約 187,606 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1128.html
ある男の家に、一匹の赤ちゃんれいむがいた。 これは、ゆっくり愛好家である男の家に暮らしていたゆっくり一家の末子である。 一家が親子水入らずでハイキングに出かけたある夏の日、里一帯は午後から急な夕立に見舞われた。 それ以来、ゆっくり一家は帰って来なかった。 男は信じたくなかったが、おそらくは隠れる場所の無いところで雨に降られ、全滅したのだろう。 しかし生まれて間もないこの赤れいむだけは、部屋の物陰で寝過ごしており、 ハイキングに行きそびれて運良く生き残ったのであった。 家族がいつまでも帰って来ないことに、赤れいむは夜通し泣きじゃくり、男もつられて涙をこぼした。 男は、一家の忘れ形見であるこのれいむだけでも大切に育てようと思った。 さて、ある程度育ったゆっくりならいざ知らず、赤ゆっくりの育て方を男は良く知らなかった。 なので、母ゆっくり達がいた頃の飼育法を見よう見真似でやってみるしかなかった。 赤ゆっくりは食べ物をうまく消化出来ないことがある。 なので、食べ物は親ゆっくりが一旦咀嚼し、ある程度餡子に変えた状態で与えるのだ。 少なくとも、男が見ていたゆっくり親子はそのようにしていた。 男もそれに倣い、野菜など歯ごたえのあるものは、自分が咀嚼して吐き出したものを与えた。 本来ならすり鉢などですり潰せば良いだけだろうが、今は自分が親代わりなのだ。 ゆっくりなりの親子のコミュニケーションというのを体験させた方が生育上良いと思った。 赤れいむも、そうして与えられた物を喜んで食べた。 餡子には変わっていなかったが、噛み砕かれた食べ物は赤れいむでも消化出来たようだった。 そのように男は一つずつ、親ゆっくりから学び取った赤ゆっくりの育て方を実践していった。 半年が経ち、男の世話の甲斐あって、れいむも立派なゆっくりに成長した。 すでにバレーボールほどの大きさがある。親に似た、心豊かなゆっくりである。 度々外に遊びに行っていたので、運動能力も充分。虫を追いかけて捕まえることも出来た。 ある日れいむは、男に対してこのように言った。 「おにいさん、いままでれいむをゆっくりさせてくれてありがとう! れいむはもうひとりでもいきていけるよ!だからもりにいってみようとおもうよ! ばっぢがあるともりのゆっくりとゆっくりできないから、ばっぢをゆっくりとってね!」 突然の申し出に男は驚きつつも、言われた通りに飼いゆっくり証明バッヂを取ってやった。 「本当に行くのかい? ずっと家でゆっくりしていっても良いのに」 「ゆ!でもれいむは、おかあさんやおねえちゃんたちをさがしてみようとおもうよ! もうしんじゃったかもしれないけど、もしかしたらいきているかもしれないよ!!」 「そうか……一緒にいられないのは残念だが、そういうことなら仕方ない。 餞別にお菓子を持たせてあげよう。それと雨には気をつけるんだよ」 「ゆっ!おにいさんありがとう!れいむはいってくるよ!!」 またいつでも帰って来いよ、と言って男は旅立つれいむを見送った。 れいむがもらったお菓子は飴だった。れいむは飴を一粒舐めながら道を歩いていった。 しばらくして、近くに川の流れる林道に出た。この辺りはお母さんと一緒に一度来たことがある。 そう思って歩いていると、口から飴をこぼしてしまった。道を外れ、なだらかな坂を転がっていく飴玉。 れいむが目で追っていると、坂の下にいた二匹のまりさ達が飴を拾って舐めていた。 「しあわせー!」と言っては吐き出し、二匹で回し舐めしている。 そしてれいむと目が合った。せっかくなのでれいむも坂を下り、まりさに話を聞くことにした。 「ゆっくりしていってね!」 「「ゆっくりしていってね!」」 「このへんではみないれいむだね!」 「れいむはにんげんにかわれていたんだよ。でもさっきひとりだちしてきたんだよ。 そのあめもにんげんがくれたんだよ」 「ゆっ!もっともってたらまりさにちょうだいね!」 「いいよ!でもれいむのしつもんにこたえてね! はんとしぐらいまえ、このあたりでゆっくりのいっかをみなかった?ばっぢをつけてるいっかだよ!」 「ゆゆ?まりさはむかしのことなんておぼえてないよ!」 「そういうのはぱちゅりーにきいてね!」 ということで、れいむはまりさ達の群れに案内され、群れの長であるぱちゅりーの前に通された。 ぱちゅりーは他のゆっくりに比べて知能が高く、記憶力も良いらしかった。 れいむが事情を話すと、すぐに答えが返ってきた。 「むきゅ!たしかにみたわね!このもりをぬけたはらっぱでゆっくりあそんでたわ!」 「ゆゆゆっ!ほんとう!?」 「ゆん!でもおおあめにふられて、みんなとけちゃったみたい。これがそのときのこったばっぢよ! にんげんよけになるかとおもったけど、ゆっくりだけではつけられないからとっておいてるの」 そう言うとぱちゅりーは、巣の奥から沢山の飼いゆっくりバッヂを運んできた。 ちょうど家族の人数分あり、親姉妹達のもので間違いなさそうだった。 れいむは親たちが生きているというわずかな可能性を断ち切られ、意気消沈した。 「ゆ~・・・やっぱりれいむのおかあさんたちはもういないんだね」 「ゆっ、れいむ!げんきだしてね!」 「まりさたちがともだちになってあげてもいいよ!!」 「むきゅ、そうね!いくあてがないなら、わたしたちのむれでゆっくりしてもいいのよ!かんげいするわ!」 「ゆっ!そうさせてもらうね!これからよろしくね!」 しかし家族の死を確認出来たことは、前へ進むために過去を吹っ切ったという意味も持っていた。 れいむは森の群れの中で、野生ゆっくりとしての新しい生活を始めた。 他のまりさと仲良くなってつがいになり、ゆっくりしたかわいい赤ちゃんを沢山産んだ。 時には他所の一家の親が狩りに行っている時、その子供の面倒を見たりもした。 長ぱちゅりーが体調を悪くした時も、群れのみんなで交代して看病をした。 家族を失ったれいむにとって、群れというコミュニティでの生活は、心の充足をもたらした。 れいむはとてもゆっくりできていた。 れいむが群れに馴染んで来てしばらくした頃、群れの中である奇病が報告された。 突然口の中が痛いと言い出すゆっくりが現れたのだ。 しかし一見口の中に怪我などはなく、原因は不明とされていた。 一応、ぱちゅりーが薬草として知られている草をいくつか食べさせたが、効果は薄かった。 発症したゆっくりの痛みは日に日に増していくようだった。 「ゆぎい゛ぃぃぃぃぃぃ!!いだい!!いだいよぼおおおぉぉぉ!!」 「まりさ!おちついてね!ごはんをたべてゆっくりねたらきっとなおるからね!!」 「いや゛だびょぉぉ!!ごばんだべだぐないぃぃぃぃ!!だべるどいだいのぉぉぉ!!」 「ゆゆっ・・・どうずればいいのお゛ぉぉぉぉぉ!?」 あるまりさの一家などは大パニックであった。大黒柱である親まりさが奇病を発症し、 三日三晩のた打ち回った挙句、やがて餡子を吐き出して死んでしまった。 それはれいむが初めてこの群れに来た時、友達になってくれたあのまりさであった。 こうなると群れは恐慌状態である。やがてその家の子まりさまでもが痛みを訴え出した。 「ゆ゛~!ゆ゛~!いちゃいよおかあしゃん!」 「ゆっくりでぎないよぉぉぉぉ!!」 「ゆゆゆ!みんながまんしてね!ゆっくりなおってね!なおらないとまりさおかあさんみたいにしんじゃうよ!!」 「「ばりざじにだぐないよぉぉぉぉぉ!!」」 「むきゅ・・・もしこのびょうきがどんどんうつったら、むれのみんながゆっくりできなくなってしまうわ。 かなしいけど、なおすほうほうがみつかるまでどこかにでていっていてもらうしかないわね」 「どぼじでぇぇぇぇ!?まりざだちなんにもわるいごどしでないよぉぉぉぉ!!」 「うるさいよ!おまえたちはいるだけであぶないんだよ!」 「まりさたちといるとゆっくりできないよ!ゆっくりでてってね!!」 病気を恐れた群れのゆっくりたちは、一家を追い出して隔離してしまった。 れいむは心苦しかったが、群れを守るためだと自分に言い聞かせ、みんなと一緒に病気の家族を追い立てた。 さて、そうなると事態は深刻である。痛みを訴えれば、病気の感染者として群れから隔離されるのだ。 事実、その後も激しい痛みを訴えたゆっくり達が、家族ごと群れから追い出され、森の奥へと隔離されていった。 そんな雰囲気の中なので、口の中が痛み出したゆっくり達も、しばらくは痛みを我慢して黙っていた。 発症するのは子ゆっくりや赤ゆっくりが多かったため、両親は喚くわが子の口を封じるのに一苦労である。 中には自分達が追い出されない為に、痛みを訴える子供達を巣の奥に押し込めておく親ゆっくりもいた。 それだけならまだしも、痛みに暴れまわるわが子を思わず押し潰してしまう親までいたのだ。 また今は健康な他のゆっくりも、どこから感染し、いつ自分も発症するかわからない。 自然とゆっくり同士のコミュニケーションは減り、群れの縄張りは静かになっていった。 今や群れ全体がゆっくり出来なくなっていたのだ。 「ゆぅ・・・なんだかむれがばらばらになっていくよ。これじゃゆっくりできないよ」 「みんながもっとゆっくりできればいいのにね・・・」 れいむたち夫婦も、巣に篭もってごはんをもそもそと食べていた。 群れ全体を包む緊張感の中での食事は、ちっともしあわせではなかった。 もうすぐ冬がやってくる。越冬の為にみんなで協力し合わなければならない時に、こんな調子では…… その時、子れいむの一匹が木の実を食べて「ゆ゛っ」と呻いた。 「おかあさん・・・なんだかおくちのなかがいたいよ・・・」 「ゆっ!?」 「まりさも!まりさもいたいよ!!」 「なんだかゆっくりできないよ!」 「ゆ゛ゆ゛っ!!おちついてね!!きのせいかもしれないよ!」 「ぎのぜいじゃないよ!!いだいよ!!ごはんだべられないよ!!」 「な゛んでぇぇえ゛ぇぇ!?でいむおながへっでるのに゛ぃぃいいぃぃ!!」 「い゛ぎぎぎぎぎぎぎぎっ!!!」 次々に騒ぎ始める子ゆっくりたち。痛みを感じていない子ゆっくりも、病気のことは知っているのだろう、 痛みを訴える姉妹たちから離れ、親にすがりつくようにして震えている。 れいむはどこか他人事だと思っていた脅威が、とうとう自分達の家族を襲い始めたことに戦慄した。 そして何より、自分の口の中にも何か違和感があることに気付いてしまったのだ。 いや、以前から気付いていたはずだ。しかし無意識のうちに気付かないフリをしていたのだ。 いたいいたいと泣く子供達を見ているうちに、その違和感が痛みに変わっていくのを感じた。 「ゆゆゆゆ!れいむもなんだかいたくなってきたよ!!」 「ぞんなぁぁぁ!れいむまでびょうきになったら、まりざどうすればい゛いのぉぉぉぉ!!」 「おかあしゃん!いたいよ!こわいよ!!」 「ばりざじにだぐないよぉぉぉぉぉ!!」 「なにごれぇぇぇぇ!!れいむなんにもわるいごどじでないのにぃいぃぃぃぃ!!!」 「ゆ゛っぐりざぜでよぉぉぉおおぉぉ!!」 巣の中はパニック状態だ。痛み自体はまだそれほどでもないのだが、家族が群れから追い出され、 ゆっくり出来なくなるというビジョンの恐怖が、混乱に激しく拍車をかけていた。 そしてやがて待っているのは、苦しみのた打ち回った末、餡子を撒き散らして死ぬ運命である。 あまりの恐怖に錯乱した一匹の子まりさが、叫びながら巣から飛び出していってしまった。 「ゆゆっ!ゆっぐりまってね!!いまそとにでちゃだめだよ!!」 「ばりざぁぁぁぁあのあかちゃんをづがまえでえぇぇぇ!!でいぶだぢゆっぐりじだいよぉぉぉぉ!!」 「ゆっ・・・わかったよ!!みんなはここで静かにまっててね!!ゆっくりなおってね!!」 「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・」 錯乱状態のれいむに頼まれ、親まりさが飛び出した子まりさを連れ出すことになった。 親まりさが巣穴の外に出てみると、辺りに他のゆっくりの姿は見当たらない。どこも同じような状況なのだろうか。 しかしそれなら好都合だ。他のゆっくりに見つかる前に連れ戻してしまえば、追放は免れるかもしれない。 足跡を辿って子まりさを追っていくと、林道に差し掛かった辺りで一人の若い男に捕まっていた。 (ゆゆっ!?あれはにんげんだよ!ゆっくりにげるよ!!) もう親まりさの頭の中は、子まりさを見捨てて恐ろしい人間から逃げることで一杯だった。 しかし腐っても我が子のことなので、もう少し遠巻きから様子を見てみる。 人間は、掴み上げた子まりさに何やら話しかけているようだ。 「おいおい、全然ゆっくり出来てねえゆっくりだな。血相変えてどうした」 「ゆががががが!!ゆっくりはなじでね!!ぐぢのなががいだくてゆっくりでぎないんだよ!!」 「口の中? 口内炎かなんか出来たのか? どれ、ちょっと見せてみろよ」 と言うや、男は子まりさの口を顎を外すような乱暴さで、上下にがばっと開いた。 子れいむは「ゆ゛ぎっ」とうめきを上げ、親まりさも一瞬恐怖した。 「あ~あ、こりゃひでえ。見事な虫歯だな」 「ふ、ふじば?ひゃにひょれ!?ぶっふりえぎる?」 「何言ってんのかわかんね。口の中っつーか歯が痛いんだろ? 虫歯は歯の病気だよ。 しかしゆっくりも虫歯になんてなるんだなあ。歯磨きどうしてるんだ? お母さんが磨いてくれなかったの?」 「ゆぶっ!だじがにはがいだいよ!!ふしばってなあに?はみあきなんてきいだごどあいよ!!」 「お母さんも歯磨きしてないのか? とするとゆっくりにはそもそも虫歯という概念がなかったのかな。 確かに俺も結構色んなゆっくりを見てきたけど、虫歯の心配してる奴なんかいなかったな。 ま、お前らのことだからどうせ人間の食べてる物でも横取りして食ったんだろ。 人間の口には虫歯のばい菌がいるからね。それで移ったんだ。自業自得だね!」 「ゆ゛ゆ゛!!ばりざにんえんのものなんへとっへないお!!もうゆっふりはなしへね!!」」 「まあまあ、せっかくだから俺が虫歯抜いといてやるよ。そらっ」 そういって男は、子まりさの口から歯を一本ブチッという音を立てて抜き去った。 それも一本だけではなく、太い歯を何本も何本も。 抜かれるたびに子まりさは「い゛があああああああああああ」と悲鳴を上げていたが、男はケタケタ笑うだけだ。 歯茎に空いた穴から餡子が噴き出し、男の手を汚す。 結局5、6本の歯を抜いてから、男は子まりさをべしゃっと投げ捨てた。 「い゛がい・・・・いだいよぉ・・・」 「は~あ、元から苦しんでるゆっくりを虐待しても面白くないね。 まあ良い悲鳴聞けたし、もう帰っていいよ」 「ゆぎぎぎいぃぃ!!しね!!ゆっくりできないにんげんはゆっくりじね!!」 「ゆっくりはてめえらだけでしてろ、カス」 悪態をつく子まりさを男は爪先で蹴飛ばし、道を去っていく。 吹っ飛んできた子まりさは親まりさに激突し、二匹は「ぶげっ」とうめいて餡子を吐いた。 「お、おがあざんんんんん!!どうじでだずげてぐれながっだのぉぉぉぉぉ!!」 「じがだないでじょおおおぉぉぉぉ!!にんげんにづがまっだらしんじゃうんだよおおぉぉぉぉ!!」 「がわいいごどもをだずげるのはとうぜんでじょぉぉぉぉおぉぉぉぉ!!」 としばらく言い争ってから、親まりさは本来の目的を思い出し、 他のゆっくりが現れる前に、子まりさを巣へと連れ帰った。 巣ではれいむと子供達が痛みと恐怖に震え続けていた。帰って来た二匹を目に留めたれいむは慌てて駆け寄る。 「ゆゆっ!ほかのみんなにはみつからなかった!?」 「だいじょうぶだよ!でもまりさのこどもはにんげんにつかまっていじめられたよ。はをいっぱいぬかれたよ」 「にんげんに!?ころされなくてよかったね!!」 「ゆぐ・・・ゆ゛ぐぅ・・・」 れいむが帰って来た子まりさを見ると、口元を餡子まみれにして涙ぐんでいる。 しかし家を飛び出す前と違って落ち着いているようだ。痛みはどうしたのだろうか。 「ゆっ?まりさ、もうおくちはいたくないの?」 「いだいよ・・・でもにんげんにはをぬかれたらすこじおさまっだよ。 まりさはおくちじゃなくてはがいたかったんだよ」 「は?」 そう言われると、口の中でも特に歯が痛むような気がしてくる。 ゆっくり達が歯の痛みに気付けなかったのは、ゆっくり特有の鈍感さ、大雑把さに加え、 虫歯というものを知らなかったので、歯が痛むという感覚に馴染みが無かったからだ。 しかし言われてみれば段々そんな気がしてきたのだ。 「ゆゆっ!たしかにはがいたいきがしてきたよ!!」 「れいむ・・・れいむはにんげんにかわれてたっていってたよね?」 「ゆ?そうだけど、それがどうかしたの?」 親まりさのれいむを見つめる不穏な目つきに、れいむはたじろいだ。 「さっきのにんげんは、まりさのくちがいたいのは“むしば”だっていってたよ。 ゆっくりはむしばにならないのに、にんげんからうつったんだっていってたよ」 「ゆ・・・?なにいってるの?むしばってなあに?」 「とぼけないでね!!」 いきなり親まりさはれいむに体当たりした。 まさかそんなことをされるとは思っていなかったれいむは簡単に吹っ飛ばされ、 後ろにいた子ゆっくりもれいむにぶつかって転がっていった。 「きっとれいむがにんげんのくちについたものをたべたからいけないんだよ!! れいむがかみくだいたあんこをたべたあかちゃんたちにもむしばがうつっちゃったんだよ!! れいむがむしばをむれのみんなにうつしたんだよ!!」 「ゆゆ!?」 そういえば、お兄さんはゆっくりの親がするように、一度噛み砕いて柔らかくしたものをれいむに食べさせてくれた。 そして自分も同じように、自分の家族だけでなく群れの赤ちゃんたちに、噛み砕いた餡子を食べさせていた。 更にこれはれいむも覚えていないことだが、最初に痛みを訴え出したまりさはれいむの落とした飴玉を拾って舐めていた。 これにより、そのまりさの家族および仲が良い家族の赤ちゃんなどは細菌に感染していくことになる。 本来ゆっくりはミュータンス菌などの虫歯の原因になる細菌を保持していないので、 どのような生活を送っても虫歯に苦しむことはない。しかし、一度何かの原因で他の動物から細菌に感染してしまえば、 食べている側から食べ物を餡子に変換するゆっくりである、虫歯が進行していくのはあっという間なのであった。 「れいむのせいでむれのみんなはゆっくりできなくなっちゃったんだよ!! にんげんにかわれたきたないゆっくりはゆっくりしね!!」 「ゆゆっ!!?どうじでぞんなごどい゛うのぉぉおお゛ぉぉぉぉ!!」 「ゆ゛ぅぅぅ!!まりざだぢのはがいだいのもおがあざんのせいだよ!!」 「きちゃないおかあさんからうまれたかられいむたちもゆっくりできないんだよ!!」 「ゆっくりできないおがあざんはゆっぐりぢねぇぇ!!」 親まりさは親れいむに激しい体当たりを始め、子供達もそれに便乗した。 家族によって巣から追い立てられ、やがて森の広場まで追い込まれたれいむ。 いつの間にか一匹の子供がぱちゅりーを呼び出しにいっており、その報を聞いた他のゆっくりも集まっていた。 れいむはまりさや子供達に叩かれ続けながら、ぱちゅりーに涙目で訴えた。 「だずげてばぢゅりぃぃいいぃぃ!!でいむのかぞくがいじめるのぉぉぉ!!」 「むきゅ!れいむ、こんなことになってほんとうにざんねんだわ!」 「!?なにいってるのぱちゅりー!?はやくみんなをとめてね!!」 「うるさいよ!びょうきをもちこんだれいむはゆっくりしんでいってね!」 「おまえのせいでみんなゆっくりできなくなったよ!!」 「おお、きたないきたない」 「ゆっくいしんえね!」 大小さまざまなゆっくりがれいむを取り囲み、罵詈雑言を浴びせていた。 みんなの怒りの渦の中で、れいむの思考は真っ白になっていった。どうしてこんなことに? れいむは今まで群れの為によく働き、みんなとも仲良く出来ていたはずなのに…… 「れいむ!あなたのせいでむれはめちゃくちゃよ! にんげんのかいゆっくりなんてなかまにしたのがまちがいだったわ!!」 「なんでばぢゅりーまでぞんなごどい゛うのぉぉぉぉおおぉぉぉ!? でいぶなんにもわるいごどじでないよぉぉぉぉおお゛ぉぉぉぉ!!」」 「むぎゅうう!みぐるしいわ!!おまえをむれにおいていくわけにはいかないのよ!! ゆっくりしないででていきなさい!!ころされないだけありがたくおもってね!!」 「ぞんなああ゛ぁぁぁぁあ゛ぁぁぁぁぁ!?」 普段は温厚なぱちゅりーからは考えられないほどの暴言であった。 それもそのはず、実はぱちゅりーの歯も数日前から痛み出していたのだ。 虫歯の痛みとそこから来る怒りが、ぱちゅりーから冷静な思考力を奪っていた。 