約 487,937 件
https://w.atwiki.jp/kakinoki/pages/11.html
――時は平成の世。 今は昔、闇の中で跳梁跋扈していたアヤカシも、ネオンサインや電灯煌く往来には姿を現さなくなりました。 では、アヤカシはいなくなってしまったのでしょうか? いえいえ、そんなことはありません。 人の心に闇ある限り、彼らは虎視眈々と我々を狙っているのです。 しかし、ご安心ください。 夜の訪れと共に、彼女らはきっと姿を現すでしょう。 日常の中の非日常。 この物語は、心に光を宿し、闇に身を置く少女達の物語―― 登場人物(ホーリーメイデンズ) 詳しい設定は、こちら(ネタバレ注意) ホーリーメイデンズ1 ホーリーメイデンズ2 ホーリーメイデンズ外伝? ホーリーメイデンズ番外編? 花子の悩み相談室
https://w.atwiki.jp/kakinoki/pages/134.html
――時は近未来。といっても、街並みは今の世とほとんど変わらない。街には巨大な鏡のようなビルが所狭しと立ち並び、人々は蟻が地を這うようにせわしなく往来を行きかう。アニメ版GTO後期オープニングよろしく、車もしばらく空を走ることもなさそう。 大きな相違点を挙げるとすれば、それは「メダロットの」存在だ。 「メダロット」。それは、人工知能である「六角貨幣石(メダル)」を搭載した、全く新しいロボットである。ティンペットと呼ばれる基本フレームに様々なパーツを組み合わせることによって、無限の可能性を秘めている。 巷では、この「メダロット」同士を戦わせるロボットバトル、通称「ロボトル」が老若男女問わず流行している。今やメダロットは、人間のよきパートナーとして、携帯電話のような必需品と化したのだ。 登場人物(メダロットM)? Episode1「鷹栖斗的は静かに暮らしたい」 Episode2「二人揃ってツンデレンジャー」? Episode3「覗いてんじゃねーよボケ!!」? Episode4「この小説、ぶっちゃけ眼鏡率多くない?」? Episode5「ファミレスに勉強道具持ち込むと嫌な顔される」? Episode6「霧の童話」?
https://w.atwiki.jp/kakinoki/pages/143.html
第13話 伝説の魔術師と取引 ~北アメリカ地方~ 北アメリカ地方の深夜の住宅地。家族が住む家にカフェなどが数多く建てられているこの場所に酒を飲みすぎて酔っ払いながら自分の家に向かう男がいた。 彼がふらつきながら歩道を歩いていると誰かにぶつかった。ぶつかってきたのは彼なのに彼はぶつかった人物を怒鳴りつけようとした。 その瞬間、彼の上半身と下半身は血を多く噴出しながら真っ二つに分かれた。その人物こそ狂戦士である。 男を切り裂いた狂戦士はいやらしく笑い、北アメリカ中に聞こえるかの如き咆哮をあげ、近くの住宅地に住む人々を強制的に起こし、家から出てきた人々を無差別に切り殺しにかかった。狂戦士は北アメリカ地方を横断しながら虐殺をし始めた。 一人、また一人。狂戦士の刃の餌食となり血を噴出し、その生涯を終わらせられる。小さな少年の生涯でさえも・・。 あるときは人がひっそりと住んでいるところで虐殺をし、大都会で大量の人々を殺し、虐殺は止まることを知らない。 数十万と言う死体をつくり、アメリカの首都に狂戦士がたどり着き、ここでも虐殺が行なわれると狂戦士の虐殺を命からがら逃れて生き残ったものは思った。虐殺を見たものは誰もがこう思ったはずだ。 この虐殺を止める、英雄が現れはしないかと・・・。 その時、人々の思いは天がききいれた。 狂戦士の目の前には何処からあわられたのか、180センチはある背に、白き長髪の髪、自分の身長ほどある白き杖、白きマントを被った老人がいた。 「還るがいい・・悪魔の狭間を生きる未完成の生物よ・・・」 老人がそう言い、杖で地面をコンッと叩いた後、狂戦士を吹き飛ばす数十体の真っ白の騎馬隊が現れた。白き騎馬隊は狂戦士と共に海目がけて走り出した。 「時間は稼いだ。後は任すぞ。強き若者よ・・」 そうつぶやくといつの間にか老人か消えていた。 人々は思った。あの老人は天が作り上げた、英雄だと・・・ ~シンガポール・ホテル地下~ 英雄が狂戦士を退治した頃、ラックは『デット・クロス』の在り処を知るオーガン・ザラスと目を見合わせていた。オーガンが話し出した。 オーガン「ようこそ、若者・・いやラック・ブレイス。私は表はアジアの麻薬密売人、裏はこのシンガポールを守るハンターのオーガン・ザラスだ」 ラック「そんな堅苦しい挨拶はいいし、つまむ物も飲み物もいらない。用件だけを言う。