約 1,366,843 件
https://w.atwiki.jp/wtnotcgp/pages/42.html
雨取 千佳 (通常体) C級隊員 雨取 千佳 B級隊員 雨取 千佳 玉狛のトリオン怪獣 雨取 千佳 雨取 千佳 (通常体) コスト 2 ポジション - TP 0 属性 雨取 千佳・14歳・02/11・かえる座 ■このカードが場に転送された時、デッキから[雨取 千佳]1枚までを手札に加えてもよい。加えたら、デッキをシャッフルする。 ■このカードの上にある、カード名に[雨取 千佳]を含むカードは、このカードの属性を全て得る。 C級隊員 雨取 千佳 コスト 6 ポジション SN TP 2000 属性 C級 【起】〔ゲーム中に1回〕手札のこのカードをドロップに置く。デッキの上4枚をトリオンゾーンに裏向きで置く B級隊員 雨取 千佳 コスト 4 ポジション SN TP 2000 属性 B級・玉狛第二 【永】軽減① [アイビス] 玉狛のトリオン怪獣 雨取 千佳 コスト 6 ポジション SN TP 2000 属性 B級・玉狛第二 【起】〔ターン1回〕[アイビス]を装備しているならこのカードを→する。相手エリアの縦1列を選び、次の君のターン開始まで移動不能エリアにする ※「移動不能エリア」 相手はそのエリアに移動できない。このエリアには移動・転送できず、そこに元からいる隊員は移動・換装可能。
https://w.atwiki.jp/wiki9_vipac/pages/2364.html
「人類の末路なのか…?」 俺はホログラムから目が離せなかった。 映し出されている映像が現実でないのは分かっている。 ネストによって予測、シミュレートされたものだろう。 「「そう遠くない未来、人類種はその存続さえ困難になる。」」 どう足掻いても結末だけは変わらないとネストは言う。 人はそこまで愚かなのだろうか? 愚かかもしれない… 無駄な殺生をしない事を信条とし、その為に努力を続けた。 でも今はどうだ?ジノーヴィー先輩の死で全て変わってしまった。 ネストの正体を知るまではナインボールのパイロットを殺したいと考えていただろ? いや…ナインボールのパイロットが生身の人でも その機会さえあれば俺は迷わずに殺った筈だ。 復讐しても先輩は生き返らない。その事が分かっていても。 これが無駄な殺生でなく何なのか… 否応無しに状況が人を変える。 大切なものを奪った相手を殺す権利を与えられて尚 それを捨てる事ができる人が一体何人いる? 俺には無理だった… 歴史が証明している通り、人間は争いを止める事ができない。 だから過剰な力を持つ者や組織に干渉して、大事に至る前に手を打つ。 学園もその対象のひとつにすぎなかった。 「ネスト、お前は人類全体の為に行動しているんだな。」 「「私は守るために生み出された。使命を守り、この世界を守る。」」 分かったよ… 「その使命、俺が引き継ごう。」 私情を捨て、世界全体と人類種の存続の為に戦う事を約束する。 だから――――― 「これは最後の我が侭だ。」 再度グレネードの砲身をネスト本体に向け、狙いを定め――― 「「やめろ。」」 ―――トリガーを引く。 グレーネード弾はホログラム映像を突き抜け、ネスト本体に命中。 一撃でその外装の殆んどを破壊した。 「「なんと…イう……ことヲ…」」 「じゃあな…」 「「愚かナ…」」 「おやすみ…」 剥き出しになった箇所に更にグレネードを撃ち込む。 「「…マダ…レイヴン…ニ…邪魔ヲ…サザザレ…ル……トトトハ…」」 ネスト本体がその機能を停止するのと同時に周囲一体から光が消えた。 「……………」 後悔は無い、だが達成感も無い。あるのは… 暗視モードに切り替えよう。 「槍杉、どうなっている?」 「ジナ?」 遠距離通信が回復したのか。どうやらジャミングも消えたようだ。 「交戦中だったナインボールが全て停止した。お前がやったのか?」 「ああ、ネスト本体を破壊した…全部終わったよ…」 「くっ…貴様―――」 後が怖いがジナとの回線を遮断した。今はそれよりも重要な事が他にある。 「アイビス、無事か?」 「……………」 「アイビス?」 「……………」 どうして呼びかけに答えてくれないんだ…? 「返事をしてくれ!」 「……………」 まさか…いや…そんな…時間を稼ぐだけって言ってたじゃないか… 通信システムの故障だよな?そうだろ? 「…待ってろ!直ぐ行くからな!」 ・ ・ ・ 「あ、ああ…」 セラフと戦った場所まで戻った俺は目の前の光景のせいで頭が真っ白になった。 暗闇の中に灯りが点いている―――その灯りは炎。 2機の機動兵器が組み合ったまま動きを止めて燃えていた。 「アイビースッ!」 何も考えずにバスターランサーから降りて炎の中に飛び込んだ。 この黒いヤツ、コックピットはどうやって開く?どうなってる? 開け、開け、開け、開け、どうやって開くんだよ! 自分が炎に焼かれているのも忘れ、黒いヤツの機体表面を探す。 「ちくしょう!」 操作パネルはどこだ?どこだ、どこだ、どこだ、これか!? ガシュ、ウィーーーン コックピットハッチが開いた!! 「アイビス!」 「ヨウ…ヘイ…さん…」 「よかった、ここから出よう。」 首の後ろに繋がれた黒いケーブルを引き抜いて彼女を抱き上げる。 「お姫様…だっこ…です…」 「ああ、そうだな。」 「重く…ない…ですか…?」 「重いよ、腰が抜けそう。体重何キロあるんだ?」 「女性に…体重を…尋ねる…のは…失礼だと…思い…ます。」 「そうだったな。これからは気をつけるよ。」 バスターランサーの足元までアイビス運んで寝かせた。 冗談みたいな事を話しているのに言葉がたどたどしい。 一体どうなっている?彼女の体に目立った外傷は見当たらないのに… 「大丈夫なのか?」 「少し…無茶を…して…しまい…ました…ごめん…なさい…」 「そんなのどうでもいい。」 「私は…」 「ベアトリスに診てもらおう。あいつならきっと直してくれる。」 もう一度彼女を抱き上げ、バスターランサーのコックピットに運ぶ。 「槍杉家…に…これて…よかった…です…」 「縁起でもないこと言うなよ。まだ何もしてないじゃないか。これからだろ?」 「これ…から…?」 「そうだ、今度デートに行こう。色々な所に行って色々な事をするんだ。」 「それは…魅力的…な…お誘い…です……………………………………………………」 「アイビス?」 「……………」 「アイビス?冗談だよな?返事をしてくれよ。 なあ、頼むから目を開けてくれ…目を開けるんだ…目を…開けて…」 俺は… こんな結末を迎える為にここに来たんじゃない。 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――」 フゥーフゥーフゥーフゥーフゥーフゥフゥー ♪ フゥーフゥーフゥーフゥーフゥーフゥフゥー ♪ フゥーフゥーフゥ~ ♪ フゥーフゥーフゥーフゥーフゥーフゥフゥー ♪ フゥーフゥーフゥーフゥーフゥーフゥフゥー ♪ フゥーフゥーフゥ~ ♪ デンデデンドドン ♪ ジャンジャジャンジャンジャンジャン ♪ ジャンジャジャンジャンジャンジャン ♪ ジャンジャジャンジャンジャンジャン ♪ ジャンジャジャンジャンジャンジャン ♪ l^丶 | '゙ " '゙ y-―, I'm thinker ♪ ミ ´ ∀ ` , ' (丶==[=]=(丶 ミ トゥートゥートゥートゥトゥー ♪ (( ミ ;' ハ,_,ハ ハ,_,ハ ; ミ ';´∀`'; ';´∀`';,, ` ; , ' c ̄c.ミ' c ̄c.ミ U"゙'''~"^'丶) u''゙"J u''゙"J 登場人物 ORIGINAL 槍杉 洋平 アイビス 学園長 槍杉 嶺文 リン・楠ノ葉・カイシン ARMORED CORE 神威 瑞穂 ボス・サヴェージ ハスラー・ワン ARMORED CORE PROJECT PHANTASMA スティンガー スミカ・ユーティライネン アンプルール 地雷伍長 ARMORED CORE MASTER OF ARENA ラナ・ニールセン ニーニャ ARMORED CORE 2 ネル・オールター レオス・クライン アレス ライオンハート オーロラシーカー エイトボール エヴァーファイター ARMORED CORE 2 ANOTHER AGE ザルトホック スカルブロック 魂塊 ARMORED CORE 3 アップルボーイ レジーナ トルーパー ロイヤルミスト ワルキューレ ゲド ARMORED CORE 3 SILENT LINE エクレール クラフツパーソン ポーキュパイン シューティングスター ヴァーナルフラワー セレ・クロワール ARMORED CORE NEXUS ジノーヴィー アグラーヤ ジャック・O ンジャムジ Dr.? Ω プリンシバル エヴァンジェ トロット・S・スパー ピン・ファイヤー ARMORED CORE NINE BREAKER イツァム・ナー ポーコ・ア・ポーコ ARMORED CORE FORMULA FRONT ベアトリス アナーク メイルド・ブレン フェルノ・ルカーチ ARMORED CORE LAST RAVEN ジナイーダ エド・ワイズ モリ・カドル ズベン.L.ゲヌビ スサノオ ダイ=アモン グリーン・ホーン ARMORED CORE 4 フィオナ・イェルネフェルト エイ=プール サー・マウロスク アンシール ARMORED CORE for Answer セレン・ヘイズ オールドキング ウィン・D・ファンション ロイ・ザーランド リリウム・ウォルコット ドン・カーネル ジェラルド・ジェンドリン ド・ス パッチ、ザ・グッドラック オッツダルヴァ 企画 原案 構成 名無し 演出 音楽 実装 名無しの人 美術 名無しの人たち スペシャルサンクス ALL PLAYER & READER 提供 vipac ★そのエピローグ・A 「アイビス、また来たよ。」 こうして墓石に語りかけるのが癖になってしまったな。 とても部下たちには見せられない姿だ。 「君が逝ってしまってから、もう10年か…」 アイビスを失い俺は生きる気力を失ってしまった。 胸にポッカリと穴が空いて全てがどうでもよくなった。 荒れた生活を続け、一時はそのまま死んでしまおうかとさえ思った。 でも…君が命を賭けて守ってくれた命だ。自ら捨てるなんて出来よう筈がない。 それに死後の世界なんてモノがあって、あっちで君に会う事があったら 目も当てられない。また怒られてしまう。 「生きる目的が必要だった…」 ほんの少しでもいい、一時的にでもいい。 胸に空いた穴を忘れさせてくれる程に没頭できる何かが。 俺はこの10年を…いや、生涯を1つの目的の為に使う事にした。 私情を捨て、世界全体と人類種存続の為に戦う。ネストにした約束。 その為に学園を卒業―――アークに入って実績を積み――― 独立傭兵となり―――私設傭兵団を作った。 傭兵団の規模を拡張し続け、今ではかなりの大所帯だ。 ピピピ…ピピピ…ピピピ…ピピピ…ピピピ… 仕事用携帯の着信音が俺を現実に引き戻す。 スクランブルをかけた機密回線を使っている。 何かあったな… ピッ… 「俺だ。」 「あっ、団長。お休み中にすみません。」 「どうした?」 「依頼の事でちょっと…」 「依頼の判断は君とNEST-Ⅱに一任している筈だが?」 「クライアントが団長と直接話したいと言っています。」 「クライアントは?」 「地球政府です。」 なるほど… 「NEST-Ⅱの予測はどうだ?」 「火星で大規模なクーデターが起こっている可能性が高いと言っています。 それに関する依頼ではないでしょうか?」 「あの男が動いたか…」 「あの男…?」 「独り言だ、忘れろ。」 「は、はい。」 「直ぐ本部に戻る。火星に飛ぶぞ。」 「えっ?団長自ら出るんですか?」 「ああ。整備班にバスターランサーの用意をさせておけ。」 「政府は一時的に火星でネクストの使用を許可すると思われます。 ネクストバスターでいいですか?」 「少しでも火星を汚染するわけにはいかない。 大事の切っ掛けになっても困るからな。」 「分かりました。ノーマルバスターの整備を急がせます。」 「頼む。あとレイヴン隊で手の空いている奴はどのぐらいいる?」 「え~と……………庵野さん、砂井さん、春日と葛峨、それと千条さんです。」 「庵野と千条君を連れて行く。2人に召集をかけろ。」 「了解しました。この3人ならネクスト相手にも引けを取らないんじゃないですか? 随分と豪勢な顔ぶれで行くんですね。」 「当然だ―――」 相手はナインブレイカーだからな… -Endless War-