ぱちゅりーの合図で何匹ものゆっくりが飛び出し、れいむにボコボコと体当たりを仕掛けた。 れいむはそのまま巣の縄張りから押し出され、「にどとはいってこないでね!!」と唾を吐かれ、 ボロクズのように捨てていかれた。辺りには小雨が降り出していた。 「ゆぐうぅぅぅぅ・・・どぼじでごんなごどにぃぃぃぃ・・・」 れいむはまたしても家族を失ったのだ。それもみんなに憎まれるという最悪の形で。 残ったのは全身の傷と、口の奥底から無限に湧き上がってくる虫歯の痛みだけ。 とにかく、雨を凌ぐためにゆっくり出来る場所を探さなくてはならない。 れいむはべちょべちょになりながら、森の中を這うように跳ねて行った。 やがてれいむは、木の下に住居を構える一匹のまりさの姿を見つけた。 「ゆ!あめがやむまですこしやすませてね!」 「いいよ!ゆっくりしていってね!!」 まりさは快くれいむを受け入れてくれ、れいむにはそれが心に沁みて嬉しかった。 木の下の巣はとても暖かく、雨の冷たさに感覚を失ったれいむの肌をじわりと癒していった。 まりさはまだ少し小さいようだったが、他の家族の姿は見当たらなかった。 狩りにでも出ているのかと思ったが、この天気なら帰って来ても良さそうだし、巣の中も家族がいるにしては質素だった。 「いまからごはんにするところだよ!いっしょにたべようね!」 「ゆ~?まりさのかぞくはいないの?」 「ゆ・・・おかあさんもおねえちゃんもみんなおくちのびょうきでしんじゃったよ!」 「ゆ゛!?」 「まりさはげんきだけど、かぞくのびょうきのせいでむれからおいだされたんだよ。 だからほかのゆっくりとゆっくりするのはひさしぶりでうれしいよ!ゆっくりしていってね!」 一人で集めたであろう、とても多いとは思えない備蓄かられいむの分もご飯を並べ、 無垢な笑顔を向けてくる子まりさ。れいむは愕然としていた。このまりさは自分達が群れから追い出したまりさの子供であった。 そしてこんなに優しいまりさから家族を奪い、ゆっくり出来なくしたのは自分なのだ。 その自覚は、みんなにお前のせいだと喚き立てられるよりも、ゆっくり確実にれいむの心を苛んでいった。 「ゆっくりたべてね!」 「ゆっ・・・むーしゃ、むーじゃ、じあわぜぇぇ~~!!」 「ゆゆっ!そんなにおなかすいてたの?」 れいむの滂沱の涙に、驚きつつも楽しそうに笑う子まりさ。 れいむの歯は相変わらず痛んだが、そんなものは心の痛みに比べれば大した痛みではなかった。 食後も二匹は互いに頬ずりしたり、巣の中で飛び跳ねたり、お歌を唄ったりして過ごした。 子まりさとれいむにとって、久々に思う存分ゆっくりできる時間であった。 結局雨は夜まで降り続き、子まりさはれいむに泊まっていくよう促した。れいむもその言葉に甘えた。 二人は寄り添うようにして寝床に就いた。だが子まりさのゆぅゆぅという寝息が聞こえても、れいむは寝つけなかった。 「ゆ・・・なんでこんなことになったのかな・・・」 ゆっくりの口癖であるこれは、必ず物事の責任の所在をどこかに見つけ出すことで、 自分がゆっくりすることを正当化したがるという習性に由来するものである。 れいむはゆっくりの中では聡明な方であったが、所詮ゆっくり。餡子脳の限界には勝てなかった。 今までは自分が悪いのだという気がしていたが、断続的に自分を苛む虫歯の痛みが、 自らも理不尽な暴力の犠牲者であるというような被害意識を刺激し続けていた。 その感情はやがて、自分のかつての恩人であるお兄さんへの恨みへと転化していった。 そうだ。あのお兄さんが自分にばいきんを移したから、自分は今激痛に苦しまされている。 しかも仲が良かった群れをめちゃくちゃにし、この子まりさや自分から家族を奪い、不幸のどん底に追い込んだ。 全部あのお兄さん……いや、ばかなにんげんのせいではないか。 そのせいで自分は、多くのゆっくりの恨みを買い、要らぬ良心の呵責と歯の痛みに苦しまされているのだ。 自分には何の責任も無い。いやしくもゆっくりの親の真似などした、あの人間が全て悪いのだ。 朝になって目覚めた子まりさの隣に、れいむの姿は無かった。 小雨の夜のことである。 あるゆっくり愛好家の男の家の戸を、何者かが激しくどんどんと叩いた。 「誰だろう? こんな夜中に……」 夢の入り口から引き戻された男は、開ききらない眼を擦りながら玄関へと向かった。 新たに飼い出したゆっくりれいむも目が覚めてしまったらしく、不安そうに玄関を眺めている。 「ゆぅ・・・おにいさん、なんだろう?」 「ちょっと様子を見てくるから。れいむはそこでゆっくりしててね」 男の家は村の外れにある。通りがかりの旅人が訪ねて来たり、急病人に軒を貸すことも少なくない。 今回もその類だろうかと思いつつ、男は玄関の扉を開いた。 「ゆ゛がぁぁぁぁああ゛あ゛ぁぁぁぁぁ!!」 「うわっ!? ゆ、ゆっくり?」 飛び込んで来たのは、憤怒に顔を歪ませたれいむであった。 大きく剥かれた歯は虫歯によってガタガタに変形し、顔全体の禍々しさを一層増している。 そんなゆっくりの恐ろしい形相に男は気圧され、思わず腰を抜かしてしまう。 すかさず飛び掛り、激しく連続で踏みつける虫歯れいむ。 「おまえがっ!!おばえのぜいででいぶはぁぁぁぁっ!!」 「ちょ、ちょっと痛い痛い!」 「じね!じね!!ばがなにんげんはゆっぐりじないでじねぇぇぇぇぇえぇぇぇ!!」 「ゆっ!おにいさんにらんぼうしないでね!!」 その様子を見ていた飼いれいむは、闖入者に体当たりをぶちかまし、家の外まで吹っ飛ばした。 水を吸ってぬかるんだ地面に叩きつけられた虫歯れいむは、泥まみれになりながらも起き上がり、男を睨み付けた。 その形相の異常さと、ゆっくりなんてどれも変わらんという理由から、男はそれがかつて飼っていたれいむだとは微塵も気付かなかった。 「ふぅ、びっくりしたなあ……有難う、れいむ」 「ゆっ!こんなにやさしいおにいさんをいじめるゆっくりなんてゆるせないよ!ぷんぷん!」 「ゆ゛ぎぃぃぃぃぃ・・・」 虫歯れいむは更に腹が立った。新しい飼いれいむは丸々と育っており、普段のゆっくりぶりが見て取れた。 自分が与えられていた幸せを取られたというような錯覚、何も知らずにゆっくりしている飼いれいむへの理不尽な恨み、 そして自分のことを完全に忘れ、新たな被害ゆっくりを生み出そうとしている男への怒り。 様々な感情が入り混じって、虫歯れいむの肉体は無意識のうちに全身全霊のタックルを繰り出していた。 これまで狩りでどんな大きな獲物を仕留めた時も、捕食種と戦いになった時も、このような攻撃は出来なかった。 そのような生涯最大の攻撃だった。これに当たって無事でいられる者はいない。そう確信できた。 男は玄関に立て掛けてあったつっかえ棒で、飛んでくる虫歯れいむを叩き落した。 「ゆ゛びぇっ!!」 「何があったのか知らないけど、人間に危害を加えるゆっくりを放っておくわけにはいかないな。 村の人達がゆっくりを危険視して、罪のないゆっくりまでも駆除されてしまう」 「ゆっ!ゆっくりのてきだね!ゆっくりしないでしね!」 軒先に飛び出し、虫歯れいむを容赦なく踏みつける飼いれいむ。 しばらく餡子を吐きながらうめき声を上げていた虫歯れいむだが、何度目かの踏み付けで、完全に潰れて絶命した。 「お疲れ様、れいむ。餡子の匂いがするとゆっくりが怖がるから、ちゃんと片付けておこうね。 もう遅いから、お前は先に寝床に戻って早く寝なさい」 「ゆぅ~~、おにいさん、れいむなんだかねむくなくなっちゃったよ。ねるまえにおはなしきかせてね!」 「ははは、しょうがないなあ。じゃあ今日はどんなお話をしようか」 飼いれいむと談笑しながら、死体を手際よく片付けていく男。 やがて玄関の戸が閉まると、後には何も残らなかった。 終わり このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1369.html
※これはfuku2324.txt「ゆっくり奇々怪々(上)」の続きです。 独自解釈・設定ありです。 長いので注意。 翌日、鶏小屋には人だかりが出来ていた。 10匹からなる鶏達が、血と羽を残してこつ然と消えていたのである。 何かに喰い散らかされたのは明白だ。 「け、慧音様、これは・・・。」 男の顔は蒼白だ。後ろに控える妻、村長も険しい表情。 慧音は鶏小屋の中に入り、一通り惨状を見渡すと、言った。 「・・これがもし、妖怪や熊の仕業だというのなら、網や戸が破られているのが 普通だ。しかし、見たところこの小屋には目立った損傷は無い。あるとすれば」 と、鶏小屋の仕切りの接地部分を指差す。 そこはわずかに土が掘られており、隙間が空いていた。 「犯人が狐ならばこの穴があれば納得できる。だが、 狐と言えど一晩で鶏を10匹も腹に入れることは出来ん。」 「つ、つまり・・・。」 男の顔色は蒼白を通り越して土気色だ。 「うむ、君の言ったことは間違いでもなさそうだ。」 その後、慧音は村長に村人を広場に集めるよう頼んだ。 そこで自身の口から、村長の息子を襲い、鶏を食い荒らしたものが 同じモノによる仕業で、それはゆっくりである可能性が高いことを説明した。 当然、村人達は戸惑った。 この村は慧音が驚いたように、ブリーダーを筆頭としてゆっくりとの共存関係が うまく成り立っていることもあり、ゆっくりへ好意的な見方をする者が多い。 毎日熱心に働くれいむやのうかりん達の姿を見ていればなおさらだ。 「・・・・ゆぅ、残念だけど、お兄さんみたいな人達に色々教えてもらってない ゆっくりたちの中には、人のものを盗ったりする悪いゆっくりはいるよ。」 ざわつく村人たちの中で、ブリーダーに抱えられたれいむが発言する。 「・・・私も、畑を荒らされた。」 続いてブリーダーの足下にいるのうかりん。 「でも、鶏さんを食べちゃったり、人間に噛み付くゆっくりにはまりさ達会ったことないよ。」 最後にまりさが発言する。三匹の発言は村人達の気持ちを代弁していた。 「・・私としても、ゆっくりがこのような事を起こしたとは 考えたくない。お前達のようなゆっくりを見ていれば、なおさらだ。」 そう言って、ゆっくり達を勇気づけるように笑いかける。 「だが、この状況を放っておく訳にもいかん。よって、本日からこの 村を中心とした一帯を調査したい。村の若衆、協力してくれるか?」 そういうことならばと、続々と手が挙がっていく。 「慧音様、僕も一緒に行きます。」 ブリーダーの青年も手を挙げる。 「いいのか?」 ゆっくりを殺すことになるかもしれないんだぞ、と言いかけて、やめた。 ブリーダーという仕事はゆっくりをただ愛でて育てるだけの職業ではない。 時には悪いゆっくりを懲らしめ、場合によっては駆除するという役割も持っている。 青年の目は真剣だ。のうかりん達の姿を常に見ているからこそ、 この件に対する気負いも人一倍強いのだろう。 そこまで思い至った慧音は言葉を引っ込めた。 「考えれば、村でお前ほどゆっくりに詳しい者はいない。頼りにさせてもらうぞ。」 「ええ・・・れいむ達、行ってくるよ。」 「ゆっ!ゆっくり気をつけてね!!」 こうして、慧音、ブリーダーの青年を先頭に、調査隊は出発した。 「・・・・見て下さい慧音様!!ここにも。」 調査隊は男が襲われた場所よりも森側に来ていた。 叫んだ若衆の一人が指差すのは、一本の木の根元だ。 そこには、何かに齧られたような傷跡がついている。 「ここにもか。」 出発し、襲われた現場に着いたあたりから、木にこのような傷跡がつき始めた。 「熊などは自分の縄張りの印として爪痕を残すらしいが、 これは明らかに爪痕ではない、強いて言うならば歯形だ。」 爪が使える動物ならば、わざわざまずい木に噛み付く事は無い。 だが爪が使えないモノだとしたら? そう、例えば、ゆっくりのような。 ここにきて、犯人はゆっくりであるという確信めいたものが慧音、若衆達にはあった。 青年も、険しい顔で現状を分析している。 「・・・可能性は高いでしょうね。」 「だろうな。では、もっと奥に行こうか。」 進んで行く慧音の前に、茅葺きの屋根が見える。 「あそこにはどなたか住んでおられるのか?」 青年に問う慧音。 「ああ、あの家にはおじいさんが一人で住んでいますよ。 ブリーダーとしての先輩にも当たる方で、仕事を始めた 頃はとてもお世話になりました。 ・・・あまり人付き合いが得意な方ではないですから、この 場所に一人で住んでいるんですよ。あの方に聞けば、 今回の事に関して何かわかると思いま」 「待て!!」 「え?」 「気づかないか?・・・このにおいに。」 「・・・・・これって・・・!」 家から漂ってくるにおい。 それは何かが腐ったようなにおい。 「急げ!!」 慧音は家に向かって走り出す。 続いて走り出す青年達。 家が近づいてくる。畑を突っ切る。 雑草が伸びている。おかしい、畑の世話を怠るような人じゃなかった!! 青年の鼓動は早鐘のようだ。走っているからではない。 慧音は戸まで辿り着き、施錠されていない戸を思い切り開いた。 青年は中に入ろうとして、慧音の背中に阻まれる。慧音が入り口で立ち尽くしていたからだ。 「先せ・・・・い・・・・?」 見てしまった。 荒らされた家具。 腐りかけた食糧の残骸。 その真ん中には。 「・・・・う、うげええっ!!」 先頭二人の間から中を見た若衆が、口を押さえてよろめく。 「何という事だ・・・。」 部屋の真ん中には、腐敗し、所々が欠損した死体が転がっていた。 「あ・・・・そんな・・・・。」 青年は思わず床に膝をつく。 慧音はかがみ込み、青年の方を軽く抱く。 「・・・すまん、だがこの状況だ。このご遺体は、この家の方か?」 「・・・・・はい、服装から見て間違いありません。」 「わかった・・。」 慧音は遺体に近づくと、手を合わせた。 と、どたどたと誰かが走る音が家に近づいてくる。 駆け込んできたのは、万が一の時に備え村に残った若衆の一人だった。 息を切らし必死な様子の彼に、慧音が振り返って尋ねる。 「どうした?」 若衆は絞り出すように言う。 「大変です・・・・村に・・・・化け物が・・・!」 村は、若衆の呻き声で満たされていた。 ある者は木に叩き付けられ。 ある者は腕や足を齧られ。 皆が身動きが取れないほど痛めつけられていた。 その中心には。 「ゆっへっへ・・・・ありす、やっぱりにんげんなんてたいしたことないんだぜ」 「そうね、とかいはのしたでれいぞくするべきいなかものたちなんてしょせんこんなていどよ」 人間の腰までの大きさのゆっくりまりさとありすが、倒れ伏した若衆の一人の背中にのしかかっていた。 「う・・・う・・・。」 「ゆ!!みてありす、このにんげんうーうーうなってるぜ!!」 「まるであのはねつきぶたまんみたい。おお、ぶざまぶざま!!」 そう言って飛び跳ねながら、大口を開けて笑う二匹。 大きく開いた口からは、血で薄汚れた牙が。 よく見れば、その体は筋肉組織のようなものが表皮の下にあることを 伺わせる隆起があり、更にその瞳は爬虫類のように縦長だ。 ただのゆっくりではない。 いや、もはやゆっくりと呼んでいいのか。 ここにいるのは、人を喰らう妖怪と何ら変わりのない存在であった。 「・・・・最悪だ、こんな時間に村まで来てしまうなんて・・・。」 齧られた肩を押さえながら、村長の息子は二匹の前にいた。 調査隊が行ってしまってる時間である事が災いした。村に残っている男でかろうじて 動けるのはもはや彼一人。女子供、老人は絶対に家から出ないように言ってある。 「まりさ!!あいつこのあいだまりさがかみついたにんげんだよ!!」 「おじさん、せっかくにがしてやったのに、またたべられにきたの? ばかなの?しぬの?しなすよ?ユッヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘッ!!」 「で、出て行け!!化け物ども!!!」 「これだからいなかものは!!わきまえなさいよ」 「おじさん、いますぐにくをもってくるんだぜ。おんなやこどものにくがいいんだぜ!! さもないと、おじさんのあたまからばりばりかじってやるんだぜ!!」 「とかいはにふさわしいきのきいたむすめをつれてきなさい!!それで、すっきりー!!! させてあげる。ありすのぺにぺにでよがりくるわせてアゲルゥゥッ!!」 ゆっくりがただ食糧を要求するのでなく、女子供を喰い、犯そうとしている。 その事実に、男の背筋にぞわっとした感覚が走る。 「そ、そんな要求は、飲めない!」 男は今にも逃げ出したい気持ちを抑え、手にしたゆっくり撃退用の棍棒を握り直す。 「じゃあしかたないぜ、おじさんからむしゃむしゃしちゃうんダゼェェェ!!」 飛びかからんとするまりさ。 「ゆ、まってまりさ!!」 「ゆぅ・・・?」 と、二匹の動きが止まる。 「お前・・・。」 男と二匹との間に、のうかりんが現れた。 男を二匹から守るように手を広げ、二匹を視線で射殺さんと睨みつけている。 「まりさ!!こののうかりんは!!」 「おもいだしたんだぜ、あのくそじじいのところのなんだぜ!!」 「・・・おじいさんにいっぱい懲らしめられたのに、まだわからないの?」 「わかるわけがないんだぜ!!くそじじいはみのほどしらずだったんだぜ!!」 「そうよ!!だからわたしたちあいつを」 「おじいさんに何をしたの!!!!」 普段寡黙なのうかりんの大声に、男は驚いた。それは二匹も例外ではないようだ。 「・・・ゆ、うるさいんだぜ」 「・・な、なにをしたかって・・・ねぇ?ゆっふふふ♪」 のうかりんの剣幕に多少気圧されながらも、二匹は不敵な表情を崩さない。 「でも、ひとつだけおしえてやるんだぜ♪」 「・・・・・・!!」 「あなたのだーいすきなくそじじいは、もうしんだのよ♪」 「「ゆっははははははははハハハハハハハハハッ!!」」 のうかりんは二匹に向かって突進していた。 「ブザマァ!!!!!」 笑っていたまりさはのうかりんの突進を真正面から受け止め、逆にはじき飛ばした。 男の遥か後方、家の壁に激突し、崩れ落ちるのうかりん。 「のうかりん!!くそ!!」 「ゆぅ、まりさ、あののうかりんにはきょういくてきしどうがひつようだわ」 「あいつにはさんざんいたいめにあわされたんだぜ。ゆっくりすっきりさせてからころしてヤルンダゼエェ!!」 二匹は牙を剥き出しにし、のうかりんへ突進しようとした。 しかし。 「ゆぅ・・・ありす・・・?」 「ええ・・・まりさ・・・しおどきのようね」 と、二匹は用心深く辺りを見回すと、のうかりんや男がいる場所から反対方向の家の屋根へと一瞬で跳躍した。 「きょうのところはこのくらいでかんべんしてやるんだぜ!!!」 「こんどもりへくるときはみつぎものをもってきなさい!!かんげいしてあげるわ!!!!」 ゆっくりらしからぬ洪笑をまき散らしながら、二匹は去っていった。 そこへ。 「大丈夫か!!!?」 調査隊が、慧音を先頭に村へ帰ってきたのだ。 村は、負傷者の手当に追われていた。当初は逃げた二匹を追うべきという 意見も出たが、慧音が深追いを制し、体制を立て直すことを優先したのである。 手当の傍ら対策本部としておかれた村長の家には、男、青年、慧音の三人が集っていた。村長は手当の指揮をしている。 「そうですか、森の方ではそんなことが・・・・。」 「あの化け物ども、おじいさんだけじゃなく、村のみんなまで・・・!!」 青年は激昂し、畳に拳を叩き付けた。 「・・・・・。」 慧音は考えていた。 目の前で被害が出てしまった以上、犯人がゆっくりであることは確定した。 しかし。 普通では考えられない身体能力をもったゆっくり。しかも、あろうことか人の肉を要求したという。 何故、そのようなモノが現れたのか? ふと、開かれた縁側の方へ目を向けると、庭でのうかりんが月夜の下、手にしたじょうろに目を落とし、立ちすくんでいた。 それを遠巻きに心配そうな目線をおくるれいむ、まりさ、ちぇん。 「・・・・彼女は、あのご老人のところで育てられたそうだな。」 「はい。」 のうかりんがまだ幼いゆうかりんだったころ、あるゆっくりの群れによって家族を殺された。 いくら他のゆっくりより優れた能力を持つゆうか種でも、圧倒的な数の優位は覆せない。 森の片隅で花を育てていた一家に襲いかかった賊は、ゆうかりんの父親を圧殺し、母親を犯し尽くして殺した。 二匹に素早く木立の中に隠されたゆうかりんは、全身を貫かれるような思いでそれを見ていた。 何度飛び出してやつらと刺し違えようと思ったか。 しかし、両親の願いは、彼女に生きてもらうこと。ここでやつらに踏みつぶされることではない。 そう悟るほどに聡明だったゆうかりんは、涙を振り払いながらその場から逃げようとした。 しかし、運悪く見張りをしていた一匹に見つかり、捕らえられてしまう。 