約 535,839 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4539.html
一応幻想郷設定 fuku6447、ゆっくり考察体験の続きに当たります ゆっくり希少種・その独自解釈あり 優遇されるゆっくりとそうでないゆっくりが出ます 漫画パロ多数につき注意 村の外れにある一軒家。 その中で二人の男が談笑していた。ゆっくりに興味を持った男である。 もう一人の男はいわゆるゆっくりの虐待お兄さん。 ゆっくりに好奇心を抱いた彼は、昔の友人が虐待お兄さんになっていた事を思い出し訪ねた。 突然の訪問であったが、友人は彼を歓迎した。 相手が害獣同然の存在とはいえ、虐待という悪趣味な行為に嫌悪感を抱く人間がいるのは無理も無い。 友人もそれを認識して、趣味を前面には出さずあまり人とは関わらないようにしていた。 方向性は違えどゆっくりに関して共通の趣味を持つ者同士。 彼らは大いに語り笑いあった。話題が虐待話になるのは虐待お兄さんらしいと言えるが。 「なあ好奇心で聞くんだが…」 男は友人に問いかける。 「君が見てきた中で最も頭が悪いゆっくりって…何だい? 君の家に侵入してきたゆっくりでもいいし…外で見かけたゆっくりでもいい…」 「れいむにはれいむの頭の足りなさが…まりさにはまりさの…浅はかさがある。 ゆっくりに一概にどれが頭が悪いとは言いがたい」 「質問が悪かった…幻想郷の彼女らのファンが遊びで話す 『境界の隙間妖怪と外から来た山の神はどっちが強い?』そのレベルでいいよ」 「…『ちるの』と呼ばれるゆっくりが最も頭が悪い。 ただしゆっくりの多数決に基づくがね」 「『ちるの』…名前もバカそうだな」 「どのゆっくりも馬鹿と認識している事が理由さ。どれに尋ねても⑨と言うんだぜ。 そもそも連中の言うレベルの馬鹿だからどう頭が悪いのかわからんがね」 「それ…どこに棲んでるんだ?」 「見てみたいという事か?オリジナル同様紅魔舘周辺の湖に住んでいるらしい。 危険な場所だからな、あまり勧めないぞ」 こうして男は紅魔舘の湖にやって来た。あの悪魔の棲む紅魔舘に加え 強力で好戦的な妖精もいるらしい。ハッキリ言って危険な場所だ。 好奇心とは恐いものだと我ながら思った。 周囲を見回してみると至る所にゆっくりが見受けられる。 人があまり立ち入らない場所だからなのか、人の影響は薄い様だ。 なるほど人里でよく見かける様なゲス個体の匂いがしない。 「ゆっ?おにいさんはゆっくりできるひと?」 気がつくと好奇心旺盛な個体がいたのか、れいむ種に声をかけられた。 「悪いがオレはゆっくりできる人間じゃない… 向こうへ行け…蹴り殺すぞ」 「ゆっ!?ゆっくりできないのはいやだよ!!」 慌てて足元のれいむ種は逃げていった。 ゆっくりと馴れ合うために男は来たのではない。 それに野生のゆっくりに触れる者としてモラルは守らなくてはならない。 野生動物同様、無闇に人間に慣れて警戒心を失った個体がゲス化するのである。 ある程度恐怖心を持っていた方が人間にもゆっくりにとっても望ましい。 男は目的を思い出し、湖のほとりに歩いていった。 約一時間程辺りを探し回った、その時だった。 「うん?」 ふと見ると水辺で、見た事もないゆっくりがいた。 青い髪でリボンをつけ、背中には氷の羽根の様なものがついている。 「(あれか?)」 茂みに姿を隠しながら静かに近づいていく。そうして完全に視界に捉えた瞬間だった。 「(ウォッ…これは…)」 確かに目の前のゆっくりは探していたちるのの様だった。 外見はなるほど、オリジナルの氷の妖精に似ている。髪や飾りなどは。 しかし顔を見てみると、焦点がどこかも定まらない生気の無い目でいわゆるレイプ目に見えた。 おまけに口はだらしなく半開きになっていて端からは涎が垂れている。 これは馬鹿というレベルではない。知能があるかも疑わしい様な外見だ。 男はちるのが馬鹿と呼ばれる理由がわかった気がした。 「(あいつ、見えているのか?)」 男は歩いて近づいてみる事にした。背後から歩いてはいるものの、 全くこちらに気付くそぶりが微塵も感じられない。 手で触れられるその距離まで近づいても、結局ちるのは男に気付く事はなかった。 「おい」 「………」 「ゆっくりしていってね!!!」 「………」 ちるのは無言だった。ゆっくりにおける大切な挨拶であるはずのゆっくりしていってね、にも反応しない。 こいつ、喋れないのか?男はそんな気すらしていたのだった。 指でちるのをつつきながら考える。これだけやっても無反応だ。 つつく力を強くしたところでようやくちるのは反応した。 「………」 こちらを向いた。視線をこちらに向けたままそのまま数秒間固まったまま動かない。 …こいつ、襲われたらどうするんだ? 拳でポンポンと叩いても逃げるそぶりを見せない。ならば仕方ない。 「ヒャア!我慢できねえ!虐待だぁ!!」 腕を振り上げ、思い切り脅かしてみる。 「!!!」 ようやくちるのは驚いた顔を浮かべ、ポンポンと跳ねながら逃げていく。 水面に浮かぶ大きな蓮の葉を跳ね、ピタリと止まった。 なるほど、蓮の葉の上では体重の関係で人間は追跡できない。少しは頭があるようだ。 ただのバカではないらしい。男は隠れて、ちるのを観察してみる事にした。 「(見事なまでに何もしてないな…)」 茂みから観察を開始してから数十分が経っていた。 相変わらずちるのは虚空を見つめながら突っ立っている。 ちるのの前をカエルが横切ったその時だった。男はちるのの珍行動を目の当たりにする。 「!?…あいつ何か吐いたぞ!?」 ちるのの目の前にはかき氷のようなもので絡め取られ、冷たさで身動きできなくなっているカエルがいた。 そのカエルをちるのはすかさず口の中に入れ、飲み込んでしまった。 青い色をしたかき氷。恐らくちるのの中身は冷たいかき氷で構成されているのだろう。 味は多分ブルーハワイだ。それを口から吐き出して獲物を捕らえる手段にしているのか。 今までボーッとしていたのは獲物を待っていたからか? …いや、ただ単に突っ立っていただけかもしれないな…そんな事を男は考えた。 今度は水の中に浮かんでいる藻や水草を食べている。終始無言だった。 ゆっくりが言うような「むーしゃむーしゃ」も「しあわせー」も無い。 男は何か閃いたようで、茂みからあるものを放り投げた。 ここに来る途中で見つけたゆっくりの死骸。その中身の餡子と、家から持ってきた唐辛子だ。 こいつを放り投げる。 曲線を描いて放り投げられたそれは、ちるのの目の前に唐辛子、離れた場所に餡子が転がった。 ちるのはそれを視認したようだ。さて、どうする? ゆっくりは揃って甘い物が大好きだ。その逆に辛いものは大嫌いで毒物にすらなりうる。 ゆっくりなら当然餡子に向かう。辛いものは当然無視する。 しかし…ちるのは… 思いっきり唐辛子の方へと向かったッ!躊躇う事無く口の中へと唐辛子を頬張るちるの。 顔色が突然変わり、激しく暴れ始める。 「!??!!!??!?」 「(本物のバカだー!!)」 激痛でのた打ち回るちるの。水を求めて水辺の水をガブ飲みする。 水と一緒に口に入ってきた藻を咀嚼するとその藻を食べ始めた。 さっき見つけた餡子などもはや忘却の彼方である。 「(少しだが…わかりかけてきたぞ…)」 ちるのにとってはエサの味など二の次なのだ。どっちが近くにあるか。 どちらが先に食べられるか。そちらの方がずっと重要なのだ。 そして終始無言。食べる時もやかましいゆっくりにとっては異例だ。 そこにゆっくりに馬鹿にされる理由があるのだろう。 めーりん種などは喋れない事を理由に、ゆっくり達から迫害されている。 ちるのに至っては「ゆっくりしていってね!」すら言わない上に 食べ物の味にも全く執着しない。 人間で例えるなら、現代人が原始人を見るようなものなのだろう。 ゆっくりは自分達が称する「ゆっくり」を求めて活動する。 うまいエサを見つけるため。快適な住居を手に入れるため。 …最もその結果、人間の前に姿を現して結果駆除されてしまう方が多いのだが。 そういったものをちるのは全くと言っていいほど求めない。 人間の感覚で言えば、文明のかけらもないジャングルの奥地で、 うまくもない草や虫を拾い食いして生きるように見えるのだろう。 それは馬鹿にされるはずである。 「ゆっ、ゆっ、あんなところにあまあまがおちてるんだぜ!!」 「れいむたちがむーしゃむーしゃするよ!!」 そうこうしている内に、ちるのがガン無視だった餡子を嗅ぎつけてまりさ、れいむがやって来た。 藻を食べているちるのの前を通り過ぎ、餡子へと貪りつく。 「がーつ、がーつ!めっちゃうめぇ!!」 「まりさ、れいむのぶんをとらないでね!!」 オイオイ、それお前らの仲間の中身だぞ。男はふと思う。 浅ましく仲間の死肉にかじりつくゆっくりを見て男は呆れた。 「こんなおいしいものをむししてくささんたべてるちるのはばかだね!!」 「とんでもないまるきゅーなんだぜ!!ほんとうにちるのはていのうなんだぜ!!」 ゆっくりコンビはちるのを罵倒している。 一方のちるのは聞こえているのかいないのか、全く反応していない。 「おいまるきゅー!!ばかってのはおまえのことなんだぜ!!くやしくていいかえせないのかだぜ?」 「まりさ、ちるのはばかだからなにもいえないんだよ!!ゆっくりしてないね!!」 「「げらげらげら!!!」」 相手が黙っていれば言いたい放題である。こいつらは間違いなくゲスであろう。 当のちるのは全く意に介していない。 「ゆぎぃぃぃ!!!なにかいうんだぜ!!まるきゅー!!!」 「ばかなちるののくせにまりさをむしだなんてなまいきだよ!!!」 馬鹿にしている側が相手にされなくて怒り出すとは… どっちが馬鹿にされているのかわからないな、男はそう思った。 「ばかなちるのはしぬんだぜ!!!」 まりさがキレた。ちるのに体当たりを仕掛ける。 どっちがゆっくりしてないのか。 「!!?!?」 ちるのは困惑してこそいるが、大して効いていないようだ。 体は結構頑丈なのかもしれない。スィーがぶつかっても怪我をしなかったと聞いた事がある。 「いまさらあやまってもおそいんだぜ!!ちるのはゆっくりしね!!」 「!!!!!」 ちるのは攻撃されていると認識したようだ。その後の切り替えは早かった。 まりさの体当たりにカウンターする形で体当たりをし返す。 「ゆべっ!?」 まりさは軽く吹っ飛ばされ、蓮の葉から水の中へとまっさかさま。 「ごべえぇぇええ!!!おぼれるんだぜぇぇえ!?!!?」 「ばりざぁぁあ”あ!!!」 ガボガボと泡を立てながら見苦しく水の中へと沈んでいく。 れいむは真っ青な顔でそれを見つめる。 「まりさをころしたちるのはしんでね!!!」 れいむもまたちるのに攻撃を仕掛ける。 しかし、ちるのはそれを見越してか口から中身のかき氷をれいむに吹きかける。 「ゆぎゃああああ!!!づめだいぃぃいい!!!!」 れいむが冷たさに身悶えしている間にちるのは体当たりを仕掛けた。 「ゆぎゃああぁあああ!!!!みずはだめだよぉぉおお!!!! がぎゅ、げ、ぎょっ!!でいぶをだっ、がぼげげげぇぇえ!!!!」 れいむも仲良く湖の底へとダイブした。 男は結構強いな、そんな風に思った。 最もあのゲスコンビが頭も悪ければ実力も弱すぎただけかもしれないが。 突然ポツリポツリと雨が降り始めた。 水に強いと思われるちるのもさすがに雨は危険なのだろう。 ポンポンと跳ねて茂みの中へと隠れていった。 「あれが、ちるのか…」 男は感心したように呟いた。 全く喋る事もない。ゆっくりなど全く求めていない。 非常にゆっくりらしからぬゆっくりである。 しかし、今まで見たゆっくりを主張する連中を見て微塵も思わなかった、 「ゆっくりしている」という感想を男は抱いた。 どいつもこいつも、ゆっくりはゆっくりしていない。 どのゆっくりも自分がゆっくりする事を求め、主張し、 結果として自滅していく。全くもって救えない存在だ。 連中の言うゆっくりを最も放棄し、仲間からもゆっくりしていないと蔑まれる、 あのちるのが人間から見て最もゆっくりしているように見えるとは何という皮肉か。 目から鱗が落ちたような気分で、男は帰路についた。 ああいうゆっくりもいるもんだ。そんな事を思っていたその時。 「ゆっ!!にんげんさん!!かわいいれいむにあまあまもってきてね!!! れいむはゆっくりしたゆっくりなんだよ!!!ゆっくりしてないではやくしてね!!! ぐずはきらいだよ!!」 男は石蹴りのように派手にれいむを蹴飛ばした。 「ゆげえぇえ!!!!」 れいむは地面をバウンドし、餡子を吐いて転がった。 「いつも寄ってくる…こんなアホが… なんで要求しに寄ってくるんだ…?来なければいいものをッ!」 「ゆべっ…」 そのままぐちゃり、と雑草を踏むように踏み潰して去っていく。 さて、あいつになんて話してやるかな。 この間のはゲスと虐待ばかりの話だったからな、新鮮だろう。 男のゆっくり観察はまだ続くだろう。 昔FLASHで見たゆっくりチルノがアレな外見だったのでふと思いついて書いた。 ゆっくりちるのがどういうキャラか固まってないから思い切り捏造してしまった。 ゆっくりは好きだよ。れいむとまりさ、ありす以外は。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/150.html
前 「ゆっくり~」 ゆっくりアリス五匹姉妹の冬支度は万全の一歩手前。 積み上げた餌は十分、入り口を封鎖する資材も、ふかふかの寝藁も不足ない。ただ一つ、ともに冬をすごす友達だけがいなかった。 「とかい派としては、去年みたいにゆっくり友達とすごしたいわ!」 「うん、例えばまりさが友達になりたいと言うなら、なってあげてもいいかしら」 「私も、特別にいっしょにすごしてあげても……」 そんな言葉を交わしてにんまりと笑っている。 去年、ずっと人に飼われていたゆっくりれいむとまりさが、大きくなったからという理由で捨てられた。 二匹にとって、赤ちゃんの頃から人の暖かい家でゆっくり過ごすのが冬のすごし方。冬ごもりの仕方も分からず、迫りくる冬に怯えて泣いていたのを優しく保護したのがこのアリス姉妹だった。 多種への人恋しさに鬱屈していたアリスたちにとっても、願ったり叶ったり。 れいむとまりさにとっても、沢山の姉妹が急にできたようで楽しく過ぎていく冬の一時。れいむは淡い恋心を抱いていたまりさとの二人きりの時間が減ったことに若干の不満があったものの、アリスのとかい派のお話を聞きながらゆっくり過ごす時間に満足していた。 それに、まりさとはアリス姉妹が寝静まった後にこっそり会話することができた。 雪が解けたら、二人で暮らせるところを探そうね。 そうだね、ここはアリスがいるから本当のゆっくりはできないからね。 楽しく未来の計画を話し合う二匹。語りだすと夢中になってしまう。ついつい、その声が大きくなるのも気づかないほどに。 翌朝、れいむは重圧の息苦しさで目を覚ます。 目の前にアリス姉妹二体。その重みが、自分を壁際に押し付けている。 「ありすううう、やめでええええええ!」 絹を裂くような声に振り向くと、まりさに三体がのしかかっていた。 いずれも、ゆっゆっと上気した息を吹きかけて、れいむたちの悪寒をいやがおうもなく高めていく。 「ぐるじいよ、ありす。ゆっぐりどいでね!」 昨日までのアリスなら、ゆっくりごめんねと退いてくれた。でも、このアリスたちは口をすぼめて笑うだけで何もしてくれない。 そのうち一匹が、口を押してれいむに囁く。 「とかいだと、こんなときは黙っているのがルールよ。私たちも外れを引いてがっかりしているから、ゆっくり静かにしてね!」 アリスは何を言っているんだろう。 だが、その意図は次のまりさの悲鳴であからさまとなる。 「ゆっぎりやめでええええ! まりさは、まだこどもうみだぐないのおおおおおお」 三匹がその体を押し付けまりさの感触を楽しみながら、一斉に責め立てていた。 「なにじでるのおおおお、ありすうううう!!」 れいむは動けない体で精一杯の弾劾。 だが、自らに体をのせるアリスの重みに言葉が途切れる。 「れいむううう、黙っていてねといったよね! でも、そんな反抗的な態度で気をひこうとするれいむがぎゃわいいいいいいい!!!」 「ゆぎいいいいいいいいいい!!!」 自らもまた行為の被害者となるれいむ。 いやいやと、首を振ることも許さない強烈な圧力、欲情の振動。 「ずっぎりー!」 視界の端で、早くもすっきりさせられてしまうまりさ。 「ゆぐううう、はじめてのすっきりはれいむとぎめでだのにいいいいい!!!」 繁殖までを試みていないアリスの性交に、まりさの死を覚悟していただけにれほっとするれいむ。 「んほおおおおおおお、すっきりー!」 同時に自分の体ですっきりしていくアリス姉妹。 怖気が全身に走り、まりさと同じ涙がぼろぼろとこぼれるのは止められないものの、死んではいないことに希望を見出そうとするれいむ。 それが、この冬の終わりまで楽しむためのアリスの奸智とは気づかずに。 「アリスを満足させるために、経験をつんでおこうとおもったまりざがいじらしいのおおおおお!!!」 おいおいと泣き崩れるまりさの上に完全にのしかかるアリス。 れいむが、自らのこの冬の運命に気がついたのは、苛立たしげな目の前のアリスの言葉だった。 「ゆっくりしないで早く終わってね! まりさは、次はありすの愛をうけたいんだよ!」 「しばらく、れいむで我慢していてね!」 言い争いながら自分の体を貪るアリス。 れいむの瞳に残っていた光が、ゆっくりと消えていった。 「ゆふうううう」 その光景を思い出してため息がもれるアリス姉妹。 「まりさがアリスたち全員を好きだと言ったときはびっくりしたね!」 「うん、でもまりさらしいね。ありすは都会派だから、ゆっくり許してあげるよ!」 「れいむだけまりさから嫌われてかわいそうだったね」 「だから、れいむ相手してあげたアリスは優しいね!」 「れいむはすごく喜んでくれたね」 アリス姉妹の中では、そういうことになっている。 本来、そのプライドを踏みにじったり人為的な発情がない限り、ほとんどの種に対して好意的で世話好きなアリス種。それだけに、まりさとれいむの失言がもたらした反動はすさまじいものだった。 「あれから、まりさたちはどうしたっけ?」 「あれ? ……忘れちゃったよ!」 姉妹が忘れている二匹の顛末。 雪解け前に精神的に仮死状態を迎えてしまったれいむとまりさ。ゆーゆーと泣き続けるだけで、抵抗のない力の抜けた体は一向にアリスを満足させることができなかった。ついには雪原に捨てられてるが、そこでアリスから解放されて何とか精神を復活させる二匹。地吹雪の中、二匹は朦朧としながら幸せに飼われていた記憶を頼り、かつてペットとして暮らした家へと歩いていく。 だが、懐かしい家から聞こえてきたかつての飼い主とその腕に抱かれた新しいペット、赤ちゃんゆっくりの歌声を聞いて、二匹はすべての終わりを悟り、仲良く氷の塊となってその家の軒先で死に絶えることになる。 もちろん、アリスたcは自分たちがこんなに幸せなのだから、あの二匹も幸せにどっかで暮らしているだろうと信じていた。 そしてまた、今年も冬ごもりを忘れた可哀想なゆっくりをちゃんとしてあげよう、と。 「今年はだれかしら!」 アリス姉妹が一筋のよだれをそれぞれ垂れ流したときだった 「ゆっくりしていってね!」 例のゆっくりまりさがアリスの巣へ暢気に転がり込んでくる。 「ま、まりさっ!」 色めき立つアリスたち。すぐに涎を隣の姉妹にすりつけて隠匿し、それぞれまりさから視線を外す。 「何しにきたのよ、まりさ! アリスたちは忙しいのよ!」 ツンケンとしたいつもの反応を、まりさまったく気にしない。 ただ、アリスたちが発情期を迎えていないことを確認してその前に躍り出る。 「当然だけど聞いてアリス。まりさはアリスのことが大好きだよ!」 「ぶっぱあああああ!」 派手な音はアリスたちが鼻から餡子を噴出した音。 どれだけ興奮したのだろうか、はっはっと犬のような息をだして、まりさを見つめ返す。 「な、なにを突然いうのかしら!」 言いながら、へろんと顔を緩ませるアリス。 まりさは慣れたもので、用意していた言葉を続けていた。 「でも、この中で特に大好きなアリスがいるよ! 今、プレゼントするからそっと目を閉じて!」 目を閉じてのプレゼント。 その言葉に、アリスたちは昇天寸前だった。 「知っているわ、とかいだと皆こうするの!」 何があるんだろうと興奮しながら、一斉に目を閉じるアリスたち。 まりさは、にんまりと笑って行動に移った。 一時間後、目を閉じ続けたアリスはようやく気がつく。 何か、おかしいと。 まりさ、照れているにしてもシャイガールすぎるだろう、と。 そうして揃って目を開き、叫んだ。 「アリスのご飯があああああああ! まりざ、どごなのおおおおおお!!!」 当然、まりさの姿も影も形もなくなっていた。 「れーむう、すごいでしょ!」 件のまりさの誇らしげな声が響く。 そのハート型の瞳が映し出すのは、一匹のれいむ種。 ただ、一見してほかの霊夢種とはまるで違う。 ほっそりとした頬、艶やかで手入れの行き届いた頬、これまで日にさらされたことすらなさそうな白い肌、魅惑的な唇。 すべてにおいて、美しいゆっくりれいむだった。 まりさが入れ込むのも仕方ないほどに。 ぱちゅりーを、ご近所のれいむ一家を、アリスたちを騙したその動機。 それはすべて、この美れいむの要求を満たすため。 「そうねえ」 美れいむは気のない返事をしながら、まりさの家の内部を見て歩く。 その後を、恋する少年の面持ちでついてくまりさ。 「まあまあね、一冬ぐらいだったらここで越してあげてもいいわ」 「う、うれしいよ! まりさ、かわいいれいむと二人きりにすごせて幸せだよ!」 まりさの鼻の下がでろんとのびていた。 ようやく、苦労が報われた。 まりさが、美れいむの要求を叶えるために犠牲にしたゆっくりは、前述のゆっくりだけではない。親しいゆっくりはほとんど罠にはめて始末済み。この巣だって、近所の大家族を人間に処理してもらったものだ。 そんな怨嗟の声が木霊してもおかしくない住処で、まりさは夢見心地。美れいむとすっきりする姿を考えているのだろうか、まりさの下の寝藁がじっとりと湿りだす。 だが、美れいむは静かに首を振っていた。 「二人きりじゃないわよ」 その言葉の意味を問い返すよりも先に、入り口から騒々しい声が聞こえてきた。 