https://w.atwiki.jp/wiki9_vipac/pages/2323.html
★その53 「うっ…ううっ…うう…」 ここは… 見覚えのある天井だ。市立病院? 「槍杉君、気がついたのか。僕の事が分かるかい?」 「ブレインウォッシュ…先生…」 「意識もハッキリしてるみたいだね。」 この先生って脳神経外科じゃなかったっけ? 「俺、脳ミソをやられたんですか? ううっ…いってぇ…」 「ああ、ああ、急に起き上がろうとしちゃ駄目だよ。 君は3日間も意識不明だったんだから。」 3日? 今、3日って言ったよな? 前回の記録を大幅に更新してる… 「脳に異常は無いよ。担当医は別にいる。 僕はちょっと気になって様子を見に来ただけさ。」 そうか、よかった。これ以上頭が悪くなったら流石にヘコむ。 「いや~それにしても君は頑丈だね~! ACの爆発に巻き込まれたんだって? 経緯を聞く限りじゃ、生きてるのが不思議なくらいだよ。」 改めて自分の体を見てみると、頭、腕、脚等いたる所に包帯が巻かれている。 まるでミイラ男じゃないか。本当によく生きていたな… 「爆発に巻き込まれる瞬間、後ろに跳んで衝撃を和らげたんじゃないかと 推測してるんだけど、どうかな?」 「全然覚えてないですね…」 ガラガラガラガラ 「ヨウヘイさん、目が覚めたんですね。」 病室に入ってきたのはアイビス。おや?ジナイーダさんも一緒だ。 「家族の方と見舞い客が戻ってきたね。 僕は退散するとしよう。担当医には僕から知らせておくから 安静にしてるんだよ。」 ブレインウォッシュ先生は行ってしまった。 飄々とした先生だな。 「セレン様とベアトリス様に連絡してきます。 お2人とも酷く心配されていましたから。」 アイビスも行ってしまった。 ジナイーダさんと2人きりになってしまったな。 何話せばいいんだろう… そんな事を考えている間に、珍しく彼女の方から話しかけてきた。 「寝過ぎだぞ。」 「ははっ、確かに。様子見に来てくれたんだ。」 「エクレールとモヒカンがどうしてもと言うのでな。」 「2人も一緒に来てるの?」 「今は売店で買い物をしている。直ぐに戻ってくるだろう。」 ジナイーダさんと会話のキャッチボールが成立している。 いつもなら「うるさい!」「黙れ!」「お前に何の関係がある!」 こんな感じで投げた球はまともに返って来ないのに。 「今日は平日だよね?みんな授業は?」 「校舎や校庭が荒れているからな。今週一杯は休校になった。」 「なるほど。」 言われてみればそうだよな。 今回はかなりの大事になっているはずだ。 「そういえばまだお礼言ってなかったね。 あの時、ジナイーダさんが敵に体当たりしてくれなかったら 俺死んでたかもしれない。」 「気にするな、槍杉。お前が仕留め損なったら私も危ないところだった。」 何だろうこの違和感…ああ、そうか! ジナイーダさんに名前呼ばれたの初めてなんだ。 いつもお前って呼ばれてたからな。 「何をニヤニヤしている。気持ちの悪い奴だ。」 「いやね、ジナイーダさんに名前呼ばれたの初めてだな~と思って。」 「そうだったか?気にした事はないな…お前も私の事は好きに呼べ。」 「じゃあ今度からジナって呼ばせてもらおうかな?」 「好きにしろ。」 あれ?冗談半分で言ったのに嫌がらないぞ。 槍杉洋平の人間株価って結構値上がりしているみたいだ。 ★その54 その後も神威とエクレールさん、林檎&古王、エイプという感じに見舞い客が続いた。 目を覚ました俺に対する、みんなの反応は想像に任せるよ。 多分想像通りだから… 見舞い客が帰った後に精密検査を受け、怪我は全治2週間という診断結果が出た。 2日間病院で様子を見て、大丈夫そうなら週明けの学園には行ってもいいらしい。 ACの自爆に巻き込まれた割には幸運だったといえる。 セレン姉さんとベアトリスはそれを聞いて安心したのだろう。 俺の軽率な行動に対するお小言をたっぷりと頂いた。 2年になって死にかけたのはこれで2回目…自分でも呆れるよ。 この夜は目が覚めたばかりにも関わらずよく眠れた。 怪我や風邪の時によく眠れるっていうのを聞いた事あるが本当らしい。 体の治癒に全エネルギーを回す為、他へのエネルギーをセーブするとかなんとか。 で翌日の昼過ぎ、アイビスが林檎(アップルボーイじゃなくて本物の方)の 皮を剥いている時に病室のドアがノックされた。 「槍杉、加減はどうだ?」 そう言いながら病室に入ってきたのはクライン先生とポーキュパイン先生の2人。 「ご覧の有様ですが、週明けの授業には出れそうです。 見た目ほど深刻じゃないみたいで。」 「そうか。」 大丈夫だというとこをアピールする為に元気っぽいポーズを取ってみたが クライン先生にスルーされてしまった… 「心配したんだぞ、槍杉。俺が演習場を離れた隙にあんな事になるとはな… すまなかった。」 「ポーキュパイン先生に落ち度はありません。頭を上げてください。」 先生が頭を下げる必要はないよ、やめてくれ~ 襲撃者を迎え撃ったのも、病院送りになったのも、自分で決めた行動の結果。 「責を問われるべきは学園全体だ。お前たち生徒に無理をさせてしまったのだからな。」 「クライン先生………でもみんな無事だったんだからいいじゃ―――」 そうだ、忘れてた。ラナ先生、あの時通信が切れたラナ先生はどうなったんだ? 「ラナ先生は?ラナ・ニールセン先生はどうなったんですか?」 「落ち着け、彼女は無事だ。生徒や教師に死傷者は出ていない。 死亡した警備員シューティングスターを除けば、お前以外全員無事だ。」 「そうですか…」 警備員さんは合掌だが、ラナ先生は無事か、よかった。 「お前も気になっているだろうから、今分かっている事を話しておこう。 彼女は?」 「ああ、家のメイドロイドのアイビスです。」 「いつもヨウヘイさんがお世話になっています。」 アイビスは2人に軽く会釈した。 クライン先生はアイビスを真っ直ぐ見据えている。 話しをするのに邪魔なんだろうか? 「アイビス、悪いんだけど少し外してもらえるか?」 「………わかりました。」 アイビスが病室を出てからクライン先生が話し始めた。 「今回の件で学園に出た被害は、訓練用AC1機大破、3機損傷 校庭、校舎2棟、用務員室が半壊だけだ。」 用務員室を壊したのは俺なんだよな… 「あの状態からよくやってくれたな。学園を代表して礼を言う。」 「ど、どうも…」 「調査の結果、自爆した黄色いACの搭乗者が判明した。 名前はボス・サヴェージ。破壊活動を特に好むレイヴンで、通称『壊し屋』。 奴のガレージを突き止めたが、今回の事に関する手掛かりは出なかった。 今回の襲撃が本人の意思だったのか、依頼だったのかすら分かっていない。」 結局分からずじまいか… 「シューティングスターの事もあって学園の警備は外部委託から 有志教師による警備部隊に切り替えられる事になった。 勿論私も参加するつもりだ。週明けに集会が開かれ 今後の対応策の一つとして発表されるだろう。」 なるほどね。学園教師のレベルは異様に高い。 死んだシューティングスターさんには悪いが、その方がみんな安心するだろう。 「やはり間謀のことも公表するんですか?」 全ての格納庫が開かないという事態は通常では考えられない。 学園長の予想通り間違いなく学園に間謀が潜んでいるのだろう。 「それでは不安の煽るだけで解決には至らないからな… 格納庫の件は電気系統の故障と発表される。」 流石に無理があると思うけど、他にしょうがないか。 「この話は他の3人にもしていない。すまないが他言無用だ。」 「分かりました。」 歯痒いな…あの時、俺がボス・サヴェージを生かして捕らえていれば… 「2度に渡る工作から学園の安全に関わる操作は学科長以上の権限を持つ者にしか 行えなくなった。同じ様な事態はもう起こらないだろう。 後は容疑者を絞り込んでいくだけだ。」 「そうですか。」 容疑者を絞り込むだけって事は調査は結構進んでたのか。 解決に向かいそうな雰囲気だな、よかった。 「私から伝える事は以上だ。他に何か気になっている事はあるか?」 う~ん………そうだ! 「用務員のド・スさん怒ってませんでした?用務員室を無茶苦茶にした上 大事な射突ブレードを勝手に使ってしまって。」 「私は特に聞いていないが…」 「俺が話した時は怒るどころか、えらく喜んでいたぞ。」 「本当ですか?」 ポーキュパイン先生の口から意外な答えが返ってきた。 「ああ、確か『ハラショー!』とか何とか言っていたな。」 ハラショー!って確かロシア語だよな?そんなに悪い意味の言葉じゃなかった筈だ。 広島弁にロシア語、不思議な人だなド・スさんは… 「他に聞いておきたい事はあるか?」 「いえ、特にありません。」 「そうか…あまり長居するのも悪い。ゆっくりと休め。」 「はい、ありがとうございました。」 そう言ってクライン先生とポーキュパイン先生の2人は病室を後にした。
https://w.atwiki.jp/gununu/pages/3103.html
シド・デイビス〔しど・でいびす〕 作品名:真・女神転生デビルサマナー 作者名:[[]] 投稿日:2008年3月3日 画像情報:640×480px サイズ:129,630 byte ジャンル:メガネ キャラ情報 このぐぬコラについて コメント 名前 コメント 登録タグ 2008年3月3日 メガネ 個別し 真・女神転生デビルサマナー
https://w.atwiki.jp/vipwebsoccer/pages/15.html
参加者一覧 練習試合した際には伝言板にメッセージを残した方が紳士的 所属クラスは変動を修正するのが面倒くさいので載せません、スマンコ 『チーム名』 / 「オーナー名」 / 所属リーグワールド 『GUN道』 「うおっまぶし」 アウル 『芝踏合組合』 「司馬 二三男」 クート 『カルシオデパーパ』 「内藤」 アウル 『アスキーアート中』 「AA厨」 ハリアー 『VIP931』 「VIP931」 スラッシュ 『FC アデュー』 「バチーニョ」 スラッシュ 『FC kwsk』 「ksk」 クレイク 『FC ゼニガメ』 「ゼニガメ」 ハリアー 『FCましまろ』 「ばらスィー」 バザード 『久々にサッカー部』 「ハメ太郎」 バザード 『FCプチトマター』 「お塩」 ワックスウイング 『PG アズーリ』 「ポルノ」 スラッシュ 『FC ジョルジュ』 「ちんぽっぽ」 スターリング 『FC 座薬』 「座薬ブローカー」 ピピット 『FC 若本』 「穴子」 グース 『サイコ』 「ぬこ大好き」 スウィフト 『FCパンパース』 「おかず」 「ハリアー」 『FC マイナーズ』 「テラコヤス」 ディッパー 『FC星の屑』 「禿ーズ閣下」 アウル 『ぱにぽにFC』 「ベッキー」 ピピット 『vip 練馬』 「godtail」 クレイク 『FC Blu』 「ちゅーたつ」 フィンチ 『FC 味噌煮込み』 「\(^o^)/」 フィンチ 『トロズ』 「山芋」 オークレット 『FC 姉@VIP』 「DQN」 バザード 『ニューソ・ビップ』 「内藤」 スターリング 『FCぶーん』 「ブーン」 スナイプ 『あらまきぶるー』 「荒巻スカルチノフ」 スナイプ 『キングマドリード』 「( ^ω^)」 クート 『FC ソース』 「キケ」 ガナード 『FC ぽんぽん』 「ボボ」 ウッドコック 『FCコンバット』 「ゴキンジャム」 ワックスウイング 『FCちぇか』 「ちぇか」 クレイク 『FC ケンタッキ』 「オサム」 ピピット 『ケパレ 弘前』 「権俵 峰蔵」 アウル 『JAY.Co』 「JAY.Co」 カナード 『FC暁』 「ネオ・ロアノーク」 ディッパー 『ゲートウェイFC』 「ワクワク君」 スナイプ 『VIP鹿児島』 「大竹のりお」 スラッシュ 『だ』 「ま」 アイビス 『FC 顔面凶器』 「ビンラディン」 パートリッジ 『FC ロッキンポ』 「マキシマムザ洋君」 スウィフト 『ワムFC@vip』 「ワム」 スラッシュ 『FC微乳』 「ビッピー」 スラッシュ 『FC納豆』 「COMA」 フィンチ 『VIPPEST』 「ジョルジュ」 グース 『ぱんだFC』 「ぱんだ」 アウル 『ROTO』 「KSK」 アイビス 『紫G』 「みみっく」 ディッパー 『ASローマ帝国』「21歳変態大学生」 スナイプ 『FCジュウシマツ』 「住職」 スターリング 『FCニプレス』 「にp」 スウィフト 『鯨』 「鯨」 グース 『ヴぃっぺrs』 「(ν^ω^)」 ピピット 『FCジョルジュ』 「ちんぽっぽ」 スターリング 『泥GUBA倶楽部』 「泥GUBA」 カナード 『オメガ』 「su@vip」 アウル 『FC かかお」 「おかか」 ウッドコック 『クマーとその仲間』 「クマー」 ピピット 『マッスル六本木』 「室伏」 アイビス 『バッツ』 「陣内アリス」 グース 『SCハート様』 「sasser」 オークレット 『FC ぽっぽんち』 「ロナウジーニャ」 ディッパー 『マリノス』 「松田忍者」 ディッパー 『まちゅぴちゅ』 「スーパーもこもこ」 ディッパー 『FC春雨』 「春雨」 ウッドコック 『FCモルスァ』 「ジョルジュ」 スターリング 『Vipから(ry』 「NG」 ディッパー 『ななし村の皆さん』 「もちごろう」 フィンチ 『FC コッポラ』 「コッポラ」 ワックスウィング 『FC 牧方』 「しげ」 アイビス 『マルボロFC』 「花男」 ハリアー 『FC 競馬』 「SS」 ワックスウイング 『FC魔弾』 「レヴォ」 ディッパー 『FC ダディ』 「クール」 スウィフト 『街古庵』 「まちこ」 ウッドコック 『BV神戸』 「Y.Y」 スウィフト FCコジキング URLが間違ってますた >< 正しいのを教えてくらはい 何かおかしい点があったら俺に言ってください、善処します 改定版 2006/9/24
