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笹岡万五郎の背後から差し込む陽光が、きらきらと乱反射し、その無機質な顔の輪郭を縁取っている。 ——視線の先には林檎、飛南瓜、京子。 薬品の鼻を衝く臭いが、林檎の顔をしかめさせた。昼休み、林檎は例の“集団パンツ消失事件”についてスナックンとの関連を笹岡へ報告すべきか思案していた。すると、そこへ向こうから呼び出しがかかった形だ。 それは好都合でもあったが、こうして、何を考えているのか分からない笹岡の——本当に内面があるのかとさえ思う——貼り付いたような薄笑いを見ていると不安になる部分もあった。 「あの……用件があるなら早く言ってもらえませんか?」 いつまでもこちらを睨め回すだけの笹岡に業を煮やしたらしい京子が口を開く。 「ふむ、それは確かに妥当な意見だ。——では、君たちが当然、ある予測に辿り着いているという前提の下で話そう」 笹岡はひどく勿体つけて、鼻にかかった口調で喋り始めた。 「昨日の——高確率でスナックンの干渉によると予測される“おにゃのこのおぱんちゅ消えちゃったよ事件”だが、どうも面倒なことになっていてね」 「笹岡先生、そのネーミングは限りなく妥当じゃないと思います」 京子が冷たく突っ込む。笹岡は無視する。 「——面倒と言うのは、だ。公安警察が介入の機会を伺っているようなんだよ。何故なら、昨日の事例はスナックンの姿が一度も観測されていない、つまり政府側も超戦闘魔法少女の案件としてゴリ押しが出来ないってわけさ。この機に乗じて手柄を奪われでもすれば、スナックン対策予算や諸々の利権、それらすべてが警察関係組織へと流れ込むことになる——かもしれない。その場合、超魔法少女計画そのものが消滅って可能性もあるね」 ぶちぶちと引き抜いた無精髭を指先で弄びつつ笹岡は話し続けた。 「障害となるのはスナックンだけじゃないということね。でも、何らかの協力体制を敷くことはできないのかしら?」 「いや、むしろ警察が解決してくれるならその方がよくね——」 林檎、飛南瓜が口々に意見を飛ばす。途端、見計らったように笹岡の口角が上がった。 「協力体制ねぇ。政府から圧力をかけさせれば可能かもしれない。しかし、問題は盗まれたパンティだ。警察が回収した場合、もしかしたら下着を証拠物件として鑑識に回すかも分からんなぁ。闇エネルギーの重要研究資料としてな。いや、持主に返すとしてもビニールシートにパンティを広げた上、牌ヶ原TVで放映……」 「絶対に先を越されるんじゃないわよ! 京子!」 「ええ! 勿論だわ!」 笹岡の言葉を聞き終わらぬ内に、二人はすぐさま部屋を出ようとした。だが笹岡の必死の静止が聞こえると、しぶしぶ部屋の中央へ戻る。 笹岡は溜息を一つ吐いたあと、座っているキャスター付きの椅子を反転させると机の抽斗から小さな機械のようなものを取り出した。 「これを渡しておこう——こんなこともあろうかと、君達のために開発しておいたスペシャルアイテムだ」 眼鏡を怪しく発光させながら掲げたその物体は、奇妙なデコレーションが施されているだけで、よく見ればどこにでもあるスマートフォンタイプの携帯端末だ。 画面を笹岡が二、三回、自慰行為のような手付きでさすると何かのアプリが立ち上がった。 「ベースは市販のスマートフォンと同じだが、中身はほとんど入れ替えてある。使えるアプリもこの一種類だけだ。流石にメールや電話くらいはできるがね。」 見なさい、と差し出された端末に林檎が視線を注ぐ。 「この装置は“闇エネルギー存在確率探知機”とでも呼ぶのが適当かな。独自開発のアプリとセンサーを使い、周辺に闇エネルギーが存在している確率の分布をGPS上に表示する。基本構造は、闇エネルギーの量子的特性に着目し、空間内から初期座標を予測、そしてシュレディンガー方程式の応用で波動関数の時間発展を導き——まあ、実際に見てもらった方が早いだろう」 思うさま爆睡しかかっている三人に気付いた笹岡は、慌てて画面を校舎の見取り図へ切り替える。 タッチに合わせて画面上のタブがころころと切り替わり、やがて地図に重なるようにして、紫色の濃淡で描かれた靄のようなものが表示された。 