約 632,087 件
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/35.html
ゆっくりれみりゃのおかしな友達 上 「がおー! たーべちゃーうぞー!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆゆ゛っぐりじでっでねぇぇぇ!!!」 胴付きゆっくりみれりゃの前で、ゆっくりれいむが悲鳴を上げている。 目をカッと見開いて口をあけ、わなわな震えておびえている。 ここは魔法の森の一角。紅魔館から飛んできたれみりゃの一匹が、一人で楽しく遊んでいるゆっくりれいむを見つけて、今まさにごちそうになろうとしているところ。 よくある光景ではあった。 「がおがお、がおー♪」 「ゆゆゆっ、ゆぐっ、ゆぐぅ! ゆっぐりぎでねぇぇ!」 遊び半分におどかすと、ゆっくりれいむは死に物狂いで逃げ出す。がさがさと茂みを突っ切り、ぽよんぽよんと石を乗り越え、みっともなくごろごろと転がって逃げる。赤いリボンが外れかかって、ぶらぶらと後ろにたれている。 それがれみりゃには、とてもおもしろい。 翼のあるれみりゃは、れいむよりずっと速く移動できる。れいむの苦労などまるでわからない。 ――にげるにげる、あかいの、にげるー。 ――あはは、ごろごろー。 ――ぽよぽよ、おいしそー♪ 紅魔館のまわりには天敵もいないので、れみりゃは追われるものの恐怖も知らなかった。無力なものを追い回す楽しみだけを味わっていた。 しばらく飛び続けていると、だんだん疲れが溜まってきた。れみりゃは軽い気持ちで決める。 ――もういいや、たべちゃおー♪ さっと降下して、れいむに襲い掛かろうとした、そのとき。 「ガウワウッ、バウッ!」 「いだあああ゛あ゛あ゛あ!?」 木陰から、突然黒いものが飛び出し、れみりゃに襲い掛かった。 「ゆっ、ゆゆ゛っ!?」 突然背後で起こった騒ぎに驚いて、ゆっくりれいむは行き足を止めた。 振り返ると、毛むくじゃらの生き物が、今まで追いかけていた空飛ぶこわいゆっくりに噛み付き、地面に押し付けていた。 野犬だ。魔法の森にも、数は少ないが普通の動物はいる。そのうちの一頭だった。 ただ、野犬にしてはいくらか体が小さい。大人になる前の、子供の犬らしかった。 「ガウ、アグウウウ……!」 「いっ、いだああああ! やめで、たずげでざくやあぁぁぁ!」 れみりゃはバタバタと羽をもがき、身をよじって泣き叫ぶ。だが野犬はれみりゃの腕に噛み付き、ギリギリと締め上げている。漏れ出る肉汁に食欲をそそられているらしい。尻尾を大きく振っていた。 それを見て、ゆっくりれいむは歓声を上げる。 「ゆゆっ! ゆっくりしにそう? ゆっくりしんでね! ゆっくりくるしんでね!」 ざまあみろと言わんばかりにぴょんぴょんと跳ねた。自分を食べようとしていたれみりゃが、もっと強いやつに食べられかけている。いい気味だった。 若い野犬は、れみりゃのもがきに、遊び心を刺激されたらしかった。いったん口を離して、れみりゃをくわえなおそうとする。その一瞬に、れみりゃは体をもぞつかせて逃げ出した。羽をばたつかせ、ふらふらと飛んでいく。 「がえる、おうぢがえるぅぅ!」 だが方向が悪かった。そちらには高さ三メートルほどの崖がそびえていた。泣きながら飛んでいたれみりゃは、その崖にごちんと頭をぶつけ、ころりと地面に落ちた。 そこへ走ってきた野犬が再びうれしそうにかみつき、びたんびたんと地面に叩きつけ始めた。 れみりゃの絶叫が響く。 「いぎゃぁぁ! いやっ、ざぐやっ、ざぐやぁぁぁ! いだいいだい、いだやぁあぁ!」 「ゆゆゆっ、ゆっくりいたがってる! ゆっくりしぬのねー!!!」 ゆっくりれいむは、何度も飛び跳ね、振って湧いたこのスペクタクルを見物した。 れみりゃの苦しみは、なかなか終わらなかった。若い野犬はよほど気に入ったのか、いつまでたってもとどめを刺そうとしなかったのだ。噛んでは投げ、飛ばしては捕まえ、弾き飛ばしては追いかける。 れみりゃはぼろぼろになり、肉汁をまき散らし、土ぼこりにまみれて、見る影もない姿になった。 「や゛あ゛あ゛……ざぐやぁ……なんでぎでぐれないのぉ゛……」 泣き声だけは続いている。半端に生命力が高いため、死に切れないのがれみりゃの不幸だった。 それを見つめるれいむは、いつの間にか、騒ぐのをやめていた。 「ゆっくり……ゆっくりすぎるよね……」 ゆっくりれいむはたいして頭がよくないし、我がままで自分勝手なところもある。 だが、苦しむ者を見ていつまでも嬉しがっていられるような、残虐さは持ち合わせていなかった。 むしろ、頭がよくないため、少し前のことよりも目の前の出来事が重要に思えてきた。 れみりゃが可哀そうになってきたのだ。 「ゆゆ……ゆっくり、したいよね……?」 れいむは周りをきょときょとと見回して、あることに気づいた。 崖の上に、何かが見えることに。 「ゆ、ゆっくり行くよ……!!!」 もぞもぞぴょんぴょんとゆっくりれいむは動き出した。 れみりゃは絶望していた。 体中を噛まれ、振り回され、元気のもとである肉まん汁をじゅうじゅうと吸われて、すっかり弱ってしまった。どんなに呼んでも咲夜はこなかった。 ――さくやのいじわる…… ――れみーがよんでもこないなんて、さくやなんかもうきらい。 ――さくやがこないから、れみー、もうしんじゃうから……。 「おぎゃっ!!」 薄れ行く意識ごとすさまじい力で引きずられ、崖にべしゃりと叩きつけられた。ハァハァと犬の臭い息がかかった。 ――そういえば、あのあかいの、どうしたかな。 ――あかいの、たべたかったなぁ……。 最後に、脳裏にゆっくりれいむの姿が浮かんだとき。 ゴツンと硬い音がするとともに、拘束が解けた。 「キャアンキャウン!」 れみりゃが目を開けると、野犬を尻尾を巻いて逃げていった。 かたわらに、一抱えもある石が落ちていた。それが野犬の頭に当たったらしい。 「う、ううー?」 れみりゃは目をぱちくりさせた。れみりゃの知能は、ゆっくりれいむよりも低い。れいむを六歳児とするなら、れみりゃは三歳か、いいところ四歳児ぐらいの知恵しかないのだ。 れみりゃにわかったのは、臭くて怖いあの生き物を、誰かがやっつけてくれた、ということだけだった。 そんなことをしてくれるのは、一人しかいないはずだ。 「さくや!? さーくーやー!」 れみりゃは顔を輝かせてあたりをみまわした。しかし、期待に反して、銀髪のメイドの姿はなかった。 「……さくやー?」 きょとんして顔を上げたとき、ちらりと赤いものが目に入った。それは、崖の上にいた。 ――けれども、一瞬で見えなくなった。 「……うー?」 咲夜がいなくて、赤いのがいる。 どういうことなんだろう? しばらく首をかしげていたれみりゃは、ふと、野犬に乗っている石に目を留めた。 石の割れ目に、赤いリボンが引っかかっていた。 † それからしばらくたったある日、れみりゃはまた魔法の森で、好物のゆっくりれいむを探していた。 ――おいしーあかいの、ほしいなー。 ――げんきなしろくろでもいーなー。 木漏れ日を縫って軽やかに飛翔していく――つもりでいるのは、本人だけ。 実際のところは、巣を出たての雛鳥よりも下手くそなはばたきで、ぱとぱとぱと、と進んでいる。それより遅いのは、獲物のゆっくりぐらいしかいない。 「たーべちゃうぞー♪ ……んうー?」 そんな彼女の目に、ある光景が映った。 仲間のれみりゃが、木の根元にしゃがみこんでウロを覗いているのだ。その中からは、引きつった叫び声が漏れていた。 「ゆゆゆゆっぐりあっぢへいっでねぇぇ!」 ――ごぁんだー♪ ゆっくりと言えば、れみりゃにとってはご飯でしかない。 少なくともこのときまではそうだった。 ぱとぱととー、と降下していって、仲間の隣に降りた。そこで、ぐいっと押しのけて中を覗き込んだ。 やはり、いた。紅白のゆっくりれいむが奥に隠れるようにして、目だけでこちらを振り向いている。 それを見たとき、れみりゃには何かが気になった。 ――うー? 普通のゆっくりれいむとは、違うような気がしたのだ。 しかし深く考えるまもなく、横からどんと押された。 「これ、れみーの!」 仲間のれみりゃだった。ぷんとほっぺたを膨らませてにらんでいる。 反射的にれみりゃも相手をどんと突き飛ばした。 「ちがうの、れみーのー!」 「だーめー、れみーの!」 「いっだあ、れみーのったられみーの!」 「もおおお、れみーのだってばぁ!」 「れみーのなの、あっぢいげー!」 どん、どん、と突き飛ばしあう。最終的にれみりゃは、そばに落ちていた木の枝を取って、ばちばちばちーっと闇雲に相手を叩いた。相手はうわ゛ぁん! と盛大に泣き出し、飛び上がってぱとぱとと逃げていった。 「ざぐやにいいづけでやるー!」 残ったれみりゃは、ふん、と胸を張って勝ち誇る。人や動物との争いならともかく、このようなれみりゃ同士の喧嘩では、咲夜は介入してこない。うんざりした顔で、なかよくしなさいね、と言うだけだ。だから怖くない。 ――やっつけたー♪ 勝利した嬉しさに満面の笑みを浮かべて、あらためて木のうろを覗き込んだ。 「うふふふ、たーべちゃーう――」 「ゆゆっ? あのときのひと!? たすけてくれたの?」 予想もしなかった言葉をかけられて、顔に笑みを貼り付けたまま、れみりゃは凍りついた。赤いゆっくりがもぞもぞと出てきて、ぴょんと小さく跳ねた。 「れいむ、あぶないところだったよ! ありがとう!!!」 「……う、うー?」 れみりゃは心底戸惑った。獲物のゆっくりに泣き喚かれたり、逃げられたりしたことはあっても、向こうから寄って来られた事は初めてだった。 「うー……?」 しばらくの間、どうしたらいいか首をひねって考えた。 「……うー」 答えは明らかだった。れみりゃの頭に、高等な知能は入っていない。 寄ってこようが逃げようが、することはひとつだ。 改めて向き直って、両手を挙げ、お得意のポーズを決めた。 そして言おうとした。「たーべちゃ……」 「ゆっ、なおってる! ゆっくりなおってるね!」 あごの下を覗き込んだゆっくりれいむが、にっこりと笑った。 そして舌でぺろっとあごの下を舐めた。 「……うううー??」 れみりゃはさらに戸惑った。自分のぷにっとした顔の下のそこは、傷跡だった。そこに牙を突き立てられ、危うく首をもぎ取られかけたときの記憶が、肉まんの底からじわじわと湧き上がってきた。 いくら三歳児並のれみりゃといえども、人生で最も死に近づいたあの出来事の恐ろしさは、忘れられるわけがなかった。強烈な記憶がフラッシュバックして、幼い彼女を襲った。 「ううう……うああぁぁぁん!!! あああ、ああ゛あ゛あ゛ん、ごあ゛い゛よー!」 見る間に涙をあふれさせて、ぺたんと地面に座り込み、大声で泣き出した。 「ゆ、ゆゆゆっ?」 今度はゆっくりれいむのほうが戸惑って、もぞもぞとれみりゃの周りを回りだした。 「どうしたの? なんにもこわくないよ! ゆっくりしていいよ!!!」 「あ゛あ゛ああ゛あ゛ああん、あ゛んあ゛ん、ざぐやあぁあああ!」 「な、なかないでね! ゆっくりなきやんでね?」 声をかけたが泣き止む様子もなかった。そこで、懸命にやわらかいほっぺたを押し付けて、腕や背中をふにふにとさすってやった。 「あ゛あ゛あ゛あ゛ん、ああああん、ああああん……」 全力で泣いていたれみりゃは、次第に声を収めていった。咲夜はこなかったが、代わりに何かふにふにして温かいものが、寄り添ってくれていた。 「ゆっゆっ、ゆっくりおちついてきた?」 「う、うー?」 ぺたんと足を投げ出しているれみりゃの脇の下に、後ろからもぞもぞと入ってきたゆっくりれいむが、ひざの上にぼふんとあごを乗せて、見上げた。 「れいむがついてるから、こわくないよ!」 「れ……れーむ?」 「れいむだよ! あなたはだあれ?」 「……れみー」 「れみーもいっしょにゆっくりしようよ!!!」 「ゆっくぅー?」 「ゆっくりだよ!!! こうやってー……」 ゆっくりれいむはもそもそと近くの切り株に昇り、その上でうんっと力をためて、ぴょんと飛び上がった。 「ゆっくりー!!!」 「ゆっぐぃー?」 れみりゃが立ち上がって、とてとてと寄ってきた。れいむは教えたことの反応があったので嬉しくなって、もう一度、目を閉じてうーんと力をためてから、思い切り飛び上がって叫んだ。 「ゆっくりぃー♪」 「ゆっぐぃー!」 万歳、のようにれみりゃも手を伸ばして、叫んだ。れいむはすっかり得意になって、れみりゃの手をくわえて切り株の上に引っ張り上げた。 「もう一回、いくよー? せーの……ゆっくりー!!!」 「ゆっぐいー!!!」 二人同時にジャンプしたが、狭い切り株の上だったので、ぶつかり合って後ろへ転げてしまった。 ごろごろろん、と落っこちて重なり合う。 だが、すぐに起き上がって、二人ともけらけらと笑い出した。 「わあー、とってもゆっくりできるよぅ。れみーはゆっくりできる人だったのね!!!」 「ゆぐー、ゆっぐぅー」 れみりゃは不思議な楽しさを感じて、何度も万歳を繰り返し、ぴょんぴょんと跳ね回った。その後ろを、ゆっくりれいむも跳ねながら追い掛け回した。 「ゆっくりしていってね!!!」 ところがそのとき、上空から大きな声が聞こえてきた。 「お嬢様、お嬢様ー? どこですか?」 