https://w.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/89.html
アンチボディー ―半機半生の機体― ◆Nr7qwL8XuU 水面を二つの赤いしみがゆっくりと移動していく。その像は徐々に大きくしっかりとした輪郭を伴ってゆき、間もなくその像の主は水中から姿をあらわした。 姿をあらわしたのはブレンパワードとグランチャーと呼ばれる二機のアンチボディー。半機半生の機体である。 その二機のうち赤い機体は陸にあがると周囲を一度グルッと見わたした。 視界いっぱいに映ったのは砂の海。目測で前方30~40kmはこの光景が続いている。 砂浜というには広すぎる。砂漠とか砂丘とかいう類のものだろう。 視界をさえぎるものがないためか見通しはよく、立ち並ぶビル群を遠目に確認することができた。自分達以外に機影もない。 時刻を確認する。時計の針は午後4時を指していた。 水中の移動は思ったよりも時間をくったなと思ったジョシュアは 「アイビス、ここから先は身を隠す場所がない。なるべくはやくに市街地まで突っ切る」 と声をかける。了解と返してきたアイビスの声を確認するとジョシュアは先にたって進み始めた。 ジョシュアとアイビスが市街地に入ったのは市街地を確認した20分後のことであった。 周辺に敵機がいないことを確認した二人は市街地の入り口付近、A-1・A-2・B-1・B-2という四つの地区の境目、A-1側の一角に陣取った。 姿を隠しつつ南から市街地を目指してくる機体を発見しやすいというのと禁止エリアに指定された場合他のエリアに動きやすいというがその場所を選んだ主な理由である。 『傭兵か・・・さすがに手慣れているな』とへんに感心しつつ、先に降りて休憩しているはずのジョシュアに習い休むことにアイビスは決めた。 機体を降りるとジョシュアが「お疲れ」と声をかけてきた。続けてブレンにも「お疲れ」と声をかけ二三度軽く撫でていく。 「お疲れ。・・・何してるの?」 「こうしてやるとブレンもグランも喜ぶんだ。アイビスにも喜んでるブレンの声が聞こえるだろ?」 「う、うん」 『ブレンの声?何を言っているんだ』と思うも返事を返す。 ブレンを見上げてみた。そこにはいつもと変わらない小型の巨人がただずんでいるだけであって声はおろかそこに感情が潜んでいるなどとはアイビスには到底思えなかった。 「先に休んでる」 とジョシュアに一声かけるとアイビスはその場を後にした。 「わが名はギム・ギンガナム。そこのパイロット、名乗りを上げい!」 我に返ったギンガナムの武骨な声があたりに響き渡った。分離し一部を置き去りに飛び去った相手にもはや興味はなく、新たな相手を前にギンガナムは胸を弾ませた。 その名乗りで我にかえった統夜はゲッターの変形機構から思考を目の前の相手に向ける。 先ほどの戦闘から分かるのは小型機らしい俊敏な機動性と(自機とは比にならない重さを有しているであろう)50m級の機体をも投げ飛ばし殴り飛ばす怪力。 装甲の厚さは不明だが武器というものは当たらなければ須く意味がない。ヴァイサーガの装甲がそうそう破られるとも思えなかったが、攻撃を当てれるかというとどうだろう・・・。 そう簡単に攻撃を受けてくれる相手とも思えない。 とにもかくにも極力戦いたくない相手には違いなかった。 そこまで思考をまとめた統夜は策を決め腹をすえた。そして羞恥心を押し殺し柄にもなく大声を張り上げ名乗りをあげる。 「紫雲統夜!参る!!」 名乗りと同時に刀を抜き打ち、地面を滑るような衝撃波を繰り出す。 そしてそれはギンガナムの手前100mというところで周囲のビルを薙ぎ払い、大量の瓦礫を舞い上げる。ギンガナムの周囲に粉塵が立ち込めた。 「見事な先手!小生の視覚を潰しおったか・・・!!」 周囲を見渡せない状況がかえってギンガナムのテンションをあげる。 レーダーの利かないこの世界において視覚を潰されるということは索敵能力を潰されるに等しい。しかし、逆に取るとこの状況下では相手もこちらの正確な位置は捕らえられない。 ゆえに遠距離攻撃は考えられず、この粉塵にまぎれて近距離戦を仕掛けてくるはずであるとギンガナムは読む。 その予想される相手の攻撃にカウンターを合わせるべくギンガナムは相手の一撃を待った。 やがて視界が晴れたころ、ギンガナムは遥か彼方に遠ざかっていく巨体を見つける。 このとき統夜の取っていた策は実は逃げの一手であった。 眉間にしわがより、鬼の形相を呈したギンガナムは 「小生を謀りおったな・・・だが!!逃がしはせぬぞおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」 その声にドップラー効果がかかるほどの勢いで統夜を追いかけ始めた。 ほぼ同時刻、戦場から離脱し北に向かって遠ざかりつつある二機のコマンドマシンがあった。 「ガロード、引き返すぞ」 後方に遠ざかっていく戦場の様子を注意深く観察していたクインシィはガロードに通信を入れる。 「へっ?さっきは離脱するって・・・な、なんでまた・・・」 「戦場が動いた。この隙にベアー号かお前の機体を回収したい。コマンドマシンでは心もとないだろ?」 言うが早いか大きく弧を描いて真イーグル号を反転させたクインシィに大慌てでガロードも続く。 なるほどさき程離脱した戦場から離れていくヴァイサーガの巨体がどうにか見て取れる。 小型機のほうはここからではさすがに見えないがお姉さんのほうからは見えているのだろうか?そんな疑問が浮かび口を開く。 「お、お姉さん!」 「どうした?」 「さっきの小さいほうの機体は?」 「なんだ。そのことか・・・」 予想よりも冷静な言葉が返ってきて取り越し苦労かと胸をなでおろした。 きっと、策か何かあるのだろうと思い続きを待つ、そこに 「姿は確認できないが、あれほど好戦的な奴だ。大きいほうを追いかけていったに決まっている」 と的を射ているような射てないような返事がガロードに返ってきた。 ガロードが先行きに感じる言いようのない不安などお構いなしに二機のコマンドマシンは僚機を回収すべく駆け続けていった。 「ふははははっ!待てええええぇぇぇぇぇいいいいぃぃぃぃぃぃぃ!!」 通信から楽しそうな大音量の声が流れてきて思わず統夜は顔をしかめた。 えらい変態さんに目をつけられてしまったもんだと暗たんとした思いが胸をよぎり、絶っ対に逃げ切ってやるという思いを強くする。 しかし、不幸にもヴァイサーガの巨体はビルの密集するここの地形に適しておらず、逃走開始時にかなり広げたはずの距離はずいぶんと縮められていた。 そのことを確認すると焦りが生じてきた統夜は周囲を見渡す。 そして、目ざとくも左前方に他の参加者を発見する。口元に笑みがこぼれる。 一度後方との距離を確認して距離的にもちょうどいいと踏んだ統夜は全速で機体を走らせた。哀れな贄の元へと・・・。 休憩を終えたアイビスは再びブレンを見上げていた。 そうする気になったのはバルマー戦役時に活躍したある兵士が超機人とかいう生きた機体に乗っていたという話を休憩中に思い出したからではない。 その手の話は兵士が自分で箔をつけようと流したものかあるいは驚異的な働きをした兵士に神がかり的なものを感じた敵味方に流れるものとして別段珍しくはなかった。 だからそういった尾ひれのついた話に流されたわけではない。 ブレンの声が聞こえるというジョシュアの言に何かひっかかるものを感じたからこそこうして再び見上げてみる気になったのだった。 しかし、依然としてその表情からは何も読み取れなかった。ジョシュアがしてたように撫でてもみたが結果は同じだった。 しばらくの思案の後、への字にしていた口元を緩ませると 『バカバカしい・・・気にするのは止めよう。どうせ私には・・・関係ない・・・』 とアイビスは結論付けた。そこには自嘲の色が見え隠れする。 そのとき、アイビスは地響きのようなものを耳にする。体に緊張が走り周囲を見渡す。 砂漠に敵影は見えない。ビルの隙間からも見えない。 気のせいかと思ったが今度は先ほどよりも大きな地響きを耳にする。同時に大地が震える。 瞬間、転がり込むようにブレンに乗り込む。少し遅れてジョシュアもグランチャーに乗り込むのが見えた。 ―――間違いない。巨大な何かが接近してくる。 その予感はまもなく確信にかわった。ビルの谷間から50mはあろうかという巨体が姿を現しこちらに迫ってくるのを見つけたからだ。 「アイビス!」 同時に確認したらしいジョジュアから通信が入る。 「な、何っ」 「万が一戦闘になったら離脱しろ」 反論を口に出そうとした瞬間、ジョシュアが言葉を続ける。 「ブレンには武装がない!危険すぎる」 「い、言われなくてもわかってる・・・・・・ジョシュアはどうするのさ?」 「大丈夫だ。危ない橋を渡るつもりはない・・・適当に時間を稼いだら離脱する・・・」 そして程よく接近中の機体から通信が入る。 「応答を。こちら紫雲統夜。そこの二機答えてください」 その機体の大きさに若干距離感を崩されながらも、通信に答えようとするアイビスを制してジョシュアは通信に答えた。 「通信聞こえている。こちらに交戦の意思はない。こちらから一定の距離で静止してくれないか」 「無理です!ゲームにのった凶悪な奴に追われています。助けてください・・・」 何か違和感を覚えたジョシュアは追われていることだけでは追っ手がゲームに乗っているものとは判断できないと、そう反論を口にしようとして突如入った通信に遮られた。 「わが名はギム・ギンガナム。そこの二機のパイロット、名乗りを上げい!」 その唐突な小型機の名乗りにジョシュアとアイビスは面くらった 「名乗りをあげろ・・・?」 「何・・・・・・あいつ・・・」 奇妙な雰囲気が場を占め、巨大な機体の接近以来張り詰めていた空気が弛緩する。 その隙に紫雲統夜と名乗った男はこちらに機体を近づけてくる。 ぞくり―― その行動に背筋の凍りつくような感覚を感じたジョシュアは我知らず一歩退く。その鼻先を音もなく巨大な切先が通過していった。 同時に目の前に傷一つない綺麗なボディーが横切っていった。襲われたにもかかわらず損傷のまったくない機体・・・先ほどの違和感の正体はこれかと気づく。 結果としてすれ違いざまの抜き打ちをかわしたことになったジョシュアはヴァイサーガを追って機体を反転させ振り返る。 そこで目に飛び込んできたのは、自機よりも数倍の大きさを誇る機体に叩き潰されビルに沈み込むブレンと、そのまま止まらずに離脱していくヴァイサーガの後姿であった。 「アイビス!ブレン!!」 とっさに駆け寄ろうとしたその時 「むぅ・・・実に見事な名乗り!アイビス・ブレンよ・・・いざ参る!!」 「待てくれ!こちらに戦う気は」 「問答無用!!」 相手の言を完全に無視して、盛大な勘違いをしたギンガナムがジョシュアに襲い掛かった。 四機の機体が入り乱れる様を遥か上空から目撃した神隼人その場で機体を一回だけ旋回させ、今しがた起こった出来事をフライトレコードの映像に収めていた。 その四機のうち一機は既に離脱し、一機は沈黙、そして残る二機は戦闘を繰り広げている。 しかし、既にその上空に隼人はいなかった。YF-19のモニターに拡大表示されているのは三機のコマンドマシン。 同系機とおぼしき外観を持つ三機のうち二機が残る一機に接近していっている。 三機という機数、赤・白・黄色という配色の二つがゲッターを隼人に思い起こさせていた。 