大れいむにふみ殺されようというその時、群れは周辺から悲鳴に包まれていった。 ブリーダーが組織した討伐隊だった。 助けられたのうかりんは、そこでおじいさんに会った。 怖いと聞かされてきた人間。 初めての人間は、勇気づけるような笑顔だった。 おじいさんに引き取られ、育てられたゆうかりんはすくすくと成長し、畑の作り方も覚えた。 彼女は二度と畑荒らしの駄ゆっくりどもに負けないよう、鍛錬を欠かさなかった。 ゆうかりんはおじいさんがいなくとも多くのゆっくりを蹴散らせる程に強くなった。 おじいさんに育てた花や野菜を褒められ、自分が強くなっていくと感じる日々。 ゆうかりんは幸せだった。 やがて体ができ、のうかりんになると、おじいさんは村の新米ブリーダーのところで暮らすよう言われた。 おじいさんは言った。お前はもう一人前だと、お前の育てる花で今度は大勢を笑顔にするんだよと。 のうかりんは寂しさを覚えたが、いつでもおじいさんには会えるのだし、多くの人に自分の花を見てもらいたくもあった。 こうして、のうかりんは村で暮らすようになり、今に至る。 「そうか・・・・辛いだろうな。」 「・・・ええ、彼女のもう一人の父親とも呼べる人でしたから。」 「君も大丈夫か?」 男が青年に尋ねる。 「・・・泣くのはこの件が片付いてからにします。それで、慧音様。」 「うむ、のうかりんから情報があったそうだな。」 「はい、まず、あの二匹のゆっくりに関して、やつらにはのうかりんが以前会ったことがあるそうです。」 のうかりんがまだおじいさんの畑を守っているころ、家族らしきゆっくりの一団が畑を襲撃した。 情けはかけなかった。 親らしき二匹以外は全て踏みつぶし、残った二匹ーまりさとありすも散々痛めつけて動けなくした。 ぼこぼこになった体をよじりながら悪態をつくさまを見て、のうかりんははっとした。 こいつらは、のうかりんの親を殺した群れの一員だったと。 無論、当時見かけた姿より大きくなっていたが、顔に張り付いた下衆の表情は忘れようが無かった。 討伐隊に狩られた時はまだ小さかったこともあり、混乱に乗じて逃げ延びたのだろう。 憎い仇の一員。しかし、わめき散らす二匹を見て、のうかりんは最早哀れみしか感じていなかった。 自分はあれからいろんなことを学んだ。だが、こいつらは違う。学べなかったのだと。 このことをおじいさんに報告すると、温厚な顔を憤怒の形相に変えて、更に二匹を痛めつけた。 泣き叫び、しかしなお悪態をつくまりさ達に、おじいさんは彼らを監督下におき、性根を叩き直すと宣言した。 それが、のうかりんが村に来る直前の出来事である。 「では、あいつらは最近までおじいさんの家で監督されていたということか。」 「そのようです。」 「・・・・・。」 二人の会話を聞きながら、いまだ慧音は考えていた。 あの二匹の出自はわかった。 しかし、やはりわからない。 何故、おじいさんを、人一人殺せるようなゆっくりが生まれたのか。 「原因はわからないが、あいつらがあんな化け物になって、おじいさんが最初の犠牲になった・・・。」 「・・・・さっきご遺体をあらためましたが・・・やはり欠けていた部分はやつらに齧られていたようです。」 そう言うと、青年は顔を伏せ、歯を食いしばるような表情をした。 慧音は思った。耐え難いだろうと。恩師が亡くなり、それもゆっくりに喰われたのが原因で。 ゆっくりに喰われた。 ゆっくりが、人の肉を、喰った。 「ん、慧音先生、どうしたんですか。」 はっと顔をあげた慧音に、男が尋ねる。 「・・・少し、長話をしていいか?」 「君たちは、妖怪が仙人の肉を喰らったらどうなると思う?」 「・・・・?」 「え?」 姿勢を正した慧音の第一声がそれだ。 「・・お前には寺子屋で教えた筈だがな。」 「へ?あ、ええと。」 青年は記憶を辿る。 「確か、妖怪としての格が上がって、強くなるんじゃありませんでした?」 「その通り。では、獣が仙人の肉を喰らった場合はどうなる?」 「妖獣になることがある、でしたよね?」 「そうだ。」 「あの、慧音様?それと今回の件は」 「気づかないか?」 「?」 怪訝な顔をしている男の横で、青年は言う。 「今回ゆっくりは、人間の肉を喰った・・・?」 「そうだ。」 「・・・・!!まさか。」 獣+仙人の肉=妖獣 ゆっくり+人間の肉= 「ゆっくりが、人間の肉を喰らって、妖怪になった・・・?」 青年が、自分の言ってることが信じられないといった調子で、呟く。 「・・・私も完全には信じられないがな。傲慢な言い方になるかもしれんが、客観的に見て ゆっくりにとっては人間とは我々にとっての仙人のような存在だ。その体を取り込む ことで生物としての格が上がるのは、むしろ自然なのかもしれん。」 「し、しかし、それではどの時点でやつらが化け物になったのかわかりませんよ。 おじいさんの家に閉じ込められていたわけですし、人間の肉を喰う機会なんて。」 男が戸惑ったように意見する。 「やつらはおじいさんのご遺体を齧るまでは、ただのゆっくりだったのだろう。」 「そ、それでは、それ以前におじいさんは亡くなっていたと・・・・?」 「・・・・おじいさん、胸が悪かったんだよ。」 「のうかりん・・・。」 いつのまにか縁側にはのうかりんがいた。 三人に向かって更に口を開く。 「心配かけたくないからって、村の人には誰にも言ってなかったんだけど、おじいさん 怒ったり重いもの運んだりした後はたまに胸を押さえて苦しそうだった。だから、多分 あいつらを懲らしめてる最中にすごく怒ってしまって、それで苦しく・・・・・っ。」 のうかりんは耐えられなくなったというように両手で顔を覆う。 青年のうかりんに近寄り、軽く抱き寄せる。 「恐らくは、このようなことだったのではないか。」 慧音が口を開く。 その日、おじいさんは監視下においていたまりさ、ありすと対峙していた。 散々罰を与えても直らない二匹の性根。二匹はその日も傲慢な態度を取り続けた。 おじいさんは、いつものように罰を与えた。 いつもなら泣いて謝るところまで来て、その日二匹はいまだ罵詈雑言をやめなかった。 愛娘と言っていいのうかりんの仇ということもあり、おじいさんは激昂してしまい、更なる罰を与えようと 立ち上がった。 そこで、限界が来た。 おじいさんは胸をおさえて苦しみだし、床に倒れ伏す。 驚く二匹。もしくは自分達の力だと勘違いしたかもしれない。 周りに人もいなく、助けを求めることも出来ず、やがておじいさんは息を引き取った。 残された二匹は狂喜したに違いない。憎い相手が動かなくなってくれたのだから。 二匹は好き放題部屋を荒し、食糧を喰い荒らした。 しかし、食糧はすぐに尽きてしまった。 更に、元々二匹を逃がすまいと厳重だった戸締まりは、二匹が外へ逃げることを許さない。 次第に衰弱していく二匹。 このまま朽ちるのか。 いや・・・・朽ちるのは、おじいさんの体の方が先だった。 腐敗し、形が崩れた遺体へと目を向ける二匹。 贅沢は言っていられない。 彼らにとって、目の前にあるのは人間の体ではなく、腐りかけの肉だった。 二匹は遺体へのそのそと近づき。 口を開け。 齧り、ついた。 やがて、戸は破られ、二匹の化け物・・・・妖ゆっくりは、野に放たれた。 続き 無理矢理な解釈で混乱させてしまったかもしれません。やっぱもの書くのって難しい・・・・。 予想以上に長くなってしまい、上下のつもりが上中下構成になってしまいました。 続きは3、4日中にはあげたいと思います。 ゆっくりゃバーガーの人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4664.html
※俺の初物注意 ※ゆっくりがあっけなく死にます ※現代社会っぽいものです ※油を使います 「ゆっくり油火踊り祭」 ここは都会・・・からはなれた少し栄えた町 そこに俺はいる、だが 俺は今日結構イライラしていた 俺は畑で食用の野菜を育てているのだが ちょうどさっき、最近そこらにわらわらと現れたゆっくりという生首に育てていた野菜の何割かが盗まれていた。 まだそのことに気がついていない俺は「くそったれ!誰がやったんだよ!」と思った矢先、視界に入ったのは赤いリボンをつけた成体ゆっくり。確かゆっくりれいむという種族だったよな・・・ なんて思っている場合ではない 即効に捕まえて群れの場所をはいてもらう。幸いにも近くに他のゆっくりはいない 親一人で家族の分のご飯を持っていくつもりであろう。 他にもその運ぶ作業を手伝うゆっくりがいた 「あの黒い帽子・・・ ゆっくりまりさだな・・・」 まりさがいれば好都合。餌やゆっくりできるものを与えれば群れのありかをはいてくれる・・・かもしれない・・・ゲスじゃなきゃいいのだが とにかく前進あるのみ 俺は二匹の前に立って叫んだ 「ゆっくりしていってね!」 「「ゆゆっ!」」 「「ゆゆ!お兄さん!ゆっくりしていってね!!」 やはり反応したと思っている これはゆっくり達の挨拶 これを聞くと自我を抑えることができず返してしまう。 どうでもいい話だが俺はまだゆ虐の初心者。いわゆるビギナーだった。そんな話はどうでもいいとして会話を続ける。 「君たちは何をしているのかい?」 「ゆ!れいむたちはみんなのためにおやさいさんをとってかえるんだよ!」 「そうか、でもそれはお兄さんが育てたお野菜さんだぞ そんなことをしちゃいけないだろう?」 「「ゲラゲラゲラ!」」 不意に下品な笑い声が聞こえる 「おやさいさんはじめんからはえてくるんだぜ!?そんなこともしらないの!?馬鹿なの?しぬの?」 「そうだよ!りかいしたならもっとおやさいさんをちょうだいね!」 こいつ等俺が必死で育てた野菜をもっと奪うつもりだ・・・ キレた・・・ 許さん・・・許さんぞ饅頭共! 先ほどの言葉で俺の怒りはゲージの臨界点を超えた。今の怒りを表現するなら1000%だ。 俺はれいむとまりさをすぐさま捕まえた。 「ゆ!お兄さん!!ゆっくりはなしてね!!ゆっくりできないよ!」 「ジジイ!ゆっくりはなすのぜ!はなしたらお詫びとしてあまあまをよこすのぜ!」 「「ゆっくりはn・・・」」言い切る前に透明な箱にぶち込む。 れいむたちは「だせぇぇぇぇ」や「ゆっくりさせてね!」とほざきやがる。残念だが離しはしない。 「虐待お兄さんから教えてもらった拷問テクで群れの場所をはいてもらうわぁぁぁぁ」 と叫び ふははははははという笑い声がこだまする。 ついでにその声を聞かれてしまい、その後にきちがいお兄さんと呼ばれる羽目になったそうな そして家に到着 早速拷問開始 ヒャア!我慢できねえ!虐待だあ!!という精神を抑え拷問部屋(もとい地下室)へ連れて行く ~数分後~ 拷問を終えたれいむと俺が地下室から出てきた え?拷問の内容を載せろ?それはお楽しみさ! 「・・・さぁ群れの場所をはくんだ」 「ゆ・・・ゆっくりりかいしたよ・・・ やくそくをはたせばまりさはなしてくれるんだね!」 「ああ・・・」 簡単に事情を説明するとこうだ まずまりさには極刑を与え、死なない程度に痛めつける。死にそうになったらオレンジジュースをかける。その繰り返しだ。 得体の知れない物体になりつつあるまりさをかばう そして捕まえたレイパーアリスを使いすっきりさせ俺の奴隷にさせる。 まりさのことは忘れられないみたいだがそれはどうでもいい とにかく力づくで群れの場所をはかせるという内容だ それが群れを死の混沌へと導くものだと知らずに・・・ 森へついたよく見ると穴のようなものがある簡単なバリケードがしかれているが簡単にはがれた 「じゃ、頼むぞ・・・」 「うん・・・」 れいむが中に入る 「ゆっくりただいま!」 「「「「「ゆっきゅちおきゃえりなちゃい!」」」」」 おお、と俺は驚いた 相当いるじゃないか れいむ種が15匹近く まりさ種が12匹近く あとは ちぇんとぱちゅりーとありす種だ 「おきゃーしゃんおしょいよ! ぷんぷん!」 「おにゃきゃしゅいたよおきゃーしゃん!」 「おなかすいたんだねーわかるよー」 「とかいはなごはんはまだかしら?」 「むきゅ!おそかったわね!しんぱいしたわよ!」 おお、多い多い 数何匹もいるんだ野菜もとりたくなるわなと理解したあと また恒例の台詞 「ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 「おにーさんだれ?ゆっきゅりできるひと?」 「ゆっきゅりできないにゃらあみゃあみゃちょうだいねぇ!」 「ゆ・・・みんなよく聞いてね!今日はこのお兄さんとゆっくりするよ!」 ゆ~?とみな頭をかしげる するとぱちゅりーが 「待って!れいむ!!人間さんとゆっくりするとゆっくりできなくなるって話があるでしょ?いいの?」 れいむは暗そうな顔してぱちゅリーの話を無視し 「みんな・・・なかにはいってね・・・ゆっくりできるところへつれてってもらえるよ」 「ゆっくりりかいしたよよ!」 みんなぱちゅりーを無視しぞろぞろとはこの中に入る ぱちゅりーは嫌がっていたが無理やりぶち込んだ 持った瞬間めっちゃ重かったが何とか家に運ぶことに成功 さぁここからが本番だぜ 俺は地下室へ行って用意を開始した 用意するものは 木の破片 新聞紙 マッチ・・・ うーん、コレだけじゃ足りないな・・・と思ったら俺の視界に入ったものは・・・これだこれを使おう それは何かって?それは(ry とにかく捕まえた饅頭どもをマッチの火にでも耐える耐熱性の箱の中に入れる 「ゆ!いたいよ!ゆっくりあやまってね!」や「痛いよー」、「わからないよー」とほざき始める さぁはじめるぞ・・・ さあ料理の開始だ! 俺は真ん中に木や紙をおく後は火をつけるだけ!・・・じゃないんだなこれが みんなお待たせ!これがとっておき! 男の手から出たのはひとつのボトル でもまだ使わないのでおいておく まず木の欠片や紙を真ん中にあつめ置いておく ゆっくりから離れたところだが問題はない そしてボトルのキャップを開ける中身をゆっくりにかける かけられたゆっくりは「ゆ"っ」と驚く 「何するのぉぉぉぉ!」「くちゃいよぉぉおぉ!」 とわめき始めるが そんなの無視。 では本番タイム さっきの木の欠片や紙の山に火をつける ボッと燃え焚き火になる 混乱していたゆっくり達が沈黙し焚き火に近づきゆっくりし始める さすがは⑨ アホすぎる・・・ 「ゆぅ~ん」 「暖かいね!」 「キレイだね!」 と炎にうっとりとするゆっくり だがしかしその裕福のひと時が一瞬にして悲劇へと移り変わる 「ゆ"ぎゃ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!」 一匹のれいむが火達磨になり叫びながら暴れまわっている そうボトルの中は油だ 焚き火から出た火の粉が油まみれのれいむにかかり着火したのだ 「あづい"い"い"い"い"い"まりざあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"だずけでえええ"え"え"え"!!!!!」 暴れながらまりさに近づくれいむ 「ゆゆ!こないでほしいのぜ!れいむがくるとゆっくりできないのぜ!」 「どぉじでぞんなごどいうのぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ッ!」 「ゆぎゃああああああ"あ"あ"あ"あ"ああ!!」 「おぎゃあぢゃあああああん!だぢゅげでええええ!!!!!」 「わがらないよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」 「どがいはじゃないわあああああああああ!!!!!!」 おお、すげえ 火が周りのゆっくりに徐々に燃え移ってゆく 最初の被害者であるれいむは牛のごとく暴れ周り火の粉を撒き散らしていたのだ。 それが油付きゆっくりやまりさの帽子などに着火し髪の毛もろとも直火饅頭になるものだ。 おいしそうだな どれ焼きたてのありすでもいただくか。 ひょいと拾い上げようとするが・・・めっちゃ熱い。我慢し一度置いた後、改めて軍手をつける。 拾い上げると燃え上がっているゆっくりが声をあげた。 「おにいさああああああああん!!そんなありずよりれいむをだずげでねえええええ!!!」 「じじ"い"い"い"い"い"い"い"い"!!!!まりざざまをたすけろおおおおお!!!!!」 「だが断る」 「どおじでぞんなごどいうのぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"」 「もうやだあああああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"おうちかえる!」という声をあげるゆっくり 「もっとゆっくりしたかった・・・」と言い焼け死ぬゆっくり おお、愉快愉快 あ、そうだありすのことを忘れるとこだった 結構冷め切っていたありすは「たすけてくれてありがとう!さっさとまりさかれいむをおいてでていってね!」・・・よし食おう がぶりと一口「ゆ"ぎゃ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」おお、うめえ 焼きクリーム饅も悪くは無いな。 さらに一口「あああ・・・・・・」と言う声を漏らし口の中へさようなら~ 俺の口の中で永遠にゆっくりして言ってね! ふう・・・さぁ残りはどうするかな・・・ 改めてみてみると阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。 見る限り火、火、火、火しか見えない そこでのた打ち回る饅頭共 よく見てみるとぱちゅりーたちは既に死滅していた。そういえばぱちゅりー種は病弱で弱い奴なのだが。 どうせ「あづいいいいいい ゲフッ!ガフッ!」とか 煙を吸って死んだんだろう。 そういえばぱちゅりー種は頭がよく、群れの頭脳役として結構働いていると言う話を前に友達から聞いた。 そういえば中身は生クリームだっけ・・・ 焼きクリーム饅か、食ってみたかったな・・・ ま、いっか。 あ、こんなことをしてる間に炎がほぼ鎮火してしまった、まあ紙の追加をしていないから仕方がないが そして今まで黙り込んでいたれいむが目を覚ます。 「・・・まりさを返してね」 ああ、そういえばそうだった。 「ホラ」俺は放心状態に陥っているまりさを持ち上げた 「はなしてあげてね・・・ゆっくりできてないよ」 「分かった」俺はまだ残っている火の中へまりさを置く 「ゆ? ゆぎゃあああああああああああ・・・!」 と叫びを上げた後、絶叫を上げのた打ち回った。拷問でつかれきっているのかまりさは絶命した。 「あああ・・・!」とはれいむは驚きのあまり気絶状態になっていた。 とにかく今生きているれいむを除くほかのゆっくりは全滅していた。 その後、このれいむはどうでもよくなったので食べられてしまったそうな。 こうして俺はとんでもないゆ虐デビューをした。 だがこのやり方は一度でも失敗すれば大惨事につながるのでこのやり方は心の中にでもしまっておくことにしておくか・・・ このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1143.html
