳥の言葉を理解し、不死身の身体を持ち、無双の力を誇る大英雄である。 太陽剣の爆裂は、空を切り、周囲を爆炎に包み込んだ。 「……大丈夫か!」 「う、うん」 「生きているのが不思議だわ」 由紀香とキャスターの無事な声に、安堵する士郎は、視線を戦場に向ける。 かつて、体育祭や部活で賑わった校庭の面影は何処にも無かった。 地割れがあちこちで亀裂を造り、地殻変動を思わせる程の変化をもたらしている。 無事な地面は殆どが炎上し、あるいは高熱に晒され溶解していた。 振り返って校舎を見ると、全ての窓ガラスが割れ、外壁は黒く変色している。昔テレビで見た、火山の噴火で全焼した建物を彷彿とさせた。 文字通りの、超攻撃。戦略兵器に匹敵する攻撃は、しかし士郎達に軽傷すら与えていなかった。 攻撃を放ったセイバー自身も、驚愕の表情を形作っている。その視線は眼前のサーヴァントを捉えていた。 あれほどの攻撃を受けていながら、バーサーカーは立っていた。陶器にヒビが入るような音が響き、その異形の皮膚が剥がれ落ちていく。僅かな時間で狂気に囚われてはいるものの元の人間らしい姿に戻ったバーサーカーは、そのまま眼光をセイバーに向けた。 士郎は理解した。自分達も飲み込むはずだった攻撃は、全てバーサーカーが耐え抜いたのだ。 自分達の生命を死守したサーヴァントの隣に、マスターの少女が立つ。 「……『耐えろ』って命令、聞いてくれたみたいね」 魔力を相当量持って行かれたらしい、遠坂凛の額には汗が浮かんでいた。片手に刻まれた令呪の一画がかき消されたように消えている。セイバーは合点がいった。というように頷いた。 「令呪で、サーヴァントの力をブーストさせたか」 「涼しい顔しているけどいいの?私はあんたの真名が分かったのよ」 「分かったからどうした?名前が知れただけで死ぬわけじゃ無い」 セイバー―――北欧の大英雄、シグルドは、慌てること無く、魔剣を一閃した。 パリン。 硝子が割れたような軽い音と共に、刀身が砕け散る。柄だけになったそれを鞘に戻すと、セイバーは拳を握りしめた。 「刀身が元に戻るまで、素手で持ちこたえる自信はある」 「いや、今度は私が闘おう」 前に進み出たのは、長槍を手にした女戦士だ。ランサーは槍をバーサーカーに向ける。 「兜に装着してある白鳥の羽と、槍、シグルドってことは……懲りないわね。また自分の男を殺す気?」 茶化すような凛の言葉に対し、怒気が膨れ上がった。セイバーとランサーのものであることは言うまでも無い。 「俺の女を、侮辱しないで貰おうか」 「その舌を串刺しにしてやろうか?魔術師」 「バーサーカー、セイバーの背後をとって倒しなさい」 英霊二人の怒気に対し、凛は何処吹く風とバーサーカーに指示を出した。ランサーの怒気がますます膨れ上がる。 「私がさせると思うか?」 「ええ、思うわよ。だからキャスター、衛宮君」 話を振られた士郎は木刀を持ち、キャスターは自らの宝具である書物を取り出す。 「これで二対二。加えてそちらのセイバーは剣が使えない。それほど分の悪い勝負じゃ無いわ」 堂々と言い放つ凛に対し、ランサーは冷たい眼差しで槍を構えた。 「いいだろう。その誤った認識から焼き尽くしてくれる」 第二回戦が始まろうとしていた。 『運命られし破滅の剣(グラム)』の余波によって、校舎の屋上も鉄柵が折れ曲がり、床が剥がれるなどの被害に見舞われていたが、そのようなことを気にもせず、そこにいた存在は眼下の戦いを監視していた。 「何て威力、これがシグルドの宝具とは」 「ああ、恐ろしい力だ。俺なら余波だけで消滅するだろう」 スーツ姿の麗人と、白い防寒着を着込んだ男がそこに立っていた。 「でも、おかげでセイバーの真名が知れたわ。いや、マスターを仕留めれば全て終わる」 あれほどの大英雄ならば、維持にかかる魔力も膨大なものだ。ランサーも従えているとなれば、マスターが落命すれば、次のマスターを見つける暇も契約を結ぶ暇も無く消滅するだろう。 「今、攻撃するのか。バゼット」 これまで戦闘の推移を監視していた自分のサーヴァントに、バゼットと呼ばれた女性は指示を与える。 「ええ、アサシン。標的はアインツベルンのホムンクルスです。銀髪の少女を狙いなさい」 「了解」 アサシンと呼ばれたサーヴァントは肯定の意を返し、短めの小銃を構えた。 銃口はピクリとも動かず、正確に標的に狙いを付けている。 このサーヴァントが狙いをつける姿に、バゼット・フラガ・マクレミッツは常に緊張を覚える。 彼は戦いなどしない。ただ死を与えるだけだ。まさに死神。 ギリースーツを死神のマントに錯覚する程、彼は濃密な死の気配を漂わせていた。 命を刈り取る弾丸が放たれるまで、後数秒―――。 「凄い……」 剣士の青年。 槍を持った女性。 怪獣のような戦士。 魔法を使う女性。 人形のように可愛い少女。 いつも見る顔で、そしていつもとは決定的に違う姿を見せる二人。 全てが由紀香には理解できず、それがとにかく凄かった。 三枝由紀香はただの一般人だ。戦いなどテレビアニメの中でしか見たことが無かったし、そもそもこんな世界が現実にあるなどと少しも考えていなかった。 思わず、自分の頬をつねってみるが、頬が痛いだけで壊れた学校も目の前の戦いも依然としてそこにある。 つまり、これは夢でも何でも無くまぎれもない現実なのだ。 「いってぇ……あれ、あたし学校から家に帰って……」 「む、蒔の字か……由紀香までどうした?」 「蒔ちゃん、鐘ちゃん!気がついたんだね!」 地面に寝かせておいた二人の覚醒に、由紀香は喜びの声を上げる。同時に、頭の犬耳がピコピコと動いた。 「あれ、その耳どうしたの由紀っち。何かのパーティーグッズ……ん?」 「それにしてはリアルだな。まるで頭から直接生えているような……む?」 楓は鐘の背にある翼を、鐘は黄金色の獣毛が生えた楓の手足をそれぞれ凝視する。 「「……コスプレか」」 少しの間沈黙が流れ、お互いが自分の身体に起こっている異変に気づき、翼を引っ張ったり毛を抜こうとしたりする。そしてそれが紛れもない生身だと判り――― 「「なんじゃあ。こりゃあああああああああああああ!!!!!!??????」」 「そりゃあたしは黒豹だけどさ、だからって身体が動物になるか、オイ!改造人間か?サイボーグか?はっ、まさかこれは悪の組織の仕業か?許せん!!」 「親の因果が子に報い……何かのたたりか?それとも蒔の字の言うとおり、悪の秘密結社に改造された……だとすれば、これから孤独な戦いを強いられて……!」 黒豹少女蒔寺楓は思いっきり混乱し、普段は冷静な氷室鐘も、間違いなく混乱している。 「まっ、蒔ちゃん、鐘ちゃん、落ち着いて。とにかく今は……」 鐘と楓の混乱を宥めているとき、由紀香は、戦闘の続きを見る。 「いいわ。ランサー、セイバー。剣一つ無くなったぐらいで最優の称号は砕けないことを教えてやりなさい」 自身の危険など、考えもしていないのだろう。イリヤスフィールと自己紹介した少女は、余裕で武器を持った男女に命令した。 その姿をじっと見ていた由紀香は―――『何か』がやってくると気がついた。 それは、きっと良くないモノで、ここにいる誰かを傷つけようとするモノで、そして、今この場では自分以外誰もその良くないモノに気づいていない。 何故か視線が校舎の屋上に向いた。何故だか知らないが、あそこに誰かいると思ったのだ。 『誰か』がいる。そしてその『誰か』は、目の前で戦っている人達と同じ存在だと、感覚で理解した。 ……何かが起ころうとしている。 真っ白な人影は、細長い筒のようなものを構えている。夜で、しかもあそこまで遠い場所のことが正確に判ることに驚いたが、それよりも筒の正体を理解したとき、心臓が止まりそうになった。 ライフル。 アクション映画でしか見たことのない、人を殺せる凶器。 それを持つ誰かが、それを構えて誰かを狙っていることに気がついた。 反射的に、銃の先端を見て、誰を狙っているかを探る。普段の自分からは想像もできない程、機敏に身体と精神が動いた。 筒先にいるのは―――イリヤと呼ばれた少女。 反射的に駆けだした。運動音痴で走るのも得意じゃない筈なのに、まるで風のように走り抜けることができる。 たん。 小さな音に少し遅れて、殺意の塊が飛来した。 その場の全員が、銃声には気づいていた。 