さくや? と思ってれみりゃは見上げるが、すぐに違うと気づく。この声は紅魔館の妖精メイドだ。咲夜のように心から可愛がってくれるのではなく、お義理でいやいや探している感じがありありと出ているので、よくわかる。 それを聞くと、れみりゃのそばにいた赤白のものが飛び上がった。 「ゆっ、だれかきたよ! れいむはにげるね!!!」 そう言って、もそもそと木立の中へ走り出した。 その後姿には、ゆっくりれいむのトレードマークであるはずの赤リボンが、なぜかついていなかった。 それを見たとき、れみりゃはようやく、相手と一度会ったことがあることに気づいた。だからさっき、木のうろの中で目にしたとき、変な気分になったのだ。 れみりゃは、一度見かけたゆっくりを、今までぜんぶ食べてしまっていた。 だから同じゆっくりと二度会ったり、ましてや遊んだりしたことは一度もない。 今のゆっくりれいむは、れみりゃが知らなかった気持ちを教えてくれた。 顔なじみという気持ち、一緒に何かをするという気持ち。 ――れーむ? それは、その名前とともに、れみりゃの心の中に、不思議な温かい思い出となって染み付いた。 「ああ、いたいた。おやつだから早く戻れってメイド長が言ってますよ」 降りてきた妖精メイドに抱かれながら、そのれみりゃはぽてぽてと森に向かって手を振っていた。 †† ぱとぱとと翼をはためかせて、ゆっくりれみりゃは降りていった。 魔法の森の小さな空き地だ。真ん中に切り株がある。そこに立つと、生い茂る草になかば埋もれた、小さな木のうろが見えた。 あれから三日。 ここ数日は紅魔館の周りでおとなしくしていた。しかしその間、どうもおもしろくなかった。咲夜に手製のプリンをもらったし、迷い込んできたゆっくりまりさを食べておなかも膨れたのだけど、何か物足りなかった。 あの変なのびのせいだと思った。一人で何度も、のびをしてみた。 ――ゆっぐぅー。 ――ゆっぐぅー。 でも、ぜんぜん楽しくなかった。何かが足りなかった。 それがここにあるような気がして、今日は空き地にやってきたのだ。 「ううー……」 切り株にぽてっと座って、何かが起こるのを待った。五分ほどたつと木のうろに行ってそこを覗いた。誰もいなかったので、切り株に戻ってまた五分待った。それからまた木のうろを覗いた。 そんなことを、四回繰り返した。 たった五分やそこらで何かが起こるわけがないのだが、幼いれみりゃにそんなことはわからない。すぐかんしゃくを起こすわがままなれみりゃにとって、五分はむしろ、長い。 それを四回も繰り返したのだから、れみりゃは飽きが来てしまった。 ――なんにもこなーい。 ――つまんなーい、おうちかーえろっと。 ぱとと、と飛び上がって旋回した途端。 ウロのある木とは正反対の方角で、木に隠れてじっとしてる赤いものを見つけしまった。 「ううー!」 思わず叫び声を上げて、急降下する。赤いものが、びくっと震えるのが見えた。 れみりゃは、赤い房飾りをつけたゆっくりれいむの前に舞い降りた。れいむはおびえたような顔で、小刻みに震えている。 「うー……?」 「ゆ、ゆ、ゆ……」 つかのま、奇妙な見つめあいが合った。これが他の場所で起こったなら、即座にハンティング開始なはずの組み合わせだ。 ぷるぷる震えていたれいむが、おそるおそる言った。 「ゆ、ゆっくりできる人……?」 れみりゃは、そのれいむの頭にリボンがないことに気づいた。 このひとだ、とつたない記憶がささやいていた。 身を縮めて、力をためた。 「ううーん――」 さっと万歳して、笑ってみた。 「ゆっぐぃー!」 そのとたん、相手の顔がぱっと輝いた。 「れみぃ! れみぃなのね!」 「れーむ!」 「ゆっくりしに来たのね! ゆっくりしようね!」 きらきら輝くような笑顔になったれいむが、ぴょんぴょんとれみりゃの周りを回って、「ゆっくりー!」と頬をこすりつけてきた。 「ゆっぐぃー、れーむとゆっぐぃー!」 れみりゃもにこにこと笑いながら、れいむと押し合った。 とてもうきうきした。これがしたかったんだ、と思った。 その日から、れみりゃとゆっくりれいむの、不思議な関係が始まった。 れみりゃが切り株にやってきて、「ゆっぐぃー!」と踊ってみせる。するとゆっくりれいむが現れて、「ゆっくりしていってね!!!」と挨拶する。 それから二人でいろいろな遊びをした。 鬼ごっこは、れみりゃのほうが圧倒的に得意だった。のてのてと逃げ回るれいむを捕まえるのは朝飯前だった。 れいむが鬼になると、れみりゃはぱとぱと飛んで逃げる。すると、れいむが地上をぴょこぴょこ跳ねて、「ゆっくり跳んでね、ゆっくりおりてきてね!!!」と必死になってついてくる。 地上に降りてしばらく待ち、れいむがはあはあ言いながら走ってきて、いざタッチ! というときにふわっと飛んで逃げた。するとれいむは勢いあまってころころとつんのめった。 そしてほっぺたを膨らませて怒るのだった。 「れみぃはとんでばっかりでずるいよ! ゆっくりあるいてね!」 「とばないでってば! もう、もうー、ゆっぐりじでよお゛お゛お゛!」 半泣きになって叫ぶれいむを見るのは、すごく楽しかった。れみりゃは手をぱちぱち叩いて、きゃっきゃと喜んだ。 しかしれみりゃにしても、とぶのが本当にうまいわけではない。三度に一度は、とっさのところで逃げ損ねて、つま先をがぷっと噛まれてしまった。 「やったよ、れみぃのおにだよ! ゆっくりついてきてね!」 そしてぴょんぴょん逃げ出すれいむを、もう一度追いかけるのだった。 かくれんぼもやった。これはれいむのほうがうまかった。れいむが本気で隠れると、れみりゃにはなかなか見つからなかった。最初にやったときはあまりにも見つからなかったので、れいむが帰ってしまったと思って、れみりゃは泣き出した。 「うあーあーー! れいむ、れ゛ーい゛ーむ゛ーー!」 「ゆゆっ? 泣かないでいいよ、ゆっくり隠れていたよ!」 出てきたれいむが教えてくれた。 「あのね、もーいーかーいってきくんだよ!! もーいーかーい!」 「もーかーい!」 「もーいーかーい!」 「もーかー! もーかーいー!」 れいむは向こうへ行って、木の陰からぴょこりと顔を出して言った。 「まーだだよー!」 「まーだー?」 「もーいーよ、って言ったらくるんだよ!!!」 れみりゃはルールを覚えて、れいむを見つけ出せるようになった。けれども小さくて丸いゆっくりれいむは、木の下にもしげみの中にも隠れられるので、なかなか見つからなかった。 逆に、れいむが鬼になると、れみりゃはすぐ見つかってしまった。れみりゃはどこに隠れても、羽を隠すのを忘れて、ぱとぱとと出しっぱなしにしているので、すごく目立つのだ。 「れみぃ、みーつけた!」 「ううー? れーむ、ずるい!」 「ずるくないよ、ゆっくりとさがしたよ!」 「うぶー、ずるいずるい! ばーか!」 べちん、とれみりゃはれいむを叩いた。れいむのほっぺたがへこむ。「ゆ゛っ」と目を閉じて痛そうな顔をする。 するとれみりゃは、すぐにしまったと思って、叩いたところを小さな手で撫でてやるのだった。 「れーむ、いたくないいたくないよ。ごめんね?」 「うん、いたくないよ! ゆっくりなでてくれてありがとうね!」 れいむがすぐ元気にゆっくりしてくれるので、れみりゃもすぐ嬉しくなった。 「れみぃの手は、あったかくてぷにぷにできもちいいよ!!!」 「れーむー♪」 抱き合ってすりすりと頬ずりをしていると、あったかい気持ちが高まってきて、思わず二人とも叫んでしまうのだった。 「ゆっくりー!!!」 「ゆっぐぃー!!!」 ほかにもいろんなことをした。 きれいな石を広場に隠してお互いに探しっこをしたり。 色のつく草の実をつぶして、顔に模様を書いてあげたり。 草を折って笛にしたり。これはれみりゃが知っている、ただひとつのおもちゃ作りだった。咲夜が教えてくれたのだ。でもれみりゃ自身は、造り方は知っていたがうまく鳴らせなかった。 つたない手つきでそれをつくってれいむに渡してみると、スッスッとしばらく空気を噴いてから、出し抜けにすごい音を立てた。 ぷぴーぃ! 「ゆゆゆ!? なにこれすごい!」 ぷぴー、ぷぴーー、とゆっくりれいむは笛を吹き鳴らした。それがあまりうまかったので、れみりゃは悔しくなって、笛を取り上げて自分も鳴らしてみた。 ぷひぃー……ぷひひぃー…… どうにも気の抜けた音しか出なかった。いらいらしてきて、笛を地面にたたきつけた。 「うぐぅー! つまんなーい!」 「ゆっ、れみぃはちからをいれすぎだよ!」 れいむがそれを拾って吹いた。 ぷぴー! ぷっぷくぷぴっぴー! 「やさしく吹くといいよ! そうっとゆっくり吹くんだよ!」 れいむが差し出した笛を、れみりゃはもう一度くわえた。そして、れーいむがやったみたいに、そうっと吹いてみた。 ぷぴっ んぷぴーぃ…… 「あった!」 「鳴ったねー!」 「あったあった! ゆっぐぃーったー!」 二人で代わりばんこに笛を渡して、何度も何度も笛を吹いた。 れいむとそんな風に遊ぶのが、れみりゃはとても楽しかった。 今までこんなことをしたことはなかった。れみりゃは、ゆっくりと見れば食べてしまうのが普通だった。仲間のれみりゃたちは、食べることと咲夜たちにかまってもらうことしか興味がなかった。 れみりゃは生まれて初めて――ただ一人きりの――友達を見つけたのだ。 そんな思いを表したくて、れみりゃはれいむを抱き上げて、ぱとぱとと飛び上がる。「ゆっ?」と驚いたれいむも、次第に高度が上がるにつれ、喜び始めた。 「たかいたかい! とおくがみえるよ!」 「れみぃ、れーむだいすきー」 「れいむもれみぃがすきだよ! ずっと仲良くしようね!!!」 魔法の森の上を飛んでいく、おかしな組み合わせの二人。 ゆっくりれいむも、あまり友達がいなかったので、新しい友達になったれみりゃのことが大好きだった。 でもひとつだけ、嫌なことがあった。 二人で遊んでいる最中、れみりゃはおなかがすいてぐずり始めるときがある。れいむがちょうちょやバッタをとってきたり、木の実を上げたりしても、ほとんど食べない。 「れみぃ、ごあんがいーのー!」 足元をでしでし蹴って、れみりゃはそう泣き喚く。 「れいむ、ごはん持ってきてあげたよ!」 「いやー! こーれーじゃーなーいーのー!」 そういうとき、れみりゃはいつもきょろきょ辺りを見回してから、れいむに聞くのだ。 「ごあんにいって、いーい?」 「ゆ……ゆっくりいってきてね!」 れいむはそう答えて、飛んでいくれみりゃを見送る。 小一時間ほど待っていると、れみりゃが戻ってきて叫ぶ。 「れーむ、あーそーぼ!」 「ゆっくりあそぼうね!!!」 そう言って、れいむは迎える。 嫌なのはこのときなのだった。 れみりゃの手や口元に、乾いたあんこがこびりついている。クリームの時もある。 満腹のれみりゃは、なにかひどく不安で不吉な雰囲気を身にまとっている。 うすうす、想像はつくのだ。れみりゃは本当は仲間じゃない。見つけたら逃げなきゃいけない、敵だ。自分だって「れみぃ」以外には見つからないよう、いつも注意している。れみぃ以外は、わるいれみりゃなのだ。 ううん。 多分、れみぃも――。 「ね、ねえ、れみぃ。あのね?」 「うー?」 「ごはん、ゆっくり食べないでほしい、な……」 「ごぁんー? ごぁんたべる!」 れみぃは無邪気な笑みを浮かべて、ごぁんごぁんと繰り返す。 その顔には、屈託のかけらもない。 たぶん、自分の友達はこの「れーむ」だけで、それ以外はみんなごはん、と割り切っているのだ。 何の悪意もなく。 それを見ていると、れいむは何も言えなくなってしまうのだった。 そんなある日、ゆっくりれいむとゆっくりれみりゃは、二人で森の上を飛んでいた。 「今日はとってもいいゆっくりポイントを教えてあげるよ!」 「ゆっぐぃー♪」 ぱとぱとと飛行するれみりゃの腕の中から、れいむは地上を見下ろす。 れみりゃに会う以前、別のゆっくりから聞いたそのポイントのことを、今朝になって思い出したのだ。 やがて緑の森の一角に、クジラの背のような灰色のこぶが見えてきた。れいむはむぎむぎと身動きして、れみりゃに教えた。 「れみぃ、あそこだよ! あの灰色のところにゆっくり降りていってね!」 「おりうー!」 そこはこんもりとそびえる、岩山だった。山といってもゆっくりが登れるぐらいのゆるやかな坂があり、てっぺんが平らになっていて、日向ぼっこにちょうどいい。 おまけにゆっくりがちょうど入れるぐらいの割れ目があって、万が一敵が来た時も、ゆっくりと隠れていられるという話だった。 れみりゃとともに、れいむは岩山に降り立った。そこにすでにたくさんのゆっくりが来ていた。紅白のゆっくりれいむと黒白のゆっくりまりさの一家が追いかけっこをし、紫のゆっくりぱちゅりーがうとうとと日向で体温を高め、緑のゆっくりちぇんが転がっている。 そこにれいむは声をかけた。 「みんな、ゆっくりさせてね!」 ふりむいたゆっくりたちが、挨拶しようとした。 「「「「「「ゆっくり……」」」」」」 「うっうー!」 れいむの背後で上機嫌に手を振るれみりゃを見た途端、全員が凍りついた。 「「「「「「……できないよぉぉぉぉ!!!」」」」」」 皆がなだれを打って逃げ出した。走る、飛ぶ、転がる。突き飛ばす。 あっという間に全員が、岩棚の隅にある割れ目の中へ隠れてしまった。 「ゆゆっ、みんなどうしたの!?」 