「ゆゆ、なに?」 慌てて振り向くまりさが見たのは、こちらへ駆けてくる五匹の小さなれいむたち。 わらわらとかけてきて、美れいむに声をかける。 「お母さん、ここが新しいおうちなんだね!」 「ふーん、広さはそこそこだね!」 「でも、中身が貧乏くさいね!」 好き勝手言うが、まりさは最初の台詞の衝撃で、後の台詞が耳に入っていない。 「……え、れいむ、子供いたの!?」 「いるわよ」 やっとの思いで、その問いを口にするが、美れいむは気にしたふうもなく頷く。 まりさは混乱しつつも、何とか新しい家族を受けようと覚悟を決める。そうでなけらば、美れいむとは暮らせそうにないからだ。 「ゆ! まりさも家族が増えて嬉しいよ! これからはまりさがみんなのお父さんだね!」 にっこりと子供たちにほほえみかける。 しかし、子供はまりさの顔を見て、口の端をつりあげていた。 「お父さん? なんでおじさんをそんな呼び方しないといけないの!」 「れいむのお父さんは、もっとゆっくりしていたよ!」 「れいむのお父さんは、こんなブサイクじゃなかったよ!」 「こんなウサギ小屋でゆっくりしているおじさんが冗談いわないでね!」 散々だった。 初対面で、ようやく苦労して言えた挨拶に、返ってきた心無い言葉たち。 まりさはぷるぷると震えて怒りを飲み込もうとする。 変わって芽生えたのは、美れいむと過ごす甘い時に暗雲がたちこめたその不安。 だが、まりさの衝撃はここで終わらない。 「ここが、れいむたちの新しいおうちだね!」 「子供とまごが暮らすには、ちょっと狭いし、品が無いね! でも、とくべつにいてあげるよ」 さらに入り口から姿をあらわしたのは老ゆっくりまりさと老ゆっくりれいむ。 言葉からすると、どうやら美れいむの両親らしい。 「なんで、ごんなにぐるのおおおおおお!?」 困惑がついつい口をつくまりさ。 美れいむが、そんなうろたえるまりさを見て眉をひそめた。 「もしかして、まりさはれいむの大切な家族を邪魔にしているの? 心がちいさいゆっくりなんだね」 「ゆぐううう! そ、そんなことないよ、びっくりしただけ!」 慌てて言いつくろうまりさ。 これも、美れいむを迎えるには必要なこととはらをくくる。 巣の真ん中に仕切りでもつくって、美れいむとまりさの部屋、それ以外の部屋とわければいいかと思っていた。 「あの窪みあたりを、あのにやかけたまりさの場所にしようね!」 「そうだね、いやらしいまりさはそこから勝手にでちゃだめだよ!」 まりさの思惑に反して、美れいむの家族たちにどんどん先手を打たれていく。 「そんなの、だめだよ! このおうちはまりさのものだからね!」 一応、反撃にでるのだが…… 「こいつはこうやって、冬の間はれいむたちをいじめるつもりなんだね……」 「ゆっくりが人間にいじめられるのは、こんな自分勝手な家宣言をする馬鹿ゆっくりのせいだよ!」 「おなじまりさとして、恥ずかしいよ!」 「こいつ、じぶんが恥ずかしくないのかなあ?」 「ゆっくりしねばいいのに!」 「お母さん、こいつに何か変なことされてない?」 何倍もの言葉のカウンターが返ってきただけだった。 まりさはもう胸が一杯で何も言えず、指定された窪みに治まって寝藁をかき集めて丸くなる。 もう、今日はひどく憂鬱で何もする気が起きなかった。 なんで、こんなことにと悲しんでいると、美れいむがそろそろと近づいてくる。 「ゆっ!? どうしたの、まりさといっしょにおやすみするの!」 もう、天から垂らされた糸とばかりに美れいむにすがりつく。 しかし、美れいむは何も言わずまりさの傍にくると、その身をまりさへぶつけた。 「ゆぐううう!?」 痛みはなかった。ただ、考えもしなかった攻撃に動転して、まりさはころころと転がり、さかさまになってようやく止まった。 「家族のみんなが寒がっているの。まりさは寒くても大丈夫だよね!」 その言葉が合図なのか、れいむ一家が一斉に動き出した。 まりさの領域付近に散らばって、寝藁をくわえるなり自分たちの方へ輸送を開始。みるみるうちに、まりさの寝床は土がむき出しの寒々とした肌触りになってしまう。 今の時点でも木枯らしの風は芯に響くほど寒い。 「まりざのぶんだけでも、がえじでえええええ!!!」 言いながら、あまりの惨めさにまりさは泣き出していた。 「お母さん、あいつ泣いているよ!」 「面白いね、けど気持ちわるいよ!」 「おじさん、黙るかゆっくりしんでね!」 やはり返ってくるのは混ぜ返す子供たちのはやし声だけ。 美れいむは両親と丸くなって、われ関せずと眠りについていた。 まりさはもう、一家と口を聞きたくなくて黙り込む。 一家が指定した窪みは、凍える風が吹き付ける場所。 その寒さに身を震わせながら、昨日までの美れいむの温もりを夢見ていたことを思い出し、声もなく泣いていた。 深夜、あまりの寒さに目を覚ますまりさ。 あたりは暗がりで、子供たちの寝息がすやすやと聞こえてくる。 幸せそうな寝息に若干の憤りを覚えて、ますます眠れなくなるまりさ。 見上げれば、入り口に差し込む朧月。 その光の優しさだけがまりさの心を癒してくれる。 と、その光を横切る影があった。 「ゆ?」 息を殺してつぶやく。 確か、あの横顔は…… 「れいむうううう」 美れいむのものだった。 今、れいむは一人で外にでていった。二人きりで話すなら、今だ。 ごとりと、まりさの中で消えかけた情念が目を覚ます。 音をたてて家族に邪魔されないよう、れいむを追って外へ。 まわりを見渡すと美れいむの後姿が森の木の傍に。何をしているのかは、月影に隠れてよく見えない。 そもそも、まりさはそんなことは気にしなかった。 ただ、れいむの傍に近づきたい。 その思いで走り出し、そして歩みを止める。 「ぷっはあああああ」 「ちゅ……ぱ……はああ、かわいいよ、れいむ」 木陰の向こうに、ゆっくりまりさがいた。自分より大きな帽子を被り、自分よりも不敵な顔立ちで美れいむの唇を吸っている。 その大きなまりさは、そっとれいむの耳に唇をよせ、耳をはむはむと甘がみしながら囁く。 とはいえ、静まり返った森の夜。 息を潜めるまりさの耳にもそのやり取りは入っていく。 「ねえ、あいつはいつ追い出すんだぜ?」 「ゆううう、あんっ……その、ゆっくり追い詰めて家出させるつもりだったけど」 見たこともない艶やかな表情で大まりさに応じる美れいむ。 まりさはうなり声を吐き出しそうになる唇を、懸命に抑えていた。 「けど、どうしんだぜ?」 「あなたにこんな形で会うのが切ないの! 今ちょうど寝ているからゆっくりころしてね!」 「ふふふ……おお、こわいこわい」 甘い声で囁きあう二人。 だが、会話の内容は自らの殺害計画。 逃げなければ。口惜しさや怒りよりも、今まりさの心を占める恐怖。 はやく、誰かのうちに逃げ込んで、みんなに話そう。こんな醜悪なやつらは追い出してもらおう。 ……でも、誰かこの近所にいたっけ? みんな、消えてしまっているか、まりさをひどく恨んでいるはずだ。まりさ自身がれいむを迎え入れる準備をするためにしでかした背信によって。 知識を分け隔てなく教えてくれるぱちゅりーを、ときどきお裾分けをくれたれいむ一家を、困ったことがあるとすぐに駆けつけてくれたアリス姉妹を、そして、同じように自分に親切だった森のゆっくりたちを。すべて、まりさは利用して排除してしまった。 そのことに気づいて、まりさは震えた。 こんなことのために、なんていうことをしてしまったのだろう。恋という熱病からさめ、ずしりとのしかかる罪悪感。 そのため、反応が遅れた。 「ゆぎいいいいいいいい!」 後ろからの二体分の体圧。 思わずあがる悲鳴に振り向く美れいむたち。だが、まりさの方をみてほっと一息。 大まりさがにやにやと笑いながら話しかける。 「お義父さん、ありがとうだぜ」 「のぞきみするへんたいをみては、はうっておけないよ!」 老れいむと老まりさの得意な声。 さらに奥から子供たちも姿をあらわす。 「お父さんー♪」 先ほどまでの憎たらしさはどこへやら、かわいらしい声で大まりさにだきつき、散々に甘えてから、地に伏せたゆっくりまりさを省みる。 「あいつ、ゴミくずのくせに自分のことをお父さんと呼べっていったんだよ!」 「ほんと、おぞけが走ったよ!」 「あいつみたいなブサイクの子供なんて、とんでもないよ!」 口々に言い立てると、その大まりさの顔に渋面。 ゆっくりとまりさの傍によると、押さえつけられたその鼻っぱしらに飛びかかった。 「勘違いしたばかは、ゆっくりしね!」 飛び散る餡子。 その重量に、まりさの皮はあっけなく破れる。 月夜に放物線を描く自らの血肉を見ながら、まりさは薄く笑った。 本当に、勘違いして、バカだった。 死ぬのは当然なんだ。 人に迷惑をかける前に死ねばよかった。 そのことにようやく気がついて、びゃひゃひゃと壊れた自分への笑い声が口をつく。 「ゆゆ!? こいつ笑っているよ! ばかなの!?」 「気持ち悪いよ! ゆっくりしね!」 続く大まりさのすさまじい衝撃をうけ、まりさは体中の餡子が噴出すのを感じながら、意識が暗転していった。 うっすらと、まりさの視界に光が戻っていく。 まりさは、ずたぼろの体で放置されていた。 だが、まりさその体をぴくりとも動かせない虚脱感で、死に至るほんの少し前まで生かされていることだけが、何となくわかった。 もう、ただ死を待つだけ。 そのかすれゆく視界を横切る影があった。 それは五つ。 「まりさったら、恥ずかしがって家にこもるなんてシャイね!」 「遠慮しないで、その場でアリスへの愛をプレゼントしてくれてもいいのにね!」 口々に言い合いながら、かつてまりさのものだった巣穴に向かっていくのはアリス5姉妹。 うきうきしたアリスの歩調は、やがてその巣穴に消えていく。 そのアリスの声は、近くの虫の声すら消えていくまりさの耳に、なぜかはっきりと聞こえてきた。 「ああ、まりさがれいむの格好をして沢山いるよ!」 「小さいれいむの形をしたまりさもいるね!」 「熟女のれいむっぽいまりさもいるよ!」 「かっこいいまりさも、美人のれいむ的なまりさもいる!」 それらの声に、怯えきった美れいむの声がこたえた。 「なに言っているの!? まりさはもう……」 しかし、理屈を全部言わせるアリスではない。 「まりさ、アリスのためにここまで準備してくれたんだねえええええええええ!」 「んほおおおおおおおおおお、だからまりさだいすきいいいいいいいい!!!」 「みんな、春になるまで、一日50回はすっきりさせてあげるね!!!」 「さっそく、いぐよおおおおおおおおほおおおおおおおお!!!」 「や、やべでええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」」 「こどもはやべでぐだざいいいいいいいい!!!」 「こどもだからいいのおおおおんほおおおおおおおおおお!!!」 泣き声、うめき、悲鳴、嬌声。 様々な絶叫が渦巻くかつてのまりさの家。 やがて、すべてが嗚咽交じりの嬌声と、心の底からの嬌声にとけていき、高みにのぼりつめるなり、再び地獄の入り口へと戻っていく。 そんな騒々しい葬送曲に贈られて、まりさはいつしか息絶えていた。 その死に顔は、なぜかすっきりしたものだった。 あとがき どうも、小山田です。 今回はひたすらすっきりーをテーマにしてみました。 次はすっきりできそうもないので外した部分ですが、よければどうぞ。 おまけ 「むきゅう、むきゅう」 暗がりのなか、ぱちゅりの静かな声が響いている。 「ゆぐぐぐぐ!」 応えるように悲鳴をあげるのは、その足元。 ぱちゅりが産み落としたばかりの赤ちゃんまりさが、母のぱちゅりーに踏まれて大きく形がたわんでいる。 歯磨きチューブを余さないよう端からしぼりあげるように、片側によった赤ちゃんの中身。それももうすぐ、弾けそうになっていた。 「おがあざん、やめでええええ! つぶれるううう、まりさ、しんじゃうよおおおお!」 「そのためにやっているのよ。お姉さんのように死んでね」 パチュリーの言葉通り、周囲には踏みにじられた子供の死体。 「いやああ、ぶべべげべっ!」 今、最後の子がその後をおった。 その死を見届け、パチュリーの顔に浮かぶ微笑。 よかった、これでまりさは戻ってくる。問題は、全部消えた。 ぱちゅりーは望まぬ子らを産み落とした後、しばらく呆然と見ていた。 が、ぱちゅりーの半端に聡明な思考は一つの仮説をつくりだしてしまう。 この子がいなけらば、まりさとやりなおせるのではないか、と。 こうして、無慈悲に効率的にわが子の命を終わらせていったぱちゅりー。 よかった、これで幸せになれる。 けれど、パチュリーの思考を越える事態が起こっていた。 このほっぺたに流れる温もりはなんだろう。 この心の奥を潰してしまいそうな想いはなんだろう。 わからない、それより今はただ眠い。疲れた。 ぱちゅりーはわが子の死体が散乱する巣穴で静かに寝息を立て始めた。 その姿を見届けて、去っていくゆっくりの影が一つ。 ぱちゅりーと結ばれる予定のゆっくりまりさだった。 あれから、まりさは必死にぱちゅりーへ感じていた愛情を思い起こし、ぱちゅりーを許そうと努力した。 やはり愛しているのだ。 子供たちだって、面倒を見てもいい。自分の子供だと思い込もう。 固い決心をして再びやってきたパチュリーの住処。 だが、目撃したのはわが子をほほえみながら潰していくぱちゅりーの姿だった。 鬼女。 まりさの脳裏にそんなことが浮かぶと、もう耐えられない。 ここにいてはいけないと、まりさの本能が告げていた。 そうして、ここを出たらすぐに引っ越そう。こことは違う、ここのことを思い出せないぐらい遠くに。 まりさは振り返る。 そこにはすやすやと餡子にまみれて眠るぱちゅりの姿。 さようなら、パチュリー。 小さな声で言い残し、まりさはパチュリーの前から姿を消す。 二匹は、二度と会うことはなかった。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1868.html
前 種付けゆっくり・後編 ここは山の中腹にある草原。ここは山のゆっくり達が集い、思い思いにゆっくりと過す、いわゆる「ゆっくりプレイス」である。 ゆっくりは仲間達と追いかけっこをしていたり、歌ったり、草原の草花に舌鼓をうったりと楽しく過している。 「ゆっくりしていってね!!」 「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 ゆっくり達はお決まりの挨拶の後、親愛の証として頬擦りをする。 その中の1匹がまりさであった。 「きょうもなかよくゆっくりしようね!!」 「「「「そうだね!ゆっくりしようね!!」」」」 まりさは幸せであった。最高のゆっくりプレイスで、大好きな仲間達と思う存分ゆっくりする。 まさにゆっくりらしい生活である。まりさは死ぬまで存分にゆっくりできると思っていた。 それは他のゆっくり達も同じである。 今日も夕方まで思う存分ゆっくりとし、夜になったらぐっすり寝る。そしてまた次の日にゆっくりする。 それだけで幸せだった。しかしそう上手くいかないのがゆっくりであった。 朝、いつもの様に目が覚める。いつもの様な心地よい朝だ。しかしその日は少し違った。 「ゆぅぅ・・・きょうはいつもよりねむいよ・・・!」 しっかり寝たはずなのに寝不足である。それもそのはず、このまりさは昨晩虐殺お兄さんに連れ去られ 改造されたまりさなのである。 まりさは寝たりなかったが、いつも通りにゆっくりプレイスでゆっくりと過す事にした。 「きょうもいちにちゆっくりしていってね!」 「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 いつもの通り仲間達とゆっくり過すまりさ。しかし眠気のせいかいつもよりは元気が無い。 「むきゅん・・・どうしたの?まりさ。どこかいたいの?」 「だいじょうぶだよぱちゅりー!ちょっとねむいだけだよ!」 「まりさのげんきがなかったからしんぱいしたじゃない!・・・か、かんちがいしないでよ! ありすとかいはだからともだちのしんぱいをするのはとうぜんでしょ!!」 「なにもないならあんしんしたよ!ひきつづきゆっくりしていってね!」 「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 まりさは引き続きゆっくりした。しかしどうしても疲れが取れない為、夕方前に帰ることにした。 「ゆゆ~・・・きょうはどうしてもねむいからいえにかえってゆっくりねることにするよ!」 仲間のゆっくり達は残念そうだが、無理やり引き止めるのも悪いのでまりさを見送った。 「きょうははやくかえるけど!あしたはもっとゆっくりしようね!!またね!!」 「「「「またゆっくりしようね!!」」」」 挨拶を済ませるとまりさは巣に戻った。 少しゆっくりしようとも思ったが、眠くてしょうがない為餌を軽く食べてすぐに眠った。 朝 「ゆっくりよくねたよ!!」 昨日の疲れが嘘の様に取れていた。その為まりさはまたいつも通りにゆっくりプレイスでゆっくりと過した。 「きょうもなかよくゆっくりしようね!!」 「「「「そうだね!ゆっくりしようね!!」」」」 普段通りのまりさの様子を見て、皆安心して挨拶を返す。 その後はまたいつもの様に夕方までゆっくりと過す。 そしてまたいつもの様に 「またあしたもゆっくりしようね!!」 「「「「またゆっくりしようね!!」」」」 そしていつも通り夜になると眠った。 夜空が白みがかってきた頃、まりさは寝苦しさを覚え目が覚めた。 「う~ん・・・ちょっとあたまがいたいよ!」 といいつつまた寝ようとした時、異変は起こった。 頭に突然激痛が走り、直後めりめりと妙な音が巣に響いた。 「ゆげぇええ!!」 その後体内の餡子が頭の上に吸い上げられる感覚がした。 「あがががが!うげぇえぇぇぇ!!」 まりさは視線を上に向けた。するとそこには大量の蔦が見えた。 数秒程混乱したが、蔦に餡子が吸われているのが分かるとすぐに気付いた。 「な、なんでまりさがにんっしんしてるのぉぉぉおおぉぉ!?!?!?!?!?!?」 まりさは理解できなかった。何故なら今までにすっきりの経験が無かったからである。 夜の内に他のゆっくりにレイプされた形跡もなく、巣の中は寝る前となんら変わり無い。 混乱している最中にも、次々と餡子が蔦に吸われてゆく。 「ぐげげげげ!!!おごごごご!!!・・・」 まりさは白目をむいた。 「ゅっ・・・ゅ゛・・・」 そしてそのまま真っ黒になり朽ち果てた。 20匹分の赤ゆっくりの芽があるだけでもゆっくりにとって危険な上、 通常の3倍程の成長速度のある特製ゆっくりが一気に餡子を吸い上げる。 並のゆっくりでは餡子があっというまに足りなくなり、そのまま死ぬ。 まりさ以外の改造されたゆっくりも、同じ頃に同じ様に朽ち果てた。 そして夜が明けた。 改造された成体ゆっくりは皆つがいが居なかった為、誰の目にも触れずに巣の中で死んでいたが、 改造された子ゆっくりはそうではない。朝起きた時点で家族が見付け、騒ぎ立てた。 「うわぁあああああ!!れ゛い゛ぶのこどもがあああああぁぁぁあ!!」 「おねえぢゃあぁぁあああん!!!!」 などと泣き叫んでいたが、10分もすると 「しんだこどものぶんまでゆっくりするよ!!」 などと言ってゆっくりプレイスでゆっくりしだした。ゆっくりらしく切り替えが非常に早かった。 他のゆっくり達もいつも通りにゆっくししていた。しかし異変は起こった。 昼を過ぎたあたり、まりさの仲間のゆっくり達は妙な倦怠感を覚えた。その直後に体に激痛が走った。 「「「「ゆぎえぇえええっぇぇぇ!!!!」」」」 近くに居たゆっくりが驚き振り返ると、妙な光景が広がった。 そこには頭から大量の蔦を生やしたぱちゅりーとありす、急激に体の膨れ上がったれいむの姿があった。 「「「「ぐえぇぇえええ!うがぁぁああぁぁぁぁあ!!!」」」」 それぞれがゆっくりのものと思えない様な奇声をあげた。 蔦を生やした方のゆっくりは見る見るやせ細っていき、そのまま黒ずんで朽ち果てた。 膨れ上がった方のゆっくりは目玉が飛び出し、口から餡子を撒き散らして朽ち果てた。 3匹のゆっくりが怪死を遂げた為にゆっくり達は大騒ぎしたが、 それでも30分もするとゆっくり達はゆっくりを再開しだした。が、その矢先 「ゆゲぇええエええェェえぇぇッ!!」 ゆっくりプレイスにまた奇声が響いた。 子ゆっくりが子供とは思えない様な奇声を上げたかと思うと、突然膨れ上がり、破裂した。 それを皮切りに他のゆっくり達も奇声を上げ、形を変えた。 先のゆっくり同様にあるものは蔦を大量に生やし、またあるものは急激に膨れ上がり、それぞれ朽ち果てた。 素晴らしいゆっくりプレイスは今や地獄と化した。 ゆっくり達は巣に逃げた。そうしている間もゆっくり達が次々と怪死してゆく。 「ごわ゛ぃよおおおおおお!!・・・おごごごあががが!!」 メキメキベリベリベリ・・・ 「おぎゃあザあアぁぁっぁあぁっあっ!ごがぁぁ!!」 パーン・・・ 「もうやだああああ!おうぢがえぇエぇぇエレエレエレおごォぁ!!」 グチャ・・・ 快音が響き渡る。しばらくするとゆっくりプレイスからゆっくりが居なくなり、辺りは風の音だけが響いた。 巣に戻ったゆっくり達は安心していた。ゆっくりプレイスにいなければ死ぬ事は無いと考えたからである。 しかしそれはただの思い込みである。 ゆっくり達の巣からは相変わらず快音が響いている。それは昼夜問わず鳴り響いた。 そして数日が過ぎた。 「こ、これは凄い・・・」 村の人々はゆっくりプレイスを見て思わず息を飲んだ。 そこには散乱した餡子やゆっくりの体の一部、真っ黒に朽ち果てたゆっくりの死骸、そしてそれに群がる蟲達。 ここまでうまく行くとは村の人々は思っていなかった。 「どうです?凄いでしょう♪」 満面の笑みを浮かべ、ゆっくりプレイスを進んでゆくお兄さん。 「この近くにドスまりさの巣があります。そこも行って見ましょう♪」 そう言ってお兄さんはっくりプレイス近くの大きな洞窟まで来た。 奥から何やら呻き声が聞こえる。お兄さんは洞窟を進んだ。 「うぅぅ・・・どうしてこんな事に・・・うぐぐぐ・・・」 そこには異様な姿のドスまりさがいた。 頭からは大量の蔦を生やし、胴体は不自然に膨れ上がっている。 なんと植物型と動物型両方のにんっしんをしているのであった。 蔦には推定100匹分以上の芽があり、胎内には推定30匹以上の赤ゆっくりがいる様だ。 お兄さんは 「おい!ドスまりさ!ここで何があったんだ!?」 と心配したフリをしてドスまりさに尋ねた。 「分からないよ・・・みんな急ににんっしんしてそのまま死んじゃったんだ・・・ お兄さん・・・まりさをたすけて・・・」 そう言うやいなやドスまりさは白目を向いて気絶した。 「おい!大丈夫か?起きろ!!」 声を掛けても起きる様子は無い。 そこでお兄さんは洞窟の外に居る村の人々に呼びかけた。 「このドスまりさを運び出します。手伝ってください。」 そういってこのドスまりさを助け出した。 数ヵ月後 「ここはまりさたちがみつけたゆっくりぷれいすだよ!ばかなにんげんはでていってね!」 「うげぇぇええ!!ぎゃあああああ・・・・・・」 「こんなところにいたんじゃゆっくりできないぃぃぃ!!おうちがえるうぅぅぅ!!」 「2度と来るんじゃないぞ!」 「うるさいばか!ゆっくりできないじじいはしね!!」 「ふう、まぁ2度と来れないんだけどな♪」 村のゆっくりの被害は激減したが、それでも別の山のゆっくりは来る。 その為村に侵入したゆっくりには改造手術を施し、野に返している。 「あのくそじじいもどすにかかればいちころだよ!みんなでむらをしゅうげきしようね!」 「「「「おーーーー!!!・・・・・オごご・・・うぐぇぇぇえええ!!!」」」」 ぐちゃり 今日も村は平和である。 ちなみにお兄さんに助け出されたドスまりさは、加工所でゆっくり養殖用として第2の人生を送っている。 「ゆっくりした結果がこれだよぉぉぉおぉぉおお!!!」 めでたしめでたし 「めでたくないぃぃっぃぃいいいい!!!」」 終 読んでくれてありがとうございました。 まだ慣れていない為、見苦しい点もあるかと思いますが、生暖かい目で見てやってください。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1433.html