こんなホテルごと自分のアジトにしたやつとそう長く話したくない」 オーガン「用件はわかる。我が祖先が残した『デット・クロス』についてだろ?」 ラック「ああ。『デット・クロス』はこれから起こるかもしれない戦争を無くすことができる唯一の武器だ」 オーガン「それは好都合だ。私はあの代物をもう少ししたら密売人に高値で売ろうと考えていたところだ。よかった、取引をしてくれる人物があわられた」 ラック「交渉成立か?」 オーガン「だが、祖先が残した代物だ。易々と渡すのも癪だ。そこで、それ相当の価値があるものと交換だ」 正彦がオーガンに対する殺戮衝動を必死で抑えている時、ラックは少し考え、ポケットから数枚の紙をオーガンに渡した。 オーガンが紙に書かれている内容を見ると、その紙を折り、自分のポケットに入れた。 その動作を確認すると、ラックが語りだした。 ラック「それに色をつけて100万$を渡す。どうだ?いい話じゃないか?」 オーガン「・・・・いいだろう。ラックよ、お前は若いが悪人との取引をわかっているじゃないか」 ラック「そりゃどうも」 交渉が終った瞬間、地下に息を切らしてやってきたバクスとゲッシュが地下の扉の前にいた。 ラック「お、バクス。どうしたんだ?そんな忙しく来なくても交渉は無事に・・」 バクス「兄貴、最悪だ」 ラック「え?」 バクスとゲッシュは急いでラックと正彦のもとに来て、新聞を2人に渡す。 ラックが新聞を見ると、顔が青くなり、持っていた新聞を落とした。正彦もそれに似た状態になった。 ラック「・・なんてこった・・。狂戦士の虐殺はついにアメリカまで・・」 正彦「世界を・・・無にするつもりか?」 バクス「事態に気がついたみたいだな。それと交渉は終ったみたいだな?オーガンさん、早速ですが・・」 バクスが続きを言おうとしたが、オーガンはバクスの目の前に小さな黒い箱を渡した。 オーガン「約束の代物だ。お前ら次第でこの世界の運命が変わるぞ」 ラック「この惨劇を終らすのはただ一つ。ヴァンサーは命を懸けて作り上げた『デット・クロス』と言う名の狂戦士の心臓を、破壊することだ」 オーガン「破壊できたら・・な・・・」 バクス「え?」 オーガン「独り言だ。さぁいけ」 ラック「ああ」 そう言うと、4人は急いで地下から出て行き、ホテルを走って出て行った。 オーガンはラックからもらった紙を見た。その紙には麻薬の取引に応じる人物のリストだった。 オーガン「・・・あいつらがやっているのは犯罪に近いな・・。まぁ、あいつらの結果次第で世界は滅ぶか、生存するか。決まるがな・・」 オーガンがそうつぶやくと、オーガンは手下と共に麻薬取引の準備をした。 続く
https://w.atwiki.jp/kakinoki/pages/73.html
「押しかけ妹は突然に(冒頭)」 「押しかけ妹は突然に(壱)」 「押しかけ妹は突然に(弐)」
https://w.atwiki.jp/kakinoki/pages/148.html
――――刹那。 響く銃声。 そして、乾いた炸裂音。 「…………へ?」 一瞬、斗的は何が起こったのか理解できなかった。気がつけば、空中から赤い塊が落下し、ネジやらオイルやらを撒き散らしながら転がっている。その塊がヘルフェニックスだと気づくのに、数秒の時間を要した。 目の前のクルミも、斗的と同じようにポカーンと口を開け放っている。どうやら、ヘルフェニックスにとっても予想外の行動だったらしい。 先程の銃声とヘルフェニックスの有様から見て、これは―― 「すげぇじゃん磨智ぉ!! いやぁ、さっきまで苦戦してたのに、一撃で仕留めるとかよぉ!! うんうん、師匠のオレも鼻が高いわこりゃ!!」 都合のいい時だけ師匠面する斗的。先程とは打って変わって上機嫌になり、磨智の肩を馴れ馴れしくポンポン叩く。 しかし―― 「いや……、僕、知らないっスよ……?」 見れば、磨智もクルミと同じように呆けている。 「んじゃあ、シアックの独断か? いやぁ、お前もやるな! マスターの指示無しで行動とか!」 「いやいや、オイラも存じ上げねぇジャン」 「え……? じゃ、じゃあ…………」 しかし、斗的はそれ以上見当もつかない。炎の輪の中にいるのは、自分と磨智、それにクルミとロボロボ団員が5匹くらい。この中で、ヘルフェニックスを機能停止させる理由のあるものはいない。じゃあ……、 「じゃあ、……一体、誰だ?」 その時だった。今まで暑いくらいの光を頬に浴びせていた太陽が、急に雲に覆われた。途端、 (くすっ……) ――炎が消えた―― あれほど盛んに燃え盛っていた炎が、蝋燭の火でも吹き消すかのように瞬時に。 (くすくすくすくす……) まただ。 また、聞こえた。 「だ……、誰だよ……?」 「え? 