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詩音「お姉今度の日曜日Wデートしませんか?」 魅音「良いね~おじさんと圭ちゃん詩音と悟史君でね」 詩音「私は悟史君に声をかけますのでお姉は圭ちゃんに声をかけてくださいね」 魅音「了解」 その話しを聞いた悟史と圭一は二人でとんでもない事を考えていた 圭一「悟史相談あるんだけど今度のWデートの時4Pしないか?」 悟史「良いよ・・・・魅音と詩音見た目はそっくりだから中身もそっくりなのか知りたかったからね」 圭一「今日家の家族東京に仕事に行っているから誰もいないから夜家で」 悟史「了解」 二人による最大の宴の計画が着々と進んでいた そして日曜日 圭一「なぁ詩音魅音悟史今日夜家で晩飯食べないか?勿論酒も用意して」 魅音「良いね~でも親御さんたちは?」 圭一「東京に仕事に行っているから大丈夫」 詩音「良いですね悟史君も良いですよね」 悟史「良いよ」 圭一と悟史はにやりと笑った 夜宴の時間が来た 四人は酒も進み話しも、盛り上がり段々エロ話の方向にきた 魅音「詩音と悟史君達は既にヤッタ?どうなのよ二人ともクックックッ」 詩音「お姉こそどうなんです?圭ちゃんとしたのですか?」 悟史「むぅ・・・・」 魅音「悟史君黙り込んでるクックックッ」 詩音「ちょっと悟史君黙ってはダメですよ~」 圭一「あっはっはっヤったんだ?俺達はそれはもう凄いの何の」 魅音「圭ちゃんちょ・・・・何言ってんのよ」 詩音「お姉~エロエロじゃないですか?」 悟史「へぇ~魅音そんなに凄いの?」 圭一「そうだよクックックッエロいの何の」 圭一は魅音の胸元に手を差し伸べた 魅音は真っ赤になりながら 魅音「あっ・・ちょっとみんなが見てる。あん」 圭一「どうした?しかし、良い胸しているよな。大きい上に乳首はピンク色乳輪は小さい感度も良好特に乳首弱いよな~」 自然に圭一は上着を脱がしてみんなの前で魅音を上半身裸にした。 圭一「魅音どうだ?気持ち良いだろう?乳首固くなったぞ?ほれっ」 乳首を甘噛みしながら愛撫をした。 魅音「あっ・・あん・・うん・・気持ちいいです噛まないでぇ~あ~ん」 詩音「うわ~お姉エロいあんなに感じていて」 悟史が詩音の胸を揉み始めた 詩音「悟史君?だめぇ~あっ‥あん」 悟史も詩音の上着を脱がした 悟史「詩音気持ち良い?やっぱり双子だね胸が弱いのは一緒何だね」 詩音「気持ちいいです~もっと舐めてぇ~あん・・あん・・」 圭一と悟史は魅音と詩音を生まれたままの姿にした 圭一「双子って胸の形まで似ているんだな?魅音アソコもグチョグチョだぞ?」 魅音「あっ‥あん・・ダメェ~そんなに早く動かさないであ~ダメェ~イっちゃう~」 魅音は潮吹きながらイった正に指先の魔術師 悟史も負けじと舌先の魔術師の異名持っていた そして、悟史が詩音の膣とクリトリスを舌で愛撫した。 詩音「あ~ん悟史君そこ~良いよあっ・・・うんはぁ~あんあん気持ちいいよ~」 悟史「詩音気持ちいいか?ここも弱いんだね。」詩音はすぐにイってしまった 圭一「お~~詩音クリトリス弱いのか?魅音も弱いんだ。双子って面白いな」 圭一は高速の指使いでイったばかりの魅音を愛撫する。 魅音「圭ちゃんダメ~そこ弱いの~んっんっはぁ~あ~んあん又イっちゃう~」 圭一「何時でもイって良いからな」 圭一は更にスピードを上げた 大量の潮を噴いた 詩音「私もイっちゃう~あーーー」 同じタイミングで潮を噴いた 魅音「はあはあ、圭ちゃんひどいよ~」 顔を真っ赤にしながらポコポコ圭一に叩いた 圭一「あまりにも、可愛いからイカセたかったんだよ」 魅音「お仕置きだよ」 魅音は圭一のベニスをくわえた クチュクチュ 魅音のフェラの音が部屋中に響き渡る 詩音「うわ~お姉凄い・・あんなエロい顔しながらしゃぶってる」 そう言いながら詩音も悟史のペニスをしゃぶり始めた 魅音詩音の双子が同じ速さ同じフェラで圭一と悟史を絶頂に向かわせた 圭一「ちょ魅音何時もより凄い・・何なんだその下使い気持ちよすぎ」 魅音「圭ちゃんを気持ちよくしてあげたいから練習したんだよ。」 詩音「悟史君どうですか?私もお姉と一緒に練習してみたんです。」 圭一「やべぇイキそうだ」悟史「詩音イキそうだよ」 魅音、詩音「イってうーん」 二人同時に口の中に分身を大量に出した 圭一「魅音有り難うな・・凄く気持ち良かったぞ」 圭一は魅音の頭を撫でた 悟史「詩音凄く良かったよ」 悟史も詩音の頭を撫でた 魅音「エヘヘ有り難う」 詩音「有り難う」 しかし、圭一は悟史にアイコンタクトをした。 二人の野望はこれからだった 圭一「魅音まだまだ夜は長いこれからが本番だ」 そう言いながら魅音を四つん這いにして詩音の方に頭を寄せた そして、悟史も詩音を四つん這いにして魅音の方に頭を寄せた 圭一「魅音、詩音とキスしな」 悟史「詩音、魅音とキスして。」 魅音「何でぇ~嫌だよ?」詩音「お姉良いじゃないレズプレイも面白そうだし♪」 詩音は魅音とディープキスした。 魅音「うーん、はぁ~」 クチュクチュ淫靡な音がした 圭一は後ろから愛撫した悟史も後ろから愛撫した圭一「絶景絶景。しかし、興奮するな」 圭一のペニスは硬直した圭一「魅音入れるぞ?」 魅音「うん、早くいれてぇー我慢できないよ」 そして圭一のペニスは魅音の膣を貫いた 魅音「はぁ~あ~ん、うーんあん、凄い何時もより激しいあん」 悟史も詩音の膣に固いペニスを挿入した 詩音「あ~ん悟史君気持ちよすぎ~あんあんはぁはぁーあっすごーい」 パンパン二人の男達の腰振る音が響き渡る 右に魅音と圭一 左に詩音と悟史 並びながら腰を振っていた 圭一「どうだ?魅音気持ちいいか?魅音可愛いぞホラホラ」 魅音「あーーー気持ち良いですもっと奥までぇーダメェーイっちゃう~」 詩音「悟史君凄いです 気持ち良いですあ~ん」 魅音と詩音は感じまくってぼーっとしていた。 そして圭一は指でクリトリスをいじりながら更にスピードを上げた 魅音「圭ちゃんイっちゃう~あ~ん」 何度目かも分からないぐらい魅音はイった 圭一「魅音好きだ愛している。だから、好きなだけイって良いからな。」 魅音「私も好き~あ~ん凄すぎ圭ちゃん中に出して~一緒にイって~」 悟史「詩音中が温かくて全てを包み込むようだ気持ち良いよ好きだ詩音」 詩音「悟史君私も好きだから一緒にイって下さい。気持ち良いよ~~あ~んダメェ~」 圭一と魅音そして、悟史と詩音同時にイった 魅音の膣からそして詩音の膣から二人の分身が垂れていた 圭一「しかし、双子の一卵性ってここまで似ているんだな。感じ方、胸の形凄い気持ちよかった。魅音どうだった?」 魅音「何時も以上に感じたよ。詩音もあそこまでグチョグチョになるなんてエロいねクックックッ」 詩音「私も気持ちよかったですよ。お姉こそトロトロになるまで感じていましたよ?圭ちゃんも悟史君も上手いです。あそこまで的確にツボに攻めるんですから」 悟史「俺は詩音が気持ちよくなってほしいから頑張ってみた」 悟史はいつものようになでなでした。詩音は真っ赤になっていた。 圭一は思っていた。 「取り替える予定だったけど止めて正解だな。改めて魅音が好きだって気付いたから。」 圭一は何も言わず魅音を抱き寄せ頭を撫でながら頬にキスをして 「魅音何時までも一緒だ愛している」 小声で言った。 終わり
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「……はぁ……」 空に満点の星空が浮かぶ真夜中。 梨花は窓のふちに腰をかけながら、そう深くため息をついた。 その手には愛用のグラスが握り締められており、中には彼女の大好きな紫色の液体がなみなみと注がれている。 そのグラスの中の氷をカランと鳴らしながら、梨花は憂鬱そうな表情でふたたび美しい夜空を見上げていく。 「…………ふぅ……」 一口、そして二口……手元のグラスを口に運ぶと、梨花は今夜もう何度目かというため息をついた。 どこか色っぽい雰囲気を漂わせながら、ワインを片手にため息をつく少女……。 はたから見たらまるでどこぞの熟女がするような仕草にも見えるだろうが、そこに腰をかけている梨花の身体はまだとても小さく、幼い。 だがだからこそ余計に、それを見てるものにとってはとても物悲しく感じられた。 「あぅ……あの、り、梨花……?」 ついに我慢できず、といった感じにその少女が声をかける。 すぐ傍の布団ですでに寝息を立てている沙都子を尻目に、彼女は窓際で物思いにふける梨花をずっと見守っていた。 本来、梨花がこんなふうにしている時は声をかけないほうがいい……。 彼女は長年の経験でそれを知っていたのだが、梨花のあまりの落ち込みを見るに耐えず……というよりこの重苦しい雰囲気に耐えられなかったのだろう。 特徴的な頭の角をフルフルと震わせながら、羽入はおもいきって梨花に声をかけていった。 「あぅ……梨花、一体なにがあったのですか? そんなに悲しそうな顔をして……」 梨花だけでなく、羽入の方も心配と不安が入り混じったような表情でそう質問する。 するとそれが伝染していくように、梨花の表情もまずます曇っていってしまう。 「…………………」 「あぅ……あぅあぅ、り、梨花ぁ、答えてなのです……」 聞こえていないのか、それとも無視しているのか。 羽入の心配する声をよそに、梨花はただ黙って口元にグラスを運び続けるだけだった。 そんな重い雰囲気を感じ取った羽入はますます梨花の心中が想像できなくなり、いつもどおりただあぅあぅと鳴くことしかできなくなる……。 どうやらこれはかなりの重症らしい。 もう百年近く一緒にいる羽入でも、梨花のここまで落ち込んだ様子はめったに見たことが無かった。 終わりの無い、死の螺旋。 それからずっと抜け出すことのできなかった特異な少女……。 悲痛な運命に巻き込まれていた古手梨花は、今のようにこうして深く落ち込むことがままあった。 そういう時は唯一の理解者である自分が慰めてあげたり、またはあえて声をかけずにそっとしてやることもあったものだ。 なのでこういう状況自体は特別めずらしいことでもない。 他の少女ならいざ知らず、古手梨花という少女ならばこういう重い表情を作り出すこともおかしくはなかったのだ。 ……だが、今はもうちがうはず。 おかしくなかった、という過去形にできるのだ。 なぜなら、もうあの悪夢は終わったから。 古手梨花は救われたのだ。 百年以上も終わらなかった六月の迷路を抜け去り、彼女はようやく人として普通の幸せを取り戻した。 もう人生が巻き戻ることもない。 羽入が梨花にふたたび人生をやり直させることはないだろう。 これからの梨花は最高の仲間達と共に、最高の時間を過ごしていけるのだ。 今までの百年分を取り戻すように……。 「あう……あ、あの、梨花。 どうしてそんな顔をするのですか? そんなに寂しそうな……」 だからこそ羽入には余計に理解できなかった。 今の梨花の心が。 自分がこうしていくら語りかけても、何も答えてくれない。 それどころか反応すらしてくれず、ただ夜空を見上げるだけの彼女のことが見えない……まるでわからなかった。 それは羽入が神様だということもあるが、何よりも百年近く一緒にいる友達……。 親友がなぜここまで落ち込んでいるのか、という意味でもあった。 本当だったら今は何も聞かないほうがいいのかもしれない。 それでも……どうしてもほっとけない、と羽入はまた口を開く。 「り、梨花、おねがい……おねがいなのです。 何か悩み事があるのなら、僕が相談にのりますから、そんな顔しないでなのです……あぅあぅ」 羽入はついには梨花の傍までちょこちょこと駆け寄り、彼女の服のソデをクイクイと引っ張りながら懇願するように泣きついた。 慰めなければいけないのは自分の方なのに、これではまるで羽入の方が慰めて欲しいといっているようだ。 その羽入の想いが通じたのかどうかわからないが、ようやく梨花は手元のグラスをカランと傾け口を開いていった。 「最近ね……圭一が冷たいの……」 ようやく……ようやくそれだけを呟くと、梨花はまた手元のグラスを口元に寄せた。 ゴクリゴクリと音を鳴らしていき、そのままふぅっとため息をついていく。 梨花の口から流れる甘く芳醇な香りを嗅ぎながら、羽入はようやく彼女が会話をしてくれたことへの安堵と、チクリと胸に刺さる不安感を感じながら更に梨花に聞き返していく。 「け、圭一……? 梨花がこんなに落ち込んでるのは、圭一が原因……なのですか?」 「……そう。 最近、圭一が私にかまってくれないの。 ぜんぜん、ね……」 梨花は今にも泣きそうなほど悲壮な表情を作りながら、羽入の問いに答えていく。 内容も合わせて、それはまるで恋人に振られた直後の少女の告白のようでもある。 「今まですごく可愛がってくれたのに……急につれなくなった気がするの。 まるで私に興味がなくなったみたいにね……」 「あぅ……り、梨花、興味がないなんてそんなこと……」 「ねぇ羽入、私じゃやっぱりダメなのかしら? やっぱり圭一はレナみたいに家庭的な女の子のほうが……魅ぃみたいに魅力的な子がいいのかしら。 だってあいつスケベだし……」 「そんなこと……り、梨花だって充分可愛いのです! 魅力的なのですよ!あぅあぅあぅー!」 「でもでも、私レナと魅ぃに比べたら胸だって全然無いじゃない? っていうか、同い年の沙都子と比べてもアレじゃない……こんなツルペタじゃ……」 「む、胸なんて関係ないのですよ! 梨花みたいに『無い』ほうが好きな人もいるのです。 圭一はきっとそっちが大好きな男なのですよ? ま、まちがいないのですー!」 「そう……そう、かな。 そうだといいんだけど……」 「あ、あぅあぅ。 そ、そう、きっとそうなのですよ梨花……」 一度口を開くとわりとスラスラ話し出す梨花に、羽入は少し複雑な気持ちになりながらフォローしていった。 なんてことはない、結局はただの恋わずらいだったようだ。 まるでこの世の終わりとばかりにまで落ち込んでいたのに……と羽入は拍子抜けだった。 もっとも本人にとっては大問題なのだろうが……。 少し元気を取り戻してきたように見える梨花の様子に、羽入は更に慰めの言葉をかけていくことにする。 「そ、そうなのです! き、きっと圭一は梨花を意識しだしたのですよ。 それで急に話づらくなったとか……き、きっとそうにちがいないのです!」 「え……い、意識って、私を? そ、それって……」 「もちろん、女の子としてなのです! 今まで妹みたいに見ていた梨花を、何かの拍子に急に『女』として見てしまうようになったってことなのです! あぅあぅあぅ~これは梨花大チャンスなのですよー♪ キャーキャー♪」 「そ、そんな……女って言われても……。 圭一が私を、女の子として……?」 羽入のわりと適当な慰めを聞くと、梨花はさっきまでの落ち込みようが嘘のように顔を赤くしだした。 どうやらわりと単純な悩みだったらしく、羽入が……というより誰かしらに気休めでも言葉をかけてもらいたかっただけらしい。 そして口には出せないが、羽入は梨花の様子を見ながら内心ホっとしていた。 ヘタをすればあの六月の惨劇並の悩みでも抱えているのかと思っていたし、なによりも『圭一』という言葉が個人的にものすごくドキリとした。 しかし実際に梨花が口にしたのはこの年の女の子ならば誰もがするだろう、恋の悩み。 おまけに自分のペッタンコな胸を気にするという他愛もないものだった。 羽入はとにかくこの場はうまく丸め込もう、どうせわかるわけないと梨花の心を更に持ち上げていく。 「だ、だいたい梨花は大げさなのです! 僕はてっきり、またあの百年の苦しみに匹敵する悩みでも持ってるのかと思ったのですよ……」 「……ふふ、そうね。 こんなことで悩んでたら、あの百年分はなんだったのって話だしね?」 「そ、そうなのです! このくらいのこと、僕達にとってはぜ~んぜんなんの問題にもならないことなのですよ? あぅあぅあぅ~♪」 「ふふ、ふふふふふ……♪」 「あぅ、あぅあぅあぅ~♪」 ようやく梨花がクスクスといつもどおりの笑みを浮かべるのを見て、羽入は安堵した。 最初に圭一の名前が出てきた時はどうしようかと思ったが、どうやら梨花はなんとか立ち直ってくれたようだ。 それだけで羽入にとってはとても嬉しいことであったし、何よりも自身が思っていた不安が的中せずによかった……。 これでまた明日から『普段の生活』が続けられることを嬉しく思いながら、羽入はすでに布団の中で寝息を立てている沙都子の元へといそいそと駆け寄っていった。 「ほらほら梨花、もうこんな時間なのですよ? あんまり遅いと明日遅刻してしまうのです。 沙都子と一緒に三人で寝ましょうなのですよ~ほらほらほら~♪」 満面の笑みでニコニコとしながら、羽入は沙都子の寝ている隣の布団をポンポンと叩く。 ずっと梨花のやさぐれモードに付き合っていたため彼女もいいかげん眠いのだろう、早く暖かい布団で眠りにつきたいといった感じだ。 「あ……ごめん、ちょっと待って……」 「?…………り、梨花?」 しかし梨花は羽入の期待通りの反応を示さなかった。 それどころか羽入が布団に誘うのも無視して、何やらすぐそばのテーブルの上に乗っていた物に手を付けたのだ。 「……あぅ? り、梨花、何をしているのですか? どうしてテレビのリモコンなんか……」 「ん……まぁちょっと、ね……」 何か意味ありげに呟きながらリモコンを操作しだす梨花を見て、羽入は怪訝そうな表情を浮かべる。 もう日付が変わっているほどの深夜だというのに、これから呑気にテレビでも見ようというのか。 どうせこんな時間ではどこもやってないだろうにと羽入は思ったが、梨花はかまわずリモコンのスイッチをポチっと押しテレビの電源を付けていく。 思ったとおり、ザーっとした砂嵐だけがブラウン管に映し出される。 それを確認しながら梨花はテレビにまで駆け寄っていくと、今度は下にあったビデオデッキにまで手をかけていく。 「えっと、たしかまだ入ってるはずだから……」 「あの、り、梨花……? どうしてこんな時間にテレビ……ビ、ビデオなんか見るのですか?」 「……………………」 羽入が当然ともいえる質問をしても、梨花は無言でビデオデッキを操作していく。 どうやらすでに中にはビデオテープがセットされているようで、梨花が『再生』と書かれているボタンを押すだけでデッキがウィィィンっと起動音を鳴らしていく。 背後ではわけもわからず羽入があぅあぅ鳴くのを聞きながら、梨花はただ黙ってそのテレビに映し出されていく映像を見つめていく……。 そして……『それ』が映し出された。 『んああああ、い、いい、きもちいい! おちんぽ奥まで届いてるのですぅぅひああああ!!』 「…………っ!? ……え……」 映像が映し出された瞬間、テレビのスピーカーからとてつもなく卑猥な声が漏れ出した。 そしてそれとほぼ同時。 沙都子の傍の布団にちょこんとお座りしていた少女の顔色が……真っ青に染まっていった。 『あはぁ、あん、あん、い、いひぃ♪ おちんぽ奥まで届いてるぅ僕のおまんこにひぃぃ!! あああきもちいい! きもちいいのですぅあぅあぅあぅぅぅおまんこおぉぉぉぉ♪♪』 沙都子が起きてしまうんじゃないか……というほどの大音量。 その人とも獣とも似つかない声が、テレビのスピーカーからとめどなく流されていた。 それはおそらく、誰が聞いても異常だと思えるほどの悲鳴……。 人のあえぎ声だった。 「あ、あぅ……ど、どうして……そんな……」 その異常ともいえる声を聞いた瞬間、羽入はただ呆然とした表情を作り出す。 そしてそれとは対照的に、梨花の方はどこか冷めたような表情でジっと映し出されていく映像を見つめていった……。 『あひぃん♪ ああああきもちいい! おまんこすっごくイイのですぅぅぅあああああ♪♪♪』 その映像には梨花と同い年くらいの少女の姿が映し出されていた。 その少女は何やらはしたない声をあげながら、一心不乱に腰を振っている。 ……全裸で。 画面は少女の主に上半身を捉えていて、おそらくこれを撮影しているのは男の方であろうことがわかる。 目の前には少女の裸体がガクンガクンと上下に揺れていた。 そしてよく見ると梨花と同じくらいというのはあくまで顔だけで、その体つきはおおよそ子供とはいえないほどにいやらしいといえるものだった。 愛くるしい瞳。 どこか幼さを残している口元……。 そのロリっぽい顔つきとは裏腹に、少女の乳房は不釣合いなほどに大きく実っていた。 魅音にも勝るとも劣らないといえるほどに。 大きな乳房の真ん中ではツンと尖った乳首が伸びており、彼女が腰を上下する度にその乳首ごとブルンブルンと豊乳が揺れてしまっている。 『あ、あ、あぁぁん入るぅ! 奥までズッポリなのですぅ! 僕のおまんこの中にズンズンきてるのですぅぅぅぅ! 僕この格好でするの大好きぃ、まんこの奥の奥まで届いてんああぁぁぁいひいいぃぃぃぃぃぃ♪♪♪』 しばらくするとやや画面が下に向かって降りていく。 少女の下半身ははしたなく大股に開かれており、両脚にはムチムチとした肉が付いたおいしそうなふとももが淫らに揺り動かされていた。 そしてそのムッチリとしたふとももの付け根……股の間には男のペニスが根元まで突き刺さっていた。 一層ピンク色なその少女の膣の入り口に、卑猥にもズッポリとペニスが咥え込まれていたのである。 おまけに少女が腰を上下する度、そこからはジュプリジュプリといやらしい音が漏れ出してしまっている。 テレビのスピーカーからは、おもわず耳を塞ぎたくなるほどの大音量でそれが漏れ出してくるのだ。 おまけに少女のペニスを咥えこんでいる膣からは、透明な液体がビュッビュッと激しく噴き出しており、この映像を映しているであろう、ビデオカメラのレンジまでをも汚しそうな勢いに噴き出していた……。 『はひぃ、はひぃん! んああ最高ぉきもちいひのですぅ! おまんこおくぅおくまでぇぇ!! もっと突いてぇ突いてなのですぅ! 圭一ぃ、けいいちいひいいぃぃぃぃぃぃ♪♪♪』 もはや説明の必要もないだろうが、どうやらこの映像はこの少女とセックスしている男が撮影しているものらしい。 ちょうど騎乗位で繋がっている状態のまま、少女はどこぞの安いアダルトビデオのようなセリフを吐きながら腰を振りまくっている。 