ただしその形状は隼人のよく見慣れたものよりもより洗練されたシャープな線を描いている。 ゆえに隼人はそれをゲッターと断定することはできなかったが、確かめずにいることも当然できない。万が一ということも十分にありうる・・・。 どちらにしろコクピットを覗けばその答えは出るはずだ。ゲッターならば合体変形機構が必ず盛り込まれているはずである。機体の動力を見極める手もある。 それを見落とさないだけの自信が隼人にはあった。 眼下で襲われている参加者と地に横たわるベアー号らしき機体を隼人は天秤にかける。 「・・・悪く思うなよ」 ゲッターの巨大な力を知る彼は眼下の光景を後回しに機体を加速させていった。 「お姉さん、あれ!」 先に気づいたのはガロードだった。右前方に一つの機影。その向かう先にあるのはベアー号、あきらかに目的は一致している。 「確認した・・・」 通信を返しクインシィは思案を練る。ここで相手に先を越されるわけにはいかない。もし戦闘になった場合、二機のコマンドマシンでは心もとなかった。 マジンガーの存在もあったがあれはだいぶ東。ここからだとベアー号よりも遠方であった。 やはりベアー号を押さえて合体するしかない。 もう一度相手を確認する。タイミング的にギリギリと踏んだクインシィは「急ぐぞ」とガロードに声をかけようしたところに先にガロードから通信が入る。 「お姉さん、話し合いしなよ。ちゃんと忘れてない?」 「うるさい!覚えてる!!」 実際は忘れていた。 「とにかく今は急ぐぞ!」 というや否や機体を加速させた。その後姿を見ながらガロードは逃げ出したい思いに駆られたその瞬間 「逃げるんじゃないぞ!一段落したらそれと言いたいことは山ほどあるんだ・・・」 釘を刺された。そのぞんざいな物言いの中に優しさもみた気がしたが先延ばしになってる折檻の光景が頭に思い浮かんだ。 「うへぇ・・・でも、お姉さん、本当に話し合」 「くどい!」 首をすくませたガロードはおとなしくクインシィに続いて行った。 周囲に轟音が鳴り響き、ビルの残骸と共にグランチャーは砂漠に投げ出された。 「くそっ!なんて力だ!!」 すばやく体勢を立て直しながらジョシュアは一人愚痴る。 気絶したアイビスを乗せるブレンから相手を放そうと応戦しながら誘導し、最後のビルを迂回して砂漠に出ようとしたとき、動きを読まれギンガナムの拳を浴びた。 とっさにガードしたものの背後のビルを巻き込んで砂漠まで殴り飛ばされたのがここまでの経過だった。 思惑通りブレンからは引き離した。ひとまずここまでは上出来とグランを励ます。 小競り合いによって破壊されたビルの影にシャイニングの両目が浮かび上がり、次の瞬間 「ぬるい!まったくもってぬるいぞ!!貴様ああぁぁぁぁぁ!!!!!」 気迫と同時にブレンに肉薄するとその右拳が振り下ろされた。 それをジョシュアはグランチャーに必要最低限のバックステップでかわさせると攻撃直後の隙を狙って間髪要れずに踏み込む。 ソードエクステンションの斬撃が唸りをあげてシャイニングに差し迫る。 「甘いわ!!!」 ギンガナムは返す右手で捌き、相手の体勢を崩すと左拳をまっすぐに突き出した。 次の瞬間、拳は空を切り、背後から衝撃がギンガナムを襲う。振り返ったギンガナムの視界は間近に迫った光線に埋め尽くされる。 それはシャイニングの胸部装甲を擦過して後方の砂漠に着弾。大量の砂を巻き上げた。 瞬時に反撃に出ようとしたギンガナムだが、牽制の弾幕を撒き一定の距離まで後退したグランチャーを確認してひとまずは追撃をあきらめる。 こちらの動きを読みきった熟練を思わせるパイロットの腕―― 一瞬にしてこちらの死角に回り込んでみせた黒歴史にも載ってない未知の移動法―― 確実に直撃させたはずの二撃目を皮一枚でかわした反応速度―― 小型機に似つかわしくないにも程がある攻撃力と機械とは思えないほど柔軟な追従性―― ―――なまじの敵ではない――― 距離を置いて対峙した二人のパイロットが互いに抱いた感想であった。 「ふ・・・ふははははは・・・・・・面白い。実に面白い」 前言を撤回したギンガナムは肉体が歓喜の声を上げ、武人の血が沸き立つのを感じた。 そして、それに答えるかのようにシャイニングガンダムはフェイスガードをオープンさせスーパーモードを発動させる。 その様子を眼前にジョシュアは簡単にはいかないことを覚悟せざる得なかった。 あともう少しでベアー号を回収できるというところでクインシィとガロードは神隼人と接触した。相手は眼前を悠々と旋回している。 「お姉さん、どうしたのさ?はやく通信しないと・・・あっ、しにくいのなら俺が・・・」 キッ!と通信機越しに睨みつけられてガロードは沈黙した。 が、いつまでもこうしててもしかたないと思い通信機に手を伸ばしたその瞬間 「こちらは神隼人。交戦の意思はない」 相手から先に通信が入ってきた。モニターのむこうでガロードが安心するのが見える。 「こちらはクインシィ・イッサーとガロード・ラン。こちらも交戦するつもりはない。できれば情報の交換を望む」 「了解した」 あっけないほどすんなりと交渉は成立し三機は情報交換を開始した。 そして、情報交換開始から十分弱のあいだに主催者や他の参加者・互いの世界観などについてなど知っていることについて情報が交換されていくが互いにたいした成果はなかった。 ネリー・ブレンについての情報も交換されたがやはり成果はなかった。 成果のない一因は隼人がゲッターについて黙っていたせいかもしれない。まだ二人を見極めてない隼人にとって、ゲッターの情報は一枚のカードとして伏せておく必要があった。 そしてそれはクインシィ側にとっても同じである。二人は万が一に備えマジンガーの情報を隠していた。 自分達の機体は最初から二機のコマンドマシン。そう思わせておいたほうが現状では二人にとって都合がいいのだ。 互いに札を伏せていようとも成果がなくとも貪欲に情報は交換されていく。 そして、話題はヴァイサーガとシャイニングガンダム・ギンガナムに及ぶ。その二機の特徴を聞いた隼人は先ほど上空から撮った映像データを二機に送信した。 「ついさっき撮ったものだが・・・この二機で間違いないか?」 「そうそう。この二機・・・」 ガロードが映像を確認して答えを返す。 その傍らでクインシィは無言で映像をみつめていた。 (これは私のグランチャーではないか・・・) その赤いボディーを見間違えるはずもなく、自分のグランチャーだと気づく。そして、そのグランチャーが桃色のブレンパワードを守るように行動している。 (何故だ!何故・・・・・・) 「隼人、場所はどこだ?」 「南西方向、A-1・A-2・B-1・B-2の四つのブロックの境目あたりだ」 クインシィの目が据わり、次の瞬間真イーグル号は急発進で飛び去っていった。 「ちょっと待ってよ、お姉さん!」 とガロードがそれに続く。 残された隼人はその様子を不審に思いつつもあとを追おうとして近場に横たわるベアー号らしき機体が気になり足を止めた。 このままYF-19で二機を追うにしろ、ベアー号らしきこいつに乗り換えて追うにしろ、ひとまずこいつをどうにかする必要があった。 なぜならば隼人の知るかぎり敵にまわせばゲッターほど厄介な機体はないのだから…。 豪腕がうなりをあげて迫ってくる。それをソードエクステンションの腹で受け止めたグランチャーの両腕は上方へはじかれ、体が宙に浮き上がった。 やばいと思った瞬間、閃光を発したシャイニングの右手が襲い掛かってくる。 それをバイタルジャンプでかわして後方に回り込むも俊敏に反応し振り向きざまに繰り出された裏拳に阻まれて牽制の射撃をおこないながらあえなく距離をとる。 が、次の瞬間ギンガナムの視界を埋めたのは距離を置いたはずのグランチャーの姿だった。ソードエクステンションが袈裟懸けに振るいおろされる。 それを一歩踏み込んでグランチャーの腕を掴んで止め、そして投げ飛ばした。 一拍置いて決定打をかわされたギンガナムはまたかと自らの拳を眺める。かわされたのはこれで何回目だろうか?まったくといっていいほど決定打が当たらない――― 唇の端がつりあがり、だからこそ面白いとギンガナムは結論付ける。だからこそ倒しがいがあるのだと・・・。 この短時間の間にバイタルジャンプに順応し始めているギンガナムを感じ、汗がジョシュアの頬を伝って落ちていった。 瞬間移動といっても過言でない移動法を誇るこの機体相手に、こうも攻撃を捌ききることができるものなのだろうか? ジョシュアが不慣れなのではない。瞬間移動を高速に置き換えると兵器としてのグランチャーの特性は高速近接戦闘を得意とするエール・シュヴァリアーのそれに最も近い。 ソードエクステンションとサイファーソードのコンセプトも通じるものがある。 いっそ逃げようかと考えて気絶したアイビスを思い出し、敵を退けるしかないかと思い直す。 「何故、ブレンを守る。ブレンはオルファンの敵だぞ!お前はオルファンの抗体に選ばれたものではないのか!?」 出し抜けに女の声がコクピットに響き渡った。ぎょっとして周囲を見渡すと通信可能距離ギリギリという遠方に二機の戦闘機(のようなもの)の姿が確認できる。 通信を返そうとしたその瞬間、いつの間にか接近していたシャイニングの拳が肩をかすめていった。まるで気を抜いてもらっては困るとでも言うように・・・。 そして再び二機の攻防は始まる。 心なしグランの動きが鈍ったように思えた。まるで混乱でもしているかのように・・・。 依然として通信を介し女の声はコクピットに響き渡っている。が、ジョシュアはそれに答えず。一瞬後には通信が入っているという事実すら忘れ去る。余裕がないのだ。 他のことに気を取られている暇などない。ほんのわずかな時間でも気を抜けばこの相手は自分を屠り殺してみせるだろう。 気の抜けない戦いにジョシュアの意識は呑まれていった。 「ふははははは・・・もっとだ!もっと小生を楽しませてくれぃ!!」 通信から流れてくる野太い声にアイビスは起こされた。最悪な目覚め方だとふやけた頭で考えると周囲の景色が飛び込んできて我に返った。 あの時、紫雲統夜の奇襲を不意をつかれつもどうにか受け止めたブレンはそのまま相手のパワーに押し切られビルに埋没した。 その際、あまりの振動にコクピット内部に体を激しくうちつけたアイビスは気を失っていたのだった。 「小生の積年の鬱屈、見事晴らしてみせよ!」 通信の声とほぼ同時に轟音が響き渡り、わずかに遅れて舞い上げられた砂がパラパラと降り注いでくる。 ・・・誰かが・・・・・・まだ戦ってる? 一体、誰が? 不意にジョシュアのことが思い浮かび周囲を見渡した。グランチャーの姿は見当たらない。 戦っているのはジョシュアらしいと思い至ったとき、助けに行かなきゃという思いよりも暗澹とした思いがアイビスの胸を満たす。 ジョシュアがこの付近から離れたのが私を巻き込まないためなら、今なお逃げずに戦っているのも私を守るために他ならない。 全ては自分のせいだ。自分が足をひっぱったためにジョシュアは・・・。 『負け犬が!』聞き覚えのある声が耳をうつ。 そう、私は負け犬だ・・・ならどうする?負け犬は負け犬らしく尻尾を巻いてまた逃げだすのか・・・。 ・・・・・・違う。私は負け犬なんかじゃない。 ほんのわずかばかりの気概が沸いたが心の中を埋めるには程遠かった。 力なく鈍く光る瞳でそれでもブレンを起こしたアイビスはせめて盾にでもなろうと、半ば自棄にも似た気持ちでブレンの足を戦場へと向けた。 光り輝く腕が安々とチャクラシールドを突破してくる。 ギム・ギンガナムが操るシャイニングガンダムの渾身の一撃がグランチャーを捕らえたと思ったその刹那、右手は虚しく空を掴む。 バイタルジャンプによって再び距離を置いて二機は対峙する。 傍目には一進一退の攻防を続けているようでいて、その実ジョシュアのほうが遥かに分が悪かった。 互いに互いを捉えられない以上、一撃の重さは重要なファクターだった。そしてそれが圧倒的に違っていた。しかも、グランの調子も落ちてきている。 ならば次の攻防に勝負を賭けるしかないとジョシュアは思い定めた。 (いけるか?グラン・・・) (・・・・・・・・・) (・・・・・・よし!) 決意を固めるや否やジョシュアとグランは突撃する。そして、ソードエクステンションから光線が放たれ、膨大な砂塵がギンガナムの周辺を満たした。 そして、そのまま砂塵に突込み真っ向からギンガナムを斬りつける。 「甘いわ!!」 防がれた。が、もとより相手の動きを止めるための斬撃。牽制の意味合いが強く、直撃を期待してはいない。 その瞬間、ギンガナムの反撃を待たずしてグランチャーの姿が掻き消え、四方八方から光線がギンガナムを襲った。 