だが、音が発せられる前に動いたのはただ一人、茶色い髪の少女だけだった。 完全に不意を突かれた形になったセイバーとランサーは主の危機にすぐさま迅速な行動を取ろうとしたが、相対していた敵サーヴァントへの警戒に気を取られ、由紀香の疾走に比べてコンマ2秒ほど遅れた。 サーヴァントに匹敵する速度で走り抜けた少女は、イリヤスフィールに抱きつくようにして、それまで立っていた場所から移動させる。勢いのままに、二人で地面をゴロゴロと転がった。 瞬間、イリヤがそれまで立っていた地面に小さく砂埃が生まれた。 地面を叩いた物体は小さく、しかし人一人を殺めるには十分過ぎる威力を持っていることは明らかだった。 由紀香はイリヤを抱きしめたままで起き上がる。そしてイリヤが無事なことに安堵の表情を見せ、一言喋った。 「大丈夫?」 「…………」 イリヤは何も答えない。心なしか驚いているようにも見える。 そこに、彼女のサーヴァントである二騎がやってくる。 「イリヤ、怪我は無いか!」 「……え、ええ、大丈夫。彼女のおかげで怪我は無いわ」 セイバーの緊迫した声に、戸惑いながらも返事を返すイリヤ。ランサーはイリヤの無事を確認した後、周囲に注意を向けた。遠見のルーンを使って闇夜を索敵する。 「……何処から撃った?いや、何処にいる?」 それでも、闇に潜む別の敵を見つけることはできない。 「三枝ー!!」 士郎が我に返ったのは、何者かが狙っていることに誰もが気がついた少し後だった。 近くに敵サーヴァントがいるにも関わらず、地面に座り込んでいる三枝由紀香に向かって走る。 あんな女の子が頑張っているのに、それなのに、俺は!何もできていないじゃないか!! 自己嫌悪と心配がゴチャゴチャになったまま、必死に辿り着く。 「大丈夫か!」 「う、うん。私なら大丈夫」 無事な姿に安堵するが、その時敵のサーヴァントがいる事に漸く気づく。 「……」 息を呑む。剣士と槍兵の視線は鋭く士郎を射貫いている。 「もういいわ。セイバー、ランサー」 イリヤが二騎の従者に声をかける。そして士郎達に背を向けた。 「今日はもうおしまい。つまんないから」 「……そうだな。これをやったサーヴァントに警戒せねば」 「そう言うのなら、仕方が無いか」 イリヤはそのまま振り返ってにこりと笑う。その表情は無邪気な子供のものだった。 「じゃあね、お兄ちゃん。また遊びましょう」 破壊を振りまいた主従は校庭の闇に消えていく。完全に見えなくなった時、呆然としていた鐘が口を開いた。 「遠坂嬢、衛宮、説明して貰えないだろうか」 「……失敗しましたね」 「ああ」 アサシンは二発目を撃たなかった。撃てば今度こそ居場所を特定されかねないからだ。 もし接近戦に入ればアサシンは終わりだ。キャスターにさえ勝てるかどうか疑わしい。 幸運なことに、アインツベルンの主従も、遠坂の魔術師達もその場から去るだけでアサシンを探索しようとはしないらしい。このチャンスを逃す手は無い。すぐさま逃げの一手を打つことに決めた。 「スコアはゼロだが、判ったことも多かったな」 「ええ、セイバーの真名と宝具が判ったのは大きいですね」 「そしてもう一つ」 アサシンは霊体化して消える。後には声だけが残された。 『俺の攻撃を察知することができる人間がいる。それが分かった。今度は失敗しない』 決意と殺意を滲ませたその声は、夜の闇の中に消えた。 炎に見舞われた穂群原学園に駆けつけたのは、消防でも警察でも、聖杯戦争の隠蔽を行うスタッフでも無かった。 「うわっ、なんだよこれ。まるで空襲の跡みたいじゃないか」 文句を言いながら、特徴的な髪型をした少年は焼け跡を歩く。 『これが戦よ。なかなかの宝具と見える』 声が響いた瞬間、光の粒子が集まる。数秒後にはそこに美しい黒髭を持つ中華風の鎧を着た武人が立っていた。 「とにかく行くぞライダー。これだけの宝具を使ったのなら、使った奴の魔力はスッカラカンの筈だ。そこを狙う」 「うむ。よかろう。慎二は打ち合わせ通り隠れておれ」 ライダーと呼ばれたサーヴァントの言葉に、少年―――間桐慎二は不服そうに口を尖らせる。 「隠れるだけかよ……何かマスターを狙うとかは」 「儂がまとめて薙ぎ払えば何の問題もあるまい。楽に勝てることが悪いか?」 「……それもそうか」 「うむ」 ライダーは尊大に頷く。納得した様子の慎二も、自分が戦場に近づくにつれて緊張の表情を見せる。 建物の角を曲がれば校庭だ。ライダーは角のところで息を潜め、一気に躍り出た。 「我が名は関羽、字は雲長!此度の聖杯戦争においてライダーのクラスで現界した英霊よ。命のやり取りをしに参った!!この首取って名を上げんとする者はいるか!!」 三国志の大英雄の大音響に対し、返す声は無い。隠れていた慎二がおそるおそる校庭を見ると、そこには破壊の跡があちこちに残る無人の校庭が広がっていた。 「なっ……いないって……僕たち出遅れたのか?」 慎二の呆然とする声に対し、ライダー―――関羽雲長は、ふむ。と頷いた。 「天はこの儂がまだ戦うときでは無いと言っているようだのう」 「納得してんじゃねえよ!僕の緊張返せー!!」 慎二のツッコミも何処吹く風と、遠くからは消防車とパトカーの警報音が響いていた。 ―――かくして、静かな夜は終わり、これよりこの街の夜は恐怖を覆い隠す暗闇となる。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5739.html
前ページ次ページZERO BOY’Sサーヴァントセレクション 「それじゃ改めてよろしく、アキミ、ユズ」 「よろしくお願いします!」 「……は、はい……」 「そうそう、私はまだ自己紹介してなかったわね。私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。……まあ、さっきみたいに『姉様』とか『お姉ちゃん』って呼ばれるのはちょっと嬉しいかしら。私3姉妹の末っ子だったから」 「そうだったんですか」 「そういえば、アキミは4人兄妹の3番目だったわよね? ユズへの自己紹介も兼ねてちょっと話してくれる?」 「あ、はい。まず1番上が春人兄様。お仕事で留守がちだった父様や母様の代わりにボク達3人の面倒を見てくれたとっても優しい兄様で、ボク大好きなんです! 2番目が千夏姉様。世話焼きだけど不器用なんですよね……。元気がよくって運動が得意です。千夏姉様ももう何でそうなのかわかんなくなるほど、兄様の事が大好きなんですよ。それで末っ子が美冬。生まれつき体が弱くて病気がちだけど、可愛がられて育ったからなのかちょっとわがままで……」 「そうなの、同じ病弱でもカトレア姉様とは随分違うのね。ねえユズ、ユズの家族の事も聞きたいけどいいかしら?」 「……ユズにはママしかいなくて、パパはいないんです……。でも大好きな先生がいるから……、寂しくなんかないんです……」 「そう……。その先生ってきっと素敵な人なのね」 「はい……、先生のお薬がたくさん飲めると思うとそれだけで元気がでてくるんです……」 ルイズは秋巳とゆずの事が気に入った。なぜなら2人はルイズにとって可愛い妹のような存在になったのだ。先程本人が言った通りルイズは3姉妹の三女。妹が欲しいと思った事は1度ならずある。 そこに現れた2人は、ルイズの庇護欲をかきたてるのに充分な魅力を持っていた。 そんなルイズが早速した事は、2人に近付けさせたくない人物の名前を連ねたブラックリスト作成だった。 (まずはツェルプストーのとこのビッチね。あの女見境無いから特に注意しないと。いつも小柄な青髪の子連れ回してるけど、あの子もう餌食にされたんだわ……。後はギーシュにマルコメ……本名何だっけ? まあ、思い出せないって事は大した事無い奴だろうから別にいいわ。この辺を注意すれば大丈夫ね) 「ルイズ姉様、どうしたの? ぼんやりして」 「いえ、何でもないわ。……あ、もうこんな時間じゃない。そろそろ寝るわよ。2人ともベッドに入って。特にユズはあんまり体が丈夫じゃないんでしょ? 召喚されて疲れてるだろうから」 「……あ、はい……」 「え、いいの……? ルイズ姉様」 「何言ってるの。女同士なんだから遠慮しないの!」 『………』 ベッドに潜り込んだ2人の沈黙の意味をルイズはまだ知らない……。 翌朝、秋巳が目覚めた。