いくらなんでもこんな有り得ないセリフばかりでは、見ている方も演技過剰と興冷めするのではないか……と思えるほどだ。 しかしそれはどうも演技で言っているのではないことが、少女の異常なほどの乱れようとペニスを飲み込んでいる膣の濡れ具合から察することができなくもない。 画面の中の少女はその頭の角をガクンガクンと揺らしながら、男の上でますますアヘ狂っていくのだった……。 「あ、ああ……そ、そんな……ど、どうして……」 卑猥すぎるその映像を見ながら、いまだ羽入は真っ青な顔のまま布団の上で硬直していた。 色々な考えが彼女の頭の中を次々と駆け巡っていったが、まず最初に頭に浮かんだ言葉はこれだった。 圭一……誰にも見せないって……言ったのに……。 そんな言葉が絶望感漂う羽入の頭の中で浮かび上がっていた。 そしておなじくこの映像を見つめている少女。 梨花が口を開いていく。 彼女はさきほど落ち込んでいた時の顔ともちがう、どこか達観したような表情でポツリポツリと呟いていった。 「このビデオね? 今日学校で渡してくれたの。 圭一が……」 誰に言うわけでもなくそう呟くと、梨花はテレビの映像をそのままにしたままトコトコと羽入の元へと寄っていく。 そしてまだ布団の上で呆然としている彼女のそばまでくると、ちょこんとその隣に座りこんだ。 映像の内容を考えなければ、これから二人で仲良く鑑賞会といった感じにも見える光景だろう。 だがおそらくこれから始まるのはそんな仲睦まじいものではない。 むしろドロドロとしたむごたらしいものであることは容易に想像できた。 状況のわりには冷静な梨花は、隣でいまだ呆然とする羽入にゆっくりと語りかけていく……。 「おもしろいものが映ってるから……見てみろって言われてね? 今日、家に帰ってからすぐに見てみたの……」 「あ、あぅ……り、梨、花……あ……ぅ」 「だいたい、三十分くらいは見たかしらね。 そりゃあ最初はすごく驚いたけど、まあたしかに『おもしろい』わよね、このビデオ……」 「あ、あの……り、梨花……こ、これは……」 「こういうエッチなビデオ、初めて見たんだけど……すごくいやらしいのね。 ほら見て見て、繋がってるところも丸見えよ。 特にこの 女 優 が すごいわよね?」 「!? あ、あああ、ぼ、ぼぼぼ、僕は……その……あの、あ、あああああ……」 ついにガクガクと震え始める羽入を尻目に、梨花はあくまで冷静に……クールに言葉を繋いでいく。 ただ静かに声を出しているだけなのに、今の羽入にはそれが何よりも苦しい拷問を受けているかのように感じられるだろう。 そしてその羽入の怯えと比例していくように、画面の中の少女は更にいやらしい言葉をあげていく。 『あひぃん、圭一ぃ今度は後ろからシテなのですぅ♪ バックからおもいっきりおまんこハメハメしてぇ! 僕のおまんこに突き刺さってるこのデカチンポ、今度は後ろから根元までブチ込んでぇぇぇ♪ 梨花の大好きな圭一のちんぽ、僕の子宮にまでおもいきり突き刺してぇぇ!!!』 「……………っ!? ぐ………」 もはや汚らしいとまでいえるほどの淫語を映像の少女が叫ぶと、ずっと冷静だった梨花の顔にわずかに曇りが見られた。 一瞬だけ眉がピクンっと動き、それが更にヒクヒクと釣りあがっていく。 それを隣で怯えている羽入にはすぐ気がつけたが、今の彼女はただビクビクと怯えることしかできない。 今にもビンタが飛んできそうな左側を横目でチラチラと確認しながら、羽入は映像の中の少女がこれ以上痴態を晒さないようにと願うことしかできなかった。 それが絶対に有り得ないことだと……わかりつつも……。 『ん……ああ、は、はやくぅ、はやくブチ込んでぇ圭一ぃ♪ もうガマンできないのですぅぅぅ♪ この僕のいやらしいお尻に。 ワンワンみたいに後ろからハメまくってなのですぅぅぅ♪』 さっきまでの馬乗りの格好から変わり、映像の少女は今度は立ち上がっていた。 そして壁に両手を付きながら、カメラに向かっておもいきり自らの尻を突き出していた。 羞恥や気恥ずかしさなどは感じないのだろうか……。 体つきの割りに大きめの尻をフリフリと振りながら、カメラを持つ男に向かって更にいやらしくペニスをねだっていく……。 これ以上痴態を晒さないで、という羽入の願いをこの少女はいともあっさりと砕いていった。 「あ、あぅ……や、やめて……もうやめてなのです、僕……ああそんなお尻を振って……」 「あははは♪ ほんと、すごいわよね? 恥ずかしくないのかしらこの女。 こんないやらしくでかい尻を振って、あさましく男をねだってるわ……」 「や、やめてぇ……り、梨花、もうビデオを止めてぇ……」 「どうしてよ羽入、いいじゃないべつに。 二人でこの女……このメスブタのスケベっぷりを存分に見てやりましょうよ。 どこのビッチ女か知らないけど…… ね ぇ ?」 そう冷たく言い放つと、梨花は寝ている沙都子のことも気にせず更にテレビの音量をポチポチと上げていった。 今の梨花が羽入の言葉など聞くわけがない。 それどころか遠まわしに罵倒するようにしながら、更に羽入の羞恥心を高めていくのだ。 『は、はひぃん!!! はやくぅ、はやくはやくぅ圭一ぃ♪ 僕のおまんこもう待ちきれないのですよぉ、生でいいからこのままズッポリおちんぽ根元まで突き刺してぇぇぇぇぇ!!!』 さきほどまでそこにはペニスが突き刺さっていたというのに、少女には体位を変えているこの時間すら惜しいらしい。 立ちバックの格好の少女は、しまいには指で自らの膣口をクチュリと割り開いていった。 膣の中のヌラヌラと光る内壁をいやらしく晒しながら、男のペニスの挿入を少しでも手伝いたいといった感じのスケベっぷりをアピールしていくのだ。 もはや女とすらいえないあさましい痴態を、視聴者である梨花と羽入に惜しげもなく見せ付けていく。 「ああ、や、止めて……そんなことしちゃダメなのですよ、僕……ああああ……」 「くすくす……ほんっと、最低よね。 同じ女として軽蔑するわ。 こんなスケベなことまでするなんて、この女どっか頭おかしいんじゃないかしら?」 「あ、あぅ……あぅあぅ……こ、これは、ち、ちが」 「ほら、見てよ羽入。 自分であんなおまんこ開いちゃって……まがりなりにも子供を作る場所も、このメスにとってはただきもちよくなるだけの穴みたいよ? あーあ、あんなにグチョグチョにして……人として終わってるわね」 「あぅあぅぅ……梨、梨花、もう……もう許してぇ……」 「あー、でもこんなメスブタでもやっぱり友達とか……大切な 親 友 とかっているのかしらね? ねぇ、 ど う 思 う 羽 入 ?」 「!? ひ、ひぃ……」 梨花の鷹の目のようなするどい眼光が、怯えている羽入にギラリと突きつけられた。 突然向けられた悪意に思わず羽入は悲鳴をあげるが、映像の中にその答えがあったことがすぐに自分でもたしかめられた。 映像の中の少女が手を付いた、その壁。 そこには見覚えのあるカレンダーが吊り下げられていたのだ。 それが梨花の心の琴線を大きく波立たせたことが、羽入にもすぐに見て取れた。 『あ、あひぃん! り、梨花の、梨花と沙都子の匂いがするここで……このお部屋で圭一とすると僕とっても興奮しちゃうのです♪ ああ見てみてぇ、こんなに僕のおまんこヒクヒクしちゃって……あぅあぅぅもうガマンできないひぃぃぃ圭一はやくハメハメしてぇぇぇぇぇ♪』 映像の少女が言った言葉……それが答えだった。 あろうことかこの痴態が撮影されている場所は、紛れもなく今梨花達がいるこの部屋だったのだ。 同居している二人の友人がいない隙に、この少女はしれっとこの男、前原圭一を部屋に連れ込んだらしい。 おまけにその友人の片方が圭一に想いを寄せてることを知りながら、あえてこの部屋でプレイすることを望んだようだ。 その証拠に映像の中の少女はしきりに梨花や沙都子の名前を口にし、今もカメラに向かっていやらしく尻を振っていた。 これを撮影している圭一にペニスをおねだりしているのだ。 『は、はやくぅ、圭一はやくぅ♪ 梨花と沙都子がもうすぐ帰ってきちゃうのです。 僕達がセックスしてるとこ、ふ、二人に……あああ、り、梨花に見られちゃったらぁ、見られちゃったらぁぁぁぁあふぅぅぅ♪』 映像の少女は親友の想い人と性関係に及んでいる、という事実をも興奮のスパイスにしている。 背徳感、羞恥心……そして優越感。 そういったものを性感を高めるために使っているらしく、それを表すセリフを口にするだけでまたもや膣口からはビュルビュルとはしたない液体をふとももに垂れ流している。 それに圭一の方もたまらなくなったのか、もうビンビンになったペニスを羽入のパクパクと口を開ける膣にグチュリと押し付ける。 『はぁぁぁん! ああ、お、おっきい♪ とってもおっきいのです圭一のぉ……僕の大好きな圭一のでかちんぽ、ああそのまま中に、お、おまんこにブチ込んでぇ! 僕のお尻に突き刺してなのですぅぅぅ♪ 梨花より先に僕のオヤシロまんこがいただくのですぅぅぅ♪』 立ちバックの格好のまま、羽入は自分から尻を下げ圭一のペニスを膣の中へズブズブと挿入していく。 画面には羽入と圭一の繋がる部分がめいいっぱい大きく映し出され、それがジュブジュブと入り込んでいく様子がありありと映りだされていくのだった……。 -
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月の下……神社の社で僕は独り悶える。 どうせ幽体である僕は梨花以外の誰の目にも見えない。 どれだけ乱れようと、それを恥じる必要も無い。 けれどそれにも拘わらず屋外での行為は、かつて肉を持っていた古き昔のなごりなのか……背徳的なものを訴えてきて……更に僕の情欲を刺激する。 半裸になり、ほとんど衣服が意味を成していない……ただ布をまとわりつかせただけの状態で、獣のように僕は啼く。 「ハァハァ……梨花、そこですそこ……もっと……激しくぅううっ!」 別に梨花がそばにいるわけじゃない。 梨花は沙都子と住むプレハブ小屋の中にいる。 けれど私がこうして悶えるのは梨花のせいだ。 梨花と共有している感覚は味覚だけではない。彼女には黙っているが、本当は性感といった刺激も共有している。 実体を持たない僕にとっては味覚や嗅覚、そして触覚といった感覚は特に得難いものであり、それ故なのか……梨花から伝えられる快感はなおさら鮮烈に感じられる気がする。 僕の秘部は熱く火照り、切ないほどに花開いている。 「あぅっ……あああぁぁっ!!」 花芯をこねる感覚に、背筋が痺れる。 梨花が今、何をしているのか……次にどのような刺激が来るのか分からないというのも、僕の興奮を更に盛り上げる。 「ああっ……梨花……梨花……。そうなのですね、梨花はそこが感じるのですね」 粗く息を吐きながら、僕は腰を動かす。 梨花もまた女として自分のツボを心得ているせいか、巧みに……ある意味では男以上に僕に快楽を与えてくる。 焦らして……焦らして……焦らして、もう一息というところで休みが入って……。梨花が小さく達するたび、僕の体は弓なりに跳ね上がってしまう。 「はぁ……はぁ…………はぁうっ……あぅっ」 欲しい。 挿れてほしい。僕の奥に、熱く固くなった男のものを挿して、滅茶苦茶に突き入れて、子宮の奥まで突いて……何度も、何度も中を掻き回して、温かい精液で僕の中を満たして欲しい。 けれど、刺激の元が梨花である以上、それを望むことは出来ない。永遠に乾きを満たすことは出来ない。 とても苦しくて、切なくて……狂おしいほどに気持ちいい。 苦痛ならばまだ耐えられた。けれど、快楽には耐えられない。逆らえない。 終わりの無い拷問。 「あぅっ……あぅあぅあぅあぅううううぅぅっ!!」 ああ……これで何度、僕は身をよじらせたのだろう? もはやそれを覚えてはいない。 ビクビクと痙攣しながら、僕は呟く。 「梨花……もう、勘弁して下さいなのです。もう……止めて欲しいのです」 けれど、それを梨花に言うことは出来ない。梨花の寂しさを埋める行為を奪うことも、辱めることも出来ない。 そして、私は嗤う。 「梨花……もっとして欲しいのです。もっと、もっと僕は感じたいのです」 けれど、それを梨花に言うことは出来ない。この快楽から逃れることも出来ない。梨花に言うことで、この快感を得る機会を失うような真似も出来ない。 ここにいるのは、誰からも忘れられているただ独りの女。 そして僕は独り涙を流す。 ―END―
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…なんでこんなことになってる… そんなことを思いながら、前原圭一は階段をのぼる。 時刻は九時を若干回ったところ。 階段の先は、多少行き慣れた感のある古手神社だ。 …昼に行くならまだしも、夜なんて初めてだが。 先ほどの圭一の自問に答えるなら、 それはいつもどおり部活で負けたからだ。 罰ゲームの内容は、夏も近いということで「肝試し」に決定した。 部長の魅音曰く 「古手神社の賽銭箱に封筒をくくりつけておくから、 明日の朝にその内容を実行するってどう?」 とのこと。 本編どおり結構臆病な圭一はこれを激しく拒否したが、部活ルールは絶対だ。 かくして、圭一はこの状況に置かれているのである。 「…回想終了…と いやしかしまいったな、こりゃ…」 苦笑するが、ぶっちゃけびびっているのが丸分かりである。 階段を昇り終える頃にはかなり精神力を削られていた。 「…っと、賽銭箱は…あぁあったあった」 駆け足で駆け寄っていく。 たったった ひたひたひた 「封筒ってこれか…よいしょと…って魅音め、こんなに硬く…ふんっ!」 封筒を(半ば破りながら)はがして、中身を… 「見ようと思ったけど、ここ明かりがないんだよなぁ…」 月明かりのある位置に移動しようとして振り向く。 「こんばんは、なのです」 「!?」 立っていたのは神々しい服を着た御八代様… ではなく、巫女服を着たご存知梨花ちゃんである。 「…っ!驚かさないでくれよ…梨花ちゃん…っ」 尻餅をついて言う圭一。 「…驚かせてすみませんです。 でも、気付かない圭一もいけないのですよ」 その様子が面白かったのか、にぱーっと笑顔を浮かべながら答える梨花。 よいせと立ち上がりながら、圭一はふと気付いた。 「…って梨花ちゃん…なんで巫女服なんて着てるんだ?」 「作者にも色々あるのですよ」 その答えに、溜息を漏らしながら質問をもう一つ。 「で、なんでここにいるんだ? もう夜遅いんだぞ…危ないじゃないか」 「…それは…圭一に聞いてもらいたいことがあるからなのです」 梨花は圭一にそっと歩み寄って 「…部活の仲間がいると、話しづらいのです…だから…」 「あ、ああ…なんだ?」 「…圭一…私を…妻に貰って欲しいのですよ」 …衝撃の告白をぶちかました。 ………ああどうしよう、考えながら書いているから行き当たりばったりだ! 「…圭一…ボクを、妻に貰って欲しいのですよ」 梨花の口から今、衝撃の告白が…って 「なんで一人称変わってるんだ梨花ちゃん」 「作者にも色々あった様なのです…事は現在進行なのですよ」 よくわからない解説に、しかし微妙に納得する圭一。 ああ、きっと三個ほど上のレスに衝撃を受けたに違いない… それはそれとして。 「圭一、納得もいいのですが、返事がまだなのです」 上目遣いで、真っ赤な顔で…おお、その趣味の人にはたまらないシチュですな! 「いや、年齢的に駄目な点が多すぎるだろ?」 「些細なことは気にしないで欲しいのです…」 ん…と背伸びして、圭一の手から封筒を奪い取る梨花。 中に入っていた紙を広げ、その文面を読み上げる。 「この小説にでてくるキャラクターは、全員18歳以上です 外見的に幼く見えていても、実年齢はループ現象で云々…」 「都合いいなおいっ! っていうか梨花ちゃんはいいとして沙都子はどうよ!?」 「ボクならいいというのも、それはそれで失礼ですよ」 不満そうに視線を上げるが、まだ全部読んでいなかったらしく、 文面を再び読み上げ始める。 「…というわけで、圭ちゃんには梨花ちゃんこと オヤシロ様と色々できる権利が与えられました 頑張れ圭ちゃん!…とのことです」 「わーい嬉しいね♪ …でもそれでなぜ梨花ちゃん!? オヤシロ様って言うからには普通俺が婿に…っていうか生贄か? それにさっき『私を妻に…』って言わなかったっけ?」 「くれぐれも、ボクはボクが一人称なのですよ… で、その回答なのですが、作者にも…」 「それは分かったけどさ… つまり作者的には梨花ちゃんでえちぃが書きたいと」 「(こくん)」 「しかし…俺にロリコンの気はないぞ?」 「…本人を前に、ロリというのも失礼ですが… その気が無いなら、気を出してあげるまで…なのですよ」 梨花が巫女服の袂からおもむろにスプレーを取り出し、圭一の顔に噴きかけた。 「うっわー!何その無駄に本編活用な小道具!?」 ごろごろ転がって痛がる圭一に、注射器の針が迫る。 「無駄に長かった前振りもここまでなのです… さあ、次回からえっちぱーとなのですよ…にぱ~☆」 なぜかカメラ目線で、次回も行き当たりばったりか!? ぶすり。 「うっ…ぁ…」 二の腕に鋭い針が挿し込まれ、何かの液体が注入される。 「即効性のフィクション的媚薬なのです」 親切に解説ありがとう、だが圭一は未だに目が見えてない状態のままだ。 「それも狙いなのです…目が見えないと、とっても敏感になるのですよ」 「そんなのどこで習ったーーーっ!?」 目を押さえたままで、器用に突っ込みを入れる圭一。 「沙都子で実験済みなのですよ」 しかし梨花は一瞬もひるまず、暴れる圭一のズボンに手をかける。 「それに、膣内に出さなければギリギリ犯罪にはなりませんから」 ベルトを外してズボンを一気にずり下ろすと、トランクスにテントが張っていた。 「ふふっ…圭一ってば、もうこんなになってるのですね…」 優しげな、それでいて見下ろすような、なんともいえない視線を注ぐ梨花。 ようやく目が見えるようになり、 その視線を股間に注がれていることに気づいて真っ赤になる圭一。 その様子を見て梨花も気分が乗ってきたらしく、 そっとテントの頂上に手を伸ばす… 「あ…熱くなってます…」 「うぁっ…!ちょ、ちょっと梨花ちゃ…っ!?」 媚薬によって火照った身体は、ろくに力も入らなくなっている。 圭一は梨花の行動を止めることも出来ず、流れに身を任せるしかなかった。 「うぁ…どろどろなのです…このままじゃ、パンツが大変なことに…ですね」 そういって、トランクスを下げ始める梨花。 「り、梨花ちゃん!それだけはやめ…っ!?」 下着が擦れただけで、先走りの量がどっと増える。 「ん…もう始まってしまっているのですから…圭一も楽しめばいいのですよ…?」 圭一の両足の間に更に深く潜り込んで、梨花が誘惑する。 巫女服の隙間から、当然だが下着を着けていない胸があらわになっている。 「………ん」 その年不相応な色香と勢いに流されるように、圭一は静かに首を縦に振った。 「…にぱ~☆」 答えに満足したのか、梨花はいつもの笑みを浮かべたまま… 「………ぐっ!」 圭一のペニスを、まるで飴でも舐めるかのように、愛撫し始めた。 にちゃ…と妖しい水音が境内に響く。 「ぺちゃ…ちゅっ…ちゅぱぁ…」 竿を根元から、先端に向けてゆっくりと舐め上げる動作を繰り返す。 その動きにあわせるように、圭一の投げ出された足がびくっと痙攣する。 「あっ…り、梨花ちゃん…すご…上手い…っ!」 「んぁ…はぁ、そうれふか…光栄なのですよ…♪」 梨花も、好意をもった男にこういう行為をするのは初めてらしい。 それでも健気に愛撫を繰り返すうちに、息が荒くなってくる。 「んぁは…けいぃひの…おいひぃ…の、れふ…」 顔中を唾液とカウパーでべたべたにしながら、梨花は更なる快感を圭一に与え始める。 「じゅる…ちゅっ」 「くっ…!り、梨花ちゃんもう俺…っ!」 早いなおい。 梨花は圭一のペニスを優しく握りながら、今度は口に含み始めたのだ。 「んむ…ん…、んん…」 熱い口内で、爆発寸前の圭一の男根が暴れる。 梨花も、早く出せと言わんばかりに顔を激しく前後に揺らす。 そして、とうとう圭一に限界がきた。 「だ、駄目だ梨花ちゃん!ぬ、抜いてくれって…!」 さすがに口内射精には抵抗があったようだが、 梨花はその言葉を拒否し、あろうことか今までで一番深くくわえ込み、激しく吸いたてた。 「うああああっ!あ、あぐっ!?」 …そして、圭一の男根から、マグマのように熱い精液が噴出した。 「ん、んんんっ…!!」 梨花は暴れ回る男根を必死にくわえ、精液を飲み干そうとするが、 その量はあっというまに口内を満たし、梨花の口からあふれ出る。 そればかりか、その拍子に放してしまった男根からの精液を 梨花は顔中に浴びる事になってしまった。 「あぅ…べたべたなのですよ…」 言葉とは裏腹の、機嫌の良さそうな口調で梨花。 指先で器用に精液をかき集め、口に運ぶ。 その様子を見て、圭一の一物は再び首をもたげてしまう。 「あ…圭一はまだし足りないようなのですよ…」 まだ経験は浅い圭一…というか、女性にされるのは初めてらしい。 梨花の言葉に反応はしても、まだ力が入らないのでなすがままだ。 「今度は、こっちで…」 しかし、さすがに袴を下ろした梨花の、幼いそこを見て罪悪感にかられる。 「そ、それは…いや、梨花ちゃんがいいってならいいけど…まだ…」 「さっきも言いましたが、沙都子で…いえ、正確には沙都子と実験済みです」 なんてこった。 梨花の初めての…いやそれ以上の関係性を持った相手が沙都子だったとは!? 圭一は今度こそ観念した。 (駄目だ、この子には…追いつけん!) 「初めからこの時のために準備を色々としてあるのです…抜かりはないのですよ」 相手の心を見透かすような、透明な視線で圭一を縛る梨花。 「さあ、一緒に気持ちよくなるのです…♪」 んしょ、と圭一の男根をまたいだ姿勢になる。 当然、このまま腰を落とせば… 「ってちょぉタンマ!さっき膣内に出さなければって…!」 「ああ、もうどうやっても犯罪だと上の人が指摘してくれましたですよ」 「開き直るなーーーっ!」 叫ぶ圭一を無視し、梨花が濡れそぼったそれを近づけてくる。 「では、圭一も祝・どぅてぃなのですよ、にぱ~☆」 「ええいもうどうにでもなっちまえ…っ!」 