「これが闇エネルギー存在確率の分布だ。色が濃いところほど奴らの存在確率が高い。そして分布の形を見てくれ。この紫色のもやもや——便宜上“確率の雲”と呼んでいるが——斑になりながらも、学校全体を覆うように表れている。今朝からずっとだ。こんな反応を見せたのは初めてだよ」 見ると、確かに地図上の校内全域に斑模様をかたちづくった紫色の雲が覆い被さっている。林檎には“存在確率の分布”という表現がなんだか腑に落ちなかったが、「そこに行けばスナックンと遭遇する可能性が高いのだろう」という認識で了解した。 「この中で最も濃度の高い場所から調べるんだ。上手くいけばコトの原因となった奴を捕捉できるだろう」 その他、細かい機能の説明を終えて恵比須顔の笹岡は三人へ端末を配った。 では失礼します——そう言って今度こそ保健室を出ようとした林檎達に向かい、笹岡が何かを思い出したように付け加える。 「——ああ、そうそう。あの安楽音美々という生徒にも注意を払ってくれ」 「……え?」 林檎に動揺の色が浮かんだ。 たった数時間前に会った彼女の名を何故、この男が口にするのだろう。 「何故……ですか」 「数日前、この端末のテストをしていたところ、安楽音美々の周辺に微弱な闇エネルギー反応が起こった。何故——かは分からないし、ただの誤作動かもしれない。それだけだ、もう行っていい」 ぽつりぽつりと、警告めいた口調で話し終えた笹岡は、机に突っ伏し頭を掻いている。林檎には釈然としない気持ちだけが広がっていくのが分かった。 ——捜索を始めてから十数分ほど経つが、成果はまだ見えていない。 林檎は屋外の探索をしらみ潰しに行なっていた。だが、これだけ広域に渡っていると、すべてを確認するのは骨が折れる。連絡がないところからして、校舎内を調べている飛南瓜や、部室棟へ向かった京子も同じことだろう。異常な数値を示す液晶画面の校内図とは裏腹に、視界に映る景色はうららかで、あちこちから生徒の笑い声が木霊していた。 昼休み終了を告げる予鈴までは、残り半分を切っている。 あらためて放課後に捜索を再開するべきか、林檎が悩みながら端末に眼を向けた、その時だった。 今まで存在していなかった高い濃度の存在分布、それが限りなく黒色に近い「点」として画面の北校舎付近に現れている。 林檎は、端末を耳にあて、京子達に状況を伝えながら矢のように駆けた。 北校舎棟へ続く並木道を進むほど、噎せ返るように密度を増す異臭が敵の存在を知らせている。木々の間から北校舎棟の玄関が見え始めた。目標まであと数十メートル。 「グシャー!!」 その時、もはや聞き慣れたその咆哮とともに、ついに異形の姿を眼差しの向こうへ捉えた。 「超戦闘魔法・アップルトランスフォーム・変身!!」 巻き上がる炎の光芒を突き抜け、アップルが一息に間合いを詰める。 ドリアンヌの鼓動が数千分の一拍も打ち終えぬ迅さで、アップルは神速の連撃を叩き込み、次々と息の根を止めていく。空中に吹き飛ばされた五、六体のドリアンヌは爆散し、肉片も残さぬ黒煙となって降り注いだ。 異形の咆哮が止んだあと、吹き抜けた風に煙が幾筋もの尾を曳いてかき消えようとしている。アップルが周囲を見渡すと、北校舎入口の横、植え込みの近くで座り込むようにして身をすくめている少女が、そこにいた。 少女が顔を上げる。 「君……今朝あたしをかばってくれた子……その……格好は……?」 少女——安楽音が、震える唇でアップルに問うた。 「安楽音さん!」 安楽音は腕にできた傷を押さえながら、少し怯えた眼でアップルを見ている。 「グシャー!!」 まだ残っていた一体のドリアンヌが爪を振りかざして安楽音へ飛びかかった。 「超戦闘魔法・旭!!」 全身をバネにして距離を縮めたアップルによる、右フックと同時に繰り出された熱球が、零距離からドリアンヌを打ち抜き焦熱の肉塊へと変える。地面には弾け飛んだドリアンヌの焦げ跡だけが残された。 対象の殲滅を見届けたアップルは、安楽音を包み込むように抱きしめると一言「——安心して」と言う。 「私はアップル。あなたを、必ず守るから」 それだけを告げた。 