※他作者様の設定を使わせていただいております。 ※下品な表現がありますので、それが嫌な方は今すぐに回れ右してください。そう、今すぐに、です。 ゆちゅりーのゆっくりアイス 暑い。 とにかく暑い。 今年の夏は例年以上に暑く、ここ毎日最高気温を更新していた。 そんな中、俺は冷房を28度に設定した部屋の中で、ゆっくりと「ゆっくり宇治金時」を食していた。 うん、今流行のクールビズってやつだね。電気代も高くなっているそうだし、一人身はちょっとお財布の紐を硬くしておきたいのさ。 といっても、我が家の電気は全て「ゆっくり回し車」で発電しているから問題ナッシングネスなんだけどね。苦労するのはゆっくりだけだし。 「んまーい♪」 絶望と恐怖で凍りついた表情を張り付かせたままの、ソフトボールくらいの大きさのゆっくりれいむの頭頂部を外し、しゃくしゃくと気持ちの よい音をさせながら、凍った抹茶餡を崩して口に運ぶ。さらりとした甘さの抹茶餡が溶けながらのどを滑り落ちていく。 ゆっくりれいむはまだ息があるのか、「ゆ”…ゆ”…」とか細い声を上げながら、命の源が少しずつ少しずつ削り取られていく恐怖におびえていた。 「流石自家養殖の新鮮なゆっくりれいむは味が違うねー」 このゆっくりれいむは、我が家および公営スキー場の雑草処理係の内の1匹として、つい1週間前までは元気に飛び跳ねていたのである。 雑草だけを純粋に食べるよう調教されたゆっくりの餡子は、通常の粒餡から、小豆を残したまま濃い緑色をした抹茶餡へと変化する。 餌によってゆっくりの中身が変化することは知られているが、まだまだ未解明な部分が多かった。ある地方で捕獲されたドス・まりさの中身は、 濃い黄金色をした、濃厚な栗餡に変化していたという報告が出ているし、とある家庭で飼われていたゆっくりれいむの中身は、鮮やかな紫色を した紫芋餡へと変化していたという。 もともと謎の多いナマモノであるゆっくり。突然出現したこれが、人家や農作物に被害をもたらし害獣認定されてから3年。 その3年で、さまざまな研究が行われて、ゆっくりの生態などが解明されてきたが、まだ未知の領域が残っているのである。 うん、ロマンに満ち溢れているナマモノだね、ゆっくり。おいしいしね。ウザイけど。 「ゆっくりれいむとゆっくりまりさは餡子が変化するんだけど…そのほかの通常種はどうなんだろ」 すっかり中身のなくなったゆっくりれいむの皮を飲み込むと、俺はそう呟いた。 「たとえば、ゆっくりぱちゅり。あれの中身は生クリームなんだけど…他のに変化するのかな。たとえばイチゴ味とか。よし、試してみるか」 そう思い立ったら吉日。 俺は部屋を飛び出し、炎天下の町へと繰り出していった。 1時間後。 いろいろと買い込んできた俺は、慣れた手つきでゆっくり専用拷問部屋の中に機材をセットした。 今回の犠牲者…もとい、犠牲ゆっくりになっていただくのは、つい昨日捕獲されたばかりの野生のゆっくりぱちゅり3匹。 大きさはちょうどハンドボールくらいで、成体になる1歩手前だろうか。 加工所で購入してきた、3匹のゆっくりぱちゅり、通称ゆちゅりーをわが社の新商品「ちょうきょうくんG」に、起こさないように顔をを上向きにして入れる。 このクソ暑い中でも目を覚まさないなんて、加工所の仮死状態維持システムは凄いね。 そして、DVDプレイヤーから伸びた音声出力コードをドルビーサラウンド5.1チャンネルアンプを介してから、ちょうきょうくんG下部にある音声入力端子につなげる。 「うし、これで準備完了ーっと。でわでわ逝きますかー」 微妙なニュアンスを含んだ一言を呟き、俺は魔法の言葉を大声で叫ぶ。 それは、愛しのお姫様を目覚めさせる魔法の言葉。それは、悲劇のヒロインを絶望のどん底に陥れる呪いの魔法。 「ゆっくりしていってね!!!!!!!」 「「「ゆっ…ゆっくりしちぇいってね!」」」 そういうと、ほぼ同時に3びきのゆちゅりーが目を覚まして言った。 「おじさん、ここはぱちゅりたちのゆっくりぷれいすにするわ」 「わかったらゆっくりでていってね」 「ごはんとごほんをゆっくりとはやくよういしてね」 うんテンプレどおりっ!ははは、何も知らないって無知だね。といっても、生クリーム脳じゃ理解できないんだろうけど。 知能が高いと言われているゆちゅりー。でも、それは他のゆっくりと比べてであって、やっぱりゆっくりでした!ごめんなさいっ! 「透明な箱に入って何言ってるのかなベイビー?ここはお兄さんの家で、君たちはこれからお兄さんの実験につきあってもらうんだよ。ユーアンダスタン?」 これから始まるであろう惨劇を想像してぞくぞくする俺。やべぇ、少しおっきしてきた。 俺、もしかしてドSのHENTAIさん?いや、違うっ!紳士という名のッッッHENTAIなのだッッッッッ!!! 「なにいってるのおじさん?ばかなの?しぬの?」 「はやくごはんとごほんもってきてよね」 「さっさとゆっくりでていってね。ここはゆちゅりーのゆっくりぷれいすにするんだから」 人を小ばかにしたようなこの言い草。自分が生態系の最底辺に位置する完全被捕食生物であることを理解していないみたいだね! よし、ではこれからそれを思う存分思い知らせてあげよう! 「うん、また、なんだ。この映像は僕のおごりさ。でも、これを見たときに、君たちは確かなゆっくりを感じることができると思う」 ニコニコしながらそういいつつ、俺は傍らにあった液晶ディスプレイをゆちゅりーたちの目の前に設置し、スイッチを入れる。 と同時に、ちょうきょうくんGのふたを閉めて、南京錠できっちり鍵を閉める。 それと同時に、ある映像が流れ始めた。 主演はもちろん、この俺。 俺が、大小さまざまなゆっくりれいむやゆっくりまりさ達を、惨殺し、喰らい、拷問している映像だ。 今年の春に、社食に現れたゆっくり一家にキレた俺が、ついつい暴走したことがあった。そのときの隠し撮り映像(撮影:同僚A)である。 今では、加工所でゆっくりの仕上げに使われているという。 くそう、楽しみにしていた特盛ダブルカツカレーとイチゴの洗面器パフェ台無しにしやがって。ちょっとむかついてきた。 画面の中のゆっくりは、あるものは後頭部から喰らわれ、あるものは核ごと手刀で撃ち貫かれ、あるものは正拳突きで核を引き抜かれ、あるものは左右5つの 穴から餡子を噴出しながら、のたうちまわっている。おまけには生き赤ゆっくりの焼き饅頭だぜフゥハハハー。 まさに血しぶきならぬ餡子しぶき飛び散るスプラッタ映像。心臓の悪い人やお子さんは見ちゃいけないぞ!お兄さんとの約束だ! でも、その音は外部には聞こえてこない。静かなものだ。だがしかーし、箱内部のゆちゅりー達にはその音が、ゆっくり達の命乞いや断末魔の叫び声と、俺の狂った 笑い声が生々しく聞こえているはずだ。その証拠に、ゆちゅりー達はひくひくと痙攣しながら体中の穴という穴から謎の液体を噴出している。 このちょうきょうくんGは、優れた防音性を持ちながらもゆっくりを痛めつけないように優れた環境維持性能を持っている。 その上、内部に直接音声を流すことによって、ゆっくりたちに確実な恐怖を与えることができるのだ。 うむ、そろそろ頃合かな。 俺はDVDの再生を止め、ふたを開ける。 そして、ひくひくと痙攣しているゆちゅりーに声をかける。 「おーい、生きてるかー?」 「ゆ”…ゆ”…あ”か”ち”ゃんた”べないでぇ…」 「い”や”…い”や”…こ”な”い”でね”ぇえ”え”えっ!!」 「ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”」 「生きてるな。簡単に死んでくれたら困るんでなー」 そう言いつつ、今度はゆちゅりーの口をこじ開けて中に管を挿入する。 管の先には、2リットルのペットボトルの中にイチゴ牛乳を入れたものがつながっていた。それを3匹に1つずつつなげ、口の皮をガムテープで寄せて固定する。 「さて、あまーいイチゴ牛乳ですよー。たくさんあるからゆっくり全部飲んでね!!!」 そういうと、管をはさんでいた洗濯ばさみを取り去る。管を伝って勢いよくイチゴ牛乳がゆちゅりー達の中に流れ込み、その衝撃で飛びかけていたゆちゅりー達の意識が 戻ってきた。 「「「ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”」」」 目を見開き、恨めしそうに俺を見るゆちゅりー達。 「うんうんそうかそうかー。おいしいかー。おにいさんうれしいなー」 見事なまでの棒読みで相槌を打つ。 すると見る見るうちにゆちゅりーの体が膨らんでいく。2リットルのイチゴ牛乳が全て入り終わるころには、ゆちゅりー達の体はもともとよりふた周りくらい膨らんでいた。 すげえ、全部入っちゃったよ。つーか、ちょうきょうくんGにみっちり詰まってやがる。 デジカメで写真を撮り、ついでにガムテープをはがして管を抜いてやる。 「ゆ”っ…ゆ”っ…ひ”どい”よひ”どい”よ”お”おぉおぉぉっ!!」 「こ”のし”し”い”、ゆ”っく”りし”でえ”ぇぇぇぇぇっ!」 「asawsedryguhnjiko lp +*!!!!!」 憤怒と憎悪の形相で、俺をにらみつけるゆっくり達。しかし、徐々にその体が赤らんできた。心なしか、そわそわしているようにも見える。 「どうしたのかなー?もしかして、出ちゃうのぉー?」 この上なく棒読みで、ニヤニヤした笑みを浮かべながら聞く俺。しかし、ゆちゅりー達は、そんな余裕はない様子だった。 よく見ると、あごの下にあたる部分に、黒い穴が開き始めていた。 あー、こりゃすぐポロロッカ状態になりそうだな。 ゆっくりは、基本的に排泄行為を行わない。口に入れたものはほとんど全てが内臓器官で消化される。 しかし、何らかの理由で、1回に内蔵で処理しきれないほどの水分を摂取してしまった場合、体内の餡子が解け出てしまうのを防ぐために、体の一部を変形させて一時的に 排水を行うことができる。 その際には、人間でいう下顎周辺に新たに排泄口ができ、そこから排水を行う。そして、排水が終了すると同時に閉じるのである。 俺は、そこに手早くシリコン製のチューブを体の奥まで差し込んだ。そして、反対側のチューブを口の奥まで差し込み、舌の上にガムテープで固定する。 「「「い”だあ”あ”あ”あ”いいい”ぃぃぃっ!!!!!!!!ぼじざんな”に”ずるのぉぉぉぉ!!!」」」 「ごめん、手が滑った。それよりいいのかい?おしっこ出ちゃいそうなんでしょ?すっきりしたいんでしょ?お兄さんのことは気にしないで、すっきりしたら?」 「ゆっ!?」 「このままじゃすっきりできないでしょ?」 「ゆっゆっ!そうだったね!」 「はやくすっきりするよ!」 「ぱちゅもすっきりするの!」 排泄のための穴に管を挿入された痛みもすっかり忘れたのか、ゆちゅりー達は口々にそう言った。やっぱりゆっくりはゆっくりだね。 そう言い終えたゆっくりの口を、俺はすかさず再び閉じ、ガムテープで厳重に目張りをする。ゆっくりの下の世話をするのは嫌だからね。 そうこうしている内に、ピンク色の液体が管を勢いよく流れていく。おー、そのまま出るのか。俺の予想どうりじゃないか。 そして!行き着く先はッッッ!もちろんゆちゅりー達の口の中だああぁぁぁぁぁ!!!!! 「「「ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”」」」 苦しそうに目を白黒させて悶えるゆちゅりー達。うわ、すげー嫌そうな顔してる。てか、お前ら下手なところできれい好きなのかよ。ゴミ饅頭の癖に生意気な。 ま、俺も飲尿趣味なんてないから、ごめんこうむりたいけどな! さてさて、なぜ俺がこんなHENTAIじみたことをしたのか種明かしといこう。 ゆっくりは、常に同じ種類の餌を摂り続ける事によって自身の中身を変化させる。 だから、雑草だけを食べ続けたゆれいむの中身が粒餡から抹茶餡に変わっていたのだ。 今回の実験は、同じものを摂り続けたゆちゅりーの中身(生クリーム)が、別のもの(イチゴクリーム)に変わるかどうかを確認することが目的である。 しかし、イチゴなんてものはこの季節には売っていないし、例え手に入れることができたとしても高価なもの、ゆっくりごとき下等生物にやろうなんて気はさらさらない。 ならばどうしたらいいか。 ゆっくりは、過剰摂取した水分をそのままの形で排水する。そして、消化器官で吸収できる分はゆっくりの体内に吸収され、栄養となり消費される。 つまり、餌となる成分の含まれた水を過剰摂取させ、それの排出→摂取→吸収というサイクルを確立させれば、餌やりも特別いらず、かつ同じ種類の餌を続けて供給できる ことになるのである。 もちろん、ゆっくりに人権なんぞないわけで、こんなひどい仕打ちをしても問題はないわけで。 「さてと、このままションベンが出なくなるまで、君たちにはそのままでいてもらうよ!もちろん、キミの食事は自分のションベンだけだからね!嫌でも飲まなきゃ死んじゃ うから、頑張って飲み続けてね!それじゃ…たっぷりゆっくりしていってね!!」 そう言うと、俺はゆちゅりー達の入ったちょうきょうくんGのふたを閉めて南京錠で開かないように固定した。 ゆちゅりー達の憎しみと恨みと怒りが篭ったうめき声を聞きながら、俺はゆっくり専用拷問部屋をあとにした。もちろん、ドアにはきちんと鍵をかけてね! それから20日後、ようやくゆちゅりー達の水分排出が止まった。 そこから逆算すると、ゆちゅりーが1日に必要な水分の量は100ミリリットルとなる。大体コップ半分くらいだね。多いように見えるが、実際には食事からも水分を摂っている ため、水分単体で見るとそう多くはない数字だ。 うちのゆっくり回し車の参考になるなと思いながら、俺はゆっくり専用拷問部屋に入った。いくらか成長したのか少し窮屈そうにちょうきょうくんGに入っているゆちゅりー達。 「ゆっくりしていってね!」 開口一番そう声をかけたが、ゆちゅりー達は虚ろな目で明後日の方向を見ながらかすかな呻き声をもらすばかりだった。 「ありゃ、こわれちゃったか。でも、これからお亡くなりになってもらうんだし、どうでもいいか」 そう言うと、俺はちょうきょうくんGのふたを開けて、1匹目のゆちゅりーを取り出した。 丁寧にガムテープやら管やらをはずす。そして、手にしたぺティナイフでことさらゆっくりとした手つきで、帽子と髪ごと後頭部を切り開く。 生きたまま体を切り開かれる痛みに、ゆちゅりーの目が大きく見開かれるが、声は出ない。かすかな呻き声が出るだけ。 「おー、いい色に染まってるじゃないの。実験成功したじゃん」 ゆちゅりーの生クリームは、見事薄いピンク色に染まっており、甘いいい匂いを放っていた。 俺は、スプーンでそれを一口すくうと口に入れた。 口の中にイチゴの芳醇ないい香りと甘い味が広がる。 「どれどれ、他のはどうかなー?」 2匹目、3匹目のゆちゅりーも同じように切り開いて確かめてみる。 結論から言うと、2匹目3匹目のゆちゅりーも、1匹目と同じように中身がイチゴクリームに変化していた。 これで、ゆちゅりーも同じ餌を摂り続けることによって、中身が変化するということが証明できたわけである。 「よーし、忙しくなるぞー。とりあえずは、研究レポート持ち込んで上の連中を説得するか!」 そう言うと、俺はすっかり廃ゆっくりとなってしまったゆちゅりーたちをお盆に載せて部屋を出て行った。 それから数ヵ月後。 クリスマス商戦にあわせて、加工所から新しい商品が売り出された。 その名も「ゆちゅりーのゆっくりアイス」である。 ゆちゅりーの中に、ゆちゅりーのクリームをそのまま固めたアイスが詰まっているというこの商品。 それぞれのゆちゅりーの中に、異なった味のゆちゅりーアイスが詰まっているということもあり、大家族用夜パーティー用に売れたとか。 おしまい あとがき マイサンがおっきしてくれた勢いで書いてしまった人生初の投稿SS、楽しんでくれたならば幸いです。 粒餡が別の餡子に変わるのならば、生クリームも変わらないはずがない!と、単純な思考かつ短絡的なネタです。 おいしいですよね、アイス。暑いときにはぴったりですよ。私はかき氷も好きですがね! でわ、また気が向いたら投稿するやも知れません。そのときは生あったかい目で生あったかく見守ってやってください。 ご意見、ご感想などお待ちしております。 ゆっくり虐待スレ29 レス番号602の人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1014.html
前 (@BGM 『熱情の律動』) 『盛り上がってまいりました! 開始早々決勝進出に王手をかけたF大付属。丁寧な仕事で反抗の意志を奪い、 一網打尽かと思われましたが、時間をかけた仕上げがアダとなり西日暮里高校の介入を許しました!』 『西日暮里高校の機体、テイクイットEZ8。無骨な鉄の塊を思わせるデザイン、低重心で肩幅広く、 鉄機やマトリックスのザイオン防衛メカを連想させます。 西日暮里が準決勝のメインアームに選んだのはサブマシンガン。命中率よりも戦場により多くのBB弾をばらまく ことに重点を置いたチョイス。左手にはもうおなじみとなったドリル。鈍色の塗装がストイックな外観と相まって、 森とゆっくりのメルヘンチックなフィールドで一際異彩を放っております!』 『そしてなによりもおどろきなのは、西日暮里、機体にゆっくりれいむを搭乗させております』 『ただいま入りました情報によりますと、この子ゆっくりれいむ、西日暮里高校の操縦担当・大沢君が 個人的に飼育している飼いゆっくりのようです!!』 『なんということでしょう・・・・・・。戦場にもちこんでしまったゆっくりはたとえ滅失しても文句は言えません。 不退転の決意のあらわれか西日暮里高校・大沢!!』 『れいむの、まりさのあかじゃんをだすげでねええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!』 『おねがいねえええええええええええええええええええええええええええええええ!!!』 子ゆっくり達を背に、メカゆゆこと対峙するEZ8。その操縦席で不敵な微笑みを浮かべるれいむ。 逆さま状態から復帰したメカゆゆこは、半開きの口から触手をチラつかせて威嚇する。警告音。サイドワインダー。 その音響にゆっくりたちは震え上がる。だがEZ8に搭乗するれいむは違った。不敵な微笑はそのままに、勇ましい目つきを崩さない。 『にらみ合いが続いております』 『両者の体格差は一目瞭然ですね。メカゆゆこがバランスボールだとすると、EZ8はせいぜいXBOX360程度。 力比べでは太刀打ちのしようがありません。ここはローラーダッシュでかく乱しつつ刻んでいきたいところ』 『しかしサブマシンガンではメカゆゆこの外皮を貫くことは困難でしょうし、押し付けなくては効果が発揮されない ドリルは球体のメカゆゆこを相手取るには不適格と思われます』 『準々決勝で見せた狙撃銃や、切り札と公言していたパイルバンカーであれば対抗できたかも知れませんが……。 天秤はいまだF大付属に傾いている!』 そのとき、両者が動いた。 EZ8は後背に位置するゆっくり達をかばう様、直進しつつサブマシンガンを連射。 メカゆゆこは触手を勢いよく地面に突き立てると、 その反動を利用して大きく後ろに跳び、茂みの中へと消えた。 EZ8が急停止する。 茂みの向こう、メカゆゆこが立てる物音が急速に遠ざかっていく……。 (@BGM 停止) 『おっと……? これは意外な展開です。メカゆゆこが撤退しました。有利とおもわれていたF大付属、 ゆっくりの群れを前にして逃げてしまいました……?』 『向かう先に他の群れがいるようです。相手ロボとの戦闘よりも、ゆっくり回収力で勝負しようという作戦ですね』 『なるほど! メカゆゆこはゆっくりを体内に溜め込むことができますが、EZ8はそうはいきません。 自軍拠点にゆっくりたちを連れて行き、回収口まで誘導する必要があるのです』 脅威が去った。テイクイットEZ8はゆっくり達に向き直り、しゃがみこんだ。 「ゆ! だいじょうぶだったかい!?」 その言葉に、ゆっくり達の目に涙が溢れた。 「「「ありがどうううぅぅぅぅ」」」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 「「「おやさいあげるね!」」」 