やけくそになって、梨花の腰をつかむ圭一。 そのまま線の細い、可愛らしくも儚げな肢体を強引に引き寄せた。 「え、ちょっと圭一…っ!ひゃっ、んぃやあああっ!?」 開き直ったのは圭一の方だったらしい。 標準男子より若干大きい主人公特権的な男根で、梨花を荒々しく突き上げる。 こうなると、不利なのは梨花のほうだ。 「け、圭一…っはげっ…激し…っ!」 圭一に腰をつかまれている都合上、 梨花は両手で身体を支えることが出来ない。 肩のはだけた巫女服を汗で濡らしながら、だらしなく涎を垂らしながら喘ぐ。 「梨花ちゃんの膣内(なか)…すっげ、きもち…ぃっ!」 「ひゃ、あひゃうあああっ!奥に、奥に当たって…っま、ますですようっ!」 先ほどのフェラチオで充分に濡れていて、痛みは無らしいい。 そして、なんだかんだで愛する男性に抱かれている喜びは大きいらしく、 荒々しく貫かれて、梨花は満ち足りた表情で絶頂へと駆け上がっていく。 「あ、圭一…っ!もう…だめです…っ!くあああぁああああぁっ!」 びくびくびくっ!と激しく痙攣する梨花に、しかし圭一は動きを止めない。 「け、圭一…っ!?」 開き直りは、圭一の野獣を目覚めさせたらしかった。 梨花の腰を激しく上下させながら、叫ぶ。 「梨花ちゃんもへええええええええっ!」 「も、萌えはいいです…っ!また、したいならっ…い、いつでも」 「俺はまだ逝ってないもん!」 野獣ついでにわがままも炸裂させつつ、圭一は尚も梨花を責め続ける。 「ふゃっ!やはあああっ!け、けぇいち…っまたいっ……!?」 「も、もう少し我慢してくれって…っ!」 「ひにゃああああっ!も、もうらめ…け、けいいひ…らめええええええっ!」 無理矢理快感の渦に放り込まれた梨花は、 息も絶え絶えに目一杯背中をそらせて絶頂を繰り返す。 十分ほどもそうして、ついに圭一の男根が二度目の射精を行った。 「くっ……!」 「あにゃああああっ!け、圭一!圭一いいいいぃぃぃいいっ!」 がくんっ! 二度目とは思えない溢れるほどの精液を受けて、 梨花はようやく開放されたのだった。 …… … 「ほあっ!?」 気づくと朝になっていた。 昨日の情事から後の事はよく覚えていない。 ただ、梨花ちゃんと… そういう関係になったのだな、と思うと自然ににやけ顔になる。 いつも通りに起床する。 朝ごはんを食べ、歯磨き、着替えてから 「おっはよう圭一君!」「よっす圭ちゃん♪」レナや魅音と学校に向かう。 梨花ちゃんとは「二人きりのときには恋人」と約束を交わした。 それでも昨日、教室を前にして気合をいれ、勢い良く扉を開け放つ。 「おうっ!おはようみん…おっと」 それでもこれは読めていた。 上方から降ってきた(今日は普通の)黒板消しを受け止める。 「はっはっは、沙都子よ! いつものパターンを破るオーソドックスな逆転のはっそぶはああああっ!?」 目の前に立つ沙都子の手には、見覚えのある境内の写真が握られていた。 「なになに?」 「んー?何そのしゃ…」 写真と沙都子を引っつかみ、教室の端へ移動する圭一。 「ほほほ、秘密の取引なのですわー♪」 「え、なんだろ?なんだろ?」 「おじさんも混ぜてー」 「付いて来るなよ!俺を放っておいてくれ!」 「で、なんだこれは」 「ふふふっ圭一には賢い判断をのぞみますわ」 「答えになってねえっ!」 とにかく、当事者の一人であるはずの梨花へ視線を送ると 「にぱ~☆」 「うわなんだこの状況は!?」 「だから、圭一にはこれから梨花をよろしく頼もうとおもうのですわ」 「それがなんでデバガメなんだよ!」 「だって、他の人にフラグが立ったら大変ですもの」 「脅迫すんなああああああああっ!」 朝の教室に、圭一の叫び声が響き渡った… 「で、作者よ一ついいか?」 ぐるりとこちらを向く圭一。 「なんでこんな落ちなんだよ!俺ばっかり報われないぜ!?」 だってほらさ、結局黒幕はお魎で、気を利かせたのは魅音だから。 「どこまでが行き当たりばったりだったんだよ…」 …すみません、もうしません。
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中篇 彼女は底無しだった。 あれから毎晩の様に身体を重ねた…。何度しても飽きなくて、更に求めあう。 俺の上に馬乗りになって荒々しく蹂躙された…。『手解きを受けて』犬みたいに後ろから犯したり…立ったまま羽入を壁に押し付けてした事もある。疲れ果てて、これ以上は何も出ないと思っても彼女に掛かれば不思議と息子に血が通い始めるんだ。 そして…また溶け合う。…搾り取られる。『牝の扱い方』を手取り足取り教えて貰った。 俺はそんな羽入との秘め事にのめり込んでいく。 いつしか自宅だけでは満足出来なくなり、場所時間を問わず彼女の身体を求めてしまう様になった。そして羽入は俺以上に身体を求めてきた。 羽入は底無しだった。 まるで淫魔の様に…。. 「ふっ!うあぁっ!!は、羽入…も、もう時間がねぇよ…はっ!」 授業と授業の間の休み時間。次の授業に向けて準備をしたり、軽い休息を取る一時。 たかが十分やそこらの短い時間だ。簡単に言うなら俺は便所で羽入に口で犯されていた。 そう、尿意を感じて席を外したら羽入が後ろから付いて来て…そのまま個室に連込まれたんだ。 流石に時間が無いから断ったんだよ。でも羽入がさ… 『ボクが御手伝いしてあげるのです』 って言って、後ろから抱き付かれてズボンのチャックを下げて…まるで幼児の排尿を手伝う母親みたいに……『手伝って』くれたんだ。正直恥かしかった。 それが終わったら俺の身体の前に跪いて 『綺麗にしてあげるのですよ』 と言いながら、息子を頬張りジュポジュポと音を鳴らしながらしゃぶり始めたんだよ。 『掃除』ではなく『元気』にさせる舌遣いと、唇で甘噛みしながら吸われて、息子がみるみる内に『勃こされる』 「じゅるっ!んんっ!ちゅぱ!ちゅぱ!ちゅっぷ!は…んぐっ!んふぅっ…ちゅるっ!」 そして今に居るって訳だ。傍から見たら『させている』みたいだけどさ…。 実際は『されている』…いや『犯されている』の方が正しいかも知れない。 「くっ…う!も、もうイ…くっ!は…うっ!」 やっぱり羽入には分かるんだよな。俺がそう言う前に人差し指と親指で息子を激しく扱きながら、強く吸い付いてきていた。 そしてねちねちと、ねぶり回されている。熱い唾液を絡ませた舌でこれでもかって位に…。 「じゅっぷ!じゅっ…ぷっ!ちゅっ!じゅぶじゅぶ!」 「う…あ!ああ…っ!はっ…はっ…っ!」 その射精への最短ルートを辿る様な激しい愛撫に、思わず彼女の頭を押さえて前屈みになってしまう。 自分から『時間が無い』って言ったよ。でも身体は正直でさ…この快感を少しでも長く味わっていたいんだ。 「んぐんぐ!はっ…はぷ…。んっ…ちゅぶっ!ぶぷっ!じゅぶじゅぶ!んう…!」 腰が引けた俺の尻を手で引き寄せた羽入が根元まで咥え、喉を使ってしゃぶり付くんだ。 手で掻き、舌先で裏筋を擦られ…狭い喉で締められて小刻みに出し入れされる。 「ふ…うっ!ううっ!うっ…はぁ…っ!」 俺は耐え切れなくなり羽入の頭を手で引き寄せて口内に射精する。身体を震わせて彼女の喉に直接…。 息子が跳ねて柔らかい彼女の食道を蹂躙し、多量の精液を吐き出している。 「ふぅ…。ふっ…うぅん。んっ…んくっ…」 鼻息荒く、そして悩ましげな声を洩らしながら嬉しそうに精を啜る羽入の頭を撫でて『次』を待つ。 そう俺が達した後、彼女が必ずしてくれる行為に移るまで頭を撫で続ける。 「あう…。あむ…んっう。ちゅぷっちゅぷ…ちゅうううっっ!」 『お掃除』だ。さっきのは『綺麗に』で、これは『お掃除』らしい。 よく分からないけど羽入の中では違う行為の様で、確かに先程とは違う優しい舌遣いで自らの唾液で『汚した』息子を舐め取っていく。 そして…吸われる。尿道に残った精液を一滴も残さない様に…強く吸う。うん…何て言うのだろうな? こういう羽入の行為が『手解き』から『愛情』に徐々に変わっていっている気がしてならない。 あ?俺は常に『愛情』たっぷりに接しているつもりだ。そうだよ、羽入に対する『キモチ』は変わってはいないぜ。 ……好きだ。異性としてさ。だから、そろそろ言わなくちゃいけないと思っているんだ。 こんな『身体だけの付き合い』とか『お試し期間』みたいな関係じゃなく、ちゃんとした関係になりたい。 …性欲だけを満たすだけじゃ物足りない、羽入を『俺の物』にしたい。 でも…でも怖いんだよ。 『断られて彼女が離れていったらどうしよう』 ってさ もう羽入の居ない生活なんて考えられない。俺の…大事な居場所みたいな感じなんだ。 上手く言い表せないけど、皆と居る雛見沢とは意味合いが違う、大切な俺の『居場所』だ。 だから今日こそは言う。彼女に想いを告げる。 どんな結果でも止まるより…進みたい。後悔はしたくないよな? 精一杯頑張って得た結果なら良いじゃねぇか。 「圭一!教室に戻りましょうなのです!」 右手で口元を隠した羽入が立ち上がって、左手で俺の手を取る。 そして駆け始めた彼女の揺れる髪を見ながら聞こえない様に呟く。 「………問題はどのタイミングで言うか。なんだよな……」 「圭一こんばんは。なのですよ」 またいつもと同じ『時間』に彼女は現われた。と言っても、正確な時間は時計で確認した訳では無いから、分からない…多分、深夜の一時とか二時とかだ。 でも、身体が覚えてしまっているんだ。羽入との逢瀬の時間帯を…。 「こんばんは羽入」 布団の中に入って、俺に身を寄せる彼女に挨拶をして告白のタイミングを伺う。こういうのは考えている以上に難しい。 「あうっ…けぇいちぃ…ど、どうしたのです、か…?」 だから自分のペースに持ち込んで機会を伺う事にする。 その方が言い易いかなと思う。そう、彼女を抱き締めて肩に顔を埋めてみたんだ。 白い華奢な身体に軽く頬擦りし、衣擦れの音を聞きながら一言も言わずにさ。 「あ…う。よ、よしよし」 そんな俺の奇異な様子に彼女は困惑した表情を浮かべながら、俺の頭を優しく撫でる。恐らく何をしたら良いのか分からないのだろう。 それでも俺は一言も発する事なく沈黙を続けて、羽入の甘い香りを嗅ぎ、身体を抱き締める。 「ん…。ん…う…。くすぐったいのです…」 彼女の首筋に顔を埋めて背中を撫でる。落ち着くんだよな…こうしてると。 母親に甘えているのと同じ気分になると言えば良いのか、心が暖かい気持ちになる…。 「あ、あの…さ。俺………俺は」 しばらくの間、羽入に包まれた後、沈黙を破って俺は口を開く。 顔を上げて羽入の目をしっかり見て、想いを伝えようとする。 「…羽入の事が………好きだ」 「……あう」 そう言うと彼女は頬を桜色に染めて顔を伏せる、わずかに覗く口元が弛んでいるのを見て確信する。 『嫌ではないみたいだ』 って。そりゃあ嫌だったら、こんな関係にはなっていないだろうから当たり前と言えば当たり前だけど…。 「可愛くて、明るくて、優しくて…大好きなんだ。だから羽入の事、もっと知りたいんだ…深い所まで。今の関係より…親密になりたい」 彼女の肩に手を置いて更に言葉を紡ぐ…。 そう。高鳴る心臓を落ち着けるために一呼吸置いて、しっかり羽入の目を見て紡ぐんだ。 「…俺と付き合ってください」 余計な飾りは要らない。シンプルに伝えたい事を。 「………あうぅっ」 すると羽入は少しだけ表情を曇らせる。傍目には分からない程微かに…。 嬉しそうな…でも辛そうな表情になるんだ。何故なのかは分からない。 承諾してくれるか断られるか…それくらいしか考えていなかった。 彼女が自分の肩を両手で抱いて再び顔を伏せた事に、俺は戸惑いを覚える。 「あ、ああ…。別に今すぐ返事が欲しいとかじゃないし…。うん!そうだ!嫌なら気にせず言ってくれて良いんだぜ?そ、それに…」 …女々しい。今の俺は凄く女々しいと思う。気遣いに見せかけて保身に走ってしまった。 悩む彼女の姿を見て、何か悪い事を言ってしまった様な気がして……ヘタレた…。 でも羽入がそんな俺の言葉に首をフルフルと左右に振って否定して……抱き付いてくる。俺の胸板に顔を埋めて、ポツリと呟く。 「……嬉しいのです。圭一がボクに想いを伝えてくれて嬉しいのですよ。でも…」 そう言って、また黙り込む。言うべきか否か迷っている様に見える。 「…ボクが圭一と御付き合いをしたら…傷付く人達も……居るのです。だから………今の関係が良いのです」 彼女が絞り出す様に言った言葉に俺は頭を殴られた様な衝撃を覚えた。 いや、一応の予想はしていた。断られる事も考えてはいた。でも予想とは少し違う答に戸惑ってしまう。 「だけどボク、本当は圭一と……。…時間が欲しいのです。ほんの少しで良いのです。考えさせて欲しいのですよ」 そして一回、俺の身体を強く抱き締めて、立ち上がるんだ。 『今日は帰るのです』 俺は…そう言って彼女が襖を開けて去るのを見つめている事しか出来なかった。 その日以来、羽入は夜の逢瀬に現れなくなった。もちろん学校でも触れ合う事も無く…ただただ日々が過ぎていった。 一週間が経ち、二週間が経ち…彼女との接点は学校での授業だけ。 部活に来なくなり必然と会話が減って、憂鬱そうな表情で想いに耽る姿をよく目にした。 そんな彼女を心配して声を掛ける仲間達に取繕った笑顔で『何でもない』と返すのを見ていると心が締め付けられる様な気になるんだ。 羽入をそんな状態にさせているのは俺だから。言わなかった方が良かったかも知れないと考えてしまう。 後悔はしたくなかった。 でも…してしまう。羽入からの返事は貰っていないけど、身を引いてしまおうか。 って、諦めにも似た心境になるんだ。 そんな感じでそろそろ一ヵ月が過ぎようとした頃、羽入があの『時間』に俺の部屋に現われた。 「御久し振りなのですよ。圭一」 寝ていた俺は羽入に揺すられ、飛び起きる。 「はにゅ…う?来てくれたのか」 彼女が微笑んでコクリと頷き、俺の手を取って優しく握る。 「この前の返事を伝えに来たのです…」 真剣な眼差しで彼女が握った手に少しだけ力を込めた。そして震える唇が言葉を紡ぐ。 『ボクが圭一の傍らに居ても良いのですか?』 「…ん。居て欲しいよ。一緒に居たい」 自分の想いを率直に伝えると羽入の口元が少しだけ綻びて、俺の顔を下から覗き込み、上目遣いで語りかける。 「ずっと考えていたのです。ボクが圭一をどういう風に想っているか」 瞳を潤ませ、続けて何かを言おうと唇を震わせて、俺の手を握り締める。 「圭一に守って貰いたい。包んで欲しい。ボクに……ボクに優しくして欲しいのですよ」 頬を桜色に染めて、胸板に顔を埋めた羽入が呟く。 「ボクは圭一に愛されたいのです。全てを委ねたいのです」 「ボクを圭一の側に置かせてくださいなのです…」 俺は言葉で答える代わりに彼女の身体をしっかりと抱き締めて、幸せで幸せな気持ちになる。 …だって真面目に考えて、しっかりと答をくれたから。 「羽入…」 俺が呼ぶと羽入が顔をあげて目を閉じる。顎を指で持ち上げて唇を重ねる。 「あ…う…。ん…ふっ…は…ふ」 始めは、薄くそれでいて柔らかい彼女の唇を啄む。舌で唇の表面をなぞり侵入を試みる。 「んっ…んうぅ…ふ。ちゅくっ…ん…あ」 微かに開かれた唇の隙間から舌を潜り込ませて歯茎をねぶり、背中から肩口に手を動かす。すると羽入の身体がピクンと跳ねるんだ。 「ちゅぱ…けぇいち…んうぅ…。けぇいちぃ…ふあぁ…」 俺達は求め合う。離れ離れになっていた時間を取り戻す様に、徐々に高揚していく。 そうこうする内に、羽入が俺の身体を押し倒して覆い被さってきた。 「ふぅ…ふぅ…。は…あむ。ちゅくっちゅ…んうぅ…んっ…んっ」 鼻息荒く俺の身体をまさぐりながら、舌を口内の奥へ奥へと侵入させて悩ましい声を洩らすんだ。 久し振りの彼女のそんな姿に息子に血が通い始める。 「んふ…♪圭一がボクを欲しがっているのです…。カチカチ…凄い凄いなのですよ」 想いが通じ合って、かつ久々の営み…その二つが俺を興奮させる。 彼女…羽入はどうなんだろう。俺と同じ気持ちなのだろうか? 「俺は羽入と…居れなくて寂しかった…。羽入は…羽入は寂しかったか?」 その問いに彼女は微笑み、無言のまま俺の手を取り自分の長襦袢の裾に潜り込ませて『確認』させる。 ……濡れている。 そこは水でも被ったのかって位に濡れそぼっていた。 『圭一が寂しくさせたから欲求不満なのですよ』 耳元で吐息を吹き掛けながら彼女が呟く。俺は秘部に指を滑らせる。 熱く蕩けた柔肉に指を埋めて上下に優しく擦る。 「あ…。あ…っんく。あうぅぅ…はあはあ…」 切なそうに啼く羽入が俺にお返しとばかりに、下着の中に手を潜り込ませ息子を揉む。 逆手で亀頭を持ち、揉み揉み…手の平で揉みしだいて『遊んで』くれるんだ。 だから俺も『遊んで』やるんだ。少しだけ膣に指を入れてくすぐる。 「あんっ…んっ。…んっ!」 羽入が甘えが混じった声で喘ぎながら息子をゆっくりと掻く…。 俺はそれに合わせて指で膣壁を擦りながら奥へと進めていく。 羽入の暖かい手の平が息子を張り詰めさせる。 小さくて柔らかい可愛い手がさ…根本から絞るんだ。血液を送り込む様に下から上に…。 「あう…。あうっ!あ、う…は…。…あっ!あっ…ああっ」 羽入は膣内を指で円を描く様に愛撫されるのが好きなんだ。 小刻みに出し入れしつつ掻き回すと…『発情』して身体の力を抜いて、俺にされるがままになる。 「あっんっ!んあぁっ…ひうっ!はっあ…ああっ!…んうぅ…!あひ…」 クリトリスを指で弾く何度も何度も…。 息子と『遊ぶ』のを止めて喘ぎ、俺の身体にしがみついて快感に身を委ねる羽入を見て、俺はスケベ心に火が灯る。 「はあ…あ。ん…う?………あう」 彼女を抱き抱えて、布団の上に仰向けに寝かせる。 そして太股を持って彼女の顔の方に倒す。羞恥に顔を真っ赤にして目を反らす彼女に聞いてみるんだ。 「ほら羽入…ちゃんと見ろよ。こんなに濡らしてる…そうだ。綺麗にしてやらないとなぁ」 腕を膝の後ろに差し込んで両手で秘部を目一杯拡げて、顔を近付ける。 甘酸っぱい羽入の匂いを嗅ぎながら舌先で愛液を舐めとる。 「あうぅっ!は…あっ!あっ!そ、そんなに拡げちゃやなのですぅ!んうぅっ!」 眉をハの字にして泣きそうな顔で抗議する羽入に聞こえる様に、やらしい水音を発てて舐めあげるんだ…これも羽入に『教えて貰った』相手の興奮を高めさせる方法なのだ。 こういうのが『大好き』なんだろ? 「ひうっ!んっうぅ!ああっ!らめれすっ!は、恥ずかしいのれすよぅっっ!!あひっ!」 人差し指で愛液を掬いクリトリスを緩慢な動きで転がしながら、舌先に力を入れて膣に挿入してやると甘えきった声で啼く。 身体を薄桃色に染めて、腰をガクガク震わせるんだ…堪らないぜ? そのやらしい姿がどうしようもなく堪らない。 「あんっ!あっあっ!!けぇいちぃっ!んはぁ!んっ!らめぇ…!」 ヒクンヒクンと物欲しそうに痙攣するクリトリスを摘んで、強めに揉みほぐすと更に秘部が熱を帯びて切なそうに愛液を滲ませる…。 舐め取っても舐め取っても溢れ出て来る甘酸っぱい羽入の味に、俺は脳天が痺れる感覚を覚える。 「ん…羽入。俺にもしてくれよ」 持ち上げていた身体を降ろして俺は下着を脱ぎ捨てる。 そして布団の上に胡座をかいて羽入を引き寄せた。これ以上は我慢出来ない…って訳だ。 パンパンに張り詰めた息子が羽入からの『御褒美』を待っているんだ。早く遊んでくれってさ…。 「あぅ…けぇいち…ボク。も、もう我慢出来ない……欲しいのです……圭一が欲しい。挿入て欲しいのですよ…」 欲求不満でサカリのついた彼女が懇願する。 「駄目だ…羽入。お前が前に言ってた事覚えているか?ギブアンドテイクだ。ギ・ブ・ア・ン・ド・テ・イ・ク。して貰ったら返すのが礼儀なんだろ?なぁ」 以前、彼女に口で愛撫して貰い、俺はおざなりな愛撫ですぐに挿入しようとした事があったんだ。すると怒ってさ… 『圭一!男女の営みはギブアンドテイク!して貰ったら返すのが礼儀なのですよ!互いに気持ちを高め合って愛し合わないと嫌なのです!』 という事があった。 あの時は機嫌が悪くなった羽入に謝りつつ、許可が出るまで口やら手で愛撫させられた。 ん?その時の仕返しじゃねぇよ…。 して貰いたいんだ。羽入との営みを存分に楽しみたいから、して貰いたい。もちろん俺も彼女に楽しんで貰いたいから、二人で…高め合うよ。 だって羽入に我慢させるんだ。それ位は当然だろ。 常に横並びの関係。上とか下じゃねぇ対等な関係で居たい。 羽入がわざとらしく頬を膨らませた後に呟く。 「あうあう…圭一は意地悪なのですよ」 彼女は俺の前に座り、そのまま顔を股間に埋めていく。 息子の根元に両手を添えて、愛しそうに裏筋を下から上へ舌を這わせる。 「はふ…くちゅ…。ぴちゅ…ちゅっ」 亀頭までは舐めない。竿だけ…でも手抜きでは無い。浮き出た血管に口付けし、まんべんなく全体に唾液を擦り込んでいく。 挑発する様に上目遣いで俺の顔を観察しながら、何回も何回も繰り返して…。 「んふ…♪くちゅくちゅくちゅ…。ちゅぱちゅぱ…あ、ふぅ」 亀頭の先を人差し指の腹で転がされる。トントンと軽く叩かれ、円を描く様に擦られるのだ。 そして睾丸を飲み込まれ、舌で包まれて弾かれる。腰の辺りがムズムズする気持ち良さ。 俺は彼女の頬を撫で、指を首を通って襟元に滑らせる。 前のめりになり鎖骨をくすぐり、柔らかい胸を手の平に収める。 手の平に吸い付き形を変える胸を揉むと、期待に満ちた声で甘く啼く。 「ちゅぷ…んあ…。ふ…っあ。くちゅ…っちゅ、ぷ。んふぅ」 飴玉を舐める様に舌先でチロチロと睾丸が弾かれて優しく吸われ、指先は絶え間なく動かされ息子を縦横無尽にはい回る。 「…羽入の乳絞り」 俺は思い付いた言葉を呟いて、胸を絞りながら乳首を摘んで転がす。 刺激のためか、羞恥心なのかは分からないけど彼女がビクッと身体を震わせたのを見逃さない。 「んぅっ。は…ぁん。ちゅぷっちゅぷっ…!んっ!」 ああ、羞恥の方な。 反応で分かる。恥ずかしさを隠す為か、息子を咥えて小刻みに抽出を始めるんだ…。 唾液を含ませた唇を窄めて、甘く吸いながら、舌でねぶって俺を黙らせようとするんだ。 「へぇ~…。そんなに乳を絞られるのが嬉しかったのかよ?…よっしゃ。もっとしてやるよ。ほれほれ…」 「んうぅっ!んっ!ちゅぱっ!ちゅぱ…っちゅっ!んう!ちゅばっ!」 