とても清々しい朝、絶好の洗濯日和だろう。 ルイズ・ゆずはまだ寝ている。 横には洗濯物が丁寧に置かれていた。 秋巳はまずルイズの寝姿を覗き込んだ。 昨夜、もし先に起きたら起こしてほしいと頼まれたのだ。 「ルイズ姉様、朝だよ」 体を揺らしたり耳元で声をかけたりしてみたが、ルイズは相変わらず寝息をたてている。 「乱暴にお布団剥がしちゃったら、きっと怒られるだろうなあ……。……兄様を起こしてたみたいにやってみようかな?」 まず秋巳はゆっくり布団を剥いで、ルイズに可能な限り体重がかからないよう注意しつつ馬乗りになる。 「ルイズ姉様……」 そしてそっとルイズと秋巳の顔と顔、唇と唇が接近していき、あとわずかで触れ合いそうになった時、ルイズの目が開いた。 「ア、アキミっ!? 何すんのよ!?」 「あ、起きた起きた。朝だよ、ルイズ姉様」 「そこにある服取って! ……アキミ、何であんな起こし方したのよ?」 「ご、ごめんなさい……。ルイズ姉様なかなか起きなかったから、家にいた時いつも兄様を起こしてたやり方ならきっとうまくいくかなって……」 「アキミ、あんた家でそんな起こしかたしてたの……?」 「う、うん……。それで時々ベッドの中に引っ張り込まれて……、それで、その……、学校お休みしちゃったり……」 「……アキミの兄ってもっと立派な人だと思ってたけど、考え改めた方がいいみたいね……」 そんなこんなでルイズ・秋巳・ゆずは一緒に部屋を出た。 廊下には同じような木製のドアが壁に3枚並んでいた。 そのドアの内の1枚が開いて、中から炎のような赤髪の少女が現れた。 「おはよう、ルイズ」 「おはよう、キュルケ」 ルイズは顔をしかめて嫌悪感もあらわに返事をした。 「ルイズの使い魔ってその子達?」 「そうよ」 「本当に2人も平民の子供を召喚したのね! 本当に凄いじゃない。私なんかこーんな立派なサラマンダーを召喚しちゃったわよ。いらっしゃい、フレイム」 キュルケが呼ぶと後ろのドアから大トカゲが出てきた。尾には炎が燃えていて非常に熱そうだ。 ゆずはキュルケに尋ねる。 「……キュルケお姉ちゃん、熱くないんですか……?」 「大丈夫、私にとっては涼しいくらいよ」 「とっとと行くわよ!」 「何をそんなに怒ってるの?」 「あ、そうそう、あなた達名前は?」 「ボクは志木秋巳です。こっちが橘ゆずちゃん」 「そう、変わってるけど可愛い名前ね。じゃ、お先に失礼。教室で会いましょうね」 そう言うとキュルケはフレイムを連れて颯爽と去っていく。 キュルケがいなくなるとルイズは拳を握り締めて吼える。 「何なのあの女! 自分が立派なサラマンダーを召喚できたからって!!」 「……あの……、ゆず達何か悪い事しちゃいましたか……?」 ルイズの剣幕に若干怯えたようにおずおずとゆずが声をかけてきた。 自分の憤怒がゆずの表情を曇らせた事にはっとしたルイズは、笑顔を浮かべてゆずの頭を撫でる。 「……大丈夫よ、何でもないわ。それより食堂に行きましょう。朝食が待ってるわ」 前ページ次ページZERO BOY’Sサーヴァントセレクション
https://w.atwiki.jp/bokuserve/pages/1634.html
【元ネタ】史実 【CLASS】キャスター 【マスター】 【真名】ニーコン 【性別】男性 【身長・体重】182cm・69kg 【属性】秩序・悪 【ステータス】筋力E 耐久D 敏捷D 魔力A 幸運B 宝具C 【クラス別スキル】 道具作成:D- 魔術的な道具を作成する技能。 ニーコンは宗教的な祭具の純化に特化しており、 道具の加工は得意とするものの、一からの作成には不向きである。 陣地作成:B- 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。 ニーコンは宗教的な陣地の純化に特化しており、 既存の“工房”やそれに匹敵する霊地や魔術的施設の純化に特化している。 【固有スキル】 無辜の怪物:C 背教の悪魔、アンチ=キリスト。 生前の行いから生まれたイメージによって、過去や在り方をねじ曲げられた怪物の名。 魔獣に匹敵する高い魔力と神秘を持つも、純粋な戦闘力は低い。 ちなみに、この装備(スキル)は外せない。 洗礼詠唱:A- 正教における“神の教え”を基盤とする魔術。 その特性上、霊的・魔的なモノに対しては絶大な威力を持つ。 魔を宿した現在、その威力は半減している。 カリスマ(偽):B 果断な態度と巧妙な話術によって人々を惹きつける才能。 魔力的なものではないので抵抗は難しく、 理性の乏しい者であれば容易く篭絡出来る。 【宝具】 『陽の翳るを過ぎれば月もまた分かち(スタローヴェル・ラスコール)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~10 最大捕捉:7人 正教を二分した大改革の再現。 サーヴァントに対して十字を切ることで対象に宿る複数の信仰を分離し、 保有する魔力を削らせて単独行動:Cを保有するサーヴァントを生み出す。 善悪、正邪、様々な側面を持つ程に知名度の高い大英雄であれば、 生まれたサーヴァントもまた相応の実力を持ち、対象のステータスも大きく減ずる。 アンチ=キリストの汚名を背負った自身もまた、この宝具の対象となる。 【解説】 1653年にロシア正教会の総主教に着任した宗教家。 彫りの深く憂いを帯びた顔立ちに朗々とした声からカリスマ性が高く、 1648年に起きた塩一揆を鎮圧に貢献する等、実際の手腕にも長けており、 当時のツァーリであるアレクセイとは擬似的な親子にも似た親愛を交わしていた。 国際化の潮流に乗り始めたモスクワに必要不可欠であった儀礼改革を断行すべく、 アレクセイ帝はニーコンを総主教の座に据えるも、ニーコンは思わぬ行動に出る。 当時のモスクワは「タタールのくびき」や大動乱の中でギリシア式の儀礼を失くし、 様々な異教とチャンポンした独自の儀礼を行っていた。 更には「第三のローマ」に象徴される聖なるルーシ信仰によって、 このガラパゴス化した儀式を絶対視し、宗教的交流にさえ難色を示していた。 総主教ニーコンは全ての教会に典礼や儀式をギリシア式の儀礼に倣うように通達し、 モスクワの教会はギリシア式に改ざんされ、ラテン化したイコンは両目を抉られた。 反対する者は容赦なく投獄し、挙句の果てには「ツァーリは月であり、総主教は太陽」とまで主張した。 こうしたニーコンの態度に業を煮やしたアレクセイはニーコンを罷免するも、 改革自体を取り消さずにギリシア式のままで儀礼をするようにお触れを出した為、 人口の一割が古儀式派となってユーラシアの大地に散らばり、古い教えを守り続けた。
https://w.atwiki.jp/minnasaba/pages/2606.html
神長の憑巫:A (物部守屋) バーサーカーと同一視される洩矢神の分霊であるミシャグジ神を周囲の人や物に憑依させ、サーヴァントに匹敵する力を持つ神使に変貌させるスキル。 ただし依代は心身共に清められた童子か霊石、霊木などである必要があり、仮に穢れたモノに降そうとすれば祟り神でもあるミシャグジ神の神罰が下るだろう。
https://w.atwiki.jp/minnasaba/pages/485.html