安楽音が、未だ震えのおさまらない体をアップルに預けたまま眼を細める。 「ありがとう」 そう言って、安楽音は優しげに微笑んだ。 ——そして、二人が安堵しかけたその刹那、アップルの躰を昨日感じたものと同じ気配が駆け巡り、視界の隅に小さな影が躍った。 「これは……!!」 瞬間的にアップルが気配の方向へ身構える。 安楽音も不穏な空気を感じたらしく、じっと前方を見据えている。 虚空に、無数の絡まりあった——多重の像が——揺らめいたかと思うと、徐々に怪異が平面から立体へ、透明から不透明へと、その形を成していく。その後、空間に染みわたるような禍々しい嘲い声が反響した。 「グヒャヒャヒャヒャヒャ!! そこの小娘ェ!! 貴様、本当に人間カァ!? この俺サマが二度もスカートの内側へ“侵入”できなかったのは初めてだゼェ!!」 それは、巨大な翼と鉤爪を持つ、鳥と蛇の融合体だった。悪魔にも等しいその全身を暗黒色に塗り込めた、異形の化物の大きく裂けた口が忌々しげに動く。 「とうとう姿を現したようだね。吐き気がするようなお前の気配、よーく覚えてるよ!」 「なんだァ? テメェもパンツを盗られたいのカァ?」 怪人が翼を大きく羽撃かせながら言った。 「安楽音さん、危ないから少し離れていてね!」 アップルは根を下ろしたように地面へ両脚を付け、どんな攻撃にも寸時に反撃可能な構えを完成させた。 「無駄だァ! 俺サマの動きを誰も捉えることはできねェ! クァクァクァッ!!」 ばさり、怪人が輪をかけて強く羽撃くと、その勢いのままに滑空を始める。怪人の姿は幾重ものぼやけた影となり、直後、気配だけを残して完全に消失した。 0.000001秒の反射を持ってあらゆる外敵を排除するアップルの構え。両の脚は地面から僅かにも離れることはない。それは、再戦の好機を手にしたアップルが取り得る最良の選択。 「来い! 焼き鳥にしてやるよ! 超戦闘魔法・紅玉!!」 アップルを中心に広がる半径二メートルのすべてが、赤熱する火球と化した。 空気の焼ける音だけが辺りに響く。 「これでお前がどこから来ようとも、黒焦げになるだけさ」 次回予告 ついにパンツヌスムゼとの激戦の火蓋が切って落とされた! 集結する超戦闘魔法少女達!! 果たしてパンツヌスムゼの持つ超時空的能力に抗うすべはあるのか! そして今、少女の隠された力が目覚める!! 次回、「超戦闘魔法少女アップル本編 第四話「乙女の敵は乙女が倒す(後編)」乞うご期待!! (作・見る目なし)
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アップルジュース ナンナのLV1料理。アップルが大好物の彼女が めいっぱい試行錯誤を凝らして作った特別製。
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名前 毒々アップル(どくどくアップル) 分類 不明 初出 アニメ89話 捕獲レベル 不明 生息地 不明 概要 アニメオリジナルの食材。 ものによっては猛毒のある違法食材で、グルメカジノのVIPエリアのゲームに使用されていた。 関連項目 猛獣・食材図鑑(アニメオリジナル)
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アップルマンゴーとは、見た目がリンゴのように赤いことから名付けられました。 アップルマンゴーは、食味も柔らかく、甘みの強い、さっぱりとした美味しさです。 果肉は、オレンジ色です。
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アップルシード ●6点 士郎正宗の同名漫画のアニメ化。原作は未読。 大戦後の荒廃した未来世界で、戦争が終結した事も知らずに闘っていた女兵士 デュナンは捕獲されてしまう。病室にて意識をとり戻した彼女は、体が機械化され かわりはてた姿になった恋人ブリアレオスと対面し、現在の世界を知る事になるが… 全編CGで作られたアニメ。公開された当時はどうか知らないが現在から見ると 安っぽいゲームのオマケCGのように見えてしまう。