幻想郷の辺境。様々なゆっくり達が住むそこはゆっくり達の楽園と呼ばれていた。 いくつかの群れが集落を築き、その集落同士が更に合併して、クニとなる。 ドスまりさ率いるゆっくり国最大の国、ドマリカ国は奴隷ゆっくりや一般ゆっくりを貴族ゆっくりなるものが支配するゆっくり王政。 数匹のゆっくりぱちゅりーが指導者となり、ゆっくり皆平等の理念の元、少数精鋭によって確固たる地位を築いている生クリーム共同体。 古来より生クリーム共同体と友好関係にあり、教祖けーねの一族によって治められる神聖けーね教国。 そして、日和見主義のえいえんてぃー国。これら4カ国が現在の有力なクニである。 各々のクニには各々の掟があり、時に友好的に、また、時に緊張感を帯びた関係を構築していたのだ。 しかし近年。ドマリカ国のトップに一匹のドスまりさが君臨した事によってクニの間に衝突が増えてしまう。 ――ドマリカのトップに立ったのは、ドスはドスでもドゲスと呼ばれる邪悪な固体だったのだ! 〜〜第六回・よんかこくしゅのうゆっくりかいぎ〜〜 「むきゅー……まりさ。せつめいしてくれる? さいきんあなたのクニのゆっくりたちにごはんをとられるゆっくりがふえているの」 「おいどんのところもそうったい! こどもたちもあんしんしてゆっくりできんけーね!」 ドゲスまりさに詰め寄る二匹のゆっくり。生クリーム共同体のリーダーであるゆぱちゅりーと神聖けーね教国の教祖・けーねである。 二匹は自分のクニのゆっくりが謎のゆっくりによって虐められたり、或いは襲撃されたり、もしくは連れさらわれたりする事に頭を痛めていた。 そして、密偵を放ち賊を探ると、それらはドマリカからやって来ているのを突き止めたのだ。 「ゆっ。そんなことまりさは知らないんだぜ! じぶんのところのゆっくりもかんりできないおまえたちはボスしっかくなんだぜ!!」 にやにやと笑うドゲスに、遂にけーねの怒りが爆発する。 頭から突き出したとんがりホーンをもって、ドゲスへ体当たりを仕掛けた。 けーね種が本気になり、キモけーね種となった時に生えるそれこそ、いかなるゆっくりをも貫いてきた最強の武器、とんがりほーんなのだ。 しかし、それは並のゆっくり相手の話。ドゲスを捉えたはずのとんがりほーんは一撃で砕け散ってしまった。 「お、おいどんのキモくないとんがりほーんがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「キモくないとんがりほーんだってさ」 「おお、きもいきもい」 「むきゅ!? けーね、だいじょうぶ!?」 ショックから白目をむき、泡を噴いているけーねの元に、駆け寄る(ぱちゅりーなので遅いが)と、けーねの顔をぺろぺろと舐める。 とんがりほーんは他のゆっくり種を貫く必殺の武器であり、けーね種のプライドでもあるのだ。 それが粉々に砕けてしまったとなればその精神的なダメージは計り知れない。 「むきゅーっ!?」 そしてぱちゅりーは背後から襲い掛かってきたえいえんてぃのてるよによって弾き飛ばされる。 この会議は、初めから罠だったのだ。 「ゆっふっふ……おまえたちがいなくなれば、おまえたちのクニをうばうことぐらいわけないよ! それにおまえたちはいつもべたべたしてきもちわるいよ!!」 ぱちゅりーとけーねは親友だった。 同じくクニを背負って居たから気が合うとか、そういうのではない。けーねもぱちゅりーも、同じように知性的な相手を慕っていたのだ。 「け、けーね……む、むぎゅうう!?」 そんな友人の前で 「ゆっへっへ! おまえはきょうからまりさのどれいだぜ! まずはまりさをんぎもっぢよぐさぜるんだぜぇぇぇぇ!!」 ぱちゅりーは 「い゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! ずっぎりじたぐないぃぃぃぃ!! す、すっきりーーーーー!!」 強制的にすっきりさせられる。 悪夢のような時間の果てに―― 「ゆっふっふ……すっきりもできたし、ついにらくえんとーいつにむけてうごきだすぜ!!」 「むきゅっ、けーね。けーねのあかちゃん、がんばってそだてるわ」 ぱちゅりーは現実から目を逸らす事を決めた。 〜〜侵攻〜〜 ドマリカによる侵略はゆっくりでは考えられないほどの恐るべき速さで行われた。 まず、手始めにドマリカの誇る奴隷決死隊の襲撃によって生クリーム共同体の集落の一つが侵攻された。 「おかーじゃーーーん!!」 連行されていく赤ゆっくり達は洗脳と言う名の教育を受けさせられて立派な労働力へ。 「むぎゅううううう!! だべだいでぇぇぇぇむぎっ!?」 抵抗したゆっくり達は慰み者兼食料へ―― 本来ゆっくりは共食いを禁忌としているはずなのに、何故? それはこの奴隷ゆっくりたちの生活にある。 ぎりぎりまで食料を与えられず、兵ゆっくりに楯突けば数匹にじわじわと嬲り殺され、その死骸が奴隷ゆっくりに配給される。 ごく稀に配られる仲間の死骸は甘美だった。しかし、共食いをすれば殺される。奴隷達のストレスはいつもギリギリだった。 だからこそ、合法的にゆっくりを食える戦争が奴隷達は大好きなのだ。 「むーしゃ、むーしゃ」 「うっめ! これむっちゃうっめ!!」 こうして、ドマリカは死を恐れない労働力兼兵隊を得る。 その上、働きぶりを認められれば平ゆっくりになれるかもしれない。 そんな期待もあり、奴隷達の士気は圧倒的に高かった。 「……むきゅ……」 集落の長である年老いたぱちゅりーは、集会所の外で起きている惨劇にただクリームを零すだけ。 「ゆっ! こうなったらぎょくさいかくごでたたかうしかないぜ!」 「だめだよ! まだなにかほうほうがあるはずだよ!!」 若いまりさが叫ぶ。侵攻の際に妻と子を失ったまりさは徹底抗戦を主張し、対するれいむは別の手を考えるべきだと主張する。 老ぱちゅりーは悩んでいた。ここで玉砕覚悟で戦い、クニへの侵攻を少しでも遅らせて散るべきか。 それとも、何か他の――起死回生の一手を考えるか。 そんな時、一匹のゆっくりがおもむろに立ち上がる。 「ちぇんがたすけをよびにいくんだねー。わかる、わかるよー」 震えながら立ち上がったちぇんは目から餡子を流し、言う。 自分が助けを呼びに行くと。強いゆっくりに助けを求めに行くと。 老ぱちゅりーはむしろ助けにいくのは死にに行くようなものだと説得をしたが―― 「でも、このままだったらみんなゆっくりできないよー。だから、ちぇんはみんながゆっくりできるように、がんばるよー。わかってねー」 真夜中。 表のゆっくり達が静まり返ったのを確認して、集会所の入り口が開かれた。 ちぇんは帽子の中に保存食である干草を詰め、必ず仲間達のもとにもう一度帰ると心に誓い、跳ねる。 ひたすらに助けをもとめて。 「ゆっ!? おいしそうなのがにげたよ!」 「おいかけるんだぜ! あいつをどれーにしてやるんだぜ!!」 追いかけてくる無数の兵ゆっくり。 「つかまるわけにはいかないんだねー! わかるよー!!」 途中、小枝などで体を切りながらも、ちぇんは止まらない。 ひたすらドマリカの兵ゆっくりから逃げる。 水溜りを飛び越え、小山を乗り越え、竹林を踏み越えて。 ひたすらに、追っ手から逃げた。 体から餡子がこぼれ、自慢の尾は千切れかけ、意識も朦朧とした状態のちぇんを巡回中だったみょんが発見したのは不幸中の幸いだった。 「たいちょう! このこはたしかとなりのクニのしゅうらくのこだちーんぽ!」 斥候ゆっくりのみょんがちぇんの尻尾を咥えて前線基地という名の洞穴に戻ってくると、俄かに洞穴の中が騒がしくなる。 隣のクニ。生クリーム共同体のゆっくりが何故これほどボロボロになってここに流れ着いたのか? 疑問はすぐに解決される事になる。 「ゆっ!! たいちょー! ゆっくりできないこたちがうろうろしてたからゆっくりつかまえてきたよ!」 ひょいっと放り込まれる三匹の追っ手。 追っ手はまりさが二匹にれいむが一匹。れいむは餡子脳でありながら危機を察知しているのかガタガタと震え、まりさ達は何の自信かニヤニヤと笑っている。 「はやくまりさたちをかいほうしてね! それとおいしいごはんをよういしてね!!」 ごくごく標準的なゆっくりの反応に、前線基地のゆっくりたちは不快感を露にする。 神聖けーね教国において標準的な、いわゆる本能のままにゆっくりすることは悪徳とされているのだ。 「たいちょー! こいつらわるいゆっくりだちーんぽ! やっつけるぺにす!!」 ぷーっと膨らみ、怒りを露にするのはこの前線基地一番の古株である顎に傷のあるみょんだった。 傷みょんが憤るのも無理は無い。かつて、このみょんの家族は悪いゆっくり達に殺されてしまったのだから。 「おちつくんだぉ。こいつらをもっこもこにするのはかんたんだぉ。でも、すぐにもっこもこにしたらじょーほーがてにはいらないぉ? じょーほーはだいじだって、けーねもいってたぉ」 隊長とよばれた一匹のゆっくりが追っ手三匹にゆっくりと近づいていく。 それは追っ手のゆっくり達が見たことの無いゆっくりだった。 白っぽい髪に紅い目。ゆっくり達の中でもてるよやえーりんといった珍種に並ぶ珍種。 ゆっくりもこたんである。 「さ、おまえたちのしってることをさっさとはくぉ。そうすればけーねきょうてんにのっとっていのちのほしょうはしてやるぉ」 見たことの無いゆっくりに困惑し、更に警戒する追っ手れいむ。ところがあろう事か追っ手まりさ二匹はもこたんを畸形か何かだと思ったらしい。 ゆへへと下卑た笑いを浮かべ、周りのゆっくりを嘲笑う。 「こんなできそこないがりーだーなんて、ばかなの? まりさならこんなやつよゆうでかてちゃうよ!」 「ペニッ!? おまえ、たいちょーをぶじょくするちんぽ!?」 「かまわないぉ。あいてになってやるぉ」 口調は変わらないように振舞ってはいるのだが、その目から怒り浸透しているのが良くわかる。 こんなに恐ろしいもこたんを見たのはひさしぶりだった。 「ゆっへっへ! おまえなんかまりさのますたーあたっくでいっぱつだよ!!」 追っ手まりが飛び掛る。 もこたんはまりさに背を向けて目を瞑った。 コイツはやっぱり出来損ないのゆっくりだ。まりさはそう確信して大きく口を開ける。 が、その時もこたんの髪の中から綺麗な火が噴出したのを、不幸にもまりさは見てしまった。 ふじやまヴォルケイノ。 珍種であるもこたん種の持つ特殊な力。 髪の中にある噴出口から発射されるそれは人間たちから見れば花火のようなものだが、ゆっくりにしてみれば火柱も同然だ。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛づぃぃぃぃぃぃ!!」 顔面を焼かれ、もがき苦しむまりさに近づき、更に念入りに焼いていく。 凄まじい光景を見て二匹の追っ手ゆっくりは身動きが取れぬほどの恐怖を感じていた。 「おまえたち、こうはなりたくないぉ? だったらしってることをはくぉ」 ぼしゅっと噴出孔から火花を散らし、二匹を睨みつける。 排泄餡子を漏らしながら、二匹は知っている事をぽつぽつと漏らし始めた。 「……ち……んぽ……」 けーねが死んだ。そしてぱちゅりーは完全に敵の手に落ちてしまっている。 その事実を知ったみょんは言葉を失っていた。いや、他のゆっくり達も。 「……このことをとなりのクニのぱちゅりーたちにつたえるぉ。それと、けーねのこどもたちにも」 「たいちょう! そうしたらどうするちーんぽ!? みょんたちはどうすれば……」 「おちつくんだぉ! ――もこたんたちはわるいゆっくりたちをできるかぎりくいとめるぉ。このきちのみんなをすぐにあつめるぉ!!」 もこたんの号令を受け、伝令役のちぇんが弾かれたように走り出し、手当てを受けていたあのちぇんにもこたんが近寄っていく。 「……このからだで、よくがんばったぉ」 「……みんなが、ゆっくりできればいいよねー……わかる、よー……」 手当てはされているが、恐らくもうこのちぇんはもたないだろう。 まだ若いちぇんの命を無駄にする事はできない。 もこたんは手勢を引き連れ、ちぇんのいた集落の救援に向かう事にした。 「お、おねがいだよ! みんな、れいむもいっしょにゆっくりさせてね!!」 二匹の追っ手を前線基地に残った守備隊たちが囲む。 その目には皆激しい嫌悪感が浮かんでいる。そして、この二匹のゆっくりにもこたんの下したのは死刑宣告。 「おまえにはみずぜめ、そっちのまりさには――ふるこーすだよ!!」 「「「ゆっくりくるしんでしんでね!!」」」 「「い゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」」 別々に洞穴の奥に連れて行かれる二匹。 けーね経典に則ると罪を告白したゆっくりには情状酌量の余地が与えられるはずなのだが。 そこはステキな餡子脳。仲間とも言えるようなゆっくりを殺された事によって経典なんかすっ飛んだのだろう。 もこたんの“好きにするがいいぉ”の言葉を拡大解釈した結果そうなった。 「れいむ、のどかわいてるでしょ? いっぱいみずをのませてあげるね!」 無理やり口を開けさせられ、強制的に口移しで水を飲ませられる追っ手れいむ。 初めのうちは固定されている恐怖から涙目になっていた追っ手れいむだが、飲み物を貰えるとわかると安心したらしい。 「ゆっ! もうおみずはいいよ! こんどはごはんをもってきてね!」 だが、拷問をするゆっくり達は代わる代わる水を強制的に飲ませるのを止めない。 これこそけーね経典にある“ゆっくり水責め”である。 「ゆ゛っぷっ! もう、おみずいらないいいいい!! んぶっ!?」 それでも尚、水を飲ませ続け、限界寸前まで膨らむれいむ。 頃合を見計らって、拷問ゆっくり達のリーダーであるらんしゃまは拷問ゆっくり達を止めた。 「もういい! みんないっかいおみずをとめろ!」 ようやく助かる。れいむの心に僅かに希望が浮かんだ。 これが終わったら、なんとかしてここから逃げてゆっくり暮らそう。 そう思っていたれいむの体を突如らんしゃまが押し始めた。 「ゆっ!? す、すっきりしたいの……? いいよ、れいむですっきりしても……」 が、らんしゃまは体を離すと傍にあった棒を咥え、それで思い切りれいむの体を押し込みんで揺すり始めた。 「ゆゆゆゆゆゆ! す、す、す――うぼぉげぇぇぇぇえぇえええ!!」 途端にれいむの口から噴出す大量の水と少量の餡子。 「よし。もういっかいみずをのませろ!」 また、拷問ゆっくり達が水を口移しでれいむに飲ませていく。 この責めは、れいむが死ぬまで終わらない。 戦いは始まったばかりだ。 つづくかも このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/245.html
冬眠ゆっくりの子守唄 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!!!」 そのゆっくりれいむが通ると、誰もがあたたかな声をかける。 「ゆっくり、していってね」 答えるれいむは上品だった。物腰たおやかで、そして美しかった。 魔法の森の誰もがうらやむ、最上のゆっくり、それが彼女だった。 「ゆっくりー……」 柔らかな草の上に座り、ただゆっくりと日を浴びる、それだけでも花のように絵にな るゆっくりだった。 「ゆっくりちちぇっちぇね!」 「ゆっくりちちぇっちぇね!」 小石ほどのちっちゃな赤ちゃんまりさや赤ちゃんれいむたちが、蝶を追ってぴょんぴょ んと飛んでいく。それを見ると、ぴょんと横から蝶を捕まえ、赤ちゃんたちにやった。 「はい、ちょうちょさんよ」 「ありがちょ、おねーたん!」 「やさしいね、おねーたん!」 感謝するちびたちに、無言でにっこりと笑いかける。 ゆっくり特有の騒々しさもなく、控えめで、優しい。本当によく出来たゆっくりだっ た。 そのれいむは、一年を母親の下で過ごし、そろそろ一人立ちを迎えようとするころだっ た。こんなにも器量よしで気立てのよいゆっくりなので、もちろん大勢のゆっくりたち が彼女を慕っていた。 「れいむとゆっくりつきあってね!」 「まりさとゆっくりつきあってほしいんだぜ!」 「あっあっあアリスと赤ちゃんをつくりましょぉ~~~~~!」 そんな誘いにも、れいむは頬を赤らめて、つつましく辞退していた。 「もうちょっと、ゆっくりかんがえさせてね」 彼女が一体誰と付き合うのか、森のゆっくりたちはやきもきしていた。 れいむの母親は、保守的な考えの持ち主だった。 「れいむはまだまだこどもだよ! 次の春までゆっくりと成長して、それからすてきな 人を見つけるといいよ!」 れいむ本人も、漠然とそんなふうに考えていた。 まだまだ、恋というものを遠くの虹のように考えていたのだ。 だが、恋のほうではれいむを待ってくれなかった。 ある日のこと、草むらをゆくゆくとしとやかに歩いていたれいむは、隠れていた蛇に 襲われた。悲鳴を上げて逃げようとした時、石をくわえて蛇を叩きのめしてくれたゆっ くりがいた。 「このあたりは危ないんだぜ。ゆっくりしないで通り抜けてね!」 そのまりさは、れいむにしばらく目を留めていたが、他のゆっくりのようにれいむの 美貌に惑わされて口説き始めたりはせず、黒い帽子を翻してそっけなく去っていった。 「すてきなひと……!」 ゆっくりれいむの餡子ハートが、きゅんきゅん鳴り始めた瞬間だった。 ほどなくそのまりさの素性がわかった。魔法の森のはずれの石地に暮らす、一人身の ゆっくりだった。 数日後、れいむはとびきり色艶のいいアマガエルをくわえて彼女に近づき、震えるハ ートに勇気を奮い起こして話しかけた。 「あの、せんじつはありがとう……いっしょにゆっくりしてね?」 「ゆっ?」 振り向いたまりさは、しばらくれいむを見つめてから、やがてにっこりとほほえんで くれた。 「ああ、あのときの……」 覚えていてくれた。それだけのことで、れいむは天にも昇る心地になった。 「これ、おれいなの。ゆっくりたべてね……?」 まりさはカエルを見て、べろんと舌を伸ばして食べてくれたが、ふいと向こうをむい てしまった。 「ありがとう。でも、ゆっくり帰ってね」 「どうして? れいむ、もっと……まりさといたいよ」 「ゆぅぅ、それはだめだよ」 「どうして?」 「だってまりさは……ばつをうけている身だからね」 まりさの告白は、衝撃的なものだった。 彼女はむかし、母親や姉妹たちと大きな家族で暮らしていた。ある日のこと、その家 族がゆっくりれみりゃに襲われた。母まりさが立ち向かい、子供たちも必死に手助けし たが、空を飛ぶゆっくりには勝てなかった。母も姉妹も体のあちこちをつまみぐいされ、 身動き取れなくなった。 そのとき、一人だけ無傷だったこのまりさは、家族を捨てて逃げたのだった。 「おかあさんがさけんでいたよ。『まりさだけでも、逃げてゆっくりしてね……!』っ て」 だが森のゆっくりたちは、このまりさに冷たい目を注いだ。家族を見捨てたゆっくり としてつまはじきにし、森のはずれのこんな寒々しい土地に追い出したのだ。 そこまで聞いた時、やさしいゆっくりれいむの目から、熱いものがあふれ出した。 「どお゛じでぞんな゛目゛にあっでるのぉぉ……!」 同情が胸を締め付ける。その痛みはすぐに、甘い共感に変わった。 我知らずれいむは、まりさに頬をすりつけていた。 強く強く、いっぱいの気持ちを込めて、すりすりと……。 「れ、れいむ……」 「つらかったよね、さびしかったよね……!」 すり寄るれいむに対して、まりさはとうとう何も言わなかった。 だが、別れ際に一度だけ、自分からそっと頬を当ててくれた。 れいむには、それだけで十分だった。 その日から、二人のひそかな逢瀬が始まった。 森のゆっくりたちの目をかすめて、石の荒地で、木陰のうろで、滝つぼの陰で、ふた りは密会を重ねるようになった。 密会といっても、二人とも前の冬に生まれたばかりで、まだ若い。子作りを求める、 燃え立つような情欲とは縁遠い。れいむが浮き立った調子で日常のことをしゃべり、そ れにまりさが時折あいづちを打つというような、他愛のない時を過ごしただけだった。 孤独なまりさはれいむの話を聞くと、ほかのゆっくりが気づかなかったようなれいむ の苦労を汲んで、ぽつりと同情してくれた。 「ゆっくりは、顔じゃないんだぜ」 「れいむは顔よりも、心がすてきだと思うんだぜ」 またそんなまりさも、おのれの美貌におごらない、謙虚で正直なれいむに惹かれていっ た。 「おかあさんや妹たちに、いつまでもゆっくりしてほしいよ」 「まりさのことも、きっとみんなはわかってくれるよ!」 夏の間、ふたりはそうやって、穏やかに愛をはぐくんでいった。 秋に入ると、ゆっくりれいむは冬支度を始めた。 優しいながら芯のしっかりしたこのれいむは、生まれて一年もたたないうちから、一 人で越冬をすると決めていたのだ。 外敵の近づきにくいイバラのしげみの奥に穴を掘り、着々と食料を貯めて行くゆっく りれいむの姿に、最初は心配していた母れいむも、許可を出してくれた。 「しんぱいだけど、だいじょうぶそうだね! がんばってゆっくりしてね!」 「うん、れいむがんばるね!」 幼女期を過ぎて少女期に入ったばかりのれいむではあったが、必要な餌の量や穴の広 さを本能が教えてくれた。れいむは着々と準備を進めていった。 ひとつ、気がかりなのは、あの仲良くなったゆっくりまりさのことだった。れいむは まりさと一緒にいたかった。 だが、結婚の誘いを口にするには、れいむはまだまだ幼かった。 もしそんな誘いをしたならば、一冬をずっと同じ穴の中で過ごすことになる。まりさ と夜を過ごしたことは、いまだに一度もなかった。そこで何が起こるのか、少女の活発 な妄想力をもってしてもさすがに考えが及ばず、れいむは一人、顔を赤くして首を振る のだった。 ――まだはやい、まだはやいよ! もっとゆっくりなかよくなってから……! 冬ごもりの食料は莫大だから、簡単には移せない。つまり、思いつきで移住すること は出来ない。どちらにしろ、今年は一人で過ごすことが決定していた。 森の木が色づきだしてからというもの、まりさのほうも冬支度を始めているようだっ た。ときおり遊びにいったれいむは、石穴での彼女の冬支度が、それなりに順調に進ん でいるようだったので、ほっとした。 