少しだけ強めに揉みしだくと甘えた声で喘ぎながら、亀頭を飲まれて強く吸われる。ベロベロと激しくねぶられ、唇で甘噛みされて俺は呻く。 背筋に走るゾクゾクとした快感に呑まれそうになるのを堪えて硬く自己主張する乳首を指で弾いてやる。 何度も何度も…彼女が蕩けるまで。 「く…あ…すっげぇ!は…!溶けちまいそっ、う…」 ふと見ると、欲求を太股を擦り合わせて耐える羽入の姿に気付いた。 そろそろ彼女に望みを叶えてあげないと不公平だよな? 「ふあっ!あっ!っちゅ……ひゃうっっ!んあぁ…!」 彼女に愛撫をさせたまま膝立ちになって身を乗り出す。 左手の人差し指と親指で秘部を拡げて、唾液をつけた右手の中指を深々と膣内に挿入し掻き回す。 すっかり出来上がっている羽入の『上と下のお口』が刺激を求めておねだりしている。 両方ともチュウチュウと吸い付いて俺を離さないんだ…。 「あふぅ…っ!ちゅっば!ちゅっば!は…ちゅっ!ちゅくっ!ちゅぱっ!」 終いには尻をフリフリさせて甘え、ねぶり回してくるんだ。 そう。可愛い可愛い求愛行動をして俺を誘ってくる。 『お口より、もっと気持ち所で咥えてあげるのですよ。早く早くぅ☆』 という感じに…。 俺を喰い殺そうと手ぐすねを引いている。だから挑発に乗って、はしたない『お口』に御仕置をしてやるんだ。 「あふっ!!は…ぷっ!くっちゅ!んんんっっ!!…へあぁぁあ…!」 秘部から指を引き抜いて、中指と薬指を思い切り叩き込んでやる。 尻を叩く様にバチン!バチン!って手の平ごとぶつけて…。 その度に羽入の身体が跳ね、膣が締まるんだ…キュンッてさ。 息子に吸い付く力も比例して強くなり、俺は彼女に腰を押し付ける。 言うなら電流…だな。腰砕けになって息子が蕩かされる。 もう…すっげぇ良くてさ…夢中になって彼女に『御仕置』をし続けた。 「んぷっ!ちゅばっ!ちゅばっ!ぶぷっ…じゅっ!んふぅっ!!…んっ!んっ!」 強い快感に身悶えさせながらも決して息子を手放さない羽入。 そんな彼女の膣内を、指でねちねちとこね繰り回す。指を交互に蠢かせて絡み付く膣肉を堪らなくさせてやるんだ。 「ふぅっ!ふぅっ!…っは…けぇいち…も、もう許してぇ…あうんっ♪疼いて疼いて仕方無いのれすぅ…!」 「おっ…!おう!はっ…俺もそろそろ入れてぇ!」 俺は愛撫を止めて再び胡座をかく。そして羽入に膝の上に跨がる様に促す。 トロンと蕩けたスケベな目付きをして、俺の背中に手を回して抱き付き息子を握り締められる。 「け、いいち…んあ…あ…」 羽入が俺の名を呟き、次の瞬間には熱く柔らかい膣肉の中に息子は居た。 トロトロな愛液とヒダが亀頭を絡め取りながら、奥へ奥へと飲み込まれて行く…。 「んうぅ~…こ、これが欲しかったのです。くふうぅん…硬くておっきな圭一のおちんちんが欲しかったのです…」 彼女が華奢な身体を震わせて甘えきった牝の声で喘ぐ。 貪欲に目一杯、息子を咥え込んだ羽入の淫らな姿を見て我慢が出来なくなる。 「んあっ!?あっ!あっ!い、いきな、り激し…すぎぃな…っのですようっ!!」 羽入の尻を両手で鷲掴みにして無理矢理、腰を振らせて息子で膣の奥を突き上げる。 子宮に亀頭が擦れ、絡み付く膣肉が蠢く。波打ったヒダがピッタリ吸い付き、ギチギチに締め付けられ溶される。 「ううっ…やっぱ羽入ぅ…の中…すげぇスケベ…だ!気持ち良すぎ!」 「あっはぁ!ぁ…んくっ!ボクのアソコ…が、けぇいち…美味しいって…んあっ!あっ!あっ!あっっ!!」 羽入が俺の腰に両足を回して腰を激しく捩らせてサカり始めた…。 突き上げるタイミングに合わせてグリグリと膣でこねくり回され、息子が暴れる。 「んふぅ!ふっ…っ!はぁ…はあ…はあ…!あっ!!」 俺は汗ばんだ彼女の身体に口付けし、印を残していく。首筋…肩…誰が見ても分かる様に…さ。 そして羽入の身体に改めて覚えて貰うんだ俺の味を…。 「ん…!ふっ…ぅあぁ!くちゅ…ちゅっ!ちゅぷ…!」 唇を舌でこじ開けて口内を犯す。奥へ侵入し彼女の唾液を舐めとってやるんだ。 それを羽入が嬉しそうに唇で甘噛みし優しく吸う。 『もっと味わって良いのですよ…』 と言いたげに多量の唾液を俺の舌に絡ませてくる。 「んく…あはっぁ!は…!あっ!あっあっ!!もっと強くしてくださいなのですっ!!くふうぅ!!ボ、ボク…イキた、い!圭一にぃ…ふあっ!イカされたいのれす!」 そう訴える彼女を俺は繋がったまま俯せにさせて後ろから貫く。 ピッタリと足を閉じて、ただでさえキツい膣で息子を締め上げてくる彼女に夢中になる。 「はっ…こうかっ!?まだ強くかっ?」 「あうんっ!!もっと…もっとぉっ!!」 上体を布団に付け、尻を突き上げた羽入を獣の交尾の様にバコバコと激しく息子で蹂躙する。 熱く、ヌルヌルな膣壁に擦られ、 俺の身体が悦びに震える。腰砕けになりそうな『羽入』の具合を堪能するんだ。 「やぁあ…けぇいちのおちんちん…ボクの中でおっきく…んう…なったのれすっ♪あうんっ!」 腰をグリグリ押し付けて膣肉を掻き回すと、羽入がカクカクと尻を振ってサカる。 柔らかく包んでくれる膣肉を息子で掻き分けて奥を突いてやるとさ…ギチギチッて締まるんだ。 そのまま奥を亀頭で擦ってやると揉み揉み…膣肉を絡ませてくる。「は…さ、最高っ!はっ!はっ!…っふ…な、なあ!イッて良いか!?限界かも…!」 「あ、あうぅ~っ!イッても良いのですよぉっっ!…んあっは♪はあっ!はっは…あっ!!」 布団を握り締めて熱に浮かされた顔の彼女が甘えた声で啼く。啼き続ける…。 俺はそんな彼女に覆い被さり、手を握り締めて腰を打ち付ける。 「あんっ!あんっ!!んうぅっ…ふ………っ!!」 右手で羽入の腕を引き、左手で顎を持って唇に口付けする…。 荒々しく舌と唾液を絡め、甘く…そう、優しく噛んでやるんだ…唇を…。 「くっっふぅう!…んっ!はっあっ!!ら、めぇ!…ひっ………んあぁあっっっっっ!!!!」 腕を掴んでグイッと引き寄せ、ガツガツと羽入の奥に息子を打ち付けると羽入が喘ぐ。 そしてキュウキュウに締め、纏わりつく膣壁を抉る様に斜め下から突き上げると、彼女が身体を大きく震わせて達する。 「ううっ…くっ!はっ……あ」 瞬間、彼女の膣が容赦無く息子を締め上げる…ただでさえ具合の良い『羽入』が、食いちぎられるんじゃないかという位に強く…熱い柔肉で…。 「うぅ…!は、にゅ…う。は…っはあ…」 腰を掴んでグイッと自分の身体に引き寄せ、火傷しそうな程に熱を帯びた膣奥へ精液を吐き出す。 亀頭で子宮を擦りながら、息も絶え絶えに身体を震わせる。 息子が脈動を打つ度にキュッと更に締まり、一滴残らず搾取ろうと蠢く『羽入』の快感に身悶えするんだ。 「んうぅ…け、いいちぃ…んくっ…いっぱいいっぱい出していいので、すよ……あ、うぅ」 俺と同じく息も絶え絶えな羽入が甘く囁きながら、尻を押し付け緩慢な動きで振りつつ、身体の下から回した手で陰嚢を揉みしだく。 その甘く蕩けさせる快感を享受しながら俺は思う。 『やっぱり大切な人と愛し合うのって良いな』 てさ…。 「あうぅ~☆圭一ぃ、すっごく気持ち良かったのですよ~。ボクの身体、まだフワフワしているのです」 上機嫌な羽入が仰向けに寝た俺に抱き付き、胸板にグリグリと頬を擦り寄せる。 「おお…。俺もだ、下半身がガクガクしてる。ははっ!力入らねぇや」 そんな彼女を俺も抱き締めて、ほてった身体を冷やす。 足も手もガッチリ絡ませ合って布団の上で戯れる。こういう一時が大好きだ。 「圭一がボクに優しくしてくれるから、すぐに……あうあう。恥ずかしいのです」 『心と身体が繋がっているから気持ち良い』 多分、そんな感じの事を羽入は言いたかったんだと思う。 今まで散々交わっていたのに、改めて繋がると照れるって所か? 「そうか。…なあ羽入、俺さ二人で仲良く居れたら良いなって思うんだ。だから、こういう気持ちを大切にしていきたいよな」 俺は彼女の気持ちを代弁する。いや…俺の本音か。 ともかく大切な事は互いを想い、助け合っていく事なんだって解ったから。 「そうなのです。ボクも圭一と仲良しで居たいのです!だから…」 そう言って羽入が俺の首筋に強く吸い付く。柔らかい唇をハムハムと動かしながら。 「ん…。ボクからの想いを圭一に常に届けたいから、この印をつけるのですよ。消えない様に毎日…」 頬を桜色に染めて羽入が抱き締める力を強める。優しいよな。 『この娘を大切にしないとな』 そう、決意を新たに、俺も彼女の首筋に吸い付く。 「…ん。じゃあ俺は…羽入をいつまでも優しく包んで守る証に……って事で」 「あうあうあうっ!圭一!圭一っ!格好良いのです。あうあう!」 『テンションぶっちぎりハイ』 何故か浮かんだ、そんな言葉に噴出しそうになりつつ、足をバタバタと動かす彼女を優しく抱き寄せ、肩に顔を埋める。幸せだ…。 「あう~!やっぱり大切な人と愛し合うのは良いのです!ボクは幸せ者なのですよ!」 ああ…俺と同じ事を想ってるじゃねぇか。 「……はは…」 惚気てしまいそうな彼女の言葉が嬉しくて…さ。ちょっと鼻の奥がツンッてした。 それを隠す様に目元を肩で一回擦って、羽入を抱き抱えて身体を組み伏せる。 「よっしゃあっ!まだまだ俺は未熟だから、羽入先生に手解きを受けないとな!次は何を教えて貰おうかなぁ?」 「ふふっ♪じゃあ次は……………」 終わり -
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「けーいーちくーん!」 圭一はその声の聞こえる方に顔を向ける いつもの風景、いつもの香り、その中でも何より大切な… 狂おしいほど愛しい笑顔をこちらに向けて… 「おはよう圭一くん!」 慌てて走ってきたのか、肩で大きく息をしている 「おはようレナ、それにしても珍しく遅かったじゃねぇか。もしかしてお寝坊さんか?」 「ううん!違うよ違うー!お寝坊さんじゃないもん!お弁当作るの遅れちゃっただけだもん!」 レナはぷくーとほっぺを膨らませ子供のようにそっぽを向く 茶色の髪を優しくなでてやる はぅ…と声を出し顔を赤くして俯くレナ その姿が可愛くてしかたない 2人で歩き出す。いつものように… 最近、授業中もレナのことで頭がいっぱいで内容が何一つ入ってこない 青色のぱっちりとした瞳、茶色の綺麗に切りそろえられた髪、ピンク色の潤った唇 レナの全てが俺を魅了する その美しさに自然と惹かれる 俺はきっと…レナのことが好きだ 「─ちゃーん?おーい、圭ちゃーん?」 「うわぁぁぁ!?」 「うわぁぁ!?」 いきなり話しかけられ、びっくりする 魅音だ 圭一の驚きようを見て魅音も驚く 「なっ、なんだよ魅音!」 「何って、圭ちゃんこそ何ボーってしてんの」 「っ…それはっ…」 「もしかして、好きな人でも出来たァ?」 「ばっ!バカっお前!そんなはずないだろ!?」 思わず図星をつかれ慌てる 「あっそうなんだぁ。へへっおじさんが相談にのろうかぁ?」 魅音がニヤニヤして肩を組んで来る 「おいおい勘弁してくれよ」 あまり怪しまれないように軽く流す 「どうしたの?圭一、魅音?」 声のした方を見る。悟史だ 「いや!何も……」 「圭ちゃんねぇ、好きなひ…うぐっ」 咄嗟に魅音の口を手で塞ぎ、悟史になるべく笑顔で話しかける 「いや違うんだ悟史!今日の部活は何かなと思ってだな!ははは…」 上手にごまかせているだろうか?少し不安だった 「……むぅ」 悟史は困ったように喉を鳴らした 休み時間に圭一はお手洗いに行った その時に偶然見た レナと悟史が人目につかないような場所で、話しているところを… こんなところで何を話しているのだろうか? わざわざ人目のない所を選ぶのだ 人気のない場所でしかできない話とすると… 相談?それとも…… 駄目だ考えれば考えるほど悪い方向へ行ってしまう 考えるな、考えるな… その後の部活も俺は休み時間のことが忘れられなかった 「圭一くん、今日は乗り気じゃないのかな?かな?」 レナが圭一の顔を覗き込む 「ごめん、ちょっと具合悪くなっちまった。今日は帰らせてくれ」 途中抜け出して1人帰ることにした 「圭一…くん?」 「何〜?圭ちゃん逃げちゃうの〜?」 と、後ろからそんな声が聞こえてきたが無視した 1人で帰るのは珍しいから少し寂しかった 隣にレナがいるのが当たり前になっていた だが、休み時間に見たことがちらちら頭にでてくるのだ レナは悟史が好きなんだろうか レナは俺の事仲間としか思ってないのだろうか 「……レナ」 さっき別れたはずなのに会いたくて仕方がない 自分から帰っといてなんて身勝手なんだろう しばらくすると家の前に来た 隣を歩くレナがいないとこんなにも道のりが長くなるのかと少し驚く 中に入り、ドアを閉めかけた時… 「圭一くーん!」 圭一は反射的に振り向いた 圭一が今1番見たかった顔であり、今1番聞きたかった声 レナが俺の元へ走ってくる それでも先程いきなり部活から抜け出し、帰ってきたものだから、少し気まづかった レナは息を整えようと大きく息をしている 「レナ、どうしたんだ?」 「け…、圭一くん、具合、大丈夫かな?かな?」 「…レナ、…部活は?」 この少女は、レナは、圭一のことを心配してここまで追いかけて走ってきてくれたのだろうか? こんな俺のために…? 「心配で抜け出して来ちゃった。でももう遅かったね!あはは…」 乾いた笑みを浮かべてレナは残念そうに俯く 「それで、具合は…?」 「あ…ああ…もう大丈夫だよ」 「よ…良かったぁ!レナ、心配したんだよ!」 最初から具合なんて悪くもないのに心配してくれるレナが愛らしく感じる一方自分に腹たった 暫くの沈黙が2人を襲う 先に口を開いたのはレナだった 「じゃ…じゃぁ、まあ明日!圭一くん!」 レナは手を力なく振りながら踵を返した 思わずその手をパッと掴んでレナを止めた 離れたくない、まだ君と一緒にいたい 「あ…えっと…とりあえず寄ってかないか?」 「……うん!」 レナはパァっと表情を明るくし、頷いた 「はうぅ!圭一くんのお部屋!」 レナははぅはぅいいながら圭一の部屋の中を見物していた 「そんな大したものないぜ、ま、ゆっくりしていってくれよ」 「はーい」 圭一の部屋を一回り見たレナは圭一が座っていた横に腰を下ろした また2人に沈黙が襲う 「レナ」 「圭一くん」 どちらも沈黙に耐えられなかったのか同時に相手の名前を呼びハモりが生じる 「あ、ごめん、先に…いいぜ」 「あ…ううん、大したことじゃないから」 「えっ、いやでも…」 「いいから」 「あ、ああ…」 真剣な顔で言われるものだから、圭一が折れた 「あのな、レナ、聞きたいことがあるんだ…」 「?何かな、かな?」 うるさい心臓の音が聞こえない振りをして口を開く 「俺のこと…好きか?」 「うん!好きだよ!」 レナは可愛らしい笑顔で応える 「じゃあ、悟史のことは好きか?」 「うん!好き!」 レナのことだからそう応えるのは正直知っていた レナが仲間を傷つけることを言うわけが無い だが、レナが言った好きはきっと…圭一がレナに抱く『好き』とは違う『好き』 続いて圭一は口を開く この質問の答えが圭一が本当に聞きたかった答えだ 「レナは俺と悟史、どっちが好きか?」 「えっと……ぇ?」 レナは戸惑う 当然だろう レナに、そんな選択、決められるはずがない 「…圭一くん?どうしてそんなことっ…ん!?」 俺は咄嗟にレナの唇に自分のそれを重ねる 重ねると言うより、噛むような勢いだった 「けぃ……ち…くん…やっ…」 レナは酸素を欲しがるように口を少しだけ開けた 圭一はすかさずそこから舌を入れた レナの舌はそれから逃げるように奥に引っ込んだ しかし圭一はレナの舌を捉えると舐めまわすように自分の舌を絡めてきた ねちゃ…ねちゃ…ねちゃ… いやらしい音が口の中から聞こえてくる 「んっ…んぁ……!」 レナの顔がとろけてきて力が入らなくなってきたのか後ろに2人して倒れた しばらくして息が苦しくなってきたレナが圭一の胸元を力ない拳でポンポンと叩いてきた 圭一は惜しむような思いで唇を離す 艶のある銀の糸が2人の唇を繋いだかと思ったらレナの方へ落ちていった 「……はぅ、け…圭一くん?」 とろりとした瞳でレナが圭一を見る 少しの理性を頼りに圭一は口を開く 「俺は…レナが好きだぜ。友達じゃなく、1人の女性として」 「……はぅ」 レナは既に火照っていた頬をさらに赤くした 「レナは、俺を1人の男性として好きになってくれるか?」 「…えっと、んぅ」 圭一は自分で聞いた問の答えを聞くのが怖かった だからまたレナの唇を塞いだ 圭一はたまらずレナの服の中に手を入れた 「圭一くん!それは……やっ…」 2人の恋はまだ終わらない 続く
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鬼婆の口汚い罵りに、私の頭が沸騰してくる。 悟史君が裏切り者だと? 悟史くんが汚い血を引いた厄介者だと? ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな、ふざけるなっ!! 悟史君が何をした? 悟史君に一体何の非があると言うのか? 悟史君に一体何の罪があるというのか? ああ……怒りのあまりに自分の唇が震えているのがよく分かる。私の胸が憎悪に染まるのがよく分かる。理性が掻き消され暴力的な感情が塗り潰していく。 “ウルサイ。黙レ” だから気付かないうちに、そんな心の内を声に漏らしてしまった。 鬼婆の表情が憤怒に染まる。 ……そこで、ようやく私は自分が何を言ったのか自覚した。けれど、もう止まれない。止めることが出来ない。 「……鬼婆、あんた一体何言ってんの? 黙って聞いていれば言いたい放題」 その口調は自分でも信じられないくらいに静かで冷たかった。 「あぁん? なんばねすったら口の利きぃっ!!」 けれど、その静かさは最後の一線だったようだ。鬼婆の腐臭のする声を聞いた途端、私の感情が爆発する。 「やかましいいいいいぃぃっ!! 黙って終いまで聞けやこの鬼婆あああぁぁっ!!」 私は鬼婆の怒声を蹴散らすように怒鳴り返す。 地下祭具殿に私の声が反響して、私の感情がその場を支配する。 「だいたい、あんたは悟史君の何を知っているって言うの? 悟史君のことを何にも知らないくせに害虫みたいに言い捨てて。 悟史君がどんなにいい人か私はよく知っている。悟史君が北条家だからいけないの? 馬鹿みたい。時代錯誤も甚だしいっ!! くだらないくだらないくだらないっ!!」 たとえ、この後にどんな目に遭わされるか……それが分からない訳じゃない。けれどこの感情の吐露を止めることは出来ない。 鬼の形相で私を睨む鬼婆。それと同じく、私も凄絶な視線で睨み返す。 地下祭具殿を時間が凍ったような静寂が包み込む。 その静寂の中、やがて……私は鬼婆が私と悟史君の仲にこだわっている事に気付く。 「そっか。……魅音が告げ口した訳ね」 こいつはいつか殺す。 そんな呪いの視線を魅音に浴びせる。けれど魅音は能面のように無表情……くそ忌々しい。 「ふっ。くっくっくっ。くくくくくくくあははははははははははははははははははははっ!!」 ……あーもうどうでもいいや、馬鹿馬鹿しすぎて笑える。 私は首を上げ、鬼婆を睥睨する。 「はい、確かに私は園崎家の面子だとか世間体なんてどうでもいいです。全然興味ないですしっ!! ええ、認めますよ。好きですよ。私は悟史君が大好きです。 でもそれの何がいけないって言うのっ!? 人が人を好きになるのに何の理由が必要っ!? 答えろこの人でなしどもがあっ!!」 そして……私は私の命綱を自ら手放したことを自覚する。 壊した。徹底的に壊した。 周囲の私に向ける視線が……「救いようもない」とはっきり伝えてくる。けれどそれでも構わない。 「私の言っていることがおかしいなら反論してみろっ!! 出来ないんでしょ? 自分の後ろめたさを隠すことしか出来ないちっぽけな連中がっ!! そんなんだからお前らは――」 唐突に、魅音が私の目の前に手をかざした。……もう、しゃべるなと……。 「もう結構です詩音。あなたの言い分と覚悟はよく分かりました。ですが、ここは雛見沢で、そして園崎家です」 「だからそれがどうしたと――」 「聞きなさいっ!!」 再び声を荒げようとする私を魅音が遮る。 「詩音? ……あんた、興宮で生活するにあたって、どれだけの人に世話になってる?」 背筋をぞわりとしたものが駆け上がってくる。 「……葛西さん。奥の牢屋にいる」 「なっ!? そんなの……」 いや、本当は驚くような事じゃない。みんな共犯で、私に巻き込まれた犠牲者だ。 「覚悟のある詩音はいいとして、葛西や善郎おじさんがどうなるか? ……想像が付かない?」 頭が冷える。 全身から熱が失われていく。 「詩音。婆っちゃに謝って」 「で……でも、でも……でも……」 私はこの場に及んで、言い逃れを試みる。 それを見て、冷徹な表情を浮かべ、魅音は私に踵を返した。 無言で座敷へと戻っていく。 その背中を見ながら、私の頭の中がぐじゃぐじゃに溶けていく……。 私は威勢よく鬼婆に喧嘩を売った。 自分は悪いことはしていないと言い張った。そしてそれは間違っていないと信じている。 けど……でも私は今日までの生活でお世話になった人達を巻き込んでしまっている。これは、言うまでもなく私の責任。私一人が受けるべき咎だ。 「あ……あ…………ああ……」 意味もない声が私の口から漏れ出る。 恐くて、申し訳なくて……でもどうしてそうなのか理屈がまだ私の中で整理がついてなくて……。 それまで背中を向けているだけだった魅音が、不意に私を振り返り、小さく頷く。 その頷きの意味は……。 “葛西や叔父さんのように、悟史も巻き込まれるかも知れないよ?” 「……ひぅっ!?」 理解した。 理解した。 そうだ。私が恐れたのは……それだった。 「ま……待って……お姉……」 ぽろぽろと涙が零れる。 ダメだ。そんなのは絶対ダメだ。私一人ならまだいい。けれど、他のみんなは関係無い。私一人で済むことなら……。 「ごめん…………なさい。頭首……様」 私のプライドとかそんなもの、もはや関係無かった。 そんなものより……彼らの方が重い。 だからなるべく鬼婆の気に入るような言い方をして……。そして、鬼婆がにたりと笑みを浮かべる。 「では詩音。…………ケジメをつけて貰います」 無感情な魅音の声。 