特に人間の表情はほとんど 感じられずマネキンが演技しているようで見ているのが辛い。あと髪の毛の 表現も不満だ。ただし建物などの風景はかなり優秀。音楽は結構いい感じ。 シナリオは中盤からぐっと面白くなるが、それまでは退屈。 おしい、CGのチャチさばかりが目についてしまって、もったいないなーというのが 視聴後の感想。 ●4点 爆発→爆発→爆発 映像はすごかったけど二回見たいとは思わん ●8点 10点でも良い位の綺麗なアニメなのでお勧めです。 完結していないので-1点 都市を壊しすぎ-1点 FFでCGアレルギーになった方には薬になるかも? ●4点 アップルシードは、かなり原作に忠実な雰囲気が再現されていた。 ただ、プロダクションIGの攻殻機動隊SACや押井のイノセンス以外の士郎作品を忘れて いる人には厳しいと思う。 でも、士郎正宗はもともとB級C級のテイストだからこそ面白いわけで、ご立派な作品は 士郎正宗の味から離れているんじゃないかと思う。 映画としては、CGアニメは動きの少ない顔面アップに耐えないということと、動きが大き いアクションではなかなか映えるということを教えてくれた。
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名前:アップルゼリー サイズ:中 Lv:1 種族:植物 属性:水1 DEF:1 MDEF:0 HP 50 特性:ルート属性 ドロップ: べとべとする液体 リンゴ
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アップル とは、どうぶつの森シリーズのキャラクター。 プロフィール 作品別 元ネタ推測 コメント プロフィール アップル 他言語 Apple(英語、オランダ語)Jessi(ドイツ語) 種族 【ハムスター】 性別 女 誕生日 09/24 性格 元気系 口癖 キュルン 初登場 【とびだせ どうぶつの森】 耳の内側が緑色で全体的に赤いハムスターの女性。 明るく元気はつらつな性格。 作品別 【あつまれ どうぶつの森】 一般の住民として登場。 「ニューオリンズそんぐ」のジャケットに彼女が描かれている。 元ネタ推測 Apple(リンゴ)(日本語名、英語名、オランダ語名) コメント 名前 全てのコメントを見る?
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アップルバード
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超戦闘魔法少女計画に「政府」が注ぎ込んだ金額を、椎名橋林檎は笹岡から聞いたことがある。 「血税を払ってくれている国民が聞けば、卒倒するような額の金さ。クーデターが起こっても何ら不思議はない金額だ。それほどの金が、君たち超戦闘魔法少女の身体には掛けられている」 だからこそね、と笹岡はそこで語気を強める。 「君たちは自身の体を大切にして欲しいのだよ。決して無茶な戦い方をして壊さないでおくれ。壊れたりすれば、納税者に対してあまりに申し訳ない。それに、私も一研究者として、日本の科学の髄が詰まった君たちが壊れるところなんて見たくないんだよ」 そう言って、笹岡は曇った眼鏡を光らせ、ニッコリと笑った。 「やれやれ、ひどい目にあったよ。林檎ちゃんは大丈夫?」 「はい……」 牌ヶ原中学校の地下に存在する、超長距離エレベーター。近く深く突き刺さったその様から、伝説の剣になぞらえて「エクスカリバー」などと呼ばれている。林檎と飛南瓜は、その中にいた。どちらもすでに変身を解き、床に腰を卸している。 「気にしてるのかい? あのスナックンを取り逃がしたこと」 「……」 「でもね、正直あの場は死ななくてよかったと思うことにしようよ、林檎ちゃん。気にしすぎると、後々の戦いにも影響するよ。初めての地下戦闘にしては上出来だったと思うのさ。それに、どうもアイツ、まだ何か奥の手を持ってるようだったし」 「……そうですね」 林檎は壁に体を預ける。高速で地上へと向かうエクスカリバーの振動が背中から伝わる。 