【元ネタ】史実 【CLASS】ライダー 【マスター】ウェイバー・ベルベット 【真名】イスカンダル 【性別】男性 【身長・体重】212cm・130kg 【属性】中立・善 【ステータス】筋力B 耐久A 敏捷D 魔力C 幸運A+ 宝具A++ 【クラス別スキル】 対魔力:D 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。 魔力避けのアミュレット程度の対魔力。 騎乗:A+ 騎乗の才能。獣であるのならば幻獣・神獣のものまで乗りこなせる。 ただし、竜種は該当しない。 【固有スキル】 神性:C 明確な証拠こそないものの、多くの伝承によって最高神ゼウスの息子であると伝えられている。 カリスマ:A 大軍団を指揮する天性の才能。 Aランクはおよそ人間として獲得しうる最高峰の人望といえる。 軍略:B 一対一の戦闘ではなく、多人数を動員した戦場における戦術的直感力。 自らの対軍宝具の行使や、 逆に相手の対軍宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。 【宝具】 『遥かなる蹂躙制覇(ヴィア・エクスプグナティオ)』 ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:2~50 最大捕捉:100人 ――宝具『神威の車輪(ゴルディアス・ホイール)』による蹂躙走法。 神牛の蹄と戦車の車輪による2回のダメージ判定がある。 いずれも物理ダメージの他にゼウスの顕現である雷撃の効果があり、 ST判定に失敗すると追加ダメージが課される。 『王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)』 ランク:EX 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000人 ――死してなおイスカンダルに忠誠を誓い、君主とともに英霊化した近衛兵団をサーヴァントとして現界させる。 召喚されるのはいずれもマスター不在のサーヴァントだが、それぞれがE-ランク相当の『単独行動』スキルを保有し、 最大30ターンに及ぶ現界が可能。 【Weapon】 『神威の車輪(ゴルディアス・ホイール)』 アレキサンダー大王の伝説において最も有名な『ゴルディアスの結び目』のエピソードに登場する戦車。 もともとはゼウス神への供物として祭られていた祭具だった。 各部のパーツは別個に縮小、収納することが可能であり、踏破する地形に合わせて最高効率の形態に変形することができる。 『飛蹄雷牛(ゴッド・ブル)』 ゴルディアスホイールを牽く神牛。 雷を司る至高神ゼウスは、かつてエウロペを誘惑する際に牡牛へと姿を変えたという。 よってゼウス神に捧げられた戦車の牽引力として顕現したのは、ゼウスと縁のある聖獣だった。 『スパタ』 イスカンダルが戦場で愛用する剣。キュプリオト族の王からの献上品。 極めて強靭な拵えだが、見かけによらず軽量で、機敏な扱いも可能である。 【解説】
https://w.atwiki.jp/bokuserve/pages/180.html
【元ネタ】ドイツの伝承 【CLASS】アサシン 【マスター】 【真名】アルプ 【性別】男 【身長・体重】cm・kg 【属性】混沌・悪 【ステータス】筋力D 耐久D 敏捷B 魔力B 幸運D 宝具C 【クラス別スキル】 気配遮断:B 身の気配を消す能力。完全に気配を断てばほぼ発見は不可能となるが、攻撃態勢に移るとランクが大きく下がる。 ただしアルプの場合、「相手が眠っている」状況ならばその限りではない 【固有スキル】 フェロモン:A 放出される魔力による異性への誘惑。アルプと対峙した女性は彼に対する強烈な恋愛感情を懐いてしまう 対魔力スキルで回避可能。対魔力を持っていなくても抵抗する意思を持っていれば、ある程度軽減することが出来る 魅惑の美声:B 人を惹き付ける魅了系スキル。 変化:B 文字通り「変身」する。 猫や鳥などの様々な動物の姿に自在に姿を変えられる 【宝具】 『御手を此方へ、御嬢様(ナイトメア・エスコート)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~2 最大捕捉:1 相手の夢の世界へと入り込むことを可能とする宝具 夢の世界ではほぼ全てのことがアルプの思い通りとなり、彼の保有するスキルも1ランクアップする この世界に存在する「相手」は魔力や精気で形作られており、アルプはこの宝具の発動中「魔力と精気を吸収する」能力を得る アルプによって魔力・精気を根こそぎ奪われることは夢の世界での死を意味し、現実世界においても魂の抜け落ちた抜け殻となる 眠っている相手限定の暗殺用宝具である 『今宵、貴女の夢の中で(インバイト・キッス)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~2 最大捕捉:1 相手の手の甲への口付け。相手は強力な睡魔に襲われてしまう。この睡魔は尋常ならざるものであり精神力での抵抗は意味を成さない 対魔力スキルによって抵抗は可能だが幸運を除いたステータスが1ランク低下してしまう 【Weapon】 無 【解説】 「アサシンのサーヴァント、アルプ。御手を拝借しても構いませんか?」 真名はドイツの伝承に登場する夢魔、「アルプ」。 華奢な体つきの優男で背中からは一般のイメージ通りのコウモリのような翼を生やしており飛行が可能。 非常に紳士的な性格で女性に対する礼儀作法や心遣いは正に「理想の男性像」といえるレベルであるが その内心は女性を「餌」としてしか捉えていない冷酷かつ残酷なものである 女性マスターや女性サーヴァントに対しては正に天敵といえる存在であり 余程の信念や絶対不変の愛を持っていないかぎり、彼のディナーとなることは必至である 直接的な戦闘力に関しては敏捷が高いだけで全く向いていない 夢魔故に魔力も平均以上の値はあるがそれを攻撃として転化する術を持たない 「宝具で相手を眠らせ、夢のなかで吸い殺す」しか勝利するパターンを持たないので何かしらの対策を取られると圧倒的に不利となる可能性を有する マタハリのような性特化のサーヴァントを目指して作成 「個」として登場するインキュバスが居るならばそちらの方が良いかもしれない
https://w.atwiki.jp/minnasaba/pages/1019.html
プロローグ ほんの数分前まで鬱蒼とした森林だった場所は、今では見る影もなくなっていた。 樹幹が数メートルにもなる巨樹が根元から倒れ、乱立する高さ10メートルを超える木々が中程からへし折れ、低木や雑草は地面ごと吹き飛ばされそこかしこに散らばっている。 いたる所から大小無数の火の手が上がり、雨のように降り注ぐ土砂と舞い散る葉が視界を埋め尽くす。 今も辺りでは轟音と共に大量の土と草木が宙を舞い、次々と大木が倒れ、爆発的な速度で豊かな森林はただの荒れ地へと姿を変えていく。見るも無残な大自然のなれの果て。 まるで絨毯爆撃でも行われているかのような光景。しかし、この光景を造リあげているのは戦闘機の爆撃などではない。 それを見れば誰もが目を疑い、言葉を失うだろう。あまりにも想像を絶する真実を誰が想像し得るだろう。 この大規模な自然破壊を驚異的な速度で行っているのは、たった14人の人間だった。否、その物言いは正しくない。正確には14人のヒトガタ。 かつて比類なき偉業を成し遂げ、歴史に残る伝説を打ち立て、人の身で奇跡を起こした英雄たち。彼らが現代のこの場に“サーヴァント”として召喚され戦っている。 そう、彼らがただ戦っているだけでこの一帯は、戦闘機の編隊による爆撃と変わらぬ規模と速度で破壊されているのである。 14騎のサーヴァントが死力を尽くして白兵戦を繰り広げている“そこ”は、紛うこと無き戦場だった。 ∞ ∞ ――2人の剣士が激突する。 1人は漆黒の鎧を纏い、鎧と同じ漆黒の剣を手にする青年。黒い装備に反して彼の闘気は清廉であり、高潔な騎士という印象を受ける。 1人は藍色のボディスーツに身を包み、右手に剣左手に獅子の頭部を意匠した盾を持つ、大柄で荒々しくも清々しい印象の男性。 「どうした、“白”のセイバーよぉ! 今日はいつもの相棒はいねぇのかぁ?」 明らかに両手持ちと思しき剣を片手で軽々と振るいながら、藍色のボディスーツの男が周囲の爆音に負けじと叫ぶ。 「“彼”なら今日はマスターたちの護衛だ。だが何故貴公がそれを気にする、“青”のセイバー」 漆黒の騎士が相手の剣を受け止める。その余波だけですさまじい衝撃が巻き起こり、暴風となり付近の樹木をなぎ倒す。 「なに、頼れる相棒がいなくて俺と五分に戦えるのかちょいと心配になって――なっ!」 鍔迫り合いから“青”のセイバーが跳び退き、着地と同時に上半身の捻りと左腕の筋力だけで獅子の盾を“白”のセイバーに投擲する。 空気を切り裂き、唸りをあげながら盾は“白”のセイバーに直撃――した瞬間、漆黒の騎士の姿が陽炎のように揺らめき消え、今しがたまで立っていた場所のすぐ横に再度出現した。投擲された盾はそのまま飛び去り、200メートル先の大木に突き刺さって止まった。 