そのころのれいむは、まりさの視線を感じて小麦粉の頬を熱くすることが増えていた。 まりさも同じように考えてくれている――そんな確信があった。 季節が移りゆき、とうとう幻想郷に初雪が降ったある日。 いよいよ冬篭りの支度をすっかり整えたれいむは、銀世界に顔跡をつけていっさんに 走っていた。 「ゆっ、ゆゆっ、ゆっ、ゆゆっ!」 今日は三ヵ月を越える冬ごもりを始める日。巣穴の入り口を閉じる前の、最後の逢瀬 だ。 石地の巣穴にたどり着くと、期待したとおり、その入り口はまだ開いていた。 「まりさ、いる?」 「れいむ? ゆっくりしていってね!」 聞き慣れた誘いの声。れいむはこの上ない喜びを覚えて、巣穴に入っていった。 「いよいよだね……!」 「ゆっくりと生き延びようね……!」 感無量で見つめあう顔と顔。自然の厳しさはお互いに知っている。うまくゆっくりで きなければ、再び会うことは出来ないかもしれない。 そんな切羽詰まった思いが、若いれいむに思い切ったことを口走らせた。 「あの……あのね、まりさ!」 「ゆっ?」 「もしこの冬篭りに成功したら……わたしとけっこんしてね!!」 白玉楼から飛び降りる思いでの大胆な告白。もちもちした頬を真っ赤に染めて、れい むはぎゅっとうつむく。 期待と不安に餡子が高鳴る。まりさはなんて答えるだろう。孤独なひとだから、断ら れるかもしれない。実は他に好きな人がいるかもしれない。乙女ゆっくりの想像力が暴 走しかけていく。 「ゆ……ゆぐ……」 のどに詰まったような不思議な声。おそるおそる声を上げると、まりさは顔を背けて むこうを向いている。 まりさを困らせてしまった――その思いに、れいむは足場が消えてなくなったような 絶望を覚える。やっぱり、自分の思い込みだったんだ。まりさは、ただの友達としか思っ てくれていなかったんだ……! 「ご、ごめんね、まりさ! 変なこと言っちゃった。……ゆっくりしていってね!」 最後の挨拶を残し、出て行こうとするれいむ。 涙を見られる前に。 ところがその後ろ髪が引っ張られる。ころんと転がって振り向いたれいむが見たのは、 真っ赤に染まって、怒っているようなまりさの顔。 「わ……わるかったよ、れいむ!」 「ゆっ?」 「な、なんて言っていいか、わからなかったんだぜ! うれしすぎて!」 言うが早いか、まりさは寄ってきた。柔らかな肌とふさふさの金髪がれいむの頬に押 し付けられる。 「まりさもだいすきだぜ! きっと、きっとけっこんしようね!」 「ゆ……ゆぅぅぅぅ!!」 歓喜の声がのどから漏れる。餡子脳をまたたく間に餡内麻薬が満たしていく。押し寄 せる幸福感、高まるヘヴン状態。 「ま、まりさ、うれしいよ……!」 「れいむ、ほんとにだいすきだぜ……!」 むにむにと頬をこすりつけ、何度も言葉を掛け合う。 こんなに幸せな思い出があれば、長い冬ごもりもぜんぜん苦しくない。少しの後悔も なくここを離れて、巣穴に戻ることが出来る。れいむはそう思った。 が――。 「ゆ、ゆく……ゆふ……」 「ゆぅ……ゆむぅ……」 押し付けた肌のぬくもりが、あまりに心地よすぎた。 愛しい人との距離が、あまりに近すぎた。 いつの間にか二人は言葉を忘れ、短い声だけを漏らして、体をゆすりあっていた。 そう、それは……二人がまだまだ早いと考えていた、愛の営みのきざし。 実際、二人はそんなことをするつもりは毛頭なかった。 ただただ、その心地よく温かい行為を止めたくなくて、じわじわと続けていただけな のだ。 しかし、いくら自覚がなくても、幼い餡子体に目覚めつつある官能は、そのまま消え てくれはしなかった。むしろ二人が押し合うのに合わせて、急速に高まりつつあった。 「ゆっゆっ……ゆっゆっゆぐっゆぐっ」 「ゆは、ゆは、ゆふ、ゆふ、ゆふぅぅ……ま、まりさぁ……へんだよぉ……」 頬を染め、とろんと溶けた目でつぶやくれいむ。 ふと相手を見れば、同じように快感に目を細め、唇をゆがめている。 そのまりさが、はっとれいむの視線に気づき、何か言おうとした。 「れ、れいむ……ゆっくりとやめようね……?」 彼女はまだ理性を残していた。今このタイミングで営みを始めたら、どんな悲劇的な 結末が待っているか、きちんと想像が出来た。 結末――それは恐ろしい光景だ。一人で巣穴に帰ったれいむが、腹の痛みを感じる。 そして何日かのあとに子供を産み落としてしまう。 一人用として準備された、巣穴の中で。 見詰め合ったまま、二人はわずかに逡巡した。 だがれいむは、しとやかで相手の望みを慮る性格のために、感じてしまった。 まりさがこらえている飢えを。芽吹きはじめた欲情を。 ――まりさがれいむをほしがってる……すっきりしたがってる……! それゆえに、れいむは揺すり続けた。 美しい頬をすりよせ、唇の端をまりさの唇に沿わせ……。 「まりさ、いいよ、まりさ……」 「ゆっ、れいむ、れいむ?」 「れいむはいいの。してほしいの。ねえ、すっきりしていってね……?」 魔法の森で一番とたたえられた、青いほど若く美しいゆくっりれいむの、健気な誘惑 ……。 それに、長い間孤独にさいなまれ、れいむを慕い続けていたまりさが、抗えるわけが なかった。 「れっ、れいむ、いいの、ほんとにいいの?」 「いいの、いいのぉ、まりさなら、ゆぅん、いいのぉっ……!」 まだ幼い、餡子皮もろくに厚くなっていない、青い果実のようなれいむがあえぐ。 「れいむっ、すきだよっ、れいむ、ほんとぉぉぉ!」 人の情けを知らずにたった一人で生き抜いてきた、飢えたまりさがむさぼる。 舌を伸ばしてべろべろと舐めあい、湿った頬をぐにぐにとすりつけ、野獣のように汁 まみれで愛し合う。若く未熟だといっても、いや、若く未熟だからこそ、二人の愛はと どまるところを知らなかった。 「ゆっ、ゆおっ、ゆふっ、ゆむぅっ♪ まりさっ、きもぢいい、ぎもぢいいよぉぉ!」 「れ゛いむ゛ッ、れい゛む゛っ、れ゛いむ゛ぅぅ、だいすきだよぉぉぉほぉぉ!」 「もっどっ、もっどじでっ、ぐるっ、ぐるっ、なにがぎぢゃぅぅぅぅ!!」 「まりざも、まりざもっ、れるっ、れるっ、なにかがれる゛ぅぅぅ!!」 ずくんずくんと押しつけるまりさの動きが最高に高まった瞬間、れいむは感じた。 じわじわぁぁっ……! と自分の中に染みとおってくる、まりさの愛のこもった熱い 波を……。 その途端、真っ白な閃光が丸い餡子体のすみずみまでも走りぬけ、れいむは我知らず に絶叫していた。 「すっきりーーー!」 「すっきりーーー!」 同時にまりさも叫び、柔らかい体をべったりとれいむに密着させたまま、ふるふると 硬直した。 白一色の野原の中、小さな穴倉で人知れず重なり合った二人の上に、新たな冬の使者 が音もなくはらはらと降り積もり始めた……。 ゆっくりれいむは枯れ草を敷き詰めた穴倉に、じっと座り込んでいた。 冬篭りを始めて一週間。――食料の消費は予想通りで、念入りにふさいだ入り口から は雪の一片も漏れてこず、冬篭りはすべて問題なく進んでいるようだった。 しかしれいむの顔は、心なしか青かった。 ――だいじょうぶ、だいじょうぶ! ゆっくりしてればいいの! 自分に言い聞かせつつも、思い返してしまうのは、あの日のことだ。 生まれて初めての衝動に押し流されるまま、自分の体のすべてを与え、恥ずかしい痴 態をさらしてまりさとひとつに溶け合った。それ自体は例えようもなくすばらしい愛の 出来事だった。 だが、終わったあとに残ったのは、取り返しのつかない愚行をしてしまったのではな いかという、巨大な不安――。 「れ、れいむ……」 おろおろとうろたえながら、まりさが何かを言おうとした。 「……こっちでゆっくりしていく? まりさはかまわないよ」 だが、出てきたのはこんな益体もない台詞だけ。もとよりまりさの巣穴にはまりさの 分の食料しかない。たとえまりさが身を投げ打ってくれたところで、来るべき事態の解 決にはならない。 れいむにまりさを責める気はなかった。あの流れの中で、自分は確かに、人生の分岐 点をこちらへと渡ったのだ。 一時の快楽に押し流されて……。 「ありがとう、まりさ。れいむはおうちにかえるね」 にっこりと笑って、れいむはそう言った。 まりさが好きだった。だから心配をかけたくなかった。 ただ、どうしたわけか、涙だけは目じりからぽろぽろとこぼれた。 「ゆっくりしていってね、まりさ。れいむはだいすきだったよ!」 「れ、れいむぅぅぅ……」 同じように涙を流し、何度も抱擁して、まりさは送り出してくれたのだった。 「春になったらむかえにいくからね! ぜったいいくからね!」 ……そんな声を背に、れいむは巣穴に帰ってきたのだ。 「ゆっ、ゆゆっ、ゆんっ!」 ふるふると頭を振って、自分に活を入れる。 「ゆっくりできるよ、ゆっくりしてるよ!」 すべては杞憂なのだ。こうして座って、辛抱強く食料を食いつないでいけば、やがて は春が来るのだ。 そうして、ある暖かな一日に薄暗い穴の中で目を覚ますと、入り口を掘りあけてまり さが来てくれるはずなのだ。 「ゆっくりしすぎたぜ、れいむ!」 そうやって、微笑んで……。 ぐりゅ、と頭皮の上で何かが動いた。 「……!」 れいむは頭をふる。何度も何度も振る。 「ゆっくり、ゆっくりしていくよ……!」 聞くものとてない冬山のイバラの茂みの奥に、そんな小さな叫びが響く。 だが――。 運命の神は――。 二人の愛の結晶を、無慈悲にも――。 「ゆぐっ、ゆぐっ、ゆゆぎぃぃぃ……!」 吹雪の吹きすさぶ厳冬の一月。 分厚い雪に振り込められた巣穴の奥に、異様な光景があった。 それは膨れ上がったゆっくりれいむ。――ただ縦方向に伸びているだけでないのは、 その口の下にみちみちと開きつつある穴から、明白だ。 産道が穿たれつつある。 一歳に達しないゆっくりれいむが、枝をつけずに胎児を孕むのは、きわめて異例なこ とだ。だがこれは、彼女自身が引き起こしたことだった。 その原因は、れいむが己の妊娠を徹底的に否定し続けてきたことにあった。 まりさとのあの日から一週間を過ぎたあたりから、れいむの体調は確実に変化してい た。食欲が異様に増え、食べても食べても物足りない。頭がうずき、何かが生えつつあ るような感覚が湧いた。 頭から枝が生えたら、子供が実る。――その程度のことは、うぶなれいむでも知って いた。 「は、はえないでね! ゆっくりはえないでね!」 頭の上に少しでも何かが突き出そうになると、壁にこすり付けて削り落とした。 だがゆっくりの体の作りは、ゆっくりであるれいむ本人にも想像もつかない神秘を秘 めていた。 枝が生えなくなってほっとしていると、今度は十日過ぎから、腹の中に違和感を感じ るようになった。 みちみちみち……。 みちみちみち……。 腹が圧迫されていく。 内側から。 まるで新しい何かが形成されているかのように。 「ゆ、冬太りになってきちゃったよ!」 「ゆっくりしてるの、ゆっくり一人ですごすのぉぉ!!」 食料の食べすぎだ、運動不足だと自らをあざむいても、詮無いことだった。 茎を作って生まれ出ることのできなかった生命が、行き場をなくして腹の中に宿って しまったのだ。 以来、それは育ちに育ち、一ヵ月半が過ぎた今では、かつてのれいむ自身に匹敵する ような何者かが腹の中にいることは、明白になってしまった。 それが今――。 いよいよ胎児としての成熟を迎え、外の世界に生れ落ちようとしている。 ふくれあがり、中からミチミチと押し開かれる産道に、れいむは懸命に力を込める。 「だめっ、だめぇぇぇ……生まれちゃ、生ま゛れ゛ぢゃだめぇぇぇ……! 出だら゛死ん゛じゃう゛の゛お゛ぉぉぉぉ!!!」 かつて誰よりも美しかったまぁるいあごの線は、無様にふくれ、見る者見る者に舐め てみたいと思わせた滑らかな餅肌には、脂汗が玉のようにびっしり浮いている。 若く美しいゆっくりだったれいむが、今は腹の膨れた妊婦となって、おのれの恥ずか しい穴を必死に引き締めているのだから、グロテスクを通り越して滑稽ですらあった。 「ゆぎい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!」 顔の下部に熱した金属棒を突っ込まれ、グリグリとこじ開けられるような壮絶な痛み が、れいむを苛む。れいむは歯を食いしばってそれに耐える。 最初のうちは外に出すまい、奥に戻してやろうという力みだったが、自然の巨大な力 の前に、そんな愚かな努力はたやすく圧潰した。今ではもう、腹の出口に宿る凶悪な痛 みの塊を、ただなんとか処理したいということしか、考えられない。 「ぎぎぎっぎゅぃいいぃいい! いだっいだっだっ、いだいよぉぉぉぉ!」 体内の餡子という餡子がマントルのように煮え返り、循環するような猛烈な苦痛が襲っ ている。その最悪の瞬間、れいむは痛みから逃れることしか考えていなかった。この痛 みをもたらしたすべての者を憎悪した。生まれつつある胎児自身、それを種つけたゆっ くりまりさ、種を受け入れた昔の自分、そしてそんな自分を世に送り出した母親までも を憎みぬいた。 「ゆっぐりじだいぃぃぃ! みんなみんなゆっくりじねぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!!」 誰一人助けてくれるものもない、孤独な苦痛が最高に高まった瞬間―― きゅぅぅぅ……ぽんっ! 軽快な音とともに、一瞬で腹が軽くなった。たちまち、どっと音を立てそうな勢いで 安堵があふれ出し、れいむは至高の快楽に浸る。 「ゆっくりー!」 「ゅっ」 だが、彼女の安堵は、小さな小さなうめきを聞いた瞬間、絶望に転じた。 目を開ければ、薄暗い巣穴の床に、小さな丸いものが落ちている。 黒い帽子、濡れて波打つ金髪、ちょっぴり世をすねたような唇、まだ開いていないま ぶた……。 それは、愛したゆっくりまりさに生き写しの、自分の子供だった。 ――生まれてしまった……! ひたひたと押し寄せるその事実に、れいむは押しつぶされる。聡明な彼女には、この ことの帰結がはっきりと理解できた。 巣穴には一人分の食料しかない。 子供と二人では、間違いなく足りなくなる。 だから当然、今しなければいけないのは――間引き。 「……ゆ、ぐ、ぅ……」 それは子供を自らの手で殺すこと。大丈夫、生まれて間もない赤子はまだ世界のもの ではない。あちら側、死者の側の住人なのだ。殺すといっても、そちらへ送り返すだけ。 そう、これは「お帰し」なのだ――。 ゆっちゅりーだったか、あるいは他の誰かだったか。昔聞いたそんな理屈が、頭の中 でぐるぐると回った。 れいむはぶるぶるとおこりにかかったように震えながら、前へ進む。あれほどわが身 を痛めつけてくれたのに、子供の大きさは桃の実ほどもない。スイカ並みの大きさがあ る今の自分なら、のしかかるだけで片をつけることが出来る。 やるのだ。 やらねば。 やらなければ! ――と、そのとき目を開いた小さな子供が、きょろきょろと辺りを見回したかと思う と、輝く瞳にいっぱいの希望を浮かべて言った。 「ゆっくちちぇっちぇね!!!」 一撃だった。 それはれいむの脆い殺意を突き崩し、深い深い愛を呼び覚ますに十分な一撃だった。 幼い母親であるれいむの心に――幼いからこそ、純粋な愛がこんこんと湧き出した。 愛したまりさとの子供、自分の腹を痛めた子供だという思いが、あっという間に心を満 たした。 「ゆ゛っ……」 れいむは、その言葉を口にした。 「ゆっぐり、ぢでいっで、ねぇ……!!!」 そして滝のように涙を流し、わんわんと声を上げながら、赤ちゃんまりさに頬ずりし た。 「ゆっ? おかあたん、どうちたの? まりさがちゅいてるよ! 何もわからない幼いまりさが、早くもそんなことを言って、母に頬を擦り付けた。 母子はずっと一緒にゆっくり暮らした。 狭く暗い穴倉の中で、せいいっぱいゆっくりと……。 出産が済んだれいむは、いくらもたたないうちに、元のように丸く美しい体形を取り 戻した。子供と二人、彼女は毎日を楽しく暮らした。 子まりさも、満足しきっているようだった。 「おかーたん、ゆっくちおととにでたいよ!」 「おそとは寒いのよ。暖かくなったらね」 「おととにはどんなものがあるの?」 「きれいなお花や、可愛いちょうちょや、すてきなまりさかあさんがいるのよ」 「ゆっ、おかーたんがもうひとりいるの? まりさ、たのしみだよ!」 子まりさの幼すぎる餡子脳は、結末をまったく想像できなかった。 彼女はただ、外敵のいない快適な穴倉で、寝てもさめてもそばにいてくれる、若く美 しい母親と、壁一杯に積まれたたっぷりのごちそうに囲まれ、明るく広い未来を想像し て、至福のときを過ごしていた。 「ゆぅ・ゆ・ゆー ゆぅ・ゆ・ゆー ゆーゆゆぅゆ ゆーゆぅ……」 柔らかなアルトの子守唄を聴きながら寝かしつけられると、子まりさはついついこん なことを言ってしまうのだった。 「おかーたん」 「なぁに? まりさ」 「まりさ、とってもちあわちぇ!」 ちゅっ、と頬にキスして目を閉じる娘を、れいむはこの上なく幸せな顔で、だが滂沱 の涙を流しつつ、見守るのだった。 時が流れ、日々が過ぎていった。吹雪の音は収まることがなかったが、壁に積まれた 食料は少しずつ減っていった。 れいむにはひとつだけ迷いがあった。それは自分を犠牲にしてこの子を助けようかど うかということ。自ら招いた過ちである以上、そうすることもれいむは真剣に考えた。 だが、出た結論は、そうしたくないし、そうするべきではないと言うものだった。 母の肉体を食い荒らして育った娘が、幸せになれるだろうか……。 恋人の肉体を食い荒らして巣穴から出てきた娘を、母まりさが許してくれるだろうか ……。 そう考えれば、答えはとても簡単であるような気がした。 三月、冬の終わりを告げる最後の地吹雪が巣穴をとどろかしているころ。 食べるものが何一つなくなった、空虚な巣穴の中で、頬がこけ、げっそりと衰弱した れいむ親子が、夢うつつの境をさまよっていた。 「ゆぅ……ゆぅ……」 「ゅぅ……ゅぅ……」 寄り添った二人は、もはや苦鳴すら漏らしていなかった。おなかがちゅいた、と子ま りさが文句を言っていたのも、すでに一週間も前のことだった。 今では細い息を漏らしながら、迫り来る死を待っているだけだった。 「ゆぅ……ゆぅ……ゆっ・ぐ」 薄れる意識を漠然とたもっていたれいむは、ある一瞬、確かに自分の生が途切れたの を感じた。人間にたとえれば、弱りきった心臓が短い間、停止したというところだろう か。ともかく、死はすぐそこまで迫っているとわかった。 ――れいむ、しぬんだ……。 ――がんばったけど、ここで死んじゃうんだ……。 ――おかあさん、ごめん。まりさ、ごめん。子まりさ、ほんとにごめん……。 いつ死んでもおかしくない、と思った瞬間、れいむは細い決意を抱いた。あれほど考 え抜いて決めたことなのに、土壇場で再び母性本能がうずきだしていた。 「まりさ……まりさ」 「ゅぅ……ゅ?」 「今から、ごはんをあげるからね……いっぱいたべて、ゆっくりしてね……」 そう言って、子まりさから離れ、壁際の石へよろよろと這いずっていった。石の角で 自らを切り裂き、餡子を与えるつもりだった。 だが、その作業を始めて痛みに顔をしかめていると、ちっちゃな子まりさがゆむゆむ と必死にはいずってきて、細い声で取りすがった。 「おかーた、おかーたん、いたいいたいしちゃ、だめ!」 「いいのよ、まりさ……」 「だめなの、まりさはおかーたんがちゅきなの! おかーたんいっしょにいて!」 餡子の味を知らないから、そんなことを言うのだろう。いったん餡子を食わせてやれ ば、我を忘れてむさぼるだろう。 そうとわかってはいても、れいむは愛しいわが子を、泣かせたくなかった。 れいむは石から離れた。そしてまりさにゆっくりと寄り添って、歌い始めた。 「ゆぅ・ゆ・ゆー ゆぅ・ゆ・ゆー ゆーゆゆぅゆ ゆーゆぅ……」 眠れ眠れ母の胸に。 歌の歌詞そのまま、眠るように子まりさは静かになった。 ほどなくその静かな歌も途切れ、あとには吹雪のとどろきが残った。 汗ばむほどの陽気に包まれ、根雪が盛大に溶け流れている。 四月。魔法の森には急激な春が訪れ、すべての生き物たちがいっせいに目覚めていた。 「ゆっ、ゆゆっ、ゆっくゆっく!」 雪解けの地面を、全身泥まみれになりながら駆けていくゆっくりがいる。 黒い帽子のゆっくりまりさだ。もう五日も前から巣穴を防ぐ石版をぐいぐいと押し続 け、今日やっと、上に乗っている雪が溶けたために出てこられたのだった。 「ゆっくり、ゆっくりーっ!」 それは訪れた春を歌い上げる歓喜の声であるとともに、愛する人に聞かせる呼びかけ の声だ。皮よ破れよ帽子よ落ちよとばかりに、出せる限りの速度でまりさは跳ね飛んで いく。 イバラの茂みは、秋に記憶したとおりの場所にあった。そこは雪がまだ溶けていなかっ たが、そんなことは問題ではなかった。まりさの頭の中は、四ヶ月前に激しく愛し合っ た、美しく愛らしいゆっくりれいむのことだけが占めていた。 ――れいむ、れいむ! いま掘り出してあげるぜ! 冷たい雪を口にくわえて横手へ吐き出しながら、まりさは冬ごもりの間に数え切れな いほど繰り返した至福の想像を、再び頭の中で組み立てる。 雪をどけて扉を崩せば、待っていたれいむが涙ながらに飛び出してくるはずだ。 いや、慎み深いれいむのことだから、久しぶりの出会いにためらって、もじもじして いるかもしれない。 まさか眠っているってことはないはずだ! どれにしろ、まりさの言うべきことはひとつだけのはずだった。 ゆっくりしていってね! これからずぅっとずうっと、死ぬまで一緒にゆっくりしようね……! ゴソッ、と雪が抜けた。巣穴を閉ざす石と枝が現れた。 「れいむ! まりさだよ、ゆっくりしないで来てあげたよ!」 石と枝をくわえることすらもどかしく、もぞもぞと顔を突っ込んでまりさは入り口を 掘り抜いた。ずぼっと穴が貫通し、湿った巣穴の匂い、懐かしいれいむの甘い香りが、 ふわりと漂いだしてきた。 「れいむ!」 まりさは三日、遅かった。 ========================================================================= YT このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5171.html