「………え? ケジメ……って? ど……どうすれば?」 壁いっぱいに立てかけられた拷問器具。 それを改めて見て、私は震える。 魅音は園崎組の若いのに視線で指示を送る。 「あ……………の?」 漆黒のスーツを着た彼は、無表情な顔で私に近付いてくる。 「失礼します」 「え? ……ちょっとっ!?」 手荒く彼に腕を掴まれ、その強い力に抗することも出来ず、私は無理矢理後ろ手にされた。 そして、ガチャリとした金属音と腕に冷たい感触……。 手錠を嵌められたのだと、理解する。 思わず、どういうことかと私の体が震える。 その直後、魅音が私の疑問に答えてきた。 “彼らによる辱めをもって、それぞれのケジメとします。……園崎詩音。あなたの体を使い、その彼を含めた三人に絶頂を与えなさい” 三人。……葛西に善郎おじさんに悟史君。妥当な……数字。しかし……。 「な…………何よそれっ!? 冗談にしても質悪すぎますよっ!! ふざけないでっ!! そんなの、出来るわけ無いじゃないっ!! ちょっと……やめ、あんたら。本気なの?」 けれど、理解してしまう。 客席にいる者共はみんな……本気だ。 私という生け贄を舌なめずりするような視線で嬲る。 その絡み付くような視線に、私は喩えようもない悪寒を覚える。汚物で満たしたプールに入れと言われてもこうはいかないかも知れない。 「うぐっ!?」 私は不意に、後ろの男から背後に倒される。前に突き倒さなかったのは彼なりの気遣いのつもりかも知れないが、そんなことされても何の救いにもならない。 ゆっくりと、むしろ優しく、彼は私を石畳の上に横たえた。 「や……やだ……やだ。こんなのやだ。許して……だって私まだ……だって、こんなのって――」 芋虫のように体をくねらせながら私は喚く。 そんな私を魅音が冷たい瞳で見下ろしてくる。 「詩音。……それがどういう意味か分かってて言ってるんだよね?」 それは、魅音からの最後通告。 私は、押し黙ることしか出来ない。 嗚咽が漏れる。 …………抵抗を止めた私の態度を観念したのだと判断したのだろう。魅音が私の脇に近付いてくる。 実際、私は観念した。 魅音が私の横に座り、私のスカートに手を掛ける。 スカートが下っていき、私の太股と下着が露出する。 それだけで私の顔は羞恥に赤くなる。 やがて……スカートが私の脚から完全に脱がされた。 「う……くっ」 歯を食いしばって、泣き叫びたいのを……これ以上泣き叫ぶのを抑える。 魅音は無言のまま、躊躇うことなく、次の作業――私の下着を脱がしにかかる。 思わず私は顔を背け、目を瞑る。けれど、柔らかな布地が私の秘部から離れ、その代わりに私の秘部が外気に触れる感覚は、誤魔化しようがない。 思わず脚に力を込め、腿と腿を密着させて抵抗するが、無駄な話だった。膝のところで、固く閉じているので、魅音はそこで脱がすのを諦めたけれど。 涙が止まらない。 「ひゃうっ!? くっ……んんっ?」 不意に、秘部に生温い感触が押し当てられる。 「何……してるの魅音?」 閉じていた目をそちらに向けると、魅音が私の股に手を差し込んでいた。 それだけじゃない。粘っこい……ローションを擦り付けるように、私の秘部を愛撫し、揉みほぐしてくる。 小声で魅音が答えてくる。 「いくら何でも、いきなりは詩音だって無理でしょ。…………だから……」 だから、準備をしているというのか……。 そんなの……嫌なのに……。 「んっ!! んんんんっ!! くぅっ……んっ」 けれど、双子故に魅音の弱いところが私の弱いところでもあるのか……まるで私を知り尽くしているかのように、私の性感を巧みに刺激してくる。 秘肉の縁を柔らかく撫でながら、秘芯を指でこね回す。丹念に……執拗に。 敏感な部分を刺激され続け、感情とは裏腹に、秘部に血流が……神経が集中し、高ぶってくる。 「はぁっ……あっ……あぁん」 感じるものか……感じるものか。 そう何度も頭の中で繰り返すのに、私の口から、誰にも聞かせたことのない牝の声が漏れる。 嘘だ。こんなのって……嘘だ。 感じてなんかいない。こんなので、感じるわけがない。こんなの、ただの刺激じゃないか……。 「あぅっ……くぅっ……ん」 けれど、痺れるような甘い感覚をどれだけ排除しようとしても……。 「……どうやら、準備はいいようですね」 魅音が静かに男に告げる。 私はそれを聞いて、首を横に振る。 けれど、彼らは止まらない。 魅音が私の股から手を抜く。そして、私の元から離れていった。 かちゃかちゃと男がベルトを外す音が頭の上から降り注ぐ。 私は目を瞑ったまま、それを聞くことしか出来ない。 「ひぅっ!?」 私の体の上に、男の気配が近付く。 そして……私の下腹部の上に、熱くて固い感触が触れる。 「やっ……あっ……ああ……」 とてもじゃないけれど、目を開けて直視する度胸は無い。けれど、彼が何をやっているのか、否応なしに理解してしまう。 私の股と股の間に、男のものが入り込んでくる。私の秘肉の下をなぞるように、固い感触が出入りする。 「……それでは、いきます。初めてでしたら、力を抜かれた方がよろしいかと思われます」 私はそんな忠告に耳を貸す余裕もなく、歯を食いしばる。 でもそんな私の行動も彼にとっては分かり切っていたことだったのだろう。 彼は一旦私の股から彼のものを抜き、そして無遠慮に私の脚を抱きかかえ……そして、私の秘部の中を犯してきた。 「あくっ!? うぐっ…………うぅぅうぅっっ!」 それまで、何ものも侵入したことのない部分に何かが入って来るという未知の感覚に、私は身悶えする。 異物感。熱くて固くて節くれ立った男のものが、一気に私の中の奥へと突き進んでいく。 (悟史君……悟史君……悟史君……悟史君……) 私は何度も悟史君の名前を呼ぶ。 意味が無いと分かっていても、それで悟史君がここに現れて、彼らから私を救ってくれるなんて……そんな都合のいいことがあるわけ無いって分かっていても……。 「ひぐっ……うぐっ……うあああぁっ」 もう、私は初めてを悟史君と……という機会は、永遠に失ってしまった。 それに……。 (痛い……。痛いよ。お願いだから、そんなに激しくしないで) けれど、その声が上手く口に出せない。 私の太股に、彼の腰が打ち据えられる乾いた音が聞こえる。 ぐちゅぐちゅと、自分の秘部からとは信じられないほどに淫猥な水音が聞こえてくる。 異物を吐き出そうとするのか、私の秘部が男のものを締め上げ、そしてその分、濃密にその質感や形状を脳裏に伝えてくる。 「はぁっ……はぁっ……あぁぁっ……あぅん……」 そんな気は全く無いのに、私の声から萌える喘ぎ声に、甘い……男が好きそうな色が混じってくる。 「はっ……あっ……くうっ」 私を犯す男の方も、限界なのか微かに呻き声を漏らす。 畜生……このド変態が……。あんたも殺す。絶対に殺す。いつか絶対に八つ裂きにしてやる。 「はぁ……はぁ、はぁ……はぁ……はぁっ……」 不意に、男は私の中から自分のものを抜いた。 「はっ……あああぁぁぁぁ~~っ」 そして、苦悶とも快楽とも付かない呻き声をあげる。 ……どうやら、達したらしい。 「これで、まずは一人目ですね」 いつの間にか、再び私の側に寄ってきた魅音の声が、すぐ隣から聞こえてくる。 私は、泣き疲れてそれに反応することも出来ない。 「では、次の相手をして貰いましょうか」 嘘……? まだやるの? もう、私……あのね? 魅音、痛かったんだよ? これ、本当に痛かったんだよ? それだけじゃなくて……あのね? とてもみじめで、悲しくて……嫌なんだよ? だから……魅音。 精一杯の媚びを含んで、魅音を見上げる。 けれど、私を見下ろす魅音の目は、とても冷たくて……。 「嫌あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! もう嫌ああああああぁぁぁぁぁぁっ!! お願いだからもう許してえええぇぇぇぇっ!! これ以上、私を汚さないでえええぇぇぇ~~っ!!」 それまで、どこかで我慢していたものが……私の心が何度目かの暴発を繰り返す。 そして、石畳に響くまた別の足音。私に近付く男のもの……。 「お願い。お願いだから近付かないでっ!! もう嫌っ!! 嫌あああぁぁぁぁ~~っ!!」 体をよじらせて、逃げだそうとするけれど、無駄な話だった。 それから私は目隠しをされ、猿ぐつわをされた。 二度目は後ろから犬のように犯され、三度目は下から突き上げるような格好で犯された。 それから私は、家に帰されてから……泣いた。それから数日間はずっとベッドの中に潜り込んでいた。 しかも、悪い事というのは続くものだ。 その数日後、悟史君が突然いなくなってしまった。 (どうして……どうして、どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてっ!!) 私は荒れた。 ううん、荒れ狂ったのは心の中だけ。実際にはそんな……暴れ回る気力すら無かった。 大石、そして鷹野さんから悟史君や雛見沢についての話を聞いて……でも空っぽな私の心は、何一つとして晴れなかった。 部屋の中で虚空を見詰めていると、不意にドアから鍵をいじる音が聞こえてきた。 「葛西なの? ……大丈夫。鍵は開いてますよ」 最初は葛西にすら男の……そんなものに怯えてしまったけど、今はもう大丈夫だ。 「葛西さんじゃないよ。詩音」 え? この声? 「…………入るよ? いい?」 「……うん」 扉を開けて、姿を現したのは……お姉だった。おずおずとした作り笑いを浮かべながら、手にはどこかで買ったケーキの箱を持っている。 その姿を見て……魅音の媚びるような目を見て、私の心が凍る。必死に取り繕っていた平常心がひび割れて、砕けた。 ううん、違う。鬼が目覚める。 恐らく、ここに来たのはこの前のことを謝るためだろう。馬鹿な奴だ。世の中にはどれだけ謝罪の言葉を伝えても償えない相手……許さない相手がいるというのに、謝れば許して貰えると甘いことを考えている。 「いらっしゃい。魅音」 自分でも信じられないくらいに優しい口調で魅音を招き入れる。 「うん」 そして、疑うこともなく、微笑みながら魅音が部屋の中に入ってくる。 ……仕方ないよね? ここは鬼の住処で、私は鬼だもの。そんなところにのこのことやってくるあんたが悪い。 さて……どうやってケジメを付けさせてやろうか? 私は陰惨なイメージを次々と思い浮かべ、柔らかい微笑みを顔に貼り付けながら、心の底で舌なめずりする。 あはっ……はは、あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは。 ―END―
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トラップバスター 秋の夕日に照る山もみじ・・・。 日本の自然は、特に秋のそれは美しい。 夏の盛りに青々と茂っていた木の葉が、寒さの訪れと共に色褪せ、やがて地面に落ちて土に還る。 自然のサイクルの中で、木の葉に現れる色合いの変化。緑から黄色、そして紅に染まるその様子は、少女が着物を着せ替えしている姿に例えて良いのかもしれない。 『ちょ、ちょっとアンタ!何見てんのよっ、このヘンタイ!!』 だとすると、秋の山を訪れて紅葉を楽しむ旅人は、皆すべて少女の着替えをのぞきに来るヘンタイとも言える。 突然の来訪者に戸惑い、慌てて身を隠し、モノを投げつけるその様子は、まさにツンデレ。時折落ちてくる木の葉や木の実も、このように考えると趣があるものだ。 だが膨らんだ妄想を愉しむ余裕は無かった。 俺は今、古手神社の裏山を歩いている。獣道という言葉が相応しい、細く傾斜のついた道を。 只でさえ息の上がる山道に、今日に限って夏を思い出したかのような真昼の熱気。しかも俺の背中には、どデカいリュックサックが負ぶさっている。 終戦直後の買い出しみたく、丸々と太ったその中身は、これでも減ったほうだ。 だが、これまでの疲れのせいで、最初よりも重く感じてしまう。俺は手頃な木の枝を杖の代わりにして、歩みを進めていた。 そんな俺とは対照的に、軽やかに先を進む人影があった。 俺よりも頭二つ分ほど小柄で、黒いカチューシャが乗った短髪を小刻みに揺らし、鼻歌まで歌っている。 桃色の袖無しシャツに紺色の半ズボンを身に纏ったその人影は、まるで踊るかのように華麗なターンを決め、俺に向き直った。 「あら、圭一さん。お疲れでして?」 すました様子で八重歯を見せて、北条沙都子が笑いかける。 「へっ、馬鹿野郎。俺を誰だと思ってるんだ?天下の前原圭一様だぜ・・・」 挑発的な瞳に、こちらも空元気で答えてやろうと思ったが、やはり最後は息が切れそうになる。 言い終えると、自然に肩で息する。思ったよりも体力の消費は激しいようだ。 「をーっほっほっほ。圭一さん、最近なまっているではありませんこと~♪」 沙都子の笑い声が聞こえる。顔を地面に向けていても、片手を腰に、もう一つの手を口元に当てて高笑いしている姿が目に浮かんだ。 「て、てめぇ、沙都子・・・。俺にだけ荷物を背負わせて、どの口がそういうこと言ってやがるんだ・・・。」 重装備の俺とは違い、沙都子は手荷物一つ持っていない。そりゃあ、疲れ具合も違うというものだ。 「やれやれですわ。不甲斐なさを荷物のせいにするのは、男らしくありませんわよ」 「・・・その荷物を背負わせてんのはどこのどいつだよ」 「言い訳はもっと男を下げましてよ~♪」 この外道め。日曜日の朝っぱらから俺を呼び出して言う台詞がそれかい。 俺は激しく後悔した。あぁ、あの時沙都子の口車に乗らなければ・・・。 深夜番組を愉しんで昼前まで寝るつもりだった俺を、お袋が起こしに来たのは午前の七時過ぎ。沙都子からの電話を取り次ぎに来たのだった。 寝ぼけ眼のまま電話口に出た俺の耳に聞こえたのは、「圭一さんっ、助けて下さいましッ!!」という沙都子の悲痛な叫び声だった。 「どうしたんだよ、一体!?」 「圭一さん、緊急事態ですわ!今すぐ私たちの、梨花の家に来て下さいましッ!」 「だからどうしたんだよ沙都子。説明してくれないと分かんねぇぞ。」 「あ~、う~。口で説明するには難しいですわね。ともかく来て頂ければお分かりになりますわッ!」 「う、う~ん。いきなり言われてもな・・・」 正直、乗り気になれなかった。学校でのトラップ攻撃に慣れ親しんでしまったせいか、どうしても沙都子からの誘いには裏があるように感じてしまう。具体的な内容が説明出来ないとなると尚更だ。 しかし、次に沙都子が発した台詞により、俺の顔色は一変した。 「お願いですの、梨花が、梨花がぁ・・・」 「えっ、梨花ちゃんがどうかしたのか?」 現在、沙都子と梨花ちゃんは二人で共同生活をしているはずだ。時折羽入や詩音が遊びに来るものの、お泊まりでもしてない限り、こんな時間帯に留守であるはずがない。 嫌な予感がした。 鷹野さん率いる山狗との戦いは終わったものの、「東京」の過激派が未だ梨花ちゃんを狙っている可能性が無いとは言えない。 いや、仮面ライ○ーでもよくあるパターンじゃないか。倒した組織の残党が新たな敵として現れ、平穏だった日常に終わりが告げられる・・・。 「レナさんや、魅音さん。詩音さんにも相談出来なくて・・・。圭一さんにしか頼める人が思いつきませんの。お願いです、圭一さん。助けて・・・!」 電話口の沙都子の声は、何時しか涙声になっていた。 くそぅ、何てことだ。まさか特撮やアニメのような展開がこの雛見沢に降りかかってくるとは! 「わかったぜ、沙都子。今からそちらに向かう!」 「・・・!本当ですの!?」 「あぁ、待っていろ、1500秒、いや1000秒も掛からずに辿り着いて見せる!だから俺を信じて待っていてくれ!」 「圭一さぁん・・・。圭一さんならそう言ってくれると信じていましたわ・・・」 沙都子の声が終わるのを待たずに、俺は受話器を置いて駆け出した。部屋着から着替えると、お袋に外出を告げ、食卓の上から食パン一枚を掴んでくわえる。 靴を履き、玄関の傘立てに置かれている傘から手頃な一本を取り出して背中に挿し込む。金属バットやゴルフクラブには及ばないが、獲物の代わりにはなるだろう。 自転車に跨りスタンドを蹴飛ばすと、全速力で古手神社へと向かった。 もの凄い勢いでショートカットを繰り返す。漕ぎ過ぎで腿が痛くなるが、お構いなしだ。 ・・・何か、前にも同じような事をしていたような気がするが、今はそんなことを考えている暇はない。 その甲斐あってか、普段よりも三分の二は早い時間に神社へと辿り着く。放り投げるように自転車を石段の下に停め、石段を駆け上がる。神社の境内を過ぎれば、二人の住処である物置小屋はもうすぐだッ! 「沙都子ぉぉぉっ!」 小屋の前に沙都子の姿を見かけ、俺は叫んだ。 敵は何処だ?いや、それよりも梨花ちゃんはどうなったんだ!?いやいやいやいや、沙都子の無事を確認するのが先決だ! 「あっ、圭一さん」 俺に気づき、沙都子が振り向く。 が、俺を見るとぎょっとした表情を浮かべ、一瞬怯えたような表情になった。畜生、間に合わなかったか? 「大丈夫かぁっ!」 刀を抜くようにして傘を背中から取り出し、横に構える。ほんの少し格好を付けた形だ。 覚悟完了。さぁ、「山狗」の残党か、「番犬」の別働隊か、それとも北の国からの工作員か・・・。 この前原圭一の輝きを恐れぬならば、かかってこい!! 「・・・って、戦う覚悟だったんだぞ俺は」 「それは圭一さんが勝手に勘違いしただけの話ですわよ。全く、どこをどう聞けばそんな話になるんですの。」 「おい。あの言い草なら、誰が聞いても異常事態だと思うぞ」 先程の場所からほど近い場所にある木陰で、俺達はシートを広げて座っていた。 業務用の二畳シートの上には、俺と沙都子の姿と、リュックから取り出された弁当包みがあった。 「まぁ、私の説明不足もほんの少しありましたけど・・・」 「ほんの少しかぃ!」 何事もなかったかのように、すました顔で包みから弁当箱を取り出していく沙都子を見ていると、怒りよりも呆れてしまう。 こっちがどんな思いで飛ばしてきたのか分かっているのかよ・・・。 「お前ぇが『梨花がぁ、梨花がぁ』って言うから、俺はてっきり・・・。まさか『梨花がお出かけだから、トラップ作りを手伝ってほしいのですの』って言われるとは思わなかったからなぁ!」 沙都子が俺を呼び出した理由。それはトラップ作りの手伝いだった。 何でも、今日は梨花ちゃんが羽入と興宮へ買い物へ行ったので、休日の日課であるトラップ作りの手伝いがいなかったらしい。 「ごめんあそばせ。圭一さんならば、そのくらい察して頂けると思っていましたから~♪」 「くそ、絶対ワザとだろ」 「あらあら。男が細かいことを気にしていては、器が問われますわよ~」 ぐぐぐぐぐ・・・。 言いたいことは山ほどあるが、ここで言い争いをしても不毛なだけだ。俺は松○梅のCMに出てくる七曲警察署刑事課長のように、ぐいと、注いでおいた水筒のお茶を飲み干した。 「ほらほら、これでも召し上がって機嫌を直して下さいませ」 不機嫌な俺の表情を見て取ったのか、沙都子が蓋を開けた弁当箱をこちらに差し出す。 「おっ、こいつは・・・」 弁当箱からは柔らかいクリームソースの匂いがした。表面に狐色が混ざった白色の絨毯が箱の表面を覆い、その間から肌色をした細い管がひょっこりと顔を出している。 芸術の国フランスの家庭料理と情熱の国イタリアの魂の融合!その名もマカロニ・グラタンだッ!! 「この程度で驚くのは、早ぅございましてよー!」 次々と開けられていく弁当箱の蓋。それと共に中身が姿を顕す。 「をほほほほ、こちらは特製の和風ハンバーグ。あちらはポテトサラダでございますわよ~☆」 こ、こいつはすげェ!普段みんなと学校で突っつきあうそれよりもレベルが高いんじゃないか!? あまりの眩しさに、俺は仰け反らざるを得なかった。 「お、おい、沙都子。この弁当、どうしたんだ・・・?」 「虚弱体質の圭一さんにはこのくらい召し上がって頂かないと働いてくれそうにないですから、ほんの少しだけ奮発したんでございますことよ~♪」 普段は嫌味に聞こえる沙都子の謙遜だが、このお弁当に関しては謙遜のし過ぎだろう。 形こそいびつではあるが、丁寧に丸められたハンバーグ。野菜分は少ないものの、彩りのあるポテトサラダ。流行りの冷凍食品やレトルト食品には絶対に出せない「まごころ」ってやつが込められている。 「これ、自分で全部作ったのか?」 「ま、まぁ・・・。ちょっとだけ梨花に手伝ってもらったくらいですわ」 なるほど、梨花ちゃんも絡んでいるならこの完成度も理解できる。だが、それ以上に心の込もった料理を作ってきてくれた沙都子の心遣いが嬉しかった。 「ありがとな、沙都子」 俺は笑顔を作って沙都子の頭に手を伸ばす。ぽむ、ぽむと軽く触れた後、優しく撫で回した。 「あ・・・」 悪戯心に満ちていた沙都子の瞳が急に細くなり、嬉しさに満ちた光を湛える。 俺の手が肌を揺らす間、沙都子は両手を胸元に置いてうっとりとした表情をしていた。指が何度目かの往復を終えた時、桜色をしたその唇がかすかに動いた気がした。 「そ、それよりも、せっかく作ったので召し上がっては頂けませんこと?冷めてしまいますわよ」 一段落したところで急に沙都子が頭をどけ、慌てて箸を持ち出す。 弁当はとっくに冷めているのにと茶化そうとしたが、その仕草があまりに愛らしいので、俺は箸を受け取ると「いっただききまぁ~す!」と大きな声で手を合わせた。 全く、俺も単純だ。他のヤツがすれば嫌なことも、沙都子が同じ事をするならばそれを許してしまう。 いなくなった聡史の替わりにこいつの面倒を見ている内、情が移ったのだろうか。それとも、一人っ子の俺が欲しかった妹ってやつを沙都子に投影しているのだろうか。 厳密に言えば、違う。 沙都子とこう一緒にいると、ほんの少し心音が上がってしまう。こいつの前で本当の自分を晒け出すのが恥ずかしくて、憎まれ口が先に出てしまうのだ。 幼稚園のころ、同じ組で一番仲の良かった女の子に抱いていた感情。それに似ている。 自分にかまって欲しくて、誰よりも自分を見て欲しくて、色々な悪戯をした。不器用だったから、素直に「僕と仲良くして下さい」という言葉が言えなかったんだ。 悪戯が過ぎて、その子が泣いて先生に告げ口して怒られて、それで終わっちまったんだよな。 