僕の名前は『成城磨智』17歳っスけど?」 「お前じゃねぇ……――――笑い声だ」 透き通った少女の笑い声。それは炎が消えた時からずっと、斗的の耳の奥にこびりついている。 ……ゴクリ、と斗的の喉が鳴る。一度は止まっていった冷や汗が、再び噴出す。全身に、得体の知れない不気味さが染み渡っていく。 しかし、不気味さはすぐに斗的の中から掻き消える――いや、掻き消されることになる。それは、 再び響く銃声、 「ガッ……っは……!?」 「…………シ……っ」 銃弾に倒れるシアックを目にした磨智の悲鳴、 「シアックッッ!!?」 ……そして、 「くすくす」 斗的の背後からはっきり聞こえてきた笑い声によって。 「――――っ!!?」 刹那、体全体に悪寒が駆け巡る。ロボロボ団なんか比じゃない。安心とか平穏とか、そんなレベルじゃない。もっと根源的なもの、……そう、死そのものを予感させるくらいの ――――圧倒的恐怖。 斗的は声の主から離れるように体を翻し、振り向く。視線の先に佇んでいたのは……中学生くらいの少女。背中まである美しい黒髪と淡雪のように透き通った肌の持ち主で、額の上には六角形の髪飾りを付けている。服は所謂巫女服というやつで、上は純白の白衣、下は闇を湛えるような漆黒の袴。服装とある部分を除いては、小柄な愛らしい少女だ。 ある部分……そう、目を除いて。 一片の光さえ宿さない少女の瞳は、闇の深淵に繋がっているかのような黒だった。血のような紅い唇は静かな笑みを湛えているのに、少女の目は笑っていない。虚ろな瞳で、ただ斗的を見据えている。 斗的は、少女に聞きたいことがたくさんある。少女が何者であるか。少女の目的はなにか。シアックやヘルフェニックスを襲ったのは少女なのか。 しかし、唇を動かそうとしても全く動かない。琥珀に閉じ込められてしまった昆虫のように、ピクリとも。どうやら、磨智やガマン、ロボロボ団の連中も一緒らしい。固まったまま、毛先一本動かす様子さえ見せない。 「…………やっと会えた」 突如、少女が口を開く。と共に右手を上げ、ガマンへ指先を向ける。 響く、三度目の銃声。ガマンは兜の破片を撒き散らしながら後方へ倒れこみ――――地へ背中を付ける。 「ガ…………ッ!!!」 斗的は「ガマンッ!!!」と叫ぼうとするが、言葉にならない。少女の視線が自分に向いたから。蛇に睨まれた蛙という言葉が、これほど相応しい状況もないだろう。聞いた時は「生命の危機なのに、ビビッて動けないのかよ! とんだチキン野郎だな」と笑ってたが……ごめん、蛙。英語に訳したら、I m sorry for the frog. 今まさに、自分は動けない。 「……これで邪魔者は消えた…………あとは、あなだだけよ?」 抑揚のない声で、少女は言葉を紡ぐ。 「あなたには、消えてもらわなくちゃいけない。あいつのパートナーであるあなたは、この世に存在しちゃいけないの」 ――ああ、やっぱりそうか……。 斗的はもう諦めの境地に達していた。 ――母さん、どっかいったクソ親父、松村(飼い犬)……オレは今日、散ります。 ――こんなわけわからん女の体で死ぬのはあれですが、これがオレの運命みたいです。 ――最後に、今日という厄日と愛媛蜜柑を念入りに恨ませてください。 ――んじゃ、さようなら……。 斗的は静かに目をつぶる。それを見て、少女は初めて目を細める。 「くす、潔いのね。大丈夫、苦しまないように殺してあげるから。…………じゃあ、死ん――」 少女が言葉を結ぼうとしたと同時。 「どっせぇええいっっ!!!」 スカートを翻し、ひとつの影が少女にライダーキックをかます。――蜜柑だ。人形のように無機質な表情のまま、少女は地面に倒れる。 蜜柑は斗的を強く抱き締める。悪夢から引き戻そうとする母親のように。 「斗的っ!! しっかりして斗的っ!! ……斗的ぉっっ!!!」 ハッと呪縛から逃れたように、斗的は目を見開く。 「…………み……か、ん……?」 「斗的ぉ……心配だったんだからぁ。斗的がいなくなると思うと、あたし……あたし……」 うるっと目を滲ませ、蜜柑は顔を覆う。 が、斗的は氷のように冷めきった言葉を投げかける。 「……いや、なにやってんのお前?」 「ん、悲劇のヒロインごっこ♪」 覆っていた手の平を開き、蜜柑はにぱっとした笑顔を見せる。相変わらずの蜜柑に呆れ、斗的はへなへなと地面に尻をつける。 「師匠も蜜柑も遊んでる場合じゃないっス!!」 同じく我に返った磨智が、斗的と蜜柑の手を握る。 「シアックとガマンのメダルはばっちり回収したっス!! あとは、さっさと逃げるだけっスよ!!」 「あたしも、ばっちり巫女少女の急所突いたから! 人間なら、数十分は起きられないやつ♪」 怖いやつ。 