「ざんねんだけどまだゆっくりはできないね! やつはまだゆっくりをねらっているよ! れいむはほかのゆっくりもたすけなくちゃいけないんだよ!!」 「「「おいでがないでええええぇぇ!!」」」 「だいじょうぶだよ! れいむがあんぜんなところまでつれていくよ! みんなはそこから だっしゅつしてね! そとはもうゆっくりプレイスだよ! だからゆっくりしないでついてきて!!」 EZ8が立ち上がる。ゆっくりの一団はそれぞれやさいのかけらをくわえ、EZ8の先導に従って森に入っていく。 『ご覧ください! 感動的な光景です。救世主ゆっくりに導かれ、ゆっくりの生き残り達が救助されようとしています』 『ゆっくりいそいでかえってきてね!』 『どこのれいむかしらないけどありがとうね!』 ほろほろと感謝の涙を流す親ゆっくり。すでにケースの下には涙がたまって水位を上げつつある。 また、酷くいらだたしい微笑みを浮かべて解説者二人をちらちらと横目でみやる。まるで勝ち誇っているかのようだ。 解説者は笑っていた。 『さあ、ベースに戻ってまいりました西日暮里高校。助けられたゆっくりたちが列を成して回収口に 入っていきます。おお? お礼の野菜をEZ8に差し出しました。しゃがみこんでドリルで受け取るEZ8。紳士です』 『ここで避難口の様子を見てみましょう』 暗く狭い通路。ベルトコンベアになっているそこを、助けられたゆっくり達が流れていく。 救出の喜びを分かち合い、助けられなかった同胞を嘆き、憎いメカゆゆこに復讐を誓う。 悲喜こもごもを乗せて、ベルトコンベアは進み、暗幕の向こうへ。 そこには水平にすえられた刃があった。 流れていくゆっくり達は、暗幕を潜って直ぐのところにある刃で滑らかに、何も知らないうちに分割された。 顔のある方は刃の上のコンベアに、餡子の過半数を有する下膨れ部分は下の廃棄溝に。 餡子のほとんどと切り離されたゆっくりは偽りの救出に顔をほころばせたまま、動かなくなった。 頭部だけを乗せてベルトは流れてゆく。 『・・・・・・・・・・・・』 『・・・・・・・・・?』 解説席の親ゆっくりは急激な状況の変化についていけなかった。 感激の涙を流しながら、ベルトコンベアで運ばれてゆくもの言わぬ顔だけになった子供達を目で追っていた。 さっきまで動いていた子供達。助けてくれたロボに感謝していた子供達。 いまは一様に、中空を見据えたまま動かない。 その様子に疑問を抱いたのか、少しずつ表情が曇っていく。 『はい。動かないように処理したゆっくりは、手作業で飾りを回収します』 『12個? 12個ですね。西日暮里高校、一挙12得点です! 決勝進出確定にはあと4個の飾りを回収する 必要があるため油断は出来ませんが、F大付属に大きく水をあけたと言っていいでしょう』 画面下にテロップが表示される。"ゆっくりの死骸はこの後ミキサーにかけ、肥料にいたします" 『しかし西日暮里高校・大沢。無垢な飼いゆっくりれいむを餌にしてゆっくりたちを騙し切りました。 友釣りの要領です。これまで手練手管を使い、人型ロボの汎用性・応用性を最大限に生かして、性能的 に上位の相手をことごとく下してきました。』 『そら恐ろしくさえありますね。大会的にはロボットの製作技術で白黒つけてもらいたいところではあるのですが』 『奇しくもゆっくり型対人型の対決となりました。知恵を使って自分達より強い獣を倒して繁栄してきた のがわれわれ人間ですから、どうも西日暮里のEZ8を応援したくなりますね。 ゲストの親ゆっくりさんはどうでしょう。どちらが勝つと思われますか?』 両サイドからマイクを向けられ、うろたえる親ゆっくり。 うつろに、取り繕うように微笑みながら、解説者達の顔を見回し、助かったはずの子供達の様子がおかしいことについて尋ねた。 『ゆっくりのこどもたちは……?』 解説者がマイクを自分に向ける。 『それは上半分ですか? 下半分ですか?』 『じねえええええええええええええええぇぇぇっぇぇぇぇっぇ!!!』 箱の中で親まりさが咆えた。親れいむは微笑みのまま白く燃え尽きていた。 『ごろじでやる! おばえらなんかゆっぐりじゃない!! にどどゆっぐりでぎないようにぢでや』 両サイドの解説者が同時にボタンをおした。箱の中の親ゆっくりは同時に机の中へと落ちていき、空の透明箱が残された。 『ここでお邪魔ゆっくりを2体投入します。親ゆっくりの飾りは得点になりませんので注意してください』 場面変わって森の中、球体が茂みを縫って移動している。 『F大付属、新たな群れを発見したようですね。おっとしかし……?』 メカゆゆこの進行方向に、6匹ほどの子ゆっくりがいた。 ゆっくりたちはすでにメカゆゆこの迫る方向に視線を向けていて、慌てた様子で四方に跳ねていく。 『先んじて逃げられました。これはどういうことでしょう。物音に警戒したというのでしょうか』 『これは死臭でしょう。むせかえるような餡子と黒蜜の匂いが危険を知らせてしまった……。 雲行きがあやしくなったF大付属。そつなく2匹を平らげたものの、ようやく6点。西日暮里の半分です』 『対する西日暮里は……。すでに次の群れに取り入っている! その数2体、いや、3体です!』 膝を付いたロボから話しかける飼いれいむに、3体の子ゆっくりれいむはめろめろになっている。 やがてうごきだしたEZ8に導かれて避難口へと向かう。 『勝利確定には届きませんが、限りなく勝利に近づくことのできる点数です』 『ご覧ください。自分達を処刑台に連れて行く執行者に、嬉々としてついていくゆっくりたち。その晴れやかな表情……』 『TVをご覧のお子さんにとって、極めて優秀な反面教師になると思います。知らないおじさんについていっては、だめですよー』 『では遠足気分のかわいいゆっくりたちをしばしご覧ください』 ロボットとゆっくりの一団は森を抜け、見晴らしのいい草原へ。西日暮里側の拠点、死境内へのエスカレーターが見えてきた。 「みんな、もうすぐそこだよ! ほかのゆっくりたちもまってるからね!」 「ゆ! おねえちゃんたちにあいたいよ!」 「ゆ! もうすぐゆっくりできるね!」 導かれる子ゆっくりたちは荒い息を押してゴールへと跳ねていく。 「そこまでだぜ!!」 勇ましい声と共にEZ8の上に影が落ちた。 操縦席のれいむが頭上に視線をやると同時、激しい衝撃が機体を襲った。 「ゆ"う"ううううううううううううううう!?!」 EZ8が吹き飛び、転倒する。 驚愕する子ゆっくりたちの前にぼってりと着地したのは、親ゆっくりまりさだった。 「りょうてのぶきをあたまのうえにあげるんだぜ! ゆっくりとね!!」 「おとーさん!?」 「どうしていぢわるするの!? あのれいむはみかただよ!!」 「ちがうの! あいつはにんげんのなかまだよ! いまおかあさんもくるからうごいちゃだめだよ! おまえたちのことはおとうさんがまもりぬくからね!! いまはただしんじてね!!」 親まりさの剣幕に子ゆっくり達は言葉を失う。ただ不安そうな顔で身を寄せ合った。 起き上がるEZ8。その動きに反応した親まりさが、子供達を背に隠す。 パイロットの飼いれいむは泣きながら地団太を踏む。 「どうじでじゃまするの! れいむはただ、みんなをたすけようとしただけだよ! あやまってね!」 「ふざけないでね! やくたたずのうらぎりものはまりさがたおすよ! ゆっくりじぶんのしたことをこうかいしてしんでね!」 EZれいむと親まりさの間で、敵愾心が膨れ上がっていく。 雷ばしるような緊張感のなか、先に動いた親まりさが、背後の子供達に告げた。 「・・・おとうさんのせなかを、よくおぼえておいてね……!!」 「ゆっ……」 「おとさん……」 か細い呼びかけを振り切るように親まりさは飛び出した。 視線の先には鉄の四肢をもつ裏切りれいむ。 敵うはずもない強大な敵に敢然と立ち向かう。 後ろに残した子供達、今なおどこかで逃げながらえている子供達、そして無残に殺されていった子供達のために――。 「ゆうううううううううううううううぅぅぅぅぅぅ!!!」 気合の叫びと共に突貫をかける親まりさ。ひらひらと舞い降りる赤い蝶。頬をかすめた蝶には目もくれず、一直線に相手の下へ――。 「ゆうううううううう……う……?」 その突進が、ゆっくりと減速して、止まった。 「…………」 親まりさは、振り返った。 子供達が心配そうに見ている。それはいい。親まりさの歩みを止めたのはそれではない。 すれ違った赤い蝶。その違和感だった。 蝶は草の上に落ちていた。 紅白の蝶。 ゆっくりれいむのリボン。 それも子どもサイズではない、親ゆっくりのサイズ。 親ゆっくりれいむのリボン。 それは、いつのまにか姿を現していた。 子ゆっくりたちの背後、死刑台に続くエスカレーターの入り口、その上に。 満月のように、メカゆゆこが鎮座していた。 『なんたることでしょう!! 西日暮里のゆっくり投入口の上にメカゆゆこが陣取っています!!』 『ゆっくりたちが脅えています。これではポイント還元が出来ません。 EZ8には格納機能がありませんから、ポイントを得るには投入口に入れないと……』 『こ、これはーーーーーー!!!?』 投入口前のメカゆゆこが、若干空を仰ぐように視線を上に。 するといままで隠れていた部位があらわになった。 メカゆゆこの口の真下にある小さなすぼまり。 地獄の門のようにゆっくりと開いた。 『これは! 間違いない!! 間違いないです!!』 『これは間違いないですねー! とんでもない隠し玉を持ってきましたF大付属!』 『解説も憚られるような光景が繰り広げられています! 悪趣味ここに極まった! いま西日暮里高校の投入口、唯一のポイント源であるゆっくり投入口が、あんこのトグロで埋め立てられてゆくーーー!!』 『も、最悪でしょう・・・…』 『実際のゆっくりにこのような生理現象はありませんのでご注意ください。 ともあれ、もうこの投入口をゆっくりがくぐることはないでしょう。西日暮里は追加点のチャンスを永遠に失ったことになります。』 親まりさは、ひりだされる餡子と黒蜜の混合物を見ていた。 明らかに餡子の量が多かった。子ゆっくり10匹でも足りないほどに。 そしてごみのように捨て置かれたれいむのリボン。 ゆっくり袋の緒が切れた。 「よぐもれいむおおおおおおおああああああああああああああああああああ!!!」 中身を吐く様な叫びと共に親まりさが飛び出した。 その動きを受けてEZ8、ローラーダッシュを用いて親まりさに追従する。 『西日暮里高校、先行した親ゆっくりを盾に、近づこうとしています』 1匹と1機の接近に際し、メカゆゆこは動かない。まったく余裕の笑みを浮かべたまま迎え撃つ構えだ。 「ぢね! おまえがいるがらゆっぐりでぎないんだああぁぁぁぁ!!」 親まりさの渾身の体当たり。そしてその影から飛び出したEZ8が銃口をメカゆゆこに向けた。 だが電光石火の触手舌が親まりさの体を下から上へ容赦なく貫く。 「ゆべぇ!?」 その隙を狙って放たれたEZ8の射撃だが、メカゆゆこはゆっくりを盾にし全てのBB弾を受け止める。 「いべべべべべいだいやめでいだいぃぃぃぃぃぃ!!!」 『おーっと、後頭部にBB弾の雨あられ。生地にめり込んでいます!』 『蓮コラみたいできもいですね。それか転んだあとの膝小僧に砂が食い込んでる感じ』 『あぁ~、あれキモイよねー。子供の頃ショックだったわ~』 EZ8は旋回し、盾の向こうの標的を狙う。 メカゆゆこもまた回り込むように移動、盾を十二分に生かし一向に被弾しない。 ぐるぐると旋回する2機。その中央にいる親まりさは広がる傷口から黒蜜を迸らせて号泣している。 「おろじでえええぇぇぇ! もうおうちかえるうううううううう!!」 『でましたゆっくりのおうち帰るコール。さっそく限界のようです! 饅頭は骨がない!』 『それにひきかえ骨太の攻防を繰り広げる両者。予断を許しません!』 こう着状態に陥ったかと思われた矢先、EZ8の銃が玉切れを起こした。 距離をとるためのバックダッシュを行いつつ手動でのマガジン交換を敢行する。 その隙をメカゆゆこは見逃さない。 大きな体を波打たせ、次の瞬間はるか上空へと跳躍した。 『これは高い! ゆゆこの跳躍、ボディプレスかーーー!!』 「ごわいおろじでえええええええええ」 メカゆゆこの影が、地表のEZ8を覆う。 装填を終え、空を仰いだEZ8の飼いれいむめがけ、ハンマーの如く振り下ろされる親まりさ。 間一髪、EZ8は回避に成功し、親まりさは地面に叩きつけられた。 「おとーさ」 「ゆ!?」 ぷち。 ぷち。 ぷち。 ZUNという衝撃音と共に固い土に叩きつけられた親まりさ。 砂塵が巻き上がり、そしてゆっくりと散ってゆく。 重体だった。 後頭部が破裂して中身の黒蜜が放射状に飛び散っていた。その飛び散り半径の広さを見れば、いかに強く叩きつけられたのかが解るだろう。 だが親まりさは悲鳴をあげなかった。 あげられなかったわけではない。 小さな音が悲鳴を飲み込んでしまっただけだ。 小さな感触が全身打撲の痛みを超えただけだ。 ぱぱー。 ぱぱー。 きょうもゆっくりしようねー。 晴れ渡った草原、記憶の中の風景。 元気に飛び跳ねるわが子ゆっくりの姿。 瑞々しい蛇苺を、口づけるようにくわえた横顔。 雨宿りの木の虚で、小さな体を摺り寄せてきた、そのぬくもり。 その感触が、たった今、自分の下で弾けた。 ・・・ オ ト ウ サ ン ノ セ ナ カ ヲ 、ヨ ク オ ボ エ テ オ イ テ ネ ――――――。 「い゛や゛ぁべでぇええええぇぇぇぇえええええええええぇぇぇ!!!!!」 瀕死の体で親まりさは絶叫した。声も涙も黒蜜も、出せるものは全て出しつくしての咆哮。 あらん限りの力で暴れ狂う。それでも、乗り上げた体勢のメカゆゆこをどかす事はできない。 それどころか、メカゆゆこは全ての体重をかけてのしかかった。 ぷち。ぷしゃ。 「どいでねえええ!!! ゆっぐりじないでおりでねええぇぇぇぇ!!」 あまつさえ、独楽のように回転をし始める。地面におしつけられた親まりさも一緒に回転することになる。 べろ。べろべろ。 「ぃいやあああああああああああああめでねぇえええええええええええええええええ!!!!!!!」 黒蜜の泡を飛ばしながら親まりさは絶叫した。 『おっとぉ? どうしたことでしょう』 『親まりさが自分の子供を潰してしまったようですね。これは不幸。人間社会にこのような不幸が訪れないことを祈るばかりです』 親まりさはかろうじて生きていた。 般若の形相で硬直しながら涙を流して痙攣している。 自らの流した黒蜜に塗れ、今なお口から吐血のように流れ出す命の源。 落下の怪我による中身の流出が酷いが、晴天のゆっくり治癒力ならばあるいは、という瀬戸際の怪我だった。 メカゆゆこはまりさから降り、触手に絡みつくつぶれ饅頭を放り捨てた。 その下から出てきた子ゆっくりの圧殺死体から帽子をふんだくり口の中に放りこむ。 『3点獲得で9点でしょうか? 我々はF大付属が親ゆっくりれいむを捕食した瞬間を確認していません。 もしそのときまでに3匹以上の子ゆっくりを獲得していれば、この時点で同点・逆転ということになります』 『時間的にも残りの子ゆっくりを探す余裕はありませんし、唯一の得点方法を失った西日暮里高校は、 敵ロボットの撃破を狙っていくしかないでしょう』 振り返るメカゆゆこ。 ゆっくりと歩行して近づくEZ8。 EZ8のむき出しの操縦席でれいむが頬を膨らませている。 「とってもわるいやつだね! いぢわるなおばさんまりさはともかく、こどもゆっくりにまでてをだすなんて!」 のしのしと接近しつつそんな悠長な台詞を言い放つ。 メカゆゆこは応じず、横方向に回転移動し始める。EZ8を中心にした円の軌道だ。 『始まりました。ロボ同士の肉弾戦です。単純な性能ではメカゆゆこが有利。試合序盤にも見せた旋回移動で相手を牽制します』 『EZ8は持ち前の機動力と自由度を武器に立ち向かわなければなりません。 もし此処で逃げられて回収力勝負になるともう勝ち目はありません。 その点、F大付属が真っ向勝負を選んでくれた事はチャンスでもあります』 『残り時間は3分を切りました! どちらが先に仕掛けるのか!』 回転半径を狭めつつ速度を上げるメカゆゆこ。EZ8は背後をとられることを警戒している。 「ゆ! ゆっくりいきのねをとめるね!」 EZ8は前方へと走行、左手のドリルを回転させつつ振りかぶる。 旋回のメカゆゆこが迫るタイミングを見切り、高速ドリルを突きこんだ。 しかし表皮をわずかに削りはしたが、衝撃によってメカゆゆこは弾かれ、距離が開いてしまう。 すかさずサブマシンガンのめくら撃ちを放り込む。吸い込まれるように全弾命中するも、メカゆゆこの動きはいささかも衰えない。 『懸念された通り、EZ8の攻撃がメカゆゆこに届きません!』 『万事休すか西日暮里高校大沢!』 攻撃方法を失ったEZ8にメカゆゆこの巨体が容赦なく襲い掛かる。 高速で突き出される触手が右肩の付け根をえぐり、右腕が吹き飛んだ。 「ゆっ!? まずいよ! おにいさんしっかりよけてね!」 パイロットれいむが悲鳴をあげる。当然のことながら、ロボットの操縦は人間が遠隔操作で行っている。 バランスを崩して尻餅をついたEZ8。その脚を潰すようにメカゆゆこがのしかかる。 『あー! マウントをとりました』 メカゆゆこはにんまりと笑うと、触手による乱れ突きを繰り出した。 それはコクピット付近の装甲をえぐり、金属片を撒き散らした。 しきりに身をよじりEZ8はコクピットへの直撃を避けようともがく。 「いやあああああああ! やべでぇ! あぶないがらあああああああ!!」 『大沢君の飼いれいむが鳴いております! いやいやをするように顔を振っています! 泣き叫びながら飼い主に助けを求めております! なんとか助けることが出来るのか大沢!?』 『これはむごい展開もあるかもしれませんよ!』 触手の狙いは正確ではなかったし、EZ8も最大限回避に努めた。 だがそれでも、延々と繰り返される攻撃を最後まで避け続けることはできなかった。 そのうちの一撃が、むき出しのコクピットを襲った。 「やべでええええ――ぐぃげぇえええええええええええええ!」 飼いれいむの顔面を貫く銀の舌。 狭い棺おけの中、れいむは激痛に打ち震え、けいれんを繰り返した。 『決まったーーーーーーーーー!! 残酷なディープキス! 深く深く差し込まれた楔が飼い主との絆を断ち切ったーーーーーーーーーーー!!』 『ズキュウウンですね! わかります!』 「おっ、おべっ、おべ……」 だんだんと白目をむきだす飼いれいむ。勝ち誇ったように笑うメカゆゆこ。 しかし、勝負はまだ決してはいない。 EZ8のコクピットが閉じた。 上下から現れた鋼鉄の歯が、一瞬のうちに噛み合わされたのだ。 それは死に始めの飼いれいむと共に、メカゆゆこの触手を万力のように締め付けた。 『おおおおおおおおおおっ!これはああああ!?』 『トラップです! これ見よがしの飼いれいむは、ゆっくり誘導のためばかりでなく、 メカゆゆこに対するブービートラップだったのか!? コクピットの圧殺機能がメカ ゆゆこの触手を封じました! 懸命にさがろうとするメカゆゆこ、動けません! 逆にその動きがEZ8を助け起こしてしまったーーーー!!』 立ち上がったEZ8。 左手のドリルを振りかぶり、再びメカゆゆこへと繰り出した。 激しい金属音と共に装甲がえぐれ、メカゆゆこが吹き飛ぶ。 ――だが捉えられた触手が伸びきり、それ以上の後退を許さない。 『EZ8、逃がしません! 触手を捉えたまま旋回し、メカゆゆこを振り回します! そのまま樹にぶつけてきた!』 『さらに天高く放り上げました! 時間後僅か逆転なるか!』 高々と飛ばされたメカゆゆこが重力によって地面に叩きつけられ、運悪く下敷きになった親まりさは物も言わずに死んだ。 仰向けに地面にめり込み、動けないでいるメカゆゆこ。 その上に、逆襲とばかりに踊りかかったEZ8がドリルを突き立てた。 固定された相手に対し、ドリルは最大の効果を発揮する。 激しい火花が2機を覆い尽くした。 『ドリル決まったああああああああああ!! これは逃げられない! 削りきるのか西日暮里! 逃げ切るかF大付属!』 『もう時間がありません! 5・4・3・2・1……タイムアッーーーーープ!』 ブザーが鳴り響いた。 メカゆゆこの損傷は、大破には至らないと判断された。 2機はそれぞれ、互いの本拠地へと戻り、回収された。 『現在、獲得アクセサリー数を計算しております。得点計算には少々お時間がかかりますので、その間、フィールドのクリアリングを行います』 『クリアリングを行いますのは、品種改良された対ゆっくり用ゆっくり・きめありすです。芸術とも言われるその妙技をご覧ください』 アナウンスと共に会場に優雅なクラシック音楽が流れ出した。 フィールドの地面の数箇所がせりあがり、そこから成体ありすの群れが飛び出す。 あきらかに発情中と解る移動速度。しかし、一切の声を発さない。 つりあがった目をギラギラと輝かせ、獲物を探して視線を縦横に走らせる。 湧き上がり続ける涎を溢すまいと唇を引き結びながらも、まだ見ぬ生贄を思うがあまり口の端はつり上がり笑みを形作る。 口の中いっぱいに蓄えられた唾液は跳ねるたびに勢いよくこぼれだしている。 フィールドをくまなく走査するきめありすは、ついに逃げ延びていた子ゆっくりを発見する。 それは地面に叩きつけられたようにつぶれている親まりさにすがりつく子まりさだった。 泣き喚き、あたりに何が起きたのかも解らぬまま肉親の死に打ちのめされている。 その子まりさの背後からすべるように近づいたきめありすは電光石火の早業で子まりさをひっくり返し、 そのつるりとした下面に覆いかぶさるように乗り上げるやいなやもはや肉眼では捉えられない速度で 滑らかに円運動、自身の底部をこすり付けだした。いわずと知れたゆっくりの性交渉である。 下敷きにされた子まりさはまず状況の変化に戸惑い、次いで自らの感覚を犯すなにかに怖気をふるい、あまりにも強引なやり方に泣き叫んだ。 きめありすは一方的に達すると、潰れかかっている子まりさを捕食した。 うっとりとした表情で口腔の子まりさを舐め転がし、口蓋に押し付けて潰した。 捕食による一体化を究極の愛と定義するのがきめありすの特徴だった。 きめありすは地面で広がっている親まりさの死骸に対してもゆっくり性交渉を行い、たいらげた。 一時も休むことなく次の獲物を探し始める。 それがフィールド全体で繰り広げられ、逃げ延びていた子ゆっくり達は処理された。 BGMのクラシックが終わると、きめありすはありすらしい優雅さを取り戻し、そそとした所作で退場していった。この間、約5分。 『はい、掃除が完了いたしました。集計もおわりましたので見てみましょう』 『得点は……西日暮里高校! 12点! 対するF大付属……12点!! 同点です!』 『これは珍しい……。引き分け再試合、サドンデスということになるのでしょうか?』 『え? ……ちょっとまってください。はい、はい……』 『えー、ただいまの試合、12対12の引き分けと発表されましたが』 『F大付属の獲得アクセサリの中に、大会側の用意したものではないれいむのリボンが含まれておりましたため、』 『11点と訂正させていただきます』 『12対11! 買ったのは西日暮里高校です! 凶獣メカゆゆこを下し、テイクイットEZ8決勝進出ーーーー!!』 『代表者の大沢君に話を窺いましょう。今のお気持ちはどうですか!?』 『はい! とても、厳しい、その、戦いでした勝ててよかったです。』 『飼いゆっくりが潰されてしまいましたが?』 『優勝したとき、皆さんの前で潰してやる予定でしたでもこの準決勝でだめになってそれがあんな形で 役に立つとは思わなかったです役に立ってよかったです』 『ハイ! ありがとうございました!』 『古豪、西日暮里高校が決勝に駒を進めました。CMの後は準決勝第二試合です――――』 ゆっくりロボコン 終 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/787.html