おいおいおいおい、前原圭一。つまりそれってことは、俺、沙都子の事を・・・? あぁ、くそ。沙都子はあくまで部活の仲間だろうが。それに生意気この上ないし、偏食家でおこちゃまで、腹黒で、スタイルだってレナや魅音にも劣るし。 でも、それでいて甘えん坊で家庭的で、素直じゃないけど誰よりも気の置けなくて、あの膨らみかけの胸やちょこんと突き出たお尻も可愛くて・・・。 うをををを。何を言ってるんだ俺はァッー! ええぃ、考えるのが面倒になってきた。とりあえずこの飯を食べよう。そうすれば、混乱した俺の頭も少しはKOOLになるはずだ。 頭の中に浮かんだこの妙な感情を忘れるべく、俺はがつがつと音を立て、沙都子の弁当を頬張り続けた。 嬉しかった。 圭一さんが私のお弁当を喜んで食べてくれている。それはもうもの凄い勢いで、次々に口に運んでいる。 私の分が無くなってしまうのではないかと心配になってしまう程だ。 でも何よりも嬉しかったことは、圭一さんが私のお弁当を褒めた時に、優しく頭を撫でてくれたことだ。 こう、まるでにーにーのように優しく、その温かい手で私の頭をよしよしと。 思わず泣きそうになってしまった。そして久しぶりに「にーにー」と呟いてしまった。 にーにーがいなくなって一年と数ヶ月。私を取り巻く環境が大いに変わった日々であった。 にーにーの家出と共に叔母が惨殺死体で発見され、叔父も祟りを恐れたのか興宮へと逃げ去ると、一人残された私は梨花と共に生活を営むこととなったのである。 子供二人の生活というものは経済的な負担を想像以上に強いられるものだったが、私たちの窮状を見かねた監督、入江先生の新薬試験に協力することでお金をもらい、何とか日々の生活を送れるようになった。 叔父、北条鉄平によって身も心もボロボロにされていた私だったが、梨花やこれまでも部活で面倒を見てくれていた魅音さんやレナさんに助けられ、どうにか叔父夫婦に引き取られる前までの生活に戻れたのだと思う。 知恵先生を始めとするクラスのみんなや、にーにーを慕っているという園崎詩音さんに梨花の親戚という羽入さん・・・。 みんながいなければ、私はこうまで笑顔になることは出来なかっただろう。 そして、圭一さん。 転校して日が浅いはずなのに、いつの間にかみんなの中心に居て、人を引きつける力強さ、いわゆるカリスマというものを持っている人だ。 これまでに私の周りには居なかったタイプの人間でもある。 私は基本的に男という人種を嫌っている。 お母さんをセックスの対象としか見て無くて、弄んで捨てて、与し易いと思えば擦り寄ってくる。 物心付いた時から襖の向こうでにーにーと身を寄せ合い、母親の喘ぎ声を終わるのを待っている生活を送れば、男というものがどんなに汚らわしい存在か、自然と理解できてしまうだろう。 それを言えば圭一さんも同類に入る。だから、私は都会から男の子が転校してくると聞いた時に、軽い拒否感を覚えた。 転校初日にトラップを仕掛け、痛めつけてやろうと思った。そうすればこのクラスに溶け込もうとは思わなくなるだろうし、少なくとも私を敵と認識し、近づいては来なくなるはずだった。 転校の挨拶の前に襲いかかるトラップに、為す術無く圭一さんは沈んだ。 これで良し。度肝を抜かれて、私たちには関わり合いになりたくないと思うはずだ。私の世界をかき乱そうとは思わないはずだ。 「な、なんだこりゃぁ・・・」 「をーっほっほっほっ。ざまーありませんこと~♪」 あっけに取られている圭一さんに、私はトラップの仕掛け主として正体を現した。 さあ私を憎んで、嫌って、そして私に近づかないで-。 そんな覚悟だった。どんな罵声も覚悟していた。しかし 「こいつは、てめぇの仕業か~」 つかつかと近づいてきた圭一さんに、私は身構えた。一瞬、鉄平の醜悪な顔が重なって見えたのだ。 しかし、圭一さんは目の前で顔を近づけると 「へへっ、面白ぇじゃねぇか。こんな歓迎、初めてだぜ」 と、言って、満面の笑顔を作ってくれたのだ。 これまでにトラップを喰らった人間とは、全く違う反応。私にとっても、こんな経験は初めてだった。 ほんの少し、ちくりと。今までに無い感情が私の心に灯った瞬間だった。 「ん?どうしたんだ、沙都子?」 物思いに耽っていた私は、圭一さんの声で我に返った。 圭一さんはお弁当を半分ほど平らげ、水筒の蓋に注いだお茶を飲み干したところだった。 「な、何でもございませんわ、おほほほ・・・」 見つめられてしまっているのに気づくと、自然と頬が紅くなる。いけない、いけない。またその優しい瞳に引き込まれるところだった。 照れ隠しに、おかずに箸を伸ばす。梨花から教えてもらった和風ハンバーグを一つ摘んで、口に運んだ。 「しっかし、いつもこんな事してんのか?トラップ作り・・・」 「えぇ。モグ・・・。特に、ング・・・。こないだ・・・ハグ。使ってしまいましたから」 「食い終わってから喋れよ」 この間と言ってもしばらく経つが、私が山に仕掛けていたトラップは、鷹野さん率いる「山狗」との戦いでそのほとんどを失っていた。 数年がかりで作り上げた私の作品が、半日足らずで役目を終えたというのは皮肉だが、自衛隊を相手にして私たちの命を救ってくれたのだから充分すぎる働きをしてくれたものである。 「でもすげえよな、本物の軍隊を翻弄してたし。『番犬』の人も、外国の戦場でしかお目にかかれないシロモノだって言っていたからな」 「をほほ、それは私が作り上げた作品ですから。そこんじょそこらのものと一緒にしては、困りますわぁ~♪」 本職の軍人すら手玉に取る私のトラップ。 2年前、私が叔父夫婦に引き取られて虐待を受けていた時期、偶然出会った人に教えてもらったものだ。 名前は何と言っていたのだろうか・・・。 ゴウ?ゴウジ?確か名前のどこかにGの付く人で、外国人のような名前をしていたと思うが、詳しくは思い出せない。 その人はこの山で組木をアスレチックのようにして、黙々と訓練をしていた。何でも次の仕事のために、ナマった体を鍛えていたらしい。 無口で人を寄せ付けない雰囲気のある人だったが、私が地元の抜け道などを教えると気を許し、ほんの少し身の上話もしあう仲になった。 話の中で、私が叔父夫婦に虐待されていることをしった彼は、私に簡単なトラップ作りの方法と、その心得を教えてくれた。私の持論である「トラップは心理の裏の裏をかく」というのも、彼の言葉だ。 予定が急に繰り上がり、彼がこの山から姿を消したのは、その翌日のことだった。 「ふ~ごちそうさま。美味かったぜ」 いつの間にか、圭一さんが食事を平らげていた。綺麗にご飯粒一つ残していない。 ご飯を作る側としては、こんなに嬉しいことはない。最近、都会では食事を少し残すのがエレガントだという風潮らしいが、作りすぎ不味すぎならばいざ知らず、作り手に対する冒涜としか思えない。 「あらあら、がっつかれまして。もう少しエレガントに食べられないものですかね?」 それでも、つい憎まれ口が出てしまう。いけないとは分かっているが、圭一さんの前ではどうしても言葉が意地悪なものになる。 「美味いんだからしかたねぇだろ。あ~。食った食った・・・」 満足げにお腹を抱える圭一さんを見ると、こちらまで幸せな気分になってしまう。 私は笑い出してしまいたくなる気持ちを押し隠し、すっかり空になった弁当箱の片づけを始めた。 「ふぅ。ここを、こうすればいいのか?」 「えぇ、こちらの柏の幹にロープを仕掛けて頂ければ、今日は終わりですわ」 思ったよりも早く、今日のトラップ作りは終わった。重い物を運ぶという点においては男の子だけあって、私や梨花よりも遙かに能率が良い。 私は圭一さんがロープをしっかりと張るのを見届けると、切り株に立て掛けておいたリュックからタオルを取り出し、圭一さんに手渡した。 「おっ、サンキュな」 「帰りも背負って頂くのですから、お駄賃代わりですわ」 「もう弁当箱の空しか入ってねぇから、自分で持てよ・・・」 「をーっほっほっほ。私、箸よりも重たい物は持ったことがありませんことよ~♪」 「さっき丸太ん棒抱えていたのはどこのどいつだよ」 愚痴を言いながらも、リュックを背負ってくれるあたり、圭一さんは本当に人が良い。 本当に、口の悪ささえ無ければにーにーそのものなのに。いや、これは言い過ぎか。 「さてと、帰るとするか。誰かさんのせいで汗だくだから、早くウチでひとっ風呂浴びたい気分だぜ。」 「それには私も同感でしてよ。ベタ付いて仕方ありませんもの」 秋の半ばとはいえ、重労働をしていた私たちの体は汗にまみれていた。確かに、帰宅して早めのお風呂に浸かるのも良いだろう。 「よっと・・・。忘れ物はないか。おや?」 辺りを見回していた圭一さんが、何かを見つけて立ち止まった。 目を凝らさなければ分からないと思うが、木立の合間からうっすらと、朱色をした二本の柱が見える。裏山から奧に連なる山脈へと続く、古びた吊り橋であった。 「へー、こんな橋があったのか。トラップ作りに夢中で気づかなかったぜ」 「あら、圭一さんはご存じありませんでしたの?確か県境へと続いていたはずですわよ」 「面白そうだな。ちょっと見に行ってみようか?」 私は何度か渡ったことがありますけど、仕方ありませんわねぇ」 先程までの疲れ切った顔はどこへやら、圭一さんは目を輝かせて吊り橋へと向かっていった。男の子というものは、どうしてこう吊り橋とか断崖とか危険な場所が好きなのだろう。 私は呆れた顔をして、走り去る圭一さんの後を追いかけた。 「うおっ、こりゃ結構高いな・・・」 谷河内から興宮に流れるこの川の渓谷は、驚くほどに深い。 高所恐怖症の人でなくても、切り立った岩壁や清流に所々顔を出している岩を見ると、恐ろしさを感じるに違いないだろう。 おまけに、予算不足か計算ミスか、この橋は良く揺れるし脇のロープの縛りも甘い。そのためか、向こう岸に渡る数十メートルの間が非常に遠く感じられた。 「あらあら、流石の圭一さんも怖じ気付いてしまいましたこと?」 欄干に手を掛けて下を眺める圭一さんを、いつもの癖で挑発してしまう。 「へっ、橋があれば渡りたくなるのが男ってモンだぜ。噂じゃあ、来年公開されるあの考古学者の冒険映画の続編にも、吊り橋のシーンがあるって話だしな」 それに乗る形で、圭一さんが吊り橋に足を踏み出す。ぎしり、と綱が軋む音がして橋桁が揺れた。 「へぇ、意外に揺れるな・・・」 中程まで来ると、圭一さんはロープに手をかけ下を覗き込んでいた。静かに後を付いてきていた私の心に、ふと悪戯心が宿る。そっと圭一さんの背後に近づき、無防備な背中に向けて手を伸ばそうとした。 わっ、とでも言って驚かすつもりだった。驚いた圭一さんの顔を見たいと思っただけだったのだ。 だから私の手が、圭一さんの背中に触れた瞬間。あの忌まわしい記憶が蘇るとは、想像だにしなかったのである。 『死んじゃえぇぇ!!人殺しぃぃぃぃっっっ!!!!』 え、え、え? 何これ? こんなこと私はしていない。圭一さんを橋の上から突き飛ばすなんて、そんなこと・・・。 (何をおっしゃっているのですか北条沙都子ッ!) (忘れてしまいましたの!?あなたが圭一さんに何をしたのかを!!) あああああああああ! やめて、やめてっ!思い出させないでぇッ!! 圭一さんはここに居るんだ。だからするはずない、私が圭一さんを殺すなんてするはずがないぃぃッ!! (あは、あははははははは。本当にお目出度い人ですわね、あなたは) (覚えていないのでいらっしゃいますこと?ここではない、どこか、しかし現実にあった世界のことを) (いいこと?あなたは圭一さんを橋の上から突き飛ばして、殺した) (地獄を見せられていたあなたのために誰よりも尽くし、励まし、鉄平を殺すことまでした圭一さんを) (疑って、恨んで、最後には自分自身が生き残るために、殺した) (本当は覚えているんでおいででしょう?自分が勘違いによって圭一さんを殺してしまったことを) いやああああああああああああああ!!! 覚えている。私は覚えているッ! 圭一さんに殺されると思った。「自分が呪った人間が死んでいる」との言葉を真に受けて、そして梨花が腹を割かれて殺されているのを見て。 だからこの橋に誘い出した。背中を向けさせて橋から突き落とした。 最後まで呪いの言葉を浴びせかけて。 (それだけじゃありませんことよねぇ。あなたは三年前も殺していたんでしたわねぇ) (お義父様とお母様を、展望台の上から突き飛ばして、殺した) (あなたと仲良くなりたいために、家族旅行に連れて行ってくれたのですのよねぇ) (あなたに嘘を付かれてから、あなたに好かれようと、懸命に自分を変えようとしていたお義父様を) (自分を殺そうと思っている?を~っほっほっほ。そんな馬鹿げた妄想で殺されてしまったのですねぇ。可哀想なお義父様とお母様) うあ、うあ、うあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!! 殺した、私が殺したッ! 無防備な両親を、背中から、無慈悲に突き飛ばして、殺したッッ!! 私がお義父様に意地悪したから、仲良くしようとして遠くに連れて行ったことを、私を殺す算段をしているのだと思って、先手を打った!! (ああ、そうだ。にーにーもあなたのせいでいなくなったんですっけ) (そうそう、叔母様のイジメからあなたを守るために庇ったから、疲れ果てて) (酷い人ですわね、あなたは。この人殺し) (何が死んじゃえ、人殺しですの?あなたこそが、人殺しではなくて!?) えぁ、おぅ、を、をををををを。 あああああああああああああっっ!!! トラップバスター (中篇)
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さよならは冗長に(前篇) さよならは冗長に (後篇) 久しぶりに嗅ぐ欲望の匂いは、やはり栗の花の香りがした。 迷いの消えた圭一の行動は、思春期の少年らしく直接的なものだった。 襟元から手を入れて直に私の胸を掴み、その感触を愉しむ。直ぐに両手が乳房を覆い、這うように指が動くのを感じた。 私も襟をはだけて圭一の手を自由にさせる。加減を知らない圭一の愛撫は相変わらず痛みが伴うが、その荒々しさにすら胸が熱くなってしまう。 愛撫が一段落すると、圭一は乳首を口に含んで転がし始めた。頭を抱えると、夢中になって吸い続ける。 「んっ、圭一・・・。もう少し、優しく・・・」 胸元に目を向けると、圭一の顔。息を吸うために口を離す度に、唾液で濡れた私の乳首が鈍く光る。 「すげぇ、羽入の胸・・・。柔らかくて、温かくて・・・」 思うように私の胸を動かす圭一が、正直な感想を漏らす。やはり桜色の突起が気になるのか、指は常に乳首の側にあった。 もう片方の手が私の腰の辺りに伸びる。緋袴を脱がせたいのだろうか、結び目が乱暴に掴まれた。 が、それから圭一の指はせわしなく動いたものの、結び目を解くには至らなかった。 無理もない、最近では和服を身に着ける人自体が少ないのだ。圭一だって着付けのイロハも知らないだろう。 「あぅ・・・。ここはこう解くのですよ・・・」 指を結び目に絡めて、静かに戒めを解く。腰周りが軽くなり、立てば今にも袴がずれ落ちそうになる。 「い、いいのか・・・」 不安げな圭一の問いに、私は無言で頷いて答える。圭一の手が腰にかかり、袴の端を掴んだ。 するすると私の袴は腿を、脹脛を、そして足首を通り抜け、畳の上に落ちる。冷えていた素足にかかる圭一の手が、とても温かかった。 「う、うわっ」 袴が取り去られたその部分を見ていた圭一が絶句した。・・・無理もない、文字通り私のその部分は一糸纏わぬ姿だったのだから。 「見るのは、初めてですか・・・?」 「あ、当たり前だろ。こ、こんな風になっているなんて・・・」 圭一がこっそり持っているビニ本でも、女性の部分は暈されるか黒塗りで隠されているはずだ。初めて見る女性器を、圭一はしばらく凝視していた。 「ボクだけこんな格好じゃ恥ずかしいのです。圭一も、ボクに全部見せて欲しいのです」 若干の恥ずかしさもあって、私は圭一にも自分と同じ格好になることを要求した。 戸惑いながら圭一が自分の服を脱いでゆく。セーターとTシャツが取り払われると無駄肉の付いていない胸板が、ジーンズが脱ぎ捨てられると引き締まった太腿が顕になる。 最後に残ったトランクスは、前がはちきれそうなばかりに突っ張っていた。 「・・・」 顔を真っ赤にして圭一が最後の一枚を脱ぎ捨てる。布でその部分がずり下げられ、離れると同時にぴょん、と跳ねた。 「あぅあぅ、これが圭一のなのですね」 僅かに包皮で覆われたその部分は、天井を向いて雄雄しく反り返っていた。先端の部分が赤く染まり、これから起こるであろう未知の経験に震えているようでもあった。 私は上体を起こして圭一の股間に顔を近づけ、その部分に手で触れた。 「つっ!羽入っ!」 「圭一の、大きくなっているのです」 「や、やめ、そんな、汚いッ!!」 まるで女の子が言うような台詞で圭一は私に拒絶を伝えるが、腰を引こうとはしない。本当は、この先の快感を待ち望んでいるのだ。 くすりと笑い、圭一を見上げて私は最も敏感な鈴口の部分を指先で摘んだ。 その瞬間、圭一の顔色が変わった。 「つあッ!駄目だ、羽入っ!!」 瞬間。私の手の平に生温かい液体が迸った。目をその部分に向ければ、白い液体が間断なく噴き出している。 あ、イったんだ。 それは私の手で達してくれたという証拠。私が男を満足させられる存在であることの確証。 射精を終え、圭一は脱力して畳に膝を付く。息を荒げる圭一の顔は無力な子供のようで、可愛らしさすら感じてしまう。 私は指を汚した欲望の残滓を口に含むと、噎せかえるようなその香りを胸いっぱいに吸い込んだ・・・。 自分で出した時よりも遙かに強い脱力感に、俺は立つことが出来ず膝を屈した。 羽入の冷たい指に刺激された瞬間、あまりの気持ちよさに全てを出してしまった。脈打つ俺自身から飛び出た液体が羽入の指を、顔を白く汚す。 俺は両手を支えに腰を付くと、息を求めて天を仰いだ。自分でするのとは全然違い、相手が居ることで得られる満足感が全身を支配している。 途端に、強烈な眠気が襲ってきた。射精に伴う脱力のせいで、わずかに意識が遠のく。 「う、あぁっ!」 それを引き戻したのは、俺自身に再び与えられた刺激だった。敏感な部分を、指とは違う柔らかい何かで撫でられたのだ。 視線を戻す。するとそこには俺自身に顔を近づけ、精液でぬめった部分に舌を這わせる羽入が居た。 「嬉しいのです・・・。圭一は、ボクで気持ち良くなってくれたのですね」 俺の視線に気づくと、白濁にまみれた指で竿の部分を扱き、もう片方の手で、袋の部分を包み込む。 「ぐ・・・。あっ、あぁっ・・・!」 硬さを失う暇もなく、俺の分身は新たな刺激を求めていきり立った。その反応に満足気な顔をして、羽入が更に動きを強める。 刺激に弱い部分を的確に押さえ、俺を高みに導いていく・・・。 「圭一の、また大きくなったのです。」 言葉と共に、敏感な部分が何かで覆われた。舌が踊り、強く吸われる感触がある。 「や、やめっ!羽入ッッ!!汚い・・・ッ!!」 「んんっ・・・。む・・・。圭一のに、汚いとこなんて・・・。ないのですよ・・・」 羽入が俺自身を口で含んでいた。舌が、歯が、口腔が、俺自身を包み込んでいく。 まるで快楽の壺の中に放り込まれて、俺自身が解かされる。そんな妄想に囚われてしまう。 「うううっ、あ、ああぁ、羽入・・・!」 俺はおとがいを反らすと、手で羽入の頭を押さえた。更なる刺激を求めるためか、それとも程度を弱めるためなのか自分自身でも分からない。 それに、羽入は敏感に反応した。分身への刺激が弱くなり、羽入が矯声を上げる。 見ると、俺の手は羽入の角の部分を押さえていた。無意識の行動だったが、羽入は角に触られることに、悦びを感じているようだ。 自分にされているように、角を軽く扱く。 「はぁっ、あああああっ!」 同時に、羽入が高く悦びの声を上げた。そうか、ここが羽入の性感帯なんだ・・・。 高まる射精感と同時に、俺は羽入の角への刺激を強めていった。それはまるで自分の分身を扱いて絶頂へ到ろうとする、夜の営みの再現。 「くっ、羽入っ!いい、いいぞっ!!」 「あぅ、あぅ、あぅぅ・・・!け、圭一ぃ。ボ、ボクもき、気持ちよくて・・・」 「だ、だめだ。イク、イクぞっ!羽入の口で、俺・・・!!」 「ボクも、ボクもイきたい・・・!圭一、もっと、もっとボクの角を、いじめて!いじめてぇっ!!」 最後に向けて、一層扱きを早くする。すると、俺の指が羽入の角にある欠けたような部分を抉った。 「は、あ、あぅぅぅぅっっッッ!!けえ、い、ちぃ・・・」 びくりと全身を振るわせて羽入が脱力する。同時に羽入の歯が俺の雁首の部分を刺激した。 「う、うおおっ!!羽入ッッッ!!」 羽入の口の中が、俺の欲望で満たされる。一度目よりも激しい迸りが吹き出し、凄まじい快感が俺の脳髄を突き抜ける。 「あ、あぅっ・・・。圭一の、圭一の・・・んぐ、んっ、んぐっ」 絶頂感の中に居る羽入だったが、しっかりと俺の欲望を喉に送る。それでも飲みきれない俺の液体が口から零れ、畳の上に落ちていった。 「・・・圭一の、どろどろするのです」 口の中に残っていた白濁液を飲み干し、羽入が俺自身から口を離す。まだ、粘り気が残っているのか、しきりに口がもごもごしている。 「ぜ、全部飲んじまったのか・・・。その、臭くないか?」 「あぅ。圭一の匂いがたっぷりだったのですよ。ちょっと、むせちゃいました」 最後にごくり、と喉を鳴らして、羽入が微笑む。無理をしているのか、目にはうっすらと涙が光っていた。 「羽入、俺のために・・・」 女性に尽くされるということがこんなにも愛しいなんて、初めて知った。俺は羽入を引き上げるようにして胸元に引き寄せると、その唇にキスをした。 「ん・・・。圭一」 どうしようもなく羽入が欲しくて、奪うように唇を求める。それに答えて羽入も強く、強く唇を吸う。 ぴったりと俺と羽入の体が寄り添い、お互いの体温を直に感じ合う。 「あ・・・」 「圭一、元気すぎるのです。あぅ」 だから、心地よい羽入の肌に体が反応する。二回達したというのにまだ足りないのだ。羽入の全てを知りたいと、俺の体が求めているのだ。 