ゆっくりれいむは戸惑って、割れ目の前へ近づく。すると、中から敵意のこもった声が飛んできた。 「その人はゆっくりできない人だよ!」 「ゆっくりつれてかえってね!」 「むきゅー、こわかったよぉ……」 ゆっくりれいむはおろおろと、れみりゃと割れ目を見比べる。 「そんなことないよ、このれみぃはいいゆっくりれみりゃだよ!」 「いいれみりゃだってさ」 「おお、こわいこわい」 「わからない、わからないよー!」 嘲りのこもったくすくす笑いが漏れてくる。ゆっくりれいむはだんだん腹が立ってきた。自分みたいに仲良くすれば、ゆっくりれみりゃだって怖いことをしないのに! 「ねえ、ゆっくりでてきてね?」 れいむはもぞもぞと割れ目に入り、一番手前にいたゆっくりまりさの帽子をくわえて、くいくいと引き出そうとした。 するとまりさは抵抗した。 「ゆっ? いやだよ、出る気はないよ! ここでゆっくりするよ!」 「そんなこと言わないで、ゆっくり外に出ようね!」 二人の様子を見て、ゆっくりたちが集まってきた。ゆっくりれいむを取り囲んで、体当たりする。 「なんでそんなことするの?」 「みんなはお外に出たくないよ!」 「あなたはわるい人のてさきなんだね!」 「ゆっ、わるいゆっくり、わるいゆっくりだ!」 「ゆっくりしんでね!」 取り囲まれ、突き飛ばされ、体当たりされたれいむは、悲鳴を上げた。 「ゆっ、ゆぐぅぅ!? れいむは悪くない、わるくないよ!」 「わるくないってさ」 「おお、あやしいあやしい」 「やべでぇぇ、づぶれぢゃう、だすげでぇぇ!!!」 すると、その声を聞きつけたのか、不意に岩の割れ目にれみりゃが頭を突っ込んできた。そして叫んだ。 「がおー! たーべちゃーうぞー!!!」 「ゆぎぃぃぃぃぃぃ!!?」 ゆっくりたちはあわてて割れ目の奥へ引っ込んだ。 その隙に、潰されかけたゆっくりれいむは、もたもたと外へ出てきた。 れみりゃの前で顔を上げて、無理に笑う。 「ごめんね、みんなは今ちょっと、ゆっくりしてるんだって」 「ううー……?」 「よそでゆっくりしようね」 れみりゃは戸惑った。楽しそうにしていたれーむが割れ目に入ってしばらくしたら、急に悲鳴を上げて、ぼろぼろになって出てきたからだ。 割れ目の中にいるのは悪いやつらなんだと思った。岩を覗き込んで、何度も叫んだ。 「がおー、がおがおー! もぐもぐしちゃうぞー!」 「わるいこ、ででこいー! がおー!」 そのたびに奥から、「ゆぐぅぅ、ゆぐぅぅぅ!」と恐怖と敵意に満ちた悲鳴が聞こえた。 無性に腹が立って、踏み潰してやりたくなった。 それを押しとどめたのは、友達のゆっくりれいむだった。彼女は横かられみりゃのスカートをくいくい引っ張って、訴えた。 「れみぃ、もういいよ! ゆっくりよそへいこうね!」 「ううー?」 そんなの嫌だと思った。あの腹の立つやつらを全部やっつけて、友達のれいむの仕返しをしてやりたかった。 けれどもそうしようとすると、れいむがとうとう声を上げて泣き出した。 「う゛あ゛あ゛あ゛ん、もういいよぅ!! れみぃ、もういいからぁぁ!!」 れみりゃには、れいむがなぜ泣いているのかわからなかった。 れみりゃが頑張れば頑張るほど、割れ目の奥のゆっくりたちが、れいむに恨みのまなざしを向けることが、理解できなかった。 それでも、れいむを泣かせたくはなかった。泣き止ませようと、抱き上げて不器用に揺さぶり、子守唄のつもりで下手くそな歌を歌った。 「うーうーううー、んっんーんうー」 割れ目の奥から、ため息のような驚きの声が聞こえたが、れみりゃは気づかなかった。 (続く)
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1144.html
体のついたゆっくりれみりゃを拾ってきた。 紅魔館から出てきたのか、森の中で日傘をさしながら「うー♪うー♪」歩いてる所をスライディングゲットした 手の中で必要以上に暴れていたので「暴れなければお菓子あげるよ」って言ったら ムカツク笑顔で「お菓子♪うー♪お菓子♪」って歌い始めて途端におとなしくなった 家についた、とりあえず賞味期限が切れて処分に困った2個の菓子パンを与えてみた ゆっくりれみりゃは「うー♪あー♪あま♪あま♪」と両手に2つのパンをもって踊り始めた 俺は他に処分する物はないかなと台所を漁りはじめた、 戸棚の奥に手を伸ばそうとした瞬間、ゆっくりれみりゃに服の裾をひっぱられた ゆっくりれみりゃはあの程度の量のパン、ペロリと食べてしまったらしい 「うーもっと!もっと!うー!」といいながらぐいぐい服の裾をひっぱる ここで蹴ったら駄目だ、もう少し懐かせないと 俺は戸棚にあった8ヶ月前の腐りかけクッキーを取り出し。 ゆっくりれみりゃに与えてみた しかし、流石に腐る寸前のクッキーは口に合わないらしく、俺に向けて缶ごとなげつけてきた上に 「うー!まずい!いらない!」とかほざきやがった 俺の怒りが有頂天に…はまだなったらいけない、もう少しだと思いながら缶を片付ける 仕方がないのでこの間買った板チョコを丸ごとあげてみた すると、ゆっくりれみりゃは「うー♪」とムカツク笑顔になると。 両手で板チョコを掴み、嬉々として食べ始めた よし、これで掴みはOKだ。 俺はこれから行うであろう虐待行為にゆっくりれみりゃを見ながら身を震わせていた 水の中に沈めて、死ぬ寸前になったらあげて、そしてまた沈めてを繰り返そうかな… 何かの箱に何日も何日も放置しようかな… シンプルに泣くことすら出来なくなるまで殴り続けようかな… 思い切って肉まんの味を味わってみようかな… 何かに吊り下げてボコボコに叩いてみようかな… 熱湯に何分も何十分も浮かばせてやろうかな… サッカーボールみたいにしようかな… 俺はこれからの事できることが、うれしくてうれしくてたまらなかった
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1279.html
ゆっくりれみりゃを炎天下のパチンコ店の駐車場の車の中に放置させたい。 「うー!うあぁ!」とか苦しむ体つきゆっくりれみりゃ。 じたばたしてもシートベルトの外し方なんて理解できないような知能だから亀が ひっくり返ったような姿勢で手足をのらくらと振る。 「ぎゃぉー!ば~てちゃ~うぞ~!」 とか叫んでも蝉の声にかき消されて誰も気づかない。 暑いから羽をパタパタさせたくても席に挟まれて羽の付け根ばっかりだるくなる。 「うぁーぅ!じーめじーめ!」 しまいにはぐったりとしたゆっくりゃ。そこへ俺がやってきて 「ごめんね、れみりゃ。暑かったね。」 「がぉ~!ばぁ~てちゃ~ったぞ~♪」 と希望の顔色に。 「涼しくしてあげようね」と30cm四方のドライアイスを渡す。エアコンも付けて車で走り出す。 クールにドライブしようぜ。 「うー!うー!ち~べたぁ~いぞぉ!」 ゆっくりゃはそこでドライアイスをうぁうぁと握り締めて頬にくっつける。 しばらくすると、ゆっくりゃは異変に気づきはじめる。ドライアイスが手と頬から離れないことに気づいたのだ。 「うー!うぁ!ゅあ!・・・ゆっくぃりゃっ!」と気合を入れてるつもりではがそうにもはがれない。 このゆっくりゃは手足が生えていても知能は生首と同じで、自分の程度を把握する力がないのだ。 ゆっくりゃが強いのは所詮噛み砕く顎の力だけなのだ。 「ゅぎゃぉー!く~っついちゃ~ったぞょ~!」 そんなゆっくりゃを横目に俺はブレーキをかけた。 「どんくさいやつだな」 「ぎゅ~・・・」 ゆっくりゃはドン臭い姿勢のままこっちを早く助けてほしそうな半分恨みがましい目で見ている。 しゃくに障る目だ。 「とってほしいのか」 「ぎゃぉ」とだけ小さく頷くゆっくりゃ。 「お前は本当にドン臭いだけの食うしか能のない豚だ」 「ゆ”ゆ”っぐりゃ!!!」 体ごとゆっくりゃは俺の言葉にイヤイヤしている。助けてあげられるのは俺しかいないのに反抗的だ。 所詮こいつは肉まんなのになんともふてぶてしい。ゆっくりゃの頬を押さえてドライアイスを思いっきりひき剥がした。 ビリビリバリッ!! 「ギャぉおおおお”お”お”お”お”!!!!!!」 大きな音とゆっくりゃの叫び声が響く。ゆっくりゃの頬の薄皮はドライアイスにひっついてしまい、 ゆっくりゃのニラ入りの薄茶色の肉が頬一帯に露出していた。 「ぎゃ・・・ぉ・・・は・・・げ・・ぢゃっだ・・・ど・・・」 ゆっくりゃはやっとこさそう言って涙を流す。頬を伝う予定の塩分が肉に染みたのか、 「う”-----------!!!!!!!!!!!う”----------!!!!!!!!!」 「ぎゃぁぁぁああああああああああああああぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」 普段のウスノロなゆっくりゃにあるまじき速度で叫ぶ。シートに縛り付けられたまま、ドライアイスを右手に貼り付けたままで軽いエビ反りになるゆっくりゃ。 「う”・・・う”ぁ・・・」 ひっくひっく泣きじゃくりたいのに泣くと肉に染みるのかゆっくりゃは思わず両手で頬をガードしようとする。 しかし中身は塩で味付けされているのに何故染みるのか理解できない。 すると皮肉なことに右手にくっついたままだったドライアイスが再び頬のむき出しの肉と右目にくっついた。 「またぐぅ~~~~っづいぢゃ・・・・」 と丁寧にも接頭辞付きで叫ぼうとするが途中で苦しいのか止めてしまった。 こいつの大人びた言葉使いをしたい卑賤な欲求と生理的な苦しみの葛藤は俺の黒い感情を満たしてくれた。 「取ってほしいか」 「・・・・・・・・・・・・・・・」 頭を振ることもなく、喋る事もせずただゆっくりゃは否定的な感情を左目に浮かべている。 泣いても更にくっつく。動かすと剥がれる。俺に助けを求めると激痛を受ける。 ゆっくりゃの中身は肉まんだから幼稚な思考しかできないのだ。 しかしもはやこいつは思考を放棄した、ただの呼吸する肉まんでしかない。 「じゃあ暑くしてやるよ。そうすればソイツは自然に昇華するよ」 「・・・・・・・・・・・・・う”??」 昇華の意味が分かっていないのかゆっくりゃは不安の表情を浮かべている。 俺はエアコンのスイッチを切り、再びゆっくりゃを残して車を出た。今は2時。一番暑い時間だ。 「・・・・」 ゆっくりゃを残して外に出る。目の前に広がった海岸線と飛ぶカモメの列を見ながら、磯辺で2時間もゆっくりすればドライアイスも溶けているだろう。 そうだ、ゆっくりゃのために海水とウニを取ってきてやろう。それならアイツもきっとうあうあと大声で叫んでくれるはずだ。 もっともそれまでにゆっくりゃが生きていれば、の話だが。その時はその時だ。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1296.html
ここは紅魔館のプール。ゆっくりれみりゃは水浴びをしていた。 「うー♪うー♪ちべたいどぉー♪」 そこに咲夜がやってきた。 「お嬢様。プールの中はもっと気持ちいいですよ。」 そう言って浮き輪を渡した。 浮き輪を腰にまといプールに入るれみりゃ。 「うー♪きもちいどぉー♪」 バシャバシャ 「さくやみてー!れみりゃおよげるんだどぉー♪」 れみりゃは広いプールの真ん中の方へと泳いでいった。 浮かれるれみりゃは気づいていなかった。徐々に空気が抜けていることに・・・。 プシュー 「うー?」 れみりゃが気づいたのはもう浮きわがふにゃふにゃになったころだった。 「ざぐや゛ー!!だずげでー!!」 うろたえているうちにもどんどん空気は抜けていく。 「う゛ー!う゛ー!はやぐこないどしずんじゃう゛どぉ゛ー!!」 しかし咲夜は来ない。そうこうしていると空気が完全に抜けてしまった。 「あ゛ぶぶっ!!う゛ぁあ゛!!」 水に沈むれみりゃ。しかし手足があるため頑張ってもがけば何とか溺れずにすむ。 「ざぐびゃあ゛!!じゅぁびゅばぁ゛!!」 必死に手足を動かし岸を目指す。どんくさいれみりゃは何分たっても岸にたどり着けない。 「んおあっぶっ!!ぶびゃあ゛!!」 苦しんで苦しんで数10分後、ようやく岸に手をかけまともに息をした。 「う゛ーあ゛・・・う゛ーあ゛・・・」 この頃になってやっと咲夜が館から出てきた。 「お嬢様!大丈夫ですか!?」 「ざぐや゛ぁ!なんでもっとはやくこながっだのぉー!!」 怒りをぶつけるれみりゃ。そして足を岸にかけプールから出ようというときであった。 「何で来なかったかって?それはもちろん・・・助ける気がなかったからよ!!!!」 その言葉と同時に咲夜の蹴りがれみりゃの顔面を直撃する。 「う゛ーーーーーっ!!!!」 ザッバーーーン 悲鳴が水の中に消えていく。10m以上は飛ばされただろうか。そして数秒後に再び水の中から顔を出す。 「う゛ぶぅーっ!がびょ゛っ!!」 助けを呼ぼうとしたがもう咲夜の姿はなかった。なので再び自力で岸を目指すれみりゃ。 蹴られて変形した顔には絶えず激痛が走る。しかしその痛みを堪え岸まであと3mまで迫った。 もうあたりが暗くなっていたので今までは見えなかったが。何かの影が見えた。 何かに期待をするれみりゃ。しかしあと2mに迫ったところでその影の正体に気づく。 バサバサ・・・ バサバサ・・・ 何か羽ばたくような音。それは紛れもなくあの凶暴なゆっくりふらん(体なし)であった。 