虐待分と言えるようなものはないかもしれません 虐待お兄さんと愛でお兄さんが出ますが虐待したり愛でたりすることはありません というかそもそも、どんなジャンルに分類されるかもわかりません ↓では、ドウゾ 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 畑仕事を終えた帰り道、聞きなれた声が森に唱和する。 ふと目を向ければ、そこにいるのは当然、ゆっくりだ。 れいむとまりさのつがいが二組、道行く途中で出会って挨拶を交わしたようである。 なんでもない日常的な風景だ。俺は無視して歩き出した。 ここで近所の虐待お兄さんなら「ヒャッハー!」と有無を言わさず捕獲にかかるのだろうが、俺はそんなことしない。 あんな饅頭虐めて何が楽しいんだろうかと思う。うるさいだけじゃないか。 かといって、俺はゆっくりを愛でる趣味もない。ゆっくりに関わるといえば、畑を荒らしたやつを駆除するときくらいなものだ。 なのだが、ちょっと今回は事情が違った。 「「ゆっくりしていってね!!」」 「ゆっくりしてるよ! れいむとまりさはどこからきたゆっくりなの?」 「このへんじゃみなおかおだね!」 「「ゆっくりしていってね!!」」 「ゆゆっ! ゆっくりしてるよ! だからどこからきたのかおしえてね!」 「「ゆっくりしていってね!!」」 「ゆぅ~! だからゆっくりしてるってば!」 「いいかげんにしてね! おはなしきいてね!」 何やら言い争いになっている。 どうも、新参のゆっくりに前からいた古参のゆっくりが怒っているようだが、どうしたんだ? ゆっくりにとって、「ゆっくりしていってね!」という言葉は挨拶以上のものを持つものだと聞いている。 人間風に言えば、スローガンというかポリシーというか信念というか。 ゆっくりは、ゆっくりできないこと、を何よりも嫌う。その顕れである言葉ではないのか? それを繰り返されるのがそんなに嫌なのだろうか。 とうとう、古参まりさは顔を真っ赤にして飛び跳ね始めた。 「ゆぅぅぅぅ!! れいむたちとはゆっくりできないよ!!」 「「ゆ?」」 そこで初めて、新参ゆっくり達は首、もとい頭を傾げた。 「「ゆっくりできないの?」」 「ゆっ……!! ゆっくりできないわけないよ!! まりさはゆっくりしてるよ!!」 「れいむもゆっくりしてるよ!!」 「「ゆっくりしていってね!!」」 「「ゆゆぅぅぅぅぅ~!!!!」」 何故か悔しげに地団太(?)を踏む古参ゆっくり達。 ……ワケが分からん。 あの二匹はただ「ゆっくりしていってね!!」と言っているだけなのに、何をそんなに怒っているのか。 「「ゆっくりしていってね!!」」 「うるざいよぉぉぉぉ!! れいむたちはもうどっかいってね!!」 「「ゆゆーっ!!」」 とうとう古参達が体当たりをし始めた。新参達は反撃するでもなくされるがままだ。 「「ゆっくりしていってよー!! ゆっくりー!!」」 「うるさいよ!! ゆっくりしてるよ!!」 「ゆっくりできないのはれいむたちのほうだよ!!」 攻撃が段々苛烈になっていく。 ……うーむ。 ゆっくり同士の喧嘩など、普段は珍しくもないのだが、なんだか今回は事情が違う気がする。 ちょっと興味が湧いてきたのだ。俺は事情を聞いてみることにした。 とりあえず声をかけてみよう。 「まぁちょっと待てお前ら」 「「「「ゆゆゆゆっ!!!!」」」」 びっくりした反応は全部一緒だった。 だがその後が違う。 「ゆゆっ! にんげんだよっ! にげるよれいむ!」 「ゆっくりできないよー!」 これは古参ゆっくり。 「ゆっ! おにいさんはゆっくりできるひと?」 「ゆっくりしていってね!」 これは新参ゆっくりだ。 古参は人間である俺を恐れているが、新参はそんな様子は微塵もない。よほど人里離れた場所からやってきたのだろうか。 「いや別に取って食いやしねーよ。お前達が喧嘩してたみたいだから、気になったんだ。一体全体、どうしたって言うんだい」 身を屈めて視線を低くしてやりながら、俺は訊いた。 口を開いたのは古参ゆっくりだった。 「ゆゆっ! あのこたちうるさいんだよ! ゆっくりしていってねってなんどもいうの!」 「れいむたちはゆっくりしてるのに!」 「「ゆっくりしていってね!!」」 ゆっくり、という言葉に反応したのか、新参達が声を上げる。 「「だからうるさいよぉぉぉ!!」」 もう我慢できないのか激昂する古参達だが、その姿はどう見てもゆっくりしていない。 「お前ら、ゆっくりできてないじゃないか」 「ゆゆっ!? そんなことないよ」 「なんでそんなこというのぉぉぉ!?」 「だって、ほれ」 すぐさま突っかかってきた二匹を、新参ゆっくりのほうに見せてやる。 「「ゆ??」」 いきなり注目を浴びた二匹は、可愛らしく首をかしげるばかりで、どうして自分が見られているのか全然分かっていない様子だ。 知恵のついてない子供みたいな反応だが、それだけにむしろ泰然としたものまで感じさせる。 「ほら、あんなにゆっくりしてるだろ」 「「ゆううううううう……!?」」 反論が出ないあたり、この二匹も新参ゆっくりのゆっくりっぷりを感じ取ったのだろう。 「な? だからゆっくりできないのはお前らなんだって」 「ゆぅっ! ちがうよ! まりさはゆっくりできるゆっくりだよ!」 「そうだよ! あれはどんかんっていうんだよ! あんなにゆっくりしてちゃれみりゃにたべられちゃうよ!」 「「ゆっくりしていってね!!」」 「「だからうるざいよぉぉぉぉぉ!!」」 できてねーよ。ゆっくりできてねーよ。 どうも、古参達は自分達こそがゆっくりできるゆっくりだと思っているのだが、しかしあの新参ゆっくりの真のゆっくりの前に、自信喪失寸前のようだ。 余裕のない態度がその表れであろう。 「まぁ、大体事情は分かった」 とりあえず俺の手に負えないってことは。 「とりあえず、俺の家にでも来るか。飯くらいは食わせてやる」 このまま放置しても良かったが、そうすると新参二匹がまた襲われてしまいそうだ。 ゆっくりなどどうでもいいことに変わりはないのだが、この二匹のことをもうちょっと知りたくなった。 あまりのゆっくりっぷりに癒されつつあったことも、まぁ認めよう。 「ゆ! ごはん! おにーさんのいえにつれてってね!」 「ゆっくりはやくね! ごはんー!」 「「ゆっくりしていってね!!」」 古参二匹のふてぶてしさは正にゆっくりらしい。新参二匹も、どことなく声のトーンが上がっている。 俺は四匹を腕に抱きかかえると、家路についた。 その途中、談笑している虐待お兄さんと愛でお兄さんに遭遇する。 ……趣味が相反していそうな二人が、やたら仲が良さそうなのに驚く人もいるだろうが、別におかしなことではない。 他はどうだか知らないが、この愛でお兄さんは自分の飼っているゆっくりだけに愛情を注いでいるのだ。 それを偏愛だの差別だのという奴はまさかいないだろう。人間とて、飼い犬と野犬に注ぐ愛情には天と地ほどの差があろう。 犬とゆっくりの立場が置き換わっただけだ。だから愛でお兄さんも、実際はただのゆっくりを飼っているだけの人と言えよう。 もっとも、十数匹も飼って育てている時点で、既に普通ではないが。 「やぁ、どうも」 「これはこれは、とうとうあなたもこの道に……」 「違いますやりませんあんたと一緒にしないでください」 きめぇ丸もかくやという顔で擦り寄ってきた虐待お兄さんを遠ざける。 ちなみにこの虐待お兄さんは、何の変哲もない普通の虐待お兄さんである。 「そうですか。残念です。しかしそれならば何故ゆっくりを?」 「ええ、実はかくかくしかじか」 「まるまるうしうしということですね。なるほど」 日本語って便利だ。 「というわけで思わずこうして連れてきてしまったんですが、どうしたもんでしょうか。 このまま離してもこっちがこっちを虐めちゃいそうで、なんか後味悪いんですよね」 ふむふむとお兄さんズは頷きあったあと、「ならばこうしてみると良いでしょう」と提案してきた。 俺は二人に礼を述べると、再び家路についた。 十分も歩けば我が家だ。 「ただいまー!」 一人暮らしなので迎えてくれる人は誰もいないが、一応言う。 「「ゆっくりしていってね!!」」 今度先に反応したのは新参ゆっくりのほうだ。『おかえり』のニュアンスでも含んでいるのだろうか。 「ゆゆ! とってもきれいなおうちだよ!」 「ここをまりさたちのゆっくりぷれいすにしようね!」 当然、こちらは古参ゆっくりである。別に気にすることはない。これがゆっくりという生き物だ。 俺は足の泥を払って、四匹を空き部屋に放り込んだ。壊されるようなものも特にない。 「それじゃあゆっくり待ってろよ。今メシ作ってきてやるからな」 「ゆっくりはやくね! まりさはおなかがすいたよ!」 「おいしいものたべさせてね!」 「「ゆっくりつくっていってね!!」」 最早どちらがどちらだとわざわざ説明する必要もあるまい。 俺は台所で余り物の野菜と冷えたご飯を適当に炒めてやった。まあ、野生のゆっくりにはそこそこ美味い飯になるだろう。 大皿二つに分けて持っていってやると、そこでは案の定の光景が繰り広げられていた。 古参二匹は、そこら中を跳ね廻っている。キャッキャと実に楽しそうだ。 新参二匹はというと、縁側のほうで寄り添いあって日向ぼっこをしている。猫か老人を思い浮かべる。 「ほら、飯だぞ」 部屋の真ん中に皿を置いてやると、古参ゆっくり達は早速飛びついてきた。 「ガツガツガツガツッ!!」 「うめっ! めっちゃうっめ!」 よほど飢えているのか、凄まじい食いっぷりだ。 ものの数分ですっかり皿は空になってしまった。 「ゆぅ~ん、おなかいっぱいだよー!」 「おしかったよ! ありがとうおにいさん!」 そう感謝されては、こちらも少しは嬉しい気分になる。 「はいはい、おそまつさま。それにしてももうちょっとゆっくり味わって食えよ」 「ゆっ! だっておいしかったんだもん!」 「まぁそれならいいが……」 言いながら、もう一つの皿のほうに目を向ける。 「むーしゃ♪ むーしゃ♪ しあわせ~」 「むーしゃ♪ むーしゃ♪ しあわせ~」 新参二匹は、実にゆっくりと食事を楽しんでいる。 「どうだ。美味いか」 「ゆっくりおいしいよ! ゆっくりたべるよ!」 「そうか、まぁゆっくり味わってくれ」 「ゆっくりあじわうよ! むーしゃ♪ むーしゃ♪」 見るものが幸せになってくるような、和やかな食事風景である。 ふと見れば今食事を終えたはずの二匹まで、また涎を垂らしているではないか。 「もっとゆっくり食えば良かったのにな」 「「ゆぅぅぅぅぅ~~~~~~~……!!」」 二匹は心底悔しそうであった。 食後も、二組の違いは明確に分かれていた。 古参は、食べてすぐだというのにまた遊び始めている。元気なことだ。まぁそのくらいじゃないと野生では生きていけんのかもしれん。 新参のほうは、部屋の隅のほうで寄り添いあって眠っている。牛になるぞ。 「ほら、次は水浴びさせてやる。こっち来い」 俺は古参を呼び寄せ、新参を起こしてやると、裏の水場に連れていった。 二つの大きめな桶に水を張り、それぞれの組を入れてやる。 「ゆっゆー! ぷしゅー♪ ぷしゅー♪」 「ゆーん! つべたいよれいむー! おかえしー♪」 古参は実に楽しそうに遊んでいる。 「ゆ~……ごくらく~」 「ゆっくりできるよー」 対してこちらは、まるで湯治場のジジイである。お前らほんとにゆっくりか……いやゆっくりだな。ゆっくりしてるし。 まるで子供と老人を見ているかのようである。 水遊びのあと、俺は元の部屋に戻り、四匹を前にして座った。 「どうだ。折角だし、今日は泊まっていくか」 四匹はいっせいに色めきたった。宿の心配はやはりあったのだろう。 「ゆっくりとまっていくよ!」 「ゆっくりしていくね! おにいさんもいっしょにゆっくりしてね!」 新参達は素直に喜びを表現している。 対して古参達は、 「とまっていくよ! でもそのこたちとはへやをべつにしてね!」 「そのこたちとはゆっくりできないよ! ゆっくりおねがいだよ!」 と言った。 「「ゆゆぅ!」」 新参達は傷ついたような顔をする。それはそうだろう。こいつらはただ一緒にゆっくりしたいだけなのだ。 「おいおい、酷いこと言うなよ。同じゆっくりだろ」 「ゆ! だってゆっくりゆっくりうるさいんだもん! そんなんじゃゆっくりできないよ!」 「ゆっくりすることが、お前達ゆっくりにとって一番大事なことだろ?」 「そうだけど……でもずっとゆっくりしてても、ごはんはとれないし、れみりゃからもにげられないよ!」 「ゆっくりするにも限度があるってことか?」 「ゆ! そのとおりだよ! ゆっくりしてばかりじゃゆっくりできないんだよ!」 日本語として何かおかしい気もするが、なるほど、実にもっともだ。 明日のゆっくりのために、今日のゆっくりを敢えて捨てる。捨てなければならない。悲しいけど、これ、現実なのよね。 ゆっくりだけでなく、人間にも通じる考え方であろう。 だが。 だがしかし、だ。 「それで、お前達は本当にゆっくりしていると言えるのか?」 「「ゆっ!?」」 俺は言った。目の前の二匹が、あまりにも哀れに思えたからだ。そしてそれが、自分や他の人間と重なったからかもしれない。 「ご飯を食べられればしあわせー♪だろうし、寝床にありつけばゆっくりできるだろう。 でもそれだけで、本当にゆっくりしているって言えるのか?」 「「どういうことぉぉぉぉ!?」」 「例えばの話、もしお前達が人間に捕まって、たくさんご飯をもらえたとするだろう。ゆっくりできるか!」 「ゆ! それはうれしいことだよ! ゆっくりできるよ!」 「目の前でたくさんの仲間達が、ご飯をもらえずにゆっくりしていても?」 「「ゆぅっ!?」」 その光景を想像したのだろう、二匹の顔が蒼白に染まった。 野生というだけあって、飢えの苦しみも知っているだろうから、まざまざと想像できたに違いない。 「掴まって狭い檻に入れられて、ゆっくりできるか? 確かにれみりゃからは襲われないし、安全だろうけど」 「ゆ、ゆぅ……」 「逆に、だ」 一拍置く。 「もし食べ物が足りなくても、もし安全な寝床がなくて……となりに大切な友達がいれば、ゆっくりできるんじゃないか?」 「「ゆゆっ……!!」」 二匹はお互いの顔を見合わせた。やはり、そんな経験があるのだろう。 苦しいときも支えあい、生き延びてきた、そんな経験が。 「そう、ゆっくりできるかどうかは、食べ物や寝床のあるなしじゃない。安全かどうかでもない。 一緒にゆっくりしたい誰かがいるか、そして何より『ゆっくりできている』と心から思えているか……そうなんじゃないか!?」 「「ゆ゛ーーーーーーーーー!!!!!!」」 ガァ────z______ン!!!という書き文字を頭から浮かべて、二匹は硬直した。 「お前達の今日の姿を見ていて、俺は思ったよ。 お前達はゆっくりできていなかった。それは、自然で生き抜くために、必要な在り方だっ。だから仕方ないとは思う。 だがな、見ろ」 俺は二匹を、新参ゆっくりのほうに向けてやる。 二匹はまたも注目を浴びて戸惑っていたが、やがて言った。 「「ゆっくりしていってね!!」」 まるで太陽のような明るい笑顔で。 「心にゆとりのある生き物……なんと素晴らしいことか! いつもどんなときも、自分がゆっくりできているからこそ、あの二匹はあんなことが言えるんだ。 自分がゆっくりするだけでなく、他の人もゆっくりさせてあげたいがためにな」 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆ、ゆぅぅぅぅぅう!!!」 「ゆっぐりじだいよぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 とうとう、二匹は泣き出してしまった。 新参達を見て、在りし日の姿を思い浮かべてしまったのだろう。 無邪気に遊べていた子供時代、何も心配することも恐れることもなかったあの懐かしき日々。 ああ、それを一体どこに置いてきてしまったのか……とか、そういうことを。 「ゆっ、ゆっくりしていってね!」 「なかないでね! いっしょにゆっくりしていってね!」 慌てたのは新参二匹だ。まるで自分が泣かせてしまったかのように思っているのだろう。 「ゆっぐりじだいよぉぉぉぉぉぉ!!!」 「ゆっぐりざぜでえええええええ!!!」 しかし古参二匹はさらに泣き叫ぶばかりだ。ああ、そろそろうるさくなってきたぞ。 「いや、やってますな」 「やぁ、こんばんわ」 そんな折、虐待お兄さんと愛でお兄さんがやってきた。 「どうなりましたか? まぁ、これを見れば大体分かりますが」 「ええ、言ったとおりでしたよ」 愛でお兄さんと言葉を交わす。 お兄さんズは俺にこう言ったのだ。『どちらがゆっくりできているか観察し、そしてそのことをちゃんと言ってやればいい』。 その結果、古参は自分達がゆっくりできていなかったことを悟り、こうして泣き叫んでいる。 こうしてやれば、もはや古参達は新参達を虐めることはできまい。自ら敗北を認めてしまったのだから。 だがよく考えてみれば、根本的解決にはなっていない気がする。 新参ゆっくり達を野に放てば、どうせ他のゆっくりに虐められるに違いないからだ。 などと考えていると、虐待お兄さんが泣き叫んでいる二匹に近づいていった。ああ、また始まった。 「やぁ君達! ゆっくりしたいのかい?」 「ゆっぐりじだいでずぅぅぅぅぅぅ!!」 「ゆっくりさせてあげようか?」 「ゆっぐりざぜでぐだざいぃぃぃぃ!!」 虐待お兄さんはにんまりと笑う。 「そうかそうか! ではお兄さんの家でゆっくりさせてあげよう! まずはこの中に入りなさい」 と、二匹を麻袋の中に招き入れた。既に中で何かが蠢いていることについては突っ込むまい。 「ちょろいもんだぜ」 と唇の端をゆがめるお兄さんはどう見ても悪人である。 「ヒャア! 我慢できねぇ! 虐待だ!」 そしてそう言って、挨拶もなしに俺の家を飛び出していった。 「あーあ」 「行ってしまいましたね」 やれやれ、と愛でお兄さんと苦笑する。あの二匹は、もう永遠にゆっくりできないことであろう。死ぬまで。 「あれ? こっちは残していったんですね」 新参ゆっくりは、まるで旋風のように去っていった虐待お兄さんに目を丸くしている。 「ああ、彼はそのゆっくりには興味ないんですよ」 「というと?」 「真にゆっくりできているゆっくりは、虐めても良い反応を返しませんからね。レスポンスがないとつまらないと、そういうことでしょう」 「ふぅむ」 虐待お兄さんにも虐待できないものがあったとは。いや、というか、単にサドいだけか。 「「ゆゆっ!! ゆっくりしていってね!!」」 こちらの視線に気づいて、二匹がいつもの声を上げた。すると愛でお兄さんが近づき、二匹を抱き上げる。 「うん、ゆっくりしていくよ」 「「ゆっくりしていってね!!」」 優しく抱かれて、二匹とも嬉しそうである。 「飼うんですか?」 「ええ。このゆっくりは珍しいですからね。うちのゆっくりの、遊び相手にさせたいと思います」 珍しいねぇ。そんなに特殊なゆっくりなんだろうか。 「そんなに珍しいものなんですか? これ。見た目は普通のゆっくりと変わらないように見えますが」 「まぁ、ゆっくりであることに変わりはないんですが、ここまでゆっくりできているゆっくりとなると、中々いませんね。 今のゆっくりは、人や動物に襲われ続けて、警戒心が強くなってますから」 「つまり、昔はこのようなゆっくりが主流だったわけですか」 「ええ。ゆっくりたちは、生き残るために、ゆっくりすることを敢えて捨てて、今のようになったのです。世知辛い話ですね」 生き残るために、ゆっくりはゆっくりすることをやめた。 それでも『ゆっくりしていってね!』と言われて思わず立ち止まってしまうのは、種として誕生したときからの本能なのだろう。 そう考えると、ゆっくり達が少しだけかわいそうに思えてきた。 ゆっくりも、人間達と同じなのだ。生きるために働き、心のゆとりを喪っていく。 俺は目の前の二匹に、何か大切なことを教えられた気がした。 次の日から、俺はゆっくりに少しだけ優しくなった。 道端で声をかけられたら、ちゃんと『ゆっくりしていってね!』と返すようにしている。 ゆっくり達もまた、現代社会の犠牲者なのだ。それを無闇に蹴り飛ばすこともないだろう。そう思った。 ゆっくりにも、できるだけゆっくりしてもらいたいと、俺はほんの少し思うのだ。 ──ま。 だからって悪事を働いていい理由にはならないので、俺の畑を荒らしたやつは例外なくブチ殺すようにしているがね。 あとがき 虐待スレも、思えば遠くへ来たもんだ。 初期作品を読んでいたら、こんな話が出来上がっていました。 純粋なのも、ふてぶてしいのも、憎たらしいのもいいじゃない。ゆっくりだもの。 あと、いい加減自分に名前をつけることにしました。 好評を博して頂いている『焼き土下座』から名前を取り、これからは土下座衛門と名乗らせていただきます。 今後ともよろしくお願いいたします。 今までに書いたもの ゆっくり実験室 ゆっくり実験室・十面鬼編 ゆっくり焼き土下座(前) ゆっくり焼き土下座(中) ゆっくり焼き土下座(後) シムゆっくりちゅーとりある シムゆっくり仕様書 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3712.html