「語るまでもない、これが答えだよ。 さて“青”のセイバー、お互いに獅子が手元から離れたわけだがどうする?」 「……けっ、まだ手札を隠してやがったか。潔癖な騎士サマかと思ったが案外したたかじゃねぇか」 悪態を吐きながらも“青”のセイバーが剣を構える。それはこの『大戦』で戦士が初めて見せた両手持ちの構えだった。 「しゃあねぇ、いつまでもテメェ1人相手にするわけにもいかねぇからな。 ここらでケリ着けるとしようかぁ!」 “青”のセイバーが吼える。同時に膨大な魔力が剣に渦を巻きながら収束していく。 「あぁ、それは私も貴公と同じだ」 “白”のセイバーも剣を構え、漆黒の剣に魔力が溢れる。 2人の剣士は互いに目の前の敵を打倒すべく、遂に己が切り札の真名を告げる。 「あばよ、この一撃を餞別として逝け! 万丈轟く(カラド)――――――」 「我が剣と誇りに賭け、勝利を誓う! 黒翼(ケンヴェルヒン)――――――」 “青”と“白”のセイバーが叫ぶ。 「軌虹の剣(ボルグ)――――――!!!」 「繚乱(ディアローディーヌ)――――――!!!」 虹色の魔力が刀身を包み、小山ほどもある巨大な刃が形成される。 漆黒の刃から数百羽の鴉が次々と飛び出し、黒き奔流を成していく。 七色に輝く極大の刃が振り下ろされ、漆黒の群体が“疾翔”する。 光と影が交錯し、ひと際巨大な爆発が起こる。数分にも及ぶ土煙が治まった時、そこに立っていたのは―――――― ∞ ∞ ――2人のヒトガタが森の中を駆ける。 どちらも優に2メートルを超す身の丈と、防具の上からでも筋肉の鎧を着ているのが分かる偉丈夫であり、手には槍を携えている。 片や毛皮の装具と外套、そして上半身に銀の光沢を放つ帷子らしき防具を纏い、槍の柄と穂がそれぞれ2メートルもある常識外れの大槍を持つ大男。 片や間近で見れば壁と見紛うほどの体躯に、上半身は鋼の如き筋肉を惜しげもなく晒し、その巨体と比べると実際よりも短く感じる手槍を持つ巨漢。 そんな大男2人は、信じられぬ程の敏捷性で木々の合間を疾駆し、森で振るうにはおよそ適さない槍という武器を巧みに使いこなしている。 特に常識外れの大槍を振るう男は、4メートルもある得物を手足の一部のように扱い、どれだけ深い木々の中でも微塵も動きを損なっていない。 さらに、常識外れの大槍を普通の槍と同じように扱う男に対し、間合いの面で大きく差を付けられた巨漢は先程から何度も攻撃を受けている。 しかし一撃一撃が致命傷である大槍の一撃を何度受けても巨漢は倒れず、その身体には傷一つ出来ていない。 どれだけ大槍を受けようとも巨漢は間合いを詰めるため、前へ前へと突き進む。 「これだけ攻めても崩せんとは……改めて厄介な奴だと言わざるをえんな、“青”のランサー」 「もう終わりか? “白”のランサー。もっと俺を滾らせろ、俺を湧かせろ、俺を楽しませろ!」 やや表情の険しい“白”のランサーと比べて、“青”のランサーは喜色を隠しもせずに笑っている。 どれだけ攻撃しても無傷の敵を相手に決め手を見いだせない“白”のランサー。 傷こそ負っていないものの、自分の槍の間合いまで進みきれない“青”のランサー。 一見膠着状態にある両者だが、この戦いの趨勢を決めるのは彼らではなかった。 「情けない話だが、俺がお前を倒すにはマスターたちに頼るしかないようだ」 「……ふん、俺の命運を俺が決められんとは、我がことながらつくづく厄介な呪いだ」 “白”のランサーの言葉に“青”のランサーは僅かに顔をしかめた。 すでに真名と宝具の割れている“青”のランサーに対し、“白”のマスターたちは何人かでその対策に乗り出していた。 そして“青”のマスターたちもそれに対抗策を講じており、今頃は両陣営のマスターたちで戦闘が始まっていることを、両ランサーは知っている。 「まぁ嘆いたところで今さら何も変わらん。 それよりも仕切り直しだ、“白”のランサー!」 「そうか、ならば来るがいい、“青”のランサー!」 身を屈め、突撃態勢に入る“青”のランサー。“白”のランサーも槍を構える。 どちらもマスターたちに自分の命運を預けているのは同じだが、自分の力でも状況を覆せる“青”のランサーと、マスターたちを信じて戦い続けるしかない“白”のランサー。 似て非なる両者の戦いが再び始まった―――――― ∞ ∞ ――戦場を挟んで2人の戦士は向かい合っていた。 12騎のサーヴァントが入り乱れて戦う中、彼らだけは最初からその場を一歩たりとも動かず睨み合っている。 両者の距離はおよそ5㎞。サーヴァントの視力でも相手を捉えることが難しい距離だが、共に『千里眼』のスキルを有する、“白”と“青”のアーチャーには、相手の一挙一動が具に見えていた。 互いに視線を合わせて弓を引き絞り、何時でも放てる状態でありながら、彼らは不動の姿勢を崩さない。何故ならば、彼らの一矢は放てば確実にこの『大戦』を左右する一撃であり、例え1対7からでも趨勢を覆す可能性を秘めているからだ。 ここでその真名と共に矢を放てば、間違いなく敵を味方ごと焼き尽くし、この戦場のみならず周囲の広大な森林すらも焦土へと変える。さらに彼らが気兼ねなく放てるのは1射のみ。2射目からはマスターの生命を秤にかけなければならぬ程に彼らの『宝具』は魔力を必要とする。 そして“白”/“青”のアーチャーが放つ矢を迎撃できるのも“青”/“白”のアーチャーのみ。故に両者は終始互いに牽制し合っていた。 この総力戦において、単騎で趨勢を傾けることが可能な“白”と“青”のアーチャーは敵の最大火力への抑止力として戦闘に加わっている。そう、遥か先の相手に弓を向けているだけであろうとも、彼らは確かに戦っていた。 だがまだ“白”/“青”のアーチャーは動かない。戦線が拮抗している今動くのは早計だ。いずれ必ず拮抗は崩れる。その時こそが彼らの仕掛ける時。 その一撃でそのまま勝負を決めるのか、またはその一撃で趨勢を塗り替えるのか―― (好機は必ず訪れる。そこに我が全てを賭けて射る……) “青”のアーチャーは精神を研ぎ澄ましその瞬間を待つ。 (どんな状況でも俺が流れを作る。だから頼んだぞ、みんな!) “白”のアーチャーは引き絞る弓に更なる力を込めた。 両雄はただ、やがて訪れるその時を待ち続ける。 ∞ ∞ ――その2人の空中戦は熾烈を極めていた。 『宝具』に騎乗した“白”と“青”のライダーは猛烈な速度で空を翔けながら、互いに接戦を繰り広げる。 「ったく、さっさと墜ちてくんねぇかなぁ!」 真紅の馬に乗った青年が悪態を吐く。 「出来ぬ相談だ。そして落ちるのはそちらが先だ」 空飛ぶ船に乗った女性が厳かに言い返す。 「あーはいはいはい、そーですかっと!」 青年が手にした剣を船に向けて放り投げる。すると剣はそのまま船を操る女性目がけ、まるで追尾機能を備えたミサイルの様に猛然と飛んでいく。 「無駄だ」 女性の一言で、船が一瞬にして速度を大幅に上げ、最新の戦闘機でも不可能なアクロバティック航法を披露し、飛来する剣を回避した。帆を張った海上の乗り物とはとても思えない動きである。 だがしかし、目標を外れた剣はそのまま忽然と姿を消し、まるでその動きを読んでいたかのように回避した船の正面数百メートル先に瞬間移動した。 「ちっとばかし位置はずれたけど、まぁ誤差の内だろ? これでサヨナラ間違いないでしょ、“白”のライダー!」 青年が叫ぶと同時に剣は再び猛然と“白”のライダー目がけ猛然と疾走する。数百メートルあった距離が一瞬にして詰められる。 対する“白”のライダーは、まるで船にでも命じているかのように囁く。 「風壁、展開」 直後、船首に風が集まった。目に見えるほどに圧縮され渦巻く空気の壁は、真正面からぶつかってきた剣を簡単に弾き飛ばされた。 「はぁ!? ざけんなよ、マジかよ、ずりぃっつーの!」 喚き散らしながらも、青年は真紅の馬を走らせ弾かれた剣を回収する。 「騒々しいぞ、“青”の騎兵」 船と馬を停止させ、“白”のライダーと“青”のライダーが対峙する。 「けっ、お高く気取りやがって……見た目は良いけどアンタ絶対生前は独り身だっただろ」 「汝が卑俗なだけであろう。そして言い掛かりは止めよ」 「へいへい、そりゃすいませんね。つーかアンタのような女選んだ男って誰だよ? マジで気が知れねぇ!」 「安い挑発だな。