「セレクト隊がもうすぐ来るはずっス! しかも学校に向かって」 「なぁるほど♪ あたしらが通学路を逆走すれば、セレクト隊と合流できるってわけね♪」 「そういうことっス! さぁ、ロボロボ団や巫女服の女の子が動き出さないうちに早く逃げるっス!」 そう言って、磨智は校門を指差す。そんな磨智に斗的はストップをかける。 「ちょっ、ちょっと待ってくれ!」 「どうしたんスか師匠?」 「いや……、その……」 斗的は口淀み、言いにくそうに下を向く。 「…………腰が抜けた」 途端に、蜜柑と磨智は大爆笑する。 「あーっはっはっはっ!」 「斗的ぉ、あたし斗的ってコメディアンの才能あるなって前から思ってたんだけど!」 「う、うっせぇな馬鹿蜜柑にアホ磨智っ! 仕方ねぇだろ怖かったんだからっ!」 「あはっ……、ごめんっス師匠。じゃあ、お詫びに――」 不意に磨智はかがむと、斗的をひょいと持ち上げる。 俗に言う、お姫様抱っこの体制で。当然、斗的は赤面する。 「ひゃあっ?! なっ……、お、お前っ!! なにやって――」 「仕方ないっスよこの場合! しっかりつかまってるっスよ!」 「お、おぅ……」 ぎゅぅと磨智の首に両腕を巻きつけ、斗的は体全体の力を抜く。 同時に、斗的は心臓が止まりそうになる。先程まで自分達が背中を向けていた方向に、「あるもの」が見えたから。それは、 ――――ぞっとするほど冷たい笑顔を浮かべた、巫女服の少女。 磨智や蜜柑は背を向けているから気づかない。だが、少女は小さく呟く。 「くす……逃げられると思った?」 少女は右腕をゆっくりと上げ、人差し指の先を斗的を抱えた磨智に合わせる。 何故少女が起き上がれたのかという問いは今の斗的の頭にはない。気づいたら、声を上げようとしていた。 「磨と――――」 四度目の銃声。 ギュッと目を瞑る斗的。 ……だが、今度の弾丸は斗的に命中しない。勿論、磨智にも蜜柑にも。斗的はうっすらと目を開く。弾は、 ――――少女の頬をかすめていた。 銃声を聞き、磨智と蜜柑はすでに足を止めて振り向いている。 少女は一筋の紅い傷口を指の先で拭うと、後ろに視線を向ける。 「…………ちぇ、来ちゃったんだ」 いきなりの超展開に、斗的はついていけない。とりあえず、少女と同じ方向に視線をやる。 そして、見出す。銃口から静かに硝煙を立ち上らせながら屹立する、小さな影を。 それは、一体のメダロット。 スカート状の鎧と細身の体系から、恐らく♀型。 ガラス細工かと疑うくらい華奢な砲塔やパーツを持つ一方、体には力が満ち溢れている。 その様は、まさに戦乙女「ヴァルキュリー」を髣髴とさせる。 黄昏に揺らぐ夕陽を思わせるような真紅の装甲。 体のあらゆる箇所を走るオレンジのライン。 額から突き出た角状の小さな砲門は、まるでカブトムシの角。 後頭部からは、透き通った、ひぐらしの羽を思わせるパーツが、流麗な曲線を描きながら背中に向かって伸びている。 大きく、エメラルドを思わせる瞳は、ロボットであるはずの彼女の意志を映し出しているよう。強固で、揺るぎない意志を。 そんな力強いメダロットの目が、生気を感じられない少女の瞳と見事に対比されている。 少女は斗的に再び視線を向けると、 「くす……、命拾いしたね」 とだけ呟く。不意に吹き抜ける一陣の風。砂埃が舞い上がり、石つぶてが斗的の目を襲う。反射的に、斗的は左腕で顔を覆う。 目を開けた時…………そこには、少女の姿は影も形も見えなかった。 ……暗雲は空を流れ、太陽が雲間から顔を出す。 クルミ達ロボロボ団はふっと我に返り、 「せ…………戦略的退却ぅううううううッ!!!」 と叫ぶが早いか、土煙を舞い上げながら校舎の外へ走り去っていく。 取り残されたのは、ボーッと立ち尽くしている斗的達三人、そして真紅のメダロットのみ。 斗的は放心した表情のまま、口を開く。 「…………助かった……の、か?」 「みたい……っスねぇ……」 磨智の腕を抜け、斗的はぐでーんとその場に崩れる。 「だはぁ~~…………マジで死ぬかと思った」 斗的は思う。今日ほど最悪な日はなかったと。しかし、ようやく終わった……終わったのだ。多分、今日は一生分の不運が集まる日だったのだろう。だから、これ以上悪いことはもう起きないはず。これからは幸福に生きられるんだ。ていうか、もしそうじゃなかったらもう神も仏も信じない。家にある仏壇をクラッシュしてやる。斗的はそう考えていた。 しかし、斗的はこの後、仏壇に真空飛び膝蹴りをかますことになる。 なぜなら、これは始まりに過ぎないから。 「……おい」 不意に、斗的の目の前から声がする。磨智とも蜜柑とも違う、凛とした女の子の声。 「はい?」 斗的はふと顔を上げる。そこには、 ――――謎の少女と戦っていた、真紅のメダロットが立っていた。 