俺が家で昼寝をしていると、ペットのれいむにたたき起こされた。 「おにーさん!れいむにめがねをかってね!!」 俺の目の前にはゆっくりれいむのケツが乗っかっていた。 うんうんの跡と思われる餡子カスがばっちかった。 ゆっくりこんたくと 「で、俺の顔面にケツ乗せてたたき起こして第一声がそれとはどういうことか納得の逝く説明を頂けません事か?」 「い、いだいよおにいさん・・・あやまるからゆっくりゆるしてね〜」 れいむの頭を掴み、少しゆがませて軽いお仕置きをする。 れいむも誤っているし許してやろうか。 俺が手を離すと凹んでいた炭酸飲料の缶が「ぽこん!」と元に戻るような感じで、凹んでいたれいむがきれいな丸に戻る。 「まりさがね!めがねだったの!とてもゆっくりしてたの!!」 まりさ、というのはおそらく近所の飼いまりさだろう。 近所を通るたびに先日やっていたアニメの感想を聞かせたがる元気な子だ。 1時間近く前・・・ 「ゆゆっ!?まりさどうしたの!?」 「ゆへへん!これはまりさのめがねなんだぜ!」 「とてもすてきよ!とかいてきだわ!」 「そうほめられるとてれるんだぜ」 「ゆ〜ん・・・まりさ、かっこよくゆっくりしてるね!れいむもいっしょにゆっくりしたいよ!」 「じゃあれいむもめがねをつくってもらうといいんだぜ、まりさはおにいさんにめがねをつくってもらったんだぜ」 今・・・ 「つまり、めがねを作ってくれと?」 「ゆん!」 自信満々に答えるれいむ。 つまり、感化されたのだ。 子供がよくやる「みんなが持ってるから僕にも買って」である。 ゆっくりが人間に飼われるようになり、当然ゲームをしたりテレビを見たりするゆっくりというのも増えた。 そこで飼いゆっくり界に起きた問題が目の悪くなるゆっくりの出現である。 そう、今まで誰も考えなかったであろうことだが、ゆっくりも近視になるのだ。 だがここで、ゆっくりが人間に似ているということがひとつのポイントとなった。ゆっくりもメガネをかけることが出来たのである。 今ではゆっくりのための視力検査を行う眼科も増え、飼いゆっくり雑誌ではゆっくりに似合うメガネ、ゆっくりとおそろいのメガネの特集が組まれるようになり、 メガネはゆっくりファッションのひとつとなった。 そんな中で、親友がメガネをかけ始めたのだ。好奇心旺盛なれいむとしては見過ごせない。 「おにいさん!れいむにめがねをつくってね!」 「れいむ、この絵のゆっくり、なんだかわかるか?」 「まりさだよ!」 「じゃあだめだ」 「ゆがぁ〜ん!!」 一度びっくりした後、れいむはなきながらあたりを転がりだす。 「なんでなんでおにいさん!ゆっくりしてよ!ゆっくりめがねだよ!?」 こいつ、駄々をこねながら逃げればゆっくり世界陸上優勝するんじゃないだろうか 「馬鹿抜かせ!てめーの視力は全く持って正常なんだよ!」 「ゆ?しりょく?」 泣き止む。ゆっくりは泣くのも早ければ泣き止むのも早い。 「そうだ、メガネってのはな?目が悪くなってからつける物なんだ。」 「めがわるい?わるいってことはゆっくりできないの?」 「まあ、ゆっくり出来ているとは言いがたいな・・・」 れいむは「ゆぐぅ・・・」とうつむき、しばらく何かを考えているようだった 「それじゃあしかたないよ・・・ゆっくりできらいのはれいむきらいだよ・・・」 れいむはそう言って、とぼとぼと歩きながら寝床へと戻って行った。 翌日 「まりさ!」 「ゆ?どうしたんだぜ?れいむ?」 「まりさはゆっくりできなくなっちゃったからめがねをかけているんだね!」 「ゆ?」 「だいじょうぶだよまりさ!まりさがゆっくりできなくてもれいむはまり「まつんだぜ、れいむ」ゆ?」 「たしかにまりさはめがわるくなってすこしゆっくりできなくなったんだぜ、でもおにいさんにめがねをつくってもらってからちゃんとゆっくりできるようになったんだぜ」 「よかったわね!まりさ!」 「おにいさんはほんとうにゆっくりしているんだぜ」 「まりさ!」 「なんだぜ?」 「どうしてまりさはおめめがゆっくりできなくなったの?」 二週間後 今日はれいむの健康診断の日だ。 本来なら定期の健康診断は二ヵ月後なのだが、最近れいむがよく転んだり、物忘れが激しくなったりしている気がして急遽、予定を入れたのだ。 「○○さーん」 「あ、はい!」 呼ばれたので返事をすると看護士さんがれいむを抱っこしてやってきた 「おにいさん!ただいまだよ!」 「おぉ、ちゃんとけんさされてきたか?」 「ゆっくりけんさされたよ!」 元気そうである。なりより。 「で、どうでした?」 看護士さんに聞く。 「そうですね、体も消化機能も、知能も問題は見つかりませんでした。」 「それはよかった」 「ただ・・・」 「ただ?」 「視力がかなり悪いです。最近よく転ぶというのは急激な視力の悪化に対応しきれず、正確に認識できていないからでしょう。 記憶能力は問題が見られなかったので物忘れが多いというのも知り合いの顔を認識できないからそのように思えたのではないかと思います」 れいむの目が悪い?あいつそんなにテレビとか見るほうだっけ? 「このままだと屋外での生活に問題が出るかもしれません、眼鏡か手術を検討されたほうがよいかと・・・」 看護士さんに礼を言い、受付で清算する。 帰りの道中れいむの「けっかゆっくりしてた?」という問いに適当に返事をしながら考える。 俺は目はいいほうだから、メガネ何てしたことはない、俺と同じ生活をしているれいむもこんな急に目が悪くなるなんて考えられない。 看護士さんはメガネか手術と言っていたが、派手に転んでメガネのフレームが眼球に突き刺さり、そこから餡子を流して死に掛けたという事故もある。ゆっくりにしてはアウトドア派なれいむには少し危険だ。 かといって手術なんてもっと無理だ。ゆっくり用のレーザー治療は片目でも20万は下らない。俺にそんな金はない。 「どーしたのおにいさん?」 妙にうきうきしているれいむを見ながら俺は困った。 翌日 「まりさ!」 「どうしたんだぜれいむ?きょうのれいむはいつもいじょうにゆっくりしてるんだぜ」 「みんなきいてね!れいむはあしためがねをつくりにいくんだよ!」 「ほんとうなの?それはとかいはなことね?」 「それはほんとうなのぜ?れいむはめがねがなくてもゆっくりできるとおもうんだぜ」 「おにいさんがおめめのえーりんにいくっていってたからめがねにちがいないよ!まりさのおかげだよ!ほんとうにまりさはゆっくりしたゆっくりだよ!」 「どういうことなんだぜ?」 「まりさのいったとうり、いつもよるおそくまでおきてごほんをよんでたんだよ!」 さらに翌日 れいむはなんどか病院に来たことがある。でも今日は始めての病院だ。 れいむは椅子に座らされ、白衣をきた女性と話している。 「じゃあれいむちゃん、あそこにいるのはだれだかわかるかな?」 れいむの正面、数メートル離れたところにイラストが表示される。あれはゆっくりれいむだ 「おねえさん?すこしいろがかかれただけのおえほんなんてみせないでね!」 「ごめんねー、じゃあこれはだれだかわかるかなー?」 れいむの絵が消え、次はれみりゃの絵が出てくる 「おねえさん!あんなぼんやりしたものをみせられてもわからないよ!?」 「じゃあこれは?」 次にさっきのれいむよりおおきいまりさの絵が表示される 「おねえさん!さっきよりすこしくろくなっただけだよ!かりんとうさんのえをみせられてもこまるよ!いくらおんこうなれいむでもおこるよ!ぷんぷん!!」 「ごめんごめん!今度はちゃんとした絵を出すからね!」 まりさの絵が消え、かなり大きなれみりゃのえがでてくる 「れみりゃだぁあああああああ!!!?!?!??」 れみりゃの絵が消える 「お、おねえさん!れみりゃのえなんかださないでね!?ゆっくりできなくなるとこだったよ!?」 「ごめんね、れいむちゃん、じゃあ今度はこれをつけてもう一度絵を見てくれるかな?」 そういって女性が出したもの。それはれいむが夢にまでみた「めがね」だった。 30分後 れいむが紙を持ってやってきた。 俺にはよくわからんが、これをもって眼鏡屋さんに行けば眼鏡を作ってもらえるらしい。 しかし・・・れいむに眼鏡とは・・・ あのまりさは眼鏡が結構似合っていたが、うちのれいむには似合うようには見えないなぁ・・・ 底まで考えたところで、俺の頭にある考えが浮かんだ。 なにも目が悪い奴がつけるのは眼鏡だけではないのだ。 店に行き、眼科でもらった紙を店員に渡す。 店員が持ってきたものを受け取り、代金を渡しれいむの元へ行く。 「おにーさん!めがね!めがねはゆっくりしてる!?」 れいむが俺の元に駆け寄ってくる。心なしかうれしそうだ。 そりゃそうだ、今まで見えていたものが見えなくなってしまう。それがまた見えるようになるというのだから、その喜びは強いのだろう。 ちょっとした出費にはなったが、れいむの笑顔が見られるならそれも悪くないだろう。 「おにーさん!眼鏡を見せてね!!ゆっくり見せてね!!」 「まて、れいむ。俺は君のために眼鏡よりいい物を持ってきた・・・」 「いいもの?」 「そう、その名もコンタクトレンズだっ!!」 そう、コンタクトレンズ。 これなら似合う、似合わないなんて問題じゃないし、レンズが割れるとかフレームが刺さるとか言う心配もない。 「おにーさん・・・?」 なんだ?俺の心遣いに感動したか? 「どうだ?」 「これめがねじゃないよ!?れいむはめがねがほしいっていったんだよ!?」 「まあ、まてれいむ」 「おにいさんはれいむのちゅうもんをまちがえたりしないひとでしょう!?」 「おちつけっ!!」 「ゆゆっ!?」 どうやられいむは眼鏡を相当楽しみにしていたらしい。だが、コンタクトだって眼鏡と似たようなものであるのだ。 「まあまて、れいむ。これはな、コンタクトレンズといって眼鏡のように目がよくなるものなんだ」 「ゆゆっ!?そうなの?」 「ああ、これでお前は前のように目がよく見えるようになるぞ」 そういって箱からレンズを取り出す。 「・・・なにこれ?」 「これがレンズだ」 「こんなのかっこよくな゛「早速つけてやろう」」 早速つけてやろう、れいむがなにか言いたそうにしていたようなきもするが、まずは漬けて見ることにする。 「よし」 れいむの頭を両足の太ももで押さえつけ、動けないようにする。 「まずは右目からな」 左手の指にレンズをつけ、右手でれいむの右目を開けさせる。 「いたいよおにいさん!なにするの!?」 「コンタクトをつけるんだよ」 あっさりと答える飼い主に対し、れいむは必死だ。 目を無理やり開けられるなんて今までなかったことだし、さらには指を目に突き刺さんと向かってくるのだ。 「いやだぁあああああ!?おびいざんごわあああぁああいいいいい!?!?」 今までにないほどの絶叫を上げ拒絶するれいむ。 何とかして飼い主の指から逃れようと、身をよじらせ、涙を流し、少しでも目に近づけさせまいと眼球をあちらこちらに動かす。 「おい、アヘ顔さらしながら涙流しても面白くないぞ」 「だってぇええ!」 「いいから、俺を信用しろよ。な?」 「ゆ・・・ゆぐっ・・・えぐっ・・・」 声にならないながらも肯定するれいむ。どうも飼い主への信頼が恐怖を上回ったようだ。 「よし、いいかれいむ俺の指を見るんだ、他のものを見るなよ?」 「ゆ・・・ゆっ・・・」 「よし!」 「ゆ!?」 れいむがしっかり目を動かさなかったこともあり、右目にコンタクトが入る。 「ゆ・・・うぅ・・・」 「どうだ?何回か目をぱちぱちして見ろ」 「ぱ、ぱ〜ち、ぱ〜ち、いわかん〜」 「なに、左目も入れればいいさ」 翌日 「まりさ!」 「れいむ?どうしたのぜ?めがねはかけてないのぜ?」 「ゆふふん!れいむはこんたくとれんずをしたんだよ!」 「こんたくとれんず?なんだかわからないよー!」 「きいたことがあるわ、おめめにいれるめがねのことよ!」 「おめめにいれたらゆっくりできないよ!?」 「だいじょうぶだよ!れいむはゆっくりしたゆっくりだからね!」 「だいじょうぶなの!?わからないよー!」 「まだちょっといわかんはあるけど、よくみえるよ!」 「ほんとうにおめめにめがねがはいっているの?」 「れいむのめをみるんだぜ!」 「ほんとうだよ!れいむのおめめになにかはいってる!」 「ゆっふっふ、そんなにみつめられるとてれるよ!」 「まって!ちぇん!おさないで!」 ゆー!!! いきなり来客が来たと思うとそれはメガネをかけたまりさだった。 あわててて何があったのか要領を得ないが、どうもれいむが危ないらしい。 と、言うわけでいそいでいつもれいむが遊んでいる広場に駆けつける。 「れいむっ!?何があった!?」 「れいむのおにいさんだわ!れいむのおめめがねが・・・!」 見るとれいむが両目から黒いあんこを流しながら痙攣している 「いまおいしゃさんのところにはこぶところだよ!」 「ダメだ!動かすな!!れいむ!俺がわかるか!?」 「ゆっ・・・っぴ・・・お・・・にいざ・・・ぽぺっ!?!?」 頭を動かしこちらを見ようとした瞬間、電気が流れたかのような痙攣をした後、またぴくぴく痙攣するだけになる。 「待ってろれいむ!いま病院に連れて行ってやるからな!!」 20分後 れいむは再起不能だった。 詳しいことはわからないが、コンタクトを見ようと周りのゆっくりに押されて転んでしまったらしい。 その際、コンタクトが目の裏側に入りそうになってしまい、激痛と恐怖で怯え、暴れたれいむが木にぶつかってしまったらしい。 そしてその衝撃でレンズは目の裏側の皮を突き破り、れいむの中枢あんこへ進入。激痛にのた打ち回ったり、心配した仲間がゆすってやったりした結果レンズが割れ、人間で言えば植物状態に近い状態になってしまった・・・ レンズの破片自体は手術で取り除けたが、れいむはもうしゃべらず、動かない。 反応を返せないだけで自我は残っている可能性があるといわれ、安楽死をさせず引き取ったが・・・これでいいのだろうか? 俺の目の前には目のところにぽっかり黒い穴が開いた、アヘ顔をさらすれいむが時たまぴくぴく動くだけだ。 「なあ、れいむ・・・」 れいむの反応は、ない。 わざと目を悪くした結果がこれだよ!! 12月7日
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4907.html
※前作 ゆっくりが実る木 の続きです ※前作を読まなかった人でもわかるよう前回のあらすじっぽいのが置いてあります ※お兄さんが悪夢にうなされます ※変態ネタがあります。 ※何度も似たような夢を見ます ※パロディがあります 「ゆっくりから生えるゆっくりが実る木 夢編」 男は長い夢を見ていた。 それはゆっくりが実る木の種をもらい。 軽い気持ちで育てたら成長が異常なほどに早く、実としてゆっくりがはえてきた。 そしてたくさんゆっくりが集まったところで友達に売り飛ばす自分の姿も確認できた。 しかし木の実を見ているとゆゆこやらんなどの希少種も生えてきたが きめぇ丸が生まれると同時に木が朽ちるというものだった。 その夢を見てから同じような夢しか見なくなった。 「ハッ・・・また同じ夢を見るようになっちまった。」 『また』だ。 あの日以来。(あの日は夢オチだったけど) ゆっくり関連の夢しか見てない。 「あの木以外の夢なんて見れるか? ゆっくり関連の夢しか見てないんだ。 いけると思う。」 やってみる価値は十分ある。 とりあえず目をつぶりあの木以外のことを思いながら眠りにつく。 あたりの景色が真っ白だ。 うまくいったか? そう思いあたりを見渡すと 何か変な物体を見つけた。 すると俺を見るなりその物体は 「くろまくー」 としゃべり俺に乗りかかった! (がばっ) 「あぎゃあああああああああああああああっ!! はー・・・はー」 やっぱりゆっくり関係だったがあの木以外の夢はどうやらBAD ENDな方向にで進んでいたようだ。 「あやうくれてぃに殺されるところだった・・・」 もう1時、早く寝ないと明日に響きそうなので眠ることにする。 寝てみるとまたあたり景色が真っ白になった。 またかよ。と思いあたりを見渡す。 俺はさぁ、れてぃでも何でもこい!そう思ったお兄さんが見たのは肌色のぷにぷにしたもの 上を見てみると 「こーぼーねー」と叫ぶ巨大ゆゆこがいた。 そしてゆゆこは口を大きく開け、吸い込みを始める! (がばっ) 「ふぎゃあああああああああああああああああ!!ま、またかよ!」 なんだかんだ言ってあの夢以外は最終的に俺が死ぬということはよくわかった。 「てか、ゆゆこに殺されるなら本望だけどね!」 と変態じみたような言葉を発するとまた眠りについた。 また景色が真っ白に(ry で目の前にいたのは発情したでかいありす。 「にんげんさんにもありすたちのあいをあげるわあ・・・」 とあごの下から出てきたのは・・・そう、ぺにぺにだ。 「しこってもいいのよぉぉぉ・・・」 といいぺにぺにをを少しずつ俺に近づけ・・・ 「すっきりしましょぉぉぉぉぉぉぉ・・・」 「アッー」 (がばっ) 「ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!! 何だよこれ!次は変態ネタかよ!」 変態はこいつなのだがついにレイパーの夢まで見るようになってしまった。 まずゆっくりできない夢から開放されるために 何も考えずに寝てみよう!そう考えた俺は 「なぜこんな単純なことに気づかなかったんだ?」と思い眠りについた。 また景色が(ry 「・・・え?」 何でこうなるのおおおおおおおおと思う俺の目の前に現れたのは 超巨大なドス そしてドスは口からエネルギーをため、俺にドススパークを発射した! それをもろに受けた俺は跡形も無く消滅した。 「ふぅぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!! って・・・なにこれ・・・」 時計を見ると2時をさしていた。 「こ・・・これで一時間か!?」 おちつけ、これも夢かもしれない。 なら寝る以外、手段は無い 顔をひっぱたいて夢じゃないと判断すれば眠りにくくなる。 だから寝るしかない。明日に備え。 しかし、夢は容赦なく男を襲った。 あるときは巨大ちるのが現れ くしゃみをして俺を凍らし。 またあるときは巨大らんが現れ 米鉄砲を俺に向けて撃つということも またあるときは巨大れみりゃが現れ 俺の血を吸ってゆき。 またあるときは巨大ふらんが現れ 俺をひたすら殴りまくり。 またあるときは巨大なうどんげが現れ 俺をあざ笑う。 またあるときは巨大おりんが現れ その僕であるゆっくりゾンビが俺に襲い掛かる。 ぶっ倒れる俺。 そしてそこに浮かぶ文字が 「You Are ○○○○」 (がばっ) 「ってバイ○かよ! というより何突っ込んでんだ?俺 あ、そうだ。時計時計・・・」 拾い上げ時計を見ると7時をさしていた。 「ええええええ!?」 「あ、そうか今日日曜だったな・・・」 ほっと一息つきまた眠りにつこうとする。 すると枕に何か違和感を感じた。 「なにかぽこんとしてるな・・・」 と思い枕を持ち上げてみると・・・! 続く! あとがき ゆっくりが実る木の続きでした。 悪夢にうなされるお兄さん これってありじゃね!?