卑な性格は元からとしても、その三文芝居はいつまで続けるつもりだ?」 “白”のライダーが強い眼差しで見据えると、“青”のライダーは一瞬虚を突かれたような表情をして、 「――なんだ、バレてたのか」 口元を吊り上げ、どこまでも愉快そうにニヤリと笑った。 しかし眼は微塵も笑っておらず、声色も陰湿な響きを孕んでいながらまるで空々しかった。 「嫌な目だ。己が為にだけ力を振るう者の顔だな」 「毛嫌いするなよ“白”のライダー。僕はアンタみたいな女は大好きだぜ? その澄ました顔を見てると、抗えない力でもって屈辱に歪めてみたくなる……ククッ、その時アンタはどんな声で哭いてくれるのかねぇ?」 「そんな時は来ぬよ、“青”の騎兵。汝は妾が討ち果たす」 「やってみなよ。けどその無駄にデカいだけの宝具をいつまで使い続けられるかな? 宣言してもいい。アンタとアンタのマスターは必ず僕の前に這い蹲らせ、身も心も消尽させてやるよ!」 「汝の声は聞くに堪えぬ。閉口せよ」 かくして再び宙を渡る船と、天翔ける神馬の空中戦が始まった。 ∞ ∞ ――彼女たちの戦いは聖杯を求めるものではなかった。 生前の償いのため、マスターに尽くすことを目的とし現界した“白”のキャスター。 自分に代わり“彼ら”を助けてくれたマスターのため召喚に応じた“青”のキャスター。 属する陣営は違えど、2人は何よりもマスターを守護することを優先し、この『大戦』を戦ってきた。 だが、現在彼女たちのマスターはどちらも危機に瀕していた。 片や致命傷に近い傷を負い瀕死の重傷。片や長年の法外な負担が心身を蝕み狂死寸前。どちらの命も風前の灯だった。 むろん彼女たちはすぐさまマスターの治療を優先した。だが彼らは共にそれを拒んだ。どちらも自分の命より、この『大戦』における勝利のための行動を彼女たちに優先するよう、頼んだのである。 当然彼女たちはその頼みを断った。するとあろうことか、2人のマスターは令呪を使って“白”と“青”のキャスターにそれを命じた。 絶対の命令に縛られた彼女たちは令呪の命に従い、さしあたって目の前の敵である相手方のキャスターと戦闘を続けている。 「~~~~~~~~!」 “白”のキャスターの詠唱が物理的な破壊力すら備えた呪いの塊を放ち、無数の死霊が襲い掛かる。 「――――――――!」 “青”のキャスターの詠唱により放たれた雷が呪いを焼き、魔力を帯びた周囲の木々が兵となり死霊を迎え撃つ。両者の実力は伯仲。一進一退の攻防が先程から続いている。 だがそれではいけない。双方のキャスターの胸の内を焦燥が掻き毟る。 戦いが長引くほどにマスターの魔力は消費され、一刻も早く治癒を施さなければどちらのマスターも命はない。 しかし令呪で命じられた彼女たちには、最低でも目の前の相手を倒さなければマスターの下へ向かうことすら叶わない。もどかしい気持ちばかりが膨れていく。 それでも今はただマスターのために“白”/“青”のキャスターは立ち塞がる相手を倒すべく、その力を行使するのだった。 ∞ ∞ ――その戦いはどちらにとっても不本意なものだった。 業腹なことに『暗殺者』のクラスなどで現界してしまい、他人を使って下々の兵を動かすのが本来の戦い方だというのに、 よりにもよって戦場などという野蛮な場所の前線に自分が立って戦わなければならない悪夢に、“白”のアサシンは心底嫌気が差していた。 せめてさっさと終わらせようと数で攻めても、“青”のアサシン――東洋の島国特有の剣と服装の男――に彼女が生み出した蛇たちの攻撃は掠りもしない。 時間の経過に比例して“白”のアサシンは憤懣だけを募らせていた。 「あぁもう、なんでアタシがこんな処に出て来なきゃいけないのよ!? てかそこの髭面のむさ苦しい男、さっさと倒れなさいよ」 “白”のアサシンががなる。 「……」 “青”のアサシンは我関せずとばかりに、殺到する蛇の群れを相手にしている。 仮初であろうとも現世に再び立ち剣を振るうことが叶い、異なる時代、遠い異国の武芸者と剣を交える機会を得たにも関わらず、 先程から斬り捨てているのは武の理はおろか剣を振るうこと意味のさえ解さぬ蛇の群れ。せめて蛇を操る敵が武や軍略あるいは兵法に通ずる者であれば、まだ手慰みぐらいにはなったかもしれない。 だが“白”のアサシン――褐色の肌をした美しい女――にはどちらも望めなかった。 彼女は明らかに戦いの素人、只々斬り捨てた端から次の蛇を生み出し襲い掛からせるだけ。戦術も戦略も無い数による力押し。“青”のアサシンが求める、武芸の技を競い合う立ち合いから最も遠い戦いだった。 (無常なり……) 背後から襲ってきた2メートルを超える大蛇を、“青”のアサシンは振り返りもせずに両断する。 すると急に辺りの蛇が動きを止めた。 「あぁもうじれったい、いい加減にしなさいよ!」 見ると“白”のアサシンが手に持つ短剣からこれまでにない魔力が溢れ、刃の先から勢いよく流れ出る毒液が瞬く間に巨大な蛇になっていく。 やがて現れたのは全長10メートル、体幹1メートル、そして身体の中程から頭が9つ生えた大蛇だった。 「面妖な……」 僅かに驚嘆の声を洩らす“青”のアサシンに“白”のアサシンは高らかに笑う。 「あなたも気の毒ね、さっさと死んでいればもう少し楽に逝けたのに」 だが―― 「しかし、漸く手応えのありそうな相手が出たな……」 例え相手が武芸者でなく物の怪の類であろうとも、それが戦ったことのない手応えのある相手ならば、“青”のアサシンにとっては本気で剣を振るうに値する。 「“白”のアサシン、砂の国の媛君。これより先は武道の上の立ち合いゆえ、遅ればせながら名乗らせて頂く。 某は新免武蔵。此度の聖杯大戦において“青”のアサシンの座を預かりし者。 武門の生まれに非ず、武の心得無き女人を手に掛けるは不本意故、この朽縄の化生と某の勝負を我ら“アサシン”の勝敗にしたいと考えまするが、如何に?」 「……へぇ、ただの小兵かと思ったけど少しは礼儀を知っているじゃない。 でもそれは無理ね。マスターからの指示と約束でね、あんたにはここで死んでもらうし、私は負ける気が無いもの」 「では致し方なし。気は進まぬが御身を――斬る」 「やれるものならね――!」 多頭蛇が鎌首を擡げ牙を剥く。 二刀使いの剣士が疾駆する。 謀略の暗殺者と侍の戦いはここからが本番だった。 ∞ ∞ ――2匹の獣が暴れまわる。 “白”と“青”のバーサーカーの戦闘は、激しさの衰えぬ暴風となって周囲を破砕する。 「Μ■χη! Μ?■η!! Μ?χ■!!!」 “白”のバーサーカーが猛る。 薄っすらと青く輝く鎧を身に着け、血走った眼を見開き、時折聞き取れない音を混じらせた同じ言葉だけを繰り返し叫びながら槍を振るう。 「■■■■■■■■■■■ーーーー!!!」 “青”のバーサーカーが吼える。 その姿は灰色の体毛に覆われた人狼。理性の残らぬ瞳と、言語として成立していない獣の咆哮を轟かせ、紅蓮の炎が刀身を覆う剣を力任せに振り下ろす。 この2騎の戦いに説明など不要だろう。どこまでもひたすらに目の前の敵を殺す為だけに、狂気に任せて武器を振るう。もしも邪魔者が割って入れば誰であろうとたちどころに噛み砕く。ただそれだけ。 限りなく原始的でシンプルな戦いの嵐は、当分治まりそうにはなかった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― U-1対策機関、通称『大学』。 彼らは組織の仇敵たる超越存在を根絶やしにする手段として、万能の願望器『聖杯』に目を付け聖杯戦争の再現を目論んだ。 それも昨今世界中で行われ始めた小規模な亜種ではなく、冬木の聖杯戦争の完全なコピーを目指したものだった。そのため大学は別の組織や魔術師たちと協力し、長い年月をかけて聖杯を完成させ、儀式の再現まであと一歩と漕ぎ着ける。 だが、そんな矢先に事件は起こった。 完成した聖杯が儀式の地、日本の水佐波市に移送する途中で奪われてしまったのである。 聖杯を奪ったのはナチス残党組織『グラズヘイム』。 グラズヘイムは密かに大学の関係者や、儀式の再現に大きく関わった南米の部族『アストラン族』と結託し、独自に聖杯の使用を目論んでいた。 すぐさま大学は対策チームを結成し、グラズヘイムと協力者たちが拠点としている南米の遺跡へと向かわせる。 