「…………あ、あの……なんでしょう……?」 顔をひきつらせ、斗的は敬語になる。正直、これ以上厄介事に巻き込まれたくない。 メダロットはそのエメラルドの瞳で斗的をジーッと見つめ、静かに言い放つ。 「鷹栖斗的……貴様が、私のパートナーか?」 ……瞬間。 斗的の目が点になる。 思考回路は完全にストップ。 「…………はい?」 奇妙に裏返った情けない声で斗的は返事をする。今の斗的には、正直これが精一杯だった。 ――この情けない会話こそ、斗的とフォレス(真紅のメダロット)が交わした最初の言葉だった。 これから二人は、ロボロボ団や謎の少女との壮絶な戦いを繰り広げていくわけだが…………今回はまぁ、これにて終了。 「読者のみんなーっ! あ・た・し、愛媛蜜柑の応援も夜露死苦ね~~♪」 こらこら、もう終わったんだから出てくるんじゃないよ。
https://w.atwiki.jp/kakinoki/pages/2.html
メニュー トップページ メニュー メニュー2 自己紹介 掲示板 日記(六月) 企画 オリジナル小説 二次創作小説 投稿小説 研究所 頂き物 遊技場 リンク @ウィキ ガイド @wiki 便利ツール @wiki
https://w.atwiki.jp/kakinoki/pages/12.html
ホーリーメイデンズ1(旧版) ホーリーメイデンズ1(新版)
https://w.atwiki.jp/kakinoki/pages/59.html
鈴を鳴らすかのような奇声を発しながら、次第に日本基地に迫るデズリー。 炎をその体に映して突き進んでいく様子は、まるで幽界からの使者。 それをモニターで見ながら、ギリギリと歯軋りをする上村。 その節くれ立った拳に爪が食い込み、にじみ出ている血。 以前、アクエリアンとの戦いでも世界は滅びるかのような危機を迎えたことがある。 だが、あの時は轟天号の活躍で未遂に終わった。 しかし今、あの頃より軍備を強化した東京が滅びかかっている。 世界でもトップクラスの軍備力を誇るここが、たった一体の巨大生物のために。 「総司令、もうここは駄目です!! すぐに脱出しましょう!!」 背中に響く、若い女性通信隊員の声。 だが、上村は静かに言い放つ。 「お前達は、もう負けたと思っているのか? 基地はまだやられていない、兵器は残り少ないがまだある。」我々が逃げたら、そこでお終いだ……お終いなんだよ」 そう、逃げるわけにはいかない。 自分達は希望――日本という小さな国の最大の希望。 正直、勝てる気はしない。 だが、希望である自分達は最後まで戦わなければいけない。 希望よ、現実になれ。 上村がそう念じた時、夜空にまるで真昼のような光が満ちた。 目を剥き、モニターを凝視する上村。 空に広がる白銀の翼。 その光は東京中を徐々に、柔らかに包み込む。 途端に降り注ぐ雨。 キラキラと星のように光り輝く雨は、地獄の焔をあっという間に消し去った。 地上に舞い降りる銀の翼。 次第に形を成し、人型を形成する。 それは、体長50メートルほどの白銀の巨人。 戦闘機にある垂直尾翼のようなものがついた頭。 菩薩のような顔には、水晶のように透き通った卵型の目。 流線型の体に走る蒼いライン、胸に輝く金色の十字架。 額と十字架の中心には碧玉のような青いランプが灯っている。 「天使……」 思わず呟く上村。 巨人が敵か味方かはわからない。 だが上村は、それが希望の光であると直感的に感じていた。 デズリーに顔を向け、そのしなやかな足で大地を蹴る巨人「セイント」。 鈴の音のような奇声を上げ、槍状の触手をセイントに向けるデズリー。 セイントに迫る紅きミサイル。 セイントは空中で静止し、腕を前に突き出す。 次の瞬間、空から降り注ぐ雨がセイントを包み込む。 セイントを包んだ三角形の水の箱は、飛んでくるミサイルをそのまま受け流す。 そのままセイントを攻撃せずに、空で爆発を起こすミサイル。 デズリーは直接攻撃の方が効くと判断したらしく、その槍状の触手で一斉にセイントを貫こうとする。 今度は周りの水を両手に集中させ、水による刃を作るセイント。 槍を回避しながら、触手を切り裂いていく。 そのセイントに、突如襲い掛かる虹色の光線。 体を痙攣させ、地面に真っ逆さまに落下するセイント。 辺りに粉塵と瓦礫が舞う。 地面に手をかけ、セイントはよろめきながら起き上がる。 その時だった、胸の碧玉が紅く点滅を始めたのは。 それを見て、焦っている様子を見せるセイント。 中性的な掛け声を上げ、素早くデズリーに走り寄るセイント。 迫り来る触手を回避しながら、その勢いを利用して傘に蹴りを入れる。 蹴りはデズリーの真正面に決まり、傘がグニャリと歪む。 