しかも1匹だけではない。プールを囲むように横1列に並んでいた。 「あ゛っ・・・あ゛っ・・・」 もう声にもならない。やっとプールから上がれると思えばこれだよ!! れみりゃが泳ぐのをやめると待ちきれなくなった1匹のふらんがれみりゃの方へ飛び掛った。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 水面からひょこっとでた顔をめがけて牙を突き出してくる。 「う゛っ!」 反射的に水にもぐったものの体力はもうかなり消耗しているためすぐに顔を上げた。 「ぶばぁ゛っ゛!!」 その瞬間待ってましたとばかりにふらんがれみりゃの顔を攻撃した。 「う゛ー!い゛だい゛ー!ざぐや゛ー!!」 もう助からないと分かっていても咲夜の名前をよぶれみりゃ。 「や゛べぇぶぇでぇ!!」 向こうから他のふらんも待ちきれずに飛んできた。20匹はいるだろう。 「「「ゆっくりしね!ゆっくりしね!!」」」 まずは顔と腕を中心に食いちぎられる。 「う゛ー!い゛だい゛ー!ぷはぁ!やめでぇー!」 水の中に逃げ込んでも腕をかまれて持ち上げられ、陸まで引っ張られた。 「はあ゛ぁー・・・はあ゛ぁー・・・」 やっとまともに息ができると思えば一斉に囲まれる。 次はお腹と足を食いちぎられる。 「う゛ぎゅっ!う゛ーっ!!」 意識がだんだんと遠退く。食事は1時間以上にわたった。 翌早朝、プールの様子を見に来た咲夜は何かがプールに浮かんでいるのを発見した。 れみりゃ仰向けになって浮いていたのだった。 顔、手、腹、足はいずれも中途半端に食いちぎられていた。れみりゃの周りには 肉汁が浮いているのも確認できる。 しかしずっと眺めていると咲夜はあることに気づく。 口がかすかに動いているのだ。耳を済ませると小さな声が聞こえる。 「さ・・・・・く・・・・や・・・・」 その無駄な生命力がなければもっとはやく死ねただろうに。 「ま、どうせ日が昇れば死ぬでしょう。」 咲夜はわざとれみりゃに聞こえるように言い放ち館へもどった。 プール掃除という無駄な仕事を増やした咲夜であった。 おわり このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1320.html
夜。 空は黒い帳を広げ、その裾野に紛れる獣達が蠢きだす時間。 弱き者は息を潜め身を隠し、我が身に牙を突き立てんとする強き者の目から必死に逃れようとし。 強き者は耳を立て目を凝らし、糧となるべき弱き者の些細な跡さえも見逃すまいと闊歩する。 日の光届かぬ闇の中、単純で凄惨で、明快な自然の営みがそこにはある。 『弱者を肉に、強者は食らう』 自然界に連綿と受け継がれる絶対の法則。知らぬ生物は死という代価を払わなくてはならない。 故に。 今夜、十六夜の月が空に昇る夜は。 そんな愚かな生物など、一欠片も存在を許されないのである。 「うーっ」 「うー♪ うー♪」 「うー♪」 湖に程近い森の中。 他のどんな生き物とも似つかない奇妙な鳴き声を上げて木々の間を飛ぶのは三匹のゆっくりだ。 ゆっくりれみりゃ、通称ゆっくりゃ。 ゆっくりでありながら、ゆっくりれいむやゆっくりまりさ等、同じゆっくりを餌とする捕食種と言われる種である。 ゆっくり特有の下膨れた顔に、種固有の帽子を被り、さらにこの種ならではの特徴である後部からの皮膜翼での飛行。 そして、この三匹のゆっくりゃはただでさえ数が少ないと言われるゆっくりゃの中でも、さらに希少な外見をしていた。 四肢と胴体が付いているのである。 通常、ゆっくりに手足や胴体は存在しない。 だが非常に稀な確立で、ゆっくりれみりゃ種にはこのような、人の幼児にも似た胴体・手足を持った個体が生まれる場合がある。 手足が使えるというアドバンテージは、ゆっくり同士の、いや他の動植物との間においても大きな格差をもたらす。 加えて飛行ができるという強みも相まって、生態系の最下層とも言われるゆっくりでも、この希少れみりゃだけはそれなりの地位を確保していた。 れみりゃはつよいんだどぅ~! もりのいきものはれみりゃのごはんなんだどぅ~! そんな声が、まるで警戒心の無いその姿から聞こえてくる。 実際には、羽音も隠さずに飛ぶような愚かな狩人に襲われる小動物などいるはずがない。 そんな馬鹿で愚図な小動物なんて――――そう、一種類しかいない。 「ゆっゆっゆっ」 「ゆ! ゆっくりかえってね!」 「ゆっくりしないでね!」 れみりゃの姿を見つけ、自分から居場所を知らせる馬鹿な生き物。 ゆっくりまりさとゆっくりれいむである。 ゆっくりという生き物はどこまでも自分本位でしか物事を考えられない。 自分達が命令すれば、それを無視する訳がない。 そんな考えから、このまりさとれいむはれみりゃに声をかけたのだろう。 無論、れみりゃのとった行動はれいむとまりさの思い描く真逆であった。 「うーっ♪」 「ゆ!?」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!!」 「うっ♪ うっ♪ うっ♪」 「ゆぐ、ゆっぎいいいいい!」 「うーうー♪」 爪で裂き、牙で割り、足で砕く。 子猫にすら劣る非力なまりさとれいむが、幼児程の知能と力を持つれみりゃに襲われて勝てる道理は無い。 一方的な蹂躙。 自然界の法則が正しく行われていく。 数分の後、そこに残ったのはゆっくり三匹分の破けた皮と餡、そしてそれをがつがつと手掴みで貪る三匹のれみりゃの姿だけであった。 「ぷっでぃ~ん!」 「ぷっでぃ~ん、ぷっでぃ~ん♪」 「うー!」 あらかたの食事を終えると、機嫌を良くしたのかれみりゃ達はその場でくるくると回り始めた。 小さな手足を振り回し、腰を左右に揺する。 「れみ」 「りや」 「う~♪」 希少れみりゃ種の示威行動、通称れみりゃダンスである。 他のゆっくり種における『ゆっくりしていってね!』と思われるそれを、やはり何の警戒もなく延々と繰り返し続けるれみりゃ。 もし、ここでこのれみりゃ達がそんな暢気なダンスをいつまでも踊っていなければ、あるいはこの三匹の命運はもう少し違っていたのかもしれない。 しかし、いくらか珍しいだけでれみりゃも所詮はただのゆっくり。 傲慢で自分中心な性質のゆっくりに、そんなifはそもそも成り立つ筈も無く、やはりこの結果は必然だったのだろう。 かさ、と微かな葉の擦れる音を立て、彼女は姿を現した。 「希少種が三匹か。今日は運が良いわ」 「う?」 突然の来訪者に、れみりゃ達は誰何の声をあげる。 せっかくきぶんよくおどっでいだのに、おまえはだれなんだどぅ~? れみりゃはこうまかんのあるじだから、えらいんだどぅ~! とでも言いたげに、眉根を寄せ彼女を見上げる。 その仕草に思うところがあったのか。 れみりゃの表情を見て彼女はぎり、と歯を軋ませた。 「まったく……何の冗談かしらねこれは。何かの異変であるならば、首謀者の命は無いのだけれど」 れみりゃ達には彼女が言ってる事が理解できない。 人語を解する事は出来るが、彼女の言葉が何を指し示しているのかが分からない。 まあどうでもいいだろう。 嬉しい時、悲しい時、悔しい時、楽しい時。 とにかく何かあった時にれみりゃのとる行動は一つしかないのだ。 すなわち、 「れみ」 これを見れば 「りや」 この人間も 「う~~~~~♪」 自分達が『こうまかんのあるじで、とてもえらい』と理解するに違いない。 会心のダンスを踊り、目の前の人間に向けてにっこりと微笑む。 完璧だった。 完璧であるが故に、次の瞬間、三匹の内の二匹のれみりゃに、おびただしい数のナイフが突き刺さっていた。 「…………う?」 「い゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」 「ぎううううぇ゛え゛ええ゛えぇっぇ゛ぇ゛ぇ゛え゛!!」 「お嬢様を愚弄するその踊り。万死をもって尚許し難いわ」 右腕で一匹、左腕で一匹。 彼女の――――十六夜咲夜の両腕が翻る度に、二匹のれみりゃに刺さるナイフはその数を増していく。 目を貫き、腕を引きちぎり、足を縫い止め、それでも追撃の手は止まらない。 そして信じられない事に、それだけのナイフを受けてもれみりゃはまだ、生きていた。 正確には、生かされていた。 「楽に死ねると思わない事ね。己という存在を恨み呪い絶望しなさい――――――――幻符」 冷たい声で宣言される呪符に従い、咲夜の手を離れたナイフが踊り舞う。 目前の矮小な咎人を狙うその数は二百五十六。 十六夜の月光に濡れて残酷に光る刃が、二匹のれみりゃに降り注いだ。 「……!…………!」 「…………っ……」 声を発する事も出来ぬほどにナイフで埋め尽くされたれみりゃは、最後の一発を受けてようやく地に倒れ、息絶える事を許された。 つい数分前まで共に我が世の春を謳歌していた同族の無残な遺骸を前に、残された最後のれみりゃは恐怖で瞬きすらままならない。 がたがたと止まらぬ震えが膝を挫き、ぼろぼろと涙と涎と鼻水をこぼすそれを、咲夜は汚物でもそこまでは厭うまいと言わんばかりの蔑んだ視線で見下ろす。 「なんて無様。お嬢様に似せた姿形がそんな醜態を取っていると思うだけで吐き気がするわ」 「ざ……ざぐや゛ぁー!! ざぐや゛どごーー!! う゛ーーーーー!!!」 れみりゃ種の本能に刻み込まれた、絶対服従の従者の名を叫びながら、れみりゃは這うようにして逃げ出した。 その肉饅頭の脳が必死に生き延びる為の術を計算する。 何だアレは。アレは人間じゃない。 早く、早く助けを求めないと。 目の前のアレが例え悪魔だろうと、『さくや』さえ来てくれれば大丈夫。 『さくや』は『こうまかんのあるじ』である自分の味方。どんな怖い敵も追っ払ってくれる。 おいしいぷりんをくれて、何でも言う事を聞いてくれる。 何をしているんだ『さくや』は。こんなにも自分が呼んでいるというのに。役立たずのめいどめ。 ああ、来る。アレが来る。アレがほら、痛い物を振りかざして 「黙れ屑饅頭。私を呼びつけていいのはレミリアお嬢様ただ一人。理解したらこの世の全てに、何よりお嬢様に詫びながら死ね」 ぞぶり、と自分の頭の中に冷たい物が潜り込んでいく感覚と共に、れみりゃはその言葉を聞いた。 (終) 作中のれみりゃは紅魔館に飼われてたりはしません。 理解せず「紅魔館の主」や「プリン」、「咲夜」といった言葉を使っています。 咲夜さんは暇を見つけては紅魔館周辺のれみりゃを屠殺して回ってます。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1315.html
最近、紅魔館にゆっくりれみりゃが大量に出てきて鬱陶しいらしい。 最初はかわいがっていたが徐々に我侭度が増していき、ついに自分が紅魔館の主だと言い出した。 勝手に館内のものを持っていったり壊したり。でも殺すと後片付けが大変。大量の肉汁があふれ出す。 そこでメイド長や本物の主は街の者達や他所の妖怪たちに見つけたら好きにしてもらって構わないと言っていた。 そんなある日のこと、俺は森に散歩に出かけていた。 すると、なにやらえらく気に障る声が聞こえてきた。 「うー♪うー♪うあうあ☆」 「・・・・・・・・」 いつ聞いてもイライラするこの声は・・・ああやっぱり。 「ゆっくりれみりゃだ・・・」 いつもと変わらないぶくぶくした体に汚らしい声。これほど本能的にイラっとさせられる生物は奴しかいない。 むこうも俺に気づいたらしい、お気に入りらしい日傘を不器用に持ちながらモタモタグズグズ近づいてくる。 「うー♪ぷっでぃ~んがたべたいどぉ~♪」 はぁ?こいつ何言ってんの?よほど甘やかされて我侭に育ったらしい。どうやら自分が欲しいといった物は誰からでももらえると思ってるみたいだ。 調度暇だし・・・殺るか・・・。 ちなみに俺の家はこういう豚を殺す為にちゃんとシートを敷いている。これで家は汚れないZE☆ 「うー♪はやくぷっでぃ~んをもってこないとしゃくやにいいつけるどぉ♪」 「う~ん・・・今はプリンは持ってないんだよ。僕の家にくればたくさんあるけど・・・食べたい?」 「たべたいどぉ♪あと、ぷりんじゃなくてぷっでぃ~んだどぉ~♪」 はいはい。俺は募るイライラを我慢してこのブス豚を家に連れて行く。後ろで「まぁだぁ」とか「もうつかれたどぉ」とか聞こえるけどシカトする。 そして家に着くなりこいつはすぐさま上がりこんで 「ぷっでぃ~んをくれだどぉ♪」 これだからゆっくりは・・・。まぁ、いいか。ここで決め台詞だ。 「は?お前にやるプリンなんてあると思うのか?大体俺は甘いものが嫌いなんだ。お前が好むようなものなんて最初から家にねぇんだよ」 ゆっくりれみりゃはぽかんとしている。こいつのぷっでぃん脳(?)ではすぐには理解できんのだろう。たっぷり2分かけて口を開いた。 「うー!ぷっでぃ~ん!!ぷっでぃ~んがたべたいどぉ!!!」 ほら。すぐわめきだす。しかもこの声・・・最悪だ。 「うー!しゃくやにいいづげでやるー!」 すぐほかの誰かに頼ろうとする。 「あのPAD長・・・じゃなくてメイド長がお前なんかのために動くと思ってんのか?」 「れみりゃはごうまがんのあるじだどぉ。みんないうごどきがないとだめなんだどぉ!しゃくやはれみりゃのために傘もくれたんだどう!」 お前が勝手に待ちだしただけだろうが。 