『真冬のゆっくり対策 7』 早朝村にて 「おはようございます」 「なんだ、起きられたじゃないか」 「ええ。なんとか」 「そろそろ出発だ。おい!これで全員揃ったか?」 「多分これで全員ですよ」 「よし、さあ行くぞ。ここから結構あるからな。暗いから足元に気をつけろよ」 彼らは西にいるドス退治に出発した。虐待お兄ちゃんもそのメンバーに加わっている。 1時間後 「これで準備はいいわね。じゃあ行こうかしら」 彼女は軽トラを走らせた。途中まではこれで移動する。荷台には加工所特製の透明な箱が2つ、台車、シャベルが積まれていた。 そして彼女の頭には昨日とは別のれいむのリボンが結ばれていた。 「ここまでね…仕方ないわここから先は歩きましょう」 軽トラで行けるところまで行くと彼女は軽トラを降り荷台から台車を出しシャベルと2つの箱を乗せ山道を進んだ。 「結構きついわね…帰りが心配だわ…」 さらに1時間後洞窟にて 「ゆ!ゆ!ゆううう!!!!」 「やっとでられたね!!!ゆううう!!!さむいい!!」 「だいじょうぶだよ!!ちょっとさむいけどもこもこさんをきてるからだいじょうぶだよ!!」 数匹のゆっくりが綿を身に纏い洞窟から出た。 「お…おで…がい…」 「が…ん…ばっで…ね…」 巣の入り口では雪山をどかすために徹夜して疲れ果てたゆっくり、雪を食べすぎて破れて死んでいったゆっくりや腹の中で雪が解け ぶよぶよになったゆっくりが多数転がっていた。 「ありがとう!!みんなのおかげでそとにでられたよ!」 「みんなすのなかでゆっくりしててね!」 「「「「いってくるよ!!」」」」 数匹のゆっくりが洞窟を出発した。 「「「「いってらっしゃい!!!」」」」 「「いっで…だ…じゃ…いい」」 「むきゅ!このままじゃゆっくりできないわ!ゆっくりしないでこのこたちをすのなかへいれてあげて!」 「ゆっくりよ!ゆっくりはこぶのよ!」 「ゆーえす!ゆーえす!」 「ゆううう!!!!ばじゅりいいい!!!!」 ついさっき出発したゆっくりが引き返してきた。 「どうしたの?」 「おひさまがしずむところってどこなんだぜえ!!??」 「むきゅ!!!」 ぱちゅりーは唸った。太陽が沈む方向、すなわち西がどこだか分からないのだ。 「おひさまさんいまでてないよおお…」 「くらくてわからないよお…」 「む…むぎゅうううう…ぱ…ぱちぇにも…わ…わからないわ…」 いつもならしったかぶりをして適当な方角をさしていただろう。しかし今は群の存続がかかっている。流石に嘘をつくことはできなかった。 「「そ…そんなあ…」」 「…むうう……むぎゅううう……!!!そ…そうだわ!!」 ぱちゅりーは何か閃いた。 「あなたたち!2人1組になりなさい」 「ゆ?」 「ゆっくりしないでぺあをつくるよ!!」 4組のペアが作られた。 「あなたたちはあっちのほうがくね、あなたたちはこっちのほうがく、あなたたちはそっちをいって。あなたたちはむこうよ。」 4組を別々の方角に向かわせる作戦だ。 「さすがぱちゅりーだね!」 「こうすればだれかはどすにあえるね!!」 「むきゅ、でもきをつけてね!ずっとすすんでなにもなかったらひきかえしてね!」 「いってくるよ!」 「みんなのためにはしるよ!」 「どすをみつけてくるよ!」 4組のゆっくりは別々の道へ分かれていった。 さらにさらにそれから1時間後 「着いたわ…ハァ…ハァ…」 台車を押しながら彼女は昨日の洞窟のところまでたどり着いた。 「この穴は何?……ああ、予想通りね。ついさっきゆっくりが外に出たようね」 彼女は洞窟の入り口に向かった。 (やるわね…ここまで掘り進むなんて中々根性があるじゃない) 彼女はシャベルで雪山を崩した。そして黙って入り口に倒れこんでいるゆっくりを見つめていた。 「ゆふぅ…ゆふぅ…」 「ゆゆ!みたことないれいむがいるよ」 「れいむは…どこのれいむなの…」 「むきゅう…おおきいわね…」 「れいむはね、お日様が沈むところからやってきたんだよ」 彼女はそう答えた。 「おひさまがしずむところ!!」 「も…もしかして…どすの!!」 「れいむううう!!!!!どすはどこなんだぜええ!!!??」 お日様が沈むところから大きなれいむがやってきたと知り入り口に多くのゆっくりが走ってきた。 「ドスはね、今来れないんだ。だから代わりにれいむがやってきたんだよ」 「れいむは?まりさは?ありすは?ちぇんは?」 「もしかしてドスのところにきたゆっくり?」 「そ…そうだよ!どこにいるの?」 「ドスのところでゆっくりしてるよ」 「よ…よかったあああ!!!!」 「やったね!」 「これでゆっくりできるね!!」 「にんげんにふくしゅうできるんだぜええ!!!」 (昨日のことなのにもう忘れてるのかしら?こんなに簡単に騙せるとは思わなかったわ) 彼女はゆっくりに言った。 「今からみんなをドスのところに連れて行くわ。ドスが助けてあげるって」 「で…でもおそとはさむいよ…」 「れいむはにんしんしてるんだよ…とおいところまであるけないよ…」 「心配しないで」 彼女は透明な箱を2つ入り口に持ってきた。 「この中に入ってね。れいむがドスのところまで運んであげるよ」 「い…いいの?」 「任せて。ドスが用意してくれたのよ」 「みんな!!!!れいむがドスのところまで連れて行ってくれるって!!!!」 「「「「ありがとおおおお!!!」」」」 「さ、ゆっくりしないで。もうじき人間が来るわ。みんなを集めてちょうだい」 巣からゆっくりが飛び出した。昨日多くのゆっくりが死んだとはいえ百匹程のゆっくりが彼女の前に集まった。 「じゃあ大きい子から入れていくわよ。ちょっと狭くて苦しいかもしれないけど我慢してね」 「がまんするよ!!」 「まりさはじょうぶだからだいじょうぶだよ!!」 大きいゆっくりから箱の中へ入れられていった。次々とゆっくりが箱の中に入れられ最後に赤ゆっくりと雪を食べ過ぎて ぶよぶよになったゆっくりを入れて蓋をした。丁度2箱で納まった。 「あら…この箱は防音仕様なのね。声が聞こえなくなったわ」 彼女は箱を台車に乗せた。 「よいしょっと…ふう…こいつら重いわね…」 台車を押し山道を歩いた。 「…………」 「……………」 「……」 「何を話しているのかしら?どうせ碌なことじゃないでしょうけど」 数十分ほど歩き彼女は台車を止めた。 「少し休憩しましょうか…あ、そうだわ。ここなら大丈夫ね。…蓋もちゃんと閉まってるわ」 彼女は箱の前に立つと頭に着けていたリボンを解いた。 「(どすのところについたらゆっくりしようね)」 「(どすがいればにんげんなんかやっつけられるね)」 「(きっととかいはなどすよ。たのしみだわ)」 「(ゆ?とまったよ)」 「(きっとついたんだよ!)」 「(どすどこ?)」 「(あれ?れいむがまえにいるよ)」 「(れいむ!ゆっくりしないでどすにあわせてね)」 「(れい…む…?)」 「(あ…あれ?りぼんがとれちゃったよ)」 「(あ…あれは…)」 「(れ…れいむじゃないよ…)」 「「「「「(どぼじでにんげんがここにいるのおおおおお!!!!!)」」」」」 「「「「「(きのうのにんげんだあああ!!!!!なんでえええ!!!!)」」」」」 「「「「「(いやあああああ!!!!!!ごわいよおおおお!!!!)」」」」」 「「「「「(だじでええええ!!!!!ごごがらだぜえええええ!!!!)」」」」」 「一体何て言ってるのかしら?でもいいわ。顔を見れば分かるわ」 彼女の正体に気付いたゆっくりはみな絶望に満ちた顔をしていた。あるゆっくりは泣き出しあるゆっくりは気絶しあるゆっくりは箱から出ようと 体当たりをしたりジャンプをしている。 「無駄よ。無駄」 彼女はまた歩き出した。 「あらいけない。前を見ないで箱ばっか見てると転んじゃいそうだわ」 彼女は笑いながら軽トラを止めているところまで歩いていった。 −同時刻− 「ゆゆう…ここってにんげんがすんでるところだよね…」 まりさとれいむのペアが向かったのは東の方角だった。その方角には村があった。 「で…でもここをとっぱしたらどすにあえるかもしれないよ!」 「そうだね!にんげんにみつからないようにゆっくりあるくよ」 「ゆっくりぃ…ゆっくりぃ…」 2匹は慎重に歩き始めた。 「「そろーり…そろーり…」」 前言撤回。声に出して歩くただの馬鹿であった。 「うわ!なんだこの物体」 早速村人に見つかった。2匹は綿に包まれている。それを知らなければ丸い綿のようなものが歩いているように見える。 「何だよ…これは…あ!」 「これって…ゆっくりだよな」 あっさりと正体がばれてしまった。 「へぇ〜珍しい。冬なのにゆっくりだよ」 1人の男が2匹を捕まえ綿を外してしまった。 「ゆぴいいいい!!!!さぶいいいい!!!」 「はなしてね!!まりさはいまからどすのところにいくんだよ!!」 「じじいはなせえ!!!!ふくしゅうするんだあああ!!!」 「何言ってんだこいつ?」 「さあ?」 「どうしようかなあ…うるさいから潰しちゃうか」 「あ!ちょっと待ってください!」 別の男がやってきた。 「よかったらそのゆっくり、実験に使わせてくれませんか?」 「実験?」 「実際にこいつらを畑に向かわせてみましょうよ。俺の畑はもう壁も設置してますし」 「ああ…なるほど、そうだな。試してみよう」 「ちょっとこいつら持っててくれません?」 彼はまりさとれいむから帽子とリボンを奪った。 「まりさのおぼうしがあああ!!!!」 「おりぼんかえじでええええ!!!!ゆっくりできないよおお!!!!」 「ついてきて下さい」 彼らは少し歩いた。数分歩いたところで止まった。 「ここからあの畑が見えますか?」 「ええ」 「あの木は?」 「見えますよ」 「そうですか。じゃあここから始めましょう。ちょっと待っててください」 まりさとれいむの飾りを手にした男は自分の畑に向かった。 「ああ、君ちょっといいかな」 村人とすれ違った。 「村の皆を集めてくれないかな?全員でなくていい。数人ぐらいでいいよ」 「今すぐにですか?」 「できれば。今からちょっと実験するから」 「わかりました」 彼は畑に着くとどこからかピアノ線を持ってきて帽子とリボンを木に吊るした。 「よし、これでいいか」 彼はさっきのところまで戻った。彼が戻る頃には数人の村人が集まっていた。 「おい…何でゆっくりがいるんだよ…」 「復讐してやるって言ってるぞ。何があったんだ?」 「お待たせしました。その2匹俺に渡してください」 彼は男からまりさとれいむを受け取ると2匹を畑を見せた。 「おい、あの畑が見えるか?」 「ぼうじがえじでよおおお!!!!!!ばりざのおぼうじいいいい!!!!」 「りぼんがああ!!!!りぼんがないとゆっくりできなよおおお!!!!!」 「うるさい!!てめえらの飾りはあっちに吊るしてあるだろ。見てみろ!」 すると2匹は泣き止んだ。 「ほ…ほんとだ!!おぼうしさんがあるよ!!」 「お…おじさん!!れいむにりぼんかえしてね!!」 「今からお前らが取りに行くんだよ。そうだな、取り返せたら甘い果物をあげよう」 彼は2匹を地面に置いた。 「ゆっくりしないでおぼうしさんをとりかえすよ!!」 「おりぼんさんまっててね!!」 2匹は畑へ走っていった。 「おーい!お前らドスのところに行くんじゃなかったのか?」 村の誰かがそう言った。 「ゆゆ!!そうだよまりさ!!ゆっくりしないでどすのところにいこうよ!!」 「で…でも…おぼうしさんがないと…まりさのことをまりさだってどすにわかってもらえないよ…だから…」 (*1))) 2匹は畑を目指した。だが 「ゆ?」 「はたけさんがなくなっちゃよ!」 「このあかいのはなあに?」 「はたけさんどこおお!!!」 「「ゆええぇえぇん!!!!」」 レンガの壁のせいで畑がどこにあるのか分からなくなってしまったようだ。 「おい、ここだここ。この中にお前らの帽子とリボンがあるぞ」 見かねた男が飾りを吊るしてある畑を教えた。 「ゆっくりしないでなかにはいるよ!!」 「おりぼんさんまっててね!」 2匹は走りだした。 「「ゆ…ゆあああああああ!!!!!」」 まりさとれいむは畑の前の堀に落っこちた。 「「「アッハッハッハ!!!!」」」 見ていた村人達は大笑いだった。 「ストレートに落ちていきましたよ」 「こいつは傑作だ」 「だじでええ…ここがらだじでよおお…」 「どぼじでごんなどごろにあながあいでるのおおお!!!」 幸い堀に水が入っていなかったため2匹は生きていた。もし水が入っていたらそこで終わっていただろう。 「ほれ、出してやるよ」 畑の持ち主である男は2匹を堀から取り出し地面に置いた。 「まずは堀をクリアですね」 「ちょっと俺疑問だったんですけど…壁の高さはアレくらいでいいんですかね?」 1人の村人が隣にいた男に話しかけた 「大丈夫だと思うよ。まあ見てなって」 まりさとれいむは壁に体当たりをしていた。 「ゆ!かべさん!!ゆっくりしないでまりさをなかにいれてね!!」 「あかいかべさん!!!れいむをなかにいれてね!!」 しかしレンガの壁はびくともしない。 「ゆっくりできないかべさんなんかこうだ!!」 「ゆっくりしないでこわれてね!!!」 ゆっくり程度の力では壁を壊すことなどできるはずがない。 「「ゆえぇええん!!!かべさんこわれてよおおお!!!」」 ここで男が2匹に話しかけた。 「壊れないんだったら飛び越えればいいじゃないか」 「ゆ!そうだよ!!まりさはたかくとべるんだよ!!」 「ぴょん!ぴょん!!!ゆうううう…」 「たがずぎでとどがないよおおおお!!!」 さらに男が助言をする。 「おい、高く飛びたいんだったら助走つけりゃいいだろ」 「ゆ!そうだね!」 「ゆんしょ!ゆんしょ……ゆ!…ゆあああああ!!!!」 「「「「「アハハハハハハハ!!!!」」」」」 まりさは助走をつけようと壁から離れたが自分の後ろにあった堀の存在を忘れ、また堀に落ちてしまった。村人たちはまた大爆笑だった。 「こいつはいい。下手なお笑い芸人より面白いぞ」 「なるほど。こういうわけですか」 「俺達だって助走無しじゃあまり高くは飛べないぞ」 「ま…まりさあああ!!!!だいじょうぶ!!!??」 れいむは地上からまりさに呼びかけた。 「お…おじさん!!まりさをたすげであげでえええ!!!!」 「へいへい。まだまだ死んでもらうわけにはいかないんだよな」 男はまりさを堀から拾い壁の前に置いた。 「ちょっと待ってな」 彼は畑の中へ入り裏からレンガを抜いた。 「ゆ!あながあいたよ!!」 「ここからはたけさんにはいれるよ!」 2匹は穴に飛び込んだがあまり大きい穴ではない。れいむはギリギリ中に入ることができたがまりさは大きすぎて入れなかった。 「れ…れいむう…まりさには…ちいさくてはいれないよ…」 「だいじょうぶだよ!れいむがぼうしもとってくるよ!まりさはそこでまっててね!」 れいむは畑に生えている木の前まで歩いた。 「おぼうしさんとおりぼんさんだよ!!れいむがたすけてあげるからまっててね!」 れいむは飛び跳ねたが帽子とリボンには届かなかった。 「ゆううう!!!!ゆっくりしないでれいむにとどいてね!!」 れいむはひたすらジャンプし続けた。 一方彼は畑を出て老人と話していた。 「あ、おじいさん。例のものなんですが…」 「ああ。ほれ。これくらいで充分だろ」 「ありがとうございます」 彼は老人から丸い実を数個貰った。この実がドクウヅキの実である。 「おーい、まりさ。腹が減っただろ。これでも食え」 彼はドクウヅキの実をまりさの前に投げた。 「あれが…」 「確かに見た目は美味しそうだ」 「まあ見てみましょうよ」 初めてみるドクウヅキの実に村人達はざわめいた。 「お…おいしそうだよ…むーしゃむーしゃ…しあわせぇ♪」 まりさは実を美味しそうに食べていった。 「まだ?」 「ゆっくりには効果無い?」 村人達がまりさを見つめた。数分後… 「ゆ…なんだ…ぎゃああああ!!!!」 まりさが叫んだ。 「いだいいいい!!!!!おなががいだいよおおおお!!!!!ぎゅびぇえええええええええ!!!!!!」 まりさは苦しみだし餡子を大量に吐き出してしまった。 「これは凄い」 「これ程とは」 「死んだんですかね?」 男がまりさに近づく。 「ぐるじい……よ……ゆうう……ぅぅぅ…」 「いや…まだ息がありますよ。微かにですけど。もうじき死にますよ」 「効果ありますね」 「昔これ食って子供が死んだって話聞いたことあるよ」 「言っておかないと子供は食べちゃうな。美味しそうだもん」 一方畑ではれいむが必死に帽子とリボンに飛びついていた。 「とどいてよおおおおお!!!!!ゆっくりできないよおおお!!!!!」 ついに泣き出してしまった。 「まあ…実験は終わったな。もういいだろう…。ほれ返してやるよ」 帽子とリボンが地面に落とされた。 「れいむのりぼんさああん!!!よがっだよおお!!!!」 れいむはリボンと帽子を咥えると穴から出て行った。 「まりさあああ!!!!ぼうしとりかえしたよ!!!まり…さ…?」 れいむの前には瀕死のまりさがいた。 「ま…まりさあああ!!!!どうじだのお!!??じっがりじでええええ!!!!」 「で…で……い…ぶ…」 「だめだよおおお!!!!あんこはいちゃったらゆっぐりできないよおおお!!!」 「むううううう………」 れいむの前にドクウヅキの実が投げられた。 「おいれいむ。お前も腹が減っただろう。これ食えよ」 「ゆ…おいしそうだよ…」 れいむは実を食べた。 「むーしゃむーしゃ…あまああい♪」 れいむはいくつか食べると残りをまりさの口に入れた。 「まりさ!まりさ!これおいしいよ!これたべたらきっとよくなるよ!」 一瞬まりさの目が見開いた。そんなまりさ見て村人達は笑いを必死にこらえていた。 「ふ…ふ…ふ…」 「へ…っへ…」 「ゆ…ゆ…へ…んだよ…なに……!!!ゆぎゃあああああ!!!!!」 れいむも苦しみだし餡子を吐き出した。 「ゆぎぇええええ!!!!ぐるじいいいい!!!!!ぎゅええええええ!!!!!」 「で…い…ぶう……びゅううううううう!!!!」 まりさも更に餡子を吐き出した。 「「「アハハハハ!!!」」」 「それ食ってそうなったんだっつうの!」 村人達は大笑いをした。 「とりあえず実験は成功しましたね」 「ええ。これで大丈夫そうですね」 「じゃあ作業に戻りましょう」 村人達は自分達の仕事に戻っていった。 「このゆっくりは…肥料にするか」 2匹は男に畑に運ばれ鍬で潰されてしまった。 「ゆうう!!!!ゆううう!!!」 「はしるよ!」 「どすはどこなの?いたらへんじをしてね!!」 「みんな!ぜったいどすをみつけてみせるよ!!」 「どすううううう!!!!!どこなんだぜえええ!!!!」 「つかれたよ…でもはしるよ!!!!みんながまってるもん!!!」 走り続ける3組のゆっくりペア。果たしてドスに会うことができるのであろうか? つづく by 虐待おにいちゃん このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5058.html