そのまま豪快に倒れるデズリー。 辺りにビリビリと響き渡る地響き。 その隙を利用し、一気に触手を?んで地面に張り巡らされている触手を引き千切る。 そのまま本体を振り回し、空の彼方に放り投げるセイント。 これでは、やつも身動きが出来ない。 セイントは両手を水平の高さに広げる。 途端に両手に集まる白い光。 そのまま十字を組んだ次の瞬間、セイントの腕から白銀の光線が放たれる。 全く混じり気のない白色の光線は、性格にデズリーを捉えた。 光線に飲み込まれ、耳をつんざかんばかりの甲高い声を上げるデズリー。 断末魔の悲鳴が止んだ頃、デズリーは完全に消滅していた。 辺りは先程のことが嘘のように静まり返っている。 だが、倒壊したビルや教会などはその破壊の爪痕を残していた。 それを見届けると、空を見上げるセイント。 掛け声をかけ、セイントはそのまま夜の星空に吸い込まれるように消えていった……。
https://w.atwiki.jp/kakinoki/pages/45.html
祭囃子が聞こえる。 あなたは音の方へと歩みだす。 灯篭の明かりが見える。 あなたは光の方へと首を伸ばす。 ふと気がつけば。 あなたは踊りの列に加わっている。 ――Kayon Parden―― ゆきむしのまう頃に ~前夜祭編~ それは、丁度コートが手放せなくなった頃のお話です。 季節は、もうすぐ冬。吐く息も、ホットミルクのように真っ白です。 おや? 窓の外を、白いものがちらちらと舞っています。雪でしょうか? いいえ、雪虫ですね。 雪が降る頃に現われる、冬の使い。これから、ますます寒くなりそうです。 「雪虫……か。どうだ、今度の週末にでも、モツ鍋で一杯やらないか?」 変わって、薄暗い部屋の中。黒いスーツに身を包んだ、背の高いおじさんが、窓の外に目をはせつつ言います。横に立ち尽くしている部下らしい人は、溜息を吐きました。 「ボス……そんなことより、ハンターの方をどうにかしてください。みんな出払っていて、人手不足なんですよ!」 ああ、おじさんは、ハンターのボスさんでしたか。漆黒の闇に生きるこの方達には、純白の雪なんて関係ありませんね。 「一人もいないのか?」 「はい、一人も。みんな、華代被害のために出払っています。本来仲間への処罰が目的の、ガイストさえ出動しています」 「うぅん……今日は多いな。やはり、真城華代が増えているというのは、本当か」 ボスさんは指を組み、天井を凝視しています。 残っているとしたら、水野さんと沢田さんくらいですね。でも、あの人達に、能力はありません。 ボスさんは、おもむろに立ち上がりました。と同時に、口を開きます。 「よし、わしが行こう」 部下Aさんは、一瞬、時が止まったような気がしました。 「……は?」 「だから、わしが行くんだよ。留守を頼む」 ああ、なるほど。ボスさんも、ハンター能力を持っているんですね。 ですが、部下Aさんは必死に反対します。 「だ、駄目です! ボスが動いたら、どうなるんです!? 行くなら、私が行きます」 まあ、確かにそうですね。ボスさんは、これをどう返すのでしょう? 「お前、ハンター能力ないだろ。今のところなにもないし、お前は留守番していろ」 ありゃ、これまた正論。部下Aさんはぐうの音も出ません。 そんなこんなで、ボスさんは、仕事へと向かいました。 華代ちゃんの被害に逢い、女の子になっていた人々。彼女らを、男に戻してしまいました。 その帰り道。 「あたたた……久しぶりに能力を使うと、腰に来るな……」 あらあら、ボスさん腰を押さえています。大丈夫でしょうか? 「はぁ、もうちょっと若ければなぁ」 溜息を吐くボスさん。背中には、哀愁が漂っています。元気を出して欲しいものですね。 と、その時。 「それが、おじさんの願いなのですか?」 鈴を転がすような可愛らしい声が、背後でしました。 ボスさんは、ギクリとしました。悩み事を聞いてくる女の子といったら……もちろんあの娘ですよね? ――このままでは、女の子になってしまう。 心臓が、ドッキンドッキンと高鳴ります。ボスさんは、勇気を持って、振り向きました。 と同時に、拍子抜けしました。後ろにいたのが、華代ちゃんじゃないからです。 見たところ、小学校中学年くらい。ふんわりと、背中まで流れる蒼い髪。しっとり濡れた、まんまるお目々。空色の、長袖ワンピース。スカートから伸びる足は、華奢で、ミゾレのように透き通っています。 「初めまして、ボクはこういう者です」 女の子は、不釣合いなほど大きな肩掛けバッグから、なにかを取り出します。それは、名刺でした。 ――セールスレディー見習い 真城里華―― 「セールスレディー……見習い?」 「はい、今日からお仕事スタートです。