しかし、チームは1人を残し部族最強の戦士と彼の連れたサーヴァントによって壊滅。止むを得ず魔術協会に応援を要請し、新たに人員とサーヴァントを加えたチームは再び遺跡へと向かう。 対するグラズヘイムやアストラン族も独自にマスターを揃え、迎撃態勢を整えていた。 ルーマニア、トリファスにおける“大戦”より2年。 南米の小国、サミナバ共和国で再び『聖杯大戦』が始まる。 これはもう1つの外典、例外の聖杯戦争。 汝ら自らを以て大戦を勝ち残れ。 Fate/Exception ‐the Another File Apocrypha‐ ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ――――――――――――――――――――――――― ――――――――――――――――― ―――――――――― ―――――― ――― ― 「やはり、考えを改める気はないのですか?」 今は彼女と呼べる存在が問いかける。 「無論だ。元より人を殺す存在である我らが人の争いの管理役など、あまりに矛盾している」 彼であり彼らである存在が答える。 「では貴方はどうするのですか?」 「知れたこと、我が本分を行うだけだ。未だ“赤”と“白”さえも出現していないが、始まっていないならば我が始めるだけのこと。 人の造りし聖杯を用いて7つの封印を解き、我が同胞たる3騎と地上を支配し、与えられた権威を以て人に死を振り撒く。 そして――」 「そんなことはさせません、貴方の願いは私が阻みます」 「……やはり理解できんな。自己を持たぬ汝が何故人に荷担する。 憑依した人の性質に引かれたか?」 「それは貴方も同じでしょう。 例え借り物で紛い物でも、今の私はこの意思を尊重しこの想いが間違っているとは思いません。そして貴方が正しいとも」 「では我も汝を否定しよう。天の力の一端として生まれながら、人に形(いのち)を与えられ、人の概念に劣(おと)された現象よ」 「役目を放棄し、聖杯大戦を妨げようとする貴方を私の権限において排除します、“青”のルーラー!」 「無駄だ、人を依り代とするが故に汝が我を滅ぼすことは不可能だ。我が汝を滅する、“白”のルーラーよ」 ――そして“2人のルーラー”は激突する。 『聖杯大戦』は誰も知らないところで、静かに運命を変えていく――――――――――――― ……to be Continued CHARACTER ネザファルピリ・アストラン 『アストラン族』最強の戦士。“白”のバーサーカーのマスター。 聖杯戦争を戦士の神聖な儀式と考えているが、自分以外のマスターが女子供や戦士と呼べない者しかいないので基本的に単独で行動している。 実戦経験が無かったり、戦闘向きの魔術師がいない“白”のマスターの中では唯一の武闘派で最高戦力。 強者との戦いと戦士としての名誉ある死を望んでおり、聖杯に興味は無い。 “白”のバーサーカー ネザファルピリと契約した狂戦士の英霊。 狂化のレベルはさほど高くないが、元より思考の殆どが戦うことに固定されており、どこまでも戦いを求めている。 宝具である灼熱を発する鎧は、ネザファルピリの意向により令呪で出力を抑えられている。 ヒルデガルト・フォン・ノイエスフィール 『グラズヘイム』所属の魔術師でノイエスフィールのクローン。“白”のランサーのマスター。 以前は自己が希薄だったが、上官だったヴィーダーによって自分を確立した。 同世代の女性マスターやサーヴァントたちとの、組織的な上下関係のない接触や交流の機会を得たことで、組織ではなく自分の願いのため聖杯を求めるようになっていく。 “白”のランサー ヒルデガルトと契約した槍の英霊。 義と人情に篤い戦士であり、愛妻家にして恐妻家。“白”のセイバー、アーチャーとは魂の同志らしい。 生前の死に方から蛇と相性が悪く、“白”のアサシンを苦手としている。 前妻に似ているヒルデガルトを気に入っており、彼女のために槍を振るう。 ヴァージニア・オブライエン 『大学』所属の魔術師。“白”のセイバーのマスター。 元々は大学で講師もしていたが、魔術刻印と共に受け継がれる一族の呪いを払拭するため、大学を離反しグラズヘイムに協力する。 先祖の起こしたジャガイモ飢饉に責任を感じており、自分の力を社会の役に立てるという信念を抱いている。 ルイス・ローウェルとはちょっとした事情のある間柄。 “白”のセイバー ヴァージニアと契約した剣の英霊。 主に忠誠を尽くす高潔な騎士。重度の愛妻家。“白”のランサー、アーチャーとは魂の同志らしい。 極端なフェミニストであり女性が戦うこと、それ以上に女性が戦いで傷つくことを嫌い、“白”陣営の女性マスターや女性サーヴァントが前線に出ることにも難色を示す。 時折「アーサー王は女の子だった」、「あんなにかわいい王が男のはずがない」など、意味不明な発言をする。 セシリア・フォースリング 封印指定を受け逃亡中の魔術師。“白”のアーチャーのマスター。 逃亡生活をしていたところにグラムヘイズが接触し、協力を条件に匿われている。 幻想種と混じった身体の維持に加え、大英雄で燃費の悪い宝具を使うアーチャーを召喚してしまい、普段は魔力供給のため遺跡の中に陣を敷いて引き籠っている。 魔術師としては“白”陣営で頭一つ抜けた存在であり、本人の意に反して一部からは信頼されており、渋々ながらその手腕を振るう。 “白”のアーチャー セシリアと契約した弓の英霊。 薔薇色の瞳をした熱い男。弓だけでなく魔術や肉弾戦もこなす英雄。 愛妻家であり、“白”のセイバー、ランサーとは魂の同志らしい。 かつて妻を疑ったことを今でも反省しており、基本的に人を疑うことをしない。 ランサーの宝具に触発され、セイバー共々宝具の真名開放に妻の名前を追加した。 ハンス・ヘイムダール セシリアの弟子で介護人。“白”のキャスターのマスター。 以前に瀕死の重傷を負って死にかけた際、セシリアに触手を融合されて一命をとりとめ、それ以来彼女と共に行動している。 家に帰りたいとは思っていない。 「一般人」としての自分は死んだものと考えており、「魔術師(見習い)」として生きて死ぬことを決めている。 “白”のキャスター ハンスと契約した魔術師の英霊。 生前の悪行を悔いており、贖罪のため自分を召喚したマスターに尽くすことを目的としている。 根っからの魔女気質であり善行や物事を平和的に解決することが出来ないが、本人に悪気はない。 それでも無理に善人であろうと頑張るが、付け焼刃なので切掛けさえあれば簡単に本来の性質に戻る。 ハンス以外の他人とは目を見て会話できず、話してもすぐに吃る。 御子上紗月 『大学』に協力する御子上家の魔術師。“白”のライダーのマスター。 幼い頃に両親を亡くし御子上家に引き取られた過去を持ち、両親の形見ともいえる魔術刻印を当主である義父から譲り渡してもらうために密約を交わし、 表向きは御子上家を離反したとしてグラズヘイムに協力している。 実戦経験の無いことと自身の貧弱な魔力量がコンプレックス。 “白”のライダー 紗月と契約した騎兵の英霊。 高貴な雰囲気を醸し出す和服の美女であり、“白”のサーヴァントたちのまとめ役。 マスターの紗月を気に入っており、何かと面倒を見ている。 聖杯を勝ち取る事よりもマスターたちを生き残らせることを優先しており、時折そのことで軋轢が生まれることもあるが、本人は信条を曲げない。 紗月を中心とした御子上家の問題については薄々勘付いており、その危うさを心配している。 グァルティエロ・アルベルティーニ 『大学』に協力するアルベティーニ家の魔術師。“白”のアサシンのマスター。 自分の願望を遂げるため、実家を離反しグラズヘイムに協力する。 遺跡内に大量のパスタを持ち込み仲間に振る舞っている。 どの女性にも一度はアタックしているが、本命は自分のサーヴァントであるアサシンであり、本気で恋慕している。 “白”のアサシン グァルティエロと契約した暗殺者の英霊。 絶世の美女であり、王族らしく気位が高い。 他のサーヴァントやマスターと必要以上に接しないが、サーヴァントたちの実力は認めている。 やたらと口説いてくるグァルティエロを表向き拒絶しているが、身分や利権に関わらず純粋に好意を寄せてくれている彼を内心は気に入っている。 