ゆっくり達の挽歌 ※下手です 子を産める程度のれいむを二体、捕まえた。 二体を巨大で、無機質な部屋に入れて、放す。 「ゆゆっ!! はなしてね!!」 「ゆっ!! おじさんはでていってね!!」 最初は抵抗していたが、『あまあま』を与えると、喜んだ。 「もっと、あまあまほしいよ!!」 「ゆっくりしないで、はやくしてね!!」 さらに『あまあま』を与え、満腹の状態を維持させる。 「も、もう、たべられないよ!!」 「おなかいっぱい!! しあわせー!!」 それから、私は、ゆっくりをぶるぶると振動させた。 「ゆゆっ!? ゆ……ゆゆっ!! ゆゆぅ……ゆゆゆゆゆゆ!!」 「ゆ!? れいむどうしたのっゆっ!! ゆゆぅ!!」 二体の身体の表面が少し湿ってきた。 「ゆゆ!! れいむ!! でいぶあああ!!」 「でいぶあああ!! ぎぼぢいよお!!」 両方の身体から、愛液がどくどくと溢れ出てくる。 二体は白目を向いて、涎と涙を垂らしている。 「すっきりー!!」 「すっきりー!!」 片方のれいむから茎が生えてくる。 数日後……茎から実が落ち、子供が生まれる。 「ゆゆっ!! あかちゃん、ゆっくりしていってね!!」 「れいむたちに、にて、かわいいね!!」 子供は十一体だ。『あまあま』をたくさん与えているからだろう。 「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!!」 「ゆゆゆっ!!」 「ゆっきゅりー!!」 「おじしゃんじゃりぇ?」 「おじしゃんもゆっきゅりしちぇる?」 同じようなことを言う、ゆっくり達の家族から、ゆっくりの親を取る。 「ゆゆっ!! ゆっくりやめてね!!」 「ゆっくりしていってよー!!」 「やめちぇにぇ!!」 「おきゃーしゃんをちょりゃにゃいでにぇ!!」 懐から、注射器を取り出し、ゆっくりに注入する。 ゆっくりが小さく悲鳴を上げたが、全て入った。 そして、そのゆっくりを床に置く……すると。 「でいぶう!! でいぶびゃああ!!」 「ゆゆゆっ!? やびぇ!?」 そのゆっくりが妻に、突入していく。 私は、戦慄となった、赤ゆっくりを、天井から吊るした板の上に置いた。 「でいぶうう!! でいぶうううあああ!!」 「やびぇじぇ!! ごどぼだぢゃっふ!?」 レイパーれいむは身体から、愛液を振り回し、速くぶるぶると震える。 一方、れいむは戸惑いつつも、顔を紅潮させている。 レイパーれいむは、もはや狂人のような顔つきだ。 赤ゆっくりはそれを見て、泣いていた。 「すっきりー!! すっきりー!! すっきりー!!」 「すっきりー!! すっきりー!? ずっぎぎー!? ずぎあああ!!」 れいむは何度も擦られて、皮が擦れて餡子が漏れ出し始める。 さらに愛液の出しすぎで、表面がパサパサとしてきた。 「ずぎっ!!ずっ!!ず!! もど、ゆぐず!!」 やがて、れいむは果てた。 レイパーれいむも枯れてきたので、オレンジジュースを掛けておく。 レイパーは死体のれいむで自慰行為に励んでいた。 「お父さんはとても、怖いんだよ」 「ゆぎゃあ!!」 「ぎょわいよおー!!」 「だじゅげじぇ!!」 「じじぢゃぎゅだい!!」 私が一言言うと、赤ゆっくり達は混乱した。 次の日……。まだ、太陽も出ぬ頃に。 「ゆがあ!?」 親れいむが悲鳴を上げる。薬の効果はもう、切れていた。 「ゆっきゅりぎょろしゅはちんじぇにぇ!!」 「ゆっきゅりちにぇ!!」 「びゃーきゃ!! びゃーきゃ!!」 赤れいむ達が、れいむに突進する。 小さいので痛みはあまり無いが、れいむはショックを受けたようだ。 「や、やめてね!!」 「おぎゃーじゃんをぎょろじじゃぎゅじぇじい!!」 「おじざんぎゃおじえじぇぎゅりぇじゃよ!!」 「おぎゃーじゃんぎゃ、わりゅいゆっぎゅりじゃっじぇ!!」 れいむは、しばらく固まっていたが、皮を裂かれ、餡子を食べられ始めると抵抗した。 「ゆぎゅ!?」 「にじゃあ!?」 それに二体が巻き込まれる。 「ぎゃあ!?」 「よぎゅみょぎょりょじじゃにゃあ!!」 さらに赤れいむが突進する。しかし、れいむは見切りを付けたようだ。 「ゆびぇえ!?」 「ぎゃぎゃ!?」 「じゃびぇ!?」 「じゅじゅじぇ!?」 「ぎゃああ!!」 「ぎゅっぎゃ!?」 六体の赤れいむが餡子の塊と化した。 しかし、残った三体は、傷口に突進した。 すっぽと、中に入ってしまった。 「ゆぎゅう!? いだい!! いだいぃ!?」 中で、赤れいむが餡子を食っているようだ。 れいむは身体を振り、壁に突進した。 しばらくすると、れいむは落ち着いて、虚空を凝視し始めた。 「ゆぅ?」 私は先程、河童製『かめら』で撮った、写真を、箱に貼り付けた。 それは、一方向だけ開くようになっている。 れいむをその中に入れ、開閉部分を下に置く。 「ゆぎゃあ!?」 れいむが叫びだす。 「いだい!? やべっ!! ゆるじああ!?」 さらに叫ぶ。 「おでがいでずう!! ゆぎゃああ!!」 しばらくと呟くようになった。 「わどぅ……れい……ゆる……ごべ……」 声はやがて聞こえなくなった。 それから、六刻程して、私は箱を引っくり返して開けた。 「へへへ……あっぱるああ!! でいばあっふ!?」 れいむは箱から飛び出すと、ふらふらと、動いた。 が、止まって、壁に体当たりした。 「ひゅっるゆっくりああ!! ぎぼぼっべ!!」 さらに身体を回転させ始め、私に寄って来た。 「じね!! じでえ!! ぼっかあ、らった」 酔っ払ったかのように、部屋から、出て行く。 そして、玄関から出て行き、畑で、止まった。 その後、かなり速く、進んでいく。 「ゆっぶ!?」 れいむは、柵につっかえた。 しかし、無理して、隙間から出ようとする。 「ゆぅ!! ゆぅ!! ゆがあああああ!!」 身体が、めり込んでいく。 「ゆっ……べっ!! れいむは白目を剥いて、飛び散った。 END このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/245.html
冬眠ゆっくりの子守唄 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!!!」 そのゆっくりれいむが通ると、誰もがあたたかな声をかける。 「ゆっくり、していってね」 答えるれいむは上品だった。物腰たおやかで、そして美しかった。 魔法の森の誰もがうらやむ、最上のゆっくり、それが彼女だった。 「ゆっくりー……」 柔らかな草の上に座り、ただゆっくりと日を浴びる、それだけでも花のように絵にな るゆっくりだった。 「ゆっくりちちぇっちぇね!」 「ゆっくりちちぇっちぇね!」 小石ほどのちっちゃな赤ちゃんまりさや赤ちゃんれいむたちが、蝶を追ってぴょんぴょ んと飛んでいく。それを見ると、ぴょんと横から蝶を捕まえ、赤ちゃんたちにやった。 「はい、ちょうちょさんよ」 「ありがちょ、おねーたん!」 「やさしいね、おねーたん!」 感謝するちびたちに、無言でにっこりと笑いかける。 ゆっくり特有の騒々しさもなく、控えめで、優しい。本当によく出来たゆっくりだっ た。 そのれいむは、一年を母親の下で過ごし、そろそろ一人立ちを迎えようとするころだっ た。こんなにも器量よしで気立てのよいゆっくりなので、もちろん大勢のゆっくりたち が彼女を慕っていた。 「れいむとゆっくりつきあってね!」 「まりさとゆっくりつきあってほしいんだぜ!」 「あっあっあアリスと赤ちゃんをつくりましょぉ~~~~~!」 そんな誘いにも、れいむは頬を赤らめて、つつましく辞退していた。 「もうちょっと、ゆっくりかんがえさせてね」 彼女が一体誰と付き合うのか、森のゆっくりたちはやきもきしていた。 れいむの母親は、保守的な考えの持ち主だった。 「れいむはまだまだこどもだよ! 次の春までゆっくりと成長して、それからすてきな 人を見つけるといいよ!」 れいむ本人も、漠然とそんなふうに考えていた。 まだまだ、恋というものを遠くの虹のように考えていたのだ。 だが、恋のほうではれいむを待ってくれなかった。 ある日のこと、草むらをゆくゆくとしとやかに歩いていたれいむは、隠れていた蛇に 襲われた。悲鳴を上げて逃げようとした時、石をくわえて蛇を叩きのめしてくれたゆっ くりがいた。 「このあたりは危ないんだぜ。ゆっくりしないで通り抜けてね!」 そのまりさは、れいむにしばらく目を留めていたが、他のゆっくりのようにれいむの 美貌に惑わされて口説き始めたりはせず、黒い帽子を翻してそっけなく去っていった。 「すてきなひと……!」 ゆっくりれいむの餡子ハートが、きゅんきゅん鳴り始めた瞬間だった。 ほどなくそのまりさの素性がわかった。魔法の森のはずれの石地に暮らす、一人身の ゆっくりだった。 数日後、れいむはとびきり色艶のいいアマガエルをくわえて彼女に近づき、震えるハ ートに勇気を奮い起こして話しかけた。 「あの、せんじつはありがとう……いっしょにゆっくりしてね?」 「ゆっ?」 振り向いたまりさは、しばらくれいむを見つめてから、やがてにっこりとほほえんで くれた。 「ああ、あのときの……」 覚えていてくれた。それだけのことで、れいむは天にも昇る心地になった。 「これ、おれいなの。ゆっくりたべてね……?」 まりさはカエルを見て、べろんと舌を伸ばして食べてくれたが、ふいと向こうをむい てしまった。 「ありがとう。でも、ゆっくり帰ってね」 「どうして? れいむ、もっと……まりさといたいよ」 「ゆぅぅ、それはだめだよ」 「どうして?」 「だってまりさは……ばつをうけている身だからね」 まりさの告白は、衝撃的なものだった。 彼女はむかし、母親や姉妹たちと大きな家族で暮らしていた。ある日のこと、その家 族がゆっくりれみりゃに襲われた。母まりさが立ち向かい、子供たちも必死に手助けし たが、空を飛ぶゆっくりには勝てなかった。母も姉妹も体のあちこちをつまみぐいされ、 身動き取れなくなった。 そのとき、一人だけ無傷だったこのまりさは、家族を捨てて逃げたのだった。 「おかあさんがさけんでいたよ。『まりさだけでも、逃げてゆっくりしてね……!』っ て」 だが森のゆっくりたちは、このまりさに冷たい目を注いだ。家族を見捨てたゆっくり としてつまはじきにし、森のはずれのこんな寒々しい土地に追い出したのだ。 そこまで聞いた時、やさしいゆっくりれいむの目から、熱いものがあふれ出した。 「どお゛じでぞんな゛目゛にあっでるのぉぉ……!」 同情が胸を締め付ける。その痛みはすぐに、甘い共感に変わった。 我知らずれいむは、まりさに頬をすりつけていた。 強く強く、いっぱいの気持ちを込めて、すりすりと……。 「れ、れいむ……」 「つらかったよね、さびしかったよね……!」 すり寄るれいむに対して、まりさはとうとう何も言わなかった。 だが、別れ際に一度だけ、自分からそっと頬を当ててくれた。 れいむには、それだけで十分だった。 その日から、二人のひそかな逢瀬が始まった。 森のゆっくりたちの目をかすめて、石の荒地で、木陰のうろで、滝つぼの陰で、ふた りは密会を重ねるようになった。 密会といっても、二人とも前の冬に生まれたばかりで、まだ若い。子作りを求める、 燃え立つような情欲とは縁遠い。れいむが浮き立った調子で日常のことをしゃべり、そ れにまりさが時折あいづちを打つというような、他愛のない時を過ごしただけだった。 孤独なまりさはれいむの話を聞くと、ほかのゆっくりが気づかなかったようなれいむ の苦労を汲んで、ぽつりと同情してくれた。 「ゆっくりは、顔じゃないんだぜ」 「れいむは顔よりも、心がすてきだと思うんだぜ」 またそんなまりさも、おのれの美貌におごらない、謙虚で正直なれいむに惹かれていっ た。 「おかあさんや妹たちに、いつまでもゆっくりしてほしいよ」 「まりさのことも、きっとみんなはわかってくれるよ!」 夏の間、ふたりはそうやって、穏やかに愛をはぐくんでいった。 秋に入ると、ゆっくりれいむは冬支度を始めた。 優しいながら芯のしっかりしたこのれいむは、生まれて一年もたたないうちから、一 人で越冬をすると決めていたのだ。 外敵の近づきにくいイバラのしげみの奥に穴を掘り、着々と食料を貯めて行くゆっく りれいむの姿に、最初は心配していた母れいむも、許可を出してくれた。 「しんぱいだけど、だいじょうぶそうだね! がんばってゆっくりしてね!」 「うん、れいむがんばるね!」 幼女期を過ぎて少女期に入ったばかりのれいむではあったが、必要な餌の量や穴の広 さを本能が教えてくれた。れいむは着々と準備を進めていった。 ひとつ、気がかりなのは、あの仲良くなったゆっくりまりさのことだった。れいむは まりさと一緒にいたかった。 だが、結婚の誘いを口にするには、れいむはまだまだ幼かった。 もしそんな誘いをしたならば、一冬をずっと同じ穴の中で過ごすことになる。まりさ と夜を過ごしたことは、いまだに一度もなかった。そこで何が起こるのか、少女の活発 な妄想力をもってしてもさすがに考えが及ばず、れいむは一人、顔を赤くして首を振る のだった。 ――まだはやい、まだはやいよ! もっとゆっくりなかよくなってから……! 冬ごもりの食料は莫大だから、簡単には移せない。つまり、思いつきで移住すること は出来ない。どちらにしろ、今年は一人で過ごすことが決定していた。 森の木が色づきだしてからというもの、まりさのほうも冬支度を始めているようだっ た。ときおり遊びにいったれいむは、石穴での彼女の冬支度が、それなりに順調に進ん でいるようだったので、ほっとした。 そのころのれいむは、まりさの視線を感じて小麦粉の頬を熱くすることが増えていた。 まりさも同じように考えてくれている――そんな確信があった。 季節が移りゆき、とうとう幻想郷に初雪が降ったある日。 いよいよ冬篭りの支度をすっかり整えたれいむは、銀世界に顔跡をつけていっさんに 走っていた。 「ゆっ、ゆゆっ、ゆっ、ゆゆっ!」 今日は三ヵ月を越える冬ごもりを始める日。巣穴の入り口を閉じる前の、最後の逢瀬 だ。 石地の巣穴にたどり着くと、期待したとおり、その入り口はまだ開いていた。 「まりさ、いる?」 「れいむ? ゆっくりしていってね!」 聞き慣れた誘いの声。れいむはこの上ない喜びを覚えて、巣穴に入っていった。 「いよいよだね……!」 「ゆっくりと生き延びようね……!」 感無量で見つめあう顔と顔。自然の厳しさはお互いに知っている。うまくゆっくりで きなければ、再び会うことは出来ないかもしれない。 そんな切羽詰まった思いが、若いれいむに思い切ったことを口走らせた。 「あの……あのね、まりさ!」 「ゆっ?」 「もしこの冬篭りに成功したら……わたしとけっこんしてね!!」 白玉楼から飛び降りる思いでの大胆な告白。もちもちした頬を真っ赤に染めて、れい むはぎゅっとうつむく。 期待と不安に餡子が高鳴る。まりさはなんて答えるだろう。孤独なひとだから、断ら れるかもしれない。実は他に好きな人がいるかもしれない。乙女ゆっくりの想像力が暴 走しかけていく。 「ゆ……ゆぐ……」 のどに詰まったような不思議な声。おそるおそる声を上げると、まりさは顔を背けて むこうを向いている。 まりさを困らせてしまった――その思いに、れいむは足場が消えてなくなったような 絶望を覚える。やっぱり、自分の思い込みだったんだ。まりさは、ただの友達としか思っ てくれていなかったんだ……! 「ご、ごめんね、まりさ! 変なこと言っちゃった。……ゆっくりしていってね!」 最後の挨拶を残し、出て行こうとするれいむ。 涙を見られる前に。 ところがその後ろ髪が引っ張られる。ころんと転がって振り向いたれいむが見たのは、 真っ赤に染まって、怒っているようなまりさの顔。 「わ……わるかったよ、れいむ!」 「ゆっ?」 「な、なんて言っていいか、わからなかったんだぜ! うれしすぎて!」 言うが早いか、まりさは寄ってきた。柔らかな肌とふさふさの金髪がれいむの頬に押 し付けられる。 「まりさもだいすきだぜ! きっと、きっとけっこんしようね!」 「ゆ……ゆぅぅぅぅ!!」 歓喜の声がのどから漏れる。餡子脳をまたたく間に餡内麻薬が満たしていく。押し寄 せる幸福感、高まるヘヴン状態。 「ま、まりさ、うれしいよ……!」 「れいむ、ほんとにだいすきだぜ……!」 むにむにと頬をこすりつけ、何度も言葉を掛け合う。 こんなに幸せな思い出があれば、長い冬ごもりもぜんぜん苦しくない。少しの後悔も なくここを離れて、巣穴に戻ることが出来る。れいむはそう思った。 が――。 「ゆ、ゆく……ゆふ……」 「ゆぅ……ゆむぅ……」 押し付けた肌のぬくもりが、あまりに心地よすぎた。 愛しい人との距離が、あまりに近すぎた。 いつの間にか二人は言葉を忘れ、短い声だけを漏らして、体をゆすりあっていた。 そう、それは……二人がまだまだ早いと考えていた、愛の営みのきざし。 実際、二人はそんなことをするつもりは毛頭なかった。 ただただ、その心地よく温かい行為を止めたくなくて、じわじわと続けていただけな のだ。 しかし、いくら自覚がなくても、幼い餡子体に目覚めつつある官能は、そのまま消え てくれはしなかった。むしろ二人が押し合うのに合わせて、急速に高まりつつあった。 「ゆっゆっ……ゆっゆっゆぐっゆぐっ」 「ゆは、ゆは、ゆふ、ゆふ、ゆふぅぅ……ま、まりさぁ……へんだよぉ……」 頬を染め、とろんと溶けた目でつぶやくれいむ。 ふと相手を見れば、同じように快感に目を細め、唇をゆがめている。 そのまりさが、はっとれいむの視線に気づき、何か言おうとした。 「れ、れいむ……ゆっくりとやめようね……?」 彼女はまだ理性を残していた。今このタイミングで営みを始めたら、どんな悲劇的な 結末が待っているか、きちんと想像が出来た。 結末――それは恐ろしい光景だ。一人で巣穴に帰ったれいむが、腹の痛みを感じる。 そして何日かのあとに子供を産み落としてしまう。 一人用として準備された、巣穴の中で。 見詰め合ったまま、二人はわずかに逡巡した。 だがれいむは、しとやかで相手の望みを慮る性格のために、感じてしまった。 まりさがこらえている飢えを。芽吹きはじめた欲情を。 ――まりさがれいむをほしがってる……すっきりしたがってる……! それゆえに、れいむは揺すり続けた。 美しい頬をすりよせ、唇の端をまりさの唇に沿わせ……。 「まりさ、いいよ、まりさ……」 「ゆっ、れいむ、れいむ?」 「れいむはいいの。してほしいの。ねえ、すっきりしていってね……?」 魔法の森で一番とたたえられた、青いほど若く美しいゆくっりれいむの、健気な誘惑 ……。 それに、長い間孤独にさいなまれ、れいむを慕い続けていたまりさが、抗えるわけが なかった。 「れっ、れいむ、いいの、ほんとにいいの?」 「いいの、いいのぉ、まりさなら、ゆぅん、いいのぉっ……!」 まだ幼い、餡子皮もろくに厚くなっていない、青い果実のようなれいむがあえぐ。 「れいむっ、すきだよっ、れいむ、ほんとぉぉぉ!」 人の情けを知らずにたった一人で生き抜いてきた、飢えたまりさがむさぼる。 舌を伸ばしてべろべろと舐めあい、湿った頬をぐにぐにとすりつけ、野獣のように汁 まみれで愛し合う。若く未熟だといっても、いや、若く未熟だからこそ、二人の愛はと どまるところを知らなかった。 「ゆっ、ゆおっ、ゆふっ、ゆむぅっ♪ まりさっ、きもぢいい、ぎもぢいいよぉぉ!」 「れ゛いむ゛ッ、れい゛む゛っ、れ゛いむ゛ぅぅ、だいすきだよぉぉぉほぉぉ!」 「もっどっ、もっどじでっ、ぐるっ、ぐるっ、なにがぎぢゃぅぅぅぅ!!」 「まりざも、まりざもっ、れるっ、れるっ、なにかがれる゛ぅぅぅ!!」 ずくんずくんと押しつけるまりさの動きが最高に高まった瞬間、れいむは感じた。 じわじわぁぁっ……! と自分の中に染みとおってくる、まりさの愛のこもった熱い 波を……。 その途端、真っ白な閃光が丸い餡子体のすみずみまでも走りぬけ、れいむは我知らず に絶叫していた。 「すっきりーーー!」 「すっきりーーー!」 同時にまりさも叫び、柔らかい体をべったりとれいむに密着させたまま、ふるふると 硬直した。 白一色の野原の中、小さな穴倉で人知れず重なり合った二人の上に、新たな冬の使者 が音もなくはらはらと降り積もり始めた……。 ゆっくりれいむは枯れ草を敷き詰めた穴倉に、じっと座り込んでいた。 冬篭りを始めて一週間。――食料の消費は予想通りで、念入りにふさいだ入り口から は雪の一片も漏れてこず、冬篭りはすべて問題なく進んでいるようだった。 しかしれいむの顔は、心なしか青かった。 ――だいじょうぶ、だいじょうぶ! ゆっくりしてればいいの! 自分に言い聞かせつつも、思い返してしまうのは、あの日のことだ。 生まれて初めての衝動に押し流されるまま、自分の体のすべてを与え、恥ずかしい痴 態をさらしてまりさとひとつに溶け合った。それ自体は例えようもなくすばらしい愛の 出来事だった。 だが、終わったあとに残ったのは、取り返しのつかない愚行をしてしまったのではな いかという、巨大な不安――。 「れ、れいむ……」 おろおろとうろたえながら、まりさが何かを言おうとした。 「……こっちでゆっくりしていく? まりさはかまわないよ」 だが、出てきたのはこんな益体もない台詞だけ。もとよりまりさの巣穴にはまりさの 分の食料しかない。たとえまりさが身を投げ打ってくれたところで、来るべき事態の解 決にはならない。 れいむにまりさを責める気はなかった。あの流れの中で、自分は確かに、人生の分岐 点をこちらへと渡ったのだ。 一時の快楽に押し流されて……。 「ありがとう、まりさ。れいむはおうちにかえるね」 にっこりと笑って、れいむはそう言った。 まりさが好きだった。だから心配をかけたくなかった。 ただ、どうしたわけか、涙だけは目じりからぽろぽろとこぼれた。 「ゆっくりしていってね、まりさ。れいむはだいすきだったよ!」 「れ、れいむぅぅぅ……」 同じように涙を流し、何度も抱擁して、まりさは送り出してくれたのだった。 「春になったらむかえにいくからね! ぜったいいくからね!」 ……そんな声を背に、れいむは巣穴に帰ってきたのだ。 「ゆっ、ゆゆっ、ゆんっ!」 ふるふると頭を振って、自分に活を入れる。 「ゆっくりできるよ、ゆっくりしてるよ!」 すべては杞憂なのだ。こうして座って、辛抱強く食料を食いつないでいけば、やがて は春が来るのだ。 そうして、ある暖かな一日に薄暗い穴の中で目を覚ますと、入り口を掘りあけてまり さが来てくれるはずなのだ。 「ゆっくりしすぎたぜ、れいむ!」 そうやって、微笑んで……。 ぐりゅ、と頭皮の上で何かが動いた。 「……!」 れいむは頭をふる。何度も何度も振る。 「ゆっくり、ゆっくりしていくよ……!」 聞くものとてない冬山のイバラの茂みの奥に、そんな小さな叫びが響く。 だが――。 運命の神は――。 二人の愛の結晶を、無慈悲にも――。 「ゆぐっ、ゆぐっ、ゆゆぎぃぃぃ……!」 吹雪の吹きすさぶ厳冬の一月。 分厚い雪に振り込められた巣穴の奥に、異様な光景があった。 それは膨れ上がったゆっくりれいむ。――ただ縦方向に伸びているだけでないのは、 その口の下にみちみちと開きつつある穴から、明白だ。 産道が穿たれつつある。 一歳に達しないゆっくりれいむが、枝をつけずに胎児を孕むのは、きわめて異例なこ とだ。だがこれは、彼女自身が引き起こしたことだった。 その原因は、れいむが己の妊娠を徹底的に否定し続けてきたことにあった。 まりさとのあの日から一週間を過ぎたあたりから、れいむの体調は確実に変化してい た。食欲が異様に増え、食べても食べても物足りない。頭がうずき、何かが生えつつあ るような感覚が湧いた。 頭から枝が生えたら、子供が実る。――その程度のことは、うぶなれいむでも知って いた。 「は、はえないでね! ゆっくりはえないでね!」 頭の上に少しでも何かが突き出そうになると、壁にこすり付けて削り落とした。 だがゆっくりの体の作りは、ゆっくりであるれいむ本人にも想像もつかない神秘を秘 めていた。 枝が生えなくなってほっとしていると、今度は十日過ぎから、腹の中に違和感を感じ るようになった。 みちみちみち……。 みちみちみち……。 腹が圧迫されていく。 内側から。 まるで新しい何かが形成されているかのように。 「ゆ、冬太りになってきちゃったよ!」 「ゆっくりしてるの、ゆっくり一人ですごすのぉぉ!!」 食料の食べすぎだ、運動不足だと自らをあざむいても、詮無いことだった。 茎を作って生まれ出ることのできなかった生命が、行き場をなくして腹の中に宿って しまったのだ。 以来、それは育ちに育ち、一ヵ月半が過ぎた今では、かつてのれいむ自身に匹敵する ような何者かが腹の中にいることは、明白になってしまった。 それが今――。 いよいよ胎児としての成熟を迎え、外の世界に生れ落ちようとしている。 ふくれあがり、中からミチミチと押し開かれる産道に、れいむは懸命に力を込める。 「だめっ、だめぇぇぇ……生まれちゃ、生ま゛れ゛ぢゃだめぇぇぇ……! 出だら゛死ん゛じゃう゛の゛お゛ぉぉぉぉ!!!」 かつて誰よりも美しかったまぁるいあごの線は、無様にふくれ、見る者見る者に舐め てみたいと思わせた滑らかな餅肌には、脂汗が玉のようにびっしり浮いている。 