「羽入、俺」 お前を抱きたいと告げようとした瞬間に、胸を軽く突かれた。流石に疲れているのか、上体が畳の上に仰向けになる。 煌々と灯る蛍光灯が瞼に映る。その光を遮るかのように、羽入が馬乗りのようにしてぬっと姿を現した。 「圭一は、じっとしていて欲しいのです」 羽入はお尻を俺の腰の上に動かし、十分に硬くなった俺自身を手で包んだ。相変わらず羽入の手は気持ちよくて、触れられただけで達しそうになる。 わずかに腰を浮かして、羽入は俺自身を自分の真ん中、根元の部分へと導いていった。 コツ、コツと敏感な部分が柔らかい部分に触れる度、夢見ていた初体験が現実のものになるのだという緊張が走る。 「怖がらなくても、いいのですよ」 こわばった顔をしていたのか、羽入が俺にリラックスするように声をかける。返事をするが上ずった声になり、何を言ったのかも定かではない。 だって次の瞬間、俺自身は今までとは全く違う感触に包まれていたのだから・・・。 「んあ、あ、ああっ・・・」 ずぶずぶと何かにめり込んでいく様な感覚が、全身を包んだ。羽入の中に身も心も埋めてゆくという表現が相応しい、内面という内面が重なった気分だ。 何度もねじ込むように、羽入は俺の腰の上で踊った。大きいとはいえない体に、そそり立った男の欲望は辛いのか、時折表情が歪む。 「く、む、無理するなッ!痛いんだろ・・・?」 「だ、大丈夫なのです。体を引き裂かれる痛みに比べたら、これくらい・・・」 健気にも、羽入は俺の手に指を絡めて体重を更にかけてきた。徐々に俺自身が羽入に飲み込まれ、気がつけばいつの間にか全て埋没していた。 万力で締め付けられるような刺激が俺自身に走る。敏感な部分だけじゃなくて、全体がその刺激で覆われているのだ。 「け、圭一。動いてほしいのです。ボクで気持ちよくなって欲しいのです」 裸身に長い髪を乱し、羽入が俺を求める。年下の少女であるはずなのに、この成熟した女性のような仕草。たまらない・・・ッ!! 「羽入ッッ!!」 俺は思い切り腰を上下に動かした。最初から強く突き上げられ、羽入がもう一度俺の上で、踊る。 「け、圭一っ!圭一ぃっ!!」 何度も突き上げていると、逆に上から来る別の動きがあった。羽入も俺を求めているのか、自ら腰を打ち付けてきたのだ。 「うっ、うあっ、うあぁッ!羽入、す、すげえっ!!」 「あぅ、あぅっ!ああぅぅッッ!!圭一の、圭一のが大きく、なってぇ・・・」 バラバラだった俺たちの腰の動きが、数を重ねるたびに拍子を合わせて一つになってゆく。シンクロするごとに快感が二乗、三乗されていき、邪魔な思考が薄れてゆく。 いつしか、俺たちはお互いを求めて抱き合う形になっていた。俺は上体を起こし、羽入は首に両手を、腰に両足を回して必死にしがみ付いている。 「くうっ、羽入、羽入っ、羽入っ!羽入ぅぅッ!!」 「圭一、圭一っ。圭一ぃぃぃっ!!」 名前を呼び合い、より深く繋がる為に激しく腰を打ち付けあう。羽入の嬌声はまるで媚薬のように俺の脳髄を刺激し、底なしの欲求を与える。 「羽入、好きだ。俺、羽入が、好きだ・・・っ! 「ボクも、ボクも圭一が、好きです。好きなのですッッ!」 いつまでも続くことを願う恋人達の時間。しかし、終わりというものは確実に訪れてしまう。 「ふ、ふああぁっ!あぅ、あぁぁうぅぅっ!!」 絶頂の直前、羽入の角を口に含む。コンプレックスに感じているこの角も、自分を悦ばせるためのスパイスだと知った羽入が敏感に反応した。 「う、うおおおっ!羽入、俺、もう・・・!」 「ああっ、圭一、イクのですね。ボクで、イッてくれるのですね・・・!!」 「ああ、俺、羽入でイク、イクぞっ!!」 「ボ、ボクももうすぐ、あ、あ、ああああああああっっ!!」 全身を震えさせて、羽入が頂点に達した。ほぼ同時に俺も最後となる迸りを羽入の中に放つ。 愛しい女性の中を自らの欲望で満たすということは、最高の幸せ。 力尽きるまで俺は羽入の体を抱きしめ、離れなければいけないその温もりを、記憶の中に刻み込んでいた。 暖かい炬燵の布団に包まれ、私達は並んで寝転んでいた。 時折視線が合わさると、お互い恥ずかしそうに目を伏せる。 さっきまで力強く私を抱いていたはずの圭一の腕は思ったよりも細くて、まるで違う人に抱かれていたような錯覚すら覚える。 しかし体に残る口付けの後と、女性の部分に走る甘い痺れが、先程までの情事が夢ではないことを教えてくれた。 そう、これは現実。私が望んでいた願いが叶った喜ぶべき現実のはずだった。 だが、喜びも現実ならば、後に待っている私の消滅も待ち受ける残酷な現実なのだ。 「羽入・・・?」 圭一が私の顔を覗き込んで怪訝な顔をする。 いつの間にか私の瞳は濡れていた。どうして、最後の最期で私の願いは叶ったというのに、どうして私は泣いているのだろうか。 理由は分かっている。分かっているけれども、改めて考えてしまうとまた辛くなるから考えたくないのだ。 別れたくないのだ。圭一と、私の愛しい人とさよならをすることが嫌でたまらないのだ。 なんということだろう。未練を断ち切るために思いを遂げたというのに、抱かれてみてますます圭一への想いが募ってしまったのではないか・・・!! 「け、圭一ぃ。圭一ぃ。う、うああ、うああああぁぁぁぁ・・・」 堰を切ったように、私の瞳から涙が溢れ出した。 圭一が好きだ。圭一が好きだ。圭一が、大好きだ・・・! その圭一の前から消えないといけないというのは、なんと悲しいのか。 かつて私が愛したあの人にもここまでの感情は抱いたことがない。見えなくとも、話せなくとも、圭一を見ていた時間はあまりにも長かったのだ。 濃密な時間が生み出した恋心は、私の想像以上に育っていたのだ。 「別れたくない、圭一と離れたくないのです。うっ、ううっ。ひっく・・・!」 子供のように、私は泣きじゃくった。圭一はそんな私を黙って見ていたが、一頻り泣いた後の私を胸に抱いてくれた。 「俺だって、羽入と離れたくない。順番が逆になっちまったけど、俺、羽入のことが好きだから」 言葉と共に強く抱きしめられる。この抱擁が失われるのが惜しくて、私も圭一の背中に手を回した。 「ごめんなさいなのです。圭一」 しかし、いつまでも甘い夢に浸っているわけにはいかない。圭一に告げなければいけない言葉が残っているのだ。 「圭一、ボクがいなくなったら、ボクを忘れてほしいのです」 「えっ・・・!?」 圭一が驚愕に目を見開く。一生の思い出となる初めての経験を終えた直後に告げられた別離の言葉、無理もない。 「ボクが『転校』したら、みんなといつものとおりに部活をして、笑って、楽しんで下さい。そして、ボクの、古手羽入の全てを忘れてください」 「な、何でそういうことを言うんだよッ!俺にとって、羽入は!!」 「それが一番良い事なのです。ボクにとっても、圭一にとっても、みんなにとっても」 何のことはない、本来在るべきでない異質のものの退場。私の存在が消えても、圭一たちには私が居なかったあの日々に戻るだけの話だ。 「忘れる前に一度、ボクのためにシュークリームを食べて欲しいのです。それだけでボクは、幸せなのですよ・・・」 私が元の存在に戻った時には、直ぐに圭一の許へ行こう。圭一は私の最後のお願いを叶えてくれるのだろうか。 いや、必ず叶えてくれるだろう。言葉が終わらない内から声を殺して泣いている圭一ならば、心に深く刻まれているに違いない。 ああ、私は残酷だ。圭一を深い悲しみに突き落としてしまうというのに、圭一が私のことで悲しんでくれている姿に悦びを感じているのだから・・・。 翌日の昼下がり、私は知恵の住む学校近くのアパートを尋ねていた。 「何もない部屋ですが、まぁ、上がって下さい」 日曜日にも関わらず、自分の都合で来訪の電話を架けた私を、知恵はいつもどおりの飄々とした笑顔で迎えてくれた。黒のタートルネックに茶色のロングスカートといった出で立ちで、知恵らしく落ち着いた格好である。 「寒かったでしょう?今ストーブを焚きますから」 言葉通り、知恵の部屋はテーブルといくつかの棚以外はほとんど何もない殺風景な部屋だった。生活感の感じられない、まるで私自身の存在のような部屋。 その中で、棚の上に置かれている十字架と数冊の聖書が目に付く。知恵は基督教徒なのだろうか、オヤシロさま信仰が根付いている雛見沢では珍しいことだ。 「はい、チャーィです。温かい内に飲んで下さいね」 リビングの食卓に着くと、甘く、良い匂いのするミルクティーが運ばれる。寒くなってから知恵がよく飲んでいるインドの紅茶だ。 「どうしたんですか?お休みの日に先生に用事だなんて。何か、あったのですか?」 半分ほど飲んだところで、知恵が来訪の目的を尋ねてきた。私の雰囲気から察したのか、何時になく真剣な眼差しである。 知恵は良い教師だ。生徒の変化には敏感だし、それに対応しようという心意気もある。 ・・・惜しむらくは解決に繋がるまでの力が無いということか。まぁ、私が抱えている問題を解決出来る人間などいないのだけれども。 「知恵。これを読んで欲しいのです」 「ん?何ですかこれは・・・?」 私は鞄から書類を取り出して知恵に手渡した。 内容はあって無いようなもの、問題は書類を読む時点で使う私の『力』だ。読むということに集中しようとしている人間の脳に直接働きかけ、さもそれが完璧な書類であろうと思いこませる一種の催眠術。 この世界に受肉して、『転校』する際も使った手だ。あの時も知恵を欺くことに成功し、私は違和感なくクラスに溶け込むことが出来たのだ。 知恵が険しい顔で書類を覗き込む。彼女が読んでいるのはセブンスマートのチラシだが、その脳裏には何が映っているのだろうか。 「羽入さん」 読み終わって、知恵が私の顔を覗き込む。 怒っていた。そう、表情はにっこりとしているが、背後から妖気にも近い怒気が立ち上っている。 まるでカレーを馬鹿にされたその時のように・・・ッ!! 「これは一体どういうつもりですか?私に電話したのは、スパゲティ麺大安売りのチラシを見せるためだけだったというのですかッ!!」 どん、とチラシがテーブルの上に叩き付けられる。馬鹿な、私の催眠術が、効いていない・・・? 「あの時もそうでしたね、転校してきた時も。書類の代わりに見せられたのは、営林署からの広報でしたね。校長先生は騙せても、私は騙されないんですよ・・・」 「な・・・!知恵は気づいていたのですか!?」 「私も教師になる前は色々ありましてね・・・。催眠術のイロハもかじったことはあるのですよ、だからあなたの力は効きません」 「何、ですって・・・」 「転校してくるということは、何かしらの事情があるということ。私はその理由を深くは問いません。他人には知られたくない理由があるのかもしれないからです」 知恵が遠い目をして語る。まるで自分も理由のある転校をしたことがあるかのように。 「だから、あなたを受け入れることを拒まなかった。そんなリスクを冒してまでこの学校にくる理由があなたにはあると思ったからなのです」 そうだった。私は梨花を、部活のみんなを、雛見沢を、そして圭一を救うためにこの学校に『転校』してきたのだった。 強い意志で、今度こそ運命を打ち破ると言う決意で望んだあの時。私は何としても梨花と圭一の傍で戦いたかった。 だから絶対に『転校』してくる必要があった。催眠術による書類偽造という不正手段に訴えてでも。 「それなのに、今度は転校ですか?羽入さんに何があったのかは分かりません。羽入さんが学校に居辛くなったというならば、私にも責任があるのかもしれない。しかし、また不正な手段で転校するなんて、そんな卑怯な手を二度も許すほど、私は甘くありませんよ!」 正論だった。 教師という立場では、生徒の不正は揺るすべかざること。知恵の怒る理由は充分に分かる。 しかし、私の場合は違う。必然である消滅を他のクラスメイトに納得させる最良の手段と言うことで、『転校』という別離を絵に描いたのだ。 私は宇宙人です。もう、地上にいるエネルギーがありません。だから消滅します。さようなら。 事実を告げれば私は精神病院行きだ。だからこういう形を取ろうと思ったのに・・・。 「どうせ、知恵には分からないのです」 「なっ・・・!羽入さん!!」 投げ遣りな言葉が口から漏れる。 皆殺しにされた世界で梨花が暴言を吐いた気分が良く分かってしまった。自分には全て分かっているのに、それを説明できないのに、無理解な反応を示す周囲の人間。 ああ、疎ましいったらありはしない。もう、どうにでもなれという気分だった。 「ボクだって、『転校』なんてしたくない。この世界が愛しい。梨花が、部活の、クラスのみんなが、雛見沢のみんなが大好きなのです!」 「・・・・・・」 「好きな食べ物も、この風景も、村で起こる全ての出来事も大好きです!好きな人だって出来ました!!・・・誰が好き好んでこの世界から消えようと思うもんか!!」 椅子から立ち上がり、知恵に迸る感情をぶつける。まるで自らの演説に酔う独裁者のように、私は思いの丈をぶちまけていた。 「でも仕方ないのです!ボクにはもう力が無いのです!!この世界がこんなに愛しいのに、ボクに残された時間は無いのです!!」 「知恵は余命告知を受けた事がありますか!?ボクはそんな気分なのですよ!死を待つだけの末期患者。消滅が間近に迫っているのに何をすることも出来ない!嫌だ。嫌だああああぁぁぁ・・・!!」 全てを吐き出した私は、嗚咽して食卓に手を付いた。涙が零れ落ち、卓上を濡らす。 「・・・落ち着きましたか」 私の嗚咽が止まるまで、知恵は口を挟まずに居てくれた。先程までの怒気は掻き消えて、悲しみと慈しみを含んだ目で私を見つめている。 「はい、ごめんなさいなのです、知恵」 深く溜め息を付き、私は椅子に座り直した。溜め込んだ感情を吐き出したためか、不思議と気分は落ち着いていた。 「・・・その、羽入さんが病気か何かで、ここに留まる事が出来ないというのは分かりました。それは、どうにもならない事ですか?」 「居るだけで、留まろうというだけで力を失うのです。今、こうしているだけでもきついのです」 「薬か、栄養の付く物は無いのですか?」 「あれば、もう使っているのです。莫大な力を得る物を取るか、それともボクの力を底上げするかしかないのです」 自分でも馬鹿なことを言っていると思う。どんな食品・薬品でも私の力の補充には及ばないというのに。 「なるほど、そうですか。・・・似ていますね」 だが、知恵はその言葉に敏感に反応した。まるで同じような事を知っているかのように。 「私の古い友人の妹さんに、同じような事がありました。その人は特殊な血筋の方でして、自分の力が弱くなると、自我を保てなくなると言う病を抱えていたのです」 「・・・病気ですか、ボクのとは違うケースなのです」 「まぁまぁ、話は最後まで聞いて下さい。その妹さんがある日、発病してしまったのです。友人はあらゆる方法を試したのですが、結局病気は最終段階にまで発症してしまったのです」 最終段階まで発症というのは、まるで雛見沢症候群のようだ。私はわずかに興味を抱き、知恵の話を最後まで聞くことにした。 「その病気を押さえるには、妹さんの力を元に戻す必要がありました」 遠い昔を懐かしむかのように、知恵の目が細くなる。きっと、知恵の目の前にはその時の光景が浮かんでいるのだろう。 「実は、妹さんの力が弱まったのは、その友人が瀕死の重傷を負った時に自分の力を分け与えたためだったからです。つまり、妹さんを直す鍵は友人自身という、近いから見つかりにくい盲点にあった訳なのです」 何か、知恵の話に何かが引っかかる。近いから、当たり前にあるから見つかりにくい物・・・。 「まあ、結論としては友人が妹さんに力を返して、自力で重症を治したので、両方とも助かったのですけどね。私も少しは骨を折ったんですよ。分け与えたエネルギーを一時的にせよ空にするのは危険な賭だったのですから・・・」 あ、あ、あ、あああああっ!! どん、とテーブルを叩いて、私は立ち上がった。 近くにある。分け与えたエネルギー。 「ど、どうしたんですか、羽入さん?」 「ち、知恵っ!ありがとう、本当にありがとうございますなのですっ!!転校は止めなのです!!心配を掛けてごめんなさいなのですッ!!!」 「は、はぁ・・・。それは、どうも」 「急用を思い出したのですっ!し、失礼するのです!お邪魔したのですッッ!!」 私は文字通り風のような早さで知恵に頭を下げると、踵を潰したままで玄関から飛び出した。 行かなければならない。盲点であったあの場所にある、あの品物を手に入れなければならないのだ・・・!! 「思い当たることがあったようですね。あれで良かったのですか?」 「くすくす、ごめんなさいね、知恵。あなたを巻き込んでしまって」 「可愛い生徒のためですから。こんなことくらいお茶の子です」 「それに私も入っているのかしら」 「勿論です。どんなになっても、どんな姿になったとしても、私の生徒は生徒に変わりないのですから。」 「・・・ありがとう、知恵。こんな性悪な人間になってしまったけど、私はあなたの生徒であったことを誇りに思うわ」 「私の方こそ。生徒が誇りに思ってくれること、それが教師としての最高の喜びなのですから・・・」 「あら、遅かったわね。先にやっているわよ。」 古手神社の祭具殿の中で、ワイングラスを片手にした性悪な魔女は待っていた。 もう一方の手に握られているのは、古ぼけた木箱。しばらく前に梨花の手によって封印された古手神社の秘宝、『フワラズの勾玉』が入った木箱だ。 「・・・ッ、梨花ぁぁぁ・・・」 感情の高ぶりに、梨花ではない存在であることを知りながら、いつもの調子で呼びかけてしまう。 その反応も楽しいのか、ベルンカステルはくすくすと笑いながらグラスに口付けをしている。 「最初から知っていたのですね!ボクが作った『フワラズの勾玉』。それでボクの力が補充出来るって・・・!!」 知恵の話があるまで忘れていた。人と人を強制的に結びつけるこの秘宝に込めた私の力は、それはそれは強力なもので、私の体を現世に留めるのには充分なものだったのだ。 その時間は、最低でも通常の人間の寿命ほどはある。力だけは有り余っていた昔の自分に感謝感激だ。 「そんなに怒らないでよ」 文字通り角を突き立てて怒る私に対し、魔女は何処までもクールだった。ひらりと祭壇から降りると、私に木箱を投げ渡す。 胸元で受け止めたそれには、中身を見なくても強い力が込められていていることが感じられた。 「私は最初から答えを言っていたんだから」 「え、答え・・・?」 急に答えを言っていたと言われても、思い浮かばない。それらしき言葉を聞いていただろうか? 「『ベルンカステルには早すぎる』」 「あ・・・」 「『杯を空にすると言うことは、それまでの終わりとこれからの始まり』ということ。この二つの言葉を組み合わせたらどうなるか。おつむの弱いあなたでも流石にわかるでしょ?」 そういえば最初、ベルンカステルはそんな言葉で私を煙に巻いていたはず。この言葉に答えが隠されていたとでもいうのか、私はベルンカステルがワインの銘柄ということを考えてから、慎重に答えを探った。 「お酒には早すぎる。そしてお酒が無くなるのは終わりと始まり、あっ!!」 「・・・さよならには早いということ。古典のハードボイルドを読んでいたら、直ぐに分かると思ったのだけどね、くすくす」 本を読んだ方が良いと言っていたのはそういうことだったのか。 だが、やはりこの魔女は性悪だ。ハードボイルドなんて、普通の女の子は読まないジャンルなのに。 「ふふ、スリルがあって良かったでしょ」 「こ、この、梨花はぁ・・・!ボクがどんな気持ちで・・・!!」 「結果オーライじゃない、圭一とヤレたんだから。三回も出させるなんて羨ましいわねぇ・・・」 一気に顔が紅に染まる。おのれ、私達の情事を高い所から見ていたというのか。 「くすくす。怒らない、怒らない。ほら、圭一が神社の前に来ているわよ」 「えっ!?」 私は思わず振り向いた。無論、ここは祭具殿なので外の様子は見えないが、圭一が境内に入っていこうとする気配を感じる。 「久しぶりに会えて楽しかったわ。幸せにね、羽入」 背後に、消え入りそうな声が聞こえた。祭壇の方向に振り向き直すと、さっきまでそこにいたベルンカステルの姿は無い。 「あ、ああっ?り、梨花?梨花ぁッ!?」 完全にベルンカステルの、いや、梨花の気配は消えていた。何度も祭具殿の中を見渡すが、影も形も無い。 いきなり過ぎる。もっと話したかった。憎まれ口ばかり叩かれたけど、梨花を見ても分かるように、あれは梨花の照れ隠しなのだ。 そうでなければ、私の元に現れて、私がこの世界に留まる方法を教えてくれることなんてあるものか・・・。 宮澤賢治の小説に出てくる転校生のように強烈な印象を残して去っていった彼女。もう一人の梨花。 私は彼女との再会が出来るだけ早く訪れる事を祈って、祭具殿を後にした。 「あっ、羽入!」 神社の境内に、圭一は居た。 駆け寄ってくるその手には、エンジェル・モートの紙袋。中には沢山のシュークリームが詰められていた。 「どうしたのですか、こんなに、沢山・・・」 あまりの量に目を丸くする。半端な量では無い、百個はあるかないか、そんな勢いだ。 「ほら、昨日羽入は『ボクのためにシュークリームを食べて下さい』って言っていただろ?」 情事の後にそうお願いしたのは覚えている。しかし、それはあくまで圭一だけへのお願いだったはずだ。 「俺、考えたんだけど。こういうのって、二人で食べた方が楽しいと思うんだ。羽入が自分の事を忘れて欲しいといった気持ちは分かるけど、俺、羽入の事忘れたくないから」 「け、圭一・・・」 「だからさ、転校するまで一緒に食べていこうぜ。ほら、いっぱいあるから梨花ちゃんや沙都子とも食えるぜ。あ、そうそう。勿論レナや魅音と詩音も一緒だぜ。最後まで、良い思い出を作って行きたいんだ」 胸が熱くなる。 私は圭一を悲しませないためにあのお願いをしたのに、圭一はそれでも私を忘れず、最後まで楽しい記憶を作ることを選択してくれたのだ。 この人を好きになって、結ばれて良かった。 「ありがとうなのです。圭一」 圭一の体を抱きしめる。愛しい人、もう話すものか。勾玉で得た力が失われる限り、私はあなたの傍にいることを誓おう。 「羽入・・・」 圭一も私を抱きしめ返す。紙袋が落ちるのも構わず、強く抱きしめられた。 「俺、手紙書くから、電話もするから。羽入のこと忘れない。どこへ羽入が行っても、俺、必ず会いに行くから。羽入を、誰よりも愛しているから・・・」 「圭一、嬉しいのです」 その覚悟は尊いもの。転校しなくなったことを私が告げれば、どんな顔をするのだろうか。 願わくば、満面の笑みを見せて欲しいものだ。 「実はですね、圭一・・・」 圭一を安堵させるべく、笑顔で転校の中止を告げようとする。その瞬間、意外な声に私の発言は遮られてしまった。 「みぃ~☆こんなところにシュークリームなのです~♪」 ざっ、と砂利を擦る音と共に、シュークリーム入りの紙袋が消えた。 視線の先には制服姿の梨花が、嬉しそうにこちらを見つめている。 「げっ、梨花ちゃん!?」 電気が走ったかのように、私と圭一の体が離れる。それを見て梨花はくすくすと笑うと、「わーぃ、今日はご馳走なのです~☆」と走り去ってしまった。 「あぁっ!?ま、待ってくれ梨花ちゃん!それは俺達の・・・!!」 圭一が紙袋を奪い返すべく、駆け出す。 だが、おかしい。梨花は今日の夕方まで沙都子と詩音の家に居るはずだ。 その時、振り向いた梨花が私を見て意地悪く笑った。こ、こいつはまさか・・・! 「みぃ~♪圭一も羽入も捕まえてごらんなさいなのです~☆」 くそぅ、性悪魔女め。なんだかんだ言っても、あんたは私にちょっかいを出したいだけではないか。 さっきのさよならは何だったのかと思う。これではまるで冗長なさよなら、居座りに等しい。 でも、まだ彼女と話すことが出来るのだと思うと嬉しい。舞台で言えばアンコールに応えてくれて、私好みの演技をしてくれたようなものだ。 私は一歩踏み出した。これから圭一と待つ日々を始めるため、そして、今しか味わえないこの瞬間を楽しむため。 「あうあうあぅ~!シュークリームにはまだ早すぎるのですよ~!!」 <終わり>