華代先輩の下で、りっぱなセールスレディーになるのですよ。にぱ―☆」 里華ちゃんは、にこやかに笑います。やっぱり華代ちゃんの関係者ですか。 ボスさんは「しまった」という顔をしています。危険が再びやってきたわけですからね。 とにかく、さっきの呟きが、お願いと勘違いされているよう。これはまずい。急いで訂正しないと。 ボスさんは、できるだけの笑顔を取り繕って、里華ちゃんに話しかけます。 本音を言うと、不審者に見えます。 「あのねぇ、お穣ちゃん? おじさんは」 「わかっていますのです。若返りたい。それがお願いなのですね?」 「いや、だから」 「お願いなのですね?」 「その」 「お願いなのですね?」 あらあら。里華ちゃんは、全く話を聞きません。 こうなったら……逃げるしかありませんね。ボスさんは、スタコラサッサと逃げていきます。 「はぅ! ま、待ってくださぁい!」 ボスさんの背中に、トタトタという足音と困ったような声が響きます。あらあら、肩にかけた大きな鞄がとっても重たそう。 里華ちゃんは、離れていたら性転換能力が使えないようです。 これはしめたもの。ボスさんは、安心しながら走り続けました。 しかし。 ひゅぅぅぅぅぅぅ…… 上空から、変な音がします。とんびかな? と、思ったのもつかの間。 どっし――んっ!!! ボスさんの1センチ前に、電話ボックスが落ちてきました。危ないですねえ。もう少し前にいたら、潰れたピザのようになっていました。 「は……え、あれ」 ボスさんは、開いた口がふさがりません。よく見ると、電話ボックスは、根こそぎ引っこ抜かれたよう。一体、誰の仕業でしょう? 背中に、冷たいものが走ります。冬だから……ではなさそう。 どすん!! どすん!! どすん!! 今度は、自動車が降ってきます。ボスさんは、車と電話ボックスの檻に、囲まれてしまいました。 もう、逃げ場はありません。 「ふぅ……ちょっと重かったのです」 目の前の車から、女の子の声がします。ほどなく、里華ちゃんがドアを開け、ひょっこり顔を見せました。可愛らしい表情は、満面の笑みに溢れています。 「あ……あ、あぁ……」 おやおや、ボスさんは、腰が抜けてしまいました。すっかり恐れをなしたようで。 ずり……ずりずり…… 里華ちゃんは、肩掛け鞄を引きずりながら、ゆっくりゆっくりと、ボスさんに近づいていきます。小さな手には、いつの間にか、鉈が握られています。 「くすくす……ココロと体の悩み……解決しますのです」 にっこり微笑む里華ちゃん。 数秒後、ボスさんの絶叫が、辺りに響き渡りました。 そして、場面は数時間後のハンター基地へと移ります。 「えぐっ、ぐすん……こ……こわかったよぉ……」 部下Aさんの胸の中で、女の子がすすり泣いています。体操服にブルマ姿で、年齢は小学生くらい。小柄な体を、プルプルと震わせています。 可哀想そうに。なにか、よっぽど怖い目にあったのでしょうね。 頬をポリポリとかき、部下Aさんは口を開きます。 「あのですね……ボス。ちょっと、離れてくれませんか?」 おや、女の子の正体は、ボスさんでしたか。なるほど、里華ちゃんのおかげで若返ったんですね。知らない方がよかった。 「まったく……あなたまでやられてくるとは。隊員達が帰ってくるまで、しばらくその姿でいてくださいよ?」 「う……今すぐは、無理か」 ボスさんは、おっきな目に涙を一杯溜め、上目遣いで見つめてきます。あ、部下Aさんのお顔が夕焼け色に染まりました。 「ん、どうした?」 「な、なんでもありません! そんなことより……ボスが行った地区に、新たなハンターを派遣しました」 部下Aさんは、慌てて話題を逸らします。そりゃ、おっさんにときめいたなんて、口が裂けても言えませんよね。 「派遣って……みんな出払っていたんじゃなかったのか?」 ボスさんは、キョトンとした表情で聞きます。 「いえ。運よく、二名のハンターがいました。えっと……78号と82号を」 「なっ……!!?」 あらあら、どうしたのでしょう? ボスさんの林檎色の頬が、みるみる収穫前の色に変わっていきます。 「どうかしたのですか?」 「バッカモン!!」 ボスさんの怒声が、あたりに響きました。その姿では、あまり迫力はありませんが。 「78号を外に出すなと言ったのを忘れたのか!! この鳥頭!!」 「す、すみません! なにぶん、人手不足だったもので……」 部下Aさんは、ひらに謝ります。が、もう78号は、出動してしまったよう。 「くそっ……何も起きなければいいのだが、な……」 ボスさんは、心配そうに空を眺めます。ふわふわと、相変わらず雪虫が、綿毛のように漂っていました。
https://w.atwiki.jp/kakinoki/pages/40.html