若く美しいゆっくりだったれいむが、今は腹の膨れた妊婦となって、おのれの恥ずか しい穴を必死に引き締めているのだから、グロテスクを通り越して滑稽ですらあった。 「ゆぎい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!」 顔の下部に熱した金属棒を突っ込まれ、グリグリとこじ開けられるような壮絶な痛み が、れいむを苛む。れいむは歯を食いしばってそれに耐える。 最初のうちは外に出すまい、奥に戻してやろうという力みだったが、自然の巨大な力 の前に、そんな愚かな努力はたやすく圧潰した。今ではもう、腹の出口に宿る凶悪な痛 みの塊を、ただなんとか処理したいということしか、考えられない。 「ぎぎぎっぎゅぃいいぃいい! いだっいだっだっ、いだいよぉぉぉぉ!」 体内の餡子という餡子がマントルのように煮え返り、循環するような猛烈な苦痛が襲っ ている。その最悪の瞬間、れいむは痛みから逃れることしか考えていなかった。この痛 みをもたらしたすべての者を憎悪した。生まれつつある胎児自身、それを種つけたゆっ くりまりさ、種を受け入れた昔の自分、そしてそんな自分を世に送り出した母親までも を憎みぬいた。 「ゆっぐりじだいぃぃぃ! みんなみんなゆっくりじねぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!!」 誰一人助けてくれるものもない、孤独な苦痛が最高に高まった瞬間―― きゅぅぅぅ……ぽんっ! 軽快な音とともに、一瞬で腹が軽くなった。たちまち、どっと音を立てそうな勢いで 安堵があふれ出し、れいむは至高の快楽に浸る。 「ゆっくりー!」 「ゅっ」 だが、彼女の安堵は、小さな小さなうめきを聞いた瞬間、絶望に転じた。 目を開ければ、薄暗い巣穴の床に、小さな丸いものが落ちている。 黒い帽子、濡れて波打つ金髪、ちょっぴり世をすねたような唇、まだ開いていないま ぶた……。 それは、愛したゆっくりまりさに生き写しの、自分の子供だった。 ――生まれてしまった……! ひたひたと押し寄せるその事実に、れいむは押しつぶされる。聡明な彼女には、この ことの帰結がはっきりと理解できた。 巣穴には一人分の食料しかない。 子供と二人では、間違いなく足りなくなる。 だから当然、今しなければいけないのは――間引き。 「……ゆ、ぐ、ぅ……」 それは子供を自らの手で殺すこと。大丈夫、生まれて間もない赤子はまだ世界のもの ではない。あちら側、死者の側の住人なのだ。殺すといっても、そちらへ送り返すだけ。 そう、これは「お帰し」なのだ――。 ゆっちゅりーだったか、あるいは他の誰かだったか。昔聞いたそんな理屈が、頭の中 でぐるぐると回った。 れいむはぶるぶるとおこりにかかったように震えながら、前へ進む。あれほどわが身 を痛めつけてくれたのに、子供の大きさは桃の実ほどもない。スイカ並みの大きさがあ る今の自分なら、のしかかるだけで片をつけることが出来る。 やるのだ。 やらねば。 やらなければ! ――と、そのとき目を開いた小さな子供が、きょろきょろと辺りを見回したかと思う と、輝く瞳にいっぱいの希望を浮かべて言った。 「ゆっくちちぇっちぇね!!!」 一撃だった。 それはれいむの脆い殺意を突き崩し、深い深い愛を呼び覚ますに十分な一撃だった。 幼い母親であるれいむの心に――幼いからこそ、純粋な愛がこんこんと湧き出した。 愛したまりさとの子供、自分の腹を痛めた子供だという思いが、あっという間に心を満 たした。 「ゆ゛っ……」 れいむは、その言葉を口にした。 「ゆっぐり、ぢでいっで、ねぇ……!!!」 そして滝のように涙を流し、わんわんと声を上げながら、赤ちゃんまりさに頬ずりし た。 「ゆっ? おかあたん、どうちたの? まりさがちゅいてるよ! 何もわからない幼いまりさが、早くもそんなことを言って、母に頬を擦り付けた。 母子はずっと一緒にゆっくり暮らした。 狭く暗い穴倉の中で、せいいっぱいゆっくりと……。 出産が済んだれいむは、いくらもたたないうちに、元のように丸く美しい体形を取り 戻した。子供と二人、彼女は毎日を楽しく暮らした。 子まりさも、満足しきっているようだった。 「おかーたん、ゆっくちおととにでたいよ!」 「おそとは寒いのよ。暖かくなったらね」 「おととにはどんなものがあるの?」 「きれいなお花や、可愛いちょうちょや、すてきなまりさかあさんがいるのよ」 「ゆっ、おかーたんがもうひとりいるの? まりさ、たのしみだよ!」 子まりさの幼すぎる餡子脳は、結末をまったく想像できなかった。 彼女はただ、外敵のいない快適な穴倉で、寝てもさめてもそばにいてくれる、若く美 しい母親と、壁一杯に積まれたたっぷりのごちそうに囲まれ、明るく広い未来を想像し て、至福のときを過ごしていた。 「ゆぅ・ゆ・ゆー ゆぅ・ゆ・ゆー ゆーゆゆぅゆ ゆーゆぅ……」 柔らかなアルトの子守唄を聴きながら寝かしつけられると、子まりさはついついこん なことを言ってしまうのだった。 「おかーたん」 「なぁに? まりさ」 「まりさ、とってもちあわちぇ!」 ちゅっ、と頬にキスして目を閉じる娘を、れいむはこの上なく幸せな顔で、だが滂沱 の涙を流しつつ、見守るのだった。 時が流れ、日々が過ぎていった。吹雪の音は収まることがなかったが、壁に積まれた 食料は少しずつ減っていった。 れいむにはひとつだけ迷いがあった。それは自分を犠牲にしてこの子を助けようかど うかということ。自ら招いた過ちである以上、そうすることもれいむは真剣に考えた。 だが、出た結論は、そうしたくないし、そうするべきではないと言うものだった。 母の肉体を食い荒らして育った娘が、幸せになれるだろうか……。 恋人の肉体を食い荒らして巣穴から出てきた娘を、母まりさが許してくれるだろうか ……。 そう考えれば、答えはとても簡単であるような気がした。 三月、冬の終わりを告げる最後の地吹雪が巣穴をとどろかしているころ。 食べるものが何一つなくなった、空虚な巣穴の中で、頬がこけ、げっそりと衰弱した れいむ親子が、夢うつつの境をさまよっていた。 「ゆぅ……ゆぅ……」 「ゅぅ……ゅぅ……」 寄り添った二人は、もはや苦鳴すら漏らしていなかった。おなかがちゅいた、と子ま りさが文句を言っていたのも、すでに一週間も前のことだった。 今では細い息を漏らしながら、迫り来る死を待っているだけだった。 「ゆぅ……ゆぅ……ゆっ・ぐ」 薄れる意識を漠然とたもっていたれいむは、ある一瞬、確かに自分の生が途切れたの を感じた。人間にたとえれば、弱りきった心臓が短い間、停止したというところだろう か。ともかく、死はすぐそこまで迫っているとわかった。 ――れいむ、しぬんだ……。 ――がんばったけど、ここで死んじゃうんだ……。 ――おかあさん、ごめん。まりさ、ごめん。子まりさ、ほんとにごめん……。 いつ死んでもおかしくない、と思った瞬間、れいむは細い決意を抱いた。あれほど考 え抜いて決めたことなのに、土壇場で再び母性本能がうずきだしていた。 「まりさ……まりさ」 「ゅぅ……ゅ?」 「今から、ごはんをあげるからね……いっぱいたべて、ゆっくりしてね……」 そう言って、子まりさから離れ、壁際の石へよろよろと這いずっていった。石の角で 自らを切り裂き、餡子を与えるつもりだった。 だが、その作業を始めて痛みに顔をしかめていると、ちっちゃな子まりさがゆむゆむ と必死にはいずってきて、細い声で取りすがった。 「おかーた、おかーたん、いたいいたいしちゃ、だめ!」 「いいのよ、まりさ……」 「だめなの、まりさはおかーたんがちゅきなの! おかーたんいっしょにいて!」 餡子の味を知らないから、そんなことを言うのだろう。いったん餡子を食わせてやれ ば、我を忘れてむさぼるだろう。 そうとわかってはいても、れいむは愛しいわが子を、泣かせたくなかった。 れいむは石から離れた。そしてまりさにゆっくりと寄り添って、歌い始めた。 「ゆぅ・ゆ・ゆー ゆぅ・ゆ・ゆー ゆーゆゆぅゆ ゆーゆぅ……」 眠れ眠れ母の胸に。 歌の歌詞そのまま、眠るように子まりさは静かになった。 ほどなくその静かな歌も途切れ、あとには吹雪のとどろきが残った。 汗ばむほどの陽気に包まれ、根雪が盛大に溶け流れている。 四月。魔法の森には急激な春が訪れ、すべての生き物たちがいっせいに目覚めていた。 「ゆっ、ゆゆっ、ゆっくゆっく!」 雪解けの地面を、全身泥まみれになりながら駆けていくゆっくりがいる。 黒い帽子のゆっくりまりさだ。もう五日も前から巣穴を防ぐ石版をぐいぐいと押し続 け、今日やっと、上に乗っている雪が溶けたために出てこられたのだった。 「ゆっくり、ゆっくりーっ!」 それは訪れた春を歌い上げる歓喜の声であるとともに、愛する人に聞かせる呼びかけ の声だ。皮よ破れよ帽子よ落ちよとばかりに、出せる限りの速度でまりさは跳ね飛んで いく。 イバラの茂みは、秋に記憶したとおりの場所にあった。そこは雪がまだ溶けていなかっ たが、そんなことは問題ではなかった。まりさの頭の中は、四ヶ月前に激しく愛し合っ た、美しく愛らしいゆっくりれいむのことだけが占めていた。 ――れいむ、れいむ! いま掘り出してあげるぜ! 冷たい雪を口にくわえて横手へ吐き出しながら、まりさは冬ごもりの間に数え切れな いほど繰り返した至福の想像を、再び頭の中で組み立てる。 雪をどけて扉を崩せば、待っていたれいむが涙ながらに飛び出してくるはずだ。 いや、慎み深いれいむのことだから、久しぶりの出会いにためらって、もじもじして いるかもしれない。 まさか眠っているってことはないはずだ! どれにしろ、まりさの言うべきことはひとつだけのはずだった。 ゆっくりしていってね! これからずぅっとずうっと、死ぬまで一緒にゆっくりしようね……! ゴソッ、と雪が抜けた。巣穴を閉ざす石と枝が現れた。 「れいむ! まりさだよ、ゆっくりしないで来てあげたよ!」 石と枝をくわえることすらもどかしく、もぞもぞと顔を突っ込んでまりさは入り口を 掘り抜いた。ずぼっと穴が貫通し、湿った巣穴の匂い、懐かしいれいむの甘い香りが、 ふわりと漂いだしてきた。 「れいむ!」 まりさは三日、遅かった。 ========================================================================= YT このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3628.html
『真冬のゆっくり対策』 「この時期に色々と対策を取ったほうがいいですよ」 ある村で会議が開かれていた。この村はゆっくりによる農作物の被害が多かった。 「確かに今が一番いいわね。今ならみんな冬篭り中だし手こずる事も無いでしょう」 ちなみに今は真冬。ゆっくりは冬篭り中で村には出没していない。そのうちにゆっくりの数を減らしてしまおうというのだ。 「春になったらまた子作りしますよ。そうしたら被害が増えるだけだ」 「ドスまりさも冬は動けませんよ。やるなら今です」 「しかしこの村の人数ではな…」 「でしたら周りの村や町にも応援を頼みましょう。虐待好きな方も動員しましょう」 「わざわざ来てくれるかね」 「どこも真冬はゆっくりが少なくて虐待が中々できないそうですよ。この辺りはゆっくりが多いようですから見つけやすいんじゃないですか? 喜んできてくれますよ。」 「いや…そっちの人のことを言ったんじゃないんだが…」 何はともあれゆっくり駆除の募集が行われた。 「ふ~ん…ゆっくり駆除ね」 新聞を読みつつ虐待お兄ちゃんは呟いた。 "ゆっくりを虐めたくてうずうずしてませんか?" 「してる。この時期は粋の良いゆっくりがいないんだよなあ」 彼の住んでいる村のそばだけでなく大抵の場合冬になるとゆっくりを見つけるのに少々手間取ってしまう。手間をかけてまでゆっくりを捕獲し 虐める人はそんなにいない。たまに自宅に忍び込もうとするゆっくりを捕まえて虐待するくらいだ。 「そういえばこの村は結構ゆっくり被害が多かったな」 "報酬はあまり出せませんが特産品をご馳走します" 「あ、この村確か良い酒があったんだ。結構高いやつ」 村の経済状況ではそれが精一杯だった。 "いつでもお越しください。ご協力お願いします" 「人助け&酒&虐待。良いこと尽くめじゃないか。早速出かけよう」 「うう…寒いわ」 虐待お兄ちゃんは村に着いた。彼が住んでいる村とは違い雪が積もっていた。 「そうか…雪がよく降るところだから米が良くて酒が美味いんだな」 彼の他にも多くの人達が着ていた。 「皆様、遠いところから良くおいで下さいました」 「この村はゆっくりによる被害が多くて困ってます。力を貸してください」 「無理はなさらないでください。夕方には戻ってきてください。夕食を用意いたします」 「ドスはここからかなり遠いところにいるので遭遇する心配はありません。ご安心ください」 「皆様お願いします」 彼らは準備を整え山へ向かった。 虐待お兄ちゃんは木の根っこの辺りを探していた。まずゆっくりが巣にしているのは木の根っこの下である。 「うーん…あ、ここ怪しい」 ゆっくりは冬篭りをする時入り口に草や石などを詰め寒さを防ぐという。不自然に石が固まって置いてある場所は巣の可能性がある。 「手ごろな大きさの石はないかな…」 彼はブロック程の大きさの石を見つけた後シャベルで木の根っこの辺りを掘り出した。 巣の中- 「ゆぅ…きょうはさむいね」 「おきゃあしゃん!しゅりしゅりすりゅちょ、ちょっちぇもあっちゃかいよ!」 「まりさともすりすりしてね」 「れいむも、れいむもすりすり~」 巣の中は典型的な幸せ家族であった。まりさとれいむに子れいむ、赤まりさ、赤れいむの5匹だ。巣の中は5匹と貯蔵している食糧でギリギリ といったところであった。 「せまくてごめんね、らいねんはもっとひろいおうちにすもうね」 「そんなことないよ。まりさががんばってつくったおうちだもん。とってもゆっくりできるよ」 「しょうだよ!まりしゃちょっちぇもゆっきゅりしちぇるよ!!」 そんな幸せムードもここまでだった。 「……で……~。は……す…よ…」 「ゆ!なにかきこえるよ」 「ゆ!なんだかさむくなってきたよ!!」 「しゃみゅいよお」 「はるですよ~!!!!!」 「「「「「ゆゆゆ!!!!」」」」」 入り口が壊され虐待お兄ちゃんが巣の中をのぞいていた。 「はるですよ~。なんちゃって」 「きょきょはまりしゃたちのゆkk…ゆぴいいいいい!!!しゃみゅいいいい!!!!」 「おちびちゃんたちはおかあさんのおくちのなかにはいってね!!」 「おじさん!!ゆうう!!!ここはまりさたちのおうちだよ!!さっさとでていってね!!!さむうううう!!!!!」 「あれ、まさか冬篭り中だったかい?」 「そうだよ!!!!だからゆっくりしないででていってね!!!!ゆううう!!」 「すまないねえ。なあ、ゆっくりと遊びたいんだけどこの辺りにゆっくりはいないかい?」 「ゆっくりしないででていってね!!!いりぐちなおs…ゆぴいいいい!!!!」 「早く教えてよ。いないんだったら君達と遊ぼうか」 「となりのきにありすがいるよ!!!まりさもいるよ!だからはやくでていってね!!」 「そうか、それはどうも。お礼に入り口埋めてあげるよ」 「ゆっくりしないでね!」 「じゃあ奥に入ってくれ」 「わかったよ!れいむ、おちびちゃんおくにいってね」 ゆっくり達が奥に入ったのを確認すると彼は石を巣の中にぶち込んでいった。 「丁度すっぽり挟まったね。これなら大丈夫だね」 彼は隣の木に向かった。 「ゆううう!!!!おじさん!!!ふさがってないよ!!!」 「もう…まりさがふさぐ…ゆゆゆ!!いしさんがじゃまでまえにすすめないんだぜ!!!」 「さむいよおおおおお!!!」 「ゆっきゅりできなああいいい!!!!」 「ゆんしょ…ゆんしょ…ゆうううう!!!!!」 「さて、多分ここだな。ここがありすのおうちか。今度はベーシックにいこう」 彼はシャベルで掘り始めた。 「はるですよ~。はるですよ~。でてきてね~」 巣の中- 「むきゅ…きょうはひえるわね」 「ぱちぇ、まりさとくっつくんだぜ!まりさがあっためてあげるんだぜ!」 「むきゅ~ん…ほかほかするわ」 「ぱ…ぱちぇ…まりさは…まりさはぱちぇとすっきりしたいんだぜ!!!」 「だめよまりさ。ごはんがすくないわ。あかちゃんなんてうめないわ」 「はるまでまてないんだぜ!!」 「まりさ……むきゅ!いりぐちがこわれてるわ!!」 「ゆ!」 「おうおう、おアツイねえ。あれ、ありすじゃねえ」 彼は巣を覗きニヤニヤしていた。 「おじさん!まりさのあいのすになんのようだぜ!!!」 「さむいわ!!ゆっくりできないわ!!」 「いやはや、おアツイところを失礼したよ。でもアツすぎると赤ちゃん産んじゃって冬越せなくなっちゃうよ。頭冷やそうね」 彼は巣の入り口を滅茶苦茶に壊していった。 「やべでえええ!!!!!あいのずがごわれぢゃううううう!!!」 「ゆぴいいいいい!!!!さむくてゆっぐりできなあいいい!!!!」 入り口どころか巣は修復不可能なほどに壊されてしまった。 「これなら少しは冷静になるね。じゃあね」 「むきゅううううう!!!!!!!」 「おじざん!!!!!!ゆうううう!!!!!おうぢなおじでええええ!!!!さむくでゆっくりできないよおおお!!!!」 「どうじだらいいのおおおお!!!!!」 「おうぢなおずんだ…ゆぴいいいいい!!!…ゆうう!!!ごはんがかぜでとばされでるんだぜええ!!!」 「今度こそありすのおうちはここだな」 巣の中- 「みんなごはんにするよ!」 「ゆっくりできるよ」 「きょうはむししゃんがたべちゃいよ」 「きょうはとくにひえるからとかいはならんちにしましょう」 「やったね!ごちそうだね!」 「「「「「むーしゃむーしゃ…しあわせぇ♪」」」」」 こちらも幸せな家族団欒であった。ありすとれいむの若干珍しい組み合わせ。子ゆっくり2匹と赤ゆっくり1匹だ。 「こんやはもっとひえるからよくたべてねましょうね」 「さむいよおお」 「だいじょうぶだよおちびちゃん。れいむおかあさんとす~りす~りしましょうね~」 「「す~りす~り」」 「ありちゅもしゅ~りしゅ~りしちゃ~い」 「ありすもす~りす~り」 突然だった。 「ゆ!なんだかすうすうするよ!!」 「おきゃあしゃん!おしょちょがみえちぇりゅよ!」 「とかいはなおうちをこわすいなかものはだれ!!!!さむいっ!!!!」 「ビンゴ。ありすだ」 「ここはありすたちのとかいはなおうちよ!!!いなかものはでていってね!!」 「しょーだしょーだ!」 「おかあさん!!さむいいいい!!!!」 「ハハハ。悪い悪い。プレゼント持ってきたんだけど余計だったかな」 「ぷれぜんと!」 「あまあまさん?おにいさん!あまあまさんくれるの?」 「べ…べつにぷれぜんとなんかでつられないわよ!だけど…あげたいならもらってあげてもいいわよ!」 「じゃあみんな、巣の奥に入って目を瞑っててね」 「ゆっくりおめめつむるよ」 「さみゅいきゃらゆっきゅりしにゃいでね」 「あまあまさん…あまあまさん…」 ドサアア!!!! 「ちべだあああいいいいい!!!」 彼が巣の中に入れたのは雪だった。 「遠慮するな。どんどん入れてあげるから」 「ちゅめちゃいよ!!!」 「やべでええ!!!ありすのとがいはなおうちがああ!!!!」 「それそれ!それそれ!」 「やめ…むぐうううう!!!…っぺっぺ…やべでええええ!!!!!むぐううううう…」 「いやあああああ!!!!ゆきさんこっちごないでええ!!!!」 「ほれ。トントンっと」 巣の中が雪でいっぱいになるとパンパンっと雪を固めて入り口を塞いだ。 「一面銀世界だなんてなんて都会派なんだろうね!!」 彼は次のターゲットを探したが中々見つからなかった。実は木の根っこを冬篭り用の巣にするゆっくりは少数らしい。 というのも巣が広げにくく食糧が貯めにくい事と雪の重みで入り口が壊れてしまうケースがあるからだ。 「あ、ここも空っぽだ。仕方ない根っこは諦めるか」 春になったら戻ってくるゆっくりもいるらしい。彼は山の奥の方へ向かった。 虐待お兄ちゃんがいなくなってから数分後- 「「ゆんしょ…ゆんしょ…」」 「おきゃあしゃんがんばっちぇね!」 「あかちゃんさむくない?す~りす~り…」 「しゅ~りしゅ~り…ゆうううう…しゃみゅいよおお」 石で入り口を中途半端に塞がれた家族である。 「ゆうううう!!!いしさん!!おうちからでていってね!」 「これじゃだめだよ…みんな!てつだってね。みんなでがんばればいしさんをどかせるよ!」 「まりしゃもぎゃんばりゅよ!」 「あかちゃん、がんばろうね」 「「「「「えいえいゆー!!」」」」」 「「「「「ゆんしょ!ゆんしょ!…」」」」」 微かに石が動いた。 「ゆ!うごいたよ!」 「みんながんばってね!」 「「ゆうう…みょうちゅかれちゃよ…」」 「れいむももうだめええ」 3匹が力尽きた時だった。 「「ゆべっ!!!!」」 「おかあさん!!」 「「ぎゃああ!!!!」」 親ゆっくり2匹が石に潰されてしまった。 「ばりざのあんよがああああ!!!!」 「でいぶのおがおがあああ!!!」 もうこの家族は冬を越せないだろう 「ゆびゅううううう…どうじよう…」 巣を壊されたまりぱちゅ。なんとか巣をそれらしい形にまでは戻したが寒気は容赦なく巣の中に入ってくる。食糧も大半が風で飛ばされてしまった。 「む…き…ゅ…」 「ぱちぇえええ!!!しっがりじでええ!!!!」 「もうだめだわ…ぱちぇは…もう…」 「ゆっくりしようよ!!!!!まりさといっしょにゆっくりいいいい!!!!」 ビュウッ!!!!! 強めの風が吹いた。 「ゆがああああ!!!!おうぢがあああ!!!!」 巣が壊れてしまった。さらに 「ゆああああ!!!!!まりさのぼうじがああ!!!!!ぼうじざんまっでえええ!!!!」 まりさの帽子が飛ばされてしまった。まりさは帽子を追って巣から出て行ってしまった。 「…ま…りさ…ぐ…ずっ…ひどいわ…」 まりさが帽子を取り戻し巣に戻ってきた頃にはぱちゅりーは死んでいた。まりさも直にぱちゅりーのもとへ逝くだろう。 「「「「「………………」」」」」 巣の中に雪を詰められた家族はみな固まってしまい動いていない。 「「「「「………………」」」」」 凍死ではなく仮死状態のようだ。解けた雪が体を溶かすより早く意識を戻すことができるのだろうか。 つづく by 虐待おにいちゃん