「ぎゃおー!いうごどきがないど、たべちゃうぞぉ!!!」 「じゃあ、食べてみろよ。ほれ」 ぶん、と俺は右手を握り締めれみりゃの口の中に思い切りぶち込んだ。 「ばががが!!」 れみりゃの歯は無残にもほとんどが折れてばらばらとシートの上に落ちる。 「ぶがが!!!れみりゃのまっじろなばがぁぁぁぁ!!!」 「うるせぇ!!!」 今度は両手をれみりゃの目に突っ込む。そして一気に目玉を引き抜く。ぶちゃぶちゃぶちゃ。 「うばぁぁぁ!!!れみりゃのづぶらなびどみがぁぁぁぁ!!!」 ふん。俺は痛がる豚を部屋に残し冷蔵庫の中を探る。 「れみりゃはぷっでぃ~んがだべだいだげなのにーーー!!!」 「そんな君のはこれをプレゼントだ☆」 俺はれみりゃの口にあるものを突っ込む。そして頭を抑えて無理やり噛ませ、飲み込ませる。 「がだいぃぃぃぃ!!!」 そう。れみりゃにプレゼントしたのはしっかりと育ったハバネロだ。もちろん辛いだろうね。 「ぶあぁぁ!!おみどぅーーー!!!おみどぅーー!!!」 「水が飲みたいのか?そうかそうか」 水道にホースをつなぐ。そしてれみりゃの口にホースをぶち込み水を流す。 「ほら。水だぞ」 ごぼがぼと飲むれみりゃ。すかさずその口を顎と頭を押さえて吐き出せないようにする。 「ぶぶ!?」 そして水の噴射をMAXに。 「ぼぼぼぼぼぼぼ!!!」 おおすごい。どんどんハラが膨れていくぞ。 「ごごごぶごごぶ!!!」 ばちゃぁぁん。腹が破裂した。 「ぶあぁぁ!!!れみりゃのみわくのぼでぇがぁぁぁ!!!」 「あはははははははは!!!」 「いだいぃぃぃ!!!しゃくやぁぁぁ!!!たづげでぇぇぇ!!!」 助けに来るはずないのに。ぷぷ!!!腹が裂けて肉が飛び散ってるよ。 「ほらほら!!!痛いのはまだこれからだぜぇぇぇ!!!」 腕をもぎ取り足ももぎ取る。そして野菜を下ろすあれでれみりゃの豚鼻をそぎ落とす。 「ぷぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!」 れみりゃの長い長い一日はまだ続きそうである。 END 初です。いやー、文を書くのって疲れるわー。 変なとこあるかもしれませんがおおめにみてください。 それじゃ。 by れみりゃが大嫌いな人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1293.html
「うー!うー!うんじゃうぞー!!」 今、ボテ腹を抱えてのたのた飛び回っているのは紅魔館とは特に関係ないごく一般的な野生のゆっくりれみりゃ。略してゆみりゃ。 ただ今絶賛妊娠中、出産間近のゆみりゃは出産に適した場所を探してあっちをのろのろこっちをもたもた移動中。 ふと見ると、都合の良い洞穴に数匹のゆっくりさくやファミリーがすやすや眠っているではないか。 しかもゆっくりさくやジュニア達はどう見ても生まれて間もない。これは正にベストタイミング。 ゆっくりさくやを起こさないようゆみりゃなりに忍び足で近付き、これまた起こさないように子ゆっくりさくやを拾い集める。 そしてちょっと離れた所にある水溜りの傍まで運んで、 「かわいくないあかちゃんはぽいっしちゃうぞ~♪うっう~♪」 と、聞く者に不快感を与える独特なメロディを口ずさみながら水溜りの中に子ゆっくりさくや達を放り込む。 「ゆ!!?」「ちめたいよ!!」「ここどこなの!?」「ゆっきゅいできないよ!!」「ゆっくいちていってね!!」 ピーピーと泣き叫ぶ子ゆっくりさくや達。 「うっうー♪ばっちぃあかちゃんなんかふんじゃうぞ~♪うあうあ♪」 泣き叫ぶ子ゆっくりさくや達を踏みつけて皆殺しにするゆみりゃ。死骸の上で楽しそうに踊っている。 「う~♪れみりゃはかりしゅまだぞ~♪ぶるるるじょぅあだぞ~♪ぶちゃいくあかちゃんぽいっ♪ばっちぃあかちゃんぽいっ♪」 一通り上機嫌に歌って踊ると、洞穴に戻り母ゆっくりさくやが眠ったままなのを確認すると、また忍び寄り、 「ひっひっふ~♪かいちゅまてきしゅっさん~♪」 意味不明な掛け声と共に、脚の間からスポポポポンという景気のいい音と共に小さいゆみりゃを数匹出産した。 全員眠っている母ゆっくりさくやの頭の上に乗ってすやすやと眠っている。衝撃で起きる事も無く、幸せそうな寝顔である。 「うっう~すっきり~♪れみりゃのかわいいあかちゃんあげるよ~♪」 生まれた子供達を放置してそのままどこかへと飛び去り、二分後にはゆっくりフランに捕まり、一週間かけて嬲り殺しにされた。 さて、一方洞穴に取り残されたゆっくりさくや、略してゆくやは数十分後に目を覚ました。 「おはようみんな!!さくやおかあさんのはいぱーじゅにゅうたいむだよ!!!………?」 無論ゆっくりは哺乳類ではなく(そもそも生物かどうかすら怪しい)、当然授乳等も出来ない。単に授乳と言いたいだけなのだ。 それはさておき、先程まで自分の傍でお互い寄り添うように眠っていたミニマムゆくや達の姿が無い。 それに何だか頭が重い。そう思っていると頭上から、 「うー!ゆっくいおにゃかちゅいた!」「ゆっくいごはんちょうらいね!うっうー!」「うー!うー!」 と、こおろぎさとみ的な声がいくつも聞こえてくる。不審に思って飛び跳ねてみると、頭の上から何かが転がり落ちた。 「いだいよー!」「うあー!うあー!」「えみりゃになんてことしゅるの!!」 周囲には子ゆくやがおらず、代わりに頭上に子ゆみりゃが居る。この事から導き出される答えは一つ……! 「ぎゃわいいいいいいいいいいいいいいいー!!おおおおおおおおぜうさまとおよびしてもよろしいでしょうか!!!?」 ゆくやは狂喜した。必ずかの天真爛漫な子ゆみりゃを育てねばならぬと決意した。 ゆくやには自分の子供が分からぬ。ゆくやは、所詮ゆっくりブレインである。 現在の快で過去の全てを忘れ去る、ダンゴムシ並の記憶力で生きてきた。けれども可愛い物への愛着はゆっくり一倍あった。 という訳でゆくやはあっさりと子ゆみりゃを「おぜうさま」と呼び、立派な「れでえ」に育てると決めるのであった。 「さあおぜうさま、はいぱーじゅにゅうたいむですよ!!!」 「うー♪うー♪」「ごはんごは~ん♪」「ちんちちんちんうぉっぱ~い♪」「ぼいんぼい~ん♪」 上機嫌でゆくやの周りに群がってくるゆみりゃ達。無論、授乳等ではなく、そこらで獲って来た食料を口移しで与えるのだ。 「んっ……はぁっ……くちゅっ……っぷはぁ!どうですかおぜうさま!おいしいですか!!」 「まじゅい~!!」「のいちごじゃなきゃやなの~!!」「むかでなんてたべられない~!!」「このくそむしが!!」 物凄い勢いでワガママを言う子ゆみりゃ達。生後一日にしてこのワガママっぷりである。 ゆくやは別段それに文句を言うでもなく、 「もうしわけありませんおぜうさま!!だいしきうのいちごをもってまいります!!」 「う~!ゆっくりもってきてよ!!」「とっとともってきて!!」「さっさともってきてよね!!」「おぅはやくしろよ!!」 口の中に含んでいた大量の餌を吐き出し、急いで洞穴を飛び出して野苺求めてまっしぐらなゆくや。 そんな母性エキスバリバリのゆくやを見送った子ゆみりゃ達は、 「はむ、まったくしゃくやったらどんくちゃいんだから、はふ」 「むしゃ、あんなのでもれみりゃたちのめえどなのかちら、もふ」 「がつがつ、れみりゃはおじょーたまだかやがまんちてあげるけど、がしゅがしゅ」 「まったくつかえねえまないただよあいつは!はむ!はふはふ、はふ!」 言いたい放題言いながらあれ程嫌がっていた餌をマッハで貪り食う。どこぞの温犬大食い王もびっくりの勢いである。 そして腹いっぱい食べたらすぅすぅと昼寝を始めた子ゆみりゃ達。 飛び出してから一時間後、漸く口一杯に野苺を頬張ったゆくやが帰ってきた。 「はらいはおろいあひはおへうはは!!」 「zzz……」「すやすやすや……」「くー……くー……」「こっちのくちもよだれがとまらねえみてえだなぁへっへっへ……」 「ふおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」 寝息や寝言の出迎えでゆくやの顔を限界まで緩ませる。口からだらだらと野苺ペーストがこぼれ、 その匂いで睡眠中の子ゆみりゃ達が目を覚ました。 「はっふはっふ!おいちい!」「おいちいのいちご!むしゃむしゃ!」「がつがつがつがつ」「こののいちごをつくったのはだれだ!!」 「おろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろ」 ゆくやを完全に無視して野苺を貪り食う子ゆみりゃ達。地面に落ちたのを舐め尽すと、ゆくやの口の中に顔を突っ込んでまで食う。 涙目になりながらもどこか恍惚とした表情でアヘアヘ言いつつそれを受け入れるゆくや。 素晴らしい母性の発露である。間違いなく母性なのだ。多分母性だってけーねが言ってた。 そんな調子でゆくやとゆみりゃ親子の生活は瞬く間に過ぎていった。 ゆくやは度重なるワガママに嫌な顔一つせず、どころかもっとワガママを言ってくれと言わんばかりに世話をした。 その甲斐あって子ゆみりゃ達はすくすくと成長し、一月が経つ頃にはすっかり立派な成体になっていた。 それでも相変わらず餌を自力で獲る事は一切せず、体の汚れを取るのすらゆくや任せだったが。 それでもひたすら恍惚とした顔で奉仕し続けるゆくやに、ある晩ゆみりゃ達が迫った。 「ねえんしゃくやぁ」「れみりゃたちしゃくやにおれえがしたいのぉ」「ゆっくりうけとってねぇ」「まあえんりょしなさんな」 「お、おおお…………おぜうさまあああああああ!!さくやは!!さくやはうれしいでしゅううううううううう!!!」 感動してばしゃばしゃと涙を放出するゆくや。その様子に内心引きながらも、ゆみりゃ達はその体を密着させ、 「はぁはぁ!さくやかわいいよさくや!!」 「みはったつなからだでもがまんしてあげるよ!!」 「なんたってれみりゃはかりしゅまでおぜうさまだから!!」 「がははー、ぐっどだー!!」 「おおおおおおおぜぜぜぜぜぜぜぜうううううううささささささささままままままままま」 やたら嬉しそうに強姦されるゆくや。そんなゆくやにも構わずガンガン攻めるゆみりゃ達。 はっきり言って今やゆみりゃの方が体が大きいのだ。こんなんで体が持つ筈が無い。 案の定、ゆくやは早々に意識を失った。それでもゆみりゃ達は止まらない。イクイクモードだ。 「んんんんんんんんんんー!!!いくよいくよいっちゃうよー!!」 「う、うううううううううううううううううううううううー!!!」 「んふうううううううううううううううううううううううう!!!」 「さんくりっくでのうこうなけひあをあじあわせてやろう!!!!」 思い思いの言葉を叫びながら次々と絶頂していくゆみりゃ達。 犯されるゆくやは既に干からびており、かなり不気味なデスマスクを晒している。 その頭からは早くも蔓が伸び始めている。ただし、普通の蔓と違い虹色をしているが。 「すっきりしたからもういこうよ!!」「そうだね!!もういくよ!!」「すっきり~♪うあうあ♪」「じゃあなおじょうちゃん」 すっきりしたゆみりゃ達は何の未練も無く洞穴を飛び去った。かつて彼女らの母親が姉妹と共にそうしたように……。 さて、残された元ゆくやの蔓はやがて実を落とした。その実はもぞもぞと蠢いて、 「ゆっくりしね!」「ゆっくりしねばいいのに!」「ゆっくりしぬといいよ!」「ああ^~はようしたいまみれになろうや」 ゆっくりれみりゃすら捕食する最も凶暴なゆっくり種、ゆっくりフランの幼生達が誕生した。 早速目の前にある干からびた大きい餌を食い、そして自分と同じように動き同じような台詞を吐く餌を食いにかかった――― WILD YUKKURYA's BREEDING END 作:ミコスリ=ハン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1280.html