エクスカリバーは元々、爆発や危険な毒物を伴う実験を行うために「政府」が地下に作った空洞施設、通称「蟻の巣」へ行くためのエレベーターである。しかし、数週間前より蟻の巣において超戦闘魔法少女計画関係者が突然失踪するという事件が多発。「政府」は急遽蟻の巣を閉鎖した。笹岡はこれにスナックンが絡んでいると予測して、地下戦闘技術開発を目的とした超戦闘魔法少女ドリルアーム化計画の実験のために、林檎と飛南瓜を送り込んだのだった。 然してその推理は当たっていて、地下世界にいたのは、穴ネズミ型スナックンダンディマウスだった。 それからしばらくの間、二人は黙っていた。エクスカリバーはそのあまりの長さ故に蟻の巣から地上へ戻るまで、二〇分程度の時間がかかる。 「おかしいです」 林檎が急に口を開く。彼女の大きな掌には携帯電話が握り締められている。 「どうしたんだい?」 「さっきから笹岡先生に通信を取ろうとしてるんですが、どうもつながらないんです」 「こんな地下深くだもの。電波障害くらい起きるんじゃないかい?」 「そうでしょうか」 あの笹岡が作るものに限って、その程度で使えなくなるとは考え難かった。林檎の胸の奥がざわめく。なんだか嫌な予感がするわ、と林檎が呟いた。 「まあ、心配しても仕方ないよ。どうせすぐ、地上に帰還するんだから」 「……はい」 そういえば、と林檎は思う。そういえば飛南瓜と二人きりになるのはずいぶん久々だ。京子が超戦闘魔法少女になるまでは、二人でいることも多かったのに。最近はそういう機会もめっきりと減ってしまった。 もしかしたら、自分が飛南瓜と過ごした時間は、他の女が飛南瓜に抱かれていた時間よりよっぽど短いのかも知れない。そんな考えが、ふと林檎の頭をよぎった。飛南瓜は自分のことをどう考えているのだろうか。女の子相手には見境のない彼が、自分をベッドに誘ってくれたことは、初めて出会った時の一度きりだ。その時はもちろん断ったが、本当に断ってよかったのかと時々考える。 林檎が飛南瓜に好意を抱いたのは、彼が初めて女として自分を見てくれたからだ。巨大な体躯を持ち、「政府」によって改造され、人外の能力を得た自分を、初めてまともに女として扱ってくれたからだ。だが、今はどうだろうか? 飛南瓜は自分のことを未だに女として見てくれているのだろうか。それとも―― そこまで考えた時点で、林檎は頭を振る。いったい自分は何を考えているのだ。疲れているからに違いない。側に座る飛南瓜に視線を移す。見ると、流石に疲れたのか、彼は目を瞑り、静かに寝息をたてていた。まるで精密に作られたシルクの人形の如く、その寝顔は美しかった。 「先輩の寝顔って、もしかして初めて見るかも……」 林檎が寝顔を覗こうとした途端。 「え?」 体がぐらりと揺れる。いや、違う。林檎と飛南瓜を載せた巨大な箱、エクスカリバーが突然止まったのだ。飛南瓜もすぐさま飛び上がり、姿勢を整える。照明が音を立てて落ちる。 「何だ?」 「事故?」 二人が同時に声を出す。薄暗闇の中、二人は顔を合わせて、互いに頷く。あのスナックンの仕業に違いない。直感的に危険を悟った林檎は声を張り上げる。 「超戦闘魔法・アップルトランスフォーム・変身!!」 林檎のからだが一瞬豪火に包まれ、服が燃え尽きたかと思うと、消えた端から真っ赤なドレスが出現した。 「伏せてな!」 林檎、超戦闘魔法少女アップルは荒々しい口調でそう言うと、飛南瓜はそれに従い、身をかがめる。アップルは大きく跳躍して、天井に拳をぶつける。耳をつんざくような轟音がしたかと思うと、エクスカリバーの天井には巨大な穴がポッカリと空いていた。アップルはそこから外へと飛び出す。飛び南瓜もそれに続く。二人が外に飛び出した瞬間、エクスカリバーを釣っていたワイヤーロープがどこかで切れたらしい。エクスカリバーは自然落下を始めた。二人は近くの岩場にしがみつき、落下を免れる。 「危ない危ない、助かったよ、林檎ちゃん」 飛南瓜はいつの間にか変身して、片腕にはドリルをつけていた。 「さて、これからどうやって戻ろうかね? 僕は空を飛べるからいいけど、林檎ちゃんはどうする?」 「こうするさ!」 アップルは土の壁に足をかけると、力いっぱい蹴り飛ばした。蹴る。蹴る。蹴る。壁を蹴る。