バイタルジャンプを駆使して全方位あらゆる方角からの射撃、時折それにまぎれて位置を確認するように繰り出される斬撃。 砂塵に視界を奪われた状態でかわそうと思ってもかわしきれるものではなくシャイニングは負傷していく。 しかし、かわしきれないと悟ったギンガナムはその瞬間から射撃を無視し繰り出される斬撃を待った。 そして、グランチャーが周囲に姿を現したその刹那殴り飛ばすとその方角に向かって最大戦速で突貫していった。 砂塵を裂いて吹き飛ばされたグランチャーは体勢を立て直して砂漠に着地した。 そして、前方にソードエクステンションを突きつけギンガナムが追ってくるときを待つ。 ここで朽ち果てるわけにはいかない理由がジョシュアにはあった。 その思いを確認するように胸に手を当てて見る。いつしか自分の中に落ち着いてしまったもの――自分の中のラキが熱を帯びてくる気がした。 その熱がジョシュアとラキ、二人分のオーガニックエナジーをグランチャーに与え、つきつけた銃口はそれまでにない光をたたえていた。 砂塵の中に突撃してくるシャイニングの影が映る。 この一撃に全てを賭けてジョシュアは最後の引き金を引き絞った。 シャイニングガンダムを貫くはずだった光が霧散する。 そして、それは意外にも二人の脳裏から忘れ去られた一人の少女がもたらした。 ジョシュアが引き金を引き絞ったあの瞬間、グランチャーに通信を続けわめき続けていた少女の声色が不意に変わった。 「そうか・・・お前は・・・お前は違うのだな。オルファンの抗体となるべきものではないのだな!何故だ!グランチャー、何故こんな奴を乗せている。お前は私の子だろ!!」 グランチャーに激しい動揺が走り――― 「なっ、動かない!」 ―――本来の主を目の前にしてジョシュアを拒絶する。 「シャアアアアアァァァァァァァァイニングッッッッッッッッッ!!!!!!!」 焦るジョシュアの心情とは裏腹に無情にもコックピットから映し出されている外の情景、その中の一つ光り輝く手のひらが見る間に大きくなっていく。 「フィンガアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・!!!!!!!!」 やがてそれが視界いっぱいに広がりジョシュアはグランチャーの頭部がこの手に捕まったということを悟る。そして、同時に急速に迫ってくる死を身近に感じた。 シャイニングガンダムの光り輝く右腕のエネルギーが収縮しグランチャーの頭部を破壊する。その過程の最後の数瞬、 瞼の裏に映ったのはラキの笑顔――― 胸の内を占めたのはラキへの想い――― 負けられないっ――― 「動け!動いてくれグラン!!」 ジョシュアはあがいた。相手の声も、通信から流れる少女の声も耳には届かず一人コックピットでなおもあがき続ける。 そして次の瞬間、グランチャーは自らを掴んでいる右腕の肘から先を斬りおとした。 吊り上げられていた状態から自由になったグランチャーはその場に崩れ落ちる。 本体から切り離されたシャイニングの右腕はそれでもしぶとくグランチャーの頭部をつかみ続けていたが今のグランチャーにそれを振りほどく余力はなかった。 しかし、ヒットエンド直前までエネルギーを溜め込んだ腕は帯電している。 再び動いてはくれなくなったグランチャーの中、ジョシュアは自分でも驚くほど冷静な目でその腕を観察していた。逃げられないという判断を頭が下す。 心はあきらめるなと叫び体はあがき続けていたが頭野中はとても冷めたく静かだった。 それならばと思い。残された時間、ジョシュアはラキの中にある自分の想いが彼女の行く道を助けてくれること願った。 「ラキ・・・」 言葉にしようとしてそれも許さず、行き場をなくしたエネルギーが膨張して爆散し、同時にジョシュアの意識は途絶えた。 唐突にH-2地区に爆音が響き渡った。その地区の北東の端の一角に大破した赤い機体と薄桃色の機体がただずんでいる。 戦場に到達したアイビスが目にしたのは光り輝く右腕に吊り上げられ力なく垂れ下がるグランチャーの姿だった。 その瞬間、自棄にも似た気持ちは霧散し助けなきゃという気持ちがアイビスの全てを満たした。その思いが誰かの同じ思いと重なりブレンは跳躍する。 「グランチャー、その腕を切り落とせ!」 オープンチャンネルを介して知らない少女の声が聞こえてきたが気にもならなかった。が、次の瞬間シャイニングの右腕を切り落とすグランチャーが目に入った。 ほっとするのもつかの間、追撃をかけようとするシャイニングの目の前にブレンはジャンプアウトすると体当たりを仕掛ける。不意をつかれたシャイニングはあっけなく弾き飛ばされた。 そして、ただひたすら遠くへとだけ願ってグランチャーの腕を掴みブレンパワードは再び跳躍したのだった。 そして現在、大破したグランチャーを前に四肢に力なくへたり込んだアイビスは呆けていた。真っ白な頭は何も考えることができなければ、涙もわいてこなかった。 『ラキ・・・』 ただ最後に耳にした言葉、その言葉が脳内に残りただひたすらにその場から逃げ出したい思いに駆られているだけだった。 【ジョシュア・ラドクリフ 搭乗機体:クインシィ・グランチャー (ブレンパワード) パイロット状況:爆死 機体状況:大破(上半身が消失している)。右手のソードエクステンションは無事 現在位置:H-2北東部 備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません】 【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ヒメ・ブレン(ブレンパワード) パイロット状況:茫然自失 機体状況:ブレンバー等武装未所持。手ぶら。機体は表面に微細な傷。バイタルジャンプによってEN1/4減少 現在位置:H-2北東部 第一行動方針:その場から逃げ出したい 最終行動方針:……どうしよう 備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません】 【紫雲統夜 搭乗機体:ヴァイサーガ(スーパーロボット大戦A) パイロット状態:良好 機体状態:無傷 現在位置:H-1 第一行動方針:戦いやすい相手・地形を探す 第二行動方針:敵を殺す 最終行動方針:ゲームに優勝】 【クインシィ・イッサー 搭乗機体:真イーグル号(真(チェンジ)ゲッターロボ~地球最後の日) パイロット状態:興奮、困惑、やや疲労 機体状態:ダメージ蓄積、 現在位置:B-1市街地上空 第一行動方針:ギンガナムの撃破(自分のグランチャーを落された為逆恨みしています) 第二行動方針:ガロードを問い詰める。場合によってはお仕置き 第三行動方針:勇の撃破(ユウはネリーブレンに乗っていると思っている) 最終行動方針:勇を殺して自分の幸せを取り戻す】 【ガロード・ラン 搭乗機体:真ジャガー号(真(チェンジ)ゲッターロボ~地球最後の日) パイロット状態:全身鞭打ち・頭にたんこぶその他打ち身多数。 機体状態:ダメージ蓄積 現在位置:B-1市街地上空 第一行動方針:お姉さんを止める 第二行動方針:お姉さんに言い訳をする 最終行動方針:ティファの元に生還】 【ギム・ギンガナム 搭乗機体:シャイニングガンダム(機動武闘伝Gガンダム) パイロット状態:気分高揚、絶好調である!(気力135) 機体状態:右腕肘から先消失、胸部装甲にヒビ、全身に軽度の損傷、ENほとんど空 現在位置:A-2北東部砂地 第一行動方針:倒すに値する武人を探す 最終行動方針:ゲームに優勝】 【神 隼人 搭乗機体:YF-19(マクロスプラス) パイロット状況:良好(但し、激しい運動は危険) 機体状況:良好 現在位置:B-1市街地上空 第一行動方針:真ベアー号の確認 第二行動方針:クインシィとガロードの援護 第三行動方針:高高度からの、地上偵察。 第四行動方針:二人以上の組との合流(相手が一人の場合、少なくとも自分から接触する気はない) 最終行動方針:主催者を殺す 備考:まだ完全にクインシィとガロードを信用しているわけではありません】 【残り47人】 【時刻:17 45】 BACK NEXT パンがなければお菓子をお食べ 投下順 いい人たち 血に飢えた獣達の晩餐 時系列順 ガンダムファイト BACK 登場キャラ NEXT ブレンとグラン ジョシュア ブレンとグラン アイビス オーガニックな機体とニュータイプの邂逅 混乱 ギンガナム マイペース二人 混乱 統夜 殺し合い 混乱 クインシィ 極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅 混乱 ガロード 極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅 人間様をなめるなよ 隼人 極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅
https://w.atwiki.jp/dragoncage/pages/108.html
鳥 (正体不明/男/年齢不明) 「クケケ、仕事の時間だぜ」 よく竜の篭に飛来している探し屋アイビスの、使い魔のような何か。 時間を持て余してるとマリアと喋っていることが多い。 薬を投与されるとイタリア人のような外見になる。自分でポリモルフしても同様。 見た目は悪くないが、口が悪い。ついでに性格も悪い。 3歩あるけば色々忘れるが、恩と恨みは決して忘れない鳥である。 様々な魔法を行使することもできる便利な鳥であるが、能動的にはほとんど動かない。 外見は東方の絶滅した鳥であることが多いが、見るものによって外見は異なる。 貴方が見ている鳥は、別の誰かが見ている鳥とは限らないのだ。 実際には使い魔ではなく奴隷。記憶と名前を含む全てを奪われた鳥。 反逆すると頭が痛くなる呪いをかけられている。逆らいすぎると死ぬ。 自分が用済みになったことを悟りながらも、全ての感情を飲み込んでいつもどおりに振舞う。 最近はアイビスに逆らわず、静かに冒険者や世界の動向を眺めている。 同僚の『犬』はそれを怪しんでいる。あるゲルダムの最後を見て何か思うことはあったようだ。 コネクション 顔見知り 50 友人 100 貴重な友人 300 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/srwkdm/pages/367.html
30代目スレ 2009/10/21(水) 言葉の覚え具合はどんなんだったか 【ゼラド 3歳】 ゼラド「あかぁさんばい! あかぁさんばい!」 ゼラド「てとらくてゅすっ、ぐらまとんっ」 ゼラド「ふふふ、でっどえんど、しゅーと」 ゼオラ「どうしたのかしら、ゼラド、おかしな言葉ばっかり覚えて」 クォヴレー「絵本など、読み聞かせているのだが」 ゼラド「くぼっ、くぼっ」 アラド「いいかぁ、ゼラド。 なまむぎなまごめヨナルデパズトーリ」 ゼラド「なみゃむぎなみゃぎょめっ! うにゅ~」 アラド「はっはっは、じゃあもう1回だ」 ゼオラ「アラド!」 【レイナ 3歳】 レイナ「・・・・・・」 コソッ エルマ「レイナさん? レイナさ~ん。 レイナさんは、どうしてすぐソファの後ろに隠れるんですか?」 レイナ「しゅっ、しゅっ!」 エルマ「いやいや、なにを狙ってるんですか。なにを撃ってるつもりなんですか」 セレーナ「やっぱり覚えてるもんなのかしらねえ、あいつのこと」 レイナ「ぺろっ、これは せいさんかり!」 エルマ「いやいや、青酸カリじゃありませんから」 【クリハ3歳】 ぽにっ ぽにっ クリハ「おかーさんの胸は、おっきいんだねぇ」 クスハ「そんなにいいこともないのよ?」 クリハ「じゃあ、わたし、おっぱいいらない!」 クスハ「あらあら、そんなこといって、本当に育たなかったらどうするの」 【アイミ 3歳】 アイミ「おかあさんの胸は、ちっちゃいねえ」 アイビス「いいのよ。アストロノーツに胸なんかいらないのよ」 ツグミ「あら、そんなことないのよ。 極限状況に備えてエネルギーの備蓄は重要よ」 アイミ「びちく?」 アイビス「アイミ、アイミ、アイミはアイビスお母さんの方が好きだよね?」 ツグミ「そんなことないわよね。ツグミお母さんが大好きよね」 アイミ「ん~」 【ゼフィア4歳】 ゼフィア「このとき ましんせるの ようせきをVとして ぜったいれいど下ではっせいする あつりょくは ボイルシャルルの法則により」 ソフィア「あらあら、ゼフィアはお利口さんなのね」 ゼンガー「っ」 ソフィア「あなた、寂しそうな顔したってダメです。 この子に剣道を教えるのは、本人が望むようになってから、ね」 ゼフィア「・・・・・・おとーさん」 【マーズ 起動後3ヶ月】 マーズ「うっぜーな、通信なんざしてくんじゃねーよ。 いまぁ? インドよインド。年取ったインド象ひきとってきたカエり! こいつを見世物にしてイッパツ当てるんだ。 おれのことよっか、ジブンのことだろーがよ。 とりあえず、そのへんで見かけたカワイイインド娘の画像送るから、せーぜー励めよ。 は? なに? うるせーよ。ふんじゃーね」 【ヴァルストーク】 カズマ「普通に、子育てってものをしてみたい・・・・・・」 アリア「だったらまずお嫁さん探さないとね」