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3997.html
現代設定です スタンプゆっくり by 十京院 典明(旧名 ”ゆ虐の友”従業員) ガラス箱からゆ木が突き出ていて、その先端は別のガラス箱へと伸びている。 一方の箱には、もはや涙も枯れた妊娠まりさ。もう一方の箱には、今まさに新しい生命が生まれ落ちようとしていた。 「ゆゆっ!まりさのおちびちゃん……」 まだ意識のない、しかし生まれる寸前の子まりさがゆ木からぷつんと切り離され、ガラス箱に落ちる。 ゆ木を介して伝わる胎ゆっくりの気配が消え、まりさは子供が生まれたことを知る。 「かわいいおちびちゃん、ゆっくりしていってね!」 まりさは大きな声を上げた。今まで何度も繰り返してきた、届かないわが子への祈りを。 * * * * 最初に感じたのは、振動と音。どこかへ運ばれているらしかった。 ”ゆっきゅちうごいてるよ!きっとみゃみゃにはこんでもらってるんだにぇ!” 「ゆっきゅちちていってね!」 子まりさは産声を上げた。蛍光灯の明かりも、曇りガラスからおぼろげに見える視界も、 ガーとかジジジーとかいう不思議な音も、全てが初体験の刺激である。 だが、待ち望んでいる親ゆっくりの声が聞こえなかったので、子まりさはもう一度挨拶をした。 「ゆっきゅちちていってね!」 やはり答えはない。身じろぎをしようとしたとき、まりさは底部がきっちりと固定されているのを知った。 これでは跳ねて親を探しにいけない。もっとも探しに行こうにも四方は壁で囲まれているのだが。 「ゆえーん!ゆえーん!みゃみゃどこにいるのーー!?」 やがて箱がガタンと小さく揺れ、振動と音が停まる。ベルトコンベアの終端まで来たのだった。 「ゆすん…ゆすん…どーじでみゃみゃきてくれにゃいの…?ゆっきゅちちたみゃみゃのまりしゃだよ…?」 やがてまりさは浮揚感を覚える。 「おしょらをとんでるみたい…!きっとこれで、みゃみゃにあえるにぇ…!」 ガラス箱は人の手で運ばれ、倉庫へと移されて積み重ねられる。 「くらいよー!こわいよー!」 「ゆっきゅりできないよー!」 倉庫の中は、か細い子ゆっくりの鳴き声で満たされている。 「みゃみゃー!みゃみゃー!」 「おかーしゃーん!おかーしゃーん!」 しばらく経ち、倉庫内のスピーカーが気だるげに音を吐き出し始めた。 「ジジ…ブツン。おちびちゃん、ゆっくりしていってね」 抑揚の無い、どの種のものともわからない不思議な声。 「みゃみゃ!?ゆっくりちていってにぇ!」 「おかーしゃん!?ゆっきゅちちていってね!」 箱の中のゆっくり達はそれを我が親のものと思い雀躍する。 「ジジ…ジ…いまはいってあげられないけど、がまんしていいこでいてね」 「ゆん…ゆん…!」 「ゆっきゅちりかいちたよ!ゆっきゅりしゅるよ!」 機械音声は数時間に一度流れるようになっている。それは、箱の中の子ゆっくり達の唯一の心の支えだった。 「みゃみゃ!おにゃかすいたよ!」 「ジジ……ゆっくりしていってね」 「どーじでごはんもってきてくれにゃいのぉぉぉぉ!!!」 「ゆっくりしていってね」 * * * * 三ヶ月が経った。すでに子まりさの心の中には、ゆっくりと時間をかけて染みこまされた諦念しか残っていない。 喋ることも、それ以前に何かを思うこともほとんどなく、時間の感覚もなく、固定されたあんよは何にも触れたことがない。 数時間おきの機械音声の「ゆっくりしていってね」だけが反射を呼び覚まし、辛うじて生命を維持しているにすぎない。 ”ゆ っ き ゅ ち ち て い っ て に ぇ” 身体能力は縮小し、思考は鈍磨し、ただまりさは生きていた。生きるために、生きる―― 時たま、光が差すことがある。ドアが開かれ、あわただしく足音がして頭上のガラス箱が物音を立てる。 それはガラス箱の中身が上から順番に消費されているということなのだ。 そんなことを何度か繰り返して、まりさの”順番”がやってきた。 バタン。カッカッカッ、 ”ゆ ゆ ゆ ?” ドアの開く音、あわただしい足音――そこから先がいつもと違う。 自分の箱の前面の曇りガラスに黒い影が映り、曇りガラスが取り払われる。 ”ゆ っ く ち き れ い だ に ぇ” それはまりさが生まれて初めて見る、曇りガラスにぼやけていない世界だった。 ”し ゅ っ ご く ゆ っ き ゅ ち ち て る よ” * * * * そこから先は、ジェットコースターのような刺激の連続。 にんげんさんの分厚い手がほっぺたを掴み、すさまじいスピードでどこかへと連れて行かれる。 四角い箱をかぶせられ、視界が真っ暗になるのも初めて。倉庫の中は、いつも薄ぼんやりと明かりが点いていたから。 あんよにも箱をあてがわれる。 ”み ゃ み ゃ に あ い た い よ に ん げ ん さ ん ゆ っ き ゅ り つ れ て っ て に ぇ” 暗闇の中でまりさは、面影しか残っていない親との再会を夢想する。 エンジン音。恐ろしいほどの加速度と振動。 三十分ほどの時間を経て、ようやくそれは止まった。 まりさは先ほどと同じように手で掴まれて移動する。 ”お し ょ ら を と ん で る み た い …” 人間が会話をしている。 「空き巣に入られたと通報があったのはこちらですか?」 「はい…そうです…」 「それでは、お邪魔します」 また、物音。数人の人間が移動する気配の後で、片隅に置き去られていたまりさが持ち上げられる。 「それでは、指紋を取りますね」 ぺたん。 ”ゆ ゆ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ! !” まりさはあんよに激しい刺激を感じた。そのままべったりと押し付けられ、それは、 生まれて一度も跳ねたことのないまりさにはもはや激痛だった。 ”い ち ゃ い よ ゆ っ き ゅ り や め て に ぇ” 箱暮らしのまりさに痛みを逃れるための運動能力は育まれていなかった。助けを求める咽喉はすでに枯れ、 涙も出なかった。 ”い ち ゃ い よ ぉ ぉ ぉ ぉ !” 従来の粉末を利用する指紋採取方式にとって替わった、 生まれて一度も跳ねたことのない子ゆっくりを使用したスタンプゆっくり―― もしこのまりさスタンプに上蓋が無かったとしたら、この現場で同じようにスタンプとして使用される 何匹もの同類たちの姿を見られただろう。 * * * * そしてまた、箱の中にいる。 ”お も ち ろ か っ た に ぇ” ”に ん げ ん さ ん ま た お そ と に つ れ て っ て に ぇ” ゆっくりとまりさは思考する。 蛍光灯の明かりと、視界を遮る曇りガラスだけの世界。その世界でまりさは幸せだった。 ”は や く み ゃ み ゃ に あ い た い に ぇ” まりさは知らない。二度とお外に出ることも、親まりさと再会することもないということを。 そして、採取した指紋をデータバンクに登録したあとで、 リサイクル工場行きという末路がすべてのスタンプゆっくりを待ち受けていることも。 END
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/598.html
※お兄さんが一番餡子脳 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅちちていっちぇね!」 狭いケースの中に響き渡るスピーカーから流れ出した音声 それに律儀に返事をするのはケースに閉じ込められた赤いリボンの1匹の赤ゆっくり 彼女の名前はゆっくりれいむ。正確には彼女の種族はゆっくりれいむか ゆっくりと呼ばれる下膨れ生首型餡子生命体の中では極めてオーソドックスな存在である 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅちちていっちぇね!」 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅちちていっちぇね!」 スピーカーからその音声が聞こえてくるのは常に3回 れいむは本能の命ずるままに毎回ちゃんと笑顔で返事をする 直後、床の一角が開き、そこから少量のゆっくりフードと水がせり出してきた 「むーちゃむーちゃ・・・ふしあわちぇー」 しかし、ゆっくりフードは無味乾燥な上に水も少々苦い 何とか生命を維持できる最低限度のものでしかないこんな食事で満足できるはずも無かった 「ゆぅ・・・ゆっきゅちちたいよぉ・・・」 ご飯を食べ終えたれいむは俯き、涙をこぼした その後もいつもと同じ全然ゆっくりできない一日を過ごした お店が開いたら上っ面だけの笑顔を浮かべて、やってきたお客さんに精一杯愛想を振りまく 全然美味しくない昼食と夕食を食べて、閉店後は1匹の子ゆっくりが人間さんとゆっくりしている映画を視聴する 「ゆぅ・・・れいみゅもゆっきゅちちちゃいよぉ・・・」 子れいむが飼い主の男性と外でボール遊びしている姿を見ていると、思わずそう呟いてしまった ブラウン管の中で笑顔を浮かべる子れいむは心の底からゆっくりしているように見えた ある日、れいむは必死に愛想を振りまいた甲斐あって、ある男性に飼われる事になった 彼はれいむを見て優しそうに微笑んでくれた 「やっちゃあ!こりぇでゆっきゅちできりゅよ!」 れいむは幸福に満ちた暮らしに思いをはせて、喜びのあまりに思わず飛び跳ねて天井に頭をぶつけた 「やめちぇ!やめちぇね!いちゃいよおおおお!?」 ある日、れいむは飼い主から厳しい折檻を受けていた 理由は飼い主のお茶碗に体当たりをして、その拍子にお茶碗が割れてしまったから 当然、ゆっくりと割れ物をテーブルの上に置いた飼い主にも非はある しかし、ゆっくりを教育する上でそのような理由で譲歩する必要は無い 「れいむ、お前はどうして怒られているんだ?」 そう言って飼い主の男性はれいむの底部、もとい“あんよ”をプラスチック定規で打ち据える れいむはその痛みから逃れようとするが、輪ゴムで別の定規にうつ伏せに固定されているのでそれも叶わない 「わかりゃにゃいよおおおお!れいみゅ、にゃにもちてにゃいよ!」 「いいやしたよ。お前は俺のお茶碗を割った」 そう言って飼い主は泣きじゃくるれいむに一部の欠けてしまったお茶碗を見せた そして、「お店でもそう教えられたはずだろ?」と眉間にしわを寄せて再びあんよを叩く 「ちらにゃい!れーみゅ、ちらにゃいいいい!?」 が、れいむは自分の非を一切認めようとはしない 念のため言っておくと、これは別にれいむがゲスだと言うわけではない 割れたのがれいむの目の前ではなく、テーブルの下だったことがまず理由として考えられる つまり、れいむが落とした、落としたから割れた。ゆえにれいむが割ったという論法がれいむの中で成立しないのだ 「やめちぇね!ごめんなちゃいしゅるかりゃ、もうゆっきゅちさせちぇね!?」 だきゃらやめちぇね!というれいむの要求が飼い主を更に怒らせてしまった 動物のしつけは大抵「~すると叩かれる」という単純なパターンを理解させること 今後、れいむは恐らくお茶碗に近づかないようにするだろうからしつけとしては十分である 「ゆっくりしたいから謝るんじゃ駄目だろ。悪い事をしたからお仕置きされているんだよ?」 しかし不運にもゆっくりは人語を喋り、人語を解してしまう そのせいか、こういった訴えが反省していない証拠と捉えられいっそう厳しいお仕置きを受ける事が多々ある 人間の価値観を押し付けてしまうために、ゆっくりの思考能力や判断の基準を無視してしまうのだ 「ちゃんとペットショップでもそう教えられているはずだよ?」 「ちらにゃいよ!れーみゅ、おはなしゃんわっちぇにゃいよ!?」 「訳の分からない事を言わない!」 飼い主はいっそう力強くれいむのあんよを叩いた が、れいむの言っている事はれいむにとってはそれなりに意味のあることである “おはなさん”とはペットショップで見た子れいむが割ってしまったお茶碗の柄の事なのだ ゆっくりはお茶碗に何の価値も見出せないが、お花はとってゆっくり出来るもの だから、店で子れいむが叱られている映像を見たとき、「おはなさんをこわしたのがわるい」と認識したのだろう 「ご、ごめんなぢゃいいいい!れーみゅがわりゅかっちゃよ!だきゃら、ゆっぐ・・・ぼう、やめぢぇえ・・・」 「仕方ないな。もう許してやるから、今度はお茶碗を割るんじゃないぞ?」 「ゆっぐ・・・ゆひぃ・・・ゆっぐぢぃ・・・」 その後もれいむはガラスのコップなど、手を変え、品を変えて、色んな物を割ってはその度に折檻を受けた 酷いときには、あんよが真っ赤にはれてしばらく跳ねる事が出来ないことえあった 「もうやじゃぁ・・・れーみゅ、てーぶりゅしゃんきりゃいだよ!」 れいむにとっては理不尽極まりない折檻は、れいむがテーブル嫌いになるその日まで頻繁に繰り返された もっとも、テーブル嫌いになったその日もそれが原因で折檻を受ける事になったのだが・・・ 「やめちぇね!いちゃい!いちゃいよ!?」 ある日、またしても折檻を受けた 理由は彼に「お友達が欲しい」とわがままを言ったから 男性はいつものように定規でれいむのあんよを叩きながら呟く 「わがままは駄目って教えられなかったのか?」 もちろん、れいむだってそんな事は知っていたし、だからお菓子をよこせなどと言った事はない なら、どうしてれいむが友達が欲しいなどと口にしたのか 理由はこれまたペットショップでしつけ用に何度も見せられていた映像にあった 「だっぢぇ、おとみょだちはゆっきゅちできりゅっちぇ・・・」 「言い訳しない!」 その理由を言おうとした瞬間、思いっきりあんよを叩かれる しつけ用の映像の子れいむは途中から子まりさと一緒に飼われ、いつも2匹で遊んでいた だから、映像で見た怒られることをしてはいけないのが当然であるのと同様に、お友達は無条件に与えられるはずだと思っていたのだ 「だっぢぇ、れいみゅ・・・ゆひっ・・・!」 「わがまま言うな。俺には2匹目を飼う余裕はない」 なのに、男性はもう一匹のゆっくりを飼う事はおろか、公園などのれいむを連れて行くことさえしなかった 公園に行くにしても彼にはそのような時間的余裕も、ペットに手間をかけるつもりも無かった そういったゆっくりを安価で一時的に預かってくれる施設もあるのだが、彼はそういった施設の存在を知らない 「ゆえーん、どうぢぢぇ・・・れーみゅ、いいきょに、ゆっぐ・・・」 「良い子はそんなわがまま言わないよ」 「ゆあ゛っ!・・・ゆぴぃ!」 あるいは近所のゆっくりを飼っている人に預かってもらうと言う手もあるのだが、彼にはそんなネットワークも無い 元々あまり外交的な人ではないのだろう。だからゆっくりを飼おうと考えた、飼い主の男性はそういう人物なのだ だから、人間はおろかそれ以外の相手に対しても想像力が働かず、れいむの気持ちを汲み取る事ができない 「それに、いつもちゃんと遊んでやってるだろ?」 「ゆっぐ・・・でみょぉ・・・」 「デモもストもクーデターも無いだろ」 そう言いながら、何度も何度もれいむのあんよを定規で殴打する 彼の言う事は間違ってはいない。確かに彼は仕事から帰ってくるとれいむが起きていればかならず遊び相手になっていた しかし、そもそもゆっくりと人間では全く別物であり、人間はゆっくりの代わりにはなれない また、飼い主への気兼ねや、何かの拍子に怒らせたら・・・という不安のせいで、彼が思っているほどにれいむはゆっくり出来ていなかった 「ゆひぃ・・・ご、ごめんなちゃい!れーみゅがわりゅかっちゃよ!ゆっぎゅぢあやまりゅよ!」 「分かったならよろしい」 こうして、れいむは結局友達を紹介してもらう事も、お外に連れて行ってもらうことも叶わなかった そして、ゆっくり出来ない思いばかりを募らせながら、家の中だけの世界でゆっくりと成長していった しかし、お外にでて友達を作りたいと言うこの願望は後に予期せぬ形で実現する事になる 「ゆゆっ!とびらさんがあいてるよ?」 3ヵ月後、れいむはもう成体サイズと言っても差し支えないほどの大きさになっていた 用事で出かけた飼い主がドアを閉め忘れている事に気がつき、つい出来心で外に出て行った 障害物を避けながら進んでゆくと急に視界が開け、人間やゆっくり、その他の動物が行きかう通りに出た 「すごいよ、すごくたくさんだよ!」 「ゆゆっ!なんだかとってもゆっくりしたれいむだよ!」 「ゆぅ?」 初めての外に浮かれるれいむに声をかけたのは1匹の野良まりさ 恐らく、れいむの魅力に惹かれて思わず声をかけてしまったのだろう 飼いゆっくりは健康管理やケアが行き届いているので野良の目には大抵美ゆっくりに映る 「ゆっくりしていってね!まりさはまりさだよ!」 「ゆっくりしていってね!れいむはれいむだよ!」 お約束の挨拶を交わす2匹 まりさにとっては本当に何気ない挨拶だが、れいむにとっては産まれて始めての他のゆっくりとの挨拶 そのあまりのゆっくり出来る感覚に思わず涙がこぼれる 「ゆっぐ・・・ゆぅ・・・」 「ゆゆっ!?どうしたの、れいむ?ゆっくりしてね?」 「ぢがうよ!でいむ、ゆっぐぢぢでるよ!・・・ゆっぐ」 そうは言うものの、れいむの意思とは無関係に涙は溢れ出してくる もちろん、嬉しさの余りに感極まっての落涙だ それに気付かないまりさはれいむの目の前でおろおろと右往左往しながら、れいむが泣き止むまで 「れいむ、ゆっくりしてね?」 「ゆっくりしてよー」 「ゆっくりだよ!」 と、頬ずりをしたり、顔を舐めたりしながら彼女を慰め続けた 「まりさ、ゆっくりありがとう!」 「れいむ、ゆっくりしてる?」 「とってもゆっくりしてるよ!」 やがて、何とか涙の収まったれいむはまりさに満面の笑みを浮かべて感謝を口の言葉にする 飼いゆっくり故の美貌をもってこんな事を言われたまりさはもうれいむに首っ丈 「れれれ、れいむ!まっ、まりさとずっといっしょにゆっくりしてね!」 はやる気持ちを抑えることができず、まりさはれいむに求婚した 初めて会ったゆっくりにいきなり求婚を受けたれいむはしばらく呆けていたが、やがて嬉しそうに飛び跳ねて 「れいむもまりさとずっとゆっくりしたいよ!」 「やったぁ!これでゆっくりできるよ!ずっといっしょにゆっくりしようね!」 と、あまり彼女の言葉の意味も理解せずにプロポーズに応えた そして、まりさはれいむと一緒に男性の家に入り、そこで初めてのすっきりーを行った もちろん、れいむも初すっきりーで、2匹とも至らぬところはあったが・・・ 「「すっきりー!」」 「ゆゆっ!まりさ、あかちゃんだよ!」 「ほんとうだね!とってもゆっくりしたあかちゃんだね!」 無事、すっきりーする事ができ、れいむはまりさの子どもを額に生えた茎に宿した 「なんだ、こいつは?」 「おかえり、おにーさん!まりさはれいむのだーりんだよ!」 「ゆっくりしていってね!まりさはまりさだよ!」 その後、帰ってきた飼い主の男性に挨拶を済ませ、まりさは正式にれいむのだーりんとなった 飼い主の男性は思いのほかあっさりとまりさの同棲を認めてくれ、にんっしんっの事も素直に祝福してくれた 「ふっひっひ・・・俺達は怖い怖い泥棒さんだ!」 「お金を盗みにやってきたぞ!おや、こんなところに可愛いゆっくりが!?」 「「ゆゆっ!?」」 翌日、2匹が明るい未来に思いを馳せながらお喋りに興じていると、突然妙な男達がやってきた しかし、この家で一番強い飼い主の男性は現在外出中で、家にはまりさと身重のれいむしかいない 「だめだよ!おかねさんとったらおにーさんがゆっくりできないよ!」 