一回蹴るごとに、土の壁は大きく抉られる。アップルの身体は重力に逆らい、グイグイと上へ向かって進んでいく。 「やるねぇ」 飛南瓜は闇エネルギーで作ったコウモリ型の翼を羽ばたかせながら、アップルを追いかける。 「恐らくアイツの仕業だ!」 「だろうね」 「地上が危ないかも知れない! 急ぐよ!」 「了解」 二人は速度を上げ、地上へ向かう。 夕焼けの光り射す牌ヶ原中学のグラウンドにて、二つの影が対峠していた。放課後だというのに、その二つの影以外には誰もいない。グラウンドから見える校舎は、地震でもあったかのように損壊してしまっている。 「ハハッ!」 片方の影は笑う。その声は紛れもなく、地下世界にて林檎と飛南瓜が戦ったスナックン、ダンディマウスのものだった。 「でかいネズミもいたもんだね」 もうひとつの小さな影、無礼門京子は周囲に人がいないことを確かめて、手を高く振りかざす。 「超戦闘魔法・レモンメタモルフォーゼ・転身!」 京子が叫ぶと、彼女の制服が凍りつき、結晶となって、サラサラと崩れ落ちていく。艶やかな白い肌が一瞬顕になるが、それを隠すように氷が足元から彼女の身体を包んでいく。首まで凍りついたかと思うと、その氷が割れ、空のように青い色をしたワンピースドレスが現れた。 その変身を見て、ダンディマウスは唇を釣り上げる。 「君、ヤツらの仲間だろ! ハハッ! だったら血祭りだ!」 「どうやら林檎と軟派の先輩とはすでにお知り合いのようね……」 「ハハッ!」 ダンディマウスは先手必勝とばかりに、巨大な足音を立てながらレモンめがけて突進してきた。レモンは慌てずに懐から球体を取り出すと、それをダンディマウスめがけて投げつけた。ぶつった途端その球体は爆ぜた。そして、多量の液体がダンディマウスの腕にかかる。ダンディマウスは急に足を止め、それから後ろに飛び退いて、レモンから離れようとした。 「デカブツの割に、意外と素早いんだね」 「なんだコノ液体は!」 「安心しなさい、ただの水よ」 今度はレモンが一気に距離を詰める。レモンが近づくと、液体のかかった部分がパキパキと音をたてた。ダンディマウスは気にせずに、真正面から迫ってきたレモンを力任せに殴ろうとするが、関節が動かないことに気がつく。水まみれになってしまった彼の腕は、いつの間にか完全に凍りきってしまっていた。 「これでアンタの腕は使いものにならないよ」 レモンはダンディマウスの腹に飛び蹴りを食らわせた。土埃と細やかな氷の粒を巻き上げながら、ダンディマウスが倒れる。 「ハハッ! ヤルネ! そうこなくちゃ!」 起き上がりながらダンディマウスは笑った。その笑いを見て、レモンは背中に悪寒を感じる。無論自分が作りだした氷のせいではない。ダンディマウスは、自分の凍りついた腕を凍ってない方の腕でむんずと掴んだ。そして、それを自分の身体からむしりとったのだ。それから、さっきまで自分の腕だった氷の塊をレモンに向かって投げつけた。かろうじてレモンはそれを避けるが、体勢を崩してしまう。 「ハハッ」 ダンディマウスが笑う。その瞬間、レモンの身体が宙に吹っ飛ばされる。 「ぐふっ!」 「ハハッ! 後ろに注意しなきゃだめだよ! ハハッ!」 レモンはさっきまで自分がいた場所を見る。そこには、氷漬けになったダンディマウスの腕が浮遊していた。 「サイコキネシス……」 「サアテ、この使いものにならない腕でどうやって戦えばいいんだろうネ!? ハハッ!」 ダンディマウスは高笑いをしながら、まだ肩にくっついている方の腕をくるくると回した。氷の腕がレモンめがけて高速で迫ってくる。 「まったく、どういう体してんのかしら」 レモンは体勢を立て直すと、軽いフットワークでそれを避け、ハイキックを放つ。強烈なケリを喰らった氷の腕は、中心でまっぷたつに折れ、地面に突き刺さった。レモンがぶつぶつと術式を詠唱すると、腕と地面が凍り、くっついて離れなくなってしまった。 「ハハッ! だからよそ見は駄目だって!」 背後からダンディマウスが飛び込んでくるが、同じ手に二度も引っかかるレモンではない。素早く向き直ると、またさっきの球体(実はただの水風船なのだが)を取り出すと、ダンディマウスの顔めがけて投げつける。