https://w.atwiki.jp/yokohama-aoba-flogs/pages/19.html
デイビス30歳 R A+ 142 AABABC 24 素質1.98 成長年数18年 ピーク31歳 29 デイビス31歳 R A+ 142 AABABC 24 素質1.98 成長年数18年 ピーク31歳 29 デイビス32歳 R A+ 142 ABBABC 24 素質1.98 成長年数18年 ピーク31歳 28
https://w.atwiki.jp/meidaibungei/pages/309.html
2005年10月03日(月) 11時53分-月組 ◆藤枝(26) ほんの、瞬きをする間のことだった。 それこそ瞳をわずかに背けた瞬間に、全ては終わっていた。 彼、伯爵が再びモニターに視線を戻した時にはすでに、そこには何も映ってはいなかった。 「これは・・・どういうことだ」 苛立ちを含みながら、座っているジャンルーカに声をかける。が、彼女は答えない。 「何をしたと聞いているのだ」 答えない。 聞こえるのは、 殺人鬼の笑い声 何かの叫び声 衛兵同士の身内話 魑魅魍魎の雑念 現状を打破しようとする男の胸中 ――霧の声のみ。 彼女の心は、聞こえない。 この、『伯爵の領土』において。 わからぬものがあるなどとは。 「ヒッヒッヒヒヒヒャッハハハハハハアアハハハハハハハハハ! ッハ!」 ガシャン、と水鏡の入った盆をひっくり返したことにも気付かない様子で、ユージュは笑い転げた。 過信には戒めを。 『伯爵の領土』において、伯爵は完璧なもの――だが、自身そのものを隅から隅まで熟知している存在など、どこにあろうか。盲点はあり、そして、そこから好機は透けて見えるのだ。 「あ~あ・・・ッハハハ! 笑った笑った」 滲む涙を吹き払いながら、距離をとって様子をうかがっている三人――ストルク、アイビス、車掌――に目を向ける。 「何サ」 とたんに笑い顔が引っ込み、憮然とした表情になる。それからわざとらしく鼻を鳴らしてから、彼女はこう言った。 「キサとかいうのは連れ戻したよ」 ストルクとアイビスが顔を見合わせ、良かった、と安堵の溜息を漏らした瞬間。 こう続いた。 「さァ、約束だ。さっさと列車を出しな」 伯爵のモニターには、突然苦しみだしてうずくまっている青年の姿と、そこに相対している男の姿が映し出されていた。また別のモニターには、空っぽの寝台が映し出されている。また別のものには、徘徊する衛兵達が。また別のものには、小柄ながらも一生懸命に働いている伯爵の僕(しもべ)達の姿が。また別のものには、白刃を閃かせて魑魅魍魎を撃退しようとする甲冑らが。また別のものには、それとは異なったものが映し出され、また別のものには、また別のものが映し出され―― 「・・・これは、ルール違反だ」 ブツン、と音を立ててモニターが真っ黒になった。伯爵は平素を保った表情の下に黒い憎しみと怒りを込めながら、ジャンルーカを睨み据えていた。 「何故ならば」 言い放つ。 「私が賭けをしたのはあの男――賈玉鳴であり、君でも、そしてあの呪術師もどきの女ではない」 ジャンルーカからは何の感情も意思も伝わらない。 「つまりこれは、八百長ということになる。そう、無効試合だ」 何も返って来ない。 「ならば、賞品を戻すことに何ら不思議は無かろう。そして、私の崇高なる趣味を妨げた罪は重い――」 それでも、何も。 ただ。 「それは違うね」 別の方向から、声が聞こえた。伯爵が振り向いた先には、人間の青年がいた。 気配も無く、霧に思考を感じ取られることも無く、彼はそこにいた。 「何で、って思ってない?」 「ルール違反はどちらかな?」 青年はふぅっと溜息を一つ吐き出してから、「・・・噛み合わね~」と呟いた。それから、顔を上げる。 「ま、どっちでもいいんだけどね、俺的には。じゃさ、その“ルール違反”ってのを覆す理由を挙げるから、判断してもらおうか」 今度は伯爵が黙る番だった。青年はそれを承諾と受け取ったような素振りで話を続ける。 「一つ目。賈のおっちゃんは何らルールを破っていない。おっちゃんはルールが設定された瞬間の“この城に存在するものだけで戦”ったし、“外の仲間に助けを求めて”なんかいない。あのバアさん・・・いや、外見はまだそれなりに若そうに見えるからせめておばさんかな・・・まぁいいや。ともかく、あの人が勝手に乱入してきただけであって、そういった部外者についてのルールの言及が無かった」 そうだろ?、と得意げな顔を向ける青年に、伯爵は無言で返した。 「次に二つ目。勝敗についてだけど、あんたこう言ってたよな。“ちょうど朝日が昇る頃だ。それまでに彼女を――希沙ちゃんのことだ――この城から連れ出せればおまえの勝ちだ”と」 反応を示さない伯爵とジャンルーカに、青年はうん、と一つ頷いてから言葉を続ける。 「つまり、希沙ちゃんは賈のおっちゃんと一緒に逃げ出す必要は全然無い。乱暴な言い方をすれば、誰かが希沙ちゃんを連れ去ったっていいってことだろ? 日が昇る時に、希沙ちゃんが城にいなければ、あんたは負けちまうんだからさ――でもって、そろそろ朝日が昇る。霧ん中じゃ、わかんねぇけど」 彼の言う通り、ということかどうかはわからない――何せ霧が濃くなってきている――が、それでも、空は白っぽい明るさを放ちつつあった。 「・・・詭弁だな」 「そんなに負けたのが悔しい? 自分の中にいるのに、思うようにならなかったり、わからないことがあったりするのがそんなに嫌?」 ニカッと青年が笑う。 「詰めが甘いんだよ~」 あっけらかんと笑う灰青色の髪の毛の青年に皮肉な笑みを向けながら、伯爵はこう返した。 「成る程。願わくば、君らに永久(とこしえ)の不幸を」 「有難く頂戴いたしますよ、偉大なる伯爵閣下」 それから青年は恭しく一礼をすると、今度はこう言い出した。 「その強大なお力に甘えて、お願いがあるんですけど」 「断る」 「つれないなぁ~」 クスクスと青年が笑う。 「でも、双方にとってうまみのある話だと思うんだけどな」 「――それで、それからどうしたの?」 ガタタン、ガタタン、と定期的なリズムを刻みながら、列車は走っていた。食堂のテーブルの上には、食後のお茶とお菓子が並べられている。 「おう、そこで俺は言ってやったのよ。『おい、兄ちゃん! 嘆くより先に立ち上がれ!』ってな」 「ええ、そうでしたね。あの時は恨みましたよ。せっかく僕があの男を死に物狂いで押しのけたっていうのに、また剣を取らせようとするだなんて――って」 「こっちだってびっくりしたぜ? 囲まれてるっつうのに『嫌だ! 戦いたくない殺したくない』一点張りで。じゃあ死ぬ気か!って言っても動こうとしなかったからな。あれは焦った。嬢ちゃんも見つけなきゃなんねぇっつうのに」 「・・・そこで、老賈の華麗な中国喧嘩殺法が炸裂した、と」 言って笑うストルクに、賈は大真面目に頷く。 「ありゃ10体以上は軽くいったな」 「そう、でしたっけ」 少し首を傾げているのは、件の男――カーレルだった。彼もまた、無事に列車に戻ってきたわけであるのだが。 「・・・そっちじゃなくて」 アイビスが首を振る。知りたいのは、どう策を弄したら、皆が皆、無事に戻ってくることが出来たのか、という点である。 「絶体絶命のピンチで手近な扉を開けたら、そこが列車の『あの』扉だった――んんっ、私は、その、理由を知りたいのよ」 そのときの情景を思い出して、アイビスは少しどもった。 朝日が昇り始め、希沙(それと一緒にいたローゼン)の無事を確かめさせられ――彼女の部屋で二人はすやすやと眠っていたのだ――それによって、ユージュが強引に列車を走らせてしまった後のことだった。 もう皆は戻って来れないだろうと思っていたアイビスの、すぐ目の前の扉から、ドバッと賈とカーレルが飛び込んで来たのだった。まさしく、“噴出した”という表現がぴったりだった。 何が起こったのか尋ねても、「甲冑どもに襲われて、無我夢中で扉を開けたら何で列車の中なんだ?」という答えが返ってくるだけ。 だがおかしかったのは、賈が下敷きにしていたカーレルに全く気付かずに、うっかりひどい目にあわせてしまっていたことで。 ――それはともかく。 どうして連れさらわれたはずの希沙が自室で眠っていたのか(しかもローゼンも一緒に)。 どうして賈とカーレルが開けた扉が列車につながっていたのか(車掌もこれに関してはわからないと言っていた)。 だが思うに、それらの鍵を握っているのは、その後から悠々と、それこそ観光先から戻って来るかのように戻って来てこれまたうっかり賈とカーレルを踏んでしまった、ジャンルーカと見知らぬ青年であろう。 「・・・というか、聞いてるんですか?」 アイビスは向かいの席に座っているジャンルーカを見据えた。だが、青年の姿は見えない。というもの、その少女に膝枕をしてもらっているであろうからだ。ジャンルーカとその隣にいるはずのストルクの間の距離は不自然に開いている。 「ねえ、ジャンルーカ」 答えないだろう、ということをわかってはいても、何も答えないのはやはり腹立たしい。だが、彼女はやはり微動だにしない。 と、それに答えるように、青年はいきなり身を起こすと、 「眠い」 とだけ呟くと、ジャンルーカの手をとって、有無を言わさず扉の向こうの一般車内へと消えてしまった。 「・・・もう!」 アイビスはお茶を飲み干すと、ぷいと立ち上がった。 ユージュは列車が走り出してから自室にこもりっきりだし、希沙はまだ色々なショックが抜けきっていないために簡易医務室で療養中、ローゼンはテラスから伯爵の館を見つめ続けているし、食堂にいる男連中の話ももう聞き飽き始めた。 というか、眠い。アイビスもまた、夜を徹して祈り続けていたために、眠くてならないのだ。 「・・・ストルク、私、部屋で寝てる」 「ああ、わかった」 「おう、おやすみ、嬢ちゃん」 「おやすみなさい」 「おやすみ、なさい・・・アイビスさん」 「ええ、おやすみなさい」 アイビスが手を振って自室へ戻る。それを見届けてから、再び男達は、この不可思議な出来事についてあれこれ花を咲かせていた。 伯爵は、どこかしら新鮮な気持ちを持て余しながら、去り行く列車を見ていた。といっても、実際に見えているわけではない。列車が『伯爵の領土』――つまり自分から遠ざかっていっていることを、自分の身をもって感じ取っているのだ。 「・・・ふむ」 軽く溜息。 「私ともあろうものが、あのような口車に乗せられるとはね」 苦々しい思いと共に、あの時の記憶が蘇る。 あの時、青年は言った。 「賭けをしよう」 ルールは簡単。彼の名前を当てることだった。 賭けに出した賞品もまた、単純なものだった。 伯爵が勝てば、詭弁を弄した勝利は無かったものとする――つまり、希沙はここに残り、賈とテューンは敗北が確定し、勝負の邪魔をしたユージュとジャンルーカには罰を与えることが出来るようになる。 この青年が勝てば、彼の出した条件を飲む――つまり、列車に乗っていた者達を全員、無事に列車に戻してやる。 伯爵に、負ける要素は何一つ無かった。 ここにおいて彼は全てであり、彼の中に身を置く者達は全て彼の支配下にあるも同然だったからだ。 そこで、伯爵は言った。 「君の名は、無い」 勝ち誇ったように。そしてある男の名を付け足す。 「あえて言うならば、あの男――ジュラン・フェンゲルという者の、偽者だろう?」 以前にここに立ち寄った、異質な力を操る魔性の男。 そして、それに間違いは無いはずだった。見た目こそ違えど、その魂は非常に似通っていた――青年が偽者である限り同質とは言いがたいが、差し支えは無かった。何故なら、偽者に名前があろうはずが無かったからだ。 「――甘かったな」 伯爵は、こう思っていた。 ――この男は、目の前にいるこの幻の少女ジャンルーカが、自らの代弁者として生み出したものに過ぎないのだ、と。 そして、それが早合点であったことを知った。 あの時の衝撃は忘れはしない。そしてこれからも色褪せはしないだろう。 伯爵の見ている前で、青年は笑った。そして見る間に、一匹の猫へと変わってしまったのだ。 ――テューンか・・・ 呟いていたのか、どうだろうか。 