紅魔館 幻想郷と呼ばれる、非常識のモノが集う土地に存在する悪魔の館である。 人間は恐れて近付かず、妖怪は畏れて近付かず、その他の者は色々あって近付かないその館には悪魔に忠誠を誓った人間が一人居た。 時を操れるという人間を逸脱した能力を持つ彼女は、その能力故に同胞である人間から疎まれ、○年前にここの悪魔に拾われ側近となった。 十六夜咲夜。それが悪魔が彼女に与えた名前である。 そんな彼女は、日々完全で瀟洒なメイド長として主に奉仕するのである。 「そろそろ対処しないとマズいかしらね」 瀟洒にそしてアンニュイに呟く咲夜(脳内CV田中理恵)。視線の先には中庭で踊る複数の生物。 ゆっくりれみりゃというそれらは、最近突如として紅魔館周辺に現れた謎の生物だ。何でも中は肉まんだとか。 そんな馬鹿げた生物を、紅魔館雇われのメイド妖精達は大層可愛がった。 多少我侭ではあるが見た目は可愛いらしい童女で、その仕草にも愛嬌があり、遊んでやるとよく懐いた。 ただそれらの生物には問題がある。そのゆっくりれみりゃは紅魔館の主である吸血鬼、レミリア・スカーレットと同じような容姿なのだ。 勿論同じような、と言っても彼女達の主を相当デフォルメしたような顔形でしかないのだが。 容姿が多少似ているだけならまだ良かった。だがゆっくりれみりゃ達はここが快適な場所だと学習したのか、 どんどん仲間を呼び寄せ今や紅魔館周辺には常時数十匹のゆっくりれみりゃが確認でき、中庭どころか館内にまで侵入するものもいる。 門番はと言えば、そんなゆっくり達をあっさり見過ごしていた。主と同じような服装のせいもあるだろう。 とにかくそのような状況は、面子を重んじる吸血鬼たる主に仕える者として見過ごせないものだった。 「こんな事でお嬢様のお休みの邪魔をしてまでお伺いを立てる必要は無いわね。夜までに全て始末してしまえばいいか」 決定した。この日、紅魔館敷地内のゆっくりれみりゃは悉くこの世から消えてなくなると。 できれば後腐れ無く処分したい。メイド達に菓子で館の外にいるゆっくりれみりゃを中庭におびき寄せるよう指示を出す咲夜。 サボりがち門番には中に入るゆっくりは全て通し、中からは一匹たりとも逃がさないようにナイフと共に命令を下す。 そして主の友人である魔法使い、パチュリー・ノーレッジにゆっくり達の焼却処分を頼む。 図書館を度々荒らしに来るのに迷惑していたらしく二つ返事で引き受けてくれた。 後で掃除が大変そうだ、とぼやきながら咲夜も行動を開始する。既に館内に入り込んでいるゆっくりを中庭に移送するのだ。 こういう時咲夜の能力は非常に便利だ。チョロチョロと動き回る複数の目標を、この広い館の中探し回るのは普通なら大変だ。 だが彼女はザ・ワールd…時を操る能力を持つ。時間を止めてしまえば文字通り時間をかけずに目標を見つけ出す事が可能だ。 じっくりと探せば居るわ居るわ。図書館と主の部屋、それと地下室には一匹も居なかったが、他はブリブリ入り込んでいる。 正直彼女の予想を大きく越えていた。大方メイド達が裏口等からこっそり中に入れて可愛がっていたのだろう。 キッチンには13匹。主とその妹専用の食料はメイド長である咲夜しか入れない部屋に保管してあるので無事だった。 だが妖精メイド用の食事は酷い有様だった。ここまで食い散らかされてよく可愛がれるものだ。そこは妖精、という事なのだろうか。 ちなみに咲夜はきっちり自分の分の食料を別に保管してあるのでこれまた無事だった。瀟洒瀟洒瀟洒瀟酒瀟洒! とりあえず逃げられないように全員をナイフで床に縫いとめる。 「ううぅー!はなちてくれないと、たべちゃうぞー!!」 「それは怖いわね。怖いから、とりあえず羽を奪わせてもらうわ」 抗議するゆっくり達にそう答えつつ、淡々と背中に生えた羽をもぎ取って回る咲夜。もいだ羽は適当なゆっくりの口の中へ。 「むぐっ!んぎゅー!んぐー!!」 首を振っていやいやと言う様に暴れるゆっくり。吐き出されると床が汚れてしまうので飲み込むまで口を押さえる咲夜。 散々えづきながら全て飲み込むゆっくり。口の中に何も入っていないのを確認すると咲夜はそのゆっくりを抱え上げた。 びりびりと服が破れるが気にしない。これ位なら後で掃除しても構わない。 「うぅー!!やべてー!!おべべがやぶれちゃーうー!!」 大声を出しながら暴れるゆっくり。どんなに暴れても所詮は饅頭に胴体が生えただけの代物。 瀟洒な彼女のすらりとした腕から逃げる事は叶わない。 そんな、この『おうち』の『ごしゅじんさま』である筈の自分達をまるで『物』のように扱う咲夜に怒りを抱いた他のゆっくりも、 咲夜に向かって抗議しまくる。が、駄目っ……!瀟洒な上に完全な咲夜はそんな雑音等気にも留めず、次々とゆっくりを中庭に運び出す。 ちなみにその間ナイフを抜いて逃げようとするようなゆっくりは居なかった。 羽をもがれてもまだ自分達の身に危険が迫っていると思えないのかもしれない。 その後も順調に館内のゆっくりを回収して回る咲夜。結局館内には合計45匹のゆっくりが入り込んでいた。これはひどい。 全て回収する頃には日も傾きかけ、周辺に生息するゆっくりや森の中のゆっくりも粗方中庭に連れて来られていた。 外に出ようとして歩いていく者は門番に蹴り飛ばされ、飛んで出ようとする者は叩き落されていた。楽しそうだ。 いつもあれ位ハッスルしてくれればいいのに。 準備が整ったので、図書館にいるパチュリーを呼びに行く咲夜。 どうやら図書館に居ながらにして状況を把握したらしい。パチュリーは扉を開ける前に出てきた。 「じゃあ行きましょう。中庭に集めてあるのよね?」 「はいパチュリー様」 ゆっくり達の死刑執行人が中庭に現れた。 相変わらず門番に蹴られたり殴られたり投げられたりしているゆっくり達。 泣き声やら怒鳴る声やら気合いの掛け声やらで酷い喧騒だ。さっさと処分してもらおう。 「ではパチュリー様、宜しくお願いします」 「ええ」 パチュリーがゆっくり達の方を睨むと、あちこちへ散ろうとしていたゆっくり達が一斉に空中に浮かび上がった。 そして空中のある一点へとどんどん集まっていく。その中にチャイナ服を来た女性も混じっていたが誰も気にしない。 「うー♪うー♪おそらおそら♪ぶーん♪」「たかいたかーい♪うっうー♪」「ひええええええパチュリー様、下ろしてくださ~い!」 「もっちゃらへっぴ~もけもけさ~」 パチュリーが早口で何事か呟き始める。すると空中の一点に集められたゆっくり達(+門番)の周囲に模様のようなものが浮かび上がる。 「もっちゃらほげほげっもっちゃらほげほげ!」 呪文を唱え終わると同時に、ゆっくり達(+中国)が激しく燃え上がる。 「う゛う゛う゛う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 「あ゛づい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 「ざぐや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!だずげでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「きゃあああ!!熱い!熱いですパチュリー様!たーすーけーてーくーだーさーい!!」 凄まじい悲鳴が上がる。ゆっくり達にとっての地獄がそこにあった。妖精達は怯えている。 しばらくすると悲鳴も約1名分を除いて段々聞こえてこなくなり、ジューシーな香りがあたりに漂い始めた。 完全にゆっくり達を焼却し終えると、パチュリーはさっさと図書館に戻っていった。 真っ黒に焦げた人影がドサリと地面に落ちる。 「……えーと、大丈夫かしら美鈴?」 「うぅ……ひどいですパチュリー様ぁ……がくっ」 どうやら無事の様なので構わず館内に戻る咲夜。どうやらこのような光景は日常らしく、他のメイド達も動じない。 数分後、まだ伸びている美鈴の前に咲夜が再びやってきた。手には救急箱を持っている。 「ほら、手当てしてあげるから起きなさい。今度のは貴女に落ち度は無いからね」 「うわあ!咲夜さんにも人並みの優しさがあったんですね!!血も涙も無い訳ではなかったんですね!!私感動しました!!」 そう叫んで咲夜に抱きつく美鈴。次の瞬間には額からナイフを生やして撃沈。 「どうやら手当ては必要無いみたいね。じゃあ、私はそろそろお嬢様を起こしに行かないといけないから」 「そ、それでこそ私の咲夜さんです……がくり」 大掃除が終わって幾分晴れ晴れとした表情で、主の眠る部屋へ瀟洒に歩いていく咲夜であった。 PERFECT END!! 作:完全にして瀟洒に踏まれたい妖精紳士ことミコスリ=ハン
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1324.html
今週最後の仕事を終え、夕暮れの中、家路に着く。 以前は同僚と飲みに行ったりしていた物だが、ここ数週間の間は、めっきり人と遊ばなくなった。 娯楽に掛かる費用と時間の殆どが、アレの虐待や拷問に割り振られるようになったからだ。 さて、アレとは何かと言えば、ここ最近になって急激に繁殖を始めた謎の生命体、ゆっくり達の事だ。 私以外にもゆっくり虐待を娯楽としている人間は多数居るそうだが、私の嗜好は、 一般的な虐待紳士・淑女の皆様方とはいささかズレたものであった。 簡潔に言おう。 私は『ゆっくりれみりゃ及びその亜種』のみを専門的に愛好しつつ虐待・虐殺するのが大好きなのだ。 初めて『胴無しゆっくりれみりゃ』を見たのは、数週間前の事だった。 仕事帰りにたまたま、民家の畑に居た、ゆっくりれいむ・まりさ種の成体二匹が、 ゆっくりれみりゃに捕食されているのを目撃した。 その時まで私は、ゆっくり種など大して気にも留めていなかった。 農家や露天商の方にとっては害獣なのだろうが、私の仕事は雑貨屋での事務・経理だ。 仕事上、ゆっくりの話を聞く事はあっても被害を受けた事など無いし、興味も無かった。 愛好もしなかったし、虐待もしなかった。 ――まぁ、それこそ『路傍の石』として、路上に居たら蹴る程度の事はしていたが、それも道から退かす程度の強さであり、 餡子をぶち撒けて絶命させるような力では無い。 また仕事上、金銭などの貴重品取り扱いには神経質にならざるを得ない為、 戸締りも厳重にしていたので、家を荒されるといった事も無かった。 話を戻そう。 初めてゆっくりれみりゃを見た時、私の胸に言いようの無い暖かな気持ちが芽生えた。 「うー♪ うー♪」 と愛苦しい声で鳴きながら、目を細めて可愛らしく飛び回る、胴無しゆっくりゃ。 私は目を輝かせて、胴無しゆっくりゃが獲物を食し、ぱたぱたと飛び去っていく姿を見送った。 なんて、可愛らしいんだろう。 ああ、可愛い、可愛い可愛い、可愛い可愛い可愛い!! ――ブチ殺したくなる程の可愛さだ。 私はその日から、ゆっくりゃに魅了された。 休日に森に出かけては胴の有無を問わず捕獲し、また亜種である『うーぱっく』『ゆっくりゃザウルス』も捕まえた。 そして、大枚を叩いて建築した『ゆっくりゃ収容所(拷問・虐殺室も兼ねる)』に閉じ込めておく。 一日2~3匹ほど殺すとして、一週間分の約20匹のゆっくりゃ達を休日の間に確保しておくのだ。 サイズの小さい赤ちゃん等が脱走しない様に、きちんと定番グッズの『頑丈な透明箱』に閉じ込めてある。 餌に関しては捕食種という事もあり、 菓子やの甘言に釣られた馬鹿なれいむ種やまりさ種を捕まえて箱に入れるだけで勝手にむしゃむしゃ食ってくれる。 ……胴付きに関しては、 「うっう~♪ れみりゃはぷっでぃ~んがほしいんだどぉ~」 「おぜうさまはあんこよりぷっでぃんがくちにあうんだどぉ~」 などとワガママを言って、グズったり泣き喚いたりと散々だったが、 死なない程度に顔面を殴打したり、 「ぶぎゃっ!!」 腕・脚・翼を引きちぎってやったり、 「いぎっ!? ……いだいーー!! だずげでざくやぁぁぁ!!」 腹に蹴りを入れて転がした後、顔面を潰さない程度に踏みにじったり、 「おごぶぇぇぇっ! う、うぅぅ~!!」 そんな調子で適度な虐待をしつつ、ゆっくり種以外の餌をけして与えないようにしていると、 何を言っても食事は変わらないと肉饅脳で理解したのか、 「「わ"がり"ま"じだー!! ごべん"な"ざい"だべま"ずー!!」」 渋々食べるようになった。 あと、特に理由は無いが、逆さにしたうーぱっくの中に煮えたぎった熱湯を注ぎこんで苦しむ様を楽しんでみたりもした。 「……う? うぅうううっ!? うぅあぁっっ!!」 手足もなく四角い体型が災いして、体内を灼く激痛から逃れられず絶叫するうーぱっくは本当に可愛かった。 余りの可愛さに刃物で滅多刺しにして穴だらけにしてやった事もあった。 それでも死なない、いや死なない生命力も立派なチャームポイントだと思う。 あぁ、やっと我が家に着いた。 手早く夕食を済ませる。 明日も仕事だ。 お楽しみの時間をたっぷり味わう為には、それ以外の時間を削らねばならない。 動きやすく、また油に汚れても構わないような服に着替えて、いそいそと収容所へ向かう。 扉を開けるとそこは、 「うー! うー!」「うっうー!」 「う~?」「うー♪」 「うっう~うぁうぁ♪」 「いないいなーい……うー!」 「う~まんま~♪ だっこちて~♪」 「れみりゃのあかちゃんかわいいどぉ~♪」 「ぎゃお~! た~べちゃ~うぞ~!」 れみりゃ種の大合唱が私を出迎えてくれた。 あぁ、これだ。 この鳴き声。 実に癒される。 コンテナの様に大量に積まれた透明箱の中で、沢山のれみりゃ種が勝手気ままに暮らしている。 水は毎日きちんと換えているし、箱の中には藁も敷いてやっている。 胴無しの飛行型は巣を作りたがるので、その箱には藁だけでなく、小枝なども入れてある。 もちろん食料として、一般的な被捕食種のゆっくり――れいむ種やまりさ種を入れてあるので、餓死の心配も無い。 狭いスペースでぎゅうぎゅう詰めだとストレスの原因になるので、 サイズの小さい胴無し型なら三~四匹、胴有りなら一~二匹程度を、そこそこ大きめの箱で飼っている。 餌となるゆっくり達は、いちいち加工所から買っていては莫大な餌代になってしまうので、 家の付近に菓子などを載せた皿を置き、それを食いにきた馬鹿饅頭を捕獲したり、 一気に大量の数を揃える時は、近場の森や林で親ゆっくりと思しきサイズの無能饅頭を見つけ、 「ゆっくりプレイスに案内してあげるよ」 と甘言で釣って、一家総出で家までついて来た所を拘束したり、といった手段で用意した。 さて、待望の虐待タイムだ。 「うっうー♪」 「まんま~!」 