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前回 鬼畜悟史~ソノザキシマイ~ 沙都子のにーにーを確認するだけなら学校でも済ませることができる。 しかし僕自身が聞いてもうまくはぐらかされる気もしたので、ここは詩音にいかせることにした。 詩音は沙都子に『ねーねー』として慕われているようだし、実際とても仲が良い。 もちろん終わったあとの詩音には『ご褒美』がある。 詩音は僕の話を聞くとすぐさま話を聞き入れ、沙都子に話しかけていた。 容易い。容易すぎる。このまま一日に一人のペースで落としていけば沙都子を含めてもあと3日で終わる。 あと3日が部活メンバー全員のタイムリミットなのだ。僕を傷付け、裏切った女たちを絶対に逃がしはしない。 たとえどんな事が起きても絶対に全員を喰らいつくし、僕の性奴隷にしてやる。 井の中の蛙は幸せでした 井戸の外に何も興味がなかったから 井の中の蛙は幸せでした 井戸の外で何があっても関係なかったから そしてあなたも幸せでした 井戸の外で何があったか知らなかったから Frederica Bernkastel ひ ぐ ら し のなく 頃 に ~ 鬼 畜悟史 ~ 第四話 ~にーにー~ 校舎裏に沙都子を呼び寄せ、率直に『にーにー』とはどちらを指すのか聞いてみた。 「詩音さんは何を言ってるのでございますの?にーにーはにーにーですわよ」 「じゃなくて、今の沙都子のにーにーっていうのは悟史君と圭ちゃんのどちらを指すのかってこと」 「それは……ん……えぇと……」 案の定、沙都子は悩みだした。 恐らく『にーにー』という言葉は両者に使っていたのでどちらかと聞かれても答えきれないと言った所だろうか。 「どっちですか?あ、両方というのは無しでお願いしますね」 「ぁぅぁぅぁぅぁぅ……」 困ってる困ってる♪あ~もう本当に可愛いな~。 これならレナさんがお持ち帰りしたくなる気持ちも分かる。 そんな事を考えていると沙都子が本当に小さく、ぼそっと、呟いた。 「圭一さんですわ……」 悟史君の予想が的中してしまった。 今の沙都子は恐らく圭ちゃんに恋をしているのだろう。しかし、流石に年齢差や圭ちゃんがレナさんを好きだと知っている事が告白に歯止めを掛けている状態。 そして、圭ちゃんを『にーにー』と呼ぶことでまるで恋人のような気分を擬似的に味わっている。 しかし例えそうであっても、沙都子には悟史君を嫌う要素なんていうのは無い筈だ。 仮にもかつては悟史君を『にーにー』だと呼んでいたのだ。その気持ちがすぐさま薄れることは無い。 やはり杞憂は杞憂のままだった。 私はそのまま踵を返し、その場を立ち去ろうとしたが沙都子が呼び止める。 「あの……詩音さん。少しお聞きしたいことがあるのですけど……」 「何ですか沙都子。遠慮せずにどんどん聞いちゃって構いませんよ」 沙都子はしばらく俯きながら何かを考えているようだった。 聞きたいんだけど、こんなこと聞いてもいいんだろうか? という心の声が丸分かりだ。 やっと決心した様子の沙都子。 しかし、その後続く沙都子の言葉は、私には全く予期できないものだったのだ。 「私のにーにーは……一体何を……詩音さんとやってらっしゃたんですの……?」 「何の話ですか沙都子?」 「私見てましたの。にーにーと詩音さんが裸で絡み合っていたのを」 え…………?私の身体が足のつま先から頭の先まで徐々に石化していくのが分かる……。 「一昨日でしたかしら。私はにーにーが詩音さんに家のお手伝いをして欲しいと頼んでいるのを耳にしましたの。 その時は、何故私も誘ってくれないのだろうと怒りましたわ。だけどすぐに考え直して、きっとにーにーは私に手を煩わせたくなくて言ってくれなかったのだと思いました。それでも私はにーにーの役に立ちたかった!だから……だから……!私は……にーにーを驚かせる意味も含めて、気づかれないように他の部屋から家の中に入りましたの!」 そ、そんな……。 まさか、沙都子が家の中にいるなんて考えもしなかった。 「私はにーにーを驚かせたかった!きっとにーにーは驚きながらも喜んでくれると思ってた!だから私はにーにーが居る部屋まで忍び寄って勢いよく開けようとしたんですの。そうしたら、中から詩音さんの声が聞こえてきましたわ。私は何の気もなしに襖を少し……少しだけ開けて、中を見てしまいましたの。そうしたら…………!」 沙都子は途中から涙目になりながらも『あの日』の出来事を語っていく その様子はとても見るに堪えないものだった。 「怖かったですわ!あんなにーにー見たこと無かった……!詩音さんだって!詩音さんはまるで洗脳されているみたいでしたわ。わたくしは襖の間からにーにーの顔を見ましたわ。詩音さんがにーにーに何かを誓ったときのにーにーの顔は、まるで悪魔のようだった!」 沙都子の言葉の一つ一つが私に突き刺さる。 私は何をやっていたのだろう。あんな悟史君が今まで好きだったのだろうか。 そんなはずは無い。私が好きな悟史君は……優しくて、でも心が強くて、私を心の中から暖かく包んでくれる太陽のような人だった。 なのに何処で、何処で悟史君は『悟史君』では無くなったのだろうか。 「詩音さんお願いです。あのにーにーはねーねーの理想の『にーにー』では無くなった。だからあのにーにーから別れてくれませんか。わたくしは決して意地悪で言ってる訳じゃないんですの。ただ、ねーねーが心配なんですの。このままいくとねーねーがどんなことをされるか分かりませんわ。だから……お願いですの……」 沙都子は私の痴態を見ても私をねーねーだと見てくれた。そして私を心から心配してくれている。 こんな沙都子を……私は……悟史君に売り渡そうとしていたなんて……! そっと沙都子の身体を抱きしめる。その身体は華奢で、こんな子にあんな心配をさせていた自分を殴り飛ばしたくなる。 今まであんなに好きだった悟史君を拒絶するのは辛かった筈なのに、この子は今まで全く辛さを見せなかった。 そして私はこの子の苦しみに気づけなかった! 「沙都子……!ごめんね……!!つらかったでしょう……!!」 「大丈夫ですわよ……。わたくし、耐えるのは慣れているんですのよ……」 私は涙が出てくるのを抑えることができなかった。 そしてそれを見て、沙都子も堰を切ったように涙が零れる。 私たちは抱き合いながら、しばらくの間二人で泣き続けていた……。 そして私たちは泣き終った後、二人で悟史君の心を元に戻す方法を探り合うことを誓い合い、 明日また興宮の図書館で会うことを約束して別れた。 けれども、今まで気づかなかった。 カラン…………。 空き缶が転がる音に私は、はっとする。 そう、私たちの他にさっきの話を聞いている人物の存在に気づかなかった。 そして気付いてしまった。 私の背後に悟史君が立っていることに。 ぞくり、と背筋が凍る音。 悟史君の鷹のような鋭く冷え切った眼光が私を射抜く。 「あ……ぁ……」 その眼光に射抜かれた私の心は既に悟史君に掴まれていた。 足がガクガクと震え、崩れ落ちる。 こんな悟史君を私は見たことが……無い。それは昭和57年に沙都子のことで喧嘩をしたときの比ではなかった。 そしてその首には血がわずかに見える。 悟史君の眼光は私にこう言っていた。コノ裏切リモノ、と。 謝る為の言葉さえも喉に突っかかって出てこない。 「悪い猫さんには躾が必要だね」 穏やかに、しかしその中に確実に怒りが混じった言葉。 悟史君が右手に握っていたバットに力が入る様子が見て取れる。 でも、恐怖で足が動かなかった。 私は……駄目かも知れない……。 沙都子、ごめんね その言葉を呟いたとき私は後ろから何かを背中に押さえつけられ……意識はそこでブラックアウトした。 「遅かったですわね。約束をしたほうが遅れるなんて無様にも程がありましてよ」 次の日。詩音さんと約束した通りに図書館で私たちは落ち合いました。 けれど遅れてきた詩音さんは体調が悪いのか少しフラフラしてる。 「どうかしましたの?なんだか凄く顔色が悪いように見えますけど」 「昨日は少し風邪を引いたみたいで。まだちょっと体調が優れないです」 「全く……。どうせこれからの事を考えていたら夜更かししてしまったんでしょう?今から二人で話すんですから そんなに考えなくても良かったのですのに」 詩音さんは本調子ではない様子。ここは私がしっかりしなければ! 「で、これからどうしますの?もしかしたらまたにーにーが雛見沢症候群を発病しているのかもしれませんから 一度監督の身体検査を受けさせるべきかも知れませんわね」 自分ひとりで今後のことについて詩音さんに話す。 でも、詩音さんはほとんど喋ってくれない。もしかしたらかなり詩音さんはきついのかもしれない。 「仕方ないですわね。今日はもうお開きにしますわ」 「え、沙都子?」 「今度来るときはもっと体調を整えてから来ることですわね」 今日はもう解散すると詩音さんに伝え、その場を立ち去ろうと思い詩音さんに背を向ける。 ばたん。 「………………?」 何の音?私の背中の後ろで何か変な音がした。 振り向くとそこには床に倒れた詩音さんの姿が。 「し、詩音さん!?」 急いで駆け寄り、身体を起こす。 しかし、私が駆け寄ったときもう一人駆け寄ってきた。 恐らく図書館の職員さんだろうと思ってその人物を見て…………。 「詩音!大丈夫かい詩音!」 なんとあのにーにーだったのだ。 にーにーがここに居る!?今日ここに来る事は二人だけの秘密だったはず! 一体何故にーにーが!? 「沙都子!」 呼びかけられ少し身体を震わせる。駄目だ。にーにーを私が怖がっていることを知られちゃ駄目だ。 それに、にーにーは本を読むのが好きだったじゃないか。だから本当にたまたまここに居るのかもしれない。 いつも通りの反応をするんだ。いつも通り。いつも通り……。 「何ですのにーにー!?」 「詩音を僕の家に運ぼうと思うから手伝ってくれ!」 にーにーの家……か。確かにここから近いし、部屋も多い。とりあえずにーにーの家で看病して監督に連絡するのが良いかもしれない。 けどあそこは『あの日』の行為を見たせいであまりいきたくなくなった。 でも今はそんなことを言ってられない緊急事態だ。 「よし!じゃあ行くよ!」 にーにーは詩音さんをお姫様抱っこして人目を気にせずに走る。 タクシーを呼びたかったけどお金が無くては仕方がないですし。 ふと、詩音さんのポケットの中にお金が入ってるんじゃないだろうかと思ったが そのときにはもうにーにーの家は近くだった。 詩音さんをお布団に寝かせ、額に水で濡れたタオルを被せる。 本当にどうしたのだろうか?大体、私の健康管理までしている詩音さんが自分の体調を悪くするなんて有り得ない。 一体何が……? 「詩音は大丈夫かな……?」 「詩音さんの事ですから明日にはケロってしているに違いありませんわ」 「そうだね……」 しばらく沈黙が場を支配する。私には『あの日』のせいでにーにーと話すことが思いつかなかった。 「ねぇ沙都子。ちょっと話があるんだけど」 「……なんですの?」 「沙都子はさ、一昨日僕と詩音のセックスを見てたよね?」 「え…………!?」 「誤魔化さなくてもいいんだ。あの時僕は気付いていたんだからね」 ばれていたみたいだ。では、にーにーはばれていることを承知の上で行為に及んでいたということ。 一体何のために? 「沙都子は今、僕のことを警戒しているよね。それは仕方ないと思う。誰だってあんなものを見れば僕を疑う」 「じゃあ……にーにーは何故、私に見せ付けていたんですの?」 するとにーにーは恥ずかしがりもせずさらっと言ってのけたのだ。 「沙都子にセックスの気持ちよさを伝えたかったんだよ」 躊躇いも何もなく、真面目にこんなことを言い出した。これじゃあ、私の方が恥ずかしくなってしまう。 「な……なんて破廉恥な事を……不潔ですわ!」 「破廉恥……?沙都子だっていつも言ってるじゃないか。早く大人になりたいってさ」 「確かに言ってますけど、それとこれとは話が違いますわよ!」 「何も違わないよ。大人はセックスをするんだ。だから沙都子にも早くできるようになってほしいんだよ」 あのにーにーがこんな破廉恥な人だったなんて……。男の人っていうのはみんなこんな感じなんだろうか。 でも、一昨日の詩音さんだってかなり気持ち良さそうな顔をしてらしたし……。 圭一さんだってロシア系AVなんて物を見てるらしいですし……。 「それでね、僕は思ったんだ。最近沙都子は身体的に成長してるし、そろそろ僕がセックスがどんなものか 教えたほうがいいかなってね」 「セ……セックス……ですの……?」 「ああ。嫌なら別にいいんだ。でも、沙都子だって早く大人になりたいよね?」 「それは……そうですけど」 「じゃあ練習しようか」 「……うぅ」 にーにーは早速ベッドやらなんやらの準備を始める。観念しよう。 今日はとりあえずにーにーに教えてもらおう。 「あの……にーにー、優しく……お願いしますわね」 「うん、分かってるよ。沙都子は僕の妹なんだから」 そう。沙都子は僕の唯一の肉親なんだから……ゆっくり、じっくり、調教してやるよ……! 「じゃあ、まずキスから行こうか」 「うぐぅ……」 「大丈夫だよ。何も怖くないし、僕に身を委ねてくれればいい」 まず、羞恥心に染まる妹の唇を奪う。年端もいかない少女━━しかも妹━━の唇は柔らかい。 「ふむぅ……む……はふぅ…」 最初はただ唇を合わせるだけのキス。そして徐々に激しく。 小さな舌を絡めとリ、僕の唾液を沙都子に塗り、沙都子の舌の裏を舐め、歯茎をなぞり、下唇を吸い上げる。妹は息づかいを荒くし、ファースト・キスをただただ味わっていた。その顔がたまらなく可愛くて僕はさらに舐め回す。 ぴちゅ、ちゅ、ぴちゃ…… 響き渡る音で、さらに沙都子は赤面する。耳だって真っ赤でまるで沙都子が沸騰したようだった。 その初々しい反応が僕をさらにたきつける。一切の抵抗を許さないように、さらに沙都子の口内を侵食した。 「はむぅ、うん、んん……!」 あらかた舐めてから沙都子に聞く。 「どう?気持ちよかった?」 「……すごく……変な気持ちでしたわ。これを…気持ちいいって言うんでしょうか……? それに、身体がこう……何かを求めるんですの……」 何かって?アレしかないだろう!だがまだ前戯が終わってない。終わったらたっぷりとその身体にアレを埋め込んでやる。 「よし、じゃあ次のステップに移ろうか」 「次は何ですの?」 「胸だよ、沙都子」 沙都子のボタンに手を掛け、全て外すとそこからは少し膨らんだ胸が出てくる。 ……ってか、おい。ノーブラだと?男を誘っているのか? まぁ、ブラジャーを外す手間が省けた。それに沙都子の乳首を早く見られたことでよしとしよう。 「沙都子は胸を大きくしたい?」 「もちろんですわ。大人の女の人はみんな大きいんですもの」 「じゃあ、胸は揉まれると大きくなるって知ってた?」 「そ、そうなんですの?じゃ、じゃあ、揉んで下さるかしら」 揉んでくださるかしら、だとさ。……も、萌える!赤面しつつも 『勘違いしないことですわ。胸が大きくなるから揉んで欲しいんですの!決して気持ち良いからなんて理由ではありませんわ!』 という感じのツンデレっぷりに萌え死んでしまう!しかも妹属性付きの上、(似非)お嬢様言葉という特殊能力付き!? これはもう喰ってしまうほかあるまい!ではさっそく……! 「ひゃあ!にーにー、そんなに激しく……きゃう!」 我慢できなくなった僕は、いきなり沙都子の乳首をしゃぶる。 まるで赤ん坊のように力の加減を忘れ、しゃぶりつつも余った手で沙都子の両胸を揉んでやる。しかしこれはこれでいい。 沙都子は胸を大きくしたがっているが、無理に大きくする必要を感じなかった。小さいものには小さいものなりの良さがあるようだ。 「あぅ……んっ、んぁ!これが…気持ちいいって事ですのね……」 やっと自覚し始めた沙都子に追い討ちをかけるように、今度は沙都子の乳房を舐めてやる。 乳房を、乳輪を、乳首を……。あらゆるところを舐め、沙都子に快感を蓄積させていく。 いつの間にか硬く尖った乳首を引っ張り、押しつぶし、吸い上げる。乳首を傷つけないように軽く噛み、舌で硬い乳首を転がしてやる。 すると沙都子は僕のあらゆる責めに色っぽい声をだして反応する。 胸を重点的に責められたせいかもしれないが、どうやら沙都子は胸が弱いようだ。これからのためにも記憶しておかなくては。 最後に強く乳首を吸い、唾液で濡れた乳首に息をふっと吹きかける。 「ふあぁぁぁぁ!」 沙都子はいきなりの温度差を伴う責めに対して過剰に反応してくれた。 よし。沙都子は既に出来上がっているようだ。これなら……。 「やぁ!」 沙都子のわずかな抵抗は無視して沙都子のズボンを下げると、やはりパンツには大きなシミが出来ていた。 そのシミの中心を布の上から強くなぞって見る。 「はぁ!ああふぅ!ひぅぅ!」 感度は十分。さて、妹の未開の地でも開拓するか。 沙都子のパンツを脱がせ、本人でさえも触らなかったスジが僕の前に披露される。 ……これが我が妹のスジなのか……。まだ毛も生えてない、とても小さな入り口を手で開き視姦するように凝視する。 そこからは愛液が溢れており、とても綺麗なピンク色をしていた。 ━━━そろそろ本気でヤるか。少し浮かれすぎて本来の目的を忘れかけていたようだ。 「魅音。起きろ」 僕は隣で寝ている「詩音」に話しかける。 「へ?そこにいるのは詩音さんですわよ?」 すぐに「詩音」は目を覚ました。そして、起きあがるとすぐに「詩音」の服を脱いでいく。 「詩音……さん……ですわよね……?」 そこにいる「詩音」は答えない。身に着けていたもの全てを脱ぎ終わると「詩音」のスカートの中に入っていたゴムバンドを取り出し それを自らの髪の毛に縛り付ける。何所からどう見てもその姿は「園崎魅音」だった。そして、その人物は遂に口を開く。 「いや~!私もそろそろ我慢できなかったんだよね!悟史……この子、頂いて良いんでしょ?」 「あぁ。僕の邪魔にならない程度なら沙都子は好きにしてかまわないぞ」 沙都子はこの状況に対応できていない。しかし、本能的に身の危険は感じているようだ。 だがその身体は僕にがっちり捕まえられていて動けない。 「にーにー……?これはどういうことですの?何故魅音さんがここにいらっしゃるんですの?」 全ては昨日計画されたことだった。 昨日僕はそれとなく沙都子と詩音の後を付けていった。当初目論見は達成されたように思えたのだが事態は予想外の方向性を見せる。 なんと沙都子が僕と詩音の性行を目撃してしまっていたのだ。あのときは確かに無防備だったかもしれない。 その上、沙都子は詩音に僕と離れることを勧め、それに詩音が賛成してしまった。 『にーにーがにーにーでなくなった』だと? 妹の分際で何をほざいている!お前は僕の疫病神でしかなかったのに、お前は何様なんだ!? そして詩音も。家畜が主人を裏切るなどあってはならない行為。家畜風情が……! 突然首が痒くなってきた。でも精神は限りなくクールだ。 あいつらは僕に逆らおうとしている。すぐに×しなければ。あぁ、痒い痒い痒い痒い痒い! 僕は詩音が沙都子と別れたあと、詩音の後ろから近寄る。 詩音は何かに気付き、僕を見て、そして跪いた。ゆっくりと近づく僕の手にはいつの間にかバットが収められていた。 その目だ。その目。自分より立場の強いものに怯える目。恐怖が織り交じったその顔。その顔をこのバットで殴りつければ その顔はひしゃげるのだろうか。そしてその身体から暖かい朱い水が溢れ出て来るのだろうか。 だが、僕がバットを振り下ろす寸前に詩音の背中からバチッ、っと音がして詩音が倒れる。 {詩音の後ろに立っていたのは果たして魅音だった。倒れた詩音を二人でじっと見つめる。 「この子、どうすればいい?」 「じゃあ地下拷問部屋でこいつを調教してやってくれ」 必要最低限な会話で終わらせる。そして帰ろうとしたときに思いついたのが今回の作戦だった。 魅音が詩音になりすまし、病気を偽り僕の家に連れてくる。最近沙都子は僕を避けている節があったので好都合だった。 そして、現在に至るわけだ。 「にーにー、離してくださいませ!こんなの……!」 「大丈夫だよ沙都子。悟史と一緒に気持ちよくなろうね……」 魅音に沙都子を押さえつけてもらった僕は、ついに沙都子のスジに手を伸ばしたのだった。 <続く> 鬼畜悟史~ペット~