生前のことから真っ当且つ幸せな恋愛をしている者が嫌いで、特に自陣の3騎士には嫉妬と羨望の入り混じった感情を抱いている。 藤尾渦正 “時計塔”の一級講師にして執行者の肩書を持つ魔術師。“青”のセイバーのマスター。 他人の魔術刻印を芸術的視点からコレクションしており、『聖杯大戦』には数年前から追っていた魔術師(刻印)を追っている途中で偶然令呪を宿し、仕事と実益を兼ねて参戦する。 根源、派閥、次代への魔術継承といった一般的な魔術師の常識などに一切興味が無く、良くも悪くも自分の楽しみだけを追い求める。 講師でありながら顔と人脈は時計塔内よりも、フリーランス賞金稼ぎや僻地に隠れ潜んでいる魔術師たちの方が広く、信用もある。 “青”のセイバー 渦正と契約した剣の英霊。 筋骨逞しい剛力無双の大男。生粋の兄貴肌。 腹一杯飯を食い、美味い酒を呑み、良い女を抱き、血の滾る戦いが出来れば聖杯は要らないと豪語する男らしい性格。 しかし戦いが密林のサバイバル戦であり、“青”陣営の少ない女性陣が揃ってセイバーを相手にしないため、既に願いの半分以上は挫折気味。 そして変わり者のマスターには振り回され続けるなど、傍目には色々と気の毒な人物。 ルイス・ローウェル 『ガンスリンガー』の二つ名をもつ『大学』所属のモンスターハンター。“青”のキャスターのマスター。 長年人類の敵と戦い続けており、何度も死線を潜り抜けた生粋の猛者。 その代償として現実と臨死体験の区別がつかなくなってきており、この『聖杯大戦』が自分の最後の戦いになると悟っている。 ヴァージニア・オブライエンとは過去にちょっとした経緯を持つ間柄。 “青”のキャスター ルイスと契約した魔術師の英霊。 黙っていれば美しく神々しい慈愛に満ちた聖母だが、口を開くと途端にイメージが崩れる。自称「マジカル☆聖女」。 以前ルイスが助けたアメリカの先住民族から送られた「ある物」を触媒として召喚される。『聖杯大戦』の行く末よりもルイス個人を気に掛けている。 例え命を狙ってくる敵であろうとも決して自分からは命を奪おうとしない、ある意味サーヴァントの根底を覆すような存在。 黒雲霞 中国軍部の特殊工作員で魔術師。“青”のアーチャーのマスター。 軍の命令で『時計塔』の内情を探っているが、実際は二重スパイで『時計塔』上層部に国内の魔術組織や軍の動きをリークしている。 両組織からの命令で『大学』への応援と『聖杯大戦』の調査で現地入りした際に令呪を宿し、マスターとなる。 自分では気づいていないが破滅願望があり、分の悪い賭けや危険な勝負にも平然と挑む。 “青”のアーチャー 雲霞と契約した弓の英霊。 底抜けのお人好しであり頼まれれば断ることをせず、たとえ結果的に自分を破滅させる頼みでも二つ返事で引き受ける。 そんな性格に興味を持ったマスターから四六時中弄られているが、彼女の内面を見抜いた上でそれに付き合っている。 その来歴が自分に似たルイスとは殊のほか気が合う。 アベル・シボネイ 元キューバ工作員の経歴を持つフリーランスの魔術師。“青”のランサーのマスター。 「生きている」実感を求め、工作員として築いた功績や組織の出世街道に背を向けて野に降り、破格の低条件で仕事を請け負うフリーの仕事人となる。 今回も彼の噂を聞きつけた『大学』に仕事を依頼され、マスターとして参戦する。 同じ死霊術師で、同業として名高いファーティマには一目置いている。 “青”のランサー アベルと契約した槍の英霊。 猛者との戦いを求めるの生粋の戦士。戦闘時はほぼ独断で動く。 マスターたちが纏まりを欠く“青”陣営で、対複数戦ではサーヴァント達のリーダー的な役割を果たす。 運命の三女神に自分の人生を“決められた”ことを不満に思っており、それが高じて他人からの命令や指示を嫌う。 聖杯に託す願いは、自分に掛けられた呪いを払拭すること。 菅代優介 日本の水佐波市を管理している魔術師。“青”のアサシンのマスター。 彼の知らぬところで父親が『グラズヘイム』と協力していた事が原因で、対策チームに駆り出されてしまう。 重度の物臭にして究極の面倒くさがりであり、なるべく自分が戦わずに『聖杯大戦』が終わることを望んでいるが現状で望みは薄い。 戦闘面ではからっきしなので、裏方や後方支援で“青”陣営をサポートする。 “青”のアサシン 優介と契約した暗殺者の英霊。真名は宮本武蔵。 敵であろうとも、それが「武の立ち合い」であるならば隠すことなく真名を告げる。 サーヴァントとしての自分を、泡沫の夢のようなものと言い切り、1人でも多く異国の英雄豪傑と立ち合うことが目的。 場合によっては“白”だけでなく“青”のサーヴァントたちと一戦交えることも視野に入れており、そのことを公言して憚らない。 ファーティマ・アブド・アル・ムイード 没落した魔術の名家に生まれた、天才と呼ばれる死霊術師。“青”のライダーのマスター。 前当主の父がお家再興のために『大学』に協力しており、その縁で対策チームに抜擢される。 死体を大事にするファーティマから見て、死体を使い捨てのパーツや魔術道具として扱う傾向の強いアベルはあまり好きではない。 生者に興味は無く、自分のサーヴァントのライダーにも深く干渉せずにおり、それ故彼の剣呑さを見逃している。 “青”のライダー ファーティマと契約した騎兵の英霊。 卑俗で英雄としての品性に欠けた青年。しかしどこか超然とした雰囲気を醸し出す。 ファーティマと“青”陣営の勝利のために戦っているが、本心は別にあり裏で色々画策している。 敵味方問わず一部のマスターやサーヴァントから危険視されているが、本人はそれすら楽しんでいる。 無道 己を高めることのみを求める破戒僧。“青”のバーサーカーのマスター。 試練を求めサミナバ共和国を訪れていた折、当初『時計塔』から正式に派遣されていた魔術師を殺し、マスター権を奪った。 『聖杯戦争』のことは噂で聞き知っていたが、自分が関与したのが『聖杯大戦』だとは知らず単独で戦いに臨む。 “青”と“白”のどちらにも属さず、出会ったマスターとサーヴァントに無差別に攻撃を仕掛ける。 “青”のバーサーカー 無道と契約した狂戦士の英霊。 全身を灰色の体毛が覆う人狼。炎の剣を使う。 狂化により理性を失っており、無道と共に凶行を繰り返す。 “白”のルーラー 聖杯戦争を監督する統治の英霊。 とある少女に憑依する形で現界しており、本来は善悪の概念を持たない性質だが少女の性質に引かれ、善に傾いている。 無関係の人間から犠牲が出ることを善しとせず、戦争の運営よりも人命を優先するが、違反者は実力行使で排除する傾向が強い。 事情によりルーラーとしての能力や特権は、ルーマニアの聖杯大戦に現れたルーラーよりも劣っている。 “青”のルーラー 聖杯戦争を監督する統治の英霊。 とある男に憑依する形で現界しており、本来は“その時”が来たら使命果たすだけの存在だが男の性質に引かれ、我欲が内面に生まれている。 表向きは機械的かつ公平に戦争の運営を行いつつも、自分の目的のため聖杯を使おうとする。 事情によりルーラーとしての能力や特権は、ルーマニアの聖杯大戦に現れたルーラーよりも劣っている。 白 剣:イウェイン 槍:ラグナル・ロズブローク 弓:ラーマ 騎:神功皇后 魔:チャロナラン 暗:クレオパトラ 狂:ディオメディス 統:冬将軍 青 剣:フェルグス・マック・ロイ 槍:メレアグロス 弓:羿 騎:スキールニル 魔:プテサン・ウィ 暗:宮本武蔵 狂:ジグムンド 統:ブラックライダー ――――――――――――――――――――――――――― 以上です。 Apocryphaが面白かったんでカッとなって書いた。今は反省している。 鯖とマスターは個人的に好きなのや動かしやすそうなのを選び、ストーリー的に夏海とみことが入る余地なかったんで、3次からマスターを引っ張ってきました。 「CHARACTER」は思いついた順。とりあえず設定だけ。 本編も書けたら書きたいと思っていますが、設定とか整合性とか矛盾とか深く考えずに書いたんで本編やるときはどっかしら変わっているかも。 ……しかし、脳内のキャラ設定なんていらなかったですかね? そしてごめんなさい。 「Zero Another」も終わってないのに別の物書いてました。 年内には何とかする予定なんで、もう暫くお待ちください。