いったいいつから、あの猫の姿が見えなかったのだろうか。 迂闊だった。 全てが。 ユージュのくだらない呪術のタネはわかっていた。ジャンルーカという少女に呪いをかけ、その瞳に映ったものを転移させる、という子供だましのものだ。それが成功してしまったのは単なる偶然――カーレル、いや、ケビンとかいう殺人鬼が、希沙とローゼンを殺そうとしたからだ。呪いの正体に気付き、片時もジャンルーカから目を離さなかった伯爵が思わず目を瞑ってしまった瞬間に、奪い取られてしまったのだ。(ちなみに、一緒にいたローゼンが奪われてしまったのもそのためだった。あの呪いは、手近にあるものまで一緒に引っ張っていってしまうからである) しかし、あの猫――テューンの正体を見破れなかったのは自分のミスだった。 慢心、と認めても差し支えないだろう。 どこまで見通していたのかはわからないが、結局、勝負に勝ったのは彼だったのだ。 あの特別な少女、希沙。そして愛すべきローゼンを奪われたことは確かに手痛い。 だがそれ以上に。 甲冑に囲まれ絶体絶命の賈とカーレル(少し前にケビンから戻ってしまったのだ)の最期を見れるかもしれないという楽しみを。 そして勝負に負けた時に見せる敗者のあの苦悶と絶望に満ちた表情を見る愉悦を。 彼がやすやすと奪い去っていったことの方が段違いにつらい。 あの、自分でわざわざ小鳥を逃がす苦しみ――賈とカーレル、そしてジャンルーカとテューンを、わざわざ列車まで自分の力で送り届けた時の煮えたぎる感情といったら! 予想外のことが起きようともそれを自らの目的に沿うように修正し、最終的には目的を達成する――そう、あの、ジュラン・フェンゲルのように。 「・・・面白い」 笑う。 ジュランのときは警戒してたのもあり、手ひどい仕打ちを受けることは無かったが、今回ばかりは完全なる敗北を認めざるを得ない。 伯爵は笑うと、意識を列車に乗っているローゼンに向けた。まだ、伯爵の領土からで切ってはいない。となれば―― 『ローゼン』 呼びかける。 ややあって、か細い声で『伯爵様』と返ってきた。聞こえるのは小さい声だったが、喉も裂けんばかりに叫んでいる彼の健気な姿を感じ取って、伯爵は満足げに笑って続けた。 『もはやおまえは暫く、ここには戻っては来られないだろう』 泣きそうなローゼンの顔。楽しみたいとも思うが、自分の声が聞こえなくなってしまっても困る。ここは我慢して続ける。 『だが、心配は要らない。別れは短い間のこと。それまで、外の世界を見てきて欲しい・・・私の瞳となり、耳となり、口となって』 『しかし・・・!』 『命令だ、ローゼン』 まだ何か言おうとするローゼンに、伯爵は続ける。 『私はローゼン、おまえを通して旅に出たも同然なのだ。おまえにはわかるまいが、私は常におまえを感じているし、おまえの全ての感覚が伝わってくる』 ローゼンの声が遠い。もうあまり時間が無いようだった。 『私のために・・・尽力しなさい、ローゼン』 笑いかけて、そして暫くして、列車の気配が消えた。ローゼンの視界を通して見ても、霧に囲まれた館はおぼろげにですら見えはしない。 ――だが、これでいい。 また、笑う。 これは、同じく慢心をしたユージュのミスだ。 伯爵を振り切り、全て終わったと思い込んでいる彼らへの――いや、あのテューンという男への、甘美なる棘。 ――よもや、この私が傍にいるとは思うまい。 笑う。 久々に、面白いことになってきた。どんな遊戯よりも胸躍る、見世物。 残念なのは、自分が相手に何一つしてやれないことだ。伯爵がここにいると宣言し、相手を怯えさせることすら出来ない。しかし、そのじれったさもまた新鮮で胸が高鳴る。 「時には、思い通りにならない歯痒さもいいものだ」 朝焼けの中、列車は走る。伯爵の笑いを、振り切ったと信じて、前へ、前へと。 そこに線路がある限り、列車は走る。 ◆27(あれ、29では? 穂永) 朝焼けの日は天気が崩れる。 と言って大崩れしたわけではない。明るい雲から静かな雨がさらさらと滑り落ちてきただけだ。雨水が列車の窓を洗い流していく。窓の外には森が広がる。冬も葉を落とさぬ針葉樹の森。木の葉の色は暗く、思いのほか木の下は明るい。揺れから察するに、線路はわずかに傾斜した坂を上っていっているようだ。かなたに山が見えた。高い高い山。あるいは列車は、あの山を目指しているのだろうか。 伯爵の領土を去って六時間ほどが経とうとしていた。一時は沸いた車内の空気も次第に冷め、暗く重くなっていた。軽やかな雨の音と、心地よい列車の揺れが、場違いに思えるほどに。 昼食が運ばれてきた。ロールパン、ほうれん草のスープ、ポークソテー、牛蒡のサラダ。楽しい食事とはならず、空気は相変らず暗いまま。ローゼンは密かにみなの様子を観察した。ストルク、この男が暗いのはいつものことだ。テューンとジャンルーカ、これまたいつものとおり。賈――はいない。疲れて部屋で寝ている。ユージュとカーレル――伯爵が言っていた、この二人は危険であるから近づかないようにと――も部屋に行っていてここにはいない。希沙。ポークソテーがうまく切れないらしく、ナイフを握り締めて皿の上に暴威を振るっている。ため息が出た。 「ちょっと貸してみて」 返事を待たずにソテーの皿を取り、食べやすい大きさに切り分けてから返してやる。 「あ、あの、……ありがと」 少し顔を赤くして希沙が皿を受け取る。今度はフォークを握り締めて、切り分けられたソテーと牛蒡サラダに向かって暴威を振るい始めた。ローゼンは見なかったことにして、自分の皿に向かう。とりあえず、ロールパンをちぎってスープに浸し、口の中へ。悪くない。 三口、四口と食事を進めていると、急に目前に座っていた少女がすっと立ち上がった。 「ごちそうさま」 口はそう動いたように見えたが、声は聞き取れなかった。 「アイビス、もう良いの? ほとんど手をつけてない――」と希沙が言った。 「いいの」とアイビスが応じた。「ダイエット中だし、食欲もあんまりないから」 「身体壊しちゃうよ」 「一食軽めにしたって、たいしたことはないわよ。あ、スープとサラダは手をつけてないから、足りなかったら希沙が食べちゃっていいわ」 「残飯に手を出すほど意地汚くないよ」 冗談のつもりだったらしいが、アイビスを笑わせることはできなかった。アイビスはそのまま部屋に入ってしまった。そうか、おかしかったのは彼女だ、とローゼンは思った。希沙ともストルクとも他の誰とも言葉を交わしていなかったし、今もナイフで肉を切り刻むばかりで――もっとも、マナーのほうは誰かと違ってちゃんとしていたが――細かくなった肉のかけらを口に持って行こうとはしていなかった。 アナウンスが入る。 『皆様、ランチはお楽しみいただけておりますでしょうか。ご案内申し上げます、次の駅、『空の古城』へは夕方五時の到着予定となっております。皆様にはご迷惑をおかけしますが、これより列車は登りに入りますので、揺れが大きくなることと思います。ご気分が悪くなりましたら、乗務員までご連絡ください』 ああなるほど、とローゼンは思った。次は『空の古城』、その次はもう『翼ヶ峰』なのだ。彼女、アイビス・ブロンズヤードにとっては、おそらく宿命の地と言えるだろう。そこへ着くのは、多分明日の昼ころ。もう二十四時間も残っていない。 ――まあ、僕には関係ないか。 思考の間も休まらぬ口と手は、すでに昼食を平らげていた。やや物足りなく感じ、ふと隣を見ると、希沙のテーブルには皿が一つ多い。そしてアイビスのテーブルから、皿が一つ減っている。牛蒡サラダがない。 「残飯に手を出すほど意地汚くはないんじゃなかったんですか」 「ひゃっ、ばれた?」希沙は照れくさそうに笑う。「――みんなには黙ってて」 「条件があります」 「それは?」 「今から僕がすることを、見なかったことにしてください」 そう言って、ローゼンはすっと手を伸ばし、アイビスのテーブルからスープを取った。それから希沙とローゼンは眼を見合わせて、笑った。 雨は、みぞれまじりに変わっていた。一方で空はますます明るくなっている。 ――晴れるかもしれない。あるいは、雨が完全に雪に変わるかも。 どちらになるかはまだ分からない。ただ確実に、列車は『空の古城』へ、そして『翼ヶ峰』へ近づきつつあった。 30(?) バーネット 青一色だった空にわずかに赤が混じる頃、列車は『空の古城』に到着した。 空の、と銘打たれている地ではあるのだが、実際に空に在る――つまり空に浮かんでいるわけではなかった。現にそのレールは今もしっかりと大地に縫いとめられている。それ以前に、そもそも列車が空を飛んだり、レールが宙に浮いていたりということなどあるはずがないのだが、それくらいは出来そうであったり、むしろレールの上を走らずとも空を飛んでいきそうな、そんな不思議な雰囲気がこの列車にはあった。希沙としてはそうだったら素敵だともおもうのだが、実際のところレールもなしに走り、あまつさえ空まで飛んでしまう列車など異常としか言いようが無い。もっともそれはあくまで希沙が心の中で思ったことであるため、つっこんで彼女の乙女チックな幻想を台無しにしてしまうものはどこにも存在しない。存在はしないのだが、現実はしっかりと希沙を裏切ってくれた。 まあ要するに、ひょっとしたら空に浮いているお城に行くんじゃないかという期待を抱いていた希沙がちょっとがっかりした、という話である。 「本日はここで停車し、明日の昼ごろ再び発車いたします。列車の外へ出るのは御自由ですが、暗くなると危険ですのでそれまでには戻ってきてください」 車掌の声が車内に響き渡る。とはいえ実際に車内にいたのはカードをしていた希沙、アイビス、ストルク、ローゼンの四人だけだったが。ちなみにカードの結果はほぼローゼンの一人勝ちで、次点がストルク、希沙とアイビスはぼろぼろであった。勝って自慢げなローゼンにアイビスが噛み付こうとするのを希沙とストルクで止める、というシーンが果たして何度あったことだろうか。希沙だってそれなりに悔しいのだがいっそ清々しいほどのアイビスの形相を見ているとまあいいかという気持ちになれたので普通に楽しむことが出来た。 車掌の声に真っ先に反応したのはすでに遊びの表情ではなくなっているアイビスである。勝負途中のカードをテーブルに投げ出すと、希沙の手をつかみ引きずるようにして出口のほうに歩き出した。慌てたのは希沙である。 「え、えっ? あ、アイビス?」 「行きましょう、希沙。……いいから来なさい」 「う、うん……」 思わず流されてしまった希沙を責めてはいけない。アイビスの表情は希沙を怯えさせるのには十分なほどに険しかったのだから。問題はその後だった。空気が読めていない――というか何がなんだかわからない希沙は助けを求めるように――余計な一言を発した。 「ろ、ローゼン君も一緒に行かない?」 場の空気が――もとから多少そうではあったが――いっきに気まずいものとなった。さすがのローゼンもこれには絶句した。自分に対して怒り狂っている少女と一緒に行くのか、それとも不安そうな目でこちらに助けを求めている少女を見捨てるか、そもそも何故隣の男ではなく自分なのだ――などというローゼンの内心の葛藤は無論希沙には分からない。そしてしばらくの後、ローゼンはゆっくりと席を立った。ただでさえ白い顔がさらに青白くなっているようにすら見えた。 そんなこんなで三人の少年少女は連れ立って列車の出口の前に立っていた。まず不機嫌そうな顔のままのアイビスがさっさと降りていってしまう。続いて希沙。最後にローゼンが降りようとしたとき―― 「すみません、ちょっとよろしいでしょうか」 声をかけてきたのはもはや顔見知りも同然となった車掌である。ローゼンに向かってかけられたものであろうが、気になって希沙も立ち止まった。アイビスも一瞬振り返ったが興味なさそうにそのまますたすたと立ち去ってしまった。その様子をちらりと見た後、ローゼンは車掌へと向き直った。 「それで私に何か御用でしょうか?」 「はい。あなた様の資格のほうを拝見させていただきたいのです。ここはすでに『伯爵の領土』を越えた場所となっております。ここから先に行かれるのであれば資格が必要となります」 「――もし、資格がなければ?」 「申し訳ありませんが当駅にてこの列車を降りていただくことになります」 「え!? ローゼン君降りちゃうの?」 「それはお客様の資格次第です」 驚く希沙の問いに車掌は淡々と答える。希沙はローゼンのほうに視線を移すが張本人である彼自身もいたって落ち着いた様子であった。 「それで私はどうすればいいのですか?」 「この本に触れてくだされば結構です」 そう言って車掌は懐から一冊の本を取り出し、ローゼンへと差し出した。大きさは文庫本程度、ただその割には凝った装飾が施されている代物だった。 