見事に命中して、彼の顔は水浸しになる。しかし、ダンディマウスはひるむことなく、むしろより勢いを増して、レモンに突撃してきた。 どういうつもりだろうか、と一瞬レモンは考える。顔が濡れてしまったのに退かないなんて、自殺するようなものではないか。しかしレモンも躊躇することなく、攻撃を続ける。ドレスのスカートをたなびかせ、風のように軽い動きでダンディマウスの攻撃を避けながら、確実に攻撃を与えていく。殴り、蹴ったところから、ダンディマウスの身体が凍り付いていく。最後に一発、とどめのかかと落としを食らわせると、哀れ、ダンディマウスの形をした氷像は砕け散ってしまった。 「ふう」 レモンは息をついて、目の前の氷の塊を眺める。一体こいつはなんだったのだろうか。急に地下から現れて、牌中を攻撃するだなんて。生徒たちは桂浜たちがなんとか全員避難させたが、数名の怪我人は出てしまったらしい。それに、あいつが真っ先に狙ったのは笹岡と京子がいた保健室だった。実際、保健室の地下にあるいくつかの機材は壊れてしまった。京子がその場にいなければ、おそらく笹岡は死んでしまっていただろう。一体こいつの目的は―― レモンがそんなことを考えていると、 「ハハッ!」 「!?」 氷となって砕け散ったはずのダンディマウスの笑い声が辺りに響く。レモンは驚いて身構えるが一瞬遅い。周囲の氷の塊が一斉に宙に浮き、レモンに襲いかかってきた。 流石のレモンもそれを避けることはできず、全身を氷の礫が引き裂く。青いドレスに血が滲む。 「くぅ!」 なんなのだ、本当にこいつはなんなのだ、一体どういう身体をしているのだ。 「ハハッ!」 レモンは声のする方を向いて愕然とする。そこにはさっき倒したはずのダンディマウスが立っていた。しかも、さっきまでとどこか違う。 「デカい……」 先程まで戦っていたスナックンは、せいぜいレモンより一回りほど大きいぐらいであったが、今のダンディマウスはその倍ほどの大きさがある。文字通り、見上げるほどの巨体だ。いったい、これはどういうことなのだ。地面を震わせながら、巨大な影がレモンに迫ってくる。 「ハハッ! 死ねェ!」 ダンディマウスが掌でレモンを押し潰そうとした瞬間、 「待ちな!」 ダンディマウスの土手っ腹に巨大な炎の塊がぶつかった。 「ちょっと見ないうちにずいぶんでかく育ったじゃないかい、クソネズミ!」 「林檎!」 「チィッ! また君かい!」 そこに立っていたのは燃えるような真っ赤なドレスを着た少女。凛として、熱を帯びた瞳を持つ少女。見るものすべてが畏敬の念を抱く獅子の如き少女。 「天知る、地知る、人が知る、邪悪な力も我を知る! 燃える闘志を拳に込めて、すべてを切り裂く炎の戦士、超戦闘魔法少女アップル! 只今参上!!」 夕陽を浴びた彼女の髪は、ドレスと同じ朱色に染め上げられていた。 Bパートに続く (作・恋人が南十字星)
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NPCいろいろの蜃気楼NPCの横「アップルコイン交換」で作成可能 全てアカウント帰属アイテム(同一IDでのみ使用可能) 名前 効果 スロット DEF 部位 材料 アップルリング ATK+100 DEF+20 0 0 コスチュームアクセサリー右 アップルコイン2個 アップルリスト MATK+100 MDEF+10 0 0 コスチュームアクセサリー左 アップルコイン2個 アップルローブ 移動速度+1 サイズによるダメージペナルティ無し 0 0 コスチュームアーマー アップルコイン3個 アップルシューズ ASPD+10% ボス属性のDEF・MDEFを2%無視 0 0 コスチュームシューズ アップルコイン3個 アップルオーブ HP・SP+7% MDEF+5 全サイズ耐性+3% 0 0 コスチュームウェポン アップルコイン5個 アップルショール 詠唱が中断されない 固定詠唱-5%(加算される) マジックロッドLv5取得 0 0 コスチュームマント アップルコイン3個 アップルシールド ヒール系を受けた時の回復量+25% 0 0 コスチュームシールド アップルコイン3個