こんにちは、真城華代です。 最近は本当に心の寂しい人ばかり。 そんな皆さんの為に私は活動しています。まだまだ未熟ですけれども、たまたま私が通りかかりましたとき、お悩みなどございましたら是非ともお申し付け下さい。 私に出来る範囲で依頼人の方のお悩みを露散させてご覧に入れましょう。どうぞお気軽にお申し付け下さいませ。 報酬ですか? いえ、お金は頂いておりません。 お客様が満足頂ければ、それが何よりの報酬でございます。 さて、今回は果たし状をいただきました。 少年少女文庫の先輩として、今からぶちのめ――いえいえ、お灸をすえにまいります。 「華代ちゃんに果たし状!!?」 思わず叫ぶ俺は、花子。 おかっぱと赤い吊りスカートがチャームポイントの美少女。 元男子中学生で、今は幽霊やってる。 なんでこんなことになったかというと、ある日突然女の子になってたっていうわけ。 その後、クラスメイトの視線に耐えられなくて自殺したんだけど……今思えばこの体を使ってもう少しなにかできたかもと思う。 まあ、トイレで生徒達の噂話聞いたり、今はなんとか楽しくやって……たのは遠い過去。 「はい! ここで少年少女文庫を乗っ取ろうかと思って」 さらりと恐れ多いことを言う眼鏡の青服女。 俺の妹「ブキミ」だ。 「お前、何百人倒せば済むと思ってるんだ!! それに、華代ちゃんだぞ!! レベルが違いすぎるっての!! 最初にメイデンズをやるのが妥当だっての!!」 「……諦めたら、そこで試合終了だよ」 「バスケが……したいです……。じゃなくて!!」 危ない危ない。 思わずこいつのペースにはまるところだった。 「まあ、いざとなったら2人で滅多打ちにしようよ!」 そう言って、モップを掃除用具入れから出すブキミ。 俺の脳裏に「小学生女児 滅多打ち!」という見出しが過ぎる。 そんな時、俺の背後で響く透き通るような声。 「お姉ちゃんですか、果たし状を出したのは?」 思わず振り返ると、そこには蝶々のように真っ白な服を着た女の子が。 ああ、華代ちゃんだ……。 噂には聞いていたが、思わず拝んでしまうくらいの神々しさ。 その黒真珠みたいに綺麗な瞳には、ひとかけらの邪気もない。 まともに直視できない俺は、相当穢れているな。 そんな俺に構わず、ブキミはモップを振り上げる。 「ぬおりゃびちゅあっっ!!」 どんな掛け声だよ!? 華代ちゃんは、舞い上がるかのようにそれを避ける。 「うふふ……華代ちゃん。私達のために死んで」 目をありえないくらい見開くブキミ。 どうやら、華代ちゃんの神々しさがわからないほど腐りきっているらしい。 ていうか、俺を共犯みたいに言うな!! 「私は、お姉様のために仕方なくやってるんだから」 って、俺が主犯かよ!? 「んー、そういう態度に出るなら仕方ないですねえ……ソーレ!!」 思い切り両手を上げる華代ちゃん。 しかし、辺りはシーンとしてなにも起きない。 なんだ、なにをやったんだ? その時だった。 廊下から響く、ぱたぱたという無数の足音。 やがて、トイレの戸が開け放たれる。 そこには、何十人もの華代ちゃんが。 手には、出刃包丁やら釘バットやら思い思いの武器を持っている。 カタカタと震えが止まらない。 まさか……全校生徒が? 「それじゃあ、やっちゃってくださーい!」 一斉に飛び掛る華代ちゃんズ。 俺はその瞬間、天使と悪魔は紙一重だと認識した……。 こうして、華代ちゃんは去っていった。 あとには、傷だらけの俺達が残されているのみ。 「いてて……あいつらって霊体にも攻撃できるんだ……」 全身がひりひりする。 命ばかりは助かった……って、もともと死んでるけど。 そんな俺の顔を、心配そうに覗き込むブキミ。 眼鏡の奥にある、透き通るような瞳。 俺と同じ顔だけど、思わずドキッとする。 「大丈夫ですか、お姉様?」 「ん……まあ、かすり傷だし!」 そう言って、恥ずかしさを誤魔化す俺。 「駄目よ! 口の中も切ってるみたいだし。ちゃんと消毒しないと……舌でね」 一転して、禍々しい光を宿すブキミ。 結局それかよ!! なんてつっこむ前に、唇と唇が重なり合う。 「んんっ!! ん―――っっ!!」 抱擁しあう、小さな舌と舌。 やばい、柔らかくてきもひいい。 思わずされるがままになる俺。 ううっ、どんどん堕落していく気がする……。 今回は、結構楽なミッションでした。 こうやって教育的指導を加えるのも、先輩としての役目! これにめげず、がんばってくださいませ! それにしても、仲がよくて羨ましいですねえ。 私も、魅夜子ちゃんと……。 なんでもありません。 では、今度はあなた達の街にお伺いするかもしれません! その時は、真城華代まで!