「う~う~♪ お外だどぉ~♪ おぜうさまをさっさとだすんだどぉ~」 胴有り二匹と胴無し一匹を選別して取り出し、隣の拷問室へ運んでいく。 拷問室と飼育箱室は防音加工された壁で区切られているため、 ゆっくりゃ達は、将来自分達がどうなるのかを知らないまま日々を過ごし、やがて『その日』を迎えるのだ。 三匹全てが拷問室に入った所で、私も室内に入って扉を閉じる。 拷問室内にあるのは、手術台を思わせる大きな机と、椅子が一つ。 その傍らには、ノコギリや杭、針やマッチなど、 さまざまな拷問グッズを詰め込んだ、素敵な道具箱が鎮座している。 床は洗い流すのに便利な防水加工が施され、 いくつも刻まれた小さな溝が、備え付けられた排水溝へ続いている。 「しゃくや~! このおへやなんかへんだどぉ~!」 「うっうー! ううー!」 「まんまぁ~! れみりゃかえりゅ~!」 この室内に充満する奇妙な空気を悟ったのか、ゆっくりゃ達が落ち着きを無くしてざわめきだす。 既に百匹を越えるゆっくりれみりゃ種が殺されてきた部屋だ。 本能的に何か感じる物があるのだろう。 この日の為に愛情たっぷりで育ててきたゆっくりゃ達を、悪意たっぷりで虐め殺そう。 まずは一匹目。 胴無しゆっくりゃの成体を両手で掴んで、頬を軽く引っ張る。 「うっうー♪ うー?」 この時点では、相変わらずのニコニコ顔だ。 そこから徐々に、片手だけ力を強めてみる。 「うぅー……うっ!」 笑みが消えた。 痛くなってきたらしい。 頬が赤くなり始める。 当然辞める気は無い。 更に強くしてみる。 「んー! んぅうー!」 目に涙が浮かんできた。 あぁ、いい表情だ。 私の精神がほんのりと癒されていくのを感じる。 「うぅぅぅぅぅ……!!」 涙をぼろぼろと零す。 手足を持たないこのゆっくりゃは、羽を必死に動かして、私の手をペチペチと叩き始める。 飼い主に暴力を振るうなんて、悪い子だ。 お仕置きをしてあげなくては。 引っ張っていた手を離し、室内に置いてあった道具箱を片手で開く。 有った。 「うぅ~…」 まだ痛みが引かないのか、涙を零しつづけるゆっくりゃ。 泣こうが喚こうが、もうお仕置きは決定済みなのだが。 「う?」 まだ赤みの残る頬に、先ほど道具箱から取り出した、細長い針金の先を押し付ける。 そのまま、ゆっくりと押し込んでいく。 「うっ! う~!」 少しづつめり込んでいく先端。 再び羽を動かして痛みを訴えるゆっくりゃ。 先ほどはそれで行為が中断されたので、これでまた離してもらえるとでも思っているのだろう。 おお、愚か愚か。 更に力を込めつつ、回転を加えて押し込んでいく。 「うっ…うぅぅぅ! うぁあぁぁぁぁぁぁ!!」 グジュッという音と共に、針金が頬を貫通した。 頬に空いた傷口から、肉汁が零れ落ちる。 激痛に白目を剥いて痙攣を始めるが、この程度でれみりゃ種は死なない事は知っている。 「うっ……うっ……うぁぁあぅっ!!」 ドリルの様な回転を加えつつ、もう片方の頬も一気に貫通させた。 滴り落ちる肉汁と涙。 それに委細構わず、素早く引き抜いて、再び頬にもう一つ穴を空けてやる。 「んぅぎゃっ!?」 今度は両の頬を素早く貫通させた。 そこから、針金を何度も突き刺しつつ、抉るように回転を加える。 「……あうぁぁぁぁぁっ!! うぎぎゃ! うぎぃぃぃぃぃ!!」 お前はサルか、と突っ込みたくなる絶叫を挙げるゆっくりゃ。 針金を刺したまま、クルリと手の中で回し、片方の羽を引きちぎる。 「ぎゃっ! うぁうっ!!」 いい声だ。 もう片方はゆっくりといこう。 私の手を叩いた悪い羽はきっちり除去してやらなくては。 みちみちと音を立てて、羽の根元から肉汁が零れ落ちていく。 「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」 先ほどは一瞬で過ぎ去った痛みが、今度はじわりじわりとゆっくりゃを苛んでいる事だろう。 唸るような苦鳴を漏らすが、それがより一層、私の嗜虐心をそそるのだ。 顔を真っ赤にし、涙と肉汁を零しながら、全身を震わせるゆっくりゃ。 なんと可愛らしい。 あまりの可愛さに思わず、中程まで千切れかけた羽を、一気に捻じ切ってしまった。 「うぅぁっ!!! かひゅっ、ひゅー! ひゅー!」 泡を吹いて、弱い呼気を漏らす。 大きく何度も体を痙攣させている。 これが通常のゆっくり種ならショック死の前兆なのだが、 愛すべきれみりゃ種はまだまだ死なない。 ここで、一匹目に時間を掛けすぎている事に気付く。 仕方無い。 こいつはそろそろ殺してやろう。 両手の親指を、愛らしい小さな二対の目にそえて、抉る。 寒天の様な感触を楽しみながら、更に指を押し込む。 「……うぅっ……うーっ………う……うぅ……」 もはや泣き喚く気力も失せたのか。 薄いリアクションでは楽しめないじゃないか。 殺すにはいいタイミングだったのかもしれない。 親指が生暖かい肉まんの餡に包まれる。 潰されたゆっくりゃの両目から肉汁が吹き出した。 「さようなら、愛しいゆっくりれみりゃ」 別れを告げて、顔面を穴だらけにされ、羽をもぎ取られ、両目を抉られたゆっくりゃを、 「うぶぎゅっ!!」 両手で押しつぶしてやった。 「さて」 肉片と肉汁まみれの手で、私は振り返る。 「ぎゃっ!」 「うみゅっ!?」 一連の凶行を眺めて放心状態に陥っていたらしい、胴付きゆっくりゃの親子と目が合う。 どちらから殺そうか。 まだ成長しきっていない為に立つことが出来ず、床にぺちゃっと垂れた体勢の赤ちゃんゆっくりゃ。 その襟首を引っつかんで持ち上げる。 すると、 「やめでーーーー!! あがぢゃんかえじでぇぇぇぇぇ!!」 と、親ゆっくりゃが私の裾を掴んで泣き喚き始めた。 それにつられたのか、 「うー! やぁなの~! れみりゃはまんま~といっちょにいりゅの~!」 赤ちゃんまで愚図り始めてしまった。 泣き叫ぶ姿も愛らしい。 心配する事は無いんだよ。 ゆっくりゃ。 お前達は親子揃って、ここで拷問死するんだから。 今日のお楽しみはこれからだ。 ~~~~~~ 後編に続きます。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1336.html
にくまんだどぉ♪ ======================== ≪はじめに≫ 虐めぶん薄めです。殆どありません。 そもそも、これは虐めなのか愛でなのか…… 強いて言えば、倒錯系の精神的な虐めでしょうか? また、他の作者様の設定や名称を一部使わせていただいております。 以上、ご理解・ご容赦お願い致します。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。 ======================== ゆっくりのブリーダーといってもピンキリだ。 街から街へ渡って活躍する人もいれば、俺のように小さな街でくすぶりつづける奴もいる。 ま、だからって今の生活に文句があるわけじゃない。 ゆっくりの出没件数は増えるなら、それに関する仕事もまた然り。 忙しすぎるのも困りものだが、いまのところ適度に儲けさせてもらってる。 ゆっくりを相手にするのは嫌いじゃないし、ちょっとしたコツさえつかめばボロイ仕事だ。 だから、今回の依頼も、いつも通り気軽に受けた。 話を持ってきたのは、この街にある加工場の支店長。 なんでも、さる大口クライアントから厄介な仕事をもちかけられ、困っていたそうだ。 ハッキリとは口にしなかったが、どうやらそのクライアントとは、あの紅魔館らしい。 紅魔館といえば、ゆっくりれみりゃの最大生息地。 言わば、やつらの故郷にしてメッカだ。 となると、やはりその依頼というのも… 「ゆっくりれみりゃ絡みの仕事ですか?」 「ああ、まぁそうなんだが……。とあるゆっくりれみりゃを教育してくれと預けられてな」 「はぁ……始末ではなく?」 「教育、だそうだ。なんでもクライアントのお気に入りらしくてな…」 溜息をついて眉根をしかめる支店長。 噂によれば、紅魔館のメイド長は、大層ゆっくりれみりゃを溺愛しているらしい。 始末ではなく教育……。 わがままなれみりゃを躾けてくれといった類か。 俺がそう言うと、支店長は頷き、苦々しく口を開く。 「……なんでも"周りのれみりゃに悪影響を与える"れみりゃがいるらしくてな、そいつの更正を頼まれた」 悪影響。 他のれみりゃ種を扇動して人間に迷惑をかけるようなタイプか? まぁ、加工場の人達は、躾のプロではないし、万が一やりすぎて殺してしまいでもしたら、 俺達人間が、逆に紅魔館の連中のエサにされかねない。 加工場には加工場本来の仕事もあるし、 たしかに外注の専門家に委託するのが、かしこいやり方だろう。 「わかりました。それじゃやってみます」 俺の言葉に申し訳なさそうに苦笑する支店長。 「すまないな……。我々も協力はおしまない。なんとかやってみてほしい」 たかが、ゆっくりれみりゃ1匹の躾など、ゆっくりブリーダーからすれば楽なもんだ。 俺は「任せておいてください」と胸を張り、その問題のゆっくりれみりゃを受け取りに向かう。 支店長と一緒に、加工場の奥へと進んでいく。 すると、そこに一つのケージがあり、中に一匹のゆっくりれみりゃが横になって寝ていた。 「……こいつだ」 「見たところ……普通ですね」 そのゆっくりれみりゃは、れみりゃ種としては比較的一般的な胴体付きだった。 身長は70~80cmほど。大きな下ぶくれ顔と、ややババ臭いとも感じられるピンク色のフリフリおべべ。 背中には、退化してろくに飛ぶこともできなくなった黒い羽が、申し訳程度についている。 「……それじゃ、頼んだぞ」 支店長に言われた俺は頷き、ケージの真正面に立つ。 中腰になってケージの隙間から腕を入れ、れみりゃの頬をむにむにとこねくりまわす。 なにも遊んでいるわけではない。これは、言わば触診だ。 躾る前に、ゆっくりの健康状態は知っておかなければならない。 「ふーん、血色も肌の張りも実に良い。弾力もあるし、至って健康だ。むしろ少し栄養をとりすぎてるくらいですね」 「まーな。売りに出せば高値がつくだろうぜ」 支店長は、苦笑して肩をすくめる。 俺は支店長に適当に愛想笑いを返してから、 れみりゃのほっぺたを軽くつねって引っ張る。 「……う~?」 れみりゃの口からもれる吐息。 それを確認して、俺は頬から手を離す。 「う~、なんだどぉ? れみりゃのほっぺが、じんじんするどぉ」 つねられていた頬に手を当て、むくりと起きあがるれみりゃ。 ごしごしと手で目をこすってから、ゆっくり当たりを見回し始める。 「う~、ここどこだどぉー?」 首を傾げるれみりゃ。 俺は"倒れていたれみりゃを助けてあげた"とウソをついて、手短に用件をれみりゃに伝える。 今日からしばらく俺のウチで暮らすこと。 そこには美味しいプリンや楽しいオモチャもたくさんあること。 たいがいのれみりゃ種は、これで何の警戒心も無くホイホイついてくる。 まったくチョロイもんだ。 「うー、わかったどぉ♪ おにぃさんのおうちでゆっくりするどぉー♪」 このれみりゃも、例外ではなかった。 俺のウソをあっさり信じ込み、よたよた立ち上がる。 「ん?」 その時、俺はケージの中に、大きな緑色のリュックサックが落ちているのに気付いた。 れみりゃは、そのリュックサックを、うんしょうんしょと難儀そうに背負う。 それはそうだろう。そのリュックはれみりゃの体からすれば随分と大きく、 何が入ってるのかパンパンに膨らんでいた。 「うーーー、おもたいどぉ……」 額に肉汁の汗を浮かべる、れみりゃ。 「大丈夫か? 俺が持ってやろうか?」 優しく提案する俺。 信頼関係を築くと同時に、重たいリュックを軽々扱うことで、力の上下関係をわからせるつもりだった。 一方、そのれみりゃは、俺の提案を丁重にことわった。 「ありがとうだどぉ~♪ でもでもぉ~、これはれみりゃのだいじなしょーばいどうぐだからぁ、れみりゃがもつどぉ♪」 商売道具? 俺の脳裏に疑問符が浮かぶ。 だが、いずれにせよそんなに大事な物なら、 まずはあのリュックの中身をおさえるのが効果的か……俺は脳名でれみりゃを躾けるプランを組み立てる。 「じゃ、行こうか?」 「うっうー! おでかけだどぉ♪」 俺は、ケージの扉を開け、れみりゃを外へ出す。 ここから俺の家までは結構距離がある。 道中ダダをこねられても困るから、今のうちに御機嫌をとっておく。 俺は、棒つきのペロペロキャンディーを取り出し、れみりゃに渡す。 「あまあまで、おいしぃどぉ♪」 喜ぶれみりゃ。 キャンディを持つ手とは逆の手を優しく握り、俺は優しくゆっくりスコートしてやろうとする。 「それじゃ行きますよ、お嬢様」 ぎゅ。 「ん?」 れみりゃが、俺の手を握る力を強めたようだった(ゆっくりの握力なので、その差は微々たるものだが) 見ると、れみりゃはただでさえ大きい下ぶくれ顔を、さらにぷくぅーと膨らませていた。 「うー! れみりゃはおぜうさまなんかじゃないどぉ!」 「……え?」 「れみりゃはぁ~~♪ とぉ~~~ってもおいちぃ、にぐまんだどぉ~~~~♪」 満面の笑みで誇らしげに胸を張るれみりゃ。 そのれみりゃの様子を見て、支店長が溜息をつく。 この時、俺はようやく貧乏くじを引かされたことに気付いたのだった。 * * * 正直なところ、俺は驚いた。 