「ここはまりさたちのおうちだよ!ゆっくりでていってね!ぷくぅぅぅううう!」 2匹はそれでも一生懸命泥棒2人組を説得、あるいは恫喝して追い払おうと試みる が、人間相手にそんなもの何の効果もあるはずがない 「おやおや、おうち宣言とはゲスまりさがいるぞ?」 「それにこのれいむ頭に子どもを生やしてるぞ?」 「「なんかむかつくなー」」 えらい棒読みで喋る2人は手際良くまりさを捕まえると、いつの間にか取り出した透明の箱に放り込んだ まりさの身動きを封じると、れいむを両頬を押さえつけるように捕まえて、一人の膝の上に乗せる それと並行してもう一人はえらく巨大な半田ごての準備を始めていた 「おやー、相棒。それは何かなー?」 「これは去勢用の器具だ。これを使われたゆっくりは二度とにんっしんっ出来なくなるんだ」 「それをこのれいむに使うつもりなんだな。おお、怖い怖い」 酷い説明口調でその太めの半田ごての使用方法を説明するとれいむとまりさの顔が真っ青になった ゆっくりにとって赤ちゃんを作る事は至上の喜びだと言われており、レイパーの子でも育てる事からこれは周知の事実である もっともにんっしんっしたゆっくりの中である種の餡内麻薬が分泌され、それによる錯覚だとも言われているが とは言え、どのような理由があったとしても当人達にとっては子は宝であり、それ以外の何者でもないのだ 「ゆゆっ、やめてね!あかちゃんをゆっくりさせてあげてね!?」 「んー・・・どうしようかなー?そうだ、まりさに聞いてみよう!」 れいむの懇願を聞いた泥棒の一人は突然まりさの方に振り返り、彼女に話しかけた 「れいむはああ言ってるけどさ。まりさちゃんはどうよ?」 「ゆゆっ!そんなの・・・「まだ喋るな!」 れいむにも聞こえるような大声でこれ見よがしにまりさに話しかける泥棒 しかし、突然小声で喋り始めた 「もし、れいむと赤ちゃんを助けて欲しいなら俺の言うとおりにしろ」 「・・・・・・ゆぅ」 「俺が次にお前に話しかけたときにれいむに向かって『まりさは人間さんに飼われたかっただけだよ!れいむと赤ちゃんは勝手に死んでね』って言うんだ」 「ゆっ!いや「断ったら全員死ぬだけだぞ?」 「ゆ、ゆっくりりかいしたよ・・・」 まりさの返事を聞いた男はれいむにも聞こえるように再び大声で話し始める 「さあ、まりさちゃん!君はれいむと赤ちゃんを見殺しにしてでも生き延びたいよね!」 「ゆゆっ!なにいってるの!まりさはれいむのだーりんなんだよ!?」 そう言って男の言葉に抗議するれいむだが、彼の背中が邪魔でまりさの顔を伺うことが出来ない それゆえに、わずかばかりの不安を覚えながら、まりさに話しかけようとするが・・・ 「まりさはにんげんさんにかわれたかっただけだよ!れいむとあかちゃんはかってにしんでね!」 「ゆがーん!?どほぢでぞんなごどいうのおおおお!?」 れいむの期待を完全に裏切る非常で無常な言葉がまりさの口から放たれた その直後、れいむを取り押さえていた方の男が彼女の額の茎を乱暴に引き抜いて、もう一人の男に投げ渡す それを受け取った男はまりさの額に乱暴に穴を開けると、そこに茎をねじ込んだ 「ゆぎぃ!?」 「そんなこと言うゲスにはこれくらいの制裁は必要だよねー。俺は別の部屋でも物色するかー」 「ああ、そうだなー。さあて、俺は今から去勢するぞー」 もう一人の男が部屋を後にするのを見届けた男はそう言いながらいつの間にやら熱しておいた半田ごてをれいむの額にねじ込んだ 瞬間、れいむは目を大きく見開く 全身から脂汗のようなものをだあだらと流しながら、必死になって男の腕から抜け出そうともがく 「い゛ぎぃ!?ゆびぃ・・・!ゆ゛ゆ゛っ!!」 「はっはっは・・・無駄無駄無駄」 しかし、男の手から逃れられるはずもなく、瞬く間に室内に皮や餡子の焼けた匂いが充満する 数十秒後、ようやく男が半田ごてを抜いたときにはれいむは力泣く震えながら嗚咽を漏らす事しかできなかった そんなれいむを気遣ってか、男はれいむの額にどこから取り出したゆっくりの皮を貼り付けた上で、オレンジジュースを浴びせた 「ゆっぐ・・・ぼう、やべでぇ・・・ゆっぐぢぃ・・・」 「残念だが、まだひとつ残っている」 そう言うが早いか、今度は下あご付近に半田ごてをねじ込まれるれいむ そこはぺにまむと呼ばれる器官の存在する部位で、ここを焼かれてしまうと胎生での出産ができなくなる 男の意図に気づいたれいむはオレンジジュースのおかげで幾分か回復した体力を振り絞って抵抗する が、最初の時点で敵わなかった相手に敵うはずもなく・・・ 「やべでぇえええええ!?あがぢゃんうべなぐなっぢゃうううう!?」 「そのためにやってるんだよー。ふっひっひ」 こうして、にんっしんっ出来なくなったれいむに先ほどと同じような治療を施すと男はそそくさと部屋を後にした 2人の男がれいむのつがいのまりさを連れて男性の家から出ると、目の前に家の主の姿があった 彼の姿を認めたまりさは安堵の笑みを浮かべ、彼に向かって叫ぶ 「ゆゆっ、おにーさん!このひとたち、わるいにんげんさんだよ!」 「ふーん、そうか」 「ふぅ、去勢作業と居ついた野良の駆除、終わりましたよ」 「ありがとうございます」 が、男性は泥棒2人に感謝の言葉を口にすると、懐からお金を取り出して彼らに手渡した まりさはわけがわからないといった様子で首を傾げるが、直後の彼らのやり取りで全てを理解することになった 「いやぁ、れいむがいれば十分だったんで助かりましたよ」 「勝手に子どもやつがいを作られると飼い主としては面倒ですからねぇ」 「ところで、そのまりさはどうされるんですか?」 「こいつですか?こいつは飼いゆっくりに手を出した害ゆとしてしかるべき場所で社会貢献してもらいます」 男たちが出て行ってから数分後、悲嘆にくれるれいむだけの家に飼い主の男性の声が響いた 「ただいまー・・・れいむ、どうしたんだ?!」 「ゆっぐ・・・お、おに゛ぃざあん・・・でいむ、あがぢゃんうべなぐなっぢゃだよぉ・・・」 「どういうことだ?それに、まりさもいないな?」 「まりざぁ・・・ゆわああああああああああああああああああん!?おにいいざあああああん!?」 れいむは男性に飛びついて気が済むまで泣き、それから全ての事情を説明した せっかく、赤ちゃんが出来たのに、お兄さんにも赤ちゃんを見せてあげたかったのに・・・ そう言ってめそめそと泣くれいむの頭を男性は優しく撫で・・・ 「気にするな。どんなになってもれいむはれいむだし、何よりれいむが無事で良かった」 そう言いながら優しく微笑んだ この日以来、れいむはまりさと違ってどんなになっても自分を受け入れてくれる飼い主に全幅の信頼を置くようになった 悪いゆっくりのいる外に出ることも、外に行きたいとわがままを言うこともなく、毎日家の中で男性の帰りを待つ そして、帰ってきた男性に思う存分甘える 彼に嫌われないためにも悪いことは絶対にしない こうして、れいむはペットショップで見せられた映像の中のれいむにも勝るとも劣らない幸せを手に入れた ---あとがき--- たとえ飼い主が虐待愛好家じゃなくても無知で身勝手だったり、 ゆっくりに対して変な勘違いや幻想を持っていたり、 過剰に厳しかったりするとゆっくり出来ないんだろうなぁ・・・ このれいむの今わの際の言葉はきっと「もっとゆっくりしたかったよ」だろう byゆっくりボールマン このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/573.html
ゆっくり達がアリスの家を遊び場にしてから季節が一回りした。 ゆっくりパチュリーが疲れないように普段からアリスの家にすんでいるゆっくり魔理沙とパチュリーは晴れの日は庭で、そして雨の日は元アリスのベットで眠り。朝は家の周りに集まってくる蝶を追い掛け回しながら食べ、お昼と夕食は午前中から遊びにやってくるゆっくり達がもってくる食事を一緒に食べる。 今は殆ど使われることの無いキッチンだが、たまにやってくる魔理沙やその友人が食事を作ってくれる時などに使っている。 満月の綺麗な夜、大きな木の根元に横と張りながら話すゆっくり魔理沙。 すっかり傷の癒えた今では、二匹とも以前のようにニコニコと話し込んでいる。 「パチュリーと霊夢ゆっくり眠ろうね」 その言葉が合図だった様に姦しかった三匹は寄り添った体を更にすり合わせて眠りに着いた。 こちらを覗いているモノが居る事など気にも止めずに。 「……さ、おき……」 眠っていたゆっくり魔理沙は自分を呼ぶ声で目を覚ました。普段は寝坊することの無いゆっくり魔理沙だが時々寝坊した時は二匹が起こしてくれる。 「ゆっくりおきちゃった!!!」 元気よく起きたゆっくり魔理沙は直ぐに違和感に気づいた。昨日は外で寝ていた筈なのに今は屋内、しかもここは……。 見覚えのある壁、そして柵。まさに、以前アリスに連れてこられたゆっくり加工場のそれだった。 「どっ、どうしてここにいるの?」 「魔理沙がまだ寝てるときに、おじさんがここであそぼうって言ってきたの」 「魔理沙が寝てるからびっくりさせようと思って寝てる間につれてきたの」 ニッコリと笑うゆっくり霊夢とパチュリー。 当然、自然の中で暮らしてきたゆっくり達は、このような施設がある事など知らない。 そして人を疑う事も知らない。アリスのことで芽生えたかと思われたそれは、その後の人間達の行動によりすっかり枯れてしまっていた。皮肉な結果だ。 「おじさん、魔理沙おきたよ!!!」 「魔理沙ゆっくりおきたよ!!!」 二匹が無邪気に声をかけた相手は、去年案内してもらった時のあの男だった。当然ゆっくり魔理沙もよく覚えている。 「二人とも、ここはだめだよゆっくりできないよ!」 「そんな事ないよ。魔理沙もゆっくりできるよ!!!」 ふたりともどうしてそんな事いうのか分からないと言った表情で聞き返す。 「ああ、お前さん以前ここに来たゆっくりかい? あれからうちの会社は変わってねぇ、今は飼われているゆっくり達を都合の悪い時に預かる仕事もしてるんだ。これから天気が大荒れになるからあの家じゃ危ないって事である人に依頼されてね。だから連れてきたんだよ」 工場職員の男は以前の様な愛想笑いを浮かべてゆっくり魔理沙に説明した。周りではゆっくり霊夢とパチェリーがしきりによかったね、と言って跳ね回っている。 「おじさん、どんな人がお願いしたの?」 「金髪の綺麗な魔法使いの女性だったよ。……たしか紫色の魔女も一緒に来てた様だけどね」 これだけで、三匹のゆっくり達には理解した。時々アリス邸を訪ねてくる人、一緒に来た人はおそらく始めて連れて来た友人だ。 「魔理沙が頼んでくれたのか」 「「よかったね!!!」」 ゆっくり魔理沙は今度こそ安心した、何気なく檻の遥か上にあるはめ込み式の採光窓を見ると、確かに風も雨も酷くなっている。殆ど手入れのされていないアリス邸では本当に危なかったかもしれない。 「安心してゆっくりできるね!!!」 笑顔の二匹も。 「ゆっくりできるね!!!」 と笑顔で返した。 「それじゃあ、他のゆっくりが襲うと大変だから、鍵をかけておくよ。おそらく明後日には天気はよくなってると思うからね」 見ると既に鍵はかかっていた、おそらく三匹を入れた時にはもうかかっていたのだろう、起きていたふたりは、初めから信頼していたのであろう。 「それじゃあ、私は他の仕事があるから。」 「おじさんもゆっくりがんばってね!!!」 去り際に自分達の柵に食事、隣の柵にペロペロキャンディを投げ入れ、手を振る男に体を大きく跳ねさせて答える三匹、その表情にはもう疑いの文字はない。 ふと、残りのゆっくり達の事が頭をかすめたが、以前は自分達もこの天気の中、雨宿りできる場所を探してずっと話していた事を思い出し、大丈夫だろうと結論づけた。 「ゆっくりしていってね!!! ゆっくりしていってね!!!」 柵といっても適度に動き回るスペースはある、森を駆ける様、とはいかないが三人ともとても楽しそうだ。 「うー。うー」 夕暮れ、あれからずっと動き続けて、さすがに元気がなくなって休んでいた時それまでは騒ぎで気付かなかった隣の声が聞こえた。 「泣いてるよ」 「どうしたのかな?」 「ゆっくりしていってね!!!」 お決まり台詞を言ったのを合図にまた追いかけっこが始まった、体の弱いゆっくりパチェリーに気を遣うから声は賑やかになる。 それはもう、隣の泣き声が聞こえない程に……。 「ごはんですよ」 といって朝と夜に食事を提供しに来る従業員(ちなみに黒い佃煮では無い)に、「ゆっくりたべるね!!!」と今回で四回目になる返事をする。隣には毎回お菓子の類が投げ込まれている。採光窓からの久しぶりの朝日に映る食事は今までよりも少し豪華なものだった。 「豪華だね」 「今日でお別れだからかな?」 「魔理沙、霊夢、ゆっくり食べようね!!!」 今日でここともお別れ、特に不自由は無かったけれど、やはり今まで慣れ親しんだ森の中の方が居心地がいい。 帰ったら何をしようかと考えて食事を食べる。 (やっぱり、魔理沙たちにお礼をしないとね!!!) 霊夢が遊びつかれているパチュリーに自分の食事を少し上げるのを見ながらそんな事を思う。 「帰ったら魔理沙たちにお礼をしようね!!!」 「「うん、しようね!!!」」 「「「ゆっくりしていって貰おうね!!!」」」 三匹とも同じタイミングで声を出す。やっぱりこのふたりと友達でよかったと新ためてゆっくり魔理沙は思った。 「おーい、お前達、引き取りに来てるぞ」 と同時に開いた扉、逆行で顔は見えないが初日に会った男の声だ、隣には二人の人影も見える。 「魔理沙達だね」 「ここで、お礼いえるね」 「「「ありがとう、おねえさん達。おかげでゆっくりできたよ!!!」」」 とびっきりの笑顔でお礼をいった三匹、まだここまで着ていないのでちょっぴりフライングだったかなと思ってまた三匹で大笑い。 その言葉を聞いた二人の少女は言う。 「あら、それはよかったわ。ねぇパチェリー?」 「そうね」 刹那、ゆっくり魔理沙の思考が止まる。同時に悪寒がはしる。他のふたりは後ろにいるので見ることは出来ないが、おそらく同じことになっているだろう。 「どうしたの、そんなに震えて? 久しぶりに再開したのがそんなに嬉しいのかしら?」 依然見たそれとは違うとても感情のある笑顔だった。まるで心から再開を喜んでいるような。 「おっ、おねえさんどうしてここにいるの?」 もっともだ、確かゆっくりレティが食べた筈。 「食べられたから?」 先ほどとは一転感情も抑揚も無い声。 「やっぱり、あなた達は頭が悪いのね。以前貴方と一緒に見た光景を忘れるなんて、ねぇ」 ゆっくり魔理沙が思い出した光景自分達の仲間がゆっくりレティに食べられる光景、しかしあまりに衝撃的でその後は覚えていなかった。 「本当に覚えていないのね。せっかく一緒にお出かけしたのに……」 いつの間にか彼女の方に乗っていた上海人形が両手で顔を覆う。 「あのおおきなゆっくりが寝込んだら後ろに穴を開けて絞り出したのよ。まぁ、私も一回見ただけだったから上手く出来るか判らなかったけれど魔法で眠らせて人形で穴を開けたら直ぐに開いたわ。さすがに疲れたからパチェの所に着いたら直ぐ眠ってしまったけれど」 愕然とした表情のゆっくり魔理沙。確かに暫く経った後、戻ってみたらレティは眠っていた。てっきり食べて眠くなったんだとばかり思っていたのに。 アリスは更に話を続ける。 「あなた達に襲われた時、万が一の為に蓬莱に手紙を持たせてここに向かわせたの。内容は、家に天然のゆっくりが数種類いるから頃合をみて捕獲して構いません、こんな感じね、頃合はパチェリーが見てくれていたの、初めは魔理沙に無理やり連れて行かれたように装ってね。あっ、そうそう私は今までずっとヴワル図書館にいたの、だって壊れた上海を直さないといけないでしょ。初め壊された時は本当にムカついたわ、お友達を大型カッターに固定してあなたを重石にして切り刻もうかと思ったくらいよ、でも幸い式の部分は無事だったから許すけど。もう悪戯しちゃだめよ♪ 丸々一年もかかっちゃったんだから、おかげでずっと篭りっきりだったんだから私、でもやっぱり図書館はよかったわ、色々な魔道書もあるし、それに」 早口言葉のように一気に話した後、何か出来事を思い出しているように黙り込んだ後。 「小悪魔から色々な話も聞けたしね」 余程為になったのだろう話した後も何度も反芻するように頷いている。 「お、おねえさんが連れて行くの?」 と、ゆっくり霊夢。彼女は寝ている時に餡を取り出された為殆ど記憶が無い、故にまだ好奇心の方が高いのである。 「そうよ、久しぶりのお家ね、私も楽しみだわ。あぁ、あなたには悪いことをしたわね、人形が勝手に悪戯していたみたいで、私はお庭で遊んでいらっしゃいって言っただけなのに。それより、あなた達は食べ物何が好き?何でも作ってあげるわよ」 「おねえさんとは帰らないよ。魔理沙が来るまでゆっくりするよ!!!」 そうだ、魔理沙がきたら助けてくれる。今までは怖かったから本当の事は話してなかったけど、ちゃんと話そうゆっくり話せば判ってくれるよ。 「あらあらわがまま言っちゃだめよ」 そんな希望も。 「だって」 打ち砕かれる。 「魔理沙には一年前に言ってあるもの、ゆくりたちが住み着いたから暫く家を譲る、恐縮させるといけないから居なくなった様に振舞ってねっ、て」 だけど家に帰ればまた仲間が助けてくれる。 いや、今度は自分から立ち向かおう何度も頼りっぱなしじゃいけない。 「それに、パチェにゆっくり達を見て貰ってるって言ったでしょ」 アリスが一緒にいた男から紙を受け取った、数字が何個も書いてある紙だ。 「あら、こんなにいいんですか? これだけ有れば家の補修に遣ってもかなり余裕がありますよ」 「いえいえ、こちらも貴重な天然モノ、しかも数種類卸してもらったのですから、この位は当然です。あぁ、今回の三匹のお預かり代も無料で結構です」 もちろん三匹には聞こえない声で、これも別に聞こえても良いのだが、小悪魔がまだ言わない方がいいですよ、と言っていたからだ。 「あの時きちんとみんなにいってたら良かったのにね」 その言葉の意味が判らないまま鍵が開けられた。他の二匹も状況が摘めていないらしい。 隣の扉も開かれた様だ、パチェリーが預けていたのだろう。れみりゃ種に体が着いているような生物。檻の札には「希少種」と書かれている。 檻の中にはお菓子が散乱していたがどれも余り手を付けていないようだ。 「まぁ、今まで屋敷で食べていたお菓子に比べたら味は落ちるでしょうけど、これからはこれで我慢しなくちゃいけないのよ。……レミィ」 「まるで私の料理が下手って言っている様ね。……まぁ良いわ、さぁお家に帰りましょう」 ゆっくり魔理沙を抱きかかえるアリスパチュリーも魔法でも使っているのだろうか、それとも着やせした胸にでも上手く乗せているのか、ゆっくりれみりゃを抱きかかえて並んで歩く。 どうやら今日は一緒にアリスの家に向かうようだ。他の二匹は先ほどの言葉が効いたのか嬉しそうに跡をつけている。 「あぁそれと魔理沙、まだ帰りたくなって言ってると……」 知っている扉が開かれる。中も以前と同じだった。そういえばあの男は預かる仕事もしていると言っていた。 「……そう、大人しくしていなさい抱えてる方も楽じゃないんだから」 とても優しい笑顔だった。 ……やっぱり逃げるのは無理だったようだ。 いま、ゆっくり魔理沙は他の仲間が助けてくれることと、本当にアリスが優しくなったかもしれないという希望に賭けるしかないと思った。 please wait next story