ローゼンは指示されたとおりに手で本に軽く触れる。そして彼が手を離すと車掌はそれを頭の高さまで持ち上げ真剣な面持ち見つめた。しばし沈黙。なんともいえない空気の中、希沙は緊張とも不安ともいえる気持ちで二人を見ていた。 車掌の表情がふっと緩んだ。そしてその手に持った本を頭から胸の辺りに移すと軽く一礼した。 「確かに拝見させていただきました。あなた様の資格ならばまだ乗車し続けることが可能です。あと、これは差し上げます。乗車券の代わりとなりますのでくれぐれも無くさないように」 先ほどの本を車掌がローゼンに差し出す。ローゼンは無言でそれを受け取ると無造作にポケットへと放り込む。 「よかったね、ローゼン君」 「いえ、最初から問題などありませんでしたよ。私は『伯爵の使い』なのですから。それより急ぎましょう。これ以上彼女を怒らせないほうがよさそうですから」 そして二人は外へと消えていった。 珍しいものを見た、と彼はひとりごちた。 この列車に乗るには資格が必要となる。資格というのは人それぞれで、実質無限に等しい数だけ存在している。その中には至って平凡なものもあればとんでもない変り種もある。たとえばユージュという名の乗客の資格。彼女の資格は意味不明な記号の羅列で出来ており、読み取ることが出来なかった。また、カーレルという名の乗客は『殺人天才』と『逃げ切れぬ逃亡者』という二つの資格を所持している。基本的には一人につき一つしか資格をもてないにもかかわらずだ。 そして、あのローゼンという少年の資格も珍しいものであった。かの少年の資格は『伯爵の使い』。それは間違いない。ただ、その資格はなぜか少し薄れて見えた。 資格というのはある意味絶対なものといえる。資格と呼べるところまで大きくなったそれを消したり変えたりすることは極めて困難でまず不可能であるからだ。だがあの少年の資格は確かに薄れていた。そして、それの下にほんのわずかではあるが別の言葉が見えた気がしたのだ。それの意味するところはつまり―― (――いけないいけない) 声に出さずにそう呟いて、彼はそこで自分の思考を打ち消した。余計なことを考えるのは自分の役目ではない。むしろやってはならないことだ。なぜなら自分の資格は―― 車外へと消えていった少年と少女を見送ると車掌である彼は自らの仕事へと戻っていった。普段と何も変わらぬ淡々とした態度で。 31?(皆既日食) 昔々、魔法とかいうものがそろそろ世界から消えかかっていた時代に、湖の貴婦人と呼ばれる魔女がいました。 彼女はある湖にずっと住んでいたのだけれど、時は戦国の世、戦いに巻き込まれないよう血生臭い地上を離れて空に住むことに決めました。 魔法を使ってお城を空に浮かべて、貴婦人は誰にも邪魔されず娘といっしょに平和で幸せな生活を送りました。 そんなある日のこと、娘が突然「家を出たい」と言い出したのです。 退屈しのぎに下界を見ていたとき偶然目にした王子様にどうしても会いたいと言うのです。湖の貴婦人は反対しました。地上ではいつも戦争が起こっていて危ないし、なにより魔女の娘ごときと王子様の恋など叶うわけがないのです。しかしそれでも娘はひと目会いたいと言って聞きませんでした。とうとう怒った貴婦人は娘を部屋に閉じ込めてしまいました。きっと娘もすぐに目を覚ましてくれるはず――彼女はそう思っていたのですが、娘は母親の目を盗んで箒に乗って家を出てしまったのです。 大慌てで娘を探した貴婦人でしたが、そのときすでに娘は王子様に侍女として使えていました。なんとか連れ戻したいとは思いましたが、王子様の側にいる娘があまりにも幸せそうで結局連れ戻すのを諦めてしまいました。 そして3年の月日が流れたころ、王子様の国が滅ぼされてしまいました。 湖の貴婦人は血相を変えて娘を探しました。ああ、もっとしっかり見守っておけばよかった!こんなことになるなら無理矢理にでも連れ戻しておけばよかった!! 幸いなことに娘は無事に帰ってきました。しかも最愛の王子様を連れて。 それから3人は平和で幸せな暮らしを送りました――が、ある日、王子様が言いました。 「父と故国の仇を討つため、私に魔法を教えてください」 貴婦人は断りました。故国の恨みは忘れて、この空の城で平和に暮らしましょう。復讐などで人は幸せにはなれないのだから。 それでも王子様は諦めませんでした。何度も何度も頼み込み、結局彼女は娘の想い人の頼みを断りきることが出来ませんでした。 そして王子様が旅立つ日、彼が無事に帰ってきてくれるように一本の魔剣を渡しました。斬ったものすべてを青銅に変えてしまう「ルパルクティング」を。それでもこれが今生の別れだとわかってしまう彼女は、王子様の背中を見て涙しました。 部屋に戻った彼女は、娘もまた王子様についていったことを悟りました。あの日と同じように。 それから湖の貴婦人は空のお城を地上に戻しました。二人がすぐに帰ってこれるように。 春が来て夏が来て秋が来て冬が来て、そしてまた春が来て。彼女はひとりで待ち続けました。 いつまでも、いつまでも。 ◆藤枝 「お弁当、お飲み物、え~・・・その他諸々、販売中で、ございます・・・」 ぎこちない宣伝文句を呟きながら、車掌が荷物のドッサリ乗った手押し車を持って来た。 「・・・珍しい光景ですね」 とこれはストルク。 「ええ、まぁ・・・実はですね、捩れてしまいまして。扉が」 「成る程。しかし、原因は?」 「それがわかりましたら、苦労はいたしませんとも」 「あの、ちょっとすみません」 そんなストルクと車掌さんのやりとりに割って入ったのが、カーレルだ。 「“捩れる”と、どうして車掌さんがこんな・・・車内販売を?」 ウムム、と軽く咳払いをしてから、車掌が答える。 「一言で申し上げますならば、食堂車が使用不可能となった、ということでございます。ああ、ご心配無く」 不安そうな顔をしたストルクとカーレルに、車掌が淡々と告げた。 「臨時停車中に列車内部全ての点検、及び修復を完了いたしますので、明日の昼過ぎからはまた食堂車をご利用いただけます」 「理由が不明なのに、ですか?」 「ええ。知るべきは結果、そしてそれに相応しい対応のみ、でございます」 苦笑交じりで顔を見合わせた二人に一礼をし、「では失礼を」とだけ告げると、車掌はまた歩を進めた。 慣れない販売文句は、そのままにして。 「お弁当に、お飲み物・・・その他ご要りようの物などございますでしょうか」 「泡沫の接吻」 そう手を上げて車掌を止めたのは、ユージュだった。正確には手を、というよりはブレスレットとネイルアートされた長い爪を、とした方がしっくりくるだろう。 「・・・申し訳ございません」 「宵月の草葉、露光る輝石、紫苑の薫香・・・無ければ雪照らす月でもいい。あるだろ?」 「いえ」 ブハァッと口から大げさに煙を吐き出しながら、ユージュが嘲笑った。 「無いわけないだろ? エ? 何か、ここは禁煙車か? そんなワケないだろうよ。それとも何かい?」 簡単な荷物チェックをしている車掌に向かって、嫌味たらしく口を歪める。 「――言葉がわからないわけじゃあ、ないだろうね」 しかし、車掌は冷静だった。 「そのようなものは、ただいま持ち合わせてございません」 チッ、とユージュが盛大に舌打ちする。 「煙草だ、煙草」 「こちらです」 差し出された三つの箱――「金の羽根」「千切れた葉」「血の荊(イバラ)」、どれも彼女にとっては聞き馴染みの無いものばかりだった――を胡散臭そうにジロジロ見て、それからまた舌打ち。 「全部」 「かしこまりました。お支払いは」 「カード、とでも言うと思ってンのかい?」 ジャラジャラと盛大な音を立てて――といっても主にその音は装飾品から出ていた――古ぼけた金貨が一枚投げ捨てられた。あさっての方向に飛んで行った、というか飛ばされたが、車掌は器用にそれを片手でキャッチし、涼しい顔で一礼する。 「ありがとうございました」 それから同じように釣銭を飛ばして去って行く。もちろん、釣銭をはじき返して落としてしまい、ブツブツ言いながら拾い集めているユージュには目もくれずに、だ。 「煙い~」 ゴホゴホ、とテューンが咳き込んでそう叫んだ。と、そこにすかさず煙が吐き出され、テューンの体が一瞬、赤っぽい色に包まれる。 吐き出しそうな顔をして、涙を流してゲーゲーやっている猫の姿を見下しながら、ユージュが唇の端を引きつらせる。 「喫煙は個人の勝手サ」 「アンタさぁ~・・・こんな言葉~知ってる~? 『喫煙は~時間のかかる殺人だ』~って~やつ~」 「初耳さね」 ユージュはそうしらばっくれると、キセルの先でテューンを突付いた。 「そもそもネコの姿で偉そうな口きくんじゃないヨ、エ? この“猫被り”野郎が」 「厚化粧に年齢詐称のクソババアに言われたかないぜ」 バシッと一瞬、両者の間に火花が散った。それから暫くの沈黙の後、ほぼ同時に口を開く。 「――この」 「――そもそも・・・いや、レディー・ファーストだ、お先にどうぞ」 それからユージュはフン、と軽く鼻を鳴らすと、キセルをひっくり返して火種を小瓶に詰めた。 「アタシゃネ、いいかい、つまんないことは嫌いサ」 「で?」 「だから警告しといてやるヨ・・・」 それから煙で濁った空気をすぅっと吸い込んでから、ニヤニヤと紫色の唇を歪めながら言った。 「“時”の駅には降りるんじゃあない。愛しの君を自分の目の前で消したくなければネ」 体を震わせながらそれだけ言うと、ユージュは装飾品から派手な音を立てながら、ズルズルと扉のほうへ去って行った。 「・・・つまりは、アンタにとっちゃ、俺らが存在し続ける方が面白いと踏んだわけだな」 クックック、と背中を向けたまま、黒いローブが震える。 「そりゃあそうサ。見世物は滑稽で、悲劇的であればあるほど、いいモンだからネ」 車掌が事の重大さに気が付いたのは、車内販売を終えた後のことだった。 “扉”に関して言えば、何の問題も無かった。ただ、一種特殊な地域――言うまでも無く、伯爵の領土のことだ――を通過したために、一部の機能が障害に見舞われたというだけのことだ。時間とともに収まっていたし、また、彼にとってはそんなことは茶飯事だった。 ただ、そんな彼にとって、今、自分の身に降りかかっている状況は信じられないものであった。 「――お客様」 彼は言った。 「ここから先は、乗務員以外、立ち入り禁止となっております」 相手は何も言わない。 「規則ですので」 「・・・破ったらどうなる」 ようやく、ボソリとそう呟く声が聞こえた。車掌は黙考した後、「存じません」とだけ返した。 「この車内において、列車が定めた規則は絶対です。如何な状況であれ、例外はございません。また、規則を破棄した結果、どのような事態が引き起こされるのかはわかりません。ただ、試してみたいとおっしゃるのであれば、乗客の生命全てを賭けていただかねばなりません。この世界で足を失うことになりましょうから」 それからクルリと振り返って、感情の無い声で続ける。 「しかし、貴方様はそれをお望みではないはずです、賈玉鳴様」 突然、アナウンスが響き渡った。 「皆様、ご歓談中失礼いたします。当列車は御用命により、『時の忘れ形見』へと向かいます。『翼ケ峰』のご到着が遅れますことを、ご了承くださいませ。また、お客様方には多大なるご迷惑をおかけいたしますことを、ご容赦ください。また、通過地点の『時の廃墟』、並びに『時の回廊』への降り立ちは、お客様各人のご判断にお任せいたします。長々と失礼いたしました」 その急な進路変更の真意を知るものはいない。 ただ一人、賈玉鳴を除けば。 彼の長かった旅はそこ、『時の忘れ形見』にて一端の終わりを見せることになる。 これにて伯爵編は終了だぁああああッ! 自分が言い出しっぺでナンなんですが、こんなに長くなるとは・・・恐るべし伯爵パワー! というか、ローゼンを通して伯爵も旅に同行状態になっちゃってるけど、いいよね? いいよな? 知~らないっと。(藤枝) 次の『空の古城』と『翼ヶ峰』はアイビス編でしょうか。このリレーもだんだん後半に……なってきてるのか?(穂永) 殺人天才。ジーニアスオブマーダー。おお、ちょっとカッコイイかも。こんな感じで各キャラの資格に名前をつけてみるとかどうでしょう。ネタバレが含まれたりしてなければ、ですが。(バーネット) アイビス編ということで剣の塚の続編っぽく。翼ヶ峰もということはひょっとして三部作なのかこの伝説(皆既日食) 賈は、アイビスとストルクよりも、 ”前” に 降車しております。 てなわけで、突然の賈編突入。そして、別れ。出会いがあるかは知らない。 アイビス&ストルク、暫し待たれよ。とはいえ、賈の降車を一言で表される可能性も無きにしも非ずなわけなのだが。(R)