その、れみりゃは、実に優秀なゆっくりだった。 俺の家についた後、 れみりゃはちゃんと靴を脱ぎ、「おじゃましますどぉ~♪」とわざわざ断ってから家に上がった。 その後も、興味津々に家の中を見て回っていたが、特別何かを壊したり汚したりするでもなく、 台所でれみりゃ種が嫌う野菜を見つけても「ぽ~い♪」することもなかった。 「う~っ、ぷっでぃ~んたべたいどぉ~♪」 と催促することはあったが、それ以上のワガママを言うわけでもなく、 リュックサックを床に置いてから、椅子に座っておとなしく待っている。 「おいおい……問題児どころか、このままでもシルバーバッヂが手に入るレベルだぞ」 甘やかされているぶんだけ、 紅魔館のれみりゃは野生のそれよりさらに増長している場合が多い。 だが、このれみりゃに限って言えば、 既に一流ブリーダーの手にかかった後のように、躾が行き届いていた。 「ほら、プリンだ」 「うぁ~~い! やったどぉ~~♪」 笑顔を弾けさせ、素手ではなくスプーンを使ってプリンを食べるれみりゃ。 食卓を挟んでれみりゃの真向かいに座った俺は、 正直なところ、少し肩透かしをくらった思いだった。 ……だが、こいつが問題児と言われる所以を、俺はその直後に思い知ることになる。 れみりゃはプリンを食べ終わると、その皿を台所の流しまで持って行く。 ここまでは上出来だ。人間の子供と比較しても劣らない。 が、何を思ったか、れみりゃはそのままガサゴソと台所の食器棚をあさりはじめた。 (とうとう本性をあらわすか?) 俺は身構えて、れみりゃを観察する。 「うー♪ ちょうどいいのがあったどぉ♪」 れみりゃは、食器棚の一番下から、直径1メートル弱もある大皿を取り出した。 以前、報酬として陶芸家からもらったもので、 幻の大皿として、好事家の間ではずいぶんと高値で取引されるよな代物らしい。 とはいえ、俺は一人身。 芸術もよくはわからなし、かといって貰い物をすぐ売るわけにもいかない。 仕方なく、食器棚の一番下にしまうだけしまっていたものだ。 そんな大皿を取り出したれみりゃは、 重たそうにその皿を持ち、こちらにやってくる。 「う~んしょ、お~いしょ♪」 れみりゃは、俺のすぐ横まで歩いてきて、食卓の上に大皿を置く。 そして次に、大事そうに背負ってきた緑色のリュックサックの下へ、小走りで向かう。 (こいつ、なにしようっていうんだ?) 「う~~♪」 じゃぁーん! と言わんばかりに、れみりゃはリュックサックの中からキャベツを一玉丸々取りだし、頭上に掲げた。 「う~、ちょっとまっででねぇ~~ん♪」 れみりゃは俺にそう告げると、 キャベツの葉を1枚1枚むき出し、それを大皿に載せていく。 続いて、同じくリュックサックから、 おそらく紅魔館から持ち出したと思われる高価そうな銀食器を取り出し、よたよた俺の方に歩いてくる。 「はぁ~い、おにぃーさんはこれもってぇ♪」 ナイフとフォークを俺に差し出すれみりゃ。 しかも、ちゃんと柄の方を人に向けている。 「あ、ああ」 特に断る理由を見つけられず、俺はれみりゃからナイフとフォークを受け取る。 (もしかして、こいつ……) 俺は、頭の中で一つの仮説をたてる。 「もうちょっとまっててねぇ~♪ ぷっでぃ~んのおれいに、れみりゃがごちそうしてあげるどぉ♪」 そう言うと、れみりゃは両手を頭の左右に掲げ、れみりゃ種特有の"のうさつ"ダンスを踊り出す。 「おいしくなぁ~れのじゅも~~~ん♪ うっう~うぁうぁ~~♪」 ……このダンスを踊ることで、なにかが変わるのだろうか? ……というか、そもそもこのダンス、ふつうの"のうさつ"ダンスと何が違うんだ? そんな疑問が浮かびはしたが、やはり大枠で俺の仮説通りのようだ。 このれみりゃは、プリンを食べさせてもらった御礼に、俺に料理を作る気らしい。 ゆっくりれみりゃの作った料理など、とても美味そうとは思えない。 が、ブリーダーとして、前例の無いれみりゃの手料理を食べてみたいと思ったのも事実だった。 けれど、そんな俺の期待は、どうやら少しばかり的を外していたらしい。 れみりゃは、踊り終わると、今度は自らの服を脱ぎだしたのだ。 「……は?」 俺は、呆気にとられる。 対してれみりゃは、「おにぃ~さんのえっちぃ~~♪ みちゃだめだどぉ♪」などと口にして、 頬を紅潮させ、もじもじ体をくねらせながら服を脱いでいく。 ……何が悲しくて、ゆっくりれみりゃのストリップなど見なければならないのか。 俺は虚しくなり、はぁ~と大きな溜息を吐く。 そうこうしている間に、れみりゃはドロワーズ一枚残して、すっぽんぽんになっていた。 「う~♪ おまたせぇ~♪」 よじよじと椅子に登り、さらに机の上に登るれみりゃ。 とてとて机の上を歩いてきて、先ほど置いた大皿の上に寝っ転がる。 そして、短い手足を揃えて、仰向けになり、満面の下ぶくれスマイルで語りかけてきた。 「おぃちぃ~にぐまん、ゆっぐりたべでくだしゃいだどぉ~~♪」 * * * 自分は肉まん! 美味しく食べてもらいたい! ……それが、このれみりゃが問題児と呼ばれる所以だった。 確かに、れみりゃの中身はにくまんだ。 それも安月給の俺などでは中々食べられない最高級品だ。 しかし、従来のれみりゃは、決して己が肉まんであることを認めようとしない。 それはそうだ。自分達は可愛くて偉い紅魔館のお嬢様である、その思い込みこそがれみりゃ種の本能なのだから。 だが、このれみりゃは逆だった。 自分はお嬢様などではない、おいしぃ肉まんなんだ! そう主張しているのだ。 人間の立場からすれば、他ならぬれみりゃ自身が、 自分が肉まんであることを認めるのは、決して悪いことではない。 しかし、何匹ものゆっくりれみりゃを飼う、紅魔館のメイド長のような存在から見れば、 このれみりゃを放っておくわけにはいかないだろう。 なにしろ、このれみりゃが"自分達が肉まんである"という主張を周囲のれみりゃに広め浸透させでもすれば、 下手をすれば生物本能が乱され、多くのれみりゃ達が変調をきたしかねない。 かといって、処分してしまうには、確かにこのれみりゃは惜しい。 ここまで躾けられ、頭の良いれみりゃ種は、そうお目にかけられるものではない。 (なるほど、確かにこれは加工場向きの仕事じゃないな) 俺は納得して苦笑する。 普通、加工場はれみりゃに絶望を与えて肉餡の味をあげるべく、 「おまえたちはお嬢様なんかじゃなく、ただの豚まんなんだよ!」ということを教え込む。 だが、今回のケースはその全くの逆。 このれみりゃに、「お前は紅魔館のお嬢様なんだ」という誤った思い込みをさせなければならないのだ。 しかも、このれみりゃの「自分は肉まん」という思いは、想像以上に頑なだった。 俺は、居間の中央でドロワーズ1枚で丸くなって眠っているれみりゃに目を向ける。 結局、俺は何度勧められても、れみりゃを食べることはしなかった。 すると、れみりゃは「どぉぉじてたべてくれないんだどぉぉ!!」と泣き出してしまった。 そして、その後もことあるごとに自分を食べて貰おうと、 れみりゃはしつこく俺にアプローチをかけてきた。 しかし、そこはこちらも仕事。 食べるわけにはいかない。 そんなことを何度か繰り返すうち、さすがに泣き疲れたのか、 れみりゃは「ぅ~~っ、う~~~っ」と泣いたまま、いつの間にか寝てしまっていた。 (……こいつは、思ったより骨が折れるかもしれないな) 俺は覚悟を決め、れみりゃにゆっくり用の毛布をかけてやると、 そのままソファで横になり眠りについた。 * * * 「うっわぁぁぁぁぁ~~! しゅっごいどぉ~~~っ♪」 翌日、加工場から我が家に搬入されたソレを見て、 れみりゃは瞳を輝かせていた。 横幅2メートル、奥行き1メートル、高さ1メートル。 頑丈かつ透明な不思議な素材で出来た容器の中には、なみなみとプリンが入っていた。 (あの支店長……協力は惜しまないって、なんてもの送ってくるんだ!) 狭い我が家が、なおさら狭くなってしまったことに腹を立てる俺。 ……とはいえ、仕事を成功させる上では、たしかに有効なアイテムだ。 「うっうー♪ ぷっでぃ~~ん、たぁ~べちゃうぞぉ~~♪」 起きたばかりのれみりゃは、昨日同様のドロワーズいちょうの姿のまま、 巨大プリンに突進する。 「ぷぎゃ!」 が、当然プリンの直前で透明の壁にぶつかり、れみりゃはペタンと尻餅をつく。 「う~~、ぷっでぃん食べられないどぉ……」 目尻に涙の粒を浮かべるれみりゃ。 「プリンを食べたいのか、れみりゃ?」 「うー! れみりゃ、ぷっでぃんたべたいどぉー!」 「そうか。それじゃ……」 「う?」 俺は、れみりゃを抱えあげると、そのまま容器の中へいれてやる。 れみりりゃの体が、ずぶずぶとプリンの中に沈んでいく。 「う~~♪ ぷっでぃんのおふろだどぉ~~♪」 御機嫌になる、れみりゃ。 「すごいだろぉー! これは全部、"こうまかんのおぜうさま"のために用意させたんだぞ!」 「うっ?」 ピクと体を硬直させる、れみりゃ。 「う~~~……」 (悩んでる悩んでる♪) 俺は、心の中でシメシメと笑みをこぼす。 このプリンは"こうまかんのおぜうさまのもの"。 すなわち、もしれみりゃがこのプリンに手をつければ、 そこから"お前はやっぱりおぜうさまなんだよ!"という教育的指導へもっていける。 れみりゃ種が、プリンへの誘惑に勝てないのは、様々な報告や実験でも実証済みだ。 「う~~~っ! ぷっでぃんたべたいどぉ~~!」 「"おぜうさま"がプリンを食べるのに何の問題かあるんだ?」 「うーっ! ちがうのぉ! れみりゃはおぜうさまじゃないのぉー! だからぷっでぃんたべられないのぉーっ!」 「そうなのか? ……ま、どっちでもいいけど。俺はこれから仕事に行ってくるから。良い子にしてるんだぞ!」 「う~~、れみりゃはいい子にゆっくりおるすばんするどぉ…」 れみりゃとの会話を打ち切り、俺は家を出る。 これでいい。俺という証人がいなくなれば、れみりゃはますますプリンの誘惑に勝てなくなる。 加えて"良い子に留守番している"という約束をした以上、 あのれみりゃの知能ならばその約束を守ろうとするだろう。 だが、れみりゃが食べれそうな物は全て隠しておいた。 留守番をしている以上、外に狩りに出るわけにもいかない。 ……となれば、空腹に迫られたれみりゃが出る行動はただ一つ! * * * ……そう、ただ一つのはずだった。 だが、誤算だったのは、 れみりゃが「プリンを食べない」という行動を選らんだことだった。 「うっう~~♪ おかえりなさぁ~い♪ ごはんにするぅ? おふろにするぅ? そ・れ・と・も~、にぐまぁんたべりゅ~~?」 俺が出発した時と寸分変わらず、ドロワーズいっちょで、 プリンの風呂につかったままのれみりゃが、俺に猫撫で声をあげてくる。 プリンのかさは少しも減っていない。 れみりゃの「肉まん」としての自負が、プリンへの誘惑に勝ったのだ。 (くそっ! そんなバカな!) 思わぬ誤算に、俺は心の中で毒づく。 「れみりゃ、プリン食べなかったのか?」 「だっでだっでぇ~~、れみりゃはおぜうさまじゃなくて、にぐまんだもぉ~~ん♪」 「……そうか」 「う~~、おにぃーさぁん♪ れみりゃいいこでゆっくりしてからぁ~ごほうびほしぃどぉ♪」 「ごほうび?」 「うーうー♪ れみりゃ~おにぃさんにぃ、たべられちゃいたいんだどぉ~~♪」 「……だめだ」 「うぅ~~~~~っ」 俺の態度に、れみりゃは少なからずショックを受けているようだった。 しかし、ほうびに食べて欲しいとは……。 俺は、いままでゆっくりに対しては、中立を保ってきた。 特別愛でることも、虐めることもなく、仕事に徹してきた。 だが、何かにつけては、自分が"おいしく食べられる"ことを望む、 そんなこのれみりゃに対しては、少なからず嫌悪感を覚え始めていた。 「……しょうがないな。代わりといっちゃなんだが、プリンを食べていいぞ」 「う? おぜうさまじゃなくてもいいの?」 「ああ、このまま残っても勿体ないからな」 それに、これは躾けるという仕事だ。 このままれみりゃに餓えられては俺が困る。 「うー♪ おにぃさんだいしゅきだどぉー♪」 やはり相当の空腹と戦っていたのか、 言うや否や、れみりゃはプリンの風呂に頭から突っ込み、がぶがぶプリンを貪り食い始めた。 「おにぃさんまっででねぇ~♪ いっぱいぷっでぃんたべてぇ、れみりゃはもっとおいちぃにぐまんになるんだどぉ~♪」 裸の体をプリンまみれにして、下ぶくれの笑顔を向けるれみりゃ。 醜い……俺は、率直にそう感じていた。 そして、仕事とは別に、俺は一つの決意を固めるのだった。 ……ぜってぇーこんなヤツ食わねぇ、と。 to be continued ……? ============================ (あとがき) ティガれみりゃの5を書こうと思っていたのに! 制作中のゆっくり飼育ゲームの続きをやろうと思っていたのに! ……気付いたらキーボードを叩いていて、こんなSSが出来ていました(汗 ドロワ1枚で大皿の上にのって「たべてぇ~♪」ってやってるれみりゃを想像したら、 ウザいやら可愛いやら、たまらない気持にかられてしまいまして……。 そこが全てっちゃ全てです;; by ティガれみりゃの人 ============================ このSSに感想を付ける